運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-09-09 第73回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月九日(月曜日)    午前十時十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小野  明君     理 事                 古賀雷四郎君                 松本 英一君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 坂野 重信君                 望月 邦夫君                 秋山 長造君                 沢田 政治君                 前川  旦君                 田代富士男君                 上田耕一郎君                 春日 正一君                 三治 重信君    国務大臣        建設大臣     亀岡 高夫君        国務大臣        (国土庁長官)  西村 英一君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        環境庁水質保全        局長       大場 敏彦君        国土政務次官   山内 一郎君        国土庁長官官房        審議官      横手  正君        国土庁土地局長  河野 正三君        通商産業大臣官        房審議官     大薗 英夫君        通商産業省立地        公害局工業用水        課長       柴田 益男君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治省財政局地        方債課長     小林 悦夫君    参考人        日本道路公団理        事        三野  定君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (多摩川の堤防決壊問題に関する件)  (東北縦貫自動車道路線変更問題及び国道七号  昭和バイパス用地買収問題に関する件)  (地盤沈下に関する件)  (がけくずれ対策に関する件)  (国土利用計画に関する件)  (住宅対策に関する件)  (ゼロメートル地帯対策に関する件)  (市街地の排水対策に関する件)     —————————————
  2. 小野明

    委員長小野明君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  この際、西村国土庁長官及び山内国土政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。西村国土庁長官
  3. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 一言ごあいさつを申し上げます。  去る六月二十六日、国土庁発足に伴い国土庁長官を拝命いたしました西村英一でございます。  土地問題をはじめ水問題、過密過疎問題、災害対策など国土行政の当面いたします課題はきわめて重大なものばかりであります。私は、さきの国会で成立いたしました国土利用計画法を立法の趣旨に沿って適確に施行するほか、真の国民福祉の向上を目ざした国土行政の推進に微力を尽くしてまいりたいと存じます。委員各位の御指導、御協力を切にお願い申し上げまして私のあいさつにいたします。よろしくお願い申し上げます。
  4. 小野明

  5. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 先ほど発足をいたしました国土庁政務次官を拝命いたしました山内一郎でございます。  はなはだ微力でございますので委員各位の御指導、御鞭撻をいただきまして、大臣を補佐し、私の責務を全うしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。     —————————————
  6. 小野明

    委員長小野明君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、日本道路公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小野明

    委員長小野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  8. 小野明

    委員長小野明君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 沢田政治

    沢田政治君 きょう私はすでに役所のほうにもこういうことを質問をすると、こういうことを通告しておるわけですが、その前に、多摩川ですね、たいへんなことになりました。おそらく全国民テレビ等を通じまして建設行政の非力さといいますか、手抜かりというものをあ然として私は見ておったと思うわけであります。もちろん建設省に言わせますと、六十数年に一回の降雨量であったからやむを得ないなんて、こう弁解もあるでしょうが、少なくとも政治行政というものは、ことし、来年を目がけて政治行政を行なっているのじゃないと思うんです。やはり相当長期に立った国民の生命や財産を守る、これこそが政治の存在だと私は思うんであります。それから見まするならば非常に行政としてもこれは遺憾だと思うんであります。私は他の同僚議員からもこの件について質問があると思いますので、よって来たる原因は後ほどの委員会に譲りたいと思いますが、だれがどう考えても人災なんです、これは。多摩川はもう日本一級河川であって、あそここそは模範だ、あそこは決壊しっこない、こういうような自然に対する甘い見方行政の観察、こういう見方があの人災をもたらしたものだと私は思うんであります。  したがって、どうしてああなったのか。あれを人災と心得るのか。俗にいう天災天災ということになるとある程度これは整理をしきれません。いかに宇宙科学が発達したといえども、地球周辺に起こる台風や地震や洪水はある程度防御できたとしても、一〇〇%これを整理をするということは、これは不可能なことは私は考えなければならぬと思います。しかし、多摩川の件に関してはですね、これは制御できたと思うのです。出水時でもある。そうして何百ミリ降ったならばああなるということは力学的にこれはもう判斯できると思うのであります。それを、よもや雨が降るまい、五百ミリ、六百ミリという雨は降るまいというのは、やはり自然を甘く見くびってるんだから、これはやっぱり行政の失陥だと思うのであります。そういう意味から立つならば、私は人災だとこう言わざるを得ないと思います。これは人災天災か、もうテレビでみんな見ておるわけでありますから、これはもう国民ひとしくそう感じておると思うのであります。あれはもう天然災害であってやむを得ないということになると、建設行政は何のために存在するかと、こういう反問を国民から受けることは私は必至だと思うのであります。大臣、これを一体どう考えますか。もう一回河川行政というものの原点に立って、この大雨をはたして反省してみる気があるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  10. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 多摩川災害につきまして、実は相当雨が降るであろうということは、私たまたま九月一日の日、江東地区、あちらのほうの防災関係心配もあり、確認したいこともありましたので実は江東地区のほうを視察をいたしておりました。ところが、非常に雨が多いということで、小河内の貯水状態はどうだということで、朝出るときに事務当局調査を命じて出かけたわけであります。昼ごろ本省に帰りまして、もうすごい雨、降雨であると。これは多摩川が相当危険状態に入るのではないかということで、直ちに多摩川に対するいろいろな対策指示をいたしたわけであります。  それで、一日の深更、夜の十二時過ぎ、危険水域を突破するという情報が入りまして、私自身も非常に心配をいたしたわけであります。そこで、朝方になりまして減水をいたして、一応溢水の危険を脱したと、こういう報告を受けたわけであります。実はほっといたしまして、しかし、油断がならぬぞということでいろいろ対策を講じておったわけでありますが、二日の午前中になりましてから、実はテレビでごらんのような状態に相なったわけでございまして、私自身まあじだんだを踏んで、督励をいたしましたけれども、現在の技術をもってしてもあのような結果に終わりましたことは、まことに相すまないという気持ちで一ぱいでございます。  原因につきましては、ただいま関東地建のほうに委員会を設置をいたしまして、専門家方々に参加していただいて、そこで原因を究明をいたしまして、二度と再びああいう事情の起こらないように、また特にあそこに農業用取水せきというものがあったという現実にかんがみまして、いろいろ事情がございますようで、今後の検討にまたなければ、どの時点においてどういう欠陥があって、どのようにしてあのような状態になったかということが、まだはっきり私どもにはつかめておりません。したがいまして、あのようなほんとうに目の前で自分の家を奪われ土地を削られていく住民方々気持ちを察しますと、心からお見舞いを申し上げたいということでございまして、もうあの時点において実は事務当局に対しまして、全国にあのような農業取水ぜき、それから頭首工といったような施設がたくさんあるわけであります。そういう点について多摩川の経験にかんがみまして、再び同じようなことの起こらぬようにと総点検をするように実は指示もいたした次第でございます。ほんとう人災と、こう言われても私自身としてはそれに抗弁をする気にもなれないような気持ちで実は今後に対処していきたい、こう思っておる次第でございます。
  11. 沢田政治

    沢田政治君 大都市の密集した河川において、原始的な取水ぜきというようなああいう流れを変えるような障害物を置いていいかどうかというのは河川上の学問的にもやはり究明しなくちゃならぬことだと思います。これはなぜ用水池といいますか、ポンプアップをするような川の流れにさからわないような設備をしなかったのかという数々の問題は私も提起したいと思います。まあその時間がありません。  そこで、端的に聞きたいのは、行政がどの付近まで国民責任を負うべきかどうかということであります。あの災害人災天災かと、こういうととじゃなく、つまり天然に対してその責を全部負わして行政は知らぬということでおるのか、行政としても責任を負わなければならぬと考えておるのかどうか。回りくどい言い方をしません。雨が悪いのか行政手抜かりがあったのか、そういう責任を痛感しておるのかどうか、その点をまずお聞きをしたいと思うんです。
  12. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 行政責任についてはいままでの災害ごと国会においてもいろいろと論議のあったところでございます。私といたしましては、行政上の責任をどこまで負わなければならないのかというようなことにつきましては、実は現在行政訴訟等にもなっておる問題があるわけでございます。それらの判例等参考にいたしましてやっぱり十分検討さるべきものと、こう考えておる次第でございます。
  13. 沢田政治

    沢田政治君 ほんとうに庶民が血のにじむような思いで宿願のマイホームをつくったと思うんです。金があり余って流された家じゃないと思います、あの家屋構造から見ましてもね。しかも目の前で流されるわけですから、まさに私は同情を禁じ得ないと思うんであります。それをやむを得なかったということで行政がこれを切り抜けようとしても、国民感情が私は許さぬと思うんであります。でありますから、もう変な表現は使いませんが、やはり大臣としても前向きに行政責任を感じて、ああいう被災された方々に対してこたえてやろうと、こういう気持ちを持つべきだと思うんです。これは単に国庫から幾ら支出したじゃなく、行政がみずから責任を感ずるとああいうやっぱり再び失態を繰り返さなくなると思うんであります。金で解決したらいいだろうというわけにいきません。国民のやはり批判というものも強くなるし、また建設行政としても大蔵省にそういうことを起こさぬように予算要求もできる行政を進める一つのてこにもなると思うんであります。でありますから、当然国民の一致した見解として、あれは人災と見ておると思うんであります、これは。ああいう原始的な取水ぜきを置いてああいう結果になるということはもうわかるはずであります。でありますから、大臣、やはりどういう形で行政責任を負うか別としても、行政責任というものをどこに線を引くかは別としても、あのケースに限っては、感ずるなら感ずる、感じないなら感じない、こういうことを明確にしなければ国民としてもやはり疑問と不安がとれないと思うんですが、いかがですか。
  14. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 災害は本年も各地に非常に大きな災害がございまして、それぞれ災害によって営々として築いた財産を流され、またこれを浸水されて使いものにならなくなったという例は非常に多いわけでございます。そういう方々に対する行政上の責任というものは、これは私としては全国的な立場でやっぱり考えていく必要があるわけでございます。心情といたしましてはほんとう沢田委員の仰せのとおりの心情に実は私あの日以来痛切に感じておるわけでございますけれども、しからばその心情行政路線でどの程度まで具体化していくかということが、行政担当の私としてはやっぱり考えざるを得ないわけであります。したがって、そうなりますと、あそこのケースだけ特別にという考え方はなかなか生まれてこないわけでございまして、やはりこの災害に対する行政上の責任というものをどの程度まで政府が負うべきであるかということは今後の問題として十二分に検討していきたい、こう考えておる次第でございます。
  15. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、いろいろ行政上の失態から賠償責任を要求されて裁判になったケースもありますですね。道路が穴ぼこでバイクで行ったところが転倒して死んじゃった。それで裁判の結果行政側が負けたとか勝ったとかこれはあります。これは私もいろいろなケースを知っています。しかし、やっぱり行政上の責任というものは行政がこれは客観的に努力したならば防げたんです。防げる、物理的にですね。そういうものでそれを怠った場合、これは行政責任なんですよ。だから私は裁判とかそういうケースを言っているのじゃありません。建設省じゃ流失したあの敷地ですね、あれは原状に回復すると言っていますね。もとどおりやるわけですか。
  16. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) その点につきましては、あそこの地形の特質にかんがみまして、そこまでやりませんと堤防も何もできませんので、私としてはあの地点もとのように返すように指示をいたしてございます。
  17. 沢田政治

    沢田政治君 流失した土地というのは、これは私物になるわけですが、回復したら当然もとの持ち主のものになるわけですね。
  18. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) さようでございます。
  19. 沢田政治

    沢田政治君 だから、河川改修上あそこを埋め立てなければならぬ。敷地のほうはこれは問題なくなると思います。しかし、借地権の場合は家が建っているときはある程度の権限も強く主張できますが、おそらく借地しておる人もあると思いますですね、そうなって家はない。新しく土地をつくったということになると賃貸借上の貸借権がまだ存続しているかどうか、期限が切れた人もあるかもわかりません、これはないかもわかりません、そういう場合にはもと居住して居住権を持っておった方にこれをやはり従来どおり使用さぜる、こういうことぐらいの行政的な配慮をやっぱり建設省としても仲介の労をとるべきだと思いますね、これはこまかいことですが。もう一つは、やはりもう自分の力では二十年も三十年もかかってやっとマイホームをつくったんだから、とても能力はありませんよ。だから、国として全部補償するのか、補償しなければ国としてのあらゆる手段を使ってもう一回何といいますか、家をつくらせるような援助をするならする、こう当然その責任があると思いますですね。行政責任はどの付近まであるかという議論に入りますと長くなりますが、心情的ということばですが、心情的でもけっこうですから、ただ心情的ということじゃなく、いま考えられるあらゆる手段を使ってもとの姿にするために努力をするならするということをここで確約願わなければ、何のために質問しているのかこれはわからなくなりますから、その付近のことを亀岡大臣ひとつお述べ願いたいと思うです。
  20. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 実は行政責任として行政上の瑕疵のあった場合には、国家賠償法によって当然これは賠償責任が出てきていることはもう御指摘のとおりでございます。したがいまして、その原因がどこにあるかということ実はきびしくこれから調査をさして、そうしてそれによって行政上の責任をどうすべきかということを私が判断する時期がもう一回あると、こう私自身は考えておるわけであります。と同時に、ただいま御指摘になりましたような線につきましては、もちろん住宅を流された方々に対しては、災害関係の法律によりましてもやっぱり住宅を優先的に与えるということが指示されてあるわけでございますので、政府といたしましても地方自治体とも十分連絡の上、住宅金融公庫等融資措置等によってもとのように住宅を持ち得るように、まあ都のほうでも特別の金融措置等も考えておられるようでございまするし、また狛江市のほうでも市長が特別の措置を考えると、こう言っております。国においてもそういう点公庫等金利等に関しまして十分災害用の資金が回るように指導をしてまいりたいと、こう考えておるわけであります。
  21. 沢田政治

    沢田政治君 行政責任の分野はこれは後ほどじっくりやってまいりたいと思いますが、とりあえず困っているのは流失した人ですから、やはり建設省も都も狛江市もやはり被災者立場に立って、しかるべき居住が再び安定するように努力願いたいと思います。  そこで、かねて通告しておった高速道路路線変更について質問いたすわけですが、普通の場合は、高速道路をつくる場合には、建設省道路公団が頭の中で考えて、全然あとの考慮を無視してぼさっと発表して、これでいくぞ、道路のお通りだ、あとはどけどけということをやっておらぬと思いますね。やはり県なり市なり関係町に事前連絡をとって、ある程度——これは地権者ですね、地権者反対なんかあるかもわかりませんね。また、いろいろな反対同盟とか賛成同盟ができるかもわかりませんが、少なくとも自治体段階了解を得て路線を発表するというのがいままでのケースであったと思います。それ以外のケースはなかったと思います。  ところが、東北縦貫道の鹿角市を通過する地点においては、県までは了解をある程度得たんじゃないかと私は推察しています、これは。しかしながら、関係市さらには関係町の事前了解接触を得なかったことはこれは事実であります。幾ら弁明しようが私はもうはっきりこれは究明してきましたから、これはやっぱり特異なケースだと思います。でありますから、こういう方法は、再びこういう間違いはおかすべきじゃない、こういう前提をまず確認してもらわなければ私は中身に入られないと思うんです、これは。これはやっぱり道路局長井上さん、あなたも東北地建におりましたからよく経緯をわかっておると思いますが、いまをして考えると、もう一歩詰めが足りなかったなという反省もしておると思いますが、やっぱりこういうことはまずかったと思っておるのかどうか。これは大所高所じゃなく一つケースですから、全国的にこういうことをやるとこれは大臣に聞かなくちゃなりませんが、当時現場におった井上さんも、やっぱりこれはまずかったなという感じでおられると思いますから、その付近の心境をまずお聞きしたいと思うんです。
  22. 井上孝

    説明員井上孝君) お答えいたします。  この件は、調べますと、先生おっしゃいますように県には事前連絡はしておったようでございます。町当局には実は路線発表の四日ほど前に通告をした。それで発表したということでございまして、先生御指摘のとおり町当局に対しては事前連絡が十分ではなかったというふうに私は心得ております。
  23. 沢田政治

    沢田政治君 大体こうなるだろうということを発表したようです。これでいくということを発表しておりません。しかもこれは了解をとっておらぬことも事実であります。これのよしあしは私はここで論じません。そういうように考えているなら、よしあしは別としても、事実認識としては同じでありますから、その面については私究明いたしません。  そこで、いざ路線を発表した、こういうことになって、今度は関係町から町民をあげてのやっぱり反対運動が出てきたわけです。このことは何も高速道路そのものの持つ価値観ですね、こういうものだけではないんです、これはね。ともかくいま発表した路線というのは工事の安上がり安全性、これのみに重点を置いて、そうして住民環境変化というものの価値はウエートを置かなかった、こういうことから反対になっているわけです。最初中央高速道路をつくった場合は、ある程度耕地をつぶさないように、峨々たる峻険までいかぬけども、山を縫って高速道路をおっかなびっくりつくったわけですよ、遠慮しいしい。その後あすこは一車線であったし、分離帯もなかった関係上、相当雨になると土砂くずれとかはでな事故も出てきたと、こういうことからだと思いますが、あれを契機にして、何といいますか村落とか平たん地を通るようになってきたわけですね。意識的にそうなったかどうかは私はわかりませんが、大体傾向としては安全第一主義、しかもその安全第一主義というのは、高速道路に対するこれに絶対的な価値を持った安全と工法の安全、安上がり、こういうものをねらってきたと思うんです。  しかしながら、その後においては、きびしくこの高速道路、新幹線を含めて、人々生活環境を悪化さ迂る、自然を破壊する、農耕地を何といいますかつぶす、こういうことから別の価値観がこれは国民的に出ているわけですね。そういうさなかに今度はもう町を東西に分断する、東西幾らもないんですよ、小坂町というのは。四百メートルか幾らかしかないところを中を通るものだから、まさに高速道路の町になっちゃうわけですね。これは土地が絶対なければいいですよ、これは土地のことはあとで言います。当然この経緯からいっても、手続からいっても、立地条件からいっても、やっぱり反対が出てくるのはこれは当然です。今度は県のほうでも驚いちゃったわけですね。これはしまったというわけで、県議会で満場一致路線変更の決議をした、町村会でもこれはした。そうして国会においても満場一致路線変更の請願が採択になった。こういう経緯で今日に至っておるわけであります。  そこで私は先般の金丸大臣大臣に就任されたころ当委員会質問したわけです。どう考えてもあの狭少な谷合い耕地の一〇%も、一町村耕地を一〇%つぶすわけであります。これは道路地敷地だけで一〇%でありますよ。これはもう日陰になるとかどらかというのをやったら約三〇%の耕地が一町村でつぶれるわけであります。でありますから、土地を買ったからいいだろうということではいかぬわけであります。そらしてそこにおる人々生活をこれはもう根本から基礎を変えるわけでありますから、生活をどうするかというこれは生活権の問題にかかってくる問題なわけであります。代替地は全然ありません。でありますから問題にしておるわけであります。  そこで、ボーリングを七地点やっていますね。これはもう局長も見ているはずです。白岩山のてっぺんに上がって一望千里見えますから、皆さんがボーリングした地点を私も見てきました。よくボーリングをしました。いい地点を選んだと思うんであります。どだいあすこは土砂くずれというのは百メートル間隔ぐらいのところなんですよ。あれも表層だけですよ、鉱山地帯ですからね、岩石を下から掘ってくる有数な鉱山地帯ですからこれは地質的には全然問題はないんですよ。あなたも地質のことを知っていると思いますが、私ももう二十年も三十年も石にばっかり取り組んできたから、地質のことはあなたよりは私のほうが地質のほうは知っていると思うんです。でありますから、技術的にどうとかこうとか言うけれども、技術的に問題ないですよ。少し金がかかるかもわかりません。トンネル等を掘らなきゃならぬから、しかもそれが五百メートル、六百メートルの高い山じゃないんですよ。ほんとうの台地ですよ。五十メートルから百メートルの台地なんですよ。しかも土地も取得しやすいんですよね、財産区の土地が国有林の土地ですから。平たん地のほうはたんぼですから私有地ですよ。でありますから、やはり道路に対する価値観よりも生活を守る価値観、自然環境を守る価値観、このほうが今日的には国民のコンセンサスですよ。いままでは道路といったら、もう参勤交代のように民草どもひれ伏せいというんだったけれども、そんなことは通用しませんね。そうでありますから、一体どう考えていますか、まだ結論出ないんですか。
  24. 井上孝

    説明員井上孝君) 先生御指摘のように、秋田県の議会でも四十八年の三月に、住民の不安を解消した上で実施するようにという意見書が出ております。それから昨年の五月には当委員会でも請願を採択されております。その後、建設を担当いたしております日本道路公団におきまして、地形、地質、あるいは雪の多いところでございますので雪氷の障害、数本にわたります比較線の調査、それから高速道路がこの小坂町地域に及ぼす社会経済上の影響、こういったものを中心に調査を現在までに実施いたしまして、ただいまそれの取りまとめを実施いたしております。公団のほうに伺いますと、あと一月ぐらいでこの調査結果がまとまるようでございます。そのまとまった結果、数本の比較線のメリット、デメリットもあると思います。その辺を中心にしまして、先ほど御指摘のように県及び小坂町当局と御相談をしてその上で結論を出したい、こういう段取りになっております。
  25. 沢田政治

    沢田政治君 道路公団、だれ来ている——三野さん、小坂町で戦後都市計画についてどういう方法をとってきたか、あなた公団の理事ですから、現地の事情なり、行政の、今日までどういう方法をとってきたのか、都市計画について、ある程度知っておらなければこれは公団の理事と言えないと思うんですね。ただ、安全にして安上がり道路をつくりゃあということも、これは任務でしょうが、それだけではいかなくなったわけですね。小坂町は大体住宅等に対してどういう配慮をとってきたか、農業との関係でどういう配慮をとってきたか、それくらいのことはあなたもこれは知っていると思いますから、どうですか、どうお感じになりますか。
  26. 三野定

    参考人(三野定君) 小坂町は鉱山の町でございますし、これまでいま先生が御指摘されましたような点につきましては非常な配慮がされてきたように承知いたしております。
  27. 沢田政治

    沢田政治君 よくわからないでやっているんですよ。皆さんに資料を——私これ調べて、私がつくってきた資料ですが、お渡ししてくださいましたか。小坂町の全町に三千二百世帯おるわけですね。それで戦後これは家をつくったわけです。これは核家族でありますから、これは家もつくったし、あそこは鉱山でありますから、同和鉱業でありますから社宅もつくりました。ところが、終戦後、特に昭和三十年以降、朝日が丘というところに二百三十八戸、北あけぼの台、ここに百四十九戸、南あけぼの台百三十戸、ひまわりに二十戸つつじ平八十五戸、やはり六百数十戸の家をたんぼをつぶさずに山に建てたわけです。いかに農耕地を大事にしておるかという証左なわけであります。当時たんぼは十万ぐらいで三百坪買えたんですよ。これは同和鉱業の力でいうならば、たんぼをつぶしたほうが楽なんですよ、あとで公害とか何か言われないわけですからね。それでも歴史的なことを考えて山の上につくったわけです。あそこは足尾銅山と同じように官憲と民衆が衝突したこれは公害地帯の大原点の地ですよね。いかに農民が土地に対する執着力があるか、これに生活を依存しているかという歴史的な一つ経緯があるわけですね。  そういうことだから、同和鉱業、利潤を追求する会社でありますから、たんぼをつぶしちゃって家をつくって、公害を騒がれないほうがいいんですよね。あそこはカドミなんていま問題になっていますね。これほど農耕地に対して、汚染された土地でも農地を大事にしてきたところなんですよ。それを無神経にもあそこを、町を東西に分断するようなああいうつくり方というのは、これは町のみならず、関係者でなくても憤激すると思うんです。技術的にいって公団どうですか、検討していて——ぼくに言ったのは大体夏ごろまでにまとめるということでありました。そうして金丸大臣はああいう狭小の地帯に道路を通すのはいかがかと思うと、これは変更するために前向きに検討しますと、こういうことで今年の夏ごろまでに大体結論を出すということだが、もう一回いま出ているわけですが、中間報告でもいいから、絶対不可能という結論がいま出ていますか。
  28. 三野定

    参考人(三野定君) お尋ねがございましたのでその後の調査状況をちょっと御報告申し上げたいと思います。  御指摘の区間の調査につきましては、地元要望の方向に沿いまして、小坂町の西側の山地に区域を拡大をいたしまして調査をいたしたわけでございまして、これらにつきましては先生も御承知であろうかと存じております。冬季間の雪氷調査、これは特別班を編成しまして、雪の中に達者な者で特別な班を編成しまして詳しい調査もいたしましたし、また雪解けを待ちまして現地において現地踏査及びボーリングを行ない、また航空写真の撮影も行なったわけでございまして、まず技術的な資料の調査はほぼ終了したかと考えております。これらの調査資料によりましてその後九本の比較線を選定をいたします。すでに発表をいたしました路線を含めまして合計十本になるわけでございます。これらにつきまして技術的な評価を行なっておるわけでございまして、その最終段階に来ておりますが、先ほど道路局長からも申し上げましたとおり、遠からずこれまでの検討結果についての中間的な御報告ができるというふうに考えております。本日まだその内容を詳しく申し上げる時期でもないし、またそういう状態でもございませんが、近く考えております中間報告においては、大体まとめ方といたしましては、各路線の技術的な評価はもちろんでございますけれども、これらの中でこれは高速道路としてはもうだめだというようなものもあると思いますし、まあその辺を大まかな優劣のグループ分けをいたしまして発表するというふうなことでいかがかというふうに考えております。  なお、最終的な判断というのは、繰り返し先生からも御指摘がございましたように、社会的なあるいは経済的なそういう面の影響の調査とあわせまして総合的にやらなければできないものであると思います。これらにつきましては統計その他ある程度調査は行なっておりますけれども、公団独自でやりました調査だけでは私は十分でないというふうに考えます。これらの面につきましては町御当局並びに県御当局などと御相談をしながら調査を詰めていくと、こういうことで適当であるというふうに考えております。まあ近く考えております前述の中間報告を行ないましたあとは、県あるいは町御当局と一緒になってその辺を詰めていくというようなことで先生にもぜひひとつお力添えをいただきたい、こういうふうに存じております。
  29. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、わからない人が聞くと、技術的というと重大な険路があるやにこの場ではこう印象を受けると思うんですね。まあ言ってみると、ここに高速道路の変更ができるできないということを議論することはナンセンスだと、普通の常識ある人ならね、そうとるような平易な土地なんですよね。あそこで技術的云々するのだったら好摩から八幡平のバイパスまで来るところは高速道路不可能ですよ。まさに峨峨たる峻険、ここはもう地すべり地帯も何でもたくさんありますよね。しかも有数な積雪地帯である。もう技術的に問題があるなら向こうのほうにあるんですよね。あそこでもう技術的な解明できなかったら高速道路は全然東北にはつくるべきじゃないですよ、あんなもの。これはもう何といいますか技術的な問題じゃないんですよ。一たん発表した路線を変更すると次で問題が出てくるという行政のやりやすさを考えてるんですよ、皆さんは。現地の方々に対しても一たん発表した路線は変更した例がございませんからむずかしいということを言っているわけだ。まさにお役所根性ですよ。道路さまのお通り、民草どもは下へ下へと平伏しろと、こういう姿勢なんですよ。技術的な問題等もこれは若干あるかもわかりませんけれども、絶対的な技術的な見解じゃないんですよ。  そこで、私は角度を変えて大臣にお伺いします。一たん発表したコースを変えたことはないと、それも一つの記録だと思って記録を保持しようとしてるんだけれども、町村会反対をし——民間の期成同盟とか何かじゃないですよ、町村会反対し、県議会で満場一致反対し、満場一致国会——国権の最高機関でこれを採択したものをそれを踏み切る新記録をつくりたいんですか、大臣、どうですか。むちゃですよ、これは。
  30. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) そうでありますから、沢田委員から昨年金丸前大臣のときに御指摘がありまして以来、道路公団はただいままで御説明申し上げてきましたような体制をとりつつ、当然民意を尊重するということはこれはもう行政官として当然なことでありまして、行政を進めるのも、国民一人一人の福祉向上というためにそういうものを犠牲にして高速道路をつくるというような考えは私どもは全然持っておらぬわけでございます。私も経験いたしておりますけれども、ほんとうに私の選挙区でも、道路も新幹線も東北本線もどうしても地形上同じようなところを通らなければならないという地点を私も経験いたしております。そういうところではもうネコの額ほどの土地といえども、やっぱり農民はこれを生産に親代々やってきたところはなかなか提供しにくいという気持ちもわかっております。そういうことを十分理解した上でございますので、一ぺん道路公団が発表した路線はもう絶対これは動かせないというようなことは私はとるべきではないと。やはり今後は公害防止、民意尊重ということがこれはもう政治の基盤でなければならぬわけでありますから、その点はそのように私も就任以来、烏山の線の問題にいたしましても、あるいは近畿方面でいろいろ住民運動が起こっております問題に対しては、やはりそういう気持ち責任者が現場に出向いて、そうして現場の意見というものを十分やっぱり尊重するという立場をとらない限り今後公共事業の推進というものは非常に困難になってくると、こういう立場を実はとって指導いたしておるわけでございますので、その点は十分御理解いただけるものと確信をする次第でございます。
  31. 沢田政治

    沢田政治君 この問題は民意——民意というのは地方自治体、地域住民を含めてのことだと思いますが、これは行政府と立法府の問題にもなると思いますよ。ここで請願を採択する際には、これは全部各党も紹介議員があって、これは共産党さんもありましたし、社会党さんもありましたし、自民党さんも紹介議員になっているわけだ。ここで決定したわけだ。これは国権の最高機関で決定したわけだ。それを行政ペースの記録を破られたくないということでやったならば、ぼくはやっぱり請願というものは何であるのか、憲法にいわれるね。ここにまたさかのぼらなくちゃならぬ私は問題だと思います。あまり議論したくないと思いますが、簡単な問題じゃないというととだけは頭に入れておいてもらいたいと思います。でありますから、いままでは行政の都合からいって、あんまり変更すると、またあっちでも変更、こっちでも変更という、これはもうともかく行政しにくいと、こういうことでそういう意地を通してきたと思いますが、しかし、いまは国民価値観というものが変わってきているのだから、生活環境を守るということ、自然を守るということ、これを第一義に置いているということをまず私は頭に入れなくちゃならぬと思います。  そういう時期に、やっぱり亀岡大臣が言ったように、民意を踏みにじるような道路行政とかそういうものは私のとらないところだと、これは当然だと思います。そういう意味で民意を聞き入れたところの道路行政をやるということは国民から大きな評価を受けると同時に新しい記録になっていくと思います。これはね、協力を得られるね。まあそういうことだから、大臣これはあなたのあとにだれが大臣やるかわかりませんが、しかし、大臣がかわったからって、またその人の性格で変わったということはないと思います、これは責任内閣ですからね。その点は私はそのとおりぜひともやっていただきたいし、大臣の私に対する約束だと私は受け取っておきます。  それで、比較路線のほうですが、比較路線十本ですか、これはやはりいま言われた民意を尊重してやる限りにおいては地元の町長も協力すると言っておるわけだ。変更したからまたこれはごねってやろうなんて、そういう気持ちはもう前提にないものだから、この場合はね。財産区とか、公有、国有林で財産区の場合でも、変更してもらう以上はわれわれも責任を感じますと、こういうことですから非常に協力を得られるのじゃないかと、こう思っています。そういうことで、もう一月ですか、やはり私の受けた印象としては、大体民意に沿うようにやると、民意に沿わないようなことはやらぬと大臣が言っているのだから、大体そこにはおのずから何というか、検討すべき問題が若干あったとしても、それはやっぱり克服できるというような感じを持たざるを得ないわけであります。でありますから、これはなるべく早くこの結論を出すように望みたいと思いますが、いかがですか。
  32. 三野定

    参考人(三野定君) できるだけ私どもも努力をいたしまして、早くまあ中間報告も申し上げるし、その後の作業につきましても地元御当局とよく相談をいたしまして円満な解決に一日も早く達するよう努力したいと思います。よろしくお願いいたします。
  33. 沢田政治

    沢田政治君 もう一つは、この路線変更関係ありませんが、積雪寒冷地帯の高速道路をどう運用するかということです。いまの高速道路のようにああいう無制限なスピードでやったならばたいへんな惨事が出てきますよ、これは。まあ三野さんは東北地建におられましたから積雪寒冷地帯の道路は何ものであるか知っていると思いますね。ちょっと追い越し失敗してブレーキをかけたら車は十回転ぐらいしますよね、そうですから、あれは。それはまあチェーンとかスパイクタイヤとかスノータイヤとかこれはあります。ありますが、全部雪を防雪するということはこれは不可能です。でありますから、冬季間も高速道路として供用するのかどうかですね。いまのような追い越しをオープンにするのかどうか。スピードを制限しないのかどうか。スピードを制限したならばこれは高速の用を足しません。高速であるがゆえにこれは何というか料金を取るでしょう。冬季間はこの料金はどうなるのか、こういう点についてお考えになっておられますか。もうそろそろああいうところに道路をつくるということで施工している段階ですから、すでに考えておかなくちゃならぬと思いますが、いかがですか。
  34. 井上孝

    説明員井上孝君) 東北縦貫自動車道は現在百八十四キロメートル供用されておりますが、これからは御指摘のとおり雪の深いところへどんどん延伸されまして、冬季間の道路管理体制が非常に重要な問題になってまいっております。利用者の立場からいたしますと、冬季間におきましても通常の場合と同様な走行状態が完全に確保されるということが非常に望ましいであろうと思いますけれども、御指摘のように雪は完全に常時除くというのはきわめて至難でございまして、雪の積もった道路は非常にすべり抵抗が減少いたしまして危険でございますので、どうしてもやはり冬季間の積雪時のあるいは降雪時の速度規制というのは必要であろうと思います。実は現在でも北海道に一部供用開始をいたしております高速道路がございます。これは設計速度といいますか、百キロの場合には八十キロ、それから八十キロの場合には六十キロぐらいに制限速度を落として、北海道ですらそうでございます。それから東名、名神に一部積雪の相当激しい区間が短区間ではございますがあるわけでございます。こういうところにはすでに積雪、降雪時には特別の標識をもちまして、たしかあすこは時速五十キロに制限をいたしております。これは内地のほうでは雪の降らない地域から名神高速、東名高速に乗ってくるドライバーが多いものですから、雪をほとんど知らないドライバーが多いということから非常にきびしく五十キロと、まあ高速とは言えないような速度に規制をいたしております。当然東北道におきましても、これから供用される区間につきましては、積雪の量とかあるいは高速道路の構造とか、そういったものに関連いたしまして冬季間の速度を規制する措置をとるようになるというふうに考えております。
  35. 沢田政治

    沢田政治君 特に北海道の雪は比較的粉ふぶきのように飛ぶ雪ですね。内地の雪というのは湿度の多いべとべとしてすべりやすい雪ですね。でありますから、交通災害を防止する意味で道路管理はやっぱり徹底してもらいたいと思いますね。高速道路ができたゆえに交通事故の拡大再生産ということに必ずつながるんですね。その場合の料金がどうなりますか。速さを売りものでしょう。汽車に乗っても特急と急行と鈍行は料金が違いますわな。速いために料金を取っているんでしょう、あれは、どだいね。交通は混雑しないということのメリットはあるかもわからぬけれども、その場合にも同じ値段ですか、これは。どうですか、その付近は。低速道路になりますよ、あそこは。
  36. 井上孝

    説明員井上孝君) ただいまのところ、先ほど申し上げました速度規制区間は特別に料金を安くするという措置はとっておりません。高速道路の料金は御承知のように全国プールでございますので、たとえば渋滞したから安くするとか、そういうようなことはなしに一律に徴収をいたしております。また、おそらく高速道路で速度規制をいたしましても、その時期にはおそらく一般道路も雪で相当難渋をしている時期ではないかと思いますので、まあこう言うと言い過ぎかもしれませんが、メリットはある程度あるんじゃないかというふうに考えております。
  37. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、寒いところは寒いなりにそうせざるを得ないだろうという、寒さに責任転嫁ですが、まあここはやかましく言いません。これは疑問がありますね、所定の何時間ということで行けないんだからね。それは天候のぜいだと言えばそうなるし、しかし、厳密に言えば速さを売りものの高速道路が速さがなくなった場合同じ価値があるかということにもなるわけですが。それと関連道路ですね、道路というのは、やっぱりもうああいう村落地帯に行きますと、市場ができるとか、盆踊りやるとか、もう市民のいこいの場とようような使用の方法も地方ではしているわけですね。それがインターができたゆえに、何というか非常に交通が便利だから四方から集まってきまずからね。そういうことで道路が従来の意味の市民的ないこいの場にもならぬと、レクリエーションの場にもならぬと、こういう生活の変化が出てくるわけでありますから、関連道路はよほど十二分に従来のそういう道路は残すようにやっぱり配慮をすべきだと思います。  それともう一つは、いまの十和田インターチェンジですね、あれの南、盛岡に向かう南ですね、あそこはいつ発表するわけですか。少なくとも今年じゅうには発表してもらわなくちゃね、市で困っておるんですよ。二年ぐらい前に市になって、いま都市計画をしているわけですが、道路公団さまがいつ通るのかわからぬし、どこ通るのかわからぬと、全くお手あげだと、こういうことで迷惑を感じているわけだ。こういうことだから、これはもういつならいつまでに路線発表しますということでなくちゃ、これに対してすごいやっぱりクレームが出てきますよ、これは当然。いつまでもああしておるならばですね。少なくとも十和田−八幡平のインターチェンジ間は今年じゅうぐらいには路線を明確にしてもらわなければ都市計画はそのままずっとこう何というか流れていくわけです。市役所をつくる場所さえもまだきまらぬと、こういうことで道路行政のために地方行政が非常に迷惑をする、こういうことですから、これはもうめどをはっきりしてもらわなくちゃ困ると思いますな。
  38. 井上孝

    説明員井上孝君) 前段の関連道路の整備につきましては、御指摘の点十分気をつけて関連道路の整備計画を実施してまいりたいと思います。  それから後段の十和田インター以南の路線発表でございますが、ただいまのところまだ路線発表の時期は明確に申し上げられないそうでございます。御指摘のような地元公共団体が困惑しているというような事情もよく調べまして、なるべく早く路線発表して支障が少なくなるようにつとめたいと思います。
  39. 沢田政治

    沢田政治君 用地取得に関してですが、まあ田中さんが日本列島改造を唱えて以来、たんぼで——宅地じゃないんですよ、たんぼでも、どんな村落へ行っても主要地方道のそばはもう地価——私はまあ大正時代の人間ですから昔の尺貫法で言いますが、もう坪一万以下というのはなくなりましたよね。たんぼでさえももう二百万ぐらいで何といいますかね、一反歩、三百坪ですよ、売買されているのは皆さん御承知のとおりなわけですよ。ところが、土地買収をこう見ていますと、まあ上野のバナナのたたき売りと同じですね。百二十万円ぐらいから出て、えいこれでもか、まけておきましょうというわけで、じゃんじゃんじゃんじゃんこう積み重ねていくわけですね。非常に不信感を持っておるわけです。用地取得にあたって、まあ高速道路の存在を社会的にどうかこうかということには私は疑問があります。しかし、それに便乗して一もうけしようという方にも私は賛成できませんが、少なくとも自分の不動産を買収される、しかもそれはもう何十ヘクタールというんじゃないんですよ、これはね。ほんとう生活に供しておる生産手段ですよ。それをたたけばたたくほどもうかる、これはもちろん皆さんからいくと、公の金をそう乱費できないという一つの使命もあるでしょう。しかし、そこにはおのずから妥当な線があると思いますね。たとえば今日主要国道、地方道のそばはもう一万円以下の土地はない。これは政府責任ですよ、これはね。そらしておきながら百二十万ぐらいからたたいていくということはいかぬと思いますよね。いま百二十五万ぐらいまでいっていますか。あれはまあ三百万以下じゃだれも手放さぬでしょう。これはおそらくつくるということになると強権発動せざるを得ないんじゃないですか、あれは。土地収用法をやらなくちゃ不可能ですよね。ああいうばかなことに日数を費やして行政不信を買うべきじゃないと思いますね、どうですか。
  40. 井上孝

    説明員井上孝君) 御指摘のようなバナナのたたき売りのようなことがあるいはあったかと思いますけれども、建設省道路公団に対してとっております用地買収に関する方針は、実はおっしゃるように、よそ者が行って、現地の事情も知らないで、なるべく安く買い上げるというようなことでは不信を買いますので、実は道路公団が直接買収するよりもむしろ地元の事情に明るい関係県当局、あるいは場合によっては市町村、そういうところに用地買収の交渉を委託をいたし、なるべくおっしゃるようなトラブルのないように措置をいたしているつもりでございます。まあ一、二そういった例がございますとしましたら、御指摘によりまして改めたいと思っております。
  41. 沢田政治

    沢田政治君 私は、土地取得にあたってはケース・バイ・ケースですね、地方自治体があっせんの労をとるとか仲介とか責任を持ってもらうとかいろいろな方法があると思いますが、これは全部全国そうだと言うわけじゃありませんが、地方自治体は自分でも事業をやるわけですね。土地も買うわけですね。その場合に高く買うと自分にはね返ってくるという、こう頭があるわけだ。痛いところ皆さんよく知っているんですよね。あれは三百万円で買えば、あなたが入って三百万円で近郷近隣を買わしたじゃないかと、今度は自治体が買うときも三百万円と言われるのは困るから、皆さんと同じような立場に立って値切ると。こういう不信感を住民から持たれておるわけですよね、率直に言って。だから、地方自治体が入って悪いとは言いません、私は。それはそれなりにいいと思いますね。しかし、その場合、無条件でまかせておるわけじゃないと思いますよ、皆さんもね。大体これぐらいが限度だと、こういう限度価格を指示しておると思うんですね。地方自治体に安く買いたたいてくれと、こういう依頼はすべきじゃないと思いますよね。そうでなければ、これはもう何といいますか皆さんも行政不信を招くし、地方自治体もそうだと思いますよ。共犯者になるわけだよね。だから、それはやはりどういう形式をとってもいいから、やっぱり何というか妥当な価格、俗にいうですね、わかっていると思いますよね。そういうものを初めから出して協力を願うようにしたほうがいいじゃないかと思います、私は。  それと、あと三分ありますか——、バイパスですね。特に寒冷積雪地帯のバイパスですが、いままでは道路用地だけ買っておるわけだ。必ずバイパスには周辺に家が出てくるわけだ、家が建つわけだ。そうなると去年の湯沢市あるいは横手市のように除雪ができない、そうして第二バイパス、第三バイパス、交通量よりも除雪ができないわけだから交通渋滞するでしょう。でありますから、これはやっぱり道路の周辺の私権を制約することはいまの法律じゃできません、これはね。でありますから、除雪に必要な用地も道路用地としてもう先行取得しておくべきだと、こう思いますが、いかがですか。
  42. 井上孝

    説明員井上孝君) おっしゃるとおりでございまして、数年前に道路構造令も変更いたしまして、積雪地帯におきましては積雪の量に応じて除雪のための余地をとるということにいたしております。
  43. 沢田政治

    沢田政治君 この用地取得は至るところで問題が出てきておるわけですが、私はそのトラブルの中に介入する気持ちはありませんが、何せインフレなわけですね。たとえばバイパスのこの土地を取得する、八〇%は取得に応じたと、二年前にね。ところが、あとの二〇先は今日まで用地取得はなかなかこれは自分生活手段ですから売らぬというのも無理ないんですよね。ごねているわけじゃない。その場合、二年前と今日では土地なんか六〇%も上がっているわけですね。ごね得というのは私は認めちゃいかぬと思います、これはね。ごねない人は損すると、ごねた人は得するということじゃこれは皆さんは土地取得できなくなりますから。これは不信感を持たれますから。少なくとも地価が高騰したというものを、これは物価と比例していっていますから、ある程度それに対してはこれは当然見なけりゃならぬと思います。そうでなくちゃ二年前の価格で買うなんといったってこれは売りっこないんですよね。現に工事でもそうでしょう。これは一〇〇%そうなっているわけじゃありませんが、契約したとき——片一方契約しないのですよ、これは。契約したときから完工するまで相当の物価が上がったと、原材料、鉄材も上がったという場合には修正しているでしょう、ある程度。これは契約しているものでもそうだから、片一方契約しないものが二年前の人と同じような貨幣価値で同じような価格で買うということはこれはどだい無理ですよね。そうでしょう。それを買いにくくなるから絶対にこれに応じないということは、これはちょっと理屈通らぬと思いますよね。これは土地収用委員会にかかったってそんなことはもう理屈になりませんよ、それはね。価値が違っているんだから。民法上からいったってそうでしょう。あたりまえの話です、これは。どうですか。
  44. 井上孝

    説明員井上孝君) 用地の交渉がやはりそのケース・バイ・ケースでいろいろな事情があろうかと思います。先生御指摘のように、おくれたところほど高くするということになりますとごね得という弊害も出てまいります。かといって、二年もたってすっかり代替地を買うにも買えなくなったというような、先に妥結した人は代替地が買えたけれども、これから妥結すると同じ値段では代替地が買えない、こういうケースもあろうかと思います。したがいまして、ケース・バイ・ケースでやはり最も適正な方針をとっていくということに尽きると思います。一括公表して地権者のほらの都合でおくれたというような場合には、なかなかごね得という弊害をおそれて時価にスライドしないというようなケースもあろうかと思いますが、何べんも申しますが、ケース・バイ・ケース事情によって処置してまいりたいと思います。
  45. 沢田政治

    沢田政治君 これで終わりますが、まあケース・バイ・ケースでと言って、わからないことを言っているんだけれども、原則だと思うのですよ。ごね得は許さぬというのはいいんですよ、ぼくはね。これはもう私もそうです。ただし、客観的に見て地価が変動しているわけですから——二年前の契約といまと同じだという理屈になっているんですよね。その点はあなたにでもあとでこの委員会外にぼくは話ししますね。こういうのは一体あなたどうするんだということをね。ここで議論してもケース・バイ・ケースというわけで、何時間やってもケース・バイ・ケースになるから、議論はらちがあかぬわけですから、あとで話ししましよう。  これで終わります。
  46. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まずもって私は八号台風並びに梅雨前線、さらに今回の十五号でございますか、台風による多摩川災害等たいへんな被害が出ました。そしてあらゆる個所におきましていろんな問題が提起されております。今日まで河川の改修並びに治水工事あるいは治山工事等相当行なわれてまいりましたけれども、必ずしも十分でないという面が暴露されました。特にこの高度成長に基づく置き去りにされた河川改修工事、治山工事あるいは治水工事というものが、ここに至ってふき出てきたというような感じでございます。多摩川災害を見ましても、まああの川は安全な川だと皆さんからいわれております。実際、流量的には計画洪水量出ているようでございますが、水位的には必ずしも私はそうではなかったんじゃないかという気がいたします。ただ、せきという異物があったためにあのように堆積した、そのために水位が上がるという問題があったんじゃないかという気もいたします。この辺で私は新しい事態に即応する、また新しい、降雨量に対応する治水工事の計画を検討すべき時期じゃないかという気がいたします。そういう意味でひとつ私は建設大臣に特にその点を要請申し上げたいということでございます。御答弁は要りません。  それから私は三重県あるいは静岡県等を見せていただきましたけれども、特に中小河川が非常におくれている。中小河川の今回の災害を見てみますと、上流地区の未改修あるいは準用河川等の災害が非常に多くて、下流のほうは都会地でどうしようもないというケースがかなり多い。したがいまして、下流のほうは公共施設は被害はないけれど上流のほうはひどくやられている。しかし、一般被害は下流のほうが非常に多いというような現象でございます。これは全国各地に見られる現象でございます。特に中小河川対策につきまして、あるいは小河川対策につきまして、来年度予算編成もございますので、どうかひとつ抜本的な決断のもとにこの問題を取り上げていただきたい。この中小河川対策についてひとつ建設大臣の御決意を伺いたいと思います。
  47. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 多摩川の大災害にかがみまして、また全国的にことしは非常に災害が多かったわけでありますが、各地区における実態等を考慮してみますとき、御指摘のとおり中小河川、都市河川の改修計画がいまのままでいいかどうかというところに非常に大きな疑問がわいてきておるわけであります。と申しますのは、やはりその河川ごとに地域の条件というものが非常に変わってきておるということでございます。計画がつくられた当初と現在との変容というものがその河川改修計画に十分取り入れられているかどうかということについて、非常に現在の計画を見直さなければならない時期に来ておるというふうに考えまして、実は来年度の予算要求に際しましても、そういう立場河川改修計画の予算編成をやるように事務当局指示をいたしておるわけでございます。また、治水五カ年計画等を近く五十一年度から改正しなければならないという点もあるわけでございますので、この五カ年計画をつくりますにあたりましても、ただいま申し上げたような中小河川、都市河川、また大河川につきましても、その流域の変容の実態が五カ年改修計画に直ちに反映するような立場で改修計画を全国的に検討すべきであると、こういう考えでありまして、古賀委員から御指摘にありました点につきましては十分考慮をしてやってまいりたい。  また、来年度の予算編成にあたりましても総需要抑制というきびしい制約のもとではございますけれども、都市河川、中小河川等についての予算要求は二五%以上に要求をするという立場をとらしていただいておる次第でございますとともに、今度の多摩川で私非常に心配いたしました点は小河内ダム、あれは水道用の飲み水貯水池という主目的で建設をされておるわけでございます。洪水調節という考慮が非常に薄いというわけでございます。したがいまして、やはり今後ダム建設にあたりましても、少なくともある程度の洪水調節という使命を各ダムに持たせるべきであるという感じを強く持ったわけでございます。この点につきましても事務当局指示を与えまして、ダム計画をする際にも、各自治体の事情等もございましょうけれども、やはり洪水調節という目的も常に保有させるようにしていかなければならぬのではないかと考えて検討中でございます。
  48. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 もう少し質問したいんですが、時間の関係上省略させていただきます。  次に、私は、列島改造論の批判はいろいろございますが、どうしてもやはり東京がこういう状態でおるということはたいへんなことでございまして、やはり過密過疎の解消というのは、そういうものをやっていかなきゃいかぬというふうに考えます。したがいまして、その解消するための行き先の問題をどうしても考えなきゃいけない。そうしますと、いろいろ行き先の整備の問題が起きてきます。実は私も地盤沈下の問題で関係各省から資料をいただきましていろいろと調べてみました。ところが、全国にかなりの数が、地盤沈下地帯がございます。まだ地質学的に見てもあるいは地層学的に見ても地盤沈下が起こるという可能性のある土地もかなりあろうかと思います。そういったところに対しまして地下水の採取を規制していく、あるいは禁止していく。具体的に地盤沈下が起こらないようにしていただくということが当面のそれらの問題を解決するためにも必要な問題であろうと思います。  そこで、まず私がお聞きしたいのは、関係各省で今日まで地盤沈下のための地下水規制、この問題をどういうぐあいに取り扱ってきていただいたのか、さらに今後どういう方針でお進みになるのか、その点を関係各省からお伺いしたいと思います。
  49. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 全国で地盤沈下が検出されておる地区は四十六地域、三十一都道府県に及んでおるわけであります。佐賀県等については、佐賀・白石平野における地盤沈下は広範囲に及んでおるということでございまして、現在年間十センチ以上も沈下をしておるという実績を実は示しておる地域もあるわけでございます。したがいまして、この地盤沈下ということにつきましては、やはり地下水のくみ上げによるということも実ははっきりいたしておるわけでございます。名古屋周辺等におきましても、そういう顕著な地帯もあるわけでございます。したがいまして、地下水というものに対する規制というものも法律的にやっていかなければならないのではないかということで、いま立法等につきまして十分次の国会等で御審議いただけるようなふうにしたいものだということで準備をさしておる次第でございます。
  50. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 環境庁、いかがですか。
  51. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 地下水規制に関する法律といたしましては、現在御承知のとおり工業用水につきましては工業用水法、それからビル等が冷暖房用に取水する場合の地下水の規制の法律としては、いわゆるビル用水法という法律がございまして、それぞれ指定地域を指定いたしまして地下水の採取の規制をしているわけでございます。でございますが、しかしながら、いろいろ問題点があることも事実でございまして、たとえば現行の諸法制は、地下水はかなり採取されておりまして、そのために現に地盤沈下現象が起きておる、あるいは地下水位の低下がかなり激しくなっておる、こういったところをつかまえて指定するという形で、そういう意味では地盤沈下対策の未然防止としては必ずしも十分ではないと、こういった問題点が一つございます。  それからもう一つとしては、確かに工業用水法、それからビル用水法というぐあいに規制の対象はなっておりますが、そのほかに地下水を利用しております利水といたしましては、たとえば上水道もございますし、あるいは農業用水もございます。そういったところで、ごく一部の利水目的だけに規制がかかっておって総括的に規制がかかっていないと、こういった欠点もあるわけでございます。環境庁といたしましては、地盤沈下対策ということの地盤沈下の防止という観点から、こういった問題点をどのように解決したらいいかということをいろいろ御検討願うために、中央公害対策審議会の地盤沈下部会というものを設置いたしまして、その中で総合的な対策を検討願っておる過程でございます。近々その結論を、御答申を得る予定になっておりますので、その御答申を踏まえまして総合的な立法というものを近く国会に出したい、そのために関係各省といろいろ協議を重ねていきたいと、かように思っておるわけでございます。
  52. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 工業用水、通産省。
  53. 大薗英夫

    説明員(大薗英夫君) 工業用の地下水の採取につきましては、工業用水法で地盤沈下の防止のための規制を実施をいたしております。工業用水法は昭和三十一年に施行になったわけでございますが、施行以来現在までに十三地域を指定をいたしております。この十三地域は埼玉県の南部を含みます京浜、京葉工業地帯、それから中京工業地帯の一部、それから阪神工業地帯の主要部分を含んでおります。この工業用水法の地域指定をいたしまして、指定をいたしました地域につきましては工業の井戸の新設を規制をし、また既設の井戸につきましても工業用水道への転換を促進をしているわけでございます。このような地域指定とあわせまして、これらの地域につきましては工業用水道の建設の促進をいたしております。現在までこれらの地域を対象といたしまして二十一の工業用水道が完成をいたしておりますし、現在四つの工業用水道の建設中でございます。これらの地盤沈下地域につきましての工業用水道の建設につきましては、補助率も通常のものに比べまして、原則といたしまして一〇%のかさ上げを実施をいたしております。以上のような施策を実施いたしまして、地域指定を行ないました地域につきましては地盤沈下が相当に改善を見ております。阪神地域、それから四日市地域につきましては地盤沈下がほぼ停止をいたしております。また、川崎それから横浜地区につきましては地盤沈下が大幅に鈍化をいたしております。また、江東地域につきましても地盤沈下が鈍化をいたしておりまして、現在地下水位の上昇を見つつございます。  以上が工業用水法に基づきます現在までの施行の状況でございますが、今後も地下水の規制の問題につきましては、私どものほうで現在まで地下水利用適正化調査というものをやっております。三十地域について実施をいたしておりますけれども、この地域は地盤沈下がある、あるいはそのおそれがあるところで、工業用水法の指定をしていない地域を対象にいたしておりますけれども、これらの地域につきまして、地下水の利用可能量、それから使用の実態等を観測井を掘って調査をいたしておりまして、調査が済んだ地域につきましては、地元の公共団体が中心になりまして、それから地下水の利用者も含めまして協議会をつくるように指導をいたしております。この協議会の場を通じまして、地下水の採取の転換を含めまして、地下水の適正利用について自主的に適正利用をはかるように指導をいたしております。現在十四の協議会が設立をされておりますが、今後ともこの調査を活用をいたしまして、特に新しい工業開発を行なう場合に事前に地下水の状況を把握して、地下水障害を未然に防止するように努力をいたしていきたい、こういうふうに思っております。  それから先般申し上げましたように、地盤沈下地域につきましては用水道の建設をいたしておりますけれども、この建設の促進を今後ともはかっていきたいと思っております。工業用水法の運用につきましては、工業用水道の建設の促進とあわせまして、地域指定の拡大と積極的な運用を今後行なっていきたいと思っておりますけれども、未然防止という観点から必要があるようであれば環境庁等関係各省とも御相談をいたしまして法律改正の検討もいたしたいと、このように考えております。
  54. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まあ、いろいろなお話がございましたけれども、たとえばこの東京の付近で、まあ江東三角地帯はようやく鈍化してきたと言われるけれども、まだ下がっている。さらに河口付近まで沈下が移動してきている。あるところは二十センチも下がっているというような状況もございます。そこで私は、いろいろな法律をつくられるのはけっこうだけど、この地盤沈下をとめてもらいたいのです、要するに。とまらなければもういつまでたっても下がるばかり。で、江東三角地帯は数百億、数千億もかかったかもしれません、あの防潮堤をつくって、しかもなおさら危険にさらされているというような状況です。そこで、どうしても地盤沈下は私はとめてもらいたい。それで、法律で地盤沈下がとまるなら法律幾らでもつくっていただきたいのです。法律ではとまらない。私はその点を指摘したいのです。  たとえば江東三角地帯の地盤沈下は、いままで地下水規制をうんとやかましくずっと前からいわれておった。それがどうしてとまらないのか。そういう点を、これは行政のどういう点に問題があるかよくわかりません。しかし、要は先ほど建設大臣のお話しされたように地下水を規制するか、禁止するか、いずれかの方法をとらざるを得ないと思うのです。そうすればですね、私は禁止することが一番先に大事なことであるし、それが地盤沈下のみじめな結果を生まなくて済む大きな要因であると思うのです。その辺で私は、まあ私の郷里も沈下しているからこういう質問をするわけですが、全く道路なんか波を打って走れない、農業用水は反対になって水路は水が通じない、家はかしぐ、あるいは道路はデパートの前でダウン地ができる、いろいろな問題が生じております。非常に困っておるのです。しかも水害が、ちょっとした雨が降れば一万戸の家がつかるというような災害の実態がある。そういう実態が今後地盤沈下のおそれのある、あるいは地盤沈下地帯に問題が発生してくることはもう当然考えられます。  そこで私は、もう特に望みたいのは、地盤沈下をとめるために地下水を規制していただきたい、あるいは地下水を禁止していただきたい。そこで、いままでは禁止はできない。何か水持ってこにゃだめだと言われる。それでそれの水がない、なかなかその規制ができない、禁止ができない、そのために自来じんぜんとして下がってきたのが江東三角地帯であると私は指摘したいのです。だから、この辺で私は国土庁長官にお伺いしたいのですが、地下水規制にしましても、工業用水法とかビル用水法とか、あるいは農業用水あるいは水道用水といろいろな問題がございます。国土庁は国土をりっぱにしていく大きな役所でございますので、この辺を総合的な見地から私は問題の処理に当たっていただきたいと思うわけでございます。  そこで、まあ地盤沈下を規制するためには地下水の規制でいいのか、あるいは地下水を禁止しなきゃいかぬのか。しかし、まあ水がないというとたいへんでしょうから、ある年次を限って地下水を禁止する、あるいは五年以内に禁止する、あるいはできそうなものは三年以内に禁止する、で、五年以上たったらもう全然禁止する。そういったやはり相当きびしい取り扱い方をしないと私は地盤沈下はおさまらないという感じでございます。また、転換用水の問題も今日までなかなか具体的に進まない。だから、転換用水の問題も当然その地盤沈下の禁止と並行してと申しますか、先に転換用水の計画を具体的にやらなきゃいかぬじゃないかと思います。  それともう一つは、今日まで地盤沈下地帯があります。先ほど工業用水道では一〇%かさ増しして工業用水道をつくっているというようなことが行なわれております。地盤沈下地帯は非常に悲惨な惨状でございます。新潟のあのガスの取水によりまして沈下したところはもう海面以下、全くこの前の地震のときには大災害でございました。そういったところが随所に出てくる可能性がありますので、そういったところに対するいわゆる内水排除とか、あるいは諸施設の被害復旧とか、あるいは公共施設の復旧とか、住宅のかしいだものをあるいは金融をして助けていくとか、いろんな具体的な地盤沈下に対するあたたかい手を私は伸べていただきたいと思うんです。今日いろんな諸施策が行なわれておりますが、地盤沈下対策には何も行なわれていない、非常に行政の片手落ちだと私は痛感いたしております。こういった点につきまして、国土庁長官は、国の土地をやっていかれます、土地を有効利用するためにいろんな問題を処理されます、そういった土地に関する問題として今後どういう方向でこの問題を御検討なさって進められるのか、長官の御決心をひとつお伺いしたいと思います。
  55. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いままでずいぶん地盤沈下のことを言われておりましたし、それから各省でいまお話がありましたようにばらばらでやっておるわけでございまして——それはそうでしょう、通産省は工業用水を考えるのが主でございます。また、建設省のビル用水はそういうことでやっておったんですが、なかなか非常に広範囲な問題でして、むずかしいものだから、政府全体としても総合性がなかったことも認めなけりゃならぬと思っております。で、今度国土庁の中にも水資源局という局ができましたので、私は宮崎局長にも言うんですが、まだしかし深く研究していませんから、具体案はこれからですけれども、とにかく国土庁の水資源局ができたんだから、水資源局としてはダムをつくるということばかりじゃなしに、水問題全体についてやっぱり考えなけりゃいかぬのじゃないかと、非常に水というのは魔ものでございまして、寒ければ氷になって雪害を起こしますし、それから、あたためれば雲になりますし、とにかく非常にやっかいなものですけれども、これをやはり有効に利用しなければどうしても人間社会がいけないんでございますから、せっかくの御質問でございまして、古賀さんはその辺についてはもう権威者で、水問題の権威者でございますから、ひとつせっかくの御注意でございまするから、国土庁としてもいままでの法律に基づく行政を一ぺん再検討して、トレースしてみて、そうしてさらに規制を強化する、あるいは禁止する、とにもかくにも結果としてはあなたが言われるようにやはり多少の改善は見ておりますけれども、絶対自信を持って言うようなわけにいっておりません。  今後ますます都市化も進みまするし、やはりいまの指定区域も非常に狭小でございますので、全国的にわたってこういう現象が起こってくることは確実でございまするから、ひとつこの際各省――建設省、通産省、厚生省、環境庁等ひとつ一丸にいたしました研究機関をつくるとか、何とかひとつ進めてみたいという気持ちを持っておる次第でございます。したがいまして、現在の実情をまずしっかりとつかむということでございまして、一応の御説明はそれぞれの省からありましたが、やはり広範にわたっておりますので、そう簡単にこの実情もつかめないと思いまするから、ひとつ実情も十分調査をいたしまして、その上で研究会やさらにその検討機関をつくって進めてまいりたいという気持ちは一ぱいでございまするから、何とぞ当委員会といたしましても御協力を賜わりますようお願いを申し上げる次第でございます。
  56. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まあ、長官の御誠意ある御答弁まことにありがとうございますが、実はそんなにゆうちょうな話じゃなくて、現実に下がっている問題をどうするかということですから、私はもう少し調査――いままで調査を重ねてきていろんな法律がつくられてきたけれども片手落ちで、しかもたとえば江東三角地帯は下がっておるのに工業用水道をとめられなかった理由は何だ、そういった具体的な事実をつかんでほんとう地盤沈下が起こらないようにしなければ、もうその平地部に多い地盤沈下地帯、将来そういったところが過密過疎対策と申しますか、それの解消の用地になろうとするところ、そういった点もございますので、私はこの辺でまず地下水を禁止するという前提に立ってひとつ問題を早急に処理していただくようにぜひお願いしたい、これはもう私の切なるお願いでございます。私も佐賀県の農民の出身ですが、全く私が見るに忍びないような沈下状態である、もう皆さんごらんになったと思います。一回見に来ていただいてもけっこうです。どうかそういう意味で、あんまり自来じんぜんと日を送ってもらっては非常に困るということをつけ加えまして、国土庁長官の総合調整をひとつぜひお願いしたいということを強く御要請申し上げたいと思います。御答弁は要りません。  それからもう一つは、これは別なことですが、最近のショックで、いろんなドルショック、石油ショック等で非常に値上がりを生じまして建設業界は非常に苦悩におちいっているという状況でございます。そこで、私もいろいろその問題には関係してまいりましたが、まあ公共機関が発注するいろんな設計内容が非常に具体的に見てみますとかなり食い違っているんじゃないかという気がします。それから積算単価もどうも各省必ずしも一致しない、特に多種多様にわたる建築工事につきましてはそういった問題がかなり多いんじゃないかという気がいたします。そこで、私も内々調べてみたんですが、やはり公共機関が発注するものぐらいは民間のリード役として具体的にひとつ計画の基準、あるいは設計の基準と申しますか、あるいは積算の基準とかいろんなものをおつくりになって、ひとつみんなそれで納得できるようなことで御検討を願いたいと思うわけでございます。いろいろお聞きしたいんですが、特にその問題につきまして具体的な御質問はいたしません。私はそういう問題を指摘しまして建設大臣からひとつお答えをいただければありがたいと思います。
  57. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御指摘のとおり、官庁営繕関係の積算基準につきましてはすでに統一的な標準書式、数量積算基準、諸経費算定資料等が作成されておるわけでございます。また、その他についても統一可能なものについては逐次標準を作成しようということで進んでおるわけでございます。特に住宅関係では、公団住宅の場合はこれを準用するということにいたしておりますし、また、公営住宅等の補助金の交付についても標準工事費に基づいて行なっているわけでございまして、事業主体が発注する場合の設計、積算基準の取り扱いということにつきましても、その取り扱いが必ずしも基準に合ってみんなが御指摘のとおり統一されておらないというのが実は現状でございます。  それにつきましては、ただいま御指摘のとおり、やはり官庁営繕で各省がそういう点についての統一ある積算単価、あるいはいろいろその単価をきめる際の諸要素等の取り方等についてもばらばらであるという面なきにしもあらずということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、この点につきましては就任以来私も、たとえば労務単価の採用のしかた、取り方一つ考えましても、東北、北海道、あるいは関東、北陸、九州、四国という地域によってもいろいろと現状にマッチしない考え方がそれでいいかどうかというような問題も実は含まれておるわけでございますので、就任以来、そういう点を全国的に説明のつく、わかりやすい、だれが説明を受けてもぴんとくるというようにしなさいということで、営繕関係あるいは各地建に対しましても、各局に対しましてもそういう線を実行するように指導をいたしてきております。しかし、御指摘のとおり、この機会に当委員会の御趣旨に沿ってさらに強力な指導をして御趣旨に沿うようにしていきたいと考えておるわけでございます。
  58. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 建設大臣もこの問題について非常に深く関心を持たれておられ、ありがとうございます。まあ公共機関と申しますと公社あるいは公団等もございます。電電公社もございますし鉄道建設公団もございますので、どうかそういう点につきまして建設省でひとつまとめ役をやっていただいて、具体的にこれは納得できる設計で、しかも積算単価で業界も安心してこの問題には取り組めるというようなことをしていただくお気持ちはないかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  59. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 公共建築関係の積算の基準につきましては、建設省が世話役になりまして調整をしていかなければならぬと考えており、現在官民合同の研究会をつくって作業を進めておるわけでございまして、すみやかに結論を出していただくようにさらに積極的に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  60. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  61. 小野明

    委員長小野明君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会
  62. 小野明

    委員長小野明君) 休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  63. 田代富士男

    田代富士男君 多摩川の決壊について質問をしたいと思います。  多摩川は御承知のとおりに一級河川でありますから、その管理は建設大臣になるわけでございます。これは第九条に明記されてありますが、今回の決壊で多数の家屋が流失したという異常な事態が起きたわけでございます。ちょうど今から二年前、東京都の防災会議で、超大型台風、たとえば伊勢湾台風クラスのそういう台風に襲われたとしても多摩川は決壊するようなことはないということを二年前に結論が出されていたのでありますが、今回このような事故が起きたということは、記録的な降雨量一つ指摘されておりますけれども、直接的な原因としては、取水せきの側岸の堤防に構造的な欠陥があったと、そのように思われますけれども、午前中もいろいろ質疑が繰り返されましたけれども、まず最初にこの点をお尋ねしたいと思います。
  64. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 多摩川災害でお答えいたします。  いま先生おっしゃいましたように、多摩川は全国の一級河川の中で比較的安全度が高いといわれておりますけれども、確かに全国の一級河川の進捗率は約四〇%の中で、多摩川につきましては七〇%ぐらい現計画では進んでおります。しかしながら、多摩川の周辺は上下流とも開発が進んでおりまして、これを守る上には、さらに洪水量といいますか、改修の目標をレベルアップをしようと心がけておる最中であったわけでございます。したがいまして、従来は五十年に一度と、これは明治四十三年の記録が最高でございましたので、これに基づく計画を今日まで進めてまいったわけでございますけれども、今回の異常出水によりまして御承知のような堤防決壊という事態を招きまして非常に残念に思っておるわけでございます。  いま先生おっしゃいましたように、今回の異常出水によりまして、せきのそで部といいますか、これからだんだんと広がりまして御承知のような堤防決壊に及んだわけでございます。そういうことで、非常に古い昭和十五年に申請が出されて、いわゆる河川法の旧法時代の施設物でございますけれども、その後いろいろと――戦後このせきは二十四年にできました。できましたが、その後大体二千立米ぐらいの洪水を数回受けてはおるわけでございますけれども、残念ながらそういう中洪水ではあまり異常がなかったこともあると思いますけれども、私ども毎年六月に事務次官通牒をもって、特にせきというものについての点検は十分やっておりましたけれども、そういうような通常行なわれる点検ではなかなかそういうものが発見し得なかったことは確かでございます。そういう意味におきまして、今後こういう河川構造物につきましては従来の点検と違った深い――設計書までひっくり返して、ことに古い井ぜきが対象と思うんですけれども、そういうような総点検を現在実施して万全を期そうと、そういうことを考えておる次第でございます。
  65. 田代富士男

    田代富士男君 これは現地の人から直接お話を現地で聞きました。どういうことかと言いますと、御承知のとおりにあの河川敷のところでジュースを売ったり、コーヒーを売ったりしていたわけなんですね。その河川敷にそういう建物を建ててはならないということは知った上でそういう人たちはやっていたわけなんです。その本人も許可を受けてそのようなジュース、コーヒーの販売をやってない、まあ言うなれば自分がかってに建物を建ててやっていた人なんです。で、これは委員会関係ないことですけれども、その業者の間でもめ事があった、発端になった、事件になった、そういうこともあった上に建ててジュースを販売していた人がおります。その人が、昭和三十三年ごろだったと言います。そこでいまちょっとお尋ねしたら、三十二年の間違いじゃないかと、三十二年と違いますかということですが、まあ三十二年か三十三年であったといたしましょう。  多摩川が、今回のようなそういう事故じゃありませんけれども、その人が建てていたそのコーヒー店等が流されて――御承知の高い堤防と低い堤防がありますが、その低い堤防が一部決壊をした。そのときに私のその店も流されましたが、私は許可を受けずに不許可で建てておりましたから弁償等はできませんでしたが――この人は元来河川のそばに住むことが好きな人なんです。そういうわけで河川には関心のある人ですが、これはこのくらいの低い堤防が、自分のその建物が流された、そして低いところの堤防がえぐられた。これはたいへんだぞと。そのときにはただ単なる応急処置をされた。そういうときに完ぺきに、もっと事を重大視して、そのときに根本的な改修をしていただいていたならばこういうことにならなかったじゃないでしょうかと、この人は言っております。まだ現地におります。また私もこういう土木の専門家ではございません。その人も土木の専門家じゃありませんが、今回決壊をした堤防のことを言っておりましたが、何かその堤防の中には昔は粘土で、ちょうど堤防の中央部に当たるところに粘土で固める。あるいは最近はコンクリートになっているかわかりませんけれども、このような外に土をかぶせ、コンクリート張り、あるいは石垣をつくるということになっているけれども、その人は三十二年、三十三年のこの自分自身の建てた建物が流されたそのときの経験がありますから、おそらくしてあるだろうかとそれを確認してみたら、そういうところは見当たりませんと。専門家でありませんけれども、少なくともその三十二年、三十三年のときに低い堤防は決壊いたしまして応急修理をされたわけです、それが残念でなりませんと、これは現地の被害にあった人がいまこういうことを言っておりますけれども、これに対してはいかがでございましょうか。
  66. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先生のおっしゃいました洪水は、記録を見ますと三十三年に二千二百ぐらいの洪水量が出ております。これはいま計画が約四千百七十でございますが。その半分程度の洪水が出たときのお話ではなかろうかと思います。で、この復旧でどういうぐあいにその当時なされたか、私現在よく調べておりませんけれども、そういうような洪水が出ますと必ず、護岸等がやられますと、これ直ちに復旧するのがたてまえでございますし、またそういうことでさらに追及しながら危険個所を予知することにも従来奮励しておるわけでございますが、今回の堤防のところは御承知のように一般のところより高くなっておりまして、取りつけ部が非常に高いというようなことが若干ほかの高水敷と違っておりますし、また多摩川の高水敷も非常に高いところと低いところがございますし、今後これから護岸工事を施工しなければいけない個所もまだ相当残っております。したがいまして、いま御質問のような点についての災害後の補修についてはつまびらかに私まだ存じませんけれども、普通なれば普通のようなすぐ手当てをしておったものと考えております。
  67. 田代富士男

    田代富士男君 その人はいま申したようなことを言っておりまして、これについて私はいまここで、三十三年のことだったと――その人は三十三年と言っておりましたけれども、その時点においては応急修理をやっただろうということですけれども、この時点でこれを大事にしておいて根本的にやっていただいたならば、こういうことにならなかったんじゃないか、流れてしまったあとのことを心配して言っているわけなんですけれども、どの程度の応急処置であったのかもわかりませんか。
  68. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまそのことも実はいろいろこまかく調べようということで関東地建にこの調査委員会をつくりまして、その点からも洗ってみようと、過去の災害が出るたびにどういうところが多摩川はやられているかと、やられたところがあぶないところじゃなかろうかと、そういう意味で、これもさらに調べさしていただきたいと思います。
  69. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これは私からお願いしておきます。
  70. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) はい。
  71. 田代富士男

    田代富士男君 それを局長が調べるとおっしゃいますから、その調べると同時に、その以前に、その地域からさかのぼりまして、かなりの砂、砂利等が採取されたそうでございます。これは最近ではありません、以前に。そういうこともその人は言っておりますし、それも今回の事故の原因になっているんじゃないんでしょうかと、こういうことも言っておりましたから、調査されるならばその点についても調査をしていただきまして、これについてはあとで御報告を願いたいと思います。よろしいでしょうか。
  72. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 承知しました。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いま局長からもお話がありましたが、一級河川の整備はほぼ完了したということになっておりますけれども、決壊するはずのない多摩川が今回決壊をいたしました。こういう意味から、一級河川の保全あるいは国土保全の確保という観点から、まあ六月度には次官通達等も出してそういう対策も講じているということをいま局長がお話をされましたけれども、今回の多摩川を、第二の多摩川事故を起こさないためにも全国の河川の中、特に一級河川というものは影響が大きいですから、一級河川の総点検をこの際実施すべきじゃないかと思いますけれども、この点、大臣、いかがでございましょうか。総点検をやって第二の多摩川事故を起こさせないようにするにはどうでしょうか。
  74. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御指摘のとおり、今回の多摩川の堤防決壊によってたいへん流域の皆さん方に御迷惑をかけた点につきましては深く反省をいたしておるわけでございます。特に私就任以来、河川に対する、いわゆる治水に対する私どもの取り組み方がもっと積極的でなければならないという感じを就任の当時、省内の説明を聞いて感じを持ったわけでございます。自来、河川に関する建設省の姿勢というものをもっと強化すべきであるということで指導をしてまいりました。この件につきましては、来年度の予算要求の中にもその精神を生かしたつもりでございます。  しかし、現に多摩川のように、一番日本では整備されておると思っておった一級河川多摩川があのような状態になったわけでございますので、特に私あの実態を見まして、そして全国に同じくせきでありますとか頭首工でありますとか、そういうものができた当時と、現在における河川の流域の現状というものがずいぶん変移をして、変転をしているんではないかというふうに考えられますので、そういう見地からもひとつ治水の現況というものについて、特に一級河川、中小河川、都市河川について総点検をするように指示をいたしたところでございます。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 第二のそういう事故のないように総点検を完ぺきにやっていただきまして、万全を期していただきたいとお願いいたします。  で、今回こういう事故があってからいろいろな角度で勉強もし検討もされるということでございますが、河川敷にグラウンドやあるいは自動車教習所などが設けられておりまして、これらの施設のために、河川が増水した場合の河川敷の本来果すべき役割りを阻害いたしまして、今回の決壊という事態を誘発したんじゃないかと。これは多摩川だけでなくして全国各地に見られる、これも総点検の中の一つにも入ると思うわけです。特に総点検される場合、こういうものに対する取り組みに対してどのようにお考えを持っていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  76. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 河川敷の利用というのは、いま先生おっしゃいましたように、平時には水と緑ということで、各市民がじょうずに使おうというようなことで非常に陳情が多い場所でございますし、一方私どもは治水に対して絶対に障害のないようにしようということから、従来からある制限をきめまして許認可に当たっておるわけでございます。しかしながら、いろいろ高水敷の利用も多角的になってきましたので、治水にいいのか悪いのか、こういう点についてさらに従来よりはシビアな形で、今回のこの災害にかんがみまして、この高水敷の利用は積極的に進めますけれども、反面そういう治水上の問題については従来よりさらにきめのこまかい調査に入りたい、勉強してみたいと、そう考えております。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、私はお尋ねしたいんですが、これは過日の朝日新聞にも出されておりますけれども、建設省が来年度から河川敷地の管理財団を設立いたしまして、大都市部を流れ河川のこの河川敷に総合的なレジャー施設をつくる計画を立てておるわけなんですが、まあこれはいろいろな目的もあるでしょう。こまかい目的については時間がありませんから……。もう御承知の上だと思いますけれども、こういう管理財団ができまして、こういう利用をするということですけれども、今回のいま私が質問をいたしました多摩川の事故に関しまして、そういうグラウンドや自動車教習所、そういうことをやったがために誘発した事故じゃなかろうかと思った場合に、これ自身住民の安全の確保という観点から立つならば、このことに対しましても当初の発足と合致しているというお考えがあるかわかりませんけれども、これはもう一度検討を要する必要があるんじゃないかと思いますが、この点、大臣、いかがでございますか。
  78. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 河川敷地の管理財団と、これは河川局のほうでいろいろ来年度こうしたいという希望で予算要求してみようということで出しておることでございますが、これの一番大きな目的は、いま多摩川にしろ、それから荒川にいたしましても未利用のところが非常に放置されて、そこが、どう言いますか、アシが育ったり、それから非常にきたなくなって物が捨てられるということがございます。この未利用のところをもう少しきれいにしようというのが一番最初の目的でございます。したがって、利用されているところと利用されていないところが非常にくっきり出まして、結果的には未利用のところがやはり治水上も非常にさしつかえるというような状態が出てまいりましたので、私どもはこれを一括的に管理という前提の上に立った上での財団というものができないものだろうかと、したがって、そういう今度は非常に河川管理者の立場からこれを考えたわけでございますので、先生がおっしゃいますように当然治水上の目的を第一義とした利用ということでございますので、それに必要なことがまたありますれば、やはりここはいま芝生にしたほうがいいとか、ここは護岸をしなきゃいけないとか、そういうような総合的な治水と利水といいますか、利用と、そういう両面相兼ね備えたことを実は考えております。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 この建設省の提唱される管理財団が、河川敷を公共利用促進へということでありましたならば、いまゴルフ場等につきましても、もうあらゆる河川敷にゴルフ場がなされております。こういうのも、河川敷が公共利用促進ということになりますと、ゴルフ場等も、一個人の立場の人に与えられた、特定な人のみが利用されている、そういう河川敷になっている場合のは、こういうのも返還させなくちゃならないと思いますけれども、この点はどうですか。ゴルフ場というのは代表して言ったわけなんですが、その他のいろいろな場に使おれている場合は、公共利用促進ということになるならば、こういうこともけじめをつけるときじゃないかと思います。どうでしょう。
  80. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生おっしゃいますように、その管理財団の目的がそういうことでございますので、私どもは時間をかけながら一つ一つこの間題について、やはりこの管理財団が目的とするように一元化、管理の一元化に持っていこうと、若干時間がかかると思います、いろいろ問題がありますけれども、やはりじみにこういう一つ一つに対処してその目的を達していきたいと、そう考えておるわけでございます。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、この問題につきましては検討をしていただきたいし、またこの問題については後日お尋ねをしたいと思います、きょうは問題が別でございますから。  そこで、今回被害にあわれた皆さん方の補償の問題でございます。家屋を流失された人に対する補償の問題は、いま新聞等でも伝えられておりますけれども、やっとの思いで自分の家を建てた人が流失にあって取り戻すことができないという、これに対する補償につきましては、いろいろ八百億円までの融資というものがまず考えられて施策が講じられておりますが、これは当然建設省といたしましても配慮していただきたいと思いますが、私がもう一つ申し述べたいことは、あの爆破をいたしまして、水の流れを変えようとされたその爆風によりまして窓ガラスと、あるいはは家のとびらが破れたままになりまして、水はとまったけれども帰るに帰れないといって困っている人がずいぶんいらっしゃいます。この爆風によって窓ガラスやそういう破れた人は、現地におきまして、狛江市におきまして被害の調査をやっておりますけれども、なかなかそれが手間どっていままとまっておりません。こういうように言うなれば第二の災害ともいうべき事態が起きている。これに対する建設省としてどのように対処をされるのか、まあ第一番目のこの今回被害にあわれた皆さんに対してどのように対処されるのか、あわせてお尋ねをいたします。
  82. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生おっしゃいましたように、今回の水害によりまして、狛江市の要請によりまして、自衛隊、警視庁、みな水防によって参画していただいたわけでございまして、現地には私どもはもちろんのこと地元消防団の方々、自衛隊の方々、それから警視庁の皆さん方というような、みんなで一緒に実は水防活動に当たったわけでございます。非常に水流が激しいということで、最後には、いまおっしゃいましたように爆破以外に手がないという、みんながそういう意見一致を見たわけでございまして、まだ水が引いていない最中に非常な危険作業をやらにゃいけないということから、これはひとつ自衛隊にお願いしようということにきまりまして、自衛隊にお願いしたわけでございますが、残念ながらまだ水位が下がってないと、まだ機械が持ち込めないという状況におきまして、まあそれ以外の法がなかったということで御承知のような爆風が起こったと、そういうことでございます。その後は、御承知のとおり水位が下がりましたので、警視庁の御後援を得まして、私どもがコンプレッサーを現地に運んで、いわゆる本格的に爆破のほうへ至って、ごらんのとおりにそこまでこぎつけたわけでございます。これは経過でございます。  したがいまして、私どもは、今回につきましての態度でございますけれども、とにかく早く復旧をしなきゃいけないということで、がんばって今日まで来ておりますし、一週間内におきましてはもう仮堤防ができ上がると思います。それから、それと同時に失われた土地も回復するであろうと考えております。そこまでは河川管理者としてのいま一番の目標でございまして、この一週間内にすべて前の堤防、それから失われた土地をあわせまして復旧するということだけいま考えております。その他いろいろな先生おっしゃるような問題があると考えてはおりますけれども、何しろ非常なわれわれが経験しない大きな降雨でございまして、いま全国のいろいろな、現在もいまなお大分その他に大きな災害が起こっておりますけれども、全国的な立場におきましてこの多摩川という問題をいま考えております次第でございまして、いますぐ河川管理者としてどうかというところまでは実は考えが及んでいないのがほんとうの現在の心境でございます。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 いま、事故のあと整理の段階でございますけれども、万全の対策をしていただきたいと思います。私はきょうこの委員会に臨む前に再度現地へ電話を入れました。ところが、きょうも雨が降っております。これが一時間も降ったならばどうなるだろうか、市役所をはじめ地域住民は大騒ぎの状態です。だから、ほんとうであるならば、この委員会も、まあ河川局長としては、そういう立場で、委員会も大事ですけれども、飛んでいかなくちゃならない、そういう状態になっておりますから、万全の対策をしていただきたいと思います。  次に、がけくずれの対策についてお尋ねしたいと思います。  建設省が四十七年の十一月に発表いたしました実態調査によりますと、がけくずれ危険区域が全国で六万七百五十六カ所にのぼっているわけなんですが、最近のがけくずれの災害という実態を見ますと、このようにがげくずれ危険区域に指定されました約六万カ所でないその他の地域にこういうがけくずれが多発しているという、こういう実情をどのように理解されているのか、まずお尋ねいたします。
  84. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま、がけくずれのことでございますが、確かにことしにおきましても、また従来からも非常に多発しておりまして、建設省におきましては四十四年に急傾斜地の法律ができました。そういうことから順次この指定をふやしてまいったわけでございますが、その中におきまして、まず総点検しようということでいま総点検を非常に詳細に実はやったわけでございますが、残念ながらまだ現在までに指定済みは四千百二十二でございます。したがいまして、年々この指定個所を大いにふやしていこうと思っておるわけでございます。したがいまして、実際の今度の八号の災害を見ましても、この指定外におきましての災害もずいぶん発生しております。そういう点を考えまして、この指定地はいろんな問題がありますけれども、強力にひとつ市町村と相談しながら指定の個所をふやしていきたいと、そういうぐあいに考えております。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 具体的な例を一つあげますと、御承知のとおりに先日の小豆島の事故でございます。小豆島の被災地は国庫補助が出せる危険水準に達していなかったために、がけくずれ対策計画区域から除外されていたわけです。ここに私が申し上げるまでもなく、御承知のとおりの大きな被害が起きたわけなんです。いま四千百二十ニカ所が指定済みであると。このような努力はしていらっしゃるでしょうけれども、危険区域外がこのような大きな事故になったという、これに対しては小豆島の例ですけれども、どうですか。
  86. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 小豆島につきましては、前からがけくずれの多い地域と私ども十分調査の上知っておりまして、相当の面積につきまして小豆島は急傾斜地の崩壊危険地域に指定しておりますが、いま先生のおっしゃるところの場所がよくわかりませんが、橘地区でございましょうか、これはずっと指定いたしまして、相当広範囲に指定をしておりますけれども、指定した後の防止工事が、ずっと続けてまいったわけでございますが、ちょうど終わったところまで助かって、これから指定地域でございますからこれを防止工事をやるということで、ちょうど防止工事のしてない個所で大きな災害を受けたと、そういうことになりまして非常に残念だという気がしておるわけでございます。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 で、これはただ単にがけくずれが天災だけというわけにはいかない面、大きな要因を含んでいると思うんです。その点について私一、二質問をしたいと思いますが、一つはがけくずれの危険区域に指定されますと地価相場が下がる、また今度は観光地などでは観光客を誘致する場合に悪影響をもたらす、そのために指定を敬遠する地域があると、このようにも私は聞いておりますけれども、その点はどうなのか、そういう問題に対してどのように対処をしていくのか、この点お尋ねをいたします。
  88. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 御指摘のような地域住民との問題が確かにございますけれども、急傾斜地の崩壊地域の指定というものは関係町村長の意見を聞くことになっておるわけでございます。したがって私どもは、先ほど総点検の話が出ましたが、この地域に対しては現在まで相当のパンフレットを用意しました。ことしも用意いたしました。それから映画もつくりました。そういうようなチラシもつくっていろいろと皆さん方の同意を得るようなPRをやってきておるわけでございますが、そういうことでだんだん実はふえてきたわけでございますので、ますますこういうような地元との対話といいますか、またその障害になるものの解決のしかた、こういうことを一生懸命に私どもは都道府県を指導してございますし、またみずからこういう現場に出かけて行って講習会を開いたりいろいろしております。したがいまして、今後この指定がますます促進されるようなあらゆる知恵をしぼりまして地方公共団体の指導に当たりたい、そういうぐあいに考えております。
  89. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私からも一言。  かつてあの岐阜県の場所が山くずれによってとうとい人命を多数失ったあのときに、総点検をやりまして六万数カ所の個所があるということが起こりまして、そのことが私頭にこびりついておりまして、大臣に就任しましたときに、それを防止するための行政体制がどうなっているかと思って聞いてみましたところ、砂防部で砂防課と、一部が一課しかないという実情であったわけであります。そこで、これではとにかくもう六万カ所という個所をするためには、部をせっかくつくっても課が一つしかないと、しかも砂防課ということで、急傾斜地帯の六万カ所に取り組む行政的姿勢ができておらぬじゃないかということで、政府としてもそういう山くずれによる人命損傷というようなことを一日も早く防止しなければならぬ立場にある以上、どうしても行政指導の面あるいは予算上の面についても強化しなければならないということで、実は傾斜地保全課というものを今年度から新設をいたしまして、この危険地域の指定等について積極的に取り組むように、また予算も毎年倍額、倍額と実は要求いたしまして、大蔵当局からもこれを認めていただいてきておるという事情にありますこともひとつ田代先生御理解を賜わりまして、今後とも御協力をお願いしたい、御指導をお願いしたいと思うわけであります。
  90. 田代富士男

    田代富士男君 大臣が一生懸命やっていらっしゃることに対しましては理解をしていきたいと思います。  そこで、小豆島の場合、いまも局長からも話がありまして、それぞれの地方自治体と話し合いのもとに進められておりますけれども、最近、無原則と言えばことばの語弊があるかわかりませんけれども、そういうことばで表現されるような観光道路建設というものがされております。小豆島の今回の事故の場合は、この観光道路建設が山津波の、まあ災害原因になったという見方もされておるわけなんです。これは小豆島に限らず、全国、開発されている観光道路行政に対する規制というものを強化していかなくては、第二、第三のこういう小豆島の事故が起きるんじゃないかと思うわけです。特にいま台風シーズンです。こういうがけくずれ対策に対しましては、環境保全という立場から、特に観光道路行政に対する規制を強めていただきたい。特に公明党のことを言っては申しわけありませんが、公明党が発表いたしました環境に対する影響の事前評価による開発事業等の規制に関する法律案、一言で言うならぼ環境アセスメント法の早期制定をはかるべぎではないかと公明党は主張しておりますけれども、このように私は強化をはかっていただきたい。これが第一点です。  第二点の問題は、ただいま大臣が、がけくずれの対策のために勾配を基準とした、一定の勾配の基準におきまして指定地域をきめて対策を講じておりますと、こういう点は私も可といたします。予算も倍額を取りましたということですが、防災の基本は何かということは、私が言うまでもなく人命の尊重じゃないかと思います。それから人命の尊重という立場から、このがけくずれ危険区域の指定基準を再検討すべきじゃないか。現在は勾配の場合は一定の基準の勾配のあれがありますけれども、人命尊重となった場合には、民家が五戸以上ある、そうした場合は指定基準の対象になっておりますが、民家が一戸であった場合には指定基準の対象からはずされております。いま大臣の説明でもこれは入っておりません。その勾配の、この現実のがけくずれが起きるべきそういう勾配にあるところでありますけれども、人命尊重という立場であるならば、五軒の家屋があったから、一軒の家屋があったから、じゃ五軒の人の家族と一軒の人の人間の命というものにそういうような違いがあるであろうかと、私はこういう点におきまして、防災の基本は人命の尊重ということから、そういうような五戸だけだから、一戸だけだからと事務的にこれを片づけずに、こういう点に対する配慮もすべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  91. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 仰せのとおり、人命尊重が防災政策の基本でありますことはもう申すまでもないところでございます。したがいまして、五人という基準を一応設けたわけでありますけれども、この五人を一人に、一戸でも対象にすべきではないかという考え方も一つあるわけでございますけれども、私どもとしては、現在の指定基準は公共性の度合い、それから法の施行能力等を勘案いたしまして五戸以上というふうにいたしておりますので、当面この基準を中心としてやっていかざるを得ないというのが実情でございます。今後、とにかく六万数カ所に対して指定したのが、わずか一割にも満たない四千地域ということでございまして、それに一戸以上ということになりますと、これまた実際にやりましても事実上の効果を期待し得ないというおそれも、実は心配も出てくるわけでございまして、私としては、とにもかくにもこの六万数カ所に対しての見通しをつけた上でやはり考えていかなければならぬ問題であると、こう考えておるわけであります。
  92. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣自身がおっしゃるとおりに、基準に合った範囲内でやっていても遅々として進まないような状態であるけれども、これが一戸以上となるとたいへんだと、それはわかりますけれども、大臣あるいは建設省の姿勢として、これに取っ組んでいくべきじゃないかと思います。  そこで、いま多摩川河川の問題も申し上げましたけれども、台風シーズンでありますし御苦労していらっしゃることも私は理解いたしますけれども、この際、人命尊重という立場から、河川も総点検をやっていただくと同時に、このがけくずれの対策に対する危険区域の総点検も早急にやっていただいたらどうだろうかと、私はこの点を再度大臣に述べたいと思いますが、これが第一点。  それから第二点ですが、いまさっき大臣が予算のことをお触れになりまして、倍額をということでございますが、私もそのことについて実は質問しようと思っておりましたが、四十九年度のがけくずれ防止工事の事業費が七十三億五千八百万円、そのうち国費は三十七億円でありますが、これだけの予算では五百六十五カ所、これだけしか工事ができないわけなんです。そうしますと、全国のがけくずれ危険区域は六千七百五十六カ所の一%弱なんです。この五百六十五カ所の内容を調べましても、継続的にやられるのが三百十五、新しくやられるのは二百五十と、こういうような事業です。しかも受益者負担がおもに地元の意欲をはばんでいるというのが実情じゃないかと思うんです。こういう意味から、これらの事業に対する国庫補助を大幅に拡充すべきじゃないか。五十年度の概算要求によりますと、事業費が百四十七億五千六百万円、国費は大臣がいま話されましたように七十四億円ということでございますけれども、全国の危険区域の一%に満たないです。それ以外にもやるべきことはあるでしょうけれども、私はこれに対してはもっとこれを大幅に人命尊重という点からやっていただきたい。第二点。  時間がありませんからまとめて質問いたしますと、いま申し上げますとおりに、受益者負担という場合、地元の負担というもので地元の意欲をはばんでいるということですが、そういうわけで自主財源の乏しい地方公共団体自身に、自然環境の破壊や災害危険度の増大を承知の上で観光開発に依存せざるを得ないことも、いまさっきもちょっと聞きましたけれども、そういうわけで再度地方公共団体に対する対策をどう考えていくべきか、並びに地方公共団体としてどうお考えになっているのか。  この三点ですね。まとめてひとつ建設省――自治省見えていますですか、その点ひとつお願いいたします。
  93. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) まず、第一番目の総点検のことでございますが、先般行ないました総点検と、今回、いろいろことし起こりましたがけくずれの実態をあわせてみましたところ、たとえば静岡県においてはミカン畑だとか、いわゆるたんぼになっておるようなところが、指定されてない危険地域でないところから起こった事例もございますので、そういう点に焦点を合わせまして再度補足点検をやりたいと思っておるわけでございます。これはすでに指示しておるわけでございます。  それから二番目の予算のことでございますが、大臣から申し上げましたとおり、この急傾斜地の問題は、河川局内におきましても、省におきましても倍、倍と伸ばしてきたわけでございます。確かに全体からいきますと非常にわずかなパーセントでございますが、公共事業の伸びということからいえぱ、来年も二倍要求しておるわけでございまして、最重点中の重点、これは人命尊重に直ちにつながるということから一番最優先に私ども考えております。また、これがもちろん足りるとは思っておりませんので、その間におきましてはやはり広報周知したいまして、避難体制その他あらゆる方策で、こういうものの人命保護の立場から総合策で当分は持っていかざるを得ないのではなかろうか、そういう考えでおります。  それから三番目の受益者負担でございますけれども、これについてはすでに昭和四十八年におきまして軽減を行ないました。また、先般の伊豆半島沖の地震にかかわります緊急急傾斜地の崩壊対策事業につきましては、さらにこれを軽減いたしました。今後の方針でございますけれども、本年度は特にこういうがけくずれが多い観点から、この災害の実態をさらに調査いたしまして、受益者負担金を軽減の方向にただいま関係当局ともお話しいたしまして検討を現在進めておる次第でございます。
  94. 小林悦夫

    説明員(小林悦夫君) 財政力の脆弱な市町村に対する一般財源の強化につきましては、自治省といたしましては、従来から地方交付税がそういう市町村に有利になるような傾斜配分とか、それから過疎債、辺地債、こういうものによりまして財政力を強化するように努力しているところでございまして、今後ともそのような努力を重ねてまいりたいと思っております。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、次に質問を進めます。  次は、伊勢湾の防災対策、それから東京都を中心といたしました震災対策について行ないます。  建設省中部地方建設局の伊勢湾防潮堤調査によりますと、伊勢湾沿岸の愛知県や三重県では地下水のくみ上げによる地盤沈下が著しく、防潮堤がすでに二メーター近くも沈下している個所がある、このように指摘されておりますけれども、その実態について、まず簡単に御説明願いたいと思います。
  96. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 御指摘のとおりでございます。建設省所管の海岸の堤防につきましては、昭和三十六年以降の十三年間におきまして一メートルないし一メートル九十程度沈下いたしております。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 時間の都合がありますから、まとめて質問いたしますから御了解願いたいと思います、時間がありませんから。  昭和三十四年の九月二十六日の伊勢湾台風では、高潮が平均四メーターから五メーターありましたけれども、防潮堤を破りまして、御承知のとおりに一瞬にして濃尾平野を水びたしにいたしまして五千名に及ぶ死傷者、行くえ不明を出した事実がございます。そういう災害から、建設、大蔵、運輸、農林各省が中心になりまして、高潮対策協議会を設置されまして、国と地元の協力のもとに総事業費八百三十億円で、総延長六百七十九キロメートルに及ぶ高さ六メートルないし七メートルの防潮堤が建設されたわけなんです。これで高潮対策は磐石であると国もあるいは地元も自負していたわけなんですが、すでに、いま局長が説明されましたとおりに、防潮堤がニメートル近く沈下してると。この点につきまして、これだけ磐石であるといわれた点と、すでにもうこのような事態が起きてるという点をどのように見られるのか。これが第一点。  第二点は、地下水の過度のくみ上げによりまして広い地域にわたって地盤沈下現象が生じているのが現在であります。三十四年の伊勢湾台風クラスの高潮に襲われるといたしましたならばどのくらいの被害が予想されるか。伊勢湾台風のとき以上の惨事になることは間違いありません。今回の多摩川の事故も絶対あり得ないと、このように三年前に東京都におきましても発表された直後にこういうことが起きてる。そうしますと、地盤沈下の現象が起きてる、これに対しましてどう対処していくのか。第二点。  第三点は、第二点と同じようなことになりますけれども、台風が多発しておりますけれども、ことしは襲われないという保証は全くありませんけれども、どういう対策をことし立てられておるのか。  この三点につきましてお願いをいたします。
  98. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) お答えします。  第一問でございます。確かにおっしゃいますように、せっかくつくり上げました防潮堤が沈下しておりますので、したがって沈下しますと越波するということが起こるわけでございます。それで越波いたしました合場に最もこれを早く押えるのはどうかということで、堤防の裏までずっと張ってきたわけです、のり面を被覆体で全部おおっちゃうというようなことをやりまして、それをやりますと決壊のおそれはなかろうと、そういうようないま観点に立っておるわけでございます。まあ絶対に安心というわけにいきませんけれども、決壊は防ごうと。しかし、越波はやむを得ない場合が――大きな波が来ますと越波はあり得るかもしれませんが、決壊はないように完全にいま被覆しておるわけでございます。また、河川堤防のほうにおきましても、ちょうど河川も、海岸も、この接触部分あたりがやはりそういうところがございますので、堤防の前面に押えを置きましてそのエネルギーを消波していくといいますか、前面の小段を現在施工しておりまして、これらいずれも今後五カ年間に全部概成するということで計画を立てながらいま進捗さしておるわけでございます。  それから二番目の地下水問題でございますが、御承知のとおり地下水問題は非常にたいへんな問題でございまして、建設省におきましては対策工事といたしましていろいろ対策をしておるわけでございます。河川によります高潮対策事業だとか地盤沈下事業というものを対処して今日まで来ておるわけでございます。もちろん高潮といいますと内水排除の問題が非常にたいへんでございますので、ポンプをつけまして排水をするというようなこともやっておるわけでございます。しかしながら、これだけではなかなか防ぎ切れないというような感じがしております。今日まで建設省におきましても過去から千二億ぐらいの地盤対策費といいますか、こういう沈下のために金を使ってきたわけでございます。今後多額な金が要りますけれども、やはり根本的には地下水の規制問題が必要であろう、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  それから本年度はどうかということでございますが、昭和四十九年におきましては、いわゆるゼロメートル地帯ということで約百七憶の事業費を投下いたしまして、これに対処しておる次第でございます。  以上でございます。
  99. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 御指摘のとおり、濃尾平野を中心にいたしましてかなり広範囲にわたって地盤沈下現象が起きてることは事実でございます。で、その原因といたしまして私ども考えておりますのは、これも御指摘のとおり地下水の過剰なくみ上げということでございまして、濃尾平野全域で見ますと大体七割が工業用水と建築物のための地下水くみ上げということになっておりますし、名古屋市だけをとってみますれば、工業用水が約七割、それからビル用水が約三割ということで、この二つで一〇〇%を占めてる、こういう状態でございますので、こういう工業用水及びビル用水による地下水の過剰なくみ上げが、やはり地盤沈下対策としてはこれをどうするかということが一番きめ手の問題ではないかと、こう思っております。  現行法といたしましては工業用水法とそれからビル用水法がございまして、それぞれ地下水のくみ上げについて規制をしております。その仕組みといたしましては、対策地域を指定して、そこで新規の地下水の井戸によるくみ上げを規制するということをとっておるわけでございますが、この、地域につきましては名古屋市、四日市、それぞれ工業用水法による指定地域を指定しております。なおビル用水法につきましても最近名古屋市のほうからいろいろ御要望がございますので、この指定をするべくいま相談中でございます。そのほか工業用水法、それからビル用水法だけでは不備な点もございますのでいろいろ法の立法化ということも検討中でございますが、当面は愛知県あるいは名古屋市の公害防止条例ということで不備を補って新規の地下水のくみ上げの規制強化ということを進めてまいりたい、かように思ってるわけでございます。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 いま河川局長の伊勢湾を中心としたことに対するお考え聞きましたが、私が住んでるのは大阪ですけれども、私が伊勢湾の近くに住んでいたならばおそらく、いまの河川局長の話を聞いたならば、ことしの秋もまた第二の惨事が起きるんじゃないかという心配がしてならないんです、いまのお話でしたら。そういうあれだったらちょっと心配でしようがないです。だから建設大臣、まあ一緒に聞いていただいたんですけれども、いまのような対策では、またいまのような考え方では、これは私たいへんなことになると思うんです。ここでは簡単に質疑応答しておりますけれども、現実にはおそらく、いま台風がまた再び北上しておりますけれども、どこを襲うかわかりませんけれども、やっぱりなったかという事態があらわれるんじゃないと思うんですが、この点に対しまして、大臣、どうでしょうか、この点がまず第一点。大臣にこれをお尋ねします。  それと、いま環境庁からもお話がありましたが、環境庁の発表によりますと、いままでの累積沈下量、これが東京では四メートル五十二、兵庫では二メートル七十六、大阪では二メートル五十九、新潟では二メートル五十五、このような状態になっております。で、いまも話がありましたとおりに大都市では工業用水法またビル用水法によりまして部分的に地下水のくみ上げは規制されておりますけれども、地方都市におきましてはこれらの法律が適用されずに野放し状態になっております。そういう意味からこの地方都市――三十一都道府県におきましては四十六カ所にわたる地域が地盤沈下現象が起きております。このように地盤沈下が首都圏や近畿圏などでは現在起きておるわけなんですが、広域にわたってゼロメートル地帯があるわけなんです。だから、堤防をはじめガス管や水道管などの改修工事費用も増加しております、地盤沈下のために。  たとえば東京に例をとって申し上げますと、三十六年から四十五の十年間にわたりまして東京都が工事を――ガス管あるいは水道管などの公共部門の負担額だけでも七百四十億円を出しております。また、東京湾におきましては、満潮時に伊勢湾台風クラスの高潮に襲われたといたしますと、ゼロメートル地帯の被害というものはこれはたいへんなものになります。こういうようなことから、地域を災害から守るために私は多摩川のことを第一に取り上げて、いま台風シーズンでありますし、がけくずれの問題を取り上げると同時に、この護岸工事を強化しなくちゃならぬと、このように強く主張したい。それに対しては、大臣、いま申し上げましたとおりに、河川局長の話を聞いていたならば、伊勢湾に私住んでいたならば、おそらく適当なところがあるならば逃げ出したいような気持ちなんですけれども、この二つの点についていかがでございましょうか。
  101. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 名古屋周辺における地盤沈下に対する防潮堤の強化、地盤沈下による堤防が、ところによっては一メートル、ニメートル近くも沈下をしておるということに対しましては、私どももいたく実は心配をいたしておるわけでございます。とりあえず緊急の措置として、先ほど局長から答弁申し上げましたように、多少波が堤防を越しても堤防そのものが決壊をしないというところに重点を置いて実はいま強化をはかっておることは先ほど局長の答弁申し上げたとおりであります。したがいまして、私どもとしては、基本的に地盤沈下をとめるという方策にもっと力をいたすべきではないかということで、先ほど来申し上げてきておりますとおり、地盤沈下のいま部分的には規制の法律があるわけでございますけれども、これをさらに強化した地下水保全の規制の法律というものを制定をしていかなければならぬと思いまするし、また現行法においても、江東地区、新潟、尼崎地区等におきましては、現行法で地下水のくみ上げ規制を行ないまして以来、その地盤沈下の速度が鈍化をしておるという地域も現に実はあるわけでございますので、そういう点については現行法の中においてももっときびしく地下水のくみ上げの制限ができないのかどうか、環境庁、通産省等にもひとつお願いをしていきたいと、こう思っておる次第でございます。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、これは建設省国土庁の考え方の違いがありますから、私の意見も入れて質問したいと思いますが、建設省は五十年度を初年度といたします海岸事業五カ年計画をスタートさせるために概算要求をしているようでありますけれども、新しくできました国土庁では、このような長期計画というものはすべて五十一年度を初年度として実際にスタートさせるという意向でありますけれども、この点にちょっと食い違いがあるように私は――私の考えでありますが、この点どうであるか。そこで、国土保全の確保、国土防災という観点からは、これはいまもるる質疑の中に出ておりますけれども、早急にこれをやらなくちゃならない。多少いろいろのことはあるけれども、五十年度よりスタートをして万全を期すべきではないかという、この点がまず一点でございます。これは建設省国土庁両方から聞きたいと思います。  第二番目には、いま大臣もお話ししていらっしゃいましたけれども、大都市部のみならず地方都市を含めて全国的規模で進行しております地盤沈下現象を防止するために、たとえば大都市の場合は、現行の工業用水法あるいはビル用水法のように大都市の指定地域のみ地下水のくみ上げ規制という方法がとられております。言うなれば個別法でありますけれども、この際国土保全という考えから、国土全域を対象といたしまして地盤沈下防止法の早期制定をはかるべきであると、このように思いますけれども、この点についてもお考えをお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  103. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 午前中にもその質問が出ましたので私ちょっと申し述べたんですが、とにかくいままでは通産省とそれから建設省は地下水のくみ上げの法律をつくってやっておったんですが、やはり法律もずいぶん前の法律でございまして、なかなか都市化も全国に進みますし、そういうような方法ではやはりいまのような現象が進むと思いますので、実は国土庁も水資源局というのがございまして、水資源局を督促しまして水全体につきまして少し再検討をしてみたいと思っておるわけでございます。したがいまして、そう私は申しましたら、そんなにのんきなことを言っておってはしようがないじゃないかということもありましたが、まあ全般的なことは――その禁止することは簡単でございますが、禁止してあとの始末をしなけりゃなりませんから、やっぱり急ぐものと急がないものを区別してやらなければならぬと思っております。したがって、私の私見でございまするが、これはやはり学識経験者等も集めまして、相当にやっぱり総体的に総合的に研究してみたい、また急ぐところは急ぐような措置を講じたいと。とにかく通産省と建設省、厚生省、国土庁、やはり呼びまして、私の役所としましてはそういうことを調節する役目を持っておりますので、ひとつぜひともこの問題は取り上げたい、国土庁としても取り上げたいと、かように思っておるような次第でございます。
  104. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 海岸整備五カ年計画につきましては、実は来年度の予算要求をいたします際には、従来、きょうも御審議いただきましたような緊急なる情勢にありますとともに、四十九年度で第一次の海岸保全整備計画が一応終了することになるわけでございますので、五十一年からスタートということになりますと、そこに一年間のブランクができるわけでございます。一面においてこういう緊急な情勢もあります際でございますから、農林、運輸、建設三省よく話し合いをいたしまして、環境庁並びに国土庁のほうとも十分なる連絡をとりまして、とにかく国土庁が諸計画のスタートの線を一応五十一年度に調整をするという理由等も私ども十分うなずける点も実はあるわけでございます。したがいまして、その辺の緊急を要する問題等についての調整のしかたということもいろいろ知恵を出せるのではないかという感じもいたすわけでございますので、私どもの立場も十分国土庁に御理解をいただいて、この計画の問題のために肝心の海岸堤防とか海岸保全とかという問題が時日を失することのないように、時期を失することのないようにしていきたいと、こう考えておる次第でございます。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 次に震災対策についてお尋ねをしたいと思います。 さきに行管から発表されました大都市における震災対策に対する勧告に関してでございますが、まず第一に防災拠点の再開発事業についてでありますが、勧告によりますと、防災拠点再開発事業が思うように進展をしていない。その原因といたしまして、第一番目に、都市再開発法に定める土地所有権、また借地権等を等価で新しい建築物に権利変換する場合は、これにより取得される住居のスペースに相当の減少が見積られる場合がある。こういう点が一つあげられております。第二番目には、借家人についてもあるいは新設の住居に入居する場合は家賃負担が大幅に増加すると予想される、こういう点が指摘されております。三番目には、中小の商工業者が多く、その多くはその地域内に主たる取引先を持っているところから、工場団地等に入居困難な業種の場合、まあ生活権の問題ですね。こういうことがいわれておりますけれども、建設省はこれらの問題に対してどのようにこの震災対策という上から対策を講じようとされているのか。簡単でけっこうです。時間がもう超過しておりますから簡単にお願いいたします。
  106. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 御指摘のとおり、防災拠点の再開発事業というのは現在東京都の江東地区計画中でございますが、防災拠点の必要上相当の数十ヘクタールという大規模なものになります。関係権利者も非常に多いものですから懸命に地元との折衝を重ねておるわけですけれども、ついおくれがちになるということでございます。中でもその話が長引く主要な原因として幾つかの点がございまして、御指摘のとおりでございます。まあこれらの点につきましては、基本的には等価で交換するというシステムはこれはあらゆる公共事業に共通した問題でありまして、そのたてまえは変えられませんが、同じく等価と言いましても、従来の道路整備特別会計からの補助に加えまして一般会計からもいろいろな関連費用を大幅に助成する、都においてもその裏負担を持ってそういう公費で再開発事業をやる。事業費がふえれば私費、つまりこの再開発事業として等価に組み入れる原価はそれだけ安くなりまして、実際には多額にかかりましても、その分を差し引けば等価イコール等面積になれる。こういうことを私ども考えておりまして、過去二年にわたりそういう一般会計の新しい補助を実現してまいりました。 まだ事業にかかっておりませんからその金額はわずかでございますが、本格的事業にかかれば十分等価を原則としながら等面積が確保できる。これは標準的な話ですけれども、そういうシステムを考えております。そうなれば借家人が移られた場合にも、家主のほうが等価等床ということでいきますから、不当に家賃がつり上がるということにもなるまい。なおその場合にも、もとの家主のところに一緒に行きたくないという方もおられるでしょうから、そういう場合のために本年度から再開発住宅という新しい一種の公営住宅ですが、収入制限のない国庫補助のついた公的賃貸住宅の制度もつくりまして、そこへ入居していただければ国庫補助がついているという関係で公営住宅並みの家賃で入居できるというふうになります。その他商工業者等の生活再建も非常に重要なことでありまして、中小企業振興事業団とか金融公庫、国民金融公庫、商工中金等、もうあらゆる融資機関を動員し、極力低利の有利な資金をあっせんするというようなことで対処してまいりたいと思います。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 次に、防災地区の指定の問題でありますが、現在東京を例にとりますと、木造建築物が面積率で八一・五%というように見られておりますけれども、防災地区制度もありまして、そのように指定されたところにおきましては建物は耐火建築物または簡易耐火建築物にすることが義務づけられておりますが、問題はこれは商業地区が中心になっておりますが、住居地域についての問題なんです。いまも局長が話された中にもそのことの意味するようなことが説明されておりますが、地域住民の経済的負担の増大を危惧してこれから除外されてあるわけなんです。ところが、大都市において震災が起きた場合、家屋が倒壊するだけでなくして、それによって二次災害、要するに出火が起きた場合の被災というものがおそろしいわけなんです。このような実態に対していかに指導し、いかに対策を講じられるのか。これが第一点です。 第二点は、各都市ともそういう震災が起きた場合には避難場所の多くは公園になっております。これは都市公園法施行令でもきめられておりますけれども、そのような公園に今度は避難場所でなくして、備蓄倉庫あるいは消火器材置き場所の設置が、占用許可の対象ということがこれに、施行令でされておりませんけれども、これも災害対策という立場から同施行令を改正すべきではないか、そして災害に対する、震災に対する対策を講ずべきじゃないか。これが第二点。 第三番目には、公園以外のたとえば民有地で、こういうまあ東京の場合は避難場所に指定されているところが百二十数カ所ありますが、この地主の人がそこヘアパートを建てるんだといった場合にはこれはとめるわけにはいきません。そういうわけで避難場所がだんだんと少なくなっているというこの実情に対して、今後どう対処していかれるのか。これが第三点。 まとめて聞きますが、第四点は、震災対策ということは広範にわたります。ほとんどの省庁に関係するんじゃないかと思いますから、ここで大事なことは各省庁間の総合調整じゃないかと思います。それと同時に施策推進機能が重要になってまいります。従来はそういうどこで見るかということがまとまらない場合には総理府で大体見られるようになっておりましたが、いままでは災害が起きた場合の応急対策、事務措置等に追われまして抜本的な対策というものがなされておりません。ところが、幸いにも今回は国土庁が設置されまして、こういうような問題に対しましても効果的に合理的に推進するために国土庁が中心となりましてこれを運営すべきではないかと、このように考えるわけなんですが、この四点につきまして、まとめた質問でありますが、よろしくお願いをいたします。
  108. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 第一点の防火地域を住居地域にも思い切って指定すべきではないかということでございます。確かに震災の最大の被害は火災という二次災害によって起こるとされておりまして、そのためには理想的に町じゅうをすべて耐火建築物でおおうということが長期的には必要なわけでございますが、一方では防火地域の建築規制が非常にきびしゅうございまして一言で言えばちょっとした規模のものはすべて耐火建築でなければならない、その他でも簡易耐火建築物でなければならないという点が非常にきびしくて、従来その防火地域の指定が思うように広がらなかったということでございます。それでも東京都の例をとって言えば、昨年末までに新用途地域に切りかえられましたが、その際従来の防火地域三%を一四%に引き上げ、その他準防火地域も広げております。したがいまして、私どもは、理想的には住居地域も防火地域でおおうということが望ましいんでございますが、実際のそこに住んでおられる方との当面の準備を調整して考えますと、やはり住居地域は少なくとも準防火地域には指定する、これでも構造の非常に大きなものは耐火構造、中ぐらいのものは簡易耐火構造、それからいかなるものでも、木造であっても、外壁、軒裏等は防火構造にしなければならぬということになりますから、かなりの防火効果はあるわけでございます。もちろん住居地域でも今後避難路の周辺であるとか特に重要な場所につきましては、延焼防止上も必要でありますから、思い切って住民の方に所要の対応策を融資その他で講じつつ無理のないような形で防火地域の指定も考慮いたしたい。 次に、避難場所に指定されている公園につきまして、一律に都市公園法施行令で備蓄倉庫とか消火施設の占用の許可はできないという点は問題ではないかという御指摘でございました。確かにおっしゃるとおりでございます。従来は公園が公園としての利用に妨げになってはいけないということに頭がいっておりましたあまり、いかなるものといえどもなるべく押えたいという頭が働いておりまして、今後も公園一般について言えばそういう原則は守られるべきで、いたずらに他の施設によって占用されて公園の利用が阻害されるということは好ましくないと思いますが、特に避難場所に指定されたような公園は、公園自体防災拠点という意味もあるわけでございますので、今後早急にそういう方向で検討いたしたいと思います。 なお、民有地についても避難場所を相当指定されているのでありますが、これらは確かに私権との関係で無理に、そのままでは避難場所として法律的に確保できるわけではありません。したがって、今後防災拠点再開発事業とかそこまでいかないでも、相当広域の防災上危険のないような広さを持った公園というものを大都市では特に大幅に確保いたしまして、避難上使える公園というものの整備を用地取得とともにはかっていくということにいたしたいと思います。
  109. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 国土庁ができたのだからそれを中心にひとつやったらどうかというお話でございますが、実は総理府から中央防災会議を国土庁は引き継いだわけでございます。九月一日がちょうど防災の日でございまして国土庁が防災の訓練をやりましたんですが、大正十二年??一九二三年ですからいまから五十一年前ですが、関東大震災は私は少しは知っておるわけですが、五十一年前ですから、知っておると言えばたいへんなことになるわけですが、関係の省が十三省庁、政府機関が二つありまして、たいへんな組織でもって防がなければ絶対にできないのでございます。しかし、たいへんおくれておることも指摘のとおりでございますが、やはり三つほど分けて申しますと、地震予知ができないかどうかという、これが第一番でございます。第二番には都市の防災化、いまいろいろ問題がございました建築物の不燃化とかその他の問題です。第三番には防災体制、これは体制のほうは、これは防災の日に年々歳々やることになっておりまして、今度も各省十三庁集まりましてたいへん熱心にやっていただきましたが、そういうふうに今後非常に詰めていかなければならぬと思っています。 私、引き継ぎましてから、分科会がたくさんありまして、十三の分科会がなかなかまとまりがつかないということで、今度分科会の数を減しまして六つの分科会にいたしました。御参考のためにその分科会を申し上げます。その分科会をやはりたびたび開いてこの体制を強化しなければならぬと思っておる次第でございます。第一の分科会は都市の防災化、第二の分科会は防災体制の確立、第三の分科会は避難誘導対策、第四の分科会は救護対策、第五の分科会は情報の収集伝達、第六は地震予知の研究、この六つの分科会で今後は各省連絡をとり、ものによってはやはりそれ相当な知識の方をお招きして詰めていきたいと思います。一言で言ってもたいへんむずかしいので、おくれておることは確かでございますので、全力をあげて国土庁としては取り組むつもりでございますから、よろしく御指導をお願いします。
  110. 田代富士男

    田代富士男君 時間が来ましたから、最後に国土庁にまとめて質問いたしますけれども、よろしくお願いします。 第一番目には、通常国会におきまして国土利用計画法が通りました。それでこれの運用の面でありますけれども、この要員確保の問題でございます。東京で例をとりますと、一日平均四百件あったとした場合に、一年間で十二万五千件の取引が行われるわけなんです。事務処理だけで千七百人の職員の確保が必要である。この運用を円滑にするための要員確保をどうするかという問題が一つです。 第二番目には、この要員確保のことにつきまして、五十年度の概算要求で国土庁は概算要求を出していらっしゃいますけれども、一県平均十七人の全国で八百人。ところが、この人件費補助の積算根拠が疑問であるということが全国の知事会議で問題になっている。これに対する国土庁長官の見解をお聞きしたい。第二番。 それから三番目ですが、これは今回の国土利用計画法の中にもうたわれておりましたけれども、三割自治といわれる財源の乏しい地方自治体におきます、公営住宅や公園あるいは福祉施設などの公用地としての遊休土地の買い上げや買い取り請求に対する問題がこれは非常に大きな問題になると思うんです。これの予算は、概算要求が、内容は別にいたしまして約八百億円が見積もられておりますけれども、一県に直しますと十七億円ぐらいである。そうしますと、これは億単位の土地取引が行なわれておりまして、総需要抑制策で地方自治体の資金余力もない現状で、地方債の拡充や、さらに財政投融資と起債による特別基金制度の創設をはかるべきではないかというこの問題点でございます。これが三番目でございます。 それから四番目には、従来のように地方債の起債に関する行政手続は一年もかかるといわれた、そうすると国土利用計画法を厳格に運用する場合に半減されてしまうが、これに対してどうやるか。 それから次に、国土利用計画法は厳正な運用で地価の七〇から八〇%に凍結する、そうした場合に二重価格などでやみ取引が横行されるんじゃないかという心配がある、そういう点から質と量の両面にわたる充実が必要じゃないか。悪徳不動産業者と互角に渡り合える土地調査員の能力が必要である。その問題点と、量の面では土地調査員の確保が必要であるという問題点。 それから最後に、地価の抑制で土地によるもうけの少なくなった分を建物でカバーしようとした場合に、国民マイホームの夢はますます暗くなってしまう、こういうことをさしてはならぬと思うんです。 時間がありませんから、まとめた質問でありますけれども、まとめてひとつお願いをいたします。
  111. 河野正三

    説明員(河野正三君) まとめて御質問でございますので、まとめまして要点のみをお答え申し上げたいと思います。
  112. 田代富士男

    田代富士男君 一つ一つのポイントだけは言ってくださいよ。
  113. 河野正三

    説明員(河野正三君) 第一の要員確保の問題が国土法の施行にあたりましてかなめであることは御指摘のとおりでございます。全国知事会におきましても、この点の御指摘が七月三十日にたいへん強調されたのでございます。国土庁といたしましても、本年度は人件費補助を一切考えておりませんでしたが、昭和五十年度におきましては、この人件費に対する確保措置を国としてもある程度の覚悟をもって講じませんと円滑な法施行ができないということを考えまして、ある程度の、人件費に対する三分の二の補助率の概算要求をしたわけでございます。  さてしからば、その人件費算定の根拠が標準団体で十七名ということであるが、はなはだ不明確であるという御指摘でございます。何しろこの国土法の施行は新しい事柄でございます。したがいまして、全国にわたります届け出事務等につきましては、おっしゃるとおり取引予定件数等を過去の実績から算出いたしまして必要人員を算定したのでございますが、規制区域の指定、いわゆる許可制をしくべき地域の指定等につきましては、施行の段階になりませんというと、どういう形になるかはなはだ不明確な点がまだ残っているのでございます。御承知のように今回の法律は各都道府県に非常に自主的な権限を与えたものでございます。国といたしましても調整をとるという意味合いからある程度指導はさせていただく予定をいたしておりますが、経済社会情勢を反映いたしまして、取引が今後どうなるか、地価の趨勢がどうなるか等のこともこれあり、明年度ふたをあけてみませんというとなかなか明確になり切れない点がございます。このことは後の買い取り資金、第三番目の問題にも共通するわけでございますが、現実に来年度の地価情勢がある程度明確になり、都道府県のこれに対処する体制というものが明らかになりました場合には、必要な人件費あるいは必要な買い取り資金につきましては特段の、別途の措置も場合によっては必要ではなかろうか。具体的に言えば予備費等のことも考えねばなるまいというふうに考えているわけでございまして、当初の概算要求といたしましては、その辺、まあこの辺ならばある程度中庸を得た見通しではなかろうかというような腰だめの点がございます。その点はしかし運用におきまして、ただいま申し上げたような態度で対処をいたす所存でございます。 なお、買い取り資金の八百億円に対しまして、基金、財投、あるいは起債等をくるめました特段の基金制度というものを創設したらどうかという御提案があったのでございます。これもまたいま申し上げましたような趣旨で、どのぐらいの基金が現実の運用面において必要になるかということにつきましてなかなか的確な積算ができません。そこで、ある程度の積算をいたしまして、お話にございます八百億円の要求をいたしましたが、これは四兆四千億円にのぼる地方債計画の中の、公共用地先行取得等事業債という七千億円の中の特別ワクとして設定されたものでございまして、この七千億円の大きなワクの中で、場合によっては八百億円で足りない部分は他のものからの流用によってという意味合いでございますが、大きなワクの中での弾力的対応のほうが特段に小ちんまりとした基金をつくるよりは現在の状況下におきましては適当であろうという考え方に基づきまして、基金制度をあえて本年度は要求をいたしませんでした。また、この点は、将来あるいは先生のおっしゃるような点が、必要が出れば検討をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。なお、起債手続の迅速化、これは当然努力を払います。 さらに、二重価格、やみ値等の発生しないように土地調査員の充実が必要だが、質量両面におたる適切な人材の確保が必要であるという趣旨の御要請でございます。私どももそう考えておりまして、この点、今後の指導、並びに選任されました土地調査員に対します研修制度等の充実をはかってまいりたいというふうに考えているような次第でございます。
  114. 田代富士男

    田代富士男君 最後にもう一点…。
  115. 河野正三

    説明員(河野正三君) 土地調査員につきましては…。
  116. 田代富士男

    田代富士男君 そのあとの、家屋に値段がかさむ…。
  117. 河野正三

    説明員(河野正三君) この家屋と上物つきの土地の取引の場合でございます。これにつきましては、上物部分の価格と土地の部分の価格等を分けて届け出をさせ、あるいは許可申請をさせるという手続を考えたいと考えております。そういう形をとりました上で、上物の建物の償却年数に応じます適正な価格というものにつきましては、国土庁のほうからも技術的な指導要綱的なものを、指導基準的なものを各県にもこれは配る予定をいたしておりますが、これに基づきまして、各県知事が査定をいたしまして、その査定額と現実の届け出申請額との相違がある場合には現地に即して調査をするという形をもちまして、底地部分が適正な価格で申告されるようにさせたいというふうに考えているような次第でございます。
  118. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は多摩川の堤防決壊の問題について質問したいと思います。 先ほど国土庁長官が言われたように、九月一日の防災の日にたいへんな災害が起きたわけですけれども、何よりもこれが一級河川で起きた災害だということが非常に大事だと思います。災害対策特別委員会でも、中小河川にはまだまだ問題があるけれども、一級河川は大体万全だという答弁を政府側は何回もされたばかりで、その直後に一級河川多摩川災害が起きた。特に大都市での災害であります。狛江市の災害、最もひどかったわけですけれども、狛江市だけではございません。今度二十四の支川にわたって百五十カ所近い護岸崩壊その他が起きております。八王子市などでは一番ひどくて百カ所も今度災害が起きている。そのほか道路も五十数カ所破れておりますし、公園をはじめ九つの緑地にも被害が及んでいるということで、今度多摩川災害というのは相当大きな被害である。中でも、皆さんよく御存じのこの狛江市の猪方地区では堤防が二百メートル近く決壊して、流失家屋十九戸、被災世帯二十八世帯という被害が出たわけであります。 この方たちの実情を聞きますと、九月一日の午後六時半に避難命令がいきなり出たと、どうも水が出るようだというので床上浸水ぐらいにはなるんじゃないかというので、とりあえず荷物を二階に上げたりして、実印その他身の回りの物を持って、子供たちはトランジスタラジオなんかを持って避難したわけですね。そのうち数日たって水が引けば家へ戻れると思って避難された、これは当然のことであります。ところが、九月二日の午前零時四十五分に尾崎さんという方のお宅が最初に流失して、それから三日の朝までに何と十九戸流失した。その間非常線がありましたのでほとんど家財道具も運び出せないということで、生活のすべてが流されてしまったという事態になったわけであります。中には金で買えないもの、日記だとかアルバムだとか貴重な文献など、たくさんのものを皆さんがなくされたという事態が起きました。今度の一級河川である多摩川災害は、やっぱり乱開発との関係がありますし、高度成長にも関係がある。河川行政にも関係がある。非常に大きな問題で重要な教訓を引き出す必要があると思います。その点で私は災害原因の問題について、それから堤防決壊の始まったときの対策の問題、最後に被災者に対する救済補償、この三つの問題について質問さしていただきたいと思います。 第一は原因の追及であります。これは狛江の臨時市議会が九月七日から開かれておりますけれども、ここでも原因追及の特別委員会設置がきまりました。十一日には大体全員一致で、今度の直接の原因は川崎市が建設した宿河原の堰堤によって水の流れが防げられたためであると。この責任河川を管理している国にあることは明白だという意見書を決議する予定だということが報道されております。それからまた被災者方々がつくられている会は、多摩川決壊を国及び地方自治体が責任を負うべき災害だと思うという見解をすでに発表されております。これだけ大きな問題で、原因がどこにあるのか、国の貴任がどれだけあるのかということは、もうすでにこういうふうに公的に問題になっておりますので、国会、特に建設委員会としてもこの問題を追及する必要があると。先ほど委員長言われたように九月三十日には調査建設委員会としてもいたしますし、建設省でも調査に入っているか、これからおやりになるか、やることになっているわけであります。 それで、まずこういう重要な問題なので、これはあいまいな答えを出しておくことは許されないということを全員で確認した上で、ひとつ建設大臣に今度の災害の起きた、特に狛江市のあの堤防決壊が起きた原因と、それに対する建設省の貴任について御見解を承りたいと思います。
  119. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 狛江市の多摩川堤防決壊につきましての原因につきましては、実は関係者の関東地建が一日から不眠不休で、現在も再度の災害を未然に防止するということで、実は原状回復というとりあえずの工事を完成させるために地建局長以下全力をあげてきたわけでございます。幸い、不幸中の幸いでありますが、仮締め切りも一日予定よりも早く実は締め切ることができたわけでございます。したがいまして、現在も不眠不休で川の中からの堤防用の土砂を搬出入いたしまして、そしてとりあえずの仮堤防の造成に全力をあげておるところでございます。したがいまして、原因探求については、実は現在地建において各専門家に委嘱いたしまして、そうしてあらゆる面から原因探求をするように、私、河川局長指示をいたしたところでございます。ただいま仰せのとおり、ほんとうに安全な、もうほんとうに一番信頼できる護岸工事を持った多摩川といわれたその多摩川があのような思わざる被害を出したわけでございますので、その原因については徹底的に究明をいたさなければならないと、こう強く指示をいたしておる次第でございます。したがいまして、いまどのような原因かと、こうお尋ねでございましても、しかじかかくかくの原因でという御答弁ができないのがまことに申しわけないし、残念だと思っておりますが、もうしばらく時間をかしていただきたいと、こう思う次第でございます。
  120. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの答弁で天災だという答弁はなかったわけで、原因は徹底的に究明するということで、ぜひ徹底的に究明していただきたいと思います。私は、この問題について、やっぱりいままでわかっている事態の中でも幾つもの問題点は浮かび上がっていると、そう考えます。幾つかの原因と考えられるもの、新聞その他でも相当報道が行なわれ論評も行なわれましたし、その一つ一つの問題についてひとつ見解をお伺いしたい。 一つは、考えられないような異帯な豪雨、異常な流量、洪水が起きたということがしばしば天災論などといわれますけれども、降雨量について言いますと、奥多摩で今回九月二日の午前九時二十分までに五百八ミリの降雨があった。しかし、これは先ほども問題になりましたけれども、昭和三十三年の狩野川台風に次ぐ二番目の豪雨だということであります。それから最大流量は一秒四千三百三十トン出た。しかし、ここの計画洪水流量ですね、これは明治四十三年の台風を基準にして大正七年にきめたものだ。五十年前ですね。一秒四千百七十トンにきめてある。五十年前の計画洪水流量では、これもいまの開発の進んだ今日当てはまらないことは明白ですけれども、昭和二十二年のキャサリン台風のときには、一体どのくらい最大流量出たのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  121. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 昭和二十二年の洪水でございますけれども、約四千百ぐらいだと記憶しております。
  122. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四千百トン、昭和二十二年にもうすでに一度出たことがあるわけであります。今度の四千三百三十トンというのは大正七年の計画の四千百七十トンよりわずか百六十トンオーバーしているだけだということになります。そうしますと、大体確率を五十年に一回の洪水に見ていると言いますけれども、昭和二十二年からすでに四千トンをこえるのが今度二回出たわけでありますから、豪雨についてもトップではなくて二番目の豪雨、降雨量である。それから最大流量についても大体計画洪水流量の前後、四千トンクラスのものが戦後三十年に二回出ておるということだと、予想できないほどの、絶対予想できないたいへんな豪雨並びに最大流量だったとは言えないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  123. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いろいろ考え方が、出てみればおっしゃるとおりの言い方になると思います。明治四十三年に四千何がし出て、また二十二年に四千ちょっとオーバーしたということでございまして、まあいつこれを、計画を踏み切ろうかというさなかであったことも確かでございます。と申しますのは、多摩川は安全度が高いと言いながら、これは比較論の問題でございまして、東京周辺の大河川でございまして昔と違います。その周辺が全部宅地化されておりまして、一たん切れればたいへんだということで、早くこれを百五十分の一か二百分の一にしようじゃなかろうかという協議を、ちょうど勉強しておったところでございますので、ちょうどそのさなかであったことは確かでございますが、これはレベルを上げたということでございます。全国の各一級河川でもいろいろ程度がございまして、利根川みたいなたいへんな、一たん切れると首都圏がやられるというような川はもういまの日本の国力といたしましては二百分の一くらいの、二百年に一回の洪水にしようとか、いろいろ私どものものの考え方を時代のテンポに合わせてきておるわけでございます。そういうさなかにおきましても、多摩川は確かにいま先生のおっしゃるような見方を始めたところではございます。そういうことで、この作業は、私どもはもうことしの三月じゅうにまでこれをやってしまおうという考えでおるわけでございますけれども、これも今回のこの機を、最高でございますので、やはりこの観点を入れれば、この作業を一刻も早めたいという考えでおるわけでございます。
  124. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 確率百五十分の一あるいは二百分の一にした場合の計画洪水流量ですね、これは大体どの程度になるのですか。いま計画作業中だったという問題ですね。
  125. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) おそらく六千から七千の間に入るものではなかろうかと思っております。
  126. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、いまの河川局長の答弁で、予測できない豪雨によって起きた不可抗力の天災だということではないということが明らかになったと思います。降雨量についても二番目だ、それから四千トンをこえるのはもう明治以来三べんある、しかも最近の開発その他で計画水量を上げなきゃならぬということで作業中であって、百五十分の一から二百分の一の確率を考えた。そうすると、六千トンから七千トンぐらいあすこを上げなければならぬということを建設省は検討中であったし、来年三月にはもうきめようというわけですから、今度の毎秒四千三百三十トン、この数字の流量というのは決してとんでもない特別の大量の水量ではなかったということは明らかだと思います。そのことはあの堤防は越えられなかった、堤防は余裕を持っておりますけれども、堤防は全然水は越えなかったという事態からも明らかだと思います。 それから二番目に、よく指摘されている問題点をお伺いしたいんですけれども、しばしば小河内ダムの放流の操作に問題があったのではないかという点が新聞その他に書かれておりますけれども、この点と今回の狛江市の堤防決壊との間に何か原因があったかどうか、誤操作が認められたかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  127. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先ほどの先生の第一番目の予測し得るか、し得ないかの問題でございますけれども、私どもが先ほど申し上げたのは、やはり全国的に川の重要度が上がるということで申し上げたわけです。ですから、これは非常にむずかしいんで、それが直ちに予測し得たのではないという議論とは別問題だと思います。 それからいまのお答えでございますが、二番目で、小河内につきましては、非常に私どももこのことがよくわかっておりましたので、本省並びに関東地建からいろいろ都の水道局に要請しまして、これ以上流してはいけないというようなことからいろいろ操作をお願いしまして、そのとおり実は実行していただきましたし、また現在なおかつ水位を下げる努力、いま小河内にはあまり降ってございませんけれども、現在なお水位を下げるよう大臣の御指示もございます。そういうことで現在安全のうちにどんどん下げておりまして、従来と違った方式で洪水調節の協力をしていただきましたし、またきょうもしております。
  128. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設省が予測できなかったというのは事実でありまして、予測できなかったからこそ今度のような災害が起きたわけで、しかし予測できない問題ではなかった。今度の流量程度のことは絶対に予測できないものではなくて、あなた方が検討をする範囲内の、当然検討する範囲内の問題だったということを私は指摘したわけです。小河内ダムの問題では、特に放水のしかたは建設省指示どおり行なわれていた、誤操作はなかったという答弁でしたし、私どもの調査でも、小河内ダムの放水量が最大になったのは、九月の一日の午後の四時です。あそこから現地まで流れるのには、あの速さ、急流の場合には六時間から七時間というお話でございますし、堤防の決壊が始まったのはその日の午後二時ですから、そうしますと、むしろ小河内ダムの放流による流量がふえてくるのは夜であって、堤防決壊の始まる時刻のものはむしろ小河内ダムの放流によるものではなくて、浅川とか秋川とかそういう支川からの宅地化されてふえた水、そういうものがあの時点で最大流量に達した、それを支配したものではないかと、そう思われますけれども、その点いかがでしょうか。
  129. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 小河内の放流がどういうぐあいに下流に響いたかという解析につきましては、私どもも先生と同じような計算をいたしておりまして、ほぼ同じような考えを持っております。 なお、これにつきましては、先ほども大臣から申し上げましたように、技術的な検討が現在もうすでに進んでおりますし、いろいろすべての解析をやっておる最中でございます。そのときに初めてほんとうのことがわかりますが、大体の私どもの試算によりまして、いまおっしゃったとおりだと思います。
  130. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いままでの問題で、特別に異常な、もうだれも見当できないような思いもよらぬ豪雨ではなかった、今度の事態は。それから小河内ダムの放流に特に問題があったわけではないということになりますと、これはもう広く指摘されておりますし、きょうの質問でも出ましたけれども、また狛江の市議会の意見書の中にもあるようですけれども、やっぱり一番の問題は、川崎市が昭和二十四年に建設した宿河原のせきとそれから本堤防と、この二つにやはり最大の問題があったと思わざるを得ないと思います。あのとき被災者は、川はまっすぐ流れるはずだったのに、縦に流れる川が、宿河原のところで横に流れてきた。一秒つまり四千トンの水が堤防に激突して横に流れてきたわけで、そのために非常にもろく崩壊していったわけであります。ですから、どうしてもその原因の検討については、宿河原のせきの問題、それからあの猪方地区の前の本堤防の問題、ここの構造並びに設計が一体どうだったのか。そこに弱点があったかなかったか。責任は一体どこにあるのかという問題が、非常に今度の原因を追及する上で最も重要な焦点になってこざるを得ないと思います。 第一に、宿河原せきについて質問したいと思うんですけれども、河川局長に、あれはいつ建設されたものか、また用途はどういうものかについて御説明願いたいと思います。それからどういう弱点があったかなかったかという問題ですね。
  131. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま、せきについてお答えいたします。 このせきは昭和十五年に神奈川県並びに東京都から、同じく東京都並びに神奈川県知事にその構造物の設置願いが出ておるわけでございます。旧法時代でございますが、この目的はいわゆる農業、土地改良区の当時は事業だったわけでございまして、それから二つのせきがございますね、上と下のせきで合わせて八トン何がし、これはあと正確に申し上げますが、そういうことで、そのほかに工業用水も若干ついておるということで、これはでき上がったのが二十四年、昭和二十四年にでき上がったわけでございます。とりあえず申し上げておきます。
  132. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これまでのところ、特別に設計上、構造上弱点があったということはありませんか。
  133. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 現在までに私どもは、河川堤防は御承知のように各出張所がパトロールをこれは随時というより定時的にやっておるわけです。熟度が高いわけでございます。 せきにつきましては、これは毎年事務次官通牒もありますけれども、本年も六月の末に川崎市との立ち会いにおきまして、管理者の立ち会いにおきまして、このせきの点検を行なったわけでございますが、御承知のように、結果論的に見ますと、やはりすべての堤防そのものには欠陥ないと思いますが、全体的に一番弱かったところは、やはりそのそで部であろうということで、いろいろ私どもも現在こうであろうということは若干頭にありますけれども、なお詳細な現象その他は踏んまえまして、この調査委員会でひとつこの辺をやはり究明していこうと、そういう感じでおるわけでございます。 なお、先ほど取水のことを申し上げましたが、水利権の最大は九・三五立米の水利権を持っております。
  134. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この中河原せきについては、いまの構造上の問題と、もう一つ水門の開閉操作に問題があったかなかったかという問題があります。これは以前伊勢湾台風のときに、名古屋で水害があったとき、水門がさびついていて動かなかったという事件がありましたので、私ども調べましたけれども、これは川崎市に問い合わせたところ、八月三十一日に増水が始まったので、それまで八十センチあけていたものを五つのゲートのうち三つ全開したと、それから九月一日の零時三十分、残りを全開したということで、操作に問題なかったというように川崎市の答えでした。水門の開閉操作に名古屋のようなミスがなかったとすると、やはりいま河川局長が言われたような中河原せきのそで部、これは何と言うんですかね、よく旧堤防とか中堤防とかいろいろいわれておりますけれども、そでのあるところにある堤防ですね。ここにどうも問題があったのじゃないかという疑念を述べられましたけども、やはり一つここの問題があると思います。あの日に、そで部の崩壊が始まったのが九月一日の午前二時で、侵食がそこから始まって、がらがらとくずれていったそうですけども、くずれていったのを見た被災者方々の話によりますと、まるで張り子のようにくずれていったということであります。切り口はあとで見ると、もうコンクリートに石をはめ込んだような構造だそうですが、もうがらんどうになっているという話であります。 私一つ質問したいのは、これは資料要求して、あすこの堤防部分の構造図を非常に簡単なものでいただいたんですけども、あのそで部がここにありますけれども、書いてあります。このそで部というのは、私、線引っぱってみましたら、計画最高水位より天端は低いんですね。つまり四千百七十毎秒トンの計画最高水位よりも、そで部の堤防なるものは天端が低いということになっております。堤防というのは上を越えるものに対してはもう全く無力であって、だから中河原せきについているそで部、これは本堤防の前に三角型についておりますけれども、これは私は洪水を防ぐための堤防あるいは護岸ではなかったのではないか。中河原のための約八百戸の農家に対する取水のための水を集めるもの、集水のためのそういう意味での堤防、そで部であったのではないかと。ですから、毎秒四千トンの水が横からくれば当然こわれるし、オーバーフローもするし、もともとオーバーフローするように設計されていて、そで部と本堤防の間にかなり広い高水敷があるわけですね。だからこのそで部の役割りというものは一体どういうものだったのか。はたしてそういう洪水のときの堤防のためにつくられたものであったのかどうか、あるいは農業用水の取水のためのそで部であったのかどうか、その点についてお伺いいたします。
  135. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまおっしゃいます取りつけ護岸が、現在設計しております、いま現在施工したりいろいろしておるのとちょっと方法が違っておるわけです。いわゆるいま先生がおっしゃいましたように天端が非常に高くなっている。しかもそれが溢流するようなかっこうにもなっておる。裏も張ってあるわけです。こういうものが斜めに飛び出しているということで、現在こんな設計をする人はございません。われわれは持っておりませんが、これが当時、昭和十五年時代にどういう役割りを果たしたのか、現在はああいうものはつけないほうがいいわけです。かえって流れを乱すもとでございまして、かえって低いままのほうがいいわけなんです。それで、この辺の、なぜああいうものをつくったのかと、まだつくり方はいろいろあったはずでございますが、結果的にはよくわかりませんけれども、いま先生のおっしゃるとおりで、ああいう高いものがあったことが少々な洪水はみな防ぐわけです。いま先生がおっしゃいますように、あの堤防の高さはハイウォターレベルにちょっと下がったごろにわりあい高くつくってある。ですから、少々の洪水は本堤にさわらないで防げるような構造になっているものが異常洪水には逆に働いたというようなことも、それは現地へ行けばわかるわけでございますが、なおこういうような問題につきましては、先ほど申し上げましたように、ほんとうに皆さん有識者集まってもらって、いろんな角度の資料でこれを究明いたしたいと存じております。
  136. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、先ほど中河原と申しましたが、宿河原の間違いですから……。 いまの答弁で、まだ最終的にはわからないけれども、宿河原のそで部の堤防が今度の洪水を起こす上で一つの要因であった疑念があるということがほぼ明らかになったのではないかと思うんです。何のためにああいうものをつくったのかよくおわかりにならないという答弁ですけれども、その点はなお調査の中でよく追及していただきたいと、そう思います。 そうなりますと、やっぱり最大の問題は本堤防にあるということにならざるを得ません。中程度の豪雨の場合には宿河原のせきのそで部が防ぐことができるけれども、計画洪水流量のときにはこれはもう当然上を越える設計になっているわけですから、そうなってくると、あの宿河原のせきにぶつかって、水門は全開しているので幾部分はそこから流れるけれども、あとの水流は真横にぶつかってくると。そうすると宿河原のそで部のせきは乗り越えて、本堤防にその巨大な水圧が加わってくるというのは、これもまた異常な現象ではなくて当然起き得る現象になる。その際、じゃ本堤防の構造がそういう流れに対して耐え得る構造設計、強度であったのかどうかということがやっぱり浮かび上がってくると思います。 そこで河川局長に、あの地区の本堤防はいつつくられたのか、どんな構造なのか、この点について質問したいと思います。
  137. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま本堤防につきましてはいろいろ追跡調査をしておりますが、私どもの現在までの調査では、あの堤防は大正八年ごろから九年にかけてでき上がったのではなかろうかという調査でございますが、なおかつ調べております。 それで、この堤防は現在完成しておりまして、多摩川におきますほぼ定規断面どおりにできておるわけでございます。ただほかと違うところは高水敷が高いわけでございます。その高い上に、またもう一つ先ほど申し上げましたそで部の護岸があるということで、私どもはこれはたとえそこがオーバーしても、非常に水深が他の地区よりは小さいということから、万一あれを越えても堤防本体はだいじようぶであろうということの観点に立っておったことは確かでございます。??昭和七、八年でございます、先ほどの点。
  138. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設省の治水課の話なんですが、昭和七年から昭和十三年にかけて築いた堤防というのはやっぱり低いもので暫定堤防だったと。どうも局長は御存じないようですけれども、昭和二十一年に現在の堤防を最終的に完成さしたという話であります。そして一つ大きな問題になるのは、昭和二十一年に最終的に完成さした現在の高さの堤防は、それまで川原であった部分を川筋を直線にするために前に突き出したという話であります。ですから、今度被災された猪方地区のあそこの部分はもともと川原であったということです。これは新聞その他にも取り上げられましたけれども、明治十八年に測定して、明治二十年発行の地図がありますが、この猪方地区は完全に川原であって、当時川が流れていた、すぐそばに川筋のある場所であります。それから国土地理院の発行している東京西南部の土地条件図、これを見ますと、問題の猪方地区はまっ黄色に塗ってありまして、ここは自然堤防という名前がついております。自然堤防というのは川原のことだと。水がもと流れていたところだと。これを、もと川原であったものを川筋をまっすぐにするために、昭和二十一年に完成した本堤防を築くときに、その川原の部分より前にいまの堤防をつくって直線にしたということであります。地図を見ると明らかですけれども上流部分が少し湾曲しております。  そうすると湾曲した川がいまのところで逆に曲がろうとするところを直線にしたということで、よく川は洪水のときに本家帰りをするということがしばしばいわれますけれども、今度もどうもそういう条件にぴったり当てはまった疑いが非常に強いと思います。ですから、今度の宿河原の堰堤の上流部で湾曲している川が流れていって、しかもそこに堰堤があるということで真横になってくる。それでぶつかっていって、それこそ本家帰りをして、もと川原のところ、それこそあすこが本流になって、私どもも春日委員と一緒に九月二日の夕方現地に行きましたけれども、ほんとうに本流のような勢いであすこをずうっと流れております。ですから、文字どおり川の本家帰りという姿になったと思いますけれども、一つは、やはり先ほど指摘しました、もと川原であったところを直線に直した堤防であるということが堤防の設計上問題であったのではないか。そうするとそこの部分にほんとうは護岸をやっぱり強化する必要があっただろう。 特に、先ほどから河川局長も答弁しておられる宿河原のせきの構造の点からいって、川が文字どおり横に流れてぶつかってくる場所であればあるほど、ここに普通の上坡による堤防ではなくて、強化補強の護岸工事が必要であったことは、結果からいっても、それからいままでの歴史やその構造、流れ関係からいっても、当然、技術者としては考えなきゃならない問題であったのではないかと思いますけれども、本堤防のそういう意味での堤防の構造並びに強度あるいは補強の必要、この点についてどうお考えになっておられるのか、お答え願いたいと思います。
  139. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまの現在のせきが、そういうような過去の歴史があるということも私も現地でいろいろ聞きましたし、また地図の上から確かめた問題の一つではございますけれども、長年の間には河床も変化しますし、その他の変化事情もたくさんあります。それだけでそちらのほうへ流水が非常に走った??それだけではないと思いますが、そういうことも十分これからの調査には頭に置いていきたい、あるいはまた今後の復旧につきましてもその面を十分考慮したいと思います。 いずれにいたしましても、今回の堤防決壊は、とにかく侵食といいますか、侵食によって進んだということで、オーバーフローしても、いわゆるオーバーフローした大きな力がすぐ裏の門をたたいていったということで、従来の堤防決壊と様相が違いますので非常に複雑だと思いますけれども、いずれにいたしましても、せきの周辺は、今後この堤防復旧におきましては十分な、どう言いますか、底から破壊することを防ぎます上に十分なる矢板をまず前護岸にも入れるということで、まず下を固めて、しかもなお、いわゆる現在の堤防でございますか、本堤防におきましてもさらに十分な洪水の保護をしていくという所存でございます。
  140. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今度の堤防決壊は非常に異常な侵食、侵食を含めて異常な経験であったというお答えですけれども、昭和二十二年に同じような事故が今度の二カ領のせきの上で、上流にある上河原のせき、ここで起きたということを証言されている方が調布市にいらっしゃいます。これは被災者のところに飛び込んでこられた方で、調布市にお住まいの造園業をなさっておられる七十六歳の谷戸英雄さんという方です。この方の記憶によりますと、この方は小堀遠州流の庭師だそうですけれども、六代調布に住んでいると。昭和二十二年九月のキャサリン台風のとき、宿河原せきの上流のせきで、今回と同じような崩壊現象が起きて堤防が切れたんだと、あのせきのところで。そのために米軍の大佐がジープに乗って走っていて、そこから落ちて死んだと。その死体をさがすのにこの方なんか動員されて、十日目にようやく遺体を見つけたという事故があったそうであります。この事故は、当時、新聞も薄くてあまり載っておりませんし、調布市の資料も昭和二十三年以後しかなくて、われわれわかんないんですけれども、こういう事実があったのかどうか。もし今度と同じような事故がもう昭和二十二年にすでに起きていたとしたら、一体今度のが初めての異常な決壊ではないんじゃないかと思うんです。  それからきょうの新聞にも出ておりましたが、多摩川には九つほかにもせきがある。その上流のせきにもいろんなトラブルが今度のあれで起きているということが報道されておりますけれども、昭和二十二年の事故について、それからまたこのせきそのものにこういう異常があり、弱さがあり、今度のような決壊が起きたというのは、いままで全然わからなかった。未知の現象であると一体お考えになっておるのかどうか、その点お答え願いたいと思います。
  141. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 二十二年の宿河原の上流のせきについての、同じような似た現象があったのではなかろうかというお話についてのまだ調べはついておりませんけれども、そういうお話は現地で私どもにも耳に入ったので、これにつきましては特に調査対象にしようということを考えております。これは将来のせきの設計にも及ぼすことでございますので、貴重なことと考えておるわけでございます。  それから、せきそのものをどうかということですが、多摩川でも先ほど先生おっしゃったような九カ所もある、そうしますと全国には相当あるわけです。中小河川のものを含めて相当な数でございますが、先ほど申し上げましたように、そういう昔の古い構造物ほどその辺がやはりしっかりいってないと思います。私も。で、今回のこの契機に昔の設計図まで取り出しまして、やはりいまつくったらどうなるだろうかということ、また年数がたちますとやはり大きな水が出てきますので、その辺を勘案いたしまして総点検をやろうということでございます。もうくずれた以上は、せきがいいの悪いのという問題じゃございません。やはりどこかに欠陥があるわけでございますので、その点、十分私どもは技術的にもアプローチしていきたい、そういうふうに考えております。
  142. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今回のあの場所はいろいろ問題があったということを気づいたというお話ですけれども、たとえば関東地建指示した緊急補修個所十数カ所の中にもあそこは入っていなかったという事実もあるわけであります。そしていまの局長のお話のように、今度の事故で初めて事態の重大性に気づいて、九月三日に河川局長名で「出水対策について」という通達が出ております。この通達の第一は、「床止め、堰、河川を横断する水門等について」という項目で、その第一には「床止め、固定堰、可動堰の固定部の両端の堤防又は河岸への嵌入状況及び、固定部上、下流の高水敷保護工の状況」と、これを点検する必要があるという通達を出しているわけであります。ですから、こういう通達をあわてて出さなきゃならなかったと、しかも緊急補修個所にも今度の一番弱かったところが入っていなかったということは、意識的か無意識的かはわかりませんけれども、この一級河川である多摩川を管理していた国のやっぱり一つ失態が明らかにあったということを私は指摘せざるを得ません。いまも御答弁ありましたけれども、こういうことが今後起きないようにぜひお願いしたいと思います。  もう一つ、この問題で私は重視したいのは、これまでの河川局長の答弁でも、宿河原のそでの崩壊よりも――よりもというか、問題はやっぱり本堤防にあったということがだんだん明らかになってきたのではないかと思うんです。ただ、本堤防とそことの関係について、本来あそこは一番今度のように弱いのに、そでの堤防があるので、むしろ高さは低くても済むんじゃないかというふうにむしろ逆に安心していた場所だと。逆の方向に――むしろ気をつけなきゃならぬところについて安心していたというのが河川局長の答弁ではないかと思うんです。そういう点で、やっぱり本堤防の工事について、護岸工事について、非常に大きな弱点があったと。その結果今回のような重大な災害が起きたというのではないかと私は思います。  特に、これに関連して私問題にしたいのは、河川法の第十三条に、「(河川管理施設等の構造の基準)」という条項があります。ここには「河川管理施設又は第二十六条の許可を受けて設置される工作物」――今度の宿河原のせきは、この「許可を受けて設置される工作物」に入りますが――「水位、流量、地形、地質その他の河川の状況及び自重、水圧その他の予想される荷重を考慮した安全な構造のものでなければならない。」、こう十三条できめられているわけであります。予想される荷重についての考慮が全くない堤防のまま放置されていたと、そう断定しても間違いでないのではないかと私は思います。  さらに私重大に思いますのは、この第十三条の二項目に、こういう「ダム、堤防その他主要なものの構造について河川管理上必要とされる技術的基準は、政令で定める。」となっておりますけれども、この政令は定められているのか、あるいは現状どうなっているのか、御答弁願いたいと思います。
  143. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 河川法の第十三条の「(河川管理施設等の構造の基準)」でございますが、これは新法ができますと直ちに――従来の相当な蓄積があったわけでございますが、それに基づきまして、河川管理施設等構造令(案)で、ずっと(案)、(案)で実際には流しながら運用してきたわけでございます。で、そのつど若干表現の変わったものもございますけれども、非常にこれは難航をしましたのは、なぜもうぴしっと出さないのかという御疑問があるかもしれませんけれども、川一つ一つ生きたような感じでございまして、共通的な表現をすることが非常にむずかしいというような問題から、あるいはまた利水施設の御意見もありましょう、われわれは治水のほうから立ちます。そういうようなことで、いろいろの議論がありますが、私どもは、もうこれは相当議論してまいったわけでございますので、早く(案)をとりたいわけでございますが、まあ幸い今回こういうような多摩川のこともございますし、またさらにこの構造令をりっぱなものにしようということで、早くきめたいと思っております。(案)だからやってないわけじゃございません。審査においてはこの(案)を中心にしてみんな河川管理させて、審査して今日まいったわけでございます。
  144. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この政令がまだ未制定だというのは国会でもしばしば問題になったそうですけれども、やはり私はこれは非常に重大な問題だと思うんです。河川法が生まれてからもうほぼ十年近くなっているわけで、新しい河川法ができましてから。このダムだとか、せき、あるいは堤防、こういう人命を守るため――人命と財産国民を守るためのそういうものについての構造の技術的基準が、いまだに政令としてきまっていないという事態は、これは非常に、これこそやっぱり異例な事態ではないかとそう思います、しかし、審査にあたってはこれが実際上使われているということになりますと、何ら法律的拘束力のないもので審査ではやっているからだいじょうぶでしょうと、私も今度その内規をいただきましたけれども、八次案だというのですね、慎重なことはよろしいけれども、やっぱり一刻も早くこういう政令を制定すべきなんです。政令なんですから違う点があればどんどん修正もできるわけです。それを一次案、二次案で、八次案までつくって、いまだに内規だと、政令はきまっておりませんと、そうすると、どんな堤防つくっても法律違反にならぬわけですよ、まだ政令きまってないんだから。どんないいかげんな堤防があっても、今度のようなあそこの本堤防のような、全く欠陥が明らかなものでも、この十三条からは違反しているけれども、政令の技術的基準からはまだ違反しておりませんというようなことをも可能になるわけなので、やっぱり私はこの政令を一刻も早く責任をもってつくっていただきたい、そのことをここで要望をしておきたいと思います。  で、もう一つあわせて指摘しておきたいのは、今度のような大災害が起きて数千名の人が避難すると、しかし災害救助法は適用されない。なぜ適用されないかというと、災害救助法にくっついている政令ですね、こういうものが非常に早く、また完ぺきにできているわけであります。狛江市のような市は、人口六万から十万の間だから、八十軒の家が流れなければ適用されないということになっていて、八十軒というワクが政令で入っちまっている。それで災害救助法のいろんな発動についても非常にこまかくきまっておりまして、一日当たり二百九十円しかあれは出しちゃいけないとか、こういう資金を貸すときはこのぐらいだとか実にこまかくできていて、毎年七月に早見表というのを厚生省は発表しているんですね。だから、国民の権利を守る、それを制限するような、この災害救助法の適用を押えるそういう政令については非常に完ぺきなものをおつくりになって、毎年早見表まで発表しておられるのに、国民の生命財産、こういうものを守る、こういう大事な堤防だとか、ダムだとか、せきについての構造の技術的基準を定める政令については、八次案までつくっておきながらいまだに未制定だと、こういう事態が放置されているところに政府国民に対する姿勢の大きな問題があるという点を私は指摘しておきたいと思います。  以上、時間もありませんので原因の問題についてはこの程度にとどめますけれども、今後の調査に待たなけれぱ最終的な結論は出ないにしても、私のいままでの質問でやっぱり問題の輪郭はかなり浮かび上がってきたのではないかと思うんです。人力の及ばない不可抗力による天災、つまりだれも考えも及ぼなかった、いまの近代的な気象技術の予知のできないような異常降雨によるものでもない。それから水量も当然予想されるものであって、いま建設省自身が検討している、多摩川については一秒間六千トンから七千トンというものから比べれば六割か七割程度の出水でしかなかったという事態であります。それからダムの放流についても特別にやっぱり問題はなかった。そうすると宿河原のせきに問題がある。しかし、宿河原のせきの水門の操作には問題がなかった。あそこのそでの堤防というものは決して護岸あるいは洪水を防ぐための堤防じゃないんだ。高水位のときにはちゃんと越えるようなものになっているわけであります。そうすると、あそこにぶつかって、計画洪水の流量四千トンがあそこにぶつかるとき、それを防ぐものは本堤防しかなかったわけであります。本堤防をつくった者、本堤防を管理している者、いま現在この管理責任全部を持っているのはやっぱり建設省なのであって、この本堤防の決壊の原因、あるいは構造、強度にある、これが大きなやっぱり大穴、失態だったと、きずだったと。しかもこの堤防の強度については、これをきめる、技術的基準をきめる政令さえいまだに未制定であるというようなさまざまな事態が――建設省方々はまだ予想していらっしゃらなかったと言うけれども、今回の事態を生んだ非常に大きな原因、私は最大の原因じゃないかと思いますけれども、原因だと、そう私は思います。そういう点で管理者としての国の責任は明らかにある、回避することのできない明白な責任がある。こういう点で構造の点検あるいは維持管理、そういう問題について政府がやっぱりきちんと原因を迫及し、責任をはっきりとることをまず要望をしておきたいと思います。  二番目に、それでは事故が起きてからの建設省の体制並びにやり方について問題があったのではないかという問題に移りたいと思います。今度の事故が起きてから現地の狛江市の方々をはじめ消防庁の方々、自衛隊の方々建設省の現地の京浜事務所の方々、非常に努力をなさいました。幸い人命の損害がなかったことは不幸中の幸いだと思います。こういう方々の努力に対しても敬意を表したいんだけれども、しかしやっぱり被災者立場、こういう災害をどう防ぐかという国民立場からいうと非常に大きな問題があります。で、私は建設省建設局長に対して、一体今度の豪雨が始まってから、増水が始まってからどういう点検体制をとっていたのか。建設省側としては今度の洪水を一体いつ発見し知ったのか、それからそのあとどういう体制をとられたか、この点についてお聞きしたいと思います。
  145. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 多摩川を直接監督管理しておりますのは関東地方建設局の京浜工事事務所でございますが、これはもう雨がどんどん――雨の予報が出てきますので、一日の午前八時にはもう水防警報の準備を指示しております。それから午後の十四時にはその出動を要請しております。それから十五時にはいろいろな指示といいますか、河川管理者としての指示を行なっておるわけでございますが、その間におきまして、狛江市におきましても水防団が直ちに現地へ出られましたが、それで流勢の激しいのを見られまして、直ちにまた自衛隊その他の応援を願っておるということでございまして、私どもはやはり雨の降り方、出水のしかたを見まして、直ちにその水防団といいますか、そういう関係の都並びに狛江市にいろいろ刻々と河川管理者としての情報を流して、そのつど準備体制なり出動体制なり指示体制は流したつもりでございます。
  146. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設省としての対策本部が設けられたのは一体いつなのかという問題と、それから、ああいう大災害なので機動力が非常に必要だったわけで、一狛江市の手に負えないことはもう明白であります。その日、消火訓練をやろうとしていて水害があったということで市は非常にあわてたほどでありますから、国の機動力が非常に災害が起きてから早くこれを防ぎ、あの急流をせきとめる上で大事だと思いますけれども、機動力、たとえばクレーンだとかその他、こういうものが国として、建設省として出動したのは一体いつなのか、これをお伺いしたいと思います。
  147. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 一番最初の御質問でございますけれども、正式に関東地方建設局に、現地に緊急対策本部を設置いたしましたのは二日の午後一時でございまして、これは河川部長がみずから当たっております。対策本部というような名前で直轄の場合はすぐスタートする場合と、もう随時……いまの九月二日の一時と言いますのは午前一時の間違いでございます。訂正いたします。一日の日からすべて――これは一番最初にこれを見つけたのは、私どものほうは京浜工事事務所の管理課長でございました。それからだんだんと副所長、事務所長が出てくるわけでございますが、それが中心になって地元の方々といろいろ打ち合わせしながら次の手を打っていったわけでございまして、それで二日の午前一時に、局の河川部長が本部長ということで指揮系統――指揮をとったわけでございます。  そういうことで、最初は水防団による水防活動が行なわれたわけでございますが、私どもはこの流勢の激しいのを見まして、各われわれの倉庫並びに狛江市でもそうでございますが、普通一般の土のうの袋が全部備蓄してございます。鉄線その他備蓄しております。そういうものは全部フルに出したわけでございますが、今回の災害は普通の堤防の決壊と違いました。したがって、溢水のときにはこういう備蓄材料が非常に活躍したわけでございます、水防団……。で、かろうじて溢水を防いだわけでございますが、その後起こってくる、いわゆる先ほどの小堤の切り口からどんどんと流勢が横に走るというようなことは、普通の一般の私どもの備蓄材料ではどうしようもなくなったので、直ちにテトラポットを思い出しましたし、いろいろな工法を思い出しました。そういうようなことから最後的には関東周辺からテトラポットの搬入をしたわけでございまして、もうできるところからすべての情報を集めて、私どもの管内並びにほかの事業場であってもテトラポットを中心とする大型のコンクリート塊を投げ込むより手がないということになったわけです。ところが、なかなか運搬に時間がかかりました。その間にすべての――その持ってきただけではだめでして、それを投げ込む重機械が要るわけでございまして、私どもはできる限りの機械の動員とそれから大型の資材の導入は早急にやったつもりでございまして、ただ言えますのは、従来備蓄しておりましたものがあとの工法にはなかなか適応しなかったというような感じがしております。
  148. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 機動力の出動は、私どもの調査では九月二日の午前三時二十五分にやっとクレーン車一台が来たと。これは私は初動態勢に、まあ事態の判断のおくれもあってやっぱり問題があったように思います。  これは事実を述べますと、九月二日の午前零時四十五分ごろもうすでに家の流失の始まっている事態であります。自衛隊の幹部が市に来て、もう人力でほ限界だと、どうしても機動力がほしいというので、当時そのときにちょうど共産党の沢田都議もおりまして、東京都に連絡して、東京都から建設省に機動力を要請したと。しかし、それでもなかなか来ないので、国会議員にやっぱり動かしてもらおうというので共産党の土橋代議士に電話して、土橋代議士からまた要請して、ようやく午前三時二十五分にクレーン車が一台来たということが私どもの調査であります。三日、四日、五日ごろになりますと、クレーン車が十台動き、トラックも十台動いて、急流のせきとめと、それから還流のところのせきとめと二本一緒にやったわけですけども、こういう大きな機動力というのがやっぱり早期に出動していれぱ十九軒の家が流れる、それを黙って見ている――黙ってじゃないけれども、そこまでいかないうちに防ぐことができたのではないかという感を深くします。私九月二日に行ったとき、クレーン車一台しかありませんでしたけれども、玉石をこう手で運んでいるんですね。ちょうど戦争中のバケツリレーみたいなもんです。玉石をこうやって手でみんなで運んでいる。なぜベルトコンベヤーなんかもっともっと出てこないのか。そういう点でやっぱり機動力の発動が非常におくれたと、それはやっぱり現場の判断、これに非常に問題があったのではないか。どれだけの災害でどれだけの機動力をつぎ込まなきゃならぬかという判断が非常におくれたのではないか。これは指揮系統の混乱とか、急な災害ですからしばしばこういう事態が起こりがちですけれども、よく指摘されている、こういう事態が起きたときに指揮系統を一本化すると。で、水防法で幾ら市が水防団の責任を持っていても、技術の蓄積も、経験の蓄積も、資材も機動力も、すべてやっぱりこういう一級河川では国にあるわけです。だから、国がイニシアチブをとって計画も立ててやらなきゃならぬ。たとえば堤防の爆破問題でも、現地ではあれは花火じゃないかと言っている。堤防の上に、せきの上に載せて、その上に土のうを載せてやったために、上に上がっただけで一つもこわれなかったと、被害を受けたのはまわりの家だけだったということなどもあるわけで、こういう点は建設省の技術の蓄積をもってすればですね、あれ、そのために三時間まあむだにしたわけですね。そういう点でやっぱり防げたのではないかという点を考えます。  それからいまのお話の資材の問題も非常に大きな問題で、テトラポットを投げ込まなきゃならぬということになって、東京都が二トンのテトラポット百個出しました。しかし、二トンのテトラポットではあの急流でどんどん流れてしまうので、五トンのテトラポットが要るということになって、これは建設省は、いまのお話でも関東各地から運んできたと、実際に海に投げ込んである――もうものはないわけです、新品は。海に投げ込んであるテトラポットを、貝がらのついたやつを運んできたと、茨城県の日立市その他ですね、そういうものを運んできたという話ですね。で、東京都の調査では、テトラポット三百入れて、東京都が百持ったと、じゃかごは東京都千六百、土のうは東京都が五万四千袋つくったとか、玉石もこれなかなかなくて非常にたいへんだったそうですけども、それから、じゃかごなんというのももう編む職人もいないということだそうですね。そうしますと、今度大都市でこういう災害が起きたとき、テトラポット使いたくてもないと、海から引き上げてこなきゃならぬというように資材がないわけです。玉石もない、じゃかごもない、全くないわけです。それを全部かき集めて、非常にこれは東京都が努力して集めたそうですけれども、こういう事態だというのはこれたいへんなことです。狛江地区一カ所だったからよかったんですけど、あっちこっちこういう事態になったら一体どうなるか。それで一級河川は万全だといわれたけれども、機動力についても、あるいは資材についても、やっぱり国として体制を日ごろとっておくことが非常に大事な問題ではないかと、そう私は思います。  で、こういう指揮系統の問題から、資材の問題から、機動力の問題から、さまざまな問題、あるいは現地のばらばらのいろんな問題が、ようやく六日の朝になって締め切りが完成するという結果になったわけであります。それであの急流の締め切り部分についても非常な問題ですけれども、私が行ったとき、現地の説明では、ここにテトラポットを入れて、じゃかごを入れてやっていけば締め切れると、しかし、実際にやっていったら、締め切れば締め切るほど流れがますます激しくなって、これはだめだということになって、また爆破をやるということで、非常に二転三転しているわけですね。で、環流の部分もやらなきゃだめだというような問題があるわけですけれども、こういうおくれたことが、今度被災者方々が家が流れただけじゃなくて土地流れ家財も流れた。家財もほとんど運び出せなかったということで非常に被害を大きくしたことであると思います。そういう点で私は堤防決壊についても大きな責任が国は免れないし、それから土地と家とそれから家財の流失について、災害が起きてからの即応体制の問題についてですね、これは国だけの責任とは言えません。もちろん市にも都にもあるでしょうけれども、しかし、その中で国がやはり責任があったということも認めざるを得ないのではないか、これは事実明白なのではないか。ままそう考えますけれども、いかがでしょうか。
  149. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先ほどの先生のお話の中で、二転三転というお話がございましたが、私も二日の日、三日の日、ずっとついておりますので、これは私自身も知っておることでございますが、確かに流勢、テトラポットをやれば流速が速くなる。それと、できるだけ両面作戦やって、初めからもう二カ所に穴をあけるという計画で進めました。ただ一番最初は、非常に危険な、まだ水位が高いということで、自衛隊にお願いする以外に手がないということで、そのあとはみな私どもの指揮下に全部入りまして私どもでやったわけでございます。爆破の二カ所については、締め切りと爆破の二カ所につきましては、初めからもうそういうような計画でやってきたわけです。もう手前のものはテトラポットだけでひっかかりましたけれども、あれはもう材料を、あそこへ大きなものひっかけようというものにも利用しようということで、これはそういうことでございます。まあいずれにいたしましても、今回のような横に流れて堤防を破るようなこういうような事態のときには、現在水防計画を各市町村の自治体でおつくりになっております。が、そういうことだけでは防ぎ得ないと思います。まあいま全国的に用意しております水防計画書というものがございますけれども、いわゆる堤防の溢流を防ぐ、木流しをする、いろんなものがありますけれども、今回のような事態に対しては確かに持っておりませんが、ただ川を預かるもの、あるいは事務所長の立場でもけっこうですけれども、一たん大きな雨が来たときにどうしようかと、いまどこにブルドーザーがおる、どこにクレーン車がおる、絶えず水害の大きいときには大体もう頭の中へ入れて予行演習しております。机上演習もやっておるわけです。しかしながら、これはそこまでを水防計画の中に入れておりませんけれども、平時の心がけとしては絶えず現場におる人間はそういうことを考えております。冬でもちゃんと、大きな豪雪が来たときには民間の機動力まで頭に置いてちゃんと持っておるということで、表に出ないところでこういうものには実は対処しておったわけでございます。そういう意味で、今回テトラポットといえぱ大体まああの辺だなあと――そこまで考えておりませんでしたけど、もしそういうことがなければ、そう簡単には機械も集まらなかったという気がしますし、平生の心がけが、いま先生のおっしゃるとおりのことを考えておりますけれども、具体的にすべてそういうものを平時周辺に置くというようなことまではしておりません。
  150. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いわゆる中央防災会議もできていることですし、そういう防災上の防災会議のシステムができて、分科会が幾らできても、いざ資材がないとやっぱりこれは働けませんので、ひとつ資材についても、予算の問題もあるけれども、こういう防災上の対策として万全を期していただきたいと、このことを要望したいと思います。  もう一つこの問題では、やっぱり一級河川は万全だということで、多摩川の管理が弱かったのではないかということで、京浜工事事務所の実態、特にこの多摩川に対する管理監視の人数ですね、どういう状況になっているのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  151. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまちょっと詳細な資料をなにしますが……。各工事事務所は御承知のとおりその中にいろいろと課がございまして、京浜工事事務所には課が六つございまして、その中に管理課というのがございます。これが実際の先生がおっしゃる主体になるわけでございますが、その現場の第一線には二つの事務所がございまして、田園調布の出張所と多摩川の出張所でございます。そして管理課には十二人の係員を持っております。それから多摩川の出張所は十六人の人間を持っておりますし、田園調布には十二人の職員を持っております。まあ人数だけ先に申し上げます。
  152. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この田園調布出張所が十二名、多摩出張所が十六名、いまの答弁だと合わせて二十八名で多摩川全体の監視管理をやっているということになります。この多摩出張所は多摩川二十キロを受け持っておりますけれども、十年前までは職員が四十人おりました。で、築堤工事その他を直営でやっておりましたけれども、これがだんだん下請に回されたのでしょう、いま職員は十六名だけだと、所長、係長を除くとほとんど技術者はいないのではないかという状況ではないかと思いますけれども、この一つにも見られているように、やっぱり河川管理は予算並びに人員が弱体化しているという実態がここに私ははしなくもあらわれているのではないか、そう思います。予算面でも治水関係道路関係の予算の比率を見ますと、昭和三十七年度と昭和四十七年度を比べると、治水関係が二九・七%から二三・六%に減っている。道路関係は七〇・三%から七六・四%にふえている。道路を重視することはあながち悪いとは言いませんけれども、治水関係を軽視する傾向がもしあらわれているとすればこれは非常に重大な問題である。たとえば治水関係の技術者も昭和四十年から四十八年に比べまして半分以下に減っている。これはおそらく道路関係その他に移っていったのではないかと思うんですね。そういうことがあるとするとこれは非常に大きな問題で、その一つのあらわれが多摩川の管理、多摩出張所がわずか十六名というのでは二十キロ全部管理するとなると非常にやっぱり手を抜かざるを得ないのじゃないか。せきの問題でも結局今度のように事態が起きなければわからないということになりかねませんし、事態が起きて初めて知って通達を出したのでは間に合わない。そういう点で治水関係、特に一級河川を含めて川の管理の予算、人員のやっぱり強化する点ですね、これ、建設大臣にぜひ要望したいと思います。
  153. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御指摘のとおりでございます。私も就任いたしまして各局の事情を説明を受けたわけでございますが、治水関係が非常に消極的になっているんじゃないかと、こんなことではいかぬじゃないかということで、四十九年度の予算編成をいたします際にも、また特に五十年度の概算要求をいたします際にも、政府全体として二五%以内に概算要求をするという方針でありましたけれども、その概算要求の二五%以内という中にあっても道路は一九%ぐらいの伸びで概算要求をすると、河川については三〇%の要求をしなさいと、ここでひとつ河川関係の体制を建設省内において強化すべきであると、こういうことで省内を督励をいたしておるわけでございます。道路関係との比較をして御指摘になったわけでありますが、道路との比較問題は別といたしましても、河川関係について、予算面において、また人員の面において、とにかく水を治めてまいるということはもう政治の基本でなければならぬわけであります。日ごろはおとなしい河川も、一たんあばれますと、もうどんなことをしても手に負えないという事情になるわけでありまするから、河川を治めてまいりますためにはやっぱり思い切った長期計画をつくらなければならないということで、実は事務当局に対しましても治水の五カ年計画を改定する際にも十二分に道路に負けないだけの体制をとれるように準備をしなさいということでいろいろと準備をさしておる次第でございます。
  154. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ぜひこれまでの治水行政のあり方を根本的に再検討されて、予算の面でも人員の面でもこの面で国民全体が安心できるように体制を強化していただきたいと重ねて要望したいと思います。  時間もありませんので、最後に被災者に対する救済あるいは補償の問題について質問したいと思います。  今度の場合、東京都狛江市の被災者に対する対策は、もちろんこまかく言うといろいろな問題があったでしょうけれども、全体としてかなり積極的なように私どもは思います。直ちに都の住宅公社の提供の問題なども手を打たれましたし、特に先ほどから審議の中でも話に出ております一人八百万円の住宅再建のための資金融資ですね、こういうことも行なわれておる。これは東京都が二億円の融資を直ちに決定したわけです。東京都の二億円の融資というのは、実は市町村振興のための貸し付け基金条例を使ったものですけれども、この中には実は災害のためという項目はないのですね。災害のための項目はないけれども、これは九月議会で改正しようということで大体一致して、改正のある前にとにかく二億円都が融資すると、狛江に対して。それに狛江市が五千万円を足して全体で二億五千万円にして、臨時市議会を直ちに開いて、狛江市の救難資金の条例を直ちに可決して、一人八百万円、無利子で二十年間の償還で貸し出すという措置をとったわけであります。これらの例に見られますように、私は東京都と狛江市の被災者に対する態度は、他に法律がないからとか、何もこうきまってないからという態度とやはり違うと思うのですね。で、この災害の問題が起きた場合に、いわゆる政令でどうこうどうこうと、だから今度の場合には、災害激甚の場合にも当てはまらないしという問題がしばしばいわれるのですが、そういう姿勢でなしに、実際に法律を、あるいは条例を住民のために生かすという姿勢で、非常に早い――私は早いと言っていいと思うのですけれども八百万円の融資という措置がきめられておる。これは国としてもそういう救済措置を積極的にやはりやらなければならぬと、そういう東京都や狛江市の姿勢にやはり劣らない、国民のためにあたたかい救済、政治が必要とされておるのではないかと思うのであります。その点で建設大臣が、まず宅地としては原状回復をやるという態度をかなり早く表明されまして、きょうの質問でも、ほんとうに宅地として、もとの所有主に原状回復してお返しすると、ただの石を積んだというのでなくて、ほんとうに宅地としてお返しするという態度表明がありましたので、これは非常にいいことであると思います。ぜひなるべく早く確実に実行していただきたい。  それで、国として被災者方々にどういう措置をそのほかに一体できるのかという点について、これは国土庁の方にお伺いしたいと思います。
  155. 横手正

    説明員(横手正君) 災害に際しましては各種の仕組みがございますが、今回の多摩地区、この関連につきましては、現在の仕組のもとにおきましては住宅金融公庫から住宅融資、こうしたものの活用が現在考えられると思います。
  156. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 住宅金融公庫の災害のための特別貸し付け三百五十万円、それだけだというわけですが、国としてできるのは。そのほかには一切ないということですか。
  157. 横手正

    説明員(横手正君) 個人災害につきましては、昨年来議員立法によりまして各種の救済の仕組み、これが考えられてきておりますが、今回の多摩地区はこれに該当しない、こういうようなことになっております。したがいまして、現在打てる手といたしましては、いまお話しの三百五十万円、この程度住宅金融公庫からの融資措置、これができるようになるわけでございます。
  158. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 住宅金融公庫の中で、災害復興住宅資金貸し付けというので四百三十万円というのがありますですね。あれの適用は今回の場合できないかどうかという問題と、それから昨年の国会で制定されました災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律、この中の災害援護資金、これの適用ができないのかどうか、この点について質問いたします。
  159. 横手正

    説明員(横手正君) 第一点のほうでございますが、災害復興住宅貸し付け資金の仕組みはやはりこれはいろいろ要件がございます。いわゆる一般の住宅資金、これしか適用ができないわけでございます。また、災害援護資金でございますが、これもいろいろ要件がございまして今回は適用が困難でございます。ただ、厚生省の所管になりますが、世帯更生資金の貸し付けの資金がございます。これは対象が低所得者層、こういうことになろうかと思いますが、該当される方はこの資金の活用が可能でございます。
  160. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 確かに四百三十万円のほうは災害救助法の適用を受けなきゃならぬとか現法律ではきまっておりますが、これはこれで一つ問題ですけれども、あとの法律については、私の調べでは厚生事務次官の通達の中で、この中で「政令で定める相当程度の住居又は家財の損害」というのがあって、担当大臣が、厚生大臣が被害の程度事情を勘案してきめる、この中に住居の滅失した世帯の数が五以上であるというケースがあるんですね。これだとどうも二十万円貸し出しができるようだと、そう思いますけども、この点はいかがでしょうか。
  161. 横手正

    説明員(横手正君) ただいまの点でございますが、二十万円の貸し付け、この基準につきまして先ほどのお話の基準があるわけでございます。基本的には災害救助法の適用があった市町村、あるいは災害救助法の適用がある市町村を含む都府県下の市町村、こうした市町村管内の災害が適用になる、こういうことになっております。そして適用になりました際に、先ほどの家財道具等につきましての被害がありました場合に二十万円の貸し付けが適用になる、こういう仕組みになっております。
  162. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 結局、そうなると被災者に対して国ができることは、宅地を完全に回復してなるべく早く所有者に対して補償するということと、そのほかには住宅金融公庫の特別貸し付け三百五十万円、これ一つできるだけで、あとは何にもできないというのがいまの法律の仕組みであります。この問題は私はことしの七月三十一日に質問主意書を出しまして、いま個人がどんなに災害で被害を受けても全部自力復興だと、こういう点大きな問題だということを指摘しましたけれども、今度もまた以上の経過で、いまの個人で災害を受けた場合の自力復興という、この国の法律にやっぱり大きな問題があるということをあらためて指摘さざるを得ません。  次にもう一つ、東京都と狛江市は先ほど申しましたようにかなり積極的な措置をとっている。それに比べて国はいま私が言ったようなことしかできないけれども、ひとつ災害対策基本法の九十四条、九十五条で、自治体に対して国が防災の場合の費用の全部または一部を負担あるいは補助するという項目があります。それから水防法の三十三条の二、都道府県に対しては二分の一以内の負担を国がやっぱりできるという項目がありますけれども、こういう条項でやっぱり東京都、特に狛江市に対して、国が今回の水防関係あるいは災害対策関係の費用の負担、補助を積極的にすべきではないだろうか。その際法律にとらわれないで、やっぱりあたたかな政治で特に狛江市に対して国としてのやっぱり補助、費用の負担ですね、こういうものをすべきだと思うのですけれども、この点、国土庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  163. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 国土庁といたしましては、いまの法律に基づいてそれぞれ援助はやることはもちろんでございますが、特別の場合であって全体としてたいへん個人的に難儀を来たしておる、また公共団体が難儀を来たしておるというときは、これは交付金のかさ上げ等も考えられないことはありません。したがいまして今度は、まだいろいろ調べ中でございまして、国土庁としてまとまった発言はいたしておらないのでございます。今後ともひとつこの事件についてはたいへんお気の毒でございますので十分考えたいと思っております。  この際でございますから申し上げますが、私はやはり先般の閣議でも申しましたが、この防災基本法は、いま直ちに――まだ国土庁できましてから二カ月しかならないんですから、すぐ改正をするというようなことは申しませんが、今日までたどってきた災害を考えますると、防災基本法に基づいてもろもろの法律ができておるから、そのもろもろの法律につきましてはひとつ今後改正をすることがありまするから、各省大臣はそれぞれ御協力を願いたいということを申し上げておるのでございます。したがいまして、たとえば個人に対する災害救助、団体に対する災害救助、それから激甚災の指定の問題、いろいろございます。したがって、今後ともいろいろいままでの災害の実情、非常にお困りの点を考えまして、今後はそういう点について留意したいと国土庁は考えておるような次第でございます。  なお、御参考までに申し上げますと、いま上田さんおっしゃいましたように、とにかくその同じ金を使うのに治水治山が金が少ないんじゃないかという……。私は治水治山第一次五カ年計画から今日の五次までの集計をいたしてみました。全部で三兆七千億ぐらい使っています。これは算術計算でございます。物価の修正はしておりませんが、ほかのものも私は調べますと、ほかのものよりははるかにまあ感じとしては非常に僅少な金で非常に効果をあげたというように私は感ずるんであります。どういう一体効果をあげたんだろう、こう申しますと、いままでの災害を集計してみますと、終戦以来の、昭和二十一年から三十年までの十カ年間におけるこの災害による死者は二千人でございます。流失家屋は二万五千軒。昭和三十一年から次の十カ年間、昭和四十年までの十カ年間はやはりたいへんこの死者が減っております。約一万五千人ぐらいでございます。前が二千人、今度は千五百人。家屋につきましては前の十カ年が二万五千軒が九千軒ぐらいに減っております。その次の十年は、あとまだ四十九年と五十年を残しておりますが、四十九年までの集計をしますと、昭和四十一年から四十八年までの集計、九年がちょっと入っておりますが、平均の死者――一カ年を平均して四百人でございます。流失の家屋は九百戸ぐらいでございます。それから見ますと、もう初めの第一期の十カ年は何と年平均二千人の方、流失家屋二万五千軒が、多少治水治山に金を入れたためにまあ今日のようになっておるんだと私は思います。ずっと減っておるのです。したがいまして、治水治山関係の金をもう少しつぎ込めば、全然これは災害を受けぬというようなこともなかろうかと思いますけれども、やはりその金の効果は出るんじゃないかと、かように考えておる次第でございまするから、今後も実情に合わない点は法律を直し、治水治山の金はもう少し思い切ってつぎ込んで、やはり災害で死者が――人命の損傷がないというふうに心がけたいと、かように考えておる次第でございます。御参考のために申し上げました。
  164. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いま国土庁長官から治水治山のために積極的な意見の表明がありましたし、それから先ほど私の質問に対しても、法律できまっていることと同時に、交付金の増額ですね、こういう点も考えるという点がありましたので、これは前向きにぜひ対処していただきたいと思います。  で、そうしますと、やっぱりどうしても今度の問題では国家賠償の問題が一つ出てくると思います。御承知のように国家賠償法の第二条では、「道路河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」と、こうきまっております。これは今後の調査の結果、徹底的な調査を行なわれるという答弁が先ほどありました。もうすでに公的な問題になっておりますし、非常に大きな問題として各方面から注視を浴びておる問題であるだけに徹底的にやっぱり科学的な調査をしていただきたい。その結果、この第二条にいう国の責任にある営造物の設置または管理にきずがあったという調査結果が明らかになった場合、国と自治体は今度の多摩川災害について、土地だけでなくて家屋並びに家財についてもやっぱり国家賠償の責めに任じなければならないと思いますが、その点でこの調査の結果、いろんな口実を設けて逃げるのではなしに、そういう場合にはぜひ国家賠償を積極的にやっていただきたい。この点について建設大臣国土庁長官の答弁を願いたいと思います。
  165. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 流失いたしました民地については、先ほど申し上げたように工事に付随して復元されるわけでございますけれども、流失しました家屋の補償につきましては、補償は非常に困難であると、こう考えておるわけでございます。と申しますのは、ただいまお読みになられましたように、国家賠償法の規定によりまして、やはり行政側に瑕疵が、設置に瑕疵があったという場合に国家賠償の責めが生じてくるわけでありますけれども、実は現在も全国的に行政訴訟になっておる件も幾つかあるわけでございます。したがいまして、その判決等もやっぱり十分参考にしていかなければならぬとも考えております。私どもしろうとが技術的に解明されない問題について瑕疵があるかどうかというようなことは申すべきではないと考えまして、先ほど申し上げましたように徹底的な原因探究をしてまいると同時に、先ほど申し上げましたように、これは新発田の加治川においてやはり国家賠償法による裁判の請求が現在行なわれておるわけでございます。で、こういう問題ともにらみ合わせまして考えたいと、こう思っておるわけであります。
  166. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま上田さんの、国家にその責任があるという、その仮定でものを言われたんですが、その件をこれから調べろと言うんですが、これはいまの国家賠償ということになれば、建設大臣国土庁長官二人できめられるものじゃございません。政府それ自身の問題で討議さるべきものと思っております。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まあ、この問題は調査結果にやっぱりよるもので、私も今度の調査結果で何が明らかになるかということをはっきり見てもう一度委員会でも取り上げたいと、そう思います。  で、最後に、きょうまあ今度の多摩川の堤防決壊の問題について申し述べましたけれども、多摩川に限らないやっぱり日本全国にわたる問題であることは皆さんよく御存じだと思います。建設白書でも「四十八年度末における治水事業の整備水準は、明治以来の努力にもかかわらず直轄河川で三五%、補助河川についてはわずかに一八%にすぎない」と、そう書かれているので、河川の危険個所がいま全国に非常にまだまだ数が多いわけで、今度の災害から全体として大きな教訓を引き出して、治山治水のために、また河川の管理、安全点検、そのための努力をぜひ政府に対してお願いしたい。で、それは河川の問題だけではなくて、きょうはもう時間がありませんし、御質問できませんけれども、実は深く国土計画にも関係があるわけですね。乱開発でどんどん都市化が進み、道路の舗装が進むと、それから水田がどんどんなくなると、どうしても降った雨が全部もう川に流れ込んでくる、昔は雨のうち五〇%が川に流れるといわれたのが、七〇%から八〇%に及ぶのではないかという話もあるぐらいで、やっぱり開発の進行と非常に深い関係がある。そういう点は私どもはやっぱり大資本本位の高度成長や無計画な乱開発、これがこの治水の問題とも深い関係がありますし、その点で国土庁長官に間違った日本列島改造論なんかはぜひやっていただきたくない。そうして日本列島総災害みたいなことにならないように最後にぜひ要望いたしまして、きょうの私の質問を終わらしていただきます。
  168. 三治重信

    ○三治重信君 どうもたいへん時間も過ぎたようでございますので、けさからの委員の重複の部面は避けまして、この住宅対策の部面をちょっとまず最初に取り上げてみたいと思うのです。  非常なまあ狂乱物価から、土地の暴騰ということから、最近住宅に対するまあ働く労働者の望みが非常に夢のようになってきたと、こういう悲観的なことから、さらに住宅資金として貯蓄さるべきものまでが一般の消費に向かうのではないかと、こうまでいわれるようなふうになってまいりました。特にこの個人の住宅資金の融資の問題で、最近非常にその融資が銀行の営利的な資金の抑制はもちろんのこと、まあ国の住宅資金も非常に窮迫しているというふうに聞いておるわけでございますが、こういうふうなこの住宅対策の中で、特に個人住宅を中心とする融資の問題について、来年以降、またいまのこのインフレ下、今後の物価値上がり等に対して、個人住宅を中心とする融資の対策建設省としてどう持っていかれる考えか、ひとつまず最初にお聞きしたい。
  169. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 住宅金融公庫の個人住宅の融資の増額につきましては例年つとめてまいっております。大都市地域の木造住宅を例にとってみますと、昭和四十六年度までは戸当たり九十五万円でございました。その後昭和四十六年度の財政投融資追加のおりから百二十万円に引き上げております。その後毎年度の予算要求におきまして、四十七年度は百五十万円、昭和四十八年度は二百五十万円、昭和四十九年度は三百五十万円というふうに引き上げてまいっております。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、いつでもこれで十分だとは思っておりません。さらに努力をいたしまして今後もこの増加につとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
  170. 三治重信

    ○三治重信君 この四十九年度で三百五十万円というのは、これは家屋だけでなくして土地代まで含まれている金額ではないんですか。
  171. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 申しおくれました。ただいまのは上物だけの値段でございまして、土地つきの場合にはもう百五十万円足しまして五百万円というのが本年度の基準になっております。来年度はこれを上物だけで五百万円、土地を入れますと八百万円ということにいたしたいという予算要求をしておるわけでございます。
  172. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、この土地住宅建設費がものすごく一般の狂乱物価の中でも特に値上がりの激しいところで、非常に労働者が住宅のいままでの資金計画から絶望感を持ってきている、この絶望感をどうして回復するか。やはり自分の将来計画からいって、できるだけ早く住宅を建てるという努力目標を再び復活さすことをぜひやってほしいと思うのです。  それで、一つの問題は、この土地対策で非常に画期的な土地対策法ができましたけれども、なかなか発動にまだ問題があるようでございますが、それを一面考慮には入れながらも、従来のようにこの住宅を建てるのに土地を買わなければ、または土地を買うということでなくして、地主は地主として、ことに農地の場合においては、この土地の所有はそのままにして宅地に転換して、そこに住宅を建てられる施策を私はぜひ進めてほしいと思う。それでないと、資金的にやはり非常に両方をやるということはたいへん困難がある。   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 したがって、いわるゆ市街地に指定されているような農地についてのやつは、特に農民なり農家の保有のままでそれを宅地として利用していける、住宅用地として利用していく方策について何か考えを持っておられるか、これの利用政策を特にお聞きしたいと思います。
  173. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 土地を所有していらっしゃいます農民の方たちに住宅建設に大いに参加をしていただくということは、将来の方向としてぜひとも必要であろうと考えております。現在までのところ、みずから賃貸住宅を経営なさるという農家の方々の援助策といたしまして、予算補助によりまして特定賃貸住宅の利子補給制度というのがございます。それから法律に基づきまして農住利子補給制度というのがございます。さらに金融公庫が公庫の土地担保賃貸をお貸しいたしまして賃貸住宅をつくっていただくというような制度もございます。さらに本年度からは住宅公団が、土地を所有していらっしゃる農民の方々のために賃貸住宅をつくりまして長期で分譲する、土地所有者の方はその長期分譲を受けました住宅をみずから賃貸なさるという制度を発足させております。しかし、おっしゃいますように、やはりそういうことだけでは農家の方々の希望に全部沿いがたいという点もございますので、来年度は土地を借り上げまして、いわゆるレンタル方式とわれわれ言っておりますが、土地を借り上げまして、そこへ分譲なり賃貸住宅をつくりまして、農家の方々には適正な地代を補償し、一定の年限がたった場合には時価による買い取り請求の権利をとどめて残すというようなことを前提といたします土地の賃借方式による住宅建設を進めたいということで、   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕 制度の要求をいたしておる次第でございます。
  174. 三治重信

    ○三治重信君 いまのその方策なんですけれども、それはやはり特定の法律でやるのか、予算措置でやられるのか、どちらですか。
  175. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 先ほど申し上げように、現在法律で、みずからおやりになる方々のために農住利子補給制度というのがございます。ところが、この法律は昭和五十年で期限が切れる法律になっております。それからそのほかに、先ほど申し上げましたように、予算補助によりまして特定賃貸住宅の利子補給制度等々も行なってまいっております。したがいまして、来年度は宅地方式によります住宅建設事業につきましても、当面は予算補助ということで制度の確立をまずはかりたい。現在、全農、全中の皆さん方とも御相談いたしておりますけれども、具体的なモデルケースを予算補助によりまして来年度とにかくつくってみたい、その結果を、先ほど申し上げました農住利子補給法等とともに、五十一年度を目ざして立法化を行なったらいかがかというふうに考えている次第でございます。
  176. 三治重信

    ○三治重信君 そういたしますと、結局私も、この市街化の中における農地の利用または特別の調整地域における利用の場合に、農民の方たちが土地をだんだん手放さがらなくなってきている対策を考えておられるということはわかりましたんですが、それに対しまして、この予算補助のやつの場合に、建てたアパートや何かの分譲計画、いわゆる労働者に対して分譲もできる施策を考えておられるんですか。これは賃貸だけでございますか。
  177. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) いままでやっておりましたのが全部賃貸でございました。来年度考えておりますのは、やはり土地そのものはいつまでもレンタルということになりますが、上物については当然分譲も大いに入れていきたいと考えております。
  178. 三治重信

    ○三治重信君 それはどれぐらいの、何戸ぐらいのところを考えておられるか、また地域的にモデルケース的に数カ所の地域か、そういう計画をちょっとお知らせ願いたいと思いますとともに、この部面を私はひとつ労働者のやはり希望と申しますか、将来の資金計画をきめる場合に非常に今度は建設費、いわゆる家屋費だけで目標がひとつ立てられるんじゃないか。それで住宅の夢が一つは接近できるんじゃないか。こういう意味においてきょう特別お聞きして、ぜひいまの一般の労働者や庶民が住宅について非常にあきらめムードのところを何とか復活する対策を考えてもらう突破口として一つの問題としてお願いをしよう、こう考えてお願いしたわけなんです。  この場合にやはり特に考慮していただきたいのは、環境の整備の部面について、国や地方公共団体が環境の施策について特別配慮といいますか、予算措置をぜひ講じていただきたいと思うんです。とかく公営住宅や県営住宅もそうなんですけれども、住宅公団のほうから見ると環境整備が非常におくれている。住宅公団でもまだ非常におくれている。日本の住宅政策そのものが非常に各地方都市できらわれておりますのも、やはり付属の施設についての予算措置が同時に伴わないで住宅だけを建てる。それに付随して学校や水道やその他の施設、これは従来もいわれていることなんですけれども、ことにこういうふうな特定の小団地で、ことに農民の方たちが土地の利用を考えるという場合に環境整備、道路や用排水の環境整備についての補助閏係、対策関係も特に力を入れていただかないと、あとから公害も、かえってトラブルが起きる可能性が非常にあるんじゃないか。そういう配慮もぜひしてほしいと思います。  それで、ことに一つ私は理想的に考えておりますのは、都市近郊における農協の関係に特に働きかけていただいて、こういう部面の計画あとの管理の問題も、それからあと土地のレントの問題も大いに研究体制をとっていただきたいと思うんですが、こういう市街地の農協関係等の意見は、建設省としてそういう住宅施策をモデル的にやられる場合に一々意見を聞いておられますかどうか。
  179. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 最初に、来年どの程度やるかという問題でございますが、実は実際の事業の実施に当たりましては指定法人というのを考えております。指定法人と申しますのは、農協それから地方公共団体等が出資をせられます、農住公社といま仮称でわれわれ呼んておりますが、そういう法人でございます。それとあとは日本住宅公団、それから地方公共団体、地方住宅供給公社、日本勤労者住宅協会等々に仕事をしていただくという考えでおります。その場合、あくまで来年度は制度ということでございますので、実際の上物を建てる、それから地代を払うというものは、例年のそれぞれの事業の中の全体予算の中からやるということにしておりまして、たくさんできればうんとそれを使う、少ししかできなければモデルのところで終わってしまうというようなことになろうかと思います。現在具体の個所づけにつきましては全農、全中の皆さんと具体的にいろいろと相談を詰めておりますので、全体事業量をここで幾ら幾らとなかなか申し上げられないのが実情でございます。  それから特に環境をよくすべきだということはわれわれも当然だと思っております。したがいまして、特にいままでも公庫融資の中で関連公共施設等の融資等につきましてはいろいろやってまいっておりますけれども、さらに対象範囲を広げるとか、利子を補給する率をふやしまして、低利で地方公共団体のほうへ回すようにするとかいうような新しい施策を講じますとともに、この事業につきましても、土地区画整理促進区域で行ないます場合には特定土地区画整理事業、それから住宅街区整備促進区域について行なう場合、住宅街区整備事業というものとあわせて環境のよい団地をつくりたいと考えておる次第でございます。それから農協とか全中とはしょっちゅう相談をいたしております。
  180. 三治重信

    ○三治重信君 その指定法人の中に、中小企業団体やそれから一般の事業団体が従業員のためにそういうことをやろうとした場合には申請ですか、その社団法人あるいは財団法人を持ったり、また特別な事業団体が、ことに中小企業団体法なんかによる中小企業団体がやる場合に、その対象にできる可能性がありますか。
  181. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 現在のところは、大体三年ないし五年ごとに地代の協議を行なうというふうな問題、それから十年たちますと買い取り請求を必ずやってもらうという問題、その場合に、買い取り請求を受けた場合の援助のことが来年はまだ出てまいりませんので予算化をいたしておりませんが、将来相当な援助が要ることになろうかと思います。したがいまして、現在のところは先ほど申し上げましたような法人といいますか――を対象に事業の仕組みを考えております。ただ、そういうふうな中小団体の方々が分譲なり賃貸の住宅がほしいという場合に、そういう事業計画とマッチをされまして、そういうことにいろいろと初めから計画をして、その中に乗り込まれるということは私は当然あってよかろうと思っております。
  182. 三治重信

    ○三治重信君 この計画につきまして、ことに一般の需要者の意見も、ぜひその分譲を受ける需要者のほうの意見もひとつ今後とも聞いていただきたいと思います。その意見というのは、中小企業団体や労働組合のそういう需要者の部面の意見もぜひひとつ聞いてほしいと思います。そしてその上にこの土地利用計画法によって地価が抑制されていきますれば、非常に新しい住宅対策がまた考えられてくると思いますが、きょうは時間の関係で私は、従来のいわゆる住宅というと、土地をまず入れてそうして住宅を建てるという発想から、これだけインフレや土地の狂騰からいって、土地はひとつ地主をそのままにしてレンタル方式を考えたらどうか、これをぜひ考えてほしいと思って申し上げたんですが、非常に積極的にもう計画に着手しておられると聞きまして、ぜひひとつそちらの部面でいきますと、総需要抑制の部面でも、住宅をただ金を出して買うとなれば金が余分に出るわけなんです。あるものならば、この建設費だけになれば、それだけでも総需要抑制にも合った住宅資金なり、住宅の建てられる計画があまり抑制されぬで進むんじゃないか、こういうことを考えている次第でございます。  それから私は愛知の出身なものですから、きょうは名古屋を中心としてゼロメートル対策のことを中心に聞く予定でおりましたんですが、朝からの非常な委員の御熱心な質問で私もだいぶんわかった部面がございますので、その部面は重複を避けまして、特にゼロメートル地帯対策として、工業用水あるいはビル用水のくみ取り禁止の問題が非常に強く叫ばれておりますが、これが通産省の関係で工業用水をそういうふうに禁止された場合に、その禁止するテンポと、工業用水の供給との関係を禁止されても、十分工業用水なりそのゼロメートル地帯のピルや工場なんかの工業用水の供給については計画的な、計画を持っておられるんですかどうですか。
  183. 柴田益男

    説明員(柴田益男君) 工場が工業用水として地下水を使用している場合に、地盤沈下等の障害が起きてまいりますと、工業用水法で当該地域を指定いたしまして地下水のくみ上げを実質的に禁止していくわけでございますが、そのテンポと申しますと、工業用水道の建設が一年以内に開始される見込みがある場合、あるいは現に工業用水道が建設されている、そういう地域につきまして政令で指定いたしまして、政令で指定いたしますと新規のくみ上げは直ちに禁止になります。既存の工場のくみ上げにつきましては、各工場に配管が行なわれる見込みを見定めまして指令で転換期日を指定いたしまして、それから一年以内ということになっているわけでございまして、新設については政令指定と同時に実施される、既設のものにつきましては配管が大体できてから一年以内というのが現在のテンポでございます。
  184. 三治重信

    ○三治重信君 それは法律の順序なんでしょうが、現実にこのゼロメートル地帯の対策で、非常に世論が進んで禁止をせざるを得ないという場合に、通産省だけじゃ、新設がまだできない、あるいはその配管ができないからまだとめるわけにはいかぬということで押し通せるつもりなのか、やはりそれに対して、きょうもたくさんゼロメートル地帯の指定やまあ調査の結果、三十一都府県にも及ぶような実態があるわけなんです。そういうものに対してもう少しこのテンポを速めるということか、あるいはそういうものに対して新しい工業用水の利用法――工業用水道以外でなければ工業用水のくみ上げをとめる代案はないんですか。そのほかにも別に処置はないか。たとえば工場用水の再利用とか、水を少なくする、あるいはその土地の下水の排水路の浄化で再利用するとかいうような臨機応変の処置をもう少し考えるという余地はないわけですか。
  185. 柴田益男

    説明員(柴田益男君) 御指摘のとおり、地下水にかえて他の水源を持ってくる場合に、新しいダムで開発した水だけでなくて、下水の高度の再生利用した水を活用する、あるいは既存の工場の水を節約させて余った水を地下水対策として供給するということはわれわれも考えておるところでございます。その方向で現在推進しております。ただ、愛知県下につきましては、名古屋市周辺が現在指定になっておりますし、この一部の拡大につきましては名古屋市で現在検討中と聞いております。あるいは四日市周辺につきましても、地域の拡大について地方自治体が拡大を検討中と聞いておりますが、濃尾平野全般につきましては非常に大きな水源が必要とされておりまして、現在岩屋ダムというのを建設中でございまして、このダムが建設されて工業用水道が敷設されるようになりますれば、濃尾平野全体についても地下水転換が進むのではないかと考えております。この点につきましては、愛知県での検討といいますか計画の進捗状況を見て、われわれも対策を進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  186. 三治重信

    ○三治重信君 ここで、建設省のほうにもお聞きいたしますが、ゼロメートル地帯の対策で、水の問題、建設省のほうは水の処理に困っている、通産省のほうは水の供給に困っている。ここをもう少し、この余る水を工業用水なり、その土地へ再利用できる方策を建設省としても、その過剰の、ゼロメートル地帯における水の処理の関係からいって、ちょっと雨が降っても、実際災害のときになって初めて浸水家屋が何ぼとかいろんな問題が出るんですけれども、これはもう普通のちょっとした雨が降っても、新聞に出ない床下浸水とか、用水の近くの住宅なんかでたくさんの浸水家屋が年に何回となくあるわけなんですね。そういう意味において、そういうふうな非常の災害の場合は別として、一般のちょっとした雨でも非常にそういうふうな排水にゼロメートル地帯は今後いろいろ悩まされると思いますが、そういう排水をするやつを、早く地盤沈下をとめるためにも、通産省とひとつやって、その水を工業用水に利用する何か特別な施策、施設をつくる考えはございませんか。
  187. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生のお話は、いわゆる災害時にはこのゼロメーター地帯は水が一ぱいたまってどうしようもない、片方は水が非常にほしいという問題、うまい方法はないかということでございますが、建設省といたしましては、この平時、雨が降りますと一番困るのはこのゼロメーター地帯でございまして、一番やはり即効のあがるのは排水ポンプでございます。ことに先生見られました濃尾平野等は排水ポンプ以外手がないというのが事実でございます。もちろん地盤沈下対策、高潮対策で堤防のかさ上げその他いろいろな事業を実施しておりますけれども、それと同時に排水ポンプの設置をしておりますが、やはり建設省立場といたしましては、この対策は相当の金が要りますものですから、最後的には地下水の規制という地下水の規制問題をずっといま研究しております。これを研究しておりますと、やはりそのまた規制するほかに水の涵養といいますか、地下水の涵養問題も一つ入ってくる、あるいは代替施設が要るということで、先生おっしゃいますように、この問題は私どもが独自でいろいろと管理のほうを勉強しておりますが、やはり水資源の涵養と代替施設というようなことから、他省の行政とも相からみますので、いろいろと今後協調しながら勉強していきたいと思っておる次第でございます。
  188. 三治重信

    ○三治重信君 それとまあ直接は関連はいたしませんが、日本の下水道の進捗状態の悪いのは有名ですけれども、ことにこの災害を中心にして、被害地における用排水路の災害が重なってたいへんな浸水家屋が出て、都市の住民にたいへんな災害をもたらしているわけなんですが、先日も愛知、三重の災害災害対策特別委員会のほうで行った場合における中小都市の意見として、周辺が非常に開発されたので、いまの河川のままではいつまで改良復旧やってみても同じように災害が出てくる、どうしてももう少し用水を、排水路の、用水をつくらぬことには災害が断てないと思うんですけれども、そういうふうな排水用水の新設について、下水道でないといわゆる補助金や起債が認められない、雨の場合あるいは一般の浸水を防御する意味においての流水をよくする、内水排除のための市街地の排水対策というものを特別新設の場合を考えていかないとうまくないんじゃないか、こういう意見が非常にあったわけなんです。そういうものに対する建設省の配慮と申しますか、考え方をお聞きしたいと思います。
  189. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先生の御指摘のとおりでございます。都市地域における雨水の排水対策というものは、現在下水道と私どものほうの河川一つのシステムの中で動かないと意味がないというようなことから、これは昭和四十八年でございますが、河川と下水道の管理分担基準をきめまして河川局長と都市局長というもので通達を定めております。これによっておのおのの分担をきめて十分調整しながら現在進めております。原則的な基準といたしましては、流域面積が二平方キロメートル以上を川といたしまして、その以下を下水道として管理することにしております。ただ現在、普通河川の場合が非常に多いわけでございますので、河川として改修する必要のあるものにつきましては一級または二級の河川に指定いたしまして、中小河川改修事業等によって改修促進を現在もはかっておりますし、また今後も計画をいろいろして下水道との調整をはかって、一緒になって一つの雨水排水対策をやろうということで個所ごとにいろいろと現在進めておるところでございます。
  190. 三治重信

    ○三治重信君 もう最後にしますが、いま申し上げましたように、また朝から各委員が御説明ありましたように、非常にことしだけの現象ではないと思うのです、その都市における浸水は。これによって個人の財産が非常に今度は侵食を受けた。それに対する、先ほどの御質問でもわかるように、国の補償またはあるいは一般的な補償がない、わずかの融資制度しか残らない。したがって、どうしてもこういう急速に発展した都市の中、また周辺における排水対策を特別考えていただかないと、ちょっとした雨によっても床下・床上浸水というものが、災害の大きなときには非常に騒がれて何とか補償されますけれども、私のところの名古屋市並びに知多半島の海岸地帯ではもう年に何回となく、また三重の海岸地帯でも年に何回となくそういう目にあっている勤労者並びに一般住民がたくさんあるわけです。それが何の補償も受けられないということでありますから、ひとつ最後に大臣、応急措置としてどうしても排水ポンプまた排水場だけは早急にひとつ、そういう一般の住民生活を直接脅かすことから至急救うという意味において、排水のポンプ、排水場の施設というものをぜひひとつ早く設備をする対策を講じていただきたいと思います。  以上をもって質問を終わります。
  191. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 今回の台風によりまして浸水を受けて被害を受けた方々が非常に多いわけでございます。いろいろな開発の問題等々も関連いたしまして、従来よりも浸水家屋がふえてきておりますことは私も十分承知いたしております。したがいまして、今回も災害査定をいたします際には、十分それらの事態を改善できるようにひとつ緊急対策として処置するように指導していきたいと考えております。
  192. 小野明

    委員長小野明君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  193. 小野明

    委員長小野明君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会