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1974-11-13 第73回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月十三日(水曜日)    午後三時十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 岩動 道行君                 野々山一三君                 鈴木 一弘君                 栗林 卓司君     委 員                 斎藤 十朗君                 嶋崎  均君                 中西 一郎君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 寺田 熊雄君                 戸田 菊雄君                 近藤 忠孝君                 渡辺  武君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        首席内閣参事官  藤森 昭一君        内閣法制局長官  吉國 一郎君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房長  松川 道哉君        大蔵省主税局長  中橋敬次郎君        国税庁長官    安川 七郎君        国税庁税部長  横井 正美君     —————————————   本日の会議に付した案件租税及び金融等に関する調査  (当面の財政及び金融等に関する件)     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 昨日の質問の際に、私の考え方を申し上げたのですが、所得税法第二百四十三条で規定せられております税務職員守秘義務国政調査権に劣る、国政調査権の前にどうしても後退を余儀なくせられる権利である、それは実定法上も明らかである。その証拠では、御承知のように、刑事訴訟法の百四十四条並びに百四十五条の規定国家公務員法第百条の四項、それから、議院の証人に関する法律の第五条の規定、そういうものを総合して明らかであるというふうに申し上げたわけです。しかし、私どもが、そうした法律的な見地から、国税並びに財務当局に対して、当委員会提出を求める資料というものの大ざっぱなところをきのう御要請したわけです。それに対して共産党のほうも、近藤委員からきわめて詳細な資料提出要求がございました。私も、近藤委員資料提出要求を検討いたしまして、その中で、私ども考え方としては、必要のないものもあります。それと同時に、たとえば、幽霊企業のうち脱落しておるのもあるわけです。それは、きのう申し上げたように、軽井沢商事株式会社などは、これは脱落しておりますし、その他やはり二、三の企業で、私ども田中総理と非常に関連があると考えておる企業が落ちております。そういうものを特に補完をいたしまして請求をいたしますのと、それから、国有財産払い下げの状況についての報告を求める点につきましては、これは非常に膨大な資料になると思います。そこで、私としましては、そのうち面積が一千坪以上のもの、それから、一千坪に満たなくても、金額にして、払い下げ価格が一千万円をこえるもの、それについては田中総理、あるいは田中総理関連する企業払い下げたという制約をつけるのではなくして、もっとさらにわれわれが検討すべきものがあるかもしれませんので、全部過去十年間にさかのぼって提出をしていただきたい、このように考えております。  そういう資料をわれわれが克明に検討していかないと、いままでの隠された政治の腐敗というものが明らかにならないと、われわれは考えておるわけです。で、その詳細は、きょう文書にいたしましたので、これは一々読むことをいたしませんので、委員長のお手元に提出いたしますので、あとでしかるべく政府のほうへお出しいただきたいと思います。  きのう申し上げましたように、こういう不明朗な政治の実態にわれわれがメスを入れずにおきましては、国会の権威にもかかわりますし、国会議員道義的感覚を、世界の人々から疑われると私どもは信じておりますので、政府におかれても、国会国政調査権に対して最大限の尊重を払っていただきたいと思いますし、委員長におかれましても、これに対して最大限のこの実現に御努力をお願いいたしたいと、これで私の意見を終わります。
  4. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまの御発言に対しましては、理事会にはかりまして善処いたします。
  5. 野末陳平

    野末陳平君 昨日、大臣は、守秘義務解除は、ケースバイケースによって検討するという意味お答えをなさったと思いますが、そうなりますと、ケースバイケースになりますと、どの資料が一体秘密に属するのか、あるいはこの資料公開できるとか、その辺の判断が非常に微妙で、また、主観によってずいぶん左右されるのじゃないかという気もしまして、これはずいぶんむずかしいのじゃないかと思いますが、当局としては、この点をケースバイケースによる守秘義務解除という点を、だれが判断して、またどこできめる、どういう手続でこれをやっていくのか、ちょっと簡単にその見通しだけをお答えいただきたいのですが。
  6. 安川七郎

    説明員安川七郎君) ケースバイケースと申しますのは、私ども守秘義務が与えられました当該案件に照らしまして、国政調査権と対比いたしまして、いずれが国益をより多く尊重するかというような一つ考え方に照らして判断してまいる、こういうことであろうかと思います。したがいまして、何か私どものほうで、一定の基準を設けて、それに照らしてやるということは、おそらく不可能であろうと、かように考えております。  ただいま寺田委員からかなり詳細な資料の御要求がございました。この取り扱いは、いずれ理事会で御決定になるかと思います。  昨日、提出要求がありました資料リスト等も拝見いたしますと、それぞれのケースごとによってたいへん違ってくる、こういうふうに考えられるわけであります。したがいまして、そういう具体的なケースの扱いを待ちまして、私ども事務当局といたしましては、事務当局なりに、あるいはまた、大蔵大臣とも相談いたしまして、私ども考え方を並びに意見を申し上げる、それを当委員会のほうで御相談しておきめいただく。こういうふうに相なるかと思います。
  7. 野末陳平

    野末陳平君 そうなりますと、だいぶまたいろいろとらちのあかないような議論が続くのじゃないかと思うのですが、それでは角度を変えまして、どうでしょうか、本人が同意すれば——同意というか、本人が、自分に関する税務上の資料を出してもいいぞということになったらば、これはもう守秘義務というのは当然その時点で解消することになるのでしょうか。きのうのそちらのお答えでは、本人が違法ではないというだけでは、守秘義務が自動的に解消されないというふうなお答えだったと思います。ですから、今度は、違法でなくて、本人公開を同意したら、あるいは公開を認めたら、これはだいじょうぶですか。
  8. 安川七郎

    説明員安川七郎君) 昨日、寺田委員の御質問で、私が御答弁いたしましたところは、私ども守秘義務でカバーされるべき秘密というものは、どういうものであるかということを御説明いたしました。繰り返しますと、一つは、ただいま御指摘のありました納税者プライバシー納税者個人だけにかかわるようなプライバシー秘密、それから第二は、御本人取引がある、あるいは当該納税法人取引のある第三者と申しますか、本人秘密を開示することによって、その第三者秘密も同時に開示されてしまうといったような性質のもの、それから三つ目は、当該課税事案関係いたしまして、国税部内の業務上のいろいろの諸手続調査方法、そういった業務上の秘密というものがございます。この三種類がございますということを申し上げました。したがいまして、いまの御質問のように、納税者本人が、私のこれこれは開示してもいいという、まあ御承諾といいますか、そういうものがありました場合に、解除さるべき私ども守秘義務は、ただいま御説明申し上げました第一点の部分、こういうふうになろうかと、私はいま考えるわけでございます。したがいまして、第二の、取引関係にある方の秘密あるいは私ども内部業務上の秘密というようなことば、当然には解除されない、かように考えております。
  9. 野末陳平

    野末陳平君 そうなりますと、田中総理大臣が、自分に関するものはもちろん、それから、関連のほうもかまわないというようなことになりましたら、そうしたら当然国税庁としては守秘義務解除されますね。
  10. 安川七郎

    説明員安川七郎君) そこで第二段を申し上げますと、まず、御本人が、これこれの資料というものを御自身で開示をされるという場合もあるわけでございます。私どもが持っている資料を、国税部内の資料を開示してもよろしいというふうに御依頼というものがありましても、その段階では、私ども守秘義務解除されない、かように考えます。  それから、御本人自身が、ある種のプライバシーがありまして、それを御自身で発表してしまう、そうしますと、そのことに関する秘密というものは、いわば秘密でなくなったという意味におきまして、私ども守秘義務がたいへん軽くなる。そういう場合には、私ども義務解除される。例を申し上げますと、たとえば、御本人が、個人としての申告所得の、所得申告書を公表なさるということがありますと、たとえば、私どもが、その申告所得を開示しても差しつかえないような状態になるかと思います。
  11. 野末陳平

    野末陳平君 それでしたら、総理大臣自分でいま専門家に研究さして、いずれ発表するというようなことをおっしゃっていますが、いつになるかはもうわからないわけですね。ですから、どうでしょうか、大平大蔵大臣にお願いしたいんですがね、関連会社ともかくとして、総理大臣個人申告所得、それに関するものを、これ早く公開したほうがよろしいということを促して、そういう忠告を大平大蔵大臣からしていただくわけにいきませんか。そうして総理大臣が、じゃ、それだけは早くやる、あるいは国税庁にある自分資料はいいとなれば、個人に関するものだけは、少なくも早く公開できると思うんですが、その労をとっていただくというか、その努力をしていただけますか。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 御自分所得をどういう方法で、どの程度公開されるか、されないか、その判断は、納税者の御自身判断にかかるわけでございまして、私から慫慂するわけにはまいりません。
  13. 野末陳平

    野末陳平君 それでしたら、大蔵大臣にも期待しても、まあ、無理であるということですね。当分、これは時間がかかりそうですから、この点についての論争は少し時間をかけてやっていきたいので、私は、ここまで、いままでと同じ政府の態度は変わらないのを確認して、あとひとつ、今後、田中総理大臣に関する事実関係をいろいろ論じていく場合に、その前提になるその考え方というものははっきり確かめておかないと、議論がかみ合わない場合がずいぶんありますので、そういう点からお聞きしていきますが、まず、国税庁のほうにお伺いしますが、私個人がここにもし土地を持っていたと、かりに仮定いたしますね。そして土地を売れば当然課税されますから、まあ、分離課税、長期、短期いろいろあるでしょう。とにかく課税されますね。そこで、それをやめまして、会社をつくりまして、親族で固めまして、その会社がその土地を持っている形にしまして、そして土地を抱いてその会社を売る。つまり株式譲渡になりますね。これは原則としては非課税なわけですから、こういう方法で、私が土地を売ったにもかかわらず、その税金をうまく安く節税というようなことは当然考えられますね、税法上。
  14. 横井正美

    説明員横井正美君) お話の株式譲渡に対する課税でございますが……
  15. 野末陳平

    野末陳平君 この間も聞いたから、そこは簡単にやってください。
  16. 横井正美

    説明員横井正美君) はい。一般論といたしましては、株式譲渡キャピタルゲイン課税は行なわれないわけでございますけれども、特殊な場合には、キャピタルゲイン課税が行なわれるようになっております。三つの場合がございまして、一つは、年に五十回かつ五十万株こえて売買を行なう場合、それから第二が、買い占め等を行なう場合、第三が、いわゆる事業譲渡類似株式譲渡を行なう場合という場合がございます。で、所得税法規定によりますと、御本人と、それから、親族とを合わせまして五〇%以上持っておるという方が、相当な量の株式を売却いたしました場合におきましては、キャピタルゲイン課税が行なわれておるわけでございます。したがいまして、いまの御指摘の場合でございますと、キャピタルゲイン課税関連してくる場合が生ずることもあるということでございます。
  17. 野末陳平

    野末陳平君 ですから、当然その辺のことは承知をした上で、五〇%以下でおさめるわけですよ。つまり、非課税のいまのおっしゃった特例の三つにひっかからないように当然しますからね、研究して。税をのがれたいのですから。そうなりますと、これを意図的にこういうことをやって、土地を売りながら、会社を売った形にして非課税ということになりますと、これは、私から言わせれば、法の盲点を衝いた巧妙なやり方、あるいは合法的な脱税というふうに解釈できるのですよ、意図的にやれば。そうですね。ですから、こういうことは、普通の人はやってないと思うのですよ。税制上は、税法上は非課税でしょう。ですから、合法でしょう。しかし、やはりあまり感心したものじゃない。税法盲点を衝いていると、こう見ますので、一般の人にこれ公開して、私がですよ、こういういい方法があると、どんどんおやりなさいということをすすめられますか。それともやはりこれは好ましくない、こんなことは納税者にやってほしくない、どちらになります。
  18. 横井正美

    説明員横井正美君) 株式キャピタルゲイン課税につきましては、過去におきましても、当委員会等におきまして十分議論されたところでございます。私どもといたしましては、執行官庁立場でございますので、これがまあいいとか悪いとかいうことじゃございませんで、こういう制度になっておるということ、それに該当すれば課税になるということ、この辺を説明するということになろうかと考えられます。
  19. 野末陳平

    野末陳平君 少なくも、好ましいから大いにやりなさいとは言えないと思うのですよ。いかに節税の知恵はいいながら、これは節税悪知恵だと私は思いますから、一般の人だって、できればやるべきでない。しかし、やっている人は現にいるかもしれません。ましてや、もしこれを公人という立場で、政治家でもいいです、大臣でも何でもいいです、公人立場で、あるいは大蔵省のお役人という立場で、公人が、大臣、もしこういう節税悪知恵を現実に自分でやっていたら、これはいいお手本でしょうか、それとも、ちょっとどうかと、どっちになりますか。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 公人といたしまして、どなたもその持たれておる倫理感覚に照らして行動されるであろうと私は思います。
  21. 野末陳平

    野末陳平君 まあ、それは言外に、道義的感覚あるいはモラルというものに照らしてほめたものではないとか、少なくとも、大平大蔵大臣はおやりにならないだろうというふうに私は解釈するんです。もちろん、田中総理大臣がこれをやっているということをいまここで言っているわけではありませんが。ここではっきりさしておきたいことは、法の盲点を確かに衝いている。非常に巧妙な節税です。しかし、これは合法的脱税とも言えます、意図的にやられていれば。しかも、いまの株式譲渡利益が、キャピタルゲイン非課税だといいながらも、五〇%をこえるこえないで非常に微妙なところ、これをこえないように株式を持たせるということも可能ですから、まあひとつ、これはどう考えても好ましくなさそうだという感触が得られましたから——これはあたりまえですけれども、はっきりほんとうは答えてほしいんですが、もう一つ似たようなものを次に出しましょう。  一般会社で、よく、社長さんとか重役とかそういう方が、自分の別荘あるいは土地などを会社名義にして保有するという例がこれはずいぶんあります。まあ、はっきり言って、そのほうが税法上いろいろと便利だからだと思いますが、それはありますね、こういう例が。ありますね。——いいですか、あります。さて、この場合、個人のものと法人のものをどうやって区別したらいいかとか、とにかくごっちゃになってますので、税務署の立場では非常にむずかしいんじゃないかと思いますが、少なくも、この個人財産なり、個人財産を委託している、会社名義にしているその会社が長らく事業をやっていて、常識的に見ても、やッぱりちゃんとした会社であるというなれば、これはまだ——これでもどうかと思いますが、まだいいんじゃないかと。しかし、この会社が、かりに、電話もないし、事務所もないし、そういうような会社税対策のみにつくられた、一般事業をやってない、税対策のみにつくられた、しかも、個人のものをうまく隠そうというか、あるいは税金をのがれるために操作するというか、こういう形の会社であったらば、これは私はやっぱり、先ほどの例と同じで、いかに合法的であっても、モラルとしてあまりやるべきことじゃない。一般会社は確かにやっています。しかし、公人が、こういうことをやったらはたしてどうか。私がもし、これをやりたいと思っていまして——そして、あらためてこれをお聞きしたい。私が、それはかまわないじゃないかと、合法的なんだからということになれば、こういうやり方をどんどんみんなにすすめて、大いに節税して、本来だったら当然国に入るべき金を、こういう節税悪知恵で入らないようにすると、あなた、得だということで、すすめることだってできるわけですよ。これはどうでしょう、いまの財産隠し方法として、あるいは税対策のために会社をつくっている、それだけの会社である、まともな会社ではない、こういう場合もしかたがないと、税法上はやむを得ないんだということでかまわないですか。
  22. 横井正美

    説明員横井正美君) 会社が、商法規定に即しまして設立されるということになりまして、いろんな事業活動を行なうわけでございますが、その場合におきまして、税の関係から率直に申しますと、申告納税につきましての責任ある体制があることが必要だということであろうかと思います。やや具体的に申しますと、商法あるいは法人税法に定められております帳簿を備えつけておるということ、それから、財産債務を管理をするということ、それから、申告を適期に提出をし、調査に際しましては、それに対する説明責任者から行なわれる、納税もきちんと行なわれる。こういうことであろうかと思います。昨日からも、いわゆる幽霊会社というふうな問題につきまして御議論がございましたが、実は、私ども立場から申しますと、そういう申告と、納税の責任ある体制があればよろしいということになるわけでございまして、その会社が、たとえば、電話が専用でないとか、あるいはまた、専従の職員がいないとか、あるいは事務所も固有のものを持っておらないというふうなことで、直ちに税務の上におきまして、それは存在しない会社であるというふうに考えるわけにはまいらないかと思うのでございます。そこで、会社がございまして、その会社から、役員その他の方がいろんな利益を得るという場合も現によくございます。私どもは、昨日もこの席上でお答えいたしましたが、個人法人とは、この場合におきましてセパレートされておるわけでございます。そして私ども個人なり法人なりの調査にあたりまして、両者の関係が適切であるかどうかということを検討いたしておるわけでございます。それに基づきまして、適切でないということで、たとえば、特別な経済的利益を受けておるというふうなことになりますと、たとえば、所得税法の三十六条等によりまして、経済的利益課税が行なわれる場合もあり得るというふうな形になるわけでございます。
  23. 野末陳平

    野末陳平君 要するに、きちっと申告をして、とにかく税金を納めていれば、幽霊とも言えないし、別にかまわないということですよね。ただ、その場合に、そういう会社をつくらなければ、当然もっと税金を取られなきゃ、納めなきゃならないケースがままあるわけですから、その辺でもって、納税者に言わせれば節税かもしれません。しかし、国税庁から言わせれば税法の抜け道をくぐられた、巧妙な手口だったということにもなるんじゃないかと思うのです。これは、具体的事実をここで出しませんので、いまの見解だけ聞いておけばかまいません。  そこで、次は、大蔵大臣にお聞きするんですが、田中総理大臣が、公の政治活動と、経済活動ということばを使われましたけれども、やはり政治家経済活動をしてはいけないとも思わないんですが、公人として国民の監視にたえ得るようなフェアな経済活動でなきゃいけない、これはあたりまえだと思うのですね。少なくも、疑惑を招くようなアンフェアな経済活動公人はするべきではない。現に、公務員も当然制限を受けているわけですね、経済活動、アルバイトといいますか。その意味でまず、大蔵大臣にお聞きしたいんですが、経済活動をどこまで政治家はやっていいのか、まあ、ケースバイケースということになるんでしょうが、一般論としてどうなんでしょう。経済活動、自由なんですか。それとも、公人であるがゆえにある程度の制限、不自由というのは当然受けるべきものでしょうか、どっちでしょうか。
  24. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 野末さんに私から御答弁申し上げるまでもないことと思うんでありますが、私ども政治家は、選挙を通じて国民から負託を受けて、政治活動をいたしておるわけでございまして、したがって、そういう任務を帯びておるわけでございますから、経済活動をどの程度、どういうことをやってまいるかということは、そういう目的との関連におきまして、それぞれの政治家判断されるべきものと思うんでございます。何をやっていい、何をやって悪いなんて書いてないわけでございまして、それは政治家を信頼して、そういうことになっておると私は思います。
  25. 野末陳平

    野末陳平君 当然そうだと思いますが、その政治家が信頼できないから、何をやるかよくわからなくなってきますから、あえてお聞きするわけで、時間もなくなりましたので、具体的に聞きますが、株の売買、これは先ほど出ましたように、原則として非課税ですから、五十回、二十万株でしたか、とにかく非課税ですから、ある程度やってもいいのかもしれませんが、しかし、政治家が株の売買を大量にやる場合には、人よりも、一般投資家よりも情報が先に入る、あるいは極端に言えば、操作だってできるかもしれないというような有利な立場にあるわけですね。ですから、政治家はどうなんでしょうか、五十回、二十万株という範囲、あるいはこれは架空名義にすれば、こんなものはもう捕捉できませんからね、政治家の大量の株の売買、これは許されるべきでしょうか、それともいけない、慎むべきでしょうか。
  26. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政治家のその人の判断によるべきものと思います。
  27. 野末陳平

    野末陳平君 判断でもってかまわないということになったらば、無制限ですか。情報が人より先に入る立場にあってやったとしても、これも判断だからかまわない、だれからも非難は受けない、こういう意味でしょうか。
  28. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政治家判断と自覚に基づいて、まあ、おやりになるかならないか、どこまでやるのかきめられるべきものと思います。
  29. 野末陳平

    野末陳平君 当然、人の経済活動まで、これはモラルの問題ですから、われわれがいいとかいけないとか言えないと思うんです。しかし、少なくも、公的な立場にある人間がやるんですから、公的な立場にある人間がしていいかどうかということを聞いているわけですから……。それは判断だと、個々の判断だと。それだったらば、一般市長でも同じく個々の判断だということになりますね。少なくも公人あるいは公務員、特別の公務員、これには何らかのワクが、基準がなければいけないと思うんですがね。やっぱりその基準なしで、すべてが個人判断、良心ということになるんでしょうか。これは国税庁のほうにもお伺いしたいんですがね。株は、特にそちらのほうですからね。やっぱり個人判断ですか、これは。じゃ、公務員個人判断で、おれはいいと思っているんだといって、架空名義をいろいろ使ったりして、情報を先につかんで、株を買って大もうけしても、同僚がそれをやっても、個人判断だからしようがねえと、あなた方は目をつぶっているんですか。それとも、公務員のワクの中で、当然これは問題にすべきことだと、どちらですか。
  30. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 個人の自覚と申しますか、個人判断でやるかやらぬか、どういう方法でどの程度やるか、そういうことが許されておるというこの自由社会は、成員にそういう権利を与えておりますけれども、同時に、それに伴う責任は、その個人が受けとめるという仕組みになっておるわけでございまして、そこへ政府が介入いたしまして、一々ものさしをつくるというようなことはいたすべきでないと思います。
  31. 野末陳平

    野末陳平君 しかし、公務員でしょう。政治家公務員、それから、大蔵省の方々も公務員。それでもやはり全然、もし政府が関与できないならば、公務員規定で、公務員法の服務規定ですか何かでいろいろ禁止条項みたいなものがありましたけれども、あれは要らないわけですね。皆さん、良識に基づいたきちっと判断できるんだから、あんなものは要らないことにもなりますね、大臣の答弁、国税庁長官、そうなりますね。
  32. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) あなた、よく私の答弁聞いてもらわなければいけませんね。私は、法律を無視していいなんて一つも言ってないんです。われわれに個人判断と責任でやるべきことというのは、その個人の自覚でやるべきものであるということを言っているだけでございまして、法律を犯してまでいいなんてひとつも言ってないのでございまして、よくお聞きの上御質問をいただきたいと思います。
  33. 野末陳平

    野末陳平君 しかしね、法律を犯す犯さない以前に、モラルの問題というものを私はまたお聞きしているわけですから、そうなると、それは個人判断だという場合に、公人一般人の間に当然差がなくちゃいけない。公人はやはり、何が何でも、何でもかんでも自由だというわけにいかないです。一般の人に比べたら、相当な制限を受けてしかるべきだと、プライバシー一般の人と同じくあるのじゃなくて、プライバシーといっても、何らかの制限はあるのがあたりまえだと、それが公人としてのモラルではないかということをお聞きしているのですから、法律を犯してまでというようなことも、ちょっと私は言っていませんよ。だから、お聞きしたいのは、公人としてのモラルから考えてみて、モラルに照らしてみて、一般人じゃないですよ、公人としてのモラルに照らしてみて、いまのような株の売買のようなことが、自由にやってもよろしいかということをお聞きしたんですよ。ですから、大蔵大臣の見解わかりましたから、今度は担当の国税庁のほうにお聞きしますよ、それ。
  34. 安川七郎

    説明員安川七郎君) ただいまの御質問の趣旨非常によくわかりました。ただ私、国税庁の監督をいたしているので、公務員一般につきましてのお答えはちょっと私の範囲を越えます。しかし、多くの職員を監督いたしておりますから、ただいまの御質問関係のないことではございません。そこで、そういう範囲で申し上げますと、いろいろ問題がございましたが、たとえば、株式売買ということにつきましては、規制しております証券取引法というのがございますから、証券取引法によって、いろいろな情報活動の禁止という規定もあったように私記憶しておりますが、それに触れる場合には、当然法令の違反と、こういうことになるかと思います。  それから、その他の一般の株の売買につきましては、公務員法の九十九条に、その官職の信用を傷つけてはいけないと、こういうような信用失墜というような規定がございますので、ただいまのお話の、通常の経済活動として許されております株の売買については、株の売買をいたしましても、直ちにそれが信用の失墜になるとは思いませんけれども、その度合いとか、態様によりまして、ある場合には信用の失墜にかかわるようなこともあるだろうと思いますが、相当それはかなり程度の激しいと申しますか、株の売買というのは、いろいろな態様がございますので、一がいに申し上げられませんけれども、そういう場合もないではないというふうに考えます。
  35. 野末陳平

    野末陳平君 やめます。
  36. 野々山一三

    野々山一三君 昨日来の引き続いての問題で、これは守秘義務国政調査権の問題についての具体的な問題及びかつて国益国損にかかわる機密問題というものが、そのまま解明されないままになっておりますので、以下、十分な時間がございませんけれども、かいつまんで質問をいたしますので、その意味お答えをいただきたいと思います。  私は、何回も繰り返すことばですけれども総理大臣田中角榮なる人をめぐります国民の疑惑を解消するということが、いま日本にとって決定的な重大な課題である、この点はどなたも異論のないところだと思います。その意味で、昨日来、大蔵大臣も、積極的に、守秘義務などというものをかさに着て、国政調査権を侵すとかというようなことはしない、積極的に出せるものは出すということによって疑惑を解消する、こういう立場をとりたいという趣旨の見解が何回か述べられておるわけでございます。ぜひとも内閣法制局長官、それから、内閣官房の首席参事官もいらっしゃるわけですが、いま前置きをいたしました立場で、ひとつぜひ答えていただきたいということを強く希望しておきます。  そこで第一に、いま日本の各種の法律、実定法上、率直に申し上げて、機密と秘密という分類以外に、実定法上何かあるんでしょうか。私は、この二つだけだと思います。わけても、機密というのは、MSA協定に基づく特別措置法、それから外務公務員法、この二つだけに機密というのはあるのだと思いますが、間違いないかどうか、その他のものはすべて秘密という分類になっておるわけでございますけれども、と私は解するわけですが、間違いないかどうか、端的にお答えをいただきたい。
  37. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 法律用語の問題でございますので、便宜私からお答え申し上げますが、ただいま御指摘のように、機密という用語を使っておりますのは、外務公務員法と、それから、安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、いわゆる地位協定でございますが、その地位協定の実施に伴う刑事特別法で機密という字を使っております。それ以外の法令では、秘密という文字を使っております。
  38. 野々山一三

    野々山一三君 官房首席参事官に伺いますけれども、いま御指摘のように、二つの実定法上の機密という文言がある。それ以外は全部秘密である、こういうふうに言われたわけですけれども、にもかかわらず、いま、いろいろながめてみますと、各省庁の規程だとか、文書取り扱い規則だとかいうようなものの中には、依然として機密、極秘、秘密というものがあるわけですが、これは実定法上ないものがあるのはどういうわけでございましょうか。
  39. 藤森昭一

    説明員(藤森昭一君) お答え申し上げます。  現在の法律上、ただいま法制局長官から御答弁申し上げましたように、機密、これがごく少数ございますが、その他は秘密ということになっておりますのは御指摘のとおりでございます。そこで私どもは、その機密の保持に関しましては、先生よく御承知のとおり、二十八年の次官会議の申し合わせにおきましては、機密、極秘、秘、それから、部外秘、取扱注意というふうな各種の秘密の基準を設けておりました。しかしながら、なるべく秘密文書は少ないほうがいいということと、それから、これを簡潔な基準にまとめるというふうな趣旨からいたしまして、四十年の四月の十五日の次官会議の申し合わせによりまして、これを極秘と秘というふうに二つに分けたわけでございます。ただ、極秘、秘と分けましたのは、それまでの政府各省庁の行政上の慣行に従ったということでございますが、特に、極秘につきましては、法律上機密ということばもございますので、極秘のうち、特に重要なものにつきましては、機密と称してもいいというふうな形の整理をいたしている次第でございます。
  40. 野々山一三

    野々山一三君 あなたは、四十七年の四月から九月までの過程において、いま私が指摘しております機密と秘密しかないのだから、その二つにしますということがきめられておりますことを知っているでしょうか。こういうことを聞いておりますと、時間がかかってしょうがないので、二十八年のことも承知しております。四十年の次官会議申し合わせも承知しております。にもかかわらず、先ほど申し上げたように、あなたも指摘されるように、機密、極秘、秘密、部外秘、取扱注意、人事秘というものがすべて秘密なんだとして、行政上取り扱われてきたことのあやまちが指摘されまして、四十七年五月十三日の日に、首席参事官及び官房長官の手によって、二つは二つなんだということがきめられてきたことは御存じだろうと思います。そうして、これは大臣にも聞いてもらいたいと思うのです。きのうも申し上げたけれども、二つの用語しかないのに、大事だから大事だからというて、幾らでも大事にしてしまったら、みんな大事になってしまって、何もかもわからなくなって、国政調査権を否定することになるのではございませんか。そこで、あなたのほうから、内閣官房から、五月二十六日に通達が出されましたですね。これは、しかし、官房長官がいらっしゃらないから残念ですけれども一つの試案として出されたものでありましたが、その過程に、かってに通達を出されてしまった。そこで、それではだめだというので、さらに審議をいたしまして、二つにいたしますということになって、ですから、たとえば、きのうも申し上げたけれども、電電公社などにも機密文書という文言が規程の中にございましたけれども、七月一日付の改正でもって、機密という文言は全部なくなったわけでございます。ましてや、あそこには極秘という文言もございましたが、全部なくなったわけでございます。いまや秘密という文言だけが残っているわけです。それはひとり——一例だけでございますよ、電電公社のものは。これは大蔵省の規程にもまだいまだに極秘という文言が残っておる。それから、国税庁の規程の中には、極秘、秘密、秘というふうに残っておるんであります。秘密と秘というのはどう違うのでございましょうか。というようなぐあいに、たいへんかっこうがおかしいわけでございます。これはまさに、私が言いたいのは、国会で十分な議論をいただいた上で、その使用にあやまちなきを期しますように、あらためて各省庁の官房及びミーティングをいたしまして、あなたの指摘——つまり、私の指摘したことを確実に実行いたしますと答えられたのが、時の官房長官竹下登君であります。いまもまた同じ人が官房長官なんです。ということは、国会の意思を無視し、官房長官の約束が実行されないで、そうして、そういうことが、国税庁の規程にも、大蔵省の規程にも残っておって、これが守秘義務をたてにして対応されるということになれば、まさに指揮権発動ということばがあるが、変わった名前をつければ、守秘義務権の発動によって、国政調査権を否定するのではないか、こういうことになります。大蔵大臣国税庁長官、そして首席参事官、私が指摘している事実をどう考えるか、どうするか、これをひとつ述べてください。これさえはっきりすれば、次の問題に入ります。
  41. 安川七郎

    説明員安川七郎君) ただいまの問題につきまして、昨日、国税庁並びに大蔵省の取り扱いについて御答弁申し上げましたとおり、大蔵省、あるいは国税庁の秘の扱いの通達につきましては、ただいま出てまいりました昭和四十七年五月二十六日の内閣官房からの各省あて通達に従いまして、それになぞらってやっておるのでございます。なお、補足して申し上げますと、国税庁のほうについて、極秘と秘と秘密というような、三種類というようなお話でございましたが、これは二種類でございます。極秘と秘の二つだけでございます。その点は、大蔵省国税庁も統一されておるわけでございます。したがいまして、この内閣官房のほうの通達に準拠いたしまして、そうやりましたので、私どものほうとしては、内閣の統一的な指示に従うと、こういうような趣旨でやっているわけでございます。
  42. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま、御指摘の、秘密というものは、どういうものか、そうして、おそらくそれを発表することが、国益をそこなうおそれがあるものをいうのだろうと思いますけれども、それじゃ、国益とはどういうものか、そういう判定は、やはり私は、国民がきめるべきものであろうと思うのでございます。やっぱり国民を代表する国会で御指名をいただきました政府がそれをきめて、それでその趣旨を生かしていくという筋道になるのではないかと思うんです。それで、いま内閣が——いま、国税庁長官お答え申し上げましたように、一つの通達をかまえて、私どものほうにもこういうことでひとつ心得てやれということでございまして、そのラインに沿って処置いたしておるわけでございます。したがって、それがそういう仕組みになっておりまして、それ以上に私には言えないのです。これはやっぱり内閣のほうにお聞き取りをいただきます。
  43. 野々山一三

    野々山一三君 これは、こんなことで時間をとりたくないですけれども、いまのお答えは、そうすると結局、内閣官房長官が代表せられる以外に道はない。しかし、きょうは出られないということだから、首席参事官が、当時もこの事務を管掌していらっしゃったから、私はあえて言うんです。実際、官房長官が国会で約束をされ、こうしますということが正しいのだと言われて、そのとおりのことがやられる過程で、出たものはまた改められるべきものだと、こう考えるのは常識でございましょう。そこで、この常識を否定されたのでは、国政調査権を干渉することになる、否定することになるという論理になるわけでございます。あえて申し上げましょう。四十七年四月十一日の日に、私の手元に来た外務省のものです。これはまさに私が問題を問題にした当初の段階のものでございます。そのときに外務省は、こういう文書を持っておるわけでございます。昭和四十年四月十五日次官会議申し合わせに基づき、次に定める基準により極秘及び秘の二種類に区分され、それぞれ当該文書に極秘、秘の標記をする、極秘とは秘密保全の必要が高く、その漏洩が国の安全、利益に損害を与えるおそれのあるもの、これが極秘だというようなこと、それから秘は、極秘に次ぐ程度の秘密であって、関係者以外に知らしてはならないものだと、こういうふうになっております。これは四月十一日でございます。そこで、五月二十六日付の文書が出たわけでございます。それから後に、さらに二種類しかないんだということが明らかになって、そうして先ほど指摘した電電公社のものは、ここにございますから言うんですよ。電電公社のものは七月一日にまた改められておるんでございます。これは、秘密の内容が、あるいは基準が、指定権者が、あるいは管理者がという問題を付随して一ぺんきめたのを、また直しているということは、これは善意に基づくものだと思います、内容は別として。基準などについてはいろいろ議論がありますけれども、別として。ところが、大蔵省国税庁だけをもっていたしますと、五月二十六日というものだけをもって発動されているわけでございますね。これがやっぱり食い違いが起こっているという歴然たる事実ではございませんか。首席参事官、あなたの仕事——あなたの上には官房長官いらっしゃるわけですけれども、あなたの仕事は、それは、それをなぜ、国会が、そういうふうに国会において官房長官も約束され、そのとおり、実定法上からも明らかなとおりであると言われて、そう直しますということを直さなかった理由は何でしょうか。それから、五月十三日付で私のところにこういう文書が来ているのでございます。何ぼいままでやかましく言っても、残念ながら資料としてお出しにならないわけなんです。これは一体どういうことなんでしょうか。これが出ると、つまり五月十三日のものが出ると、変化したものがわかっちまう。これは私の推論かもしれません。わかっちまう、これは困る、こういうことが一つあるでしょう。  それからもう一つは、直すことになったのに直さないというのは、一体、国会において合意したものがやられないということは、大蔵大臣言われる国民が決定されるものだ、それを、国民を代表しておる国会が決定されるものだということを否定するということになるのじゃございませんでしょうか。そこで初めてやっぱりもとどおり、行政府の一機関が行なった行為が、直ちに国政調査権を踏みにじってしまうことに、ことばは悪いかもしれませんが、国政調査権を否定することになってしまうではないかということになるわけなんです。その点を率直にお答えいただきたい。もし何でしたら事実を持ってまいりますから、これで委員会やめてもらって、休憩してもらって突き合わせますよ。それがいやなら、官房長官にもう一ぺん出てきてもらうということになります。
  44. 藤森昭一

    説明員(藤森昭一君) お答え申し上げます。  四十年の各省事務次官等会議の申し合わせによりまして、すでに秘密は、極秘と秘、この二つに簡潔化するということが申し合わされていたわけでございますけれども、実態としましては、ただいま先生御指摘のように、部外秘とか、その他の秘密の字句が行なわれていたのは事実でございます。そこで、四十七年になりまして、ただいまの四十年の次官会議の申し合わせを厳密に実施するようにということからいたしまして、あらためて秘密の種類を二つに集約するということをその際通達をいたしたというのが事実でございます。で、その場合の極秘と秘というのは、先ほどもお答えしましたように、法令上の用語としてはそのものを使っておりませんけれども、行政府の慣行等を考えまして、極秘と秘、この二つとしたのは事実でございます。  それから、第二番目の、五月十三日の資料といいますのは、私ども、ただいまの御指摘にあるような事実につきまして調査をいたしましたけれども、そのような文書あるいは決定というものは遺憾ながらございません。
  45. 野々山一三

    野々山一三君 それではあなたに伺いますけれども、それ以後ずうっと議論をしたりしてまいりまして、九月のたしか中旬以降まで議論をいたしました事実は御存じですか。その事実を御存じならば——百歩譲ってかりにそういう資料を調べたけれどもないと言ったって、会議録で全部立証されているものを否定することはこれまたおかしいではございませんかという意味で伺うわけなんです。
  46. 藤森昭一

    説明員(藤森昭一君) 四月から五月ないし六月にかけてのいろんな御議論は、私も速記録を十分読ましていただきました。先生からのいろいろな御指摘ももちろん承知をしております。しかしながら、それを受けまして、五月の時点で特定の申し合わせ、あるいは決定というものはやった事実は現在のところないというふうに了解をいたしております。
  47. 野々山一三

    野々山一三君 これはこれで、この問題はきょうはこれで中断いたします。あなたでは話にならぬ。官房長官みずからがあらためて出てきて、ここで明らかにいたしますと言われていますから、きょうはもうこれで留保しておきますが、次の機会には必ず官房長官に出てもらって、この実態を明らかにいたしましょう。そのとき恥をかかぬようにしてくださいよ、証拠を持ってまいりますから。そのときどうします。うそを言ったということになったらどうします。それ聞いておきましょう。それだけ一つ聞いておきましょう。
  48. 藤森昭一

    説明員(藤森昭一君) 私どもが、現在までに資料及び当時の関係者について調査した限りにおいては、ただいま先生御指摘のような事実はございません。
  49. 野々山一三

    野々山一三君 そういうことを聞いているのじゃない。事実がないとか、あるとか言うのは、水かけ論だからそれはやめると言って、その次のことを聞いたのに、その次のことをなぜ答えないの。何で答えないの。聞いたことに答えてもらえばいいので、聞かないことというか、済んだことをまた述べられたら時間がなくなるだけじゃないですか。それだったら私はあえて言いますけれども、当時の事務を執行しておった翁参事官という首席参事官がいたわけですから、この人をひとつ証人として要求いたしますよ、対決として。これは委員長、ひとつさよう心得てください。これを議論をしておってもずっと並行線ですから、次に進めますけれども、これだけ重大なときに、事実を否定するようなお話を幾らなさっても、これはだめだということを、ほんとうに大臣お考えいただきたいと思いますよ、ほんとうに。これじゃ幾らまじめに、みんなに信頼をしてくれ、ぜひ信頼をしてくれと言ったって、これはだめだということが……。いかに行政府の一お役人さんといえども、こんな態度をとられちゃ困りますね。これはどなたでも言えることじゃないでしょうか。そういう注意だけをあらためて申し上げて次に移ります。  次に、きのう、法制局長官に、参議院の法制局から提示されておりますこの「国会法第一〇四条に基づき、国税滞納処分により差し押えられた物件の明細書の提出要求することの可否について」の四十一年の二月十四日の口頭回答要旨として文字に記録されておるものについての問題で伺いますけれども、そこで、前提として、国家の重大な利益ということの意味について、きのうも鈴木委員から御指摘のように、かつて十九国会の衆議院の決算委員会で、滝川参考人、団藤参考人、佐藤参考人などの見解も付せられておりまして、十分御案内のところだと思います。そこで、この十九国会のときに、こういう種のことを言われていますね。造船疑獄についての十九国会の決算委員会における滝川参考人は、それを、暴動が起きる、そのために自由党がどうなったとかなんとかいうようなことは関係のないことだ。また団藤参考人は、国家の重大な利益ということの意味は、滝川参考人と全く同意見だ。この日本の最高権威の学者が、こういままで述べられ、これは、一つの大きな権威あると解するにふさわしい形の参考意見だと思います。これらを踏まえまして、参議院法制局といたしましては、先ほど申し上げたようなものが記録として残っておるわけでございますけれども、ただいま問題になっている田中総理の金脈問題について、皆さんからいろんな資料提出要求がされておるわけですけれども、私は、もう常識論として、田中総理の資産関係、税関係、これが資料として国会から要求され、これが提出されることによって、日本で暴動が起こったり、あるいは大混乱が起こったり——自民党さんたいへんかもしれませんけれどもね、それは国益、国損という観点から見れば、何も客観的に問題じゃないと思いますが、そういう資料は、そこで求められているような資料、どんな資料が求められるか知りませんが、これが提出されるということは、きわめて当然なことじゃないかという意味で、かつての参考人の皆さんや、参議院の法制局長が述べておるようなことは、あたりまえじゃないかというふうに、当然じゃないか、要求されたものを出すのは当然じゃないかというふうに解しますけれども内閣法制局長官は一体どういうふうにお考えになるでしょうか、一般論として伺います。
  50. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 昨日も申し上げましたように、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第五条第三項にございます「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明」、この場合の、国家の重大な利益に悪影響を及ばす場合とはどういう場合であるかということにつきましては、昨日も申し上げましたように、京都大学の滝川名誉教授等の昭和二十九年の国会における参考人としての発言は存じております。昨日も申し上げましたように、ここに掲げられておりますような例が、この中に入ることは確かであると思いますけれども、それに尽きるものではない。したがって、どういう場合が、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすかということを具体的にあげることははなはだ困難でございますが、たとえば、この昭和二十九年において行なわれました実例といたしまして、検察事務の適正な執行に今後影響を来たすということで、この内閣声明が行なわれまして、その当時いろいろ経緯を経て、それで落着をしたと記憶いたしておりますが、そのように、行政事務の一つである、これはもちろん重要な行政事務の一部でございますが、検察事務が正々と遂行せられないようなことになっては、国家として重大な損害をこうむるという認定があったものと思います。それと同じような行政事務がほかには全くあり得ないということはないわけでございまして、重要な行政事務の遂行に支障を来たすような、きわめて重大な支障を来たすような場合には、この第五条第三項にいう「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」という場合に該当すると私は考えております。
  51. 野々山一三

    野々山一三君 これ、たとえば、抽象論になるようですけれども、あなたのことばをつかまえて相すみませんが、行政上の行為が、諸般の混乱が起こったために、進行しなくなった、しにくくなった、混乱が起こった、そういうときに、もうこれは国の重大な利益にかかわるんだと、こうおっしゃるわけです。そこで、それならば、なぜ総理大臣おやめにならないか、新しい人一ぱいいらっしゃるじゃありませんか。そして行政事務が正常に進行するような体制をつくるのは、政治家として、あるいは国民から主権を代表して国会を形成し、国の政治をやるたてまえになっておる日本国の憲法のたてまえからいったら、それをすることが当然じゃないか。つまり、辞職をして早く新しい内閣をつくって、そして行政の正常化をはかるということが何が悪いか、何が間違っているか、こういう議論になりますよ。そこで、参考人の皆さんでも、国家の存立及び継続に影響があるようなと、これについては三人とも意見が一致しているのは、そういう場合といえども国政調査権を否定したりするようなこともできないし、あるいは国会が早く議論をして、審査をして、調査をして、そして信頼を回復するということのために、いろいろな資料要求したものを出すというのは、これもまた国益を発展成長させるために必要じゃないかという議論になる、違いますか。
  52. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 私は、ただいま野々山委員のおあげになりましたような意味で、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすという説明をいたしたつもりはないのでございまして、これは、ただいま現に問題になっております事項ということではなしに、滝川参考人は、あるいは国家の存立及び継続に影響のある事項ということじゃないかと思います。と答弁し、また、団藤参考人の、やはり滝川参考人のおっしゃった程度の、あるいは存立とかなんとかいうことを、というような答弁につきまして、それのみに尽きるものではなくて、これの中に入るということも言えるかと思いますが、国家の重要な行政事務が遂行せられないような状況を来たすようなことになってはいけないということを申したわけでございます。そればなぜそうなるかと申しますと、この議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律と申しますのは、その第五条に至ります前に、まず、職務上の秘密に関するものであることを、本人または公務所が申し立てをいたしまして、これは秘密でございますからということを申し立てますと、その公務所または監督庁の承認がなければ、証言または書類の提出が求められないわけでございます。そこで、監督庁が承認をすれば秘密解除をされる。ところが、承認をされない場合には、議院または委員会の前において、当該公務所または監督庁がその理由を疏明するわけでございます。その疏明を議院なり委員会が受諾をなさった場合には、証人は証言または書類の提出の必要はないということで、またもとへ返ります。その理由を受諾することができない場合に、議院もしくは委員会等が内閣の声明を要求することができるという段取りになっておりまして、その職務上の秘密であるという、前提でございます職務上の秘密を開披することによって、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす、その論理的な構造と申しますのは、二十九年の場合には、まさに検察事務の捜査等の内容について開披することを国会で御要求になったわけでございまして、これに対して、職務上の秘密であるということのこの法律の段取りを経て、最後に内閣声明になったわけでございまして、検察事務の正々たる遂行が不可能になるということは、国家の利益に重大な悪影響があるという前提があるわけでございますが、それと同様に、その他の行政事務でありましても、一定の秘密を開披することによりまして、職務上の秘密秘密でなくなるということによって、国家の利益に重大な悪影響を及ぼす場合があるのじゃないかということを申し上げたつもりでございまして、現段階の、現時点の問題について申し上げたつもりではございません。抽象的な議論としてお聞き取りを願いたいと思います。
  53. 野々山一三

    野々山一三君 私は、どうもあなたのお答えは、私の耳が悪いのかもしれぬけれども、前置きとして、国会法百四条の立場からする国政調査権の問題を問題にしているというふうに前置きしたがら聞いているわけでございます。あなたの理屈は、議証法を使ってくださいというふうに思えるような、議証法ばっかりを問題にしていらっしゃるわけですね。これが一つ問題。それからもう一つは、二十九年の指揮権発動の場合、御指摘のように、検察事件になっていまして、したがって、司法上の問題から、秘密であるとして、結果的に議証法五条による内閣声明というものが出たわけでございます。今度の場合、今度のいまの事件が、司法上の問題にまでは至っていないわけでございますね。そうでしょう。ですから、国政調査権と行政という——守秘義務がそれにくっついていますけれども国政調査権と行政の問題なんでございます。そこをお間違えなく受けとめてもらわなければいけない。  そこで、行政事務が停滞することが、国の重大な利益に影響を及ぼす、こういうことばが使えるほどの問題でしょうか。そのことばを使って直ちに指揮権を発動して、そして、何も資料も出せません、言えません、個人プライバシーですと、こんなふうに言われると、これは一体、疑惑を増大するために、国会というところで、内閣法制局長官が、一そうそれをエスカレートさせるようなお答えをなさっていると、こう私は受けとめざるを得ないのですが、こういう長いおしゃべりをしておってはあれですから、私の真意を受けとめて、もう一回答えてください。
  54. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 私が申し上げましたのは、先ほど来、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす場合ということにつきましての、滝川参考人等の昭和二十九年の国会における発言をお取り上げになりまして、それについての御質問だったものでございますから、私も、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第五条第三項について申し上げればということでお答え申したつもりでございますが、いま重ねてのお尋ねで、現在の状況においていろいろ問題になっている資料提出することが、提出すれば、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすことになるかどうかというお尋ねでございます。まだ、現段階においては、この議院としてどういう資料ということの最終的な御決定には相なっておらないんじゃないかと思いますが、現在問題になっておりますような資料につきましては、その個々の資料ごとに、それを御要求になることによって、国政調査が行なわれまして、それによって解明される一定の事実、その事実が解明されることによって、国会国政調査権が遂行せられて、それによって国政の上に重大な利益を生ずるとい参ことと、それから、それで税、税ばかりではないかと思いますけれども、たとえば、税務行政上の一定の秘密が開披されることによって、将来の税務行政の遂行に支障を生ずることがないかどうかということの比較考量の問題だということを、昨日も申し上げたつもりでございます。したがって、現に問題になっておるような資料、いろんな資料があると存じますけれども、その資料を個別に判定をいたしまして、国税庁において、先般、大蔵大臣からも御答弁がありましたように、個別の資料——この資料提出しても差しつかえない、この資料は将来の税務行政の正々たる運営に支障を生ずるというようなことで、区分整理がせられました上で、一定の必要に応じて国会提出をされるという段取りになるのではないかと思います。昨日も申し上げましたように、国政調査権というものは、憲法に縁由する国会の議院に認められた重大な権能でございまして、この権能の遂行に、内閣以下の行政機関が、あとう限り相ともに協力して調査を進めることは当然でございますので、ただいま申し上げたような精神においてやってまいりたいと思います。
  55. 野々山一三

    野々山一三君 それじゃ、内閣官房に伺いますけれども、いま具体的な要求及び内容によって、個々にそれぞれ違うだろうから、それが正式にきまって要求されるならば、それに行政分野としてどう処置するか、つまり、守秘義務とのかね合いにおいてケースバイケースでどう処置するかという趣旨のお答えのように伺いました。  そこで、五月二十六日に内閣官房から出されましたものを、これは私は当否はまだ先ほどの議論で残っていますが、この中に全部——全部とは言えませんが、国家機関における各種の秘密の基準というものがございます。それによって、どういうものが秘密なんだという概略的のものがわかるはずになっています。それに基づいて各規則がつくられたわけです。それから、外務省は、秘密指定に関する際の基準、六月十二日というものが外務官房からこまかく出ております。それによって、いまの状態で出ているものが、いわば官房通達で出ているものが、これで適当であるかどうかをチェックされるべきでないと、内閣官房の仕事は果たされていないような気がいたします。そこで、大蔵省にはそういう基準、秘密指定をする際の基準、指定権者、こういうものがあったでしょうか、あるでしょうか、具体的にひとつ示してもらいたい。資料として求めます。  それから、いま、内閣法制局長官のお話によれば、具体的なものが出たならば、それによって適否を判断すると、こういうことでございますが、その、これはだめだ、これは出せるという具体例を、せめて五十件ぐらいでいい、五十件ぐらいで。具体例をひとつ資料として要求いたします。その際、当然のことに指定権者及び管理者についても明示してもらいたい。なぜか、国税庁長官なら長官としての分野において行なう通達、規程がございます。各地方局でもまたその取り扱い規則などがありまして、それがまたさらに中央できめられているもの以外に分化して、指定権者が拡大されたり、基準が拡大されたりする事実がございます。これでは困るわけでございます。中央、地方、そして幅はどういうもの、事例はどういうものというものを資料として出してもらいたい。それによって、いま、内閣法制局長官の言われるものが、当然な理屈であるかどうかということが私どもとしてわかるわけでございます。そうなれば、皆さんからいまいろいろな資料要求が出ていますが、それの資料は、これはだめだとか、これはいいとかということが、手続上できるわけでございます。委員会としてできるわけなんです。そこへきて初めて国会法上によるところの資料要求になるわけでございます。あるいはあなたが一生懸命先走りなさる議証法上の議証法の発動ができるわけでございます。まだそこまでいくかどうかわからぬので、いまの資料をぜひ出してもらいたい。あなた方の例を出してもらいたい。国会国会としての判断をいたしますから、それをあらためて要求いたしますが、お答えをいただきたいと思います。
  56. 松川道哉

    説明員(松川道哉君) ただいま野々山委員の御指摘の文書の管理につきましては、過日、大蔵委員会理事会関係の部分を資料として御提出してございますが、全体は、大蔵省文書管理規程というものの中に収録されております。  で、御指摘秘密ないし極秘という区分につきましては、先ほど来御討議のございます四十七年五月の内閣の基準にのっとって私どもは制定いたしております。  なお、さらにお尋ねの指定権者でございますが、これはこの管理規程の百十条のところに、「「秘密文書」とは、その事案が関係者以外の者に秘されなければならないものとして当該事案の主管課長又はこれに準ずる者が指定した文書で、かつ、その旨の表示がされたものをいう。」。「「極秘文書」とは、秘密保全の必要性が高く、その事案の漏えいが国の安全又は利益に損害を与えるおそれのあるものとして当該事案の主管部局長」——これは先ほど……。
  57. 野々山一三

    野々山一三君 それは、あなたが一生懸命議論されてもそれは違うんですよ。だから、もうそんなことはいいですわ。それよりも、もっと大事なことは、基準と具体例を出してくれと言ったことについて答えてください。せめて五十件。それがなければ、内閣法制局長官お答えに対応できないわけですから。
  58. 松川道哉

    説明員(松川道哉君) 具体的な事案はただいま御要求がございましたので出せると思います。なお、これが大体どういう類型かというのは、過日、理事会で御説明いたしましたとおりでございます。
  59. 野々山一三

    野々山一三君 もう時間がありませんから一言で。具体的な事例というのは、何のたれべえさんの、どういうことのどういうことはどうとかというような具体的な事例ですね。そういうふうに受けとめておきます。
  60. 松川道哉

    説明員(松川道哉君) ただいま御指摘のような点ができるかできないかは、それぞれの文書につきまして審査いたしました上で、なるべく御要望に沿えるようにしたいと思います。
  61. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 法制局長官に最初ちょっとお伺いしたいんですが、いまの国家の重大な利益の範囲の問題で、いわゆる国の存立とか、そういう問題以外に、重要な行政が遂行されるのを妨げられるというか、されないと、こういうことが国家の重大な利益ということに入ることなんですけれども、その判断は、議証法からずっと見ていくと、最終的には内閣がやるんじゃないかという感じがするわけですね。その重要な行政という内容は、いまのところ長官はどういうものというふうに考えていらっしゃいますか。
  62. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第五条第三項のここで使っております「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明」という、「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」ということについて、先ほど来申し上げておりますように、滝川参考人等のあげられました事例が入ることは間違いございません。また、その次の発言においても、国家の存立等に影響を及ぼすというような文言がございます。当時の実例といたしましては、先ほども申し上げましたように、検察事務というものが遂行せられないような——検察事務の全体ではございませんけれども、その当時問題になっておりましたような事例について、秘密を開披するときには、検察事務の遂行に重大な影響を及ぼすということで、この内閣声明が行なわれたと思います。それと同様な意味において、たとえば、税務行政でございましても、その開披のしかた、態様等によりますが、場合によっては今後、税務行政が執行できないような影響を来たすような場合も論理的にはあり得ると思います。国家というものは、一つは、課税権に基づいて収入を得て、これによって国民の幸福を増進するためのいろんな行政をやってまいらなければならないわけでございまして、国家の財源を得ることが非常にむずかしくなるというようなことは、やはり国家の利益に悪影響を及ぼす場合ではないかと存じますので、その秘密の開披の態様、あるいは秘密の態様によっていろいろ違うと思いますけれども、そういう場合はないとは言えないという意味において、重要な行政が遂行されないことによって国家の利益に悪影響を及ぼす場合はあり得るのではないか。そういうような場合にも、内閣声明は行なわれると解しておると申し上げたわけでございます。この内閣声明が行なわれますと、証人は証言または書類の提出をする必要がないということで、最終的な決定になるわけでございますが、その決定に対して、国会とされましては、憲法上の手段を通じて、政治上の判断をなすって、それに基づいて行動をされるということは可能でございまして、判定権者はだれか、比喩的に言えば、この法律の上では、内閣が声明をして終わりになりますから、内閣ということに形式上はなるかと思いますけれども、その内閣の判定を批判するのは、結局は国会、さらには国民立場であるということに相なると思います。
  63. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは私は非常に不満です。というのは、昨日あたりの答弁では、国家の重大な利益というのは、非常に国の存立を危うくするようなものとか、国の防衛上の、外交上のというような重要なものと、それでせいぜいわずか、重要な行政に重大な支障があるというような、そういう感じに受け取ったんですけれども、いまの話だと、税務行政全般にわたってみたいなふうにもとれてくる。全般とは言いません。特殊なケースで言われたんだと思いますけれどもね。そういうように広げてきて、何か資料提出というものを、できるだけとどめていきたいというような感じにしかとれてこない。そういう点で非常に納得がいきません。不満だらけです。ですが、ここで、先ほどの答弁から、個々に出し得るものであるか、出し得ないものであるか、これはまだ議証法に基づいてまだやっておりませんけれどね、書類を、そういうものは大蔵大臣判断をされるでしょうという話があった。ところが、最終的に出し得る、出し得ないが、とことんまでいけば、いまのように、最終的には、内閣の合議である閣議でなければ重大な利益はきめられないことになるわけですね。そうすると、初めからそういう答弁があるということは、もう長官自身判断——まあ、内閣を代表しておっしゃっているんだと思いますけれども、もうできる限り出し得ないというふうな判断に私には聞こえるんですが、その点いかがなんですか。
  64. 吉國一郎

    説明員吉國一郎君) この法律の五条三項の「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」場合というものにつきまして、昨日お答えを申し上げましたときと現在と、決して私の考えておりますことが、あるいは広がり、あるいは狭まったということはないつもりでございまして、いま、たとえばの例として税務行政を取り上げて申し上げましたのも、どういう秘密が具体的に該当するかどうか、私は、税務行政に直接携わったことはございませんので、ここで的確に申し上げられないことは残念でございますけれども、将来、徴税が非常に困難になるというような秘密がもしありとすれば、そういうものが開披されることによって徴税が非常にむずかしくなって、国家の歳入の確保に重大な支障を及ぼすというような場合がありとすれば、それはやはり「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」場合に入るのではないかということを申し上げたつもりでございまして、およそ税務行政一般がここに該当するなんぞということは毛頭考えておりません。また、いろいろ私がお答え申し上げることによって、資料提出なり表現について、できるだけワクをはめておこうなんということも考えておりませんわけでございまして、毎毎再々申し上げておりますように、憲法に縁由いたします国会国政調査権の意義については、その重大性を十分に考えておるつもりでございますので、抽象的に申し上げれば、御要求があるでございましょう資料の個々につきまして、その影響を——影響と申しますか、秘密の開披の結果どういう事態が起こるかということを、担当の事務当局においていろいろ検討いたしました上で、出せるものは出す、どうしても出せないものはお断わりを申し上げるということに相なるということを申し上げたつもりでございまして、一切秘密保持義務というものをたてにとって、国政調査権をはばもうなどということは毛頭考えておらないことを、ここにはっきり申し上げておきます。
  65. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 非常に満足がいきません。実際問題としては、いま、先ほどの答弁が、非常に、昨日よりもさらに拡大されて、いわゆる重大な利益というものが、ものすごく拡大された感じを受けています。これは、まあ、そういうことが続くと、国民納税意欲までも阻害されるということに私はなると、逆に、いまの長官の答弁のほうが重大な利益をそこなうのじゃないかという感じが私はします。  これは、ちょっと時間がありませんから、ここで、国税庁長官に伺いたいんですが、所得税法の二百三十三条、ここに申告書の公示という規定がございますね、条文が。その条文によれば、総所得金額、退職所得金額、山林所得金額の合計額が一千万円以上の者は、公示しなければならないと、税務署長がやるということになっております。これの設けられた趣旨ですね、こういう人が、ことしはこれだけの所得を得ましたと、こういうことで申告をしているし、税務署も調べた上で——修正申告の場合もありますけれども、こういうように認めましたと、異存はありませんかと、こういう意味でしょう。国民の皆さんどうですかということが、一つには公示をする意味があるんだろうと思うんですが、その点いかがなんですか。
  66. 中橋敬次郎

    説明員中橋敬次郎君) 税法の問題でございますから、私からお答えをさしていただきます。  公示制度は、そのねらいといたしますところは、やはり納税者税金が適正に納められることを目的にいたしておるわけでございます。かつてこれは、戦後の混乱しました時期には、第三者通報制度というものとからんで設けられた制度でございますけれども、あの混乱時期が鎮静化いたしまして、報償というようなことと税金とを結びつけるのはいかがかというようなことから、第三者報償制度というのは廃止になりました。しかし、この公示制度というのは今日まで残っております。これは一にかかりまして、やはり税金の適正な課税が行なわれるということを担保するための一つの手段として考えております。すなわち、納税者本人が、やはりそういうある程度の金額以上の所得であれば、一般公開をすることによりまして、第三者の批判も受け得るということで、みずからがえりを正していただくということから、正しい申告を確保するというのが第一のねらいでございます。もちろん第二には、付随的に、いま御指摘のように、それを見た人が、どうもあの人の所得は、申告が考えられているよりも少な過ぎるというようなことから、いろいろな情報が提供されるということも効果としてはございます。しかし、全般的に見まして、この公示制度というのは、やはり適正な課税が行なわれるためをねらった制度でございます。
  67. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 適正な課税を願うためにできているのが、いまの所得税法二百三十三条の公示制度だと、そうすると、主権在民ということから、一方的に税金をきめないで申告をさせているということでしょう、一つはね。一方では、いま言ったような、本人の、一面では国民の監視というような感じがある、そういう公示制度があって。一方に、もう一つには、行き過ぎのないように税務職員守秘義務があると、こういう三つのことから見ると、その中で、いままでの、ずっとこの委員会を通じても、いろいろ総理にまつわる所得についてこれを出していただきたいと言っていること、それが、守秘義務だけがうんと強調されるようになると、これだけ世論でもって大きく騒がれているだけに、国民としては、税務署は一千万円以上公示していると、その中に、総理の所得も入っていればみんな出ているわけです。その内容を明かすぐらいのことがどうしてできないんだろうということから、税務官庁等に対しての不信とか、不満とか、こういうことは必ずもうかもし出されることは間違いないと思うんですね。そういう意味からも、国政調査権の前には守秘義務はないというのが通例なんですから、もう先ほどからの、ずっと昨日以来からの答弁でわかっています。当然これは明かさなければならないことであると思うんですけれども、そういう一方の納税意欲とか何かの点から見ても、いかがお考えですか、これは大臣からお伺いします。
  68. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いまお尋ねの件につきましては、るるこれまで御答弁申し上げたところからお考えいただきますと、国税当局立場というものを御理解いただけるのではないかと思うのでございますが、公権力の行使によって、納税者秘密を知り得る立場税務署はあるわけでございます。と同時に、いまの租税制度は、御案内のように、原則として納税者申告を期待いたしまして、何千万という納税者もございまして、その所得を捕捉するというのは容易ならぬことでございまして、納税者の自発的な御申告をたよりにできておる制度でございまして、そういう制度になっておりますから、納税者税務署との間の信頼関係というものが非常に大事になってくるわけでございます。したがって、いまその点について鈴木先生も憂えられておると、税務署に対する信頼がなくなっちゃ困るじゃないかという御警告をいま申されておると思うんでございますが、私どもは、一方において守秘義務があり、一方において公示制度があるということ、それぞれそういう信頼関係と、それから、納税者の御自覚を促し、同時に、納税者の協力を得られるという、いろいろな法益を現行制度の中で生かして、ただいま巨大な税金を国庫に納めさしていただいておるわけでございます。したがって、これは、総理大臣にまとわる課税問題があったから、これはどう運用するとかという軽い問題では私はないと思うのであります。国家の制度といたしまして、かたく私どもは守っていかなければならない制度であると考えるのであります。  一方、しかしながら、特定の人の課税という問題が、適正に行なわれるかどうかということにつきまして疑惑がありとすれば、まず第一に、私は、国税庁あるいは税務当局というものを御信頼いただきたいとまず思うのであります。われわれはそんなに、人によって課税を二つにするというようなことはいたしていないつもりでございまするし、御信頼をいただきたいと思うのでありますが、しかし、事それだけではなかなか済まない政治的な性格を帯びた問題がいま問われておることも、私も重々承知いたしておるわけでございます。だからこそ、国会との間に、守秘義務国会調査権との間において深刻な議論が展開されておるわけでございまして、したがって、これは先ほど法制局長官からもお答え申し上げましたように、税務の公正な執行を保障するということ、一方において、国会の審議権あるいは国政調査権というようなものを尊重してまいるという、両方の立場を十分どうして生かすかということを、月六体的なケースに応じて真剣に判断いたしまして、それで行政府国会、それぞれ十分の御理解をもって、この問題の収拾をはかっていただきたいと、私は念願しておるわけでございます。
  69. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 国税庁にお伺いいたしますが、国税庁がいろいろ調査している中のうち、資産の移動にかかる「重要資料せん」というものがございますけれども、この保存年限は何年であるか、まず、伺いたいと思います。
  70. 安川七郎

    説明員安川七郎君) ただいまちょっと資料出しております。暫時お待ちください。——ただいま資料が正確につかめませんが、五年というふうに記憶しております。
  71. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 昨日来の守秘義務の範囲におきまして、いろいろ問題になっておりますが、結局、ケースバイケースであるというお話でありました。そしてまた、きのうの答弁の趣旨から見ても、いままでよりは少しは軟化したんじゃないか、いわば一歩前進したんじゃないかという評価が一般的にはなされております。そこで私は、昨日資料要求いたしました具体的な資料について、これを実際に出せるのか出せないのか、このことについてお伺いしたいと思います。  まず私は、昨日、田中総理の昭和三十五年以降の、第一は、確定申告書及び財産債務明細表など確定申告にかかる付属書類一切。  右にかかる国税局または税務署の調査事績簿。  第二に、贈与税、相続税にかかる申告書とその付属書類。  右調査にかかる国税局または税務署の調査事績簿。  第三に、昭和三十五年以降の資産の移動にかかる「重要資料せん」と、その活用事績書類。  こういったものの提出を求めたわけであります。保存期間が五年のものがあるようでありますので、そういう点では、その期間、五年のものはしかたないと思いますけれども、この具体的に要求しましたこの資料のうち、具体的にはどれを出してもらえるのか、これを御答弁願いたいと思います。
  72. 横井正美

    説明員横井正美君) 私どもから現在の段階でお出しできるものは、過去五年間におきます公示されました総理の所得額、それから関係会社の公示されました所得額でございます。
  73. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 所得額だけですか。所得税そしてまた所得額の内訳、これについてはお示しいただけるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  74. 横井正美

    説明員横井正美君) 先ほど来いろいろ御議論いただいておるわけでございますが、私ども立場といたしましては、申告書の内容、法人個人ともでございますが、それにつきましてお示しするということは、税務の上にいろいろ支障が起こるというふうに考えられますのでごかんべん願いたいと考えるわけでございます。
  75. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それは、国政調査権に基づく要求に対しても、そのような措置をとるのか、この点についてお答え願いたいと思います。
  76. 横井正美

    説明員横井正美君) 国政調査権を尊重するということは、私どもの当然の立場でございますけれども、同時に、個人プライバシーの問題あるいは第三者関係あるいは職務上の秘密との関連等を考えますと、お示しすることは非常にむずかしゅうございまして、ごかんべん願いたいと思います。
  77. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そういたしますと、いま鈴木委員も触れたように、所得税法二百三十三条によって、公示することが要求されている、これは国税庁義務である、その資料以外は一切提出しない、こういう結果になると思うのです。そうなりますと、国民のだれもが知り得る資料だけですね、それ以外は、国の最高機関である国会に対しても一切知らせない、そういう態度でないでしょうか。ですから、先ほどから国政調査権を尊重するとか、それに対して、あとう限り協力をして調査を進めるという、こんなかっこうのいいことばがたいへんありましたけれども、しかし、一つも尊重してないじゃないですか。どこが尊重してるんです、それを御答弁願いたいと思います。
  78. 横井正美

    説明員横井正美君) 国政調査権をもちろん尊重して検討いたしてまいりたい、こう思っておりますけれども、現在の段階におきましては、先ほど申しましたような理由におきまして、それ以外のことをお示しいたしますことは、非常に重大な支障があるというふうに考えておるような次第でございまして、まことに申しわけない次第でございますが、御容赦願いたいと考えます。
  79. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大蔵大臣にお伺いいたします。私が先ほど読み上げた三点にわたる資料、これは相当のものがあります。そのうち、いま提出するということを言ったものは、そのうちの第一の、確定申告書及び財産債務明細表など確定申告にかかる付属書類一切という中の、確定申告書、しかも、それではなくて、その中の所得額、しかも、これは法律によって公表することを求められている、義務があるのですね。それだけしか公表しないという、それがいまの答弁でありますけれども、これは、大蔵大臣であると同時に、国会議員でもある大平さんから見て、こんなことでいいんだろうかどうか、これではたして国政調査権を尊重してるんだろうかどうか、この点について明快な御答弁を願いたいと思います。
  80. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 守秘義務というものが、どういう意味合いで立法府で取り上げられて実定法になってまいったかということは、近藤委員におかれましても、いままでの論議を通じましてお聞き取りいただいておると思うのであります。国税庁といたしましていまお答え申しましたように、これについてかたくなな態度をとりますことは、田中さんの所得であろうと、だれの所得であろうと変わりはない、一貫したそういう態度で臨みたいという固い決意であることも、お聞き取りいただいたとおりでございます。  そこで、まず問題は、国会における御論議、国政調査権の御発動にならない段階における御論議に対しまして、いろいろ御質問をちょうだいいたしておるわけでございます。これに対しまして私ども鋭意お答えを申し上げておる次第でございます。それから、ここにあなたをはじめいろいろ各委員から資料提供の御要望があるわけでございます。私といたしましては、もし国会におかれて、われわれの守秘義務立場、持っておる立場というものに理解を示され、行政府立場はわかるという御理解を示していただくことが、私は一番ありがたいことと思っておるわけです。それで、私ども、しかし、せっかく、あなたばかりじゃございません。資料を提供しろというお話がございますので、これにつきまして十分念査をいたしまして、たいへん、いままでの国税庁の御答弁からどこまで出られるか、私は、非常に困難だと思いますが、一応、私どもといたしまして検討をしてお答えしたいと思いますが、こいねがわくば、国会におかれましても、税務当局というものの立場につきまして深い御理解をお願いいたしたいと思います。
  81. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いま言われたような、国民のだれもが知り得るような状況で、田中総理にかかる金脈問題の疑惑が解ければ、とっくの昔解けているわけです。もともとだれも疑惑持たないわけです。しかし、これほど疑惑が出ている。それは、これだけでわからないからです。これでわかるということをむしろ説明してもらいたいと思います。また、いま問題になっているのは、田中さんのいろいろなやり口についてのことが問題になっておりますけれども、同時に、国税庁が十分な調査をしたんだろうか。この点がたいへんな国民の疑惑になっているわけです。そこで私が、具体的な国税庁の持っておられる資料、それをむしろ国民の前に公開して、このように十分調べた、このことを明らかにすることによって疑惑が解けていく、疑惑を解くために私は求めているわけであります。そういう点で、このいままでだれもが知り得るこのことだけで国民の疑惑が解けるのかどうか。この点について御答弁願いたいと思います。
  82. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) たびたび御答弁申し上げておるように、いまの税法のたてまえ、われわれが執行しておりまするやり方は、どういう納税者に対しましても、こういう態度でいっておるということなんでございます。この態度はくずしちゃならぬということでございます。したがって、特定の納税者に対する資料は、田中さんであろうと、どなたの資料であろうと、国会から求められた場合に、私どもはこういう態度でいくのでございます、こういうことまでは申し上げますけれども、これ以上ごかんべんしていただきたい、こう申し上げておるわけでございます。そのことをまず、私あなたの御理解を得たいと思うのです。  それから第二に、田中さんに対する疑惑が、課税上の疑惑があるということでございますが、まず、田中さんも一納税者でございまして、たびたび私も申し上げてまいりますように、人によって軽重の判断は、権威ある徴税当局はやっていないわけでございますので、まず、先ほども鈴木先生にもお願いしたように、このわれわれの税務当局というものを御信頼いただくということが、まず、お願いしたいことでございます。人間やはり信頼がないと、これなかなか事柄は運びませんので、われわれ国税庁といたしまして、五万一千の職員が、十三兆という国税を円滑にいただいておるわけで、これはもう容易ならぬ、人々の信用をいただいておるから、これは成り立っておることと思うのでございまして、田中さんの課税につきましても、私どもがやっておりますことについて、まず、御信頼をいただきたいと思うのでございます。  ただ、しかしながら、もう何千万とおりまするこの納税者所得を、できるだけ正確に捕捉するということは容易ならぬことでございまして、五万人がそれを捕捉するわけでございますから、容易ならぬことでございます。したがって、いままでやったことに間違いはないと思うけれども、新たな問題が提起されておるわけでございますから、もう一度再調査をして、御趣旨に間違いがあるかどうか調べてみようということをやっておることを、このことももちろん御信頼を私はいただきたいと思うのでございます。そういうことが、現行の制度のもとで、疑惑を晴らしていきまする方法であると、制度上許されておる方法であると私は承知いたしておるわけでございます。田中さんであるから特にこうする、田中さんであるから特にこうしない、そういうことを私はやっておったらたいへんなことになると思うのでございまして、そのことをるる御理解を求めておるわけでございまして、現行制度の上で最善を尽くして、徴税上遺漏のないようにやってまいるのが、私どもの任務であり、そしてそれに対していろいろ御信頼をいただいて、御鞭撻をいただくことができればと、私はお願いをしておる次第でございます。
  83. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 時間がまいりましたので、質問としてはこれで打ち切りたいと思いますけれども、きょうの大臣の答弁、また、国税庁当局の答弁は、たいへん重大であります。昨日来、まあ、野々山委員はじめ各委員があれほど議論をした問題は、結局は、だれもが知り得ること以外に教えられないということなんです。これは委員会として、こんなことでは、委員会の権威にもかかわりますので、これは徹底的な追及をしていただきたいと思いますし、この問題をさらに追及していただきたい、このことを強く要求をして終わりたいと思います。
  84. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会