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1974-12-14 第74回国会 衆議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十二月十四日(土曜日)     —————————————     開 会 式 午前十時五十九分 参議院議長衆議院参議院の副議長常任委員長議員内閣総理大臣その他の国務大臣及び最高裁判所長官は、式場である参議院議場に入り、所定の位置に着いた。 午前十一時 天皇陛下は、衆議院議長の前行で式場に入られ、お席に着かれた。 衆議院議長は、左の式辞を述べた。     …………………………………   天皇陛下の御臨席をいただき、第七十四回国会開会式をあげるにあたり、衆議院及び参議院を代表して、式辞を申し述べます。   先般の列国議会同盟東京会議が多大の成果をおさめ、世界の平和と国際協調推進に貢献し得たことは、御同慶にたえません。   現下内外情勢は、きわめて重大であります。われわれは、この際、決意を新たにし、当面する諸問題に対処してすみやかに適切な施策を講じ、国民生活安定向上につとめなければなりません。   ここに、開会式を行うにあたり、われわれに負荷された使命達成のために最善をつくし、もつて国民の委託にこたえようとするものであります。     ………………………………… 次いで、天皇陛下から左のおことばを賜わった。     …………………………………   本日、第七十四回国会開会式に臨み、全国民を代表する諸君と親しく一堂に会することは、わたくしの喜びとするところであります。   現下内外情勢は、極めて多端であります。この間に処して、諸外国との友好親善を深め、国運の進展と国民生活安定向上を図るためには、全国民が相協力して、今後一層努力をすることが必要であると思います。   ここに、国会が、当面の諸問題を審議するに当たり、国権の最高機関として、その使命を遺憾なく果たし、国民の信託にこたえることを切に望みます。     ………………………………… 衆議院議長は、おことば書をお受けした。 午前十一時六分 天皇陛下は、参議院議長の前行で式場を出られた。 次いで、一同は式場を出た。    午前十一時七分式を終わる      ————◇————— 昭和四十九年十二月十四日(土曜日)     —————————————  議事日程第二号   昭和四十九年十二月十四日     午後一時開議  一 国務大臣演説     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議院運営委員長佐々木秀世辞任の件  議院運営委員長外常任委員長選挙  三木内閣総理大臣所信に関する演説  大平大蔵大臣財政に関する演説     午後一時四分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議院運営委員長辞任の件
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) おはかりいたします。  議院運営委員長佐々木秀世君から、委員長辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  常任委員長選挙
  5. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) つきましては、議院運営委員長選挙を行なうのでありますが、すでに大蔵委員長文教委員長農林水産委員長及び懲罰委員長が欠員となっておりますので、この際、議院運営委員長外常任委員長選挙を行ないます。
  6. 森喜朗

    森喜朗君 各常任委員長選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  7. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。議長は、各常任委員長を指名いたします。         議院運営委員長 田澤 吉郎君   〔拍手〕           大蔵委員長 上村千一郎君   〔拍手〕           文教委員長 久保田円次君   〔拍手〕         農林水産委員長 澁谷 直藏君   〔拍手〕           懲罰委員長 島村 一郎君   〔拍手〕      ————◇—————  国務大臣演説
  9. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 内閣総理大臣から所信に関する演説大蔵大臣から財政に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣三木武夫君。   〔内閣総理大臣三木武夫登壇
  10. 三木武夫

    内閣総理大臣三木武夫君) このたび、私は、内閣総理大臣に任命され、内外情勢のきわめて重大な時局に、まことに重い使命を帯びることになりました。  私の力の限りを尽くし、全身全霊を打ち込んで、難局打開に当たる覚悟であることは申すまでもありませんが、議員皆さんの、そして、国民皆さんの御理解と御協力なくしては、とうていこの難局は乗り切れるものではありません。まず第一に、その御理解と御協力を切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)  国際通貨秩序の動揺、食糧不足石油危機などに端を発し、世界的インフレの進行、ひいては政治的不安定化など、まことに深刻な問題が生じております。  今日の世界各国相互依存度の深さは、全世界にわたってその影響を拡大する結果になっております。インフレ不況通貨エネルギー資源食糧どの一つをとってみても、問題は相互にからみ合って、各国個別的努力だけではとうてい解決できるものではありません。国際的協力なくして解決できるものは、何一つありません。  特に、資源の乏しいわが国にとりましては、個別的努力国際的協力他国に倍して行なわなければならないのがわが国の状態でございます。しかも、それらは、全世界的協力に基づく新しい世界秩序形成なくしては解決されない性質のものであります。  私は、今日の事態を、いたずらに悲観的に見ようとするものではありませんが、ただ冷厳なる現実を直視した共通危機感の中からこそ、解決策が生まれてくると信じておるからであります。政治経済も、従来の惰性に流されていたのでは、日本はたいへんなことになります。世界もまたたいへんなことになるというのが、私の深い憂いであります。  しかし、今日、難局に直面して思うことは、われわれの先人が、明治維新、第二次大戦における敗戦という、大きな困難をみごとに乗り越えてきた事実であります。それは、われわれの先人が勇気、知恵、忍耐をもって、献身的に努力したからであります。われわれには、先人の偉大なる業績を継承する責任があり、また、日本歴史を顧みれば、われわれの文化に深い潜在力があるということに対して自信を持つものであります。  また、アジアにおける近代的国家として、百年の歴史を重ねてきた日本日本人が、難局を乗り越えて、次の百年の歴史を築き上げることは、アジアに生きるものの責任であり、それこそが、世界全体の新しい秩序形成いしずえとなるに違いありません。  私は、こうした深い憂いとともに、希望と自信をもって国民の声、世界の声に耳を傾け、狂欄怒濤の世界に、誤りなく日本丸のかじをとる使命を果たしたいと存じておるものでございます。(拍手)こうした時局認識決意をもとにして、国民の戸と、世界の声とが、最も強く求めているものとして、私の耳に強く響いてくる二点にしぼって、今回は私の所信を申し上げることにいたします。まず、国民の声は、インフレ克服不況防止による経済の安定と、広く社会的不公正の是正を求めております。そこに私の実行力が求められていると受けとめております。私はそれにこたえる決意であります。また、世界の声は、日本内閣の交代によって日本外交基本政策が変わるのかどうかということを問うております。第一点の国民の声、インフレ不況の問題についてであります。それは、世界共通の問題でありますが、日本にとっては、他の先進工業諸国に比較して、特に深刻であるという要素が幾つかあります。石油の例に明らかなごとく、日本は、燃料、原料、食糧、飼料の重要部分輸入に依存せざるを得ない、資源の乏しい国であります。たよるものは、日本国民勤勉技術、頭脳のみであります。また、石油の例に見るごとく、その輸入品がことごとく値上がりしてまいりました。日本高度経済成長をささえた、ドルさえ出せば、いつでも、どこからでも、何でも安く買えたという支柱は、消えうせてしまいました。日本は高い資源輸入しなければなりません。それだけでも物価を押し上げる要因になります。  その上に、インフレ心理流通機構上のネック、賃金物価悪循環価格決定のメカニズムなど、いろいろな要因が重なり合ってさらに物価を押し上げております。  それゆえに、日本の場合は、他国以上に資源節約をはからなければなりません。政府経済政策も、安定成長路線に切りかえ、資源輸入節約し、財政支出も切り詰めなくてはなりません。しかし、それが程度を越せば、不況を深刻にし、大きな社会問題を引き起こします。現に倒産も少なくありません。  私は、総需要抑制政策ワク組みはくずしてはならぬという考えでありますが、そのワク組みの中では、実情に応じ、きめこまかい現実政策もとらなくてはならないという考え方であります。それは、ただただ現状を維持するための単なるてこ入れではなく、その間に日本経済体質改善し、従来立ちおくれている部門を強化するという、積極的、建設的精神が働かなければならぬと考えております。  経済体質改善努力と並んで、私の重要視するのは、社会の公正を期するということであります。三十年もこつこつつとめあげてきた人々が退職後の生活設計が立たないというような事態は、決して公正とはいえません。  また、物価騰貴により最も深刻な影響を受けるものは、生活保護世帯老人心身障害者母子世帯などであります。これら社会的、経済的に弱い立場の人々生活の安定をはかるための一そうきめこまかい福祉施策推進老人が安心して老後を送ることのできる社会を実現しなければ、公正がはかられたとは申せません。  賃金の問題にしましても、労使双方に対し、節度を求める反面、消費者物価上昇を極力抑制することが公正の精神であると思います。  以上の基本的考え方に基づいて、財政金融政策はもとより、流通、輸送、独禁法、公共料金など、関連要因を総ざらいして、総合的計画のもとにあらゆる対策推進するため、十二月十日の初の定例閣議で、政府部内に経済対策閣僚会議を設置することをきめ、一大物価作戦福田総理統括のもとに展開する決意であります。(拍手)  さらに長期的将来を考えれば、経済量的拡大より質的向上を、生活物質的充足より精神的豊かさを追求し、社会的公正を確保し、活力と自信にあふれた社会建設に全力を傾けたいと存じております。(拍手)  次に、第二点の世界の声に対する私の所信を申し上げたいと存じます。  三木内閣にかわっても、わが国外交基本路線は、不変、不動であるということであります。  日米友好関係維持、強化が日本外交の基軸であることにいささかの変化もありません。先般は、百年余の日米修好史上初めて現職の大統領としてフォード大統領が訪日され、両国関係を一そう発展させるための共同声明が発表されました。私はその精神を忠実に履行する決意であります。  しかし、日米友好関係維持発展を重視するからといって、それは決して他の国々との関係をおろそかにすることを意味するものではありません。  日中関係につきましては、昭和四十七年九月二十九日の日中共同声明の諸原則を誠実に履行し、日中平和友好条約の締結を促進いたします。  日ソ関係につきましては、平和条約を締結するという懸案に、積極的に取り組む所存であります。  また、わが国の平和と安全を確保するためには、アジア地域の平和と安定が必要であることは言うまでもありません。  わが国としては、特に主権尊重内政不干渉と互恵平等の精神に基づき、日韓関係をはじめ、全アジア諸国との間も友好関係を一そう強めてまいる強い決意であります。それがアジア太平洋地域の安定に貢献するものであることを深く確信するからであります。  また、欧州諸国との協調をさらに深めることはもとより、中近東、アフリカ、中南米などの発展途上諸国との協力関係を一そう増進すべく努力する所存であります。  最後に、エネルギー問題の国際努力について一言申し述べたいと存じます。  わが国は、世界最大石油輸入国一つであります。エネルギー源としての石油依存度もきわめて高いものがあります。また、石油消費産業用が大部分を占めるというところにわが国の特徴があります。  それがゆえに、石油輸入国際協力につきましては、物価問題と同様に、日本には特別の困難な問題があり、他国並み輸入量を減らすのには、他国以上に経済的犠牲を払わなければならぬという事情があるわけであります。  この問題に関しては、私は、特に二点を指摘して国民並びに世界の注意を喚起しておきたいと存じます。  第一は、日本は、今後、国民理解協力のもとに石油節約をはからなければなりませんが、それは他国圧力によってやるのではなく、日本経済の必要上節約せざるを得ないということであります。その結果として国際協調にも役立つわけであります。  第二は、石油消費節約は、産油国圧力をかける消費国共同戦略としてやるのではなく、人類の共有する貴重なる石油資源を、消費国産油国も共同して合理的に活用しようという、全人類的発想の産物でなければならぬということであります。  以上、私は、国民の声と世界の声の一番大きな問題にしぼって所信を申し述べました。  今日、わが国は、内外を問わず、未曽有試練に直面しており、政治使命はいよいよ重大であります。このときにあたり、国民政治に対する信頼がそこなわれようとしていることは、私の最も憂慮しているところであります。  私は、戦前戦後を通じて、三十七年余にわたり、議会政治家として、微力を国政にささげてまいりました。政治国民信頼にささえられていない限り、いかなる政策も実を結び得ないことは、私が身をもって痛感してきたところであります。  国民の心を施政の根幹に据え、国民とともに歩む政治世界とともに歩む外交、これは、政治原点であり、政治の心であります。政治は、力の対決ではなく、対話と協調によってこそ進められなければならぬというのが私の強い信念であります。(拍手)  私は、新しい政治の出発にあたり、この原点に立ち返り、謙虚に国民の声を聞きつつ、清潔で偽りのない誠実な政治を実践し、国民政治に対する信頼を回復することに精魂を傾けることを誓います。(拍手)  なお、政府は、本臨時国会に、人事院勧告に基づく公務員給与改善生産者米価引き上げに伴う食糧管理特別会計繰り入れなど、当面財政措置を必要とする諸案件につき、所要補正予算及びこれに関連する諸法案等を提出し、御審議を願いたいと存じます。  以上、所信一端を申し述べましたが、施政の全般については、明年度予算を中心として具体化し、通常国会において、その審議をお願いする所存でございます。  最後に、重ねて議員皆さんの、そして国民皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げまして、私の所信の表明を終わる次第であります。(拍手)     —————————————
  11. 前尾繁三郎

  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ここに、昭和四十九年度補正予算を提出するにあたり、その大綱を御説明申し上げ、あわせて、最近の内外経済情勢と当面の財政金融政策につき、所信一端を申し述べたいと存じます。  今次補正予算に計上いたしました経費は、人事院勧告実施に伴う公務員給与改善費災害復旧等事業費、米の政府買い入れ価格引き上げ等に伴う食糧管理特別会計への繰り入れ追加公立文教施設及び社会福祉施設建築単価改定福祉年金等年金額改定実施期日の繰り上げ等及び生活扶助基準等引き上げに伴う経費追加医療費改定義務教育費国庫負担金等義務的経費追加所得税及び法人税増収等に伴う地方交付税交付金追加等、緊要にしてやむを得ないものに限定いたしております。これらによる歳出追加額は二兆二千六百八十六億円にのぼっておりますが、他方、既定経費の節減五百九億円及び予備費の減額千百九十億円を修正減少することといたしておりますので、歳出予算補正規模は、差し引き二兆九百八十七億円となっております。この補正規模は、相当巨額なものでありますが、歳出の内容は、人事院勧告完全実施災害復旧事業地方交付税交付金追加計上等、今日の状況のもとにおきまして真にやむを得ないもののみでございます。  歳入につきましては、租税及び印紙収入増加見込み額一兆六千百二十億円、その他収入増加見込み額二千百七十六億円を追加計上いたしますほか、地方交付税交付金の四十八年度精算額に相当する前年度剰余金受け入れ二千六百九十一億円を加え、合計二兆九百八十七億円を計上することといたしております。  この結果、昭和四十九年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも十九兆千九百八十一億円となります。  なお、特別会計及び政府関係機関につきましても所要予算補正を行ないますとともに、財政投融資につきましても、追加措置を講ずることといたしております。  何とぞ、関係法律案とともに、御審議の上、すみやかに御賛同賜わりますようお願い申し上げます。  この機会に、最近の内外経済情勢と当面の財政金融政策について一言申し述べたいと存じます。  今日、世界経済はかつてない激動の時期を迎え、世界的な規模で進行するインフレーションのもとで、景気の後退と失業の増大が次第に深刻化いたしております。そうした中にありまして、各国政府は、いかにして不況を招来することなくインフレを収束させるかというきわめて困難な課題に取り組んでおりますが、いずれの国も十分その成果をあげているとは言えない状況でございます。また、石油価格等高騰契機として、各国国際収支構造は急激に変化し、国際収支の不均衡がこれまた世界的な規模で生じております。  このような状況を乗り切るためには、各国国際協調精神に立脚して忍耐強く、かつ、冷静に事態に対処してまいることが不可欠の前提であると思います。わが国といたしましてもみずからの足場を固めつつ、あらゆる分野国際協調原則を貫き、世界経済の新たな秩序の確立に積極的な役割りを果たしてまいらなければならないと考えております。  次に、当面の国内経済運営について申し述べます。  昨秋の石油危機契機といたしまして、物価は異常な高騰を示すとともに、国際収支は大幅な赤字を記録するに至りました。そこで、政府は、物価の安定を最重点の政策目標といたしまして、財政金融両面にわたるきびしい総需要抑制策実施してまいりました。こうした政策の効果が、国民協力を得まして経済の各分野に逐次浸透いたしました結果、今春以降物価の騰勢は鈍化し、卸売り物価消費者物価とも鎮静化の傾向をたどりつつあります。また、国際収支におきましても貿易収支は黒字に転じ、長期資本収支もかなりの改善を見るに至っております。  かくして、需要超過によるインフレの高進は回避されつつありますけれども、インフレ心理はなお根強く、かつ、賃金その他物価を押し上げる要因は依然として強く働いております。また、これまでのように生産性向上をはかることが困難な状況のもとでは、賃金の著しい上昇物価高騰を招き、国際競争力の低下をもたらすことが懸念されるのであります。このような賃金物価悪循環を断ち切り、経済を安定した軌道に乗せるためには、国民各層の節度ある対応が期待されますが、政府としては、何よりもまず物価の安定に最大限の努力を傾注し、国民の期待するような実績をあげてまいらなければならないと考えております。  さらに、石油などの資源食糧について、その価格と需給の安定は、にわかには期待できないばかりか、ますます重要な課題になってきております。こうした状況のもとでは、国民の一人一人が資源節約とその活用に努めますとともに、政府におきましてもわが国経済の省資源化をはかるべく一層の努力を傾けなければなりません。なお、資源問題に対処する過程におきましては、環境問題労働力問題等への対応と相まちまして、わが国経済成長のテンポを適正な範囲にとどめなければならないことも、いわば大方のコンセンサスになってきたものと考えます。  以上申し述べますような状況のもとにおきまして、政府は引き続き抑制的な基調のもとで経済運営をはかってまいらなければならないと考えております。すなわち、金融引き締め基調維持いたしますとともに、五十年度予算につきましても、でき得る限り予算規模の圧縮をはかる等、抑制的な姿勢を貫いてまいる所存でございます。  このように、政府は、経済運営にあたり、抑制的な基調を堅持しておりますが、これによって、社会的、経済的に恵まれない方々や健全な経営につとめてまいりました中小企業等に不当なしわ寄せが生ずることのないよう極力配慮してまいりました。今後とも、物価景気動向を十分注視しつつ、必要に応じ、きめこまかい措置を講じてまいる考えであります。  現下わが国経済が直面している諸問題は、内外経済環境変化に伴いまして生じた複雑かつ錯綜した諸要因に基づくものであるだけに、その解決は決して容易ではございません。したがって、われわれは相当長期間にわたってもろもろの試練に耐え、不撓不屈努力をもって経済の足固めに専念する覚悟が肝要であると考えます。  わが国は、勤勉にして知識水準の高い国民と近代的かつ先進的な技術で装備された工業生産力を持っております。また、わが国経済動向国際経済社会において大きな影響力を持つに至っております。したがいまして、わが国が適切な経済運営をはかってまいりますことは、ひとりわが国のみならず、ひいては世界経済の安定と発展に寄与することになるものと考えます。このような自覚と自負を持ちまして、われわれが当面する難局を乗り越えていくならば、外にあっては各国信頼を集め、内にあっては堅実にして安らぎのある社会建設することが可能になると確信するものであります。  国民各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  13. 森喜朗

    森喜朗君 国務大臣演説に対する質疑は延期し、来たる十六日午後一時より本会議を開きこれを行なうこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         郵 政 大 臣 村上  勇君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         自 治 大 臣 福田  一君         国 務 大 臣 井出一太郎君         国 務 大 臣 植木 光教君         国 務 大 臣 小沢 辰男君         国 務 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣 佐々木義武君         国 務 大 臣 坂田 道太君         国 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣 松澤 雄藏君      ————◇—————