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1974-11-12 第73回国会 参議院 建設委員会 閉会後第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十九年十一月十二日(火曜日) 午前十時十七分開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
小野
明君 理 事
大森
久司君
古賀雷四郎
君
増田
盛君 松本 英一君 委 員
上田
稔君 遠藤 要君 上條 勝久君 坂野 重信君
柴立
芳文君 沢田 政治君
前川
旦君
田代富士男
君
上田耕一郎
君
春日
正一君
事務局側
常任委員会専門
員 村田 育二君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
(
派遣委員
の
報告
)
—————————————
小野明
1
○
委員長
(
小野明
君) ただいまから
建設委員会
を開会いたします。
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
を議題とし、先般当
委員会
が行ないました
中国地方
並びに
北海道
における
建設事業
の
実情調査
につきまして、
派遣委員
から順次
報告
を聴取いたします。
中国班増田盛
君。
増田盛
2
○
増田盛
君 御
報告
申し上げます。 第二班は九月二十四日出発、二十七日、用向きを完了いたしまして帰京いたしました。 第二班は、
増田
、秋山、三治の各
委員
が参加し、
兵庫
、
岡山
両県下の
建設事業
及び
地域開発
の
実情
について
調査
してまいりました。以下そのおもな
事項
について概略
報告
いたします。 第一は、
兵庫
県が
都市計画事業
として
実施
しております
阪神電鉄連続立体化事業
と
武庫川流域下水道事業
についてであります。 前者は、
阪神
間の
密集市街地
を横断している
阪神電鉄線
の
高架化
をはかろうとするもので、すでに神崎川の
橋梁
を含めた
区間
が
大阪湾高潮対策事業
として
高架化
が完了していますが、これに接続して、
尼崎市内
の約五千メートルの
区間
を
高架化
し、十三の
踏切
を解消しようとするものであります。本
区間
は、
住宅
、
商店
、
工場等
が混在している
市街地
を
電鉄線
が
東西
に横断し、一日の
通過本数
が七百五十本にのぼり、あかずの
踏切
となっていることに加えて、
国道
四十三号線が近距離で並行して走っているため
交通
上著しい
障害
が発生しており、
地域住民
から本
事業
の
促進方
が強く
要請
されております。
密集市街地
内の
工事
であり、
施工
上安全の
確保等
むずかしい点もありますが、一日も早く
完成
されることを
期待
いたします。 後者は、
武庫川上流
の
宝塚
、
伊丹両市
の
市街化
が急速に進行し、加えて下流の
尼崎
、
西宮
の
工場排水等
によって
武庫川
の汚濁が激しく、また四十五年に指定された水質の
環境基準
を達成するためにも早急にその
実施
が
要請
されていたものであります。 四十四年に
基本計画
が
決定
されておりますが、
排水区域
は
宝塚
、
伊丹
、
尼崎
、
西宮
の四市にまたがる五千ヘクタール、
処理人口
九十三万人、
汚水処理量
が一日
当たり
七十六万立方メートル、総
事業費
千三百九十一億円、
昭和
六十年
完成予定
という大
規模
な
事業
であります。 右のうち、
現行
五カ年
計画
に該当する
部分
については鋭意
事業
が進められておりますが、現在
処理場
を含め順調に進められており、来年度から一部が稼動するとのことにて、その
成果
が
期待
されます。県では、本年から
補助率
が引き上げられたが、なおかなりの
財政負担
は避けられず、また
上流
の
市街化
の進行にあわせて
事業
を繰り上げて
実施
する必要があるので、国において
現行
五カ年
計画
を繰り上げ、大幅な改定に踏み切り、本
事業促進
のため必要な
措置
を講じていただきたいとのことでありました。なお、
補助対象率
の拡大、
起債充当率
の
引き上げ等
についても
要望
がありました。 第二は、
芦屋浜海浜住宅都市建設事業
についてであります。 本
事業
は、
兵庫
県が
大阪湾広域港湾計画
に基づく
阪神
港
整備
の一環として
実施
している
芦屋地先
の
埋め立て地
に
海浜住宅都市
を
建設
するものであります。その
概要
は、
埋め立て地
百二十五万ヘクタールに
住宅
六千戸、
人口
二万人の
緑地
や
文化環境
に恵まれた
国際文化都市芦屋
にふさわしい
海浜都市
を
建設
するもので、現在第一工区の
埋め立て
を完了し、第二工区を
埋め立て
中でありました。本
事業
が、
中央部
に
予定
している
高層住宅ゾーン
の
住宅群
の
建設
について、
パイロットプロジェクト
を公募する
工業化工法
による
芦屋浜高層住宅プロジェクト提案競技
という
方式
を導入し、今後の
住宅生産工業化
、
近代化
の
モデル事業
となっており、すでにその
入選作
も
決定
し、その
成果
が
期待
されております。なお、
建設
される
住宅
の大半を
分譲住宅
と
予定
している点について、その
譲渡価額
が
都市勤労者
の
資金入手限度
を越えたものにならないかとの疑問が出されており、なお一そう
工業生産化
による徹底したコストダウンの努力をいたすよう
要望
します。 第三は、
中国縦貫自動車道
についてであります。 本
自動車道
は、
大阪
府
吹田
市と山口県下関市を結ぶ
国土開発幹線自動車道
でありますが、すでに
兵庫
県下で
吹田
−
宝塚
間及び
西宮北
−
福崎
間が
完成供与
中であり、現在、
岡山
県
落合
までの第一次
施行命令区間
で全面的に
建設工事
が
実施
されております。
宝塚
−
落合
間を
全線
にわたって
調査
いたしましたが、そのうちおもな二、三点について
報告
いたします。 まず、
青葉台地区
で
騒音等
を
理由
とした
地域住民
の
反対
で約百二十メートルの
区間工事
が中断されているため
供与区間
が分断されている点でありますが、問題の
早期解決
のため
道路公団
から
防音壁
をひさし型に取りつけ、
騒音
が五十ホンをこえないようにするとの新
提案
を行ない、
兵庫
県、
西宮
市を加えて
地域住民代表
との間で
最終
的な詰めを行なっており、来春の
落合
までの
全線開通
に間に合わせる
目途
がついた旨の
報告
がありました。 いずれにしても本
地区
の
工事再開
が
吹田
−
落合
間の
全線開通
のかぎとなっており、一日も早い
解決
が望まれます。
大阪建設局
が担当しております
福崎以西
、
県境杉坂トンネル
に至る
区間
は比較的
工事
が順調に進行しており、
用地交渉
のおくれている一部
区間
を除いて舗装、
仕上げ等
の
最終工程
に入っておりました。
山崎地区
では
山崎断層
といわれる古い
断層帯
があり、
工事
の
施工
にあたって非常に苦労しているとのことでありました。
道路
の
のり面
でこの
断層帯
の悪い土質による崩壊を防止する
補強工事
が
実施
されておりました。多少
経費
が
増加
しても
開通
後の
防災面
を考慮すれば完全な
補強工事
を
実施
しておく必要があると思われます。
兵庫
県
当局
が
県内陸部
を貫通する本
自動車道
にかける
期待
は大きく、
福崎インターチェンジ
では県南・
県北
両
地域
を結び、将来はさらに
延長
されて日本海と太平洋を結ぶ
予定
の
播但連絡有料道路
と連絡させており、
中国縦貫道
を
中心
に
県内
二時間
交通実現
のため
主要幹線道路網
の
整備
を積極的に進めているとのことでありました。また、
中国縦貫道
が
内陸部
の
田園地帯
を貫通していることから、この
道路
を緑の回廊とすべく約二億円の県費を支出し沿線の
植樹運動
を展開しておりました。その
成果
が
期待
されます。
岡山
県下の
建設工事
は、
岡山
県をはじめ
地元市町村
の積極的な
協力
を得て、一部
地区
で
工事関係
の
公害
問題が発生したが、すでに
円満解決
の見通しがつき、
計画
どおり順調に進行しており、目下
最終
の
工程
に入っておりました。
岡山
県
当局
は本年末までに
落合
までの第一次
施行命令区間
が
全線開通
することを
期待
しており、
兵庫
県下の
工事
のおくれのためこれが不可能となった場合でも、
工事
が最も進んでいる美作−
落合
間については本年十二月中に
部分供与
を開始するよう強く
要請
しておりました。
公団側
でも、
供与開始
後の
管理経費
上の問題もあるが、県、
地元市町村
の
熱意
にこたえる意味からも
部分開通
に踏み切る
予定
であるとのことでありました。なお、
津山
−
落合
間は当初
暫定
二
車線
を
予定
しておりましたが、
地元
の
要望
をいれ、四
車線
で
施工
することが認められ非常に喜んでいるとのことでありました。
落合以西
についても
全線
四
車線
で
工事
を
施工
すべきと考えます。
岡山
県
当局
から、
落合
までの
全線開通
を控えて、これに接続する
中国横断自動車道岡山
−
米子線
のうち、すでに
整備計画
が
決定
されている
米子
−
川上
間に引き続いて、
川上
−
落合
間及び
落合
−
岡山
間の
整備計画
を早急に
決定
してほしい旨の
要請
がありました。
中国縦貫道
を経由して
山陰地方
と短距離で結ぶためにも
川上
−
落合
間の
整備計画
が一日も早く
決定
されるべきと考えます。なお、
中国縦貫道
に
関連
して、その
開通
後、
津山
−
岡山
間を結ぶ
国道
五十三号線の
交通量
の著しい
増加
が予測されており、
国道
五十三号線の第二次
改築
、特に現在でも
交通渋滞
の激しい
津山
、
岡山
両
市街地
に入る
地区
の
バイパス
が強く
要望
されておりました。両
地区
の
バイパス計画
は
岡山国道工事事務所
で
目下具体案
を
検討
中であるとのことでありましたが、その
実現方
を強く
要望
いたします。 第四は、
国道
二号線
岡山バイパス建設工事
についてであります。
主要幹線
である
国道
二号線の
交通量
の伸びは著しく、各所で
交通
の停滞を来たしておりますが、特に
岡山
、
倉敷両市
の
市街地
での混雑は激しく、
交通
上著しい
障害
となっておりました。これを
解決
するため、二号線の第二次
改築事業
として、本
バイパス
が
計画
されたのであります。総
延長
三十八・三キロメートルで、四十四年から
用地買収
に入り、現在
倉敷市内
で一部
用地買収
が終わっていない
部分
があるものの
工事
はかなり進行しており、現在
暫定
二
車線
で総
延長
の七割程度が
供与
されておりましたが、
暫定
二
車線
の
供与
ということで
交通規制等
に問題があり、予想される
交通量
の
増加
にあわせて一日も早く全
区間
の四
車線化
に着手すべきと考えます。本
バイパス
が
全線開通
すれば、東は現在
県営有料道路
として
建設
が進められている
東備西播開発有料道路
に接続し、また、西は
直轄
で
工事
が進められている玉島、笠岡両
バイパス
につながり、その
効果
はきわめて大であります。 第五は、
本州四国連絡橋児島
−
坂出ルート
についてであります。
本州四国連絡橋
は、各
ルート
について昨年秋その起工式が総
需要抑制政策
を
理由
に
延長
されて以来、本格的な
工事着手
に入ることができず、
陸上部分
の
路線決定
や
橋梁部分
の
構造
の
細分決定等
の
作業
と、
海上作業
を開始するための
各種実験
が行なわれているにすぎませんが、われわれは
瀬戸大橋架橋予定地
を
海上
から視察いたしました。すでに
陸上部路線予定地
では一部
地区
で
公害
問題を
理由
とする
地域住民
の
反対
の動きも出始めており、さらに
海上部
では
漁業補償等
が
解決
されなければならなく、本格的な
工事着手前
になすべきことが多い。
本州四国連絡橋公団
では
岡山
に第二
建設局
を設置し、慎重に
各種
の
準備作業
を進めているとのことでありました。 われわれの
現地滞在
中に、
長野岡山県知事
と
前川香川県知事
が会談し、本四架橋の
促進
について意見の一致を見たとのことでありましたが、
政府
においてもできるだけ
早期着工
に踏み切るべきではないかと考えます。 第六は、
勝央中核工業団地建設事業
についてであります。
津山
市を
中心
とする
岡山
県
中北部
の
内陸地帯
は
過疎化
に悩んでおり、
中国縦貫道
の
開通
を機にこの
地域
の
振興
をはかるべく、その
中核
となるべき
事業
として
勝央
町に
中核工業団地
を
建設
することとなり、四十八年九月、県と
勝央
町
当局
から当時の
工業
再
配置公団
に
中核工業団地
の
造成
を
要請
し、本
事業
の
実施
がきまったのであります。
計画面積
百ヘクタールと比較的小
規模
な
工業団地計画
でありますが、
中国縦貫道沿い
の
丘陵地帯
である地の利を生かして緑の多い
工場公園
をめざし、目下そのマスタープランを
検討
中であるとのことでありました。すでに
用地
は県によりほとんど
買収
が終わっており、年内にも
基本計画
を
決定
し、早急に
工事
に着手したいとのことでありました。 本
工業団地
が
完成
すれば、
関連企業
を含め約五千人の
雇用効果
が発生し、現在
人口
一万余りの
勝央
町に新たに約六千人の
人口増加
をもたらすであろうと予測されております。そこで
勝央
町は、この
工業団地
で働くことになる人々のための
住宅団地
の
造成
も同
公団
が
実施
することを
期待
しており、その
実現方
を
要望
していました。
検討
の上善処せられたい。 第七は、
津山
市とその
周辺地域
の
開発状況
についてであります。
岡山
県
北地域
の
拠点都市
である
津山
市は、古くからの城下町で、山陽、
山陰
を結ぶ
交通
の要所として栄えたところでありますが、
中国縦貫道
の
建設
に
関連
して
内陸型工業
を
中心
とする
地方中核都市
の
候補地
にあげられているので、その
開発
の
実情
を
調査
いたしました。
津山
市は、現在
都市計画事業
として
東西南北
に走る
幹線街路
の
建設
をはじめ、大
規模
な
区画整理事業
を
実施
しており、また、
院庄インターチェンジ
に隣接してすでに
工業団地
の
造成
を終えており、急速に
近代都市
への衣がえが行なわれておりました。このような
状況
を反映して、
県北
の各
市町村
がいずれも
過疎化
に悩んでいる中で、
津山
市だけは微増ながら
人口増加
の傾向にあるとのことでありました。
中国縦貫道
の
開発効果
に寄せる
地元
の
期待
は大きく、
広域市町村圏
の指定を行ない、
道路網
の
整備
を軸に
地域
の
振興
をはかるべく、目下県で
開通
後の
総合開発計画
を作成中であるとのことでありました。 しかし、
内陸工業都市
として必要な
工業用水
や
都市用水
の
確保
の
目途
がついていないことが
問題点
として指摘されなければなりません。これは
吉井川上流
の
奥津地区
に
建設
が
予定
されている
ダム
が
地域住民
の
反対
でここ数年にわたって着工できない
状況
にあるためであります。
津山市長
から本
ダム
の
早期着工
と国の
水行政
の一元化が強く
要請
されました。国土庁の
発足
を機会に強力に
水行政
の
総合調整
が
実施
されるよう
要望
いたします。 現在、
津山
市
周辺
における
民間企業
による大
規模開発計画
は四十三件、四千四百五十九ヘクタールにのぼっており、また
造成
中の
ゴルフ場
が十件以上にのぼっているとのことでありました。県では無秩序な
開発
による
自然破壊
や
生活環境
の悪化を防止するため、昨年、
県土保全条例
を制定し、一ヘクタール以上の大
規模開発
はすべて
知事
の
許可制
とし、極力その
抑制
につとめ、今後
ゴルフ場等
の
造成
は原則として認めない方針であるとのことでありました。
県土保全条例
と
国土利用計画法
との運用上の
調整等
が残されておりますが、適正な
土地利用
の確立が望まれます。 第八は、
建設業
が当面している問題についてであります。 総
需要抑制政策
の影響を受けて深刻な
状態
にある
建設業界
、特に
地方
の
中小建設業
の
実情
について、
兵庫
、
岡山
両県の
建設業協会代表
から陳情を受け、特段の配慮を
要望
されました。 次に、そのおもな
事項
を掲げますと、 一、総
需要抑制策
を一部緩和し、
公共工事
の適正な
発注量
を
確保
するとともに、
国民生活
に直接
関連
する
住宅
、
下水道等
の
事業
を選別して発注すること。 二、
公共工事
に依存する率が高い
地方
の
中小建設業者
は
手持ち工事
が減少し、資金繰りに困窮して、いるので、
政府
において
緊急融資
の
措置
を講ずるとともに、
地方公共団体
の
工事前払い金
の率を国と同率まで引き上げるため必要な
措置
を講ずること。 三、その他、
積算単価
の
改善
、
スライド条項
の
適用基準
の
改善
とその
方式
の
簡易化
、
公共建築工事
における諸
経費率
の
適正化
、必要な
安全経費
の
確保等
について所要の
措置
を講ずること。等でありますが、
政府
において善処されることを期持し、
報告
を終わります。
小野明
3
○
委員長
(
小野明
君) 次に、
北海道班田代富士男
君。
田代富士男
4
○
田代富士男
君 第三班の御
報告
を申し上げます。
大森理事
、
春日委員
及び私
田代
は、去る十月八日から四日間にわたり、
北海道
における
建設事業
の
実情
を
調査
してまいりました。
北海道
の
開発
は、明治二年以来、独自の体制の中で
計画
的に進められてきましたが、特に戦後は
国民経済
の
復興発展
をになう
施策
として位置づけられ、百年の歴史とともに今日に至っているのであります。 戦前の
拓殖計画
は内務省の解体で中断され、戦後は
北海道開発法
により
北海道開発庁
が
発足
、
昭和
、一十七年以降は
北海道総合開発計画
に基づいて、
資源開発
とともに
社会基盤
、
生活基盤
の
整備
が進められてきたのであります。しかし、
高度成長
のもとで策定された
現行
の第三期
北海道総合開発計画
(以下第三期
計画
)は、その後の
社会情勢
の変化の中で、
物価
、
土地
、
環境等
の問題に直面しており、現に
北海道知事
の
諮問機関
である
北海道総合開発委員会
は、第三期
計画
の総点検を中間
報告
しているのであります。
開発
二
世紀目
を迎え、新たな課題に対処しようとしている
北海道
は、まさにわが国の今後の
発展
にとって大きな意義を持つものであります。従来の蓄積を基礎としながらも、
人間優先
を
基本
に据えた
北海道づくり
の新
施策
が着実に推進されることを
期待
するものであります。 かかる
視点
から、
建設事業
の
実情
と
問題点
に触れ、あわせて
地元
の
要望
について述べることといたします。 第一は、大
規模工業基地開発
についてであります。 第三期
計画
の主柱をなす
苫小牧東部工業基地
の
開発
は、
国土利用
の再
編成とわ郷国経済
の伸展に寄与する
国家的プロジェクト
として
昭和
四十六年に
開発基本計画
が策定されたものであります。
開発計画
の
概要
は、
苫小牧
市
東部
の
勇払原野
約一万ヘクタールを
工業基地
として
開発
し、
臨海性
の
工業コンビナート
と
関連
諸
工業
を配置するとともに、
周辺地域
をも含めた
一大工業都市圏
の
建設
をはかろうとするものであります。
施設
の
中心
となる
港湾
は二十五万トン級の船舶の出入りを可能とするほか、港外に超
大型タンカー用
のシーバースを
建設
する
計画
であり、
昭和
六十年代の
最終規模
における
工業生産額
は鉄鋼、
石油化学
、
非鉄金属
、
石油精製
を
中心
に三兆三千億円と推定されているのであります。
工業基地
に
関連
する
施設整備
としては、一つ、将来の
計画区域
の
人口
が約七十五万人と想定されるため、三十万人
規模
の新
都市
を
建設
するほか、数万人
規模
の新
住宅地
三カ所を
開発
すること、二つ、
工業地区
と
住宅地区
及び現在の
苫小牧工業地帯等
との
連絡道路
を配置するとともに、
北海道縦貫自動車道
、
一般国道
との機能的な連結をはかること。三つ、
工業用水
、
上水道用水
の
新規需要
は一日約二百万トンと見込まれるため、
広域的水利用
により沙流川、
石狩川等
の水系から一日二百万トン以上の供給を
確保
すること等であります。
当該地域
は
都市計画
の手続を完了し、
北海道庁
による
用地買収
も七五%と進んでおりますが、具体的な
事業
としては、
昭和
五十三年の
工業生産額
を四千三百億円と想定し、そのための
企業
の
立地動向調査
と
基盤造成調査
を進めている段階であります。
北海道開発庁
と
北海道庁
は、
公害
のない
工業基地
をキャッチフレーズに、
区域
内の三〇%に及ぶ
緑地帯
の
配置等
きびしい
環境目標
を設定し、また初の
環境アセスメント手法
を取り入れてはおりますが、すでに
地元民
の一部には、既設の
工業基地
の
公害実例
に照らし、環境問題への不安、
開発行政
への不信を高めつつあるのが
実情
であります。これからの大
規模開発
は
地元民
の理解と
協力
なしにはその
実現
は不可能であります。今後
開発基本計画
の
具体化
にあたっては
地元
の
開発計画
との
調整
をはかり、
地元民
の意思を十分に取り入れるとともに、
事業実施
に要する
経費
については
地元負担
を極力軽減するよう特別の
措置
を講ずることが必要であります。
苫小牧東部開発株式会社
も設立されており、国、自治体と並行して
民間投資
も進められるわけですが、こうした
視点
から
公共施設
の
先行整備
に万全を期すことが
環境保全
の
要請
にこたえる上で、また真の
地域開発
を進める上で不可欠の前提だと思うのであります。 第二には、
都市関係
についてであります。
北海道
の各
都市
は、
経済
の
発展
に対比して
都市施設整備
が相対的に立ちおくれており、
生活
の
高度化
、
都市化
が一そう進む中でそれらに対する
需要
が増大しているのが
実情
であります。
北方風土
のきびしい
気象条件
にあって、
都市施設
の中で特に特徴的なものは、快適な
生活環境
を
確保
するための
暖房施設
の
集中系統化
であります。
都市
の
過密化
に伴い、各戸の
暖房施設
から排出される
ばい煙等
の
大気汚染
は著しく、
札幌
市の場合を見ても
全市平均
の数倍に達している
状態
であります。いわゆる
地域暖房方式
は、こうした
大気汚染防止
に役立つのみでなく、
生活環境
の
向上
、
熱エネルギー
の
有効利用
にも大きな利点があることは明らかであります。現在
地域暖房
の
整備
は、公社、
民間企業
により、
札幌
市の
既成市街地
の一部、大
規模
住宅団地
等限られた
地域
で
事業
化されているにすぎないのでありますが、今後は
都市計画
に直結した公共的な
施策
として、
事業費
の
大幅融資
はもちろんのこと、
補助事業
としての採択、さらには
直轄
による
事業促進
をはかることが必要だと痛感したのであります。
北海道
の各
都市
に共通する
都市交通
の面での
問題点
は、
市街地
の
中央
を
鉄道路線
が縦貫しており、
平面交差
の
街路
が切断されていることであります。特に
札幌
市では
函館本線
のため
市街地
が
南北
に分断されており、
発寒川
から豊平川間約八キロの
区間
における十八カ所の
踏切
はほとんどあかずのありさまで、
南北市街地
の均衡ある
発展
のため大きな隘路となっているのであります。
建設省
は
発寒川
から西八丁目間四キロについてのみ
立体交差事業
を認可、来年度より
事業実施
を目ざしているとのことでありますが、残された
区間
を含めて早急に
事業促進
をはかることが必要だと思われました。 なお、北見市では三・三キロにわたる延べ十カ所の
平面交差
の解消をはかるため、総額三十七億円をもって
鉄道部分
を単線で地下に埋設する
工事
が
実施
されておりましたが、せっかくの企画でもあり、将来の
輸送需要
に対処するため
複線方式
を採用すべきではなかったかと感じたのであります。その他の各市では
立体交差
の
必要性
は認めながらも
事業費負担等
の問題で行き詰まっているのが
実情
であり、強力な
行政指導
が待たれておりました。
北海道
における
公園緑地
の
整備状況
は、
都市計画区域内人口
一人
当たり
八・四
平方メーター
で、
全国平均
の三倍弱となっており、
整備率
において全国一を記録しているのであります。確かに各
都市
は緑豊かな
都市づくり
を
目標
に制度を乗り越えた独自のアイデアを
具体化
しており、その
熱意
には打たれるものがありました。
旭川
市では駅前の
商店街
から車を遮断し、ベンチ、花壇を置いた
買いもの公園
が誕生、美幌町ではメーンストリートを緑化、遊歩道化して
生活道路
に模様がえ、
帯広
市では
市街地
の
周辺
に五百から千メートルの「
帯広
の森」を配置する等、これらは
人間都市
への実行の試みであり、今後の
都市行政
の方向を示唆するものでありました。こうした
地方
色豊かな
都市づくり
にあたり、
建設省
は
行財政面
で思い切った
指導
が必要だと感じたのであります。 第三は、
住宅関係
についてであります。
北海道
の
住宅事情
は近年の旺盛な
住宅建設
によって
質量とも
に
全国平均
を上回りつつありますが、
生活水準
の
向上
、
開発
の
進展等
に伴って今後とも
住宅需要
は増大するものと見込まれています。数年前に
完成
を見た
札幌
市
郊外
の
真駒内団地
、江別市
郊外
の
大麻団地
は落ち着きのある閑静な
市街地
として定着しており、また
旭川
市
郊外
の
神楽岡ニュータウン
は坪三ないし四万円で
宅地分譲
が行なわれ、一部で
住宅建設
が進められておりました。
北海道
の
住宅建設
はきびしい
気象条件
に対処してさまざまな
問題点
に直面しておりました。
公的住宅
の
建設
はすべて
防寒構造
とすることが法定化されておりますが、最近では
民間住宅
においてもこの
構造
が一般化されているとのことであります。したがって、
物価高騰
は
防寒構造部分
の
工事費
にも大きく影響しており、
本州都府県
に比較して
住宅建設費
が著しく
割り高
となっているのであります。また、
建設工期
は積雪のため四月中旬から十一月中旬とされておりますが、
公営中層住宅
の場合を見ても約七カ月が必要であり、
年度予算
の
決定
後
設計過程
を経て五ないし六月に発注しても
工期
が
降雪期
にかかることとなり、
工事費
が
割り高
なものとならざるを得ないのであります。さらに労務費につきましても、ほとんどの
建設工事
が
工事
適期に集中するため労務者の稼動が偏在化し、労務者の不安定、労務費の増高を助長しているのであります。 こうした事情が
物価高騰
と相まって、特に公営
住宅
の
建設
にあたって標準
建設
費を大幅に上回ることとなり、いわゆる超過負担による自治体財政の圧迫が
北海道
の場合特に顕著となっているのであります。
住宅
供給の
中心
となる公営
住宅
の戸数の
確保
と質の
向上
をはかるため、
北海道
の特殊事情を勘案し、実勢に見合う標準
建設
費を早急に設定することが緊要であると痛感したのであります。 第四は、
道路
関係についてであります。
北海道
の
道路
は、明治以来基幹的な路線から重点的に
建設
が進められ、
地域開発
に大きく貢献してきましたが、いまなお
道路
密度、
整備率
ともに
全国平均
より低位にあり、さらに積雪寒冷の
気象条件
により冬季
交通
はかなりの制約を受けているのが
実情
であります。
国土開発幹線自動車道
につきましては、
昭和
四十六年以降、千歳−
札幌
間、小樽−
札幌
間が供用開始をしたほか、
施行命令区間
は室蘭−千歳間、
札幌
−
旭川
間、
基本計画
区間
は函館−室蘭間、
旭川
−名寄間、千歳−名寄間、清水−釧路間、本別−北見間となっており、幹線
自動車道
の
建設
が道央に集中している傾向にあり、全道の均衡ある
開発
のためその他の
地域
の
早期着工
が必要であります。
国道
、道道の
整備
は、改良六五%、舗装五一%とおおむね順調に進んでおりますが、未開削
区間
の早期
開通
を含めた一次
改築
はもちろんのこと、今後の
交通量
の増大に対処して
バイパス
の新設、車道の拡幅、
立体交差
の設置等二次
改築
を
促進
し、
道路
の質的
向上
をはかることが必要であります。特に
工事
中の
札幌
バイパス
の早期
完成
と
苫小牧
、
旭川
、
帯広
等の
バイパス計画
の
具体化
が望まれておりました。総
延長
五万四千キロにのぼる
市町村
道の
整備
は、改良一七%、舗装四%と著しく低く、全国に比較しても立ちおくれが顕著であり、幹線
中心
の
道路
行政の片りんがうかがわれました。
道路
は、幹線とそれに接続する末端の
道路網
が
整備
されて初めて機能を発揮するものであり、農山漁村の生産物の搬出をはじめ生産機械の移動等のための
生活道路
の
整備
促進
は、
地元民
の最も
要請
するところでありました。広大な
市町村
区域
のため、
市町村
道の
延長
が極端に長く、また除雪等のため
道路
幅員を大きくとらざるを得ず、こうした事情が自治体の単独
事業
としての財源負担を困難にしており、特別な財源
措置
を講ずる必要があると痛感したのであります。なお、これらの
措置
と並行して、幹線的
地方
道の
国道
への昇格、広域営農地帯等における
開発
道路
の指定、
市町村
道における冬季
交通
確保
、
交通
安全
施設
の
整備
促進
等は、
地元民
の
生活
安定と
地域
格差の是正をはかる上から積極的に取り組むべき
事項
であると思われました。 第五は、河川関係についてであります。
北海道
の河川
状況
は一級河川に十三水系、二級河川に百八十水系の指定が行なわれておりますが、二千余にのぼるといわれる河川の大
部分
はいまだに原始河川の
状態
であり、流域における
土地利用
の拡大に伴って、融雪、台風等による洪水の被害が増大する傾向にあります。
地域
社会の
発展
に対応して、こうした災害を未然に防止するとともに、産業の活発化、
都市化
の進展に伴う水
需要
の急増に対処して、安定した水供給をはかることは河川
事業
に課せられた今日的課題であります。 石狩
川上
流の上川町大学平地点に
建設
中の大雪
ダム
は、こうした両面の
要請
にこたえるもので、
昭和
四十三年より着工したわが国最大のロックフィル
ダム
であり、本年度中に概成し湛水を開始するとのことでありました。堤高八十六・五メートル、堤長四百四十メートル、総貯水量六千六百万トンのこの
ダム
は、石狩川の洪水調節をはじめ
旭川
市
周辺
のかんがい用水、
上水道用水
、電源供給等の多目的
効果
を約束するものであり、現在は管理
施設
、補償
道路
等の最後の
工事
が進められておりました。
北海道
の水利用
状況
は現在一日千七百万トンといわれておりますが、第三期
計画
では、
昭和
五十五年にはさらに一日六百万トンの
新規需要
が見込まれており、こうした大
規模
ダム
による水
資源開発
がますます
要請
されているのであります。河川流域の
開発
に伴って、河川の水質汚濁も深刻な
状態
となっておりました。 石狩川の中流空知
地区
は、内陸産業基地を含む
中核
都市
として
発展
が
期待
されているところでありますが、
北海道庁
はこうした事情を踏まえ、初の流域下水道を
計画
、本年度より
事業
を
実施
しておりました。
事業
計画
の
概要
は、処理
区域
八市三町、一万六百七十七ヘクタールに及び、
計画
人口
四十九万人、
計画
処理水量一日四十万トン、総
事業費
四百十六億円でありますが、ばく大な
事業
に直面している自治体の財政圧迫はきわめて深刻なものがあり、
事業
の円滑な
実施
をはかる上からも
補助率
の引き上げ、補助対象範囲の拡大、さらには
直轄
施行の制度を確立する必要があると痛感されました。 なお、阿寒湖の水質汚染防止対策につきましては、本年度
建設省
により
事業
調査
が行なわれましたが、当該地点が
都市計画
区域
外の
人口
二千人、戸数七百戸の小温泉郷であること、また国立公園内であることなどにより、
都市計画
としての下水道
事業
の
決定
が困難とされているのであります。しかし、観光客は
増加
の一途をたどりつつあり、このまま放置するならば天然記念物マリモに与える影響はもとより、阿寒の持つ自然美をも失うものと懸念されるのであります。
建設省
はいわゆる予算
措置
としての特定
環境保全
公共下水道
事業
を来
年度予算
で要求中でありますが、どんな手法をとるにせよ、早急に防止
事業
に着手することが必要であります。 第六は、
需要
抑制
下における
地元
建設業
の現状と対策についてであります。
北海道
の
建設業
は公共
事業
に依存する度合いが高いといわれておりますが、
需要抑制策
で公共投資が押えられたことにより、上昇傾向をたどってきた
建設
需要
は大きく停滞し、経営は困難をきわめているのが
実情
であります。本年八月末までの
建設業
の倒産は、
企業
数で二百十六件、負債額で百七十七億円にのぼっており、全産業に対する割合も三五%と顕著でありますが、積雪寒冷期に向けて倒産件数、負債額ともさらに
増加
することが予想されているのであります。 すでに
北海道庁
は、
建設業
のこうした窮状を打開するため、適期発注と受注機会の
確保
、積算の
適正化
とスライドの
実施
、融資制度の拡大強化、
公共工事
前払い制度の採用拡大等について対策を講じているとのことですが、
建設省
においてもこれらの諸点について財政
措置
を含めての十分な配慮、
指導
を早急に
実施
する必要があると痛感したのであります。 以上が
調査
の
事項
の
概要
でありますが、最後に、
北海道
開発
の方向について触れておきたいと思います。 冒頭に述べました第三期
計画
の総点検中間
報告
では、
北海道
開発
について「環境が保全される範囲内での
開発
」という原則が提言されておりますが、これは環境破壊の
開発
を拒否することと同義であり、
開発行政
を進める上での
基本
姿勢だと思うのであります。従来の
開発計画
は
経済
優先のワク内で組み立てられており、
開発
の名のもとに
自然破壊
、環境破壊が繰り返されてきましたが、今後は環境の保全それ自体を大きく位置づけるよう発想の転換を促すものだと思うのであります。中間
報告
を受けた
北海道庁
は、新規
開発計画
の策定に踏み切る意向だと伝えられておりますが、現時点における
北海道
開発
の意義と国民的
要請
を十分にきわめ、豊かな
北海道づくり
の
基本
路線が策定されることを祈る次第であります。 以上で
報告
を終わります。
小野明
5
○
委員長
(
小野明
君) 以上で
派遣委員
の
報告
は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時一分散会