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1974-12-24 第74回国会 参議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十二月二十四日(火曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————   委員氏名     委員長         宮崎 正義君     理 事         黒住 忠行君     理 事         山崎 竜男君     理 事         森中 守義君     理 事         三木 忠雄君                 石破 二朗君                 岡本  悟君                 木村 睦男君                久次米健太郎君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 平井 卓志君                 前田佳都男君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                目黒朝次郎君                 岩間 正男君                 和田 春生君     —————————————    委員異動  十二月十八日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     江藤  智君  十二月二十日     辞任         補欠選任      前田佳都男君     今泉 正二君  十二月二十三日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     安孫子藤吉君  十二月二十四日     辞任         補欠選任      安孫子藤吉君     今泉 正二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 平井 卓志君                 森中 守義君                 三木 忠雄君     委 員                 石破 二朗君                 今泉 正二君                 岡本  悟君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 宮崎 正雄君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                目黒朝次郎君                 岩間 正男君                 和田 春生君    国務大臣        運 輸 大 臣  木村 睦男君    政府委員        運輸政務次官  小此木彦三郎君        運輸大臣官房審        議官       中村 四郎君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省鉄道監督        局長       後藤 茂也君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        高橋 寿夫君        海上保安庁次長  隅  健三君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        外務省アメリカ        局安全保障課長  山下新太郎君        労働省労働基準        局賃金福祉部長  水谷 剛蔵君        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道理        事        山岸 勘六君        日本国有鉄道理        事        天坂 昌司君        日本国有鉄道職        員局長      君ケ袋眞一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (総合交通体系の再検討に関する件)  (地方海運局の定員問題に関する件)  (国鉄の運転保安問題及び経営改善に関する  件)  (大阪市の運輸会社労組幹部殺害事件に関する  件)  (米軍艦船港湾使用状況等に関する件)  (第十八眞盛丸遭難事件に関する件)  (バス・タクシーの運賃改定問題等に関する  件) ○国鉄湖西線輸送力増強等に関する請願(第一  六四八号) ○北陸新幹線年内着工に関する請願(第一六六  四号)(第一八二四号) ○国鉄車両し尿処理設備の改良に関する請願  (第一六六五号)(第一八二五号) ○篠ノ井線複線化早期完成に関する請願(第一六  八五号)(第一八二六号) ○中央新幹線建設促進に関する請願(第一六八  六号)(第一八二七号) ○国鉄大阪外環状線建設促進に関する請願(第一  六九九号) ○精神薄弱者に対する運賃割引制度創設に関す  る請願(第一八九六号) ○精神薄弱者に対する運賃割引制度創設に関す  る請願(第一九六五号)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十八日、木村睦男君が委員辞任され、その補欠として江藤智君が選任されました。  また、本日、安孫子藤吉君が委員辞任され、その補欠として今泉正二君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 理事辞任についておはかりいたします。  山崎竜男君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事平井卓志君を指名いたします。(拍手)     —————————————
  6. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 次に、調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、運輸事情等に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 木村運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。木村運輸大臣
  10. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) このたびの三木内閣の発足に伴いまして、運輸大臣の重責をお引き受けすることになりました。  私も当運輸委員会委員として、いろいろ委員皆さんから御指導を受けてまいったのでございますが、今回運輸行政の最高の責任を背負って仕事をやるということにつきまして、自分の非力をまことに嘆いておるようなわけでございます。しかし考えてみますというと、運輸省が担当しております行政は、交通関係を中心に多方面にわたっておりますが、いずれもわれわれ国民生活にきわめて直結をいたしておる行政ばかりでございます。そういう意味から考えましても運輸行政というものがいかに重要であるかということを痛切に感じておるわけでございます。  重要な使命を持っております運輸行政のために、私は皆さんの御協力を得まして全力を尽くして取り組んでいきたいと考えておりますので、たいへん非力でございますが、よろしく皆さんの御指導、御援助をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  11. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) では、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 青木であります。  運輸大臣は今度は若干大臣の期間が長いということを確信いたしておりますから、大いにひとつ張り切ってお願いいたしたいと思います。  そこで、私のところへきのう岩手県の中央バスに関連する問題について陳情が参りました。田中前首相の知人である小佐野賢治氏が会長をいたしております盛岡市の岩手中央バス会社が昨年の五月にバスターミナル建設するといって、約二十万平方メートルを買収にかかったわけであります。このことについて現地の村では、それは非常にけっこうなことだということで買収協力をいたしまして、いざ買収を済ましてまいりますると、これが実は宅地に化けてしまったということで、現地としてはターミナル建設以外の転用は認めることはできないと言っているし、それから会社側としては、監督官庁からターミナルと住宅が一緒ではまずいから、ターミナル建設よりも宅地のほうがいいというサゼスチョンもあったと、こういうことを言っているようであります。しかし問題は、県としては初めからこんなことは聞いてなかったと言っているし、一体このことについて聞いているかいないか、新大臣にひとつお伺いいたしたいと思います。
  13. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この問題、私は実はいま初めてお聞きしたような次第でございまして、全く存じておりませんので、事務当局のほうから説明さしていただきます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 問題は、文芸春秋で非常に問題になっております田中総理金脈人脈に関連いたしまして、各所にこのような問題が実はあるわけであります。特に私は問題だと思いますのは、ターミナル用地のために使うということを言いながら、これを今度は宅地建設にするということで居直っているということの状態のようであります。このことについて取り上げてくれるところがないということから、地元の皆さんがおいでになったわけでありますから、これはひとつ次期の委員会に詳細に調査をして、現状どうなっているかということについて、運輸省の意見を付してひとつ資料を提出いただきたい、このようにお願いいたしたいと思います。
  15. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) いまの青木君の提案についてどうですか、運輸省
  16. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私もいま大臣がお答えいたしましたと同じ立場でございまして、事務当局もこの件につきましては新聞を読んだ以上の知識は何も持っておりません。したがいまして、ただいま御要求のございましたように、至急調査をいたしまして資料を提出いたします。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 次に移りたいと思います。  大臣出席の時間に限定がありますから、まず大臣に先に質問いたしたいと思いますが、十二月二十一日の参議院の予算委員会におけるわが党の小柳勇議員質問に対して、福田総理昭和四十八年度から昭和五十二年度までの経済社会基本計画白紙にする、そして五十一年度を起点として五カ年計画をつくるという答弁をいたされたのであります。新全国総合開発計画、これは四十四年四月二十日につくられたものでありますが、この改定と並んで総合交通体系について、その後どう考えていらっしゃるか、ひとつその辺をお伺いしたいと思います。
  18. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 予算委員会福田経済企画庁長官が申し上げましたのは、経済成長を目途といたしまして新全総あるいは経済社会発展計画というものを設定してまいってきたのでございますが、御承知のように石油問題はじめ、諸般の社会経済情勢というものが、今日までの経済の高度の成長ということではとうてい福祉国家建設に役に立たないというか、むしろ非常に弊害を起こすというふうな情勢になってまいりましたので、この辺で経済成長につきましてもその速度をゆるめて、そして社会福祉の充実にもっぱら力を注いでいこうということから、新全総あるいは社会経済発展計画というものをこの時点で見直して、そして白紙に戻すべきものは戻して、新しい福祉国家のためのゆるやかな経済成長のもとにおける長期計画を立てていこうというのが新内閣の方針でもあり、経済企画庁長官経済政策まとめ役として所信を表明したのでございます。  そこで、それに関連いたしまして、総合交通体系の問題につきましては、昭和四十六年の七月でございますが、運輸政策審議会から「総合交通体系のあり方、及びこれを実現するための基本的方策について」ということで答申があったわけでございます。この答申を受けまして、現在運輸省におきましては、これを運輸政策基本といたしまして、あるいは全国幹線交通網形成であるとか、都市高速鉄道網整備でありますとか、地方交通体系整備、これらとともに安全問題環境問題等をも配慮しながら積極的に今日まで推進をしてまいってきたのでございます。  しかし、この答申が出ました後、ただいま私が申し上げましたような社会経済変化、あるいは環境保全への社会的要請が非常に強くなってまいりましたので、このようなわが国の社会経済の著しい情勢変化、また交通分野におきましても、総合交通体系形成にとりまして、環境交通、空間、エネルギー、労働力、いろんな面で非常な制約を受けるような状況になってきておるのでごいます。そこで、ことしの四月から運輸政策審議会総合部会一つ研究作業グループをつくりまして、このような新しい情勢を踏まえて、新しい時代に対処し得る総合交通体系を立てようということで現在検討を進めておるような次第でございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 全面的手直しをしてつくり直すというお話でありました。このエネルギー問題や、あるいはまたいま言われました交通の一般的な情勢、すなわち環境やいろんな企業経営の問題やその他については、これは初めから私はわかっていたと実は思うんでありまするけれども、このことについて総合交通体系が全面的に手直しされるということは、国鉄再建計画についてもこれは全面的に手直しするということを意味すると思うのでありますが、この点について運輸大臣に聞きたい。
  20. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国鉄の問題につきましては、すでに御承知かと思いますけれども、実は昭和三十九年ごろから、約十年前から経営悪化が始まりまして、その後収支のバランスが次第にくずれてきておる。そこで四十四年に十ヵ年計画をつくったんでございますが、これも数年のうちにこの計画実行がくずれてまいりました。そこで昭和四十八年から五十七年まで再び十カ年計画をつくりまして、そして再建に取り組んできたわけでございます。  ところが、この十カ年計画の中で三年ごとに運賃改正を大体一五%程度づつやっていく、あるいは人員整理もある程度やっていく、そのほか生産性向上、その他いろんな方法でこの十カ年計画をそのとおりやり遂げ得るならば、国鉄再建はこの十ヵ年間内にでき上がるということでスタートをしたんでございますけれども、スタートをしたしょっぱなから、肝心の運賃改定を四十八年中にやる計画になっておりましたのが、御承知のように去る十月一日にやっと改正実施の運びになったということで、当初の計画から一年半もずれた。そのほかに、その間石油ショックがございまして、燃料費値上がり等もあったわけでございます。なお四十八年、四十九年にわたりましてかなり大幅なベースアップによる経費の増高というふうなことで、四十八年からスタートいたしました十カ年計画も、今日の段階ではとうていこれはそのままでは再建はおぼつかないという事態になりまして、まさに国鉄につきましては破局的な事態にいま入っておるわけでございます。  そこで総合交通体系につきましても、先ほど申し上げましたような諸種の事情から、現在その樹立に取り組んでおるのでございますが、一方国鉄につきましても、国鉄自体経営上の再建という問題と同時に、総合交通一つの大きな基幹であります国有鉄道輸送使命というものをも考え合わせながら、これから新しい再建計画を練っていかなければならない、かように思っておるわけでございまして、もう四十九年も終わりでございます。こういう計画には必ず予算を伴うもんでございますが、目の先編成をしなければなりません五十年度予算には、長期計画樹立はとうてい時間的に間に合わないということから、五十年中に長期再建計画を立てまして、五十一年から実施いたしまして新しい再建計画に取り組みたいと、かように私は考えておるわけでございますけれども、そのスケジュールの中におきましていかに再建するかということはほんとうにたいへんな問題でございますので、これは運輸省あげて、またいろいろ関係方面とも十分相談をいたしまして慎重に、しかし急ぐ問題でございますので、精力的に取り組みつつ総合交通体系基幹となるべき日本国有鉄道再建に努力してまいりたい、かように思っておるような次第でございます。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 わかりました。  そういたしますと、国鉄再建計画については、実は第一次五ヵ年計画昭和三十三年にできましたけれども、これも五ヵ年計画が四年、次に第二次の五ヵ年計画がこれまた三十六年にできたけれども、これも四年、第三次長期計画がこれが四年、昭和四十四年、いまお話のありました四十四年が、これが四年、新再建計画昭和四十八年から出発してこのていたらく。で、今度またできますのは新々再建計画といいますかね、歌の文句のようなことでありまして、全くつくっては変え、つくっては変えということでありまして、今度の三木内閣の大体評判は、予算委員会や、きのうあたりの国会質疑を見てましても、有言不実行ではないかということが実はいわれているわけなんであります。ですから、そのたてまえに立ちますならば、いずれも財政再建の推移というものは短期間で破綻している。政府当局のまさに今日における経済の見通しを誤まったことから、このことが失敗に終わったと言わざるを得ないのであります。  ですから、このことについては、十ヵ年計画なんというようなことは、昭和五十一年から始まるようでありまするけれども、よもや考えないと思うのでありまするけれども、五年でも長過ぎる。来年半年後は一体どうなるかわからぬというようなことで今日の情勢を考えているということであるならば、私は少なくとも二、三年先の計画というものを立てるというように考えたほうがいいじゃないか、こう思いますけれども、この点いかがですか。
  22. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国鉄現状を見ますときに、損益計算赤字一つをとってみましても、四十八年までにすでに一兆六千億、また四十九年も六千億ぐらいの赤字になりそうでございますし、またこのまま推移しますというと、五十年度では八千億に近い赤字も出ようということで、優に二兆円をこす損益計算上の赤字ということになるわけでございます。全体の収支を見ますというと、もっともっと大きな経営上のアンバランスが出てくるわけでございますので、この再建計画という問題は二年とか三年とかいう短期で立てることがいいとは思いますけれども、あまりに再建しなければならない内容がそう短期間で解消でき得るような要素を持っていないわけでございます。そこで、いままでも十ヵ年計画はもちろんでございますが、五ヵ年計画でも五ヵ年間達成できないままに社会情勢は常に流動的でございますから、あるいは二年目、三年目で修正、改定ということはございますけれども、一応国鉄のような膨大な負債をかかえて、しかも大規模な経営形態、この再建ということになりますと、やはり私は十年、正確に十年と言うべきかどうかは別といたしまして、かなり長期にわたって再建の一応のプランを、青写真をつくりましてスタートしなければ、全体の再建計画年次別のこまかい計画を立てる場合に単年度ではとうてい再建が完了いたしますというほどなまやさしい状況ではないものですから、かなり長期にわたって一応の青写真をつくった上で次年度、二年度の今度は具体的細密な計画を立てていく、こういうふうな形でいかなければ再建は無理ではないか、かように考えておるような次第でございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 これはまたこまかくいずれ通常国会におきましていろいろ議論いたしたいと思っております。  次に私鉄の関係で、いま乗り合いバスがきわめて不況な状態になっているわけであります。この問題については、いま乗り合いバスは、何といいましてもこれまだ国鉄と並んでいわゆる国民の足であるわけでありまして、これらの関係等については旅客が年間バス輸送されるのが九十六億人、国鉄が六十九億人、民営鉄道百二億人といわれるくらい交通上におけるシェアというものは非常に大きいわけでありますから、これらの関係について、いまバス収支関係が非常にアンバランスになって、バス経営というものが今日各地区において国民の足を奪おうと実はいたしているわけです。これらの関係等についても、私ども社会党としても過去に何回もバス事業に対する政府財政援助について要求してきたところでありますけれども、このことについてさらに大幅に財政援助する用意があるかどうか、最後にお聞きいたしたいと思います。
  24. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) バス事業の最近の情勢は、いま青木先生指摘のとおりに、山間におきましては過疎のために客は減ってどうにもならない、大都会におきましては過密がひど過ぎて交通渋滞等バス事業経営に非常に悪影響を与えておるというふうなことで、経営全体がだんだん悪化の一途をたどっておるわけでございます。これは社会的な一つの問題として運輸省としても何らかの応援をしなきゃならないということで、すでにだいぶ以前からいろんな方法地方公共団体共同歩調で補助なり、あるいは融資なりということをやってまいっておりますが、特に最も交通の便に恵まれていない過疎地帯に対するバス事業、あるいは離島地帯に対するバス事業というものは、たちまちその地域の人に他に代替の交通機関がございませんので影響が多いわけでございます。そういうところからすでに相当な補助金予算に計上いたしておるのでございますが、来年度予算につきましても八十億のいろいろな形の、詳細は政府委員のほうから御説明申し上げさしていただきたいと思いますが、いろいろな形の補助金要求をいたしておるような次第でございます。  なお都会地におきましては交通警察当局協力をしながら、円滑な輸送ができるように、それが結局経営向上にも役立つわけでございます、いろいろな点で施策を講じてまいっておるというのが現状でございます。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 時間がないようですから端的に予算の問題をお聞きして、あと詳しくはいよいよ本格的な審議の中で尽くしたいと思うのです。  第一の問題は、昨日予算委員会で問題になりました河本通産相のかつての社長をしておりました三光汽船の問題、これについてわが党の上田議員質問をしたわけであります。その中でファミリーの問題つまり目的以外の仕事をやって、ことに株の大量ころがしをやって、その間にばく大な利益をあげたんじゃないかという問題がここで指摘をされたわけであります。その中で木村運輸大臣は担当の範囲内でこれは調査をすると、こういうことを言われたわけであります。もう一つは、この海運に関連しました便宜置籍船の問題ですね、こういう問題についても一部分があそこで発表された、答弁されたわけであります。しかし、これらの問題をできるだけ早い機会にこの調査の結果を資料として提出してほしいと思うわけです。大体いつごろまでにいただけるか、この問題、やはり金脈問題でいま三木内閣の姿勢が田中内閣と比べてどうか、これは政治の焦点になっておる問題でありますから、どうしてもこの問題を明らかにする、そのためには早い政府側の即応が必要だと思うのです。いつごろまでにこれはいただけるかお伺いしたいと思うのです。
  26. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 昨日の予算委員会で私が答弁いたしましたように、上田委員から質問書の形できのうお問い合わせになったような事柄が出ておりますので、それに対する回答といたしまして運輸行政の範囲内で調べ得ることにつきましては回答を申し上げるということになっておるわけでございますが、提出の時期等は事務当局のほうから申し上げると思いますが、できるだけ早く提出するように努力いたします。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 できるだけ早くということですけれども、これは調査でそんなに手間ひま要る問題じゃないと思うのですね。ですから、これは年内にもらえますか。これは年を越してはまずい問題だと思うのですがね。すぐに二十七日から次の通常国会が開かれるわけでありますけれども今国会の問題なんですね。だから次の国会まで延ばしていくというのはぐあいが悪いので、できるだけこれは年内くらいの気持ちで出していただきたい。もし十分にできなければ、中間報告であとまた詳しく出してもらうということもあると思うのですが、どうでしょう。
  28. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) これは正式な質問書という形をとっておりますので、回答をいたします場合にも成規の手続、閣議等にかける関係もございますし、ちょっと私まだ事務当局には聞いておりませんが、督励はいたしますが、年内はもう日にちがございませんので、あるいは無理じゃないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、できるだけ早くお出しできるように努力いたします。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 いまの段階ではできるだけ早くということですけれども、大体限度がありますからね、論議がまた始まるわけですが、その前にも明らかにしなくちゃならない問題があるわけですから、年内無理ですか、どうですか。年内に出す気がおありにならない。国会の論議が、資料が出ない、そのために重要な論議がいつでも焦点がぼかされるということでは非常にまずいわけです。いかがですか。
  30. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 先ほど申し上げたとおりに極力努力をいたします。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 少なくとも国会が、これはもうすぐに十日前後から準備段階に入るわけですが、そのあたりまでにいただけますか。
  32. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 御審議に間に合うように出すよう努力をいたします。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 第二の問題は、これももう予算編成期でございますから、実は時間があれば何回か詳しく御質問を申し上げて、そしてそれについての具体的な即応をお願いしたかったのでありますが、その時間がございませんので、特に私が申し上げたいのは日本の海運、これはいま世界最大のものになっておる。ところが、これに対して海運行政が即応してないという事実を、実は私はこの前海運局の現状視察を六日間にわたってわが党の方針でやりました。そういう中で、たいへん海運局の機構というものが不十分だと。私は内閣委員時代に、五年ほど前でありますけれども、定員法の中で、一律に人員が切られているわけですね。ところが海運などというものは非常にその後伸びて、世界最大というそういう事態になっておる。ところがこれに全然即応していない。依然として同じようなパーセンテージにこれは人員を削減している。これがどういうふうになっているかということを見てきたわけであります。  第一に船員労務官、非常にこれの配置が少ないわけですね、全く一人。たとえば北洋あたりから帰ってくるサケ・マス、そういうような船、そういうところに入っていくわけですけれども、一人のためにほとんど実際は検査にならぬという実情を見ました。私も実際同行して入ってみたわけですけれども。さらに船舶検査官、船員労務官、それからカーフェリーが非常に最近目ざましく膨張をしているわけですけれども、これに対する運航管理官というようなものが非常に少ない。それから倉庫でありますね。陸運局の倉庫の管理が海運局に、これは法改正によって移された。このために作業量が膨張しているわけであります。ところが人員は非常に少ない。これでは全く海運は名目だけのものになる、盲腸的存在になりつつあるということを私はこの目で見てきた。海運局といいながら、これに即応する体制がとられていない。したがって私は新大臣に要望するものでありますけれども、こういう点からいえば、この実情をよく把握をして、この予算編成期に即応する必要があるんじゃないかということを痛切に感じてきたわけですが、この点いかがでございましょう。
  34. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 一つの省の中におきます定員の合理的な配分ということは、常に心がけてはおるわけでございますが、なかなかはっきりと合理的な配分ということを実施することはむずかしいのが実情だろうと私は思います。しかし業務量の多寡に応じまして適正に配置をしなければならないと考えております。私も運輸大臣を引き受けたばっかりでございますので、いま御指摘の点も十分に頭に入れまして検討さしていただきたいと思います。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 海運局長見えていますか。——見えてない。
  36. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  37. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記をつけてください。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 海運局長もこれはつかんでいるかどうか。もう少し実際に即応した体制をとらなければならぬ。先ほど申しましたように、総定員法のときに一律に切るんですね。ところが非常に日本の産業の土台は変わってきているわけですよ。それは衰弱しているところもあるし、非常に膨張しているところもある。そういうようなものに即応する政府行政機関がなっていない。そこからくるひずみというものは、一切やはり国民生活にしわ寄せされてきておるというのが実情です。その最もひどいのが私は海運局じゃないかと見てきたわけですが、この点について特に御検討をいただいて、いよいよ予算編成期で、もっとわれわれ早くやりたいと思っておったのですが、その時間がなかったわけですけれども、この点についての新大臣の御注意を喚起したい、こういうふうに思うのですが、これに対して即応されるお気持ちはありますかどうですか、お伺いしたい。
  39. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) さしあたって予算を控えておりますので、御指摘のような点も含めまして努力をいたしたいと思います。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 私は七夕からずっと今日まで、特に交通事情等について安全の問題あるいはまた国民の足を確保するというような問題を中心として議論を展開いたしてまいりました。したがって、いままで私が申し上げてまいりましたことを、年の瀬でありますから、総ざらいするような立場に立ってひとつ質問を申し上げていきたいと思っております。  まず国鉄昭和五十年度予算定員の関係等について、要員規模というものは、先ほど運輸大臣の話じゃございませんけれども、全面的に手直しをしてやるということになりました。昭和四十八年からできました十ヵ年計画というもので国鉄スタートをしている。片方の政府のほうの関係財政援助等をめぐって、この方面はなかなか問題が多いというようなちぐはぐな関係で今日矛盾を生じているわけでありますが、再建計画にとらわれず、今日の業務量増、博多開業等を中心といたしまして、その他の諸要素を含めて、実態に即して来年度の要員規模については確定すべきであるというように考えておりますけれども、総裁はいかにお考えですか。
  41. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  国鉄の業務のごときものは労務の需給の面から見てもなかなか将来は困難になっていくということもあり、片や合理化の問題もございまして、でき得る限り装置化と申しますか、省力化というか、これを進めざるを得ない宿命にありますけれども、省力化と人間が減ることとがバランスしませんと、安全を阻害するということに相なりますので、よくその両者の調和をにらみながら、その省力化を進めていくというのがわれわれの立場でございます。したがいまして、来年度の要員の需給の問題にいたしましても、山陽新幹線の新開業とかなんとかいう事態もございますし、そういう事態をよくにらんで、無理のいかぬような策を講じたい、それには働く者ともよく相談をやって、無理を生じないようにいたしたい、かように思っております。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 私は十一月の二十五日の運輸委員会におきまして、特にこの施設と電気と工作の関係について、保守の外注化について再検討する用意があるというように総裁が答弁いたしているわけでありますが、このことについて今日どういう状況にあるかお話を願いたいと思います。
  43. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 過日の委員会におきまして、保守の外注によって危険性が生ずる疑いがある、したがってどうだというようなたしか御質問がございましたので、外注いたしますにしても、その技術力であるとか監督体制を強化しまして、そういう懸念は実は私どもはないと思っておりますけれども、御指摘がございましたので、そういう外注のゆえをもって危険が生ずるということになれば、これは厳に押えざるを得ない。それから新しく外注をやるにいたしましても、御注意をちょうだいしたような面のおそれのないようにいたすと、そういう意味合いで検討いたしますと、かように申し上げた次第でございます。さよう御了承いただきたいと思います。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 総裁、それは値引きして答えたじゃあまりよくないと思いますけれども、前回の議事録に基づいてやってもらいたいというようにお願いいたしたいと思います。  それから新幹線を中心にいたしまして、今日の輸送需要というものはとみに激しくなってきているわけでありますが、これらの関係等につきまして、列車本数が過密であるということが、たとえば車両運用等が広域化しているということもあわせて、事故が深刻化してくるという一つの原因をなしていると思うんでありますが、今後これらの関係等に対しまして、特に五−五ダイヤとかいろんなことが言われております。検査ができない、あるいはまた架線や線路に負担がかかる、騒音その他の環境が相当侵害されている、したがって事故が一たん発生いたしますると、相当深刻なものになってくるというこのことについて、国民は安全の問題を含めて、非常に国鉄に関心を持っているわけでありますから、この点については、特に今後の列車ダイヤの策定等にあたっては慎重を期してやってもらいたいと、こう思いますけれども、これをひとつ山岸常務にお願いいたしたいと思います。
  45. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 先生御指摘のとおり、私ども必ずしも現在の、たとえば車両運用等について相当働かせ過ぎじゃないかというような点もなきにしもあらずであります。これらにつきましては、ただいまダイヤを含めましていろいろ勉強をしているところであります。いま私どもは博多開業に向かって最終的な勉強を詰めておるわけでありますが、この機会に保守間合いの拡大、あるいは新幹線のみならず一般の線区における特急電車、列車等の車両運用の改善というようなものを含めまして、博多開業時点のダイヤ改正において一そう安定した列車運行を行なうことを目標といたしまして、鋭意がんばっているところでございます。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 先般の十一月二十五日の委員会のときに、目黒委員から総裁に対して、マル記、マル物、マル時という用語について質問がありました。これは時間がない、部品が足りないからそのまま出してやる、あるいはまたそれに関連する、非常にその当座しのぎに、たとえばボルトで締めるものを針金で縛ってあるようなことがあったということが言われたんでありますが、安全に関係する工事費とか修繕費等については、これは絶対に優先的に措置すべきだというように考えておりますけれども、来年度予算の策定にあたってどう考えているか、これをひとつ伺いたいと思います。
  47. 天坂昌司

    説明員(天坂昌司君) 国鉄は業務の運営にあたりまして、安全につきましては文字どおり安全第一でやってまいったわけでございます。そういう考え方に立ちまして、従来とも工事費修繕費につきましては、安全に関するものを他に優先して行なってきたわけでございます。今後につきましても、ただいまのお話にございました来年度予算執行にあたりましても、そういう基本的な考え方に基づきまして執行してまいりたいと、かように存じております。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄の新々再建計画というものは短期であるということについてはいいわけですね。そういう考え方に立っている、さっきの運輸大臣発言ともあわせましてね。したがって、この場合に、総合交通体系というものについて、これからこれが軸になって回転するわけですね。ですから問題は、この輸送機関がばらばらになって、経済性のみを追及している。これらが非常に問題が多いと思うんでありまして、ともすれば使命感が忘れられがちである。特にこれから輸送機能をどういうように果たさしていくかという点について、調整機能がきわめて私は重大だと思うんでありますが、ちょうど次官がお見えですから、そういう立場に立って、総合交通体系国鉄の新々再建計画との関係についてちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  49. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) 新再建計画その他につきましては大臣からお答えがあったと思いますが、青木先生総合交通体系についての見直しにつきまして申し上げさせていただきますならばば、御承知のとおり昭和四十六年七月に、総合交通体系のあり方及びこれを実現するための基本的方策につきまして運輸政策審議会から答申がございまして、現在運輸省におきましては、この答申運輸政策基本として、全国幹線交通網形成都市高速鉄道網整備地方交通体系整備等を安全、環境問題を考慮しながら積極的に推進いたしておるのであります。  しかし、この答申のあとで、四十八年の末に、石油危機の発生、環境保全への社会的要請の高まりなどに見られるごとく、わが国の経済社会情勢が著しく変化してまいったのであります。それが交通分野におきましても、総合交通体系形成にとりまして、まず環境、次に交通空間、さらにエネルギー、また労働力等が大きな制約となってきておるのでございます。このために、本年四月から運輸政策審議会総合部会におきまして一つの作業部会を設けまして、このような新情勢を踏まえて、新しい時代に対処し得る総合交通体系について検討を進めているというところが現段階でございます。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 今日は抽象的な議論を出ないと思うんでありますが、約七千キロの新幹線計画は見直すべきじゃないかということを私は先般申し上げました。これはやっぱり今日監査報告書にも載っているんでありまするけれども、主要線区の混雑の状況について、東海道本線の藤沢−大船間が二六二%、横須賀線の保土ヶ谷−横浜間が二八五、中央線の中央快速の上りが新宿−四ツ谷の関係で二五八、京浜東北南行きの関係で上野−御徒町の関係が二三九というような形になっているわけであります。東北線も同じような状態であります。そういたしますと、今日新幹線が建設されるということが、物価の状態やあるいはまたそのほかの開発公害によって受ける環境破壊というものも相当なものであります。したがって、これらの関係からながめてまいりますると、私は全部だめだとは言わない。しかし七千キロの新幹線計画は見直すべきときに来ているのではないか。したがって在来線の通勤輸送対策に力を入れるということが、三木総理の言われるところの物価と、そしてまた社会的不公正をなくすんだと、こういう目玉商品に合致すると思うんでありまするけれども、この点について総裁はどうお考えになりますか。
  51. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  初めの新幹線七千キロの問題に関しましては、先ほど来大臣お話もございましたように、経済社会基本計画というようなものを見直して、これに即して修正されるべきものであろうと、まあそういうようになるだろうと私は思いますが、あとの現在線に関しましては、これはもう極力力を入れて電化も進めるだろうし、複線化も進めるというようなことをやらざるを得ない、そうしないと日本の経済は動かぬということで、特に最近はエネルギー問題なんかで鉄道の荷はますます重くなってきたということで、現在線の増強ということは異論なしに私どもは全努力を傾倒すると、かように考えております。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 私はそこで、きのうの新聞で、国鉄は甘い資産管理をやっているということが出ているわけであります。値上げよりも遊休地を売却せよ、行政管理庁が勧告にということになっているわけでありますが、「その再建のために十年間に三回の運賃値上げを計画している国鉄が、手持ちの不動産や固定資産の管理・運営ではムダが目立つ」といっているわけであります。私も国鉄の出身でありますから、これらの関係等について、特に合理化されて駅員が無配置だと、あるいはまたマルチプルタイタンパーとか、そのほかの工事機械その他が、公害の関係や、あるいはまた人が足りないために使えないとかいうような要素があちらこちらにあるわけであります。私はそれをよく知っているんでありまするけれども、こういう遊休施設、遊休資産について、私はどんどんこの際売り飛ばしていったらいいじゃないかというように考えているわけでありますけれども、この点についてどうお考えでありますか。
  53. 天坂昌司

    説明員(天坂昌司君) 先ほど、初めに先生、新聞の記事だと思いますが、お読みになりましたのは、行政管理庁が過去数カ月にわたりまして国鉄の財産管理の状態を監査いたしまして、その結果につきまして、私ども実はまだ正式にはそれはいただいておりませんので、内容についてはつまびらかにいたしておりませんが、国鉄の用地並びに資産の管理についての御質問でございますので、その措置、処分方について申し上げたいと思います。  過去何回かこの国会で国鉄の不用な用地につきまして御審議があったわけでございます。それに対しまして、国鉄といたしましては、現在国鉄が保有しております用地を区分いたしまして、現在使用いたしておるもの、それから将来にわたって使用の見込みのあるもの——と申しますのは、直接国鉄輸送並びにその関連の事業として使用するものと、もう一つは、たとえば線路の増設をする際には用地が必要でございますので、それとの交換のために非常に有効に使い得るという用地も含めまして将来使用見込みのあるもの、それから将来とも国鉄としては使用する見込みのないものというふうに分けまして、最後に申し上げました、将来とも計画国鉄といたしましては必要のないものにつきましては順次売却をいたしてまいっております。現に長期計画が始まりました四十八年度は百億の実績をあげております。それまでは大体五、六十億の実績だったかと思いますが、かなりそういう方向では努力して資産の適正な配置並びに管理につきまして意を用いております次第でございます。今後ともその方向で進めてまいりたいというふうに考えております。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 私は少しぐらいの資産を売ったからといっていまの国鉄の資金需要にこたえられるなんと思っちゃいないんですよ。しかしながら、たとえば東海道本線を走ってきましても、品川のあの構内だけ見ましても、バラックのようなまつ黒いすすだらけのようなところに詰め所をもってみな働いているわけでしょう。こういうようなものがあっちに保線区とか、こっちに何区とかいうようなことは、これは統合して一つの庁舎の中におさめたらいいじゃないかというようなこととか、いま常務の言った、不要不急といいますか、そういったものは整理して売却したらいい。そういう中で、国鉄がこういう形で努力しているということの中で、世間的にこういうきのうの大きな見出しでもって「甘い資産管理」というようなもののたとえにとられるようなことについては、やっぱり今後においてはこれはやめていく努力をしたらいいじゃないか、こう思っている。  それから特に問題になっております、私が指摘いたしました要員の規模と年齢構成によるこけし型要員構成ですね。これについては順次直していきたいということを言っていらっしゃいますけれども、しかし、これはなかなか直らない。ただ戦時中の遺物だということをよく総裁は前におっしゃったんだけれども、そんなことを言っていられないわけですよ。したがって何回も言うようだけれども、四十歳以上——四十五歳以上といったほうがいいかもしれないけれども、それらの人の技術力、努力というものが今日国鉄をささえているというように私は思う。したがって、その以下の皆さんは非常に要員が足りないというような点について、これを再検討すべきであるというように考えますけれども、職員局長、お見えのようですから、ひとつ伺います。
  55. 君ケ袋眞一

    説明員君ケ袋眞一君) いま先生御指摘のような年齢構成と申しますか、職員の構成になっておることは事実でございます。主たる原因は、終戦直後に大量の復員者あるいは外地からの引き揚げ者がたくさん国鉄に入ったというその部分が非常にふくらんでおるわけでございまして、その結果、それ以後はいわゆる要員をふやさないで、その人数でまかなっていく、いわゆる不減不増という形で推移しました結果、四十歳以下あたりのところが人数が少なくなってきておるわけでございます。しかし、国鉄仕事を保持するためには、このような形は必ずしも望ましいものではございませんけれども、このふくらんだところを減らし、そして四十から三十ぐらいのところを途中採用していくというような形で修正いたしますことは、現在の労働市場の需給等を見ますと、なかなかむずかしいのでございます。したがいまして、何と申しましても、新規採用の職員を安定的に、あるいは平均的にとっていくということが当面一番望ましいことでございますので、そのような方向で現在努力しておりますが、まあいずれにしましても、将来の高校の新規卒業者の採用の見通しというようなことを考えますと、なかなか十分なかじはとりにくいというふうに思いますので、先ほどお話に出ましたような省力化、機械化、合理化というようなことを一方で進めまして、業務の運営、保持をしっかりやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 やっぱりこの技術断層防止といいますか、あるいはまた今後における輸送需要にこたえられる要員の体制にしてもらいたいということを要望をいたしておきます。  自動車局長お見えですね。——昭和四十六年八月二十日に、大都市交通におけるバス・タクシーに関する運輸政策審議会答申がございます。この中で、特にタクシー分野においては、車両運用の責任者と車両保有の責任者というように、自由契約関係といいますか、そういう形の中で、今日オール歩合とかいわゆるリースといったような制度が行なわれておりまして、これは相当議論になっているわけでありますけれども、今日これが行き過ぎた形で、運転者にきわめて刺激的賃金が要求されている状態になっているということについてお認めになりますか、どうですか。
  57. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) タクシー業におきまするリースの問題は、実はもうだいぶ前からいろいろな観点から取り上げて議論されている問題でございます。そして私どもも運輸行政の範囲内におきましてリースの制度の可否につきましていろいろ調べてございます。従来まで私どもが考えております所見はこういうことでございます。御承知  のように、タクシーの事業と申しますのは鉄道と  かバスと少し違いまして、経営者が自分の雇って  いる労働者をしょっちゅうそばについて監督ができない、朝点呼をして町へおっぽり出せば、もう夜の十二時過ぎるまで帰ってこないという、きわめて特殊な形態でございます。他の職場に固定している労働形態、あるいは鉄道とかバスのように、かなり動き回ったとしましても、その動き回る範囲が限られている職場の労働形態とは相当違いますので、そういった意味で、リース制といわれるような多少特色のある働き方なり賃金の支払い形態というものが出てまいると思います。  私どもは、したがいまして、この世にいわれておりますリースというものの中身を実は調べておりますが、いろいろな形態があるようでございます。そのいろいろな形態がありますが、それらに対しまして私たちの考えておりますことは、いま申し上げましたようなタクシー業というものの一つの特殊な営業のしかた、そういうものから出てくる必然的なもの、つまり経営者がタクシーの運転者に車を渡しまして——渡してといいますか、車に乗せまして、そしてかせいでくる、その一日のかせぎというもの、あるいは一ヵ月のかせぎというものを経営者と労働者とで分け合う、給与の分配形式の一つとしてリース制というものがとられている。もちろんこの場合には経営者と労働者の間にはちゃんとした雇用契約があるということが前提でありますけれども、そういった場合におきましては、一つの給与の支払いの形態というふうに考えまして、その場合にいわゆる悪名高き歩合制のような形で苛斂誅求を行なうという内容がない限りにおきましては、これは一つの支払い形態である、こう考えまして、道路運送法上は割り切っておるわけでございます。その場合に、もう一歩それを進めまして、労働者と会社との間に雇用契約がなくて、車をもう借りてかってに労働者が働く、そして会社に対しては車の使用料だけを払うというふうなことになりますと、これは名義貸しなり無免許営業の形になりますので、こういったことがあるとすれば、道路運送法上厳重に処分をするということにしておりますけれども、そうじゃなくて雇用契約があります場合には一つの給与の支払い形態というふうに考えまして、その支払いのしかた、つまり労使間の分配のしかた等が非常に極端に労働者の側に不利であるというふうな場合には、これは労働基準法上問題になりますので、労働基準監督署等とも連絡しながら適正に指導をしていく、かような大体方針で従来対処しているわけでございます。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 労働省の方お見えですね。——二・九通達について、この中における賃金形態の中で、「水揚げ、運搬量等に対応して算定されるいわゆる歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の六割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めること」というのがあるわけですね。で、これがいまの高橋自動車局長の答弁と関連いたしまして、たとえば運賃が値上がりされるたびごとに、逆に、タクシーの乗車拒否じゃなくてお客が乗車拒否するんですよね。そのことが今度はノルマを課すわけです。そして、いままでたとえば二十五万であったと仮定いたしますと、今度は三十万かせいでこいと。そうするとこれが逆に、その中でたとえば固定給を幾らにしてやるとかというようなことが労使の話し合いという中で行なわれるということがあり得るわけです。また現にあるわけです。そういったような関係等について、タクシーのリースについて、これが実際問題としていま局長のおっしゃったような形でもって名義貸しという形で行なわれないとしても、あるいはまた運輸省がこれを事実問題として認めないとしても、実際問題として今日、この六割以上の賃金を保障されるというような保障給を認めるというふうな形にはなっていないケースが非常に多いわけです。この点についてどうお考えになってますか。
  59. 水谷剛蔵

    説明員(水谷剛蔵君) 二・九通達におきましては、先生御指摘のとおり、「六割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めること」ということと、それから同時に、「極端に労働者を刺激する」ような賃金体系を避けることといいますか、そういうことをきめておるわけでございます。そこで、どういう形の賃金形態をとるかは労使の自由でございますけれども、やはり極端に労働者を刺激するような賃金形態ということは好ましいことではないということになっておりますので、そういうことからいたしますと、オール歩合制とか、あるいはリース制でただいま先生御指摘のような場合は、あるいはその「極端に労働者を刺激する」ような場合に該当するということになるのではないかというように考えております。ただそれは、これ、二・九通達で、指導基準でございますので、直ちに法律に違反するというものではございませんけれども、ただ、そういうような場合にはえてして法律違反に該当する場合が多いといいますか、たとえて言いますと年次有給休暇の問題であるとか、あるいは割り増し賃金の問題であるとか、あるいは一定割合の保障給をきめろというような労働基準法の規定であるとか、そういう法律違反に該当する場合が同時に行なわれるといいますか、そういう場合が多い事情にございますので、そういう場合にはその法律違反の分について監督し、さらにそういうものについて適正な賃金体系がとられるようにまあ指導しておるといいますか、そういう実情でございます。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 これはタクシー乗務員という非常に特殊な勤務形態でありますから、なかなか非常に問題が多いわけです。ところが先ほど局長がおっしゃったように、車両保有の責任者が車両運用の責任者、すなわち乗務員の犠牲という中にぬくぬくもうかっていくというような制度というものが今日法網をくぐって行なわれているということをよく認識をしていただきたいと思うのであります。したがって、これらの関係等については、オール歩合という中における脱法行為、あるいはまた事故が起きた場合における責任の転嫁というような問題等について、私はもっともっとこれらの関係等については深く探求をしていきたいと思っているわけであります。それでないと、いつもいつも矛盾に矛盾をはらみながら、たとえば運賃というものはどういう決定機構があるのか、たとえばこの国鉄運賃であるならば運輸委員会にかかり、国会で議論し、そうして国民的視野に立った運賃の決定の論議というものがされるわけであります。ところがタクシーの場合においては自動車局長はおろか、地方の陸運局長の認可によってどんどんどんどん、十一月一日に約三〇%ですか、六大都市。二十三日に二十八・何%ですかね、どんどんなされていくと。そうすると、その間にお客との問題が非常に起こってくる。あるいはまた、その間に今度はかせがなきゃならぬから、ノルマを今度は乗務員に課す。片一方のほうとしては、どうしてもこれは食っていかなきゃならぬから、時間をどんどん自分で延長してかせぎまくるといったようなことが今日起こっているわけです。その間に勤務の形態がいま言ったような状態になっているということを十分ひとつ考えて、私も調査いたしているわけでありますが、かつて私どもの先輩の伊部さんもこのことについては非常に心配されたわけであります。  で、私もこれらの関係等については交通関係の出身者として努力していきたいと思いますし、無理があるならこれはバスと同じように、将来国の財政援助等についても検討すべき時期に来ているじゃないか。運賃の問題については公共料金だというたてまえに立って考えるべきときに来ているのではないかというようにさえ考えているわけでありますから、そういう点について今後においてひとつ一緒になって、私どもだけが調査するんじゃなくて、皆さんも一緒にこのことについて調査をして、そうして市民の足を安定的に守っていくというためにひとつ努力をしていただきたいというようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 目黒でございますが、きょうは大臣がいないし、時間も三十分程度ということでありますから、おもに要望事項になるかもしれませんが、十分に今後お願いしたいと思っております。  まず第一に、三木内閣が誕生して、本会議やら予算委員会質問を聞くと、いままでは高度経済成長政策だったと。それを路線を転換をして、安定成長に切りかえる、こういう話があったわけであります。私はこの七月、ここに来るまで一労働者としてやってきたのでありますから、特に安全なくして労働なし、こういう信念でずうっとやってきたのであります。そういう立場から考えますと、高度経済成長政策ということは安全の面から見ますと、開発が優先して安全とか環境保全という問題がややもすればないがしろにされているんではないか、こういう気がいたします。それで私もこの七月にここに参りましてから、絶対安全だといわれている幾つかの問題がここ六ヵ月もたたないうちに、次々にその真実性が労働者はもちろんのこと、国民大衆を裏切っているわけであります。数え上げると、まず原子力船「むつ」、これも絶対安全があのような結末になったと。新幹線は絶対だいじょうぶだと、これもATCというものがいかにお粗末なものかということによって、その神話がくずれた。この前は東京湾のタンカーの衝突、これも国民に大きな衝撃を与えた。ついこの前は瀬戸内海のタンクの亀裂、こういうまあ問題が起きて、この瀬戸内海のタンクの亀裂についてはあす衆参両院で現地調査団を派遣すると、こういうように聞いておるわけでありますが、これらの点を考えると、いわゆる高度経済成長政策の安全なり環境保全からのきしみを是正するために、運輸行政にかかわる一切の問題について政府が先頭になって思い切って安全の点検をする、環境の総点検をすると、そういうことが、きわめて経済政策の転換と同時に運輸行政においても緊急な問題ではなかろうか、こんなふうに私は考えるわけでありますが、次官の考え方を聞きたい、こう思います。
  62. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) 御承知のとおり新幹線の安全点検につきましては、年内を含めて数回行なうような形でもって運輸省としてこれに対処してきたわけでございますけれども、この新幹線の安全問題のみならず、旧来全く安全といわれておりましたものの数種がここに至っていろいろな事件を起こしていることはまことに遺憾でございますけれども、運輸省といたしましては第一に交通の安全というものを確保するということが最大の急務でございますので、先生御指摘のとおり今後十分体制を整えてその指導に努力する所存でございます。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それはもう何回もこの前の江藤大臣から聞いていますからね、私は三木内閣にお願いしたいのは、そういう口だけではなくて具体的に予算の裏づけをした安全総点検、環境の見通しということについて、政府関係機関なり、あるいは民間のいろんな会社だのについて具体的に指導をしてほしいと、こういう気持ちを持っているわけですが、いかがですか。
  64. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) 先生のおっしゃることは、要するに抽象的な問題でなしに、今後の予算措置の中で、実りのある対策を考えろということでございましょうが、私どももそのような方向で努力していることはもちろんでございますので、御指摘のとおり進めるようにいたす覚悟でございます。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあそういうことについてひとつ努力をしてもらうと、それは具体的に今後の五十年度予算が出た段階でさらに議論することとして、一そうの努力を要請いたします。  それから二番目に、私は国鉄というところは日本の産業の中でどえらい金といい資産といい人間といい、たいへんなずうたいのものだという点は、私から言うまでもないと思っております。この欠点についてはいま青木委員のほうからもいろいろ議論されましたが、ただ一つ私はここで十二月十六日の日本経済の社説にきわめて共感を覚えたものであります。まあ次官もお読みになっておると思いますが、この提案は、国鉄財政の再建問題については、いま青木委員のことも含めて、緊急を要する問題は、財政援助赤字の貨物部門をどうするか、赤字ローカル線をどうするか、運賃制度をどうするか、この四つないし五つの問題が緊急の問題だと、こういう問題提起をしながら、いままでの内閣は問題は提起するけれども、いざ結末になるとどうもしり切れトンボになってしまう、であるから、この際総理直轄の、この問題を抜本的にする審議会なり閣僚会議をつくって、そうしてほんとうに五十年度において国鉄問題を抜本的に解決すると、そういう強力な指導性のある機関をつくったらどうか、そういうふうな問題を提起をしているわけですが、この考え方はいかがでしょうか。
  66. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) たいへん大きな問題でございますので、新任の私があえて大きな問題を御答弁する立場ではございませんけれども、十分研究いたしましてその成果をあげるよう努力いたします。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はこの前の委員会で大蔵政務次官が来て、青木委員質問に対してほんとうに木で鼻をくくるような答弁をして帰ったことを非常に憤慨をしておるわけであります。くやしかったらおまえの運輸委員会のほうで案をつくって持ってこいと、それから大蔵省は考えようと、そういうような他人やりなことで私は国鉄問題は絶対解決しない。そうしてそのしわ寄せを労使関係や労働組合にだけ押しつけて政府が逃げを打つといったって私は逃げ切れるものじゃない、こう思っておるわけであります。でありますから、やはりほんとうに国鉄問題を解決するために、私はこの日本経済新聞の提起したことを十分に玩味しながら、たとえばストライキ権の問題についてはストライキに対する閣僚会議が持たれると、こういう例もあるわけでありますから、ほんとうに政府が本腰を入れて国鉄問題に取り組むという点を特に要望して、次回の日に大臣の見解をぜひこの段階で発表してもらいたい、こう要請いたします。いかがでしょうか。
  68. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) 承知いたしました。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃよろしくお願いいたします。  それから、せっかくこの問題が出ましたから総裁にお伺いいたしますが、十二月十一日に新聞の見出しを見ますと、国鉄の「屈辱の日」というような見出しでありますが、私はそういう屈辱の日であろうと何であろうと国民の安全を守るために新幹線が一斉休業して総点検をやったという点は、私は安全という角度から見れば、国民のサイドから見ればきわめて画期的な行事であったと高く評価したいと思っております。したがって総裁としてこの一斉点検を実際にやってみて、どういうお気持ちであったか、どういう今後の問題について問題があったのか、まあ中間ですから中間的な見解でけっこうですから、感じなり考え方なりをぜひ聞かしてもらいたいと、こう思うわけです。
  70. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 総点検に関しまして新聞側も、屈辱というばかにはでな言い方をしたんですが、私は一向屈辱とも何とも考えてないんで、それによって御利用なさる国民が、普通一般の方が少しでも安心感を高めていただけると。それから幸いにして欠陥があれで見つかるということになったら、これは非常にいいことであって、その結果いかんによっては、何も四回だ五回だと限らぬで、これは将来もやったらいいと、かように思いますので、あの総点検の結果はまだまとまってないようでございますけれども、いま担当の山岸さんもいますので詳しく御報告させます。
  71. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 先生方はじめ国民並びに利用者の御了解を得まして、十二月十一日に半日新幹線を休ましていただきまして、点検させていただいたわけであります。非常にお客さま方の御理解もありまして、今後の輸送等におきましても一応大過なく輸送できたわけでありますが、またわれわれのほうもこれにこたえまして、新幹線総局長以下全員力を合わせまして総点検を実施いたしまして、計画したものにつきましてほぼ一〇〇%点検を実施できたわけであります。  私、この点検の状態を見まして、やはりこれらの問題は第一線で点検をする人並びにそれを第一線で管理する第一線の管理者というものが、この総点検から何を得たか、あるいはまた今後何をすべきかというようなことについての意見というものが、この際一番大事なものではないかと、こういうように感じたわけでありまして、総裁の御了解を得まして、この報告につきましては、第一、現場で一週間まずいろいろと、この点検から得た問題についての反省並びにわれわれに対する意見というものをまとめる。さらにまた、その後におきまして、それらの意見を踏まえてさらに一週間総局において十分なこの点検結果のチェック並びに今後やるべき問題について見きわめをつけるというようなことを言いつけておりまして、詳細につきましては、したがいまして年内に報告に参りたいということを総局長は申しておるわけでありますから、それを了としているわけであります。しかし、この点検の結果から急いで本社に何かをさせなきゃいかぬ、あるいはまたきわめて重大な問題をここで発見したという報告は現在来ておりませんし、私もその点については確かめているわけでございます。したがいまして、私ども年内にこれらの結果を十分に第一線の意見を反映した中でまとめまして、来月の月末に予定しております第二回以降に反映さしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その成果なり問題点が報告になりましたらさらに問題点を提示したい、こう思っておりますからよろしくお願いいたします。  次は、次官、天災か人災か、それとも両者の競合か、こういう問題で二年有半争われた飛騨川のバス転落事故ですね。この問題については先月の二十日、名古屋高裁で判決が出て、政府が十二月四日これに服したという点はわかってますね。それで、この論争で、まあ長い判決文がありますが、私は時間がないから端的に言うと三つの点だけここで確認したいと思うんですが、一つは集中豪雨は通常予測できる程度のものであったし、これによる斜面崩壊、土石流などの発生の危険も通常予測し得るものであった。二番目は、かかる危険に対し適切な管理体制がとられてなかったために本件事故が発生したものであり、国道四十一号線の管理にはあやまちがあった、そそうがあった。三番目には通行関係者には危険を客観的に判断できる必要な知識、情報を取得する手段がなかったため過失はない。こういう三点が私はこの高裁の骨格だと思うんですが、これをお認めになりますか、次官。
  73. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) そういうようなことに聞いております。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では次官が、政府が国家賠償法に従って判決に服したんですから、この三点は私は本委員会確認としておきます。  それで道交法とか道路関係については、きょう私の手違いで来ておりませんし、時間もありませんから、建設関係は次回に譲りますが、ひとつこの関連で次官にお願いし、あるいは国鉄総裁にもお願いしたいのは、十一月七日の委員会で私のほうから北陸トンネル事故に関する問題について提起をして、総裁からきわめて積極的な発言もあったことも議事録で確認されてますからそれ以上申しません。  ただ十二月の十二日のNHKのラジオによりますと、本件事故については鉄道管理局長は不起訴だ、機関士と車掌は過失があるといって起訴するという情報が流れておるわけでありますが、この情報はキャッチしておりますか。次官、どうですか。
  75. 君ケ袋眞一

    説明員君ケ袋眞一君) NHKのローカルでそのようなニュースが出たということは金沢から聞いております。聞いておりますけれども、国鉄としましては司法当局から起訴あるいは不起訴等の事柄がきまった、あるいは近く行なわれるというような情報はまだ聞いておりません。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 北陸のNHKでこういうラジオがあって、まだ本社が確認してないということであれば幸いだと存じます。私は本件問題についてはこの飛騨川の事故の判決で言った、いま確認した三つの条件、三つの確認条件に照合いたしますと、私は北陸トンネルの機関士並びに車掌に対しては何ら刑事責任を追及する客観的条件がない、主体的条件がない、私はそういまでも信じております。でありますから国鉄においても政府側においても運輸行政という面からぜひ関係方面に最大の努力をしてもらうということを本委員会を通じて再度要請をしておきますが、ひとつ御努力願いたいと思っております。  特に私は、この際総裁も、あるいはたいへん忙しいと思いますが、次官も忙しいと思いますが、ぜひこの問題について、これは名古屋地検ですか、いま。名古屋地検なり名古屋高検が直接陣頭指揮をしているそうでありますが、そういう名古屋高検や名古屋地検などに対するひとつ要請などについても具体的にお願いしたいということを要請として申し上げておきます。これはいかがですか。
  77. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 法律の問題になりますけれども、われわれは先生と同感なんで、できるだけの努力をいたしたいと思います。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では心から要請いたします。  次に、労使関係についてちょっとお伺いをしたいんですが、来年の春闘などを考えた際に、交通関係の労働者の労働基本権というのはきわめて私は運輸行政で大事な役割りを果たす、こう思うのでありますが、いま政府にこの労働基本権閣僚会議が持たれて討論されている、こういう話を聞いておりますが、その進行状況について、わかっておればお話し願いたい、こう思うんです。
  79. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 内閣に設けられました関係閣僚協議会は、その下に専門委員として二十人の学識経験者を委嘱されまして、またその二十人の学識経験者の先生方がこれまでたびたび会合を持たれまして、国鉄をはじめ公共企業体の経営形態あるいは労使関係その他について、関係官庁及び公共企業体の当事者から説明を聴取しておられます。私どもがいま承知しておりますこれから先の見通しにつきましては、年明け早々にさらに外国をも含めた調査を進められまして、来年の秋を目途に閣僚協議会として全体としての結論を出すべく検討を進められておる、このように承知しております。
  80. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これも大臣に見解を聞きたいと思ったんですが、運輸行政の中で、たとえば首都圏あるいは大阪周辺などで見ても、旅客なり貨物の七割なり八割はスト権のある民間の方々が直接扱っているわけですね。ですから国鉄国鉄なるがゆえにスト権云々ということについては、運輸行政という点から見ると、その相対的な価値はずうっと減っている、低下している、こう私は思うんですが、運輸全般における国鉄とスト権のあるものとないものとの比率、そういうことについてはどのように把握されておりますか。
  81. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) ただいまの御質問にずばりお答えするだけの用意がございません。  で、国鉄そのものにつきましては、ただいま御報告申し上げましたように、公共企業体の労働者のスト権という問題でかねがね長い歴史がございました。いろいろな制度もございました。ただいまも閣僚協議会でいろいろの検討が進められております。で、そのことと公共企業体でない交通労働者のスト権の問題について、ただいま直ちに私からその考え方を御披瀝申し上げるだけの用意がございません。
  82. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はきわめて不謹慎だと思うんですがね。私がやっておった公務員制度審議会などについても運輸省から来ておるのでしょう。国鉄からも来ておったですよ。そういう会議に専門委員として参画しておって、この段階で説明しないというのは不勉強もはなはだしい。ですから私は、時間がありませんから、ここでやりません。ですから、この公共企業体の中で、特に国鉄のストライキ権をどうするかという点がやっぱり来年の私は大きな政治課題だと、このことは裏を返せば運輸行政全般にどういう労使関係をつくっていくかという大事なてこになる、こう判断しても私は過言でないと思うんですが、そういう受け取り方はどうでしょうか。労使関係の問題は非常に今後の運輸行政のてこになる、国鉄問題は。そういう認識については政府のほうでどういう考えですか。
  83. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 労使関係が将来の国鉄を論ずる上でほんとうにそれがかぎになるという点の御指摘につきましては、私も全く同感でございます。
  84. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私と意見が同じことでありますから、ただきょうは資料がない、こういう段階でありますから、次回に運輸大臣出席を求めてこの問題については私は本格的な議論をしてみたい、こういう考えでありますので、それなりの対応のしかたについて御理解と御協力をお願いしたい、この考えをひとつお願いいたします。これはいいですね、次回からやりますから。  それから自動車関係、時間がなくなったのですが、ちょっと自動車局長にお願いいたしますが、労使関係の考え方についてはいま大臣なり鉄監局長から言った考えと変わりありませんな。自動車局長、いかがですか、労使関係の受け取り方。
  85. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いま主として御議論になりましたのは、国鉄を中心といたしました公共企業体の労使関係の問題だと思います。したがいまして、はたして私どもが主として監督しております民営会社の労働関係がそのとおりであるかどうかにつきましては直ちにお答えできません。
  86. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 民間関係はスト権がありますからストライキ権の問題はないと思いますが、運輸行政における民間の労使関係についても私は同じことが言えると思うのですが、これはたまたま十一月の十七日ですか、朝日新聞に片岡運輸殺人事件というのが大きく報道されておるわけであります。この問題をずっと時間がないから読んでいきますと、現在捜査の段階ですから、なかなかむずかしい点はあると思いますが、いわゆる労働組合をつくったと、その労働組合をつぶすためにある人間を介入させて、それが殺人にまで発展したと、こういう事件なのであります。事件が事件でありますから、われわれが直接タッチすることはあんまり芳しくありませんが、しかし新聞の報道全部点検いたしますと、やはり労使関係がからんでここまで発展したという点がありますが、これをどういうふうにお考えですか。単なる殺人とお考えですか。やはりその背景に労使関係があったと、こういう受け取り方をしますかどうか。その辺の考え方をお聞きしたいと、こう思うのです。
  87. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 単なる殺人事件であるか、あるいはその背後に労使関係の紛争がからんでおるかということにつきましても、現在警察として調べておりますので、私どもは調べが済みませんとここでちょっと軽々に想像で申し上げるわけにいかないと思います。ただ運輸関係——どこでも同じですけれども、特に運輸関係は非常に労働集約的産業でございますから、労使関係が非常に大事だと思います。そしてまた労働者は金の卵であるということだと思います。したがいまして労使の間に紛争が起こったり、あるいはかりにそういった紛争のあまり人身の傷害等が起こるということがあればきわめて遺憾なことだと、こう思います。
  88. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は捜査の段階ですから質問者の私もそこまでは介入しないで質問しているのですが、そういう前提で、六大新聞なりNHKを含めたテレビなどの報ずる範囲では労使関係がその背景にあると、こういうように認識されますが、この点はいかがでしょうか。
  89. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 全くこれは仮定の問題でございますが、私も新聞しか読んでおりませんので、もしも日刊新聞各紙が書いておりますようなことが事実といたしますならば、これはたいへん遺憾なことであると思います。ただそのことは直ちに私どもが所管しております道路運送法上の処分問題につながるかどうかはまた別問題でございますので、直ちに道路運送法に照らして行政処分をするかどうかという点につきましてはおのずから別でございますが、それはともかくといたしまして、やはり労使という手を携えて進むべきものの間にそういう不祥事件が起こることがあるとすればきわめて遺憾なことでございますので、会社に対しましてはその場合には厳に注意いたします。また必要があれば道路運送法上の特別監査をすることもそのときになって考えたいと思います。
  90. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この件に関して大阪地労委が直接タッチをしておったわけですが、大阪地労委の不当労働行為の件数は、十月時点で八十九件。昨年一年間は年間を通じ八十七件。ですから非常に不当労働行為の件数が多くなっている。その中で製造業が三〇%、運輸業が三一・六%、こういう数字を大阪地労委が発表しておるわけですが、これは関西周辺を中心に扱っておるわけですが、結局バス、トラック、タクシーですね。こういう運輸関係に関する限り非常に不当労働行為とか、これにからむ刑事案件が多い。あるいは暴力事件がからんでいると、こういう案件が多いわけでありますが、こういう問題についてはどこかにやっぱり労使関係の欠陥があるのじゃなかろうかと、こう思うんですが、これらについてはどういうふうに考えてございましょうか。
  91. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 不当労働行為その他の問題になりますと、直接労働行政の範囲になりますが、私ども何も申し上げることはできないわけでありますけれども、再々申し上げておりますように、労働集約的な産業であります交通事業でございますので、やはり労働者を大切にする、職場環境もよくすると、待遇もよくして働いてもらうということは基本でございますので、私たちもバス、タクシー、トラックを問わず常に業界に対しましてはそういう指導をいたしております。また要請をいたしております。したがって今後もそういった方向をなお強力に進めることで進んでいきたいと思います。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がありませんから、ここにこういう資料をもらっているんですが、これは会社の名誉のために申しません、会社の名前は。三多摩地区でハイタクの無法地帯という問題で現に事件が発生いたしております。したがって、これはへたしたら第二の片岡事件になりかねないと、こういう案件等の内容をはらんでいる問題でありますが、この問題についてきょうは警察庁が来てませんから、これはあとでやるとして、ただこういう問題に対して、ある運転手が、Aさんといっておきましょう。Aさんという運転手がいろんな問題について監督官庁である陸運事務所に何とかこの会社の実態等、われわれ運転手のことも含めて注意なり指導してほしいという点をいわゆる陸運事務所の名前は言いません、名誉のために。何の太郎べえ何月何日にどういうことを言ったとありますが、こういう時点ではそんなものについては話にのってられないと亥関払いをかけられたという点があるわけであります。  したがって、その会社の内容、労務管理のあり方あるいは刑事事件に発展したような問題などがあった際に、相談に行った際に陸運事務所の担当官は亥関払いというのは、あまり行政の機関としては適当じゃないではないかと、こういうふうに考えるんですが、こういう下部機関の労使関係指導などについては、どういうお考えでしょうか。
  93. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私どもは道路運送法によりまして、正しい交通サービスを提供することのために業者を指導している官庁でございますので、直接労使間の紛争に介入する等のことは極力避けております。そういったものは、やはり専門の官庁がございますので、そちらのほうに言っていただくようにして避けておりますが、そういった問題と離れまして、やはりそういう先生いま御指摘のようなことにつきまして、御相談があれば陸運事務所あるいは陸運局の与えられている権限を侵さない範囲内におきまして、できるだけ相談に乗るというふうにしたいと思います。
  94. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう時間が来ましたから最後に。もう十何ぼもの件数を持っているんですが、先ほど言ったとおり非常に自動車関係は不況などの関係もあって、今後こういう問題が続発する可能性もあると思いますから、この自動車関係における運輸行政について特段の配慮と、きょうは労働省がおりませんから、労働大臣も呼んだんですが、むしろ自動車局長よりも労働大臣から聞きたいと思ったんですが、来れませんから、労働省と十分連携しながら、適切な指導をお願いしたいと、こう思います。  最後に、私は、事務的な話ですが、いままでの委員会政府側にお願いした資料なり、あるいは見解の発表なりについてはぜひもらいたいと思っています。鉄監局長のほうは検修関係、読まなくていいでしょう議事録が残っているから。鉄監局二件、国鉄二件残っていますから、ぜひ文書で早急に回答なり、あるいは資料提出をお願いしたいということを要望いたしまして、時間が来ましたから終わります。
  95. 森中守義

    森中守義君 自動車局長ね、大阪の片岡運輸、さっき目黒君が言った殺人事件か何かのことだけど。これはどういうことですか、運輸省としては、たとえば警察とかそういうそれぞれ所管があるから、運輸省としては推移を見るという趣旨の答弁のようでしたが、そういうお考えですか。
  96. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 先ほど目黒先生の御質問にお答えいたしましたように、現在刑事事件になりまして警察が調べておりますので、その辺の経過を見まして、事実がある程度明らかになった上で、運輸省としては対応策を考える、こういうことでございます。
  97. 森中守義

    森中守義君 非常に慎重な対処のしかたとは思いますがね。しかし、これは各新聞等にも何回も報道されてかなり大きな社会問題になっているのですね。だからなるほど刑事問題の推移を見ながら対処するということも一つ方法でしょうが、これはやはり道路運送法に基づく貨物運送事業なんです。そういうことをあまり先に見ないで、一ぺん運輸省の権限における立ち入り検査ぐらいやってみたらどうですか。かなり社内におけるいろいろ混乱もあるでしょうし、正当に免許の交付を受けた運送事業として適当であるかどうかというそういう断判ぐらい、刑事問題とは別にやってみたほうがいいんじゃないですか、やってみませんか。
  98. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 実はその刑事問題に対しまして、経営者側がこれを頼んだとか、あるいは教唆したとかということがあるかないかという点が一番微妙な点だと思うのでありますが、そういった点がある程度明らかになってからでないと、私たち道路運送法の面だけで監査をいたしましても、ただ日報がちゃんとそろっているかとか、その種のことだけになりがちではないかというふうに考えております。したがいまして、もし刑事事件等の調査がかなり進みまして、私が申し上げたようなことについてある程度明らかになりますれば、かりに道路運送法上にないことでも、やはり一つの道義上の問題として監督官庁として十分指導することでございますけれども、現状ではまだそこのところがはっきりしませんので、やりましてもきわめておざなりな監査になりかねないということで、実は伝家の宝刀を抜きたいんですけれども、抜かずにちょっと満を持しているという形でございます。
  99. 森中守義

    森中守義君 非常に慎重な配慮なので、それでもいいですがね。やっぱり近畿、大阪周辺における大きな社会問題の一つでもあるし、それでそういう殺人事件等を、その問題だけ切り離して考えられないような気がするのですね。一体、経営の背景はどうなのか、会社とそういう関係はどうであるか。言ってしまえばやはりトラック運送事業者としての免許を付与するには付与するだけの根拠があってやっているわけだから、そういうものに値する経営であるかどうか。これは私は刑事事件の捜査とか調査とかという進展を待たなくても、むしろ進んでそういうように、少なくとも対社会的に好ましい問題でないことはこれはもう間違いない。それならば積極的に事件それ自体に対する介入というよりも、経営がどうなのか。こういう角度からでも、やはり監査の必要が私はあると思うんですが、これはほかでもいろいろやっておられるでしょう。  そういう特殊な事件が発生しなければ監査をしないということでなくて、もっと軽微な事案といいますか、そういったようなことをずっとやっておられるわけだから、少なくとも運輸行政監督官庁として、はたして道路運送事業に照らし、貨物運送事業者として適当であるかどうか、そのくらいの判断を一ぺん持ったほうがいいんじゃないですか。何もこだわりませんがね。刑事事件の進展を待ってということでもいいんでしょうが、私はいま問われている道路運送事業の今日からいうならば、むしろ監督官庁として積極的に介入する必要があろう。これこそ局長のよく言われる一罪百戒ということにもなるんじゃないですか、そう思いますがね。
  100. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 地元におきます捜査当局とも十分相談いたしまして、刑事事件の調査をじゃましない範囲内におきまして、また道路運技法のたてまえから必要な限りにおきまして、何といいますか、さしあたり中間的にせよ一ぺん調べることにつきまして現地陸運局と相談いたしてみます。
  101. 森中守義

    森中守義君 局長ね、事件は明らかに刑事事件だから警察でやるでしょう。しかし、それに関連をする事業としてどうなのかというのは、私はやっぱり警察とは別のものであってもいい、そう思いますし、いま中間的にでも見ようと、こういうことだからそれでいいですけれども、やっぱり関連のいろんな事業に対しては、そういう用心深さと同時に、もっと積極的な対応のしかたが必要だと思いますので、ぜひそれはやってほしい。政務次官よろしいですね。
  102. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) 積極的に介入というよりも、むしろ積極的に調査する、積極的に対応するという姿勢が必要だと思いますので、私どもの立場からその意味でもっと進んで調査するということにいたしたいと思います。
  103. 岩間正男

    岩間正男君 時間の関係がありますから私もできるだけ端的にお聞きしておきたいと思うんですが、今月の五日に東京湾の実情を海上保安庁の巡視船に乗せてもらいまして調査をしたわけです。この問題についてきょうは大臣もお見えになっておりませんから、詳しく時間をかけて質問するということは避けて、この次にしようと思いますが、大体の輪郭ですね、そういう点についてお聞きしておきたいと思うんですが、海上交通安全法というのが昨年の七月に施行されたわけですね。この目的はどういうことなんですか。
  104. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 海上交通安全法の目的といたしましては、やはり狭水道あるいは湾内の交通のふくそうしておりますところの交通安全を保つということが第一義的な目的だというふうに考えております。
  105. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、特に東京湾をはじめ幾つかのそういう港湾を指定しておるわけですが、その中で東京湾の交通量というものはたいへんな問題になっていると思うんですが、事故の発生率ですね、そういうものを見ましても、これは全国の海難事故の半ばをこえるというふうに聞いておりますが、そういう事実になっておるんですか。それから交通量ですね、それはどういうことになっておりますか。
  106. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 主要狭水道の通航船舶の把握をいたしますために、海上保安庁といたしましては毎年各海峡につきまして調査をいたしております。その中で、浦賀水道につきましての一日の平均の船舶通航数と船別に申しますと、全体で昭和四十六年で一日八百七十九隻、四十七年がちょっと落ちまして七百七十五隻でございますが、昨年の四十八年は九百四十九、その中でタンカーがやはり四十六年が二百十四隻、四十七年が同じく二百十四隻、四十八年は若干下がっておりますが百六十九隻というように、浦賀水道ではこれは一日の通航量でございますが、相当量の通航がございます。
  107. 岩間正男

    岩間正男君 これは年間のトータルもあると思うんですが、これは資料としていただけますか、時間の関係からも資料で出してもらいたい。
  108. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 資料といたしまして当方で把握いたしております。資料は全部提出いたします。   〔委員長退席、理事三木忠雄君着席〕
  109. 岩間正男

    岩間正男君 これは最近、特にここ四、五年間そういう海上交通の非常にふくそうしている状況をつかめるように、それから年間のトータル、こういうもので一応得た資料をお願いしたいと思います。  とにかくたいへんなことになっているわけですね。約一千そうの船が、しかも大型の二十万トンというようなタンカーもまじえて、私たちが視察したときでも、あの日タンカーがたしか十隻近くあった。そういうものをまじえて通航しているわけですから、あのような海難事故が起こるのは当然だと思います。海難事故の発生件数からいいましても、東京湾はどういうことになっておりますか。
  110. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 東京湾の海難件数につきましては、航路及び港についての資料がございますか、ただいまちょっと手元に——持ってきておると思いますが、直ちに調査いたします。
  111. 岩間正男

    岩間正男君 それも資料として、当委員会で審査をするのに必要な材料になりますから、ぜひこれはお出しをいただきたい。これは全国の半ばをこえる、こういうふうに聞いているのですが、まさに日本海運の集約的な姿が東京湾に出ている。あとは伊勢湾ですか、それから瀬戸内海と、こういうことになっていると思いますが、瀬戸内海、伊勢湾の比較においても、海難の問題は三つぐらいいまふくそうしているところを対比して資料としていただきたい。いいですね。
  112. 隅健三

    政府委員(隅健三君) ただいまの浦賀水道、中ノ瀬、先生の御指摘の伊良湖水道、その他の指定水道におきます航路別の発生隻数の資料がございますので、提出いたします。
  113. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ外務省の見解をお伺いします。  昭和三十九年八月二十八日の日米両国の合意書によって原子力潜水艦及び原子力で推進する艦艇について、日本に入国する際、これについて二十四時間前に通報する、こういうことが合意書によってなっていると思うのですが、これはこれでようございますか。
  114. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) ただいま御指摘のとおり、昭和三十九年八月二十四日でございますが、その際日米間で約束が取りかわされておりまして、少なくとも二十四時間前に原子力軍艦の到着予定時刻、停泊または投錨の予定地につき通告をすることになっております。
  115. 岩間正男

    岩間正男君 東京湾の安全ということを考えますときに、いわば奥のほうにたいへんなものをかかえているという点を見のがすことはできないわけですね。つまり横須賀、その横須賀がミッドウェーの母港になっている。しかもアジア最大の米原子力戦略体制の海上の重要な基地になっておることは衆目の一致するところですね。そういうことから考えますというと、これは重大な問題なんですが、そこで具体的にお聞きしますけれども、たとえば原潜はどれぐらい入っておりますか、昨年でいいです。
  116. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 昭和四十八年におきましては十九回入っております。それから四十九年十二月二十四日——本日現在でございますが、六回入っております。
  117. 岩間正男

    岩間正男君 その他の艦船はどういうのが入っておりますか。
  118. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) その他の艦船につきましては、協定のたてまえから申し上げまして、米国にはわがほうに通告することを義務づけられていない状況に——施設区域に入る場合でございますが義務づけられていない形になっておりますので、完全な形での寄港回数がちょっと申し上げ得ない状況でございます。
  119. 岩間正男

    岩間正男君 それももう時間の関係から資料でいただきますが、いまの通告して入ってくる、そういうので外務省として米軍基地区域に入港する場合、米国から通報を受けている艦船、こういうものはちゃんと記録としてお持ちだろうと思うんです。これは佐世保、それから横須賀をはじめとしまして、港湾名、艦船名、艦種、入港状況、これを過去五年ぐらいでけっこうでございますけれども、この資料は正式に当委員会に提出していただきたい。
  120. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 原子力潜水艦及び原子力推進水上軍艦の寄港状況につきましては、最初に入りました年から全部差し上げることは可能でございます。それ以外の艦船で横須賀、佐世保等の施設区域に入った場合につきましては、私どもで知っている範囲のものをできるだけ集めまして、そのうち差し上げたいと思います。
  121. 岩間正男

    岩間正男君 じゃその資料を正式に出していただいて、その上に立ってさらに検討をしたいと思います。  で、外務省の場合は原子力潜水艦及び原子力で推進する艦船、こういうものについての通告は受ける、当然これは合意書によって三十九年八月二十八日にそういうことになっておりますね。しかし、その他の米艦船については、これは外務省は全然タッチしないということですか。
  122. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 質問の御趣旨が、日本側関係当局への通告という意味でございますと、法律的な意味で通告してくるということになっておりませんので、私どもを含めまして公式にその辺の情報は把握いたしておりません。
  123. 岩間正男

    岩間正男君 どこで扱いますか。海上交通安全法によってこの米艦船ですね、こういうものについての通報を受けてそれをチェックするところはどこになりますか。
  124. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 海上保安庁といたしましては、海上交通安全法によりまして二百メートル以上の船舶についての記録は全部持っております。米軍の艦船の浦賀水道通過の二百メートル以上の数字については把握をいたしております。
  125. 岩間正男

    岩間正男君 その根拠は海上交通安全法ですか、その第二十二条によるんですか。
  126. 隅健三

    政府委員(隅健三君) ただいま先生の御指摘のとおり、海上交通安全法第二十二条によります巨大船の航行に関する通報によるわけでございます。
  127. 岩間正男

    岩間正男君 二十二条はそれだけじゃないでしょう。三号まであるんでしょう。巨大船、長さ二百メートル以上の船舶、それから第二にはどういうものがありますか。
  128. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 二十二条の第一号で「巨大船」、それから第二号で「危険物積載船」、これは「原油、液化石油ガスその他の運輸省令で定める危険物を積載している船舶で総トン数が運輸省令で定める総トン数以上のものをいう」という「危険物積載船」、第三号といたしまして、船舶、いかだその他の長大物件を引いたり、あるいは押したりする船舶、これが通報の対象でございます。
  129. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、第二号はどうです。第二号のほうはこれはチェックしていないのですか。
  130. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 海上保安庁といたしましては、原油あるいは液化ガス等の運輸省令で定めるものでございまして、軍艦が積載をいたしておるだろうという、火薬であるか砲弾であるか、そういうものについては、これは危険物積載船というふうに規定をいたしておりませんので、われわれはこれを承知いたしておりません。
  131. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、東京湾の安全で最大課題はこの危険物ですね。しかもこの前はタンカー船が衝突したということであれだけ騒いでいる。しかし何千倍の危険性を持った核弾頭が、核兵器が入っているかどうかということ、これはどこがチェックするのですか。海上保安庁のほうはいまの安全法によって、第二十二条の適用で巨大船についてはこれをやっている。しかし、いまの危険物にそういうものの適用はあなたのほうにないとすれば、これは外務省は、さっきの原潜と、それからその他のものですね、原子力で推進する艦艇、こういうものについてはチェックすると言われておりますけれども、この危険物の最大のものである核兵器そのものについてはどこでチェックするのですか。
  132. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) ただいまの御質問のポイントになると存じますのは、核兵器を米国艦船が積載して、それでたとえば横須賀等に入ってきているのではないかという意味かと思いますが、従前からいろいろな機会に政府が申し上げておりますとおり、核兵器等をわが国領域に持ち込みます場合には、御承知のとおり事前協議の対象ということになっておりまして、これもまた御承知のとおり、いままで事前協議を行なったことはないわけでございます。したがいまして、政府としては核兵器が持ち込まれていることはあり得ないというふうに考えております。
  133. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これは米国側の言いなりになっておるという、いままで国会論議の中でも非常に大きな盲点とされてきたことが、そのまま具体的にこれは行政の面でもされているということですね。そういう船が入った、そういう一体形跡があるのかないのか、これさえもわからない。米国は持ってこないだろう、だいじょうぶだ、それで危険物については米艦船に関する限りは海上保安庁もチェックできない。外務省はのっけからもう安心してアメリカにまかしておる。そうすると、一体このような危険についてどう対処するかということは非常に大きな問題になってくるわけですね。  これはラロック証言の問題が出てくるわけですけれども、これはとにかくアメリカの十一の艦艇、この前あげました十一の艦艇、これは核兵器を積載する、そういう可能性を持っている。それでしかも常時持っている。さらに補給艦までこれは持っているということが最近明らかになっている。そういう事態の中でアジア最大の海軍の基地の横須賀にそれが入ってこないということはナンセンスです。ところが、それをチェックする機関がないというようなことは、これはたいへんな抜け穴になるわけですが、どういうことでしょう。
  134. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 具体的に外国の軍艦がたとえばわが国領域に入ってきた場合に、これをチェックできるか、物理的にたとえば日本国政府がそこへ行きまして、検査の目的で入りましてそれを調べることができるかということば、一般国際法上実は認められていないことなのであります。そこで、もしおっしゃっておられる御趣旨が、政府として立ち入り検査をしろということでありますと、これはできないとお答えせざるを得ないわけでございます。他方、そのような核兵器をわが国領域に持ち込む場合におきましては事前協議の対象となっている、かつ事前協議が行なわれていない、したがって持ち込まれていることはあり得ないであろうということは先ほど申し上げたとおりであります。
  135. 岩間正男

    岩間正男君 これはまさにここの論議だけでは十分尽くせない、もっと大きいところでこれはやらなきゃならないわけですが、三木内閣の政治姿勢というのはラロック証言以後どうなっているかということを対決して聞かなくちゃならない問題です。いまのようなことでいいのかどうかという問題です。まあ、とにかくあなたたちのいままでの艦艇についてチェックをされたものを出していただいて、こういうものをわれわれは十分に検討したいと思うのですが、ここで一つだけちょっとお聞きしておきましょう。「フリント」というのがありますね。AE32、これはアミュニションシップ——弾薬輸送船。これが入ってきておることはあなたのほうでチェックしておりますか。ついでに言いますと、長さが五百六十五フィート、約百七十メートル。ないのですか、あなたのほうには。
  136. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 私ども承知いたしておりませんです。
  137. 岩間正男

    岩間正男君 記憶にないのですか。チェックしてないのですね。
  138. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) ただいま手元に持ってきております資料を調べてみましたところではちょっとわからない次第でございます。
  139. 岩間正男

    岩間正男君 海上保安庁は。百七十メートルだからこれはキャッチしてあると思うのだが。
  140. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 私のほうにもその資料ございません。
  141. 岩間正男

    岩間正男君 私のほうにはあるのです、調査をしたものが。横須賀の平和委員会、浦賀の平和委員会調査したものです。ちゃんと入港の期日もわかりますよ。四十八年の十月十九日に入港して四十八年の十月二十二日に出港している。そしてそれはまさに弾薬輸送船。アミュニションシップということですね。これについては何らのチェックができないということなんですね。資料としても出してもらえない、こういうことなんですね。
  142. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 先ほども申し上げました意味で、公式に米側から通報が来るということになっておりませんので公式には知り得ない次第でございますが、私どもで可能の範囲で調べてみまして何らかのあれがございましたら御連絡申し上げたいと思います。
  143. 岩間正男

    岩間正男君 もう少し大きい声で言ってください、ちょっとわからない。
  144. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) もう一度大きな声で。聞き取れないから。
  145. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、横須賀の米軍施設区域に入る限りにおきましては、協定上の概念でございますが、五条で定義されております船舶の場合には通報の義務はないわけでございます。したがって公式には知り得ない次第でございますが、もしその他調べましてわかることがございましたら御報告申し上げたいと思います。
  146. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃそこを調べて、あなたのほうでも何なら米軍に聞いたらどうです。私は事実をあげているのですから。いまはっきり事実をあげたのですから、そういう船が入ったかどうか外務省のほうで調査を、向こうに聞き合わしてこれについて返答いただけますか。   〔理事三木忠雄君退席、委員長着席〕
  147. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) にだいま岩間先生のおっしゃったことをやりたいと思います。
  148. 岩間正男

    岩間正男君 いまのほんとうに短い間の応答でも、私はたいへんな事態の上にわれわれは立たされておるということを具体的に示しておると思うのです。全然これはわからない、こういうことになるわけです。そして施設区域内ではっきり原子力で推進しているそういう艦艇だけは一応これは協定があるから、その協定によってチェックをすることができる。それ以外のものは全然わからない。そういうことになりますというと、これは東京湾の安全ということを今後考えていく上にたいへんなやっぱり問題を持っていると思うんです。  もう一つ、最後にお聞きしておきますが、横須賀の基地内に吾妻島というのがありますね。箱崎貯油ターミナル、これはジェット燃料貯油タンク、全島の中心部を占めて、全島が貯油基地と言っても過言でないような、そういうものです。わが党はこれを調査した。この調査の結果によりますというと、昨年から貯油タンクやパイプの改修工事が急ピッチで進められている。当然この島、この基地の機能からいって、ジェット燃料などの搬出入のために油送船が接岸したりしていることは明らかだ。このような危険きわまりない基地が横須賀港のしかも湾口にある。入り口にある。しかも油送船が原子力潜水艦や核積載可能の艦船などとともに出入しているそういう港、そういうところにこういうものがある。こういうことを考えますというと、この危険度というものは一そうこれはたいへんなことになると思うんですね。  私がこういうことをなぜ問題にしているかというと、当然これはラロック証言との関連が出てくると思うのですね。とにかく核積載の艦艇がこの前メキシコ湾で沈没をした。これは核をはっきり搭載しておった。それがいまだにこの処置が十分でないわけですね。そういう事態が東京湾内で起こったらどうなるのか。メキシコ湾の中での問題で、ラロック証言は明らかにあの中で証言をしているわけです。そういうときに東京湾の中で起こる要因というものは、もう先ほどから二、三あげました点だけでもたいへんあると思うのですね。そういうものが東京湾内で起こった場合にはどうなるか、こういうふうに考えますと、この問題について、東京湾の安全を明らかにするためにはどうしても私たちは明確にしなくちゃならない問題だと思うんです。これはどう考えられておりますか、海上安全の立場から。次官。
  149. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) そのような危険が現実に予想されるとすればたいへんなことでございますが、私どもといたしましては、私どもの調査の範囲では、まだそのようなことを聞いておりません。その事実を確かめまして、国民皆さんの信頼を得べく私どもは努力するつもりでございます。
  150. 岩間正男

    岩間正男君 もう時間がありませんから切り上げましょう。  さらに資料としてお願いしたいのは、海上保安庁として米軍の輸送船の実態というのはつかまれていないということなんですか、全然。これはどうなんですか。たとえば二百メートルをこえているそういう輸送船についてはどうなんですか。
  151. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) 隅次長に対する御質問でございますが、米軍の輸送船につきましても横須賀、佐世保等の米軍に提供されております港以外の港に入りますときは通告がございます。そういう意味ではわがほうがそういう情報を持っていることは十分あるわけでございます。
  152. 隅健三

    政府委員(隅健三君) ただいま外務省のお答えのとおり、提供港湾、提供施設以外の港湾でございますと、港長の届け出もございますので、その資料はございます。
  153. 岩間正男

    岩間正男君 特に私は、東京湾内の横須賀ですね。これが東京湾の、ことに京浜地帯というのは三千万人の人が住んでいるんです。タンカー船が燃えたとか何とかの話じゃないのです。一発の原水爆が一たん事故を起こしたらどういう事態が起こるかということです。われわれはこういう不安の、危険の上に安閑としているわけですよ。そうでなくちゃ暮らせないような状態になっている。しかもそこのところは全く日本の政府の目の届かないところです。そういうところにあるということはこれは重大問題なんですよね。だからこの問題はやはり海上の安全ということを考え、そうしてほんとうに東京湾の安全について、われわれはそういう危険というものをほんとうになくすという立場に立つからじっとしていられない感じがするわけです。  だから、とにかくいろいろな資料を出していただいて、これは検討して、そうしてさらに必要があれば、きょうは運輸大臣は見えておられないし、それから外務大臣も見えていないし、総理出席も求めてこういう問題は明らかにしておかなきゃたいへんなことになるんです。だから運輸委員会としても、私はこの問題点をきょうは簡単に触れただけになりますけれども、ことに十二月五日にせっかく海上保安庁のいろいろな配慮によりまして、視察をしたことをむだにしたくない、こう考えているわけですから、そういう点について、さらに委員会のひとつ大きな課題にしていただきたいと、これは委員長にもお願い申し上げておきたいところです。とにかくいまの資料……。弾薬輸送船の実態がつかまれている場合ですね、これはほかの港にも入っておるのが、危険物の中でわかりますか、米艦船の中で。つまり横須賀の場合には全くもう何というのかな、われわれのタッチできない、そういう治外法権の場になっている。そこのところはたいへんな一つの何といいますか、一億一千万の日本国民の安全にとっては、まさに何といいますか、大きな抜け穴になっているところなんですね。そこの問題と、それからとにかく開港、あるいは不開港、こういうところから出る資料は、いままで不十分でありましたが一応いただきました。そういう中で危険船、ことに弾薬輸送船のようなそういうものの資料はございますか、どうですか。
  154. 隅健三

    政府委員(隅健三君) たとえば呉港におきます弾薬輸送船の船名であるとか船の長さ、そういうもののデータは私のほうにはございます。
  155. 岩間正男

    岩間正男君 それではいまの開港、不開港、こういうところに入っておる危険物、ことに弾薬輸送の場合、それだけ資料をいただいておきましょう。横須賀のほうはほとんどこれは外務省にもないと、こういうことなんですね。海上保安庁にもないと。これはたいへんなことなんだね、たいへんなことだ。不開港や開港の問題は、やむを得ず、非常に荒れたとかというようなときに、これは入ってくることはあり得るでしょう。しかしアジア最大の核戦略の中心地である、このミッドウェーの母港横須賀に、これは当然入っておるということは推測——推測でなくてももうほとんど事実ですよね。それはもう量からいったって、質からいったってたいへんなものだ。そういう中にこの核積載艦がどんどん入っているんだし、さらに弾薬輸送船が入っておるんです。そういう形の中で、いまのラロック証言との関連におきまして、核が入っていないという証拠は、もう言うほうがむしろおかしい、こういうふうに思える問題ですから、この問題については継続的に明らかにしたいと思います。これについて、あくまであなたたちのこれに対する御協力をいただきたいと、こういうことをお願いしておいて、私のきょうの質問は終わります。
  156. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 海上保安庁の隅次長がお見えになっているので、私からちょっとお伺いしたいことがあるのですが、十二月の四日に小名浜港を出ていきました第十八眞盛丸が遭難をして、そのまま行くえがわからなくて、そうして乗り組み員の死体が翌日の五日に発見されて、その通知を受けて海上保安庁としては出動をしていった。そうして二日か三日ぐらい捜査して、そのままわからなくて、その後に二、三回調査したらしいんですが、昨日第三番目の遺体が発見された金華山沖の遭難のことについて、どういうふうな今日までの捜査経緯をもって、今後またどんなふうに捜査しようとしているのか。この原因は何で沈没したのか、どういうふうな状態で遭難したのかということ、不明なようですけれども、捜査をどうしていくかということについて一言御説明を願いたい。
  157. 隅健三

    政府委員(隅健三君) ただいまの底びき漁船第十八眞盛丸遭難事件でございますが、これは昭和四十九年の十二月五日に、相馬市の原釜漁協から、十二月五日の十時に私のほうの小名浜保安部に、第五宝栄丸という船が漂流中のゴムボートを発見した。その中に二遺体があって、そのゴムボートには十八眞盛丸という記入があるというのを漁業組合に通報してまいりまして、直ちに小名浜の保安部へ通知がございました。  そこで第二管区海上保安本部小名浜海上保安部は、この第十八眞盛丸の遭難につきまして、これは八名の乗り組みでございまして二つの御遺体があったわけでございますから、六名の行くえ不明事件につきまして各船に緊急通信を放送いたしますと同時に、直ちに巡視船を二隻出動いたしました。またたぶんこの船は、僚船の第八瑞宝丸というのが四日の午前十時にはこの十八眞盛丸の船影を見ておりますので、交信しているこの第八瑞宝丸は、十一時三十分には呼び出したけれども応答がない。そういたしますと、十時から十一時半までの間に遭難をしたのではないかということがわかりましたので、直ちに漁業無線を通じまして漁船の情報収集をいたしますとともに、衝突の可能性もあったのではないかということで、全管区に船舶手配をいたしました。衝突をした形跡のある船の手配をいたしました。その結果によりまして、五日の捜索では救命ブイ三個、一個には第十八眞盛丸という船名の記入がございました。それから漁網の浮子、トロ箱等を揚収いたしました。  われわれといたしましては、六日にも航空機も飛ばしまして、また船主手配の地元の漁船により、延べ三十四隻によって捜索をいたしましたけれども、結局御遺体を発見できずに、六日の夕刻小名浜保安部長は地元の対策本部長と電話において打ち合わせいたしまして、七日の午前九時に一応巡視船による専従捜索を打ち切りまして、以後巡視哨戒にあわせ捜索をすることといたしました。  しかし地元の御遺族からの非常に強い御要望もございましたし、われわれといたしましても十三日と十四日に巡視船及び水路部の測量船「昭洋」を遭難地域であると思われます地域に出動させまして、詳細なる海底の探査、これは水深測深器によりまして、この地域の水深の調査をいたしました。  また一方、三陸沖にただいま出ておりますソ連サンマ母船あるいはこれの船団の船体に衝突をした、あるいはこれにひっかけられたんではないかというような点も考慮いたしまして、日ソ海難救助協定に基づきまして、ソ連側に十三月の五日とさらに十三月の十三日に問い合わせをいたしました。ソ連側からはノーインフォメーション——それについての具体的な回答事項はないという回答をいただいております。  そういうことで、われわれといたしまして水路部測量船を出しまして、また現在におきましては、巡視哨戒による巡視船によって浮遊物その他の捜索に当たっておるわけでございます。一応専従捜索といたしましては、現在これを打ち切っておるというのが第十八眞盛丸につきましての捜索の概要でございます。
  158. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) もう一言お伺いしたいんですが、四日はまことに平穏な海上の状態であって風浪が全然なかったという、そういう時点であったということ、それから何かのアクシデントでこうなったんだろうと、いま次長の答弁にもありました。ソ連側のほうの船か何かとそんなふうなことになったんじゃなかろうかというようなうわさも聞いているわけですが、それもさだかでない。いまのお話のとおりだと思うんですが、いまだに六人の方々がわからない。本来ならば十人の乗り組みの人がいるわけだが、二人は乗らなかったわけですが、八人の人が行って八人ともどうも見込みがないというような形で、遺族の人たち、家族の人たちは、何とか海底の捜査もできないだろうかというような希望も持っているわけですが、この船はことしの七月に進水をしてそして九月に操業開始をしているわけなんです。つくられたばっかりなんです。このときの検査、小型船舶の検査機構に基づいての検査が完了していたかどうか、こういう点も、小名浜造船所だと思いますが、そこらへ行って調査をする。無線装置も装備されておったかどうか、そういうようなことも当然お調べになるのがあたりまえだと思いますし、お調べになっていると思いますが、そういう点をもう一度水産庁とも打ち合わせをなさって、でき上がったばっかりの船が、原因もわからずに姿を見せないで遺体だけがという実態をもう一度お調べを願って、御苦労ではございますが、もう一度捜査の手を伸べていただきたいことを私から希望を申し上げておきます。よろしくお願いします。
  159. 隅健三

    政府委員(隅健三君) ただいまのお話、新造船の遭難でもございますし、われわれといたしましても、再度東北海運局へ、あるいは水産庁と連絡をいたしまして、この船の設計あるいは竣工に至るまでの問題点、そういうものをさらに調査をいたします。
  160. 森中守義

    森中守義君 ちょっと飛び入りで恐縮ですが、二、三問お尋ねいたします。  現在運輸省のほうに寄せられている自動車関係の料金改定の申請はありますか。受理されたものはどういうものであって何件、そしてまた新しい年度、もしくは五十年に入ってからおそらく改定の申請が出るであろうと予測されるものはどういうものであるか、ちょっとおわかりになる範囲でけっこうですから答えていただきたい。
  161. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 実はたいへん申しわけございませんが、突然のことで数字を正確につかんでおりませんが、概況を御説明申し上げます。  順番に申し上げますと、バス関係では、いわゆる路線バスにつきましてはいま全部処理が終わりまして現在手持ちはございません。  それから貸し切りバスとタクシーにつきましてはまだ手持ちがあると思います。なかんずくタクシーの問題につきましては、例のことしの二月に暫定運賃という形でやりましたが、あれは当時の石油不足の状況のもとでとりあえずの窮境を切り抜けるための暫定措置でございまして、これをいわゆる通常のベースでの運賃に切りかえるという作業が行なわれました。ことしの十一月一日から六大都市をやりましたのを皮切りにずっと全国各地の改定をしてまいりまして、ほぼ七割ほど終わりました。あと三割ほどが来年、年が明けましてから春先ごろまでに処理する手だてになっております。  それから、それ以外のトラック関係、通運関係等につきましては、現在全然申請は出ておりません。  以上が申請状況の概要でございます。
  162. 森中守義

    森中守義君 実は、きょう少し無理してお尋ね申し上げたいと思いましたのは、たまたま予算編成のピークにかかっておりますし、それから、おりからのことで公共料金の抑制ということが大きな社会的な問題になっている。そこで、その現状現状としましても、おそらく年が変わり、あるいは四月以降、航空であろうと、あるいは国鉄であろうと、あるいは自動車であろうとバスであろうと私鉄であろうと、かなり再改定の申請が出てくるであろう、こういう実は予測をするんです。  こういうことを予測しますと、やはり在来踏襲してきたことを、来年も同じようなことでいけるかどうか、かなり危惧せざるを得ない。そういうことになると、どうしてもこれから先の公共料金等への対応策というものをそろそろ考えておく必要があるのではないかというように私は考えるんですよ。そうなれば結局、在来受益者負担原則ということでしばしば政府と私どもとの間に議論がかわされてきた。しかしながら受益者負担といってもこれはやっぱりもう限界が来たと。これ以上受益者負担の原則というものを将来も継続できるかどうか、かなりきびしい世論の反撃があるし、また認可権を政府が持っているとはいいながらも、やはりこれにも限界があると、こういうように思うんですね。  さて、そういうことになっていけば、これはもう認可できない。しかし関係の各企業等が財政的にピンチな状態になる——認可できない。それだからといって直ちに廃業もしくは倒産等をそのまま見過ごしていいかどうか。要するにこういうぎりぎりのところまで来年あたりは行くのではないかというように実は考えるわけなんですよね。こういうぎりぎりの段階に来た今日の企業の財政事情国民の世論、こういうものを踏まえながら、特に運輸省ではそういう認可権をお持ちになっているわけですから、多少次元を変えて、この問題についてそろそろ、ぎりぎりの検討を加える必要があるのではないかというように思う。本来であれば、大臣にここに御出席を願い、場合によっては大蔵大臣なり経企庁長官あたりも一緒にお越し願って、いずれ遠からずこういう議論を私は一ぺんしてみたいと思うということなんですよ。  つまり今回の予算編成の中で、どういうような姿勢で、ぎりぎり限界に来ている受益者負担ということをこれから先の財政の運用の中に反映さしていこうとするのか、これをちょっと聞かしておいてもらいたいと思うんですがね。局長は自動車行政の最高の当事者として、政務次官は政務を見られるという立場から、どうお考えになりますか。
  163. 小此木彦三郎

    政府委員小此木彦三郎君) 先生のおっしゃるとおり、まさに受益者負担というものの原則が限界に来ているんじゃないかという御指摘でございますけれども、これらに従事する企業の性質はおおむね中小企業関係が多かろうと思うんであります。もちろん従来運輸省が認可権をもちまして、いろいろな資料、統計に基づきまして綿密な調査の上にその答えを出してきたわけでございますけれども、公共料金でないとはいえ、やはり準公共料金という性格のものではないかと私ども判断いたしておりますし、公共料金抑制の中でそれに順応した意味でもってわれわれはこれに認可を与えていくという考え方が妥当であると私は考えます。
  164. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私は、自動車行政のワクの中のことだけでございますけれども、大きく分けまして二つの分類ができると思います。  一つは、路線ハスのように市民の日常生活にきわめて深い関係を持っており、かつまたその運賃というものはもう定額でぴたっと収受されるというもの。これが第一分類といたしますれば、第二分類は、タクシーのように料金は確かにぴたっと収受いたしますけれども、その需要は必ずしもバスのようにシビルミニマムとか、ナショナルミニマムというふうなものよりはもうちょっと程度の高い需要であるというふうなもの。  それから、もう一つ分類を加えさしていただきます。第三分類は、トラックのように、もちろん公定料金がございますが、あくまでこれは荷主さんと運送業者の契約というものがかなりのウェートを占める。したがって公定料金自体が上下一割づつの幅を持たせておりまして、いわゆる二割のこのアローアンスがあるという、上一割、下一割といいますか、そういう料金と三つあると思います。  それで、いわゆる公共料金問題を論ずるときに、その議論の強さというものは、もちろん言うまでもなく第一分類が一番強くて、第三分類のトラック等になりますに従ってだんだんゆるくなるということだと思います。したがいまして、公共料金を押えるという話と、それから押えられた場合に、裏からいかに財政で補助するかという話が一番シリアスにきますのはバスの問題だと思います。  そこで、私どもはバスにつきましては、午前中もちょっと大臣お話しいたしましたけれども、いわゆる通常の形で運行ができるような地域につきましては、私はしばらくの間、まだ運賃、つまり受益者負担でバス経営は改善さしていくべきである、こう考えております。ただ、これが通常の運行が期待し得ないようなものが二つございます。一つは人口減少等の問題が非常に盛んな過疎地域であります。もう一つは大都市等の過密地域でございます。そして、まず過疎地域につきましては、もはやいわゆる市場原理を貫いた料金体系では受益者負担の限度を越えております。したがいまして、数年前から補助金制度を実施いたしまして、運賃で取りにくい分は広く公共の補助で埋めるという形でバランスをとっているわけでございます。なお来年度もかなり大幅の増額要求をいま大蔵省に対していたしているわけでございます。したがいまして、いま先生御指摘の財政が出動していくという点は、すでに地方のバスにつきまして始まっているわけでございますし、来年これをかなり大幅に引き上げる予定をいたしております。  それから都市のバスでございますが、これは私は、まだ公共交通として非常に大事な足の問題でありますが、これを直ちに財政補助をもってカバーすべきであるという前に、やはり交通関係整備ということで、現在は町の道路の上をあまりにもたくさん車が走っておる、この車を何とかしてその全体の走行量を制限することによりまして、バスの運行効率を上げるということで、何とかペイをするようにしていくべきじゃないかというふうに考えております。ただ都市のバスにつきましても、新住宅団地をつくる場合の足なし団地解消のための補助金ですとか、あるいは特定のターミナル等に利用者が雨風を避けてバスを待つための屋根をつける等のことは補助をいたしておりますけれども、一般的には都市バスにおきましては、私どもは補助のことを考えるもう一つ前に、やはり現在の路面交通をもっと整理をいたしまして、バスの走れるような環境をつくり、そしてバスの効率をあげることによりまして幾らかでも赤字を減らすという努力をすべきだ。それがもう壁に来たときに、次が財政問題だと、こういうふうに考えております。
  165. 森中守義

    森中守義君 時間もないようですから、そうきょうは込み入ったお尋ねもできませんがね、政務次官も自動車局長も、まだまだその現状に対するやや楽観的なお考えがどうも少し残っているような気がしてならない。私はもうかなり限界を過ぎている。もう料金抑制ということは、これは強烈なやっぱり世論の一つの行動ですよ。これにどういう論理をもって対応していくかといっても、これはなかなかそう簡単にいかない。同時に業界をどういう理論をもって説得しようとしても、これはやっぱり生きものであるし、現在生き続けているわけですから、そう安直にこれもやっぱり片づくものではない。こういうことで、まさに料金の認可制ということは一つの限界に来た。いわば一つの転換期ということも言えるのじゃないかと思うのですね。で、そうそういうようなことなどがいま少し運輸省全体として再検討をされていいんではないか。はしなくても自動車局長からバスヘの助成金の話等もありましたけれども、そこに逃げ込むのか、それが終局の行き着く場所なのか、他に何らかの方法があるのか。検討してみればもっと変わったものが出てくるかもわからない。じゃ君どうだいと、こう言われてみても、私にそういう知恵があるわけじゃありませんがね。要するに、もう少し衆知を集めて新しい対応策というものを探求する時代に来たのじゃないか、こう思うのです。  そこで今回の予算編成等、一つの具体的な時期に、一ぺんその料金あるいは運賃、そしてそういうものへの在来の対応策というものを点検をする、見直ししてみるという、こういうことをお考えになりませんか。
  166. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 確かにいま先生御指摘のような基本問題が出てきつつございます。そして従来のやり方だけでは対応しきれない問題が出てきておりますので、先ほど御説明申し上げましたこととあわせまして、総合的にこれから検討を進めてまいりたいと思います。
  167. 森中守義

    森中守義君 これはひとつこれからも継続的に少し議論をかわしてみようじゃありませんか。  いま一つお聞きしておきたいのは、先般のかなり高率なタクシー運賃改定で業界はどういったような現状になっているのかですね。これもいろいろな話ですし、しかも責任ある立場の人のお話じゃありませんから、あながちそれを断定的なものとして受け取るわけにもまいりますまいけれども、かなり落ち込みがひどい。しかも、それにおりからの不況ときている。実車率は伸びない。こういうことで具体的に廃業した人であるとか、あるいは統合した人であるとか、あるいは統合と譲渡というのはある意味では一緒かわからぬけれども、そういったようなケースが出ているかどうか。こういう状況と、いま一つはよく需給関係ということがいわれるのですけれども、一体運輸省は一元的、統一的な需給計画というものはお考えなのかどうか、この辺どうでしょうか。
  168. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 十一月一日から六大都市のタクシー運賃がかなり大幅に上がったわけでございます。三割強の値上がりがございました。その結果、予想されたことでございますけれども、実車率——要するにタクシーがお客さんを乗っけて走っているキロ数の割合でございますが、これが値上げ前に五割八分、要するに一日を一〇〇といたしますれば五八%ぐらいはお客を乗っけて走っておったと。これを実車率と申します。この実車率が十一月の初めには五一、二%に下がりたということがございまして、その後若干回復をいたしておりますけれども、もちろん十月の五八%にまでは至っておりません。ただ実車率はあくまでもそういうお客さんが乗って走った距離の比率でございますけれども、その走って収受する運賃は三割がた上がっているわけでございますから、したがいまして、実車率が減りましても水揚げは若干ふえております。  したがいまして、いま直ちにタクシーが実車率が低いから経営が不振、倒産ということは起こっておりませんし、起こり得ないと思います。ただ申せますことは、昔に比べましてかなり——昔といいますか、戦後に比べましてかなりタクシー運賃は高くなりました、他の運賃に比べまして。したがって従来のような乗せてやるぞという形で経営をいたしておりますと、お客さんが乗らなくなるということから、むしろこれからはタクシーの、これは労使ともにそうだと思いますけれども、ほんとうにサービスをよくするという点に努力いたしませんと、そちらのほうからまいってくることがあるだろうというふうに考えます。このことはしかし市民から見るならば、タクシーのサービスがよくなるという方向でございますので、私どもも値上げによる実車率の低下という点についてはある程度やむを得ない、しかし、これはサービス改善に努力することによりまして必ず回復するはずであるというふうに思いまして指導をいたしております。現に十三月に入りましてからは相当回復をいたしております。  それから三番目のお尋ねの需給の問題でございますが、これにつきましては、戦後、昭和三十五、六年ごろまでは六大都市につきましては需給計画をつくりまして、東京は適正タクシー車両数三万台というふうなものをつくりまして、二万台を一台でも多くしないということで、二万台のワクの中で厳格な供給制限をした。これはどちらかといいますと、輸送秩序を保つことによりましてサービスを水準以上に保つということがあったわけでございますが、なかなか大都市になりますと何台タクシーがあったらいいかということは実はわからないわけなのであります。そこで、どうしても策定いたしますと、諸般の関係から供給制限的な計画になる。要するに業者から見たら車が少ないんですから実車率が上がって非常に経営のしやすい形になるし、逆にお客さんから見たら非常にタクシーが拾いにくいという形になると思います。それが乗車拒否等がたくさん生まれた原因であったわけであります。  そこでオリンピックを迎えましたときを境目にいたしまして、一切大都市におきましては需給計画をつくらないということにいたしました。それを受けまして、つい数年前に運輸政策審議会バス・タクシーに関する答申の中でも、いわゆる大都市につきましては自由参入、自由脱退ということで、ある一つの料金水準を目安にいたしましてお客さんがタクシーをいかに選択するかあるいは業者のほうがタクシー事業というものにいかなる車を投入するか、どれだけ投入するかということはすべて市場原理にまかせるというふうにしてしまったわけでございます。その結果、六大都市におきましては特に東京などそうでありますけれども、法人の新免は全然ございません。増車もほとんどございません。そのかわり個人タクシーが大体年に二千件から三千件ぐらいふえておりますから、そちらのほうの面で供給はふえておりますけれども、法人の新免はございません。私どもは六大都市につきましては、したがいまして、もしも供給の余地があるならば申請をしてくるはずである。それが出てこないのは、大体供給力がバランスするからだというふうに考えまして、いわゆる役所が客観的といいますか、役所の立場で頭からこの都市は何万台、この都市は何千台という基準をつくることはやめたわけでございます。そのほうがかえって実勢に合って無理のない行政ができるというふうに考えたわけでございます。しかしながら地方の中小都市につきましては需給計画をつくろうと思いますならば、これはかなりまだつくるデータもございます。そしてまた需給計画を左右することによりまして輸送秩序を守ることも可能でございますので、五大都市以外の小、中諸都市につきましては陸運局がそのときどきの需給関係を見ながら需給調整をしている、こういう現況でございます。
  169. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  170. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 請願第一六四八号国鉄湖西線輸送力増強等に関する請願外十一件を議題といたします。  先ほどの理事会において審査いたしました結果、第一六四八号国鉄湖西線輸送力増強等に関する請願外六件は、議院の会議に付するを要するものとして、内閣に送付するを要するものとし、第一六六四号北陸新幹線年内着工に関する請願外四件は保留とすることに意見の一致を見ました。  なお、第一九六五号国鉄加古川線河合西駅の無人化中止等に関する請願につきましては、今後閑散線区、すでに無人化された駅及び将来無人化されることを予測される駅等を委員会として実情調査することとし、保留することになりました。  つきましては、理事会の審査のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会      —————・—————