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1974-11-08 第73回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月八日(金曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  十一月七日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     内藤  功君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 加藤 武徳君                 和田 静夫君     委 員                 井上 吉夫君                 岩男 頴一君                 金井 元彦君                 細川 護熙君                 赤桐  操君                 加瀬  完君                 小山 一平君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 内藤  功君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    町村 金五君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        警察庁警備局参        事官       半田  博君        警察庁警備局警        備課長      佐々 淳行君        法務省人権擁護        局長       萩原 直三君        大蔵省銀行局銀        行課長      宮本 保孝君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    国川 建二君        自治大臣官房審        議官       山本 成美君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省行政局公        務員部長     植弘 親民君        自治省財政局長  松浦  功君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政等に関する件)  (警察行政等に関する件)     —————————————
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨七日、神谷信之助君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。     —————————————
  3. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 地方行政改革に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 加瀬完

    加瀬完君 自治省に伺いますが、この物価高騰のため、地方事業計画が非常に支障を来たしているということでございますが、実情はどうですか。
  5. 松浦功

    説明員松浦功君) 四十九年度におきまする事業全体について、必ずしもまだ明白なものをつかみ得る段階になっておりませんけれども年度の半ばで荒いものでございますが、各府県から予算計上額等について調べたものがございます。これによりますと、公共事業費はほぼ前年の横ばい。単独事業費が、都道府県分で、全国ならしまして大体一〇%伸びるという程度の形で消化されております。もちろん、物価高騰部分はそれだけ事業費が減少するという形になっているということは当然であろうと思いまするけれども、まあまあともかく、地方財政計画予定をしたとおりの事業が、予算に一応計上されながら執行に入りつつあるというふうに私どもとしては観測をいたしております。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 この地方財政計画計画したとおりには、事業量を縮小するか、予算額を広げるかしなければ計画どおりにはいかないというのが現状じゃありませんか。私が伺いたいのは、計画したものをそのまま進めるためには、各自治体がそれぞれ計画変更をいたしておりますね。その計画変更による新しい財源難ということでみんな悩んでいる、そういう実情ではないかと思いますが、これはお認めになりますか。
  7. 松浦功

    説明員松浦功君) 地方財政計画では、道路何キロメートルとか、そういう形で編成をいたしておりません。金額編成をいたしておりますので、その金額に見合うものはほぼ消化されつつあるという理解をしているということを申し上げたわけでございます。ただ、当初に予定いたしました事業が、単価高騰等により、縮小しなければ同じ予算額ではできないということになることは、これはもうお説のとおりでございます。公共事業につきましてもそういう傾向があるわけでございますので、私どもといたしましては、いまの財政計画金額範囲内でできるだけ効率的に事業を消化していただきたいという気持ちを持っております。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 たとえば上下水道などは、計画された金額範囲内でやるということになれば、事業量は非常に縮小されるということになりますね。で、最初の目的には合わないということになる。で、この上下水道に対しての特別の考慮というのがございますか。
  9. 松浦功

    説明員松浦功君) 上下水道一緒に込みにしてお話しをいただくとちょっと困るんでございますが、下水道のほうは国庫補助ということが前提になっております。国庫補助増額をいたさない限り、当然事業量が減ってくるということになることは当然でございまして、これは当省としてはどうにもしようのないことでございます。  上水の問題につきましては、これは節が、うまいぐあいに繰り延べるというかっこうでできればよろしいわけでございますけれども通水をするために一部事業を縮小するということになると、その年度は水が出ないと、こういうようなことになる実態がございます。しかも、きわめて住民の生活に強く影響の及ぶ行政でございますから、この辺のところば、事業の縮小ということが理論的にあまり悪影響が出ない形で縮小できるものについては御協力願うにいたしましても、できない部分が非常にございますので、私どもといたしましては、当初、前年比三四%程度の増しの地方債計画を組み入れたわけでございますが、地方公共団体の、非常に水道行政に対する熱意からいろいろ仕事をやりたいという御要望と、ただいま先生から御指摘をいただきました資材高騰等によりまして、ワクが不足をしてまいっております。現在これを、どの程度になるか。これは総需要抑制、あるいは金融引き締めという事態でございますので、そういう事態も勘案しながら、最大限に努力をいたしまして、ワクの拡大をはかりたいと思って、関係省と折衝を開始をしておるところでございます。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 その点は財政計画が当然変更されると考えてよろしいですね。
  11. 松浦功

    説明員松浦功君) 水道財政計画とは無関係でございます。企業でございますので、これは全然別個で、地方債計画、こちらのほうの手直しということになろうかと思います。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 そういうわけにはいかないですね。確かに、おっしゃるように、独立採算制というたてまえで企業体をつくってやっておりますけれども自治体から企業体に対して相当持ち出しをしなければどうにもならなくなっているのが現状ですね。その持ち出し分が、企業会計で全部新しい起債ということにしても、その起債の償還というのは、今年度はとにかく、将来の年度でやはり返還計画というものを立てなきゃならない。そうなりますと、今年度財政計画は触れないことにしても、来年度以降の財政計画というものには触れてこなきゃならないということになりませんか。それ、全然触れないで企業会計だけでやっていけるような状態じゃないでしょう、いま。私の聞きたいのはそこなんです。
  13. 松浦功

    説明員松浦功君) 全然無関係であると言うと、ちょっと言い過ぎになるかもしれませんが、国庫補助金といたしまして水源開発関係補助金、あるいは広域化対策分補助金というものがございます。これに見合います裏負担分もございます。それから、自治省独自の問題として、一定水道料金をこえるような料金になった場合には、ある程度それを引き下げるための財政援助と申しますか、特別交付税措置も講じております。それらのものは、私どもとしては当然計画して本年度の中に入れてございます。そういう意味で、来年度以降さらに水源開発費補助がふえる、あるいは広域化対策補助がふえる、高料金がふえるというようなことになりますれば、当然来年度計画の中に繰り出し金として入れるということは考えておりますが、それ以外はすべて料金でまかなっていただくというたてまえでございますので、地方財政計画との関係はつけておりません。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 その料金でまかなうという方向をとれなくなってくるんじゃないかと思うんですよ。ですから、具体的に伺います。千葉県の九十九里水道事業というものを御存じですか。これは厚生省でもけっこうです。
  15. 国川建二

    説明員国川建二君) お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたのは九十九里水道企業団ということで、利根水系水源といたしまして、九十九里方面一帯に対します水道用水供給事業でございます。で、工事といたしましては、昭和四十七年から五十一年までを予定いたしております。計画規模は、給水量にいたしまして日量約十万トン程度でございます。総事業費八十七億三千万円で予定いたしましてスタートをして、現在工事中の事業でございます。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 質問が少し飛びますがね。ただいま局長が、結局水道事業水道料金が非常にかさむ場合は、特別交付税か何かでそのかさ上げ分の一部分をめんどう見るというお話でございましたが、それでは厚生省に伺いますが、いま給水価格トン当たり最高のところと最低のところ、一、二示してください。
  17. 国川建二

    説明員国川建二君) これは上水道に関して申し上げたいと思います。  上水道では、規模によりましてかなり幅が違いますが、一般的に申しますと、大規模水道ほど料金は安くて、小規模なほど高くなります。最高は、四十七年度末の時点におきまして、北海道粟沢町新竜水道企業団が十立方メートル当たり千二百二十円ということになっております。安いところは、大和町で十立方メートル当たり百円ということになっております。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 そのように、高いのは百二十二円、安いのは十円という形になっておるわけです。千葉県の水道料金を調べてみますと、習志野市が一番安くて二十七円、トン当たり、それから一番高いのが東庄の七十七円、県営水道は五十円、こういうことになっております。これは間違いありませんね、厚生省
  19. 国川建二

    説明員国川建二君) 基本水量で申し上げますと、ただいま先生がおっしゃった数字とほぼ近い数字でございますが、東庄町は十立方メートル当たり——高いところでございますが、七百五十円と聞いております。習志野市は二百円と聞いております。平均先生がおっしゃったとおりでございます。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 厚生省は、このように水道料金全国的に見て凹凸のあることを好ましいこととお考えになりますか。具体的に言いますと、千葉県の習志野市は県営水道市営水道と両方あるんです。市営水道平均して二十七円、県営水道は五十円なんですよ。同じ地域の中でこんなに違うわけですね。こういうことを好ましいこととお考えになりますか。
  21. 国川建二

    説明員国川建二君) 先生よく御承知のところだと思いますが、現在のところ、水道料金につきましては一応事業ごと算定するたてまえ、ということをとっておりまして、多分にその水道の歴史と申しますか、建設年度あるいは水道施設の地理的、地形的条件によります工事費の多少、あるいは水量増に対応いたしまして行ないます拡張事業の頻度、それらのことからおのずから給水原価が異なってまいっているわけでございます。ただいま申し上げました最高最低料金といいますのは、非常に——まあ最高最低でございますから、特別な事情があるとは思いますが、一般的には、平均的には大体四百円をちょっとこえるぐらいでございます。で、若干の差があるのは、これは事業といたしまして、それぞれ事業の運営その他の面から見ましてやむを得ないものだと私考えておりますが、先生のおっしゃる御趣旨から申しますと、著しい格差というものは、好ましいかということになりますと、好ましくないというように考えたいと思います。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 公共事業ですからね、公共事業が同じ県なら同じ県、特に同じ市の中で同じように税金を納めておりながら、一方では倍額の負担をしなければならない、片っ方は二分の一の負担で済むというようなことはこれは好ましいこととは言われないと思う。しかしながら、いま計画中の水道事業というものはその好ましからざる方向料金を設定せざるを得ないということになっておりますので、それを少しお尋ねしてみたいと思う。  そこで、九十九里水道企業団千葉県知事との間の料金についての「覚書」というものを御存じですね。
  23. 国川建二

    説明員国川建二君) 九十九里水道企業団を創設あるいは発足いたします際におきまして、県と九十九里企業団を構成する関係市町村の代表との間で、県の財政面からのこれに対する取り組みに関しまして、両者間で話し合いと申しますか、が行なわれていることは聞いております。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 これは、それぞれの監督官庁である厚生省自治省も、内容については了解したものと認めてよろしゅうございますね。
  25. 山本成美

    説明員山本成美君) この九十九里水道供給事業の問題でございますけれども、県と関係企業団との間の約束覚え書きについては、私今度初めて知ったような次第でございまして、よく従前から認識しておったわけではございませんが、確かにこの中には、供給価格末端価格とが同じに——準じてやれるようにしたいということが書いてあるようでございます。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 これが違法であるとか妥当を欠くということで、こういうことはまかりならぬという御態度ではないですね、自治省は。
  27. 山本成美

    説明員山本成美君) まかりならぬといったような性質のものでございませんで、これはあくまでも県と市町村関係企業団との間のお話し合いでできたものでございます。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 念のために、大臣もいらっしゃいますから申し上げますと、「県営水道給水料金に準ずる料金となるよう企業団に対し財政措置を講ずること。」「前項の財政措置に対し、県と関係市町村とは同等の負担をすること。」結局県営水道に対する超過分というのは二分の一ずつ負担をすると、こういうことになっております。  そこで、自治省でも厚生省でもどちらでもいい、お答えいただきたいのは、この「覚書」作成当時の給水料金は、県営水道料金並びに九十九里企業団料金、おのおの幾らと想定したんですか。
  29. 国川建二

    説明員国川建二君) お尋ねの点につきましては、どうも、金額幾らと想定したというようなことにつきましては、私ども詳細は実は承知していないのでございます。で、取り組みの姿勢につきましては、いま先生お話しになりましたような考え方をとりたいという約束が行なわれたというように聞いております。したがいまして、それが現実にどのレベルでの料金を意識したのかどうか、十分承知していないのでございます。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 自治省はこの点はお聞きになっていらっしゃいませんか。
  31. 山本成美

    説明員山本成美君) 県と関係市町村とが半分ずつ負担分について持ち合いをするということは、いま加瀬委員おっしゃいましたように、第二項で出ておるようでございますが、私どもとしてこれをどう見るかということなんでありますけれども、先ほど局長からお話をいたしました中に出ておりましたように、高料金対策として、一定水準以上になるものについて、条件がはまれば、その部分について現実繰り出し額がそれをこえておれば、その部分地方財政計画で見るとか、具体的には特別交付税措置をするとかいうふうな措置をとってきておるわけでございます。これはあくまでも末端給水価格対象にして判断をしておる制度でございまして、したがいまして、この県と市町村とで半分ずつ持ち合うといったような場合の県の負担をどうするかというふうなことば、私ども考え対象には実は入っておらぬわけです。そういうふうなことでございますが、少なくとも末端給水価格が、先ほど申し上げましたような、抽象的ではありますけれども一定水準をこえておると、しかもそれが条件にはまっておると、現実繰り出し額一般会計からこれだけあると。そのこえた部分については、私どもは、従前制度によりまして、従前どおり考え方で高料金対策として措置をしていきたい、こういうふうな考え方でございます。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 その、先ほど局長もおっしゃった、特別交付税で見るという一つのめどは、三百円というのを押えているんです、最高を。ところが、私がこういうことを伺いますのは、二分の一ずつそれぞれ負担させるということは、財政負担が、県はとにかくも、市町村でたえ得るという認定があるからこういうことを認めるということになろうかと思うんです。ところが、給水原価を認可当初は百五十三円と押えた。したがいまして、県営水道を五十円と押えるならば、かりに上がってきて六十円としても、六十円と百五十三円の差額を二分の一ずつ負担するという計画であった。ところが、実施計画では百五十三円が三百十七円にはね上がっているわけです。三百十七円というものに対しては——これは平均です。もっと詳しく言うとね、昭和五十二年度は三百三十二円ということになっている。特別交付税で見るのは三百円というふうに押えられると、その上に出たものはこれはいままでの状況では対象にならないということになるわけです。したがって、このまま推移するならば、水道計画は進めたいけれども事業費もかさむばかりではなくて、この申し合わせ、「覚書」の内容を確実に履行するためにはまた膨大な負担をしなければならない、あとで詳しく数字を述べますが。そうでなければ料金上げる以外にない、こういうことになる。料金上げればこれは需要者が減る、減れば総体の収入が減ってくるというので、これは企業として成り立たない、こういうことになる。そうであれば、ここらで自治省も、こういうような事業体に対する財政措置をどうするかということをあらためて考え直していただかなければならないと思う。  で、もう一回御確認を願いたいと思いますが、料金県営水道並みに押えるということはこれはお認めになったわけですね。——その場合、県それから関係団体が二分の一ずつ負担をするということもお認めになった。そうすると、三百円をはるかにこえるという給水原価に対して、確実に市町村負担ができなくなる。そういう場合、その市町村負担分というものは自治省でお認めになると解していいのか。いままでの交付税算定のように、三百円というのを押えないで、幾ら上がっても上がった分は特別交付税考えていただけると、こう了解してよろしいですか。
  33. 松浦功

    説明員松浦功君) いまの覚え書きは、私もけさ先生の御質問があるということで初めて知ったわけでございまして、知事と関係者との間に覚え書きがあったということは、いま先生の御指摘のとおりだと思います。これにつきましては、私のほうでいいとか悪いとかいうことを申し上げる筋合いではございません。そのとおりにおやりになるかならないかは関係者同士でおきめになることだと思います。私どもは、個々水道の問題について、どういうふうに一般手当てをするという考え方でこれから臨む方針はございません。それぞれ、私ども全国水道をながめまして、財政的に問題のところは私どもとして検討していく、これからも同じように水源対策費補助金の裏側、広域化対策費の国の補助金裏負担分、そういったものは当然考えてまいりますし、高料金につきましても、時代の推移によりまして、いま三百円という御指摘がございましたが、本年度は四百円という数字にもうすでに直しておりますから、そういった条件をかまえながら、各地方公共団体に不公平が起きないように——水道料金の高低というのは、ある程度地域的な条件によって、ある町村は非常に恵まれておる、ある町村は恵まれておらないという実態があることはよく承知をしておりますが、それを私ども財政的に一つ一つについてしりぬぐいをしていくという考え方ではなくて、むしろ、一般財政の中からの選択の問題として、やはり市町村長のほうにおいてお考えをいただくというのがたてまえであろうかと考えております。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 おかしいですよ。だから、私は最初に、こういう「覚書」があることは違法ですかと聞いた。妥当を欠くということになりますかと言ったら、それは両者話し合いだから別にそういう問題ではないと、こう言った。じゃ、その基準の水道料金と新しくできる水道料金差額というものは二分の一ずつ負担をするということであるけれどもどうだと言ったら、特別交付税でめんどう見ると、こう言った。特別交付税でめんどう見ると言うけれど、特別交付税算定というのは、一番の上の上限を三百円としているんだけれども、今度三百三十円というふうになった場合はどうなんだと私は伺っているわけです。問題はそういうささたることではないんです。企業団でやろうが市町村でやろうが、こういう物価高騰による事業費の膨張というものによってどうにもやりくりがつかなくなっている。これを、個々は見ません、全体を見ますと言ったって、全体というのは個々の集まったものだ。全体を見ますじゃわからないから、個々の具体的な例を出してこれはどうするんだと、こういう質問をしているわけです。  さらに質問を先へ進めますと、財政上の問題点で私は伺っている。県水九十九里企業団水道料金差額——具体的に申します。三つにこれ九十九里水道は分割されておりますが、八日市場、光町、野栄町という、これ八匝と言います、旧匝瑳郡。これは県水を六十円といたしましても、五十二年度——さっき間違いました。三百三十二円じゃありません、三百九十二円。五十八年度は三百五円。したがいまして、五十二年度は三百三十二円の差が出る。五十八年度は二百四十五円の差が出る。そうしますと、この八匝企業団の場合は、三百三十二円の二分の一でありますから、あるいは五十八年でも二百四十五円の二分の一でありますから、それだけを負担をしなきゃならないことになる。負担をしなきゃならないことになることはこの規約で明らかであります。一トン当たりこういう状態だと、まず御認識をいただきます。そこで、八匝企業団年間給水量は、五十二年と五十八年度で二百四十二万トンと五百六万トン、年間平均給水量、これは厚生省、間違いありませんね。
  35. 国川建二

    説明員国川建二君) 詳細にちょっとまだ数字当たっておりませんけれども、八匝水道企業団計画給水量日量にいたしまして二万トンでございますから、おおむねいわゆる有収水量といたしますと先生の御指摘数字にほぼ近いのじゃないかと思います。
  36. 加瀬完

    加瀬完君 この給水量の八割に対して料金補助をするとしても、トン当たり五十二年は百六十六円、五十八年百二十三円となります。したがいまして、その二百四十二万トンの八割分、五百六万トンの八割分というのを計算しますと、これは五十二年は三億三千万、五十八年は五億の負担となるわけです。こういう負担をするということは、事業計画の中の財源費の内訳に入っておりますか。
  37. 国川建二

    説明員国川建二君) 先生のおっしゃっておられます八匝水道企業団計画につきましては、計画を承認いたしましたのが四十九年の三月三十日でございまして、総事業費四十七億九千万円という予定計画がスタートいたしたばかりでございます。その際のいわゆる給水原価と申しますと、五十一年から六十年までの給水原価が、先ほども先生おっしゃったとおり、トン当たり百五十三円という予定で進行しておるわけでございますが、現在、九十九里水道企業団計画もあわせてでございますけれども、八匝水道企業団事業計画内容自体に、昨年来の資材単価の上昇、その他事業費増額が予想されておるわけでございまして、ただいま先生おっしゃったのは、企業団側におきまして現在検討中の変更予定事業費に基づく試算ではないかと思います。現在まだ、私どものほうに正式にその計画の変更内容について参っておりませんので、現在のところ、そのとおりが適切であるかどうか、まだ私ども判断に至っておりませんけれども、かなりの増額が予想されると思っております。
  38. 加瀬完

    加瀬完君 この事業費の内訳を見ますと、総計で、いまおっしゃったように認可当初は四十七億九千万円、それが事業変更を余儀なくされて、実施計画は百一億五千三百五十万円、こうなっている。そうすると、事業変更をしたこの百一億五千三百五十万円の中には、料金負担分も入っておりますか、通常、こういう場合料金負担分を入れてありますかということを伺っているんです。
  39. 国川建二

    説明員国川建二君) いわゆる水道の建設費に対しまして、その財源は主として起債になるわけでございまして、その償還は一応水道料金というのが一般論でございます。ただ、先ほど来お話がございますように、県と関係市町村との間で別途な財源措置等が行なわれるとすれば、今後の問題としてそれらの措置が行なわれるのではないかと思います。
  40. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、四十七億九千万が百一億に膨張したこの中には、料金負担分は入っていないと見るのが当然ですね。
  41. 国川建二

    説明員国川建二君) 一般論として、まあ当初事業計画を立てまして事業費がきまりますが、その後計画の変更ないしは工事費増額等が行なわれますと、それはやはり結果といたしましては、運営に入りました時点で、水道の経営に入りました時点で、受益者の負担という形で、料金という形で負担していただいて事業経営が行なわれるというのが一般ではないかと思います。
  42. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、百五十三円が三百十七円という計算でこれは入っているでしょう、この事業計画というものの中には、実施計画の中には。そうでないとすると、料金負担分も全部これは起債でまかなうという形になるわけだ、財源がほとんど起債ですから。  これはひとつ自治省のほうに伺います。通常おたくのほうでも指導なさるわけでしょうけれども、こういう特別会計といいますか、企業体でやる事業費の内訳というものの中に、水道の場合、水道料金の基準料金から上に出たものまで負担するというものまでこれは入れるのが通常ですか。入っていないのが通常ですか。
  43. 山本成美

    説明員山本成美君) 考え方といたしましては、先ほど厚生省からもお話がございましたように、一般論としては、建設コストから補助金等の特定財源のあるものを差っ引きまして、あとはやはり起債で見ておりますので、それの元利償還を含めて、要するにその資本費というものはこれは当然料金のほうで考えるべきだと、考え方の基礎は。むろん、料金にはこれだけではとても——ランニングコストが入っておりませんので、当然そういうランニングコストまで入れて計算しなければなりませんけれども、いま建設費が中心の議論でございますので、それだけを申し上げておるわけですけれども。そういうふうなものを全体ひっくるめまして、やはり基本は料金で回収すべきだ。ただしかし、そういう計算をしてみた場合に、非常に高くなるところも末端ではあろうと、そこをどうするかということなんでございます。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 高くなった分をどうするかということではなくて、通常こういう予算計上の場合は、三百十七円なら三百十七円というはじき出された給水原価というものをもとにして、やはりそれだけの給水料金を取るということで編成されているというのは私も当然だと思う。そうすると、三億三千万なり五億なりというものを五十二年、五十八年で負担をしなければならないというものは、まるまるこれは関係市町村の別の予算なり財源なりというものを考えなければならないということになりますね。
  45. 山本成美

    説明員山本成美君) 非常に率直に申し上げて、あるいはお耳ざわりの点があるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、原則としては料金でいきますと、ただ、それが非常に高くなるという場合にどういうふうにするかという問題になる。その解決策として、おそらく——私昨日来初めて拝見したのでありますけれども覚え書き等が自治団体の間でかわされた、あるいは何らかの財源措置を双方で考えておるというふうなことなんであろうかと思います。しかし、それはあくまでも、いま申し上げてまいりました料金問題から、外からこれを救済する立場において自治団体同士が話し合ってそうしようときめたものであると。だから、これをさらに負担をどう見るかということにつきましては、国としてどう見るかということについては、いままだここではっきりした考え方を持っておりません。しかし、原則として私は自治団体同士の話で終わったものだと、かように考えます。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 原則はそれでけっこうですよ。そこで、それじゃこういう場合はどうしてくれるかということを私はあらためて伺いたい。いまおっしゃるように、お説のような原則でいくのが当然でありますから、自治体同士の申し合わせというのも、これも当然生きてくるわけでありますから、五十二年では総額三億三千万、五十八年では五億の負担というものを、この八匝企業団においては関係三市町で負担しなきゃならないということになる。これ、約束ですから当然。ところが、この八匝企業団と称する一市二町の財政力指数は、八日市場が〇・三、光町が〇・二二、野栄町が〇.二、こういう状況です。それで、さらに八日市場並びにほかの二町の四十九年度予算を見ますと、総額で三十二億、このうち経常費は二十一億八千五百万、道路等の建設費が八億四千万、計三十億二千五百万。このほか消防費が七千六百万、これを除きますと一億も余らないことになる。こういう財政状況で三億ないし五億という新しい捻出ができますか。自治省から金出せとか何とかということは私は一言も言っていない。実情こういう状態です。金出せないでしょう、これ。いままでの公債費と合わせますと大体三〇%くらいになりますよ、予算の。そういう財源が捻出できますか。そうすると、水道事業できないということになるのですよ。これは単に九十九里だけにとどまらないで、各地域に幾つか出てくると思うんです、出ていると思うんです。こういう状態のところもあるということを御認識をいただかなければならないわけであります。この工事費の加重というのは結局何が原因ですか。どう御認識を自治省はなすっていらっしゃいますか、それを伺いたい。
  47. 山本成美

    説明員山本成美君) 工事費の増高加重をどう見るかということでございます。まあ、二つございまして、一つは当面の建設費をどういうふうに追いかけてお世話できるかという起債の問題が一つと……。
  48. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと待ってください。ちょっとお話中ですが、質問違うのですよ。こういうふうに工事費が膨張した原因は何ですかということを先に私は伺っている。何だと自治省としては御認識なさいますか。もう一回申します。四十七億九千万円でできるはずのものが百一億に伸びた、ふくらんじゃった。このふくらんだのは一体どういう原因でふくらんだのかと、それを聞いている。
  49. 山本成美

    説明員山本成美君) 抽象的な表現で恐縮でございますが、やはり一般物価の高騰であろうと思います。
  50. 加瀬完

    加瀬完君 そうですよね。これ、物価高騰によってふくらんだと考えるほかありませんね。これは県の責任でもなければ市町村の責任でもない。まして、自治省厚生省の指導よろしきを得ないためにふくらんだということではない。それならば、財政事情が変わったんですから、財政事情の変わったことについて財源補てんというものを考えなけりゃ解決はつかないんじゃないですか。おととしと去年のやり方と同じことをやっておったら、こんな物価の高騰による計画の膨張、経費の膨張に対する補てんというのはつきませんよ。そういうことにはなりませんか。
  51. 山本成美

    説明員山本成美君) 先ほどから申し上げましたように、原則としてはやはり料金をどうするかということで解決せざるを得ないと思います。
  52. 加瀬完

    加瀬完君 厚生省最初に言ったように、料金が非常にでこぼこになるというのは好ましいことではない。しかも、この企業体は、企業団は、県営水道並みにするということを約束しているわけです。したがって、水を受ける需要者は、おれたちのほうの水道は、県営水道から上がったって幾らも上がらない、大体似たようなものだという了解をしている。「覚書」を取りかわしているわけですよ。その負担は二分の一ずつするということになった。そうすると、三つの一市二町で負担する額は五十二年では三億三千万、五十八年では五億だ。財政力指数は二ないし三だと。しかも、その工事費の膨張というものはインフレによるものだと。しかし、その手当ては一つもしません、いまおっしゃるように、料金で取れというならば、最初の県、企業団の「覚書」というものは無になるわけですから、そんな高い水道は飲みませんよということになれば、水道事業は成り立たない。これは単に千葉県の一隅だけの問題ではないでしょうと、水道事業だけの問題ではないでしょうと。物価高騰による——最初に私が申し述べたように、物価高騰によって公共事業というものが非常に支障を来たしている、そういう事実はございませんかと、したがって私は最初に伺った。それなら新しい手当てを考えなければどうにもならないでしょう。  ひとつ、時間がありませんから具体的に伺っていきます。一部特交でいままで確かにめんどうを見てくれました。先ほども特交でというお話がありました。あらためて聞きますが、いままでの特交は三百円をめどにしておりましたけれども、三百円をこえる部分についても考えてくれるのかどうか。
  53. 松浦功

    説明員松浦功君) 経済の状況というものを当然勘案して考えますが、本年度、各地方公共団体にお示ししているところは、一立米当たり給水原価が六十五円以上、資本費が十六円以上、家庭用料金が四十円以上、そういう料金になっておりますところ、資本費になっておるところ、それにつきまして、一般会計の繰り入れと私どもで基準計算をいたしましたものとの少ないほうの二分の一を特交で交付をするという方式をとっております。この四十円とか十六円とかいうものは時々刻々動くかと思いますけれども、この方式は堅持してまいりたいと考えております。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、その基準料金を上回る額の上限は押えないのですか。押えませんか、押えますか。そこを聞きたい。
  55. 松浦功

    説明員松浦功君) 上限は私のほうは考えておりません。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 しつこいようですけれども、それなら三百十七円ということになって、具体的に、いま県営水道が六十円ということになれば、六十円をこす三百十七円に至るその間は対象にすると考えていいですね。
  57. 松浦功

    説明員松浦功君) これは非常にこまかな計算をしておるようでございますが、いまの問題でございますと、資本費が十六円以上を上回った部分という計算になろうかと思います。この辺は非常にこまかな計算をしておるようでございまして、必要でございますれば担当課長からお答えをさせたいと思います。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 いずれにしても、上限は押えないということは間違いありませんね。  次に、企業債の償還だって容易じゃないですね、これ。新規財源というものが要るわけだ。起債起債といいましても、いまのような企業債の利息では、これはこれからの公債費の幅というのもふえる一方ですからね。起債でまかなわなければならないにしても、その企業債をもっと安く貸し付けるという方法はお考えにはならないですか。
  59. 松浦功

    説明員松浦功君) 非常に住民の生活に密着をしております行政分野でございますから、できるだけ安い資金をということで、政府資金をできるだけ獲得をいたしまして、政府資金を確保するという努力を今後とも続けていきたいと思っております。
  60. 加瀬完

    加瀬完君 具体的にこの八匝の場合を見ると、やはり年間の起債の償還も三億くらいになります。そして料金かさ上げ分負担も三億ということになりますと、五十二年度で六億の負担をしなければならないということになるわけです。起債をいまのようによほどお考えいただかなければ、こういう市町村はたくさん出ておりますから、ひとつ対策をお立てをいただきたいと思うわけでございます。  それから、特交で、詳しく計算した対象のとらえ方と数字のはじき方で一応金額が出ますね、額が。しかし、まだ残りますね、市町村負担しなければならない分が残りますね。それはどこでどう捻出すればいいことですか。料金は上げないというのでしょう。料金を取らないで、二分の一弱は特交で見てもらったとしても、あと残る二分の一というのはどういう財源措置をすれば市町村はいいことになりますか。
  61. 松浦功

    説明員松浦功君) 当然のことでございますが、当該団体の一般会計の中から繰り出していただくということになります。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 だから申し上げたでしょう。財政力指数が〇・三、〇・二というところで二億、三億というものを出せる余裕があると御認定なさるのですか。そういう市町村は水を飲まなくていいということにはならないでしょう。いろいろな状況で水道を必要とすると認めたから認可したのでしょう、国は。
  63. 松浦功

    説明員松浦功君) 私どもは、全国水道を見ておりますので、いま申し上げましたような基本原則で、特交で財政措置をするというたてまえをとっておるわけです。そもそも、先生がおっしゃるように、三団体が非常に財政力が弱くて負担できないという問題があれば、もともと、県と県営水道並みにするとおっしゃられた、約束されたことのほうが実際に無理じゃないかという疑問が当然浮かんでくるんじゃないかと私どもは思うわけでございます。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省みたいな話をしますけれども、それは局長おかしい。水道事業が必要だと認定したから国が認可した。しかし、水道事業を普及させるためには、独立採算制というたてまえだけで非常に他の地域に比べて膨大な金額というものを料金として取るということは適当でないということで、超過分は二分の一ずつ負担しましょうということになったのです。問題はここですよ。給水原価が百五十三円でできるときには、二分の一ずつの負担というごともこれは市町村としても担当能力があったのです。ところが、三百十七円というふうに上がってしまったから、これは三億になり六億になり、たいへんだということになった。どうしてこういうふうになったかといえば、市町村の責任ではない。物価の高騰によってこういう形に、負担能力をこえるような負担をしなければならない状況に追い込まれたわけですから、これはこういう事業に対して特別の財源手当てというものをしなければ解決できないのではないかと私は指摘をしたわけであります。そしてそれは一部お認めになった。そこで、特交で二分の一は見ているんだというお話だった。上限は切らないというお答えになった。しかし、まだ二分の一が残るでしょうと、これはどうするんですかと言ったら、それは各市町村で見るんだ。〇・二や〇・三の財政力しかないところで見られますかと、こう言ったら、そんなら水道料金を下げるようにしたことが間違いだ。水道料金を下げるという「覚書」は、監督官庁厚生省だって認めているわけです、それを。問題は、事業費が高騰したことが原因だ。これは水道だけには限らない。これは大臣にも聞きたい。それは市町村の責任だ。そういう理屈が通りますか。物価高騰のために公共事業ができなくて困っているところがたくさんある。財政的な特別手当てをするのは自治省の責任でしょうが。これはこの八匝の水道だけには限らない。そこで、それは今後考えてはいただけないでしょうかという質問を私はしているわけです。物価高騰によって事業に非常に支障を来たしているということでありますから、こういう財政事情の変化に対して、対策というものが国としても打ち立てられるのが当然じゃないですか、大臣どうでしょうか。
  65. 松浦功

    説明員松浦功君) 私ども覚え書きについて了解したこともございませんし、それからそれについて国でどうこうするという約束をした覚えもございません。ともかく、県と市町村がそれぞれの自主的な話し合いとしておきめになったものであるから、それについて云々しないというだけでございますが、現実に私どものほうが全国一律にルールによって高水道に対しまする対策をとりまして、それ以外の部分は、当然各地方公共団体ともそれぞれの自分の財政力で措置をしていただいておりますので、千葉県の八匝地域の問題だけ例外にして取り扱うということはとうていできることではないと思っております。したがって、先ほど来申し上げましたように、もともと、先ほど厚生省のほうからお話がございましたように、非常に高い水道のところもあるわけでございます。そういう団体についても、いままでと同じような措置を講じてきたわけでございます。したがって、千葉県のいまの九十九里水道の問題についても、これまでと同様の方法しかとれないということを申し上げているわけでございます。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことをおっしゃるなら、私は政府の姿勢を問題にしたい。工業用水道については、三十七年でも四十四年でも、将来の五十年でも、給水原価よりはるかに低い値段で工業用水道は便宜をはかっているじゃないですか。これは高度経済成長による工業力の造成ということで、法律もありますから、考えている。それならば、環境整備というものが一つの大きな時代の要請になったときに、飲料用の水道料金が、各地域で独立採算制だ、高くなったってしかたがないと、こういう理屈で政府はお考えになるのですか。そういうことならあらためてもう一回やりますよ。私は八匝水道だけ特別めんどう見ろと言っているわけじゃないんです。聞いてくださいよ。インフレによる財政事情の変化によって問題が出たわけだから、これに新対策を立てなくちゃいけないだろうと言っているんです。おれのほうだけに、どこどこに幾ら金をくれというような、そんなけちなことを言ってるんじゃない。財政計画になりますか。物価高騰によって結局工事費が非常にかさんだところがいま私が指摘したように問題になった。これはいま指摘している八匝だけではなく、幾らでもあります。こういうのに対して、インフレによる財政事情の変化に新対策を立てなくて財政計画になりますかということを言っているんですよ。これは政策の問題ですから、大臣答えてください。
  67. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 先ほど来、千葉県の水道事業の問題を中心としていろいろ御質疑を伺っておったところであります。確かに、御指摘のように、最近における物価高騰によって、水道事業の建設も当初考えておったよりはかなり高額のものになっておるというものが、おそらく私は全国的にいろいろ存在をしておるのではないかというように考えます。したがって、そのために当該事業団としては、かりに起債をするにいたしましても、当初考えたよりははるかに起債額をふやさなければならぬというような問題等も当然起こるわけです。したがって、今後における、その増高いたしました経費をどうやってまかなっていくかということになるわけでございましょう。したがって、自治省の当局といたしましては、もとより高料金対策等のいろいろな補助金政策というものもこれからさらに増額をして、それに一部補うという対策も講ずるが、他面においてはやっぱり料金というものも適正なものに改めてもらうというような措置を講じていくということによって、これらの問題に対処していくべきではないかというようなお答えを申し上げておりましたが、私も大体いま伺っておりまして、やはりこういった特別に非常に出費がかかる、経費がかかるわけでございますからして、それに対しては起債を十分にする。さらに、補助金を今後も厚生省としてはおそらく私は相当に増額をするという考えを持っておるかのように聞いておりますので、そういう一面の財政対策を講ずると同時に、他面におきましてはやっぱりある程度料金の適正化をはかるというような、両面の措置をもって対処していくということが必要なのではなかろうかというように私はいま考えておるところであります。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 時間が来ましたから、一言だけにとどめますけれどもね。国の公共事業というものは、国債でやっても、その国債の返還計画というのは次年度予算で出てくるわけです、国税がありますから。ところが、御存じのように、地方債というものは返還財源というのはないですよ。現状は、地方債の返還のためにまた起債をするというかっこうをとっているのですよ。国のように——ないと言ったらそれは誤りかもしれぬ。国のように確実な財源というのは地方にはない。償還のためにまた起債をしていくということになっている。こういうことで公共事業というものを拡大されては地方はお手あげですよ。それが実情でしょう。そうじゃないんですか。じゃ公共事業による起債の返還のために新しい財源というものがありますか。
  69. 松浦功

    説明員松浦功君) ただいまの御指摘水道事業起債の償還の問題でございますと、先生のおっしゃるとおり、われわれは料金でというつもりでございますから……。
  70. 加瀬完

    加瀬完君 一般でいいですよ。
  71. 松浦功

    説明員松浦功君) 一般のやつは、一般会計分につきましては、確実に過去に発行された起債で、ある年度に償還額が全部私のほうの手元にわかっておりますから、それだけは財政計画の歳出に立てて、それに見合う税収入なり交付税でバランスをとっておるということでございますので、完全に償還額については財政計画上計上しておるというふうに御理解をいただきたい。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 二つの点で誤りがあるんですよ。交付税が確実に償還に見合うように計上されていますか。それから、償還計画というものが、償還計画のままやっていったって足りなくなってきているんですよ、いまは。事業費が、新規事業が膨大になりますね。単独事業などがあればそちらのほうに金も要るということになると、自分の手足を食い詰めない限り、償還計画を完全に進めるというわけにいかないのが地方財政でしょう。地方財政という図面の上では償還計画がありますよ。償還されているはずだ。償還されているはずの地方団体が公債費の膨張でどうにもならなくなっているのが実情じゃありませんか。だから私は、繰り返すようでありますが、インフレによる財政事情の変化というものに対しては、これはそれに見合う新規財源対策というものを立てなければだめだ、こう思うんです。まあ補助金その他も考慮してくれるということでありますから、大臣の御説明を期待をもっていまの段階で受けとめておきます。しかし、これは大臣ね、財政事情が変化をしたわけですから、財政事情が変化すれば交付税も変えなきゃならないことになる。地方財政計画だって、来年はあらためて財政事情の変化というものに伴って財政計画が編まれなければ、これは具体的になりませんよ。それを希望して、あとでまたおりを見て質問をすることにします。  これは念を押しますが、一千葉県の八匝地域だけではないんですよ。至るところにそういう問題が、福岡県でもどこでも起こっておる。ですから、財政事情の変化というのは地方の責任じゃないですから、地方の責任でないところはやはり国が手当てをするのが当然だと要望をして、質問を終わります。
  73. 和田静夫

    ○和田静夫君 前の委員会で、私の質問に対して大臣の答弁漏れがあるわけであります。それをひとつまず伺います。あのときは、御存じのとおり地方制度調査会の関係で時間がありませんでしたので、重ねて答弁を要求しなかったわけですが、それは自動車のいわゆる五十一年の排ガス規制の問題でありますが、七大都市の首長たちが、十月の二十一日、毛利環境庁長官に対して、五十一年規制をぜひ実現してくれと、こういう要請をして、それと関連した質問の中で、交通警察行政の観点からの問題と、五十一年規制が可能かどうかという技術的観点からの課題については一応の答弁があったわけです。しかしながら、私の質問のうちで最も肝心な、政府はエネルギー節約を口にしているけれども、自動車メーカーの自動車の増産競争やらあるいは一大販売キャンペーン、これには目をつぶっている。つまり、政府はたてまえと本音を使い分けて、節約は一応口にしているけれども、本音は経済高度成長やあるいは大量消費を追っかけた、油で大ぶくれのあの時代の経済姿勢をくずしていないのではないかという点と、もし五十一年規制が延期されたならば、大都市住民の健康を守るために、大都市における自動車の交通量あるいは保有台数を制限する必要があると、これはもう一斉に大都市関係者は述べている。それに対する対応策というものをまた都市ごとに表明をしておるわけですが、自治大臣は一体この問題をどう考えていらっしゃるのか。  それから革新首長、たとえば美濃部東京都知事の発言にもありますように、自動車関係税のいわゆる増税も保有規制の一方法として検討する必要がある。最近の都知事発言によれば、税は三倍にするというような言い方をされていますが、これに対して、市民の健康を守るために大臣はどういう考え方をお持ちになっているのか、その辺をまず答弁されたい。
  74. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 都市における、ことに大都市における大気汚染の大きな原因として、自動車の排気ガスがその重要な要素になっておるということは一般に指摘をされておるところであり、われわれもまたそのように考えておるわけであります。そこで、これに対する措置としては、私が申し上げるまでもなく、できるだけすみやかに排気ガスに対する規制が実現をされるということが一番望ましいことは言うまでもないわけであります。ただ、御承知のように、この問題は非常に技術的にむずかしい問題だそうでありまして、いま審議中の中央公害対策審議会の自動車専門部会では、五十一年に実現をすることはなかなか困難であるというような考えを持っておるようでありまして、私どもは、事技術的な問題でございますから、これに対していかにすみやかな実現を期待をいたしましても、技術的に不可能だということであれば、どうもこれはなるべくすみやかに実現をするように努力を期待するという以外にまあ道がないわけであります。  そこで、そういった技術的に困難だとするならば、総量規制をやるために自動車の都市乗り入れの台数を減らすと申しましょうか、自動車の総量規制をやったらどうか、こういうお考えのように伺ったのでありまして、確かに私はこれは一つ考え方だと思います。しかし、現実の問題といたしまして、一体現在のわが国におきまして、いま右から左へ直ちに都市の自動車の乗り入れを制限する、あるいはまた現在乗り入れをかりに制限いたしましても、市内に非常にたくさんの自動車が現存をしておるということもこれまた事実でございます。したがって、外部から入るものを規制しただけでは、総量規制の実もなかなか思うようにあがらないという点もございますし、また、そのことが一般の経済社会に与えまする影響というようなものを考えますと、ただ、外から入ってくるものだけを押えたいというのではこれは必ずしも適切な対策とは言いがたいのでありまして、これをどういうふうに一体やっていくかということになりますと、まだ私どもも、警察部内としても十分なこれに対する的確な確信のある対策というものが、最近特に私は交通局からはその話は聞いてはおりませんけれども、おそらく私はまだ確信のある、しかも客観的に見てきわめて妥当だというような対策はなかなか実はできがたいのではないか、こう思うのでございます。まあしかし何とかして、大都市に流入する、大都市で運行されておる車の数を減らすというには一体どうしたらいいだろうという基本的な問題については、私はまだ政府部内でどの程度の検討が行なわれておるか、たいへん不勉強で、皆さんにお答えを申し上げるだけのいま用意が実はまだございませんけれども、しかし、私はやっぱり政府部内としてはこれはひとつ真剣にほんとうに考えなければならぬ問題だ、かように考えておる次第でございます。  なお、自動車税を三倍に上げることによりまして、自動車の保有台数を減らす一つの手段としてこれを行なおうという考えが一部に出てまいっておるということも、私新聞等で拝見をいたしたところでございます。まあしかし、これはかりにそういう方法を講ぜられましても、それだけで私は自動車の総量を規制するということの結果が直ちに生まれてくるかどうかということについては、私ども実は非常な疑問を感ぜざるを得ないのでありまして、そのことがかえって健全な経済社会の発展を阻害をするといったような一面が結果的にあらわれてくるというようなこともありますので、この問題につきましては、なおひとつ政府としても十分検討をさしていただかなければならない、かように考えておるところでございます。交通局長が参っておりますから、あるいはその点さらにひとつ交通局長からお答えをさせることにいたします。
  75. 和田静夫

    ○和田静夫君 いまのじゃ結局ひとつも答弁になってなくて、最後の部分だけが少しは何か見解らしいものになっているのですが、私の言ったのは、たとえば自動車関係税の増税などが保有規制の一方法として提起されています。これに対して自治大臣は、健全な経済社会の発展を阻害する面を持っているからどうも好ましくないんだと、しかし、提起されたから検討はしてみましょうと言われたような気がしますが、ここの部分がなぜ健全な経済社会の発展を阻害するのですか。
  76. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 申し上げるまでもたく、今日の日本の社会は、何と申しましても自動車社会と申すことさえできまするように、自動車というものが、いまの日本の経済社会生活を運営していく上において全く欠くことのできないような重要なものになっておるということは申し上げるまでもございません。私は、そういったような意味合いから、税金でもってこれを押えていくというようなやり方、しかも、それが大気汚染の一種の防遏方法という、いわば目的は他にあるというようなやり方でこういうやり方をしてまいるということが一体はたして適当かどうかということについては、相当の疑問を感ぜざるを得ない。むしろ問題としましては、やはりできるだけすみやかに排気ガスの規制が行なわれるように、関係企業並びに政府関係機関といたしましても、その窒素酸化物の排気規制が何とかして一日も早く実現ができるという、やっぱり本来の対策というものに私は全力を注いでいくということが当然のやり方ではあるまいかというように考えておるところであります。
  77. 和田静夫

    ○和田静夫君 確かに、対応策を住民の健康のために考えなければならない都市の首長たちとしては、この排ガス規制が政策的に進まないから、したがって、対応策を緊急に健康保持のために言ってみれば出さざるを得ない、こういう立場だと思うんです。前段の部分が解決をすればこれは問題はないわけですね。  そこで自治大臣、いま所信としては、前段の部分を本質的に解決をすることを急ぐと、こう言われたわけです。それで、五十一年規制というのは、これは困難だと言っているのは自動車メーカーだけでありまして、検討を加えた第三者のいわゆる科学的な判断というものはそのことを可能だとしていたわけでしょう。したがって、これは政府自身がもっと大きな指導力をもって進めていけば可能なものだとわれわれは考える。そういう立場に立って自治大臣が対処されると、そういう意味での御答弁であったと承っておいてよろしいですか。
  78. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 確かにいまの五十一年規制の問題については、学者その他の間ですでにそれは可能になっているんだと、こういう判断を下しておられる方があるということは、私も実は新聞等で拝見をしております。それが革新市長会等においてこの問題を主張される根拠になっておるということも私承知をいたしておるわけでございます。しかし一面、メーカーばかりでなく、私の承知するところでは、学者の間でも、むしろメーカーの考えと同様に、技術的にはまだ困難だという考えの方もあるようでございまして、そこで問題としては、そういうふうに学者の間に意見の相違があるならば、政府としては、やっぱり可能だと言われる学者の意見というものを少なくとも関係省としては十分にお話を伺って、そしてそれがほんとうに可能であるならば、自動車メーカーに対してその実行を迫るということが私は政府の当然の態度だと思いますが、私、たまたま所管ではございませんから、そこまでお答えを申し上げることがはたして妥当かどうかをいささか考えてはおりますけれども、少なくとも私は、政府はそういう態度をもって、いわゆる学者間における意見の相違というものが一体どういうものなのであるかということを明確に究明をして、その結果にまつということが私はこの際政府としてはたいへん大事なことである、こう考えております。
  79. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、大都市住民としては、これは子供の健康状態の中にあらわれているように、しょっちゅうかぜを引いたような状態に置かれているところの児童、鼻づまりの状態に置かれているところの児童、そういうのは非常に急増をしていますよね。これは、言われるように、論争の結論を待って、そうして何年かかってもいいから、論争の結果はこうだったのだというような形のことで人間の健康が阻害されるのを待っているわけにはいかぬわけですから、そうすれば、当然行政において何を優先させなければならないかという視点が大切になってきます。行政において何を優先させなければならないかという視点を大切にするということになれば、その部分的な保有台数の言ってみれば規制などに影響を与えるところの税の体制などというものも、必然的にその応急の措置としては出てこざるを得ない、これが私は現状だと思うのです。で、いま言われた基本の答弁については私は理解を示さないわけではありませんけれども、とにかく現象している問題についての対応策がやはり急がれなければなりません。そのことについて幾つかの提言が、たとえば自動車税の増税などというような形で行なわれているわけでありますから、これらに対するところの検討を進めるべきだと思いますが、先ほどの答弁は、意見はあるけれども、提起がある以上は検討を進めるべきだというふうに大臣の答弁を理解をしてよいですか。
  80. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 排気ガス対策として自動車税を三倍にするという御提案は、確かに一つの方法、お考えであるということは私どもにも理解はできますけれども、しかし、どうもこれはやっぱり必ずしも本筋の対策でないということは言うまでもございません。いわんや、自動車税を、これを上げるということはいろいろな重大な波及的な問題を引き起こすことに相なりますが、しかし、いずれにいたしましても、そういう御提案がある以上は、全く私どももこれを無視してかかるということは適当ではございませんので、十分ひとつ検討は、少なくとも自動車税という角度からの検討をひとつ含めてやってみたい、こう考えております。
  81. 和田静夫

    ○和田静夫君 じゃ、その検討を待ってまた論議をしてみたいと思います。  次に、事務所・事業所税について伺います。  これは、先月二十五日の参議院の決算委員会で、私は事務所・事業所税の創設の件について実は大平大蔵大臣に尋ねました。このことは新聞などで報道が取り扱われましたから、大臣も大かた御存じのことだと思いますが、ちょっと経緯を明確にするために、要点だけを簡単に私の主張を述べてみますと、私の質問の要旨というのは、事務所・事業所税の創設については、自治省なり、あるいは建設省なり、運輸省なり通産省、国土庁ではきわめて積極的で、その具体的な構想がすでに発表されているが、そのごく大筋から見ると、かなり各省は接近をした内容を持っておる。つまり、意見の食い違いで実現困難という内容のものではないのだ。こんなに各省庁から要望されている税について、なぜ大蔵大臣は黙っていらっしゃるのか。大規模事業所の集積によって必要性が急迫している直接間接の社会資本の充実なり、あるいは行政体制の整備に伴う財政需要、あるいは大企業地方への分散効果等を考えあわせてみると、この種の新税の実現はこれはぜひ必要ではないか。また、担税力の上からも問題が少ないし、さらに所得課税を基本としたいまの法人課税の短所を補うという意味も考えられるというような利点を述べて、さらにこの七十一国会での私の質問に対して、江崎前自治大臣は、四十九年度税制改正でこれはぜひ実現したい、自治省としては目玉商品なんですと、こういう形で答弁をしていますし、現財政局長ども、もうあらゆるところでそう述べているし、書いているわけですね。そうすると、今日で反対しているのは、確かにいますよ、それは財界です。そうすると、財界だけで事業所税の創設に対しては国民のコンセンサスを得ていると見ておるというようなこと、などなどをあげて大蔵大臣の答弁を促したんですよ。そうしたら大平さんは、直接反対の意思は確かに表明はされませんでした。しかし、いかなる新税の創設に対しても慎重でありたいという答弁をしたんですね。で、暗に事務所・事業所税に反対の意を表明したと受けとられるように答弁になりました。したがって、各報道は、大蔵省は反対だと大きな報道をしているわけですね。で、私はこの大蔵大臣の答弁は、まあ彼、次期政権への接近を一番近く考えていらっしゃる人だと言われていますから、財界の意向にあまり反対できない立場だろうから、そういうことを意識したものなんだろうというふうに考えざるを得ないと実は思っているんですが、国務大臣としてすでに政府を代表して答弁をされた江崎自治大臣、この答弁というのは生きています。これに反対をする形のものが大蔵省のみにある。地方税にするか国税にするかという問題は、各省庁間にはもう当然ありますが、これははなはだ遺憾であると考えてよいんですが、現自治大臣は、この大平大蔵大臣の発言を踏まえた上で、いまの時点でどのようにお考えになりますか。江崎前自治大臣の積極的発言を肯定するお考えであるととってよいですか。
  82. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 大平大蔵大臣、まあ慎重にこの問題に取り組みたいと、こういう発言を近くおやりになったというふうに私も聞いておるわけでございます。私も、実は事務所・事業所税の問題につきましては、この春の地方行政委員会でもどなたかにお答えを実は申したつもりでございますが、われわれとしては、やはり今日の大都市における財政需要に応ずるために何らかの有力な財源が必要であるという立場に立ちまして、いままでずいぶん長い間検討をされた事務所・事業所税というものの創設は適切であり、必要であろうというふうに、私どもはいまも考えておるのであります。ただ、私は大平さんがどういう趣旨で言われたかは伺っておりませんけれども、おそらく、最近における経済界、非常な不況の情勢がたいへん顕著にあらわれてきておると、そういうような際に、こういった新しい税を設けるということがはたして適切かどうかというようなことを考えられての私は御答弁であったんであろうと、こう私は私なりに実は解釈をしておるところでございます。しかし、大局的に考えてみまして、私どもは、この際、事務所・事業所税というものは、ぜひ創設をしてしかるべきものであるという自治省としての考え方、今後ともこれを政府部内において強くひとつ主張をし、その実現に向かってわれわれも努力していきたい、かように考えておるところであります。
  83. 和田静夫

    ○和田静夫君 これはぜひ、私たちもこの限りにおいては同じ立場でその実現への協力を惜しまないものですから、力一ぱいの努力を、この機会にも求めておきたいと思うんです。  それでは、四十八年の四月一日現在のこの地方公務員給与実態調査の結果の概要ですね、ちょっとポイントだけ報告してください。
  84. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 先生承知のように、地方公務員の給与実態調査は、指定統計としては五年ごとに行なわれておりまして、今回のは四十八年四月一日現在の指定統計でございます。その間にもサンプル的に調査が行なわれておりますが、この指定統計の場合におきましては、全職員の悉皆調査を行ないます。学歴別だとか、経験年数別とか、いろんな形で悉皆調査を行ないますが、主たる目的は、職員の給与、諸手当等がどういうようになっているか、年齢構成、学歴構成、どういうふうになっているかといったような点を調べるだけであります。  結果的にポイントを申し上げますと、まず、地方公務員の四月一日現在における総数がわかってまいります。この総数が概数で二百七十四万人ということが報告されております。御承知のように、沖繩県が復帰いたしておりますために、その三万人を差し引きますと、前回の四十三年に比べまして約三十六万人の増加ということになっております。それからもう一つは、平均給与月額、各団体別、あるいは各団体における職種別、あるいはまた経験年数別、年齢別といったような平均給与月額が出てまいっております。平均給与月額につきましては、全職員の一人当たりが八万二百円ということになっております。それからそのほかには、平均諸手当の月額、こういったものも出てまいります。それから各団体別に、あるいはまた各団体の職種別に、年齢構成がどういうように出ているか、こういったものがおもなポイントでございます。  その程度でよろしゅうございましょうか。
  85. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、国家公務員に対する四十九年度の人事院勧告が、この物価の急上昇という異常の経済情勢と、それに伴う民間給与の大幅アップ、こういうものが反映して、三二・四八%というものになった。もともと公務員の給与というのは、民間の会社の事情などとの対比において出されていくし、人事院勧告がなされた場合には、少なくともその実施について必要な手続をとることが必要である。しかし、残念ながら、これは十月二十二日に至るまで三ヵ月間も閣議決定を引き延ばしてきた。その間、精力的に作業に取り組まれた佐藤達夫人事院総裁はおなくなりになるというような悲劇まで伴うということになりました。野党の臨時国会の早期召集要求もまだ無視された態度である。今晩から、おそらく田中さん帰ってきて急展開するんでしょうし、あれでしょうが、特に、ことしの場合、公務員の給与改定が、例年、民間のそれに比べて非常におくれる等の事情を考慮をして、人事院が勧告時期を早めるように努力したこと、また、関係者の間では人勧の早期実施が努力目標となっている、かつ、期待されていたが、あえてこれを踏みにじってきた。そういうことは、政府がそのおくれた理由についていろいろもう言っていますけれども、結果的には、労使の間に埋めることのできない大きなみぞをつくったことは否定できません、これは。公務員に対して、政府は自分の都合でかってなことをしているという、ぬぐいがたい政府不信の念を植えつけたことも事実です。インフレで苦しめられている公務員の生活の実態考えると、これは政府の反省を求めなけりゃならぬのですが、この点、国務大臣としての町村自治大臣の所見を承りたいわけです。人勧について、早期実施につとめるべきですが、これはよろしいですか。
  86. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 本年の人事院勧告が例年より若干早目に行なわれたということは、おそらくこの勧告を出した人事院としても、給与を相当に大幅に上げなければならない情勢にあるということを考えて非常な精力的な努力をした結果が、人事院勧告がやや早期に行なわれたと、こういうことであったと私は思います。また、多数の公務員の方々もその早期の支給を期待をされておったということも、私どもは理解をいたしておるところでございます。したがって、政府部内におきましても、いろいろこの問題についてはかなりの話し合いが行なわれたことも和田議員御承知のとおりでございます。そこで、御承知のように、まずその中で一〇%というものだけは早期に支給をするというやり方が行なわれたことも御承知のとおりでございます。その後、この勧告を完全実施いたしてまいりまするためには、当然臨時国会を開いて、この関係法案を成立をさせなければならぬということは言うまでもないのでありまして、その間、御承知のように、わが国の経済情勢もかなり悪化をしてまいったというようなことから、税収入その他の政府の収入が一体十分にこれに対応できるだけ見込めるかどうかというような、ことで、大蔵省としてはもう少し様子を見たいということで、御承知のとおり、八月に私どもはこういった会合は開きましたけれども、少なくとも九月における決算の状況を見て、その上で対処したいということで、御承知のとおり、先月の末に大体の方針がきまったというようなことでございまして、その間、総理の外遊といったような問題等もあって、臨時国会がややおくれてしまったということでありまして、われわれといたしましては、今日大体の方針というものがきまりましたので、おそらく私は、総理が帰られてなるべく早い機会に臨時国会を開こうということでは政府の考えも一致をいたしておりますので、他にいろいろな事情が起こらない限りは、私はこの段階で早期に——と申しましても、和田議員から言えばたいへんおくれたということに相なりましょうけれども、いまの段階でなるべく早期に開かれて、このことが早期に解決をされるということを私どももぜひ実現をしたいものだと、かように考えておるところであります。
  87. 和田静夫

    ○和田静夫君 臨時国会いつですか。
  88. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) どうも私の口からいつということを明確に申し上げることはできません。私は、まあおのずから、和田議員もお考えになりまするような、常識的にそうとっぴなことにはなるまいというふうに考えておるところでございます。
  89. 和田静夫

    ○和田静夫君 十一月中と考えてよろしいですか。
  90. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) これはどうも私がいす明確にお答えを申し上げる立場ではございませんので、確たることは申し上げかねますけれども、まあ私はその辺をめどに政府としても考えておるのではなかろうかと、かように思っております。
  91. 和田静夫

    ○和田静夫君 ちょっとはずれますが、いろいろのことが起こらなければといま言われたんですが、何かいろいろなことが起こりそうですか。
  92. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) まあ、これは御想像におまかせをするということでございまして、まあ私は別にいろいろなことが起こるかどうかということは何もわかってはおりませんけれども、御承知のように、フォード大統領のわが国訪問といったような問題等もございまして、まあそういったことも臨時国会召集には念頭に置いて私はきめられることであろうと、こう考えておるわけであります。
  93. 和田静夫

    ○和田静夫君 政府が人勧の完全実施決定をそういう形で長引かせてこられた。これは自治大臣御存じのとおり、私は自治大臣とそして給与関係閣僚会議の座長である二階堂官房長官と同席をされた決算委員会で、八月の二十日ごろでしたが、早期完全実施をきめますね、二階堂官房長官は、わずかもう一秒で、八月三十日までにやりますと、こういうことであったんですよね。それで、それを信用してたらずっと延びちゃったという経過があるんで、非常にこれは私は食言問題とまで考えていたんですが、まあきまってしまいましたからあれですが、この間で、地方公務員について私は二つの面で世論の操作が行なわれたような気がするんです。言ってみれば、地方公務員と国家公務員の賃金対比、ラスパイレス方式そのものにたいへん問題があるのに、政府の側は新聞を使って社説にも書かせる、解説にも書かせる、地方公務員は数が多いんだ、賃金が高いんだといううそを並べ立てるという状態が起こりました。私はまあこれは基本的な問題ですから、時間をかけてずっと論議をしてみなきゃなりませんし、言ってみれば前歴換算が自治体の長の自由裁量になっている、そういう地方公務員、そこのところの補正を行なわないで、単純比較でもっての信憑性などというものはないというのが私の主張であったし、この比較技法の問題は論議の過程にある問題でもあるわけですね。いま私はそのことを実は詳しくやろうとは思っていないのですが、どういう世論操作が行なわれたかというと、一つは、地方公務員の給与は国に比べて非常に高い、そのために何か行政費さえももう食われてしまっているというような言い方、つまり、自治体が住民の福祉を考え、かつ行政の効率的運用につとめているにもかかわらず、それには少しも何か取り組んでいないかのごとき印象を与えるようなPR、もう一つは、地方公務員の定数がふえていて、自治体の定数管理がずさんであるかのごとき宣伝が行なわれました。これは私は非常に残念なことだと思う。いま公務員部長から説明がありました地方公務員の給与実態調査。この発表された時期、いやこれは定期のものだから意識的でないと言われてしまえばそれまでですけれども、この時期も、政府の世論操作の進行過程でなされたために、実は政府に都合のいいように利用されているんじゃないだろうかと思われてしかたがないんです。  そこで、調査結果について若干聞きますが、給与すなわち労働の対価は、本来、労使の交渉によって労働力の需給関係等を背景に相互の信頼と良識を前提に決定をされる、それが他に比べて高いとか低いとかというのは、本来形式的にきめられるものではない、実態調査の統計のとり方に誤りはないだろうか、地方公務員の給与はほんとうに高いのか、また、形式的に国家公務員より高いとすればそれはどういう理由に基づくのか、そういった給与論の問題は、先ほども言ったとおり基本的にあります。いずれ報告の内容を十分検討した上で、これはもうまじめな論議として後日やらなければならぬと思うんですが、そこできょうは若干の問題だけ実はお尋ねをしておきたいんです。それは、地方公務員の賃金が、その制度運用を含めて国家公務員と同じでなければならないとする、政府、自治省の論理というものを私は承認をした上で言うのではありません。現行制度上、地方公務員の賃金が国家公務員の賃金と同じでなければならないという理由は、これは何もないんだと思うんです、もう。まして、現在のような社会経済情勢下では、地方公務員の賃金を相当引き上げない限り、自治体に人材は得られないというのが実情であることは皆さんがよくおわかりですよ。私たちはその意味でここではっきりさせておかなけりゃならないことは、問題は、地方公務員の賃金が国家公務員のそれと比較して高いか低いかというところにはない。確認すべきことは、経済成長の鈍化とインフレの爆発によってずっと進んでいる地方財政の危機ですね。この危機に直面して、政府がまず地方財政の中に占める人件費の総額なりその割合なりを押えようと企図して、地方公務員の賃金は高過ぎるという言い方で何か世論操作をされている。そこには明確に何か論理のすれ違いがあるということを私は考えるのです。すなわち、地方公務員と国家公務員との賃金比較ということと地方財政における人件費総額の多少とは全く別次元の問題だ。地方公務員と国家公務員と、この賃金を比較するという場合に、先ほども言われましたが、同一学歴、同一経験年数を有する職員を個別に比較するのでなければ、何の意味もないのですよ、これは。しかるに、人件費の総額というのは平均賃金かける職員数でしょう。同一学歴、同一経験年数ごとに個別に比較された賃金の高低に比例するものではこれはありませんよ。これはもう中学生になればもうこんな論理はちゃんと通りますよ。そうすれば、あなた方の統計は、官庁統計数字というのは、何か政策目標をつくっておいて合わせることがじょうずなんだと。昔からうそに三つあると言われるうちの一つに数えられているのですが、どうもそういうところに流れてませんか。
  94. 植弘親民

    説明員植弘親民君) いろいろと御指摘がございましたので、どの点からお答えしていいか、ちょっとあれでございますが、少なくとも国家公務員の給与に対して地方公務員の給与水準が高いのか低いのか、この点でお答えしたいと思いますが、やはり御指摘のように、そういった給与水準を比較する方法にいろいろあると思います。しかし、私どもが現在使っておりますのはラスパイレス方式で、もう先生も御指摘のとおりでありまして、これは単に私どもが国公と地公との関係で使っているのみならず、私どもの給与決定の最も基本となっております人事院勧告、この人事院勧告の場合におきましても、官民の給与比較の場合にラスパイレス方式が使われているわけであります。したがって、私どもは現在におきましては、給与の実質が高いか低いかといったような場合の比較には、まあこのラスパイレス方式というのが最も適当な方法として定着しているのじゃないだろうかという立場でおります。そういう点から、今度の場合も、給与実態調査の結果出ました数字を基礎にいたしまして計算してみますと、同じように国家公務員の給与実態について人事院の発表いたしております数字を使って計算したものと比較しますと、全体では国の一〇〇に対して一〇八という数字が出たわけであります。もちろん、先生指摘のように、このラスパイレス方式が万能とは決して思っておりません。いろいろと統計上ないしは計算上、あるいは職員の学歴、年齢構成、経験年数の構成といったようなもので若干の誤差があるであろうということは承知いたしておりますが、おおむね水準がどの程度にあるかという点につきましては、現在の比較方法では最も妥当、確度の高い方法であろうということで使っているわけでございます。
  95. 和田静夫

    ○和田静夫君 時間がないですから、そこの論議は、先ほど言ったとおり、あらためてずっとこまかくやります。  ただ、私一言だけきょう言っておきたいのは、地方財政計画の推移、おたくのほうで出されたその数字でこういきますと、昭和四十年度が三五・四%であったものが昭和四十九年度には二八・四%と、年々低下の一途をたどっていますね。これから見れば、毎年の決算を見ても同じでありますけれども、この給与費というものが地方財政にたいへんな危機的な要件を与えていないということだけはこの数字で明確です。皆さんがおつくりになった数字です、私がつくったんじゃありませんから。このことだけはきょうはちょっと一言だけ言っておきます。  そこでこの十月二十二日の閣議決定の内容及びその際知事あてに出された自治省事務次官の通知を見ますと、いずれも「地方公共団体における最近の定員増加の傾向にかんがみ」云々、「定員の縮減を図り」云々とあるのです。これは、自治大臣は、現在自治体は相当余剰人員をかかえているという考えを持っていらっしゃるからこういう文章になったのですか。
  96. 植弘親民

    説明員植弘親民君) その前に、私、先ほど三十六万人の増加ということを申し上げましたので、その点について若干事務的説明をさしていただきたいと思います。  五年間に三十六万人、約一五・二%——沖繩を入れますと三十九万ですが、これは沖繩は別といたしまして、三十六万人を見ますと、その中で大きく伸びておりますのは義務教育の先生、警察官、消防職員等々でございまして、これはまあいわば法令に基づくもので、地方公共団体の定数管理の外であると思いますが、これが約十五万人でございます。それから、先ほど来御議論のございました公営企業関係等につきましても、交通事業ではあまり伸びておりませんが、病院の看護婦さんあたり、これはだいぶ伸びておりまして、約四万人伸びております。そういたしますと、これもいわば一般的な意味における定数管理のらち外ではないだろうかという感じがいたします。もちろん、その中における合理化とかいろいろな問題があると思いますが、少なくともこの際、はずして考えていいのじゃないだろうか。  そういたしますと、残りは約十七万ということになります。この十七万のうちで、十万人というものは、私どもが非常にまだ荒い分析でありますが、保育所の増設だとか、社会福祉施設、老人福祉施設等の社会福祉関係等が相当のものでございまして、これもある程度地方団体においては、スクラップ・アンド・ビルドの方式によりまして、既存のものを回したりして努力をしていると思いますが、やはり実際ふえてまいりますと、保育所の保母さんにも一定の基準がございます。こういうふうなことから、これもまあまあ定数管理論としてはやむを得ないものではないだろうかという感じもいたしております。残りの七万人というのが、実は定数管理論の対象として地方団体が特に注意しなければならない点ではないだろうかという感じがこの四十八年の実績では見られます。もちろんこの中には、交通安全対策だとか青少年対策あるいは消費者行政、土地対策、こういったようなアップ・ツー・デートの問題についての必要な要員が確保といったようなものもございますが、これは事務事業が広範にわたっております地方団体のことでございますので、過去の事務を整理してそちらへ回すとか、いろいろと事務全体の処理のしかたを合理化するといったようなかっこうで、ある程度、これはそういう新規な事務が発生いたしましても抑制をはかれる分野でないであろうか、ここらのところに、今後とも地方団体が定数管理上努力すべき余地があるものである、こういうふうに考えているわけでございます。
  97. 和田静夫

    ○和田静夫君 この五年間に、法律等によって自治体等に義務づけられた事務が非常に多くなっています。したがって、七万人ですよね、いまあなたの数字を信用するとして。このことでは、私は法の完全実施が危ぶまれる状態である。決してそんなふえている状態じゃないと思います。  私は、先ほどこの問題についての報道の問題にもちょっと触れましたが、オピニオンリーダーとして一番必要なのは、この住民のニード、それから行政需要の変化に即応する定員管理が行なわれているかどうかということのほうが問題だと思うのですね。何か反官意識から短絡する人件費攻撃などというような形のことをやるべきじゃない、そんなことはもうごく古くさいという考え方なんです、私は。もし住民のニードを行政需要とのかかわり合いで科学的な職務評価を行なって、そしてその評価を介在させた定員管理と人材確保を行なったとしたら、すでに今日、自治体における人件費増、すなわち善という、そういう時代に入っているのではないだろうかとさえ私は考えるのですがね。そういうふうに考えちゃいかぬですかね。
  98. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 和田先生のおっしゃることも理由がないとは思いません。ただ、やはり最小の経費で最大の効果をあげるという行政の基本的な目標がございます。したがいまして、たとえば機械化の導入なり事務の委託なりといったものでやれるものはやっていくということで、そういった緊急発生する義務をおろそかにするわけじゃございません。住民ニーズの多様化なり、複雑化に伴なってのそれに対応する策は地方団体は当然とらなければなりませんが、既存の事務事業のやり方、こういったものを総合的に判断することによって、増員は抑制しながらもサービスを充実していくという方法はあるであろう、こういうふうに考えます。
  99. 和田静夫

    ○和田静夫君 わかりました。  あと十二、三分ですから、ちょっと重要な問題を一つ残しておりますので、ここ急ぎますがね。どうも指定統計の実態調査調査時点である四十八年の四月と、その前の調査ですね、この四十三年との間の五年という期間は、先ほど私が冒頭に取り上げた排ガス規制も同様でありますが、この国の公害対策の不備が批判をされて、そして各種公害立法がなされた期間なんですよ。ここを忘れて、いま人員の七万なら七万の増というものだけを抽出して、数だけで私は対比することはできないと思うんです。本来政府がやらなきゃならない、国家がやらなきゃならぬことを全部地方におろしてきて、地方はまじめにそれをやろうとすれば当然人員入れなきゃならぬ、やったら今度は集中的に人間がふえた、あるいは賃金の総額がふえたというようなことを言っちゃ、財政局長いけませんよね、これは。いかぬですよ、そういう見方というのは。この辺というのは私はやっぱりしっかり考えてもらいたいと思うんです。各種の立法や行政内容が大きく変様した時期である、特に総括的な管理行政を行なう国に対してよりも、自治体に対してきめのこまかいそういう対応が求められた時期である、その五年間の結果である、こういうことですから。そこで、この時代の要請にこたえるために自治体の仕事がどのように多様化をして、そしてふえてきたかということを調査されたことがありますか。大臣、いかがです。
  100. 林忠雄

    説明員(林忠雄君) いま先生のおっしゃった、その視点でのそれ自体の独立の調査というのはございません。ただ、年々の法律その他でもって新しい事務がふえ、そして自治体にまかされる事務がふえてまいります場合、当然、交付税財政需要その他ではその増加を見ると、そういう意味で財政的に対応してまいっておるはずでございます。したがって、少し余談にわたりますけれども、先ほど御指摘の人員も、ただ人員の増があったということでこれは悪いことというような取り上げ方をしたつもりは毛頭ございませんし、現在の三十七万のうちでも、先ほど公務員部長が説明したように、当然説明がつくものないしは国の施策によるものはこのくらいであるという認識は当然持っておりまして、さっき申しました七万人というのが、はたしてその内容がどうかという、さらに内容の分析をするつもりでございますけれども、ただ個々自治体につきましては、非常に厳格に、好ましい定員管理と申しますか、やっておるところと、やはり比較的それはルーズなところというのは必ずあるわけでございますので、そういうものに対する個別の資料というのは県その他を通じて十分にやってまいるということを考えております。
  101. 和田静夫

    ○和田静夫君 私はここでこの最後にしますが、自治省は、自治体の定員問題を考える場合に、いま、私さっき述べたような意味での必要であると思われることを調査はされていない。そんなことで、結局自治省自治体にたとえば定員の縮減を求めることができるだろうか。あるいは朝日新聞の論壇などに担当課長なりが、おそらく財政局長の目を通したことでしょうが、論文を発表される場合に、やはりそういう立場に立っての論議だけをやられるなんというのは、やっぱり避けられるべきではないだろうかなどということを考えます。  ここのところは、さらに私は給与問題の論議を、あらためて、実施、そういうものと関係なく、基本的な問題として一ぺんやらなきゃならぬ時期にきていると思いますから、そこに譲りたいと思いますので、そういう意見だけを述べておきたいと思います。  最後に、土地開発公社の資金需要について質問をいたしますが、大蔵省もお見えになっておりますが、公有地の拡大の推進に関する法律に基づいて設立をされている土地開発公社の任務ですね。これはいまさら申し上げるまでもありませんが、その任務が困難になるような状態というものがあらわれているのではないだろうか。十月の二十九日に、都道府県、指定都市、人口急増市町村の土地開発公社について、自治省昭和四十九年度の資金需要、資金手当てのできた額あるいは年内の必要資金等について中間集計を発表されました。いまその集計をここで簡単に求めようと思いましたが、時間がなくなりましたから、これはもうすでに私たち報道を通じて見ているところですから。  そこで最近の国土庁の発表等によりますと、地価の上昇というのがやや鎮静する傾向にあるということのようです。しかし、昨年のこの地価暴騰によって、現在の地価そのものが非常に高い水準にあることも否定しがたいところです。そうすると、問題は、公有地を拡大をして公共用地の確保をはかることは非常に切実な課題ではありますが、せっかく総需要抑制策の浸透によって地価上昇が鎮静化してきたりしたのに、土地を買うため公社への融資をゆるめれば総需要抑制策がしり抜けになるし、また地価はすでに上がるところまで上がっているので、現在その価格で土地を購入するということになると、将来地価を庶民の手の届くところまで下げるという政策目標も困難になるということになるでしょう。で、そういうふうにいろいろ考えますと、土地開発公社の資金需要については、現在の経済情勢のもとでは、真に緊急やむを得ない必要土地の購入資金にしぼらなくてはならないと思うのです。また、購入すべき土地の価格についても、府県市町村の購入地価というのは、その周辺地域の地価に重大な影響を与える。たとえば住宅公団が土地を購入しますと、いままで値のついていなかった田畑が一斉に右へならえでもって高値になるということがいままでよくあったわけですがね。よほど慎重に決定しないと、長期的な地価対策の観点から見て好ましくない結果になると考えます。公示地価が高値追認的だという批判も強い時期でもあるわけです。そこで自治省は、大蔵省、日銀に対して特別融資ワクの拡大を求められたようでありますが、いま申しましたような点を考えて、みずから律するにきびしく、また土地公社等にその購入価格等については適切な指導をしないと、政策全体の整合性といいますかね、そういうものを欠くことになりかねないと思っているのですが、自治省の見解をまず伺いたいのです。
  102. 松浦功

    説明員松浦功君) 全く御指摘のとおりでございますが、ただ、土地開発公社が土地を求めたいからというだけで、それがすべて目の前に緊急の事態としてあらわれているものかどうかということについては、一件ずつ見ませんと、私どものほうにもなかなかわからないわけでございます。そういう意図から、総体の資金需要はこれだけございますということで、日銀、大蔵のほうにも理解を求めていただくべく、官房のほうからお伺いをしておるところでございます。現実の問題の指導といたしましては、たとえば明年開校する小学校の用地、それについて、売買の話はおおむねついたけれども、資金がないために買えない、そういうような緊急のものについては、ともかく具体的な事例を持ち込んで飛び込んでほしい、それについてはこれはやらなければ学校が開けないのだということで、具体的な問題として日銀なり大蔵なりにお願いをするということで問題を逐次解決をしていくということをやりながら、全体としては公社にこれだけの資金需要がありますよということをこの前大蔵なり日銀なりに連絡をさせた、こういうことに理解をいたしております。  また、土地の買い取りの問題につきましては、地方公共団体も、当然のことながら、高値で買おうという気持ちなぞは毛頭持っておりません。できるだけ安く買いたい、住民が理解をするなら、交付公債で分割で払うような方法も検討しながら、非常に知恵をしぼってやっているところでございますので、それらの問題については、現地のそれぞれ担当者の良識と善意というものを私どもは信用してまいりたい、このように考えます。
  103. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで大蔵省に聞きますが、いま答弁があったとおりですが、公有地拡大推進法の二十四条ではこう書いているのですよ。いわゆる「国は、公有地の拡大を促進するため、地方公共団体による土地の取得が円滑に行なわれるように必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。」とあるわけです。したがって、土地開発公社に対する必要資金の確保等については、従来とも、自治省、大蔵省協議の上、適宜所要の措置が講ぜられてきたとは考えますが、いま自治省財政局長答弁にあったとおり、自治省としても緊急な資金にしぼって特別融資ワクの拡大を求めているわけですから、したがって、大蔵省としても十分その辺を理解をして、年内資金の融資が円滑に行なわれるように努力をすべきだと思うのです。これは、実際に人口急増地帯におけるところの学校の状態というのはたいへんなことですよ、これ。児童たち、校舎もないという状態になるわけですからね。このことは努力をされますか。
  104. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) ただいま先生指摘の、地方公社等からの資金需要が非常に強いということは、私ども重々承知いたしております。いま法律の規定の御指摘ございましたけれども、もちろん、財政面からの話はもちろんでございますけれども、われわれ担当いたしております民間金融機関に対しましても、できるだけそういう地方公社等に対して、きびしい引き締め下にもかかわらず協力するようにということでいろいろと指導はしているわけでございます。したがいまして、数字的に見ましても、全体の貸し出し額の伸びに対しまして、たとえばことし一年間四半期別にとってみますと、去年の七−九が、全体の伸びが四・一に対しまして地方公社等に対しましては一〇・六、それから去年の十−十二月は、全体の伸びが四・〇に対しまして地方公社等は一五・五、ことしの一−三は二・四に対して六・〇、四−六はちょっと低かったんでございますが、二・一に対して二・五、それから七−九の——まあこれは実績見込みでございますが、二・九に対して七・八ということで、民間金融機関といたしましても、全体の貸し出しの伸び率をはるかに上回る協力はいたしておるようでございます。ただ、日本銀行の窓口規制というのがございまして、全体的に国の政策といたしましていま引き締めを解除するに至っておりませんので、どうしてもそのワクの中にとらわれてしまうということでございまして、その辺が御不満のところではなかろうかと思います。  そこで、御指摘のように、窓口規制の別ワクを設けたらどうかというふうな御指摘だと思いますけれども、実は現在まだ、金融政策全般といたしまして、マクロ的な意味で解除する段階に至っておりませんので、一つワクをつくりますと、たとえばそれじゃ繊維産業についてどうだとか、いろいろと出てまいりまして、別ワクを設けるという点につきましては、マクロ的な政策自体がまだ変更しておりません段階で、ちょっとここで考えることはむずかしいんじゃなかろうかと思いますけれども、先ほど自治省のほうからもお答えございましたように、個々のケースにつきまして御相談に応じまして、われわれといたしましても、個々の金融機関に対しましてきめこまかにいろいろと話を持ちかけていくというふうなことで努力してまいりたいと思います。
  105. 和田静夫

    ○和田静夫君 特に大臣ね、いま人口急増地帯、大都市周辺の学校教育施設が非常に困った状態にありますよ。たとえば新年度の児童たちが、一体あれで本来的に国が義務づけられているところの義務教育を円滑に享受できるのだろうかというようなことさえ考えなければならない事態というものを、私たちは歩けば歩くほど見ます。そうすれば、いま財政局長答弁と大蔵省答弁にありましたが、それら個々のものについては、私は総体の総需要抑制をこの機会に広めなさいなんというようなことを言うつもりは全然ないのでありまして、個々のケースについてはやはり的確に対応できる、そういう形というものをぜひとるべきだと思うのです。大臣の所見を伺います。
  106. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) この点は、私も昨年自治省に参りましてから、特にしばしば御指摘もあったところであり、この点は大蔵省としても、日銀といたしましても、そういった必要なものについては選別融資の中で適当な処置をするということにしっかりと私は話し合いがついておるはずだと、したがって、そういうことで措置をしてくれておるものだと私は考えておりますが、今後ともこの方針は、総需要抑制の政策が続く限りにおきましては、できるだけこの措置は十分ひとつ実行をしてもらうようにしてまいりたい、こう考えております。
  107. 和田静夫

    ○和田静夫君 そういうことでお願いしたいと思いますが……。
  108. 松浦功

    説明員松浦功君) そういう意味で、非常に公社の資金が詰まっておりますので、土地購入について地方債を許可してほしいという要望が強うございます。小学校で、人口急増地帯でございますと補助金もございますので、起債をつけてしまいますとあとで補助金制度的にもらえなくなるので、そういったものを除きまして、土地に補助金のないようなものについては相当私どものほうに許可の依頼が参っております。そこいらは実態をよく把握をいたしました上で、われわれとしては人口急増地帯についてはできるだけ起債の許可をしていくという方向で臨みたいと思います。ただ、これも縁故債ということになりますので、資金面ではかち合いますけれども、公庫に融資する場合よりは政府が許可をした場合のほうが資金は回りやすいということは、これは現実の問題だと思います。そういう方法も頭の中で考えまして、できるだけ土地購入に困らないように対策は講じてまいりたい、こう考えております。
  109. 和田静夫

    ○和田静夫君 財政局長がいま答弁されたような形でぜひめんどうを見るべきだと——ことばはちょっとあれでしょうがね。松浦財政局長のもとに各自治体の首長行くのはもういやだというような雰囲気がどうもあるようですがね。そういうことのないような状態で取り扱ってもらいたいと思います。
  110. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本件に対する午前中の質疑はこの程度とし、午後一時四十五分まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時五十六分開会
  111. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  112. 内藤功

    内藤功君 兵庫県の朝来町を中心とする但馬地方一体におきまして、特に本年の九月以降、私ども日本共産党の国会議員、具体的に言うと、衆議院議員の木下代議士、さらに県会議員、町会議員あるいは党の支部長その他の住民の方に対して、いわゆる解放同盟、解放同盟沢支部あるいはそういうような団体に属している人たちによりまして、集団的な、公然とした、しかも相当残酷な形態を含めた集団暴力事犯が相次いで起きております。これはまだ報道が十分でないという関係もあって全国的に関心を集めるに至りませんが、この事実がもし明るみに出た場合には、この兵庫県但馬一体は文字どおり無法地帯、暴力地帯と言っても過言でないような状態も現出しておるわけであります。まず、この点について、いままでいろいろと告訴事件、告発案件、さらに被害届けあるいは警察の現認された案件が相当数出ておると思います。私のほうでも告訴状、写真、その他の資料を用意しておりますけれども、きょう、まず警察庁、もちろん大臣にはもちろんでありますが、警察庁の当局の方々に、この事態は十分お調べであると思いますので、九月以降ですね、本年九月以降現在までのこの種の告訴事件、告発事件、被害届け、さらに警察が探知というか、現認というか、された案件の数、これをまず御説明願いたいと思います。
  113. 半田博

    説明員(半田博君) ただいままでに告訴を受けております事件は、朝来町を中心といたしまして八件ございます。このほかに、十月の二十二日に、木下代議士その他の方々が橋本哲朗氏方に調査に行かれた際にその進路を妨害したというふうな事案等を私どもとしては承知をいたしておるところでございます。
  114. 内藤功

    内藤功君 順番にお聞きしたいと思いますが、まず、告訴事件は八件ということでございますが、この提出の、告訴の出されました日時、さらに告訴人、被告訴人の氏名、告訴に当たって付記されたところの罪名、それから提出先、さらにおもな事案の告訴事実のおもな内容について御説明願いたいと存じます。
  115. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) お答えいたします。  発生月日順に申しますと、九月八日発生をいたしました有志連ビラ配布をめぐるいわゆる解放同盟の集団抗議事案、これにかかわる事件につきまして、これは発生場所は兵庫県朝来郡朝来町の元津国道上でございますが、九月八日の二十一時三十分から九月九日の十七時二十分まで発生をした事案でございます。告訴の月日は九月の十二日でございまして、罪名は逮捕監禁、傷害罪。告訴事実の要旨でございますが、告訴人橋本哲朗さんをはじめといたします十名——もしあれでございましたら名前全部申し上げますが、橋本哲朗さん以下十名の方が告訴人で、被告訴人は山本佐造さんほか四名となっております。告訴状によりますと、告訴事実は、被告訴人らがビラ配布中の告訴人らを取り囲んで付近に設置したテントにつれ込み、約二十数時間不法逮捕監禁するとともに、告訴人の耳もとでマイクの音量を最大にして罵声をあげる等の暴行を加え、二週間の傷害を与えた、こういうことになっております。この事件については捜査中でございます。  次に、十月二十日、十八時ごろから十月二十四日の十二時ごろまでにかけまして、この朝来郡朝来町の口田路にございます橋本哲朗さんの自宅周辺で起こりました状況につきまして、十月二十四日、橋本哲朗さんを告訴人といたします告訴が、丸尾良昭代ら二名を被告訴人として出されております。罪名は不法監禁、暴力行為等処罰二関スル法律違反。告訴事実でございますが、被告訴人らは十人ないし数百人をもって告訴人宅を取り巻いて、徹底的に糾弾してやる等マイクで怒号をいたしまして、夜間には投光器で告訴人宅を照らし続けるなど、多数の威力を示して脅迫するとともに、告訴人宅の出入りを不能にするなど、もって不法に監禁をしたと、こういう事実でございます。  三番目の告訴は、同じく十月の二十四日、十一時ごろから十一時三十分ごろの間、朝来郡の朝来町口田路の橋本さんの自宅周辺におきまして、橋本さんを支援するデモが行なわれました際に、それに対する妨害事案があったと、こういうことで、これは江上弘則さんほか三名の方から、被告訴人は氏名不詳数十人ということになっておりますけれども、傷害、器物毀棄等でもって告訴されております。これはこの橋本さん支援のデモに参加していた告訴人らに対して、この氏名不詳の数人もしくは数十人の被告訴人がこれを取り囲んで隊列から引きずり出し、殴打する等の暴行を加え、傷害を与えたと、こういうことでございまして、さらに告訴人の所有する自動車などをたたいて、アンテナを引き折る等の損告を与えたと、これについて器物毀棄の告訴がされております。  四番目の事案でございますが、十月の二十五日午前九時から十五時の間に南真弓公民館において起こりました事案でございまして、発生場所は朝来郡生野町にございます生野駅及び南真弓公民館付近。告訴が出されましたのは十月二十六日でございまして、告訴人は二十一名にのぼっております。被告訴人は渕本さんという方の名前があげられておりますが、そのほかは、兵庫県連の男あるいは二十歳前後の女あるいは町職組の男とか、青行隊の男数十人、坊主頭の男というようなことで、氏名不詳、これ三、四名ほか五十ないし六十名と、こういう形の被告訴人になっております。告訴罪名は逮捕監禁、傷害、暴力行為等処罰二関スル法律違反。告訴事実は、被告訴人らはホームで列車待ちをしていた告訴人らを取り囲み、暴行を加えた上、マイクロバス等で公民館に連行するなどして不法に監禁し、さらに同所において集団で暴行を加え、二十数名に傷害を与えたということでございます。  五番目の告訴事件は、十月二十六日の午前八時ごろから九時ごろの間、朝来郡の朝来町新井、青倉、竹田の各駅周辺において起こりましたビラ配布をめぐる抗争事案でございまして、安政修治さんほか五名の方が告訴人として、十月二十六日、解放同盟沢支部及びこれに動員された氏名不詳者数十名というものを被告訴人として、傷害並びに暴力行為等処罰二関スル法律違及ということで告訴をしております。これは告訴人ら約四十名が新井駅でビラ配布中に、解放同盟の人々四十名が押しかけて暴行を加え、数名に傷害を与えたと。あるいは青倉の駅前において、同様告訴人らがビラまきを行なっている際に、約六十名の解放同盟の人が押しかけて暴行を加え、数名に傷害を与えた。同様に、竹田駅前において、ビラまきを行なっておりました告訴人ら数名に対しまして、被告訴人ら三十名ぐらいが暴行を加え、傷害を与えた、こういうことになっております。  六番目の事案につきましては、十月の二十五日の十五時三十分ごろから十六時十分ごろにかけて、朝来郡朝来町の口田路橋付近、弁護士さんの調査活動をめぐる紛争事案でございますが、十月二十八日、告訴人は西脇直樹さん以下三名でございます。丸尾良昭氏及び解放同盟兵庫県連約百名を被告訴人といたしまして、逮捕監禁、往来妨害、暴力行為等処罰二関スル法律違反ということで告訴が出されております。告訴事実は、弁護士を含む告訴人ら十人が橋本さん宅に調査に訪れた際に、乗用車で帰ろうとした一行を約百名の被告訴人らが車両をとめ、取り囲み、出てこいと怒号しながら、車体をたたく、ける等の暴行を加えるとともに、アンテナ等を引きちぎってこれを破壊をする、約四十分間不法に監禁をしたという事案でございます。  七番目の事案は、四十九年十月二十六日、午前八時二十分ごろ、朝来郡和田山町佐藤昌之さん方及びその前路上において発生をいたしました事案でありまして、十月三十日に佐藤昌之さん以下三名を告訴人といたし、長谷川清次さんほか七名、そのほか氏名不詳者合計九名、これを被告訴人といたしまして、合計十六名になりましょうか、十六名を被告訴人といたしまして、傷害並びに暴力行為等処罪二関スル法律違反で告訴をされております。告訴事実は、佐藤さん宅に解放同盟約六十人が押しかけ、同所にいました告訴人らに集団で暴行を加えて傷害を与えたほか、佐藤さんのお宅の正面のとびら、ガラス、サインボール等を破壊をしたという事案でございます。  八番目の事案は、朝来町等における一連の解放同盟の事案につきまして、十月二十四日から二十七日の間、朝来町及び生野町内において発生をした事案につき、全部で告訴人の数は二十三人に及びますが、二十三人の方が、十一月二日、氏名不詳者多数を被告訴人といたしまして、暴力行為等処罰二関スル法律、傷害、監禁の疑いで告訴をいたしております。これは告訴事実は、一連の事件のほか、十月の二十七日十時三十分ごろ、生野町の役場付近で、車両を連ねて進行中の告訴人らを被告訴人ら約百二十名が取り囲んで、これを停車をさせた上、車両を破壊、暴行を加え、傷害を与え、学校の広場に連れ込んで暴行を加えて傷害を与えた、こういう告訴事実になっております。  九月以降、私どもが受理いたしております告訴事件は以上でございます。
  116. 内藤功

    内藤功君 いま御説明がありましたように、九月から十月の末にかけて、朝来郡朝来町を中心にしたいわゆる但馬地域においては、いま御説明になったような告訴事件だけでも、非常にまず日数が接続して起きております。十月に入ってから特に顕著であります。これだけ見ただけでも。それから、告訴人と被告訴人の数をあとで聞きたいと思いますが、計算しておいてください、この告訴人の合計と被告訴人の数。この数を比べてみますというと、被告訴人の数が非常に多い。つまり、多数による、集団による暴行の事案ですね。それから告訴状に書かれてある罪名を見ると、暴力法——略称暴力法、傷害、逮捕監禁、往来妨害などなど、いわゆる最も凶悪なところの暴力犯であります。それからいまお読みになった中にもあったと思いますが、凶器とまではいかないにしても、角材、こん棒、こういったものを用いての暴行であると。けがも、これもあとで御質問いたしますけれども、失明に近い状態でけがをした方も出てきておる状態であります。  そこで、まずこういうことが一連の時日の中に起きているということ自体が、非常に警察としてもしっかりこれは厳重に職権の行使をしなければならぬ状況だと思うんですが、その前に、さっき言いました告訴人の総数、あなた方が受理した範囲内で、被告訴人の総数を計算できたら言ってください。
  117. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) 告訴人の数は、集計いたしますと、同じ方が、たとえ橋本哲朗さん——重複して告訴していらっしゃいますが、これを単純集計いたしますと六十九名でございます。被告訴人のほうは、数十名あるいは百名、氏名不詳の数十名と、こういうようなことでございますので、ちょっと集計不能でございますが、百名をこえる数であろうかと思われます。
  118. 内藤功

    内藤功君 この内容はまたあとでお聞きしますが、次に、告訴の数八件と言われたが、告発のほうは何件受けておりますか。
  119. 半田博

    説明員(半田博君) 告発については受理をいたしておりません。
  120. 内藤功

    内藤功君 確かめておきますが、四十九年の十月二十六日付で告訴及び告発状——これはさっきお話しの、新井、青倉、竹田駅前でのビラ配布をやっておった方々に対する暴力法、傷害の事件ですが、これは同時に告発も出しているんです。それからもう一つ言っておきますと、昭和四十九年十月の二十七日、口田路橋付近で、自動車に乗って差しかかったところ、とまれとまれひっくり返してやろうかということを言いながら弁護士の調査活動を妨害した事案、これも告訴と同時に告発を出しておるのであります。この点、告発はないと言われますけれども、お確かめ願いたい。
  121. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) この点、告発が出ておりました点、ちょっと私承知いたしておりませんでしたので、確認をいたしました上でお答えいたします。
  122. 内藤功

    内藤功君 県警本部及び所轄の和田山署その他に早急に問い合わせて確認していただきたい。私どもの手元にはそういう告発状があるし、告発を出しましてからすでに十日以上過ぎておる事案ですから、これはすみやかに調べていただくことを要望いたします。  次に、被害届け、告訴に至らない被害届け、これは文書または口頭によるものを含めて、どのような件数になっておりますか。
  123. 半田博

    説明員(半田博君) 私が承知いたしておりますところでは、十月の二十二日の橋本哲朗氏宅に対する木下代議士ら一行六名の方々の往来を妨害した事件について私ども承知をいたしております。それからまた、これは養父町のほうになりますけれども、養父町の公民館において、吉井誠一さんあるいは誠さん、——親子でございますけれども、この方々が公民館において暴行を受けて、傷害を受けたというふうなことを聞知いたしまして、この点についても捜査を続けておるところでございます。
  124. 内藤功

    内藤功君 そうしますと、告訴事件及びいま調査をお約束なさった告発事件以外については、警察庁としては、木下代議士事件と養父町公民館の暴行傷害事件、この二件を探知しておると、ほかには探知していないと、こう承ってよろしいわけですか。
  125. 半田博

    説明員(半田博君) ただいま私が承知いたしておるところではそういうことでございます。
  126. 内藤功

    内藤功君 念を押しておきますが、県警本部からは警察庁に当然報告があると思うんですが、その報告に基づいてあなたはお答えになったんですか。
  127. 半田博

    説明員(半田博君) そういうことでございます。
  128. 内藤功

    内藤功君 次に、現在までのこれら案件、あなた方の告訴受理事件八件並びに探知せる二件を合わせて十件について、まずしぼって聞きますが、逮捕者は何人いますか、あるいはまだ逮捕をしていませんか。これだけの集団暴力事件ですが、逮捕者は何人出ていますか、逮捕していますか。
  129. 半田博

    説明員(半田博君) 結論から申しまして、逮捕者はまだ出ておりません。現在所轄の和田山警察署のほうに、所轄の警察署長を本部長としまして捜査本部を設置をいたしまして、県警本部のほうから二十人を派遣し、二十五人の捜査員を専従さして、ただいま、参考人、告訴人あるいは一部については被告訴人の取り調べを行なっている、こういう状況でございます。
  130. 内藤功

    内藤功君 これだけの連続した、しかも、多数、多衆による暴力事件、しかも、発生以来古いものでは二ヵ月、新しいものでもすでに十日以上たっておる案件について、一人も逮捕者が出ないというのは、私ども常識で考えましても、また警察の仕事日ごろ関心を持ってみております人間——特に暴力事犯は厳正に取り締まらなくてはいけない。自分の主張や要求を暴力で押しつけることは民主主義の世の中で最もこれは憎むべきで、警察はそれを押えるのが任務でございます。そういう点から見て非常に不可解に思うのですが、その点はあとでまた追及するとして、このいま和田山署長を本部長とする捜査本部と言われました。もう一ぺん伺いますが、この捜査本部の長とそれから捜査本部の捜査員の総員数と、それからそういう人たちはどういう警察の部署から集めた人なのか。この捜査本部の現在の陣容をもう一ぺんまとめてお答え願いたい。
  131. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) ただいま半田参事官から御説明を申し上げましたとおり、和田山警察署長を捜査本部長といたします二十五名の特捜本部を設置をし、この事件の一連の事件の捜査に専従をいたしております。この二十五名のうち、五名は和田山警察署の捜査関係者であり、二十名は兵庫県警本部からの応援派遣要員でございます。
  132. 内藤功

    内藤功君 被疑者に対する逮捕は一件も、一人もない、これも不可解なことですが、被疑者に対する任意出頭は何件ぐらい出頭した案件があるか。また、出頭を求めた案件は何件であるか、何人であるか。
  133. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) 現在のところ、九月八日から九月の九日にかけて発生をいたしたビラまき事件、これは朝来町元津の国道上で起こりました事件で、橋本哲朗さん以下十名の告訴人で九月の十二日の日に提出をされました事案でございますが、この被告訴人山本佐造氏外四名につきまして任意の取り調べをすでに行なっております。十月二十日以降の事件につきましては、そのうちの、たとえば十月二十日から二十四日にかけまして橋本哲朗さんの自宅周辺で起こりました事態については、先ほど第二の告訴事件として御説明をいたしましたように、十月の二十四日に告訴がなされておりますが、被告訴人は、第一の事件と重複をいたしております丸尾良昭さん、山本佐造さんの二人でございまして、この二人につきまして氏名が明らかになっておりますほかは、まだ捜査の段階——氏名不詳の被疑者数十名、こういうような告訴が多うございますので、まだ被疑者の取り調べの段階にまで至っておらない。一番最初の九月八日の事件につきまして任意の取り調べが終わっておるという段階でございます。
  134. 内藤功

    内藤功君 大体九月の初めに起きた事件でようやく被疑者の調べを行なって、そうして十月二十日のもっとものすごい内容の告訴については全然これは被疑者に手をつけていない。非常にこれは私はおそい捜査であると考えるのです。特に九月八日、九日のビラまき事件の山本佐造など四人については、いつ取り調べをしたのか、どのくらいの時間調べたのか、供述調書は録取をしたのか、とったのか、この点を伺いたい。
  135. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) 九月の八日の事案につきましては、取り調べを行ないました日にちは十月一日と承知をいたしておりますが、その取り調べ時間、供述調書録取の事実の有無等については詳細承知をいたしておりません。
  136. 内藤功

    内藤功君 供述録取したかどうか、さらにこの事件について否認をしているのかあるいは事実を認めているのか。これは今後の捜査の上で、特に強制捜査を今後警察としてとるかいなか、すみやかにやるかどうか、罪証隠滅の疑いがあると見るかどうかというものを判断する上で大事だと思うのです。この時間はともかく、これらの人が実際に供述をして自供をしているのか、否定をしているのかあるいは調書をちゃんとつくったのか。調書をつくらないのはよくあります。雑談と称して、被疑者と話す例があることを私も経験上知っている。一体この点はどうなのか、すぐに確かめていただきたいと思うんです。もう一ぺん伺うけれども、この九月八日、九日事件について、取り調べの結果自供しているのかどうなのか、わからなければそれを至急に調べてください。
  137. 半田博

    説明員(半田博君) ただいま本件は捜査中の事件でございまするので、概要について調べてみたい、かように考えます。
  138. 内藤功

    内藤功君 わからないですね、何か。どういうことですか、ちょっともう一ぺんはっきり言ってください。
  139. 半田博

    説明員(半田博君) 本件はただいま捜査中の事件でございまするので、その具体的な内容等について申し上げかねる点があるかと思いまするけれども、概要について御報告を申し上げたい、こういうふうに申し上げたのでございます。
  140. 内藤功

    内藤功君 御報告を申し上げたいと思いますって、やってください、概要を。
  141. 半田博

    説明員(半田博君) 調書はいずれも作成をいたしておるそうでございます。
  142. 内藤功

    内藤功君 それだけですか。
  143. 半田博

    説明員(半田博君) はい。
  144. 内藤功

    内藤功君 その本人が事実について——こまかい内容を私はここで供述調書の内容を明らかにしろというような無理なことを言うのじゃない。要するに事案について大まかに認める場合と、いわゆる否認、基本的な部分について。これから私が聞く警察権の行使のあり方に関係しますからね。それはどうなんですか。やったというふうに認めているのか、いや、やらぬと言っているのか、あるいはやったけれどもこういう意味でやった、正しいのだと、大体被疑者の答えは三つに一つしかないでしょう。そのうちのどれなんですか。そういうことだけでけっこうです。概要でいいんです。
  145. 半田博

    説明員(半田博君) ただいまその調書の内容について具体的に把握をいたしておりません。
  146. 内藤功

    内藤功君 そういうことじゃやっぱりいけませんね。きちんと、どういうような経過になっているのかということをしっかり把握しておいてもらわなければいけません。ぜひこれは調べていただく必要がある。この事件はやはり真剣に、この一つの事件だけじゃなくて、ずうっと継続した集団的な暴力事件ですから、しっかり把握していただくように特に注文しておきたいと思うんです。伺いますが、この供述の内容について、具体的にいま私の言った三つのどれであるかについて、早急に調べて私どものほうに連絡をしていただくことを要望します。いかがですか。
  147. 半田博

    説明員(半田博君) 御要望の点については後刻御報告申し上げることといたしたいと思います。
  148. 内藤功

    内藤功君 先に質問を進めますが、九月の八日から九日にかけての監禁事件のあとで、九月の十七日ごろから、さっきお話しの朝来町の学校の先生をしておられる、それから教員組合の支部長もやっていらっしゃる橋本哲朗先生の名前を書いて、「橋本哲朗糾弾」、こういうような大きなビラが、ポスターか——糾弾ポスターと称している、こういうものが朝来町一体に張りめぐらされたということをまず知っておられると思うんですが、参考までに……。そういう事実の報告は受けておるかどうか。
  149. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) こういう糾弾のポスターが張られたという事実は承知をいたしております。
  150. 内藤功

    内藤功君 これらのいわゆる解放同盟の中で糾弾というのは、いわゆる差別者——みずからのグループを差別する思想、行動を持っている敵対者というものに対して、時によっては暴力の行使も辞せずに糾弾し、差別者であるということを、あるいは差別思想を持っているということを自認させるまで、相当の時間をかけて質問をし、糾明する、そういうことをこの糾弾と言っているということはあなた方は御存じと思いますが、いかがですか。普通に言う糾弾ではない、ここで言う糾弾ということの意味はおわかりでしょうか。
  151. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) 特にそのような意味には了解をいたしておりませんで、一般的な糾弾ということばの使い方と承知しておりました。
  152. 内藤功

    内藤功君 そういうことだからいけない。糾弾というのは、糾弾会というのをやっている、実際に。あるいは確認会ということをやっている。そうしてこの糾弾というのは、深夜から明け方にかけて暴力を含めてあらゆる言論、暴力というものを含めて、自分が差別者だということを確認するまでやるのです。大体警察庁が私は知らないということはないと思う。ですけれども、そういうことなんです、これは。よく皆さんこれは事実をしっかり確かめておいてもらいたい。また、そういうことは知りませんではこういう事件の捜査はできませんから、ほんとうに知らないなら、しっかりこの機会に勉強をして、厳正なやはり捜査をしなければならない。大体捜査の対象になるべき人たちの用語を知らなくて何になりますか。労働組合の場合、こういう解放同盟と言われる人たちの場合、それから学生のこの暴力集団の場合、彼らがせん滅と言っている意味は何か、糾弾と言っている意味は何かということを知らなくて何になりますか。しっかりと勉強なさることを私は強く要望しておきたい。私はあなた方が知らないということ自体が——知らないとは思いませんけれども、知らないということであってはこれはなりません。  次に、こういうような状況の中で、この十月二十日から、さっき告訴の内容を御説明がありました橋本先生宅での事件が起きるわけです。まず、この橋本さんのうちでは、投光器、これを家の回りに夜はずらっと並べている。それから宣伝カー、これは解放車と言っている。解放車のラウドスピーカーを多いときには八個ないし十個を橋本先生の家のほうに向けて、そうしてそこから罵声を言うのです。私はあまりこれは品が悪いから当委員会の席上では読み上げたくないことばだけれども、事実を確かめる上で一つ二つ言っておくと、どういうことを言っているかというと、「橋本よ、差別者よ、おまえのようなやつは今度生まれるときは犬に生まれ、犬でも赤犬ではなくせめて白犬に生まれ」。あるいは、「きさまはいいけれども、きさまの子供はこの先どのようにして生きるか。犬畜生。学校に行って子供はどのように言われているか、知っているか」。まだ延々と続くのです。これは橋本さんと私きのうお会いして、そのテープも聞きました、こういう罵声を浴びせているテープ。それからこの書いた中身も聞きました。この紙に四枚くらいあるのです。私は一々これを読み上げると、ほんとうにこれは人間の自由に対するひどい侵害であり、名誉に対する侮辱である。読むにたえないようなことばを言っている。しかも音量ですが、これは最高裁の判例でも、音響による鼓膜を刺激した暴行の成立を認めた判例があることはあなた方も知っているでしょう。まさにこれですよ。私は十五分間聞いたのですが、もう耳が痛くなっていらいらしてくる。これを夜の八時から朝の四時までやっておるのです。そのテープの中には、橋本先生の子供さん——小学校一年生の女子ですが、おばあちゃんと言ってやがてわっと泣くわけです。おそろしくなったんだ。子供だったら泣きますよ。何をされるであろうか、いかなる危害が加えられるやもしれないという恐怖感を持つわけです。おとなだってそうです。こういう状態を続けていたのです。ですから、この告訴状にいうように、これは暴力行為だし監禁だということになると思うのですね。いかがですか、この点について、この告訴状に書いてある事実とあなた方がいままで調べられた事実。私はもっと詳しく言いたいのですが、詳しく言う時間がありませんから。あなた方はちゃんと告訴状が手元にございます、お調べになっているわけですから。暴力行為処罰法一条、さらに監禁罪というものの成立は、これは十分に考えられる事案と思いますが、いかがですか。
  153. 半田博

    説明員(半田博君) お尋ねの件につきましては、十月の二十日から二十六日の間、部落解放同盟が、橋本哲朗氏糾弾行動と称しまして同人宅の近くにテントを設ける、多数がたむろする、またデモを連日行なう、あるいはただいま御指摘のように拡声機を使用する、あるいは投光器で同人宅を照射するというふうな事実があったことは承知をいたしておるのでございます。ただ、このテントの場合、橋本さんのお宅から約八十メートル離れた東に、この土地所有者の承諾を得てあき地に設置しておるというものであるということ、またデモも、所轄署長が道交法に基づいて許可をしておると、まあこういうことでございます。また拡声機による呼びかけも、ただいまお伺いしますと、鼓膜にぴりぴりくるというような状態だということで、ございまするけれども、私どもの報告を受けたところではそれほどひどくはなかったようでございます。また、道路側の三ヵ所に五百ワット程度の電灯を二個ずつ取りつけて橋本さん妻照射しておるというようなことで、現地の警察としては、このことがその現場において、その時点において直ちに犯罪になると認定することは困難であるというふうな判断をして、抗議行動の程度で発生が予想される不法行為に備えて警戒の措置をとっておった、こういうふうに私ども事実は認識をいたしておるわけでございまするけれども、さような告訴もあったことでございまするから、ただいま捜査をいたしておる、こういうことでございます。
  154. 内藤功

    内藤功君 これはテントのことと道交法の許可のことをいま持ち出されましたが、まずテントに入って、家のまわりに——家の近くにテントを張っているというようなことじゃないですよ。それだったら監禁罪の告訴はやってないです。ここに私が持ってきた写真は、橋本先生の家のまわりをこのように取り巻いているという写真です。取り巻いているんです。どうぞごらんください、こういう写真です。テントが張ってあるというような認識じゃないです、テントだけじゃない。  さらに質問を続けます。ごらんになりながら聞いてもらいたい。自動車のラウドスピーカーの音、これはもし必要とあらばあなた方はテープをお聞きになる必要がある。そして、道交法の問題です。よくこれは記憶をしておいてもらいたい。そして直ちにこの県警及び和田山署に対して、捜査本部に対して、徹底的な捜査、迅速な捜査をお願いしたい。道交法の許可というけれども、かりに包囲の態様ですね、監禁の態様が——その一部のデモについて道交法の許可をしたとしても、全体の、橋本先生が家から出入りすることが著しく困難かどうかが監禁罪の成立要件のポイントであります。不可能でなくてもいい、著しく困難ならいいというのが最高裁判所の判例です。そういう状況かどうか。橋本さんがこれだけ包囲されている家から出たらたちまちつかまっているのです。しかも、このスピーカーで言っているのは、「橋本糾弾するぞ、出てこい」ということなんです、要するに言いたいことは。いいですか。さっき私が言ったののしることばは、結局「橋本出てこい」、「こら」——こらと言うのですね、「こら、橋本出てこい、そしてここでものを言え、糾弾するぞ」、こういうことなんですね。ですから、出てこい、来れば糾弾なんです。糾弾というのは暴力も辞せない糾弾なんです。ですから、これは完全に著しく困難な状態だと、私は不可能な状態だと言ってもいいと思うのですが、この写真を見れば著しく困難な状態だ。監禁罪の成立は十分だと思います。私はそういう意味で、あなた方の認識が非常に足りない。これは当然監禁罪及び暴力法違反で検挙さるべき事案だと思う。  関連してひとつ聞きたい。いま道交法の許可の話が出た、非常にふしぎだと思う。いまのお手元の資料で答えてもらいたい、道交法の許可は七十七条によったものですか。
  155. 半田博

    説明員(半田博君) さように承知をいたしております。
  156. 内藤功

    内藤功君 これには条件が道交法ではつけられるはずですが、どういう条件をつけたか、それからその道路の使用を許可したのは、何メートルくらいの、あるいは何平方メートルくらいの地域であるのか、時間は何時から何時まで許可したか、これらの点について御説明願いたい。
  157. 半田博

    説明員(半田博君) 許可をいたしました時間は午後の七時から八時の間でございます。またその距離は、橋本さん宅を中心としました前の道路二百五十メートルの区間、隊列は条件として四列とすると、こういうことでございます。
  158. 内藤功

    内藤功君 橋本さんの家から二百五十メートル、この間は畑ですよ、ほとんど。お宮があって、あき地があって、川が流れてたんぼと畑があるのですね。人家は二軒しかないのです。あるいは三軒かもしれないけれども、きわめて少ない。銀座通りでデモをやるのと違うのです。しかも、解散地点は橋本さんのうちなんですね。そういうところを二百五十メートルのデモを四列縦隊でやれば、それはデモになりますか。その目的は何なのか。これは橋本先生に対する糾弾、集団的な脅迫、かっこうは道交法の道路使用と言っているけれども、その申請者の意図は何か。これを許可権者である警察署長は洞察する力がなくちゃいけない、洞察する力が。こういう点、この許可はきわめて軽率だと思いますが、この許可をするにあたっては、これは将来の責任問題として聞いておきたいのですが、警察署長の判断でやったのか、あるいは上級、県警本部なりあるいは警察庁の方の御判断も入っているのか、これをとくと伺っておきたいと思います。
  159. 半田博

    説明員(半田博君) 本件の判断は所轄警察署長がいたしておるところでございます。
  160. 内藤功

    内藤功君 その和田山署長という方は、これは決して失礼な意味で申し上げるのじゃないが、定年間ぎわの方だと承っておる。東中代議士が調査のために行って会ったとき、面会する国会議員などの数を三人にしろと言っている。何ということですか。冗談じゃないじゃないかと東中さんが言ったところ、私どもの要求を入れていただけないなら失礼しますと言って、前に国会議員がいるのに、頭を下げて二階の会議室へ行ってしまったという非礼なことをやった人だそうです。こういう人が捜査本部の長だということは非常に私はたよりないと思うのです。しかし、それは私は深く突かない。警察署長は県警本部長に相談したと言っているのです、この東中議員の質問に対して、県警本部へ行くと、いや、あれは警察署長だと言っている。そういうふうな責任の譲り合いをやっていらっしゃる。そこで私は聞くんです。これは、道交法のこの許可は、県警や警察庁は一切知らないで、この和田山署長だけの権限ですべてなされた、こう最終的に聞いてよろしいのかどうか。
  161. 半田博

    説明員(半田博君) そのとおりでございます。
  162. 内藤功

    内藤功君 私は端的に要求したいと思うんです。二の橋本先生宅の状況は明白な監禁罪、刑法二百二十条、暴力法一条に該当する行為である。違法性を阻却する何ものの事由もないことは明らかである。すみやかにこれは捜査、強制捜査も含む捜査をやって、そうしてこれは被疑者は、代表者は特定しているわけです。丸尾という名前が出ている。外何名ということが出ている。何にも呼び出しもしていない、被疑者は特定しているのに。事件以来二十日もたってやっていない。私は警察の怠慢だと思う。皆さん方は、すみやかにこの捜査本部に対して、必要とあれば増員をして、そして捜査を迅速にやるように。そうしないと、次から次から暴力事犯を誘発します。初動において適切な捜査をとらないと、どんどん誘発するわけですね。この種の事件の捜査の常道でしょう。暴力事犯が起きて、集団の事犯が起きたら、すみやかに首謀者を検挙してそして根を断つということが常道じゃありませんか。例は悪いけれども、ことしの春に日本教職員組合のやった地方公務員法違反と称する争議行為に対しては——あれはストライキが処罰の対象になるかどうか大問題がある事件ですね。しかも、暴力は何にもない事件ですが、全国一万数千人の呼び出し、聞き込み、さらに八百八十二カ所の捜索を行なったじゃありませんか。これに比べて、暴力を伴ったこの但馬地区の事件について、いまだもって捜査をこんな段階にしているということでは、これは法治国家ではありません。私は警察の厳正な——この橋本事件だけじゃないですけれども、まずこれについて、どういう態度で今後お臨みになるのか。いまのようなだらだらした態度で下の警察が動いていくのかどうか、この機会にはっきりした答弁を伺いたいと思うんです。
  163. 半田博

    説明員(半田博君) 捜査はできるだけすみやかに行なうべきことは当然なことでございまするから、さような、すみやかに捜査を遂げるように、この点は現地のほうに連絡をいたしたいと、かように考えております。ただ、告訴事実がただいまおっしゃられるようなことのとおりであるかどうかについては、これはやはり捜査当局としては慎重に検討を要するところでございまするから、慎重にして、かつ、すみやかな捜査を遂げるように現地のほうに連絡をいたしたいと、かように考えております。
  164. 内藤功

    内藤功君 大体、いつもそういう答弁なんです。慎重にしてすみやかとは、矛盾しませんか。力点はやっぱりすみやかということです、いまの段階は。  それからもう一つ、あなたのおことばを返すようですが、いまこう言われたんですね、告訴事実がこのとおりであるかどうかということ。しかし、告訴状がそのとおりかどうかを確かめるために捜査権というのがあるんですよ。そうでしょう。それは告訴状を見ただけで、これは文章がなってないとか、これは全く物理的にも社会的にもあり得ないことだというような案件なら別ですよ。これは全部代理人の弁護士がついています。それはおわかりですね。弁護士が書いた、法律的にもちゃんと形の整い、論旨も整った、このまま起訴状にしてもいいくらいの文脈と論旨と法律適用を持っているものですね。くろうとの書いたものですね。だとすれば、弁護士が責任をもって代理人として書いているものについて、あなた方は、これがほんとうかどうかわからない、だから慎重にしている、これではいけません。やはり、そのためにも取り調べなくちゃいけない。両方を取り調べる。そのためには二十五人じゃ足りないです、これは。これだけの事件では、足りない。これを増員することも考えなければいけない。ここですぐ即答はできないかもしれないけれども、徹底的にこれはやらなくちゃいけない。私はこれは、いまの答弁は姿勢として非常に不徹底な姿勢じゃないかと思いますよ。ひとつしっかりと、厳正な態度で迅速にやってもらいたい。慎重じゃないんです、いまは。慎重にして迅速というのは警察官の一般的な心がまえ。いまこの事件でどうかということが大事です。  しかも、次に質問したいのは、この木下事件。詳しいことは私は省略します。ずばり言いますが、衆議院議員のわが党の木下代議士、木下君が午後五時に調査を終えて橋本先生の家から出たときに、被告訴人の丸尾という人が、一歩も出すな、どうしても出たきゃひき殺して行け、責任はおれがとるんだという趣旨のことを言っているわけです。告訴状にも書いてあると思います。そうしてそれに対して——それと同時に、物理的には、いわゆる解放車と称する彼らの宣伝カーを木下代議士の車の前面に横づけにして、T字型にして、T字型に施して、そうして動けないようにした。しかも、三つ目には、木下代議士などの車の下に人がもぐり込んで、走れないように、物理的に阻止をした。署長が自分で解放車を押したんだそうです。ところが、それは、たちまち彼らの抵抗にあって、署長が文字どおりもみくちゃにされてしまった。そうして署長は木下代議士に、どうにもならぬから中に入ってくださいと言って、もう一ぺん家に戻した。つまり、ここでは完全に出入りが阻止されたのです。警察が暴力で圧倒されているわけです。それくらいの暴力です。なぜこういう事案について、その場において現行犯逮捕、これを身を挺してやらないのか。国会議員の身辺に危険が及んでいるのに、国会議員が調査のために行っているのに、なぜやらないか。さらに、機動隊が出てきたのがこの五時から五時間後、午後十時なんですね。午後十時。こういう話は初めて聞きますか。どうなんです。  こういうような監禁が行なわれた。文字どおり監禁であります。車の中に四十五分間。さらに機動隊が来るまで五時間。これは、もう間違いない監禁。少なくとも、この時点ならば。これについて強制捜査に踏み切らない。首謀者を検挙しない。検挙しようとする姿勢もない。これは一体どういうわけか。非常にふしぎに思う。まあいまはやっていないけれどもこれからやるというなら、いつ、どういう手を打つというのか。この点、はっきりと——われわれは国会議員として、これははっきりさしておきたい。単にわが党だからというのじゃない。国会議員の身辺に対する重大な事件です。
  165. 半田博

    説明員(半田博君) お尋ねのように、ただいま御質問がございましたように、木下議員一行の車が、橋本氏宅の調査を終えまして、午後の四時ごろでございましたですかね——いや、五時ですね。五時ごろ、調査を終えてその橋本宅を乗用車で出発しようとしたところ、ただいまのような状態があったというふうに承知をいたしております。  で、当時、所轄の署長以下四十三人が現場に行って措置を講じておったわけでありますが、事態がこれから悪化するといかぬというので、直ちに機動隊の出動要請を求めました。ただ、神戸から現場へ到達するまでにはやはり五時間程度要するわけでございまして、その点は、そういうふうに遠隔の地に機動隊が駐留をしておったと、駐在をしておったということで御理解をいただきたいと思うんであります。ただ、当時、署長の判断といたしましては、木下議員ら一行の車をとにかく早く通す、そうして事態の拡大を防止するというところに重点を入れておったがために、現行犯逮捕はしなかったと、こういうことでございまして、この点につきましてはただいま捜査をいたしておりまして、捜査の結果行為者が特定できれば、捜査上の必要の措置をとりたいと、かように考えております。
  166. 内藤功

    内藤功君 警察官は危険に際して身を挺して仕事をしなくちゃならぬと、警察の法律に書いてあるでしょう。こういうときこそやらなくちゃいけない問題ですね。つかまえないほうが安全だと、結局逃げたことなんだ、こういうふうになりませんか。私は非常に遺憾だと思うんです。  さらに、警察官は一体どういうことをしているのか。ラウドスピーカーで、あるいはハンドマイクでばり雑言を橋本先生のうちに対してやっているときに、機動隊は下を向いてうなだれているのであります。非常にふしぎな写真です。これを御参考までに見てください。下を向いちゃって、あなた方の機動隊、こういうことです。これでいいんですか。上ではいろいろとやってます。こういう姿勢だから逮捕が一人も出ないということになるんじゃないでしょうか。何をしているんですか、これは。警察官がしかられているような写真じゃありませんか。
  167. 半田博

    説明員(半田博君) これは別にうなだれているわけじゃなくて、不法行為が起きないように現場において警戒をしておるものだと、私はそういうふうに解釈をいたします。
  168. 内藤功

    内藤功君 何をか言わんやでね。これはあなたとこういう論争をしてもつまりません。見る人にみんな見ていただくしかない問題です。  次に、この木下事件について、兵庫県警は十月二十三日に記者会見をやってそうして経過を発表したときに、木下議員には暴力行為はないと、木下議員は出入りかできるのにみずから出ない——いいですか。この事件は相互のお互いの争いのようなものだという発表をしたことがありますか。あるとすればこれは重大問題だと思う。
  169. 半田博

    説明員(半田博君) さような発表については承知をいたしておりません。
  170. 内藤功

    内藤功君 承知をしていないというのは、報告を受けてないということか、そういう発表はしないということか、あいまいなのでもう一回お聞きしたい。
  171. 半田博

    説明員(半田博君) 報告を受けておらないという趣旨でございます。
  172. 内藤功

    内藤功君 至急にこれは調べてもらいたい。警察がこんな態度で国会議員の調査活動に対して、これもしかも事実に反する。暴力行為はないと言ったって、車を前に擁し、木下議員の車の下に入り込み、そうして署長をもみくちゃにしているのですから、暴力行為大ありです。出入りができるどころの騒ぎじゃない。できない。相互の争いどころじゃない。やられっぱなしなんです。両方が出会いみたいにやったのじゃない。一方はやられる。全部の事件そうですよ。こういう発表をすることば非常に遺憾です。至急これは調べていただくことを要求したいと思います。こういう発表をもししたとすれば重大な問題です。現地からの、わが党の現地の人たちからのこういう連絡を受けたわけですから、至急に調査をしてもらいたい。  次に、ビラまきに対する暴行事件であります。これはまず共産党の地区委員会から、あらかじめ、二十六日に、朝、新井、青倉、竹田などでビラまきをする、場所を指定して、ここでビラをまくから、あらかじめ、無法地帯であるから警察に万全の措置をとってほしいと申し入れた。そうして、これに対して警察は私服を何人か配置したようですけれども、何人配置したのか。また、わがほうからの、こういうわが党からの要請があったことばお認めになるかどうか、この点を伺いたい。
  173. 半田博

    説明員(半田博君) 要請があったことは承知をいたしております。報告を受けております。  なお、新井駅、青倉駅、竹田駅については、二、三人の私服を配置をしたというふうに報告を受けております。
  174. 内藤功

    内藤功君 二、三人しか配置しなかったのですね。これではこのような暴力事件が頻発している中での保障に十分とは言えません。  それだけではないですね。この私服が配置されているときに、さっきのように、木刀、角材、石、石ころ、こういったもので暴行をやって、尾てい骨骨折、頭をやられる人、こういう人が相次いでいる。診断書もこれはすでに出してあるわけです。このときに、ここにおった、配置された人は何らなすところなく逃げておるわけです。警備の役にも立たない。何のために立ったかわからない。しかも捜査をするじゃない。最後までとどまって、どれが犯人であるかということを突きとめて、写真でもとって、あるいは特徴でも覚えて報告するというようなこともしていない。これは警備を要請されても何にもならないということになりませんか。これはどういうふうに認識していらっしゃいますか。
  175. 半田博

    説明員(半田博君) これは、不法行為が起きるような事態があればすみやかに機動隊の本隊に連絡をするようにということで配置をいたしたものでございまして、当日、まあ連日の警備に機動隊員も従事しておりましたから、和田山署のほうに宿泊をせしめておったわけであります。で、視察員の報告によって直ちに現場にかけつけておるわけでありまするけれども、機動隊員が到着したときには事態が終わっておったと、残念ながら。そういうことでございました。ただ、青倉駅で被害者の方一人を発見をいたしまして竹田外科センターのほうに移送したと、こういう事実があったというふうに報告を受けております。
  176. 内藤功

    内藤功君 結局、警備の要請に対してこたえることができなかったわけです。それは人数が足りなかった、あるいはかけつけるのがおそくて非常に運が悪かったということを言われるのかもしれないけれども、これは連日のように暴行事件が起きている段階では、警察としては私は怠慢のそしりを免れないと思う。こういうことがあってはならぬ、暴力事犯をあらかじめ押えるためにはそういうことではいかぬと思うのです。  次に、十月二十六日の佐藤町議宅襲撃事件についてお伺いしたい。  これは非常にはっきりしている事件です。まず、写真は、この二枚を参考までにお示しいたします。共産党の佐藤町議の家は床屋さんであります。したがって、赤と青、白の、何といいますか、何とかボードというあれがあって、ガラス戸がずっとはまっている。午前八時ころに木下代議士が——これはもう木下代議士は橋本宅から出ましたけれども、さらに調査を続行していたわけです。佐藤町議宅襲撃の気配があるということで、この朝二回にわたって警備依頼の電話をした。このことはお認めになりますか。
  177. 半田博

    説明員(半田博君) さような要請があったと承知をしております。
  178. 内藤功

    内藤功君 そうして窓ガラスを完全に、その写真にあるように打ちこわして、そうしてこの山本さんという人、これはたまたまこの理髪店の前におったわけですね、それをもう徹底的に追っかけ回しているので、こわくなってこの共産党の町会議員さんのうちへ、床屋さんに飛び込んだところが、そこを追っかけてきた。そうしてめった打ちにして——詳しいことは告訴状に書いてありますが、失明寸前と、もうこれはおそらく目がつぶれるだろうという診断であります。重症ですね。これなのにこの犯人をつかまえていないんです。どうですか、このことは。しかも、名前はっきりしているんです、この人は。私どもは、名前もわからない人を調べているというのならまだわかります。しかし、これは長谷川という人。あなた方は長谷川清次氏とか長谷川清次さんとか言った。まあまだ有罪が確定していないからというんでしょうが、そういう言い方は、被害者に対してはどういう感じを与えるか、これもあわせて考えていただくことが警察としては大事じゃなかろうかと思いますね。それはともかく、このようにはっきり長谷川清次さんという、清次という名前が出ているんです、これはね。なぜこれをつかまえないんですか。診断書と——いいですか。診断書とそれから実況見分書と捜査報告書と、それから佐藤町議の供述調書で、もうすぐつくれるじゃありませんか。これは、字の書ける人だったらできます。私は、いままでこういう暴行事件に何回となく立ち会ったことがあるが、まず三、四時間あれば、こういう傷害事件の書類はできる、そんなものは。それを添付をして裁判官に令状請求すれば、逮捕令状とれるんです。これはもうあなた方に言うまでもない。しかるに、これだけの、被疑者がはっきりし、事案もはっきりし、公然とやられている事案について、逮捕をまだしてないのは非常にふしぎだ。これはいつ逮捕するんです。いつ強制捜査に踏み切るんです。また、ぜひこれは検挙してもらう必要がある。そうしないとどんどん増長しますよ、これは。この点伺いたい。
  179. 半田博

    説明員(半田博君) 捜査の進展を待ちまして適正な捜査措置を講じたいと、かように考えます。
  180. 内藤功

    内藤功君 そういう答弁は、もう何回も何回も共産党の代議士の調査団に対して言われているんです。捜査の進展を待ってやるのはあたりまえじゃありませんか。事件から何日たった。十月二十八日にこの問題で東中議員は県警へ行ったところ、いつ逮捕するんだと、いつ実況見分するんだと。まだ実況見分もしていない、現場検証もしていない。それで、ガラスがこわれて寒いじゃないかと言ったら、ああそうですかと、二日目にやっと、寒いじゃないかと言ったら来た。ガラス屋じゃないんであります。警察がこのざまであります。そうして、しかも、お医者が十分間しかこの被害者と話してはいけないと言うから調査をしない、被害者の調書もとらぬ。あなた、恥ずかしくありませんか、警察官として、お粗末の一字ですよ。お粗末というか、被害者の人権は一体どうなんです、これは。大体医者が十分間しかこの人は話せないというのは、重症なんです、逆に言うと。十分間しか話せないんなら、十分間の中で、あなたやられましたね、やられたと。そうしてだれがやったんですか、長谷川だと。何時ごろですか、何でやられた、角材だという。それを書いてやって、判こを押して、十分間でできます、これは。そう腕っこきでなくても、一年ぐらいおまわりさんやればできるんです、これは。やらない、こういうことは、もうひょっとするとやる気はないのかこの捜査は、ということを思われます、これは。私は、この最も明白な事件はこの事件だと。これと、橋本先生の包囲事件、十月二十二日木下代議士事件、橋本さんの包囲事件、監禁事件。そうしてこのあれでしょう、ガラス戸ぶっこわして、けがさして、失明させた事件。これはもうはっきりした事件ですから、まずこの三件。たくさんやろうとするとたいへんだとしたら、集中的に、はっきりした事案からやっていけばいい。捜査の常道が全くわかってないんじゃないかと。あるいはひょっとすると——世の中ではこう言っていますよ。警察は、こんなおかしなことをやっているとすると、かばっているのかと、逆に。あなた方はおこるでしょうね。おこるのがあたりまえ、おこらなきゃおかしいんだ。かばっているんじゃないか、ぐるになってるんじゃないかと言う人だっているんです。だれだって思います。ここで聞いておられる方々だってそう思うと思う。一体どうするんですか。いつこれについて——明確な三事件に私は質問をしぼっていきましょう、この木下事件、さらにこの事件——三つの事件について。どうです。いつ捜査に、強制捜査に踏み切るか、また、実況見分はやっているのかどうか、この二点を伺いたい。
  181. 半田博

    説明員(半田博君) いつ強制捜査に踏み切るかというふうなことについて申し上げることは差し控えたいと思いますが、この点については、誠意をもって捜査をいたしたいと思います。  なお、実況見分はいずれもやっておりまするが、御指摘のとおりに、この佐藤氏宅の事件についてはやや実況見分がおくれたというふうに私も考えます。
  182. 内藤功

    内藤功君 最後に、もう一つの事件です。これは告訴状はまだ出ていないようですが、十月二十七日に吉井誠、吉井誠一——この誠一君のほうは二十五歳ぐらい、日本共産党の養父町の党支部長、このお二人が、いわゆる糾弾と稱して大養父公民館へ拉致されたんであります。そうして東中代議士がこれの救出におもむいたわけです。ところが、警察署長は行かないでくれと言うんです。しかし、これは人命にかかわる問題ですから、国会議員として救出におもむいた。そうしていろんな交渉の経過は省略しますが、この吉井誠一君はびっこをひいて公民館から出て来たんです。顔は、右のくちびるがたたかれている、左のまゆの上が擦過傷である、カッターシャツのボタンが引きちぎられている、さんざんやられたと言って、顔面蒼白で、その糾弾会場からもうびっこをひいて出て来た。足もやられたんですね。明白な監禁、傷害、暴力法違反事件である。  しかも、あとでこの町長は——町長がその公民館にいるわけです。私はこの問題、きょう時間がないから追及できないが、地方自治体の長が、解放同盟の一部暴力集団と結びついて、たき出しをやってやったり、同和予算の中に、はち巻き、ゼッケン、宣伝カー、それから投光器、こういうものの予算を出してやってるんですね。狭山裁判の応援に行く旅費まで出してやっている。重大な問題なんです、実は。これはこの次に追及することにする。自治省の問題でもあるんですね。町長が出てきた。町長が、途中で代議士が来たというので出した。そうしたらその町長があとで、この解放同盟の一部暴力分子の人たちから、おまえは親切にしてやった、差別者を途中で出してやって親切にしたというので、今度は町長が、おまえは差別の気持ちが残っているというので追及された。無法地帯です、これは。こういう動きが日本全国に広がったらたいへんですね。そのために警察があるんじゃないですか。しっかりしてもらわなきゃ困る。この事件についても明白であります。そこにいた首謀者を調べること、方法ははっきりしているわけです。明白な傷害、監禁事件。これについては、一体どんな捜査をし、どうするつもりなのか、捜査の経過を追ってひとつ話してもらいたい。
  183. 半田博

    説明員(半田博君) ただいままでに被害者の取り調べはすでに済んでおりますが、あと、参考人の方をいまさがしまして、その出頭を求めて、これから取り調べをしたい、こういうふうに考えております。
  184. 内藤功

    内藤功君 これから調べますというようなことは、非常に遺憾だと思うんです。  最後に私は大臣に伺いたいんです。大臣は同時に国家公安委員長です。いままでのお話を、問答を聞いておられたと思うんです。どう思います。
  185. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) 先ほど来、兵庫県の事件について、警察のこれに対する措置がきわめて手ぬるいと申しましょうか、そういった意味の御指摘でございました。まあ、ただいま内藤議員の御指摘のようなことであるといたしまするならば、私も警察が法秩序の維持のためにほんとうに真剣にやっているかというような、やっていないような実は感じも私にはいたしました。しかし私は、日本の警察というものは、そういった違法行為が現に起きておるという場合には、それがだれであろうと、また理由のいかんにかかわらず、いつも厳正な態度をもって臨んでおるものと、こう私は確信をいたしておるわけでございます。したがって、ただいま内藤議員の御指摘の問題については、さらにひとつ私ども警察として十分検討をさせることにしたいと、こう考えます。
  186. 内藤功

    内藤功君 問題は、これだけはっきりした事案、特に私がいまここでとりあえず四つの事案にしぼった。大養父公民館、それから佐藤町議宅襲撃事件——いいですか。木下代議士の監禁事件、それから橋本宅監禁事件。ほかにもあるかもしれないが、とりあえずこの明白な被疑者のはっきりした事件にしぼって検挙することが必要だと思うんです、強制捜査が。そうすることによってやはりこの事実をはっきりさせていく。その四件すべてでもいいし、そのうちの何件かでもいい。これをしなければまた起きますよ、こういうことが。警察の責任果たせないことになるんです。いま大臣も言ったように、警察が、内藤議員の言うとおりであれば警察の責任を果たしてないと認めざるを得ないと大臣も言われた。だとしたら、いずれやりましょうとか検討しましょうじゃ、この国会では私はあなた方を帰すわけにはいきません、これは。強制捜査を含む、逮捕を含む捜査を至急にやるのかやらないのか、これをはっきりしてもらいたい。
  187. 半田博

    説明員(半田博君) 捜査はできるだけ早急に行ないたいと考えております。
  188. 内藤功

    内藤功君 答弁になっておりませんね。強制捜査、はっきり言うと、逮捕を含む捜査を実行するのか。絶対逮捕なんていうのはしないというのか、逮捕を実行するのかどうか、この点ですよ、どうです。
  189. 半田博

    説明員(半田博君) それは事案の性質等を調べた上で、逮捕すべきものであれば逮捕するということに当然なると思います。
  190. 内藤功

    内藤功君 事案の性質を調べれば、逮捕しなければこの種事案の発生を防止することできません。私はこの点について、同じ質問大臣にしたい。大臣いかがです。
  191. 町村金五

    ○国務大臣町村金五君) これはただいま半田参事官からお答えを申し上げたとおりでありまして、事業内容について早急に私は捜査をして、その結果に基づいて、逮捕に値するというときには当然警察としては逮捕するのがあたりまえだと私は考えます。しかし、その事実がそれに該当しないということであれば、内藤議員の御指摘ではございましても、それだけで実は逮捕に踏み切るというわけには警察としてはいかないんではないかと、こう考えております。
  192. 内藤功

    内藤功君 最後に法務省にお伺いしたい。人権擁護局長がお見えのようでございます。  昭和四十九年十月二十三日に、いわゆる朝来町の橋本哲朗さんを債権者として、部落解放同盟沢支部代表者丸尾昭を債務者とする仮処分決定、これは、もう時間がありませんが、「主文 一、債務者は、自ら又は第三者をして債権者の居宅の周囲を多人数で包囲し同居宅に向けて拡声機を使用するなどして大声を発し、投光機で同居宅を照射するなど債権者の私生活の平穏を侵害する行為をしてはならない。二、債務者は、自ら又は第三者をして債権者の居宅の周囲を多人数で包囲し債権者の居宅からの出入りを自動車などで妨ぐなど債権者の居宅からの出入りを妨害する行為をしてはならない」、こういう決定が神戸地裁豊岡支部大石裁判官の名前で出ています。これは当然御存じと思いますが、いかがですか。
  193. 萩原直三

    説明員(萩原直三君) この問題は、これを管轄しております神戸地方法務局が取り調べまして、その報告によりますと、そのような仮処分が出ているということを、その報告を受けております。
  194. 内藤功

    内藤功君 この仮処分決定をするに際して、この種の事案では、現場に裁判官がおもむいて現場を現認するか、あるいは現場の模様を詳しく写真その他で疎明を受けた上発するものと思いますが、本件についてどのように裁判官は現場をお確かめになったか、その点は報告受けていらっしゃいますか。
  195. 萩原直三

    説明員(萩原直三君) これは私ども調査によりますと、前回の神谷委員の御質問にお答えしたのでございますけれども、確かに裁判官が現場におもむいてその実情を見たということのようでございます。ただし、どの程度にそれを見たということについては報告受けておりません。で、仮処分決定の疎明資料としましては、債権者側から出されました実情報告書、それからビラ、十月二十三日付の赤旗、それから債権者代理人の報告書、これを疎明資料としていわゆる書面審理で仮処分決定をしたというふうに聞いております。
  196. 内藤功

    内藤功君 大臣並びに警察庁にお伺いしたいが、いまお聞きのとおり、法務省を通してお調べの上、結果としてはこの裁判所の決定は明白にこの橋本さんの家のまわりについて多人数で包囲している、投光器で照射している、私生活を侵害している、自動車でふさいでいる、今後そういうことをしちゃいかぬという決定が出ているわけですね、これは大臣御存じですか。こういうような決定が出ているんです。ですから、さっき内藤議員の言うようなことであればというお話がありましたが、内藤議員どころじゃないんですね、地方裁判所が現場に裁判官が行って認めているんです。これだけはっきりした事案です、これについては。ですから、私どもは、これ以上繰り返しになるから言いませんけれども、すみやかに強制捜査を含む、つまり逮捕を含む厳正な警察権の行使を要望したいと思います。  最後に、質問ではありませんが、本件の質問について、私の立場なり意見を一言だけつけ加えさしていただきます。  これら一連の事件の特徴は、糾弾という名前の集団暴力、事柄の本質は。特徴は、一つは白昼公然とやっている、これが、犯罪のいろんな類型がありますが、特徴だと思います。二番目は一方的暴行だと。つまり、けんかではないんです。一方が常に加害者、一方は常に被害者、無抵抗、こういう事案。三つ目は、警察官が見ている前でやる。平気です。さっきの木下代議士の案件もそうですね。四つ目は、裁判所の仮処分が出ても法をおそれない、裁判をおそれないでやる、こういう悪性が強いと思う。これだけでも強制捜査は相当の事案です。これが一つ。これに対する警察のいままでの——これからはあなた方はこの質問を機会にだいぶ変わられると私は期待したいんですが、いままでは強制捜査しない。しないです、全然。捜索もしてないでしょう。そのためどんどん続発する。この種の被疑者、この種の犯罪を犯す人間というのは次々増長してやる。実況見分もおそい。もたもたしている。それから現認書をなかなか書かない。野間代議士の報告だと、事件の三、四日してあるいは十日くらいして警察署へ行ったところが、現認書をいまから書きますというようなことを言っているらしい。そこで一喝したらしいのですが、こういうお粗末というには、あまりにも怠慢が見られる。  最後に、この暴力事件は、あたかも兵庫県の知事選挙の最中です、御承知のとおり。この兵庫県の知事選挙の中身は私はあえて言いません。この中で、日本共産党は当然その支持する候補を推して、全県下にわたって選挙戦を展開したわけです。この但馬地区にももちろん共産党の支部があります。他の一緒に戦っている社会党とも、一緒に支持をしている政党を推したわけです。そういう中で、この但馬地区では共産党の選挙活動はできないのですよ、これでは。共産党の国会議員、地方議員に攻撃を加えられるのですから、十月下旬から十一月のあの選挙にかけて、この期間は選挙はできない。しかも、ここは自治省としてよく聞いていただきたい。町当局は、そういう日本共産党の議員に不法な攻撃を加える人たちに対して、公民館を貸したり、投光器や電灯や、先ほど言った道路使用の許可を——これはまあ警察ですが——与えたり、便宜をはからっている、こういう状況です。非常にこういう意味で重大な問題です。したがって、これは警察の権限行使があまりおそくなったり、あまり手ぬるかったりすれば、世論の糾弾を受けます。批判を受けます。警察の厳正、公平、中立といわれているもの、法律に書いてあるそれが問われている事案であります。かつ、次々と糾弾によって町当局を自分の影響下におさめている、この無法な一部暴力集団をこのままのさばらすかどうかという問題なんです。そういう意味で私は厳重にこの調査を要求したい。私たちは、もちろん部落解放運動については、日本共産党ができたときから一生懸命これは誠実に戦ってきた政党であります。また、部落問題については、同和対策特別措置法もあり——これはわが党は改正を要求していますけれども、公正にして民主的なこの同和行政を要求し、その法案もいま準備をしている、戦っている政党であります。しかし、そのことと、部落解放を肩書きとしながら、自分たち以外は差別者である、差別者にはわれわれの気持ちはわからない、糾弾しなきゃわからない、糾弾は暴力をふるうんだ、こういう立場でやっているいまの解放同盟の中にいう一部の分子、私どもはこれを朝田一派と言っています。この人たちは、部落解放運動の昔からの伝統というものを正しく承継していないものだという形で考えています。そういう立場から質問をした次第です。あなた方が、厳正な職権の行使をされることを要望しまして、時間がありませんので質問を終わります。
  197. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時三十四分散会