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1975-02-27 第75回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十七日(木曜日)     午後三時三十六分開議  出席委員    委員長 松本 忠助君    理事 床次 徳二君 理事 西銘 順治君    理事 安井 吉典君 理事 正森 成二君       小渕 恵三君    北澤 直吉君       熊谷 義雄君    田中 龍夫君       山田 久就君    上原 康助君       渡部 一郎君    安里積千代君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君  出席政府委員         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         沖繩開発庁総務         局長      山田  滋君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部計画課長 武田  昭君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 二月二十二日  沖繩県における軍用地返還方法に関する陳情書  外一件(  第一八五号)  那覇市における米軍油送パイプ早期撤去に関す  る陳情書外一件  (第一八六号)  名護市に大型不発弾処理施設新設計画反対に関  する陳情書(第一  八七号)  那覇牧港住宅地区内の道路解放に関する陳情  書(第一八八号)  名護市に国際海洋総合大学誘致に関する陳情書  (第一八九号)  沖繩県産パイン等休耕補償制度設置に関する  陳情書(第一九〇  号)  沖繩県民核不安解消に関する陳情書外四件  (第一九一  号)  沖繩県伊江島における山城安次君の狙撃事件に  関する陳情書  (第一九二号)  沖繩県における危険校舎解消等に関する陳情書  (第一九三号)  沖繩県金武湾原油中継基地建設反対に関する  陳情書  (第一九四  号)  沖繩県における文化財及び自然保護に関する陳  情書  (第一九五号)  沖繩県におけるエックスチェンジの解雇撤回に  関する陳情書  (第一  九六号)  北方領土返還等に関する陳情書外八件  (第一九七号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 松本忠助

    松本委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  去る二十日の委員会におきまして、私から政府に対し、沖繩県県道百四号線をはさむ米軍実弾射撃演習に関連し、県民に与えている不安を解消するための善後処置並びにその事態及び対策の詳細を当委員会報告をされることを要望いたしておりましたが、この際、その報告を聴取いたします。久保防衛施設庁長官
  3. 久保卓也

    久保政府委員 政府を代表いたしまして、キャンプ・ハンセン内県道百四号線越え射撃演習について御報告申し上げます。  県道百四号線の一部は、昭和四十七年五月十五日、キャンプ・ハンセンの提供に関する合同委員会合意に基づき、施設及び区域の一部として提供され、沖繩が米国の施政権下にあった当時からの演習場使用実態等を背景として、米軍の活動を妨げない範囲地元民による使用が認められております。  県道百四号線の封鎖を伴う射撃演習は、昭和四十八年三月から今日までの間に九回実施されております。  昭和四十九年二月二十日の演習に際しましては、道路封鎖に反対する人たちが車で交通規制区間に立ち入るという事態が発生いたしました。また、同年十月十六日、十七日の両日に予定された演習に際しましては、交通規制区間への立ち入りのほか、着弾地への座り込みが行われたため、十八日午後以降の演習実施できておりません。  このような経緯にかんがみ、地元民には迷惑をかけないよう、道路封鎖をしないで、人や車が通らないときに射撃をする方法について、米側地元——金武村、恩納村でありますが、とも調整し、道路上、着弾地等安全確認方法についても米軍十分調整の上、今回の演習に当たってこの方法をとって実施することといたしました。しかし、演習日の前日から着弾地抗議団が座り込むというような事態となりましたので、防衛施設庁在日米軍司令部に対し、射撃実施に当っては人命尊重の立場から、道路上、着弾地等、場内の安全を十分に確認するよう注意を喚起し、現地部隊への周知徹底方要請いたしました。  また、事態の改善が見られないため、那覇防衛施設局から現地米海兵隊に再三演習中止方要請したこともあり、今回の射撃演習は中止されることになりました。  今後、演習実施に当たりましては、米軍警察等と十分協議し、地元住民への迷惑は極力軽減するよう努めるとともに、安全確保については万全を期する考え方であります。  なお、砲座の背後を迂回するバイパスの建設を早急に進め、演習時に地元民に迷惑をかけないよう措置する考え方であります。     —————————————
  4. 松本忠助

    松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正森成二君。
  5. 正森成二

    ○正森委員 最初に、沖繩開発庁長官に伺いたいと思います。  沖繩開発庁長官は、先ごろ沖繩では五つの不安を解消するように努力したいという趣旨の御発言をなさったと思います。そこで五つの不安というのは、すでに予算委員会で御答弁になったと思いますが、長官のお考えでは何と何なのか、それについての長官のお考えになっている重点を簡単で結構でございますから御説明願いたい。
  6. 植木光教

    植木国務大臣 お答え申し上げます。  訪沖いたしました際に、はだで感じました沖繩県民の持っておられます不安、いろいろございますが、そのうち特に開発庁担当者といたしまして医療問題、自然環境及び文化保護の問題、さらに離島苦の問題、雇用の問題それから物価の問題、これら五つの不安の解消に当たりたいということを述べますとともに、閣議におきましても、このことを発言をいたしまして、各関係省庁協力を特に要請をいたしまして、すでに五十年度予算において執行しようといたしております。これらの問題の解決策を推進してまいりますとともに、さらにそれぞれ計画的に長期にわたって取り組んでいかなければならないものもございますので、これらについては特に関係省庁随時協議をいたしながら問題解決努力をしていくというのが現実状況でございます。
  7. 正森成二

    ○正森委員 いま特に沖繩開発庁所管の問題について五つの不安というようにおっしゃったのは、よくお考えになっての答弁だと思うのですね。と言いますのは、冒頭に久保防衛施設庁長官が言いましたように、長官が挙げられましたその五つの不安以外に、基地に関する不安というものが沖繩県民にとっては、ある意味では最大の不安、問題点であるというように思われているわけです。しかし、きょう私は後でその問題を主として伺いたいと思いますが、まず大臣に、いま挙げられた五つの不安のうち、時間がございませんので、予算委員会でも聞かれていることでございますから、全部を申しませんけれども、そのうちの幾つかの問題について伺いたいと思います。  大臣が挙げられました幾つかの不安のうち、自然と文化の問題について若干伺いたいと思いますが、これについては当然沖繩開発庁所管範囲内で処理できることだというように思います。ところが、海洋博が今年度行われることになっておりますが、海洋博というのは海の問題について、その未来を探るということでございますから、沖繩の海が汚れているとか、沖繩の海が自然のままでないというようなことになりますと、これは大変なことになるわけですが、たとえば沖繩で、いま現在海洋博会場付近で非常に問題になっております。オニヒトデと言うんですか、あの問題なんかについても、予算が非常に削減されたというように聞いておりますが、それは御承知でしょうか。そして、そういうことで海洋博周辺の海の状況サンゴ礁などが守れると思っておられますか。どれくらい削られたか御存じですか。
  8. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 ただいま御質問のございましたオニヒトデ駆除費開発庁所管ではございませんで、環境庁所管でございます。したがいまして、私ども具体的な計数内容を承知しておりません。
  9. 正森成二

    ○正森委員 いまそういう答弁でしたが、私らが調べたところでは、額そのものの請求が少ないのですけれども、七百五十万請求して、五分の一の百五十万が認められただけだ、こう言われているのですね。現地では、海洋博が行われるところでオニヒトデが繁殖しますと、サンゴ礁なんかが全部食べられてしまうということで、これでは海洋博をやっても沖繩の一番自然の海というのが破壊されてしまうということが言われているのに、いま環境庁所管だというような答弁でしたけれども、しかし沖繩開発庁としては、いろいろなところに手を配って、そういうことのないようにするということが大事だと思うのですね。そういう例を一つ見ましても、海洋博を迎えて十分地元の自然と文化を守るということができていないというのが一つの現状ではなかろうかというように考えられるわけでございます。  そこで別の問題を伺いたいと思いますが、この予算書を見ましても、土地調査費というようなものが七千三百五十四万円ほど計上されているわけですね。そこで、この土地調査費内容についても伺いたいわけですが、これは米側から返還がありました土地についての境界確定などについても、この費用の範囲内で調査をしたり賄う、こういうことですか。
  10. 植木光教

    植木国務大臣 土地調査につきましては、沖繩開発庁が行いますものと、施設庁が行いますものとがございまして、開発庁といたしましては、ただいま御指摘のような予算を獲得することによりまして、境界を明確にいたしますために測量をし、くい打ちを行うというところまで、国としてはやっていこうというのが私ども考え方でございます。なお、それと同時に、地主方々のそれぞれの話し合い合意というものがございませんと、最終的にはこの区画が確定をいたしません。国としてできるだけのことをやりますとともに、関係住民方々の御協力を得たい、こういうふうに考えているところでございます。
  11. 正森成二

    ○正森委員 そこで、参議院で喜屋武眞榮氏が質問書を出しておられますけれども民有地返還された場合に境界確定がなかなかできない。まあ地籍ですね。それは必ずしも民有地所有者お互いに欲を出し合って話がつかないというのじゃなしに、飛行場滑走路になっておった、前は山だったとか、だからお互い確定しようにも確定しようがないというようなことから、境界が決まらない場合が非常に多いのですね。つまり、もと民有地の人の責任に必ずしも属さない、あるいは欲が深いというようなことには帰せられない問題が非常に多いわけであります。どういう問題が起こっているかというのは、米軍から基地は返してほしいが、返してもらうとかえって地代が入らなくなる、しかも一方では利用できないという問題があるわけです。  そこで、政府答弁でも出ておりますように、民有地返還になった場合に政府答弁では三カ月を限度として借地相当額管理費を支払うということになっておるようでありますが、その三カ月の限度にとらわれず、個々の実情を考慮の上、合理的な範囲内において支払い対象期間を定める所存であるというように回答されておりますが、ケース・バイ・ケースということでなしに、沖繩の場合は、一般的にそういう形状が全く変わっておるために、なかなか使用ができないということでありますから、三カ月というのを一律に延長するとか、あるいは最高期限を設けて、もとの、返還を受けた者の責めによらずして使用が開始できない場合というのは、その借地料相当額管理費を継続して支払うということを国の責任で行うべきだと思うのですが、そういうお考えはございませんか。
  12. 久保卓也

    久保政府委員 沖繩復帰後の米軍返還土地につきまして、地籍調査に関する事柄については私ども協力申し上げておるわけで、予算的には四十九年度が二億五百万、五十年度が一億二百万でありますが、五十年度分につきましては、今後返還部分が出てまいりますれば、土地借料の中から流用できるつもりでおります。したがいまして、予算的に不足はないというつもりでおります。  そこで、ただいまの御質問でありますが、三カ月というのは本土について大蔵省の一般的な方針が三カ月ということであり、われわれもその範囲内で仕事をやっております。御案内のように、沖繩の場合にはそうはまいらない。そこで、しかし将来における土地利用開発という面から見れば、地籍調査を進めなければならぬという面も一面ございます。したがいまして、予算を若干流用いたしまして、本年度内、四十九年度内に航空測量実施することにいたしております。そしてまた最近、戦時中に米側が撮りました航空写真の所在がわかりました。私、一部現物を見ましたが、これになお参考といたしまして、そしてまた当然故老の方々その他いろいろな資料を参考にいたしまして地籍調査を急ぐということは、これは関係者すべての利益につながるであろうと思います。  そういうことで、急ぎますが、しかしながら、できないものはできないということで、地籍調査が終わらないのに管理費を打ち切ってしまうということはやりたくない。しかし、それにしましても、管理費といえどもこれは税金の集積でありますので、私どもはむやみやたらと期間を延長するということはやはり不適当である。したがって、妥当、合理的、適当な範囲内においてお支払いを続けるということであろうと思います。マキシマムを設けますと、安心をしてしまってもいけませんので、やはり関係者全員の良識に従って努力をしてまいりたい。その間は管理費を支払う、こういうふうにまいりたいと思います。
  13. 正森成二

    ○正森委員 そうしますと、要約いたしますが、本土での三カ月という期間にとらわれないで、そしてマキシマムを決めてしまうといろいろと問題もあろうと思われるけれども、合理的な範囲内で必要と認められれば、この期間を延長して借地料相当額を支払う、こういう姿勢である、こう受け取ってよろしいですか。
  14. 久保卓也

    久保政府委員 そのとおりであります。
  15. 正森成二

    ○正森委員 一般的な姿勢としてはそうだ、そういうことで妥当に取り計らわれればいいのですけれども、われわれが沖繩調査団として参って現地地主さんに聞いてみますと、それがなかなかうまくいっていないという声を非常に聞きますので、扱いが妥当であるように特に希望しておきたい、こう思います。
  16. 久保卓也

    久保政府委員 五十年度の予算につきましても、三カ月とか六カ月とかいうことを区切らないで、年間分全部予算に計上してありますから、その問題は今日ないはずであります。
  17. 正森成二

    ○正森委員 年間予算が組んであるということですから、予算措置的には十分ある、こういう御答弁ですね。結構です。  そこで、もう一つ伺いたいのですが、沖繩不発弾等対策経費というのが本年度は一億三千万円認められました。これは去年の爆発事故の結果、反省されたものだと思いますが、県民を初めとして、われわれが国会で要望しておりましたのも、全額委託費として行うということだったのですね。ところが、実際の扱い特別交付金というようなかっこうで、やはり補助金性質を脱していないのじゃないかというように指摘されておりますが、沖繩県民気持ちとしては、これは国が補助金を出して、たとえ全額国が持つにしても、県でやりなさいというようなものじゃなしに、二十七年間もアメリカの支配のもとにあって、やっと帰ってきたという場合には、国の責任で当然委託費として行うべきだという考えが非常に強いし、われわれも要望したのですが、なぜそれが、そういう性質のお金になったのですか。
  18. 植木光教

    植木国務大臣 お話のとおり、不発弾処理というものは県民生活にとって、もうきわめて重要なことであります。先般沖繩県に参りましたときも、私は事故のありました現場にも行ってまいりまして、生の声を聞いてまいりました。五十年度予算におきましては、探査発掘等に対しまして、いまのお話のような一億三千万円を組みますとともに、国庫負担十分の九といたしたわけでございます。  実は大蔵省との折衝はきわめて困難をきわめたのでございますが、ここまで押し切ったというのが現実の姿でございます。あとの一〇%につきましては、これはまた国におきまして別途交付税等において見ることになります。そして、それをなぜ国が全面的にやらないのだということでございますが、こういうふうに国庫がほとんど交付をいたしますという形をとるとともに、県民方々の御協力もやはり必要でございますので、したがいまして、こういう予算を最終的に組んだ、こういうことでございまして、申すまでもなく、これからの探査発掘に際しましては、国は十分県探査発掘協力をいたしまして、十分その解決努力していきたい、こう考えておるのでございます。
  19. 正森成二

    ○正森委員 そういう答弁でございますが、私は一言申しておきたいのは、つい先ほど東京地裁で、新島の海岸で爆弾が破裂したという事故について、国が全面的に賠償責任があるという判決が出ました。この例をそのまま沖繩へ持ってくるというわけにはいかないかもしれませんけれども、本質的にはやはり裁判所でも、そういう爆発事故があった場合の国の責任というのを非常に重く見る傾向だということは言えると思うのですね。そうなると、これは全額国庫負担すべきである。ところが、その不発弾の事前の処理全額委託費で国の責任だということになると、もし爆発事故が起ったら、全部また国が責任を負わなければならないのじゃないかというような御心配があって、同じ全額出すにしても、わざわざ交付金だというようなかっこうになさったのじゃないか、これは世上そう言われておるのですね。しかし、それは沖繩県民気持ちから非常に隔たるところが大きいというように言わなければなりません。ですから、大蔵省との折衝努力されたことは多といたしますけれども県民のそういう気持ちを理解して十分に不発弾処理に尽くされて、二度と前のような悲惨な事故のないように御努力願いたい、これはもちろん県の責任でもありますけれども。ということを希望しておきたいと思います。  そこで、運輸省も来られたようですから那覇空港の問題について伺いたいと思うのです。  那覇空港返還されるというのは、ある意味では沖繩協定での目玉商品的なものだ、こう言われておったのですね。ところが、その後、ずっとP3が移駐して、那覇空港使用しておったわけですね。それが今度嘉手納の方へ移動するということになったわけですけれども、そこへ自衛隊が入ってまいりまして、民間がなかなか使えないという問題が起こっているのです。きょう現地の新聞を見ますと、自衛隊那覇空港を占拠とか占領、そういうセンセーショナルな見出しのものもあるわけです。これは当然外務省防衛施設庁御存じだと思うのです。  そこで、防衛施設庁あるいは運輸省あるいは沖繩開発庁、いずれでもよろしいが、海洋博を控えて那覇空港民間機に十分使用できるというのは非常に大切なことであって、現在は空港が狭いために、台風などがありますと、何か福岡とかそういうところへ飛行機が移動するというような不便なことが起こっておるのですね。そこで、この那覇空港返還について完全に民間飛行機使用に開放するつもりなのかどうか、その点についてお答えを願いたいと思います。
  20. 久保卓也

    久保政府委員 四月以降逐次那覇空港日本側完全返還になると思いますが、自衛隊民間航空とが現実的には共存している飛行場でありまして、自衛隊飛行機の配置の関係上若干狭いという問題もありまして、使用の区分につきましては運輸省防衛庁とで協議をしている段階のようであります。ただし、沖繩海洋博関係で非常にふくそうするということを前提にいたしまして、当面米側から返還されたものを民間航空が全面的に使われるというふうに私は聞いております。本当は内局の方の仕事であります。
  21. 武田昭

    武田説明員 P3の移転後の跡地利用につきましては目下運輸省防衛庁とで折衝中でございますが、海洋博を目前に控えておりますので、当面海洋博観客輸送ということで民間航空が優先的に利用さしていただきたいということでお話し合いをしておる段階でございます。
  22. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、当面は運輸省側民間企業使用するということのようでありますが、私の承知しておるところでは、中央ターミナルをどこへ設置するかということによっては——これは私も現地へ何遍も行っておりますけれども、現在の空港ターミナルのあそこら辺にできる場合だったら、これは自衛隊米側の撤去した跡の相当部分を使いたいというような気があって、運輸省側米空軍の撤去した跡地の中に中央ターミナルをつくりたいというような意見があるというようなことでございましたが、その点の折衝は済んでおりますか。
  23. 武田昭

    武田説明員 中央ターミナル計画につきましては、運輸省といたしましては当初からいろいろ部内で作業もいたしておりますが、P3の跡地だけでなく、その背後地返還時期が現在のところ全く明確でございませんし、その辺の見通し等も関連づけまして今後検討してまいりたいと考えております。
  24. 正森成二

    ○正森委員 これは防衛庁あるいは防衛施設庁運輸省のことかもしれませんが、現地に行かれましたらわかりますように、那覇空港というのは、まさに玄関口であります。県民海洋博を控えてはもちろんですが、海洋博が終わってからも那覇空港が完全に民間使用できる飛行場になるようにという希望が非常に強いのですね。その希望をぜひ配慮していただいて、閣議でも県民の要望がかなうように植木長官にはぜひ御努力願いたいと思いますが、その点の御認識はいかがですか。
  25. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩県に参りましたときに、県民方々からいまお話がございましたように民間で使いたい、そのための努力をしてほしいというお話がございました。私どもといたしましては、県民のみならず沖繩県を訪れます人たちも大変多いことでございますから、できるだけ民間利用できるようにということで、関係省庁にも要請をしているところでございます。
  26. 正森成二

    ○正森委員 そこで、もう一つ伺いたいわけですが、沖繩返還協定ですが、米側施設というのは全部買い取ったはずであります。そのほかに刑事事件にまで発展したわけですが、プラスアルファがついておったとか、つかなかったとかいうことまで起こったわけですね。ところが、この那覇空港の中で、給水管ですか、送水管ですか、まだ米側所有のまま残っておるというような見解で、その点で争いがございまして、現在でも沖繩県側那覇市はやはり使用料を払っておるのですね。これは返還過程での手落ちといいますか、あるいはつじつまが合わないといいますか、そういう問題だと思うのです。なぜこういうことになったのか、その善後措置はどうするつもりなのか。外務省施設庁かどちらでもよろしいがお答え願いたい。
  27. 久保卓也

    久保政府委員 私ども実態を承知いたしておりませんが、県あるいは市が水道料を払っておるとしますと、ちょっと私どもの方の問題でないように思います。
  28. 正森成二

    ○正森委員 どこの問題ですか。
  29. 植木光教

    植木国務大臣 いまこちらでいろいろ所管の問題について明確にお答えできない状況でございますが、いまのお話につきましては早速調査をいたします。
  30. 正森成二

    ○正森委員 それでは申し上げておきますが、これは現地沖繩タイムスにちゃんと載っているのです。そして当然全部日本側のものだ、こう思っておったら、米側が、米軍使用している間は施設米軍のものである、こう言って、水道使用料を払わなければ空港ターミナル自衛隊給水はとめるということを言うてきたのです。そこで那覇市としてはびっくり仰天して、当然日本側のものだと思っていたのに、そういうことで水をとめられたのではお手上げですから、泣く泣く、本当に泣いたかどうかわかりませんけれども、泣く泣くその金を払うということが現在でも起こっているのです。これは実に理不尽なことだと思うのです。沖繩返還協定でこんなことがあろうはずがない。品目から漏れていたのか何かわかりませんけれども、現にこういう問題が起こっている。  そこで所管省庁がよくわからないようでございますが、私らが知っている限りでは、そういうことになっておるようですから、次回の委員会までにでもお調べいただいてお答え願いたいと思います。所管がわからないから、どこに答えてもらったらいいのかわかりませんが、一応そういう問題点調査して答えるということを言っていただけますか。
  31. 久保卓也

    久保政府委員 いずれにせよ所管を明確にして、そこから御報告申し上げます。
  32. 正森成二

    ○正森委員 それでは次の問題に移りたいと思いますが、残された時間がわずかになってまいりましたので、基地公害と言われる問題について若干御質問をしたいと思うのです。  二つ、三つございますが、いま県道百四号を越えての実弾射撃について、冒頭、前の委員会委員長から勧告のあった問題について久保施設庁長官から答弁がありました。前回の十月十八、十七日のときにも午前中地元県民の座り込みと見られるものがございまして、午後一時からは演習が中止になったわけですね。何発か午前中は撃たれたわけです。そこで、今回も現実問題としては十八日から三日間ということでしたが、実際には一発も撃たれなかった。  しかし、今回の非常な特徴は、いままでは百四号を封鎖して演習をする、こういうことになっておったのですが、今回は封鎖しないで、人の通らない合い間合い間に撃つという新戦術を打ち出したわけですね。人の通らない合い間合い間を撃つなどということを言いましても、れっきとした県道ですから、これは大変な、本土ではちょっと考えられないことだというように思うのですけれども、これは前に大河原アメリカ局長のときに、去年の十月でしたか私は伺ったと思うのですが、本土では、いやしくも県道があるのに、それを閉鎖して実弾射撃をするとか、あるいは県道越しに実弾を撃つとかいうようなところはないと思うのですけれども、ありますか。
  33. 久保卓也

    久保政府委員 県道が提供施設になっているところはほかにもございます。  それから実弾射撃関係では、今日は事実上は余り行っていないと思いますけれども、富士演習場の登山道路でありますが、これがそれに該当すると思います。(「登山道と県道は違うよ」と呼ぶ者あり)
  34. 正森成二

    ○正森委員 いま同僚議員から発言がありましたけれども、東富士の登山に使っておる道とれっきとした県道とは、やはり大分性質が違うのではないか。そういうものを、一般の住民が通りながら実弾射撃をするというような、これは異常なことですけれども、なぜそういうことを現地の奈良局長ですか、というのが決めたのか、これが非常な疑問なんです。  ところが現地の報道によりますと、これは防衛施設庁の非常な高等戦術である。そういうぐあいに道路を通ってもいい、そして演習をするというのに対して、地元の民主団体がいろいろ反対運動をやると、民主団体と地元の農民との間に意見の対立が起こる。特に地元の農民の中でも着弾地域のある部落と村全体というのは、迂回道路ができれば、それが山林、林間の開発になるというようなことで意見の相違がある。そこで、ひとつ今度は新戦術を出して、道路は通ってもいいということに一応しながら演習をする。それに対して阻止行動が起こるならば、こういう利害の対立というのが顕在化して地元の農民の中に迂回道路をつくってくれ、こういう声が起ってくるであろう。そうすれば、この問題は防衛施設庁側に非常にうまく解決できるということで今回はそういう措置を——だから事実上は実弾射撃ができなくなるであろうということを非常に蓋然性高く予想しながら、そういうことをやったのであろうということが地元の新聞では一斉に言われているんですね。  そこで、なぜそんな県道を通行可能な状態のまま演習をさせるというようなことに踏み切ったのか。そして今度は実弾射撃ができなかったわけですけれども米側がさらに要求してくる。そして外務省防衛施設庁も、地位協定上それを拒否できないという立場をとっておるようですから、それに対して再度要求してきた場合に今後どうするつもりなのか、それを伺いたいと思います。
  35. 久保卓也

    久保政府委員 私どもは事よかれかしということで道路閉鎖に伴う交通の不便ということがないように、したがって車なり人の通らないときを見計らって、射撃運用上は不便であろうけれども米側にそれを忍ばせたというようなたてまえをとったわけでありますが、現実問題としましては、当初からやはり道路を占拠されたというかっこうになったわけであります。  今後の問題といたしましても、いろいろ対策考えねばならないと思いますけれども、少なくとも日米安保条約を締結し、基地を提供し、米軍の存在を認めているという前提に立ちますと、すでに県道含めて提供しておるわけでありますから、米側射撃訓練を中止させるというわけにはまいらない。しかしながら、われわれはまた現地で問題が発生し、トラブルが生ずることを可とするわけではもちろんございません。したがって、住民の安全の確保それから地元民の利便を十分に考慮する、そういうような姿勢で今後もし米側からの連絡があった場合には対処してまいりたい、かように考えます。
  36. 正森成二

    ○正森委員 事実関係を明確にするために言っておきますと、いま長官県道封鎖された、つまり地元民によってという言い方をされたけれども現地の報道ではそうなっていないのですね。着弾地の近くの通称ブート岳というところにテントを張って反対の気勢を示すということであって、道路そのものを封鎖するというようなことはやっておらないのです。  そしてあなた方は、県道を含めて、その施設区域に提供したんだから、米軍演習するのはあたりまえだ、こういとも簡単に言われましたけれども、大体私は前のときにも言ったんですけれども、独立国で一般の県民が通る県道をまるごと施設に提供して、しかも、その頭の上を百五ミリや百五十五ミリというような物騒な弾丸が飛んでいくということを当然の前提として、しかし仕方がないからこれを認めるんだ、これが地位協定による米側の権利であり、日本の義務なんだ、こういう考えがそもそも県民感情に合わないんですね。ですから、そういう状況を変えていくというためにやはり努力をなさるべきだ、こう思うのですが、施設庁なりアメリカ局長の将来の見通しについてお答え願います。
  37. 久保卓也

    久保政府委員 射撃が頭の上で行われる、頭上を越えて行われるということは不適当であります。したがいまして、以前は道路封鎖して行ったわけでありますが、あるいは今回の場合には道路に人なり車なりが通らないことを確認して、つまり頭上を越えてやらないというようなことでやったわけでありますが、しかしながら地元民の立場からしますると、いかに国が提供したとは言え県道である、それを越えて——頭越しではありませんが、県道を越えて射撃をされるということについて、非常に不快感をお持ちであることは十分に了察できます。  しかし、私どもとしましては、やはり国の利益と、それから地元民の利益ということを両存させる、併存させるということに知恵をしぼるということが、われわれの行政官としての役目ではなかろうかというふうに思っております。
  38. 正森成二

    ○正森委員 地元の利益と国の利益とを調和させるという意味の御発言でありますが、その調和にもよりけりでありまして、こういうかっこうでの地元民の危険あるいは不快感というものを調和させるような国の利益とは一体何なのか。そんな国の利益が一体あるかというのが、まさに沖繩県民の現在感じている疑問であり怒りであるわけですね。そこのところをよく考えていただかなければならぬと私は思います。  時間の関係で、もう一つ伺いますが、これもやはり一月に発生したことですがもアメリカ軍の、われわれは牧港と読ましていただきますが、そこで毒性のある医薬品が海岸に流れ出して、メバルだとかチヌだとかいう魚が大量に死んだという事件があったことは御承知のとおりであります。しかも、これは米軍がベトナムで枯れ葉作戦に使ったものの残りの薬ではないかということが言われているのですね。これは当時現地の新聞にも大きく報道されたから御承知のとおりだと思うのです。  その後、米側はこれらのドラムかんなどを移動させたようでありますけれども、実際に現地に立入検査をして、一体いかなる医薬品あるいは薬物がこういう結果を引き起こしたのか、それに対してどういう今後再発をしないという措置をとったか、また被害に対してはどういう弁償の方法をとったか、それについて伺いたい。
  39. 銅崎富司

    銅崎政府委員 お答えいたします。  一月十七日付の新聞報道で、確かにこの事件が報道されましたが、事故が起きましたのは十二月十八日の降雨の際に、牧港補給地区に保管中のドラムかんから薬物が沿岸海域に流れ出して起きた事件であり、この分析はまだやっておるように聞いておりますが、私ども聞いております種類は、油、洗剤、コンゴラ油、コルベイン、マラチオン、塩酸カルシウムというふうに聞いております。  それから、十名の兵員によりまして、約三百五十本のドラムに詰めかえを終わりまして、大部分は本国へ送ったと聞いております。一部はまだ倉庫に保管しているようでございます。  補償の問題につきましては、今後その被害額等を調査して検討するというふうに聞いております。
  40. 正森成二

    ○正森委員 その補償については、これはどういうようになさるつもりですか。現地の住民が個々に訴訟を起こさなければ損害の補償をしないつもりですか。それとも関係省庁責任者になっていろいろ調査をして、被害額の届け出などがあれば、訴訟を待たずに解決をするつもりですか。さしあたってはどこが損害額を払います。
  41. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現地には、現地米軍沖繩県当局とともに、那覇の防衛施設局も立ち入って調査いたしております。したがいまして、その被害額の申請がありましたら、私の方で受理いたしまして、米軍と交渉して、裁判等を待たずにお支払いする考えでおります。
  42. 正森成二

    ○正森委員 それは当然のことだと思うのですね。こんなのを一々裁判をして、判決でもなければ払わないというようなことではもってのほかだ、こう思います。  米側関係基地公害と言われるのは非常にたくさんありまして、たとえば米軍の知花弾薬庫の砲弾の検査所から瑞慶山ダムへ放射性物質を含む有毒の廃液のたれ流しがあったということが報道されております。これはあなた方よく御存じのとおりだと思うのです。この問題については、ただ単に有毒廃液のたれ流しがあったというだけでなしに、そこの作業員、常時十人前後が作業しておりますけれども、この係は全部で八十人ぐらいおる、こう言われておるのですね。それが放射能の関係などで非常に危険だ。わが国の場合だったら、特別の労働関係の労働安全衛生規則、これが適用され、あるいはさらに電離放射線障害防止規則というようなものの適用もあって、厳重に規制されるべきものが、何らそういうことが規制されていない。ほとんどこういうのにずぶの中高年の、女性を含む作業員がそういうことをやっておる。米側は危ないものだから、そんなところへ近づかないというような状況だというのが、この知花弾薬庫の廃液の問題を追跡しているうちに明らかになったんですね。これは本土ではちょっと考えられないことだ、こう思うのです。  そこで、新聞にも大きく報道されておりましたが、それについて実態を調査されましたか。あるいはこれらの作業員の健康、安全についてどういう処置をおとりになるおつもりか。それについて伺いたいと思います。——きょうは労働省来ていなかったかな。まあしかし施設庁の知っているだけでも答えてください。
  43. 銅崎富司

    銅崎政府委員 手元にその関係の資料を持っておりませんので、記憶で申し上げますが、事故がわかりましてから労働基準局の職員がその辺の関係を調べに立ち入った。それから健康診断を実施したというふうに聞いておりますが、その後のことはちょっと私お答えできません。
  44. 正森成二

    ○正森委員 きょうは十分資料がないようですから、改めてまた次回にでも先ほどの那覇空港の問題と一緒に伺いたいと思いますが、最後に、時間が参りましたので、大臣に伺います。  こういうように大臣五つの不安をなくするということで、先ほど予算委員会で同僚の安里議員が詳しくお聞きになったということでございますので、私は医療問題その他は聞きませんでしたけれども大臣がお挙げになった五つの不安以外に、県民には基地にまつわる不安というのが非常にある。これはもちろん沖繩開発庁の直接の所管ではありませんけれども、これを離れては沖繩県民の本当の不安というものは解決できない、こう思うのですね。  そこで、国務大臣として植木大臣に、この問題については閣議等で他の関係大臣に非常に注意を喚起していただきたい。これが十分に理解されなければ沖繩問題というのは本当に理解することにはならない、僣越ですが、こういうように思いますので、最後に御決意を伺って私の質問を終わらせていただきます。
  45. 植木光教

    植木国務大臣 基地にまつわる県民の不安というものは私も十分承知いたしております。先ほどお話がございました、基地から出ます汚染物による公害問題につきましては、私の方から防衛庁長官解決方を申し入れたというような事実もございます。百四号線についての民心の不安というものについても深く憂慮をいたしておりまして、関係省庁に対して、この不安解決努力を私ども要請をしているのでございます。  常に地元の沖繩タイムス、琉球新報を毎日私は熟読をいたしておりまして、先ほどたまたま、その基地内の送水管のことについては読み落としてしまったわけでございますが、もう随時、県民生活にかかわりますことは、いまの基地問題をも含めまして精力的に取り組んでいきますし、指示をし、また解決のために省庁協力を仰ぐということの努力を続けてまいりますことを、お約束申し上げます。
  46. 正森成二

    ○正森委員 終ります。
  47. 松本忠助

    松本委員長 次に、渡部一郎君。
  48. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は、まず両長官にちょっとお伺いしておきたいのですが、アメリカの国防長官であるシュレジンジャー氏が、今年初頭、沖繩は極東の安全保障のために有用である旨の発言をなさっております。これは明らかに、沖繩米軍基地を縮小するというような方向とは全く別で、むしろこれを強化するというような立場であると私たちは見ているわけであります。これほどの、沖繩米軍基地の持つ役割りを従来と一変させる発言があったのに対して、本院において政府側から御見解が述べられたことはありません。安保協議委員会や運用協議会等において、この米側の真意はまず確かめられたのかどうか、まず外務省からお伺いしたい。
  49. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 日本政府といたしましては、米軍に対して、安保条約の目的達成上必要な限りにおいて基地を提供しているわけでございます。ただ沖繩の場合には、基地の密度が高いことはわれわれもよく承知しておりまして、第十四回及び第十五回の安保協議委員会において、沖繩基地の整理統合については政府としても非常に努力をし、アメリカ側とこの点について大枠の合意を見ております。ただ、この実施に当たりましては、相当膨大な費用を要しまして、まだその過去二回の協議委員会合意事項を全部実施するに至らないような状況でございます。  沖繩基地は、本土基地とともに、もちろん日本の安全のために置かれておるわけでございまして、われわれとしては、それがそのときどきの情勢に照らして必要最小限度のものとなるように、今後とも努力していくわけでございまして、そういう観点から、随時、安保協議委員会の場あるいは運用協議会の場において話し合っておる次第でございます。
  50. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 アメリカ局長のただいまの御発言は、従前における日本政府外務省の見解であります。シュレジンジャー氏の話は、明らかにその方向を一変させるものでありまして、あなたは賢明に、必要最小限という言葉を今回は冠して言われましたが、従来のわが方の整理、縮小、統合の動きに対して歯どめをかけ、実質的に強化する方向に向かってアメリカが踏み出そうとしています。その大きな変更があるのに、外務省は新たにそれに対して意思表示をしない。次回安保協議委員会において言うつもりがないとしたら、これは私は問題だと思うのです。明らかに、いまその部分は触れないでお話しになりました。ですから私は、次の安保協議委員会で、これは外務省としては聞かなければならない。明らかに聞かなければいけない。質問しなければいけない。そればかりでなく、従前の県民感情から推しても、日本国民の立場からいっても、いま御自分でお述べになったが、沖繩米軍基地が多過ぎるという観点からいっても、この問題については日本側の意思を述べなければならない。あなたはどう述べられるのか、私は疑問に感じておるわけです。  つまりあなたは、シュレジンジャー氏がそうおっしゃったら、ああそうですか、すばらしいことですね、なるほどそれじゃ無条件であなたの言うとおりいたしましょう、はい、はい、オー・イエス、イエスと言うか、それともいやそういうお話は突然承ったが、大変まずいことである、わが方はそんなつもりではなかったのだ、必要性は日本政府として否定できないとしても、わが方としては整理、縮小、統合の方向へ向かって進めたいと思っている、今期予算でもこれぐらいついたというふうに話したと言っているのか、私はそれを疑っているわけです。いまあなたは、去年の沖繩委員会において言った答弁をなぞられてお話しになっただけです。それは答弁になっていません。さて、これからどうするつもりですか。ちゃんと答えてください。
  51. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点については、あるいは私が先生の御意見を少し誤解しているのかもしれませんけれども、われわれといたしましては、アメリカに対して基地を提供しておりますのは、あくまで日本の安全と極東の平和と安全のためでございまして、その観点から基地のメリットは始終検討しているつもりでございます。さればこそ、いま申し上げましたように、過去二回の安保協議委員会で相当大がかりな整理統合計画アメリカ側と話し合って合意するに至ったわけでございまして、いままだそれが十分に実行し得ないような状態でございます。今後の問題といたしましても、まずそれを完全に実行することに、われわれとしては関係省庁の御協力を得て全力を挙げてまいりたいわけでございます。  それから、アメリカ沖繩基地をしゃにむに強化しようとしているというお話でございますが、われわれとしてはそう考えていないのでございまして、整理統合をいたします関係上、たとえば嘉手納基地などに那覇空港からある施設が移ってくるということはございますが、沖繩全体としてみれば、基地の機能は基地が非常に強化されているというふうに、われわれは見ていないわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃっている意味は私としてはちょっと理解いたしかねるわけでございますが、政府としては十分な努力もしておるし、またアメリカ沖繩基地に対する認識も根本的には変わっていないと考えておる次第でございます。
  52. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それはあなたの想像ですよ。想像をもって答えちゃいかぬのですよ。そういう顔するのが、あなたの職業かもしれませんけれども、そういう白々しい答弁では国民の前で討論するわけにいかぬ。シュレジンジャー氏というのは明らかにアメリカの有力な閣僚なんですから、その人がそう述べているのですから、アメリカ政府の態度は変わってないと思うというあなたの想像では、事実がそれを逆転せしめておる。  だからもう、単純にしましょう。あなたは今度の安保協議委員会で、米軍の態度を確かめてみるつもりがあるかどうか、それを聞かせてください。
  53. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 安保協議委員会におきましては常に世界の情勢、また特にアジアにおける情勢については話し合うわけでございますから、その一環として、もちろん日本にある米軍基地の現状及びその機能というものについては話し合うわけでございます。その一環としては、もちろん沖繩基地の問題についても話し合うことにはなると思います。(渡部(一)委員「シュレジンジャーさんの話を聞いてみるのですね」と呼ぶ)そういう国防白書その他にあらわれておりますアメリカ側の考えについても、お互いに討議はいたします。
  54. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 聞いてみるということだけやっとわかったから、今度はそのときに従来どおり沖繩については必要最小限というか、整理統合の方針は変えずにいきたいという意思表示はしますね。
  55. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 安保条約の目的達成の範囲内において、でき得る整理統合は今後も進めてまいりたいと思います。
  56. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 こういう問題一つについても、アメリカ側に聞くということ一つに対しても、そういうふうに持って回った言い方をしなければならぬというところに不信感を抱かれる理由があるわけですね。アメリカ局長の職責というのは、そういうものかもしれない。私は理解するにやぶさかじゃないのですけれども、きょうの答弁はちょっと後ろ向き過ぎるし、手がた過ぎるし、それでは県民の不安にこたえられないですね、それは。長官ここを聞いていただきたい。こういうところがいままで県民をして怒らせた最大の論争点である。そうしてそれがおもしろくない事態を次から次へまいている。  私は、そこで先ほどから問題になっております県道百四号線を封鎖せず実射訓練をしたという問題について触れたいと思うのです。  これは新聞の報道でありますが、施設局の平施設部長がこう述べたというのですね。「今回の実射訓練がうまくいくとは思わない。だが民主団体が米軍県道封鎖しないという譲歩をいいことにさらに阻止行動すれば米軍への提供施設である県道百四号線を富士演習場のように有刺鉄線で封鎖するなどの強硬措置を取らざるを得ない」こう言ったというのだな。これはどう思いますか、長官
  57. 久保卓也

    久保政府委員 沖繩問題につきましては、私、自分に関することで、個人じゃありませんが、防衛施設庁に関して、私が非常によく知っていることについて正しくないことが出ておりましたので新聞をもとにしては余り議論したくありません。
  58. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、じゃあ私は改めてもう一回初めから聞き直すわけですけれども県道百四号線を封鎖しないで射撃訓練をしてよいといった措置を現地那覇の防衛施設局がおとりになったということについては、どういう見解を持っておられますか。
  59. 久保卓也

    久保政府委員 これは私どもこの県道越えの問題につきましては本当に真剣に考え、かつ地元民によかれかし、できる範囲内ではよかれかしというふうな態度で臨んだわけであります。  そこで、昨年秋の実弾射撃の場合も私ども承知いたしておりまするけれども封鎖をすることが通行するバスもあり、通勤通学する人もおられるとということで非常に評判が悪かったということを私ども了承しております。  そこで、提供している以上は、射撃をさせざるを得ない。しかし、地元への迷惑をできるだけ少なくするにはどうすればよろしいかということを考えまして、そこで道路上に人も車もいないことを確認した上で射撃をする。しかしながら射撃を一たん始めますると、これは二分かかるそうでありまするが、その際に人なり車なりが来た場合には、その二、三分間に限っては封鎖をする。封鎖といいますか、通行をとめる。したがいまして、午前三時間、午後何時間というように大幅にとめるということは地元に御迷惑をかけるのじゃないかということで、その封鎖、ブロックというものを最小限にしようという考え方でありましたから、アイデアとしてはよかったのではなかろうかというふうに私は思います。
  60. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 アイデアとしてよかったのだが、実際に起こったこと、そうして実射訓練をやめなければならなかったことを、いまどう評価されていますか。
  61. 久保卓也

    久保政府委員 正直の話、私たちは地元の利害関係と、それから米軍施設を提供している関係で、まさに板ばさみということで苦境にあるわけでありますが、現実には着弾地に大ぜいの人が入ってくるということであれば、これは射撃はできないということでもあります。そういうことで何とかそういった具体的な実力行使をやられないで、両者の利害が調和されるというふうな方法はないかということを検討しておるわけであります。
  62. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 今後もこの地域におけるこういう実弾射撃は継続される決意で、いまそういう考え方を述べられておるのですか、それともこれはだめだからやめようという方向で考えられておるのですか、その辺どういうふうに検討されておられますか。
  63. 久保卓也

    久保政府委員 個人的なことを申すわけにはいきませんが、役所として申し上げれば、施設を提供している以上、米側に今後、将来にわたって中止してほしいと言う立場にはないということを御理解いただきたいと思いますが、しかし、さればといって、どのような場合にでもごり押しにやるということは、これは不適当であろうということを考えます。したがって、トラブルの起こらないようにするにはどういうふうにすればよろしいかということを関係省庁協議しながら、今後の事態に処したいと考えております。
  64. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、これでなおかつ、そこで今度は予想を述べるわけですが、今後においてどんな方法考えても阻止活動がやまなかったとすれば、有刺鉄線で県道封鎖するなどの措置をとらなければならないというふうにやはりお考えになりますか、さっきの新聞の質問と同じ言い方になりますがね——いや、そういう質問じゃなくて、まずこう言いましょう。そうすると、その地域の住民の各団体がそれを阻止しないような方法が見つかると思うかどうか、どういう評価をされておるか。私の見るところでは、もうこれだけ問題になってしまったので無理だと思うのですが、どうお考えですか。
  65. 久保卓也

    久保政府委員 現地の模様を逐次報告を受けておりまするけれども、いまの御質問は、なかなかむずかしい事態であろうというように私は思います。  なお、有刺鉄線のお話がありましたが、どういう事態でありましても、県道に有刺鉄線を張るというような、そういう考え方は持っておりません。
  66. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、実際上は、現地の模様はむずかしい事態というように、確かにあっさり認められましたけれども、私もそう思うのです。いままで沖繩米軍基地というのは、むしろ沖繩住民の非常な忍耐と礼儀正しさによって、アメリカの在外基地の中で最も安全かつ平和な基地であったとされていることを御注目をいただきたいと私は思っているのでありますが、当然御承知のことを繰り返して言うのは一したがって、県民がかくまできろうていることに対して、これはもう方向変換が必要だと私は思っておる。つまり、これはどんなに苦心しても、ここのところで騒動を起こさぬというわけにいくまいと私は見ている。また私が現場にいての感情も、日本人として現地住民と同じものを、胸の中から突き上げてくるものを感ずる。私は、それは大事にすべきだ。むしろ行政の立場も、その方向に合わさなければめんどうなことになるのじゃないか。  だから、私は、この地域の米軍施設の提供についての再検討を含む政策判断が要る段階がいまや来たのではなかろうかと思いますが、それを一遍にここで答弁求めるのも無理だろうとは思いますが、その辺はどういうようにお考えになりますか。
  67. 久保卓也

    久保政府委員 沖繩全般に関しての基地の整理統合ということは、これは防衛施設庁としても今後努力をいたしまするし、私どもの感触では、ある種の見込みがあるというふうに見ております。しかし、この県道越えの射撃に関するものについては、これを除きますると長射程の射撃ができないという米側の立場があります。米軍海兵隊が存在している以上、実弾射撃の訓練をやらないというわけには、なかなかまいらないという状況米側はあるようでありまして、私どもも最小限の度数はやむを得ないのではなかろうか、以前のように何遍もやるというわけにはまいらないというふうに考えます。  そこで、短期的には、できるだけいろいろな措置を講じ、かつ長期的には、先ほど申し上げましたバイパスをつくって、人も車も、その射撃をするときには県道百四号を通らなくても済むというような方向で持ってまいりたい。したがって、そのバイパスも、できるならばなるべく早い時期に完成をさせたいというように思っております。
  68. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 この米軍の態度に対して地元民は怒っていると同様に、今回は、いままで味方だと思っていた防衛施設庁米軍の側に立っていることに対して、県民の怒りが込み上げているという事実も注目しなければならぬと私は思うのです。そういう状況になって、民衆の心から離れた軍隊とか装備とか自衛とかということが、どのくらい情けないものになるかは、もう私が申し上げるまでもない、専門家であるあなたには、よくおわかりいただけると思う。私は、したがって、長期的バイパスを通すという案、これまた紛争の種になり得る問題であると思うのですね。そうすると、これは長官御自身が判断される限界を明らかに越えてくると思う。  ですから、防衛施設庁長官として判断される最高限度のいまお答えをされた。で、私は、もう今度は総理府総務長官や、あるいはさらに進んで外務大臣や、あるいは総理や副総理や、そういう方々協議なさるべき問題として提案なさるのが、あなたとしても事態を円滑ならしめる方法ではなかろうかと思うのですが、どうですか。
  69. 久保卓也

    久保政府委員 行政官庁あるいは行政官といたしましては、なし得る最大限の努力をすべきであろうと思っております。もちろん、この問題の根源が行政というよりも、日米安保条約を締結し基地を提供しているという政治の問題でありまするから、そこまでさかのぼらねばならないわけでありまするが、私ども、最大限の努力をするという意味におきましては、今後もなお余地が残されている。そしてなおかつ政治的な問題となれば、それは大臣クラスの方々がまた御判断いただくことであろうと思います。
  70. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、あなたのいま言われたことを私なりに翻訳して言うと、あなたは、自分としてはまだ努力する余地があるから大いに努力する、それでも紛争が起こるならば、そのときは各大臣、総理を含めて考えてもらいたい、こういう意味ですね。
  71. 久保卓也

    久保政府委員 しばらく紛争があるいは続くかもしれません。むずかしい事態でありまするので紛争が続くかもしれませんが、その事態をどういうふうに政治的に判断されるか、その事態の対応いかんによって政治的な御判断が出るのかもしれないというふうに思っております。まだ、そこまで突き詰めて考えておりませんので、いまの御質問に応じた感じとしては、そういうことであります。
  72. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 総務長官、こういうふうに問題があるわけですね。ところが、先ほどからの話を現地沖繩の人々が聞いていたら、なんてまだるっこしい議論かと思うだろうと思うのです。何だ日本政府はどっちの味方なんだ、住民の味方かアメリカの味方か、こういう感覚で議論が展開されると私は思うのです。この辺をよく含んでいただかないと、毎日地元の新聞を読んでいると言われる総務長官としては、この辺をよくお含みいただいて、これを防衛施設庁の問題であるとしてしまったら、これは紛争はもう拡大するどころじゃない、とんでもない方向に拡大すると私は思う。  そこで、所管外と言うのではなく、政府を代表する大臣として、総理ともよく御相談の上、これに対する基本的態度をいまからよく御相談いただきたいと私は思う。そうでなければ、この私の警告を無視なされば、今後重大な紛争が地元に起こることを、私はおどかしで言っているのじゃなくて、重大な紛争が起こることを予言しておきますし、この予言は必ず当たることを申し上げておきたい。長官の御判断をお願いしたい。
  73. 植木光教

    植木国務大臣 仰せのとおり、米軍に対する提供施設の問題でございますから、私の直接の所管ではございませんけれども、しかし、一方、県民の立場でその福祉向上を図っていくという責任を持っている私でございますので、この問題が一日も早く解決いたしますように念願するのみならず、努力を続けてまいりたいと存じます。  現在、もう外務省あるいは防衛庁努力をしておられるということにつきましては、私はやはり評価をしていただきたいのでございますけれども、今後ますますこういうような問題が拡大をいたしていくということでは非常に大変でございますので、一足飛びにまず総理ということではなしに、さしあたり外務大臣防衛庁長官と、こういう問題についてどのように処理をしていくべきかということについての意見の交換や協議を行って、県民の不安を解消するにはどのような方策をとるべきか、選ぶべきかということについて努力をさしていただきます。
  74. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それは非常にいい御答弁だと私は思う。それは非常に前向きな御答弁で、ぼくはみごとだと思う。ぜひとも御協議いただいて、その御協議の結果を当委員会なり、別の委員会でも結構でありますが、本院を通して、あるいは直接でも結構でありますが、地元の方々にぜひとも早急にお話をいただきたいと思うのですが、どうですか。
  75. 植木光教

    植木国務大臣 早急に協議をいたします。
  76. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、私はパイプラインの話をさせていただきます。  沖繩におきまして、パイプラインが約八十キロ以上にわたって沖繩本島のど真ん中を突き抜けております。このパイプラインは事実上爆弾が連続して寝ているみたいなものでありまして、しかも住宅区域を突き抜けており、学校を突き抜けており、そして住民道路の下を走っておるかっこうになっておるわけであります。逆に言うならば、このパイプラインが引かれた当時は、原っぱであったところでも、現在は住宅地域というふうになってしまったわけです。そうして危険なことについては言語に絶する状況であることは、当委員会においても何回か指摘されたとおりであります。  私どもは公明党として、昨年九月十二、十三日の両日、これの総点検を行い、早急な撤去を、二万七千の署名をもって防衛庁長官及び総理府総務長官に対し、この問題をお話を申し上げたこともございました。また、それについて前向きなお話も承ったこともございました。  もちろん十分な御連絡もあることだろうと思うのでございますが、このパイプラインについて、アメリカ側は民間のパイプラインコンサルタントであるスチーブン・A・バーグマンという人を呼んで調査をさせたところが、沖繩においてこの人が、本日、腐食の大きなものが五カ所もある、腐食がパイプの管の厚さの五〇%も進んでいるところが五カ所もある。何らかの処置、改善をしなければならないところが実に五百三カ所ある。改善処置は二週間でやってくれと言ったけれども、できるかどうかはわからない。そして学校敷地、住宅等については、日本国内法に基づいて改善したいとは思っているが、那覇防衛施設局との打ち合わせで現状敷設のまま改善したいと述べたという情報であります。おそらく明日のあなたのお読みになる新聞にもそれが出てくるだろうと思います。  私は、ここで申し上げておきたいのですが、このパイプラインは、実際問題として住宅地域でいかに改善しても、住宅地域のど真ん中で安全というわけにはいかない。日本国内法にも抵触をする状況であります。取り除くか全然別のところへ移設するしか現実としてはない。日本国内法に照らしてみれば、これは明らかに違法のパイプラインであります。それだけをまず御認識いただいておいて、このパイプラインの撤去につき、私たちもアメリカ側と直接交渉もしてみたし、あるいは現地の防衛施設局の諸君はアメリカ側との打ち合わせをしておるわけでありますが、その中で明らかにパイプラインを、私はその中のほぼ半分近くを撤去でき得る感触を得た。そこで、大体どういう交渉になっておるか、それを実は伺いたいと思っておるわけであります。  それは、南側の部分については、アメリカ側は別ルートで送ることとし、撤去できる可能性があると、すでに私に、非公式でありますが述べております。それである以上は、もうちょっと交渉をちゃんとやっていただかなければならない。ところが、ただいま出てきたようなお話は、現パイプラインを全く取り除かないという考え方もとに、現状をごまかしたような修繕でやろうという雰囲気があります。私は、これはもってのほかだと思う。そこで、米側との話し合いはどの程度になっているか、どういうことが予測されておるか、まず担当の方から承りたいと思います。
  77. 久保卓也

    久保政府委員 昨年の十月に、精密な機械によって腐食の度合いを調査した結果、約五百カ所に上る大小のふぐあい事項が指摘されたことは御指摘のとおりであります。そして私どもが得ている米側からの話では、いまお話しの米側の専門家に検査をしてもらい、対案を出してもらい、それに従って修理、補修をやってまいりたいというところまで聞いております。  それから、先ほど八十キロと申されましたが、私の方で知っているのは五十何キロでありますが、この五十何キロのうち、たとえば那覇港湾施設から那覇空港に至る分のパイプライン、これはすでに、たしか二本は基地内に移しかえ、一本も近く基地内に移しかえるということであります。その他の分につきまして、全部は必要でなかろうというふうに私ども考えます。  ところが、私どもが聞いている範囲で、たとえば米側がわれわれに、もしこのパイプラインを移設する場合には、那覇港湾施設に石油貯蔵タンクをつくってほしいとか、パイプラインの長さは、これぐらいにしてほしいというような要望もあるかと思いますると、沖繩米側総領事がこういうことを言った、あるいは県側での情報はこうであるというふうに、非常に情報が区々に別れております。したがいまして、私どもの方から米側に、現在あるパイプラインの中で撤去してよろしいもの、そういうものの時期について具体的な計画を出してくれ、われわれとしては不要なもの、不必要なもの、緊急でないものについては撤去、除去することを望みたいというふうに申しておるのです。これについては、米側の返事は、現在検討中であるから、それが終われば回答するということで、具体的なところはまだ来ておりません。したがって、いろいろな情報の中でどれが正しいか、ちょっといまのところわかっておりません。  それから、お話のように露出しているものとか病院の近く、学校の校庭の中といったような、部分的に危険な場所が私どもの計算では約九百メートル足らずでありましたか、そういうところはございます。したがって、こういうものを移設することは、私どももやぶさかではございませんが、移設するにしましても、また場所を見つけなければならないという問題があります。したがいまして、移設ということを前提にするのは、もちろんわれわれとしては検討してまいらねばなりませんが、どういう場所を選ぶかということに一つの難点があるというのが現状であります。
  78. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、ただいまのはアメリカ側の一つの意見と見ておいていいわけですね。それはまだ全体的なアメリカ側の返事ではない……。
  79. 久保卓也

    久保政府委員 今日現在で米側として正しい意見といいますか、情報といいますか、それはまだなくて検討中である。おそらくそう遠くないうちに、われわれに知らされるのではなかろうかというふうに思っております。
  80. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、この問題につきましてはさらに御努力をお願いして、私の意見によりますと、南側半分はほぼ不要であると思います。油の量も、そう移送されている気配はございません。北側の方に対しても、よほどの防護設備をとる等のやり方も考えなければならぬとは思いますが、こちら側はこちら側で十分御検討と御研究をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  81. 久保卓也

    久保政府委員 おっしゃる方向で努力をいたします。
  82. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 長官、ここでもう一回申し上げますが、パイプラインというと、ここで聞くパイプラインという金属的な言葉の響きというのは、非常にしゃれたニュアンスです。現地に行きますと、パイプラインが家のど真中を突き抜けている。そこへ自動車が下に置いてある。子供はそこで野球をしている。そしてパイプラインの下のところが、軸受けみたいな金属部分が腐っておる。私は揺すってきたのですが、こうやって揺すると、ゆらゆら揺れる。それ以上やると器物毀棄になるほどの状況である。こういう状況は、先ほど言われたような県道越しの射撃などというアレルギー状態がちょっとでも紛糾すれば、パイプラインそのものがぶち壊されるところの政治情勢を生む一県民の強い忍耐の上にしか沖繩行政は維持されていない。ここを十分御認識をいただきたい。したがって、私は、このパイプラインを近所に抱えながら暮らしている人たちが、通り抜けをしながら平然と暮らしているように見えるかもしれませんけれども、それは全く違う。高度の忍耐が連続して数十年にわたって続いておる。これに対しては、もう少し行政の方に、その皆さんの胸の痛みを感ずる行政があってしかるべきではなかろうかと思うわけなんです。  長官はその辺非常に努力をされているように私は見えます。明らかにいろいろな口ぶりから見えますが、遺憾ながらいままでの行政はのろ過ぎて対応できてない。不発弾処理にしたって何年越しにやるんだか今度の予算を見る限りわからない。私らがちょっとあきれるほどのろいのですね。のろいということに対して、沖繩の方は余り言わない。あきらめている。日本政府というのは大体この程度の政府なんだ、騒いだってどうせだめなんだ、がまんするしかないのだ、そのうちに忘れられるだけさという、行政に対する強い不信というものがある。日本政府は、そこを前向きで取り組んでいるという強烈な姿勢が要ると私は思うのです。だから、私はそこのところで、現地にじかに、それこそどろぐつを履いて踏み込んでお話しになることをお勧めしたい。私も何十回も行っておりながら、沖繩の人々の心というものと本当に接触するのがむずかしいのを痛感しておる一人なんです。だからこそ私申し上げるわけなんで、架空のことを申し上げているつもりはない。  こういう問題というのはたくさんあります。一つ問題が起こるたびに、それと正面から取り組んでいただきたい。そして、こうだという納得のいくところまでやっていただきたい。いままでの長官は、えてすると、上っ面だけだあっと仕事はするが、底のところの一つずつが押さえられていないパイプラインの問題なんかも去年ですよ。そして、もっと問題になったのは十年前だ。その間はずっとほとんど行政らしい行政、アクションらしいアクションが起こされていない。植木さんのときから変わったというふうにやっていただきたい。あのときから一つずつが、問題が起こるたびにみごとに全部片づいた、不発弾というと不発弾が根こそぎやられるまでやられたというようにやってもらいたい。ところが、いたずらに延ばされる。西銘さん、そうじゃありませんか。ずっとあきらめと忍耐だけで、この委員会は続いておる。私は特にそれをお願いしたい。いかがでしょうか、最後に。
  83. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩県民方々が長い苦渋に満ちた歳月を送ってこられて、今日私どもがやらなければなりません施策は、本土との格差の是正であり、民生の向上と安定でございます。そういう意味におきまして、ただいま御激励をいただきましたが、この御激励にこたえまして、一生懸命にがんばってまいります。
  84. 松本忠助

    松本委員長 安井吉典君。
  85. 安井吉典

    ○安井委員 二、三点伺いたいと思います。  初めに、アメリカの海兵隊実射訓練の問題ですが、私、予算委員会の分科会の方に出ておりまして、初めのお話を聞いていなかったので、繰り返しになって恐縮ですが、県道百四号線を封鎖し、迂回道路建設をする、こういうことなんですか。
  86. 久保卓也

    久保政府委員 いままでの答弁の流れは、当面の問題としては県道及び実弾の落下地域、そういうものの安全を確保しながら、何とか実弾射撃ができるというふうな方策を考えてまいりたいということを申したわけでありますが、しかし、それでも事態がそう容易に処理できる予想は必ずしもありません。そうすれば、やはり長期的な対策ということが必要でありますので、迂回道路をつくって、実弾射撃をやるときには百四号線を通らなくて済むというようなことを考えるべきではなかろうかということで、そういう方向で努力してまいる。それも長い期間かかってはいけませんから、できれば、通常の予算で申し上げれば二年かかると思うのですけれども、それをできるだけ短くしていく方策がないかという方向で検討しようということを申し上げてまいったのであります。
  87. 安井吉典

    ○安井委員 迂回道路をつくること自体は、私は問題があると思うのですよ。住民がまだまだ納得をするというところまでいっていないと思うのです。それから迂回道路ができるまでに、いまのお話では一年ですか、二年ですか。
  88. 久保卓也

    久保政府委員 通常のペースでまいりますると、ほぼ二年かかるであろうというふうに思います。しかし、それをできるだけ短くするというふうに考えているということであります。
  89. 安井吉典

    ○安井委員 それまでは、いまのままでやる、こういうことですか。
  90. 久保卓也

    久保政府委員 結局百四号線越えの射撃ということにはなるのです。そこで、先ほど来問題になっておりまするように、県民方々の安全の問題、それから不安感の問題そういった問題も現実問題といたしましてはございましょう。そういったものをできるだけ軽減する方策を持ちながら、当面は事態処理してまいりたいということであります。
  91. 安井吉典

    ○安井委員 どうも幾度伺っても納得できかねるような措置のように思うわけです。大体迂回道路をつくれば、みんな納得してくれるというふうな筋ではないようですね、現地では。現地の人は、とにかくそんなところで実弾の射撃をするようなことをやめてもらいたいという、それが一番根にあるわけですから、迂回道路ができて、いまの状態をさらに末永く固定をされるということには耐えられないという気持ちも、私はそういう方向に通ずるのではないかと思う。その上、迂回道路建設を早めるつもりだが、しばらくの間はそのままでいかなければいかぬ、そういうことで、どっちへ転んでも私は県民の納得を得られるような解決にはならないように思うわけであります。  いずれにしても、いままでの県道百四号線は、県民にとっては生活をそこでつないでいる道路であるだけに、道路をどうするなんということでは納得できるわけはないし、さらに基本的には安全を脅かされるという問題があります。これは外務省でも防衛施設庁でもいいのですけれども、ここをいまのような基地のままで、アメリカはいつまで維持しようとしているのか、お答えづらいかもしれませんが、どういうお見通しを持っているのですか。
  92. 久保卓也

    久保政府委員 このキャンプ・ハンセン射撃訓練場は、海兵隊が使用するわけでありますが、海兵隊につきましては、日本語で翻訳されるときに、米海兵隊司令官などが、これは本国でありますが、無制限に海兵隊は沖繩に置かれるであろうということを言ったことが何度かあります。それから今度のシュレジンジャー長官の国防白書でも、沖繩の重要性が指摘されていることは、先ほど来のお話のとおりであります。ただし、無期限にということは、日本語は不適当なのでありまして、いつまでにということがわからないといいますか、そういうことが明示できない状況もとに、海兵隊が今後も駐とんしていくであろう、つまりインデフィニトリーでありますから、無期限にということは当たっているようであるが、語感としては当たっておらないというふうに私は思います。いずれにせよ、何年まで海兵隊がいるということでない状況をインデフィニトリーというふうに思うわけでありますが、そういう状況にあると思います。
  93. 安井吉典

    ○安井委員 日本の本土全体を考えてみても、県道越しに実弾射撃をするようなところは、かつてなかったように思う。いまは、もうずいぶん減っちゃったものですから、昔のことは忘れたのかもしれないけれども、私はなかったように思う。それが日本の中の沖繩にいま存在しているということは、沖繩の異常な占領状態が、ついこの間まであったということに原因があるわけです。沖繩だって、もっと早目に返還がされていれば、そんなようなことにまさかならなかったと思う。占領地なんですから、何やってもかまわないというふうな形で現在のような状況がつくられてきているのではないかと思う。その異常な状態が、いまだに続いているということ自体、私はおかしいと思うし、そういう事態を、地位協定があるのだから、安保条約があるのだから、やむを得ないという政府の態度自体に私は問題があるように思うわけです。  いま渡部君からもお話がありましたが、基地全体の返還計画政府は非常に積極的に取り組むというお気持ちを示していることは先ほどのお話でもわかるわけでありますけれども、現在、沖繩における基地を返してくれという交渉のリストの中に、日本政府はこの演習場を入れているのか入れていないのか、それを伺います。
  94. 久保卓也

    久保政府委員 アメリカは、海兵隊というものは先ほど申し上げたように、今後も相当長期間にわたって存続させるように見受けられます。したがって、その海兵隊の駐留ということに関連する施設というものは最小限必要である。そしてまた実弾射撃を年に何度かやらざるを得ないというのは、その最小限のうちに入るということから見まして、私ども米側の感触を聞きながら、常に米側とも交渉するわけでありますが、この分は無理であろうというふうに判断をいたしております。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 アメリカが返すか返さないかは、これは別物だと私は思います。いまここでアメリカのキッシンジャー国務長官に来てもらって問答しているわけじゃないわけです。しかし日本政府としては、少なくも返してくれという姿勢ぐらいは私は見せてもいいと思うのですが、外務省ではそんなことまで考えたことはないのですか。
  96. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 沖繩におきましては、陸軍は実戦部隊としては、ほとんどなくなっておるわけでありまして、海兵隊が唯一のそういう意味での主戦部隊としておるわけでございます。したがいまして、そういう部隊が日本の防衛に寄与するものとしております以上、その演習場としてのキャンプ・ハンセンというものは、やはりこれは必要であろうとわれわれは考えておりますので、そのキャンプ・ハンセン全体を返してくれというふうなことは、われわれとしては考えておりません。
  97. 安井吉典

    ○安井委員 そういう姿勢だから、いまの沖繩人たちに言わせれば、まるでアメリカ施設局がぐるになって住民の安全を脅かしている、私はそういう受けとめ方をしているように思うわけであります。地位協定があるし、これは仕方がないからやっているんだ、さっきからいろいろ施設庁長官も言われるわけですけれども、いま住民の方は、むしろこの点についてはそういう受けとめ方をしているのではないかと私は思う。特に、いまのような状態はもう方法がないんだと、アメリカがだめだというんならわかるけれども、こちらの方が頭から改善の方法がないんだ、いまの状況を改善するのは迂回道路をつくることだけなんだ、それ以外に方法がないんだ、そういう日本政府姿勢に私は問題があるのではないかと思う。  ですから、いまここでやりとりしていて、すぐ結論が出そうにもありませんけれども、危険きわまりないいまの状態について、当面住民への危険が及ばないように、さらにまたトラブルがさらに高ずることがないように、そして将来に向けて——キャンプ・ハンセンがあることによって日本は守ってもらえるのかもしれませんけれども、しかし、いまは住民が危険にさらされている、それは大きな矛盾じゃないかと私は思うのですね。そういう際に、先ほど渡部君の質問で、開発庁長官政府部内でもさらに協議をして、その結果をさらに報告をしたいという趣旨の御発言がありましたけれども、私もきょうのところは、ひとつそれに期待をしたいと思うのですが、どうですか。
  98. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、この問題は防衛問題であり、また外交に関する問題でございますから、私の所管外でございますが、先ほども申し上げましたように、県民の感情あるいは県民の民心そのものにかかわるものでございますから、外務大臣防衛庁長官協議をして、民心安定のための方策を探り出してみたいというのが、私のただいまの気持ちでございます。
  99. 安井吉典

    ○安井委員 次に、長官の所信表明についてちょっと伺っておきたいと思いますが、前年度の当初予算に比べて五十年度七百七十億円の計上は約七%の増で、総需要抑制の中でも伸びた方だ、こういう書き方で御説明をいただいたわけであります。  私は、総需要抑制ということ自体にひとつひっかかるわけですよ。国民の購買力なり需要は抑制していかなければいけないという事実はわかるけれども、一億総ざんげ式にネコもしゃくしもみんなやらなければいけない、同じようなレベルでやらなければいけないというところに、私はどうもいまの総需要抑制という言葉にひっかかるものを感ずるわけです。どんどんもうけている大企業などは抑制してもらってもいいし、それから、いままで不必要なまでにどんどん金をつぎ込んだところは、これは抑制してもいいけれども、まだ復帰間もなく、本土の各府県に比べて何ら措置がされていないそういう沖繩まで、総需要の総の字に力が入って抑制されなければいけなかったか、ようやく七%増くらいにとどまってしまったというところにこそ、私は問題があるのではないかと思う。  そのことともう一つ、七%の増といっても、諸物価は約三〇%上がっていますよ。特に公共事業その他、人件費も上がっていますね。だから七%増なんといっても、実際は事業量においては、去年に比べて三〇%ぐらいダウンした事業しか現実にはできないのではないか。その辺について、どういうふうに御理解なさっていられるか、それを伺います。
  100. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 先生御質問のありましたように、五十年度予算を前年度当初予算と対比いたしますと、いわゆる公共事業費ということで区分けするものは三%強、私どもの方で使っております振興事業費、これは公共事業費に文教施設及び医療関係施設を加えたものでございますが、これで見ますと七・二%という増でございます。それを長官の所信表明のときに数字で挙げて御説明を申し上げたわけでございます。これはいわゆる総需要抑制下で編成された予算でございまして、その金額が沖繩の振興開発のために十分か不十分かというお話でございますと、問題は二つばかり私どもも考慮しております。  一つは、前年度予算の中にかなり大きい部分、約半分に近いウエートで海洋博の関連公共事業というのが入っております。それで非常に順調に海洋博関係の公共事業が進んでまいりましたので、五十年度予算では、海洋博関係部分だけをとりますと、約半分その関係のために必要な投資額が減ってまいっております。実質の内容は、前年度予算に比べまして、かなり大きいものが一般の沖繩の県勢振興のために使い得る、こういうことでございます。そういうことでございますので、見かけの伸びは、いままでに比べて減っていることは確かでございますが、内容的には非常に充実したものがある、私どもはさように考えているわけでございます。  あともう一つは、いわゆる執行能力の関係でございまして、現在、能力的にピークの状態に近い状態になっております。それにつきましての適正な規模はどれくらいかということの判断も加えて、それらを総合勘案いたしまして予算を編成した、私どもはさように理解しております。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、沖繩振興開発計画そのものが、いまのインフレの中で、さらにまたいわゆる高度経済成長段階から低成長の段階に入ってきた今日において、いまのままでいいのかどうかということです。五十年度の予算について、いまいろいろお話があったわけですけれども、インフレーションと、それから現在の経済状況の激変と、それからまた沖繩住民の要求も非常に多様化してきているように思う。そういう中で、いまのままでいかれるのか。いま新しい見直しの段階に来ているように私は思うのだけれども、それについてはどう御判断されていますか。
  102. 植木光教

    植木国務大臣 五十年度の予算内容につきましては、いま振興局長からお答えしたとおりでございますが、この五十年度の振興開発事業の重点といたしましては、本土との格差を可及的速やかに是正をいたしますために、投資規模の確保をいたしまして、また離島の問題がございますので、これを離島振興に特に重点を置いたのでございます。五十年度は特に離島振興策に意を用いたつもりでございます。  さらにポスト海洋博の問題がございまして、ポスト海洋博段階沖繩県経済あるいは県民生活というものが非常に大きな落ち込みをするというようなことのないように配慮してまいったところでございますし、今後も努力をいたしたいと存じます。  いまお話しのように、日本全体が経済的に低成長期に入ってまいっております。インフレにつきましては、最近沖繩県におきましても物価が鎮静化してまいりました。ただ海洋博によって、どのような状況になるかということが憂慮されますので、あらゆる角度からその対策を講じているところでございます。  そこで、今後振興開発計画の見直しを行うかどうか、こういう御質問でございますが、これは四十七年に一部改定されました新全国総合開発計画の第四部の沖繩開発の基本構想を受けまして、現在の計画というものが打ち立てられたわけでございますが、もうすでに御承知のように、新全国総合開発計画の見直しをやりまして、昭和五十一年度を初年度とする十年間の第三次計画の策定が計画をされております。  そこで、この第三次計画におきまして、沖繩振興開発の基本構想というものが、いままでの基本方針を変更しなければならないというような内容になりますならば、これに伴いまして、私ども沖繩振興開発計画も見直し、検討し直すという必要があるものと考えております。しかし、御承知のように、先ほど来申し上げておりますように、現在の振興開発計画というものは、本土との格差の是正また自立発展の基礎条件を沖繩県において整備をし、新しい時代に即応した豊かな地域福祉社会を実現をしようというのが現在の計画の基本的な考え方でございますので、この方向は現時点においては変わるものではないのではないか、このように思うのでございます。  重ねて申し上げますが、新全総というものができ上がりまして、それとの関連において沖繩県の新しい振興開発計画を見直し打ち立てる必要がございましたならば、私どもとしては、そのようにいたす考え方でございます。
  103. 安井吉典

    ○安井委員 私は、作業はどうもあべこべのような気がするわけです。福田経済企画庁長官も社会経済発展計画を練り直すと言うし、それからまた、三全総と呼ばれている——新全総の次だから新々全総ですか、三全総と呼ばれている作業が始まる、こういうことでありますけれども、これは国の方針としてそれが進んでいく、沖繩開発も、国の方針の中でこなされていくのは当然だということかもしれませんけれども、やはり私は、沖繩県民の要求、ニーズといいますか、そういったようなものを足場にしたものでなければ、国全体の方針がこうなんだから沖繩はこうしなさい、高度経済成長だから沖繩はこうなんだ、低成長になったから沖繩はこうなんだ、それをただうのみに沖繩に押しつけていくような形を、いまの大臣の御答弁の中でうかがうわけです。国のやつが決まったら、その中で考えるという、それは手順としてはあべこべなので、県民要求というものをしっかりくみ取って、県民参加の形で、本当の沖繩は、沖繩の人が納得できるような沖繩はこうなんだということをつくり上げていく。県知事も作業するでしょうけれどもね。それを開発庁がともどもに進めていく。そういうものを今度三全総ができれば、その中に無理やりでも押し込んでいく。私はその姿勢でなければ本当の沖繩県民要求にこたえることはできないのではないかと思う。  国全体はこういう方向がいいと言ったって、たとえばCTSの石油基地をつくるのは国全体の大変大きな要求かもしれません。しかし無理やり、県民がいやだというやつを押しつけたって、しようがないじゃないですか。だから、国のやつができて、その方針に従ってやるということはあべこべにして、私は沖繩開発庁ががっちり取り組んでまずやって、それを押し込みなさいよ。どうでしよう。
  104. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど私の言葉が少し足りなかったかもしれません。いま安井委員が仰せになりましたと同じ見解を私持っているのでございまして、予算編成に当たりましても、あるいはまたそれの執行に当たりましても、常に県民の要求をくみ取りながら、これに当たっておりますし、また、御承知のように審議会もございまして、その中でいろいろ御討議をいただき、建設的な御意見を施策の中に組み入れているのでございます。  したがいまして、第三次総合計画ができ上がりましてからやりますというのではございませんで、これを策定をいたします過程の中で、当然その沖繩県の振興開発計画というものを洗い直していかなければいけない、この計画の中に組み入れていかなければいけないというような状況であるならば入れていこうということでございまして、しかし、いまございます振興開発計画というものの本土との格差の是正、自立発展のための基盤づくり、県民の福祉の増進、こういうものは、やはり基本的な姿勢である。個々の施策につきましては、長期的な計画の中に当然県民の要望をくみ取りながら入れていくべきものであると考えているのでございます。その点につきましては、御了承いただきたいと思います。
  105. 安井吉典

    ○安井委員 ひとつしっかり頼みます。  もう一つ、空港返還の問題ですが、那覇空港のいわゆる完全返還は、海洋博との関連もありますので、どう進んでいるのか、P3の撤去がどう進むのか、そのかわり自衛隊が居座るというようなことで、いろいろ問題があるという状況もあります。そして、新しい空港海洋博の大ぜいのお客さんを十分さばけるような、そういう体制に間違いなく進んでいるのかどうか。そういう点、ひとつそれぞれ御担当の方からお答えいただきたいと思います。
  106. 久保卓也

    久保政府委員 海洋博の開催以前に那覇空港をクリアにすることが前提でありましたが、現在嘉手納へP3の部隊を持っていくことに関連する移設工事でありますが、普天間飛行場の関連工事はすでに済んでおります。それから嘉手納の方につきましても、たとえば駐機場、洗機場等すでに完成しておりまして、あと格納庫等の移設工事をやっております。現地では相当大規模な仕事でありますが、大体三月末には完成をする。ただ、一部付帯工事、ユーティリティーと申しますが、付帯工事が若干ずれるかもしれません。したがって、それに伴いまして逐次米側では機材の搬入その他部隊の移動を始めるわけでございますが、運輸省から多分後でお話があると思いますが、運輸省の方でも、機材の搬入等もありましょうから、あいたところに運用要員などを持っていく、その分の時期を見て、少なくとも海洋博の開催に関連する乗客の殺到に全く支障のないように、われわれの方としては大体計画どおりにまいるつもりでおります。
  107. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 運輸省がおりませんので、便宜私からお答えいたします。  P3の撤去スケジュールにつきましては、ただいま施設庁長官からお話がございましたとおりでございまして、運輸省及び沖繩開発庁といたしましては、P3の移転跡につきましては、もともと沖繩民間航空のためのバースが那覇空港で非常に不足をしております。特にその中で、いわゆる沖繩の県内交通の手段であります南西航空のバースがない。そういうことから考えまして、このP3跡地につきましては民間航空で使いたいということを非常に強く願望しておりまして、ただいま防衛施設庁とその点につきましては折衝中でございます。
  108. 安井吉典

    ○安井委員 伊江島空港のことについてもお尋ねしたいのですが、ちょっと上原君から関連で……。
  109. 松本忠助

    松本委員長 安井君の質疑に関連して、上原康助君の発言を許します。上原君。
  110. 上原康助

    ○上原委員 その前に一点だけ確かめておきたいのですが、県道百四号線の件につきましては、あすの防衛庁関係の分科会で新たな角度から、もう一度お尋ねしたいのですが、現段階米側演習をしたいという申し入れは来ているのか、いないのか。
  111. 久保卓也

    久保政府委員 来ておりません。
  112. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、従来どおり事前に通告はあるわけですね。
  113. 久保卓也

    久保政府委員 事前に通告があると思います。
  114. 上原康助

    ○上原委員 何日前に通告することになっていますか。
  115. 久保卓也

    久保政府委員 一週間ということになっております。
  116. 上原康助

    ○上原委員 今後も最低一週間という期間事前通告というものは、どういう事態になっても米側が崩すことはありませんね。
  117. 久保卓也

    久保政府委員 米側日本側に通知をする期間は一週間であって、その点はわれわれとしても米側に強くそれを守るように要求してまいりたいと思います。
  118. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、那覇施設局が関係市町村機関に通告するのはどういうことになりますか。
  119. 久保卓也

    久保政府委員 これは施設局の方で沖繩にいる米軍の部隊から連絡を受けるわけでありますが、その内容について、運用等どういうふうに円滑に実施できるかという検討があります。したがいまして、地元に御連絡するのは、その検討を要する期間若干減少されるわけでありますが、われわれとしてはなるべく早い時期に、地元には御連絡申し上げるというふうなつもりでおります。
  120. 上原康助

    ○上原委員 そこで抜き打ち的に強行して演習をやるということはさせませんね。
  121. 久保卓也

    久保政府委員 そのようなことはありません。
  122. 上原康助

    ○上原委員 いま那覇空港の件が安井先生からお尋ねがございましたが、私もきょうの予算の分科会で運輸省にもいろいろお尋ねしてみました。運輸大臣も、もともと那覇空港というのは民間空港にするということが復帰の目玉であったし、そういう方向で政府としては取っ組んできたのだ、したがって、特に海洋博ということもある——先ほど来の御答弁を聞いておりますと、何か海洋博というのを条件をつけて一時的に暫定的に民間優先に、いわゆるP3移転後のエリアというものを使用させるということですが、少なくともこれ以上軍事色を強めてはならないというのが県民の強い要求なんですね。そのたてまえは崩しませんね。施設庁も、また開発庁も。これは大臣の方からぜひ決意を求めておきたいと思うのです。
  123. 植木光教

    植木国務大臣 基地の問題につきましては、整理縮小ということについて、私どもはもう従来から強い要請をしてきているところでございますし、また、その使用状況につきましても、県民にとりまして不安のないようにということが私どもの切なる念願でございます。そういう意味におきまして、ただいまお説のような方向に向かって私ども努力をさせていただきます。
  124. 上原康助

    ○上原委員 防衛施設庁もそういうことでいいですね。
  125. 久保卓也

    久保政府委員 民間空港でありますから、民間空港に有利にあるいは優先的に使われるのはやむを得ないと思っております。ただし、自衛隊側でも、現状が不備でありますし、狭隘でありますので、それを広くすることについての希望は持っております。しかし、少なくとも海洋博開催期間中については、その要望は多分出さないであろうと思います。
  126. 上原康助

    ○上原委員 後の説明は、それは必要ないのですよ。希望は持っておっても、沖繩県民希望がかなえられないのに、自衛隊希望だけかなえたら困るのです。それは大臣運輸省も、ぜひ防衛庁に負けないようにがんばっていただきたいと思うのです。  そこで、関連で立ったのですが、何か安井先生がまたほかの日程であいたということで少し続けますが、伊江島空港の件について、ぜひ外務省にお尋ねをしておきたいのです。これもきょうの段階では詰めた議論はできませんが、その前に、いまどのくらいの予算でどういう工事をやっているのか説明できますか。
  127. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 伊江島空港の移転費につきましては、大部分が四十九年度予算及びそれに基づく債務負担行為でございまして、主要なる契約は全部終わっております。したがいまして、ちょっといま手元に金額がないのでございますけれども、必要な工事は海洋博までに当然完成いたします。
  128. 上原康助

    ○上原委員 あと数字を調べれば私も持っているのでわかると思いますが、かなりの予算をかけて工事しているわけですね。そこで、この伊江島空港使用するということについて改修工事をやる、日米間でどういう話し合いが持たれたのですか。
  129. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 合同委員会の下の分科会におきまして、海洋博に間に合うように伊江島の民間飛行場が使えるように話し合いが行われたわけであります。結局、時間帯の調節をして民間航空機が乗り入れられるような手当てができた次第でございます。詳しいことは、運輸省の方にお尋ね願いたいと思います。
  130. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、その使用については外務省なり防衛施設庁米側と話し合ったのでなくして、運輸省話し合いが持たれたということですか。それが一つ。ぜひこれは明らかにしておいていただきたいと思うのです。  いま一つ。海洋博期間中も午前十時四十五分から一時十五分までの約二時間半の制限使用なんですね。これもまた軍事優先の最たるもの。しかも、そばでは核模擬弾の投下訓練をしている、あるいはその他の実弾射撃訓練をやっている。危険千万です。こういう条件は日本政府ものんだのかどうなのか。また、どういう話し合いに基づいて、そういう結果になったのかはつまびらかじゃないのですね。その点ぜひ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  131. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 これは関係の分科会で行われましたので、私も詳細は承知しておりませんが、外務省としても、できるだけそういう時間帯の調節をして、この民間飛行場が使えるように努力をしたわけでございます。ただし、これは技術的な問題をいろいろと含みますので、詳しいことは運輸省の方にお尋ね願いたい次第でございます。
  132. 上原康助

    ○上原委員 運輸省に聞きますが、しかし、話し合いを持ったのは外務省でしょう。それと、海洋博が済んだ後の使用はどうなるのですか。それが一つですね。これもアメリカ局長がお答えになるのでしょうね。  自衛隊がまさかここを使うという意思で、いま整備をしているわけじゃないのでしょうね。これも確かめておいていただきたいと思うのです。
  133. 久保卓也

    久保政府委員 整備先がどうお考えか知りませんが、自衛隊は全く使う意思は持っておりません。
  134. 上原康助

    ○上原委員 外務省、さきのことは答弁できませんか。その後の使用はどうなるのか、運輸省に任すのですね、運輸省と県に。
  135. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 海洋博が終わりました後の使用計画については、まだアメリカ側と話し合いをいたしておりません。したがって、まだ方針は決まっておりません。
  136. 上原康助

    ○上原委員 ですから、私がお尋ねをしているのは、日米間でどういう話し合い合同委員会なり、あるいはそのほかの運輸、何か分科会がありますね、そこで持たれたかとお尋ねしているのは、一説には自衛隊が使うかもしらぬという動きもある。いま一つは、日本政府のお金で、あるいは債務負担行為にしても、県の協力も得てやった後に、米軍の専用空港になった場合、一体どうするのかという問題があるわけですね。ですから、日米合同委員会なり日米間で何を出せと言っても、あなた方には出さない。百四号の問題にしたって、基地の立ち入りの問題にしたって、一切不問に付して、合同委員会で話し合ったことは全然出していない。どういう秘密があるかわからないのですね。よもや米軍が専用空港——わが方の金をつぎ込んでつくって整備をした後を、そういうことが合意の上で進められているとは、幾らアメリカ外務省であっても、そこまではおいそれと、はいとは言わないかもしれませんが、しかし、そういう疑惑を持たれていることは事実なんですね。これについても明確にしておいていただきたいと思うのです。
  137. 井上幸夫

    井上(幸)政府委員 先ほど数字を手持ちしておらないと申し上げましたが、五十年度予算では二億六千百万円の予算を計上しております。これを先ほどの答弁に補足して申し上げます。  ただいまのお尋ねでございますけれども、私どもが整備をしております伊江島空港につきましては、これは全額国費ではございますけれども補助事業でございまして、事業者は沖繩県でございます。空港管理者は、したがいまして沖繩県でございます。したがいまして、どういう飛行機を着陸させるかということは、沖繩県空港管理者としての判断に従う、こういうことになろうかと思います。
  138. 上原康助

    ○上原委員 きょうはこれで大体あれしますが、沖繩県の管理にあると言ったって、県の管理にある百四号線の上でぼんぼん弾を撃っているのです外務省は。だから、私がぜひ明らかにしておいていただきたいということは——そうなんでしょう、日米間でその後どういう話し合いがあったのか。そういうところが役人の悪い癖で、逃げをしておって、後ではどかっとやられる、日米安保条約と地位協定があるから仕方ありませんと言って。アメリカ局長、そういうことでこれは進んでいませんね。
  139. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 伊江島の民間飛行場の問題につきましては、もともと施設、区域外の問題でございまして、区域調整その他の問題がございますが、そういう問題でございますから、そこを終わった後にアメリカに提供するということは、われわれとしては常識としては考えられないわけでございまして、ことに県がそういうふうに計画をお立てになるわけでございますから、常識の問題としては、余りそういうことは予想しておらない次第でございます。
  140. 上原康助

    ○上原委員 初めて少しくらい外務省らしいお答えがあったのですが、ぜひ努力していただきたいと思うのです。  そこで最後に結びたいのですが、二時間半では海洋博期間中の輸送問題で大変支障を来たすのじゃないかと思うのです。これは開発庁長官に、外務省も、きょう来ておりませんが運輸省も、われわれもまた努力いたしますが、そういった時間帯の問題、しかも、そのすぐ隣にはああいう訓練空域がある。空域と地上の地域があるわけですね。この時間帯の問題を含めて安全確保の問題等について、さらに政府間で折衝していただく、そういう決意はもちろんおありですね。
  141. 植木光教

    植木国務大臣 伊江島の空港問題につきましては、沖繩県に参りましたときに直接伊江島の村長さんでございますか町長さんでございますか、お聞きをいたしまして、その御要望を関係省庁に伝えました。この間も運輸大臣に伝え、また重ねて話をしたような状況でございまして、できるだけ努力をしてまいります。
  142. 上原康助

    ○上原委員 これで終わりますが、外務省、時間帯の問題についてお話し合いをやっていただけますね。
  143. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 時間帯の問題に関しましては、実は長い間の折衝を経てここに落ちついたというものでございまして、さらに実際の乗り入れに当たって、本当の不便があるということであれば別でございますが、われわれとしては、この二時間半の間、アメリカ側にはいわば訓練をやめさせるわけでもございますし、これで十分賄えるんじゃないかとわれわれは考えております。
  144. 上原康助

    ○上原委員 また外務省の御意見に後退してしまったんだが、一日はまさか外務省の時間は二時間半じゃない、二十四時間あるのでしょう。二十四時間のうちのわずか二時間半じゃないですか、夜は飛行機が飛べないにしたって。もう少しはそういった面は落ちついたにしても、支障があれば何とかということですが、県民間あるいは伊江島地元も非常に不満を持っている。海洋博期間中の輸送問題で支障を来すんじゃないかということがありますので、その点をひとつ留意をして、この問題についても善処をしていただきたいと思います。  以上で終えたいと思います。
  145. 松本忠助

  146. 安里積千代

    ○安里委員 先ほどから沖繩におきます実弾演習に関連をいたしまして各委員から質問がございましたので、それに関連して、ちょっと二、三点お聞きしたいと思っております。  あの訓練は、沖繩におります海兵隊の訓練でございますね。
  147. 久保卓也

    久保政府委員 さようでございます。
  148. 安里積千代

    ○安里委員 アメリカの海兵隊の任務はどういう とになっているのでしょうか。
  149. 久保卓也

    久保政府委員 これは私が答弁するのは不適当だと考えますが、防衛局長がおりませんので、かわってお答えいたしますけれども、エマージェンシー、緊急事態の場合に派遣されまして、その事態を本隊が来る前に事前にできるだけ鎮圧していこうというのが海兵隊の元来の任務であろうというふうに思います。
  150. 安里積千代

    ○安里委員 大変常識的なあれですけれども、海兵隊というのは、われわれから言うならばいわゆる上陸部隊じゃないですか。
  151. 久保卓也

    久保政府委員 したがいまして、上陸だけではございませんけれども、陸軍の本隊が行く前に、あるいは陸軍を補助して上陸もしくは降下等、そういった行為を行う部隊であろう、そういうふうに思います。
  152. 安里積千代

    ○安里委員 そこで私は疑問を持つわけなんですが、日本及び沖繩に、この間の予算委員会質問しますと、沖繩に一万九千名でしたか、数字はそういうように記憶しておりますが、海兵隊がおる。これは上陸用の部隊である。本隊が来るまで云々ということをおっしゃいましたけれども、上陸するということになりますと、当然外国、外地に対する上陸ということになるかと思います。  そこで、日本防衛のためにとか沖繩の安保条約、地位協定、そういう範囲からこの上陸訓練部隊である海兵隊を置き、そしてその上陸訓練をする。これは安保条約やあるいは地位協定の厳格な意味から言いますと、非常にはみ出たところの使命を持った部隊じゃないか、こう思いますが、外務省どうですか。
  153. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 海兵隊の大きな任務の一つとして、そういう上陸作戦があることも事実でございますが、この点は、久保長官もおっしゃいましたように、ほかにもいろいろな任務を持っているわけでございます。  さらに安保条約において米軍が日本に駐留いたしております目的といたしましては、日本の安全に寄与するとともに極東の平和と安全に寄与するということもあるわけでございまして、その関連において海兵隊がその任務を行うということも考えられるわけでございます。したがいまして、そういうふうな目的に照らしまして、海兵隊というものが日本におることは十分意味があることだと、われわれは考えております。
  154. 安里積千代

    ○安里委員 上陸作戦が主なる海兵隊の任務だと私は思うのです。そうしますと、日本から海兵隊が出動するという事態があるとしますならば、安保条約に基づいて日本政府はこれをオーケーするという立場にあるわけですか。
  155. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 安保条約の中に事前協議に関する事項がございまして、その一つとして、戦闘作戦行動の基地として日本にある施設、区域を使用する場合には事前協議が行われることになるわけでございます。したがいまして、もし海兵隊がそういう戦闘作戦行動として、日本からほかの基地に移動するような場合には、当然事前協議の対象となるわけでございます。したがいまして、そこで日本政府協議を受けて、イエスと言う場合もあるし、ノーと言う場合もあるわけでございます。
  156. 安里積千代

    ○安里委員 理屈の上ではイエスもあり・ノーもありましょう。しかし、事実上沖繩にある海兵隊が出動して外国に上陸作戦をするということになりますと、仮にノーと言ったような場合もあるだろう。しかし、形においてはノーであろうと出て行くことがある。あるいはまた事実上沖繩を出る場合においては、事前協議を経ずにその上陸作戦というものは途中において作戦命令を受けるということも考えられてくる。となりますと、昨年十二月でしたか、国連で採択されました侵略に対する定義、この定義の条項を見ますと、自国の領土の中において外国の軍隊を置いておるというような地域から、そのような行動に出た場合には、やはり侵略の定義の中に入る、こういうふうに国連で侵略の意義が定義されておると思います。日本自体は武力を持っておりませんから、侵略することはありませんけれども、このように他国の領土に上陸していくという海兵隊を日本の国内において訓練をし、それがいよいよ出て行くということが当然考えられる。そうなりますと、日本が場合によりましては侵略国の烙印というものを押されるところの危険性というものが非常にある、私はこう思うわけです。  日本の防衛のため、極東の防衛のために上陸作戦部隊である海兵隊を日本で訓練をしておる。その訓練のありさまというのが、いま沖繩で問題になっておるような住民の意思を無視した危険きわまるやり方をやっておる。こういうことは、たとえ安保条約を是認するにしろ、少なくとも侵略の定義づけを国連がやっておりまするその結果を日本が受けるような駐留を許しておるということは、これは防衛のためにおるというのではなくして、アメリカの侵略という、汚名と申しますか、侵略国としての認定を受けるような可能性というものが、この海兵隊が置かれ、訓練をしておる、これが出動によってなされてくる。しかも、その場合には、恐らくノーと言えないような立場に追い込まれるだろうし、ノーと言う立場でありましても、表面上出動のときは作戦命令でなくして途中で作戦命令を受けていく。外国から見まするならば、沖繩から出たということによって日本が侵略国として認められる、こういうような危険性が非常にあると思うのですが、この点どうですか。
  157. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 日米安保条約というものは、もともと国連憲章に規定されております個別的及び集団的自衛権の範囲内において結ばれておるわけでございまして、したがいまして、米軍の行動というものも当然その枠内において行われるべきものであります。その点は安保条約の第五条の二項においても、米軍がとったそれぞれの措置は、国連憲章第五十一条の規定に従って直ちに国連安保理事会に報告しなければならないというふうに規定されておることからも明らかでありまして、アメリカがそういうふうな侵略的行動をとるということは、この安保条約は予想しておらないわけでございます。
  158. 安里積千代

    ○安里委員 私は、関連質問でございますのでこの程度にとどめたいと思いますけれども、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、安保条約においてアメリカ基地を提供しておる、したがって、その演習などについてはやめろとは言えないような立場にあるということの御答弁でございました。この問題は、事が海兵隊であればあるほど、他の基地の問題とは異なったいろいろな問題があろうかと私は思います。私も研究不足でございまするけれども、この問題につきましては、もっと機会を得て論じてみたいと考えておりますので、きょうはこの程度でとめておきます。
  159. 松本忠助

    松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会