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鶴園哲夫君 次に、
農政の基本的な
考え方についてお尋ねをしたいわけなんですけれども、私は、ここで畜産の問題を取り上げましてお尋ねをしたいわけなんです。
畜産は、御
承知のように、高度経済成長と歩調を合わせまして、たいへんなスピードで、また、年率一四%
程度というようなたいへんな高い成長率を示してきたわけですが、しかし、四十六年を大体頂点にいたしまして破壊的な、破局的なズレ方をしているといいますか、低滞をしているといいますか、している。非常に伸びてきたものが四十六年を
一つの頂点にいたしまして、破局的な
状態に来ているというふうに考えておるわけです。これはもう御
承知のとおりであります。乳牛が、御
承知のように、四十六年を境にいたしまして
飼養頭数はどんどん減ってまいっておりますし、四十八年から
生産乳がまた前年を下回るという形、異常な事態になっております。あるいは鶏卵にいたしましても、四十六年ごろが頂点でありまして、それから低滞をして下がってきているという
状況であります。肉牛は、これはもう申し上げるまでもございません、たいへんなズレ方をしておるわけであります。さらに、ブロイラーにいたしましても、豚にいたしましても低滞をしているといって何ら差しつかえないと思っております。
そこで問題は、私、二つあるわけですが、
一つは、どういうわけでこういう低滞をしているのか。これは、やはり一番問題は、
飼料のたいへんな
値上がりだと思います。異常な
飼料の
値上がりという点が一番大きいだろうと思います。
それからもう
一つは、
環境問題で立ち往生している面が相当顕著に出てきております。豚にいたしましても、鶏にいたしましても、あるいはその他の畜産にいたしましても
環境との問題に、至るところ立ち往生せざるを得ない。
規模が大きくなりますと、なるにしたがって
環境との問題と衝突をいたしまして、非常にいま苦悶をしている
状況だと思いますね。私は、
石油産業なり、鉄鋼業が立ち往生したというふうに考えておりましたら、しかし、同時に畜産関係についても同じようなやはり立ち往生をしているという、そういう見方をしておるわけであります。ここで、
大臣にお尋ねをいたしたいのは、そういう中で一体畜産についてどういう
考え方を持っていらっしゃるのかという点をお尋ねしたいわけです。
それはいま、まあ昨年からでありますが、国内の
農業を見直せとか、あるいはそういうような意見がだいぶ出ております。それで東京商工
会議所が九月のこれは十二日でありますが、東京商工
会議所が「わが国食糧問題解決への提言」という題目のパンフレットを出しました。これは相当の注目を集めたわけでありますが、また、
農林省は、新聞等の報道によりますというと、「食糧問題と食糧
政策について」という、これからの食糧
政策の基本的な
考え方について素案を
農政審議会に出したというのが報道されております。ですから、国際的にいま
農業が、あるいは食糧がたいへんな大きな問題になってきている。同時に、国内におきましても、
農業、食糧の問題というのは非常に大きな問題になってきている。で、
政府といたしましても、
農林省といたしましても、こういうような食糧
政策の展望についてここではっきりしょうという
考え方でいろいろ御検討のようであります、新聞の報道するところによりますと。同時に、東京商工
会議所もこういうような提言をいたしまして、
あと経団連のほうも盛んにいま食糧
政策について検討中だということでありまして、国内外とも食糧
政策について大きな段階に来ているというふうに判断するわけであります。
で、その中で、この東京商工
会議所の提案なんですが、これによりますというと、欧米型の食生活を改めて、そして日本人の伝統的な食生活というものを評価する必要があるという提言をいたしております。また、
農林省をやめた幹部の人たちが、いろんな評論なんかを出しておるんですが、そういうのを見ますと、どうも日本の食生活というのは、所得が上がればカロリーが上がっていく、と同時に、でん粉質から、それがたん白質、あるいは油脂関係に大きく変わってくる、という欧米型の食生活に向かってくる、と思っておったけれども、どうもそうではないのではないか。ですから、欧米型の三千カロリーをこすようなものではなくて、二千五百カロリーというようなところが適当なところではないのか。あるいはここまできて、たん白の使用量というのはなかなか上がらない、欧米と比べますと三分の一近い、二分の一近い
状態のままでどうもストップしている。油脂関係で言いますと、これはもう三分の一というところに停滞をしておる、というところから見ると、十数年前、十年前に所得が上がるに従って欧米型の食生活、つまりたん白質へ、あるいは油脂へという方向に向かうと思っておったけれども、どうもここらあたりで、欧米型の食生活というものには直接向いていかないのではないかというような意見が出されているわけですね。そこへもってきまして、十月に入りましてアメリカが、御
承知のように、大口の輸出については事前協議が要るというような発表をいたしまして
——それで、日本は、たいへんな食糧を
輸入して、穀類を
輸入して、それを家畜の腹を通してたん白として吸収をしているわけですが、これは米以外の穀類というものを外国に依存して、そして畜産物を大きく積極的に拡大していくという
考え方について限りが出てきている、という報道も行なわれておるわけです。ですから、一体、日本の食生活というのは、これから欧米型のほうへどんどん近づいていくのではなくて、いま申し上げましたように、東京商工
会議所がいっているように、日本の伝統的な食生活というものを見直す必要がある。つまり米プラス野菜、そして大豆等を
中心とした魚、それに畜産物、こういう苦い方をしている。
そこで、
大臣に私は、いま畜産が低迷をしている、破局的に低迷をしている。そして
輸入する穀類というものは非常に高くなっている。しかも、その穀類の
輸入が、えさになる
輸入というのがなかなか不安定になり、むずかしくなることも考えなきゃならぬといった場合に、一体日本は、十年来とってきたような、積極的に畜産を拡大をしていくという従来の
考え方をここでお変えになる。そういうお
気持ちなのかどうか、あるのかどうかという点をお聞きしたいわけなんです。
〔
理事梶木又三君退席、
委員長着席〕
で、念のために申し上げておきますが、
農林省が素案として出しました食糧問題及び食糧
政策の展望について、という、これを
農政審議会の素案に出しておるわけですが、その内容は新聞等報道するところであります。要旨は報道されております。その中に書いてありますことは、米
中心に野菜、それに魚類を組み合わせた従来の伝統的な食生活、この食生活を再検討する必要がある。「今後の食生活のあり方について再検討を加える段階に来ている。」云々で、これは、食生活の日本型を考え出し始めているのではないか、こういうふうに受け取れるわけであります。ですから、この素案と東京商工
会議所が出しました提言、それと
農林省をおやめになった有力な方々の雑誌、その他に出しておられる
考え方等を総合いたしますと、私はいまの段階で、これからの食糧
政策として畜産について重大な検討を加えつつあるのではないかというふうに思わざるを得ないわけですけれども、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。