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1974-09-30 第73回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月三十日(月曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 林  ゆう君                 上田  哲君     委 員                 岡田  広君                 楠  正俊君                 源田  実君                 戸塚 進也君                 中村 太郎君                 八木 一郎君                 野田  哲君                 秦   豊君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 河田 賢治君                 内藤  功君    国務大臣        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    説明員        防衛政務次官   木野 晴夫君        防衛庁参事官   菅沼 照夫君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁経理局長  亘理  彰君        防衛施設庁長官  久保 卓也君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        大蔵省理財局特        別財産課長    森  卓也君        建設省都市局都        市計画課長    野呂田芳成君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国の防衛に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 上田哲

    上田哲君 防衛庁長官防衛問題についてお尋ねをするわけでありますけれども、たまたま休会中のことであるし、一般国務についての二、三の点について、ひとつ国務大臣立場からお伺いをしておきたいと思います。  その一点は「むつ」の問題であります。いまなお「むつ」は重要な段階を迎えているわけであります。長官閣議の中でも、伝えられるところではかなり突き詰めた議論をされているということでありますけれども、このような事態を招いたのは、一に政府姿勢の誤りにあると思います。たとえば、科学技術庁長官の地元に対する姿勢の問題を含めて今日政府姿勢はきびしく問われていると思います。この点について、政府責任をとる立場で、積極的に「むつ」問題の解消のために乗り出されるべきであると思っておりますが、政府としての御見解を承りたいと思います。
  4. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めに、質問者上田哲君の先般の選挙における御当選を祝福いたしますが、なお次々と御質問の方、再選されたか新人の方、あるいは質問されない与党の方等おられますので、ここで一括して当内閣委員会所属の当選されました方々に対し、心からの敬意と尊敬とを表明し、なおかつ、立場は違いましても日本の国の国防という基本問題についての国民のための論戦をお互いに展開することをこいねがうものであります。  その質問の第一発としては、どうもその問題とちょっと関係がないんで私も戸惑っておりますが、いろいろ経過は、国務大臣として私も閣外に出ない発言はいたしておることは認めます。しかしながら、所管大臣でないという立場もありますが、しかし、政府全体の責任として原点に戻るべきであるという立場をとっておりまして、しかし、田中総理帰国後の記者会見で、私も自動車のラジオでございましたが、この責任政府にあるということを言われたことは、きわめて私としては閣僚として満足に思います。そこの責任政府にあるんだというところから出発すれば、おのずとそれに対するあらゆる考え方というものが根本から変わってくるであろう、その点だけを本日は申し述べられる立場にあるかと存じます。
  5. 上田哲

    上田哲君 田中総理発言を了とされる、満足されるというおことばでありますが、突き詰めれば、これは直ちに森山科学技術庁長官現地におもむかれて、これまでの責任についての姿勢を明らかにされて対策を講ぜられるべきであると、私はそのように考えるわけであります。森山長官現地への早急の派遣ということについていかがですか。
  6. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私の答弁のワクを越えていると思います。閣議においてはいろいろと提言をいたしております。
  7. 上田哲

    上田哲君 私はそのように考えるんですが、国務大臣として、山中長官閣議に向かってそのような発言をされる意向はありませんか。
  8. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ノーコメントです。
  9. 上田哲

    上田哲君 時間を節約しましょう。もう一つ、九月三十日でありますから。  十月一日、これはもう十月というのは重い月と書いた新聞もありまして、まさに庶民にとっては、もう政府失政ここにきわまったあり得べからざる公共料金を先頭にする値上げであります。閣僚として胸が痛むのは当然だと思うんです。閣僚として、国務大臣として、政治家として十月一日をどのような心境で迎えられるか承りたい。
  10. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は、これもまた所管大臣ではありませんし、関係閣僚協のメンバーでもありません。しかし、政府として連帯して責めを負う国務大臣立場から言うならば、この問題こそまさに庶民立場に立って考えなければならないことである。問題は、閣僚の一人一人が最小限、友人にしても、あるいは小さい企業の経営者にしても、あるいは日本のあらゆる職種の立場からも、あるいは学者から、日本経済の立ち直りの時期あるいは経済のエネルギーを中心とする今後の、たとえば石油の二億七千万キロリットル経済というようなことを前提にして、国際貿易収支日本経済の規模、発展の見通し国民生活の向上と、そして国民一人一人の生活の問題、こういうことを政府国民に示さなければならない時期を迎えておる。しかも、総需要抑制が最もインフレに対して効果がある。すなわち政府としては、公共事業抑制であり、繰り延べであるという姿勢を取り続けてから相当日にちがたっておりますから、これに対して、もうすでにどのような業種にどのような影響と波紋とが起こっており、それが国民生活にはどのようなことになっているのか、国民の要望するところの方向に沿っているのか沿っていないのか。インフレを退治するという正面の目標は間違っていなくても、その手段の採択のとり方のいかんによって、もう影響は明確に出ているはずである。したがって、経済企画庁等中心にして、これらの日本の過去、いままでとってまいりましたほぼ一年近い問のそれらのきびしい締めつけ政策と申しますか、いままでの相当ゆるい感じで伸びるにまかせておりました経済を押えにがかったという現象が始まってからの実績というものを分析検討し、そうして衆知を集めてすみやかに国民にその指標、そしていつごろまでがんばれというような具体的な方策を示すべきであるという提案をいたしております。この問題はまあある程度、ことばとしては担当大臣でないものとして行き過ぎでありますけれども、「むつ」の問題とは少し異にいたしますから、ある程度私のいままで閣議で述べてまいりました内容を申し上げた次第です。
  11. 上田哲

    上田哲君 その問題、もう一点にしぼりますけれども、いまのおことばの中に、今後の方向について具体策を示すべきであるという趣旨がございました。全くそれは示されておらぬわけです。それが示されないまま公共料金の一斉値上げのカレンダーをめくるということは、すなわち経済政策物価政策失政ここにきわまったという象徴だと考えざるを得ないと思います。政府としては、このような公共料金の一斉値上げ、そのような状態を迎えたということを、経済政策失政だと率直にお認めになるかどうか、この一点です。
  12. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、経済政策というものについては私が分析をして言うべき立場にありませんが、別な表現をしたいと思うんです。それは政治先手をとらなければならぬ、国民の要望に対し。おくれても後の先はとらなければならぬ。それが後手後手と回ることは間違いである。また政治における弁解は敗北の第一歩である。説明を要しなければならない政治弁解につながる、そういう気持ちでおります。でありますから、その意味では公共料金値上げ一つをとってみれば、それは人件費の高騰から輸入原材料コスト増までいろいろと積み上げてみて、それを否定できない現実のものが存在をいたします。しかし、今度は国民自分たちの、たとえば家庭の主婦が毎日買いものに、生きんがための食料品を買いに出かけるときに、さいふの中身が軽くなっていくような実感を持つことに対して、政府がどのような立場から国民気持ちをくみ上げていくか、それに対しておくれても後の先をとるかという政治、これがなければならぬ。そう思うんで、具体的に経済政策の展開を御披露申し上げるほど私は能力はございません。
  13. 上田哲

    上田哲君 十月一日を前にして国会で開かれている委員会はこれだけでありますから、国民に向かって政府意見を述べる機会というのはこれだけであります。私は重要な防衛問題のきびしい時間割りを背中に控えながら、やはり有力閣僚である山中長官国務大臣としての国民に対するやはりことばを率直に承りたいと念願をしておるわけです。やはり、私はこれは申しわけないの一言ぐらいは、田中政府国民に対して出されなきゃ公共料金一斉値上げという政治姿勢説明がつかねと思います。後手先手というようなお話がありまして、苦しい答弁だとは理解をいたしますけれども、これはまあ後の先なんということはあろう道理はない。国民生活に対して、まず物価を上げておいて、あとからいいこともあるだろうなどということはあり得ないわけでありまして、これは決定的な政府失政のあらわれであると私は思う。十月一日を前にする最後の政府答弁機会として、防衛庁長官に言うのはいささかお門違いであることは百も承知だけれども、やはり国政の唯一の窓として、私はいま少しく血の通った、閣議の中では相当血の通った御議論長官されているようでありますから、国民に向かってもこれはひとつ血の通ったことばを承りたいと切望します。
  14. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあここらでお許しを願いたいんですが、私は国の防衛の任にありますが、政府防衛の任を担当いたしておりません。やはりそれは責任者総理であり、そして企画立案は、これは経済企画庁でありますから、せめて経企庁長官あたり同席でなければそれ以上は言えないと思います。たいへん私に対し有力な閣僚であるという話でありますが、閣僚から見れば目ざわりな閣僚であるのかもしれませんし、そこらは評価はおのずから分かれるところであります。したがって、この議論は確かにきょうしかないというお気持ちはわかります。しかし、防衛庁長官をつかまえてこれ以上言わせようというのは、それは上田さん酷ですよ。
  15. 上田哲

    上田哲君 国民のほうがはるかに酷であるということを、声を大にして、時間を節約する意味で、内閣からその声が一言も聞かれずに、たとえば高物価政策、高価格体系などというわけのわからぬ熟語がまかり通るという政治に対して、やがて大きな国民の声がわき上がるであろう、これは閣内での担務の問題をこえているんだということを政治姿勢の問題として、私はきびしく九月三十日には申し上げておかなきゃならぬと思うんです。  さて、防衛の問題に入りますが、長官は近く訪米されると、国防長官会談をされるというふうに承っております。まず日程をお示しいただきたい。
  16. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 腹づもりは一応いたしておりますが、まだ最終的に出発、帰国日程まで詰めておりません。詰まっておりません。相手国返答待ちであります。ただ明確になっておりますことは、十月の十五日にシュレジンジャー国防長官が面談をいたしたいという、そのための招待、そして米国国防省としては約一週間の滞在を客としてお迎えすると、こういうことであります。でありますから、まあその前後時差調整その他がありますから、おおむね一週間では済まないと思いますが、日程そのものは、これは一応アメリカ国防長官招待という形になりましたけれども、これまで二回ほど私に対して、正式の外交ルートを通じての招待ではありませんが、お会いをしたい、できれば。どうしてもできなければ私が日本に行ってあなたとお会いをしたいという意見が伝わってまいりました。しかし、これは何を意味するのかが明確でありませんし、アメリカ側から見ても、私も少し一風変わった国防長官——というのはおかしいんですが、防衛庁長官のように見えるらしいんです。聞くところによれば、シュレジンジャー長官もきわめていままで歴代長官に比べて異色の文民長官であると承っております。そこで、やはり一番の目的は、まだそこまで聞かれておりませんが、お互い対話をすることが必要ではなかろうか。もうまる四年も、長官の数にすると相当な数、責任者が会っておりません。アメリカもこの四年間に三代目でありますから、ここらで正確に対話をしておきませんと無用の誤解を生ずるおそれもある、あるいは過度の期待を持たれる心配もあるというようなことで、まず対話が必要なことであろうと思いまして、その招請を受諾いたしていま日程の詰めにかかっておるわけであります。
  17. 上田哲

    上田哲君 まさに四年ぶりになりまして、これは非常に重要な会議だと思っております。それで招待と言われたわけですけれども、こちら側の長官のほうからも会談意向が示されたとも風聞しておりますけれども。
  18. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは先ほど申しました過去二回、非公式のルートであります。しかし、シュレジンジャー長官の公式の要請と申しますか、希望であります。それは私に伝わっておりましたので、私もあなたとぜひお会いしたい意思を持っておるということを言っておりましたから、私がもし行けなければ、場合によっては、むしろかえって日本の実情というものを見てもらうためにシュレジンジャー国防長官日本に私がお招きしてもいいと考えておりました。したがって私が参りますと——単に儀礼のみでなくて、日本自衛隊というものは、諸外国のあなた方が結んでおられるNATOをはじめ二国間の安全保障対象国ときわめて大きな違いを持っておりますということを知ってもらうために私は招待する予定でございます。この私の招待については総理官房長官同席の上で同意をもらっております。
  19. 上田哲

    上田哲君 四年前と言われる、その四年前、四十五年のまさしくこの秋、当時の防衛庁長官であった中曽根元長官がこのようにして渡米されました。おりしも四次防策定の重要な時期に当たっておりまして、百六十億ドルという数字はその際そのような経過の中で明らかになった。四年後にまたこういうことが行なわれるということからすると、私どもは非常に重要な会談がこの中に込められざるを得ないというふうに考えております。  そこで、一つのデータでありますけれども、アメリカ下院歳出委員会が八月二十九日に、極東米軍抜本的再編、統合を政府に勧告する報告書、これを明らかにしております。この報告によりますと、日米共同防衛体制において、日本の「もっと公平な分担を実現するのは可能だと期待」して、アメリカ政府は「日本政府防衛分担問題で具体的な協議を開始するよう要望する」、こういうふうになっております。今回の訪米は、こうしたアメリカ側意向が当然表明されると思いますし、この点についてはそのような一環の中で会談が行なわれると位置づけてよろしいのでしょうか。
  20. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は持ち出されないと思っております。ということは、下院の、なるほど歳出委員会において、一九七五米会計年度軍事予算可決にあたって委員会レポートを提出したというだけのものでありまして、われわれの委員会でいえば、附帯決議でもなければ、あるいは政府に対する意見書というもののようなものでもありませんから、与野党下院において合意したものでない、委員会決議でもない、ただ委員会の活動の一環として、たとえば日本には一日半しかその委員会から派遣された者は滞在しなかったという程度のものを集めて、そしてまあヨーロッパあたり西ドイツのように明快に協定を結んで、アメリカ西独駐留経費と全く同額をアメリカ側から兵器その他を購入することによって完全に相殺するという国も一方には現実にあるわけでありますから、まあ議員アメリカ下院においても上院においてもいろいろと活発な議論をしておりますから、そういうレポートに対して、賛否その他を委員会意思であると、あるいは決定であると、採決をした結果であるというようなことでなしに、ただ添えてあるだけのものでありますから、アメリカ下院歳出委員会も、あるいはアメリカ下院も、そしてましてやアメリカ行政府もこれに対して拘束されるものではない。しかし歳出委員会における一九七五年度の米会計年度における軍事費可決にあたっての、種々削減その他も行なわれた中のあとについておるレポートでありますから、これは行政当局はこれに対して一顧だに与えないということはないと思うのですね、検討はすると思います。ましてやフォード大統領下院の永年勤続、日本で言うならば二十五年以上の経歴を持つ方でありますから、議会の意思を非常に尊重され、あるいは対話をとうとばれる方じゃないだろうかと推測しております。そしてフォード大統領上下両院合同会議における、まあ日本でいう所信表明みたいなものの中にも、ニクソン前大統領よりもやはり力の均衡による平和の維持ということに少し重点が、ニュアンスが強く出ておる大統領のように考えますし、過去の下院議員としての実績を見ておりましても、絶えず軍事費削減には一議員としても反対をしておられる人でありますから、そこらのところの若干のニュアンスは違ってくると思います。しかし、反面日本に対して現在以上の負担増を求めてくるということについてはあり得ない。では現在の負担とは何か。それは日本側における、各種の制約を踏まえてその中で日本アメリカ基地を提供し、あるいは補給部隊存在を認め、そうして日本及び極東の範囲という日本政府アメリカとの間に結ばれた安保条約の運用のための米軍に便宜を供与しておる、そういうような問題等を含めて、それが日本側アメリカに対応する、アメリカ側に対する日本の今日までの実績でありますから、それを金銭に換算して、西ドイツに比べて多いとか少ないとかいう、そういう議論にはならないであろうし、ましてや日本にそういう代償ともいうべき人件費も含めたものを日本側に代替を求めるとか、そういうことはないであろうという、今日の時点においてはそういう情報でありますが、向こうに行って、出るか出ないかについてはいまのところ判明いたしませんが、私は交渉当事者であるシュレジンジャー国防長官の口から出ることはないだろう、そういうふうに見ております。場合によっては上下両院政治家とも会う必要があるだろうということを考えておりますが、向こうへ行ってみませんと、議員さんは何しろお忙しいんで、向こうに行ってから会える人を目星をつけておりまして、できれば議員の人とも会ってみたい、そう思っております。
  21. 上田哲

    上田哲君 議員とお会いになっても、それは行政府同士の話ではありませんから取りきめというようなことになるはずのものではない。それは別にいたしますと、いま長官発言というのは非常に重要であったと思うんです。分担問題については出ないと。私はこの下院報告書の中にある発想というのはまさしく肩がわり論だと思いますが、この肩がわり論についてのこれまでの政府見解という立場からいっても、出ないという見通しの上に、出てもこれには乗らないということ、つまり肩がわり論としてのこうした提案については乗らないということを長官が言明されたという点では非常に大きいと思います。そういうふうに理解してよろしいですね。
  22. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これから、私の場合は何も共同声明の発表とか、協定締結とかというものにならない対話のために行くんでありますから、おそらく記事に出るようなこともないと思いますが、要するに、話し合う内容を想定をして、こういう話が出たらこれは断わります、これは考えてみますということを委員会の席で申しましても——やっぱり米国大使館も私の訪米に神経をとがらしておりまして、山中シュレジンジャー遭遇戦ではいかなる事態がぼっ発するやもしれぬということで、何を話されますかというて向こう向こうでしきりに取材をいたしておりますが、私は会うことのみに意義があると、こういうふうに言っておりますので、そこらのところば内容についてどうこうするかという御質問ではないと私も思って私の考え方を述べたわけで、出た場合にはどうするというようなことをいまここで答えるわけにはいきませんが、アメリカ側には——日本安保条約をやめろという意見は自民党以外の政党だと思うんです。しかしアメリカでは、ことに上院外交委員会軍事委員会等においては、このような片務条約、一方的なアメリカが義務を負っているような形のもの、日本はほとんどアメリカには何もしてくれないじゃないかというようなものはやめたらどうだという意見が共和、民主両党を通じて長い間存在しておることも事実でありますから、やはり、ここらのところは、お互いの国がお互いの国をよく知り合うということ、絶えざる対話は、単に外交問題ばかりでなく、経済も、日本の場合に軍事ということばを使って語弊があっても国際的には軍事の面においてもやはりこれは対話というものが必要である、そういうふうに私は思っております。
  23. 上田哲

    上田哲君 私は端的に整理しておきたいんですけれども、この分担問題というのは出ないであろうと、そしてまた、それについてはこちら側から触れるつもりはないのだというふうな意向として承っておいたと、こう申し上げているわけです。  もう少しく踏み込んでおかないとあいまいになろうかと思うんですけれども、この報告行政府に一般的な影響を与えるかもしらぬが、決定的な影響はないだろうというお話ですから、このこと自体を取り上げるつもりはないけれども、これを例示として考えるならば、これはたとえば四つの問題が入っております。これは繰り返しません。そのうちの一、二の問題、つまり自衛隊増強在日米軍基地運営費についての日本の協力、つまり分担増、こうした問題が出ておるというようなことからすると、こうした問題が出たときには、あらかじめ項目についてああしろこうしろということをここできめていくことはないだろうとおっしゃるから、その点については多少の私も控え目な言い方で話をしておきたいとは思いますけれども、少なくとも、いままでお話しになったような立場を守られる防衛庁長官として、その自衛隊増強問題とか在日米軍基地負担金の問題というようなことをこちら側から向こうと話をされるようなことはないというところまではよろしいですね。
  24. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 自衛隊増強といっても、私たちアメリカの雇い兵じゃありません。増強しようといっても、後ほど他党の方の御質問等に出るかもしれませんが、募集の実態、充足率はどうだ、定員十八万名と言っていて実際は幾らいるんだというような問題等の問題がわれわれの当面の問題であって、あるいはこれからの五十年度予算、四次防最終年度を展望してみても、人件費の重圧のみがいたずらに高騰し、そして、それを四次防で、与野党賛否は別として、国としては決定しております内容の各項目の達成についてもきわめてむずかしい環境に追い込まれていて、それは、ではかりに、私とアメリカと話をした結果において日本自衛隊予算を大幅に増加できるだろうか。そのようなことはできませんし、考えていない、第一。わが国の自衛力に要する予算上の問題は、まず次の日本国民を育成する教育の施設整備から始まる費用、そして諸外国に百年おくれておる文明国としては恥ずかしい社会資本の整備、そして、自由主義経済をとっております私たち立場から言えば、その中で自己の責任でなくおくれていこうとする人々に対する社会保障を中心とする充実、こういうようなもの等について重点を予算が向けられなければならない。その中で防衛費がわがままに要求をふやすことによって、対予算比率、GNP対比をふやすことによって、それらの予算の執行なり必要な要求に支障を与えるようなことがあってはならない。これは日本の国内における政治としての厳然たるアッパーリミットであります。このようなこともアメリカに、私のほうからむしろ説明をしてあげる、わかってもらうということでありて、アメリカの要望はあるかもしれませんね、日本が自分の国は自分で守ってみせますから安心しなさい、核戦争のときだけひとつ頼みますよと。そんなこと言ったって核戦争があったら世界じゅうがもう死と対決するんでしょう。だからそういう意味で、向こう気持ちはそれは自衛隊日本を完全に守る、ただしアメリカの、どこかにか書いてありますように、脅威になるような再軍備への道はなるべくそうでない方向に誘導しなければならぬという、われわれからすればきわめて独立国としておせっかいな話であります。しかし、まあ議員ですからお互いに言いたいことを言っているんですね、議会では。それを私は特別に一々取り上げてどうだこうだと言う気はありませんが、わが国の自衛力はわが国の諸種の制約——憲法上から始まる制約と予算上のおのずから自粛すべき国民の納得を得べき範囲の中のものにとどまらざるを得ない、それがわが国の置かれた環境であり、それを突破することはできない。このようなこともむしろ私から説明すべきこととして考えておりますから、いまお話アメリカ側から要望があったときにはどうするかということでありますが、それはあるともないとも——下院歳出委員会はそれに触れておる、しかし、それは行政府が私に対して、あるいは外務大臣に対してそういうことを要求したということもありませんから、そういうことは考えられないことであるということに私は結論はなると思います。
  25. 上田哲

    上田哲君 時間が非常にきょうは狭まっていまして、端的にお伺いするよりしようがないんですが、私が申し上げているのは、向こうから何か出るだろうということではなくて、それについては、たとえば下院の問題は出ないだろうというお話があったくらいですから、その辺はそれでいいと。問題は、こっちの姿勢として、向こうから出るであろうと予想されるものに対してどういう態度をもっていくのかということを、きちっと日本国会に対してはしておいてもらいたいということなんです。  そこで、たとえば下院報告書が言っているような四つの項目について言うなら、一項と二項というのはわれわれにとっては非常に重要な関心を持たざるを得ないのであって、会談に臨まれる防衛庁長官はどういう姿勢でこの問題に対処されるかということを具体的にしっかり言質をいただいておきたいと。そこで、それならばさらに具体的に申し上げると、今度の概算要求で、たとえば防衛施設庁の予算要求なんというのはものすごく多いわけですな。四倍になっている。こういうまあこまかい数字はそちらのほうが御存じだから申し上げない。時間を節約しますが、四倍にも及んでいる提供施設のリロケーションの問題なんかの費用からすると、かりにもこれが防衛庁長官の手みやげになっては困るんだし、向こう側からどういうことが出るか出ないかということではなくて、結果的にこういうものが向こう防衛問題を話すときの手がかりになっては困る。もう少し、話をみみっちくしないために広げて言うなら、たとえば、アメリカのアジア戦略そのものが大きな変貌をしておる。過去四半世紀、韓国から台湾、フィリピン、それから南ベトナム、カンボジアを通じたアメリカ防衛線というのが、いまはサイパン、テニヤン、グアム、つまりミクロネシア防衛線に後退をしていると。後退と言うのか、新設定をされている。あるいはその一環として、アメリカの海軍は太平洋の新しい拠点基地としてグアムの母港化に着手したという話もあるし、あるいはアメリカ陸軍も再編成計画の中で韓国や日本駐留軍を管轄している太平洋地区陸軍司令部を十二月三十一日をもって廃止する、こういうような問題、あるいは在韓米軍三万八千人の問題等々が出てきていますから、そういうものの一環として防衛施設庁の四倍の概算要求ということが出てきているとするならば、これは両長官の話し合いの中でのテーマとならざるを得ないという懸念を国民は持つわけです。こういう問題は違うのだということがはっきり言えるのかどうかということをこちらの姿勢として伺っておきたい。
  26. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) その点はきわめて明白に違います。それは国民に、ことに沖繩を中心にもとの持ち主の方に返してあげる、あるいは過密化する周辺の地域をなるべく関東計画みたいに基地は一カ所に集めるように、まあ陸、海、空軍それぞれ違ってはおりますが、そういう日本政府意向を受けてアメリカ側基地の整理縮小等についてぼちぼちと始めておることについて、たとえば沖繩の県庁の所在地である那覇市のまん中に上之屋地域一帯にわたる牧港住宅地帯というものがある。これはもうやはり県庁所在地としてこれをのいてもらって、地主の同意があるならば県庁の所在地にふさわしい整備をすべき場所であるということが県民の要望でありますから、それにこたえるために、出ていきなさいという説得をすれば住む場所をかわりにつくってくれ、最初は庭つきの一戸建てという話でありましたけれども、そんなこと言ったって狭い沖繩ではだめだ、マンションでしんぼうしろというようなことで、そういう交渉もありましたけれども、それにはやっぱり金が要るわけです。ですから、国民不在の施設庁のリロケーションであるならば別でありますけれども、国民の要望にこたえて、それにこたえるための代償として、われわれも困っているのですけれども、リロケーション経費が膨大な経費を要するということで苦悩しているということでありますから、これは別段アメリカ側の要望によって私どもがやっておるものではありません。
  27. 上田哲

    上田哲君 この問題についての結論ですが、ひとつこれだけはしっかりしておきたいと思うのですが、向こう側から出ないであろうが、日米防衛分担日本側分担増ということが議定されるようなことはない。それからもう一つ、これはもう四年前の苦々しい故事があるわけですから、いわゆる五次防問題についての構想がそこできめられてくるようなことはない。この二つは、この際出発前の委員会として長官からしっかり承っておきたいと思います。
  28. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほどから言っておりますように、どういうことについてはどう答えるとか、そんなことは別にして、わが国の姿勢というものは五次防については前から申しておりますように、いままでのように三次防の次は四次防であった、だからこの次の五年間も五次防であるというようなことであっていいのかどうかについての検討を、もうほぼ最終的に、来年度予算が最後の四次防の年度でありますから議論を詰めていかなければなりませんが、そういうわれわれ自身の作業はいたします。かといって、アメリカ側から要望されるようなものではない。これはもう明白でありますから、そういう出るか出ないかわからない話を前提に確認すると言われます上田議員のお気持ちはわかります。それは私をむしろ信じていただきたい。私は日本防衛庁長官であって、アメリカの指揮を受けている日本国でもなければ日本防衛庁長官でもない。その点は明確にしておきたいと思うのです。
  29. 上田哲

    上田哲君 くどいようですがね、出るか出ないかの問題は仮説として言おうとは思いませんから、そこのところは議論の外に置いておくんです。しかし、繰り返すようですけれども、四年前の四次防の基本構想策定の段階で、当時の防衛庁長官アメリカに行かれて百六十億ドルというのが突如としてあらわれてきた。まあ五兆五千億というような数字がいろいろ出ておったのですけれども、最終的には向こうへ行ってコンファームされたという発表のしかたになった。発表というか、漏れたといいますか、そこのところは問題はありましょうけれども、そういう形というのは非常にまあ、四次防策定そのものに賛成反対は別にしても、あり得べきことではないと思う。四年後のいま行なわれるこの異色両長官の海を越えた話し合いというのが注目されるだけに、これはやっぱり日本国の防衛庁長官であると大みえを切られる以上、日本国国会に対して防衛分担増などという話し合いはここから出てくるのではない、また五次防基本構想がここできまっていくようなものでは断じてないということだけはきちっとひとつ承っておくことは、当然のこれは私どものあり方でなければならぬと思っているわけです。くどいようですけれども、それでいいと思うんですがね、それでいいかどうかだけでいいです。もう非常に時間がないんです。
  30. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) アメリカから要請を受けて、日本国防のあらゆる分野における方針を日本が意に反してきめることはあり得ない、これは明確に申し上げておきます。
  31. 上田哲

    上田哲君 そこで四次防問題について承っておきますが、四次防ないし五次防、いわゆる五次防問題、これはもうほんとうにあと数分しかありませんから、とんとんいくよりしかたがないのでありますが、四十九年度予算が一兆円をこえている。八月末の防衛庁の五十年度概算要求はさらに二五%増である。が、しかし、この内容を見ましても、額は大型になっているけれども、四分の一増になっているけれども、実際にはいわゆるDDHであるとかFST2改であるとか、あるいは新型戦車であるとか、いわゆる目玉兵器は軒並みだめになった昨年分を何とかひとつ色をつけようか程度のことでしかないという苦吟も見えるわけです。こういう好まざる逼迫ということも防衛庁側自身にもあるわけでありますけれども、しかしそれにしても、五十年度の概算要求と業務計画が防衛庁では決定されているわけですし、この決定に先立って山中長官がさきに、二カ年、つまり五十年と五十一年度を見通した今後の経済財政事情を勘案しつつ、現実的な観点に立って着実かつ円滑な防衛力の整備につとめるよう、というようなことを指示されたわけですね。二年間を見通して結論を出せよと言った指示の上に乗ってこの業務計画が出ているということになれば、ここまで同じようにインフレの波を受けてきている防衛庁の五次防構想——まあ、これはちょんちょん五次防ということでありましょうし——というものについてもひとつ。  それから手前の四次防の達成の問題についても、これは相当正確に方針というものがもう出されていなければならないと思います。これはひとつ私はこまかい点でいろいろと承りたいわけですけれども、これは全部省略をして、ひとつ長官から結論的にすきっと伺えばいいと思うんですが、これまででも、たとえば四次防の積み残しについては三つの方法があるということが示唆されておりまして、それぐらいメソッドも出ているわけですから、そのどれを選ぶかということも結論が出ていなければならない段取りがもうここに見えているわけです。そうした問題で四次防をどうするのか、そして五次防はいわゆる単年度編成にするのか、やはり年次長期計画にするのか、そうした問題は当然出ているだろうと思います。そこをひとつまとめて、こまかいこぼれがあればまた聞きますけれども、お伺いいたしたいと思います。
  32. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 簡単に答弁しますと、両年度というのは、五十一年度が四次防の最終年度であるがゆえを踏まえて五十年度予算の要求計画をつくってみろ、こういうことを指示しました。それによって、昨年積極的に自発的に見送ったものは、これは来年度は優先要求するという姿勢をとるのはあたりまえでありまして、そういう姿勢をとっておりますから、その他の正面装備を中心になかなかむずかしい予算の要求でありまして、それでも二五%のワク内一ぱいの要求であって、さらに査定によってそれがおそらく最終的には、ふえることはあり得ないというのが前提でありますから、そこで来年度の、昭和五十一年度予算はいかなる環境のもとに編成されるであろうか。公共事業費その他も解禁をされて、日本経済も、まあ外貨等はふえつつあるようでありますが、もっと豊かに大きな箱の中にはいれるようになって、そうして防衛庁の割り当てのワクも大きくなるということであれば、あるいは最終年度に達成可能になるかもしれぬという問題が残ってはおります。ですから、断定はできないんですが、かといって、五十年と五十一年に残っておるものをまつ二つに割って、その真半分は五十年度予算でやるという機械的な要求はするなという意味だったのです。その意味で、現在の展望が来年度予算においても、正確に言えば昭和五十一年度、四次防最終年度においても、環境が変わらないと仮定をするならば、海上の艦艇を中心に四次防の主要項目達成がきわめて困難になる、絶望的であるということは言えると思います。したがって、四次防の最終の締めをどうするかについては、過去に三つほどのパターンを申しました。しかし、結局は年次を延ばしてみても、完成を五十二年度とするとしてみても、これは港湾とか、道路とかというものなら、総事業費を一年薄めて達成できるわけですけれども、御承知のような防衛庁費というのは、その年に過去に契約したものを取得する歳出要因が立ってきますので、ある意味ではこれは引き延ばしということに、薄めることにならない、だからその案は捨てることにしました。もう現在考えておりませんが、要するに切り捨てるのか、あるいは次の年次構想か、あるいは単年度構想の中でどのように組み込んでいくかの議論は、これはやはり来年度予算を最終的に要求していくときまでに詰めなければならない問題であろうと、そう思っております。したがって五次防についても、ここで明確に、まだどのようにするということを申し上げられないのであります。
  33. 上田哲

    上田哲君 四次防の処理のしかたについては三つの方途があったと、その三つの方途の中では結論を出さないと言うんですか。
  34. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 昭和五十一年度予算を要求した来年のいまごろの質疑でありましたなら、これは明確に答えます。しかし、昭和五十一年度予算はどのような国家予算になるであろう、世界経済はどうなるであろうという問題は、これはちょっと、いかなるエコノミストも的確なる予測、把握はできないんじゃないでしょうか。ことに私たち政府立場の者は、それの予測を把握をすべく努力をしなけりゃなりませんが、この時点では、日本一国だけでそれをこうなるであろうとするにはあまりにも数多くの外的要因のデータが多過ぎます。そういう意味で、ここで断言をできないということを言っているわけです。
  35. 上田哲

    上田哲君 非常に重要ですからもう一ぺん聞きますが、おっしゃっていた三つの方途というのは、もうこれで調達断念するか、あるいは一年延長するか、次期計画の中に繰り越すかと、こう三つあったわけです。で、このあとの二つばいまのところまだきめるわけにはいかないと、そうすると四次防というのはこのままいったらまず見通しはないと、しかし、見通しがないとは言い切れないままであるという程度のことになってしまうわけですか。
  36. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは無責 な言い方じゃなくて、締めてみないとわからないという意味のことにもなるわけですね。ということは、二次防、三次防でもやはり積み残しておりますから、そういうものは、しかし次の年次防の中で消化していっていますですね。それをどのような形で、ポスト四次防という形でどうするかについて、これに種々会計方式、あるいは国会に対して、最終シビリアンコントロールの場である議会に対する文民統制の実を実際に担保するためには長期的な見通しも明らかにする分もあろうと、そういうことを申しておりますから、そこらのところを今日の時点で明確に、私も歯切れよい答弁をあなたにしたいんですけれども、かといって、来年がわからないのにいま言えと言われても、海上艦艇の値上がりがきわめて著しいということを中心に、いまの時点で、来年も今日の経済環境が続けば艦艇を中心に正面装備も含めた主要項目の達成がほぼ絶望になりつつあるという進行形を申し上げるしかないということであります。
  37. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、その第一項のところは言えないでしょうから、第二項、第三項としていえば、四次防の一年延長であるとか、そのまま次期防衛構想の中に繰り延ばすということを、繰り延べるということをきめるということ、二つはできないということですね。その二つの方途はとれないと、そしてともかく非常に困難な状況の中で来年を見るということになったということですね。簡単でいいです。
  38. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一つだけやめたのは、五十一年度完成年度を五十二年度に、六年計画に引き延ばしてみたらどうだという検討をした結果、これは実質上意味のないことであるということで、その案は捨てたと、しかし、残り二案についてはもう少し模様を見たいと、こういうことです。
  39. 上田哲

    上田哲君 最後の一点ですがね、さっきの質問そのものなんですけれども、では五次防はどうなるかということが最後にやっぱり聞いておきたいわけです。これは訪米の問題とも関連するわけですけれども、田中総理は五次防の作業はまだ全くしておらぬということをことしの五月、答弁をされておるわけですが、五次防の構想が全然ないなんということでこの四次防を議論することもできないはずでしょうから、防衛庁とはこれは違うだろうと思うんです。で、いろんな観点はありますけれども、一体、たとえば人件費の占める割合、これはもう五割という大台を、まあ今度は下げてみるけれどもどっちみち人事院勧告に乗れば全くいっちゃうとか——まあこれも時間がないからこまかいことは申し上げる必要はないと思うけれども、その大台を行ったり来たりしながら苦慮されているのは見えますよ、数字を見れば。そういう状況の中で五次防というものを考えていくのだったら、これは破綻することはわかっておるわけです。だからこの際、当委員会でも長いこと私も議論をしてきたんだけれども、少なくとも、われわれが自衛隊を認めるか認めないかという大前提は別にして、少なくとも今日、防衛庁が持っておられる有事即応体制、有事即応編成というのは、この際抜本的に変えられるということでなければこの予算編成が成り立たないと思うんですね、自衛隊の。その予算編成を、その最も意義あるものになさしめるためにも、この有事即応編成というのは社会情勢の観点からいってもこれは当然変えるべき時点にきておるのじゃないかと。あるいはシュレジンジャー自身が、ハイ・ロー・ミックス・コンセプトなんということを言っておりますね、ハイ・ロー・ミックス・コンセプトなんて、たわいもないことでしょうけれども、そういう明らかにアメリカ自身が変わってきているわけですね。日本は依然として全くローではなくてハイばっかりの、しかもその有事即応体制という体制を何でこんなに強化しながらいかなきゃならぬのかという問題は、やっぱり依然として、原則論は別にしても残っていくと思うんです。そういう基本的なことを考え直す時期じゃないかと。そうしてまた、どう考えても、先のことはわからぬと、四次防でもわからぬとおっしゃるなら、五次防はもっとわからぬのですから、その中で五次防計画というものを根本的にやはり編成し直す、つまり、流動してつかむことのできない情勢に、少なくとも合うように変えるというのは当然な為政者の判断でございましょうから、その中では、その四次防の繰り越し部分を向こうへ持っていくことができないということだけははっきりしたとおっしゃったが、しからば、持っていく相手がどれだけのものであるかということもきめがたいということも、もとにあるわけですから、まあ単年度ということが、積極的な方式になるかどうかは別にしても、長期年次計画というものはとれないだろうから、それをたとえば単年度計画にとりあえず変えることによって一つの道を見つけるとか、そういう構想というのは長官の発想の中にはもう固まっていなけりゃならぬと私は思うんです。いろいろ申し上げたけれども、まとめてひとつ伺いたいわけです。少なくとも、ハイ・ロー・ミックス・コンセプトなんというのは、アメリカでも出ておると、そういうような観点、世界情勢の動き、あるいは防衛庁自身の予算編成上の苦慮、そういう状態からして、今日まで、四次防の延長線上にあるような五次防というのはもう考えられないという立場をどうお考えになっているのか。そうしてその中で五次防を、いま長官の中にあるお考えとしては、少なくとも有事即応体制というものでない方向に転換されるという考えはないのか、その辺はひとつ明確に伺っておきたいと思います。
  40. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 有事即応体制というのは、これは専守防衛ということの裏づけだと思うんですね。専守防衛というものもなかなかあいまいな話ですけれども、一番あらわして、言い得て妙なことばだから使っているんですが、どこかが攻めてこなければ私どものほうは何もよその国に対して軍事的にいたしません、そういうことを言っている国でありますから、したがって、もしそういうことが起こったら、それに対応できる力は持っていますよというのがいまおっしゃる有事即応だと思うんです。しかし、防衛力というものは、ふだんは……
  41. 上田哲

    上田哲君 いや、そうじゃなくて、ここで言っている有事即応は、たとえば充足率ですよ、充足率。五方面十三個師団の編成そのものだって問題じゃないかって長官言われているでしょう。そういう問題は、こういう充足率その他でもって編成しているというのはないんですよ、諸外国には、いま。それを私は、来たらすぐ討つぞというかまえの問題じゃなくて、編成の問題として、日本自衛隊の編成というのは、そういう体制にずっときている、平時体制じゃないんです。ほかのことばで言うと間違いが起きるから、戦時体制ということばは使いたくないけれども、これは平時体制編成じゃない。そういう編成というものを持っている限り、たとえば人件費というのは五割になっちゃうんです、どうしても。そうすると、これは無理になってくるんです。DDHの問題出てくるわけです、FST2改の問題出てくるわけです。そういう基本的なところを、世界情勢の面から考えても、財政的に考えても、変えるべきではないか、そういうことを言っているんです。
  42. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 質問取り違えていたつもりじゃないんですが、途中で意見を言われましたから、もう途中は省略して。  そのような体制をわれわれは一朝一夕でつくるわけにいかぬのです、国防というものは。そうすると、装備、配置あるいは兵器の質、量、そうして訓練の度合いと充足の度合い、士気、そういう問題すべてが関連して整備されているべき状態が理想です。しかし、いまおっしゃっているのは、いまの五方面隊十三個師団九千人、七千人編成というものに、私がいろいろとメスを加えておるということについての端緒を得ての、あるいはそういうことを前も言っているじゃないかということで考え直せという意味でしょうが、私はむしろ、いまの編成の架空の十八万名——架空と言えばたいへん悪いですが、実質、当分埋まりそうにない十八万名の編成の定員の上にそういう編成、配置をしていること、そのことが問題ではないのかと。だからある師団は、常時いつでも対応できる姿を持っておる師団、ある師団は、それに逐次新旧交代で送り込み、あるいは新兵器の操作訓練、幹部養成等を中心とする、あるいは地域、局地の通常の陸上防衛等を中心とする部隊というふうに分けることはできないだろうかということで、むしろそっちのほうへ有事即応できる体制のほうに持っていかないと、いまは有事即応になかなか——まあ陸の場合はとっていますね——適応しかたい体制下にあるのではないかという疑問を逆に持っているわけです。
  43. 上田哲

    上田哲君 いや、ですからね、それは議論しません、それは。有事即応体制というのは心がまえの問題じゃなくて、編成の技術上の問題だということを私は言いたいわけですが、まあそこはいいです。結論ですよ。五次防というのは、だからそういうことでは不可能になって、むずかしくなっている、たてまえを変えない限り。防衛庁側の姿勢でも編成することができなくなっている。その上で五次防というのは一次防から二次防、三次防、四次防ときたような延長線上に、たとえば五カ年というような長期継続計画としてお立てになるのか、単年度への指向が強いのか、その方針の基本はどうなっているのかというところを最後に一つ
  44. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ですから、私は五次防ということばを使っておりません。ポスト四次防ということばを使っております。それを年次計画にする分野、あるいは単年度で人件、糧食、被服費等を御審議願えばそれで済む問題というような問題等に分ける方法はないものかといろいろ考えておりますが、まだその結論を得ておらないということであります。
  45. 野田哲

    ○野田哲君 きわめて具体的な問題を二点伺いたいと思いますが、長官は以前に、沖繩復帰の際に担当国務大臣でもあったわけでありますから、沖繩の問題を二点伺いたいと思います。一つは沖繩における米軍の労務関係の問題、一つは沖繩における軍の施設の一つのPOL、油送管の問題について伺いたいと思います。送油管ですね、パイプライン。  まず第一は軍の労務関係の問題でありますけれども、去る七月に米軍のほうから通告があって、沖繩におけるエクスチェンジという分野の日本の労務者が千六十二名解雇通告を受けておる、十月十一日でその期限が切れる、こういうことで現地で非常に大きな社会不安を起こしている。こういう実情にあることは御承知ですか。で、この問題につきましては非常に重要な問題が幾つも含まれておると思うんです。まず第一は、片一方において千六十二名という大量解雇通告を行ないながら、片一方において米軍の退役者あるいは家族、こういう人たちを新たに雇用しているという事実、しかもその雇用の文書を見ると、ここにも幾つか私も文書を持っておりますけれども、沖繩レジョナルエクスチェンジという文書でありますけれども、その文書で、米人を雇用して日本の従前働いていた労務に肩がわりをさせる。その職種を見ると、少なくとも二年はこの職種は必要であるから従事してもらわなければいけない、あるいは三年はこの職種は必要である、あるいは一年は必要であるとかというふうに、向こう一年間とか二年間とか三年間とか、そういう期限を明示をしながら新たに米人を、日本人がもと働いていたところで雇用している。しかもその数はすでに七百名あるいは八百名になっているんじゃないか、こういうふうに言われておるわけです。こういう状態に対して、一体この担当大臣あるいは防衛施設庁の関係者としては今日まで米軍側とどのように対処してきたのか伺いたいと思います。
  46. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 沖繩全軍労関係のORE解雇問題については、当初百六十六名のパートタイム切りかえの通告がありました。そのときに関係者と御相談いたしまして、私も直接知事さんや友寄委員長やあるいは全駐労の市川さん等ともお話ししておりますが、これはやはり重大な問題でありますし、現地関係者側の要望もありまして、こういうふうに、いつだれがどんな状態でパート切りかえを、選択を迫られるかわからぬので、この際ひとつどれくらいの量をことしは計画として予算上労務上考えているのか、そういう見通しをまず立てさしてくれ、立てるように米側に言ってくれということと、やめる場合には一ぺん正式に解雇して退職金を支給して、そうして、できれば四十時間フルタイムをほしいが、向こうが三十八時間とそのとき言っておりました。それを三十九時間、一時間くらいは延ばして、そして選択をして、パートに移る者は移る、退職金をもらってやめる者はやめるという方策に切りかえてもらいたいということであったわけであります。そこで私が直接乗り出して関係者を連絡させ、私も面談などしながら、米側とですね、これをぜひ沖繩において米軍のそういう事情があるならば見通しと解雇の方式について現地意向を尊重してくれと、こういうことを申しました。そうしたら、方式についてはそのとおりするということになったわけです。ところが、見通しと、今度はその方式によって発生するであろう解雇者を、数だけ教えてくれればよかったのですが、それも全員ですね、全員一ぺん解雇してしまって、ここで全員に退職金を渡して、全員パートに切りかえるという線が出てきたものですから、そこで問題が混乱をし始めたわけであります。これはしかし、なかなかむずかしい問題にいまなっておりまして、表でも裏でも一生懸命現地側との連絡をとってやっておりますから、これは私の渡米出発前に片づけておかなければいかぬ問題だということで、いま一生懸命やっております。相当私どものほうから具体的に申しましたので、交渉の具体的な問題は、御配慮を願いつつ御質問を願いたいと思います。
  47. 野田哲

    ○野田哲君 交渉の重要な段階に来ておりますので、あまりその点については具体的にここでやりとりを避けたいと思うのです。ただもう一つ考え方を聞いておきたいと思うのは、もし十月十一日付で千六十二名の者が一方的に解雇される、こういう措置になってきたときに、アメリカ側意向としては、当然軍の労務者としてもことしの人事院勧告に基づいて、それに準じて四月の一日から賃金の引き上げが行なわれる、あるいはまたすでに一般の公務員については一〇%の暫定引き上げも行なわれておる、しかし軍の労務者についてはその措置もとられていない、そういう状態の中で十月十一日期限が満了になって解雇される、そういうことになったときには、その遡及措置も行なわれない、さらに退職金についても旧ベースのままで計算をされる、長い人は数百万円のそれによって影響を受ける、こういう状況もあると思います。この点については、これは直接公務員給与がおくれておることについては防衛庁長官責任ではないのだけれども、以前に給与担当国務大臣をやられておって、私も何回もこの問題でやりとりをした経緯がありますけれども、当然、前臨時国会で措置されておればこの問題の懸念は解消するわけでありますけれども、それがなされていないために、いまのアメリカ側意向としては旧べースのままで切ってしまう、退職金もそれで払う、こういう方針のようでありますけれども、これはそうなってくると、時日を遷延させた政府に重要な責任があると思うのです。この点についての措置はどう考えておられますか。
  48. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) その御質問の前に、先ほどの答弁を漏らしました。  日本人を解雇しておきながら、アメリカの軍人軍属の家族をパートで採用している、こういう問題は誤解を招くのでやめてほしいということで、米軍に連絡してやめてもらったわけであります。  それからいまの質問でありますが、われわれとしては、これはもう私が責任を持って申し上げますが、その遡及措置は必ず適用すると、人事院勧告どおり四月から適用をさせるようにいたします。  それから、一〇%の内払いの問題については、アメリカが、アメリカにはそんな制度はない、そんなべらぼうな話があるかということを言っておりますが、しかしそれは三二%の外の一〇%ならこれは文句があると思うのですけれども、しかし、どっちみち払わなければならない内払いの一〇%を、他の公務員は四月からもらっているわけですからね。これは国家が責任を持って労務を提供しておる立場において、その一〇%を支払わぬというわけにはいかない。アメリカの制度、慣行とどう違うかは別である、ここは日本であるということでやっておりますが、なかなかいい回答を出しそうにありませんし、少し進展を見ておりますが、結局は私たちが、市川総評議長、まあ全駐労の責任者でもありますから、御相談をいたしまして、できるならば——まあここまで話していいかどうかわかりませんが、その一〇%については四月にさかのぼってすみやかに軍労の方々のお手に渡るようにするために、労働金庫から金をお借りをして支払って立てかえてもらう。そのかわり、金利がかかりますから、金利については私が責任を持ってそれは補てんをいたしますという御相談をいたしております。どうも内輪の話をあまり言い過ぎて自分でいま反省しているところですが、そういう措置をとってでも労働者の既得権を公務員並みにする責任は私たちにある、労務提供者側にある。そういう責任を考えながら対処しております。
  49. 野田哲

    ○野田哲君 この問題、最後に要望しておきたいと思うんですが、現在沖繩においての失業問題、きわめて深刻な状態になってきている。県の関係部の調査によりましても、沖繩の米軍の施設で働いていた労務者の失業者が現在六千八百人、一般が七千二百人、計一万五千人という数字が沖繩の県の調査で発表されております。これだけ見ても失業率は三・八%、さらに米軍の労務者の解雇という状態は、エクスチェンジに引き続いて予測をされております。そういたしますと、この状態は四%をこえる状態になってくるのじゃないか。失業率が三%をこえるというのは、これはもう社会的には異常な状態であるわけであります。しかもその中の半数は軍の労務者で占められている、こういう状態はまさに異常といわなければいけないと思う。そういう点から、アメリカのこれからの沖繩における基地の態様等とも重要なかかわりがあると思うんですが、沖繩における雇用の安定あるいは職業訓練、こういう問題等も含めて、特に軍の労務者が非常に大きな位置を占めておるわけでありますから、雇用安定策というものについてこれは抜本的な対策というものを政府のほうで検討してもらいたい。このことを要望して次の問題に入りたいと思います。  沖繩の那覇市、沖繩市をはじめとした五市三町にまたがってアメリカの軍用の油送管、POLというふうに略称で呼ばれておりますが、この施設について日本政府アメリカ合衆国との間ではどのような確認が行なわれているかという点をまず聞きたいと思うのですが、私どものほうで明らかにされておる文書で見たところでは、いわゆる沖繩協定、この第三条に基づいての基地に関する了解事項、メモランダム・オブ・アンダースタンディングという、この文書の中のA表の注1という中でわずかに一言だけ、この油送管の問題が台湾との通信施設等の問題に含まれて一言だけ触れられているわけでありますけれども、しかし、実際はこれは延長八十五キロと言われておる、ほとんど沖繩本島の中の南半分にまたがって、しかも人口過密地帯あるいは交通の過密地帯、ひどいところでは小学校の校庭の中を横切っている、こういう状態でいま沖繩に非常に大きな不安を与えておる。これは明らかに沖繩協定に基づく現地の施設の確認のときに、この問題の施設についてもっと検討すべき状態にあったんじゃないかと思うんです。このメモランダム・オブ・アンダースタンディングの中の少し触れられておる以外に、アメリカ合衆国と日本政府との間で具体的にこの施設の問題について確認され、あるいは取りかわした文書があれば、それを説明してもらいたい。
  50. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは外務省に答弁してもらわなきゃならないと思いますが、私は文書その他の問題はよく知りません。しかし、復帰前から復帰後、沖繩担当大臣でありましたから、那覇軍港から那覇市、浦添市、普天間、最も人口稠密地帯を、あるときには校庭を走り、あるときにはどぶ川のほとりを走り、あるいは三百三十号線の道路の下を、これは本来は提供地域なんですけれども、しかしその上をまあ舗装して道路に使ってもいいというようなことで、実際は道路の下というのが現状ですね、そういう状態で走っております。そうすると、過去に油漏れもありましたし、あるいはそれによってなくなった方もあります。犠牲者も出ました。そういうことでアメリカも相当神経質になって、これを点検は常時実施しておるようでありますが、そこらの詳細は事務当局に答弁さしてもよろしゅうございますが、問題は、ではこのもう一方、天願から南への二本がありますから、この二つのパイプラインを、アメリカ安保条約によって沖繩に駐留を認められている限りにおいて、軍用燃料というものを、パイプラインを引っぱらなければならないだろう、それを撤去せよと言ってもそれは事実上不可能だろうということは私もわかります。またそれは常識だろうと思うんですが、しからば基地があるからという話は別にして、置かなきゃならぬとすれば、それを日本のいま成田その他で議論されておるとおり相当きびしい保安基準というものができておりますから、そういうもの等に合致させるように米側に対して話もしていかなければ、相当危険な場所、場合によっては露呈している場所等がございますから、それらに対する保安措置あるいは、これはきのうきょう起こった問題ではないのであって、戦後からずっともうそれこそ昭和二十一年ごろにはでき上がったと思いますが、それ以来ずっとその上に住んでいる人、近くに住んでいる人、関係市町村長はそういうことを指摘しておられます。これに対して、やはり私どもがかりに撤去すると言ったって、どこかを走らせなきゃならないとすれば、それがあってもだいじょうぶであるというようなことを、まあ日本の国内の保安基準というようなもの等がきちんと当てはめられるような話し合いというようなものをしなければ、沖繩の関係の地域の住民の間にはいつまでも不安、恐怖というものがつきまとうだろうという気持ちは私もしておりますから、これはきのうきょう取り上げられたからじゃなくて、問題はずっとあると。したがって返還協定の際も保安の問題にはたしか触れていないと思います。しかし、これからの問題は保安の問題という問題でこれを扱っていく必要がある。まあ私どもの立場ではそう思っております。
  51. 野田哲

    ○野田哲君 防衛施設庁の関係者に聞きたいと思うんですがね。いま長官のほうで言われたパイプラインについての施設の概要、わかっておれば、延長幾ら、そしていつ設置をされたのか、そして直径は幾らなのか、こういう点について……。私はある程度調査したものはあるわけでありますけれども、三本のところもあり、二本のところもあり、四本のところもある、こういう状態でありますけれども、この施設の状態について把握しておれば伺いたいと思うし、そしてもう一つは、復帰の際に一体これは科学的に技術的に点検をしたのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  52. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 沖繩のPOLは、現在、那覇港湾施設から嘉手納の飛行場に至る分と、それから天願桟橋から嘉手納に至る分と、大分けに分けまして、大臣も言われましたように二本になります。それを二本であるか四本であるかということでありますが、若干支線的なものもありますが、大きく分ければ二本であるというふうに見てよろしかろうと思います。  それから、延長は、先ほど八十何キロとおっしゃいましたけれども、現在の総延長は四十七・五キロでありまして、平均一ないし一・五メートルの深さのところに埋設をしております。  それから敷設時期でありますが、これは終戦の年、昭和二十年から逐次敷設されたそうでありまして、何年に何キロという数字は手元に持っておりませんが、そういうことであります。  それから、この施設につきましては、絶えず米側では点検をしておりましたが、ことしの六月に二度にわたりまして事故が発生をいたしました。その結果、那覇の施設局から米側に抗議を申し入れ、その対策を要望したわけでありますが、その結果としまして、米側から正式に回答になりましたところから見ますると、次のようにやる提案があり、また現実にやっております。  その内容としましては、POLのラインの全体につきまして、アメリカの電子腐蝕調査器というものでテストを全線にわたって行なうということでありまして、このテストの結果、まずいパイプがあればそれをかえるということになります。このテストの終了時期はまだ明確になっておりませんが、これは相当飛躍的な進歩であろうというふうに見られております。それから、その間パイプラインについては毎日二回の点検をすることになっております。また、事故の起こりました二カ所につきましては、給油中絶えず巡視をするということであります。それから、さらに国道三百三十二号線沿いについてのパイプラインにフェンスを建設するという問題についても検討したいということであります。そのほか、パイプラインに関連する鋼鉄製の支柱を取りかえを要するようなところは取りかえてまいりたい、そのほか具体的に施設庁側から提案があればその点については十分検討したいということで、事故を契機としまして、米側としては相当抜本的かつ科学的な方策をとりつつあるように私どもは見ております。
  53. 野田哲

    ○野田哲君 先ほどお尋ねをした、この復帰のときに、あのパイプラインについては日本側として、それ以前に何回も、たとえば銭湯のお湯が汚染をされたとか、あるいは通勤途上の人がたばこの火をつけたところが川が一面に引火して燃えだしたとか、何回もさまざまの被害、災害が起こっているわけでありますから、そういう状態の中で、あの施設というものを政府側として点検されたのかどうか、これを伺いたい。
  54. 平井啓一

    説明員(平井啓一君) 先ほど沖繩における貯油施設につきまして、返還協定にうたわれている点を御指摘がございましたが、この返還協定を前提といたしまして、昭和四十七年五月十五日、沖繩の復帰にあたりまして、沖繩に所在する米軍の施設を安保条約に基づく施設・区域として提供する作業を日米間で行ないました。この際に、このパイプライン及び天願、桑江等にありますところのタンクファームないしは増圧施設等を一括いたしまして、陸軍貯油施設ということで一つの独立した施設・区域として、延長四十七キロに及ぶ複雑な施設ではございますが、一括した施設として日米間で合同委員会——協議をととのえ、施設・区域として提供する手続をとったわけでございます。ただ、ただいま御指摘のような、全路線にわたって一々日本側も立ち会いの上でチェックするというような作業は行なっておりません。ただ、それを協議するにあたりましては、先ほど来答弁にありますような安全措置について十分アメリカ側と話し合った経緯でございます。
  55. 野田哲

    ○野田哲君 現在この問題については、沖繩では非常に大きな社会不安を起こしておりまして、去る九月の十七日に、沖繩県知事の屋良さんからデビット少将あてに、POLの施設の撤去について、POLを撤去すること、それから二つ目には、撤去されるまでの暫定措置として、日本の法令に基づく安全基準によって早急な改修を行なうこと、こういう点をデビット司令官に申し入れると同時に、そのことについては、防衛施設庁あてにも、POL施設の撤去について米軍司令官あてに要請をしたので、政府としても、当該施設の提供者としての立場からアメリカに対して十分話し合って抜本的な措置を強く要請したい、こういう意味の文書が出されていると思うんです。それについて防衛庁長官あるいは施設庁としてはどういうふうに今日対処されようとしておるのか。
  56. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) ただいま大臣も御答弁になりましたように、嘉手納の飛行場を使っている以上は、このパイプラインを撤去することはおそらく無理であろうと思います。したがいまして、それが存在することを前提にしまして、被害が地域住民に及ばない方策を講ずることが当面の施策であろうと思います。そのために、ただいま知事は九月にそういう書類を出されたと言われましたが、私どものほうは六月にさっそく米側に抗議を申し入れ、その対策についての要望を申し入れたわけでありますが、ただいま私が申し述べましたような対策案につきましては、七月に米側からすでに回答になっております。したがいまして、この対策というものは、私は国内の法規にも準じまして相当抜本的な対策が講じられるものというふうに確信をいたしております。
  57. 野田哲

    ○野田哲君 抜本的な対策が講じられるものだと期待しておるということでは、これは沖繩の県民の不安は解消しないと思うんです。で、いままでも施設庁のほうから話がありますように、米軍側としては毎日二回パトロールをしておるというようなことは何回も現地からの抗議に対して回答されておるんです。ですから、これは期限を切って、明確にいついつまでにどうする、こういうことを明確にしてもらわないと、沖繩県民の不安は少しも解消しないと思うし、まして居住地の中を人家に非常に接近をして走っているところもあるし、あるいは沖繩市の小学校の校庭を通過しておるところもある。あるいはまた、この沖繩における、先ほど長官言われた、那覇の県庁の所在地にふさわしいようなというふうなことを上田委員の質問に答えられたわけですけれども、那覇の都市計画すらこのPOLの存在によって阻害をされておる。特に、交通の目玉として考えられておるモノレールの施設がこの問題で暗礁に乗り上げている。あるいは海洋博に向かっての、ますます過密が予想される三百三十二号線ですか、こういう問題もある。そういたしますと、これはそう期待をしておるということでは、沖繩の県民は不安は解消しないと思うんです。で、当面このデビット司令官のほうから回答があったこの電子何とかによるこの調査ですね、危険個所の調査、この調査には日本側は立ち会われるわけですか。
  58. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 現在米側が考えておりますのは、米側で行なうということでありますが、この問題に関連して、いまお話がありましたように方針はきまっております。私どもは、結果については見るべきものがあろうと思っておりますが、しかし地域住民の立場からいたしますると、具体的にいつごろ何をしてくれるのかということが問題でありましょう。したがいまして、そういう点については米側としても施設局と十分に協議をしたいということを申しておりまするので、そういう具体的な内容をもって地域の方々にお示しをするというふうにいたしたいと思います。
  59. 野田哲

    ○野田哲君 問題は、いまの沖繩の県民感情としては、アメリカ側だけで調査して安全だとか何とか言っても、それで納得したり安心したりするような県民感情ではないと思うんです。これはやはり日本側の技術者、科学者によって、向こうがやるというんだったら、それに日本側でしかるべきスタッフをつけて、合同で、日本側も参加をして確認をすると、当面の措置としての安全度というものを。そういう措置がないと、これは日本政府としても沖繩県民に対して納得をさせることはできないと思うんです。私が聞いておるところでは、屋良知事からの要請に対して、デビット司令官の回答の中では、日本側の技術専門家と協力する用意がある、こういうふうな回答があった、こういうふうに聞いておるんですが、その点はどうなんですか。
  60. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) その点につきましては、私どもまだ承知いたしておりませんけれども、県のほうとよく協議をいたしまして、そういうことが地域住民の方々の安心につながるということであれば、施設局あるいは県と合同でやるか、あるいは適当な技術者を県から提供していただくか、いずれにせよ、そういう線に沿って米側と協議をしてみたいと思います。
  61. 野田哲

    ○野田哲君 最後に、山中防衛庁長官に伺いたいと思うんですが、いまやりとりしたような形で、このPOLの問題は、これは沖繩の県民に対して非常にいま不安を巻き起こしておる。ここに切り抜きを、私新聞を持っておりますけれども、毎日、現地の新聞がこの危険性を指摘をしております。そういう点から、これは施設庁のほうでいまいろいろ回答がありましたけれども、これは沿線住民だけでも沖繩県の大半の人が住んでおる地域なんです。しかもこれは非常に過密地帯です。しかも、重要な学校とかあるいは保育所とか、こういう公的な施設があるところなんです。しかもひどいところは、先ほど言ったように校庭の中を横切っておる。これはいつ大惨事が起きるかわからないという状態にあるわけでありますから、これは施設庁だけの問題ではなくて、政府としてアメリカ合衆国に対して早急に抜本的な解決策をとることを強く申し入れてもらいたい、こういうふうに思うんです。そのことについて長官見解を聞きたいと思います。
  62. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはきのう、きょうの問題でないということは、前から申し上げましたとおり沖繩の、敗戦後に米軍が嘉手納基地建設その他を着工しまして、那覇軍港をつくり始めたときからずっと建設が進んできたわけでありますから、復帰前から問題はずっと提起されておるわけです。しかし、それを撤去する方法はいまのところ考えられない。できないとすればそれをどのようにすべきか、いまの検査も必要でありましょうし、それをやっぱり国内のパイプラインの安全基準というものに、ことに成田等においてきびしくいたしましたから、そういうものに合致するように米側に善処を求めるということは、これは当然私どもが現時点においてとるべき措置だと思いますから、そのような措置をとらせるように折衝いたしたいと思います。
  63. 野田哲

    ○野田哲君 それでは最後に確認をいたしたいと思うのですが、日本側の態度としては、日本の国内の法令に基づく安全基準を基礎にして、それによって改善を迫っていく、こういうように確認をしていいわけですね、日本側の態度としては。
  64. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) アメリカ側はこれを特別に隠したりなどはしておりませんし、隠すようなものでもありませんから、したがってそれの安全審査についても、御一緒に立ち会いたかったらどうぞということをおそらく言ったんでしょう。またその種の軍事秘密でもありませんし、必要であるとするならば、復帰後は、日本はこのようなきびしい石油パイプラインについては基準がある、ここらのところは検査の結果それに合わないからこういうようにしてほしい。土壌凝固剤などまで問題が広がっておりますけれども、そういう、上のほうをトラック等が通った場合にもしひび割れが出たときにどうするかという問題等も含めて、やはりそういう基準を適用して、沖繩の人々が、あることは承知をしておる、向こうも隠していない。しかし、まあ一応日本の法規に照らして安全な基準のもとにあるならばというところまでは、これは私どもがやらなけばならない仕事である。アメリカ側との折衝が必要であろう、そう思います。
  65. 秦豊

    ○秦豊君 初めての質問ですから慣例はよくわからない。私なりにやります。  本論に入る前に、鹿児島発言と伝えられた長官のかつての心境がありますね、政局を焦点とした。求められても留任なんかしないと言われた、あの心境と比べると、さっきから上田委員に対する御答弁などからうかがえるように、十月十五日にはシュレジンジャー長官との会談もワシントンで予定されている。やる気十分のかまえに見受けられるのだが、あなたの鹿児島発言から推移したあなたのいまの心境、政局についての。あなたのような頼もしい防衛庁長官は、むしろもっと長くやってもらいたいという気持ちを込めて伺うのだが、いかがですか。
  66. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 秦新議員の冒頭からの私に対するお励ましのことば、身に余るものとして受けとめます。  ただ、報道はあのとおりでありますが、私が言ったのは、現職の閣僚が県連会長になるということは異例であると、少なくとも鹿児島県連にはそのようなことは存在しなかった。しかし今日の——これは私どもの仲間の県連の話でありますから——今日の自民党の危機は、まず中央においていろいろ言ってもいいが、自分の地元をりっぱにできないようで中央で言えるかという気持ちで自分は就任をしたと、だから閣僚と県連会長を同時に行なうということについての問題点は、早くて十月、おそくても十一月に行なわれるであろう改造、その際に解消するはずである。まあ求められてもという、そういう意味かどうか知りませんが、まあしかし、いつやめることになろうと、全力を最後の瞬間まで尽くすのはあたりまえでありまして、ただいま答弁いたしました平井施設部長も明日付でその職をかわります。しかし最後までこうやって一生懸命答弁している。それは制服の諸君といえどもその任務に従って最後まで努力するということで、やる気満々というのはその最後の瞬間までやる気満々でありまして、そういうつもりで、ひとつそこのところはさらりとそっと素通りを願いたいと思います。
  67. 秦豊

    ○秦豊君 多少の含みは残しましょう。  本論に入りますけれども、ことしはたしか被爆二十九年になる。しかし、この現実は残念ながら、国際的には、たとえばインドを先頭にしたような核の拡散である。国内的に限定してみると、非核三原則というものが極端に風化をしている。これは日本語としては空洞化と置きかえてもいいと思う。しかし、すでに政府は、みずからが取りきめた非核三原則については、つくらず、持たずについては、これは憲法上の問題であるけれども、持ち込ませずについては政策上のことであるという抜け穴とアローアンスをみずからすでに設定しているわけですね。私に言わせれば、とんだこれは法王庁の抜け穴ならぬ防衛庁の抜け穴か、永田町の抜け穴だと私は言いたいのだけれども、したがって、あなた方がすでに国民に確約をした非核三原則というのは、私に言わせれば一つプリンシプルが抜けて非核二原則に成り下がっているというふうに言わざるを得ない。そうした観点から、核の問題について多少伺いたいのと、あとはホノルルですでに共同声明を出して終わっております第七回の米韓安保協議会、この問題に即した質問を、おそらく小手もかすらぬと思うが防衛庁長官に多少伺ってみたいと思う。  よく使い古されておりまして、いかにも自明のことと思われているけれども、突き詰めてみると何のことかさっぱりわからないということばが多多あります。一体、核のかさということばがあるけれども、日本にとって核のかさとは何であり、また言われるがごとくわが国はアメリカの核抑止力、つまり、そのいわゆる核のかさの下にすっぽりと、のうのうと安心した状態で入っているのかどうか、そのあたりの防衛庁長官の御認識というか御見解というか、その辺から伺っていきたい。
  68. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず非核三原則でありますが、これは政府の単なる方針ではありませんで、御承知でございましょうが衆議院において決議された事柄でもあります。したがって、つくらず、持たず、持ち込ませずという日本のみずからの意思、外に対する意思というものを明確にしておるということでありますが、問題は、抜け穴があるとおっしゃるならば、その核とは何ぞや、それはわれわれは戦略核ということを考えているわけです。そして戦術核といえども憲法上の、いわゆる先ほど憲法上から二つの核については制約だとおっしゃったのですが、憲法上厳密に言うと、戦術核というものはこれからどう発達していくかわかりませんし、NATOあるいはソ連側のほうも、全部ワルシャワのほうも戦術核をもう装備しておりますから、配置しておりますから、そういうことであっても憲法上は戦術核であるならば、きれいな、クリーンと申しますか、そういうのができているようですから、しかもそういうものであって局地戦だけのものであるならば、憲法上はたしてそれが違反といえるかどうかという疑問はあっても、許容されると思われるものであっても、日本はそれは持たないんだと、こういうのが政策だとおとりいただきたいと思うんです。そういう方針でいくということであります。  そこで、アメリカの核抑止力のかさとは何ぞや、これは確かに議論してみる価値のある問題です。あるいはしておかなければならない問題であります。ということは、アメリカには今度は日本の核のかさのただ乗り論というのがあります。日本は、先ほどは上田議員には安保条約の廃棄論がむしろ向こう側にもあることを私は言いました。これはほんとうの話です。しかし、逆に核のかさのただ乗り論という議論向こうにある。しからば、双方ともに核のかさと言っていることは何なのか。それは私たち日本列島、長い長大な緯度にまたがって点在する島国、しかも非核三原則を原則としながら、攻めてこない限りは日本は武力の行動を全く行なわないという制約を持っておる。したがって武器についてもそういうものに限定して装備をしておる。そういうときに、ならば日本に対して、通常兵力をもってして自分の掌中におさめようか、そこに拠点をつくろうかというようなことを考える余地があっても困るんで、これはどこの国とは申しません。しかしアメリカがいま日本を占領しておると私は思っておるわけではありませんが、要するにアメリカとの間に、お互いが困ったときには軍事的に日本の国土を中心お互いが両国に対する共通の脅威として対処するということを中心安全保障条約を結んだわけでありますけれども、そのことについては何も核のかさなんていうことは書いてないわけです。したがって、しかも核戦略構想というのが非常に、相当長く定着いたしておりました一億相互に報復殺傷能力というようなことから脅怖の兵器、使えない兵器として考えられていたものが、あとお話があるかもしれませんが、シュレジンジャー長官の構想によって、ICBM、複数核弾頭のMIRV等の目標設定を、大都市軍需工場等から基地のサイロ等のほうにも変え始めた、方向を変えたということもありまして、第二次SALTは、またソ連のMIRV化の著しい進行によってきわめてむずかしい難局で推移しつつあるが決裂はすまいと、デタントの方向は逆戻りはすまいと、こういう環境の中にあって世界の核に対する考え方も違ってきておると思います。インドにしても、中国にしても、フランスにしても、自分たちのほうは平和利用である——まあフランスはそう言っているかどうか正確じゃありませんが、あるいは中国は自分たちから先に使うことはない、こういうことを言っておりますし、インドは核兵器をつくるつもりはないと言っておりますが、いろいろとそこらの問題について考えますときに、日本は非核三原則は貫いていくのだと、核を持たない日本ならばいっちょう手を出してみるかということは、アメリカが超核保有二大国といわれる存在において日本のうしろについていると、安保条約の精神は当然日本に対する核のおどしゃ直接の脅威はアメリカの報復を招くことに連鎖的に、瞬間的につながると、したがって日本に対しては核の脅威をもたらすことはないという意味において核のかさということばを使っているのではなかろうか、またそういうふうに考えるべきであろうと思います。
  69. 秦豊

    ○秦豊君 具体的に、ではこの核のかさという概念——戦略概念と戦術概念か含まれると思うけれども——に相応するのは、たとえば七艦隊のミッドウェーとかその他の艦艇、あるいは戦術空軍の一部、さらには日本に差しかけられたかりにかさであると仮定すれば、韓国に展開していると言われている戦術核兵器の集団、戦力というふうなものが相応しますか。
  70. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それではなくて、一義的な核のかさは、アメリカ本土に展開しておりますICBM、しかもMIRV化が行き渡っておる、それとSLBM、潜水艦に積載する弾道弾でありますが、御承知のとおりでありますが、念のために申し上げておきますと、それのMIRV化あるいは新型潜水艦建造の装備化、現在までの既設の就航しております潜水艦もMIRVの弾頭を、ランチャーを積めるように改造するとか、発射装置を変えるとか、そういう改造等着々急いでおります。これは米ソ両国、SALT1の精神の中でやっていることは、SALT2に至るまでの過程においていかに優位を質的に保つか、量の問題をしからばバランスを取り戻すかという、いや譲れない、譲る、それは目をつぶる、つぶれない、じゃ今度は核の長距離運搬手段である渡洋爆撃機ですね、そういうものとか、いまB52ですが、B1なんというものをいまアメリカが研究しつつある。それの機数の違い、潜水艦のソ連側の逆に優位、あるいはソ連側は欧州に展開する中距離弾道弾というようなもの、戦術核の以前の問題、こういうような、相当遠いところから打ち込んでくる、しかもスパイ衛星で絶対につかまえられないものはもういまはないと言われておりますが、原子力潜水艦が最高深度までもぐったときにはどうしても把握できないということで、非常に両国いら立ちを示しておる。こういうようなことから、この問題の中心はやはり戦略核兵器に重点を置いてのことであろう、こういうふうに考えております。
  71. 秦豊

    ○秦豊君 それでは観点を変えますけれども、じゃ一体アメリカはいざという状態、不幸な状態を仮定しまして、いざという場合には文字どおり最終兵器である戦略核兵器を日本の安全と防衛のために使ってくれる、つまり核のかさを開いてくれるという政府側の、つまり防衛庁長官をはじめとした日本政府側の確信は一体何に基づいていますか。
  72. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 核のかさを開いてくれる状態は地球の人類の破滅を迎える日であります。ですから、そのようなことはあり得ないために、いま超核保有大国である、しかもスパイ衛星を飛ばし得るたった二つの国であるアメリカとソ連との間において虚々実々のかけ引きが行なわれておる。その中においての使われざる兵器、あるいは使うことの不可能な兵器として、いよいよその質、量、弾頭の重さの競争は加速度的に加わっておる。これはある意味においては不幸な競争だと思うのです。しかし、それはいよいよ日本一国に対してのみ核を使用しなければならない状態の出現を遠ざけるものであるというふうに私は思います。逆に言うと、日本に対して核を、直接使うかは別でありますが、日本に対する屈服、侵略の道具としてちらつかせながら、あるいは直接使いながら日本列島を掌中におさめるようなことは、そうするとアメリカの核の対応ということが、かさを開くかどうかという問題になりますから、それは直ちに全地球上を弾道弾が飛びかう。全地球上の人口を何十ぺんも殺せるだけの量がある、天文学的な数字とキッシンジャー長官が認めております。こういうことを考えると、そういう事態を想定はしてはならない、しかしそういうことにならないような状態になっていることの確信は、それは両方ともその事実を知っているということであります。
  73. 秦豊

    ○秦豊君 それでは長官に端的に伺いますけれども、今日なお、そのあなた方の言う非核三原則なるものは、今日もなお厳守されていると断言できますか。
  74. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは外務省の立場から答えるべきであると思います、いわゆる持ち込ませずの問題は。しかし、つくらず、持たずの問題は、これはもう防衛庁長官であろうとなかろうと、閣僚全員が答えられる。また国会議員もそれは私は外国に対して聞かれたら答え得ると思います。日本で核兵器はつくらず、持たず、日本意思です、これはやらないわけですから。持ち込ませずということについて確認をする立場には私どもはありませんが、外務省としては持ち込ましていないし、持ち込む場合は事前協議の対象として約束されておるので、事前協議なしに持ち込まれたこともないし、また持ち込んでもいないということを答弁をいたしておりますから、私どもは外務省の見解安保条約締結当事者としての責任ある国会に対する、国民に対する答弁であると考えておりますので、防衛庁としてはその外務省見解をそのまま信じたい、そう思います。
  75. 秦豊

    ○秦豊君 あなたの言われた点は、たとえば八月二十九日の当院の外務委員会において、たしか公明党議員に対して木村外相の答弁の中にミッドウェー問題があったと思う。つまり非核三原則を厳守していると、おそれはないという趣旨であったと思う。私はここで一つだけ私自身が確かめたデータに基づいて山中長官に伺っておかねばならぬと思う。この木村外相に対する質問は、たしか公明党議員だったと思いますけれども、これは塩出議員ではなかったかと思います。そのときの木村外相の答弁は、私とは観点が違うわけですけれども、私は去る八月六日にユージン・ラロックという海軍少将、すでに予備役に編入されておりますが、前の第七艦隊の旗艦であるプロビデンスの艦長でもあります。彼に直接電話をして確かめた若干の事実について——この人ですけれども、もう現在リタイアしています。で、彼と八月六日の日本時間の深夜一時間以上にわたって取材インタビューをしたときにですね、若干の事実関係を把握した。この点について、木村外相とは違った観点が当然生まれてくると思うけれども、このユージン・ラロック提督というのはすでに今月の、つまり九月十日のアメリカ上下両院の合同原子力委員会においても、朝鮮半島の南半分——韓国の領土内にある韓国の核兵器についてすでに具体的な答弁をしています。その提督です。八月六日の日本時間の深夜、私が彼のオフィスに電話をして確かめたところでは、次のような文脈がとれている。つまり、ラロック提督の以下は陳述ですがね、証言ですがね、ミッドウェーとか、あるいは同タイプの航空母艦、それからあるいは巡洋艦などが核装備能力を持っているということは断言ができる。私の海軍における三十一年間の経験から言えるのは、核装備能力を持つ艦船が実際に核装備をしないで航行をしていたということはいかなる時点においてもなかった。したがって文脈を詰めれば、私が知る限り核装備可能な艦船というものは常に核兵器を装備している。ただ、一つだけ例外がある。それは、オーバーホールのためにしかるべきドック入りをするときであるけれども、このときには保安上すべての武装が解除される、搭載している核弾頭もおろす。しかし、海上で日常の作戦活動に従っている、たとえばミッドウェーが、たとえば横須賀を想定して、横須賀に入る場合にわざわざ日本の領海外で特殊な貨物船をくっつけて、その貨物船のほうへ核弾頭を移しかえる、たとえばミツドウェーやオクラホマシティーが日本への入港前に核兵器を他の艦船に移しかえるというふうなことはあり得ない。このことは非常な危険を伴うし、海軍の常識としてはあり得ない、事実上やっていない。まあこのような答弁をはじめ二、三の事実関係について収録をしたわけです。それからしても、私は、いままでたとえばあなた方が何か追及されると、日本は非核三原則を厳守している、そこにいつも逃げ込んでいらっしゃるわけだけれども、まあこれは先般のたとえば脱走アメリカ水兵の証言等も、銀色に輝いた弾頭を見た、後部飛行甲板第五デッキ、というふうな言い方があり、それを指揮をしていたような職位と階級にあるたとえばユージン・ラロック海軍少将が、責任を持てるかという私の重ねてのだめ押しに対して、これは私が海軍の提督としての責任において答える、という付言をして答えてくれたこれは事実関係です。これについて、まずいままでの部分についてだけ山中長官に伺いたい。
  76. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはやはり外務省ということにどうしても答弁はなります。ということは、安保条約に基づいて、そして外務省がミッドウェーの横須賀母港——俗に母港と言っておりますが、そういう寄港を認めておるということについての答弁は、これは外務省が説明をすべき立場にあります。  ところで、ミッドウェーはしからばどういう船であるかといえば、それはジェーン年鑑ではっきり言ってあるように、世界で初めて核装備できるように改良をされた、改装をされた初の戦艦であるということを言っておりますから、ある意味では非常に古い船であることも間違いないですね、現在から見ると。でありますが、世界で初のそういう改良を加えられたものであることはジェーン年鑑で明らかですから、そういう能力あるいは装備するための改装が行なわれた船であることは間違いがない。しかし、そのことを防衛庁長官が確かめろと、確かめる義務はおまえにあると言われても、私のほうはそういう立場には実はないんで、それはやはり日米安保条約といえども外交のルート、チャンネルにおいて話をしてもらわなきやならぬことである。まあいろいろありますから、私は一ぺんミッドウェーにヘリかなんかで行きましてね、一ぺん見せてもらおうかなあなんて気持ちも持っておりますが、まだなかなか時間がありませんので行ったことありませんが、私自身も一ぺんは見ておくべき船だなあという気持ちがいたしております。
  77. 秦豊

    ○秦豊君 まあこれは国会ではもうこんにゃく問答と言われていましてね、ややパターン化されているきらいがある。だから、あなたの答弁は予期どおりなんですけれども、たとえば、それでは政府のあなた閣僚として、ミッドウェーもオクラホマシティーも、つまり横須賀であろうとどこであろうと日本に入港するアメリカの艦船には核が搭載されていないという具体的な裏づけというか、それはあなたの権限の中にないわけですよ。持ち込まないという架空の、虚構の上に立ったそれは慣例化された実績になっていて、したがって、これは一種のトンネル問答とも言われているけれども、では具体的にミッドウェーが、あるいはオクラホマシティーが核を搭載していないという反証をあなた方は出せるのか、どうなんですか。
  78. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 防衛庁は出せません。しかし、外務省はその立場上疑問が国民にあればそれに答える責任がありますから、対外折衝の場においてそれは答弁をすると思いますが、しかし国際法上相手国の軍艦に、いわゆる違う国の人が入って点検をすると、検査するということは許されないという国際法になっておるということを外務省は言っているようであります。これは私は同席して聞いたわけではありませんから、間違えていたらあとで訂正しますが、そういうことも聞いたことがありますから、まあいずれにしても外務省の分野です。私どもとしては、ミッドウェーが核を積んで日本に入っているのか、日本に入る前には、事前協議をする場合は別として、おそらくそれでもノーと日本は言うんでしょうから、そういう場合に日本以外のどこかの基地でそれをおろして、そして日本に入っているのか等については私どもが立ち入るべき分野の別な範囲である、そう思います。逃げておるわけではありません。
  79. 秦豊

    ○秦豊君 これはいままで六〇年安保時代から、たとえばわが党のなくなった横路節雄議員であるとか、当時の赤城防衛庁長官、決してこれは新しい事実関係ではなくて、これはもう十数年風化した問題になっている。だから、あなたがそういう答え方をせざるを得ないということは、一閣僚として、しかも重要な時期を控えたこの時期に当然であるとは思うけれども、やはり私は、第七艦隊のたとえば司令官という立場にある人々が、あなたの責任の裏づけを持った発言ですねという私のリコンファームに対して、責任をとれるという答え方をした中に、日本への入港前に核兵器を別な船にということはもうあり得ない、保安上、安全上あり得ないということを、自分の三十数年の海軍生活にかけて、軍人の名誉にかけて答えているわけです。だから、私はまあ一種のこんにゃく間答みたいなものでね、こういうテーマは。日本防衛庁に迫っても、いいえありませんと、これで十数年風化したこれはテーマです。しかし、少なくともわれわれ野党は、特にわが党は一つ一つの裏づけをもって、あなた方は永遠に逃げ切ろうとするかもしれないけれども、一つ一つ、その時期時期には、具体的な問題で追及をしなきゃならぬと、国民感情に対してもこう思います。  私は最近のシュレジンジャー長官になってからの、いわゆる七五年度国防省年次報告というものを見てみたんだけれども、この中にある思想は、やはりこれまで十三年間ぐらいあった総花的な軍事的なコミットメントというものを集約整理すると、整理して、戦略核兵器の運用であるとか、あるいは一般部隊についてもきわめてその方向を明快に打ち出していると思うわけです。そこで、その場合にあなた方は、核のかさというものに依拠している政府与党の閣僚である、政府閣僚である。われわれから見ると、たとえばシュレジンジャーの七五年度リポートによると、アメリカにとっては、何よりも全世界的なアメリカの安全と利益が第一義であるという立場をとり、同盟国の自立自衛の努力によって見返りたるアメリカの支援の態様が変わってくるんだと。つまり、あくまで日本なら日本の努力次第ですよという念を押しているわけですね。それから、単純なこの核のかさ論ではなくて、どこかの同盟国が攻撃された、すぐにアメリカの核ミサイルが反撃するというよりは、総合的な一般目的部隊、つまり一般部隊ですね、これによって全般的な抑止力を形成すると、こういう思想がシュレジンジャーリポートには流れているわけですね、あと見解を伺うけれども。それで、アメリカから日本を見た場合は、ヨーロッパとアメリカはそれこそシャム双生児ではないが一体不可分である。これはもう優位からいえばトップにある。ところが、アジアはそれに次ぐものでしかないという位置づけをあのシュレジンジャーリポートはしていると私は思う、少なくとも。そこで、この戦略核ミサイルによる大量報復、都市の破壊戦略というものは当然修正する時期にあるというのがあのリポートの私は思想であると思う。たとえば大きい破壊を、決定的な破壊をする前に、急速に終わらせるために、目標を限定して確実にたたける能力だけはお互いに誇示する、デモンストレーションする、ちらつかせると。そうして第二撃能力は超大国が相互に残しておいて、余力を残しておいて終結する。こういう思想、まあ戦略というか、そういうものがあるわけですね。あると思うのです。その場合に、日本にとってのあなた方の言う核のかさというのは、私にとってはやはり開かれざるかさである、壮大な虚構であるという把握を私はしている。またそのような、核のかさが発動されるというふうな民族や国民にとって破局的な事態を想定するということはそれは不幸である、そのこと自体が不幸であるけれども、やはり国会論議の場においては、あり得べき不幸なケースとして、やはり長官の、私がいま多少長くなったが、質問をしたポイントについてすべて答えていただきたい。
  80. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 言われたことは、これはもうレポートそのものの内容ですからそのとおりだと思うのですが、別途、これはフォード大統領も含めてですけれども、アメリカが過去において約束をした二国間あるいは多国間のそれぞれの間における安全保障上の約束の確固たる継続の意思を表明して、安心せよということを、安心してもらいたいということを表明しておりますね。したがって、外向けと内向けに言う必要もありましょう。ということは、アメリカの議会においては、ベトナムの末期あたりから、アメリカがなぜ海外にそれだけのものを、結局は納税者の負担において膨大な軍事費をかけなければならぬのかという、そういうような議論は絶えずありますから、それに対して、いやそれはアメリカ国民を守るためにわれわれは海外にも基地を持ち費用もかけているんだと、こういう言い方をやはりせざるを得ぬ立場アメリカ政治家もあるのだと私は思って見ておりました。かといって、いままで、たとえば日本なら日本と、軍事的に日本が困ったときにはいつでもアメリカがだいじょうぶですよという約束をそろそろ変えなきゃならぬ時期がまいりましたという話は全く風のたよりにもない。そういうことでありますから、むしろこれは最初の就任のときの所信表明というものまで加えた、いまのはシュレジンジャー長官ですから、予算の教書にくっつけて長官としての意見を述べたものだと、対議会に対する見解である。逆に言うと、私どもも、ではなぜアメリカ安保条約を結んで日本にわざわざ、これだけトラブルがある、議論がある、国会で年じゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう言わされているアメリカの軍隊を、基地を提供して置いておくんだと。それはわが国の、国の独立と平和、国民の生命財産を最終的に安心だというために担保するためのものでありますとわれわれは言うわけですね。そうするとアメリカは、核のかさのただ乗りだと、軍事費に金を投じないで、そうして経済侵略をしてくると、こういう言い方をするわけですから、そこらのところはいままでの路線の極端な変更なしというのが私の考えであります。
  81. 秦豊

    ○秦豊君 簡潔にこれはお答え願えればたいへん次の質問へのゆとりを生みますからいいんですけれども、端的に私もずばっと聞きますけれどもね。たとえば国会論議なんかで何万回繰り返されたかわからないのだが、一体この核のかさということば、テクニカルタームみたいなものですね、長官の認識はどういうものですか、具体的に。
  82. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は、核のかさというのは通常みんな使うものですからそういうことを言っているんですけどね、しかし、核のかさというのはきわめてあいまいだという気持ちも一面します。要するにどちらもお互いが一ぺんトリガー、引き金というものを核に——核に関してですね、まあアメリカでは大統領の黒い小箱と言うそうですね。そういうようなことが、もし、ホットラインをもつくったにもかかわらず米ソ両国間において起こったというような場合においては、これはもう全く核のかさの関係も何にもない、南米からあるいはアフリカ諸国から、まあ映画「渚にて」ではありませんけれども、全人類の問題です。ですからそういうようなことは想定していないけれども、じゃなぜやっているんだと。しかし、それは今度のシュレジンジャー構想の一番大きな特徴として私がとらえております一つは、相互に一億の即時報復能力を持っておる、一億人ずつ。この巨大な戦慄すべきことにアメリカがもしちゅうちょを感じたら——どちらの国の一方かがと言っていますが、自分の国がということでしょう——アメリカがそのようなことにちゅうちょを感じたら、向こうはジャブを出してくるかもしれない。それにはやはりミサイル戦略の配置、目標の展開のしかたというものを変えるということによって、局地的にでもそれはジャブにはジャブの応酬をするぞという形に変えたんだと、これはシュレジンジャーになってからの私はきわめて大きな特徴ある核戦略ミサイルの戦略の変換だと見ております。
  83. 秦豊

    ○秦豊君 このドクター・キルマークは、やはりなおアメリカのペンタゴンなどには一定の影響力を持っている専門家だといわれています。彼の意見の中に、たとえばNATOと日本を比べた場合に、いまの長官の話に関連するけれども、たとえば日本を見るアメリカの価値観ですね、客観的に見た。つまり、戦略的なプライオリティーというか、これはNATO諸国と日本とはかなり違う。NATO各国とアメリカとはやはりお互いにリンクするものがあり得るだろう。日本は違うと、したがって、日本にとって発動を予見される、つまり発動の可能性のある核のかさなどはあり得ないというのがドクター・キルマークの所論なんだけれども、われわれは日本防衛構想の基本において、通常の兵力はあなた方一生懸命に四次防、次は五次防、単年度にするかどうか、上田氏の質問にもあったように、まあこうなっている。しかし、多くはアメリカの核抑止力というものを主軸にして通常兵力とのコンバインをする。この図式は当分はずれないと思う。ならば、いまのドクター・キルマークが言ったアメリカとリンクするものは日本にないんだ、NATOが優位にあり、日本はその意味では低位にある。日本にとって差しかけられる核のかさなどはあり得ないんだという、一民間人ではあっても影響力の大きい人の所論に対して、長官はどう思われますか。
  84. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 民間人の所論というものに対する見解は避けましょうが、私たちは、日本地図を平面的に見る場合に日本をまん中に置いた地図を見ますですね。そして、アメリカが全部入ることもあれば西海岸だけが入っている地図を見がちであります。地球儀を見てさえ地球儀を日本を正面に置いて見る。しかし、平面化した場合に、これはアメリカとヨーロッパというのは、いみじくもおっしゃったように、これは全く一体のものです。ですから、その意味において対ソ戦略をアメリカは考えていると思うんですね、あるいはソ連圏、ワルシャワ条約軍に対するNATO軍、アメリカというもの、運命共同体みたいなものですよ。これは、この地図をアメリカとヨーロッパをまん中に置いて見てみれば日本は文字どおりファーイーストですよ。そうすると、その間は広大な太平洋というものが隔てております。ですから、その意味におけるあなたのおっしゃる指摘はある意味で私は正しいと思うんです。しかしソ連がMIRVの実験を最近、去年から始めました。ことしに入ってからもすでにもう三回ほどやっております。いずれもきわめて正確に、きわめて驚くべき成功を示しております。チュラタムからシベリアを越えて、日本列島の北をはるかに飛び去って、ミッドウェーの北に着水するわけですね。それは脅威だとは思いません、向こうもちゃんと危険水域をつくって、そして弾着観測をしているわけですから、思いませんが、しかし、それはヨーロッパとアメリカとの間のみ起こる問題である、日本は全く無関係だとは実は言えないんで、これは中ソの対立という問題もいまや中距離弾道弾からだんだん運搬手段も含めて相当な遠距離に届くようになりつつある、中国のほうも。というようなことから、いろいろ推測や議論がなされておりますけれども、まあまあ日本ひとりが圏外に立つようなことも、核戦争が始まるというようなことになればあり得ない事態だろうし、その前にはもうささたる軍備などはあろうとなかろうと問題外だということでありますから、そういうものは、核戦略はお互いに発動し得ない戦略である。しかし、そのために現状はたいへん憂慮すべき方向に進んでいるが、しかし必死になってデタントの逆戻りをはばもうとしていることは間違いないだろう、どちらも人間の集団でありますから。そうすると、われわれはその抑止力のもとでいままでどおりの構想が間違いであると一がいに言えない。日本は持たないと言っているんですから、持たないならば、どちらからかの脅威を受けた場合にはどちらかが保障してくれる立場というものを持ちませんと、日本列島というものはきわめてすきの多い魅力のある島であり、巨大な工業生産力を持つ一億一千万の勤勉な民族の居住する島であるという、垂挺おくあたわざる国であることも、ある意味においてわれわれは誇りを持っていいと、そういうふうに思いますから、その意味において、いまの構想というものについて特別にそう大きな問題がいま起こっているというような気はいたさない次第であります。
  85. 秦豊

    ○秦豊君 そうしますと、先般来国会でしばしば討論の、質問のポイントになったOTHですね、たとえば泡瀬であり所沢であります。これはアメリカのためであって、しょせんはですよ。ソビエトの核攻撃目標として核は吸引するけれども、それをもって直ちにアメリカが反応するということはあり得ないという見解を私は持っているんだけれども、つまり、われわれは、われわれの本土内に展開しているOTH、まさにその存在によって核は吸引するが、それによって日本がそこなわれるという見解を持っているんだが、長官はどうお考えになりますか。
  86. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) たいへん好意的に、安保条約の許容範囲かどうかの御質問等については除いていらっしゃいますから、純軍事的な意味においての御質問と承ります。したがって、その意味においてお答えいたしますが、私は、この問題は確かにアメリカの米本土防衛戦略軍の中に組み込まれた一つのものだと思うんです。しかし、これは直接のABM機能の、まあ二つずつ二百基というのが一ヵ所ずつ百基になりましたですけれども、そういうものに直接連動するものでもない。あるいはまた逆に、それを探知して直ちにそれが反対側の、いわゆるアメリカ側の探知能力ですから、発射した国に向かってOTHでとらえた発射ミサイルに対して直ちにアメリカがそれに対応していく。しかしそのミサイルは、いずくんぞ知らんアメリカ本土をねらったのではない、目つぶしを食わせなければならぬから、したがってまず日本のOTHというものを目つぶしをかけたミサイルであったというようなことは実は考えられないんで、目つぶしなどをかけるという、いわゆるアメリカのミサイル防御あるいは反撃戦略の中の一環ではない、早期探知能力の最前線ではあろう。しかも、この能力もスパイ衛星により、きわめて精密な発達によってこれがいずれ取ってかわれて不要な存在になる日も近いであろう。しかし、いまはまだ発射した事実というものの探知には役に立っていることだろうと思いますが、したがって、これはアメリカが核戦略の最先端の一翼として設置しているものではない。探査能力としては超水平線レーダーとしてきわめてすぐれたものの一つである。このことはもうむしろソ連のほうもよく知っておることだろうと思いますが、それによって日本を脅威におとしいれる引き金になるということは軍事的には考えられない、そう思います。
  87. 秦豊

    ○秦豊君 時間がたいへん切迫しているようなので、残念ながらはしょらざるを得ない、次回を期さざるを得ませんけれども、先般二十五日にホノルルで発表された米韓の共同声明ですね。御趣旨はお読み取りのとおりなんだけれども、あの中に述べられておりますのは、やはり、韓国に武力攻撃が加えられた場合には、アメリカは一九五四年の相互援助条約によって迅速かつ効果的な援助を与えるという、そのことをリコンファームしたものだと、これが米韓共同声明の私は骨子であると思う。そうなってくると、当然岩国や沖繩基地との関連も黙視するわけにはいかない。たとえばいま岩国に配属されているハリァー、もともとこれは上陸支援機ではあっても、やはり海兵隊とかヘリ空母と連動できるような性能を本来的に持っている。それから、年内にはトムキャット14がさらに岩国に配属される予定とも伝えられている。あれは足が長いというのが第一特徴ですから、そうなると、迅速な対応というものと、日米安保協議会における事前協議というものがはたして完璧にリンクし作動をするかどうか、非常にシリアスな局面を迎えた場合に、ハリアーは、あるいはトムキャットF14は半島を目ざす、防衛庁はつんぼさじき、はるかあとになって了知されたいというふうな事態は、作戦的にはまた戦術的には多分にあり得るケースであると思う。架空のケースについて一防衛庁長官が一々答える義務はないとしても、考えられる作戦思想として、岩国の基地というものはそのように非常に危険な戦術的な機能を負わされているという私の認識に対してどう思われますか。
  88. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず、ホノルル会談の米韓——アメリカ、クレメンツ国防次官と韓国国防相との会談の発表の内容は、私は、重点は実はそこにはなかったんだ。それはいままでも繰り返し言っていることであって、それを確認したと言っておりますね。むしろ、アメリカ側が相当真実性を持って、しかも、上下両院では三年後はゼロにするというようなことまで言っておる在韓米軍——国連軍と米軍との二つの帽子という話もありますけれども、要するに在韓米軍、あるいは在韓援助、米−韓の援助というものに対するきびしい態度というものに対しては非常に不安がっている、大韓民国という立場で不安がっておる。そこでそれを、韓国から米国は大々的な撤収計画はないんだということを確認したということに、一番大きな意義を韓国側としては見出しているのではなかろうかと、そう思います。しかし、御質問はその点ではありませんから、いまおっしゃったように、さて嘉手納は、岩国はということに、これは非常に南北相戦う、あるいは南北のうしろにソ連かあるいは中国かが、北と一緒になって、南の国連軍とほぼいま称しておるアメリカ軍を中心にしたそういう勢力を組み込んだ中の激突が起こるという事態を前提にしての議論でありますから、こういう議論は架空の議論でも、同一民族が二つに分かれて国家を形成し、そして対峙しておることの悲劇を考えますときに、非常に慎重にものを言わなきゃならぬと私は思うんです。そういう意味で慎重なものの言い方をしたいと思いますが、そのようなことのなからんことを祈り、そしてそのようなことがもし人類の不幸として朝鮮半島の同一民族分断国家の悲劇として、そういうことが、引き金が、もしアメリカが動かなければならないことが起こった場合の事前協議その他については、これは戦闘行動についてはわれわれはどちらの指揮下にも入らず、相互連絡をしながらやりますけれども、しかし、われわれは日本国土防衛というものでありますから、わが国の自衛隊というものはそれに対して何もできない、することができないという制約はあります。それ以上のアメリカの在日米軍というものがどう行動するかということは、これもまたそのときの態様によりますが、一義的には外務省との、まあ日本政府と言っていいでしょう、ルートは外務省ということになりましょうが、そのようなことは当然事前協議を申し込んでこなければいけないことだし、またこなければすぐにわかることですしね。そういう意味で事前協議というのは外務省との問題である、そういうふうに考えます。
  89. 秦豊

    ○秦豊君 時間が切迫しているようですけれども、これは質問の余地がないから、私は次の機会を留保しますけれども、アメリカと韓国の少なくとも共同作戦のリンクの中に日本が組み込まれるというのは、これはわれわれの常識であって、あなた方が否定してもそれは事実であり、しかもそれはだんだん深まってきている。日本からの直接の出撃なんということはもう作戦としては常識中の常識。だから、烏山にいた飛行機が横田に来て、嘉手納に行く、この三角形をしょっちゅう訓練飛行をする、そんなことは常識の中の常識、あなた方の答弁にないだけです。したがって、日本からの直接の出撃は既定のこととした踏まえ方が、アメリカ、韓国の作戦想定の中にはちゃんと流れている。したがって、半島への出撃に歯どめをかけ得るかなんという問題を考えた場合に、私、今度内閣委員会から岩国を見に行って、ポーカーフェースの司令官のレクチュアを聞いたけれども、ますます疑念が深まるばかりである。これは、次にそういう質問やその他を留保するけれども、少なくとも、いまの日米安保とかアメリカ・韓国のからみ合いの中で、もう日増しに急速に決定的に風化しているのは、ほんとうに古典的なテーマであるまさに事前協議制であり、非核三原則が、もうあなた方がどう言おうとも決定的に風化しているというふうな事実関係は、次々にあなたとまみえる次のチャンスとか、その次とか、執拗にこれを繰り返していく必要があると思う。  最後に、時間がきたようだからやむを得ない打ち切りますけれども、今回の米韓共同声明の第六項では、韓国の防衛産業育成について合作投資に重点を置くように勧告している。この勧告は、日本と韓国の合作投資の勧告であって、韓米ではあり得ないという観測が強まっているわけなんだけれども、つまり日本から資金を入れる、あるいは技術を入れる、こういう位置関係にあると思う。で、韓国の産業界は、たしかMK16の量産プラントはもうすでに稼働をしているが、あとはAPC、つまり兵員輸送車あるいは装甲車、なし得れば戦車と小火器の弾薬ですね、それからPL2練習機の国内組み立て等の航空機工場を、私は、私の知り得た範囲では欲していると思う。最も手近にあるのが日本ですね、これについて。なるほど武器輸出ができないなんということはこれは常識中の常識、だからこれは当然としても、間接的に、たとえば非常に応用問題としてスリークッションですね、日本の技術や資本の協力援助はできると思う。いまは非常にシリアスな重要な時期にきていると私は思う。だから歯どめをつくらねばならないという私の意見と結びつくわけです。これについては、すでにタイムリミットがきているようだからあまり割り込みませんけれども、ほかの党に。最後に一点だけ、いまの私の質問について長官見解を今後の参考のためにも伺っておきたい。
  90. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 日本と韓国というのは、これはもうほんとうに指呼の間にあります。いろんな意味でずっと未来永劫両民族はつき合っていかなければなりません、朝鮮半島ですね。そういうことを考えますと、そうあまり想定問答ばかりやっていてもしようがないですが、しかしまたアメリカの議会のほう、政府のほうでも、在韓米軍というものはなぜ必要か、それは日本列島というもの、日本というものを守るために必要なんだという議論すら向こうでは飛び出しているようですね、アメリカのほうではですよ。そういうこと等もありますから、アメリカから見れば遠く隔てた太平洋のかなたの二国間のワク組みであっても、日米あるいは米韓、まだ残っている米華というものをセットにしてものを見る考え方もあり得ると思うんですね。しかし日本の場合、いま御質問の最後にあった。それにかわる、武器の直接輸出はまさかすまいが、それに対して国として何か韓国にいまおっしゃったような各種兵器、そういうものを韓国でつくれるような援助をするのかどうか、これは通産省の輸出承認権による通産大臣の許可が要るということです。そこらのところの問題は防衛庁のほうは実は関係のない問題であるというふうに考えます。
  91. 秦豊

    ○秦豊君 最後に委員長。きょうのは、これは防衛論議の一つのパターンの範疇だと思うが、まあ永遠のすれ違いとかいろいろある。きょうはたった四十分しかないからこの程度でしかあり得ませんが、今後たとえば非核三原則の問題と横須賀の問題、さらには日米間のかかわりについては、きょうはあなたのせっかくの答弁ではあるけれども、私が釈然として、すっきり晴れたというわけにはとてもいかない。今後は継続的にこの問題に触れ続けるという態度を留保したいと思うけれども、今後の問題として、あなたが渡米をする目的の中に、最後に、さっき答弁が若干あったんだけれども、最も力点を置いている討議のテーマについて最後に伺っておきたい。
  92. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは対話なきところに誤解が生まれる、四年も対話をしていない、したがって対話することが目的であるということであります。
  93. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 午前からの質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分再開することにし、休憩いたします。    午後一時休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  94. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  95. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、公明党を代表しまして、質問させていただきます。  先般の委員会におきまして、防衛問題質疑と思いましたが、防衛庁長官おからだのぐあいが悪かったそうでありまして、また再びまみえまして、御壮健な姿を拝見いたしまして、心からお祝い申し上げます。今後もしっかりお願いいたします。私も初めての質問でございますので、重複したり、とりとめのないところもあると思いますが、よろしくお願いします。  先ほど社会党の野田委員から質問のありました沖繩のパイプラインの問題、そして小牧空港の航空機の墜落事件の問題、この二点につきまして質問さしていただきたいと思います。  特に沖繩のパイプラインの問題でございますけれども、私どもの党といたしましても、この問題につきまして九月の十三日に現地におきまして油送パイプラインの総点検を行ないました。それに基づきまして質問をさしていただきたいと、こう考えております。その点、多少重複するかもしれません。  調査した結果によりますと、パイプラインと住宅地の距離が二メートルないし五メートルぐらいしか離れていない、こういう個所が二十一カ所も現実にあったわけですね。それから、学校に隣接をしているところが九校、これも名前は全部わかっております。あるいは校庭を縦断しているのが三校もありまして、ここにも学童がパイプラインのすぐそばで野球などやっている写真もございます。公園が一カ所、特に病院が四カ所もございました、近くにパイプラインが走っているところがですね。あるいは給油所五ヵ所、こういったパイプラインに隣接をしている部分があったわけです。しかも、このパイプラインはそういう近くにあるばかりじゃなくて、大半が先ほど長官からお話がありましたように道路として使用されています。その路面の損傷というのは非常にはなはだしい。危険な状態にさらされております。私どももこういう実態を見まして、このままではいけないじゃないか、こういうことを感じてこの総点検の結果を発表さしていただいたわけです。やはり人命、財産あるいは生活にそういった損害を与える点につきましては、政府におきましても心してこういった状態を調べ、そして対処されなきやならないと思います。これが、先ほどお話ありましたけれども、返還のときに総点検をしてこれをすべきだということは知事からも要求が、要望が出されたそうでありますけれども、それは無視をされた、こういうような実態があるそうですが、いままでこういうものが危険な状態のままで放置されてきた、そういうことに対して防衛庁長官あるいは施設庁としましてどのような責任をお考えになっておるか、この点をお聞きしたいと思います。
  96. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初当選の栄誉を果たされました太田委員に、最初に国会で答弁することを光栄に思います。今後よろしくお願いをいたします。  ただいまの沖繩の問題は、たまたまですけれども私が復帰作業を担当した大臣でございましたので、復帰前から浦添の市長あるいは普天間のところの市長、那覇市長、それぞれの方々から、住民サイドの心配ごととして幾つか御要望のありましたものの一つであります。これは私も、当然現地も知っておりますし、その状態もよく承知いたしておりますが、当時全く全土、中南部灰じんに帰した中で、沖繩の町ですらも都市計画法が全くないまま人間がただ集まって、そしていまの町になってしまったことでわかりますように、無人の野を自由にアメリカがパイプを引き始めたという形もあったようであります。しかし、現在はやはり厳然としてそれぞれの集落、市街地、市制施行等が行なわれてりっぱな行政区画のもとに市民等が日常生活を営まなければならない必然的な土地の中をくし刺しにして通っておる。これはパイプラインの性格上、沖繩のまた幅の狭い縦に長い飛行場の性格上、そしてまた陸揚げできるところと使用する主要基地との距離の縦に長い関係上等もありまして、パイプラインというものが現在も、あるいは残念でありますけれども、軍事的機能から見ますと近い将来にも、軍事基地が完全になくなればもちろん要らなくなるわけでありますが、そういうパイプラインの撤去ということはむずかしかろうと。これは現地関係市長さん方や知事さん方も御承知であります。しかし、きわめて危険なものであるということについては、先ほどお話がありましたように私も承知しておりますが、犠牲者まで過去に出したことのあるものでございますので、これを復帰した後においてそれらの地域の関係住民が、わが日本政府アメリカ側との間において何らなすところがなかったがために事故の起こるようなことがあったら、これはたいへんなことでありますので、それでなくとも復帰してなお基地が依然としてたいへんな広さを占めておる沖繩の実情を考えるときに、基地返還問題もさることながら、この問題も返還された後も残る問題である、いわゆる機能が停止せざる限り残る問題であるということを考えますと、これは答えも重複いたしますが、日本のパイプラインに対する規制、またそれに対して成田空港等を契機として新しく諸種の基準が定められてまいりました。これに、米側の既存のものでありましても、パイプラインが安全の上から所要基準の中におさまるように、私どものほうでも外交ルートはもちろんでありますが、その作業は私どものほうで米側との間に詰めつつ、少なくとも沖繩の県民が、関係地域に隣接する人たち、あるいは学童たちが安心できるという体制はぜひとも米側と協議して実現をさせなければならない。これはもう戦後長い問題でありまして、復帰してもうすでに二年を経過いたしましたので、われわれの手で、それらのところはアメリカ側との十分な技術上、法規上、そういうものの詰めを行なって、そして沖繩県民の関係者に安心をしていただく責任があると考えております。
  97. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども野田委員のほうから質疑がありましたようにですね、早急にこの問題は解決をしてもらわなければならないと思います。特に、パイプラインにしましても、耐用年数二十年が限度でございますが、その二十年をこえておりますし、これはもう協議をして進めるという段階も、もうすでに実施段階に入っていかなければならない問題じゃないかと思います。特に、この問題につきまして防衛施設庁としまして、いつごろこの問題に真剣に取り組み始めましたか。実際、この総点検をした数字というものを私らもここでつかんでおりますが、そういった具体的な問題についてどの程度御存じでいらっしゃいますか。たとえば、パイプはずっとかつては原野を走っていたそうでありますけれども、露出をされているメーター数は一体どのぐらいの程度あるのか、たとえば那覇市、このような市街地の中で何メーターぐらい露出をされているか御存じでしょうか。
  98. 平井啓一

    説明員(平井啓一君) ただいま御指摘の点でございますが、先ほど御指摘のありました、たとえば美里村の小学校の校庭の一部を横切っているとか、パイプラインの付近に学校があるとか、まあそういった点、一応われわれとしても現地の事情は把握はしておりますが、本日たまたまそういう詳細のデータを持ち合わせございません。また、ただいま御指摘のありました四十七キロに及ぶパイプラインのうちで、露出部分がどのぐらいの長さあるかという点についても、申しわけありませんが手元には資料ございません。ただ、この四十七キロに及ぶパイプラインのうちで、やはり特にそういった点で付近が市街化され、あるいは市街地の公道部分を占用敷として使いながら通過しているという点で問題のあります部分は、那覇市内、浦添市内、宜野湾の市内、こういったところあたりが問題であろうかと思います。
  99. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、何らまだ調査されていないということですね、具体的には。先ほどのお話では五月ですか、七月ごろには米軍側に申し入れをしたということでございますが、何ら調査に基づいてそれをやっているわけではないんですか。
  100. 平井啓一

    説明員(平井啓一君) 先ほど御答弁申し上げましたのは、御指摘の点について具体的に露出しているパイプが長さが幾らだとか、市街地にどういう状態で通っているかということについての具体的な点を求められたのであります。手元に本日資料を持ち合わせておりませんので、そういった点につきましては、現地那覇防衛施設局においても、日ごろから提供施設・区域の実態として十分把握しておると承知しております。
  101. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この油送管、パイプは、安全保障条約に基づきまして提供施設となっていますけれども、この維持管理はアメリカ軍でやるべきものか、それとも日本側で行なうべきものか、その点どうでしょう。維持管理について。
  102. 平井啓一

    説明員(平井啓一君) 提供しております施設・区域の維持管理等の責任は、当然地位協定三条に基づきまして米軍が行なうものであります。けさほどの答弁の中にも、米軍が毎日二回パトロールを行なうとか、あるいは定期的に点検を行なう計画を持って従来からもやっているというようなことで、アメリカ側がこれを行なうことになっております。したがって、公道部分を除きまして相当の大部分は、これらのパイプラインが埋設されております敷地を含めまして、幅九メートルのいわゆる道路上のパイプライン敷というものが延々とつながっているわけでございますが、これらを施設・区域として提供しております理由、目的も、この道路を使って米軍がこのパイプ、管を維持管理するためにパトロールをするという目的になっておるわけでございます。
  103. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、いまは正確には防衛施設庁では危険な状態をつかんでみえるわけですか、みえないわけですか。もしもみえたら、その状態をお知らせしていただきたいと思います。
  104. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 質問が、市街地を通っているのは何メーターか、露出部分は何メーターかという御質問でありましたから、したがってそのことがいまここに資料がありませんと申し上げておりますので、いずれ本日、それまでに間に合えばお届けしますが、あとでまた私のほうでお届けをすることにいたします。
  105. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 実は、沖繩返還協定——ちょっと変わりますが——国会で審議したときに、この国内法の安全基準、たとえば民家であれば、安全基準が二十五メートル、学校施設等は四十五メートルを離れなければいけない、こういうパイプライン施設でございますが、現在民家すれすれに通っている。実際にもう門口を通っているところもあるそうですが、当時の佐藤総理大臣は、返還後は国内法に当てはめて改善していく、こう回答をされておりますけれども、これがいまだに放置されていた、それらに対しても、そういうことは、これは施設庁の怠慢ではないか、このように思いますけれども、その点いかがですか。
  106. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 対策が十分に行なわれてなかったということは申しわけないと思います。ただ問題は、たとえばいまお話がありまするように、校庭でありまするとか、あるいは病院の近くを通っているというような場所をかりに変えるという場合に、別の地域を提供してそこに埋設をしなきゃいけないという問題もございます。したがいまして、方向としては、具体的にどういう点が問題であり、どういう対策がとれるかということを個々につきまして検討し、それを逐次具体化していくということが必要であろうと思います。そういう点について、県との協議あるいは米側との協議が十分でなかったのではないかというふうに私も思います。
  107. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、やはり関連しますけれども、その道路上をいま車両が通っているわけですが、この車両の重量制限について、たとえば制限重量以上の車両が危険区域を通るについては、暫定措置をして危険を取り除く、そういうことが必要であると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  108. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 道路交通の問題に関しましては、警察及び運輸省が所管をいたします。したがいまして、私どもといたしましては、この埋設しておりまするパイプラインの状況がどうであり、どの程度のものが負担に耐えるかということを関係官庁に連絡をするということが必要であろうと思います。
  109. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、昼前の審議からこの問題は出されておりましたけれども、非常な危険な状態にあることはこれは事実であります。沖繩という特殊な占領地——まあこんなことを申し上げてはあれですが——されておりまして、そのための住民の意識としまして、そういうパイプラインが露出をしていたとしても、それは占領地域であり、危険というものが多少薄らいで感じられていたのではないかと思います。たとえば、内地から皆さま方がそちらへおいでになれば、相当な危険なものであるということは、すぐにこれはおわかりになっていただけると思いますし、沖繩の住民の皆さん方の意識もいまここまで高まってきております。相当なこれはいま撤去を望む住民の声がわき上がっております。  嘉手納基地に対する給油でございますけれども、いま二本の線が入っていると言われますが、これは将来那覇市、そこの現在危険な状態になっている民衆の、人口の過密な地域、そういう地域につきまして、この一本の油送パイプラインは撤去していく、そういう方向でぜひともお考え願いたいと思いますが、その点について防衛庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  110. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはそういう方法も絶無という、いわゆる考えられないという案ではないと思います。ただ御承知でもありましょうが、この沖繩本島、沖繩県庁所在地である本島も離島でございまして、冬は季節風、そして夏は大体台風がまた南東からまいりましたりということで、どっちか一方からだけの油送ということが可能であるかどうか、また那覇軍港も代替施設をつくれば返すということに合意はいたしておりますが、地元の意向を尊重して、なかなかむずかしいという環境に現時点ではございますけれども、そうすると、那覇軍港というものは代替するところを別に考えなければならぬ。それが、現在あるホワイト・ビーチか天願で代替できるかどうかについては、これはきわめて困難であろう、しからば、油だけはそっちからということでどうだという線等は、これはまあ考えて、考えの上で出でこない問題ではありませんので、実現という問題は実際はむずかしいと思いますけれども、そういう問題は御意見を念頭に置きながら相談ごとを進めてまいる、そういうことにしたいと思いますが、すぐにそうなるということには非常に距離があるという気がいたします。
  111. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 では、この問題につきましては、あと住民の皆さん方のパイプラインに対する危険の問題、撤去を望む声をまた十分に聞かれまして対処していただくことを望みます。  続きまして、小牧空港の事故の問題について多少お聞きしたいと思いますが、長官も事故のあと現地に行かれまして、状況もよくおわかりになっていただいていると思います。私どももまた長官があのときに訪問され、遺族の前で十分な補償は行なう、こういったことをお話しされたことを非常に感謝いたしております。この航空自衛隊の公害の問題、まあ各地で引き起こっております。都市がますます過密化の傾向にあります。これは自民党の高度経済成長政策の一つの大きなひずみではないかと思いますが、その中で、いままで存在した基地も、都市周辺部となりまして、騒音の問題あるいはこのような墜落の事故の問題を巻き起こしております。そういうような都市部におきますこの航空自衛隊基地を含めまして、基地のあり方について長官はどのようにお考えになってみえるか、将来の方向としまして、これはどうしても解決をしなければならない問題じゃないかと思いますので、その点の所信をお伺いしたいと思います。
  112. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 日本の国土は、単に国際比較上の人口密度だけで対比できない、人間の住める環境と申しますか、むしろ逆に山岳地帯が七割を占める、その中にひしめいて人間が住んでいるわけであります。それも川のほとりとか、海べとかということになるわけでありますから、自衛隊がみずからの基地を持つということも、今後なかなか新しく取得することは非常にむずかしゅうございますし、場合によっては、戦前から旧軍のものでありましたところに現在自衛隊がおりましても、宅地化の波、市街化の進行その他によって、いまいるところで大体出て行ってもらいたいというところがだいぶございます。ほかに移れというところがございます。しかし、自衛隊さん来なさいというところは、実はあまり、たいへん残念でございますが、ございませんで、北海道の沼田あたりは、これはまあ炭鉱閉山ということもありまして、町に自衛隊誘致という看板が立っておるというぐらいのところが例外としてはございますが、それもしかし、その心情察するに余りあるものであります。  ところで、その中で周辺に思いもよらない御迷惑を、惨事を引き起こす可能性のあるものがまず航空基地であるということであろうと思います。その際、優先的にどういうふうな考え方をしなければならないかといえば、基地がある以上は安全でなければならない。そして安全なことを幾ら心がけても、これはやはり統計的に見ても、ときに不測のことが起こり得る場合、そういうことを考えたら、周辺に住家が密集してしまっておる、もう現在は住宅化の波に押し包まれてしまったところの航空基地というものは、なるべくほかのところに移すべきであろう。先般の事故も、燃料タンクを切り離す場所がなかったというようなことでございますから、それについては御質問を受けてあとでお答えいたしますが、善後策を早急に講じなければならぬ。そういうふうに考えておりますけれども、その中で一番人口稠密地区の中の戦闘機の配置されておる飛行場としては、その最も尤なるものが、第一にあげるべきものが現状では小牧空港である。そのことは私どもも前から認めておるところでございます。
  113. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現実に、ここでは三人の方が死亡しました、小牧空港の事件ですね、いたしました。長官のいまのお話の中にも出てまいりましたが、この小牧空港は内陸部の中では一番の危険な状態で、確かにパイロットの人も、パイロットの方もいざとなった場合どこにも脱出する場所がない、この基地は。ということで不安な中で練習にも行っている、こういう状態です。ですから、私たちは内陸部にありますこの小牧のような基地はすみやかに移転すべきである、こう主張してまいりました。いまは、この小牧空港の移転について、新聞の報道によりますと五十年度の事業計画の中にその案が盛らているといわれておりますが、具体的にどのように進められておりましょうか。
  114. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 前々から小牧空港の移転について、主として空幕を中心防衛局との間で検討いたしておりましたが、事故があったから移るといえば、じゃ事故の起こるような飛行機をおれのところに持ってくるなと言うに移転先はきまっております。でありますが、しかし、かといって前途有為な春秋に富む二十歳、十九歳の青年学徒を、あたらむざむざと犠牲にしてしまった、もちろん自衛官もなくなったわけでありますけれども、国民の生命、財産を守る立場自衛隊が、逆に若き命を奪ったということについては、私は悔恨、痛恨、胸をかきむしられる思いでございます。ですが、もう再びその方々の命を呼び戻すすべもありません。そのみたまにこたえるためにも、私どもは早急な移転決断をいたしました。来年度予算の要求に、小牧基地よりF86F戦闘機の移転ということを要求いたしております。そこで、移転先はどこだということの御質問もいずれあると思いますが、またそれに触れたような御質問でありますけれども、実は予算要求の段階でいろいろ検討いたしました。しかし、これは受け入れられるほうの側について事前に十分の御相談と御理解と、少なくとも最悪の場合でも賛成はできないがわかったと言ってもらえる努力をしないことには、予算要求でかってにどこの飛行場に移すんだということをやるということは、地元に対してたいへん僣越でありますし、逆にまた事実上、妨害運動その他によって行けないという事態にも逢着することは火を見るよりも明らかであります。でありますから、私どもは、いまどこに移るということなしに、もちろん候補地は二、三ございます。それについて三ヵ所ほどを検討しておりますが、よく地元と御相談を申し上げて、そして、おそくとも十二月末の予算がきまりますときには、どこに移すためにどれだけ、いわゆる受け入れ施設のほうが金額はかかるということも詰めなければなりません。また、これは法律事項でもございますし、国会の御審議を経なければ最終的にきまらないという問題にもなってまいりますので、十分に地元の方々との話し合いがまず先であるということを、できれば御了解を賜わるまで努力をしたいということを、防衛庁一丸となってやりたいと考えておりますので、そこら辺の御事情は御賢察賜わるようにお願いいたします。
  115. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、それでは事故の問題にちょっと移りますが、自衛隊機の墜落事故については、年々十件程度も発生いたしております。特に、四十八年度は九件、十六人も死者を出しておりますし、このようなことに対して事故対策、抜本的な対策をやっぱり講ずることが必要だと思います。この小牧空港の事故につきまして、防衛庁で把握をしている事実を説明していただきたいと思います。
  116. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 小牧におきまして事故が起きましたのは、先生御存じのようにF86Fの戦闘機でございましたが、これの原因としては、すでに先生にも御説明があったと思いますが、コンプレッサーストールということで原因が出ております。事故が起きましたあと、直ちに、庁内に事務次官を委員長といたしまして、航空幕僚長を副委員長とする事故対策委員会を設置いたしましたが、そこにおきましていろいろ検討の結果、類似事故の再発を防止するために、各部隊ごとにパイロットの再教育を実施する、あるいは故障の判断能力、緊急対処能力等の向上をはかるというようなことを実施いたしますとともに、F86F全機につきましてエンジン部を中心とする各種の点検、検査等を実施いたしたわけでございます。
  117. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 事故原因は、コンプレッサーストールということをお聞きしました。ただし、このジェット機が離陸直後に異常なエンジンの音をしていたと、ふだんと違うということを周辺の住民は聞いているそうです。したがってエンジン——操縦ミスということに決定をしたそうですが、エンジンの故障による事故ということは考えられないでしょうか。
  118. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) いま先生御指摘のように、エンジンに異常な振動が発生をしておったことは事実でございますが、その後いろいろそのエンジンにつきましても調べたわけでございますが、飛行中の過熱状態から生じたと考えられます一部の焼損以外には特に異常は認められなかったという事実と、パイロットとの交信内容とを総合的に判断をいたしますと、エンジンのコンプレッサーストールによるものというように推定されます。
  119. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 九月十二日に、防衛庁が発行しましたF86Fの事故の説明、この中では八月下旬までに三空団について全項目の対策が終了したと、このようにありますが、それ以外の航空団についてはどのようになっておりますか。また、それから続いて近々のF104の事故等が起こっておりますので、その点、全空団に徹底はされておりましょうか。
  120. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 事故が起きましたあとに、先ほど事務次官を長とする委員会を設置したということは申し上げたわけでございますが、全基地に対しまして、機種についていろいろ検討した結果、そういう状況になっております。したがいまして、先生御存じのようにF86Fにつきましては、いろいろ検討をいたしまして、小牧基地以外についてはすでに飛行を再開するということでいっております。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、時間ありませんので次へ移りたいと思いますが、この被害者に対する補償というものはいまいろいろと折衝を進められていると思いますけれども、防衛庁内部におきます具体的な補償の基準と申しますか、あるいは被害者側との話し合いの問題、そういったものはどのように現在行なわれておりましょうか。
  122. 亘理彰

    説明員(亘理彰君) 一般的なことを申し上げますと、航空機の事故等によりまして民間の方に被害があったという場合には、国家賠償法に基づく賠償をいたしておるわけでございます。この賠償の算定方法につきましては、人身事故の場合でありますと、なくなりました方につきましては事故当時の被害者の方の収入を基礎といたしまして、また無職者の場合でありますと一定の推定をこれについていたすわけでありますが、これを基礎といたしましてホフマン方式による所得の補償金額を算定するということでございます。それから物的な損害につきましては、被害物件が復旧できます場合にはその復旧費用、復旧できません場合にはその物件の実損額を時価で賠償するということでございます。いま小牧の関係につきまして全体で三十六件の関係がございますが、そのうち二十八件については和解ができております。残りはなくなった方三名、それから家屋の全焼一件を含めまして八件が残っておりますが、これについてはただいまいろいろお話し合いを進めておるところでございます。具体的なお話し合いの内容につきましては、被害者の方のプライバシーにもかかわりますので申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、時間もありませんのでこれで終了さしていただきますが、たとえば関戸さん、この方は農家でありますし農機具等が一切焼けております。家もいま話がありましたが全焼しているということです。現在防衛庁のほうで用意していただいたプレハブに生活をしております。これから寒さに向かうし、あるいは秋の取り入れのときも農機具がなくてどのように仕事をしたらいいか、これは家族の方も悩んでみえました。そういう点も考慮されまして死亡者の賠償の問題、そしてこの関戸さんの問題含めまして賠償の問題 一日も早く解決できますように要望しまして質問を終了さしていただきます。
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょう私に与えられた時間は二十分間でございますので、簡単に二、三お伺いしておきたいと思います。  初めに、米軍基地の問題につきまして、最近いろんな問題が出てまいっております。特にその基地の問題の中でも、先ほど大臣が、自衛隊が来てほしいというようなところは非常に少ない、まあまれにあるという話でありましたけれども、なかなか実情ではそんなことはないんだろうと私は思うんです。そこで、少なくとも米軍があるということについて、地元のいわゆる自治団体が何らかのメリットがないと、これは今後もやっていけないんじゃないかと私は思うんです。そういう点から考えましてきょうは二、三お伺いしたいんですが、まず第一点は、いわゆる地方税の課税の問題があります。これは大臣の管轄じゃございませんので、きょうは自治省やそれぞれ担当の人にも来ていただいておりますが、これは特に前々から問題になっておることでございますが、特に三沢の基地の問題がございます。先日の新聞によりましても米軍駐留二十年のいわゆる未収の税ですね、いわゆる七十億円を、これは国は負担しろと、こういうような決議現実に三沢市においてなされております。当然私は、日米安保条約上これはどうしてもやむを得ないものもあるかもわかりませんが、しかし内容をいろいろお伺いしてみますと、非常に不合理なものもあるわけですね。そういう点から考えてみますと、これは何らかの形で検討をしないといけない。これは地方自治体が決議をしたわけでありますから、当然それを受けて、われわれも何らかの対処をしていかなければいけないと考えております。特に私はまずこの問題について、三沢に駐留する軍人軍属、三千四百人いるんだそうですね、しかもそのうちトレーラーハウス二百九十台、こういうふうなものに課税が認められた場合には相当な金額になるであろうことは、これは間違いないと私は思うんです。  そこでこの問題について、一つはまず外務省当局にお伺いいたしますが、こういうふうな問題について日米合同委員会で話し合われたことがあるかどうか。アメリカ局長、来ていますね。それから、この問題について自治省としてはどういうぐあいに考えていらっしゃるのか、そのまず二点をお伺いしておきたいと思います。
  125. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 三沢の基地その他にありますトレーラーハウスの課税の問題に関しましては、日米の地位協定上疑義がございましたので、昭和四十一年の三月の日米合同委員会におきまして、米側に対しまして、日本側調査事実に基づきまして判断する限り、この住宅は固定資産税の課税対象物件に該当するものではないかという問題の提起を行なったわけであります。これに対しまして、米側は同年の六月、本件住宅は動産であること及び住宅所有者はその所有権を各種の形で制約されていることなどを理由としまして、非課税である、課税されないと考えるという旨を回答してまいりました。そこで政府としては、その後引き続き日米合同委員会におきましてその実態の把握につとめておりまして、現在なおその課税の可否について検討を重ねている次第でございます。
  126. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) 御答弁申し上げます。御質問のトレーラーハウスに対しまする固定資産税の課税の問題につきましては、自治省といたしましては、従来地位協定の実施に伴う地方税の臨時特例措置法の第三条の規定によりまして、合衆国軍隊が日本国において所有する固定資産には該当しないのではないか、結果的には課税ができるのではないかという認識に立ちまして検討をしてまいったわけでございますけれども、先ほど御答弁がございましたように、この問題につきましてアメリカ側から、このトレーラーハウスにつきましては、建設いたしますときの経緯、あるいはまた現在所有いたしております者が、このハウスの使途なりあるいはその所有権につきまして各種の形で制約を受けておるということを理由といたしまして、これは固定資産税の課税物件には該当しない、すなわち地位協定上課税することには疑義があるという問題提起をされたところでございます。したがいまして、自治省といたしましては先ほど御答弁がございましたように、その実態の把握につとめておりますとともに、これを日米合同委員会に提議いたしまして、いま鋭意検討を進めてもらっておる状況でございます。いずれにいたしましても、できるだけ早い機会に適切なる結論を出したいというふうに考えておる次第でございます。
  127. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 トレーラーハウスの話だけやっていますけれども、そうじやなくて、トレーラーハウスにつきましては自治省は当然課税ができるのじゃないか、こういうふうな見解をもともと持っておったわけですから、それはそのことについて外務省当局とも当然折衝すべきであろうと私は思うんです。そうじゃなく、その点もありますのですが、さらに、要するにたとえば三沢の場合、いまおっしゃった地方税臨時特例法によりますいわゆる米軍の軍人軍属、新聞報道によりますと約七千五百人とございますが、この数字が正確かどうかわかりませんが、私の手元の資料ではこんなによけいではなかったのですけれども、こういう人たちのいわゆる市民税とか、固定資産税とか、自動車税あるいは電気・ガス税ですね、こういうふうなものは現在までずっと免税になっているはずなんですが、総額でどのくらいになるんですか。
  128. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) 特例法の規定によりまして現在非課税となっておりますものは、御指摘ございましたように、住民税あるいは電気・ガス税等があるわけでございますが、お示しのように三沢市におきましては、過去のものがそういう形で法律上非課税になっております額が七十億円というようなことを私どもも伺っております。しかし、この額につきましては内容をまだ十分承知いたしておりません。いま三沢市のほうから資料等も提出もされておりますので、今後その内容等につきましては精査し、その額については検討してまいりたいと考えております。
  129. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 自治省は、この問題についてはいま急に出た問題じゃなくて前々から出ておる問題、提起されておる問題ですね。それを三沢市から提議されないとどのくらいという金額がぱんとわからないようじゃどうしようもないと思うんです。何も私はきょう急に言っているんじゃなくて、前々からこの問題については予告してあるわけです。したがって、この問題についてはもっと深刻に取り組んでもらいたいと私は思うんです。あなた方の自治省の昭和二十九年の次官通達によりますと、米軍人あるいは軍属の皆さんが使う、たとえば軽自動車、これは年間税金三百円ですね、われわれ市民は大体四千五百円、ちょっと違い過ぎませんか、これは。それからバイク、これは二輪の小型自動車というやつですが、このバイクが米軍は六百円、われわれ市民は二千五百円、これはちょっとやっぱり、これは道を走ることについては変わりませんし、これは多少金額の違いはあるかもしれませんが、いずれにしても差があり過ぎる。しかも、それが個人の用ですね。ですから、そういう点から考えてみましても地元の皆さん方が叫ぶのは私はよくわかるような気がするわけです。そういう点から考えても、こういう問題については、私は政府当局が本気になって取り組まないと、要するに今後自衛隊が来てほしいなんという市町村が全然なくなるのはあたりまえだと私は思うんです。こういう問題について、やはり深刻に取り組んでもらいたいと私は思うんですが、どうですか。
  130. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) ただいま御質問のございました点につきましては、御案内のとおり地位協定の十三条の規定に基づきまして、合衆国軍隊の構成員等が所有しております自動車あるいは軽自動車につきましては、原則的には課税をしないということに相なっておりまして、ただそのうしろに、この条の規定は、御案内のとおり、私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではないということでございまして、いわゆる自動車税の中で道路損傷負担金に相当すべきものと認識されます部分につきましては課税ができるということに相なっております。したがいまして、現在日本の国内で一般に定めております自動車税の税率の中から道路損傷負担金部分にかかわります部分につきまして、米軍の構成員に対しましては課税しているという実態でございますので、その部分、先ほど申されましたように税率が合衆国軍隊の構成員等につきましては低くなっておるのが実態でございます。ただ、この額につきましては、何ぶんにも長い間置かれておりますような状況もございますわけであります。その後国内におきます自動車税の税率等の引き上げ等も行なわれておりますので、はたして現在のこの額で適正かどうかという問題はあろうかと思っております。この点につきましては、現在の日本の自動車税の税率の中で道路損傷負担金部分に当たるものがどの程度であるかということを精査いたしておりまして、この問題につきましても、先ほどのトレーラーハウスと同じく日米合同委員会のほうに現在提議をいたしておりまして、できるだけ早い機会に妥当な結論を得て指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  131. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは道路損傷負担分それだけというんじゃなくて、私は当然、これは地位協定第十三条でそういうようになっておりますけれども、しかし、いわゆる免税になった分については、その分については国がやはり地方公共団体に負担してあげるというぐらいのあれがないと、地方公共団体は何にもメリットがない。基地なんか出て行ってもらいたい、米軍なんか出て行ってもらいたいという問題に発展してくるわけです。そういう点から考えても、この問題については本気で考えてもらいたいと思うんです。さらに、この道路損傷がどの程度か、その負担の割合をどこで決定するのかとなってくると非常にむずかしい問題があります。そういう点も考え合わせて、ぜひともこの決議の問題ともあわせて取り組んでいただきたいと思います。この点あと答弁いただきます。  それから非常に忙しいのでもうちょっと速めます。先ほど沖繩軍港の問題が、大臣、出てまいりましたが、沖繩軍港の返還の問題につきましては、これはアメリカ局長、来ておられますが、ことし一月三十日の第十五回日米安保協議委員会で、沖繩米軍基地の整理統合のうち、那覇港湾施設についても、移設措置とその実施にかかわる合意の成立後返還される施設、こういう区域に入っておったと私は思うんですが、これはどうですか。
  132. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) お説のとおりでございます。
  133. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、これ、日米合同委員会では、いわゆる移設措置、要するに、返還をさしてもらうほうのあれに入っていたわけですね。ところが実際問題、この問題につきまして、ことしの四月の新聞報道によりますと、防衛施設庁は、これは久保局長、あなたのほうでは、これはとにかく那覇軍港につきましては、沖繩のいわゆる基地整理統合の目玉商品といわれると言うたらおかしいですけれども、那覇軍港を、これはとても返してもらうわけにはいかない、だから米軍と民間の共同使用を那覇市に提案したというような新聞報道がなされております。これは事実かどうか。さらに事実とすれば、もしそういう事実が共同使用であるとすれば、それは地位協定の第二条第4項の(a)か、それとも同項の(b)に当たるのかという問題が一つ。  それからさらに、那覇軍港の代替施設を見つけるのが困難である、これは初めからこういうことがわかっておりながら、要するに、那覇市の近くには那覇の港と同じようないい港というのはないはずですね。初めから沖繩の実情というのはわかっているわけです。しかし、ことしの一月の日米合同委員会では、いわゆる那覇港湾施設については、何らかの移設措置あるいはその実施にかかわる合意の成立後返還される、そういう施設の中に初めから入れておったということは、これは一体どういうことなんですか。要するに、これは初めから返される意思が全然なかったということなのか、あるいはそこら辺の、初めから返す意思はないのにこういうぐあいに入れてあったのか、あるいはどこかほかに、たとえば自衛隊が使っているホワイトビーチ等に全部行ってもらうとか、そういうふうな考えがあってこういうふうな日米合同委員会で那覇軍港を返してもらうというほうに入れたのか、ここら辺の考え方はどうですか。
  134. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは多分に、問題は沖繩県の今後の長期展望に立って、まず沖繩県の唯一の良港である那覇港、これがいま那覇軍港として北岸を除いてはアメリカ軍の専用埠頭になっております。この状態は、ことに海洋博を前にして船待ちが相当沖合いにある現状等から考えて、那覇市長、県庁を中心に非常に強い要望がありました。せめて使うだけでも何とかならぬかという話でありました。しかし、姿勢としてはやっぱり返してもらうというのがほんとうではなかろうか。泊港さらに安謝新港とつないで那覇港としてこれから運用していこうとしておるようでありますが、その姿勢は、基本的には返してくれというのが県庁であり、また市長の文書による要請でございました。私は、やっぱりアメリカはこれをいつまでも持ち続けるのではないんだ。たとえば、嘉手納を将来返す用意があるかということを言った場合に、これはわかると思うんですが、おそらく移設されれば返す用意ありとは言わぬと思う、いまの時点では。しかし那覇軍港はすでにもう、ベトナム戦の関係もありましょうが、荷扱い量が二十万トンから三万トンくらいまで落ちておりまして、相当失業問題や労働問題まで騒ぎが起こっておりますぐらいの状態でありますから、米軍も那覇軍港をいつまでも確保するという必要性は薄らいできつつある。ただ、牧港補給所というところを中心にどうしても陸揚げ港が一つは要るだろう、まあ規模はぐっと小さくなるでしょう、それは私もわかるんです。ですから、沖繩県の将来、未来図をかくために那覇軍港は米軍は返す用意あり、そのかわり場所をどこでもいいから米軍と合意の場所に、必要な数量の、約四、五万トンのうちでしょうが、陸揚げのできる程度のバースをつくってくれ、それなら那覇軍港は手放しますということを言わせたということは、私は沖繩県民のために非常にプラスだと思うんです。ただ、行く先がおそらくむずかしいだろう、それがわかっていながら沖繩県民にゼスチュアをしたのか。それはそうじゃありません。絶対にそれを返させるということについて向こうは固執しない、返す用意ありということを言わせるということがまず大きな問題です。その次に、那覇市、浦添市等関係の市が相談をされ、県庁が相談をされて、もしここならばつくってもよろしい。これは全額国費でつくって、やがてそれが浦添の牧港の補給所の機能等がほかに変わったりなくなったりしますれば、それはそのまま浦添市の港に差し上げられることになるわけでありますから、そういうようなこと等も話ができるかもしれぬというので、まあ一応話し合いはしていただいたんですけれども、まず市議会のほうが絶対反対だというようなことがありまして、那覇のほうは出て行ってくれ、しかし自分のところの那覇市の地先にはそれはつくらせるというようなこと等がございまして、これはやはり現状ではおっしゃるとおり行く先についてはなかなかむずかしい。ホワイトビーチという話がありますが、これは米軍が専用で使っておるのを自衛隊が若干あるバースを使わしていただいておるだけでありまして、ここは実は貨物の陸揚げ埠頭には適さない、むずかしいという問題がありますので、そこらのところはひとつやはり沖繩県民の立場から考えて唯一の商港たるべき那覇港をアメリカは将来は返す用意があるんだということをまず言わしたということに現時点では意義をひとつ認めていただきたいと思います。
  135. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 共同使用の分についてお答えいたしますが、代替施設を前提といたしまして返還をする旨の日米間の合意が本年の一月にできました点につきましては、ただいま大臣から事情は御説明ありました。ところで、地元那覇市長からは、昨年の八月に、復帰後における港湾事情の窮迫を告げまして全面的な返還の要請がありました。それを受けまして、那覇施設局長のほうでその年の十月、つまり昨年の十月に当時の情勢で全面返還は非常に困難であろう、しかしながら、市の事情もよくわかりまするので、もし可能であるならば共同使用の提案をしてみてはどうだろうか、ついては那覇市のほうで必要とする区域、荷揚げの量、その他そういった具体的な点について御説明願いたい、御連絡願いたいという連絡をしましたのが昨年の十月でありまして、その後那覇市からは何ら回答を得ておりませんが、その点がいまお話のありました共同使用を提案したというふうに受け取られたわけでありましょうが、それとこれとは別個の問題でありまして、返還は返還、ただ昨年の夏から秋にかけての事情で、返還が当面むずかしいとしたらさしあたって共同使用ができないだろうかということを那覇施設局長が考えて市のほうに照会をしたということであります。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私の持ち時間、もう全部終わりましたので最後に一言だけお伺いしておきたいと思います。  立川基地の問題ですけれども、立川基地の問題につきましては、前々からいろいろな問題があるわけでございますが、最近GCAの設置の問題について、ちょっとGCAを設置して軍用の、いわゆる何といいますか、軍用準備訓練ですかを開始する、そういうふうな指示が自衛隊から出てやっている、そういうことなんですけれども、立川の基地の問題につきましては、昭和四十四年、米軍が飛行活動を停止されましてから、その後いろんな問題が——昭和四十五年六月には横田へ全部移駐してしまいました。その後この問題非常に大きな問題になっておりますのですが、この後昭和四十六年の六月に、国有財産関東地方審議会にこの基地の使用の問題についていわゆる諮問がされまして、そして、基地が全面的に返還されたときには、自衛隊の使用については白紙に戻して、そしてあと地利用については協議すると、こういう条件つきで自衛隊が一時使用をしているわけですね。ということは、今回、こういうふうなGCAを設置するということは、要するに陸上自衛隊東部航空方面隊が昨年相当問題になって抜き打ち的に移駐したわけでございますけれども、その後ことしの三月に移駐が完了して、結局このままでほうっておくと、なしくずし的にいわゆる自衛隊が全部使うことになってしまうんじゃないかということで、地元で非常に心配しているわけです。この問題についてはどういうぐあいになっているのか。これはやっぱり審議会から答申がありましたように、当然将来のことも考えまして、いわゆる自衛隊が長期に使用するというための布石になるんじゃないかということも現実に言われているわけです。そういうようなことがあるんじゃないかということで非常に地元でも心配をしております。そういうような観点から、これは一体どういうことなのか、この点をきょうはお伺いをして——それから自治省、あと答弁お願いします——それで私の質問終わっておきたいと思います。
  137. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 御承知のとおりGCAは、悪天候のときでも計器誘導着陸をさせるためのものでございますから、しかも、これは車輪のついた移動可能なものでございます。したがって、それはもっぱら航空安全上それを備えなければならないものでありまして、立川基地はあくまでも都民の大震災その他の災害等の場合に最も近い、自衛隊の出動し得る、救援活動し得る基地として入っているわけでありますから、そのためにはやはり正常に、悪天候の場合等を想定をして、それでもはいれる装置は一応持っておらなければなりません。そういう意味で、御批判は一部別な角度からございましたが、決してこれを国有財産審議会の白紙に戻して検討するということに逆行するものとして既成事実積み上げでやっているのではありませんで、それを持っていないとかえって非常の場合の出動等ができない、災害等の場合に派遣ができないということになるという意味の性格の機械でございます。一方、国有財産審議会の意見については、これは大蔵省サイドの国有財産審議会のほうで、自衛隊も、場合によってはそのときになお必要な場所があれば申請をいたしましょうし、国有財産でございますから所有者は国でありますけれども、処分は大蔵省の国有財産審議会がいたします。したがって、その他の権利の主張者はいませんが、利用をさせろという地元の市なり周辺の御意見がある。これらは当然大蔵省でもそれを取り上げて審議を審議会にゆだねることであろうと思います。決していままでの線を私どもは既成事実で排除しようということはございませんで、その審議会の結論どおりの線に従うつもりであります。
  138. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) 御質問のございました米軍が所在することによります固定資産税あるいは住民税、さらには電気・ガス税等につきまして、非課税あるいは一部課税免除となっておりますものにつきまして、国はどのような措置をとってきたかという御質問であったかと思うのでございますが、この点につきましては、御案内のとおり現在調整交付金の制度を持っておりまして、これら法律あるいは地位協定によりまして非課税あるいは一部免除となっておりますものの分につきましての財政的な補てんをいたしておる次第でございます。  なお、自動車税につきましては、国内の自動車に比べまして前段申し上げましたように低い税率で課税をいたしておるわけでございますけれども、この点につきましては、地方交付税の計算上これを見込んで算定をいたしておりますので、その点につきましても措置をいたしておる次第でございます。
  139. 内藤功

    ○内藤功君 まず自衛隊員の精神教育の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  七十二国会におきまして、わが党の松本、東中両議員山中長官との間で、相当詳細な問答がかわされたわけでありますが、その結果として、本年の五月の三十日に防衛庁は事務次官の通達の形で、これに対する一定の措置をとられたようでありますが、この精神教育参考資料の問題について、防衛庁として本年の五月以降おとりになった措置についてまず御説明願いたい。
  140. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 先生御指摘の精神教育の参考資料でございますが、海上自衛隊の訓育参考資料につきましては、ただいま先生がお話しございましたように、本年五月三十日付の事務次官名によりまして、指定を解除を行なうべき旨を通達をいたしました。これを受けまして、海上自衛隊におきましては、海上幕僚長通達によって訓育参考資料の指定を解除したと、こういうことでございました。  なお、訓育参考資料のうち、部内作成のものにつきましては、これを廃止するという処置をとりましたし、また市販の図書につきましては、指定解除の上、これを一般的な図書として取り扱うというようにいたしました。
  141. 内藤功

    ○内藤功君 いま海上自衛隊お話がありましたが、陸上自衛隊の精神教育参考資料についてはどのように処置をされましたか。
  142. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 陸上自衛隊につきましても、やはり事務次官通達を受けまして、陸幕長通達を出しまして、教養関係資料の指定解除等ということで、ただいま私が海上自衛隊の訓育参考資料について申し上げましたと同じ処置をとったわけでございます。
  143. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、部内の文書、図書についてはまず廃止をしたということですが、この部内の文書というのは、廃止というのは一体どういうふうな方法でやられたか。
  144. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) いろいろあると思いますけれども、私ども掌握している限りでは、焼却等の処置をとったと、こういうことでございます。
  145. 内藤功

    ○内藤功君 防衛庁の文書に関する、秘密の保全に関する訓令というのがありますね。これによると、この文書の廃止の方法は、焼却以外にもいろんな方法がとられるように規定されていますけれども、あなた方防衛庁のほうで、陸幕傘下の各部隊において、こういうものを確かに焼却その他の方法で廃止をしたということを現地で確認なさいましたか。
  146. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 先生の御指摘でございますが、部隊等全国に非常に散在をしておりまして、私どもが全部を回ってそれを確認するということは現在できませんけれども、一部について、私どもが承知している限りではぴしっとやっておる状況でございます。
  147. 内藤功

    ○内藤功君 その点が非常にあいまいなんでもう一ぺんお聞きするんですけれども、そうすると、一部の部隊については焼却をしたことを確認した、こういう御趣旨ですね。
  148. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 私のことばが足りなかったかもしれませんけれども、全部隊につきまして、もちろん私どもが全部回って確認するというわけにはまいりませんけれども、幕僚長通達をもって幕等に命令しておりますので、その結果はいずれはっきりわかる予定になっております。
  149. 内藤功

    ○内藤功君 いずれ結果がはっきりわかるといいますが、いつごろどういう方法でわかるんです。
  150. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) ただいま私が申し上げておりますように、廃止の処置をとり終わっているということでございます。
  151. 内藤功

    ○内藤功君 その点が非常にあいまいなんでさらに聞きますけれども、廃止の処置をとるというのは、五月三十日付の防衛事務次官通達を出しただけでしょう。そうして一部の部隊について、これを廃止したということを確認しただけなんですか。その点がはっきりしません。さっきのお答えでは、いずれこれは廃止されるものだと、いずれ廃止されるというような言い方ですね。この点はしっかり確認をしなきゃならぬ、通達の実行というものは重大問題ですから。
  152. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 先ほど申し上げましたように、事務次官通達を受けまして、海幕長なり陸幕長からそれぞれ……
  153. 内藤功

    ○内藤功君 海幕長と陸幕長ですか。
  154. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 陸幕長です。指定の解除等についての通達が出ておりまして、それに基づいて処置をしたと、こういうことでございます。私の説明が足りなかったことでございます。
  155. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると防衛庁としては、陸幕、海幕の各部隊が現実にその部内文書というものを焼却その他の、焼却とか溶かすとかいろんな方法があるんでしょう、裁断するとか、訓令に書いてある、ああいう方法でやったということを、全部は確認していないということですね。現状を聞いているんです。
  156. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 内藤さんに申し上げますが、防衛庁、なかんずく自衛隊という組織は、上から定められた基本方針を流しますとそのとおりに全部実行いたします。それを全部隊を内局の者が回って、全部の散逸しているものまで含めて、ほんとうに散逸しているのか隠しているのかまでさがして、まだ一部残っておったかどうかの点検をしなければならないような、そんないいかげんな組織ではございません。よくも悪くもきまったものはぴしっと末端まで実行される、そういう組織でございますから、念のために内局が二、三カ所見て確認をしておるということでございまして、それが何も無責任なことをやっておるわけではありません。申し添えておきます。
  157. 内藤功

    ○内藤功君 私も決して防衛庁長官に無理なことを要求しようとは思いませんよ。しかし、いまの参事官の答弁ですと、防衛庁の事務次官の通達が陸海幕僚長になされた、そうして陸海幕僚長から、それを受けた通達が隷下各部隊になされた、それだけの答弁ですよね。だから、それで実施を確認したと言うのは、ひとつ手抜かりがあるんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  158. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 手抜かりはございませんで、命令を出しますれば、あるいは方針を処理してそれをきめて通達をいたしますれば、自衛隊はそのとおり実行をいたします。それに背反するわけないんです。背反するようだったら自衛隊の機能というものは有名無実であるということになります。
  159. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、いまの長官お話は、防衛次官通達を出して、それを受けて陸海の幕僚長から通達を出した、それで全部いわゆる廃止の措置は終わったと、こういうことですね。これ以上はしていない、それで部下の部隊を信頼しているんだ、こういうことですね。
  160. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 信頼しなければ何も命令出せないんですよ。ほかの役所と根本的に違うのが、そこが自衛隊なんです。そういうことでやっておりますし、またそれは全部廃止をしたり廃棄をしたり焼却をしたりしたんじゃありませんで、一般図書と同じように図書室に移しかえたもの、あるいはまたその後は一般書店で販売するものを購入して図書として展示して、必要な場合にそれを利用するというもの、でありますから非合法出版物なりその他を特別につくってやっておる、あるいは何か印刷させておるということも、今後は、そういうことはいままでもありませんし、そういうことは考えられないことでありますから、われわれはこうしろ、こうきまったということを言ったときに、末端までそれが行なわれていないということは、少なくとも命令系統に関する限り、そういうことは初歩的なことも含めてあり得ないということは明確に申し上げておきます。
  161. 内藤功

    ○内藤功君 なおこの五月三十日付の事務次官通達では、なお書きとして「精神教育参考資料の総点検について」、これは二月十六日付、これを廃止をするということがつけ加えられてありますね。そこで、これは局長なり参事官でけっこうですが、「精神教育参考資料の総点検について」というものの内容、この概要をひとつ御説明願いたい。
  162. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) ただいま先生御指摘のように、二月十六日に事務次官通達として出たものでございますが、精神教育の参考資料につきまして総点検をするようにという資料でございます。で、その中に点検機関とか点検対象あるいは整理基準というものを設けまして、総点検を命じたものでございます。ただ五月三十日に精神教育参考資料の指定を解除するということにいたしましたので、この通達は意義がなくなりましたので、これを廃止すると、こういうことでございます。
  163. 内藤功

    ○内藤功君 このいま言われた二月十六日の通達の中に、精神教育資料のうち整理すべき整理基準ですね、これがきめてありますが、どういうものがありますか。
  164. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) いま御質問の整理基準でございますが、その中に、次に該当するものは整理するといたしまして、一つ「憲法の理念に反するもの」、二つ「法令に反するもの」、三つ「「自衛官の心がまえ」に反するもの」、四つ「我が国の防衛の在り方からみて妥当を欠くもの」、こういうものでございます。
  165. 内藤功

    ○内藤功君 特定の主義、思想を誹謗する、あるいは特定の政党を誹謗する、こういうものもその中に入っておりますか。
  166. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) その整理基準のところで、ただいま私が申し上げました整理基準の細目としまして、その例示をするとこういうことであるということで、ただいま先生があげられたことが入っておるわけでございます。
  167. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、この細目も含めた整理基準というのは、単に精神教育参考資料を整理する上での整理基準という範囲にとどまるのか、さらに今後自衛隊員の精神教育を行なう上での基準にも同時になるべきものか、その点はいかがです。
  168. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 当然同じ党でございますから、衆参両院違っても、松本善明君と私との間のやりとりであったこと、まあ、あと東中委員と内閣委員会でやりましたがね、それに端を発したものであることは御承知のとおりだと思うんです。それはまあ非常に古い、昭和三十一年、三十三年、そういうときのもので、私どものほうがさがしても全然どこにも残っていない、発見できなかったような本などもございました。そしてまた、一冊の膨大な、あるいは共著にかかる厚い本の中の一行半ぐらいのところが問題だとか、あるいは著者が問題だとか——これは共産党のほうから見てですよ、そういう御意見等もありまして、それをまた私が見て、そう言われればそこのところは確かにそう言われるような問題が存在するなあというふうに思ったものということで、ここに要約したようなことで整理を一ぺんやろう、何しろこれは陸海空そろっておりませんしね、空はないんです、これが、「自衛官の心がまえ」以外は。そうすると海と陸だけが、しかもばらばらにそういうものをやっておる。そこらのところが前ばかり見ていて、そして足元あるいは歩いてきたあとを振り返っていない過去の自衛隊あるいは防衛庁というものの問題点があったと私は率直に反省しました。そこで、何らそれにとらわれることなく、あるべき日本国憲法の精神、そして憲法の精神である民主主義の理念なり何なりに反するようなものについて、そういうものがもしあったら整理しろと、こういうことを出したわけです。そこで、じゃなぜそれを今度は廃棄するということにして全部やめたかということをこまかく詰めていってみますと、なるほど一行半ほどは問題がある、しかし、たとえば共著にかかる五人の先生の書かれた本の一人の中の一行半のことば議論の対象になって、言われてみればそうかなという点があるからといって、その本全体を私どもではこれは廃止しますといった場合に、まあ学者の名前は避けますが、相当な碩学の方のお名前まで、何か私どもが、あなたの本はいけませんというようなふうに受け取られがちなところも出てきましたし、何よりも最後ぎりぎり詰めていきますと、今度は主観の相違という問題がどうしても残る。これは共産党、自民党というのは一番、右左という言い方はこれはよくないですね、両極ですね。とすると、この両極が一つの文章の表現をめぐって、これについてはどうしても主観の相違が残る余地があるなと。では、教育参考資料といい、訓育参考資料という、名前も違う、空にはない、こういうようなものを誤解を招くようなことで残しておいたほうがいいのかどうかということで、私が決断をして、そうして共産党の控え室まで私が足を運んで、礼を尽くして松本君に、私自身がこういう決断をしましたからという御連絡、御報告を申し上げたのが五月三十日付の内容であります。でありますから、今後は市販の、普通の役所がやっておりますような図書購入費でもって市販の本屋さんのを買いますし、出版されたものを買います。それも共産党が気に食わぬとおっしゃるなら、これはもう本屋さんとあなたたちの問題か、出版元とあなたたちの問題で、自衛隊ですから売らないという本屋があればそれはしかたがありませんが、私ども普通の販売されている本を買って、参考になるものかどうかはそれは本だなに公に展示して、必要な場合に必要な段階で必要な本を使っていく、それは市販の本だと、そういうふうに整理を全部、陸海空したということであります。念のために、御承知の上だと思うのですけれども、その経過を一応やりませんと、きょうの速記録だけで赤旗に書かれますと非常におかしな問答になりますので、前のを整理しておきます。
  169. 内藤功

    ○内藤功君 経過はあなたから御指摘あるまでもなく議事録を読んでよく承知しております。  そこで、私の一番聞きたかったことが、意を尽くせなかったためかお答えいただけなかったのですが、「精神教育参考資料の総点検について」を廃止すると、そこに書いてあったいろいろな整理基準というもの、これも法的には効力が消えるわけなんですけれども、今後精神教育を、いろいろな木を買ったり、あるいは参考書をつくるときがあるかもしれない、あるいは部外講師を呼ぶとき、そういうときにさっき説明のあった整理基準というものは、精神教育の一つの基準として尊重されていくおつもりがあるのかどうか。この点を伺いたい。
  170. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 資料としてはもう今後ないわけであります。でありますが、この考え方というものはどこから出たかということは、わが国の憲法下における許容、私どもは許容される自衛隊のあり方の限界の中における、またそれをはみ出してはならない教育のあり方の限界をある意味で示したものと受け取っておるでありましょうし、またそうでありますから、これは文書にしなくとも、この考え方というものは今後の精神教育その他を、これやらないと言ったって、「自衛官の心がまえ」中心に、何のためにおまえそんな服装をしているんだと、重い帽子をかぶって何か手に持ってと言われたときに、それは自衛隊法第三条によってというような、そういうことぐらいはわかっている者の集団でありませんとおかしいですから、そういう意味のふだんの教育をいたしますときには、そのような心がまえを各種、学校とか教官を通じてやっていくようにいたしたいと考えます。
  171. 内藤功

    ○内藤功君 次に議論を進めますが、五月三十日にこの廃止通達を出して、陸幕、海幕で廃止の通達を出した、それ以後の個々の部隊の講義の内容ですね、精神訓話といいますか、あるいは精神教育についての方針というものは特に新たにお立てになったかどうか。また、現在は何を基準に、この五月三十日通達以降は何を基準に精神教育を進めておられるか、この点を伺いたい。
  172. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもともと航空自衛隊には存在しなかったことでわかりますように、本来そういうものがあったほうがよかったのか、あるなら陸海空そろえておかなきゃならなかったはずですし、やはり自分たちの前ばかり向いて歩いてきた足あとを振り返っていなかった、点検をしていなかったことのやはり問題点を松本委員より指摘を受けたものとして謙虚に私は受け取ったわけです。政党の立場は違いましても、思想は違っても、これはやはり自分たちが過去の点検を怠っていた点であるということで、率直にそれを認めてそういう措置をとったわけでありますから、今後の教育においては、いろいろ課程が違うわけです、初めて入りましたときの最初の教育の期間から、あるいは曹を志すための曹養成の期間から、あるいは上級、陸海曹から士官、幹部を目ざす道程から、いろいろと教育課程が違っております。それに応じたレベルの教え方をしていきませんと、それを、二士で応募してまいった者にも同じように高い次元で教えるというようなことは、これは常識ではありませんから、二士、一士、士長ぐらいで、一任期ぐらいで済むところまではその程度にふさわしい程度の基礎的な知識を与えていく、心がまえの初歩でありますね、そういうような程度にとどめてありましょうし、だんだんそれが高度の精神的なものになっていくような一般訓練の中でそういう時間をさいてやっていくことになる。これは課程ごとにやっぱり違うと思います。しかし流れは違わない。しかし教え方が違っていくということであります。
  173. 内藤功

    ○内藤功君 現在、防衛大学校で課外講演というのをやっておりますか。この課外講演というものについて、現在大体どんな基準で部外講師をきめておられるか、この点を伺いたい。
  174. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 先生御指摘のように部外講演をやっておりますが、その場合に、防大の教育といたしましては、防衛大学の学生につきまし科学的な思考力を養い、あるいは広い視野を養う、また伸展性ある資質を養成するというようなことから、先生いま御指摘の意味がちょっと私わかりませんけれども、講師を選定しております。
  175. 内藤功

    ○内藤功君 具体的に聞きますが、講師をだれにするか、またどういう項目で話をお願いするかということについて、防衛大学校内部できめているのか、あるいは何か諮問機関、委員会のようなものを設けているのか、その点はいかがですか。
  176. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 防衛大学校内部できめております。
  177. 内藤功

    ○内藤功君 前に課外講演企画委員会というのが、これは防衛庁長官の通達で四十五年の四月まであったはずですが、これは現在廃止されているようですが、この廃止されたのはどういうわけですか。
  178. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 私ちょっと不勉強でその点は承知しておりませんので、後ほどまた調べまして……。
  179. 内藤功

    ○内藤功君 あとでひとつお調べになって回答願いたいんですが、四十四年度までは課外講演企画委員会という委員会において部外講師の講演の計画及び選定等が審議されておったんだけれども、四十五年以降これが変わってきていますね。そして四十五年以降、特にこの講師の顔ぶれを見ると、非常に片寄った——私はさっき山中さんのお話じゃないが、なるべく片寄らないで講師の顔ぶれを見たいと思って何回も見たんですが、たとえば、自民党では福田赳夫さん、池田正之輔さん、賀屋興宣さん、岸信介さん、あるいは田川誠一さんという方々、民社党では曽祢益さん、ほかの政党の講師は見当たりません。三島由紀夫さんも来ている。しかも全員集めてやっておる。それから鍋山貞親さん、共産主義を批判することをもって職業となさっているような評論家でございます。この講演も全員で聞いている。こういうふうな非常に片寄った、さっきのお話じゃないが、右左という表現はぼくは使いたくないけれども、安保条約なりあるいは特定の主義思想なりというものを誹謗してはいけないというさっきの整理基準から見ると、非常に片寄った講師の選定をされておるように思うんです。私は特にこの問題と課外講演企画委員会の廃止の問題とが直ちに関連があるとここで断定するわけじゃないけれども、この廃止の前後を通して変わっているように思うんですね。この点何かあなたのほうでお気づきの点があれば答弁願いたい。
  180. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 御承知のとおり、防衛大学校の学生は自衛官ではございません。本人たちがいやだと言えば、せっかく養成いたしました、幹部の道を進むであろうと思っていた者が自衛官の宣誓拒否をすると、それはもうやむを得ないで、強制力はないわけでありますから、そこでやる教育というものは自衛官に対する教育とはいささか趣を異にいたします。でありますから、猪木正道先生を就任いただいてやっておりますし、ときどきは私も、たとえば「ひよわな花・日本」というのを書きましたブレジンスキー教授をどうやら呼べそうだというようなことで、それは私も行って聴講したいぐらいですなんて言って、御相談を受けることもあるんですが、もとそういう基準があったのがなくなったとかなんとか、そこらの内部のこまかい問題、共産党さんのほうは防衛大学校のほうの情報源をあるいはお持ちであろうと思いますが、しかし、私のほうはそこまで事務的にまだ調べておりませんので、菅沼君がただいま申しましたように、調べた上でその理由その他を、近ければ委員会のとき、その前に御必要ならば調査結果を御報告いたすことにいたしたいと存じます。
  181. 内藤功

    ○内藤功君 私は別に特別な情報源はありませんで、防衛大学校でおつくりになった公刊のものを通してお尋ねしたわけです。  そこでもう一つ、これも即答できないかもしれないけれども、防衛学というものを教えている。自衛官を対象とする学校じゃないと言うけれども、防衛学という課目がある。そして、その中に国防論あるいは戦史というものがあるけれども、まず伺いたいのは、この国防論について、特に国防と思想というところなんですね、国防論の中の国防と思想という課目がありますが、これは二単位であります。二年生のときに週一時間の授業があるらしい。こういう国防と思想という中で、安保条約、さらに中立論というものについてはどのような教え方をしているか。特に私がずばり聞きたいのは、安保条約廃棄を主張する立場、中立を主張する立場というものについてこの講義の中でどのように取り扱っているか、扱っていないか、この点がおわかりになればお伺いしたい。
  182. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 私、ちょっと承知しておりません。
  183. 内藤功

    ○内藤功君 もう一つは、防衛大学において憲法の講座が三十時間あると。これは五月十日の衆議院内閣委員会で大西参事官が答弁しておりますね。この三十時間の憲法の講座があるけれども、この中で、問題の憲法第九条と自衛隊との関係、あるいは自衛力、戦力との関係、これについてはどのような教え方をしているのか。特に長沼事件の第一審判決、こういったものについては正確に、これは自衛隊の性格に関するものですが、教育をどのようにしているか、この点もぜひお伺いしたい。
  184. 菅沼照夫

    説明員(菅沼照夫君) 防衛大学校の憲法教育でございますが、いま先生がおっしゃったように、先日大西参事官が御説明しましたように、憲法全般について三十時間にわたって説明をいたしておりますが、ただいまの先生の長沼の判決等についてはどういうふうに説明しているかということでございますが、これは、判決が出ましたあとに正確に防衛大学校におきましてその概要等説明いたしております。
  185. 内藤功

    ○内藤功君 長官の時間の関係があると思うので、まず、長官にお聞きしたいことだけ先にまとめてお聞きしておきたいと思います。  これはぜひ長官御自身から御答弁願いたいんですが、陸上自衛隊、航空自衛隊では精神教育ですか、海上では訓育と言っているようですが、この両方合わして、精神教育の中で、いま菅沼さんにも聞きましたが、安保条約ということについてはこの精神教育の中でどのような位置づけをしてどういうような教え方をしているか、あるいは別にそういう方針は防衛庁としてはないのか、この点を伺いたい。
  186. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 特別にこういう角度から教えろとか、そういうことは別段ありません。安保条約というものはこういうものであって、日本自衛隊とは、ことに実務の上においてはそれが基調となっているものでありますから、そういう教え方をしているということであります。
  187. 内藤功

    ○内藤功君 それに関連をして、国の防衛一つの選択として、安保条約によらない中立の立場を国際的にとり、かつ武装力を持つ立場、あるいは中立の立場をとり武装力を持たない立場、いろいろなほかの立場もあり得ると思うんですが、こういう立場については、精神教育の中ではどういう位置づけをして教えておりますか。
  188. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 最近は共産党のほうもだいぶ自衛隊の官舎のあたりにいろんなポスター、ビラをほうり込まれて行かれますので、そういう点等はやっぱり自衛官の連中も、あとでまた、あくる日回ってこられて感想はどうでしたかというようなことまで聞かれてたいへん御熱意をお持ちのようであります。私どもは、しかしあのポスターの中には事実と違う点もあるし間違いもあるし、そういうところはやっぱり事実と違うことはそれは隊としてやっぱり教えなければなりません。かといって、安保条約反対とか、あるいはいまおっしゃいました軍備中立とか、あるいは非軍備中立とか、そういういろんな考え方があることはわかっておりますが、それらを全部教えているのかどうか、いま現在日本が持っているのは日米安保条約を基調とする侵略にのみ対抗する武装中立ということになるわけでありますから、それを中心に教育はなされているはずであります。
  189. 内藤功

    ○内藤功君 これは今後とも私はこの問題について、特に部外講師の選択、講義内容の問題、それから実施部隊の、特に中隊単位での精神訓話の問題についてずっといろいろお尋ねをし、また必要に応じて提案もしていきたいと思っておりますけれども、国の世論の中に、国論の中に、安保条約を基調としていくという立場と、それから安保条約によるのはかえって国の安全をそこなうのだ、中立でいくべきなのだという見方がある場合に、この自衛隊員の諸君に対してやはり正確にこの中立というものの立場、さらに安保条約に反対する立場というものをいろんな方法でやはり知らせていく、やはりそれも教育の内容であるというふうに考えていくべきではないか。それをもし一方の安保条約維持の立場だけを教育していくというところに一つの非常に片寄った——「自衛官の心がまえ」の中にも片寄った見方をしてはいかぬというのがありますが——立場に追い込んでいくものじゃないか、私はそう思うわけです。いまこの点はあなたとこれ以上の議論はいたしません。次の質問に移ります。  それはアメリカ海軍と日本海上自衛隊との共同訓練についての問題であります。  まず防衛庁にお伺いしたいのですが、昨年の五月以降現在までに至る間のアメリカ合衆国海軍と日本の海上自衛隊との間の共同訓練の回数、それからおもな訓練項目、これについてお伺いしたい。
  190. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは、先生の御要求に応じましてすでに資料を出してございますので重複いたすかと思いますが、昨年の五月一日以降、まず対潜特別訓練というのを二回やっております。それから、ことしに入りましてからは五月の二十五日から四日間、やはり対潜特別訓練というのを実施いたしております。
  191. 内藤功

    ○内藤功君 アメリカ合衆国の海軍と海上自衛隊との共同訓練の場合には、海上幕僚長から事前に防衛庁長官にその大綱を報告するということになっておりますが、これは訓令どおり報告だけというふうに伺ってよろしいのですか。
  192. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 実施の規模、訓練の内容、その可否、時期等について、私が直接指示をいたします。だから、持ってきたらそのとおりをうのみにするということはないと思っております。
  193. 内藤功

    ○内藤功君 この共同訓練というのと、それから演習というこの区別をちょっと教えていただきたいんですが、どういうふうにこれを区別するか。
  194. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 通常、共同訓練といいますと、特定の項目につきまして比較的小規模の部隊で行なわれるものでございます。演習と申しますと、やや広い概念になるかと思います。
  195. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 日米の、海上自衛隊アメリカ海軍との話ですから、その訓練の中には、たとえばハワイに毎年行ってやっております対潜水中武器効果測定、こういうものは日本にはないわけです。また、それをつくるほどの資力もありません。だからそういうところで、これはまあ演習というよりも訓練のために、そういうアメリカのみが持っておる水中武器の効果測定その他シミュレーターみたいなもので日本の潜水艦あるいは対潜作戦等の精度というものをはかってもらう、あるいはそれを利用さしていただいてはかるということで、訓練の練度の向上をはかるというようなものがございますから、共同で相手方の船を敵に見立てて、索敵攻撃をやったり、あるいはどっちかの潜水艦を出して、それを捜索攻撃を演習としてやったりする、そこのところのはっきり分かれる種類のものもあるかと思います。
  196. 内藤功

    ○内藤功君 いまの、アメリカの訓練場に行ってやるというやつですね、これは私どもに配付していただいた「昭和五十年度業務計画について」という中にも一行書いてありましたが、これはハワイの何という演習場に行くのですか。
  197. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ハワイに、これはバースターと言っておりますけれども、水中武器評価施設と申しまして、ハイドロフォンを海の底に沈めておきまして、そこを通過いたします船の音響をずっと測定をして、こちらがたとえば魚雷を発射いたしますと、それの効果があったかないかということを測定できるような組織になっておるわけでございますが、このバースターを施設した海域がハワイにあるわけでございまして、そこへ行って訓練を受ける、こういうことでございます。
  198. 内藤功

    ○内藤功君 おそらくバーキングサンズ戦術水中射爆場、こういう名前だと思いますが、そうですね。
  199. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 申し上げます。射爆場ではございません。いま申しましたように、あくまでも水中聴音機によって効果を測定するという、そういう施設でございまして、パーキングサンド・タクテイカル・アンダーウォーター・レンジ、こういうふうに申しております。
  200. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、ことしの「昭和五十年度業務計画について」という文書によると「対潜能力の評価等を行うため、対潜航空機等をハワイへ派遣する」とありますね、これは対潜航空機によってこのバーキングサンズの戦術水中演習場ですか、ここで訓練を行なう。この場合に、アメリカの艦艇との共同動作の訓練は行なうんですか。
  201. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ここでは主として潜水艦を対象にしておりますので、アメリカの潜水艦を対象とした訓練といいますか、こういうことはあり得ます。
  202. 内藤功

    ○内藤功君 次に、この間あなたのほうからいただいた資料の中で一点御質問しておきますが、本年の五月二十五日から二十九日の間に対潜特別訓練が行なわれておる。これに日本側から潜水艦三隻、アメリカの潜水艦一隻参加しておりますが、このアメリカの潜水艦は何という型ですか。
  203. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ともかく原子力潜水艦でないことは明らかでございます。潜水艦の型につきましては調査いたしまして後ほど……
  204. 内藤功

    ○内藤功君 艦名はわからないですか。
  205. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) あとで御連絡をいたします。
  206. 内藤功

    ○内藤功君 次に御質問したいのは、この「昭和五十年度業務計画について」という中でお伺いしたいんですが、まず、戦車あるいは装甲車の増強が非常に目立っておりますけれども、北海道の第一戦車団、この第一戦車団というものを、いままでの部隊より格を上げて戦車団というものにした、この趣旨について衆議院の内閣委員会では、これは最近の戦訓を参考にしてこういう戦車と装甲車と共同動作ができる戦車団をつくった、こういう御答弁でした。この最近の戦訓というものを、ちょっとどういう戦訓であるのかということをお伺いしたいと思います。
  207. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 戦車団が孤立いたしますと、その戦車団自体が壊滅的な打撃を受けるという、こういう戦訓は、ノモンハン事件のときその他ずっと第一次、第二次大戦を通じまして出てきておるところでありまして、戦車団と歩兵部隊の密接な共同作戦、これが戦車団の効力をあげるためにたいへんに必要な基本的な要素でございます。ところで、最近火器がたいへんに発達してまいりまして、歩兵が裸で活動いたしますとたいへんに打撃が大きいと、そのために歩兵を装甲車の中に入れて運搬をいたします、いわゆるAPCというものが発達をしてまいったわけでございます。そこで、結局戦車団と、それからAPCをもって運びます歩兵部隊、これが共同作戦をする必要というものが出てまいりまして、最近のソ連の自動狙撃化機甲団、これは中に連隊レベルで戦車団とそれからAPC化されました歩兵師団とが、両方合わさっております。さらに、大隊レベルになりましても同様でございます。それから一方、戦車師団のほうになりますと、戦車師団もAPCに乗りました歩兵が入っておると、こういう状況でございまして、特に戦訓と申し上げましたのは、中東戦争におきまして、まず、イスラエルの戦車団がゴラン高原の戦線からシナイ半島に転戦をいたしたわけでございますが、この際、非常に急ぎました関係で歩兵師団を一緒につけなかったということで、シナイ半島においてたいへんな打撃を受けた、こういう事例がございます。それから、これはフランスの有名な軍事評論家その他の方が指摘しておるわけでございますけれども、近代の戦車団というものは、装甲された歩兵隊というものを伴わなければ効力をあげないということが中東戦争によってきわめて明白になったと、こういうことを指摘しておるわけでございまして、それらのものを総合して、先ほど御指摘のようなことを申し上げた、こういうことでございます。
  208. 内藤功

    ○内藤功君 もう一点、この「業務計画について」という中に出ていますが、ナイキ後継ミサイルシステムの開発をやるということが出ております。これは具体的には、後継ミサイルというのは、アメリカでは、たとえばSAMIDというようなものの開発が行なわれているようですが、どういうものをお考えか、たとえば外国のものに比較してでもけっこうです。
  209. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは私の特命で始めたものでありまして、来年度予算に研究開発の第一歩としての要求をしております。  まず、なぜそういうことを考えるに至ったかということになりますと、これはまた中東紛争でありますが、ソ連製のSAM6というものが、北ベトナムでは出てこなかった、わからなかった極秘の兵器が、突如としてエジプト・シリア戦線に出たことによって、当初はそのSAM6の威力を知らないイスラエルの戦闘機、ファントム等は、五機行って三機落ちたという瞬間が当初あったようであります。それがしかも、原則、移動するもの、移動が原則のミサイルであって、ちょうど日本のナイキ、ホーク等の性能に近いものを移動しつつ持っておる。ところが、一方アメリカのほうは、SAM−Dというものをいまは研究をしておるようでありますが、アメリカの戦略戦術の中には、これは率直に申し上げてアメリカ本土の上に敵の飛行機が来た、あるいはアメリカ本土に敵が上陸をしてきたというような構想は実はないと私は見ております。しかも、アメリカでは、あのような広大な土地のせいもありまして、そのようなちょこまかと動き回って、まあ短距離迎撃対空ミサイルみたいなものをつくるような必要性はあまり考えていない。SAM−Dも、したがって多目的なものとしては考えているようでありますが、直ちにもって日本にいままでのナイキJあるいはホークみたいに持ち込むことはどうか、ことにナイキ、ホークは非常に、性能はなお有効、有能であるとしても古いものである、しかも、アメリカはもうすでにナイキはアラスカとフロリダを除いては配置をやめ、製造も、NATOあるいは日本その他に向けての必要なものは部品その他つくるけれども、国内配備はやめたという現実さえ持っておりますので、この際、わが日本の頭脳、極言すれば自衛隊防衛庁の頭脳をもってして、ミサイル本体、ランチャー、それに装輪駆動車、そういうものをくっつければ、ちゃんと、まあそれに対電子妨害装置あるいはまたレーダー装置、こういうものを合成していけば、当然日本独自の、しかもこの起伏の多い、河川の多い、そういうような独特の地形を持つ、長大な長さでどてっ腹をさらけ出して横たわっている国土の対空防衛というもの、そういうものを考えた場合に、日本日本にふさわしい対空兵器、ミサイルというものがあるのではないか、またあってしかるべきである、いつまでもよそさまの日本と違うような環境の中において開発したものについて、それを改良したりライセンス生産したりする必要はない、そろそろ日本独自で研究開発をしろということで命じたのが、今回の日本製の、国産の対空ミサイルの開発予算の研究開発費の要求の前提になっているわけでありまして、まだ性能、諸元、その他どの程度のものをということを考えておるわけでありませんが、日本の狭いところで、基地の新規取得等もなかなか困難でありますし、原則固定、移動も可能というようないまのあり方から変えて、いままでの駐とん地その他に置いて、そしていつでも必要な方向に、必要な距離を移動できることを原則とするというようなほうに持っていくべきが、また客観的にも国内的にもふさわしいのではなかろうか、このような諸種の観点から新たなる研究開発を命じたということでございます。
  210. 内藤功

    ○内藤功君 時間の関係で、これらの点についてはさらに次回に質問をし、詰めたいと思います。  最後に、キャンプ朝霞の問題について、これは施設庁になるかと思いますが、八月二十九日の日米合同委員会で取りきめた、在日米軍のキャンプ朝霞の返還は、これはいわゆる関東計画の一部ではないと私は理解をしておりますが、これはどういうふうに理解をしたらいいか、まずこの点を。
  211. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) いわゆる関東計画と申しますのは、米空軍施設、関東にありまする米空軍施設を返還をし、必要な機能については代替施設を移設するということでありましたが、いまの朝霞はその関連と別個に米側が検討しました結果、主として陸軍の施設でありまするけれども日本側に返還することが可能になったもの、一部を利用しておりまするけれども、そういうものであります。
  212. 内藤功

    ○内藤功君 この朝霞市内にある北地区の施設については返還されないで継続して使用されるようになっておりますけれども、そういうふうに聞いておりますけれども、この施設の現在の使用形態、それから施設の機能はどういうふうになっているかという点をお聞きしたいと思います。
  213. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 朝霞は全般的には陸軍でありましたが、ノース地区につきましては、北地区につきましては約四分の一程度でありましょうか、まん中辺を空軍のほうの通信関係の部隊が留保するということになっております。
  214. 内藤功

    ○内藤功君 この空軍施設については、聞くところによりますと二年ぐらいの期間に返還をされるんじゃないかということをこの朝霞の付近で言っている向きもあるんですけれども、この返還のめどというものはございますか。
  215. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 私はそのようなうわさ初めて伺いましたけれども、そういった見通しあるいは計画は全くございません、いまのところ。
  216. 内藤功

    ○内藤功君 北地区だけが残った形になっておるんですけれども、これについても当然全面的な返還を要求すべきだと考えます。しかし、これはかりに返還されたとしても当然関東計画の一環として横田基地周辺への移転ということが考えられるけれども、その場合の代替施設工事費などは日本側負担になるのかどうか、この点はいかがですか。
  217. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 関東計画と申しますのは、たとえば水戸の射爆場でありますとか、府中にあります関東村でありますとか、特定の施設をさしまして関東計画と称しております。したがいまして、朝霞はその中に含めておらないわけでありますが、いま仮定の御質問としまして、朝霞の空軍施設を移設する場合に、返還を前提として移設する場合にどうかというお話がありました。その場合には、日本側の必要でもって返還を要求し移設するということであれば、日本側の経費負担になります。
  218. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 内藤君、時間がまいりましたので……。
  219. 内藤功

    ○内藤功君 では簡単にあと要約しますが、根津地区ですが、これは現在自衛隊が引き続き使用する方針で朝霞、新座市当局へも継続使用の了解工作を進めていると聞くが、そういう事実はありますか。
  220. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 施設が日本側に全般的に返還されますれば、大蔵省がその返還後の施設の処分をどうするかということを大蔵省が審議会にかけて決定をするわけでありますが、自衛隊といたしましては、根津地区の一部あるいは地元に使っていただくということは考えられましょうけれども、全般的には陸上自衛隊の施設として使いたいという希望は持っております。
  221. 内藤功

    ○内藤功君 大蔵省と建設省に一問だけ聞いて終わりたいと思います。  まず、大蔵省にお伺いしますけれども、現在関係自治体や省庁から、あと地利用についてはどのような要求が出ているかという点、それから建設省にお伺いしますけれども、建設省としては返還されたあと地については、今後関係自治体や地元民の要求を最優先に検討していくということがお約束できるかどうか、この点について最後に伺いたいと思います。
  222. 森卓也

    説明員(森卓也君) お答えいたします。  各省あるいは地方公共団体からのキャンプ朝霞につきましての要望の状況でございますが、まずさきに返還になりました南地区、これにつきましては東京都あるいは練馬区、埼玉県、朝霞市、和光市、新座市等から要望が出ております。それから地方公共団体のほかには、正式の書類ではございませんけれども、メモ程度でございますが、警察庁あるいは防衛庁、それから口頭でございますが運輸省、これは流通センターでございます。それから税務大学校、理化学研究所、日本住宅公団、それともう一つ芝浦工業大学、こういう要望が出ております。  それからまだ返還になりませんが、近く一部返還になります北地区につきましては、朝霞市と日本住宅公団から要望が出ております。それから根津地区につきましては、これもまだ返還になっておりませんけれども、現在までのところ新座市と、それから正式の書類ではございませんが、防衛庁のほうからメモが一応提出されております。  以上でございます。
  223. 野呂田芳成

    説明員野呂田芳成君) まあ建設省におきましては、このキャンプあと地等を含めました国有地等のあと地利用の重要性にかんがみまして、省内に局長メンバーを委員とするあと地利用委員会というものをつくって、この種の問題について慎重に協議しておるわけでございます。まあ御指摘のとおりこのあと地の利用につきまして地元の意向を最優先するということは、基本的に私どももその方向でいきたいと思います。ただこの地区は、やはり首都圏の中における大規模に残された貴重なオープンスペースでございますので、しかも返還の土地の形状が入り組んでいたり、行政区域が非常に入り組んでおりまして、これをこのまま自己完結的に都の意見なり埼玉県の意見を認めるとすると、たとえばせっかく貴重な避難緑地等をつくろうとしましても、自己完結的に公園の構想が出ておりますから、その機能を著しく阻害するような計画が出てまいっております。そういう意味では、私どももやはり都市政策の観点から合理的な調整が必要であるというふうに考えております。こま切れの土地利用は避けるべきでございますし、それからいままで一次返還地につきまして省内の計画というものをいろいろ議論してまいりましたけれども、第二次返還分、長い目で見れば残されたものも含めましてどういう利用のしかたを考えるべきか、長期的な視点に立ってやはり考えていかなければならぬというふうに思っております。まあ建設省の意見をまとめまして、国有財産審議会の返還財産処理小委員会で国の最終的な結論は出るわけでございますから、こちらに対しまして私どもの計画を十分通るように進めてまいりたいというふうに考えております。
  224. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本調査についての本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会