○原(茂)
委員 私は、
日本社会党を代表して、ただいま
委員長から提案されました
昭和四十六年度
決算議決案に対し、反対の
意見を表明するものであります。
すなわち、議決案の
内容につきましては、第一項に掲げる
昭和四十六年度
決算の
審査の結果といたしまして、
政府において予算の効率的使用など、所期の
成果を十分達成していないという点につきましては、おもな実例として
指摘を行なっておるわけでありますが、
政府が
委員会の
指摘に対して、次の常会中に本院にその結果を報告すべきことは当然のことであります。ただ、この
指摘事項については、六項目の事例をあげただけであり、これをもって
指摘すべき
事項は他にないということにはならないわけであります。
その
内容といたしましては、第一に、近年放射線利用の普及に伴って放射性同位元素の紛失や、被曝事故が発生を見ております。最近では、原子力船「むつ」号の問題や、各地における原子力発電所の放射能漏れなどのゆゆしい実態があります。今後、これらの安全性について監督体制を強化していかなければならないことは当然であります。
第二に、
わが国の
経済協力は
GNPの一%をこえ
世界第二位の地位を占めたというものの、その
内容において多くの問題を残しております。たとえば韓国に対する
経済協力は、真に韓国
国民の民生の向上に寄与するところが薄いこと、不実
企業の発生を見ていること、また、直接投資の増大により経済支配の不安を高め、
反日感情をかき立てている。インドネシアにおいては、融資の返済が著しく悪いこと、
企業活動に対する
反日感情が生じているなどであります。今後、
経済協力にあたっては、これらの実態をよく踏まえて、
経済協力の基本ともなる指針を確立して、真に
援助国
国民のためとなるようつとめるのは当然であります。
第三に、前
首相田中角榮氏にまつわるいわゆる金脈問題については、
国有財産の処分、取得について特に慎重を期すとともに、国税の徴収についても厳正、公平、遺漏のないようにすべきで、疑惑など招くことのないよう対処しなければならないことは、むろん当然であります。
以上は、
委員会において十分
審査を尽くした
指摘事項の中で特に
社会党として強調した点であり、
異議はありません。
第二項の、
昭和四十六年度
決算検査報告につきましては、憲法九十条の規定に基づきまして
会計検査院が
決算の結果を検査して、この
内容の適正を確認するということになっておるわけでありますけれども、
昭和四十六年度の
会計検査院の検査の結果を見ましても、不当
事項として
指摘されました
事項は、百九十九件、金額にして十五億四千七百二十四万円に及んでおり、これらは
政府の予算執行上、毎年不当
指摘をされておるにもかかわらず、予算執行上改善の実があがらないことはまことに遺憾にたえないところであります。
政府としては、これら
指摘事項については、その原因を十分明らかにして、今後制度の刷新、行政機構の整備等をはかり、特に行政担当の
立場にある
政府の職員に対しても、綱紀を粛正して、再びかかる不当
事項の発生がないように万全を期すべきであります。
議決案の第三項でありますが、「
決算のうち、前記以外の
事項については
異議がない。」と述べられておりますけれども、この点は、当
委員会の
各省別
決算の
審査の経過においても明らかなとおり、
指摘事項としての六項目に限定して、それ以外は
異議がない、不当の支出がないというふうには決しかねるわけであります。したがって、
日本社会党といたしましては、この議決案のうち第三項の「前記以外の
事項については
異議がない。」という点については決して同意を表明するわけにはまいらないわけであります。
最後に、
昭和四十六年度の予算の成立の経過を見ましても、私ども
日本社会党といたしましては、
昭和四十六年度予算案の審議の経過の中で
政府提案の予算案に対しましては基本的に理由をあげて反対した
立場におきましても、
昭和四十六年度
決算については、これを是認することに反対するものであります。
以上、私は、
昭和四十六年度
決算の議決案に対しまして反対の主たる理由を明らかにして、討論を終わるものであります。