○多田
委員 次官にたいへん悪いのですが、私、たいへんのどかな御意見だというふうに承っているのですが、その中で国全体の施策というようなことも言われました。それでちょっと自分の意見も含めて申し上げておきたいと思いますけれ
ども、なぜ今日の
地方自治体のこういう
危機なり、困難が起きてきたのかという問題で、私はやっぱりこの十数年の日本の為政者のとってきた高度成長、これから離れて
考えることはできないだろう、こう思うのですね。つまり高度経済成長のために
地方財政を全面的に私は活用してきた、ここにあると思うのですよ。
第一に言いますと、産業基盤の支出というのが非常に多くなってきた。これは一々
数字をあげなくてもおわかりのことだろうと思うのですね。
それからもう
一つ言いますと、高度経済成長をやるわけだから、租税特別
措置などによる企業に対する税の大幅軽減をやってきておる。ですから、これは専門家に言わしても高度経済成長というのは世界に類例のない
伸び方だったし、同時にまた企業に対する各種のこういう特別
措置というものも、これもやっぱり外国に比類を見ないものであった。こういう
措置のもとで、企業の負担は少なくなっておる、そして同時に、
地方自治体に対する負担が大きくなっている。だから、言うならば、これは今日の
地方財政の構造的なものなんです。単にあれこれの
部分的な手直しで解決できるものじゃないんだというふうに私
どもは
考えざるを得ないのです。たとえば高度経済成長だ、産業基盤を整備していくんだ、大企業は伸びていく、そして都市に集中していく、肥え太っていく、道路、水道だ、福祉だ、こういう
状況がひとつ私はあるのじゃないか、こう思うのです。それから二番目は、住民意識の変化あるいは住民運動といってもいいと思います。社会の一定の前進の中で特に都市なんかを中心にしてさまざまな要求が出てくる。とりわけ都市公害その他が激しくなってきますから、当然生活や自分の暮らしを守っていく上で、非常に多くの要求が
地方自治体にそれが主として出てくる。そこから来るものは当然
地方自治体がそういう方面の出費を大きくしていかなくちゃならない。だからまあいえば、これはよく
国会でも論議になっているのですけれ
ども、国の金の使い方にしても、産業基盤整備のほうに大体大きくいって二の
割合、生活基盤が一だ。これを私
ども共産党は前から逆転しろと、こういうことを言っているのですが、客観的にそういう結果になってきた。
しかも同時に、これに関連して
超過負担の問題なんです。
超過負担が産業基盤整備のほうに出ないで、主として、ほとんどですよ、生活基盤関係の問題、つまり学校だとか、幼稚園だとか、そういう方面にこれが、
超過負担が出ている。ここに私は高度経済成長の中でとられてきた自治体
行政あるいは政府の施策というものが、やっぱり大企業偏重、これは皆さんお認めになるかどうかわからぬが、客観的にそうなんですよ。そして生活関係のほうが相対的にも犠牲になってきた。ここにひとつ私は大きな問題があるのじゃないか。構造的というのはそういう
意味なんです。
それからもう
一つは、昨年の石油
危機を契機にする相当長く続いたインフレ政策、さらにそれに拍車がかかっていく、そして同時に最近はインフレと並んで不況が進んでいく。これがいましわ寄せになってきているわけでしょう。同時に法人関係の税収が減っていく、一方ではこのインフレによって資材だとかその他が騰貴していく、あるいは
人件費がアップしていく、こういう中に私は今日の
地方財政の
危機、私は
危機ということばを正当だと思うのですが、これがあるというふうに
考えざるを得ないわけですよ。ですから、まさにこれは
昭和二十九年以来の
地方自治あるいは
地方財政にとっての
危機だというふうに
考えているわけです。ですから、この解決の道も私は単なる
部分的な手直し
程度であっては、それはそれとして一定の手直しは有効であったとしても、かなり政策的に政府が
考えなければ、この
危機というものは相当長期に続いていく、ときには不測の
事態も起きるのじゃないかという不安さえ私持つわけです。その中でも特に大都市が一番私は二重の苦しみを受けていると思うのですよ。この事務所、事業所が集中してくる、そのための出費が多くなってくる、一方では人間の生命さえ侵す公害が激しくなっていく。今度のあの水島のあの三万キロリットルの油の流れが私は象徴的なものだろうというふうにさえも思っている。精神構造さえ変えられていっている。こういう中で私は大都市なんかで事務所事業所税をつくりたいというのは、これは全くのあたりまえのことだ、こういうふうに
考えるわけですが、この点についてきのう
自治省のほうで何とかやりたいという話でしたけれ
ども、もう一度これは念を押して伺いますが、これに対してひとつ意見を伺いたい。