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神崎委員 それは常識的な答弁でございまして、それはそのとおりでございますが、たとえば私は新幹線を
中小企業にやらせろとかあるいはトンネルをどうせよとか、そういう大規模なことを言っていないのですね。たとえば官公需で住宅を建てますね。そうすると住宅、市でやれば市営住宅、府でやれば府営住宅といいますか、県でやれば県営住宅でしょう。ああいう住宅というものがいま不足して、国民が非常に要求しているのですが、あれなどをどんどんお建てになると、まず電気工事が入ってくる。水道工事が入ってくる。そして畳屋さんも潤う。ふすまから障子から——住宅などは非常に平和的な産業でもあり、国民が要求している、しかも不足している、これなんかをどんどんと積極的におやりになれば、そのことで
中小企業は非常に広範囲に事業が活況になっていく、こういうことが一つあります。
〔
森下委員長代理退席、
委員長着席〕
もう一つは、官庁でお使いになっているノートとか鉛筆とか、いろいろそういうふうな消耗材など、聞くところによると、デパートで一挙に仕入れてみたり、いろいろなことをやっているところもありますが、そういうものは、零細な文房具屋のようなところから意識的に買うように配慮する、そういうような形にずっと姿勢を転換されたら、もう二八・七%まできているのですから、すぐ改善される、そうむずかしいものではない、ほんとうに
中小企業をいまの状態から救おうと思うなら、思い切ってやるべきだ、こういうことでございます。
それで、やろうと思えばこれは非常に簡単にやれるということについて、次の五点を私は取り上げて申し上げます。
まず第一に、予算決算及び会計令を改正して、また現行の法令に基づく諸方針を改めたらこれはできるのですが、こういうようなむずかしいものでやらないで、業者の認定、いろんな形を改められたらまずいける。第二は、
中小企業に優先的に発注するいわゆる官公需特定品目、これを拡大していけばいいのですよ。三番目には、分割発注や資金、技術等の援助を行なえばいい。これだったら
中小企業もけっこうやっていける。四番目には、各省庁等の発注計画を事前に機敏に
中小業者に関知徹底させる処置をとればいい。仕事があってもわからないのですよ、特定のグループ以外は。これが四番です。第五番は、契約文書をそれぞれの事務所で閲覧に供することだ。こういう措置をとれば
中小企業だっていま官公需が発注されているものを相当受注する能力を持っているし、消化する能力もあります。また、それを意識的に金融面においても技術面においても援助し、保護していく、育成していく。そのことが
中小企業対策の背骨だと私は思うのです。ワクだけふやして、そうして一方ではそれの該当条件だけ強化する、こういうことではだめだ。
これは生きた一つの実例ですが、東京都の場合を研究しました。東京都の場合は、四十七年度と四十八年度を比較しますと、物品購入は、一八・九%を増加させて五一・九%を
中小企業に出しているのですね。それから、工事は、五・八%だけ増加させて四一・六%を
中小企業に発注しているのです。そうして東京都当局は等級ランクの変更や分割発注など政策的な処置をとったこと、これをこういうことができた第一の理由にあげているのです。さらに大切なことは、大企業に発注していた単価を例示して発注した。その結果予算の浪費は生じなかったと言明しているのです。
一般的にいわれると、
中小企業にやりたいけれども、消化能力がないとか、あるいは逆に単価が高くつくとか、こういう形で大企業に流れていったからこういうような状態になっている。しかしながら、東京都の実例はそうじゃなしに、具体的にこうして率ができているわけです。ところが、国の場合はきわめて問題が多いですね。たとえば閣議決定では分割発注の方針を掲げ、法律で
中小企業者の受注機会の増大をはかり、
中小企業の不利の是正につとめる、こううたっておるのです。うたっておりますけれども、にもかかわらず、不経済購入を来たさないようにこういうふうにしておるのです。そこで、郵政省は、指名競争参加の指名基準に他官庁との取引の実績を問うているのです。このような各省庁の方針を改めたら、これは非常に積極的に前向きに転換できる、こういう形から強調しているのですが、もう一回大臣に、ひとつあらためて伺いますが、この私のいまあげた五点の提案、これについてどうお考えになり、どのようにしようというふうにお考えになるか、御答弁をいただきたい。