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説明員(松井
達郎君) お答えいたします。
非常に広範にわたる質問をいただきましたが、まず第一に私
どもの基本的な考え方といたしましては、この片岡運輸の事件におきまして、この過程におきましてはたして労使
関係の問題と起こりました殺害事件とがどのような関連をいたしておるのかということにつきましては、目下警察当局の手で究明されているわけでございますが、いずれにしましても、こういう事件が起こりましたことについてはきわめて遺憾に思っておるところでございます。このような
暴力事件が起こります背景と申しますか、原因というものはいろいろあるだろうと思いますが、どのような背景があろうといかなる原因があろうと、こういうような暴力行為に及ぶということは絶対に避けなければいけない。このようなことを防止するということは、民主国家あるいは法治国家としまして最低限の要請であろうかと、こういうふうに思っておるわけでございます。
このような基本的な考え方につきましては、先般大阪府の労政課長がこの事件につきまして
報告に参りましたときに、私
どもからもこの基本的な考え方をあらためてお知らせしたわけでございまして、
先ほど申し上げましたように、あるいはいま
先生からも御
指摘がありましたように、最近、労使
関係において暴力的な事件が付随して起こるというような残念な傾向はなお絶っていないわけでございまして、私
どもといたしましてはこのような考え方に立ちまして、昨年以来、このような不法な事件、
暴力事件が起きることを防止するようぜひとも努力してください、こういうことでもって私
どももそれから労政機関も一致いたしまして、
関係の方々に徹底をしておるところでございます。これにつきましては、
先生が御質問になりました第四問に
相当するところであろうかと思います。
なお、
先生が御質問されました第一点でございますけれ
ども、雇い入れの問題、このような問題につきましては、実はなかなか労政当局といたしましては目の届かないところでございますが、つまり個々の人たちの雇い入れにつきましてはなかなか目の届かないところでございますけれ
ども、以上のような基本的な考え方に立って、労政機関を通じ使用者側に周知徹底を強化することによって、このような事柄の防止をはかるということを私たちとしても強く望んでいるところでございます。
第二番目に、不当労働行為制度につきまして、昔の制度に立ち返って刑罰をもってこれに処するというような考え方はどうか、こういう御質問がありました。御存じのとおり、二十四年の労働組合法の改正以前におきましてはこういう考え方をとっておったわけでございます。このような刑罰をもってやるやり方、現在のようないわば原状回復主義的な考え方、どちら
がいいかという点についてはいろいろと議論もあるところであろうかと思うわけでございますが、刑罰という点になりますと、労使
関係というものはいわばお互いの信頼的な
関係でございますので、私
どもとしましては原状回復というような現在の規定、やり方はそれなりのメリットがあるのではなかろうかと思いますので、いまのところ、現在の原状回復主義に基づく不当労働行為制度というものを維持していきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
三番目の不当労働行為事件の審理の迅速化という問題でございますが、
先生も御存じかと思いますが、不当労働行為事件の審理につきましては、残念ながら
相当長い時間を要しておるということは確実でございます。この点につきましては、不当労働行為事件が双方、申し立て人、被申し立て人のいわば争いの場となっておりますものでございますから、お互いに書面を出し合うというようなことになりますと、どうしてもこの攻撃防御に時間がかかるということは残念ながら認めざるを得ないところでございます。これをどうするかという点につきましては、労働
委員会側といたしましてもいろいろとくふうをいたしまして、その審査の迅速化についてはいろいろとやっておるところでございますし、また私
どもとしてもこの点につきまして 審理の迅速化につきましてお手伝いできるところがあればということでもって、労働
委員会側と絶えず意見を交換しておるところでございます。
第五番目でございますか、大阪地労委にいまかかっております片岡運輸の事件でございますけれ
ども、聞くところによりますと、現在までのところ第六回目ぐらいまでの審問を終えて、かなり事件の審理は進んでおるようでございます。はたして間もなく出るかどうか、これは私
どもも実はきのうおとといと電話で聞いておりますが、まだ結論は出ておりませんけれ
ども、かなり審理は進んでおるというふうに
承知いたしておるところでございます。
このような事件におきまして、
暴力事件が起きた場合には直ちにいま不当労働行為制度について結論を出すという点につきましては、これは本来この不当労働行為制度につきましては、不当労働行為ということが審理の
中心になるものでございまして、途中過程に
暴力事件が起こったからといって、このような点について早急なる結論を出すということは、制度の立て方としてなかなかむずかしいところではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、第四番目の御質問でありました審理の迅速化という観点は、不当労働行為制度の
運用にあたりましてぜひとも達成しなければならない重大な点だと思いますので、私
どもも労働
委員会等と絶えず密接に意見を交換しながら努力していきたい、こういうふうに思っておるところでございます。