○塚本三郎君 去る十四日行なわれました
三木総理の
所信表明演説に対しまして、私は、民社党を代表して、わが党の
立場を論じつつ
質問をいたします。
〔副
議長退席、
議長着席〕
田中内閣退陣後、庶民の声を代表する各新聞の投書を取り上げてみますと、三木新
内閣の登場は、何といっても、清潔ムードに期待する声が端的に表現されております。たとえば、三木さんは、まじめでうそを言わないからとか、三木さんの登場は、
田中首相の金脈問題によって生じた
政府・自民党への不信感をかき消すための苦肉の策とも思われる、あるいは、三木さんの清潔度を売りものにする自民党の巧妙な演出ぶりはさすがである、等々であります。
三木総理大臣、あなたは、私どもが多年
国民に約束し続けてまいった多くの事柄を、ちゅうちょすることなく取り上げておられる点では、与党の中では数少ない野党寄りの
政治家でありましょう。したがいまして、その
ことばたるやよし、三木さんがそれを軽々と口ずさんでおられることに好感と、さわやかささえ覚えます。だが、反面、私どもは少なからざる危惧の念を抱いております。
ことばは美しくあっても、はたしてそれが、いまのあなたに
実行できるであろうかとの危惧であります。
それは、過ぐる九日の組閣を見ましても、新
総理の
決意が、派閥の中の荒々しい
閣僚争奪戦によって、痛ましく食い散らされていく姿をまざまざと見せつけられたからでございます。(
拍手)もしそれ、新
総理の
政治姿勢として語られた、正直、清潔、誠実が
三木総理の本物の
決意であるならば、われらは、野党といえども政争に明け暮れるべきではなく、政策実現の時代へと姿勢を
転換せしめるべきだと申し上げておきます。要は、その述べておられることが、どれだけ
実行されるかにかかっております。
私ども民社党は、対決の姿勢ではなく、
三木内閣をして
実行せしめるの
方向で、もし必要とあれば、
協力も惜しまないし、多くの
国民が期待することであれば、よしんば一部の非難ありといえども、あえていとわない
決意であります。是は是、非は非として、いさぎよい議会
政治の新しい一ページを開くことに決してやぶさかではありません。(
拍手)
もはや三木さんの総論は十分わかりました。これからはそれを裏づけるための各論、すなわち
実行への数々の具体策こそ、いま
国民は両手を差し出して待ち受けております。したがって、直ちにその
立場から
質問をいたします。
質問の第一点は、
金権問題についてであります。
三木内閣出現の最大の
課題は、金脈問題にからむ
田中内閣の
政治不信から、自民党の威信回復をねらったものといえましょう。なればこそ、新
総理は清潔な
政治を第一番に打ち出されたに違いありません。われわれ野党は、引き続き自民党の金脈追及を申し合わせております。だが、一方において、
国民はそれ以上に、
インフレ抑止と
不況克服に最大の期待をかけていることも
否定できません。
田中総理が
責任を感じて辞職された今日、まさか御
自身が
国会の場で
国民に納得される釈明をされるとは思われません。私どもは、いつまでも
田中前
総理を追及することによって、
国会に混乱を招いたり、自民党を追い詰める手段に利用しようとは思っておりません。
よってこの際、われわれ野党から一々
質問と追及を受けるよりも、むしろ率先して
政府みずからが
調査をされ、把握せられている中身について、誤りはすなおに認めて、
国民の納得のいく説明を付して、われわれの前に進んで結末をはっきりとつけられることこそ、三木さんのおっしゃる清潔な
政治というべきではありませんか。その御
意思がおありかいなかを、まず伺わねばなりません。(
拍手)
質問の第二点は、
経済問題であります。
今日の最大の
政治課題は、
インフレの抑止でありましょう。年間三〇%を上回る
狂乱物価はさておくとしましても、年間一〇%を上回る様相もまた無
政府のそしりを免れません。したがって、この際、これが抑止のための具体的
提案をいたしますので、明快なる御
答弁をいただきたい。
その第一は、
公共料金の据え置きであります。
過日の
総理初記者会見の言をかりるまでもなく、今日の
経済社会は自由を基調としております。高い、安いの
価格決定は、全く業者の裁量にまかされております。その場合、ただ
一つ公共料金のみは、
政府の認可がなければ、たとえ一円たりとも値上げは許されません。
総理の手の中にあるものをまず押えておいて、しかる後に民間
企業に向かって、いましばらく値上げは待てと叫ぶことが、ものの順序ではありませんか。(
拍手)
最近の物価値上がりの主軸が
公共料金の値上げにあることは、すでに巷間に叫ばれております。自分の手の中のものを先に上げておいて、本来自由
価格である他人の品物だけを値上げするなと幾ら叫んでみても、
政府に
インフレ抑制の
意思なしと受け取るのは、けだし当然ではありませんか。もちろん、今日の公共
企業体の赤字が
危機的状態にあることの理由を私は知らないわけではありません。だがしかし、
政府みずからがその
立場を弁明することによって値上げを許すならば、民間
企業には、さらにさらに多くの値上げの理由が
用意されていることを覚悟しなければなりません。物価高の痛みは、まず
政府みずからがこれを受けとめることが絶対条件であり、それは値上げストップ以外にはありません。
公共料金の洗い直しはするが、値上げしないとの約束はしないと
総理は述べておられるが、これでは
インフレ抑止の第一歩からして、その
実行が危ぶまれます。
総理の御
決意のほどをあらためてお伺いしたい。
インフレ抑制の第二は、独禁法の
改正であります。
広く
社会的不公正の是正を求めると約束し、私の
実行力が求められていると受けとめておられる
三木総理の顔が、ごく一部の
国民といわれる
経済界から、多数の
国民の
方向に向きを変える一番大きな姿勢は、独禁法の
改正ではないかと思います。
とりわけ、
価格独占に対する
調査と告発の権限を公正取引委員会の専属告発にしているのを改めて、消費者の多くが、これは特別に高いとか、急激に
価格上昇が目立つ場合には、消費者にもその
企業に対する告発権を認めて、いやしくも不公正な
価格形成が行なわれることのないようにすることが、
改正の目玉であろうと信じます。この点が抜けたならば、画竜点睛を欠きます。そして言行不一致とならざるを得ないことは、さきの
狂乱物価のときの
国会審議で明らかにされたはずであります。この点、とくと
総理の御
決意のほどを伺わねばなりません。
インフレ抑止の第三は、銀行法の
改正であります。
昨年末、大
企業、大商社による物資買い占めと売り惜しみによって、
価格つり上げが大きな
社会問題とされ、本院においても参考人として各社長さんを招き、問題の
解明がなされました。その際、私ども民社党は、これら商社、大
企業の
経済活動のルールをはるかに逸脱した
行為が可能となっているのは、大きいことはいいことだと言わぬばかりに無制限に金を貸した銀行の貸し付けこそ、最大の犯人だときめつけてまいりました。(
拍手)
庶民大衆の金が銀行の窓口を通って商社に集中的に貸し付けられ、それが品物を買い占めて、値が上がるまで市中に流さない。
国民は、結果的には自分の金で自分の首を絞めることになり、その悪役を銀行が果たしていることを、本年一月末、私は本院予算委員会で論じたことであります。当時、
田中総理、三木副
総理立ち会いの上、福田大蔵
大臣が善処を約されたはずであり、しかも
金融制度
調査会、また、私の主張の線に沿った銀行法
改正の答申が
政府になされているはずであります。自己資本金わずか三・四%、借り入れ資金何と九六・六%、一社で一兆六千億円余の資金を握って、物資
価格の操作を思いのままにしている現代の怪物たる総合商社も、もとをただせば、すなわち銀行の貸し出し制度の悪用にこそ問題点があるというべきでありましょう。一品をも生産することなく、一物をも商うことのない
金融機関が、利息を払っているお客さまの間をこじ分け、押しのけて、町かどの特等地に宮殿のごとくそびえ立ち、
中小企業者をせせら笑うかのごとき威容を誇っている姿こそ、まさに二十世紀の魔物というべきではありませんか。(
拍手)そして大
企業がごっそり資金をまとめて先取りするから、
中小企業者が借り入れ申し込みにいっても、大
企業にほとんどを貸してしまって残りがありませんというのが真相でありましょう。それがまた物価高の最も大きな原因ともなっております。
この際、銀行は、自己資本金の一五%ないし二〇%以上は、同一
企業にはまとめて貸さないという民社党
提案の趣旨に沿った銀行法の
改正を、次の
国会に提出すべきだと思いますが、いかがでありましようか。
質問の第三点は、
不況の克服であります。
インフレ抑制と裏表をなしているものに
不況の克服があります。総需要
抑制の直接の影響を受けている
中小企業は、目下深刻な打撃を受けて、脆弱な体質のところはまさに将棋倒しの危局にさらされております。繊維、建設、木材加工、機械金属に至る広範な
不況は、労働者の雇用不安をも招きつつあり、さなきだにうすら寒い年の瀬に、さらに無情な失業の風が
中小企業の足元を冷やしております。
総需要
抑制によって仕事が少なくなったいま、大
企業はいままで下請、孫請に出していた仕事を、採算に合わないことを承知で、なお自分で取り上げて仕事を食いつないでおります。精一ぱいの設備と担保限度一ぱいの借金を背負って、仕事がなく、在庫をかかえて、工場内の草むしりをさせている
中小企業の
不況は、
社会不安をも招きかねない深刻さを増しつつあります。
私どもは、これが克服のために、次のごとき
緊急措置を要求し、
総理の
所信をただします。
その第一は、雇用保険法の成立であります。在庫が何カ月分もたまって、生産
価格を下回る出荷
価格とならざるを得ないとき、従業員の一時帰休を容易ならしめるため、給与支給額の三分の二をこの保険が支給する制度を、一刻も早く成立せしめる必要があります。前
国会では、本院を
通過したこの法律案が、参議院で成立寸前で流産のうき目にあってしまいました。したがって、本
臨時国会ではぜひ成立をせしめていただかねばなりません。
その第二は、
中小企業向けの仕事を与えることであります。設備と資材と労働力を持っておりながら仕事がなく、
企業からは工賃さえ支払えなくなり、社長
個人がいままでたくわえた
個人資産をこれに充てているのが、これら
中小零細企業の実態であります。
したがって、この際、
中小企業向けの需要喚起のために、庶民住宅の建設に一段の努力を払うべきだと信じます。庶民住宅はそのほとんどが
中小企業向けの仕事であり、かつ総合産業であるから、これが大幅な建設は、住宅不足にあえぐ都市
勤労者向けにも大いに歓迎されることでありましょう。
その第三は、備蓄機構の活用であります。需要が少ないから品物が余って在庫がふえ、売れないから値が下がっても荷物が流れていかない。結局、手形の決済ができなくて、
企業は倒産に追い込まれる。そのとき、ちょうど梅雨期にダムをつくって水をたくわえるように、品物も、ダムの水のごとく
政府が買い上げてこれを備蓄し、品不足のときにこれを放出することを予定し、備蓄機構にある程度の金を融資しておくことは、単に
不況克服の一面のみではなく、
インフレや品不足に備えるためにも、欠くことのできない制度であると思います。
政府は、この機構に融資することによって、
不況の谷の底を埋め、やがて
インフレによって品不足、物価高となった場合に、これを放出することによって、物価高の峰を低くすることを考えるべきだと信じます。業種によっては、こうした思い切った手を打つべきであると思うが、いかがでありましようか。
質問の第四は、公共
企業体とその労使
関係についてであります。
特に、国鉄のストと郵便の遅配は、物価高と
不況の中でさなきだにいら立たしい
国民の気持ちを、いやが上にもさかなでする役を果たしております。これは何とかならないのか、
政治家は何をしているのかという
政治不信をかき立てております。
最近の国鉄は、ストが慢性化しているだけではなく、定時に発着することが珍しくなってしまい、事故の続発も常習化しております。一方、郵便は、同一市内でさえも四、五日はかかるという、スピード時代には考えられないことが定着しており、あまつさえ、年末ともなれば、またぞろ滞貨の山が積まれることでありましょう。
これらのゆゆしい
事態の根本は、労使
関係の乱れにあることを指摘いたしたいのであります。私は、その
責任が労使のいずれにあるかを詰めようとは思いません。だが、一般民間
企業では考えられないような紛争が、
国民というお客さまを
犠牲にしつつ延々として何年も放置されており、その解決のめどさえ立っていないだけではなく、さらにどろ沼へと突き進みつつあることを憂うるものであります。(
拍手)
この際、公共
企業体の労使問題に対して、根本的に検討をし直すべきではあるまいか。私どもは、公共
企業体労働者のストライキの権利は、憲法に認められた労働者の基本的権利として回復すべきであり、その上で公共の
利益の
立場に立って、秩序を維持するために最小限の歯どめの
措置をすることは、やむを得ないと思います。
政府は、この際現行法を
改正する
意思はないかどうか、まずお尋ねをいたします。
反面、現行法律は一切のストライキ、サボタージュを
規制しております。しかるに、国鉄においては、十一月から一カ月の間に八日間もスト指令が出され、現に列車がとまり、また混乱を続けておりました。
政府は一体これをどう受けとめておられるのか。これは法律違反であるのに、
政府のどこからもとがめられず、昨年の暮れ以来どこでも処分をされておりません。いかなる違法
行為も全くのたれ流しで、もはや法律は形骸化してしまっております。
国労、動労は、あの上尾
事件以来、順法闘争から大きく
転換し、戦いの性格をストライキ
行動の一形態と規定づけて、減産闘争を指令しています。減産闘争というのは、文字どおり生産を減ずると言い、これはすなわちサボタージュと規定しても差しつかえないと指令をいたしております。また、労働者の抵抗における
最高の形態は、無期限に、しかも全労働者による労働の完全放棄であることは言うまでもないと指示しております。
これら国労、動労の指令に対応する
政府及び国鉄
当局がどんな対応策を持っているのか。減産闘争というサボタージュが、何の
規制も処分も行なわれない結果は、働かなくてもよいという気風や、検査や訓練をしなくても差しつかえないという気風を助長し、それが続発する事故と
関係がないと、はたして言い切れるでありましょうか。(
拍手)
職場規律よりも労働組合の指令が優先するの風潮は、郵便局内部にも顕著にあらわれております。郵便もまた、国鉄ダイヤと同じように配達のダイヤが組まれておりますが、全く守られる気配はありません。特に業務
規制闘争によって、郵便外務員が一日の配達分を持って出ながら、三分の一ぐらいで戻ってくることがしばしばであり、それが次々に配達を繰り延べ、遅延の最大の原因となっておるとさえ指摘する人が少なくありません。
郵政事業は、その九〇%が人件費であるとされているとき、そのような職場規律の乱れから遅配が山積し、非常勤配達員を多量に配置しなければならぬ状態となっており、それが郵便料金値上げの最も大きな原因となっていることは、郵政
当局が十分御承知のはずであります。労使間の乱れからばく大な郵便
財政の赤字を誘い、ついにはがき三十円、手紙五十円という形で、労使間の怠慢のしりを
国民の側に転嫁せんとすることは、許すことのできない問題であります。(
拍手)
まじめな職場の労働者に言わせしめれば、違法
行為が放任されて、だれからもとがめられず、反対に、まじめに責務を全うする者が反労働者として非難され、一方的にいやがらせを受けております。その根源は、信賞必罰をとり得ない管理体制にあるといわなければなりません。(
拍手)
かくて、島根県松江市においては、三日に一度より配達されていないことに怒り狂った一市民が、郵便局に行き傷害
事件を引き起こしたり、温泉地観光旅館組合が、ストによって足どめを食った結果、損害賠償を国鉄に求める運動が起きつつあることを、まさか
政府は知らないはずはありません。
総理は、従来の惰性に流れることなくと言明されたが、法を守り、
国民の生活を守る
立場から、正しい労使間の問題にどう対処されるつもりなのか、とくとその
決意のほどを伺いたい。(
拍手)
法治国家として許すべからざるいま
一つの問題は、
暴力事件であります。
さきの三菱重工、三井物産、帝人中央研究所、大成建設と続いた
企業爆破
事件は、師走のビジネス街に強い衝激を与えて、しかも、第五の
事件をも起こしかねない空気であります。しかも、その被害者は、全く無
関係な大衆を多数殺傷している、ことであり、いまだにその犯人逮捕の手がかりさえ発表されておりません。「狼」とか「大地の牙」とか称して事前に爆破を予告しているさまは、まさに
警察権力に挑戦するがごとき
態度であります。
政府は、
国民の不安と怒りを背景にして、総力をあげてこれが解決に乗り出していただかなければなりません。(
拍手)
それと同時に、学生間の内ゲバについても一言触れておかなければなりません。
きのうの夕刊によれば、十六日朝五時ごろ、高輪ハイツ三〇一号室に、鉄パイプ、まさかりなどを持った七、八人の男が乱入し、同室内で寝ていた四人の頭、顔などをめった打ちにして逃走した。このうち二人が両手、両足をまさかりでなぐられ重傷、一人が軽傷を負った。また同日同時刻ごろ、墨田区菅民マンション六〇四号室に鉄パイプなどを持った七、八人の男が乱入、寝ていた六人を鉄パイプでなぐりつけたあと、電話線を切断して逃走した。このため、寝ていた二人が重傷、四人が軽傷を負った。襲撃グループは侵入の際、付近の電柱四本の電話線を切断、このため二千四百回線が不通になり、回復には二日かかる、とあります。いずれもきのうの夕刊でございます。
彼らは攻撃目標に対する徹底した
調査を行ない、綿密な計画を練って相手の住居を襲撃、街頭で待ち伏せ急襲するなど、悪化の一途をたどっております。使用する凶器も、鉄パイプ、バール、まさかり、とびぐち、かけやなど、相手を殺傷するための武器が目立ち、攻撃方法も、全身を乱打、特に後頭部をねらうなど、相手を平然と殺してしまう残虐きわまりない始末であります。これはもう内ゲバではない、戦争であります。
新左翼の二大組織たる中核派と核マル派の組織をかけた血みどろの戦いは、すでに死者十数名、廃人同様の植物人間と化した若者、不具者、発狂者、自殺者の数は軽く百人をこえ、史上最も凄惨にして血みどろの抗争が、
学校の内外できょうも続いていることに目をおおってはなりません。(
拍手)彼らは、戦争ごっこによる組織の示威運動から死者が出るのもやむを得ないというぐあいにエスカレートし、ついには人を殺すことは必要なことだ、いいことだとさえ叫んでいるのであります。しかも、それが神聖なるべき
学校を中心に繰り返されているようであります。
学校は決して治外法権ではないはずであり、一般
社会以上に神聖であるべき学園が、
暴力事件の本拠につながっていることに驚きを禁じ得ません。
政府は、この爆弾
事件及び学生の内ゲバ
事件にどう対処されるのか、その
決意のほどを伺いたい。(
拍手)
最後に私は、
アメリカ海軍元艦長ラロック氏の証言によって、
日本に
核持ち込みを暗示した問題についてお尋ねをしなければなりません。
彼、ラロック氏の言によれば、私の乗っていたプロビデンスにしても、
日本周辺にいる第七艦隊のオクラホマシティーにしても、明らかに核を積載する能力を持っており、そのような船が外国の港に入るとき、一々
核兵器を取りはずして入港するなどということは、専門家としては考えられないことであると語り、
日本だけが
非核三
原則をたてにとって核をはずせということは、船の安全上の理由からしてたいへんなことだといわなければなりません。
なぜなれば、もし米国の艦船が
日本の港に入る前に核を取りはずさねばならぬとすれば、食糧や燃料を積みかえる場合と異なり、まかり間違うと広島がもう
一つ吹っ飛んでしまうような大惨事になりかねません。積みかえの際の事故が過去にももちろんありました。私のあとでプロビデンス号の艦長となり、第七艦隊の副司令官までつとめたレンプラント・ロビンソン提督は、五年前、ベトナム沖でこの積みかえ作戦に従事していた際死亡しましたと彼は語っております。
核兵器積載の米軍艦が
日本寄港の際、一々核弾頭をはずすための積みかえが危険な作業であり、それはできない相談だと、
核持ち込みを暗示しております。
核持ち込みの問題は、ラロック氏のみならず、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど、
アメリカの新聞が相次いでその事実を指摘しており、核の神話のベールを一枚一枚はぎ取りつつあり、そのたびに危険な真相が明るみにさらけ出されつつあります。このとき、正直を誓われた
三木総理の御
答弁が、
アメリカ政府が
日本に約束していることをもって、
日本外交の中心に置きたいとのきのうの御
答弁は、三木さんにしてはあまりにも歯切れが悪過ぎるではありませんか。
先月十九日、
アメリカのフォード大統領来日の際、民社党春日委員長は、同大統領に対して、ラロック証言をめぐる米国の
核持ち込みに対する
日本国民の
疑惑を
一掃するため、この際フォード大統領が
日本の
非核三
原則を尊重し、
事前協議によって
日本の承認がある場合のほかは、
核兵器を一切持ち込まない旨を明らかにされたい、そのことは、核
通過にあたっても同様であることを明らかにされたいとの
質問をいたしました。大統領は、
日本国民の核に対する
国民感情をよく理解した、よって、
日本国民の
疑惑を解消するよう努力する、核の
通過問題についても同様であるとの回答を得ました。したがって、
三木総理は、積極的に両国
政府間で
疑惑解明のための処理を明らかにする
義務があると信じますが、いかがでありましょうか。(
拍手)
それとともに、
被爆者に対しまして、一刻も早く
被爆者援護法を制定しなければなりません。核に対する不信から
日米間にあらぬ
疑惑を生み、摩擦を増大させていることは、
日米の友好と親善にとって決して好ましいことではありません。
その意味からも、私ども民社党は、その土台に横たわる
日米安保条約について再検討を行ない、
米軍基地を撤去せしめるための駐留なき
安保条約に改定することが、いまこそ必要なときがやってきたと信じております。
三木総理の
所信のほどをただして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣三木武夫君
登壇〕