○国務大臣(大平正芳君) 税法上の
守秘義務がどうして設けられたかにつきまして、あらためて
小谷委員に御
説明申し上げるまでもないと思います。しかし、おさらいでございますので、私の
理解するところを申し上げますならば、
納税者のプライバシーを守るということ、それから、それに関連して第三者の
秘密、あるいは第三者の信用、そういうものにかかわることを、それを侵すことを守るということ、さらに
税務行政の執行の内部のやり方、方法、そういったことを開示することをいさぎよしとしないといういろいろな理由をもって、
守秘義務を立法府によっておきめいただいたことと思うんでございます。で、私は、したがってどのように考えるにいたしましても、やっぱりこの立法の趣旨は尊重し、国税
税務の執行に当たっておる者は拳々服膺をしてやっていただかなければ困ると思うんでございます。それは、そこそこにしてというわけにはいかぬと思うんでございます。
そこで、ただこれは税法という
立場から言ったことでございますが、いま
小谷委員がいみじくも言われたように、国会は、国会の
立場で国政
調査権をお持ちになっておるばかりでなく、一般の国政につきまして広く深く御審議をされる権能を持たれておるわけでございます。この国会の持たれておる権能と、またこの
税務当局に国会が課した
義務、それはどちらが軽いか、どちらが重いかということになるわけでございますが、これに対しまして私は、どちらが重い、どちらが軽いと言うわけにいかないと判断いたしております。両方とも尊重しなければならぬという考えでございます。
その場合、それでは国会が現に御
質問をされる、それにわれわれは答えなければならぬ。
資料の御
要求がございます。したがって、それに対してお答えしなければならぬ。
提出すべきものは
提出しなければならぬわけでございますが、一方において税法上の
守秘義務に縛られ、他方において、国会の持たれる権能に対しまして私
どもが協力しなければならぬ
義務があるわけでございます。その間どのように考えていくかということでございますが、これは結局抽象論でなくて、ケース・バイ・ケース、当該
委員会におきまして十分御討議をいただきまして、行政府と国会との間で折り合いをつけていただかなければならぬことと思うのであります。
それでは、ただいままでどういう
資料が御
提出できるか、これは先ほどお答え申し上げましたように、本
委員会ばかりでなく、衆参両院の各
委員会から出された
資料要求がたくさん参っております。それから、御
質問も今後いろいろおありのことと思うのでございますが、
守秘義務というのは、いままで
国税庁当局が答えておりますように、少なくとも
公示いたしました
範囲内にとどまるということでいいのかどうかということを、その後いろいろ
検討をいたしておるわけでございますが、これにあまりにも私はかたくなに過ぎやしないかという判断をもって、
国税庁にも命じて、どこまで御
質問に答えられるか、たくさんの
資料要求が出ておりますが、このうちでどこまで
資料の
要求に応じられるか
検討しろということを命じておりまして、近いうちにわれわれの考え方というものを御
説明申し上げて、御相談いたしたいと考えておるわけでございます。
しかし、その中で二つ、
資料自体がどうかという問題と、それから、それを開示する場所、あるいは場面というものを、どういうところであればどういう程度までできるのか、そういうようなことも含めて
検討いたしております。国会におきましても、
秘密委員会というようなものをお開きいただいて、そこで行政府をお呼びいただいていろいろ御聴取いただいておる例も、過去においてあることを
承知いたしておるわけでございまして、私は、そういう場合、そういう場面でございますならば、それではどこまで踏み込んで
資料の
提出ができるか、御
質問に答えられるか、そういうことも含めましてせっかくいま
検討を急がせておるわけでございます。近いうちにと申し上げておるのは、これはいつまでもこういうことで時日を遷延するつもりはないわけでございまして、これができ上がり次第、早晩、早急に御相談いたしたいと考えておりますので、それをごらんいただいてよく御
理解をいただきたいと思いますけれ
ども、もし、そういう場面にわれわれが弾力的に考えられる限界というようなものを誠心誠意出してまいりました場合におきましては、
守秘義務との関連も御考慮いただきまして、
委員会におかれましても御
理解を賜わればしあわせと思っております。