○寺田
熊雄君 いまの
国税庁長官、それから
法制局長官、このお二人の答弁は、非常に私の
質問の中心というものをそれた答弁なんですが、つまり、
守秘義務というものは、中心はプライバシーの擁護にあるんだから、だから、
田中総理自身が、おれの所得には全然違法なところも妥当でないところもないんだと言っている以上は、それを全部あけっぱなして
国民の前に示したって、ちっともそれはプライバシーを侵害することにならぬじゃないか。ましてそれが、国の重大な利益をそこなうなんということは
考えられないんじゃないかということなんです。しかし、これはもう当然わかり切ったことなので、
委員長におかれて、やはり私
どもが
要求をこれからいたします
田中総理の所得の内容、それからその税額、それから、いま、これから申し上げるのですが、
田中総理がその所得の隠れみのに使っていると思われる新星企業株式会社、それから、室町産業株式会社、東京ニューハウス株式会社、この三つのやはりこの十年間における所得、その所得の内容、税額等についてぜひ報告をさせていただきたいと思います。もし、これをどうしても、あくまでも報告をしないというならば、やはりこの三つの会社の代表取締役を証人として当
委員会に喚問していただきたいということをお願いして、この法律問題については一応私はこれで時間の
関係がありますので終えて、あと事実問題だけについて申し上げたいと思います。
と申しますのは、
田中総理の四十六年度の所得、これは
国税庁長官、七千三十七万円になっております。それから、四十七年度が八千五百七十九万円、四十八年度が七千七百九十七万五千円、これを、われわれが所得税及び住民税を計算をして、給与所得、配当所得などにそれぞれ税率を適用してみますと、手取り額は、四十六年度が二千二百八十八万四千九百三円、それから、四十七年度が二千五百八十五万三千六百九十二円、四十八年度が二千三百万八千九百二十五円ぐらいになります。これは所得の内容によって多少の誤差はありますけれ
ども、大体、こういうふうな手取りになるだろうという見当はつくのです。ところが、
田中さんが、四十七年に軽井沢で八千九百五坪の別荘地を買い入れていると言われるわけです。私
ども、若干登記簿謄本を取ってみましたが、それに大体相応する事実があるように思います。ただ、その三分の二の五千九百十一坪は東京ニューハウス株式会社
名義で、残りの二千九百九十四坪が
田中さん御
自身が買い入れたということになっております。これらの購入資金を、坪五万円と最低に見積もっても、これは一億四千九百五十万円、坪十万円とすると、その倍額になりますね。
田中さんがどうしてこれだけの手取り額なのに、四十七年にこういう不動産を購入することができるか。そういうやはり資金を税務当局は
調査したのかどうか。また、所得税法の第二百三十二条の規定によって、
田中さんが提出したはずの財産債務
明細書には、この点が明らかになっているのかどうかという点をまず伺いたいんです。と同時に、これは公明党のほうも発表しておられるようですが、目白の
田中さんの私邸の敷地が、東京ニューハウス
名義が三千三百二十六・四八平方メートル、室町産業株式会社
名義が五百三十四・八三平方メートル、
田中さん御
自身の
名義が四千五百十一・四九平方メートルになります。この目白の私邸の三むねの家屋があるのですが、その中で、木造平屋建ての居宅七十五・二九平方メートルがやはり東京ニューハウス
名義であります。
それから、新星企業、室町産業が、登記簿上新宿区本塩町二十三番地にあることは、あなた方お調べになっていらっしゃると思うんですが、これは高梨建築事務所というわずか五、六坪の一室であります。これは高梨勝重という人の建築事務所で、そこには高梨さんがときどき出勤されるほかは、益城弥生という設計見習いの女子職員が一人おるだけですね。ところが、その中に、いま言った資本金十億円の室町産業、それから、六億円の新星企業と、もう
一つ、これはいままでにあまり言われていないんですが、軽井沢商事株式会社という資本金二億円の会社がおるわけであります。つまり、わずか五、六坪の一室に、資本金十八億に達する大法人がひしめいている。その大法人が、電話を一本も持っていない。従業員も一人もおらない。だれもそこにいない。そこへ電話してその女子職員に聞いても、これは名ばかりであって、私
どもではさっぱりわからないんだと、こう言うわけですね。だから、さっき建設省の
課長さんが
調査のしようがないと言った。われわれがもしこういうような脱法的な隠れみのをやったら、これは税務署は断じて許しませんよ。とても通るもんじゃありません。これが
田中さんという、
行政権を一手に握っている人だからこそ、こういうような幽霊会社なり資本金十八億もの会社を持って、そしてその隠れみのになって
田中さんの財産というものがふえていっているわけです。だから、われわれは脱税の疑いがあると、こう言っているわけです。だから、そういう
疑惑を晴らさない限りは、これは
国政調査権は、どうしても最後までこの問題を追及せざるを得ないわけです。いかにこれがあなた方が
守秘義務を言うても、こんなに大きな
疑惑を残しながら、
国会がそれを
調査できないということは、これは御承知のように、日本人の道義的感覚の欠除というものを疑われてもしようがないでしょう。あるいは
国会議員の道義感の欠除といってもいいかもしれません。それをおそらく全世界の人々からは笑われるだろうと思うんです。だから、どうしてもこれは、われわれとしては明らかにしなければいけない。そういうことでわれわれはこの問題を提起しているわけです。
最後に、いま私が申し上げたように、そういう幽霊会社が、
田中さんの私邸の中にたくさんの
土地を所有している、あるいは三むねの中の一むねさえも、その人の
名義になっている。そのほか軽井沢の
田中さんの別荘と言われるものも、そういう幽霊会社が取得している。あるいは越後交通という株式会社の株式な
ども、やはり同じ問題があるんですが、これは時間の
関係で私はきょうこれで打ち切りますが、こういう点について、今後税務当局はメスを入れる決意があるかどうか。この間、
国税庁の次長は、単に所得の内容が秘密だということだけじゃなくして、それを追及していく税務当局のプロセス、それまでも隠そうとしたわけでしょう。これなどはもう
守秘義務の非常な乱用で、きょうは
守秘義務の乱用について法務省の刑事
課長さんにもきていただいているんだけれ
ども、もう時間がないから、
国税庁長官、あなたは、ともかくこれからそういう
田中さんの脱税の容疑をわれわれが提起しているわけだから、真剣にこれに対してメスを入れていく決意があるかどうか。また、すでに過去においてこういう点にメスを入れたことがあるのかどうか。その二つについて簡明に答えていただきたい。