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1974-08-09 第73回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年八月九日(金曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり     委員長         寺本 広作君     理 事                 大谷藤之助君                 林  ゆう君                 上田  哲君                 鈴木  力君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 戸塚 進也君                 中村 太郎君                 中村 波男君                 野田  哲君                 秦   豊君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 河田 賢治君                 内藤  功君                 中村 利次君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       細田 吉藏君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人  事  官  島田  巽君        人事院事務総局        給与局長     茨木  広君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        行政管理庁行政        管理局長     木下  薫君        労働大臣官房長  青木勇之助君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (一般職職員給与についての報告並びにそ  の改定についての勧告に関する件)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関する件を議題といたします。  まず、人事院から説明を聴取いたします。佐藤人事院総裁
  3. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 先般の給与勧告につきまして、説明御聴取の機会をお設けくださいましたことに対しまして、まず厚く感謝をいたします。  私、お配りしてあると存じますけれども、「給与勧告についての説明」という、これを見ながら申し上げますので、お手元にございましたらごらんになりながらお聞き取りを願いたいと存じます。  人事院は、昨年の報告におきまして、官民比較についていわゆる総合較差主義、これの変更について検討したいということを明らかにしたのでございますが、その後慎重に研究を重ねました結果、結論として、官民給与比較官民双方の大部分を占める職種、すなわち公務員については行政職民間にあってはこれに相当する職種職務に従事する者の給与についてこれを比較することが適当であると認めました。  その結果、公務員に関しては、行政職俸給表適用者の本年四月における給与、なお民間につきましては、やはりこれに対応いたします事務技術、技能・労務関係職務に従事する者の四月分に給与、これを調べまして、つき合わせて較差を算定いたしました次第でございます。  その結果、本年の官民給与較差は一八・六二%であることが明らかとなりましたので、この較差を埋めるため給与改定を行なう必要があると認めたわけでございます。  なお、いま申しました官民給与較差の算定の基礎になりました行政職俸給表適用者給与月額には、本年五月の勧告によって改善いたしました一〇%の引き上げ分を含んでのものでございます。したがいまして、その一〇%の改善をのけてその前の形で比較をいたしますというと、官民給与較差は二九・六四%ということに相なります。  次に、本年の給与改定にあたりまして、特に俸給表重点を置いたことは当然でございます。しかし、諸手当につきましても種々の配慮を加えることにしております。  まず、俸給表改善につきましては、全俸給表の全等級にわたって改善を加えましたが、特に初任給及び中位等級改善について重点を置きました。  初任給については、民間との均衡を考慮いたしまして、一般事務技術系の場合につきましては、大学卒の場合七万円といたしました。高校卒の場合五万九千二百円といたしたわけでございます。  なお、試験による採用者の最初の昇給につきまして、その昇給期間を三カ月短縮することができるようにいたしたいと考えております。  次に、諸手当改善でございますが、扶養手当につきましては、配偶者以外の扶養親族についての手当額の定め方を改めました。と申しますのは、御承知のように現在は配偶者幾ら、子のうち二人についてそれぞれ幾らという形をとっておりますが、今回は子供を特別扱いをするというような形をやめまして、単純の順位制に改めて、しかもそれぞれ配偶者は五千円とか、あるいは配偶者以外の扶養親族のうち二人はおのおの一千五百円というようにその額を引き上げております。  右のように順位制に改めました結果といたしまして、従来、父母というような者については一人当たり四百円ということになっておりましたけれども順位制に改めました結果、父母を養っております関係につきましても、父母が結局千五百円もらえる、あるいは三千五百円の場合と千五百円の場合と、まあ詳しいことは省略いたしますけれども、結局五千円父母の分としてもらえるというような形になりましたことが大きな改善であると存じております。要するに、独身者父母を扶養しているような場合について、相当優遇される結果になるわけでございます。  次に、住居手当でございますが、これは従来の家賃、間代を支払っておりまする職員に対する手当額改定いたしまして、これを引き上げております。と同時に、長年の懸案でございました自宅居住者についての住居手当支給ということを初めてここに踏み出した次第でございます。その内容は、みずからの所有にかかる住宅に居住する世帯主である職員に対しましてこれを支給する。支給月額は千円。なお、これに加えまして、住宅を新築、購入した職員については、その住宅を取得後五年に限り千五百円を加算するということにいたしたのであります。  次は、通勤手当でございますが、これも交通機関等利用者関係及び自転車等交通用具使用者についても、民間支給状況等を考慮して改定いたしました。  交通機関等利用者の場合につきましては、全額支給でとらえて申し上げますと、従来の限度額五千円でありましたものを今回八千円に引き上げたわけです。なお、加算額その他の場合の最高支給限度額についても改善を加えております。  自転車等交通用具使用者につきましても、片道十キロメートル未満現行千百円のものを今回千三百円に引き上げるというようなことで、以下片道十キロメートル以上につきましての、あるいは通勤不便と認められる者の場合についての措置手当というようなものをそれぞれ引き上げております。  なお、交通機関自転車等併用者についても同様といたしております。  次に、宿日直手当でございますが、これについては支給額をそれぞれ引き上げております。通常の宿日直勤務については一回について千三百円、更生援護施設等における特殊な宿日直勤務につきましては一回について二千円、矯正施設等における特殊な宿日直勤務については一回につき二千六百円、常直勤務につきましては、月額でございますが、これは九千円に上げております。なお、矯正施設におきます監督当直の補助を行なう勤務などにつきましては、勤務一回について二千円の手当支給することといたしております。  次に、期末手当につきましては、結局民間調査の結果〇・四月分ふやす必要を認められました。その結果、六月の支給割合を一・四月分といたします。十二月の支給割合は二・一月分といたします。さようにいたしまして、結局、期末勤勉手当年間支給割合は現在の四・八カ月が今回五・二カ月分になるわけでございます。  次に、医師及び歯科医師に対しまして初任給調整手当を現在支給しておりますが、そのうち、従来から非常に高い手当支給しておりました医療職俸給表(一)の適用を受ける人々、この人々に対する初任給調整手当支給月額を、さらに限度額引き上げまして今回十三万円といたしました。  次に、これは新しい措置でございますが、医療職俸給表(一)以外の俸給表適用を受ける医師及び歯科医師、たとえば医系の教官などがそれに含まれますが、これらの人々につきましては、従来普通の技術系初任給調整手当給与しておりましたのを改めまして、これを相当引き上げまして、初任給調整手当支給月額限度を二万五千円といたしまして、これを二十年の間に漸次減らしていくということにいたしております。  なお、特殊勤務手当につきましても、たとえば看護婦夜勤手当の増額その他につきまして、手当額引き上げ等所要改善を行なうこととしております。  以上のうち、官民給与比較基礎となる行政職給与についての改善は、俸給で一五・八七%、諸手当で一・八五%、その他で〇・九〇%、計一八・六二%、平均二万一千三百八十五円となります。  次に、昨年の報告で言及いたしました事柄につきまして申し上げますと、まず給与支給手続について言及したのでありますが、これについては、給与の全部または一部を口座振り込みによって支払うことができることにいたします。その場合は、職員が休職にされた場合、遠隔の地に勤務する場合、その他相当と認められる場合で職員から申し出があったときはこの口座振り込みにすることができるというようなことにいたすつもりでおります。なおもう一つ、職員死亡いたしました場合におけるその月の給与支給について、その死亡の日までの日割り計算によっておりますのを、従来そうなっておりますのを改めまして、その死亡の日の属する月の給与全額支給することといたしております。  なお、かねて検討を続けてまいりました調整手当支給地域区分の問題、俸給調整額制度及びその適用適正化につきましては、なお引き続き検討することといたしております。  実施月につきましては本年四月一日といたしております。ただし、宿日直手当及び期末手当については本年九月一日からということにいたしております。  なお、昨年触れました週休二日制等の問題でございますが、民間における勤務時間及び週休制度の実態についてさらに今年も引き続き調査いたしましたところ、この一年間に週所定勤務時間の平均は約一時間短縮されておること、同時にまた週休二日制実施事業所割合が、去年に比べまして約一・六倍に増加いたしまして、結局五八・八%にのぼっておることが明らかになりました。  職員週休二日制実施につきましては、昨年の報告においても本院考えを明らかにするとともに、関係機関と協議を続けてきたのでございますが、その結果、現在なお多少検討を要する分野が残ってはおりますけれども、一方、上述のとおりに民間における普及状況は顕著なものがございます。本院としては、当面、時間短縮を伴う隔週または月二回を基準とする週休二日制の実施目途といたしまして、行政サービスの維持その他の諸条件に留意しながら、テスト——試行についての計画を策定いたしますなど、関係機関との緊密な連携のもとにさらにその具体化のための検討を進めるつもりでおります。  以上御説明を一応終わりますが、なお一言つけ加えて申し上げたいと思います。  今回の勧告につきましては、人事院としては、かねて参議院選挙後の臨時国会のありますことを想定いたしまして、民間調査の締め切りを繰り上げますなど、早期勧告決意をもってその作業に臨みますとともに、さらには当委員会の御決議もありました。われわれ、ほんとうに死にもの狂いの努力を続けてまいりました。その結果、従来の実績に比べますというと二週間ないし三週間早く勧告を申し上げることができたのでございます。  かくして、勧告に際しましては、その早期実現について総理大臣その他関係の向き向きに格段の御配慮お願いし、また総裁談話でもそのことを強く要望したのでございますけれども、御承知のような事情によりまして、その実現機会を得ませんでしたことば返す返すも残念に存じます。  民間企業従業員がすでに大幅の引き上げを享受しております今日、公務員給与がこのまま据え置かれるということは、私ども人事院立場としてはとうてい忍び得るところではございません。本年五月一〇%の暫定措置はいたしましたけれども、それを加えましても、何ぶん国家公務員平均年齢は約四十歳弱、三十九・六歳、そしてその平均給与月額は十一万、十二万程度にすぎないのでございます。現下のきびしい生活条件のもとにおきまして、そのままこれが年末まで放置されるというようなことになっては、私どもとしてこれはたいへんなことだと考えます。  つきましては、ぜひ国会及び内閣格段の御配慮によりまして、本勧告が一日も早く実現いたしますように、この機会に衷心からお願いを申し上げる次第でございます。
  4. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  5. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。     —————————————
  6. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 行政管理庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細田行政管理庁長官
  7. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 私、去る七月十六日、保利茂行政管理庁長官が突然辞任になりまして、後任として任命を受けました細田吉藏でございます。  本日は、内閣委員会の貴重なお時間をお与えいただきまして、たいへん恐縮に存じております。  行政管理庁仕事は、もちろん私初めてでございまして、国会に出ます前に二十年ばかり行政官としての仕事をしてまいったのでございますが、もうほんとうに新しい仕事に取り組まなければならない。しかも、私ども行政管理庁仕事は、行政管理の面といい、監察の面といい、こういう時代に国民のサイドに立って行政の姿勢を正していくという非常に大切な仕事だというふうに考えておるわけでございまして、至って非力でございますし勉強も足りない点が多々あると思いますが、最善の努力を払いたいと、ほんとうに真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  どうぞ、委員長はじめ与野党の内閣委員会の諸先生方の格別の御指導と御鞭撻をちょうだいいたしますようにお願いを申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手)
  8. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 暫時休憩いたします。    午前十一時四分休憩      ——————————    午前十一時三十三分開会
  9. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  小坂総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小坂総理府総務長官
  10. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 小坂徳三郎でございまして、総理府総務長官を拝命いたしております。今後またよろしくひとつ。  なお、本日は閣議に引き続きまして経済閣僚会議がございまして、そのために当委員会出席がおくれましたことをおわび申し上げます。     —————————————
  11. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 休憩前に引き続き、一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関する件を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 上田哲

    上田哲君 参議院選挙が終わりまして、直ちに国民の負託にこたえるべき熱い議論がかわされるべきであった臨時国会にい所信表明も行なわれず、また何の審議も行なわれなかったということは、はなはだ遺憾なことであります。私どもも初めて閣僚とここに接することになりますので、主務委員会への立場で御出席をいただいている総務長官から、この点についての御所見を一言承りたいと思います。
  13. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 参議院選後の国会運営につきましては、それぞれ各党においていろいろと御折衝があったと承っておりますが、その会期等につきましても、また、会期の中における各党それぞれの問題処理にあたりまして、私も十分には承知いたしておりませんけれども国会運営につきましての今後のあり方等については、なおいろいろと反省すべき点もあったやに考えておる次第でございます。
  14. 上田哲

    上田哲君 そこで、非常に具体的に問題になるのは当面の人事院勧告でありまして、時間の制限もつけられておりますし、また同僚議員からもこまかく内容については質疑が行なわれるので、大綱についてだけ承っておきますけれども、せっかく国会開会中に提出された人事院勧告に基づく公務員給与改定が、このままじり押しになっていくということは、あげて政府の責任であると思います。総務長官としては、ある意味ではこれまでになく思い切ったとも言われている勧告について、当然完全実施、しかもすみやかにこれを行なうという決意表明されなければ、いま申された臨時国会審議を行なわなかったという、国務に停滞を来たしたということに対する責めは免れないだろうと思うわけであります。この人勧について完全実施、しかもすみやかにこれを行なうという決意を、具体的に表明いただきたいと思います。
  15. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 人事院勧告を七月の二十六日にわれわれは受領いたしました。七月三十日の閣議におきまして、私から内容についての報告をいたしました。直ちに同日、給与関係閣僚会議を開催いたしました。人事院勧告について、担当関係閣僚から自由な意見討議をいたしたわけでございます。その時点において、すでに国会会期決定されておりました関係もありまして、私、きわめて個人的にはいろいろ考えを持っておりましたけれども、この給与法案についての今国会提出はとても時間的に不可能という判断をいたしまして、同時にまた、給与関係閣僚会議におきましても、今回の人事院勧告については、相当に大幅であるし、しかもまたその影響するところも大きいというような意見が多く出されました。財政措置その他についてもいろいろな意見が出されたことは事実でございます。しかし、結論的に申し上げるならば、私はじめ政府は、誠意を持って人事院勧告に対処するという基本方針は、従来とは変わっておりません。またそうしたことを踏まえまして、同時に国会会期等関係考えますると、この給与関係閣僚会議におきまして、大幅な勧告であればあるほど十分な議論を尽くすのが、また将来の人事院勧告に対する政府の対処の基本にもいい影響があると私は考えております。しかし同時に、だからといってこの閣僚会議決定をずるずると引き延ばす意思は全くございません。また各省におかれても、非常に精力的に現在問題を詰めておると聞いております。そうした二とを踏まえまして、できるだけ早く給与関係閣僚会議をさらに開催をしてもらいまして、これは官房長官が主催いたしますが、開いてもらいまして、そして決定がなされるならば、閣議決定にまで直ちに持ち込み、法案を作成し、そして国会に提出する、国会会期等について、またそれぞれ党の御折衝の中で決定される時期を待つというふうに考えております。
  16. 上田哲

    上田哲君 ただいまの御答弁は、完全実施、すみやかな実施という点についての積極的な意欲表明と受け取ってよろしいわけですか。
  17. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) そのとおりでございます。
  18. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、この問題についての次期国会の見通しはどうなりますか。
  19. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) この国会開会等につきましては、やはり党のほうで主導的に決定されるものだと考えておりますが、もちろん、ただいたずらに長く延ばしていくということは私は期待するものではございません。何らかの形における公務員諸君給与改定というものが早期実施されるということは、当然これは国会運営の中においても十分配慮されてしかるべきものというふうに考えております。
  20. 上田哲

    上田哲君 国会の信頼の回復ということが、今日全院を通じての急務であると思っておりますし、この点では小坂長官のステーツマンシップの高さに大いに期待を持ちたいところでありますが、総務長官という立場で、つまり内閣の大番頭という立場も含めて、単に人勧問題に限らず次期国会がどのような段取りでいつを目途とするのかというような、何らかの意思表示がなされることも二つ意味であろうと思います。それらも含めてもう一言承りたい。
  21. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) いまこの時点で、はっきりしためどを申し上げる用意はございませんのでお許しをいただきたいと思います。
  22. 上田哲

    上田哲君 時期はともかくとしても、これを完全実施、すみやかな実施ということが積極的な意欲であるというふうにお認めになる以上、財源措置というものはどういうふうにお考えですか。
  23. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 財源措置につきましては、昨日も衆議院の内閣委員会におきまして、大蔵大臣よりいろいろと答弁されておりました。私はそうした議論の中から見て、財源についての用意はなし得るし、また補正予算を組む段階において、十二月以降それが成立するならば可能というふうに考えております。
  24. 上田哲

    上田哲君 あえて繰り返しますけれども、私はこうした重要な勧告、あるいは内容の重要さを持っている勧告が出された場合の、たとえば閉会中の特別措置というようなものについても、国会が機能的な運営を果たすためには何らかの考慮がなされてしかるべきだというふうにも思っているわけですが、このことはあえて差し控えましょう。いずれにしても、いまのかなり前向きであると理解をすべき御答弁をそのとおり受けて、完全実施、すみやかな実施、そのための財政措置を講じつつ、臨時国会に積極的に、意欲的に取り組むのだというふうに重ねて受け取ってよろしいわけですね。
  25. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 上田委員のただいまの御発言どおり受け取っていただいて差しつかえないと思います。しかし、一言だけ申し上げたいのでございますが、昨日の大蔵大臣よりの答弁を聞いておりましても、今度の財源措置というものは、国家公務員並びに地方公務員を含めますと、実に二兆をこす財源措置を必要とするということもございます。したがって、また今後の問題等踏まえて、現在、各閣僚の間でこの問題について十分討議をなされる時間を、この現時点においてもう少しいただくということは、将来のためにも非常に必要なんではないかというふうに、私個人的に考えおりますことを御了解いただきたいと思います。
  26. 上田哲

    上田哲君 わかりました。財政措置については関係方面とのさまざまな、慎重な討議も必要であるけれどもという前提の上で、政府としては、この勧告について可及的すみやかに完全実施という立場で全力を尽くすという御答弁が前向きに得られたことをたいへん了といたしまして、今後の御努力を特に要請をしておきたいと存じます。  時間の関係が、非常に当初予定したものより狭められておりますので、ぼんぼん飛ばなきゃならぬということと、それから、内閣委員会も多岐にわたっておりまして、総務長官にもいろいろとお聞きしなきゃならぬので、ひとつお答えをお願いいたしますが、最近の報道によりましても、総務長官の御提案で、総理府の中に物価安定懇談会物価問題調査会二つ諮問機関が設けられることになったと、これは四十四年の五月二十日の閣議決定に基づいて物価安定政策会議が設置されているわけでありますが、ここにこうした二つ機関が設けられるということになりますと、まあこれは狂乱の物価高でありますから、あらゆる立場からこの問題の鎮静にアプローチされることはけっこうでありますけれども、どうもこれまでのものとこの二つ機関との関係がわからない。決して水をかけるつもりはさらさらありませんけれども、屋上屋を重ねるというようなことになるのでは意味もないし、その辺がどういうふうな具体的な機能を発揮されようとし、どのような成果をもくろんでおられるのか。最終的には、大ぶろしきを広げてくれとは言いませんけれども、具体的にこの物価問題に対して、これまでにない政府機能としてのどのような活動が期待されるのかということをひとつ御説明をいただきたいと思います。
  27. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいまの御質問の件でございますが、これは内閣としてこの物価問題に対して、十分これからの努力を積み重ねていかなければならないという一つの大きな意思表示でございます。また同時に、国会が開催されておらないという段階の中で、新しくこの際、政府が主導権を持った形で二つの懇談会と調査会を置くということ自体も、もちろんこれは国会が開かれておればその場で十分御説明申し上げるわけであったのでありますが、一面には国会がないというようなことを踏まえて、しかし早急にこの物価問題に対しての政府の具体的な姿勢を明確に出すべき必要にわれわれは迫られているという認識に立っておるものでございます。それで、ただいまも御質問ございましたが、中山伊知郎先生を中心にする物価の安定会議、これと、今度のわれわれのつくりました懇談会は、物価安定政策会議のメンバーを中心にその会議をつくりまして、そこでおもに——今日まで提案されてきた幾つかの提案があると思います。ところが、これが提案だけに終わっておって、それがなぜできないかというところまで踏み込んだ議論はなされておらなかったわけであります。国会等におきましても常にその問題が論議されておりましたが、しかし、これをやはり国会の場だけの議論にほうっておいてはいけないし、またこの安定会議そのものの権威の問題もあるでしょう。またそこにおられる多くのりっぱな委員の方々のお気持ちもわれわれはそんたくする必要があるし等々から、そうした場で、いままで提案されたがなされなかったということについての徹底的な追求をこの懇談会ではひとつやってもらいたいということが一つでございます。同時にまた、各方面における非常に高い知性を持たれた委員の方々でございますので、あわせてこの段階における物価政策というものについての高度の御提案を出していただくということでございます。これはやや政策会議とダブるような感じがいたしますが、今度は、私の根本的な考えは、物価政策についての提案はもう山ほど出ているわけでありまして、これを早く閣僚レベル、政府レベルの具体的な活動に結びつけたいということで、この閣僚会議にそれをくっつけてしまうということが一つのねらいでございます。  それから、同時にまた、私が中心になって考えておりまする物価問題調査会でございますが、これはきょうも閣議内容をちょっと説明しておったわけでありますけれども、たとえば、国会における野党の方々からずいぶんいろんないい御提案なり、またきびしい注文をいただいておるわけですが、これが国会答弁だけで済んで、会議が済めばそれで済むというようなことはたいへんまずいことだと思うんです。その中で、やはりわれわれとしましては、こうした御提案を最終、できるのかできないのかというところまでをむしろ政府が追求していくということも非常に大事なことだというふうに思います。国会での議論が、そこの場だけで終わってしまって、あと政府はそれが済めばいいという態度は、これは物価問題に関する限り私は非常にまずいと思うわけで、そうした御提案を取り上げたいし、またマスコミその他でもずいぶん物価に対する提案をたくさんしております。また、その他民間の諸団体におきましても、物価対策というものをたくさん提案しておるわけであります。われわれいまこの場所において重要だと思うことは、そうした提案を全部ひっくるめて、そうしてその中から取捨選択をして、どうしても提案の中で実現したいというものについては、各委員の総力をあげて研究してもらいながら推進をしていくと、そしてその結論を、同じように物価関係閣僚懇談会に上げて政府の大きな姿勢にしてしまうということも考えておるわけでございます。問題は、要するに行動する委員会調査会というものをつくるというふうに御理解を賜わりたいと思っております。  たいへん長い説明になりましたが……。
  28. 上田哲

    上田哲君 おっしゃることは私はよくわかりますよ。現に、すべての国務大臣はいま国民生活安定緊急対策本部の本部員ですね。長官もその一人であられるわけで、もしそういう機構図からのみながめるならば、この二つ機関をつくることは、まさにこれはもう機構いじり、屋上屋を重ねるのではないかということにしかならないだろう。聞くところによると、総理は、これはいままでの物価対策活動に活を入れるんだというふうに言われたというんですけれども、確かに私なんかの思うところは、平たく言うならいまの狂乱のインフレというのは打ち出の小づちや魔法のつえを使うんじゃなくて、普通のことを普通にちゃんとやればいい。値上がりをゼロにすることはできなくても、たとえば、いうところの先進工業十カ国であるとか、少なくともイタリー、イギリスのレベルまではまあ鎮静化することは本来ならできる。これがどこかに片寄ったり、おかしなことをしているだけじゃないかというところに問題があると思うんです。長官の目途とされるところがそういうところであれば、またひとつ大いに着目をする理由があろうと思うんですが、そこでひとつフレッシュな御見解をそういう意味でも承っておきたいのは、今後の物価動向をどう見るかということがやっぱり一つバロメーターになるだろうと思いますね。いろいろありますけれども、たとえば日本経済研究センターの物価予測、これはことしの十月から十二月で二五・六%の消費者物価の上昇を予測している。まあ昭和五十年以降でないと一三%台に落ちないし、まあ二けたを切ることはないだろうというのが出ているわけです。この種のものは幾らでもありますけれども、これはこれまでの過去の予測はたいへん、まあずれていないというような実績も踏まえて言いますと、ここらあたりをどう見ていくかということは、いまおっしゃるような、要は実行であると、動くんであるということになるときの最大緊急のバロメーターがこの辺に一つあると思うんです。この辺をどうお考えになっておられるか。
  29. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 私は、物価に関しては統計局の資料を通じてのみの一応限定されたことになると思いますが、ただいまの御質問に対して私の個人的な見解をお許しいただくならば申し上げたいと思います。  第一点は、やはり消費者物価は鎮静するまで相当長期にかかる、私はやはりこれが一年やそこらではまだだめだと思います。最低一年半はかかって、非常な努力を傾けていって、いわゆる前の物価の上昇テンポと申しますか、年率四%とか五%程度の値上がりというそのテンポにおさまるのが一年半はこれから今後かかる、それまで努力を続けなければ直らないというふうに、非常に私は控え目な考え方を持っております。したがいまして、そうした状態の中で、前年同月比がやはり二〇%を割る時期というものは、これは計算上で幾らでも出ますけれども、非常に率直に申し上げると、来年になれば一応その辺に落ちつく、二〇%を切る前年同月比の上昇率になる。これはもちろん前が狂乱物価でございますからそういうことになりますが、しかし、そこに一つの二〇%を切るという目標をぜひ立てて、それを早く実現していくということが、国民が安心する、やや安心してくれるということにつながるのではないかと、こういうふうに思います。いずれにいたしましても、それを撹乱する要素というものが非常にたくさんあることも十分わかっておるつもりでございますし、また農産物価格等につきましても、もうすでに値上がり、国際的に上がっております。石油なども、いわゆる中近東問題の会議がうまくいかなければ、いつまた狂乱のやつをやられるかわからないというような非常に不安定な要素がたくさんございますが、そうしたことを予見しながら、予測しながら、十分にその国内の消費者物価水準というものを狂乱的なはね上がりを示さない努力を、公共料金を含め、すべて思い切った抑制的な姿勢を続けるということを私はすべきではないかと考えます。同時にまた、たいへん関心のあることは、実質賃金の状態でありまして、今日やっと、前回の春闘の結果でございましょうか、やや、マイナスの実質収入がプラスになってきていることは非常に喜ばしいのでありまして、問題は、一般の勤労者家計において実質賃金がマイナスにならぬということを、何とかして達成するということがやはり大きな政策のポイントになるのではないか、そのように考えております。
  30. 上田哲

    上田哲君 やはり長官のこれまでのキャリアからされても、お話は実があっておもしろいと思うんですよ。その辺の、私見と断わられましたけれども、見解や、あるいは同じことであっても、そこへ切り込んでいく姿勢を私はひとつぜひ手がかりとして実のある議論が行なわれなければならぬと思いますし、ぜひここのところを深めていきたい気がしますけれども、時間が十分でありません。  もう一点だけ伺っておきたいのは、いまも実質賃金の低下なんということは云々というようなお話もありましたけれども、まさに勤労者の側からすればこの狂乱は殺人物価ですから、また、今回の長官が牽引される二つ機関でも賃金問題というのがやはり議論されているというふうに伺っておりますけれども、となれば、いまここで詰めてお伺いしておきたいのは、第二春闘ということばがすでにプログラムされているわけです。まさにこの狂乱物価が引きずり出した第二春闘だと私どもは理解をしますけれども、このいわば当然な要求と考えられるべき第二春闘が、もし物価抑制ということの大なたの中で、最も冷遇されると言いましょうか、犠牲にされるというような政策態度ということになることに一つ大きな不安があります。まあ古典的な所得政策云々という議論にここで直ちに引き戻すつもりはありませんけれどももついでにひとつ、所得政策的な配慮というものが、こうした第二春闘を見る目にはならないであろうということも含めて、いまの経済見通し、物価見通しの中での近づくプログラム上にもう載っている第二春闘について、どういう御見解をお持ちか承っておきたいと思います。
  31. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 非常に困難なむずかしい問題の御質問でございまして、私十分にお答えできる自信はございません、率直に申し上げますと。ただ申し上げたいことは、この段階で日本の経済成長が実質一%程度、四十九年度は落ち込むことはもう明らかではないかと思います。しかし、この一%程度の経済成長の中で、石油の値上がりから始まる諸原料の値上がりと賃金の大幅なアップというものが、一体どのようにコストの中へ消化できるかという問題がやはり私は非常に重要だと思います。やはり経済成長というものがある程度ありまして、その経済活動の中で賃金やあるいは原料代の値上がりというものを吸収していくという努力がやはり忘れられてはならない面でございまして、やや、いま現在行なわれているいろんな議論の中には、一方的に賃金の上昇だけが物価騰貴の原因であるというふうな指摘にはやり過ぎている面もあるように思います。同時にまた、全然そういうことは関係ないんだという議論も非常に激しくやられていると思います。私はこの第二春闘ということばは、またそして年に二へんにも及ぶ賃上げということ、これは私は、平たく言えば年末のボーナス闘争じゃないかと思うんでありますけれども、それを第二春闘という名前で呼ぶあたりに、非常にここにわれわれとしては困るものがございます、率直に申し上げると。私はやはりそのような形のものでなしに、もう一つ広い立場で多くの方々の御協力をいただきながら、やはり経済成長そのものが実質一%ということは、ほとんど見ようによってはマイナスになるわけです。同時に、現在は非常に在庫が各メーカーに一ぱいたまってきております。これは四十六年の最も不況な時代における在庫とほぼ匹敵するような在庫が各メーカーに出ております。もちろん、各企業は現在非常に大幅な力を持っておりますから、四十六年当時の経営とはたいへん違うと思いますが、しかし在庫量だけから申しますとそこまできている。しかし、これはまだまだなお景気の総需要抑制をする限りにおいては、私は、景気は急にはよくならないわけでございますから在庫はまだふえるでございましょう。そうしたこととダブルに効果がきいてまいりまして、やはり賃金の上昇と資材の値上がりというものを吸収する生産活動そのものが、ここでまた非常に、一段と今年の十月以降年末にかけてまた萎靡するようなことがあっては、これはやはりむき出しのコストアップにつながると私はおそれているわけであります。やはり、そういうような問題を踏まえながらのやはり勤労者たちの生活の防衛という問題の提起であるならば、幾らでもわれわれはお話し合いができるのではないかと思いますが、やはり、そうでない一方的な考え方の中での春闘といいますか、闘争というようなことになりますと、非常に、ここにお互いの理解もコンセンサスも得られないままに、むだな力と力の対決の問題に発展することを非常に私はおそれるわけでございます。そうしたような理解をお互いに得るような環境をつくるということ、私は、これは議論やイデオロギーの問題を離れて国の非常に私は危機的要素があると思うのです。いずれにいたしましても、そうした大げさなことを私もここで申し上げるつもりはないのでございますが、何とか、そうしたこれからの日本の生活といいますか、国民全体の生活ということを考えながらの大きな意味での合意と申しますか、大きな意味でのお互いの自由な話し合いと申しますか、そういう場を提供する努力政府もしなきゃならぬし、また国会等におきましても、十分そうしたことを公的なところで進めていただけるならば、非常に私はいいのじゃないかというふうに思います。  非常にむずかしい問題を御提案いただきまして、御提起いただきまして、少し答弁がしどろもどろだったと思いますが、しかし私の思っておりますことは、やはりこの一%の経済成長ということがいかにおそろしいものであるかということ、それが勤労者の生活にも、また国全体のすべての運営にも強烈なインパクトを与えるんだということを認識しながら、それをどの程度直すことによって全体にある程度の安定を得るかというようなことを中心に議論が進められることを私は非常に大切なことではないかと考えております。
  32. 上田哲

    上田哲君 もう一言だけ言わなきゃならぬのは、強烈なインパクトということばをそのままいただくなら、いまの長官の御発言は、第二春闘に対してたいへん強烈なインパクトになるだろうと思うんです。やはり、第二春闘を、おことばのように年末手当のかさ上げであるということになるかならぬかということの分かれ目は、やはり第二春闘側がそのプログラムにおいてどう戦うかということだけではなしに、要求として、別個なやはり第二春闘要求というものが出てくるのではないかという趨勢だと思っているわけです。それをただ、この際できるだけ大局的に話し合いでと言うにしては、もう狂乱の物価は先へ行き過ぎているということがあるわけですから、もし円満な解決ということを希求されるのであれば、それはやはり、たとえば先ほどたいへん前向きな御答弁はいただいたけれども、この勧告を、完全、しかもすみやかに実施されるというような姿勢も一方では具体的に示されつつ、やはりこの第二春闘という勤労者の生活保障をさらに受けて立つということでなければならぬと思うのですが、いまの大局的なお話とは言いながら、ことばの端々承ると、困却されている部分は理解するとしても、やはり受けて立たぬという感じになってはたいへん困ると思うんですが、やはり大いに胸を開いて受けて立つべきであると思うんですが、いかがですか。
  33. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 上田委員のただいまのお話も私よく理解できます。何もそんなに私も張り切っているわけじゃないのでございまして、問題は、そうしたようなことが平穏のうちに進み得るような施策をわれわれとしても積極的に講じていく必要が非常にあるということについては全く同感でございます。
  34. 上田哲

    上田哲君 まことに、時間の苦しさがありますので、もう一つ話を飛びますけれども、長官、聞いていただいて最後に一言承ればいいんですが、七月二十六日に第三次定員削減計画が閣議決定されております。これによりますと、削減率が三%になっているんですが、当初は四%と言われておりました。このパーセントの違いはどこから出てくるのか。それから、この削減率は全省庁で二万六千、これが各省別に割り当てられることになるわけですけれども、この算出根拠あるいは方式についてもこの際伺っておきたい。これは行管になると思うのですけれども
  35. 木下薫

    説明員(木下薫君) お答え申し上げます。  去る七月二十六日の閣議決定で、昭和五十年度以降の定員管理についてということが決定されました。その内容は、公務能率の向上あるいは国家公務員の定数の増加の抑制ということをねらいといたしまして、五十年度以降三カ年間に、四十九年度末定員を基礎として三年間で三%……
  36. 上田哲

    上田哲君 いや、それはわかっているから、ちょっと簡単にやってください。
  37. 木下薫

    説明員(木下薫君) 第一次、第二次とも三年五%ということで実行してまいりました。その経緯を見てみますと、第二次は三年五%でございましたが、実質は三年四・五%ぐらいでございました。ところが、最近の経済情勢あるいは各省の定員管理の現状から見ますと、非常に苦しい事態も出てまいっております。そういうところを勘案いたしまして、当初三年四%程度でどうであろうかということで事務的に各省庁と調整を進めておったわけでございますが、最近の各省庁の離職の状況が非常に悪いということ、あるいは省によりましては年齢構成等から見まして退職者がきわめて少ない、そういうことを勘案いたしますと、先々の定員管理で無理を生ずるおそれもある。しかも、この定員削減は、出血整理というものは全然伴わないという大原則のもとにやるとなれば、三年四%はまだきついんじゃなかろうか、そういう点も勘案いたしまして各省庁と御相談いたしました。実施いたしますのは各省庁でございますので、行管といたしましても、政府全体として足並みをそろえてやらなければいかぬという立場から、三年三%という形に落ちついたわけでございます。
  38. 上田哲

    上田哲君 だから、そんなところはいいから、これからの各省庁への基準と方式というやつを簡単に言ってください。
  39. 木下薫

    説明員(木下薫君) これからの個別の、各省庁別の削減目標数につきましては、各省庁からの要望等もいただきまして御相談申し上げて、作業を進める予定にしております。
  40. 上田哲

    上田哲君 答弁にならないよ。よけいなことを時間ばかりかけて、大事なところはこれから相談するというんじゃ、これはあなたひどいな。そんなんじゃ各省庁困っちゃいますよ。ないということですか。算定基準と方式というのはまだないということですか。
  41. 木下薫

    説明員(木下薫君) 一応、第二次定員削減計画では、各省庁別の削減目標数を定めるために、一応全職種を四分類に分けて考えておりましたが、原則としてはその考え方を適用して各省庁の各職種を十分検討いたしまして、それに削減率等を勘案して各省庁ごとの数字をこれからつくっていきたい、このように考えております。
  42. 上田哲

    上田哲君 それはいつやるんです、いつまでに。
  43. 木下薫

    説明員(木下薫君) 一応今月一ぱい、下旬には何とか各省庁の御同意を得てまとめていきたい、このように考えております。
  44. 上田哲

    上田哲君 なれない話で、これ急いでやってくれと言っているつもりはないけれども、そんな中身のないことでもって、なたばかりふるわれるみたいな話で、しわ寄せが国民のところへきては困るということを私は言いたいんですが、たよりない話ですな。もうちょっとひとつ勉強して、きちっとした答弁ができるようにしてください。  そこで、ではこの問題はじっくりやりますから。じっくりやりますけれども、まさに時間の関係で私は一つのセクションだけ例をとって——労働省来てますか——労働省の例をとって問題を提起しておきますから、次の機会にでも、いま御所見を承ったあとでひとつ具体的にもっと詰めていきたいと思います。  こういう程度の基準も方式も明確にされないままの、しかも実情の反映を持たないままの削減計画というのが非常に混乱を起こしている。すでに、労働者あるいは災害防止や被災者に対する補償の面なんかでも、かなり、つまり一律にやるものだから、十人以下のところでは一人減るということになるとがくんと大きなマイナスになりますからね、そういう問題がたくさん出ているわけです。ちょっと労働省にしぼってデータを集めてみたんで、そこのところをかいつまんで三つ四つ話しておきますから。たとえば労働基準監督官が不足しているために、臨検ができなくて作業現場に災害が発生したという例、まあ最近の例ばかりをとってあるわけですが、六月の六日、この六月の六日の午前十時に、長野県大町の土砂崩壊事故、これは別荘地造成のための道路開設工事現場で、山どめ用の擁壁のコンクリート打ちの作業中に、約千立方メートルの土砂がくずれ落ちて作業員三人が生き埋めとなった事故ですけれども、これはもう事前に監督官が臨検していれば、崩壊予防の具体指導ができたものだということが指摘されています。こういうことが起きるには、大町労働基準監督署の監督官が三人で、何と適用事業所数が四千二百五十五である。労働者数は四万五千百人ですけれども、つまり適用事業所総数が二百六十九万七千に対して、監督者数が二千九百七十四人だと、つまり監督官一人当たりの適用事業所数が九百七だというような状況の中で、こういうところへこの削減が機械的に基準もなしにいくというようなことが引き起こす例ですね。  あるいはもう一つ、去年の九月の東京大田区の窯業工場でじん肺患者の発生した例ですけれども、これも過去七年間に三人がじん肺症にかかって死亡しているんだけれども、これについても、この大田労働基準監督署管内では、適用事業所数二万五千に対し、労働者数三十三万二千に対して、監督官が十五名というような状況、これはもう中小企業の典型的ななおざり行政というふうになると思うんですけれども、それから出かせぎ労働者問題、これもまあ労働省御存じだろうから、その項目だけにしておきましょう。  それから四番目に、新しい職業病の多発に伴う労災保険の補償事務が非常にふくそうしているわけですけれども、この補償費の支払いがおくれたり、職業病認定を含める問題のトラブルが非常に起きている。まあ愛知県なんかでは集団陳情で一人倒れたというようなのも、つい最近のできごとのようですね。あるいは監督署職員の不足が原因で、事業所から届け出されている就業規則の審査が行き届かないために問題が起きている例、まあいろいろたくさんありますから切りもありませんけれども、いま大まかなところを五つほどですか、出しておきました。  こういう状況がどんどん起きているわけですね。これはまあ、ある意味では労働省が困るということになってしまうのかもしれないが、それじゃ話が違ってくるので、やはりいま大体労働基準監督署なんかを例にとりましたけれども、この窓口に集まる人々というのは手厚くされてされ過ぎることはないわけであって、その部分がたいへんぽこぽこ落ちていく。さらにこういう先ほどの御答弁にあったあやふやみたいな形の中で行なわれる一律的、機械的削減というようなものが、さらにこの状況を深めていくだろうということは想像するにかたくない。データいろいろありますから、これはじっくりやりますけれども、まさに時間が切れますから、この問題についてはまず労働省、どのように把握をし、理解をしておられるか伺っておきます。
  45. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) お答え申し上げます。  ただいま上田先生御指摘の事例等につきましては、確かにそういう事態も発生しております。労働省といたしましては、第一次、第二次の定員カットでかなりの職員が削減されております。そういう関係で、私どもといたしましては、行管に対しましては、特に労働行政というものは対人業務及び足でかせぐ業務である、ただいま先生御指摘になりました監督官が臨検するというのも、一人一人の監督官が足でもって回って歩いて一カ所一カ所チェックしていく、こういう業務であって、一般事務業務とは性格が異なる。そういうような実情等もるる御説明をいたしまして、できる限り今後行なわれます各省別の折衝の段階では、その実情を御説明して、実態に合ったカット数にしてもらいたいと、こういうふうに思っております。  なお、増員等につきましても、限られたワクでありますけれども、その中でできる限り増員を認めていただく、そういう施策を通じまして、対国民、勤労者に対するサービスに間違いのないように努力いたしていきたい、こういうふうに考えております。
  46. 上田哲

    上田哲君 最後に。長官、お聞きのような実情もありまして、実情ということの中には行管があの程度にたるんでおるということも含めてですね、これが今日の実情のまま、この削減が結局は零細中小企業、弱い部分等々に、窓口を通じてしわ寄せがいくというような可能性が非常に心配されているわけです。労働省だけをいまそういう観点で例にとりましたけれども、いろいろほかの例もとってみたいと思いますし、当局でもその調査をしていただきたいと思うんですが、ひとつ元締めの政府として、七月二十六日の削減計画というものの今後の運用について、こうした問題を吸い上げる形の中で、十分に御配慮をいただきたい。こうしたマイナスがどんどん多発をするための計画であってはならないということは言うまでもないわけでありますから、そうした面について、万遺漏のないように御配慮をいただくということについて、今後私も、きょうは時間の関係もありますから、もう少しいろんなデータをあげて議論をしていきたいと思うのでありますが、政府としてのその面についての御見解を基本的に承っておきたいと思います。
  47. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) いまの定員削減の問題でございますが、これはやはり上田委員も御承知と思いますが、やはり政府行政能率をあげていく場合に、あるいは能率をあげるという単にそれだけではなしに、組織をもっと簡素化するとか、いろんなことをやる場合に、やはり何かものさしがないと困るという実情は十分おわかりだと思います。そうしたときに、この定員削減というようなことが従来とられてまいってきておって、また今回もそれが三年計画としてもう一回提案されているわけでございまして、私はその内容等につきましても、十分承知をいたしておりますが、しかし、いま上田委員の言われたように、この実施にあたっては特に行管が各省と十分連絡をとって、無理のないことをするように、またそういう方向であることを行管長官も繰り返し言明をしておられますので、十分、いま上田委員の御指摘の点については、今後、心していくということを申し上げることができると思います。
  48. 野田哲

    ○野田哲君 先ほどの公務員給与の問題について上田委員からの質問に対する総務長官のお答えで、人事院勧告完全実施をする方向についての積極的な意思というものはほぼ受けとめられたわけでありますが、重ねてこの問題について総務長官にお伺いしたいと思うわけですが、いま公務員、そしてその家族は、昭和四十五年から定着をしておる完全実施という問題が今回後退をするというようなことは、おそらくだれ一人として考えていない、懸念を持っていないと思うんです。問題は、いま一番切実に知りたいと思っておることは、政府がこれをいつの時期に制度化して、法律改正を行なって、改善された給与が何月から支払われるか、このことを一番切望しておると思うわけであります。その実施時期の問題については、残念ながら総務長官のほうから明確な答えが得られなかったわけでありますけれども、おそらく近々給与関係閣僚協議会で協議をされた上で閣議決定が行なわれると思うのでありますが、その閣議決定にあたっては、内容と同時に、いつ給与法の改正をどのような点で行なうかということについても決定をされなければ意味がないと思うわけでありますけれども、この点について総務長官、どういうふうに考えておられますか。
  49. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 先ほど上田委員に私からお答え申し上げましたその気持ちや実情について、十分御理解いただいた御質問だと考えますが、ただいまの閣議決定の問題でございますけれども、もちろん私といたしましては、決定するからには、いつからやる、どのような方法でやるかということも含めて、当然決定をしなければ無意味なことだと考えております。
  50. 野田哲

    ○野田哲君 問題は、ことしの場合、七月の下旬から臨時国会が開かれるということで、先ほど人事院の総裁も説明のときに特に強調されたように、そしてまた例年の勧告時期を半月以上も早めて努力をざれた。そのことは、今度の臨時国会給与法の改正が行なわれることを強く期待をした上で時期を早められた。結果的にはそれが裏切られて、改善された給与がいつから支払われるかということが全く見通しが立たない状態に全国の公務員が放置をされているわけであります。一番の制度上の問題というのは、公務員給与改善が、国会の開催時期あるいは国会運営によって左右される、そのために一年間の公務員の生活設計が成り立たない、こういうところに制度上非常に大きな問題があると思うわけであります。人事院の総裁も、かつて、でき得れば勧告を行なったときにはその直後に給与法改正だけの臨時国会を開く制度を慣行化してもらいたい、こういうようなことも公的の場で触れられたことがあるわけでありますけれども、たまたまことしは七月に国会が開かれる、それに間に合わそうとして人事院努力されたけれどもこれが裏切られた。これが例年の例でいきますと、幾ら人事院が早めて努力をされても、七月、八月ごろ国会がない、こういうことになると、毎年公務員給与改善は、いつ給与法の改正が行なわれるかということがきわめて不安定な状態で、十一月あるいは十二月ごろまで放置されなければならない、こういう制度になっておると思うのです。したがって、抜本的な解決については、これは労働基本権の問題等とかね合わせて根本的な制度改正を行なわなければこの問題は解決しないと思うわけでありますけれども、そういう点について、総務長官としてはお考えがあれば聞かせてもらいたいと思います。
  51. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいまの御提案でございますが、やはり十分今後そうした問題を配慮していく必要があるというふうにいま私思っております。しかし今度の場合には、七月の二十六日に出していただけたことはたいへん私はタイミングよかったと思って喜んでおりましたが、その後の情勢の変化で、すっかりどうも、せっかく出していただいてもどうにもならぬというのが実情でございます。しかし、こういうことが、また国会運営というものが、われわれの意図とはまた違った面でよくいろいろと動くものですから、そうしたことの結果が、ちょうど今度は悪いのが二つ重なってしまったものですから、たいへんに御期待に沿えなかったと思いますが、いまのような、しかし人事院勧告だけのために国会を開くということがはたして可能かどうか、検討は十分いたしてみますが、本来はそういうことでなく行なわれるのが一番いいのではないか。むしろ、そうなれば人事院勧告はもっとうんと早く出してもらえるようになればいいのじゃないかとさえ思いますが、十分ただいま野田委員のお話の筋道を考えてみたいと考えます。
  52. 野田哲

    ○野田哲君 人事院の茨木給与局長に伺いたいと思うのです。  勧告の中で調整手当の問題についてですが、地域の指定については、これは昭和四十五年に改定を行なって以来手をつけられていないわけであります。今度の勧告では「引き続き検討を重ねる」、こういうふうにだけ触れられておるわけであります。この「引き続き検討を重ねる」という意味は、地域指定をさらに検討していくという意味なのか、あるいは調整手当制度そのものを何か抜本的に変えていくというような方向で検討するという意味なのか。この「検討を重ねる」という、その考え方について伺いたいと思います。
  53. 茨木広

    説明員(茨木広君) 調整手当の問題についての今後の検討の問題でございますが、二つ考え方がございます。いまおっしゃられましたように、今後、地域の指定なり指定がえなり、あるいはそのパーセンテージを変えていくというような方向で、従来たどってきたような方向でやっていくべきだという考え方が一つと、それから、いま御意見がありましたように、従来、昔とっておりましたように、それぞれの地域の差がだんだんなくなるような動向であれば整理をしていくというようなことも一つとしては考えられるという問題点もあります。で、今回見送りました理由といたしましては、たいへん物価あるいは給与が変動しておる時期でございますので、そういうような意味の根本資料をやはり得るということは、ことしの状況としては困難であろうということで見送った次第でございます。
  54. 野田哲

    ○野田哲君 調整手当の問題については、昭和四十五年以来、非常な広域な都市合併が行なわれた、あるいはまた、地域によっては都市化が非常に進んでいる。こういう状態の中で現在の制度は相当矛盾を起こしている。この点は承知されていると思うのです。たとえば静岡と清水という関係比較してみると、静岡市の場合には、長野県、山梨県境まで町村合併を行なって静岡市の区域に入っている。片面、隣接している清水市は非常に都市化が進んでいる。こういうような矛盾、あるいはその他岐阜あるいは福山等、非常な都市化が進んで物価も上昇を続けている、こういうようなところもいろいろあると思うのです。そこで、この「引き続き検討を重ねる」ということになっておりますけれども、いつどのような形の作業を行なって、いつごろ結論を、検討の結論を出されるのか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  55. 茨木広

    説明員(茨木広君) 一応四十八年のときの報告では、当時の状況としては、パーセンテージ等は動かす必要はないけれども、若干の官署指定を行なう必要があるというようなことで、その他は引き続き検討ということの一つの見解を昨年度は出したわけでございます。先ほども申し上げましたような今年度の状況でございますので、いまおっしゃられましたようなことは、相当時系列的に見ませんと、年によりましてはあまり差が出ません年もございます、そうでない年もあるというようなことでございますので、いま、これからいつまでに結論が出るかということは、現段階ではまだ申し上げかねるような状況でございます。  御指摘になったような地域についても問題があるということはよく承知いたしておりますが、たとえば静岡に、すぐわきである清水を入れますというと、その他あとで御指摘になったような都市あたりも類似のところとして問題になってくるような可能性もございます。そういたしますというと、昔たいへん地域のそれぞれ格上げ競争をやったような状態を再現しかねないという問題もございまして、その辺がたいへんむずかしい問題になっておるものでございますから、なかなかいまこの段階で見通しをつけられない、こんなところでございます。
  56. 野田哲

    ○野田哲君 次は中村職員局長に伺いたいと思いますが、週休二日制の問題について勧告の中に含まれておるわけでありますけれども、この中で、「現在なお検討を要する分野が残されている」、こういうふうに言われており、それから「試行についての計画を策定する」、こうなっているわけです。「検討を要する分野」というのは一体どういう分野が検討を要する分野なのか、こういう点と、それからもう一つは「試行」、ためし行なう、こうなっているわけです。公務員勤務制度について「試行」ということばがここに出てきておるわけでありますけれども、「試行」ということは一体どういう意味なのか、これは要するに実施可能なところから部分的に見切り発車のような形でやって状態を見る、こういう意味なのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  57. 中村博

    説明員中村博君) 御質問の第一点、まだ検討を要する分野、これは先生御承知のように、教育公務員の分野もございますし、それからまた交代制部門がございます。ですから病院とか気象台、刑務所、航空管制官、そういった国民サービスに直結するところで、過去一年の検討においてもなお国民サービスにいささかも欠陥なく実施できるという自信がない、そういう分野でございます。  それから、試行の問題でございますけれども、私どものこの報告で申し上げました考え方は、とにかく今回の報告で、昨年と比べて勤務時間短縮を伴う週休二日制を当面の目標とせいということを言っているわけでございます。そのように、まあ一つの方法を示して、そして週休二日制のあり方について一段と前進したわけでございますので、そのような前提のもとに国民サービスにいささかも欠落なく週休二日制を行なうにはどのようにしたらよいか、いままで各省とともに検討してまいりました机上プランだけではだめだ。そこで関係機関と十分お話しし、また職員団体の御意見も聞いて、そしてその程度、規模、実施時期、内容、そういったものを十分詰めて、そしてそのような実施国民生活にどのような——いや失礼、国民生活に何らの影響なく実施できるかどうかということをまさにトライアルしてみたい、こういう意味合いでございます。
  58. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、試行計画をつくるということになっておるわけでありますけれども、この問題については、試行というか、実施に入るということになると、相当前もって世間に対するPRも、あるいはそのための準備も要ると思うんですが、いつをめどに、実施の開始の時期はいつごろというふうに考えての試行計画を立てられようとしておるのか、その点を伺いたいと思うのです。  もう一つは、いまなお検討を要する部分が残っているということになると、私の受け取る感じといたしましては、実施困難な職種実施可能な職種とあって、そして実施可能な職種でまず試行といいますか、実施に入っていった、こういう形になっていったときには、実施できない職種については一体どういうふうに、実施した職種との間のバランス、まあ、端的にいえば、金でペイしていくのかどうか、そういう考え方もいろいろあると思うんですけれども、その辺のことを伺いたいと思います。
  59. 中村博

    説明員中村博君) 先ほどの御質疑の中にもございましたように、公務員のあり方は直ちに国民生活に非常な影響を持つわけでございます。したがいまして、単にペーパープランだけではできない分野がある。それから、なるほど先ほど先生御指摘のように、私どものような官執勤務ならばすぐできる分野もあるわけでございます。しかし、こういった官執部面におきましても、週休二日制の実施国民生活に影響を及ぼすことは、これは避けられないわけでございます。いわんや、全日的なサービスを提供しておる交代制の部門においてはなおさらのことでございます。それから、さらにまた公務員勤務条件改善という面からのみは律しられない分野もあるわけでございます。したがいまして、そのような観点を考えつつ、実は実施困難な部面についてこれを実施するときに、主として国民サービスへの影響を考えつつどのような体制がとり得るかということで、その試行をしてみたいということでございます。したがいまして、国民サービスに何らの欠落なく、そのような困難な部面において週休二日制が実施できる手だてを探るための一つの手だて、それを試行と考えておるわけでございます。  それからいま一つは、じゃ、その時期ということでございますけれども、いま申し上げましたような考えで試行というものを考えてございますので、先ほども申し上げましたように、そのような観点から関係機関と十分御協議をし、あるいは直接かかわる職員団体とも十分なお話しを申し上げて、そしてこの計画を練ってまいりたい。したがいまして、時期はいつかとおっしゃられれば、そのような条件が成熟したときと、こういうふうに申し上げるのが一番正しいのではないかと思います。
  60. 野田哲

    ○野田哲君 ではもう一回、人事院の茨木給与局長勧告内容について伺いたいと思います。  この人事院勧告にあたって、初任給をきめるにあたってはどのような要素をもとにして決定をされておられるのか。先ほどの説明では、官民比較ということで単純に初任給をこうするというような内容になっているわけでありますけれども、もう官民比較だけでそれ以外に一切、初任給決定にあたっては他の要件は要素に入れておられないのかどうか、伺いたいと思います。
  61. 茨木広

    説明員(茨木広君) 初任給決定につきましては、報告書の別表第二に、「民間における初任給の対前年比較」が出してございますが、これを基礎に、ただし公務員民間との間に、男女構成の比率とか、そういうものが違っております。そこで、公務員ベースにそれを全部置きかえまして初任給決定するという方式を従来ともとっております。したがって、今回もそういう方式をとりました結果が、ここに出ております五万六千百九十一円というよりも三千円ばかり高い五万九千二百円というところが八の三のところに姿をあらわしておるわけでございます。その他の要素を考慮していないのかというお話がございましたのですが、官民比較を根本といたしております関係上、初任給のところはいま申し上げましたようなところで合わしていくという方式でございます。
  62. 野田哲

    ○野田哲君 いま、官民比較によってという説明があったわけでありますけれども公務員と一番類似といいますか、関係の深い——公務員であるわけですけれども、別の給与決定条件を持っている五現業、現在五現業との間で約九千円ぐらいのことしの場合に初任給の開きが出ております。たまたま公務員になって、たとえば農林省へ入った場合に、その配属が特別会計の林野庁に配属をされる、ある一人は一般会計の対象になる畜産とか、あるいは水産とか、そういうところへ配属をされる。同じ公務員の資格によって、勤務の場所が五現業の扱いを受けるところと、そうでない扱いを受けるところと、配置によってたちまち九千円初任給の開きが出てくる、こういう状態が現に起こっている。こういう点については一切、人事院初任給をきめるにあたっての考慮の対象にしていないわけですか。
  63. 茨木広

    説明員(茨木広君) ただいま御指摘の点は、たいへん私どもといたしましても頭の痛い問題だというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。たてまえは御案内のとおり、国の経営する企業に勤務する職員給与等に関する特例法の中に、国営企業のほうの職員給与については、一般職職員給与法の適用を受ける国家公務員、すなわち私どものほうの関係給与法の国家公務員「及び民間事業の従業員給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」と、こういうふうに規定されておりますものですから、立場が、こちらが基本になりまして、私のほうのを参考にして、それに民間その他の事情も考慮して先方さんがおきめになると、こういうたてまえに、逆になっておるわけでございます。そこで、そういうたてまえになっておりますものとの間におっしゃられるような開きがただいま生じてまいったと。今度逆に、こちらのほうがまたそちらを参考にするということになりますというと、くりっくりっと回転、回ってくるわけでございまして、その辺のところのたてまえの相違といったものがございものですから、たいへん苦慮していると、こう申し上げざるを得ないんです。向こうのほうのたてまえが現業でございますものですから、どうしても事務職員系統の場合の給与決定方法とは違いまして、やはり体力のある者のほうが働きが多いというような感じがございまして、そこにやはり若年とあれとの関係が出てくるんじゃなかろうかと思いますけれども、配分方式も、いろいろ交渉方式を通じてやるということで異なっておりますし、そんなところからじゃないかと思いますが、そんなところで差が出てまいりましたので、たいへん苦慮していると、こういうことでございます。
  64. 野田哲

    ○野田哲君 いま、たいへん苦慮しておると言われたわけですけれども、これは苦慮するだけでは問題が解決をしないと思うんです。いま給与局長のほうでは、言わんとされておるところは、若年層のほうは低いけれども、中年になってくると一般公務員のほうがよくなっているんだということを言わんとされているんだろうと思うんですけれども、私ども調査をしたところでは、中年層にも確かに不満はあるんだけれども、これはむしろ給与の上げ幅によって解決をする解決策よりも、そうではなくて、給与の格づけのほうによって改善をしていくことのほうが、むしろ具体的な解決策になるんじゃないかと思うんです。そういう点を引き合いにしながら、若年層の非常に低い、九千円も低いというところを、中年層のそういう点を引き合いにしながら、これは納得をさせようとしても、これはちょっと納得できるしろものではないと思うんです、千円や二千円ならともかくとして。片一方は、今度の場合五万九千円ですか、初任給、高卒で。片一方は六万八千円。これはどう見たって問題にせざるを得ないと思うんです。そういう点で、一応、人事院のほうの勧告説明を見ると、三カ月短縮等考慮すると、こういう形で、人事院規則でその辺について若干の手直しをされる意思があるやにうかがえるわけでありますけれども、これでは抜本的な解決にはならないと思うんです。また、そのことだけでは、このことしの初任給の部分のところだけを昇給期間を三カ月短縮したとしても、今度は前後の関係でまた新たないびつな状態が起こってくると思うんです。そういう点は、やはり制度的にもう少し検討をされることが私は望ましいと思うんですが、いかがでございますか。
  65. 茨木広

    説明員(茨木広君) 先生はたいへん事情をよく御存じでおっしゃられておられますが、私のほうの場合も、まあその配分の問題だけで問題が片づけられるかというと、必ずしもそうではないんで、先ほど申し上げましたような結果、こちらのほうの初任給でも民間と比べてみますと、大体四分の一位、下から七五%程度のところで国家公務員の場合も位置をしておるわけでございます。いま比較されました三公五現のところまでいくということになりますというと、これは第十分位と申しますか、上から一、二%のところの、非常に高いところに初任給が位置してしまうというようなことに実は相なってしまいます。そういうことが公務員給与として、国民全般の立場から許されるものかどうかというようなところについても、やはり国民の納得を得られるというような点で考慮をしなきゃならぬ問題があるんではなかろうかというようにも考えておるわけでございます。その辺のところもございまして、なかなか、その差を簡単に詰める名案がなかなかないというようなところで苦慮しているわけでございます。
  66. 野田哲

    ○野田哲君 この問題について島田人事官に、総裁はおからだの関係で退席されたので伺っておきたいと思うんですけれども、やはり今度の問題で初任給の問題というのは、あまりにも、いま給与局長とやりとりをした関係でも目立ち過ぎておると思うんです。そこで、一応勧告の中には、三カ月の昇給期間の短縮等について考慮すると、余韻が残っているような表現を使われているわけでありますので、この点については、さらに今後検討をしてある程度幅をもって対処をしていく、これは勧告のこの給料表を動かすとかなんとかというようなことではなくて、人事院規則で処置していく内容でありますから、幅をもって対応をしていくという考え方をとってもらいたいと、こういうふうに思うんですが、いかがでございますか。
  67. 島田巽

    説明員(島田巽君) 人事官の島田でございます。佐藤総裁が退席いたしましたので、本日、かわって御答弁申し上げます。  いまの初任給決定についての、ある幅を持たしてと勧告の中にあるのではないかと、確かに昇給短縮の問題なぞは規則できめられる問題でございますけれども、いま野田先生の御指摘のことは、そういうふうな初任給、試験を通って新しく採用された者だけでなしに、たとえばその周辺の者などにも及ぶんではなかろうかというふうな意味を含めての御質問だと思いますが、三カ月短縮というものをそういうふうに周辺に及ぼしてまいりますと、俸給表上非常に技術的な混乱が起こるということもございますので、大体その辺のところには、私どもある程度の、額は御不満かもしれませんけれども、ある程度の手当をしているというふうなことでございまして、あの措置にさらに幅を持たしてどうこうするというふうなことは、現在私の承知しているところではないと存じます。
  68. 野田哲

    ○野田哲君 昇給期間の短縮等の措置は、これはいまの人事院考えておられるような形で初任給のところだけああいう措置をとったとしても、やはり周辺との関係、来年新採用の人たちとの間、あるいは現にその周辺におる一号、二号、三号上位におる人との間にどうやったってそこには矛盾が出てくるんです。ですから、これはその措置をとる限りは、やはり矛盾は避けられないと思うんです、制度上の矛盾は。問題はやはり少なくとも八等級から七等級、あるいは次の等級へ、七等級から六等級へというような形で上がっていく中での一定の区切りをした、切りのいいところでやはり在職者の調整を行なわなければ、これはやはり初任給改善をした措置ということにはならないと思うんです。その点はぜひ検討してもらいたい、こういうふうに思うんです。
  69. 茨木広

    説明員(茨木広君) その点、あそこに書きますまでの間についてもたいへん吟味を重ねたわけでございますが、今後の問題といたしますと、ことしの方だけそういうふうにというわけにはまいらぬことになるんではないかと思っております。したがって、来年度のそういう新規試験採用者についても、同じような制度を今後はとっていかなければいかぬことになる。ただ在職者調整といたしまして、過去にさかのぼらせる必要があるかどうかという問題については、逆転を生じますということになりますというと、ほうっておかれぬわけでございますけれども、その点は今後の問題として割り切っていかざるを得ないのではなかろうかというところが、あのときの事情であったわけでございます。
  70. 野田哲

    ○野田哲君 最後に、もう一回だめ押しのような形で要望しておきますけれども、これはやはり人事院のほうでも、幸い給料表を書きかえるなんということでなくて、これは人事院規則で措置することでありますから、これはやはりそうかたくなな態度でなくて、ある程度幅を持って対処するという形をとられないと、せっかく皆さん方が時期を早めて政府国会勧告を行ない、そうして、またそれぞれ関係者が集まって、できるだけ早期にこれは法律改正を行なって、一日も早く改善された給与公務員に支払いができるようにしていこうというときに、いままでの長い間の慣行といいますか、公務員職員組合、職員労働組合の組織と人事院との間、あるいはまた政府公務員との関係、せっかくここまで来たものがこの問題だけで非常にぎくしゃくしていくと、こういうことになると思うのです。その点は重ねて、これはもうあとでさらに私ども検討していきますけれども、お答え要りませんけれども、柔軟な態度で、この点はぜひ関係者の意見を聞くと、こういう態度を持っていただきたいと思います。
  71. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 午前からの質疑はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ——————————    午後二時八分開会
  72. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関する件を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  73. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、今回の人事院勧告につきまして若干質問したいと思います。  今回の勧告は、例年よりも半月も早くこれが出されたこと、非常にたいへんな努力がせられたということを評価いたしております。しかし、昨年末からの狂乱物価、インフレの高進の中で、公務員の方々の生活をお守りするためにこの勧告が出されましたけれども参議院選挙か終わりまして、臨時国会審議をされるその審議時期を考えてこの勧告勧告されたと思いますけれども、残念ながら、この異例国会と申します臨時国会では審議されませんでした。この点について、まず人事院の所感をお伺いしたいと思います。
  74. 島田巽

    説明員(島田巽君) お答え申し上げます。  もちろん、人事院早期勧告いたしましたにつきましては、参議院選挙後の臨時国会での成立をぜひともという気持ちがあったことは確かでございます。御承知のような事情でおくれましたが、同じ早期実現実施という観点は今日も強く持っておりますので、内閣と並びまして、国会に対して御報告勧告申し上げました筋合いもございますので、何とぞ一日も早く実施していただきたいというのが私たちの心情でございます。
  75. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、臨時国会審議されなかったことに対しまして、田中内閣閣僚としての総務長官、どのようにお考えになりますか。
  76. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 七月の二十六日に人事院勧告をいただきまして、三十日の閣議報告をいたしました。同日、給与関係閣僚会議を開きまして、内容について審議をいたしたわけでございますが、この勧告をいただきましたその時点において、すでに前国会会期決定されておりましたし、また、その後の政府の内部的な取り扱いに、ただいま申し上げたような閣僚協議会並びに閣議決定、直ちに法案の作成という一連のことを考えますと、とても前国会会期中には提案はできないというように考えまして、残念ながら提案をいたさなかったわけであります。
  77. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、ここに労働省の資料もございますけれども、労働経済指標によりますと、名目賃金は四月度におきましては二四・六%上昇をしております。実質賃金、同じ四月ではマイナス〇・三%、こういう実態でございます。こういうような実態になりますと、やはり給与で生活をされている方々の生活というのは、非常なこれは困窮な状態になります。このまま勧告実現がおくれますと、公務員の方々は物価の上昇に対して生活が追いついていけないあるいは貯金が目減りをするという、そういった犠牲がしいられることになると思います。その点について総務長官、その実態をよく御存じのことと思いますが、いかがでございますか。
  78. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 太田委員の仰せられるとおり、やはりせっかくの勧告もございましたわけでございますので、なるべく早く国家公務員の諸君にもこのような給与改善実現されなくてはお気の毒であるという気持ちはあなたと同じでございます。したがいまして、そうした意味合いにおきまして、現在関係閣僚協議会で、なお問題を持ち帰っていろいろと各省で討論、議論をしておりますが、なるべく早い機会にこれをまとめて閣僚会議の決を出すべきだと考えて、そのように今後も私は行動してまいりたいと思っております。
  79. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 なるべく早くというお話でございますが、公務員の方々の給与だけが、実際一〇%増額されたということだけでいま据え置かれておりますけれども民間とかあるいは三公社五現業の賃上げというのは実施されております、実際。このまま秋または年末まで据え置かれることになりますと、十月になりますと国鉄運賃値上げあるいはガス料金、消費者米価、そういった公共料金が軒並み値上げになってまいりますので、そういった軒並みの値上げによる家計への圧迫というものは、ますますこれは大きくなってくると思いますので、その点、早急にこれは実施されなければならないと思いますが、大体いつごろにそのめどを置いてみえますでしょうか。
  80. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) いま、この時点で明確にいつということが申し上げられないことは非常に残念でございますが、しかし、われわれといたしましては、できるだけ早く閣議決定もいたして法案を作成し、いつでも国会の要請に応じての提案のできる態勢は政府としてはとってまいりたいというふうに考えております。
  81. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、国会開会ということになりますが、臨時国会審議をする、そうして給与法を改定して引き上げをはからなければならない。これは早急に臨時国会を私たち開くべきことを要求をいたしたいと思いますけれども、なぜその臨時国会が開けないのか、何か理由がございましたら。
  82. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 国会開会につきましては、もちろん政府も提案する法案が準備されておれば当然国会開会を要請する立場にあったと思いますが、当時におきましては、提案すべき法案が一件もない状態であったわけであります。したがって、私のほうのこの給与法につきましても、ただいま御説明申し上げたとおり、勧告があり、それが閣議決定され、そうして、さらにどんなに急がせましても一カ月近く法案作成の日時を要しますので、あの時点におきましての政府としては提案すべき法案を準備してなかったと、持っていなかったということのために国会を積極的に開くということについて政府としては消極的であったことは御承知のとおりでございます。他の理由等につきましては、これは党対党の関係の中でいろいろ処理されたと思いますので、そちらは別に私からお答え申し上げることはないというふうに思います。
  83. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま法案がないというお話でございましたが、やはり人事院としましても、この勧告臨時国会審議をどうしてもしてほしいと、公務員の方々は、やはり一日も早くこの人事院勧告によって給与引き上げ実施されることをまた望んでおられると思います。そういった、やはり公務員の方々の希望というものを考えるならば、総務長官として、責任者としまして、田中首相に対しまして臨時国会会期の延長ということも、それではどの程度まで主張されたか、お聞きしたいと思います。
  84. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 臨時国会開会の期日、また期間等につきましては、私は総理に対して別に意見を申したことはございません。
  85. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、ちょっと補足して質問しますけれども、要するに、人事院から勧告が出まして、大体その法案作成に一カ月かかるという考え方は、大臣、あなたは公務員の人たちの要求を一体どう考えているのか。人事院が一生懸命十五日というのを死にもの狂いでやったという答弁があったでしょう、先ほどから。それに法案が一本もないから国会を開くことはできない、しかもその上に法案作成に一カ月もかかる。今回の会期は一週間じゃないですか。たった一週間しかない会期の中で、一カ月も法案がかかるという考え方は、もともと法案そのものを実施する気が全然ないからでしょう。そんなばかな、そういうふうな考え方でおってどうするんですか。あなたが公務員給与の元締めじゃないですか。元締めである大臣であるならば、少なくとも人事院がこういうぐあいに苦労して勧告が出てきた、あなたは自分のところの職員に対して早く法案をつくれ、一日も早くつくれと督励をして、そして、さあ法案ができたから今度の国会審議しようじゃないか、こうあなたは総理に言うべきでしょう。ところが、そういうことも全然一言も言わなかったなんということは一体どういうことなんですか。
  86. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  たいへんにきびしくおしかりをいただきましたが、実は人事院勧告をわれわれが手にいたしました時点において、国会会期はすでに決定されておった時期なんであります。したがいまして、それの、国会会期決定ということは、政府だけの意向でもちろんきまるものではございません。各党の中での話し合いが最も有力な条件決定するものだと私は思っております。先ほど一カ月かかると申し上げましたが、それはずいぶん急がして、昨年の場合の実績が約一カ月かかっておるわけであります。つまり、人事院勧告政府が了承し、閣議で了承いたしまして、それを事務方で法案に作成するのに、昨年度はいままでになく早くやったようなわけでございますが約一カ月近くかかっております。もちろん、この一カ月かかる理由は、それぞれ事務的な、もっと時間を短縮するということはもちろん不可能なことではございませんが、そうしたことを、たとえ非常な能率をあげたといたしましても、これが三週間程度は最低かかることはどうにもならないことであります。特に防衛庁職員関係給与、また特別職、判検事の俸給表等につきましては非常に時間がかかるわけでございます。そのような事態のためで、総理府といたしまして、この問題についてきわめて消極的に、むしろ法案の作成を故意におくらしたという事実は全くございませんので、誤解なさいませんようにお願いしたいと思います。
  87. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一点だけ話しておきますけれども、大臣、毎年勧告がありますと、政府は大体その即日にこれは必ず閣議決定をいたしておりますね、大体。昨年もそのはずです。ことしは大臣も御存じのとおり、要するに公務員に対する締めつけのほうだけは即日閣議決定をいたしておる。これは、先ほどお話がありましたように、五十年度以降の定員管理についてという、こういう問題については、人事院勧告のあった即日にこれは閣議決定をしています。ところが給与そのものについては、いまだに閣議決定をしていない。あなたはこの閣議決定を早くしろと。何ぼこちらのこの委員会で、あなたは、先ほどから聞いていますと、一生懸命やっているような、これは態度は見せてはおりますけれども、やっぱりこれは早く閣議決定をして実施するという方向でいかないと何にもならないと私は思うんです。そこら辺のところを、やっぱり閣議でも本格的に、本気で取り組んでいらっしゃるかどうかという大臣の姿勢そのものが私は問題だと思う。そういう点は、やはりこの問題については、本気になって取り組んでもらいたいと私は思います。以上です、私は。
  88. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは問題を変わります。  総務長官は、今回の勧告にあたりまして、公務員の諸君においても、一般と公務能率の増進と行政サービスの向上につとめられるよう強く期待すると、こういう談話を発表されておりますが、具体的にはどういうことをお考えになっておられますでしょうか。
  89. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) やはり国家公務員は、その給与の源泉はわれわれの一般の人たちの払う税金が主体でございます。したがいまして、これは国家公務員に対する国民一般的な通念としては、最も勤勉に、しかも最も能率的に、かつまた最も有効な仕事ぶりを国民のためにしてくれることを期待していると私は思います。そうした意味におきまして、今回の人事院勧告を受けましたのを機会に、やはりもう一回国家公務員の諸君にも、そうした国民国家公務員に対してどのような考えを、感じを持っているかということを思い返して、そして今後の努力お願いしたいという気持ちでそのようなことばを使ったわけでございます。
  90. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それで、勧告がこう出ますと、それに関連しまして、いつも特に行政機構の簡素化あるいは余剰人員の合理化について問題になります。行政管理庁は、三年間に四%の定員削減を考えていると、こういうことでございましたけれども閣議で、各省庁の反対で三%に削減されたと、こういうふうに報道されておりますけれども、この三%削減されたというその理由はどういうものでございましょうか。
  91. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答え申し上げます。  第一次が、御承知のように五%の削減でございまして、四年間でございまして、第二次が引き続く四十九年まで三年間で五%でございました。今度は実は五%というわけにはどうしても実情まいらないということで、四%で一応作業を進めたわけでございます。しかしながら、いま閣議で各省の反対というような御意見がございましたが、実はそういうことではございませんので、四%を目安でいろいろ進めたわけでございますけれども、この第一次、第二次、第三次ともそうでございますが、各省の全部御賛同を得て、これは閣議できめてやるという仕組みにしておるわけでございまして、実際に第一次、第二次でいろいろやってまいりました実情を考えますと、なかなか四%ではちょっと無理がいく。その一番大きな理由は、実はこの問題は一般的にはこれは議論があると思いますけれども、一次、二次、三次とも、いわゆる出血整理というのは行なわないということにしておるわけなんです。そういう前提で考えておるものでございますので、これは四%で強行すると出血整理しなくちゃいかぬという省が何省か出てくると。これは人事の年齢構成ですね、職員の年齢構成がちょうちん型になっておりまして、ピラミッド型に必ずしもなっていないために、これは出血整理を行なわなきゃならぬというところが何省か出てくるということになりまして、ところが理屈を言っていけば、省別に変えていけばいいじゃないかという議論も成り立つわけでございましょうと思うのでございますけれども、とにかく一律ということでやるということになると、三%にすることが妥当ではないかというふうに判断したわけでございますので、一、二新聞紙上等で伝えられておるように、圧力で、これが非常に何か行政管理庁が引っ込んでしまったと、こういうことでは必ずしもございません。そういう言い方はあるかもしれませんが、実はそうじゃないのでございまして、出血整理を行なわないという前提でやってまいりましたので、本来から言うと、私どもの役所のたてまえから言うと四%にしたかったわけでございますけれども、実情に合うようには、こうするしか、しかたがなかったということでございますので、御了承いただきたいと思います。
  92. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、まだ三%削減については調整ができていない、各省間。できていますか。
  93. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) そうではございませんので、四%については、そういうことでございましたので三%で御了承いただいて、二十六日に閣議決定を見たわけでございます。ですから、三%については異存はございません。
  94. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、三%については異存がないということで、これから調整をされるわけですね、各省間。
  95. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 各省庁別には三%で一律に削減をいたすわけでございます。おそらく、まあちょっと私はそういうことを言っては何ですが、今後の調整云々ということは、これは各省の中で、職種によりまして非常に窮屈なところがあるわけでございます。特にやかましく言われておりますのは国立大学の問題でございますとか、あるいは医療機関の問題でございますとか、そういうところは非常に減らすことがむずかしいという問題を言われておるわけでございますので、そういう、中の調整ということを大体おそくても今月一ぱいぐらいに、各省とわがほうとで調整をいたすということにしておるわけで、三%そのものではございません。その中身でございます。
  96. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまお話がありましたけれども、やはりこういった人員の配置につきましては、国民行政サービスの要求に応じて、いろいろと、そのサービスの向上を考えてきめのこまかい体制づくりが大事だと思います。いまやはり国民の側から要望を出されておりますのは、いまお話のあった大学関係あるいは病院の医師看護婦の問題、あるいは身体障害者の施設で働いてみえる特殊な勤労者の方々、税務職員の方々、そういう方々の人員の確保あるいは処遇の改善と、これはたいへんな急を要する問題だと思います。この点につきまして、具体的にどのような努力をされているか、あるいはこういう方々に対しても一律に三%削減をされていくわけかどうか、そのことをちょっとお聞きしたい。
  97. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) いまおっしゃったような点につきましては、実は閣議決定の際にも関係の大臣から特に注文がついておるわけでございます。これまでの第一次、第二次におきましても、そういったお仕事については、これは特に、何といいましょうか、見ておるわけでございます。まあ一例を申し上げますと、これは第二次ですが、これは五%というのが、実は一般職員には九%になります、ということは、業種別にいろいろ調整します関係で。ところが医師看護婦等の病院医療職員については一%でございます。それから光明寮等の障害者の施設ですね、こういうものについては三%ちょっとでございますね。それから税務職員については三・五%というふうに、相当何といいましょうか、差をつけておるわけでございます。ですから、これは当然必要なところには、これは仕事があろうがなかろうが何でも無理やり削ると言ってみてもこれは始まらぬことでございますから、ですから、これはやっぱり当然それぞれの所管省と私どもが相談をして考えると、こういうことでございまして、具体的な点については十分遺憾のないように御相談をしてまいると、主管省もなかなかそういう点については承知は簡単にいたしません。われわれのほうも、十分その実情も聞きながらやってまいりたいというふうに考えて、目下それをやっておる最中でございます。
  98. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、私は今回の人事院勧告に関する諸問題について、すでに何人かの方から質問ありましたので、できるだけダブらないように質問をしたいと思います。  まず、総裁がいらっしゃいませんけれども、人事官のほうから、国家公務員法の二十八条の人事院勧告に関する条文がございますが、これに対する人事院としての所見を初めにお伺いしておきたい。
  99. 島田巽

    説明員(島田巽君) お答え申し上げます。  国家公務員法二十八条の第一項には、これはおもに給与勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項については、国会によって社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができると、そしてその変更に関しては、人事院勧告することを怠ってはならないということで、御承知のとおりでございます。第二項で「人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。」「給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、」人事院国会及び内閣に適当な報告並びに勧告をしなければならないということでございまして、私どもこの精神に従いまして、民間給与との厳密な突き合わせを行なった結果、百分の五以上の差がありますときには、毎回御報告並びに勧告をいたしているという次第でございます。
  100. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいまの二十八条の第二項の問題について二点だけお伺いしたい。  まず第一点は、少なくとも一回以上という条項がございますが、これは要するに一回ということじゃなくて、最低一回でございまして、場合によっては二回勧告しても三回勧告してもいいと、こういうことでございますな。どうですか、これ。
  101. 島田巽

    説明員(島田巽君) お答え申し上げます。  もちろん「少なくとも一回」ということは、文字どおり一回きりではないということを含んでいることと、こういうふうに考えます。
  102. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、したがって終戦直後、あの物価が非常に高騰いたしましたときに、公務員給与が年に二回ないし三回改定されたことが現実にございます。そういう点からいいましても、私は当然、法の精神からいいましても、年に一回だけじゃなくて、物価が非常に上がるときには二回ないし三回でもいいと、こういうふうに条文は解釈して私はいいと思っております。いまの人事官の答弁もそのとおりだと私は思います。  さらにもう一点、このいわゆる改定するときの条件としまして、給与を百分の五以上増減する必要があるとき、こういうのがありますな。これは現在の体制からいくと、官民給与のいわゆる格差を比較するということでございますけれども官民給与比較をするという比較の差の問題と、それから物価の問題と、両方これはあるわけでございます。官民給与の差が非常に開いてくるということは、これは民間給与が上がっているあるいは下がっているということと関連があるわけでございますけれども、それらの給与の増減というのは、これは当然私は物価の、特に消費者物価の増減に関係があると思うのですが、これらのところはいかがお考えですか。
  103. 島田巽

    説明員(島田巽君) 私ども考えといたしましては、民間賃金を精密に調査するということの中には、民間賃金そのものは非常にきびしい労使の話し合いというようなものでぎりぎり最後のところで決着を見ている数字だというふうに理解いたしまして、その中には、もちろん当時の物価情勢などが正確に反映されて、そして決定されたものというふうに解釈いたしまして、民官間の賃金をとらえます場合には、全部とは申せないかもしれませんけれども、そういう要素が民間賃金の中にすでに含まれているというふうに解釈いたしております。
  104. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、さらにもうちょっと違う観点から申し上げますと、消費者物価が、たとえば私の手元にあります資料によりますと、これは皆さんのほうから報告してもらってもいいのですけれども、昭和四十年からずっと四十へ年までのいわゆる日本全国の平均的な消費者物価の上昇は、いわゆる二けたになった時代はまだほとんどないわけですね。毎年、四十年が九・九で非常に高いですけれども、その以外の年は四十一年が四・七%、四十二年が三・一%、四十三年五・二%、四十四年四・六%、こういうぐあいで、四十七年度が四・九%、四十八年九・四%、こういうぐあいにずっと見てまいりますと、それぞれ大体まあ一〇%以下のいわゆる消費者物価の上昇なんです。ところが四十九年にかけては二四・九%というような、これは想像を絶するような物価の上昇が行なわれている。少なくともこれは二、三年分と言っても過言ではないぐらいたいへんな物価の上昇が行なわれているわけです。ということは、人事院としては、いわゆる人事院ができて二十年にもなるわけですが、非常に長い間たつわけですが、実際問題として人事院は、私は人事院に対するいろんな考え方というのは、きょうは総裁はいらっしゃいませんけれども、ちょっとマンネリになっているんじゃないか。人事院は、今回の勧告は十五日間早くしたとか、血の出るような思いをしてと、一生懸命おっしゃっていますけれども、ちょっとマンネリになっているんじゃないか。人事院のいわゆる設置規定の基本的な考え方から言いましても、もっともっと社会情勢というものを見きわめて、勧告の問題についたって一回だけじゃなくて、二回なり三回なりやるぐらいの気合いを持って人事院仕事に当たらないといけないのじゃないか、そういうような年にことしは現実に当たっているんじゃないか。たった十五日ぐらい早くしたからと言ったって、隣の長官は法案をつくるのに一カ月かかると言っている。一カ月かかるのに、あなた国会開会中に出して審議しろなんて無理じゃないですか。先ほど総裁は、私は一生懸命やりました、何となく国会審議しないのがまずいような言い方をした。あなた、そうでしょう。ところが法案をつくるのは、あなた方は一カ月かかるというのはわかっているんですか、人事院は。私たちは、勧告はしたのにやってくれないほうが悪いんだ。私はやらないほうが悪いと思います、悪いと思っているんです、私は。思っていますけれども、そういうことも含めて、人事院は私は政府となれ合いになっているんじゃないか、人事院そのものが。人事院はいままでずっと八月十五日の勧告でした。そういう点からいきますと確かに半月間は進んでおります。しかしながら、私たちがいままでこの内閣委員会で、もっと早く勧告を出せ、最近はコンピューターも出てきたじゃないかとずいぶんやってきました。そして半月間たった縮められた。それで血の出るような思いをしてやっているなんて言われたんじゃ、それはほんとう公務員の皆さんもかわいそうですよ。それなら人事院つぶしちゃって労働基本権全部与えたほうがいい、こういうことになります。これは当然ですよ、私は。そういう点から考えても、人事院は、この勧告の回数の問題にしても、あるいはこの消費者物価の問題にしても、どこから見たって私は人事院の現在の姿勢というのは批判されてもいいんじゃないか、こう思っていますが、どうですか。
  105. 島田巽

    説明員(島田巽君) お答えいたします。  もちろん、八月——ことしは七月勧告でございますが、この七月勧告のような大規模な、ほとんど半年がかりぐらいでやっております勧告を、そうたびたび出すということは、これはなかなか困難かもしれないと思いますが、先ほどのお話にございました、ただ手をつかねてこの七月勧告だけを早めたと御叱責がございましたが、御承知のように、私どもといたしましても、この異常な経済情勢のもとで昨年来からたびたび勧告をいたしまして、たとえば昨年末の特別給の繰り上げ支給あるいはこの四月の初めの期末手当支給勧告、あるいはまたこの五月末にとりあえず一〇%の俸給月額のアップを、これは両院の内閣委員会の御決議もありましたし、そういうことにつきましてすぐ手を打ちまして、そのたびたび御審議をいただいて御決定を願っている。これは人事院二十年の歴史にない非常に情勢に適合してやったという点は、ささやかなことかもしれませんけれどもお認め願いたいと、こういうふうに存じます。
  106. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はすぐ、この間の衆議院でもそうですが、一〇%勧告のやつを早く出して——五月でしたね——それをすぐ持ち出してきて、人事院は一生懸命やっているなんということにならない。当然私は、この法の精神からいっても一回だけじゃないんですから、もっと本気で取り組んでもいいんです。そして、しかも今回はあなた方どう考えたんですか。あなた方が勧告を出して法案ができるまでどのくらいかかると人事院考えておったんですか。
  107. 島田巽

    説明員(島田巽君) 私ども、非常に正確に何日かかるというはっきりした数字は存じませんが、私どものむしろ考えは、少なくとも臨時国会開会中までに提出して、そして、できればその会期中に御審議いただけるような国会であれば——あとから考えればだめだったわけでございますけれども会期がまさかあれほど短期間であったということが私どもの思わぬことであったということでございます。
  108. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 人事院は、要するにあなた方は、会期が思わぬなんておっしゃっていますがね、あなた。今回の臨時国会、二十四日に開会されている。あなた方開会されてから出しているわけです。三十一日に終わるんです。あなた方はもっと前から出す準備はしておられたでしょう。いまのあなたの答弁聞いておりますと、今回の国会はもっと長いであろう、もうちょっとあとのほうで召集になるかもわからない、こういうようなつもりであなた方はいまものを言っているわけです。しかしながら、現実には今回の勧告は、国会が始まって会期の中で勧告をしているわけです。それであるならば、会期もきまっているわけです。会期中に審議してもらいたいなんという、もしことばが出てくるとするならば、二十六日から三十一日までのもう五日か六日しかありませんよ。この間に法案ができるとあなた方は判断されたんですか。
  109. 島田巽

    説明員(島田巽君) 私どもそこまで的確に、短くできるということは存じておりませんし、それから先ほど申し上げました、国会かもし会期が長かったらという点は、もし私の発言が不当でございましたら取り消させていただきます。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、そんなに早くできるなんて思っていなかったと人事院がおっしゃっているとすれば、人事院は、二十六日に勧告はしたけれども、今度の国会審議してもらうのは無理だともう初めから思っていたということになりますね、これは。あなたのことばを詰めていくとそうなりますよ。ですから私は、こういうふうな、いわゆる実施できないような時期にあなた方がもう政府とべったりで、会期のまつ最中に、しかも、とてもじゃないけれども無理なときに出して、そして延ばしたと、こういうぐあいに勘ぐられてもしようがないじゃないかというんです。そのためには、やっぱり人事院が本気になってこういうふうな問題に取り組んでもらいたいし、——私はこれだけで言っているんじゃないんです。まだほかにも一ぱいあるんです。——そういうような意味では、この給与の問題についてはもっともっと真剣に取り組んでもらいたいと私は思う。きょうは時間の関係ありますので、あまりこればかりやっているとほかの問題がやれませんのでこれくらいでやめますけれども、いずれにしても、この問題については、人事院としてはほんとうに本気でこの問題については取り組んでもらいたい。ことしは、現在の物価の上昇の観点から考えてみましても、ことしの四月からずっと物価の上昇、もうあなた方わかっています。去年以上の物価の上昇が予想されています。そうしますと、来年はどうなるかというのはいまからある程度のめどはつきます。そういう点からいきますと、来年はどうするかということは重要な問題です、これは。その点にも思いをはせて、人事院が本気に取り組んでいかないと、私は人事院の存在価値を失うと思う。そういうところも考え合わせてもう一回答弁をいただきたい。
  111. 島田巽

    説明員(島田巽君) 人事院のあるべき姿勢について非常に貴重な御意見伺いまして、十分銘記して、これからの事態に対処していきたいと思います。  また、おことばを返すようなことではございませんが、私ども決して提出の時期を延ばして、そのために今度に間に合わないような意図的なことは、これは絶対に毛頭ないことを御理解願いたいと存じます。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総務長官、私は先ほどからずっと総務長官答弁を聞いておりまして、総務長官のことばの中にこういうことばが出てきました。人事院勧告だけで臨時国会を開けるかどうかというような意味発言をあなたは先ほどいたしました。もともと私は、この人事院勧告が出たら、政府としてはそれを受けて直ちに私は臨時国会を開くべきだと思うんです、基本的な考え方としてはそうあるべきだと思う。現実に給与国会というものが前にも開かれたことがあるんです。そういう点から言いましても、総務長官自身が、この人事院勧告というものをどういうふうに考えておられるのか、受けとめておられるのか、これはどうですか。
  113. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 申し上げるまでもなく、われわれはこの人事院勧告というものに対して、第三者がこのような形で勧告をわれわれにしてくれておるわけでございまして、この勧告に対しては誠意を持って対処をしていくという考え方は少しも変わっておりません。
  114. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総務長官は、誠意を持って対処していく気持ちには変わりはないと。しかし、誠意というのは具体的に何かあらわれないとこれはわからないですよね。そういう点からいきますと、ことしの勧告の様子なんというものを見ておりますと、政府の誠意なんというのはまるっきし感じられない。いつもの年ならば、人事院勧告がありましたらすぐ閣議決定がありますよ。ところが、今回はいまだにされてない。これはやっぱり、そういう点から考えてみても私は誠意があるとは言えない。一体閣議決定はいつごろ行なわれるんですか、その見通しはそれならどうお考えなんですか、そして、あなたはその問題について閣議でどう主張されているんですか。
  115. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 人事院から勧告をもらいましたのは二十六日で、三十日の閣議にこれを報告いたしまして、それから三十日の給与関係閣僚会議においてこれを一応討議をいたしました。  で、ただいまの御質問でございますが、私がその間においてどうしたということでございますけれども、私は、この人事院勧告を即時実施をしていくという考えでありますけれども給与関係閣僚会議におきましては、それぞれの担当国務大臣が、今回の人事院勧告に対して、きわめて高率であるとか、あるいはまた、この財源措置であるとか等々いろいろな問題を提起されまして議論がなされました。私は、この今回のような高額の勧告に対しましては、担当閣僚がそれぞれの自分の立場に立って議論を戦わせていくということは、これは本質的に人事院勧告をただうのみにするということよりもはるかにいいのではないかと思って、したがいまして、こうした各省の検討というものが、ただ、のんべんだらりと時間をつぶすという意味でなしに、十分に検討し、真剣な討議閣僚会議でなされるということこそ、人事院勧告を今後長きにわたって尊重していく基盤をつくるものではないかと私は考えております。そうした意味でございますが、繰り返して申し上げますが、ただいたずらに時間をとるというような会議をわれわれは主張しているわけではございません。昨日も衆議院の内閣委員会におきましても、大蔵大臣からそうした問題について、自分の発言がたいへん誤解をされておるように思うけれども、そんな意味ではない、合計して二兆数千億に達する今回の人事院勧告というものは、そう簡単な財政の運用によって可能なことではないということも踏まえながら、十分に検討して、それに誠意を持ってこたえるということを申しておりまして、七月三十日の当時の議論からははるかに進んだ感覚が昨日の答弁の中には出ておったように私は思います。  そのようなことでございますが、われわれもこの人事院勧告を、ただ関係閣僚の間でたらい回しにしておっても解決はいたしませんから、そうしたことが一日も早く閣僚会議において合意のなされるような方向で努力をしていくということ、これが私の気持ちであり、今後の方針でございます。閣僚協議会が済みましてから閣議報告されて、閣議でも、他の閣僚から何らの異議がなければこれが決定されるわけでございますが、一人でも異議があるとこれはなかなかきまらないということになるわけでございまして、ただいまもたいへん御熱意のある御発言をいただきまして、総理府といたしましてはたいへんありがたいと思いますが、そのような事情と実態を踏まえながら着実に前進をはかってまいりたい、このように考えておるのでございます。
  116. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、総裁——総裁はいませんけれども総務長官のいまの答弁を聞いておりますと、これは人事院の存在価値が疑われますね、これは。私は、いま総務長官がおっしゃるように、人事院勧告というもののその重みというものはまるっきしないのじゃないかと私は思う。人事官どう思いますか。政府閣議において、総務長官がおっしゃるように、この人事院からなされた勧告を、その内容についても一生懸命討議をする、そして人事院からなされたとおり、いわゆる完全実施をするために何とか資金の確保をする、そのために一生懸命議論をするのならぼくはそれはそれなりに意味があると思う。人事院がたいへんな思いをして調査をした。そうしてそれに基づいて、たいへんな資金が要る、だからその資金を集めるためにこれはもうたいへんだということで政府が一生懸命議論するのならいい。ところが現実はそうじゃない。今回の人事院勧告が高過ぎる、そして人事院のその現在の勧告の中身、これがいろいろな角度から議論をされている。議論をすることはいいでしょう。しかし、われわれが新聞報道や何やかやで見る限り、またあるいは政務次官やそういうふうな会議で出た内容を見る限り、これは人事院勧告に対するたいへんな干渉であり、結局公務員のいわゆる労働基本権と差しかえにしたいわゆる人事院勧告という考え方ですね、だいぶこれは問題があると私は思います。現実に、人事官、これは皆さん御存じのとおり、最近給与がそうでしょう。政府主導型になっているのじゃないですか。たとえば、先般あの人材確保法による教職員給与改定になりました。あるいは先般から教職員看護婦以外の職員についても、いわゆる教員以外の給与についても人事院に対するいろいろな——これはいろいろ問題はありましょうけれども、各省庁からいろいろな要望がなされる、それに基づいて人事院がどういうぐあいに左右されているか、こういう問題にも関連をしてきます。そうしますと、最終的には私は人事院はもう必要ないのじゃないかということになる。こういう点から考えてみましても、私はこの点については非常に重要な問題があると思う。人事院、これはこういう問題についてどうお考えですか。
  117. 島田巽

    説明員(島田巽君) お答え申し上げます。  私は、給与関係担当関係閣僚会議の御意見がどういうことであるか、内容を全部伺うわけにはまいりませんし、総務長官のお話によって、真剣なそれぞれの討議がなされておるということでございますから、その結果を注目して見守っておる段階でございます。ただ、いつの場合でもそうでございますけれども、私ども勧告を出しましたときに、一つの面からは、今度の勧告は大型でとてもこんなことをやったのでは日本経済はたまらないという、高きに過ぎるという御批判と、それからまた一方の側からは、こんな低い勧告で一体食えるかという、常に両方からの御比判がある。私は、まあこれは総裁も常に漏らすことでございますが、人事院の中立機関としての宿命と申しますか、私どもとしてはどちらからか非常に喜ばれるというふうなことになるというふうなことでなしに、中間で、中間と申しますよりも私どもの信念に基づいて正確な勧告を出しているわけでございますから、それに対する御批判はいろいろな面からあってもやむを得ないのじゃないかというふうに考えます。  それから政府主導型じゃないかというお話がございますが、人材確保法案にいたしましても、私どもかねがね教員給与改善ということにつきましては、できるだけのことをしたいと思っておりまして、ただ、ああいう総合較差方式の中におきましてはなかなか思い切った改善ができないというふうなこともございまして、人材確保法の成立によって、今度のようなかなり思い切った改善ができるというふうな、そういういろいろな面で、また看護婦の方々その他の改善にいたしても、私どものほうから、改善をしたいからあらかじめ通常予算の中に改善費を見込んでおいていただきたいというふうなことを申して、決して、ただ他動的な御要求に基づいて動いているということでは決してないことを御理解願いたいと思います。
  118. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう私に与えられた時間が非常に短くなってまいりましたので、もうたくさん質問できませんが、きょうは行管庁長官お見えになっておりますので、一言お伺いしておきたいと思います。  やっぱり行政管理庁長官としては、本内閣委員会ではきょう初めてでございますので、先ほどごあいさつをいただきましたが、私は、この行政改革という問題は、非常に重要な問題であります。今回も給与の改正とあわせてこの定員削減の問題が出てまいりました。やっぱり行政改革の基本的な考えですね、行政管理庁の長官として、いま何を根幹にして行政改革を推し進めようとしていらっしゃるのかというのがまず第一点。  それから、先ほどもお話がありましたように、この三年間で三%削減の決定をいたしておりますけれども、先ほど同僚議員が質問いたしましたが、これは大臣、三年三%で各省庁、閣議決定をいたしました。しかしながら、これをどういうぐあいに配分をし、どういうぐあいに、どこの省庁のどこが何人ずつ減るかということになってくると非常にむずかしい。その基準は何かということが非常にいつも問題になるわけです。先ほどもちょっと問題になりました。それで、局長はちょっとだけ口をすべらせまして、職種を四種類に分類してその配分をするんだというような意味のことを発言をされました。これは一体どういうことなのか、これはあとで局長から資料でも何でもけっこうです、あとで一ぺん教えていただきたいと思います。大臣からは、私が申しましたいまのいわゆる三年三%削減の問題の中でも、大臣は先ほど非常にものわかりのいい話をいたしましたが、たとえば病院のお医者さんとか、そういうようないろんな問題、足りないところがございます。そういうようなところにはそれなりに配慮してという話がございましたけれども、そういうところまで現実には削減の手が伸びてきておる。現実にどうしても必要なところが人員を減らさなきゃならないというはめに現実におちいってきている。そういうようなところは一体どうしていくのか、やっぱり大臣の強烈な政治的手腕を問われるところだと私は思います。そういう点から、やっぱり基本的な行政改革のあり方というものを抜本に定めて、それに基づいてやっぱり行政改革を推し進めていくという考え方でなければ私はいけないと思うんです。そのバックボーンとなるものは一体何か、これは一ぺん、きょうは大臣にこのことを一言お伺いしておきたいと思います。  それからさらに、総務長官にもついでに質問して私の質問終わりますが、総務長官、いろいろこれは議論は一ぱいあります。ありますけれども、現実の問題として、今回の給与完全実施されるであろう。これはされるであろうと私は思いますし、まあされるであろうと確信を持っておりますが、実際これ、これからのいろんな時期の問題もございますが、一体、いつごろ——これはいわゆる臨時国会開いてやるんでしょうけれども、そのめどとしては、やっぱり総務長官、いつごろにはどうしようというある程度のめどがないといけないと思うし、総務長官はやっぱり主張をしないといけないと思いますね、やっぱりね。そこら辺の一つの大きなめどといいますか、それはある程度、いつごろということだけでも教えていただかないと、われわれ、きょう質問した値打ちがないわけです、ほんま言うたらですね。そういうような意味で、大体いつごろにはこの給与、この差額の分はもらえるのか、ここら辺のところはやっぱりちょっと教えていただきたいと私は思います。この二つを最後に質問をして、私の質問は終わりたいと思います。
  119. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) たいへん大きな問題でございまして、私も目下いろいろ勉強いたしておりますから、お答えがまとまったものになるかどうかわかりませんが、考えておりますことの概要を申し上げたいと思います。  総需要抑制とか、あるいは先ほど来のお話のように、公務員給与もこれはもう低いですから、これは上げていくというような問題もございます。民間に対していろいろ政府側から御要請を申し上げたりしていることもありますから、やっぱり政府がいわゆるチープガバメントと申しますか、ほんとうに能率の高い、そうして国民に親切な行政でなきゃならぬことはもう当然だと思います。ですから、いつの場合でも、私ども行政の簡素化、合理化、これはもう何んでもかんてもぶった切るという意味ではなくて、必要なところに行政が行き届いて、それからやっぱり時間の経過の間で比較的手薄、仕事が少なくなるとか、まあ必要がないということを申すところはないと思いますが、そういうところがございますので、これはもう絶えず私どもやっていかなきゃならぬ問題だと思っております。  基本的には、三十九年にいただきました臨時行政調査会の答申というものがきわめて部分的にしか実現できておりません。これにはいろんな事情がございます。たとえば、内閣法一つにしましても、いま国会審議中でございますが、政府法案としてつくって出してもおらないというような、答申の中にはそういうもの、つまり、手がついておらないというようなものもございます。あるいは地方事務官制の問題等につきましても、これは答申いただいてもうずいぶんだっているわけですが、手がついておりません。ですから、基本的には臨時行政調査会の答申というような大きな一つの指針をいただいているものと私は考えております。しかも、その答申の中にございまして、実際には私どものほうに行政監理委員会というものができているわけでございます。これはこの答申によってできたものでございまして、臨時行政調査会をむしろやや恒久的に、答申の実施を監視し、それから新たないろんな問題に対応するためにできておるものでございます。これは毎週一回いま開かれておるわけでございますが、そこで臨時行政調査会の答申もやれたものもございます。様子が変わったものもございます。そういうものは、行政監理委員会の中で、新しい時代に対応していろいろ行政改革の仕事をやっていくと、こういうことでなければならないと思っております。  で、これはもう言うまでもございませんけれども、原則的に申しますると、新しい行政需要がどんどん起こっておりまするので、忙しいところはべらぼうに忙しいわけでございます。しかし、先ほど申し上げますように、ややまあ惰性になっているといいましょうか、これまでの、つまりいろいろ問題になったときには非常に重要であったけれども、もういまはしかし情勢が変わってそれほどでもない、もう少し仕事を簡素化してもいいんじゃないかと、そういうところがあるわけでございまして、そういうものについて絶えずひとつ私ども気を配ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、この問題は、なかなか各省庁、特に役人の、何といいましょうか、非常な強い抵抗といいますか、というものがございます。また、政治的にもかなりこれは、やや抵抗になってあらわれる場合もございますので、なかなか困難だと思っておりますが、総理の政治力も大いに期待をいたしたいと思っておりますし、私どももひとつ勇気を持ってこの問題、対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、私は特に、もう何といいましょうか、法律や政令で仕事ができておるもので、時代が変わってこれを変えなきゃならぬというようなものもあるのじゃないかというふうに思っております。ですから、そういうものについては、やっぱり法律や政令も新しくできますと、どうしてもそれば必要があってできることでございますから、人間がふえるほうの側でございまして、やっぱりやめていただくのも立法府でいろいろ考えて、こういうものは簡素にしようじゃないかというようなことをぜひお考えいただくように、私どもも研究してまいりたいというふうに考えております。基本的な線はそういうことでございます。  それからなお、先ほどちょっと答弁の中で誤解があるといけませんので、私ちょっと補足さしていただきたいと思いますが、あとのほうの御質問に関連することでございますけれども、三%というのは一応各省庁が全部御了承いただきましたが、先ほど申し上げましたような、また太田先生の御質問にお答えしましたように、またいまもお話がございましたように、減らせないというようなものが出てきておるわけでございますから、そういうものについては、三%に各省別に見ましての上のせをする、つまり、厚生省なら厚生省の中でまかない切れないという部門については、他の省庁で持ってもらうというような場合もございまして、各省別三%と申しましたのは、原則的な三%は御了承いただいておる、こういう意味でございますので、多少誤解があるといけませんからそういうことで御了承いただきたいと思います。  それから基準の問題につきましては、こまかい点については局長からお答えをさせていただきたいと思います。
  120. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あとでけっこうです。
  121. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 総理府といたしましては、できるだけ早く関係閣僚間のこの問題についての理解、了解、合意、こうしたものを早急に実現するように努力をいたしますとともに、閣議決定の後には直ちに法案の作成に入って、いつでも国会に対応できる万全の措置をやってまいりたいと考えております。
  122. 内藤功

    ○内藤功君 まず、人事院茨木給与局長にお伺いをしたいと思います。  現在審議をされております人事院勧告というのは、言うまでもなく、国家公務員給与に関するきわめて重要な勧告であり、またこれは地方公務員、自衛隊、警察などの職員、さらには政府関係の各種法人の職員などの労働条件にも、直接間接に影響を及ぼすものであります。これがまた、憲法でいう生存権あるいは団体行動権の代償である、こういうことも最高裁の判例その他でも指摘をされておるところであります。私は、必ずしも争議権の代償という評価には賛成はしませんけれども、きわめて重要なものである。私どもは、この公務員給与は本来、これはイギリスあるいはフランスの公務員において行なわれているように、団体交渉とさらに団体行動というものを基本にして政府担当機関公務員の労働組合の間で交渉によってきめられていくのが本筋である。人事院勧告制度そのものの当否についても問題を投げかけているわけでありますけれども、しかし、人事院勧告ができて二十年間、この間にきわめてわずかではあるけれども改善されている点もあることは率直に評価をできる点もあります。  そこで、私はかねがね人事院勧告の中の特に、少しこまかい話になりますが、勧告策定作業というものの中でこういう点はどうであろうかと思っておる点がありますので、約三点ばかり、多少こまかい質問ですので資料を御提示願う場面もあると思いますが、なるべく詳細にお答えを願いたいと思うのであります。  まずその一点は、昭和四十九年職種民間給与実態調査、これを実施されるにあたって、当然人事院では、民間の各職種平均支給額調査されるに際して、本社とか支社、支店あるいは出先機関など、いわゆる組織区分ごとに平均支給額調査あるいは算出をされたと思うんですが、これはいかがでしょうか。
  123. 茨木広

    説明員(茨木広君) 民間調査をやります際に、本社、支社等の組織別の問題でございますが、これは層化無作為抽出法によって抽出いたしましたというふうに報告申し上げておりますように、一応規模別に千人以上でございますとこれはほとんど悉皆になると言いますし、五百人以上、百人以上と、これは抽出率を若干変えておりますが、そういうことで抽出をしてまいりますが、抜いてまいりましたものは、各会社なりあるいは支社別にというような意味のグループ別に集計をするということはいたしてございません。これは参考資料として御配付申し上げておりますような形で調査民間企業として出してもらうわけでございます。
  124. 内藤功

    ○内藤功君 同じく部長あるいは課長あるいは係長と申しましても、民間会社では本社のそれと支社、支店のそれとは、その職務責任なりあるいは給与の額においても非常に顕著な違いがある場合が多いと思うんですね。で、この区別をつけて調査をし、あるいは算出をするということ、正確に官民較差を調べるというのが人事院勧告作業の第一歩なんですから、こいつが狂ってしまえばすべての人事院勧告が、うまい作文つくったって何にもならない。精密、いわゆる前の総裁が言われた万邦無比、正確だと言うんならば、当然そういう調査をなさっておられるものと思ってお伺いしているわけですが、こういう調査はしてないですか、もう一ぺん伺います。
  125. 茨木広

    説明員(茨木広君) このお手元に配付いたしております参考資料の後半が民間調査になっておりますが、その備考欄あるいはその次の対応等級というのがございます。そこのところに、やはり規模別に五百人以上とか五百人未満とかいうようなことがそれぞれ書いてあるのがございます。で、やはり……
  126. 内藤功

    ○内藤功君 いや、それはわかっているんですよ。それを聞いているんじゃない。本社、支社、支店別のはあるかどうかというんです。
  127. 茨木広

    説明員(茨木広君) そういう意味では、ここに支店長と、たとえば本店の場合とはというようなふうな、そういう類似のところの等級段階の切り方をやっておりますが、本社は本社だけ、支店は支店だけというふうなグループ別にはいたしてございません。
  128. 内藤功

    ○内藤功君 つまり同じ課長といっても、本社の課長はこのくらいで公務員の何等級に当たる、支店の課長はこのくらいで公務員で言うと何等級に当たると、こういう区別は調べていないということですか、現在では。
  129. 茨木広

    説明員(茨木広君) そういうことでございますと、それはこれに載っておりますように、対応のところをちゃんときめていたしてございます。そうでないと、大体類似のところをつかまえてきたということにならないものでございますから、これは御意見のとおりにしてございます。
  130. 内藤功

    ○内藤功君 対応というのは、単に事務係長あるいは事務課長という形でやっておって、本社、支社、支店別のはないと、こういうことで伺っておきます。よろしいですね。
  131. 茨木広

    説明員(茨木広君) はい、よろしゅうございます。
  132. 内藤功

    ○内藤功君 一方、公務員のほうですが、国家公務員給与等実態調査というものをおやりになっておるわけですが、この中ではいかがです。各職種ごとに、たとえば本省庁、管区機関あるいは府県単位機関、地方出先機関あるいは出張所というようにこの組織区分を分けて、そして課長は、本省の課長はこれだけあるいは地方出先機関の課長はこれだけ、こういうふうな区別をして、この実態調査の際に平均給与を区分して調査しておりますか。
  133. 茨木広

    説明員(茨木広君) 公務員関係は、いまの参考資料の前半部分が公務員関係になっておりますが、これは御案内のように、各俸給表別にそれぞれ等級がございます。で、この等級のところで同一等級のところに、本省の課長補佐が、ある等級に入り、地方の出先機関の課長も同じ等級に入るというようなふうに、その等級のところで同等のところの評価を一応いたしてございますものですから、ここで俸給表別、等級別にそれぞれの報告ができ上がっておりますが、そういうっかまえ方をいたしてきております。
  134. 内藤功

    ○内藤功君 その場合に、いまの御説明では少しことばが足りないと思うんですが、どういうふうな分け方をしますか。本省と本省でないものというふうに分けているのか、あるいはもう少しこまかく管区機関とか府県とか地方出先機関、出張所というふうにこまかく分けておるのか、その点の分け方、どうなっています。
  135. 茨木広

    説明員(茨木広君) この官民給与比較基礎になります給与調査といたしましては、等級別に一本に集計してございまして、本省あるいは管区あるいは機関というふうに別々な、別グループに集計をするといういたし方はいたしてございません。
  136. 内藤功

    ○内藤功君 たとえばですね、これは私が聞くのは職業安定所、これは労働省の関係ですが、職業安定所の課長というのはこれは何等級になりますか。
  137. 茨木広

    説明員(茨木広君) 府県単位機関になりますから、そういたしますというと、四等級、五等級等にこの課長は該当すると、こういうことになります。
  138. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、四等級の職業安定所の課長の場合、これは五百人以上の規模の企業では職種は何に当たりますか、係長ですか、課長ですか。
  139. 茨木広

    説明員(茨木広君) 五百人以上でございますと係長でございます。
  140. 内藤功

    ○内藤功君 これは職務と責任ということを人事院は常におっしゃっていますが、職業安定所の課長と、それから五百人以上の規模の企業の係長ですか、係長とおっしゃったですね、この係長とが、職務と責任の上においてまさに対応する合理的な理由があると、こういう点についてはいかがでございますか、そういうふうにお考えなのかどうか、また吟味をされたかどうか。
  141. 茨木広

    説明員(茨木広君) これはちょうどその五等級のところは、まず公務員内部で申し上げますというと、本省庁のやはり係長ないし主任にこれは相当するわけでございます、本省に持ってまいりますとですね。で、五百人以上のいま係長と申し上げましたのは、大体出先でなくて本店の場合が多いと思いますけれども、本店のところで比較いたしますというと、やはり係長のところがちょうどそこに対応するというふうに考えられますという評価をいたしておるわけでございます。
  142. 内藤功

    ○内藤功君 その場合でも、やはり五百人以上の規模の企業の係長というけれども、それが本社の係長である場合と、出先機関、支店、出張所などの係長である場合とは、おのずから違ってくるだろうと思うんです。この点はこれ以上答弁求めませんけれども、もう一つ局長にひとつ聞いておきたいんですが、このように、同じく部長とか課長とかいってもいろんな、本店、支店、出張所というものによって職務と責任も違い、またその給与実態調査をなさる場合の平均給与額の違いがあろうと思うんです。私は正直のところ、そういう調査しておりましたと、しかし資料がそろわなかったと、こういう御答弁があるかと思って実は予想しておったんですが、調査をしていないという御答弁、そういう数字が出ていないと。これはぜひ正確な調査をなさる上において、官民給与の適正な較差を打ち出す上において、私はずばり提言ですけれども、この本社、支社、支店別の数字を出しておられなかったのは非常にこれは調査としては不十分だと思います、率直に言って。これをおやりになるように私は提案をしたい。即答ができればけっこうだが、即答ができないのであれば研究課題にして、すみやかにこれについての検討をしてもらいたい。きょうは第一回ですから、これからときどき同じこと聞きますから、ひとつそれを研究しておいてほしいということを要望いたします。
  143. 茨木広

    説明員(茨木広君) たいへん貴重な御意見を拝聴させていただきましたが、いろいろこの対応関係についても、絶えず私どもといたしましても研究を重ねておるところでございますので、よくその際にまた検討いたしたいと思っております。
  144. 内藤功

    ○内藤功君 これだけじゃないんですね、問題は。大体この対応ということが、対応職種が何であり、そしてその数字が正確かどうかが、繰り返して言うけれども人事院勧告が、労働者のストライキ権を奪っておって、それでこれに従えと言うからには、やっぱりそれだけの厳密さがなくちゃいかぬという問題で申し上げておるわけですから。  もう一つ申し上げておきたいのは、今度の人事院勧告、いわゆる勧告のこの文書の報告のほうの部、表紙を入れて五枚目の二行目に、「俸給表については、民間給与の傾向等に照らし、初任給の引上げはもとより中堅層職員給与改善重点を置」くんだと。初任給の問題は詳しく他の委員からも聞かれたんで、私は主としてこの中堅層職員という問題についてお聞きをしたいと思う。これがいま一番役所の中でも熟練しており、法規、慣例にも精通しており、また国民の信頼も得ることができるし、一番大事な人であります。ところが必ずしも厚遇していないです、いまのやり方。これについて私はお伺いしたいんですが、「改善重点を置き」というのですが、まずあなたのほうから、具体的にいうと中堅層職員とは、これは念のための質問ですが、行(一)でいうと何等級をおさしになっているのかということをまず念のために聞いておきたい。
  145. 茨木広

    説明員(茨木広君) これは数学的にはっきりどこからどこまでというふうには申し上げかねますが、七等級の半分ぐらいから六、五、四、三の一部という辺がやはり中堅をなすんじゃなかろうかと、いまの職員分布からいいましてもですね、そう考えております。
  146. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、まあだいぶ中堅を広くおっしゃったが、それは別に異論はありません。そこでその意味での中堅層について、ここに書いてある「改善重点を置き」というのですが、あなた方のほうで、こいつは見てもらいたいと、これは努力したんだというのは何と何ですか。
  147. 茨木広

    説明員(茨木広君) いま「俸給表について」というところで御指摘になりましたので、まあ例示的に申し上げさせていただきたいと思っておりますが、まず世帯を形成する層ということで、要するに家族持ちになるというところを大体二十七、八歳とお答えいたします。これは関係職員のほうもやっぱりそういうところをたいへん大事に要望をいたしてきております。そういうところについて、これは大体七等級の四、五号俸程度のところになりますが、これはやはり八等級と同じような程度の——一〇%後の数字で申し上げさせていただきますけれども——やはり八等級と同程度の一九%の引き上げをするというふうなところに一つ考え方があらわれておるつもりでございます。それから六等級のほうについて申し上げますというと、その前半の号俸についてもやはり大体一八%をこえる改善というふうにいたしてございます。それからその上のほうの三−五等級については、人員が大体集中いたしております中位号俸、相当年齢が高くなっておるものですから、初号よりもあとのほうの号俸のところに人員が集中いたしておるというきらいがございます。そこで中位号俸を中心に昇給間差額の折れ曲がり是正をいたすというような気持ちでそこに金額を入れさせていただいております。
  148. 内藤功

    ○内藤功君 いまの、数字はどうですか。
  149. 茨木広

    説明員(茨木広君) たとえば五等級の十五号俸の引き上げ額で申し上げますが、これは現在十一万九千四百円でございますが、これが二万二千九百円引き上げてございます。この二万二千九百円というのは、大体十一万九千四百円というようなものと同じような金額をもっと上の等級の号のところで例を引きますと、二等級の一号俸のところが十一万九千二百円、ちょうど二百円足らずの金額になっておりますが、ここの二等級のほうの引き上げ額は二万二千六百円でございますが、この五等級の十五号俸のところは二万二千九百円ということで、三百円高に、むしろ五等級のほうの金額のアップの額のほうが高くしてございます。というようなところを一つの例として申し上げられると思います。また四等級のほうで申し上げますと、四等級のやはり中間以降でございますが、十二号俸、これが現行やはり十二万九千六百円でございますが、引き上げ額が二万四千六百円になっております。これに大体類似のところが二等級のところで例を引きますと、二等級の三号俸、これが現行が十二万九千九百円でございますけれども、このところの引き上げ額が二万四千百円と、これもやはり四等級のほうが五百円高い引き上げ額にしてあるというふうに、その辺のところの金額を、こころもちそれぞれやはり高くしてございますというふうなところで申し上げたいと思っております。
  150. 内藤功

    ○内藤功君 ところで、そのような例示でいま言われましたけれども、いわゆる中堅層職員というのは、三等級の一部から四、五、六、七等級、八等級の一部というお答えでしたが、これらの各等級の、つまり具体的に言うと行(一)の三から八まで、一応行(一)にしぼって、三から八までの各等級別の平均年齢が、あなたのほうからお配りになった参考資料にないので、お手元の資料でけっこうだが答弁願いたい。行(一)の総計は、この参考資料の一ページに平均年齢が三十八・六歳というので出ておるから、これはわかっておるんですが、この行(一)の各等級別の平均年齢をひとつ数字でお教え願いたい、次の資問に関連があるので。
  151. 茨木広

    説明員(茨木広君) ちょっと、いま数字をさがさせておりますのでお待ちをいただきたいと思います。——各俸給表によって若干年齢か違いますので、行(一)の俸給表で申し上げさせていただきたいと思いますが、いまのところで申し上げますと、三等級が四十九・六歳、それから四等級が四十八・一歳、それから五等級が四十五・〇歳、六等級が三十七・七歳、七等級が二十七・八歳というようなところでございます。
  152. 内藤功

    ○内藤功君 八等級もついでに。
  153. 茨木広

    説明員(茨木広君) 八等級は全部で二十二・二歳でございます。
  154. 内藤功

    ○内藤功君 こまかい数字で恐縮ですが、私の調べたところでは六等級が三十七・八となっていますが、どうですか。
  155. 茨木広

    説明員(茨木広君) 七でございます。
  156. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、いま大体中堅層といわれる行(一)の三から八までの平均年齢が出たわけなんですね。そうしますと、はたして官民の対応作業というのをする場合には、この行(一)の四等級なら四等級に対応する民間職種はどういう職種であるか、その職種平均年齢が幾つであるか、これのつり合いもとれてなくちゃいかぬとぼくは思うんです。  そこでお伺いしたいのは、いま言われた中堅中の中堅というのは四等級だろうと思うのですが、四等級に例をとってみる。いまあなたは四十八・一歳が平均年齢だとおっしゃった。給与の面では若干の是正をしたんだと、こう言った。それではこの四等級に対応するのは五百人以上の規模の企業では何になります。係長になるんですね、これをちょっとお伺いしたい。事務係長及び技術係長がこの四等級に対応する職種ですね。
  157. 茨木広

    説明員(茨木広君) 事務係長になります。それで、一般的にはいまおっしゃられましたような問題がございますので、そこで民間でつかまえてきました人数なり年齢なりが、それぞれこちらとびたっと対応いたしませんので、こちらのそのそれぞれ年齢のところを合わせまして、人数は今度はこちらの人数に換算、置きかえて、たとえば向こうは五人しかおらないと、こっちは二十人おるという場合には、こっちの二十人に民間の人数を置きかえまして、そこの給与額を、五人向こうがあったものをこっちの二十人の金額にウエートを置き直しまして集計をするというような方法をとってございます。
  158. 内藤功

    ○内藤功君 換算のことはまたあとでお聞きしたいと思います。大体こういう場合に換算をそう簡単にやっていいかどうか。しかも実際に給与を受ける側が十分に知らないでもって、かってにこっちの何人がこっちの何人というふうに換算をしていいかどうかが私は疑問だと思うのですが、その前に、私の質問の筋としてもとへ戻して聞きたいと思うんです。  それは行(一)の場合、四等級は四十八・一歳と、こうおっしゃった。それに対応するのは民間五百人以上の規模では事務係長と技術係長がこれに当たるんだと、こういういまの答弁だ。技術係長もそうですね、いまこれ落としたが、事務係長と技術係長。そこでこの平均年齢は、これは私のほうで申し上げます。あなたの資料で申し上げる。いいですか、事務係長は三十八・二歳、技術係長は三十八・八歳、さっき言うた四等級の四十八・一歳と比べると約十歳、九・九歳ぐらいの差があるんですね。つまり約十歳の差が四等級の場合ある。十もこれ違っています。なお、さらに三等級でもそうだ。五等級でも同じことが言える。一々ぼくは例をあげて、いま時間の関係で言わないけれども、どうですか。こういうふうに十も平均年齢の違うものを対応させているのはどういう理由ですか。
  159. 茨木広

    説明員(茨木広君) これは平均年齢がたまたま出してございますが、対応させますときには同じ等級対応の職種で、かつ同じ年齢の人数、給与をつかまえてきて、こちらの同じ対応の年齢のところの人数ウエートに入れるわけでございます。
  160. 内藤功

    ○内藤功君 いや、それがよくわからない。つまり、もう一ぺん質問を繰り返すようになりますけれども、四等級の四十八歳の公務員の方が、自分より九歳若い三十八歳なり、三十九歳の民間会社の係長と対応されて同じように比較をされるということについて、どういうふうな理由でこのような対応がなされているのか、これをもう一ぺんわかりやすいように説明してほしいんです、はしょらないで一つ一つ。
  161. 茨木広

    説明員(茨木広君) この報告書のほうは平均的な合計数でお示しをしてございますが、同じ平均年齢と申しましても、同じたとえば事務係長の場合でも、非常に若いうちに係長になっておる方もございますれば、ずっと年とってから係長になっておる方も民間にもございますわけでございます。こちらのほうにも平均年齢で何歳とこう出ますけれども、やはり若くしてなっておる方とずっと年とってなっておる方とございますから、同じ職務対応のところで、たまたま同じ年齢の人員が何名かやはり対応してございますわけです。その同じ対応の職種のところで、同じ段階の責任の度合いのところで、かつその同じ年齢の対応のところ、しかも同じ学歴というものの人数の対応のところで比較するわけでございます。
  162. 内藤功

    ○内藤功君 また繰り返しになりますけれども、四等級平均年齢は四十八・一歳、それと、この民間五百人規模以上の会社の三十八・何歳というものと対応させている。これ、もちろん年齢だけじゃないと思うんですよ。あなたのおっしゃりたいのは年齢だけじゃないと、法律にもいうように、職務、責任、それから仕事内容、学歴、そんなものを総合してやると、こういう答弁をなさるんならまたそれなりに私もわかる。ところがそうじゃなくて、三十八と四十八を同じ並列に並べているのがおかしくないと、強弁に聞こえるものですからね、もう一ぺん聞きたいんです、くどいようだけれども
  163. 茨木広

    説明員(茨木広君) これはまあ、たいへんめんどうなあれになるわけですが、それで、コンピューターを通してやるわけでございますけれども、ここには結論的といいますか、その平均的な、結論的なものを御報告申し上げてあるわけですが、これのなまのものがそれぞれあるわけでございます。ですから、たとえば平均四十五歳、いま四十九歳なら四十九歳と出ましても、その中には五十何歳の方もおられれば、四十一歳の程度の人もおられれば、三十何歳の方もおられるというふうに、それぞれこの年齢の分布がずっと散らばっておるわけでございます、同じ係長、こっちのほうでいえば課長なら課長にしましてもですね。ですから、向こうのほうもやはり同じようにこう散らばっております。そこで、同じその課長なら課長と比較をするというふうになりました場合でも、同じ年齢の層が必ずあるんです、何人か。そういうものをその同じ年齢のところ同士でこう比較をするわけでございます。その平均をここに出して御報告申し上げているだけでございまして、これはもっと詳細なものがその原本としてはございますわけでございます。それで、その同じ職務程度の者で、同じ学歴で、それから同じ年齢の者、この給与をつかまえてきて、こちらの同じ年齢の対応のところの人数分にそれを持ってきて、そして全体の合計を出すと、こういう作業でございます。
  164. 内藤功

    ○内藤功君 それは早く昇進した人もいるし、比較的そうでない方もいらっしゃるから、そのいろんな分布している年齢層を平均して数字を出す、これはわかりますよ。しかし、その平均がいまここで問題になっていますね。あくまでこの官民較差というものを論議する場合には、平均であなた方も議論しているからわれわれも議論しているのですね。その中でこういう十歳の較差が出ている、これは納得できないんです。で、まああなたはこのほかになまの資料があるんですと。それは何とでも言えるでしょう。裏にこういうものがあるんです。ああいうものがあるんです。しかしわれわれにこれは示してくれないですね。そういうものがあるのならば、当然、私は意地悪く言うわけじゃないけれども人事院の資料の中になまの資料があるならそれを示して説明しなくちゃいけない。そういうふうに一番大事なものを出さないでおいて、実はこういうものがあるんですと言うんでは、これはやっぱり事前にわれわれに対する資料の配付の態度としては必ずしも正しいものとは言えないと思うのですね。今後その点は十分に御理解の上、こういう資料をわれわれに提供していただきたいと思う。なお、この点はさらに私のほうも機会を見て再び質問をしたいと思います。ただ、私たちはこの官民均衡論というものを非常に強調されている以上、この文書自体がわれわれ委員にわかるようなやはり資料を出さなければ、これはわれわれとしても納得いかない。そこで、これは委員長を通して要求することになると思うけれども、そのなまの資料というのは正確に何と呼んでいる資料か、それを私のほうに、委員各位に配付をされる御用意があるかどうか、この点を伺いたい。
  165. 茨木広

    説明員(茨木広君) 統計局のほうから出てまいりますその大きなカードというのは、量としますとやはりトラックに一ぱいぐらいのものがございまして、ずっとこの数字が書いてあるという、この大きなこういうカードでございまして、ですから、その見本的なものを一枚、同じこういう要旨のものでございますというものはできますと思いますけれども、実体のやつはなかなかこれはここに御配付申し上げるというふうには、そういう量的な問題ございましてできかねると思います。
  166. 内藤功

    ○内藤功君 次に、給与局長に別の問題でお伺いいたします。  中堅職員についてはいまのようなこの制度上の改善をひとつ、改善並びに勧告作業の検討お願いすると同時に、私はこの中堅職員の方々の昇進昇格をもっと積極的に進める必要があると思うのです。特に経験度の高い主任、係長クラス、それから女子でも六等級職員、こういう人の中には、二十年近くも働いていて仕事にも非常になれて有能な人が多いんですね。こういう人が多いんですが、頭打ちとなっておって、これらの人々の不満は非常に大きい。これは職員の声を聞いてみればすぐわかるのです。組合とまで言わなくたって、あなた方がなまの声を聞いてみればすぐわかる。こういう昇進昇格の問題こういう人たちの多くの人を昇進昇格させて、大きな力量を発揮して行政実務に当たってもらうことは非常に重要なことだと思う。  そこでお伺いしたいのは、去年一年間で、昨年度において、六等級から五等級へ昇格をした——昇格ですね——職員は何名おりますか、これは一応行(一)に限って。ついでにもう一つ、五等級から四等級へ昇格した職員は何名か。それから、それは前々年度ですね、その前の年度と比べてどうか。いまおさがしのようだからまとめてこれだけ。
  167. 茨木広

    説明員(茨木広君) 七から六等級に上がりましたのが七千三百三人でございます。それから六から五に上がりましたのが九千二十六人でございます。
  168. 内藤功

    ○内藤功君 五から四という質問もしましたが。
  169. 茨木広

    説明員(茨木広君) 五から四に上がりましたのが一万三十七人でございます。
  170. 内藤功

    ○内藤功君 その前年度はどうですか、その前の年の年度。
  171. 茨木広

    説明員(茨木広君) 前年度というのはちょっと無理でございますが、年々この職員の分布状況を見ながら上げておるわけでございますが、ここにまあ累積人員でございますが、十年間の姿で申し上げさせていただきたいと思いますが、四等級のところで申し上げますというと、四十年当時は、そこで二万八千七百五十九名四等級におったわけでございますが、それが四十九年の姿になりますというと、四万八千四十三人と、大体五割以上増員になって、ここのところに上がってきております。五等級のところで申し上げますというと、四十年の姿で七万五千八百六人おったわけでございますが、ここが四十九年で十二万九千三百八十八人という分布になってきております。六等級で申し上げますというと、十四万六百四十七人というのが四十年の姿でございますが、四十九年には十八万六千八百十四人と、こういうような姿に相なっております。
  172. 内藤功

    ○内藤功君 まだまだですね、私の聞いている、調査している職場のこういう中堅職員の方々の実態から見ると、これだけでも、この昇格数でもまだ足りないと思うんですね。今後この点について、これは給与局のおそらく昇進昇格は管轄の一つだろうと理解をするので、この点についてさらにあなたのほうでできるだけの努力をしてほしいと、これを要望しておきたいと思うんです。いかがですか。
  173. 茨木広

    説明員(茨木広君) 級別定数関係仕事は、これから秋、予算期前に実施いたします。その辺のところを、いろいろ各省別にもそれぞれ問題の相違もございますので、よく考えながら努力いたしたいと思っております。  それからなお、先ほど答弁申し上げました中でちょっと訂正をさしていただきたいと思います。最初に申し上げましたほうでございますが、七等級から六等級、六等級、五等級とそれぞれ上がりました人員を申し上げましたが、等級が一つ違っておったようでございまして、八等級から七等級に上がったのが七千三百三人と、それから七等級から六等級に上がったのが九千二十六人、六等級から五等級に上がったのが一万三十七人と、こういうふうに一つずれておりますので、たいへん失礼申し上げました。
  174. 内藤功

    ○内藤功君 では給与局長ばかり聞きましたから、今度は職員局長お願いします。  最近、私のほうでいろいろと第一線の中堅公務員の方々の実情を調べましたが、定員削減計画のいろんな影響が、特に福祉面に、福利厚生面にあらわれてきておるように思うんです。すでに局長も御案内だと思うが、たとえばここにも労働省——労働省いないか——労働省の婦人少年室へ行ってみると、現在六人だけれども、第二次定員削減で三人室が十三室にも達しておってまともな仕事ができないと、こういうようなことを訴えています。登記所、この登記所では統廃合か進められて、業務の下請化がどんどん進められているという問題、通産省、特許庁あたりでは、残業が極端に多くなって病人が続出しておると、これは過労でなくなる方も出ていると、こういうような、まだまだ調べたのは一ぱいあるんですけれども、大体おわかりになるように、福利厚生面で非常な影響が出てきておる。職員局長は、職員の労働条件、健康管理、こういったものを扱う所掌だと思いますが、こういう定員削減が福利厚生に及ぼす影響、大きな質問になるけれども、どういうふうにお考えになっているか御所見を伺いたい。
  175. 中村博

    説明員中村博君) 職員の特に健康管理の面につきましては、私どもとしましては、人事院規則で相当稠密にこれを行なっておるつもりでございます。特に女子職員の問題につきましては、先般労働省から示されましたものを直ちに規則化してこれに対応して、よりよき労働条件の、勤務条件の確保をはかるというように、私どもの気持ちとしましては積極的に措置をいたしておるつもりでございます。  なお、いま御質問の点でございますけれども、定員削減に伴う職員勤務条件の問題は、定員削減は、先ほど来いろいろ御議論がありましたけれども、一つの国の要請かと存じます。しかし、その間に処しても、たとえば超過勤務なんかにつきましては、民間の労働者と違いまして、公務のため臨時緊急の必要があるときにはこれは超過勤務を命じ得る。国民サービスをいたします公務員であります以上当然なことでございますが、その際にも、健康については十分注意せいというように規則には書き込んでございまして、各省各庁に対して、私ども、予算、人員の許します限り常に稠密な監査を行なっておるわけでございます。私どもとしましては、いま申し上げましたように、そのようなできるだけのことをいたしておるつもりでございます。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 職員局長、いま私が二、三、例をあげましたような、こういう職場の実態は心得ておられますか。
  177. 中村博

    説明員中村博君) いまおあげになりました個々の例につきまして、個別的には存じておりません。
  178. 内藤功

    ○内藤功君 この第二次定員削減が、このような残業の増大あるいは仕事量の増大、こういうことになって非常にいま中堅職員、さらに第一線の職員の中に深刻な問題になっているんですね。個々の事実は御存じないということですが、ひとつ福利厚生の任に当たるあなたとして十分に調査をして、この定員削減というようなことが、個々の職員にどういう深刻な影響を与えているかということを、これは言うまでもないことかもしれないが、積極的に調べていただきたい、善処をしていただきたい、こういうことを要望しておきます。
  179. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  180. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こして。
  181. 内藤功

    ○内藤功君 いいですか、小坂総務長官に質問。  さっきから人事院の総裁なり人事官なりが、この参議院選挙後の臨時国会に間に合わせるように死にもの狂いの努力をして、二週間から三週間勧告を早めたと。さっきからいろいろ議論がありましたが、私はこれを一応額面どおりとっておきたいと思う、死にもの狂いでと。昨年来の物価高騰、物価狂乱、これに対して職員の切実な要求、国民の要求、さらに石油製品が上がる、電力が上がる、ガスが上がると、生活必需品が上がる、こういう中で人事院が死にもの狂いの努力をしたというのは、これが事実ならまさにそのとおりだと思う。それが当然の職責だと思う。ところが、小坂総務長官のお話だと、さっき峯山さんも聞いておりましたけれども人事院から出た勧告に対して法案作成に一カ月かかる、急いでも三週間、しかし、これは私はお役所の仕事については表から見るだけですが、勧告俸給表もちゃんとできているし、法律の文案なんというものは毎年同じものができるんだし、コンピューターもあるんだし、有能なスタッフもあるんだから、三週間なんというのは私はまず納得ができないということを申し上げておきたい。しかし問題は、それをいまあなたに聞くんじゃない。死にもの狂いの努力人事院がやったというのであれば、しかも二十六日に勧告が出ているんですから、その後どのように、あなたはこの人事院の死にもの狂いというこのことばにこたえてどういう努力をしたのか、人事院は死にもの狂いだが給与担当大臣はいいかげんでいいということではこれは済まされないと思う。ストライキ権があるんならいいですが、ストライキ権は奪われている。ストライキ権は奪われてもストライキはありますけれども、やりにくいんですよ、非常に。こういう状況のもとで、あなたの先ほどからの御答弁は、私は人事院が死にもの狂いでやったというお答えに比べては、はなはだどうももの足りないように思うんですね。もう一つ、私は質問が重複することになりますが、あなたが今後給与担当の責任大臣として、このように死にもの狂いでやりたい、死にもの狂いということばは使わなくてもいいけれども、こういう決意でやりたいということを最後に御所見として伺っておきたいと思います。
  182. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 人事院が、今度の勧告に対して佐藤総裁以下非常な努力をされたことは深く敬意を表しております。しかし、たまたまこの勧告をいただきました時点において、非常に国会運営等についてはわれわれにとって不測の事態でございました。もちろん、われわれは前々からこのようなタイミングに勧告があることを予測しながら、十分用意をしながら、心の用意をしながら待っておったわけでありますが、非常に残念なことにタイミングが合わずに今度のような状態でございました。その点は非常に残念に思っております。しかし、この問題をただほうっておくわけにもまいりませんし、また人事院も非常に努力をしてくれたし、本日の内閣委員会におきましても、委員の皆さま方、口をそろえてこれの完全実施早期実施を要望されております。こうしたことを踏まえまして、私もさらに努力を重ねまして、閣内における本件の合意を早く取る努力と、同時にまた法案の作成に今後全力を傾けてまいりたいと思っております。
  183. 中村利次

    中村利次君 休会中に委員会を開いて人事院勧告に関する審査をやっておりますけれども、これは国家公務員一般職にすれば、具体的に給与改善するという答えがここで出るわけじゃないんですからね、ですから、まさにこれは全く実りのないことなんです、この国家公務員一般職の人たちにしてみれば。どうしてこういうことになったかというと、これは皆さんからもうすでに指摘されておりますように、あるいはたまたま小坂長官もいまおっしゃった、国会運営が異常状態であった。私は、人事院勧告というのは、まあどういういきさつでこの七月の二十六日に——死にもの狂いの努力をされたということですけれども——勧告をされたかは別にして、あの臨時会でやっぱり決着をつけるべきであったということは、これは当然のことだと思うんですよ。ですから、あらためて私は、第五回の参議院通常選挙以降、国会では当然、これは国民の間にもやっぱり当然のこととして定着をしていた所信表明をやるというようなことも、一切そういうものはもう拒否してほっかむりで通し切った田中内閣の異常性というものを、あらためてここに指摘せざるを得ないと思うんですよ。  ですから、私はそういう立場からまず人事院にお伺いをしますけれども、五月に暫定措置勧告があった。これは立法行政主導型の面もありましたが、人事院に言わせれば、人事院もその主体性に基づいてああいう暫定措置勧告をしたんだということでありましたが、これはあらためてお伺いしますけれども、なぜ異例のああいう暫定措置勧告をされたのか。
  184. 島田巽

    説明員(島田巽君) お答え申し上げます。  あのとき衆参両院の内閣委員会での御決議がございましたが、それと並行いたしまして、私どもとしましては、やはり昨年の一五・三九%というベースアップのままで今度の勧告まで公務員がそのベースで生活するということでは、いろいろ生活上の支障が出てくるんじゃないかと、少なくとも一〇%ぐらいのものを上積みをして、内払いでもそれによって楽にしたいという気持ちからでございます。
  185. 中村利次

    中村利次君 けっこうです。そうすると、人事院はそういうお気持ちから、やっぱり本来ならば八月に勧告すべきものを十回通常選挙後の臨時会に間に合うようにと思って、同じ考え方から勧告を七月二十六日に早められたと、こう受け取っていいですね。
  186. 島田巽

    説明員(島田巽君) 非常に大幅なことをやりますと、まだ精密な勧告をやっていない段階でございますから十分なことはできないのでございますが、一〇%程度ならまず内払いとしても、その後の精密な較差が出てもその内払いはその中で終わるだろうという考えで一〇%ということにしたわけでございます。
  187. 中村利次

    中村利次君 いや、いま聞いているのは暫定措置の五月の勧告ではなくて、七月の二十六日に出された勧告ですね、これはやっぱり五月の暫定措置に関する勧告と同じような気持ちで、とにかく一〇%の内払いがあったんだけれども、この物価の狂騰なんというものはなかなかおさまらない。だから何とか臨時会で答えを出してほしいという気持ちで、また出すべきである、そういう気持ちでこの八月の勧告を七月に早められたと、こういうことですね。
  188. 島田巽

    説明員(島田巽君) どうも失礼いたしました。七月の勧告の場合も、まさに同一の気持ちでいたしました。
  189. 中村利次

    中村利次君 全くごもっともでしてね、やっぱり私は国民も同じ考え方、同じ立場に立っていると思うんですよ。そうなりますと、小坂総務長官ね、まあ担当大臣としてこれは私はある意味ではお気の毒だと思いますよ。それは長官がどうお考えになっても、田中内閣としてなかなか自分の思うようにいかないものもありましょうけれども、少なくとも、これはそうであっても、担当大臣としてのやっぱり責任があるわけでありますから、これは追及されても私はしようがないと思う。人事院のいまのそういう立場あるいは気持ち、かくすべきであるということは、国民的に言ってもこれは納得できることで、そいつをやらないという異常神経の持ち主は、そうなりますと田中内閣だけだということになるんですね。そうでしょう、これは総務長官。非常に長官にとっては過酷な質問になるんですけれども、やっぱり担当大臣ですからね。
  190. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 異常な心理とかなんとかいうことについてはお答えは差し控えさしていただきますが、私はもうしかたがないから、この問題については大いに皆さま方に責められてがまんしております。そういう心境でございます。しかし、考えてみますると、あのわずかな期間の間でも、実は一つの案を立ててずいぶん努力をいたしましたが、非常に残念なことに各党間の話で問題にされなかったということも、非常に私は、いまだから申し上げますが残念でございます。しかし、いろいろ努力をいたしましたが、いまの時点ではなかなか急いでこれが進むという客観情勢でもございませんけれども、もう今週が過ぎ来週になりますれば、一つのまた前進への気分も閣内に生まれつつあると私は思っておりますので、さらに促進をいたしたいと思っております。
  191. 中村利次

    中村利次君 具体的な案を立ててというまあたいへん、それが実現するしないは別にして、相当前向きの姿勢をお持ちになっていたような御発言でございましたけれども、私はやっぱり、いまのこの経済状態といいますか、物価状態といいますかね、あるいはこれはもう全部そうですけれども民間や三公社五現業は、とにもかくにももう新しい賃金でもって清算がついているんですよね。国家公務員一般職だけなんですよ。一〇%の暫定措置だけで、人事院に言わしても、下級公務員はまさにこれは生活保護すれすれの状態にあるということでありますから、だから、それを本来なら、臨時会でそれこそ死にもの狂いになって関係法案をそろえて、そして勧告に従った決着をつけるのが、これが筋目ですけれども、しかし国会運営についてのいろんな問題があったとすれば、これはもう一方的なあれだけでもいかぬでしょうから、せめてやっぱりこの人事院勧告のワクの中での、それを絶対にはみ出さない暫定措置というものも、私はこれは考えられると思う。やろうと思えばできるわけですから。長官がおっしゃったのはそういうことを意味するのか、どうですか、その辺は。これは、もしそうだとすると私は納得しますよ。
  192. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいま中村委員の仰せられたとおりのことをやっておったんでありますけれども、問題にならなかったわけであります。非常に残念に思っております。
  193. 中村利次

    中村利次君 これは、私はさすがやっぱり小坂総務長官努力をされたと思って、これは担当大臣としての小坂総務長官にはそれなりの評価と敬意を表しますが、しかし、結果として、これはやっぱり国家公務員一般職を野ざらしにしたということは、何としてもこれは遺憾千万なことでありまして、これはやっぱりもう各委員からも指摘され尽くされましたとおり、いつやるかということですから、これはいまたいへんお答えにくいようで、なまず答弁でございましたけれども、やっぱりこれは(「なまずじゃないよ、はっきり言ったんだ」と呼ぶ者あり)まあ、やるということはですね。そこで、時期の前に——したがって中身についてはこれはまた法案をそろえて私どもは審査を、十分な審査をする機会がたっぷりあるわけでありますから、この人事院勧告完全実施をするというたいへん前向きな御答弁について重ねてお伺いしますけれども、ということは、よくも悪くもこいつをいじらない。閣内でもいろんな議論があるようですし、あるいは第二次春闘、あるいは来年の春闘等を踏まえて、所得政策まではいかないまでも非常に議論があるところだそうですけれども、また逆の立場から言えば、これは人事官もおっしゃったように、中身についてはまだまだたいへんな不満もある。ですから、どっちに向いてでも削ったり何かするようなことがなくて、完全にこの勧告実施する用意があると、こういうぐあいに受け取っていいんですか。
  194. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 非常にお答え申し上げづらいのでありますが、私の気持ちだけを率直に申させていただきますと、内容を変更せずにこのままやりたいということでございます。
  195. 中村利次

    中村利次君 あんまりこれに突っ込んでいると、上田委員に失礼に当たりますからね、せっかく前向きの答弁を引っぱり出されたわけですから。  それでは、そういうことで、時期については、これは私は長官ここではっきりしたお答えは出ないでしょうけれども、何としてもこれは早くやらなきゃいけませんよ、とにかく。それが私はやっぱり人事院努力だけではなくて世論だと思うんですね。それで、やっぱり公務員一般職だってね、そのうらみを買うようなことをやっぱり田中内閣やっちゃいけませんよ。  そこで、人事院にお伺いしますが、臨時会で何とかする可能性を持って、その勧告を早められた点については私は評価します。ところが週休二日制については去年よりもことしは退歩しておるという印象を受けるんですがね、後退をしておるという印象を受けますが、後退をしているんですか、足踏みですか、前進ですか。
  196. 島田巽

    説明員(島田巽君) 私どもの表現では、決して後退ではなく、むしろ具体的な措置をさらに明示したというつもりでありますが、詳しいことは職員局長から。
  197. 中村博

    説明員中村博君) いま人事官が申し上げましたように、この表現は私は非常に先生の御分類によりますと進歩のほうだと思います。と申しますのは、昨年報告で申し上げました点につきましては、その考え方を引っぱってきておるわけでございます。それと、いま人事官申しましたように、時短を伴う月二回制ということを明示して、その前提の上にさらに試行なども含めて検討すると、具体化について検討するということでございますので、私どもは一つの大きな前進であろうと考えておるわけであります。
  198. 中村利次

    中村利次君 しかし、去年は報告の中で目途が示されたんじゃないですか。
  199. 中村博

    説明員中村博君) 昨年の報告では、御指摘のように、当面昭和五十年を「目途として」と、こうございました。それで具体化検討をすると、こうなっておりましたので、ただいままで具体化検討をしてまいったわけであります。その結果、この報告にもしるしてございますように「なお検討を要する分野」、それはいままでの御質問の中でも申し上げましたが、「分野が残されている」、なかなかむずかしい問題もございます。しかし、そういったことも含めて、さらにいま申し上げましたように月二回制、時短を伴う月二回制という当面の方策を明示しまして、その上に立ってこの問題は進むべきだ。そして、さらにそのために必要な試行を含めてのいろいろな手だてを講じて、国民サービスへの欠落なく、何とかしてこれが実施されるような手だてを見つけていこう。こういう姿勢でございます。
  200. 中村利次

    中村利次君 どうもね、このお役人の頭と一般の頭というのは違うものかどうか知りませんがね。やっぱり五十年を目途というのは非常にはっきりしているんですよ、五十年を目途にして実施に入っていこうという、そういう印象です。ところが、ことしのやつは、読みますとね、困難な情勢、困難な条件というのが非常に浮き彫りにされてしまって、普通の頭で普通の解釈をすると、後退だという印象になるんですよ、どうでしょう、その点。
  201. 中村博

    説明員中村博君) 昨年の報告で申し上げましたのは二つございまして、一つは公務部内にも何らかの二日制を導入すべき時期に達したという判断と、それから、いま先生御指摘のように、そのような判断に基づいて、当面五十年を目途として具体化検討をすると、こういう二つでございます。  そこで、一つはその報告に基づきまして、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、各省と、あるいは関係方面といろいろ検討を重ねてまいったわけですが、実現が近くなって、公務サービスの欠落なく国民の御同意を得て実施するということになりますと、いろいろな問題が生じてきておるわけであります。しかし、民間の動向その他の状況を見まして、やはり将来の完全週休二日制への布石として、当面取っかかりはまず月二回制であるべきだ、しかも、それは時間短縮を伴うべきだということのまあ確信を得て、その線に基づいて週休二日制度は公務部内に対して導入されていくべきだ。しかし、一年間の検討の結果、いろいろ率直に申しておりますように、なお検討を要する分野が多々あるわけでございます。この多々あるという認識は、やはり実現が近いという認識に立ちますので、公務サービスへのいささかの欠落なく行なうためには、乗り越えるべき障害が多いという一つのそういった事実の表明であります。したがいまして、その意味ではほんとう具体化されるということを私ども望んでおりますので、なお、そのためには公務サービスの確保の観点から克服しなければならぬ諸問題があると、こういうことでございますから、私はプラスといいますか、そのような考えでございまして、決して後退ではない、かように考えております。
  202. 中村利次

    中村利次君 そこいら辺がやっぱり微妙になってくるんですよ。公務サービスの欠落がなく、国民の理解と同意を得られるようなと。これはサービスなんかどうでもいいんだとか、国民の抵抗を排除してでもとか、そんなことは初めからお考えになっていないわけでしょう。そういう公務サービスの欠落なく、国民の理解と合意を得られるようなということがあくまでも前提になって、その上に去年の報告は五十年を目途と、こういうものが私は出てきたと思うのです。そこでこれは何とおっしゃっても、失礼ですが、これは後退の感がありますよ。なぜかということを考えてみますと、去年はやっぱり民間調査をやった、あるいは日本の置かれているいろんな環境等についても配慮があったでしょう。人事院の主体性を持って、五十年を目途にして週休二日はやっぱり実施をすべきだという、このお考えがあったと思う。主体性を持ってそういうお考えがあったと思う。ところが、いまもちょっと触れられたように、関係各省庁といろいろあれしてみたところが、やっぱり行政サイドにいろいろと左右されてなかなかこれがそうはいかぬのと、人事院の主体性で考えたようにはいかぬというような条件が出てきたんではないか、これは当然それ以外に考えられませんよ、これは。それは人事院が去年、五十年という目途を定められたときに、これはもうこの週休二日というのは絶対なんだから、公務サービスの欠落があろうと、ある程度の。まあそんなでたらめじゃないにしても、あるいは国民の中にある程度の批判があってもやっぱりしょうがないんだという立場じゃなかったと思うのです。そういうものを十分前提条件として踏まえた上で五十年目途というものが出たに違いない一そういう主体性が人事院にあったと思う。ところがやっぱりこの行政とのいろんな、この何ですか、作業を進める中で、どうもこれはむずかしいということになったんじゃないかと思うのですが、そのとおりでしょう。
  203. 中村博

    説明員中村博君) 先生がおっしゃいました、まあいろいろ、ある一つの影響でということのおことばは、私はよくわかりません。私どもとしましては、人事院の主体性を確保しつり関係方面ほんとうにこの実現のために真摯に検討してきたつもりでございます。しかも、その実現が私ども考えとして間近になりますれば、やはりほんとう国民に対するサービスを欠落することのないようということに主眼が置かれるのは、私は事の手はずとして当然のことだと思います。そのように考えてまいりますと、先ほども申し上げましたように、たとえば教職員の方々の問題だとか、船員の方々の問題だとか、交代制勤務の方々の問題だとか、直ちに人をふやしても二年間の研修期間を要する分野があるとか、いろいろあるわけでございまして、そのようなものを各省関係機関との御努力によって一つ一つ破砕していく、その状態が完熟したときに実施が始まると、こういう認識に立たざるを得なかったという経緯があることは率直に申し上げたいと思います。
  204. 中村利次

    中村利次君 私は、こういうことで深追いをしませんよ。もしおっしゃるとおりだとすると、去年の五十年を目途としてという報告は、人事院としては軽率であってずさんであったと、その前提が。いまおっしゃるサービスの欠落も、これはあってはならない、国民の合意を得られないことがあってもならないということが大前提であるならば、実際にその作業にかかって検討を具体的にし始めてみたところが、やっぱり相当問題があったよというのでは、去年の報告はずさんだったと言わざるを得ない。これはいいですよ、それでね。  今度は別の角度から、これは人事院もおそらくそうであろうと思うんですが、今度のあれにもちょっとそういう意味に解されますけれども、時短を伴わない週休二日というものについてどうお考えになるか。
  205. 中村博

    説明員中村博君) いまお答えを申し上げます前に、先ほど申し上げることを落としました点を補足させていただきたいと思いますが、一つは、昨年の報告では何らかの形の週休二日制ということでございまして、いま、まさしくその御指摘の面も広い意味では入っておるのでございます。そのようなことをいろいろ精査しました結果、この報告の文案にありますような当面目途が出てきたわけでございますので、その意味では一つの進歩であるという評価をなすっていただきたいと、私はかように考えております。そのことは評価の問題でございますので、私もこれ以上は避けさせていただきますけれども。  まあ時短を伴わない週休二日制というものは、これは先生十分御承知で御発言のことと存じますけれども、地方公共団体で二、三やっておるわけでございます。これについては各方面からのいろいろな御批判があるという状況も私は承知いたしておるつもりでございます。私ども、今回時短を伴う月二回というものをここに書き上げました趣意は、民間の動向を見ますと、ほとんど大部分が月二回から完全へと進んでおる姿を示しておるというふうに、私どもの統計はさように読んでございます。したがいまして、やはり将来いつの日かの完全週休二日を実施しますためには、どうしても時短を伴う週休二日制の実施が、まさしくこの報告にもしるしてございますように当面これを目途とすることが一番妥当である、こういう考え方でございます。
  206. 中村利次

    中村利次君 私は人事院考え方に賛成なんですよ。時短を伴わない週休二日なんていうものは、これは表現は悪いかもしれませんけれども、全くこれはインチキものであって、いま、しかし、人事院がそうお考えになっていても、やっぱりいろいろな、この何というのか、条件の中で、やっぱりそういう主体性なりそういう考え方というのが、だんだんこうやわっこくなっていってしまっては困ると思いますので、私はやっぱり週休二日というのは時短が伴うのは当然であるという立場で、強烈な主体性を人事院にも持ってほしいと思うのですよ、いいですか、そういうことで。
  207. 中村博

    説明員中村博君) 私ども考えは先ほど来申し上げておりますとおりでございますが、何せ、その私ども関係各省の出先のことまでとうていわからないことがございますし、それからまた、関係機関のほうで十分な御検討を経なければこれは実施できないものでございます。その趣旨はこの報告に書き上げてあるとおりでございますが、私どもとしましては、いま先生の御発言の意を十分体しまして引き続き努力を進めていきたいと、かように考えておるわけであります。
  208. 中村利次

    中村利次君 これは行管にも関連してくるんですね、そういうあれを進めていきますとね。しかし、これは中身についてきょういろいろ質問をしたりあるいは議論をしたりするつもりはありませんから、基本姿勢だけでおしまいにしますけれども、そこで担当大臣としてのひとつ総務長官に、週休二日制について、人事院はそういう基本的なお考えをお持ちですけれども、長官の基本的なお考えをお伺いをして、それで重ねて質問する必要がなければこれで終わります。
  209. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 週休二日制の問題につきましては、人事院報告を申しているとおりで、私もその方向で、なおこの上はさらに具体的に十分検討して、週休二日をやるということについて、これは一般労働界では常識でありますけれども、やはり国民の目から見た場合の公務員といいますか、国家公務員というものに対しての見方もあるわけでございまして、そうした点を十分調査し調整をしていただいて、人事院からコンクリートな案が出されるならば、それを政府としても尊重してまいりたいというふうに考えます。
  210. 中村利次

    中村利次君 それで、もうその問題については再質問はいたしません。これはやっぱり週休二日をやらなければならない環境ですね、これはまあここでは議論しませんけれども、そのことを考えますと、何とかやりくりをした週休二日というのはあり得ないと思うんです。そういう基本姿勢というものは私はぜひ御堅持を願いたいということと、もう一つくどいようですけれども、この人事院勧告に基づく給与改定は、これは総務長官ぜひ一日も早く実現をして、そして多くの期待にこたえていただきますようくどいぐらい要望いたしまして質問を終わります。
  211. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会