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国務大臣(
福田一君) お答えを申し上げます。
ただいま御指摘になりました問題は、これは
社会に非常な不安をもたらしておるものでございまして、何としても解決をはからなければならない点でございます。これについて二、三、御質問が
内容を
説明せよということでございますから、ひとつ、いささか詳しくなりますが御
説明させていただきたいと思います。
本年中における極左暴力集団等による
爆発物使用
事件は、本年二月栃木県下において集中的に発生いたしました
事件及び本年八月三十日三菱重工本社で発生した爆破
事件など五十一件を数えております。これら一連の
爆発物使用
事件で、死者八人、重軽傷者四百三十人という多数の犠牲者を見ております。
爆破
事件は
昭和四十四年ころに始まり、
昭和四十六年に最高潮に達したのでありますが、
昭和四十六年までの
事件は主として警察施設や警察官を攻撃目標として行なわれておったのでありますが、本年度はさらに一そう悪化して、民間の大
企業等をねらって敢行され、警察官のみならず
一般市民にも多数の犠牲者を出しております。かかる事態を放置すれば、犠牲者の数もふえ、爆破予告電話等による著しい業務の妨害が至るところで起こっており、ひいては
社会不安を引き起こすおそれもあるので、警察といたしましては事態を重視して、総合的緊急
対策を講ずるため、このほど警察庁に警察庁次長を長とする
爆発物
対策委員会を設置したほか、警視庁をはじめ全国の第一線警察においては、
事件再発防止のため、警察の総力をあげて警戒体制をしくとともに、爆弾犯人の早期検挙のための強力な捜査を推進しておるのでございますが、
爆発物処理体制につきましては、かねてから
関係当局の御協力を得て、逐年、装備、資器材の整備、
爆発物処理班の
編成並びに訓練等を行なってきたところでございますけれども、
爆発物処理のための装備、資器材の現状は必ずしも十分とは言えません。このため、最近における情勢の悪化に対応すべく、
関係当局と協議して目下緊急に体制、装備の強化をはかるべく鋭意努力いたしておる次第であります。
爆破予告電話につきましては、御指摘のありましたように、最近とみに増発、増高いたしまして、その件数はことしに入ってから十月十七日現在で全国二千五百五十五件に達し、
国民の平和な
社会生活に多大の迷惑をかけていることはまことに遺憾なことであり、治安責任者といたしましては、この機会に
国民の公徳心と良識に訴えて、かかる傾向抑止のために警察に協力していただくように切に
お願いをいたしておる次第でございます。
一連の爆破
事件の捜査状況でございますが、警視庁を
中心といたしまして全国警察がこれに協力をして捜査を行なっており、現在までのところ、丸の内三菱重工ビル
事件につきましては犯人の足取りの一部が確認されておりますし、また一連の
事件の爆薬、起爆装置などにつきましても相当程度の解明ができておりますので、さらにこれらの掘り下げ捜査を進めているところでございます。この種
事件は、その性質から見て何としてもこれを検挙しなければならないものでありますので、警察の総力をあげて捜査に取り組んでおる次第でございます。
次に、この安全確保方策でございますが、最近の爆破
事件は、全く罪のない通行人や
一般市民を死傷させることを承知で敢行されている、きわめて卑劣にして非人道的な性格なもので、法秩序維持と
国民の身体、生命、財産を守る責任を負う警察としてはまことに許しがたい凶悪犯罪であり、警察官は旺盛な士気をもってこれと取り組んでおります。しかし、何と申しても
爆発物処理は、一歩誤れば直接この処理に当たる警察官はもとより、付近の
一般市民の人命の危険を伴うものであるので、
現場における
一般市民の避難誘導
措置に遺憾なきよう指導につとめますと同時に、警察官の受傷、負傷をするような
事故防止や安全確保につきましては、目下
個人防護装備及び
爆発物処理のための装備、資器材の整備充実をはかるために緊急
措置を講じつつあり、また処理技術の向上をはかりますために、教養訓練を強力に推進をいたしておる次第であります。
爆発物
事件多発の傾向は比較的最近の現象であるので、
爆発物処理班員の危険手当等、第一線警察官の士気高揚をはかるためには給与面でも十分な
改善策を講じなければならないと思って処置をいたしておるところでございます。