○和田静夫君 私は、日本社会党を代表して、
昭和四十九
年度分の
地方交付税の
特例に関する
法律案に対し、日本社会党、公明党提出の修正案に賛成をし、この修正が行なわれない場合の
政府原案並びに神谷
委員提出の修正案に反対の意を表するものであります。
今日の
地方財政の状況は、
政府の積年にわたる経済、財政政策の失敗により、きわめて危機的な事熊に直面をいたしております。
自治体の当局者は、
インフレによる事業の行き詰まりと膨大な資金需要をかかえて、その対策に日夜追われている現状にあります。このような財政事情を考えますと、私は各
自治体に対し、この際、十分な財源を早期に供給し、地方公務員の給与の
引き上げや、社会資本の充実をはからなくてはならないと痛感いたしております。
政府原案は、一応
自治体に対する財源付与を内容としております。しかしながら、私があえて
政府原案に反対せざるを得ないのは、その内容、方法において、これでは
地方財政の窮乏がほんとうの
意味で解決できないと確信するからであります。すなわち、
自治体に対する財源保障は、総量的にも、また方法論的にも、自治の拡大という展望とその実現の可能性に基づいたものでなくてはなりませんが、
政府原案には、
住民を主体にした自治財政の確立という基本的視座が欠落をしております。これでは中央支配型財政構造の変革は指向できず、また
自治体の行政水準は低下して、
住民の要望にこたえることはできません。
政府原案は、わが党の
考え方と根本的に
立場を異にする、これが反対
理由の第一点であります。
反対
理由の第二は、
政府原案は、
自治体の行財政に対する誤った認識を前提に、現状を無視した内容のものであるという点にあります。
政府は地方公務員の給与は高いとPRしておりますが、そんなことはありません。地方公務員の給与は、労使の交渉と
住民のコントロールによる自治の原則に基づいた
決定を基本としなくてはなりませんし、また、交付税算定の際の公務員定数も、行政サービスの向上を目途に算入すべきものであります。今回の
政府の給与財源の付与は、この点から考えて、きわめて実態を無視したものであります。また、超過
負担の解消等に関する
措置を見ましても、地方
負担額の大部分を起債に依存しているのをはじめ、対象差や数量差は最初から度外視しております。超過
負担解消問題に対する
政府の熱意を疑わざるを得ません。
反対
理由の第三は、地方公務員の給与
改定の財源
措置が、
政府の怠慢によって今日まで放置されたことであります。
公務員の給与は、民間のベアの状況等により、あと追い的に改善されるのが、遺憾ながら現行制度の仕組みであります。したがって、人事院勧告が出されてすぐ
改定しても、民間に比べその
実施が相当おくれるわけであります。しかるに、
政府はこの
インフレ下、
昭和四十九年も終わろうとする現在まで、公務員のベア問題を放置したことは許されないところであります。しかも、
政府は、各
自治体が公務員の
生活の窮状を
配慮し、給与
改定議案を早期に議会に提出しようとするにあたっては、それを妨げるような
行政措置をとったのであります。
インフレ手当の支給などの問題とあわせて、
政府に猛省を促したいと思います。
現在の
地方交付税制度は、国の財政的、経済的メカニズムに完全にビルトインされ、
住民サイドに立った独自の機能を全く喪失いたしております。国が産業優先、高度経済成長政策を唱えれば、
地方交付税制度も同じ役割りを分担し、国が総需要
抑制と言えば、交付税もまた完全にそれに追随するように運用され、国の財政的混乱がそのまま交付
税制度の運用となってあらわれています。今日の
地方財政の危機の
根源も、実はこうした
政府の交付税運用に基づくものであります。そのため、現在の交付
税制度は、シビルミニマム達成の財政的柱としての役割りを果たしておりません。
私は、現行の
地方交付税法について根本的に
改正する必要があると思いますが、現下の
地方財政の状況にかんがみ、とりあえず公明党と共同で修正案を提出し、当面の窮状を打開する方途を選びました。したがいまして、日本社会党及び公明党提出の修正案及びこの修正部分を除く原案に賛成し、修正が行なわれない場合の
政府現案に反対するものであります。(拍手)