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上田耕一郎君 この政令がまだ未制定だというのは
国会でもしばしば問題になったそうですけれども、やはり私はこれは非常に重大な問題だと思うんです。
河川法が生まれてからもうほぼ十年近くなっているわけで、新しい
河川法ができましてから。このダムだとか、せき、あるいは堤防、こういう人命を守るため――人命と
財産、
国民を守るためのそういうものについての構造の技術的基準が、いまだに政令としてきまっていないという事態は、これは非常に、これこそやっぱり異例な事態ではないかとそう思います、しかし、審査にあたってはこれが実際上使われているということになりますと、何ら法律的拘束力のないもので審査ではやっているからだいじょうぶでしょうと、私も今度その内規をいただきましたけれども、八次案だというのですね、慎重なことはよろしいけれども、やっぱり一刻も早くこういう政令を制定すべきなんです。政令なんですから違う点があればどんどん修正もできるわけです。それを一次案、二次案で、八次案までつくって、いまだに内規だと、政令はきまっておりませんと、そうすると、どんな堤防つくっても法律違反にならぬわけですよ、まだ政令きまってないんだから。どんないいかげんな堤防があっても、今度のようなあそこの本堤防のような、全く欠陥が明らかなものでも、この十三条からは違反しているけれども、政令の技術的基準からはまだ違反しておりませんというようなことをも可能になるわけなので、やっぱり私はこの政令を一刻も早く
責任をもってつくっていただきたい、そのことをここで要望をしておきたいと思います。
で、もう
一つあわせて
指摘しておきたいのは、今度のような大
災害が起きて数千名の人が避難すると、しかし
災害救助法は適用されない。なぜ適用されないかというと、
災害救助法にくっついている政令ですね、こういうものが非常に早く、また完ぺきにできているわけであります。
狛江市のような市は、人口六万から十万の間だから、八十軒の家が
流れなければ適用されないということになっていて、八十軒というワクが政令で入っちまっている。それで
災害救助法のいろんな発動についても非常にこまかくきまっておりまして、一日当たり二百九十円しかあれは出しちゃいけないとか、こういう資金を貸すときはこのぐらいだとか実にこまかくできていて、毎年七月に早見表というのを厚生省は発表しているんですね。だから、
国民の権利を守る、それを制限するような、この
災害救助法の適用を押えるそういう政令については非常に完ぺきなものをおつくりになって、毎年早見表まで発表しておられるのに、
国民の生命
財産、こういうものを守る、こういう大事な堤防だとか、ダムだとか、せきについての構造の技術的基準を定める政令については、八次案までつくっておきながらいまだに未制定だと、こういう事態が放置されているところに
政府の
国民に対する姿勢の大きな問題があるという点を私は
指摘しておきたいと思います。
以上、時間もありませんので
原因の問題についてはこの
程度にとどめますけれども、今後の
調査に待たなけれぱ最終的な結論は出ないにしても、私のいままでの
質問でやっぱり問題の輪郭はかなり浮かび上がってきたのではないかと思うんです。人力の及ばない不可抗力による
天災、つまりだれも考えも及ぼなかった、いまの近代的な気象技術の予知のできないような異常
降雨によるものでもない。それから水量も当然予想されるものであって、いま
建設省自身が検討している、
多摩川については一秒間六千トンから七千トンというものから比べれば六割か七割
程度の出水でしかなかったという事態であります。それからダムの放流についても特別にやっぱり問題はなかった。そうすると宿河原のせきに問題がある。しかし、宿河原のせきの水門の操作には問題がなかった。あそこのそでの堤防というものは決して護岸あるいは洪水を防ぐための堤防じゃないんだ。高水位のときにはちゃんと越えるようなものになっているわけであります。そうすると、あそこにぶつかって、
計画洪水の流量四千トンがあそこにぶつかるとき、それを防ぐものは本堤防しかなかったわけであります。本堤防をつくった者、本堤防を管理している者、いま現在この管理
責任全部を持っているのはやっぱり
建設省なのであって、この本堤防の決壊の
原因、あるいは構造、強度にある、これが大きなやっぱり大穴、
失態だったと、きずだったと。しかもこの堤防の強度については、これをきめる、技術的基準をきめる政令さえいまだに未制定であるというようなさまざまな事態が――
建設省の
方々はまだ予想していらっしゃらなかったと言うけれども、今回の事態を生んだ非常に大きな
原因、私は最大の
原因じゃないかと思いますけれども、
原因だと、そう私は思います。そういう点で管理者としての国の
責任は明らかにある、回避することのできない明白な
責任がある。こういう点で構造の点検あるいは維持管理、そういう問題について
政府がやっぱりきちんと
原因を迫及し、
責任をはっきりとることをまず要望をしておきたいと思います。
二番目に、それでは事故が起きてからの
建設省の体制並びにやり方について問題があったのではないかという問題に移りたいと思います。今度の事故が起きてから現地の
狛江市の
方々をはじめ消防庁の
方々、自衛隊の
方々、
建設省の現地の京浜事務所の
方々、非常に努力をなさいました。幸い人命の損害がなかったことは不幸中の幸いだと思います。こういう
方々の努力に対しても敬意を表したいんだけれども、しかしやっぱり
被災者の
立場、こういう
災害をどう防ぐかという
国民の
立場からいうと非常に大きな問題があります。で、私は
建設省、
建設局長に対して、一体今度の豪雨が始まってから、増水が始まってからどういう点検体制をとっていたのか。
建設省側としては今度の洪水を一体いつ発見し知ったのか、それからその
あとどういう体制をとられたか、この点についてお聞きしたいと思います。