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1974-09-11 第73回国会 参議院 文教委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十一日(水曜日)    午前十時三十九分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 政隆君     理 事                 斎藤 十朗君                 片岡 勝治君                 加藤  進君     委 員                 有田 一寿君                 山東 昭子君                 志村 愛子君                 高橋 誉冨君                 内藤誉三郎君                 中村 登美君                 藤井 丙午君                 最上  進君                 久保  亘君                 鈴木美枝子君                 宮之原貞光君                 安永 英雄君                 矢原 秀男君                 小巻 敏雄君                 中沢伊登子君    国務大臣        文部大臣     奥野 誠亮君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部政務次官   藤波 孝生君        文部省初等中等        教育局長     安嶋  彌君        文部省大学局長  井内慶次郎君        文部省体育局長  諸澤 正道君        文部省管理局長  今村 武俊君        自治省財政局財        政課長      石原 信雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (当面の文教行政に関する件)     ―――――――――――――
  2. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 安永英雄

    安永英雄君 文部大臣にお尋ねいたしますが、七月の参議院選挙が終わりましたあと国会、これで私どもとしては、田中総理の、いわゆるこういった参議院選挙後における政治情勢の中で、どういう政治を進めていくのかということで、施政方針演説を期待しておったわけですけれど、しかし、これは結局なされないで終わったわけでございますけれども、非常に残念であります。外交問題、経済問題、教育問題について聞きたかったわけでありますけれども、また、これに対する私どものほうも確かめておきたかった点が非常に多かったわけでありますが、この点について、特に文教の問題について、参議院選挙後の現在の政治情勢の中で、文部大臣としてどのような姿勢で臨んでいこうとされるのか、こういった点についてお聞きしたいわけです。特に、この文教委員会、これでは大学法教特法あるいは筑波法、あるいは教頭法、毎年、毎年強行採決、異常な事態の中で審議が進められていっておるという、こういった状態は、特に強行採決などというふうなことでこの文教の問題を始末していくなどということは、これはもうもってのほかであります。このことは、もちろん議会の問題、われわれの問題ではありますけれども、しかし、その背景にやはり文部省が一歩も引かない、一たん出したものは絶対に引かない、こういった姿勢が非常に強い、こういったことも非常に大きな影響があったと思うんであります。私は、そういった点で、今後文部大臣として、文教政策をどのような姿勢で進めていかれるのか、簡単でけっこうですからお伺いしたいと思います。
  4. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 教育界には今日なお残されたいろんな問題が多々あると思います。ものによりましては、なかなか与野党間で合意を見ることの困難なものもかなりあると言わざるを得ないと思います。教育界正常化、あるいはまた教育充実振興、そういうことにつきましての、考え方を異にする面もいろいろあろうかと思います。しかし、できる限り御議論をいただきまして、そして円滑に進める道を見出しながら努力をしていきたい、そういう気持ちで今後も積極的に私なりに教育充実、発展のために努力をしていきたいと、こう思っているところでございます。
  5. 安永英雄

    安永英雄君 田中総理も、選挙後の記者会見等でおっしゃっておったようでありますが、いまの趣旨もそのとおりだと思うんですけれども、要するに話し合い、こういったことで解決をしていきたいという趣旨ですか。
  6. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) できるだけ意見を詰めていただきたい、そして円滑な方向を見出しながら努力をしていきたいということであります。
  7. 安永英雄

    安永英雄君 もう一点、この点に関連して、この選挙中が主とした期間であったと思うんですけれども参議院選挙の中で田中総理は非常にこの教育問題を強調されたわけであります。その中で、たとえば日の丸あるいは君が代、こういったものの法制化とか、あるいは教員宣誓をさせるとか、あるいは教育勅語問題あたりが出てきたわけです。そうして、あるいはまた教員政治活動の制限とか、規制とか、こういったものの中で、いまにも、次の国会でもとにかくこれを法制化するとか、規制をするとか、こういった意味発言があったわけでありますが、こういったものを受けて、文部大臣としては、次の国会あたり考えていらっしゃるのかどうか、その点をお聞きしておきます。
  8. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いま数点おあげになったようでございます。参議院選挙前の国会におきましても、国会での論議になった点もございます。たとえて申し上げますと、日の丸君が代法制化を検討をしてもいいじゃないかという議論もございましたし、私は、戦前も戦後も、国民の間に定着していると思うのだと、だからあえて法制化すべきだとは考えていない、こんなことを申し上げたこともございました。いまもその点については変わりはございません。  また、教員宣誓の問題につきましては、現に行なわれているところでございます。もっと形式的に流れないであり方をくふうしてもいいんじゃないかという御議論もあるようでございます。そういう御議論は、どんどん発展さしていただいたらいいと思うわけでございますけれども、特にこれについて、法律的に変更を加えようというようなことは考えてはおりません。  それから政治活動の問題につきまして、これは多分に議論のある問題でございまして、今後も私は与野党間で大いに議論をしていただきたい、そうしてよい方向を見出していただきたい、心から念願している課題の一つでございます。そういう方向も見定めないで、私どもから突如法案を提出するというような考え方は持ってはおりません。  もう一つ御指摘のありました……
  9. 安永英雄

    安永英雄君 教育勅語とかなんとか、そういうこと。
  10. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 教育勅語、これはまたいろいろ考え方のあることでございまして、道徳充実をはかるということ、これはまあ大切なことだと思っておりまして、また、方法につきましては、いろいろな考え方があろうと思いますけれども、特段に法律的な手法を用いなきゃならないということでもなかろうと思っております。
  11. 安永英雄

    安永英雄君 次に、五十年度予算の問題について、文部省のほうも大蔵のほうに概算要求は出してあるというふうに聞いておりますし、一応内容も書面で承っておるわけでありますが、この点についてお聞きしたいと思うんです。  まず、大臣のほうで、まあ、いま概算要求段階ではありますけれども、この概算要求段階が一番大事なことでありまして、その中にもう大臣考え方というものが十分入っておると思いますので、いわゆる明年度の、五十年度予算というものについての方針なり、あるいは概算要求にあらわれた特徴といいますか、自分は特にこういうところを実現したいとか、予算化したいとか、こういった点がありましたら、ひとつお教え願いたいと思います。
  12. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 文教政策全般についての御議論でございましょうし、また、事務当局で用意してくれたものもございますので、ちょっと詳し過ぎるようでございますけれども、さっと読ましていただきます。  まず第一は、初等中等教育充実をはかることであります。  そのために特に、人材確保法に基づく教員給与の第三次改善措置の実施、第四次五カ年計画による教職員定数増並びに教頭法制化に伴う定数増を進めるとともに、学習指導の面においても、道徳教育充実をはかるなどその一そうの拡充につとめたいと考えております。また、幼稚園教育及び特殊教育計画的整備勤労青少年のための定時制及び通信制教育充実を進めるほか、公立文教施設並びに教材、設備についても引き続き整備を進めるとともに、新たに公私立高等学校増設施設費補助を計上してまいりたいと考えております。  さらに、学校給食につきましては、給食用物資供給体制の一そうの整備充実をはかるとともに、給食施設設備整備等を進めてまいりたいと考えております。  第二は、新構想大学創設促進等高等教育整備をはかることであります。  そのため特に、放送大学創設準備教員大学院大学創設準備等を前進させるとともに、技術科学系大学院創設医科大学等創設及び創設準備大学院拡充整備、筑波大学計画的整備を行ないたいと考えております。また、共通入試等懸案大学入試制度改善推進するとともに、教育研究経費充実をはかることとし、さらに、新学園の建設についても調査研究を進めたいと考えております。  第三は、育英奨学事業拡充をはかることであります。  そのため、日本育英会の行なう貸与事業について、特に私大特別貸与奨学生採用ワク拡大大学院学生に対する育英資金拡充及び貸与月額改善重点を置くとともに、私立大学奨学事業に対する援助充実をはかることを考えております。  第四は、最近における科学の目ざましい進展に対応し、新しい知見の探求と開発を行なうための学術振興をはかることであります。そのため特に、エネルギー資源、海洋、宇宙、地震予知等重要基礎研究推進するとともに、研究所の新設など国立大学研究体制整備拡充科学研究費補助金拡充等を行ないたいと考えております。  第五は、私学助成拡充であります。  私立学校経常費補助につきましては、大学等に関する本年度充実に引き続き、来年度新たに三年計画の新構想を立てて大幅な拡充をはかり、また、高等学校以下の私立学校についても新規補助を行なうこととしております。  第六は、社会教育並びに体育スポーツ振興をはかることであります。  そのため特に、本年度新設した社会教育主事給与費補助拡充とあわせて、スポーツ担当主事新設を行ない、青少年関係団体等社会教育関係団体活動助成拡充、少年自然の家、国立婦人教育会館等社会教育施設並びに体育スポーツ施設拡充整備を行ないたいと考えております。さらに、地域住民スポーツ活動振興指定市町村拡大によって地域スポーツ活動振興をはかるとともに、学校開放事業促進により国民余暇活動の増大にも資したいと考えます。  第七は、芸術文化振興文化財保護充実をはかることであります。  そのため特に、芸術祭青少年こども芸術劇場拡充芸術文化関係団体助成の強化など芸術文化普及振興をはかるとともに、重要文化財・史跡・埋蔵文化財保存整備文化財公有化促進し、また、公立文化施設整備充実国立歴史民俗博物館、第二国立劇場等の新しい国立文化施設設置準備等推進したいと考えております。  第八は、教育学術文化国際交流拡大をはかることであります。  そのため特に、留学生交流体制及び学術交流体制整備充実ユネスコ活動南極観測等国際共同研究事業など国際協力推進、国際連合大学への協力海外勤務者子女教育推進などを行ないたいと考えております。  以上が来年度概算要求重点事項であります。
  13. 安永英雄

    安永英雄君 ずいぶん例年のような――多少新規も入っているようでございますけれども、その中で私は、やはり何といっても当面しております教育問題としては、私学の問題が非常に大きな問題だと思うし、また予算の中から見ましても、相当重点を入れて考えてあるような気がいたします。  そこで、私学の問題についてお尋ねをしたいわけでございますけれども、大体短大を入れると七六%の大学生を私学が引き受けているという現状、しかも、その私学自身が非常に財政面で窮乏におちいっている。したがって、これからくる父母、父兄の負担、これが非常に過重になっておる。あるいは学生納入金あるいは授業料、こういったものもぐんぐん上がっているという現状は御存じのとおりです。一番やはりいま心配されるのは、質の低下が非常に心配されるわけで、教授、研究者の質の低下は、これは確かにあることは間違いない。こういったところで、当面この私学の問題について思い切った政策、施策を打ち立てないと、少なくとも七〇%以上の学生私学におるというわけですから、日本大学教育に大きな影響をもたらすわけでありますが、そのために一応五カ年計画がごとしで終わるわけですね。  そこで、私学側に言わせると、この五カ年計画で国の援助をもらったのは、焼け石に水だなんということをいまでも耳にするわけであります。この五カ年計画の中の五カ年終わりまして、この間の私学に対する助成の結果どういうふうになっているのか、そういった反省もあろうかと思う。五カ年計画が終わった今日における五カ年計画の効果といいますか、そういったものについて、反省された点があればお知らせ願いたいと思います。
  14. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私立大学経常経費に対しまして助成をすることの是非の問題は、いろいろあったことでございます。五年前に踏み切りまして、そして専任教員給与の半分は助成しようということで進んで、今回それなりに五年の期限を完了したわけでございます。三三%の人たち大学に進んでいるわけでございまして、六七%の方々は大学へ進んでいないわけでございますので、どこまで国民税金をそれにつぎ込むか、これはたいへん議論があることだと思います。同時に、私立大学につきましては、私立大学自主性がそこなわれやせぬだろうかというような面もあろうかと思うのでございます。ただ、国立大学につきましては授業料がかなり低く押えられている。その結果、国立大学へ進む場合と私立大学へ進む場合とのアンバランスが顕著になってくる。この辺のことが、私は一番大きな私立大学へ学ぶ人たちの不満ではなかったか、こう考えておるわけでございます。そういうこともございまして、やはりなお一そう助成充実さしていきたい。将来は経常経費の半分を目途助成をしたい、そういうことで努力を進めていきたい、このような考え方に今日立っているわけでございまして、そのような前提のもとに、来年度予算要求もさせていただいたところでございます。
  15. 安永英雄

    安永英雄君 三年計画という問題は、いまさっきお話になりましたが、それは結局私大の総経費の二分の一、ここらあたりまで一応三カ年間で完成さしてみたい、こういうことですか。
  16. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 文部省としては経常経費の二分の一を目途助成をしたいということでございます。一応三カ年計画を立てて要求いたしました。
  17. 安永英雄

    安永英雄君 じゃ具体的に、ことしの予算はこの中を見ればわかりますが、ついでに三カ年計画経常費の二分の一までいく計画、これをちょっと説明願いたい。
  18. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 五十年度、五十一年度、五十二年度経常経費の予測が技術的にむずかしい点でございますが、昭和五十年度、千三百七十五億からスタートいたしまして、五十二年度には四千二百五十九億というのが、私学経常費全般に対する助成のめどでございますが、大学高専がいま御質問の焦点のようでございますが、大学高専について言いますならば、五十年度、千二百五億から始めまして、五十二年度、三千四十五億という見積もりを持っておるところでございます。
  19. 安永英雄

    安永英雄君 大体いまの計画でいけば、私大の大体全部の経常費の二分の一まではいきますか。どうもいかぬような気がするんです。
  20. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 私ども積算しております数字が、そのまま全部認められるということになりますと、それを前提にいたしますと、経常費の二分の一国庫補助が実現する、かように考えております。
  21. 安永英雄

    安永英雄君 それと予算の中に出ています特別補助の問題について説明願えませんか。
  22. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 私立大学等に関する国庫補助金を、一般補助特別補助の二つに分けて考えております。一般補助というのはすべての大学高専等に網羅的な普遍的な経費でございます。特別補助というのは、一般補助に盛られていないような特別な経費であり、それは特別な大学に支出される補助金になります。  たとえて申しますと、新規充実教員給与費等補助、これは私立大学等において、学生数との比率において教員の不足が嘆かれておりますが、その教員充実するために、特にこれは一般補助にプラスして特別に補助しようとするものでございます。また、留学生特別指導費補助といったような経費も考慮いたしておりますが、これは私立大学等留学生を特に預かる場合、普通の大学経常費とは違った性質の経費になりますので、それに対して特例な補助をしようとするものでございます。その他幾つかの項目について特別補助を考慮いたしております。
  23. 安永英雄

    安永英雄君 この特別補助というのは今度新しく予算の中では新規に出てきた問題ですね。しかし、これ従前からある程度一般の中にも含まれておったこともあるんでしょう。
  24. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 一般補助の内訳が人件費物件費、いわば庁費のたぐいに分けられるわけですが、留学生補助にいたしましても、それは一般庁費を使って処理できるものであったわけです。しかし、それはすべての大学に必ずしも普遍的なものではないので、今回は特にそういう関係の仕事を奨励、援助する意味もあって、一般補助から別ワク特別補助というワクを特に設定したわけでございます。
  25. 安永英雄

    安永英雄君 これ時間がありませんから、また機会があろうと思います。これのしかし特別補助配分、これ予算が通ったとしての配分の問題になってくると非常に問題が多いと思うんです。また、これを期待しておるところもありますよ。ぶんどり合戦になるかもしれませんし、この点ひとつ、この積算基礎というのはっきりしていますか。どこそこの学校留学生何ぼおるからこれだという、これはしていますか。いまからばくと一応項目だけとっているわけですか、その基準。
  26. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 現在のところまだ一般的な問題でございまして、個別の大学等との関連はございません。分配あたりまして、分配の際に、それは考慮されることになるわけでございます。
  27. 安永英雄

    安永英雄君 これはちょっと問題があると思いますので、あとでまた機会を見てやりたいと思うんです。これは私ども意見も十分聞いてもらいたいと思うんですよ。いま初めての状態だからいいんです。  次に、やはり新しい項目として、小、中、高、幼の私学に対する経常費補助、これは将来どこまで持っていくつもりですか。
  28. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 私立高等学校以下の学校に対する経常費財源措置につきましては、従前地方交付税積算財政需要額の中において所要経費を見込んでいたところでございます。昭和五十年度以降国庫補助金を交付するという前提予算要求をいたしておるところでございますが、昭和五十年度予算ワク関係もございまして、私立高等学校以下の経常費に要する経費の一部を補助することになっております。その予算折衝あとにおいてその後の問題については検討していきたい、かように考えております。
  29. 安永英雄

    安永英雄君 これ話に聞くと、人件費物件費合わして三年後では二五%ぐらいまで持っていくということじゃないですか、その点をちょっと。
  30. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 大学高専等におきまして経常経費の二分の一を国庫補助すると想定しているのに対応いたしまして、私立高等学校以下の経常費についても、公の経費で二分の一を補助することにしたい、その二分の一の二分の一を国で見ることにしたいと、そういう構想は持っております。
  31. 安永英雄

    安永英雄君 私も、これについては賛成なんです。これは思い切った初めてのあれですけれども、ただここで、先ほど文部大臣のほうでおっしゃった五カ年計画反省の中で、ちょっとこういうこともやっぱり考えたという点で、いわゆる大学に行かない者、こういうものもいわゆる公に私学が属するか属せないかという問題もひっかかるんじゃないかというふうなこともちょっとおっしゃった。ここでやっぱり思い切って小中私学までいわゆる国の予算、国の金を経常費の二五%も持っていくということになると、私はちょっと賛成だけれども、どういう考えを持っておられるのかお聞きしたいのですがね。これは小中学校義務制でですね。ところが、私立小学校中学校というのは、これは特別、義務制の近くの学校に行けばいいのにわざわざそれを選んでいく。それは意味はあると思う。私は悪いことじゃないと思うけれども、この点、大学の問題でもひっかかってくるのに、小中まで一挙におろして二五%の国の金を出していくというところがちょっとひっかかるところが出るんですよ。これはいま各都道府県段階で、私学補助をやる場合に、ここのところが非常に問題になっているところです。これを一応予算化するとすれば文部省としても相当な態度をはっきり出さないといかぬと思う。この点はしかし金持ちばかりが行くような私学、そこには義務制小学校中学校もあるのにちょっとぜいたくじゃないか、私学に対して国が思い切った助成をする、こういったことは、その金があれば公立のほうに持っていったらどうなんだというふうな論議が盛んに各都道府県では行なわれている。この点は、ここで出された以上、文部省としては確固たるやっぱり考え方を出さなきゃならぬと思う。あとで私は申し上げたいこともあるんですけれども、これは法律一つないんですね、この点は。私学助成についての法律はないんです。ここらあたり明記しなきゃならぬのじゃないかと思うのですが、この点の解明はどうですか。賛成ですけれども、これは非常に各県どうするかという問題が小中が入ってきた場合の態度というものは確固としておかなきゃならぬと思う。この点でお伺いしたい。
  32. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 学校に対しまする助成あり方、私はかなり混乱しているんじゃないかなという感じを従来から持ち続けているわけでございます。しかし、一挙にこれをそれぞれの考えに統一するということも困難じゃないだろうか、こうも思っております。私は義務制であれ何であれ、私立の存在を認めているわけでございますから、認めているものについて必要なものについては公の金もつぎ込んでいいじゃないだろうか。幼稚園にもつぎ込んでいる、高等学校にもつぎ込んでいる、小中学校につぎ込んで悪いということは私はないんじゃないだろうか、こんな気持ちを私は持っているわけでございます。いずれにいたしましても、私学助成、だんだんと予算を通じまして内容を固めていきたい。それなしにすぐに法律をつくるということも私はかなり困難な作業じゃないだろうか、こう考えているわけでございまして、そういう意味で、いま私学助成についての立法を私としては国会に提案するだけの決心はつかないということでございます。いずれにいたしましても助成――公の税金をつぎ込む、それにつきましては、国立公立私立もいろんな存立、いろんな形態を認めている場合には同じように遇していくのが筋道じゃないんだろうかな、こんな考え方でおるわけであります。
  33. 安永英雄

    安永英雄君 一応きょうはそこのところ承っておきたいと思うのですが、これはやはり相当委員会等でも論議をしなきゃならぬ問題であると思います。  そこで、時間もありませんから、私はいま大臣が触れられました点で、いま文部省としては私立学校法の五十九条ですか、あれに基づいて次々にいわゆる助成補助というものをされていると思いますが、この予算の根拠法規というのは何によってされているんですか、五十九条でしょう。
  34. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 私立学校法の第五十九条「(助成)」に関する条文でございます。
  35. 安永英雄

    安永英雄君 この五十九条というのを一応根拠法規にして、そしてあるときはしぼり、あるときは出し、大体補助行政というのは、これは非常に欠陥があるし、私は反対なんですけれども、現況ではやむを得ない点もありますから私はそうは言いませんけれども、いまさっき大臣も言われたように、私学の総計費、経常経費の二分の一でしょう。これは結局義務制小中学校――県費負担の教員にしたってちゃんと半額国庫負担法というもので二分の一の人件費を国が見るという法律がきちんとできている。それからいま申しましたように、小、中、幼まで国の金を出す、四分の一出す、こういう大体状態になってくれば、私は、あの法律を適用すれば補助は幾らでも出せるし、また出さないでもいいし、適当にやっていける五十九条ですけれども、もう事ここに来て、私学のやっぱり位置づけといいますか、私学というのは、教育の中でどういう位置を占めるのだというものをやっぱり確定する時期じゃないですか。  これは、基本的に伺いますが、私学というのは、これは憲法の八十九条に非常に関係があるということで、従来文部省はいままで非常にこれについては憶病なくらいに今日まで来たんですね。しかし、もう私は――私どもこれにこだわったことがありますよ。ずいぶん、公の支配に属さないということでこだわったことはあるけれども現状、先ほども申しましたように、もう七〇%以上の大学生をかかえておるというんですから、これは明らかに国立をぐんぐんつくっていけばいいけれども文部省のほうとしてはなかなかこれはつくらない。そうしてもう私立大学に預けっぱなし。そして、その私大というのは、大体学校教育の中でどういう位置を占めるのかというのもわからない。これは、あるときは一つの企業だというふうな見方をするときもあるし、あるときは、公の、公共性を持った教育の大きな使命を果たすところだと強調するときもある。あるときは、金もうけに私学をやっているというふうな見方をするときもある。大体補助金あたりやらないときには、そういうふうな見方をする、後者の場合。こういったところで、もうそろそろ私学というのはどういうものだというものをきちっとしなければならぬと思う。ただ補助が出せるからというあの条項だけを突き出してはいけないと思うのですよ。なぜこだわるのか、もう一回おっしゃっていただきたいと思う。なぜこの時期に、この予算を出すときに、もう次の国会あたりでは、名前はどうでもいい、私学振興助成法でもいいし、いわゆる独立した法律というものを出さなきゃならぬと私は思います。もう時期は来ていると思う。この点についてなぜ出さないのか。
  36. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 私立学校振興のためのその助成法というものについて関係者の間でいろんな議論がされていることは承知いたしております。しかし、御議論内容を伺ってみますと、私立学校法そのものに規定してある事項を強調しておられる場合もございます。また、現在私立学校について幾多の補助金を出しておる制度があり、あるいは貸し付けを行なっている制度がございますが、そういうものをまとめて振興法の内容にしたいというような御議論もございます。また、経常費補助に着眼をいたしまして、経常費補助の限度について、国立学校のそれを基準としながら、標準経費を基準としながら私立学校のあるべく経常費を測定しようといったような考え方もございます。そのように種々の考え方がございますし、また、論ぜられるところを技術的に法律の条文に仕上げようと思って考えてみても、なかなかむずかしい相当の研究を要する事項が多く含まれております。したがって、昭和五十年度に対しては、そういう問題と、いま要求いたしております千三百七十五億、従前に比べれば非常に大きな予算でございますが、その二つに対して、二つながら努力するよりも、目下は予算の確保ということに力点を置いて努力する、そして振興法の具体的な問題についてはなお今後十分検討するという態度をとったほうがよろしいのではないか、担当の局長としてはさように考えております。
  37. 安永英雄

    安永英雄君 そうおっしゃると、私は基本的に聞かなければならぬと思うのですが、あなたのほうは、私学というのは、従来憲法の八十九条等から考えても公の支配に属さない、したがって、これはいわゆる私学を経営する者が全責任をもってやらなければならぬ問題で、大体、本来は国からこれに対する補助とかなんとかというものを出すべきものではない、ただ、いま補助として考えておるのは、当面私学が経済的に行き詰まっておるので、これについて当面の手当としてこれを出しておるのだと、こういうふうなお考えですか。それに立っておられるなら、またこれは別ですよ。
  38. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 先生のおっしゃる憲法八十九条との関係は、私立学校法の制定によって法的には解決されているのだと考えております。その結果といいますか、いま先ほど御指摘ございました五十九条の規定も国会において承認された条文としてあるわけでございます。その問題をいまもとにさかのぼって議論する必要はないだろうと思っております。
  39. 安永英雄

    安永英雄君 それがある、必要な時期が来たと私は言っておるわけです。幾ら何でもその規定に立つならば、これは私は私学というものにはびた一文出すべきではない。しかし、苦しいときだから一時出してやろう。そのために一応今度の五十九条ということで解決しているので、この範囲ならばいいというふうな解決が、憲法の問題からもこの解決を一応しておるのだから文句言うなというふうな言い分ですけれども、私はそうじゃないと思う。もう経常経費の二分の一小、中、幼までいくというふうな、補助金を出すというふうな時期は、これはもうすでにこの私立学校法の五十九条、これでは律せられないと私は考えているわけですよ。だから、いまの法の中でやれるという時期じゃないかというふうに私は言っておるわけですけれども、あなたはそれでいいというわけですか。だから私学の経営がよくなったら――補助金は、その時期を待っているのだ、それまでの間はやるんだと、こういうことですか。どうでしょうか。
  40. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 御質問の趣旨が私はつまぶらかでございません。いま経常経費の二分の一を目標としてその最初のステップを来年度踏み出す。五十年度、五十一年度、五十二年度において経常経費の二分の一まで文部省予算がまるまる通るとすれば到達できるようなプランを立てております。そういう際に、五十年度の時点を考えてみて、あるいは世間でいわれております振興法の内容等もいろいろ考えてみて、私学振興法の制定についていますぐ踏み切るよりも五十九条を適用して五十年度考える、そして言われているような問題についてはなお十分検討するというのが行政の当局として現在の段階においてとるべき妥当な筋道じゃないだろうかと考えているわけでございます。
  41. 安永英雄

    安永英雄君 これは意見の分かれるところですからこれ以上言いませんけれども、要するに、五十年というところではいまのところ研究の結果は出ていないので、その後考えるということですからこれ以上は言いませんけれども、三年計画というものをこれは発表した限りにおいては、その初年度のときからやっぱりそういう考え方があるならばきちっと出すべきですよ。私ども私立学校教育助成法についての、提案をし実現したいという用意がありますので、あらかじめ申し上げておきます。  予算の中に出てきておりますいわゆる新構想教員大学あるいは大学院創設という点がありますが、この点はすでに昨年から調査とか準備に入っているという状態でありますけれども、これは私は、今度の予算重点の中にも、いまさっき文部大臣もおっしゃったとおりで、これは非常に重要な問題を含んでおると思います。これはただ単に完成年度に、その年に国立学校設置法の一部を改正する法律というふうなことで短期間の中でこの問題は解決できるような問題ではない。したがって、これについてもう少し――着手の手前まで来ておるようでありますが、ひとつ昭和四十九年度の今日まで創設準備、これをされてきた現状、昨年の。それから調査会もつくられておるようでありますが、実地調査その他の結果が出ておれば昨年の予算を使ってどういったところまで進行しておるのか、お知らせ願いたいと思います。
  42. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 新構想教員大学院大学の問題につきましては、四十七年七月の教育職員養成審議会からの建議の趣旨を踏まえまして、四十八年度に、新構想教員養成大学等に関する調査会を発足させまして、その基本的な構想について御検討を願ってまいりました。本年の五月にその報告を文部省はちょうだいをいたしまして、この報告に基づきましてただいま諸準備を進めておるところでございますが、四十九年、今年度は、この報告をもとといたしまして、一カ所、兵庫につきまして創設準備の仕事を進めております。この五月に報告をいただきました教員大学院大業の骨子といたしますところを申し上げますと、第一点は、専門職としての高度の資質、能力を持った教員を養成、確保するという観点に立ちまして、現職の教員に対して高度の実践的な学習、研究に従事する機会を与え、初等中等教育の実践にかかわりまする諸科学の研究を推進していくということで、修士課程の大学院創設するということが一点。  第二点は、現在、御案内のように、各国立大学に置かれておりまする教員養成学部におきましては、小学校課程、中学校課程をその中核といたしますが、特に小学校幼稚園、幼小の連関等も十分に考えました初等教育全体につきまして、十分な理解と能力を有しまする初等教育教員の養成をはかって、あわせて小学校教員の需要の増大にも対処したい。その養成のあり方に種々の新しいくふうを加えていく。人間形成の重視でございますとか、あるいは教育実習の拡充でございますとか、こういうくふうを加えました学部レベルの大学創設する。  第三点といたしまして、これらの大学大学院は、大学院レベルの機能を中心といたしまして、学部レベルの機能をもあわせ備えたものとして創設したらどうであるか。  以上がその骨子でございます。  文部省といたしましては、ことしの五月にちょうだいいたしましたこの報告に基づきまして、先ほど申し上げましたように、一枚につきまして創設するための準備を取り進めておるところでございますが、同時に、こういった構想大学院大学をどの程度必要とするのかといった、今後の配置の問題でありますとか、そういった問題等を引き続きただいま調査会を持って検討いたしますと同時に、五月の報告に基づきまして、それをどういうふうな教育内容として具体化してまいるかとか、そういったことをただいま取り進めておるところでございます。
  43. 安永英雄

    安永英雄君 この大学院レベルの構想と、それから学部レベルの構想とを考えておるようでございますが、研究組織としてはどうなっていますか。研究組織と教育組織の説明をちょっとしてください。
  44. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま申し上げましたように、大学院レベルと学部レベルで報告をいただいておりますが、大学院レベルにつきましては、修士課程といたしまして、学校教育研究科という、大学院は研究科ということでやっておりますので、学校教育研究科という組織を設ける。その学校教育研究科に幾つかの専攻を立てていく。その専攻は、教育学専攻、学校教育専攻、教科教育専攻、幼児教育専攻、心身障害児教育専攻等の専攻を立てていったらどうであろうか。学部レベルの教育のための組織といたしまして、先ほど申し上げましたように、幼稚園小学校教員の養成を目的といたしまして、初等教育課程という――現在小学校課程、中学校課程という立て方をいたしておりますが、初等教育課程という課程を教育のための組織として設けたらどうであろうか。  教員の所属につきましては、大学院と学部と両面にわたりますので、現在、教員養成の大学で、たとえば東京学芸大学でございますとか、大きな大学の場合に、教員の所属と申しますか、くくりを幾つかの、三つないし四つ等の部ということで一応まとめたりもいたしておりまするが、大学教官すべてに、専攻分野に応じまして、いずれかの部に所属するというような考え方はどうであろうか、こういったことが報告の内容でございます。この辺は、先ほど申し上げましたように、この報告を骨子といたしまして、具体にどのように組み立ててまいるか、ただいま検討をいたしておるところでございます。
  45. 安永英雄

    安永英雄君 ちょっといま最後におっしゃった点が気がかりなんですけどね。調査はしている、そのうちにこの準備費も出す、校舎は建つ、そうしてどんな学校にするか、それからきめられて、そこから設置法の一部改正ということで、国会で大騒ぎする。医科大学をつくることになっておるのに、いつまでも引き延ばしていてできないとか、大混乱におちいっていくという可能性が非常に強いのですが、これは確固たる信念で進められておるわけですが、これはあとでまとめて聞きます。  管理運営は、どういうふうに考えておりますか。
  46. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 先ほど申し上げました五月にいただきました調査会からの報告の中で、管理運営にも触れていただいておりますが、ただいま申し上げました学校教育のための修士課程の学校教育研究科、それから学部レベルの初等教育課程というところが、大学院学生、学部学生教育する組織ということに相なります。  で、学校教育研究科、初等教育課程という課程のそれぞれの長を置く必要がございますし、及びれぞれの教官の会議というものを基礎に置きまして、大学院関係と学部の関係とが、有機的、総合的に運営されるような管理運営の組織を考える必要があるのではないか、なお新しいこの大学におきましては、やはり副学長という問題も考える必要があるのではないか、こういった点等が一応報告で指摘されておりますが、この辺、学校教育研究科、初等教育課程の中身を具体的にただいま検討いたしておるところでございまして、そのようなものを固めながら、管理運営のあり方もただいま検討いたしておるところでございます。
  47. 安永英雄

    安永英雄君 時間もありませんので。管理運営の中で特徴的に出てきているのは副学長を置くということですね。教官の採用、あるいは昇任人事、こういった問題については委員会構成でやるわけでしょう、どうですか。それから、学外の有識者との意思疎通をはかるということで連絡議会をつくる。こういったことを含んだいわゆる新構想に基づく教員養成の大学ですか。
  48. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) いま大綱だけ申し上げましたが、御指摘のように教官の採用、昇任人事等の方策といたしまして、人事に関しまする委員会制度も検討したらどうかとか、ただいま御指摘のような点が報告の中に盛られております。この辺、先ほど安永先生からお話ございましたが、五月にこの報告をちょうだいいたしまして、ただいま具体の問題とこういった基本的な管理運営の組織の問題とあわせて研究いたしているところですが、本年度このための具体的な検討を進めてまいりますと同時に、明年度におきましても、いわゆる具体の問題といたしまして、創設準備をさらに続けてまいろう、こういう慎重な態度で臨むつもりでございます。
  49. 安永英雄

    安永英雄君 慎重じゃないんですよ。来年も進めていくのは慎重じゃない。これは私ずっと聞いていきますと、いわゆる学部というふうな問題も、これは部というふうな言い方をして、学部は考えてないんじゃないですか。それからいわゆる管理運営、こういったもの、あるいは教育組織、研究組織、こういった考え方、あるいは教官の任用、委員会をつくるとか、あるいは学外者をこれの中に参加させるとか、これは全く筑波方式じゃないですか。筑波ですよ、これ。ここでだいぶん論議した、そのとおりの学校をもう一つ神戸に一応つくり始めておるというのが現状じゃないですか。これ文部大臣にお聞きしますがね、筑波大学を審議するときに、私も予算委員会でもこの委員会でもすいぶん質問をしたわけですが、そのたびに文部大臣は筑波で一応試験的にやってみるんだと、波及というのは考えていない、こうおっしゃったじゃありませんか。筑波はこのごろようやくよたよたと出発したようですけれども、まだこの問題についての研究その他について結果も何も出ていないし、私どもはその筑波が発足して、それからある程度たったら私どもがいろいろ主張してきたこと、そのことがどう出てくるのか、あなた方主張されたのがどう出てくるのか、そういった検討も私は一時期にはしなければならぬと思っておったわけです。これはちょっと私はいまの局長の話じゃありませんが、どうするのかわかりません、五月に答申をいただきましたけれども、この点についてはこうでございますが、いまから固めていくつもりでございますと言いながら、校舎はどんどん建っているし、そしてもう一回、何といいますか、調査会をつくって、これは全国にどういうようなふうにつくろうかという、そういう調査も検討に入っている。兵庫だけの問題じゃない、こういうふうな調査会もできている、そのための予算も組んである、これではまた混乱しまよ。これが出発するときに、よくどういう性格の大学かという問題については、これはよく議会等でもやっぱり審議しなければならぬと思うんですよ。これは先ほど申した、大臣のほうでいろいろわれわれの意見も聞いていただくかという点ですが、このままいきよりましたら、いよいよ寸前になってまた国会のあるときに国立学校の設置法の中にぽんとほうり込んで、そうしてやっていくというようなことでは、これは話し合いになりません。これは筑波と全く同じじゃありませんか。私はそう感じる。時間があればもう少し一つ一つ――私は研究してみたんですけれど、これはもう筑波そっくりですよ、どうですか大臣
  50. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 筑波大学は総合大学でございますし、いま大学局長申し上げているような教員養成、教員の資質を高めるという意味でさらに高度な大学を設けたいということで検討が進められているところでございます。いずれにいたしましても、その管理運営の方式が筑波大学と同じという場合には立法措置をとらざるを得ないわけでございまして、現在のところまだそこまで検討が進んでいるわけじゃございませんで、いずれまただんだん考え方が進んでまいりました場合には御講論いただく機会もあるんじゃないだろうかと、こう思います。
  51. 安永英雄

    安永英雄君 まあ、この点はいまおっしゃったことをひとつ守ってもらいたいと思うんです。きょうここでまたいろいろこれ筑波とか筑波でないとかそういうことを、時間もありませんし、私はぜひこれは筑波大学の審議のあのような混乱を二度としちゃいかぬと思う。これはやっぱり寸前じゃなくって、早く考え方というものをまとめてもらったら、これはひとつ委員会で特別委員会でもつくってやったらどうかという提唱もしたことがあるんです。これはぜひひとつ約束していただきたいと思う。
  52. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 関連。  いまも大臣からまだ煮詰まっておらないという話があった。先ほどまた局長のほうからは、来年も創設準備の云々というお話があったんですが、具体的な日程ではどうなっていくんですか。言うならば来年開校ということでことし詰めていくのか。あるいは五十年度までは創設準備で、いろんな報告とか、調査会の答申等を踏まえて十分来年度までは審議をするところの余裕というものは大体慎重に考えておられるのかどうか。それで、要すれば五十一年開校というかっこうに持っていきたいのか。そこらあたりのめどというのはどういうのか、そこのところをはっきりお聞かせ願わなければ、大臣はまあその問題慎重にやりますと言って、来年の通常国会には法案として出てくるというんなら、先ほど安永委員が指摘をしたように、全くその法案がいいかどうかという論議しかしなければならない。一番やっぱり指摘されて出る大事なことは、一体日本教員養成のあり方はどうあるべきかという基本の問題がかかわっておるだけに、相当やっぱり議論を要する問題であるだけに、文部省としてはその日程的にはどういうことを考えているのか、その日程上の問題だけお聞かせ願いたい。
  53. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 五十年度は、ただいま概算要求を出したところですが、五十年度創設準備を続けていく、で、五十一年度にできれば開校ということで準備を進められないかということで、具体的ないま準備を進めておるところでございます。ですから、五十年中に開学ということは考えておりません。
  54. 安永英雄

    安永英雄君 これは申し添えておきますが、これは私ども党次元でも検討しなければならぬ、話し合いをしなければならぬ問題があるわけです。これは、この昭和四十七年の七月ですね、自民党のほうのこれは主として文教部会のほうから出された問題ですが、政務調査会で決定をされたいわゆる新構想教員養成という問題についての一つの結論があるわけです。それと全く同じなんですよ、これ。だから、この点については自民党ともよく話をしようじゃないかということで、私どもは一時話をしたことがある。そのままどんどん進んでいっているわけです。この点は、党次元でも私どもとしては十分打ち合わせをしていきたいと思う。これはある程度話に入ったことがあるんです。これを忘れちゃ困る。それをいまの点どんどん進められて、もう準備費とか調査費とかどんどんとられて、すべてでき上がったときにどうしようなんていうような話になると大混乱です。先ほど言われたように、基本的に日本教員養成はどうあるべきかという問題についてはやらなければならぬし、既存のいまの養成機関というものとの関連等も十分考えていかなければ、ただつくっただけではだめなんです。いまの教員養成機関をどうするのかという問題も関連をして考えなければならぬ問題ですから、ぜひひとつ約束を守ってもらいたいと思う。  技術科学大学院についても、これは調査費、準備費とってありますが、これについての構想についてひとつ。簡単でけっこうです。
  55. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 技術科学大学院の問題につきましても、ことしの三月に報告を得まして、今年度創設準備を進めておるところでございます。高等専門学校の卒業者等を主たる対象といたしまして、実践的な技術の開発を主眼とする大学院レベルの高等教育機関を創設しようとするものであり、新しい時代の進展に応じまして、教育組織といたしましては従前の学部学科大学院の研究科専攻の立て方にとらわれないで、おおむねこれを六つのコースに分けまして、工学基礎、情報技術教育も重視いたしました指導的な実践的技術者の育成を目的としょう、社会人の継続教育、再教育の機関としての役割りも果たす開かれた大学院ということに考えたらどうか。かつ入学定員は六コース、それぞれ五十人、三百人として、教育年限は学部の後期二年に相当します二年と、大学院修士課程に相当する二年を合わせた一応四年を基本として考えたらどうか、卒業者には修士の学位を授与したらどうか、こういった内容の報告を本年の三月にいただきまして、四十九年度創設準備を二校分予算計上願いまして、ただいま具体の二校につきまして創設準備を取り進めておるところでございます。
  56. 安永英雄

    安永英雄君 これも、私は先ほどの教員養成大学と同じように慎重に処していかなければならぬと思います。いますでに長岡市と豊橋市でこの準備にかかっておるということですし、それからこれも私、ずっと歩いてみまして、これの誘致運動というのを盛んにやっておる。私の近くの飯塚なんてところに持ってきたいなんて大騒ぎしている。これはあっちこっちやっていますが、取り合いをやっていますけれども、これはよほどどういう大学にするかという問題については慎重にしないと、私は現在の高専ですね、これ必ずしも私は成功じゃないと思うんです。私ども当初から考えておったような状態にいきつつあると思うんです、この点は。時間があれば現在の卒業生の状態なり、何なりお聞きしたいし、私の知っているところは述べたいわけですけれども、要するに、やっぱり袋路地に入り込んでしまっておるというのが現状なんです。大学に行けるというコースはあることはありますけれども、ほとんどこれ大学に入ったって入りようがない。とても入れないのです。毎年一人か二人しか大学に行けないという状態なんです。それから、やはりここ三期生ぐらいは非常に優秀だった。しかしごく最近は、ほとんどが大学に行くということで非常に質の低下を来たしておる。こういったことで私は屋上屋を重ねるような気がするんですよ、現在の高専の上にこの大学をつくったら。だから同じつくるんならやっぱり高専等の現在の状態をやはりもう少し改善する、思い切って改善する、これのほうが先じゃなかろうかという気がするんです。ただ、上のほうにくっつけたような形で、依然としてやっぱり技術ばかりの狭い範囲をずっとのぼっていくような私は大学になるような気がして、どうも高専の延長の大学のような気がする。これも袋路地の続きのような気がする。これ、私は時間があれば申し上げてみたいと思うんですけれども。それと具体的には、いまこの中で、いまの高専の中からこの大学にどれぐらいの希望者が大体おりますか。これはもちろんとってやって準備に入ったわけでしょう。
  57. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま具体的御指摘もございましたが、高専の卒業者の中で卒業と同時に進学を希望しておりまする者の数を見ますと、大体六%から七%前後の者が進学を現に希望しているという、この春あたりの実績でございます。大体、ただいまのところ国、公、私立の全体を通じまして高専の入学定員が約一万、卒業生も一万弱でございますが、その中で大体六%ないし七%が進学を希望している。現に学部の、これは二年に編入しておる者と三年に編入しておる者とございますが、二年に編入されておる者、三年に編入されておる者、この春の実数は大体百六十名前後というのが状況でございます。したがいまして、先ほど申し上げました、また先生からも具体の名前もございましたが、豊橋と長岡ということで、ただいま創設準備をさしていただいておりますが、六コース五十人ずつで三百人という入学生になるわけで、その意味では現在の国、公、私立高専の卒業者の大体六%ぐらいというところを、まずはスタートにあたりましての最初に創設準備をし、創設をはかってまいる学生の規模としましては、大体いまの希望に一応即しておる。ただ先ほど申しましたように、技術科学大学院の非常に大きなねらいとしております、すでに現職者となって現場経験をすでに積んだ人たちがもう一ぺん学校に入ってくるという、その点を一体どこまでどう掘り起こしていくか、その要望をどういうようにキャッチしていくか、こういった点等は、なお引き続き私どもも十分勘案しながら、今後の問題は考えなければいかぬだろう、かように考えております。
  58. 安永英雄

    安永英雄君 これはいま長岡と豊橋、この二つで一応やってみようということで始められたようですけれども、これはやはり調査会をつくられて、これやはり全国的にずっとこう、聞くところによると、ブロックに一つとか、ブロック制をやって広めていこうという考え方はあるわけですか。
  59. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 明年度予算高専の卒業生を主たる対象とする高等教育機関として、技術科学大学院ということで、いま二校の創設の準備をいたしておるわけですが、工業高専の卒業者のためのこういった技術科学大学院、これが卒業生の状況なり、あるいは高専あるいは短大等を出まして現場におる技術者の人たちなり、この辺の要望等に応じて、一体どの程度の規模の技術科学大学院をつくっていく必要があるのかといった問題も並行して、明年度調査をしてまいりたい。  なお、これと同時に、工業高等学校を卒業しておる諸君、工業高等学校を卒業しておる人たちの進学の要請というものにいまの高等教育機関が十分にマッチするように対応しておるかどうか、こういった問題もございますので、この問題もあわせてひとつ明年度調査をし研究をしてまいりたい、さようなことでございます。したがって、工業高専あるいは工業高校の教育内容改善していくということと並行しながらでございますが、工業高専や工業高校の教育がほんとうに生かされるような高等教育機関のあり方というものもやはり求めていくべきだと、こういう観点に立ちまして、質的な問題と、それからただいまの量的な問題と両面からの調査明年度でさましたらやりたい、かような考え方でございます。
  60. 安永英雄

    安永英雄君 時間がありませんから、現状をもう少し研究してもらいたいと思うのは、高専の現在のあり方という問題についてメスを入れてもらいたいと思います。要望しておきます。この点をがっちり固めないと、この点は、ただ単に大学という問題で切り離していって、あっちこっちつくっていこうという、そういうことではこれは成功しないと思う。高専の改革がまず必要であります。これは御存じのように、私立高専あたりもう立ちいかないですよ。来ないのです。だから今度のあれでもそうでしょう、大学昇格の申請をどんどんやっていって、もう高専は成り立たないものですから、私学高専の経営成り立たない。来ないのですよ、こんなの。来ないから廃校になってしまっている、こういう情勢にいま入っておる。足元からくずれますよ、高専をかちっとやっておかないと。この点要望しておきます。  それから私が一番心配するのは、教員の確保ができるかという問題です。この点、現在の教員組織、高専のこれあたりもよく研究してもらいたいと思う。この上に大学つくって、そこの教員組織、こういったものがはたしてできるかどうか、来てがあってもはたしてできるか、非常にいま混乱しておるのですよ。高専をつくったときに高等学校から来た先生と大学から来た先生で、いまだにまだ、内容はですね、学校の中に入ってごらんなさい、高専の中に。これは非常に問題がある。むしろ私は、高専をもう少し改革しておいて大学に移るべきだと思ったのです。しかし、そう進めてあるとすれば、教員養成大学と同じように、私は早い時期に文部省考え方をもとめたい、そういうことで特別ここで審議できるような機会をこれもあわせてひとつ要求しておきます。これはやっておかないと、大事なことですから。  次に、いわゆる学校教育法の一部を改正する法律ということで、いわゆる教頭法という問題がありますが、この法律制定以降の施行という問題について、文部省としては、これをどういうふうな形でこの施行後の指導というものをやっておられるのか、これをお聞きしたいわけです。しかし、時間がありませんから、私の聞いたところでは、八月の三十一日付で通達が出されております。これが初めての指導かどうかお聞きしたい。そのほか各県から集まって、そして各県教育委員会等で指導されたことがあるのかどうか。いわゆる法律制定後の九月一日から施行ですから、これについての指導はどのようにされたかお間夫、したいと思います。
  61. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 学校教育法の一部改正法の施行に伴う指導でございますが、ただいま御指摘の通達でもって指導をしておるのみでございまして、そのほか特別な指導は行なっておりません。
  62. 安永英雄

    安永英雄君 それでは、この通達について質問をしていきたいと思います。  この法律は、この法律形式としては非常に単純なものであるわけですが、条例、規則、この改正基準、こういったものは、これにつけて出されましたか。
  63. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) さようなものは出しておりません。
  64. 安永英雄

    安永英雄君 今後出す考えでありますか。
  65. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 私ども、これを出す考えはございませんが、教育長協議会等でいろいろ御相談になりまして、モデル等をつくって、各県の御指導に当たられるということでございますれば、私どもも御相談には応じたいというふうに考えております。
  66. 安永英雄

    安永英雄君 それでは、文部省としては積極的にこういったものをつくれというふうないわゆる準則、こういったものは積極的には出さないということですね。念を押しておきます。
  67. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 条例規則等のモデルを示す考えはただいま申し上げたとおりございませんけれども、この通達の中に、たとえば教頭の等級につきまして……
  68. 安永英雄

    安永英雄君 それは、あとから質問します。
  69. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) はい。  適正な処遇をするようにということがございます。こういう点につきましては条例、規則の案ということではございませんけれども、私ども考えを述べて指導もいたしたいというふうに考えております。
  70. 安永英雄

    安永英雄君 もうすでに各県の条例、これを改正しておる県がありますか。あったらどこです。
  71. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) ほとんどの県でやっておると聞いております。
  72. 安永英雄

    安永英雄君 やってないところはどこですか。ほとんどの県やっていますか、条例改正を、議会で。
  73. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) ほとんどの県でやっておると聞いております。
  74. 安永英雄

    安永英雄君 やってないところたくさんあるんだ。  次に、複数の教頭制について現状はどうか。あるいは拡大の方針を文部省は持っておるのかどうか。
  75. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 教頭の複数制でございますが、非常に規模の大きい学校、あるいは学校統合の進行中の学校につきまして、複数の教頭が置かれておるという事例を聞いておりますが、ただいまのところこれを特に積極的にふやすというような指導をする考えはございません。
  76. 安永英雄

    安永英雄君 この通達の中で「任用に当たっては法令の定めるところによりその者の能力」、それから「適性等について十分配慮されたい」、こういうふうにありますが、教頭のこの選考試験の一斉実施と、こういったものを文部省考えておられるのかどうか。この通達の内容は、各県のそれぞれでやっていけという趣旨なのかどうか。
  77. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 御承知のとおり、学校教育法の一部改正によりまして教頭という新しい身分が設定されたわけでございまして、九月一日には、教頭の公務員法上にいう任用が行なわれるわけでございます。任用は御承知のとおり、教育公務員特例法におきましては「選考による」ということでございますから、各県がそれぞれの判断に基づきまして選考を行なったということでございます。  具体的なやり方といたしましては、これは各府県の判断でございまして、文部省といたしまして一律にこうした選考方法をとるようにという指導はいたしておりません。
  78. 安永英雄

    安永英雄君 私の聞いているのは今後の問題です。今後文部省としては、文部省として選考試験の一斉実施と、こういうふうな脅え方はないとおっしゃったのか。ことしとりあえず、この三月に任命されていますね。そうして九月一日ということで、九月一日あらためて、その間にまた一つの選考と、こういったものをいまおっしゃったんでしょう。そういうことは、指導はしないということか、今後の問題です。
  79. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 三月に行なわれたというお話でございますが、三月に行なわれた選考は、これは学校教育法一部改正施行前の選考であろうかと思いますが、私どもがこの通達で申しておりまする御指摘の個条は、これは先ほど申し上げましたように地方公務員法の十五条に基づきまして任用が行なわれるわけでございますから、その任用にあたっては、法令の定めるところによってその者の能力、適性等について十分配慮すると、具体的な方法といたしましては、まあ選考でございますから、選考の方法は各県にまかせるということでございます。ただいまの段階におきましては教頭の選考方法について、一定の指導をするということは考えておりません。
  80. 安永英雄

    安永英雄君 いや、私が言ったのは、今度のいわゆる新法というものに基づいて、九月一日から教頭というものが生まれるわけですね。三月の時点で、四月一日から教頭になっておる、で、八月の三十一日。この間にいわゆる選考をやるわけでしょう、あらためて。そこのところの指導はどうされたかということです。それはもう各県にまかしてあるということですか。
  81. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 各県にまかせたということでございますが、ただ、教頭の職務につきましては御承知のとおりでございますが、それにふさわしい者が、まあ能力、適性等を見た上で任用されるように留意してもらいたいということを申しておるわけでございます。
  82. 安永英雄

    安永英雄君 だから、ことしですね、ごく最近のことですけれども、いわゆる八月の三十一日までにこのいろんな選考の過程をとって九月一日に任用をしたというところと、三月そのままで別にそういったことはしないで自動的にこの九月一日に教頭に切りかえていったというのとあると思うのですが、全国の情勢はどうですか。
  83. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 選考の方法といたしまして、たとえば面接を行なった府県といたしましては、北海道、福岡県がございます。それから面接と小論文を課したという県といたしましては、宮崎がございます。それから論文を課したという県といたしましては、山形と長崎がございます。それから、まあ研修会を開催したという県が三重県でございますが、こうした方法によって各県適宜まあ選考の方法を講じたということでございます。
  84. 安永英雄

    安永英雄君 時間がありませんからあれですけれども。福岡あたりていまも――福岡筆記と入っていましたか。
  85. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 面接。
  86. 安永英雄

    安永英雄君 面接。――だからね、この面接するということなら別に何も騒動は起こらぬのにね、警察官まで連れてきて、そして警備さしてやるというような、ああいうくだらぬことはやらせぬように指導助言しなさいよ。言っておきます。私どももずいぶん努力したんだ。何もしてないところもあるんですよ、ほとんど全部が。あるいは論文書いたりですね、ちょっと話し合いをしたぐらいで、それするのに大げさに、あんまりやらぬようにひとつ指導してくださいよ。まあもう少し言ってもいいですがね。教頭のこの授業担当はどのように考えてますか。
  87. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 教頭の授業担当は、先般の国会におきまして修正が行なわれたわけでございますが、教頭の職務といたしまして、「校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童一生徒又は幼児の教育又は保育をつかさどる」ということになっております。「必要に応じ」ということでございまして、一律にどういう形でこれを行なうようにというふうな指導は現在考えておりません。
  88. 安永英雄

    安永英雄君 これは当面の問題ですか、それとも今後ずっと続いていきますか、いまみたいな態度は。
  89. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 修正の趣旨はやはり教頭というもうが校長を補佐し、校務をつかさどるということが原則になったわけでございまして、そのほかに必要に応じて児童生徒の教育をつかさどるということでございますから、やはり教頭は教頭職に専心をするということがたてまえであろうと思います。したがいまして、それに対応した必要な定数措置も講ずるべく検討いたしておる次第でございます。前国会の当委員会の御質疑におきましてもそういった点の御指摘があったわけでございまして、そうした方向で私どもとしては検討を進めておるということでございます。
  90. 安永英雄

    安永英雄君 定数はどのように取り扱いますか。
  91. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) これは来年度予算要求の問題になるわけでございますが、御承知のとおり、標準法におきましては小学校六学級以上、中学校三学級以上の学校につきまして〇・五人の教頭定数が算定されておるわけでございますが、とりあえず十二学級以上の小中学校につきまして、この〇・五人をさらに〇・五人上積みをいたしまして一人にするということにいたしたいと考えております。これを四年計画でやるべく来年度概算要求におきまして、定数といたしまして約千九百名程度の定数を要求したいと考えております。
  92. 安永英雄

    安永英雄君 給与の問題について質問しますが、この通達で、先ほどちょっと説明ひっかかっておられたようでございますけれども、「今後検討の必要があるが当面」というあれですけれども、どういう方向考えておるんです、「当面」という問題は。
  93. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 御承知のとおり、現在の俸給表は三等級に分かれておりまして、一等級が校長、二等級が教諭、三等級が助教諭ということになっておるわけでございます。従来の教頭は、これは教諭でございましたから、当然二等級ということでございますが、新しく教頭という身分が設定されたわけでございますから、したがって、その俸給表の等級については新たな問題が起こったわけでございます。したがって、教頭をどういう等級に格づけるかということは、これはただいま申し上げましたように、新しい問題として基本的に考えるべき問題かと思います。これは俸給表の問題でございますから、主として人事院等の問題になろうかと思いますが、そうしたところでいずれ検討が行なわれるはずでございます。しかし、それはまだきまっていないことでございますから、さしあたり教頭の等級をどこに位置づけるかということが現実の問題になるわけでございます。したがいまして、私どもの指導といたしましては、通達にもございますように、「その職責が校長と同等若しくは、これに準ずるものについては、一等級とするなど、その職務と責任にふさわしい処遇をはかる」ようにという指導をいたしておるわけでございます。関係省との打ち合わせにおきましては、少なくとも二分の一を下らない教頭については一等級の処遇がなされるように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  94. 安永英雄

    安永英雄君 そこですがね、「その職責が校長と同等若しくは、これに準ずるもの」、これを一等級にするということですね、とりあえず当面の問題として。「校長と同等」というのはどういうものがおります。
  95. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 各学校の規模はいろいろあるわけでございますが、大きな規模の学校に置かれる教頭の職責と小さい学校に置かれる教頭の職責とはおのずから違いがあろうかと思います。したがいまして、大きな学校に置かれる教頭につきましては、その職責は小さな学校の校長に匹敵すると考えられるものがあるわけでございます。したがいまして、そういう点に着目をいたしまして、一定規模以上の学校に置かれる教頭、同時にその教頭が給与上の一定の経験年数を経た者である場合には、おおむね半数を目途にいたしましてこれを一等級に格づけるように指導したい、こういうことを考えておるわけでございます。
  96. 安永英雄

    安永英雄君 この点が私はふに落ちないんですね。全部じゃないんですね、一等級というのは。大きな学校規模であればあれですけれども、これはしかし責任の所在なりいろいろな問題について差がありますか。どういうことをおっしゃっているんですか、差があるとあなたおっしゃるんですか、どう思いますか。
  97. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) ただいま申し上げましたように、法律的に教頭の職責はこれは同じでございますけれども、やはり実際の問題といたしましては、大規模学校の教頭は小規模学校の校長に匹敵する、ないしはそれに準ずるやはり職責の重さというものがあるであろうという判断の前提に立ちまして、ただいま申し上げたような指導をしたいと考えておるわけでございます。ただ、そういたしますと、各県によりまして学校規模別の学校数が違うわけでございます。学校規模だけで判断をいたしますと、ある県の教頭は大部分一等級になり、ある府県の教頭は大部分が一等級にならないというような事態も生ずるわけでございますが、一定規模以上の学校がどういう規模であるかということは、これは各府県の実情に応じて御判断をいただきたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、教頭の少なくとも半数を下らないものが一等級に格づけされるようにというのが私どもの指導の考え方でございます。
  98. 安永英雄

    安永英雄君 要するにあれですか、処遇をはかることが適切であるというふうな表現でこの通達が出されておりますが、これは先ほどちょっと言いかかっておられたのですけれども、各県のたとえば給与条例、こういったもの、こうしなさいと強く規制するものですか、あるいは県独自でそうではないということで一等級という形にはしないでもいい、こういうものですか。この通達を受けての県の立場というのはどういった立場におかれるのですか。
  99. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 給与条例は御承知のとおり、きわめて簡潔なものでございますから、ただいま御指摘のような問題が給与条例という形で論議されることはおそらくはないと思います。これは実際上の格づけの問題でございますから、各県の教育委員会が人事委員会等と協議をして実際上の運用をはかっていくことかと思いますが、私どもは、こうした方針で各県を指導してまいりたい。教頭には教頭にふさわしい処遇を与えていただくように強くお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
  100. 安永英雄

    安永英雄君 通達という形は、これが大体出ているわけですね、その後初めて出ているわけです。この中で各県を拘束するというのは、ここのところですわね、確かに。ほかのところは試験とか任用とか何とかいう問題は各県にまかせる。ここのところはとにかく一等級にこういう者はしなさい、こういうことが適当であるという表現ですけども、これは相当押しつけていくわけですか。
  101. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 御承知のとおり、公立学校教員給与は、教育公務員特例法の規定によりまして国立学校教育公務員の給与を基準とするということになっておるわけでございます。したがいまして、その基準の範囲内といたしまして、私どもは先ほど来申し上げているような方式を考えておるわけでございまして、その基準の実施という形で各県に対して指導助言をしてまいりたい、こういうことでございます。
  102. 安永英雄

    安永英雄君 「このことついては自治省及び人事院とも協議済みである」と、ただし書きがちゃんと入っておるわけですけれどもね、これは人事院の立場はどういうことですか、きょう呼べばよかったんですけれどもね。
  103. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 人事院の立場は、文面にございますように、「職責が校長と同等若しくは、これに準ずるものについては、一等級」に格づけすることは差しつかえないということでございます。ただ、具体的にどういう程度のものが同等であり、あるいは準ずるものであるかということにつきましては、これは地方の教育公務員の問題であるから、自治省あるいは文部省の判断で指導をしてもらいたい、こういうことでございます。
  104. 安永英雄

    安永英雄君 大臣国会で五段階給与と、こういったものについては考えないということをたびたび言われたわけですね。ことしの人事院に対する要望の中でもこれは例年入っていましたけれども、これがはずしてある。そうして人事院もそれを受けて今度の勧告の中には入っていない、知っておりながら入っていない。こういった点で、私は一等級にと、こういった問題を急に一片の通達、あとで指導すると言いますけれども、通達で片づけられる問題じゃないんじゃないかという気がするんですが、これは慎重にもう少し進められたらどうかという考え方を持っているのですけれどもね、この点についてのいままでの大臣考え方と多少違うような気もするんですけれども、この点、急に八月三十一日付の第一回の通達で、給与の問題については先ほどもおっしゃったように、これにふさわしい、あるいは検討をいまからしでいくんだと、人事院もするんだと、こういった中で今度九月一日からこれはもうやれと、こう言うわけですけれども、ちょっと早いような気がするんだけれども、なぜこんなふうに急がれるのか、ちょっと私もいままでの大臣考え方あたりをお聞きしたこともあるんですけれども、ちょっと違うような気がするんですけれども、どんなふうなお考えですか。
  105. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 率直に経過を申し上げたほうが御理解いた、だけるんじゃないか、こう思います。  新たに教頭という身分が生まれたわけでございます。これの俸給表は別段定められていない。そうしますと、一等級に格づけするか、二等級に格づけするか、いずれを選ぶかという問題でございます。私は、今度の教頭職の法制化、あの条文を読んでまいりますと校長に準ずるものだと考えるわけでございまして、教員に準ずるものではないと思います。そうしますと、一等級に格づけすべきだと、こういう結論が出てくるわけでございまして、私としては全部一等級に格づけしたい、こういう主張をいたしました。それに対しまして人事院当局は、いますぐ一等級に格づけすることについては難色を示されたわけでございます。その結果、校長に準ずるものは、一等級に格づけするという妥協をしたわけでございまして、その場合にも過半数が一等級に格づけされなければ、原則――教頭は一等職だという考え方が出てまいりませんので、半数以上は一等級に格づけするんだという主張をしたわけでございまして、この点につきましては、関係省御理解いただいたわけでございます。そういう経過をたどったわけでございます。
  106. 安永英雄

    安永英雄君 いまのことではちょっと私、先ほど聞いたことの答弁にはならない気がするんですけれども、それは流れをおっしゃっただけの話で、ものの考え方というのは、そういうものじゃなかったというような気がいたします。しかし、私はもう答弁要りません。そういった通達を出されておるという問題について、これは私は非常に不満です。この問題については、やはりこの教頭法の成立後、十分話し合っていかなければならぬ問題で、この給与の問題以外はある程度私は、相当考慮して通達を出され、指導されようとしているのはわかるけれども、この給与の格づけを一等級という形をこの通達の中で出されたことについては時期尚早だと思う。この点については不満の意を表しておきます。  それからこれについての指導、こういった問題については、これは指導、助言といまおっしゃったけれども、この点については、やはり文部省としては相当考えた行動をとらないとこの問題については混乱していきますよ。第一いまのみんな一等級じゃなくて、とにかく数、規模、各県のバランスはくずれますよ。高等学校との関係が起きてくる、高専大学との関係が起きてくる。これは軽々にきめられるべき筋合いのものではなかったわけで、また今後検討するとおっしゃるけれども、教頭職にふさわしい給与を検討するとはおっしゃるけれども、また人事院も考えるだろうとおっしゃるけれども、これは相当慎重を要する問題で、他に波及する影響は非常に大きい、こういうことで、慎重にやってもらいたいということを要望して、私、終わります。
  107. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時十分再開することといたします。  暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時十八分開会
  108. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き教育文化学術に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 三点にわたって簡単に質問したいと思います。  まず第一点は、中学教科書の問題を取り上げるわけでございますが、五十年度の検定の出願本が出されたわけでございますが、その「中学社会」の中に「世界、平和と日本の進路」のまとめとして日本書籍から出たわけでございますが、簡単に申し上げますと、この中でまあ私もいままでの現行の「世界平和と日本の進路」よりも、今度の五十年度の検定の出願本が非常によくまとまっている、集約されている、こういうふうに非常に感心をしておったわけなんでございますが、その中のまとめでは「世界平和と日本の進路」の中で、ちょっと時間がかかりますが、「わが国は憲法で平和主義を宣言し、戦争の放棄と軍備及び交戦権の否認を定めている」、こういうふうな中で、「わが国の政府はこれまで、日米安全保障条約を軸にして外交を進めてきた。また核兵器は、(1)作らない、(2)持たない、(3)国外から持ち込ませないという非核三原則を方針としながらも、アメリカの核兵羅が、したがって、安保条約が日本の平和と安全にとって必要だとしてきた。しかし、これに対して、安保条約を廃棄して、新たな安全保障の道を求めるべきだという意見があり、その存廃をめぐって議論がたたかわされてきた。安保条約の存廃は、今日国民が当面している最も重要な外交上の課題である。」、まあ一部を抜かしましたが、この中には非核三原則の部分と、そうして安保条約に対する公平的なそういう文がまとめとして載っているわけであります。私は、中学生として、「世界平和と日本の進路」の中で非常にこれは要を得たものである、こういうふうに期待をしておりました。日本の国でも先般非核三原則の国会決議については、前の佐藤総理が明確に国会の中でも答弁をしております。その中には、核兵器の開発、これは行なわないし、核兵器の持ち込み、これも許さない、またこれを保持しない、こういうふうに明確に言っていることでございます。  こういう問題をあげておりますと、実際にわが国が原子爆弾の被害を受けて、そうして世界の平和と日本あり方というものが現在の社会機構を見ましても教育が基本であるということは、これはもう間違いのないことでございます。そういう意味でこの教育の中に平和の条項をどのようにしてやはりやっていくか、これは一番大きな問題だと思います。そういうふうなこの非核三原則の問題が一ぺんに削除されている、そうして安保の問題も削除されている、こういうふうな事態を考えましたときに、私はまず自分のことを考えたわけなんですけれども、私もやはり義務教育を受けている間の中で、ほんとうにこの戦争が正しいのかどうか、こういうことは学校でわれわれはもう教えられなかった、みんな正しい正しいという中で、戦争に行くことがわれわれ少年としては一番よいことだ、こういうふうに私の命の中にもあったわけでございます。ところが、私も予科練に志願をして、長崎で原爆が落ちましたときに、大村の飛行場のまん中で、原爆の爆発する姿、そうして光線を目に受ける、それから雨がとめどもなく流れていく、降っていく、そういう中で私もやはり放射能の被害を受けております。そうして、私も広島でございますので、引き揚げてまいりまして、身内が広島で死んでしまう、そういうふうなことでまた身内をさがしていく、こういうことで、原爆が広島に落ちて一カ月ぐらい後にもやはり雨を受けている。こういうことで私の身内並びに親戚もやはり原子爆弾の被害を受けてみんな死んでいったり、現在までそういうふうな状態が、放射能のそういうものが残っている。また高校時代にも、ケロイドのそういう被害を受けた友だちたちが疲れている間に血を吐きながら死んでいった、こういうことを私は広島で学生時代に、まあほんとうに戦争というものは二度とやってはいけない、そのためには、平和を求めていくためには、戦争のおそろしいそういう結論的なものは原水爆の問題である、こういうふうな状態は、いま世界じゅうが核の問題を、これをもうほんとうに取り出してくれば、これはもう人類が滅亡することは間違いないわけでございますので、ほんとうに「世界平和と日本の進路というものが五十年度に初めて取り上げられた、こういうあれで私も喜びに燃えておったわけなんでございますが、いつの間にか削除というふうな状態になっている。  そういうことでございますので、まず質問の一点は、この削除は、出版社の自主規制によるものなのか、それとも文部省のどの段階の検定によって削除されたのか、その真相をはっきりしていただきたいと思います。
  110. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 教科書の検定は、御承知のとおり、教育基本法、学校教育法、それから学校教育法に基づく学習指導要領、それから教科用図書の検定規則等に従って行なっておるわけでござ.いますが、内容といたしましては、指導要領がその基準でございます。ただいま御指摘の中学社会科の日本書籍の教科書は手元にございませんし、かつまた、その具体的な検定の経過につきましては、その間の資料を持ち合わせておりませんので、具体的なお答えはいたしがたいのでございますが、まず、学習指導要領におきましては、中学社会科の公民的分野といたしまして「国際政治と平和と」いう問題に触れることにいたしております。その中に「わが国をめぐる国際関係について認識させ、日本国憲法の平和主義についての理解を深めるとともに、平和と安全の問題について考えさせる」というところ、あるいは「核兵器の異常な開発に伴って、ひとたび戦争が起これば、それは人類を破滅におとしいれるおそれがあることを考えさせ、戦争を防止し、平和を確立するための熱意と協力態度を養う」、こういうことが指導要領の指導の基準とされておるわけでございます。  したがいまして、教科書もこれを受けて執筆をされておるわけでございます。ただ、教科書の検定は、御承知のとおり、執筆者の意向をできるだけ尊重するという立場で行なっておるわけでございますが、しかし、内容的にただいま申し上げましたような基本法や学校教育法に抵触するとか、あるいは指導要領の教科の目標と一致しないとか、あるいは政治や宗教について立場が公正でないとかいったいわゆる絶対的な条件に触れるものにつきましては、これは適当な教科書として認めないということにいたしておりますし、また、必要な条件といたしましては内容が指導要領によっていること、正確であること、内容の程度が児童・生徒の心身の発達段階に適応していること、内容の選択と扱いが学習指導上適切であること、組織、配列、分量が学習指導上適切であること等の条件が設定されておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘の部分につきましては、指導要領におきましても、ただいま申し上げましたような記載があるわけでございますから、その非核三原則について触れるとか、あるいは安保条約について触れるといったような事柄自体に問題があるということではもちろんないわけでございます。他の教科書でこうしたことに触れたものもございますけれども、ただ教科書全体のバランス等といたしまして、ある部分について詳細をきわめてそれが他とのつり合いがとれないとか、あるいは内容の一面だけを述べまして他の一面にふれていないというようなことがございました場合には、そのこと自体内容的に問題がない場合でございましても、それを削除いたしますとか、あるいはそれをさらに簡単に記述するようにというような指導をいたすことがございます。ただいま御指摘の教科書につきましてどういう検定の経過があったかということにつきましては、具体的に調査の上お答えをいたしたいと思います。
  111. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま答弁いただいたわけなんですが、まあ指導要領をはじめいろんな答弁がございましたが、いまの答弁いただいておりますと、この「中学社会」の本の内容の中で、非常に最後のまとめとして一番良い、文部省もいまの答弁聞いておりますと、何もここには不都合は一切ない、こういうことを私、再確認するんでございまして、削除された理由というものが、いまどの段階でどうなのかという明確なそういうものがいまははっきりしないんですね。その点もう一度伺います。
  112. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 具体の問題でございまして、具体のケースにつきまして私ども調査をしてここに臨んでおりませんので、あらためて調査をしてお答えをしたいということでございますが、ただ、一般論として申し上げますと、内容について問題がない場合でありましても、繰り返しになりますが、触れ方が他とバランスがとれていないとか、あるいはある問題の一面だけに触れて他の一面に触れていないというようなことがございます場合には、修正について必要な指導をするということがございます。ただいま御指摘のものがどういう経過でそうなったかということは、具体的には調べた上でお答をいたしたいと思います。
  113. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、明確に削除された理由については報告を受けたいと思います。  そこで、大臣ちょっとお伺いするわけでございますが、日本がほんとうに、戦争の中で一番大きな人的な被害というものが原水爆であったわけですから、やはり戦争としての柱は、どうしてもこういうふうな核に対するものが教育の中で強く叫ばれてこなくてはならないわけでございます。まあそういう中で、先ほど申し上げましたように、さきの総理大臣も非常に明確にこの核についての防止、こういうことについては非核三原則は明示された、もうきちっとしているわけでございますが、まあ大臣は、昭和二十八年の八月、学校教育法及び教育委員会法の改正によって教科書の検定権者を文部大臣としているわけなんですね。こういうことで、こういうふうに「世界平和と日本の進路」という平和教育については、文部大臣の非常に基本的な考え方、これは今日から将来にわたって常に私は総理大臣とともに一番大きな骨格になるものであると思います。そういう最高の責任者として、いまこの教科書問題を私、述べているわけでございますが、非核三原則についてはどのような見解を持っていらっしゃるのか、まず、その点をお伺いしたいと思います。
  114. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 非核三原則につきましては、従来から総理大臣以下お述べになっているわけでございますので、政府としては、引き続いてそういう考え方に立っているというふうに考えている次第でございます。
  115. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 文部大臣、いま私が取り出しておりますこの「中学社会」の問題について、非核三原則の部分が削除されてしまったというよりも五十年度の検定の出願本についてはすべてノーであると、こういうのが文部省から出ているわけでございますが、いまの文部大臣の答弁を伺っておりますと、この程度の中学生に対するまとめたものであれば何ら不都合は一切私ないと思うのでございますが、大臣、この点についてはどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  116. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 少しいまおっしゃっているところを見ますと、文部省の検定でAランクあるいはBランクをつけたと、こう断定してお尋ねになっているのか、あるいはそうじゃなしに著者が書き改められたと、自主的に書き改められたということもあり得るのか、その辺お教えをいただいて早急に調べてみたいと思います。事情がわからないのにわからないままでお答えをしましてもまた誤解が生まれるのじゃないだろうかと心配をいたすわけであります。
  117. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 すでに検定指示による訂正した合格本は出ているわけでしょう。その点答えてください。
  118. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 御指摘のとおり出ております。ただ、先ほどの御質問でございますが、非核三原則を削らせたということではないわけでございまして、他の教科書には非核三原則について記述したものもあるわけでございます。で、繰り返しになりますが、非核三原則でございますとか安保条約の問題について、内容が適切でないという、そういうことに触れることが内容的に適切でないということを言っておるわけではないわけでありまして、ただ、その取り扱いが全体とバランスがとれているかどうかというようなこと、あるいは事柄の一部にだけ触れて他の一面に触れていないというようなことがございますれば、それはやはり教科書としては必ずしも適当と言えない場合があるということでございます。具体的なその検定の経過につきましては、調査の上お答えしたいということを申し上げておる次第でございます。非核三原則について文部省がそれをどうこう言うというようなことではございません。
  119. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 で、被害を受けられた広島の被爆の先生方の「全国被爆教師の会」というのもございまして、非常に教育の中で自分たちの体験を通して平和というものについて一生懸命教育努力をされておられますが、そういうふうな方々も、よく調べておりますと公開質問状というものが出されております。その人たちも、いわゆる日本書籍の検定出願本において、非核の三原則、日米安保条約にふれた部分の、そういうふうに採用されておられない、そういうふうな問題について教育的にやはり真実と真理は忠実に教科書の中に盛り上げていくべきではないかということで公開質問状も出ているそうでございますが、これについては返答されたのかどうかお伺いしたいと思います。
  120. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 文部省に対しましてさような質問状が出ておりませんが、聞きますと出版社に対してそういうものが出ておるやに伺っております。
  121. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、この問題はこれで終わりたいと思いますが、いずれにしても、文部省としてのこういうふうな五十年度の検定出願本に対して、何もこれで右に寄ったり左に寄ったりというふうな文ではないわけなんですね、結論的には。そういうふうなものがいま大臣言われているようにAランク、Bランク、Cランクで注意があったのかどうか。これは具体的にその理由書報告をすると、こういうふうに言われておりますので、後刻それをもってまた取り上げたいと思いますが、私すなおに見ましても何らこういうふうな問題点もない、とにかくいまからは一番教育の中で非常に平和を求めていくために大事である。こういう問題がなかなか採用されない、受け付けられない。こういうことではやはりちょっと私も遺憾に思うわけでございます。いずれにしても、この経過の理由、報告をいただきたいと思います。  それから二番目でございますが、大学法の問題についてお尋ねしたいと思います。  いろんな問題点の中で一番私の尋ねたいことは取り扱いについてでございますが、これで御承知のように大学法が八月の十六日期限切れとなった、こういうことでございますが、それについての取り扱いが政府のほうでは、一つは現行法に若干手を加えた新しい法案を提出しよう、また二番目には単純延長をしたらよいではないか、三番目には廃止の措置をとるなどの方法が私たちの耳に入ってくるわけでございますが、この問題で私、取り扱いについて質問したいと思います。私たちがやはり大学運営臨時措置法の事件を考えておりますと――奥野文相の見解発表の中では単純延長をとっていらっしゃるのか、それともそのほかにどういう見解を持っていらっしゃるのか、そういう点をまず率直にお伺いしたいと思います。
  122. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御承知のように、御指摘の法律昭和四十四年に制定されまして、その法文の中で、この法律は「五年以内に廃止するものとする。」と、こう書かれているわけでございますが、「廃止するものとする。」という訓示的な規定でございますので、廃止の立法が成立して初めてこの法律が廃止になる。廃止の法律が成立しない限りにおいては、この法律は残っていくということであろうと思います。  私としましては、大学紛争の形態は変わってきたけれども、年間に二百回ないし三百回内ゲバが大学において繰り返されている。しかも、五百人内外の死傷者を毎年出している。ということになりますと、この法律の持っております抑止力、廃止のしっぱなしでよろしいというわけにはまいらないんじゃないだろうかと、こう考えてきたわけでございます。そうしますと、「五年以内に廃止するものとする。」と書いてある以上、五年以内にこの抑止力を続けようとします場合には何らかの立法措置が必要だと、こう考えてあれこれ苦慮してまいったわけでございまして、過程におきましてさきの通常国会に法案を提出しようと考えたわけでございますが、いろんな事情もございましたし、また、野党の方から次の臨時国会でも間に合うじゃないかというような御指摘もございました。そして参議院選挙後の臨時国会を迎えたわけでございましたが、あの臨時国会がまた短期なものになったわけでございまして、遂に法案を提出するということに至りませんでした。このことは、まことに遺憾なことであると私自身考えているわけでございます。もちろん、一部の人たちから議員提案で廃止立法が提出されましたけれども、それは審議未了になったわけでございます。これはいずれも「五年以内に廃止するものとする。」と法律に定められておりまする以上、何らかの立法措置をとることが筋道だと、こう考えていたわけでございまして、しかし五年の期間を今日では過ぎたわけでございます。過ぎましたけれども、この法律は残っているわけでございます。同時にまた、私たちとしては、この法律の持っている抑止力は必要だと判断をいたしているわけでございます。すなわち、紛争が長期化しました場合には、教育・研究の機能の休止の措置を学校当局がとれる、それでもなお紛争が継続します場合には、文部大臣教育・研究の機能の停止措置を与えている。停止措置をとった場合には、学生のその後の期間は在学期間に算入されないし、教職員は休職になるわけでございます。この点が私は抑止力になっていると、こう考えているわけでございます。しかし、大学紛争が早く解決をいたしまして、大学の環境が平静を取り戻し、そしてこの法律の必要性がなくなる、こういう事態を一刻も早く迎えたい、こういう気持ちは非常に強く持っておるわけでございます。しかし、現状におきましてはなお抑止力を必要とするという判断に立っておるわけでございます。したがいまして、今後、この法律に対しましてどういう態度をとっていくかということにつきましては、また、各方面の御意見も伺いながら決定していきたいと、かように考えているわけでございます。要するに、「五年以内に廃止するものとする。」と書かれているわけでございますから、五年以内において対応すべきあり方と、不幸にして五年の期間が過ぎて、しかも、何らの措置もとられないままに過ぎてしまった今日においてどう対応するかという問題、これは、やはり、私は区分して考えられているしかるべきことだろうと、こう思っておるところでございます。
  123. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ちょっと、法制局お見えでございますか。――では、ちょっと文部省の見解をお伺いしますけれども、この期限切れ後の法的効力の有効性を文部省は実際に認めていらっしゃるのかどうか。で、訓示規定の形をとる変則的な時限法、こういうふうなことで、いま大臣のお話しの中の骨子を伺っておりましてもそういうふうに感じるわけでございますけれども、やはり、法律というものも、実際に考えてみると、国民のしあわせのために、保護をするためにあるわけですから、その一つ一つのことばの微妙な判断によっていろいろと解釈をされている。こういうことは、やっぱり、政府としても私、問題があるのではないか、けじめはきちっとつけなくてはならない、こういうふうに思うわけなんです。そういうわけですから、期限切れの際に対しては、やはり、政府は意思表明はきちっとしていかなくてはならない、こういうふうに思うわけでございます。この点について、もう一度文部省に、この自動的に、自然的に期限切れ後の法的効力について文部省はどういう考え方だったのか、こういう見解をひとつ示してください。
  124. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 参議院選挙後の臨時国会に政府から法案を提出することができなくなりましたので、その際に、私から閣議の了解を求めまして、この法律についての考え方を公にさしていただいたわけでございます。そのときの文章を績ませていただきますと、  「一、大学の運営に関する臨時措置法は、紛争が長期化した場合に、大学当局の紛争収拾の努力を助ける方法として、学長による教育・研究機能の休止の措置、さらには、文部大臣によるその停止の措置を規定してある。この停止の措置がとられると、当該学部等の職員は原則として休職となり、学生については、停止期間は在学期間に算入されないことになる。ここに、大学紛争の拡大・長期化を防ぐ抑止力があるものと考える。  二、同法には、施行の日から五年以内すなわち本年八月十六日までに廃止するものとする旨の規定が設けられている。したがって、同日までに同法を廃止するか、同法を延長する等の法的措置が講ぜられるべきものと考える。  三、ところで、大学現状をみるとき、同法成立当時と比較して形態の変化はみられるものの、なお紛争は続き、多数の死傷者まで生じている状態にあるので、今後の推移をみきわめることなく、今直ちに同法を廃止してよいという結論は出せない。  四、よって、同法の処理に関する法案を提出すべく前国会から引き続き検討してきたのであるが、このたびの臨時国会は、会期も八日間とされたので遺憾ながら、所要の法案の提出は差し控えざるを得ず、同法の取扱いは、引き続きの課題とせざるをえない。  五、なお、同法は、現実に同法を廃止する旨の法律が成立しない限り、なお存続し、八月十七日以降においても、法律としての効力を有する。」  ということでございます。閣議の了解を経たわけでございますが、事前に法制局とも十分な打ち合わせを経まして、そしてこの文書をまとめたものでございます。
  125. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 内閣法制局の説明の一部をちょっと私、見ておりますと、施行の日から五年以内に廃止するものとする、との訓示規定の形、いわゆる変則的な時限法、この訓示について一つは期限切れの際には廃止あるいは延長の法的措置をきめる責務を国会に課すると同時に、その提出権のある政府は措置のため法案提出を義務づけたものであると、こういうことになりますと、当然これらの措置は期限切れ前に行なわれるのが筋である。その措置は現行法の提出者である政府が行なうのが常識、こういうふうなことになるわけでございますけれども、そこで、訓示規定方式による時限法はいろいろ、臨時石炭鉱害復旧法であるとか、産炭地の中小企業信用保険特別措置法とか、こういう臨時措置法、特別措置法、形式は文教とは違いますけれども、期限延長の法的な措置がやはり事前にとられておる。何もしないままに放置となったのはこれが初めてのケースである、こういうことになるのですが、奥野文部大臣も、あるときには発言の中で意思表示ができなかったのは怠慢のそしりを免れない、義務違反になるのではないのかなというふうな意味発言もされたというふうに聞いているのでございますが、そういう点は大臣発言されたのかどうかあらためてお伺いしたいと思います。
  126. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 「五年以内に廃止するものとする。」と書かれているわけでございますので、五年以内にこれを存続していこうとします場合には何らかの法的措置をとることが筋道だと思います。しかしながら、それができないままに今日を迎えたわけでございますので、その点については遺憾なことであった、かように思っております。
  127. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も、この問題については、八月十七日以降の実効性については認めておらない立場でございますけれども、いま大臣言われておりますように、期限切れになって、そういうままで何も表示がないわけでございますけれども、今後、政治日程の中で、大臣はどういう形でこれらについて明確にされるのか、そのことだけを聞かしてほしいと思います。
  128. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほど来申し上げておりますように、大学現状におきましては、この法律の持っております抑止力はなお必要であると、こう考えておるわけでございますし、この判断の上に立って今後の方針をきめていくべきだと、こう存じております。  同時にまた、この法律は廃止立法が成立しておりませんので、効力は持っているんだと、こう考えているわけでございます。それらを踏まえまして、各方面の御意見を伺いながら、どのような対応策を決定するかを検討していきたい、こう思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、法案を出すといたしますならば、通常国会でございましょう。その際に出さなければ、将来出さないということになるのかもしれませんが、その際に将来の方針がきめられるべきものだと、こう思っております。
  129. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、次の第三点に移ります。  第三番目には給食問題を私お尋ねしたいと思いますが、現在、公共料金をはじめ非常に一斉値上げのそういう状態がまいりまして、学校給食も非常にピンチになっております。そういうふうな中で、たとえば、私、兵庫県でございますが、七十二国会が終わった段階の中で、全国的に牛乳の値上がり、そうして副食材料の値上がり、こういうふうなことの中で、芦屋においては小学校で一人の給食費がいわゆる千五百円から千円アップの二千五百円になった。で、私ちょうど三人の小学校の子供さんをかかえられたおかあさんから陳情を受けたわけでございますが、一カ月に給食費だけでも七千五百円払わなくてはならない、こういうふうな状態ではダブルパンチではないか、そういうふうな問題で何とか学校給食については国で手がないのか、こういうふうな陳情を受けたわけでございます。芦屋のほうでは県と相談をしながら二千三百円ぐらいまでにというふうな案も出しております。  こういうふうにして、平均的に一人当たり二千円近いものが、全国的にもずっと出てくるわけなんでございますが、私、こういう物価の非常な値上がり、来春も非常にまた値上げるであろう、こういうふうなことを考えておりますと、どうしても現在の学校給食法というものを改正していかなくてはならないのではないか、こういうふうに考えるわけです。学校給食法が二十九年にできて、そして改正が昭和三十一年なんですね。このときの「法律の目的」の第一条も、「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に」というふうなことであるし、「学校給食の目標」の第二条も「学校給食については、義務教育学校における教育の目的を実現するために」というふうになっているわけです。ところが、第六条の二項では、一項の「学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費」、こういうふうなもの以外の「学校給食に要する経費は、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項に規定する保護者の負担とする。」、こういうふうな第六条の二項があるために、なかなか地方自治体でも家庭でも困っている。こういうことで、何とかこの学校給食法を根本的に考えていく時点にきているのではないか、こういうふうにいま取り上げられているわけでございますが、これは奨励法なんですか。そのことだけをひとつ伺います。
  130. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) ただいま御指摘になりました学校給食法の第四条を見ますと、要するに義務教育学校の設置者である市町村は「学校給食が実施されるように努めなければならない。」と、こういう規定でございますので、そういう意味ではおっしゃるように、奨励法ということが言えるかと思います。
  131. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この問題はもう、奨励法としてのそういうふうな給食法ではなしに、これを改正して義務づけていくべきではないか、そういう時点に私はいまもう来ていると思うんですね。そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  132. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 学校給食が現時点において小学校ですでに九〇数%の普及率を示しておる、また、教育においても非常に重要な役割りを果たし.、おるという観点からいたしますならば、先生の御指摘のように、これを義務制にするというのも一つ考え方ではあろうかと思うわけでございますけれども、しかし、従来の文部省におきますたとえば保健体育審議会等の御意見等見ましても、一方においてはこれを義務化したらどうかという御意見もございますけれども、他方また、この給食という事柄からいたしまして、義務ということではなく、むしろ父兄と学校設置者あるいは学校当局が協力してこの給食の実質的な効果をあげるようにするほうがよろしいんだと、こういうような考えもございますので、現時点におきましては、私どもまだこれを義務制にするというようなことは考えておらないわけでございます。
  133. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 国民のいわゆる意志というものが、全国の自治体からも非常に給食費については国庫負担を求めていかなくちゃいけない、こういうことで意見書も出ているわけでございますが、しかし、こういう問題が出てくるのは、やはり物価の値上がりというものが家計に及ぼしている。ですから、御家庭ではこの上にまた教育関係でお金がこんなにかかってはたいへんであると。生活のためにやっぱり主張というものがあるわけなんですね。まあ、こういうことを私たちも考えておりますと、来春もやっぱり物価の情勢というものは非常に悪くなってくる。そうして今度は給食もさらに再値上げも要求されてくる。こういうことになりますと、やはりいま私が申し上げておりますように、現行の父兄の全額負担制度の現在のこの給食法の第六条二項、これはほんとに何かの形で改正をしていかなくちゃならぬのじゃないかと、こういうことを私、実感として非常に感じているわけなんですが、その点についてもう一度明確に答弁願いたいと思います。
  134. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 現在この学校給食小中学校で扱われます食材料費はどのくらいになるかということでございますが、四十九年度の見通しでは大体三千億と言われておるわけでございます。そこでその負担は、いまの法律にありますように、父兄の負担になるわけでございますが、ただ部分的には、たとえば牛乳につきましては、酪農の振興という見地から農林省の補助金が出て、結果的に一般の市販牛乳より安くなっておる、あるいは小麦粉につきましては、その流通経費を国が補助することによって一般の小麦粉より安くなっているというようなことで、約二百億以上の金がつぎ込まれておるわけでございます。そこで文部省といたしましては、そういうふうな立場を踏まえてやはりこの給食費の負担をできるだけ安くしたいわけではありますが、その低廉化の方法としては、従来もやっておるところでございますけれども、この給食の物資の購入につきまして、これをできるだけ流通過程を合理化して、低廉な価格で入手できるように配慮する。こういう施策のために、県や市町村の段階に大型の冷凍冷蔵庫等を設けて、その間を冷凍車をもって輸送することによってこの物資の流通を円滑にし、あるいは総合給食センターに大型の貯蔵庫を設けることによって、ある程度貯蓄にたえる物資等については、値の安い時期に買って保存をさせるというようなことをし、さらに、それらのことを行ないますためには物資の購入資金を必要とするわけでございますので、その価格安定のための資金について国の補助をするというようなことをやってまいったわけでございますが、特にこの価格安定の資金につきましては、今後明年度予算におきましても、大幅に増額することによって、この物資の安定的な確保をはかりたい、こういうことで考えておりますので、直接物資そのものの国の補助というようなことは現段階においては考えておらない、こういうことでございます。
  135. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まあ私たちが、給食の品物によっては二倍、三倍の値上がりしておりますので、総点検をして国や県にもいろんな要望しているわけですけれども、いまあなたからもお話ございましたように、やはり産地と直結をした給食用の物資の大量購入をはかっていく、それには都道府県に巨大なやっぱり冷凍冷蔵庫をつくってコールドチェーン体制をつくっていくこと、これは文書だけでなしに、一つのやはり予算づけをしていく、これ私、県におるときから常に主張しておるわけなんですが、こういうことをやらないと、物価の値上がりは私、それは企業ももちろん問題ありますが、まあ政府に言うと国民協力しないと言いますけれども、これは経済のやはり物価値上がりいうのはわが政府の失策であると、もうはっきり私は感じておるわけです。そういう立場からいくと、都道府県に単なる文書だけではなしに、実際に家庭へ迷惑をかけない、そのためには単なる奨励法だからといって、そういうふうに安易に文書を流すだけではなしに、直接都道府県と連携をはかって、そうしてコールドチェーン体制の中で、やはり学校給食については食品の添加物のないもの、そうして廉価に新鮮なものが提供できると、こういうふうな体制をまずやはりつくらなくちゃいかぬですね。この点については、文部省としては非常にこれは得意な、こういうふうな実績や計画があるんだということになれば、もう少し具体的にちょっと述べていただきたいと思います。
  136. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) コールドチェーンにつきましては、昭和四十二年度から国におきまして、この実施をする県に対し補助金を交付してまいりまして、最近は毎年大体三府県ぐらいずつ対象といたしておるわけでございます。そこで来年もほぼ同じ三府県を対象として予算要求いたしたいと思っておるわけでございますが、ただ従来より一歩踏み込みまして、たとえば従来県で備えておきますところの冷凍庫は百トン容量のものでございましたけれども、来年はこれを三百トンの容量のものにしたいというふうにしまして、実質的に対象府県の数はいろいろ事情もございまして一ぺんにはふやせませんけれども補助の中身を濃密にし、現状により適合させるというほうで検討してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  137. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そういうあれで実績はどうですか、市価の何十%ぐらい安くなっていますか。
  138. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) お答えします。  現在、先ほど申しましたように、三千億と言われます給食食材料費のうち、小麦粉とか牛乳のようなものを除きますと約一千六百億になるわけでございますが、これらの物資について、たとえば福岡県であるとか栃木県であるとか、かなり組織的に県の給食センターにおいて物資の買いつけをやっておりますようなところの実績を見ますると、一般の市価の小売り価格に比べますと三二%ぐらい平均して安くなっておるというような実績が出ておるわけでございます。ただ、現在は遺憾ながらそれらを実施します県におきましても、この基金、そのもとになる購入資金を銀行等から融資を受けなければなりませんので、その融資の金利等が九分くらいかかっておりますから、実質的にはそれを差し引いたものがその価格の安さということになろうかと思います。
  139. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 それから、やはりこの学校給食用の問題を考えておりますと、やはり基金の設立というものも真剣にやらないといかぬと思うのです。これについては具体的な構想はありますか。
  140. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) これも先ほど申しましたように、従来は毎年一億六千万くらいの基金を予算に計上しまして、これを二千万程度ずつ御要望のある県に交付しておったわけでありますが、来年は予算要求といたしまして、現在私ども考えておりますのは約三十億でございまして、その使い方としましては、三十億を日本学校給食会に交付いたしまして、日本学校給食会がそのうち五億をもってみずから物資の購入にあたり、他の二十五億を都道府県の給食会に無利子で貸し付けるというような方法にいたします考えでございまして、そうしますならば、いまの五億なり二十五億というものが資金の回転率を年に七回なり十回というふうに見ますれば、それ相応の購入資金に充てられるのではなかろうか、かようなふうに考えておるわけでございます。
  141. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まあ、当然こういう大きなしわ寄せがまいりますと、生活保護家庭の奥さんに対してもいろいろと配慮もいままで給食法ではしておりますけれども、さらにやっぱり手を加えなくてはならないと思います。  そこで時間がすでに来ましたので、最後に大臣にお伺いするわけですが、確かに食料の材料費を見ておりましても、二千六百億円から三千億円というふうな推計にもなるわけでございますが、まあしかし、家庭ではいろんな形で物価の波を受けておりますので、このままのやはり学校給食制度というものがよいのかどうかということになると、私は二十九年にできた学校給食法、そうして改正が昭和三十一年、しかも奨励法である。そうして牛乳一つでも、ずっといろんなものが上がりながら、二百ccあたりいまだに五円八十銭しか一切変わっておらない、こういうふうな事態を考えましたときに、将来学校給食法の父兄に関する負担の部分、この点については一部改正か、そういうものは全然しないのか、それとも将来検討する用意があるのか、それだけを大臣に伺いたいと思います。
  142. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御承知のように、現在学校給食に要しまする費用の負担区分につきましては、設備の費用、それから人件費、これは全額公費負担、材料費は父母の負担という原則をとっておるわけでございます。父母負担だけれども、生活保護家庭あるいは準要保護家庭、こういう家庭につきましては、全額公費で負担をする、こういうたてまえを貫いてきておるわけでございます。たまたま物価が大きく変動しているときなものでございますので、材料費についても大きな動きがある。それが父母の家計にかなり圧迫を加えてきているということだと思います。基本的には物価問題を解決することがこの問題の解決にもなるんじゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。  材料費の問題につきましては、先ほど来体育局長からお答えをしておりますように、教育体制の整備という面で、できる限りよいものを低廉で供給できる体制を強めていきたい、こう思っておるところでございます。私たちとしては、値段の安いことがこれは好ましいことでございますけれども、あまり値段を強調することによっておいしくよいものを食べさせるという姿勢がくずれることもあわせて心配しながら給食の問題に当たっているわけでございます。いま申し上げましたような、負担区分にのっとりながらもこのような改善に向かってなお一そうの努力を払っていこうと、こう思っているところでございます。
  143. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いずれにいたしましても、この学校給食については、やはり教育の一環の中にある、こういう位置づけを私はしておりますので、今後とも学校給食の公費負担、こういうことを目ざして私も努力をしたいと思いますが、いままで申し上げましたように、話もすれ違っているように思いますけれども、やはり義務教育における学校給食、こういうことは教育の中のほんとうに一環のものでございますので、公費負担というところへより早く近づいていく、こういうことで努力をしていただきたいと思います。要望で終わります。
  144. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 質疑のある方は順次御発言願います。
  145. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私、今度ここで政治の場に立つまでは戦後学制改革の時期は京都府で、そうして五十年代に入ってからは大阪で、教育の道を歩んできたわけです。  ここで一言質問に先立って前口上を言うのをお許しを願いたいと思うのですが、つくづくこのサイレントマジョリティと申しますか、教育について常々あまり発言しない人たち、われわれが実際には現実に子供に譲るたった一つの財産が教育だという姿になって、教育に異存しているということをこの選挙戦を通じても痛感したわけですけれどもね。  私はここで質問は、主としてこういう状況の中で国民の期待の大きさに反比例をするように、とりわけ中等学校、後期中等学校部門などでは学校不足があり、学校格差があり、不本意な通学があり、それは周辺にかなり教育のひずみを巻き起こしておって、授業についていけない子供の問題から非行の問題まで、無数の病的な状況も出ているわけですね。私は、きょうの質問を、さしあたって焦眉の問題としての緊急の措置についてしぼってお伺いをしたいと思っておったわけです。しかし、この国会がいわば所信表明の演説も行なわれず、本格的な全体としての質疑も行なわれていないという状況で、どうしてもその具体的質問をするに先立ってひとつただしておかなければならぬ問題があると思うわけです。  選挙の中で田中総理は、具体的には高知の演説会なり山形の演説会でさまざまなことを、これは衆議院の選挙でもなければ新潟の選挙区でもありませんから、一国の行政の長官として国民に対して語りかけるという中でさまざまなことを言っておられ、明治から百年の今日、四十五カ国を相手にして戦いのできたのも、明治以来の旧憲法下のこの教育の成果であるというようなことを言っておられるのですね。また同じ月の山形市で、戦前海外に出る道が遮断をされて、日本人が自分たちの働いた製品も受け入れられないという状況がつくられたときに日本人は戦争に道を求めたというようなことを言って、戦争自身を美化するようなことも言っておられるわけです。この選挙は、いわば教育争点の選挙といわれた状況でもありましたし、結果は今日のような状態になっているわけですが、そこで私はどうしてもこの教育問題の中で教育は聖職だ、こういう教師の論まで含めて戦われた選挙の中で、教育の本質にかかわる問題で、こういうふうに述べられておることについて、いま文部大臣に対してただしておかなければならぬと考えておるわけです。  これは七月の国会の終わりの時期に、文書でももって総理に対して上田耕一郎議員のほうから質問状をあげたのですが、答弁は答弁のていをなしておらぬのです。この引用された「四十五カ国を相手にした戦い」云々に関しては、歴史的事実を述べただけだと、まあ多くの国に迷惑をかけた点では反省をしなければならぬというふうに言われておりますけれども、これは言を左右にするものであって、歴史的事実を述べるというのは、結論を引き出すために言うんですから、この点では、この教育の成果というのは一体どの教育の成果なのか。言われるところの教育、聖なる教育といわれるところの内容というのは、そういうものをさしておるのかということですね。聖職論もあるわけですけれども、それは一体、あわせて言われだところの教育勅語や軍人勅諭にかかわるああいう教育理念というものと分かちがたく結びついて言われておるものかどうかという点について、幾たびか、まあ前国会でも、そういう類似の問題には触れておられますけれども、あらためて文部大臣の所見をただしておきたい。  もう一つ、これは選挙の中で教育に関連して言われたわけじゃありませんけれども、今日の物価の狂乱は、これは外因に基づくものであって、いわば雨漏り程度だというふうな発言もあるわけです。実際には、この狂乱物価というものの被害者は、教育の面から受けとめてきても、これは容易ならぬものがあって、いわば教育関係者は、親も泣いておるし、自治体も泣いておるし、私立学校の経営者も泣いておるし、教育に責任がないとは決して言えない田中総理が、それをそしらぬげに、従来どおりの基本であまり反省を示さないような雨漏り論など、こういうものを基礎にして、たとえば今年のような特別な年の予算が編成されるのであるなら、それは必ず当を失したものに導かれていくという大きな危惧の念があるわけであります。これらの問題についても、本年の自治体破綻、とにかく学校経営にかかわるものすべてが破局的な状況になっておるというような状況下で、いま概算要求の出そろう時期でもあり、これに対する基本の考えなどについても、お伺いした上で具体的な質問に入りたいと思います。
  146. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 総理の発言でございますから、総理に一つ一つただした上でお答えをするのが筋道であるかもしれません。しかし、私なりに、いま御指摘になりました明治から百年の今日の教育の成果と言う場合に、明治初年に学制を公布して津々浦々の市町村に小学校を建てる、そして義務教育を推し進めていく、教師の処遇を厚くしていく一大改革が行なわれたわけでございますけれども、この成果はやはり何人も高く評価してやまないものだと、こう思います。不幸にして、戦争に突入いたしましてからかなり曲がった方向教育界も私はいったと思うのでございます。しかし、明治この方、百年の教育と言います場合には、私もやはり相当に評価してよろしいのじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。ただ、表現が、四十五カ国を相手にして戦ったところに持ってきてしまいますといろんな誤解がそこに生じてくるのじゃないだろうか。四十五カ国というのは、日本国民が総力を尽くして戦ったんだという気持ちでおっしゃっているんだろうと、こう思いますし、また、明治初年の教育改革というものは、これはこれなりに高く評価してしかるべきものじゃなかっただろうかと、こう思っているわけであります。寺子屋あるいは塾、そういうものを全部小学校に統合していったわけでございまして、士農工商の別もやめまして、全部小学校に学ぶというような体制をとって、あの当時の国力としてはかなり思い切ったことではなかっただろうか、こう考えているわけでございます。  また、物価の問題につきましても、雨漏り程度というような表現がどっかであったようにいま御指摘ございましたけれども、物価問題について真剣に総理としても取り組んでまいりましたのは、たとえば本四架橋着工式を直前になって延期したりしたところにも私はなみなみならぬ決意がうかがわれると、こう思うわけでございます。ただ先行き物価が上がるというような気持ちを持たれますとやはり国民は買いだめをする、買いだめをしておいてもそのものがさらに先になれば安く買ったということになるんじゃないか、こういうことにもなりますから、安心感を持たせたいという気持ちも、私は総理にあったのじゃないだろうかと、こうも思うわけでございまして、本人に直接聞いてみないとわかりませんけれども、あるいはものはとりようということもあるわけでございますので、私は、そう間違った考え方でお述べになっているというふうには思わないのでございます。いま申し上げたように解釈をしていきたい、こう思っております。
  147. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま大臣の話では、一般的にやっぱりすりかえられていると思いますね。やっぱり一たん緩急あった場合に力が発揮できたことを成果としてあげているのですからね。いま例が悪かかったと言われるが、それを中心にして述べられたことばですからね。やっぱりこういう戦争の美化につながる考えは改められるべきであり、少なくとも、文部大臣が言われたところは、さような首相の考えとは立場を異にして発言をしておられるというふうにでも受け取っておくよりほかない答弁だと思うのですけれどもね。私は、まあそういうようなことで、もし本人から答えられたのであれば、言を左右にするものとして一そう追及しなければならぬと思うのです。  私は続けたいと思うのですけれども、現実には、今日の状況の中で、一つは物価問題、一つは六〇年代前半の措置の結果あらわれておるさまざまな問題の結果として差し迫った問題があります。  第一に、ここでお伺いをしておきたいのは、成績不振児というふうに学習指導要領なんかでは取り上げておる子供たちの問題ですね。通常成績不振児といえば学級の中でどのように指導しても及ばない一部分の子供たちのことを普通には呼ぶわけですけれども、これが、もう前国会でも問題になっておるように、半数とか、そういう状況になっておるというようなゆゆしい問題に対して、具体的には学習指導要領では、成績不振児の問題について、小学校の場合には、配慮すること、こういうふうなことが記述されておりますし、それから中学校の場合には、各分野、各目標の中で、基本を押えた上で内容を欠くことができるというようなふうに記述されておるわけですね。しかし、その子供を目標に到達させるために学力をつけさせる面からの記述は発見できないわけですよ。これらの問題が能力問題として討論をされた中教審の答申なんかを見ましても、能力を発揮させる問題では、すぐれた子供を引き上げるために特に留意させるための措置については記述がありますけれども、おくれた子供を引き上げる問題については記述がない、こういう問題について、今日の時点で、これは予算を伴う問題ではありませんけれども学習指導上、指導助言の立場から具体的状況が明らかになっておる今日、指導要領の中で、これらの問題について明記をされるというような立場をとられることができるのかできないのかについてお伺いをしておきたいと思います。私どもの党としては、すでに文書でもって緊急措置に関する申し入れとして、授業についていけない子の学力補充のために特別な配慮と具体的な措置を学校がとることができるようにと、そのことを助けるために学習指導要領の第一章総則には「特別の配慮のもとに指導を行なう」という小学校のもの及び「目標および内容に関する事項の一部を欠くことができる。」という中学校のものについて、小中学校ともに目標に到達できるように配慮をして特別の措置をとることができるというような記述をここで加えて全体の課題とするということはひとつ焦眉の問題ではなかろうかと考えておるわけでおります。  学校一つは修得主義の考え方と、それからこれをきっちり目標に合わせて履修主義で終わりさえすればというのか、終わることで目安をつけるのと修得主義についてはしばしば論じられるところですけれども、いままでの指導は、よくできる子供については修得の問題が重視されて、主として成果のあがりにくい子供に対しては履修の名のもとに置き去りにされておるわけですね。そういう点について姿勢を明らかにするという点からも学習指導要領について文書上明記の措置をとるということについてお伺いしたいと思います。
  148. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 学業不振児の問題につきましては、ただいま御指摘のように、小学校学習指導要領の総則におきましては、「学業不振の児童については、特別の配慮のもとに指導を行なうこと。」という記述がございますし、また中学校学習指導要領の総則の「4」におきましては、「学校において特に必要がある場合には、学業不振のため通常の教育課程による学習が困難な生徒について、各教科の目標の趣旨をそこなわない範囲内で、各教科の各学年または各分野の目標および内容に関する事項の一部を欠くことができる。」、こういう規定があるわけでございます。学業不振児につきましては、これは児童、生徒の実態に応じて個々に手厚い指導を行なうべきものと考えておりますが、各学校におきましても、そうした趣旨に従いまして指導を行なっているものと考えております。ただ、中学校の指導要領の記述におきまして、「一部を欠くことができる。」という記述だけがございますために、学業不振児については、何か手抜きをしていいような印象でもって受け取られておる面があるわけでございますが、趣旨はそういうことでは決してないわけでございまして、中学校におきましても、こうした不振児につきましては特別な配慮による指導が必要なわけでございます。また、「一部を欠くことができる。」と申しましても、御承知のように、「各教科の目標の趣旨をそこなわない範囲」でということでありまして、あくまでも各教科の指導の目標はこれを達成する、そういう方向で指導をするということが原則、ありようでございます。  中学校の総則のこの「4」の事柄をもう少し具体的に御説明を申し上げたいと思います。  中学校の第二学年の数字でございますが、指導の内容といたしましては、たとえば「簡単な一次方程式や一元一次不等式の連立したものを解くこと。」というような内容があるわけでございますが、この内容の取り扱いにおきまして、「一次方程式」については、二元と三元の連立方程式を取り扱うものとする」が、「生徒によっては、二元の連立方程式の程度にとどめてもさしつかえないい。」、こういうふうな具体的な例外規定を掲げておるわけでございます。つまり、一元一次方程式と二元一次の連立方程式は、これは指導内容といたしましては基本が違うわけでございますが、二元一次の連立方程式と三元一次の連立方程式は、これは考え方の基本が異ならないわけでございます。したがいまして、数学の得意なと申しますか、進んだ生徒につきましては、三元一次の連立方程式まで教えることが可能でございますが、必ずしもそこまでいっていない者については二元一次の連立方程式まででとどめていいと、しかし、それは連立方程式を解かせるという、そういう内容の理解の面につきましては指導目標といたしましては同一であろう、こういうふうに考えておるわけであります。  それからまた三年生におきまして、二次方程式の解法という指導内容があるわけでございますが、たとえばx2-4の因数分解をいたしますと、(x+2)(x-2)という因数分解ができるわけでございます。が、これがやや高度になりますと、x2-4分の9というような場合におきましては、x+2分の3とx-2分の3という因数分解になるわけでございます。   〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席〕 この指導の範囲といたしまして、その因数分解の場合、正の係数の範囲内にとどめるか、あるいは分数の係数の範囲まで進むかということは、これは因数分解自体を理解させる際におきましては、そう基本的な違いはないというふうに理解をいたします。したがいまして、生徒によりましてはその正係数の範囲に限る場合もありますし、進んだ生徒につきましては分数係数の場合まで進んでよろしい、いずれにいたしましても、二次方程式の因数分解というその指導内容はこれで達成できるんだと、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。  まあ非常にこまかいことを申し上げて恐縮でございますが、「一部を欠く」と申しますことは、これは全く教えないというようなことではなくて、教科の基本の目標をそこなわない範囲で、そうした若干程度の違いによる指導の違いというものを認めてよろしいと、こういう趣旨でございます。いずれにいたしましても、学業不振児の教育につきましては児童、生徒の実態に合った親切な指導が必要であるということは、私どももそう考えておりますし、現場でもそのような気持ちで指導していると考えております。
  149. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それ、ちょっと答えがすれ違ってますよ。到達目標に対して及ばない子供を引き上げるための措置をとることについての考えを尋ねておるんですが、いまのお答えは、その「欠くことができる」という点を野放図に欠くのでなくて基本的目標を達成するように用心深くやっておるというような答弁なんですからね。それにもかかわらず、やっぱり到達目標の公定相場の中に部分的にはできない子供についてはいわば猶予、免除をしてやるというような、教えるほうの責任を解除するような、やっぱりそういう答弁になっておるんです。私が尋ねるのは、引き上げることは常識次元の問題として具体的指導において、触れずに免除するほうにだけ具体的に明記して触れておるというような状況を、特に今日のような時点では何も学習指導要領というのは不磨の大典でもないんですからね。今日のような状況においては特にそのかなりの階層がわからなくなっておるような状況を一定のところまで引き上げるということについての措置を基本のところで明記すべきだ、それについての考え方はどうなのかということと、具体的措置についての見解を聞きたいと言っておるんです。現場実践の例でも中学から科目が分かれてきますから、英語もあれば国語もあるわけですね。ところが、英語は非常にいい成績とって国語の成績がばかに悪いというような子供がたくさん出てくるんですよ、逆の場合のほうが多いですけれども。しかし、英語というのはイギリスの国語であって、日本の国語ができなくてイギリスのことばができるというようなのは能力や素質の問題ではなくて明らかに指導と啓発の問題なんですね。あるいはその子供の環境の問題なんですね。それについて学校でどこまで親切にやられるかということのまあいわば指導上の保障を求めておるわけなんですね。まあこの定数その他になってくれば、予算上の保障とか物的な保障ということになりますが、その指導上の保障についていまこれは焦眉の問題ではなかろうかというので聞いておる点にはお答えになっておらぬと思うんです。簡潔にひとつその問題について、この現状のままでよろしいと言われるのか、私が提起しておる問題についてはその方向考えるということであるのか、ひとつまあお答えを再度いただきたいと思います。
  150. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 第一は、教科の到達目標というのはかなり幅のあるものであって、先ほど申し上げました例で申しますと、たとえば三元一次連立方程式まで数えなければ達成できないという、そういう幅の狭いものじゃなくて、二元の一次方程式まででとどめても連立方程式というものの考え方は教え得るんだと、そういう教科の指導内容の目標というものはある程度幅があるんだということを第一に申し上げたかったわけであります。  第二に、指導上の問題といたしましては、これは御指摘のように、一人一人の児童、生徒の学力の進みぐあいに応じて、その子供の実態に合った指導を行き届かぜるべきであるということにつきましては、私ども全くそのとおりに考えておりますし、現にそういう方向で指導しておるつもりでございます。
  151. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私が提起しておるような問題についての意見はどうなんですか。目標に到達できるように配慮し、そのために特別の措置をとると、これについてお答えがないですね。
  152. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) ですから、個別の指導でございますとか、あるいは中学校でございますと学級別編制を変えて指導をするとか、いろんなことが現に行なわれておるわけでございますが、そうした子供の実態に応じた指導をさらに徹底させるべきであると、こういうふうに考えているわけでございます。
  153. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 現に行なわれているというのは、どこの責任でだれがどういう努力でやっているのか、これはいわば共通の目標を明確に定めて裏から保障するという問題抜きの教師個人の良心にまかされているわけですよ。指導要領で基本を定める意味は、このことを全体で確認をして保障していくというところに意味があるわけですから、その点ではどうもきょうお答えがはっきりしないんですけれども、引き続いて明らかにしたいと思います。  目標は幅があるというような点、弾力なり幅があるというのは、現実の指導にあたってはいつだって必要なものですけれども、ここが非常にあいまいにそういうふうに言われますと評価の問題なんか困ってしまうわけですからね。到達目標が明確でなければ評価も明らかにならないわけです。こういうあいまいな状況の中で、評価できるのは、五段階に分類することぐらい以外の評価はできなくなってくるんです。きょうは評価の問題に触れませんからここでおきますけれども、非常に答弁あいまいで、私の述べるところについて賛成なのか反対なのか、今後の方向として、その方向を検討するのかしないのか明らかでありませんが、引き続いてその点についてはまあ今後も検討してもらいたいと思いますね。時間もありませんので進みます。  今日のこの教育関係者の中で、子供の教育内容を引き上げるためにも、実際一番基礎になる入れものの問題でほんとうに困っておるのが、全国そうでしょうけれども、とりわけ児童、生徒の急増地帯なり人口急増地帯ですね、地域としていえば。私などがやってまいりました大阪なども非常にそのきびしい部分、首都圏もそうでしょうし、これは東海地方、名古屋などでも非常にきびしい状況があろうかと思いますが、ここで今度の予算編成に関しても特にお伺いしておきたいのですが、いま各市町村はほとんど教育費でもって破綻状況になっておりますよ。多いところでは予算の六・七〇%が大阪の衛星都市で教育費に回り、教育費の中の実に七〇%が建設費に回っておるというようなのが軒並みといっていいぐらいに出ておるわけですね。それをもたらす原因は、国は激増について学校をつくらなければならぬのですけれども、その校舎新築の際の単価が、国の補助金の額が全然実勢に合致しないですな。若干手直しはされておりますけれども、引き続いて二、三万円の差が現実に出ておって超過負担の原因になっておる。しかも、単価が手直しを四十八年度のように年度途中で行なわれていったようなときには、その分だけ事業量が減って、結局のところ超過負担をもたらしておると、こういう状況になっております。だから超過負担の完全解消ということについて、今日のような状況で予算編成上どういう措置がされておるのか、これについてお伺いをしたいと思います。
  154. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 超過負担の解消が公立文教施設整備の観点で非常に重要なことはおっしゃるとおりでございます。それで五十年度の単価の積算につきましては、十月以降調査の結果が明らかになるわけでございますが、現在の段階で仮集計に基づく調査の結果を勘案いたしまして、現在わかっておる超過負担分を解消すべく、単価の引き上げの計算の一部に入れたところでございます。
  155. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 額は。
  156. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 今年度一月現在の単価に対しまして一六%増の金額を超過負担の解消分として算入いたしております。
  157. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 今年度公立文教施設費で、具体的に事業量と単価とのかかわりの関係と、それから急増地については用地費の問題もあるわけですね。これらの問題について数字あげてください。
  158. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 御質問の意味がわかりません。今年の予算について事業量と単価の関係というのは……
  159. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 事業量は何平米、何教室分を組んだか、それは前年比幾らになっておるかということと、それから単価は幾らで具体的に金額見ておるのか。
  160. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 昭和五十年度予算要求についてですか。
  161. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そうです。
  162. 今村武俊

    説明員今村武俊君) わかりました。  公立文教施設補助金関係で申しますと、昭和四十九年度が四百四十万平米の補助面積でございます。それに対しまして四百五十四万平米という面積事業量でございます。単価について申しますと、たとえば小中学校の校舎の一平米当たりの単価が昭和四十九年度六万一千七百円のところを五十年度は八万五百円ということで計算いたしております。
  163. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 四百五十四万平米というのは、五十年度に予想される付属教室を大体解消することができると、こう見られる数になっておるのかということと、その中で大体プレハブの解消等も可能になるのかというような問題についてはどうですか。
  164. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 四百五十四万平米と申しますのは、公立文教施設整備に関する全面積でございまして、そのうちで小中学校の校舎の新増築に要する面積は二百一万平米でございます。プレハブ教室の解消については、たとえば昭和四十九年度、現年度におきましては、補助申請についてはほとんど全面的に補助採択するような努力をいたしておりますし、その最終的な見通しも可能でございます。来年度どのような申請が出るかということは正確な予測はつきませんけれども、二百一万平米の予算要求が現実に予算になり、その配分にあたって、来年度国庫補助申請とかね合わせてみなければならないわけでございますが、私どもとしては、申請されるプレハブ校舎の建設について対処可能であると考えております。しかし、これによってすべてのプレハブ教室が来年度全部解消するかといいますと、そうは必ずしも考えられない。というのは、今年度調査に上がらない事象も出てまいりますし、また調査の上でプレハブ校舎として、仮教室として出ているものであっても、来年度申請のないものもあるということは想像できますので、これによってプレハブ教室が一切なくなるということは考えられないわけでございます。
  165. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 さらに児童、生徒急増市町村の場合に、用地費の問題があるわけですけれども、用地費の単価はどうでございますか。
  166. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 用地費の取得に対する国庫補助金といたしましては、現年度昭和四十九年度が百四十四億九千万円でございますが、来年度は四四・五%アップの二百九億三千万円の予算要求をいたしております。
  167. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 単価は。
  168. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 平米単価、現年度の二五%アップの三万一千三百円でございます。
  169. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 実際には、特に用地費の実勢と単価の評価の違いが、この急増地の市町村の財政の最大の問題というのか、非常に大きな問題になっておりますね、建築費の問題もありますけれども。この問題については特に値上がりがいままでのところ急激であって、特に昭和四十八年度などの場合には、これは年度の途中で手直しがされて、その間で事業量が減らされるというようなことがあって、まあ消化をしようにもやりようがないという問題があった。まあその点では、今日の問題でこの教育長協議会なるものが問題をまとめてお手元のほうにも要望書を提出しておりますけれども、何としても平米当たりの単価が実勢に見合うものが出されるのでなければ、これは平均的にはこういうことであっても、これはどうしても今日の超過負担についてはむしろ累増をしていくということになります。こういう点では、この単価並びにこの事業量ということでもって現地の実勢に応じられるというふうに見ておられるわけですか。
  170. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 建築単価につきましては、来年度の問題は予算要求どおり認められるならば実勢に対応できるのではないかと思います。土地の単価につきましては場所により非常に格差がございます。土地に対して全国一律の補助単価で補助をするということ自体に無理もございますけれども、しかし、私どもとしては、積算基礎といたしましては、日本不動産研究所調査による全国市街地価格等を基礎にしながら単価の上昇率を積算をいたしておりますし、さらに、配分あたりましては必ずしも地域地域の実情に十分マッチはいたしませんけれども、土地土地の実情を勘案して補助単価に差を設けて、なるべく実情に即するように考えておる次第でございます。
  171. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 実際問題として、生徒急増市町村で建築単価がまあ三万円というようなことでですね、どこの計算で、平均でこういうものになるのか、実際に建てる場所の学校の現実に即して、その学校の建つべき場所の地価を調べてやっているのか、各府県の平均をとっているのかわかりませんけれども、実際にはこの三倍ぐらいになっておるわけですね。こういう問題についてはこの一年間ですね、こういうことでやっていかれるというようなことになったのではこれはへたばってしまうと思うわけですがね。建築単価アップの問題とあわせてそれから生徒急増市町村なんかについて、屋内体育館なんかについても二分の一しか補助がないですね。こういったふうな問題、非常に不十分な状態になっておりますが、この問題については、このままでいかれるのかということと、いまから補正予算の問題もありますけれどもね、昨年度出てきた大きな超過負担なんかについては別途の考えもされておるのか、それもあわせて伺っておきたいと思います。
  172. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 土地の価格の問題について、三万一千三百円で現実に対処できるかということでございますが、先ほど申し上げるように土地の値段は場所によってずいぶん違います。一例を申しますと、昭和四十八年度の例でございますが、平米単価千六百円で補助金を出しておるところもあれば、十三万円という価格で補助金を出しておるところもあるわけでございます。そして現実には地価公示価格あるいは不動産鑑定士の評価価格、そういうものを基礎にして補助金配分いたしておりますので、実態に即した配分がこれで可能であると思います。
  173. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そうですか。それでは大体これで、これ平均値であって実際には各種の条件によってですね、非常に地価の高いところでは去年と違って今度の場合には実勢にかなり見合うものと考えておるということですね。  それでは続いて、高校問題についてお伺いをしたいと思っております。まあ先ほどちょっと前口上でも触れたんですけれども、高校問題というのは、いま日本の六三三四の学校体系の中で一番弱い感じになっているんじゃないかと思うんです。特に後ほどあわせてお伺いをしておきたいと思います定員問題なんかについても、四十五名の学級編制基準が現実に問題になるような状況において、高校では、全高校生でながめてみれば、私立の問題もあわせて、はるかに過大学級で学ばされておるような状況もありますしね。特に第一次ベビーブームのときなんというのは、国で容認して定数法改悪して詰め込みまでやってきたわけですね。そして進学率九〇%が目前というような状況で、学校不足の問題とあわせて過大学校の問題も出てきてます。大阪でも必要悪として、どうしても過大化の方向をとって、今日学校規模は新しく建設計画立てていくのは、十二学級募集の三十六学級と、千六百人をこえるような学校で想定せざるを得ないような関係もありますけれども、ところによって、先日香川県に参りますと、いわゆる名門高校に入りさえすれば文句を言わぬということもあるのか、実に二千人になんなんとするような過大学校があって、そういうことによって十二年間一校も高校を建てずにやっているようなところもあるわけですね。かなり経済成長の大きかった時期にそういう状況で、急激な進学率のある状況を、非常にいわば行政のほうでサボタージュしてきたような結果がいま現実にひどい状況をもたらしているわけであります。  特に具体的にこれまた人口急増地帯、地域、大阪の例を申しますとね、数年前まで中卒八万人だったですね。いま大体十二万から十三万になろうとしておりますが、あと大体六年ぐらいたつと、これ十六万くらいになるんですね。そういうスピードですから、明治百年の間に大体七〇ばかり学校――高校を建ててきたのをここ四、五年で二十数校建てて、三十校近いものを建てて、これからあと七年間で、おおよそ私学が収容増を行なう見通しはちょっとないですからね、これを収容するためには適正学級でやれば百校ですね。かなり大きい学校建てても、緊急の措置で、いまから七年ぐらいの間に六十校くらいを建てなければ現在の収容程度のものが見込まれないというような状況があります。  そこへいまの急増地域の小中学校の場合に言ったのと同様の状況が大体府県に襲ってきておりますから、いまの交付金による助成ということ以外には、大体高校は府県立にまかしたというような状況では、地方自治体というのはもうほとんど国民の要望に応じられない状況になってきているということです。これに対して小さな窓口だったけれども、去年高校建設補助三十億円ばかりが計上されたら、これ結局総需要抑制にひっかかったのか切られてしまっているわけですね。抑制するのは過剰流動でもしておるところが抑制したらばいいんであって、のどから手の出るようなこういう予算が現実に大蔵当局でけっ飛ばされておるという状況もあったわけです。ことしそういう状況が再び持たれるなら、これはゆゆしい問題になると思うわけであります。今年の予算の中で、その点では文部大臣にも特段に国庫補助政策創設をして育てていくということについての今年度予算の問題と、将来への展望の問題についてお伺いをしたいと思うのです。
  174. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 高等学校の生徒の増加の傾向につきまして、ただいま大阪府の現状基礎にして御説明がございましたが、大阪、千葉、東京、神奈川等いわゆる都市集中の激しい都府県におきましてはおっしゃるような事情がございます。それで私どもといたしましては、各都道府県公立高等学校の新増設の計画をとってみましたところ、昭和四十九年度から五十三年までの間に三百三十六校の計画がございます。それで昭和五十年度におきましては公私立高等学校、主として公立高等学校でございますが、新増設の建物について助成を行うべく約七十億円の予算要求をしたところでございます。
  175. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 起債ワクの問題についてはどうなっておりますか、非交付県の。
  176. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 起債の関係は自治省の所管でございます。私どもとしては、自治省に基礎的な数字を連絡しておるところでございます。
  177. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 五十年度の地方債計画につきましては、先般要求書をまとめたわけでありますが、その中におきまして高等学校急増対策関係として建物関係で四百二十億円、それから用地関係で百億円を予定いたしております。
  178. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 実際にこれまた大阪府の状況で考えてみれば、現在府立は約百校の高校を持っておりますけれども、実際には公立私立関係でなお四〇%余りを私学に依存しておるわけですね。今日の状況では私学もあらためて校舎をつくり、あらためて生徒を募集するというような状況にはなりませんので、今後の問題は公立で負担をしていかなければならぬということとあわせて一般にはこういう状況下でいや応なしに九四%に及ぶ中卒の進学者が私立公立を四分六の割合で選択を余儀なくされるわけですね。全体として言えば、いま入学試験は高校へ入るか入らないかという試験にはなっておらぬのですね。学力によって、学力がなければ高校に入れない、学力があれば高校に入れるということにはなっておらぬ。どの高校に入るかということになっておるわけですから、この中で私学に回る者と公立に回る者というのは格段に本人の意思で公私が振り分けられておるとは必ずしも思いがたい。そういう状況の中でこの府の責任としては、何としても私学へ行く者は過分の負担がかかることによって税金の二重払いだという意見も率直に言って強く出てきておりますね。そういうようなことから私学補助を府で行なっていくということと、それで高校を増設していくということは、いわば高等学校についての考え方としては二本柱になっておるわけです、府の責任としてですね。こういう状況については、高校の問題は父母の立場からながめれば、私学に対してあわせてこういう状況下で国がどこまで責任を持つかということは非常に大きい問題になりますが、私立高校に対する補助金の問題について、これもいままで大阪府等は非交府県であって全く国庫補助の対象にあずからなかった、この点についてもひとつお答えを願いたいと思います。
  179. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 私立高等学校経常費について大阪府が国庫補助金の恩恵にあずからなかったと、その点について意見ですか。
  180. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ことしはどうですかということを聞いているんですよ。
  181. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 昭和四十九年度は、補助金は……
  182. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 来年度概算要求、五十年の。
  183. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 昭和五十年度につきましては、一般的には地方交付税積算基礎において、高等学校以下の私立学校経常費に関する都道府県補助金に必要な財源を考慮していただくと同時に、国としては、国が直接都道府県補助金を交付するという前提のもとに百七十億円の予算要求しておるところでございます。   〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席〕
  184. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 今度のこの百七十億円についてはは、これは文部省からひもつきで、文部省予算として出されるわけですね、交付金とは別に。
  185. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 文部省から各都道府県に対して支出される補助金でございます。
  186. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 高校問題についての今度のこの新設補助金の問題と、それから私学経常費助成金の予算については、文部省が直接に支出をしていくということで、いままでにたとえば非交府県等では全くこの補助金に当たらなかったところに新しい窓口があいて開かれるということになってくるわけですね。予算等については、予算額とか、積算等についてはかなり問題を感ずるところがありますけれども、その点については、今日の状況で一段と努力をして、どうしてもこれは解決をさしてもらう必要があると思うんです。去年、この公立高校新増設の建物の整備の問題では、三十億の段階で切られておるというようなことを再び繰り返すというようなことがあったのでは非常に困るわけなんですが、特に文部大臣について、そこら辺についてのひとつ決意なり、見通しをお答え願いたいと思います。
  187. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 文部省から大蔵省に予算要求いたしましたものについては最善を尽くしていきたいと思います。
  188. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 昨年の場合には落ちておるんですがね。昨年の段階と今年の段階とで一段と努力を願わなければならぬと思うわけですけれども、昨年落ちた事情等については、どういうことがあったのか、参考のために伺っておきたいと思います。
  189. 今村武俊

    説明員今村武俊君) 昨年度予算折衝の際に、管理局あるいは文部省といたしましても大いに努力をしたわけでございますが、結局は、大蔵省と文部省関係あるいは文部省全体における予算配分関係等の関係予算がつかなかったということでございます。
  190. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 最後に、定員の問題についてお伺いをしたいと思うわけです。  前国会に、学級編制基準について一学級当たりすぐに四十人といわないまでも、それに向かって接近をすることというような問題を基軸にして、幾つかの附帯決議が定数法の関係の問題で付せられておるということを承知しておるわけですが、そのときに、文部大臣は、よく検討するというふうに決議に際して述べておられたと思うわけです。そこで五十年度要求に対して、この定数でどのようにその問題を反映されたのか、また、累年、それをどのように実現をすることをプランとして考えておられるのか、今年の段階での、五十年度予算に反映をする定数の概算要求内容はどうなっておるのかというような具体的な答弁をお願いしたいと思います。
  191. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 公立小中学校教員定数の問題でございますが、去る通常国会で成立をいたしました標準法の改正に基づきまして、その第二年次分を計上いたしておるわけでございますが、まず、小中盲ろう学校につきましては、自然増といたしまして約七千八百人の増加を予定をいたしております。それから標準法の計画的な実施に対応する分といたしまして、約四千六百名を予定をいたしております。ほかに、午前中申し上げましたが、教頭定数の増ということで約千八百人を予定をいたしております。このほかに、特殊学級の新設分といたしまして約千八百人、合計小中盲ろう学校義務制がすでに実施されておる分につきましては、一万六千八十人の増という要求でございます。それから養護学校につきましては、中身はいろいろございますが、総体といたしまして千九百二十三人の増員の要求ということになっております。これに必要な予算額を大蔵省にすでに提出をいたしております。
  192. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 自然増で七千八百人ふえるということは、これは生徒の数に見合ってむろん措置をされておるわけですから、生徒数に増減のない学校は前年のままということになるわけですね。まあ法改正について置かれるものも複式解消その他若干の問題があり、あるいは県でかかえておった栄養士が国庫補助の義教法の対象となるというような問題はあっても、実際には具体的な学校の中で生徒に行き届いた教育をするために、教室での行き届いたものを保障するための新しい措置としての努力というのが、つまり附帯決議の趣旨に即してあらためて加えられている努力というのは、今年段階ではゼロ回答になっておるというふうに私は掌握をするわけですけれども、そういうことであるのか。今年段階で、その点、決議の趣旨が言われっぱしになっておって、あらためてその要員をもって要求の中に加えられている要素がないということについてたいへん遺憾なことだと思うのですが、その理由があれば述べてもらいたい。特に四月の衆議院の委員会のほうで、政府の答弁で、四十人にするために必要な人員の増は四万三千人ですか、一千億余りの財源であり、そうして教室数の増しによってさらにそこに千三百六十五億円必要だというようなことがあったわけですけれども、それに向けて歩み寄るような過程での積み上げということについて考慮されていないというのは、たいへん決議例れになってしまっておって困るじゃないかと思うのです。それに二千億円という金が大きな金とも見られるでしょうけれども、今日の状況に関して見たら決して天文学的でもなければ、不可能な数字でもないと思うわけですけれども、そこについてはどうですか。
  193. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 附帯決議の趣旨につきましては、これを尊重するよう検討いたしておるわけでございますが、具体的な措置といたしましては、この第四次の五カ年計画も通過いたしたばかりでございます。当面はこの既定計画の完全実施をはかるということが大きな課題であろうかと思います。したがいまして、附帯決議の御趣旨につきましては、今後さらに検討をいたしたいということでございます。
  194. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 続いて御発言願います。
  195. 加藤進

    ○加藤進君 昨年来のもう異常な物価上昇のもとで、大学における研究条件がまさに目をおおうような状況になっている。これはもう大臣も大体認識しておられるかと思いますけれども、ある大学では図書費は今年度ゼロ、東京大学では図書費は四分の一に削減、大きな機械を動かすと費用がかかるから実験機械は動かさぬ、いわばこんな状態一般化しております。これまで大学学術の中心であると、こう言ってみても、現実にはもう研究そのものが破壊の状況にある。私は、これは猶予できない問題だと思います。この点につきまして、大臣どのように御認識いただいておるのか、今年度の補正予算においてその点についてどのような措置を考えておられるのか、このことをお聞きします。
  196. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 大学教育費が最近の経済状勢から教育研究に支障を来たしているという事実、私も相当認識しているつもりでございます。補正予算に際しましてはぜひそれらを補てんし得るように予算要求していきたいと、こう考えておるところであります。
  197. 加藤進

    ○加藤進君 そういう概括的なお答えを私は期待したわけじゃないんで、今度の補正予算でこの問題について可及的な措置をとられる用意があるかどうかと、こういうことをお聞きしているんです。
  198. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 補足説明いたします。  ただいま御指摘のように、物価の高騰によりまして大学関係の特に基準的な諸経費、光熱費とか、燃料費等非常に窮屈になっておりまして、本年度の問題といたしましては、当面必要とする研究関係経費の確保につきまして、現在の既定経費の効率的な執行をいま各大学努力をしておるところでございますが、既定経費の充当可能性の問題でありますとか、あるいは補正等の問題にもつきまして財政当局とも具体の問題として相談をいたしたいと、かように考えておるところでございます。
  199. 加藤進

    ○加藤進君 私は時間があれば、いろいろ各大学における研究条件がどのような状態になっておるのか、これは私から報告して認識を新たにしてもらいたいと実は準備したわけですけれども、きょうは時間がありませんので、その点は後日に譲りたいと思います。しかし、ほっておいたらこれはもう研究ストップですよ。こういう状況にあるということだけはしっかり認識していただきたい。  こういう上で、私は、特に日本学術会議が提起しております一これは文部省だけじゃありません。政府ですね、政府に対して申し述べておられる要求がございます。これにはこう出ておるんですね。「教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等経常的な研究費について、少なくとも三十%程度増額をし、公立私立大学についても、これに相当する措置をとられたい。」、これが政府に対する要望です。私、無理ないと思うんですこのくらいのことをひとつ今度の補正予算でやってやろうと、こういう決意をぜひ大臣にしてほしいと私は特に期待するんです。その点はいかがでしょうか。
  200. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いま大学局長から申し上げましたように、ぜひ必要な金額を補正予算で確保したいと、かように考えております。
  201. 加藤進

    ○加藤進君 補正予算に組みますと、こういうことですか。速記録がございますから、一言言ってください、さようですと。
  202. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いま申し上げたとおりであります。
  203. 加藤進

    ○加藤進君 どれくらいになりますか。どれくらい要求するつもりですか。
  204. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 先ほど補足で御説明申し上げましたように、本年度の措置につきましては、ただいま各大学等からも計数等を聴取しておるところでございまして、本年度の措置として既定経費による充当を一体どこまでやれるかとか、そういうことも含めまして財政当局と近く相談をしようということでございますので、まだ金額等は私どももただいまの段階で明確に把握いたしかねておる点がございます点を御了承いただきたいわけであります。
  205. 加藤進

    ○加藤進君 最後に一言だけです。  とにかく八%程度のいわば引き上げで、現在一般に消費者物価というのが二十数%あるいは三〇%になっている。この数字だけを見ても、このままほうっておいたら大学はストップする、研究はストップする、先生たちの生活にもかかわりますから、生徒は同様です。こういう状況でございますから、ぜひとも概括的な一般的なことではなしに、各大学の状況をよく問いただしていただいて、その要求に見合ったひとつ補正予算要求をぜひ出していただきたいということと、次に概算要求、もう出されておりますけれども、この中においても大学の研究費の問題についてぜひひとつ抜本的な改善文部大臣としてもはかっていただきたい。その点の御決意をひとつお伺いしておいて、きょうは私の質問はこの程度で終わりたいと思います。
  206. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 明年度概算要求につきましては、特に国立大学の基準経費でございます教官当たり積算校費、学生当たり積算校費を中心といたしまして、教官当たり積算校費につきましては全般に三五%は確保したい。それに若干の質的な改善を乗っけてまいりたい。それから学生経費につきましては、私どもとしまして、ただいま大蔵省のほうに要求いたしましたのは、博士課程につきましては、これを二倍にしてほしい、修士課程五割増、学部等同じく三五%を確保したい、そういうことで、ただいま大蔵省に予算の説明を始めたところでございます。
  207. 加藤進

    ○加藤進君 ささやかな要求のように見えますから、ひとつ決意を新たにして、発言されたそういう内容程度のことは完全実施しますと、こういうところまでぜひとも持っていっていただきたいということを要望して、終わります。
  208. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 続いて御発言願います。
  209. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど公明党の矢原先生の御質問の時間に、ちょっと私中央執行委員会があって席をはずしましたので、お聞きになられたかどうかを漏らしておりますので、あるいはダブッたらたいへん申しわけないと思いますけれども、まず初めに、大臣にお尋ねをしたいんですが、大臣は参議院の選挙の最中に、先ほど矢原さんの御質問にありましたように、八月十六日で大学臨時措置法が期限切れになるので、是が非でも次の臨時国会では大学管理法を提出するのだ、こういうことを盛んに言っておられたように承っておりますけれども、すでに臨時国会は八日間で何にもなく済んでしまいました。次に来るのは通常国会だと思いますけれども、その通常国会には大学管理法を提出されるお考えなのですか、どうですか、お伺いしたい。
  210. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 大学管理法を提案するというようなことは就任以来一度も言ったことはございません。おそらく大学の運営に関する臨時措置法、この前後処理に関する立法のことじゃないだろうかと、かように考えます。先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども、四十四年に制定されましたこの法律の中に「五年以内に廃止するものとする。」と書かれているわけであります。しかしながら、大学現状は、この法律の持っております抑止力をなお必要とする段階にある、こういう判断をしているわけでございます。そうしますと、何らかの立法措置をしなきゃならない。さきの通常国会にいたしたいと考えておったわけでございましたけれども、その後野党の方から参議院選挙後の臨時国会でも問に合うじゃないかという御発言がございました。そのとおりでもございますので、そういう考え方で進んだわけでございまして、ところが、さきの臨時国会が会期八日ということになったりいたしまして、ついにその法案の提出ができないでしまったわけでございます。そのことはたいへん遺憾なことだと、かように考えております。しかし、廃止法案が成立しているわけじゃございませんので、この法律はなお存続していく、したがって、この法律の持っている抑止力は残っていく、こう判断をしているわけでございます。今後どう対応していくかということにつきましては、また各方面の御意見も伺った上できめたい、こう申し上げてまいっているわけでございます。その時期はいつかというお話もございましたので、法案を出すとすれば通常国会でございますので、通常国会で法案を提出するか提出しないかということをいずれかに決断しなきゃならない。そのときに今後の対応策はどういう方針で臨むかということが明確にされなければならないことになるのですと、こう申し上げてまいったわけでございます。
  211. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、その問題はその程度にいたしますが、私、きょうはほんとうの質問は、看護婦さんの問題と、それから給食の問題にしぼってみたいと思います。  看護婦さんたちの長年の強い要望は、どうしても学校教育法の第一条によって看護婦をつくってほしい。つまりいまございますのは、各種学校でございますね、それではなくて、いま申し上げましたような学校教育法の第一条による教育がしてほしい、これが看護婦さんたちの長年の要望であるわけでございます。そこで、政府は来年度国立千葉大学の中に四年制の看護学部を設置するやに伺っておりますが、それはそうなんでしょうか。
  212. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま先生から御指摘のように、関係者の間に医学、医療の高度、専門化に伴いまして資質の高い看護婦等をぜひ養成する必要があるということで、学校教育法に基づきます大学、短大をやはり増設すべきではないかという要請が非常に強くなっております。しかし看護に関しまする大学の数が少ないこともありまして、看護の指導者数が少なくて、短大におきまする看護教育を担当する教員さえも不足しているというのが正直な実情でございます。このような状況でございますので、看護学のピークを高めるという意味教育研究を拡充しますとともに、短大の教員、その他看護の指導者層を確保するために千葉大学に看護学部を創設しょうということで本年創設準備費をいただきまして、ただいま準備を取り進めておるところでございますが、できますれば五十年度、明年看護学部を創設し、学生も受け入れたいということで概算要求をいたしておるところでございます。
  213. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしますといまおっしゃいましたように、看護学部を設けるという、その根本的な理由というのは看護婦を教育するための教員をつくる、こういうことにしぼられているわけですか。
  214. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 資質の高い看護婦の養成ももちろんでございますが、看護関係につきましての指導者層をここで養成をしてまいりたい。端的には短期大学教員等も四年を卒業まで要しますけれども教員を供給するところにもしてまいりたい。すでに御案内のことかと存じますが、現在四年制大学各部で看護の教育を現にやっておりますのが国立で二つ、それから公立一つ私立で三つの五つの大学で看護婦養成の学科を持っております。  なお、そのほかに国立大学でございますが、御案内のように、高等学校に衛生看護科というのがございまして、この高等学校の衛生看護科の教員を養成いたしますために弘前、千葉、徳島、熊本の四つの国立大学教育学部の中にその高等学校の衛生看護科の教員養成の課程を四つ持っております。それから大学関係では、直接看護婦の養成をやっておりますのが五大学、それから高等学校の衛生看護科の教員養成をやっておるのが四大学、これが現状でございます。
  215. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 現在大学の医学部に附属の看護学校というのがありますね。これは三年制でございますね。こういうところを出た人やあるいはいまおっしゃった短大ですね、短大を出た看護婦さんやあるいは看護婦養成の各種学校を出た人たちと、今度の千葉大学に設けられる看護学部ですね、そこを出た人たちとはおのずからその位置づけとか、資格とかが当然違うわけですね。
  216. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 看護関係職員の制度につきましては、厚生省のほうでそれぞれの資格要件を持っております。いろいろな養成所の指定でございますとか、そういったものは厚生省と文部省の共同の省令でやっておるものでございます。したがいまして、ただいまお尋ねがございました点で、医学部の附属の看護学校、これも各種学校でございますが、医学部附属の看護学校と、それからそうでない看護婦養成所を出る人とありますが、その両者の関連と位置づけは現在どうなっておるかというような形でひとつお答えしてみますと、文部大臣が指定いたしますものは、学校教育法第一条の規定による大学、短大と高等学校のほか、大学に附設されておりまするただいま御指摘のございました各種学校としての看護学校でございます。これが文部大臣が指定をいたしますものでございます。以上のほかに、看護婦養成所につきまして厚生大臣、それから准看護婦養成所につきまして都道府県知事がそれぞれ指定をいたしております。この厚生大臣、知事のほうで指定をいたしておりまする看護婦養成所や准看護婦養成所のいずれも各種学校には相違ないわけでございますが、文部大臣指定の学校教育法第一条関連の指定のものとそうでない厚生大臣、知事の指定のものとが二つある。その指定のしかたは、そういうふうになっておりまして、かつ大体のシェアでございますが、文部省関係が大体二割、厚生省関係が八割ということでございます。  なお、指定を行ないます根拠は、先ほども申しましたように、文部大臣と厚生大臣の両省所管の省令を基準として指定を行なっておるというのが状況でございます。ですから、文部大臣指定でございましても、厚生大臣指定でございましても、同じ指定規則によりまして指定をいたしておりますので、同様の水準を基本的には維持していく。したがって、そこを出るものは同じ資格が与えられる、こういうことでございます。
  217. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その文部大臣の指定の分と厚生大臣のほうの各種学校ですね、あんまりだくさんあるもんですから、ほんとうに理解に苦しむほどですね。それで、それを相当説明をしてもらってもなかなか私どもには理解がいかないほどたくさんあるわけです。きのう厚生省の方に来ていただいていろいろ説明をしていただきました。そうしますと、これは厚生省のほうですけれども、看護婦等学校とか養成所、それが全国で千五百三十四もあるわけですね。それがまた、たとえば兵庫県におけるものを見ましても、三年制のほうのものも――つまり第一部のものが八つ、それから第二部のほうが二十あったりして、ずいぶんだくさんな数があるのですが、そういうところで看護婦さんがみなそれぞれ養成をされているわけですけれども、先ほども申し上げましたように、看護婦さんのいまの要望は、看護婦というのは人の生命を預かる仕事なんですね。そういう中で最近の日本の医学の進歩は急速だし、また、医療技術もたいへん急速に進展していきます中で、どうしても質の高い看護婦といいますか、そういう看護婦を養成をしたいし、また、世間からも看護婦というものの地位ですね、そういった地位の高まりをやってもらわなければ、いまの各種学校でやりますとパーマネント屋さんとかあるいは理髪屋さんとかと同じ程度に見られるものですから、看護婦を募集してみても、なるほど募集すればたくさん人は集るけれども、実際に試験を受けて試験の結果各種学校に入れようと思うと、五十人募集をしてみても百人ぐらいの人は来るけれども、実際に試験をして入れようと思うのは二十五名程度。定員に満ちませんから、もう一ぺん再募集をして、やっと三十五人から四十人ぐらいしかほんとうは学校に入れて勉強させることができない。こういうことでは、やはり質のよい看護婦さんが育ってこないし、看護婦さんを募集してもなかなかいい人がきてくれない。だからどうしても学校教育法でやってもらわなければいけない、こういうことが非常に強い要望であるわけでございますね。  そこで、いま申し上げましたように、千五百三十四校もあるんですから、こういうものの中でおいおいに、たとえば学校教育法でやれるような短大に格上げをするということはできないものかどうか、そういう方針はお持ちになっていらっしゃるのかどうか、その辺ひとつお答えをいただきたいと思います。
  218. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 最初のお尋ねでもございましたように、看護婦の質を高めていく、質の高い看護婦をどうやって養成確保していくかということが非常に強い要請になっておるということでございますが、他面、現在のいろんな状況から看護婦の量をどうやって確保していくかという非常にむずかしい問題も国として持っておるわけでございまして、現状文部省所管の学校教育法第一条に基づきまする学校関係で二割、それ以外で八割という現状をやはり踏まえざるを得ない。それと、短期大学等に各種学校を改組させたり転換をはかっていくということにつきましても要請が相当あるわけでございますけれども、そのための教官の確保という点もまた至難であるというようなことがございまして、質を高めるという問題と量を確保していくという問題、これを併行し同時にやってまいらなければならぬというところに今日問題があろうかと存じます。  ただいま具体的にお尋ねのあった点でございますが、国立大学で申しますと、国立大学の医学部に附属の看護学校がそれぞれあるわけでございますが、特に明年は、従前大体毎年一校ないし三校、各種学校を医療技術短期大学にするということでやってまいって、国立大学に医療技術短期大学が六校ほど現在設置されておるわけでございます。明年度、ただいま先生の御指摘のような点もございまするし、千葉大学に看護学部を創設したいという要求と同時に医療技術短大もできれば従前以上に創設をはかりたいということで、概算要求をただいまいたしたところでございます。  もう一度申しますと、看護学部あるいは医療技術短大として質を高めていくという努力のほうをただいま文部省のほうでも全力をあげておると、こういうことでございます。
  219. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その看護婦の量をふやす、これはいま社会労働委員会なんかではこの問題がたいへん大きな話題になっておりますね。で、確かにいま日本全国でも看護婦さんが足りない足りないということで、看護婦の充足率を高めるために看護婦養成を早く急がなければならない、こういうふうなことがしょっちゅう言われているわけですけれども、その看護婦の量を多くするためにも、看護婦さんの側から言わせれば、やっぱりこれは短大とかあるいは県立の看護大学とか、こういうものにしなければ根本的な解決にはならないと、こういうふうに看護婦さんたちは言っているわけです。この看護婦養成というのは、たいへん何かややっこしいことでして、医師会は医師会でまたやっていますね。お金を出し合ってかってに看護学院をつくって、そこでやっているわけですけれども、そういうところでやられた人たちは、結局、その看護婦だけが仕事ではなくて、どうかすると女中さんまがいのようなことまでもさせられる。こういうところで看護婦さんの要望と看護婦さんを使うほうの考え方と、そこにギャップがあるわけですね。で、看護婦さんは看護婦さんとしてやっぱりそれは専門職でありたい、こういう中でいま私がこういろんなことをお尋ねをしているわけです。  そこで一つ、私は具体的な例を申し上げますと、兵庫県――兵庫県というのは相当大きな県なんです。この兵庫県には県立の看護大学も県立の短大も一校もないわけです。特に私、きょう質問をする中で、兵庫県の看護婦さんたちが特にそれを要望されたものですからひとつ例としてそれを申し上げてみたいと思うのですが、いろいろ調査をしてみますと、県立の厚生専門学院というのがあるのです。これは各種学校ですけれども、できるならば何とかそういうところででも一校、せめて短大でもいいから一校つくりたいというので、これの格上げをしたらどうだろうか、短大に格上げをしてみたらどうだろうか、こういうふうに私も私なりに考えてみたわけです。ところがこれを短大に格上げするためには短大というものの設置基準がありますね。たとえば用地が幾らなければいけない、運動場の広さがどうだとか、やっぱり先生がどうだとか、あるいはまた財政的な問題でございますね。そうなりますと、もしもそういう要望が出たときに、文部省としてはこれにどういうふうに対処をされるかどうか、その点の方針といいますか、お考えがあればお伺いをいたしたい。
  220. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいまお尋ねの点、医療技術短期大学をいずれにしても創設するという問題として一応お尋ねを受けとめさしていただきまして答えさしていただきたいと思いますが、ただいま先生からお話しございましたように、短期大学創設するという具体のことになりますと、短期大学の一応の設置基準に合致しておるかどうかを、文部省にございまする大学設置審議会、それから私学でございますと私立大学審議会等の審議会で十分審査をいたしまして、その上で法人側並びに短期大学そのものの認可を文部大臣がいたして初めて短期大学というものが発足をいたすわけでございます。で、短期大学の基準と申しますのは、そこに置かれまする学科の性質によりまして若干異なるわけでございますが、一定の入学定員に対しまして教授、助教授等の一定の教官数が要求されます。特にそれがまた看護婦養成というような具体目的を持っておりますときは、先ほど申しましたように、厚生大臣文部大臣の共管の省令によって、その短期大学に短期大学の設置基準のみならずその中にその共同省令を根拠として、要するに専任教官の中に、看護婦免許を持っておる人が四人はどうしても必要だという共同省令のほうからくる条件でございます。ですからそういう条件も満たしながら、さらに一定の施設、設備ということも要求されるわけですが、そういうことで、短期大学といたしましての認可を得るという問題が一つございます。それと私立の短期大学ということで認可ということに相なりますと、認可後、一定経過年を経まして、私学に対しまする経常費助成対象とか、そういったおよそ今日、私立大学、短大に対して講じておりまする助成措置の対象となってまいります。かようなことでございます。もし公立ということでございますれば、昨年岡山で具体例がございましたが、建物等を最初建設いたします際に、単独の特別ワクではないんでございますが、一般の単独事業債に相なるわけですけれども、自治省のほうにも私のほうからもお願いをいたしまして、起債のことにつきまして、大体県のほうで要望しておられる満ぱの起債を見ていただきまして、公立でございますれば起債措置がスタートのときにある。それから誕生した後におきましては、教育関係設備費の補助金、金額はそれほど大きくございませんが、それと、それからただいま公立の医科大学と歯科大学といいますか、医学部、歯学部につきましては、経常費補助金をただいま文部省のほうから出しておりますが、看護婦の養成確保という非常に重要な問題について、今後、地方団体等で御協力ももちろん仰がなきゃならぬと思いますし、このことにつきましても、その助成のしかたにつきましても、さらに新しいくふうができないかということで、ただいま予算要求等もいたしておる状況でございます。
  221. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 少し初めに戻りますけれども、今度の千葉大学の中に看護学部が設けられますね。そういうところにはいままでの准看とか、いままでの看護婦さん、こういう方もそこには入学することができるんですか、試験を受ければ。
  222. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 大学の看護学部ということでございますので、高等学校卒が基本的な入学資格、大学でございますのでなります。ですから大体考えられますのは、高等学校の衛生看護科を出た人というのが一つグループとしてあるんじゃないかと。それからさらに中学を出て、二年間勉強して准看の資格を持っておられる方で、定時制との併習で定時制高校の卒業資格をおとりになってる方もおられるようでございますのでこういう方々も当然考えられるんじゃないかと。しかし、高等学校を全然卒業していない准看の方々については、一体どうするかという問題があるわけですが、文部省で実施しております大学入学資格検定という資格検定試験がございます。ただいま私どもも内部でこれを相談しておるんですが、高等学校を卒業していない准看の方で、看護学部等への進学を希望される向きについては、文部省で実施します大学入学資格検定をぜひとも受けてもらって、それに合格をしていただいた後に、このような方にも入学の機会が与えられるように配慮すべきじゃないだろうか、おりおり内部でただいま相談をいたしておるところでございます。
  223. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それじゃもう一つお伺いしたいんですが、国立大学の医学部ですね。ここに附属看護学校というのがありますね。この附属看護学校の実態とその定員及び就職先、こういうものについてどのようになっているかお答えいただきたいと思います。
  224. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 大学の医学部附属の看護学校の実態等のことでございますが、国立大学の医学部が持っております看護学校が二十校、人学定員千名。それから公立大学の医学部が持っております看護学校が十校、入学定員が四百三十。それから私立大学の医学部が持っております看護学校が二十三校、人学定員が一千二十五人。総計で四十二校、二千四百五十五人というのがただいま時点の入学定員でございます。  ただいまお尋ねの直近の就職状況がどうかということでございますが、この春の状況で見ますと、卒業者総数がこの春国立公立私立、全部総計してみますと千六百五十七。先ほどの入学定員とのズレは、おそらくこの三年くらいの間に入学定員が増したのもございますし、それから入学時に若干定員まで満たなかったところであるようでございますのでズレがありますが、この春の卒業生が千六百五十七人でございまして、その看護学校が附属しておりまする大学病院、当該大学病院に看護婦として就職しておりますのが五四%。それからその他の病院に看護婦として就職しておりますのが二四%。で、トータルで七八%が直ちに看護婦として就職をしております。それから二〇%が看護婦の資格を持った上で、さらに一定期間勉強をして助産婦の資格をとるとか、そういうさらに進学をされる方がありまして、これが約二〇%であります。いわゆるその未就職者といいますか、それはごく二%というような数値がこの春の状況でございますので、大学関係附属の看護学校の卒業生につきましては、大体その大部分が直ちに看護婦に就職するか、さらに看護婦プラスアルファの勉強をして、他の資格もおとりになるほうへ進まれるかという状況のように理解しております。
  225. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これくらいたいへん就職状況もいいわけですね、進学が二〇%くらい。そのために看護婦さんがどうしても不足で不足で、どこを歩いてみても看護婦募集、看護婦募集というあれが立っているわけですね。看護婦さんの何といいますか、就職をしていらっしゃる大体歩どまり、年限ですね、それは平均どれくらいになっておりますか。
  226. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 国立大学の附属病院の場合、概数で恐縮ですが、大体八年ぐらいじゃないかと思います、平均いたしまして。
  227. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、この看護婦さんの問題は、最後に要望を一つ申し上げておきたいのは、先ほどから何べんも申し上げているように、看護婦さんの要望というのが質も量も高めなければいけないわけですけれども学校教育法の第一条でやってほしいと、こういうふうな要望が非常に強いのと、そういうところでやればたくさんいい看護婦さんも集まってくるだろうというのが、看護婦さんの言い分でございますから、文部省と厚生省との共同省令でやられるにしても、これから先やっぱり厚生省だけにまかせるのではなくて、そういうものもだんだん質を高めるという意味で、近い将来に学校教育法による学校に格上げをしてほしいと、こういうふうなことを私は要望をしておきたいと思います。これは要望にとどめておきます。  それでは、学校給食の問題について一言御質問を申し上げておきたいと思います。  この学校給食の問題についても、先ほど矢原委員がいろいろ御質問を申し上げておったようでございますけれども、私は私なりの考え方がございますので、ひとつこの際お答えをお願いをしたいと思います。先ほどお話がありましたように、最近は新聞紙上で学校給食の値上げがあんまり激しいのでこの問題がたいへん大きな話題になっております、ニュースになっているわけですけれども学校給食法というのがございますね、昭和二十九年にできたわけですが、この法律の定めた目的及び学校給食の目標が実証されるものではなくてはならないと思うわけです。事実、学校給食においてそのようになされているかどうか、これお読みくださればすぐわかるわけですけれども、たとえば第二条に書いてありますように、「日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。」とか、あるいは第二項では「学校生活を豊かにし、明るい社会性を養うこと。」第三項は「食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。」、第四項では「食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。」こういうふうなことが学校給食の中で実践されているのかどうか、その辺の状況を伺いたいと思います。
  228. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) まず、学校給食学校教育活動の中においてどういう位置にあるかということでございますけれども、これは現在小学校でいいますれば、小学校教育活動は国語、社会といった各教科、それから道徳教育、それと並んで第三の領域として特別活動というのがあるわけでございますが、その特別活動というのは、たとえば児童のクラブ活動のような児童活動と、それから運動会とか旅行のような学校行事というものと、もう一つ、学級指導というのがございまして、この学級指導という中にいまの学校給食、それから保健指導、それから安全指導といったようなものが入るわけでございます。したがって、これは学習指導要領においても、この教育活動をどういうふうにすべきかということがしるされておるわけでございまして、そういう意味では現在の学習指導要領の中におきますところの特別活動のうらの学級指導というものの目標が、いまの学校給食法のお読みになりました二条の「(学校給食の目標)」というものと表現は違いますけれども同じようなものになっておるわけでございまして、「学級における好ましい人間関係を育てるとともに、児童の心身の健康・安全の保持増進や健全な生活態度の育成」ということで、特に学校給食においては食事の正しいあり方を体得させるとともに「食事を通して好ましい人間関係を育成し、児童の心身の健全な発達に資するように配慮しなければならない。」としてあるわけでありまして、さらにこまかくはこの学習指導要領を受けまして小学校指導書というのがあって、各教科及びいまの特別活動についての指導の着眼点等について示してございますが、先生がおっしゃいますように、それらを通じて見まするならば、給食というものを単に食事をさせるというだけではなくて、その食事を通じまして子供の体位の向上をはかり、正しい食生活に対する習慣をつける、あるいは食事についての認識を得させる、人間関係をより一そう円滑にする一つの手段とするというようなことをねらいとし、また、学校でもそうしていただくように指導してきておるというのが実情でございます。
  229. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの狂乱物価の中で給食代の高騰といいますか、そういったような問題にだけ何かいま目がとらわれている感じがしてならないわけです。そういういまの学習指導要領によって、いろいろ人間関係だのあるいは連帯感を養ったり、そしてまた色野菜もきらいでも食べなくちゃいけないとか、いろんなそういうことが学校給食の中で指導されているとすれば、これはたいへん私どもはありがたいと思うわけですけれども、いまとかく値段のことだけにとらわれているような感じがいたします。特に新聞やなんかを通じて読んでおりますと、そういうことにだけ何か目を奪われているような感じがしているわけですが、それはたいへん私残念なことだと思います。そうなってまいりますと、いろんな意見があると思いますね。それでそんなに値段が上がるんならば学校給食やめてやっぱりお弁当にしたらどうかという意見も出てくると思います。しかし、いま読みましたようなこの問題を考えてみますと、やっぱりお弁当を持っていくのがいいのか、あるいはやっぱり学校給食のほうがいいのか、そこはいろいろ議論が分かれるところだとは思いますけれども、私はやっぱり学校給食というものはいいものだと思うんです。それは、お弁当にお金が十分かけられる人はりっぱなお弁当を持っていくでしょうし、そうかけられない人は何か手で隠してお弁当を食べる人もあるでしょうし、お弁当が持ってこられない人は、お弁当の時間になると運動場へ出てしまうというような、そういうこともあることは、子供の健全な、精神的な発育の中で私はたいへん残念だと思いますから、やっぱり学校給食というものは続けたほうがいいんじゃないかと、こういうふうに思いますが、いまの物価上昇の中で、学枝給食の値段がどんどん上がっていく、こうなってまいりますと、やっぱりいろんな考え方が出てくるわけです。そういう中で、いま非常に狂乱物価の中ですから、どうしても父兄が負担をし切れないのであれば、やっぱり非常に激しいその値上がりの分だけは私は地方自治体が負担をすることのほうがいいのではないか。と申しますのは、そうして給食を続けながら、また物価があるとき下がってくれば、それがいつになるかわかりませんけれども、そのときはまたそれを解除してもいいわけでして、いまこの際は地方自治体が負担をして、そうして国のほうがその地方自治体に少し補助をする、それはやったほうがいいのではなかろうかと、こういうふうな意見を私どもは持っているわけですね。そうして、先ほどのお答えの中にもありましたように、文部省としても、流通を円滑にしたり、経費を安くしたりするなどいろんな努力が重ねられておるように先ほどお聞きをしたわけでございますけれども、子供の食事のことでございますから、やっぱりこれはできるだけ親もまた責任を持たなければならない。ただ、地方自治体や学校文部省に、国のほうにおっかぶせてしまえばいいのではなくて、親もまたできるだけの責任は持つべきだと私は思います。そういう点で、お米も今度は三十何%の値上がりをするようですし、小麦で上がったり、パンも上がったりしている中ではございますけれども、それならば、学校給食を十分続けていくとすれば、せめて主食は家から持っていくという、こういう方法であるんではないか。  学校給食が始まりますと、たいへん家庭の奥さんは楽になるわけですよ。それはもうまぎれもないことです。私も三人の子供を育ててまいりましたけれども、毎朝毎朝御飯をたいて、お弁当を三人分つくるということはなかなかたいへんなことで、学校給食が始まりますと奥さんはたいへん楽になるわけですね。そういう点もありますけれども、最近は炊飯器でどんどんタイムスイッチをかけておけば御飯はたけるわけですから、主食を家から持っていく、そして値上がり分をその分おかずの質をよくする、こういうことも考えられないものであろうか、こういうふうに思いながら、私、給食の問題で新聞を読みながらそう思うわけですが、ぜひともそういう方法もあるということをお考えをいただいてみたいと思うわけです。  それからもう一つは、どうしても給食のほうがいいという私の意見でございますから、それでもなおかつ物価の値上がりで給食費が問題になれば、第三子からはいま日本では児童手当が支給されているわけですから、厚生省のほうにお願いして、児童手当の増額もしてみたらどうだろうか、こんなように考えるわけですけれども、厚生大臣もおそらくこの給食の問題についていろいろお考えがあろうかと思いますが、お二人からひとつお答えをいただいて、私、時間でございますから質問終わりたいと思います。
  230. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 学校給食は、私もその教育効果が非常に大きいと考えているわけでございまして、将来ともこの発展に努力を払っていきたい、かような考え方でおるわけでございます。  なお、材料費父母負担という原則、これはやはりいますぐ変えるということは私は困難じゃないかとこう考えているわけでございます。たまたま物価が大きく動いているわけでございますので、このことが各方面にいろんな影響を及ぼしております。給食もその一つだと、かように考えておるわけでございます。その中で対処すべき方法について幾つかの御提案をいただきまして、現にそのような方法をとっているところもございます。一つの提案ではなかろうかと、私も思います。文部省といたしましては、何としても生活保護世帯でありますとか、準要保護世帯でありますとか、こういう家庭につきましては、全面的にめんどうを公費で見ていきたい、ある程度その範囲を広げるにしましても、材料費に直接の補助というものは避けたいな。あまり値段が安い安いというようなことに力量を置いていきますと、おいしいものを食べさしてもらえない、栄養のあるものを食べさしてもらえない、そのことがこの学校給食の制度を破壊するおそれがある、こんな心配まで持っておるわけでございまして、したがいまして、材料の供給体制、これを整備することによってできる限り負担の緩和をはかれるような努力をしたいものだな、かように考えておるところでございます。
  231. 諸澤正道

    説明員(諸澤正道君) 幾つかお話があったわけでございますが、一つは、現在給食物資の値上がりに対応して県、市町村の段階で相当補助をしておるところがあるというこの実態でございますが、現在十七県、三百七十一市町村、金額にいたしまして約三十五億というものが食材料費の補助という形で出されておるわけでございます。ただ、その実態は、たとえば東京都について言いますならば、ある時点における牛乳の値上がりに対応して都と区で三円ずつ見るというようなことでございますが、その見方がほかの県ではそれぞれまた違いますし、また、同じ東京都でもある区などは牛乳は全部区で見るというようなところもあったり、あるいは給食費全部を市町村で見るというようなところも若干はあるというようなことでございまして、したがいまして、そういうような実態はそれぞれの県なり市町村がその財政能力なり地域の実情というものを考えておやりになる施策であり、それなりに効果をあげていただいておるわけでございますが、ちょっと国がそれに対して部分的にまた地方団体に補助をするというような政策にはなじまないのではなかろうかという気が私はするわけでございます。  それからもう一点、主食だけは親がつくって子供に持たせる。その分を給食内容充実にはかったらどうかというのは確かに一つの御提案だとは思います。思いますけれども、なお、ちょっと検討いたしますならば、技術的あるいは制度的と申しますか、若干問題があるのではなかろうか。たとえばいまの準要保護、要保護といわれるような低所得階級の子供さんは全体の七%という積算予算がございまして、これは国と市町村がお金を出して給食のめんどうを見るというたてまえになっておりますので、もし主食だけは親がつくって持ってこさせなさいよということになりますと、そういうお子さんにはやはりちょっとぐあいが悪いのではなかろうかという点もあろうかと思います。  それから、およそ給食というものが主食、副食を通じまして同じ質の同じ量のものを与えるところに意義があるのだという教育的な面も考えての配慮を思いますときに、親御さんに主食についてはそういうふうに準備をするにしてもそういう規格を守りなさいというのはちょっと現実的にむずかしいのではなかろうかという気もいたしますし、まあせっかくの御提案でございますが、そういう点もなお検討させていただきたい、かように思います。
  232. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 続いて御発言願います。
  233. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大臣に質問をいたしますが、八月二十二日付の各新聞に大臣が二十一日松山市で全国の高校PTA役員を前にしてまた一席ぶたれていますね。ここで例のまた大臣おはこの日教組攻撃をやったようでありますが、私がこれから質問をしたいのはその日教組攻撃ではなくて、それと関連をして、そのあと記者会見で言われているところの問題です。それは、教員のスト参加者に対するところの処分の内申の問題。この問題について、大臣は記者会見でこういうことを言っておると報じておるんですね。スト参加者の処分は市町村教委の内申なしで都道府県教委が進めることができるよう通達の検討を進める。そしてさらに、このことについては、一カ月以内に通達の形で出せるよう事務段階で検討させておる、こういう筋のことを新聞に報道されておるんですが、これは事実なのかどうなのか。事実とすれば、その通達というものは出されたのかどうか、そこをまずお聞かせ願います。
  234. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 愛媛県で講演いたしましたあと、記者会見で、たびたび国会で御議論いただいております市町村教育委員会の内申を待って都道府県教育委員会が県費負担職員の任免その他の進退を行なうという規定について、内申がどうしても出ない場合に、なお都道府県は人事行政を行なうことができるようにするのかしないのか、こういう質問があったんです。ストライキ云々のことはございませんで、あとで新聞記事を見ますと、スト参加者云々ど、そちらのほうが頭にかぶっておりました。これはまあ、御参考に申し上げておるだけのことでございますけれども、とにかく、たびたび国会議論のあります例の「内申をまって」という問題の処理についての質問があったわけであります。私としては国会でも御答弁申し上げてまいりましたような考え方を持っているものでございますから、そういう意味で、それは従来と同じような考え方を持っているんですと。そうしたら、いつ明らかにするのか、こういう重ねての質問がございまして、一カ月以内ぐらいにはしたいものだと、こう答えたわけであります。いまもそういうつもりでおるわけでございまして、なるたけ早く決着をつけなければならない、こう思っているところであります。
  235. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 先月の二十一日ですからね、一カ月以内というと、もうやがて一カ月にきますね。すると、近々のうちに出されるということで作業を進めておるということですか。
  236. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私としては、できるだけ早く処理したいと、結論を出したいと、こう思っております。
  237. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この件は、これは本委員会でもたびたびやってきたところです。これは委員会の記録をめくってみれば、四月二十五日には共産党の加藤委員から、それから五月の九日と十四日は私のほうから提起をして、相当な議論をしたところの問題なんですね。その十四日の日に、大臣は、いろいろ答弁のやりとりはありましたが、この問題について、私のほうから「少なくとも、私は、皆さんがこの問題についてものの一つの結論を得られたら、やっぱりこの委員会でもう一回議論するぐらいの時間的余裕があってしかるべきだと思うのですが、その点はいかがでしょう。」と、大臣にお尋ねしました。大臣は「先ほど私としては、できる限り早く結論を出すべきだと、こう思っていることにつきまして、この国会が済んだら出すのかとか、あるいは参議院選挙後になるのかというような式のお話がございましたので、当委員会の御恵見のありますところをお教えをいただいて、十分尊重してまいりたいと思います。」と。こう答弁されておる。これは言うならば、それは大臣の見解としては何回も述べられていますけれども、事が非常に重要な問題なんです。それだけに相当慎重に検討される。しかも、私どもとしては、やはりそれまでの経緯の中から、この問題は事重要であるだけに出される前あたりには委員会で、いろいろあなたとしては委員会に対して、文部省としては検討しましたけれども、こういう方向でいきたいと思っておりますぐらいのものは出されて、それで、それがもう一回ぐらい検討されていいぐらいの性格のものではないだろうかというふうに私はこの大臣の答弁から理解をしておったんです。ところが、もう先月では、一カ月以内というんですから、おそらく二十日ぐらいまででしょうね。二十日ぐらいまでに出されるというようなことなんですがね。だとすれば、私は、事はきわめて重大だと思いますので、この問題についてもう一回やっぱりやってみたいと思いますが、どうなんですか。
  238. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) ずいぶんたびたび御議論をいただきましたし、また、いろんな委員会でも御議論をいただきました。宮之原委員からさきの国会で重ねてこの問題についてのお尋ねもございました。その過程で、お互いの受け取りようが若干違っているのかもしれませんけれども、私はなるべく早く結論を出したい、こう申し上げましたのに対しまして宮之原委員からは、それはこの国会中ということなのかあるいは参議院選挙後ということなのかというようなお話もあったことを承知しているわけでございます。したがいまして、それまでの問は、やはり、いろんな御意見を伺ってまいるべきだと、こういうつもりでおったわけでございまして、参議院選挙が済みましてかなりな時間もたっておるわけでございますので、そろそろ結論を出すべき時期に参っている、こう判断をいたしているわけでございます。
  239. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 たとえば参議院選挙後、臨時国会等があったんですけど、われわれとしては委員会開きなさいと言ったって、与党の皆さん逃げ回って、この委員会さえも開かせないで、そうしておって、何らこういう委員会で、もう少しお互いが議論してしかるべきぐらいの値打ちのあるところの問題を、ただその間は、時間が来たから出すという大臣のものの考えでしょう、いまのお話だったら。それでは私は、非常に困る大きな問題だと思うんですよ。それは、あんたなりあるいは法制局長官からもいろんな意見を聞きました。しかし、これはどう考えても理解のいかない解釈ですよ。それは、御承知のように、この問題は私どものほうも何回も申し上げましたけれども昭和三十一年の第二十四国会であれだけ議論をされた。乱闘国会といわれるぐらいの議論。しかもあのときの文部大臣の清瀬大臣の説明なり答弁なり、あるいは当時の初中局長の緒方さんですか、あの人の答弁からしても、一番のやはりあの法案の論及されたところの問題点であって、いわゆるこの公選制の教育委員会というものがなくなっていくとするならば、いわゆるその教育に対するところの中央政府なりあるいは県段階の行政に対するところの強い圧力というものがあって、自主性がそこなわれるんじゃないか、ここに一つの問題があるのではないかということに対するところの反論の答弁として、少なくともやはり人事の問題については市町村の内申権というのがあるんだから、これがない以上は、人事の任免については県教委といえどもできないんですから、したがって、これの歯どめがあるということは、決して自主性は侵しませんということを何べんも答弁している。これは、議事録をたしか大臣も初中局長あたりも見て御存じだと思いますけれども、そういういわくつきのものなんですよ。しかもまた、それを受けて三十一年の九月十日、三十二年の四月二十五日の初中局長の通達も、いま申し上げたところの筋の通達を出しておる。それを明らかに変更して通達を出させるということですから、事はきわめて私は重要な問題だと思うんです。それを単に時間的な、時間がきだから、日時が過ぎたから、あの時と、だから出すというのでは、私は、あまりに問題が大き過ぎるんじゃないだろうかと思う。  そこでお尋ねしますけれども、そういうような合意でできたところの、経緯を経てきたところの、三十一年九月十日あるいは三十二年四月二十五日のあの初中局長の通達ということも大臣としていまの段階ではあれは否定をするという、こういうものの考え方なんですね、そうすると。お尋ねしますけれども
  240. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) たびたびお答えをしてまいりましたことの繰り返しみたいなことになって恐縮でございますが、当時の考え方と少しも変わっていない。また、文部省から出しております通達もそのとおりでよろしいと、こう考えているわけであります。  ただ、元来、市町村の教育委員会と都道府県教育委員会、一体となって県費負担職員の人事を行なっていくべきであると。ところが、市町村教育委員会が、合理的な理由がないのにどうしても内申を出さない。その場合には、都道府県教育委員会は人事行政を行なえないのかということになりますと、それはそうは理解できない、こう考え、また、その理由を申し上げてまいったわけでございます。基本的には、市町村教育委員会の内申を待って行なう、内申が出るまでは待つんだと、内申がなければ行なえないと、こういう姿勢であるべきだと思います。同時にまた、市町村教育委員会から内申があっても、都道府県教育委員会はその内申に拘束されない、これは御理解いただいているわけであります。当時の国会の審議録、審議記録にも明らかになっているわけであります。市町村教育委員会の内申に都道府県教育委員会は拘束されないで任免その他の進退を行なうことができる。にもかかわらず、合理的な理由なしに幾ら督促してもどうしても内申を出してくれない場合には、都道府県教育委員会はお手あげ、責任を負えない。これはやっぱり均衡を失する柔盾じゃないんだろうかと、こう考えているわけであります。したがいまして、そういう場合には、やむを得ない、督促をしてもどうしても出てこない、そういう場合には、都道府県教育委員会が任免その他の進退を行なう。そして法律上課された責任を全うすべきだと、こう判断をしているわけでございます。
  241. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 合理的理由、理由とおっしゃいますけれどもね、その合理的理由云々なるものは、大臣が判断をしたりあるいは都道府県教育委員会の立場で判断をしたから合理的云々という理由がつくんでしょう。しかし、市町村教委は市町村教委でいろんな角度から検討して自主的に考えて、答申を、内申をする必要がないという合理的な理由でもって内申しなければ、それであなた、合理的な云々ということは言えないじゃないですか、あなた方は。それぐらいの相互の自主性というのがあるのが教育委員会のこれは精神じゃございませんか。それは、合理的云々というのは、あなたが判断をしたりあるいはあなたの意思を受けて判断をするところの都道府県教育委員会の判断だけが合理的な理由ですか。
  242. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 合理的な理由なしに内申をする、しないの問題は、私は、客観的に判断できることだと、こう考えております。  御承知のように、現に校長さんが市町村教育委員会に意見を具申する。それに対しまして集団の圧力で出させまいとする行為が行なわれているわけであります。現実にまた集団の圧力で市町村の教育委員会に対しまして、県の教育委員会に内申してはいけないという圧力もかけられていることも事実でございます。そういうような場合に、幾ら督促してもどうしても内申が出てこない、そういう場合には、法律上課された都道府県教育委員会の責任、これが果たせない、法律趣旨が全うできないということも、私は、多少解釈上問題がある。いわんや市町村の教育委員会の内申と異なる運用を都道府県教育委員会がしてもよろしいという判断が確立されておるわけでございますから、それとの均衡からも、私がいま申し上げましたような判断が妥当ではなかろうかと、こう思っているところでございます。
  243. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いわゆる内申があって、その内申に対して、その内申と異なったところの判断を、判定をそれは都道府県教育委員会がやるのはよろしい。しかしながら、内申がないものに対してやることは不当だというのがいままでの文部省の一貫したところの解釈だったんでしょうが。違いますか、初中局長。いままではそうだったでしょうが。どうですか、その点は。
  244. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 従来はそのとおりでございますが、ただ、従来そういうふうな解釈をいたしておりましたのは、通常の場合についての解釈であるというふうに私どもは理解をいたしております。つまり、大臣がいまるるおっしゃっておりますように、内申をなすべきにもかかわらず、幾ら督促をしても市町村が必要な内申をしないという、そういう異常な場合についてどう対処するかということがただいま御議論になっておる点であろうかと思います。
  245. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 異常の場合ってね、内申をするしないというのは、それは市町村教委の自主的な判断でしょうが。だって、この法案が審議されたところの過程の中でも、私は前も言いました。緑風会所属の高橋委員ですか、一体内申がない場合一体どうするんだと、念に念を押して何回も尋ねていますよ、これ。私はここに昭和三十一年の五月十五日の参議院の議事録を持っていますけれどもね、文教委員会の、その中でも根掘り葉掘り聞かれても、その場合にはそれはしかたがありませんということ答弁しておるんですよ。それは常識では考えられないけれども、そういう場合があったらどうしますかと、これだけ詰められた場合にも、それはそういう答弁。ただ内申に違ったところのものはあり得ますと、こういう答弁をされたから、それを受けて初中局長名の通達というのも出されていると思うんです、私は。したがって、いまごろになってたとえば、きょうは言いませんけれども、いや法が予想しなかったところの事態が起きたんだからこんな法律解釈はできるんだという解釈でしょうが、これ、いままでの大臣の答弁から見れば。これはどう考えても、これは理解できない話なんですよ。法律というのは、いかなる場合をも予想して立てるというのが法律でしょう、それは、あなた方行政府というのは。したがっていろんなところの法律のところの論争する場合にも、そういうことは万々ないと思いますけれども、あった場合には、こういうことになっておるんですと、よくあなた方答弁するんじゃないですか。今度はところをかえて、そのときには予想しなかったからこうですといったってね、これは世間は納得しませんよ。言うならば、やりたいものをやれなくなっているから、この機会にごり押しをしようと、こういう考えでしかないと思うんだ。しかも先ほどいわゆる異常の場合、異常の場合といいますがね、集団の圧力というやつはね、これはあなた組合が交渉するのは当然でしょうが。その組合の交渉というものをことごとくあなた方は色めがねで見て、それは集団の圧力だから反対と言いたくても言えなかったからそうなったんだと。これは当時の大臣の前のことばを借りて申し上げますれば、物理的圧力なんということまで言っておるんですがね、そんな物理的圧力に屈するぐらいの市町村教委ですか。市町村教委というのは、それぞれ何人かの集団で合議の上でできておるんでしょうが。しかももし、そういうような集団的な暴力をふるう云々というなら警察権力を発動されてもいいじゃありませんか。そういうやるべきものを、もしあったとするなら、やらぬでおって、ただそういうものだれかが地教委のほうから助けてくれと、こう言ってきたから、それを口実にして、この際この解釈を広げようというのが文部省の解釈じゃありませんか、これ。どうなんですか、大臣、それは。
  246. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 解釈を広げるというようなことじゃなしに、従来、本来のこの法の精神が説かれてまいったわけでございます。これは何ら将来とも変えるべきものではないと考えています。そういう意味でまた文部省の通達も別段変更する必要はないんだと、こうお答えしているわけであります。しかしながら、不幸にして今日若干の地域におきまして異常な事態が生じたりもしているわけでございます。ときには負傷者まで生じたりもいたしております。そういうような集団の在方、私は単なる一般の集団交渉、そんなことをとやかく申し上げているつもりはございません。異常な圧力のもとで市町村教育委員会としては内申をしたいけれども、事実上内申ができないような状態に追い込まれているという場合があった場合には、私は督促にする合理的な理由がないのにどうしても出てこない、そういう場合には、やはり都道府県教育委員会の責任で問題を処理していくということはやむを得ないことじゃないだろうかと、こう考えているだけのことでございます。こんなことが一般的になりますこと、これはもう避けなければならない。もしそういうようなことが一般的になった場合には、私は制度そのものをあらためて考え直さなければならないということじゃなかろうか、こう思います。全く例外的な場合に、こういうこともあり得るということにほかならないと、かように思っております。
  247. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それじゃ、あなたは解釈の拡大じゃないと言ったって、明らかに通達の拡大じゃないですか。先ほど私が言いましたところのいわゆる九月十日ですね、三十一年の、三十二年の四月二十五日のやつでもちゃんと言ってるじゃないですか、府県教委が一方的に転赴を発令することは違法行為であり云々といってるじゃないですか、そういう通達を出しておいて、その通達は生きておるんだ、しかし今度の解釈は拡大解釈でないのだ、それは全くおかしいですよ、だれが考えても。解釈の拡大であることは間違いございませんよ、これは。それをあえてそれは拡大解釈でないといわれる。たとえば集団の圧力、云々といったって、ぼくはたとえばあなたがよく福岡の例を出すけれども、いまこの問題だと大牟田の市の教委へ行ってみましたよ。しかし、何にもそこに集団的な圧力も何もない。ただ、たまたま大牟田の市の教育委員会が文部省教育行政、とにかく処罰せ処罰せというああいう一方的なやり方に反対だということで内申出さなかったまでです、大牟田市の教育委員会は。そういうような例などを考えてみた場合には、何ら自分たちの意に沿わないから今度通達を改めて、教育委員会が、市教委が内申しなくてもやれるのだということは、まさにこれは法の乱用だといわれてもこれはしょうないじゃないですか、もしあなたがそんなそう思われるならば、むしろ、法律の改正案を出して堂々と国会で審議するというなら私は筋が通ると思うのですよ。そういうことはしないでおって、ひとたび法が成立をしたら、それを拡大解釈をして、やれるのだ、やれるのだというならば、あえて毎回申し上げるように、これはあなた行政府のあり方というものが立法府のコントロールを逸脱したところの全く私はやり方だと言わざるを得ないと思うのですよ。しかも、あれじゃありませんか、たとえば法の適正な運営が阻害をされたときに、一体これでもどうするかというような問題の場合のいろいろな委員会のやり方も書いてあるじゃないですか。法の四十八条なり五十二条を適用してどうするという手だてもあるでしょうが。たとえば四十八条にはいわゆる文部大臣の必要な指導、助言というのがあるでしょう、あるいは五十二条の措置要求というのもあるでしょう。そういうことというものとは、一体いまあなたが言うところの通達の改正というものは、どういう関係になるのですか、それは。大臣からぼくは聞きたい。
  248. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 法の規定のしかた、この前も申し上げたかもしれませんけれども、だれだれの意見を聞いてものごとをきめていくんだというような規定のしかたもあるわけでございます。あくまでも意見を待つ、その意見がくるまではしない、処分をしない、そういうような筋道だと思うのでありますけれども、どうしても合理的な理由がないのに幾ら督促しても意見をよこしてくれなかったらその処分ができないというような解釈には私は一般的にはならないと思うのであります。これはそれとは違いまして、内申を待ってということでございますけれども、やっぱり内申をする責任を持っているのだと思うのでありまして、市町村教育委員会が内申をする責任を持っているのに、その責任を果たさない、それが合理的な理由があれば、これはもう格別なことだと思います。合理的な理由もないのにどうしてもしない、このために都道府県教育委員会が法律上課されている責任を果たすことができないような状態、それはそれで当然だということには私はならないのじゃないだろうか、こう思っておるわけでございまして、全くそういうような例外的な場合について判断を明確にしたい、こう考えておるだけのことでございます。
  249. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 やはり法の適用とか運用とか準備とかあるいは通達というものがあなた、答弁の中ではきわめて例外的だ、万に一つだ、どうだと、こうおっしゃいますけれども、出されれば、それがこれは日常茶飯事とするというのは、これは普通の形です。いままでのいろいろな形から。私の質問にまず答えてもらいたいのですが、いわゆるあなた方が言う法の適正が期せられない、期せられないというならば、いわゆるこの法律の四十八条なり五十二条というものはどういうふうに運用されるつもりなんですかと私は聞いておる。これの運用なしに内申がないからぱっと例の通達を出されるのですか、どうですか。そこの手だてというのはあなたにやるつもりなのか、つもりがないのかと聞いているのですよ。これは大事なことだからやっぱり大臣、答えなさいよ。
  250. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) たびたび先ほど来申し上げておりますように、督促を繰り返すということは、御指摘になりました指導、助言等にも当たるということになるのだろうと思います。やはり十分にそういう手段は踏んで最後の決定をすべきだと、かように考えております。
  251. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 指導、助言の次に、五十二条の措置要求の問題がありますね。これを見ないでおって一生懸命やっておるんじゃないの、大臣は。これはどういうふうに運用するのですか、あんたは。
  252. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 大臣から答弁をいたしておりますように、ある内申をすべき事情が発生をいたしました場合には、市町村の教育委員会は内申をする権限を有すると同時に、内申をなすべき義務があるというふうに考えるわけであります。
  253. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どこに書いてある、義務があるというのは。
  254. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) これは解釈としてそう考えるわけでございます。
  255. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 かってな解釈ですよ。
  256. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) そこで、そうした市町村教育委員会に内申をすべき義務があると認められる場合におきましては、ただいま先生御指摘のように、あらゆる手段、努力を尽くして内申を求めるということは、これは当然なことかと思います。そういうあらゆる手続、手段を尽くしてもなおかつ市町村教育委員会から合理的な理由がないのに内申がないという場合のことを先ほど来大臣が申しておるわけでございますが、そのあらゆる努力を尽くすという内容でございますが、ただいま御指摘の四十八条、これは「指導、助言」でございますが、内申を出すようにという、そういう督促は、これは四十八条の「指導、助言」に当たることは大臣がただいま答弁をいたしたとおりでございますが、さらに五十二条におきまして「措置要求」という規定もあるわけでございますが、やはりこの規定も何と申しますか適用いたしまして、最大の努力をして、なおかつ内申がないという場合に限定してただいまのような解釈が私は成り立つというふうに考えておる次第でございます。
  257. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それが、私は先ほどから言うように、あんた方のかってな拡大解釈だというのですよ。なるほどこの法律は、いわゆる地教委と県教委あるいは文部省との問のいろんなやっぱり行政運営上の調整をはかる、あるいはパイプをきちんと通じさせていく、こういう役割りがある。そこが私はやっぱり第五章の「文部大臣及び教育委員会相互間の関係」等という書いたものだと思うのですね。第五章に規定をするところのこの条項だと思うのです。しかし、それには明らかにこの法律だって限界というものを示しておるのですよ、限界というものを。その限界というものは何かというと、大臣がさっき言ったように、出しなさい、たとえばあんた方が適正を欠いたと思ったときにこういう内申はぐあい悪いじゃないか、あるいは内申をしなさいといういろいろ指導、助言をするでしょう。それでも、うまくいかなかった場合に、いわゆるこの五十二条ですね、――どうも文部大臣は五十二条をあまりお読みにならぬでおいて、一方的にとにかくあれ出せ出せと言っておられたみたいだけれどね。そこに措置要求というのがあるわけだな。段平があるわけですよ。しかし、その段平でもこれは出しなさい、あるいは措置要求ということであんた方が命じて都道府県教育委員会をさせていろんな調査をさせるという権限まではある。しかし、その措置要求に応じなかった場合には、もうそれはそれで終わりというのが、これはもう限界なんですよ、この法律の。どうしてもそれができなかった場合には、じゃ、それにかわってやるところの執行権があるかというとないということも、それはあんた方の法律が通ったときの六月の次官通牒の中にも明記されておるのですよ。したがって、それが今度のこの法律の一番の精神なんです。やるだけの手は尽くすというならそれはわかりますよ、指導、助言から措置要求までやる。これでも市町村の教育委員会は私はどうも内申をするところの必要は認めません、こうなれば、これで終わりというのがこの法の精神でしょう。それをあんたは義務がある、義務があると解釈しているけれども、どこに義務があると書いてありますか、法文の。それはおたくのほうのかってな解釈なのです。この法の精神から言えば、指導、助言からさらに一歩進めて、措置要求までしなさい、そうして何とかして調整がうまくできるようにしなさいということを懇切丁寧に書いてある。そうしてそれを受けたら「九十日以内に」どうだ、こうだということまで書いてある。それをしてもどうしても出ないということになれば、それはそれぞれの教育委員会の、これはよほどの事情、主体性というものの限界というものをこの法の中にわきまえているのです。その限界を、あらためてあなた方は破るために、その通牒を用意をされているといわれたってしかたありませんじゃないですか。違いますか、どうですかその点。
  258. 安嶋彌

    説明員(安嶋彌君) 市町村教育委員会の内申権を重視すべきであるということは、これは先程来るるおっしゃっているとおりだと思いますが、ただその内申がない場合に、この地教行法の三十七条におきまして県費負担教職員の任命権が都道府県教育委員会に属するというこの規定が全く発動する余地がないと解釈することが地教行法全体の解釈として妥当であるかどうかということが問題であろうかと思います。つまり、市町村教育委員会の内申を尊重すべきだという要請が一方にあり、それから一方に、都道府県内の適正な人事行政を遂行するために県費負担職員の人事権を都道府県教育委員会に属せしめたという、そういう法律のねらい、趣旨というものが内申がないために全く発動されないという状態でいいかどうか、そこのところのバランスをとった考え方をするということが必要なわけだろうと思います。法律全体の合理的な解釈といたしましてはそうあるべきではないかということでございます。私どもはその内申権がなくても簡単にやれるということを申しているわけではないわけでありまして、これは内申権を求めるための最大の努力をする、なおかつ、それが出てまいらない場合に三十七条一項の規定が全く発動されないということが、それで結論としていいのだろうかというところに観点を据えているわけでございます。全体といたしまして慎重な手続を経た上で三十七条一項が発動されるということが法律全体の合理的な解釈ではないだろうかというふうに考えている次第でございます。
  259. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはね、初中局長が「ではないか」というまるで評論みたいなことを言うけれども、この法律案のできた経緯から見て、これは最初のあなた方の文部省の答弁のしかたは、この前のときには、いや、その教育委員会の地方分権とか自主性、主体性というものはこれはあくまでもあるのです。ただ、旧教育委員会法と違っている点をね、一般行政からも独立しておったというところにいろんな問題がある。財政上の問題もあるだろうし、あるいは県の教育機関の上部関係の中であまり断絶し過ぎるとぐあいが悪いという人事の問題もあるから、ここのところをやはり変えなければならないというのがこの昭和三十一年にできたところのこれの趣旨なんですよ。したがって、教育委員会の一番のやはり主体が、地方分権のたてまえからいって市町村教委にあるという精神は変わりませんというのは、これは衆議院の議事録を見てごらんなさいよ。清瀬さんが口をすっぱくしてわれわれを説得したところの当時のおたくの見解なんですよ。そういうところからいって、だからそれは一つのやはり何とかしてこれは両者の間をうまくしなければならぬけれども限界がありますという話の中から、この五十二条というものを非常に強く強調されているのですよ、これは。衆議院の議事録というものを見てごらんなさいよ。だから五十二条には、それは市町村の教育委員会の自主性は認めるけれども、どうもできないときにはやはり行政機関の上下の関係というのがあるから、まずたとえば、四十八条で「指導、助言」をします。どうしてもこれであれしなければ五十二条の「措置要求」があるのです。それで、この措置要求はこうこうです。しかも五十二条の二項を見てごらんなさいよ。もし、県教委がまたブレーキになった場合には、文部大臣が直接にその市町村に対して措置要求をすることができるとまであるんですよ。しかしながら、その措置要求をどうしても聞かなければどうなるかという問題については、これはないんだ。ないというのは、ここが一つの限界なんですよと、この上下の教育行政の機関の。そこを明確にしているのが、この五十二条の精神なんです。ところが、大臣の先ほどからの話では、それを押し破って、通達で万一の場合にはそれをやると、こういうんでしょう。しかも、どうもいままでの御答弁のなかでは、五十二条の話は一つもなかった、四十八条の説明はあったけれどもね。こういうあなた方にとっては強硬な手段まであるんですよ、事実問題として。しかも、その措置要求を受けたならば、受けた日から二十一日以内にどう、九十日以内にどうしなければならないという問題まであるんです。こういう法の運用を十二分にさらに強化していくというなら、われわれはあまり賛成しないけれども、それは一応私ども反対をぎゃあぎゃあ言えないところの要素はあるんですよ。尽くすべきそういうものを何らやらんでおって、ただ、どうしても内申がもらえない場合は、適切な運営をするから、あるいは法の成立時点には予想もしなかった事態だから、われわれとしてはできるのだ、できるのだということになったから、まさにこれは行政機関の乱用だと言われたって、しかたありませんじゃないですか、これは。そうでしょう。そこのところを私は、あなた方だいぶはき違えておるんじゃないだろうかと思う。これは確かに吉国法制局長官の見解も出ました。ものの言い方が、教育委員会とは協働関係にあると、むずかしいことばを使っておられるけれども、協働関係にあると言いながら、言わんとしているところは何かというと、上部の行政機関に優位性があるのだというものの解釈ですよ、あの人の言い方は。これは、三十一年にこれができたところの精神と全く逆なんですよ。しかも、そのときも、「合理的な理由」云々と法制局長官も言っておった。その「合理的な理由」とは何かというと、あなた方が判断するところの合理的な理由なんですよ。しかも、ここに書かれておるところの「内申をまって」と、こういうことばは、私は、皆さんも記憶があるだろうと思いますけれども、前のときにも参議院法制局の見解をただしたことがある。何々を「まって」とあるけれども、この「まって」という前提はどういう意味であるか。これは刑法の百三十五条の、いわゆる「本章ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス」と、この「待テ」「待テ」ということばがたくさんあるんです。刑法の百八十条あるいは二百二十九条、二百三十二条、二百六十四条、あるいは「請求ヲ待テ」という用語が九十二条、刑訴法の二百三十七条第三項。これを具体的に例を出しながら、この「まって」ということばからすれば、これがなければできないということでしょうと言ったら、参議院の法制局の今枝局長は、そのとおりですと言っておる。ただ、これに対して法制局長官は、こう言っておる、確かに。その「待テ」ということばと、この法律の「まって」ということばは違うんだと、こう言っているんです。これぐらいまた詭弁はないと思うんです。同じ法律用語の中で、「まって」ということばが法律によって違うということぐらい、国民を欺瞞するものはないと思う。それならばその「待って」ということばは、この用語というものは刑訴法だけかというと、そうでもない。教育関係にもあるんじゃありませんか。いわゆる義務教育学校における教育政治的中立の確保に関する法律の第五条を見てごらんなさい。ここにも「待って」と書いてある、「待って」と。言うならば、教育の中立性確保の問題についても、いわゆるその「待って」なしには、これは検察権力なり警察権力はこれはかってに動けませんよと、このことがやはり教育上大事なんですということで、これはきちんと位置づけられておるんですよ。こういう教育文の中にもあるところのことばを、いやこの教育委員会のこれだけに限ってこの「まって」は絶対違うのだと、こう解釈されて、世の中が理解できますか、大臣、どうですか、その点は。
  260. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 前回にも申し上げましたように、最終的な通達を出します場合には、内閣法制局と十分な意思の疎通をはかった上でいたしたい、かように考えておるわけでございます。同時にまた、繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、あくまでも法の精神は、市町村教育委員会の内申を待って都道府県教育委員会が人事案件を処理する、そのことを通じて両者一体の関係を確保していくということであると、かように考えております。ただ、全く例外的に、集団の圧力、暴力等によって内申が妨げられる、そういう場合には、お手あげにならざるを得ないのかということになりますと、私はそうは考えない。市町村教育委員会から職員の配置について、あるいは教頭、校長の任命について内申がない、そうすると、それができない、学校が動かない。私はそうまでこの「まって」というものが解釈されなければならないというふうには理解できないわけであります。やはり教育行政が適正に運営される、それを期待して「まって」という表現が使われているのだと、こう思うのであります。ところが、その「まって」が、「合理的な理由」もないのに、どうしても出てこない、そういう場合には、運営そのものができなくなっちまうのか。私はそうは思わない。やはり適正な運営が行なわれるために、この「まって」の方式が採用されているのだと思うのでございます。その「まって」が、特別な圧力等によってどうしても内申が出されない場合には、運営そのものが全体がストップになってしまう、それは私は法の精神じゃないんじゃないか、こう思うわけであります。同時に、これもたびたび申し上げたことでありますが、市町村の教育委員会から内申が出る、それと違った運営を都道府県教育委員会がしてもよろしいのだ、これは確定解釈でございます。そうまで解釈されているのに、内申がなかったら、どんな状態のもとであっても、いささかも動かないのだというのは、私は少し「まって」の解釈が強過ぎるんじゃないだろうか、こう判断をいたしているわけでございます。
  261. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはあんた、日本の法体系の「まって」ということばの解釈を厳密に解釈しなさいよ。あの法律の「まって」とこの法律の「まって」は違うのだからと、それぐらいあんた方行政府のかって次第な法律解釈はないんじゃないですか。じゃ、その「まって」で、現に日本にあるところの法律の中に、おたくにあるところのその「まって」でもできるものがあるなら示してくれよ、ここで。この法律に「まって」とあるけれども、この「まって」は、ある一定の期間待ってできないやつはこっちができるんですという法律解釈をしてもよろしいというほかの法律、私に見せてくださいよ。少なくとも、現行の日本法律の中の「まって」というのは、それくらい重要性を持たせてあるんですよ。それぐらいにまた教育委員会のあの審議のときの経過の中で厳密にやられたところの問題なんですよ、これは。いま大臣は、いわゆる内申があって、それに違ったものの解釈をすることができるというのだから、内申がなくてもやれるのだという解釈、これぐらいまた私は拡大したものはないと思う。先ほどから私が申し上げているように、市町村教委と県の教育委員会と文部行政との関係は、できるだけパイプを密にしなければいかぬ、それができやすいようにしようと、こういうようなことからいろいろな方法を講じた。しかしそれにしても、それは限界がありますよと、限界をしいておる。したがって、内申の問題についても、市町村教委が、これぐらいが適当だと思いますと、こう内申をしても、それ以上の判断権は県教委ができるのだということだ。しかしながら、「まって」がなければできませんという一つのそこに限界をしいておる。あるいはあなた方、非常に歯がゆくてもできないという問題についても、五十二条を使って、措置要求もできるんですよと、こういうんでしょう。しかし、それが限界ですよというのが法律の限界なんです。いままでの説明を聞くと、こういう手だてをしないでおいて、万が一、万が一とばかり、あれは異例の場合、異例の場合だと、こう言いますけれども法律の運用というのは、これはやっぱり厳密にしなければならぬわけなんでしょう。それを御自分が都合がいいようなふうにぼくは解釈されたら、これは立法府の自殺行為であると同時に、これは政治不信を招くだけですよ。きょうは出ませんけれども、たとえばこの間の吉国長官の、内申の中にも、明示の内申を黙示の内申がありますと、こう言うでしょうが。黙っておったところのものも内示だと、こう言うのです。だから黙示の内示と見てこれをやり得ることもあり得るんじゃありませんかと、まさにここに至って私は、三百代言的な解釈だと言わざるを得ないのですよ。教育委員会が黙っておっても、あれは黙示の内示だからという解釈もありますから、それはできるのじゃありませんかと、あんた方は内申を、明示の内申、黙示の内申ですか、こういうものの言い方をすることに至っては、まさにこれは三百代言と言われても私はしょうがないじゃないかと思う。それぐらいにこの問題は問題があるところの問題なんですよ。それだから私どもは、あんた方この間は、この問題についてはいろいろ検討していますと言うから、一応検討されたら、いろいろ検討の結果こうですというものを出して、ほんとうに議会を尊重するというならば、ここで議論させなさいというのですよ。それを、先ほどの大臣の答弁は、もうあれから時間が来ましたから出したいと思いますよと、こういうに至っては、聞くだけは、聞くかっこうだけはしようと、しかしやるのは私どものかってだというものの解釈でしょう、それは。それでも大臣は、あくまでもあんたは二十日までにこれを出すのですか、どうですか。
  262. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) こういう議論の繰り返されることも私は日本教育界の非常に不幸な事態を表明していると、こう思うわけでございます。集団の圧力というものがかなりきびしく加えられてきて、特にいま負傷者まで出ている、こういうような事態におきまして、法が動くようにしていかなければならない、また、教育行政が国民の信頼を得るようにしていかなければならない、そういうような立場に立ちまして、全くの例外として、いま申し上げますようなこともあり得るということを申し上げているわけでございまして、そういう考え方を明確にしたい。このことにつきましては、当委員会だけじゃなしに、参議院の決算委員会でもございましたし、衆議院の文教委員会でもあったように記憶いたしているわけでございます。ずいぶんかなり多くの時間が費やされてまいったと、こう思っております。同時にまた、最終的に通達を出します場合には、内閣法制局とは意見の食い違いがいささかもないような形で出すべきだと、こういう考え方は少しもくずしていないわけでございます。
  263. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 関連。  いま宮之原委員の質問の中で、こういう議論の繰り返しは教育にとって不幸だと、こういう答弁をされましたね。冗談じゃないですよ。国会議員がこうして議論することが何で不幸なんですか、重大な食言ですよ。
  264. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) こういう事態ということは、各地でいろんな紛争が起こっているわけであります、紛争が起こっているということを私は日本教育界にとって不幸なことだと、こう考えているわけでございます。そういう意味に御理解を得たいと思います。
  265. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 いま宮之原委員の質問は、この問題について国会で、こういう場で論議をしなさい、させてくれ、こういう質問なんですよね。それに対していま、それは速記録を調べればわかると思うのですけれども、こういう議論の繰り返しは教育にとって不幸だと、そういうお答えをしているのです。いま大臣の言った前段のことばは入っておりませんよ、それは。みんな聞いているのだから。
  266. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私は先ほど来たびたび申し上げておりますところから、私の申し上げたことばは、いま申し上げましたように御理解いただけるのではないだろうかと、こう思っておるわけであります。もしそういうふうに御理解いただけないならば、いま申し上げたようにぜひお受け取りをいただきたいと思います。若干の地域におきまして、いろいろな紛争が起こっているのです。内申が出ましてもある地区においては内申が出させないとか、いろいろな紛争が起こっているわけでございまして、そういう紛争の起こっておることは、私は、やはり日本教育界にとって不幸なことだと、こう思っているわけでございます。
  267. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 紛争が起こっておる起こっておるというなら、どこに紛争の一番根本的な原因があるかというそこまで解明をしてその紛争解決に姿勢を示すというなら話がわかるんですよ。しかし、あなたに象徴されるところの文部行政はそうじゃないじゃありませんか。とにかく、処分をせい処分をせい、押えろ押えろ、言うことを聞かないやつは処分をせいと、こういう弾圧方針一本だからよけいな紛争が起こるんですよ。しかも、あなた、先ほど、やれ集団の圧力集団の圧力、それはどういうものの言い方かもしれぬけれども、それは組合があっていろいろな交渉するものを集団の圧力と言うなら、これはもってのほかだと言わなければならぬ。もしあなたの言うところの集団の圧力というのがまさに暴力的な集団の圧力というなら、警察権力があるんだから、警察権を行使すればいいじゃありませんか。そういうものを行使しないでおって、あったから何とかこれ云々というような、これぐらいぼくは地教委のだらしないのはないと思うんですよ。組合に向かっては、いや内申はいたしませんと。今度はあなた方のところには来てごますって、内申はしたいけれども組合がああいうことをしますからできませんですと、こういうことを言っているに違いないんですよ。それこそ日本教育の不幸ですよ。それだから、一番大事なのは、教育委員会の主体性、自主性というものをあくまでも重んじなきゃならないというこの教育委員会の旧から新に受け継いだところに一貫して流れておるものはそこにあるんです。そういうやはり経緯の問題でもある。しかも、この問題は、あなたが何と言われても、これは法律を実質的に改正するのと同じなんですよ。拡大解釈ですよ、これは。それを前に出されたところの解釈とは違わない違わないと抗弁をされてあくまで出されるというなら、これは全く立法府無視だと言われたってしょうがないじゃないですか。ぼくはこれ以上あなたと論議をしようとは思いませんがね。  そこで、委員長、ぼくは動議を出したいんですよ。   地方教育行政の組織及び運営に関する法律第   三八条第一項の解釈についての本委員会の見   解  本件については、第七二回国会の本委員会においても、種々論議を重ねて来たところであるが、本委員会は、文部大臣のいう「法が予想しないような事態がおきている」とか、「法の適正な運営が阻害されている」等々の理由による本項の解釈の変更を了解出来ない。  本委員会は、本法が審議、制定された第二四回国会における参議院文教委員会の審議内容や本法施行後における文部省初中局長名の再度にわたる通達(三十一年九月十日及び三十二年四月二十五日)内容からも明らかなように、「如何なる場合においても都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の内申をまたずに、県費負担教職員の任免その他の進展を行うことはできない」とのすでに合意を見ている従来の解釈に立つものであることを改めて明らかにしておく。   昭和四十九年九月十一日……
  268. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 速記を中止してくださいい。   〔速記中止〕
  269. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 速記を始めて。
  270. 宮之原貞光

    宮之原貞光君    昭和四十九年九月十一日参議院文教委員会  この私どもの見解について、社会党、公明党、共産党、民社党の文教委員の連名でこの問題について私は本委員会の見解としてここでまとめてもらいたいと、こういう動機を出します。
  271. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 速記を中止して理事会を開きます。   〔午後五時八分速記中止〕   〔午後七時九分速記開始〕
  272. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 速記を起こしてください。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時十分散会