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1975-03-14 第75回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月十四日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木部 佳昭君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 西銘 順治君    理事 増岡 博之君 理事 金瀬 俊雄君    理事 三浦  久君       石井  一君    大竹 太郎君       關谷 勝利君    丹羽喬四郎君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         運輸省航空局長 中村 大造君         運輸省航空局技         術部長     中曾  敬君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   渡邊 伊助君         防衛庁防衛局運         用課長     友藤 一隆君         防衛庁経理局監         査課長     山下  博君         外務省アメリカ         局外務参事官  深田  宏君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         運輸省航空局管         制保安部長   松本  操君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  航空法の一部を改正する法律案内閣提出、第  七十一回国会閣法第八八号)      ――――◇―――――
  2. 木部佳昭

    木部委員長 これより会議を開きます。  航空法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。斉藤正男君。
  3. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 あえて懸案のと申しますけれども航空法審議がいよいよ始まるわけでございますけれども、この航空法の一部改正につきましては、昭和四十七年三月、第六十八国会において政府提案をされ、第七十国会まで継続審議になっておりました。四十七年十一月衆議院解散によって審議未了という立場に追い込まれ、そうして四十八年三月七十一国会に再提出され第七十五国会まで継続審議という形で持ち込まれてきている。  四十七年三月から五十年三月までまるまる三年間あるいは継続審議にされたりあるいは衆議院解散によって廃案にされたり、また再提出されたりということでありますけれども、思い出しても非常に残念なことでありましたあの岩手県雫石町上空における全日空機自衛隊機衝突事故を契機に、航空法の大改正が必要だということで、官民挙げて航空法改正を要望して、この、政府にしてみれば画期的な航空法の一部改正検討され、提案をされたというように思うわけであります。にもかかわらず、まるまる三年間この法案日の目を見ずに来たというその裏には、何かしら理由がなければならぬ。これは重要法案でなかったのかどうなのか、また、これが重要法案でこれが重要法案でないというような区別は、そう簡単につくものではないと思うのでありますけれども、三年間も日の目を見ずに、あえてお蔵入りとは言いませんけれども、今日初めて委員会議題になったということは一体どういうことなのか。大臣、まずこの経緯を、運輸省運輸省なりに、大臣大臣なりにお考えだと思うのでありますけれども、――経過はわかっていますよ、どうなってどうなってということは。だけれども、実質的な審議に入れなかった理由というのは一体どこにあったのか、お答えください。
  4. 木村睦男

    木村国務大臣 四十六年の雫石の大事故がございまして、先般その判決が出たわけでございますが、われわれといたしましては、判決による刑事責任がいずれにあるかということの前に、あの重大な事故を起こしましたことに深く思いをいたしまして、その後専門家の御意見等、いろいろ調査会等の御意見も得まして、そして空の交通秩序の一層の確立を図ろうということで、航空法改正案を持ったわけでございますが、航空の安全あるいは騒音防止等に関して、かなり専門家意見を入れて法案をつくって、御提出をいたしまして御審議をいただいたわけでございますが、ところが残念ながら今日まで成立を見ずに今国会になったということは、私たちとしても、一日も早い成立と、これによる航空事故防止のための法案として一刻も早い実施を希望しておったのでございますが、国会事情その他いろいろな事情で今日になりましたことは、非常に残念に思うわけでございます。その間のいきさつにつきましてはいろいろな事情があったろうと思うわけでございますが、とにかくここまで参りましたことはともかくといたしまして、先般もああいう判決が出たことでもございますし、一刻も早く成立をさしていただきまして、交通秩序の一層の維持に努めたい、かような気持ちでお願いを申し上げておるような次第でございます。
  5. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 慎重な大臣が、国会事情その他の事情がございましてと、こういうことなんだけれども国会事情というとわれわれの責任にもなるわけなんで、多少責任感じますけれども、私は、四十六年の雫石事件直後にせっかくの検討委員会を設けられ、短時間に、しかも鋭意これと取り組んで成案を得て四十七年に提案というものが、まるまる三年間日の目を見ずに来たということは、これは、考えられることとしては、今回の法案内容で明らかなように、騒音規制についてもある程度の前進が見られるし、特に管制を含めた、自衛隊機一括管制というようなことについても前進があるし、特に航行の安全を目指して管制体制整備というような点についても前進が見られるし、なぜこういう意義のある大切な法律案国会の正式な審議の場に上らなかったのかという点について不思議に思うわけなんです。国会事情というならば、国鉄運賃法がかかってきたりして審議の時間がなかったというようなこともあるいは言えるかと思うのでありますけれども、しかし、いま静かに振り返ってみれば、ある程度の期間内に国鉄運賃法等参議院へ送って、衆議院はあいていたと言っても私は言い過ぎではないと思うわけなんです。もし、衆議院を通っても参議院成立する見込みがないからやめたというならばそれまででありますけれども、精力的に審議をすれば、それほど時間をかけなくても各党が賛成して通せる内容のものだというようにも思うわけなんです。そういうことから考えると、国会事情その他の事情とおっしゃいましたけれども、その他の事情のほうが多かったのじゃないのか。たとえば航空三社なり四社からかなりの強い反対があったのではないかと思う筋、あるいは防衛庁運輸省との間にまだ十分な意思統一ができなかったのではないかと思われる筋、あるいは、しいて言うならば、運輸省内に、法案の軽重あるいは審議の順位を決める官房等においての意思の不統一があったのではないのか。もし国会の御都合によってというならば、それは国会のすべての運営の責任はいま絶対多数を持っている自由民主党の掌握しているところですから、言いかえれば、自由民主党の御都合法案が長いこと日の目を見なかったということにもなり得るじゃありませんか。その他いろいろの事情でとおっしゃることはわかりますけれども、私は、事人命に関し、一たん事故が起きれば大変な、人命を含めた損傷が生まれるのであろう航空機事故の対策を一刻も早く十分なものにしたいという気持ち国民の願望であったと思うわけであります。にもかかわらず、今日ようやく審議のルートに乗ったということはきわめて憂慮すべきことであり、遺憾なことだと思うわけであります。その点いろいろな事情があって、あるいは国会その他の事情があってという言い方だけでは納得できないのでありますけれども航空局長もう少し具体的に、大臣答弁を繰り返すなら要らぬですよ、所管の責任者として、航空局長として、どのようにお考えですか。
  6. 中村大造

    中村(大)政府委員 先生御指摘の中に、この法案作成過程ないしはその後においていろいろこの内容について異論があったのではないかというふうな御発言があったように承ったわけでございますけれども、この点につきましては、そもそもこの法案作成の前に検討委員会を開いたわけで、この委員の中にはエアラインの代表も、それから当然防衛庁からもお入りいただいて、そこで皆様で十分に議論を尽くしていただいてこのような結論を得たわけでございまして、私どもとしては、むしろこういう結論を出すまでのただいま申し上げたような関係者の御努力に対しては感謝をいたしておるということでございます。したがって、この内容につきましては何らの議論というものもございません。第六十八回国会以来三年間この法案日の目を見なかったということについては、われわれといたしましてもいろいろ反省をいたしておるわけでございます。この中にはこの安全法規以外についてもう少し全般的な全面的な改正をという声も実はあったわけでございまして、そういう面での御意見があったことは確かでございます。私どもといたしましては、とにかく今回この法案が御審議をいただけるということで、これによって安全が確保される、規制面前進するということを心から喜んでいる次第でございます。
  7. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これ以上申し上げませんけれども、のど元過ぎれば熱さを忘れるという言葉がございますけれども、あれほど全国民が驚き悲しんだ大事故の直後に、何としても航空法の一部改正をという熱意で短時間に精力的に取り組んで、しかもかなり前進だという案ができたのに三年間まるっきりこれが審議をされずに、しかも現行法でやってきたということは、大臣のおっしゃるとおりいろいろな理由があったということは事実だろうと思うのですけれども、それにしても三年間のうちになお一部を補強し追加をしたというようなことが行われたならいざ知らず、もとのままで出てきたということになりますと、やはり現行法でも結構やれるのか、どこに航空法の一部を改正する必要があるのかということも、へ理屈のようでありますけれども理論上は私は言えると思うわけです。政府はよく行政指導とか内部処理とかいうようなことを言いますけれども、そういうことで法改正の前の手だてとして十分だというならば、何もわれわれもたびたび継続審議にしたりというようなことはやらなかったはずであります。そういう意味から申し上げまして、いずれにしても政府責任とか国会責任とかということを抜きにして、本法が長い間お蔵入りをしていたということにつきましてはきわめて遺憾である、政府の怠慢もこの際追及しておきたいというように思うわけであります。  そこで次の質問に入りますけれども、第二条に航空機規定がございます。飛行機ヘリコプターグライダー飛行船その他政令で定める航空の用に供することができる機器、こういうように説明をされております。飛行機ヘリコプターグライダー飛行船――飛行機ヘリコプターグライダーもわかるわけでありますけれども、一体飛行船というようなものが日本に何機あるかお調べになったことはございますか。事務当局で結構です。
  8. 中曾敬

    ○中曾政府委員 現在わが国におきまして、いわゆる航空法上の飛行船と称せられるものは一機だけでございます。
  9. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 その一機はどこにあるか御存じですか。
  10. 中曾敬

    ○中曾政府委員 その飛行船所有者オリエンタル飛行船でございますが、現在ちょっと故障いたしまして、係留して修理中でございます。
  11. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 だから、それがどこに係留されておるか御存じですかということを聞いている。どこにあるかということはそれを聞いたのです。
  12. 中曾敬

    ○中曾政府委員 ただいま現在のところ正確な情報は持っておりませんが、しばらく前の情報によりますれば、桶川というところに係留いたしまして修理しておるというふうに聞いておりました。
  13. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 余り正確な情報をおつかみになっていないようでありますが、それじゃ建造中の飛行船があるかないか御存じですか。
  14. 中曾敬

    ○中曾政府委員 ただいま日本では、いわゆる航空法に適格となるような飛行船、そういった飛行船では建造中のものはないというふうに承知しております。
  15. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私がなぜこういう質問をしているかというと、航空機規定があいまいだからであります。いわゆる航空機と称せられる飛行船というのは、エンジンをつけて人もしくは貨物を載せて空中を航行できるものでしょう。気球飛行船とは違うわけです。気球というのは人や貨物を載せて空中を航行しない、大部分が地上から係留され、空中に浮遊しているのですね。ところが飛行船といえば、これは人もしくは貨物を載せ、エンジンによって空中を航行するものだということでしょう。それなら建造中の飛行船はあるでしょう。
  16. 中曾敬

    ○中曾政府委員 航空機につきましては、先生承知のとおり耐空証明を受理しなければ飛んではならないということになっておるわけでございますが、耐空証明を出す前提といたしまして、申請者の方で申請書を出すということになっておりますが、そういう申請がただいまの段階では出ておりませんので、私どもはそういうものは承知しておらぬわけでございます。
  17. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 たとえば、この飛行船建造が終わって、いよいよ試験飛行に入るという場合もその証明を必要としますか。試験飛行中は要らぬですか。
  18. 中曾敬

    ○中曾政府委員 試験飛行の場合は、航空法第十一条のただし書きの「許可」という制度がございますので、その許可を出すことによって飛行してもらっておるということになっているというのが例でございます。
  19. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間がありませんので、また後ほど具体的に、委員会の場でなくて伺いたいと思います。  そこで、これは八十七条に飛ぶわけでありますけれども、「無操縦者航空機」というのがありますね。「第六十五条及び第六十六条の規定にかかわらず、操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機は、運輸大臣許可を受けた場合には、これらの規定に定める航空機乗組員を乗り組ませないで飛行させることができる。」いわゆる無人飛行機ですね。こんなもの日本にあるのですか。
  20. 中曾敬

    ○中曾政府委員 いわゆる航空法で申します航空機という形での無操縦者航空機というものは現在は存在していないというふうに私ども承知しております。
  21. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 日本法律というのは、対象のないものも規制するたてまえというのがあるのですか、それとも、日本国内法に基づき、外国機もこれは制約される部分がありますから、外国無人飛行機日本へ来ることを予想して、この無操縦者航空機というのは一条を設けられているのですか。いかがですか。
  22. 中村大造

    中村(大)政府委員 この八十七条に相当するいわゆる航空機範疇に入って、しかも操縦者のいない、こういう航空機は現在まだ日本にはございませんことは確かでございます。ただ、科学技術が非常に発達いたしておりまして、現に全くだれも乗らないいわゆる無人飛行機というものは、もうすでに開発されつつあるわけでございます。したがいまして、いわゆる航空機範疇に入って、しかも無操縦者というものが、当然この技術の開発に伴って存在の可能性があるということで、そういうものの出現をした場合の規制をこの八十七条で考えたわけでございます。
  23. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 外国にあるので、わが国でも開発される可能性がある、そのときに間に合うように設けておいてあるんだ、こういうことですか。
  24. 中村大造

    中村(大)政府委員 わが国でこのような八十七条に該当する航空機現実に存在する可能性がある、現実に出現する可能性がある、こういう前提で八十七条を設けたわけでございます。
  25. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これは、航空法が誕生したときからずっとあるのですね。改正のつどいろいろなことが行われましたけれども、別にあるときの改正でできたわけではない。かなり歴史的には古くからあるのですけれども、そのときからもうそういうことを予想して挿入された条項ですか。
  26. 中村大造

    中村(大)政府委員 そのとおりでございます。
  27. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私はどうもこれはずっと見て、ほかはいろいろ専門的でむずかしい点もたくさんあるし、あれですけれども、無操縦者航空機の項は航空法誕生のときからあって、今日なおこれがずっとある、聞いてみれば、無操縦者航空機が近い将来誕生するかしれないということで入れてあるのだと言うのですね。これは何か外国航空法を参考にして、比較的戦中、戦後、特に民間航空についてはブランクがありましたけれども、全くまねごとの一条ではないのか、生まれるであろう、生まれるかもしれないということを予想しての法律というのは他に例がないと思うのですよ。将来予想されるものに対して一条を設ける、私が知っている限りでは、対象がないのに取り締まりなり管理の法律があるというようなことは聞いたことがない。もし無人航空機ができれば、法律にないから飛ぶのは待てあるいは直ちに航空法の一部を改正してやるからそれまで待てとか、いつ生まれるかわかりもしないものをちゃんと法律をつくって待っているというようなことは常識的にあるのですか。何かほかの法律で、たとえばこういうものもありますというのを中村さん御存じですか、知っていたら教えてください。
  28. 中村大造

    中村(大)政府委員 できる前から規定をつくって待っておったというわけでは決してございません。ただ航空法の全体の規定というものが、内容については非常に国際的ないわゆるICAOの条約ないしその付属書基準を準用して決めておるわけでございまして、したがって、そういう意味では非常に国際的な一つレベルといいますか、基準に準拠しているということが言えるわけで、そういう意味で決して外国のものをまねしておるわけでもございませんけれども、とにかく国際的な技術レベルというものを一つ頭に入れまして、そこから当然想定し得る限度において法的な措置を講じておいたということが真相かと存じます。
  29. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 世界のどこの国に無人飛行機があるのか、博学なところで教えてください。政府委員、どなたでも結構です。防衛庁関係でも結構です。
  30. 中村大造

    中村(大)政府委員 まことに申しわけございませんけれども、現在どこの国にこのような該当する航空機があるかということについて調査を十分いたしておりませんので、早速調査をいたしまして、後刻御報告申し上げたいと思います。
  31. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 それは防衛庁の方も来ているから知っているのですよ。運輸省だって知っているはずですよ。無人航空機がどこの国にあるか、少なくともアメリカにはあるでしょう。しかし、日本にはないのですよ、こんなものは。また近い将来こういうものが生まれるというようなことを予想して法律を立てるというのは私はどうしてもわからぬ。対象がないです、対象が。法律対象になるものがないのに法律をつくるということがあるのですか。これは、まあ内閣法制局に来ていただけばよかったのですけれども運輸省内では、この航空法の立案の過程であるいは改正論議の中でこの項が何の問題にもならなかったのですか。いかがですか。
  32. 中村大造

    中村(大)政府委員 全般的に検討いたしたわけでございますけれども、この八十七条が特に問題になったということは聞いていないのでございます。
  33. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 あなたはこの当時観光部長か何かやっておって、検討なんて言ったって、航空局長に最近なられて、そんな、内容を余り検討してないじゃないですか、この改正に当たって。当時の航空局関係の皆さんはある程度検討したかもしれませんけれども、今度できてきた成案についてはいろいろ御検討されたと思うのだけれども、私ども素人が見ると、あら不思議だな、対象がないのに条文があるということなんですよ。もしこれを強いて勘ぐれば、アメリカにある無人飛行機のために国内法整備をしたんじゃないか、あるいは特に一項が設けられているのではないか。御承知のように、アメリカ無人航空機というのはスパイ機ですよ。謀報のために使われている飛行機です。こんなもの、日本航空法で取り締まろうといったって取り締まる方法ありゃせぬ、これは。だから、これもげすの勘ぐりで的確な想像ではないと思う。そうなると、いよいよもって、法体系対象のないものを一条起こしているということは私にはわからぬ。わかったのは、近い将来生まれるかもしれない無人飛行機対象考えたのだということですけれども、もし仮に生まれたとしても、それは航空法取り締まり条項がないから飛行はしばらく待て、あるいは、直ちにそのときに航空法の一部を改正するか、あるいは、政令、省令で臨時の措置として認めていくとか、幾らもやり方はあると思うのだけれども航空法誕生以来この条文があるということになるとどうしてもわからぬ。ほかに何か思い出す、これに類した法律がありますということを、どなたでも結構ですけれども答弁できますか。それなら私も納得します。
  34. 木村睦男

    木村国務大臣 お話を聞いておりますと、私も、もっともだなという感じがするのでございますが、私も当時のことは知りませんので、当時の実情については御説明できないのですけれども、私たちもずいぶん前から無人飛行機研究というものは先進国でできておるということは知っておるわけでございます。  そこで、こういう法律をつくりますときには、ある程度その法律が長期にわたって安定しておるというようなことを考慮してつくるわけでございますが、恐らく航空機研究、こういうものはもう日進月歩の形でございますので、立法当時、そう遠くない将来において、日本においてはつくれなくても、外国でつくった無人飛行機が来る場合もあるかもしらぬ。そういうときに、いまお話しのように、取り締まり規定がないから待てということも一つの行き方であろうかとも思いますし、また積極的に航空法の中に組み入れておきまして、航空安全のために取り締まりができるというふうに考え法案の中に入れておくということも一つ考え方ではないかと思うわけでございます。ことに国際航空というものは、これもまた日進月歩でございますので、各国のこういった航空法規の共通問題を研究いたしますところのICAO等でやはりこういった問題が恐らく当時から議論は出ておると思いますので、そういうことも考慮して恐らく組み入れているのではないか、これは私の推測でございますが、そういう感じがするわけでございます。
  35. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私も、やはり国際的な慣行の上に立ってICAO等の流れをくんだ一項であろう、それしか考えようがないのですよ、と思っておったわけです。大臣答弁で、了解はできませんけれども、大変苦しい答弁だ、ということで理解をいたします。  次に、防衛庁関係の方がお見えでございますから伺いたいと思いますけれども現行航空法適用除外を受けていた自衛隊機が今次改正案ではどのように規制をされるのか。かなり規制条文化されております。その点をまず、羅列的で結構ですから説明してください。
  36. 友藤一隆

    友藤説明員 お答えいたします。  今回提案されております航空法の一部改正案によりますと、主として自衛隊関係につきましては曲技飛行のほか、試験飛行でありますとかあるいは著しい高速の飛行、こういったものが航空交通管制区等において原則として禁止をされる。また、航空交通管制区あるいは航空交通管制圏におきまして操縦練習飛行でありますとか、あるいは姿勢を頻繁に変更いたします飛行でありますとか、こういったものが禁止されるというのが大きなところでございます。そのほか、もう少し細かいところでは、たとえば航空機の運航に関しましては、六十九条の最近の飛行経験なしの飛行禁止あるいは七十条のアルコール飲料等の影響のもとにおける航空業務禁止、あるいはこれは先ほど申し上げましたが、操縦訓練飛行の場所の規制、百五十四条の規定、それから事故調査関係、そういった点について適用になるわけでございます。
  37. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 このうちで私は曲技飛行について伺いたいわけでありますけれども航空自衛隊には曲技飛行専門のような班と言いますか、チームと言いますか、ございますね。盛んに曲技飛行をやっておられますけれども、これは現行法でも航空法対象になっていると思います。今日行われているあの曲技飛行が現行の航空法並びに改正案成立後の航空法に全く準拠してやっているのかどうか、いかがでございますか。
  38. 友藤一隆

    友藤説明員 曲技飛行の関係でございますが、現在の航空法によりますと、人または人家の密集している地域の上空あるいは航空路、航空交通管制圏、こういったところでは曲技飛行は原則として禁止ということになっておるわけでございます。したがいまして、自衛隊の航空機によります曲技飛行につきましては、原則といたしまして訓練演習空域において行いますほか、防衛庁が設置をいたしております飛行場がございますので、こういった場所で防衛庁が当該飛行場の空域の管制を当然担当いたしておりましてコントロールができるわけでございますので、そういったところの空域等におきまして、航空法九十一条に該当いたします場合には、運輸大臣許可を受けまして、なおかつ管制機関の許可も受けまして、曲技飛行の実施をいたしておる場合がございます。
  39. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 人または人家が密集している、これはきわめて漠然としていますね。一体一平方キロに人家が何戸あって、そこに住民が何人住んでいるというような規定は全くないと思うのですね。人または人家が密集しているとは一体どういうところを言うのですか。これは航空法本法だ。
  40. 中村大造

    中村(大)政府委員 これはやはり何平方メートルに何軒以上というそういう基準はございませんけれども、やはり客観的に見まして例外を許可する場合に、やはり人家が密集しておって、その上でそのような曲技飛行というものをいたすことがきわめて不適当な場所であるかどうかということを判断して、許可をするかしないかということを判断するということになろうかと思いますけれども、とにかく人家が密集ということになりますと、相当な市街地を形成いたしておってそこにびっしりと家が建っておる、こういうような状況であろうかと思います。
  41. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 きわめてあいまいなんですね。きわめてあいまいだ。それじゃもう一遍聞きますけれども、先ほど防衛庁関係の方が答弁しましたけれども防衛庁が演習空域として設定している地域、それから防衛庁関係のベースを中心とした管制圏の範囲内の上空といったようなことはわかるわけですけれども、それ以外であって防衛庁から運輸省に、こういう地域で曲技飛行をやりたいので特に許可を欲しいというような申請が最近出てきたのはいつですか。
  42. 中村大造

    中村(大)政府委員 先生の御質問の趣旨は、いわゆる新しい訓練空域というものについて防衛庁の方から要請があったかどうか、こういうことと解してよろしゅうございますか。
  43. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 違うのだよ。曲技飛行をやるについてやってもいいという地域があるのですよね。運輸大臣許可を求めずにやってもいいという地域があるけれども許可を求めなければやってはいけないという地域でやりたいというので申請があった最近の事例はどこか、こういうことを聞いているのです。
  44. 中曾敬

    ○中曾政府委員 最近でございますと、那覇の飛行場の上空でブルーインパルス隊の曲技飛行の展示飛行をやりたいので許可してくれという申請がございました。
  45. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私が申し上げたいのは、そういう場合はなるほど申請を出し許可をとってやっておられるということでいいのでありますけれども、あのマッハ二程度のスピードと、あの轟音と、しかも全く翼々相摩すというのですか、飛行機の幅、飛行機の長さあるいは飛行機の高さ、それらの距離に匹敵をするような形で、考えようによってはみごとだと言えるかもしれませんけれども、またきわめて危険な、しかも一万メートル以上の上空から地上二、三百メートルの低空まで変幻自在な飛行をするわけであり、したがって許されている演習空域なりあるいは管制空域でやっていると言いますけれども、その空域から逸脱していないという保証は何にもないし、またそういう空域が人、人家の密集地帯を全部避けているということも言えないと思うわけなんです。  たとえば二、三日前の新聞にも「中学校の真上で飛行訓練 騒音で授業できぬ」豊橋市の高豊中学の上空の一件ですね。これは演習空域として航空自衛隊が設定している空域、ここでやる分には差し支えない、こういうことだと思いますけれども、また私の浜松上空は、管制空域内か空域外かわかりませんよ。わかりませんけれどもかなり民家、人家が密集している上空でアクロバットをやるわけですから、われわれ素人にはわからないわけです。したがって、ああいうものが航空法の適用を受けてやっているのだ、それならば何でもやれるのだということであると非常に問題だと思うわけですけれどもかなり御苦労なさっていることは承知をいたしておりますが、もうあの種のものはおやめになったらいかがですか。ブルーインパルスなんて、源田サーカスなんという名前そのものが私は大きらいなんだけれども、ああいうものをおやめになったら、何か航空自衛隊なり防衛庁の訓練なりあるいは設置の趣旨に反するのですか。どうしても必要なものなんですか。いかがでございましょう。
  46. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のブルーインパルスがいろいろ騒音を起こすというお話でございますが、確かに浜松の基地の上で訓練をやっておりますが、当然その基地を存立させていくためには地元の住民の方々の理解とか協力のもとにやらなければならないということで、騒音の影響等については常に配慮をいたしておりまして、朝、夕、夜間はやらないとか、あるいは訓練回数を極力少なくするとか、あるいは全天が雲で覆われておりますような場合には音の減衰が少ないというようなことで、騒音を考慮して訓練を中止するとかあるいは飛行高度を可能な限り高くするというような自制をいたして行っておるわけでございますが、それで先生の御指摘ですと、ああいうものは要らぬのではないかということでございますけれども、私どもの戦技研究班ということでございまして、いろいろの研究もいたさなければなりませんし、高度の飛行技術というようなことも必要なわけでございまして、非常にベテランのパイロットをもって充てておりますので、今後とも事故を起こさないように十分に配慮しながらやらしていただきたいと思っております。
  47. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 もしおやりになるなら、太平洋上へ行って、全く人家のないところでおやりになったらいかがですか。     〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
  48. 友藤一隆

    友藤説明員 ブルーインパルスの訓練場所でございますが、御承知のように、非常に地上に低く接近をいたす関係上どうしても、太平洋等海面でございますと、目標がはっきりいたしませんで海中に突っ込んでしまうというような危険も相当ございますので、地上の目標なり海岸線、こういったものがある程度はっきりいたしまして、目視で地上との間隔が十分つけられるような場所、こういったところが、ブルーインパルスと申しますか、こういった戦技訓練を行います場合の要件になってきておりますので、そういった点で、できるだけそういった騒音等の被害を避けながら、かつそういった訓練上の要件を満たし得るところということで、私どもできるだけ努力をいたしてまいりたいと思います。
  49. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間がありませんので、私は、ああいうものはもうやめてもらいたい、どうしてもやるというなら太平洋上の関係のないところでやってほしいということだけ要望しておきます。  七十一条の二に、見張り義務というのが新しくできまして。一体、今日の航空機で見張り義務をやっていないとお考えなのか。乗り物なら、幼児の三輪車から何だって、乗る人は見張りますよ。見張らずに操縦なり運転ができる乗り物というものはないわけです。あえてここに見張りの義務というのを設けた。しかし、今日のスピードの早い航空機で、見張ることによって何か事故が避け得るというふうにお考えになっているとするならば、これは認識不足だと思うのですけれども、どうしてここへ新たに見張り義務なんというものを設けたのですか。
  50. 中村大造

    中村(大)政府委員 この見張り義務については、現行法におきましても、規定の仕方は必ずしも的確ではございませんけれども、いわゆる見張りの義務というものが存在しておるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。雫石事故が起きた後に、事故調査委員会がいろいろ検討をいたした結果、政府に対して勧告がなされたわけでございますけれども、その中にもやはり、見張り義務というものを法律で明定すべきであるというふうな勧告をいただいておるわけであります。われわれといたしましては、高スピードで飛行する航空機でございますけれども、いわゆる有視界の状態におきましては、これは当然見張りをすることによって事故を未然に防止し得るというふうに考えております。したがいまして、これはあるいは法律以前の問題であるかもしれませんけれども、当然のこととして操縦を行う者は見張りをしなければいけないということを法律に明定することが非常に意味があるというふうに考えておるわけでございます。
  51. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そういう考えもありますけれども、見張っていた、相手機が接近をしてきた、どうしようというのですか。直ちに回避のために上下なり左右の飛行経路の変更をせよ、こういうことだろうと思うのですけれども、ジェット機のたぐいは、大変なスピードで航行しているわけですよね、見張っていて見つけたという段階ではもうおそいと言われているわけです。しかも、私が懸念するのは、ここに新たに条項を設けて見張りの義務を課したにもかかわらず操縦士の不注意による事故だ、航空法違反だというように簡単に処理されることを心配するわけでありますが、そういう点について、いままで何か飛行機を操縦する皆さんは見張っていなかったんだというような印象も与えるし、どうも操縦士いじめだというようにしか考えられませんけれども、その懸念はないのか。
  52. 中村大造

    中村(大)政府委員 この七十一条の二の見張り義務につきましては、罰則の適用がないわけでございます。したがいまして、この規定は、先ほど申し上げましたように、やはり当然、あるいは法律以前の問題としてでも、この見張りの義務というものが当然として課せられておるということをこの法律で明定したというところに意味があるわけでございまして、実際にこの見張りをすることによって、どの程度の距離でどの程度の気象状況のときに相手方の飛行機を認識し得るかどうか、そして、そのときに回避の動作というものが可能かどうかということは、その状況、状況でやはりいろいろ差異がございますけれども、先ほども申し上げましたように、気象状況がよければ、普通の視力によって認識し得る距離というものは、現在の航空機のスピードというものを考えましても、当然そこに回避の余裕はあるというふうに考えられるわけでございまして、この規定は、そういうふうな見張り義務を明定することによってとにかく衝突を防止するというところにこのねらいがあるというふうに御解釈いただきたいと思うわけでございます。
  53. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 見解の相違が多分にありますけれども、時間がありませんから……。  最後に、外国航空会社のわが国内における航空法の遵守並びにこの一部改正に伴う外国航空会社の規制ということでちょっと伺いたいと思うのですけれども外国航空会社といえどもわが国の空港を使う場合あるいはわが国の上空を飛ぶ場合は、国内航空法規制を受けることは当然でありましょう。しかし、昨年末等にもありましたけれども、ノースウエストあるいはパンナム等々が労働組合との上にかなり長い間の争議もあった。いろいろ調べてみると、大分でたらめな管理をやっている。時間がありませんから具体的には一々申し上げませんけれども、どうも運輸省外国航空会社に対しては国内航空四社に対する規制よりも甘いんじゃないかというように考えられるのですけれども、全く同じように扱うべきだし、違法、不法行為については監督、処分をすべきだというように思うのですが、十分だったとお考えですか、あるいは足りなかったところがあるというようにお考えですか、いかがですか。
  54. 中村大造

    中村(大)政府委員 外国航空会社に対する監督、規制については、いろいろな御意見はあろうかと存じますけれども政府といたしましては、法律の定めるところによりまして、できる限り適正に、効果的に法律を運用して指導をいたしてきたというふうに考えております。
  55. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間がありませんから言いませんけれども、たとえば離陸前の整備点検の仕事があるわけでしょう。これらを無資格がやって、そして最後の責任者の欄だけ有資格者がサインをすればオーケーだ、そしてフライトだというような事例が幾つもあったわけですよ。最終段階に至って運輸省が積極的に介入をされて指導をしたことは私も知っていますけれども、どうもやはり外国航空会社に対する運輸省の弱腰といったようなものがあったんじゃないかということも懸念をしたわけでありますので、今後はひとつ十分注意をいただきたいというように思うわけであります。  時間が参りましたので、以上で私の質問を終わります。
  56. 西銘順治

    ○西銘委員長代理 兒玉末男君。
  57. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まず大臣とそれから防衛庁当局にお伺いするわけでございますが、日本航空史上最大の犠牲者を出しました空中衝突からすでに三年七カ月、ようやくこれに関連しての法案審議に入るわけでございますが、盛岡地裁は自衛隊機側に厳しい刑事責任を科しまして、この事故を浮き彫りにしているわけでございますが、もう一つの被告として考えることは、この判決を通じまして特に空の欠陥行政の責任というものが一体どのように問われなくてはいけないのか、これは私は今度審議に入る航空法改正内容そのものだと思うわけであります。改善は遅々として進まず、ますます過密化する日本の空で民間と自衛隊の能率的な空域利用とすべての空を監視できる科学的な安全体制ということが強く主張されておるわけですが、この体制ができない限りはとうとい百六十二名の霊は慰められないであろう。さらに、やはり国あるいは航空会社に対するところの告発は続くもの、このように理解をいたすわけであります。  そこでまず大臣にお伺いしたいことは、今回の提案されておりまするこの改正内容で再びこのような事故の撲滅がてきるとお考えなのかどうか。それから防衛庁当局には、百六十二名の関連のいわゆる遺族補償に関係しましてまだそれぞれお互いが会社側を相手取り、あるいは防衛庁側は全日空を相手取り、それぞれ係争が続いておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この第一審の判決をまず十分に尊重をされて、そうして速やかに遺族に対する一切の補償関係だけはこの時点で早急に処理をすべき問題と私は思うわけでございますが、この点についてのそれぞれの責任者の見解をまず承りたいと思います。
  58. 木村睦男

    木村国務大臣 過日雫石の事件につきまして判決が出たのでございますが、あの四十六年の雫石事故におきまして多数の犠牲者が出られましたことにつきましては、私はこの判決が出ました機会に、亡くなられた方、並びにその御遺族の方に心から追悼の意を表する次第でございます。  あの判決に示されております刑事責任の問題、これはどちらにあるかということの前に、私はあの事故を契機といたしまして、航空の安全に一層の努力を積んで安全確保を図らなければならない、かように決意を深くいたしておるわけでございます。  当時の事故が起きましてから直ちにそのことに取りかかりまして、専門家の御審議を煩わし、また現在空を使っております民間航空防衛庁、これらの航空路の使用あるいは空の秩序等につきましてもいろいろと協議をいたしまして、たとえば民間航空路と訓練区域との分離を初めとするいろいろな措置を講じまして、またその後も引き続き航空関係者に対しましては、安全運航のための指導監督も強化をいたしておるところでございます。あの判決の中にも、かなりの過去の運輸行政に対する批判といいますか、教えられるところが示されておるのでございまして、私たちも反省いたしますと必ずしも万全であったということは言い得ないのでございます。そういうところに十分意を用いまして、今後航空安全対策の推進、これに全力を尽くしておりまして、航空保安施設の整備、運用の充実を図る等いろいろやっております。その一環といたしまして、六十八国会航空法の一部改正提案いたしまして御審議を煩わしてきておるわけでございます。その後継続審査の取り扱いをしていただきまして、今日御審議をいただいておるわけでございますが、私は、この一部改正によって完全に全部航空の安全についてカバーし得るものとも思いません。航空事情というものは、日に月に変わってきてもおります。しかし当時かなりわれわれはあらゆる角度から研究を重ねまして、この法案成案を見たのでございまして、すでに三年有余の日月もたっておりますので、一日も早くとりあえずこの法案成立を図っていただきまして、さらに引き続き検討を加えながら、適時必要な改正を今後にわたって加えていきたい、かように考えておるのでございますので、どうぞひとつその辺の御事情を十分御理解をいただきまして、この法案の御審議成立に御協力をいただきますことを心からお願いを申し上げる次第でございます。
  59. 渡邊伊助

    ○渡邊説明員 初めに、この事故によって亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の方々の御心情を深くお察し申し上げておるわけでございます。  防衛庁といたしましては、当然のことながらこの事故防衛庁全体の問題として受けとめて、今後の教訓にしたいというふうに考えておるわけでございます。判決が下された機会に、防衛庁長官からも、教育訓練体制のあり方、安全管理体制の整備確立ということにさらに一層尽くすようにという強い御指示を受けておるところでございまして、これらに対しまして私ども一層力を尽くしてまいる所存でございます。  なお御質問の遺族補償につきまして、私どもの監査課長からお答え申し上げます。
  60. 山下博

    ○山下説明員 遺族補償と訟訴について御質問でございますので御説明申し上げます。  先生承知かと思いますが、防衛庁といたしましては、自衛隊が事故の一方の当事者であったこと、それから本件事故の重大性にかんがみまして何よりもまず遺族に対する補償の必要性を考えまして、全日空からの文書による依頼もございまして、全日空にも御報告の上、とりあえず防衛庁が窓口となりまして十六億五千二百万円、全日空側の見舞い金を入れますと十八億四百万円でございますが、補償を四十六年末から四十七年の冬にかけてお払いしております。これは百五十五名中百五十二名分でございます。  それから、三名の乗客の方の御遺族に対しましては、補償額について話し合いが円満に解決できませんでしたので、三名のうち一名、太田さんにつきましては訴訟になりまして、これはすでに判決を受けて賠償いたしております。他の二名、これは御夫婦でいらっしゃいますが、渡辺さんとおっしゃいます。この方の御遺族につきましても、閣議で御決定になりましたところの賠償額について御了解が得られませんで、昨年の七月に御兄弟が、御兄弟の中でお兄さんとほかの方との御意見がそれぞれ違うやに見えまして、お兄さんの方は静岡地裁の富士支部それから弟さん四人の方は東京地裁の方に訴訟を提起中でございます。それから乗務員の御遺族につきましては、昨年の五月にカーペンターさんという外人の方が乗っておられましたけれども、この方を除く乗務員の方が訴訟を五月に起こされまして、引き続いてカーペンターさんの方も訴訟を起こしておられます。それから全日空の方も営業損失等について訴訟を起こし、合計五件の訴訟が起こっております。これにつきましては民事訴訟のルールに従いまして現在訴訟手続が進められておるところでございまして、今回隈一尉外一名に係ります雫石事故について刑事判決がございましたが、防衛庁としましては、膨大な判決状でございますので、十分慎重な検討をいたしまして勉強したいと思いますが、いずれにしましても現在五件が裁判所に係属中で、裁判所で慎重審理中でございます。したがいまして、ただいまとかくの意見を申すということはいかがなものかというふうに考えているわけであります。
  61. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は余り裁判判決をめぐっての論争をする時間がありませんけれども、とにかく民間航空のルートなりあるいは訓練機のルートが明確にされない点はあったにしても、客観情勢を見た場合に、少なくとも自衛隊側の刑事責任はだれが見ても免れない、こういうようにわれわれも判決を全面的に支持します。そういう点から考えましても、現に防衛庁が全日空を相手としてのこういう遺族の補償をめぐる問題は、防衛庁がもし控訴すれば当然この問題も最高裁の判決が出るまでは係争される。そうしますとやはり対象になっている百六十二名の気持ちは報われない。こういう点からも私はこの際、防衛庁長官おいででありませんが、運輸大臣としてこのような係争についてはすみやかに打ち切るように指導すべきだ、こういうように考えますが、大臣いかがでありますか。     〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 木村睦男

    木村国務大臣 この問題は私も非常に関心を持って見ておるわけでございますが、これは政府あるいは関係各省との関連もございますので、御意見の点は十分頭に入れておきまして、そういう場合に善処いたしたいと思っております。
  63. 兒玉末男

    ○兒玉委員 防衛庁に今度は方向を変えて聞きますけれども、この事件の発生直後に、丹羽前運輸大臣防衛庁長官の間に、民間航空路のいわゆる保護空域と防衛庁の訓練空域との間に明確な協定を結ばれて指示をされて航空図が公示されている。その後一体これがどのように実行されておるのか。言われているところのニアミス、異常接近の事故等はないのかどうか。さらに当時、運輸大臣は少なくとも昭和四十九年度を目途に航空路監視レーダー網の整備ということを言われておりますけれども、現在の時点では全国の大体予定されている十カ所のうちで完備されているのは山田・銚子、箱根、それに福岡、八重岳(沖繩)、この四地区しかこういう監視レーダー網はまだ整備されてない。そうしますならば、少なくとも現在の自衛隊の訓練航路というものが民間のジェットルートをどうしても横断しなければ訓練ができない空域が相当数あるやに聞いているわけです。陸上にたとえますならば、高速の特急列車が走る鉄道網に無人の踏切が幾らもあるような状態が想定されるわけでございますが、その辺の状況はどうなっているのか、この際航空局並びに自衛隊側の見解とその後の状況についてお聞かせをいただきたい。
  64. 中村大造

    中村(大)政府委員 民間航空路といわゆる訓練空域との関係でございますけれども、これは雫石事故を契機といたしまして、緊急対策の一環といたしまして、民間航空機の運航いたします航空路などと訓練空域というものは完全に分離するという方針を確立いたしまして、防衛庁運輸省で協議をいたしまして航空路あるいはジェットルートから見て十分な余裕を持って訓練空域を設定し、運輸大臣がこれを公示するというかっこうにいたしてきたわけでございます。それからこの訓練空域に自衛隊機が出入りいたします場合には、回廊という廊下、トンネルのようなものを設けまして、その中を行き来する、こういう措置も講じているわけでございまして、そういう意味では民間航空路と訓練の場というものは完全に分離されておるわけでございます。したがいまして、いわゆるニアミスと称せられるものにつきましても、最近は非常に激減いたしておるわけでございます。これはそのような措置が効果をあらわしておる証拠ではないかと思います。  それから先生御指摘のいわゆる航空路監視レーダーが最初の予定に対して非常におくれておるという御指摘でございますけれども、これは確かに最初の予定は四十九年度中に全国八カ所のレーダーを整備いたしまして、ほぼ日本の上空をカバーするという予定であったわけでございますけれども、残念ながらこのレーダーサイトの場所の選定、あるいはその土地を入手いたしますこと、それからそこに参ります工事用の道路をつけるというような点につきまして、さまざまな困難がございまして、残念ながら四十九年度中にこれを完成させることができないわけでございますけれども、こういう問題もすでにほとんど解決を見ておりまして、今後ピッチを上げてこの工事を進めてまいりたいというふうに思うわけでございまして、五十年度中には五カ所が整備される予定でございます。五十一年度中には八カ所全部が整備される、そのように計画いたしまして、鋭意この整備を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 ただいま御指摘の自衛隊の訓練空域の設定の問題でございますが、これは四十六年八月七日に中央交通安全対策会議で決定をされました「航空交通安全緊急対策要綱」、それから翌年の三月三日に防衛庁長官と運輸大臣の間で締結を見ました航空交通の安全を確保するための「運輸省航空行政と自衛隊の業務との間の調整に関する覚書」というのに基づきまして、防衛庁運輸省との間で協議をすることになっておりまして、防衛庁は、沖繩を含めまして、これまで低高度訓練空域につきましては十四カ所、高高度訓練空域につきましては二十一カ所設定をしていただきたいということで協議の申し込みを行っておりますが、その結果は現在までには低高度の訓練空域で九カ所、それから高高度の訓練空域で十一カ所が設定をされております。残りの空域についてはまだ運輸省と協議中でございます。  なお、先ほど運輸省からもお話がございましたように、この緊急対策要綱の第一項に基づきまして、航空交通の安全を確保するという観点から、空港とか航空路及びジェットルートの空域からは完全に訓練空域を分離いたしまして、かつ可能な限り洋上に選定するというようなことで、安全措置に配慮いたしておるところでございます。なお、先ほどもお話がございましたように、そういう洋上の訓練空域でございますので、そこに行くまでに航空路等を横切るということがございますが、そのためには、先ほどお話しのように回廊を設定いたしまして、その回廊を通って往復するということになっております。  なお、先生御存じだと思いますが、わが方には二十八カ所のレーダーサイトがございますが、訓練中はそのレーダーサイトで訓練機の行動を常に監視をしておりまして、航空安全に配慮をしている、こういう状況でございます。
  66. 兒玉末男

    ○兒玉委員 航空局長にお伺いしたいわけですけれども、先ほど御答弁になって、五十一年度までに八カ所全部終わると言っていますが、では具体的に、現在完備している四カ所のほかに、たとえば北海道、東海、近畿、四国、南九州、こういう地域は、現在のいわゆる予算措置といいますか、対策といいますか、それは具体的にどういうふうに予算を出していく予定なのか。また事故のありました雫石の管轄は東北圏でございますが、これはいつ完成する予定なのか。大体こういうふうな航空路監視レーダー網というのは一カ所でどの程度の予算が要るのか。その辺を聞いた上でないと、いま局長の答弁されたような八カ所の管制ということについても、いままで、当時の丹羽大臣が指示される件がこのような進捗の状態では、確かに防衛庁サイドでは自分の方の軍用機の運航はキャッチできましても、民間航空路と一体となった管制体制のできない今日では、必ずそういう危険性がひそんでいるというふうに私は懸念をするわけですが、いかがでしょうか。
  67. 中村大造

    中村(大)政府委員 航空路監視レーダーの整備計画でございますけれども、予定は全国で八カ所でございます。それで現在すでに整備いたしておりますのは、箱根、福岡、銚子、沖繩でございます。五十年度中に東北が完成いたします。残る三つは北海道、近畿、南九州でございますが、これが五十一年度中に整備を完了するという予定でございます。
  68. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私の聞いているところでは、東海圏、それから四国圏というのも完全に日本の空を覆うためには必要だと聞いておりますが、その辺の見解はどうでございますか。
  69. 松本操

    松本説明員 ただいま局長からお答え申し上げましたように、わが国の主要な航空路を覆いますのには、先ほど来申し上げております八つのレーダーで一応可能でございます。一応と私が条件をつけておりますのは、大体二万フィート、六千メートルあたりから上のところを通るということを前提にいたしますと、特に大きな問題はないというふうに考えておりますが、ただし、先生御指摘のございました東海沖、つまり伊勢湾の沖の方でございますとか、あるいは四国と九州との境目の沖合い、こういうふうなところで高度を一万五千フィート、四千五百メートル程度まで下げましてそこをもすべてレーダーで見たい、こういうことになってまいりますと、多少そこが抜けております。  高度がなぜ問題になるかと申しますと、通常ここら辺を飛んでおります飛行機は、二万何千フィートというところを飛んでおりますので、多分通常の状態では私は問題ないと思いますけれども、完全にレーダー管制を実施していこうという場合には、やはりもう少し低い高度までレーダーで確実に見える必要がございますので、ただいま御指摘のございました東海レーダーあるいは仮称四国レーダーといまは言っておりまして、どこにということがまだ定まっておりませんが、いま御説明申し上げました穴のあいたところ、これを覆域の補完と私ども呼んでおりますが、そういう形でつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
  70. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際大臣に御確認願いたいわけですが、いま管制部長が言われたように、確かに東海と四国は穴だ、高度は一万五千フィートに下げる、こう言われますけれども、このような事故はどこに起きるかわからない。未然に防止する体制から言いますならば、穴の部分と言われる二カ所もやはり今後の整備計画として当然決定されてしかるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  71. 木村睦男

    木村国務大臣 私も管制部長から詳しくこれについて報告を受けておりますので、先ほど航空局長が申し上げましたように、さしあたっては五十一年度中までに予定の八カ所は全部完了いたします。それに引き続きまして、いま管制部長が言っておりますような多少のこぼれがございますので、この辺をカバーし得るレーダーの設置ということを引き続きやっていきたい、かように考えております。
  72. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それが多少この法案に直接触れる面でありますが、特に今回は異常接近、ニアミスということが大きく国民の中でも関心を持たれるわけでございますが、このニアミスというのは、一体どういう状況を異常接近と言われるのか。それから、異常接近があった場合、先ほど斉藤議員も質問されたようでございますが、報告の義務ということですね。ニアミスの発生した場合にはこれを運輸大臣に報告しなくてはいけないということが義務づけられるようになっておりますが、このことによってどういうことが期待をされるのか。この二点について、局長の見解を承りたいと思います。
  73. 中村大造

    中村(大)政府委員 ニアミスの定義でございますけれども、これは四十六年に運輸省としてのニアミスの定義を定めまして、これを示達しておるわけでございます。  それで、ニアミスと申しますものは、飛行中の航空機相互間に空中衝突もしくは空中接触の危険がある状態、こういうことでございまして、しからばどれだけの距離以内に接近したらニアミスになるのかという具体的なかっちりとした距離の基準というものはございませんけれども、とにかく飛行中の航空機操縦者が衝突もしくは接触の危険を身近に感じたとき、そういう状態にあるときというのが定義でございます。  たとえば非常に接近いたしまして回避操作をすることが非常に困難な状態にあったというふうな状態あるいは相当無理な回避操作をしなければ衝突のおそれがあると直感した場合、こういうふうなことでございます。そのような、いわゆるニアミスと認められるケースになりますと、先生御指摘のようにこれを報告をいたさせることにしておるわけでございます。その報告を受けまして、われわれとしてはその一件一件について詳細に調査をするわけでございます。調査の結果は、そのときの状況を判断いたしますとニアミスでなかったかというふうに操縦者が判断いたしましたことについても、調査の結果はニアミスでなかったという事例が相当あるわけでございまして、四十九年におきましては調査をいたしました結果、ニアミスというふうな判定をいたしたものは一件でございます。しかし報告件数は相当数あったわけでございます。  私どもとしては、とにかく報告があればそれを調査いたしまして、その調査内容調査結果に基づきまして航空会社その他に対して具体的な指示をし、またその会社としての改善措置を報告させるというふうな行政指導をいたしておるわけでございます。
  74. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の割り振りの関係で次に進みますけれども、今回の改正の中で、これは横文字でありますけれども、フライトナンバーとかあるいは高度、速度をレーダーに記録するATCトランスポンダー、航空交通管制用の応答装置ということが張務づけられることになっておるようでございますが、これは現在使っている民間航空機あるいは航空自衛隊機にはどの程度この装備がつけられておるのか、その現状についてひとつ何機のうち幾らと簡潔に御答弁願いたいと思います。
  75. 中曾敬

    ○中曾政府委員 民間機の場合でございますが、まだ法律成立しておりませんけれども、私どもといたしましては実質上の行政指導をやりまして、つけてもらっておるのでございますが、定期運送に従事しております航空機につきましては、ほとんどがついております。ほとんどと申しますのは、実は近くリタイアが予定されておるような飛行機、そういった飛行機はつけましても余り意味がございませんのでつけておりませんけれども、それ以外の航空機につきましてはまずほとんどがついております。  それから自衛隊の航空機につきましては、自衛隊の方から御報告があるかと思いますけれども、民間機ほどにはついてないというふうに聞いております。
  76. 友藤一隆

    友藤説明員 自衛隊の状況でございますが、現在のところターボジェットエンジン航空機約八百機に対しまして五十六装着済みでございます。逐次予算措置等を行いまして現在装着の計画でございます。その他の航空機、ターボプロップあるいはピストンエンジン航空機等については現在まだ装着済みのものはございません。
  77. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ちょっと防衛庁にお伺いしますけれども、現在ファントムF4ですか戦闘爆撃機ですね、こういうふうな高速の戦闘機にはどうなっているのですか、お伺いしたいと思います。
  78. 友藤一隆

    友藤説明員 ファントム、〇四には現在装着しておりません。今後装着するということで現在計画をしております。
  79. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは非常に重大なことだと思うのですが、今回の法案改正においても、また特に自衛隊の場合非常に戦闘機種が次々に改まっていく、そうすれば当然言われているところのATCトランスポンダーの装備ということは喫緊の課題ではないかと思うのですが、これは民間の場合等は、特に、先ほどどなたか答弁されましたが、たとえば小規模経営の小型機等についても当然装備の義務がある。そうした場合にはなかなか装備の期間というものがかかるのじゃないか。あるいは財源的になかなか負担が重いのではないか。これの装備は一体一機当たりどの程度の経費を要するものか。同時にまた自衛隊関係としては、当然これは国家的な問題としても絶対に安全性を確保するという意味から早急に整備が行われなくてはいけないと私は思うのですが、航空局長並びに防衛庁側の御見解を承りたい。
  80. 中村大造

    中村(大)政府委員 一機当たりトランスポンダーの装備をいたします費用は、トランスポンダーの機械そのものの費用と取りつけ費用がございますので一概に申し上げられませんけれども、大体百五十万円前後というところかと存じます。それで運輸省といたしましては、そういうふうなトランスポンダー取りつけの義務を課することによりましていわゆる小型機業界、小さな業界でございますけれども、そういうものに対する財政上の援助というものをいたすために、五十年度の財政投融資の計画の中で、この航空法改正成立いたしますことを条件にいたしまして融資を考えておるわけでございまして、現在のところ、中小企業金融公庫と国民金融公庫から合計約五億の融資を大体十年ぐらいの償還期限で考えておるというところでございます。
  81. 友藤一隆

    友藤説明員 自衛隊といたしましても、航空安全の確保というのが第一の課題でございますので、本件につきましては、重点的にできるだけ早く装着するように現在措置を講じておるところでございます。  なお先ほどファントムに未装着と申し上げましたが、ただいま調査いたしましたところ、ファントムにはついており、〇四にはまだついておりません。したがいまして、必要なものにつきましては逐次予算措置等精力的に行いまして装着するように努めてまいりたいと思います。
  82. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これに関連しまして特に航空管制の一元化ということとただいま申し上げましたような飛行機に備えつけるATCトランスポンダーなどこういう装備が相まって、私は完全な航行の安全が確保できると思うわけでございますけれども、聞くところによりますと、航空管制の一元化ということは西欧諸国においてはもうすでに十年前から軍民共用による管制の一本化ができている。ところが日本の場合は、民間と自衛隊の間においては、いわゆるバッジシステムによってなかなか防衛庁側に大きな障害と抵抗がある、こういうふうに聞いているわけでございますが、先般たしか防衛庁からも、この西欧諸国の視察にもどなたか行ったやに新聞報道されておりますが、そういう状況から見て、特に今後民間と航空自衛隊の関係において、一切のトラブルと各種の事故を防ぐという点からも、私はこの管制の一本化ということは当面の緊急な課題じゃないかと思いますが、この点については特に運輸大臣の見解と防衛庁当局の見解を承りたい。
  83. 中村大造

    中村(大)政府委員 航空管制の一元化ということでございますけれども、私どもの理解しております限りにおきましては、いわゆる航空管制というものは、これは運輸大臣が行うということになっておるわけでございます。ただ、自衛隊が管理いたしております飛行場の管制というものについて自衛隊にその管制を委任するということでございます。したがいまして、委任されました管制というのは、当然この一般的な共通の方式、基準によって行われておるということでございまして、またそういう委任した管制業務につきましては運輸大臣がこれを統轄するということになっておるわけで、そういう意味では管制の一元化ということはこれを保持されておるのではないかと思います。問題は、それをどのように正確にスムーズに運用するかということでございまして、これは運輸省防衛庁ともに今後とも連絡を密にいたしまして、間違いのないようにいたしてまいりたいというふうに思っております。
  84. 木村睦男

    木村国務大臣 いま局長が申し上げましたように、いわゆる一番問題の航空路の管制運輸省が一括をいたしてやっておるのでございます。ただ自衛隊の管理しておられる飛行場等の管制、そういったものは自衛隊がやっておられますが、航空事故に一番重大な関係のあります航空路の管制運輸省が一本でやっておりますけれども、しかしいろんな面で今後とも自衛隊と運輸省とは綿密に連絡をとりましてそごのないように、またそれがそごがあって、これが航空事故の原因にならないように、その点は十分お互いに気をつけながら協議をしてまいりたいと思っております。
  85. 友藤一隆

    友藤説明員 自衛隊といたしましては、バッジシステムを保有しておるわけでございますが、これは御案内のとおり、自衛隊法八十四条の規定によります対領空侵犯措置といたしまして、法令等に違反いたしましてわが国の領空に侵入をいたします航空機等に対する措置でございまして、そのための警戒、監視というのが本来の目的ということで設置をされておるわけでございます。したがいまして、本来航空交通それ自体の一元化という点からは特に影響はないというふうに考えておるわけでございますが、ただ、私どもが任務を遂行いたします航空機もやはり航空路を横断いたしましたり、あるいは日本の上空を飛ぶということには間違いございませんので、こういった点、先ほど来運輸省からお話がございますように、そのための飛行管制あるいは出発進入管制、こういった点につきましては共通の基準を設けまして、いささかも民間航空の安全を阻害するというようなことがないように私どもも努力をいたしております。  以上でございます。
  86. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの防衛庁答弁でも、特定な場合を除いては一元化については賛成できるというふうに私は受けとめるわけでございますが、特に今後のこの法案改正の目的というのが、やはり私は管制の一元化というのと相まって、ほんとうの航空の安全が守れるというように理解をするわけでございます。加えまして、さっき一緒に聞くところでありましたが、米軍関係の航空路と民間とのコントロール、これは一体どういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  87. 中村大造

    中村(大)政府委員 米軍につきましては、いわゆる地位協定に基づきます提供施設ということで、いわゆる訓練の場というものが設定されておるわけでございます。そういう場といわゆる航空路あるいはジェットルート、こういうものとの関係につきましては、先ほどから申し上げましたような、いわゆる訓練空域と航空路との完全な分離という原則はいささかも変わっていないわけでございます。  それからこの航空法の適用につきましても、いわゆる適用除外がございますけれども、事管制に関してはすべてこれを適用するということになっておるわけでございます。そういう意味では、航空交通の安全を確保する意味において、あるいは民間航空の安全を保持する意味において、遺憾のないように措置がされておるというふうに御理解いただいていいと思います。
  88. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、もう時間が余りありませんが、今回の法案改正騒音基準の適合証明制度、こういうものが出ておりますが、この証明制度のいわゆる目的というものは一体どうなのか。同時に、この法案を見ておりますと、経過措置としての規定がありまして、現用機の大部分適用除外になっているというふうに理解するわけでございますが、もしそうだとするならば、これは実質的にはこの制度そのものが余り効果が期待できないのじゃないかというふうにわれわれは理解するわけですが、その辺の見解はいかがでございますか。
  89. 中村大造

    中村(大)政府委員 今回発足させたいと思っておりますこの騒音基準適合証明制度、これはいわゆる最近問題になっております騒音対策の中では、いわゆる音源対策と飛行場の周辺対策、この二つが大きな柱になるわけでございますけれども、このいわゆる音源対策、航空機エンジンの発生源から音を小さくする、こういう目的のために、その方向を促進するということのためにこの制度を設定するわけでございます。法律に基づきまして一定の騒音値以下であるということを証明する今回の証明制度を発足させることによりまして、できる限りいわゆる低騒音航空機の開発を促進するということと、そういうふうな開発されました航空機をできる限り導入するあるいは現在の航空機とかえる、こういうふうな機運を促進させる、それを法律の面で促進させる、こういうところに大きなねらいがあるわけでございます。これについて経過規定があるわけでございますけれども、この経過規定は、当然現在すでに運航をいたしております航空機は、それぞれの輸送力というものを確保する意味において重要な役割りを果たしておるわけでございますので、これを一朝のもとにかえてしまうということはなかなかむずかしいわけでございます。そういう意味で経過規定というものは当然必要になるわけでございますけれども内容は決して骨抜きになっておるわけではございませんで、現在わが国で運航いたしております航空機の、ジェット機の型式を見ますと、特に幹線ルートを運航いたしておりますエアバス、大型機でございますが、これはすべてこの騒音基準に適合いたしておるわけでございます。またボーイング727、737というふうな機種につきましても、これを改造することによってこの騒音基準を達成することができるというわけでございます。したがって、機種といたしましては、現在割合多く使われておりますDC8とB707、これが基準に適合しない、あるいはこれは一朝一夕では基準に適合するような改造は不可能である、こういうような観点で経過規定を設けておるわけでございます。  しかしながら、この経過規定につきましても、これが改修によりまして騒音値を基準以下に下げるとができるというふうになった場合には、この経過規定というものは消滅らせるということでございます。また、同程度の輸送力、性能を持つ機種で、別の機種でこの騒音値を基準以下に下げる機種があらわれました場合にはそれに代替させるということで、これまた経過規定をやめる、こういうふうな前提条件で必要最小限度の経過規定を設けておるということでございますので、決して骨抜きになっておるということはないと確信しておるわけでございます。
  90. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に、騒音公害に関連しまして、地元の問題で恐縮ですけれども、宮崎空港の騒音対策、これをめぐりまして、拡張問題等含めていま非常な対立が起きているわけでございますが、騒音関係の対策と、それから先般漁業協同組合等が反対をしておりました海流調査が行われたと聞いておりますが、これについてはどういうような対策をとっているのか。  それから同時に、空港の拡張問題についてもあるいは騒音問題でも、単に民間ジェットだけでなくして航空大学の練習機もかなりの量が飛んでおります。そういう点等からやはりこれらの軽減措置、さらにまた、私は、拡張につきましてはやはり十分住民の意思を尊重しながら、きちんとした手続、手順を踏んで、決して強硬な措置をとるべきではない、こういうふうに考えるわけでございます。  それからもう一点は、同じ空港内にある航空大学の件でございますけれども、この点につきましては、聞くところによりますと、本月の十二日卒業式をやりまして、四十一名でございますかが卒業したわけでございます。これは入学のときにも非常に厳しい競争の中から入ってきて、そして相当訓練を受けながら巣立つわけでございますが、たしか四十五年でございましたか、運輸政策審議会でも、今後さらに航空大学は整備し、拡充するという方針も出されておるやさきに、これではすでに今年入学した連中にとっても非常に不安があると思うのですが、この空港の騒音問題、拡張対策あるいは航空大学関係の卒業者の就職関係、この点について局長並びに最終的に大臣のまとめの御見解を承りたいと思います。
  91. 中村大造

    中村(大)政府委員 御指摘の宮崎空港の拡張整備でございますけれども、これにつきましては、地元の住民あるいは関係漁業組合等につきまして、滑走路の延長について反対があるということは、われわれもよく承知いたしておるわけでございます。したがって、この計画を実施するに当たりましては、当然のことながら宮崎県の県当局の意見を十分に聞き、また地元住民の理解と協力というものを得なければならないわけでございまして、その前提として、騒音対策あるいは漁業補償というふうないわゆる地元対策というものは、これはきめ細かく十分にやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  騒音対策費につきましても、来年度も相当額を予定いたしまして、地元の協力によりまして防音工事、移転補償あるいは教育施設の防音工事というようなものを進めてまいりたいというふうに思っております。  それから航空大学校の件でございますけれども、これの運用につきましても、騒音問題というものにつきましては、われわれとしてはできる限りの配意を払いまして、地元に御迷惑のかからないようにやってまいりたいと思っております。  それから卒業生の件でございますが、確かに、最近の乗務員に対する需給の状況というものは、一般的な経済の動向を反映いたしまして非常に厳しくなってきておることは事実でございますけれども、この問題についてわれわれはやはり長期的に考えなければなりませんし、また航空大学校というものはやはり乗員養成の根幹であるというふうに考えておりますので、その教育内容、養成の計画等につきましてはいろいろと再検討をしなければならない点もございますけれども、あくまでもやはり乗員養成の基幹として、中心としてこれを内容を充実していく必要があるというふうに思っておるわけでございます。ことし四十一名の卒業生は、最近各社の採用試験が行われたわけでございまして、われわれといたしましては卒業生がその所を得て就職が可能になりますように、これも当然できる限りの努力をしてまいりたい。また、学生に対してそのために不安を起こさせないように努力をしていく必要があるというふうに思っているわけでございます。
  92. 木村睦男

    木村国務大臣 空港の整備につきましては、今後ともわが国航空交通の観点から長期計画をもって整備をしてまいる方針でございますが、そのときに必ずいままでより以上に環境の整備が問題になってきておることは御承知のとおりでございまして、特に運輸省といたしましてもこの点は非常に重要視をいたしておるわけでございまして、やはりこの地域の住民の方の理解も必要でございますし、また御協力も必要でございまして、これがなければ満足な空港整備はできないと思っておりますので、いま宮崎の問題につきまして航空局長が申し上げましたが、申し上げましたような方向で十分配慮もしてまいりたいと思っております。  それから航空大学の問題ですが、ただいま景気がこういうふうな停滞状況で、航空事情も少し悪いんでございますけれども、しかし、私は、長い目で見ました場合に、日本航空事情というものは必ず再び好転するときが来ると思います。特に操縦士等は長い間かかって養成しなければ、短時間でできるものでもございませんので、航空大学の募集なり人員等については、その時期、時期で弾力性をもって考えるべきだと思いますけれども現実にあそこで勉強をいたし、また技術の習得をしておる学生につきましては、卒業後の就職その他につきましては、航空会社と十分連絡をとりまして、せっかく身につけた知識なり専門技術というものが生かされるように配慮をしてまいりたいと思っております。
  93. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に一問だけ。  いま大臣答弁の中で、航空会社等の諸般の状況、こういうことを言われましたが、中でも、一昨日の日経新聞でも指摘されておりますように、特に国の出資機関である日本航空の経営問題について、経営改善要求という機構の中からも出されておることが出ておりますが、これについては、時間がありませんけれども、たとえば減価償却の問題、国内線を七年から十四年あるいは国際線を六年から十二年とか、また航空協定の見直しを行い、さらにまた過去の蓄積の取り崩しなりあるいは減価償却費の変更、こういうもの等についてもかなり内容的に改善ができるということが指摘をされておるわけです。これは特に国の出資機関である日航でありますので、こういうような問題も、今後のこういう経営赤字ということがひいては全体的な人員構成の引き締めによって航空安全にも重大な支障をもたらすものとして、この際大臣としても経営内容を十分検討していただきまして、そして国民の期待にこたえるような航空行政ができますように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 木村睦男

    木村国務大臣 日本航空につきましては、現在三百億近い赤字になりそうであるということで、われわれも非常に心配をいたしておりますが、幸いに日本航空自体も引き締めといいますか対策を熱心に、具体的に立てていませっかく努力をしておるときでございます。われわれも、政府出資の国策会社でもございますし、いま兒玉委員の言われましたような点も十分検討いたしまして、まだ崩れてはおりませんから再建という段階ではございませんが、現在の危局を乗り切れるように大いに指導もいたしますし、また手助けもしてやりたい、かように思っております。
  95. 木部佳昭

  96. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは航空法の一部改正の問題について、これからいろいろ幾つかの質問を申し上げたいと思うわけでございますが、まず最初に、雫石におきます空中衝突事故によって百六十二人の人命が失われたわけでございますが、改めて哀悼の意をささげたいと思います。同時に、この事故によっていわゆる航空法改正問題まで事が進んできているわけでございますけれども、先般の三月十一日におきます裁判の結果を見ますれば、その事故の起こった原因究明ということが一つの大きな課題として裁判が行われたわけでありまして、しかしながら、この裁判の結果を見て、さらに運輸行政のいろいろな責任が追及されていることも事実でございます。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕  まず、私は運輸大臣にお伺いをしたいわけでございますが、この百六十二名の人命が失われた大きな事故に対して行政上の責任というものは一体どううあるべきなのか、そういう本質的な問題について、一体運輸大臣はどのようにお考えになっているのか明らかにしていただきたいと思うのでございます。また、いままでの行政上の不備から起こってくる責任もございましょうし、またこの百六十二名の人命が失われたということにかんがみて、いわゆる航空行政はどうあらねばならぬかというような問題に発展をすべきが当然であると思うのでございますけれども、そういった問題を含めて、また大臣の決意も含めてこの問題に対する行政上の責任とは一体何か、こういう本質問題をお答え願いたいと思います。
  97. 木村睦男

    木村国務大臣 雫石航空事故につきましてはせんだって第一審の判決が出たようでございますが、私は、改めてそのときに犠牲になられました方々またその御遺族に心から哀悼の意を表したいと思います。  われわれは、あの事故につきまして刑事責任がいずれにあるかということの判決でございますが、それ以前の問題といたしまして、あの判決の中にも運輸省航空行政に対するいろいろな指摘が出ております。われわれも反省をいたしますときに、必ずしも航空行政につきましてたとえば自衛隊との協調、連絡、そういう方面が完璧にいったとも思っておりません、いろいろ反省すべき点がたくさんございます。それらの点を直しまして、そして将来にわたって再びああいった事故の起こらないようにすることが責任をとるゆえんであろうと考えておるのでございます。あの事故が起きまして直後、航空専門家の方々にいろいろと今後の航空行政のあり方について、また航空安全の確保につきましていろいろな御意見をちょうだいをいたしました。それらをもとに航空法改正も計画をいたし、引き続き今日継続審議の形で御審議をいただいておるのでございますが、この法案が一日も早く成立を見ますことがやはりあのときの犠牲者にお報いするゆえんであろうかと私は思いまして、一日も成立の早からんことをこいねがっておるわけでございます。三年近くの日にちは過ぎましたけれども、その間この法案に盛られておりますような改善事項につきましてはあるいは防衛庁と十分に協議を遂げ、あるいはその他の施設等につきましても、事実上は行政指導で逐次やってまいっておりますが、どういたしましても、この法律が一日も早く成立することがさらに一層航空安全機構を推進してまいります上に重要であると考えております。今後さらに一層この点につきましては十分配慮をいたしまして、再びああいった事故のないように航空行政を担当する者を挙げて努力をする覚悟でございます。
  98. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣の決意を伺ったわけでございますが、私は、こういった問題が起こった行政上の責任という問題を、航空の安全を期するということは、さらに具体的な行政上の措置がどんどん講じられていかなければならないと思うわけであります。そういった意味において航空法の一部改正については、私たちも当然そうなければならぬというふうに考えておりますけれども、いままでの社会党各委員質疑を伺ってみても、そういった大臣の決意とはうらはらに、三年七カ月も経過しながら解決さるべき問題がまだまだ停滞をいたしておるというような問題を指摘せざるを得ないと思うのでございます。たとえばいわゆる航空管制をするために全国八カ所の拠点が必要であると言われておりますけれども、その半分しか実施されていない。さらにまたあとの半分については土地の入手について困難がある、あるいは道路をつくらなければならない等の隘路があるというふうに御説明は承りましたけれども、そういった問題が、一体どこまで運輸省として真剣な努力がなされたのかということについては本委員会でも承っておりませんし、また新聞紙上等においても運輸省のそういった努力というものはほとんど出ていないわけであります。  そういうような状態では、私は亡くなられた遺家族の方々は納得しないと思うのですが、まずお伺いをいたしますけれども、こういった八カ所の管制の拠点を整備するという問題がなぜ今日までおくれたのか。また運輸省として、大臣のいまの決意もあったわけでございますから、少なくともきちっとした期日のめどを立てて、そういったものを明らかにしていく必要があるのじゃないか。遺家族の方にもそういった意味におきまして、これは釈明をする必要がある、事実の上で釈明をする必要があるのではないか、こういうふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
  99. 中村大造

    中村(大)政府委員 雫石事故の教訓を生かしまして、この法律改正はもちろんでございますけれども、行政上の措置としてなし得ることは、いろいろとやってきたわけでございます。その点については、われわれ相当程度これを実現し得たと思っているわけでございます。  ただ、先ほど来から申し上げておりますように、監視レーダーにつきましては、残念ながら四十九年度中にこれを完成することが不可能であるということは、われわれの努力がなお足りなかったというふうに反省をいたすわけでございますけれども、ただ客観的にいろいろな困難があったということでございます。これについては、先ほども申し上げましたように、現段階ではそういうふうな問題が解決をいたしましたので、鋭意これから完成を急ぎたいということでございます。したがって、五十一年度中には全部これを完成するということで努力をいたしておるわけでございます。
  100. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 監視レーダーの五十一年完成ということが、めどがはっきりしたわけでございますが、同時にまた、この民間航空路の安全を確保するために、現在の科学技術の上からいって、最もベストな状態というものは、この監視レーダーの整備を含めて、どういうような目標を設定しておられるのか、ここら辺のところは明確になっているのでしまうか。
  101. 松本操

    松本説明員 お答えいたします。  先生御指摘の航空管制の近代化の一応のめどをどこに置くかという点につきまして、雫石事故を契機とし、私ども航空審議会に特にこの点を諮問をいたしました。当時考え得る技術上のあらゆる可能性を含めて検討をお願いしたわけでございます。  その結果、まず、問題になっておりますように、八つの監視レーダーで主要な航空路をカバーする。次に、このレーダーで得られました情報をコンピューターで処理をいたしまして、この処理をいたしました結果をレーダーの画面の上に出すようにする。それから次に、現在管制をいたします場合にフライトプランというものを出しております。このフライトプランに基づいて管制が現在行われておりますが、その作業が東京管制部内だけはコンピューターで計算が行われております。しかし、そのほかの管制部についてはいまだしでございますので、これを全国的に広げる、つまり札幌、東京、福岡、那覇の四管制部すべてにつきまして、フライトプランをコンピューターで処理をするようにする、これが第二番目でございます。  次に、管制をいたしますためには、管制官がパイロットと絶えず無線で連絡をとりながら管制をいたさなければなりません。ところが、その事故当時の時点で申し上げますならば、管制官とパイロットとの間の直接交信が必ずしも十分にとれないという空域が日本国内に何カ所かございました。したがって、ここをカバーいたしますために、遠隔制御対空通信施設、やや長ったらしい名前でございますが、そういうものをつくる、それを使って管制官はパイロットと直接随時交信ができるようにする、これにつきましてもこの計画の中に取り込んでございます。  それからさらに、先ほど申し上げましたように、飛行計画、フライトプランというものが管制のすべてのもとになりますので、これが迅速かつ確実に所要の管制機関に配布されなければなりません。これも従来は機械的な中継装置あるいは手動の中継装置、こういうものを使っておりましたが、これを全面的に電子計算機を使った計算装置に切りかえる。  最後に、大きな空港におきましては、やはりレーダーをつけておりますが、このレーダーも同じようにコンピューターで処理をいたしまして、コンピューターで処理された、われわれ荷札つきと言っておりますが、荷札つきの映像をレーダーの画面の上に出す、こういうふうに持っていく、これが全体的な計画でございます。  そこで、先ほど来御指摘をいただいておりますように、この八つのレーダーという点についてはいささか予定がおくれまして、来年度中に五つ、五十一年度中に完成、こういうことでございますが、いまのコンピューターを使う諸般のシステムにつきましては、技術的な難点はほぼ全部解決いたしました。現在、コンピューターを含め、これらの施設の整備を行っております。ただし、これらの施設は現在の管制部には入りませんので、新しく管制部を建てる。これは那覇は新設で、すでに終わりました。東京は現在建築中でございます。福岡につきましてはきわめて近く入札に入る。札幌も同様でございます。  それから対空通信につきましては、ほぼ一応満足すべき状態にまで整備を終わっております。  それから、ターミナルのレーダーをコンピューター化することにつきましては、すでに東京、大阪のターミナルレーダーにつきましてコンピューターのつなぎ込みを終わりまして、現在試運転の段階まで参っております。  フライトプランを電子計算機で通報するシステムにつきましては、ネットワークのうち、東京と福岡と大阪につきましては、ほぼ完了いたしました。あと那覇、千歳というところに追加的に設けたい、こういうふうな状況まで至っておるのが現状でございます。
  102. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いろいろ御説明をいただきました。ただし、これは民間航空に関するそういう問題だと思うのです。自衛隊との一元化も各委員の発言の中に出てきたわけでございますけれども、そういった問題も含めて、そこまで全部完備されておりますか。
  103. 松本操

    松本説明員 自衛隊の問題につきましては、先ほど来大臣及び局長からも御説明がございましたが、私の立場から技術的に問題点をしぼって申し上げますと、二つございまして、一つ管制というものが一つのルールのもとに、一つの空域については一人の管制する者しかいないという原則が守られるかどうか、これが一番大きゅうございます。航空路につきましては、先ほど私が御説明いたしましたような施設を使いまして、運輸大臣が一元的に完全に一人でやっております。ただ、飛行場は、自衛隊の使っております飛行場及びその周辺につきましては、航空法の定めるところに従いまして、防衛庁長官にその権限を委任してございますが、同じく航空法の中にこの委任業務に関する統制の規定がございます。自衛隊の管制官といえども、私どもの方の検査官、試験官が参りまして、試験をいたします。これに合格しない限りはレーティングを出しません。さらにまた、安全監察官というものが私どもの方におりまして、これがわれわれの空港であると自衛隊の空港であるとを問わず、定期的にまたは随時監察に参りまして、いささかたりとも諸方式に欠けるところがあればこれを指摘する、こういうふうな形でやっております。  もう一つの面につきましては、施設の共用ができないかという点でございます。しかしながら、これは先生承知のように、民間機の場合には、たとえばVHFという超短波で通信をする、自衛隊機の場合には多くUHFという極超短波で通信をする、このようなことでございますので、私どもの方は必要な空港施設等にはUHFとVHFと両方の施設を持っております。自衛隊機が呼んできても民間機が呼んできても、適宜管制ができるように措置をしてございます。  レーダーにつきましては、本質的に自衛隊の装備されておりますレーダーと私どもがつくろうとしております航空レーダーというものは、性格、ねらいが違いますので、これの流用につきましては、技術的な面からあらゆる検討を過去半年ばかりしたわけでございますが、これの流用よりは、むしろ運輸省が独自に本来の目的に沿ったものをつくるべきであるという結論を得まして、そのように処置をしてまいっておる次第でございます。
  104. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この管制は一ルールで行うべきが私も原則のように思うのでございますけれども、話に聞いたところによりますれば、外国等においてはそういう例がある、かなりそういった問題は進んでおるというふうに聞いておるのでございますけれども外国との比較の問題についてこの辺の事情を御説明いただきたいと思います。
  105. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいました外国の例というのは実は幾つかの形に分かれておりますので、私実はそこまで明確には御説明できるほど資料を詳しく積み上げておりません。しかし、たとえばアメリカの場合について申し上げますならば、FAAと申すものが私ども航空局に相当するかと思います。連邦航空局でございます。これが民間の管制をいたしますと同時に、アメリカの空全般の管制についての根源となっておる。軍の飛行場につきましては軍の飛行場の管制というものが行われておりますが、その管制をいたします場合の技術的な基準、これらはすべてFAAの規定をもとにしたものであるというふうに私は承知しております。それから幾つかの空域におきまして民間の空港と軍の空港が共存しておりますような場合に、どちらかが一本でやった方が技術的に安全確実であるというふうな場合には、これはその都合によりどちらかが一本化して行っておる。これを技術的な言葉で呼びますとコモンIFR、こう呼んでおりますが、こういうふうな場合にはFAAがやる、あるいは軍がやるというふうなやり方をとっておる。それからさらにまた軍とFAAとの間に緊密な連絡網を持っておりまして、必要に応じ軍用として一応区画されております空域でありましても民が必要な場合にはこれを流用する、こういうふうなやり方もアメリカにおいては行われておるようでございます。  ヨーロッパにおきましては、これまたお国ぶりがいろいろ違いまして、高高度については軍が持っておる、あるいは高高度の特定のルートについては軍が直接管制をする、国によっていろいろな形があるようでございますので、一概にどうこうと申し上げかねる次第でございますけれども、おおむね低高度の管制、つまりFIRの低い方の管制、これにつきましては日本と同様、やはり運輸大臣あるいはこれに相当する部局が一元的に管制を行っておる、こういうふうに私は承知しております。
  106. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣にお伺いをするわけでございますけれども、この管制の一ルールのいわゆる方向といいますか一元化の問題については一体どちらが主導権をとっていくべきものというふうにお考えなのか、この辺は運輸省どうでしょう。
  107. 木村睦男

    木村国務大臣 これはいま管制部長が申しましたように、すでに運輸大臣でことに航空路の管制等は一元化いたしております。一部自衛隊の飛行場等の管制を自衛隊等でやっております。しかしルールは共通のルールでやっておりまして、その点で調整がとられ、また航空事故等につきましても事故の起こらないような仕組みにいたしておるのでございまして、今後とも運輸大臣が一元化していくという方向には変わりはないという状態でございます。
  108. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それに関連をしてくるわけでございますけれども、前回の航空事故調査報告書、四十六年七月三十日、これの勧告のところを見ますと、その四番目に「航空保安に関する業務について、運輸、防衛両省庁間においては、人事の交流、航空保安施設の共用等なお一層の協調を図ること。」こういうふうな勧告が行われているわけでございますけれども、この勧告が行われた以後どのように状況が推進をされておるのか、この点の報告を受けたいと思います。
  109. 中村大造

    中村(大)政府委員 この勧告を受けまして具体的にどのような人事の交流をいたしましたかという点につきましては、これはどういう部署において交流をするのが適切であるかどうかということについては、これは一概に申し上げるわけにいきませんので、したがって、現在までのところ特に目立った人事の交流ということはいたしておりません。ただ、要は、防衛庁運輸省が共通の場で、同じ基準で、お互いの持ち分でこれをスムーズにやるということでございますので、この点についての連絡協調というものは、これはもう非常に円滑に行われておるというふうに私は信じております。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 しかし、お言葉を聞きますればかなり協調ムードで、しっかり航空の安全については協議が行われているように思われますけれども、これはもうすでに何回も話題になっておりますたとえば成田空港を開港するに当たって、いわゆる自衛隊の訓練空域という問題と民間航空の現在行っているものは交差をするではないか。そういった問題はちっとも煮詰められていないように伺っておるわけです。これは予算委員会等においてもこういう問題、たしか話題になったはずでございますけれども、そのときの答弁の状況を新聞等で見ましても、こういう問題については一向に解決がされていない。     〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 防衛庁が要求するところのいわゆる百里の訓練空域というものと民間航空が飛来をする航路というものは、必ず交差するというような問題がいまだに解決をされておらないわけでしょう。そういうところを見ると、非常に言葉の上では協調ムードでやっているように見えますけれども、そういった問題が何年間にわたっても解決をされないというのは、お互いにやはりそういう立場を主張して、なかなか相譲らぬのではないかというような印象が一般にも与えられるのではないかと思うのですけれども、ここら辺の問題ももうすでに何回も協議が行われたと思いますけれども、解決の方向に来ているのでしょうか。いかがですか。
  111. 中村大造

    中村(大)政府委員 百里のこの訓練空域の問題につきましては、先ほど来から申し上げましたように、百里沖を初めといたしまして数カ所防衛庁から新しく訓練空域としての設定を要望されているところがございます。これについては現在協議を進めておるところでございます。両省といたしましては、要するに緊急対策要綱に定められましたこの空域の分離といいますか、それと民間航空の安全な運航、こういう諸条件をどのようにして満足させてそれぞれのところを得させるかということについてむしろ前向きに協議を進めておるということでございます。問題は、具体的な解決を図るためにはいろいろな検討事項がございますので、それを検討をいたしておるということであって、決して両省の間に対立があるとか意思の疎通が図られていないということのために具体的な解決がおくれておるということではないというふうに申し上げられるかと思います。  それから、先ほど私、具体的な人事交流はいたしておらないというふうに申し上げましたけれども運輸省から防衛庁の方に職員は出向をいたしております。また自衛隊の方からも運輸省に職員を割愛していただいておるというふうな、そういうふうな人事交流はいたしております。ただ、たとえば本省の何局の何課長がというふうな、そういういわゆる大向こうをねらったような人事交流ということはいたしておりませんけれども、もっとじみに効果の上がる交流はいたしております。  それから連絡会議というものはしょっちゅう開いておりまして、意思の疎通を図っておるということを御報告申し上げます。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、この成田空港の離着陸の飛行コースについて、いつごろをめどに検討を進めているのか。たとえば昨年度においては成田空港の問題、いわゆる飛行コースの問題について何回ぐらい協議が行われましたか。
  113. 松本操

    松本説明員 成田空港の離着陸コースの設定につきまして、防衛庁との関連につきまして、もちろん問題がございました。しかし、この点につきましては、現在最終的な詰めの段階と申していいようなところまで話が煮詰まってきておるというふうに申し上げられるかと思います。むしろ成田空港が、御承知のような内陸空港でございますので、再び大阪のような騒音問題等を起こしてはならない、こういうことから、その離着陸コース、出発進入経路、こういうものの設定につきましては、地元の御理解を得つつ、十分な配慮をしていかなければなりませんので、その点についての私どもの苦心というのは、正直申し上げますと、実はウエートが高うございます。確かに、防衛庁との間の問題というのが前にあったことはあったわけでございますが、それは争点を挙げて互いに主張するというふうな問題ではなくて、いわゆる技術的な問題点としてとらえられましたものにつきましては、先ほど冒頭申し上げましたように、ほとんど解決してしまっておる。ただ御質問の、じゃ、最近半年に何回やったかということになりますと、ちょっと私、そこまで明確に記憶をいたしておりませんので、御了承ください。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大分技術的には詰まっているようでございますから、その点は了解をいたします。  それから、話は変わりますが、この航空法の一部改正の中に、七十一条ですか、見張り義務の問題が設定をされたわけでありますけれども、人為的な見張り義務を課しているわけでございますけれども、一体、人間の眼を中心にしてというような問題は、きわめてこれは付随的な問題でございます。しかし、そこまで設定をされたわけでございますので、一体基本的に何キロ離れているところまでそういう見張り義務というものを想定していらっしゃるのか、あるいはその間何秒くらいの、飛行機が接近すると仮定をして、何秒以内までは肉眼で監視をし得るというふうに考えていらっしゃるのか、そこら辺のところをちょっと教えてもらいたいと思います。
  115. 中曾敬

    ○中曾政府委員 この問題につきましては、雫石事故事故調査委員会の報告書をまとめられました委員会の場におきまして、いろいろと外国の文献その他研究をなさったようでございます。その文献を私ども拝見しておるわけでございますが、それによりますと、たとえばジェット機なんかの場合、向こうからジェット機が来ます。その際に、人間が視認し得る距離でございますけれども、これは大体、天気のいいときには十四キロメーターくらい。たとえば727なんかのジェット機の場合ですね、十四キロメーターくらい先のジェット機を視認することができる。そこで大体ジェット機といいますのは、時速九百キロ近くあるかと思いますけれども、十四キロメートルの距離を隔てまして、相互に接近してまいりますときには、約三十秒くらいで結局一緒になる、そういう計算になるわけでございますが、さて、それに対しまして、一体パイロットがそういった相手方の飛行機を視認してからどのくらいの時間を経て回避をする動作ができるかどうかという問題でございますけれども、非常にパイロットの個人差によってその点は違ってくると思いますけれども、非常に勘のいい、非常に条件がいい、そういうふうな状態におきましては、大体五秒ないし七秒くらいで、視認をいたしましてから回避の動作が終了するというふうなことが言われております。そういう優秀な――何と言いますか、条件のいい状態下におきます場合がそうでございますけれども、そうでない普通の場合におきましては、平均的な操縦者の場合におきましては、これが大体十四秒ぐらいかかるというふうに文献には示されております。したがいまして、視認いたしましてから約三十秒ぐらいかかるわけでございますので、その間において十分回避動作は行い得るというふうなことが書いてございます。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは話題をもう一度転じまして、基本的な問題でお伺いをしたいわけでございますけれども、運輸行政全般の問題についていろいろ考えて見まするに、たくさんの問題があるわけですが、その中の一つにやはりローカル航空の問題があると思うのですね。いわゆる離島から離島を結んでいる航路、こういうような問題、どうも運輸省の扱いが私どもには非常に不明朗に感ずるわけなんでございますけれども、たとえば日本近距離航空株式会社ですね、この問題等については、これはいわゆる運輸省の肝いりで近距離航空が設立をされたというふうに思われているわけでございますが、特にローカル航空対策というものは今後ともこういう形でやっていくのか、いわゆるこういう航空会社をつくったけれども、これは当分の間黒字になる見込みは全くないでしょう。それなのに赤字にならなければ、そういった会社全体の赤字がなければ、航空運賃ですか、いわゆるその会社の営業実績を見て、そううして補助金を出すとかいうような形をとっておるようでございますけれども、元来、いまの日本航空業界の実態からいきましても、こういうローカルを結んでいる飛行機というのは採算がとれないというのが実態じゃないかと私は思うのですけれども、そうすると、わざわざ赤字が想定をされる会社をつくって、そしてそれを維持していかなければならないというようなこと、あるいはまた、ローカルを結んでいる飛行機は赤字であるけれども会社全体は黒字だから援助しないのだというような形では、これは私は今後ともローカル航空業務というものを確保することは非常にむずかしいのではないか、発展させることはむずかしいのではないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがですか、この問題。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
  117. 中村大造

    中村(大)政府委員 いわゆるローカル路線、特に離島航路を中心として運営するための近距離航空株式会社、去年発足いたしたわけでございます。先生御指摘のように経営状態が非常に苦しい状態でございますけれども一つは昨年の八月からやっと運航を開始したということで、やっといわゆる運航が軌道に乗ってきた、こういう段階でございます。この離島を中心といたします航路については現在いわゆる補助というものは、この航路に用います航空機を購入いたしますときの購入費の補助というものを現在制度としてとっておるわけでございます。将来こういうふうないわゆるローカル、特に離島、こういうものを結ぶ路線についてどのようにこれを運営させていくかという点については、いろいろな検討をしなければならない点はあるわけでございます。私どもといたしましては、この問題はきわめて重要な問題であるというふうに受けとめておりまして、できるだけ早い機会にこういう路線についての運営体制について一つの方向を見出したいというふうに現在鋭意検討を続けておるという段階でございますので、しばらくのお時間をちょうだいいたしたいと思います。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう少しこの問題はっきりさせてもらいたいのですが、ぼくらから見ますればこの会社自体をつくることがちょっと無理なんじゃないかという感じがするのですね。出資金等を見ますと、全日空、東亜、日航、それぞれ出資をさせておるわけでしょう。日航なんかは今回のいろいろな新聞を見ますと、大変な赤字が出るというようなことも報じられております。     〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 そうしますと、その赤字の出そうな会社から、またさらに赤字が出る会社へ出資をさせるなんというのは、われわれの常識からいけばきわめてナンセンスなやり方じゃないかと思うのですね。確かに地方のそういう足を確保するためにこういうような業務というのは必要であることはわかりますけれども、私は、そういう会社運営という問題から見ますと、こういう会社なんというのはいまの方針のままでいけば半永久的に黒字になるということは考えられない。そういう会社をつくるにも安易に各航空会社から出資をさせて、いままでやっておるんだからきちんとさせなければならぬからとにかく会社をつくってやらせようというような態度に見えてしようがないわけです。さらにまたバスの問題なんかを考えてみましても、これはいつか私も指摘をいたしましたけれども、やはり僻地のバス、倒産をしたところがございます。会社が赤字になるまで補助をしないというような行き方では、企業体それ自体はにっちもさっちもいかぬわけでしょう。赤字になれば補助をしてもらえるけれども、赤字にならなければ運営をしていかなければ運営をしていかなければならない。仮に一万円でも黒字になれば黒字になっているじゃないかというようなことでは、そういう企業体を育てていかなければならない、あるいは僻地の足を確保しなければならないという立場に立って考えてみますと、それは全くのナンセンスですと思わざるを得ないわけでありまして、大臣、この問題も、僻地の足を確保するためには企業体との関連をどういうふうにしていくかという原則を早急に立ててもらわなければいかぬと思うのですね。あるいは南西航空なんかも恐らくそういう状態じゃないかと思う。私もあの飛行機に乗ったことございますけれども、そういうことを考えてみましても、かなり利用度が高いにもかかわらず黒字にはなり得ないという要素があるわけですから、もうちょっとその点を考えてしっかりした体制を早い機会にやってもらいたいと思うのですけれども、どうでしょう、いつごろまでに、と言っては少し枠をはめ過ぎかもしれませんけれども、ひとつめどをはっきりさせてもらいたいというふうに思うのですが、大臣、いかがでございましょうね。
  119. 木村睦男

    木村国務大臣 いま石田委員が御指摘の離島とかあるいは過疎地帯に対する陸上あるいは海上あるいは航空の輸送力を確保するということは、運輸行政として不公正をなくするという意味も含めまして非常に重要な任務であると私は考えております。いままでもたとえば離島航路あるいは過疎地帯等のバスにつきましても補助制度というものをとってまいっておりますし、また離島の航空についても補助制度をとっておるのでございますけれども、率直に申し上げまして過去を反省いたしますと、その補助制度を必ずしも十分にやりおおせたとは私は思っておりません。財政上いろいろな事情があるにいたしましても、不十分であったということは率直に認めるものでございます。ことに社会環境の整備、福祉国家ということが最近強く政府としても施策の重点になってまいりました現段階におきましては、今後に向かってはさらに一層この点に力を入れていかなければならないと私は考えております。  日本近距離航空を中心にいたしますいまのお話でございますが、日本の国内航空は三社で大体その責任を分担していくというのが基本的な現在の方針になっております。こういう離島航空等につきましては、この三社が共同で責任を分かち合う意味において出資をしてこういった会社をつくって離島航空の利便を提供いたしておるわけでございますが、その実績は芳しくないということもよく承知いたしております。お話にもありましたように、最近では日本航空を初めといたしまして、そのもとになります三大航空会社も経営が非常に苦しいという状況でございますので、これらを含めてこれからどうするかという問題が一つ運輸行政として大きな課題になっておるわけでございます。私は、ここしばらく景気の動向あるいは経済の趨勢というものを見きわめまして、これらの問題に対処していきたいと思っておりますが、当面は、こういった赤字の出ております離島航空、航路を担当しておるような会社につきましては、過疎地帯、離島対策としての補助制度というものをさらに一層強化をして、少しでもこれらの経営が助かるように努力をしていきたいと思っておりますが、さらにある時期が来ますと、こういった航空政策というものをどういうふうに見直したらいいかということもいずれは考えてみなければならない時期があるのではないか、現在かように思っております。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まさに時は金なりという時代でございまして、少々料金が高くても飛行機を利用するというような風潮になっているわけでございます。しかし現実に離島の方のいろいろな生活状態を見ますと、内地とは大変な生活格差があるわけでありまして、そのことによって不公平が起こらないようにやはり乗客本位の補助制度というものをぜひ勘案をしていただきたい、こんなふうに要望をいたしておきます。  さらに次の問題でございますが、これはジェット機騒音防止料の問題にからむのでございますけれども、三月十三日のある新聞の報道によりますと、いわゆる特別離着陸料ですか、一人当たり六百円とする、というような話あるいは大阪では他の空港の二倍とする、というような話がちらり載っておるわけですが、この問題は運輸省としては一体どういうふうに考えておられるのか、実はこの点を明確にしてもらいたいと思うのですが、特に大阪空港周辺の苦情については、当運輸委員会でも視察に行きまして大変な苦情を承ってきたわけでございます。しかしながら、そうかといって、他の空港に比べてみてその被害の度が大変大きいとは言いながら、一人が許容する騒音の量、質、そういう問題が果たして大阪の半分なのかという、人間一人の原点に立って考えてみれば、一れはきわめておかしな考え方なんであって、大阪がそのように非常に広範囲にわたって騒音が激しいと言うならば、それはそれなりの行政的な措置を講ずべきであって、外国との関連等において果たしてこの六百円という想定が適切なのかどうか、あるいは二倍という考え方が妥当なのかどうか、ここら辺はどのようなお考えでございましょう。
  121. 中村大造

    中村(大)政府委員 いわゆる騒音料といいますか、騒音対策を充実するために新しい財源といたしまして特別会計の中で利用者から騒音料を徴収するということを来年度から発足させたいわけでございますけれども、そのやり方につきましてはいまだ全く検討中というところでございまして、新聞紙上で一部大阪で二倍取る、こういうふうな記事が出たようでございますけれども、確かにそういう御意見もございますけれども、そういう方向で決めておるということではございません。これは現在航空審議会の中で部会を設けていただきまして、考え方、方法論について御検討をいただいておるという段階でございまして、これはいわゆる利用者としての立場からもいろいろな御意見があるわけで、そういう御意見を十分拝聴いたしまして、どういう方法がいいかということを今後詰めてまいりたいという段階でございます。したがって、まだ新聞に報道されましたようなことが決まったとか、あるいはそういう方向でということではございませんので、御了承をいただきたいと思います。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その問題は、方針が出ましてから改めて議論をすることにいたしまして、さらに運輸省航空行政に対する考え方、私はどうも不可解な点がたくさんあるわけなんですね。たとえばジャンボジェット機を購入する状態を見ましても、この航空統計の数字を見ましても、フランスや西ドイツと運搬距離あるいは人員等がそう変わっていない。にもかかわらず、ジャンボジェットをそこら辺の外国の二倍当たりの購入計画も進めておるというような状況を見ますと、一体適切な検討が行われているんだろうかという疑問を持つわけです。この問題は時間がありませんから問題指摘にとどめておきますが、そういうような状態の中にありながら、さらにまた、この前も問題にしましたけれども、いわゆる省資源政策との関連は運輸省は一体どういうふうに考えておられるのか。あるいは一つの例を挙げますれば、新潟空港からソ連のハバロフスクですか、あそこへ通っておりますけれども、あの利用率なんかを見ますと、きわめて低いわけでしょう。一便に対してひどいときは六一七人しか乗っていないということでしょう。そういうものを週一回ですか、絶対やらなければならないというようなことは、それは外国との協定問題はあるにしても、そういったものは外交上折衝して、適宜運用すべきではないか、こういうふうに思うのですよ。さらにまた、いまこういう不景気でございますから、お客さんの争奪合戦が行われておるわけでございますけれども、ホテルの割引をやっておる。いろいろな割引をやりながら、一流ホテルが二千円で泊まれるなんというパンフレットをつくらして、そうしてやっておる。ところが実際の利用率はどうかと言いますと、そういうような顧客の争奪合戦が行われている反面、五〇%、六〇%台で復期的に運用されておる。少しもそういう問題については配慮が払われておらぬというふうな問題を、私は指摘をせざるを得ないわけですけれども、省資源政策との関連において運輸行政は今後一体どうなさるのか。こういった問題についての御意見を承りたいと思いますが、どうでしょう。
  123. 木村睦男

    木村国務大臣 航空問題でございますが、国内航空とそれから国際航空と分けて、こういう問題については考える必要があろうかと思うのでございます。  高度成長経済の時代が続いたものですから、あのころは年々航空利用客も国際、国内ともにふえてまいったわけでございます。その傾向に対処いたしまして、航空会社としては経済的な輸送力を提供するという意味で、やはりそれは大型の方が、いまお話しのような省資源という点から言いましても、お客さえいっぱい乗ってくれれば省資源になるわけでもございますし、航空事業としてもその方が経済的になりますので、これは世界的な傾向として、大手の航空会社は競ってジャンボ、大型の航空機を入れて使ってきたのでございます。日本の国内においても、札幌とか東京とか福岡とかという、長距離では十分これでいけて、しかも経済的に運営ができるということで入れたのでございますが、入れ始めたころから景気の方が実は御承知のような状況で下降を始めましたので、そこに非常に問題が出たわけでございます。  国内につきましては、一方におきましては空港の騒音その他から便数を少しでも少なくして、総合的な騒音をなくするということからも、大型の方がいいのでございますけれども、なかなかその辺がうまくいかなくなったということは、やはり需要の方も下降線をたどってきたというところに問題があるわけでございます。したがって、いま国内航空に使っております大型の航空機はこれをどういうふうに使うかということについては、各航空会社も非常にこの処理に現在苦慮をしながら努力をいたしておるようなわけでございます。  なお、例示されましたような新潟-ハバロフスクといった国際航空路でございますが、この国際航空路につきましては、やはり国策という観点からも考えなければならない問題がございますので、一概にその会社の経営状態だけで、そこの航空路をもうやめるとか、そういうこともなかなかできない点があるわけでございます。しかし、これも工夫によりまして、便数を減すとかあるいはいろいろな方法で、対処の方法はまたあろうかと思いますが、国際航空の場合は、やはり国策上お客は少々少なくても、政府から言いましても維持してもらわなければならない路線もあるわけでございます。そういう意味日本航空という、政府一部出資の国策会社にもしておるようなわけでございます。この点は、そういった国策的な考えもあわせながら、航空会社の経営の改善ということを考えていくべきであると思うのでございます。  国内航空につきましては、騒音その他の点も考え、また便数あるいは空港の容量、そういう点も考えまして、また、旅客の低減してきておるという状況も考えまして、それぞれがいろいろな工夫をしながら、当面の経営対策を考えておるようなことでございまして、われわれもそれらを十分注意をしながら適切な行政指導をやっていきたいと思っております。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣、私はそういう原則論はもうすでに何回も伺っておりましてよくわかっております。もう少しきめの細かい行政をやるべきではないかということを本旨にして私は申し上げておるわけですよ。  たとえば今度、日航がまた運賃を改定したいというようなことが新聞報道されておりますでしょう。しかしながら、国際線の割引状態を見ますと、たとえば一括契約包括旅行運賃なんというのは、四八・五%引きじゃないですか。確かにこれは外国との旅客争奪戦から生じた認可運賃であると言いながらも、では、なぜこういう問題をもう少し外交上の問題として持ち出して解決をしないのですか。そういう問題を私は御指摘を申し上げておるわけです。そういうような問題を整理いたしますれば、何も運賃なんか値上げしなくたって十分にやっていけるのじゃないかと思うのですね。まあ東京-ロサンゼルス間の往復運賃というのは、いわゆるエコノミークラスで三十万九千百円と言われておりますでしょう。それが半分も値引きして、団体だから行われているなんというようなことは、これは考えなければならぬわけですよ。あるいは省資源の政策の上からいったって、そういうような宣伝はしてはならぬというふうに運輸省は各業界に通達していらっしゃるわけでしょう。ところが、そういう通達はしているけれども、中身については少しも整理されていないじゃないですか。そういう問題を私は御指摘申し上げておるわけです。  たとえば一流ホテルが二千円で泊まれますなんというサービスのあり方も、結局こういう問題を解決しないところから来ているのですよ。日航さんでは四八・五%も割引料金でやっておる。じゃ、国内においてはそういうことだってできないわけはないじゃないかというようなことですね。公取の調査によれば、往復運賃の一割程度のことはやむを得ないというようなことだそうでございますけれども、たった三社しかない路線運賃の問題だって、そこら辺をもう少し整理して考えますれば、大赤字になるなんということにはならぬのじゃないかと私は思うのですね。そういった意味におきまして、時間がありませんから、また次の機会にこの問題は論ずることにしたいと思います。  しかしながら、これは政府が認可をしていらっしゃる協定料金なわけです。外国との問題でそういうトラブルがあるならば、積極的にやはり外交問題の一つと取り上げて解決してもらいたい。そうして、日航の運賃値上げの問題だって、ここ二、三年の間にたしか二回ばかり行われたわけでしょう。そういうような不信感、いわゆる物価に対する庶民の感覚というものをもう少し大事にしてもらいたい、こういうふうに思うわけです。  時間があと三分程度しかありませんから、サービス問題についてもまたほかの機会において十分取り上げてやってまいりたいと思います。  最後に一つだけお伺いをするわけですが、先ほども地方の問題が取り上げられておったそうでございますが、長崎空港へのバス路線の問題でいま運輸審議会等が現地で開かれて、いろいろ御意見を拝聴しておられるようでございます。その状況を見てみますと、新しくバス路線を設定したいという会社についてはどうもかなりの無理があるようでございますけれども、ここら辺は、運輸省としては一体いつごろまでに結論を出そうというようなめどでいらっしゃいますか。経緯と、もし方向がわかりましたら、簡単に御報告していただきたいと思います。
  125. 真島健

    ○真島説明員 ただいまの御指摘の件でございますが、現在長崎大村空港新設に伴いましてバス路線の申請をしておる会社、特に公聴会等で問題になりました長崎市内から空港までの路線につきましては、三業者が申請をいたしております。一つは長崎県営、それから長崎バス、西肥自動車、この三つでございまして、私どもこの問題につきましては運輸審議会の御意見を承るということで、二月六日に諮問をいたしまして、先生お話しのように三月六日に公聴会がございました。運輸審議会の御答申を受けまして、私ども最終結論を出すことになっておりますが、たまたま空港の開港予定日が四月一日という予定でございましたのが、いろいろな関係でまだ決っておりません。その開港日を、恐らく三月中には大体いつごろに開港できるかということが決まると思いますので、その日時等を勘案しながら慎重に検討いたしたい、このように考えております。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それではこれで質問を終わりにいたしますが、いま大ざっぱに申し上げたわけでございますので、十分な個々の審議はまだこれからでございます。機会を見まして、いまのサービス問題あるいは日航の経営問題についても、どうかひとつもう一段と工夫をしていただきたい、そして信頼のおけるいわゆる航空行政の確立に向かって努力をしていただきたいことを御要望いたしまして、一応これで質問を終わります。
  127. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど私一つ落としたのでございますが、割引競争のことでございます。国内線につきましては、御指摘のような過度にわたる割引競争が現実に行われておるようでございまして、私も非常にそれを心配をいたしております。この月曜日に関係会社を呼びまして、絶対ああいう過度な割引競争はやらないようにという指示をいたしまして、来月からはもう一切やめるという確約をとっております。それから国際間の割引は、これは御承知のようにチャーター便との関係もございまして、これはやはり国際間で、政府機関でこういった問題を協議をして解決していかないとどうにもなりませんので、ICAOという政府機関のあれが御承知のようにございます、そこでこの問題は何とか各国協調して処理したい、かように考えております。
  128. 木部佳昭

    木部委員長 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十四分休憩      ――――◇―――――     午後四時十二分開議
  129. 木部佳昭

    木部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  河村君。
  130. 河村勝

    ○河村委員 一番最初にお伺いをいたします。  今度の雫石事件判決の中で、ジェットルートの性格について一つの争点になって、それがはっきりしないまんまで終わっているわけです。検察側の方はジェットルートは中心線から両側十六キロ、それから被告側、これは防衛庁ですね、これは両側への飛行制限空域九キロも単なる自粛内規であるということであって、判決は結局それに直接触れずに、条理上この自粛内規と称せられる各九キロというところの中に入ってはいけないんだ、そういうような結論になっておるわけであります。そこで、この事件の後で自衛隊の訓練空域を海上に離してつくりましたから、だから最近はそうした問題も余りないのかとも思うけれども、しかし現実に新しく設定された訓練空域を見ましても、遠州灘方面においてはなおそうした危険性がないとはいえない。現実に、これは裁判だからこういう争い方をするというのは常識的にわかるけれども、実際いま運輸省並びに防衛庁において、この争いになっている点についてどういう調整がなされておるのか、それをまず伺いたい。
  131. 中村大造

    中村(大)政府委員 雫石事故以後、運輸省防衛庁の間でいろいろ協議をしてきたわけでございますけれども、現在のやり方はジェットルートの左右八・七マイルといういわゆる保護空域というものを設定いたしまして、これを一つのジェットルートのそれに伴う保護空域ということで設定しておるわけでございます。防衛庁の方では、さらにそれから五マイルのいわゆる間隔をとって、そしてその外に訓練空域を設定する、こういうやり方をいたしておるわけで、しかもその訓練空域は防衛庁長官と協議をいたしまして運輸大臣がこれを公示する、こういうかっこうにいたしておりますので、雫石事故の当時のそのようないわゆる調整不十分ということに基づく訓練空域とジェットルートの間の不分明さというものは解消されておるというふうに言えると思います。
  132. 河村勝

    ○河村委員 八・七マイルというと、従前とられておった九キロとはちょっと違うわけですね。八・七マイルというと十二、三キロになる、そう了解してよろしいですか。
  133. 中村大造

    中村(大)政府委員 ジェットルートの左右に八・七マイルでございますから、キロに直しますと十六キロということになります。
  134. 河村勝

    ○河村委員 防衛庁はそれでよろしいか。
  135. 友藤一隆

    友藤説明員 防衛庁といたしましても、航空安全の確立が第一でございますので、先ほど運輸省の方から御説明ございましたように十分協議をいたしまして、その一致した意見に基づきまして先ほどのような場所をとって現在空域を分離いたしております。そのほか、そこで訓練を行います場合には、私どもの方で二十八カ所のレーダーサイトのレーダーがございますので、それで十分見張りをいたしまして、その空域から外れることがないように、あるいはまたその空域に仮に民間機等が立ち入るような場合にはそれを避けられるように、現在十分配慮をいたしております。
  136. 河村勝

    ○河村委員 将来、航空路について特別管制空域を指定する場合、そうするとやはり幅については、いまの両側八・七マイル、厚さはどうなるのですか。そのジェットルートの厚さと幅というのはまだ確定されてないようだが、将来特別空域に指定するとすればどういう考え方をとるのですか。
  137. 松本操

    松本説明員 先生御指摘の特別管制空域を航空路に敷きます場合に、航空路と申しますのは本来的に幅が五マイルでございます。高高度に参りましても五マイルでございます。その五マイルだけを高高度における特別管制空域として指定するか、それとも高高度に参りました場合には実質上八・七マイルに保護空域が広がりますので、その八・七マイルを含めて特別管制空域とするかという御指摘かと思いますが、特別管制空域の広がりの定め方につきましては別にいまのところ決まった数字がございません。交通量の量に応じて決めておりますので、ジェットルートを将来特別管制空域に含めます場合には当然ジェットルートとして保護空域というものを考慮に入れて適宜幅を決める、こういうことになろうかと思います。
  138. 河村勝

    ○河村委員 航空監視レーダーを八カ所つくるという計画がおくれている事情はさっき聞きました。しかし五十一年度完成という予測をさっき航空局長はしておられたが、運輸大臣、それはいままでも四十九年度までとかなんとかいうふうにして、その都度、期限は限ってある、今度はいろいろな条件を総合して大丈夫なんですか。
  139. 木村睦男

    木村国務大臣 大丈夫でございます。
  140. 河村勝

    ○河村委員 先ほど管制保安部長説明で、自衛隊のレーダーと民間航空のレーダーとは大体考え方がまるっきり違うので、だから自衛隊と同じようなものはやらないのだという説明は聞きましたが、今日までずっと航空監視レーダーの設置がおくれてきている。そのために日本の空の全部をレーダーでカバーすることができない、そういう状態が続いて、かつ実施が延びているわけですね。その間、これは前々からの疑問なんであるけれども、自衛隊は二十八カ所のレーダーで全域をカバーしているわけですね、それを利用して、それで一日も早く、とにかくとりあえず、将来民間のレーダーで全域をカバーするという方針はそれで結構だけれども、その間、自衛隊のレーダーで補って民間のものができるまでやっていくということは、実際、技術的にはできないものなのかどうなのか、その点はどうなんですか。
  141. 松本操

    松本説明員 自衛隊のレーダーは、先ほどお話ございましたように、二十八カ所にございまして、二十八カ所で見ている状態を、私ども承知しておりますところによりますと、複数個所で見たものを一カ所にまとめて一つのスコープの上でながめられるようないろいろな電子的な操作がしてあるようでございます。したがいまして、私どもの方に、あるレーダーサイトから真っすぐ引っぱってきて、私どものレーダースコープにそのまま出すということが技術的にできない。これを受けようといたしますと、当然受け側でございます運輸省側におきましても、その仕掛けを通して出てきた信号がとれるようにしなければなりません。そういうふうな改造をするのに、これは相当の期間とあるいは場合によりましては技術の開発が必要かと思います。先生御指摘のように、私どもの遅れております間、とりあえずということをしようと思いましても、技術的にちょっととりあえずというふうにまいらないいきさつがございますので、遺憾ながら、先ほど大臣申し上げましたように、今後私どもの計画を可能な限り促進するということで対処していくのがよかろうかと思っております。
  142. 河村勝

    ○河村委員 いまの説明だと、自衛隊のレーダーで映したものを、それを民間側のレーダーサイトに一回引き取って、そこから機能させるというふうに聞こえるのですけれども、空域を仕分けて、自衛隊のレーダーサイトそのものを使って、その受け持ちの分野を区画すれば、一回民間のレーダーサイトまで移しかえなくても、直接に管制官が両方いて、それで、ある空域を自衛隊のレーダーそのものを使ってカバーするということはできるのではないかというふうに、われわれは技術は暗いけれども、常識的にそう思えるが、そういうことはできないのか。
  143. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいますように、仮に私ども管制官が、自衛隊のレーダーサイトへ直接乗り込みまして、制服の自衛官と一緒に仮に管制を行うといたします。しかしながら、管制をいたしますためには、実は、日本の空域を、たとえば東京管制部ですと十一に分けまして、そしてあるセクターから次のセクターに申し送りをしながら管制をしてまいりますので、自衛隊の方の分け方というのは私どもと全く違う別の目的を持って空域が分けてございます。したがいまして、相互の通信連絡施設というものも、またこれは全部つくりかえませんと、ちょっと先生の御提案のような形で管制という業務を行うことはきわめて困難ではないかというふうに私思います。
  144. 河村勝

    ○河村委員 それはできないように考えれば、どうやってもできないのだけれども、しかし、自衛隊でやっている仕事だってやはり管制業務でしょう。それは目的は違うでしょう。外敵――国内で飛んでいる飛行機だけをコントロールするのではなくて、対外的な仮想敵か何か知らぬけれども、とにかく、そうした防衛的な仕務を持つものだから、それは違うかもしれないけれども、一緒にやってやれないということは、どうもわれわれには常織的にわからないのですが、そういうものですか、防衛庁
  145. 友藤一隆

    友藤説明員 先生お尋ねの件につきましては、先ほど来、航空局の方からお話がございますように、私どもは、航空路の管制のためのレーダーでは実はないことは確かでございます。対領空侵犯措置のための警戒監視というのが主目的でございますが、映像は日本上空というものが全部カバーされておるということでございます。ただ、目的が違います関係上、やはりそれに必要な人員でございますとかあるいはそのための別途やはりスコープを引きまして、そこで管制を仮になさるとすれば、管制業務をするための別途のパネルと申しますか、そういったものもある程度最低限必要であろうと思われますし、また通信回線という点になりますと、私どもの方はもっぱら部隊運用上の回線というものが主体になっておりますので、航空管制をなさるための別途の通信回線というようなものはもちろん必要になってくるわけでございますので、そういった点、問題は若干はあろうかと思われます。その点、私ども雫石事故が起きました後、こういった点使えるのではないかというような問題が提起されましたので、運輸省の方には私どもとしてできる限りの御協力はいたしますということを申し上げてあるわけでございますが、先ほど来お聞き取りのとおりの状況に、現在なっております。
  146. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣、あなたもまあ技術的には素人だから私同様わからぬだろうと思うけれども、もうここまで来たから、五十一年度完成するというならいまから手戻りになるような施設をするのはつまらないかもしれぬ。しかし、まだ五十一年度完成がどんなことがあって遅れぬとも限らないので、本当にただめんどうだからやらないのだということでなしに、もう少し検討しておく必要が少なくともある。こういうことに限らず、何か不測のことがあって、将来共用しなければならぬ時期もあり得るでしょう。だから、私もこれ以上技術的に、おまえの言うのはおかしいのだと言うほどの知識、学識経験がないから、これはこの程度にしますけれども、私はもう少し大所高所から一遍検討の必要があるものと思うので、私はすぐやれとは言わないから、ひとつ本当に真剣に検討してみてくれませんか。いかがです。
  147. 木村睦男

    木村国務大臣 私も河村委員と同様に技術的によくわからないのですが、管制部長の話をいろいろ聞いてみますと、いま御答弁申し上げたようなことで、やっぱりむずかしいかなという感じがしておるわけでございます。しかし、これはお互いに素人の常識的なあれですから、さらによく管制部長の話も聞いて、そういう余地があればできるだけそういうものを利用するという方向でいきたいと思います。  一方、航空路の監視レーダーでございますが、これはもうネックはほとんど全部取り除かれましたので、間違いなく五十一年度中に八基完成できる見通しが立っております。ことに五十一年度に入りましてから三つやるわけですから、できるだけ五十一年度も早くやるように、ひとつ最大の努力をするつもりでございます。
  148. 河村勝

    ○河村委員 そこで、八つできまして、何か一部にエアポケットみたいなところができるそうですが、それは別として、一応全域がカバーできるようになった際に、やはり現在では特別管制空域も結局空港の周辺だけですね。航空路はまだ一つもやってないわけでしょう。少なくともメーンの航空路だけはこれは特別管制空域にすべきものだと思うのですけれども、一体これば完成したらそれをすぐ実施、実行しますか。
  149. 中村大造

    中村(大)政府委員 ジェットルートの中で特にメーンルートにつきまして従来から特別管制空域に指定するということは検討はしてきたわけでございます。このレーダーが完成いたしますのを契機といたしまして、先生御指摘のようないわゆる航空路についての特別管制空域ということについても真剣にひとつ取り組みたいと思っております。
  150. 河村勝

    ○河村委員 何かあいまいなんだけれども、少なくとも五十一年度にレーダーサイトが完成するわけでしょう。それで航空路を特別管制空域にしなくてもいいと言うなら別だけれども、やはりそれが一番望ましいことである。そうなれば、できる期日が明確であればそれまでに準備ができてしかるべきだと思うけれども、何かしたくない、あるいは何かの障害がある、そういうような理由があって、あいまいな返事をするのですか。その点はどうなんですか。
  151. 中村大造

    中村(大)政府委員 たとえば東京-大阪間というふうな非常に交通量の多いルート等から始めるというふうな、段階的に空域の指定をやっていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  152. 河村勝

    ○河村委員 それは金の関係ですか、それとも管制官の配置とかなんとかいう、そういうことですか。予算であるかあるいは人の養成であるとかそういうことですか。
  153. 松本操

    松本説明員 ただいた局長申し上げましたように、交通量の多いところからかけてまいりますつもりでおります。たとえば緑四号というような東京-大阪を結ぶ航空路、こういうふうなところはレーダーが運用を開始できるようになり次第、五十一年を待たずにできるだけ早く手をつけたい、こういうふうに考えておりますが、交通量の多いところからやっていきたいというふうに考えておりますのは、やはりレーダーできちょっと見えなければならないということ、それからそのためにもし必要によってはそのための管制官というものをそこに置いておかなければならないというふうな業務量の問題もございますので、そういう点を十分に検討した上で実行可能な、またなすべきところから早急に手をつけていきたい、こういう趣旨でございます。
  154. 河村勝

    ○河村委員 業務量の多いところはやるのは当然でありますけれども日本の少なくとも縦断している縦のジェットルートというのは、これは諸外国の例と比較したってずいぶん混んでいる方でしょう。だから、それは程度の差はありましょうけれども、私は事情の許す限り、ただ東京-大阪でやってみなければ心細いのかどうか知りませんけれども、もっと迅速にこれを整備するのは当然だと思いますが、運輸大臣はいかがです。
  155. 木村睦男

    木村国務大臣 これはいま私も管制部長の話等聞いておりまして、まだ詰めれば詰めれぬことはないという感じもいたしておりますので、できるだけ全面的に早くやるということが一番いいことですから、それを目標にできるだけ詰めてみます。
  156. 河村勝

    ○河村委員 そこで航空法の中身の方に入りますけれども、今度の航空法改正は四十六年七月の函館事故雫石事故、これを契機に安全対策を中心にしてそれにあと騒音基準適合証明制度、これだけに限定したわけですね。それはけさも議論が出ましたが、そのときはそれでもって私はよかったと思うけれども、それからそれは国会の方にも責任がないとは言わぬけれども、約三年半くらいたっておるわけですね。だからその間にもっとなすべきことがあったはずであって、とにかくこの法律というのは昭和二十七年、アメリカ民間航空規則をそのまま焼き直したもので、その後技術革新が進み、事業が大型化し、非常な変わり方ですね。航空法現実とがマッチしない事例というものは、この一つ一つ条文を洗ってもずいぶんたくさんあるわけですね。なぜそうしたものの改正を計画をし、出そうとしなかったのか、それは一体どういう理由ですか。
  157. 中村大造

    中村(大)政府委員 御指摘のように、航空法全体について総ざらいをして抜本的な改正をすべきであるという御意見は、国会においてもそういう御意見を拝聴いたしております。われわれもそういうことについて真剣に検討はいたしておるわけでございますけれども、まずさしあたりこの安全に関する法改正というものを一日も早く実現させていただきまして、それに引き続いて先生御指摘のような総合的な再検討について一日も早く手をつけたいというのが、私どもの本当の気持ちでございます。したがいまして、先生御指摘のように、いままで三年間そういうふうな総合的な再検討についてその成案を得るに至らなかったことはまことに申しわけないと思っておりますけれども、とにかく現在としてはこの改正案を通していただきまして、一日も早くそのような全体的な再検討に手をつけたいというふうに考えておるわけでございます。
  158. 河村勝

    ○河村委員 この法律の第一条には、「この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全を図るための方法を定め、」云々と書いてあるわけですね。この国際基準にのっとったものをつくる、こう書いてあるわけですが、いまの航空法は、これは国際基準にのっとったものだと言えますか。
  159. 中村大造

    中村(大)政府委員 大筋において、ICAOの条約並びにそれの附属書できめております基準にのっとっているというふうに考えていいと思います。
  160. 河村勝

    ○河村委員 それなら伺いますけれども、たとえば法律の七十七条「定期航空運送事業の用に供する航空機は、その機長が、第百二条第一項の定期航空運送事業者の置く運航管理者の承認を受けなければ、出発し、又はその飛行計画を変更してはならない。」出発はよろしいでしょう。フライトプランを変更することも運航管理者の承認を得なければならない。これはいまの国際航空時代に実行されておりますか。
  161. 中村大造

    中村(大)政府委員 実行されておると思います。
  162. 河村勝

    ○河村委員 本当ですか。
  163. 中村大造

    中村(大)政府委員 実行されておるはずでございます。
  164. 河村勝

    ○河村委員 世界の主要な個所に運航管理者は置いてあるでしょう。しかし、置いてないところもありますね。そういうところは一体どうしているんですか。それから実際国によっては、飛んでおる間に航空管制規制をどうせ受けるわけですね。そこでこのフライトプランの中の巡航高度あるいは航路はまあないでしょうけれども、たとえば巡航高度の変更を命ぜられる、そうした場合は当然運航管理者の指示を受けないで動くんじゃありませんか。そういうところがあるんだと思いますが、いかがです。
  165. 中曾敬

    ○中曾政府委員 たとえば日本航空の場合でございますが、外国の主要基地には運航管理者が配置してございます。主要基地でないいわば補助基地というふうなところには運航管理者は配置しておりませんが、運航補助者というかっこうで人間が配置してございます。そこでこの法律七十七条に書いてございますようないわゆる運航計画を変更しなければならないような場合に会ったときには、主要基地に非常に近いところにおきましては直接運航管理者の承認を得る手続をするわけでございますが、いわゆる補助的な基地で直接運航管理者に連絡がとることができない場合には補助者を通じまして、主要基地には運航管理者がおりますから、運航管理者のおります基地に連絡をとりまして運航プランの変更の承認を得るという手続を現実にとっております。  それからもう一つの御質問の、飛行計画が多少変更になることがあるいはございます。たとえば管制指示によりまして巡航高度を多少変えるとかあるいは速度、航路を変えるというふうなことがありますが、そういったいわゆる包括的に出発する前に飛行プランを出すわけでございますが、その飛行プランの中にアローアンスといたしまして、多少の高度変更とかあるいは速度変更とかいうふうなことは、あらかじめこの程度のことはあり得べしということは機長と運航管理者との間にあるわけでございます。その範囲内における変更はいわゆる変更承認の範疇に入らないわけでございますが、それを超します大きな変更、こういうことになります場合には飛行中といえども運航管理者に連絡をいたしまして承認をとる、こういうことになっております。これはもちろんカンパニーラジオがございまして、飛行中に飛行機から機長が運航管理者に連絡をとるということは可能なわけでございまして、そういう手続を踏まなければならないということになっておるわけでございます。
  166. 河村勝

    ○河村委員 結局運用で法律をなくしちゃってるようなものなんですね。飛行中に運航補助者に連絡をする、運航補助者が、運航管理者がどこにいるかわからぬ、遠くのところの運航管理者に連絡をとって、それの許可を得てまた飛行機に連絡する、そんなことやっているはずがないですよね。これは実際にはすべて事後承認でやっているはずです。だから、こういう古い法律を残しておく方がおかしいので、国際航空時代になれば世界じゅうに運航管理者を置くわけにはいきませんよ。航空管制の発達しているところは航空管制の指示に従って、航空管理者の承認を待たずして巡航高度を変更し、航路を変更することだってあるんだ。だからそういう時代に即応したように法律を直す方が本当であって、運用で何か適当にやっておりますからよろしいのですというような――法律改正を出してないんならまあいいや。改正案を出しておいてそういうところを直さないというのは怠慢であると私は思うが、いかがですか。
  167. 木村睦男

    木村国務大臣 私も、確かにいまの航空法が実情に合わなかったり、また改正した方がいいという個所はかなりあるんじゃないかと思います。ただ、いま御審議をいただいております改正案が、雫石のあの事故の後で一生懸命になって経験者等にたくさんお集まりいただいて一つ改正法案を出していただいて、当時としては直ちにこの法案をつくって航空の安全を図っていこうということで来たわけでございます。仮にそのときにこれが通っておれば、その後いま御指摘のようないろいろなその後の改正事項も含めて当然改正案を出すべきであったと私は思います。しかし、全部を洗うということになりますとまた時間がかかりますので、この改正法が通っておったのならそれでまず一段落、新しい改正法で安全の確保ができておりますが、それができていないものですから。と言うて、それではいままで三年間あったからその間に全部見直して、たとえば今回でもあるいは前回でも全面改正を出そうと思ったら出せたではないかという御意見もあろうかと思いますが、三年ほどかかりましたけれども、幸いにして廃案になさらないで継続審査をしていただいておったものですから、何とかこの次にはこの次にはということで一刻も早くつくりたいということで今日まで来ましたので、そこで今回はとりあえずこれを早く成立をさせていただきまして、引き続きいま御指摘のような点については、これは航空事情も当時から変わっておりますし、そういうことも勘案いたしまして将来に向かってはそういう改正の段取りはつけていきたい、かように思っておりますので、その点を御理解をいただきまして、今回は一日も早くこの改正案を御審議をいただきまして日の目を見るようにひとつお願いを申し上げる次第でございます。
  168. 河村勝

    ○河村委員 最後によけいなことまでおっしゃる。まるであなた方が悪いみたいな感じでありますが、だけれども、これは余り古過ぎてひどいのが多いから、大臣御存じなかろうから幾つか申し上げますが、この程度のものはこういう問題がなくとも直しておくのが本当ですよ。法律の六十六条見てください。「左の表の航空機の欄に掲げる航空機には、前条の航空従事者の外、」パイロットのほかですね、「第二十八条の規定により同表の業務の欄に掲げる行為を行うことができる航空従事者を乗り組ませなければならない。」これは航空士を乗せなければいけないということだね。それが何と「無着陸で五百五十キロメートル以上の区間を飛行する航空機」こうくるんだな。五百五十キロというと東京-大阪間だな。ジェット時代で五百五十キロメートル、これは非常に長い距離という意味でこの法律はつくられているんだね。長いところを飛ぶのには航空士を乗せなければいけない、こうなっているんだ。これはちょっとひど過ぎると思いませんか。航空士というのは位置を測定する役割りですが、いま五百五十キロメートル以上の飛行機に必要ですか。
  169. 中村大造

    中村(大)政府委員 きわめて素人で御説明する内容に気がひけるわけでございますけれども、確かに一方においてはそのような超近代的な航空機もできておるわけでございますけれども、やはり保安施設その他、すべてについてオールオーバーに完備したという前提で五百五十キロメートルという区間を残す必要があるかないかということではないかと思います。この五百五十キロメートルというのはマイルに直すと三百マイルでございますが、これは私の聞いたところによるといわゆるNDBの最大到達距離、したがいまして、一応この三百マイル以内であれば通信の方法がある、それ以上になる場合にはいわゆる航空士というものが乗っておって地測、天測といいますか、要するにそういう位置の測定をする必要の場合もある、こういう想定でこの規定が残っておるというふうに承知しておるわけでございます。したがって、そのような必要性がもう全くない、こういうふうな状況になりましたならば、そういうこともまた再検討のときがあるのではないかと思うわけであります。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
  170. 河村勝

    ○河村委員 何を言っているんだか一つもわからね管制保安部長航空士の役割りというのは位置の測定、決定でしょう。五百五十キロというのは、いまジェットで一時間だね。こんなものは位置決定もくそもありはしないのでもちろん問題にならないんだけれども、しかし長距離であってもいま航空計器――これは昭和二十六年でしょう。航空計器なんというのは未発達の時代だ。これは例外規定も多少書いてはあるけれども、いま機上の計器で距離とは関係なしに位置の測定はできるわけでしょう。そうじゃありませんか。
  171. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいますように最近の機上に積みました施設を使いまして、地上の無線施設とは無関係に位置を測定する方法はございます。が、たとえば日本航空あたりのを見ましても、すべての飛行機がこれを積んでいるわけではまだないようでございますので、先ほど局長申し上げましたように、地上におけるそういった施設の整備と機上におけるそういった施設の整備との調和をどこでとってこの五百五十キロという数字を変えるか、こういう問題かと思います。局長申し上げましたようなラインで検討するのが適当かと考えます。
  172. 河村勝

    ○河村委員 それは中には計器類の古いのを積んでいるのがあるかもしれないけれども、しかし一般的にはもうそうではありませんよ。だからそう無理してがんばらないで、やはりおかしいと思いますと言った方がいいんじゃないの。どうです。機上で測定できないようなものに限って航空士を乗せるのだというのでなければ――実際いま航空士を乗せてはいないでしょう。いかがです。
  173. 中曾敬

    ○中曾政府委員 国内線におきましては、ただいまちょっと話が出ましたように各所に航空保安施設がございます。この航空保安施設の距離が大体三百マイル以内ということになっておりまして、問題はほとんどないわけであります。問題は海外航路に出た場合、特に洋上でございますね、そうした場合に多少距離が長くなりますと、推測航法という方法がございますけれども、風に流されたりいたしておる間に、いつの間にかかなりの距離が狂ってくるということがあり得るわけでございます。そういったことを慮りまして五百五十キロということがあるわけでございますが、もちろん最近におきましては、先ほどからお話が出ておりますように、机上の施設が非常に発達してまいりました。たとえば慣性航法装置というようなものができておるわけであります。これは詳しく説明しますと時間がなんでございますから、そういうふうな自動的に自分の緯度、経度をはかる装置あるいは自分の航跡をはかる装置、スピードをはかる、そういったことができる装置でございまして、こういった装置をつけますれば、これは当然今度の法改正でも、そういう装置をつける限りにおきましては航空士を乗せる必要がない、こういうことになっておりますので、先生のおっしゃいますような問題は、多少改善させていただいておるということは言えると思います。     〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
  174. 中村大造

    中村(大)政府委員 先ほど技術部長が御説明申し上げましたような慣性航法装置というふうな、いわゆるそういう新しい装置を持っておるものについては適用除外をする、要するに、航空士を乗り込ませなくてもよいというふうに今度の法律では改正しておるわけであります。したがって、必要な改正はいたしておるわけでございますけれども、全部五百五十キロメートルというものを消してしまうということについては、管制保安部長も申しましたように、将来全体的な整備ができた段階で検討するということにさせていただきたいということでございます。
  175. 河村勝

    ○河村委員 とにかくおかしいという疑問をあなた方が持てば一つの進歩だから、いまのは管制関係についてのおかしいところを申しました。もう一つ整備関係についておかしいところを申します。  航空法の十六条以下、航空機整備改造に関することで、十九条で整備改造についての確認は一等航空整備士が行わなければならないようになっていますね。しかし、一等航空整備士なるものが航空事業会社にいて、それが本当に自主的な確認を行っていますか。
  176. 中村大造

    中村(大)政府委員 現在の整備の実態は、その仕事の整備の実態は、その仕事の内容が非常に分化し、また専門化いたしております。したがって、そういう分化いたしましたものをいわゆる総合的に最終的にチェックするという、いわば組織化が必要になってきているわけで、そういう最終的なチェックというものは一等航空整備士が行う、こういうたてまえにいたしておるわけでございます。
  177. 河村勝

    ○河村委員 それは確かに確認制度は一部導入されておりますね、認定工場みたいなものをこしらえて。だが、それでもやはり一等航空整備士なる者が責任を負わなければならぬという制度にしておくのは、これは矛盾じゃないのですか。一体いまみたいに非常に機器類が分化してきますと、一等航空整備士が全部わかるというものじゃないですよ。その部分部分についての専門家がいて、それが一つの組織をつくっていくから、それがどこかが悪くて何か事故が起きた場合には、その部分部分責任者かあるいはその組織を経営管理している最高責任者責任であって、一等航空整備士がいて、それが全部について――それは法律に書いてあるから、一応ノミナルにはそうしてあるでしょう、だけれども、自主的に全部見て、おれが責任負って、これでよろしいと言えるだけの人は一等航空整備士にはいないはずだ、私はそう思うけれども、いかがです。
  178. 中曾敬

    ○中曾政府委員 確かに先生のおっしゃいますとおり、最近の大型機の整備におきましては、一人の人間でもって十九条に書いてございますようなあらゆる整備を確認することは、全部にわたって自分で確認して回るということはむずかしいと思います。そこで、当然大きな航空機につきましては、どこの航空会社でもやっておりますように、組織体の中におきまして、分業で個々のところを整備を確認いたしまして、そして最終的に、この法律で資格を取りましたところの一等航空整備士、そういった者がそういった組織の頂点に立ちまして、最終的な確認をする、そういう形をとっておるわけでございます。そこで、この一等航空整備士というのは、確かにおっしゃいますように、昔の小さい飛行機でしたら一人でできたかもわかりませんが、最近のようなそういった大きい飛行機につきましては、どうしてもそういう組織の力というものをかりなければならない、これも事実でございます。それと同時に、私どもといたしましては、この一等航空整備士の制度それ自身がもはや無意味になったとは感じていないのでございまして、当然そういった組織確認をやります頂点にはどうしてもそういう人間がいなければならないわけでございますので、そういった組織確認と一等航空整備士の制度というものは十分かみ合う、矛盾はないというふうには考えております。
  179. 河村勝

    ○河村委員 しかし、その組織の上にある人は、一等航空整備士という資格を持っていれば、それはそれでなおさら結構かもしれないけれども、その責任者というものは何も一等航空整備士の資格とはいまや無関係なんだね。だから、要するに全体の管理ができる人が最高責任者になるべきであって、一等航空整備士だって組織を動かす能力のない者はだめなんだね。だから、むしろこんなものはとってしまって、そして組織そのものに責任を負わせる形をとるべきであって、形式的に、法律にそう書いてあるから、組織の責任者、本当の責任者は別にいても、それのダミーみたいなものが、一等航空整備士がいて、それがやはり責任を形式的には持つというようなかっこうになってしまうのだね。これもやはり法律の古さなんですよ。そんな気はしませんか。
  180. 中村大造

    中村(大)政府委員 確かにこれはいわゆる組織の長としての、人事上の管理者としての立場とそれからいわゆる技術の面での統括的な特殊技能を持っている人との、それがうまく組織の中で調和をすることが望ましいわけでございますし、またこの法の精神もそのようなことを想定いたしまして規定しているわけでございます。したがいまして、単に仕事が分化しておるからといって、技術的な面についての統括的な判断ができる人がそのトップにおりませんと、単にいわゆる一番先輩であるとか、そういうことからこれを統括をするということになりますと、やはりまたそういう弊害も起こると思うわけで、したがって、それで一等航空整備士という技術についての権威者と組織の統括者というものは、やはり方向としては調和させていくというふうに運用をしていくべきではないかと思っておるわけでございます。
  181. 河村勝

    ○河村委員 一等航空整備士というものは、とにかくどこの部分でも全部わかる人間ということでできているわけだね、この法律のたてまえは、航空整備士の資格というものは。しかし、実際そんな人はいまやいないわけだ。だから一等航空整備士の資格と本当に技術的に全部わかる人の資格というものはもう別になってきてしまっている。だから法律に一等航空整備士というものがあるから、それを形式的に使っているだけですね。だからもし資格というものを新しくつくるなら、別の角度でつくらなければならぬ、そういうものだと思いますよ。これも研究しておいてください。  それから、時間がなくなりましたが、もう一つ聞きますが、日本飛行機外国に行って、外国飛行場で、外国航空会社の整備工場で修繕をやります。これは当然ありますね。その場合に、この航空法では黙ってそれをやらしてはいけないわけだね、日本飛行機は。外国航空会社の工場を日本航空法に基づく整備、修理、改造の認定工場にしなければ、そこでは修繕はさせないということになっている。そこまではまあいいでしょう。だから、これだけ国際航空時代になったら、ICAOのスタンダードにのっとっている会社ならば、私は無理に日本の認定工場なんかにしなくても、ICAO加盟国の一定の資格を持った工場ならばどこの工場で修繕をしてもいいというふうにするのが国際的に合理的だと思います。それはまず一つおきましょう。  それで、認定工場の認定期間というのは、現在一年ですよ。一年ごとに更改することになっている。これは施行規則で、法律でないから直そうと思えば直せる。一年たちますと、日本の検査官がわざわざ出かけていってもう一遍取り調べて、それでいいか悪いかという判断をした上でないと、その認定の書きかえ、更改ができない、こういう仕組みになっている。そんな必要があるのですか。
  182. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは、いわゆるICAO基準に従いまして、国際的な技術水準というものを信頼すればいいという一つの実態的な問題はあると思いますが、たてまえといたしまして、現在の耐空証明というものがいわゆる登録国主義になっておるわけでございます。したがって、その航空機の登録国が技能証明を行い、それがいついかなるところにおいても準用されるというシステムになっておるわけで、したがって、世界じゅうどこを飛んでおりましても、その航空機については登録国が責任を持つというたてまえから、外国における整備も、わが国運輸省の機関がその認定をし、その検査をするということになるわけで、その期間が一年がいいかあるいはもっと長くていいかという問題につきましては、いろいろ検討の余地はあろうと思いますけれども、たてまえとしては、やはりこれを外国に任せるということは全体的なシステムと総合的に考えませんとむずかしいのではないかというふうに思うわけでございます。
  183. 河村勝

    ○河村委員 外国飛行機日本に来て日航で仮に修繕するという場合に、それを認定工場にしているかどうかは知りませんが、外国政府航空局の役人が来て、一々検査をしてやっておりますか。
  184. 中曾敬

    ○中曾政府委員 羽田の場合、日本航空の工場を、たとえばアメリカのFAAの役人が参りましてチェックいたしまして、認定工場にしているという事実はございます。
  185. 河村勝

    ○河村委員 認定工場にしている事実は認めましょう。  毎年来てやっていますか、一年ごとに。
  186. 中曾敬

    ○中曾政府委員 一年ごとに来てやっておるそうでございます。
  187. 河村勝

    ○河村委員 それははなはだ疑問だな。一遍調べてみてください。  実際そこまでの必要があるということについては、私ははなはだ疑問を持つ。出張の機会がふえていいかもしらぬけれども、どうもそれ以外に余り意味がなさそうに私は思う。だから総体に国際航空時代、ジェット時代、管制時代、そういうものにそぐわない規定がいっぱいあって、それを無理やりに運用によってやっておるから方々に無理が生じていることは間違いありません。だからこの際、私も時間がなくなりましたからこれでやめますけれども、今度この航空法をそれだから通さないなんということは言いませんけれども、とにかくもう一遍これが済んだら至急洗い直して、飛行機も非常に高度になってスピードも速くなり、国際航空時代にもなった。同時に航空事業も大きくなってしまって、この法律規定そのものが昔のちっぽけな飛行機会社が航空機を持っている程度のものを相手にした、そういう観念で規定ができているわけですよね。だからどうしてももう一遍これを洗い直して近代化をしなければ、ずいぶんむだが多くて、事業で言えば国際競争力低下にもつながるような面があるわけですよね。だから一遍、ぜひ早急に手をつけてもらいたいと思うが、大臣、最後にその意見を聞きます。
  188. 木村睦男

    木村国務大臣 交通関係のそういった技術面で一番変遷が激しいのが私は航空ではないかと思いますが、その航空法が最初できましてから、もう四半世紀たっておるわけですね。ちょこちょこした改正は二十回近くやられておりますけれども、やはり今回の改正も実は航空の安全ということにのみ焦点をしぼって改正考えておりますが、航空法全体はそのほかの要素もありますので、そういう点で、いま河村委員の御質問に対して政府側が答弁しておりますのも、かなり苦しい面がたくさんあることも私もよくわかります。したがいまして、今回この改正法案成立いたしました後におきましては、お話のように、全面的にひとつ検討をしてみたいと思っております。
  189. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  190. 木部佳昭

    木部委員長 梅田勝君。
  191. 梅田勝

    ○梅田委員 私はまず第一に、航空機衝突事故防止の基本はどうあるべきか、こういった問題につきまして質問をしたいと思います。  御承知のように、本改正案の契機になりましたのが全日空機と自衛遂機のいわゆる雫石事件といわれる衝突事件でございます。非常にたくさんの、百六十二名というとうとい犠牲があったわけでありますから、その教訓をしっかりと改正案の中に盛り込ませぬと、死んだ方も浮かばれないということになるわけであります。  そこで、私どもはかねてから、日本の空が非常に危険だ、その根源につきましては二つある。一つは日米安保条約そのものですね。これによるいわゆる地位協定によって、米軍機の最優先権というものが横行している。それからもう一つは、今度の盛岡地裁判決におきまして、一般新聞も厳しく書きましたが、たとえば自衛隊の訓練計画というものはきわめてずさんだ、それから空の欠陥行政は直らずというように、大見出しをつけて、厳しく批判をしておるわけであります。この点を正すということが必要であります。  最初に私どもの要求をもう一度述べますと、何よりも日米安保条約の廃棄、これによるわが国の主権の完全な確保と真の独立、これこそが安全の基本である、その上に立って航空における軍事優先をなくするということ、二つには、不平等な日米航空協定の破棄、そして社会主義国を含めましてすべての国との平等互恵の航空協定の締結、第三には、民間航空行政の民主化、空港整備計画の徹底した改革と航空保安施設の完備、第四に、国際空港問題の真の国民的立場に立つ解決、こういう四つの柱を政策にいたしまして、空の安全確保のための努力をしてきたわけであります。  そこで大臣質問をいたしますが、そういう状況を踏まえて、わが国航空行政の基本、とりわけ米軍や自衛隊との衝突事件等が発生しない、防止の基本はどこにあるか、明快にお答えを願いたいと思います。
  192. 木村睦男

    木村国務大臣 日本の空を航空交通として把握いたします場合に、やはり私は一つはそれが日本の安全と平和につながらなければならないと思います。そういう意味では、日本の空はいわゆる航空旅客の輸送のためにも最も重要な交通輸送網でありますと同時に、日本の平和と安全を守るための航空交通ということも両立して考えなければならないと私は思います。ただ、そこで、この二つの命題が相互に交錯をしてそこに交通事故を起こす、かもし出すというふうなことがあってはならない、これはどうしても避けなければならないと私は思うのでございます。  先般の雫石事故を見ましても、あの判決の中でいみじくも指摘もされておりますけれども民間航空と自衛隊との間に、いろいろな協定その他の点で不十分の点があるということを指摘されております。私は率直に、当時の事情としてはそれを認めざるを得ないと思います。そういうことを、民間航空を担当しております運輸省防衛庁と十分に協議を重ね、そういうことのないようにやっていかなければいけない。  なお、空のいろいろなルールといいますかそういうものは、民間航空であれ自衛隊機であれ、同一のルールの上に立って飛行するというふうなことについても十分相談をし合っていく、それによって航空安全を確保するということに両者が協調して邁進するということが私は根幹ではないかと思います。
  193. 梅田勝

    ○梅田委員 安保条約を廃棄するとはなかなかおっしゃれないわけでありますが、私はその点は後にまた議論をいたすことにいたしまして、現行の航空法第八十二条に「衝突予防等」というのがございます。「航空機は、他の航空機又は船舶との衝突を予防し、並びに飛行場における航空機の離陸及び着陸の安全を確保するため、運輸省令で定める進路、経路、速度その他の航行の方法に従い、航行しなければならない。」このようにあります。ところで、今回改正案では第七十一条の二におきまして、「操縦者の見張り義務」というのが新たに提案をされております。これは雫石の教訓から、衝突を防止するために見張り義務というものを法制において明らかにするということだと思いますが、現行の法律におきましてもこういうものがあるわけであります。この規定との関連をひとつ簡単に説明してください。
  194. 中村大造

    中村(大)政府委員 この八十三条は、ここに規定してございますように、安全を確保するために、運輸省令でもって進路、経路、速度その他、いわゆる基準を決めるわけでございます。その基準に従って航行する。これはいわば、これまたいわゆるICAOの万国的な一つ基準がございます。その基準に従って航行するということが、これはもう航空の大前提でございます。これをここで宣言しているわけでございます。  それから、見張り義務でございますけれども、これは先ほどもたびたび申し上げましたように、いやしくも航空機を操縦する場合に、これは当然その場合の気象状況等いろいろな条件がございますけれども、見張りをして衝突、接触を防止する、これはあるいは法律以前の問題かもわかりませんけれども法律によってこれを明定するというところに意義があるというふうに存じておるわけでございます。
  195. 梅田勝

    ○梅田委員 要するに両方ともいわば航空交通における基本的なルールと言ってもいいようなものでございますか。その両者の間にはあまり変わりはないということですか。
  196. 中村大造

    中村(大)政府委員 両者の間に特に矛盾というものはないと思います。
  197. 梅田勝

    ○梅田委員 そうしたら、見張り義務は航空交通における基本ルールだ、衝突防止のさまざまな行為も、これまた航空交通における基本ルールだ、こうなりますと、たとえば航空法はこの基本ルールにおきまして、航空路の設定、最低安全高度、巡航高度それから衝突予防等、さらに航空交通の指示、飛行計画及びその承認、こういう一連の基本ルールは全部航空法の本条文の中に入れられておる。そうすると、八十三条の具体的なものは運輸省令において定めるということで、施行規則の百八十条から百九十一条において細かく、たとえば進路権の問題や間隔の維持といったようなものが書かれておりますが、私は、そういう基本的なものは航空法の中でしっかりと規定をすべきじゃないかと思うのでありますが、その点どうですか。
  198. 中村大造

    中村(大)政府委員 必要な基準を省令でこれを定めることは一向差し支えないと思います。(発言する者あり)
  199. 梅田勝

    ○梅田委員 ちょっと妨害がありましたので、よく聞こえなかった。もう一度。
  200. 中村大造

    中村(大)政府委員 具体的な運航の基準を省令で定めることは一向差し支えないと思います。
  201. 梅田勝

    ○梅田委員 私はそれをきちっと法律において定める必要があると思う。なぜなら、見張り義務だって本来衝突防止の重要な仕事でしょう。それが今度航空法にあるわけだ。それをわざわざ条文を設定して入れるというのであれば、先ほど来航空法の全般的な改正の問題がありますが、基本ルールについては航空法においてしっかり定める必要がある。そこらあたりが、欠陥行政というように指摘される問題につながっていくおそれがあるのじゃないか。運輸省令で決めておるからいいんだということをそっちはおっしゃりたいんでしょう。しかし、道交法あたりは、陸上交通については相当細かく法律において定めているわけですね。ところが、航空行政においてはそういう点では法律がきわめて不備ではないかと私は思うのです。そういう点の一つとして、このいわゆる高高度管制区におけるジェットルートの問題におきまして、ここへ定期運送の航空機が入ってくる。まあ今回は訓練地域は別にする、だから安全だということを国の方はおっしゃりたいんだろうと思いますが、しかし現実にああいう事故が起こった。そして航空路を横断する回廊等もあるわけであります。そういう点を考えますと、やはりそういったものをしっかりと航空法の中に法規として定める必要があるんじゃないか、そういう点で航空局の見解をお聞きしたいと思う。
  202. 中村大造

    中村(大)政府委員 先生の御指摘は、このジェットルートというものを航空法の中で法律規定すべきじゃないか、こういう御趣旨だと思いますが、これは規定のいたし方としてそういう方法も確かにあろうと思います。ただ、このジェットルートを決めております趣旨は、これは一つのいわゆる管制を行うための方法ということでこのジェットルートを決めておるわけでございます。したがいまして、これは管制の一環でございまして、したがって、そのジェットルートというものを航空路というふうな観念との関係で法律事項にするか、あるいは現行のようないわゆるジェットルートというものを、これを公示で一般に情報として提供することによって施行するかということはこれはいろいろ議論はあろうと思います。議論はあろうと思いますけれども、少なくともこのジェットルートというものは航空管制の一環として行うためのものでございますから、私どもは現在はこの方法で十分ではないかと思っております。
  203. 梅田勝

    ○梅田委員 そういうことを言われましても現実事故が起こったんだから、あのときは。だから私どもは、米軍や自衛隊がいろいろ訓練をやったりあるいは作戦行動に出るというときに民間航空との衝突の危険性というものがあるから、やはり民間航空が通るところは絶対にそういうものを入れないというしっかりとした規制というものが必要じゃないかというように思うわけです。  そこで自衛隊の訓練空域の規制の問題について質問したいのでありますが、この雫石事件の直後に政府航空交通管制連絡協議会というもので航空交通安全緊急対策要綱というのを決めて、そしていわゆるその第一項におきまして「空港の空域並びに航空路の空域及びジェットルートの空域と自衛隊の訓練空域及び試験空域は完全に分離することとし、後者の空域設定については、防衛庁長官と運輸大臣が協議してこれを公示するものとする。」こういうことを決められております。私どもはこの安全要綱が出されましたときに、大もとの空の主権がアメリカに握られておる、非常に大きくわが国の主権が制限されておるというような状況のもとでは、全般的な航空の交通における安全というものを確保するためには自衛隊だけでなくて米軍に対してもメスを加える必要があるということを言ったのでありますが、この自衛隊の分について私ども聞いておりますのには、低高度訓練空域では九カ所を承認した、それから高高度訓練空域では十一カ所を承認した、このように承っておりますが、申請はもう少し多かったんじゃないかと思いますが、いま防衛庁の方から出ている申請について何カ所あって、それは具体的にどこで、どういう理由でそれはいまだに保留になっておるのか、現状を聞かしてください。
  204. 中村大造

    中村(大)政府委員 現在防衛庁から新しい訓練空域として設定の要請のございますのは、百里沖を初めといたしまして五カ所でございます。この具体的な場所につきましては後ほど御説明申し上げてもよろしゅうございますけれども、この要請につきましては現在両者の間でいろいろ協議をいたしておるという段階でございまして、いまだ決定を見ていないわけでございます。
  205. 中曾敬

    ○中曾政府委員 ただいまの局長の説明の補足になりますが、どこに自衛隊側からの要請があったかということでございますけれども、先ほどお話もございますまず百里空域でございます。これが二カ所ほどでございます。それから島根県沖でございます。山陰の西部一カ所。それから沖繩が二カ所。以上五カ所となっております。
  206. 梅田勝

    ○梅田委員 自衛隊の方、間違いないですか。
  207. 友藤一隆

    友藤説明員 現在、現に協議をいたしておりますのは以上のとおりであります。
  208. 梅田勝

    ○梅田委員 昨年十一月の十一日ですね。五日間自衛隊は昭和四十九年度総合演習というのをやられましたてすね。これは民間の航空路と立体交差になっているのじゃないですか。立体交差になった個所は何カ所ありますか。
  209. 松本操

    松本説明員 正確な場所はちょっと私記憶しておりませんが、新潟からハバロフスクの方に参ります赤の十一という航空路がございます。この航空路の上側を、現在二つすでに自衛隊の訓練空域がございますが、その現在ございます二つの自衛隊の訓練空域をつなげまして、赤の十一号の上側の方を暫定的につなげたというふうに記憶しております。
  210. 梅田勝

    ○梅田委員 われわれは五カ所立体交差になったというように聞いておるのですがね。いずれにしても民間航空路のあるところへ、それは高度はそこを飛ぶ飛行機とはぶつからぬようには当然しておるでしょうけれども、しかし下手くそな操縦士が防衛庁にはよけいおる。現に衝突したという事故があるわけですから。ニアミスだってその後後を絶たぬわけで、資料によりますと四十八年から四十九年にかけて十三件起こっておるということですから、そういう民間航空路の上下において演習をやるというのは、これはぐあい悪いと思うのですけれども、安全要綱に照らしてみてどうですか。
  211. 中村大造

    中村(大)政府委員 私どもはあくまでも緊急対策要綱で定めてございますように、いわゆる航空路と訓練空域とは完全に分離する、こういうたてまえは崩していないわけでございます。この分離の方法は、平面的に分離するか立体的に分離するかいろいろ方法はございますけれども、そういう方法で分離していることは間違いございません。
  212. 梅田勝

    ○梅田委員 この安全対策要綱の第二項ですな、これによりますと、「有視界飛行方式による訓練飛行等をおこなうことができる」ということで、二つございますね。「航空路における計器飛行方式による最低安全高度より一、〇〇〇フィート低い高度以下の空域」と、もう一つは「航空交通管制区における最低高度より一、〇〇〇フィート低い高度以下の空域」こうなっていますね。ジェットというような速度の速い飛行機を使って自衛隊は練習している。技術未熟な者が操縦している場合には、ちょっと外れちゃうことが大いにあり得るわけでしょう。先日雫石判決以後、自衛隊のパイロットの人がテレビに出ておりましたけれども、ちょっと外れたのはわからぬ、レーダで監視している者から、おまえ外れてるぞという警告があって初めて外れておったかということがわかったというぐらいの感覚でしょう。だからいやしくも航空路において、こういう条件をつけたとはいえ、認めるというのは、今回の航空法改正の趣旨からいえばおかしいんじゃないですか、どうですか。
  213. 松本操

    松本説明員 確かに先生おっしゃいますように、そういった民間航空路と訓練空域とは分離する、こういうことになっております。局長の申し上げたように、私どもはその原則を忠実に守ってきておるつもりでございます。  じゃこのケースはどうか、こういうことになりますと、レッド11という航空路につきましては、通常の飛行機は三万一千フィート程度で飛んでおりますが、日本とソ連との間に合意がございまして、一番高い高度で飛びましても三万七千でございます、それ以上の高度を使うということについては現在合意がございません。今回の演習空域を連結いたしますために自衛隊側に許容いたしました高度は最低四万一千以上でございます。したがいまして、高度の認識というものはパイロットにとって私はいろはではないかと思いますので、当然これだけの間隔をあけておけば、何ら安全の確保に支障はないというふうに私どもは判断したわけでございます。
  214. 梅田勝

    ○梅田委員 しかし、わからぬ人も出ぬとは限らぬわけだから、われわれは航空路の安全性を確保するという点において、このやり方というものについては不満でございます。  そこで、次に運輸省防衛庁が中央協定の改定をやりましたが、これにつきまして質問をいたします。  この安全要綱の第六項でございますが、「「運輸省航空行政と自衛隊の業務との間の調整に関する覚書」については、航空交通安全の見地から白紙にもどし、すみやかに結論を出すものとする。」こういうようにして出されて、そして新しい覚書が締結をされ、その上に立って「要撃機等に対する管制及び誘導に関する中央協定」の改定というのが行われております。その場合に「白紙にもどし、」という場合には、前のものは相当の欠陥があったということを認めた上でやられたのかどうか。欠陥があるとすればどういう点が欠陥であったのか具体的に説明していただきたいと思います。
  215. 中村大造

    中村(大)政府委員 これはこの雫石事故を契機といたしまして、いわゆる運輸省航空行政と自衛隊の業務との間に新しい観点から徹底的な調整を図る、こういう趣旨からの覚書でございます。したがいまして従来の覚書については、これは白紙に戻して新しい覚書を締結するということでございまして、そのとおりでございます。
  216. 梅田勝

    ○梅田委員 私の聞いたことに答えてほしいんだけれども、どこに欠陥があったのかということを聞いておる。
  217. 中村大造

    中村(大)政府委員 白紙に戻すということは欠陥があったということだけではございません。とにかくそういうものを一応白紙に戻して、とらわれないで新しいものをつくろうと、こういうことだと思います。
  218. 梅田勝

    ○梅田委員 ようわからぬ話ですけれども、それじゃ、古い協定と新しい協定は実質的にどこが違ったんですか。
  219. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは具体的な条項についていろいろございますけれども、とにかく航空交通の要するに安全の確保ということに重点を指向したわけでございます。したがいまして、要撃機等に対する飛行制限といいますか、そういうものは従来よりも相対的に強化された、この覚書によって強化されたということでございます。
  220. 梅田勝

    ○梅田委員 今度の新しい協定の方でありますが、第五条が「発進前の措置」というのがありますね。その第二項におきまして「航空管制業務を行なう管制官は、前項の通報があった場合には、要撃機等以外の航空機の安全に支障のない限り、当該飛行計画のすみやかな承認のために便宜を図るものとする。」こうなっておりますね。第三項もよく以たことが書いてあります。この場合、「要撃機等以外の航空機」というのは大概民間の航空機ですね。そうなると、その民間航空機の安全に支障のない限りということが条件とするならば、この条項は以前ありました旧協定の第七条の「優先権」というのがございますね。これと比較をしてみて、新しいものは民間航空機優先の原則、このように理解してもいいんですか。
  221. 中村大造

    中村(大)政府委員 旧覚書のように常に自衛隊の要撃機等をいわゆる優先的に扱うということではございません。「便宜を図る」ということは、まず航空交通の安全の確保を図る、それから自衛隊の任務というものもこれは十分尊重しなければならないわけでございます。そういう両方の条件というものを満たして状況に適した措置をとるということがこの「便宜を図る」という趣旨でございます。
  222. 梅田勝

    ○梅田委員 結局「便宜を図る」というのは自衛隊の飛行機を飛ばすという問題について便宜を図るということになっておるんだから、まあいわばそっちに重点がかかっておるということだったら、民間優先じゃなくて、自衛隊優先じゃないですか。軍事優先じゃないですか。
  223. 中村大造

    中村(大)政府委員 その前に航空交通の安全の確保ということがまず大前提としてございます。
  224. 梅田勝

    ○梅田委員 安全の確保ということであれば、民間機優先の原則というように言ってもいいんじゃないですか、そうじゃないんですか。
  225. 中村大造

    中村(大)政府委員 民間機も自衛隊の航空機もともに安全に運航することがたてまえでございます。
  226. 梅田勝

    ○梅田委員 そんないいかげんなことを言ったらいかぬですよ。やはり民間航空機を優先的にその安全を確保するということがわが国航空行政の基本でなければならない、大臣もそのようにおっしゃったのですから、この協定はそういう立場で運用していただかないと現場の管制官は困りますよ。どうですか、大臣
  227. 木村睦男

    木村国務大臣 安全には優先も非優先もありませんので、いずれも優先的に安全は図らなければいけないと思います。
  228. 梅田勝

    ○梅田委員 非常におかしな答弁だと思います。  それじゃ、さらに今度は米軍との関係で自衛隊の問題を質問していきたいと思いますが、これは何遍も国会議論されておりますが、日米合同委員会における米軍との航空交通の問題における合意がございますね。私どもはこの合意は、まず第一に、航空交通の保安管制を必要とした場合、米軍にまかせるということを認めている。第二に、米軍用飛行場の進入管制においては、日本側は米軍に協力を義務づけられておる。第三に、いわゆる防空識別圏や制限空域、これをつくられて、徹底して米軍機優先が貫かれている。要するに空の主権が著しく制限されているという点におきまして、私どもは、従来からこういう対米従属的な屈辱的なものはやめなければならぬ、いまなお横田とか岩国を中心にした広大な米軍の専用管制空域があるということにつきましては、非常に問題だと考えております。  そこで、この自衛隊の衝突事件を契機にした安全要綱を見ましても、米軍に対しましては、アメリカ側の協力を求める、こういうふうになっておりますが、また、この合意の内容につきましても改める必要があるということがしばしば言われておりますが、話がどこまでいったのか、具体的に答弁していただきたいと思います。
  229. 中村大造

    中村(大)政府委員 米軍に対する、緊急対策要綱の線にのっとりまして、協力を求めたわけでございます。  その一点は、いわゆる訓練空域に関することでございますけれども、これにつきましては、いわゆる、自衛隊に設定いたしております訓練空域を、米軍においてこれを共用していただく、こういうことが一点。これはその線で進んでおります。  それからもう一つは、先ほどお話がございましたいわゆる航空交通の管制に関する合意書、これの改定問題がございます。これについても、両者の間で鋭意検討を進めていくことにして、相当程度これは煮詰まっていっておるわけでございます。そのような努力はいたしてきておるというふうに申し上げます。
  230. 梅田勝

    ○梅田委員 相当程度煮詰まって、いつごろにまとまるのですか。
  231. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは相手のあることでございまして、両者でいろいろまた詰めなければならない問題もございますので、いつということを申し上げるわけにはいかないと思います。
  232. 梅田勝

    ○梅田委員 いままで外務省は、この合意書並びに附属書、これは一から三までありますが、私もこういうのをいただいておりますが、全文が出てきてないですね。これはなぜ全文出さないのですか。
  233. 深田宏

    ○深田説明員 お答え申し上げます。  本件につきましては日米間の合同委員会で合意されておりますけれども、合同委員会の合意の内容につきましてはそのままの文書を外に出さないということが日米間で当初から約束されておりますので、この約束の関係で文書そのものをお出しできない次第であります。
  234. 梅田勝

    ○梅田委員 そういう約束が当初あったかもしれない。しかし、われわれがわが国航空行政を審議する場合に、それが全文必要だということで要求した場合に、当然日米合同委員会に申し入れて出すべきだと私は思うのだ。これはいろいろ町に市販された本に載っておるわけでしょう。あなた何ぼ秘密にしてもここに出ておるわけだ。それを正式に国会の場に出せないというのは私ばおかしいと思うのですね。かつて国鉄の運賃値上げの問題のときに米軍との輸送協定を出すか出さぬかで大分議論したけれども、結局あれは申し入れて、出したでしょう。そういう積極的な申し入れを外務省はいままでやったことがあるのですか。
  235. 深田宏

    ○深田説明員 ただいまの件につきましては、先生御指摘になりましたような検討に必要な範囲内におきましてはその内容をお示ししておる次第でございます。
  236. 梅田勝

    ○梅田委員 そんなことを聞いているのじゃないですよ。全文出すように外務省は要求したことがあるのかないのかということを聞いておる。われわれが要求しているのだ。なぜやらないのですか。
  237. 深田宏

    ○深田説明員 ただいまのような御要望があるということは存じておりますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、関連の御検討に十分必要な範囲内におきまして、その必要を満たすのに十分な内容のお示しをしておるわけでございますから、アメリカ側に対して、そのテキストそのものを出そうじゃないかという話はいたしておりません。
  238. 梅田勝

    ○梅田委員 審議に必要かどうか、それは国会が判断する。政府が勝手に判断することと違いますよ。われわれは審議に必要だと考えている。  たとえば「航空交通管制に関する合意第三附属書」、その第二章の定義におきまして、「航空責任機関」「防空責任担当機関」こういう用語がありますが、これについては「アメリカ合衆国政府については在日合衆国軍を、日本政府については防衛庁を指すものとする。」つまり自衛隊。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 これはお認めになりますか。
  239. 深田宏

    ○深田説明員 ただいまの御質問でございますけれども、これは交渉の具体的な内容にわたることでございますので、私どもの方から詳細にわたってこの時点で御説明申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じております。
  240. 梅田勝

    ○梅田委員 こんな重大なことが答弁できぬようでどうするのですか。そんなに秘密ですか、これは。  第三章の方針におきまして、「日本政府は、次に掲げる事項を守ることを相互に確認する。」a項において「航空交通の保安管制が、日本国の防空に必要とされる場合は、防空責任担当機関が保安管制を行うことを認めること。」こうありますが、これは一体具体的にだれがやるんですか。米軍と自衛隊ですか。
  241. 中村大造

    中村(大)政府委員 ただいま御指摘の条文というものは、恐らく航空交通管制の合意書の中身、いわゆる内容に関することだと存じます。この点につきましては先ほどからたびたび御説明を申しておるように、これは合同委員会において公表しない、こういうことになっておるわけでございます。したがって、その内容について御質問がありましてもこれはお答えする限りではないと思います。
  242. 梅田勝

    ○梅田委員 これはあなた方が出したものですよ。これをこっちの方は昭和三十四年の六月の合意第三附属書、運輸省航空局が私のところに持ってきた文書ですよ。その第四番目に防空上緊急の必要があるときは防空担当機関が保安管制を行うことに同意している。国会の場へはここまで出しているんだよ。私はそれじゃ防空担当機関というのは具体的にいって米軍と自衛隊かということを聞いているのに、それが答えられないでどうするんですか。国会を侮辱するもはなはだしいじゃないですか。はっきりしてください。
  243. 中村大造

    中村(大)政府委員 ただいま御指摘の条文は、いわゆるお示しいたしました資料の第四項に掲げてあるところでございますけれども、この場合の保安管制の態様というものにつきましては、いわゆる現在の段階では現実考えられないことでございまして、具体的にどうする、これを詰めてはいないわけでございます。
  244. 梅田勝

    ○梅田委員 そんなばかなことないですよ。この合意の附属書には、はっきり担当機関は米軍と防衛庁だと書いてあるんです。そんなことがなんで国会に報告できないのですか。おかしいじゃないですか。さらに聞きますと、このa項におきまして「次に述べる航空機について、航空交通管制承認の最優先権を与えること。」これもちょっと表現が違うけれどもあなた方が出したものに出ていますがね。その中に「(一)空業務に従事する航空機」これは米軍だけか、自衛隊も含むのか、御答弁願いたい。
  245. 中村大造

    中村(大)政府委員 現在、先ほど申し上げましたようにこの合意書の改定について鋭意詰めておる段階でございまして、この防空業務に従事するということはだれかということでございますけれども、これはしたがって防空業務に従事する者がだれなのかということは想定をいたしていないわけでございます。
  246. 梅田勝

    ○梅田委員 私は、これがもし米軍と自衛隊がここに書いてあるとおりに防空業務を遂行しているということになれば最優先権ということになりますから、先ほどいろいろ安全問題で議論がありましたけれども、やはり軍事最優先じゃないですか。幾ら中央協定であなた方がやられたとしても、こっちの方の合意が具体的に改善されない限り、米軍優先、自衛隊優先じゃないですか。国民はそのように思いますよ。明確な答弁を願いたいと思います。
  247. 中村大造

    中村(大)政府委員 現在その改定の作業をいたしておる段階でございます。
  248. 梅田勝

    ○梅田委員 大臣、いつまでやられる気ですか、それは。せっかくこういう事故が起こらぬようにしようということで、皆さん方も御努力願っていると思うんですけれども、やっている割りに具体的に進行していかぬと私ども思うておりますけれども、どうですか大臣、いつまでやる気ですか、具体的な改定作業。決意のほどをお聞かせください。
  249. 木村睦男

    木村国務大臣 私は、いまお話を聞いておってよくわからないのですが、日本の安全やあるいは平和が脅かされて、いわゆるそういう意味で緊急事態になったときには、それは防衛が優先しなければしようがないと思うんですね、防衛が優先しないと日本がやられますから。したがって私は、そういうときにはやはりそうでなければいかぬと思います。  いま御質問のいつ詰めるかという問題、これはいまこういう問題があるから詰めていこうということでございますので、極力努力をして早くきちんとしたものにしなければいかぬと思っております。
  250. 梅田勝

    ○梅田委員 いま大臣は、防衛の重要な時期が来れば防衛優先にならざるを得ぬとおっしゃいましたけれどもわが国は御承知のように平和的な条項を持つ憲法というものがある。国の交戦権は認めない、これはわが国の憲法の基本的な精神ですよね。だから本来わが国外国に向かって戦争する理由はないし、外国はまた日本を攻略する必要もない。アメリカがおるから、アメリカがおってベトナムやインドシナ全域に侵略行為をやるから、危険にさらされるということじゃないんですか。だから私は、日米安保条約というものを根本的になくさなければならぬという立場で言っているし、それが貫けるならばこういう屈辱的な侵略的な大変な合意事項というものはなくたっていいんですよ。なくていいんです。そこのところをやはりはっきりしてもらいませんと、私はぐあい悪いと思う。もう一度、いまのあなたの答弁では重大ですよ、憲法を否定するような意見だ。
  251. 木村睦男

    木村国務大臣 私は、梅田委員と基本的に考え方が違うものですから、議論がどうもかみ合わないのですが、私は、日本の空を守るとか日本の国土を守るということは戦争をすることではないと思うのです。しかも、平和憲法があるから外国は攻めてこないのだということでもないので、平和憲法があるのは日本が戦争をしないということでありまして、日本だけを支配する憲法で世界が支配されるわけではございませんので、常に日本としても国を守るということは考えていなければいけないと思うのです。その手段として日米安保条約があり、自衛隊がある、こういう立場に立っておるものですから、梅田委員議論と基本的に違うものですから、どうもかみ合わぬ点はやむを得ないのです。
  252. 梅田勝

    ○梅田委員 戦争危険要素をなくするということが大事であり、憲法違反の自衛隊というものをなくするということが大事なんですよ。その点は大分、大分どころか基本的に自由民主党政府とは意見が違いますので、それはさておいて、あとこの間予算委員会で問題になりました米軍と那覇航空交通管制部の間の協定書ですね。この問題について質問をいたしますが、これは英文のものが正文で、それ以外の日本語の正文というのはないのですか。
  253. 松本操

    松本説明員 せんだっての衆議院の予算委員会におきましてその問題が御提示になりました。運輸大臣はそのときに、そのような協定、取り決めと申しますが、取り決めは必要上ございますということは御返事申し上げました。それ以上のことについては私ども申し上げる立場にございませんので、英文であるか日本語であるかというお尋ねでございますが、この点についてもはっきりしたお答えを申し上げるわけにまいらないという立場であろうかと思うのです。
  254. 梅田勝

    ○梅田委員 そんなことが何で言えないのですか。普通、国際協定は対等の立場であるならば双方の国語でもってやっているでしょう。両方が正文でしょう。今回の場合はなぜ明快に答えられないのですか。
  255. 松本操

    松本説明員 すべて航空の扱いというものは世界的な基準、つまりICAO基準というものが一番の根底になっております。ICAO基準におきまして、たとえば現在管制用語は英語が使われております。日本の空でございますから日本語でやってもよろしいわけでございますが、これは慣習として英語が使われている、そういうふうな点から御類推いただきたいと思います。
  256. 梅田勝

    ○梅田委員 航空協定は両方でやっているでしょう。そんなばかなことはないですよ。そのこと自体がこれはアメリカから押しつけられてやったものだと思われてもしようがない。国民は皆そう思っていますよ。  そこでSR71機の超音速帰投の問題について聞きますが、「嘉手納ボルタックから一五〇マイルDMEの点に到着するまでに、那覇航空交通管制部と連絡をとり管制承認を求める。那覇航空交通管制部は嘉手納ボルタックから百マイルDMEまでにいたるうちに承認をださなければならない。」こうありますが、これは何分ぐらいで行けるのですか。
  257. 松本操

    松本説明員 この飛行機が巡航高度を飛んでおります速さはかなり速いと聞いておりますが、具体的に離陸、着陸をいたします前後におきましてはそのような速さで飛んでおるわけではございません。したがいまして通常の航空機とさほど違った時間ではないというふうに承知をしております。
  258. 梅田勝

    ○梅田委員 何分かかりますかと聞いている。
  259. 松本操

    松本説明員 離着陸の前後に飛んでおります飛行機の速さというのは通常三百ノットから四百ノットぐらいだろうと思います。したがいましてその時間と申しますのは、仮に三百ノットといたしますと一分間に五マイルでございます。これでいま申された数字をお割りいただければわかると思います。
  260. 梅田勝

    ○梅田委員 とにかく速い速度でこの飛行機は戻ってくる。それを管制部は、他の民間航空機との接触がどうか、その危険性がないかどうかということを判断してオーケーを出す。ところがきわめて短時間にそれを判断しなければならぬということで、これは大変無理な要求だ。向こうも無理ということを承知してかしれませんが、だんだん書いてあるのを読みますと、許可が出ない場合にはこうせいということで、次に二つ、三つというふうに書いてある。これはあなた、そこのけそこのけお馬が通る式の、われわれ見た感じですね、アメリカの傍若無人なやり方だというように思わざるを得ぬ。沖繩は海洋博もあるし、那覇空港はこれからますます航空機がひんぱんに出入りするようになる。ところがこの高速、超音速のスパイ機が、しかも日本の平和と安全ということでなくて逆にこの平和と安全を脅かすような存在の軍事行動をやっている。それによって国民が迷惑を受けるということになれば、これは大変な問題ですよ。私はこの点につきまして、一つ国会にこの協定を資料として出していただきたい。もう一つはこういうスパイ機を国内にとどめておくことはもう許さぬ、それに便宜を図るような協定というのは直ちにやめるべきだ、このことを要求いたしますが、大臣の明確な御答弁をいただきたいと思います。
  261. 中村大造

    中村(大)政府委員 協定は先ほども申し上げましたように合同委員会関連のものでございますので、その公表は差し控えさせていただきたいと思います。  それからわれわれはいかなる航空機であろうともそれを安全に飛ばせる、それを第一の任務と考えて、その趣旨でやっておるわけでございます。
  262. 梅田勝

    ○梅田委員 安全でないから国民は心配しておるわけでありまして、こういうやり方は、航空法改正をやろうと言っているのですから、米軍に対してもきちっと毅然たる態度をもってやってほしいと私は思うのです。大臣、いかがですか。
  263. 木村睦男

    木村国務大臣 これは米軍ももちろんでございますが、自衛隊も同じでございまして、民間航空とそれから米軍の航空あるいは自衛隊の航空それぞれの間にきちんとした取り決めといいますか、約束といいますか、ルールといいますか、そういうものがないと空の安全は期せられませんので、その点は一番われわれは重視しまして、いやしくもそういう間にいろいろな手違いやら過ちやらということのないようにこれはきちんとしていかなければいけないと思っております。また、そういうふうにしてまいります。
  264. 梅田勝

    ○梅田委員 とにかく海洋博も近づいていることですから、安全には万全を期していただきたいと思います。  最後に一つだけ質問して私のあれを終わりますが、飛行情報区の問題でございます。いわゆるFIRの問題ですね。沖繩の施政権返還の際には、日本には保安施設やいわゆる管制体制というものが十分でないということで飛行情報区の区域変更につきましては今後検討するということになっていたと思います。私どもは小笠原諸島や硫黄島や鳥島あるいは西表島、与那国島といったようなわが国の主権の領土、これを完全にカバーしてないようなFIRというものは、これは工合が悪いというように主張してまいりまして、これは正すべきだと思うのでありますが、これは再調整が進んでいるように聞いております。どこまでいっておるか、具体的に答弁していただきたいと思います。
  265. 松本操

    松本説明員 那覇FIRの境界線の西側の線がわが国の領土でございます与那国の東側にあるということについては、先生御指摘のとおりでございます。ただ、FIRの境界線というものは、ある国がひとりで勝手に決めることはできません。その地域に関係のあるすべての国、すべての航空企業及びこれに関連のあるもの、これらの合意により多数決として決められるという手続がICAO上定められております。また、ICAOの中にも国境に沿ってこれを決めるというのは必ずしも原則ではなくて、航空交通の流れを考慮して決めろ、こういうふうなことにもなっております。しかしながら、先生御指摘のとおりに、わがFIRの外側に出ておるということ、現在管制上全くわれわれが勝手に管制をしておりますので、実務的には何らの支障を生じておりませんが、しかし形の上で結構なことだとは必ずしも言えない。これを直そうということになりますと、次のICAOの地域会議にこれを持ち出すということになりますが、これに関連のある国というのは日本及び中国、そのほかに何があるかというと、非常にむずかしい問題があることは先生御高承のとおりでございます。しかもFIRを置きますICAOの趣旨は、その空域の中を安全、確実に飛行機が飛べるように具体的に措置することが目的でございますので、仮にラインだけを無理していじくりましても、相手方が適切な措置をとってくれませんと、かえって実行上航空の安全を阻害する恐れすらございます。その点については今後の交通の流れあるいはいろいろな情勢というふうなものを判断して適切に措置をとってまいりたい、こういうふうに思っております。
  266. 梅田勝

    ○梅田委員 日本と中国で話したらいいのじゃないですか。そっちの方は、小笠原の方は、アメリカと話、つけたのですか。
  267. 松本操

    松本説明員 小笠原に関するFIRの境界の変更につきましては、相手がわが国の承認しておる国でありまして、かつ管制の実体を持っております。両方の要件がそろっております。今回の場合には話をいたします国としての相手は当然中国でございますが、実体を持っておるところが実ははっきりしない。しかし、現実にそこで管制業務と申しますかFIRの業務が行われておる、こういう実情にあるという点を御高察いただきたいと思います。
  268. 梅田勝

    ○梅田委員 とにかくいろいろ言っておられますが、私はきちっとこの問題は解決すべきだと思うのです。ICAOの条約によりましてもやはり基本的なものはこの主権をカバーするというふうになっていると思うのですね。いろいろ世界各国のものをいただきましたけれども、やはりあんじょうつくってますわ。そういう点でやはりわが国はもっときちっとやるべきだ。やはり航空交通の安全を確保するためには、わが国の主権をきちっと確保して、そして米軍の関係等もやりませんと、言いなりの行政をやっておったら新聞に欠陥行政というふうに書かれるわけです。今回の航空法改正を契機にして、私はわが国政府がそういう点で基本的なものを堅持してやっていただくことを要求いたしまして、時間も来ましたので、質問を終わります。
  269. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 次回は、来たる十八日生別十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十五分散会