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柏原ヤス君 もう少し具体的なことをおっしゃっていただきたいわけですが、何となくことばはりっぱでもはたしてそれが実現されるかどうかということについて
労働省はもっと力を入れてやっていただかなきゃならないんだということを私は感じとして申し上げるわけです。そのことをもうちょっと具体的に申し上げますと、先ほど手帳のことが出ましたですね。この手帳
一つ見てもほんとうに出かせぎの方
たちに
労働省が本気になって取り組んでいるのかどうかと疑われるような手帳なんですね。その手帳にはりっぱなことが
労働省として書かれてございます。ところが実際その手帳を、内容を見せてもらいました。これは何人もの方のを見せていただいたんですけれ
ども、大体ちゃんと書かれてないわけですね。ひどいのになると、
安定所の、どこの
安定所かという
名前も書いてないようなのが出ております。それから身分証明をする役場の村長さんとか町長さんの判こなんというものも押してないものがある。これは出かせぎの方
たちにとってみれば、ちょうど外国へ行った場合のパスポートのようなものでなければならないと思うのですね。ところが発行するその
安定所もまたそれに協力する役場も、もうめんどうくさそうにいいかげんに扱っているような感じがするわけです。今度それを持って出かせぎに行った
事業所のほうはそれを受け取ってきちんとした約束の条件を書き込んでいるかどうかというと、ほとんど書かないところが多いらしいんですね。書いてくださいと言うと、いや、言うとおりやってんだからいいじゃないか。もう人をばかにしたような言い方で鼻であしらっている。そういうところが多いんですね。これは具体的な例ですけれ
ども条件が違うのでやめると言ったら、その手帳を取り上げて持っているんですね、
事業所が。返してくれないわけですね。それで、もうそんなら訴えるぞというふうにけんかふっかけたら出してくれた。じゃ、まるで手帳というものは出かせぎの人を守る手帳じゃなくて、適当に利用される手帳になってないとも言えない事実を見たわけです。まあ、そういう点、この手帳が出かせぎ
労働者のために活用され、また確かに
労働省が考えていられるような出かせぎ者のためになる手帳になるようにするのには、やはり適当な
予算も出してそれをきちっとつくらせるということも必要だと思います。しかし、こんな手帳
一つですら、まるで出しておけばいいと、あとは適当にやれ、そしてかえって出かせぎ
労働者の方
たちにとっては何の役にも立たないというようなことになっている
現状でございます、これは。まあ、このこと
一つでもいいからぴしっとできないものか。そうすれば、出かせぎ
労働者の方
たちに対して
労働省はこれだけ力を入れているんだということが具体的にわかると思うんですね。一人一人がその手帳を持つわけですから。その点、もう少し私もいろんな実例を調べて大臣のお耳にも入れたいと思っておりますんですが、まあ一端を申し上げて、基本方針、そして具体的対策というものをやっぱりきめてかからなければ、こうした
不況の中で、そして弱い立場にいる出かせぎの方
たちというものはますます追い詰められていくんじゃないか、まあ、こう思いますので申し上げたわけです。その点、大臣にもう一言おっしゃっていただきたいと思います。