○和田静夫君 政府が人勧の完全実施決定をそういう形で長引かせてこられた。これは自治
大臣も
御存じのとおり、私は自治
大臣とそして給与
関係閣僚会議の座長である二階堂官房長官と同席をされた決算
委員会で、八月の二十日ごろでしたが、早期完全実施をきめますね、二階堂官房長官は、わずかもう一秒で、八月三十日までにやりますと、こういうことであったんですよね。それで、それを信用してたらずっと延びちゃったという経過があるんで、非常にこれは私は食言問題とまで
考えていたんですが、まあきまってしまいましたからあれですが、この間で、
地方公務員について私は二つの面で世論の操作が行なわれたような気がするんです。言ってみれば、
地方公務員と国家公務員の賃金対比、ラスパイレス方式そのものにたいへん問題があるのに、政府の側は新聞を使って社説にも書かせる、解説にも書かせる、
地方公務員は数が多いんだ、賃金が高いんだといううそを並べ立てるという
状態が起こりました。私はまあこれは基本的な問題ですから、時間をかけてずっと論議をしてみなきゃなりませんし、言ってみれば前歴換算が
自治体の長の自由裁量になっている、そういう
地方公務員、そこのところの補正を行なわないで、単純比較でもっての信憑性などというものはないというのが私の主張であったし、この比較技法の問題は論議の過程にある問題でもあるわけですね。いま私はそのことを実は詳しくやろうとは思っていないのですが、どういう世論操作が行なわれたかというと、
一つは、
地方公務員の給与は国に比べて非常に高い、そのために何か
行政費さえももう食われてしまっているというような言い方、つまり、
自治体が住民の福祉を
考え、かつ
行政の効率的運用につとめているにもかかわらず、それには少しも何か取り組んでいないかのごとき印象を与えるようなPR、もう
一つは、
地方公務員の定数がふえていて、
自治体の定数管理がずさんであるかのごとき宣伝が行なわれました。これは私は非常に残念なことだと思う。いま公
務員部長から説明がありました
地方公務員の給与
実態調査。この発表された時期、いやこれは定期のものだから意識的でないと言われてしまえばそれまでですけれ
ども、この時期も、政府の世論操作の進行過程でなされたために、実は政府に都合のいいように利用されているんじゃないだろうかと思われてしかたがないんです。
そこで、
調査結果について若干聞きますが、給与すなわち労働の対価は、本来、労使の交渉によって労働力の需給
関係等を背景に相互の信頼と良識を前提に決定をされる、それが他に比べて高いとか低いとかというのは、本来形式的にきめられるものではない、
実態調査の統計のとり方に誤りはないだろうか、
地方公務員の給与はほんとうに高いのか、また、形式的に国家公務員より高いとすればそれはどういう理由に基づくのか、そういった給与論の問題は、先ほ
ども言ったとおり基本的にあります。いずれ報告の
内容を十分検討した上で、これはもうまじめな論議として後日やらなければならぬと思うんですが、そこできょうは若干の問題だけ実はお尋ねをしておきたいんです。それは、
地方公務員の賃金が、その
制度運用を含めて国家公務員と同じでなければならないとする、政府、
自治省の論理というものを私は承認をした上で言うのではありません。現行
制度上、
地方公務員の賃金が国家公務員の賃金と同じでなければならないという理由は、これは何もないんだと思うんです、もう。まして、現在のような社会経済情勢下では、
地方公務員の賃金を相当引き上げない限り、
自治体に人材は得られないというのが
実情であることは皆さんがよくおわかりですよ。私たちはその意味でここではっきりさせておかなけりゃならないことは、問題は、
地方公務員の賃金が国家公務員のそれと比較して高いか低いかというところにはない。確認すべきことは、経済成長の鈍化とインフレの爆発によってずっと進んでいる
地方財政の危機ですね。この危機に直面して、政府がまず
地方財政の中に占める人件費の総額なりその割合なりを押えようと企図して、
地方公務員の賃金は高過ぎるという言い方で何か世論操作をされている。そこには明確に何か論理のすれ違いがあるということを私は
考えるのです。すなわち、
地方公務員と国家公務員との賃金比較ということと
地方財政における人件費総額の多少とは全く別次元の問題だ。
地方公務員と国家公務員と、この賃金を比較するという場合に、先ほ
ども言われましたが、同一学歴、同一経験年数を有する職員を個別に比較するのでなければ、何の意味もないのですよ、これは。しかるに、人件費の総額というのは
平均賃金かける職員数でしょう。同一学歴、同一経験年数ごとに個別に比較された賃金の高低に比例するものではこれはありませんよ。これはもう中学生になればもうこんな論理はちゃんと通りますよ。そうすれば、あなた方の統計は、官庁統計
数字というのは、何か政策目標をつくっておいて合わせることがじょうずなんだと。昔からうそに三つあると言われるうちの
一つに数えられているのですが、どうもそういうところに流れてませんか。