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1975-02-21 第75回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十一日(金曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 木部 佳昭君    理事 佐藤 文生君 理事 佐藤 守良君    理事 金瀬 俊雄君 理事 三浦  久君       大竹 太郎君    大村 襄治君       關谷 勝利君    西銘 順治君       前田治一郎君    三原 朝雄君       宮崎 茂一君    吉永 治市君       綿貫 民輔君    久保 三郎君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       梅田  勝君    石田幸四郎君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   池田 速雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     塚原 俊郎君 同日  辞任         補欠選任   塚原 俊郎君     綿貫 民輔君 同月十八日  辞任         補欠選任   箕輪  登君     藤山愛一郎君   石田幸四郎君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     石田幸四郎君 同月二十日  辞任         補欠選任   宮崎 茂一君     江崎 真澄君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     宮崎 茂一君 同月二十一日  辞任         補欠選任   田村  元君     大村 襄治君   徳安 實藏君     吉永 治市君   中村 寅太君     前田治一郎君   松本 忠助君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     田村  元君   前田治一郎君     中村 寅太君   吉永 治市君     徳安 實藏君   矢野 絢也君     松本 忠助君     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二〇号)      ————◇—————
  2. 木部佳昭

    木部委員長 これより会議を開きます。  道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  3. 宮崎茂一

    宮崎委員 私は冒頭運輸大臣にお尋ねしたいと思いましたが、大臣まだお見えになりませんので、ひとつ自動車局長にお尋ねいたしたいと思います。  今回提案されております改正になりますところの道路運送車両法でございますが、まず、その内容からお尋ね申し上げたいと思います。  今回の改正内容でございますが、車両法の第百二条第一項の表の手数料を変更することにあるようでございますが、見てみますと、この一号から七号までは大体二倍ということになっておりますが、八号から十一号はおのおの三倍ないし十五倍というふうになっておりますが、これはどういうような考え方でこういうふうにお決めになったのか、お尋ねいたしたいと思います。
  4. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 車両登録及び検査手数料につきましては、道路運送車両法のいま先生指摘条文最高限度額を定めまして、その枠内で実際の実施額につきましては政令で定めるという仕組みになっておるわけでございます。  今回の改正の趣旨は、その最高限度額引き上げるということでございます。その理由は、法律提案理由にも書いてございますように、最近におきます車両検査登録に従事しております職員人件費増加あるいは施設整備する場合の施設経費増加等経費増加の要因が非常にふえてまいりました。一方におきまして、自動車売れ行きが鈍っております。従来のような高い伸び率自動車売れ行きが進むということはおそらくとても考えられませんので、手数料収入伸び率も漸次横ばいないし低落ぎみになってくるということでございまして、そういった意味収支両方の面から従来の車両検査特別会計の台所が苦しくなってまいりました。どうしても四十九年度一ぱいを乗り切るのがやっとということでございまして、五十年度になりますと、新たな需要に対しましてもう一遍値上げをしなければならないという状況でございます。ところが、現在すでに政令額法定限度額天井までほとんど届いておりまして、五十年度の経費を賄うための政令改正をいたすためには、どうしてもこの限度額引き上げをしなければならないという事態に立ち至ったわけでございます。そこで、法律の問題になりますけれども、従来何遍かこの限度額改定してまいりましたときの例にも徴しまして、全体としておおむね約二倍というふうなことで天井引き上げ改正案を用意したわけでございます。なお、二の二倍という天井の中で、たとえば五十年度に政令額決めます、それでもなお若干余裕がございますので、なお数年後に一遍ないしは二遍くらい政令額改定を行いまして、もしも経費増高状況が続きますならば、手当てをすることが可能である、もちろんこれは経費増高状況があればということでございます。幸いにして増高状況がとまれば、もちろん改定する必要はございません。少なくとも五十年度につきましては、政令額改定を行う必要がある、そのためにこの天井引き上げ改正案でございます。そこで、いま御指摘のように、おおむねのところ約二倍程度限度額引き上げになっておりますが、若干の項目につきましてその二倍より上回るものもございますけれども考え方といたしましては、それぞれの項目ごと原価計算をいたしまして、その原価に照らしまして定めたわけでございます。原価状況がやはり改定するときごとに多少変わってまいりますので、その倍率改定のつど変わることがあるわけでございます。なお、もしも、項目ごとに多少二倍以外になっている理由等の御説明も、御要求がございますれば、追って詳細御説明いたします。
  5. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまの御答弁によりますと、この上げ幅というのは大体原価計算してやったんだ、こういうお話でございますが、しかしこれは来年度の問題じゃなくて、今後の余裕を見てやっているわけですね。そうすると、その原価というのはどういうふうな計算になるのか。大体二倍ということはどの辺を目的にしておられるのか、この最高限を満たすのはどの辺なのかというのが一点。  それからまた、五十年度におきまして、この最高限の中で、今度は政令でお定めになるわけですが、たとえば二倍のところは何割ぐらいお上げになるのか、この二点について一応お答え願いたいと思います。
  6. 田付健次

    田付政府委員 お答え申し上げます。  一般的な考え方につきましてはただいま局長から御説明申し上げしましたようなことでございますが、原価計算的な作業をいたします考え方といたしましては、これから必要といたします車検登録体制整備に必要な要員の数、それからそれに伴います所要施設整備、そういうようなものの要求してまいります支出経費を推定いたしまして、それに見合う歳入を立てて、そして特別会計収支バランスさせるということが必要になってまいりますので、それぞれのコスト別のこれからの見通しにつきましては、しかるべき公式の場でお決めいただいておりますアップ率を利用させていただきまして、一応の推定計算をさしていただきました。ただし、これは何年続けましてもただ値段が上がるだけでございますので、一応とどめといたしましては、先ほど局長からお話し申し上げました一般大衆が支払うべき手数料に相当する原価は、いままでの経験から申しまして二倍に近い率のときがございましたので、一応それでとめるということに考えたわけでございます。    〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕 その二倍にとめた原価計算の過程、プロセスの中に出てまいります、先ほど先生から御指摘がありました二倍以上になっている分については、その点でやはりとめてございます。その二倍を超えました経費についてどのような考え方で二倍の線から超えたかということを簡単に御説明いたしますと、たとえば型式指定手数料などに例をとりますと、当初四十四年度の改正で決まりましたが、その後欠陥車問題が発生いたしまして、新型自動車審査が安全上非常に厳しくなりまして、それに必要な所要体制を整えることになりました。その後また、公害の審査要求も出まして、現在ガステスター設備などをいたしておりますが、これにもかなりの要員施設を伴ってきてまいりました。そういうようなことを原価の中に入れて計算をいたしましたので、当時制定されました金額ではカバーできないという面が出てまいりましたので、特にこの辺は率が高くなっているわけでございます。  それから五十年度になりましてこの限度額をお認めいただきました場合の直接の、政令で定めます手数料のおおむねの倍率は、約一・五倍ぐらいに考えてございます。
  7. 宮崎茂一

    宮崎委員 五十年度は現行の一・五倍、五割増し程度値上げをしたい、こういうふうに承ったわけでございますが、そういたしますと、二倍でございますから、大体二カ年で天井を打つ。そうすると、また二カ年いたしますと法律改正、こういうようなことになるわけでございますか。
  8. 田付健次

    田付政府委員 将来の予測でございますので、私どもとしては正確に何年ということは申し上げられないわけでございますが、ただ、私どもとしては極力事務合理化経費の節減を図りまして、なるべく長い期間にわたって手数料値上げしないで済ませるという努力をしてまいりたい、こう思っておりますので、予想でございますが、仮に上げるといたしましても五十年の最初政令改正の後一回または二回ぐらいの段数は踏めるのではないかというふうに考えております。
  9. 宮崎茂一

    宮崎委員 なるべく大量に天井を上げておきますと、それだけ改正をする時間が遠くなるわけでございますが、大体の目安として、この次には、いまのような改正だと、何年くらい後——二年とか三年とかそういうことなのか、それとも先ほどお話しになった、原価計算をしてとおっしゃいますが、やはりその原価計算をするには何年か先を見越して、四年先にこういう原価になるであろうとか、自動車の台数が横ばいになるからこうなるだろうとか、何かやはり計算基礎があるのじゃないかと思いますが、そうでないと、原価に見合ったものというふうに言えないのじゃないか。やっぱり三年とか四年とか、先を見越しておやりにならないと、各項目ごと原価計算というふうな局長の言われたお考えとは少し相反するのではないか。きちっとした五年とか何年とかいうのがあって、そしてこの上限をお決めになったということに私は考えるわけですが、その点いかがでございますか。
  10. 田付健次

    田付政府委員 ただいままで御答弁申し上げました意味は、これからの物価変動等予測がちょっとはっきりつかないものですから、非常に慎重な計算仮定してやっておりますので、明確にお答えしませんでしたが、これから物価変動等がないということで、かなり安定した推移をたどってよろしいという仮定をいたしまして、一応私どもとしては数年間は値上げをしないで済ませられるという計算になっております。
  11. 宮崎茂一

    宮崎委員 ちょっとはっきりしないのですけれども、数年間とおっしゃるのは、大体四、五年ぐらいは大丈夫というようなお考えですか。どんなものです。
  12. 田付健次

    田付政府委員 著しい変化がないと仮定ができるとすれば、五十四年ぐらいまではもてそうだという意味説明でございます。
  13. 宮崎茂一

    宮崎委員 その点は了承いたします。  それから、一つだけ特に上がっているのがございますね。先ほどお話しになりました型式指定でございますか、一万五千円を二十二万円にするという案、これもやはり原価計算ということから出てくるのですか。  それから、十号、十一号ですか、これは三倍、三倍半ぐらいになりますが、一般の一号から七号は二倍ですけれども、これもやはり原価計算でこうなる、こういうことになるわけでございますか。
  14. 田付健次

    田付政府委員 型式指定倍率が他のものと違いますが、その要点は先ほど御説明したとおりでございまして、一応原価計算をさせていただいております。  それから、十号、十一号につきましても、同様に計算をいたした結果、このような算定の内容となったわけでございますが、その上がってまいります要点は、当時の業務の当方の体制、特に要員、それから、たとえば施設を伴います場合は、施設整備規模等が変わってまいりましたので、このような結果になっておる次第でございます。
  15. 宮崎茂一

    宮崎委員 これは私の思いつきでございますけれども、一号から七号、これは一応ユーザーの方の支出にかかわる分でございます。それから、九号、十号、十一号は、これは業界と申しますか、企業の方の支出にかかわる分だろうと思うのですが、この企業の方は、どうせこれは天井ですから、実際にお決めになるときは政令でお決めになるわけですから、もっとうんと上げておいたらどうなのかというような感じがいたしますが、実際に果たしてこの二十二万円で、非常にアップ率が高いわけですが、それで原価計算ということで償うのか、うんと上げておいたらどうかというような考えを持っているのですが、いかがでございますか。
  16. 田付健次

    田付政府委員 実は、冒頭局長から御説明申し上げたと思いますが、今回の手数料改正の基本的な考え方といたしまして、やはり一般大衆の方に大きな負担をかけないという意味から、過去にとりました倍率までという一つの枠を私ども設定いたしました。その枠で出てまいりました、言うなれば一般大衆の方に負担していただく車検手数料の、その計算バランスといいますか、二倍なら二倍という答えが出てまいりました先ほど先生からの御質問でお答えした経済の状態が著しく変動しなければまあおよそ五十四年ぐらいまでは何とかもてるだろうといったその時点までの計算におきまして、型式指定優良事業者認定等原価計算してこの結果が出たわけでございましてまたそれまでの間に著しい変動があるか、あるいは変動がなくてこの当初どおり五十四年を迎えることができても、その後の変動でまた変わりますればそのときに改めて限度改正をお願いするということにはなろうかと思いますが、一応全体のバランスをとってそのような計算の結果になったわけでございます。
  17. 宮崎茂一

    宮崎委員 これは自動車局長ひとつお尋ねいたしますが、今回の改正とは別に、将来車両法というのは根本的に、全面的に見直すというようなお気持ちはいまないかどうか。     〔佐藤(守)委員長代理退席委員長着席〕 と申しますのは、百十二条にわたる膨大な法律でございます。昭和二十六年におつくりになって自動車の変遷も大分たっているわけですね。そしてまた私は個人的に、大幅に見直して政令に委譲した方がいいんじゃないかというような感覚を少しいま持っているのですが、これはもう自動車局長の私見でもよろしゅうございますから、車両法を根本的に、全面的に見直してみたいというような気持ちがあるかどうか、その点を一点お伺いしたいと思います。
  18. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  結論的に申しますと、車両法全面見直しという必要性は現在のところそうないような気がいたします。と申しますのは、私ども自動車局法律二つ柱がございまして、道路運送法、バスとかタクシーとかトラックを取り仕切っています道路運送法といいますのと道路運送車両法といいますのが二本の柱でございます。道路運送法の方は一遍もいままで大改正したことがないのでありますけれども、きょう御審議いただいております道路運送車両法の方は大小取りまぜて十数回の改正をいたしております。法律体裁といたしましてもかなり微に入り細をうがった体裁になっておりまして、今回この手数料改定のお願いをいたします際にも、この際道路運送車両法法律条文で変えるところはないかということを長い間かかって検討いたしたのでありますけれども、いろいろ社会の側の需要に応じましてわれわれの検査、特に検査体制をいろいろ拡充する必要はあるわけでありますけれども、そういったことはこの法律改正を用いずとも省令以下の段階あるいは行政指導で対応できるのじゃないかというふうになりましたものですから、初めの案にいっぱい書いてありましたものがだんだん法律的な検討をしている途中で消去されてまいりまして、残りましたのがこの手数料限度額改定だけという結果になったわけでございます。  そこで実は私どもも、いま先生指摘のようにこの手数料の額を一々法定をしないで政令委任していただくという規定はいかがなものであろうか。それをこの際政令に委任するというふうな改正をお願いしようかということでずいぶん政府部内でも検討をいたしたわけでございますけれども、どうも道路運送車両法改正案をお出しいたしまして、いままで法律限度額が書いてあった、つまり国会の審議をお願いするようになっておるたてまえのものを、政令に委任するということだけを一つ議論の種にするという法律改正案というのは、一かにもぎらぎらするではないかというふうなこともございまして、今回は一応従来どおりの方式によりまして、金額そのもの改正するということにしたわけでございますけれども、この手数料の性格あるいはこの金額の小ささ等から見まして、将来やはりできますならば政令に委任していただくということも適当な考え方じゃないかと思いますので、今後改正の都度にまた検討をしてまいりたいと思っておりますが、ただいまのところはやはり従来どおり考え方でこの確定金額改定ということでいきたいということでございます。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 大臣が見えましたので大臣にお聞きしたいと思いますが、今回この道路運送車両法の一部をどうしても改正しなければならない。先ほどちょっと局長触れられましたけれども、どうしても改正しなければならないという理由について、簡単にひとつ御説明をお願いいたします。
  20. 木村睦男

    木村国務大臣 自動車検査登録事務経費を賄いますものは検査登録特別会計によります検査手数料登録手数料収入によって賄っておるわけでございます。最近、検査事務にいたしましても、登録事務にいたしましても、いろいろ合理化をいたしましたりあるいは必要な近代的な機械等も購入して整備をいたしております。これに相当費用がかかります。それから人件費も御承知のように上がっておるということで経費がだんだんふえてまいります。収入のもとであります自動車ふえ方が、最近御承知のような事情で鈍化をいたしておりますので、どうしても現行手数料収入では賄い切れなくなりました。そういうことで、先般も手数料値上げをやったわけでございますが、この手数料につきましては法律限度決められてありまして、その限度内であれば政令で出せる。今回、先般やりました手数料値上げで、ついにその天井まで行ってしまったわけでございます。したがって、今後手数料値上げするためには、その天井を少し上げていただかぬといかぬということで、今回この法律改正をお願いしておるようなわけであります。
  21. 宮崎茂一

    宮崎委員 逆にお尋ねいたしますと、これは法律改正しなければ何ぼか赤字が出る。特別会計の方ですか、赤字が出る。その赤字はほかの方法では賄えないわけでございますか。このような法律改正をすること以外には賄えないかどうか、大臣どうですか。
  22. 木村睦男

    木村国務大臣 この事務特別会計になっておりますので、特別会計の財源は検査登録手数料収入によるということになっておりますので、したがって、この特別会計の中で処理する必要上、これしか賄う方法がないということでございます。
  23. 宮崎茂一

    宮崎委員 それじゃ来年の予算措置上どうしてもこれは改正しなければならぬ、こういう結論でございますね。もう一遍確認いたします。
  24. 木村睦男

    木村国務大臣 来年といいますのは五十年ですか。
  25. 宮崎茂一

    宮崎委員 五十年です。
  26. 木村睦男

    木村国務大臣 そういうことでございます。
  27. 宮崎茂一

    宮崎委員 それではひとつ最後に一つだけ御質問したいと思いますが、この車両検査体制の問題でございますが、これは自動車局長で結構でございますが、これは充実されているかどうかという点についてお伺いいたしたいと思います。  そうしてまたついでにひとつ、最近どうも民間工場におきまして整備料金が高いとかあるいは不当な料金を請求されたという話をときどき聞くわけでございますが、運輸省はそれにつきましてこの指導監督をやっておられるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  28. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 自動車検査仕事につきましては、国が車検場を直轄いたしまして、そこで国の職員によりまして検査をしております仕事と、それから民間工場の中から設備、技量その他優秀な工場を指定いたしまして指定整備工場という制度をつくりまして、そこで整備をしてもらい検査をしてもらったものについては、直接車検場に持ってこなくてもよろしいという二本立ての制度にいたしております。この両方をひっくるめまして、私ども現在のところ自動車検査需要に対しましては、それに十分こたえ得る体制をしいていると考えております。  ただ、よく問題になります国の検査事務民間検査との振り合いの問題がございますけれども、できるだけ国は直接にそういったものに金を使わないで民間指定工場を育成をして、そこに検査代行をさせるということを考えたらどうかということがずっと前からいろいろ指摘されております。そこで、この指定工場制度というのをやりまして、できるだけたくさんの業務民間にやってもらう、国はそれを監督をするということにしていきたいということでやっております。現在、年によって消長がございますけれども、ごく大まかに申し上げまして半々ぐらいのことになっております。しかしながら、私ども考えといたしましては、これをもっと民間比率を高めまして、できれば三分の二ぐらいまで民間工場に任せる。あと国は残りの三分の二の仕事とそれからこの民間工場監督という仕事に純化してまいりたいというふうに考えております。  そこで、民間工場のことでございますけれども、これは一番プリミティブな段階工場認証工場と申しまして全国に七万ほどございます。その上に指定工場という非常に優秀な工場が約一万ございますけれども、全体含めまして道路運送車両法に基づきまする監督をいたしております。  そこで、いま御指摘車両整備工場経費が高いんじゃないかというふうなことをよく私どもも伺うわけでございますけれども、よく調べてまいりますと無理からぬ点もある。しかしながら、やはりたくさんの数がございますので、中には若干問題のある工場もございます。そこで、この問題のある工場等につきましては、できるだけ私ども出先機関でございますところの陸運事務所担当官あるいはこういった工場を全国的に統合しておりますところの公益法人、そういったところの手もかりまして、そういった利用者に御不便、御迷惑をおかけするような業者をなくするという指導を続けてやっておりますが、今後もますますそういったことについては監督強化してまいりたいというふうに考えております。
  29. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまお話しのように、利用者が安心して修理できて、適正な価格で修理できるように、ひとつ指導監督を強化していただきたいと思います。  私の質疑はこれで終わります。
  30. 木部佳昭

  31. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 道路運送車両法の一部を改正する法律案についてお尋ねをしたいと思いますが、今度の改正登録検査等に関する手数料の額の範囲を決めるということに限定をされておりますので、最初にこの点に触れたいと思いますけれども大臣、これらの登録検査等に関する手数料というのは公共料金なのかそうでないのか、まず伺いたいと思います。
  32. 木村睦男

    木村国務大臣 公共料金というものの解釈は必ずしも私も実ははっきりいたしておりません。これはいままで公共料金といっていろいろ扱われておりますのをずっと見ますというと、運賃でありますとか、こういったいわゆる料金手数料、こういうもので、それが政府機関によって認可、許可等を受けるものをいわゆる公共料金と言って扱っておる傾向が一般的のように思います。そういう意味から言いますと、これも運輸省決めるわけでございますので、そういう意味では公共料金の中に広い意味で入るんではないか、かように思っております。
  33. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣の見解によれば、この登録検査等に関する手数料は公共料金の範囲に入るというお答えでありますけれども、公共料金改定する場合には、おそらく経済閣僚会議等の議を経なければというようなことに常識的になっていると思うのでありますけれども、経済閣僚会議へどういう形で持ち込み、どういう審議をされたか、その経緯をひとつ知らせてください。
  34. 木村睦男

    木村国務大臣 公共料金の中でもいろいろ差異がございまして、経済閣僚会議にかけるものあるいはかけなくてもいいもの、いろいろあるわけでございます。この検査登録手数料は、申すまでもございません自動車の保有者が検査登録を受けて納める料金でございます。そういう意味で、範囲も一般の国民全体が対象にはなっておりませんし、それから政令決めることになっておりますので、政令決めます場合には閣議を通る、その前にはそれぞれの事務当局にも次官会議等でかけるという手続がありますので、これは経済閣僚懇談会等にかけないでやるやり方を従来ともやっております。
  35. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 少なくも公共料金という範疇に入るとするならば慎重な配慮をすべきであって、まあ政令決めるというようなものであるからその手続は省略をしたということであります。よい悪いは別として手続的にそういうことをやられた、そういう考え方であるという点について見解を伺ったわけでありますが、今度の登録なり検査に関する手数料の額の範囲を決めるに当たって、まず登録なり検査に対する要員の確保をしたい。確保というよりも、これは増員を予想されていると思います。さらに、この施設の拡充に資したい。さらに人件費の自然増といったようなものも要因としてある。主としてこの三点にしぼられているというように思うのでありますけれども、先ほどの局長のお答えにもありましたが、また質問者の発言の中にもあまりしたけれども自動車の数というのは必ずしもいままでの傾向でふえるとは思われない。しかし、ふえないことが検査登録の減少になるともこれは言えないわけでございますから、その点は必ずしも科学的に一致をしないと思いますけれども、一体、要員をどの程度ふやそうとしているのか、あるいは施設をどのようなものをどのようにされようとしているのか。特に私が伺いたいのは、人件費の自然増、これはべースアップによるものでありますけれども、一体、今度の改定に当たってベースアップをどのように計算をされて、こういう額をはじき出したのか、三点にわたってお答えください。
  36. 田付健次

    田付政府委員 まず第一点の要員施設でございますが、私ども現在二千六百万台近くございます自動車検査登録を約二千五百人ぐらいの職員でこなしております。もちろんこれは全部やりますと大変でございますので、一応民間車検を利用してやってまいりますが、大ざっぱに申しまして大体年間百人ぐらいずつ増員をいただきましてこなしてまいりました。将来でございますが、まあ自動車がどのくらいふえますか、これまたちょっと見当もつきかねる最近の情勢でございますけれども民間車検でカバーする量を逐次ふやしてまいりまして、なるべく職員をふやさないという方向でまいりたい。その率をおおむね六割か七割くらいまでは民間車検に任せる形で、継続車検につきましては手間を省いてまいりたいということを考えております。  それから施設の方でございますが、これは現在各検査場にコースを設定いたしまして、ブレーキからヘッドランプ等をやっておりますが、従来の機械でございますと一々そこに職員が張りついていませんとできませんので、これの自動化というのを進めております。現在全国に約二百くらいコースがございますが、それの約半分が自動化を終わりまして、残り半分を逐次自動化してまいるという予定を立てております。  それから、三番目の人件費のアップの見込みでございますが、現在の状況では全く予測を許しませんけれども、この計算をいたしましたときには、五十一年度以降につきましては四十八年の二月に閣議決定がございました経済社会基本計画というのがございます。これが四十八年度から五十二年度にわたります基本計画でございましたが、その際に一人当たりの雇用者の所得の上昇率が設定されておりまして、一二・三%という数字が使われてございます。私どもといたしましては、こういうものが上がらないことが望ましいというふうに思いますが、一応その努力をする前提でこの一二・三%を人件費の伸びの数字にさせていただいております。
  37. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 要員の数六割ないし七割を民間車検に回す。したがって、直轄による検査はそうふやすつもりはないということでございますが、若干の増はする。それから、施設については機械化、自動化で省力化を図っていく。給与については経済社会発展計画の基礎資料を当てていった、こういうことでございますが、その人件費の自然増等については議論のあるところであります。しかも経済社会発展基本計画などはもう見直しの段階に来ておりますから、当てになるようなものであって当てにならないけれども、しかし政府としては権威ある決定であるので、それに準拠せざるを得なかったという説明はわかります。わかりますけれども、必ずしも現状にぴったり合ったというような方法ではないではないかということも意見として申し上げておきたいというように思うわけであります。  さらにお尋ねしたいのは、この登録並びに検査料等については上限を決めるのであって、しかも予算関連法案でございますから、公布の日から施行するということになっているわけでありますけれども、いきなりこの改正案に示されている上限になるわけではないと思うのですね。したがって、たとえば公布の日から施行する場合、すなわち昭和五十年度においてここに出ております数項目改定料金をどのような額にされようとしているのか。当然公布の日にこれが告示をされ施行されるわけであります。先ほどからお尋ねがありましたように、ほとんどの項目が大体において倍額になっておりますけれども、初年度は一体、たとえば新規登録料、現行三百円を六百円にする場合にどの程度にされるのか。以下順次項目を追って十一項目まで初年度においてどの辺を押さえているのか。これは次期登録並びに検査等の手数料改定する場合、重要な一つのポイントになるという観点から、内定でも結構でありますが、あるいは検討段階ではこのようにするつもりだということがおわかりでしたら御説明願いたい。
  38. 田付健次

    田付政府委員 ちょっとお断り申し上げておかなければならないのでございますが、五十年度の最初に定めさせていただきます政令の実態の額につきましては、議論をまだやっております段階でございまして、おおむねの線の程度しか出ておりませんので、その点をあらかじめお断り申し上げたいと思うんですが、その意味で確定しておりませんので、代表的なものだけをお話し申し上げたいと思います。  先ほどお話がございました新規登録につきましては、五十年度におきます政令額を五百円程度にしたい。  それから検査手数料に参りますと、新規検査の場合には普通自動車につきましては千百円、それから小型につきましては大体千円ぐらい、要するに大体千円ぐらいのオーダーの新規検査、そこに差額が書いてございませんのでちょっとおわかりにくいかと思いますが、検査手数料の中の一部でございます。  それから継続検査も、ほぼそれと同じように普通車千百円、小型車千円という内容に予定をいたしております。  それから型式指定自動車、次のページでございますが、これは限度額二十二万円でございますが、初年度大体十万円ということでスタートをしたいという予定をいたしております。  以上でございます。
  39. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これも特別会計でございますから、もうけたってしょうがないし、赤字でも困るということで、適当な額に決められると思いますけれども、どうも現行三百円を六百円に改定し、初年度においてほとんどその上限に近い五百円を予想する、あるいは検査手数料等を千四百円にするんだけれども、千円ないし千百円にしたいというようなことから考えてまいりますと、かなり上限に近い線へ持っていく意図が多分にあると思うんです。果たしてそれでいいのかどうなのか。そういう形でいくと、経済、物価の動向等で複雑な条件がありますから、場合によっては値下げの改定をするときも来るかと思いますけれども、しかしそれはほんのわずかな希望であり願望であって、私は二、三年を経ずして、またこの改定ということになるんじゃないかというように思いますけれども、一体この改正を行った際、何年ぐらいこの上限の範囲で運営できると見込みを立てられているのか、お答えください。
  40. 田付健次

    田付政府委員 これからの経済変動の量が非常に推定がむずかしゅうございますので、先ほど申し上げました発展計画等の長期計画の線で仮に推移させていただくということを前提にさせていただけるならば、おおむね五十三、四年ぐらいまではこの計画で特別会計の歳入歳出が賄えるという一応見込みでございます。
  41. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 まあ、確たる見通しはお互いに立てにくいわけでございますので、確答を得られないのは残念でありますけれども、初年度における実施額を那辺にするかということにつきましては、さらに十分収支バランス考え決めていただくように要望をいたしておきます。  さらに、この型式指定の問題でお尋ねをしたいんですが、これはメーカーの問題だということに片づければ片づけられる問題でありますけれども、しかしこれが自動車の価格に反映してくるということになりますれば、利用者であるユーザーの問題にもはね返ってくるわけでありますが、一万五千円を二十二万円に引き上げる。大体その型式の指定をいままで一万五千円で許したところに問題が大きいと私は思うのです。これをたとえば二十二万円にしましても、一つの型式を二十二万台つくれば一台一円だ。しかも日本の自動車メーカーというのはむやみやたらとモデルチェンジをし、型を変えているわけですね。そういう意味からいくと、二十二万円が高いとか安いとかと言う前に、いままでの一万五千円というのが全くお話にならぬ額ではなかったのかというようにしか私は思えないし、また一年に二回もモデルチェンジをするようなメーカーの売らんかな一点張りの営業方法というのですか、そういうものは行政指導で最大限の規制をしていくべきではなかったのかというように思うのです。いままでの一万五千円が余りにも低過ぎたのではないかというように思えてならぬのですが、これに対する見解はいかがでございますか。
  42. 田付健次

    田付政府委員 確かに先生のおっしゃるとおり、現在の時点で振り返ってみますと金額としては非常に微細なものであったというふうに私も思います。ただ、先ほど御説明いたしましたように、当時の新型型式指定につきます業務経費というのは実態的にもわりあいに軽便な設備要員の規模でできだということが最大の原因であろうかと思いますが、その後リコールの問題に端を発しました欠陥車対策の安全審査、それから先ほど御指摘になりましたようないろいろなガス問題、公害にからむいろいろな強化の問題等がございまして、その後急遽私ども審査体制が拡大されてまいりましたので、当然これに対する原価というものをお願いするということにならざるを得ないということで上がりましたわけでございまして、一口で言うなればこの間の変化が非常に激しかったということであろうかと思いますので、御理解をいただきたいと思います。  なお、モデルチェンジ等につきましては私ども機会あるごとにメーカーに対して指導はいたしてまいりました。これからもいろいろな意味で、世上言われております駆け込み生産などのないように私どももメーカーの方に指導してまいりたい、こんなふうに思っております。
  43. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 運輸省自動車局の姿勢そのものが問われる一つの資料だとも思うわけでありますけれども行政指導をどんなにしようとあるいは自動車局が何と言おうと、メーカーというのはいままできわめて一方的に、きわめて独善的にやってきた、これは否めない事実であろうと思うわけなんであります。いままでもやってきたがこれからもやりますという一片の答弁だけでは、日本の自動車産業あるいは自動車工業会に結集されている頑迷固陋な彼らの頭というものは変わるものではない。むしろ言い方によっては、何か運輸省自動車工業会の後ろにくっついてともにこうした自動車産業行政を進行させてきたというようにしか思えない節もあるわけであります。いままでの料金が安過ぎたとは言いませんけれども、この辺はやはり全般的な広い視野に立って指導をし、料金の決定についても考慮をすべきだということを申し上げておきたいと思うわけであります。  次に、先ほど質問の中にもありましたけれども道路運送車両法全体を改正する意思はいまのところないと局長から言明がありました。一体道路運送車両法が厳正適切に施行され、実施をされていると把握をされているのか、あるいは大変な問題が散在していてどうしても本法の改正に踏み切らなければならぬ段階に来ているのかという点については運輸省の立場と立場を異にしているわけであります。  以下数点について、じゃ、こういう問題をどうするんだということをお尋ねいたしますけれども、私は道路運送車両法は抜本的に改正をしなければならぬ時期に来ていると思うのですけれども局長自動車局には二本の法律があって、道路運送法道路運送車両法の二本で何の差し支えもない、しかも車両法の方はたびたび改正が行われた、運送法の方は長いこと手をつけずに支障なくやってきておりますという言い方ですけれども、さっき言ったことを翻すわけにいかぬと思いますけれども、全く支障なく道路運送車両法現行内容でいいとお考えですか。確認の意味で。
  44. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私が先ほど御答弁申し上げましたのは、現在の道路運送車両法の施行の実態にかんがみまして、私は、一〇〇%私たちが考えているとおり実態が動いているという自信は必ずしもございません。しかしながら、それらを改善するために車両法改正をする必要はない、車両法以下の省令等の段階の手当てあるいはさらにその下の私どもの行政段階でのいわゆる内部的な通達あるいは業界に対する指導通達、こういったものをさらに検討し、完備すれば対応できると思います、こう申し上げたわけでございます。
  45. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 行政指導、通達その他で盛んにやっておられることを私どもも十分承知をいたしております。  しからば伺いますけれども自動車の板金屋と称する業種がございますね。これは一体自動車整備事業なのかあるいは単なる板金事業なのかあるいは塗装屋なのかあるいは板金塗装屋なのか、法律的解釈から言ってどう規定をされますか。
  46. 田付健次

    田付政府委員 どのような内容になるかというお話でございますので、まことに形式的で申しわけございませんが、車両法説明をちょっとさせていただきます。  実は世上といいますか私たちが町を歩いておりますとたくさんの工場らしいものがございますが、あの種類が一見非常に多く見えます。ただ私ども法律に照らしてみました場合にはそれが二分類になるだけでございまして、一つはこの車両法で申し上げております分解整備をしている工場というのか、あるいはそうでないのかという、この二つに実はなるわけでございます。先生も御承知だと思いますので簡単に申しますと、実は普通板金工場と言っておりますものの中にさらに二種類ございまして、そこで分解整備をしているものですから陸運局長の認証を取っているという種類の工場とそれを全然しないものですから取っていない工場と、認証を取っていないのですけれども実は分解整備らしいことをやっているというような違反をしているような工場とあると思いますが、普通板金工場の中には分解整備をあわせてやっているために認証を取っているものと取っていないものとがございます。実は車両法といいますのは自動車の保安ということを当初ねらって立てた法律でございますので、たてまえ的に物の部分をいじるというものを当初とらえようとしていなかったという問題点がございます。現在自動車分解整備事業という定義は、分解整備という一つの定義を定めまして、その行為を反復継続して行う事業だけに限られております。これはこの制度を直すべきだという議論も当然あるわけでございますが、現在のところではその分解整備の定義の中に入るもののみが、実は私ども運輸省で言っております整備工場の範疇に入っておりまして、それから漏れたもの、たとえば単純に車体だけ直すという事業がありましても、それは認証の対象になっていません。ただし、全然私どもが手をつかねて、見てない、ほったらかしにしてあるわけではございませんで、実は先生いずれ御指摘かと思いますが、最近そういうところでいろいろな問題が発生しがちでございますので、私ども法律現行の枠内でできる限りの指導なり手を打ちたいということで、すでに始めているものもございますけれども、一応事業の種類としてはそんなように御理解いただければと思います。
  47. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 法律的にはそのとおりでありますけれども法律と現状の違いを指摘をしていきたいと思うのであります。  いわゆる板金整備、板金塗装ということを内容としている業者の中に、認証されているものとそうでないものとがある。ところが世間一般では、板金塗装だけしかやれない工場も、それから修理、整備をやれる資格のある工場も、一緒になってしまっているのですよ。それはユーザーもそれほどの違いを認識していないし、また業者も、板金塗装しかやれないのにそれ以上の仕事をやっているという形になっているわけであります。いみじくも、そういうものはいけないのだということで取り締まったり指導をしているというお話でありますけれども、必ずしも、その指導民間ベースによる監視あるいは警告といったようなものの方が優先をしていて、いわゆる局なり事務所の監督指導というものははるかにおくれている。むしろ資格のある業者が自主的に、そういうことはだめなんだよ、もしおやりになるならこういう手続をとり、こういう資格を取りなさいよということは、民間ベースでは進んでおりますけれども、いわゆる役所のベースとしては非常に遅々たるものであるし、また熱意がない。役所へ聞いてみると、とてもじゃないが人手がありません、そんなことをしておったら一般業務が停滞してどうにもなりませんという言い方もはね返ってくるわけであります。実態は御承知のとおりで、まことに不法、不当な行為が白昼堂々と行われているということだと思うのですけれども、その辺の把握はどのようにされていますか。まず第一に、その資格がないのにいわゆる自動車整備工場として仕事をしている業者が全国にどのぐらいあるか、おつかみになっていますか。
  48. 田付健次

    田付政府委員 大変むずかしい御質問なんですが、確かに御指摘のように、正直申し上げまして私ども現行職員で全国の事業場に全部目を届かして、どういうことをしているかというのを把握するのは非常にむずかしゅうございます。実質上できない。したがいまして認証という枠の中に入ってこない分野で、先生の御指摘のような工場がどのくらいあるかというのは、正直申し上げましてわかりません。ただ、類推をせよとおっしゃればできないことはないかと思いますが、事実上数字として申し上げられるようなものではないと思います。  ただ私どもといたしましては、少ない人数ではございますけれども、関係の団体を通じ、先生の御指摘のように民間ベースになるかもわかりませんが、いろいろな情報を手にしまして、機会あるごと指導をしてまいっておりますし、これからもそういう点について遺憾のないようにはしてまいりたい、こういうように思っておるわけです。  なお、問題になりそうなのは、実は認証に入っていない部類でございますので、先生指摘のような車体屋さんとか板金屋さんとかいうものにつきましては、それぞれの組織がございますので、なるべくその組織を強化するような方向に指導いたしてまいりたい、こんなふうに考えております。
  49. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 その点運輸行政の末端における業界への指導という面あるいは調査という面、きわめて十分でない。民間ベースも結構だし、それぞれの団体もあるわけでありますから、それらを通じての協力の要請も結構でありますけれども、本質的にこれが道路行政の主要な一部分である、しかも走る凶器とも言われ、生命、財産に重大な影響を持つ仕事内容を持っている業種が、無資格なものである、もぐりであるというようなことは放任できない問題ではなかろうかというように考えて、一層の指導監督要求するものであります。     〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕 したがって、板金塗装だけで、無認証の工場等で、エンジンを外していわゆる整備をするというようなことなどは全くできないことでしょう、それはもう全く違法のことでしょう。いかがですか。
  50. 田付健次

    田付政府委員 常識的には先生のおっしゃるようにできないと御理解いただいて結構と思いますが、厳密に申し上げますと、実は分解整備事業というのは先生の言われた原動機を外すとかあるいはブレーキ装置を外すとかいう行為をしたから直ちに業としていけないというのでは実はございませんでして、そういうことを反復継続することがいけないことになっております。ですから、たまたま個人でやる場合には、やった後で国の車検場へその車を持っていきまして分解整備検査を受けなければならないというたてまえになっております。しかし、これはあくまで理屈の話でございまして、実際上そんなことは、しようと思っても個人はやりませんので、普通の私どもの管理上の解釈といたしましては、そういうことをしてはいけないという指導をしておるつもりでございます。
  51. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 もう少し突っ込んで聞きますけれども、認証のない板金塗装屋へ、認証を持っている有資格者が来て、あなたの手を借りない、私がブレーキを外し、エンジンをおろすのだから、言ったとおりの仕事だけしていろ。実際はエンジンの修理点検もするし、ブレーキの修理点検もするし、あるいは部品の交換もやるわけですよ。しかし、車を持ってきたのは資格のある人だ、その人がここでエンジンをおろし、ここでブレーキを外していったんだ、しかし仕事は手前どもでやりましょう。これはどうなんですか。
  52. 田付健次

    田付政府委員 まず、資格のある者が実はどんな場合でも最低守っていただかなければならないというのが一つございます。それは、何のために認証というようなこういう制度をしているかという、その点に触れることになりますが、やはり最終的には取り外して、取りつけて、もとの姿へ戻して、そして保安上の基準に適合させるという義務を守ってもらわないといけませんので、いま先生の御指摘のケースがその後どうなるかというのはちょっと想像できませんが、まず取り外すという行為自体は資格のある者がやりますから、それは別に問題ないと思うのですが、あと、第三者といいますか、その持っていった先の資格のない者との間に仕事の分担をしていることになります4  その仕事の分担のあり方でございますが、日本にまだ自動車が余りありませんでした終戦後の状態では、自分の工場で引き受けた自動車は全部自分でやるというのがほとんどでございました。その後だんだん職業の専業化といいますか、企業の構造改善といいますか、需要をある程度まとめて専門的にやる方が、わりに経費が安いということで、ユーザーの利便にもなるということから、幾らか分業が進んでまいりました。そうなりますと、たとえば従来認証工場が電装から何から全部やっておりましたものを、電装だけはあなたの方でやってくださいというふうな事業分担が始まったわけでございます。  それはそれとして、これは契約の問題でございますから、差し支えないわけですが、その任した仕事が分解整備仕事に該当する場合に、受けた方が認証を受けてないということは違法になりますから、それはできない。したがって分解整備の定義に入らない範囲で受けた方の側が仕事をすることは法律上何にも差し支えないと思います。最後に組み立てをしましたときに今度は認証工場は自分の名前を使ってこれは整備をしました、中身を調べてみますと自分は何もしていない、全部下請にやらしてしまった、自分の名前だけは使わしている。これは認証工場である、下請に出した方の、親元の方のこの認証工場が、みずからの分解整備の責任を果たしておりませんので、これは違法なことになるわけでございます。
  53. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 法解釈上、やはり認証ということは、一つ設備がありますね。それから資格がありますね。したがって、認証は認証らしい有資格者がいて認証に値する設備を持っているわけです。ところが板金塗装屋というのは資格は全然ない。それから設備も認証に至っていないのです。したがって、エンジンの装着だけはあるいはブレーキの装着だけは有格者がやるけれども、取りはずしや取りつけについてのみ有資格者がやって、実際の整備点検は無資格者がやるという場合は、これは明らかに違法でしょう。
  54. 田付健次

    田付政府委員 いま先生のお話のような状態でございますと、常識的には違法であると私は思います。実際その頼まれた側がどの程度先生のおっしゃる、エンジンの整備とおっしゃいましたが、どの程度整備するか、そのなににもよりますけれども、まあ常識的には、ただ取りはずすだけで、あとはおまえやれと言って無資格者の者に整備させるといたしましたら、それは一応違法なことになります。
  55. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これは民間が自主的に巡視したり、あるいは指導をしたりというような形でやっている場合、その認証工場でない、いわゆる板金塗装屋のあるじは、いや有資格者であるだれそれさんが来てはずしていったのです。うちでは一切手をつけていませんと言っても、この監視をし、自主的に業界の発展のために善意をもって努力をしている人たちの心情というのは、そんなこと言ったって、エンジンがはずしてあればおかしいよ、じゃ、だれがいつ来て何をやったのだというようなことになってきますと、事実はそうじゃないのだというようなことにもなっておるケースが多々あるわけでございますが、私は、あえて認証工場をふやせとかあるいは無資格工場を取り締まれとかいうことだけを言っているのでなくて、この辺の実態調査を速かにやらないと、いわゆる整備不良な車がちまたになおはんらんをするということに拍車をかける一つの要因になっているということを運輸当局に認識をいただきたいというように思うわけであります。同じ認証工場の中にも、車体整備を持っているのと、そのほかの整備点検というのとあると思うのですけれども、この車体整備認証工場というのとほかの認証工場というのはどう違うのですか。
  56. 田付健次

    田付政府委員 現在私どもの方でいわゆる一般認証工場と申しますか、それにつきましては、所定の面積、持っていなければならない器具等決めておりますので、一応区別がはっきりいたしております。  それからいわゆる車体工場といいますのは、特に定義がございませんので、常識的な判断をお許しいただけるならば、たとえば曲がり直し道具のようなものとか、あるいはフレームの方向性を見る治具とか、あるいは塗装場を持つとかいうようなものが普通の車体整備工場であろうかと思います。  なお、現在その車体整備屋さんの集まりがございまして、車体整備協会という協会がございまして、いまそれと連絡をしながらいろいろな指導をいたしておりますが、残念ながらまだ会員よりはアウトサイダーの方が多いというお話でございますので、先生指摘のようにこの団体を通じましてそういう業界の把握をしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  57. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 この問題につきましても、いまいみじくも答弁をされたように、放任されているとは言いませんけれども、把握がきわめて手ぬるいと言いますか、不正確というか、やはりその団体が自動車整備のために貢献している団体と認識するならば、もう少し積極的な指導あるいは要請といったようなものをやっていくべきではないかというように思うわけです。  それからこういう具体的な例をずいぶん知っているわけでありますけれども、どういうように解釈されますか。たとえばマイカーで二年間に五千キロしか走らない。三千キロの場合もあると思うのです。しかし、それは二年過ぎれば車検を受けなければなりません。ところが、極端な話をすれば、車検を受けた翌日車体が大破する事故を起こしだ。当然整備をして、廃棄をするならば別ですけれども、続けて乗りたい。部品もあらかたなものを変えざるを得なかったというような場合、きのう車検を受けて翌日だから、修理、整備が終われば、あと二年一日足らず乗れるわけですね。極端な例でありますけれども、わずかな距離しか二年間に乗っていない、ほとんど整備、修理の必要がない車であっても、二年たてば義務的に車検に入る。きのう車検を受けてむちゃくちゃにつぶれたけれども、修理して外観が整えばそのまま二年間乗ることができる。これは非常に矛盾しているし、危険だというように思うのですけれども、そういう場合、小破、中破、大破というような規定の仕方もあるかと思いますけれども、何らかの方法でチェックをし、民間車検なりあるいは国の直轄車検を——私はこういう場合は直轄車検がいいと思うのでありますけれども、受けるべきだというように思うのですけれども、現実の問題としてちまたに幾らもあることでございますから、これは局長からひとつ見解を伺いたいと思うが、いかがでございますか。     〔佐藤(守)委員長代理退席委員長着席
  58. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 車両検査の問題、それからその検査をするために整備をしたその整備工場の問題、二つのからみがございまして、これは私ども部内でも理論的にはいろいろ議論の種にしている問題でございます。  私ども考え方は、自動車検査という仕事は、たとえば営業車なら一年に一遍とか、自家用車なら二年に一遍という期間を決めまして、そのときに国の所定の基準に達していたことを国の検査官によってあるいは国から認められた指定工場によっていわば確認をしてもらう、こういうことを義務づけているわけでございます。たとえばよくないのでありますけれども、私どもが一年に一遍ずつ役所の指定の基準に従って体の検査を受けておりますけれども、ちょうどそういった制度法律で強制しているというのが現在の車両検査制度であると思います。そうしますと、今度ユーザーの方はその検査に合格しなければ車が使えませんから、合格した車に仕上げるべく通常民間工場に持ってまいりまして整備をしてもらう、そういう仕組みにしていることは、これは先生方もよく御存じのとおりのことでございます。  そこで、自動車整備を行って検査を受けた、検査を受けたすぐ後に、これが故障を起こした、事故を起こした、それでかなり大きな損傷を受けたという場合に、この事故を起こした原因が、検査前に行いました整備の仕方に起因する場合には、当然この検査前に整備を行いました整備工場の責任において原状に回復することになるでありましょうし、それから、そういった原因に直接基づかない別途の原因で事故が起こった場合には、新しくこの車を別の、あるいは同じ工場でもいいですけれども、新しい事情に基づいて、もう一遍使えるように整備をしてもらう、そして使用するということになるわけでありますが、先生の御指摘は、その段階でもう一遍検査を受けさせるようにすべきではないかという御指摘であると思います。私どもの解釈は、検査というものは先ほど申し上げましたように、一年あるいは二年という決まった期間に一遍とにかく関門をくぐるという制度にしておりますので、その中間におきまして、事故が起こったこと等を原因といたしまして整備をするという場合には、当然この検査を受けた後と同じような状態に戻す、そういう整備をするのはその整備を引き受けた認証工場等の業務上の責任でやってもらうというふうに考えております。したがいまして、検査を受けた後で、わりあいに短い期間で事故が起こって、それでもう一遍整備をしたという場合、その車を保安基準どおりにもう一遍仕立て上げるという仕事の責任は、このユーザーとそれを頼んだ認証工場あるいは指定整備工場との間で一応民事上の責任関係に基づいて処理されるべきであるし、また、それが完全に処理されるであろうということを私ども期待いたしまして、さらにそれをもう一遍車検場に持ってきてチェックするという制度にはしていないわけでありますが、私は、車両の安全という見地からはそういう認証工場あるいは指定整備工場等、資格を持った工場が責任を持って原状回復をするという場合には、その工場の責任に任せていいんではないか。したがいまして、もう一遍それに対して車両検査を義務づけるという必要はないように私は思います。
  59. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 こういうことになると、あなたは認証工場なり指定工場を非常に信頼するというか尊敬するというか——行政は信頼関係がなければ運営できませんから、よろしいのですが、実際はあなたのおっしゃるようなことになっていないのですよ。たとえば、欠陥車ではなかったかと思われるような車が衝突事故を起こして前後に真っ二つになった、あるいは左右にぶち割れたというような例もあるのですね。しかし、車検はついせんだって受けたばかりだ。これをつなぎ合わせて原形に復旧して、大丈夫ですということで、ユーザーは知らぬが仏で乗っている。しかし、プロが見れば明らかにもうシャシーはひん曲がっているし、前輪と後輪のわだちは数センチもしくは十数センチずれているしというようなことであっても、整備が終わったんだからということで道路を走っている。そういう例は枚挙にいとまがないのですよ。しかし認証工場がやったことだ、あるいは指定工場がやったことだ、それを信頼し、事前に回復している、完全な整備が行われた車であるというように信頼だけしていいのかどうか。私はここで、非常にむずかしい問題ではありましょうけれども、たとえば整備修理代十万円なら十万円以上の車については再度車検を受けることを義務づけるというような方向だってあり得ると思うのです。局長が業者を信頼されているその考え方については異議はありませんけれども、信頼だけでいいのかどうか。走る凶器が非常に危険な状態でちまたを走り回っているという現状を見たときに、やはり何か法的な措置あるいは強力な行政指導が必要ではないかと思うのですけれども、まあいいです。考えておいてください。たくさんありまして、時間がありませんから。  もう一つ聞きたいのは、ユーザーは、車の修理、点検等でディーラーへ持ち込むことが多いのです。ディーラーにはもちろん指定なり認証の工場がありますから、能力が全然ないわけではありませんけれども、ユーザーが持ち込むすべての車両を自家の整備点検工場で消化するだけの能力はもちろんないわけです。したがって、系列化されている下請へ出すわけです。これも私は悪いとは言いません。資格のある工場へ出すなら何の差し支えもありませんけれども、問題は、修理点検の代金の支払いについて、たとえば対物保険に入っている車の修理等については保険がおりてくるわけなんです。保険会社は金券、キャッシュでディーラーへ渡す。ディーラーは常識的にいま大体三〇%ピンはねをして、しかも、系列の下請へ支払う代金というのは三カ月なり六カ月の手形で落としているわけなんですよ。こういうことが商法上違法ではないと言うかもしれませんけれども、実際の下請の仕事をやった業者は泣いても泣けぬわけだ。そうかといって、ピンはねをされているからおたくの仕事をやりませんと言えば、とまっちゃうわけですよ。こういう実情が常識化していますことを御存じでありましょうか。知っているとするならば、適切な指導があってしかるべきだと思いますけれども、どのようにお考えですか。
  60. 田付健次

    田付政府委員 ただいま先生が御指摘されたような例が実際にいろいろあるのではないかと私も想像はいたしますが、具体的にそのような実態をつかまえるということをいたしておりませんので、詳細わかりませんが、その間の取引の中に、いま言ったような問題が絡むために、結果として下請工場が保安上のしっかりした整備をしなくなるということになりますと、これは実は私どもとしては非常に大事な問題でございますので、そのようなことがないように指導してまいりたいと思います。取引上の問題になりますと、私どもとしてはややらち外の問題になりますので、直接の指導はいたしませんが、現在整備事業の近代化、構造改善等をやっておりますので、そういう過程の中で、取引の適正化ということを含めて指導しておりますが、なおこの点につきまして、御指摘のようなことがいろいろあるかと思いますので、実態を調べまして、遺憾のないようにしてまいりたいと思っております。  それから、先ほど先生がちょっとお話しになっておられました、三千キロぐらいしか走らない乗用車も二年間使える、事故を起こしても二年間使えるというお話でございますが、現在の制度がいいかどうかという問題は、確かにいろいろ議論の点があるかと思うのです。実は、有効期間の決め方を、走行キロか何かで決められますと非常に合理的になるのですけれども、それを確認する方法が実は非常にむずかしいということがありまして、まあやむを得ずやっと期間で切っているということが基本的な問題であろうかと思います。  それからなお事故を起こしましたら当然分解整備をしますので、これは当然検査を受けなければならないというたてまえになっております。ただ、実際はそれを個人がやりまして国へ持ってくることは、分解整備の技術がありませんから、できませんので、したがって認証工場へ持ってまいります。実は認証工場というのはそういうことをするために所定の義務を課しておるわけでございますので、先生の御指摘のような、まず基本的には認証工場でその義務を正当に果たしさえすればまずわれわれとしては問題がないように思っているのですが、ただ結果としましてその認証工場の技術が非常に悪いために思わぬ問題をユーザーサイドに起こしているかもしれません。この点は整備事業者の質の問題でございますので、この点に焦点を合わせて指導してまいりたい、こういうように思っております。
  61. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間がありませんのではしょりますけれども、今度の法律改正でもこの型式認定の料金等が出ております。メーカーは自動車をいろいろな型のものを出しておりますけれども、この型のこの車はこういう形で整備点検してくださいというものを出すべきだと思うのですよ。しかし今日数あるメーカーが数多い車種を出しておりますけれども、どういうわけか、これは宣伝でも何でもない、事実だから申し上げるのですけれども、ボデー修正マニアルというような形のものを出しているのはマツダとホンダだけなんですよ。日産もトヨタもこういうものを出さない。だから修理工場では一体どこをどうやったらいいのかという手引きがないわけです。したがって、当てずっぽうにいままでの経験からやっているだけなんです。いや、日産もトヨタも出していますと言うならお目にかかりたい。出してないのです。いみじくもこれが排気ガスの五十一年規制等との関係においても、やはりそういうものと真剣に取り組んでおる企業はそこまで配慮して整備点検の手引き等も出しているのにかかわらず、トヨタ、日産等の大企業は、そんなものはお構いなし、ただ車を売ればいい売ればいいということにしか考えられない。こんなものは行政指導で当然できると思うのですけれども、現状認識いかがですか。
  62. 田付健次

    田付政府委員 現在私どもの方で指導いたしております、メーカー自体が自主的に基準を決めてそれをユーザーに知らせ、安全を確保するという種類のマニアルといたしましては、定期点検をします場合の基準は、つくらせまして、指導をさしております。いま先生がお持ちのはりペアマニアルだと思います。内容につきまして私ちょっと存じませんので詳細には申し上げられませんが、もし日産、トヨタ等にそのようなものがなくて、実態は非常に困っているということでございますれば、私どもとしてもそのような方向で指導してまいりたい、こういうふうに思います。
  63. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間が参りましたので終わりますけれども一つ要望を申し上げ、後刻御報告をいただきたいと思うのですが、いま板金塗装にパテというものを非常に多量に有効に使っておりますね。このパテは、塗装した後研摩をするわけです。研摩をする際の粉じんの中にいろいろな有毒含有物があることが明らかになっております。ただ私が持っている資料は地方都市の保健所の分析でございますので、その正確さにおいて若干疑問があるかと思いますのでここでは申し上げませんけれども運輸省として、パテを塗った後はけをかける、その作業の過程で出る粉じんの中にカドミウムがかなり多量に含まれているといわれているのですが、ぜひひとつあのパテの中に含まれている有毒含有物について権威ある機関で分析をして、近い将来資料としてちょうだいをいたしたい、このように思います。  同時に最後ですから大臣、いままで私がいろいろ申し上げましたけれども局長のおっしゃるように法律改正しなくても機能のフル回転あるいは行政指導政令その他でやっていけるというお話でありましたが、自動車の安全運転ということと車体の整備ということは切っても切り離せない問題でございますので、あえて法律改正とは言いませんけれども、真剣な取り組みを要望いたします。大臣の見解を承って質問を終わります。
  64. 木村睦男

    木村国務大臣 大変貴重な御意見をいろいろと拝聴いたして感謝をいたしております。道路運送車両法検査制度を設けてあるわけでございますが、法律で規定しております検査一年ないし二年というのは、やはり趣旨は自動車が事故を起こさないように安全に運転できる自動車の機構でなければならないというための最小限度の担保であろうと私は思います。一番大切なことは自動車の使用者が常に安全運転、事故防止の観念をもって整備を怠らないということが何といっても大前提でありませんと、幾ら法律で規定をつくってみてもその効果はきわめて薄いと思うわけでございます。同時に認定整備工場等認定をいたしておりますが、これらもやはりこの認定を受ければその工場はその認定を受けた権威に対して忠実に仕事をやるということが前提でありませんとこれも形式に流れてしまう、かように考えるわけでございます。  そこで先ほども一つの例をお示しになっておられましたが、定期の検査が終わった直後大きな事故を起こして修理をした、これは次の二年目まで検査の必要がないかという御意見、私もまことにもっともだと思うのですが、そういう場合にも整備工場に入れますと、認定整備工場は本当に資格を与えられた権威をもって整備をするということが私は第一条件として前提になると思います。ですからこういう点は、整備工場といいまたユーザーといい自分の責任で常に注意をするということを無視したのでは、一片の法律がありましても事故防止にはならない、かように考えまして、今後とも整備行政を進めていきたいと思います。  そこで道路運送車両法改正の要はないかという御質問でございますが、自動車局長が申し上げましたように必ずしも現状に道路運送車両法がぴったり合っているということは私も言えないと思います。その間の政令なり省令なりあるいは行政指導で補いつつこの法の適正な運用をやっておるのが現状でございますが、法律は、その時点時点で実情に合うかどうか見直していく努力は常にやらなければなりません。したがっていつどの時点で実情に合わなくなった点を法律改正をやるかということは、そのときどきの判断にあるわけでございますが、心構えといたしましては、われわれが行政をいたします基本になる法律が現状にどの程度合わなくなってきたかということ、それは常に忘れてはならない心構えであろうかと思います。これは道路運送車両法にいたしましても道路運送法にいたしましても同じような気持ちで今後行政をやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  65. 田付健次

    田付政府委員 パテを使いました後の研摩粉じんの問題の御指摘がございましたが、整備工場という事業所の中での職業的な意味での労働衛生上の問題だと思いますので、労働省の方に早速連絡をいたしまして、またその結果等につきまして出ましたら先生の方に御連絡させていただきたい、このように思います。
  66. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 終わります。
  67. 木部佳昭

    木部委員長 三浦久君。
  68. 三浦久

    ○三浦委員 道路運送車両法の一部を改正する法律案について御質問をいたしたいと思います。  昭和四十四年に本法の改正が可決をされまして、そのときに衆参両院で附帯決議が行われたのですが、その決議の中には、車両検査に必要な体制を確立することとか、「指定整備工場数の増加に対応して、その監督を厳重に行なえるよう、監督体制の充実強化を図り遺憾なきを期すること。」とか、また「自動車排出ガスの新車規制を更に強化するほか、継続検査の際にもガス検査を実施すること。」こういうようなことが内容として盛られておるわけです。このことは今日もなお重大な自動車行政の課題であるというふうに私は考えておるのですが、これらの問題が昭和五十年度の施策にどういうふうに反映をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
  69. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 まず自動車の安全体制の強化という点につきましては、本日から御審議いただいておりますこの道路運送車両法改正を通じまして必要な要員施設の拡充を図りまして、これに対処いたしたい、このように考えております。  それから公害、特に排気ガスの関係の仕事につきましては、中央公害対策審議会の答申等の線を尊重いたしまして、環境庁その他関係当局と十分御相談をしながら狭義の排出基準の設定その他の仕事を進めてまいりますと同時に、都市交通対策というふうな面が自動車の使い方の総合調整というふうなことを講じまして、全体としてこの空気をきれいにするということについて努力をしてまいりたいと思います。
  70. 三浦久

    ○三浦委員 たとえば、どのパートにどの程度の人員を配置するとか、それからたとえば検査体制整備するためにどことどこに何コース、車検場のコースを何ぼふやすとか、そういうことを具体的にお話ししていただきたいと思うのですが。
  71. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 まず要員整備状況並びにその計画を申し上げます。  従来、この検査登録要員は年によって若干の消長がございますけれども、たとえば四十七年で八十四名、四十八年で百十五名、四十九年で百七十三名というふうに増強してまいりまして、五十年度につきましても百三十一名という増員が一応予算には計上されております。     〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕  それから、これを全国の陸運事務所あるいは支所、出張車検場等に配置をいたしまして行政をするわけでございます。それを受けますところの施設関係の増強計画でございますけれども整備部長からその辺を御説明します。
  72. 田付健次

    田付政府委員 現在、陸運事務所五十三、支所十七、その他出張所、代理車検場等ございまして、現在それらの検査コースがおおむね二百程度ございます。その検査コースの内容につきましては、先ほどお話し申し上げましたように自動化の設備を着々と進めておりまして、現在約半分ぐらいまでのところが自動化を終わりました。それから一方、登録につきましては電算化の着手をいたしまして、その後着々と各陸運事務所の窓口の電算化が終わりまして、今年度で、あとわずか沖繩の一、二の離島が残るだけでございまして、ほとんど電算化を終わり、これで検査の窓口につきましてはリアルタイムで処理ができるようになりました。  それから要員につきましては、現在約二千五百名、五十年度先ほどお話しをいたしました百三十一名の増員を認めていただきますと約二千六百名の規模になりますが、内容につきましては車検登録要員がほとんどでございますけれども、そのほかに、先ほど来いろいろお話のございました整備事業者に対する監督要員あるいは重量税の窓口のための要員等が配分されております。  以上でございます。
  73. 三浦久

    ○三浦委員 昭和五十年、ことしですが、一月一日から中古車に対する公害規制が強化をされまして、車検のときにガソリン車、LPガス車の乗用車に対しては炭化水素の検査、それから大型バス、トラックのジーゼル車に対しては黒煙検査を新たに実施するようになりましたですね。で、そのうちの特に黒煙検査について私はお尋ねしたいんですが、この実施に当たってどのような対策を立てられたのか、お伺いしたいと思うのです。
  74. 田付健次

    田付政府委員 五十年の一月から御指摘のように使用過程車の黒煙規制、それから炭化水素HCのアイドル規制が始まりました。その用意でございますが、この一月に間に合わせるべくテスターを各陸運事務所検査場に配付をいたしまして、すでに配付を終わり、この一月から検査に入っております。  これの実際のやり方でございますが、黒煙はなかなか測定がむずかしゅうございますので、なおかつ大量の自動車車検場で処理しなければなりません。したがいまして、この黒煙の測定の場所等につきましては、これからもその程度に応じまして施設整備をしていきたい、こういうふうに考えておりますが、現在のところ先ほどお話ししましたテスターを配付いたしまして、その検査体制に入ったという段階でございます。
  75. 三浦久

    ○三浦委員 この黒煙検査の対象になっている自動車というのは全国で何台ぐらいあるんでしょうか。
  76. 田付健次

    田付政府委員 ちょっと正確な数字を持ってまいりませんでしたので大変申しわけありませんが、概略申し上げまして約一万両足らずだと思います。
  77. 三浦久

    ○三浦委員 ちょっとそれはおかしい。私の調べでも百六十六万ぐらいあると聞いていますよ。
  78. 田付健次

    田付政府委員 失礼いたしました。約百万両足らずでございます。
  79. 三浦久

    ○三浦委員 百六十六万台じゃないですか。おたくの職員から聞いたんだから間違いないと思うんですがね。
  80. 田付健次

    田付政府委員 四十九年の十一月末現在の調査で申しますと、トラックのほかに特殊車等がございますが、全部含めまして百九十七万台ございます。失礼いたしました。
  81. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、かなり大量のジーゼル自動車検査の対象になるということですね。この検査方法なんですけれども、どういうふうにやっておられるんでしょうか。
  82. 田付健次

    田付政府委員 実はジーゼル車だけではございませんが、検査所に車が参りますとスピードメーターのテストを行います。スピードメーターテストといいますのは、実はスピードメーターテスターというテスターがございまして、ローラーの上に自動車の後輪を乗せまして、ローラーを回すようにしながらスピードを上げていくわけです。その過程で排気ガスが出てまいりますので、その状態を見まして、黒煙が著しいものにつきましてさらに別の場所で測定器で測定するということにいたしております。
  83. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、第一次は目で見る、いわゆる視認とか目視とかといっておりますね、目で判断をする。第二次検査としては、黒煙測定器でもって、いわゆるテスターというもので検査をする、こういう段取りだというのですね。この黒煙測定器を使用する場合なんですけれども、保安基準の第三十一条十二項によりますと、要するにアクセルをいっぱいに吹かす、そしてエンジンの最高回転数まで上昇させる、これを三回繰り返す、そしてその測定した値の平均値が五〇%以下なら合格である、こういうふうになっておりますね。そうすると、テストの段階で大変な黒煙を排出するのじゃないかと思うのです。黒煙を排出するだけではなくて、非常に大きなエンジンの音や排気管から出てくる騒音、これが大変騒々しいのじゃないかと思うのですね。私が調べたところによると、大体十三、四メートル離れていて、アクセルいっぱいに吹かしたときの騒音というのは百ホンにも達する、こういうように言われているのですね。そして、いまお話がありましたように、対象車両というのは百九十七万台ですか、これを取り扱う車検場というのは、全国で国のが七十四カ所ある。出張車検場が二百三十四カ所、民間車検場は一万以上ある。こういうところで百九十七万台のディーゼル自動車の黒煙検査をやっている。黒煙を吹きっ放し、騒音は出しっ放し、こういう騒音を防止するとか黒煙を浄化してきれいな空気にして排出するとか、そういうような装置というものを事前に準備しておかなければ、公害を規制するためのテストが逆に公害をまき散らすという結果になっているのではないかと思うのですね。そうであれば、やはりテスターをつくったというだけで体制がもうこれでいいんだというものではないと思うのですね。それで私は、この大気汚染とか騒音防止の問題について具体的にどういう手だてをしたのか、それをお伺いしたいのです。
  84. 田付健次

    田付政府委員 実は、検査場で自動車検査を実施いたします場合に、国の検査官が検査をする実施要領というものが定められておりまして、大体それに準拠をしてやっているということでございますが、実は、音の問題それから黒煙の問題等は、先生にも御理解いただきましたように、全部をテスターにかけるということではございませんで、まず第一次的には視認検査をするということになっております。現在は、その視認検査をいたしまして、特に黒煙のひどいものあるいは騒音の高いものにつきましてテスターにかけるということで臨んでおるわけでございます。もちろん、と言うといけませんのですが、通常の場合には、車検場検査を受けに来ます場合は、使用者は大体整備をしてまいりますので、通常走っている状態のような非常にひどい状態で来るということはまずございません。     〔佐藤(守)委員長代理退席委員長着席〕 したがいまして、車検場全体がそういうことをするために非常に大きな音が出たり、非常にたくさんのガス量がそこへたまるということはまずまずなかろうと私は思いますが、しかし、私どもとしましては、そういうことも考えられますし、さらに音になりますとこれは隠しようがございませんので、包み込むことができませんので、やはりそれに対する対策をとらなければいけないというふうに思っております。したがいまして、現在のところはまだスタートしたばかりでございますので一応視認検査でやっていただくことにしておりまして、逐次検査の台数の多い地区から、あるいは場所から、いま言ったような問題を起こさないように、それなりの施設を逐次用意してまいりたいということを検討しておる段階でございます。
  85. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、どういう設備をしたらいいのかということを検討されているんでしょうか。私の考えでは、やはりちゃんと上屋をつくって、そして騒音防止の設備もする、排気ガスも浄化して外に出す、そういうような装置をすべきだと思うのですけれども、どういうことをお考えになっていらっしゃるのですか。
  86. 田付健次

    田付政府委員 具体的にどのような施設のものにするか、建屋的なものになろうかと思いますが、詳細につきましては現在検討中でございます。
  87. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、検討中ったって、まだあまり検討してないということですよね。すでに五十年の一月一日から実施に移されて、そのことはもう昨年の前半期にわかっていることなんですよ。それにもかかわらず、実施をした後もまだ、公害をなくすというための黒煙検査をやるために公害を振りまくという、そういうような状況を放置しておるというのは、私は、はなはだ任務怠慢だというふうに思うのですよ。それで、いまあなたの方でもって、第一次的には目視でやるんだからいいんだと、こういうふうに言われているわけなんですけれども、しかし、その目視でやるということ自体が、結局黒煙検査を実際にテスターでやる体制がないので第一次的に目視でやって、それでごまかしているといいますか、そういうやり方なんですよ。だから私は、目視の問題についてはまたあとで言いますけれども、目視というのはいかに不十分な、不正確なものかといことについてはまたお尋ねしますけれども、少なくともテスターで黒煙検査をやるということが予定されているわけだ。現実にやっているわけだ。あなたの方でも、車検場の中でやれば車検場の中は真黒になってしまうから、表でやれと、そういような指導までしているわけでしょう。車検場の外でやれという指導をしているわけです。雨が降ったらどうするんですか。雨が降ったらできないでしょう。だから私は、やはりちゃんと前から予定をされていることなんですから、事前にぴしっと手を打つべきであるし、さあこれから検討いたしましょうと、検討の中身はまだわかりませんというようなことではいけないと思うのですね。ですから私大臣にお尋ねしたいんですが、この黒煙のテストの問題について今後どういう対策をお立てになるのか、大臣の所見を伺いたいと思います。
  88. 木村睦男

    木村国務大臣 いま政府側の事務当局の説明を聞いておりまして、確かに御指摘のようにまだ十分にそれが行われていないということは遺憾ながら認めざるを得ないと思います。説明の中にも言っておりましたように、検査場に検査に来ます前に一応整備工場等で整備をいたしましてやってくる場合がほとんどでございます。というのは、検査場に来て検査に合格しなければまた出直しということになるものですから、大抵は整備してくる。そういう意味で、実際上検査場で大変な黒煙が出るということはまず珍しいのではないかと思いますが、しかしそういう場合もおもんぱかって検査場の外で検査しろというようなことになっておると思うのですが、その点はちょっと私もどうかと、こう思っております。したがって、こういう問題、これからひとつ十分考えまして、遺漏のないようにしたいと思っております。
  89. 三浦久

    ○三浦委員 認証工場最初にテストを受けてくるから国の車検場では余り問題がないだろうと、こういうお話なんですよね。それじゃ認証工場はどうするんです。認証工場というのは六万とか七万とか言われているぐらい数があるんですよ。指定工場だって一万以上あるんですよ。そういところでテストをやれば、同じですよ。国の車検場の方がまだ敷地が十分とってあるから地域住民に及ぼす影響は町工場よりも比較的少ないということは言えます。それだったら、指定工場とか認証工場でやるテストですね、こういうものについては騒音防止、大気汚染の問題についてどういう特別な措置をおとりになったんですか。指定工場とか認証工場というのは町の真ん中にある町工場ですよ。そういうものに対して、じゃどういう特別な措置をおとりになったのか、お尋ねしたい。
  90. 田付健次

    田付政府委員 実はディーゼルの黒煙の検査といいますのは、やはり先ほどお話が出ましたように、加速をある程度いたしませんとどうしてもはかれないという物理的なむずかしさがございます。したがって、その辺はどの場所で行われようと、国で行われようと工場で行われようと、やはりそれなりの対策をとりませんと、当然騒音なりガスの問題というのはあるはずでございます。工場の側におきましては、当然そういうことにつきましてそれなりの対策を私はとっていると思います。また、とっていなければ、それは工場としても周りから非難を受ける話でございますし、黒煙の測定器の付近を騒音防止用の二重窓にするとかいうことが行われているというふうに私は思います。
  91. 三浦久

    ○三浦委員 それはあなたが思っているだけで、国は何の対策も立てていない、自分が運営している車検場については何にも対策を立てていないで、それで民間の方は民間が勝手にやっているだろう、そういうことでは運輸行政の責任を果たしていないでしょう。こういうように黒煙規制がある、これについてはこういう大気汚染が出るし、騒音もひどい、だからこれについてこういう対策を立てなさい。それで、それについているいろいろ費用がかかるんなら国がこういうめんどうを見ましょうとか、そういう具体的なことをやるのが運輸行政でしょう。それを自分の方は何にもやっておかないで、民間は近所から苦情が出るからまあ適当にやっているでしょう、それじゃ行政の放棄じゃないですか、指導の放棄じゃないですか。それは無責任な言い方であって、あなたの指導の責任を認証工場であるとか指定工場に転嫁をしている責任逃がれの答弁だと私は思いますよ。  それで私は、ですからそういう意味でも、やはり公害をなくすという観点で黒煙テストをやるんだから、それによって第二次公害が出るということに皆さんが最大の関心を払っていただかなければならぬというふうに思うので、この点についてやはり今後適切な指導をする、監督もするし指導もする、そういう御答弁をいただきたいのですが、いかがですか。
  92. 田付健次

    田付政府委員 やや御説明が乱暴でございまして申しわけありませんが、国の車検場におきますいろんな騒音あるいは黒煙の対策を、同じように工場側に対します指導につきましてこれからやってまいりたいと思います。
  93. 三浦久

    ○三浦委員 それから目視判定でやっているので、これは余り車検場に来るのがないんだ、こういうお話なんですが、これは確かに道路運送車両法施行規則の別表の第二に、容易に判定できるというような場合には視認でもよろしいという例外的な措置になっているわけです。しかしいまのお話ですと、もう例外と原則が逆立をしているような実務の運営が行なわれているわけなんですけれども、たとえばいまあなたがおっしゃったスピードメーターを使ってのテストですね、そのときにアクセルを吹かしますね。このアクセルの吹かし方というのは、アクセルをいっぱいに踏み込むというようなことまではしないのですよ。そうでしょう。大体スピードメーターのテストをやるのに百五十キロも二百キロもスピードメーターを回さなくていいわけなんです。そうでしょう。六十キロ、七十キロ、八十キロ、百キロ、その程度までスピードメーターが動けばそれでいいわけですから、アクセルをいっぱいに踏み込むというようなことまではやらないのですよ。ところが、保安基準の先ほど申しました三十一条の十二項によれば、これはアイドル状態から、アクセルをいっぱいに踏み込む、そしてそれを三回繰り返して三回の平均値が五〇%以下でなければならぬ、こうなっておるわけでしょう。全然条件が違うんですよ。  それから検査官が見ていますけれども検査官というのはコントロール室に入っておるわけです。そしてスピードメーターをはかるところとコントロール室というのは大体十五メートルから二十メートル離れているのですよ。そうでしょう。そういう十五メートルから二十メートル離れている、そして本当はアクセルをいっぱいに吹かして調べなければならないものを、アクセルを三分の一とか半分ぐらいしか吹かさない状態での排煙、排気ガスの状態を見て、それで容易に判定できるというふうに言えるんですか。私はそういう道路運送車両法施行規則の別表第二のこの解釈があなたたちに間違っておると思うのですよ。これは同じ条件でやるとか、そういうことを繰り返し繰り返ししているうちに目で判定できるというふうになるんだと思うのですけれども、全く条件が違う状態でおってどうして容易に判定できるということが言えるのかどうかですな、それをちょっとお尋ねしたい。
  94. 田付健次

    田付政府委員 確かに実は条件は違うのでありますが、実際の検査場におきます検査方法といたしましては、スピードメーターテスターにかけた状態がこの状態に最も近いということで、最終的には検査一つ方法として視認によることができる場合はこれによってやることができるようになっておりますので、距離の問題がありますから、それに対して見やすくするということはもちろんしなければなりません。現在たとえば鏡などをつけるということを考えておりますが、そういう方法で視認ができる場合にはこの方法によることができるということで運用をいたしておるわけでございます。
  95. 三浦久

    ○三浦委員 アクセルを三分の一とか半分吹かしたいわゆるスピードメーターのテストのときのアクセルの踏み方ぐらいで、それが最も近い状態だというのは、それはどういうことなんですか。あなた、原則は保安基準の三十一条十二項なんですよ。そうでしょう。ここではちゃんと書いていますでしょう。「原動機を無負荷運転した後原動機を無負荷のままで急速に加速ペダルを一杯に踏み込んだ場合において、加速ペダルを踏み込み始めた時から発生する排気管から大気中に排出される排出物に含まれる黒煙について前項第二号に定める測定方法により三回測定し、」とちゃんと保安基準でアクセルを目いっぱい吹かして三回やれ、その平均値をとれと言っているんですよ。それをアクセルを三分の一か半分ぐらい吹かした段階が最も近い状態だというのはどういうことです。これは詭弁でしょう。われわれも自動車に乗ったことありますけれどもね、いっぱいに吹かすというのは大変なことなんですよ。こういうことはめったにないことですよ。そうでしょう。  それから黒煙というのは、アクセルの吹かし方に応じて比例して出てくるものじゃないのです。それはあなたも御承知でしょう。比例して出てくるものじゃないですよ。たとえば町を歩いていても、われわれはよくばっと吹っかけられるときがあって、大変不愉快な思いを何回もしていますけれどま、あれは突然ぶっと出てくるんですよ。アクセルの吹かし方によって比例してじわりじわり出てくるというものじゃないんですよ。ですから、ここで目いっぱいアクセルを踏み込んで三回やりなさいと書いてあるわけですよ。そういうことをしないで、アクセルを途中でもって適当に踏み込んだ段階で調べる、それが一番近い状態であるということがどうして言えるんですか。そんな全く違った客観的な条件の中で調査をしながら、どうして保安基準三十一条第十二項に規定されている状況と最も近い状況だと言えるんですか。そういうことは詭弁以外の何物でもないでしょう。それはどうですか、答弁してください。
  96. 田付健次

    田付政府委員 私が申し上げたかったのは、実際の検査場で検査をしているときの目視の仕方といいますか、視認によって判断をするケースというものを選ぶ選び方をお話ししたわけでございますが、それは先生のおっしゃるように一両値を全部三回吹かして急加速をしてということに実はしたいわけでございます。ただ実際問題としてそれがなかなかできないものですから、一応スピードメーターテスターでスピード検査に入った状態で著しく黒煙が出るようなものについては、これは危ないという第一次判定ができますので、そのときにその車を選び出して黒煙テスターで検査をする。黒煙テスターで検査をする段階になりましたら、これは当然先生の御指摘のような急加速をし、三回踏ませて、それでパーセントをはかるということになります。  で、私ども実際の検査場での実務といたしましては、この施行規則の別表に書いてありますように、視認のできる場合にはその方法によることができるということがありますので、その考え方お話し申し上げたつもりでございます。
  97. 三浦久

    ○三浦委員 だから、それは規則に書いてあるけれども、「容易に」と書いてあるんです。容易に判断できる場合と書いてあります。容易に判断できますか、あなた。アクセルを半分ぐらい吹かした状態とアクセルをいっぱいに吹かした状態と全然条件が違うんだから。そうすると、あなたたちの目視検査ではもうたくさん見逃されている。そうでしょう。もちろんアクセルを半分くらい吹かして、ばあっと黒煙が出るというような場合もあるでしょう。それについては当然検査するでしょう。あたりまえのことです。しし半分くらい吹かした段階ではそういう黒煙は出ないけれども、目いっぱい吹かした場合には五〇%出るという可能性というのは非常に大きいんですよ。そうすると、あなたたちの目視というものを中心にして行っている検査では、ほとんど黒煙検査の実効を上げていない。ほとんど野放しにされているというふうに言っても過言ではないんですよ。だから、あなた自身もいまの答弁の中で本当はテスターでやるのが正しいんだ、しかし規則にこうあるからやっていますと、こう言うけれども、それは規則をねじ曲げている。容易に判定できるような状態じゃないということは、はっきりしているわけです。ただ、私が言うのは、そういう設備をつくっていないということ、要員をぴしっと確保していないということ、そういうことがあるからあなたたちは目視判定に頼っているんですよ。それがあなたたちの本当の腹なんですよ。そうであるとすれば、黒煙検査をちゃんとテスターでやれるように、そして町を走る車が黒煙を吐き出さないように、そういう施設と人員、要員、こういうものを整備するのがあなたたちの任務だと思うのですが、大臣、この点いかがでしょう。
  98. 木村睦男

    木村国務大臣 容易に判断できる場合ということを過度に使って検査が粗漏になるということは、非常に私は遺憾であると思います。私もそういう実態をよく調べさせまして、この規則にあるとおりの方法とやり方によって検査を励行していくように指導をいたしたいと思います。
  99. 三浦久

    ○三浦委員 それで、国の車検場だけが規則の例外と原則を逆立ちさせて、目視をまず原則にしてやっているわけですよ。ところが地方の陸運局が管内の陸運事務所に対して、目視でできるようにはなっているけれどもまず黒煙測定器でもって検査をするように業者を指導しろという、そういう通達を出しているんですよ。それは認められますか。
  100. 田付健次

    田付政府委員 先生からいまお話のございました陸運局で指導をしている内容につきまして、私どもでは聞いておりませんので、本省としてはそういうような指導は特にはいたしておりません。
  101. 三浦久

    ○三浦委員 そんなばかな話ありますか。各陸運局がその所管の陸運事務所に対して、黒煙テストについてはこういうふうに業者を指導しなさい、そういう通達を出しているんですよ。ここに私写しを持っていますよ。これは札幌陸運局の整備部長から北海道各陸運事務所長殿にあてたものです。日付は昨年の十一月十五日です。「札陸整整第六三号」この中では「黒煙測定器による検査」という項目がありまして、「自動車から排出される黒煙の汚染度の検査は、道路運送車両法施行規則別表第二により視認等で行なうこともできるが、指定自動者整備事業者に対しては、当分の間黒煙測定器により検査するよう指導すること。」ちゃんと書いてあるんです。そうすると、この指定工場に対しては測定器でやれと指導しておきながら、国の車検場では測定器でやらなくてよろしい、まず視認でやれというのはどういう理由なんです。
  102. 田付健次

    田付政府委員 自動車整備をしまして、そして安全を確保するという義務の第一責任者は、実はユーザーであると思うのです。検査をするということ、あるいは第三者が街頭等でチェックをするということは、その整備の状態を確認して、もし悪ければさらに整備をしなさいという、言うなればそれの促進をしていく一つの施策だと思うのです。先生指摘指定整備工場でございますが、これは良質な整備を使用者にサービスとして提供するという業務を行っているわけです。したがいまして、その良質なサービスが提供できるというゆえに、私どもとしては現車呈示の省略というような恩典を与えて奨励をいたしておるわけでございますが、それだけによい質の整備をしてほしい。その意味から視認でできる場合もあるかもしれませんが、エンジンを外し、ブレーキを外し、大整備をいたすわけでございますので、その最終確認としてテスターがございますから、テスターでチェックをしなさい、それが一番いい方法ですという意味で、よい整備指導しているという意味だと私は思います。
  103. 三浦久

    ○三浦委員 そうであれば、同じことは国の車検場についても私は言えると思うんですね。結局この視認というものを第一次的な判定手段にしているわけなんですけれども、やはりテスターでもってテストするという、そういう原則がびしっと貫かれるように、これから人員、設備、そういうものについて極力整備していく、そういうことをお約束できますか。
  104. 田付健次

    田付政府委員 要員につきましては、これからもこれだけではございません。ほかのものもたくさんございまして、いろいろと拡充強化は図ってまいりたいと思いますし、設備につきましても先ほど御説明したようなことで研究をしてまいりたいと思います。
  105. 三浦久

    ○三浦委員 次に私は、ちょっと特別会計の五十年度予算の問題についてお尋ねいたしますけれど、五十年度予算で予備費瀞十九億円計上されているんですね。前年度は七億です。今度予備費が十二億円もよけいに計上されているわけですね。これは手数料値上げによって金が余ってしようがないから、ここに予備費として計上したんじゃないか、そういう疑いが持たれるわけなんですけれども、この点御説明いただきたい。
  106. 田付健次

    田付政府委員 先生はごらんになっておられると思いますので、御承知かと思いますが、この自動車検査登録特別会計約五十億のベースでございますが、人件費に割いております割りが非常に多うございます。したがいまして、今後のベースアップなどのいろいろ予期しがたいような事情も発生する場合に、人件費が不足するというようなことがあってはなりませんので、それに対する備えも必要でありますし、さらに物件費などにつきましては、先ほど来いろいろお話し申し上げました車検場施設設備投資をたくさん持っておりますので、年度内にいろいろな台風災害等が発生した場合には、その復旧にも備えるという意味の予備的なものが必要でございます。さらに四十八年の暮れに起こりました燃料ショック以来、新車の伸びが少し停滞をいたしておりますが、さらにこれからの景気の動向その他を考えますと、かなり不安定な要素が入っておりまして、これらの状況から来る需要の働き等に対する備えもいたさなければなりませんので、そのような言うなれば予見しがたい予算の不足に対する予備ということで、ここに十九億の予備費を計上したわけでございます。
  107. 三浦久

    ○三浦委員 人件費とかその他物価の高騰とかいうことを言われましたけれども、そうであれば今年度四十九年度の当初予算は人件費四十七億四千万、四十九年度の決算見込みは五十六億九千万ぐらいですね。そうするとこれは大体九億円ぐらいです。昨年国家公務員のベア約三〇%、それで九億円でしょう。そうすると同じベアを見込んだとしても、九億円より人員が何ぼかふえておるから、それに幾らか上積みされるけれども、十九億円というのはあまりにも過大過ぎやせぬかというふうに思うんですよ。政府の発表によれば、物価も大体落ちつくらしいですね。そうすれば、十九億円というような予備費というのはあまりにも私は多過ぎやしないか、こういうふうに思っているんです。いかがですか。
  108. 田付健次

    田付政府委員 実は、先生に御説明をしたときの状態での人当経費あるいは予備費はそのようなことでございましたが、昨年の暮れになりまして四十九年度の決算見込みを作業いたしました折にすでに物価高騰が始まっておりまして、このままで推移をいたしますと四十九年度自体にすでに赤字が出そうだということになりましたので、今度改正いたします限度額ではございません、現行限度額内におきまして一、二の政令手数料改正させていただきました。それが五十年、ことしの一月から実施いたしておりまして、その実施をした後における決算見込みで申しますと、人当の方は約十億ということになっております。したがいまして、当初ございました予備費はもちろん充当しなければなりませんし、さらに当初予定しておりました施設整備費も極力圧縮をいたしまして財源を捻出してそして人当の方に回しまして、予備費としてはないというところまで持っていってやっと四十九年度が越せるという状態になりましたので、その点は先生にお渡しした数字とはやや違ってまいりましたので、御理解願いたいと思います。(三浦委員「けさ訂正してもらっているんです」と呼ぶ)そのようなことになりましたので、先ほど申しましたような趣旨で予備費を出していただいたわけでございます。
  109. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、それにしても昨年が七億で今年度が十九億というのは余りにも過大で、あなたの説明では私は納得いきませんけれども、次に五十年度の歳出の方なんですが、軽自動車検査協会出資金十億円がありますね。これはどうして軽自動車検査協会に出資しなければならないのですか。この赤字が見込まれるというような段階特別会計から何でこんな金を出さなければいかぬのですか。
  110. 田付健次

    田付政府委員 軽自動車検査協会ができました折にもいろいろと議論がなされたことと思いますが、自動車検査は従来国が一本でやってまいりました。したがいまして、本来ならば軽自動車一般自動車とあわせて国が一括して一体的に運営すべきであるというふうに私は思います。しかし、当時、軽自動車につきまして公害の検査その他の緊急やむを得ない事由が発生したために、急遽軽自動車検査体制をつくるということになりました。このために、車検特会だけで新しくその組織を短期間につくることができないために、軽自動車検査協会という体制をこの方式でスタートさせたことになったわけでございますが、そのようなことで、本来国として一体的に運営したいということが基本的にございますので、このような考え方から、この軽自動車検査を行っております組織に対して一部の出資を行いまして、運営の遺憾なきを期すということになったものと考えております。
  111. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、全然会計が別じゃないですか。そしてあなたたちの説明によれば、この自動車検査特別会計というのは大変赤字が予想される、こういうふうに言われているんでしょう。それにもかかわらず他の軽自動車検査協会に十億円出資する。いろいろ手数料バランスだとかそういうことをお考えになっていらっしゃるということなんですけれども、しかし、もし手数料のバラウスとかそういうものを考えるというのであれば、それは何も特別会計から出資しなくたって、国が出資してもできるわけでしょう。そういうことでしょう、どうですか。特別会計というのはどうしても軽自動車検査協会に出資金を毎年毎年出さなければならぬということになっているのですか。出しても出さなくても、それは自由でしょう。そしてまた軽自動車検査協会の方は、出資金というのは何も特別会計からだけ受け入れるんだというのじゃなくて、一般会計からも受け入れていいわけでしょう。そうであれば、なるべく手数料値上げにならない方が国民のためにいいんだから、そういう手当てをあなたたちがするべきじゃないですか。たとえば道路運送車両法の第七十六条の五ですね、資本金のところですけれども、「政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、協会に追加して出資することができる。」とあるわけでしょう。政府が出資する道はちゃんと開かれているわけですから、何でもかんでも受益者負担ということで大衆に負担をかけないで、特別会計自体が赤字だというのによその検査協会に金を出す、そんなことをしないで国が軽自動車検査協会には出資する、そういう道をとるべきじゃないですか、その点いかがですか。
  112. 木村睦男

    木村国務大臣 軽自動車検査を始めるに当たりまして、普通の自動車検査登録等を特別会計という一つの枠の中で処理するという制度がその前にできておったわけでございます。この思想は、やはり自動車車両検査登録自動車の使用者から負担してもらうという原則で特別会計ができたわけでございます。そこで、その後になりまして軽自動車についても検査をやるということで、政府が直接やって政府の仕事の窓口を、また仕事の量をどんどんふやすということよりもむしろこれは特殊の団体にして、準政府機関としてそこでやらせようという仕組みで検査協会ができたのでありますけれども、そこで必要な経費というものは、これはやはり自動車検査であるわけでございますので、自動車全体の車検登録手数料の中で賄うべきであるというのが基本的な考え方から——それは一般会計から出資ということも法的にはできるわけでございますが、一般会計から出資と言いましてもこれは国民の税金から出すわけでございますので、そこでやはり受益者の負担という側に立ってやった方が、国全体としての資金の使い方からしてもその方が妥当であるということで、この特別会計の中からこの協会の方の出資は賄うというたてまえになって現在やっておるわけでございます。したがって、制度的には国からの出資も可能でございますが、現状はそういう判断の上に立ってこの特別会計から出資をさせておるというのが実情でございます。
  113. 三浦久

    ○三浦委員 受益者負担という問題についてわれわれは必ずしも賛成していないのですけれども、もしこの制度が受益者負担という観点で貫かれているんだとすれば、全く別々の会計でやっているわけですから、それは別々の会計で処理していくのが適当だというふうに私は思うのですね。特に軽自動車検査協会の方の財政状態ですけれども、排ガス規制の関係とからんで軽自動車需要というのが減ってくる傾向にあるのですよ。これはもう御承知だと思うのです。そうすれば毎年毎年軽自動車検査協会の財政を補助するという形でこちらの特別会計からどんどん金を無制限につぎ込む、そういうような状態になり、それがまた手数料引き上げということになってはね返ってぐる可能性というのはきわめて強いと思うのですね。ですからそういう点ではやはりぴちっとけじめをつけ、検査協会については国が出資をして国民の負担を軽くする方法をとるべきだ、このことを私は強く要望しておきたいと思うのです。  それで、次は自動車型式指定の問題ですけれども、一万五千円が二十二万円になったということなんですね。いままで一万五千円というのがきわめて安い。昭和四十四年の人員を基準にして原価計算をはじいているわけですが、その後どんどん人間がふえていっているわけでしょう。ですから、結局は大メーカーが負担しなければならない手数料一般のユーザーが負担をしているといようなかっこうでいままでずっと来ているわけですよ。それを今度二十二万円に上げた、その原価計算の基礎をちょっとお尋ねしたいと思うのです
  114. 田付健次

    田付政府委員 型式指定制度は、先生承知のように、最終的には私どもとしては品質のよいしかも均一な製品を世の中に送り出せという意味の、言うなれば安全性の強化の一助として私ども奨励をいたしておるわけでございますが、具体的に申しますと、その自動車を買ったユーザーが結局現車呈示をしないでもよいという一つの恩典を与えられておる。ひいてはそれが検査合理化にもなるということではございますけれども、一応そういうようなことで検査業務が能率化されているということであります。したがいまして、型式指定を受けたことの最終メリットといいますか、直接のメリットは、やはりユーザーにいくというふうに私ども考えております。したがいまして、型式指定制度を運営してまいりますいろいろな経費は、本来ユーザーが負担をすべきであるということがたてまえであろうかと思います。しかし、そうではありますが、では全部かということになりますとやや問題がございます。それは型式指定をすること自体が、現在のところは申請制度でございまして、メーカーが型式指定を受けたければ申請をするという仕組みになっておりますので、その申請があったときに申請事務を処理するという直接の業務がございますので、これまでユーザーが負担するというのは無理でございますので、メーカー自体が申し出たことによって発生したわけでございますから、その分はメーカー自体に持たせるという意味で、先ほど申し上げました、全体的にはユーザーのメリットに対する一つの負担ということではあるけれども、申請業務に関連する直接の経費につきましてはメーカーに負担させるということで、分担をする考え方に立ちまして計算いたしました。
  115. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、私が聞いたところによると、交通安全公害研究所ですか、その人件費原価計算の中に入れている。しかし、いろいろなテスター類等の設備費がありますね、この減価償却費は入れていない。これは一般のユーザーの手数料にはね返らせているんだ、こういうことなんですが、そうですt。
  116. 田付健次

    田付政府委員 先ほど申しましたように、申請事務を処理するための直接の人件費的なものは——人件費だけでございません、人件費的なものは一応メーカーということで、その他の経費につきましては、メリットを受けますユーザーに負担させるということになっております。
  117. 三浦久

    ○三浦委員 大臣、いまの答弁お聞きになったでしょう。型式指定をやるのはユーザーの利益だ、こう言うのです。こんな逆立ちした答弁というのがあるんでしょうか。私は頭の構造がちょっと変わっているんじゃないかと思うのですよ。たとえばわれわれがメーカーから車を費いますね。確かにそれは買って、型式指定がなければ買った物を現車呈示して車検もらわなければいかぬですよ、登録もして。しかし、では型式指定を受けてないような車を買って持っていったら、車検を受けられないという可能性だって出てくるわけでしょう。そんな車買えますか。車検がなければ走らせられないのですよ。私が車を買ったって、車検を受けてない車だったらこれは運転できないです。仮ナンバーか何か取っていかないと、またそれも金を取られますよ。そうすれば、走れないような車というのは、製品から言えばまだ未完成品なんですよ、買ったって乗れないんだから。そうすれば、型式指定をして現車呈示を省いて、そしてメーカーがやはりそういう手間を省いてユーザーに提供する、それでなければ車は売れやしませんよ。型式指定というのは、そういう意味ではメーカーのメリットなんですよ。ユーザーのメリットだなんて、それはあなたたち法律のすみっこをくちゃくちゃとほじくり出して、ユーザーが車検をもらうんだからというような、そういう考え方でおっしゃっておるんだと思うのだけれども、そういう法律的な問題ではなく、社会の現実、経済の実体、そういうものから考えれば、メーカーの利益があるということははっきりしているじゃないですか。そういうことは、もうあなたたちの頭のしんまでメーカーサイドになっているということなんですよ。だれが聞いたっておかしいでしょう。だから私は、人件費だけじゃなくて、テスター類の設備費全部の原価計算をして、型式指定手数料の中に入れるべきですよ。二十二万円じゃなくて、もっと多くなるわけでしょう。そうすれば一般ユーザーの負担が少なくなるのじゃないですか。そういうことにあなたたちは頭をめぐらさないのですか。どうなんですか、この点。
  118. 木村睦男

    木村国務大臣 手数料というものの性質からいたしまして、その検査なり審査なりにかかる実費というものが手数料の基礎になるわけでございます。したがいまして、型式指定検査ですか審査、これにかかる経費型式指定手数料として、型式指定を申請した者から取るというのが私は本則であると思います。その点は整備部長の答弁はやや私も疑問がございますので、これは私の責任でひとつ善処いたしたいと思います。
  119. 三浦久

    ○三浦委員 細かくほじるとまだいっぱいあるのですが、時間がないのであと一つだけ聞きますけれども、たとえば一般会計からの繰り入れがありますね。これは特別会計法でもって重量税を取り扱う事務、これがこちらに来ることになっておるわけなんですけれども、五十年度八億八千万円一般会計から受け入れるようになっておるのですが、これも聞きますと、結局重量税を取るための人件費とか事務費とかだけ入っておって、重量をはかるためのはかりの値段、はかりであるとかはかるための人件費というのはこの中の計算に入っていないのですね。そうでしょう。それをちょっと御説明願いたい。
  120. 田付健次

    田付政府委員 御指摘のように、重量税の納税の確認あるいは税額の認定等はやっておりますので、それに伴う経費一般会計から繰り入れられているだけでございます。重量計の経費とかそれをはかる要員費等は入っておりません。これは実は本来自動車検査をいたしますときに、その自動車の目方が何トンであるかというのは、重量税が施行されていようがいまいが当方としてはどうしてもやらなければならない本来業務でございますので、車検登録の方のベース経費として当然計上されていくということなので、重なっていないわけであります。
  121. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、それによって重量税の方だってメリットを受けているわけでしょう。それは確かにあなたのおっしゃるとおり、重量税を取ろうと取るまいと車検でもって目方をはからなければならぬから、それははかります。しかし、重量税を取る方だってそれだけメリットを受けているんだから、その時点でもって半分に案分するとか、そういうことは当然考えられるじゃないですか。本来要る経費だからといったって、結局タクシーに乗る場合に一人で乗ったって二人で乗ったって同じ料金ですよ。二人乗ったら半分ずつにしようや、こういうことは当然あり得るわけでしょう。だから、あなたたちの考え方というのは、何か基本的に手数料を上げよう上げようという方向で物事を考えているということなんですよね。結局私が言うように、重量を測定するための経費人件費設備費、そういうものもやはり重量税の方から一般会計の繰り入れとして取ってくれば、それだけ特別会計は潤沢になるわけでしょうが。そういうことに少し頭を使わなければいけないんじゃないですか。それを安易に手数料値上げというようなことで問題を糊塗しようという態度は、私さ余り安易過ぎると思うのです。  それで、私もう時間がありませんけれども、いま大臣型式指定の問題について善処するというふうにおっしゃったわけなんですけれども、まだこれは審議中でございますね、歳出の問題、歳入の問題、いろいろこの特別会計は問題があります。この手数料値上げの問題についても、いま大臣が善処するというふうにおっしゃったわけですから、当然私は全般的に見直しをする必要があるのではないかと思うのですが、その点について大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 木村睦男

    木村国務大臣 今回提案して御審議をいただいておりますこの手数料の上限を決めます法律でございますが、いま私が御質問をいろいろ聞いてお答えをいたしましたのは、この中で具体的に手数料をどう決めるかというときに善処いたしたいという意味で申し上げたわけでございます。  同時に、いまお話しのように、他の項目について、やはり手数料の取り方、計算の仕方等に不合理な点あるいは十分でない点があるいはあるかもしれませんので、その点は十分検討させていただきたいと思います。
  123. 三浦久

    ○三浦委員 終わります。
  124. 木部佳昭

  125. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それではこの道路運送車両法の一部を改正する法律案について、公明党を代表して私から質問をしたいと思います。     〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕  まず、運輸大臣に基本的にお伺いをするわけでございますが、今回の法律案は、いわゆる車両の点検等に関する、登録検査等に関する手数料の、いわば値上げてございますが、御存じのとおり、三木内閣が発足いたしまして、その政治的な姿勢の一番大きな目標として、いわゆる物価の抑制ということが挙げられておるわけでございます。そういうような状況の中で、国鉄あるいはその他の地方鉄道あるいはバス、過疎地帯のバス、こういうものは大幅に赤字であるわけでございますが、こういう認可料金等に対しても、まだ本年度はそういう値上げの問題が出てきていないわけです。物価抑制の見地からいきますれば、これはそう安易に改定をすべきではないと思うのでございますけれども、この物価抑制との関連において、大臣はどういうようにこの問題をとらえて今回国会に提出されたのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。
  126. 木村睦男

    木村国務大臣 三木内閣ができまして、当面の最重点の政策は、やはり御指摘のようにインフレの進行を抑制いたしまして、物価を抑えるということが何よりも優先してとらなければならない政策としてわれわれもやっておるわけでございます。しかし、その中にありまして、いろいろな料金とか、そういったもので、やはりそれぞれその範囲内においては料金改定等をしなければやっていけない、公正な行政ができないという面もいろいろあるわけでございます。この道路運送車両法の中におきまして御審議をいただこうとして提案をいたしております手数料の問題、登録あるいは検査手数料の問題でございますが、これは言うまでもなく、自動車検査登録特別会計という一つの独立した特別会計の枠内で事務をやり、それを処理しておるわけでございます。したがって、ここでの事務の処理に要する経費はすべてこの特別会計の中で、車両検査登録手数料をもってまかなってきてまいっておるわけでございますが、最近の人件費の値上がりあるいは車検登録のための諸施設整備を図ります場合の経費の増大、また反面は自動車増加の傾向がだんだん鈍化してきて、検査を受ける対象の車両が思うように伸びておりません。したがって、入る手数料が少ない。そういう両方理由がありまして、この特別会計収支をまかなうことがだんだん困難になってまいったわけでございます。それでは一般会計から入れればよいではないかという御意見もあるわけでございますが、一般会計から入れますのは、申すまでもございません、一般の税金からまかなうということでございますので、この検査といい登録といい、自動車の持ち主からいただく手数料でございますので、国民全般を対象にしたものでもありませんし、一両百万円あるいはそれ以上の車を持とうという方から出してもらって、そしてその車の検査登録をやるということでございますので、やはりこれは特別会計の枠内で必要な経費はまかなわなければならないということから、検査登録手数料値上げ考えておるわけでございます。ところがこの法律では、上げる最高限度を押さえておきまして、そして具体的に幾らにするかというのは、その枠内で政令で定めるということになっておりますことは御承知のとおりでございますが、すでに現在決められております最高限度額いっぱいにもう手数料は上がっておりますので、今後、五十年度の収支の見通しも考えますときに、やはりこの最高限を上げておいてもらいませんというと、五十年度の特別会計のやりくりができかねるという状況になりましたので、今回この法案を提出して審議をお願いしておるのが実情でございます。
  127. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いま大臣の御説明でございますけれども、私は必ずしも納得いかない。と申しますのは、いまこの特別会計が厳しくなってきた原因として、人件費の増大を挙げられております。また諸施設経費の増大、それから自動車増加が鈍化をしてきたので手数料が思うように入らない、この三つの理由を主体に挙げられたわけでございますが、逆に言いますれば、一体それでは運輸省としてはこの自動車増加状況について、日本国内での状況を見た場合に、これだけの狭い土地に二千七百万台を超えるような保有台数があるわけでございますから、これはいつかはとまるわけでしょう。そこら辺の見通しはどういう見通しを持ってやっていらっしゃるのか。言葉をかえて言えば、自動車の保有台数がどんどん伸びるだろう、そういう予想のもとにこういった将来の経費の計画をしていらっしゃるように感じられて私はならないわけでございますけれども、一体いままでたとえば、石油ショック以来の問題ではございましょうけれども、その前はどういうような伸びを予想していらしたわけですか。一体じゃ運輸省としては、保有台数の日本国内における限界というものはどこに置いていらっしゃるのですか、まずそれを伺いましょう。
  128. 木村睦男

    木村国務大臣 いま私が申し上げましたのは、収入とそれから経費との開きがだんだん大きくなってきた原因が二、三あります、その一つに、収入の方が予想したよりもふえていないというのを一つ理由として申し上げたのでございますが、車の台数がどうふえるかということは、一応日本の経済発展なり国民総生産の伸び等を基礎にいたしまして今日まで計算し、また将来にわたって計算をいたしておるのでございますが、最近の景気の停滞あるいは政府の施策の転換等によりまして、これは見直さなければならないということでございます。したがいまして、今後の車の伸び等につきましては、それらの新しい経済情勢等を踏まえて将来を考えていかなければならないわけでございますが、今後車の伸びがこれでとまってしまう場合があるではないかというお話でございます。そういう事態もあるいはあるかもしれませんが、この収入は、新車を初めて使う場合のいわゆる登録検査だけではありませんので、在来車につきましても、二年に一遍あるいは一年に一遍ということでそういう検査もございますので、しかし確かに車全体が予想どおりふえなければ収入は減ってまいるということはそのとおりでございますから、そういう場合に対応いたしましては、今後その実情に対応して処理をしていかなければならないと思っております。
  129. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 一体日本の国土に何千万台の自動車を入れることが適当かという問題は、非常にむずかしい問題であると思います。これはいままで言われておりますように、日本というところは非常に国土も狭いし、狭いだけではなくて非常に山が多いので、道路をつくれる余地というものが比較的限られているというようなことでございますとか、あるいは非常に人口稠密でございますので、自動車交通の混雑ということによる各種のデメリットが、特に都市部を中心に発生するというようなところから、いっとき言われましたような、自動車の将来はもう無限であるというふうな感じのことはなくなっております。  では、一体どのくらいのところが限度かというふうなことになりますと、現在私どもが統計で押さえております数字が大体二千六、七百万台ということでありますが、これが一体どれくらいになったらいいかということにつきましては、いろいろな数字がございますが、四、五年前に政府が総合交通体系というのをつくるときにいろいろな作業を各省でいたしました。たしか、そのときに一番強気の数字が、四千万台という数字があったと思います。控え目の数字が三千五百万台という数字があったと思います。これは昭和六十年時点においてという数字だったと思います。そのころはまだ公共投資などもどんどん盛んにやる、自動車の生産もどんどん伸びるという時代でございました。そういった時代に三千五百万台から四千万台くらいの幅で一応政府の関係各省が計算をしたということがございましたが、それが果たして今日そのままでいいかどうかということもございますけれども、そういった数字がかなり参考になる数字ではないかと思います。
  130. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは後から、警察庁との関係でもお伺いをするわけでございますけれども、やはりこの問題はかなり詰めた研究をしておかなければきかぬのじゃないですか。日本の狭い国土に、現在ですらかなり過密状態が続いておるわけでございまして、人口の集中というような問題もございますから、これはたとえば三千五百万台と想定をいたしましても、現在の三〇%増しですね。東京、大阪、そういうような大都市を中心にして、たくさんの車があのように走っておるわけでございますけれども、ここへ三〇%のそういうような自動車増加したということを想定して考えてみたときに、都市交通というものが麻痺してしまうのじゃないかということは十分想定できるわけでしょう。これはいますぐここで答弁を求めても無理なことでございますので、当然運輸省としても、いわゆる総合交通体系の中でもう一遍煮詰めた検討をする必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  131. 木村睦男

    木村国務大臣 自動車増加の傾向を過去の数年間見ますというと、やはりいま御指摘のように、それまではやはりこういう大都市の増加の率が非常に高うございましたが、だんだん大都市が車の上でも過密化いたしまして、交通渋滞というふうな現象がだんだん強くなってまいりますと同時に、毎年の増加の傾向を見ますというと、大都市における増加率は非常に低くなりまして、地方における増加率が非常に高くなってきておるというのが、すでに今日までの実情であるわけでございます。しかし、地方でふえた車が大都市にも入るわけでございますので、大都市における道路交通過密化状況の問題をどう解決するかということは、これは別の問題として当面非常に重大な問題でございます。  いろいろな機会で皆さんにも御議論をいただいておりますし、われわれも研究をいたしておるのでございますが、大都市におきましては、少しでも車の流れをよくするために総合交通政策を立て、大量の輸送機関でもってできる限り輸送できるように、そういう方策を講じていかなければならないと考えております。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いつまでもそのような問題をやっているわけにいきませんので、その点は研究を御要望申し上げておきます。  二番目に挙げられた人件費の問題でございますけれども、この車検の問題について人件費というのは一体どのくらいの率で増大をしているのか。同時にまた、いわゆる職員の数の増加状況というのはここ四、五年にわたってはどんな状況ですか。
  133. 田付健次

    田付政府委員 あとの方から先に御説明させていただきますが、車検登録関係の要員増加状況を簡単に御説明いたしますと、四十四年度におきましては千九百五十一名でございましたが、四十九年度になりまして二千五百九名となりました。来年度百三十一名お願いをいたしております。したがいまして、このほかに削減というのがございますので、実質的に伸びました分を見込みますと、来年度約二千六百名ぐらいになるというふうに予定をいたしておりますが、人員の増強状況は、大体そのような状況でございます。  それから、この計算をいたしました過程におきます人件費伸び率でございますが、五十一年度以降につきましては、四十八年の二月に閣議決定をされました経済社会基本計画というのがございまして、その中に一人当たりの雇用者所得の上昇率がうたわれておりますが、年率一二・三%ということでございます。これを利用させていただいております。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 小型自動車の方については、自動車検査協会でやっていらっしゃるわけですね。そちらの方の人員の増加状況はどんなぐあいですか。
  135. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 いま先生のお尋ね、軽自動車検査協会の人員のことだろうと思います。  これは四十八年十月から開業している団体でございますが、現在定員五百五十五名ということでございまして、全国に主管事務所九、主管事務所でない普通の事務所が四十四、出張検査所が百七十一という地方組織を持っておりまして、この五百五十五名のうち、地方で働いている人が約四百人おります。
  136. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その中で、運輸省との人事交流があるように話を聞いておるのでありますけれども、たとえば昭和四十九年度において運輸省からこの自動車検査協会に派遣されている人間はどのくらいいますか。——わからなければ後で結構です。
  137. 田付健次

    田付政府委員 ちょっと正確な数字を持っておりませんので、また後ほど届けさせていただきます。
  138. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうことで、先ほど大臣は、人件費の増大を挙げられたのでありますけれども、こういうような軽自動車検査の問題についても、運輸省から人員を派遣しておるわけです。そういう問題だって、何のために派遣しておるのだというと、いわゆる小型自動車のいろいろな点検についての指導的な要員が必要だというようなことでございますけれども、その経費は当然この検査協会等の中から支出をされているわけでございまして、単なる指導であるならば、運輸省そのものの管轄の中から派遣をしたって当然できるんじゃないですか。そこら辺の検討は十分にされておりますか。いかがでしょう。
  139. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 先ほど保留させていただきました数字がわかりましたので、御報告申し上げます。  軽自動車検査協会の職員定員五百五十五名と申し上げましたけれども、この中でお役人をやめまして協会へ行った人が百六十人、それからいま先生の御指摘の、国家公務員の在籍で、いわゆる出向ということで、いずれまたお役人の身分に戻るという予定で行っております人が二十一名おります。この二十一名の人でございますけれども、先ほども整備部長がちょっと御説明申し上げましたように、本来、国が直接この軽自動車検査をしてもよかったわけでございますが、やはり国の職員の数をふやさないという大原則のもとに別の機関をつくりまして、認可法人をつくりまして国と同じことをやらせるということにいたしたわけでございます。したがって、その会計の面でも、車両保険特別会計という大きな屋根の中に国の直轄検査もこの軽自動車検査協会の検査も全部ひっくるめてやっておるわけでございます。  そこで、この発足当時の職員構成その他考えますと、やはり国から百六十一名やめてまいりまして、あと民間の人を集めただけでは、どうしてもいままで国でやっておりましたような、同じような仕組みの検査をすることについて検査協会側にも不安がございましたものですから、いわゆる指導と申しましては言葉が行き過ぎかもしれませんけれども、従来の国の検査の仕組みを十分浸透させるまでということで、これは過渡的な措置といたしまして二十一名をこの協会に出向さしているということでございまして、いわばこの出向させた利益というものは、この協会が享受しておるわけでございますので、したがって、この職員の費用を別途国が一般会計で持つというようなことはしない方がよろしい、こう考えたわけでございます。
  140. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この百三十一名の増員の問題にいたしましても、私はいろいろ疑義があるのですが、その一つの流れの問題としまして、業界からも、たとえば小型自動車の点検の問題について民間に全面的に任してくれぬか、そういうような声もあるわけですね。  私は、実は運輸省の省エネルギー政策という問題について、省資源政策という問題について基本的にお伺いをしたいわけですね。いまこういうような自動車検査については大体大都市に集中をいたしておるわけでございますから、この周辺から行きましても非常な混雑を来たしておるわけでございます。そのために、もっと地方各県の中においても分散をしてくれというような話は相当出ておるわけですが、そこら辺の状況は十分運輸省においても把握をされ、任せるべきところは民間に任してもいいというような大胆な政策をとっていかなければ、こういうような役所の業務というのは、一つ係をつくればそれだけ仕事がふえるのは当然なことでございますので、もう少しそういった合理的な考え方はできないのかというふうに私は思うのでございます。省エネルギー政策の問題は別としまして、そういうようなもう少し民間車検場を活用した、これを拡大して、そうしてわざわざそういった検査協会まで行かなくても済むんだというような方向がとれないものですか、いかがですか。
  141. 田付健次

    田付政府委員 御指摘のように、私ども民間車検の活用を従来図ってまいりました。数次の改正をいたしながら民間車検が活用しやすいような体制をとってきたつもりでございますが、なお今後共同利用であるとか、あるいは認証工場指定工場とのタイアップの問題であるとか、さらには地域的にもう少しきめの細かい指定工場の普及率などを調べた上での措置を打つとかいうことにつきまして努力をしてまいりたいと思います。  現在、一般車につきましての継続検査に対する民間車検の寄与率が約半分くらいになっております。それから先生御心配の軽自動車の問題につきましても、同様に民間車検を利用させておりまして、これはちょっと落ちますが、現在約三割ぐらいが利用されている状況でございます。
  142. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ですから大臣、そういう問題を——いま百三十一人の増加が必要であるということについて、細かい資料は持っておりませんので適切かどうかは私はわかりませんけれども、将来、当然人件費アップというのは考えられるわけでございますから、むしろそういった増員を図るよりも、民間の力をもっともっと活用するという方向で考え直していかなければこれは切りがないと思うのですね。いかがですか。そういう方向を十分御検討になりますか。大臣、いかがでしょうか。
  143. 木村睦男

    木村国務大臣 軽自動車につきましても、検査法律で義務づけたわけでございますので、義務づけた以上は最終的に検査をやる機構についての担保がないといけないわけでございます。在来の車につきましても、従来は役所の検査場だけでやっておりましたのを、逐次民間の車検に移しまして、民間車検場整備と相まって、これに徐々に移してまいったのでございますが、やはり軽自動車におきましても、最後の担保は公式の——公式といいますか、事務官庁、役所が責任を持てるような検査の機関というものがなければいけないと思います。そういう意味検査協会をつくったわけでございますが、すでにいま整備部長が申しておりますように、これも民間車検場へ三割くらいは現在移しております。だんだんこの傾向は今後増加してまいると思いますし、また増加してほしいと私は思っております。そういう点ではあなたのおっしゃる方向で今後とも指導してまいりたいと思っております。
  144. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは違う角度からちょっと議論をしてみたいと思うのでございますけれども、先ほど申し上げました車の検査等の問題については、大都市にほとんど陸運事務所、そういった検査協会の中心拠点があるわけでございますから、その周辺に非常に交通渋滞を起こしていること、あるいはそこまで持っていかなければならない人的資源の乱費という問題、あるいはその運行に伴うガソリンの問題等考えてみますと、決してこれはないがしろにすべき問題でないと思うのですね。  そこで、一体運輸省はこの省資源政策についてどう考えておられるか。先般経企庁長官が施政方針演説あるいは委員会において方針を述べられましたときに、今後のいわゆる経済運営の一つの基盤は省資源対策であるということをおっしゃったわけです。  そこで私は、そういう問題も含めて、あるいはこの問題はあとで具体的にお伺いしますけれども、いまそういった民間車検の各工場あるいは整備工場等にはプラグテスターがあるわけですね。ところが実際にそのプラグテスターというものはほとんど使われてないのじゃないですか。プラグというのは、いまそこら辺のスタンドで故障と言えばぱっと部品を取りかえるだけ。そういうような状況で、一律に整備工場には全部プラグテスター、何十万の機械を置かなければならぬというふうに運輸省の方では規定していらっしゃるから、これは整備工場にとっても大変負担になっておるし、全くむだなことをやっていらっしゃる。そういうようなことをもう一遍基本的に改める必要があるのではないかと思う。  そういった意味で、一体省資源対策というものを運輸省はどういうふうにお考えになっているのか。「各省に対する具体的措置の概要」というのを私いま見ておるわけでございますけれども、それらを含めてどんな姿勢で臨んでいらっしゃるのか。さらに具体的にどんなことをやろうとしていらっしゃるのか、その点もあわせて伺いたいと思います。
  145. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 運輸省考えております省エネルギー政策の概要についてお話し申し上げまして、後でプラグテスターの話については整備部長から補足させていただきます。  先生も御指摘のように、エネルギーの問題は特に石油ショック以来朝野を挙げて大問題になってまいりました。これは価格が高くなっただけではなくて、日本はそもそもエネルギー資源自体が乏しい国であるというところから、エネルギーを何とか効率的に使う、できるだけ少なくて済むようにするということは、インフレ抑圧その他と並ぶ至上命令になっておるわけでございます。  そこで、交通機関にこの問題を限ってまいりますと、交通機関の中でもいろいろエネルギー効率のよい悪いはたくさん差別がございます。私どもの扱っております自動車というものは、一人当たりのエネルギー効率のよくない方の分野でございます。やはり鉄道あるいは海運というふうなものの方が、エネルギーの点から言うと非常によい交通機関であるということが言えると思います。  そこで、これもまた総合交通体系の話になりますけれども、すでに四、五年前に、運輸省で総合交通体系の政策をつくりましたときに、私ども考えました考え方というものは、そういったエネルギー政策というような観点も当時ございましたものですから、そういった観点、あるいは国土の有効利用というような観点から、日本は四面海をめぐらしている国でございますから、できるだけ沿岸海運あるいは国有鉄道あるいは都市の鉄道、さらにはバスというふうな、こういう貨物、旅客ともに大量輸送の可能な公共交通機関を優先的に利用するような交通体系をつくるべきである。     〔佐藤(守)委員長代理退席委員長着席〕  そしてまた、そういったことが可能になるように、投資とかあるいは財政の補助あるいは税制等の面で方策を講じていくべきであるというようなことになっているわけでございます。特に大都市におきましては、先ほど先生も御指摘ございましたように、たくさんの自動車がひしめいております。これは最近排気ガス公害の問題が出てまいりましたけれども、そういった問題と並んで、これだけたくさんの自動車がむだな動きをしているとすれば大変なエネルギーのロスでございます。そこで、大都市においてこれを解決するためには、やはり地下鉄、郊外私鉄、国鉄、それからバスというふうな大量の公共交通機関を何としても整備をする、そしてマイカーに頼らなくてもいいような交通体系をつくることが先決でございます。そういうことで、私の所管は一部離れますけれども、鉄道につきましては財政の融資あるいは補助、こういったものを積極的に続けてきておりますし、バスにつきましては、現在のバスの運行が非常に不規則である、また時間がかかるという点がバスにお客さんがなかなか集まってこない大きな原因でございますので、警察にお願いいたしまして、バスの専用レーンあるいは優先レーンなどをつくっていただきまして、バスの円滑な通行を図っている。また同時に、新しい団地ができてもバスが行かないということで利用者の不便が高まっております。また、夜の終車時間が非常に早く終わってしまうので後が不便だという声もございますので、最近、団地バスにつきましては、補助金をつけまして足なし団地がなくなるようなことをいたしておりますし、また深夜のバスにつきましても、事業者を指導いたしまして、いま着実に深夜バスの設定あるいは時間延長というものを図っているところでございます。  こういったことで、できるだけ公共交通機関を便利にして、それさえあればまずまず普通日常の交通需要はまかなえるのだということにいたしました上で、あるいはそういう施策と並行しながら、私はやはりマイカーその他の個人的な交通機関というものを都市の実情に合わせまして総合調整していく必要があると思います。この手段につきましてはいろいろな方策がございますけれども、これはエネルギーあるいは排気ガス公害の防除という点から、もはや都市政策にとって至上命令に近いことでございますので、関係各省とも十分連携をとりまして、何とかして、この特に都市から必要度の低い車をできるだけ排除する、そして必要度の高い車に道をあけていく、そして全体的に量は減るし、また車が本当に車らしい使われ方をするという状態を実現させるべく努力をしているところでございます。
  146. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自動車局に関係のある具体的な措置として上げられているのは、一つは、海運業界に対してフェリー乗船におけるトラック優先を指導すること、こんなふうになっております。さらにまた関係のあるのは、協同一貫輸送及びタクシーの相乗りの推進の通達を検討中、こういうふうに書類には出ておりますけれども、ここら辺はどこら辺まで研究がなされておりますか。
  147. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 多少各論に渡りまして御説明申し上げますと、まず協同一貫輸送の促進という点につきましては、いま先生がお話ございましたフェリーの利用、それからもう一つ、国鉄のフレートライナーの利用、この二つがございます。これはいずれも国鉄あるいはフェリ−というものと自動車というものとの結びつきをいかに円滑化するかという問題でございまして、協同一貫輸送という形でこれを呼んでおりますけれども、フェリーの航路もずいぶんできてまいりました。それから国鉄のフレートライナーも各地に設定をされてまいりました。そこで、私どもは、トラック輸送の制度の面で、このフェリーあるいはフレートライナーを利用しやすくするような通達を出しまして、利用者の要望にこたえることといたしました。  それからタクシーの相乗りの問題でございますが、これにつきましても、私、先ほど御説明申し上げました、都市周辺、特に大規模団地を控えております駅と団地の間のバスのサービスがなかなか夜になると手薄になってしまうというところから発した問題でございます。ただ、これにつきましては、私は、本来、現在のバスの終車時間が早過ぎるというところに問題がございますので、これはできるだけバスの運転者、いわゆる労働組合の人たちとも話をしてもらいまして、事業者として、まずかなりのまとまった需要があるところについては、現在の時間を延長するというのが本旨であると思います。実は、東京周辺につきましては、昨年の秋に運賃改定をいたしました折に指導いたしまして、少なくとも十一時までは通常の昼間の料金のバスを走らせるべきであるということで、現在各会社でそういった体制を促進しつつございます。ところが十一時過ぎますと、やはりお客の数も大分減ってまいりますし、また通常の料金ではなかなか職員の夜勤手当等も払う財源がございませんので、そういった時間帯については、かなり輸送需要がある場合には、若干の特別料金を取りまして深夜バスを走らせるという方策をとっております。それからもう一つ、深夜バスを走らせるほどの需要がないようなところにつきましては、先生指摘の乗り合いタクシーをやらしているわけでございます。これはたしか一昨年の冬からやっておりますけれども、従来、タクシーはすべて一個の運送契約ということで相乗りを禁止しておりましたけれども、その規定をそのまま実行いたしますと、せっかく二、三人同じ方向に向かって帰るお客がおりますのに、一人一人車を一台ずつ占領して走っていく。まことにこれは不経済でありますし、またエネルギーもよけい使いますし、かつまた利用する人にとりましても、その車が戻ってくるまで待っていなければならぬということもございます。さりとて、いわゆる悪質な相乗り、つまりタクシーの運転手が、四人乗ったら四人から一人前の運賃を取りまして四人分かせぐという悪質相乗りを合法化する形になってはいけないというところから、特に乗り合いタクシー制度というのをつくりまして、特定の駅で特定の団地との間ピストン輸送するタクシーをあらかじめ選定いたしまして、それに対しては、乗り合いタクシーの切符を売りまして利用者需要にこたえることといたしております。これは大変評判がよくていま各地で行われておりますが、なお、これはバスとタクシーの間隙を埋めるものとしてこれからも推進してまいるつもりでございます。
  148. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あわせてお伺いをしておきたいのでございますけれども、先ほどのいわゆる自動車保有台数、将来どこかで頭打ちになることは当然でございますし、また全体の保有台数はどの程度かということはやはり考えていかなければならない問題だと思うのですが、そういうところから起こる交通渋滞の問題から、最近マイカー規制の機運というのが非常に高まっておるわけですね。まあバスレーン設置等の問題もあるようでございますけれども、聞いたところによりますと、一部新聞等にも報道されたようですが、群馬県等においては、いわゆる県庁の職員等は半径十キロ以内はマイカー乗り入れ禁止である、そのために特別交通の手当ですか、そういうものを出すというような方向がかなり検討されておるようです。そういうようなことは、大体地方自治体、それから各県警との話し合いでどんどん行われておるようでございますけれども運輸省側からはそういうような強い要請といいますかそういうものは余り出てないように思うのでございます。一体警察庁と運輸省との間において、この都市交通の問題についての打ち合わせというのは十分行われているのか。一体警察庁はどういう方針で、運輸省はどういう方針でやっていらっしゃるのか、別々に一遍お伺いをしたいと思います。  最初に警察庁の方からお願いします。
  149. 池田速雄

    ○池田説明員 いま御指摘の点でございますけれども、私どもの方といたしましても、いままで個々にやっておりましたような規制ではなかなか間に合わない。やはり交通の安全を図りますとともに、円滑、あるいは公害防止といったような観点から、住みよい生活環境をつくる、そういった意味での交通規制をやらなければいけない、こういうふうに考えまして、昨年来、いわゆる総合性を持った都市の交通規制というものを、三カ年計画で実施したいということで発足をさしているわけでございます。その中での主な眼目の一つといたしましては、ただいま御指摘のように、たとえばバス等の大量公共輸送機関を優先させまして、それを確保するための規制でございますとか、駐停車の禁止でございますとか、歩行者用道路等の規制を中心に進めておるわけでございますけれども、端的に申しまして、やはり走行台・キロを減らす、こういうことになりますと、大量交通輸送機関を規制の面で優遇すると同時に、現実にその利用ができるような状態にしなければいけないということでございますので、関係の機関の方々とも十分御連絡をとっているところでございます。  たとえば一例を挙げますと、大阪の例でございますけれども、大阪市内の平野区あるいは東住吉区の南部地区におきましてはゾーン・バス・システムという制度が取り入れられております。従来幾つもの運行系統、短距離、中距離のものがございまして重複していたものを全部整理されまして、系統を少なくされると同時に、その一定の区間の中では同一料金での乗り継ぎをお認めになっておる、こういうような制度をおつくりになりまして、利用者の待ち時間もしたがって減少する、こういうようなことでございますので、私どもの方も思い切って一方通行あるいはバスの専用道路  一定時間にはバスしか通さない、あるいはバスの専用通行帯を設ける、こういったような規制を実施させていただいておるわけでございまして、相当効果が上がっておるというふうに聞いております。  また、たとえば沖繩等におきましても、沖繩県ではバス以外に大量の交通輸送機関がございませんので、混雑のはなはだしい那覇の市内におきましては、三・四キロぐらいの区間につきましては片側一車線しかございませんので、七時から九時までの間は原則として他の車両は通さない、バスしか通さない、こういうような規制をやっておるわけでございます。同時に、バスの運行についても十分御配意いただいている、こういうようなことでございます。したがいまして、私どもの規制の目的を達成しますには、もちろん住民の方々の御理解と合意、それに関係機関の方々の協力がなければ目的が達し得ないわけでございますので、私どもの場合には特に、実施をします都道府県の段階におきまして審議の協議会等を設けまして連絡さしていただいておるわけでございますが、いま御指摘のように、中央段階ではどうしても抽象的な話し合いになりがちでございますので、今後とも十分に具体的な問題をひっ提げて協議するような場をつくらしていただきたい、こういうふうに考えております。
  150. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども自動車仕事といいますのは道路を使います。道路にほかの車がたくさん入っておりますので、それらとの整理を図らなければ、バスもトラックも走れないということでございますので、その全体の交通の整理をするのは警察のお仕事でありますので、私たちは特別に何か機関をつくってということもやっておりますけれども、そういったことを待たずしても、もう日常の仕事として、本省同士あるいは陸運局同士、陸運事務所と県警、連絡をとりまして、一つ一つ具体的な話を実はこちらからお願いに行っているという段階でございます。そして、いままで大変警察の方で御理解いただきまして、仕事が進められておるというふうに私は理解しております。
  151. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは大臣にも御要望するわけでございますけれども、道路を使用するわけでございますから、必ずしも全部運輸省の責任じゃないのでございますけれども、そういう各地方で行われているいろいろな交通対策というものを総合的にチェックをして、そしてもっともっと各地方自治体にもPRする必要があるのではないかと思います。そういった点を特に御要望申し上げておきます。  ついででございますので警察庁の方にお伺いをするわけでございますが、自動車に伴って当然運転手の問題が出てくるわけでございます。いま三年に一回免許の書きかえがあって、これはコンピューターに投入されて整理をされておるようでございますけれども、ともすれば、大型トラックあるいはトラック系統の特殊自動車、そういうものは非常に運転が乱暴だというので、しばしば苦情を聞くわけであります。タクシーの問題にいたしましても、いろいろな問題がその都度提起される場合が多いわけでございますけれども、まあこれは運輸行政の問題にもなろうかと思うのでございますが、そういった免許の書きかえの際に、もう少し等級をつくってはどうか。三年に一遍書きかえを行うわけでありますから、三年間無事故であったら一級ライセンスが上がるんだというようなことをしてはどうかと、私はそういうふうに思うわけでございます。  これにはいろいろなメリットが出てまいりまして、たとえば雇用関係においても、いわゆるタクシーの運転手あるいはトラックの運転手を採用する場合に、なかなかその前歴がわからない。隣の会社から隣の会社へ移るなんというようなこともございますし、またそれだけの特殊能力を持っているわけでございますから、やめろと言えば簡単にやめて、また次の会社へ流れていくというようなことで、非常に人間の教育上もよろしくない、心理的にもよろしくない。そういうようなことで、やはり自覚を持たせる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけです。たとえば十五年間無事故であった場合五級ライセンスが上がったというふうになりますと、雇用関係においても、いわゆる給与体系というものにかなりそういうものが配慮されて、社会的にも自然に決まっていくのじゃないか、こういうふうにも思います。ともすれば、トラックの運転手の人は雲助だなんて昔言われておりました。そこら辺から起こる家族のひがみ、子供のひがみというのもあるわけでございまして、そういうふうにもう少し具体的に自覚を持たせる方法をとったならば、これはたとえば家族も、お父さんは二十年間無事故で優秀な技術者なんだというような心理的な好影響も出てくるのじゃないか、こういうふうに思うので、特に提案かたがたお伺いをするわけですが、いかがでしょう。
  152. 池田速雄

    ○池田説明員 ただいま御指摘の点は、優良な運転者が自覚と誇りを持って運転できるように何か考えられないか、こういう御指摘じゃないかと思いますが、御趣旨まことにごもっともだと思います。  現在、運転者の表彰関係につきましては、広い意味で警察を含めました、あるいは安全協会でございますとか関係の行政機関でございますとか、あるいは各事業所の場合でございますと事業所ごとの表彰という制度がとられているようでございまして、一番長い方はたとえば二十年以上の無事故無違反の方でございますとか、十年以上あるいは三年以上というようなそれぞれのランクに応じた表彰をされているようでございますけれども、国としての統一したそういう制度はないというのが実情でございます。何とかしてそういったような優良な運転者の方が誇りを持って運転されるような方策というものを私ども考えたいというふうに思っておりまして、実は、お答えになるかどうかわかりませんけれども、今国会におきまして御審議をお願いすることになっております自動車安全運転センター法案というのがございますが、このセンターの業務一つといたしまして、優良な運転者の方が客観的に証明できるような制度考えたいということを取り入れているわけでございます。現在行われている表彰につきましても、実は客観的にその者を公の立場で証明するような制度はないわけでございますけれども、資料としましては警察にないわけではございませんので、そういった運転者の方に、運転の経歴にかかわります経歴の資料をこのセンターに警察が提供するということによりまして、センターが、運転者の方の求めがございましたら、その間の、たとえば一年間無事故無違反であるとか、三年間無事故無違反であるとかいったような証明をできるようにいたしたい、こういうことで考えておりますので、そういったことが制度的にできるということになりますと、またいろいろな道が開かれるのではなかろうかというふうに考えております。いずれにいたしましてもいま御指摘の御趣旨を尊重さしていただきまして、またいろいろな道が考えられると思いますので、十分検討さしていただきたいと思います。
  153. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは運輸省ではここら辺の問題についてどんな角度で扱われるのか私よくわかりませんが、大臣、今回のインフレの鎮圧というものがこの三月にうまくいけば消費者物価指数が一五%を切るのではないかというふうにいわれておるのでございますけれども、これはやはりいろいろな角度から検討し、経企庁等の意見も聞いてみますと、一つにはこういう不景気が来るぞというので心理的な影響、これが非常に大きな効果があった。いわゆる需要抑制政策をやるぞ——実際にそういうものが行われてきた、そこから中小企業の倒産も起こってきた、いろいろな問題が出てきているわけですが、それがいわゆる一般消費者の心理的な影響となって需要の拡大が抑えられておるというようなこともいわれておるわけでございますけれども、やはり運輸行政を担当なさる運輸省としましては、そういう人間の心理的な面まで考えて行政をやらぬといかぬのじゃないか。そういう意味でいま私は、そういうような提案を申し上げたわけでございますけれども、これは運輸省としては御検討するようにできましょうか、いかがでしょう。
  154. 木村睦男

    木村国務大臣 いまお話しのように景気の抑制等につきましてもやはりその効果が徐々にあらわれてきております原因の一つには、国民一般の人がやはり物価が上がってくるのも大変だしということで節約ムードが徐々に浸透してきたということが確かにあると思います。交通の面におきましてもここまで大都市が過密状態でパンクしそうである、子供に車も買ってやりたいがそれはよした方がいいというような、そういう心理的な効果がだんだん浸透することを期待いたしますし、同時に警察と協力をいたしまして、正面からいろいろな意味で交通規制的な措置を講ずることによって車を持っても使えないぞということを逐次理解してもらえるような心理作戦も必要だと思います。そういういろいろな面から国民の皆さんの心理に訴えて自制心を少し持っていただくように、われわれの運輸政策におきましても十分考慮しながら進めていきたいと思っております。
  155. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自動車局長さんにお伺いしますが、いま私はライセンスというような言葉で表現をしたのですが、これは業務用だけでもそういうものをやれば心理的にかなり効果があるんじゃないかと思うのですね。たとえば去年の暮れ、やはりタクシーの乗車距否問題がずっと出ました。あるいは、いわゆる石油ショックのときにはかなり高額のものを取られたといって大変一般消費者の方々が不平を言ってこられたわけでございますけれども、こういう、たとえばライセンスをぴたっと車のところに張りつけておきますれば、自覚の上からもそういうことがだんだん減ってくるのじゃないか、こういうふうにも思うのですね。  あるいはまた、私は愛知県でございますけれども、一号線を夜中に走ってごらんなさい、大変なものです。大体八十キロぐらいでトラックが競走していると言っても過言じゃないですね。そういうようなこともなくなってくるのじゃないかと思う。そういう意味で私は提案申し上げておるのですが、お考えになることはできませんか。
  156. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 自動車の運転者特に営業用の自動車の運転者にそういうような自覚、誇りを特たせるということによりまして、いいサービスあるいは安全な運転を期待する、大変いいことだと思います。よく警察の方とも連絡申し上げて検討していきたいと思います。
  157. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは大臣に最後に自動車賠償保険の問題についてお伺いをするわけでございますけれども、自賠責は黒字になってきたというふうにいわれておるわけですが、最近の自動車事故の賠償に対する裁判等を見ますと、一千万なんというのはそう珍しくないのですね。二千万、下手をすれば三千万というようなケースすら出てきているわけです。これはもう四、五年前からこの問題の洗い直しをするといわれておりまして、新谷運輸大臣のときもなるべく早く結論を出さねばいかぬというようなことをお話を承っておるのでございますけれども、それからこれは四十七年、佐々木運輸大臣のときに、自賠責の限度額引き上げる、こういう意味の発言をなされて、これは相当大きく新聞に載ったのですね。しかしその後大臣がおかわりになっても何らそういう問題が表面に出てこない。一国の大臣が国会においてそういう発言をされてから数年を経過してもなおかつ実現をできないということでは非常に問題じゃないか、こういうふうに思うのでございますけれども、この見通しはいかがでございますか。
  158. 木村睦男

    木村国務大臣 現在の自動車強制賠償保険の限度額は一千万円になっております。四十八年の暮れに五百万円から倍額に増額したわけでございますが、その後自動車事故の裁判における賠償額等をずっと見てみますと、やはり物価の高騰に伴いましてその額はだんだん上がってきております。したがって、このままでずっといくということはだんだんまた実情に合わなくなってまいる、こういうことを懸念いたしております。したがって、ある時期が来ましたら現在の一千万円というものをさらに増額ということを必ず検討しなければならない時期が来るかと思います。それじゃ一千万円を一千五百万円にするか二千万円にするか、いろいろの見当はございます。これも今後の問題といたしまして、実情を見ながら検討を続けていきたいと思っております。
  159. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題は運輸省としてもかなり検討がされてきているのじゃないかと思うのですが、いま大臣は四十八年に一千万円になったとおっしゃいましたね。これは間違いありませんか。
  160. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十八年の十二月一日から五百万円を一千万円にいたしております。したがいまして、いま先生お示しの前の何代かの大臣お話しになったことは、一応そのときに一千万円になったという形で果たされたと思います。
  161. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうお話でございますけれども、四十八年度においてようやく赤字から脱却したわけですね。四十九年それから五十年というふうになっているわけでございますけれども、この問題についても非常に不満がありますのは、いわゆる長い間無事故であった人も同一保険を払わなければならぬというようなことがかなり長い間言われておるわけです。そこら辺に対しては全然メスが入らぬのですけれども、ここら辺はどういう見当になっておりますか。
  162. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在の自動車強制賠償保険につきましては、いろいろの問題点が指摘されております。これらは制度問題といたしましては、賠償保険の審議会が大蔵省にございまして、そこでいろいろ問題になっている点それぞれにつきましていま検討が進められておりますので、私たちもそういった意見を十分尊重しながら施策を講じていきたいと思います。
  163. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう時間もありませんので、ぜひこれは大臣にお願いしたいわけでございますけれども、けがなんかの場合非常に査定額が低くて、結局それぞれ入院費に充当してしまえばそれで終わりというようなことで、交通事故を起こした人たちも非常に困っているケースが非常に多いわけです。ですから、早くこれはそこら辺の見直しをもう一遍してもらいたい。  そこで時期的な問題でございますけれども、たとえばことしいっぱいでそこら辺の見直しができるとか、そういうような見通しはつきませんか。
  164. 木村睦男

    木村国務大臣 見直しはぜひやっていきたいと思いますが、いつまで、ことしいっぱいとかいうことについては、いまここでどうとも申し上げられませんが、実情に合うような見直しをできるだく早くやっていきたい、かように思っております。
  165. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  166. 木部佳昭

    木部委員長 次回は、来たる二十五日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会したします。     午後一時四十一分散会