○薗村
政府委員 先生いまお話ございました一番初めのいわゆる一九五七年
条約、
海上航行船舶の
所有者の
責任の
制限に関する
国際条約、いわゆる
船主責任制限条約につきましては、すでに
世界各国が
金額制限主義に移行するという立場から批准を終えて、この
条約自身が発効しているというのはお話のとおりでございます。
わが国も、一九五七年当時いろいろこの
条約に対する態度を考えたわけでありますけれ
ども、一番この問題の大きいところは、今回別途法務
委員会で御審議を仰いでいるように、
商法を改正して
委付主義を
金額主義に改めるということの準備をする必要がありました。もちろんその
責任金額が
船主の経済とどういうふうに
関係があるだろうということも、それは問題点の
一つであることは私も否定はいたしませんけれ
ども、決して
船主を擁護するためにそういった
条約案に対する態度であるとか、その後の批准状況をいたずらに延引するということではありませんで、やはり一番大きな問題は
委付主義を
金額主義に改める
商法の改正の手続を
日本の法体系の中で準備をしていくということに年月の
経過がかなり要ったということでございます。
すでに運輸省としても四十二年の十月には法務省にこの
条約を批准して国内法化するために手続をとっていただきたいというお願いをしているところでございます。わが方としては、やはり主要
海運国の動きにおくれないように、国内法化をして
金額責任主義に移行していくという時期を考えておったということでございます。
法務省の方でもそれを受けて、法制審議会等の手続を鋭意急いでいただいて、
商法の改正という手続がかなり法制的に困難ないろいろな問題点があったにもかかわらず間に合わしていただいたというのが現在の進行状況でございます。
特に、その後
先生御指摘のような第二番目の
条約、油による
汚染損害についての民事
責任に関する
国際条約、いわゆる民事
責任条約というものが四十四年にできましたし、さらに四十六年には三つ目の
条約である油による
汚染損害の
補償のための
国際基金の設立に関する
国際条約、いわゆる
国際基金条約というものが採択されて、これについては、先ほどお話がございましたように、
わが国も最初から積極的に参加しようという立場でございましたので、そういう二
条約を取り急いで批准する、そして国内法化するという上からも、一番根っこに日にちがかかっておった一九五七年
条約の国内法化という問題を
商法の改正というかっこうで取り上げなければいかぬということで、いろいろな年月の
経過を追うて今国会でお願いするということになったわけです。
特に第二番目の
条約については、先ほどお話がございましたが、まだ実は発効していないのですが、来る六月十九日になると
世界的に発効するということになるので、これはわが方も一日もおくれることはできないということで、今国会にこの
法案をお願いをして、一日も早く通過をさせていただきたいということなんでございます。特に二番目の
条約が六月十九日に発効するようになりました
世界的な動きというのは、イギリスと
フランスが
日本と同じようにやはり主要な
海運国として批准の手続を進めておったのですが、ちょっとイギリスと
フランスに先を越されたかっこうになって、
日本もぜひひとつ今国会でこの
法案を通していただきたいということでございます。