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1974-12-06 第73回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十二月六日(金曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員の異動  十一月二十九日    辞任          補欠選任     沢田 政治君     目黒今朝次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          鶴園 哲夫君    理 事                 原 文兵衛君                 栗原 俊夫君                 内田 善利君    委 員                 菅野 儀作君                 藤井 丙午君                 宮田  輝君                 森下  泰君                 久保  亘君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 沓脱タケ子君                 近藤 忠孝君                 三治 重信君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  毛利 松平君    事務局側        常任委員会専門          員        中原 武夫君    説明員        環境庁大気保全        局長       春日  斉君        通商産業省機械        情報産業局自動        車課長      富永 孝雄君    参考人        グールド・イン        コーポレーテッ    ド排気研究部長 ロバートフィーダー君        通     訳  漆原 一郎君        東洋工業株式会        社常務取締役   河野 良雄君        富士重工業株式        会社常務取締役  長島 昭次君        本田技研工業株        式会社常務取締        役        杉浦 英男君        三菱自動車工業        株式会社常務取        締役       持田 勇吉君        七大都市自動車        排出ガス規制問        題調査団員東京        大学助教授    西村  肇君        中央公害対策審        議会自動車公害        専門委員会委員        長東京大学教授  八田 桂三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (自動車排出ガス昭和五十一年度規制に関す  る件)      —————・—————
  2. 鶴園哲夫

  3. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) それでは、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、自動車排出ガス昭和五十一年度規制に関する件について調査を行ないます。  この際、各参考人に対し、委員会を代表いたしまして一言ごあいさつ申し上げます。  参考人方々には御多用中のところ本委員会調査のため御出席をいただき、まことにありがとうございます。本日は、自動車排出ガス昭和五十一年度規制問題につきまして、それぞれお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。  なお、本日の議事の進め方でありますが、まず参考人方々から各十五分程度意見を述べていただき、続いて委員の質問にお答えいただきたいと存じます。  それでは、まずフィーダー参考人からお願いいたします。
  5. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) 私は、グールド社排気研究部長ロバート・J・フィーダー工学博士です。自動車排ガス中の窒素酸化物を減少させるための還元触媒開発計画における技術責任者です。  まず当社の紹介から始めたいと思います。グールド社各種自動車部品及び電気製品などを製造、販売している国際企業で、年間売り上げは約七億三千九百万ドル、邦貨にいたしまして二千二百二十億円です。グールド社製造品目は広範囲にわたっており、エンジン部品自動車関係部品各種バッテリー電動機発電機に加えて、産業用並びに医療器機も含まれています。当社は、昭和三十七年以来日本の日産自動車との合弁によって自動車エンジンのベアリングの製造を行なっており、好成績をおさめております、また、最近では自動車関係部品生産のためブリヂストンタイヤと合弁会社を設立しています。グールド社日本の五十一年度自動車排ガス規制に関する重大な審議においてその立場を正式に日本国政府に御紹介できる議会を得ましたことは喜びにたえません。  一九七〇年の秋、米国のある自動車メーカーから当社金属加工電気化学処理に関する専門技術自動車用触媒に応用してみてはとの申し入れを受けて以来、グールド社NOx還元触媒開発に取り組んでまいりました。その当時は昭和五十年、五十一年の排ガス規制を満足させるような技術ははっきり言ってありませんでした。しかし、それ以来事態は大きく変化してきました。何年もの間休閑状態にあった幾つかのエンジン概念重要性を持ってきたのです。いまやロータリーエンジンCVCCエンジンのいずれもが活発に市場に出されています。これまでになく燃焼制御性能が大きく、したがって排出物の少ない新しい点火燃料方式生産されています。一酸化炭素——CO及び不完全燃焼炭化水素——HC触媒制御方式は八万走行キロをこえても十分性能が持続できることが実証されました。本年九月以降に生産された米国自動車の大部分はこれらの触媒を装備しています。おそらく最も重要と思われることは、触媒が急速に最適合化された自動車方式構成部分になりつつあることです。たとえば、ゼネラルモーターズ社触媒を使ってCOHCを減少させ、それによってエンジン効率最高まで上げることによって、同社の一九七五年型車燃費を二〇%以上向上させようというものです。この急速な技術開発は同様にNOx還元触媒にも当てはまるものと信じています。五十年度の排ガス規制達成は不可能であるとしばしば言われながら、いまや現実となっているように、一たびすべての技術が結集されれば五十一年度規制達成も可能であることを証明していると言えましょう。しかし、このような楽観的な考えは受け入れられないでしょう。性能上の責任を受けねばならない立場にある自動車メーカーにとっては論より証拠というのも当然のことです。懐疑的に、また慎重になるのももっともなことだと思います。しかし、将来のできごとが私の視野の正しいことを確認することになると信じます。  さて、私はここで、五十一年度規制技術的に達成し得るか、燃費運転性能劣化はどうなるか、グールド社NOx触媒はどの程度費用がかかるか、この三つの重要な問題についてグールド社の見解を要約して述べてみたいと思います。  まず一番初めNOx制御技術についてですが、グールドNOx還元触媒は正しく設計されたシステムに用いられれば五十一年度規制キロ当たり〇・二五グラムは達成できます。今日までのテストではこの値は排気量五七〇〇cc、重量二トン以上の大型車車種と一八〇〇cc排気量小型車車種によって達成されています。  ここで、つい最近大型車を使用して得たデータ報告したいと思います。日本のテン・モード・テスト.サイクルに従って六回のテストを行ないましたが、四万キロ走行後の平均値として次のようなデータが得られました。NOxキロ当たり〇・二三グラム、HCキロ当たり〇・二〇グラム、COキロ当たり〇・二三五グラム。この三つの値はいずれも日本の五十一年度規制値であるNOx〇・二五グラム、HC〇・二五グラム、CO二・一グラムを下回っています。これより以前に日本製の一八〇〇ccエンジン車、これはマニュアル・トランスミッション車でしたが、この車を使いまして米国日本で行なわれた走行テストでは、六万キロ走行後でNOx排出量は〇・二五グラムを下回っていたことが示されています。  グールド社NOx触媒計画は、専従の専門家約十五名と助手委員二十名を動員して、年間百万ドル——約三億円をこえる額を投じています。この努力料学的研究から工程開発サンプル生産エンジン並びに車体テストに及んでいます。実用的NOx還元触媒開発における実車走行耐久テストは、いまや百万キロをこえています。このテスト計画の間、幾つかの触媒進展を見ましたが、初期のものは化学的活性は非常によかったのですが、触媒耐久性限界があったことはグールド社報告をしていますし、また世界じゅうの自動車メーカーからも報告を受けています。この初期触媒の持つ脆化傾向、つまりもろくなる性質は、自動車メーカーによって政府にも報告されてきました。しかし、一九七四年初頭以来、グールド社テストを重ねてNOx触媒方式最適化を行なってきた結果、初期触媒に見られた問題は事実上解決したと思われます。この最適化されたNOx触媒テストは、現在までに約二十万キロに達しています。われわれの触媒は八万キロをこえても脆化、もろさを示さなかったことがはっきり観察されています。また燃料切れスパークプラグのミスファイァ、また点火の失敗などのようなダメージに対する抵抗力も大きく向上されています。グールド社は、目下この技術上の著しい成功日米両国科学界並びに政府に対して文書で報告する準備をしています。米国環境保護庁ではすでに幾つかのテスト成功をおさめており、近い将来かなりの数の州や都市の自治体に対してデモンストレーションが計画されています。自動車技術者協会への技術説明もうまく受け入れられています。また幾つかの官公庁による予定された実車テスト計画も順調に進められています。  第二に、燃費運転性能劣化についてですが、グールド実車テスト計画においては、これまでにメーカーや型もいろいろ異なる十七車種が使用されています。燃費運転条件によってベースラインよりわずかによいときも、またやや悪くなることもあります。運転性能触媒方式を採用しても劣化が起こるようなことはありません。しかし、グールド触媒はまだ車に最適合化されたものではありません。最適合化をはかるためには自動車メーカー専門知識が必要ですし、燃料効率のよい、またよりよい性能を持った車が排ガス制御犠牲にすることなく、近い将来自動車メーカーによって設計されるようになるだろうと信じています。  三番目に、グールドNOx触媒費用についてですが、日本の標準的四気筒車であれば、グールドNOx触媒方式装置に要する費用はおよそ一万五千円ぐらいでしょう。八気筒車では触媒を二つ必要としますので費用は高くなります。この費用の見積もりは、グールド社が長年にわたって世界の主要自動車メーカー大量生産による精密部品を供給してきた幅広い経験に基づいたものです。グールド社触媒大量生産し、しかも日本市場に向けて生産するというチャレンジを心待ちにしています。  最後に、自動車排ガス制御は急速に技術進展する分野であることを強調したいと思います。特に最近の進展には目ざましいものがあります。信頼性について最も関心のある多くの面々が技術的にはまだ無理だというのも無理からぬことでしょう。こうした事情は日本同様米国にも存在します。米国ではグールド社はその技術政府省庁とのテスト計画を通して第三者的に立証することに力を注いでおります。グールド社日本においても同様に技術デモンストレーションに大いに参加することに希望を持っていることをここに申し述べておきたいと思います。  なお、このステートメントのコピーを用意してございますので、委員の諸先生方に、御希望でございましたらお渡ししたいと思います。十分に用意してございます。ありがとうございました。
  6. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) どうもありがとうございました。  次に、河野参考人にお願いいたします。
  7. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 東洋工業河野でございます。五十一年規制につきまして、東洋工業の低公害車開発姿勢について申し述べます。  車洋工業の低公害車開発方針は、定められた排出ガス規制に合格することを第一目標とするのではなく、社会の要請にこたえて、可能な限り最高のものを社会に提供することであると考えております。その研究開発の成果といたしまして、昭和四十八年五月には五十年排出ガス規制値達成するロータリーエンジン搭載の低公害車マツダREAPSを発表することができ、その後四十八年十月にはレシプロエンジン車についても業界に先がけて低公害車マツダCEAPSを発表し、これらの低公害車には物品税自動車取得税の一部を免除するという国の低公害車優遇税制最初の指定を受けて、本年九月までその恩典を受けてまいりました。  次に、昭和五十一年排出ガス規制に対する東洋工業考え方及び現状について申し上げます。  現在五十一年目標達成するために、二つの方針もと窒素酸化物低減を追求しております。その一つ方針は、五十年規制に採用している浄化システムもとにしてその改善をはかることであり、他の一つは革新的なアイデアに基づく技術開発を目ざすという方針であります。  まず、五十年規制に採用しています浄化システム改善をはかるプロジェクトとしては、サーマルリアクター方式または酸化触媒方式をべースといたしまして、エンジン改良さらに排出ガス循環装置を装着いたしまして窒素酸化物低減をはかることになりますが、この影響でエンジンから排出される一酸化炭素及び炭化水素排出量増加走行性を悪化させる問題が発生し、窒素酸化物低減には限界があり、〇・六グラム・パー・キロメーターを割る平均値を五十一年度において量産することについては大きな壁がございます。この壁を破るためのプロジェクトとして五十年対策とは異なる革新的な考えに基づいて、幾つかのプロジェクト窒素酸化物低減の極限を追求しております。その研究開発過程で〇・二五グラム・パー・キロメーター達成ポテンシャルがないものとして研究開発を中断した幾つかの方式がございます。しかし、現段階で〇・二五グラム・パー・キロメーターの最も達成可能性の高いと考えられていますロータリーエンジンで、成層燃焼方式を採用した方式において窒素酸化物到達レベルは、実験車で〇・三グラム・パー・キロメーター平均値でありまして、窒素酸化物低減燃費についても高いポテンシャルがありまして、非常に希望を持っております。しかし、低減目標値〇・二五グラムを量産で達成するため、には、燃焼方式のコントロール及びそれに関連する部品につきまして、さらにきびしい精度と複雑さが要求され、また信頼性運転性価格など未確認、未解決の問題が多く、商品化までにまだ相当の試験期間が必要でありまして、昭和五十一年低減目標値達成する可能性の有無及び実施可能時期の見通しが得られるのは昭和五十一年後半になると考えております。  前にも申し述べましたように、当社は定められれた排出ガス規制に合格するのみに満足することなく、より低い排出レベルの低公害車開発する努力を続けており、これらの低公害車が世に受け入れられ普及することによって初めて効果が発揮されるものと考えております。しかしながら、低公害車は、排出レベルが低い代償として価格の上昇、燃料費維持費等増加により使用者犠牲を伴うことになります。したがって、これらの低公害車開発、普及を促進するために、規制値を大幅に下回るものにつきましては、使用者に進んで使用してもらえるような十分な優遇措置を講じていただくように強くお願いする次第でございます。いずれにいたしましても、東洋工業といたしましては、これからも、よりよい排出ガス対策を施した車の開発を目ざして努力を重ねていく決意でございますので、今後とも一そうの御指導、御支援をいただきますよう心よりお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
  8. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) どうもありがとうございました。  次に、長島参考人にお願いいたします。
  9. 長島昭次

    参考人長島昭次君) 富士重工業長島でございます。最初国会——衆議院で九月に御説明申し上げましたことをお話しいたしまして、その後ごく最近の状況をつけ加えたいと思います。  九月に衆議院で御説明申し上げました内容につきましては、お手元に資料をお届けしてございます。その中で、五十一年規制のことにつきましては、初め私ども還元触媒を中心にして開発を続けてまいりました。その場合に、初期値としましてはかなり良好なレベルに達することができましたけれども耐久試験を行ないましたところ、劣化の進行がきわめて大きくて、短時間で規制値をオーバーしてしまうということが明らかになりました。結局、この還元触媒を使うという考え方は、還元触媒耐久性改善に負うところが非常に大きいということが言えると思います。したがいまして、当社におきましては、NOx低減のためには還元触媒を使わずに、エンジン改良排気ガスの再循環方式による制御法につきまして各種研究を重ねてきたわけでございます。  当社エンジン小型車エンジンはちょっと世界的にもきわめて例の少ない水平対向気筒アルミ合金エンジンでございまして、しかもボアとストロークの比率が非常に大きい、ボア・ストローク・レイショが約一・四強という非常に例の少ない特殊なエンジンでございます。それについて排気循環方式を織り込んだ形でいろいろ試験をやってきております。その結果、COHC規制値内に保とうとするためには、現状ではNOx排出レベルは一キロ当たり〇・九グラムぐらいが限度かと思われます。ただし、この場合でも運転性燃費劣化がございまして、商品としての万全を期するためにさらに詰めが必要だと考えております。なお、当社では軽自動車もやっておりますが、軽自動車につきましては、まあいってみれば幼子のような非常に馬力の小さい車で、しかもおとなの大きい車のような荷物をといいますか人間を運ぶということで非常に排気対策がやりにくいということがございまして、三六〇CCのままでということでは非常に対策がむずかしゅうございます。できれば若干の排気量増加をお願いしたいということでございます。  で、お配りいたしました資料最後の表を——別表がついてございますが、これがこの夏ごろまでの試験の結果をまとめた代表的なものでございます、で、NOxだけをできるだけ少なくするためにはEGRを極力きかせてということでやったんでございますが、その場合、NOxは〇・四グラム程度まで下がりますけどもハイドロカーボンCOの値が規制値をオーバーしまして、しかも運転性がかなり悪くなる、安全性にもいろいろ問題が出てくるということでございまして、この表の左から三行目の小型車の三番目のところに書いてございますEGRのきかせ方をあまり大きくしないでやりますと ハイドロカーボンCO規制値を合格し、運転性もまあがまんどころでおさまると、その場合のNOxが〇・九グラムぐらいという結果になっております。なお、軽自動車のほうにつきましては、NOxをやはり先ほど小型で申し上げましたように減らすためにEGRをきかせていろいろやったんでございますが、三六〇ccでは何しろ運転性劣化に非常に影響いたしまして、あまり大幅にEGRをかけられないということがございまして、結果的にはやはり〇・九五グラム程度、一番右側の数字でございますが、その程度達成し得る限界であろうというふうに御報告申し上げた次第でございます。  で、その後まあ三ヵ月ばかり、たっておりまして、その間にいろいろ実験詰めをやっております。先般もアメリカの規制——これは七五年のカリフォルニア規制に対しましても、触媒あるいはリアクターというようなものを使わないで、エアポンプをつけ、EGRをきかしただけでカリフォルニア規制に合格するということが達成できたわけでございます。御承知のとおり、カリフォルニア規制は、日本の五十年規制に比べますとNOxは大体同じようなレベルでございますが、COが約三倍、ハイドロカーボンが約二倍ということで、五十年規制よりかなりゆるい規制値でございますので、そういう特殊なディバイスをつけないで達成できた次第でございます。  昨日の中公審専門委員会答申案によりまして、小型車は〇・六というような案が発表されておりますが、私どもといたしましては、こういうきめられた数字、まあこれが決定になりますれは五十一年度に何とか〇・六を達成するように全力をあげてがんばりたいと思っております。なお、軽四輪につきましては、三六〇のままで規制値をどんどん詰めていくということは非常に無理がございますし、また、省資源という見地から考えましても、軽自動車というものの将来を大事にする必要があるんじゃないかと考えますので、CCのワクをふやしていただくということをお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  10. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) どうもありがとうございました。  次に、杉浦参考人にお願いいたします。
  11. 杉浦英男

    参考人杉浦英男君) 本田技研杉浦でございます。本日、私がここで申し述べますことは基本的には前回社長の代理といたしまして、この委員会において私が申し述べましたことと基本的に変わることはございませんが、その趣旨をあらためて申し述べさしていただきます。  私ども本田技研は、去る九月、創立二十六周年を経過いたしました若い会社でございます。その規模は、最近の年間売り上げにて約四千三百五十億円、うち六割に当たる二千四百億円は輸出売り上げでございます。もともと当社二輪車メーカーとして成長してまいった会社でございますが、およそ十一年前から四輪車の生産も開始いたしました。現在売り上げに占める四輪車の比率は約四割となっております。  私どもは、自動車製造販売を業とする立場にあるものとして、環境改善、交通の安全、省資源等重要性は深く認識しており、特に排出ガス制御については、昭和四十一年以来その研究を精力的に推進してまいりました。ことに昭和四十四年、マスキー法排出ガス規制一つの大きな目標として掲げられまして以来、その目標を目ざして研究開発に一そうの拍車をかけてまいりました。私どもは、この研究開発過程で、幾つかの有害成分除去技術を並行的に検討し、評価いたしました結果、最も望ましい方法としては、エンジン本体燃焼過程改善することによって排出ガスもとからきれいにする、この方法以外にはないという認識に立ちまして、もっぱらその実用化研究開発の重点をしぼってまいりました。これがCVCCエンジンシステムでございます。これを小型車ホンダシビック車体に搭載しまして、実用上の問題点テストし、解明してまいったのでございます。  排気対策という新しいシステム開発にあたって、私どもはまず、それを構成する個々の部品や材料にまだ実証されていない技術を導入しないことが第一に大事なことと考えました。未知の分野に属し、いまだ実証されていない技術を導入しないことによって、省資源問題とか、副次的な公害問題とかいったような意外な災いを将来とも起こさないで済むと考えたからでございます。私ども触媒といった一般的に効果があるとされているあと処理システムを採用しない理由の一つでもございます。また、現在の生産ラインの大部分の設備を流用して生産し得るということも、排出ガス対策を時間的により早く実施できるという観点から、システムを選択する上に重要な要素であると考えました。さらに、排出ガス処理システムそのものの永続的な信頼性耐久性を確保するためにも、従来のレシプロエンジンの改造によって排気対策をする方針を立て、排出特性の相反するCOHCNOxという三成分を同時に低く押える方法として私どものとりましたのが、ごく薄い空気と燃料の混合気を用いてゆっくり燃やし、そのときの希薄混合気の着火性能を確保するため、もう一つの小さい燃焼室を設けたCVCCエンジンシステムでございます。このCVCCシステム小型車シビックに搭載いたしました五十年規制適合車は、昨年末より生産を開始いたしまして、現在までに約二万二千台をお客さまにお渡しすることができました。そしてこの十月から対米輸出向けの船積みを開始いたしました。私ども研究陣、技術陣は、業務の最重点を目下五十一年規制適合のための技術開発、シビック一五〇〇以外の車種の五十年規制への生産の切りかえ及び現在のCVCCシステム改良と品質管理制度の向上にしぼってエネルギーを結集いたしております。  さて、今日国民的な関心事であり、かつ社会的な強い要請として叫ばれております五十一年規制の問題でございますが、当然、私どもはこれに対して企業として総力をあげて最大の努力をしなければならないことは強く認識いたしております。私どもは五十一年規制対策としては、これを五十年規制対策の延長としてとらえ、したがいまして、すでに生産ラインにのせておりますCVCC五十年規制対策エンジンをさらに改良し、NOxレベル低減可能性を求めるという線に沿って努力をいたしてまいります。現時点では、実験室において、五十一年規制目標値である〇・二五グラム・パー・キロメートルを満たすものが出ておりますが、残念ながら自助車の総合性能という視点からしますと、不合格と判定せざるを得ない状態でございます。言いかえますと、とてもこれでは社会が求めております自動車への期待ないしは要求を満たし切れず、このまま市場に出しましても安全の面、使い勝手の面、そういったものから見て、とても受け入れていただけないであろうと判断せざるを得ないのが現状でございます。  これらの実情を踏まえまして、自動車排出ガス規制に関しての本年七月、環境庁長官よりの御要請に対して私どもが御報告いたしましたものの一部を申し上げますと、次のようなものでございます。すなわち、わが社ではCVCCシステムをもって五十一年規制目標値を実験室的には達成いたしてはおりますが、いまの状態では、これが多量生産され、広く社会に受け入れられ、お客さまに喜んで使っていただける自動車とは言い得ないと、現時点、判断いたしております。私ども社会責任一つとして公害対策重要性を十分認識し、今後とも引き続き技術開発を積極的に進めてまいりますが、〇・二五グラム・パー・キロメートルのNOx排出水準を生産的に実現するには、さらに燃焼方式に関する新しい研究開発成果の誕生を必要といたします。このような次第でありますので、今後とも適当な間隔で聴聞会のような機会をつくり、その間の技術進歩などを把握していただき、それに基づいて規制の適切なステップアップをはかっていただくようお願い申し上げました。また、私どもが現在生産しております小型車を中心に、五十一年規制の暫定値について御報告をいたしました。これは、当社はすでに五十年規制に適合する車として、シビックCVCC一五〇〇を生産し、販売いたしておりますが、そのNOx排出水準に関する性能を踏まえて、今後、技術開発成果の投入、品質管理水準の向上によって、車の性能を維持しながら到達し得るNOxの水準は、一五〇〇CCシビックCVCCにおいて、〇・六グラム・パー・キロメートルであるということでございます。なお、この数値〇・六グラム・パー・キロメートルは、実験データからして、車両重量やエンジン特性等から、必ずしもすべての車に共通して適用できるものとは考えておりません。以上が私どもからの御報告の概要でございました。  報告書でも申し上げましたが、私どもといたしましては、現時点におきまして、NOx〇・二五グラム・パー・キロメートルを実現いたしますには、解決すべき技術問題点を含んでおり、社会に受け入れていただける限界として、一五〇ONOxクラスの車において、現在の技術水準では、生産ベースの平均値として、〇・六グラム・パー・キロメートルの付近に厚い困難性があると判断せざるを得ません。この問題点と申しますのは、第一に運転性能の低下であり、第二は燃料消費の増大、第三はエンジンの燃料供給装置の品質管理の困難さと、これを解決するための生産技術の未開発、第四は付加装置信頼性耐久性上の不安でございます。これらのうち第三、第四にあげました品質管理及び生産技術の問題や、部品信頼性耐久性の問題は、これはメーカー自身で解決しなければならないことでございます。もし時間がいただけるならば、何らかの技術方法を見出し、よりよい方向に近づけてまいりたいと存じます。運転性能や燃料消費の増大については、その完全な解決は理論的にははなはだむずかしいものでございまして、今日、いろいろの技術方策の組み合わせで改善の方向にあると考えてはおりますが、現在の状態では、未対策車との混合使用における交通の流れの中での安全問題、あるいは交通の流れの不円滑、不経済といった問題でございます。これらは将来、新しい研究開発の成果の誕生があればある程度解消されたとしても、なお問題を残すものと予想されますが、いずれも自動車に対する個人的、ないしは国家的立場での価値観の問題で、公害対策の優先性との見合いで新しい価値観が社会に生まれてくるものと考え、またそう願っております。このような価直観か社会に生まれ、かつその普及を助長するためにも、また当面の環境改善していく道程としても、現に生産し、販売されております低公害車に対する積極的な誘導のための対策が講じられることを切に希望する次第でございます。  環境改善、交通の安全、資源の節約の重要性は私どもの深く認識するところでございます。また、その中における私ども責任を果たす意味合いからも、私どもは〇・六グラム・パー・キロメートルの壁を乗り越え、さらに〇・二五グラム・パー・キロメートルという排出水準を実現するための技術開発を積極的に推進すべく一そうの努力を重ねてまいります。また、顧みますと、先ほども申し述べましたように、ちょうど一年前になりますが、当社は五十年規制実施に約二年先立って、五十年規制適合車の生産販売に踏み切り、現在時点でもNOx一・二グラム・パー・キロメートルという五十年規制値の約半分近いところまですでにNOx排出水準を下げております。この実績からも御理解いただけますような企業姿勢をもちまして、今後とも時間とともに積み重ねられていく開発成果、技術努力を逐次投入して、規制値にこだわることなく、社会にとって有用なかつ必要とされる性能、機能を備えた自動車を世に送り出していきたいと念願いたしております。  どうもありがとうございました。
  12. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) どうもありがとうございました。  次に、持田参考人にお願いいたします。
  13. 持田勇吉

    参考人持田勇吉君) 私は三菱自動車株式会社開発関係を担当しております持田でございます。  三菱自動車工業におきましては、現在、軽自動車、小型乗用車、商用車、トラック、バス等を生産しておりますが、当社といたしましては、公害を出さない製品を公害を出さない工場でつくる、これがわれわれに課せられた最重要な課題と考えておりますし、当然本日御審議いただきます自動車排出ガス問題、これは最大の努力を傾けてやりつつあります。特に当社は、親会社でありますところの三菱重工業、この会社では各種公害機器を開発しておりますが、この研究所の協力を得ておりますし、また三菱電機あるいは三菱金属等の兄弟会社もあり、その他の会社の協力も得て研究しておりますとともに、米国のフォード及びモービル石油会社を中心といたしまして、これに日産さん、トヨタさん等に伍しまして、三菱もそのメンバーといたしまして、世界的規模で排気ガス対策についての研究をしております。  それで、研究技術方針を申し上げますと当社は数多くのプロジェクトを持っております。まず将来のエンジンという考え方から排気ガスタービン方式、あるいは電気自動車等の研究もやっておりますし、また、ガソリンのレシプロエンジンにつきましても、燃焼関係を基本的に考え直す、原点に立って考え直す研究もやっておりますが、当面の問題といたしましては、現在のエンジンの燃焼を極力よくし、可能な限り排気ガスを低下させて、なお足らざるところは、あと処理装置によってこれを処理すると、こういう考え方で行なっております。  まず、具体的に五十年対策から御報告申し上げますと、本年の八月から五十年対策車を発売しておりますが、これは当社のレシプロエンジンサーマルリアクター方式並びに排気ガス循環方式を加えましたものでございます。これを私どもはMCAIIBという名をつけまして市販しております。これを簡素化しましたもので、アメリカのカリフォルニアにも出荷しておりますし、さらに簡素化したもので、アメリカの四十九州向けにも出荷しております。この方式を明年の十一月末までに全車に及ぼしまして五十年規制には対処いたしたいと考えております。  次に、五十一年規制対策でございますが、これにつきましては先ほどお話しいたしましたごとく、各種研究をやっておりますが、ここでは具体的な二つの方法について御報告申し上げたいと思います。  まず第一の方法は、サーマルリアクター方式及び排気ガス循環方式を加えたものでございます。この方法によりまして当社の今日までの実験研究結果を御報告申し上げますと、六万キロ走行後のデータでございますが、軽自動車では〇・九、等価慣性重量一トン級では〇・六前後、二リッターの日本小型車限界ぎりぎりの車、等価慣性重量一トン五百のものでは〇・九ぎりぎりと、これが私どもの今日現在における研究の実績でごございます。  それから第二にサーマルリアクター方式でなく触媒方式、これにつきましても世界じゅうから各種触媒を取り寄せ、あわせて三菱重工業で開発研究しましたところの触媒も使いまして実験しておりますが、初期値には〇・一の値が出ますが、走行過程でこれが劣化してまいりまして、現在私どもの手持ちの耐久性のある触媒でも浄化後の性能は〇・七に悪くなってまいります。これがベストのものでございます。このように触媒方式では五十一年には〇・二五は達成できないというのが現状でございます。  昨日、中央公害審議会の大気部会の自動車公害専門委員会答申案の要旨の発表を拝見いたしましたが、これを見ますと、これはなお詳細を拝見いたしませんとわかりませんが、大体の考えは私どもにとりましてはやはりシビアなものでございます。一トンをこえる車に〇・八五というのを達成いたしますためには、私ども軽自動車及び比較的大きい車に対処しましては、これからの研究によりますが、若干の燃料消費量増あるいはコスト増を伴うのではないかと思いますが、これに向かって全力傾倒いたしたいと考えます。それから一トン以下の車〇・六、これも私ども開発現況ぎりぎりでございますが、これを安全な製品にまとめ上げるように今後とも研究の完成を期したいと思っております。  終わりに、軽自動車について一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、軽自動車は現在六百五十万台のユーザーが日本にございまして、これは省資源、省エネルギー、省スペースの日本人の発明した世界的な作品だと思いますが、このものは日本に適しておると考えますので、今後とも私ども生産販売いたしたいと思いますし、これをつぶすようなことのないような施策を希望してやみません。で、このものは小型車の約半分の資源でできる、燃料消費量も非常に少ないというものでございますので、その性格が非常に重要でございます。したがいまして、今回の決定でも技術的に困難ということから検討の余地を残していただいたわけでございますが、このものの排気ガスを完全に小型車並みにしようといたしますと非常に大きなエンジンを積むことになりますが、これでは省資源、省エネルギーの目的に違反いたしますので、たとえば五百CCぐらいがとまりではないかと、やはり省資源、省エネルギー、省スペースということをよく考えた上で、可能な限り排気ガスを低くする。これが〇・八五からどの程度下がりますか。〇・八までいきますか、〇・七五までいきますか、今後とも力を傾けて研究いたすつもりでございますが、このように軽自動車というものの性格をよく大局的に御判断いただいて今後の施策をおきめいただきたいと希望いたします。いずれにいたしましても昨日の発表で答申案が明らかになりましたが、この前後で施策が御決定あると思いますので、私どもはこれに向かって全力を傾倒する所存でございます。  終わります。
  14. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) どうもありがとうございました。  次に、西村参考人にお願いいたします。
  15. 西村肇

    参考人西村肇君) 私は昨日発表されました専門委員会の答申要旨、新聞で拝見しただけですが、それについての意見を申し上げたいと思います。  要旨を言いますと、私たちは七大都市調査団の一員としましてこれは考えられなかったぐらいの後退した内容の答申だと思います。  まず最初に指摘したい点は、専門委員会の趣旨は、これをいわば専門家として自信を持って答申なさったのか、専門家として自信があるかということを伺いたいと思います。私たちは、専門家というのは、何かあることについて詳しく経験があるとか、知っているとかいうことでなくて、ある自分の専門の問題について多くの人々から信託を受けている人間だと思います。それで、自分の信託を受けた問題についてはどこまでも責任を持つということが専門家として一番肝心なことだと思います。われわれ報告書を書きましたけれども、われわれの七大都市の報告書では、技術評価のことに関しましては個人が全部署名をして書きました。ということは、その内容については個人個人専門家として責任を持つ、そしてなおかつその内容については幾らでも書いた相手のメーカーに対しては反論をしてほしいと、私個人としても、水谷先生個人としても、個人として大メーカー、トヨタ、日産の全技術陣と相対してこれで議論をするつもりだから反論をしてほしい、それだけの責任を持って書いた報告書であります。  私たちは、八田先生以下専門委員会に伺いたいことは、専門委員としてこれで市民、杉並の公害に悩んでいるおばさんたちの前で、これをあなたたちは一人でこの内容について説明して、それで納得のいくような説明ができるとちゃんと自信がおありですか、なさるつもりですかと伺いたいと思います。もし、それはしろうと相手には議論ができないと言うならば、私は七大都市調査団として先生方をお招きしたいと思います。以前は中公審のほうにわれわれが出向いて説明したわけですが、今度はぜひ私たちのほうに出向いていただいて、そこで専門的な議論をもう一度、今度は八田先生たちが出された内容について私たちがしさいに検討して、反論を加えたいと思います。それについては多くの方にその議論の内容を今度は公開で見ていただきたい、こう考えております。私は、一番問題なのは、こういう報告書を出したときに、それ以後の事態、報告書が間違っていたときにその責任をどうとるかという問題だと思います。たとえば報告書を出したあとに五十一年規制をクリアできるような技術開発されているという事実が明らかになったときどういう責任をおとりになるのか、こういうことを伺いたいと思います。そういう内容についてはこの委員会でもまた出てくると思います。  まず最初技術的内容について幾つ意見を述べたいと思います。技術可能性という問題、これについてはわれわれはわれわれのレポートは正しいと思っております。われわれが出した直後は確かにわれわれとしても自信がなかったところもありますが、それ以後メーカーはわれわれのレポートについて一言の反論もしませんでした。することができませんでした。それからわれわれが中公審八田委員長と討論をした際にも、八田委員長はわれわれのレポートについては一言の反論もなさいませんでした。私たちはこのレポートの内容のような技術が五十一年度に開発されるということについては同意見だというふうにおっしゃったわけです。で技術的に可能であるということは、いわゆるその消息通の間ではいわばかなり五十一年度またはそれに近い時期に規制でいわれているような内容の技術が可能だということは、消息通の間ではかなり明らかなことだと思います。しかしわれわれは、それを証明するためにたいへん苦労いたしました。それは、われわれがほとんどデータを持っていなかった。データも、特にメーカーがこういう各種聴聞会に出して、むしろできないということを言おうとしたデータを使ってそれで証明しようとしたから、メーカーデータを使って可能性を証明しようとしたからたいへん苦労したわけですが、これは本来なら、自然科学者として考えますと、事実がそこにある、それがほぼ明らかなことなのに、むしろ証明に手間どった。これは、ほんとうのことを言ってくれればもっと話が早く進むのに、社会的にいえばたいへんむだな苦労をしたような気がしているわけです。もちろん、その可能性については意見が分かれます。そこで私は、特に申し上げようとは思いませんが、第三者のことばをちょっと引かしていただきたいと思います。これは、先日、東京大学で学生が排ガス五十一年規制問題に関して講演会、討論会を開きました。そのときに教官として出席なさったのが、私も出席しましたが、二人だけおりました。一人は航空工学科の熊谷清一郎先生です。熊谷エンジンで有名な熊谷清一郎先生でありまして、学問的にも航空工学のエンジンのほうでは非常に高い尊敬を得ている先生です。その先生がおっしゃったことをちょっと紹介さしていただきたいと思います。私はまだ許可を得ておりませんが、おっしゃったことですので、引用さしていただきたいと思います。こういうふうにおっしゃいました。ほとんどそのとおり申し上げますと、リードタイムというというのは、現在できていないから不可能だということだ。で、事実というのはどういうことかといいますと、五十一年規制というものはさせない、またはしないという見込みを持って、可能性のない方法で現在のラインの準備をしている。ゆえに、リードタイムが不足ということになる。中公審の問題は、そういうメーカーの態度を容認していることにある。容認するかしないかが問題なんだ。それで、メーカーは、健康も大切だが商売も大切だ。だから、技術的に可能、不可能ということではなく、政治的に不可能ということにほかならない。メーカーというのは、みずからは絶対にしないからしないということです。彼らはモラルに訴えてもだめだから、法に訴えなければだめだということをおっしゃったわけです。それだけにとどめておきます。  で、私は、答申の内容について問題点三つ申し上げたいと思います。  一つは、この答申の内容は、一番問題なのは、いままで正直者がばかをみるということです。つまり、開発努力を一生懸命やったところはきつい規制がなされてきた。しなかったところは、しなかったものはゆるくなるということで、正直者がばかをみるということが完膚なきまでに示された。そこが一番問題な点だと思います。  それから次に問題な点は、二年延期、それ以後再審議するということです。私たちは、これは無期延期につながる、事実上無期延期のことではないかと言いたいと思います。八田先生はわれわれと討論の席上で、先ほど御紹介したように、こういう技術が五十一年に開発されるという意味なら同意するとおっしゃいました。しかし、実はそれを開発されただけではだめなので、さらに量産に時間がかかる。そのリードタイムということが問題なんだということをおっしゃったわけです。われわれはそれは開発されるということだけを言っていたわけじゃなくて、リードタイムということも当然考え報告を出したわけでありますが、それならば要するにもう一つその問題を正確に詰めてみようということでリードタイムに関する報告書を最近出しました。その報告書については、これはもうメーカーも認めておられると思いますし、中公審の今回の報告でも、リードタイムというのはわれわれの報告したとおりのことが述べられております。つまりそうしますと、われわれの考えとしては、かりに百歩譲って八田先生が言われた考えに従ったとしても、五十一年から延びるのは一年半だということです。五十一年のまん中をとるとすると、要するに一年または長くても二年の延期でできる。それは八田先生自身のおっしゃったところから見ても動かせない線だと。さらに、まだそれは一番八田先生の側に立ったときの話でして、少なくともそれ以内であるということを言いたかったわけです。しかし、われわれとしても五十一年規制というのが五十一年、五十二年の三月に終わらなければどうしようもならない、またできるというふうにがんこに主張しているわけじゃない。どうせ先生のことですから、それは一年というような延び、一年数ヵ月の延びというのはわからない問題としてあると思います。しかし肝心なことは、その次に、次の規制というのは絶対にやる、はっきりやるということをきめることだと思います。やっていて、できなかったら先へ延ばすということならば、これは技術というものはいつまでたっても完成されないと思います。つまりこの場合も、それは今回の答申が一番悪い例を示したわけでして、つまり正直にやればばかをみるということを示しておいて、その次に、この次の規制は状況を見てやるというならば、だれが一生懸命技術開発をするでしょうか。しなければ先へ延びるならば、しないでしょう。この点が一番問題だと思います。期間の問題もさることながら、そこではっきりと線を引くということこそがだれが見ても一番大事なことじゃないでしょうか。  それからもう一点。それから小型と大型との分け方についてたいへん問題だと思います。この報告書によりますと、私、正確には、先ほど八田先生に伺った時点ではっきりわかったわけですが、等価慣性質量で千キログラムというのは、車体重量——われわれは車体重量で考えますから、車体重量に直しますと約千キログラム以下、これは排気量でいいますと一五〇〇cc以下の車になります。現在は確かにそういう車のシェアは全体で約三分の二、すなわち七〇%程度あります。しかし、私たち伺いたいのは、専門委員会は、この規制が実施される五十一年、五十二年、五十三年——まあ五十二年、五十三年という時期をとって、このようないわゆる専門委員会が小型とクラシファイした車両の数、シェアがどの程度になるとお考えでしょうか。一つの傾向は、どんどん、どんどん個人需要が大型車に移ってるはっきりした傾向があります。そういう傾向ですから、ほうっておいてもこの七〇%というシェアは、特に下のほうの小さいクラスからどんどん、どんどん減っていくことは明らかな統計的事実であります。そういうところへもってきて、その車のほうをきびしくするとすると、それは当然燃費がかさんできます。それから値段も高くなる、乗りごこちもあまりよくないという車が高くて燃費がかさむときに、買う人がまず買わないでしょう。それよりも大体メーカーがそういう車を今後もつくっていくでしょうか。むしろ買いたくても買えないというような事態になるんじゃないでしょうか。つまり、今回のような措置は、これは車を要するに大型化していくというメーカーの絶えざる努力の傾向にますます拍車をかけていくものだと思います。そうしますと、正確には申せませんが、五十二年、五十三年の時点でこの小型車として分類された車がたとえば三〇%、二〇%以下になってしまうんではないかとおそれるものです。ということは、今回の答申は一応〇・六、〇・八五と二段階になっており、〇・六という小さいきびしい値を採用しているように見えながら、実は私たちはやっぱりそれは〇・八五、一本にかなり近い線、つまり、これこそ春日局長のことばを借りて言うならば、羊頭狗肉な答申だと言わざるを得ません。で、私たちは二段階規制というものに全般的に反対するものではないわけです。しかし、二段階規制をするならば、次のような点が問題になると思います。つまり一つ大型車のほうがコストの面から言っても、いろんなスペースの面から言っても、対策が容易なはずです。特に触媒を使う場合はそうです。そうしますと、大型車のほうがきついというならまだわかる。しかし、大型車がゆるいという規制はどういう意味でしょうか。そしてもしか二段階規制大型車をゆるいのを許すならば、確かにそういう場合もありましょう、非常に大きい車で一台で同じエミッションをまかなうというのは、むずかしいこともありましょうが、そういうのを許すならば、やはり例外として認めるべきだと思います。ですからたとえば、そのきびしい規制にミートした車を十台つくったならば、ボーナスとして、例外車を一台つくるということが許されるというぐらいに、きびしい各メーカーごとに生産のワクをはめるというならまだわかりますが、それでない二段階規制というのは、全く理屈に合わない規制だろうと思います。  まあ結論として申し上げますとこの答申にはやっぱり私たちは二つの点で非常に大きい問題だと思います。第一点はまず基本的な精神の問題です。で、マスキー法の基本的精神を思い出していただきたいと思いますが、それは技術が可能ならばその時点で可能な技術、その将来の時点ですよ、その将来可能な技術を見越して一番きつい規制をしていく、で、実現するというのがマスキー法の精神、これは高らかにうたわれている精神です。それで、中央公害対策審議会の専門委員会も数年前五十年規制、五十一年規制を答申するときには、御自分たちではっきりとそのときの一番進んだ技術もと規制を行なうということをはっきりと書いていらっしゃいます。そのとき以来メンバーは一人しかかわっておられない。その同じメンバーがこういう答申を出されたということに対して私たちはたいへん驚きを覚えます。それからもう一つは、この答申が技術と論理を無視した。これもまた春日局長のことばを使わしていただけば、非科学的なものだと言わざるを得ません。事実は何でしょうか。東洋工業が都議会で〇・四グラム・パー・キロメーターということを述べたではありませんか。それからきょうのグールド社は、大型車も含めて〇・二五グラムが可能だということを述べたでありませんか。また、きょうの委員会幾つかのことが明らかになるかもしれません。もちろんそういうことをすぐ取り上げろというわけではありません。それに対して取り上げてそれを却下するなら却下する根拠をはっきり示すべきだと思います。それに対して今回の答申では、こう書いてあります。たとえば触媒技術に関しましては、これは日本経済新聞の要約ですから、ことばそのものは少し違うかもしれませんが、「還元触媒」「によるNOx低減現状では採用不可能と断定せざるを得ない。」、グールド社がきょう可能だということを言っているのに対して、どういう根拠で断定するんでしょうか、その根拠をはっきり示していただきたいと思います。  私たちは、そういう意味で、事実というものをどういうふうに扱ったか、科学というのは事実を重視し——事実というのはしかし断片的なものです。特に将来の問題については事実だけでは言えません。それを断片的な事実を組み立てて将来の像を組み立てていくのこそ科学者の仕事だと思うわけですが、そういう事実さえも無視し、それから組み立てていく論理さえもないということが一番問題だと思います。で、それならば、私たち特に要求したいのは、八田委員会がどういう根拠に基づいてこういう報告を出したのか、委員会が判断の根拠とした資料を全部公開していただきたいと思います。これを強く要求します。これは事実の問題です。それから論理の問題として言えば、それらの資料に基づいてどういう議論をしてこの結論が出たのか、全体の討議の全議事録を公開してほしいと思います。これはわれわれ国民が専門家に当然要求してよろしいことだと思います。討議のプロセスは秘密にされてそれはけっこうだと思います。しかし、一たん討論を出してしまったファイナルレポートに関しましては、その討議の内容を完全に公開するのが専門家責任だと思います。特にそういう意味で私が申し上げた中心点はあなた方はほんとうに専門家として責任を持ってこの報告をお出しになったのかどうか、国民の前に専門家として納得のいくような説明を各人お一人お一人でできるのかということを問いたいと思います。  では、終わらしていただきます。
  16. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) どうもありがとうございました。  次に、八田参考人にお願いいたします。
  17. 八田桂三

    参考人八田桂三君) ただいま委員長から御指名いただきました環境中央公害対策審議会大気部会自動車公害専門委員会委員長をしております八田でございます。本職は東京大学の宇宙航空研究所の教授でございまして、飛行機や自動車エンジンの教育や研究に携わってまいりました。本日は自動車公害専門委員会委員長としてお呼び出しを受けたものと存じますので、昨夜八時ごろようやくまとめました五十一年度自動車排出ガス規制についての審議の経緯を簡単に申し上げたいと存じます。  委員会のメンバーは私を含めまして十名でございまして、先ほどお話がありましたように、片山委員という方、一名の委員以外は、四十七年十月にいわゆる和製マスキー法などと呼ばれております自動車排出ガス許容限度長期設定方策についての中間答申といたしまして五十年度、五十一年度の自動車排出ガスの許容限度の中公審答申の原案をつくりました委員会のメンバーと変わっておりません。その中公審の四十七年に答申いたしました時点において五十年度、五十一年度の目標値といいますか、規制値がその時点で具体的に技術可能性があるということは考えておりませんでした。しかし、高い目標を立てまして、それに対して企業努力及び国家の努力をするということは非常に有意義であり、かつ、そうしなければこういう問題はなかなか進まないというような意味で、特に五十一年規制については、私個人から申し上げますとほとんど不可能だと考えておったのでございますけれども、とにかく全然不可能であるということは証明もできませんし、そういう意味であのような答申をいたしました。  そして四十七年十月五日に告示されました五十年度及び五十一年度に関する自動車排出ガス量の許容限度の方針のうち五十年度の分は四十九年の一月二十一日に正式に許容限度としてそのまま告示されることになりました。これは先ほどのマスキー法的発想と申しますか、そういう高い目標を立ててやったことが非常にうまくいった、企業も非常に努力されたと思いますが、そういうことで非常によくできたと私自身は評価いたします。ところが、五十一年度の許容限度につきましては、環境庁で各自動車メーカー技術開発の状況を聞かれた結果、規制値達成は困難だという答えが返ってきましたために、四十九年の八月三日に中公審の大気部会に再検討をはかられました。それによりまして、われわれの委員会で八月の九日から技術開発状況などについて審議を始めた次第でございます。以来、トヨタ、日産、本田三社の現地調査を含めまして十六回にわたる審議を行ないました。そして、昨夜おそくようやく大気部会に提出する報告を取りまとめた次第でございます。その間に東京都や大阪府の窒素酸化物低減計画の御説明や御要望を承ったり、窒素酸化物が原因物質の一つであります光化学スモッグについて専門家方々から日本の現況を承ったりしながら、還元触媒各種の防止技術について検討してまいりました。先ほど西村先生のおっしゃいました七大都市調査団とも討議をいたしました。それからまた、五十一年度から〇・四グラム・パー・キロメーターNOx値が可能だということを発表されました東洋工業の方にもおいでいただきまして直接そのお話を伺いました。そのようなことを踏まえまして、一昨日の四日には朝九時半から夜七時ごろまで、まあそのときはおもに技術評価の問題について取りまとめを行ないまして、昨日また朝から夜の八時ごろまでかかりまして、規制案の検討と決定を行なった状態であります。これはもちろん規制案といいましても、大気部会に対する報告でございます。  で、現在私どものいろいろ調べましたり、勉強いたしました結果、五十一年規制目標値を実験室的に満たすといいますか、一番近いところにあるものはトーチ点火方式、あるいは副室成層燃焼と申してもよろしゅうございますが、それにあるいはEGRをかける——かけない場合もありますが——かけるとか、EGRというのは先ほどどなたか御説明ございましたが、排気を再循還して吸気のほうに入れてやることでございます、それから、サーマルリアクター、これは排気ガスを高温に保っておきまして、それでCOとかハイドロカーボンとか一酸化炭素を燃やしてしまう装置でございます。あるいは、そのサーマルリアクターのかわりに酸化触媒をつけてもよろしいと思います。とにかくそういうような方式、それが一つございます。これはまあ本田さんのCVCCとか、日産さんのNVCCとか、何かそういうようなものがそのほかにもあると思いますが、そういうような範疇に属するものでございます。  それからもう一つは、先ほど東洋さんがおっしゃいました成層燃焼型のロータリーエンジンにこれもEGRをつけたりつけなかったりいたしますが、まあEGRをつけるならつける。それにさらにサーマルリアクターかまたは酸化触媒のようなものをつける方法、これも非常に近いところにきておると思います。それからもう一つは熊谷エンジンと先ほど西村さんがおっしゃいましたが、われわれの仲間の熊谷君が発明いたしました。非常に過濃燃焼のシリンダーと非常に希薄燃料が非常に濃い気筒と、それから燃料が非常に薄いといいますか燃料が空気に対して非常に少ない気筒、そういう二つの気筒で燃焼いたしまして、それから出てくる排ガスをサーマルリアクターの中でまぜまして、それで両方ともまぜたあとは空気過剰のような形になってきれいになってしまう。そうして非常にリッチの場合も——リッチというのは非常に燃料が濃い場合でございますが、そういう場合も、非常に燃料が薄い場合にも、両方ともNOxの生成が少ないものですから、それによってNOxを減らしていく。そしてあとの混合によってハイドロカーボンCOというようなものをなくしてしまおうとそういうエンジンでございます。  それからもう一つはツー・サイクル・エンジンでございます。これはあまり大きくなると問題があるかと思いますが、一〇〇〇ccクラスまででしたらNOxに関しましては十分可能性がございます。現在でもあると思います。これはそのかわりにハイドロカーボンCOが多いのでございますが、これもまあ送気方法とかいろいろな改善をいたしまして、そしてさらにそのあとにアフターバーナー、要するにあとのきたないガスを燃やして取ってしまうわけでございますが、あるいはさらに先ほどの酸化触媒あるいはサーマルリアクターでもいい場合もあると思いますが、そういうものであとの排ガスをきれいにしてしまう、そういうようなもの。それからもう一つはデュアルベッドと言っておりますけれども、要するに還元触媒をつける、エンジン本体は、それでもNOxというのはなかなかたいへんむずかしいものでございますから、エンジン本体にはEGRといいます、先ほど排気もとに戻すということを申し上げましたが、そのEGRをかけまして、さらにサーマルリアクターをちょっとつけたりもいたしますが、そのあとに還元触媒をつける。そのあとにちょっとつけるというサーマルリアクターが必ずしもいいとは限りません。それからその還元触媒のあとに二次空気を噴射いたしまして、それで酸化雰囲気にして、あとに酸化触媒をつけてそれできれいにしてしまう。これ二つ、その還元触媒と酸化触媒と二つ要るものですから、デュアルベッド方式などとよく言われております。あるいは還元触媒方式と言っておいていいかと思っております。  それからもう一つは三成分処理触媒というのがございます。これは理論混合比というちょうど完全燃焼するガソリンと空気との混合比のちょっとまあリッチという、ちょっと燃料濃い辺ですが、大体その理想的な完全燃焼する値とお考えいただいたらけっこうだと存じますが、その辺のところでプラスマイナス一%ぐらいの非常に狭い範囲に燃料と空気の混合比をいろいろな運転条件でも常にそういうふうにするというようなことをいたしまして、ある種の触媒をいたしますと 一ぺんにハイドロカーボン——炭化水素一酸化炭素NOxが全部なくなってしまいます。そういうためには先ほど申しましたようにある混合比にプラスマイナス一%のガソリンと空気の割合を一緒にするというようなことが必要なものですから、現在の気化器だとか普通の方法ではとてもできません。それで、そのようなものの上にさらに、O2センサーと言っておりますけれども排気ガス中の酸素を常に計測器で分析しまして、それをその出力で燃料の供給を、あるいは空気の供給をコントロールして、先ほど申し上げましたような狭い範囲に実行できるようにするということでございます。で、まあこの方法、これら全部をどのものも初期値におきましてはまあほとんど五十一年の値あるいはそれに非常に近い値、たとえば先ほど東洋さんは成層燃焼のロータリーエンジンで〇・三ということをおっしゃいましたが、まあさらに御研究になればもう少しいくんじゃないかと思いますが、そういうようなものでございます。その中で、まあ現在一番早く耐久性がありそうなものは、一番最初に述べましたCVCCなどのようなトーチ点火方式と、それから先ほど東洋さんの成層燃焼ロータリーエンジンのようなもの、それから熊谷エンジンのようなもの、この辺のものはまあ比較的早く耐久性があって五十一年規制にミートする可能性が非常に高いポテンシャルを持っているかと思います。  それから、しかしながら、あとで申し上げました触媒還元触媒のほうも、三成分処理触媒及びそれに必要なO2センサーというものも、急激に非常な進歩をしております。現在五十年規制車に採用されようかとしております酸化触媒でも、初めはとても使えそうもないと思っておったのが今日では完全に使えるということになったように、先ほどグールド社の方が非常な進歩をしているとおっしゃいましたが、グールド社のものも、私どもはお話を伺いましたけれども、非常に確かに現在そのようなものが、グールド社の方も先ほどおっしゃいましたように、すぐ自動車として完全に使えるシステムとしては完成していないと思いますし、まだまだいろいろな問題がございます。耐久性についても私どもが拝見いたしましたデータでは耐久運転の途中にいろいろな調整をしておられたりいたしまして、ほんとうの意味の耐久性ではございませんけれども、私どもが拝見したデータはございませんけれども、それにしてもいままでの還元触媒に比べましてべらぼうにまあ耐久性が伸びてきておる。これは一グールド社だけではなくて、ほかのほうにもそういう情報が、詳しいことはわかりませんけれども、いろいろひんぴんと入っております。  そういうような意味で、今後そういうような還元触媒とか触媒系統のものがもしできれば、これは初めのほうのトーチ点火とか成層燃焼とかそれから熊谷エンジンとかというものは、エンジンの中だけでNOxを減らしてしまって、あとではNOxを減らす方法がございませんので、みな要するに非常に希薄な状態で、燃料が少ない状態で、酸素が多い状態というふうなもので排気が出てまいりますものですから あとで処理することが非常に困難です。だけれども、したがってエンジンの中でそれは初めから取ってしまわなければいけない。そういう意味で、もし還元触媒あるいは三成分処理触媒と申し上げたようなものが使えるようになりますと、これは燃費エンジン性能も何も変わらないで非常にいいものになるわけでございますが、初めのほうのものはまあ燃費の低下とかというものは五十年規制の範囲においては非常にいい値を示し得ると思いますけれども、五十一年規制になりますと、要するに窒素酸化物は温度を下げなければしようがないというようなことがございまして、燃費なんかはかなり悪くなるだろうと思いますし、それから自動車としてのいろんな性能運転性と申しますか、そういうものにも影響があるんだろうと思います。いずれにしましても、いま申し上げたようなものが現在非常に近いところにきているとは思いますけれども、いずれのシステムも現在のところそれが実用品として完全に今日耐久性まで含めて完成したシステムとしては存在していないという状態でございます。  一方、五十一年の規制値というものは五十一年から量産を可能とするものでございます。それで、ちょうど一年半か二年前のきょう今日において運輸省の認定を受けて、それをパスし得るというような状態になっていなきゃいけないわけでございますが、運輸省の認定と申しますのは認定期間だけでも約四十ヵ月ぐらいの期間がかかります。そして、それが告示なんかは、われわれがいま議論しておりますのは平均値の値を論じておるわけでございますが、平均値生産上のばらつきその他を入れまして最高値というようなものを行政的なほうでいろいろ調べられて出されまして、その最高値が告示になるわけです。したがって、最高値以下の車は道路を走っていけないというのが規則でございます。ところが、さらに平均値というようなものがございますので、運輸省の認定の場合には、要するに新車といいますか、それほど走っていない車と、それから三万キロ——これも運輸省がこういう走り方をしなさいという指定をした状態で三万キロ走ったあとの車、その二つの車を持ってまいりまして、二つともが、いま私どもが言っております平均値を通らなければいけません。それから平均値を通らないとその車をつくって売るわけにはいかないわけです。そのときは最高値でございません。それからさらに、そのあと生産に移りますと、量産した車を、これは一つの測定に非常に時間がかかりますから全車やるわけにいきませんけれども、このテンモードとかイレブンモードとかいう完全な測定は、生産量の一%以上のものを統計的な手法で抽出いたしまして、その車が全部最高値以下でなければいけない。四半期分の間の統計をとりまして、その四半期分の平均値を出します。その全部のものが当然最高値以下でなければいけませんし、四半期分の平均値が、われわれがきめました平均値を越えてはいけない。そういうようなきつい規制をやっておられます。ところがラインオフと申しますか、ちょうどエンジン生産の一番終わりに出てきたときにはまだすり合わせ運転ということが済んでおりません。まだつくりたてのほかほかで、あちらこちらざらざらしていると申し上げていいかもしれません。それで、それをしばらくならし運転いたしますと、中のエンジンの摩擦馬力が減ってまいりますので、グリーン車といいますか、そのラインオフのときにはNOx、要するに規制値全部が大きな値に出てくる、非常に悪く出るわけです。その悪く出るような状態ではかったものが最高値と平均値以下にならなきゃいかぬというきつい規制をしておられます。  それから、そのほかに、五十年規制から触媒とかサーマルリアクターとかいろいろなものがございますが、そういうものは非常に高熱のもので、高温、要するに排気のところでそういうものを燃やすわけですから、いままでの自動車に比べまして排気まわり、あるいはカタライザーまわりというのは非常に高温になります。したがって床のほうも熱くなってくる。床が熱くなりますと床が弱くなりますから そういうときにそういうのを熱害というようなことばで言っておられますが、そういう熱害を防止するために、たとえば床とそういう高温部の間には特別な防熱板を入れる。あるいは、そういう車が急に走ったあとで枯れ草のあるような芝生の上へでも入りますと芝生が燃え出して火事になりかねない。それで、そういうことに対する、枯れ草に対しても防熱板をつける。そういうような、そのほかたくさんございますが、そういう高温になるということに対しまして構造規定というようなものを運輸省さんはいま一生懸命につくられて、それも全部パスしなきゃいけないということになっております。したがって、そういうようなものが現在の時点で三万キロ走れるという自信があって、しかもそれが自動車全体としてバランスした形でまとまったものがいまないと五十一年から量産することはできません。したがって、私ども考えましたのは、そういう意味で、現在そういうシステムがあるものでなければ五十一年の規制値はできないということで、そういうような考えで五十一年の規制値考えをしてまいりました。  そうしますと、先ほど非常に近いものというものをたくさんあげましたけれども、それはみなもう少したてば〇・二五の目標値あるいはそれに近い〇・三というようなものを達成できると思うんでございますけれども、現在のところでは、五十年規制のすぐ一年あとでございますから、五十年規制車に小改良を施して何とかできる範囲しか可能性はないだろうと判断いたした次第でございます。そうしますと、従来の在来型エンジンといいますか、うしろにカタライザーをつけたりサーマルリアクターをつけたエンジンでは、EGRといいますか、排気再循環の排気を、もう一ぺん空気を返すわけですけれども、それにいろいろ制御装置をつけて非常に複雑な排気循環装置をつくるわけでございますが、それがどこまでいくかということですが、その排気循環装置排気効果改良によってできる範囲と、それからCVCCやロータリーエンジンのほうになりますと、今度はNOxを減らすために混合比を薄くするというようなことをやります。特にCVCCなんかはそうしないとNOxが減りませんが、そうすると、すぐまたハイドロカーボンCOが出てきます。したがって、このほうもそういうあとのサーマルリアクター、リアクティーブマニホールドと本田さんは言うていらっしゃいますが、そういうものをさらに強化されまして、そういうような範囲で処理する範囲じゃないと先ほど申し上げたような意味では間に合わない、そういうふうに考える次第でございます。  それからまたその上に、先ほど軽の自動車の話がございましたけれども、車の重量とエンジンの行程容積、エンジンの大きさでございますが、その大きさの比が大幅に変わらない範囲では大体車の目方、しかも、そういういま申しましたカタライザーにEGRを強化していくとか、それからCVCCとかロータリーエンジンとかいう範囲におきましては、要するに将来還元触媒ができたときにはそういったことはなくなるんですが、還元触媒や三成分処理触媒ができない現在においては、大体そういうような車の重量とエンジンの大きさの比が大幅に変わらない範囲では、車の重量が重くなるほど苦しくなる、要するにNOxがたくさん出てくる、そういうようなことがございます。  それで、それらを勘案いたしまして、これはずいぶん激論したりいろいろなデータをがたがたいたしましたが、結局昨晩おそく、先ほど西村先生もおっしゃいました、等価慣性重量一トンを含めまして一トン及び一トン以下の車、それが現在のところ七〇%ぐらいのシェアを占めておりますが、それを〇・六グラム・パー・キロメーターというような、これもかなりきつい値ですが、それが〇・六グラム・パー・キロメーターというものを達成するためには約〇・五グラム・パー・キロメーターぐらいのものが、試作車といいますか、開発車でできていないと、先ほど言ったように運輸省の指定がございますので余裕がないととてもできません。だから平均値で〇・六のものではだめなんでして、平均値で〇・五以下ぐらいのものが開発されていないと〇・六グラム・パー・キロメーターにはなりません。とにかく、そういう意味で非常にきついと思いましたけれども、〇・六グラム・パー・キロメーターというのが一トン以下。それから一トン以上といいますか、一トンは入りませんが、等価慣性重量で一トンをこえたものに対しては〇・八五グラム・パー・キロメーター、これもまた非常にきつい値でございます。ただし軽自動車はそれ以上また——先ほど車の大きさが大きくなるとNOxがふえると申し上げましたが、これは車のウエートとエンジンの行程容積の比が大幅に変わらない範囲だということを申し上げたんですが、軽自動車はそれが非常に大幅に変わっちゃいますので、これについては特別な——先ほどどなたかから御指摘がありましたが、〇・六というような値にはとてもできません。軽というものが国民的ニーズがある以上、それについては特別な配慮を行政面でやってくれと、その値を詰める時間と余裕がございませんので、それは行政面でやってくれというような意味の要求を——要求といいますか、そういう配慮をしてくれということを記入した次第でございます。  それから、そういう暫定値でいく期間は昭和五十三年まで。五十三年には〇・二五グラム・パー・キロメーターという目標、そのときにはそれを告示する方針で、現在の方針を二ヵ年延ばした、そういうことでございます。それで、それとともに、さらに今後は、今度やりましたような技術評価を絶えずやって、もし早くできるものがあればその時点で早くするし、どうしてもできないという技術評価ができればさらに延ばすこともあり得る、そういうような考えでございます。  それから、その上に二段階規制になりますと、どうしても格差がございますので、二段階規制のために〇・六と〇・九の間では、これはわれわれがきめるわけにはまいりませんけれども、われわれのコメントとして、税制上その差をつけて〇・六のほうは優遇するということを必ずやってほしい。それから、それにしましても確かに〇・二五からは大幅に後退しておりますから、これだけですぐ現在の環境が非常にきれいになるということに関しては、かなりの後退でございます。それで、だけれども技術的には現段階でそれよりしかたがございませんので、現在トラックはまだかなり余裕のある規制がされておりますので、ガソリントラック——小型トラックですが、そういうもの、あるいはディーゼルトラック、ディーゼル車、そういうものの規制を引き続き強化するように、これからやっていきたいということも考えております。  それからまた中古車を含めましてユーザーがほんとうに低公害車を使ったほうが有利なような体制、その中に税制もございましょうし、交通規制のような問題もございましょうし、いろんなことがございましょうが、要はユーザーがそういう低公害車を使ったほうがほんとうに現実的に有利になるような施策をしてください、そういうことをお願いしてございます。それにしましても、さらに交通制限とか、それからそういうことをやらないとなかなか大都市のひどい環境はよくならないと思いますが、そういうことも人間のほうは少々不便でございましても、たとえば公共交通機関のようなものを大いにできるだけ使いやすくして乗用車のほうの運行は比較的しにくくなるような方策はとるといたしましても、トラックとかそういう物流のものは、新しい物流システムを同時に考えて都市改造及び物流システム全体から考えていっていただかないと不連続的に急激にそれをほとんど動かなくするということはできないと考えておりますので、その辺のことを公害の皆さんのほうでぜひ政治的にうまくやっていただきたい、そういうふうに御要望する次第でございます。  どうもありがとうございました。
  18. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳が終わりました。  午後一時まで休憩いたします。   午前十一時五十四分休憩      —————・—————   午後一時九分開会
  19. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  20. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 まず八田参考人にお伺いいたします。  わが国の自動車排出ガス許容限度のいわゆる五十年規制、五十一年規制、この目標値をきめたのは昭和四十七年、おととしの十月でございます。ただ私は、それをきめたときにこの中公審の答申、ここに問題があったんじゃないかという気がするんです。いろいろもちろん委員方々真剣に検討されたんだろうと思いますし、八田参考人の先ほどの御意見の中にも、当時、特に五十一年規制NOxO・二五グラム・パー・キロメーターについては相当無理なんじゃないかと自分は思っていたけれども、少しでもよくしたほうがいいし、またそうできる可能性もあるいはあるかもしれないというような点で、一応こういう数値が出たというふうに言っておられました。いろいろ検討はされたと思いますが、結果的にはアメリカのいわゆるマスキー法、一九七五年規制、一九七六年規制目標値と全く同じなんですね。パーマイルをパーキロメーターに直しただけでもって、その数値は全く同じである。ところが、アメリカのマスキー法の一九七六年規制は、これは日本の五十一年規制に当たるわけですが、これはもう延期されているんでございますね、七六年規制の実施はですね、マスキー法の。これはもうアメリカでは延期をされている。私はアメリカのマスキー法が延期された状況を、何もアメリカに行って調べたわけじゃないんですけれども、いろいろな点で検討してみますと、アメリカ環境保護庁——EpA、それから全米科学アカデミー——NAS等の調査研究の結果、これは技術的な困難性もあるし、あるいは安全性等の運転性の問題で二次公害が出る可能性もあるし、あるいはまた燃費等、資源問題というようないろんな点を総合的に判断してマスキー法をアメリカでは延期された。しかも、それは一応冷静に受けとめられていると私は思っております。ところが、マスキー法と全く同じ五十一年規制について、わが国ではこれを再検討するということそれ自体に対してもうすでに後退じゃないかとか、再検討している最中に後退であるとか、あるいはメーカー寄りであるとか、いろんなそういうようなことが盛んに大きな声で言われ叫ばれているというようなそういう雰囲気の中で、自動車公害専門委員会委員長としてこの問題に取り組んでこられて、そうして五十一年規制をいろいろな角度から検討した上、昨晩おそくまでかかって答申を出されたという八田委員長の御苦労というものに対しては、ほんとうに私はお察しできるんでございます。そうしてまた同時に敬意も払いたいと思っております。  そこで、お伺いしたいのでございますが、五十一年規制目標NOxパー・キロメーター・〇・二五グラムの達成というのは、いろんな角度から検討してもほんとうに全く困難なのかという点、これが一つですね。それからメーカー側で研究開発を怠っていたというような批判もあるんでございますけれども、実際に怠っていたと認められるのかどうか。先ほど西村参考人は、正直者はばかをみるというような御発言がございまして、一生懸命研究開発努力をした者のほうがばかをみて、怠った者のほうが得をしちゃうのじゃないかというような御発言、そういう趣旨の御発言もあったように思うんですが、実際にメーカー側でもって研究開発を怠ったのかどうか、そういうような点についても十分検討されたと思いますが、八田参考人としてのこれらの点についての御意見を承りたいのですが、どうかひとつ参考人は、私は専門的な学者でいらっしゃると思いますし、また実際にメーカー研究開発の状況を実地に行って調査もされたというふうにも伺っておりますので、ここは国会の委員会でございますけれども、どうかひとつだれにも御遠慮なく忌憚のない御意見をお伺いいたしたいと、こういうふうに思います。
  21. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  初めの五十一年規制が全く困難かと、〇・二五グラムが困難かという御質問でございますが、五十一年規制の〇・二五という目標値が全く困難かどうかという御質問でございますが、四十七年に答申いたしました場合には、可能性はゼロとは申せないけれども非常に困難である、まあむしろ困難性のほうが多いと、そういうふうに私自身は判断しております。しかし今日の時点では——第一に五十年規制でも困難だと思っておったのですが、五十年規制達成いたしました。今日に至ってみますと私の先見の目がなかったと申しますか、技術の発展、そういうマスキー法的発想のもとに企業が非常に努力された結果、それが企業だけじゃなくて学会その他いろいろございますが、しいて申しますと日本政府と申しますか、それは努力が一番少なかったような気もしますけれども、先ほど申し上げましたようなCVCCあるいは成層燃焼のロータリーエンジンあるいは熊谷エンジン、そのようなものはもうほとんど実験室段階ではそれを達成しておると言ってもいいと思います。ただ、それが全システムとして商品として、商品と申しますか、全システムとして非常に安全で——まだほんとうに実験室でようやくそれだけを目的としてつくったということの段階ですから、いますぐそれが五十一年から量産できるとかなんとかいう問題ではございませんけれども、先ほどの成層燃焼のロータリーエンジンにしましても東洋さんが〇・三グラムとおっしゃいましたが、〇・二五がむずかしいかどうか、それは問題があるかもしれませんけれども、私の見込みでは十分ありそうな気もいたします。そういう意味では可能性は今日では非常に強くなってきた。それからグールド社の方がおっしゃいましたような触媒方式のほうも非常な着々とした進歩をしておりますので、もしそのほうが成功いたしますとあらゆる大きさの車にも十分可能であろう。ただ、初めのほうの方式ですと必ずしも大きな車で目下完全に可能になるであろうかどうかという点については多少問題がございます。そのように考えております。  それから、第二の、メーカーがサボっておったかどうかというようなことでございますが、私が実地見学さしていただいたり、それからいろいろお話を伺った範囲において、私自身はそのようには全然思っておりません。先ほど申しましたように答申したときには不可能と思って——五十一年に比べればはるかに可能性が高いと思っておりましたけれども、完全にその時点でできるかできないか、やはり目標として掲げるのだと思っておりました世界一きびしい五十年規制が、もうまさに一部は実施されておりますし、来年からほんとうに実施に移されようとしておるということを伺いましても、サボっておったとは決して考えません。ただ、むしろ五十年規制車が出ますと、メーカーのほうは非常に——先ほど熱害の問題をちょっと申し上げましたが、あの熱害のほかに、そんな薄赤くなるようなものがいきなりじゃぷんと水たまりのところへ入ると、たちまちそこからクラックが入るとかいろいろな問題がございますが、そういう問題まで含めていろいろな耐久試験を十二分にやっておられる。だけども、それが町へ出ますと、五十年規制車は今度はいろいろなメーカーがあれだけ耐久試験をやられてもまだいろいろな問題が起こってくるんじゃないか。自動車などというものは不特定多数の一般のユーザーの方がお使いになって、専門家の使うものでございませんので、その点を非常に心配はいたしております。だけども技術的にはサボっていたとは決して考えておりません。
  22. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 西村参考人にお伺いいたしたいと思います。七大都市の調査団の報告では五十一年度中に〇・二五グラム・パー・キロメーターあるいはそれに非常に近い値がクリア可能であるというふうに言っていたように思うのでございますが、これはその対策技術システムあるいは車の大きさ、車の重量というようなものに関係なく、そのクリア可能である、そういう意味なんでしょうかどうでしょうか、それをまずお伺いしたいと思いますが。
  23. 西村肇

    参考人西村肇君) そのことに関しましては、報告書の中ではすべての車種可能性を検討するというようなことはしておりません。データがありませんからしておりません。むしろ技術可能性を調べたわけですから、こういう車についてはすでに十分可能性があるのではないかという判断を示したわけです。しかし、それは非常に特殊な実験車ということではなくて、われわれの判断ではそれだけでも五十一年度からのいわば国民の需要をまかなっていける、最小限まかなっていける程度車種考えまして、程度の大きさのことを考えて、その程度について技術的に可能かどうかを判断しておるわけです。やっぱり最小限の判断をそこでしているわけです。
  24. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 さらに西村参考人にお伺いしたいのですが、この可能性の問題ですが、実験室段階で可能であったとしましても、それが量産的に可能であるのかどうか、それから先ほど八田参考人もおっしゃっていたのですが、町に出ますと、車というのは不特定多数のユーザー、つまり運転免許は持っていましても機械の知識とかなんとかそう特別なものを持っているわけじゃない、不特定多数のユーザーがこれを使うわけなんです。その場合に私が一番心配しておりますのは自動車安全性の問題なのでございますが、そこで私が伺っているところでは、いわゆる何といいますか、いまのようなあれで、かりに実験室的に可能だとしても、〇・二五というようなところまで持っていく、あるいはそれに近い数字の車をつくった場合にまだその安全性の点で非常に心配である、特に始動時等につまずき現象といいますか、そういうようなものが起きて追突する危険が非常に多いんじゃないかというような点を私聞いているのでございますが、そうすると、やはり追突で、いわゆるむち打ち症のけが人が出るとかなんとかいうようなことになると、これはまあ別の二次公害としても非常に大きな問題になると思いますが、そういう点については西村参考人の御意見はどうでございましょうか、お伺いしたいと思います。
  25. 西村肇

    参考人西村肇君) われわれが報告書として述べたのは、決して実験車の段階が五十一年に可能だということを述べたのではありません。これは実験車の現在ある技術で、すでに実験レベルで完成している技術もとに判断をしておりまして、五十一年までに、いわゆる五十一年またはそれに非常に近い時期までにそれが市販されることが可能であるという判断を示したわけです。そこはくれぐれも間違いないように願います。実験室的に可能だということを示したのではないわけです。それはもうすでに実験レベルデータならあるではないか、それに基づいてこれがあと二年なりの期間にさらに開発を続け、量産のための準備をして可能であろうという判断を詰めて言ったわけです。  その次に安全性の問題これは私が特に安全性の問題を無視しろなどということを申し上げたことは一回もない。これは特にメーカーサイドが十分に注意してほしいことだと思います。その安全性の例として操縦性の問題をあげられましたが、われわれは、本田技研工業が〇・六という数字を示した、それは操縦性から考えて、現在操縦性を、混合交通の中で安全に操縦、混乱を来たさないためには〇・二ではだめだと、まあその限界は〇・六程度ではないかということを言われたのを特に反駁しておりません。つまり、われわれは本田技研がさらにそれを改良して下げてくれることを期待しておりますが、早急にこれが五十一年度中に〇・二五になるというようなことは報告書では一つも書いておりません。それはあくまで真摯な努力をしているメーカー努力を信頼して書いておりまして、そういうことを言われたのに対して、外から、操縦性なんていうのは問題ないから下がるんじゃないかというようなことを一言も書いておりません。あくまで大事にメーカー開発してくれる、その努力を客観的に評価しただけであります。  それからもう一つ安全性としてよくいわれることは、触媒マフラーについて言えば、それがミスファイアしたときに非常に温度が上がって燃え上がる、それで火だるまになってしまうではないかというようなことをよくいわれます。これに関しましてはいろいろな対策考えられると思います。まず安全問題の根本というのは、疑わしいときはとめるということです。自動車ではそういうことがどうも貫徹されていないようです。疑わしいときはとめるということはどういうことかといいますと、ミスファイアが起こったときに、触媒マフラーの温度が少しでも上がる、上がったときに、ワンプラグミスファィアしたときは——グールドデータがあとに示されますけれども、二プラグミスファイアしたときも、四十キロ以下で走行すれば、触媒の温度は触媒の使用限界の温度を越えないというデータがあります。そういうふうに、温度が上がればすぐ速度を落とす、または速度を落として直ちにとめるという、疑わしきはとめるという安全問題の原則に立ち返れば、触媒マフラーが燃料過濃のために高温になって火だるまになるということは避けられると思います。それはつまり安全設計をどう考えるかという思想の問題だと思います。
  26. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 私は、いまの西村参考人の御答弁でございますが、報告書に安全性なんかどうでもいいのだということが書いてあるとかないとか、別にそういうことをお伺いしているのじゃなくて、そういうことが書いてないのはあたりまえだと思いますけれども参考人の御意見として、いまの段階でもって〇・二五グラムあるいはそれに非常に近い数値が可能だということを調査報告で言われておるわけですが、その場合に安全性には問題はないかどうかという点についての御意見をお伺いしたいのです。
  27. 西村肇

    参考人西村肇君) いま申し上げたとおりです。安全性はそこで一つ一ついろいろな問題を具体的に詰めていかなければならないと思います。よくいわれている操縦性の問題に関しては、ですから操縦性が悪い車を出していいとは考えておりません。操縦性は、混合交通の中では満たさなければいけない条件があるので、その操縦性はあくまで流れている交通の中でどの程度の操縦性が必要かという判断で、その条件を満たしながらNOx排出レベルを下げるようにという判断です。それから触媒に対してはいま申し上げましたように、火だるまになる前にとめろというようなやり方、安全設計の思想で解決すべき問題だと思います。
  28. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 その操縦性を満たしながら、いまの触媒とかなんとかじゃなくて、満たしながら〇・二五グラムあるいはそれに近い数値は、やはり五十一年までに可能であるというような御意見でございますか。
  29. 西村肇

    参考人西村肇君) ええ、そういう意味です。
  30. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 はい、わかりました。  それではグールド社参考人の方にお伺いいたしたいと思います。  フィーダー参考人にお伺いいたしたいと思いますが、先ほどグールド社開発状況等いろいろお伺いしたのですが、何か非常にいいことばかり並べられているような気がするのですけれども、そこでそれは事実であるか私はよくわかりませんが、この触媒テストは、グールド社でいろいろやっていらっしゃることは先ほど述べられたし、それで非常に最近はほとんど規制値目標達成可能であるというようなお話でございましたが、グールド社以外のところでもその可能であるというようなテストが行なわれたのかどうかという点が一つ。まずそれについてひとつお伺いしたいと思います。
  31. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) 過去二年間、私たちは活発に私たちのNOx触媒をつけた車をグールド社テストしてまいりました。そしてさらに数台の車を各種政府機関あるいは地方自治体、たとえばアメリカの環境保護庁であり、あるいはニューヨーク市、こういったところへ持っていきましてテストしてもらいました。そしてさらにことしの九月になりまして、私どもは一台の車を日本へ持ってまいりまして、その一台の車に独立した検査機関の手でテストを受けさせました。いずれの場合におきましても、これらのテストの結果はほぼグールド社自体の結果と一致しております。
  32. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 日本に持ってきて独立した機関でテストをしてもらったということでございますが、どういう機関でテストをしてもらったんですか。
  33. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) ことしの九月に一八〇〇ccの排気量エンジン、いわば日本の典型的な自動車日本へ持ってまいりました。これは日本製自動車をまた持ってきたわけですが、この車はそれまでにアメリカで六万キロの走行テストを行なった車でございました。私たちが持っていきましたその独立の検査機関というのは日本車両検査協会でございます。この日本車両検査協会のテストの結果おおむね私たちの数値と一致を見ております。
  34. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 そのグールド社触媒はアメリカの自動車メーカーではすでに使われているんでしょうかどうでしょうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  35. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) いえ、まだ使っておりません。
  36. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 そうしますと、まだ実際にはどこでも使われた経験はないわけでございますね。
  37. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) 過去におきまして私たちは実際の普通の一般道で車をテストしてまいりまして、すでにことしだけでも二十万キロに及ぶ耐久テストを行なってまいりました。そして私たちがスタートいたしましてからすでに百万キロ以上もの耐久テストなど行なっております。延べ百万キロでございます。これは一台が百万キロあるいは二十万キロではなくて、延べ二十万キロそして延べ百万キロの走行テストを実際の路上で行なってまいりました。
  38. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 河野参考人にお伺いしたいと思いますが、私どもいままで何かこのロータリーエンジン方式で五十一年度からのNOxの〇・六グラムは可能であるというようなふうにおっしゃっていたように思ってたんですが、最近になって〇・四グラムも可能であるというような御発言があったと思いますけれども、東京都議会の委員会でございますか、そういうふうに御発言があったと思いますが、その辺のいきさつを、最近になって急にそれができるようになったのかどうか、もう少しまあ詳しくといっても時間がないのですけれども、要領よく簡単に御説明いただきたいと思います。
  39. 河野良雄

    参考人河野良雄君) お答えいたします。  いままで申し上げておりましたロータリー〇・六ということにつきましては、私どものほうのロータリーエンジングループ全部を含めて申し上げておりましたんです。それで都議会でも全般的には〇・六でございます、中には〇・四のものもございますという意味の御発言を申し上げました。
  40. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 中にはですか。
  41. 河野良雄

    参考人河野良雄君) はい。
  42. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 もう時間がございませんので、最後に、環境庁長官もお見えになっておりますので、政府側に要望しておきたいと思うのでございますが、私は環境問題というものには終わりはないと思うんです。環境問題というのは技術的な進歩とのかね合いで将来いつまでもこれは続くものである、そして少しでもよくしていくということが国民の健康のためにもあるいは環境の保全のためにも大事なことであって、まあこうやればこれでもう終わったんだというようなことじゃないんだというふうに思うわけでございます。そういうような意味で五十一年規制というものも、五十一年規制ができたらそれでもう終わりなんだという問題じゃないと思うんですね。やっぱり将来もっともっと技術の進歩とともによりよいものにしていかなければならない。そのために一体いま何か五十一年規制の〇・二五グラムができる、できないというようなことで無理にその点をあれするよりも、もっと何といいますか、基本的な研究を絶えず絶え間なく続けていくということが、これが一番大事じゃないか。何かここのところ〇・二五グラムが後退だ、何だかんだと、そういうことばかりの議論になっていると思いますが、そういう意味で政府環境庁が中心となって、あるいは運輸省だとかあるいは通産省だとか、それぞれの研究機関はみんな持っているわけですから、それとまた大学その他の研究者、あるいはメーカー側とも一体となって絶えずよりよきものをつくり出すように、そのために私は、先ほども八田参考人もちょっと言われていましたが、政府機関が少し努力が足りないじゃないかと思いますので、一そうの御努力を要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  43. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 昨夜八田委員会が最終的な報告をまとめて、いよいよこれから具体的な実施の手続に入っていくと思うんですが、まず大臣にひとつお伺いしたいのは、昭和四十七年十月五日の環境庁告示二十九号ですか、自動車排出ガスの量の許容限度設定方針、こういうものが出ておるわけですが、これは一体どういう重みを持った告示なんですか。この告示の重みというものはどういう重みなんですか。ひとつ御答弁願います。
  44. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 当時のことをよく担当しておった局長に答弁させます。
  45. 春日斉

    説明員(春日斉君) 四十七年の十月に告示が行なわれましたことは、先ほど参考人八田先生からもございましたように、要するに、日本の大気をきれいにするためには自動車排気ガス規制を少なくともアメリカのマスキーレベルまでには持っていきたい、こういうことでございます。したがいまして、その精神はまさにマスキーの精神でございまして、必ずしも現状技術で可能かどうかということではなくて、目標を掲げて、それを一種の起爆剤にして技術革新をはかる、かような意味であったろうと考えております。
  46. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 少なくともこうしたことを掲げるときに、まあマスキー法というものをいろいろ持ち出しておりますけれどもマスキー法をまさか日本のそれぞれの要衝の方々がコピーしたような、そんなつもりでやったんじゃないと私は思うんですよ。少なくとも日本の住民の命を守る、民族の命を守るにはこれだけの大気というものを浄化しなければだめなんだ、こういう立場に立っていると思うんですね。いま論ぜられておるのは技術的にできるとかできぬとか、こっちの面からだけ議論がしてある。一体命はどうなんですか、命は。まあ中には、伝えられるところによるとNOxは光化学スモッグには関係ないなどという珍説を吐く人もおるらしいけれども、少なくとも基本的にはこのことが光化学スモッグの大きな一つの要因をなしておる。そして〇・二五グラム、こういう規制をしなければならぬということを八田委員会でも決定し、大気部会でもこれを容認し、しかも中公審でもこれを答申して、これを受けた環境庁は、そうだということで、日本人の命を守ろうと出発したんじゃないんですか。今回の八田委員会のやり方を見ておると、技術的にはそれはいろいろ問題があったでしょう。それでは今度の規制値のようなものを出して日本人の命はどうなんですか。これは八田委員長にお聞きしましょう。八田委員長はこの点どう考えているんですか。
  47. 八田桂三

    参考人八田桂三君) それじゃただいまのにお答え申し上げます。  この前出した、先ほども私から申し上げましたように、四十七年の答申の原案をつくりました節には、具体的な意味で技術可能性があるということは必ずしも考えておりませんでした。だけれども、そういうことができることが必要であろうと、そのためには東京湾岸地区のいろんな大気の汚染物質の寄与率というようなものも一応試算はしてみました。だけれども、何しろそういうデータはどれだけ信頼できるものがあったか、多少あやしい点もございましょう。とにかくそういうものをもとにいたしまして——またその〇・二五グラム・パー・キロメーターではたして完全によくなるのかどうかも実はまだよくわかりませんでした。だけれども、少なくとももっときつくしなければいけないのかもしれないのですけれども、その時点ではいまよりもなおわからない状態で、世界で一番きついそのころのマスキー法の値よりは実はあの答申はきつくなっておりますけれども、それはカリフォルニアの分が入っておるからでございますけれども、そういうような世界じゅうの規制の一番きついものを全部集めたというのがこの前のときの答申のやり方でございます。それで十分であるということがあの時点でも必ずしもわからなかったと思います。それが今度さらに大幅な後退をいたしました。したがって、それだけでは確かに〇・二五が達成できたのに比べればはるかに悪いことは仰せのとおりと思います。それにつきましては、したがいまして総量的に交通規制をやるとか、それから先ほども申し上げましたが、ほかの自動車以外の固定汚染源、そういうものを全部含めましてさらに進めていかなければならないじゃないだろうか。で、一方、自動車のほうも、あれは乗用車だけでございまして、トラックあるいはディーゼル車、そういうものについては引き続きやるつもりでございますが、そういうものだけでもなお不十分であればさらに交通制限、そういうこともやらなきゃいけないだろう。それからさらに固定汚染源についても総量規制的なことを考えなければいけない。そういうことはだんだんやっていかなきゃいけない。ただ、まあトラックなんかにいたしますと、先ほども申し上げましたように、大きな物流をしょっておりますから、どうしてもその間にそれにかわるべき、代替物流システムと申しますか、そういうものを政治全体の場としてお考えいただいて、そしてそのディスコンティニュアスな混乱を起こさないようにしながらできるだけ早くそういうふうなことにしていただきたい、そういうふうに考えております。
  48. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 まあ人間の命を守るためにいまいろいろな施策が講じられておる。田畑で汗水流す百姓が一生懸命でとった米も、カドミが一PPMあれば、これは米でないという処分を受けている。一・〇以下〇・四以上のものは米であるけれども人間に食わせられないというので、配給を停止する措置が講ぜられておる。農民が病虫害でたいへん苦しんだ、これを防除するのにBHCとかDDTが出てきた。これを使っても人間はすぐコロリとは死にませんよ。しかし、これを使うことによって人間に被害があるというので、販売禁止の措置までやっておる。あなた方が自動車資本のために一文の被害も与えずにこういうことをやろうとしたって、これはできるはずがない。もっと度胸よく、人間を守るためには自動車資本のこれだけの犠牲はしかたがない、さらに政治はその犠牲に対してどう手を伸べろ、こういう手がなぜ出してこられないんですか。大体、あなたの委員会中公審の大気部会の一専門委員会ですね。通産省の自動車の産業発展のための委員会じゃないはずです。人間の命を守るためにできている委員会ですよ。そこへ原点を置き、起点を置かなくて、どうしてあなた方の任務がつとまりますか。いま一度所見を承りたい。
  49. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  ただいまおっしゃった点について、われわれが特に企業のことを考えた覚えはございません。ただ、エネルギーの問題としましても、それから燃費の問題、そういうものについて多少の議論はございましたけれども、そういうものはわれわれの委員会の問題じゃない、そういうものは企業努力でお互いの競争によって自然によくなっていくんだからわれわれの委員会立場ではそういうものを論ずべきではないということにいたしました。それで、したがいまして、じゃその生産停止をするかしないかという問題になりますと、これは高度に政治的な問題だろうと思います。私どもはそこまでは手を出せませんから、技術的にできるという範囲内の、しかもそれは先ほど申し上げましたような意味で、技術的にできるという判断よりも最大のきつい試案を出したと、そういうことでございます。
  50. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 毛利長官にお尋ねします。  この問題もいよいよ大詰めへきて、いよいよこれから答申を受けて実施に入っていく段階だと思います、手続はおそらくこの報告が大気部分へ出され、中公審を経て答申となる。これを受けて実行をする手続に入っていくんだろうと思いますが、一方では政局もたいへんなことで、まあこういうところでこういうことを言うのはいかがかと思いますが、うっかりすると毛利長官、食い逃げをするんじゃないかというようなことを世間では言うんですよ、これ。私はそんなことをする毛利とは決して思ってはおりません。私は常日ごろ、よき友として、毛利さん、長官としていい仕事を一つは残しなさいよ、こういうことをあなたに言っておる。私はこの問題は、あなたが毛利長官として将来日本に残るよき仕事をする絶好の機会であると思うんです、これは。いま報告書ができた、これが部会にかかる、中公審にかかる、そのときに技術的にだめだということで、これをそしゃくもせずにうのみにしてやるようなことになれば、これは毛利長官の名を汚すようなことになるんではないかと私は思っております。なぜか、いま八田さんは技術の面からだけ論議するのがわが委員会の任務だと確かにそうでしょう。しかし、少なくとも環境庁は人間の命を守るためにできたお役所であります。特に光化学スモッグ、目が痛い、こういう形でわれわれの耳や目に入ってきました。その人自体は直ちに命には支障はなかったでしょう。しかし、そのときに真夏に木の葉がはらはらと散ったと言っております。木の葉がはらはら散るということは人間の手足がもげることですよ。なるほどいまの世代では命に直接の被害は出ぬかもしれません。しかし、このことが遺伝質に影響をし、子や孫が万全でない、かたわにならないという保証はありません。よごれた海では世代交代の早い魚は背骨が曲っていると言っております。家畜の牛や豚にはかたわができておると言っておる。人間にこれが出ないとどうして保証できますか。いまの毛利長官の立場は、日本人の日本民族の命を守るか守らぬかのせとぎわです。技術的な報告はこれでいいかもしれません。しかし命を守るという立場に立って〇・二五グラム、この問題をゆるめていいというはっきりした科学的な説明がない限り、一般の大衆は〇・二五グラムでなければわれわれは安全は保障されない、こう思っております。今回、自民党の総裁になり、近く総理になる環境保全の鬼といわれる三木さん、その流れをくむ毛利長官、ここで変なことやったらたいへんだと私は思いますよ、これは。ひとつほんとうに勇断をふるって〇・二五グラムは断固としてやる、それができない経過措置は経過措置として、たとえて言えば、それのできない車は特殊な色にして、入ってはならないエリアをきめて、ここへは乗り入れをさせないぞぐらいのことは堂々と打って出てほしいと思うんです。もちろん〇・二五グラムというのは山の中でもそれでなければだめだというんじゃないと思うんです。特殊な稠密地帯、こういうところで問題がある。もちろん〇・二五グラムは、今後ふえるであろう自動車の趨勢も勘案しながら、この線でいけば八年先には光化学スモッグの起こらない空気の清浄さに戻るとこういわれておったわけでしょう。ひとつ続けて長官をやっていただきたいけれども、九日には一応辞表を出すらしいが、この際、長官としての勇気あるひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  51. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) ただいまの栗原委員の御質問の趣旨はよくわかりますし、日ごろ生命の尊重、大切な点を終始頭に置いて環境行政をやっておることはもちろんでありますが、本件につきましては中央公害審議会の下部組織であるいわゆる自動車専門委員会八田会長を頂点とするこの専門的な知識、豊富な経験と頭脳の持ち主の皆さまの、長期にわたる意欲的な、たいへんな御努力の結果昨晩答申が出されたのであります。したがって、この答申が中央公害審議会にかけられて、その後に環境庁に正式に答申があることになっております。その段階において、環境庁は——この答申を昨晩私も大気局長から報告を受けましたが、中央公害審議会の結論を待ってわがほうの結論を出すというのがおぜん立てであります。精神は、いまおっしゃるように、この〇・二五グラムの大眼目をおろしたわけではない、先ほど原委員のおっしゃるように、日進月歩の技術の総合力をいかに当てはめながら一日も早く、一年でも早くこの達成をどのようなシステムによって完成するかということこそこれに対する大切なかまえである、こういうぐあいに考えながら、来たる九日以後の中央公害審議会の答申をお待ちしておる姿であると同時に、昨晩のこの自動車専門委員会の御報告の内容をわれわれは尊重して、そして十分基本路線として尊重して考えなければならぬ。しかし、正式には中央公害審議会の答申を待って考える。精神は、いま言う、会社にも、当然苦しいであろうけれども現在の制度も犠牲を払ってもらわなければならぬし、技術、科学の基礎に立ってほんとうに可能な線はどこかということを検討していただいておりますが、命の大切さにかんがみて環境庁の大前提に立って十分結論を出したい、こう考えております。
  52. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 大体、環境庁では諮問機関に最重点を置いて今後やっていかれるだろうと思うのですが、実はわれわれ委員会の中でも、われわれ議会としての考え方をどのように反映させるかということでいろいろ仲間でも話し合ってまいりました。部会の進行のさなかに、八田委員長を当委員会にお呼びしていろいろと議論をしようということもあったんですが、それでは独立した部会に対して介入になる、干渉になる、したがって報告ができるまではそれは見送ろうということで、昨晩の結論の出るのを待って本日の委員会が開かれる、こういう段取りになったわけなんですが、これから大気部会、中公審へ上がっていく、それを環境庁が受けてまるのみにするというようなことになると、われわれ議会の意向はどこで反映されるか。われわれがみずから立法をして、法律によって環境庁と対抗する以外に道はないのか、こういうところまで突き詰めざるを得なくなるわけです。これらについて大臣の所見を伺いたいと思います。
  53. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) いま申し上げますように、先ほどから八田委員長もお話しになっておりますが、〇・二五に達し得ざるその格差については、ディーゼルなりトラックなり、さらにインセンティブによる税その他の措置により、さらに交通規制により可能な範囲の補てんをもちろん考えなければならぬと思いますが、それはいずれ中央公害審議会から御要望があると思いますし、そうしたことも中央公害審議会から御要望があって、われわれは正式にそうした勉強もいまいたしております。あなたのいまおっしゃった委員会のお話については、これは私のほうから言うべき立場でなく、何ぶんこれからの処置は、八田委員会の結論を尊重しながらこれを基本路線として、いま申し上げますような補てん作用も要望に従ってさらに可能な範囲に補てんしながらこの問題の処置をしたいと、こう考えておるということを御理解と御協力と御判断を賜わりたいと、こうお願いします。
  54. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 それでは最後に、ひとつみごとな結果をお出しになることを心から要望して質問を終わります。
  55. 久保亘

    ○久保亘君 最初八田委員長にお尋ねいたしますが、今回あなたの専門委員会で出されました報告による暫定規制によって、少なくとも東京都において光化学スモッグが発生した以前の状態まで大気の浄化が可能であるという判断に立っておられますかどうか、その点をお聞かせいただきたい。
  56. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答えいたします。  光化学スモッグの原因物質といたしましては、ハイドロカーボン——炭化水素ですね。それから窒素酸化物、それに太陽の光化学反応というものがはいております。窒素酸化物、しかもそれが反応するのにかなりな時間がかかります。それで東京の光化学スモッグは、東京都内に発生したそういう汚染物質からだけによってできるのではなくて、それよりもう少し、たとえば川崎であるとか、風の向きにもよりますけれども、そういう一つの空気のかたまり——東京都の気団、空域と言ってもいいかもしれませんが、そういう中全体における関係汚染物質の排出総量、しかもそのときのNOxといいますか、窒素酸化物炭化水素の比などというものも、濃度が高くっても、比が、割合が——比ですね、比が違ってくると必ずしも出なかったり出たりいろんなことがございます。その辺は私どもあまり専門じゃございませんけれども、そういう空域全体で総量規制をやるということによらなければなかなかよくならないだろうと。その中に自動車というものは非常に広いところにしかも自由に動き回れますから、当然そういうものは固定汚染源等を含めて考えなければいけないと。今度の五十年規制だけでも半分になるわけですし、今度非常に後退しましたといえども、さらにそれよりもかなりよくなります。しかし、それだけで東京の光化学スモッグ全部が解決するとは私も思っておりません。それはさらに今後の、先ほど申し上げましたように、ディーゼルとかそういう自動車——たとえば七環なんかの場合ですと、乗用車というよりは大きなトラックとかディーゼルというほうの寄与率のほうがおそらく高いんじゃないか。しかもそれだけじゃなくて、その上にバックグラウンドとして、たとえば一番光化学スモッグの多い南風と申しますか、そういうときには神奈川あたりの工場から流れてきたものがちょうどその辺にくるとちょうどいい時間になる、もちろん自動車もそのときに寄与していると思いますが、そういうふうな関係も全部踏まえて、何らか考えていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
  57. 久保亘

    ○久保亘君 いまたいへん広い話をされたんでありますが、環境庁の試算によりましても、自動車による大気汚染の要因が三九%というのは七〇年度の試算で出ているわけです。そして私が何よりもいま八田先生のお答えの中で期待をいたしましたことは、四十七年十月に答申を出されました内容で、自動車排出ガスの許容限度の設定に関する基本的な考え方として、大気汚染の実態の把握、自動車排出ガス防止技術開発可能性の予測、それに都市交通体系のあり方、この三つの面からの総合的な研究が必要であるということがあなた方の答申にも盛られているわけであります。今回報告をつくられるにあたって、大気汚染の実態の把握ということについて、どれだけの資料もとにしてどのような御検討をいただいたのか、その点を、もし資料が膨大でありますならばその資料を御提示いただければと思うのですが、委員長の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  私どもこの前の委員会のときにそういう御指摘のようなことを要望いたしました。そしていまもそのとおりでございます。ところが環境庁におかれましては、その光化学スモッグの研究班というものをつくっておられまして、詳しい組織については私は存じ上げませんけれども、現在までにかなりの程度——この四十七年以前ではほんとうは皆目わからなかったと申し上げてもいいと思うのですが、ずいぶんよくわかるようになってきた。ちょっと先ほど炭化水素窒素酸化物の比というようなことを申し上げましたけれども、そういうものもいわゆるスモッグチャンバーと申しまして、自動車排気と、それから大気ですね、いろいろなほかのものが入っておる大気、それに紫外線照射をしてその中の変化を見るような研究装置もかなりたくさん、数台日本に入って——数台よりももうちょっとこれあるかもしれませんが、そういうものも使われ、それはまた実際の大気の汚染の状況とシミュレーションしようと思う装置なんですけれども、ちょっと大気のとおりではございません。したがって、その大気のほうの中のほんとうの様子、しかもそれが流れていくものですから、それを同時にあっちからもこっちからも、時間のおくれも、流れていく間の変化なども含めて、そういうことの御研究環境庁が中心になって、それから各省庁、あるいは大学の研究者の方々、そういうので光化学スモッグの解明はかなりよくやられておるようでございます。私ども委員会としましては、その概要につきまして、その環境庁の新谷研究班とか、それから通産省の機械技術研究所の柳原研究班とか、それから千葉大学の鈴木教授とか、そういう方にそれぞれの方面からお伺いいたしまして、それで単にまあ私はハイドロカーボンとかNOxを減らせばいいと思っておりましたのですけれども、この比というものに十分注意しなければいけないのだというようなこともよく勉強した次第でございます。その辺の資料は、私どもそのとき少しいただきましたけれども環境庁へお申し出になれば環境庁のほうで現在までたぶん、私どもは知らないことも全部聞いたわけでございませんので、いろいろデータはあると思います。しかしまだ研究が全部済んでいるという段階では決してないと私は判断しております。
  59. 久保亘

    ○久保亘君 ただいまのお話をお聞きいたしておりますと、自動車専門委員会としては今日の大都市における大気汚染の実態の把握について一般的な議論はされておりますけれども、その実態をどういうふうに調査をして、その実態の上に立って何をしなければならないかという議論をされていないのではないか、そういう意味では四十七年答申が完全に否定されるような形になってきたのではないかという感じがいたします。  で、昨日、東京都の公害研究所や住民組織の方々が一緒になりまして、東京都内における窒素酸化物の状態、特にNOxなどについて七時間にわたる調査をされておりますが、私の手元に届けていただきましたその調査の結果によれば、杉並区の和泉  一の二十二の測定点における七時間の平均値は〇・〇九九PPMになっております。環境基準〇・〇二PPMからいたしますと、約五倍の汚染の状況が昨日の測定の結果として出ているわけでありまして、特に午後の時間帯になりますと、十三時以後十七時に測定を終了するまでずっと〇・一以上の濃度となっております。このような実態を見ながら、今日、専門委員会報告されようとしております暫定値規制に従う場合に、東京都における許容排出量から残ってまいります部分ですね、規制がゆるやかなために残ってまいります分はかなりな量になることがすでに調査団の調査結果としては報告されているわけであります。これらの大気汚染の実態や、それから規制値を定めることによって起こってまいります将来の見通し、それからその場合に必要となってまいります車の交通量の制限台数、こういう問題について専門委員会としては計数的に御検討になりましたでしょうか。
  60. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  その件につきましては東京都と大阪府の窒素酸化物低減計画ということをレクチャーいただきまして、そしてそのときにそれがこれだけゆるくなったら何万トンですとか、とにかくそういうものを何とかしなきゃいけないと、そういうようなお話は伺いました。それから昨日環七付近で御測定になっているお話は私ども伺いましたし、それからまた審議の途中に、杉並区の方々がいろいろ御研究されたレポートなども拝見いたしました。しかし、とにかく最終的に、われわれは技術的な面でどこまでできるかという評価をすることに重きを置いておりましたので、ああいうふうに技術的にはここまでときまった場合に、それがどういうように寄与するかということは今日までまだやっておりません、きのうやっときまったところなものですから。ただし、前の場合でも〇・二五でも不足ぎみだと思います。それをゆるめたんですから、それだけカバーしなきゃいけない何かをつくらなければいけないということでは御同感でございます。
  61. 久保亘

    ○久保亘君 いま委員長の御説明によりますと、〇・二五の規制を行ないましてもなおかつ他の手段をそれにあわせなければ大気の浄化が期せられない、ましてや暫定直で規制をゆるめたりであるから、そういうことがますます必要になるであろうと、こういうお話でございますが、私がいまいろいろお伺いをいたしました限りでは、専門委員会は、本来の環境行政としての立場の基本となるべき大気浄化を達成して、国民の健康と快適な生活環境を守るという視点よりも、業界の主張する技術開発の実態に合わせて、どこまで業界を納得させられるか、こういう視点で今度の報告が出されたような感じがいたします。その点についてはまた後ほどお聞きいたしたいと思いますが、引き続き八田先生に幾つかの問題でお尋ねいたします。  一つは、四十七年答申の五十一年規制目標を二年間延長されたその理由と、それから二年間延長した場合に、先ほど西村参考人のほうからも、五十三年規制ということについては何ら歯どめはかけられていないのじゃないかと、ただ一応今日の段階でとりあえず先に押そうと、こういうことで先に押したにすぎないというような意味の口述がなされておりますが、委員長の御見解としても、新聞の報ずるところによれば、五十三年規制について別に決定したわけではない、こういうことを言われております。そのことは、四十七年答申の精神に沿えば非常に大きなこの答申の後退であるばかりでなく、私は、四十七年の答申と全く異質のものを今回はおつくりになった、こういう感じがいたします。その辺の事情について御説明をいただきたいのと、それから一トンをもって車両区分を設定されましたその根拠についてお知らせをいただきたいと思います。  それから委員長がその専門委員会を主宰をされます場合に、自動車公害専門委員会として審議に必要な技術情報は求める限りすべてメーカー側から提出を受けることがおできになりましたでしょうか。十分な情報に基づいて結論が出されなければならないと思うんですが、メーカー側からの技術情報の提供を受ける上で支障を全く感じておられなかったかどうか、その点についても率直なお答えをいただきたいと思います。  また自動車公害専門委員会のメンバーを見せていただきますと、エンジン触媒の御専門の方は非常に少ないようであります。ほとんどの方がそういう関係でないばかりでなく、このメンバーの中には自動車工業会を代表をする方が入っておられるようであります。私ども国民に対しては、自動車公害専門委員会はその審議をすべてこれ密室の中において論議をされたのでありますが、一方、自動車工業会に対しては、代表を委員に含むことによってすべてこの委員会審議内容は自動車工業会の側には完全にガラス張りでやられた、こういうような感じがしてならぬわけであります。そして、特に新聞によりますと、十二月の二日には、自動車工業会は、工業会を代表して出席されておりました家本委員をまじえて会合を開き、そして、その席で二段階の規制を行なおうとしているという状況等の報告を受けられた後に、工業会を代表して家本委員にひとつがんばってもらおう、こういう相談がされたということが新聞に報道されております。そのようになってまいりますと、この自動車公害専門委員会は全く業界のために存在したという印象を私どもは受けるわけであります。その点について、この会の責任者でありました八田委員長の御見解を承りたいと思います。
  62. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 非常にたくさんの御質問なんで少し忘れだかもしれませんけれども、まず最初、五十三年の時点——二年延ばしたと、延ばしたあとの点で、前の四十七年のときの答申と変わったと、方針が全然変わったんじゃないかというお話でございますが、それについては全然変わっておりません。ただ、二ヵ年間そういう状態が延びたということだけでございます。  それから、どうして一トンにしたかという理由は、できるだけきびしい値を今度とろうといたしますと——委員の中にもそういう意見があったんですが、もっと四段階であるとか……。こまかくすればこまかくするほどそのおのおのの、先ほど申し上げましたように、現在可能な——将来、還元触媒ができますとそれは変わってまいりますけれども、現在可能な範囲ですと、車両重量の重いほうが一般的にNOxがつらくなると。ただし、それはエンジンの重量と行程容積の比が大幅に変わらないでという条件がつきますけれども、そういうふうなことから、どうしても階段をこまかくすればシビアにできるし、階段を荒くすれば、一本にして技術的に可能なということになると、小さい車のほうが非常に楽をするというような形になりますので、その辺をいろいろ勘案して、二段階が一番いいんだろうということになったわけです。  それで一トンについては、一トンの辺で〇・六ができるかできないかということについては、非常に、〇・六の規制値というものは、先ほど申し上げましたように、〇・四八ないしは〇・五、まあ〇・四八ぐらいのものができていないといけないわけです。で、現在そういうものがはっきりできている会社は必ずしもあるかどうか、まあそれに近いものはありますが、当たると思いますが、そういう意味で、それについては、確かに、先ほど、あとでお話がありました業界の委員などからものすごい反対がございました。それで、それからまた上のほうの〇・八という値についても、同じくあまりにもきつ過ぎるということで非常な反対がございました。それからその一トンについては、一トンをだから同じく〇・六にして、その下の八百七十五キロというものにしろというお話が非常にあって、しかも委員の中でも、その八百七十五キロのほうが合理的であると——それは技術者的合理性だと思いますけれども、合理的であると、そういうような意見は非常にたくさんございました。しかし、私はやはり環境庁の立場でございまして、先ほど来おっしゃっているような健康を守るという立場ですから、その燃費だとかドライバビリティーとかというものは一切考慮しないでよろしいと、そういうものは、これは実は西村先生もよくおっしゃることですけれども、企業間の競争によって、しばらくすれば自然によくされていくものであると。だからそれは考えなくってもいいと。そういう意味で、少し、ある意味において私自身も、技術者とすればちょっと無理かと思う点なんですけれども、その一トンというところに持ち上げていったわけです、八百七十五キロという御主張を。だから、〇・六というものと〇・八五というような値、二段階とすると、その辺の切り方が一番合理的であって、そうすると、その一トンというところが合理的であると、そのようにわれわれは考えた次第であります。  それから判断するデータが十分あったかという問題でございますが、これはわれわれは三社——東洋さんと日産さんと本田さんは実地に見学に参りました。見学というか、視察に参りました。そのときにはどこの会社も、少なくともあらゆる実験室は自由に見せていただきました。ただし、そのときに、われわれが入っていくところを、それを前もって隠してあったかとか、そこまではわかりません。だけれども、とにかく私どもはふだんやっぱり技術者ですからそういうところへ行きますけれども、そういうときだったらほとんど見せてくれないところを、今度は委員なるがゆえに全部見せていただき、御説明をいただきました、そういう意味では。それからあとは環境庁のヒヤリングのデータをいただいたわけですが、それについては、初め委員会でそういうヒヤリングをしようかという話もあったわけですけれども委員会というよりは環境庁のほうが、やっぱり行政官庁としてふだん監督しておられるとか、いろんな関係で、機密保持とか、いろんなことでデータが集めやすいと——これがいいことか悪いことか存じませんけれども、そういうこともございまして、委員会でそれはやらないで、環境庁でやっていただいたほうがよろしいと。というのは私の判断でございましたが、やはり各社さんによってそれは態度はいろいろ違いますけれども、ある会社の方は、環境庁にだけ極秘で、極秘の書類としてこれを見せるけれども委員会なんかへ出すときには配慮してくれというような御注文があったりしたことは存じております。そういうような場合は、それでもさらにいろいろと審議上必要な場合は、たとえば表現を、価格は書くけれども、それを名前をつけると、中の様子が技術者だとわかっちゃうものだから、それはAとかBとかというふうな形に書くとか、何かそういうようなことで出していただく、そういうような形をとって、必要な限りのデータ環境庁からはいただいたと思います。だけれども絶対に十分であったかということにつきましては、それはいまの日本の私企業の問題なもんですから、一〇〇%ガラス張りで、何から何までわかったとは決して思っておりません。したがいまして、結論を出す場合に、多少、われわれの技術的な、これだけのいろいろなそれらのデータから、先ほど〇・六とか、〇・八五をきめる場合には、かなりわれわれの見識といいますか、識見というか、そういうものによってそれを押し切ったというような点はございます。  それから自工会のメンバーの家本さんが入っておられること、これは前からオープンになっております。その方が入っておられます。  それから密室であるということは、確かに、御指摘のとおりそういうようにも考えられると思いますけれども、われわれ技術者としていろいろな議論をする場合に、いわば失言みたいなことを絶えず自由にやってもいいような形で議論をしたほうが、ほんとうの議論をしやすいと、そういう意味でそういう形式がいいと、そのかわりに、そのあとで必ず記者会見をやる、それできょうやったことをかなり詳しく、そのつど、きょうはこうこういうことをやりましたとか、それで記者諸君からはかなりきびしい御質問があって、それにお答えしてきたつもりでございます。  以上で大体済んだと思いますけど……。
  63. 久保亘

    ○久保亘君 それでは八田参考人最後にお尋ねいたしますが、専門委員会の結論といいますか、報告が昨晩まとまったわけですが、この報告は、さらに大気部会において実質審議が行なわれた後、結論に至る、こういうことで委員長のほうもお考えいただいていると思うんですが、大気部会でさらに突っ込んだいろいろな討議が行なわれることになりましょうか、それが一つです。  それから専門委員会か今日まで審議をされましたその過程において、自由な発言をするために非公開にする必要があったという、あなたの御説明は一応理解するとしても、すでに報告書がまとまった段階でありますから、先ほど西村参考人も言われておりましたが、専門委員会が取り扱われた調査資料、特に環境庁が技術評価に関する資料も提出したと聞いております。あなたも先ほどそう言われましたですね、その資料とか、大気汚染の実態把握に関する資料とか、それから専門委員会の討議の内容を理解できる議事録、これらのものについては公開されても差しつかえないと委員長としてはお考えになっておりますでしょうか。  その二つについてお聞かせいただきたいと思います。
  64. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  初めのお尋ねの大気部会の件は、私もよくわからない、私自身が何にもお答えできないことだと思いますが、大気部会で起草委員会ができて、行って私が説明をいたします、大気部会で。それからあとは大気部会がどういうふうに処理されるか、大気部会のほうの問題でよくわかりません。で、起草委員会ができて、それでさらに報告をされる場合もございますし、そうじゃなくて、しなくてもいいというような動議が出て決定されるような場合も、いままでには両方とも経験しております。したがいまして、今後、今回のものについてはどうなるか、私は何にも聞いておりませんし、何にもわかりません。  それからあとのほうの、委員会のいまの評価した——何といいますか、大気部会に対する報告というのは要約した数枚のものでございますけれども、それで、そいつのための技術評価というもの、これは公にできると思います。ただし、それにかなりのものは入っていると思いますけれども、それ以外に、環境庁から、われわれがその審議の途中に見せろとかいったような資料を、それを環境——私としては環境庁の問題だと思いますけれども、たぶんできないんじゃないかと、要するに会社との関係で、そういうものはオープンにできないんじゃないかというふうに考えています。
  65. 久保亘

    ○久保亘君 委員長にお願いいたしておきますが、ただいま委員長のほうから技術評価の資料等については公開できるというお話でありますので、専門委員会が取り扱われました技術評価の資料について当委員会資料として提出されるよう委員長のほうでお取り計らいいただきたいと思います。
  66. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 委員長のほうから発言いたしますが、いま久保君のほうからありました問題については、後刻すぐ、しばらくしますと理事会開きますので、理事会開きまして協議をいたしまして取り計らいます。
  67. 久保亘

    ○久保亘君 次に東洋工業河野参考人にお尋ねいたしますが、あなたが最近御説明になりました内容の中に、五十年の秋になれば千五百四十キロの車で〇・六グラムが可能になるだろう、それは大体トヨタセンチュリーCタイプであると、こういうことをお話しになったというような記事をちょっと見ましたのですが、それはそのとおり間違いございませんか。
  68. 河野良雄

    参考人河野良雄君) お答え申し上げます。  私のほうは、現在は普通車は持っておりません。来年の春にも普通車を、数は少ないのですが、発売いたしたいと思っております。この前申し上げましたのは、初期値は〇・九付近でやりたいと、昭和五十一年度の規制されるときには〇・六まで持っていくように努力いたしますと、そういうふうに申し上げました。
  69. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、先ほど供述されました中に、あなたの口述の中に、暫定規制値を大幅に下回るものについては税制等において優遇措置をとってもらいたいということが述べられておりますね。そのようなことは他のメーカー代表の参考人の方の御発言の中にもあったようにお聞きいたしておりますが、ということは、今日の段階でそのような御発言がありますことは、今回この業界値を、そのような御発言になりました皆さんの会社においてはかなり下回る確信の上に立って税制上の優遇措置意見として述べられたものだと思うのですが、そのような理解をしてもよろしゅうございますか。
  70. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 私のほうは、いままであらゆるところで申し上げておりますことは、昭和五十一年度の窒素酸化物の量産平均値ロータリーエンジンで〇・六グラム、レシプロエンジン、これは一部キャタリストつけたものがございますが、これは〇・七グラムと申し上げております。この前東京都のあれで発言しましたものは、その中の一部は〇.四もございますと申し上げましたものでございます。それで〇・八五に比べまして大幅に下回るものはインセンティブをつけていただきたい。これは量産しただけでは、世に普及しないと、私は低公害車を出した意味がなくなるのではなかろうかと、こう考えますので、ユーザーが進んで使っていただけるために何らかの税制上、法制上の優遇措置をお願いしたわけでございます。  以上でございます。
  71. 久保亘

    ○久保亘君 ユーザーが進んで使わないということは売れないということなんです。ということは、この暫定規制値専門委員会の結論どおりに設定をされて何らの優遇措置もとられないということになれば、皆さんの会社においてもこれをかなりな余裕をもってクリアしているにもかかわらず、そのぎりぎりの技術のところまでコストアップを招くような装置を取りつけたりするようなことはやめなければならない、こういうことになってくるだろう。営業政策上から考えれば、私はそのような手段を会社側がとられることはきわめて当然のことだと思う。それをわざわざ規制をはるかに下回るコスト高になるような装置をつけて、ユーザーが使いたがらない、つまり買わないというような品物を出すほど皆さんの会社も余裕をお持ちではないと思うのであります。だから、そういう当然暫定規制値というものがあなた方の会社技術の現段階からするならば、かなり余裕を持ってこういう立場に立っておられるから、税制上の優遇措置などについての御発言が生まれるものと思うのです。私はその辺について社会責任ということを、皆さんも一致して先般のこの委員会においてもお述べになったのでありますから、そのような立場については率直にお述べいただくことが環境行政の立場から必要なことだと思っております。それで、皆さんの中で今日きめられる暫定値、重量区分が必要であるのかないのかという問題、それからその〇・六や〇・八五の規制値について、もっとこれが下回っても、われわれの会社としては十分それに対応できる、こういうことについて御発言をいただけるところがありますならばぜひひとつ御説明いただきたい。
  72. 河野良雄

    参考人河野良雄君) ただいま久保委員から御質問がございました点申し上げます。今度の規制値案につきまして、二本立てという問題がございましたが、私どももともと車種について〇・六あるいはキャタリストをつけましたレシプロエンジンは〇.七と申しております。このたびの二本立てということにつきましては、いずれにしましても、どこに線引きしましても矛盾は起こるものと考えております。一トン以下、一トン以上という区分になりますと、東洋工業といたしましては一トン以下は非常にきびしい基準である、一トン以上のものについては楽な基準である、こういうふうに考えております。それで大幅に下回るものはインセンティブと何らかの税制措置あるいは法制上の措置をお願いしたいと、こう申し上げておるわけでございます。
  73. 久保亘

    ○久保亘君 参考人が言われる大幅に下回るという意味は、一トン以下の車で〇・六の暫定値規制を下回るという意味ではないのですか。
  74. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 一トンクラスの車では下回り得るものは非常に数が少ない、一トン以上のものにしますと暫定基準値を下回るものが非常にたくさんあると、こういう意味でございます。
  75. 久保亘

    ○久保亘君 わかりました。そうすると、重量区分を抜きにして、〇・六で規制をしても、一トン以上の車でそこまではいけるものがかなりたくさんあると、こういう御説明のように承りました。であるとするならば、東洋工業考え方としては、重量区分についてもっと検討の余地があるのではないかという意味に解せられるのでありますが、まあその点については参考人としてもなかなかお答えにくい点だと思いますから、それでとめておきますが、環境庁長官にお尋ねしますが、きょうお見えになっておらない、いわゆる大手と呼ばれるトヨタ、日産などは、すでにこの五十一年規制が四十七年の環境庁の告示を下回って、いや数字の上で言うと上回るということになりますがね、下回って緩和されるということについて相当な自信を持っていたのではないかと思われる節がありますが、あなた方はトヨタ、日産においても環境庁の告示を実現するという立場で真剣に努力をしてきて、この緩和についての働きかけなどを皆さんのほうにやってはおらないというふうに理解されておりますか。
  76. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 大メーカー方々にこの規制の緩和を示したり、相談にあずかったりしたことはないと思います。
  77. 久保亘

    ○久保亘君 では、たとえば日産などは、すでにあなた方が中公審に対して再諮問をされる段階で規制緩和の可能性を見通しておったというふうにはお考えになりませんか。
  78. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) いろいろまあ今回の場合でも新聞社の方々が親切に予想記事を書いていただいて、いろいろな記事が出ましたが、先方さんの考えることで、われわれには関知しないことであります。
  79. 久保亘

    ○久保亘君 あなた方はメーカーに対して四十七年の環境庁告示を達成するよう要請をされてきたんじゃありませんか。その要請にメーカーの側が十分こたえるような姿勢でもって対応してきたかどうかはわれわれの関知することじゃないというなら、環境庁はあってもなくても同じですよ。
  80. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) ちょっと質問を取り違えておるのですが、そういう質問ですか。
  81. 久保亘

    ○久保亘君 うしろからよけいなことを言うからいけない。
  82. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) ちょっとこんがらがりましたが、先ほどの私の答弁は、どうも質問者の質者とは違っておったようでありますが、たいへん恐縮ですが、こんがらがりまして、もう一度再質問を……。
  83. 久保亘

    ○久保亘君 四十七年に答申が出て、その答申の五十一年規制達成するように環境庁は指導されてきたはずです。それはいままでの委員会の答弁によってもはっきりしておるわけです。そういう指導をされてくる中でも、大手メーカーの側は、どうせこれは規制緩和が行なわれるんだという態度で、あなた方の指導に応対をしてきたのではないかと私は聞いておるわけです。
  84. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 四十七年の規制をきめたときに、その規制を実行するという指導をしてきたことは、環境庁はそのとおりでありますが、それをどうせ改正されるんだという想定のもとに行動をとったかとらぬかについては、私はよくそういうようには解釈いたしておりません。
  85. 久保亘

    ○久保亘君 あなたはそういうふうに解釈されておらぬということでありますが、ここに日産自動車株式会社が発行いたしております自動車工業ハンドブック、一九七四年版があります。これが発行されましたのはことしの八月であります。だからこのハンドブックの原稿が準備されたのは少なくとも八月より前だと思うのでありますが、この中に、五十一年規制については「五十一年四月から適用、」こう書いて、「五十一年度規制値はゆるめられる可能性有り。」と書いてあります。日産自動車の発行したものですよ。だから初めから日産はこの五十一年規制については緩和されるんだというかなりな確信を持ちながら対応してきたと思われます。であるとするならば、その技術開発について環境庁が指導し、望んでいたようなそういう方向で真剣に取り組んだであろうかという疑問が残るわけです。だから先ほど西村参考人が言われましたように、ほんとうにその規制値達成しなければならないという社会的な要請にこたえる真剣な努力をやるかどうかということによって、技術開発の進みぐあいというのはかなり違ってくると私は思うんです。そういう点ではこのようなことが平気で書かれるところに私は企業側の体質を見るような気がする。だからまあことばをかえれば環境庁は初めからなめられていたんではないか、こういうことなんです。  だから私たちが環境庁長官に対して、参議院の公害特別委員会が七月に新たに編成をされましてからあと何べんもあなたの御見解を聞いております。八月の九日には「既定方針を堅持したいというたてまえから答申を期待いたしております。」とあなたはお答えになっております。しかし、あなたの期待された答申の素案となるべき報告は出てきていないわけですね、結果的には。それから十月の十八日には「五十一年度の、」「規制の問題については、できるだけ既定方針に沿った規制を実施したい」「わがほうとしては後退もしていない、固まってもいないというのが事実であります。」、こう言われております。まあ固まってもいないというほうに力点があったのかもしれませんけれども、しかし後退もしていないということを力説されております。そしてその際私が特に念を押しまして、「中公審審議がまだ途中であるから、その審議の結果を待って環境庁としては最終的な方針をきめたい。そして、中公審審議に対して、環境庁側が一定の考え方を事務局案としてでも示すようなことは審議過程においては一切あり得ない、このように理解してよろしゅうございますか。」と私がお尋ねしたのに対して、春日局長が「そのとおりでございます。」と答えられているのであります。ところが先ほど八田委員長からいろいろ御説明を聞きます段階では、審議の途中においてかなり環境庁側から事務局案としてまとまったものを示されて、それを一つのたたき台にしてあなた方は御検討になったようでありますし、また、あくまでも自動車専門委員会の自主的な調査研究をお願いしているのであると環境庁は繰り返し述べられているけれども、大気汚染の実態についても技術開発の状況についても、そのほとんどは環境庁側からあなた方が入手をされたそういう資料に基づいてしか審議をされなかったのではないかという疑問が残ります。だからその点については環境庁としてはかなり重大な責任があると私は思うわけです。それだけではなくて、環境庁としては方針を堅持してやっていくんだと、われわれは一定の原案を持って自動車専門委員会に御検討をいただいているのではないということを繰り返し言われてきておったにもかかわらず、非常に急ぐ形で最初の予定を変更してまで自動車専門委員会に対して結論をせっつかれたというのは、環境庁長官、どういう理由によるものなんでしょうか。
  86. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 八田自動車専門委員会の主体性と自主性を尊重して検討を進めていただいたことは、私が先ほど申し上げたとおりであります。  そして日程のことの御質問でありますが、本来であれば十月の末に御返答をいただく予定でおりましたが、暫時審議が延びてくる途中に、七都市の調査報告の一応御説明を聞く機会をここに当てはめたりしまして、予定が延びて十一月末には少なくとも取りまとめをいただくことになっておりました。それが局長から聞くところによると、四日と十一日に延びたという話を聞きましたので、四日はやむを得ないとしても、御苦労なことでありますが、もう一日、十一日を繰り上げて五日に願えることなら続けておやり願って、最初の案が十月であった、そしていろいろな事情で検討を進めてもらっているうちに十一月に延びて、これもたびたび委員会その他でお答えをしておる、可能な限り十一月末であってほしかったが、できないことはやむを得ないけれども、なるべく延びないように御配慮と御努力をしていただきたいという、きわめて自然な姿の御要請をしたのであります。それが政局と何ら関係のないことであることはきわめて明らかであります。
  87. 久保亘

    ○久保亘君 いや、私は別に政局と関係があるとかといってお尋ねしたわけでもありませんけれども、わざわざお話しになるところを見ると、かなりそういうことがあったのではないかと思われます。  それで、ただ、在任中に決着をつけたいという長官の談話が報道されております。在任中に決着をつけたいということは政局と非常に関係があるんでありまして、政局と関係がなければ、在任中にということばはいまごろ出てくる問題ではないんです。だから、何とかして自分の在任中に結末つけていきたいと、それほど思われた理由というのが私はふしぎでならぬです。ほんとうならば、こういう問題を緩和するような方向での決着というのはもう自分のところではやらずに、できればいい機会であるから次へ送っておきたい、こうお考えになるのが通常であります。もしあなたが四十七年答申どおり決着をつけるために、おれが在任中にやってのけるというお考えなら、これはたいへんりっぱなことです。しかし、それではなくて、むしろ緩和について自分の責任でやってしまっていこうと、こういうような御発言ではなかったのかという気持ちが非常に強く残ります。  それと関連をしてくるように、十一月二十九日、通産省の機械情報産業局長が環境庁に対して暫定規制値をゆるやかなものにするように申し入れを行なったという報道があります。で、これが——あなた何がおかしいですか。新聞はあなたに申し入れたと書いてあるんですよ。笑いごっちゃないでしょう。大気保全局長、あなたお笑いになる問題じゃないと思うんですよ。私が見るところでは、十一月二十九日、春日大気保全局長に、五十一年規制について森口八郎機械情報産業局長が申し入れを行なったと。それは、等価慣性重量八百七十五キログラム以下について〇・六、等価慣性重量八百七十五キログラム以上と四サイクルエンジンの軽乗用車については一・〇、それから暫定規制を三年間とするという申し入れを行なったということが報道されたことがあります。こういうような一連の動きというのが、環境庁長官が非常にお急ぎになったことなどと深く関係をしていっているのではないかという気持ちがしてなりません。  もしそうでないとするならば、長官に最後に私がお尋ねいたしたいのは——この問題についていまぐらい慎重な審議が求められているときはない。だから、自動車公害専門委員会報告をまとめられたというのは、これはすでに現実でありますから、それはそれとして、その報告もとにして大気部会が時間をかけて、この問題についてまだいろいろと意見のあるところであるから、慎重な審議をされるよう、環境庁長官として中公審希望されるお気持ちはありませんか。
  88. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 中央公害審議会が非常にいろんな知識の豊富な方々のお集まりのみずからの責任において主体性と自主性を持ってやられておるので、そう私がとやかく言うことはないのでありますが、真剣に、慎重に御検討を賜わりたいということは当然、何らはばかることはないと思います。
  89. 久保亘

    ○久保亘君 時間が参りましたので、もう一つの点でありますが、税制上の措置について八田委員長がお触れになっているように思いますが、税制上の措置によってこの規制に関して技術開発を促進をさせる、また実際に技術開発を進めたものに対しては、それが普及するようにやっていきたいということでありますが、その場合には当然その財源となるべきものについては、技術開発がおくれている側に対して求められるという形になってくるであろうと。その技術開発のおくれたものを国民が共同負担させられるというのは筋道が通りませんから、そういうような立場委員長の税制上の措置というのは述べられておるのでしょうか。
  90. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 仰せのとおりでございまして、〇・六とか〇・八五というのがございます。そうすると〇・五の車のほうに多く乗っていただきたいと。それで、先ほど申し上げましたように、ユーザーがほんとにそれを使ったほうが有利なような情勢をつくってくださいということを申し上げたわけでございまして、そのためには税制もその一つであると。それで、これ以外にいろいろな方法があるかと思いますが、それをできるだけ総合的にうまくやっていただきたいと。そのときにはもちろん、まあ〇・六があたりまえでして、〇・九はそれをやむを得ぬから許したというようなものですから、当然そちらのほうが、とにかく差をつけるということが大事であって、そちらのほうにより大きな差をつけるというのが当然だろうと思いますけれども、とにかくそれは、そういうこまかいことをわれわれの委員会——そういうユーザーがよく使える有利なようにしてくださいというコメントしかつけておりませんけれども、そのとおりだと思います。
  91. 久保亘

    ○久保亘君 時間が参りました。どうもありがとうございました。
  92. 矢田部理

    ○矢田部理君 最初に私は八田委員長にお尋ねをしたいと思います。  四十七年の段階でいわゆる五十一年規制について答申を出された。
  93. 八田桂三

    参考人八田桂三君) はあ。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一ぺん言いましょうか。  四十七年の段階で、いわゆる五十一年規制についての答申を出された。その答申を出す際に、確かに困難ではあるということが言われている。むずかしいというふうには言われておりますけれども、不可能ではないという立場で答申を出されたわけですね、少なくとも専門家の集まりである自動車公害専門委員会などの検討が中心になってその答申を出されたわけですから。その段階でそれなりの技術的な見通しを立てられたのではないか。これはもう常識的に見ればあたりまえのことでありますけれども、そういう技術的な見通しは全くなしに四十七年の段階で答申を出されたんでしょうか。その点をまず伺いたい。
  95. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  四十七年のときに五十一年度の答申を、特に五十一年度規制〇・二五に対しては非常に困難であると思っておりました。だけれども、それが絶対不可能であるかどうかということを証明できれば、より優遇すべきだと私自身は考えたんですが、不可能であるということの証明はまたできませんでした。一方、そのころすでに本田さんのCVCCというのが、これは秘密ではあったんですけれども、少し進んでおりました。それで、それからいろいろ私なりの——そのときに本田さんだってそんなものができていないというわけで、現在でもまだできていないんですから。そういうもので、何か小さい車とか何かにすれば何かできるような可能性があるかというのも多少計算もしてみました。だけども実際はわかりませんでした。だから結局はそのときに、具体的にその時点では、今日われわれの知っているように〇・二五が、もうそこに、目の前に見えているようなシステムが先ほどもあるということを申し上げましたけれども、そういうようなものは私には予測できませんでした。
  96. 矢田部理

    ○矢田部理君 私が伺っておりますのは、困難ではあるけれども不可能ではないという前提に立って答申を出された以上、しかもそれが専門家意見として出された以上ですね、それなりの技術的な見通しもあったのではないか。それなしに不可能ではないという意見専門家から出されるということ自体がちょっとおかしいと思いますので、その点もう一度。
  97. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 不可能であるということを証明できないということがまず一つです。それで、いろいろと計算をしたり何かをしてみましたけれども、まあその実際の自動車として、そんなものが何とかかんとかというシステムじゃなしに、エンジンとしましてどういうところまでいくだろうかと。そうしますとわれわれは最近コンピューターなんか進歩してきたものですから、多少自動車のような非定常と申しますか、早く加速したり減速したりするような、そういうときにまた実際の排気汚染物質を出すものが多いんですけれども、そういう過渡期の計算は、なかなかコンピューターも非常に発達したのでかなりできるようになりましたけれども、その時点ではそういうことは私自身も能力がございませんで、定常で走っているときに、一定の速度でいって、回転するぐらいのときに何とかならぬかというふうな計算をしてみると、全然うまくやれば非常にそれこそ燃費とか何かはべらぼうに悪くなるだろうけれども、まあとにかく不可能だということは証明できる、まあある意味では可能性はあると、そういうふうな判断はいたしました。
  98. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうもすっきりしない説明でありますけれども、不可能であることを証明できないから不可能ではないと考えたという言い方は、言ってみればことばのもてあそびでありまして、少なくとも科学者、技術者が、その責任において答申を出す場合に、不可能であることの証明がないから不可能でないと書いたのだということではきわめて根拠に欠ける、説得力がないというふうに私は考えざるを得ませんけれども、その質問はその程度にいたします。  ところで、先ほども問題になりましたけれども、どうも自動車公害専門委員会専門委員会といいながら、たとえば排ガス規制で一番問題になりますところのエンジン本体をどういうふうにしていくのか、触媒等を含めてあと処理をどうやるのかという専門家は、私が見た限りでは八田委員長、あとは触媒の関係で八巻さんしかおられない。あとはどちらかといえば、先ほども出ましたように、企業側の代表であったり、通産省や運輸省の役人であったり、しかも専門家とは思われない、この問題については。そういう方たちの集まりでほんとうに専門的な検討ができたんでしょうか。
  99. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  いま、私と八巻委員だけが多少専門家だとおっしゃっていただきまして、まあ私自身もどれだけ自信があるかどうかわかりませんけれども、あと運輸省の安全公害研究所の喜多部長だとか、それから通産省の機械技術研究所の次長をしている山家さん、山家さんは、かつてはエンジン研究家でございます。エンジンの燃焼のことでは非常にりっぱな仕事をしておられます。だから、そういり方面で、そのほかに、それはお医者さんも入っておられますし、いろんな、われわれの委員会で番議することがいろいろございますので、そういう方も入っておられますけれども、決してそれは御指摘のように非常に十分であったかどうかはわかりませんけれども、決して私一人であったとか、八巻さんと私だけであったとかいうことではございません。
  100. 矢田部理

    ○矢田部理君 その点はもう詳しく聞く必要はないと思いますが、たとえば、運輸省から出ている喜多さんは、自動車排気ガスが光化学スモッグの原因ではないという否定論者であります。あるいは、いまも幾つかお話が出ましたけれども、医学や疫学の専門家ではあっても、どうも排ガス問題の専門家とは思われないような人たちが多数入っておるわけであります。しかもうしろだては政府の役人であります。あるいは業界の代表であります。これではどうして公正な、あるいは少なくとも環境を守るという立場に立った審議ができたのだろうかということで疑問にかねてより思っていたわけでありますが、昨夜の報告を見ますと私どもが危惧していたとおりのきわめてひどい報告が出された。  そこで西村先生にお伺いをしたいんでありますが、七大都市調査団が中央公害対策審議会と会見をした際のレポートが出されております。このレポートの中に次のような部分が記載をされております、「一連の討議の過程において、」——これは一〇ページでありますが、「討議における問題点と今後の課題」というところの一番目に、「中央公害対策審議会自動車公害専門委員会は五十一年自動車排出ガス規制基準の達成に関する技術可能性について、ほとんど専門技術的検討を行っていないことが明らかとなった。」、きわめてきびしい鋭い指摘をしておるわけでありますが、この内容をもう少し詳しくお話をいただきたい。
  101. 西村肇

    参考人西村肇君) これは、われわれがお会いしたときに、八田委員長がこういうふうにおっしゃいました。まず、われわれの報告書に対して、たいへんりっぱな報告書を出してわれわれは感心しておりますと、何しろわれわれは、いままでこの問題についてほとんど議論をしておりませんのでという御発言でした。で、これからもわれわれがこれほどりっぱな報告書を出せるかどうかわかりませんという御発言でした。
  102. 矢田部理

    ○矢田部理君 八田さん、そういう話をされたそうです。また、その専門的、技術的問題についてはほとんど議論をしていないという。いいですか、これまで環境庁がとってきた態度というのは、私どもの追及に行き詰まると必ずといっていいほど、いま中公審で再審議をお願いをしている、中公審の答申を待って見解を明らかにしますということで、すべてが中公審を隠れみのにしている。これまで率直に言うと、この問題について環境庁はごまかしてきた、そういう立場からすると、まさに国民の健康は、八田さんが主宰をする委員会の結論と動向にかかっていたと言っても過言ではないわけなんです。その委員会委員長が、この問題ということについては、もう少し詳しく西村先生から御説明いただいたほうがいいかもしれません。専門的、技術的な問題についてはほとんど検討していないという発言は、これはきわめて重要だと。その点、いかがでしょう。
  103. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  議論をしていなかったということは、たとえば〇・三なら〇・三にしようとか、〇・二五にしようとかいう数字について、その数字がいいとか悪いとか、それはどうしようとかいうことを議論していなかったということでございまして、検討していなかったとは、何も遊んでいたというわけではございません。そのために周辺のいろんなデータを集めたり、そういうような議論をするための勉強を、実地調査を含めまして、それからアメリカのペーパーとか、そういうものを調べたり、それから環境庁に資料を要求したり、そういうことでいろいろ、しいて言えば勉強していたということでしょうか、そういうことをやっておったということであって、それをやらなければ——その上に立って初めてほんとうの議論ができるものだと私は考えます。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一度西村参考人に発言を求めたいのでありますが、ここできわめて断定的にほとんど専門的、技術的検討を行なっていないことが明らかになった、それはお目にかかったときの八田発言だけではなしに、いろんな資料審議の内容等についても検討なされた上での結論だと思われますので、やや詳しくこの点を御説明いただきたい。
  105. 西村肇

    参考人西村肇君) いま八田先生のほうからお答えがありましたが、私たちがお会いしたときの話では、そういう意味合いのことではなかったと思います。つまり私たちの報告書では、各エンジンのタイプについて、それから各社のデータについてデータを取り寄せて、どこまで可能性があるのか、それから、これはどういうふうに変えればどこまでいけるだろうかという詰めた議論をした結果を書いてあります。八田先生がそのときおっしゃったことは、そのような詰めた議論をしていないということで、決して〇・三という値が可能か可能じゃないかという議論をしてないという意味ではなくて、各エンジンタイプ、それから触媒なら触媒の種類、可能性、これはだめだと、耐久性というようなことについて、具体的なこまかい議論をしていないという意味合いの発言だったわけで、それではそれまでにどういうことを議論されたのかということを伺ったところ、たとえばというのでお話しになったのが、喜多委員——光化学スモッグは自動車排ガスによるのではないという議論を喜多委員が一時間または二時間にわたってしたというような例をお話しになりましたけれども、私たちが考えていたようなエンジンに関する、触媒に関するこまかい議論、数値をあげてのこまかい議論はしていたとはおっしゃいませんでしたし、意味合い全体としてもしてないという意味でおっしゃったわけです。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこでお伺いをしたいのですが、八田委員長に再度お尋ねをいたします。  これはこの委員会でもたびたび問題になり、きょうもグールド社の代表の方に御出席をいただいておるわけでありますけれども、例の還元触媒について、グールド社実験では非常な成功をおさめた。環境庁自身も触媒の中ではいいものの一つであるという答弁を再三にわたってされております。ところが日産自動車は、その同じ触媒を使って失敗をしたということを同時に述べておられます。そこで私たちのほうでは、同じ触媒で一方は成功し、他方は失敗をしたということであるならば、その双方の資料を突き合わせるなどして、なぜ一方が成功し、一方が失敗をしたのか、その原因究明に当たったか、当たるべきじゃないかということを環境庁にもしばしば申し上げてきた。さらには日産にも、失敗をしたということならば、それはそれでけっこうだから、それに関する詳細な資料を国会に提出してほしい、これまた何度にもわたって要求をしてきたわけでありますけれども、ついに日産はグールド社と発表をすべきでないという秘密の協定、あるいは企業秘密だというような趣旨だろうと思うのでありますけれども、ついに国会にその資料を提出しませんでした。そこで、あなた方のほうでは、外形的な実験結果ではありませんよ、具体的な内容に立ち至った詳細な実験結果等について資料を取り寄せる、あるいはグールド社成功したということであるならば、グールド社から技術者を呼んで内容的に詰めてみる、それについて科学的、専門的検討を加えてみる、こういうようなことまでやっておられるのかどうか。  それからもう一つ、十一月の四日付のアメリカの自動車専門の週刊誌でありますが「オートモティブニューズ」という週刊誌によりますと、クエスターという触媒メーカーが新触媒開発した。この新触媒を使って、フォード社のピントという車に装着をして、カリフォルニアの大気資源局でテストをした結果、五十一年規制達成するような非常にいい触媒があらわれたという報道がなされています。しかもこの内容を見ますと、これまでのように貴金属を使用しない触媒、しかも有鉛ガソリンでも、日本の五十一年規制に相応するアメリカの七六年規制に合格をした、燃費は三%もよくなっているという報道がなされておるわけでありますが、こういう新しい触媒をめぐる技術の到達水準について御存じかどうか、どういう検討をされたのか、その点をお伺いしたい。
  107. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  先ほど技術的な検討をしていないというお話もございましたが、グールド社触媒につきましては十分検討いたしているつもりでございます。きょう、朝、お話しになったデータとたぶん同じだと思いますけれどもグールド社から詳細なレポートを二冊ちょうだいいたしました。しかもグールド社の方にいただきまして、これは私だけでございましたけれども、私の東京大学のほうで、私が約三時間ほどいろいろ質疑応答をやりました。それからまた、先ほど御指摘もありましたように、八巻委員は確かに私よりなお触媒の大家でございます。八巻委員にそのレポートをお渡しして検討もしていただきました。いずれにしましても、先ほど来申し上げましたように、われわれのレポートにも書いてあるとおりでございますが、グールド社還元触媒があらわれたということは、私どもを非常に勇気づけることでございます。しかし、現在、私どもが拝見したときのデータは、六万キロ走っておられますけれども、その間にいろいろの検査上、正式の耐久性試験ではやってはいけない調整をたくさんしておられます。しかも途中の値も、全体の平均値はリードしてますけれども、途中それよりこえておるような点がたくさんあって、これでこえてもまた減っていってしまうということは、その間に調整がなされているんだということをおっしゃいました。そうして確かに自分のほうは還元触媒だけのメーカーであって、それから酸化触媒とか、それからもう一つグールド社還元触媒が酸化触媒にどういう影響があるかというような話も出たんですが、その辺は私もあんまり専門外でよくわかりませんけれども、そういうことを含めていろいろ御質問いたしましたら、いまのところ、そのときにお会いした方々は、もちろん先ほどおっしゃった日本車両検査協会ですか、そこではかられたデータも拝見いたしました。そのときに、とにかくまだこれは確かに私ども申すように、自動車全体のシステムとしては完成したものではない、だけどもというお話がありました。私は同時にまた逆に言えば、いままで還元触媒はもっと短い期間しかもたなかったのをよくここまで曲がりなりにももつようなものをつくっていただいたということは非常に大きな力となることで、今後自動車メーカーと一緒になって一日も早くそのようなシステムを完成していただきたいとそれに対しては非常に勇気づけられたということを申し上げました。  それからクエスター社のことにつきましては、いまの「オートモティブニューズ」ですか、それ自身は、私は特にそういう専門でもございませんので存じませんけれども、クエスター社の触媒がかなりすぐれたものであるということは伺っております。それからその話は八巻さんからもだいぶ伺いました。それからそれ以外にもまだUOPでしたか、ちょっと忘れましたけれども、かなり最近有望な還元触媒が出つつあるようでございます。でも、そういうようなことを議論しての勉強はしておりました。だから先ほど論議もしていないという、ほんとうの、私は論議というものの私の定義が間違っていたかもしれませんけれども、そういうことは一生懸命やっておったわけでございます。
  108. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうも私の質問に半分程度しか答えていないのですが、グールド社では一応成功したというデータをかなり詳細に出していると思うんです。ところが日産側は、失敗をしたという結論と若干の結果だけは私たちのほうにも報告をしましたけれども実験のやり方、ときどきにおけるいろんなデータ、失敗の原因、それから装着のしかた等々も含めて、内容的なことは全くと言っていいほどわれわれには少なくとも知らされてこなかった。そこで、実験内容と実験結果について詳細な資料を出しなさいと再三にわたって要求をしてきたんですが、先ほど久保委員の質問に答えられて、メーカーは比較的協力的であったというようなお話もございますけれども、そういう資料を取り寄せて、両方の実験結果について突き合わせをし、どこがまずいのか、日産のどこに問題があったのか、一方で成功し、一方で失敗したという原因は一体何だったのかというようなことについて詰めた議論あるいは科学的、専門的な議論をいたしましたか。グールド社からこういうお話を伺いました、こういう資料をあれしましたということはもうすでに環境庁から出されておりますので、お聞きしなくてもわかっております。  もう一つはクエスター社で出している触媒がいいものであるということは承知しているということは、それはそれでけっこうですが、その触媒カリフォルニアの大気資源局でテストをした結果、五十一年規制に見合うアメリカの七六年規制に合格をした、この事実が重要だと思うんです。そういう関係の資料なり、データなり、状況なりを知っておりますか、このことを聞いている。
  109. 八田桂三

    参考人八田桂三君) まず日産のデータをどれだけ知っているかというお話でございますが、それは日産へ行きましたときに、いわゆる日本耐久試験方法で、運輸省がきめております、その運輸省のきめております耐久試験方法でやったら、数字は忘れましたが、あるところでこういうふうになったということを聞きました。それは拝見いたしました。それ以上のことはわかっておりません。グールド社のほうは耐久試験方法が全然違っております、それと、私どもとしましては当然それだけが、しかもいろいろ手入れしておりますから、グールド社のほうが違うのはあたりまえである、そういうふうな結論をいたしました。だけれども、それにしましても、そこまできて、その後さらに開発も進むでしょうから、そういう意味では今後いろいろ非常に勇気づけられることだと考えておりますけれども、われわれの知っておるのはそういうことであります。
  110. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一つ追加してお聞きしたのは、クエスター社の新触媒カリフォルニアの大気資源局で日本の五十一年規制に相当する基準値をクリアしたということは知ってますか。
  111. 八田桂三

    参考人八田桂三君) それはたしか八巻さんからそんな話を聞いたように思いますけれども、私はいま記憶にございません。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 すでに十一月四日の段階の自動車専門紙で発表になっている、したがって実験をし結論を出したのはもっと前の時期であるはずです。それについて話を伺ったようなこともあるけれども記憶していないというのでは、あまり専門委員会委員長としてはたよりなさ過ぎるんじゃありませんか。  それからもう一つ申し上げておきますけれども、日産がやった実験結果、いま委員長が言われたぐらいのことは私たちだって聞いております。それを立ち入ってもう少し技術的に詰めてみる必要がある、なぜ専門的に技術的に見て一方が成功し、一方が失敗したのかと。これがほんとうの委員会のやっぱり、一つの例でありますけれども、姿勢でなければならぬというふうに思うわけでありますが、その点でも私どもしろうとが調査した以上のことが出ていないというのが残念でなりません。  そこでグールド社に、フィーダー参考人にお尋ねをしたいと思いますが、グールド社テスト結果などについていろんな論議がかわされてきました。その論議の中で、いい触媒一つではあるけれども、同時に幾つかの難点があった。難点の一つには、数値にばらつきがあるということが一つでした。それからもう一つ批判されていることの中に、テスト中何回も整備をしているという指摘もありました。その他のこともないわけではありませんけれども、そういう指摘に対してグールド社としてはどうお考えになっているのか、その点を述べていただきます。
  113. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) グールド社責任といたしましては、NOxに関する触媒テスト、そして調査と、そしてその性能があります。しかしながら触媒というものは自動車なくしてテストすることはできません。したがいまして、私たちは数多くの車、十七種類の車を買いまして、そしてテストを行ないました。このテストを行なう際におきまして私たちは、日本並びにアメリカのそれぞれのテスト方法に従いました。これらの車は七三年型、七四年型の私たちが購入した車でございます。GEM68という触媒に新しく開発したこの触媒を使って行なわれた第一回目のテストは、確かに六万キロ以上は走りましたけれども、しかし同時に、その過程におきまして、気化器——キャブレーターの調整を必要としました。私たちは、冒頭で申しましたように、すでにNOxを処理する技術というものはそこにあると固く信じております。確かに、データのばらつきの問題もあります。しかしながらグールド社といたしましては、自分のところでは自動車をつくっていない。そこでよそから持ってこなければならない。ある自動車の一番いい部分をこっちからとり、こっちからとりやって、こうしてやってまいりました。しかしながら、こういう非常なハンデをしょいながらも、最近において行なわれましたテスト、そしてまた私たちの最初テストについてもそうでありますけれども、非常に有望だと私たちは確信しております。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこでもう一点だけお尋ねしたいと思うんですが、グールド社日本の日産その他に例のGEM68という触媒を相当数渡しておられる。それを使って日産その他でも実験をしているようでありますけれども、その実験結果はいずれもよろしくない。途中で溶けてしまったというような結論だけが報告をされています。私から申し上げるまでもなく、日産その他とは技術提携をしておる間柄でありますから、なぜ日産で失敗をしたのか、グールド社では一定の成果をおさめているのに、日本の企業ではそういう成果が出ないのか、グールド社として日産等に確かめるあるいはしかるべき資料をもらうというようなことはなされているんでしょうか、成功と失敗の原因について明確になっているんでしょうか、その点をどうお考えか。
  115. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) 現在私たちは、日産自動車から伝えられてまいりました三件の失敗につきまして調査、分析をしているところでございます。現在までのところわかりましたことは、いずれも非常に高温、摂氏千三百度という高温が発生したために触媒が溶けてしまったということでございます。しかしながらこの千三百度の温度をもってすれば、私たちの触媒のみならずほかの触媒もおそらくすべて溶けてしまうのではないかと思います。そして、現在アメリカの町を走っております百万台の自動車触媒がつけられておりますが、これらの自動車も同じように千三百度という高温にさらされるとおそらく溶けてしまうと私たちは思っております。それでは問題はなぜこの温度がこのように上がったかということかと思います。これは私としてはいろいろなことを推測しておりまして、それにつきましてごく近い将来、あるいは来週にでも日産自動車とひざを突き合わせて相談をしたいと、そしていろいろと見きわめたいと思っておりますが、実際問題といたしまして、私たちの試験におきましては、このような高温は発生しておりません。したがいまして、私たちの実験車に乗せた触媒につきましては、このような失敗は起きておりません。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 最後にもう一点。日産はグールド社との提携関係を理由にして実験内容、関連する資料等の公開をしない、企業秘密という口実をもってそれをしていないのですが、一方の提携会社であるグールド社としては実験内容、関連する資料等の公開はできるんでしょうか。
  117. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) ただいまのは、公表するのは日産のテストの内容でございましょうか、グールド社自身のテストの内容でございましょうか。
  118. 矢田部理

    ○矢田部理君 日産側が内容を発表することについて提携会社の一人であるあなた方としてはオーケーを出す意思があるかどうか、こういう意味です。
  119. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) はい、その用意はございます。私ども日産の技術者とお話し合いをして、その上で、その用意は十分にございます。
  120. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで西村参考人にお尋ねしたいのでありますが、七大都市調査団として触媒問題についても専門的、技術的な検討をされてきたと思うわけです。いまグールド社からお話がありましたけれどもグールド社触媒等も含めて五十一年規制との関係で触媒が到達し得ている最近の技術水準あるいは今後の見通し等についてお話をいただければと考えます。
  121. 西村肇

    参考人西村肇君) 技術的見通しに関しましては、報告書にかなり十分に詳しく書いてあると思います。で、それを見ていただくと、その見通しに関しまして、見通しというのでしょうか、事実ここまでのことが進んでいる、問題はここであるということについては八巻委員も同意したのであります、還元触媒に関しましてはどういう点が問題かといいますと、だいぶ詰められたあと、二つの問題が残っておると思います。つまりアンモニアが発生してしまう。NOxはつぶれるけれどもアンモニアが発生してしまって、インディフェクティブな実行——実際にはNOx——窒素酸化物が減らないという問題が一つあります。しかしその問題に関しましては、触媒技術の発展によりまして、現在ではほとんど問題はなくなっておると思います。  で、もう一つの問題は耐久性の問題であります。もっぱら還元触媒の問題はそこにしぼられている。ということは、われわれ調査団のメーカーを呼んだときの聴聞会でもメーカーがそう認めておりました。問題は耐久性であるというふうに詰められております。そうしますと、そこで耐久性がある触媒があるかどうかということですが、触媒耐久性に一番影響を与えますのは、酸素が還元触媒の中に酸素リッチな状態になってくる、そこで還元触媒とはいいながら、実は酸化が起こってしまいまして、還元触媒の温度が上がってしまうということです。ですから還元触媒の温度を許容温度以下に保つにはどうしても酸素濃度を〇・四%以下程度に押えなければならないということがあります。このことは、エンジンを普通の状態で使っている限り少し、もちろん燃料を当量比よりも濃い割合で使わなければなりませんが、燃料を空燃比でいいまして一四・五以下で使うならば、いままでのデータはすべて酸素濃度は〇・四%以下になることは十分によくわかっていることであります。ところが問題はたまたまの事故なんであります。そこでプラグがミスファイアしたときが一点。それからガソリンがなくなったとき、いわゆるガス欠のときには燃えませんから、空気がそのまま通過してしまう。燃えずに空気が還元触媒に流れてしまう。そういうような状態では確かに耐久性に非常に大きな影響があります。で、そこが還元触媒の泣きどころであったわけです。その問題はたいへんむずかしい問題であったんですが、それを解決する一つ方法としてグールド社は、還元触媒の前に酸化触媒を置いて、特に高い酸素濃度がきたときは、それをつぶすという方法をとったわけです。これはなかなかうまいアイデアだと思います。ですから結局グールド社触媒というのは、二元——還元触媒と酸化触媒の組み合わせでなくて、酸化触媒還元触媒、酸化触媒と三段の触媒になったわけであります。で、これはなかなかうまいアイデアでありまして、もしかその酸化触媒が、前に置かれた酸化触媒がうまく働くならば、還元触媒は、耐久性の問題は片づく、大幅に解決するということは実は触媒メーカーがみな認めている、かなりの触媒メーカーが認めているところであります。  ですから私は、グールド社データについては公表されているもの以外は何も知りません。それから直接どんなエンジニアリングスタッフがそれをやっているのか知りませんので、あまり信用することはしておりません。そのために私たちの報告書では、いままでの時点ではグールド社データもとに、ある予測をするということは避けてまいりまして、全然それに触れておりません。しかしながら、この間の中央公害対策審議会の席上で八巻委員が言われましたことは、すべてわれわれの見通しというものには、見通しというか、現状把握には同意をするけれども、有望であるとは言えないということを言われるわけです。それから、では有望でないのかというと、有望でないという積極的な証拠はない。で、有望であるとは言えないというふうに言われますので、そこまで問題がシビアに煮詰められてまいりますと、私たちは現在ある技術というのをとにかくもう少し徹底的に検討してみる必要があるんじゃないかということで、私はグールドのエンジニアにも直接会いましてよく話を聞きました。そうすると問題はこういうことだと思います。私がいままでの経験から判断するところでありますが、グールドのエンジニアリングスタッフに会った感じから受けますのは、少なくともグールドの発表しているデータについて、うそがあるというような感じは受けなかったと、それは言えると思います。そうしまして、ではデータがどういうデータかといいますと問題はあるけれども、少なくとも六万キロ走って六万キロ走行後もNOxが、五十一年規制を満足している、NOxをはじめ五十一年規制をすべて満足しているという種類のもので、それは自社のデータ一つあります。それからEPAがそれをテストした結果もあります。しかしいずれにしても、それはまだアメリカの話ではないかということに対しては、グールド社では日本と同じテンモードの試験もしております。しかし、まだアメリカということに対しては先ほど話が出ましたけれども日本に持ってきまして日本車両検査協会でテストしたデータがありまして、それもやっぱり同じ値を示している。ただし、そのテストしたのは日本車両検査協会で耐久テストをしたのではないということです。そうすると問題は、要するに耐久テストを第三者が日本で行なったとするならば、少なくともこのデータはこういう判断をしてよろしいと思います。つまり還元触媒に関しては、いわゆる技術開発がほとんど完了した、開発ですよ、触媒に関してだけの開発がほとんど完了に近づいたという判断ができるだろうと思います。その条件はあくまで日本で第三者が耐久試験を行なって、それで日本の場合四万キロのテスト成功したとするならば、還元触媒技術開発がほぼ完了に近づいたという結論を出してもよろしいと思います。  以上が私の意見です。
  122. 矢田部理

    ○矢田部理君 いまのお話を前提にもう一つだけ質問さしていただきますと、そうしますと、グールド社に限らず一つ到達している技術水準としては、ほぼ技術開発としては完了しつつある、問題はそれを実用化する、量産化するという段階だと思いますが、それについては時期的な見通し、あるいはメーカーとの協力体制の関係等々も含めてどんなふうにお考えでしょうか。
  123. 西村肇

    参考人西村肇君) すべてグールド社の言っているデータがそのとおりだという仮定のもとに立ちます。それで問題は第三者が日本で耐久テストを行なうということです。これはメーカーがやればなおさらけっこうだと思います。かりにメーカーが耐久テストをやる、これは耐久テストは四万キロやれば三ヵ月で十分だと思います。しかし、そのあとに八田先生が先ほどから言われておる枯れ草の上を走ったら火がつくのではないかというような問題その他を含めまして、安全性のためにそこにインシュレーターをつけるというような技術開発その他を含めまして半年で十分だと思いますが、かりに一年それに十分に使ったといたしましょう。それですれば、その時点で耐久テストがかりに三ヵ月たてば耐久テストに合格することがわかると思います。合格して、なおかつ、そのあといろんなことの手直しで半年または一年を使ったとしましょう。そこを完全な技術開発の完了とみなします。そうしますと、私がリードタイムに関して出した推定によりますと、自社で触媒開発した場合には触媒開発の完了の時点から一年半あれば量産可能であります。ということは、現在の時点から数えまして二年または長くても二年半で量産可能だという結論が出せると思います。
  124. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういたしますと五十一年規制に間に合う、あるいはおくれても半年前後の期間であるというふうに伺ってよろしゅうございましょうか。
  125. 西村肇

    参考人西村肇君) おくれても半年、一年というようなことで可能だと思います。
  126. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、引き続き西村参考人にお尋ねをしたいのでありますが、先ほどの御意見の中で、二段階規制はナンセンスである、とりわけ小型車をきびしく、大型車をゆるくというやり方はおかしい、むしろ大型車のほうが規制をしやすいんだというようなこともお述べになったかと思うのでありますけれども、その理由、根拠などについてもう少し詳しくお話をいただきたいと思うわけです。
  127. 西村肇

    参考人西村肇君) これは触媒というものを取り上げてみますれば、触媒でもよろしいでしょう、それからあと処理装置というもの、これを取り上げてみますと、これは車の大きさにかかわらず、大きさは違うかもしれないけれども、ある数のあと処理装置が必要である。それから特にスペースが必要であるということで、スペースの面から大きい車のほうがやりやすい。それから一番大きな問題はコストの問題であります。大きな車のほうがあと処理装置をつけたほうがコストの増加に十分たえられます。しかし小さい車ではこれはたえられない。たえるのが非常に重荷になるということがおもな理由である。ですから大きい車についてのほうが、対策を立てて、対策技術的に可能な場合に、それを実際に量産車、経済的な量産車に持っていくことが可能であります。技術的にいえば小型、大型を問わず可能だとしても、その意味合いは違うという意味で特に申し上げたわけであります。
  128. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間もありませんので、富士重工の参考人である長島さんにお伺いをしたいと思いますが、富士重工のスバルレオーネが国産車では初めて触媒などのあと処理装置をつけずにエンジン本体だけでアメリカの七五年規制にパスをした、連邦規制でありますけれども。という報道、報告がなされておりますが、これはそのとおりでございましょうか。
  129. 長島昭次

    参考人長島昭次君) そのとおりでございます。
  130. 矢田部理

    ○矢田部理君 このスバルレオーネにはEGRをつけていると思われますけれどもEGRは何%ぐらいかけられたのか、その数値を明らかにしていただきたいと思います。
  131. 長島昭次

    参考人長島昭次君) 約三%でございますが、私どもエンジンちょっと特殊なことをやっておりまして、外部還流率としてのEGRは三%でございますけれども、パルプのタイミングをいろいろいじりまして、内部での自己還流、つまり排気弁から排気管にはき出されたものをすぐそこでまたシリンダーの中に戻すということをあわせてやっております。
  132. 矢田部理

    ○矢田部理君 外部還流の問題についてさらに詳しくお尋ねをしたいと思いますが、外部還流はEGRを三%かけられておる、その結果、先ほどの規制値に到達をしたというお話だと思うんでありますが、この外部還流三%をさらに倍の六%であるとか、一〇%かけて実験をされることがございますか。あるとすれば、その内容をお話をいただきたい。とりわけNOxの値がどのぐらいになったのかを明らかにしてほしいと思います。
  133. 長島昭次

    参考人長島昭次君) アメリカのカリフォルニア試験車そのものでの還流率をさらに下げるという実験についてはまだあまりやっておりません。しかし、それと似たような形での国内のものでの還流率を、一〇%程度まで外部還流率をふやしたものはやっております。それは最初に御説明いたしましたように、その場合にはNOxが〇・四グラム・パー・キロメーターぐらいまでは下がりますが、それと同時にハイドロカーボンCOがかなりふえてまいりまして、規制値に合格しない。しかも運転性が非常に悪い。つまり、アクセルを踏みますと運転者の意思どおりに車が動かないで、ごつごつするといいますか、非常に運動が不規制な運動になる、そういう問題が出ておりまして、私どもでは外部還流率は四、五%程度までで、それ以上は無理だというふうに考えております。それは先ほどの内部還流との合計で考えないといけないですから、その合計値が……
  134. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間がありませんので、簡単にしてください。  西村先生にお尋ねしたいのですが、いま長島参考人からスバルレオーネあるいはその他の車で実験をされた経過内容が明らかになりました。これはおそらくEGRはかけておりますけれども、酸化触媒とかリアクターなどは使っていないものというふうに思われますが、——長島さん、そのとおりですね。
  135. 長島昭次

    参考人長島昭次君) アメリカのはそういうことです。
  136. 矢田部理

    ○矢田部理君 ということを前提にして技術的な評価をいたしますと、いろいろな弱点めいたことも何点かあげられましたけれども、どのように見られますでしょうか。
  137. 西村肇

    参考人西村肇君) 私も新聞に発表されているデータしか知りませんが、それをもとに評価をさしていただきます。  このレオーネのエンジンのすぐれている点は、空燃比がほとんど当量比に近いところ——これは推定でありますが 一四・五程度NOxEGRつきで〇・九四グラムという値を達成したことであります。で、特に注意したい点は、アメリカの規制のしかたは日本と違っております、つまりLA4というモードで試験いたしますが、これは日本のテンモードの試験よりもやや高く出る。場合によっては二〇%ぐらい高く出るというテスト方式でありますが、それともう一つ、アメリカの規制では日本と違いまして八万キロあとの値をとります。で、たぶんそういうふうなカリフォルニア規制の結果でありましょうが、EGRにつきで〇・九四値が出たことは、割り引きますと〇・九または〇・八に近い程度のものがまずその空燃比が当量比に近いところで出た。もしかこのエンジンハイドロカーボンCO増加を一応無視して燃料過濃側にずっと移してまいりますと、それだけで半分ぐらいにまでNOxは減る。減らすことができると思います。つまり〇・四程度になる。で、問題はあとEGRをどれだけかけられるかということでありますが、富士重工の中村博行さんが以前に発表されたデータでは、これはある特別なエンジンではありますが、運転性が悪化して使えなくなる限界というのをEGR三〇%のところに置いておられる。ですからあまり無理してかけるということをおすすめするわけではありませんが、燃料過濃側に持っていくだけで少なくともNOxに関しては〇・四にかなり近い線にまでいくのではないか。もちろんそのときにハイドロカーボンそれからCOがふえてまいりますので、これとあと処理装置、酸化触媒、何々を使って除去しなければならないと思いますが、そういうふうに考えますとこのエンジンは当量比に近いところで燃してもNOxが非常に低いというたいへんすばらしいエンジンだと思います。
  138. 矢田部理

    ○矢田部理君 いま長島常務のお話によってももうすでに〇・四が出ているということ、その他の弱点についてはいま西村先生が言われたようなカバーのしかたが十分考えられるということになりますれば、先ほどの触媒の問題、それにエンジン本体の問題等から見て十分にまだまだ五十一年規制をやる見通しはくずれていない、少なくとも五十一年規制が、そう長時間かけなければ達成できないという性格のものでは、結論的にないと思うわけでありますが、その結論だけもう一度、西村先生に。
  139. 西村肇

    参考人西村肇君) 結論……。
  140. 矢田部理

    ○矢田部理君 はい。
  141. 西村肇

    参考人西村肇君) きわめてまあ限られたデータに基づいて判断をしなければなりませんし、特に先のことでありますので、そういうデフィニットな結論というのは出にくいわけでありますが、その上で言わしていただくならば、われわれが考えておりますのは、〇・二五から近い範囲、具体的に言えば〇・三または〇・三五というふうな値。そうして時期について言いましても、五十一年規制といいながら、五十一年または五十一年から少なくとも一年または一年半おくれ程度で〇・二五とか〇・三五に当たる技術が、パーフォーマンスを持った車が量産できるということについては疑う余地はないだろうということをはっきりと確信しております。
  142. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで環境庁長官にお伺いしたいと思いますが、いよいよ自動車専門委員会が昨夜報告を出された。大気部会にかかるわけでありますけれども、いま西村先生からお話があったように、あるいはその他の触媒なりエンジン等についても非常に有力な見通しが一方で出てきているわけですね。だから、専門委員会の答申をうのみにして大気部会から中公審に上げる、中公審から答申を受けるというようなやり方ではなくて、再度大気部会でも実質的な審議をすべきだ。そういうことを、これは中公審自身の問題かもしれませんけれども環境庁としても考えるべきではないでしょうか。  それからもう一つ、これまでずっと中公審の答申待ち、中公審で専門的、技術的に検討をいただいておりますのでということで逃げてきた経過があるわけです。しかし、事態がここまでくるともう環境庁は逃げるという立場では済まされなくなる。そこで、待っていた答申がいよいよ出た場合に、私たちは、答申が出たから答申どおり環境行政はやればいいんだということで済むものではないというふうに思うわけです。とりわけ自動車専門委員会は、技術的、専門的な見地からだけしか問題を見ていない。先ほどからも指摘がありましたように、命と健康を守る立場が大きく欠落をしている。これはもう環境行政のやっぱり基本を問われる問題だというふうに考えるわけです。そういう立場で問題を見ますと、かりに答申が出たとしてもそれは一つの参考意見である。答申の法的性格をひとつ確認をしておきたいんでありますが、法的拘束力がないということを環境庁長官お認めになりますか。
  143. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 中央公害審議会の下部組織である自動車専門委員会の結論が、先ほど来申し上げますように昨夜出ました。私はこの結論を尊重してまいります。したがって、中央公害審議会が今後慎重な検討をしてわがほうに答申があると思います。それをまた中央公害審議会は、先ほども触れましたが、主体性を持ち自主性を持って御検討を願っていただきます。それを尊重いたします。そしてその間、一応最終決定はおそらく新内閣において決定されると想像をいたします。いずれにいたしましても、ものの考え方で、いろいろ先ほど来皆さんの真剣な御議論をお聞きしてまいりました。確定的な問題、前提条件つきの問題、あるいは不確定な問題、技術は日進月歩で激しい勢いで進歩をしておることも事実であります。そうした技術をあらゆる機会に吸収し、総合し、そうした技術を活用して見直しをして、そうしたたてまえで、大眼目である〇・二五グラムを、一応今回の自動車専門委員会でおきめになったようなたてまえを尊重して、けじめをつけながらも、技術の進歩を受けて一年でも早くこれが行なえるようなかまえと姿勢を絶えず持って行政は進まなければならない、こういう考え方でこの問題の判断を、私の在任中における最善の努力をしていきたいとこう思っております。
  144. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう時間がきておりますのでそろそろ終わりたいと思いますが、答申はあくまで答申で、これは法律的には参考意見です。それ自体に法的拘束力はない。つまり環境庁が従わなきゃならぬ法的力はないわけです。そのことをお認めになりますか。それを一つの参考意見にして、独自の立場環境行政を命と健康を守る立場で貫徹する余地はまだまだ十分に残されている、その意味ではフリーハンドだということをお認めになりますかということであります。
  145. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 先ほど来申し上げておるように、尊重しながら環境庁として判断する余地はもちろんあります。
  146. 矢田部理

    ○矢田部理君 したがって法的拘束力がないということは認めるわけですね。参考意見であって法的拘束力はないということを認めるか認めないか、そのことだけ。
  147. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 法的拘束力のないことば委員会のおっしゃるとおりでありますが、自動車専門委員会、これから上部機構の中央公害審議会の御検討の結果の答申については十分に尊重してこの問題の処理に当たりたい、これがわがほうの方針であります。
  148. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一点だけ。ということは、七大都市調査団が出した有力な意見、国民が非常に健康と命の問題を危惧している状況、こういうことはこれから無視するということでもあるんでしょう。そちらのほうの意見はどうしますか。その点だけ。
  149. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 七大都市の調査団の御意見はじめその他の貴重な意見はもちろん参考にさしていただきます。われわれのお願いをしておる中央公審の意見を最も尊重していくたてまえでおることは先ほど来申し上げたとおりであります。しかし貴重な意見というものは十分参考にしてものごとを判断いたします。
  150. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間がきましたので、これで終わります。
  151. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと委員長発言しますけれども、大臣の前のほうの答弁で、大気部会でも中公審でも慎重に審議されるだろうという答弁があったんですけれども、従来の経緯だと大気部会はまさに全くの形式的なものになっている、中公審は全くそのとおり、今回は違うんだというような答弁に私は聞いたんですけれども、どうですか。あの答弁のとおりでよろしゅうございますね。
  152. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 主体性と自主性におまかせしておりますが、私のほうとしては、各方面の皆さんの貴重な意見がありますので真剣に慎重に御検討を願いたいということをつけ加えますけれども、あくまでも主体性と自主性が重点であります。
  153. 小平芳平

    ○小平芳平君 各メーカー参考人の方にお尋ねをいたしたいのでございますが、先ほど河野参考人からは、一トン以下にはこの暫定値はきびしい規制だと 一トン以上のものにはむしろゆるい規制だというお話がございました。この点について私ずっと各参考人の方、長島参考人杉浦参考人、それから持田参考人にそれぞれ御意見を伺いたいわけです。  一つは、〇・六というものが達成可能かどうか。この点について前回の委員会でもまた本日の委員会でも再三御発言がございましたが、もう一度あらためてわかりやすくひとつ。一トン以下にはきびしいという河野参考人の御発言もございましたが、はたして達成は十分可能というふうにお考えでありますかどうか、これが第一であります。  それから第二には、一トン以上にはゆるいというふうなお考えをほかの方もお持ちかどうか。ゆるいとすれば、どの程度は可能だというようなことが述べられますかどうか。以上の点についてお尋ねしたい。
  154. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 一トン以下につきましては、〇・六全部達成できるとはいままで申しておりません。と申しますのは、一トン以下の中でレシプロでキャタリスト即触媒を使いますものは〇・七ぐらいに限界があると申し上げております。これはもし〇・六がきまれば、いまから十分の努力をいたしまして、達成すべく努力したいと思っておりますが、もし達成しなかった場合には、捨てる以外には方法はないと考えております。  一トン以上のことにつきましては、私のほうは特にロータリーエンジンというのがございますので、〇・六というものは全部達成できると考えております、これはいままでのヒヤリングその他において申し上げております。一トン以上のレシプロにつきましても、サーマルリアクターを使いますものは〇・六達成可能であるという御報告を申し上げております。量産平均値において〇・八達成できるということを御報告してございます。  以上でございます。
  155. 長島昭次

    参考人長島昭次君) 一トン以下の達成が可能かどうかというお尋ねのようでございますが、非常に困難だというふうに私ども考えております。しかしながら、基準で決定されれば最大限の努力を尽くして何とかしたいというふうに考えております。なお、一トン以下の中にも軽自動車がございますが、これは三六〇ccのままということですと非常に困難だということを申し上げておきます。  それから一トン以上についてはゆるいと考えるかどうかというお尋ねでございますが、私ども一トン以上の車やっておりませんのでわかりませんが、理論的には一トン以上のほうがNOx排出量が多くなるということは承知いたしております。
  156. 杉浦英男

    参考人杉浦英男君) 一トン以下のものについての〇・六が可能かどうかというお問い合わせについては、現在のものでまだ一〇〇%いっておりませんけれども、このあと、先ほどの朝の私どものステートメントでも申し上げましたように、品質管理水準の向上とCVCC技術改良とをもちまして五十一年の秋には全車種これを可能にしたいと考えております。そうすることは見通しとしてあるというふうに考えております。  また、一トン以上のものに対する〇・八五の値についての意見ですが、私どもまだ具体的にデータをはっきりと持っておりません。〇・八五というのは量産の平均値としてむずかしいかどうかについては、ちょっとコメント差し控えさしていただきます。
  157. 持田勇吉

    参考人持田勇吉君) お答えいたします。  一トン以下の車に対しまして当社が持っておりますベストデータは、初期値〇・五、六万キロ後〇・六、あるいは〇・七になる、これは環境庁にも御報告してあります。これが私ども実験車におけるデータでございます。今般平均〇・六という規制が施行される場合には、なおただいま申しましたのが実験値でございますが、これを生産化いたします、と約二割ぐらい余裕を見ておく必要がございますので、さらに余す時間に玉成研究をいたさなければなりません。非常に苦しいですが、達成いたしたいと思っております。  それから一トン以上の車も当社つくっておりまして、等価慣性重量一トン二百五十及び一トン五百のがございますが、これも実験データといたしましては、たまたま両車とも初期値は〇・八で六万キロのときに〇・九あるいは一・〇というデータが現在のベストデータでございますが、これが今般〇・八五になりましたのは非常に実験値から見ますと苦しゅうございます。  それから軽自動車、これは等価慣性重量が六百二十五キロの車両でございますが、これもわれわれの実験データのベストデータ初期値が〇・七で六万キロは〇・八あるいは〇・九になります。われわれの実験結果がちょうど今般の答申の線に非常に平行的なデータが出ておりますが、私どもはなぜこのように差があるかをいろいろ検討もいたしましたし非常にこまかい計算もしてみましたが、非常に大ざっぱでまことに恐縮でございますが、非常に簡単な考え方で定性的な判断をしてみた次第でございます。一定距離を走ります間に発生するNOxの絶対量、これが基準になっておりますが、この絶対量はまず排気ガスの絶対量に比例いたします。重い車を運ぶほどその重さに比例して燃料が消費されますから、排気ガス量も重さに比例するという項は一つございます。それからもう一つは車両に対してエンジンの苦しさという項がございます。一定の重さのものに大きなエンジンをつけますと非常に楽でございますが、小さいエンジンを搭載しておりますと非常に重くなります。これによってNOxの濃度が、排気ガスの中の濃度の問題が関与いたしますので、濃度の項がだいぶん入ると思います。これで私どもは重量と濃度、の項をかけ合わせまして、これは非常に一義的にわかりやすいのでこの数字で比較いたしますと、これはある数字でございますが、すなわち等価慣性質量の二乗をエンジンのCCで割った数字でございますが、これを見ますと、軽自動車六百二十五キロ車が千百という数字になります。それから八百七十五キロを一二〇〇CCで引っぱる場合の数字が六百四十になります。それから一トンの慣性重量の車両を一四〇〇で引っぱるとしますと七百十になります。また一トン二百五十の車両を一八〇〇CCで引っぱる場合には八百六十という数字になります。さらに一トン五百の車両を二〇〇〇CCで引っぱりました数字がたまたま軽と同じ千百という数字になります。このようにフックカーブになります。これはまことに原始的な幼稚な考え方でありまして、現実にはもっとこまかいファクターを考慮し実験式が大量に入るわけでございますが、これらをすべて無視しまして大ざっぱに見ましても、たまたま今回自動車専門委員会で策定されましたものが私ども考えの平行のようなものに一致しております。  で、少し長くなりましたが、要するに一トン以下〇・六と 一トンを含まず一トン以上〇.九は同等の苦しさだと思います。軽自動車もあるいは〇・八五程度が妥当なものではないかと考えております。
  158. 小平芳平

    ○小平芳平君 八田先生に伺いたいのですが、一方ではそういう御意見も十分あったと思います。その〇・八五はゆる過ぎないかと、あるいは全くこの企業の研究報告をそのままあげたにすぎないではないかという御意見も十分討議されたことだと思いますし、あるいは二年というこの期間もどうして二年が妥当か、あるいは一年ということも考えられるではないかというような点についてどうお考えでしょうか。お伺いしたい点は、第一には、ゆる過ぎないかということです。後退し過ぎたではないかということ。それから第二には、二年という期間がどうして区切られるかという点です。
  159. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  いまの先生のお申しのように、われわれは一トンで〇・六、それから一トンを含まないそれ以上〇・八五というのをきめましたけれども、これは環境庁を通じて皆さんから、各会社開発状況で見た数字からすると、先ほどから皆さんがおっしゃっておられるように、みなきつ過ぎるというのが、そのとおりでございます。だけども、その点は先ほど来いろいろございましたけれども環境庁にお出しになったデータでもいろいろ調べますと多少の矛盾もございますし、いろいろある。そういうところから、この程度ならば今後の企業努力によって、その企業努力も一年もかかるんじゃ間に合いませんけれども、そこまでいかないで何とかなるだろう、そういう意味で、それからまたエンジンもともとの設計によって多少楽なところのメーカーさんも、あるいは非常に苦しいメーカーさんもあるでしょう。それからもう一つは私自身では、ある種の、特に大型車小型車、軽とかという税法の問題もございますが、あの切れ目のときにはどうしても税金が安いほうのところでエンジンをきめようとすると、CCの規定がございますので。そういうわりに大きな車にエンジンの小っちゃいのが乗っかるというような形がございますので、その辺のところでは妙な問題が起こるであろうような問題と。だけども、それは企業努力で吸収していただくよりしようがないんじゃないか。一時的には五十一年のときにできない、あるいは一時期、ほんの短期間では生産停止に近いようなことが起こるかもしれないというような気もいたしましたけれども、まあこれでも先ほど来大いに後退したとしかられておりますとおり、環境庁の立場環境庁に所属しておりますわれわれの立場としましては、そういう全然長くとまるということに対しては、私どももそれは政治的な判断ではないかと思いますけれども、この程度ならまあいいんだろうというような意味で非常にきついところにきめたと思っております。  それから二年というか、一年か三年かというふうな問題は、われわれの委員会でも一年という議論は実は出ませんでした。というのは、一年間ではいまから準備しても一年の後に量産させるということはいまではもうおそいという判断がございます。それで二年というのでもそれに近いから無理だというので三年説というのが実は非常に多かったわけでございますけれども、これもやはりできるだけ企業努力で、無理だとは思いますけれども、無理無理と申しますか、二年二年でやるのが一番妥当であるというふうに考えまして、皆さんのご協力でようやくそこにまとめたと、そういうような経過でございます。
  160. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁に伺いますが、中公審の正式答申が出て、そして告示されるのは新内閣だろうというふうに長官が答弁されましたが、大体いつごろと予定されますか。
  161. 春日斉

    ○説明、員(春日斉君) 専門委員会報告を大気部会に報告いたしまして、それから大気部会での検討を経て中公審の会長から長官に答申が行なわれます。それを十分尊重しながら告示ということになるわけでございます。これは御承知のとおり、自動車公害専門委員会それから大気部会で検討され答申されますのは平均値でございますので、これを最大許容量というかっこうで行政的には告示することになります。それから、その他いろいろなことが告示の内容にはなってまいりますので、若干の検討項目、検討時間、こういったものが必要でございますので、おそらく年を明けて一月の終わりごろになるのではなかろうか、かように予定いたしておる次第でございます。
  162. 小平芳平

    ○小平芳平君 少なくともその段階では——政府がきめた環境基準がありますね、この政府のきめた大気の汚染にかかる環境基準、この中の二酸化窒素、こうした環境基準の達成は、もうこうした〇・六、〇・八五ということでは全く見通しが立たなくなったとこういう結果になりませんか。
  163. 春日斉

    説明員(春日斉君) 御承知のとおり窒素酸化物による大気汚染の様態はいろいろな地域によりましてかなり違ってまいります。同じ大気汚染濃度でございましても、地域によりましてはいわゆる固定発生源からの窒素酸化物が主体で汚染しておるところと工業地域の少ないところでは自動車が主体であるところ、種々な構成になっておるであろうと思います。また、先ほど八田先生からのお話にもございましたように、ある県、ある地域というふうに限られたものではなくて、県際問題あるいは市と市の間というような問題もございますので、これは自動車の寄与率と申しますか、こういったことを十分に私どもは検討する必要があろうと考えております。したがいまして、これがいわゆる窒素酸化物環境基準の一つの基本的な達成の手法になるわけでございますけれども、その開発を私どもは現在行なっておるところでございます。したがいまして、個々のケース・バイ・ケースでございますけれども、個々の地域の窒素酸化物環境基準がどうなるかというような問題につきましてそれぞれ理由があるであろうと思います。ある地域におきましては、固定発生源を中心にすれば達成し得ることもあると思います。
  164. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことを伺っているんではなくて、これは九月二十日の当委員会参考人としておいでいただいた都の公害局長上田さん、それから大阪府生活環境部長中川さんの御発言の中に、五十五年に一日平均〇・〇二PPM以下ということが目標であり、それを達成するためには、五十一年規制が実施されたとしてもなお五十五年には相当な交通量削減が必要だと、そうしなくては達成は無理だと、こういうことを発言しておられたのを春日局長も聞いていたじゃないですか。あるいは大阪のほうでは固定発生源は七二・八%、移動は八九・一%削減しなければ環境基準達成はできないと、これは五十一年規制が実施された場合でもこうだというふうにおっしゃっておられた。この点についてどう考えますかということです。
  165. 春日斉

    説明員(春日斉君) ただいまの御指摘はそのとおりでございます。ただ、自動車による窒素酸化物排出量の削減と申しますものは、一つは交通総量の伸びというものをこれは減らすという手段があろうと思います。第二は、いまだ乗用車と同程度ほどきびしい規制がかかっておりませんディーゼルエンジン車とかあるいは軽量トラックの問題とか、そういった問題、車の規制をきびしくすることによってもその差というものを縮めることが可能であると考えておるわけでございます。そういった努力を続けてまいりたいと思います。
  166. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、結果としてはこの環境基準は達成すると、あくまで五十五年を目標達成できるようすべての面で削減をしていくと、こういうことですか。また、それが可能なんですか。
  167. 春日斉

    説明員(春日斉君) 窒素酸化物低減目標と申しますか、いわゆる環境基準達成地域は五年地域と八年地域とあるわけでございます。それをそれぞれ達成すべく努力いたすつもりでおります。
  168. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうもそれはそのため努力しますが、〇・二五でも達成は無理だという御意見に対して、要するに五十一年規制が実施されても達成はきわめて困難だという地方公共団体の直接の責任者の御意見に対してどうかと言っているわけです。
  169. 春日斉

    説明員(春日斉君) 先ほどもお答え申し上げましたように、従来計算に入れておりませんようなディーゼル車の規制の強化とかあるいは軽量小型トラック等の規制の強化、それから固定発生源等の規制の強化、それから交通総量の全体としての削減、こういったことを総合的に行なうことによりまして、その差を縮めてまいりたい、かように考えております。
  170. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、中公審の答申を得て告示する場合にはそういうすべての面の対策も同時に立てますと、そうして、きれいな空気を取り戻すと、国民の期待に十分こたえますと、こういうことですか。
  171. 春日斉

    説明員(春日斉君) 告示自体にはそういった問題は必ずしも書かないわけでございます。しかしながら、自動車排気ガス規制の大きな眼目でございますので、この告示を通じてそれを達成し、しかもなおかつ窒素酸化物削減計画を達成するように、これはわれわれ十分にあらゆる意味で決意をいたしたいと考えております。
  172. 小平芳平

    ○小平芳平君 何か春日局長のお話を聞いてますと、五十一年規制の〇・二五というような規制はあんまりやらなくてもいいような感じの答弁じゃないですか。西村先生いかがですか、その辺。
  173. 西村肇

    参考人西村肇君) いま春日局長のお話の中で一番問題だと思いましたのは、すでに固定発生源に対しては削減するような計画が進んでいる、そのべースの上に立ってなおかつまだ自動車発生源、自動車から出るNOx——固定発生源からも減らせるんだけれども、なおかつその上にまだ自動車から出る、排出されるNOxをもっと減らさなければならないということを上田公害局長がおっしゃったと思います。だから、いまの春日局長の御答弁はいまきめられている固定発生源からのNOx削減の計画をもっと上回るような計画を推し進めるんだという環境庁のほうでの公約なのかどうか伺いたいということと、それからディーゼルディーゼルということが先ほど八田委員長からも出ますし、春日局長からもたびたび出ますが、われわれディーゼルのこと問題にしたことはないんです。これはアメリカでもディーゼルに関する規定はずっとおくれております。というのはガソリンエンジンに比べますと、ディーゼルエンジンの場合にははっきり言いましていま技術的にNOxを削減する技術可能性はほとんどありません。これは大事なことなんです。ですからガソリンエンジンでさえNOxの削減がこんなにむずかしいと言っているときに、ディーゼルエンジンに関してNOxの削減なんて私だってとても公約なんかできません。私も全然絶望だと言ってもいいと思います。ですから貨物自動車動かなくちゃいけないとするならば、トラックの問題でNOxを削減するならばディーゼルエンジンNOxを削減するのではない、つまり貨物自動車、のNOxを削減することです。それはどういうことかといいますと、ディーゼルエンジンからガソリンエンジンに変えなければならない。これはたいへんな問題です。つまり軽油で走っていたものをガソリンに変えなければならない。そういうことをどういうふうにお考えでここで責任のある方がそういう答弁をなさるのか、たいへん疑問に思います。そういうことを公約なさるんでしょうか。
  174. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃひとつ毛利長官、公約なさいますか。公約なさい。要するに環境目標達成しますと、環境基準達成のための努力ということは、五十一年規制が延びるような場合、あるいは後退するような場合に固定発生源その他で削減をきびしくし、きれいな空気を取り戻しますということでよろしいですか。それからいまのディーゼルについてはひとつ春日局長から答弁してください。
  175. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 小平さんに答弁まで教えていただいたんですが、私としては環境基準がいかに過去の問題もこれからの問題もきびしいかということが最近やっとわかってまいりまして、環境基準に対するこの件につきましても補完作用を手きびしくいたしまして目的達成に最善を尽くすということしか言い得ません。技術的にその他の知識において確信の持てるほど私はまだ現実をつかみ得ない面があります。最善を尽くしてまいりますとしか言い得ません。
  176. 春日斉

    説明員(春日斉君) ただいま西村参考人からのお話がございましたが、西村参考人はおそらく、ディーゼル車の規制といいますと、自動車の五十一年度規制値まで、あるいは五十年でもよろしゅうございますが、それと同じような規制ができる、そういうまあ見通しに立っての発言とお考えいただくとすると、私はそういったことは申しておりません。もちろんディーゼル自動車というもの、ディーゼルエンジンと申しますものの窒素酸化物の削減のむずかしさということは私どもわかります。極言するならば、西村参考人の言われたように確かに貨物自動車大型車というものはディーゼルではなくてガソリンに再転換する必要があるなんて極論もそれは私も知らないわけではございません、しかしながら、私は中公審自動車専門委員会におきまして次のスケジュールとして、非常に困難ではあるけれども、そういったものの削減についてお願いをするように考えておるわけでございます。そういう意味で申し上げておるわけでございます。
  177. 小平芳平

    ○小平芳平君 毛利長官、毛利長官から最善を尽くすということはもう毎回この委員会で伺っております。その最善が一体どの辺が最善なのか、せっかく閣議できめた環境基準というものがあるんだからその環境基準は政府がきめたとおり達成しますと、そのためにこそいろんな自動車の問題、固定発生源の問題が論議されているわけです。ただ最善を尽くしますというんじゃなくて、環境基準を達成いたします、政府がきめた基準ですから。これでいいじゃないですか。いかがですか。
  178. 毛利松平

    ○国務大臣(毛利松平君) 基準達成のために最善を尽くします。
  179. 小平芳平

    ○小平芳平君 終わります。
  180. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 十五分間休憩いたします。    午後四時四十分休憩      —————・—————    午後五時十七分開会
  181. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 委員会を再開いたします。  西村参考人から発言を求められておりますので、これを許します。西村参考人
  182. 西村肇

    参考人西村肇君) 私が矢田部委員にお答えしたことの中でちょっと発言の訂正をするように御注意がありましたので、二点訂正させていただきます。  一つは、八田委員会での討議の内容として、私が、喜多委員が述べた内容として、光化学スモッグは自動車ばかりが原因ではないというような喜多委員意見というふうに申し上げたのは、正確には次のように訂正すべきです。立正高校、石神井中学のような症状は光化学スモッグのせいではないという喜多委員意見というふうに訂正させていただきます。  それから同じ矢田部委員の御質問に対してお答えした中に、富士重工の中村さんの論文のデータを使うとEGR二〇%以上では運転性不良となっていると申し上げましたが、中村さんから御注意がありまして、中村さんの書かれたこの図の表現からはそうもとれるんですが、御自身の意図はそうではないという御指摘がありました。ですから、これは中村さん御自身の意見ではなくて、この図から私が判断した判断であるというふうに訂正させていただきます。  それだけです。
  183. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
  184. 内田善利

    ○内田善利君 昭和四十七年、中間答申が行なわれまして、そうして今回あのような答申が出たわけですが、その専門委員会先生方もほとんど同じメンバーで、そしてあのような答申が出たということがどうしても私には解せないわけですが、特にこの専門委員会技術の問題だけを取り扱ってきた、そういうことでございますから、技術の問題について四十七年にこういう答申ができて、そして告示にまで出した、それがこのような結果になったということについてはどなたが責任を負われるのか、まずその点をお聞きしたいと思います。——環境庁お願いします。
  185. 春日斉

    説明員(春日斉君) 四十七年の十月に中公審の御答申をいただきまして告示をきめたわけでございます。で、中公審の御答申と申しますのは、これは御承知のとおり、五十年度規制値と五十一年度規制値、たとえばNOxについて言うならば五十年度規制値が一・二、五十一年度規制値が〇・二五となっておるわけでございますが、それをきめたゆえんは、これは再三八田先生からも御説明がございましたように、きめた精神は必ずしも現状技術を見通して立てたわけではございません。これはいわゆるマスキーの精神と申しますか、技術とかコストというものを無視して目標値を立てたわけでございます。しかしながら、それを現実に行政ベースで告示してまいりますときには、現状技術の水準を十分勘案しながら五十一年度の規制をするようにと、こういう規制が答申の中に書かれておるわけでございます。したがいまして、それを受けまして今回ヒヤリングを行ない、さらに中公審でもう一回御検討をいただく、こういうことでございます。
  186. 内田善利

    ○内田善利君 五十年規制はやれと言われた告示が出た段階で、やはりいまと同じように各企業は不可能だとか、いろんなことがあったわけですね。それでも五十年規制はきちっと守られておるわけです。と思うんですが、ところが五十一年規制になりますと、また同じようなことが言われている。ここで告示が後退したのでは、やはり企業、メーカー側の立場に立って延期してしまった、こう見られるわけですね。確かに五十年規制告示があったときには各企業、各メーカーの反対があったにもかかわらず守られておる。倒産したメーカーもない、守られなかったということで。ですから、やはり一たん五十一年規制をやると目標値をきめた以上は、それをやる方向でいくのが私は行政じゃないかと思うし、またそうやった場合に、各企業は必ず私は目標値を達成すると、こう思います。いろんなことから何回も何回も当委員会でいろんな審議をしてきて、いろんなことがわかってきて、ここで後退するのは私は大企業、メーカーにやっぱり一歩譲ったと、このようにしか思えないわけですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  187. 春日斉

    説明員(春日斉君) 確かに五十年度規制目標値と申しますものは、私ども自動車メーカーの強い反対にもかかわらずそのまま強行いたしたわけでございます。これについて五十年度規制値を合格した車を出すべく現在各メーカーとも用意をしておられることは事実でございます。これは私ども四十七年の告示でああいった一つ目標値を与えたことが起爆剤となり、そうして五十年度規制を到達する技術メーカーに完成さしたものと私ども考えております。しかしながら、それに一面引き続きましてさらに五十一年度規制、すなわち窒素酸化物排出量を五十年度規制のさらに五分の一にするということは、おそらく五十年度規制を到達する技術以上にむずかしいのではなかろうか、困難さがあるのではなかろうかと、私どもも感じておったわけでございます。そこで、私どもはことしの六月ヒヤリングを行ない、そうしてさらに補足的な資料を提出させ、それを判断した結果、これは非常にむずかしい問題がある、したがいまして、自動車専門委員会にもう一回御検討をお願いする、こういう運びになった次第でございます。
  188. 内田善利

    ○内田善利君 それでは八田会長にお聞きしますが、この報告の中で、総合的な都市交通体系の一環として自動車交通量対策、また汚染物質排出量の少ない新車の開発、普及及び使用過程車から新車へ交代促進をはかるための税制上の措置などについて検討が望まれることを付言しておきたいということですが、この総合的な交通体系あるいは交通量対策、こういうことについては審議は全然行なわれなかったのですか。
  189. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  それを具体的にどうしろという審議はやっておりません。ただ五十一年規制がこのように後退と申しますか、いたす以上、それにかわるものは考えなければなりませんし、それからまた、五十一年規制車がかりにできましたとしても、中古車のほうがいわゆる昔からの考え方でいいますと排気がいいだけであとは全部悪い。要するにイニシアルコストは高くって、それからふだんの維持費は高くって、五十年はそうでもございませんが五十一年になると現在のところ——現在のところというのは環元触媒ができるようなシステムが完成されればまた変わりますけれども、現在のところは五十年と違いまして燃料消費量が悪くなります。そうすると ユーザーにとってはガソリン代が高くなって、乗りごこちが悪くなって、しかも最初から値段が高い。しかも維持費も高い。要するに非常にいろんなものがつきますから、そういうものが絶えずこわれたりなんかいたします。したがって、だれもそういうものを使わなければ、せっかくそういう車ができても一つも効果がないだろう。それでそういうような、ユーザーがほんとうに五十一年規制車を使ったほうが有利な体制をつくってくださいという、それは純行政面のことでございまして、私ども技術評価委員会の仕事ではございませんけれども、そういうふうなことが一つございます。  それからもう一つは、どうしてもこういうふうに後退いたしましたから、交通量制限とかいうようなことをやらなければいけない時期がたぶんくるだろう。その場合には、いまの都市全体の交通システム、たとえば乗用車、いまの乗用車だけでございますから比較的いいと思いますけれども、乗用車が走りにくくって、バスとか公共交通機関が走る。バス以外のものも、まあモノレールといいますかそういうものもだんだん整備されるような全般的な、総合的なことをやっていただきたい。そうしないと、なかなか大気汚染を解決することは困難であろう。そういうふうなことで、そういうことをつけ加えさせていただいたわけでございます。
  190. 内田善利

    ○内田善利君 五十年規制また五十一年規制が五十三年度に延びたということから、自動車の需要についてはどのように検討されたわけですか。自動車の需要と、それと環境汚染、こういったことについても検討がなされたのかどうか。
  191. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  非常に計数的に計算し直したわけではございませんけれども、多少環境庁やその他で計算はしていただきました。それで、大体乗用車は東京の都心ではだんだん飽和と申しますかそんなに走っていなくて、まあ走りにくいから自然そうなっているわけですが、ドーナツ現象のように外側のほうに広がってきている。それがやはり環境汚染から見ますと、問題空域と申しますか汚染空域の面積が広くなるというような形が出ましてあまり好ましいことではございませんけれども、そういうことで、都心だけ考えた場合には自動車はそう伸びは少ないだろう。だけど先ほど申し上げましたようなドーナツ現象といいますか、郊外のほうは逆に言いますと団地なんかでもマイカーがないとほとんど住めないというような現象がございます。それからまた、地方へ行けば、これはまた別の理由だろうと思いますが、地方のほうは、むしろ低公害車というのは値段が高くなると、そいつに対してかぶらなければいけないじゃないかというふうな話が出るだろうと思いますけれども、それは自動車というのは非常によく動くものです。日本全体が狭いもんですから、しかたがないだろうというふうに考えております。
  192. 内田善利

    ○内田善利君 各メーカーにちょっとお聞きしますけれども、五十年規制でコストアップが大体一割と聞いておりますが、この五十一年規制、いま発表になりましたこれが実施される場合の大体コストアップはどれぐらい見積もっておられるのか、各メーカーにお聞きしたいと思います。
  193. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 河野でございます。  私どものほうは、五十年規制にミートするものは、合格するものはすでに出しております。これを五十一年規制の私ども考えております規制値まで低減するのには、おそらく数万円上がるんではないかと考えております。具体的にはまだ完全な数字ははじいておりませんが、数万円上がるものと考えております。
  194. 長島昭次

    参考人長島昭次君) これから詰めなくちゃならない問題が新しい規制値に対してございますので、いまのところまだコストがどのくらいということは申し上げかねます。
  195. 杉浦英男

    参考人杉浦英男君) いま御質問の五十一年規制というのは、暫定基準に基づく五十一年規制考えてよろしゅうございますか。それとも、〇.二五のことでございましょうか。
  196. 内田善利

    ○内田善利君 暫定。
  197. 杉浦英男

    参考人杉浦英男君) 暫定値ですとたぶんやはり三万円の前後であろうかと考えます。まだ具体的にそこまでシステムを完成しておりませんので明確には申し上げかねます。
  198. 持田勇吉

    参考人持田勇吉君) 当社の五十年対策車は七万円増しでございます。八十万円から百万円ぐらいの車でありますが、これが五十一年規制になりますとまだこれから検討いたしますが、やはり数万円プラスになると思います。
  199. 内田善利

    ○内田善利君 そういったことなども考慮に入れて委員会でなさったかどうか、コストアップをどの程度みて審議をされたのか。
  200. 八田桂三

    参考人八田桂三君) その点はコストアップに関しては討議しておりません。それは健康のためですから、コストアップとか燃料消費量とか、そういうことについては全然討議の対象にはいたしませんでした。
  201. 内田善利

    ○内田善利君 じゃ経済問題等については話し合わなかったということですね。  それから汚染物質排出量の少ない新車の開発、これはどういうことを言っているわけですか。
  202. 八田桂三

    参考人八田桂三君) ちょっとよく聞こえなかったんですけれども……。
  203. 内田善利

    ○内田善利君 また汚染物質排出量の少ない新車の開発を検討することが望まれると……。
  204. 八田桂三

    参考人八田桂三君) それはおそらくちょっといまあれでございますが、全然別の新形式のエンジン、要するにガスタービンでありますとか、スターリングエンジンでありますとか、ランキングサイクルエンジンでありますとか、現在はそういう在来型の内燃機関の改良、普通使っておるものの改良でございますけれども、それより少ないようなもの、これはアメリカのEPAその他で、非常な金をかけて外国では大いにやっております。電気自動車どもその中の一部として入るかもしれませんけれども、現在の電気自動車はある制限地帯用に限られると思いますけれども、そういうものを含めて、そういうものもやはり日本でも力を入れてやるべきじゃなかろうかと、そういう意味です。
  205. 内田善利

    ○内田善利君 それから総量規制についてはどのように検討されたわけですか。
  206. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 総量規制につきましては、先ほどもちょっと申し上げたんでございますが、当然将来——将来といいますか、総量規制をやらなけりゃいけないと。そのために車につきましても一台の車の走行キロ当たり何グラムというような規制をかけておるわけでございますが、その場合に、いままでは行政区域内、たとえば東京都なら東京都、それから川崎市なら川崎市というような行政区域内で総量規制がかけられるような形に現在のところなっている例が多いように私は拝見しておるんでございますけれども、それは合理的ではなくって、たとえば東京都の上には川崎のほうから出た汚染物質も流れてまいりますし、そのかわり、東京都の汚染物質が千葉県や埼玉県のほうへ流れていくだろうと思います。ところが、いわゆる東京のようなだだっ広い都市構造になりますと、その上に一つの空域、気団、空気のかたまりと申しますか、逆転層がある。それは気象条件にもよりますけれども、そういうものができる場合はいつもこの範囲にできるということが大体きまってまいります。それが先ほどのように都市の近郊、近郊の団地が遠くのほうへ出てまいりますと、それがだんだん広くなってくるというようなわけでございますが、その問題空域内で総量規制をやるのが一番合理的である。その中でステーショナリーのほう、静止汚染源から幾ら出るか、その中を走っている自動車から幾ら出るか、そういうものを全体総量するというような形にしないと合理的な総量規制ができないんじゃないかと、そういうふうに私は個人的に考えておりますけれども、総量規制について、われわれが、そういうことについて東京都や大阪府から窒素酸化物低減対策というような意味で御説明を伺いましたときに、そういうような討論はいたしましたけれども、そのことについてわれわれの委員会が特に研究して何かしたというわけではございません。
  207. 内田善利

    ○内田善利君 春日大気保全局長にお聞きしますが、環境基準のNOx〇・〇二PPMというのは、環境基準をきめた段階で、固定発生源それから移動発生源、そういったものも全部考慮に入れた上で環境基準〇・〇二PPMというのはきまったと思いますが、この点いかがでしょう。
  208. 春日斉

    説明員(春日斉君) たしか昨年の五月だったと思いますが、窒素酸化物環境基準をきめましたときには、そういったことを申しますよりは、窒素酸化物、この場合はNOxというふうに見ておりますけれども窒素酸化物が人体に及ぼす影響、こういった観点からきめたわけでございます。したがいまして、それをきめるにあたりましてはいろいろな諸種の動物実験あるいは疫学的な調査等々を参考にいたしまして、われわれの健康を保全し、われわれの生活環境を保つに必要な窒素酸化物の濃度を環境基準として定めたわけでございます。
  209. 内田善利

    ○内田善利君 健康を守る環境基準として〇・〇二がきまったわけですが、これに対して、対策として固定発生源をどうするか、また各煙突からの発生排出量をどうするか、と同時にこの自動車排出量規制がきまったんじゃないでしょうか。その点はいかがですか。そして、専門委員会ではやはりこれが基本になって、環境基準の〇・〇二を守るためには今度の規制はどうなければならないか、自動車からの排気規制、また固定発生源の煙突からの廃棄物の規制、こういうことがなされなければ健康を守る〇・〇二PPMは守れないんじゃないかと、こう思うんですけれども、この点はいかがですか。
  210. 春日斉

    説明員(春日斉君) たびたび申し上げたと思いますが、この自動車排出ガス——排出量ですか、排ガス規制がきまりましたのが四十七年の十月でございました。当時は、環境基準はまだ設定いたしてございません。したがいまして、直接四十七年に定めました五十一年度規制値——窒素酸化物の場合でございますが、これと窒素酸化物環境基準はドッキッングをさせて相互に指定したと、まあこういうわけではございません。しかしながら、おくれて定められました公害対策基本法の第九条の一項でございますか、これによってきめた窒素酸化物環境基準というものが望ましい目標値として設定された以上、それに到達するためには各種方法があるであろう、一つ窒素酸化物の固定発生源の規制の強化ということが一つ、それからさらには自動車排気ガス規制の強化ということ、そのほか、これから将来行なわれるであろうところの大気汚染防止法の中での総量規制窒素酸化物を指定することによって総量的に下げていくというような方法、いろいろあるであろうと思っております。そうして、それはいろいろな地域地域によってそれぞれの寄与率も違い、対応のしかたも違っていくであろうと思っております。しかしながら自動車排出ガス規制というものは、その中での一つの大きなファクターであることは先生の御指摘のとおりだと思います。
  211. 内田善利

    ○内田善利君 ここの報告によりますと、最後のほうですけれども、「しかし現時点において当初目標値の達成が不可能であると断定することもできない以上、」ということは〇・二五が達成できないということは断定できないと——できるかもわからないわけですね。そうしますと、やはりできるための努力をすべきであると、こう思うわけです。「昭和五十三年度を目途に技術開発を促進させること、及び技術開発の状況について逐次その評価を行うことにより、その達成を図るべきことを提言する。」と、こういうことですが、五十三年四月一日ということだと思いますが、この四十七年十月の目標値は、達成は五十一年の四月、いまから一年何ヵ月あるわけです。この間に達成できないのだろうか、いまから努力してやるということが環境行政の目標でなければならない。最初からいろいろ質問を聞いておりますとこの委員会は通商産業省にできた専門委員会じゃないかなという気持ちでずっと聞いておったわけですよ。環境庁にできた専門委員会ならば、もっともっとこの専門委員会にも住民代表を入れて、特にこういった非常に自動車公害に悩んでいらっしゃる方々とか、そういった住民代表も入って、環境基準を守るという立場から審議されるのが環境庁の専門委員会ではないかとこう思うわけです。ところが、技術開発のみに終わったということになりますと、むしろ通産省のほうにあったほうが非常によかったんじゃないか、こう思うんですけれども、一年何ヵ月の間、何とかこの〇・二五目標達成することはできないものか、こう思うんですけれども、いかがでしょう、八田さん。
  212. 八田桂三

    参考人八田桂三君) その問題は、五十一年度に量産をでき得るようなそういうシステムは、現在もう、大気汚染を含めまして、先ほど申し上げましたのですが、運輸省で耐久試験を、三万キロ走った車と新車とが、われわれが定めました平均値をクリアしておるということ、その上に、さらに量産になってから、その量産のラインオフのときの、まだすり合わせの済んでない車の一%以上抽出いたしまして、それらの値がどれもこれも許容限度の最高値以下であることはもちろんのこと、四半期の平均値も、その平均値以下でなければならない、その上にさらに今度の五十年規制あたりから熱害の問題がありますから、いろいろの安全上の構造基準というようなものがたくさんついておりますが、そういうものを全部クリアしなければなりません。そういう認定だけでも約十ヵ月かがるわけでございますけれども、そういうものがシステムとして認定を受ける前に、メーカーサイドとしましては、不特定多数の一般の方が運転されてしかも安全であるということのためには、非常に長い耐久試験などが、十分な耐久試験がされて、十分な自信を持ったものでないとその次の量産準備のステップに入れないし、その量産準備のステップに入る前にはまず運輸省のほうの認証を受ける準備をしなければならない。そういうことを考えますと、現時点で五十一年ごろにそれに近い——〇・二五グラム・パー・キロメーター、必ずしもそういかなくても、〇・三とかそれに近いような技術が五十一年ごろにはかなりはっきりしてくる、あるいはできる可能性もあるというように思いますけれども、現在の段階においては、その五十一年度から量産し得る車というものでは幾らきつくしても今度の程度しかできないという技術的判定に立ったということであります。
  213. 内田善利

    ○内田善利君 それから報告の中に三成分処理触媒——触媒の問題に入りますけれども、三成分処理触媒といった新しい触媒装置開発ということですが、COHCNOxを一緒に処理する触媒がほんとうに考ええられるのか。ここは酸化触媒、ここは還元触媒、同時にこれができるのかどうか、まずお伺いしたい。
  214. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  一番、還元触媒におきまして、それからあとに二次空気を加れる。還元触媒というのは、空気不足の状態で燃やしておきまして、それに還元触媒を置いて、それでそうすると、どうしても炭化水素一酸化炭素が増し不完全燃焼いたしますから、それに空気が不足しておるわけですから、空気を入れて酸化触媒でやる。それがいわゆる還元触媒方式、あるいはそこにデュアルベッド方式というふうに書いておいたかもしれませんが、そういう方式でございますが、もう一つ、理論混合比と申しますのは、完全燃焼する、ちょうど炭化水素が全部水になり、炭素が全部COになる、そういうために必要な空気と燃料との割合、それは炭化水素の、要するにガソリンの種類によってもおのずから変わってまいりますが、それよりもちょっとごく——ほとんどその辺なんですが、それよりもごくわずか、燃料がちょっと濃い辺のところで、非常に狭い範囲なんですが、いま申しました混合比が、たとえば理論混合比が一四・五ですと一四.四プラスマイナス一%というぐらいの狭い範囲の混合比に常に保つことができますと、そういうようにそこに入っていますCOとか比とかNOxというのがお互いに反応しまして、それが全部同時になくなってしまう、そういう狭い領域にはそういう触媒が存在しておるわけでございます。そのかわりに、そういう狭い混合比の範囲を正確にするためには、現在の気化器だとか、普通の燃料噴射ポンプとかではできませんので、大体いまの気化器だとか燃料噴射ポンプのようなものを使うわけですが、その上にさらに微調整と申しますか、プラスマイナス一%というふうなことにやるために排気ガスの中に入っている酸素の量に——一種の燃料電池みたいなものですが、そういうもので酸素の量に比例した電圧のようなものを出しまして、それを電子エレクトロニクス技術を用いまして、前のほうの燃料あるいは空気の制御をする、まあ大体燃料の制御をするのですが、そういうことによってその狭い範囲の混合比にする、そういうことが必要になってまいりますが、そういうものは存在しております。
  215. 内田善利

    ○内田善利君 グールド社のほうでは、この触媒開発したということなんですが、「日本の一〇モード・テストサイクルに従って六回のテストを行ないましたが、四万キロ走行後の平均値として」——時間がきたようですが——グールド社のほうでは開発をしておると、最近のことですが、それよりも以前に日本製の一八〇〇CCエンジン車を使用して、米国日本で行なわれた走行テストでは六万キロ走行後でNOx排出量は〇・二五グラムを下回っていたことが示されていますと、こういうことですが、八田会長のほうではこの触媒はまだまだ量産の段階に入っていないと、こういうお話がございました。そこで感じますことは、この排出ガス規制触媒を使えば可能であるということを私は示しておると思うんですが、もし可能である場合に、可能であるということについて、今度は車を二段階に分ける必要が触媒の場合にあるのかどうか、触媒開発されるならばもう二段階は必要ないんじゃないかと、こう思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  216. 八田桂三

    参考人八田桂三君) おっしゃるとおり、現在のところグールド社触媒が非常に完成に近い状態に近づいていると思いますけれども、現在それが完成したシステムとして使えるようになっているとはまだ思っておりませんけれども、非常にそれに近づいてきているという判断をしております。おっしゃるように、還元触媒成功いたしましたウエート規制は要りません。それから性能も燃料消費量の低下とかというものも非常に少なくなる、あるいはなくなると申し上げてもいいかもわかりませんが、そうなると思います。現在可能な——五十一年に量産可能だという意味でございますが、そういうものは一つもございませんので、やむを得ずああいうことになったということでございます。
  217. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは時間が限られておりますので、端的にお伺いしていきたいと思います。  昨晩の専門委員会での報告が出ましてから、かねがね企業寄りだといわれていたのが、全くメーカーの言いなりの結果が出たということで、たいへん大きな批判が出かかっております。特に公害病患者の方々あるいは排気ガスの汚染で苦しんでいる国民の皆さん方の中には、失望と憤激が起こっております。そういう中で端的にお伺いをしていきたいと思うんですけれども、まず最初にちょっと確かめておきたいところを一、二先にお伺いをしたいんですが、東洋工業さんですけれどもね、きょうのお話の中では、〇・六が、これは一トン以上も一トン以下も可能であって、中にはロータリーエンジンのものには〇・四が可能なんだというふうな口述を河野参考人なさったと思うんですけれども、これは過日の東京の都議会でお話をなさったのでは、全体として〇・六グラム・パー・キロで、ロータリーエンジンの場合では大部分のものが〇・四グラム・パー・キロだと、そして一部のものが達成困難なものがあるというふうにお話しになったやに承っておるのですけれども、率直にお伺いをしたいのですけれども、到達点ですね、到達点はどうなのかという点を率直にお伺いをしたい。
  218. 河野良雄

    参考人河野良雄君) ただいまの御質問にお答えします。  いままではすべて私のほうでつくっておりますエンジン全体を論じてまいりました。それで環境庁にはロータリーエンジン及びサーマルリアクターを使いましたレシプロエンジンは〇・六、それからキャタリストを使いますと〇・七と前回御報告いたしましたのは、〇・四できるものはないかというふうに受け取りました、それで中にはございますと、それでそれは一般のエンジンでなしに、ロータリーエンジンでございますとロータリーエンジンは大部分達成して、一部まだ未達成でございますと。その大部分と申し上げますのは、ロータリーエンジンには12Aエンジンと13Bエンジンと二種類ございます。12Aエンジンのほうは、これは生まれがいいと申しましょうか、これを塔載しました千二百五十キロクラスの車で〇・四到達は可能でございます。13Bエンジンのものは、現在のところ到達の見通しございません。現在の時点では到達の見通し、五十一年において到達する見通しはございません、大部分と申し上げましたのは、いま私のほうが塔載しているエンジンの数量から申しまして、12Aエンジン生産量が約八五%から九〇%、13Bエンジン生産が一五ないし一〇%、ただしこれは現時点で申し上げましたので、昭和五十一年度時点において需要構造がどう変わるかということは考えずに現時点で大部分と申し上げました、以上でございます。
  219. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、話わかりましたがね。  そこでお伺いをいたしたいのは、ことしの六月でしたか、環境庁のヒヤリングのときには、その関係資料環境庁には出しておられなかったのか出していたのか、どちらですか。
  220. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 12Aエンジン、13Bエンジン資料は、それを示唆するものはできておりました。ただし、聴聞会で議論します席上では、やはりただいま申し上げました個々のエンジンについては議論いたしません。一番むずかしいのをどこまで下げられるかという議論に終始いたしまして、示唆する資料は出ておりますが、ディスカスの席上ではむずかしいものをディスカスいたしました。
  221. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと資料は出していたけれども、その問題についてディスカッションはしなかったと、こういうことですね、〇・四の部分について。  で、時間がないですから、あとはちょっと続けてお伺いいたしますが、関連をしますのは、先月の二十八日ですか、東京の都議会でそういう御発言になったということで、この二、三日前に環境庁に呼び出されておられますね。私はあれを新聞紙上で拝見をしてたんですけれども、自工会でも、社長がだいぶんつるし上げられたというような新聞報道がされておりますが、環境庁へおいでになってどういう反応があったのか、お伺いをしたいなと思っているのです。というのは、技術開発を待ち望んでおる環境庁だから、おそらく技術開発の新しい段階が公表されるというふうになると歓迎されるのが当然だと思うんですけれども、どういうことであったのかということを率直にお伺いをしたい。
  222. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 二十八日の都議会の委員会で発言しましたことについて、その真意を聞きたいということで中央公害審議会の八田委員会に呼ばれまして御説明申し上げました。
  223. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 環境庁はなかった……。
  224. 河野良雄

    参考人河野良雄君) はい、環境庁はございません。
  225. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、巷間伝わるところでは、環境庁はだいぶん——いまさら何だといっておしかりがあったというふうに承っておるのですけれども、そういう事実はなかったですか。(「遠慮しなくていいですよ。」と呼ぶ者あり)
  226. 河野良雄

    参考人河野良雄君) いまの御指摘の、いまさら何か、ということはございません。ただ、いままでまあ示唆したような書類は出しておりましたので、その点、中公審のほうでは御説明申し上げました。
  227. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、資料は出ていたけれども御検討になっていなかったということですね。ではまあそれはよろしい。  それからもう一つお伺いをしたいのは、本田技研さんですけれども、きょうのお話では、本田さんはいまの車種が全部一トン以下でございますね。ですから、一トン以下のものの〇・六というのは全部可能だということの御発言を先ほどからずっと伺っているんですが、その到達点ですね、これは、先ほどのお話の中で〇・六を達成するためには〇・四八ぐらいの水準まではできておらなければいけないのでという御発言があったんですよね。そこでですね、——そういうふうにおっしゃったですよ、先ほど。——ああそれは八田先生ですか。まあその点はとにかくといたしまして、全部可能だということをおっしゃっておられますので、到達点はどこなのかという点、ひとつ率直にお聞かせ願いたいわけです。といいますのは、それはいままでのいろんな技術調査の関係の中で、〇・六の車はもう当然おたくのほうはできているわけですね。で、〇・二の車というのが、乗ってみて、まだ乗用にたえないという状況だというふうに聞いております。それでは〇・四の車というのはできておるのかどうか、そのあたりこれはもう率直に、端的にお伺いしたい。
  228. 杉浦英男

    参考人杉浦英男君) まず〇・六の車は、現在私ども生産しております車の中の約七割が〇・六をマークしております。ただし、これは新しい、何といいますか、コンベアをおりたばかりの新しい車でございます。これが大体〇・五九から五八ぐらいのところに分布をいたしております。そこで、そのほかにも大体〇・八前後の車が三割ぐらいございます。これを〇・六にしなければなりません、約二五%のダウンでございますけれども。私どもとしては、いま御質問の〇・四ということをターゲットにしたプロジェクトは特に組んでおりません。
  229. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃあもう一つ、三菱自動車ですね、先ほどからのお話では、大体〇・六、〇・七だというふうなお話をずっと承っておるのですけれども、これは先日の都議会でのやはり持田常務さんの御発言の議事録をちょっと拝見をしたのでございますけれども、これは庄司さんという議員の質問だと思うんですが、「庄司先生の質問にお答えする前に、」ということで言っておられるんですが、いまは一六〇〇CCぐらいなら〇・五ぐらいができるというふうな御発言があるんですね。で、そういう点もありますので、おたくのほうの到達点は率直に言っていただいて幾らなのかということをちょっとお聞きしたい。
  230. 持田勇吉

    参考人持田勇吉君) お答えいたします。  先ほどお答えしたことと同じなんでございますが、当社の一トン車、これはエンジン一六〇〇CCのものその他がございますが、一トンで一六〇〇CCの車の初期値が〇・五で、六万キロ走ったあとが〇・六及び〇・七というその範囲に広がっております。これがわれわれの実績でございます。東京都議会のことばは少し足りなかったかと思いますが。
  231. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことで、今度おきめになっておられる点、昨日の報告から考えまして、まだこの可能性を追求できる条件というのは——各社のいまの御報告、これは公開の席上での御報告を伺っても、まだ可能性を追求できる条件が残されているのではないかというふうに私どもしろうととしても感じるわけです。  そこで、これは時間の関係がありますから、この問題だけに突っ込むわけにはいけないんですけれども、後ほどその問題に触れたいと思うんですが、ちょっと角度を変えまして、八田参考人にお伺いをしたいんです。といいますのは、これは前回の委員会でも、私、環境庁にお尋ねをいたしております関係もありますので、ぜひ確かめておき、たいと思うわけです。といいますのは、去る十一月の六日、七大都市調査団の聴聞会並びに共同記者会見の中で発言をされている幾つかのおことばがあるわけです。その点について私、いろいろ環境庁にただしたわけですけれども、前回のときには環境庁のお答えではだいぶん曲がっておるというふうな御意見もありましたので、ぜひ御本人に確かめたいというふうに考えておるわけですが、その一つは、共同記者会見の中で、たびたび経済との調和をあえて言うということを繰り返しておっしゃられたということを伺っております。私はちょっと驚いておるんですけれども、たいへん失礼かどうか、共通の認識の上に立たないと、これは論議はできないというふうに思いますので、公害対策基本法の第一条の「目的」というのをどのように御承知いただいているんだろうか、旧法との違いというのをどのように御認識をいただいておるんだろうか、その御認識の上に立って、あえて経済との調和ということをあえて言うということを繰り返されているんだろうか、この点は今回の問題についての基本的な立場に関する問題なので、ぜひ御見解を八田参考人からお伺いをしたい。
  232. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  経済との調和は、今度の答申をまとめる段階で何も一切考えておりません。それから、この前のやりとりのときに、そういうような経済との調和というようなことまでお話ししたかどうか覚えておりませんけれども、そんなことはなかったと思います。
  233. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは覚えていらっしゃらないというので、もう少し私、補足をしますと、共同記者会見の席上で、ある新聞社の記者の方から、経済との調和ということを言われるけれども公害対策基本法には経済との調和条項は削除されたのだと、その上に立っておっしゃるのですかということをわざわざ聞かれて、あなたは、あえて言うと、こういうようにおっしゃったというふうに承っておりますが、もし覚えていらっしゃらなかったら、そのときの席上、西村先生おられたのじゃないかと思うのですけれども、おいでではなかったですか。
  234. 西村肇

    参考人西村肇君) おりました。
  235. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ひとつ模様をお聞かせいただきたい。
  236. 八田桂三

    参考人八田桂三君) たぶんあれだと思います。たとえば非常に大きな車、センチュリーとかプレジデントの車を切ってもいいじゃないかと、それから、そういうものが量産とは認められるかどうかという議論がございまして、それは切っても、量産とは言えない。だけれども、その生産を続けるか、切るかという問題は政治的な問題だということで、だけれども個人といたしましては、そういうものは実際に社会的にニーズがあり、それから国会の先生も乗っていらっしゃるというようなことからしましても、そういう意味で、まあディスコンティニュアスにそういうものを切ることは個人的には賛成でありませんということを私が申しました。そうしたら、そういう考え方は、経済との調和を考えているのじゃないかとおっしゃられたもんですから、そう言えば、そう言われてもしかたがないのかもしれませんと、そういうお答えをしたと、いま思い出しました。先ほどは申しわけございませんでした。
  237. 西村肇

    参考人西村肇君) 共同記者会見で八田先生がおっしゃったおことばは正確には覚えておりません。ただし、中公審との討論の過程で、繰り返し燃料消費量の問題がたいへん大きな問題になった。それからコストアップの問題ということ、われわれ調査団はどう考えているのかということで、燃料消費量のアップ、コストアップの問題が再三にわたって質問されたということは事実であります。
  238. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、経済との調和論等が論議の中で出てくる筋合いの問題ではないと思うわけです。これはもう先ほどから同僚委員から再三にわたって言われているとおりです。  そこで、時間の関係がありますから先へいきますが、先ほどもちょっと触れられたんですけれども、昨晩報告書が出されましたけれども、ちょっと私も驚いたんですけれども技術的検討というものがどのようにやられたんだろうかというのはこれは私どもしろうとにしましても若干不審があるわけです。そこでこれは八田委員長のおことばを引用してお伺いをしたいんですけれども、これも七大都市調査団との聴聞会でのお話の内容なんです。といいますのは、専門委員会というのが全く私たちには何も知らされないで、わずかに私どもがうかがい知ることができるのが七大都市調査団との聴聞会あるいは共同記者会見あたりで言われる内容しか残念ながら国会でもうかがい知られないという状況なので、やむなくこれは私どもうかがい知れる範囲で確かめていきたいと思うわけです。八田参考人は七大都市調査団とのお話し合いの中でこういうふうに言われているんですね。技術的な情報というのは七大都市以上に私たちも持っていない、それから環境庁による自動車メーカーのヒヤリングの際の資料についても一部しかもらっていないというふうに言われたというふうに伺っております。  それからもう一つは、当日の会談の際に、五十一年度規制の基準達成に関する技術的な可能性については専門的な検討は行なっていない、だから、きょうの発言は委員会としての発言ではなしに、全部一人ずつ個人的発言であるということを前置きをされてお会いになっているということを伺った。で、私はそれで専門委員会の、内容は少しもわからないんですけれども、経過がどのようにやられているかということで経過だけを拝見した。そうしますと、十一月六日、八月から始められて十一月六日の段階で、資料は大体七大都市の段階しか持っていない、そして十一月六日の段階でまだ技術的検討に入っていないので、個人的見解だというふうに言われて、その後何回おやりになったかというと、そのあとは十一月の十二日に一回やられているんですね。それから十一月の二十日におやりになっている。で、十一月の十二日というのは、まだその前々回のときに六人の委員から一人ずつ御意見を聴取している段階だ。そして、だから十一月の六日は七大都市で、その次の十一月十二日には残りの方々の個人的見解を伺うというふうに書いてある。そうして十一月の二十日には、これは新聞でも報道されましたが、燃費の増大、あるいはドライバビリティーの劣化、これは国民の健康を最優先にするんだということを論議をされたということになっているんですね。そうしますと、それ以後何回おやりになったかということなんですね。十一月二十日におやりになって、そうして十二月の四、五ですね。そのときに八田委員長は七大都市の調査団に対しては、これからどんどん資料を集めなきゃならないんだけれども、何ぶん時間も少ないことだし、どれだけ集まりますかというふうなことで、たいへん不安な御発言もあったらしく伺っているわけです。そうしますと、一体これ十分な資料がその後集まったのか、十一月六日の七大都市との会談以後に十分な資料が集まって、十分技術的検討がやられたんだろうかということが私どもなかなか理解がしにくい。その点について一点。  それからもう一つは、これは報道もされておりましたけれども自動車専門委員会といういまのスタッフの構成では技術検討がやりにくいので、別にそういうスタッフを集めて別のスタッフで体制をとったらどうかというふうな御意見委員の中から出たというふうに伺っておりますが、これは事実なのかどうか、その点について伺いたい。
  239. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  データは七大都市の調査団の方々とそんなに違わない、一般論としてそんなに違わないということは申し上げました。私もそのとおりだろうと思っております。それで、環境庁がヒヤリングで得られました、それは先ほども申し上げましたけれども、ヒヤリングで得られましたデータのコメントのようなものは最初みんないただきましたけれども、それからあとはいろいろ、先ほどの東洋さんのお話じゃありませんけれども、そういうときにそういう資料をくれということを申し上げると、環境庁のほうで、何といいますか、企業秘密とかなんかいろんなことがあるようで、だから資料はいただきますけれども、その要求した資料、それがたまたま環境庁にございますと、それをいろんな名前みたいなものはとるというような形のものにして、AとかBとか符号にしてカーブだけ見せていただく。それは環境庁とメーカーさんとの間のお約束の結果そうなったわけでございます。そういうようなものはその後たびたびいただきました。  それから技術的検討をしていないということを私申し上げましたのは、委員会で一本にまとめるというような意味の検討をしていないということでございまして、個々のたとえば触媒なら触媒だとか、それから浄化技術など各現地調査行ったときなんかにいろんな議論をしたり、そういうような中の技術的な勉強は非常にしてきたわけです。だけれども委員会としてこうこうどうしようとかなんとか、そういうような中心的な検討は、まず勉強を十分したあとでやろうということでしたものですから、先ほど御指摘があったとおりでございます。  それからもう一つ、いろいろな専門家を集める、学者を集めろという御質問でございますが、そういう話がございました。私も賛成だったんです。集めて、まあいろいろな方から伺ってみようとも思ったのですが、時間的制約も多少ございましたけれども、問題は、反対をされた方の御意見は、われわれがやるのは、先ほど来私が御説明申し上げましたような意味で、五十一年度においてメーカーで量産できるようなシステムは何かということであって、理論的にそういうものができるとかできないとかという話じゃないんだと、だからそういうことはいますぐ聞かなくていいんじゃないかという意見と、それを言い出した方、私も賛成したんですが、それでも参考のために聞いたらいいじゃないかという意見と対立したような形ですが、反対の方のほうが多かったものですし、それから時間的制約もありましたので、それは環境庁にもこの間お話ししまして、今後、トラックだとかディーゼル車とかというようなものの規制はこれから少し強化していく、できる限り強化していくということでございますが、そういうときにはそういうようなことも考えてくれということは申してございます。
  240. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 結果としてはおつくりにならなかったということですね。小委員会は結果としてはおつくりにならなかった。
  241. 八田桂三

    参考人八田桂三君) はい、現在まではつくっておりません。失礼いたしました。
  242. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、まあ資料が集まったのか集まらないのか、さっぱりわからぬ、先生方は個人的には勉強していただいた。それは八田参考人に、エンジンのオーソリティなんだから、それをあれですよ、個人的な勉強をどのようにおやりになったというふうに御説明をいただいても、国民が納得しにくいというのは、資料は少しも私どもにもわからない、どのような討議、審議がやられたのかといういきさつもわからないというふうなことで、ほんとに信頼ができないどころではなくて、むしろ疑惑が起こってくるというふうな結果が起こっているということを御理解いただきたい。  そこでひとつ具体的な問題をお聞きしたいんですけれども日本では、日本の車の外国へ輸出をしている車ですね、その車についてはなかなかわからないわけですけれども日本の車の輸出をしておる外国での調査、こういった資料も御検討になられたんでしょうか。
  243. 八田桂三

    参考人八田桂三君) アメリカのEPAで入手した、アメリカのデータがおもでございますけれども、そのデータとか、それから全米科学アカデミーと申しますか、そこのレポートとか、そういうものは十二分に調査いたしました。先ほどの勉強しておったというのは、そういうものをいろんな方々に、それから多少触媒触媒専門家方々に勉強していただく、そういうふうなことで勉強しておったという意味でございますが、もちろんそういうものについては、環境庁からかなり豊富な資料は出していただきました。
  244. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは環境庁からはいつ資料が出まして、何年の分を検討されたか御記憶にありますか。それで、その結果は、日本の外国でのEPAの調査の結果はどういうふうになっておるか、日産あたりの車でひとつおわかりだったら。
  245. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 何年のデータ——とにかくだいぶ数種類、古いのも新しいのも見せていただきました。とにかく最近に入手したものまで、非常に分厚いNASの報告なんか全部読むひまございませんでしたけれども、とにかくごく最近に公刊されたものまで全部いただいたことはいただいて、それから特にその専門的な部分については目を通しております。  それから御指摘の日産のデータは確かにございました、EPAのデータが。だけれども、別にそれが何かわれわれのほうのデータと矛盾しているとかなんとかというようなことは一つもなかったように記憶しておりますけれども、こまかいことは忘れております。
  246. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃあ、そのデータ御検討になられて、御感想はどうですか。
  247. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 御感想というのはどういう意味、ちょっと意味が……。
  248. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 日本の車が外国で、外国のEPAで調査をして、それで、その結果は何ともお感じにならなかったか、何か感じられたかということです。
  249. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 先ほど申し上げましたように、特に資料には日本て得られた資料——もちろん向こうの規制が違いますから、それから試験方法も違います。試験方法が違ったときに、どの換算係数をかければ大体こっちになるとかいうふうなことは厳密じゃございませんけれども、大体ございますから、そういうふうなことでいろいろ比較検討はいたしましたけれども。  それからもう一つ、等価慣性重量というものが向こうはポンドなもんですから、同じ車でも違っちゃって、上のほうへいったり下のほうへいったりすることがございます。そういうふうなことはいろいろございますけれども、別に特に奇異に感じたとか、そういうものは何も記憶しておりません。
  250. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、その点についてはひとつ西村参考人から、もし資料お持ちのようでございましたら御報告をいただきたいと思うんですけれども、これは一九七三年、私が持っているのは一九七三年の十一月五日発表の「フェデラル・レジスター」によるものなんですけれども、その辺について御説明をいただきたいと思います。
  251. 西村肇

    参考人西村肇君) 「フェデラル・レジスター」のいまおっしゃった号はいま私、手元にあります。ただし、われわれ七大都市調査団がこのデータを手に入れたのはごく最近なんであります。これはわれわれの調査能力が非常に低かったということを、恥を申し上げるようですけれども、事実であります。これにどういうことが書いてあるかといいますと、日産のダットサンで一三〇〇CCではNOx排出レベルが一番低いので〇・七五とか〇.七という値が書いてあります。それから一九五〇CCでも二台は〇・七五、〇・七五という値。それから二五〇〇でもマニュアル・トランスミッション車では〇・七五というような値が出ております。これは決して満足な値ではありませんが、われわれはこのデータを手にしておりませんでした。これはごく最近やっと手に入れたわけです。で、手にしていなかったために、これは私たちは——これはただ事実でありますが、その感想をと問われるならば非常に憤激いたしました。というのは、われわれが日産を呼びまして、NOx排出レベルがどこまで、エミッションの低減はどこまで可能なのかと言ったときには、がんとして、一・二グラム・パー・キロメーターまでしか可能でないということを主張したわけであります。しかし、このデータはすでに昨年の六月にテストフリートをEPAに渡しまして、その結果十一月にはこういう〇・七五というような車ができている。データを持っていながらわれわれにはそのことは一つも話さなかった。一・二という線を固執したわけです。で、いかにこの〇・七五という値か——いまになって見ればたいしたことはないとおっしゃるかもしれませんが、われわれは〇・七五という直が可能だということを証明するためにたいへん苦労いたしました。たとえば、われわれの報告書の三六ページを見ていただくとわかりますが、これは三菱自動車データを使いまして、一〇〇〇CCの小型車の場合にはEGRとサーマルリアクターを用いて初期に〇・七グラム、四・五万キロ走行後に〇・八グラム・パー・キロメーターであった。しかし、一五〇〇CCの場合は初期でも一・〇グラム・パー・キロメーターであり、これより減らすのは困難である。われわれでもこれだけのことを証明するためにたいへん苦労したわけです。で、これほど苦労しているときに、すでにアメリカではこのレジスターとしてNOxだけに関して言えば〇・七五という値があったわけです。すでにそこにあったのにわれわれがそれを知り得なかった。ましてメーカーは、それ、特に日産は一・二という線を固執した。そして非常に私残念に思いますのは、こういうふうに苦労して推定をした中で、このレジスターというのはこれはメーカーならどこにでもあるものです、このような資料があるということを一言も教えてくれたところはなかった。教えてくれたエンジニアはなかったということが非常に痛切に残念だと思っております。
  252. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでね、私は、いまアメリカに輸出をしている日本の車が、日産では一・〇あるいは一・二しかクリアできないのだということは、参考人においでいただいたときにも直接お伺いをしましたけれども、外国ではね、〇・七や〇・七五の車が現在走っていると。しかも私の手元にあるのでもですね、これは昨年、一九七三年十一月五日の発表なんですね。で、七四年に売るために十一月五日に検査をしているのがそういう結果が出ているわけです。私もたいへんこれを知って驚いたんですけれども、そこでちょっと環境庁に聞きたいのですけれどね。環境庁はこういうことをいつ知っておられたのか。知ってたらこれは専門委員会に教えてあげなきゃいかぬですよね。資料はお渡しになったらしいですけど、こういう特徴がありますよということはね、当然それはアドバイスをしなきゃならぬと思うのですけれども専門委員会にそのことを報告をいつしたんですか。——報告をしたんですか、せぬのですか。
  253. 春日斉

    説明員(春日斉君) 一九七三年の「フェデラル・レジスター」につきまして専門委員会報告はいたさなかったと思っております。(「けしからぬな」と呼ぶ者あり)
  254. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 けしからぬ。——それでね、報告してないという、こんな重大な問題ですよ、外国の車が〇・七で走っているんだったら私はこんなことは言わないのです。日本でつくった車がアメリカへ売られて、アメリカでは〇・七や〇・七五グラムでね、これはちゃんと換算済みの数値なんですよ。パーキロなんです、走っているということ。だったら日本で昨晩の報告の〇・八五というのは一体何ですか。すでに〇・八五以下の車が外国では走っているじゃないですか。そういう事実については私どもは理解に苦しみます。国民が疑惑を持つのは当然じゃないですか。その点について八田委員長御見解を伺いたい。
  255. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 最初のほうちょっと伺っていなかったんで……。要するに、外国で等価慣性重量が一トン以上で〇・七グラムということですか。それは向こうと日本とで慣性重量区分も違いますし、それから先ほど言いましたテストモードも違いますけれども、モードからいいますと日本のほうが楽なはずですNOxに関しては。そのかわりハイドロカーボンCOについては日本のほうがつらいはずです。だけども、われわれが環境庁を経まして環境庁へ提出された文書の資料をいろいろ判断するときに、それをそのままうのみにしたわけじゃございません。だからそのときにはむしろ、いま具体的の数字を覚えていませんけれども、外国の、特にアメリカのEPAのデータとか、あるいはNASのデータとか、そこに入っている日本車のデータから推定して、聴聞会のときに環境庁言われた値よりは十分下へいけるだろうということで、その結果、ずいぶんいろいろ議論いたしました結果、委員会では非常に幅が広かったんですけれども、〇・八五ということで、二本立てという意味もあって〇・八五と……。
  256. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は別に八田参考人を責めようと思っていないんです。というのは、たとえばということで私は一例を申し上げたんですよね。それだって環境庁は報告もしていない。したがって専門委員会では御検討にもなっていないということになりますと、これはやはり技術的検討がまだ不十分じゃないかという一例になるんですよ。だから申し上げたんです。  環境庁長官どうですか。こんなことでは自動車専門委員会で十分な技術的検討をやったというふうには認識しがたいという幾つかの御意見がありましたが、私も同意見です。結論を出すにはまだ早過ぎたんじゃないか。たとえば、メーカー方々の御意見も先ほど一つずつお伺いしましたよね。若干伺いましたよね。それでもまだ可能性の追求をするところがあるんじゃないか。それから触媒についても、これはもうきょうは触れる時間私ありませんけれども触媒についても、西村参考人のお話では、国内で耐久テストをやってみるということになればこれはもう可否が遠からずわかるというところまできているという御意見が出ているわけですよ。これはぜひ御検討になる必要がありますよ。しかも、ほんの一例ということで、私は、外国へ輸出をしている日本の国産車が外国でどのぐらいの排ガスを出して走っているのかということの一例を申し上げたら、これは検討の対象になってなかった。これで報告書を出して、国民の期待を裏切るような結果をお出しになるというのは早計に過ぎると思うんです。やはり慎重審議をし——慎重審議というんですか、技術的検討がほんとうにやられるということがいかに大事か。国民が納得するというのは、御検討になった資料、これは西村参考人言われたようにすでにもう報告書が出たんだから御検討になった資料、それから結論が出てきた、よって来たる論理を立ててきた経緯、これはぜひ国民の前に明らかにされませんと、いまちょっと三十分そこそこの質問の中でさえこれだけの疑問が出るということでは、これは一億国民を御納得させようたって無理なんですよ。そこをひとつお考えいただきたいということを申し上げたわけです。  そこで八田参考人にお尋ねをしておきたいんですけれども、これは西村参考人からも言われましたが、今度は七大都市調査団と専門委員会をお呼びして一ぺん技術的なディスカッションをしたいというふうな御意見がありましたが、七大都市からお呼びになった場合には御出席になりますか。これは私、ぜひ御出席になる必要があるなあと思うのは、時間がないのでお聞きできませんけれども、家本委員が七大都市の調査団との話し合いのときに、こう言っているんですね。七大都市の調査結果は推論が多くて、メーカーとしては説明を聞きたいところだと、こういうふうに言っているんだから、ぜひ御参加になっておやりになる必要があろうと思うんですけれども、招請されたら応じられますか。八田参考人の御見解をお伺いしたい。
  257. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 私の委員会というのはやはり環境庁の中公審専門委員会でございますから、私の一存でお答えすることができません。
  258. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は自動車専門委員会委員長としての御見解を伺っているんですよ。
  259. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 私個人の学識経験者としてなら幾らでもあれでございますけれども委員長としては依然としてやはり全体の環境庁の指示を仰ぐといいますか、御相談をした上でないとお答えできません。
  260. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 十一月六日行なわれました自動車専門委員会と七都市調査団との討議におきまして、五十一年規制可能の技術的評価については大筋において一致し、ただリードタイムについて見解が異なったと、このような報告を受けておりますが、その点間違いないかどうか、八田委員長から御答弁願いたいと思います。
  261. 八田桂三

    参考人八田桂三君) お答え申し上げます。  一番最初から申し上げましたように、その点では非常に大きな弱きがあるんじゃないかと思っております。一番初めからるるいろいろ運輸省の認証の試験の期間だとか、それからそのための熱害とか、そういうものの耐久性を確認する試験とか、そういうことを考えますと、もう現在に、もしくは現在からごく近いときにそれにたえるようなシステム、バランスのとれた自動車としてのシステムを完成していないと五十一年からの量産は不可能であると、そういうふうに考えるわけです。そういう点は、西村さんのほうとは非常に大きな違いがあったことだと思っております。
  262. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、リードタイムの点について大きな違いがあったということでありますから、リードタイムの点につきまして両者の意見が一致するならば、たとえば七大都市調査団のほうの意見が正しくて、あなた方がその見解を聞いた結果それは正しいと、そこで一致するならば五十一年規制も可能であると、もしくはそれにたいへん近い数値に到達できるという、そのように考えていいかどうか、これについて御見解を聞きたいと思います。
  263. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 先ほど申し上げたことと全然同じことしか答えられませんけれども、だから、現段階においてそういうような安全性耐久性があり量産してもいいようなシステムがあれば——ただそれが五十一年のころにそういう技術ができるということとは全然異質のものであると、こういうふうに私ども考えております。
  264. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 リードタイムの問題につきましては七大都市のほうで先日意見の発表がありました。ですから、それについてこれからお伺いいたしますけれども、その前に八田参考人にお伺いしたいのは、技術的な意味でのリードタイムについて専門委員会としての独自の調査とか検討を行なったかどうか、それに関してどんな資料を集めたか、どんな討議をしたのか、これについてお伺いしたいと思います。
  265. 八田桂三

    参考人八田桂三君) まず日本におきましては、過去の日本のモデルチェンジ——メーカーがかってにやるモデルチェンジでございますが、それのフルモデルチェンジとかそれからマイナーチェンジとかいうのがいろいろございますけれども、そういうものを、統計資料を集めました。それから家本委員を通じましてそういう今度の五十一年規制規制車は現在そういう——しかも非常に大幅な、いままで自動車が普通に使っていないシステムもたくさん入っておりますから、そういうものの開発過程の経過みたようなものの資料をいただきました。それからアメリカのNAS——ナショナル・サイエンス・アカデミーですが、要するに全米科学アカデミーとでも申しますか、そこのほうでやはりリードタイムの調査をしております。その調査の結果ですね、三年かかると。だから、そういう新しいものをやる場合に全米科学アカデミーのほうも三年ないし四年、日本のほうのメーカーからいただいたものもその点で大体一致しておりました。
  266. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 どの程度の検討をされたか正確にわかりませんけれども、そこでさらに今度は御両名、西村参考人を含めてお伺いしたいんですが、私どもが理解するところでは、リードタイムにつきまして、新車種生産に必要なリードタイムとそれから排ガス対策に必要なリードタイムとでは違うんじゃないかという問題が一つございます。それから現在開発期間の短縮を可能にする技術が急速に発展するんじゃないかという問題、さらにリードタイムの問題は一般的な常識、これは先ほど八田参考人が言われたのが常識的なものだと思いますけれども、そういう常識よりも大幅に短縮されていくんじゃなかろうか、この点について御両名からそれぞれ御見解を賜わりたいと思います。
  267. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 排ガス対策車と普通のモデルチェンジと違うかどうかという御質問でございますが、そういう意味では排ガス対策をするためには、何といいますか、外側のかっこうはかりに変えないとしましても、裏側の床とかなんかのぐあいのほうはプレス、型から何から全部変えなければなりません。そうすると、そういうものを全部、振動試験から何から全部、要するに新しいモデルチェンジをするのと同じ、機体に対してはほとんど同じものになると思います。それからその上に現在の五十年の排ガス対策にもいろいろな種類、あるいは進歩のぐあいがあると思いますが、五十年対策車あるいは五十一年対策車というものは、いままでの自動車屋が普通に扱っておったなれた手法とは非常に違った手法がたくさん使われております。これも型式によって多少の濃淡はございますけれども、したがって普通のモデルチェンジ以上に時間がかかるだろうと私は考えます。
  268. 西村肇

    参考人西村肇君) リードタイムに関しましては、ガスのエミッションのデータ以上にデータの入手が困難でありまして、いままでもほとんど何も明らかにされてなかった。そういう状態の中で非常に困難でありましたけれども、われわれは報告書をまとめております。しかしその報告書というのは、すべてメーカーの論文またはメーカー自身が実際に達成して必要だったリードタイムというような実績だけをもとに論じておりますが、それでいきますとクレイモデルの承認、そこから量産の立ち上がりまでの期間はアメリカで二年程度、それから日本では平均二年またはそれ以上となっております。それ以上というのは、最近の技術によってさらに縮まる傾向がありますので、二年またはそれ以下になりつつあるというのが私たちの見解です。そうしますと、ただし、それは排ガス対策技術の完了の時点から二年かかるかどうかということは検討いたしました。それを各車種別にロータリーエンジンの場合には排ガス対策の完了がどういう意味を持っているのか、CVCCでは排ガス対策の完了というのは、つまりは操縦性を改善できたという時点でありますが、そういう時点はどうか、リードタイムの内容を詳しく分析しまして、たとえばCVCCで操縦性が改善したときにはそれはリードタイムのうちのどこら辺に入るんだろうか、頭に入るんだろうか、その途中に入るんだろうかということについて、リードタイムの内容の解析からわれわれなりの判断を下しまして、その結果出てきたのが、CVCCエンジンに関しては操縦性が改善された、実車テストで操縦性が改善されたというあとだったらば一年数ヵ月ではないだろうか。それから還元触媒がほんとに信頼のできるものができたという時点からならば一年半でよろしい。その前の半年というリードタイムは触媒が完全に完成してなくても、ほぼ同じものが、ほぼ同じ機械的な性質、またはテストに必要な性質がわかっているならば、それをもってテストをすることができるので、テストを変えることができる、途中に取り込むことができるというような判断をいたしまして、一年半というような判断をしたわけです。これは今度の中公審の答申にも一年半または二年とありますように、これは中公審でも認められたある点ではないかと思います。
  269. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次、フィーダー参考人にお伺いいたしますが、先ほど西村参考人意見でも、グールド触媒について耐久テストを第三者の手によって日本の国内において行なえば、技術開発はほとんど完全に近づいたというぐあいに考えると、このような御見解がありましたけれどもグールド社として、たとえば東京都のテストを受けるというようなことの御意思があるかどうか、現にそういう申し出をされておるかどうか、これについて簡単にお伺いしたいと思います。
  270. ロバート・フィーダー

    参考人ロバートフィーダー君)(漆原一郎通訳) 東京都に私たちの製品を提供してテストを受けるという用意は十分にございます。
  271. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ありがとうございました。  最後に、これは環境庁のほうに、それから八田委員長にお伺いしますが、先ほど八田委員長から冒頭の原委員の質問に対して、四十七年のときには五十年規制、そして五十一年規制は不可能であると思ったと、そういう意味で先見の明がなかったという御発言がございました。いまの時点に立って、やはりいま先見の明がないんじゃなかろうかというような感じもするわけであります。こういった、先生つかまえてたいへん失礼な話でありますけれども、しかし、今回の場合は先見の明がなかったということでは、これは済まされない問題じゃなかろうか。この点についてどうお考えかということをお伺いしたいと思います。  それからもう一つ、業界全体として、国民の目から見れば業界全体として一車種でも到達すれば、それはやっぱり自動車産業界としては可能なんだというぐあいに考えたわけです。それをすでに先ほど来の説明のように幾つもの車種が可能であります。にもかかわらず〇・四という数値をとらなかった、どんな理由なんだろうか、これについてお伺いしたいと思います。  それから環境庁に対しては、この段階でいままで提出されたすべての資料、まあ専門委員会には出さなかったということでありますからたいへん秘密主義でありますけれども、しかしこの段階になったらすべての資料をここで公開すべきじゃないか。この点についての御見解を伺いたいと思います。
  272. 八田桂三

    参考人八田桂三君) まず私が先ほど先見の明がなくて不明の至りだと申し上げたのは、四十七年のときには私はほんとうに、個人でございますが、個人としては今日ほど進むとは思っておりませんでした。その点は何と批判されてもいたし方ございません。それから現在、じゃ、五十一年規制が今度暫定期間ののちにできる可能性はどうかということに対しまして、先ほど一番最初に、その結論にもありますように、少なくとも、まあ触媒もいまグールドさんの触媒をはじめ、ほかのほうの触媒とか、私どもほんとうのくわしいことは企業秘密としてわからないんですけれども、耳に入っているものからしても非常に発達しておりますけれども触媒というのは何と申しましても当たるか当たらないかというような面が多少ございます。だから、あれですけれどもグールド触媒を含めまして、それからほかのほうの触媒系統——触媒が非常に大事なのは、触媒がもしできますとどんなウェートにも関係なしにできるわけでございます。しかもメーカーもほとんど関係なしにできるだろうと思います。それからあとのほうのCVCCとかロータリーのほうのこととか、態谷エンジン、そういうものはもう現在では実験室段階という初期段階ではできておるわけでございますから、これは今後発達に力を入れてやられれば非常に可能性は高い。だから前のときに比べればそれだけたくさんのデータを、あるいはHCデータをたくさん入手したという点もあるかもしれません。前に比べての話でございますけれども、そういうふうに考えます。それからあとのほうの、〇・四グラムができているからそれにしないかというお話。もし〇・四グラムということになりますと、いまできる数は東洋さんとかごくわずかだけしかできないと思います。だからその問題は技術的な問題じゃなくって、それは完全な政治の問題と申しますか、政治の問題かもしれませんけれども、われわれの技術の判断外の問題ですから、われわれはおのおのの車がそれをどれだけ切り捨てるとか切り捨てないとかいうことは、それは私どもの問題じゃなくって、技術的にどこまでできるか、どういうものが何トンではどれだけできると。そうしますと非常にこまかくなっちゃうわけですが、それを規制するならと考えてあんなふうなことにしてあるということでございます。
  273. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうしますと、どこで切り捨てるかというのはこれは政治の問題だということでありますけれども技術的にあるいは学問的にはどこまで到達できるのかということだと思うのですね。で、自動車産業全体として見た場合に、一部分でも到達したところがあれば、それは国民の立場から見ればその産業界がそこに到達したというふうに考えるわけですよ。にもかかわらず、専門委員会が政治的な判断をされて、切り捨てるかどうかという問題まで考えましてそれで〇・六という問題までやったんじゃなかろうかという、こういう疑問があるからお聞きしたんです。そのところについて明快な御答弁を願いたいと思います。
  274. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 〇・四グラムができるということももちろん今後の規制案の中では考慮いたしました。それは大体〇・六グラム、〇・八五グラム、そういう差があるわけでございますから、そいつに対しては、先ほども申しましたような何らかの優遇というか差別待遇ができるようにすべきである。それからさらに、東洋さんがお話しいただいたときに、私は、ぜひそういう〇・四グラムの車を商品として出せるなら出していただきたいということをお願いしました。そうしたら、それに対しては非常なインセンティブをいただかなければという話でございました。それは確かにそうだろうと思いますけれども、これは、ただわれわれは、そういうふうなことによってでもできるものは少しずつ出していく。それで、それをじゃ〇・四グラムというのをさらに規制に加えたとしますと、かえってある場合にはまじめに一生懸命やったところのほうが損をするということにもなりかねない、まあ場合によってですけれども。そういうことも配慮いたしましてあの〇・六と〇・八五という二段階に、しかも一トンというところで分けるということに一応考えたわけでございます。
  275. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 資料の問題で環境庁。
  276. 春日斉

    説明員(春日斉君) 自動車排ガス規制について中公審自動車公害専門委員会が大気部会に報告をされるわけでございますが、これにいわば付属資料というようなかっこうで技術評価についての各種データを取りまとめていらっしゃいます。これはただいま印刷中でございますので、これはお届けいたします。ただ、十六回の審議に際しまして集まった資料すべてを提出するようにというお話でございますが、その資料をわれわれが入手したときの一つの約束ごと、たとえばメーカーに対しまして、これは一般に公表しないというような立場で集めているものも数多くございますので、それを公表するわけには事務的にはまいらないわけでございます。
  277. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  278. 三治重信

    ○三治重信君 だいぶん時間が参りましたので重複を避けまして御質問します。したがって少し、何と申しますか、この規制に反するような感じを受け取られるようなことのないようにひとつお願いしますが、これは質問の範囲を広げるために少しほかの部面の考慮をと思って重複を避ける意味でそちらのほうへ、残った質問として聞いていただきたいと思います。  まず第一に、こういうふうにして日本が世界に先がけて規制をやっていきます。しかしながら、日本のいまの自動車産業は鉄鋼に次ぐ第二の輸出産業になっておるわけでございます、年間約四十九億ドルも輸出していると。そうすると論入せざるを得ないと、外国の車を規制できないと。そういう場合に、この新しい五十年規制というものについて外国社からの輸入についての規制を同じようにやらなければ輸入を承認しないんですかどうか、ひとつ運輸省それから通産にちょっとお伺いしたいと思います。まず、その御意見について八田先生と西村先生にお願いします。
  279. 富永孝雄

    説明員(富永孝雄君) お答え申し上げます。  大気汚染防止法は国内で登録されておりますすべての自動車に適用されておるわけでございますので、輸入車といえどもこの適用を免れるというわけではないわけでございます。しかしながら、今後定められます五十一年規制は、外国メーカーの現在の調査、外国メーカーからいろいろ聞いております話によりますと、現在の段階では外国メーカーがこれに対応できるかどうかについては全く不明でございます。先般来フランスで開かれました国際自動車工業会の会がございましたが、そこにおきまして、日本排ガス規制が非常にきびし過ぎるというようなことが議論されたということを伺っておるわけでございますが、そういうことから見ますと、外国メーカー日本に輸出する場合に、五十一年規制のきまり方いかんによるわけでございますけれども、それに適合することは相当むずかしいのではないかということが考えられるわけでございます。で、現在は五十年規制車につきましては五十一年四月ということでリードタイムが国産車に比べまして四ヵ月与えられておるわけでございますが、こういった国産車に比べましてどうしても外国のメーカーは、たとえばランゲージバリア——言語障害といったことがございましてなかなか日本の情報が手に入りにくい、非常に離れております関係上どうしても情報が入りにくいということがございまして、そういうためにリードタイムが四ヵ月与えられているわけでございますが、もし五十一年規制値がどういう形できまりますにせよきまりました場合には、少なくとも国産車に比べまして同様なリードタイムを与えることが必要なのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  280. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 私はそれも経済の問題と思うのでございますけれども、こういう環境汚染に関係した規制は、非関税障壁ということを話は伺っておりますけれども、非関税障壁の対象にはなり得ないものではないだろうか、本質的にそれは異質のものではなかろうか、そういうふうに考えております。それで、かつて一番私自身がけしからぬと思ったのは、アメリカが基準の規制が強くて日本規制が弱かったころに、日本の車はアメリカへ輸出するほうはもっときれいな排気の車を出していて、日本国内には規制がなかったからそれを出していなかった、まあ規制は少しはあったかもしれませんが。そういうようなことから考えましても——それであのときにけしからぬと日本が言っていたわけでもないだろうと思いますが、そういうけしからぬということを言っていったか言っていかないとかいう経済上の問題じゃなしに、環境問題がそういう経済の非関税障壁ということに対しては論理的におかしいのじゃないか、そういうふうに私個人は考えております。ただ、その辺は専門家じゃないので何ともわかりません。
  281. 三治重信

    ○三治重信君 次にきょうのお話で、大部分がまあ非常に早急にこの中間規制値の答申の原案といいますか専門委員会の結論が出されたことに対して、各委員からその審議過程についての疑問点がずいぶん出されたわけなんですが、私も、この五十一年規制については、五十年規制が実施をされてその効果を見、さらに技術進展をほんとうにゆっくりと申しましてもそれは何年ということではなくして、五十年規制の実施状況を——半年、一年、少なくとも一年ぐらい五十年規制の実施車が町を走って、そしてそこに故障がないか、それでどれだけ大気が清浄化されるかというようないろいろの集中的な検討をして、五十一年規制に進んでもらい得るというふうな希望をこの前の参考人さんのときにはお話を伺っておったわけなんですが、急にこの専門委員会の結論が出たようなんですけれども、その結論の中でやはり技術の問題にあまりにも集中をしているような気がいたします。もちろん、この五十一年規制が〇・二五という非常なむずかしい規制になっているものですから、技術的な問題とわが国の法律の体系から経済的な問題をあまり考慮しないということで、人命尊重ということから行なわれてきますけれども、最近の各産業界と申しますか、地域によって非常な失業問題も出て、企業の存立問題というものも考えられております。ことに、この自動車産業に従事する労働組合のほうからいきますと、この五十一年規制によって非常に売り上げが、いまでも景気の不況期によって売り上げがことしの前半では三〇%も生産制限をした。それで五十年規制でどれだけ減るかわからない、さらに五十一年規制をやっていくとどれだけ生産がダウンするかわからぬと、こういうふうなことから、生産がダウンされると結局失業の問題が出てくるのじゃないか。主要な労働組合で本気になってほかの繊維なんかの状況を見て検討しているわけなんですが、それについての保証はどうか、こういうふうなことをやって、ほんとうにこの規制をやっても失業は起きないのかどうか。こういう見通しについて意見を求めたいわけなんですが、まあ技術の関係の方が多いわけなんですが、その点むつかしいと思うんですが、環境庁の長官並びに局長でまずひとつお願いをして、またメーカーのほうの方でそういうことについて所見をお持ちになる方がありましたら、ひとつぜひ見通しのことでございますので個人的な見解でけっこうですが、そういう不安を組合員のほうが持っておるということについてわれわれは聞いているんですが、それについてどう対処しようとしていられるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  282. 春日斉

    説明員(春日斉君) 五十一年度規制を行なうことによりまして、自動車産業界が少なくとも打撃を受けるのではなかろうか、ことに労働者、これは下請等を含めて関連労働者が三百万あるいは四百万人と呼ばれておりますけれども、そのうちかなりの数がレイオフ等の被害を受けるのではなかろうか、こういう御質問だと存じます。確かに私は五十一年度規制値をなかなか達成できない車種メーカーによってあると思います。また、機種の統合も行なわれることでしょうし、あるいは特殊の車につきましては、永久的かどうかは別として、少なくとも若干の期間は製造中止せざるを得ないというようなこともあり得るかとも思います。しかしながら、それが現在の不況、ことに自動車産業界の不況ということにどのような引き金になるかというようなことにつきましては、私何とも申し上げる立場にないわけでございまして、明確な御答弁をできないのは残念でございます。
  283. 三治重信

    ○三治重信君 生産業者の方どなたか御意見ございませんか。河野さんいかがですか。
  284. 河野良雄

    参考人河野良雄君) 私、技術関係のほうでございますんで、そういうあれについてはちょっとお答えを申し上げかねますんで。
  285. 三治重信

    ○三治重信君 それから、いま五十年規制テストを運輸省がやっていると、さらに五十一年規制と、それからまたさらにこの〇・二五に向かっての暫定基準値と、こういうふうになってきますと、非常に一部の議論やまたこの技術者の中には、こういう小刻み改正をやっていると本物の技術改良ができないじゃないかと。その商売というのですか、メーカーのほうはそれぞれ毎年変わった車を出していく、その数値に合わすようなテストを受けるのにふうふういってやっていくと。車種が少ないならまだ非常にいいわけですが、何十種類という車種を量産しているメーカーからいきますと、それを毎年——前はモデルチェンジをやるのはけしからぬとこう言っていたのが、今度はそういう規制によって一年ないし一年半ごとにどんどん変えてテストを受けていかなけりゃならぬ、こういうふうになると非常な諸外国との競争の激しい自動車産業の中で、技術的に非常なおくれをとることになるんじゃないかと、こういう議論を聞く。むしろもう少しこの技術改良の進歩が非常に急速なんだから、そうあわ食わぬというとまあ何と申しますか、のんびりしたようなことにとられてはまずいわけなんですけれども、その間にやはり技術改良の現実を踏まえて、その目的値〇・二五という到達目標に早くそのほうが到達できるんじゃないか、こういう議論と申しますか、考えることができるんじゃないかと思うんです。したがって、またそういうような規制値をこういうふうに小刻みにやるということは、自動車生産メーカーとしてもやはりコストの上昇として、またさらにそれについての実際何と申しますか、各メーカーの三ヵ月なり五ヵ月のテストの、そういういろいろのことによる改良もさることながら、これは実際、お客さまに乗ってもらって、半年なり一年たってみないとよくわからぬと。現にこれはどういう理由かよくわかりませんが、アメリカの車でも、浄化装置の不良のために欠陥車をことしの夏で、フォード社が二十八万台も回収を米環境保護庁から命ぜられた、他のメーカーも全部含めると百四十万台からの排気ガス浄化装置が不十分であることによって回収を命ぜられていると。こういうふうな回収を命ぜられたということについてのこまかい法の規制のことは私は知りませんので何とも言えないわけなんですが、やはり五十年規制でも検査には通る、しかしながら、実際ユーザーがやっていくと、そこにまあ故障なり何か出る。先ほど西村参考人は、ひとつ疑わしいときにはすぐとめればいいんだと、こういう御意見で、それが実際実施されればけっこうなんですけれどもね。そういうふうになると、よほど事前の教育が、各修理メーカーにもその新しい分野について教育訓練の機関が必要じゃないか。それが一年ごとに車が変わって、新しい車が変わっていくと、その中に修理の関係の各地方の全国への普及度からいっても、日本人は手先が器用だといいますけれども、なかなかむずかしいじゃないかと、こういう不安を抱いて現地を回ってみると、その適応力がはたしてできるだろうかどうか、こういう疑問が現実にあるわけなんです。もう少し何とか、確かに人命尊重でいいことなんだけれども技術というものをもう少し尊重してもらって、それがやはり何といっても一番精密な機械を一番しろうとがポピュラーに、何百万人という人が使うと、これは自動車しかないんだと、したがって一般の製造機械なりあるいは会社なんかで従業員か専門的に使う機械ならまだしも、一般の男も女もだれでも使う自動車というものを、それをまあ金持ちだけしか使わないようにするんだというなら別ですけれども、この大衆性を保持していこうという場合にその点を十分考慮してほしいと、こう思うわけなんですが、そういう点についてひとつ西村先生と八田先生に御意見を伺いたいと思います。
  286. 八田桂三

    参考人八田桂三君) 御説の、私自身も特に五十年規制車は、先ほども申しましたように、いままで自動車業界や一般ユーザーが見たことないようなものがかなりたくさん出てまいりますので、フォローアップがたいへんだろうと思います。そのためにメーカー耐久試験のやり方も普通の場合のモデルチェンジよりは私の拝見したところはるかにきつい——きついといいますかシビアな耐久試験を十二分のことをやっておられるようです。それから一方それを認証される運輸省のほうも非常にこまかい、少しこまか過ぎるんじゃないかと思うぐらいこまかいいろんな条件を出されて、できるだけそういうことがないように十二分の配慮をしておられるというように私はうかがいます。しかし不特定多数の一般の方ですからとんでもない使い方をするのは往々にしてあることで、まあいかにメーカーや運輸省の方が知恵をしぼって安全安全と考えられても、それはいままでの例でもそういうことがございました。したがって、本来ならばその五十年規制を一年置いておいて、それからそのあとの様子を見てから、五十年規制を一年置いておいてそのフォローアップが済んでから、完全に済まなくても一年くらい見てから次に進めと、そういう意見はわれわれの委員会の中でも技術系の委員の方になればなるほどそういう意見が強くございました。だけれども、私はやはり人の健康ということを第一に考えるわれわれの中公審委員立場としてはそれは捨てるべきであるということで、それはそういうふうにいたさないように導いたわけでございます。  それから、そんなふうにがたがた次々とやっては技術の進歩がおくれるかどうか、それは確かにそういう懸念が全然ないとは思いません。だからかえっておくれやしないか、それでいまは、しばらくは日本が一番そういう公害対策進んでいるように見えるけれども、もうちょっとたってみたらアメリカなんかにうんとおくれていたということになりはしないかという御指摘を受けることもございます。まあそういう点は第一アメリカのそういう公害開発に対しては、国がそういう先行投資的な、かなりどうなるかわからないようなことに対しては非常な金を出してそういうものの無公害車開発をやっておりますけれども日本でも通産省の大型プロジェクトで電気自動車なんかやっておられるというようなことも多少ございますけれども、その規模と動員力、そういうものについては雲泥の相違がございます。だから、むしろそういうことを政治的に評価していただいて、そういう方面でいまの点を補っていただこうということができれば一番いいんじゃないか、そういうふうに私は個人的に考えます。
  287. 西村肇

    参考人西村肇君) 先生からだいぶいろんな点で御意見いただきましたので、私もいろんな点で意見を述べさせていただきたいと思います。  まず最初に何回も規制をするというのはたいへん合理的でないでないか、御意見は私も全く同意見です。これは私たちが調査団で聴聞いたしたときも各メーカーがおっしゃったことはきついということ、〇・二五というのは非常にきつい。それでは暫定値ではどのくらいかということに対して各メーカーは異口同音に、暫定値というのを設けられるのは非常に困る、つまり五十年規制でラインを変えて五十一年でまた暫定値をされては困る。われわれはそれは結局それならばはっきりした規制をある時期にきちんと行なうということが合理的なんだろうと思います。ですから、われわれも五十一年——われわれもということは私と言っておきますが、私も五十一年、五十二年末までに絶対に〇・二五をやれという意味ではありませんが、五十年規制のあとには絶対やるという日にちを一年なり——一年おくれてもかまいません、きめまして、それに、〇・二五に非常に近い規制に一回移っていく、確実に低い値に移っていくということのほうが合理的だと思います。  それて技術の進歩——先生のあれでは、人間尊重も大事だけれども技術の進歩も考えてくれということでしたけれども技術がどんどん進歩していくではないかということは、あくまで進歩していく条件というのがあると思います。それは、いわば、何というんでしょうか、技術をめぐる環境条件、それはいわば政治の条件だろうと思います。それから人々の願望だろうと思います。ですから、そういうことがなくて、何となく技術というのはいつでも絶えず進歩していくのだ、ことし〇・八なら来年〇・七になってというふうに順々に進歩していくものではないと思います。いままでの技術の歴史をきちんと調べてみますとよくわかりますが、そこに正しい社会的な目標がありまして、どうしてもこれを達成しなければならないというときには、技術はしゃにむに進歩するでしょう。ですから、技術の進歩が行なわれるためには絶対ゆるがない一つ目標というものが設定されることが必要だと思います。それでないと、むしろ良心的に技術を進歩させるという可能性もないではありませんが、いままでの例を見ますと、良心的に技術を進歩させたところがかえって経営的な危機におちいっているではありませんか。そのことを指摘したいと思います。  それからもう一つの問題は、私たちは、この七大都市調査団といたしましては、単に五十一年規制の問題だけを、NOxさえ減ればそれでいいんだという考えでこの問題を進めているわけではありません。むしろその底には、現在の車を優先した社会というものを何とか変えていきたい、それは生活の面でもそうですし、産業構造の面でもそういうことです。それの中で特に生活の面で迷惑がかかっているNOxの問題を何とか解決していきたい。そういうふうに矛盾を一つ一つ押えていくことによって、やがてはその車社会というものがそういう矛盾を押えながら少しずつ変わっていくことを目ざしたわけです。  そういう声に対しまして、これは、一番代表的な意見は、先日サンケイ新聞の「正論」に香山健一先生が書いていたのは、自動車産業は何しろ日本では一番大事な産業である、輸出も自動車の輸出でこそわれわれは食っているので——正確なことばを覚えておりませんか——その意味するところは、自動車の輸出ができなくなってわれわれはまたはだしの生活に戻らなければならないじゃないかというようなことを述べておられました。これは、自動車産業をつぶしたらどうなるのだという声は非常に強いと思います。しかし、それに関して私はこう思っております。これはわれわれが戦争中よく聞いたことではないでしょうか。つまりわれわれ日本というのは人口が非常に調密で、人口密度が高い。ですからわれわれは、何か外——満州なら満州というものと一線を維持しないでやっていけるだろうかというのがそのときの議論でした。しかし、現実には、負けてみますと満州なんかなくてもちゃんと日本はやっていけたというのと同じだと思います。つまり大事なのは、自動車産業がいままでの構造をどうしてもやるというならそれは突っ走る必要があるでしょう。しかし、私どもはこういう問題を中心に自動車産業の構造こそが変わらなくちゃいけないと申しているわけです。そういうべきという議論よりも事実として私なんかはこう予測をしております。日本自動車産業が有数の技術である、日本自動車産業で食っているといいますけれども、この状態がいつまでも続くと考えるかということです。自動車技術というものはそんなに高いだろうか、日本しかできないような高い技術だろうかということです。これに関しては熊谷先生がはっきりおっしゃっておりますが、エンジン一つとってみます、熊谷先生はエンジン専門家ですから。エンジン技術というものは決して技術的に高いものではないということです。エンジンはコピーすればだれでもできる。ですから香港でもできる、韓国でもできるということです。ですから自動車は結局、技術が高いということよりも、そこに大量生産ができるという条件と大量生産に伴ういわば奴隷的な労働、「モダンタイムス」にあらわれたような奴隷的な労働が可能なところで初めて可能なんです。ですから私なんかが考えるのに、このまま日本自動車産業が優位なのはあと五年あと十年の時期じゃないでしょうか。それ以後にはこういう優位は保てないと思います。ですから、むしろ自動車産業の技術をいま大幅にアップすることが問題だろうと思います。こういう排ガス技術というのはそういう技術だろうと思います。熊谷先生がおっしゃるのは、排ガス技術考えたときにここで初めて自動車エンジンのほんとうの研究が始まるのだ、そして初めて高い技術自動車が生まれる、エンジンが生まれると言っております。だからこそ、私は今度の規制をしたのが自動車産業を殺すというのはたいへん俗論だと思います。長い目で見れば、むしろ技術規制をすることによって産業構造も変わる、それから自動車産業の技術そのものも向上すると深く確信しております。
  288. 三治重信

    ○三治重信君 最後一つ。  最後に御質問しますが、この暫定規制値で大気汚染の〇・〇二PPMに向かってどう対処していくのかという御質問が先ほどもありましたんですが、そういう総合的な対処の部面につきまして、各都市がいわゆる予想している大気の排気ガスの量というものについての見通しが、私はいままでの自動車増加の趨勢値がそのままとられていくと、こういうふうに聞いておるわけなんですが、それについて今後経済見通しなり、あるいは非常な高度成長から低成長へといった場合の自動車増加割合というものも非常に減るんじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。それからさらに、そういうものの規制されていく車のあとの機能が維持されていかないと、ただ新車のときだけ規制してもそのあとすぐその機能が——まあすぐということはないわけでしょうが、相当のものをテストして許可するわけですから。そのあとのフォローが十分にいかないと、実際の大気の清浄化ができないのじゃないか。これについてはアメリカの環境保護庁のほうは、そのきめたあとのフォローが非常にきびしいから、先ほど申し上げたように欠陥車の回収というものが非常にきびしいと、こう聞いておるわけなんですが、そういうものについて、ひとつ今後のこの五十年、五十一年暫定規制値の、まあこれはいつになるかわかりませんが、そういうふうなもののあと追いや、それをさらに大気汚染の清浄化に役立つようにするための今後の総合的な見通しについて、ひとつ環境庁長官ないし局長さんからの締めくくりの御答弁をお願い申し上げたいと思うわけです。それを御答弁をお願いした言いんです。  さらに最後一つだけそれについてあと局長さんからひとつ、これは答弁があってもなくてもいいんですが、この十一月二十七日に大統領の記者会見で、アメリカのほうが排気ガス基準の凍結を検討するといいますか、八〇年までに自動車の燃料の経済性を四〇%高める、こういうようなことで、大統領が言い出して、それに対して米環境保護庁長官が、それについて安全基準と排気ガス基準を五ヵ年凍結しなくちゃならぬ、こういうふうなことについて報道されているんですが、わが国との関係を考えてどういうふうな御意見をお持ちか、お願い申し上げます。
  289. 春日斉

    説明員(春日斉君) 先生の御指摘のように、五十年度規制、五十一年度規制というもののフォローアップと申しますのは、私は絶えず技術評価のしかるべき組織をつくりまして今後進めていかなければならないと考えております。この場合、そういった組織と申しますのは、中公審自動車公害専門委員会がそのまま適用される、あるいはまた別の組織を考えるかというようなことはさておきまして、いずれにいたしましても、そういったことを考えていかなければならぬということは、今回八田委員長が出されました報告の中にも一部あったように感じております。  なお、窒素酸化物の地域におきます低減対策、こういったものは、私どもは先ほど申しましたように、今後大気汚染防止法の中で総量規制一つの方策というものも取り入れながらこれは総合的に行なってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。  アメリカの場合は、エネルギー節約を第一義的にとらえまして、安全性あるいは排気ガス規制の問題は若干凍結したいというような話があるようでございます。これはそのまま日本に適用するというような状態では私ども日本現状はないと考えております。そのようなことは現在私ども念頭にございません。
  290. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) それでは本件に関する本日の調査はこの程度といたします。  参考人方々には、朝以来たいへん長い時間にわたりまして御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。感謝を申し上げます。本委員会を代表いたしまして、厚くお礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十八分散会