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1974-09-05 第73回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月五日(木曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 加藤 武徳君                 安田 隆明君                 和田 静夫君                 神谷信之助君    委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 岩男 頴一君                 夏目 忠雄君                 細川 護熙君                 赤桐  操君                 加瀬  完君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    町村 金五君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        内閣法制局次長  真田 秀夫君        警察庁刑事局長  田村 宣明君        警察庁刑事局保        安部長      荒木 貞一君        警察庁警備局長  山本 鎮彦君        行政管理庁行政        管理局統計主幹  松井 敏夫君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        大蔵省銀行局銀        行課長      宮本 保孝君        文部省初等中等        教育局高等学校        教育課長     柴沼  晉君        文部省管理局助        成課長      西崎 清久君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    吉崎 正義君        厚生省児童家庭        局企画課長    加藤 陸美君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省住宅局住        宅建設課長    国吉  忠君        自治大臣官房審        議官       山本 成美君        自治大臣官房審        議官       遠藤 文夫君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省財政局長  松浦  功君        自治省税務局長  首藤  堯君        消防庁長官   佐々木喜久治君     —————————————   本日の会議に付した案件  地方行政改革に関する調査  (丸の内ビル街爆破事件に関する件)  (地方行財政等の諸問題に関する件)     —————————————
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査を議題といたします。  まず、丸の内ビル街爆破事件に関する件について関係当局から報告を聴取いたします。
  3. 田村宣明

    説明員田村宣明君) 丸の内ビル街爆破事件につきまして御報告を申し上げます。  まず、事案概要でございますが、御承知のように、八月三十日の午後零時四十三分ごろ、千代田丸の内三菱重工の本社に、男の声で、「三菱重工前の道路に爆弾二個を装置したから、すぐ避難するように。これは冗談ではないぞ」という予告電話がございまして、その直後の零時四十五分ころ、同ビル一階正面玄関前の歩道の上にありましたコンクリート製植木ちの付近で突然爆発が起こりまして、付近にいた通行人等八人が死亡し、二百八十九人が負傷するとともに、付近ビル窓ガラス窓ワク等が破損、付近に駐車中の車両九台が大、中破するという事件発生をいたしました。  これに伴う警察措置でございますが、事件発生直後、一一〇番通報事件を認知いたしました警視庁では、直ちに負傷者救出救護交通規制などに当たりました。  そして午後一時三十一分、事件重要性にかんがみまして、総合警備本部を設置いたしまして、警察官二千五百五十人を増強配備いたしまして、死傷者救出救護搬送現場周辺交通規制と群衆の整理、緊急配備による不審者発見等初動措置を講じたのであります。  また、警察庁におきましても、この種の類似事案発生に備えまして、同日午後一時、警察庁次長を長とする丸の内ビル街爆破事件対策本部を設置いたしまして、各都道府県警察に指示をいたしまして、三菱関係商社・工場をはじめ重要防護対象に対する警戒警備及び火薬類盗難予防措置等の強化につとめ、同種事案未然防止に万全を期しております。  次に捜査状況でございますが、同日午後二時、警視庁では、丸の内警察署丸の内ビル街爆破事件特別捜査本部を設置いたしまして、捜査員二百八十五名を専従させて、現場検証被害者からの事情聴取現場周辺の聞き込み捜査等捜査方針によりまして、現在、所要の捜査を進めております。  現在までの捜査によりますと、爆発現場から積層乾電池の破片や時計の部品が発見されておりますところから、時限式起爆装置を施した爆発物使用されたものと見られます。また、三菱重工ビル入口の柱から採取いたしました諸資料の鑑定結果等から見まして、確定的ではございませんが、ダイナマイト使用したものというふうに推定されます。  なお、爆発直前におきます目撃者の供述を総合いたしますと、爆発現場コンクリート製植木ばち付近に、高さ四十センチ、直径三十センチくらいの円筒形紙包みが二個置かれてあったということ、それから被害状況から見まして、爆薬の量は二十キログラム以上というふうに推測されるのであります。  また、犯人像につきましては、いまのところ有力な容疑者等は浮かんでおりませんが、当日の午後零時二十分ごろ、現場白手袋をつけた不審な若い男二名が立っていたこと、さらに地下鉄千代田線の新御茶の水駅付近から、円筒形荷物二個を持った二人連れの若い男がタクシーに乗りまして、そのうちの一人が午後零時三十分ごろに現場の前で荷物とともに下車したというような目撃者も出ておりますので、事件との関連性等について掘り下げて捜査を進めておるところでございます。  なお、現段階におきましては、犯人爆発物マニア、あるいは極左暴力集団あるいはその他の者、そのいずれの犯行とも断定できるような資料は得られておりませんので、幅広い捜査方針のもとに現在捜査を進めておる、こういう状況でございます。
  4. 久保田藤麿

  5. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 丸の内ビル街爆発事故についての消防関係の御報告を申し上げます。お手元に差し上げております資料に基づきまして御説明を申し上げます。  当日の気象状況は、天候曇り、風速四・五メートル、気温二十九・五度、湿度六五%でございます。  この爆発事件につきまして消防が覚知いたしましたのは、第一報が十二時四十八分、火災専用電話一一九番による通報がございました。丸の内千代田ビル電機ビルとの間、大事故ガラスが割れて通行人がけがしている。何か大爆発らしい。かなりの事故です、こういう第一報が入りまして、これにより消防機関出動をしたわけでございます。出動部隊ポンプ隊が十五隊、はしご隊三隊、特別救助隊五隊、排煙隊、高発泡隊おのおの一隊、救急隊三十隊、無線司令車広報車等が十五隊、計七十隊でございます。出動人員は三百二十三名になっております。  この事故によりまして、車両火災が一件発生をいたしたのでありますけれども、これは直ちに消しとめられまして、ポンプ隊は放水に至らなかったのでありまして、もっぱら救急活動がおもな消防の担当であったわけでございます。  救急隊活動状況でございますが、この爆発事故による死者は八名でございまして、現場においての即死が五名、病院収容後死亡が三名ということになっております。負傷者は約三百名であったのでありますけれども、このうち、救急隊によって医療機関搬送した人員は百六名でございます。そのほか、警察車両タクシー民間車両によって搬送され、あるいはまた、もよりビル街診療所等応急手当てを受けたわけでございます。  なお、収容病院慈恵医大付属病院警察病院、虎の門病院等、二十七病院となっております。  建物内の負傷者につきましては、特別救助隊により救急車へ搬出救護された者と、建物内診療所で初療後、症状によっては救急車で転院搬送された者がございます。  なお、現場救護所を二カ所設置し、特別救助隊等により救出救護された者の初療及び症状による区分後、救急車搬送をいたしております。  医療機関現場出場いたしました状況は、まず、さしあたり付近三和会中央病院から医師一名、看護婦一名の医師出場を要請いたしました。さらに東京都の医療対策課あて都立病院への収容要請をいたしますと同時に、日本赤十字社並び東京医療班現場への出場を要請いたしまして、日赤からは救護班三十名、東京医療班十六名が現場出場いたしまして、応急救護に当たったというのが状況でございます。  以上でございます。
  6. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 まず、いま関係当局から、三菱重工ビル内爆発事件概要についての報告がなされましたが、この事件については、爆薬をしかけたのはだれかという犯罪追及の面と、火薬類管理取り締まりの全体の問題と、さらに救急活動消防活動の問題というのが検討されなければなりません。  そこで、犯罪追及について、いまも報告があったとおり、大がかりな捜査が行なわれている、こういうことですが、したがって、多くのことを言うのを差し控えておきますが、抽象的にいま述べられたのですが、何か新しい情報の提供など、そういう新事実が今日判明を全然していないと、こういう状態ですか。
  8. 田村宣明

    説明員田村宣明君) 現在のところ、特に新しいという情報はございませんが、いままでの捜査犯人と思われる者の目撃がございまして、先ほどの御報告よりやや詳しく申し上げますと、事件当日の零時十五分ごろに、タクシー運転手が新お茶の水駅近くから若い二人連れの男を乗車させまして、現場三菱重工ビル前で一名をおろしておるのでございますが、その際、先ほど申し上げたと同様の円筒形荷物を二個持っておりております。そして、ほかの一名はそのまま東京駅の北口まで乗っていっておる。  それから、これも先ほど申し上げましたが、零時二十分ごろに爆発現場付近で、白手袋をつけた二名の若い男が立っておったのを目撃しておるという者もございまして、若干、時間的なズレというものはございますけれども、これらのものの関連性というものについてさらに捜査をする必要があるということで、こういうふうな点の詰めについて現在力を入れて捜査をしておるという状況でございます。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 そういう関連性から推察をして、一つだけ聞いておくのですが、これは組織的なものの犯罪考えているのであるか、非組織的なものとお考えになっておりますか。
  10. 田村宣明

    説明員田村宣明君) 現在この犯罪をどういうふうに考えるかということでございますが、いま申し上げましたその三名なら三名の者が関連をするということで、三名をもって——たいへん理屈っぽくなりますけれども一つ組織というふうに考えれば、この三人が関連を持ってやったということであれば、組織的ということも言えようかとも思いますけれども、それよりももっと大きな組織、そういうものが関係をしておるのかどうか、あるいは単独犯に近い、ほんの——組織と申しましても、二、三名の者だけでやったものかということにつきましては、現在、そのいずれであるというふうに裏づけを持って推測をするような資料はございません。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 第二の問題ですが、火薬類について、火薬類取締法によって、生産、販売、保管消費あるいは残留火薬措置等、あらゆる面で立法上は相当強力に規制されているはずですね。で、なお今回のように強力な爆発力を持った爆弾使用した事件がそれでも惹起されている。これは火薬類取り締まり管理が法的に不備なのか、あるいは法的な規制ではどうにもならない問題を含んでいるのか、その点、警察としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  12. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 警察といたしましては、毎年二回にわたりまして、全国で三万有余の貯蔵所あるいは消費現場立ち入り検査をいたしております。その結果を見ますと、末端消費現場におきましては、大体一割近いところがやはり保管管理に対して適正を欠いているような実績が出ておるわけでございまして、全体としては大体七%程度要注意個所がございます。それらは組織的にいろいろ考えるところもございますけれども保管管理のかぎの問題なり警報装置の問題について、やはり十分整備が足らないという面もありますし、末端消費現場におきましては、そういうふうな保管管理と、保管管理する者の心の問題というのが相当問題になっておるように思うわけでございます。ですから、今後におきましても、一人一人が各現場現場において、より以上の注意を進めていくような管理体制を強化するということが大切であろうと感じておるわけでございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 私は、一体、法的に不備があるとお考えになっているのかというような形での質問を申し上げたのです、一つは。そういう点はどう考えていらっしゃるんですか。
  14. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 法的な点については、今後そういうふうな、実際に基づきまして改善すべきものはどんどん改善していくような、やはり関係官庁との間の私は検討が必要だと思うんです。ですから、実際に第一線における保管管理があまり十分に行なわれないということについては、末端における取り扱い責任者というものをやはり整備をするなり、あるいはその整備をいたしましても実効があがらない問題については、行政処分を強化するなり、そういうような検討をさらに加えていくこともやはり必要であろうというふうに感じておるわけであります。ですから、見張り人を置くとか、あるいはいろいろの点がありますけれども見張り人というものがどういう立場でどういうような責任を負わせるかという、こまかい指導監督というものが行なわれなければ、一片の文字だけではなかなかまいりません。ですから、今後いかに文字整備いたしましても、実際はやり方にあると思うんです。ですから、もちろん法的整備については検討を要する点はまたあろうと思いますけれども、それだけではなかなか、いまのような盗難ということということの防止が完全であるということは言えない、両々相まってできるような措置をしていかなければならないということを強調いたしたいわけでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁は、たしか、沖繩におけるところのダイナマイト五百本のいわゆる盗難事件について、沖繩県警に対して報告を求める、こういう態度をとられましたね。そうすると、この沖繩における盗難をされたダイナマイトがこの事件使用をされた、そういう可能性というものを十分に含んでいると判断をされているわけですか。
  16. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 沖繩事件につきましては、事件当初におきまして、すでに警察庁は把握をしておりまして、警察庁からも現場に対して関係者を派遣をいたしますし、その盗難責任に対する行政処分をして、知事から改善命令が出ておるわけでございます。しかし、今回の事件も、十分その関係もひとつあわせて考えていかなければならぬということで、その後の捜査状況なり、そういうふうなものをつぶさに点検をして、報告を求めておるということでございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 沖繩ダイナマイトが紛失をした、それが、たとえばいま想定をされるように丸の内にあらわれた。そうすると、そういう形の運搬なりというものが、どういう状態で行なわれたと判断をされるわけですか。それから、盗難事件そのものについて、非常に時日を経過をしながらも、警察当局がまあ無力だ、こういう状態については、どういうふうに一体考えていらっしゃるんですか。
  18. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 一つ沖繩の問題を例示されてのお考えでございますが、ダイナマイトなど爆薬が従来どのぐらい盗まれているかという点について、あわせてひとつ御報告を申し上げたいと思いますが、昭和四十五年以降、本年六月まで、ダイナマイト盗難は五百十キロに及んでおるわけでございます。ですから、百グラムのダイナマイトの本数にいたしますと、五千百本になっておるわけでございますが、その後、それらの盗難事件に対して検挙努力をいたしまして、回収できましたのが二百八十五キロ、まあ約五六%近いものを警察の力で回収をいたしておるわけでありまして、残りますのが二百二十五キロ、ですから、百グラムにして二千二百五十本と相なるわけでございます。  結果的な問題についてのお考えでございますが、警察といたしましては、事犯検挙と同時に、そういう爆発物回収努力をいたしておりますが、もちろん沖繩のものが東京で行なわれたとするならば、運ばれなければいけない。その運ぶ過程においてどういうふうな努力がなされているかということについては、結果的にはひとつ遺憾の点があるわけでございますが、私どもといたしましても、八月一日付で警察庁長官通達を出しまして、爆発物も含む凶器の使用犯罪というものを未然防止をするために、全国的にこれが取り締まりを行なうように通達を出しておるわけでありまして、一般の方々に御迷惑の及ぶこともございますけれども職務質問なりあるいはそういうチェックをいたしまして、事犯未然防止努力をしておるという点について御了解をいただきたと思います。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 今回の事件に関して、一つですね、当初の報道といいますか、当初の急報が、プロパンガスの爆発であったというような形のものが一斉に流れました。私は、まあ現実それをキャッチしたタクシーに乗っていました。これは一体どういうところから起こる誤報ですか。どこの責任ですか。
  20. 田村宣明

    説明員田村宣明君) 確かに、最初私ども出所は不明でございますが、そういうふうな情報を聞いたことは事実でございます。しかし、これはおそらく——警察側でそういう発表をしたというようなことも聞いておりませんし、爆発の音についての推測でそういうふうなことが言われたんではなかろうかというふうに思いますので、情報出所等確認はいたしておりませんので、ただいまの御質問に対して、はっきり適合いたしましたお答えというのはちょっといたしかねるのでございますけれども、そういうふうなことで、私どもとしても、警察側としてそういうふうな発表をしたというようなことは聞いておらないわけでございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 救急業務は大体おおむね順調に進んだようなんですがね。一部では重傷者救護あと回しになるなど、いわゆる多数負傷者が出た場合の体制不備を今度の場合もやっぱり指摘をせざるを得ない。消防庁としては、この点を一体どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  22. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 多数の死傷者発生いたしました関係で、負傷者傷害程度というものの判定にあたって、やや混乱が起きたということは事実のようでございます。救急業務実施にあたりましては、傷病者状況から、その傷害の大きい者から運ぶというのを原則にいたしておりますけれども、あの現場におきましては、その選別ということが十分に行ない得なかったという面があったようでございます。そういう意味におきまして、私どもその点についての、いわば傷害程度選別を、どういう形で、どういう方法でやるかという点がこれからの検討課題であるということを考えておりまして、ただいま東京消防庁のほうとも、現在、この事故調査に並行いたしまして、その救急体制のあり方につきましての再検討をやっておるところでございます。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 今度の事件でもう一つ教えられたのは、近代ビルというのは、外観的には非常に美しい、そして外から見れば堅固にも見える、しかしながら、ガラスは散乱をする、そのことによるところの人的被害か非常に大きい、こういう状態というものを、予想外のものとして非常によく教えられたと思うのです。地震、災害などというような対策上、これらのことが反省の材料に十分ならなければならぬと思うのですが、その辺についてはどうお考えになっておられますか。
  24. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 今回の爆発事故に際しまして、ガラスによる傷害というのが非常に多かったことは御指摘のとおりでございます。こうしたガラスによる被害というものが、大きい地震の際にどういうふうに起こるであろうかという点につきましては、過去の大地震事例等から見まして、なかなか判断がしかねるところでございまして、たとえば新潟の地震の際には、こうしたガラスによる被害というものはほとんど起きておらない状況でございます。十勝沖地震の際には、函館付近におきまして学校が倒壊いたしておりますが、その際には、ガラスがほとんどこわれておるというような状況でございまして、こうしたガラスによる傷害というものが地震の際にどういう状況になるかという点は、さらに建築関係のほうとも打ち合わせながら検討していかなければならないわけでありますけれども、少なくとも各階ごとに、そうしたガラスが破損した場合に、それを受けとめるような建物の構造ということについて、建築基準法等関係において検討していただく必要があるであろうということで、私どももこの教訓をもとにいたしまして、さらに今後建設省のほうとも打ち合わせをしていきたいというふうに考えております。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 八月二十八日付の自治省行政局長通達、これに、「給与改定実施に必要な諸措置については、国、地方公共団体間の均衡を考慮して行われるべきものであり」云々とありますが、いかなる根拠によってこう述べられているわけですか。
  26. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 地方公務員法二十四条三項、給与決定原則一つである均衡原則というのがございます。で、地方公務員給与については、国家公務員との均衡、あるいは他の地方公共団体との均衡、家計、生活費、そういったものを考慮して定めなければならないということがございまして、これを従来から、私の省といたしましては、国家公務員との均衡をとるという形でずっと続けて指導してまいっております。それを今回も、給与改定実施するにあたって、従来の指導方針に従って注意を喚起するという形で通達を出しております。  その通達根拠をお尋ねかと思いますが、通達根拠といたしましては、地方自治法あるいは地方公務員法に、それぞれ、自治省として地方団体組織運営につきまして技術的な助言ができるということになっておりますし、自治省設置法でそれが自治省の任務ということになっておりますので、それを根拠として出したものでございます。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 きょうは多摩川の決壊問題などたくさんありますので、簡単に答弁してもらえばいいのですがね。私が言っている質問の趣旨というのは、いまの答弁ではなくて、私の聞いているのは、いわゆる行政局長通達なりあるいは指導法的根拠、いま局長が言われたその部分ではなくて、前者の部分ですね、この指導の当然の前提となっているのが、「給与改定実施に必要な諸措置については、国、地方公共団体間の均衡を考慮して行われるべきものであり、」というこのことばです。これを当然のこととする法的根拠とは何かということなんです。「給与改定実施に必要な諸措置については、国、地方公共団体間の均衡を考慮して行われるべきものであり、」と自治省が言う、その根拠は何か。私はこの根拠は非常に誤っていると、誤っている根拠に基づいて大臣以下が記者会見を何べんもやりながら、一方的に新聞でいろいろの地方公務員に対する賃金のいわゆる報道がなされる、その新聞の記事もすべて誤り、こういう状態になっているわけですね。ここを明確にしてもらいたい。
  28. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 先ほどお答えしました前段のところでございまして、地方公務員法第二十四条第三項、給与決定の原則である均衡原則ということに基づいて指導してまいっておるところでございます。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、その二十四条の三項なんですかね、これは明確に職員の給与——「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」、これは職員の給与そのものなんですよ。そのものであって、「給与改定実施に必要な諸措置」といった手続では断じてありません、これは。これは大臣給与決定の基準を示した二十四条の三項を根拠にして、いまの行政局長答弁のように、「給与改定実施に必要な諸措置」といった手続までも国に準ずる、こういうことはたいへんな拡大解釈です。平然とこんなことが行なわれている。  法制局どうですか。
  30. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) お答え申し上げます。  御質問地方公務員法の二十四条第三項の解釈にかかることであらうかと思いますが、条文にございますように、「職員の給与は、」云々云々と「事情を考慮して定められなければならない。」と書いてございますので、これからも明らかなように、ここで問題になっているのはやはり給与の中身でございます。で、給与の改定をする場合のことを考えますと、改定の幅あるいは改定後の給与条例の施行の期日、あるいはそれの遡及適用があれば遡及適用の期間等も含めて、給与の内容について、中身について二十四条三項は立言しているものであるというふうに解釈するわけでございます。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 そうだから、私が述べたとおりですね。
  32. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 問題にされております自治省からの通達の中身を、実は私のほうはつまびらかにしておりませんけれども、いま申しましたように、二十四条三項は、給与の中身を問題にしているのだと、こういうことになります。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 そうですね。職員の給与そのものであって、給与改定に伴うところの措置といった手続ではない、明確でしょう。
  34. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 手続とおっしゃいますけれども、たとえば条例の施行をいつにするかというようなことは、先ほど申しました内容でございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、これだけのことを答えてください。二十四条の三項。
  36. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 三項の職員の給与といっている場合の意味合いは、給与の中身、つまり給与実施の時期、遡及適用の時期も含めて、給与の内容でございます。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、これは委員長法制局長官を呼んでください、長官。あなたじゃだめだ。長官呼んできてください。そんなことになっていないですよ。ここで答弁することが、答えることと前に聞いたことと違うんじゃ困る。職員の給与は……。
  38. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 給与というものは、たとえば一万円を一万五千円に上げるという場合の一万五千円が給与の中身でございますが、いつから上げるか、またいつにさかのぼって上げるかということも、これもまた給与の中身でございます。本日から上げるか、あるいは四月にさかのぼって上げるかということは、これはまさしく給与の中身ではございませんでしょうか。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 長官呼んできてください。政府委員、だれかいるでしょう、法制局。あなた、そう言われるのなら、そう言われるのならば、この二十四条五項「職員の給与以外の勤務条件を定めるに当っては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように」、こう言っていますね。同条三項では、先ほど申しましたように、職員の給与については、単に国及び地方公共団体の職員との間の均衡だけではなしに、「生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」となっている。この意味するところをどういうふうに解釈しますか。
  40. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) それはこの条文にまさしく書いているとおりでございまして、「国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して」きめるということを言っております。そこで、たとえば民間が四月から上がっているならば、やはりそれも考慮に入れて、四月に遡及して、適用するというのが給与の中身ではございませんでしょうか。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 私はこう思うのですよ。これは違っているのなら違っていると言ってくれればいいのです。地方公務員給与というのは、地公法の二十四条三項に規定された基準に従って、地方公共団体ごとの置かれた条件やあるいは事情を考慮して、条例によって独自に決定できるというのがこれは同法の趣旨でしょう、そうですね。
  42. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) いま時期を申し上げたので、非常に先生こだわっていらっしゃるようでございますけれども、かりに国の公務員の給与が四月に遡及して適用されるというようなことがあれば、やはり地方公務員法の二十四条三項に言っている考慮事項としては、遡及適用時期も見なければいかぬだろうと私は思います。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 私の聞いていること、私の述べたことは間違いですか。私がこういう趣旨ですねと言ったことは間違いですか。
  44. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) それは二十四条三項に書いてある、諸事情を考慮しろということでございますから、そういう御意味合いであればまさしくそういうことでございます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 そこで人事委員会の設置を規定したほかの規定がありますね。このことはいまのことを裏から立証している、私が言ったことを。  地方公共団体のうち都道府県と政令都市には、公務員から労働基本権を剥奪した代償の措置として、国の人事院に準ずる機能を持つ人事委員会を義務づけているわけです。そして人事委員会は、議会と執行機関に対して相対的独自性を持っております。地域の民間賃金や生計費を調査して、絶えず給与制度について研究を行なっている。そしてその結果に基づいて、毎年職員の給与に関する報告、勧告を行なうことになっているわけです。したがって、少なくとも人事委員会を設置している地方公共団体では、職員の給与は、人事委員会の勧告をまって地方議会が条例として定めることが法律のたてまえである。ここも間違いありませんね。
  46. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 地方自治法で、いまおっしゃったような仕組みもございますし、ちょうど国の人事院に相当する、準ずるものとして、都道府県なり、指定市には人事委員会がございます。勧告の制度もございます。それから、それがいわゆる労働基本権の制約に伴う代償措置であるというふうに理解しております。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 ここも私が言ったことに間違いがない。  そこで、もう一つだけあなたにお尋ねをしておきますが、自治省が地公法の二十四条三項を地方公務員給与国家公務員に準ずるべきであるということの根拠法令とする唯一の論拠というものは、先ほども話があったように、国家公務員給与は、人事院勧告により、生計費及び民間給与を考慮して決定されている。したがって、国家公務員に準ずることによって、この二十四条の三項に規定する要件はすべて満たされるということに私は尽きているんだと思います、言い分は。私はこのことにたいへん異論がある。異論があるけれども、きょうの場合、これを百歩譲ってこのことを認めたとしても、この地公法二十四条三項を踏まえての人事委員会というものの存在ですね、法が要求している人事委員会の機能、この法構成を前提とする限りでは、人事委員会の調査、研究、勧告、そして勧告に基づく長の議会への給与条例の提案、こういった、まさに給与改定実施に必要な諸措置は、地方公務員給与国家公務員に準ずべきであるとしても、そのことから、必然的に給与改定実施に必要な諸措置まで国に準ずべきであるということにはなりません。そうでしょう。それどころか、むしろ、給与改定の手続的な過程というのは、これは国と地方との間にズレがあって当然であるというのが法の趣旨になっています。これは与党の皆さん方、首長経験者がたくさんここにいらっしゃるわけですから、すべてそういうことで処理をされてこられている方々です。法制局、どうですか、私の見解に間違いがありますか。間違いがあるかないかだけ答えてください。
  48. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 諸措置というのは、どういう内容を考え通達をお出しになったのか、私ども実は知らないのです。ただ、私どもの言えることは、その二十四条三項というのは、職員の給与のことを言っているのである。その職員の給与というのは、まず考えられるのは、給与の中身のことである。その中身というのは、実施の時期、遡及適用の時期も含めての話である、こういうことでございます。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 給与の中身のことであるということですね。そこで、いまいろいろ議論をしました。この自治省行政局長通達というのは、「給与改定実施に必要な諸措置については、国、地方公共団体間の均衡を考慮して行なわれるべきもので」あるという独断の上に立って、議案の提出等の措置も国に準じた時期に行なうべきものであると指導しています。これは明確に地方公務員法違反です。これは自治省の官僚の皆さんが地方公務員法違反を犯している。法制局、そう思いませんか。
  50. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) どうも私のほうから——具体的な通達の中身一々について御相談を受けたわけでもございませんし、いきなりここで、自治省地方公務員法なり、地方自治法違反をやっているということを断言するほどの勇気はございません。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃもうしょうがない、法制局長官に来てもらわなければ。高辻法制局長官時代は、何べんも、定年制法案やら、市町村連合法案やら、自治法、公務員法の解釈をめぐって、自治省の見解と法制局の見解がまっ二つに割れるというようなことが何べんもあったんですよ。そうして委員会はそのつど、少し協議をしましょうということで、いろいろ協議をしてきた経過がある。あなたのような答弁をしていたら独自性がないじゃないの。相談をされたかされないかというのは別問題ですよ。あなたは厳格に、地方公務員法二十四条三項の私の解釈について、間違いか間違いでないか、間違いでない。間違いでなければ、向こうが間違っているのだから、間違ったものに基づいて出したものは地公法違反だ、明確じゃないですか。そうでしょう。そうですと一言答えれば、わざわざ長官まで来てもらう必要はないのです。
  52. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 地方公務員法の二十四条三項の解釈は、はっきり申し上げたとおりでございまして、それと照らしてもう救う余地がないと、その通達の中身が。そうであれば、もちろんそれははみ出したものであろうと私は思いますが、ただ……。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 そこでいいよ、それでわかった。明確になりました。そこで大臣、こういう状態なんですよ。私はまじめに法解釈をしてみて、そうしていままで自治省の官僚の皆さんが私に教えてきた、そういう解釈法的な論理に立って解釈をしてみて、いま法制局が述べたとおりです。そうしますと、この通達が、たとえば九月議会への給与条例の提案を何ら妨げるものではないということになります。それを押して提案をした場合でも、当然財政局長、報復措置などというようなことを——正式な場所で言われたかどうかは別ですよ、そんなことはとにかくない、こういうことになる。明確ですよ、いまの法制局とのやりとりで御存じのとおりですから。町村さんもすぐれた北海道の知事だったわけですからね。その立場で処理されてきたことだから、明確にしてください。
  54. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) このほど行政局長が出しました通達について、激しい御異論がある、こういうお立場に立っての、ただいまいろいろの御質疑を伺っておったわけでございますが、私もあまりこまかい正確な法律論ははなはだふえてではございますけれども、しかし、私の理解をし、考えておるところでは、地方公務員給与というものは、国家公務員に準ずると申しましょうか、国家公務員との均衡原則の上に立って支給されるべきものだと、こういう私ども考えに立っておるわけでございます。したがって、先般の行政局長からの通達も、いま御指摘がございましたように、そういった内容まであの地公法の規定には入っていないのだと、こういう御解釈のようでございますけれども自治省といたしましては、従来から、そういった給与に関する諸措置も準ずると、したがって、時期も大体国家公務員に準じて行なわるべきものだと、こういう実は判断に立って通達を出したわけでございますので、私はこの通達は現在の地公法に違反をするものではない、こういうふうに私は大体解釈をいたしておるわけでございます。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 それは町村自治大臣、だめなんですよ。内閣法制局は、いま論議をお聞きのとおり、明確に私の論理を認められたわけですよ。そうして、地方公務員法の二十四条三項の解釈は、いわゆる和田解釈が正しいということになったわけです。そうして、林行政局長名の通達というものは地公法違反だということになった。地公法違反だということになった以上は、この通達でもって行政指導を続けられるということは誤りだということを言っているだけです。こういうことです。そうですね。
  56. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 法的な解釈として、いまの二十四条三項が給与の中身であると、中身をさしているのだということは、われわれも従来そう考えております。しからばその実施の手続、この手続を行なう時期までこれが言っているかといえば、法的には厳密にそのまでは要求していないということも言えるのかもしれません。しかし、そのいつの時期に行なうかということは、地方団体それぞれの事情でいろいろ御判断もなさいますが、地方団体自体で判断しにくい事項、たとえばそれに関する財源措置がどうなるかとか、あるいは国家公務員に対する改正の中身がはっきりといつどう確定するかということは、そのときの事情によって非常に明らかでない時点においてあまり早く措置するということは地方公共団体の運営上適当でないという考え方を従来ずっととっておりまして、これ自体は、私は地方団体の運営に関する技術的助言指導ができるという判断の範囲内でそれに対して運営指導ということは従来できると考えております。そこで従来は、この中身が国家公務員に準じろと書いてある、この規定を具体化する手続その他も国家公務員の時期、その他に合わせてやるのが適当だということをもうずっと長いことわが省の方針としてとっておりまして、それを指導しておる。これが地方公務員法違反であるとは毛頭考えておりません。特に、ことしは給与の人事院の勧告の内容が非常に高いパーセンテージでございまして、したがって、地方団体の財政運営その他に与える影響も例年に比して非常に高いわけでございますので、従来の指導方針をこの際再びはっきりしたということだけでございまして、これが地方公務員法に違反しているとは現在も毛頭思っておらない次第でございます。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 行政局長が思っていなくたって、いま内閣法制局と私の論議を通じて、もう違反だということになったんだから、その立場に立ってちゃんとこれ解釈をした場合、この通達のいわゆる効力を求めて、そしていろいろの指導をするという立場はおやめになっていくということが、やっぱり法の趣旨に基づくし、それをまさに執行していくあなた方は、いままでそのことを逆の意味じゃ求めておりながら、今度だけこの問題についてというのは、そんなえこじな態度をいつまでもとる必要ないじゃないですか。そうだから、私の言っているように——きびしいことは言いませんよ。九月議会への給与条例の提案を何ら妨げるものではないということは、もう先ほどの論議でこの通達は明確ですと、ましてや、報復措置などということをお考えになることはもってのほかでありますと、それはそうですと、こうなるでしょう。
  58. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 法的な意味においては、九月県議会に条例を提案することが直ちに無効につながるとはこの指導通達を出した私自身も思っておりません。ただ、運営のどちらが適当であるかということについて、従来の指導方針どおり、特にことしは、そういった時期についてそういう配慮を加えることが適当であるという旨の指導をいたしたにとどまるものでございます。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 指導された立場というのを強調されていますけれども、私のほうは前段、いま行政局長が答弁をされた、そこの部分をしっかり受けとめておきます。  それから、時間がだんだん経過して、なるべくあれしますが、次は、ちょっと消防庁長官、時間の関係もありますから一つだけ、多摩川のこの堰堤の決壊の問題について。——法制局、もうけっこうです。  この多摩川の堰堤が決壊したために、狛江市の猪方地区の住宅十九棟が流失あるいは倒壊するという災害が発生して、たいへんな気の毒な状態になっています。多摩川は安全度では全国でトップクラスで、しかも決壊個所は要注意個所でも、なかった、これは建設省の河川課長の話なんです。このように安全なはずの多摩川の堰堤の決壊は、これはいろいろの問題を提起しておると思うんですが、その一つは、従来から危険個所とされてきたところはもちろんですが、いままで比較的安全と思われてきた個所も、災害という面から見ると必ずしも安心できないということを教えました。したがって、今後の災害対策というのは、この既成観念にとらわれずに、根本的に再検討してかからなきゃならぬということだろうと私は思うんですが、あまりこの問題長く触れるわけにいかぬ、時間の関係で。したがって、三つだけ伺います。建設省を含んで。  第一点は、今回の多摩川の決壊に対する措置を見てみますと、消防、自衛隊、建設省警察ですね、対策関係する人が三千人をこえるほど集まっていろいろ努力をされたようでありますが、このような人的な面はともかくとして、家屋流失の危険を防除するに必要な機材、これを運搬する機動力というものの備蓄が不十分であったと思われますね。で、何か見ていてとても歯がゆい感じがした。そのうちに、どちらの責任か、建設省責任か、自衛隊の責任か知らぬけれども、爆破をやってみたら、その被害でもって、災害におののいている住民の住宅のガラスが飛ぶ、主婦がけがをする、入院をするなどという、そういう状態まで惹起をしている。こういう状態なんですが、こういう歯がゆさを感じたのは私だけじゃないと思うんですが、ここをちょっと説明してもらいたいんです。これは消防か建設か、どちらか。  それから、危険度の予測が非常になかったのじゃないかと思われるんですね。その点どうですか。  さらに、政府としては、個人災害の補償というものについて、もっと積極的に取り組む必要があると考えられるのですが、土地の流失について、国において責任をもって原形復旧をすべきだと思うんですがね。  この三点について伺います。
  60. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 三点についてお答えいたします。  第一点の問題でございますが、こういうような異常な事態が起きますと、御承知のように、水防法に基づきまして、地方の公共団体の長から自衛隊なり警視庁等へ、いろいろと御出動を要請されるわけでございます。そういうことで、水防活動は水防活動、それで私ども建設省といたしましては、それに並行いたしまして復旧作業を始めるわけでございますが、そういうことで多くの皆さん方の御後援がございまして、現在、御承知のとおり、流失家屋の防止がようやくできる段階になったわけでございます。先生御承知のとおり、私も二、三回現地にずっとついておりまして、まことに私どもの立場からいきましても非常に申しわけないといいますか、歯がゆい感じがするほど水の勢いが強かったわけでございます。現在はもちろん、消防庁警視庁、自衛隊のおかげで、ずっとじゃかごが流失——掘られたところに全部張られまして一応安全でございます。  それから水防活動から復旧作業へ移るのは自然に移ってくるわけでございますけれども、当時の情勢といたしましては、堰堤のハッパ以外には法がなかろうというのは、みんなの意見が出てきたわけでございまして、私、現地におりましていろいろ御相談も受けました。当時はまだ非常に流勢の激しいときで、いわゆる水防活動のみしかできない状況でございましたので、自衛隊のほうでハッパをしていただこうということになったわけでございますが、残念ながら非常に水位が高くて、非常な無理もあったと思いますので、当初周辺の皆さん方に御迷惑をかけた結果になったわけでございますが、その後水位が下がりましたので、いよいよ警視庁のヘリコプターで、今度は建設省が機械力をもってやろうということで、コンプレッサーその他を運んでいただきましたので、私どもの手によりまして先行いたしまして、従来どおりのハッパ作業に移らせていただいたわけでございますが、第一回目のハッパのときに、私どもはカーリットという爆薬を使いまして、瞬間的な爆発力の少ないものを使ったわけでございますけれども、一番最初のときに、裏通りのほうを歩いていらっしゃった御婦人の方に若干のけがを生じたということは非常に残念でございまして、直ちにお見舞い申し上げたわけでございますが、その後は御承知のとおり順調に進んでおりまして、いわゆる復旧作業といたしましての堰堤爆破が昨日、けさにかけて済んだわけでございまして、目的を果たしております。それが第一点でございます。  備蓄のことでございますけれども、私どもは、確かに多摩川というものが危険度はどうかということに関連するわけでございますけれども、これは比較論でございますけれども、明治四十三年以来の六十何年ぶりの大洪水でございます。上回りました。そういう意味から、全国的な川の中で、比較論でございますけれども、安全が高いと私どもも承知しておったことは確かでございます。そういうようなことで、資材等につきましては、東京都その他非常に迅速にじゃかご等もあっせんいただきまして、私どもといたしましては最善を尽くされたという感じがいたしますし、私どもの現在復旧作業に必要な材料は、関東圏全部を総動員いたしまして、テトラポットあるいは矢板その他現在すべて準備が整っておりまして、あすあたり締め切り作業を完成いたしまして、堤防の復旧もあと二週間以内、もし天候さえよろしければ二週間以内に堤防復旧を完成し、それと同時に、いま三番目に先生がおっしゃいました、土砂によって、水流によって流失されました土地を全部復旧しようと、もとへ戻すことを御約束申し上げます。  以上でございます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 消防庁長官消防職員の交代制勤務者、週四十四時間以上の勤務を行なっている自治体、どのくらいありますか。
  62. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 現在常勤の消防職員の勤務体系は二部制と三部制がございますが、ほとんどの市町村におきましては二部制を採用いたしております。三部制を採用いたしておりますのは、東京都ほか大都市におきまして三部制を採用いたしておりますけれども、ほとんどが二部制に考えてよろしいかと思います。そういう意味におきまして、消防職員の場合には、原則的には週四十八時間の勤務体制にあるということが言えると思います。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 そこでどうですかね、私はもうすみやかに東京のたとえば二十三区並みの三交代制というものに切りかえるべきではないだろうかということを、私はかなりこまかく消防の出先まで、ここしばらく、約一年ぐらいかかっていろいろと懇談をして歩きました。賃金の問題やあるいは勤務条件の問題や、もう各県——消防庁長官の出身の地域も行きましたがね、いろいろ話をしてきまして、やっぱり非常にそのことを期待していますね。それから親御さんたちが、高等学校を出た子供をいまの勤務態様ではやっぱりやりたくないという、そういう考え方もありますよね。隔日大きなむすこがごろごろしているのでは隣り近所にというような話まで出るぐらい、そういういろいろな話をして歩きましたが、三交代制ができないともし言われるとすれば、そのできない理由といえば、これは明らかに国において財政的な裏づけをしてやらないからではないかという感じがするんです。ここでちょっと所見、対策を承りたい。
  64. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 私ども現在庁内に消防職員の勤務体制の研究会を設けまして、こうした勤務体制の問題を含めましていろいろ勤務条件の研究会をいたしておりますが、消防の勤務体制を三部制にするか二部制にするかという点につきましては、ただいま御指摘ありましたように、全体的に三部制を採用すべきだという意見が必ずしも全体の消防職員の意見であるということにはならないような感じがいたします。むしろ現在の二部制のほうが、現在の火災の発生状況、あるいは救急出動状況等から見て、望ましいという意見も相当たくさんございます。ただ、火災の発生件数が比較的多い市、また救急の事件も非常に多い大都市地域におきましては、三部制のほうが勤務体制としては望ましいというふうに考えられる面もございますので、ただいま、それぞれの利害得失等につきまして検討をしてもらっておる段階でありますけれども、やはりこの勤務体制は、結論的には、そのそれぞれの市町村における消防の行政需要といったようなものから判断をして、それぞれの市町村の実態にまかせるということのほうがむしろいいのではないだろうかというような感じがいたしております。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 きょうは、いまからちょっと重要な超過負担問題の論議をやりますからね、この問題あまり時間をかけておれませんから、意見だけ承っておきますが、また別の機会に私の所見などを述べながら詰めていきたいと思うんです。  もう一つ、人事院勧告で週休二日制について、「本院としては、当面、時間短縮を伴う隔週又は月二回を基準とする週休二日制の実施を目途として、行政サービスの維持その他の諸条件に留意しつつ、試行についての計画を策定するなど、関係諸機関との緊密な連繋のもとに更にその具体化のための検討を進めることとする。」と述べておるわけです。消防職員もこういう形で改善をされなきゃならぬということに思うんですが、このことをどう考えるか。  それから、先ほど交代制勤務の勤務時間改正などの状況を見ますと、相当思い切った措置を早くとらないと、また消防職員だけが時代の趨勢から取り残されるという結果にどうもなりかねない。消防庁としてはどのような施策、対策を、これは特に沖繩県の消防職員の皆さんが、アメリカ支配のもとにおいて労働基本権まで含んだ保障があって、そして復帰と同時に一切を取られてしまっているという状態でたいへんおこっておりますよ、これは。私は、消防庁長官おなりになったときに、一ぺん沖繩に行っていらっしゃったらどうですか、あの人たちと対話をして説得をほんとうにされますか、了解をすることが彼らはできるだろうか、その上に立って一ぺん論議をしようと言った記憶があるんですがね。あなた行ってらっしゃったかどうか知りませんが、そういう状態を踏まえながら、この問題二つについて答弁を承っておきたい。
  66. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 週休二日制の問題につきましては、これは一般職員につきましても同じような問題があるわけでございますが、消防職員につきましても、一般職員の週休二日制の実施にあわせて実施ができますように準備態勢を整えたいというふうに考えております。具体的には、先ほど申しました勤務条件の研究会とあわせまして、現在、消防力の基準の改定の研究会も設けまして、その作業をいま実施いたしておる。その過程におきまして、週休二日制というものを具体的にどういう形で採用していくかという点を詰めていきたい。もしも一般職員が昭和五十年度から実施をするというような、たとえば隔週ごとに二日制を採用するということになりましたならば、同じような歩調が消防職員にもとれますように十分対処していきたいというふうに考えております。  まだ、沖繩の問題につきましては、私行っておりませんけれども沖繩消防職員につきましても、具体的な勤務条件等につきましては、本土の職員と同じ体制をとり得るように考えております。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 自治省、たいへんプリミティブな質問で恐縮ですが、いわゆる超過負担とは何ですか。
  68. 松浦功

    説明員(松浦功君) 非常にむずかしい御質問でございますが、超過負担というのは、あるべきと申しますか、適正なと申しますか、適正な基準に基づいて算出された事業費、これは公共事業についてでございます、補助負担金についてでございますが、それと現実の国庫補助基本額、これとの乖離によって出てくる地方負担の部分、これを言うのだというふうに私どもとしては理解をいたしております。ただ、世上一般に言われております実支出額と、それからいわゆる国庫補助基本額との差というふうに考えますと、たとえば六百平米の屋体というものをかってに二千平米のものをつくってもそれが超過負担かと、こういう議論になりますので、われわれとしては超過負担というのはやっぱり一つの社会的な常識というものがあるかと思いますが、適正な基準に基づいて算出された事業費から現実の補助基本額、これから出てくる差の問題をさしておるというふうに理解をしていくのが正しいのではないかと考えております。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 「地方財政」の七四年の八月号、「昭和五十年度の地方財政措置」、おたくの緒方勇一郎さん、指導課の清野さん、公営企業課の菅川さん。この中にこうあるんですね。いま言われたことを前提にしながら、「その内容は(i)単価差 補助負担金の単価が実態より低いために生ずるもの (ii)数量差 補助負担金の交付の対象となる数量が少ないため生ずるもの (iii)対象差 当然補助対象となるべき経費が補助対象からはずされているため生ずるもの」、いま言われたことの具体的な内容とはこういうことだと書いてますが、これはこのまま確認していいですか。
  70. 松浦功

    説明員(松浦功君) ただいま御指摘をいただきましたように、超過負担の内容を分析するとこの三つに分かれるというふうに私どもも理解をいたしております。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 このいわゆる超過負担問題を政府と議論をすると、きまって議論になるのが、いまもちょっと触れられたんですが、大蔵省にお聞きしますが、政府が考える事業の水準に対して、自治体が現実に行なうそれの水準が上回っておる場合がある、いわゆるぜいたく分があるという議論になってしまうんです。私は政府が基準として定める数量やあるいは補助対象、そこに政府が現時点で考えるあるべき行政水準といいますか、そういうものが体現されているわけですから、その低い高いという議論があるのは私はわかりますよ。どうもわからないのは、いま言った「(i)」の部分ですね。この補助単価に基因する超過負担という問題です。そこで大蔵省、どうですか、補助単価とはどんな定義ですか。
  72. 高橋元

    説明員(高橋元君) お答えいたします。  補助単価を定めてまいります場合の考え方でございますが、補助対象事業を行なってまいります団体、それが標準的な地方団体である、そういう想定のもとに、そういう標準的な地方団体が合理的な規模ないし企画において事柄を能率的に行なっていく場合に必要になる費用と、これを基礎として補助単価をきめておるわけでございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 私ここに昭和四十九年七月十八日付の全国知事会、それから八月九日付の全国市長会、九月四日付の全国革新市長会の超過負担解消についての要望というのを持っているんですが、これらは口をそろえて建築資材及び労務費の高騰によって実勢単価が補助基準単価を大幅に上回って云々ということを言っているわけです。これは過去の補助単価とそして実勢単価との乖離を補正せよという要求だと思うんです。要求なんですがね。こういう要求が、たまに出るんならまた別ですが、毎年出るわけですね。毎年のように起こってくるということの裏には、そもそも国の予算編成の段階で、補正単価というものについての厳密な精査が行なわれていないということがあるんじゃないですか。私はこの質問をするにあたって、いまここにみんな来ていただいておりますが、文部省、厚生省、建設省に接触しました。事前に、昭和五十年度の予算要求における補助単価とそしてその精算の根拠を示せと言ったら、どの省からもまともに私を納得せしめ得る資料一つも出ませんでした、きょうここで説明されるんだそうですけれども。大体どの省も前年度予算に三〇%なら三〇%ぶっかけて、それから逆算して単価はじき出しているんじゃないですか。あなた方、大蔵省こわいもんだから、大蔵省の言うとおりになってる節がどうもある。ないんなら、首を横に振られるなら、ここで説明してもらえばいいんですよ、できないと思うけどね。大体、大蔵省との折衝の段階で、補助対策や数量が狭められたり広げられたりするということは私はわかりますよ、それは。それはわかる。しかし、単価までそこで動くというのは、これはどうしてもわからない。大蔵省、単価というのはそんなに動くものですか。
  74. 高橋元

    説明員(高橋元君) 先ほど、補助単価を定める場合の考え方をお答えさしていただいたわけでございますが、補助単価が社会経済情勢の変化によって現実に合わなくなってくる。ことに、最近のように、物価、労務費その他の上昇の激しい場合にそういう現象がしばしば起こるかと思いますが、私どもといたしましては、そういった社会経済情勢の変化を配慮して毎年所要の是正を行なってきており、できるだけ実情に近づけた補助単価というものをつくってまいるという考え方でおるわけでございます。で、昭和四十二年、四十三年、四十七年、いままでいわゆる超過負担の問題について、自治省はじめ各省と御協力のもとに実態調査を行ないまして、それぞれ実態調査の結果を踏まえて超過負担の解消をやってきたことは先生御承知のとおりでございます。それからさらに四十九年の予算におきましては、四十七年度の実態調査に基づく超過負担の解消を行ないますとともに、前向きに資材の異常な価格高騰に対処できるように、たとえば公立文教施設整備の予算単価につきましては四十数%にのぼる引き上げをはかる等の措置を行なっておりまして、そういったいわゆる超過負担の実態調査に基づきます改善とあわせて、前向きの、物価に一こういうことばを使っていいかどうかわかりませんが、キャッチアップしているような単価についての是正措置をとってまいりたい、こういうことでございます。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 文部省、それからこれは約束だから、義務教育施設等整備事業、小中学校幼稚園校舎、それから屋体、それぞれ地区別の単価と、それからその精算根拠を示してください。  それから厚生省、社会福祉施設整備事業について同様願いたい。  建設省、公営住宅について同様のことを求める。  あなた方が来年度の予算を要求する根拠とした数値です。
  76. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 文部省でございますが、来年度の予算要求の単価につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、鉄筋校舎で申しますと、三〇%のアップの要求をセットいたしております。その積算根拠といたしましては、先生御承知のように、やはり私どもの補助単価は労務費の問題と建築資材の問題と二つがあるわけでございます。そこで私どもは、本年一月の予備費段階でセットした補助単価をベースにいたしまして、六月までの資材費あるいは労務費のアップ率をプラスし、それから本年六月から来年六月までの物価上昇をどう考えるかというその見込み数字をプラスし、超過負担の解消分を見込んで三〇%というふうな予算積算をいたしておるわけでございます。  地区別の数字というお話でございすが、地区別の数字につきましては、予算セット後において、それぞれの地域ごとの実情に応じまして五段階に分けてセットをすると、これは予算執行の問題としまして年度当初に設定をするというのが従来の方針でございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 いや、あなた約束なんだから、ずうっと数字をあげてくださいよ。ぼくはきのう午後八時まで部屋で待っておったけれども、あなた方ひとつも——建設省だけ持ってきたが、あなた方のところはきょうここで数字答弁するということになってるんだから。一覧表渡してあるでしょう、補助単価の状況。私のほうは言ってあるんだから、あなた方のほうへ。小中校舎、幼稚園、小中屋体。ごまかしばかり言ってるんだから。
  78. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいま先生のお話でございましたが、私どもは先生のほうの御連絡を承っておりません。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 そんなことない、そんなことない。あなた方のほうからここで明確に答弁すると言うから……。
  80. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 私は何かの間違いではないかと思いますが……。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃぼくがいま言うから。一つずつ言いますよ。義務教育施設等整備事業のうちの小学校校舎、鉄筋コンクリートづくり、これの五十年は。
  82. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 小中学校校舎の五十年度の予算単価の内容としましては、今年度六万一千七百円でございますが、来年度は 万五百円という要求単価にセットしております。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 屋体、鉄骨。
  84. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 本年度四万八千七百円でありますところを、四二・五%増の八万九千四百円という数字をセットしております。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 中学校校舎、鉄筋。
  86. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 中学校につきましても、先ほど申し上げました数字と同様でございます。  屋体につきましても、小中同様でございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 幼稚園。
  88. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 幼稚園も、小中幼稚園校舎につきましては、いずれも、鉄筋についても鉄骨についても同様の数字をセットいたしております。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 木造。
  90. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 木造につきましては、小中幼稚園の校舎につきましては、三万八千六百円のところを二九・三%増の四万九千九百円をセットいたしております。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省。肢体不自由児施設。
  92. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) お尋ねの点、厚生省の場合は、社会福祉施設整備費といたしまして総計で金額出しておりますので、五十年度の個々の単価とかいうきめ方はいたしておりませんが、総ワクといたしましては、四百五十億の要求をいたしております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 これもおたくへね——肢体不自由児施設。
  94. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) はい。肢体不自由児施設につきましては、四十九年度単価が、これは病院の病棟の単価をもとにしておりまして、七万六千四百円です。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 精神薄弱児。
  96. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 同じく六万七千円でございます。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 保育所。
  98. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 六万八百円でございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 公営住宅、一種中耐。
  100. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) 五十年度の予算単価でございますが、一種中耐は七万二千五百円でございます。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 二種中耐。
  102. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) これは同規模で今度要求いたしますので、同価格でございます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 改良住宅の中耐。
  104. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) 改良住宅も二種に準じております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 二種同様。
  106. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) はい。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 そこでですね、私は建設省から昨日私のところへこういう回答があったんです。かなりまあばかにした回答だと思うんですが、一応読み上げてみますわ。「公営住宅、改良住宅の五〇年度予算概算要求における建築工事単価は、四八年度公営住宅建設工事の実績単価及び最近の工事費の上昇率をもとに現時点における実勢単価を推定し、これに今後一年間の建築工事費の上昇見込率を考慮し算定している。この結果、五〇年度要求単価は、四九年度予算単価に比べ約三〇パーセントの引き上げとなる。」ということなんですが、厚生省、文部省、あなた方もこういうやり方で単価をはじき出していると、先ほどの答弁で考えていいですね。それぞれちょっと答弁しておいてくれませんか。
  108. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 私どものほうの公立文教施設につきましては、超過負担の解消問題があるわけでございます。これは先ほど大蔵省からお話ございましたように、四十三年、それから四十七年と二回調査をやりまして、四十七年の調査に基づく超過負担解消は、四十八年度と四十九年度に三・四五%ずつ乗せることになっておったわけでございます。ところが、昨年来、先生方御承知の石油危機とか鋼材の値上がりとか、いろいろ社会変動があって、非常に実態が動いてきておる。したがって、四十七年度の超過負担調査だけの解消ではこれはむつかしいであろうということで、本年度関係各省とも御相談のもとに、超過負担の解消と申しますか、そういうことを目途とした実態調査をやっておるわけでございます。この実態調査は、個別の学校それぞれについてやるわけでございまして、結果がまとまりますのは、関係各省との御相談のもとに秋になると思うわけでございますが、その結果を踏まえて予算査定に臨んでいくというふうな問題があるわけでございます。ですから、そのパーセントをどういうふうに見込むかということは、現時点では非常にむつかしい問題が一点ございます。  それからもう一つは物価上昇の問題でございますが、物価上昇はやはり今後総需要抑制という問題もありまして、さして上がらないということを期待するわけでございますが、そのパーセントをどれだけ見込むかということは、これはなかなかむつかしい問題でございます。したがいまして、まあ従来の物価上昇の年度間の割合というものを参考にする必要がある。その従来の年度間の割合を参考にする場合に、やはり年度によっていろいろ特徴があるものでございますから、その辺についての判断をいろいろとかみ合わせて、実績をプラスし、来年度の要求単価を設定すると、こういうふうなプロセスになっております。  基本的には、いま建設省からお出しになった資料をお読み上げになった内容と大体同じかと思う次第でございます。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、どうですか、説明はいいですから。
  110. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 同じ趣旨でございます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 そこで建設省ね、「四八年度公営住宅建設工事の実績単価」とあるわけですが、この「実績単価」というのは、この場合は何なんですか。私の言いたいのは、この年度当初の予算単価がきまって、で、一次改定、二次改定、三次改定とあるわね——と続きますが、その「実績単価」のことですか。
  112. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) この四十八年度の実績単価と申し上げますのは、先ほど文部省からもお話がありましたが、現在連合して実態調査をやっております。その結果の粗集計でございます。ただ今後、この実態単価につきましてはいろいろ分析が加えられるかと思いますが、そういった意味の実態単価ということでございます。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、それはいつの時点のものですか。
  114. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) この実態調査は、四十八年の十月から四十九年三月までに契約した分につきまして実態調査をしております。それで、各月ごとでいろいろ実態の単価も異なりますが、まあ平均しまして大体一月の単価と、そういうふうに私どもは解釈しております。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 四十九年一月……。
  116. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) さようでございます。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、ここで「及び最近の工事費の上昇率をもとに」と、こうありますね。この上昇率をとった「最近」とは、いつからいつまでですか。
  118. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) 四十九年一月から四十九年六月まででございます。ですから、四十九年六月時点のそういった単価を、一月の実績単価で想定したわけでございます。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 それは何%ですか。
  120. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) 一月から六月まで六・三%でございます。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 「工事費」という場合、労務費と資材費がありますね。その構成は。
  122. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) これは構造によっていろいろ違いまして、構成表なるものから全体的に出しております。それぞれの構成比が鉄筋なりブロックなりでいろいろ変わってきますので、その構成比によって計算しております。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 「今後一年間の建築工事費の上昇見込率を考慮し」云々とまああるわけですね。この「上昇見込率」を、何を根拠にして何%見込むんですか。
  124. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) これは先ほど文部省からもお話ありましたが、過去のいろいろな物価の上昇の数値をとってみますと、四十六年度から四十七年度にかけまして五・六%、それから四十七年度から四十八年度にかけまして一九・四%、これが鉄筋コンクリート造の率でございますので、それから四十八年度期間中の物価の変動につきましては、いろいろ大幅な変動もありましたので、四十六年から四十八年度までの二カ年間の平均値をもって今後の推定値と、そういうふうに推定したわけでございます。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 これは厚生省、文部省、同じことでいいですか。
  126. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 文部省も同様でございます。超過負担関係につきまして、ただいまちょっと建設省からお話ございませんでしたが、その点についても同様かと考えます。
  127. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 厚生省も同様でございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 建設省、それじゃ昭和四十九年度の官庁営繕単価を出してください。
  129. 国吉忠

    説明員(国吉忠君) ちょっと営繕単価は、きょうまだ調べてきておりません。また、調べさせまして御報告させますが……。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 官庁営繕単価をそれじゃ資料として要求をします。いろいろのことを考えてつくり直してもらっちゃ困りますからね。  大蔵省、毎年この予算単価が対前年アップ率を中心に決定されているとしますと、この根っこの単価はどのようにして定めましたか。
  131. 高橋元

    説明員(高橋元君) 先ほどもちょっと答弁のときに申し上げたつもりでございましたが、私どもの補助単価の設定の考え方、それからその後の超過負担、いわゆる超過負担の対象の考え方、それらを振り返って申し上げることになるかと思うのでございますけれども、最近のように、特に資材、労務費の値上がりが激しい場合に、これをどういうふうに単価の上昇に対処していくかということは、これは一つの大きな財政問題でございます。直接の、まっすぐの御答弁になるかどうかわかりませんが、私どもといたしましては、従来、問題が特に大きい補助金につきまして、各省の御協力を得まして、いわゆる超過負担の実態を調査をいたしまして、超過負担の実態の中で、いわゆる超過負担という部分として観念すべきものについて、二年度または三年度にわたってこれを是正してきたという経緯がございます。それで、四十八年度の補助事業の実績につきましても、現在、超過負担につきましての実態調査を九項目実施をしていただいておるわけで、その結果、乖離が発見されて措置を必要とするものがありますればこれを是正してまいりたい。そのような形で、根っこになります単価につきましても、実績に相応したものにしていきたい、そういうことが私ども考え方でございます。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 実績に相応したものというのはどういうことですかね。
  133. 高橋元

    説明員(高橋元君) ことばが適当かどうかわかりませんが、実績にふさわしいものということでございます。つまり、すべて実績、実額として支出されたその金額を全部補助対象にするということではございませんことは、先ほど財政局長からもお話しのあったことであります。その中で、国が補助事業の基本的な単価として認めるにふさわしいもの、繰り返して申し上げますならば、平均的な地方公共団体が合理的かつ能率的に事柄を実施していかれる場合に必要とされる単価ということでございます。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 非常に抽象的なものですね、それで根っこの単価が出るんですか。
  135. 高橋元

    説明員(高橋元君) これは各項目の補助金につきまして、具体的に各省からの御要求が毎年予算についてあるわけでございます。そのときに、それぞれの事業費について、また、施設費について査定の段階で把握していくということでございます。その基本的な考え方は、先ほど来繰り返して申し上げておりますようなことでございます。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 いや、わかっております。私も、さっきからずっとこまかいことを聞いてきたのは、実はここを聞きたかったから聞いてきたので、だてに聞いてきたのじゃないんですよ。前年から、前年に、前年にということが対象になってきておるんでしょう。そうすると、その根っこの単価というのはどうなります。ただ、合理的で——抽象的な答弁しか出ないわけですよ。地方公共団体のいわゆる合理的な運営云々という抽象的なものしか出ないわけですね。言ってみれば、この根っこの単価が実勢単価と乖離していないという担保はどこにあるんですか。
  137. 高橋元

    説明員(高橋元君) それは各省の御要求の中身にかかるわけでございますが、これは繰り返しになりますけれども、そういうものの乖離が特に激しいという項目につきまして、実態調査で随時それを補正してまいるという形で実績に合わせております。
  138. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと関連。  その根っこの問題ですけれども、このごろ、前年度の予算の何%増しということになっておりますけれども、そのずっと根っこというものは、一応、大工の手間、左官の手間、石工の手間幾らという統計に基づいてやったわけですね。その統計のとり方はいつをとっていますか。内閣統計というのは、一体ことし使えるのはいつの統計なんですか。一昨年でしょう。前年度の統計、出てきませんね、ことしは。その前の年ですね。これは十年ぐらい前に予算委員会で論議したことがあるんです。そういう古い統計を根っこにしてやってくるから、超過負担がいつまでたっても消えないような、いま和田委員の指摘したような乖離の条件というものが出てしまうわけですよ。また、昨今のように、インフレの状況が激しくなったときに、とりようがないでしょう。とりようがないから何%増しなんと言っているけれども、これは実際に、一つ一つ材料なり、あるいは手間賃なりというものを精査をして確実な統計の上に積み上げていくという方法をとってない。とっておりますか。ここに問題があるんですよ。それで、そういう確実なデータというものを各省庁に出さない。大蔵省はそれが出ないことを幸いにして、結局あてがいぶちですよね。要求するほうもあてがい、概算だ。切るほうも、大体これは山がかかっているからこれぐらいで切れと、具体的に財政的に超過負担というものは再び行なわないようにさせようという努力が財政当局にも要求するほうにもない。ないことがこの繰り返しじゃないですか。そうでないというなら、さっきから言っているその根っこは、いつを押えて、ここを根っこにしましたというはっきりしたものを出してくださいよ。
  139. 高橋元

    説明員(高橋元君) 補助単価につきましては、事業、施設、それぞれまちまちでございますから、一がいに申し上げることはあるいは精密でないのかもしれませんけれども、標準設計をやりまして、それに基づいて各省で予算要求をいただいたものをもととして折衝をしてまいるわけでございます。で、その場合の基礎になりますデータは、できるだけ新しいものを使うということで処理をしてきておるわけでございますが、統計の性質上、若干のおくれが生ずることは、これはあり得ることであります、ただ、予算の御要求いただきます八月段階から、査定を行なってまいります秋の段階までの間に、統計のデータが、そういうものがわかればそれはできるだけ実態に合わせると、先ほど申し上げたことでございますが、超過負担の処理といいますか、起こらないようにやっていくということは、私どもとしては大きな財政問題というふうに考えておりますので、真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  140. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一つ。  あなた方、そう言う資格はないと思いますね。超過負担というのは言い出されて何年ぐらいたちますか。政府も超過負担は解消するという約束のもとに、そういう財政措置を講ずるということになって講じてきた。論じてきても、超過負担というものはさっぱり解消されておりません。解消されておらないというのは、財政措置が目的を達するような適宜の措置でなかったということでしょう。それからもう一回これを掘り下げて、原因がどこにあるかということを解明するのは大蔵省の当然義務だ。それが行なわれておらないでしょう。いま単価の問題ばかり言っておりますけれども、数量にしたってそうですよ。文部省だってそうですよ。初めから対象になるべき一〇〇%を補助対象としないでしょう。七五%とか八〇%、こういう形で一五%、二〇%を初めから切るという作業をしているでしょう。ですけれど、各自治体から出された超過負担、これはうそですか、超過負担のいろいろな資料というのは。うそならうそだという確実なものを出してください。あれが全部そのとおりでないにしても、超過負担の問題が確かに含まれているというなら、この解明をしなければおかしいですよ。あなた方何回も、超過負担は解消いたしますと言ったんだ。ところが、解消できない原因というものに対する解決は一つも達成しておらない。言いわけでしょう、いままでずっと聞いたのは。五十年度こうやるといって概算要求、そんなものぶった切られちゃう。相変わらず超過負担が出てくる。出てくると追い打ちかけて修正する。修正をしたときにはすでにもう新しい価格が生じている、こういう繰り返しですよ。そんないいかげんなことで超過負担を解消しますなんて、超過負担で悩んでいる自治体は、今度は期待が持てますという、そういう受け取り方はできませんよ。お答えいただきます。
  141. 高橋元

    説明員(高橋元君) ただいまのお話でございますが、超過負担の中には、先ほど自治省から御答弁をされたと思いますけれども、いわゆるデラックス分——ことばはよくないかもしれませんが、デラックス分と申しますか、本来補助基本額の中に想定していないような……。
  142. 加瀬完

    ○加瀬完君 そんなことは質問していない。
  143. 高橋元

    説明員(高橋元君) ですから、そういうもの以外の、先ほど単価の問題にしぼってお答えしておりましたのは、そういうもの以外の部分につきましてお答えをしてきたわけでございますが、そういうものが、単価そのほか対象につきましても、社会常識に従って合理的なものということでありますれば、これはもちろん補助金額の改定とか、補助対象の組み直しをしなければならぬ。ただ、施設費につきましても、事業費につきましても、単価掛ける数量と申しますか、全体の予算規模の中で考えていかなければならないわけでございます。単価がふえてまいった場合に、昨今のように物価安定ということを財政運営の基本にしなければならないという場合には、事業量をどうするかという問題もあわせて出てこようかと思います。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 これは実際困ったな。一番次長が知っていると思ってきょう次長に来てもらったわけですよ。主計局長あるいは大平大臣と、こう言ってたんですがね。しかし、きょうはもうみんな実務家の皆さんとひとつじっくり煮詰めてみようと思ってやったあなたがその答弁ですからね。とてもじゃないが、いまの答弁聞いてみて、町村自治大臣としては超過負担との関係でどうお考えになりますか。
  145. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) 最近、地方公共団体において、物価の非常な激しい上昇によって事業がなかなか思うように実施できない、こういう嘆きを持っておられる。そういった点について、私どものところへもしばしば実情を御報告においでになり、ぜひいわゆる超過負担の解消にはひとつ自治省としてもできるだけの努力をしてもらいたい、こういうお話を常々最近伺っておるわけであります。御承知のように、なお物価の上昇の勢いは、多少鎮静化したとは申しながら、依然として相当程度の上昇が続いておるわけであり、したがって、予算ができたときの単価ではなかなか実行できないというような実情にあるわけでありまして、自治省といたしましては、この点は何とか解消をしなければならないという考えのもとに、関係各省とも常に深い接触を持ちまして、各省において補助単価が実情に合うようにぜひひとつ是正をしてもらいたいということで、いまも財政局長からお答えを申し上げましたが、本年もすでに公立文教施設等についての調査関係省とともにいたしておるわけでありまして、この実態調査が間もなくでき上がるというふうに報告を受けておるわけでありまして、でき上がりましたならば、この点は年度の途中ではございますけれども、まず本年度の補助単価についても、まあ内容を見なければわかりませんけれども、その内容によりまして、やはり実態に合うようにこの解消問題にひとつ全力を尽くしていきたい、こう考えておるのでございまして、関係省も大体そのつもりでこの問題に対処していくように私ども承知をいたしておるところであります。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっともう時間がなくなってきましたから、まとめて質問しますから答えてください。  まず厚生省ですが、昭和四十八年度の認可保育所数は幾らで、そのうち国庫補助の対象となった保育所数は新築分で幾らか。それから四十九年度はまだ数値が出ていないというのがおたくの言い方ですが、大体でもわかりませんか。昭和五十年度予算要求で国庫補助の対象とされる保育所数。要求でですよ、それは幾らか。四十九年度の場合はそれは幾らであったか。きょう大体みな言ってありますからね。政府として、保育行政についての現時点でのあるべき水準といいますか、こう配置すべきであるといったような基準を持っていますか。それから、ほんとうはそれに基づいて補助をしていくというのが筋なんだろうが、私は当面は知事が認可をした保育所ぐらいはすべて補助金を出すべきではないかと考えているのだが、厚生省は異存があるか、これ。昨年暮れの児童福祉法の施行令の改正が、今度の地方単独措置を認知するものであっては断じてならないと私は考えているのだが、それは同感であるか。もう一つ、厚生省関係ですが、廃棄物処理施設整備事業のうちの屎尿処理施設、ごみ処理施設についての国庫補助基本額は幾らで、五十年度それぞれについて幾ら要求をされましたか。
  147. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 四十八年度中の認可施設数でございますが、これは保育所でございますね、九百一カ所でございます。国庫補助施設は五百五十一カ所でございます。そのほか、民間に対する自転車振興会、船舶振興会補助金並びに社会福祉事業振興会というのがございますが一の融資によるもの五百一カ所、それから年金の還元融資によるもの、これはトータルで八百一カ所ございます。これはそれぞれダブってきております。その点がございますので御了解いただきたいと思いますが、総数はそのようになっておる。  それからお尋ねの四十九年度は、目下執行計画中でございますので、お許しをいただきたいと思います。  五十年度要求につきましては、最初お答えいたしましたように、社会福祉施設整備費といたしまして、保育所ももちろん含めましてでございますが、四百五十億の要求となっておりまして、大体前年度予算額に比較いたしますと、七割近い額の増になっております。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 保育所数は出ませんか。
  149. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 数は、その中で実施計画段階で規定してまいりますので、数そのものはいまの段階ではわかりませんが、しかし、いまの各自治体の御要望等もよく承っておりますので、従来より以上に保育所に力点を置いていきたいという考え方でございます。
  150. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) 屎尿処理施設及びごみ処理施設の基本額はどうかというお尋ねでございますけれども、私どもの基本額は単価かける規模になっておりますので、単価について申し上げたいと存じます。  まず、ごみ処理施設でございますが、本年度の補助単価は三百三十二万八千円でございます。要求単価が七百二十四万五千円でございます。屎尿処理施設につきましては、二百六十一万三千円のところ四百十七万六千円でございます。
  151. 和田静夫

    和田静夫君 保育行政についての現時点でのあるべき水準、配置基準、持っていますか。
  152. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 配置基準という具体的な形ではございませんが、考え方といたしましては、保育所は各自治体からの具体的な要望を非常に強く承っておりますが、基本的な考え方といたしましては、現在ある保育所の分布を一つ考えまして、共かせぎの方が多い地域その他いろいろございますが、こういうものを念頭に置きまして、要保育児童の多い地域に整備を進めていくという基本的な考え方でございます。個別にどこでどういう状況であるかという点までは、現時点ではつまびらかにいたしておりません。
  153. 和田静夫

    和田静夫君 まだ答弁抜けているでしょう。知事が認可をした保育所ぐらいは私はすべて補助金出すべきだと思っているが、同意見ですか。
  154. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) 失礼いたしました。知事が認可をされます保育所——これは社会福祉施設全部がそうでございますが、これはいわゆる要保育ないしは収容をして保護をすべき肢体不自由児であるとか精神薄弱児であるとかという方々を入れるにふさわしい設備基準を持っておる、ないしは人員を持っておるということで認可をされるものでございますので、いわゆるそれがすべて国庫補助でできるものだけではございませんので、この点は御了解いただきたいと思いますが、そういうほかの民間資金の活用等もあわせまして、おっしゃいますように、知事さんが認可をすべき施設全体について所要の資金措置ができるように配慮していきたいという考え方はおっしゃるとおりでございます。
  155. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つ。児童福祉法の施行令の改正が、いわゆる保育所の地方単独措置を認知するものであってはいかぬと私は思っているのです。あなた方がめんどう見ないから、やむなく実態は存在をしていますけれども、だからといってあなた方は腕をこまねいておっちゃいけませんよ。
  156. 加藤陸美

    説明員加藤陸美君) おっしゃるとおりでございます。
  157. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、いま大蔵省に聞くのですが、私の調査によりますと、ごみ処理施設について、たとえば横浜市ではトン当たり六百万円から一千万円かかっているのですよ。ところが、いまもあれがあったようにたいへんみみっちい状態なんですわ、予算の措置というものは。大蔵省、この超過負担を今度の予算の段階で解消しておくつもりはありませんか。
  158. 高橋元

    説明員(高橋元君) 具体的な事業につきまして、御要求の内容、いま各省から伺っておるところでございますから、いまどういう方針でこれに臨むかと、具体的なこまかいことを申し上げるわけにはまいらないのでございますけれども、四十九年度の予算でいわゆる超過負担の解消の中の前向き分と申しますか、四十九年度の単価アップに対応すべきものとして千億ぐらい、全体として千二百六十一億ぐらい超過負担の解消につとめております。五十年度の予算につきまして、総需要の抑制の観点から、事業費をどうすべきかということについてまだ考えがまとまっておりませんけれども、そういったかなりきびしい予算であろうかと思いますが、その中で超過負担が生じないようにできるだけ措置をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。詳細の事業ごとの具体的な施策につきましては、これから、先生のいまのお話も伺い、自治省それから関係省の御説明も伺いまして、作業を進めてまいりたいと考えております。
  159. 和田静夫

    和田静夫君 いまの補助率ですが、厚生省。少なくとも公共下水道、四十九年度から十分の六か、引き上げましたね。それぐらいのことに引き上げるのが環境改善という時代の趨勢に沿うと私は思うのですが、そんなつもりないですか。
  160. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) ごみ処理施設と屎尿処理施設につきましては、御案内のように、施行令におきまして、四分の一及び三分の一以内というふうに定められておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけこの四分の一と三分の一に近づけたいと思いまして、これまでも努力してまいったわけでございますが、明年度は特に、ただいまも申し上げましたように、大幅に改善をして、できるだけこの実勢に近づきたいと考えておる次第であります。  そこで補助率自体の問題でございますけれども、そういう市町村の御要望も、お説にありました御要望も伺っておるわけでございますが、御案内のように、現在第三次整備計画の進行中でございまして、これが昭和五十年で終わることになっております。それで五十年度といたしましては、私どもの現在の計画は、まず実質的に、まあ以内とありますけれども、実勢に単価を引き上げる、それから五十一年度からの新しい計画におきまして、いろいろときめのこまかい、前向きの検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  161. 和田静夫

    和田静夫君 いまの質問、大蔵省どうですか。
  162. 高橋元

    説明員(高橋元君) 各省の施策ができるだけきめのこまかいものに、きめのこまかい実情に体したものになって出てまいるということは私ども非常にけっこうなことだと思います。それが実現ができるように、全体として考えなければならないことも当然でございますが、いまの具体的に御質問がありました事項につきまして、まだどういう方針で作業を進めていくか、それはただいまお答えをする用意はございませんので、御容赦願いたいと思います。
  163. 和田静夫

    和田静夫君 これでこの部分の最後ですが、行政管理庁の統計調査事務地方公共団体委託費の人件費の範囲、それから本俸単価。それで、人件費から時間外手当、退職手当、児童手当、公務災害補償費、共済負担金等が対象外になっておりますね。その分地方団体の負担となっているわけですよ。そもそも委託費というものが、国の事務を地方公共団体に委託したことに伴い必要とする経費をあがなうという委託費の基本性格からして、人件費についても、すべての人件費をその対象とすべきであって、また本俸その他の給与の単価についても、地方公共団体の実勢に見合う、こういう単価にすべきであると私は考えるのですが、行政を管理する立場にある行政管理庁がそういうことをやって、こういう実態ですからね。もう答弁もらわなくたって前段の部分はわかる実態なんだから非常に困るのですが、さっそく来年度の予算で処理されませんか。三つのことに一括答弁を願って、その答弁に基づきながら大蔵省も一ぺん答弁をここでいただきたい。  それで、外国人登録事務でも同様のことが言えるのです。きょう法務省来てもらわなくて——もう時間がなくなってきましたが、それは切りかえどきが来ておりますから、外国人登録事務一切拒否するぐらいの態度は、いますでに自治体間で協議が始まっているぐらいですから、こういうところから始まっている超過負担というものは、とてもたえられないです、こんなものは。どうですか。
  164. 松井敏夫

    説明員(松井敏夫君) お答え申し上げます。  現在の府県の統計専任職員の人件費の点でございますが、現在の格付けは、一般国家公務員の行政職(一)の六等級六号俸に格付けしてございますが、この決定は、昭和四十三年度に大蔵省、自治省それから当庁が共同で実施いたしました結果に基づきまして、当時、統計専任職員は高校卒試験採用者で経験年数が十四年の職員を標準とすることが適当であるという判断に基づいて、それを国家公務員の一般職に格づけした結果でございまして、昭和四十六年度から現在までこの格づけによって委託費を計上してまいっております。  いまお話しのように、この中で、職員基本給のほか、職員諸手当の中で超過勤務手当あるいは児童手当等、現在の積算の中に入ってないものもございますが、現実にこの平均給与積算額とそれから各県における実支出額の平均給与額の間に差があることは御指摘のとおりでございますが、ただ、この差額につきましても、先生も御承知のことだと思いますけれども、県の委託職員の行ないます事務の中には、国の委託した事務のほかに、県独自の統計調査事務に従事している面もございますし、もう一つは、各県の独自の俸給表に基づきます格づけ、人員配置という点もございますので、実額との差イコール全部超過額かどうかという点については、もう少し業務の実態なりというようなものを調べてみる必要があろうかと思います。それで、私どもといたしましては、四十三年の調査結果でまいっておりますけれども、近いうち、業務の実態、給与等について内容を、実態を把握して検討してまいりたいと、そういうふうに考えております。
  165. 和田静夫

    和田静夫君 全然答弁になっていないけれども、大蔵省どうですか、もう時間がないもんだから。ちょっといまの答弁検討してください。あとで来てもらう。
  166. 高橋元

    説明員(高橋元君) 行政管理庁からいまお答えがありましたことでございますが、確かに、実支出額の全額を委託職員の委託の任務のためにさかれたかどうかという点は、検討を要するものであろうと思います。そういう点について、行政管理庁とまた予算の編成の段階でいろいろ御相談をしてまいりたいというふうに考えておりますが、基本的には都道府県の統計事務を処理していく、そういった職員の合理的かつ効率的な設置費につきまして、できるだけ実態に即応したと申しますか、そのあるべき姿に即した予算というものを考えていきたいと思います。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 最後に、実は大蔵省ももっと実務者の段階で答弁をしたいという話だったんです。しかし、きょうどうしてもあなたに無理しても出て来てもらったのは、この質問をしたかったからなんです。  それは、さっきからずっと言われているように、実態調査をまって、そして前年度の事業の実態調査をこうやって事後的にそれを処理していくという形なんですね。当面、これを大蔵省、現実的と考えているのかどうかということですね。  それから、一体その調査をやっている、やっていると言うけれども、四十八年度の事業でしょう。そうなってくると、四十八年度の事業についての調査であったならば、その結果に基づく超過負担の解消というのは、論理的には当然四十九年度補正予算でやることにならなきやならぬと私は思うんです。それはそういうことでやられますね。
  168. 高橋元

    説明員(高橋元君) うしろのほうの御質問からお答えしますが、四十八年度の実績についての実態調査がまとまるのは今月の末かというふうに承知しておりますが、その中で、いわゆる超過負担と申しますか、超過負担に該当するものがどれだけあるかというようなことにつきましても、自治省及び関係各省と御相談をしていかななければならぬかと思っております。そういうものが詰まっていった段階で、補正予算をどうするかという基本方針は、まだ具体的には、追加財政需要の内容、それから今後の歳入の見込み等々も見た上でなければきめ切れないわけでございます。四十九年度の補正予算でどういうふうに処理をしていくか、もし必要があればどうするかということについて、現在慎重に検討を進めておるところでございます。  それから、実態調査をかけた上で超過負担を解消しているのでは、イタチごっこではないかという前段でございますが、確かに年度間の資材、労務費の上昇率をどういうふうに見込むかという問題はあると思いますし、予算でございますから、国全体の経済見通しと整合性をもってきめていくわけで、それをこえて物価が上昇した場合にどうするかという問題は絶えずあるわけでございますが、予算の見積もりとしましては、そういった経済見通しにおける物価上昇率というものを踏まえて、過去の実績を参考として、個別の事業について算定をしていくわけでございます。そういったもので補助単価がきまるということでございますから、御承知のように、理論の問題としてはそこに乖離があり得ないわけでございますが、乖離が発生することが著しいような事業、施設につきましては、超過負担に対する乖離を埋めていく、超過負担の実態調査で乖離を埋めたいということでございます。  それから、おっしゃいますように、予算の執行の段階で四十九年は現実に単価の改正をしたわけでございます。五十年度は、ことしの初め以来、少なくとも建設資材の上昇は非常に安定しておる、むしろ下がりつつあるというふうに考えております。今後どうしていくか、これも検討問題として、いまはっきりここでお答えできませんけれども、私どもとしては超過負担の解消にいままで真剣に取り組んでまいりましたが、今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省けっこうですから、  もうあと七分しかなくなったので、簡単に大臣質問しますが、一つは「むつ」の帰港問題です。これは市長もあそこから出ていくことを反対をしていました。そして私たちが心配したとおりの状態に「むつ」がなりました。いま、これは県知事を含んで漁協の皆さんも、結果的には安全性が確認をされない状態における「むつ」の帰港というものについて拒否をされています。で、まあ閣議の模様が報道されましたが、中曽根通産大臣がいわゆる洋上でもって修理をすべきだという主張をしたというようなことも報道されてましたが、これは自治大臣として、明確に、県、市すべてを含んでこの帰港について、帰ってくることについて反対をしているわけですから、その態度を是とされながら閣議でその方針を守らせる、そういう努力を続けられますか。
  170. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) 「むつ」が洋上試験のさなかに放射線が漏れるというまことに異常な事態が起きて、目下科学技術庁と申しましょうか、あの原子力船の事業団といたしましては、その善後措置といいましょうか、全力をいまあげるように努力をしておるように私も聞いておるわけでございます。  なお、これに関連をして、地元の県あるいはまた市におきまして、そういった危険のあった「むつ」の帰港を拒否をしたい、こういう動きのあることも私も承知をいたしておるわけでございます。したがって、いまこの段階におきまして、これに対してどういうふうな態度を政府はとるべきかということについて、私からお答えを申し上げることは適当でないわけでございますが、私は、洋上においてどの程度の修理ができるのかわかりませんけれども、少なくとも安全な状態にして、そしてやはり「むつ」に帰港をしてもらうということ以外、かりにこれをいつまでも洋上に置きっぱなしにしておくわけにはまいらぬのでありまして、どうしてもやっぱりどこかに帰港をいたさなけりゃならぬ。だといたしまするならば、将来の原子力船の帰港地をむつからよそへ移すかどうかというような問題は、これは別の問題として将来起こり得るかもしれませんけれども、当面としてはやっぱりむつに帰港をさせるという以外に私は道かないのじゃないか。しかし、それには地元の方々が十分安心のできるだけの措置を講じた上で、地元の納得を得て帰港をさせるということに私はならざるを得ないのではないかと、こう考えておるところでございます。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 韓国の状態ですが、この朴大統領の意見の表示をはじめとして、外交ルートを通じていろいろの接触があるようですね。で、日本政府としては近く何らかの回答を出す、こういうような状態考えられます。そのために政府は、関係省庁間で問題点の検討をさせているというようなことが伝えられますが、国家公安委員長は、警察当局にどのような点を検討するように指示をされましたか。
  172. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) 先般の韓国大統領狙撃事件、またそれに関連をいたしまして大統領夫人が暗殺をされる、まことに私は遺憾な事件であったと、こう考えておるのでございます。しかもその犯人が、日本に生まれ、日本に育った韓国人であると、しかもそれに用いられました、凶器となりましたピストルが、日本の大阪府の警察管理をしておりまするピストルであったというようなことからいたしまして、韓国側としては非常に日本に対して憤激をするということになったことは私もこれは無理からぬことだとかように考え、ことに、ピストルが盗取をせられたということについては、警察としても重大な責任を感じておるところでございます。そこで、御承知のように、大統領は特に日本大使を呼んで韓国側の意向を表明される。さらに、外務大臣もまた日本の大使を呼んで、いろいろ向こう側の考えを述べられる。またさらには、日本に駐在をいたしておりまする韓国大使が、日本の外務大臣に対しまして同様のような趣旨のことを述べておられるようでございます。したがって、日本政府といたしましては、ただこれを黙って放置をしておくということは、私はやっぱりできないと存ずるのでございます。したがって、日本政府はこれに対して必要な回答と申しましょうか、日本政府側の考えを申し述べる必要がある、こう私は考えておるのでございます。ことに、私ども警察関係といたしましては、日本側の今回の犯行に対する捜査の協力がきわめて不十分であるというような意向が表明をされておるというふうに私どもも聞いておるわけでございます。しかし、私はあらためて申し上げるまでもございませんけれども、今度の事件関連をいたしまして、いやしくも私は日本の国内において法を犯すようなことが行なわれておったということでございまするならば、これは私どもといたしましては十分に取り締まりをしていかなきゃならぬということは申し上げるまでもございませんけれども、ただ、あの犯人でございまする文世光と日本の国内において特にこの事件に共同正犯的に共謀をしてやったというような事実が、いまだ、日本の警察としてはこれを把握するに至っておりません。したがって、日本警察といたしましては、証拠の明らかでない者に対して捜査を進めるというわけにはまいりませんので、私どもは、もしそこにそういう事実がございまするならば何ら遠慮するつもりはございませんけれども、ただ、向こう側か、そういうふうに日本に長く住んでおった人間であり、しかも日本のピストルを持っていったということで、その背景に多くの関係者があるというふうに抽象的に言われましても、それだけの事実をもって日本警察としては捜査権を発動するというわけには現段階においてはまいらないというのが実情でございます。そういった点は私は韓国側には明らかにしておくという必要があろうと、こう考えておるところであります。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 最後ですが、政府は韓国側の要請に対して、捜査協力は国内法の範囲内で行なうという方針をとってきました。この回答の内容はいつごろ政府としては出されるつもりなんだろうか。そして、従来の方針に沿うもので変更はないと了解をしておいてよいですか。
  174. 山本鎮彦

    説明員山本鎮彦君) 回答の時期でございますが、時期についてはまだはっきり外務省から連絡ございませんが、来週早々ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、これまでの捜査方針、そういうものには変更はないというふうに心得ております。
  175. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本件に関する午前中の調査はこの程度とし、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時五十六分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会
  176. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  177. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 午前中に和田委員のほうからいろいろ質問ありましたけれども、私も丸の内爆破事件について何点かお尋ねしておきたいと思います。  和田委員からも話がありましたけれども、現在のいわゆる火薬類取締法、法の上で欠陥があったんじゃないか、その点についてどういうふうに考えるのかという、こういう質問がありました。私もその辺の、当局の御答弁によりますと、いわゆる管理面においての、それを取り扱う人たちの精神面の問題こういったことを取り上げておりましたね。あるいは行政指導の強化、こういうようなことを言っておりました。それはもちろんそうなければならぬと思いますけれども、いわゆる現在の火薬類取締法というものがある。あるけれども、どれだけかの効果をあげているだろうけれども、実際に丸の内のような事件が起きた。そうすると、そういう事件を通して、やはり法のどこかに欠陥というか、があるのではないか。こういったことがあれば、これは当然その点を是正をしていかなければならぬわけです。ですから、その辺について、当局がまずどういうふうにお考えになっておるのかということなんですね。法には欠陥はない、こういうふうに考えているのか、あるいは今後のこの点はいわゆる変えていかなければならぬであろうというような——どういう考え方を持っておるのか、その点についてひとつお答え願いたいと思います。
  178. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 最初に、この火薬類取締法と申しますのは、通産省の所管法令でございまして、それなりの立場で常に検討され、監督も行なわれておると私は思うのでございますが、これから申し上げますのは、警察の立場といたしまして、警察の職権上、立ち入り検査をし、あるいはこういうふうなお示しの事犯状況をつぶさに検討いたしまして、末端においてとられない方法をどういうふうに徹底的に考えていくかということが一番問題になるわけでございますが、従来の盗難状況その他を考えますと、貯蔵所、取り扱い場その他で鍵をこわしてとられるという、そういう事態もございますし、末端消費現場において、取り扱い管理が悪くて、鍵もしないでやはりとられやすいような形において放置されておるというところからとられておるような、いわゆる真岡の高校生が茨城でダイナマイトをとったような事例もございます。ですから、そのためには単なる精神論だけで終わるわけではございませんので、末端においてそういうふうな保管管理を徹底させる、いわゆる手続上の保証をしなければいけない。そのためには、現在二十五キロ以上のところには、火薬の取り扱いの保安管理責任者というものを置いておりますけれども末端において取り扱う場所においても、そういうふうな神経の行き届いた責任者を置いて、保管管理の徹底を期していくという、そういうふうなことと、それが行なわれない場合には、いわゆる火薬の取り扱いを全面的に停止するとか、そういうような規制の方法を考えていくようなことを管理することによって、盗難防止なり、あるいは不容易な紛失を防いでいく、こういうことをさらに検討していかなければならぬということを警察の立場で考えるということでございます。
  179. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 おっしゃることはよくわかります。当然そうなければいかぬと思うのですよ。私も和田委員もお尋ねしたことば、現在火薬類取締法というものがあるわけです。それによれば、製造、販売、消費、この報告が義務づけられているのですね。そういう内容がある。それはなぜそれじゃそういうふうにしなければならぬかといえば、今回の事件が起きた、そういったものをこういったことによって防ぐためにこういった内容が盛られている。で、そういうことでこういう内容が盛られているのだけれども、現実にはこういう問題が起きてきた。そうすると、その場合に、法的に言って、法の面から言って、もう一歩規制をしなければならぬ、あるいはもう二歩、三歩かもしれぬけれども規制をしなければならぬ、改正をしなければならぬという、こういったこともあわせて考える必要があるのじゃないかと思う。全く現在の火薬類取締法でそれはもう完ぺきなんだと、こういうことであればこれはまた別ですけれども、そうでないとするならば、その辺にやはり法改正——今度の事件を通して、こういうものを法の上で、こういう面、ああいう面を規制してあるけれども、まだ法に欠陥がある、でこれは改正しなければならぬ、あるいは新たに盛り込まなければならぬということで、そういった必要があるのかないのか、この辺をお尋ねしているわけでございまして、その点ひとつもう一度。
  180. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 火薬取締法につきましては、最初申し上げたとおり、通産省の所管でございまして、警察的な立場でいいますと、いわゆるその技術上の基準というものはきめられておりますけれども、その中で盗犯を、いわゆる盗取を防止するという立場においての検討が非常に薄いということで、警察側から強く申し入れまして、昨年の十一月、通産省令で改正をされまして、ことしの二月十五日から新しい盗難防止のいろいろな基準が設けられておるところでございます。しかし、従来の火薬類を取り扱うという立場においては、いろいろな建設行政とかあるいは開発の問題において使われておりましたけれども、今度におきましては、丸の内事件のようなああいう対象が使うという危険性を考えてやはり法改正なりを検討していかなくちゃいかぬと、こういうことは私ども考えておるわけでございます。ですから、先ほど申し上げました、第一線における火薬取り扱い者を置くということとか、行政処分を徹底するような規制のしかたをするというのは、やはり当然法改正の中で検討されなければならない問題でございまして、新しい時代に対応した検討ということがやはりぜひ必要であるということを考えておるわけでございます。
  181. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。  そこで次にお尋ねしたいのは、今度の事件も、当然火薬類取締法に基づいて、正規のルートによってこれがいわゆる使用されるべくどこかに販売された、そういうものがいわゆる紛失をした、いまおっしゃったように、何らかの形で盗まれた、で、その結果まあ生じてきた問題だと思います。そこで、いままで盗難にあった件数、どのくらいの件数があるか、その点についてひとつお答え願いたい。
  182. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 昭和四十五年以降、本年六月までの発生火薬類盗難事件の件数を一応申し上げますと、全体として四百五十三件ございまして、今回問題になっておりますダイナマイト等の爆発物盗難は八十九件でございます。先ほど申し上げましたけれども、そのうちどの程度のものがとられて回収されておるかという点については、先ほど和田先生からの御質問でお答えいたしましたけれども、少なくとも回収残り、とられっ放しになっておりますのは、二百二十五キロが未回収になっておるということでございます。これは四十五年からの数字でございますので、念のために申し上げておきます。
  183. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、これはいわゆる件数として、四十五年以来四百五十三件、そうしてそのうち未回収の数量ですね、これは二百二十五キロということですか。で、件数といたしましても、四百五十三件の盗難というか、この件数が報告されている。しかし、実際には、これはもう正規に報告されたものであって、これが隠されているというものありませんか。これはありませんかと言ってもお答えできないかもしれませんね。だけれども、そういういわゆる可能性、まだまだ正確に言うならば、この盗まれた件数、物はまだまだあるであろうという予想といいますか、そういうものは私は立てられるのではないか、またそういったことが当然考えられるのではないかと思いますけれども、その点どう考えますか。
  184. 荒木貞一

    説明員荒木貞一君) 先ほど御説明した中でちょっとあれですけれども、全体として四百五十三件でございましたけれどもダイナマイト関係につきましては八十九件でございます。  それで、どのぐらい届けられない事件があるかという一つの御質問でございますけれども、私のほうで事犯検挙いたしますと、未届け事件というのがございますので、先生のおっしゃるように、ある程度の届けられない事件というものがまだあると、そういうふうにも感じまして、今回の事件につきましては、もう一ぺんひとつの取り扱い場自体に対して、捜査の立場から、検査の立場からもう一ぺん洗ってほしいということを保安部長名で通達を出しでおるところでございます。
  185. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは盗難によってこういう問題が起きたわけでありますが、今後再びこういった問題を起こしてはならない。起こしてはならないというか、起こさしてはならないと思うのですね。そのためには、万全のいわゆる体制対策を講じていかなければならないと私は思います。そういう意味で、先ほどからお答えもありましたように、管理体制、これはもうまさに不備な点が、具体的に申し上げればたくさんあるわけですね。その辺のいわゆるチェックをどうするかという問題は、これはもう非常に重要な、重大な問題だろうと思います。当然、先ほどこれらについてお話がございましたので、特に申し上げませんけれども、まあそちらでお答えになったとおりだろうと私は思います。で、十分にひとつそういう点を御検討いただきまして、そして再びこのような事件の起こらないように万全の対策を講じていただきたいと、こう思います。  もう一点、これも先ほどお話がありましたけれども、御承知のように、建物が近代化されるに従って、最近の建物、たいへんガラスが多くなっています。そのガラス被害を今度の事件でも大きく受けたということですね。そうなりますと、これはあの三菱の建物に限って、あの周辺にはどれだけかありますけれども地震なんという問題からすればこれは非常に範囲が狭かったということです。で、もし相当な地震があった場合に、当然あのときのようなガラスによる被害というものがこれはもう全国的に起きてくることだけは間違いない。そこで、いわゆるこれは建物の構造とか、そういった問題にも関係をしてくるかもしれませんけれども、それじゃ今度の丸の内事件を契機に、これをよき教訓として、今後のいわゆる地震対策の上に、これらの建物の構造上の問題そういうものを全部含めてどのような対策を講じていかなければならないか。これは当然もう早急にやはり考えていかなければならない問題だろうと思います。その点をひとつどのような対策を講じていけばいいのか、どういうふうにその点についてお考えになっておるか、お答え願いたいと思います。これは消防庁——いないですか。それじゃひっくるめて、申しわけありませんが、大臣いかがでしょう、担当大臣として。
  186. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) 今度の丸の内ビル街の爆破事件、まことにわれわれとしては重大な爆破事件であったと、その及ぼす影響というものはきわめて大きいわけでございます。いま保安部長からお答えを申し上げましたが、私もお話を伺いながら感じたことでございますが、全国的に相当のダイナマイト等が盗まれておる事件が起きております。しかも、今度のようなきわめて重大な事件が起きたということでございますので、やはり私は、この場合、いままでの日本の火薬類取り締まりのやり方というものは一体これでよろしいのかどうか、ほんとうに私は真剣に見直して、あらゆる方面からの管理がもっと厳格に行なわれるようにいたしまして、こういう事件の再発を極力防止するということを私はほんとうにやらなければならぬものだ。そういった意味合いで、実は関係方面には、こういった法令の再点検、法令の改正を必要とするかどうかということも、ひとつ十分に検討するようにということを実は指示をいたしておるところでございまして、どういったようなところに多くの欠陥があり、これをどうしたならば防止できるかという角度からもひとつ十分検討をさせてみたいと、こう考えておるわけでございます。  いま御指摘のございました、今度の事件ガラスが上から雨あられと落ちてくる、そのために非常な多くの被害者が出たというようにも私ども聞いておるわけでございまして、これが万一地震であったならば一体どうなるのであろうか。どうもそういう場合のことをちょっと想像してお答えをするだけの私には用意がございませんけれども、おそらくやっぱりこれに類するようなことが起こり得るのではないか。だといたしますれば、いままで、最近における近代建築というものはかなりガラスをふんだんに使っておる。外見あるいはビルに居住をいたしておりまする者からすると、たいへんあれはぐあいのいいものであるかもしれませんけれども、そういった危険防止といったような角度から見ますると、確かに私は再検討の余地があるのではないか、こう思うのでございますが、こういった点につきましては、やはり御指摘もございますので、関係省としては、ひとつ十分こういった問題も今後の課題として検討をいたしていかなければならぬのではないか、建築基準にどういったようなことを今後取り込むべきであるかどうかといったような問題も含めて、ひとつ検討をいたさなければならぬ、かように考えております。
  187. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次にお尋ねをしてみたいのは、電気・ガス税についてであります。これは今年の春に私、大臣にお尋ねをいたしたわけでございますが、現在電気税につきましては、免税対象世帯が全世帯の二七%、こういうふうになっております。で、免税点が千二百円ということになっておりますね。税率は六%、こういうことになっています。ところが、御承知のように、この六月から平均五六・八二%、電気料金が上がった。当然こうなってまいりますと、せっかく設けられている免税点あるいは税率にいたしましても、これはもう現在の電気料から見れば、全然その対象になるものがなくなってしまう。早急にこれは対処しなければならぬということでありまして、当然そういうことにつきましては、この春の時点で、大体九月くらいをめどにこの改正をしていきたい、こういうお話があったわけであります。いまだにそれが行なわれていないという現状でありますけれども、これらについて、今後どのように自治省はおやりになっていくのか。その点を、もう時期が今日の時点でありますので、当然そういった考え方がまとまっておると私は思います。その点ひとりお伺いいたしたいと思います。
  188. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) あるいは税務局長から詳細にお答えをいたしますけれども、この前のたしか地方行政委員会で上林議員からもお尋ねがあり、当時私もお答えをいたしたつもりでございますが、今回の大幅な電気料金の値上げに伴いまして、現行の免税点なりあるいは税率をもっていたしますれば、かなりの大幅な税負担になるということでございますので、政府といたしましては、今回の値上げによりまして、特に税負担を過重にするという考えは全くないわけでございますので、そこで、免税点を相当に引き上げる、また税率もある程度引き下げるという実は具体の方針をきめて、ほぼ成案を得ているわけでございます。したがって、なるべく早い国会に御提案を申し上げ、その成立を期したいと考えておるわけでございますけれども、当時、なお私どもは、まあ九月ごろにはあるいは臨時国会が開かれるかもしれない、そうなれば、そのときにまっ先に御提案申し上げようということも考えておりましたが、御承知のように、国会の開会が若干ズレておるというようなことで、いまだ提案の運びには至っておりませんけれども、私ども、国会が開かれましたならば、早々に御提案を申し上げて成立を期したい、そして納税者の負担が、電気料金の値上がり分だけがまたふえるというようなことの起こらないようにいたしたいと考えておるところでございます。
  189. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣のお話よくわかりますけれども、内容的にはこの時点では——ある程度見通しですね、その内容についての。これは、お話伺うわけにいかぬですか。その点いかがですか。
  190. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 今回の電気料金の引き上げに伴います電気税の軽減の検討でございますが、先ほど御指摘がございましたように、まず免税点につきましては、従前までが千二百円の免税点でございまして、御指摘のように、約二七%の世帯が免税点以下と、こういうことに相なっておったわけでございます。今回の値上げに伴いまして、現在考えております免税点は、ほぼ標準世帯が消費をします程度まではできれば免税にしたいと、こういう考え方でおおむね二千円程度にしたらどうか、こういう考え方を実は持っております。この程度の免税点になりますと、おおむね一カ月の電気消費量か百四十キロワットアワー程度——これは電力会社によって若干値段が違いますから相違はございますけれども、ほぼ免税世帯は五〇%近く、四九・九%ぐらいになろうかと思いますけれども、その程度までを免税点に設定をしたらどうかというような考え方で、現在案をまとめておるところでございます。
  191. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 税率について。
  192. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 税率につきましては、先ほどから大臣も申し上げましたように、今回の値上げに伴いますその負担増分が税収にはね返らないように、つまり値上げに伴ないます増収、これはあげて還元をする、こういう考え方で設定をいたしました場合、現行の六%の税率を一%引き下げて五%程度にいたしますと、若干電灯面におきましては税収の減が立ちますけれども、電力面の増等の相殺ができますので、ほぼ六%を一%引き下げることができるのではないか、こういう考え方で検討いたしております。
  193. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、電気・ガス税でありますから、あとガス税について、いわゆる現在免税対象世帯、これはガスの場合には六二%ですかね、現在二千七百円が免税点、そういうことですね。それから税率は五%。ガスの場合には少々電気とは内容が違います。ガスの場合にはどういうふうにお考えになっておられますか、お答えを願います。
  194. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) ガスにつきましても、基本的な考え方、方針といたしましては、電気の場合と同じように考えてまいりたいと、このような方針で検討いたしております。ただいまガスの状況でございますが、今回東京瓦斯の値上げ率がきまりまして、御承知のように約四七%程度のアップでございますが、まだ大阪瓦斯につきましては決定が行なわれておりませんので、最終的にどのくらいの値上げ率になるか、実は現在は判明をいたしておりません。しかし、従前の二千七百円の免税点で、先ほど御指摘のように約六二%の世帯が免税世帯になっておりますので、少なくともその程度の免税世帯は確保できる程度の免税点、こういうことで免税点を考えたいと思っておりますし、また、これに伴ないます増収額の相殺いかんでは、税率が引き下げ得ればそのような措置もまたあわせて考えていきたい。これは金額が算定できませんので、ただいま具体的なものは申し上げかねますが、同じような方針でまいりたいと思っております。
  195. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ここで、この問題やがて法律として提案されるわけでありますけれども、その時点でまたいろいろと論議があろうと思いますけれども、したがって、現時点でこの対象が少ないとか、多いとか、あるいは税率はもっと引き下げるべきであるとか、そういった論議については次に回すといたしまして、いずれにいたしましても、御承知のように、インフレ下、国民がたいへん苦しんでおることだけはこれは間違いない事実である。そういったいわゆる情勢というものを踏まえた上で、やはり前向きに取り組んでいただくことを私は強く要望いたしておきたいと思います。  そこで、次にお尋ねをしたいのは、文部省関係ですけれども、現在小中学校建設については国の補助制度があるわけですね。で、これはそのとおりである。ところが、高校につきましては全く補助助成がなされていない、こう申し上げられると思います。一部、ごく一部特殊なケース、こういったものについてはどれだけかの助成があるけれども、県立高校建設ということについては国の補助がないと言っていい。そこで、小中学校に対しては助成制度ができておって、そして高校にはないという、この基本的な、いわゆるそういう立て分けた基本的な考え方、この基本的な考え方はどういうところにあるのですか。
  196. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいま先生お話のございましたように、義務教育制度の義務教育諸学校につきましては、従来から国庫補助をやっておるわけでございますが、この考え方は、御承知のとおり、義務教育として国もいろいろな面で責任を持っておるというところで、施設についても、その充実は財源的にも国が措置する必要がある、これは当然のことかと思うわけでございます。  逆に、高等学校の問題でございますが、高等学校については、従来から設置も都道府県が主として行なっておりますし、管理、運営についても責任が都道府県である、加えて、財政力の面におきましても都道府県は市町村より非常に大きいというふうな沿革的な事情もあるわけでございますが、従来は補助制度が全日制高校等については行なわれてはおらないわけでございます。そういう意味においては、財源措置として国が行なうべき内容は、交付税制度なり地方債制度で行なえと。補助制度でやるか、交付税制度あるいは地方債制度でやるかというのは、国の財源措置の方法論の問題になろうかと思うわけでございますが、従来は、いままで申し上げてきたような経過で行なわれていないというのが実情でございます。
  197. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 文部省としては、今後の高校への進学率、これを——今後のですよ、どういうふうにとらえておられるか。それと、またここ数年の間のいわゆる高校進学率の推移ですね、これはどういうようなことになっておるのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  198. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 進学率の問題でございますが、昭和四十五年度という節をまず申し上げますと、八二%でございました。この四十五年度から現在四十八年の実績が出ておるわけでございますが、八九・四%に上がってきております。四十九年三月はまだ出ておりません。この四十八年の八九・四%は、私ども都道府県に照会した推計によりますと、五十二年度には九四%になるであろうというふうな見通しがございます。一方、中央教育審議会が文部省に置かれておるわけでございますけれども、中央教育審議会のいろいろな審議のプロセスで推計された結果によりますと、五十五年度には九五・七%になるであろうというふうな推計がございます。
  199. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっと話が途中のような形になるかもしれませんけれども、ここ数年の高校進学率の推移ですね、それを踏まえて将来の進学率、これを考えた場合、大体こういう状態になるであろう、こういうお答えだったのですが、先ほどのいわゆる小中学校に対しては助成をする、高校については助成がなされていない、その基本的ないわゆる考え方はどうかということをお尋ねした。その中で、一つの理由として、いわゆる義務教育という問題が出てまいりましたね。そこで、まあ考え方はいろいろあろうと思います。考え方はいろいろあろうと思う。だけれども、たとえば昭和三十年当時の全国平均というのは五一%かそこらですね、高校進学率というのは。それが今日では九〇%をこえたという。そしていまおっしゃったように、間もなく九五%ぐらいになるだろう。そうなりますと、これは高校教育というものは、すでに、理屈ではなくて、これはもういわゆる義務化されたような形になっている、こういうふうに私は考えられると思うんですね。ですから、その点の考え方を文部省としてはどういうふうに考えておられるのか。
  200. 柴沼晉

    説明員柴沼晉君) 高等学校の義務化の問題につきましては、私ども現在の時点で、助成課長からお話し申し上げたように、非常に進学率は伸びてきている。それからまた進学希望者のうち九九%の者が、特定の学校へ入りたいとか、特定の学科に入りたいというようなことはさておきまして、実際上、希望者の九九%が高等学校へ進学をするようになってきている。まあそういうことを考えてみますと、今後さらに地域の実態に即しながら高等学校の増設をはかって、高等学校への進学を希望する者をできるだけ多く入れていくようにしていきたい、そういうふうに考えております。ただ、義務化自体につきましては、後期中等教育段階の青少年の能力適性というものは非常にさまざまで、高等学校教育へ進学を希望する以外の道を希望する者もまだまだかなりいるような現状でございますので、いま早急に義務化ということになると、そういう者まで高等学校へ入れなくてはならないのか。むしろ別の進路を求める者に対しては、それぞれの進路に即した行き方も考えてやるべきではなかろうかということから、一律に義務化ということは考えておりません。ただ、できるだけ多く希望する者を入れていきたいということで施策を進めている現状でございます。
  201. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私がいままでこう話してきたことは、いわゆる小中学校に対する助成が高校にはないという、こういった話を通して、私が何をどういうねらいでお話しを申し上げているかということについてはおわかりいただいていると思うのです。  で、なるほど、いまお答えがあったように、制度の上から、制度上またはこの法制化をしてその高校教育を義務化をする、そうしなきゃならぬということを私は申し上げているのではない。いわゆる現状の進学率というのはそのように高まってきておるということ、当然これはその義務化までは——義務化といえばこれはもう一切国民、その適齢者は全部強制的にそれを受けなけりゃならぬと言っていいと思いますけれども、まあそういうことではなくて、いわゆる九五%ということは、あるいはそれ以上になる可能性もある。そういう実態というもの、これが現状、実情でございまして、当然国の考え方としては、これはいわゆる法の上からは、それは義務教育、義務化ということではないかもしれないけれども、しかし実情からして、当然考え方としては、これはやっぱり義務化されたものと同じような見方をしていかなければならない、それでなけりゃすべて追いつかない、こういう事態に立ち至っているのではないかというふうに私は思うのですね。そういう意味でのいわゆる義務化ということですね、そういったことについての考え方です。その辺についての考え——おわかりになりませんか。
  202. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 先生のお話の御趣旨は、義務教育について、義務教育とされている点で補助が行なわれている。したがって、高等学校についても、実態が義務化的な内容になってきた以上は、もうそろそろ補助制度を考えるべきではないかという御趣旨かと考えるわけでございます。また先ほど私申し上げましたように、高等学校の新増設につきましては、従来から自治省におかれまして、交付税や地方債でいろいろとめんどうを見てきていただいておるところでございます。ただ、この時点で私ども考えます場合に、各都道府県において高等学校の新増設を要する数が、かなりここ近年相当多数が予想されるという実態が、見通しでございますがあるわけでございまして、そういう見地に立ちますと、当然この点において、交付税、地方債による財源措置に加えて補助制度を考えるべきではないかという見地から、五十年度の予算要求といたしましては、新たに公私立高等学校の新増設費補助といたしまして、七十億円の予算要求という形のものを大蔵省に提出をしておるわけでございます。まあ今後予算査定までの間に大いに検討されることになろうかと思いますので、要求の姿としてはそういう内容をとっておるということを御報告申し上げたいと思います。  以上でございます。
  203. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いわゆる結論的なことをお答えいただいたので、私はいま言ったように、私のお尋ねした点についての、文部省のその考え方、これをお尋ねしたのですけれども、その先を言われちゃったので、ちょっとどうも質問があれなんですが、いずれにいたしましても、これから三、四年たてば、第二のベビーブーム期に生まれた子供たちがいわゆる高校進学ということになる。当然現状では、そうなった場合にとてもこれはまかない切れるものではないと私は思いますよ。そこで、これに対する国の対策というものが当然見直されなければならない、考え直されなければならない、いままでのような考え方ではとてもこれをまかない切るわけにはいかぬだろうと、私はこう思うわけですね。ですから、よっぽど強力な助成体制というか、制度というか、こういうものが確立されないとこれはとても追いつかない。そこで、いまおっしゃったある程度の助成、そういったことで、実際にあとは県サイドまかせということでありますが、そういったことで、ここ何年ですか、あと三、四年ですね、あと三、四年でもって、大体新増設——新設か私の手元の資料によりますと百九十四かな、それから増設が二百七十四か、合わせて四百六十八。これは全国知事会の調査によるものですがね。これをここ三、四年でもって十分にこなすだけの体制——いわゆる体制ということは学校建設ですね、これが実現できるかどうか、そういう自信が文部省にあるのかどうかということです。  もちろん、これを実現をさせなければ教育に支障を来たしてくることは間違いない。そうだとすると、これはそれ相当のいわゆる助成に対する制度、体制というものは強力なものができなきゃならぬということですからね。そういったものをあわせて私は文部省のお考えを伺っておきたいと思います。
  204. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいまの先生のお話にございましたように、今後数年間においての公立高等学校の新増設計画は相当多数にのぼるわけでございます。知事会の数字でいま先生おっしゃいましたわけでございますが、私ども調査によりますと、四十九年度から五十三年度までの間に、公立高等学校の新設予定が三百三十六校あるというふうに都道府県からの報告を受けておるわけであります。この三百三十六校、五年間でございますが、五十年度が五十二校、それから五十一年度が六十一校あるという前提を私ども立てまして、これもやはり報告によるわけでございますが、このうち九十九校が五十年度には施設を整備するであろうというふうな前提のもとに、七十億円という——三分の一の補助でございますが、補助金を計上して予算要求にセットしておるという実態でございます。  先生が後段でおっしゃいました、これらの整備について文部省としての覚悟いかんというふうな点でございますが、私どもとしては、国の財政措置は、補助金ばかりではなくて、先ほども申し上げましたように、地方債なり交付税でめんどう見ていただく面も多分にあるわけでございますが、それにプラスして補助制度も創設しまして、教育に責任を持つ私どもの立場としても、高等学校教育の施設整備に十分努力したいという気持ちで今回の要求を作成しておるという次第でございます。
  205. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 どれだけかの制度、体制をつくろうという文部省の意欲はわからないわけではありません。ただ問題は、この現今のインフレ下にあって、資材の高騰、すべてがもうとにかく情勢は変わってきているわけですね。そういう中で、先ほど超過負担の問題等も出ましたけれども、ますますそういうものが増大をしていく。そういう中で、今度は急激にふえていく高校進学者の数ですね、こういった実態を踏まえた場合に、いま文部省が、なるほど文部省は文部省としての考え方として——まあ私から言えば、その実態に必ずしも即したものとは言い切れないと思う。私は、現在の県市町村段階における財政的ないわゆる逼迫した財政、そういう中で、文部省が考えている程度でもって、はたしてここ三、四年の間に——いま私が申し上げた建設数と文部省のとらえ方とは多少違うかもしれないけれども、それはわずかなものであって、それがいわゆるまかない切れるかどうかということが、これは現実の問題として私は真剣にとらえていかなければならぬと思う。いわゆる義務的、事務的な考え方でこれを処理したって、これはとても処理し切れないと私は思う。そういった点で、もう一度突っ込んでどういうふうにその点をお考えになるか。すべての情勢をとらえた上で実際どうお考えになっているか。三、四年でもって文部省の考え方でもって全部これはでき上がるのだ、したがって高校教育に支障はないのだ、こういう確信の上に立ってのお考えなのかどうかということですね。その点をひとつやっぱりはっきりお聞かせ願わなければならぬのじゃないか、こう思いますがね。
  206. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 高等学校教育の実態と申しますと、先ほど進学率を全国的数字で申し上げておりますが、進学率自体が都道府県によって相当違うわけでございます。東京などのような高いところや、九州あるいは北海道、東北のような低いところもございます。そういう都道府県においては、進学率を高めることに伴う学校増設が必要であるという点が一つ課題になっておりますし、さらに、いわゆる急増都道府県というものがあって、これらの都道府県は、進学率はもうすでに相当アッパーにきておるわけでございますが、社会増的な意味における小中学生の増加に伴い、高等学校の増設が緊急に必要である。まあ、東京、神奈川、大阪等の諸都道府県でございますが、そういうふうな措置もやはり必要であろう、二つの要因があろうかと思うわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、いずれにいたしましても高等学校の新設が必要である、あるいは増学級が必要であるという都道府県については、これを補助ベースでとらえまして、学校建物については、文部省も一枚入ってその整備について大いに努力をしてまいらなければならぬであろうというふうに思うわけでございます。  ただ、問題点といたしましては、やはり用地の問題があろうかと思います。用地につきましては、現在社会増地域においては、特に高等学校等かなり広範囲の用地を必要とする場所自体が見つけにくいという点で、地方公共団体が非常に困っておられる点がございます。ですから、これらの点は、お金の問題と申しますよりは、その設置自体の立地の問題があるわけでございまして、そういう隘路もあって、なかなか国なりあるいは都道府県なりが、行政の責任の立場で考えることと現実の進めぐあいとのかみ合わせがうまくできにくいという点はあろうかと思うわけでございますが、それらの隘路をそれぞれの立場で克服しながらやっていくというところが、私どもなりの責任ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  207. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、いまの県段階では、補助制度の確立、国庫補助制度の確立であるとか、あるいは地方債の少々の拡大といいますか、こういったことではとても間に合わないという声が絶対なんですね。そうなってきますと——まさに私、そのとおりだと思うのです。そういう意味でいままでお聞きしているわけですからね。ですからそうなると、別個にやはり何らかの強力な措置をとらざるを得ないのではないか、こういうように考えるわけですけれども、そのいわゆる助成の内容ですね。内容を具体的に、こういう点についての助成を考えておるという、また、こういう面でも、ああいう面でもという——いまどれだけかのお話があったわけですけれども、それはこちらがお聞きしたことについて、こういう聞き方じゃないから、部分的なお話であっただろうと思うのです。文部省が大きな立場から考えている、もっともっといわゆる前向きな、もっと全体観の上に立った方法、対策というものをお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  208. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) たいへんむつかしいお尋ねでございますが、まあ高等学校のその管理運営、設置と申しますか、これについては、従来都道府県でやっていただいておったというふうな経緯もあるわけでございますが、この際、私どもが補助制度を創設してそれにてこ入れをしていこうというところで、まず何に手をつけるべきかというところで考えました場合に、まずそれでは建物に手をつけようというところで今回踏み切ったわけでございます。そういう意味で、先生の御趣旨については必ずしも十分の理解がわたってない点で申しわけないかとも思うわけでございますが、それぞれの都道府県におかれて高等学校の設置なり増設なりをされる場合におけるいろいろな問題点でございますね、これはやはりその当該都道府県あるいは市町村における都市政策の問題であったり、つまり用地をどういうふうに設定するかという点では、公共用地のたとえば配分であるとか、あるいは住宅団地における高等学校用地のセットとか、そういうふうな個々の行政における高等学校新設にかかる努力というものが必要ではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味においては、私ども文部省の立場におきましても、高等学校建物にかかる補助制度が創設された暁におきましては、これを有効に使ってもらうためにはどういうふうな諸問題を都道府県なりにおいて考慮してもらうべきかというところは、あらためて都道府県との協議のもとに個々に相談してまいる必要があろうかと思っておりますので、当面においてはこの補助制度の実現に全力を尽くしたいというふうに考えておる次第でございます。
  209. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとお答えがあれなんですけれども、結局ざっくばらんに言えば、いわゆる金がないんですよ、金が。そうでしょう。これだけの、先ほど申し上げたものをつくるには四千数百億円かかるといわれているんです、知事会の話では。ですから、そういう金の面で行き詰まるわけです。ですから、その辺を中心にしてどういうふうに文部省はいわゆる対策を講じていくかという、こういうことになるわけですよね。ですから、助成とはその内容はこうこう、こうこうだと、こういったことを明らかにしてもらいたいと、こういうことなんですよ。
  210. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 先生の御趣旨を若干取り違えておったようでございますが、来年度の予算要求の七十億の、それでは内訳というふうな趣旨でよろしいかと思うわけでございます。  内訳といたしましては、私どものほうで先ほど申し上げましたように、五十年度に設置する学校が五十二校あると、そして五十一年度に設置する学校が六十一校ありますが、これはやはり一年前向きに整備するであろうと。全部が前向きに整備するとは限りませんが、私どもの積算としては、全部が一年前向きに整備するであろうというふうな形でとらえております。そういたしますと、百十三校になるわけでございますが、この百十三校のうち、都道府県の報告によれば、九十九校が来年度計画があるということになったわけでございます。  そこで、それぞれの学校のそれでは整備の内容というものが必要になるわけでございますけれども、これはまだ各都道府県も、いろいろ都道府県における予算その他においてきまることでありまして、まだ具体計画を各都道府県でつくっていないというところでございますので、私どもとしては、二十一クラスの学校を想定いたしました。一学校で二十一クラスの学校を想定いたしまして、その二十一クラスの学校が三年間で整備されるであろうと。結局学年進行でございますから、まず来年度入ってくるのは一年生であると。そうしますと、三年計画で整備されるであろうというところで、その三年計画の整備の初年度分としての来年度の必要面積を基準からはじき出したわけでございます。そしてその基準からはじき出した必要面積に単価を乗じまして、そして公立学校については約六十五億という積算をいたしました。  それから私立学校につきましては、新設校分として五校を予定しております。ただ、この私立学校は非常にむつかしい問題がございまして、どちらの都道府県に伺いましても、確たる設置計画のお話はいただけないわけでございます。ただ、まあおそらくはあるいはこの学校は来年つくるのではないかというお話もあるものですから、その学校が大体五校になるというところで、私立高等学校の新設は五校を予定いたしております。私立学校につきましてはやはり増学級というものも考えられますので、これら合わせて約五億ほどの内容をセットしておりまして、合計で七十億というふうな内容でございます。
  211. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 もう時間もありませんので、あと問題をぐっとしぼりましてお尋ねしたいと思いますが、まあいまのお話ですと、来年の高校建設に対する計画、それに対して国としての補助七十億、その内訳、このお話があったわけですけれども、まあそういった行き方をすることによって、三、四年先にどうなるかという一応の見通し、先ほど申し上げたようにそれがつけられるわけなんで、それが全部まかない切れるかどうかという問題がありますね、一つはね。来年は七十億だけれども、ここ三、四年でもって、そういうペースでもってやっていれば、知事会の調査による資料をもとにして申し上げたのだけれども、四百六十八、新増設を含めて。そういったものはでき上がるのかどうかという、こういう一つの問題が生じてくると思いますね。これについては、もう時間がありませんのでこれ以上申し上げませんけれども、そういう問題がある。そしてそれを達成するためには四千数百億かかるのだと、こういわれている、いずれにいたしましても現実の問題として。だからそういった、これをやっぱり国も県も力を合わせて消化をしていかなかったら、その結果、やはりしわ寄せがくるのは国民だということ、こういうことですからね。ですから、その辺のところがどういうことになっていくのか、やはりそれを満たすだけの国としても責任、これをやっぱりはっきりその責任を持って、感じて、これに対処しなければならぬ、私はこう思うのですね。  そこで一点だけ、国庫補助の制度の確立であるとかあるいは起債ワクの拡大であるとか、こういったことは当然考えられることですけれども、そのほかの緊急特別措置法、こういった問題も考えてこれはふしぎではないと思いますよ。やはりこれだけのものを達成するためには、いま言ったように、ちょろちょろちょろちょろやっていて、はたしてそれが充足できるかどうかという問題、もしできなかった場合はどういう措置をとるのだと、最終的に。そこまで——そこまではお答えできませんということになるかもしれませんけれども、だけれども、もう三年、四年の間ですからね。文部省としてはやはりその辺のところまで考えておく必要が私はあると思うのですよね。その場になってどうのこうのでない。それはどろなわ式なもので、いままでのすべての行政を見ていてもそういったところが多いのですからね。せめて子供にとって大事な教育の場、これについてはもっともっと私は前向きに、あるいは先を見通して対策を講ずべきである、こう思うのですね。もしそういった国が考えている助成方法、いわゆる国庫補助制度の確立だとか起債ワクの拡大、こういったことで間に合わない事態が生じてくるということもこれは申し上げられると思うのです。その場合、どういったことをそのほか考えられるのかということですね。その点、ひとつ文部省の考え方をちょっとお答えいただきたいと思いますね。
  212. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 先生の御認識と私どもの認識と若干ズレがあるかとも思うわけでございますが、私が申し上げたいと思いますのは、昭和三十七、八年ごろに高校急増の時代があったわけでございます。これは御承知のとおり、戦後のベビーブームに基づく高校生徒の急増でございまして、これは今回の急増現象もさることながら、前回においては相当大きな問題になったということがあったわけでございまして、この点は先生もよく御承知の点かと思うわけでございます。当時の時点においても、国庫補助制度をとるべきではないかという点が非常に議論されたわけでございますけれども、やはり高等学校問題については都道府県が設置管理責任を持っておる、その他の種々の理由によりまして、交付税なり起債というものの措置によって財源措置をしていくというふうなことで、今日に推移してきているという実情があるわけでございます。それだけに、高等学校に対する補助制度という問題は、非常に、何と申しますか、従来の経緯にかんがみましても非常に財政論としてむずかしい問題を含んでおるというところから、私どもはそれに何とか糸口をつけたいと、そして文部省としても高等学校の急増なり整備について責任の一半を果たし、そして充実をしていきたいという意欲で今回要求をしておるわけでございます。そういう意味においては、まず何よりも私どもとしてはそういう措置を実現することが先決でございまして、そしてそれが実現した暁においてそれを種々の面で拡充をしていくと、そういう意味においては、先生がただいまおっしゃいましたような、私どもとしての努力の点がその後に引き続くべきものかと思うわけでございます。そういう意味で、本日お答えするといたしますれば、ただいま申し上げました予算要求の内容を、当面年末までに実現をはかるべく大いに努力をしたいと、そしてそれを今後において実態の動きに合わせて遺憾なきように拡充をはかるべく努力をすると、そういう方向でやってまいりたいというふうに思っております。
  213. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後に、高校建設にあたって、最近の傾向といたしまして、受益市町村に対していわゆる土地の提供を求めるという、こういう傾向が全国的に起きているわけです。こういった問題について、こういった傾向について、自治省としてはどういう指導をいままでやってこられたのか、ひとつその点をお聞かせ願いたいと思います。
  214. 松浦功

    説明員(松浦功君) 御承知のように、高等学校は私立もございますし、市立のものもあるわけでございますけれども、たてまえはあくまで原則としては都道府県の事務という観念でわれわれは推移をしてきております。したがって、高等学校の建設あるいは改築、こういった問題は、地方交付税の基準財政需要額の中に当然のこととして算入をするあるいは地方債の認可をするということをたてまえに、都道府県に財源措置をすることによって都道府県が自分で建設をするというのがたてまえというふうに理解をいたしております。したがって、ある町に高等学校が建てられるからといって町が受益するという考えは、これは私どもとしてはいささかいかがかと思うわけでございまして、やはり県民全体をながめた立場で高等学校は適正配置をされる、県民のためという理解のもとに行なうべきであって、当該設置される団体から、受益があるからというような理由で責任を求めるべきではないという態度で指導もしてきておりますし、またそのように、財源措置につきましても、設置する都道府県にのみ財源措置をするというたてまえでこれまでも進んできておるところでございます。
  215. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 お話はよくわかります。自治省の方針としてそういうことをやるべきじゃないと、こういうお考えのものに指導をしてきたということですね。しかし、現実としてはそういったことが——受益市町村というその表現のしかたがまずければこれは別としまして、いわゆる高校が建設される場合に、それを受ける市町村、この市町村が土地の提供をする、こういったことが常識的なような状態になっているわけです。ということになると、この現状、現実というものは、事、文部省の指導方針とは大きく現状というものは違ってきておるということが言えるわけですね。ですから、その現状を踏まえて、自治省が今後——それはいけないんだということはわかっている、わかっているけれども現状はそれが破られているということですから、それらについて全国的に今後どのような強力な指導を行なおうとするか、あるいは行なうのか、この点についてひとつ明確にお答えいただきたいと思う。悪いとわかっているわけですからね。しかし行なわれている。
  216. 松浦功

    説明員(松浦功君) 私どもは負担区分を乱ることのないようにあるいは強制的な寄付をとらないようにということは、一般論として先ほども申し上げましたように、各地方公共団体に口をすっぱくして毎回御指導を申し上げておるところでございますが、具体的にそういう事態がどこで起こりつつあるかということについては、残念ながら詳細を知りかねるような状況でございます。もしそういう事態がございまして、起こりそうな過程において御連絡がございますれば、そういうことはやめてほしいということを具体的に御指導を申し上げることにやぶさかでございません。(「わからないなんておかしいよ。みんなやっているんじゃないの」と呼ぶ者あり)
  217. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 みんなやっているんだというお声もかかりましたけれども、そこで、こんな聞き方はどうかと思うかもしれませんけれどもね。言うならば地財法違反ということ、そういった現状は。そういった問題は地財法違反である。そういったことがわかりつつ、そういったことをやらなければならないといういまの状況、そういう状況があると思うのですね。あるからこそ、そういうふうに私は事が行なわれていると思うのです。その辺を、なぜ地財法を違反してまで県は地元にそういうものを求めようとしているのか、求めているのか、その辺をどういうふうに自治省はとらえておられますか。また文部省は、そういった点についてどういうふうにとらえていますか。
  218. 松浦功

    説明員(松浦功君) 都道府県が自分で設置をしなければならない高等学校の建設費について、負担金あるいは寄付金のような形で分担金を求めておるということは一体何が理由なのかというお尋ねでございますが、これはいろいろあろうかと思いますが、高等学校だけにたくさんの経費をつぎ込んではほかの仕事ができなくなる、それがいやで、こっちもやりたいから、向こうが非常にこの町に設置をしてくれということを言っておるんで、それならば幾らか金を出したらどうかというようなことを条件にして設置をするというような話は、私どもとしてはある程度聞いております。しかし、これは個々の団体の財政の運用の態度の問題であって、どうも私どもが的確にそれぞれどういうふうに考えてやっているかということについてあまりはっきり申し上げるほどの自信は持っておりません。
  219. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 全国的な傾向ですよ。文部省、どうですか。
  220. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 先生のお話の御趣旨は、地財法の二十八条のこの問題かと思うわけでございますけれども、この点についてはただいま自治省の財政局長からお答えになられたとおりでございます。ただ、実態といたしましては、いまお話ございましたように、なかなか私どもも都道府県と市町村の間のお話のやりとり、内容についてはつかみにくい点がございます。地財法の二十八条の二は、都道府県が市町村に持たせてはならぬということは書いてありまして、任意的な寄付——市町村が任意的に都道府県に寄付をするというところがストレートに法律違反かどうかという点については、これはそれが純粋に任意のものであれば、法違反ではないということになるわけでございますが、その任意であるか強制であるかというところは非常に分明でないというところで、当時二十八条の二が出ておりましたときの自治省における通達においても、任意であればそれは違法ではないけれども、その辺はしかとなかなか分明でないから、とにかくあまり好ましくないという御指導があるわけでございます。そういう意味で、私どもとしてもこういう点についてあまりにも多くなるということは好ましくないことだと思っておりますし、そういう点については、国の財政措置も今後必要ではないかという点で努力が課題となっているというふうに思うわけでございます。
  221. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いま文部省のお答えですが、あまり多くなっては好ましくないことだと——これは少なければいいということですか、皮肉った言い方ですけれども。そんな答えでは納得できませんよ。さっきからずっと流れを追ってぼくはいろいろと質問してきたのだけれども、いまこれはなぜそんなことが行なわれるのか。いわゆる寄付の問題についてはここで私論じようとは思いません、任意であるとか任意でないとか。これはそういったことについての国の回答もあります。大体においてそれはよくないと言っているんです。言えます、はっきり、そういったことはやっぱり文部省だってちゃんと踏まえておかなければ、合わないでばらばらなやり方をしていたんじゃこれはうまくありませんよ。それであれでしょう、少しならいいみたいな言い方、それはうまくないよ、そんなことは。そんなことでなくて、もうこれであなたに答えてもらおうというふうには思っていませんけれども、そんな考え方じゃ困るということです。  で、いわゆる地財法を犯してまでもそういった措置をとるといいますか、措置といいますか、これをとっているという県の姿勢、これは結局あれですよ、ざっくばらんに言えば金がないからですよ。いま自治省のほうから答えがあった。それは高校ばかりに食われちゃったんじゃうまくないだろうという、ほかの事業ができないだろう——金の問題でしょう。ですから、この金の問題というのは、国が、いわゆる高校建設についてのいままでは何のいわゆる助成もなかったというところに一つは問題があるということですよ。ですから、先ほどから言っているように、これからの高校建設というのは重要な段階に立ち至っておるわけですから、その辺を本気になって踏まえていかないと私はたいへんなことになるという一つの警告かもしれぬ、そういう意味でお話しをしているわけで、いまのようなあなたの、少しくらいならいいだろうみたいな考え方、全く自治省の回答とは食い違うような答弁をやっていたんでは、ほんとうに現状を知らな過ぎると私は思う。この現状を知らない人にこれからの高校建設、重要な問題、また重大な時期に立ち至っているこの問題は私は解決することはできぬと、こう言わざるを得ないと思うんですね。ですから、その点をもっともっと私はしっかり踏まえていただいて、そして今後の高校建設についての十分なる対策を講じていってもらいたい、これを最後に要望いたしまして、私、時間も過ぎましたので終わります。またの機会にいろいろとお尋ねをしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
  222. 神谷信之助

    神谷信之助君 最初に丸の内爆破事件について、警察庁側にお尋ねいたします。各委員が質問していますから、重複するところはもう避けてやります。  午前中の質問に対する答弁で、この事件が集団的、組織的な犯罪行為というように判断ができる材料はいまのところないというように聞いたんですが、それでいいですか。
  223. 田村宣明

    説明員田村宣明君) そのとおりでございます。
  224. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうもそれがおかしいというように思うのですが、先ほどの報告によりますと、ダイナマイトを主体にした強力なもので、しかも薬量は二十キログラム以上と言われておりますね。したがって、午前中の質問にもありましたが、それを入手する経路あるいは運搬方法、そういうものを考えると、単独犯あるいは任意的な二、三のグループといいますかね、そういうものの犯罪行為というようには考えられないように思うのですけれども、その点はいかがですか。
  225. 田村宣明

    説明員田村宣明君) どの事件でもそうでございますが、特に今回のような事件が起きました場合に、これをどういうふうに考え捜査をやっていくかという問題でございますけれども捜査というのはやはりある程度の推理というものに基づいた捜査を進めていくという一面があることは申すまでもございませんけれども、私ども現実に捜査をやるという立場になりますと、やはり裏づけ資料、裏づけというものがございまして、それに基づいてこれはこういうことである可能性が強いというような線で捜査を進めていくということでございますけれども、特に初期の捜査の段階におきまして一番問題は、最初からある方向を考えて、資料、裏づけというものに乏しい場合に、そういうものを考え捜査を進めるということになりますと、捜査に片寄りといいますか、一方に偏するというようなことがいままでの幾多の捜査の経験から出ておりますので、特に初期の段階におきましては、広い意味の、できるだけ広く基礎捜査というものをやりまして、そこで出てまいりました資料、裏づけによって、次第に方針というものをしぼっていくというのが最も大事な点だと思うわけでございます。そういう意味で、現在のところいろいろな考え方というものは成り立つと思いますけれども、私どもとしては、裏づけをもって一つ組織犯罪であるというように現在のところ考えるようなものは現在の段階ではない、こういうことでございます。
  226. 神谷信之助

    神谷信之助君 見込み捜査をやれと言っているのじゃないですね、われわれのほうも。ですけれども、今度ねらわれたのが三菱グループの密集地であるということと、それから従来から反共暴力集団の攻撃目標になっていますね、三菱グループというのは。去年の四月にも、三菱重工東京製作所ですか、これにブンド系の赤ヘルグループが乱入している事件が起こっている。これは逮捕されていますか。
  227. 山本鎮彦

    説明員山本鎮彦君) 昨年の四月の件とおっしゃいましたですが、こちらの記録によりますと、その際、ブント系の者か三菱商事ですね——重工じゃございません、三菱商事の本社に乱入した事件がございます。同社の別館二階の食料管理部に、約二十名ぐらいの者が赤ヘルで乱入して、発煙筒を投げてガラスなど四枚破壊したということでございますが、これは現在捜査中でございまして、検挙に至っておりません。
  228. 神谷信之助

    神谷信之助君 こうやって現実に三菱グループに対する攻撃が行なわれていますし、そうして最近、あるグループは機関紙で、機動遊撃戦を叫んで爆弾闘争を示唆をしたというのも実際にあるわけですが、こういった点は捜査当局でこの動きをつかんでおられると思うのですが、どうですか。
  229. 山本鎮彦

    説明員山本鎮彦君) 爆弾事件を企図するグループというのはかなりたくさんございます。これらについてはそれぞれ具体的な情報に基づいて捜査を進めておりますし、実際に行為をした者の検挙というのもかなりやっておるわけでございまして、われわれとしては極左グループのこういう爆弾闘争は、もう最大の関心を払って、情報の収集、捜査につとめている次第でございます。
  230. 神谷信之助

    神谷信之助君 この軍需産業への直接行動を特に志向しているそういう暴力集団、これは一体どういう集団があるのかということと、そしてかれらの動向と今回の事件との関連についてどのようにつかんでおられるかという点。
  231. 山本鎮彦

    説明員山本鎮彦君) 軍需産業という形で直接それに対する直接行動、これは黒ヘルグループといって、大きな派閥に属さないのですけれども、数名ないし十数名でこそこそとやっているといいますか、秘匿した形でいろいろと考えて、檄を飛ばしたり、準備をしたりしているということでございまして、それらは固有の名詞を持っていないのが大部分でございます。したがって、どういうグループというふうにちょっと御説明しにくいんでございますが、そういう、いわば無名の、無セクトのいろいろな派閥があるということになろうかと思います。これらに対する捜査というのは、これまでも検挙事案もございますし、いろいろと進めておるわけでございますが、現在こういう爆弾関係で指名手配になっている者、これらも二十二名ほどおりまして、この捜査をいま最重点でやっておる状況でございます。
  232. 神谷信之助

    神谷信之助君 今日なお大学を占拠している暴力集団、これはまだ存在をしています。これについては、わが党はかねてから政府なり警察がこれらの不法占拠を一掃することを要求しておりますし、またその状況を明らかにすることを求めてきたわけですが、その実態を明らかにすることさえ今日まで回避されてきています。  先般、そこで共産党の国会議員団として、大学におけるトロッキスト暴力集団らの暴力行為の実態調査を行なって、その内容を発表したわけですが、約四百校のうちで五十三大学で暴力集団による支配が現に続いている。特にその中で重大なのは、大学の建物、施設、とりわけ研究室を占拠しておる。そしてこれを自由に使っているわけです。そして暴力集団による武器隠匿が、その大学の中行なわれている。武器庫とさえなっている。つまり、その大学を占拠し、しかも研究室まで占拠しているところがあって、そういうグループもある。それを不法基地にして外へ、学外へ出撃をするという状況がいままでにも起こっておるわけで、これについて警察当局は、これら——いまなおずっと占拠しているわけですね。そういう状態を放置をして、しかも、大量のそういう武器秘匿を一掃しようとしてもいない。こういう状況が今日まで続いているわけです。今回のこの爆破事件でも、爆弾の製造、それから保管、特にこれらの火薬の保管というやつは、真空にして保管せにゃならぬといういろんな問題があるわけです。したがって、そういう状況をやるならば、非常に設備というか、施設を必要とするわけです、二十キロ以上の薬量を使うわけですから。ですから、こういった暴力集団が占拠をしている大学がその根拠地に使われたという可能性さえあるわけです。こういった問題について今日までそういう事態を放置している警察当局の態度について、責任をどう感じ、どう考えているか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  233. 山本鎮彦

    説明員山本鎮彦君) 現在のそういう大学の管理の実態、これは個々の大学の管理当局と、それぞれ所轄の警察とは、そういう不法な事態になっておるような場合には緊密な連絡をとって、大学当局の具体的な通報、そういうものを参考にしながら、もしそれが犯罪に関与している、あるいはその疑いがあるというときは、積極的にこれまでも捜査を進め、現在数字を持っておりませんが、かなり多数の検挙者を見ていることは御承知のとおりだと思いますが、まあ党のほうでお調べになった、具体的にどこの場所についてどういう状況か、私、まだ承知いたしてはおりませんけれども、常に日ごろからそういう大学の管理当局とは連絡をとりながら、不法事態の未然防止、そういう事態が起きた場合の積極的な検挙、そういう特殊な武器等があればそれは捜索をして没収する、そういう姿勢でこれまでもやってまいりましたし、これからもそういう指導につとめていきたいというふうに考えております。
  234. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういうことをおっしゃると、一言、言わなければいかぬですがね。調査をしたやつはちゃんと公表しています。調査したことも発表したことも一般の新聞にも載っていますし、そして、具体的には赤旗にちゃんと載っています。だから、それを知らぬというようなばかな話はない。  それからもう一つは、大学当局と十分連絡してやっているのだとおっしゃるのだが、それじゃいま現在はそういう不当に、不法に占拠されている大学はないのか、あるいは大学の特に理学部、工学部あるいはその研究室、これが占拠されているというところはないというのですか。その点どうでしょう。
  235. 山本鎮彦

    説明員山本鎮彦君) それは大学の中で、管理上まあ管理権が及ばないといいますか、そういう場所が若干あることは承知いたしておりまして、その問題については大学当局といろいろと打ち合わせをしながら、どこまでも管理権者というものの立場、これを考えて、その態様に沿ったような形でわれわれは幾らでも協力するという姿勢でこれに対処するということでございます。
  236. 神谷信之助

    神谷信之助君 現に不当不法に占拠されているところはあるのかないのかということ。
  237. 山本鎮彦

    説明員山本鎮彦君) それはやはり不法不当といいましても、それを実際に管理している者の立場から不法であれば、これは幾らでもわれわれのほうに要請があり、それを排除するということになろうかと思いますけれども管理者のほうで警察のほうに言ってこない限りわからない分野がある。あるいは管理者のほうで、いまこれについて具体的な措置考えているという形で処置をしつつあるという過程にあるならば、その措置の具体化を待つということにならざるを得ないわけでございまして、そういう個々の具体的な内容については、どこまでも管理者の主体的な立場というものを尊重しながら、われわれはこれに対処していくという、こういう姿勢でおります。
  238. 神谷信之助

    神谷信之助君 国家公安委員長の立場の大臣に、この問題についてお尋ねしたいと思います。  いまもちょっと質問いたしましたが、学生のトロッキスト暴力学生集団、これに対する措置がほんとうにやられておるのかどうかという点に、われわれ非常に大きな疑問を持っているわけです。そして現実にわが党の調査、これはもう詳しく触れるひまはありませんから省略をいたしますが、すでに共産党としても国民の前に明らかにしたわけです。したがって、これらが事実になっているのかどうか。事実とあれば当然これはこういう暴力集団の根拠地あるいは武器庫、それらの一掃は当然やらなければならぬ。こういった問題についての国家公安委員長としての見解をお伺いしたい。
  239. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) いま日本の数多い大学の中で、神谷議員の御指摘によりますと、相当数の大学が一部の暴力学生によって不法に占拠されておる、これに対して警察は何らの措置をしない、はなはだ許しがたいことではないかと、こういう意味の御指摘でございました。実は、私も具体的な実情についてはつまびらかにいたしておりませんので、ごく具体的なことでなく私としてはお答えを申し上げたいのでありますが、いまもお話がございましたように、大学というものに対しまして警察が個々に取り締まり等のために出動いたします場合には、やはり緊急な法律じゅうりんの事態というようなものがございますれば、これは当然警察は大学にも出動をし、取り締まりを行なっておるわけでございますけれども、いま御指摘がございましたように、不法に占拠されておるんだと、こういう御指摘でございますけれども、大学自体が不法に占拠されたというふうに判断をしないで、みずからの管理権の中においてこれを処理をしよう、こういうような場合におきまして、いままで日本の警察といたしましては、そういう場合にはやっぱり大学の自治権というものを尊重をいたしまして、多少、外で行なうならばやや違法に属するようなことでも、大学側の要請がない限りは出動をしていないというのが私はどうも実情ではなかろうかと、こう思うのでございまして、そのこと自体がはたして今日の法治国家として適当かどうかという問題になりますれば、これは、私は相当に問題のあるところだろう、こう私も考えておりますけれども、現実の問題としては、従来の扱いは、御承知のように、大学の自治に対しては、大学というものを一種の聖域のように取り扱う、また取り扱うべきだという御承知のような状況のもとにありまして、特に違法の状態警察に看取できるような場合を除きましては、大学側の要請がない限りは私は出動をしていないというのがどうもいままでの実情のように私は心得ておるのでありまして、そのこと自体が一体はたして法治国家としてよろしいのかどうかという問題になりますると、これは、相当に今後の問題としては、私は検討の余地が十分あるというふうには考えておりますけれども、いま警備局長がお答えを申し上げましたようなことで今日までこれに対処いたしておるというふうに私も考えておるのでございまして、これらの問題は、今後の情勢の推移あるいは現状というものに対して、なおわれわれとしては十分ひとり検討をいたしていきたい、こう考えておるところでございます。
  240. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題ではこれで最後にしますが、大臣、赤旗の九月四日号に詳細に出ていますから、ひとつごらん願ってしかるべき措置をとってもらいたいというように思います。  で、七二年の四月以降ことしの四月末までの二年間に、トロッキストらの暴行に対して被害者警察あるいは検察庁に告訴、告発あるいは被害届けを出した事例が八都道府県十一大学で二十八件あるわけです。これは学生——在学中ですから、しかも裁判になれば長期にかかるんで、なかなか困難なわけですけれども、その中でも二十八件、いままでこの二年間に告訴したり、あるいは告発をしたり、あるいは被害届けを出しているわけです。ところが、それに対して、この二十八件のうち二十二件は不起訴処分及び未処理、そして起訴をして公判中が五件、一審判決で確定したものがわずか一件、こういう状況です。ですから、そうやって暴力行為に対して困難を乗り越えて告訴し、あるいは告発をする、被害届けを出す。そうすると、学内では、学友を権力に売ったということで、やくざのお礼参りみたいなことまでやられる。そういう困難を乗り越えて告訴なり告発なり被害届けを出しても、本気になって警察当局がそれらの人権を守り、そしてそれの暴力を一掃する、そういうことをやっていないということは、この事実だけ見ても明らかになっているわけです。われわれはこういう点をひとつはっきりさしていかないと、このような爆破事件とかあるいは脅迫事件、あるいは予告して混乱をさせるとかいうようなやつが連鎖反応的に広がっていく。こういうことがなくなるはずがない。したがって、この点をひとつ特に強調しておきたいと思います。この問題は以上で終わります。  次は、総需要抑制に伴う例の昨年の暮れの十二月二十五日付の銀行局長通達に伴っての地方自治体の公共用地取得に関する問題ですね。これは自治省と大蔵省関係になろうと思います。で、総需要抑制政策の中で自治体の行なう生活関連・公共施設の事業、学校、住宅、公園あるいは下水道、屎尿あるいは道路、福祉施設など、これらはもう御承知のように、今日の実情は国民の要求から考えれば非常に大きく立ちおくれをしているわけです。ところが、その需要にまで抑制をされているという点が一つ問題だと思うのです。さらに緊急を要する公共施設にまで支障がそのために続出をしているという矛盾を出していますが、来年度の予算編成にあたって、なお政府は引き続きこの総需要抑制を持続する方針を打ち出しているというように聞いておるのですが、この際、地方自治体と住民生活に対する総需要抑制政策のしわ寄せを解消する必要がある、そう思うんです。その立場から、抑制策の手直しが今日必要になってきていると思うので、そういう観点から、若干公共用地の問題を中心に質問をしたいと思います。  ここ数年、地方自治体の公共用地取得の拡大要求はきわめて強くなってきておりますが、これに対して政府のほうも、この対策として、公有地拡大法などによって地方公社の整備、育成、資金手当て、これらを進めてきたわけです。そこで、地方公共団体及び地方公社の公共用地の資金需要額について、自治省は自治体から報告を受けて集計をしているはずですが、おおよそどれぐらいの金額になりますか。
  241. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 実は地方公社におきますところの現在の、何といいますか、資金計画でございますが、年度の当初から、関係団体におきましていろいろ実は新しい状況に応じますところの新しい計画につきまして御検討を願って、関係機関とも協議されておるというような状況でございまして、一番最新の数字はつかんでおりませんのでございますが、五月の初めころの現在におきまして都道府県と指定都市の公社について把握しました数字でありますと、大体年間の資金需要がおおむね六千八百億ぐらいであろうという数字をその当時の時点でとっております。しかしながら、その後におきまして、いろいろまた関係公社等において関係機関とも協議の上検討いたしておりますので、おそらくこの数字は、現在の段階で、相当変わってきているのではないかと思いますので、もう少し状況の変化を見た上で、状況をもう少し把握してから対処してまいりたいと、かように考えておる状況でございます。
  242. 神谷信之助

    神谷信之助君 そのうち、資金の大半を民間の金融機関に依存をしている地方公社の資金需要というのはどれぐらいあるんですか。
  243. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 現在、私が申し上げましたのが、都道府県、指定都市の土地開発公社でございます。
  244. 神谷信之助

    神谷信之助君 公社分ね。さらに、文部省が市町村の義務教育施設について、用地だけじゃないわけですね、それらを含めるとどれぐらいになっていますか。
  245. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) これも、実は五月当時の資料で、若干古うございますが、これは大都市周辺の十一都道府県だけについての数字でございますが、年間の資金需要額で、合計でおおむね二千九百億ぐらいという数字になっております。
  246. 神谷信之助

    神谷信之助君 地方公社の資金手当は、主として都市銀行あるいは地方銀行にたよっているわけですが、この昭和四十八年度の供給実績を見ますと、都市銀行で三千八百億円、地方銀行が三千九百億円、約七千七百億円というのが、これは「地方財政」の七月号に出ているんですが、そこで、大蔵省にお聞きをしたいんです。四十八年度実績に、ことし四十九年度というのは、相当上積みをしなければ、地価上昇分を考慮すると、取得面積が下回ってしまうと、こういう状況になるんですが、四十九年度の地銀、都銀による地方公社への供給資金というのは、大体どの程度になると見ておられますか。
  247. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) ただいまの数字につきましては、こちらといたしましては、一応地方公社に対します融資につきまして、きめこまかに努力するようにというふうな通達を出しておる以上、現在のところ幾らというふうな数字につきましては心得ておりません。
  248. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、自治省にお尋ねしますが、本年度の公共用地の先行取得債の起債の許可は、大体十月の初めぐらいには決定されるというように聞いておるんですが、そういうことですか。
  249. 松浦功

    説明員(松浦功君) 先行取得債あるいは水田債、こういった土地関係のものにつきましては、十月にきめるということはちょっと困難であろうかと思います。去年はもう全く年度末に至ったわけでございますが、事情が刻々動いておりますので、早く締め切ってしまいますと、またあとから出てくるという形になります。その辺の事情を考慮して、実際に私どもとして何としても必要なものについては、地方債はもうできるだけ手当てをするという方向で考えたいと思っております。時期の点については、いまの段階でちょっと十月ということのお約束はできかねるという状況でございます。
  250. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、承認をする予定の発表というのは、大体そのつどやっていくわけですか。
  251. 松浦功

    説明員(松浦功君) いろいろ御相談に参りますが、こういうたぐいの土地はことしはまあ買わぬでも間に合うじゃございませんか、来年に見送ってもらってもだいじょうぶなはずだと、そういうような議論はいろいろ個々の申請で行なっておるようでございますが、たとえば来年開校の保育所の用地でございますとか幼稚園の用地でございますとか、どうしても要るというものについては、これはもうある程度契約をしていただいて、そして起債の許可を少し時期をずらすという形で、はっきりしたものについては、もうどうしてもいま金を払わないと買いはぐれるというものについては、買っておきなさいということで、事実上の指導はいたしてまいるつもりでございます。
  252. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、問題が実際には自治体で起こってきているわけですね。起債の承認がずっと、昨年度は年度末になりましたから、そうすると、先に買っておきなさいということになると、一時借り入れをずっとやっていかなければいかぬわけです。ところがそれが、先ほど言いました昨年末の銀行局長通達で、なかなか銀行との間で話がつかないという実態が実際には起こっているわけです。これはこの間具体的にお伺いしますと、わが党の議員団で人口急増自治体の問題の調査を行ないました。埼玉県の市町村長といろいろ懇談をしたのですが、ここでたとえば一つは越谷市で、越谷市の市民病院建設のための用地の取得にばく大な金が要る。そして現実には市民は春日部なり草加の病院の世話になっているので、どうしても越谷で病院を建設せんならぬということで、市は三十億円の起債申請を行なったところが、一つは、これは一事業について十五億円以内という限度があって、そしてこのためのめどが立たない。同時に、賃金手当てを何とかせんと、それだけではどうにもこうにもならぬというようになっています。越谷のこの問題は、テレビでも放映をされたりして、非常に全国的な問題にもなっているわけですが、こういった点について、一体自治省としてはどう考えていますか。
  253. 松浦功

    説明員(松浦功君) 病院用地の問題は、これは病院の起債の問題でございまして、土地の起債の問題ではございません。大体、病院を建てることについての起債を許可を与えるか与えないかの前に土地を買っていただいても非常に困るわけでございます。そういう全体の病床配置その他から考えました問題での議論ではなかろうかと思います。もしこまかな御質問でございましたならば、担当の審議官が参っておりますから、審議官からお答えを申し上げます。
  254. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ大蔵省に聞きますが、こういった問題について、総需要抑制の方針いかんにかかわらず、これは市民の命と健康にかかわる問題ですから、こういう点について、起債の限度額というような制限をするのじゃなしに、さらに資金手当ても保証するというように、そういう責任を持つと思うのですが、これはどうですか。
  255. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) 起債の点につきましては実は理財局関係でございますけれども、私ども通達との関連での御質問でございましたらお答え申し上げたいと思いますけれども、起債自体につきましては、ちょっと私からお答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  256. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはまた次の機会にします。  もう一つの例ですが、これは富士見市です。年間三千人前後の人口増で、したがって千人で小学校一つぐらい要るといわれているわけですが、ことし第九小学校、この用地取得の問題をめぐって大問題になっているんですね。大体十二億円ですが、埼玉銀行が、先ほどの銀行局長通達を示して、そして公社は不動産業者扱いなんだから、そしてワクもないからということで拒否をされるということで、地主二十八人から一億円、職員百五十人から一千万円、合計一億一千万ですね、とにかく調達をして、たいへんな苦心をしている。これはその後この問題については一応解決をしたわけです。そしていまでは埼玉銀行のほうもこの融資を保証しておりますが、しかし問題はこれだって、この問題で市の幹部は、市長以下毎日これで振り回されているという状態がずっと暮れから起こっているわけですね。いままた、今年度新しく次は第十小学校を建てなきゃならない、さらに文教団地で第三中学校と高校を建てなきゃならぬ、第三中学校のほうは来年の四月には開校せにゃいかぬという問題が起こっているわけです。これのほうの用地も、一応話がついて、公社としては七回の分割返済払いの計画を立てて、そして埼玉銀行との一時借り入れの話をずっとしているのですね。ここでもやっぱりこういうことでなかなか困難に逢着している。それから、日銀からの貸し出し資金ワクが四半期ごとに出るわけですから、そういう意味では、埼玉銀行としてもすぐ、来年の三月までの資金計画、返済計画ですから、そこまでは保証することはできないということもあるかもしれませんが、最終的なこの七回の分割についての保証というのがまだとれていない。そういう状況が起こっているわけです。こういう問題についてひとつ大蔵省と自治省のほうから、その状況、問題についての見解をお聞きしたいと思うのです。
  257. 松浦功

    説明員(松浦功君) 去年から自治省は、この種の問題につきましては、当該土地が市民に目前に迫って必要であるというものに限りまして、地方公共団体の御相談があれば大蔵省のほうにお願いをし、日銀のほうにお願いをするという形で、お申し出のあった件につきましてはほとんど解決を見ておりまして、今後も、地方公共団体でそういう事情がございましたならば、お申しいただければ、融資ができるように日銀、大蔵のほうにお願いしてまいるということを続けてまいりたいと思います。
  258. 神谷信之助

    神谷信之助君 まだこれ聞いていませんか、いままでに。
  259. 松浦功

    説明員(松浦功君) まだ富士見の問題は、今年度の問題は聞いておらないようでございます。
  260. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) この問題につきましては、先生御指摘のとおり、地方公社に対します融資につきましても、去年の十二月の銀行局長通達によりまして、不動産業ということと同じような取り扱いになっておりまして、不動産業自体は総貸し出しの伸び率以下に押えてくれというふうな通達になっております。ただ、われわれといたしましては、ただ単純にこの通達を適用するのでは困る、やはりこういう国民の生活に密着いたしました、しかも国民生活の基盤として不可欠なもの、あるいは債権債務関係が差し迫ったようなものというものにつきましては、これは全貸し出しの伸び率よりも上回ってもいいんだというふうなことを、別途財務局の課長会議等におきましてもこちらから指導を行なっておりまして、その結果といたしまして、不動産業自体は確かに全体の伸び率を下回っておりますけれども、最近、四半期別の数字で見ましても、かなり高い、特に地方公社等に関しましては、たとえば四十八年の四半期別に見まして、七−九月期は一〇・六であるとか、あるいは十−十二月期は一五・六であるとか、一−三月期は六%であるとかいうことで、一般的に三、四%の伸び率の中にありまして、地方公社に対します貸し出しはかなり伸びを示しているわけでございます。そこで、今後ともそういう点につきましては、選別融資の通達自体があるいはもう見直しのときにきているかもしれませんので、事態の推移を見きわめまして慎重に検討していきたいと思っておりますが、いずれにいたしましてもそういうことでかなり努力はさしているつもりでございます。  ただ、何せ、先ほど御指摘のように、日銀の窓口規制というものもございまして、全体のパイプが非常に細っているわけでございますから、末端の支店にいきますと、割り当てられるロットが非常に少なくなってきております。したがいまして、非常に窓口で見ますと窮屈な感じが出ていることは確かだと思いますが、個別の、御指摘の富士見市に関しましては、実は指定の金融機関となっております埼玉銀行に照会してみたわけでございますけれども、この点につきましては、かなり埼玉銀行といたしましても努力いたしておりまして、ことしの一月から九月までに、富士見市に対しましては約十二億、それから関連の土地公社とか、学校公社に対しましては四億ということで、約十六億を融資いたしておりますし、その前年の去年の十月から十二月におきましては、富士見市に対しまして十二億、公社関係で四億と、合計十六億でございます。したがいまして、去年の十月から一年間で、富士見市関係で三十億をこえる融資を実は行なっているような状態でございます。  なお、御指摘のように、今後第十小学校とか、いろいろ資金が必要だと私どもも聞いておりまして、この点につきましても、資金計画がまだ市のほうにできておらないようでございまして、こういう点ができますれば、銀行側といたしましても市と御相談いたしまして、協調融資——埼玉銀行だけじゃございません、いろいろな金融機関がございますので、その辺のところも、メイン銀行である埼玉銀行が主唱いたしまして、お話し合いに応ずるということを言っております。そういう状況でございますので御了承願います。
  261. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで総需要抑制に伴っての貸し出し資金のワクの規制ですね。これを特に地方公社の場合は不動産業の中に入れられているということですね。それからまた、全体のワクの中に、地方公社の分もあれば、地方公共団体の分も入っております。したがって、たとえば人口急増地帯における、たとえばいまの埼玉銀行ですと、どんどん毎年のように学校が建つし、県もつくらなければいかぬし、市も要ると。そのために地方債の確定が年度前になってきますから、そういう点のつなぎ融資というのがどんどんどんどん必要になってくる。そうすると、そこにだけ貸していたのでは、その地域の中小企業への融資のワクが今度はなくなっちまうという問題が、逆にまた起こっているわけですね。したがって、この点についての規制措置というのを、地方公共団体や、それから地方公社の必要な資金需要については特別のワク外にして、そしてそれについては、その必要度、緊急度、これについては別に自治省も監督しているわけだし、大蔵省ももちろん協議するわけですから、それらを含めて措置をしていく。そして全国的な——画一的にはいかぬわけですから、そういう地域の特殊的な状態に応じて、資金ワクが急には地方公共団体、中小企業には回らぬという問題が起こってくる、こういう矛盾を解決する必要があるし、そういうことを起こさないためにも、特にああいう銀行局長通達というのは今日もう見直しをして、そして特に中小企業の金融逼迫に伴う倒産がふえようとしておりますから、そういう事態も考慮して措置をする必要があると思うのですが、この辺について見解を聞きたいと思います。
  262. 宮本保孝

    説明員(宮本保孝君) 実はこの通達につきましては、昨年中ごろから地方公社等におきます土地の先行取得がたいへん激増いたしまして、その取得費が、ほとんどすべてが金融機関からの借り入れに依存するというふうな傾向がきわめて顕著だったわけでございます。そういう点も含めまして実は通達を出しまして、それで地方公社等につきましても不動産業の中に入れて通達を出したというふうな次第でございます。ただ、いま先生御指摘のようなことでございまして、国民生活に非常に密着したようなものにつきまして、この際再検討というふうなこともいわれてきております。  ただ、金融政策は日本銀行が主として全体のパイプの点につきましてやっているわけでございます。この窓口規制につきまして、こちらとしてとやかく言う筋合いのものではないかもしれませんけれども、ただそれにつきましても、一つ窓口規制に穴をあけますと、たとえば中小企業がどうだ、それから今度は住宅ローンがどうだとか、そういうことになりまして、日本銀行がマクロ的に行ないます全体のパイプであります窓口規制をちょっとそこでゆるめるということは、日本銀行としてはなかなかできにくいのではなかろうかと、こういうふうに思っております。したがいまして、われわれといたしましては、そのワクの範囲内でケース・バイ・ケースで、先ほど申しましたようなことで、きめこまかに一つずつケースをとらえまして、そして現在の窮状を打開していくというふうなことに努力してほしいということで指導はいたしている段階でございまして、いま直ちに——まだ先行き物価情勢あるいは経済情勢、非常に流動的でございますので、いま直ちにこの選別融資規制をやめてしまうというわけにいきませんと思いますけれども、運用を弾力的にいたしまして対処していきたい、こう思っております。
  263. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に、これはもうさきに質問がありましたが、文部省の関係で、高等学校の建設問題です。先ほどの質問にもありましたから、ダブる点は省略いたしますが、来年度の予算要求で、七十億規模での高校建設の補助制度をつくるというように要求をされているわけです。これは先ほども話がありましたが、高校の進学率が八九%になって、九〇%をこえるのはすぐ目の前ですし、したがって、義務教育と同じような状況が生まれてきているということ。それは、確かに設置責任は都道府県にあるかと思いますが、そういう言い方をしたら、それじゃ超過負担をどうしてくれるのだ、政府のほうは超過負担のほうはしたいほうだいふやしながら、そして高校建設はおまえ自前でやれと言う、これはもう筋が通らぬわけですね。したがって、いずれにしてもいま緊急に高校の新増設が必要となっています。この点は、知事会の資料も先ほど話がありましたように、四十九年から五十一年までの間に五千二百十八学級が必要だということで、その計画もすでに明らかになっています。そして、その所要経費は四千二百四十四億五千七百万円ということになっています。したがって、先ほども話がありましたが、七十億の補助と、そして地方債のほうで何とかやりくりするという話ですね。それじゃ自治省のほうで、来年度の高校建設に基づいての地方債のワクはどの程度にお考えになっておられるのかということをお伺いしたいと思います。
  264. 松浦功

    説明員(松浦功君) 高等学校の建設費につきましては、御承知のように、交付税で、年次割りと申しますか、償却方式で算入をいたしております。しかし、それだけではなかなか足りないだろうということで、土地につきましては起債を見ております。それから建築費につきましても、急増団体等を考慮いたしまして、昨年度は六十億のワクを用意をいたしておりましたが、今年度は一挙にこれを四百二十億という数字、七倍に増額をいたしまして要求をいたしております次第でございます。
  265. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、現在は起債の充当率は七割ですね。どうですか、その辺は。
  266. 松浦功

    説明員(松浦功君) 一般の単独事業は大体七割ということを基準にやっておりまするけれども、高等学校の場合の建設費は、先ほど申し上げましたように、ある程度基準財政需要額を入れております。そういう観点から、必ずしも充当率という観念を用いずに、当該団体の学校建設数その他財政事情等を勘案しながらそのワクを配分するという態度をとっております。
  267. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから四百二十億の起債で、その基礎というのはどういうことになっておりますか、大体何校の建設、用地どれだけという。
  268. 松浦功

    説明員(松浦功君) ちょっとそういう御質問があるということを承知いたしておりませんでしたので、これは非常にこまかな計数になりますので、担当課長がおりませんのでわかりませんので、あとで先生のほうへ地方債課長から御報告にあがらせます。
  269. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題は各委員からも質問が出ていますからこの程度にいたしますが、いずれにしても、中学浪人がどんどんふえてくる、そうして青少年の非行化の問題なんかが大きな問題になっているときに、進学の希望を持っておる者が高等学校に行けないという状況がますますふえてきているし、しかも、それは画一的になっているのではないんで、先ほどもお話がありましたように。したがって、そういう人口急増地域における特別の問題です。これは高等学校だけの問題ではなしに、保育所から幼稚園、小中学校の問題あるいは上下水道や屎尿処理から、その他の処理の問題、あらゆる問題で出てきています。したがって、こういった点について、これは大臣にお伺いしたいと思いますがそういう人口急増地帯に対する特別な措置をはかる立法化の意思はありませんか。
  270. 松浦功

    説明員(松浦功君) 交付税配分を通じて人口急増補正を強化して財源を強化するとか、あるいは地方債の充当率を、人口急増地域について一般地域より高めるとか、あるいは、毎年繰り返してやってまいっておりまする公共施設、あるいは消防等に対する補助率の引き上げというようなことは、それぞれの法律の改正なり予算措置で行なっております。したがって、総体的に現在の段階で人口急増地域の立法を考えるというところまでは決意を持っておりません。
  271. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは実際に首都周辺地域、あるいは近畿圏なり、ずっと回ってみますと、現在やっている措置だけでは、それぞれ個々になっておりますから、そしてそれだけでは追っつかないという状況が実際問題として出てくると思う。したがって、ちょうど過疎地域に対する特別の立法をしているように、人口急増地域に対する立法についてもひとつ研究をしてもらいたいという点を要望しておきたいと思うのです。  次には、これも午前中の質問にありましたが、例の行政局長通達、八月二十八日付の。これについて、先ほどは地方公務員法の二十四条の三項、これに基づくのだということをおっしゃっております。ところが、十四条には、「地方公共団体は、この法律に基づいて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。」という情勢適応の原則というやつが確認をされているわけですね。そうして、二十六年の一月十日の自治庁通知でも、これは情勢適応の原則を適用するような義務があることを明らかにしたものだというように説明をしております。したがって、地方公共団体がどのような給与を支給をするのか、そうして、勤務時間その他の勤務条件をどうするのかという問題は、国家公務員の条件やら、あるいは社会的な条件、これを含めて、社会一般の情勢に適応するように、随時適当な措置を講ずる義務を持っているということが明らかになっているわけですね。そういうときに、この行政局長通達で、議会に議案を提案をすることについての可否にまで指図をするということは、これは自治体の条例制定権に対する自治法十四条ですね、これを侵害するものではないかというように思うのです。したがって、すなわち法令に違反をしない限り、自治体の条例制定、これは自治体固有の権利である。これを国の都合、いわゆる財源などの問題で制約するというような通達というのは、まさに条例制定権の侵害だというように思うのですが、この点について大臣の見解を聞きたいと思うのです。
  272. 松浦功

    説明員(松浦功君) 情勢適応の原則がございますことはよく承知をしておりますが、それと同趣旨の条文が国家公務員法にもございまして、国家公務員のほうで社会一般の情勢に適応するように直されて給与運営をしておられると、したがって、国家公務員に準ずるたてまえをとっていけば社会一般の情勢に適応するはずであるという考え方でこれまでもきておるところでございます。午前中、行政局長からもお答えを申し上げましたように、二十四条の三項というものが基礎だとは申し上げつつも、決してこれを、通達に反してやったから違法だといってきめつけるものではないんだということを申し上げておりまして、われわれといたしましては、特に財政をあずかるものといたしましては、財政措置の問題にめどがついていない段階で給与改定をおやりになって、あとで金が足りなくなったから困るというようなお話を持ち込まれても当省としても非常に困りますので、そういう意図も含めて念のためということでございます。これまでも申し上げてきたことを御通知を申し上げたという趣旨を出るものではないと、こう考えております。
  273. 神谷信之助

    神谷信之助君 それならば、この二項だけでいいわけですね。二項の、「給与改定については、極めて多額の経費を必要とするので、これに対する財源措置の見通しをまって」お考えなさいと、ただ、「議案の提出」を——この問題ですが、「等の措置を講ずべきものである」と。議案を提出するかしないかという問題は自治体の問題でしょう。財源について十分考えなさいよという点を援助するとかということは、それはまだ国がきまってないんだから、どれだけの財源措置ができるかまだわからないからということはあっても、しかし、国がきまっていなくても、何でしょう、人事院勧告を完全に実施をするという方針は、これはもう閣議できまっておるわけだし、そして衆議院の委員会の質問でも答弁されていますね。全然完全実施をするというつもりもないということですか。その点をお聞きしたい。
  274. 松浦功

    説明員(松浦功君) 前段のお話でございますが、条例と予算とは自治法のたてまえから切り離すことはできないのではないかと思うのであります。自治法の中には、負担を伴うものについては予算を同時に計上しなきゃならないと書いてございます。そういう意味合いで、やや不ぞろいの感はあるかもしれませんけれども、そういう意図も含めて通知を出したものと私は理解をいたしております。  それから後段の問題は、また大臣からお答えがあるかもしれませんが、閣議決定はまだなされておりませんが、完全実施を前提に置いてそういう事務の準備を進めるということは取りきめたというふうに私ども承っております。
  275. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ大臣にお伺いしますがね、人事院勧告を完全に実施をするということは、閣議決定、最終決定にはしてないけれども、しかし、完全実施をする方向というのは確認をされているんではないんですか、決定の時期はおくれるにしてもね。それとも、完全実施じゃなしに、逆に、完全実施はもうされない場合もあるという意味も含めているんですか、その点について。
  276. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) まだ人事院勧告につきましては、正式に閣議を経て、完全実施を行なうということの決定はいたしてないわけであります。ただし、関係閣僚懇談会等におきましては、完全実施を目途として諸般の準備を進めなきゃならぬと、しかし、それにはまだ財源その他の見通しがいまの段階では立ちにくいので、なおしばらく決定には時間を与えてほしいという大蔵大臣からのお考えを私どもも御賛同を申し上げておると、こういう段階でございます。
  277. 神谷信之助

    神谷信之助君 この間の決算委員会で官房長官は完全実施をすると答えたでしょう。それは違うんですか。
  278. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) 私もそういうふうにお答え申し上げたつもりですが、完全実施ということをたてまえとして、しかし、いまなおそれには諸般の準備を必要とするのでしばらく決定は待ちたいと、こういうことでございます。
  279. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、諸般の準備をするということで決定自身がおくれているだけであって、完全実施がくつがえされるということはあり得ないと理解していいんですか。
  280. 町村金五

    ○国務大臣(町村金五君) まあ、おそらく私はそういうことはあり得ないだろうと思っております。
  281. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、それについて個々の自治体が、自治省の、財源については今度は高額になるからその見通しについてはまだついていない、したがって十分その点は考えてやりなさいという通達だけでいいわけでしょう。議案を提案をしたらいかぬと、議案を提案しないほうが望ましいと、しないでおきなさいというような通達というのは越権なんですよ。自治体で、国のほうは人事院勧告の線に沿ってやるということが大体もう明らかであると、それに準じて自分のところの自治体が財源問題も考えてそうしてやる。人事委員会はちゃんと勧告しているのですから、それに基づいて国家公務員に準じて提案をする。その提案をすることさえぐあいが悪いというのは、これは自治権に対する侵害だと、私はそう思うんですが、どうですか。
  282. 松浦功

    説明員(松浦功君) 閣議決定で、完全実施とともに、いまおそらく国家公務員給与改正という形が出るかと思いますが、その中に盛られる内容がどういうものであるか、完全実施部分を含めて。その辺については必ずしもまだ明白ではございませんので、やっぱり給与の中身ということに関連をしてくる場合もあるわけでございます。それのみならず、先ほど申し上げましたように、当然のことなので触れておりませんけれども、負担を伴いまする議案の上程には予算を計上しなければならないという自治法の一般原則もあるわけでございます。そういう趣旨全体を含めまして、いままで自治省としてとってまいりました態度を繰り返して念のために老婆心ながら通知をしたと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  283. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、先ほどもありましたが、それじゃ九月議会で自治体がそれできめても別に報復措置はないと——拘束はできないわけですから、報復措置はないということは、これは衆議院の二日の委員会でも答弁されていますね。そのとおりでいいんですね。
  284. 松浦功

    説明員(松浦功君) さようでけっこうでございます。
  285. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に、公立病院の問題についてお伺いしたいと思います。  四十七年度の公営企業の決算を見ますと、すべての公立病院の六六・七%に当たる四百七十事業が六百九十四億円の累積の欠損金を出しておる。そうしてその五一・一%に当たる三百六十四事業が四百七十九億円にのぼる不良債務を有するに至って、四十八年度決算ではさらにこの不良債務が六百億をこえると、こういうように思われるということがいわれているんですが、この原因についてお伺いしたいと思います。
  286. 松浦功

    説明員(松浦功君) 非常に公営病院の経営が悪化しておることはただいま御指摘のとおりでございまして、本年度、それぞれ不良債務のたな上げあるいは利子補給というような制度も用意をいたしていま準備をしておるところでございます。これのよって来たる原因は、診療報酬制度の問題、あるいは病院の適正な配置がはたして行なわれているかどうかという問題、各般にわたっておると思いまするし、また、企業の経営自体のやり方に問題が全然ないとも言えないと、こういうことではなかろうか。あらゆる原因が積み重なって出てきたというふうに私どもとしては理解をいたしております。
  287. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、したがって、この問題の解決のために公立病院のあの特例債ができたわけですが、この特例債の償還計画を提出させるにあたって、自治省はどういう指導あるいは指示をやっておられるんですか。
  288. 松浦功

    説明員(松浦功君) 御承知のように、極端に悪化をして、一応不良債務のたな上げをいたしますけれども、そのあとでどんどんまた単年度ごとに赤字が出てくるということでは困るわけでございます。そういう意味で、診療報酬を適正化してほしいということを厚生省のほうにお願いをすると同時に、企業自身がやはり一つの企業として経営について努力をしていただかなければならないということで、地方公共団体でそれぞれ知恵をしぼっていただくようにお願いをする。そうしてある程度——まあ診療報酬か引き上げにならないで採算とれといってもとても無理であるとは思いますが、ある程度やっぱり、診療報酬が引き上げにならないとも、赤字が幾らかでも減るように努力をしていただく。それはひとつ個々の地方公共団体考え検討してもらいたいということを申し上げたわけであります。
  289. 神谷信之助

    神谷信之助君 具体的にお伺いしますが、松江の市立病院について、具体的には、この償還計画の提出にあたって自治省のほうで指導されている内容をお聞かせいただきたい。
  290. 山本成美

    説明員山本成美君) 松江の市立病院の問題でございますけれども、再建計画と申しましても、かつて財政再建を法によってやりましたような場合と、あるいは今回あらためて四十八年度から公営交通につきましてやっておりますような法律に基づく財政再建とは、趣が内容的に異なっております。ただしかし、考え方は財政をいかにして立て直すかということに尽きますので、実態的には同じような考え方によってやらなきゃいけないと、かように思っております。そういうふうなことで、先ほど局長からも申し上げました五百四十五億のいわゆるたな上げ債の配分なり決定をいたしますまでの手続の段階といたしまして、一体どういうふうにして自治体自身の努力の範囲の中でやり得るものがあるかということを、われわれとしては十分伺いたいというふうなこともつけ加えて実は作業をやってまいっております。ただ、償還計画を見るだけではこれはなかなか再建の実態に触れることはできませんので、いま申し上げたようなこともあわせて事務手続としてはやっております。
  291. 神谷信之助

    神谷信之助君 そのいわゆる企業努力の内容ですね。これは具体的には、たとえば公務員の定数の削減の問題とか、給与の制限の問題とかいう問題は含まれているんですか、どうですか。具体的に言うと、松江の市立病院についてはそういう問題を自治省は提起をしているんですか、していないんですか。
  292. 山本成美

    説明員山本成美君) 先ほど申し上げました事務手続の一環として、自治体の病院のほうから、経営の改善のために講ずる措置の大綱といったようなごく抽象的な文言が中心になっておりますが、そういうふうなものが出てまいっております。その中を拝見いたしますと、松江の具体的な例で申しますと、たとえば定員の問題、さらには給与の中でも看護婦の調整額の問題、こういうふうな問題につきまして、合理化をはかるというたてまえで文言が掲示されております。中を検討いたしますと、私どもとしては、たとえば給料について言えば、昭和四十八年度におきまして当病院給与のアップ率がきわめて高いといったようなことも実態として把握できておりますから、かような点につきましては、やはり先ほど給与問題について局長なりからお話し申し上げたと同じような考え方に基づきまして、給与の是正をやっぱりはかるべきではないかといったようなことは十分話をしております。特にそれをもって条件にして許可の手続を進めるというふうなことではございませんけれども、そういう会話は十分われわれ担当者としてやっておるわけでございます。
  293. 神谷信之助

    神谷信之助君 それが、会話が問題なんですね。権限を自治省が持っておるわけですから、単なる会話に終わらない。実際、人員を見ると、医療法の省令十九条の基準で、医師で三十七人必要なんだが、現実には三十二人しかいない。看護婦は、基準看護の特類で、必要人員は二百十三人、現在員は百七十九人しかいない。しかも、御承知のように、東京や大阪のように人が集まるところじゃない。したがって、これは公営企業経営研究会なんかでも指摘をしていますが、医師看護婦の確保のためには、国家公務員並みの給与というようなことだけ言ってたんでは、実際には人員を確保することができない。これ実際の状況でしょう。それが、強制はしないけれどもとは言いながら、会話などと言って、許可をするからどうだと、償還計画を承認するかどうかという権限を持っている人がそういうことを行なうということは、これは単なる会話に終わらぬ。条件ではないとおしゃる。しかし、いま条件ではないし、そういう点については弾力的にお考えになるというような理解をするんですが、そういうことでよろしいですか。
  294. 山本成美

    説明員山本成美君) 定員を幾ら削らないからこれは許可ができないとか、あるいはこういう給与の中身はどこが悪いから許可ができないとかいったような意味での条件といったようなものは一切やっておりません。
  295. 神谷信之助

    神谷信之助君 特に最近の医療状況で、国立病院とか公立病院は老人の患者がずっと殺到してくるわけですね。そうして一般の病院ではなかなかむずかしいんですが、大体採算度合いの低い患者といいますか、そういう者が大体こっちに回ってくるということですね。ですから、しからば公立病院というのは、そういう意味では、ある意味からいうと、全く採算を度外視するというわけにはいかぬにしても、今日の診療報酬の基準になりそういう条件から考えると、かりに特例債でたな上げしてみても、必ず赤字は出さないというような保証はないというのが実際の状況ではないか。しかも、地域住民の直接命を守る仕事をやる職場ですから、こういう点についてはひとつきっちりさせない。これは都市交通なんかの再建計画の場合とだいぶ違うわけでしょう、償還計画ということになっておりますし。ですから、その辺はひとつ弾力的に措置をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  それからその次に、特例債の五百四十五億のうちで、公営企業金融公庫分が三十億だけで、あとの五百十五億は民間資金を充当するというように聞いておりますが、それは間違いないですか。
  296. 山本成美

    説明員山本成美君) 間違いございません。
  297. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうしますと、先ほどからもちょっと問題が出ていましたけれども、せっかく見てもらっても引き受け先がないという問題が、特に地方へ行けば出てくるわけですね。したがって、こういう点について、一つは補正予算なんかの措置のときにでも、公営公庫分の大幅な増額、あるいはさらに別の政府債の導入、あるいは民間の融資についての手当てについて、自治省のほうも責任を持って考えるというようなことをやらないと、実際上はなかなか困難だ。たとえば松江では山陰合同銀行ですね、これは資金を引き受けてくれるだろうかという心配で往生しておるという問題が起こっています。こういった点についての見解を聞きたいと思います。
  298. 松浦功

    説明員(松浦功君) 政府債の増額あるいは公庫債の増額、これはまず不可能でございますので、私ども考えておりません。三十億の公庫債につきましては、先生ただいま御指摘をいただいたように、松江よりもっと借りにくいところが北海道等にはたくさんあるわけでございます。非常に財政力の弱い町村がございます。こういうところへ重点的に配分するということを考えて、残りのものについては、いままで病院の再建債以外の起債でも、起債許可を受けて融資がつかなかったという事例は私ども聞いておらないわけでございます。まずだいじょうぶだろうと思いますが、もしこの問題について、地方公共団体側で金が借りれないというような事態がございますれば、大蔵なり日銀なりと十分話し合いまして、先ほど申し上げました土地開発公社に対する場合と同じように、具体的なケースとして現実に解決がつくようにお願いをしてまいります。それで御容赦をいただきたいと思っております。
  299. 神谷信之助

    神谷信之助君 来年度の予算要求の際に、公立病院の運営費についての補助をつける考えはないのかですね。これは先ほど言った意味で、企業努力がなかなかむずかしい。だからといって縮小するわけにはいかぬという問題が現実に起こっているという点について。
  300. 松浦功

    説明員(松浦功君) 私どもといたしましても、これはやや先生とニュアンスが違いますけれども、企業努力はあくまでお願いしてまいりたいと思っております。しかし、それをもってしてもなお採算が取りにくいような病院が現実にあるわけでございます。これにつきましては、昨年、やや筋違いかと存じましたが、不採算地区病院に対する補助金というものを大蔵省に要求をいたしまして、百三十病院ばかりについて補助金をとれましたが、所管はやはり自治省ではなかろうというので、厚生省のほうに移管されております。移管されました厚生省は、本年度は不採算地区病院についての補助単価をさらに引き上げるという形での予算要求をなすっておるようでございますので、自治省としては、それがぜひ実現できますように厚生省のバックアップをしてまいりたいという気持ちでおります。
  301. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは次に、もう時間がないので急ぎますが、消防関係です。これも朝質問がありましたが、いま三部制やっているのは東京と大阪のほかにもありますか、勤務。
  302. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 東大阪市ほか二、三の中都市にあると思います。そのほかはほとんど二部制でございます。
  303. 神谷信之助

    神谷信之助君 二部制でいきますと、拘束週七十二時間というように非常に長くなってくるし、しかも、その拘束中に訓練を行なうだけの十分な時間的余裕もなくて、訓練は非拘束の時間、いわゆる非番のときに訓練を行なうというような状況が、これは京都で調べてみると起こっているんですね。だから、実際の拘束時間はもう非常に長くなっている。それからしかも休日は、連続二十四時間やって明け番になって、また二十四時間やって、それが十二日間続けてからでないと休日にならない。そのために疲労も十分回復をできないし、しかもその休日は各人毎週何曜というふうになって、日曜日に休むということはたまでないですか。それから、火災なり災害があったときには非番の者も勤務をしなきゃならないということで、疲労が特に激しくなってきているという状況が、京都で調べてみますと起こっております。  そこでお伺いしたいんですが、四十九年度の地方交付税の基準財政需要額で、消防職員の必要数が人口十万の標準団体で八十五人というようになっているんですね。これは全く実情に合わないし、現在の二部制にも合わないという状況が起こっていて、これを上回る職員を置いている市町村というのはだいぶふえているというように思うんですが、その点どうですか、消防庁
  304. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 交付税の計算にあたりましては、消防費のみならず、他の経費でも同様の考え方でありますけれども、できるだけ地方団体の財政の実態を反映するということをたてまえにして単位費用等の計算を行なっておるわけであります。昭和四十九年度の標準団体における消防職員数、これはただいま御指摘のとおり八十五名ということにいたしております。この数字は、昭和四十七年の消防職員の現実の定数をもとにいたしまして算定したわけでございまして、この八十五人の定数は、現在の消防職員の配置状況から見てやや先行的に計算をしていると見て差しつかえないだろう。できる限り消防職員の充足をはかりたいということで、この八十五名の計算はいたしております。ただ、市町村ごとに見ますと、確かに、いわば現在のところ例外的でございますけれども、この人員よりも多く消防職員を配置しているというところもございますけれども、大部分、ほとんどはまだこの定数まで至っておらないというのが現実であろうと思います。
  305. 神谷信之助

    神谷信之助君 具体的に京都市で調べてみますと、四十九年の四月一日現在の人員が千三百八十人、交付税の算定人員は千十六名ですね。だから、昭和三十四年の消防庁で告示をされた消防力の基準ですね、それでいくと京都の場合ですと二千七百四十六人。ですから、交付税の算定の基礎になってる人員は約三分の一ちょっとというところしかいまのところ認められていないという状況です。これですね、消防は単に火災が起こったときの消火をするだけが消防の仕事じゃなしに、今日では特に防火の仕事が非常に重要な仕事になってくるのと同時に、火災が近代化されて、非常に複雑多岐な——火災の内容が多岐にわたってきているわけです。したがって、そういった点からいっても、これは特に京都あるいは神戸や何かの大都市については三部制に移行する必要があるんじゃないかというように思うのですが、その点については消防庁の見解はどうですか。
  306. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) この勤務体制を三部制にするか二部制にするかという点は、それぞれの市町村における火災の実態あるいは救急件数の問題あるいはまた予防対象の件数というところで、その勤務体制がいずれが適当であるかということになってくるだろうと思います。そういう趣旨を含めまして、現在勤務条件に関する研究会を行なっております。その研究会の結論を待ちまして、勤務体制につきましては結論を出していきたいというふうに考えておりますが、ただいま御指摘のように、大都市地域等につきましては、おそらく三部制ということの採用がむしろ適当な状況ではないだろうかというような、私ども感じを持っております。なおまた、この最近の火災の実態等から見まして、確かに予防職員等の充足ということは必要になってまいっておりますので、現在この勤務条件の研究会と並行して、消防力の基準についての見直しの作業もあわせてやっておりますので、これらの結論を得ましたところで新しい消防力の基準というものを制定をしていきたいというふうに考えております。
  307. 神谷信之助

    神谷信之助君 新しく消防力基準をつくらなくても、三十四年につくったやっと比べてみても、実際の交付税の算定基礎になってる人員は三分の一ちょっとですね。ですから、もうこれだけでも非常に重大な問題だと思うんですが、警察のほうは三部制での人員を交付税で算定してますね。警察のほうはそうやって、警視庁のほうはさらに近く四部制に移行することを考えている。ただ、消防のほうは、大都市の京都やなんかでやかましく言っているわけですが、週七十二時間拘束というようなそういう状況で勤務をしている。ですから、もうこのままでいくと、新しい職員を採用するところが募集をしても来ないという状況、こういう問題が起こってきているわけです。しかも、社会全体が週休二日制をとるという状態が出てきているわけですからね。したがって、必要な大都市については三部制にしてそれに必要な人員を交付税で措置をするということが必要だというように思うのですが、この点についての、これは自治大臣のほうから御見解を聞きたいと思います。
  308. 松浦功

    説明員(松浦功君) 現実の消防の支出額と基準財政需要額の算入額と比べますと、実支出額のほうが少ないわけでございます。先ほど佐々木長官からお話がございましたように、交付税算入が先へ進んでおります。そういう意味で、私どもはそれぞれの所要の結論を得て三部制になるならば、三部制に必要なだけの現実の人間が置かれる段階においては、きちんと財源措置をするということについてはやぶさかでございませんけれども、いま一気に三倍の職員を算入するといっても、交付税に不足額が出てまいりますし、また現実には、その金がどこへ使われるかわからないと、こういうことになってまいりますので、よく消防庁長官のほうの意見を伺いながら、実態を決して踏みはずさないように、十分財政措置ということをお約束を申し上げておきます。
  309. 神谷信之助

    神谷信之助君 現実に京都市——私が調べたのは京都市ですが、京都市では、交付税の算定の人員よりも実際におる人員のほうが三百七十名ほど上回っています。で、三部制を実施するとすると、あと四百八人増員をせないかぬ。その点が、消防庁を含めて、自治省として、京都とか、要求をしている大都市については三部制のほうへ踏み切っていくという方向を至急私は考えていかないと、どんどんと消防職員をこれ以上ふやすことができない重大な事態が生ずるというように思うので、この点はひとつ要望しておいて、一応これで私は終わります。
  310. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本件に対する調査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会