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1975-03-26 第75回国会 衆議院 運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十年三月七日(金曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月七日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       加藤 六月君    佐藤 孝行君       佐藤 文生君    佐藤 守良君       關谷 勝利君    西銘 順治君       増岡 博之君    太田 一夫君       久保 三郎君    兒玉 末男君       梅田  勝君    松本 忠助君       河村  勝君 三月七日  増岡博之君が委員長指名で、小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和五十年三月二十六日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席小委員    小委員長 増岡 博之君       佐藤 守良君    關谷 勝利君       西銘 順治君    太田 一夫君       久保 三郎君    兒玉 末男君       梅田  勝君    松本 忠助君       河村  勝君  出席政府委員         運輸政務次官 小此木彦三郎君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君  小委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     天坂 昌司君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 三月二十六日  小委員關谷勝利君同月二十五日委員辞任につき、  その補欠として關谷勝利君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員河村勝君同月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として河村勝君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道に関する件      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会を開会いたします。  日本国有鉄道に関する件について調査を進めます。  この際、運輸政務次官日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますので、順次これを許します。小此木運輸政務次官
  3. 小此木彦三郎

    小此木政府委員 国鉄財政は、輸送構造の変化に伴う収入の伸び悩み、人件費増高資本経費増加等により昭和三十九年度赤字に転じて以来、年々悪化の度合いを深めてきており、四十九年度では単年度赤字約六千八百億円、累積赤字約二兆三千億円、長期債務残高約五兆六千億円に達するものと見込まれております。  政府としては、四十四年度以来、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、十カ年にわたる財政再建計画を定めて各般の施策を進めてきておりますが、現状は必ずしも計画どおりに推移してきておりません。  すなわち四十四年度初年度とする再建計画発足後三年にして改定のやむなきに至っており、このため、四十八年度からは現行再建計画に移行することとなりましたが、この計画も諸般の事情によりすでに抜本的な見直しが必至の状態となっております。その原因にはもろもろのものが考えられますが、いずれにしても国鉄はわが国の最も基幹的な公共交通機関であり、その果たすべき役割りにはなお大きなものがあると考えられますので、今後ともその使命の遂行に遺憾なきを期するためには、早急に国鉄再建を図ることが必要であります。  運輸省としては、今後の経済情勢の推移を的確に見きわめながら、十分実効性のある再建計画を五十一年度から発足させるべく、現在各般にわたる問題点について検討中であります。今回、運輸委員会に本小委員会が設置されることとなりましたのは、まことに時宜を得た措置でありまして、何とぞ本委員会において、財政再建問題をはじめとする国鉄全般について徹底した御審議をいただくようお願いする次第でございます。
  4. 増岡博之

  5. 藤井松太郎

    藤井説明員 国鉄財政再建計画がきわめて危機的な状態に瀕したということで、当運輸委員会におきまして、これを何とか立ち直らせなくちゃいかぬというおぼしめしで小委員会をおつくりくださいまして、まずもってお礼を申し上げる次第でございます。  国鉄財政の危機が盛んに叫ばれておりますが、これを具体的に申しますと、毎年膨大な赤字が出てきて、今年度先ほどもお話しのように五千億以上の赤が出る、来年つまり五十年度は七千億を超す赤が出る、さらに五十一年度は一兆円に余るような赤が出るであろうというような状態になったのでありますが、何がゆえにこういう状態になったかということを、きわめて率直にきわめて無遠慮に申し上げると、国鉄運賃なるものの水準物価政策その他と関連のあることはもちろんでございますけれども、きわめて低位に置かれておるということでございまして、昨年来、難産の末、お上げを願った旅客運賃を見ましても、ようやく昭和十年ごろのまあ安定したような状態を基準にして考えますと三百二十七倍ぐらいにしかなっていない。しかるに御承知のように消費者物価指数のごときものは九百何十倍かになっておるというようなことで、きわめて世間の物価一般の三分の一ぐらいの水準にあるということでございまして、そういうことに無関係に賃金であるとか物価であるとか、こういうものが上がってくる。なおかつ先ほど運輸次官の御説明のように、昭和三十九年まではまあとにかく償却しても赤は出なかったんだけれども昭和三十九年から償却すると赤になる、四十六年度償却しなくても赤になるというようなことで、その赤は借金で泳いできたために金利負担が非常に大きくなってきた。この金利負担に関しましては、財政再建計画におきましても政府に格段のお助けを願っておるのでありますが、それにしても金利負担経営の圧迫というようなことがきわめて大きいというような状態で、端的に言うと、ちょうだいするものはきわめて少ないので国鉄財政はこういう状態になったと言わざるを得ないと思う。  しからば、国鉄職員は働いていないじゃないかというような、最近のような情勢になりますとますますおしかりを受けるのでありますけれども、これとても大多数の職員は非常に働いてくれておるので、これは指数でもってそういうことの論議をすることはいろんな異論があることは私は百も承知でおりますけれども、とにかく輸送量に関して一人当たりどれだけの生産を挙げたかというきわめて簡単な議論をすると、昭和三十二年ごろに比べて一八〇なんとかいうような数字は一応は出る。しかし、この殺人的な混雑をさしておいて何を言うかというような議論もあることは百も承知でございますが、ときかく概してよく働いておる。にもかかわらず、そういう恐ろしい赤字が出てきた。これは要するに運賃水準が低いんだと私なりに判断いたすのでありますが、これを再建するには、何をおいてもやはり国鉄の毎年度コンスタント収入をふやすのじゃないと経営の安定はもたらされない。端的に言いますと、これはいろんな議論がありますけれども、仮に五十一年度あたりのことを考えますと、運賃水準を実収におきまして現在の二倍ぐらいにしていただかぬと相変わらず赤が出るというようなことに相なりますので、これには政府が御援助くださるとかいろんな御論議のあることは百も承知でございますけれども、とにかく国鉄が毎年コンスタントに入ってくる収入源を確保するということでございませんと、政府のお助けによって何とか国鉄が泳いでいるというような形におきましては、四十三万の職員がどうも張り切ってくれぬ、生産の意欲がきわめて低調であるということは言わざるを得ない。と同時に、毎年政府財政の御都合によって御援助が低かったり高かったりしますと経営は安定しないというようなことでございますので、その辺も篤と御検討、御熟考願いまして、国鉄が十年間で何とか立ち直るなんという気の長い話じゃなくて、少なくとももう少し短期の間に、安心して働けるような職場につくっていただいて、しかしそのうらはらとして、私どもは全力を挙げて働くということは当然のことでございまして、そういうようなことでひとつ御審議、御結論を得ていただきたいということをお願いしまして、ごあいさつにかえます。     —————————————
  6. 増岡博之

    増岡委員長 この際日本国有鉄道現状について、政府当局及び日本国有鉄道当局から説明を聴取いたします。後藤鉄道監督局長
  7. 後藤茂也

    後藤(茂)政府委員 それでは、お配り申し上げております「国鉄現状」と題しました資料をもとにいたしまして、現在の国鉄の抱えております問題点あるいは現状、そういったことにつきまして御説明を申し上げます。  資料の第一ページに「国鉄財政状況」という表題で、世上一般に言われております現在の国鉄財政状況を示すきわめて代表的なデータを並べております。  ごらんのとおり、ただいま御審議いただいております五十年度予算の根底になっております国鉄経営見通しでは、五十年度末、一番右の欄でございますが、償却前の損益が一年間で四千二百二十六億円。償却後の損益を計算いたしますと、さらに七千億円。また五十年度末の国鉄累積赤字は二兆九千八百億円。五十年度末の予想されます長期債務残高は実に六兆六千六百億円になる、このような見通しが立てられております。  これらの見通しを立てますにつきましてのさらに収入及び人件費は、ごらんのとおり収入が一兆六千六百五十六億、人件費が一兆三千七百何がし、このような数字を挙げておりまするけれども、ここに申します運輸収入は、もちろん現行運賃ベースのもとではございますけれども国鉄にこれまで以上の努力を期待して、相当に気張ってもらった数字として一兆六千億がございます。さらに人件費に一兆三千七百四十三億円、これは現行国鉄職員賃金ベースに五%を上乗せし、さらに定期昇給分として二・三%、合計七・三%の現行賃金ベースを上回ったものをベースにしたものでございます。  これらの収入見通しあるいは人件費見通しというものにつきましては、今後の一年間のいろいろな情勢変動によりましては必ずしもこのとおり見通されないと思われるものでございまして、その結果は、上に述べましたような損失の額というものもさらにあるいはこれを上回るのではないかということも懸念される性格のものでございます。  また別に、この表の下の方に運輸収入に占める人件費の割合、五十年度八二・五%、四十九年度はただいまの見込みでは九一・三%という比率が出ております。これもまた五十年度の八二・五%というのは、人件費あるいは収入それぞれの数字変動することによりまして、この八二%という比率も変わってくる、あるいは高くなるという懸念が持たれる数字でございます。  いま、最初に第一ページでこのような数字を御披露申し上げましたのは、より人口に膾炙されております国鉄現状を示しますきわめて代表的な数字を羅列したものでございます。  これらのことから、もちろんこれから先私どもが考えております国鉄再建の一つの目標として、ここにございますような膨大な累積赤字をなくする、あるいは膨大に上がっております長期債務残高というものを何がしかのかっこう国鉄経営に重圧を加えないような処理をするとか、いわば財政上、金銭上の再建計画というものが一つ考えられると思います。しかし、私ども事務的にただいまいろいろと検討を進めるに当たりまして、基本的な考え方として国鉄再建というものは何を目標にし、どのような国鉄を望ましいものとして描いて進めるのか。ただ単に金銭上のつじつまが合うということのみを求める再建計画をとるのは、私ども事務的な考え方としてはとるべきではないのではないかという考え方を持っております。  しからば、何であるべきであるかということにつきましては、以下いろいろと表を追って御説明を進めさせていただきたいと思います。  いま概略を御説明申し上げましたきわめて概括的な国鉄現状は、第二ページの諸先生よく、もう詳しい国鉄資金概計表を、若干詳しく御説明申し上げることによりましてさらに御理解が深まると思います。第二ページの五十年度資金概計、参考までに前年度の当初予算と対比してございますが、この資金概計をこれから御説明申し上げたいと思います。  この資金概計は、左側の欄に損益勘定を、右側の欄に資本及工事勘定をそれぞれ掲記しておりますが、まず損益勘定から御説明申し上げますと、この損益勘定支出の欄、項目31番、ここの五十年度予算におきます損益勘定支出は、ごらんのとおり二兆三千九百四十億円でございます。その内訳は、先ほども触れました人件費が一兆三千七百億、物件費が五千二百億、合計して経営費という欄に一兆八千九百八十七億という数字がございます。  これ以外にこの損益勘定から支出される大きな項目は、項目の三十七番にございます利子でございまして、五十年度一年間に国鉄が支払いを予定しております利子が四千百五十一億になっております。  これらの支出を賄います収入内訳左側の欄の上の方にございます。合計二兆三千九百四十億の収入を上げるために貨物及び旅客運輸収入はそのうち一兆六千六百億であります。運賃として収受されるものが一兆六千六百億。そのほかに雑収入として七百七十九億がございまして、いわゆる通常の経営から上がってくる国鉄の五十年度収入は、先ほどもちょっと申し上げました相当気張ってもらうことを前提にして約一兆七千四百億余りということでございまして、まだ相当支出との差がございます。その差は助成金受入資本勘定より受入、九番と十五番、この二つの項目で埋め合わせております。  まず助成金受入金額にして約二千億の内訳について御説明申し上げます。千九百七十九億円の内訳の第一は工事費補助金、千百四十二億でございます。これは、再建計画が始まりましてから御承知のように国鉄が行います投資に要する費用の全体の利子コストを約三%にとどめるように国庫から補助金を出す制度によるものでございまして、その金額が五十年度は千百四十二億になっております。その次の四百十六億円、再建債利子補給金。これは御承知のように再建計画発足直前の四十七年度におきます国鉄長期債務をたな上げいたしまして、その債務に対する利子財政から借り入れまして、その借り入れた金の利子、いわゆる孫利子国庫から補給する、この孫利子金額ごらんのとおり五十年度は四百十六億円でございます。この千百四十二億の工事費補助金、四百十六億円の再建債利子補給金はいずれも、後で若干御説明申し上げようと思いますけれども、四十八年度初年度とする現行国鉄再建計画で基本的に考えられた、あるいは約束された国庫からの受入金でございます。その次に特別利子補給金といたしまして三つ数字が並んでおります。二百五十一億円、これは御承知のように国鉄が当初予定いたしました運賃改定の時期が四十八年四月から四十九年十月まで一年半、国鉄の側から見ればあるいは計画の面から見ればおくれたわけでございます。そのようなおくれによる国鉄損益勘定資金ショートを埋めるために、すでに御審議をいただいておりますけれども、四十八、四十九年度国鉄予算におきましては財政融資をその分だけさらに受け入れております。そのいわば過去における四十八、四十九年度赤字補てん財政融資に対する利子を二百五十一億円国庫から補給されておる、この金額が五十年度において二百五十一億円でございます。さらにその次の百三十二億円は、四十九年度補正予算におきまして、それでもなおかつ国鉄に生じました計画以上の赤字資金ショート財政から補てんをしてもらいまして借り入れまして、それの利子相当分国庫から補給されたもの、最後の三十八億円は、この五十年度予算で新たに赤字を補てんするために国庫から借り入れた借入金利子、これらすべては、二百五十一億円から始まりまして三十八億円に至るこの三つ数字は、これは十年間の再建計画では予定していなかった別個の、国庫からの受け入れでございます。そして、いまも御説明申し上げましたように、これはすべて赤字を補てんするために国庫から金を借り入れ、その利子相当する部分一般会計から受け入れておる、こういう性格のものでございます。  さらに、資本勘定よりの受け入れ四千五百二十六億円の内訳を御説明申し上げます。  財政再建債相当額は五十年度は千三百四十二億円でございます。これは先ほども御説明申し上げましたように四十七年度末の長期債務残高をたな上げいたしまして、このたな上げした債務に対する利子相当額を今年度受け入れているわけでございます。さらに三百億円、これは若干性格が違いまして、本年度国鉄の所有いたします資産を売却することによりまして三百億円を浮かすというものでございます。最後の二千八百八十四億円、五十年度において結局損益勘定において資金ショートする金額が二千八百八十四億円と見込まれるわけでございまして、この二千八百八十四億円は、後で右の欄の御説明に出てまいりますように、資本勘定からその分だけ受け入れることによりまして損益勘定つじつまを合わせておる、いわば五十年度における赤字補てん、このように御理解いただいてよろしいかと思います。  続きまして、右側資本及び工事勘定の御説明を申し上げます。  同じく支出の方から先に御説明申し上げますけれども支出は五十年度一兆四千七百九十九億円。この内訳は、国鉄自身の外部に対する出資二十億円、それから借入金の約定期が参りましたものの返済が三千百十七億円、先ほど損益勘定項目十五で御説明いたしました損益勘定に移すための金が四千五百二十六億円、それから五十年度予定しております国鉄工事経費が六千八百億、この全体で一兆四千七百九十九億円の資本及び工事勘定における支出でございます。関連利子を含めましてそのようになります。  これらの支出を賄いますために、右の上の方でございますが、収入の欄を御説明をいたします。  先ほど申し上げましたこの年度中に国鉄資産三百億円を売却するということを予定しております。  その次に、十カ年再建計画予定しております一般会計からの国鉄に対する出資七百億円を受け入れることとしております。七百億円につきましては、これは正確に申せば十カ年計画で五十年度予定いたしておりました出資金金額ではございません。後で詳しく御説明することになると思いますが、この出資金予定額相当部分をすでに前年度に繰り上げて出資を受けておりまして、残りの分について若干の加算をしてもらって、結局は計画よりも若干多目の出資金を七百億円として受け入れております。さらに五十年度は、全体の資金を調達するための約七割に相当いたします九千四百十六億円は財政融資で借り入れ、四千三百八十主億円は国鉄自身自己調達で借り入れる。このようにして五十年度だけで約一兆三千七百億円の借金を新たにするというかっこうになっております。  この資金概計で申し上げるならば、先ほども申し上げましたように再建計画でいわば約束され計画されたる資金受け入れて、なおかつ本年度国鉄は二千八百八十四億円の損益勘定における赤字を出し、そして工事費も含めて全体として約一兆三千八百億円の借入金をしなければならない、こういう状態になっております。もちろんこの中に含まれております国鉄工事費六千八百億円という数字は、今年五十年度及び前年四十九年度、その前の四十八年度、三年間金額において横ばいで推移してまいったものでございます。  第三ページに、これらの国鉄が各年度において一般会計国庫からどのように金を受け入れておるかということを歴史的に振り返るための資料を掲げてございます。ごらんのように、国庫から国鉄が受け取っておりますいわば助成措置金額は年々ふえておりまして、四十八年度に至って飛躍的にふえ、金額としては大体横ばい状態で五十年度に至っておる、こういうことでございます。四十八年度、四十九年度、五十年度国庫からの受入金が総額において大ざっぱに言って横ばい状態であるということは、これはかねて十カ年計画予定していた状態ではございません。それは先ほどもちょっと触れましたけれども、次の年に予定しているものを前の年にもらってしまうという形を繰り返したもので、ただいまのような、数字としてはほぼ横ばい状態というかっこうになったものでございます。  御説明の中にちょこちょこ出しておりましたけれども、四十八年度から始まりました現在の十カ年計画の基本的な国鉄財政再建に対する考え方、これは第四ページに閣議了解の形でお示ししております。これは諸先生、その当時いろいろとお骨折りをいただきましたもので、この際私からくどくど御説明する必要はないと存じます。国の助成国鉄自身合理化運賃改定、この三つ考え方を柱にして立てられたものであることは御承知のとおりでございます。  その次、第五ページ、現行再建計画予定しておりました四十八年からの十年間の長期収支、また第六ページにこの十年間に予定しておりました十兆五千億の投資計画概要、それから第七ページに、この十カ年に国が国鉄に対して予定をしておりました財政措置概要というものが出ております。これらの具体的な細かいことにつきましては、ただいまは詳しい御説明は省略をさせていただきたいと思います。  第八ページに、この長期計画現実に推移いたしました四十八、四十九、五十年度現実国鉄の指標とはどのように乖離しておるか。先ほども御説明申しました、たびたびよく御説明しております再建計画が、早くも行き詰まって手直しを必要としているということを数字の面から御説明申し上げるのが、この第八ページの表でございます。第八ページは、三年の年度にわたりまして各項目について、長期計画収支見通し数字現実実績とその増減関係をお示ししております。  ここで非常にはっきりしておりますことは、まず運輸収支につきまして、四十八、四十九年度に、大きな実績見通し乖離があることでございまして、ごらんのとおり、四十八年度には収入見通しに対する実績の減千九百億円に上り、四十九年度は八百五十九億円に上がっております。これは申すまでもなく、長期収支は四十八年四月に運賃改定をすることを予定した見通しであり、その運賃改定の時期がおくれた結果がこのような乖離となってあらわれたものとして御説明できると思います。ちなみに五十年度は、その点はそのようなマイナスは出ておりません。  さらに事業費人件費物件費の欄で御説明申し上げますと、これは今度は三角でなくて支出でございますが、長期収支見通しよりも実績の方が上回ったものが相当にございます。最も顕著なるものは、四十九年度人件費で、これは一兆一千億の見通しに対して一兆三千億と、人件費が約二千億、見通しよりも上回っております。五十年度見通しでも、先ほども申し上げました、これはかたく抑えた数字でございますが、それでもなおかつ千五百億円の増ということになっております。これは申すまでもなく、現実ベースアップがこの長期見通し見通しておりましたベースアップ比率よりも高くなっておる。と申しますと、長期見通しでは、各年、職員ベースアップの率を一二・三%と見込んでおりました。現実には、四十八年度は二八・三%、四十九年度は二七・六%、見通しをはるかに上回るベースアップがございました。その結果、人件費計画よりもはるかに上回ることとなっております。物件費が同じく五十年度が最も顕著でございますけれども、五十年度で約千五百億円の増となっております。これは主として、いわゆる石油ショック以降の動力の価格の高騰というものがこのような形であらわれたわけでございます。数字で申すならば、たびたび十カ年計画石油ショック以来の基本的な経済変動運賃のおくれというもので非常に食い違ってきておりますということをよく御説明申し上げておりますが、その内容はこういうものでございます。  こういった表を御説明するにつきましても、私どもが今後再建計画を考えます場合に、非常にかたいあるいは数字を羅列して、それが現実見通しからかけ離れるようなものであるならば、描けるもちになってしまうのではないか。今度の再建計画をいろいろ考えますについては、そのような考え方は何がしかのかっこうで修正、考え直しをしなければならぬのではないかというふうに考えております。  これから後は、国鉄自身経営というものをいろいろと考えてまいります上につきまして、基本的にどういうところから考えを進めたらいいかということを役所なりにいろいろ考えてみまして、それに基づきまして、若干の資料の配列をいたしたものでございます。  第九ページには、国鉄が日本の国内の旅客輸送の面においていかなる地位を占めておるかというものを見定める一つのめどといたしまして、昔からの国鉄旅客輸送におけるシェア、これを人キロというデータで比率配分いたしましたものがこの表でございまして、この表によりますと、日本国におけるあらゆる旅客輸送の中で、かつて昭和三十五年には全国の旅客の動きのうち、その五一%を国鉄が引き受けておりました。その後五一%の比率は、四十年度に四五%に下がり、四十五年度には三二%に下がり、四十八年度では三一%である、こういうことを示しております。同時に、全体としてその比率が非常に高くなっておりますのは乗用車でございます。また、これらのことにつきましては、さらにいろいろと人間の旅行の質といったようなものの分析が必要かと思います。しかし、きわめて大ざっぱにこの表が御説明申し上げようとしておりますことは、モータリゼーションの進展に伴って国鉄の量的な国民交通におけるシェアというものは小さくはなっております。しかしながら、これからまたさらに詳しい分析が必要かと思いますけれども、最近はこの比率で約三割台というもので横ばい状態でございます。もちろん依然として基本的な国民の輸送手段として重要な役割りを示しておる。あるいはまだこれらのデータから言うのは早過ぎるかもしれませんが、将来とも国民の輸送手段としては基本的に重要なる役割りを果たしてもらわなければならない、このように私どもは考えております。  若干似たような資料を第十ページに貨物についてお示ししております。貨物は形が若干違っておりますけれども、やはりトラックの比率が非常に上がってまいりますのに対比して国鉄比率が下がってきておる、現在は一八ないし一七%である、こういうことが全体としてはお示しできると思います。しかしこれらも、石炭の一トンもラジオの一トンも一トンで数えておりますから、もっと詳しい分析が後々必要かと思います。私の御説明は少し飛躍しておりますけれども、私どもはその他いろいろなデータを参照いたしまして、国鉄の貨物輸送というものは、モータリゼーションの発展している今日においては、かつての時代とは相当にその性格を異にしてきておる、また、貨物輸送についての将来の国鉄に期待される役割りというものについては相当に考え直さなければならないのではないかということも考えております。  その次の資料はまた別のものでございます。ここにお示しいたしましたのは、各輸送機関別のエネルギーの消費効率から見た比較でございまして、旅客輸送について申しますと、鉄道は一人キロ当たりの消費キロカロリーが三十ないし七十であるのに対しまして、バス、乗用車、航空機のエネルギー消費カロリーは、ごらんのとおり相当高くなっております。貨物についても、同じくトラックと船舶と鉄道と比較いたしますと、船舶について若干、いろいろな例がございますけれども、全般としてエネルギーの消費効率といった面から見て、鉄道輸送の位置というものは、この表が概括的にお示しできるのではないかと思います。  その次の表は、これは従業員の、人間一人当たりの作業量という点で、労働生産性と言えるかどうかでございますが、そういった観点から、各種の交通機関の対比をしたものでございまして、四十五年度という数字で御説明をいたしますと、ごらんのとおり、従業員一人当たりの人キロ、これは千人キロですが、そのデータは、旅客輸送では民鉄が一番高く出ております。もちろん民鉄の大部分は都市交通機関でございまして、非常に輸送密度が高いのかと思いますが、民鉄、国鉄を含めた鉄道輸送というものは、貨物輸送も含めまして、労働生産性の点からも非常に注目すべき位置にあると思います。  私どもはここでいまデータを用意しておりませんが、今後の国鉄の国民経済における役割りというものを考えるに当たりまして、このようなエネルギーの効率の問題、労働生産性の問題のほかに、さらに空間、スペースの消費効率の問題あるいは公害問題に及ぼす影響の問題、そういったようなものを総合的に考えながら、日本の総合交通体系、各種交通機関がいかにその役割りを分担すべきであるかということについて、今後とも作業を進めたいと思っております。  第十三ページには、さらにそのような各種の交通機関につきまして、これまでの投資額の推移を、これは指数でございます、三十五年をそれぞれ一〇〇とした指数としてグラフで示しております。実際の金額は、それぞれ右の欄に小さく括弧して四十八年度金額が出ております。ただ、この三十五年を一〇〇とした指数で見ます限り、航空における投資額、これは具体的には飛行場あるいは航行援助施設に対する投資額でございますが、これが比率で見ると飛躍的に上がっております。もちろん、この一番ピークになっているときには成田空港の建設がございます。それを別にいたしますと、比率的に非常に伸びておりますのは道路であり、次いで港湾であり、国鉄における投資額というものは、これらと比べて非常に低位であるということをお示ししております。  また、その低位であると御説明申し上げました国鉄における投資額というものが、第十四ページに項目別にどのようなところに配分されておるかということをお示ししております。  この中で一つ重要ないわば投資のアイテムでございます新幹線でございますが、新幹線は御承知のとおり、諸先生すべてよく御承知の十二調査新幹線まで含めた七千キロ計画を第十五ページに地図にお示ししてございます。この新幹線あるいは在来線を含めた今後の国鉄投資というもののあり方、これは先ほどから御説明申し上げております国内の総合交通体系における国鉄役割りを見定め、そして国鉄自身経営を見ながらいろいろと考えていかなければならない問題かと思います。この現行の七千キロ計画ごらんのとおりでございます。  若干これに関連して、第十六ページに、現在鋭意工事を進めております東北、上越新幹線の持つ意味と、十年前の、現在走っております東海道新幹線の持つ意味というものを若干お示しする意味で、第十六ページに表が書いてございます。これはおもしろい表でございますけれども、右の柱は、昭和三十九年、東海道新幹線開通直前の在来東海道線に一日二百三本の列車が走っておった、そのうち白い六十二本は特急、急行であった、黒く塗りつぶしてあるものは、これは各駅停車の列車である、これだけ走っておりました。ここで、このような状態のところで東海道新幹線は開業いたしました。二百三本が大変な過密ダイヤであることは当然かと思います。現在の東北線、それから高崎線、いずれも工事中の上越新幹線、東北新幹線がそれをいわば救うべくつくっているわけでございます。現在の高崎線、東北線の状態ごらんのとおりである、東北線の方は十年前の東海道線より若干すでに過密になっておる、高崎線は若干下回っているけれども似たような状態だということをお示ししております。これはまたいろいろなデータをそろえながらいろいろと御説明しなければならない、まだ私の御説明が非常に足らないと思いますが、新幹線問題を考え直すとしても、こういった新幹線というものについては、いろいろと緊急の度合いを考えながら、進めるべきものは進めるべきではなかろうかという考え方をひとつお示ししたわけでございます。  非常に長くなりましたが、大体基本的な再建計画を考えるのには非常にまださわり足りない、ベースのところの資料を御説明申し上げました。これから先、並べております資料は、若干経営の立場から現在の国鉄のいろいろな問題点について資料が配列してございます。その点につきましてはさらに国鉄の御当局から御説明をいただきたいと思います。
  8. 天坂昌司

    ○天坂説明員 それでは表の十七ページから御説明申し上げます。  十七ページの表は国鉄損益状況の推移を示したものでございまして、三十五年からとっております。収入支出、それからそれの収支差、さらに減価償却費等加えたもので、その結果どういう事業としての結果になっておるかということをごらんいただくわけでございます。年度の上に印がついておりますこの年度は、運賃の値上げをしていただいた年度でございます。  この表でごらんいただきますように、国鉄は三十九年度から事業全体としての赤字を出しておりまして、その後今日に至るまでまいっております。三十九年度は三百億の損失でございましたけれども、四十九年度予定ではおおむね六千七百七十六億ということになるであろうというふうに考えられます。しかしながら、三十九年度、四十年度はまだ前の年からの利益の積み立てがございまして、累積の損失が始まるのは四十一年度でございます。四十一年度五百三十六億の赤字を出しまして、その結果、一番右の五十年度の表でごらんいただきますように、累積の損失が予定として二兆九千八百十五億になるであろう。これは五十年度につきましては予算ベースで考えましてこういう形に相なったのでございます。この間、収入の欄で「助成金受入」という欄がございますが、四十三年度は五十四億円の助成金を経常費に対するものとして受け入れまして、それ以後、先ほど鉄監局長の御説明にございましたように、年を追ってふえてまいっております。それから四十六年度からは、さらに収入支出、つまり減価償却前での赤を出すようになっております。四十六年度に四百十五億ということで、経常費が賄えないという状態になりまして今日に至っておるわけでございます。その結果「長期債務残高」の、一番下の細長い表でごらんいただきますように、借金といたしましては五十年度予定で六兆六千六百五億という、毎年最近の数カ年は一兆を超える債務のふえ方をいたしておるわけでございます。  それから次の十八ページをごらんいただきたいと思いますが、これは運輸収入と営業費を比べたものでございます。ここで営業費と申しておりますのは減価償却費、それから利子を除いたものでございます。白い棒が運輸収入で、縦の線の入ったものが人件費でございまして、斜線が物件費でございます。四十九年の予定ごらんいただきますと、運輸収入が一兆四千二百四十二億に対しまして、営業費全体では一兆七千八百五億ということに相なっておりまして、下の欄に「運輸収入に占める割合」の欄がございますが、一二五という割合になっております。そのうち、営業費のうちで人件費が一兆三千億でございまして、これも運輸収入に対しましては九一%、収入の九一%が人件費に食われているということでございます。  それから次の表は、これは総体として国鉄経営は赤であるということでございますが、線区で区分をいたしまして分析いたすとどうなるかということでございます。左側の「区分」という欄をごらんいただきますように、まず「新幹線」と「在来線」と分けてみました。それから在来線につきましては「収支係数が一〇〇以下の線」、それと「収支係数が一〇〇を超える線」というふうに分けたのでございます。さらに「収支係数が一〇〇を超える線」につきましても、作業費は賄えるという線、それから作業費すら賄えないというもの、それから作業費すら賄えないものの中で人件費分はかせげるというものと、収入をもってしては人件費も賄えないというものとに分けたわけでございます。それで、新幹線でございますが、これは四十八年度でございますから、岡山までの営業範囲でございますが、新幹線は収支係数が一番右の欄にございますように、四六でございます。それから、在来線の中で収支係数が一〇〇以下の線は二つでございます。これは山手線と高崎線でございまして、営業キロ数は百キロでございます。この結果、収支係数が七三ということでございます。それから、あとの残り全部が収支係数一〇〇を超えるわけでございまして、その中で作業費は賄える線、これが二千八百九十二キロでございまして十一ございます。それから、作業費を賄えないが人件費は賄えるというものが四千キロで、二十一線区ございます。あとの残りの一万四千キロ、二百二十線区、これは人件費が賄えないという分類に入るわけでございます。  収支係数だけで申しますと以上のようでございますが、この分類によりまして真ん中辺に収入の欄がございますが、収入の欄をごらんいただきますと、作業費を賄えるという分類のものと、作業費は出てきませんが人件費は賄えるという分類のところは、収入の額としてはかなり高いということから、運賃のレベルによって、この辺の経営の力と申しますか、収支の姿はかなり好転する要素を含んでおるものであるというふうに考えております。  それから、その次の表は、線区別にいろいろ分けておりますが、単純に赤字線と黒字線をそれぞれ寄せ合わせてみたわけでございまして、四十八年度の欄でごらんいただきますと、これは財務決算上の損益が四千五百四十四億でございまして、黒字線が三線でございまして、営業キロが八百三十四キロ、これは新幹線を含んで以上の数字でございます。ここから出てまいります黒字額が千六百九十一億でございます。あとは全部赤字線でございまして、赤字額が五千九百六十三億でございます。これをずっと前の年度をたどってまいりますと、一番左側に三十六年の赤字、黒字のそれぞれに分けた姿が出ておるわけでございまして、この年度は、一番下の数字でございますが、五百六十五億の黒を計上した年度でございますが、この年度でございましても黒字を上げた線は三十一線で、キロ数にして五千キロでございます。全体で二万キロ余りのところで、この年度におきましても、四分の一に当たる五千キロの線区が黒であったという形でございます。五千キロの黒字であれば事業全体を黒に持っていけるということが言えるわけでございまして、三十六年度と比べまして輸送の構造その他いろいろその後の輸送上の変化がございますので、これがそのまま当てはまるかどうかというのは検討をいたさなければなりませんが、おおむね大づかみにごらんいただきたいと思うわけでございます。なお、それ以降は、表でごらんになりますように、黒字線は線数におきましても営業キロにおきましても年々減っておるわけでございます。  それから、二十一ページに丸と四角の絵がございますが、丸は国鉄輸送量を丸であらわしたものでございまして、私ども、幹線系と地方交通線の二つに区分いたしまして分析いたしておるわけでございますが、幹線系は一万キロほど、地方交通線は一万一千キロ程度の営業キロを持っておりますが、その一万キロでございます幹線系で輸送しております量は国鉄全体の九二%に当たるわけでございます。地方交通線が運んでおりますのは七%、こういう割合でございます。この輸送量の割合から出てまいります損失額が真ん中の四角い絵でございまして、地方交通線からは二千百二十一億、幹線系からは二千二百八十九億、ほぼ同じような赤字を出しておるわけでございますが、一番右の「人トンキロ当り損失額」の欄をごらんいただきたいと思いますが、これは、お客様であるならば、一人のお客様を一キロ運んだ場合どのくらい国鉄はもうけておるか、あるいは損しておるかということでございます。これでごらんいただきますように、幹線系線区につきましては、お客様であるならば、一人一キロ運ぶごとに九十二銭国鉄は持ち出しをいたしておるわけでございまして、この辺は、少し運賃のレベルを上げていただくことによりまして幹線系線区の損失額を消すことができるわけでございます。それに対しまして、地方交通線系は、十円七十一銭ずつ損をいたしております。「人トンキロ当り損失額」につきましては以上でございます。  その次のページをちょっとごらんいただきたいと思いますが、幹線系と地方交通線に分けた場合の推移でございまして、斜めに黒と白がもつれておる、これが幹線系線区の推移でございまして、収入の経費がほぼ同じような状態で伸びてきております。四十七年度のところで点線でお示ししておりますのは、再建計画を当初は四十七年から始める予定で、四十七年度四月からの運賃改正をお願いいたしておったわけでございますが、もし四月から実施されておれば、この点線の上の数字一兆三千二百十五億という収入があったであろう。したがいまして、全体としては収支相償う形で推移したであろうというふうに考えられるものでございます。それに対しまして、下のだんだん黒の幅がふえております地方交通線でございますが、これは運賃の値上げをしていただきましても赤字がふえておるという素質を持ったものでございます。したがいまして、幹線系線区につきましては、適時に適正な運賃のレベルが与えられればこれは収支償っていける、そういう見込みがあるわけでございますが、地方交通線につきましては、これは別な見方をしていただく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。先ほどから、累積の赤が非常にふえてまいっておりますが、その御説明が鉄監局長の方からもございましたけれども、あの累積の赤はこの地方交通線の赤の累積であるというふうにも申せるかと思います。  それから、その次の二十三ページは、国鉄旅客輸送量がどう変わっておるかということを示したものでございまして、左の欄に合計額であります。これは年を追ってふえてきております。新幹線、普通につきましては、おおむね同じような上り方をしております。定期につきましては、四十年代に入りまして一度落ちております。これは地下鉄の東西線の開通がかなり大きく影響いたしておるわけでございます。  それを普通と定期に分けてお示ししたのがその右側にあるものでございまして、普通旅客ごらんになりますように、新幹線と在来線の特急、これが非常な伸びを示しております。在来線の急行につきましては、横ばいから減少に転じております。この辺は特急との関連で見ていただく必要があろうかと思います。傾向といたしましては、速い列車を旅客は好む傾向が非常に強いということでございます。点線で示しましたローカルは年を追って減っております。定期につきましては特に申し上げることはございません。少しずつでございますが、ふえておるわけでございます。  次は、貨物の輸送がどうなっておるかということでございまして、合計と、それから減少しております品目、それから増加しております品目というふうに分けておるわけでございますが、真ん中の表でごらんいただきますように、木材、石炭、鮮冷凍魚、それから鉄鉱・硫化鉱、これはいずれも減っております。石炭につきましては、三十五年の当時と比べまして、四十二億五千万トンキロから四十八年度におきましては九億九千万トン程度に落ちておるわけでございます。それからふえておりますものは、紙、石油、自動車、それから品目ではございませんが、コンテナがふえているわけでございます。概して、大量に、しかも発着の場所が定まっておるという輸送上から見ますと鉄道の輸送に適しているものが減ってまいりまして、輸送上手数のかかる、つまりコストのかかるものがふえておるという実態でございます。  それから二十五ページは、いままでの見方と違いまして、これも私どもなりに分析をしておるものでございますからお示ししているわけでございますが、客貨別に分けた経営実績を掲げてございます。  四十六年度、四十七年度とございますが、四十七年度ごらんいただきますように、損益の欄では旅客が五百六十四億、貨物が二千六百十八億、合計三千百八十二億の赤でございます。  旅客につきましては、在来線と新幹線と分けてみますと、在来線が千八百三十二億の赤で、新幹線が千二百六十八億の黒でございます。  それからその次は「国鉄運賃改定の経緯」と書いておりますが、戦後、この表にございますような経過をたどりまして運賃の値上げをしていただいてまいったわけでございます。特に御説明は省略させていただきたいと思います。  それから二十七ページは、先ほど総裁のあいさつにございましたものを表にしたものでございます。昭和十一年を起点にとりまして、旅客、貨物、それぞれ三〇〇前後の指数でございます。この辺につきましても常に国鉄が主張しておるところでございまして、運賃のレベルがかなりけたをはずれて低く抑えられておるわけでございます。  その次は、諸外国鉄道の運賃料金の制度でございます。イギリス、西ドイツ、フランスをとっております。内容的には一々御説明することは省略させていただきたいと思いますが、いずれの国におきましても、運賃の決定方式は法律で定めてはいないわけでございます。特に、その次のページで、貨物につきましてはかなり自由なところがございます。  それから三十ページでございますが、国鉄の仕事の量が年々ふえてきておることを示しております。二十四年には、人トンキロで申しまして千八億人トンキロでございましたが、四十八年度では二千七百一億人トンキロになっております。二・七倍になっておるわけでございます。それに対しまして職員数は、二十四年の行政整理以後四十九万という職員数でございましたが、その後ふやさない努力を続けてまいりまして、特に四十四年度以降は減らす努力をしてまいりまして、四十八年度末では四十三万三千人ということでございます。上の人トンキロを職員の数で割ったものが一番上の職員一人当たり人トンキロでございまして、一人当たり二十四年度当時は二十万五千キロでございましたが、六十二万キロになっておりますので、一人当たりに換算しますと三倍ということでございます。もちろん装置その他非常に進んでまいったということも大きく作用しておるわけでございます。  それから一番最後に三十一ページでございますが、職員の年齢構成、それから勤続年数構成というものにつきまして御説明いたします。  左側の絵でごらんいただきますように、年齢構成にいたしましても、勤続年数にいたしましても、非常に古い人が多くなってきております。四十歳以上の人が全体の職員の六〇%を占めておるということでございまして、この点も長期には考えながら、人の問題、職員の問題、あるいは設備の問題、近代化、合理化と申しますか国鉄の体質を変えていく一つの基礎になるべき数字であろうというふうに考えております。  それから右の白い棒と斜めの棒は、これは平均給与とラスパイレスによる平均給与をあらわしております。国有鉄道は勤続年数から申しましても平均年齢から申しましても他と比べて高いわけでございまして、したがいまして、ラスパイレスでごらんいただきますように、他の企業より低位に置かれておるわけでございます。一人当たりの給与も決して高いというわけではないわけでございます。  以上で御説明を終わらせていただきます。
  9. 増岡博之

    増岡委員長 以上で説明は終わりました。  この際、小委員会の運営方針について申し上げます。  審議は参考人からの意見聴取等を中心に進め、議事は速記を付することとし、必要に応じ速記を付さないで進めることにいたしたいと存じます。  なお、小委員以外の運輸委員から発言の申し出がありました場合、小委員長において適宜これを許可することといたします。  傍聴につきましては許可することといたしますが、必要に応じ許可しない場合もありますが、その取り計らいにつきましては、小委員長に御一任願いたいと存じます。  以上、申し述べましたような方針によって運営してまいりたいと存じます。  これより懇談に入ります。
  10. 増岡博之

    増岡委員長 これにて懇談を終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会