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1974-12-14 第74回国会 衆議院 本会議 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十九年十二月十四日(土曜日)
—————————————
開 会 式 午前十時五十九分
参議院議長
、
衆議院参議院
の副
議長
、
常任委員長
、
議員
、
内閣総理大臣
その他の
国務大臣
及び
最高裁判所長官
は、
式場
である
参議院議場
に入り、所定の位置に着いた。 午前十一時
天皇陛下
は、
衆議院議長
の前行で
式場
に入られ、お席に着かれた。
衆議院議長
は、左の
式辞
を述べた。 …………………………………
天皇陛下
の御臨席をいただき、第七十四回
国会
の
開会式
をあげるにあたり、
衆議院
及び
参議院
を代表して、
式辞
を申し述べます。 先般の
列国議会同盟東京会議
が多大の
成果
をおさめ、
世界
の平和と
国際協調
の
推進
に貢献し得たことは、御同慶にたえません。
現下内外
の
情勢
は、きわめて重大であります。われわれは、この際、
決意
を新たにし、当面する諸問題に対処してすみやかに適切な
施策
を講じ、
国民生活
の
安定向上
につとめなければなりません。 ここに、
開会式
を行うにあたり、われわれに負荷された
使命達成
のために最善をつくし、もつて
国民
の委託にこたえようとするものであります。 ………………………………… 次いで、
天皇陛下
から左のお
ことば
を賜わった。 ………………………………… 本日、第七十四回
国会
の
開会式
に臨み、全
国民
を代表する諸君と親しく一堂に会することは、わたくしの喜びとするところであります。
現下
の
内外
の
情勢
は、極めて多端であります。この間に処して、諸外国との
友好親善
を深め、国運の進展と
国民生活
の
安定向上
を図るためには、全
国民
が相
協力
して、今後一層
努力
をすることが必要であると思います。 ここに、
国会
が、当面の諸問題を
審議
するに当たり、国権の
最高機関
として、その
使命
を遺憾なく果たし、
国民
の信託にこたえることを切に望みます。 …………………………………
衆議院議長
は、お
ことば書
をお受けした。 午前十一時六分
天皇陛下
は、
参議院議長
の前行で
式場
を出られた。 次いで、一同は
式場
を出た。 午前十一時七分式を終わる
————◇—————
昭和
四十九年十二月十四日(土曜日)
—————————————
議事日程
第二号
昭和
四十九年十二月十四日 午後一時
開議
一
国務大臣
の
演説
—————————————
○本日の
会議
に付した
案件
議院運営委員長佐々木秀世
君
辞任
の件
議院運営委員長外
四
常任委員長
の
選挙
三木内閣総理大臣
の
所信
に関する
演説
大平大蔵大臣
の
財政
に関する
演説
午後一時四分
開議
前尾繁三郎
1
○
議長
(
前尾繁三郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
議院運営委員長辞任
の件
前尾繁三郎
2
○
議長
(
前尾繁三郎
君) おはかりいたします。
議院運営委員長佐々木秀世
君から、
委員長
を
辞任
いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
前尾繁三郎
3
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、許可するに決しました。
————◇—————
常任委員長
の
選挙
前尾繁三郎
4
○
議長
(
前尾繁三郎
君) つきましては、
議院運営委員長
の
選挙
を行なうのでありますが、すでに
大蔵委員長
、
文教委員長
、
農林水産委員長
及び
懲罰委員長
が欠員となっておりますので、この際、
議院運営委員長外
四
常任委員長
の
選挙
を行ないます。
森喜朗
5
○
森喜朗
君 各
常任委員長
の
選挙
は、その手続を省略して、
議長
において指名されんことを望みます。
前尾繁三郎
6
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
森喜朗
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
前尾繁三郎
7
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
動議
のごとく決しました。
議長
は、各
常任委員長
を指名いたします。
議院運営委員長
田澤 吉郎君 〔
拍手
〕
大蔵委員長
上村千一郎
君 〔
拍手
〕
文教委員長
久保田円次
君 〔
拍手
〕
農林水産委員長
澁谷 直藏君 〔
拍手
〕
懲罰委員長
島村
一郎
君 〔
拍手
〕
————◇—————
国務大臣
の
演説
前尾繁三郎
8
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
内閣総理大臣
から
所信
に関する
演説
、
大蔵大臣
から
財政
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣三木武夫
君。 〔
内閣総理大臣三木武夫
君
登壇
〕
三木武夫
9
○
内閣総理大臣
(
三木武夫
君) このたび、私は、
内閣総理大臣
に任命され、
内外情勢
のきわめて重大な
時局
に、まことに重い
使命
を帯びることになりました。 私の力の限りを尽くし、全身全霊を打ち込んで、
難局打開
に当たる
覚悟
であることは申すまでもありませんが、
議員
の
皆さん
の、そして、
国民
の
皆さん
の御
理解
と御
協力
なくしては、とうていこの
難局
は乗り切れるものではありません。まず第一に、その御
理解
と御
協力
を切にお願い申し上げる次第であります。(
拍手
)
国際通貨秩序
の動揺、
食糧不足
、
石油危機
などに端を発し、
世界的インフレ
の進行、ひいては
政治的不安定化
など、まことに深刻な問題が生じております。 今日の
世界各国
の
相互依存度
の深さは、全
世界
にわたってその
影響
を拡大する結果になっております。
インフレ
、
不況
、
通貨
、
エネルギー
、
資源
、
食糧
どの
一つ
をとってみても、問題は
相互
にからみ合って、
各国
の
個別的努力
だけではとうてい
解決
できるものではありません。
国際的協力
なくして
解決
できるものは、何
一つ
ありません。 特に、
資源
の乏しい
わが国
にとりましては、
個別的努力
も
国際的協力
も
他国
に倍して行なわなければならないのが
わが国
の状態でございます。しかも、それらは、全
世界的協力
に基づく新しい
世界秩序
の
形成
なくしては
解決
されない性質のものであります。 私は、今日の
事態
を、いたずらに悲観的に見ようとするものではありませんが、ただ冷厳なる
現実
を直視した
共通
の
危機感
の中からこそ、
解決策
が生まれてくると信じておるからであります。
政治
も
経済
も、従来の惰性に流されていたのでは、
日本
はたいへんなことになります。
世界
もまたたいへんなことになるというのが、私の深い憂いであります。 しかし、今日、
難局
に直面して思うことは、われわれの
先人
が、明治維新、第二次大戦における敗戦という、大きな困難をみごとに乗り越えてきた事実であります。それは、われわれの
先人
が勇気、知恵、
忍耐
をもって、献身的に
努力
したからであります。われわれには、
先人
の偉大なる業績を継承する
責任
があり、また、
日本
の
歴史
を顧みれば、われわれの文化に深い
潜在力
があるということに対して
自信
を持つものであります。 また、
アジア
における
近代的国家
として、百年の
歴史
を重ねてきた
日本
と
日本
人が、
難局
を乗り越えて、次の百年の
歴史
を築き上げることは、
アジア
に生きるものの
責任
であり、それこそが、
世界
全体の新しい
秩序形成
の
いしずえ
となるに違いありません。 私は、こうした深い憂いとともに、希望と
自信
をもって
国民
の声、
世界
の声に耳を傾け、狂欄怒濤の
世界
に、誤りなく
日本
丸のかじをとる
使命
を果たしたいと存じておるものでございます。(
拍手
)こうした
時局認識
と
決意
をもとにして、
国民
の戸と、
世界
の声とが、最も強く求めているものとして、私の耳に強く響いてくる二点にしぼって、今回は私の
所信
を申し上げることにいたします。まず、
国民
の声は、
インフレ克服
と
不況防止
による
経済
の安定と、広く
社会
的不公正の是正を求めております。そこに私の
実行力
が求められていると受けとめております。私はそれにこたえる
決意
であります。また、
世界
の声は、
日本
の
内閣
の交代によって
日本外交
の
基本政策
が変わるのかどうかということを問うております。第一点の
国民
の声、
インフレ
と
不況
の問題についてであります。それは、
世界共通
の問題でありますが、
日本
にとっては、他の
先進工業諸国
に比較して、特に深刻であるという要素が幾つかあります。
石油
の例に明らかなごとく、
日本
は、燃料、原料、
食糧
、飼料の
重要部分
を
輸入
に依存せざるを得ない、
資源
の乏しい国であります。たよるものは、
日本国民
の
勤勉
、
技術
、頭脳のみであります。また、
石油
の例に見るごとく、その
輸入品
がことごとく値上がりしてまいりました。
日本
の
高度経済成長
をささえた、ドルさえ出せば、いつでも、どこからでも、何でも安く買えたという支柱は、消えうせてしまいました。
日本
は高い
資源
を
輸入
しなければなりません。それだけでも
物価
を押し上げる
要因
になります。 その上に、
インフレ心理
、
流通機構
上のネック、
賃金
と
物価
の
悪循環
、
価格決定
のメカニズムなど、いろいろな
要因
が重なり合ってさらに
物価
を押し上げております。 それゆえに、
日本
の場合は、
他国
以上に
資源
の
節約
をはからなければなりません。
政府
の
経済政策
も、
安定成長
の
路線
に切りかえ、
資源輸入
を
節約
し、
財政支出
も切り詰めなくてはなりません。しかし、それが程度を越せば、
不況
を深刻にし、大きな
社会
問題を引き起こします。現に倒産も少なくありません。 私は、総
需要抑制政策
の
ワク組み
はくずしてはならぬという
考え
でありますが、その
ワク組み
の中では、実情に応じ、きめこまかい
現実政策
もとらなくてはならないという
考え方
であります。それは、ただただ現状を
維持
するための単なるてこ入れではなく、その間に
日本経済
の
体質
を
改善
し、従来立ちおくれている部門を強化するという、積極的、
建設的精神
が働かなければならぬと
考え
ております。
経済
の
体質改善
の
努力
と並んで、私の重要視するのは、
社会
の公正を期するということであります。三十年もこつこつつとめあげてきた
人々
が退職後の
生活設計
が立たないというような
事態
は、決して公正とはいえません。 また、
物価騰貴
により最も深刻な
影響
を受けるものは、
生活保護世帯
、
老人
、
心身障害者
、
母子世帯
などであります。これら
社会
的、
経済
的に弱い立場の
人々
の
生活
の安定をはかるための一そうきめこまかい
福祉施策
の
推進
、
老人
が安心して老後を送ることのできる
社会
を実現しなければ、公正がはかられたとは申せません。
賃金
の問題にしましても、
労使双方
に対し、節度を求める反面、
消費者物価
の
上昇
を極力抑制することが公正の
精神
であると思います。 以上の
基本的考え方
に基づいて、
財政金融政策
はもとより、
流通
、輸送、独禁法、
公共料金
など、
関連要因
を総ざらいして、
総合的計画
のもとにあらゆる
対策
を
推進
するため、十二月十日の初の
定例閣議
で、
政府部
内に
経済対策閣僚会議
を設置することをきめ、
一大物価作戦
を
福田
副
総理統括
のもとに展開する
決意
であります。(
拍手
) さらに長期的将来を
考え
れば、
経済
の
量的拡大
より
質的向上
を、
生活
の
物質的充足
より
精神
的豊かさを追求し、
社会
的公正を確保し、活力と
自信
にあふれた
社会
の
建設
に全力を傾けたいと存じております。(
拍手
) 次に、第二点の
世界
の声に対する私の
所信
を申し上げたいと存じます。
三木内閣
にかわっても、
わが国
の
外交
の
基本路線
は、不変、不動であるということであります。
日米友好関係
の
維持
、強化が
日本外交
の基軸であることにいささかの
変化
もありません。先般は、百年余の
日米修好史上
初めて現職の
大統領
として
フォード大統領
が訪日され、
両国関係
を一そう
発展
させるための
共同声明
が発表されました。私はその
精神
を忠実に履行する
決意
であります。 しかし、
日米友好関係
の
維持発展
を重視するからといって、それは決して他の国々との
関係
をおろそかにすることを意味するものではありません。
日中関係
につきましては、
昭和
四十七年九月二十九日の
日中共同声明
の諸
原則
を誠実に履行し、
日中平和友好条約
の締結を促進いたします。
日ソ関係
につきましては、
平和条約
を締結するという懸案に、積極的に取り組む
所存
であります。 また、
わが国
の平和と安全を確保するためには、
アジア地域
の平和と安定が必要であることは言うまでもありません。
わが国
としては、特に
主権尊重
、
内政不干渉
と互恵平等の
精神
に基づき、
日韓関係
をはじめ、全
アジア諸国
との間も
友好関係
を一そう強めてまいる強い
決意
であります。それが
アジア
・
太平洋地域
の安定に貢献するものであることを深く確信するからであります。 また、
欧州諸国
との
協調
をさらに深めることはもとより、中近東、アフリカ、中南米などの
発展途上諸国
との
協力関係
を一そう増進すべく
努力
する
所存
であります。
最後
に、
エネルギー
問題の
国際努力
について一言申し述べたいと存じます。
わが国
は、
世界最大
の
石油輸入国
の
一つ
であります。
エネルギー源
としての
石油依存度
もきわめて高いものがあります。また、
石油消費
も
産業用
が大
部分
を占めるというところに
わが国
の特徴があります。 それがゆえに、
石油輸入
の
国際協力
につきましては、
物価
問題と同様に、
日本
には特別の困難な問題があり、
他国並み
に
輸入量
を減らすのには、
他国
以上に
経済的犠牲
を払わなければならぬという事情があるわけであります。 この問題に関しては、私は、特に二点を指摘して
国民
並びに
世界
の注意を喚起しておきたいと存じます。 第一は、
日本
は、今後、
国民
の
理解
と
協力
のもとに
石油
の
節約
をはからなければなりませんが、それは
他国
の
圧力
によってやるのではなく、
日本経済
の必要上
節約
せざるを得ないということであります。その結果として
国際協調
にも役立つわけであります。 第二は、
石油
の
消費節約
は、
産油国
に
圧力
をかける
消費国
の
共同戦略
としてやるのではなく、
人類
の共有する貴重なる
石油資源
を、
消費国
も
産油国
も共同して合理的に活用しようという、全
人類的発想
の産物でなければならぬということであります。 以上、私は、
国民
の声と
世界
の声の一番大きな問題にしぼって
所信
を申し述べました。 今日、
わが国
は、
内外
を問わず、未
曽有
の
試練
に直面しており、
政治
の
使命
はいよいよ重大であります。このときにあたり、
国民
の
政治
に対する
信頼
がそこなわれようとしていることは、私の最も憂慮しているところであります。 私は、戦前戦後を通じて、三十七年余にわたり、
議会政治家
として、微力を国政にささげてまいりました。
政治
が
国民
の
信頼
にささえられていない限り、いかなる
政策
も実を結び得ないことは、私が身をもって痛感してきたところであります。
国民
の心を
施政
の根幹に据え、
国民
とともに歩む
政治
、
世界
とともに歩む
外交
、これは、
政治
の
原点
であり、
政治
の心であります。
政治
は、力の対決ではなく、対話と
協調
によってこそ進められなければならぬというのが私の強い信念であります。(
拍手
) 私は、新しい
政治
の出発にあたり、この
原点
に立ち返り、謙虚に
国民
の声を聞きつつ、清潔で偽りのない誠実な
政治
を実践し、
国民
の
政治
に対する
信頼
を回復することに精魂を傾けることを誓います。(
拍手
) なお、
政府
は、本
臨時国会
に、
人事院勧告
に基づく
公務員給与
の
改善
、
生産者米価
の
引き上げ
に伴う
食糧管理特別会計繰り入れ
など、当面
財政措置
を必要とする諸
案件
につき、
所要
の
補正予算
及びこれに関連する諸
法案等
を提出し、御
審議
を願いたいと存じます。 以上、
所信
の
一端
を申し述べましたが、
施政
の全般については、
明年度予算
を中心として具体化し、
通常国会
において、その
審議
をお願いする
所存
でございます。
最後
に、重ねて
議員
の
皆さん
の、そして
国民
の
皆さん
の御
理解
と御
協力
をお願い申し上げまして、私の
所信
の表明を終わる次第であります。(
拍手
)
—————————————
前尾繁三郎
10
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
大蔵大臣大平正芳
君。 〔
国務大臣大平正芳
君
登壇
〕
大平正芳
11
○
国務大臣
(
大平正芳
君) ここに、
昭和
四十九年度
補正予算
を提出するにあたり、その大綱を御説明申し上げ、あわせて、最近の
内外経済情勢
と当面の
財政金融政策
につき、
所信
の
一端
を申し述べたいと存じます。 今次
補正予算
に計上いたしました
経費
は、
人事院勧告
の
実施
に伴う
公務員給与改善費
、
災害復旧等事業費
、米の
政府買い入れ価格
の
引き上げ等
に伴う
食糧管理特別会計
への
繰り入れ
の
追加
、
公立文教施設
及び
社会福祉施設
の
建築単価
の
改定
、
福祉年金等
の
年金額
の
改定実施期日
の繰り上げ等及び
生活扶助基準等
の
引き上げ
に伴う
経費
の
追加
、
医療費
の
改定
、
義務教育費国庫負担金等
の
義務的経費
の
追加
、
所得税
及び
法人税
の
増収等
に伴う
地方交付税交付金
の
追加等
、緊要にしてやむを得ないものに限定いたしております。これらによる
歳出追加額
は二兆二千六百八十六億円にのぼっておりますが、他方、
既定経費
の節減五百九億円及び
予備費
の減額千百九十億円を修正減少することといたしておりますので、
歳出予算補正
の
規模
は、差し引き二兆九百八十七億円となっております。この
補正規模
は、相当巨額なものでありますが、
歳出
の内容は、
人事院勧告
の
完全実施
、
災害復旧事業
、
地方交付税交付金
の
追加計上等
、今日の
状況
のもとにおきまして真にやむを得ないもののみでございます。
歳入
につきましては、租税及び
印紙収入
の
増加見込み額
一兆六千百二十億円、その他
収入
の
増加見込み額
二千百七十六億円を
追加
計上いたしますほか、
地方交付税交付金
の四十八年度
精算額
に相当する前年度
剰余金受け入れ
二千六百九十一億円を加え、合計二兆九百八十七億円を計上することといたしております。 この結果、
昭和
四十九年度
一般会計予算
の総額は、
歳入歳出
とも十九兆千九百八十一億円となります。 なお、
特別会計
及び
政府関係機関
につきましても
所要
の
予算補正
を行ないますとともに、
財政投融資
につきましても、
追加措置
を講ずることといたしております。 何とぞ、
関係
の
法律案
とともに、御
審議
の上、すみやかに御賛同賜わりますようお願い申し上げます。 この機会に、最近の
内外経済情勢
と当面の
財政金融政策
について一言申し述べたいと存じます。 今日、
世界経済
はかつてない激動の時期を迎え、
世界
的な
規模
で進行する
インフレ
ーションのもとで、
景気
の後退と失業の増大が次第に深刻化いたしております。そうした中にありまして、
各国政府
は、いかにして
不況
を招来することなく
インフレ
を収束させるかというきわめて困難な
課題
に取り組んでおりますが、いずれの国も十分その
成果
をあげているとは言えない
状況
でございます。また、
石油価格等
の
高騰
を
契機
として、
各国
の
国際収支構造
は急激に
変化
し、
国際収支
の不均衡がこれまた
世界
的な
規模
で生じております。 このような
状況
を乗り切るためには、
各国
が
国際協調
の
精神
に立脚して
忍耐
強く、かつ、冷静に
事態
に対処してまいることが不可欠の前提であると思います。
わが国
といたしましてもみずからの足場を固めつつ、あらゆる
分野
で
国際協調
の
原則
を貫き、
世界経済
の新たな
秩序
の確立に積極的な
役割り
を果たしてまいらなければならないと
考え
ております。 次に、当面の
国内経済
の
運営
について申し述べます。 昨秋の
石油危機
を
契機
といたしまして、
物価
は異常な
高騰
を示すとともに、
国際収支
は大幅な赤字を記録するに至りました。そこで、
政府
は、
物価
の安定を最重点の
政策目標
といたしまして、
財政
、
金融両面
にわたるきびしい総
需要抑制策
を
実施
してまいりました。こうした
政策
の効果が、
国民
の
協力
を得まして
経済
の各
分野
に逐次浸透いたしました結果、今春以降
物価
の騰勢は鈍化し、
卸売り物価
、
消費者物価
とも
鎮静化
の傾向をたどりつつあります。また、
国際収支
におきましても
貿易収支
は黒字に転じ、
長期資本収支
もかなりの
改善
を見るに至っております。 かくして、
需要超過
による
インフレ
の高進は回避されつつありますけれども、
インフレ心理
はなお根強く、かつ、
賃金
その他
物価
を押し上げる
要因
は依然として強く働いております。また、これまでのように
生産性
の
向上
をはかることが困難な
状況
のもとでは、
賃金
の著しい
上昇
は
物価
の
高騰
を招き、
国際競争力
の低下をもたらすことが懸念されるのであります。このような
賃金
と
物価
の
悪循環
を断ち切り、
経済
を安定した軌道に乗せるためには、
国民各層
の節度ある
対応
が期待されますが、
政府
としては、何よりもまず
物価
の安定に最大限の
努力
を傾注し、
国民
の期待するような実績をあげてまいらなければならないと
考え
ております。 さらに、
石油
などの
資源
や
食糧
について、その
価格
と需給の安定は、にわかには期待できないばかりか、ますます重要な
課題
になってきております。こうした
状況
のもとでは、
国民
の一人一人が
資源
の
節約
とその活用に努めますとともに、
政府
におきましても
わが国経済
の省
資源化
をはかるべく一層の
努力
を傾けなければなりません。なお、
資源
問題に対処する過程におきましては、
環境問題労働力問題等
への
対応
と相まちまして、
わが国経済
の
成長
のテンポを適正な範囲にとどめなければならないことも、いわば大方のコンセンサスになってきたものと
考え
ます。 以上申し述べますような
状況
のもとにおきまして、
政府
は引き続き抑制的な
基調
のもとで
経済
の
運営
をはかってまいらなければならないと
考え
ております。すなわち、
金融引き締め基調
を
維持
いたしますとともに、五十年度
予算
につきましても、でき得る限り
予算規模
の圧縮をはかる等、抑制的な姿勢を貫いてまいる
所存
でございます。 このように、
政府
は、
経済
の
運営
にあたり、抑制的な
基調
を堅持しておりますが、これによって、
社会
的、
経済
的に恵まれない方々や健全な経営につとめてまいりました
中小企業等
に不当なしわ寄せが生ずることのないよう極力配慮してまいりました。今後とも、
物価
や
景気
の
動向
を十分注視しつつ、必要に応じ、きめこまかい
措置
を講じてまいる
考え
であります。
現下
の
わが国経済
が直面している諸問題は、
内外
の
経済環境
の
変化
に伴いまして生じた複雑かつ錯綜した諸
要因
に基づくものであるだけに、その
解決
は決して容易ではございません。したがって、われわれは相当長期間にわたってもろもろの
試練
に耐え、
不撓不屈
の
努力
をもって
経済
の足固めに専念する
覚悟
が肝要であると
考え
ます。
わが国
は、
勤勉
にして
知識水準
の高い
国民
と近代的かつ先進的な
技術
で装備された
工業生産力
を持っております。また、
わが国経済
の
動向
は
国際経済社会
において大きな
影響力
を持つに至っております。したがいまして、
わが国
が適切な
経済運営
をはかってまいりますことは、
ひとりわが国
のみならず、ひいては
世界経済
の安定と
発展
に寄与することになるものと
考え
ます。このような自覚と自負を持ちまして、われわれが当面する
難局
を乗り越えていくならば、外にあっては
各国
の
信頼
を集め、内にあっては堅実にして安らぎのある
社会
を
建設
することが可能になると確信するものであります。
国民各位
の御
理解
と御
協力
を切にお願い申し上げる次第であります。(
拍手
)
————◇—————
森喜朗
12
○
森喜朗
君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来たる十六日午後一時より本
会議
を開きこれを行なうこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
前尾繁三郎
13
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
森喜朗
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
前尾繁三郎
14
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
動議
のごとく決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十八分散会
————◇—————
出席国務大臣
内閣総理大臣
三木
武夫
君 法 務 大 臣 稻葉 修君 外 務 大 臣 宮澤 喜一君 大 蔵 大 臣
大平
正芳
君 文 部 大 臣 永井 道雄君 厚 生 大 臣 田中 正巳君 農 林 大 臣
安倍晋太郎
君
通商産業大臣
河本 敏夫君 運 輸 大 臣 木村 睦男君 郵 政 大 臣 村上 勇君 労 働 大 臣 長谷川 峻君 建 設 大 臣 仮谷 忠男君 自 治 大 臣
福田
一君 国 務 大 臣
井出一太郎
君 国 務 大 臣 植木
光教
君 国 務 大 臣 小沢 辰男君 国 務 大 臣 金丸 信君 国 務 大 臣
佐々木義武
君 国 務 大 臣 坂田 道太君 国 務 大 臣
福田
赳夫君 国 務 大 臣 松澤 雄藏君
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