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1974-11-26 第73回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月二十六日(火曜日)    午前十一時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 岩動 道行君                 河本喜久蔵君                 野々山一三君                 鈴木 一弘君     委 員                 青木 一男君                 斎藤 十朗君                 嶋崎  均君                 中西 一郎君                 鳩山威一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤川 一秋君                 藤田 正明君                 宮田  輝君                 吉田  実君                 大塚  喬君                 竹田 四郎君                 辻  一彦君                 寺田 熊雄君                 矢追 秀彦君                 近藤 忠孝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        法務省民事局第        三課長      吉野  衛君        大蔵大臣官房審        議官       佐上 武弘君        大蔵省主税局長  中橋敬次郎君        大蔵省理財局長  吉瀬 維哉君        国税庁長官    安川 七郎君        国税庁税部長  横井 正美君        国税庁調査査察        部長       渡邊 喜一君        運輸省船舶局監        理課長      山本  長君        建設省計画局参        事官       大富  宏君        建設省河川局治        水課長      本間 俊郎君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○租税及び金融等に関する調査  (当面の財政及び金融等に関する件)     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  この際、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、当委員会が行ないました租税及び金融等に関する実情調査のための委員派遣については、沖繩班及び近畿班から、それぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  4. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 辻一彦

    辻一彦君 きょう午前中、大蔵大臣が見えぬようでありまして、ちょっといろんな予定が変わっていますが、先日伺った室町産業、それから、いま問題になっている新星企業朝日土地興業等々の問題について数点をお伺いいたしたいと思います。  まず第一に、国税庁のほうに伺いますが、この前も御答弁がありましたが、室町産業が介在をして、柏崎原子力発電所用地売買が行なわれております。この木村さんという方から、室町産業への売買国税の徴収がどうなっておるか、このことについていま一度、論議最初にお伺いいたしたいと思います。
  6. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 柏崎東電用地につきましては、室町産業その他関係企業本件取引に関する課税は、一応適正に行なわれておるということは、この前申し上げましたとおりでございます。
  7. 辻一彦

    辻一彦君 念のためにお伺いしますが、これらの売り手買い手関係がありますから、ちょっとこまかいですがお伺いしたいと思います。  売り手のほうは、室町産業への売り手のほうは、譲渡所得税国税ですね。それから、買い手室町産業は、四十一年九月九日、登記のとき登録免許税、この二つ国税関係ですから、適正に処理されておりますか。
  8. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 税の処理といたしましては、必ずしも登記とは結びつかない、実体に即した課税を行なっているわけでございます。
  9. 辻一彦

    辻一彦君 登記とは結びつかないけれども実体に即して行なっているということですね。  自治省にお伺いいたしますが、この室町産業は、当時不動産取得税処理はどうなっておりますか。
  10. 石見隆三

    説明員石見隆三君) お答え申し上げます。  御指摘柏崎土地につきましての不動産取得税課税状況でございますが、県を通じまして私のほうで報告を受けました限りにおきましては、不動産取得税については適正な処理が行なわれておるものと確認いたしております。
  11. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、この四十年の一月十三日に所有権錯誤による抹消が行なわれております、登記ですね。そこで、所有権は再び室町産業から木村氏の手に戻った、こういうふうになっておりますが、このときの課税状況伺いたい。  まず、売り手室町産業譲渡益法人税、それから、買い手木村氏は登録免許税、この国税関係はどうなっておるか、この点いかがですか。
  12. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 時取引実体に即した課税が行なわれております。
  13. 辻一彦

    辻一彦君 取引実体に即した課税ということは、これは二回この税金が納められているということですか。
  14. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 木村氏及び室町産業につきまして、適正な課税が行なわれておるというふうに聞いております。
  15. 辻一彦

    辻一彦君 最初に、木村氏から室町産業に移ったときの課税、それからまた、錯誤抹消であると、登記所では所有権抹消されておりますが、そのときにも実体としてこの国税二つ課税をされておるんですね。念のために。
  16. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 抹消登記の際は課税がございません。
  17. 辻一彦

    辻一彦君 それでは自治省のほうにもう一度伺いますが、抹消登記、いわゆる室町産業から木村氏に移ったときに不動産取得税はどうなっておりますか。
  18. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 御案内のとおり、不動産取得税につきましては、真実取得者に対しまして課税をいたすたてまえになっております。真実所有者の把握につきましては、現在の課税事務といたしましては、各県におきましては、不動産登記簿を一応のよりどころにして課税をいたしておるわけでございます。で、このお示しの物件につきましては、不動産登記簿上、木村氏から室町産業へ、さらに木村氏へという移転登記が行なわれておることを確認いたしておりますので、それに従って適正な課税をいたしております。
  19. 辻一彦

    辻一彦君 そうしますと、自治省地方税は、この室町から木村に移ったときに適正な不動産取得税課税をしている。国税庁のほうでは、この段階では課税をしていない、こう聞いたんですが、国税庁のほうはどうですか、そうなんですか。
  20. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 抹消登記の際は、課税関係はございません。
  21. 辻一彦

    辻一彦君 要するに、この売買関係をめぐっては、木村氏から室町産業に移ったとき一回だけですか、課税は。そしてあと木村さんが東京電力に移されたとき、そのときに国税がかかっている。この二回ですか。この前、国会法務委員会における国税庁長官答弁では、登記抹消されておったけれども売買実体に即してそれぞれ課税されていると、こういう答弁がありましたが、非常に両者の答弁が違っていますね。いかがですか。
  22. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) それぞれ木村氏及び室町産業所得の発生した時点において課税が行なわれておるということでございます。
  23. 辻一彦

    辻一彦君 この売買の過程で一回であると、こういう御答弁ですね。しかし、法務委員会における長官答弁は、これは二回課税がされている、それは、登記抹消されておっても、登記のいかんにかかわらず所得実体売買実体を押えて課税をしていると、こういう御答弁だったですね。その間の食い違いがありますが、これはどうなんでしょう。これは長官からお伺いしたい。
  24. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 木村さんから室町産業という一つ段階がございます。それから、室町産業から東電、こういう段階がございます。この二つ段階課税が行なわれておると、こういうふうに申し上げました。したがいまして、その途中の、いま御指摘になりました、錯誤登記で一ぺん返っていると、これは登記面という形式面ではなくて、実体をとらまえて課税をしておる。したがいまして、二段階になりまして、いわゆる中抜きにはなっていない、こういうことでございます。
  25. 辻一彦

    辻一彦君 そうしますと、東電にこの土地売買したのは、木村さんではなくて、室町産業なんですか。
  26. 安川七郎

    説明員安川七郎君) ちょっと私言い間違えましたが、木村さんと室町産業課税が第一段階、それから第二段階は、木村さんと東電との間が第二段階、こういうことでございます。
  27. 辻一彦

    辻一彦君 そうすると、法務委員会における長官答弁は、室町から木村さんに移った、この点についての課税については何ら触れられておらないわけですか。
  28. 安川七郎

    説明員安川七郎君) そうでございます。そのとおりでございます。
  29. 辻一彦

    辻一彦君 そうすると、この室町産業木村さんの間に所有権錯誤抹消がありましたね、これに対しては国税も、それから地方税も、錯誤抹消であるから課税はしていないと、こういうことなんですね。
  30. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 国税につきましてはそのとおりでございます。
  31. 辻一彦

    辻一彦君 そうすれば、国税庁は、普通の場合であれば、第二段階における課税を免れるために、こういう錯誤抹消が行なわれたのじゃないかと、こういうことについての疑問を、私、普通の場合ならば持つだろうと思うのですよ。現に地方等におきましては、これは土地売買があれば、登記移転がありますと、すぐこれは市町村のほうに登記所から連絡をする。登記簿はもちろん変わりますね。そうすれば、国税庁税務署職員や、県税職員は、しょっちゅう登記所を巡回するとかの方法によって、常に変化を点検しながら土地の移動ということを確認して、そして税制について努力をしている。これは私はたいへん努力していると思いますね。そういう観点からすれば、この錯誤抹消——一度登記が行なわれて、九月九日に室町に移って、そしてその翌年の一月十三日にまた木村さんに移っている、こういう錯誤抹消のしかた、しかもそれは、前回法務委員会における法務省答弁によれば、きわめてまれなケースであると、こういう答弁が民事局長されておりますね。きわめてまれな、しかも、十五万六千坪、三十二筆、そういうものの錯誤抹消が行なわれれば、普通ならば、当然私は、国税当局は非常に綿密な調査をやるべきであると思いますが、やっていると思うのですが、今回の場合はそういう調査をされておるのかどうか、その点いかがですか。
  32. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 売り戻しが抹消によるのか、あるいは売買によるのかというふうなこととは関係なく、それらの取引に際して所得がいずれかに発生しておるかどうかという点の調査をいたしておるわけでございます。
  33. 辻一彦

    辻一彦君 しかし、錯誤抹消によって直ちにその木村室町という段階が消えて、木村から東電へ移った場合と、それから、所有権の九月九日の登記どおり木村室町室町木村木村東電という、こういうコースをたどれば、これは税額においては一つ段階ではかなりな変化があるわけですね、いろいろと。そういう点について矛盾を持って、この錯誤抹消は非常に問題あるじゃないかということで、当然私はその中身について何らかの当局調査をしたりするのが、これは常識でないかと思いますが、その点いかがですか。
  34. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 木村−至町、室町木村と経由したか、あるいはそれはもともとしなかったかということによって、税額に特に差があるということは考えられないと思います。その各段階にそれぞれ所得が発生しておれば、当然その所得は把握されて、課税対象になる。所得が発生していなければ課税関係は生じないということになろうかと思います。
  35. 辻一彦

    辻一彦君 いや、それは所得が発生しないから課税関係が生じない、それは当然ですよ。しかし、普通なら、これは所得が発生するはずじゃないかと、こんな錯誤抹消なんかやっているのはおかしいじゃないかと、こういうことで、たいてい税務署だったら、普通のところだったらいろいろ調べますね。一反歩のたんぼを——たとえば、いなかで、娘を嫁に出すのにお金が足りない、だから、なけなしの田畑を一反売ってそのお金をつくった。それでも登記が済めばすぐ、嫁さんに行くよりも早く、ちゃんと税務署の熱心な人が来て、登記簿調べて移転が行なわれている、それを確認して課税をちゃんとやっておるのですね。だから、九月九日に登記が行なわれて、そして四ヵ月後、一月十二日まで四ヵ月間そのままにされて、そうして抹消登記が行なわれて、抹消登記だから所得が生じないからいいんだと、こんなことはない。小さな面積ならいざ知らず、十五万六千坪、しかも、あれだけ騒がれている問題を四ヵ月も放任して、いや、抹消登記だから問題ないと、こういうことは私は答弁にならないと思うのですが、どういう調査を具体的にされておるのか、聞かしていただきたい。
  36. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 室町産業の場合は、法人でございますから、決算期が終わりまして申告が出た段階で、過去の年度において所得が発生しておったかどうかを調査するわけでございます。
  37. 辻一彦

    辻一彦君 その所得が発生したかどうかということよりも、普通ならば、こんなことおかしいじゃないかというので、ごく小さな面積でも、やっぱり国税庁税務署管内のほうでいろいろ調べますよ。ましてこれだけの面積で、三十二筆、十五万六千坪も所有権抹消登記が行なわれている。それを、それはもう手続でそれでいいんだから、これは課税が発生しないんだから、これはあたりまえだと、こういうことで済ますはずは、私はないと思うのですが、当時、どうしてもっと内部について詳しい調査をやらなかったのか、これはどういう事情なんでしょう。
  38. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 本件木村氏−室町産業間のやりとり、取引に関しましては、当時、調査をいたしております。
  39. 辻一彦

    辻一彦君 どういう調査をしておるか、お答えいただきたい。
  40. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) この取引に関連してどういう所得が発生しておるかという調査をしたわけでございます。
  41. 辻一彦

    辻一彦君 その結果と中身をもう少し詳しく話していただけませんか。
  42. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 調査内容はちょっと申し上げかねるわけでございますが、適正な処理をいたしておるということでごかんべんを願いたいと思います。
  43. 辻一彦

    辻一彦君 適正ということばで全部終わっておりますが、一体、その場合の適正ということはどういうことなんですか、中身として。
  44. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 税法にのっとった処理をしておるという意味でございます。
  45. 辻一彦

    辻一彦君 のれんに腕押し……。
  46. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 法務委員会でお答えいたしました際に、不動産譲渡登記との関係で若干御説明いたしました。と申しますのは、本人から申告が出ました場合と、申告が全然ない場合と、ちょっとやり方が違っておりまして、本件申告でございますが、まず、本人から譲渡申告があるという場合には、一応その申告をベースにいたしまして、尊重はいたします。ところで、しかし、やはり登記面も調べます。そこで、登記面を調べまして、登記面実体と合っているかどうかというのはもちろん調査をいたしますが、もし本人から申告をいただいておらない、つまり、ただいまのケースで申し上げますと、錯誤抹消が行なわれているというケースがございます。そこで、錯誤抹消の前後にかかわる申告があったような場合に、錯誤抹消登記有無を調べまして、それが実体かどうかを調べまして、もし申告されたものがそのままであれば、申告をそのまま是認をいたします。ところが、錯誤抹消が行なわれておりましても、本人から申告がない。そこで税務署のほうが、先生御指摘のように、登記所へ参りまして、そういう登記実体を調べる。そこで、錯誤抹消実体に合わないという判断を私どもがかりにいたしたといたします。そうすると、決定をいたします。実は本人から、その移転につきまして譲渡課税申告が出ませんから決定をいたします。ところで、本人からもしその決定について不服がある。つまり、錯誤抹消が私どもがおかしいと判断をいたした。ところが、本人のほうが、錯誤抹消が正しいという異議申し立てがありました場合には、私ども審査をいたします。異議申し立てを受けまして再審査をいたしまして、もし本人の言いますように、錯誤抹消がほんとうである、こういうことがわかりましたらば、課税当局がいたしました決定は取り消しになります。もし本人からそういう異議申し立てがなければ、決定がそのまま通って課税が行なわれてしまう、こういうことになります。  したがいまして、ただいまのケースで言いますと、第一段階は、当然申告が出まして、それはそのまま課税済みでございます。で、第二段階の、つまり、最終段階でございますが、本人からの申告があります。そこで、錯誤抹消有無というものを私ども調査いたしますけれども錯誤抹消が行なわれたということについて特別の問題がないと、実体木村さんから東電へいったと、こういうような実体でございますから、さらにその本人申告をのんだ、かようなかっこうになりまして、つまり、二段階課税が行なわれているというわけでございます。  そこで、さらに申し上げますと、これは譲渡でございますから、買い値と売り値の差額譲渡益というのが出まして、それが課税対象になります。ごく大づかみに考えますと、AからCへ最終的にいっておりますから、その関係のAの当初の売り値段最終の買い値段との差額というものはどんなにこう分割をいたしても一定でございます。したがいまして、AからB、それからAからC。BとAの間は特別に所得が発生しない、かようになるかと思います。
  47. 辻一彦

    辻一彦君 私は、たてまえはそれはその答弁であろうと思うのですよ。現実として、こういうこの大きな面積で、ちゃんとして、四ヵ月もあと錯誤抹消がされて、普通の会社がこんなことやったら、これは徹底して経営内容にまで税務署調査するはずだと思うんですよ。この場合に、調査されたというけれども、どのぐらいまでの調査をされておるんですか。その所得が発生しなかったというんじゃなしに、十五万六千坪のこういう錯誤抹消ということ自体がおかしいんじゃないか、こういうことをやる会社経営といいますか、中身がおかしいんじゃないかという、そこまで私は、税務署が疑問を持てばいろいろ調べるはずですが、そこまでやっておられるんですか。所得が発生した、しないというよりも、その調査中身はどのくらいやっておられますか。
  48. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 当然申告された事実が実体に合っておるかどうかという点を中心に調査を行なっておるわけでございます。本件につきましても、錯誤による登記抹消というような事実も踏まえた上で調査を行なっておるというふうに承知いたしております。
  49. 辻一彦

    辻一彦君 午前中三十分ということになっておるので、時間がこれで終わるんですが、私は、そういう適正にとか、それから、調査をされているとかいうことだけでは、なぜこの十五万六千坪がこういう形で錯誤抹消されているか、その疑惑を解くことはできないと思うんですね。まず、その調査をされた資料を何としても提出をしていただいて、この問題についての疑惑を解明してもらいたいと思います。これはひとつ委員長を通してお願いしたい。  それから同様の手口といいますか、やり方昭和四十七年十一月十一日の参議院予算委員会で問題になっておりますが、千葉の稲毛の海岸で、公務員住宅を交換している例がありますね。これもやっぱり十三万六千九百平方メーターというものが錯誤抹消されている。これは国会の前の記録にも出ておりますが、昭和三十九年の五月十四日に千葉市が朝日土地興業株式会社に十三万六千九百平方メーター土地移転登記をしている。そして同年六月六日に朝日土地興業から日綿実業に移っていますね、登記をされている。そしてしばらくたって、三ヵ月ですが、九月二十八日に、その日綿実業は再び前と同じように朝日土地興業錯誤による所有権抹消をやっておりますね。錯誤によって十三万六千九百平方メーターは間違ったといって抹消している。そして十二月三日にこの朝日土地興業NHKにその土地を転売をして売買関係が終結をしている。こういうのがありますが、この論議をされた国会記録を読みますと、この朝日土地興業の当時の社長は丹沢善利さんで、この方は、田中総理の無二の親友という小佐野賢治氏と一緒に虎の門国有地払い下げ問題、市谷土地問題等に顔を出している人である。これが四十七年十一月十一日の参議院予算委員会記録に出ている。このときも朝日から日綿へ、日綿から朝日へ、朝日からNHKへと同様のやり方によってこの錯誤による抹消登記が行なわれておりますですね。  これは私は、この段階において所有権移転に伴って各段階において国税地方税がどう処理されたか、このことをお伺いをいたしたいんですが、三十分という時間であとの都合ありますから、これは午後ひとつ再開のときに御答弁をいただく、こういうようにいたしたいと思います。終わります。
  50. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 主税局長はまだ来てないようですけれども最初に、それじゃ、国税庁長官に若干お伺いしたいんですが、きょうのお昼過ぎますと、総理からいよいよ声明が出されるらしい。いろいろな金脈問題等についての釈明は今回まだまだ出てこないようでありますけれども、辞意の表明等が行なわれる、こういうようなことが新聞等に伝わっておりますし、そういう声も伺っております。それについて国税庁として、前から大蔵大臣もずっとこの席で答弁をなさってまいりましたけれども総理がやめても、いわゆる税の再調査の問題は続けてやっていくのかどうかということ、これが一つの大きな問題だと思います。というのは、一つ大きな意味としては、例の造船疑獄のときですね、御承知のように最後には指揮書が出て終わってしまいました。あれで一つのピリオドを打たれておりますし、証人の喚問にも総理が二度も応じないということで終わって、国民としては、何というか、非常に割り切れないという感じをあのときは持っております。  それからもう一つは、一方で、総理もあのようにはっきりと税法上心配がないということを言っているぐらいなんですから、当然調べていただかなければならない。この再調査というものは、やめた後もずっと続行をしていくかどうかということ、この点をひとつぜひお伺いをしておきたい。そういう国民の税の納税意欲やいろいろな問題ともからんでおりますので、この点ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  51. 安川七郎

    説明員安川七郎君) それぞれの課税時点におきまして、私どもは、一般の例にならいまして、適正な処理をいたしてきているわけでございますが、今回特にこういう問題が起こりましたので、いろいろな情報等をもとにいたしまして、ただいま見直し、再調査をやっておるところでございます。これは、私どもとしてはできるだけ早く終了したいと思っておりますが、かなり多岐にわたりますので、まあ一応のめどを今月末に置いておりますが、その段階でさらに全体を見直しまして、なお必要があれば調査は引き続き継続してまいりたい、かように考えております。  さらに、一般の例でございますけれども、私どもは五年間の間は常に、いろいろな新規の情報がございましたら、いつでも課税状態に置いておきます。そういう意味におきまして、今回のいろいろな例の場合にも、引き続きそういう状態には相なっておるわけでございます。
  52. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 調査のめどは今月末、それで引き続きさらに必要に応じてはやっていくという、こういう話ですけれども、その調査の結果というものは、おそらく国民も期待していることですし、私たちも関心があります、国会でも。その発表のしかたはどういうふうになっていくつもりですか。
  53. 安川七郎

    説明員安川七郎君) ただいま調査を鋭意煮詰めておるところでございまして、その結果、新たな課税処理が出るのかどうか、あるいは当初処理がそのまま通るのかどうかまだ判然といたさない段階でございます。したがいまして、その調査の結果というものは、どういう形で御報告するのかまだ私どもはただいまのところは考えておりません。
  54. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 主税局長も見えたようですからお伺いしたいのですが、これは主税局と国税庁の両方にかかってくる問題だと思いますが、今回の田中総理の金脈問題、この問題に関連していろいろ出てきましたたとえば、自動車工業会とか、日本電機工業会、日本貿易会、私鉄経営協会、製薬企業会、日本化粧品工業連合会とか、三菱重工、東京瓦斯というようなところからのいろいろな政治献金の問題が出てきているわけです。これは政府自民党自体の問題から、政治献金全体の問題ということになってくるわけですが、その政治姿勢そのものが重要な問題ということで、今回、きょうの昼からのあれになるのだろうと私は思います。  そういう点で、先日のこちらの参議院の決算委員会でも、わが党から指摘された国民協会への三菱重工業からの献金——これはT2改の国産化のためにされたのではないかという疑いが持たれている。こういう事例がありますが、こういう献金を見ても、非常に多額の政治献金というのがあります。ところが、この法人税法の第三十七条「寄付金の損金不算入」の条項、あるいはこれを受けた政令の問題があります。この一般寄付の中に入ってしまえば、政治献金についても損金算入の限度額までは税金がかからないということになるわけですね。こういう点は、やはり一つの非常に大きな問題点を含んでいるのじゃないか。その点の意識はどう持っていらっしゃるのか。ぜひこれは変えなければいけないというように考えられるわけです。たとえば、政治献金については、一般の寄付金というようにはみなさないというやり方もございます。あるいは損金算入の限度額というものを見直すとか、福祉施設であるとか、慈善であるとか、こういうことについてだったらば限度は認めるとか、いろいろな方法があるだろうと思いますが、そういう点については、私は、何か手を打つべきじゃないかと考えられるのですが、その点の考えはございませんでしょうか。
  55. 中橋敬次郎

    説明員中橋敬次郎君) 寄付金につきましては、現在の税法上は、実は出すほうとしましては個人、法人がございます。個人のほうは、一般的に課税最低限の中で、社会生活を営んでおる個人が、普通の寄付金というものを出しましたときには、その中でまかなってもらうという考え方でございますから、特段の規定はしてございません。また法人のほうは、法人が存立いたしまして、もろもろのいろいろな活動をやります際におきますところの一般的な寄付金というものにつきましては、先ほど御指摘のように、ある一定の限度におきましては損金算入を認めておるわけでございます。法人、個人ともそれをこえまして、なおさらに寄付をいたすというときには、特別の目的につきまして個別に審査をし、そうしてそれに適合するものであれば、また個人につきましては、ある一定の限度内においてさらに上積みの寄付金の控除が認められますし、法人につきましては、さらに全額損金算入という規定がございます。そういたしましたときに、特に、法人について御指摘がございましたように、いわゆる政治献金について、もろもろの営業活動としての一般の寄付金と別に扱ってはいかがかということでございますが、従来からの法人の考え方から言いますと、その寄付金の性質あるいは寄付先について個別に審査をするということも、とても執行上も期しがたいわけでございますし、またその性質が、事業を存続する上におきまして、必要であるという法人判断がありますれば、これは一定限度内で認めるというのは、先ほど個人について申し上げたのと同じような考え方に立っておるわけでございます。かつて、数年前でございましたか、やはり政治資金の問題が出まして、この政治献金について、現在のようなたとえ限度内であれ、一般的に損金算入の道というのはおかしいではないかという議論のあったことも確かでございます。その場合には、やはり政治資金をいかに規制すべきかという問題と関連づけられまして、もっぱらある一時点におきましては、個人の献金について優遇をする、それに対応しまして法人のほうを漸次減らしていくということについて、税制上そういった道が講ぜられるかというような観点からいろいろ検討せられたこともございます。結局それは、基本的にありますところの政治資金規正法案が日の目を見ませんでしたから、やはりそのままになっておった次第でございます。私どもとしますれば、やはり現在の寄付金一般についての所得税法法人税法上の考え方といいますのは、先ほど言いましたように、一般的にそういった個人なり法人が存立をし、それぞれの活動をします場合のある一定の範囲内のものは、やはり何らかの配慮をするのがいいかと思いますけれども、それに加えまして、さらに、政治献金というものを特別に扱うという必要がございますれば、やはりかつてのように、政治資金規制という観点から、まずは御議論をいただきまして、その上で税制上の対策も考えなきゃならないというふうに思っております。
  56. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの個人なり法人なり——法人の場合の営業あるいは存立のためにどうしてもという点で、その寄付金の損金算入の限度がある、それはわかりますけれども、私は、そこら辺が、いわゆる政治のモラルの問題が出てくるだろうと思うのですね。ギブ・アンド・テイクというような感じになってくる、これが大きな問題になると思うのです。ですから、先ほど私が指摘したような、T2改の国産化の問題のときに、三菱重工業の四千七百八十万円とか、あるいはLNGの輸入関税の問題のときに東京瓦斯、四十一年下期に二千五百万円とか、こういうのがあるわけですよね。これはいろいろそういうのを見ると、やはりこの一般寄付金の限度額の中に入れておくのがいいのか、あるいは、この限度額自体が非常にややこしく書いておりますけれども、資本金のほうと事業年度の所得の金額の両方の——百分の二・五とか、あるいはその月の乗数の千分の二・五とかございますけれども、その合計額と、こうなっておりますけれども、そういうこと自体がもうおかしくなってくるのじゃないか。私は、だから、やはり政治献金という、政治的な寄付金というのははずすべきというのが当然だ、政治資金規正法のほうではっきりしてくれなければとてもできないとおっしゃるかもしれませんが、税法上として私はこれは寄付金の中に入れるべきものじゃないのじゃないかという感じがしてならないのですね。必要であるとなれば、これは寄付金という感じでなく、営業上必要であるならば、別の形でもって出すべきだと思います。月給を出すのだって営業上の必要ですよ、これはね。そういうことになりますよ、存立するための。必要として従業員に月給も払わなければならない。その場合所得税を取られるわけですから、同じような扱いを政治献金については考えるべきじゃないかという感じがしてならないのですけれども、その辺のところで、政治献金については損金限度額まではけっこうでございます、一般寄付金の中でいい、一方についてはそうはいかないということじゃ、ちょっと私も問題があるのではないか。法の上で平等でないような感じがしてならないのですよね。その点の感覚はいかがですか。
  57. 中橋敬次郎

    説明員中橋敬次郎君) いまおっしゃいましたように、政治献金というものを一般の寄付金から分別するということは、実は執行の上におきまして非常にむずさしい問題をはらんでおると思います。事業関連上必要なものなのか、あるいはそれを越えまして単なる政治献金なのかということでございます。それから、受け取りの側におきまして、いまおっしゃいましたように、本来法人のほうで損金になったものは、受け取りのほうで所得税なり法人税を課税すれば、またそれはそれでよろしいのでございますけれども、もちろん政治家個人が、政治団体、後援会とは別に受け取られたものは、これは所得税法上の何らかの所得になるわけでございますけれども、受け取られた側がいわゆる政治団体であり、あるいは後援団体であるということになりますれば、また、それはそれでその団体としての法人税上の課税問題ということで、大体はそれは課税にならない団体の収益ということになりますから、おそらくその受け取りの側においての課税という問題が起こりません。そういう観点からの御指摘でもあろうかと思いますけれども、これはまた一般の人格なき社団、財団の課税をいかにすべきかということとも相関連いたしておりますから、単に政治団体であるがゆえに、一般の人格なき社団、財団の課税の線と違ったことを設けるというのも、これまたむずかしい問題じゃないかと思いますので、やはり、しょせんそういう事業関連上出し得る政治献金というものを、やっぱり基本法のほうで何らかのお手当てをしていただくのが先決ではないかというふうに思います。
  58. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間が五十分までという約束でありますから、あと一、二分しかありませんので私はこれで終わりますけれども、そういう考え方じゃまずいだろうと思います。私どもやはり、一方の政治資金規正法のほうできめられていますけれども、確かに寄付金と会費の場合には報告をしないで済むようになっていますし、だから、そういう寄付金で上がってきた場合には、これはもう無条件に政治献金として扱われたのだから一般寄付とは認めないと、いま言ったような営業上どうしても必要だということでやったということになりますと、私は、そういうところが政財界のおかしな癒着を生むのだから、むしろ税法上はそういうことを、営業上必要な政治献金であったとか、寄付金であったという認め方は一切しないほうがいい、そのほうがすっきりするのだ、こういうふうに考えなければいけないのだと思いますね。これは議論になってしまいますからこの辺でやめますけれども、その点について最後に、もう一ぺん資金規正法の問題じゃないのだということで、その点はどうですか。それだけ聞いて終わりたいと思います。
  59. 中橋敬次郎

    説明員中橋敬次郎君) 私がその営業上のものと申しましたのは、営業に非常に密接な寄付金という意味で申したのではございませんで、営業をやっておる法人が存立します上におきまして、やはり隣近所のおつき合いといいますか、いわゆる団体の構成員となったときのおつき合いというようなことの寄付金がある、それとまた別に、政治的な信条を一にしておるというような観点から出される寄付金というものとを分別するのが非常にむずかしいという問題を申し上げたのでございます。基本的にやはり私どもは、お金の支出がありましたときには、税法上はなるべくは中立にこれを扱ってまいりたい気持ちでございますので、再度お願いでございますけれども、やはりこういった問題は、政治資金の規制というものの考えをお固めいただきました上で、その上で税制上の措置を考えたいという気持ちでございます。
  60. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後二時十一分開会
  61. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) これより大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 辻一彦

    辻一彦君 時間がたいへんちぐはぐになって申しわけないと思いますが、午前に引き続いて二、三点ただしたいと思います。  法務省は見えておりますね。法務省のほうから、この稲毛の、いわゆる千葉の公団住宅の問題ですね。これ、登記の面から見たときにどうなっているか、簡潔でけっこうですからちょっと御報告ください。
  63. 吉野衛

    説明員(吉野衛君) 御質問の土地は、千葉市稲毛五丁目一の七の土地で、面積は十二万六百八十三平方メートル、地目、雑種地でございます。この土地は、もと千葉市の所有でございまして、三十九年五月十四日付売買を原因といたしまして、その月の二十一日に朝日土地興業株式会社所有権移転登記がなされております。そしてさらに、三十九年六月六日付売買を原因といたしまして、同じ日に日綿実業株式会社所有権移転登記がなされております。そしてさらに、三十九年九月二十八日付で、この朝日から日綿に移った所有権移転登記錯誤であるということで、所有権移転登記抹消されております。そうしてさらに、三十九年十二月四日に他の土地を合併いたしまして、いま申しましたような地積になっておるわけでございますが、朝日土地興業株式会社に再度の所有権登記をしております。そして、三十九年十二月四日に今度は日本放送協会にその前日付の売買を原因といたしまして、所有権移転登記がなされております。そして、昭和四十年の一月二十日の交換を原因としまして、その年の三月四日に大蔵省に所有権移転しております。
  64. 辻一彦

    辻一彦君 いま法務当局から伺いましたが、たいへん複雑な転売過程を通ってこの土地が動いているということは、いま発言のとおりでありますが、そのうち私は、やはり先ほどの柏崎発電所における問題と同じように、室町産業と同じように、この朝日土地興業が十三万平方メーター前後の土地を、やはり錯誤による抹消とやっている。しかも、この日綿実業というのは、まあ言うならば、日本の大きな、七、八番目くらいに位置する天下の大商社の一つになる。そういう商社との売買において四ヵ月もたって、間違いだったからこの登記を取り消すということは、何としても常識的に考えて納得がいかない。そこで、税金の面から国税並びに地方税がこれにどう課税されているか、簡潔でけっこうですからお答えいただきたい。
  65. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 朝日興業につきましては、本件土地売却益につきましては課税が行なわれております。
  66. 辻一彦

    辻一彦君 地方税は。
  67. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 御答弁いたします。  いまお示しの土地につきましては、御案内のとおり、不動産取得税課税権者は県でございますので、千葉県に、お示しの点につきまして、私どものほうから照会をいたしたわけでございますが、県といたしましては、何ぶんにも古い資料でございますので、現時点では、これらの課税関係の資料を廃棄処分に付したようでございまして、課税の事実につきましては、県を通じまして明らかにすることができなかったわけでございます。  なお、この点につきましては、午前中も御答弁申し上げましたように、いま法務省のほうから御答弁ございましたような形で登記が行なわれておるとするならば、地方税法に基づきまして適正な課税がなされているのであろうというふうに私どもは考えております。
  68. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、資料がすでに廃棄されて、これはかなり年数がたっておりますから、そういう規定によって行なわれたとすれば、調べようがないとは思います。しかし、この例を見ても、まあ税金が払われているとするならば、何でわざわざ錯誤によって抹消するのか、どうもその意味がわからない。まだ、税金を免かれるために錯誤による抹消錯誤の方法をとったとするならば、それもそれなりに理由があるとは思われるけれども、税金が国税地方税払われているとするならば、わざわざ十五万六千坪、あるいは十三万平方メートルの土地錯誤抹消するその理由がどうしても理解ができない。しかも、相手がまあごく小さなところというなら別でありますが、日綿実業っていえば日本の有数の大商社、それを相手にして、四ヵ月あとに間違ってたから錯誤所有権抹消ですね、こういうことは、私は、きわめて常識的でありますが、どうしても理解ができないと思う。  そこで、この点について、私は、国税庁当局がもう少しこの問題について具体的に調査をすべきでないかと、こう思いますが、それをされる用意があるかどうか、いかがですか。
  69. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 何ぶん古いことでございますが、私どものほうで古い書類等を調べましたところによりますと、この錯誤によって戻ったということに関しましては、所得は全然発生しておらない。で、私、先ほど課税が行なわれておると申し上げましたのは、NHKに売却した段階において課税が行なわれておるということでございます。  で、なお、再調査というお尋ねでございますが、すでに書類等が散逸いたしておりまして、かなり困難な実情にございます。
  70. 辻一彦

    辻一彦君 室町産業のこの錯誤の実態、これはまだ資料がありますね。それから、千葉のほうはまあ資料の散逸という点がありますが、最大限の努力を払って、具体的な調査をして国会に提出をいただきたい。この点いかがでしょう。
  71. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 当時の調査記録によりますと、何ゆえに売却、買い戻しというふうなことが、錯誤登記抹消という形で行なわれたかについてつまびらかにし得なかったというふうなことでございます。また現実に所得関係が発生していない以上、税務の立場としてそこまで突っ込んで調査をする権限があるかどうかというふうな問題もございますので、その辺を、まあ書類も散逸いたしておりますし、なかなかむずかしい実情にあるということを申し上げたいと思います。
  72. 辻一彦

    辻一彦君 むずかしい実情にあるが、調査をされる用意があるんですか、ないんですか。
  73. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 税務の調査というのは、あくまでも所得を把握するということに関連して認められておるわけでございます。したがいまして、その間に所得が発生した疑いがあるということでございますと、調査をするということになるわけでございますが、いまのところそこには所得が発生しておらなかったというふうな当時の記録でございます。したがいまして、あらためてその辺を調査する必要があるかどうか、もう一ぺん念査をしてみたいと思います。
  74. 辻一彦

    辻一彦君 これはもう一度検討をよくして詳細に調べて、こちらに回答をいただきたいと思います。  そこで、まあこの疑惑はやはり私は解明されて、何らかの形ではっきりさせなくてはならない問題でないかと思います。  次に、室町産業は、昭和三十九年から四十年にかけて、信濃川の河川敷六十三ヘクタールを買い占めたといわれておりますが、その実態を、まず、建設省から、旧河川法九条による河川敷の占用状況という観点からお伺いしたいと思います。
  75. 本間俊郎

    説明員(本間俊郎君) 信濃川蓮潟地区におきます九条地内の占用状況いかんということでございますが、現在占用が許可されて占用しておられる方々が四十名ございます。占用の目的は、水田耕作でございます。占用面積は、約十六・六ヘクタールでございます。占用者につきましては、昭和四十九年一月三十日から昭和五十年三月三十一日まででございます。  以上でございます。
  76. 辻一彦

    辻一彦君 筆数はわかりますか。
  77. 本間俊郎

    説明員(本間俊郎君) 資料持参いたしませんでしたが。
  78. 辻一彦

    辻一彦君 新聞にも出ておりますが、いろいろ調べたり聞くところでは、河川敷の民有地二十八ヘクタールと、いま言われた三十五ヘクタールと言われておりますが、そのうち十六・六が占用許可になっている。これを室町産業は三十九年から大体四十年にかけて買い占めたといわれておりますが、その実態は建設省で把握されておりますか。
  79. 大富宏

    説明員(大富宏君) お答えいたします。  いま御指摘室町産業が、信濃川の河川敷を買収した時点では、まだ宅地建物取引業法上の免許が失効する前のものでもございますし、買収する対象が河川区域内の土地であるということで、宅地建物取引業法上は宅地と考えないということで、詳しくは調査いたしておりません。
  80. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、法務省のほうで、この河川敷の所有権移動というものは登記面ではどうなっておりますか。
  81. 吉野衛

    説明員(吉野衛君) 御質問の土地は、私ども調査した結果で約千五百筆ぐらいあるのでございまして、その一々について調査することは、現在の時点ではとうてい不可能でございますので、さしあたり必要なものを調査いたしましたので、そのことについて申し上げます。  長岡市蓮潟町一三八二番の一の土地、畑四十九平方メートルでございますが、この土地は、元中村博の所有でございまして、それが三十九年九月十日付売買を原因といたしまして、室町産業株式会社あて農地法第五条の許可を条件とする所有権移転登記がされております。そして昭和四十五年二月五日受付でこの仮登記抹消されております。原因は、昭和四十四年十一月二十日解除となっております。そしてさらに、昭和四十五年二月二十三日に、四十四年十一月二十八日付売買を原因といたしまして、建設省あて所有権移転登記がされております。
  82. 辻一彦

    辻一彦君 それは四十九平方メートル、それだけですか。
  83. 吉野衛

    説明員(吉野衛君) まだあります。
  84. 辻一彦

    辻一彦君 以下同じですか。
  85. 吉野衛

    説明員(吉野衛君) 少しずつ違っております。
  86. 辻一彦

    辻一彦君 これは、あれですか、民有地の問題ですね。あそこには二十八ヘクタールと民有地がありますね。その民有地の問題ですか。
  87. 吉野衛

    説明員(吉野衛君) 何ぶん広大な土地なので、全部について調べることができませんでしたので、一応、御質問の趣旨は、室町産業が関連している土地であるというようなことで、私ども現場の登記所に連絡いたしまして五筆ほどの連絡を受けているわけです。そのうちの一筆について申し上げたわけでございまして、もう一つ申し上げますと、長岡市蓮潟町一三八三番の一の土地、原野七十五平方メートル。この土地は元大井五一郎の所有でございましたが、三十九年九月の五日付売買を原因といたしまして、その年の十一月三十日に室町産業株式会社あて所有権移転登記がなされております。そうしてさらに、昭和四十四年十月二十八日付売買を原因といたしまして、翌昭和四十五年二月十八日付で建設省あて所有権移転登記がなされております。  それからさらに、長岡市蓮潟町一三七四番の一の土地について申しますと、この土地は原野二十二平方メートルございますが、元小熊由六の所有でございまして、昭和三十九年九月五日付売買を原因といたしまして、昭和三十九年十二月二十五日に室町産業株式会社あて所有権移転登記がなされております。そのぐらいでよろしゅうございましょうか。
  88. 辻一彦

    辻一彦君 はい。これは最後に、幾つかの例では、時間の点であまり明らかにできませんが、最後に建設省が買い上げているということになっておりますね。この実態はどうなんですか。
  89. 本間俊郎

    説明員(本間俊郎君) ただいまの地番の土地につきましての売買、これは手元に資料がございませんので、私の推定でございますが、推定で申し上げてよろしゅうございましょうか。——先ほど申し上げました九条地につきましては、これは買収の要のない土地でございます。ただいま室町産業から建設省が買い上げました土地につきましては民地である、民地の場所ではないかと推定いたします。建設省がその当時におきまして築堤工事を実施いたしました民地にかかる部分につきまして土地を買収したものかと考えます。
  90. 辻一彦

    辻一彦君 これは千何百もあるのをちょっと適宜読まれても場所がどこになるのか、堤防の下になる土地を読み上げてもらっても、これじゃちょっと論議になりませんから、ひとつ建設省のわかる範囲と、法務省のわかる範囲、あとで資料として出していただきたいのですが、いかがですか。できますか。
  91. 吉野衛

    説明員(吉野衛君) 資料として出せということでございますが、登記簿を出すということになりますと、千五百筆全部を出して、そのうち河川敷の分はどれかということなんでございますが、その地図が完備しておれば、あるいは見当がつくかと思いますけれども、その辺のところを十分調査してみませんと、この席ではっきりその部分だけを特定して出せるというふうに確答することはちょっとむずかしいのじゃないかと思っておりますが、調査してみたいと思います。
  92. 本間俊郎

    説明員(本間俊郎君) 建設省におきまして堤防用地のために買収いたしました土地、これは明確になるわけでございますので、その分、ただいまの土地と照合いたしまして、関連あるものにつきましては資料を提出いたしたいと思います。
  93. 辻一彦

    辻一彦君 これは、私も、堤防の下敷きになっている土地をいま調べても、それほどいまの論議意味がないのですが、一応、建設省のわかる範囲で出してください。そしてあと法務省のほうからいただくことにします。  そこで、国税庁に聞きますが、この河川敷の私有地の売買並びに国有地で占用許可があるところ、これは使用権といいますか、潜在所有権というか、いろいろな言い方があると思いますね。この潜在所有権あるいは使用権といいますか、この売買ということは、普通は私は、これは公にはないものであろうと思いますが、実質として売買されているという幾つかの具体的な事実がありますが、これに対して国税当局課税をしているのかどうか、この点いかがですか。
  94. 横井正美

    説明員(横井正美君) 譲渡されました農家の方に対しまする課税関係は、いまのいろいろな権利関係ございますけれども、いわゆる譲渡所得ということで課税いたすことになります。ただ、当時の譲渡所得課税のしかたでございますが、特別控除として三十万円差し引くということになっております。で、先ほど来伺っておりますように、非常に筆数が多いということ、それから、買い上げ価格が一反歩十五万円ぐらいというふうに伺っておりますので、現実に課税になった方は非常に少ないのではないかと思いますが、非常に古いことでわかりませんが、適正に処理されておると、かように思っております。
  95. 辻一彦

    辻一彦君 そうすると、買ったほうの、買い集めたほうの室町産業に対しては何か課税されておりますか。
  96. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 買ったほうの室町産業に関しましては、課税問題は発生いたしません。それを、次、どこかへ転売するというふうなことになりますと、そこに所得が発生する可能性が出てまいりますが、現在保有しておる限りにおいては所得は発生しないということになります。
  97. 辻一彦

    辻一彦君 自治省のほうで、これは登記が行なわれているわけじゃないから、不動産取得税対象にもならないように思いますが、この点どうなんですか、そこらの課税状況
  98. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 御案内のとおり不動産取得税課税につきましては、必ずしも登記を要件とはいたしておりませんで、登記有無にかかわりませず、真実所有権移転がございました場合には、その不動産取得者課税をいたすというたてまえをとっておりますので、登記がなくても、不動産取得税課税をされるということになろうかと思っております。  ただ、先ほどからお話のありましたような土地につきましては、非常に面積も小そうございます。したがって、価格も低いものではないかとも思うんでございますが、不動産取得税につきましては、一定額以下の取得につきましては、免税点という制度を設けておりますので、免税点にひっかかりました場合には、もちろん課税はしておらないということだろうと思っております。
  99. 辻一彦

    辻一彦君 いま、国税庁と、それから、自治省答弁によって、登記のいかんを問わず売買がされておったという事実はあると、こういうことを大体確認はできたと思うんですね。また、これを裏づけるように、三十九年から四十年にあまりにも安い価格で不当に買い上げたんじゃないかということで、その周辺の元所有者が、河川敷の管理者である越後交通に要求をして、十アール当たり六十万円、だから、坪二千円の追加払いを受けておる。この事実を見ても、売買があったということは事実であると思われますね。  そこで、この室町産業は三十九年から四十年にかけて不特定多数の農民から土地を買ったと言えるのではないかと思いますが、この点の見解はいかがですか。これは建設省に聞かなくちゃいかぬと思います。
  100. 大富宏

    説明員(大富宏君) 室町産業は免許を失効してから今日まで——四十五年に室町産業は免許を失効いたしておりますが、四十五年から今日まで四年間数件の宅地売却行為を行なっているということは、私ども責任者を呼びまして、その陳述によって聞いてみたところでございますが、書類等が非常に散逸いたしまして、この陳述を裏づける契約書というものの照合がまだ完了いたしておりません。ただ、お述べになりました宅地建物取引業法上どうかというお尋ねに対しましては、宅地建物取引業法では、宅地の定義に該当するのかどうかということと、業として行なうかどうか、両面見ないといけないわけでございますが、その両面からいま私どもが陳述によって得た内容が、契約書その他でこれを照合する、裏づけていく、確認していくという作業をしないと何とも申し上げられないわけでございますが、そういうふうな段階でございます。
  101. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、不特定多数の農民から土地を買っているということは事実ですね。  そこで、まず最初に、こういうような国有地である河川の使用権、潜在所有権というもの、こういうものを売買するということは合法的なものであるかどうか、この点の見解はどうなっておりますか。
  102. 大富宏

    説明員(大富宏君) いまのお述べになっております河川敷関係売買というのは、確かに不特定多数からの売買かもしれませんけれども、そこで使用されておるのは、いわば川なり道でございまして、個人がこれを宅地とかあるいは建物の建築用に供するという個人の自由意思にならない部分のものでございますので、この部分につきましては宅地建物取引業法上は宅地と呼んでないわけでございます。
  103. 辻一彦

    辻一彦君 河川敷の潜在所有権売買するということは全般的に見て合法なんですか。
  104. 大富宏

    説明員(大富宏君) 民地の売買については自由だと思います。
  105. 辻一彦

    辻一彦君 いや、河川敷には御存じのように二十八ヘクタールの民有地と、民地と、それから、三十五ヘクタールのいわゆる河川敷、国有地があるんですね。国有地の中の占用使用権といいますか、占用権が売買されている、それに対して課税があるということがいわれておるんですが、これは合法的なんですか。
  106. 大富宏

    説明員(大富宏君) 河川区域に該当している民地について停止条件つきで売買すること自身は、私は合法だと思いますが、ただそれをどう利用するかということについては河川法上の規制がある、こういうことでございます。
  107. 辻一彦

    辻一彦君 国有地でも停止条件つき売買というのは合法なんですね。
  108. 大富宏

    説明員(大富宏君) お尋ねの意味がよくわからないんでございますが、国有地をいわゆる国有地の管理者に無断で民間が売買することが合法かどうか、いまのそういう事案があまりないと思いますけれども、よく御質問の趣旨がわからないのでお答えしかねます。
  109. 辻一彦

    辻一彦君 私の言ったのは、民有地と国有地がありますね。その国有地に、河川敷に潜在所有権といいますか、これがあるわけですね、占用権が。それが売買されるということは、それは合法なのかどうか、こういうことなんですね。
  110. 大富宏

    説明員(大富宏君) 旧河川法上いわゆる九条地に類するところだと思いますが、現在国有地になっているけれども、廃川処分がされれば地主に下げ渡すということになるわけです。その下げ渡されるであろうという一種の権限、これを売買対象にしたこと自身は、違法だとは考えないわけでございます。
  111. 辻一彦

    辻一彦君 廃川になるというか、解除されればもとの所有者に返される。しかし、その前、その場合その占用所有権売買するということは違法ではないんですか。
  112. 大富宏

    説明員(大富宏君) 河川法上の占用権の売買は管理者の許可が要るわけでございますが、それではなくて、河川敷が払い下げられた場合の期待に類するものを売買対象にする、そのこと自身は河川法とは関係ございませんし、違法でもないと思います。
  113. 辻一彦

    辻一彦君 それは妥当であるとも言えるんですか。
  114. 大富宏

    説明員(大富宏君) 非常にむずかしい御質問で、私も即答いたしかねる問題でございますが、河川法上は無関係の問題でございますが、廃川処分がいつされるか、確定的なものか、いつごろこれが払い下げるのか、権利内容としては非常に不確定なものでございますから、そういうものがはたして売買対象になっているのかどうか、私どもよくわかりませんが、法律上は問題はないと思いますが、妥当なものであるか、不当なものであるかという判断については、ちょっと私即答いたしかねます。
  115. 辻一彦

    辻一彦君 売買対象になっているというのは、実体を押えて課税しているという点から言えば売買されておるし、それから、それはあまり安過ぎたからちょっとあとで追加払いをやるといって、坪二千円も払っている事実があるんなら、これはもう売買対象になっているのは明らかですよね。だから私は、そういう占用所有権が条件をつけたにしても、売買されることが違法でないにしても、妥当であるかどうか、この見解を、もう私これ時間が、またこま切れで終わっていますから、あと三時半からの時間がありますから、それまでにひとつ建設当局でまとめて御見解を伺いたい。これで終わります。
  116. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 四十九年十月二十二日付の朝日新聞の経済面を見ますと、これは、宮島競艇の胴元である株式会社三矢という会社が、全国の競艇を取り仕切る日本船舶振興会の笹川良一会長の指示のもとに、同会長側近筋や岩本弘同社社長らが数次にわたりインドネシアを訪問して交渉を続けて、笹川ファミリーの意気込みはたいへんなものであるといわれる。これはインドネシア東部ジャワの二百万都市のスラバヤに競艇進出を計画しているものである、という記事があるわけであります。この計画によりますと、スラバヤ地区に一千百五十万ドル、約三十五億円を投じて、競艇場、レーサー訓練所などを建設する、これを総合レクリエーションセンターにしようと、名義上は観光・スポーツ振興への協力ということになっておるけれども、実態はギャンブル輸出である。で、かつて一度インドネシア政府によってこれを拒否せられたことがあるのだけれども、さらに、巻き返しをはかっておる、という趣旨の記事があるわけであります。私も、戦前にインドネシアに参ったことがございます。で、このような純朴な東南アジアの国に、何も好んで日本がギャンブルを輸出しなくてもいいんじゃないかということが考えられますね。   〔委員長退席、理事河本嘉久蔵君着席〕 この記事は、ジャカルタ発の時事通信に基づくものであるわけですけれども、また一面、最近、インドネシアでは、新たに賭博禁止法が成立したということも聞いておるわけです。このようなギャムブル輸出によって金もうけをしようというようなことを考えること自体が、日本人のまたエコノミックアニマルというような国際的な批判を招くことにもなる、はなはだ好ましくないことだと思うけれども、これは一体どういうふうに所管の官庁で扱われているのか。通産省の担当職員に来ていただくと、全く聞いておらないというようなことも言うし、キツネにつままれたような感じがするわけですね。そこで、大蔵省の為替管理に関する担当官、それから国内における競艇の担当者である運輸省の担当官、この方々の御意見なり、この状況をお伺いしたいと思います。
  117. 佐上武弘

    説明員(佐上武弘君) 実は私も、この新聞記事を拝見してびっくりした次第でございますが、もし、この外電の伝えます内容でございますと、これは海外に対する直接投資でございます。そういたしますれば、事前に公式ないし非公式に打診があるわけでございますが、私どもには一切それについての相談なり、また、こういう動きがあることも実は承知しておりません。そういうのが現状でございます。
  118. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうすると、この外電が、はたしてどういう根拠によって打電されたものか、ちょっと私にもわかりませんが、じゃ、あなたは担当官として、これがもし将来このような点についてあなた方に、笹川ファミリーということに一応ここになっておるけれども、こういうことについて協力を求められたり、あるいは為替に関する許可を求められたりした場合に、どういう御処置をなさるのか、これを妥当と考えるかどうか、その点についての御意見をちょっとお伺いしたい。
  119. 佐上武弘

    説明員(佐上武弘君) 先生も御存じでいらっしゃると存じますが、わが国は、民間の海外に対する直接投資は現在自由化されておりまして、わが国の経済の発展に悪影響を及ぼすような影響があったり、あるいは法令の制限を免れるというような違法なことがございません限りは、特定の場合を除きまして、実は直接為替管理のもとで規制をする手段を持っていないのが現状でございます。これはかねてからOECDによって直接投資を日本が規制しているのはけしからぬという議論がございまして、私どもも投資の自由化に踏み切っております。しかしながら、いま先生の御指摘がございましたような問題もございますし、さらにわが国の現在の外貨事情から考えまして、この種の不要不急なもの、投資というものが望ましいかどうか、これはただに疑問もございます。仮定の議論でございますけれども、もしこういった趣旨で、私どもに相談等がございますれば、直接の競艇関係の担当省でありますところの運輸省等と御相談をいたしまして、先生のただいまの御指摘も深く肝に銘じまして、適切な措置を講ずるように考えております。
  120. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 たいへん私としては、満足すべき御意見を承って喜んでおるわけですが、為替自由化でなるほど許可は要らないと、しかし、あなた方の強力な監督権といいますか、指導権といいますか、それがしばしば発動されておることを知っておるわけですね。ですから、いまのような方針で、どんなに政治的な圧力が将来あろうとも、それを貫いていただきたい、それをお願いします。よろしいですな。じゃ、運輸省のほうから。
  121. 山本長

    説明員(山本長君) 運輸省は、国内におきましてモーターボート競走について施行者なり、これは市町村でございますが、市町村なり、あるいはモーターボート競走会という団体なりの指導、監督というものを受け持っておるものでございますが、先生先ほど御指摘の記事も私読みました。そしてその記事につきましてはわれわれその当時も現在も全然関知しておりません。記事が出ましたときに、そこに地区の名前があがっておりますし、さらに会社の名前まであがっておりますが、その会社につきましてモーターボート、この地区におきます関係者の中に、そういった会社なり、その人物なりが該当するかどうかというふうなことを、この記事が出ました当時調べましたが、あの地区におきましては、モーターボートをやっておりますのは三つの市でございます。競走場を持っておりますのも、その市が管理運営しております。それから、モーターボートの施行に関して事務の一部をモーターボート競走会というところが担当しておりますけれども、その競走会の中にも、記事にあがっております方は関係しておられません。そういった状況でございまして、現在のところ運輸省といたしましては全く関知をしておらないというのが実情であります。
  122. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 船舶振興会というものもやはりあなた方が平素から監督しておられるわけですか。
  123. 山本長

    説明員(山本長君) モーターボート競走法に基づく管理権は運輸省にございます。船舶振興会に対する監督といいますか、事業計画なり予算なりの認可といいますか、等の監督権は運輸大臣でございます。
  124. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そういたしますと、この新聞記事によりますと、この競艇輸出の計画なるものは、日本船舶振興会の笹川良一会長の指示のもとに行なわれておるという内容であるのですが、あなた方はこの点を、笹川良一氏に問い合わせたことがありますか。
  125. 山本長

    説明員(山本長君) 船舶振興会の会長笹川良一氏に直接聞いてはおりません。船舶振興会でこういう事務をといいますか、こういう計画を持っておるかと、あるいは現実にそういう仕事が起きつつあるのかどうかというようなことは聞いてみたことはございます。
  126. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 その結果は。
  127. 山本長

    説明員(山本長君) その結果は、現在そういう仕事はやっておりませんという返事でございます。
  128. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ただいま運輸省の担当官もそういう計画を聞いておらない、船舶振興会に問い合わしたところ、そういう計画がないという回答に接したというのでありますから、私が、御質問いたしました趣旨というものは、これは十分貫徹されたわけでありますけれども、ただいま大蔵省の担当官が答弁なさったように、このようなギャンブル輸出というようなことが将来もしかりにあったといたしますると、それは決して望ましいことではないと思うのですね。あなた方も運輸省のほうにおかれても大蔵省と同様にそういうことに対してはネガティブな態度をとるというお気持ちを現にあなた持っておられますか、その点ちょっとお答えください。
  129. 山本長

    説明員(山本長君) この種の進出が、やはり日本とインドネシアの友好関係を促進するとか、維持するとかいう面において有益であるとかいうようなこと、そういった観点からこの問題は判断すべきものであり、その、何といいますか、両国の友好関係を促進する上においてどう扱うかという判断が、やはりこの問題をきめるポイントではないかと思います。そういった観点から、運輸省につきましてはやはり外務省なり大蔵省なり関係の向きと相談をしながら態度をきめなければならない、かように考えます。
  130. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 大蔵省の担当官と比べて情けない御答弁を承って実はびっくりしたのだけれども、ギャンブル輸出がどうしてインドネシアと日本との友好に役立つのか、常識的に考えてもわかると思うのだけれども、あなたが、何らかギャンブル輸出がインドネシアと日本との友好を促進するようなことを肯定される気持ちをお持ちなのかどうか、これはたいへんなことだと思う。インドネシアだって賭博禁止法が成立して、できるだけ賭博を押えようといういま態度をとっておるときに、日本の監督官庁がこんなことをかりそめにも考えるということは驚くべきことだけれども、あなたは本心からそんなことをおっしゃるのかどうか、もう一ぺんはっきりお答え願いたいと思いますよ。
  131. 山本長

    説明員(山本長君) 私のことばが少し先生にあるいは誤解をお与えしたのではないかという気がいたしますが、私がこの記事のような計画がいいものであるというふうな観点から申し上げたつもりではございません。判断といたしまして、モーターボートを監督しております運輸省だけの立場ではなく、広い立場から判断をすべきであるというふうに考えておるということを申し上げた次第でございます。むしろ現地サイドにおいていろいろな問題を考えますれば、これはむしろ慎重に扱うべきものではなかろうかというふうにむしろ考えておる次第でございます。
  132. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 だいぶ慎重な御答弁のようになってきたようですが、ただいま申し上げましたように、こういうギャンブルを輸出してお金もうけをはかろうとするようなことが、日本の民族的な信用といいますか、国際的な信用というものを決して高めるものじゃなくて、逆に傷つけるものだというのが私の考え方なんです。あなた自身は、監督官庁のお一人としてどういう御意見を現に持っておられるのか、その点どうですか、おっしゃっていただきたい。慎重に慎重にといってもその慎重の内容が問題だからね。
  133. 山本長

    説明員(山本長君) 現地の情勢といいますか、インドネシア側におけるいろいろな情勢なり、あるいはインドネシア側における判断というものを私よく存じておりませんが、先生がおっしゃるように、現地サイドにおいて、こういうものを好ましくないという風潮がある、そういうことでございますれば、日本としてはといいますか、日本の関係の向きが、そういったところに協力するということはむしろ控えるべきではなかろうかと私は考えます。
  134. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まあ、あまりあなたをお責めするのも本意じゃないけれども、結局、現地で歓迎されないということは、オフィシャルな立場では、これははっきりしておるようです。ただ、政府のオフィシャルな立場でそういうものを表面貫いても、陰でお金をもうけようとするような人々が策動して、しばしばそういうオフィシャルな立場をゆるがせることがあるわけですね。だから、あなたはそういう現地の立場がどうかという、そういう点に着眼して御判断なさることも大事だけれども、そればかりでなくして、そもそもギャンブルを外国にまで輸出をしてお金もうけしようというようなことが日本の民族的な信頼といいますか、日本民族としての国際的な信頼といいますか、そういうものを傷つけるかどうかという、そういう観点に立ってよく判断をしてもらいたいというのが私の考え方なんです。おわかりですか。ですから、そういうことをよく考えて、将来も慎重に対処なさるお気持ちがあるのかどうかと、もう一ぺんはっきり承りたい。
  135. 山本長

    説明員(山本長君) 先生がただいま一つの日本サイドにおける心がまえというような立場から申されました事柄については、私全くそのとおりであるというふうに考えます。
  136. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 終わります。
  137. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、去る二十二日衆議院の大蔵委員会でも問題にされました例の北炭観光開発から政治家への土地贈与の経緯について、わが党の調査結果が発表されましたが、それについて重ねてお伺いをしたいと思います。  まず問題は、もう御承知と思いますが、三十九年の九月三十日付で登記がされておりますこの札幌の土地でありますが、この固定資産税はだれが支払っておりますか、自治省のほうからお答え願います。
  138. 石見隆三

    説明員石見隆三君) お示しの土地につきましては、御案内のとおり、固定資産税は地方税法の規定に基づきまして不動産登記簿に権利者として登記されておる者に対しまして課税をいたすたてまえになっておりますので、この時点におきまして不動産登記簿登記されております者に適正な課税がされておるというふうに市からの報告を受けておる次第でございます。
  139. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この課税対象者はだれになっておりますか。それは発表できないのですか。
  140. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 前回の委員会でも法務省のほうから、その時点におきます不動産登記簿登記されております者の名前が確認されておりますので、その者に対しまして課税をされておるというふうに調査の結果聞いております。
  141. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に質問したいのは、土地の贈与を田中総理が受けておるわけですが、この田中総理不動産取得税申告並びに納税義務がこれで出てくると思いますが、その資料は提出していただけますか。
  142. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 不動産取得税につきましては、これは北海道庁で課税をいたしたわけでございますが、先ほども申し上げましたように、適正なその時点におきます真実所有者に対しまして課税をいたしておるわけでございますので、不動産取得税につきましては、同じ形で、道において適正な課税がされておるというふうに聞いております。
  143. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 資料はないですか。
  144. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 課税内容でございますが、課税標準額あるいは税額等につきましては、先般来いろいろ問題になっております地方公務員法あるいは地方税法に申しまする秘密に該当する事項でございますので、これが取り扱いにつきましては、どういう形で取り扱ってまいりますか、あるいはまたどういう形でお出しするかというようなことにつきましては、国税当局のほうとの関連もございますので、政府部内で検討いたしまして十分協議をさせていただきたいというふうに存ずるわけでございます。   〔理事河本嘉久蔵君退席、委員長着席〕
  145. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの問題についてはまたあとでちょっと触れますが、これは国税庁のほうにお伺いしたいんですが、調査の結果、昭和四十八年二月二十二日に三井観光——三井観光というのは名前が変わりましたが、もとは同じ北炭観光開発でありますが、に返却をされておりますが、こういった場合には、税法上どういったような、課税対象はどういうふうになりますか。
  146. 横井正美

    説明員(横井正美君) お尋ねの場合におきまして、法人側の問題と個人側の問題、二つございます。法人側について申しますと、いわゆる受贈益課税ということで課税を受けるわけでございます。それから個人側、返却側でございますが、これにつきましてはみなし譲渡課税を行なうという考え方もございますけれども、実は贈与税の取り扱いにつきましては、軽率あるいは過誤によりまして贈与を受けて、その後更正を受けますまでに返還いたします場合については、返還のものにつきましては贈与の取り扱いをいたさない、つまり課税をいたさない、こういうふうにいたしてございます。したがいまして、課税関係は生じないというのが相当ではなかろうかと、かように考えております。  なお、事実関係につきましては検討いたしておるところでございます。
  147. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 事実関係については検討中ですか、調査中ですか、いま検討とおっしゃいましたが……。
  148. 横井正美

    説明員(横井正美君) 調査中でございます。
  149. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われた調査というのは、あくまでも中身のほうの調査なんですか。それともこの三井観光に受贈益の申告義務というのがあるわけですけれどもね、いま言われたように。それについて申告がされておったかいなかはわかりますか。それも含めて調査中であり委員会では言えないわけですか。
  150. 横井正美

    説明員(横井正美君) 問題になりますのは、いわゆる受贈益を掲上すべき時期と申しますか、いつ田中総理から三井観光開発に土地の贈与が行なわれたか、返還が行なわれたかと、こういう時点の問題、これを調査いたしておるわけでございます。  実は衆議院の法務委員会でも、法務省側から御説明があったんでございますが、当該土地につきましては、その後、四十九年三月末におきまして三井観光開発から安田建設に売却が行なわれておるということでございまして、その辺のことから申しまして、この三井観光開発といたしましては、返却を受けましたときにおきまして受贈益を掲上しているだろうというふうに申し上げておる次第でございます。
  151. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 もう一つは、ここで問題になっているのは御承知と思いますけれども移転原因が届けられておるのが四十一年の十二月二十五日、実際は登記が四十八年二月二十二日と、非常にズレがここにあるわけです。こういった場合は、税の場合どういうふうになるのですか。
  152. 横井正美

    説明員(横井正美君) 御承知のように、日本の民法におきましては、登記簿は第三者に対する対抗要件であるということになっておりまして、登記と現実の財産の引き渡しとが時期的にずれるとか、あるいはまた登記が行なわれないで、たとえば、中間省略登記というふうな形になりますとか、そういう場合が間々あるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、実際の引き渡しがいつ行なわれたかということの真実を追求いたしまして、課税をせざるを得ないというふうなことになっておりますので、四十八年二月二十二日に引き渡しが行なわれたのか、あるいは四十一年十二月二十五日に引き渡しが行なわれたのか、この辺につきまして調査をいたしておるところでございます。
  153. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その辺のことはいずれ公表されるんでしょうか、その辺はいかがですか。この間から守秘義務で全部だめになっておりますけれども、その問題これから触れていきますけれども、非常に私は、前回質問したこともあまり答えていただけませんでした。これは目白の私邸の問題でしたけれども、まあ、こういうことは別に私はきちんと公表されてもかまわないと思うわけですが、その前に自治省の問題にちょっと戻って恐縮ですけれども、先ほども調査中ということで、あるいはこれはあとで大蔵省とも相談をして協議をして発表すると、国税当局とですね。協議をしてとおっしゃいましたが、先日出されました「地方税に関する事務に従事する職員の守秘義務について」、これはいままでの私たちが考えておったものより非常に後退をしておると受け取っていいんですか。その辺の考えはいかがですか。
  154. 石見隆三

    説明員石見隆三君) いまお示しになりました通達につきましては、先生御案内のとおり、さきの七十二国会におきまして、地方公共団体におきます滞納者リストの取り扱いについて、いろいろ御指摘を受けたところでございます。で、従来国税地方税との間において扱いなり、あるいは指導について若干差があるではないかという御指摘を受けたわけでございまして、その後自治省と大蔵省と内閣法制局の三者で、地方税法あるいは地方公務員法のこの規定の解釈につきまして意見の調整をはかってまいったわけでございますが、先般、最終的に自治、大蔵両省並びに法制局との意見の調整がつきまして、この通達に示しておりますような解釈をかためて地方団体に指示いたしたところでございます。で、従来からの考え方と、あるいは後退と申しますか、変わりたんではないかというふうに御指摘があったわけでございますが、私どもといたしましては、従来からの基本的な考え方は今回におきましても変えたつもりはございません。ただ従来、自治省のほうから行政実例なり、あるいは通達という形で指導をしてまいりました文書と申しますか、表現の中身が必ずしも明確でなかったこともございます。と同時に、あるいはまた部分的には舌足らずの点もありまして、七十二国会でのような御指摘を受けたんだろうと私どもは理解をいたしておったわけでございます。したがいまして、今回これらの点につきまして明確にいたしまして、いま申しましたような形で文書を出したというのが実態でございます。
  155. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、この前問題になりました広島あるいは北海道、東京、神奈川、大阪などが発表しましたこの個人別滞納額一覧表ですね。これは今回のこの通達からいきますと、それはよかったのか、悪かったのか、どういうことになるのですか。これでいくとこれはまずかった、こういうことはこれから再々行なわれると困るから、今度は締めようというふうに私どもはとりたくなるのですが、その辺はどうですか。
  156. 石見隆三

    説明員石見隆三君) お示しのように、過去におきまして五つの県におきまして議会からの御要請に基づきまして、滞納者リストをいろんな形で、必ずしも一定ではございませんが、いろんな形でお示しをしたという事実はあるわけでございます。その中で三県においては議会にお出しするのではなくて、委員長さんだけにお示しをする、そういうような、お示しをいたしました形は区々でございますが、かつて五つの県におきまして、そういうことをいたしたことは事実でございます。  で、今回の通達にもその点は明らかにいたしたわけでございますが、従来からこの点につきまして、私どもといたしましては一貫してこの考え方を持ってきたわけでございますが、守秘義務と申しましても、地方公務員法なりあるいは地方税法の規定によりまして一切滞納者あるいは納税者に関する事項を開示することはできないというふうには考えておらないわけでございまして、議会の審議におきます必要性と、片方、納税者等の利益の保護あるいは行政の円滑な運営の確保の必要性というものを比較考慮いたしまして、ケース・バイ・ケースでそれぞれ地方団体の長において判断すべき事項であるというふうに私ども今回指導いたしたわけでありまして、いまお示しにありましたような五つの県におきます取り扱いは、そのような考え方の上で、地方団体の長において、この際こういう形で出すことは差しつかえないというふうな判断をいたしたものであろうというふうに考えておる次第でありまして、私どもといたしましては、直ちに今回の通達違反であるというふうには考えておらないような次第でございます。
  157. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間の関係でこれで、あとまた大臣にお見えになったときに続けますけれども、そうすると、議会への場合はこの第二項に書かれておる点を守りながらケース・バイ・ケースでやると、こういうことですね。
  158. 石見隆三

    説明員石見隆三君) いまお示しのこの通達の2にあげておりますように、やはり事個人の秘密に関することでもございます。と同時に、今後の税務行政の円滑な運営ということを考えました場合には、やはりその取り扱いについては慎重でなければならないということは当然だとは存じますが、いま申し上げましたように、片方、議会における審議の必要性ということとの比較考慮におきまして、ケース・バイ・ケースでものを判断されるべき問題であろうというふうに考えておる次第であります。
  159. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 昨日、共産党の国会議員団で「金脈問題をめぐる十大疑惑をただす」、田中総理への公開質問状というものを発表いたしました。結局、たくさんの疑惑があるわけでありますけれども、その疑惑を解明するかぎは、幽霊企業を解明し、全体像を明らかにしていく、そのことによって明らかになる。これが私どもの見解であり、また事実だろうと思います。そこで私は、前回に引き続き、この幽霊企業のからくりについてさらに踏み込んだ解明をしていきたい、こういう立場から質問をしたいと思います。  前回の当委員会における質問におきまして、東京ニューハウスという会社は、田中総理の目白台の邸宅とか、あるいは軽井沢の別荘など、個人資産、田中総理の個人資産を所有するための会社にすぎない。このことが明らかになっております。ところが、この何の実質的な活動もない、そして利益も見込まれないこの会社が、旧徳川邸の軽井沢の別荘を取得した直後、昭和四十七年八月十七日に一億五千万円の増資をしているわけであります。しかも、その増資の全額をやはり幽霊企業の一つである室町産業が全額引き受けて払い込みをするというたいへん奇妙な事実が発生しております。国税庁は、この事実を御存じかどうか、この点について御答弁願いたいと思います。
  160. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 東京ニューハウスの増資の状況等につきましては現在再調査中でございます。
  161. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 調査をしておれば真っ先に、増資があったかどうか、こんなことはそれはもう登記簿を見れば明らかですね。しかもこれは、法務局に備えつけてある書類によって、室町産業が全額引き受けた、こんなことは客観的に明らかなんです。そんなことまでも守秘義務でしゃべらないのか。これは明らかな事実であるから、私はそれを前提に質問をいたします。ですから、それを前提にしてお答えをいただきたいと思うのです。  私が伺いたいのは、東京ニューハウスのようなこういう会社に、室町産業が出資をしてどんな利益があるのだろうか。利益が見込まれるはずはないのに、こういう出資がされるということが、結局、室町産業がここでまた田中総理の化身、いわゆる化けた姿であって、そういう幽霊企業の間で金の操作をして、そうして財産隠しをしている、こうしか考えられません。そういう疑いを持つべきだと思うけれども、その点についてどうか御答弁を願いたいと思います。
  162. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 法人間で出資をしたり、あるいは金を貸す、投資をするというふうな場合には、その金を貸したり、投資をしたり、出資をしたりした法人の側には、特別に課税関係は生じないわけでございます。
  163. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そんな一般的なことを聞いてるんじゃなくて、その点に疑惑を感じて調査をしているのかどうか。いま問題なのは、田中関連幽霊企業の全部が疑われているわけですから、こういう利益もない、しかも、田中総理の個人資産を所有するにすぎないそういう会社に投資することについて、税務当局として疑問を持たぬのかどうか、その点が私の質問の趣旨なんです。その点について真正面からお答えをいただきたいと思うんです。
  164. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 増資等が行なわれました場合には、その増資資金の出処等については調査をいたしますが、その増資になぜ応じたかというふうな、その動機に至るまでは、通常、調査対象にはなっていないわけでございます。
  165. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 通常の場合には国査の対象になっていなくても、今回は、いろんな幽霊企業のからくりによって、田中総理が何らかの利益をあげてるんじゃなかろうか、財産隠してるんじゃなかろうか、こういったことが疑われている、こういうことは御承知だと思うんです。そういう角度から、私はこれは調査をすべきだと思います。しかも、これは客観的にはきわめて疑わしい事実であります。  この点ばっかりやっておっても時間がありませんので、次に移りますが、これは東京ニューハウスという面から見てみますと、こういう問題じゃなかったかと思うんです、東京ニューハウスは、御承知のとおり、田中総理だけでも三分の二の株式を所有している会社であって、実質はもとより、形式的にも同族会社であります。同族会社の場合には、御承知のとおり内部留保金に対しても税金がかかる、これを非同族会社にいたしますと、その分の課税は免れる、こういったことになりますね。となりますと、いままで同族会社であったこの東京ニューハウスに対して、企業からのちょうど半分に相当する一億五千万円の出資をすることによって非同族会社にして、そうしてこの内部留保金課税を免れる、こういうからくりじゃないかと思います。こんなようなやり方が妥当なのかどうか、この点について、長官お答えをいただきたいと思います。
  166. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 企業がいろいろな増資をいたしますときに、まあそれぞれの目的と申しますか、趣旨、そういうものは多様にあろうかと思います。ですから、御指摘のようなことが、いろいろな、世間一般のたくさんあります法人の中に、そういうような目的を持たないものがないということはないかと思います。しかし、それは多数の可能性の中の一つとして、それは一つの考えられることかと思います。
  167. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 一つとして考えられるとなりますと、全く別の会社が実質的に投資をして、そして経営に参加するというのはわかりますけれども、こういう幽霊会社の間で、こんな操作をして、そのことによって同族会社に対する内部留保を免れる、これは決して妥当ではないし、大蔵大臣、そうして総理大臣、現在やっておるこういう田中総理やり方としては、たいへん疑惑を招くんじゃなかろうかと思います。この点を指摘しておきます。  それからもう一つ、今度は室町産業についてみますと、これは公示された所得額は二回しかありません。要するに五千万あるいは六千万という、そういう出資、所得は二回しかない。その他は、たいへん所得の少ない会社であります。その段階で、たとえば、四十七年段階で申しますと、七億五千万円の資本金を持っておるこんな会社が、わずか二千万円以下のこんな所得というのは、あまりにも少な過ぎるのじゃなかろうか、こういう点について疑惑を持つか持たぬか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  168. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) お尋ねの会社につきましては、従来、申告に基づきまして適正な処理をやってきたわけでございますが、御承知のように、いろいろ新たな情報その他もございますので、現在見直しをやっておるというところでございます。  なお、申告が多い、少ないというお話しでございますが、会社によってはいろいろ赤字の会社もございますし、申告所得、マイナス所得というふうなところもあるわけでございまして、なかなか、一がいに、資本金に比較して申告が少ないんではないかというふうにきめつけられない問題ではないかというふうに考えます。
  169. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 田中総理関係の幽霊企業は、いま申し上げたとおり、相互に金を融通したり、いろんな操作をしている、そうしてその中心をなすのがこの室町産業である。資本の金額から見ましても、ほかの幽霊企業や、その他の企業に対する投資の額等々から見ましても、その中心をなすのが室町産業であるというふうに私は理解をするわけであります。となりますと、いま、調査中であるということで御答弁をいただけないんですけれども、むしろ、こういう中心的な室町産業が、全体の中でどういう役割りを果たしているのか、そういった点から、今後さらに厳格な調査をすることを求めます。まあ、私どもの理解では、こういう操作によって、田中総理の政治資金を捻出する、そういう役割りをこの企業、室町産業はじめ各幽霊企業が持っているのじゃなかろうかと判断するのでありますけれども、そういう疑いを持つ余地はないかどうか、この点についての御答弁を願いたいと思います。
  170. 渡邊喜一

    説明員渡邊喜一君) 実際に政治資金を捻出しておるかどうかというふうなこと、私、いまここで答えられるあれじゃございませんが、一応、会社申告あるいは従来行なってまいりました調査の範囲内におきましては、寄付金等は厳正に処理されておるという状況でございます。
  171. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間がまだ五分以上残っておるようですが、大臣参りましたから、その分あとへ回していただきまして、そうして質問続けさしていただきます。
  172. 辻一彦

    辻一彦君 私、ちょっと最初——先ほどの続きでありますから、しばらくお尋ねして、あと大臣にお尋ねしたいと思います。  先ほどからの続きですが、室町産業実体を見ますと、河川敷の潜在所有権というものを、不特定多数の、四十名に及ぶ農民から買い上げているということも事実でありますし、そうなりますと、この不特定多数という条件が一つと、それからもう一つは、三十九年から四十年にかけて継続しているという、買い取りが継続しているという、この二つを見ると、建設省が言っている継続と不特定多数という点から、取引、宅地建物取引業法等にいうところの取引に該当するのじゃないか、こう思いますが、これについて建設省の見解いかがですか。——じゃ、残念だけどあとで伺うことにしましょう。じゃ、建設省見えたら、いまの問題は伺うことにして、大臣お見えでありますから、二、三点お尋ねしたいと思います。  きょう、田中総理が退陣を声明されたようでありますが、この内閣改造によって引き続いて政権を担当されるかのようにも聞こえましたが、田中さんも、文春問題に端を発した金権、金脈政治に対する国民の強い批判、こういうものに対して抗することができない、ついに退陣になったと私は思います。そこで、そういう、なまなましいきょう退陣声明をされたという、そういう実態の上に立って、今日、大平大蔵大臣、田中内閣の主柱、おもな柱でもありましたし、また、どういう形であれ、私は、今後大事な役割りに立たれると思う。その大平大蔵大臣が、これからの金脈、金権問題、これをどう国民疑惑をただしていくために努力をされるか、やっていこうとするか、この点について基本的な考え方をこの機会にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  173. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私曲を排して正しいことをやらなければならぬことは政治の要諦でございます。したがって、金銭の問題ばかりでなく、あらゆる面におきまして、われわれは自戒をして、誤りのないようにしてまいらなければならぬわけでございます。  田中さんについて問われました金権問題でございますが、辻さんも御案内のように、本委員会等を通じまして、まず、徴税当局が、こういう問題提起があったわけでございまするなら、再調査をいたしまして、万々遺漏はないと思いますけれども、念を入れて再調査いたしまして、もし万一脱漏がございますならば、これを是正してまいるということは当然徴税当局のなす任務であり、本問題を解決してまいる上において、一つの政府の義務であると考えております。その場合、たびたび問題になりましたように、田中総理であるからといって、これは一納税者にすぎないわけでございますので、徴税当局としては、特にきびしくやるとか、特に甘くやるとか、そういうことのないようにしなければならぬと思っております。  それから、税法上の守秘義務のことでございますけれども、この問題も、田中さんであるから特に守秘義務の守備範囲が狭くあっていいとか、広くあっていいとか、そういうことを考えるべきでないと思っておるわけでございます。しかし、これは、課税問題の行政権にかかわる問題の側面であろうと思います。  それからもう一つは、国有財産の処分問題、管理処分にかかわる問題でございます。国有財産当局が、特定の人の圧力によって事をなしてはならないことは当然でございまして、所定の手続を経まして、審議会等の審議を経て、適正に問題を処理してまいらなければならないわけでございまして、私は、国有財産当局は、そういうふうにやってくれているものと確信をするわけでございますが、これまた問題は問われているわけでございまするから、過去の経緯をよく調べてみまして、万々非違はないものと思いますけれども、念査して結果を確認しなければならぬと私は思っております。一方、この問題は政治道義の問題、政治姿勢の問題として、田中さん御自身の問題でもあるわけでございます。したがって、たびたび私も本委員会で申し上げておりましたように、最高の責任を持つ公人として、田中首相は深くきびしくこの問題について考えられているに違いない。そして御自分の進退についても深刻にお考えのことと思うという意味のことを申し上げてあったわけでございますが、本日、たまたま田中総理の御意思によりまして、みずからの退陣声明が出たわけでございます。しかし、その中に、田中さんは、この問題につきましていろいろ言われておりますけれども、なお、今後自分の手で明らかにしたい、こう言っておられるわけでございます。私は、田中さんがこの退陣声明にうたわれてあるように、田中さん御自身の手でみずからの財産の増減問題というものを明らかにされまして、国民疑惑が一掃されることを私は期待いたしております。
  174. 辻一彦

    辻一彦君 いま大蔵大臣からは、政治姿勢の問題云々にもお触れになりましたが、私は、この問題は、田中さんが退陣をされると、それでもって問題は解決する、そういうものではないと思います。その点で、具体的にいま問われている政治姿勢、金権、金脈の問題を真剣に解明をしていくために、具体的にまずどういうことに取り組まれようと考えておられるか、この点をもう一度お尋ねしたいと思います。
  175. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げたとおりでございます。行政当局として、こういう問題が提起されておりますので、いままでやったことに万間違いはないと思いますけれども、念を入れて再調査いたします。それを急いでいるわけでございます。それから、田中さん御自身は、みずからの名において明らかにしたいという意向を表明されているわけでございます。
  176. 辻一彦

    辻一彦君 そこで大臣、いま守秘義務の問題にお触れになり、これはまあ、決算、大蔵各委員会でずいぶん論議をされたことでありますが、私、ひとつお尋ねしたいのでありますが、いまこれだけの国民疑惑があり、きょうも私、室町産業等々の問題を皆さんと一緒に論議をしておりましたが、こういう疑惑を晴らすということがいま何よりも大事である。そこで、政府のほうは、この守秘義務によって国政調査権がいまはばまれようとしておりますが、それは、税務調査関係の資料を国会へ提出すれば徴税に支障を来たし、国益を損するというような御見解があるように思いますが、私はむしろ逆にこの疑惑を、もしもこのままに置いておく、長く放任しておくならば、国民の納税義務感というものにマイナスの大きな影響を与えて、逆に国益をそういう意味でそこなうことになるのではないか、こう思いますが、そういう意味で、その守秘義務がかなり後退をして、国政調査権の範囲が当然広がっていくべきではないか、このように思いますが、この点について大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  177. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 守秘義務、税法上の守秘義務というものを、私が答弁で拡大したり縮小したりすることはできません。これは客観的な実定法としてあるものをどう解釈して実行してまいるかということは、厳粛なわれわれの責任でございますので、政治的にこれを伸縮自在のものと私は考えないわけでございます。問題は、税法上守秘義務が設けられたゆえんのものは、すでに本委員会でもたびたび政府委員からお答え申し上げているとおりでございまして、公権力によって納税者からの秘密を了知し、税の調査決定をしてまいるという以上は、やっぱり知り得た秘密は口外しないということでないと、申告納税制度をべースにいたしておりまするいまの税法が、機能しないと思うことが、最大の立法理由だと思うんでございますが、これは一人のその当該納税者ばかりでなく、その納税者に関連がある得意先でございますとか、友人でございますとか、第三者の秘密に触れる場合が起こり得るわけでございまするし、それも守らなければならぬわけでございますし、また、徴税当局が部内におきましていろいろ調査のためにくふうをいたしておりますことを部外に出すということも適切ではないというような、いろんな趣旨から、私は、この守秘義務制度が税法上立法府において採択されたものと思うのであります。したがって、これは先ほど申しましたように、総理大臣の案件が出ておるから、特にこれはきびしくするとか、これをやさしくするとかいうことをすべきではないと思っておる、もっとおごそかなものだと私は考えておるわけでございます。
  178. 辻一彦

    辻一彦君 大蔵大臣、さきに、税務調査資料の国会提出はケース・バイ・ケースであると、こういう御答弁があった。しかし、最近見ていると、どうも税務当局は後退をしているんじゃないか。これ国税に合わせて自治省のほうもこの間通達を出されたようですが、それを見ると、私たちは、やはり御答弁の趣旨より後退しているような感じを持ちますが、ケース・バイ・ケースとは、今日これだけ問題が具体的に出されておる室町産業新星企業等々指摘をされておりますが、こういう中でケース・バイ・ケースを適用するとすれば、これらの問題は当然それに該当するものと思いますが、大臣が言われるケース・バイ・ケースは、これらに該当しないのかどうか、この点いかがでしょう。
  179. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 税法上の守秘義務が、それぞれの立法理由をもちまして、実定法に確立した規制としてありますことは、御案内のとおりでございます。一方、全然別な角度から国会に国政調査権が確立されておるわけでございまして、問題は、それどちらが優先するかという議論が、衆参両院を通じまして議論が行なわれておるわけでございまして、政府の見解といたしましては、どちらが優先するときめられないという立場をとっておるわけでございます。それは先般野々山さんの御質疑に対しまして、法制局長官も政府を代表してお答え申し上げたとおりでございます。それじゃどうするんだということでございますが、これは、これを開示することによって失われる法益というのは何か、得られる法益は何かというやっぱり比較考量の問題だろうということが抽象的に言えるわけでございます。ところが、抽象的にそういう幾らやりとりいたしましても、おそらく私はそういう抽象的なやりとり以外に進まぬと思うんです、この問題は。そこで、問題は、結局、具体的にこれはどうだと、これはおまえのほうの守秘義務からいくと言えるのか言えないのかというようなことは、これはひとつ具体的なケース・バイ・ケース判断に待つよりしかたがないということでございまして、これ逃げ腰ではないんで、具体的なケース・バイ・ケース判断せざるを得ないのが、国会のお立場もそうですし、政府の立場もそうなんでございます。したがって、あなたのおっしゃるように、この間からこちらが後退したとかいうようなことを言うんじゃないんです。ケース・バイ・ケース判断する以外に道はないんじゃないかということを申し上げておるわけでございます。それじゃ、具体的にどういうケースがいままであったかというと、あまりたいした実例がいままでないわけでございますけれども国会との間で問題になったことを私も一々詳しくは存じませんけれども、そういう点もっと勉強して、いままでのようなケースに当たってみて、一応の目安は立たぬもんだろうかというような検討はいまいたしておりますけれども、決して私は、ケース・バイ・ケースを隠れみのにして政府が逃げようなんて全然考えてないんです。事柄の性質上そうならざるを得ないんだということを申し上げて御理解を求めておるわけでございます。
  180. 野々山一三

    野々山一三君 関連。大臣、先ほど私の名前も言われながら、守秘義務と国政調査権の問題について触れられたわけでございます。問題は二つあると思います。一つケース・バイ・ケースでというお話と、それからもう一つは、国政調査権と守秘義務というものは並行線であって、という問題を大臣は述べられておるわけです。  そこで、実際問題に入るわけでございますが、その以前に、先般来、官房長官、法制局長官の出席を求めて秘密基準などなどの問題について審議をいたしたことがございます。本日、正式に内閣官房から私が指摘しておりましたものの一つがあらわれました。正式に提出されました。それを一回読み上げてみましょう。四十七年六月十五日でございます。内閣参事官室から出ておるものでございます。その中に、ケース・バイ・ケースの問題も触れられております。同時に、国政調査権と守秘義務との問題について正式に文書で出されておりますから、全部読み上げるのはたいへんでございますが、その際、現実的な問題として、先般決算委員会で大臣が秘密会ならば、秘密といえどもこれを明らかにして審議をいただくことがあり得るかのようなニュアンスの答弁をなされております。そこで、その問題について、こういう文章がございます。「百四条 本条は……新憲法第六十二条に対応する条文でありまして、「内閣、官公署その他」と申しますのは、これは会社及び個人も含んでおるわけであります。また、たとえ「秘密」な書類といえどもその提出を求めることができるのでありまして、その「秘密」なる書類を審査する場合には、秘密会を開けば足りることであります。」と、こう書いてあるわけであります。そこで、実体的に秘密会をやるかどうかの問題は一つのポリティックな問題だと思います。それから秘密会ならば、個人の秘密といえども国の秘密といえどもこれを提示して審査を求めるのは当然でありますというのでございます。そこで、あなた、国政調査権と守秘義務とは並行線である、こういうふうな趣旨のことを先ほどお答えになりましたけれども、国政調査権が優位であるということはこの文書によって明らかなんでございます。これは二年半前に私が約二ヵ月半にわたりまして内閣官房及び官房長官関係所管大臣と長期にわたって議論をした結末でございます。この点について、一体、二つの観点から実体的にどうか、それから、国政調査権と守秘義務との間は同等であるとおっしゃるけれども、優越性があるというのは国政調査権であるということが、内閣官房自身から出されておるのでございますからね。いまあなたのお答えにけちをつけるわけじゃございませんけれども、この議論はひとつお認めにならないと、国会というものの権威はなくなってしまう、こういうわけでございます。国会法百四条から見まして。同時に、議院証言法の観点から見ます国政調査権と行政権との関係、これも当然優位性があるというふうに担保されているものと解しますけれども、いかがでございましょうかという意味であらためてお伺いをいたします。
  181. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) まず第一に、この間、決算委員会で私が御答弁申し上げた趣旨は、秘密会をやるかやらぬかということは、私が存じないことでございまして、国会がおきめになることでございます。そういう場面になった場合に、かりに国会がそういう一つの舞台をつくっていただいたという場合に、いまの税法の守秘義務から申しまして、それを秘密会にどういう程度まで言えるのか言えないのかということは、ひとつ検討してみますということを申し上げたわけでございまして、秘密会をお願いしますとか、それから、秘密会の場合にこうしますとかいうことは、私、申し上げていないんです、まだ。それをひとつ御了解を得ておきたいと思います。  それから第二は、そのいまあなたが御引用になりました内閣の見解なるものも、私も、一応読みましたが、しかし、私は、野々山さんと違いますのは、それが直ちに、あなたは、それは国政調査権が優先するという一つの証拠じゃないかというように、いま根拠じゃないかという意味のことを言われましたけれども、私は、政府の従来の見解に、別にそれをその見解の表明があったからといって、国政調査権が必ず優先するというように私は理解をいたしていないのでございます。
  182. 野々山一三

    野々山一三君 この議論は、前憲法から新憲法に転移してまいります過程における国会委員会におきまして、政府側の説明員から述べられた議論を前提にしてできておるんでございます。そして、同時に、秘密会をやるかやらないかは、これは委員長自身あるいは委員会自身の問題でございますけれども、私が申し上げたいのは、行政府と立法府たる国政調査権を持っている国会との関係において、最終的接点が、国会もまた秘密会というところを通して最終的接点を求めるという論理、これが新憲法下における国会委員会の議論として、政府側から提起されたものであり、という前提をお認めにならなきゃいかぬと思う。そうして同時に、今度は、実際的に秘密会でならば提示されなければならないのはどこまでかの問題は、行政府と立法調査権との立場において、その接点をどう見つけるかの現実的な問題でございます。これなら出せます、これなら出せません、これは出せます、これは言えますということに同意が得られるかどうかという観点の問題でございます。それから、さらにエスカレートしてまいりますものに、その後御案内のように、議院証言法というものができた。そうでしょう。そして国会が、これは出すべきであると要求されたものに対して、行政府がこれを出せないという場合には、理由を明示しなければならない。なおかつ出せないという場合には、これに政府が声明を発するということによって、最終的に——内閣官房長官との間に私が議論をいたしましたのは、つまり解散か、ないしは総辞職かによって国民の信を求める、これが議会制民主主義国家のもとにおける今日の行政府と立法府たる国会との関係である、そこで初めて三権分立という立場というものが担保されるというものだと思います。あえてごらんになったということでありますから、私は、申し上げたくないんでありますけれども、わざわざここでそういう議論がございますから申し上げているわけです。もう一回読み上げる。「国政調査権は、主権者たる国民の信託に基づき、国権の最高機関として国政の運営全般にわたり民主的統制を行う権限と責任を有する国会が、その任務を有効適切に遂行していくためには国政事項のすべてについて正確豊富な知識や、情報を獲得することが必要不可欠なため、憲法第六十二条が明文をもって定めた重要な権能である。すなわち、国政調査権は、主権者たる国民が重大な決断をする場合において、基本的な情報が遮断されていたら取返しのつかない誤ち、——政治過程でひきかえしがつかない最大のものが戦争——を犯さないよう常に正確、迅速な情報を獲得する権利、つまり国民の「知る権利」を強大な国家権力の前では微力な、そして有効な手段もない一人一人の国民になりかわって、国会がいわば代行するものであり、単に国会の機能というよりは、これなくしては基本的人権の保障も議会政治も全うできないという意味で民主政治の根幹」である、この「根幹にかかわる重大な国会の権限」がすなわち国政調査権なんである、こういうふうに書かれておるのでございます。これは大平さんであると田中さんであると野々山であるとにかかわらず、日本国憲法が志向しているものであるという論理に基づいておるのでございます。その点をもう一回あらためて御確認をいただいてみるならば、私は常識的に見て、これは思想とか考え方とかということとは別に、常識的に見て、国民のすべての知る権利を代表するのが国政調査権なんだ、その限りにおいて、国益国損という観点から、辻君が指摘するように、いまの疑惑、不信、不安というものが存在する限り、私は明々白々国益に反することである、同時に、それは裏返せば国損に値することである、だから、そういう意味で、常識的に見て、一行政府が、あるいは行政官が保障されている守秘義務というものを、国政調査権との関係において、歴然たる論理的な違いがあるという点をこの際明らかにしてもらいながら、あなたのあらためての認識を伺いたい。
  183. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま主張される趣旨はよくわかりますし、常識的な御見解として拝聴するわけでございます。ただ遺憾ながら、それだから、直ちに、いま政府がとっておりまする、国政調査権が常に優先するんだという見解に私はまだ同意ができないわけでございます。ただあなたが言われたように、この国政調査権の運用は、国会がやられるわけであります、行政府の守秘義務はわれわれが守らなければいかぬわけでございますが、これは現実にどこへ接点を設定するかという問題がわれわれの課題だと、それはあなたが御指摘のとおりでございます。それはまさに私はケース・バイ・ケース判断していかなければいかぬ問題じゃないかというように申し上げているわけでございます。
  184. 辻一彦

    辻一彦君 私、もうこれ一つ伺って終わります。ちょっと具体的な問題で午前中残しておりますから、建設省に伺いますが、さっき言いましたように、室町産業が三十九年から四十年に、継続をして、そしてこの占用申請にあったように、四十戸の農家、不特定多数の土地を買っているということ、この事実は私は、宅地建物取引業法にいうところの取引業に該当するんじゃないかと思いますが、この点いかがですか、時間がありませんから、簡潔でけっこうです。
  185. 大富宏

    説明員(大富宏君) 先ほども答弁いたしましたとおり、室町産業が河川敷を買収したのは、宅建業法の免許が発効する前であるということが一つ、もう一つは、当該土地が河川区域内の土地でありまして、宅地建物取引業法上の宅地とは考えないということで、宅地建物取引業法違反とは考えておりません。
  186. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、この免許発効以前であるから、免許がなかった時代にやっているということですね。だから、もし業であれば、違法であるということは明らかになりますね、免許なしにやっているんだから。問題は、宅地であるかないか、河川敷だから宅地でないという御見解ですね。宅地は、法文を読みますと、建物の敷地に供するという土地が宅地ですね。住宅地の宅地とは意味が違うと私は思いますね。そうしますと、室町産業は、将来もし信濃川の河川敷が払い下げられた場合に、宅地に転用したならば、免許以前に違法行為を行なったと、このように解釈していいですか。
  187. 大富宏

    説明員(大富宏君) 宅地建物取引業法上は、宅地という概念は二種類ございまして、一つは、建物の敷地に供される土地及び都市計画区域におきましては、その他の土地も含むわけでございますけれども、この中で河川の敷地というものは除いてあるわけでございまして、現実に現在まだ河川区域の中でございますし、これを個人が取引をやったからといいましても、それが宅地の、あるいは建物を建てる目的でこれが取引されるというような客観的実情はないものでございますから、私は、これは建物取引業法でいう宅地ではないというぐあいに理解しております。
  188. 辻一彦

    辻一彦君 終わりますが、御答弁要りません、時間もう終わりましたから。私が言うのは、将来河川敷が廃止をされてもとの所有者に還元をされた場合、それが宅地に使われたとするならば、免許以前に宅地を扱うということになって違法になるかどうかと、こういう問題ですね、これはひとつあとでまたお伺いすればいいと思います。終わります。
  189. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私に許された時間は二十七分でありますので、簡潔に御質問いたします。  田中総理の金脈の問題では、ずいぶんいろいろといままでに記事や資料が出ております。で、これは、田中総理の最も密接な協力者といいますか、私設秘書あるいはオフィシャルな秘書である佐藤昭という女性がおります。この人のやはり財産形成の過程といいますか、そういうものを調べてみたわけです。まあ、政治家のおへその下の問題は国会では遠慮しなければいけないと一般に信じられておりますね。ですから、私は、いまそれを取り上げるという気持ちは全くないわけです。しかし、財産の問題は、これはもしも職権を乱用したとか、あるいは脱税があるとかいうことになりますと、田中総理とも密接な関係にある人のことですからして、やはり金脈の一環としてこれはぜひただしていかなければならぬと思うんですが、この佐藤昭氏という人の財産形成の過程を見てみますと、昭和二十八年当時は、これは大井森下町の安アパートの六畳一室を賃借しておったわけです。田中総理が裸一貫で出てきたように裸一貫だったわけですね。ところが、三十二年に田中総理の私設秘書となりますと、とたんに品川区大井町四丁目に宅地百十八平方メートルと、その地上の木造の家屋を買います。で、それから、約五年後には、その土地の何十倍という価値のある新宿区市ヶ谷左内町の宅地二百九十平方メートルをまたさらに買い足すわけです。それから、その前後に、田中総理——田中代議士のオフィシャルな秘書になりますが、その当時の月俸などを調べてみますと、これはわずかに三万円前後なんですが、その人が、自宅に室町産業株式会社を設立して代表取締になります。そうしますと、とたんにやはりたいへんりっぱな四階建の鉄筋のビルをそこで買い求めるわけです。しかも、しばしば伝えられますように、山中湖の湖畔にかなり華麗な別荘を建て、それを売りますと、幾ばくもなく現在の赤坂八丁目の、これはまあ非常に広壮な住宅街でありますが、そこに堂々たる邸宅を建てる。その敷地約四百十二平方メートルを買い受ける。これは、住友信託銀行に評価をしてもらいますと、坪当たり百五十万から二百万ぐらいするだろうといわれるものであります。しかも、その南側の敷地三百四十平方メートルをパール産業の名義で買っております。当初、自宅にパール産業株式会社を設立して、みずからはその代表取締役となると、こういう過程があるわけですね。私ども多少でも政治に関係をいたしますと、私財は減ることはあっても、ふえることはありません。私どものオフィシャルな秘書でも、やはりいつも生活に追われておるわけです。それがたまたま田中総理のプライベートな、あるいはオフィシャルな秘書になりますと、またたく間にたいへんな財産を形成していくということになるわけですね。しかも、その陰には必ず幽霊会社が存在しておるという事実が明らかになるわけです。  そこで、私は、大平大蔵大臣に御質問したいわけですが、保守系の政治家にあるように、昔、言われた井戸塀と全く正反対な現象、つまり、政治的な権力を得れば得るほど私財が膨張していくという傾向、それから、ただに政治家だけでなくして、政治家の秘書までが同じように短期間に膨大な財産を形成していく、言うなれば、田中式の財形制度といいますか、そういうような現象が見られるわけですね。これは政治家のモラルといいますか、国民的信用というものを非常に傷つけるわけだと思いますが、大臣は、田中さんの後継者の一人として目されておられますね、そういう重要な政治家として、また、国務大臣として、こういうような政治家のあり方について、これ私は当然正していくべき責任があると思いますが、大臣、名を将来に残す政治家の一人として、これについての大臣の率直な御意見を承りたいと思います。
  190. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私の見解はということでございますが、私は、人さまのことをとやかく申し上げる立場ではございませんで、私自身が政治家として多くの方の支持を受けて、その負託にこたえて政務をやっているわけでございますので、私を支持していただく方々、並びに国民の眼から見て、筋違いなことがあってはいけないと、自分で戒めていくつもりでございます。
  191. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 みずから戒めているということをおっしゃいましたね。たいへんけっこうだと思うんです。私は、大臣御自身におかれては、こういうようなことは全くないと信じたいのであります。大臣、自民党の領袖たる政治家として、同じように将来も、こういう傾向に対して、この非常に間違った流れに対して、敢然と立ち向かってこれを正していくという御覚悟がおありですか。それは、大臣が非常に重要な地位を占めて、後継者の一人としていまマスコミの頂点に上がっていらっしゃる。それだけに私はそれを、大臣のお覚悟をここでお伺いしたいと思います。
  192. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) それぞれの政治家といたしまして、それぞれの方が、それぞれの立場で、みずからの政治姿勢というものを真剣に考えられておることと思うのでございまして、人さまのことについてとやかく私は申し上げたくございません。ただ、自分は自分なりに自戒していかなければならぬと考えております。
  193. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私としては非常に満足しないわけでありますけれども、これは国民が結局は審判すべき問題でもありましょうからして、大臣に対してはこれだけにしておきますが、次に、国税庁長官にお尋ねしますが、いま申し上げましたように、この佐藤昭という女性が、田中総理のプライベートな、あるいはオフィシャルな秘書になって、またたく間にこういう財産を形成したわけですが、どうでしょうかね、この人が過去において所得税法にいう公示額以上の所得があったことがあるんでしょうか。それからもう一つは、こういう短期間に一女性が、政治の世界で生きて、そして財産を形成するというのは全く希有の事例ですね。これについて幽霊企業が存在しておるわけです。その幽霊企業の代表取締役になっておるわけですね、二つの幽霊企業の。これについて所得の再調査をする決意はないか。その点二点をお尋ねしたいと思います。
  194. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 佐藤昭氏の申告所得につきましては、最近五年間におきましては、公示所得金額に達する申告はございません。つまり公示申告がございません。したがいまして、そういう状態になっております。  それから、再三申し上げておりますように、いま全般の関係を、これまでの処理が大体私ども適正だろうと考えておりますけれども、念を入れまして見直しの再調査をずっとやっております。その結果は、いずれまとまってまいると思いますけれども、もしまたそこでいろいろ問題が出てまいるということならば、さらに、私どもは適正な処理をいたしたいと、かように考えております。
  195. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いまの長官の御答弁をお伺いしますと、そうすると、田中金脈の再調査というのは、田中角榮氏個人の所得の再調査だけでなくして、その金脈に転在する、その周囲に踊る人々、まあ、その佐藤昭さんもそのお一人なのですが、そういう人の調査も現在行なっていると、こういうふうに聞いてよろしいんですな。
  196. 安川七郎

    説明員安川七郎君) この問題は、いわゆる「文藝春秋」がいろいろ取り上げました。私どもとしてはいろいろな詰めから、いろいろな各種の情報というものをいろいろ課税の参考にいたしております。さような意味におきまして、「文藝春秋」の記事等も当然一つの参考資料になるわけです。そういう意味におきまして、いろいろ取り上げられておる問題は一々分析して綿密に当たっておる、かようなことでございます。
  197. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まあ、大体私のお尋ねしたことを肯定なさっておられると思うんですが、ほかの表現でお答えになっておられるので、もう一ぺんお尋ねするわけですが、そうすると、佐藤昭氏その他金脈関係疑惑を持たれておる田中角榮氏個人以外の人についても、やはり厳格ないま再調査をなしつつあると、こう伺ってよろしいですね。
  198. 安川七郎

    説明員安川七郎君) いろいろ多数の情報があそこに盛られておりますので、私ども限られた時間がございますので、まあ一挙にはなかなか見直しができないわけでありますが、できるだけ大筋につきましては早いほうがいいと、かように考えております。そこで、過日から申し上げておりますように、一応今月ぐらいをめどにいたしまして大筋なところをまとめたいと考えておりますが、なお、それで足りませんときには、逐次いろいろ調査を進めてまいります。
  199. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いや、他の人について調査をしているかどうかです。
  200. 安川七郎

    説明員安川七郎君) もちろん私どもの見直しの調査対象というのは、田中総理だけではなくて、あるいはいわゆる関連会社というのもございますし、あるいは個人もございます。
  201. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 次に、国有財産の処理について大臣にお伺いしたいんですが、このように非常に国有財産のまあ職権を乱用した不当な、あるいは見方によりますと不正な払い下げといいますか、売買があったように国民は非常な疑惑を持っておりますね。たとえば、この例を一つあげますと、虎の門公園あと地の払い下げというのは時価の三分の一で行なわれたと、ニューエンパイヤモーター会社が払い下げを受けて、そして田中さんと非常に親しい小佐野さんが関係しておる朝日土地興業がそれを合併して巨額の利益を得たというようなことが新聞紙上に報道せられておるわけです。それでまた、国会の問題にもなっております。  そういうようなわれわれ国民全体の財産が、政治家の非常に職権を乱用した不当な措置で、特定の人を利益させるために処分されておるということは、われわれとしてたまらないわけですね。こういうきびしい批判を受けておる現在、大臣としては、国有財産の処分というものについては、よほど慎重にやっていただかなければいけないんですが、そこに何か一定の方針を私は打ち出してもらいたい。基準といいますか、たとえば、それが公益の目的を持って利用せられる、あるいは個人がどうしても、一般の庶民が生活上の必要でその国有財産を必要とするというような、何らか国民が納得できるようなことがある場合にのみ、それはきびしい審査を経て払い下げがなされるのだというような、そういう基準なり方針を打ち出してもらいたいと私は思うんです。この間、担当の課長においでいただきますと、担当の課長は、最近はまあ大企業に対する払い下げというものはここ二ヵ年ほどいたしておりませんというふうに御説明があったんですけれども、つまり、転売の目的を持ってするような、そういうものには当然それは払い下げてはいけないんだと、で、それがまた転売の目的で処分できないように、その不動産には、転売をした場合にはその売買が解除されるというような解除条件を付するというような、きびしい方針を打ち出していただきたいと思うんです。これについて、大臣、いまどのように考えておられますか、お伺いしたいと思います。
  202. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 確かに御指摘のとおり、国有財産の処分は適正になされるということで、基本原則といたしましては財政法九条の「適正な対価」ということを徴求しながらやっていくということが基本じゃなかろうかと思います。それから同時に、やはり国民の大事な財産でございますので、払い下げにあたっては公用、公共用を優先するということも一つの方針だと思います。私どもといたしましては、四十七年の五月に通達を出しまして、公用、公共用優先という原則を大きく打ち出しているわけでございます。それと同時に、また、一般の企業に払い下げる場合もまだあり得るわけでございますが、そういう場合は、やはりその国有地に長い間それを平穏、公然に利用していた企業とか、そういうものにつきましては、一種の借地権的なものも発生しているかというわけでございまして、そういう場合には、一つの随意契約によりまして払い下げるという場合もあり得ると思いますが、産業用への払い下げは、現在のところでは、やはり当該地域の一つ土地利用計画に合致し、また、特に都市周辺の土地などにつきましては、都市再開発に寄与すると、こういうような見地に役立つものを優先して払い下げるということを現在考えておる次第でございます。  なお、御指摘の虎の門関係、これは過日、衆議院の大蔵委員会で御質問が出たわけでございますが、当時、百万ちょっとで払い下げたわけですが、当時の地価は三百万円ではなかったかというような御質問があるわけですが、私ども、当時の資料でございますので、さかのぼって調べるのもなかなか困難でございますが、当時虎の門の当該地域と離れた、むしろ交差点に近い相当最高地といいますか、一番土地利用形態からいいましても高値の土地が、二、三百万円の売り値が出たということを聞いておりますが、まだ確認しておりません。したがって、当該土地が三分の一というようなことはなかったんではなかろうか、こう考えております。
  203. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そういう通達を出して、えりを正しているということで、傾向としては非常にけっこうだと思いますが、いま申し上げたように、しかし、そういう方針を出しても、賢明なあなた方だからそういうことはないと思うけれども、時にあなた方を欺いて、あるいは政治的な圧力をかけて、あるいは不当な大臣が出て、転売の目的をもってする人に、あるいは企業に国有財産を払い下げるということがなきにしもあらずですね。そういうことを防止するために、たとえば、もう転売をした場合には、払い下げ処分、つまり売買を無効とするというような解除条件をつけて、それを登記簿上に登記するというような、担保的な手段をとることが私は必要だと思いますね、過去の事例にかんがみて。そういうことをぜひ検討してもらいたいと思うが、局長、いかがです。
  204. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) ただいまの御質問のような趣旨もございまして、私ども払い下げる場合に、契約上用途指定を行なっている例が多うございます。その場合に一般の、やはりこれは私契約の対等契約でございますので、用途指定の期限を十年としておりますが、もし用途指定の目的違反があったような場合には違約金を取るとか、あるいは原状回復をさせるとか、そういうようなことにつきまして、政策上の問題といたしまして十分検討いたしたいと思っております。
  205. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 終わります。
  206. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 初めに、大蔵大臣に、政治姿勢についてお伺いしたいと思います。  先ほども少しお話がございましたけれども、きょう田中総理が辞意を表明されまして、大蔵大臣は、改造後も大蔵大臣としてお残りになりましたし、いま非常に大事な立場においでになるわけでございますが、こういうふうに非常に早期の退陣ということは、おそらく予想はされてなかったんではないか。そういった点で、現在どういうふうにお考えになっておるか、これが第一問です。  それから、第二番目には、これからどのように政局を——一応、いま担当されておるのが自由民主党ですから、大臣もその中でいろいろお考えになっておると思いますが、非常に重要な問題だと思います。お答えにくいかと思いますが、これからどのようにしようとされておるのか、その点をお伺いいたします。
  207. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 田中総理が、自由民主党総裁としての任期満了に至らないまま御退陣の決意をされたということはよくよくなことであったと思います。これは、御自分の政治姿勢問題が、政局の混迷を招いておることに責任を感じられて、決断されたことは、きょうの声明で明らかでございます。政治には空白があってはいけないと思います。政策は一瞬の渋滞も許されない今日の状況でございますので、自由民主党、政権をあずかっておる政党といたしまして、なるべく早く後継総裁を選んで、そのもとで一致結束しまして、政策の有効な展開に当たらなければならないものと思います。
  208. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 先ほど辻委員の質問のときに、金脈問題については総理個人からも発表があり、また政府としても、いままでの調査結果をある程度発表するような私は趣旨の御発言と伺ったのです。もちろんこれはやっていかなければならないことだと思います。そういった意味で、この守秘義務についても、かなり参議院を中心として議論が行なわれてきたわけですけれども、もう一歩突っ込んで大事なことは、やはりいま大臣も言われたように、相当政治というものを、特に自民党の体質は変えていかなければならぬということは痛感されておると思いますけれども、一番問題は、やはりこういうことが起こる自民党の体質、特に私たちは金権政治と言ってきたわけでありますけれども、後援会のあり方、あるいは政治資金のあり方、こういった点を非常に疑惑に思ってきたわけであります。特に、政治資金の問題については、大蔵大臣としてどのように——これ一番大事な問題だと思います。これが私は一番の基本だと思います。政治資金規正法の改正なり、あるいはまた、それに伴う、要するに政治とお金の問題について、どのように正そうとされておりますか、ある程度の具体的なお答えがあれば伺いたいと思います。
  209. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先ほども辻さんにお答え申し上げましたように、基本的にはわれわれ選挙をもって選ばれて国政に参画をいたしておるものでございます。したがって、この選挙によって負託された責任というものにこたえていかなければならぬわけでございます。法律があるかないかの以前の問題でございまして、われわれは政治姿勢、政治資金の問題等につきまして、みずからかくあらねばならぬというところを目安にして、毎日実践していかなければならぬと思うのでございます。法律があるから、その法律の範囲内であればいいじゃないかということでは足りないと思うのでございます。しかし、選挙法の問題にいたしましても、政治資金規正法の問題にいたしましても、やはりこれ与野党共通のルールでございますので、国会において適正な規制が行なわれることは、もとより望ましいことでございまして、そういったことが、いま、改正問題が従来から論議されておりますことは、矢追さんも御承知のとおりでございます。しかし、それが改正にならないから、政治資金の問題はこの程度でいいんだとは私は考えないわけでございます。やはり毎日えりを正していかなければならないのがわれわれの当然の任務ではないかと思うのでございまして、改正案につきましては、与野党の一致が見られることを希望いたしますが、同時に私ども一個の政治家といたしまして、国民に対する負託された責任があるわけでございまして、国民はそれを太い目で見ておるわけでございます。私どもそれにこたえなければいかぬわけでございますので、常に戒めてかからなければならないことは、いまお答え申し上げたとおりでございます。
  210. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま非常に基本的な話が出ていたんでありますけれども大蔵大臣としての、政治家大平正芳としての両面からの答弁だったと思います。いまのお話のあった一刻の、一瞬の停滞も、政治の空白は許せない状態だと——これはもう予算も、補正も組まなきゃならぬ、本予算もやらなきゃならぬということで、渋滞は一刻も許せない。いま言われた負託された責任に応じなけりゃならない、こういうお話もありましたけれども、一体、これから先の政治はどう動くべきか、政局はどう動くべきかというようなことは、これは非常に答えにくい微妙な問題で、お聞きするのも酷かもしれませんけれども、また答えるのも困難な問題だろうと思いますが、そういう点について、こうあらねばならないという、そういうものがおありですか。——あると思うんですけれども、その点ちょっと伺えたら、差しつかえなければ言っていただきたい。
  211. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 田中さんの退陣表明がございまして、その中にもありますように、すみやかに後継首班をつくって政策に渋滞がないようにしてくれということがうたわれておりますし、内外こういう非常に重大な時局でございまするし、とりわけ国内非常にむずかしい経済、社会の状況の中で年末を迎えようといたしておるような、非常にいわゆる微妙な段階でございますので、急いでこの政局を収拾いたしまして、やるべきことは早くやらなきゃならぬと思うのでございます。そういう趣旨で、けさも閣議で、すでに御案内のことと思いますけれども、補正予算案につきまして御了解を得てあるわけでございます。もとより二兆円をこえる補正予算でございまするから、政治のたてまえから申しますと、次の新内閣を待って概算を決定して国会に御提出申し上げるということになると思いますけれども、しかし、いま全国、中央・地方の公務員をはじめ、それから、いろいろな方面で、この年末年始どのように対処してまいるかに苦心されている方が多いわけでございますので、われわれといたしましては、補正予算はこういうものになるということをお示しいたしまして、それで、それを目安にいろいろな財政計画等を組んでいただく必要があろうと判断したわけでございます。これもやっぱり政治に渋滞があっちゃいかぬという配慮からでございまして、早いところ政局が収拾されて、すいすいと政策が行なわれるようにしなければならぬと存じておるのであります。
  212. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間があれば補正予算の問題を聞きたかったんですが、時間の関係で、先ほど来質問を進めてまいりました、自治省から出ております「地方税に関する事務に従事する職員の守秘義務について」の通達について少しお伺いをします。  これは自治省から出されたものですが、国税庁及び大蔵省としては、大体、これと同じような考え方と——先ほど来議論されておりました国政調査権と守秘義務との関係、いろいろお話がございましたが、大体、この線と考えてよろしいですか。
  213. 安川七郎

    説明員安川七郎君) そのとおりに考えております。
  214. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 では、自治省にお伺いしますけれども、二番目の最後のほうになりますが、「議会から地方自治法第百条等の規定に基づき」云々のあとで、「議会の審議における必要性と納税者等の利益の保護、行政の円滑な運営確保の必要性等とを総合的に勘案した結果その要請に応ずべきものと判断したときを除き、開示すべきではない」——この「議会の審議における必要性」と、あと二つ書いてあるわけですけれども、この「議会の審議における必要性」があるかないかを判断するのは、これは自治省ではなくて議会側だと思うんですけれども、それはそう解していいんですか、この文章は。
  215. 石見隆三

    説明員石見隆三君) この判断をいたしますのは、最終的には、当該秘密に関しまする事項を所管しております地方公共団体の長において判断すべきものであろうというふうに了解しておるわけでございます。
  216. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そこがおかしいんじゃないですか。議会が必要だから提出をしろと言われたことに対して、地方自治体が断わるわけでしょう、だめだと言って、守秘義務だから出せないと。その断わる理由の中に、この「議会の審議における必要性」というのが入っているわけですよね。この必要性の判断は知事がやるんですか、議会じゃなくて。
  217. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 私お答え申し上げましたのは、この二つの利益と申しますか、法益を総合的に比較考量いたしまして判断いたすのは知事であろう、あるいは市町村長であろうというふうに存じておりますが、しかし、いま御指摘のございましたその前段の「審議における必要性」というものは、議会において必要だというふうに、——のお話として出てくるのであろうというふうに思っております。その辺は知事あるいは市町村長におきまして、その議会におきます必要性と申しますか、議会において必要とされます理由と、片方、納税者の利益の保護あるいは行政の円滑な運営という問題との最終的な総合判断は首長が行なうべきものであろうというふうに考えておる次第でございます。
  218. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 だから私は、この「議会の審議における必要性」という文章、これ要らないと思うんですよね、ここで。要するに議会から出せと言われたわけでしょう、議会は必要だから出せと言う。それに対して、これは出せませんと判断するのは、納税者の利益の保護、行政の円滑な運営確保の必要性等、そういうところを判断して、それで議会に対してこれは出せませんと、こう答えるわけでしょう。それを議会の審議における必要性がないというふうに知事が判断するのはおかしいじゃないですか。これは議会制民主主義のたてまえ、三権分立のたてまえからいっておかしいから、私はこの文章要らないと思うんです。  もう一つは、議会に対する考え方がちょっと間違ってるのは、最後のところです。「なお、開示する場合であっても、議会に対し秘密会で審議することを要請する等適切な配慮をすること。」、これは越権行為じゃないかと思うんです。というのは、「議会に対し秘密会で審議することを要請する等適切な配慮」と、要するに議会に対して、秘密会でやってくれ、そんなら出せますとか、そういうことを要請せよということだと思うんですけどね。そういう必要はないわけでしょう、これも議会がきめるわけでしょう、秘密会でやるかやらないかということは。行政のほうから秘密会でやってくださいと、そんなら出しますと言うのは、これ、議会という立場から考えるとちょっと行き過ぎではないかと。だから、こういう場合は要らないんです、これも。こちらは出せませんと、こちらは絶対出せと、じゃ、秘密会にするけどどうだ、といった場合に、それは先ほどのいろんなところから判断して、秘密会であれば納税者の利益の保護にもなると、行政の円滑な運営確保にもなると、こういうふうになれば、秘密会なら出しましょうということはそちら側から答えとして出てくるわけであって、先にこう秘密会なら出せる、秘密会で審議してくださいということを行政側からこういうふうに強い——しかもこれ通達という形ですから、口頭ぐらいならまだいいんですけどね、こういうきちっとした通達で出てくるということは、やはり、ちょっと議会に対する行政の介入ではないかと。だから、この最終のところも私はこの通達から要らないのではないかと、こう言うんですけれども、その点いかがですか。
  219. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 地方議会におきまして、いま御指摘のございましたように秘密会を開くかどうかは、もとよりこれは議会がおきめになることであるわけでございますが、何ぶんにも前段にも書かれておりますように、事きわめて重要な問題でございますので、できますれば地方公共団体の長といたしましてはこれを開示いたします場合には、秘密会で御審議をいただきたいということをお願いするほうが適当ではないか、という趣旨で書いておるわけでございまして、決して秘密会を地方団体の長が決定するとか、あるいは秘密会なら必ず出すとかいうふうな趣旨で書いたつもりではございませんで、御了承賜わりたいと思います。
  220. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 要するに、そちらのほうは出したくないから、この前、昭和三十三年に出てまずかったから、これからもう絶対出しちゃ困ると、しかも、こういう問題が起こったので——金脈問題が起こったので、よけいまあ出したくないという一心でこの通達をつくられているから、いま言ったこういった文章が出てくるわけです。いま言われたようなことも私それ、そんなこと言わなくても、知事がいろいろ要請するのはあたりまえだし、議会に希望意見言うのも当然だし、わざわざこういうところへ書く必要はないと、こう言っておるわけなんですよ。そういう意思とか、そういうことはそれは要請されることは知事としても自由でしょう、そのときの知事の考え方として議会のほうにお願いする、要請する、これは当然なんです。しかし、こういう通達にいま言ったようなところはカットすべきではないかと、要するに、何か議会に対しても出せませんよということをがんがん言っているような感じ受けるわけですよ、こっちが。そういう点は越権である。だから、これをこの通達は書き直してもらいたいと、これに対して国税庁長官大蔵大臣いまの議論をお聞きになっていて、自治省からお答えいただいて、あと時間ないですからお答えいただきたい。いま言ったようなことと同じようなことが、結局さっきから議論されている国政調査権と守秘義務という関係が出てくると思うんです。そういった点でこの通達、国税庁も大体、そういう線でとおっしゃっていますけれども、いま私の言ったような点について、どうお考えになっているのか。
  221. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 地方自治体の場合と守秘義務の根拠法規とがずっと違いますし、またある意味で構造が違いますから、趣旨としては大体似たようなところであろうかと思います。したがいまして、ただいまの御指摘になりました文書、これは自治省のほうで書かれましたもので、これは私がとやかく言うのは越権だと思いますが、私どもといたしましては、かねてから申し上げておりますように、行政上の必要で守秘義務というのは、できるだけ御考慮願いたい、こういうふうに申し上げました。そこで、国会のほうで国政調査権がございましたときに、そこで初めて意見の交換が行なわれる、こういうふうな構造であろうかと思っております。私どものほうが判断するというような感じではございません。
  222. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大臣いかがですか。
  223. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま長官がお答えしたように私も理解をしております。
  224. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 先ほど大臣お見えになる前に、私は、東京ニューハウスが一億五千万増資をした事実と、それから、その株式を全額室町産業が引き受けたというこの事実を知っているのかという、こういった質問したわけであります。この事実というものは、当然法務局に備えてある書類を見ればわかる事実でありますけれども調査査察部長は、その事実さえお答えにならなかった。そこで、大臣にお聞きしたいのは、こういった事実までも答えるな、というような命令しておるのかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
  225. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は、国税庁当局を信頼いたしておりまして、法規の命ずるところに従いまして、適正に仕事をやっておると存じておるわけでございまして、一つ一つケースにつきまして一々指導いたしておるわけではございません。
  226. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私が申し上げたような法務局に備えてある書類、それを私どもも調べて調査をすればわかる事実まで聞いたけれども答えない、そんなことはいいのか悪いのか、それについての見解を賜わりたいのであります。
  227. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これは国税庁当局がそういうことを開示することが適当かどうかということを、現行法のもとで判断してお答えしていることと思うのでございまして、その具体的な案件については私はまだ報告を受けておりませんけれども、冒頭に申しましたように、私は、国税当局を信頼いたしております。
  228. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういたしますと、大蔵大臣までも含めてこういうわかり切った事実までも隠す、そのことによって田中総理を守ろうとしているというようにしか理解できず、私はこれはたいへん遺憾に思います。強く抗議します。  時間ありませんので、直ちに質問の中身に入りますけれども、先ほどおいでになる前に幽霊企業の投資の問題を聞きましたが、今度は増資をめぐる問題についてお聞きしたいと思うのでございます。  田中総理の関連の幽霊企業が一億円以上の増資をしたのは、昭和四十七年以降だけ見ましても、東京ニューハウス一億一千二百五十万円、四十七年四月でありますが、田中角榮氏外九名、また、四十七年五月十二日に関新観光開発一億五千万円、これは谷古宇氏外十九名、四十七年八月十二日、東京ニューハウス一億五千万円、これは室町産業一社のみ、いま申し上げたとおりです。さらに、四十九年二月二十八日、室町産業二億五千万円、これは山田泰司氏外三十九名、合計六億六千二百五十万円もの増資をしておるわけでございます。いずれの場合にも出資者を四十名以内に押えている。これはすでに朝日新聞でも指摘されておりますけれども、五十名以上になりますと証券取引法によって公示の義務を巧みに免れる行為である、そんなところから四十名以内に押えている、こんな一つ疑惑がございます。  それからもう一つの問題は、この増資の際の株式引き受け人の名義の問題でございますけれども、実際に金を払わないで株主になっていると見られる場合が多いわけであります。  そこで、具体的に大臣、資料をごらんいただきたいと思います。それで説明したいと思いますが、たとえば本年の四十九年二月二十八日付の室町産業二億五千万円の増資、一番大きな書面でございますけれども、この二億五千万に及ぶ増資、みんなが四十名の人が五百万円と一千万円に分けて増資をしております。この中には、たとえば、元田中総理の運転手をしておった田中利男さん、この方は五百万円の出資をし、かつ東京ニューハウスに対しても六百万の投資をしておられる、こういうことはこの人の収入から不可能ではなかろうか。また十二番目にございます田中カズエさん、これは田中総理のおねえさんでありますが、さらに、その娘さんの婿さんの持策さん、こういった方々も親族合わせて一千万円の増資をしておられる。これだけの収入があったかどうか、たいへんこれは疑問でございます。さらにずっと下のほうへまいりますと、三十三番目にございます小林凡平さん、この方も実際の支払いをしていない、このことも明らかでございます。こういう事実はほかにもたくさんございます。たとえば、パール産業——ごらんいただきたいと思います。別の紙でございますが、パール産業のうち佐藤敦子さん、これは佐藤昭さんの子供さんで、まだ所得のない人であります。また、その下の金井千鶴子さん、これはお手伝いさん、こういった方がこれだけの出資をしておる、百万円をこえる出資をしておる。はたして可能なんだろうか。さらに、関新観光開発見ましても、冒頭の高瀬正則さん、三百万円の出資をしておりますけれども、しかし実際には、自分は出していない。その他ございますけれども、時間の都合で省略いたしますが、こういう、御自分が出してないけれども、株主になっている、こういう場合には、これは贈与と見るべきじゃなかろうか。そしてこれに伴う贈与税を徴収すべきじゃなかろうかと思いますけれども、これについての御見解を賜わりたいと思います。
  229. 横井正美

    説明員(横井正美君) 先ほど調査査察部長からもお答え申し上げましたけれども、これらの出資関係につきましては、現在見直しの調査中でございます。それで、もしも御指摘のように、これが資金の贈与であるというふうなことでございましたならば、お話のようなことになることも考えられるわけでございます。いずれにしましても調査中でございます。
  230. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 といたしますと、四十七年度の増資につきまして、もしも実際に納めてない、実際支払いしてないということが判明した場合には、それに伴う贈与税を脱税しておったということになると考えてよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
  231. 横井正美

    説明員(横井正美君) 私ども調査いたします過程で、前にも申し上げましたが、その年の所得だけから判断できるという問題ではございませんで、過去の貯蓄あるいは借り入れ金というふうなものもございます。その辺を総合的に調査いたすわけでございます。そこで贈与という事実がはっきりすれば、税金の漏れがあったということになりますし、また同時に、単に名義を借りておる、これもよく会社の場合にございますが、名義を借りておるということであれば、これは実質に従って処理をいたしますので、そういう贈与の問題が起こらない場合も当然かと思います。
  232. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 名義だけ借りておる場合も、その事実が指摘されながら、なおかつそのままの名義にしておった場合ですね。その場合には、これは贈与税の対象となると考えるべきだと思いますがいかがでしょうか。
  233. 横井正美

    説明員(横井正美君) さきほど北海道の宮ノ森の関係で申し上げましたが、もとの名義に直す、それを私どもの更正あるいは決定の前に直す。これは過去のそういう名義借りが誤り、あるいは過誤であった、誤り、あるいは軽率であったというようなことでございますと、名義をもとに返すことによりまして、贈与とは見ないというふうな扱いをいたしておることが非常に多いわけでございます。
  234. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 どうも国税庁の人は、まともに答えないんですが、私聞いたのは、その事実がわかっても戻さないという場合には、贈与税の対象になるんじゃないか、こう聞いておるんです。時間がないんですから、端的にお答えいただきたいと思います。
  235. 横井正美

    説明員(横井正美君) 名義を返しませんで、御自分のものであるというふうに申されましたならば、そのような場合が起こるかと思います。
  236. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 相続税基本通達六十三条を見ますと、「他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は原則として贈与として取扱うものである。」、こうなっております。となりますと、これらの、私が指摘したのはごく一部です、これは。実際出していないということが明らかであれば、贈与として扱わなきゃいけないんじゃなかろうか。この通達をそのまま田中総理の関連企業に当てはめるならば、膨大な贈与税が徴収できるんじゃなかろうか。そしてこの多くの、田中総理が直接あるいは間接に関連しておると思われる節がたいへん強いわけでありますけれども、となりますと、田中総理も含めてこの多額の贈与税を脱税している疑いがあるんじゃなかろうか、こういった問題が出てまいりますけれども、いかがでしょうか。
  237. 横井正美

    説明員(横井正美君) 私ども見直し調査をいたすに際しましては、いろいろな可能性というものを考えながらやっておるわけでございます。そういうことから、お話のような場合もそういう考え方の一つといたしまして検討いたしておるわけでございますが、先生がごらんいただきました通達のもう少しあとのところかと思いますけれども、過誤等により財産を他人名義とした場合等の取り扱いということもございまして、これらに従いまして適正に処理いたしたい、かように考えております。
  238. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私ども調査によりましても、すでにかなりの人が実際払ってなく、この通達によるならば、贈与税と見られる場合がたいへん多いし、そしてまた、かりに、実際に金を出したのは田中総理またはその周辺のごく一部の人といたしますと、ほとんど全部が贈与税の徴収対象に当たる場合が考えられる。私どもの計算によりますと、たとえば、四十七年四月七日付の東京ニューハウスの増資につきましては、それに対する税率を適用いたしますと、一千百五十五万円、四十七年五月十二日関新観光開発の増資につきましては六千三百四十四万円の贈与税、四十九年二月二十八日の室町産業につきましては何と九千二百五十万円、さらにパール産業におきましても八百三十二万円の合計一億七千五百八十一万円に及ぶ贈与税を免れている可能性も——可能性としてありますけれどもございます。また、かりに、その中の何人かの人は出しておる、実際に出した人があったといたしましても、私どもの推定によりますと、数千万円から一億円に及ぶ贈与税がそういう方法によって免れている可能性もある、このように考えますけれども、その疑いは全然ないものかどうか御答弁願いたいと思います。
  239. 横井正美

    説明員(横井正美君) いずれにいたしましても、ただいま調査中でございまして、いまの段階ではお答え申し上げるわけにまいらないということを御了承願いたいと思います。
  240. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 調査中でありましても、私どもは、力がないながらも、いろいろ事実を調査いたしましてこれだけの資料を集め、そしてさらに調査をして実際の出資の状況を当たっている。こういう状況でさえ一定の事実がわかっているわけです。となりますと、いま幽霊企業についても調査されているということでありますから、いまの段階で疑いを持って臨んでいるのか、全く疑いもなしに調査をしているのか。たいへん違うと思うんですけれども、その辺は明らかにされてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  241. 安川七郎

    説明員安川七郎君) かねてから申し上げておりますように、私ども調査に際しまして、できるだけ頭を柔軟におきまして、あらゆる可能性を考える、こういう習慣があるわけです。そういう意味におきましては、いろいろな角度から検討をいたしております。  ただ、ただいま近藤委員が御指摘になりましたのは、それぞれの株数に一定の金額を掛けられまして、それに合う仮定によって、仮定計算で全部の人が贈与税が課せられたという前提で一千万円あるいは八百万円、六千三百万円という数字に相なりますから、これ全部についてという一つの仮定計算でございます。おそらく私ども調査いたしますと、だいぶ実態をよく見てあれいたしますから、数字はかなり異同が多い、かように考えます。
  242. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 いまのお話によりましても、何人かは贈与税を免れておった可能性もあろうかというニュアンスもございますけれども、私がここで国税庁に要望したいのは、最大限、たいへん大きな贈与税の脱漏がある、そして最小限でもこれまたかなりの額だろう、こういった資料を提供したんであります。ですから、その資料を参考にされまして、その面についての調査を十分されたいと思います。  時間がなくなりましたが、最後に大蔵大臣に質問を一つしたいと思いますけれども、この中には、実際に金を払っておる人もおるかもしれません。しかし、この室町産業は、大臣来る前に申し上げたんですけれども、実際は、田中総理の個人資産を持つための、それだけの企業にすぎない東京ニューハウスに対して一億五千万も出資をする、そういう会社であります。そして十億にも及ぶ資本金がありながら、せいぜい利益は一千万、多いときで五千万、それも二回しかありません。こういう、一千万あるいは五百万というような多額を投資しながら、何の利益もないこういう会社に対してこんな多額の投資をすることは普通では考えられません。  そこで、私ども、この投資をもしもしたとなれば、実際出資したと考えられる何人かの人について調べてみましたけれども一つの予想がつきます。と申しますのは、土建業者、建設業者にそういった方が多いかもしれないという強い疑いでございます。となりますと、その疑惑はまず第一に、捨て金同然の出資と引きかえに、田中総理の地位利用による大きな利権にあずかっている。そしてこれらの業者がもうけをする。そういう道が一つ。またもう一つは、田中総理に対する政治献金の一形態ではなかろうか。こういった面もございます。  具体的例を申しますと、たとえば植木組社長の植木馨さんという人が、これは越山会など田中総理関係政治団体に対して三百万円の政治献金をしておりますけれども、この人がむすこさんとともに幽霊企業に対して合計二千万円に及ぶほんとうに割りの合わない出資をしている。その理由は、この植木組の上越新幹線工事入札と関係あるのではなかろうか。実際入札をしております。こういう疑惑一つあります。これは政治資金規正法の脱法行為ではなかろうか。  また、福田組社長の福田正さん、この方は田中総理関係の団体に対して政治献金二千二百万円をしておりますが、さらに幽霊企業関係に合計二千万円のまた割りの合わない投資をしている。となりますと、この福田組は、田中総理との地位利用による、あるいは便宜供与によるそのような行為と関連して、新潟県においてたいへん大きな経営をしておる、こういう疑惑が出ておるわけです。こういう疑惑について大蔵大臣としてどのようにお考えか、これについての御答弁をお願いしたいと思います。
  243. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申し上げますように、田中さんの財産の増減問題、国有財産の処分に関連した問題等につきましては、問題の提起がございますので、役所のほうで再調査をいたしておるわけでございます。私は、近藤さんにお願いしたいのは、われわれ五万二千の国税官吏が鋭意適正な、限られた人員で、多数の納税者との間で、秩序ある徴税を調定をいたしておるわけでございまして、田中さんばかりでなく、問題が新しく出てまいりました場合には、その見直しもやっておるんであるということでございますので、私どもの見直しというものに対して御信頼を賜わりたいと思います。
  244. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣はけっこうです。  もうちょっと。私は、いま幽霊企業の役割りのごく一端を申し上げました。しかし、幽霊企業は、いま私が指摘した事実はそのごく一端でございまして、もっともっと大きな役割りを果たしております。その点は、昨日付の田中総理への公開質問状で明らかであります。これは同時に、国税庁にも向けられた質問でございますので、幽霊企業の実態について見解を聞きたいと思います。私どもの理解するところによれば、幽霊企業は、田中総理の地位利用、利権等による利益を、いままでよくほかの政治家が行なってきたように、リベートという方法ではなくて、幽霊企業の利用と操作によって、直接かつ最大限にその利益を取り込んでばく大な政治資金を生み出すための機構である、こういったことが明らかになっております。第二に、日本電建の例に見られるとおり、他の企業と幽霊企業とが組んで、その利益を吸い取ってばく大な利益をあげる。それから、他企業への乗っ取りや、その支配を維持するための機構、そういった面があると思います。第三に、土地ころがしや、買い占めに、田中総理の化身として動いている、不当な利益をあげる機構である。第四に、総理の資産や所得を隠している。巧妙な方法によって税金を免れさせるための機構である。  こういう幽霊企業の性格が私ども調査そして各委員の質問によって明らかになってきたと思うのであります。これは、こういう幽霊企業は、株式会社制度の悪用と思わないかどうか、こういう点についての長官のお考えを聞きたいと思います。
  245. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 国税庁は、主として税法を適正に執行いたしまして、正しい税額を徴収する、こういう仕事をいたしておるわけでございます。ただいま近藤委員のいろいろ御指摘になりましたことは、実は税とは関係のないいろいろ価値判断が入っておりますので私からはそれはお答えできない、かように考えております。
  246. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ、時間もまいりましたので質問を終えますが、いまのとおり国税庁はこの幽霊企業に対する疑惑についてお答えにならないので、私のほうでは直接この関係者からお聞きするために証人を喚問されることをこの委員会で求めたいと思います。  まず、室町産業株式会社代表取締役入内島金一氏、東京ニューハウス株式会社代表取締役遠藤昭司、新星企業株式会社代表取締役竹沢修氏、元関新観光開発株式会社代表取締役谷古宇甚三郎氏、室町産業の出資者である田中利男氏、同じく田中持策氏、元パール産業株式会社代表取締役佐藤昭氏、福田組代表取締役福田正氏、植木組代表取締役植木馨氏、そして田中角榮氏、以上の証人を喚問することを求めます。
  247. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 近藤委員の御要求の証人喚問の件につきましては、理事会にはかって検討いたします。  本件に対する本日の質問はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会      —————・—————