運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-11-14 第73回国会 参議院 決算委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月十四日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————    委員異動  十一月九日     辞任         補欠選任      久保  亘君     案納  勝君  十一月十三日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     志苫  裕君      上田耕一郎君     橋本  敦君      加藤  進君     近藤 忠孝君  十一月十四日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     上田耕一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前川  旦君     理 事                 鈴木 省吾君                 橋本 繁蔵君                 松岡 克由君                 小谷  守君                 田代富士男君                 橋本  敦君     委 員                 遠藤  要君                 木内 四郎君                 小林 国司君                 寺下 岩蔵君                 温水 三郎君                 案納  勝君                 工藤 良平君                 志苫  裕君                 須原 昭二君                 二宮 文造君                 峯山 昭範君                 近藤 忠孝君                 田渕 哲也君                 野末 陳平君    事務局側        常任員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   四方  修君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       後藤 達太君        大蔵省理財局次        長        金光 邦夫君        国税庁次長    磯辺 律男君        社会保険庁医療        保険部長     山高 章夫君        社会保険庁年金        保険部長     河野 義男君        農林省構造改善        局建設部長    福澤 達一君        労働大臣官房長  青木勇之助君        建設省計画局不        動産業課長    川合 宏之君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        会計検査院事務        総局第一局長   高橋 保司君        会計検査院事務        総局第三局長   本村 善文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○派遣委員報告に関する件 ○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和四十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十七  年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣  提出) ○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十二回国会内閣提出) ○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十二回国会内閣提出)     —————————————
  2. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月九日、久保亘君が委員辞任され、その補欠として案納勝君が、また、昨十三日、上田耕一郎君、加藤進君及び和田静夫君が委員辞任され、その補欠として橋本敦君、近藤忠孝君及び志苫裕君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 前川旦

    委員長前川旦君) 次に、橋本敦君の一時委員異動に伴い、理事が現在一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前川旦

    委員長前川旦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事橋本敦君を指名いたします。     —————————————
  5. 前川旦

    委員長前川旦君) 次に派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、当委員会が行ないました国家財政の経理及び国有財産の管理に関する実情を調査し、もって昭和四十七年度決算外二件の審査に資するための北海道への委員派遣について報告書委員長の手元に提出されておりますが、口頭報告はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前川旦

    委員長前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 前川旦

    委員長前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、大蔵省関係審査を行ないますが、本件につきましては、去る十月二十五日の審査の際質疑保留となり、その後、理事会で協議いたしました結果、本日と明日の両日、再び審査を続行することで意見が一致いたしましたので、質疑を続けます。  なお、大蔵省関係概要説明及び決算検査概要説明はすでに聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 須原昭二

    須原昭二君 いわゆる文春問題をきっかけとして、田中総理個人資産づくり田中総理個人納税実態、さらに田中総理関係をする企業のあり方について、不正不当な行為があったのではないかという疑惑が日々深まっております。まさに連日のように国会できびしい追及を受けておるのでありますが、いままでの政府関係当局とのやりとりでは、いわゆる守秘義務たてにとって、最も疑惑の濃い税務関係では、その内容は公表できない、ごかんべん願いたい、こういうことばで逃げの一手であります。すなわち、所得税法第二百四十三条、法人税法百六十三条、相続税法七十二条、地方税法二十二条による守秘義務でありますが、このため田中総理関係しているいわゆる幽霊会社といわれているもの、たとえば室町産業新星企業東京ニューハウスパール産業株式会社など、実態は明らかにされません。文春に掲載されているような資産づくりがはたして合法的なものであるかどうか全くわからない実態にあります。状態にあります。  地方税法関係でも、目白の私邸や軽井沢の別荘などの固定資産税が正当に納付されているだろうか。この点についてはまだ疑問です。かつまた、不動産取得税ども納付されているかどうか、これまた疑問です。全くこれらはわからないというのが今日の実態です。いわば、わからないだらけであると言わなければならないわけでありまして、これでは疑惑は日がたつに従って深まるばかりであると言わざるを得ないのであります。税務当局は、総理といえども決して特別な配慮や優遇措置は講じてないと口々に言われておりまするが、かたく口を閉ざしているような状態では、田中総理とぐるだと言われてもいたし方がない。田中総理に加担していると言われてもいたし方がないと私は思うのです。一たび善良な国民立場に立つと、善良な納税者国民のこの納税意欲というものを阻害することになるという、私は非常に危惧を持つものであります。したがって、税務当局はこの国民立場というものをどういうふうにお考えになっておるのか、今日の事態をどのように理解をされておるのか、まず最初に御見解を承っておきたいと思います。
  9. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) ただいまの御質問に対しましてお答えをいたしますが、田中総理中心とする関係会社のいろいろな税法上の疑義が生じておりますことは、まことに遺憾でございます。したがいまして、税務当局といたしましては、これを過去にさかのぼりまして、厳密に再審査をただいまいたしておる過程でございます。行政当局といたしまして、十分なるその責任を果たしておるとは考えておりますけれども、万一ということもございますので、そういう審査をいたしておる途中であり、また、聞くところによりますと、会計検査院におきましても検査をされるということでございます。何と申しましても、第一義的には、その衝にある者があげてこの疑惑を解明することに専念をし、その上でこれに必要なる御報告等もすべきものであろうと考えております。したがいまして、ただいまその途中におきましていろいろな資料の御要求がございますけれども、これはケースバイケースでお願いをするということでございますけれども、まだどの資料とどの資料をお出しするということについては、しばらく時間をかしていただきたいということを大蔵大臣もしばしば申し上げておるところでございます。  もちろん、国民に対して疑惑を晴らすためにあらゆる努力税務当局としてはすべきであり、また、国政調査権は、これは憲法上からくるところの非常に重要な国会の権限であるということもわれわれは承知いたしまして、これをもちろん尊重しなければならないものであるということは承知をいたしております。しかしながら、ただいまの過程におきましては、そういうような再審査過程中であるということをお含み願いまして、御猶予を願いたいということを申し上げておるわけでございます。
  10. 須原昭二

    須原昭二君 税務の問題について、過去にさかのぼって再審査をいたしておるという報告をいまいただきました。はたしてそのめどはいつごろに置いて再審査が行なわれておるのか。その時期だけははっきりさしておいていただきたいと思いますが、いかがですか。
  11. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) いつまでに結論を出すかという御質問でございますが、私たちは、できるだけ早い機会に段階を追いまして結論づけてまいりたい、かように考えております。  たとえば、一応私たち課税権の及ぶ範囲と申しますと、申告書提出されましてから五年で一応もう最大限更正することができなくなるのでございますが、ただいまその五年前以降というものを一応のめどにしております。ただその場合に、やはりこれは調査の技術的な問題でございますけれども、その六年前、七年前にもさかのぼって同時に調査をするような事項もございます。それから、さらにまた必要であれば、またそれを八年前、十年前にさかのぼるという場合も出てまいりましょう。いずれにしましても、ただいまのところ、いつまでにこの調査を完成するということをお約束申し上げるには、どこまでこの問題をさかのぼり、あるいはどういった問題をまた究明していかなければいかぬかというようなことともからみますので、はっきりした期日はお約束することはできませんけれども、私たちとしては、ただいま全力をあげてこの問題に取り組んでいるということをはっきり申し上げたいと思います。
  12. 須原昭二

    須原昭二君 じゃ、可及的すみやかといういわゆる官僚答弁でありますが、この点について論議をしておっても先へ進みません。ただし、再審査をいたしましたその結果について、守秘義務との関係が、後ほど論議をしなければなりませんが、この再審査について、その結果について発表する意思があるのかどうか、その点だけは明確にしておいていただきたい。いかがですか。
  13. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それはただいまのところ、私どもとしましては、現在、田中角榮氏の資料提出をお断わり申し上げると同じように、その調査の結果についてここで発表いたしますということをお約束するのは、いまのところ不可能かと存じます。
  14. 須原昭二

    須原昭二君 その点はまた守秘義務たてにとっての御答弁だと思います。したがって、この大蔵省のいわゆる守秘義務について若干お尋ねをしておきたい。  特に大蔵大臣は、あるいは政務次官でもそうでありますが、特別職公務員である。税法上の守秘義務についても国家公務員法百条の守秘義務の適用はありません。ただ、明治二十年の勅令で、昭和二十二年に一部改正され、昭和二十三年一月一日に失効いたしました官吏服務紀律を、国家公務員法規定が適用されるまでの間にその他の政府職員の任免に関する法律で生かして、この官吏服務紀律特別職国家公務員である大臣にも、あるいは政務次官にも適用されているのが現状であります。すなわち官吏服務紀律の第四条、そこに書いてありますいわゆる秘密保持義務がそれであります。そういう明治の法令を無理やり生かしているところに問題があるのでありますが、一歩譲ってみましても、この官吏服務紀律というものについては罰則がついておらない、いわば道義的な規定にすぎないので、したがって、大蔵大臣政治判断でこの税務担当者守秘義務は解除できるものであるとわれわれは理解をせざるを得ないのです。  さらに、大蔵大臣は、政務次官も御案内のとおり、さきの当委員会において私の質問に答えて、この守秘義務を解除して公表するかどうか、しばらく検討する時間をかしてもらいたいと私に明確に答えているわけです。さらにまた、いまお話がございましたように、国政調査権のかね合いについても国会国政調査権を尊重している、尊重していKと、こういうことも実は強調されているわけです。国民に対して疑惑を晴らすための具体的な措置、これらの問題点についていかに検討を加えておるのか、結論はどうなっているのか、これはひとつ次官のほうから御報告を願いたいと思います。
  15. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) この国政調査権守秘義務関係につきましては、抽象的にはもうはっきり結論が出されておると申し上げてもいいと思いますけれども、実際の問題に直面をいたしますと、どうすることが国益に最も合致するかということでいろいろな問題が起こるわけであります。  一つは、基本的人権を尊重するという面からこれを公表することがいいか悪いかということ、並びに当該対象者は別といたしまして、その人と取引関係にある人のプライバシーにもこれは関係が起きてまいりますので、この関係も考慮しなければならない。第三番目には、税務行政運営上国会の場ですべての調査事項公開されるということの先例をつくるということになりますと、今後、税務行政運営上非常に国益を損ずる面があるのではないかというような問題が起きてまいります。これは田中総理中心とする一つの事件だけとして処理するのみならず、大きくは、将来の日本の財政基本である税務行政運営について、どうすることが一番適当であるかということを考えながら処理していかなければなりませんので、ただ、この問題だけに限って守秘義務公開するというわけにまいらない点がございます。  さようなわけで、大蔵大臣といたしましても慎重にこれを考え、なお想を練っており、もう少し時間をかしてほしいと申し上げておるわけでございます。したがって、抽象的には法的関係についてはもう皆さんのおっしゃるとおりであるということについて、総論的には私どもはこれに反対するものではないわけであります。
  16. 須原昭二

    須原昭二君 どうも私聞いておって、何を言っておられるかわからないんですよ。もっと具体的に私はお尋ねします。  憲法第六十二条、国会法百四条、参議院規則百八十一条等の一連の国政調査権に関する諸規定はきわめて強い義務規定であって、国会の地位と権能を高めるための民主政治のもとにおいては欠くことのできない規定だと私は思います。正直なところ、この税法上の守秘義務などというものを同列に置いているところに、それ自体おかしいと言わなければならないわけです。  すでに同僚議員からも指摘がございましたように、地方税に関しては都道府県の県政の調査権に基づいて一部の都道府県では公開をされている。私も県会議員をつとめたことがございますが、愛知県におきましても、これらの問題について税を公表したことがございます。どうして疑惑が多いといわれるこの田中総理国税関係について、国会がこれほど明らかにせよと言っているにもかかわらずかたくなに拒まっているのか、私は理解に苦しむわけです。大蔵大臣は、去る十二日の参議院大蔵委員会において、ケースバイケース国会側と相談しつつという表現をもって答えておりますが、いかなるケースを公表し、いかなるケースを公表しないのか、その点をはっきりしていただきたい。その基準、ものの考え方、これを御説明を願いたい。  いま一つは、議院証言法といわれる議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によれば、明らかに明文化されておりますが、議院から、国政に関する調査のための書類の提出を求められたときは、何人も応じなければならないと規定してあるわけであります。この規定の取り扱いをどういうふうにするのか。この点を明確にしていただきたい。  以上二点です。
  17. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) ただいま御質問がございましたような法律があるということも、よく承知をいたしております。おりますが、この国政一つの大きな柱である財政を維持していく上において、税務行政を円滑に運営するということも、非常に国益の上から重大な問題でございます。この運営税務内容公開することによって今後非常に運営が円滑でなくなる、調査が困難になるというような事態もやはり予想されますので、どういう点についてこれを公表するがいいか。国会において国政調査権を行使されようというのも、要は、国政の円滑なる運営を期する上においての御質問であろうと思うのでございます。この目的とするところは全く同じであると思います。したがいまして、それを一般公開することによって、たとえ一つの問題は解明されても、他に多くのまた支障が生ずるというような場合も考えられますので、ただいま慎重に考慮をしておるわけでございます。これはもう繰り返し申し上げますとおりに、法そのものについてわれわれが異議をもちろん唱えるべきものではございません。  なお、議院証言法に基づきます問題まではまだ話は進んではいないと思いますけれども、そういう事態になりますれば、そのまた法に基づきまして、われわれとしてその法に従うことは当然でございます。
  18. 須原昭二

    須原昭二君 その国益だと、あるいはまた税務調査が困難になる、こうおっしゃいますけれども、これほど疑惑が出て、善良な納税者がこんな税金を払うことはばからしいと思っているのがいま全国民の偽らざる実態だと私は思うのです。その実態をどうお考えになっているか、義務国民意思をどう考えておられるか、この点が一つ大きな問題点。  さらに、一番われわれ議員として言わなければならないこの議院証言法については、まだ考えておらないというようなことは、われわれとしてはことばを受けるわけにはまいりません。あらためて御答弁を要求します。
  19. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 国民疑惑があるということは、これを解明することに十分な努力をすることは当然でありますから、行政当局としてはいままでの税務資料を振り返って十分に審査をして国民の前にこれを、その結果、われわれは国民皆さま方に対して負託にこたえるようなやはり努力をすることはもちろん当然でございます。  それから第二番目に、議院証言法の問題までになりました場合には、やはりその場合に守秘義務がございますが、もし国政調査権の問題について公開を要求されましたときに、どの程度にこれを公開するか、あるいは、公開できない面については公開できない旨を議会に対して御説明申し上げるというようなことは、当然、法に準じて今後の手続を行なうことは、もうもちろん申し上げるまでもございません。
  20. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、国会がこの証言法に基づいてそれを要求すれば出すということですか。
  21. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) そのときの情勢によりましてどの程度出せるか、出せなければ出せない理由を説明しなければなりません。さらに進んで、内閣としてどういう措置に出られるかということは、そのときの性勢で判断すべきものと考えます。
  22. 須原昭二

    須原昭二君 そこときの情勢とおっしゃいますが、いまそのときにあるんですよ。この事態をどうお考えになっているのか。そのときとはどういうことですか。いまその事態にあるんじゃないですか。あとあとへものを持っていこうというものの考え方が根底にあるようにうかがえていたしかたありません。どうですか。
  23. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) ただいまの問題点といたしましては、議会皆さま方に対するいわゆる国政調査権の問題におこたえをするとともに、われわれは真実この税そのもの調査並びに賦課徴収に適正を欠く点はなかったかということを深く反省してみて、これを再審査して事務を進めていくことが、これは大蔵省としては一つの大きな仕事でございます。その上で、さらにまた国政調査権との問題についてどういうように調整をし、これを尊重していくかということを考えていかなきゃなりません。ということでございます。
  24. 須原昭二

    須原昭二君 どうも答弁が納得いける答弁ではないです。したがって、これはあすまた大蔵大臣お見えになる機会に、ひとつ保留をさしていただきたい。  時間の関係もございますから前へ進みますが、いわゆる田中総理をめぐる架空会社、あるいは幽霊会社、また、ことばをかえて表現をするならばトンネル会社室町産業新星企業東京ニューハウスパール産業、この札つきの四社をひとまず取り上げてそれぞれ指摘をいたしてまいりたいと思うんですが、それぞれこの四つの会社増資をいたしております。  たとえば室町産業を例にあげますと、昭和三十七年十二月十七日千二百五十万円から三十八年八月三十一日は五千万、十二月二日には、この間内閣改造がありまして、科学技術庁の長官、原子力委員長になられた国務大臣足立篤郎代議士も取締役に就任されておりますが、これは別といたしましても、その後六回増資がなされて、いま資本金が十億円になっています。新星企業に至っては、三十六年八月十六日に一千万円が、今日五回増資をして六億円、パール産業におきましては、四十年十二月二十一日百万円で設立されて、自来三回増資をして、現在四千五百万円、東京ニューハウス株式会社は、三十六年八月二十九日千二百五十万円が四回増資をして、今日四億五千万円の資本金になっている。この増資という場合は、直接金融ということであって、金融機関から金を借りるいわゆる間接金融ではないわけです。この点は明確だと思うんですが、増資をすれば確かに配当もふえるということになるのであります。そこはすべて田中ファミリーのことですから、何とか適当にやられているのではないかと思うんですが、その点はどのようにおつかみになっていますか。
  25. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私たちは、会社調査いたしますときに、それが増資という事実がございましたら、まあ一般にそれが公募された増資、つまり、公開株のような場合にはそれほど問題ございませんけれども、いわゆる非公開株、特に同族会社的な会社、そういう会社調査いたしまして顕著な増資の事績があった場合には、一応その増資資金の出所というところまでそれを調査するというのが原則になっております。たとえばその増資しました資金が、極端なことを言いますと名義株主であるとか、それからいままで会社簿外に入っておったものがそういったかっこうで表面に出てくるといったような場合であるとか、あるいはまた見せかけの増資であるとか、いろんな問題があるわけであります。そういった増資というものが商法上どういった効力を持つかとかいう問題は別といたしまして、私たち税務調査いたしますときには、そういった観点でこの増資資金についての調査をするわけでございます。  ただいま先生から御指摘ございました室町産業東京ニューハウスあるいは新星企業、それからパール産業、そういったところにつきまして先生指摘になりましたような増資、実はそれよりもっと回数は多うございます。そういったことにつきまして、私たち一応の調べはしておるわけでございますけれども、また、先ほど申しましたようにこういった事態になっております。それで、いま現在それは一つ調査のポイントであるということは申し上げておきたいと思います。ですから、ただいまそういった増資資金がどこから出たのか、これはほんとうの株主か、そういった御質問につきましては、現在いま鋭意次々とさかのぼって調査中でございますので、その点はっきり申し上げるのはまだ結論が出ないといいますか、まだ調査中であることを申し上げまして、具体的な答弁は御遠慮させていただきます。
  26. 須原昭二

    須原昭二君 そういう増資内容を、いまさらいま調べておるという回答が出てくるのは私は遺憾だと思います。当然税務当局はこれは調べておかなきゃならない。一体これだけの増資のための資金はどこからきたのか、これは当然調べてあるはずであります。まあ要するに、田中ファミリーの人たちが金持ちだかもしれませんけれども、また、これらの金持ちの人たち一般の常識としても、金がもうからなければ増資に応じないであろう、必ずもうかる道はだれかがつくったのか、田中総理が実はということになるかもわかりませんが、きわめて資本の論理のとおり、資金が実は回転しているわけです。そういう実態をやはり税務当局はしっかととらえておるはずです。それをいま調査中というのは、まさに私は遺憾と言わなければなりません。  普通、まともな会社であるとするならば、景気の動向だとか、消費者の嗜好だとか、あるいは輸出入の動向だとか経済情勢の分析、あるいは市場の問題等々、まさにまともな会社であるならば、血のにじむような経営の苦労あるいは努力というものが重ねられているのであります。実はこの札つきの四社などは、黙ってきめられたものを買い、それを他に売り、あるいはころがしてもうける、こういうことになっていると言っても私は過言でありません。後ほどこの問題点には指摘をいたしたいと思いますが、これが事実とするならば、まことにうらやましい会社だと私は思う。私もこういう会社で、違法でないとするならば、一ぺんやってみたいというような気持ちも起きてくるわけです。こういうけっこうな会社の経営の方法をひとつ私は教えていただきたい、こう思うんです。  そういう意味からも、実は会社の経理を公開をして、やはり税金の納め方というものを研究する必要があると思います。大蔵省は、この会社のことはよく知っているはずですが、いまなお調査をしておらない。もう一ぺん調査をし直すんだ、こういうことは遺憾であると同時に、また、調査をしてもそれは公表できないということになると思うんです。これでは善良な納税者国民というものをばかにしていると言ってもいたしかたがないと思うんですが、その点いかがですか。
  27. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 先ほどの私の御答弁でちょっと舌足らずな点がありましたので訂正さしていただきますけれども、全く従来、増資にあたりましては、こういった会社増資について調査をしていなかったという意味ではございません。こういった同族会社というのはやはり一ぱいございまして、御承知のように、むしろ日本の会社の九割九分までは会社数からいうと同族会社と言ってもいいんじゃないかと思うんです。そういった意味において同じような調査をしております。ただ、それをどの程度詳しくさかのぼって見直しをやってみるかという問題と、それからやはり、普通の会社と同じようなレベルで調査をしたかということはまた全然別でございまして、申し上げたいのは、御指摘のありましたこの四社につきましても、普通の会社と同じ程度の調査はしておるということでございます。ただそれがちょっと、ちょっとといいますか、いま問題になっておりますので、それであらためてさらに詳しく見直してみようかというところでございまして、いままで調査をやらずに、これが全然触れられずにおったということじゃございません。その点ちょっと訂正させていただきます。
  28. 須原昭二

    須原昭二君 これもまた守秘義務であって、公表できないということになると思います。ですから、これはまた後ほど保留をさしていただきたい。  そこで、田中総理は、去る十一日の記者会見で、幽霊会社とかいろいろ言われておるが、本社とか人が整っていなければ法人でないということは日本的な考え方だと、こう実は記者会見で断言をしております。資本金十億円の室町産業、六億円の新星企業、四億五千万の東京ニューハウス、四千五百万のパール産業、これだけの大きな資本金をかかえた会社が、事務所があるのかないのかわからない、あったとしても小さな看板がかけてあるだけ、ほとんど常勤の人はいない。これで正常な企業活動として成立するのか、成り立っていくのか、私は疑問でならないわけです。ひとつ、日本的な考え方だと総理大臣が言うんですけれども、次官の所見はどうでしょう。
  29. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) どういう御見解で述べられたかは私はわかりませんが、電話がないとか従業員がいないとかということで法人格を云々することはできないと思います。定款に事務所の位置をしるしてあり、やはり会社として存在していることは認められることと思いますが、その不特定多数の人と商取引を継続的に行なう会社と、それから、大きな仕事を一年間に数回しかしないという仕事をしておる会社とは、おのずから職員の機構も変わっておることと考えております。それはその会社運営される側の責任者の考えによって、組織機構、事務所等の広さ等も考え得るものと考えております。したがいまして、それが日本的であるとか日本的でないとかというようなことは、私は当たらないと思います。これは一般通念として、社会的通念として私は共通するものだと考えております。
  30. 須原昭二

    須原昭二君 私は、企業と人という問題について、人があってこそ企業が動くものだと——なるほど企業には資本金、金というものが必要です。この金と人が相まって私は企業というものが成り立っていくと思うんです。この、人がいない企業、ここに私は非常に疑問を持つものですが、これはどなたから聞いたらいいかわかりませんが、一ぺん商法上、会社というものと、企業活動というものと活動する人との関連をどう見られるのか。企業に人がいなくて活動ができるのかどうか、あるいは経営ができるかどうか、私は納得のいく説明を、法制局でもいいですが、ひとつどなたでもいいですから御説明願いたいと思います。どなたでもいいですよ。
  31. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) たとえば、株式会社としての要件は何かということになりますと、法律上の規定がございますが、会社ができて、その会社がどういうような組織、機構を持って企業活動をするかということについては、商法の上においては、要するに、継続的に業を営まなければ会社ではないわけでありますから、法律上の要件は備えておりましても、企業活動をしていない会社もあるわけでございます。ですから、これで会社でないというわけにはいかないと思います。ただ、それがいま仕事を営んでいるか営んでいないかというだけだと思います。
  32. 須原昭二

    須原昭二君 ちょっと税務当局に聞きますが、この四つの会社、いま休業しているのですか、開店休業ですか。それとも営業やっているのですか。どちらですか。
  33. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 法人税の課税の立場から申し上げますと、一応法人が設立されまして、税務署のほうに届け出がございます。そうしましたら、一応内部的な台帳にそれが搭載されまして、私どもはこれはいわゆる法源名簿と言っておりますが、法人源泉徴収名簿ですね、法源名簿というものがございまして、それに載っけるわけです。ただ、法源名簿に載せましても、たとえば申告が全然出てこないとか、あるいは、いろいろな知りたいことがあってそこに連絡しても、手紙が返ってくるとかいったような場合には、いわゆるこれは所在不明法人というふうなわれわれの内部のカテゴリーに入るわけです。そういった所在不明法人、それから現在休業中で、そうして当分、当分というよりはまあまず事業再開の見込みがないと思われる法人。  それから、清算段階に入って清算中の法人であって、清算所得も発生する見込みがないと思われる法人、そういった法人につきましては一応法源台帳からはずしまして、除却法人名簿という中に一応入れるわけです。除却法人名簿に入れましてしばらくその様子を見る。なおかつそれがまた生き返らなければ、もちろんそれを落としてしまうわけでありますけれども、一応生き返るかどうかということを見ておるわけです。私たちが、この法人が生きているかどうか、営業活動をやっているかどうかということは、一つには、具体的な現象としては、その除却名簿に入れられておるかどうかという点が第一点、それから、除却名簿からはずされてしまったというのが第二の、いよいよ最後の段階でございます。  そういった観点から見ますと、ただいま御指摘の四法人というのは、各期には法人税の申告書が出されております。それから、国税当局の国税職員が調査に行きましたら、一応応待しまして、全部事業内容、経理内容等の説明がございました。そういった意味におきまして、法人税の課税の面においては、私たちは、まあ存在している法人であるし、同時に営業活動をやっておるものというふうに認定いたしております。
  34. 須原昭二

    須原昭二君 そうすると、このいわゆる四つの会社というのは、現在存在をし、営業を続けておる、こういうように解釈をせざるを得ません。そういたしますと、私は、この室町産業はじめ申し上げました四つの会社の労働環境はどうなっておるのかという視点から実は調べてまいりました。すなわち、労働省を通じて労災保険、失業保険の適用事業所になっているかどうか、保険料の納入徴収状況はどうか、さらに厚生省を通じて年金保険、政管健康保険等の適用事業所になっているかどうか、並びに保険料の納入徴収状況を調べてまいりました。いずれも設立以来適用事業所になっていない、保険料の徴収納入の報告の事実もなかったということであります。私の認識に、調査に間違いがないかどうか、労働省、厚生省お見えになると思いますから、確認のためにひとつお尋ねしておきたいと思います。いかがですか。
  35. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、御質問の四つの企業につきましては、労働保険の適用事業所とはなっておりません。したがいまして、保険料の徴収はいたしておりません。
  36. 山高章夫

    説明員(山高章夫君) ただいまのお尋ねでございますが、先生のお話のとおり、四会社とも健康保険の適用事業所になっておりません。
  37. 須原昭二

    須原昭二君 もちろんですね。そちらの……。
  38. 河野義男

    説明員(河野義男君) 先生指摘の四つの会社につきましては、厚生年金保険法の適用事業所になっておりません。したがいまして、保険料は徴収された事実はございません。
  39. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、事実、人がつとめていないことになる。もっと私は説明しておきますと、もちろん労働省、厚生省の保険というのは五人以上がいわゆる強制適用で、四人以下の場合、被用される者の二分の一の同意を得なければ適用できません。だから私は、まだ五人以下だから、そういう適用事業所になっていない、四人以下かもわからないと思ってさらに調べてまいりました。そういたしますと、労働基準法によれば、一人以上の労働者を雇用する適用事業所の使用者は、毎年、四月一日現在における労働者の現状を男女別、年齢別、通勤、寄宿別に四月末日までに所轄の労働基準監督署長に届けねばならぬ。これは労働基準法施行規則五十八条に明記をされております。この公告を怠った場合においては、労働基準法百二十条で違反として八千円以下の罰金が課せられることになっております。少なくとも総理大臣関係をする企業でありますから、こういう法律の違反を犯しておらないと思います。  さらに、しかしもう一ぺん念のために私は、当該の労働基準監督署といいますと、飯田橋あるいは中央の二つにまたがっておりまするけれども、この署における届け出受理名簿にこの会社の名前があるかどうか、実は調べてきたのでありますが、この点について出ておらない。そういたしますと、一人も従業員はいないという会社であるということになるわけですが、この私の確認に間違いがないかどうか、あらためて労働省にお尋ねをいたします。いかがですか。
  40. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、労働者を使用する使用者は、毎年四月一日現在の状況につきまして、四月末日までに適用事業報告を所轄の労働基準監督署に報告することに相なっております。  御指摘室町産業等四社につきましては、適用事業報告提出されておりません。
  41. 須原昭二

    須原昭二君 私の申し上げたとおり、この四つの会社は一人も人がいないということですね。これで明確になったと思うのです。室町産業はじめこの四つの会社は人は常勤をしておらない。会社の所在地もいいかげんである。これらはまともな事業所の体制を、ていさいを整えていないということがここで明確になってくるわけです。こんな会社税務当局調査したと言っているけれども、はたしてだれに会って、だれに調査に当たったのか。その事業の内容、資産の内容構成、あるいは業務の内容をしっかりと掌握して、税務調査あるいは徴税業務に間違いないということがどうしても私は信じられません。守秘義務たてにしていいかげんな徴税をしているのではないか、私はこういう疑いすら出てくるわけです。税務署へ参りますと、私たちも経験がございますが、ある企業の一冊のとじた本になっておりますね。何々企業調査記録と、こういうものは全部どの税務署へ行ってもあるわけです。室町産業はじめ四つの会社が、税務署にそういう調査記録簿というものが必ずあるのかどうか。だれに会って、どういう形で調査をしているのか。この実態をひとつ御報告を願いたい。いかがですか。
  42. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 調査記録はございます。ただここで、だれに会ったかという向こうの応接担当者の記録がございませんので、ちょっとお答えできませんけれども、実際に調査しております。それからまた、その中におきまして税務上の処理もやっております。
  43. 須原昭二

    須原昭二君 これはまた守秘義務たてにとられるかもわかりませんが、税務署に調査記録簿があるということですから、これはひとつ資料として提出していただきたいと思います。いかがですか。
  44. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) これはいつもお願いしておることでございますけれども、公示されました所得金額だけは御連絡、御報告さしていただいておるわけでございますけれども、それ以外の資料をお出しすることはごかんべん願いたい次第ということでございます。
  45. 須原昭二

    須原昭二君 まあ同じように、公表しない、ごかんべんを願いたいということばの連続です。これはごかんべん願いたいと言っても私は了承できません。したがって、委員長のもとで、理事会でひとつ御協議をいただきたいと思います。
  46. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまの須原委員資料要求につきましては、後刻理事会で検討いたします。
  47. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、きょうの新聞を読みますと、「”守秘義務”を厳守、」過去五年間の公示額しか公表できない、こういうことで、昨日の参議院大蔵委員会で御答弁になったというふうに私は新聞から推察をいたします。  そこで、法人税法百五十二条によって、事業所得が二千万円以上の法人は税務署が公示することになっておることは言うまでもありません。そこで、私は確認をしておきたいと思いますが、この五年間におけるところの公示額、私がこの資料に間違いないとするならば、間違いないということでけっこうです。ひとつ確認をしたいと思います。
  48. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) ちょっとお待ちください。
  49. 前川旦

    委員長前川旦君) 国税庁、急いでください。
  50. 須原昭二

    須原昭二君 いいですね。
  51. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) よろしゅうございます。
  52. 須原昭二

    須原昭二君 じゃ、確認をいたしますから、間違いないなら間違いないと言ってください。  室町産業株式会社、期間四十六年四月から四十七年三月まで、申告所得金額五千三百五万八千円。いいですね。ずっと言いますから、間違いなかったら……。同じく室町産業、四十七年四月から四十八年三月まで、六千七百五十三万五千円新星企業株式会社四十四年四月から四十五年三月まで二千六百六十八万八千円、パール産業四十八年四月から四十九年三月まで五千七百四十三万四千円、東京ニューハウス、これは公示基準に達したものはない、こういうことですが、数字間違っておりませんか。
  53. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) そのとおりでございます。
  54. 須原昭二

    須原昭二君 これは後ほどひとつ論議をいたしますが、以上申し上げたのは実は最近五年以内のものです。それ以前のもの、これを私は要求をしたわけですが、いまだに出てきておりません。すべてを明らかにされるのが至当だと思うのですが、当然これは記録にあるわけでありますし、公に公表したものでありますから、なぜ出さないのか、あらためて資料として要求をいたします。いかがですか。
  55. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私たち一応簿書の保存期限というのがございまして、内部の資料につきまして、それぞれの簿書によって保存期限がございます。法人税関係の決議書等につきましては、申告書、決議書等につきましては保存期間が五年というふうになっております。ただ全部保存期間が過ぎたら焼却するわけでございませんで、たとえば訴訟係属中の法人であるとか、そういったものにつきましては残しておりますけれども、それ以外の一般の法人につきましては、保存期間が過ぎますと焼却処分ということになっておるわけでございます。  ただ、できるだけ私たち資料の御要求にお沿いするために、できるだけの古い記録とか、それから当時の文書とか、そういったものをさがしております。たとえば個人なんかの場合でございますと、大口所得者名簿というのがその年に刊行されておりまして、そういったのが、たとえば国会図書館に残っておるとかいうのがございまして、国会図書館に行きまして、そういった個人資料を持ってくるとかいって、いま盛んに整備をしておりますけれども、法人につきまして、特にこういった非上場法人につきましては、そういった一つにまとめた記録というものが出ておりませんので、その点保存簿書の期限が過ぎまして焼却したものにつきましては、わかりにくい点があるということでございます。
  56. 須原昭二

    須原昭二君 資料がないということですが、少なくとも日本の国ですよ、大蔵省がそんな資料がどこにも見当たらないということは私はあり得ない、あえて出さないのではないかと思うのです。この点はさらに明確にしていただきたいということを要求しておきます。  さらにいま申し上げた、三企業の四つの申告額、これ申告額であって決定額ではないわけですね。更正決定しましたか、この額について。その点はどうでしょうか。金額は明らかにできぬというなら、したかしないかそれだけでいいです。
  57. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 実は私どもこの守秘義務という問題については、きわめて慎重に考えておりますので、したかしないかということを問い詰められますと、したかしないかということも、やはり調査の結果にわたることでございますので、お答えするということは非常に苦しいわけでございますけれども調査いたしまして、そこで更正すべき理由があるというような場合にはそのとおりに適正に処置されておるということで御了承お願いしたいと思います。
  58. 須原昭二

    須原昭二君 そうすると、更正したか、更正しないかここで明らかにならぬことですね。そういうことになれば国民の目にはどう映りますか。更正しておらないだろうという疑惑がますます高くなってきますよ。ますます黒くなってきますよ。疑惑が高くなってきますよ。明らかにすべきですよ。こういうことで時間がたてばのがれられると思ったら大間違いですよ。ますます国民は更正決定してないだろう、ますます疑惑はつのってくると思うんです。どうですか。
  59. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私たち調査いたしましたらその調査の結果については、その結果が税務上の処理になってあらわれてきておるということを申し上げたいと思うんでございます。更正をしたかしないか、何年分について、幾ら、いつ、どれだけやったかという具体的な問題に入りますと、やはり具体的な調査の結果ということの公表ということに相なりますのではっきり申し上げるわけにいきませんけれども、適正に処理されておるということを申し上げたいと思います。
  60. 須原昭二

    須原昭二君 それは全く答弁になってないですよ。更正したかしないかぐらいのことが言えないんですか。ですからますます疑惑が高まります。たとえば室町産業株式会社、四十六年四月から四十七年三月まで五千三百五万八千円、その当時の室町産業資本金を見ますると七億五千万。銀行に一年間七億五千万定期預金に入れておいたらこの申告額よりももっと上になるんですよ。どうですか。新星企業、四十四年四月から四十五年三月まで申告額二千六百六十八万八千円、このときの資本金は六億円です。資本金の六億円を一年定期に入れておけば四千五百万。申告所得額の二倍近くなっていくんですよ。会社つくらぬでも資本金を銀行の中に入れておいたほうがその所得は上に上がるんですよ。こんなばかげた数字が出てくるはずがない。申告額が過小過ぎるんだ。だから税務署はほんとうにこれら四社を調査しているのか。調査して課税しているのか。申告額が過小だと思ったら、これを再調査して更正決定をするのが当然でしょう。いまの答弁から見るとわれわれは疑いをさらに強くしなきゃなりません。申告は受けっぱなし、黙認しているのではないかと疑念を持たざるを得ない。いかがですか。
  61. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私たちはやはり法人——これは大部分がいわゆる調査課所管法人ということに相なりますけれども、一定の周期に従いまして書面審理、事情処理あるいは実地調査というふうな周期で調査をいたしております。その結果、普通の法人に対する調査と同じような結果になってこれは処理されておるということだろうと思います。
  62. 須原昭二

    須原昭二君 全く答弁になってないです。これは傍聴者の皆さんが聞いておられても、私が言っていることについてたともに答弁しているのか、この場だけ時間が過ぎれば、ぼくは三十分で終わるんですから、あと二、三分で終わる、何とか延ばせばいいんだ、そういう意思でしょう。これでは事態の解明はなりません。田中総理個人の所得はもちろんのこと、関係会社の徴税事実だけを見ましても、全く多くの疑惑がますます高くなってくると言わなければなりません。この際どうしても事実の解明が必要です。しかもこれは緊急な課題です。この総理の記者会見で言っていることを新聞でこう書いてあります。まだ調査が済んでいない段階で出席しても解明にならぬ、ちゃんと納得が得られるような状態になれば何も出ることをはばむものではない、こう言っております。調査はいつ済むのか、無制限であってはならぬと思う。臨時国会で所信を表明するというようなことを新聞で聞いておりますが、この臨時国会もいつ開かれるのかいまだわかりません。その前に田中内閣はつぶれるかわかりません。  一日おけば、それだけ日本国民の政治不信はますます高くなってまいります。一日も早くすべきです。再度私は委員長にお願いいたしますが、総理の出席を強く要求をいたします。同時にまた、このまま私は今日の質疑を承認するわけにはまいりません。保留をいたしたいと思います。国政調査権に基づいてすべてを白日のもとに明らかにして国民の持っておる疑惑を晴らすべきだと思います。そのためにも総理の出席とともに、あらためて室町産業株式会社の代表者入内島金一氏、新星企業株式会社竹澤脩氏、パール産業株式会社田代信博氏、東京ニューハウス株式会社遠藤昭司氏、この四名を、この際証人のして喚問するように要求をいたします。委員長のもとでひとつ善処されたいと思います。
  63. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまの須原君の証人についての要求につきましては、後ほど理事会で協議をいたします。  それから、総理大臣の出席につきましては、すでに和田静夫君からも同じ要求が出まして理事会で協議をいたしておりますので、同じ扱いにいたします。
  64. 須原昭二

    須原昭二君 時間が来ましたから……。
  65. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  66. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 私は信濃川水系一級河川鳥屋野潟のことについてお尋ねをするわけですが、なかなか地方の土地カンがありませんとわかりにくいと思いまして、若干の資料をお配りをいたしております。これを参考にしながら、若干お尋ねをしたいと思うんであります。  まず一般論としてそれぞれお伺いをいたしますが、まず河川でありますが、この場合には一級河川を例にとりますが、河川は所有権その他財産権の対象となり得るかどうか。後ほどこの一級河川鳥屋野潟についてさまざまなお尋ねをするつもりでおりますので、その大前提としていま申し上げましたように、河川は所有権その他財産権の対象となり得るかどうか。特にこの場合には建設省からもお答えをいただきますし、同時に大蔵省のほうからも、たとえばそういう河川が抵当権等の対象となり得るかどうか、この点についてまずお伺いをいたします。
  68. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) お答えいたします。  新河川法におきましては、河川敷の中における私権は認められております。  以上でございます。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 それから大蔵省のほう……。
  70. 後藤達太

    説明員(後藤達太君) 私権の認められております場合には、これを担保とするということはあり得ることでございます。ただ銀行がその担保を取ります場合には、その経済価値などについて慎重な検討をすべきことは当然でございます。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 建設省にお伺いしますが、新河川法によっては私権は認められておる、したがって財産権あるいは所有権、そういうものの対象になり得る、こういうことでありますが、これはまた後ほど議論をいたしますが、あえて新河川法において、従来の法律と違いまして、あえて私権の分を、敷地の分を流水と区分けして除かなかったということについてそれぞれの解釈がはっきりしておりますが、そういう意味で内容として、実質的な意味で再度お伺いいたします。
  72. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先ほど申し上げましたように、新河川法によりますと河川敷地は私権の対象になっておりまして、私ども仕事をする場合におきましても、堤防をつくる場合におきましても、みな補償を払いまして堤防をつくっておるということでございまして、いま先生の御質問ちょっとわからなかったのですけれども、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。
  73. 志苫裕

    志苫裕君 この議論はもう少しあとで詳しくやります。  それでは次にお伺いしたいのは、これは一般論でけっこうですが、河川の敷地に俗にいう民地ですね、河川の敷地に俗にいう民地が含まれておることは生成の過程からいってもこれはあり得ることだし当然のことだ、やむを得ないことだと、こう思いますが、しかし、その河川は現に公物として公法上の管理権にのみ服している、こういうものでありますが、そういうものが登記の対象になる、あるいは先ほどもちょっと述べましたけれども、抵当権を設定をされたりする、こういうことはいわゆる正常だと思いますか、その点について見解を伺っておきたい。
  74. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 正常かどうかという問題でございますが、私どもは、やはり河川敷の中は官有地であることが最も望ましいということは当然でございますけれども、正常かどうかという場合のお答えといたしましては、やはり治水上支障のある場合におきましては、これはやはり官有地とすべきであり、補償を払ってそういうことをしなけりゃいけないということで今日までやってきておるわけでございます。
  75. 志苫裕

    志苫裕君 そんなことを聞いているのじゃない。そういう答弁なら一々具体的な事実をあげて、それぞれの一級、二級もしくは準用河川について、日本の川全部あげて、その河川の敷地が公有化されているかどうか、ここまでいかなきゃなりません。現実からいうならば、公有化されていないから現実にさまざまな問題が起きているわけですから、そういう絞切り型の答弁は私には必要がない、このことを申し上げておきたいと思うのであります。  私が申し上げているのは、現に民地であっても公物として公法上の管理権に属しておる、これは皆さんの解釈でもはっきりしておる。もっとわかりやすく言えば、池の中の川の底なんです。それは管理者の公物としての公法上の権限に属しているわけだ。これが登記の対象になる、あるいは担保の物権になる、こういうことはまともだと思いますかと聞いている。
  76. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 私どもは河川管理の立場から申し上げますと、いわゆる治水、利水に障害があるかどうか、こういう観点のみ河川管理者としての管理権限が与えられておりまして、湖の潟の中だとか河川敷の中におきましての私権の問題については、河川法からいきますと、これに制限を加える権限がないと、そういう立場でございます。
  77. 後藤達太

    説明員(後藤達太君) いまのお尋ねは、私は、その公的管理のものが私権の対象になって登記されることを適当と思うかどうかというお尋ねかと理解いたします。私ども直接の所管でございませんので、どうも自信を持ったお答えができかねて恐縮でございます。
  78. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵省答弁は経済価値の検討というものが具体的になされなければならぬという答弁でありましたから、それはまた若干これに触れて後ほど言います。  ぜひ、一般論として、私は河川が所有権その他財産権の対象にならない、こういう考え方で、しかし、それは旧法にそういう規定があって、新法にそういう規定を除いたそのことの意味については、皆さんのほうでさまざまな解釈の本を出してますから後ほど議論をいたしますが、そういうものが登記や、あるいは抵当物件として使われることはまともじゃないし、まあ、言うならば、しゃばの常識からいってもこれはおかしいと、こう思っておるんですが、そういう考え方もいれながら鳥屋野潟について少し申し上げようと思うんです。  鳥屋野潟については、たとえば昭和四十年の八月の衆議院決算委員会、これを皮切りにしまして、四十七年の十一月の予算委員会、あるいは四十八年の六月の参議院決算委員会等々でしばしば議論になっております。そこで私も議員でないときからずいぶんこれには関心があったんでありますが、私の立場を明らかにしておきますと、たまたまこの鳥屋野潟というのは私のうちの前なんです。私ほど詳しいやつはいないんです。そこで、この問題を一番最初に、おそらく、新潟県で問題になったわけですから、それを取り上げたのは私でありますが、そういう意味で、従来この問題はいわゆる利権の問題として取り上げられてきておりますが、私は同時に管理者あるいは公の団体、公の力というものがその利権を得させようとして何らかの役割りを果たしておる、そういう視点、そういうサイドからもこの問題を取り上げてまいりたい。適正に河川を管理しなきゃならぬ立場の者が土地取得者のもくろみに加担をするような、かなえさせようとするようなさまざまな動きがあることを非常に残念に思っておるわけでありまして、そのことを以下申し上げてみようと思うんです。  お手元に配りましたから、この表は、ちょっとごらんいただきますとわかりますように、一番左の欄のほうに、各年度別に、この鳥屋野潟の土地が、といっても、この場合、私がいま対象にしているのは、ある企業、すなわち田中ファミリーといわれる企業の土地がどう動いたかをわかるように書いてあります。その土地の動きにあわせて、いわゆる県とか市とかという公の団体はどのような作業をしてきておるのかということをそのまん中の欄にあらわしてあります。一番右側の欄に、それにつれて、いわゆる中の土地がどのように行ったり来たりするのかということを、わかりやすくと思いましてまとめてみたわけであります。  鳥屋野潟というのは、新潟市の市街地から南方約五キロぐらいのところにあるんです。新しく新幹線駅等が今度できますから、そこから計算をいたしますと、大体二キロから二キロ半ぐらいの距離にあるんですね。うしろに図面がついておりますが、大体周囲が十二キロぐらいでありまして、東西四キロ、南北一キロぐらいでしょうか、こういう少し細長いでこぼこした池であります。先ほど言いましたように、信濃川水系一級河川に指定されておりまして、知事管理区間になっているようでありますが、水深は、岸辺のほうで二メートルぐらい、深いところが四メートルから五メートルぐらいもあります。これは主として周辺の一万ヘクタールの農業用地のいわば配水池、一部分従来の経緯から用水にも使われておる。さらに最近は都市排水というものを相当のみ込むという機能も持っておるわけであります。所有は、全体で約百八十ヘクタールでありますが、そのうち——河川区域は百八十ヘクタールですが、管理区域は百七十ぐらいに狭めてありまして、その中の民有地が百四十、公有地が四十ヘクタール、こういうことをまず頭に入れておいてください。  ところで、この土地は、いわば沼地でありますし、荒れ地でありましたから、従来は、大所は部落の共有地でありました。この共有地等を中心にいたしまして、昭和三十年代に入りますとにわかに売買が始まるわけであります。そうしてここにありますように、房総観光という会社が地元の平興産という不動産業を仲介役にしまして、いわば大部分買い占める、こういうことになるのがまず第一の土地の動きであります。そうこうして後にこの会社は、田中総理も衆議院決算委員会で松本議員に答えておるのでありますが、この房総観光というのは、総会屋でも有名で、あまりたちがよくなかったらしくて、税金の納めっぷりが悪かったり、差し押えを受けたりしまして万歳をするわけでありますが、この万歳をするときに日本電建が譲渡を受けます。そこで、お手元の図面に、鳥屋野潟の図面と同時に、私、陸上部分にまるく線を描いた場所を置きました。これが約十五ヘクタールの面積を持つ蓮潟という池であります。昔池であります。この蓮潟を含めて鳥屋野潟の相当部分を日本電建は房総観光から譲渡を受けるわけであります。それが三十六年の九月でありますが、そして一年たちました三十七年までに、蓮潟の部分は埋まっておったわけでありますから、日本電建は、この蓮潟の部分を三十九年国体を目ざして運動公園その他の施設を必要としておる新潟市及び新潟県に売りつけたわけであります。実は、ただ売った買ったならそうは問題にならないかもしれない。この約三万ないし四万ヘクタールの用地を必要として、当時新潟市はこの蓮潟から約二キロくらい離れたところに農民と相談をして三万ヘクタールの農地をいわゆる公園敷として確保をしておったわけであります。これがあの当時の金で——表現ですから、反八十万円でありますから、坪にいたしますと二千七百円。二千七百円でここから二キロくらいのところに新潟市は地元と協議の上三万ヘクタールの用地を確保をしておって、その協議がととのったのでありますが、さっぱり音さたがその後ない。しびれを切らして役所のほうへ出かけていったら、ああ、あんたのところはやめて、ここを買うことにしたよというのが蓮潟であります。その蓮潟の値段は、坪にいたしまして五千三百円であります。二千七百円で協議がととのったところを破棄をして五千三百円の、言うなら沼の埋め立て地を買うことになったというのがまずミステリーの始まりなんであります。  そこにありますように三万七千坪、二億百六十六万四千三百七十四円で県及び市に売却をいたしました。それと前後いたしまして、この日本電建はその辺を所管をする亀田郷土地改良区に対して、蓮潟を埋め立てたいという了解を求めました。それはたいへんだというので、亀田郷土地配良区が中心になりまして、鳥屋野潟湛水排除協議会というものをつくって、電建の埋め立て申し入れには反対であるという運動を展開をするわけであります。  そしてこのときの十一月の二十六日に知事、土木部長、河川課長、こういう者を相手にして湛水排除協議会の諸君が反対交渉をするわけであります。ここで知事は、詳しく聞いておらぬが、埋め立てが来たらおれは認めない、こういう発言になりますので、しばらくさたやみになるわけであります。  そうしますと、左を見てください。電建は、新星企業に土地の身柄を移すわけであります、売買であります。しかし、このときには農地法四十二条の条件づきがありますから、登記はその部分についての約十八ヘクタールぐらいはおくれるんでありますが、いずれにしても売買が行なわれました。これが五月。そこへ運がいいのか悪いのか——運が悪くでしょうか、新潟地震が来るわけであります。新潟地震が来ますと、特にゼロメートル地帯一万ヘクタールのうち、六千六百ヘクタールがいわばマイナス一メートルという周辺地域でありますから、どうしても排水問題が大問題になってまいります。そこで震災復興計画で、これは農林省にも後ほどお伺いいたしますが、いわゆるとりあえず農林省の査定としては従来の排水路をいわば排水能力を強化するために災害査定が行なわれました。ところがそれが急遽変更になって排水路を別のところにつけかえて排水能力を強化をすることにいたしたわけでございます。わかりやすく言えば、水をよけい吐きますから、この潟が幾らか干上がる可能性が出てくるという状態をつくったわけであります。  さあ、そうなってまいりますと右側の欄を見てもらいますとわかりますように、この作業が延々半年以上続きますけれども、埋め立てのうわさが広がります。民有地の売買が活発になります、池の中の。そして埋め立ての測量地図が全部回りました。この地図は私持っています。そしてその埋め立ての部分について具体的に一こま一こま区切りをつけて売買が行なわれています。まだ池の中ですよ。しかも地震で治水の機能を強化をしなければいけないといっているときに、池を狭める話が大っぴらにまかり通るという状況が生まれてくるわけであります。そして四十年にこの震災復興計画がほぼまとまりましたので、県議会に出てきたところで大問題になるわけであります。これが政治的な意味ではあれでありますが、それが四十年でありまして、ここですったもんだのあげくに知事は、埋め立てはしない、そして満々と水をたたえた水辺公園として整備をしたいということをついに県民に約束をすることになるわけであります。  このことについては、私は後ほど申し上げますが、この四十年八月十日の衆議院決算委員会において、農林省の大和田農地局長をはじめとして、この池を埋めることは絶対にない、考えもつかない、こういう答弁をしばしばいたしておりますので、知事の答弁とあわせて、この池はまず埋まることはあるまいという印象になるわけであります。しかし知事が水辺公園として整備をしたいというその答弁をしたことがいわば発端になりまして、鳥屋野潟観光開発計画というものが策定をされまして、四十一年に観光開発計画がいわばでっち上げですけれども、早々の間にでき上がるわけであります。しかし、その計画案の中には潟の水面を一坪たりとも埋める内容が載っていないわけであります。潟を埋め立てるという可能性がないときには一切の動きがとまるわけであります。そして四十六年までしごく平穏に世の中は進むわけでありますが、四十六年になりますと、四十一年に鳥屋野潟観光開発計画案というものがあるにもかかわらず、そのことには何にも手をつけないまんま、新しく新潟県は信濃川鳥屋野潟開発プロジェクトチームというものを発足させて、三カ月間にこの開発計画案というものを発表するわけであります。この作業が三、四カ月続くんでありますが、この作業が始まると同時に民地の売買が活発化をしてまいります。そしてその鳥屋野潟の眠っておる池の底の土地に膨大もない担保能力をつけるわけであります。其銀行筋がこの担保を抵当権を設定をする、数字も全部ありますけれども、こういうことになるわけです。  そして四十七年になりますと、こういう案が出ます。ごらんになってください。この新星企業はいつの間にか関新観光開発というところに土地をそっくり移すわけであります。土地を移すと県案が発表されます。このプロジェクトチームの案には、一つの案は埋めない案、残りの二つの案は埋める案という内容になっておる。そうしますと、すばやく土地は関新観光開発に移って、県は埋める案を採用をして鳥屋野潟観光計画を発表するわけであります。そうしますと民地が事前に動いていく、民地が動く、担保がつけられる、売買が行なわれる、県が埋める案を発表をする、こうなるわけであります。  そして四十八年にこの区画整理事業、後ほど申し上げますが、これを公園にするには河川を公有化をしておかないと何かにつけて都合が悪い。河川を公有化をするということで、区画整理事業の公園区域に河川区域を入れてしまいました。区画整理事業でこの事業をやっていきたいという発表であります。区画整理事業でとかなんとかいってわかりにくいですけれども、池の土地を買うかわりに、池の一部を埋め立てて、適当な換地をしてやる。結果的には池を全部買うというのと同じことであります。こういう計画を発表いたしますが、このことが県議会でまた問題になって区画整理事業案というものが否決をされます。しかし一年間何だかんだと下工作が行なわれて、一年後の都市計画審議会ではとにもかくにも多数派工作が行なわれて今度は可決になるわけであります。しかし問題が問題であるからというので、公園の区域はここですということだけで、事業認可というのは池の外側だけをもらったといういきさつになって、いま現在でいえばどうなるのかわからないという説明になると思うのであります。こういう一連のいきさつを皆さん見てもわかる。  それから四十八年で否決をされたりごたごたして関新観光開発という会社がやり玉にあがりますと、そろそろ人が忘れたころに浦浜開発という会社に合併をして、登記簿を見ると関新観光開発という会社はどこにもいなくなってしまうわけであります。さらに探っていけば何のことはない、まるまる身柄持ったまんま浦浜開発という会社に逃げ込んでおる、こういう状態にあります。このように、一級河川というものが、一方はこういう企業の土地の売買の動き、大きい企業のですね。それから公の団体、県とか市とか。県という場合には建設省もいろんな意味で協議に乗っている。農林省もいろんな意味で協議に乗っている。そしていわば国費が投ぜられていますから、これは国も一緒です。で、そういうことが行なわれると、そのことを中心にして、それよりも少し早い機会に土地が上がる。問題になると肝心の大きい会社は名前を変えてしまう。こういう形でとにかく今日まで来ておるわけです。  私はこういうことをまずひとつ明らかにして——管理者は皆さんであります。もちろん知事にまかしているといっても、建設省が管理者である。それからまた農林省は、少なくともあれが農業排水の機能をずいぶん持っておるということで、たとえば災害復興計画のときなどにはむしろ農林省のほうが主役を果たすわけでありまして、いわゆるそういう公の管理に属しておる土地がこういう動き方をする。それに少なくとも役所とかそういうところがこういう役割りを果たす。意図があったかないかのことは一応別にしまして、客観的にはこのようにみごとに物語が形成されるわけであります。  まず、こういう一連の事柄について皆さんのほうで何か感想ありませんか。ずいぶんとうまくでき過ぎているとは思いませんか。このことをまずお伺いをしておきたいと思います。建設省と農林省にお伺いします。
  79. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生のこの資料拝見いたしまして、「うごき」の「I」につきましては、最近でございますけれども、四十六年以降の新潟県がプロジェクトチームをつくって云々という以下は、われわれ河川局といたしましても治水上影響のないようにやらにゃいかぬという行政指導を続けましたものですから知っておるわけでございますが、土地の移動ということは実は私、本日初めて知ったわけでございまして、まあこれからの問題だと思いますけれども、都市計画審議会で公園という動きがございます。私ども河川管理者といたしましては、鳥屋野の問題につきましては治水上遺憾ないような指導を今後とも続けなければいけない、そう考えております。
  80. 福澤達一

    説明員(福澤達一君) 一連の親松の排水機場を中心とする計画につきましては、新潟の地震災害に伴う対応策として私のほうは当時この事業を取り上げたわけでございまして、その後のこういう推移につきましての経緯というものは承知しておらないような状態でございました。
  81. 志苫裕

    志苫裕君 まあほんとうは大臣から、特に建設大臣の場合にはおいでをいただきたかったんでありますが、ただ、いま局長お答えになるように、土地の移動は知らなかったと、まあ私率直に言ってそらぞらしいといえばちょっとそらぞらしいですね。このことが問題にいつでもなってるんですから、皆さんが管理しておる川が。治水対策を、まじめな意味で治水対策を講じようと思っても、まじめな意味で、その河川の景観を利用しながら公園をつくろうと思っても、いつでもこの問題がひっからまって、その作業を妨げたり、環境整備を妨げたり、農地のさまざまな機能向上というものを妨げたりして数年の歴史を持つのですね。そのことをほおかぶりしておいて、ただ技術的な検討だけではきまりがつかないぐらいの問題になっているのに知らなかったということはないでしょう。知っているからこんなこと一生懸命に進めているという口の悪いのさえもいるんですからね。土地の移動、その土地所有の問題、そういう問題がずいぶんと問題になっているということを御存じなかったですか。
  82. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 私どもが知っておりますのは、先ほど申し上げましたように、治水上の問題と公園の問題というところで問題が出まして、その前は、先ほどの農林省さんと一緒でございまして、新潟地震のあとの問題ということで、これは非常に技術的な問題でございますが、この房総観光云々というようなとこからは実は私どもきょう初めてでございます。ただ新潟県におきます議事録等を読ましていただいておりました。そういうことで、当時は関新観光ですか、こういう名前はお聞きしておりまして、三つぐらいの大きな所有者があると、その他先ほど先生申されましたように共有地がたくさんあると、たくさんの方々が持っていらっしゃるということは、十分その辺は承知しておったわけでございますけれども、まあ河川管理者の立場からいきまして、ほんとうは先ほど申し上げますように、このような水面下は官有地でありたいという希望は十分私ども持っておりますけれども、何しろ権限の及ばないものであるということでございまして、その点においては非常に河川管理者としては残念な気持ちがするわけでございます。
  83. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっとこのいままでのいきさつの中で、内容を若干お伺いしたいと思うのでありますが、まず、この四十年当時、私は結果論としましてどうこう言うんじゃありません。が、いきさつからちょっと古い話で恐縮でありますが、四十年当時にこの鳥屋野潟の震災復興計画で排水をどうしようかといっていろいろと検討をしておった。普通役所のものの考え方ですと、いまあるところをだんだん強化をしていくとか、いまあるところを少し足し前をしながらこの助成事業等をつけてこの復旧をするという意味で栗ノ木排水の強化が役所ベースでは考えられていたし、それからその査定も行なわれたはずであります。これが一転をして親松排水計画に急遽変更をしたいきさつを持つわけであります。四十七トンの排水能力を六十トンに引き上げるということを基本にして、水路からポンプから急に変わると、このときに、新潟県は国といろいろ折衝をしていましたけれども、そのときの某日刊紙によりますと、当時は四十年ですから大蔵大臣だったでしょうかね、田中さんから、けちけちしたことをやらないで、思い切った排水計画を立てなさいと激励を受けて勇気百倍したという記事が地元の新聞に載っています。その後親松排水計画が正式に発表されるわけでありますけれども、その当時の事情で変更のいきさつわかりますか。
  84. 福澤達一

    説明員(福澤達一君) 災害の復旧につきましては、原則として現地における復旧をするということがたてまえと思います。したがいまして、ただいま先生が御質問なさいましたように、当初は災害の査定は栗ノ木排水機場を中心といたしまして一連の通船川関係に至るまで、これは農林省も建設省と一緒になりまして復旧計画をどうするかということで協議をしてきめたものでございます。  その結果、非常に地震災害における新潟東部の激しい影響がございまして、もう少し具体的に申し上げますと、海岸から押し寄せた津波等の影響にもよりまして、栗ノ木川、通船川の破堤による影響は三十数日間にわたる農業地域の農地の湛水になってあらわれてまいりました。しかも新潟の特有性といたしまして地盤沈下関係状態が進行しておった段階で、栗ノ木川等は田面等から比べましてはるかに高いところに川が流れておる、こういうような状態であったわけでございます。したがいまして、それを復旧改修するということにつきましては、水路を低くするということ、それからもう一つ、末端におきましてポンプ機場を必要とするというようなこともございまして、その経費の試算をいたしました結果、全く構想を改めて、鳥屋野潟のほうに親松の機場をつくりまして、直接新潟市の危険地帯を避けて信濃川に排水するということのほうが好ましいという結論に達して現在のような施設ができたというように私のほうは承知いたしておるわけでございます。
  85. 志苫裕

    志苫裕君 古い話ですから、このことは私あんまり問題にする気はないんでありますが、その排水計画を現位置にしようか別のところにしようかという、これはだいぶ議論があるわけですが、まああんまりけちけちしたことを考えないで思い切ったことをやれという激励を——指図と言うと問題がありましょうから、激励を受けたことはありませんか。
  86. 福澤達一

    説明員(福澤達一君) 当時私直接その担当をしておったわけでもございませんし、それから前任者あるいは関係者からそういうことを聞いたことはございません。
  87. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと大蔵省にお伺いしますが、この一連の動きの中で房総観光、日本電建、まあ房総観光から日本電建へいったのはこれは事情があるようですが、日本電建、新星企業、関新観光、浦浜開発、御存じ田中ファミリーですね、これは。そこで私しろうとだからお聞きしますが、これ別に干上げたわけてもなければ——川の中ですよ、川の中。何にも価値ないんです、これ全然。念のために言っておきますが、固定資産評価額四十二円です、四十二円。しかし周辺の地価は十二万円から十八万円でありますがね、十二万円から十八万円。これは私来るときに調べてきたんですから間違いありません。で、どうして何にも価値のないところがこう動くんでしょうね。動くとこれ企業としては何かの利点でもあるんでしょうか。皆さんの専門家の目から見て、こう動くというのはどうかなるんでしょうか。これを聞かしてくれませんか。
  88. 後藤達太

    説明員(後藤達太君) 私はあまりこういう不動産と申しますか、こういう取引の専門家でございませんので確たることを申し上げられないのでございますが、そういう売買が行なわれるのはやはり何らかの経済的価値があるということで行なわれることではないかと承知しております。  銀行が担保に取りますような場合は私ども関係することでございますけれども、そういうようなときにもこういうものを担保に取ることが、非常に少ないケースではございますが、ないわけではございません。そういうときには、将来の経済的価値が上がるというような見込みなども踏まえまして担保に取るというようなことがございますから、そういうようなことを踏まえて取引が行なわれるんではないかと、それは推測で恐縮でございますけれども、相互の取引というのはそういうことで行なわれるのではなかろうかと、こういうふうに存じております。
  89. 志苫裕

    志苫裕君 全く私御明答だと思うんですよ。経済的価値があると思っているんですね、経済的価値があると思っている。  で、これはまあいろいろ文春以来議論になっておりますが、土地ころがしという何かことばがあるようですが、非常に典型です、これ。たとえば信濃川の長岡のところの河川敷の買収とかなんとかというような問題には土地ころがしはないんですが、これ土地ころがしのおそらく日本の代表だと思いますがね、これは。  そこで、四十七年に関新観光開発に移るときと四十八年に浦浜開発に移るときのこの順序が同じいので、ちょっと御注意を願いたいと思います。  浦浜に移るときにはどういうことになるかといいますと、この浦浜開発というのは、昔、新潟交通のチューリップ畑なんかを、こう交通バスというのはどこか農園を持ちましてね、お客さん運びますから。これチューリップ畑等をつくっておる新潟交通のいわばお客さんを運ぶ別会社だった、お客さんを誘致するですね、農園だったと。これが四十七年三月、いろんな動きが出た。四十七年三月というのは県が埋め立てを発表するころです。四十七年三月に商号変更をして、そして浦浜開発となります。そして四十七年の同じ九月に事業目的を変更します。そして四十八年に関新と合併をいたしまして倍額増資を行ないます。そして四十九年の一月になりますと前田実という人が代表取締役になるわけであります。新潟交通とは関係のない、従来の浦浜農園とは関係のない、この前田実という人は新星企業の取締役です、そして地元の田中グループといわれる丸運建設の取締役です。そして私の資料にもありますように、鳥屋野潟を買い占めておるもう一つの大口、大潟土地開発の監査役です。この人が縁もゆかりもないはずの浦浜開発の取締役に就任するわけであります。こういうふうに商号変更、事業目的の変更、合併ないし土地取得ですね、それから増資、重役の交替。  この前の関新観光というのを参考のために申し上げますと、関新観光というのは、この浦浜農園にたとえれば、三十五年から四十四年にかけて電建工業であったわけです。これはまあ北海道電建に商号変更しますが、これが四十七年、すなわち新星から関新に移るときです、四十七年に商号変更、土地取得、増資、合併、こういう過程をたどってまいります。同じなんです。この関新観光というのがたどった経過と浦浜開発というのがたどった経過は全部同じわけです。  この二つについてお伺いしますが、大蔵省さん、あれですか、これは増資は公募ですか。
  90. 前川旦

    委員長前川旦君) 後藤審議官、声が低くて聞き取りにくいんで、もっと大きい声で答弁してください。
  91. 後藤達太

    説明員(後藤達太君) はい、失礼しました。  ただいまの点は、私所管でございませんので承知いたしておりません。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 建設省さん、あれですか、浦浜開発は、あれは何というんですか、土地を売買をする認可というんですかね、取っていますか。
  93. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 私河川管理の立場で参っておりますので、きょう計画局長おりませんので……。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 わかる方いますか。
  95. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 免許は持ったことはありません。
  96. 志苫裕

    志苫裕君 免許は持ったことはありませんね。わかりました。で、事業目的は土地の売買、入っていますか、土地の管理ですか、その辺はどなたかわかりませんか。
  97. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 無免許ですので手元に全然書類がありませんで、実は新潟県のほうに電話で照会しまして得た情報だけですので、法人の事業目的までは私ども把握しておりません。
  98. 志苫裕

    志苫裕君 それは後ほど調べればわかることですから、もしわかりましたらお願いいたします。  それから、大蔵省にもう一つお聞きしますが、私の調べたところでは、新星企業から関新観光には、これは大蔵省に聞くのもちょっと筋違いだと思いますけれども、わかったらお答えしていただきたいんですが、不動産取得税を払っています。が、浦浜開発は合併ですね。合併は不動産取得税を払わなくてもいいという規定にはなっています。しかし、先ほど言いましたように、関新観光が浦浜開発に合併をしたけれども、浦浜開発というのはもと浦浜農園なんです。この浦浜農園に関新観が合併したわけです。そしたらこの浦浜農園というのは外へ出まして、新しい浦浜農園という会社をつくったんです。もともとの農園のほうはまたどっかへ出ていったんですね、人がきたものですから。そうすると、浦浜観光というのは事実上関新観光の続きであって、浦浜のしかも役員もそういうファミリーを入れていくわけですから、こうしますと、別会社で名前は違っています、称号変更をしたんですから。しかし実体的には同じものじゃないか。持っている土地も同じ。こういうのは一体どういうことになります。これはなるほど合併という文字であれば税金を払わぬでもいいですよね、確かに。しかし、実体はどうもそうじゃない。やっぱり売買といったようなものから、何かになるのか、その辺は一体どのようにお考えですか。
  99. 後藤達太

    説明員(後藤達太君) たびたびどうも恐縮でございますけれども、私その関係は所管しておりませんので、御答弁ができませんので御了承いただきたいと思います。
  100. 志苫裕

    志苫裕君 私は初めてなものですから、どなたに聞くとどういう答弁が返るのかわからぬので、あるいは少し筋違いなことを聞いているかもしれませんが、それはわかりました。  そこで、私はこれからの都市計画事業、いわゆる公園事業というものがなぜこういう形で進むのかということについて後半の時間を使いたいと思うんでありますが、もう一度河川局長にお尋ねいたしますが、いずれにしても河川管理について確固たる方針を示すと、俗にいう土地の動きがぴたっととまるわけですよ、いままでも、それがどこかでゆるむと摩詞、ちみもうりょうが動くわけです。やっぱりこれは一級河川です。わけあって一級河川にしているわけですね。絶えずこの河川の果たす役割りを考えて適正な管理というものに皆さんも心がけているわけです。皆さんの管理をしておる河川が利権の対象として絶えず右往左往するということについて河川管理上適当でないと思いませんか。
  101. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 河川管理の立場から申し上げますと、いまおっしゃいますように、そういうことが河川管理上拘束ができれば非常にいいわけでございますけれども、残念ながら新河川法のもとにやっております私どもがそこまで権限が及ばないということでございまして、私ども仕事をしていきます上には、もちろん個人といたしましても、行政の立場からいたしましてもそういうことがないほうが望ましいということでございます。
  102. 志苫裕

    志苫裕君 それでは、公園計画に入りますか、この公園計画、私冒頭に申し上げておりますが、この公園計画の推移というのはそのまま先ほど言いました長年のいわくづきの利権問題を最終的に土地取得者のもくろみどおりに達成させるかどうかの分かれ目になっています。このことを御理解をいただいた上で以下質問をいたしますが、私は環境整備とあわせまして湖面を利用した公園をつくるということは新潟県民の強く望むところと思います。同時に、周辺が先ほど言いましたように、一万ヘクタールの取水区域のうちの六千六百ヘクタールがマイナス一メートルというずいぶんとひどい場所でありますから、この治水機能というものをゆるがせにはできない、こういう二つの側面ですね、こういうものをもって鳥屋野潟の利用と管理ということはなるほど懸案でもあるわけでありますが、先ほど言ったようにいつも障害になるのはこういった問題である。とまれ、資料としてお配りをいたしましたが、この資料の二枚目に鳥屋野公園計画というのを私そこに県から伺って書いてきましたけれども、少なくとも百八十ヘクタールの河川区域、このうちこの中をいわば陸地としての公園に二十ヘクタールを埋め立てる、湖面利用だけからいきますと。残りを水面を百四十ヘクタールにする、そのうち高水敷とそうでない水面がありますが、さらに約十八ヘクタール、その後二次案で少し変更しましたけれども、当初案でいっております。いわば池の中を十八ヘクタール、すなわちお手元に示しました図面の斜線の部分を埋めて、そしてこれを川として残る部分——白い部分と換地をする、換地をするというのを県の説明でいえばこの池の中の私権を消滅をする、買い上げる、買い上げるかわりに物々交換だというしかけであります。でありますから、結局水面が百四十ヘクタールに減るということであります、この案でいきますと。まあしかし公園は広いほうがいいというので、池の外側を少し買い増して、公園面積はかれこれ百ヘクタールにする、こういう内容になっておるのでありますが、念のためにこれはでかい地図なんで、ここに図面がありますが、(資料を示す)ちょっともう少し状況をのみ込んでいただくと、これはあまり全部要らないですが、小さいので説明しましょうか。この池の周辺部分には——ここが大事なところなんですよ。この公園陸地として埋めたいと思っておる周辺部分には大きい企業——こういった大潟土地であるとか、その浦浜開発であるとか、こういう企業はあまり持っていないことをまず御注意願いたい。いわゆる深いところで、ほんとうの川、池、ここのところに大きい土地所有者がいる。私が引例をしておる土地所有者はそこにいる。で、岸辺に近いところ十八ヘクタールを池を狭めて埋めることによって、どう考えてみても、どんなにさか立ちをしても永久に池の上に出ることがないであろう土地所有者を浮上をさせる。こういう結果になるわけです、結果は。かりに公園に幾らか必要だから一部買収をするとか、あるいは河川管理者の許可をもらって占有をしていくとかにしましても、およそ縁なき場所。こういうところが事実上この換地方式、区画のあれで生き返ってくる。こういう内容を持つのがこのいわば公園計画であります。念のために申し上げておきますが、そうした場合に所有者の利益はどうなるか。先ほど言いましたように、固定資産評価額は四十二円です。地元住民から房総観光が買い上げたときの価格は、——昔で言う坪で言いますが、坪百円です。百円です。そして先ほど言いましたこの蓮潟の部分が百七十円だったんです。百七十円のところを埋めて五千三百円で売ったのが蓮潟のいきさつだったんですね。あの当時の金で。ここのところは少なくとも百円で買ったんです。買ったんですね。外回りは先ほど言いましたように十二万円から十八万円でありますから、まん中とって、公園が整備されないとしても十五万円ですね。十五万円。十五万円で浦浜開発が持っておる面積は八十ヘクタールでありますから、これで皆さんも計算してわかりますように、かれこれ四十億円。三十七億円ですかね。四十億円という価値が出てまいりますね。こういう問題をはらみながら、いま言ったこの問題にいくわけですが、私は、まずそこで河川局に一般論としてお尋ねしますが、一級河川というのは一体どういうものですか。
  103. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 河川法によって一級か二級かきまったわけでございますが、一級河川は国においてみずから責任を持つ川でございますが、一部、もちろん先ほどおっしゃいましたように県に管理権が委譲したものもあります。まあ非常に大切な川でございまして、国土保全上、あるいはまた国民経済上特に重要な水系でございまして、政令で指定するものでございまして、これは建設大臣が指定することになっておるわけでございます。
  104. 志苫裕

    志苫裕君 とにかく特に重要なものなんです。みだりに川の性格が変わったりできるようなしろものではない。ですから、たとえば一級河川に指定しなさるときでも、やれ地方議会の同意が要るとか、長の意見が要るとか、審議会でいろいろと御審議いただくとかというめんどうな手続をして、大事な川であればあるらしく取り扱うわけであります。みだりに性格の変更等がそんなにあっていいものでないと思うのでありますが、そこでお伺いしたいのは、この新潟県の都市計画によりまして公園区域の設定というのが行なわれましたが、図面のように、河川区域のうち、約十五ヘクタールないし十八ヘクタールをはずして、一応公園区域というふうにやって——公園区域という指定が有効であるかどうか後ほど聞きますが、この考え方というのは、河川をこの部分減らすということです。河川の区域を変更をするということです。指定をするときにはずいぶんと大事な手続を経ながら指定をしたのに、廃止をするときには、廃止に必要な手続がこれから残りますが、その河川敷というものを、河川区域の変更というものを前提にして公園区域をきめておるものと私は判断をするんですが、その点は建設省はいかように判断しておりますか。
  105. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 御指摘の、図面の左方にあります斜線の部分、これが埋め立てられて換地として与えられるという当時の計画案から見れば、この区域は民地としてなるわけでございますから、さらに買収でもしない限り公園面積にも入れられないということもありまして、公園としては陸上部は主として南側の河川区域外を確保すると。そして河川区域としては水面を主として利用しよう、こういうことを考えたものと思います。
  106. 志苫裕

    志苫裕君 いや、もっとすばやく答えてくださいよ。この斜線の部分というのは、河川区域からはずすことを前提にしていますかということを聞いているんですよ。
  107. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) そうだと思います。
  108. 志苫裕

    志苫裕君 河川局長、そのことは皆さん了承しているんですか。
  109. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) まだ、この河川の立場から申し上げますと、この公園の計画をきめるにあたりましては、終局的には治水、利水のすべてプラスにあるような計画でなければ河川区域からはずすわけにいかないわけです。したがって、もしこういうような計画が一部でも潟が埋められるということになりますと、それに見合うだけの、さらにそれ以上の治水上の能力がなければいけないと。したがって、先ほどもちょっと触れましたけれども、私どもは県を指導するにあたりましては、やはりこれに身がわるだけの治水能力の増大の作業が、工事があわせていかない限りいけないという指示をしておりますと同時に、もしこういうことで、ただプラス面は、もしこういう公園の換地がうまくいくかどうかしりませんけれども、いきました場合は、この問題になっております鳥屋野潟の河川敷がすべて官有地になるという点は非常に望ましい、そういう立場でもございます。
  110. 志苫裕

    志苫裕君 そういうことを聞いているのではありません。いま河川区域というのは、少しでこぼこしていますが、大体ほぼこの黒い線ですよね。この斜線の部分というのはいま都市局長のほうでは、河川区域から除くということを前提にしているんだろうと、こう言っているんです。私は、一級河川を指定するときにはめんどうな手続を経て大事だから一級河川にしておる。したがって、それをまた占有をしたり、あるいは廃上をしたり、区域変更をしたりするにはやはりそれなりにいろいろと緻密な検討をわずらわさなければならぬ問題がある。それができていないんですね、まだ。できていないのに河川区域からはずすということを前提にしているのはどういうことですかということを聞いておるんですよ。
  111. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 先ほど、前提としていると思いますと申し上げましたのは、湖面から一応その部分をはずして都市公園の区域の決定がなされているわけでございます。で、まあこのはずれた部分が、河川管理者との協議その他によりまして河川としてはなお維持しなければならないということになることもまだきまってないいまの段階ではあり得るわけでございますが、もし当時考えられていた埋め立てということを行なえば、しかもそこへ換地を与えるとするならば、これは公園としては適さないのでありますから、そういうことになる可能性も確かにあったわけでありまして、その辺をあわせ考えまして、都市公園の区域からははずした決定をしたと、こういうことでございます。
  112. 志苫裕

    志苫裕君 どうもわかりませんね。公園区域をこのようにきめたというのは埋め立てるだろう、換地に使うだろう、使いたいという前提でこれをはずしたのでしょう。ということは、河川区域を変更するということを前提にしたんでしょう。しかし河川区域をどうするかということは何にもきまっていない。言うなら、この池は川なんですから、何よりも治水優先ですよ。そっちのほうのことは、言うなら形式的に言えば何も終わっていない。こうこうだから河川区域をこう狭めようということにもなっているわけじゃないですね。にもかかわらず公園計画のほうは河川からはずすことを前提にしておるというのは食い違いがございませんかということをいまちょっと聞いたのです。ですから、都市局長のお話のようにそういうつもりではおるが河川としてなおここのところは維持しなければならぬということになれば、それはそのときの話だということになるわけですか。
  113. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) ちょっとことばが足りませんでしたが、私が前提としているであろうと申し上げましたのは、必ずそういうふうになる、埋め立てがなされる。したがって河川区域が縮小される。必ずそうなるというそれを前提にしたという意味ではなく、そういう話も持ち合っておりまして、そういう可能性がかなりあるということを前提に、そういう可能性がかなりあるような土地を公園の計画決定区域に入れることは適当でないと、こういう意味であります。
  114. 志苫裕

    志苫裕君 これが河川区域からはずされる可能性がかなりあるという、河川区域からはずされる可能性がかなりあるという前提、河川局長かなりありますか、河川区域からはずされますか。
  115. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま、先ほど先生おっしゃいましたように、この流水のあるところはみな一級河川でございます。したがいまして、これをはずすかどうかについての公園側から、都市計画のほうから具体的にまだはっきりとした合い議がなされておりませんが、先ほどある程度申し上げましたのは、新潟県のプロジェクトチームの内容を読みましても、そのときの仮定に基づきまして、もし河川区域の変更するときには、これは先ほど申し上げました、先生もおっしゃいましたような一級河川でございます、非常に重要な関心を私ども持ちまして、したがってもしそういうことがあっても治水優先の公園であるべきであるということを絶えず申し続けて今日まできておるわけでございます。
  116. 志苫裕

    志苫裕君 私は、技術的な問題は私もしろうとですから議論はいたしませんが、きょうはまたその目的ではありませんので、ただ一般論としてまず申し上げたいのは、先ほどまず一級河川の性格からいって、みだりにたとえ公園であろうと、やっぱりみだりに一級河川の性格は減殺されたり変えたりすべきものではないということをまず申し上げました。それから、一級河川等を利用して都市公園をつくる場合は、やっぱり川の景観を利用する。川の景観を利用することはあっても流水やあるいは敷地ですね、流水や敷地は公園施設ではない、あるいは公園面積に含めないというのがたてまえじゃないですか。皆さんのほうは、従来そのような少なくとも一級河川あるいは二級河川のようなものは、その河川を公園区域に含めるということはない、このように伺っておるわけであります。この点についてはいかがですか。
  117. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) もちろん治水というのは何より大事でございますから、河川敷を使って公園計画を立てる場合、河川の持つ治水という機能、目的、これに相反することは許されない、そういう意味では河川としての管理というのが第一義でございます。そういうこともありますからおっしゃるように確かにその景観だけを考えまして、公園としてその敷地や水面、流水までフルには活用しない、見るだけの場所として計画するということもあるわけでありますが、場所によりましては、やはり湖面にボートを浮かべたり、あるいはボートの発着場をつくるというようなことがより適切だという場合があります。そういう場合にはそういう部分部分につきまして河川管理者と協議の上、そういった所要の施設を設置したり、公園としての水面の利用のさせ方をするということもあります。
  118. 志苫裕

    志苫裕君 あれですか、私、もう一度聞きますが、私の主張は、川の景観を利用するというそういう考え方でよろしいじゃないかと言っているのですが、具体的に聞きますと、一級河川は公園面積に入るのですか、そういう扱いをしているのですか、一級河川——この場合一級河川ですから、一級河川を公園面積に含めるんですか。その場合に、その流水及び敷地、これは依然として川でしょう、河川法上の川でしょう。それがどうして公園面積に含まれるのですか。
  119. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) ここの具体的な場合には、まだ公園面積に加えて、先ほど私が第二番目に申し上げましたような完全な公園としての利用まで考えることになっているわけでありません。  それでは申し上げますが、一般論としては、河川敷地でありましてもまず多く例がありますのは高水敷——これは河川区域の中でありますが通常は水がかぶらないところ、こういうところを河川区域でありながら公園区域にも兼ねて加えておる。これはもちろん河川管理者の許可が要ります。そういう所要の手続はもちろんとりますが、そういった場合に、河川区域でありながら都市公園の区域にも含める、面積に計上するということもあるわけでありまして、さらに進んで、通常水面あるいは水面下にある部分につきましても同様の手続によって公園としても兼ねるということもあり得ないわけではありません。
  120. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと局長答弁違うじゃないですか。いまあなたの答弁は三転です。この場合には公園区域としては含めていない。それから、一般論として、たとえば高水敷等は公園区域にすることもある、あるいは最後に、水面下の場合でもできないわけでもないという趣旨の話がありましたが、どういう施設をするかにもよるのでしょうが、この昭和四十九年三月十四日、新潟県都市計画審議会で地方審議会に付議をされた鳥屋野潟新潟都市計画公園の変更についてという、これは公園名、鳥屋野潟公園、面積百七十七・一ヘクタール。面積百七十七・一ヘクタールというのは一級河川を含めた面積であります。こうしますと、河川局に私この質問の前にもそれぞれについて確かめたのですが、一般的な見解をお伺いしたのですが、一般的にいえば、一級河川もしくは二級河川等の大事な川を公園面積に含めることはないという見解に私は承知をしていました。いま都市局長のお話でも、この部分を公園面積に含めてなんかいないようなことを言い、一般論として高水敷等を公園面積に含めることはある、私はそれはあると思います。高水敷等は占有許可をいただいたりまた一般論でいうならば、河川区域はそのままにしておいて、占有許可をもらって、一部分こう埋め立てて、その部分を公園面積に加えるということはあり得ると思います。いわゆる完全な流水部分ですね、この部分を公園面積に加えるということは普通の場合考えにくい。にもかかわらず、この本計画の場合には、その考えにくいところを無理をして、河川として将来とも永劫に残らなきゃならぬし、治水上ますます強化をしなければならない、河川区域も全部公園面積に含めることによって、公園区域に含めることによって換地という方法を編み出そうとしておるところに問題があるんですよ。この流水部分を公園面積からはずせば、換地などという方法が出てくるわけがないでしょう。こういう無理を重ねて、どうして田中ファミリーをはじめとするいま問題になっておる、しかも雌伏十数年、この土地がいつの日にか水底から浮上することをねらっておる。これらの諸君に、数十億のお金をやらなきゃならぬのですか、一体。矛盾だらけじゃないですか、話が。いかがですか、その点は。
  121. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) まあ都市公園としての計画決定をしたのは、確かに河川区域の大部分を含めました百七十七ヘクタールでございます。しかしながら、それが直ちにそれをすべて公園管理者として占用の許可その他の権限を取得して都市公園として供用開始までする、こういう意味ではありませんで、現に事業認可を受けておりますのは南側の湖岸の河川敷外の部分だけでございます。そういう意味では、その部分だけがはっきりと公園として将来供用することがきまっている、水面の部分はまだどういうふうに使っていくかということについて、いろいろな案はありますけれども、きまった段階ではない、こういうことであります。  なお、この区画整理の手法を用いて換地するというのは、いわばこの湖底の民有地を公有化するための一つの手段として考えられてきたものでございまして、最近では県もその考え方は白紙に戻したと言っておりますから、まあ今後は区画整理の手法が用いられるかどうかは白紙に戻ったわけでありますが、その手段の一つの方法として行なうというだけでありまして、あとえば土地所有者の承諾を得ていろんな民地であっても工事をするとかということも可能ですし、あるいは同じ換地でありましても区画整理の手続きをとることなく個々の所有者との話し合い、任意の手法によって土地が交換されるということもあり得るわけであります。
  122. 志苫裕

    志苫裕君 時間も来ましたけれども、河川局のほうでさっぱり答弁をしませんけれども、私はこの公園を進めるにあたって、河川は河川としてちゃんと残し、必要な治水対策を講じて、それでいけばいいんであって、したがって、それが公園面積全体に含まって、川の中も含む区画整理事業というふうなもので、一番深い池の底と交換をするというふうな、こういうことについては通常の場合やっぱりありにくいケースだ、この点は双方の答弁にもいささか整理がされていない点もあるようですし、都市局長答弁も私はずいぶんと不満です。それはなるほど県側は白紙に戻したと言っておる。区画整理という、事業という手法を用いるかどうかもわからない、買収方式もあるでしょうし、川はそのままにしておいて占有許可を求める方法もあるでしょうしですね、いろいろ私も可能性あると思います。私もそれはいろいろとまた知恵を出したり、協力をしてやりたいと思いますが、ただあなたそうやってここの場をのがれればいいかもしらんけれども、一年がかりで手練手管を使って多数決をしてやった方法は何かというと、斜線部分をはずしてあるのですよ。斜線部分をなぜはずしたのかというと、この部分を埋めるということなんです。その埋めた土地が換地に使われるか財源に使われるか、そのことは残るにしても、一つの方法だと思うのですよね。ほんとうに差しつかえないところを埋めて、それを売っ払って銭にして、しょせん国なんかよけい金くれないのだから、この県の金の足し前にするとか、方法はあると思うのですが、少なくともこの発想方法というのは、一番最後に考えた区画整理事業で、池の中の私権消滅、別のことばで言えば湖底の買い上げというものが発想になっておる。それが現に都市公園の区画として表示をされておる以上、その性格が基本的に変わることはないだろうということを私は心配するものですから、保留、留保の部分があるにしても、いまいろいろ聞きました。しかし皆さんのほうでも少し、県のほうのやっておることでありますから、詰め方が足らぬようでありますしね、私はこの点はこの次の機会まで質問を留保して、もう少し皆さんのほうでも詰めておいてほしいと思うのでありますが、最後に私は、河川局長あれですか、いずれにしても公園が区画整理が進んでいますが、流水部分は河川法の適用を受けますね。
  123. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) そのとおりでございます。
  124. 志苫裕

    志苫裕君 河川法を皆さんに念のために読みます。これは、「建設省新河川法研究会編、逐条河川法」、第二条の解説のところ、こうなっていますね。「河川は、敷地及び流水からなり、これらの統合体であるが、わが国の民法は、財産権の対象としての統合体又は集合物の観念を認めていないのであって、集合物を一体として財産権の目的とする財団抵当等の制度を設けるには、特別法を要するのである。したがって、河川が統合体であり、これを私権の目的とする特別法の存在しない以上、河川が所有権その他の財産権の目的とならないことは明らかであり、疑義を生ずるおそれがないので特に私権排除の規定を設けることをしなかったものである。すなわち、河川は、公物として公法上の管理権にのみ服する。」、こうなっていますね。これはとにかくこういうことを書いた本がありますよ。こういう解釈があるのでしょう、きっと。事は明瞭でありまして、望ましい望ましくないの議論はありましても、この鳥屋野潟という河川、一部公園に利用するためにどうこうという問題は抜きにしますよ、この鳥屋野潟という河川の流水面の私権を抹消しなければ、管理上不都合でどうにもならないという根拠はない、これは現に行為の作用が及んでいます。さまざまな河川法上のいわば行為の制限を受けています。したがって、これを買い取らなければどうにもこうにも動きがつかぬというものではさらさらないということをこの際十分に承知をしておいてほしい。そのことを踏まえた上でいろいろくふうをして、川の景観を利用しながら公園計画を進める。  農林省にはついに聞き損じましたが、農林省はこの間の参議院の四十八年六月十三日の答弁のときにこういう答弁をしていますがね、いわばいまめ面積について、「現在鳥屋野潟に百四十三万立方メートルの洪水調節能力を持っております。したかいまして、今回の計画におきまして」——この計画ですな——「洪水調節能力を減少させないということになれば支障ないというふうに考えております。」というふうに言っていますが、考え違いです、これは。皆さんが親松排水計画を立てたときに、いわば洪水調節能力を百四十三にした。その後都市化が進んで、こういう洪水調節能力ではどうにもならぬというので、河川担当者のほうはむしろ二百をこえる——ちょっと数字忘れましたが、二百四、五十だと思いますが、こういう調節能力を必要としている。この計画がそのまま進むとすれば、少なくともいまのままでも親松排水は三十トンのポンプアップ能力を必要としています。これを認めなければこの計画はできません。ある池を狭め、お金をかけて別に水路を広げてポンプをつくる。治水からいったらむだな投資ですね。こういう点についてもひとつ十分に配慮をしてこれから進めてもらいたい、このように思いますが、これは私の要望で、いずれこの問題はやりますが、くれぐれも皆さんのきょうの答弁、私は非常に不十分、不満でありますが、それというのも、皆さんのそういうあいまいなやり方というのが利権屋を一喜一憂させて、今日政治不信の問題になっているような下地をつくっているんですよ。このことを強く指摘しておきたい。  時間がまいりましたが、簡単なことだけですが、これだけちょっと答えてください。  国土開発幹線自動車道の建設の手続きと北陸自動車道の建設の手順はどうなっておったのか。いつ計画決定があって、いつ審議会できまったのか。そうして審議会委員はだれであったのか、ちょっとお答えいただけませんか。簡単でいいです。
  125. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 建設省側から担当の局長が参っておりませんので、後刻お手元にお渡ししたいと思います。
  126. 志苫裕

    志苫裕君 いまわかりませんか。
  127. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) はい。
  128. 志苫裕

    志苫裕君 審議会委員も、いつきまったかもわかりませんか。
  129. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) はい。
  130. 前川旦

    委員長前川旦君) 志苫君、ちょっと待ってください。あらかじめ、その質問、言ってないからきょうは来ていないのです。  それから、時間がまいりました。
  131. 志苫裕

    志苫裕君 それじゃ後刻にいたします。  それじゃ、私の質問は終わります。
  132. 福澤達一

    説明員(福澤達一君) ただいま建設省と農林省の排水の調整能力の点について言及されましたが、一言だけお答え申したいと思いますが、建設省の治水計画と申しますのは、これは、農林省の排水計画とは内容が違っておりまして、農林省の排水計画と申しますのは、前年の湛水——許容湛水というのをある程度認めまして、洪水のときにもそれだけの雨が降った場合に完全な水没にならないという前提のもとでの計画ではございません。したがいまして、昨年の決算委員会答弁したことにつきましては、私のほうは問題がないというように理解しておるわけでございます。
  133. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、私の質問は終わりますが、都市計画の問題と河川の問題について、非常に答弁が不満でありますので、その部分についてはきょうは質問保留して、終わりたいと思います。
  134. 前川旦

    委員長前川旦君) それでは、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後二時十五分開会
  135. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、大蔵省の決算について審査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 私は、先日も、この委員会で大手町公園、すなわちこの委員会の会場のまん前に見えます、ここから見れば。あの大手町公園を見つめながら前回に引き続きまして、この問題点質疑をしていきたいと思います。質疑の焦点は四つの立場から質問をしたいと思います。  第一点は、大手町公園を廃止しなくてはならなかった、廃止の段階に至るまでの理由というものが虚偽に包まれているという問題点であります。廃止の問題。  第二の問題は、手続上の問題、大手町公園が公園廃止をされまして、大洋漁業や三和銀行に払い下げられましたこの手続上の問題。  三番目に、大洋漁業に払い下げられまして、協和銀行との間に契約がなされております。この契約の中に問題がある。第三点。  第四点は、私の隣にすわっております二宮委員が問題にしました虎の門事件と大手町公園事件を比べますと、まさしく一致している。この虎の門事件と大手町公園の事件というものは大いに関係があるということであります。  この四点の立場から私は順次質問をしてまいりたいと思います。すでに前回の委員会で一応の質疑はされております。その質疑の中にもいろいろなたださなくてはならない問題がたくさんございます。その問題点をただしながら順次質問に入りたいと思います。  前回の委員会で、大手町公園をなぜ廃止しなくてはならなかったのかという私の質問に対しまして、吉田都市局長は私の質問に対しまして次のように述べていらっしゃいます。前からずうっとありますが、その一、二カ所を読みますと、「今日の目から見て、いよいよ緑の不足が著しい。公園緑地は少しでも多く確保しなければならないという今日の課題から見ましたときに、ふり返って見ますと、かわりの公園計画もなしに、ただ一方的に、既決定のせっかくの公園というものを縮小した、大幅に縮小してしまったということははなはだ遺憾でありますが、都市公園の必要性というものが財政的にも行政的にも大きく取り上げられたのはまことに残念ながら近年のことでございまして、当時としてその関心が薄かったということがいまにしてみれば残念だということでございます。」、このように答弁をしていらっしゃいますが、この公園緑地が大切であるということ、当時としてはそのような公園緑地に対する関心が薄かったということを局長はお答えになっていらっしゃいますが、当時の説明を詳しく、関心が薄かったと裏づけできるように御答弁をしていただきたいと思います。
  137. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 一番端的には、国の予算、それを受けました地方公共団体等の予算も同様かと思いますけれども、それが国家予算の中に占める比率が現在に比べればはるかに低かったわけであります。また、たとえば各種公共施設の整備につきましては、大体五カ年計画というものなどがありまして、計画的な整備を促進しようという配慮から法律などをつくりまして、その年次計画で大体予算化されてきておったわけでございますが、都市公園につきましては、ひとり、この五カ年計画の策定、それに基づく計画的な予算の配分というようなことがおくれまして、ようやく昭和四十七年度に至り現在の第一次の五カ年計画が制定されたというような経緯がございます。たとえばそういった予算的なこと一事を見ましても、今日のような公園緑地の整備の急務なることが前にさかのぼればのぼるほど薄かったということはあると思います。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長は予算的なことで予算の配分等がおくれていた、こういうところから考えて関心が薄かったという御答弁でございますが、その当時も予算が少なかったからそれで関心が薄かったと、金額で示すあれじゃないでしょう。これは公園をしなくてはならないけれども、予算に占める率だとか、そういうものが、少なかったから何とかふやさなくてはならないと努力をしていたことは事実なんです。それが金額が少なかったから、いまよりも少なかったから関心が少なかったんだということ、それは理由にならないと思うんですが、どうなんですか、その点。そういうことでは理由になりませんよ。
  139. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) これは昔から環境問題とか、特にこの公園緑地問題に非常に関心を持たれた方も多いわけでして、そういう方々が当時のまた国あるいは地方公共団体等におけるそういった担当部局の人と力を合わせ、激励しつつもっと強化しなければならないという声を盛り上げていただいてずっときておるわけでございます。その結果、先ほど申したように、今日に至ってはまだ額ははなはだ少ないんでありますが、他の公共施設の整備計画にならうようなそういう仕組みが予算的にもとられるに至りました。これは早くからそういうことを強く叫ばれ、担当者をも鼓舞激励され、そして世論を高めてきてくださったそういった方々の力だと思いますが、国全体の予算のつけ方あるいは省としての予算の要求のしかた、そういうことから見まして、やはり今日ほどのウエートは遺憾ながら持っていなかったということでございます。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 いまのお答えは前と変わらないじゃないですか。予算のつけ方が少なかったから関心がなかったというんじゃなく、まだまだ努力が足らなかったと、しょうとしても、そういう意味じゃないですか。関心がなかったということは無関心であった、そういうことに対しては関心がなかったというのと、やっていたけれども予算がつかなかったと、そこらあたりどうですか。関心がなかったということは、これは表現がちょっと違うんじゃないかと思うんですが、端的に、どうですか、この表現でよろしいんですか、そういう考えで。
  141. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 非常に関心を持っておられた方はもちろんかなりおられたわけですが、そういった人の声を国政の全般の中に予算案その他の措置で反映するという、結果として、たとえばその予算をつける、あるいは省全体として予算を要求する、あるいは地方公共団体におきましても、あまたある行政需要の中からどの程度のウエートを持たせて予算が組まれ執行されてきたか、こういう仕上がりの姿を見ますと、金だけの話ではありませんが、たとえば金額面を考えれば、結果として関心が薄かったと、これは全体としてですね。薄い方ばかりじゃないわけですけれども、全体として反映され方が関心が薄かったと言わざるを得ないと、こう思うわけでございます。
  142. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、ことばをかえて言いますと、そのころから緑地公園やこういう公園は大事によけいに都民のためにも、市民のためにもつくっていかなくちゃならないという、そういう姿勢で建設省は進んでいらっしゃったんですね、どうですか、その点。
  143. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 建設省の中でも公園緑地を担当しております者はもちろんその気で、他の事業等に比べてはなはだ立ちおくれている点を非常に歯がゆく思い、その当時としての精一ぱいの努力を重ねてきたものと思います。しかし省全体として、政府全体として、たとえばいまの数字としての結果に見られる限り、今日ほどのウエートはなかったということを申し上げておるわけでございます。
  144. 田代富士男

    田代富士男君 これだけで時間をとってもしかたがありませんから、そのように関心がなかったとか、予算の面だけで言ってらっしゃいますが、この大手町公園が公園の指定を受けたのは昭和三十二年です。これは前回の委員会で確認してありますが、三十四年に首都圏整備委員会が首都圏の官衙地区の整備計画を策定しております、これは霞が関地区だとかいろいろ。そのときに大手町地区もその対象に入っておりますが、そのときでさえも首都圏整備委員会におきましては、大手町公園は将来東京都民のためにということで、この大手町公園はこの区域に含まれていない。これは公園の必要性というものを首都圏整備委員会も認めていることじゃないですか。この点はどうですか。
  145. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) おっしゃるとおり三十四年の首都圏の官衙計画には、この大手町地区公園の都市計画決定地区は含まれておりません。それに隣接する区域約四ヘクタールがきめられたものでありまして、公園の都市計画決定があったというようなことも大きな動機になったかと思いますが、この大手町公園の地区がはずれた実際の経緯についてはちょっと調査しておりませんので、想像で申し上げるということにさせていただきます。
  146. 田代富士男

    田代富士男君 ちょっと歯切れが悪いですね。私が聞いてるのは、これは公園の必要性を認めたがために、ここに官庁の建物を建てようという計画がされたときにもこれははずされていたと、公園が必要であるということのための計画がこの三十四年の首都圏整備委員会でなされて、公園の必要性を認められたということじゃないですか、端的に。調べておりませんからどうこうじゃなくして、どうなんですか。
  147. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) そういう判断があったと思いますが、どういう判断でほんとうに当時あそこのはずれた地区がきまったかちょっと調べておりませんので、御了承願いたいと思います。
  148. 田代富士男

    田代富士男君 ちょっとね、委員長、これはっきりさせてくださいよ。たったこれだけのことが——私は四つの大きな問題を最初に提示しているんです。それがもう一番最初からこんな調子じゃ進まないと思うんです。委員長のほうからちょっと……私の質問はむずかしい質問じゃないんです。
  149. 前川旦

    委員長前川旦君) 吉田都市局長質問者の質問の趣旨を的確に把握して的確な答弁をしてください。よろしいですか、もう一度答弁してください。
  150. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 大手町地区の官衙地区としての決定は約四ヘクタールということで、これは現在もそのとおりになっておりますが、国の行政機関の第一出先機関というものを中心とした集合団地の官庁地区にしようということでありまして、その規模もほぼこの程度あれば所定のものが入るだろうということがあったと思います。  ちょうど公園のところで区域がはずれておりますので、先生のおっしゃったように、都市計画決定があったことが動機になっていたような気もいたしますが、それが大きな理由になってこのように区域が具体的にきめられたかどうかということにつきましては、ちょっとこの場では、私もうかつでございましたが、調べてきませんでしたので、お答えできない次第でございます。
  151. 田代富士男

    田代富士男君 たったこれだけのことを調べてきておりませんでしたなんか言われたら、ますます疑惑を深めますよ、私は。  局長、大手町公園が指定されております。その横に官庁の建物を建てようとした場合にも、公園予定地でありますからここははずされております。この首都圏整備委員会のときの計画書の中に霞が関地区におきましても公園を設けなさいということを、霞が関地区においては整備委員会でいうておりますよ、公園を設けなさい、霞が関地区の場合にも。このときにも公園を設けろといっている。すでに大手町地区の場合には大手町公園がありますから、それをはずしたその横に官庁の建物を建てようとしているんですから、霞が関地区のときには公園を設けなさいといっているから、大手町公園が必要であるからそれは避けたんじゃないかという端的な質問です。これも調べなければわからないというんじゃますます疑惑を感じますよ。  公園が必要なんですか、必要でないんですか、端的に聞きます、むずかしい質問と言われるならば。どうなんですか、はっきりしてください、むずかしい質問じゃないですよ。
  152. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 一般論としてはもちろん……
  153. 田代富士男

    田代富士男君 一般論じゃない、質問に答えてください。
  154. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) この大手町公園の都市計画決定しました場所は当時都有地でありまして、国の官衙計画は国有地というのが原則ですから、この都有地の部分をはずし、国有地の部分のみに当時は限ったということも一つの原因だと思います。
  155. 田代富士男

    田代富士男君 公園が必要であるか必要でないかということです。
  156. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) この大手町地区はやはり「皇居周辺地区としての景観の整備についても充分考慮を払う」というようなことが整備計画でうたわれておりまして、「皇居周辺地区としての景観の整備」ということになれば、高層の建築物が狭苦しく建ち並ぶという状態は好ましくないわけでございまして、できるだけ大きなオープンスペースをとる、その中に公園というものがあったほうがこの趣旨には沿うと思います。
  157. 田代富士男

    田代富士男君 むずかしい質問をしているんじゃないんですよ。だから、いまの局長の言わんとされることは、ここにも、大手町地区に対していま申されたとおりに「皇居周辺地区としての景観の整備についても充分考慮を払うほか、」と、そういう趣旨のことがこれいわれております。霞が関地区には公園がないから公園をつくりなさいということをいわれている。だから都有地であるから建てないとかじゃなくして、そこに公園が指定されたわけなんですから、霞が関地区には公園をつくりなさいといっている。幸いにも大手町地区には公園があるんですから、これはこのまま大事にしていきなさいということじゃないですかと、たったそれだけのことを聞いているんでしょう。その点、端的に言ってくださいよ。これだけでももうずいぶん時間たってるんです。あと大事な質問があるんですから、早く先に進みましょうよ。
  158. 前川旦

    委員長前川旦君) 都市局長、端的に答えてください。もし時間がほんのちょっとあれば完全に答えられるというんであれば、わずかの時間でしたら準備してもいいんですよ。いますぐ答えられますか。——答えてください。
  159. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 確かに霞が関地区につきましては「国会議事堂前面には、公園を設け、」というような表現もあり、一方大手町地区には先ほど申し上げましたような「皇居周辺地区としての景観の整備についても充分考慮を払う」ということで、ことさらにこの地区内に公園をとるという計画は記載されておりませんが、これは両地区の面積もはなはだ違いますし、大手町地区は四ヘクタールにすぎませんので、霞が関地区百ヘクタールに比べればはるかに小さいというようなこともあり、一がいにはこの大手町公園があったから、それでこの整備計画に公園のことが触れられていないと断ずるわけにはいかないと思います。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ公園の必要性はお認めになるんですか。公園は必要なのか必要でないのか、その点どうですか。
  161. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) この地区につきましては、その後の経緯で公園計画が廃止になっております。そういうことで公園があったほうがもちろん望ましかったでございましょうが、ここ十年来の経緯の中で官衙街としての隣接する地区としては、一般の住家が存する地区のような意味での公園はなくてもやむを得ないという、それはかわりのいろいろなことがあるからでございますか、そういう結果になっているということでございます。
  162. 田代富士男

    田代富士男君 これちょっと時間をなにしてください。それではっきりしてくださいよ。これ出口ですから、五分でもけっこうですから休憩してください。
  163. 前川旦

    委員長前川旦君) 田代委員からああいう申し出がありました。いまの質問に対してはっきりした的確な答弁をしてもらいたいんですよ。ですから、いまそこで協議してください。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  164. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  165. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 官庁街の中にあるいは隣接して公園があることは非常に望ましいわけでありますが、そして昭和三十八年に都市計画が変更になるまでは確かに都市計画決定があったわけでございますから、その段階では公園をつくろうという計画であったわけであります。しかして昭和三十八年に大幅に縮小され、さらに四十七年に至り廃止になったという経緯でありまして、その経緯の中であの地区には公園はなくてもやむを得ないという判断になったものでございます。
  166. 田代富士男

    田代富士男君 もうこれで時間をとってもしかたがありませんから、じゃもう一度確認しますが、そうするとその時点で、私がいま質問している時点ですよ、その時点で大手町公園には官庁の建物を建てるというような計画等は一切なかったと判断してよろしいですね。
  167. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) そのとおりでございます。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 そうすれば、次に進みますと、昭和三十八年の十月の十四日、第二十九回の東京都市計画審議会が開かれております。この二十九回の審議会のことも私は前回簡単に質問をしました。そのときに吉田局長はこう答えていらっしゃる。「確かに先生のおっしゃるとおり、都市計画審議会の議事録は「国の庁舎建設計画その他都道築造計画に伴いまして、土地利用上一部の変更を加えたいと考えております。」云々となっておりまして、それ以外の質疑はなかったようでございます。」、こういう答え方をしていらっしゃいますが、もう一度、三十八年十月十四日のこの審議会内容を詳しく、そして「質疑はなかったようでございます。」と、これも「ようでございます。」となっておりますが、この問題に対する質疑はあったのかなかったのか、いいですか、この都計審の内容、どういう内容であったか、その問題に対する質疑があったかなかったか、あったらどういう質疑であったか、その点をお願いいたします。
  169. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 当日の都市計画審議会にはかられましたもののうち、都市公園関係の事案は、この大手町公園のほか大塚町公園、北田端公園それから砧公園という四つの公園の変更であります。  審議の内容としては、幹事の人が逐次その理由を説明しつつ審議が行なわれたのでありますが、記録によれば御質問をなさいました方はお一人でありまして、それはまず砧緑地の計画が変更になっていることについて、予算がないとか、他の用途があるとかいうような理由で次に減らしていったのでは、ただでさえ乏しい東京の緑というものはついになくなってしまうんじゃないか、そういう計画の一貫性がないということは遺憾であるということを発言され、その後再度、東京の風致地区というものは非常に少ないんだから貴重である、それから予算がないからといってせっかく立てた計画をやたらにつぶしていくとか、あるいは事業がなかなか進まないというようなことはいけない、今後は緑を十分に拡大するように努力すべきだというような御意見が出まして、最後に議長が異議の有無をはかりましたところ、異議がないということで決定されたということでございます。
  170. 田代富士男

    田代富士男君 一つ一つ確認していきますが、この大手町公園の問題に対して、国の庁舎建設計画その他の都道築造計画に伴った土地利用上、一部の変更を、大手町公園を変更すると、こういうことは前回も確認しておりますが、もう一度確認してよろしいですね、どうですか。
  171. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 議事録を取り寄せましたところ、そういう発言になっております。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 そうして前回は質疑をした人はなかったようでありますということですが、いまの議事録でもはっきりしておりますとおりに、質疑の人がこういう公園緑地が変更されていくことに対しまして警告を発しているわけです、こういうことであってはならぬという。緑地は必要である、公園は必要であるという警告を発しているじゃありませんか。この点をお認めになりますか。予算の問題だとか、そういう問題で緑地を減らしてはならぬという警告です。最後に本人が言っているでしょう、警告を発しますということを言っているじゃないですか。これをまずお認めになりますか。
  173. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 前回、大手町公園についての質疑と思いましたものですから、そのように質疑がなかったものと思うと申し上げましたが、全体の議事を見ますと、おっしゃるように砧公園に関連した御発言でありますが、警告というような御発言もあり、都市計画上緑ということの非常に重要なことを警告しておられるわけであります。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 その審議会に国のほうからどういう人が参加されておりますか。都計審ですが、国からだれが参加していますか。
  175. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 当時の建設省の道路局長、住宅局長、計画局長、都市局長等が出席しております。その他、国の関係機関で委員になっている方が若干出席しております。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 その他ということもありますが、都計審でありますけれども大蔵省からは管財局長、関東財務局長、建設省からは道路局長、住宅局長、計画局長、こういうメンバーがいろいろ出席していらっしゃる。そうして大手町公園がいま申し上げました三十八年の十月十四日のこの東京都市計画審議会において消え去っていくわけなんです。大手町公園が変更される。  その理由は、いまも私が確認をいたしましたとおりに、この大手町公園に国の庁舎建設が設計されます、ついては大手町公園を公園指定地から変更してくださいと、こういう理由のもとで、その中の委員がそういう変更をしてもらっては困るという警告を発している。さすれば、私がいまさっき確認をしたときに、官庁を建てるために大手町地区にもその計画がされたときでさえも大手町公園は除かれていたということを確認した。にもかかわらず、国の庁舎の建設がないにもかかわらず庁舎の建設があるとして、そうして都民のいこいの場所となるであろう公園指定地をはずしたということは、虚偽の方針のもとにこの審議会はされた。これは東京都の問題だから東京都だとは言えません。ということは、いま申し上げました大蔵省、建設省の代表も参加している。虚偽の方針のもとに、あの東京都民のいこいの場所になるべき大手町公園がまぼろしのごとく消え去っていった。  この問題に対しまして、まず、大蔵大臣に出てもらいたかったんですが、かわりに政務次官いらっしゃる、建設省と大蔵省立場からまず政務次官にひとつ——きのうも私は大臣の出席をお願いしたんですが、私が責任を持って出席しますからとおっしゃいましたから、責任を持って大蔵省を代表して答えてください。建設省と両方、まず大蔵省から。
  177. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 経過について先に政府委員から説明させまして、あとでお答えします。
  178. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 大蔵省で当時だれが出て、どのような内容であったかということを詳しく聞いておりません。当時大蔵省のほうから委員として出ていた人から詳しく聞いておりませんので、さっそく調べたいと思います。
  179. 田代富士男

    田代富士男君 これは前回の委員会で、大蔵省所管の決算委員会で私はこの問題を大平大蔵大臣、吉瀬理財局長中心にこの問題は質疑をしております。その質疑をさらに私はいろいろな証拠のもとに、これをいま初めて質問するんじゃないんですよ。前回もちゃんとこの問題は質問しておりますよ、あらためてなにいたしますという——政務次官、きのうの理事会の話といささか違うじゃありませんか。大臣が必要だ、いや私が責任を持ってと——これか責任を持ってと言えますか、政務次官。責任というものはそんな軽いものじゃないでしょう。これは明確にしてください、明確に。——じゃ時間与えますから……。
  180. 前川旦

    委員長前川旦君) 大蔵省、そこで協議して明確に答弁してください。  速記とめてください。   〔速記中止〕
  181. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記起こして。
  182. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 委員長から注意がございましたとおりに、質問要旨のとり方が不的確であるためにまことに御迷惑をかけておりますことを深くおわびを申し上げます。今後十分注意をさせますので、本日のところは御容赦願います。  なお、ただいま御質問になりました点につきましては、大蔵省ではその会議に管財局長が出る予定になっておりましたが出ておりませんので、本省としてはあとで議事録で報告を受けておりますが、関東財務局長が出ております。そしてその席上で承ったということは、すでにお手元にも御入手されておると思いますが、ただいま御質問がありましたように、「最初は、大手町公園でございます。この大手町公園につきましては、国の庁舎建設計画その他都道築造計画に伴いまして、土地利用上一部の変更を加えたいと考えております。」という発言をしたということを聞いておりますが、そういうわけで国としてはここに何も官庁官衙を建てるというような、そういう申し入れば大蔵省からも建設省からもあったということは聞いておりません。
  183. 田代富士男

    田代富士男君 私の手元にすでに入っておりますけれどもと、政務次官は簡単におっしゃいますけどね、これは大蔵省からもらったんじゃないんですよ。私がこの資料をほしいと再三大蔵省、建設省にも言いました、出してもらいたい、とうとう出ませんでした。出なかったから、私は別な方法でこれは入手しました。入手した以上はおそらく知れるでしょう、私がこの資料を持ったということは。そして私が知ったあとに、この書類が出て、いとも簡単に資料提出したような言い方をされますけれども、そうじゃないですよ、これ。  それでいまの、政務次官は、管財局長は出てないけれども、議事録を見ましたと、関東財務局長出ております。ここではっきりと大手町公園に国の庁舎建設、ここに国の庁舎建設をすると。そのあとにはまた具体的に書いてあるじゃないですか、政務次官の読まれたあとには「一部の縮少をいたします反面、追加地域といたしまして、現在の労働省が建っておりますが、あの庁舎が近く改築になりますので、あの部分六百坪を公園に追加いたしたいというふうに考えておる次第であります。」、ここまで具体的に話がされているので、国はそういう計画はございませんということは、理由は言えませんよ、政務次官、どうですか。あなたはいまそういう計画はないとおっしゃった。しかし労働省が建っておるその庁舎も近く改築になるから、あの部分六百坪を公園に追加したいと、ここまで具体的になっているんですよ。国の庁舎建設ということになっているんですけれども、これはどうなんですか、政務次官、どうですか。はっきりしてください、これ。
  184. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 国が庁舎建築をするという計画はその当時にもありませんし、そういう発言もいたしておりませんが、この幹事の大河原春雄君がそういう発言をしておるということは議事録に載っておりますから認めます。
  185. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これは出席していた、出席していない、しかし関東財務局長が出席していたということは、大蔵省もこれを認めたととってよろしいですね。
  186. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 大蔵省といたしましては、これはどういうことでその当時国の官庁建設計画があるというような発言をなさったかということは、おそらく関東財務局長も詳しく批判をせずに、何らの発言をせずに帰って大蔵省報告をしております。
  187. 田代富士男

    田代富士男君 だから、この議事録を、黙っていて帰ってきたと言っているんじゃない、私は認めるか認めないか、議事録を。出席していたんですから、大蔵省が。だから大手町公園を廃止する、その理由は国の建物が建つという理由で、大手町公園がこの審議会で廃止になっているんです。だから国の建物が建つ、そのために大手町公園が変更されるということを大蔵省も認めたということですね。その点はっきりしてください。
  188. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) この議事録を認めます。
  189. 田代富士男

    田代富士男君 議事録を認めますということは、私は大蔵省もこれを認めたかということをもう一度お伺いします。
  190. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 大蔵省が認めるということは、いろいろな官庁上における手続もあることでございますから、大蔵省はこの官衙をどういう官衙を建てるということを認めたというわけではございませんで、この会議においてこういうような発言があり、それが議事録になっておったということを知らないわけではなかった、認めますということなんです。
  191. 田代富士男

    田代富士男君 これはこのために大手町公園が公園指定地からはずれるんですよ。公園指定地からはずれるんですよ、政務次官。だからこれは会議に出席していて、認める、認めないじゃありません、これは会議録にこういうことありました、そういう無責任なことで会議に出席していますか。そのために代表が出席しているじゃないですか。大手町公園が廃止された、そのために都計審の審議会のメンバーに関係のある大蔵省、建設省の代表が参加しているじゃないですか。これをこのままにして認めたことじゃないですか。会議録を認めますというよりも大蔵省としてこれは認めたわけですね、国の建物が建つために大手町公園が廃止されるということを認めたことなんでしょう、どうなんですか。同じことを繰り返しちゃ先に進めませんよ、これ。
  192. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) それはもうこの会議において、こういうような決定があったということを大蔵省は認めますということを申し上げておるのです。
  193. 田代富士男

    田代富士男君 そうすれば建設省にお尋ねしますが、同じように国の庁舎建設、いまさっき都市局長に聞きましたら大手町公園には一切そういうものは建ちませんと、三十四年の首都圏整備委員会においても公園はそのままにして、その横に官庁の建物が建つようになって、建ちませんと確認をしました。しかし、この審議会において国の庁舎建設のために公園指定地を変更する。公園指定地にしたのは建設大臣ですよ、昭和三十二年建設省告示千六百八十九号によりましてこれが認められております。そのように建設大臣が公示をしました公園がたったこれだけのことで変更されるのですよ。このときに建設省の代表も出られていたから、これを建設省も認めたんですね、はっきりしてください。
  194. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 建設省としては、この公園の予定地区内に国の庁舎が建つ、だから公園の区域を縮小するのだということではなくて、これに隣接する——先ほど来申されました大手町地区の高層合同庁舎の建ちます地区がそれに隣接してきまりました。これは三十二年にきめたとき以後のことでありまして、そういう隣接地区が官庁地区になる。したがって常住する人もうんと減る、将来ともふえる見通しがないというようなことから、この公園区域を縮小したというふうに理解して、異議を述べなかったわけであります。  議事録ははなはだまぎらわしい誤解を招く表現になっておりまして、その点はいかがかと思いますが、国の庁舎建設計画その他都道築造計画に伴いましてということは、その後この発言した本人に尋ねましたところ、ずばりそこが国の庁舎が建つ場所という意味ではなくて、そういう国の庁舎建設計画が隣接地にできる、それに伴って人が減るとか、当初考えたような公園の目的に適しなくなっている、こういうような趣旨のつもりであったが、はなはだことば足らずにそういう表現になってしまっているのだ、こういうことを言っておりました。国の計画がなかったということを承知していた建設省の代表委員としては、こういう説明がありましたけれども、これは隣接地区のことと理解して了承したわけでございます。
  195. 田代富士男

    田代富士男君 吉田局長、ちゃんと証拠があるんですからね。こういう審議会の議事録ということはだれが読んでも理解できるように残されるわけです。これをすなおに読んでいけば、最初は大手町公園でございます。この大手町公園につきましては、国の庁舎建設その他都道築造計画に伴いましてと、国の庁舎建設ということは建つということなんです。付近に庁舎が建ちましてというようなことは一つも入っておりません。あなたの、それ言いのがれです。この前の委員会でもそうおっしゃった。私も当時の責任者に聞いております。国のほうから国の庁舎を建設するからと、そういうことが来ましたと、そこで発表しましたということ、私も聞いております。あなたも聞いたと言う。あなたは付近に建物が建つために、私は大手町公園に。だから、言うならば、このときに世田谷の砧緑地、この公園の問題も同じような内容で、この砧公園の場合も緑地を減らすかわりに別で緑地をつくりなさいと。全部緑地を減らすかわりに、よそで緑地をそれと同等のものをふやしなさいとなっておりますよ。大手町公園につきましては、縮小されるけれども、別に緑地をとってないんじゃないですか。ここに国の建物を建てるからと。それをあなたは、周囲に家が建つからと。私は当事者から聞いている。あなたの聞いたことも正しいでしょう、私が聞いたことも正しいでしょう。どちらが正しいか。審議会の議事録を見れば、国の庁舎が建つ、いまさっきから聞いていたのは、ここには建物は建ちませんと、公園でいきますと言う。このようになっている。このように審議会で少なくとも大手町公園が公園でなくなるわけなんです。虚偽の申請がされている。これは断じて許すわけにはいきません。このようないいかげんな払い下げがあっていいかどうか、政務次官どうでしょうか、大蔵大臣いらっしゃいませんから。こういう虚偽の方針を打ち出して大手町公園指定地からはずしてよろしいでしょうか。方針を立ててないとおっしゃった、大蔵省としては。そういう方針が打ち出されている。こういう審議会の方針は虚偽じゃないかと私はあえて訴えたいんですけれども政務次官どうですか。
  196. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) ここではっきり御答弁は御容赦願いたいんですが、当時公園計画が廃止になって、これを払い下げてもよろしいという前提に立って稟議を受けて払い下げ手続が行なわれておりまして、こういうような経緯は私どもはおそらく深く確かめずに手続をしたものだと考えております。しかし、よく調べてみませんとわかりませんので、詳しい答弁はまたあらためてさしていただきます。
  197. 田代富士男

    田代富士男君 いま政務次官から、詳しい答弁は調べて答弁するとおっしゃいますから、あすもこの委員会があります、これはまだ私は引き続き——この問題はこのままにしておきます。明らかにしたいと思います。  ただ、ここで確認しておきたいことは、首都圏整備委員会が三十四年に計画をしたときには、大手町公園には何ら建物は建てない。三十八年の十月十四日の都計審で、国の建物が建たないにもかかわらず、それが建つんだということで大手町公園がまぼろしのごとく消え去ってしまったということです。この手続が十月十四日の都計審後の十月三十日に変更されてしまっております。これは政務次官がそのようにおっしゃいますから、次の問題に進みます。これは保留しておきますよ。疑惑がある、虚偽の申請でそういう大手町公園がまぼろしのごとく消え去ったと、これに対する答弁はなしということで、いまのところ終わっておきます。  次に、私は第二番目の手続上の問題で質問をしたいと思います。  なぜこのように、いま公園の廃止が、私が質問しようとするものが答えが出てこないぐらいに、疑いを持たれてもしかたがないぐらいに、虚偽の方針まで打ち出してなぜなされたか。これが同じく手続上にもあらわれてまいります、手続上にも。  そこで、最初にお尋ねしておきたいと思いますが、三和銀行と大洋漁業から国有地の払い下げの申請をされたと思いますが、いつされたのか、その日付をちょっと教えていただきたいと思います。
  198. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 三和銀行から四十五年五月八日でございます。それから大洋漁業から四十五年五月十四日でございます。それから第二回、大洋漁業から四十七年十二月二十五日でございます。
  199. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、国有財産の払い下げ等の場合には審議会が持たれます。そこで、前回の会議録があります。吉瀬局長に私が質問してお答えになってらっしゃいますが、ちょっと日にちが合わないものがあるのです。これは会議録で吉瀬局長が私に答えてらっしゃることを言います。「大洋漁業との交換は、第一次分と第二次分に分かれておりまして、第一次分につきましては、昭和四十五年の四月十八日、第五十九回の国有財産関東地方審議会の答申を得てやっております。これは東京都との間の交換でございますが、」と。それからずっとあとで、「大洋漁業との交換は第一回が四十五年六月十八日、第六十回の国有財産関東地方審議会の答申によって行なっております。それからその次に第二次交換でございますが、これは昭和四十八年の三月三十一日、第九十回の国有財産関東地方審議会の答申を得た上で行なっているわけでございます。」と言ったあとで、これは訂正されております。佐藤徳太郎さんからこのことにつきまして訂正がされておりますが、第五十九回の国有財産関東地方審議会のおやりになったのは四十五年の四月十八日でしょうか、どうでしょうか。間違いだったら間違いと、この日だったらこの日だと——そう時間はかかりません。
  200. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 第五十九回審議会の答申は四十年五月十二日でございます。
  201. 田代富士男

    田代富士男君 だから、前回のこれは間違いということですね、訂正されますね。
  202. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) はい、訂正をお願いします。
  203. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、それぞれ、この大手町公園に関係のある国有財産関東地方審議会が、五十九回、六十回、九十回、その審議会でなされておりますが、大手町公園に関係のある部分を御説明願えませんでしょうか。
  204. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 第五十九回から申し上げます。  事務当局である関東財務局管財部長から、旧海軍経理学校あと地である普通財産について、東京都が中央卸売市場の拡張用地としてぜひ譲り受けたい旨を希望し、また、予算措置の都合から、見返りに千代田区大手町一丁目所在の都有地と交換処理したい旨の申し出があり、一方、国側としても、公務員宿舎用地が不足している現状にかんがみ、千代田区大手町所在の土地を財源として、三和銀行及び大洋漁業と交換により宿舎用地を取得したい旨の方針を説明するとともに、千代田区大手町所在の都有地については、昭和三十八年十月緑地の指定が解除されている等、財産の現況等について説明を行なった。それから質疑がありまして、審議を終わったあと、旧海軍経理学校あと地である普通財産と千代田区大手町所在の都有地との交換については原案どおり可決し、その交換した千代田区大手町の土地を財源とした公務員宿舎用地を確保するため、三和銀行及び大洋漁業と交換を行なう方針についてはこれを了承し、両者の提供する交換候補地を早急にきめて、次回の審議会で審議することとしたというのが五十九回でございます。
  205. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんから私から言います。時間がありませんから。ひとつ聞いてから質問しょうと思いましたが時間がありません。  そこで、端的に申し上げますと、第五十九回の審議会が四十年の五月の十二日に行なわれております。これは端的に言いますと、大手町公園は東京都有地でありました。これを国有地にするという審議会がされております、四十年五月の十二日。で、その都有地が国有地になる前に、いま問題になりまして保留しました公園変更の——三十八年の十月三十日に東京都市公園の変更がされまして大手町公園がなくなるわけです。そしていま申すとおりに、四十年の五月の十二日に五十九回の国有財産関東審議会で大手町公園を国有地にすることが論議され、四十七年七月七日に第六十回国有財産関東地方審議会がされている。ここで大洋漁業には二回にわたって払い下げされておりますが、第一回分と、三和銀行に対して国有地を払い下げるということが了承されております、四十年七月七日第六十回において。そして四十五年の四月の十八日にいよいよ大手町公園が国有地に移転をされました。四十五年四月の十八日。こういう経過をたどってきておりまして、私がこの手続上の問題に入る一番最初に聞いたときに、三和銀行からの申請、大洋漁業からの国有地払い下げの申請はいつ出たかということを聞いておりますが、審議会で審議されるには、やはりそれ以前にこういう申請があったという議題がなければ審議会では審議されないはずです。  ところが、公園であるべき公園が、公園緑地を変更し、それが都有地であった、それを国有地にし、で、その時点でも三和銀行の申請も出てきていない。にもかかわらず大洋漁業、三和銀行に払い下げをする了解された、そして東京都有地が国へ移転した、四十五年の四月の十八日。移転した直後の、いま次長から答弁がありました四十五年の五月の八日に三和銀行より国有財産払い下げの申請が出ている。同じく大洋漁業から第一回分の払い下げ申請が四十五年の五月の十四日に出ている。そして四十五年の六月の十八日に国有地を大洋漁業に対して五千四百三十三平方メーター、三和銀行に対して二千八百五十七平方メーター払い下げをされている。これはすべて国の審議会で、払い下げをします、そして公園を廃止して、そして東京都の所有地を国の土地にして、そのあとに三和銀行と大洋漁業から申請が出ているそこへ払い下げられた。これは政務次官、これはあたりまえの方法でしょうか。こういう方法でいいもんでしょうか。端的に、この方法でよいかどうか、政務次官から御答弁を願います。
  206. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) その当時の経過については、いまお聞きするとおり私も承知をいたしておりますが、適法の処置であったと考えております。適当な措置であったと考えております。
  207. 田代富士男

    田代富士男君 これが適当な処置でしょうか。申請も出てない前に三和銀行に、まだ公園の土地である、そういう土地を三和銀行と大洋漁業に払い下げしようと、申請も出ていないときに、審議会に審議させて、そして都有地を国有地にちゃんとして、そこから申請書を出す、そうして払い下げた、これが正式な手続ですか、これが。政務次官、これ正式な手続ですか、どうなんですか。
  208. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) ここで申します申請書といっておりますのは、訓令で定めます普通財産取扱規則でいう申請書でございまして、通常、交換申請書は交換の方針がきまった。段階で、中身がはっきりした段階で正式な文書をもって提出させるということで、審議会の方針決定後に提出させる例が多いんでございます。もちろん審議会に付議するにあたりましては正式な申請書——社長の判の入ったものはとりませんけれども、相手方の要望とか計画とかというものをいわゆる陳情という形で十分念査しまして、その計画を審議会にかけるというのが通例でございます。そのように指導をしておりますので御説明いたします。
  209. 二宮文造

    ○二宮文造君 関連。  次長、おかしいですよ。それでは、あそこの品川の駅前の元東久邇宮の御用邸のあと地については、各社から事前に幾つもの払い下げ申請書を受理しているじゃないですか。その関東地方審議会にかける前に払い下げてもらいたいという競願になった申請書を受け付けて、そうしていろいろなものがありますけれども、この払い下げが一番妥当でございますがと地方審議会で案件に付しているじゃありませんか。払い下げ申請書が出なければ、地方審議会の議案に出せないじゃないですか。口頭で相手方から話を聞いた、社印もない、正式な払い下げ申請書もないものを地方審議会の議案に付することはできないじゃありませんか。いままで国有財産の払い下げは全部そういう事前に申請願いをとり、そして政府部内で検討をし、これが妥当であるときめて地方審議会の議案に付して、そこで議決を受け、あらためて契約をするというのが、これが国有財産払い下げの通常唯一の形式じゃないですか。今回の場合はそれもしないんですか。あなたさっき、社長印のあるそういうものは受け取らないで案件を進めましたと言っているけれども、そういうことは通りませんよ。そんなことで地方審議会が議事を進められたら、権威も何もなくなってしまいます。その点どうですか。
  210. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 御指摘のように、事前にとる場合、事後にとる場合ございまして、審議会ではっきりきまった場合にそこの面積等確定いたしますので、先生指摘の品川の案件につきましては詳しく存じませんが、おそらく申請書は競願の形でたくさん出てまいりまして、審議会にかけて、そしてここでいう、訓令でいう申請書というのは、また中身をきちんと整理したものとしてとり直すことが多いと思いますので、日にちはずれることがあり得るわけでございます。
  211. 二宮文造

    ○二宮文造君 違うんですって。前もって申請書が出ているんです。面積は決定しません。しかし、こういう目的に使いたいからよろしくお願いしたいという申請書が出ている。だから関東地方審議会の議案にかけたと、これが出てなければ議案に出せないですよ。そういう内部規定になっているでしょう。その点どうです。申請を受けてから地方審議会に出すんじゃないですか。
  212. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 特にそういう取りきめはございませんけれども、ここで申し上げております申請書というのは、最後の売り払い手続のときの申請書をいっておりまして、(「その前の」と呼ぶ者あり)その前のもございます場合もありますし、(「この場合はあるんですか、ないんですか」と呼ぶ者あり)この場合はいま、そういった意味の申請書というのは保存をしておりませんのでおそらくないと思いますが、交換申請書にしても、売り払い申請書にしても、いずれにしても、この交換を申請しようとするというのはいつでも出せるわけでございますけれども、実際にその申請書を受け付けますと、従来からいろいろトラブルがありまして、それだけで、申請書を出したというだけで交換の可能性、あるいはそういった期待を持つというような無用な混乱が生ずる場合もありまして、いま現在ではきっちりきまった段階で整理をしなさいと、(「現在じゃないですよ、四十年」と呼ぶ者あり)という、そういった取り扱い指導をしておるわけでございます。
  213. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっとすみません、関連で。  高輪御殿の場合は、大蔵省から添付資料として私のところに出していただいた払い下げ申請書は昭和二十八年の日付からあるんです。焼却しましたとおっしゃっていますけれども、焼却していません。一件書類は全部大蔵省にございます。私のほうにもその資料を一部いただきました。そしてそれは問題になったのは四十一年ごろですよ。いま問題になったんじゃないですよ、高輪御殿は。四十一年ごろに問題になった。そのときに、高輪の分については、二十八年ごろからの払い下げ申請書をきちんと添付して資料としてお出しになった。同じく昭和四十年ごろには——四十年でしょう、四十年ごろに関東地方審議会で審議をしたこの案件については、事前に申請書はありません、面積が確定してから申請書が出ましたと。じゃ、この案件と、いまさっき言った高輪御殿と取り扱い全く違うじゃありませんか。私の言うのは、少なくとも役所というものは規則、そういうものによって運営するわけでしょう。よろしいか。関東地方審議会という権威ある国有財産払い下げを審議する機関に提案をするのに、正式に払い下げてくださいという申請書がないような、そんな払い下げの案件を審議会の議案にかけるんですかということを私は聞きたい。
  214. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 先般、社長印が云々と(「そう言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)わかりにくい発言をしまして、取り消します。  先生おっしゃるように、事前の申請書と事後の申請書とに分けまして、私がここで先ほど日にちを申し上げましたのは、確定した段階の処分地積に添付する申請書、このことを申し上げました。先生指摘のは、事前にいろいろ、一般的に競願の形あるいはいろいろな形態で意思の表示、払い下げをしてもらいたいという申請書をおっしゃっているのだと思いますが、それは当然そういうものがなければならないし、また、この大洋、三和の場合に、いまどんな形であったか私調べてまいりませんでしたので、どういう形のもので、どういう内容を審議会に織り込んだのかを調べさせていただきたいと思います。
  215. 田代富士男

    田代富士男君 この問題も、政務次官お聞きになっていらっしゃるとおりに、私はきょう四つの問題を最初に提起しています。廃止の問題で問題がある、これは確かに問題がある。答弁が返ってこない。議事の方針で大手町公園が廃止された。いまの手続上の問題でも、国有財産を取り扱うには慎重にしなくちゃならないから審議会にかけなくちゃならない、ところが、審議会にかける段階には申請書は出ていない、それで払い下げをしますよといった段階で出ていると。その答弁、返ってきているようにいま言われておりますけれども、納得できません。だから、これも政務次官はっきりしてもらいたいと思うのですが、どうですか。それで、事前の申請書があったならば出してください。これは委員長、これは審議をしているから……、まず、あるのですか、ないのですか。審議をしたというものは、議題に付議したということは、これは申請書があったればこそです。まさか飛んできてさっとやるということはないでしょう。議題に付議されたればこそ審議しているから、事前の申請書はあるはずでしょう。あったかなかったか、まずこの点を政務次官はっきりしてください。理事会では責任をもって答弁するとおっしゃったから、あなたにお願いしたのですから。あったかなかったか。
  216. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 委員長
  217. 前川旦

    委員長前川旦君) 的確な答弁できますか。的確な答弁をしてください。
  218. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) この点につきまして財務局から一件書類をとりましたときのつづりの中にはなかったと、こういうことでございます。ただ、このつづり以外に財務局のほうにあるかもしれないので調べさしてみたいと思いますが、事前の……、調べさしてみたいと思います。
  219. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと待ってください。これ、あなた、さっきどう言ったのですか。確かに、私が言うように、事前にそういうものが出ていなければ審議会にはかけられませんとおっしゃったのですよ。よろしいですか。あるかないかなんということじゃなくて、もし審議会にかける前にそういう申請書がなかったら、審議会にかけたこと自体が非常におかしくなる。だから、あなたはあるということを前提にいま答弁されたのですよ。よろしいか。だから、あると見なきゃいけない。もしなければおかしいですよ。だから、あれば——あるにきまっていますから、いかなる形の申請書が出ているか、明日までに、これはコピーすればいいのですから、明日までに資料としてお出し願いたい。これ、委員長のほうからお願いしたいと思います。
  220. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 一般の場合、その事前の申請書というのは、ここでいう訓令の正式な申請書と中身が変わってまいりますために、保存をしていないのが通例のように聞いております。(「高輪御殿のときにはちゃんと出たのです、おたくから」と呼ぶ者あり)一応調べて、あるないの御返事をしたいと思います。(「あるにきまっていますよ、なきゃおかしいじゃないですか、審議会にかけたのが」と呼ぶ者あり)
  221. 前川旦

    委員長前川旦君) 委員長から申し上げますが、調査をして、あしたの委員会が始まるまでに資料として提出していただくように、私からお願いしたいと思います。
  222. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) この申請書につきましては、前にもこういったお話がございまして調べたその時点ではなかったわけなんでございます。(「なきやおかしいじゃないですか」と呼ぶ者あり)それで、なければおかしいとも思いますので、さらに調べたいと思いますが、訓令で申します(「公文書ですよ」と呼ぶ者あり)確定した後の、いわゆる訓令で定める申請書というものを保存させるという(「違う、違う、そんなことはない」と呼ぶ者あり一資料になっております。
  223. 前川旦

    委員長前川旦君) ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  224. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  225. 田代富士男

    田代富士男君 いま地方審議会が開かれて、そこで議題にされている以上あるはずだと、で、いま次長も認められた。なければ議題にならない。なければおかしいといまおっしゃった、御自分で。これは本心だと思うんです、あなたの。なければおかしいです。だから、おかしいから私がおかしいという質問しているわけなんです。(笑声)そうでしょう。だから、これで私が四点きょうは質問すると言ったうち、第一点も疑惑は解けない、虚偽の方針で。第一点も解明できなかった。第二点も解明できない、これは。  これは大洋漁業に対しては第一回目の払い下げのときにこういうことになっている。今度は同じく大手町公園がもう一つ残った部分の払い下げを第二回目にやっている。第二回目の払い下げはどういう状況になっているかと、これ申し上げますと、四十七年の六月の二十九日、このときに第九十回の国有財産関東地方審議会が行なわれている。このときに大洋漁業へ第二回目の払い下げを了承しております。そして四十七年の七月の十日に、この後に大洋——現在ですよ、現在まだ大手町公園ですよ。これは大手町公園の指定地になっている。指定地になっているところをそれ以前に大洋漁業へ払い下げをしますということは審議会で了承されている。四十七年六月の二十九日の審議会。で、大手町公園が廃止されたのは四十七年の七月の十日。これは東京都の告示七百五十七号で明記されております。そうすると、まだ公園であるところを先に審議会で——この審議会というのは国有財産を払い下げる審議会ですよ——公園の状態であるものをすでに私企業に払い下げを了承したということ、これは問題ですよ。  それで、今回の一貫した手続は、東京都の土地である。そこは公園指定地である。その公園を変更した。そのままは私企業に売り渡すわけにはいかない。そのために、まず公園予定地を変更さして、それを東京都の土地から国の土地にして、私企業に払い下げをしようとしている。ところが、大手町公園でありながら、審議会においては大洋漁業へ払い下げをする。で、公園が廃止されたそのあとの四十七年の十二月の二十五日に大洋漁業から二回目の申請書が出ている。そして四十八年の三月の二十六日に大手町公園、これは東京都の都有地が国有地に移転された。そして四十八年の三月三十一日に国有地を大洋漁業に払い下げているんです。いまのが経過です。そうすると、公園指定地であったそれを審議会において大洋漁業に払い下げをするということは、これまた問題だと思うんです。  第一回目のいま払い下げのときも問題になった。政務次官よろしいですか、第一回目も問題になったけれども、第二回目もいま日にちを追って説明しました。もしこれ御検討されるのに何でしたら参考に一部差し上げますから、これ全部書いてあります。これが第一回目の払い下げ、これは第二回目。第二回目に対する考え方を言うてください。どうぞ政務次官。(資料を渡す)
  226. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 事前に質問要旨をよくとってみなかったために、経過をよく見ずに参りましたので、こういうような経過になっておるということを御教示をいただいたような次第でまことに恐縮に存じますが、これで見ますと相前後しておるようでございますが、何かこれで経過的にこうせざるを得ない事情があったかとも思いますので、明日一括して第一の項目を御答弁申し上げるときに、なぜこういうことになったか、またこれが妥当であるか、非常に妥当でないかというようなこともそのときに一緒に申し上げたいと存じます。
  227. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、この質問を、疑惑があると、払い下げに対する疑惑があると、これも保留です、答弁がなかったということで。それで第一の問題の廃止の問題これも虚偽の方針でやられたと、第二の問題、この手続上の問題も疑惑が、疑われるあれがあると。  私はこれをまとめて言いますと、まず一番最初は、東京都の都市計画地方審議会で、大手町公園を国の庁舎建設のために公園指定地からはずすと言われたときの三十八年の十月十四日、国有財産をこのように扱うときの大蔵大臣は田中大蔵大臣であります。それから東京都市計画公園の変更がされます、大手町公園の変更が、縮小された、三十八年の十月三十日、建設省告示第二百七十六号、このときの大蔵大臣も田中大蔵大臣であります。そして第五十九回国有財産関東地方審議会におきまして、いま問題になりました大手町公園を国有地にすると審議された四十年五月十二日、これも田中大蔵大臣のときになされております。そして私がいま第二回目の払い下げのときの問題を質問しましたが、第九十回国有財産関東地方審議会で、大手町公園であるにもかかわらず、大洋漁業への払い下げを了承した。その直後に田中さんが総理大臣になっております。そして大手町公園が廃止をされて、そして大手町公園の敷地が国有地に移転する四十八年三月二十六日は田中総理大臣です。で、国有地を大洋漁業に払い下げた四十八年三月三十一日、田中総理大臣。こういう当時の国有財産ですから責任者は大蔵大臣、まして総理大臣、私はこういう事柄もこれ明らかにしていかなくちゃならない。まだこのあとに、今度は問題は大洋漁業と——これは私の質問時間が来ましたから延ばしたいと思います。委員長、時間が参りましたから、これは引き続いてあと二つ問題点がありますから、大洋漁業と協和銀行の問題、それからいま解明して——もうほとんど一からやり直しをしなくちゃならない、こういうことじゃないかと思うんですが、これは次回に回したいと思います。  最後に、あしたどうですか、政務大臣。(笑声)政務次官、もう大臣になってしまっているんですがね。はっきりしていただきたいと思うんですが、締めくくりをお願いします。
  228. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) いろいろ御指摘をいただいておる点につきましては、明日、明確な御答弁を申し上げたいと思います。
  229. 前川旦

    委員長前川旦君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  230. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  231. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 昨日の大蔵委員会におきまして、二日間にわたって守秘義務をめぐって抽象的な議論がございました。しかし、その中で大蔵大臣ケースバイケースで出すか出さぬか判断したい、こういった答弁でございましたが、では具体的に何を出すのか、具体的に私のほうから提出を求めた資料ですが、何を出すのか聞いたところ、結局公表された所得だけしか提出できない、こういう答弁でございます。これはきわめて重大な発言でございます。国会並びに委員会国政調査権、何の内容もないんだと、こういうことを示していると思います。国税庁は口では国会国政調査権を尊重しますとか言っておりますけれども内容が全くないということが明らかになったわけであります。こういう経過を見てみますと、田中角榮総理疑惑、同時に国税庁、大蔵省がこの田中総理をかばっているんじゃないか、こういう新たな疑惑も出てまいりましたし、その疑惑を解いていくのが特にこの決算委員会における国政調査権のまさに目的とするところだと考えます。こういう点からいいまして、国税庁の態度というものは、国会調査をするな、全部まかしておけと、そして国会のほうには一切協力できない、こういったぐあいにも考えられます。そこで私は、それがいかに常識に反するか、そしてさらに正義に反するか、また国民感情に反しているか、そのことを具体的に明らかにしていきたいと思うわけであります。  田中総理の問題をめぐって、特に国民疑惑に思っておりますことは、田中総理の財産がとほうもなく大きいということ、もうすでに指摘されておりますとおり目白台の大邸宅、軽井沢の別荘、また郷里における総ヒノキの御殿、また株その他あらゆるところに膨大な財産があって、国税庁でも全部とらえておるんだろうかという、こういう問題がございますし、もう一つは、その膨大な財産をどうして手に入れたのか、それが結局は地位利用、脱税その他不正な方法じゃないかという、このことが具体的に疑われているわけでございます。特にここでは私は総理の膨大な資産がどうしてできたのか、そのことは具体的に不明であるばかりでなく、むしろ逆に公表された所得金額から見ますと全く納得ができない。このことを具体的に明らかにしたいと思います。  すでに公表されました田中総理の所得金額は、昭和四十年から見てみますと、昭和四十年三千八百五十七万円、四十一年五千六百四十六万円、四十二年五千八万円、四十三年五千八十五万円、四十四年六千八百二十二万円、四十五年七千六百七十三万円、四十六年七千三十七万円、こういうことでございますけれども、四十七年に、これは明らかなとおり、軽井沢に五月に五千九百十一坪、七月に九百九十一坪、八月に二千三坪、合計八千九百五坪の土地を購入しているわけであります。これを公表された所得から見て、これだけの土地を購入できるのか、これは率直な国民の疑問でございます。それから単純に坪三万と計算しましても、これはもう三億に達する金額でございますし、実際にはこの軽井沢の土地の総額は約五億円に及ぶだろうと、こう見てまいりますと、四十二年から四十六年までの総所得を全部総合計しても及ばない。しかし、実際にはこれ、可処分所得は三分の一ぐらいでございますから、四十年から全部計算しましても一億三千七百九十万円、もうとても及ぶものじゃないわけでございます。大蔵省のほうでは公表された所得だけということで、国民が判断する場合にはまさにどうして、十年もさかのぼってもこれだけのものを買う力がない、このことが明々白々なわけでございます。この点についてどう国民説明するのか、まず御答弁を願いたいと思います。
  232. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) いま御質問がございましたが、世上いろいろな疑義を生じておりますので、詳細にわたりまして過去の所得申告書類等を調査を遂げております。ただいまの段階におきまして近藤委員質問に対してすぐお答えすることができないことははなはだ遺憾でございますが、大蔵省としても、国税当局としても、国民に対して疑義を与えるようなことがあってはならないのでありまして、できるだけの努力をして、結果的には国民皆さま方に御納得のいくような措置をいたしたいと思います。なお、大蔵大臣が昨日述べました税務内容についてのいわゆる国政調査権に対する資料に対しましては、ただいまの段階においてはこういうことでございますということを申し上げておるのでありまして、最終的に衆議院国政調査権の問題をどういうぐあいに取り扱うという結論を申し上げたわけではございませんので、その点はひとつ誤解のないようにお願いをしたいと思います。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  233. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 具体的には公示されたもので判断するわけであります。また、それ以外に方法はないわけであります。そういたしますと、公示されたもの、それをもって大蔵省並びに国税庁は疑問を感じないのかどうかということなんです。逆に申しますと、国税庁長官来ておりませんが、次長でけっこうでありますけれども、あなたはこの公示された資料から出てきた疑問について、公示された資料だけから判断できるのかどうか、あなた自身どう思うのか、この点御答弁願いたいと思います。
  234. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 若干所得の内容にわたるようで非常に恐縮でございますけれども、公示された所得の中には課税所得でないような所得もございますので、そういった意味では必ずしも収入金と——ですから資産の増というのは、いまの税法ではつながらない面もございますし、それからまたまあ過去からの資産の持ち込みとか、そういったものの回転もございまして、その単年度単年度で見ました場合には、資産の増加に必ずしも結び付かないというふうな疑問があるということは、これはよくいわれておることでございます。  それから公表された数字だけで全部わかるのかという御指摘でございますけれども、一応いま税法たてまえといたしましては、一定の金額以上を公示するということになっておりますので、その点だけしか私たちは公示できないということを申し上げておるわけでございますが、しかしながら、ただいま政務次官のほうから御答弁いたしましたように、世上いろいろとこの問題について疑問を抱かれ、また世上問題にされておりますので、国税当局といたしましては、いま全力をあげまして国民の皆さまのそういった疑問にこたえるべくせっかく努力をしておる最中でございます。
  235. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いま公示された収入金額以外に実際に入っている額もあるだろう、こういうことですね。ですから、単に公示された金額だけでは所得が全部計算できないのだ、ほかにもあるのだ、こういう御趣旨のようでありますけれども、それでは実際に公示された所得以外にどんな所得があったのか、そのことを国民にわかるように御説明願いたいと思うのであります。
  236. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) これは私は田中角榮氏の所得の内容という意味じゃございません。いまの税法で見ますと、たとえば配当収入などございましても、源泉選択をしたような場合にはこれは申告の必要ございませんし、それからまた株式の譲渡等におきましても、一定の制限に該当しない場合には一応課税所得になっておりません。そういったふうなことを現在の税法上制度があるということ、これはもう申し上げるまでもないと思いますけれども、そういったことを申し上げたわけでございまして、これは誤解のないように私重ねて申し上げますけれども一般に公示額でわかるのかというふうな御質問でございますので、そういった一般論として申し上げたわけでございまして、これは直ちにそれをもって田中角榮個人の問題であるというふうにおとりになられても、またこれも困るわけでございます。一般論として、あくまでも現在の税制のたてまえでこういったことが起こり得るということを申し上げたわけでございます。
  237. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 一般論ということで田中さんの説明をされましたけれども、そういたしますと、十数年間に及ぶ全収入を投じても買えるかわからぬ土地を購入したということは、具体的には配当による所得が田中さんの場合には膨大もなくあったと、このように理解してよろしゅうございましょうか。
  238. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) そういうふうに理解されるというのは、これは私どもとしては、そのとおりでございますということは申し上げられません。それは現在いま調査中でございます。それから資産の増加にはやはり借り入れ金の問題もございましょう。ですから、総合的に見まして、借り入れ金の問題であるとかいった、そういったことでわれわれはずっと事実をいま、さらに再念査しておるということでございます。
  239. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 合理的に考えますと、いま言ったように考えざるを得ない。しかし、それをもってしてもまだまだ疑問があるわけでありますね。実際にいま端的に軽井沢の土地の購入だけ申しましたけれども、これだけではなくて田中総理の資産はさらに多くのものがあります。しかも特に私ども調査の結果、問題になると思うのは、その一つに競馬の馬の所有の問題がございます。委員長、これ、ちょっと資料を配付させていただきたいと思いますが……。  お手元にお渡しいたしました資料の三枚目以降をごらんいただきたいと思うのであります。田中総理はたいへん馬の好きな方でありまして、「中央競馬のすべて」という本の中にもこういう記載がございます。「父親の六十年に近い馬との関係を引き継いだ私は、私がまだ代議士にならないうちから馬を持つようになった。父親が生きている間には大レースの勝運に恵まれなかったが、四十年の春になってようやく「オークス」に優勝することができた。その夜仏壇の父の遺影に盃を供えて久し振りに父を偲んだ。」、こういう田中さん自身の文章がございます。そしてそれを裏づけるように、ここには昭和三十四年以降の記載でございますけれども、実際ここで賞金の当たった四十年から見てみましても、昭和四十年に五頭、四十一年にも五頭、四十二年には六頭、新しく四十一年、四十二年、三頭ずつ加わっておりますが、四十三年は新しく三頭加わり、また廃棄したのもありますから七頭、四十四年七頭、四十五年七頭、四十六年同じく七頭、四十七年五頭、総理大臣になったころにも五頭、そして、なった後であることが明らかな四十八年にも一頭、こういったように、たいへん馬と関係の深い方でございます。このように田中総理が馬を所有されてきておるこの事実は、国税庁としては御存じだろうと思います。これについて伺いたいと思います。
  240. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 田中角榮個人の資産の内容の問題でございますから、ここで私のほうからはっきり申し上げるのは遠慮さしていただきますけれども、中央競馬会の登録の馬というのは、もうこれは公表されたようなものでございますし、またこういった競争馬に関連してのいろいろな各種の正式な資料というものは公刊されておりますので、先生のお調べになったこの数字を私たちは否定するわけでございません、そのとおりだと思います。
  241. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 馬というのはたいへん道楽のものだといわれております。実際一頭四百万から五百万もするもののようでありますし、その維持費は一月二十万円以上もかかるという、こういうことがいわれておりますから、これだけの馬を所有することにはたいへんな金もかかり、しかも別荘を買い、土地を方々に買い、もうたいへんな散財なわけですよ。この馬のうち、しかし中にはだいぶ賞金をかせいでいるものがございますね。一千万円以上かせいだのだけ申しましても、四十年三月二十九日に買った「ベロナ」、これは一千三百万円の賞金をかせいでおりますし、四十三年一月に登録した「マキノホープ」、これは何と六千一百万円、たいへんかせいでおるのであります。四十五年二月に登録した「マキノカツラ」、これは一千九十万円、これだけかせいでおるわけでありますが、こういった事実もお認めになるかどうか伺いたいと思います。
  242. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) おそらくこの数字というのは、中央競馬会から出しております競馬何とかという厚い本がございますから、それには毎年各馬ごとのずっと賞金総額出ておりますから、おそらくその本に載っている数字だろうと思います。ですから、その数字、その本からずっと集積されたデータでありましたら、それは先生の御調査どおりだろうと思います。
  243. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 しかし、それが大蔵省のほうに実際申告されて、実際大蔵省調査しているそういう中身としては公表できない、こういったことになっちゃうわけですか。要するに、一般に公表されている頭数とか金額、それが一たび国税庁の管轄の中へ入ってしまうともうこれは公表されない、こういうぐあいに理解してよろしいのでしょうか。
  244. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) この競馬会に出ておりますのは、これはいわゆる正式の賞金でございまして、そのほか入賞いたしますと副賞というのが入ります。それから、そういったこともございますので、この賞金額はまさにそうだろうと思いますけれども、その副賞と合算しましてこの馬が幾ら年間にいわば賞金をかせいだかということになりますと、これは私たち調査上知り得たことになりますので、その点はここで私のほうから御答弁いたしますことはごかんべんをお願いいたしたいと、かように考えます。
  245. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 まさにいまの姿というものは、国税庁が田中総理を守っているその姿じゃないでしょうか。一般に公表され、また賞金だってそんなものわかります。しかし、一たび国税庁の中へ入ってしまうと公表できないという、そのことによって田中さんの所得を国民の目から隠している、そういう姿じゃないかと思います。その議論をしておってもこれはしかたありませんから次へ進みますけれども、この中の「マキノホープ」、これはたとえば四十五年にはこの馬だけで二千三百三十五万円も賞金かせいでいます。ですから、この時期は田中さん、おそらく何かの大臣だったですね。閣議に出ておってもおちおちしなかったと思いますけれども、こういう馬をお持ちです。そして四十五年にはこの馬も含めまして三千四百五十二万円、田中さんは一年間に所得をかせいでおります。その年の田中さんの所得は申告額によりますと七千六百七十三万円、この年の雑所得よりも額としては多い額であります。ですから、国民の目から見ますと、田中さんのその年の申告額の半分にも及ぶものが競馬の賞金でかせいだと、これはまさに国民の目から見ますとたいへん生活感が違うわけですね。そうしますと、当然ここに脱税があるんじゃないかという率直な気持ちですね。それを解明しませんと、それを守秘義務だということで解明しませんと国民は絶対納得できないんです。ですから、この問題だけじゃなくて、この年だけじゃなくて、全般的にこれは明らかにしていく、そういう措置をとることを私は求めます。  そこで問題は、馬というのはこういうぐあいに賞金をかせぐときばかりではないですね。たまたまありますけれども、むしろ実際には収支計算してみますと、さすがの田中さんでも競馬では全体合計しますと得してないです。実際、馬を買った値段とか経費とか差し引きますと、やはりたいへんな道楽しているようですね。そうしますと、土地を買い、馬で道楽をし——道楽、たくさんあると思うんですよ。そういたしますと、実際申告された額、はたしてそれでやっていけたんだろうかどうか、ますます国民疑惑が強くなると思うんです。こういう疑惑に対して一体どうこたえていくのか。ここまで出てまいりますと、具体的に田中さんのまず少なくとも所得の内訳、給与所得とか雑所得とか、これを明らかにしなければ絶対納得できないだろう。たとえば一言申しましたけれども昭和四十五年の田中さんの競馬の入金が、賞金が三千四百五十二万円、雑所得より多いわけですね。どうしてそういう計算になっていくのか、こんなことも解明しなくて、はたして国民が納得すると思うのかどうか。政務次官、お答え願いたいと思います。
  246. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 所得の内容は収入ばかりではございませんで、もちろん経費があるわけでございますから、競馬馬などはむしろマイナス勘定で出てまいっておるかもしれません。詳しいことはただいま公開することはできませんが、責任をもってただいま調査し、審議をいたし、大臣、次官をはじめとし、責任をもっていま調査に当たっておりますから、国民疑惑を解くようにわれわれとしては全力を傾けてやって、その結果をまた見ていただきたいと思います。
  247. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ずっと大蔵省のほうでは、大蔵省を信頼しろ、いまやっているから信頼しろということで、一歩も中身をお見せにならない。そのことが実際の国民疑惑をますます強めているということは、私だけじゃなくて、もう全体みんなが指摘してきた問題でありますけれども、私がいまお聞きしたのは、具体的にこういうことについて国民疑惑に思っている、それを解いていくのに、調査中、調査中ということでいいんだろうかということ、そのことをお聞きしたわけであります。たとえばいまの競馬の話でありますけれども、これは「異色首相田中角榮その実像と虚像」という本であります。確かに異色首相でありますけれども、そこに確かに馬に乗ってさっそうとした姿があるわけですね。そこで先ほど言ったような問題がある。このところが疑惑をいま言われたようなことで解けると思っているのかどうか、私はそのことをお聞きしたんです。それに対しての御答弁を願いたいと思います。
  248. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) その疑惑を解き、課税の適正を期するというのが行政機関大蔵省としての責任でありますから、一々税務のことについて疑惑ができたので国政調査権を御発動願わなければ税の公正が期せられないということになりますと、それこそ大蔵省の課税に当たっておる機関というものは国民の非常な不信を招くことになりますから、税の徴収にも影響するということになるわけでありますから、さようなことにならぬようにあらゆる努力をしたいといま言っておるわけでございます。  最終的の問題については、またあと大臣からも答弁があると思います。
  249. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いま具体的に納得できないので国会の中の各委員会調査に乗り出したわけであります。そこで問題は、実際にいままで大蔵省が的確にやってきたのかどうか、そのことをお聞きしたいと思うんです。  大体いま国民の感覚から申しますと、税務署というのは一生懸命国民の所得を追っている。そのために五万に及ぶ第一線の税務署職員はたいへんな苦労をしております。税務署の中では挙署一体、要するに署をあげて一体となして、そうして行動をするという、こういうことで、たとえば散髪屋へ行けば、首に巻く紙がありますね、それに注意しろとか、銭湯へ行けば客の入りぐあいに注意しろとか、場合によっては結婚式の集まり状況とか葬式の香典、ここにまで目を配れという、これほどありとあらゆるものに対して目を配って、そうして調査をし、ほんのちょっとの所得移動ですね、これもとらえていこうという、それほど厳格にやっているわけであります。その調査、そうして実際に動いたその情報というものは全部「情報処理せん」、こういったものに収録されてくるということ、これは明らかなことでございますけれども、そこで、私お聞きしたいことは、本日ここにお示しいたしました競馬の次の資料ですね、「重要資料せん」というものがございますけれども、ここに全部収録されて、いささかの動きをもこれはとらえていくという、そういうものであろうと思いますが、間違いないかどうか、お答え願いたいと思います。
  250. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) ただいま近藤先生がお配りになられました資料の「重要資料せん」という用紙でございますが、これは右側の注意書きに書いてありますように、五枚一組になっておるということは、これはそのとおりでございます。この中で、特に私ども調査に参りまして、その調査をした際に、「資料の種類」と書いておりますけれども、裏取引であるとか擬装取引であるとかいうふうな事実、特にこれはそれを活用すると非常に取引先の調査に役立つのみならず、非常に重要な資料であると思われるものを重要資料せん化いたしまして、そうしてそれを活用しておるということでございます。
  251. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この資料の中にもありますけれども、たとえば左端ですね、ここに「証拠隠滅のおそれあり早期に活用のこと」、ですから、もう機敏に調査に動くということがこれからうかがわれますし、また右の上のほうにまいりますと、「偽装取引等の解明の端ちょと解明の方法」とか、また中央あたりの上のほうに、「裏取引」「偽装取引」という部分、また「収集の端ちょ」とか、ともかくもう一切の情報をここに集約できる形になっておるわけです。こういう面から見てみまして、一般国民の場合にほんのささやかな動きもこれでとらえるわけでありますが、問題は、田中角榮氏のこの「重要資料せん」、これがどうなっているかをお聞きしたいんです。もちろん田中総理の場合にもこの「重要資料せん」に一切載っておると、こう理解してよろしゅうございましょうか。
  252. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 「重要資料せん」と申しますのは、ちょっとこれは御存じかと思いますけれども、念のために誤解いただかないように補足的に申し上げさせていただきますと、すべての資料というものがこれに打ち込まれるわけではございませんで、特に重要と思われる資料、つまり金額も大きい、それから裏取引であるとか、あるいは擬装取引であるとか、そういったいわゆる不正な取引をやったというふうな事実を発見いたしました場合に、それを真正の取引先であると思われる、あるいは相手方も通謀して隠しておると思われる相手方の税務署のほうに送りまして、そしてこれを左側の注意書きの筆に従って活用するという制度でございます。これにつきましては、ここにいま盛んに秘密ということで非常に議論になっておりますけれども、右側の上にマル秘という判を押してございますように、この中の資料にどういった、だれの資料が入っておるかということは、これは私どももわかりませんし、それから同時に、いまたとえわかっておりましても、はなはだ恐縮でございますけれども、だれだれの資料が、どういった資料がこの「重要資料せん」として資料化されておるということをここで公表いたしますのは遠慮さしていただきたいと、かように考えます。
  253. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 田中総理は、すでに述べたとおり、たいへん多額の取引をなさっておりますし、また申告された所得だけでもたいへんなものですね。いま、すでに明らかになったとおり、それ以外にも競馬の問題も含めたいへんな出費もあり、また収入もあるという、その辺が問題でありますから、当然この「重要資料せん」に何らかのことが載ると考えてしかるべきだと思うんです。私がいまお聞きしたのは、どんな中に載っているかじゃなくて、田中さんのそういう動きがこの資料せんに載っているかどうかという、そのことだけをお聞きしているんです。
  254. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) これは、「重要資料せん」というのは一枚一枚抜き出すということはやったことはございません。ただ、コンピューターには入っておりまして、ナンバーで入っております、資料番号で。ですから、それは部外の人といいますか、担当外の人もわからないようなかっこうに事実はなっておるわけでございますけれども、そういった意味で、これは私ども田中角榮氏の取引にかかる資料がここに入っているかどうかということもつかんでおりません。
  255. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ほんとうにつかんでいないのでしょうか。そして、あなたがつかんでいるかどうかは別として、田中さんぐらいの取引があれば必ず載っているはずであること、こういうお答えをいただこうというのですね。その二つについてお答え願いたいと思います。
  256. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) ほんとうに私は知っておりません。  それから、これは先ほど申しましたように、特に取引が大きいということではなくて、ここに、区分に書いてございますように、「裏取引」とか「偽装取引」とか、そういったいわゆる詐欺、不正につながるような取引ということでございますから、必ずしも金額が大きいからといってこの「重要資料せん」に打ち込まれるというものではございません。
  257. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 だから、田中総理の場合にはないかもしれぬ、こうおっしゃるわけでしょうか。
  258. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私は見てございませんので、あるともないとも申し上げられないということでございます。
  259. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 実際あるはずだろうと私どもは思います。  そこで、この「重要資料せん」を当委員会提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  260. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 「重要資料せん」というのは、まさに私どもとしては、私たちも一枚一枚手にとって書いている中身を見ることもやらないような状態で、秘密資料でございますので、これを当委員会提出いたしますということにつきましては、お許しを願いたいと思います。
  261. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いま疑われていることは、冒頭に申し上げたとおり、田中角榮氏の地位利用、脱税等の問題と同時に、国税庁が十分な調査をしたんだろうか、見のがしておったんじゃないかという、この点がたいへんな問題になっているわけであります。そこで、この「重要資料せん」を見れば、国税庁が田中さんの財産についていろんな動きですね、これについてこういう形でチェックしておったかどうか一ぺんで疑いが晴れると思うんです。ちゃんと載っておれば、国税庁よくやったということになりましょうし、また載ってなければ、ああもう総理大臣だからということで全く調べなかったという証拠にもなると思うんです。私は動きがたいへん大きいので、しかも動き方が、もうすでにいろんなところで指摘されているとおりたいへんおかしい動きです。たとえば増資をし、しかも異常な増資をする、関連企業で。田中さんがそこへ膨大な金を出す、七千五百万円も出す。そうしてその会社がすぐ軽井沢の別荘を買う。これは私ども第一線の税務署の職員から聞きますと、当然その動きは載っかってしかるべきだと、だれも言うわけです。ですから、私どもは必ず載っているはずだと思うのですけれども、もし載っていないとすれば、もう田中さんはだいじょうぶだと、あるいは、やるとおっかないからね、やらぬという、そういうことで、もともとやっていなかったのか、いや、田中総理でも、すでに指摘されておるとおり、国民の一人として公正に適正に調査してきた、どちらかの証拠になるわけです。その場合に、秘密のことを申しますけれども、一体どこが秘密なのか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  262. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 基本的にはやはり私たちが職務を執行するにあたって知り得た秘密だろうと思います。それから同時に、実は「重要資料せん」というものがあるということも、私たちはこれは一般公開したことがございませんで、この紙そのものも初めからマル秘ということになっておりまして、この紙、資料せんの用紙そのものも出たということに対しまして、私は非常に残念に思っておりますが——と言いますのは、ここにいろいろな不正の手口といいますか、それをここに書いております。したがいまして、これを公表することは同時に、こういった脱税の方法があるんだなとか、手口があるんだなという、一つの典型的な方法を示すというようなことにもなりかねませんので、こういったことを出すということは私はやはり遠慮させていただきたいと、かように考えております。
  263. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そうしますと、これを見て国民が脱税をするといけないから出せないということが最大の理由でしょうか。それともこのことによって個人の秘密、取引上の秘密、それが浸されるから、どちらなのか。
  264. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それは両方でございますけれども、ウエートは前者のほうにかかっておると思います。
  265. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私、これを見まして、どこがそれに当たるのか、たとえば「裏取引」「偽装取引」「その他」ですね、この要旨だけを見たのでは、これを見て脱税できるならだれでもやります。しかし、これを見てだれもできませんよ。一体どこが国民に知られるとまずいところなのか、これをお答え願いたいと思います。
  266. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) これは、一枚つづりだけでございます、一枚しかございませんけれども、これは先生承知のように五枚つづりになっておりまして、何枚目がどこにいって、何枚目がどこにいくというようなことも、これは全部出ますと、何といいますか、税務署のほうで、あるいは国税庁のほうで調査する場合に、どういうようなところが特に目をつけられると、だからそれはいまのうちに早く——もし不正なことをしておる人があるとすればでございますですが、それは事前に対応策を講ずるとかいうようなことにもなりかねないというのが、これは少し心配し過ぎかもしれませんけれども、やはり私たちの心配の一つでございます。そういった意味で、やはりこれは外部には出したくないということ、それから同時に、一つには私たち調査のやり方といいますか、決してそれは悪い意味ではございませんけれども、どういうようにしてこちらのほうが調査をやっていくかということをですね、それは全然脱税も何もしていない方にとっては、どんな調査をされたところで問題はございませんけれども、かりにそういった方がまあ何万人の中に一人おられるとすれば、事前に税務署の調査のやり方とか方法とか、そういったことを全部知られてしまうということはやはり好ましいことではないんじゃないかというふうな、私たちこれはまあ職場としての心配でございますけれども、そういったことでございまして、これはお出しするというのは、いままで出しておりませんでしたし、いわんやこの「重要資料せん」に記入された事項について公開するということに対しては、これはもういかなる人に対しましてもお許しを願っておるわけでございます。
  267. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 確かに心配し過ぎだと思いますね。私が求めておるのは、だれの——具体的な一般国民の人の書かれた中身を出せと言っているんじゃないんですね。この用紙のどこを見れば、どう国民が脱税を見ならうかということ、どこにもないじゃないですかということ。それからもう一つ私の求めておるのは、田中総理のこれを出すべきではなかろうか。と申しますのは、これは国税庁が田中総理の所得について適正に調査をしたかどうかという証拠なんですよ。そういう意味で出せと言っておるんです。その限りにおいて、どこが秘密なのか、どこが出せないのか、このことを明らかにしていただきたいと思います。
  268. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私は田中角榮氏に関するこの「重要資料せん」があるという前提で、それをお出ししないというわけで御答弁しておるわけじゃございませんで、まずあるかないかということも私たちはまだ知っておりませんし、万一そういった取引がここに打ち込まれておると、この資料に打ち込まれておるといたしましても、それはまさに私たちが実際のその税務調査に当たって知り得た、まさにここに重要資料でございます。そういった意味において、これを公開するということは私たち立場としてはやはりいろいろな問題ございますので、どうかお許し願いたいということでございます。
  269. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 このやりとり、いつまでやるわけにいきませんが、委員長のほうでこれをまさに提出させることが、いま疑われている国税庁の適正な調査があったかどうかの有力なる証拠であると思いますので、後ほどこの提出方について御処置願いたいと思います。  質問を先に進めたいと思います。先ほど来田中角榮氏の膨大な財産の問題、これが問題になっておりますし、競馬の問題もその一つ、散財のほうの一つでありますけれども、同時に田中氏がいろんな形で財産を隠しているというこのことも大きく疑われております。そこで、この資料の二枚目をごらんいただきたいのでありますけれども、これは東京ニューハウス株式会社昭和四十七年四月七日に一億一千二百五十万円の増資、これはいままでの資本金の四倍にも及ぶ増資をいたしまして、その直後に先ほど申し上げたとおり軽井沢の土地をこの会社の名義で買っております。この動きを見てみますと、これは実際田中角榮氏がみずから買った土地であるけれども、そうしますと、先ほど述べた、どう考えても田中角榮氏の申告所得からはこの金は出てこない。軽井沢の土地を買う金は出てこない。そこで、増資という形でこの会社が買ったという、これがどう考えてもそう考えざるを得ない。そういう経過であります。そしてしかもこの株式申し込み人の中身を見てみますと、田中角榮氏だけで全体の三分の二、七千五百万円、こういう出資をしております。田中角榮氏がもう一年間の所得全体に及ぶような、そうして可処分価格の三年分にも及ぶようなこういう出資がはたしてなし得たかどうかということ、これ一つ大きな疑問になります。と同時に、田中角榮氏の親族である田中眞紀子さん、そして田中利男さん、これを含めますと、これは全体の四分の三、そしてそれ以外の株主もこれはしばしは田中関係企業に出てくる人であります。となりますと、これは明らかに田中個人が出資をし、かつ土地を買ったと、こういう疑いが出てくれば、一般国民がこういったことをしたならば必ずこれはもう調査の対象になるわけであります。こういう点で、この問題について実際に調査をしたのかしないのか、この委員会に対してお答え願いたいと思います。
  270. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 一般に株式を公開している会社増資した場合には特にそれほど問題ございませんけれども、株式を公開していない会社増資、それからまた特に同族会社として存在しておる会社増資寸そういった問題につきましては、その調査の際にこの増資の払い込み資金の出所というものをこれは必ず調査するというのが原則でございます。  で、まあ四十七年の四月の七日にこの増資があったようになっておりますが、おそらくこの時期に、この時期を含んだ事業年度についての税務調査が行なわれたとすれば、当然その資金の出所の問題についても調査が行なわれただろうと思います。ただ、これについていつ——おそらくこれはまだ、四十七年四月七日でございますから、この程度の会社でございましたら調査の周期がございまして、あるいはこの期についてはまだ調査してないのではないかと思います。あるいはしたかもしれません。かりにその調査の周期に該当いたしましてこの会社調査いたしますときには、当然その問題については調査するということになります。  ただ、御承知のように、先日来国税庁といたしましては、いわゆる田中角榮氏関連の会社というものにつきまして、従来処理した事績についてもさらに見直しをやっておる、そして必要な調査というものをいまやっておる最中でございます。したがいまして、やはりこれは、こういった増資があったような場合には、それが調査のポイントの一つになるであろうということは事実でございます。
  271. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この資料はすでに一昨日国税庁にお渡ししてありますし、その場でも見解を聞いたところなんです。ですから、きょうの答弁はたいへん不満であります。当然ですね、私がこの問題指摘したときに、この中身について検討してしかるべきだったと思います。で、あるいは検討しているかと思いますが、そこでいまお聞きしたいと思うのです。  こういう株主の構成、と同時に、この中にはたとえば四番目と五番目、田中利男さんと遠藤昭司さん。その住所を見ますと東京都文京区雑司谷一−一六−六、遠藤さんのほうは豊島区雑司谷一−一六−六と、全く同じ住所。区が違うだけですね。どちらかが間違いなんです。本人が間違えるわけありませんから、これは明らかにだれかが一括してこの株主申し込み書を書いた。いわば明らかな名義株であることは明らかです。この問題も前回指摘しました。ですから、私はいまお答えいただきたいと思うのです。こういう株式の状況を見ましてですね、まず名義株であり、ほとんど全体の株式が田中さんが出したと見られるか見られないのか、どう国税庁としては理解するのか、この点についての御答弁を願いたいと思います。
  272. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 実際に調査に当たりまして、御本人に当たってそれをはっきりさせない段階では、まだ私たちがどういうふうに判断するということを申し上げるのは非常に危険だと思いますので、現段階におきましては、それについて国税庁はどう考えるんだと聞かれましてもちょっと答弁に窮するわけでございます。
  273. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 たとえば先ほど申し上げたとおり、銭湯へ行ってもお客さんの数を数える、床屋さんへ行っても首に巻く紙まで注意する、これほど注意力の旺盛な税務署、それを監督する国税庁が、こういうものを見れば一目直ちに疑問がある、こう考えないとこれは指導監督できないと思うんですがね。ですから、私はいまお聞きしたいのは、この場でお聞きしたいのは、疑問を持つような事案だろうと、こう聞きたいんですよ。こういうものを直ちに疑問を持って調査したいなどと申しますと、田中さんからしかられるかもしれませんからね、あなた。私は当然疑問を持つような事案だろうと、それについてお答えいただきたいのであります。
  274. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) この数字を見た限りにおいて、いま御指摘のような点を勘案いたしますと、やはり私たち税務官吏としては疑問を持つような事案でございます。
  275. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そういたしますと、軽井沢の土地は東京ニューハウスの名義になっておるけれども、これは田中さんがお買いになった疑いがあるということも当然考えにゃいけませんね。
  276. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それはちょっとそこまで飛んでいいのかどうか、ちょっと疑問でございますけれども、やはり株主と、それから法人、それからその法人の名における取引というふうな段階に分かれますので、そこまで申し上げていいか、断定していいかどうか、それについては検討させていただきたいと思います。
  277. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私はここで断定しろとは言ってないんです。私が言っているのは、やはり軽井沢の広大な土地も田中さんの個人の所有と疑うに足る相当の理由がある、こういう余地はあるだろう、少なくともね。こう聞いておるんですよ。
  278. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 軽井沢の土地がニューハウス株式会社の所有であり、そしてそのニューハウス株式会社の株式の大部分をある特定の人が持っておるとすれば、やはり土地の所有と、それからその所有者との関連というのは、それは一般の株式が分散されておる場合よりは密接になるというのは、これは何といいますか、法律的な問題というよりは常識的な問題として言えるだろうと思います。
  279. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 相手が田中さんだから、だいぶ遠慮して控え目に考えておられるけれども、普通であれば当然直ちに現地に行くなり取り調べだすなりやるべき事案だと思います。  そこで、最後にお聞きしますが、東京ニューハウスの例を一つ申しました。しかし、田中さんの関連会社ではたとえば新星企業が料亭を買っている。これも田中さんが買ったという疑いも出ている。また、目白邸のたくさんの土地が東京ニューハウスその他の企業名になっている、これも疑わしい。たくさんの問題があるわけですね。そこで私は、この問題をそういう疑いを持って調査をする意思があるかどうか、この点について伺いたいと思います。
  280. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 現在私たち調査をやっております。やっておりますが、どういった点にポイントを置き、どういった観点、あるいはどういった方法、あるいはどういった方針で調査をするかということにつきましては、ここで明らかに申し上げることは御遠慮させていただきますけれども一般論として私は申し上げますけれども、私たち税務職員というのが調査いたしますときには、いろいろな疑問点というものを掘り下げて、その疑問点を解明して、そして実態の課税、実態に即した課税というものをやるように努力いたしております。
  281. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 一般論で申しましたけれども、これも調査をするという一つの決意の表明というぐあいに聞きますので、ぜひこういった角度からこの問題を解明してもらいたいと思うんです。ごく一、二の例を申しましたが、時間が近づいておりますので、もっとたくさんの例を指摘したいんでありますけれども、きょうはこの程度にとめて、もっとたくさんの関連企業についても同じような観点から徹底的な究明を要望すると同時に、それに関するたくさんの資料をぜひとも、これは具体的にあとで申しますけれども、これは提出するように求めます。  で、まあほんの一例、二例で申し上げましたけれども、いままでのこのやりとりの中で、田中さんが申告所得額からはとうてい考えられない膨大な資産、これ、お持ちの一つの原因がわかりかかってきたと思うわけであります。要するに、田中さんがあの膨大な資産をどうやって形成してきたのか、秘密がここにあるんじゃないかというぐあいに考えます。要するに、本来田中さんに帰属すべき財産を法人の名で所得し、そしてそれに関する税金などは法人に払わして経費として落とすというような方法、そしてもう一つはたくさんの幽霊会社に分散をする方法、そして分散し、そこで所得を分配して田中さんに一挙にかかってこないようにするというこういう方法、そのことによって多額の税金を免れている、そのことが田中さんのこの資産をずっとたくわえてきたその一つの要素だろうというぐあいに考えられます。  そこで、そのこと自身は、これは税務署の、また国税庁の面から見れば明らかに財産隠しであり、脱税の目的を持ったもの、こういう一つの有力なる調査の端緒があるわけだと思うわけであります。私は、大蔵大臣を経て、そして総理大臣になったような人が、こんなような方法、そのことによって税を免れ、そして利殖をしているという、こういったことがたいへんぐあいの悪いことであり、ぐあいが悪いだけではなくて、これは政治家としての適格の問題であるというぐあいに考えます。  そこで、国税庁に要求いたしますが、こういうような所得隠し、財産隠しを徹底的に調査する、全面的に調査することを要求いたします。そして田中総理が政治家になったとき以来、本人の所得、それから所有財産、これを明らかにすると同時に、この関連企業実態を全面的に明らかにして、その中でいま申し上げた東京ニューハウスのような、またその他の企業のような田中個人と同視し得るようなそういう企業の所得を総合計いたしまして、そしてそういう計算をすることを私は求めます。そしてすでに田中総理が申告した分がございます。先ほど冒頭に申し上げた分ですね。この所得額に上のせをしまして、上のせすれば当然これは累進課税になります。そういう計算をし直して、その中でずいぶん時効になっている部分があると思うんです。少なくとも時効になっていない部分については新しく累進課税の高率の税額によって計算をし直して、その額を徴収するように求めたいと思いますけれども、その決意があるかどうか、これを伺いたいと思います。
  282. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) たびたびお答えいたしましたように、私どもは現在鋭意いろんな観点から調査をやっているところでございます。ただ最後に、先生の御指摘に、そういった各法人に分散されたものを個人のほうに集中して、個人所得として累進課税をするというやり方、それは私はちょっと法律的にはきわめてむずかしい問題があるんではないかというふうな感じもいたしますので、これについてはお答えいたしかねます。
  283. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 しかし、脱法行為の一つとして、全く田中さんが買った財産それを法人の名でやった場合、これは脱法行為としてこういうものは無効だと、それは認めないというようなことを当然やるべきじゃないでしょうか。そしてまたそれはできるんじゃないでしょうか。ですから、私そのことを求めます。と同時に、そのことを明らかにし、かつ国税庁がほんとうに適正にやっているということをほんとうに国民に信頼してもらうためには、田中総理の、そして並びに田中総理関連企業の不動産、有価証券その他の所有財産、これを全体を明らかにして、それを全国民の前に公表すべきじゃないか。そのことを求めたいと思いますが、御見解いかがでしょうか。
  284. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) その問題につきましては、いつもお願いしておるのでございますけれども、やはり個人の秘密にわたることでございますので、それを公表するということは——まあ御本人が公表する場合は別でございますけれども、私たちのほうからそういった資料提出したり、あるいは公表したりするということはお許し願いたいと思います。
  285. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 時間が参りましたので質問は終えますが、委員長に対してひとつ要請いたします。  いまの質問の中で明らかなとおり、大蔵省国政調査権を全面的に否認していると思います。そして調査への協力を全面的に拒否をしておるわけであります。これは国権の最高機関である国会の権能に対する著しい侵害であると思います。これを放置いたしますと国会としての責務を果たせない。そこで、いま大蔵省に要求いたしました田中総理の全資産、不動産動産、株券、その他一切の財産を公開すること、そのことを当委員会として大蔵省に求めるよう要請したいと思います。  そして、さらにこの質問要旨の第一枚目にあります資料提出要求をしたいと思います。第一は、田中総理の過去二十八年間の確定申告書及び財産債務明細表など確定申告にかかる付属書類一切、右にかかる国税局または税務署の調査事績簿。贈与税、相続税にかかる申告書とその付属書類、右調査にかかる国税局または税務署の調査事績簿。過去二十八年間の資産の移動にかかる「情報処理せん」「重要資料せん」と、その活用事績書類。二、田中総理関連企業の過去二十八年間のいま申し上げましたようなものであります。そして同時に、特にいわゆる幽霊会社については、おのおの設立以降の株式の払い込みに関する国税局または税務署の調査報告書であります。そして田中総理関連企業と申しますのは、田中土建工業、三建企業、国際興業、理研ビニル工業、新星企業東京ニューハウス、浦浜開発、田盛不動産日本電建越後交通、ニューエンパイヤモーター、室町産業、関新観光開発等の十三の会社であります。それからさらに、田中総理大蔵大臣に就任したとき以降の国有財産の払い下げ状況とその取得者、取得年月日、所在地、面積、取得価格、その他の条件等、こういったものについて明らかにするように求めて質問を終えたいと思います。
  286. 小谷守

    理事(小谷守君) 近藤君に申し上げます。  近藤君の御要求につきましては後刻理事会において協議いたします。さよう御了承願います。  速記をとてめ。   〔速記中止〕
  287. 小谷守

    理事(小谷守君) 速記を起こして。
  288. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 文藝春秋にも田中総理の金脈問題について、その中で、サンウエーブの社長の自宅を田中さんが入手した問題について記事が載っておりましたけれども、私はその問題について事実を明らかにしながら二、三お伺いをしたいと思います。  サンウエーブ工業株式会社は、御承知のように三十九年の終わりごろに倒産したのでありますけれども田中総理——当事大蔵大臣であります。同社の株を三百五十万株持っておりましたけれども、値下がりで損をした。田中さんが買った値段は平均一株約四十七円、そして田中さんが当時のサンウエーブの社長の柴崎勝男さんを目白の自宅に呼んで、おれは株で損したから何とかしろということを言われたのであります。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 その交渉をしたときの株の時価は三十円前後、あるいは三十円を切っておったというふうにいわれておりますけれども、そして田中さんは柴崎さんに対しまして、その自宅並びに土地をよこせという交渉をされて、結果として五千万円でこれを買われたわけであります。契約は昭和三十九年十一月二十八日、売買は三十九年十二月五日ということになっております。そして土地は港区の元麻布二丁目百二十三番地、登記簿によると三百十一坪となっております。柴崎さんの供述では三百八十坪となっておりますけれども、まあこの誤差はどうなっておるのか私にはわかりません。それから港区の飯倉片町の二十九番地の二百坪の土地、並びに家屋、これは地上二階、地下一階、鉄筋コンクリートづくり、延べ百三十坪の建物であります。私はこの当時の時価は、これはどれぐらいしておったものか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  289. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 何ぶん古い時代のことでございますので、当時の時価というのはちょっと私どもはっきりいたしませんけれども、御参考までに申し上げますと、いわゆる相続税の財産の評価価額というものは、これは書類上永年保存になっておりますから、私どものほうの記録にずっと書類として残っております。それを見ますと、その当時の相続税の財産評価に当たりますところの路線価格で見ますと、十万五千円という形になっております。ですから、それから逆算して計算するというかっこうになろうかと思います。
  290. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 逆算して計算するとどれぐらいになるわけですか。
  291. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) まあ、相続税の財産の評価の路線価格をきめますときには、当時の、そのときの売買実例を数件集めまして、それからいわゆる精通者意見というのをまた数件集めまして、大体そういった売買実例、それから精通者意見等の仲値をとりまして、それに対して大体まあこれは七掛け程度でするというのが私どものやり方でございます。ですから、その七〇%で割り戻しますと、坪当たり大体十五万円程度というふうな一つのまあ推計と申しますか、そういった数字になるのではないかと思います。
  292. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この価格について、所有者であった柴崎さんは、元麻布のほうが坪二十万円ぐらい、飯倉のほうが当時で三十万円くらいということを言っておられます。そうすると、元麻布のほうで少なくとも六千二百万、飯倉のほうで六千万円、それに家屋が——これは当時はまた新しい家屋でありまして、大成建設が昭和三十九年三月に峻工させた建物であります。この工費が七千万円ということが言われております。半年余りたっておりますから若干値下がりをしておると見ましても、全部合計しますと二億円近い金額になろうかと思います。また現在、先ほど言われた大蔵省の相続税の評価額が七掛けとして逆算をしましても、全部ではやはり一億数千万円のものになろうかと思うんです。これを五千万円という不当に安い値段で買ったとするならば、私はこれは当時の田中さんが大蔵大臣という地位を利用して不当に圧力をかけて安く買ったのではないか、こういう疑いが持たれると思うのでありますけれども、この点はどうですか、職権乱用の疑いがあると思いますが。
  293. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) どうもその点につきましては、私どもとしては御答弁できる立場にないわけでございますが、ただ、そのときの価格の計算で——これはまあ一つの試算でございまして、何とも申し上げられないのでございますけれども、そのときの土地の評価額、これはかりに先ほど申しましたように坪当たり十五万円だというふうに計算いたしますと、元麻布の土地と飯倉片町の土地で合計しまして約五百坪でございますから、これが七千五百万円ぐらいかというふうな推計も成り立ちます。それから、同時にまたこの建物の価額をどう見るかということもございますけれども、これをかりに坪当たり三十万円というふうに見ますと大体四千万円ぐらいではないかと、合計いたしますと一億二千万円ぐらいになるんじゃないかというふうな一つの推計も成り立つわけでございますけれども、二億何がしという金額が正しいのか、それともあるいは五千万というその金額が正しいのかあるいは一億という評価額が正しいのか、その辺はちょっと古いことでございますので何とも言えない事情がございます。ただ、先生の御指摘になりました御質問の件につきましては、私どもとしては何とも申し上げられないというふうに思います。
  294. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この不動産の売買にかかわらず時価より著しく低い価額で買い取ったとするならば、これは相続税法第七条によって贈与とみなされるという規定があるわけでありますけれども、このような例の場合贈与税の対象になると思うけれども、この点いかがですか。
  295. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) これは個人から個人にこういった不動産を売りました場合に、いわゆる時価より著しい低い価額で売り渡した場合、つまり低廉譲渡の問題でございますけれども、結局そのときの課税関係になろうかと思います。そのときは、これは四十八年度以降税制改正で変わっておりますけれども、その当時の税制で見ますと、個人から個人に対しましていわゆる低廉譲渡が行なわれた場合と、この低廉譲渡というのは時価の五〇%未満ということに相なっております。そういった場合には時価との差額というものは、一応安く売った人が安く買った人に対しまして時価の差額との間で譲渡が行なわれたというふうにみなされまして、これは私のほうのことばでみなす譲渡ということばを使っておりますけれども、低く売った人もみなす譲渡で、その譲渡に対します税金がかかってくるわけでございますですね。それから、それを買ったほうは、これはやはり贈与税の対象になるというふうなことで課税関係が成り立つわけでございます。ただ最初申しましたように四十八年分の改正から、安く売った人がそれをもってみなす譲渡であるというふうにしてそこに課税するというのは、これは安く売った上にしかもまた課税されてもというふうなこともございまして、このみなす譲渡の規定は廃止になりましたけれども、いずれにしましても安く買った人はこれは贈与税の対象に現在においてはなるということが言えるかと思います。ただ、これは個人個人の間でございまして、個人と法人の間、法人と法人との間、これはまた別な税法の適用がございますので、現在の場合には柴崎さんから、これは御質問では新星企業に売ったわけでございますね、そうしますと個人から法人ということに相なりますので、そうなりますと法人にお売りになった柴崎さん御自身は時価より非常に安くお売りになった場合に、それにつきましてはみなす譲渡ということになりまして、その譲渡所得に対する税金をかぶらなきゃいかぬ。それから買いました法人というのは、その時価との差額分だけ安く買いますから、それを、法人のほうの受贈益というものが発生しまして法人税の課税対象になると、こういった法律関係に相なるわけでございます。
  296. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、この場合は名義は田中角榮氏じゃなくて新星企業になっているわけです、買い主は。そうすると、新星企業は安く買った分だけ法人税の課税の対象になるということでありますが、これは現実にその分は課税されておりますかどうか、いかがですか。
  297. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) この売買が行なわれましたのが三十九年でございまして、もう十年前のことでございますので、ちょっと私たちのほう調べたんでございますけれども、その点どうもはっきりいたしません。つまり文書保存期間の関係で、決してこれは逃げるわけでございませんけれども、十年前のことでございますからちょっとその点がはっきりしないんですけれども、やはり私としては納めただろうと思います。
  298. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この場合新星企業はこの不動産を幾らで買い取ったことになっておるか、これはいまわからないですか。
  299. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) いや、それが最初の議論にまた戻るわけでございますけれども、幾らで買ったのかということから問題が始まるのでございます。ですから、そのときに買った価額というものがいわゆる低廉で買ったのか、低廉で買いましたら時価との差額が受贈益として法人所得の中に組み込まれるわけでございますけれども、それがはっきりいたしませんので、まずどうも私ども答弁申し上げるのに非常にはっきりできずに恐縮でございますけれども、その問題がわからないということと、それからはたしてその価額いかんによっては受贈益が発生したと見ていいのかどうか、その点もまた同時に疑問でございます。
  300. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これはいまから調べたらわかりますか、わかる問題ですか。
  301. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それはいまから調べましたら、その当時のいろんな関係書類等残っておりましたら、つまり関係者のほうにお聞きしまして、そしてそれがはっきり残っておりましたらはっきりすると思います。
  302. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その場合その資料提出できますか。
  303. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) これもいつものお答えで申しわけないんですけれども、やはり個々の取引の内容でございますのでごかんべんをお願いいたしたいと、かように考えます。
  304. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、この柴崎氏の言によりますと、契約書は売り主が柴崎勝男氏、買い主が新星企業、価額は五千万円となっておるわけでありますけれども、私の推定では、この新星企業の申告しておる取得金額とはかなり開きがある、このように考えるわけです。なぜかというと、柴崎さんの言によりますと、売買契約の少しあとになって愛宕町の佐野税理事務所の佐野氏が五千万円の取引では安過ぎて贈与とみなされる、だからもう少し高く売買したことにしたい、このように言って四千二百一万四千円の領収書を持ってきて柴崎さんはこれに判を押さされたということを言っております。柴崎さんはもちろんこの金は一銭ももらっていないわけであります。したがって、この行為は明らかに脱税を試みたものと思いますけれども、どう思われますか。
  305. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) そういった場合に二つの問題が考えられるとちょっといま思ったんでございますけれども、これは特定の人の名前をあげて非常に恐縮ですけれども先生のほうで柴崎さんというお名前が出ますので申し上げますけれども、その税理士事務所のほうから、あまり安いと譲渡所得、いわゆるみなす譲渡として税金がかかるかもしらぬと、だからもっと高く売ったふうにしろと言われて、まあ契約面上だけそれを高く売ったことにしたということになりますと、むしろそちらのほうの、今度はみなす譲渡に対する税金のほうが問題になってくる。それから買いました新星企業のほうは、それが普通は企業が不当計算をする場合にはむしろ原価の水増しといいますか、そういったことになるわけでございますけれども、それをやりましたのか、あるいはこれは一般論として申しますけれども、そういうふうにして不動産を取得するために支出したと称して実際の支出をして、その支出の金がどこにいったかわからなくなったというふうなケース考えられるわけでございますね。ですからそれは事実関係がはっきりいたしませんので何とも申し上げませんけれども、まあいずれにしましても、もしそういったことが事実であるとすると、いずれの側にも税務処理上あるいは税務申告上適切でない問題があるということは言えるかと思います。
  306. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それからもう一つ、これに関連したことがあるわけです。これはサンウエーブの紛飾決算の件に関する刑事訴訟記録の被告人の柴崎さんの供述書の中にあるわけでありますけれども、その二、三関係のある点だけ抜き出してみたいと思います。「私が個人で所有していたサンウエーブ工業株式会社の株式と港区麻布本村町」、これは元麻布のことです、「及び飯倉片町の土地建物を田中角榮さんに関係のある新星企業株式会社に譲渡した経緯についてつけ加えてお話します。」、こういうかっこうで、この証拠物件について検事からいろいろ確認をとられておるわけです。その中に領収証の問題が出てきます。「次に昭和四十年三月の四千二百一万四千円という領収証がありますが、これは吉永検事に述べましたように佐野さんが受け取ったことにして領収証を書いて先方に渡してくれと言われて作成したものです。したがって金は一切受けとっておりません。」、これはまあ領収証について、これは領収証も証拠物件として押収されておるわけですね。「この時検事は昭和四十二年十一月九日の富士銀行数寄屋橋支店の回答書に添付されたX09011四千二百一万四千円の小切手一枚を示す。」、それから柴崎さんの供述に入るわけですけれども、「この小切手にも柴崎勝男という裏書きがありますが、これは私の筆跡ではありません。私の家族や秘書等の筆跡でもありません。吉永検事にも述べましたように、新星企業の方で私に金を支払ったように形を整える為にこのように小切手を発行して私の名前を勝手に書いて現金化したものと思います。なおこの金を受け取っていないことについては佐野さんに聞いてもらえばわかります。佐野さんは昭和三十七年、三十八年頃に知り合い、その後私の税理士さんとして仕事をお願いしていた方です。四千万余りの金を受け取らないのに受け取ったことにすることは税金の上でどういう利点があるかということについては当時佐野さんに説明を受けて判ったような気がしたのですが、現在では忘れてしまってよく思い出せません。」、それから少しあとに、「そして不動産については全部を五千万円で手離したのが実情です。」、こういう供述があるわけです。これから見ると、この領収証の、架空の領収証と同時に、この新星企業の振り出しの小切手の裏書きの偽造という問題があるわけです。これは明らかに私文書の偽造であり、しかも脱税を目ざした行為である、このように断定して差しつかえがないと思いますが、いかがですか。
  307. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) どうもちょっと、私たち、実際に現在帳簿関係検査したわけでございませんので、私のほうで断定するということは非常にむずかしいかと思います。
  308. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは訴訟の中で検事が調べて証拠調書として採用されておるものです。もちろんこれが一〇〇%真実であるかどうかという疑いが皆無というわけじゃないと思いますけれども、しかし一応証拠として採用されておるものである。それから現実にまあこういう小切手というものも存在しておる。それから裏書きは柴崎さんのものでないという証言がある。それからそういう動議についてもこの柴崎さんの供述があるわけですね。そうすると、これは脱税を意図して小切手の裏書きを偽造した、それから架空の領収証をつくった、これが事実としてあると思うのです。こういう事実があった場合に、国税庁のほうではやはりもう一ぺんこれを調べてみるという、その意図はおありかどうか。
  309. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 何ぶん古い時代のことでございますので、そこまで私たち調査権限の行使ができるかどうか、その辺はちょっと問題かと思います。まあ、任意に、実はこういったことでしたということのお聞かせを願うということはできましても、私たち質問調査権の行使としてその事実を調べるというのは、やはりもう過去のことでございますので、ちょっと法的には無理かと思います。
  310. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次官にお伺いしたいと思いますが、一般の場合はただいまの答弁でいいのではないかと思いますが、今回の問題は、何といっても田中総理にまつわる疑惑についての問題ですね。だから、この疑惑を晴らすために、やはり国税庁のほうではこういう問題を解明する必要があると思うのです。新星企業という企業の名前になっておりますけれども、これは明らかに——当時は山田泰司さんが社長です。山田泰司さんは言うまでもなく田中さんの秘書です。こういう関係にあるわけでありますから、これはやはり調べて解明をしなければ金派問題の疑惑を晴らすことにはつながらないと思うのです。この点どう考えられますか。
  311. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 法的には、すでに経過をいたしておるものでありますから、どうかと思いますけれども疑惑を晴らすという点から見ますと、一切のそういうものもやはり洗ってみなければ国民疑惑を晴らすわけにはいかないと思いますので、とりあえず時効にかかってない四カ年来の問題を中心としていまやっておりますけれども、ずっと手を伸ばしてそういうところまでいくかどうかということはよく考慮してみたいと思っています。
  312. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、先ほど職権乱用の疑いがあるということを申し上げたわけですけれども、この点についてもう一つ、これ柴崎さんの供述書の中にあるわけですけれども、「私は田中さんに家や土地を安く持っていかれてしまったので、私が持っていた絵を高く買ってもらおうと思い、奥さんにお願いしたのですが、田中さんが値をたたいてあまり高く買ってくれませんでした。たしか昭和四十一年秋に、田中さんに二枚の絵を二百五十万円で買ってもらったように記憶しております。その絵は、一枚が安田靱彦作の唐子人形二十号と、もう一枚は杉山寧作の沖繩の踊子十号であります。私は西村さん」、西村英一さんですね、「西村さんには五百万位で買ってもらいたいと頼んでおいたのです。供述人柴崎勝男」というふうにあるわけですけれども、これも私はこの田中さんのやり口がいかにえげつないかということをあらわす一つの証拠だと思うのですね。このことが別に法に触れるとか、そういう問題じゃないと思いますけれども、人の弱みにつけ込んで——これはおそらく時価五百万じゃなかったと思います。現在調べてみますと、杉山寧氏にしても安田さんにしても号十数万円の高値であります。したがって、時価では四千万から五千万はする絵である。当時もおそらく数百万から一千万はしたのではないかと思いますけれども、これを買いたたいて二百五十万で買う。結局、こういうことをやって田中さんは金をもうけてきたわけですよ。  これは一つの田中さんのやり方を示す例でありますけれども、こういう点を考えた場合に、先ほどの不動産を五千万で手に入れたというのも、やはり大蔵大臣の地位にあるからできたんだと思うのですね。一般の人はそんなことできないと思うのです。だから職権乱用の疑いがあると思うのですが、この点は次官はどうお考えですか。
  313. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 土地建物の売買につきましては、契約書があれば何とも抗弁のあれはないと思いますが、その他の証言につきましては、一方的に柴崎さんの証言だけでわれわれは承服することはできませんので、やはりそれに立ち合われた田中角榮氏なり、あるいはその関係者のやっぱり意見も聞いてみました上で、そういうものもやはり参考にして処理をしていきたいと思います。  なお、その契約書のある分につきましては、これはもうはっきり証言と書類とが一致しておれば真実であろうと思いますが、ただ、大蔵大臣であれば倒れた会社のものを安く取れるかというと案外それは逆でありまして、非常に取りにくい立場でございますから、それを地位を利用してたたいて取ったというふうには、常識的にはちょっと判断できませんけれども、なお常識を越えた問題が何かあっただろうか、われわれとしていまここではっきり判断いたしかねますので、これもまた調査をしてみたいと思います。
  314. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まあいずれにしましても、これは刑事訴訟記録に載っておることでありまして、これはもう公開されておる文書です。したがって、公開されておるこの文書の中で、田中さんにまつわる疑惑が職権乱用の問題、脱税の疑い、さらには私文書偽造、こういう問題があるわけでありますから、やはり金脈問題の疑惑を晴らす一環として、この問題も解明するようにしていただきたい。  以上要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  315. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  316. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  317. 野末陳平

    ○野末陳平君 田中総理と最も関係が深いといわれております室町産業新星企業が、不動産売買を目的とした会社でありながら、無免許で宅地建物取引業法に違反しているのではないか、そういう疑いがあるということは委員会でも何度か問題になりました。私はこの両者が明らかに宅建法に違反している、その事実があるということを指摘してこの場で、この席で確認したいと思います。まあ事実関係が非常に込み入っておりますから、こういう表をつくってきております。あとでこの表をじっくりと国税庁、建設省に見ていただいて、そして確認したいんです。  その前にお聞きしますが、宅地建物取引業法の第十二条に、免許を持っていない者がこの業を営んではならない、こういうふうにありますが、これに違反した場合はどういう罰則があるのか、そこからまず説明してください、簡単に。
  318. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 無免許営業につきましては、三年以下の懲役または三十万円以下の罰金刑を法定されています。
  319. 野末陳平

    ○野末陳平君 それが軽いか重いかは別としまして、それでは室町産業とそれから新星企業が土地売買を無免許でやっているという点をここで確認したいと思います。まず免許の問題はさておきまして、土地の売買という事実を国税庁に税務上の資料から確認していただきたい。私のほうは、法務省の登記簿から、所有権移転という面でこれを一つ一つ言いますので、典型的な例からいきますと、室町産業をまず国税庁にお願いします。室町産業昭和四十四年十月に伊豆下田の土地を買い、これを昭和四十六年十一月に売っています。同じく室町産業は、文京区目白台の土地を昭和四十六年に買い、四十八年に売っています。この土地売買の事実、税務上の資料で手続きが確実に完全に適切に行なわれているかどうか、これをまず確認さしてください。
  320. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) おそれ入りますけれども、もう一度——最後は目白でございますか。
  321. 野末陳平

    ○野末陳平君 はい。目白は文京区目白台二の三の一〇というところですが、昭和四十六年に買って四十八年に売っています。
  322. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それは登記面でもそう出ておるということでございますから、そのとおりだと思います。
  323. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっとそれおかしいのですが、税務上で、当然室町産業のいままでの事業所得を調べれば、これはおわかりだと思うのですが、まあ確認していただいたというふうに考えて次に行きます。  新星企業が、古い話は別としまして最近でいきますと、千駄ガ谷の土地を昭和三十九年に買って四十七年に売っています。それから御殿場の土地を昭和四十年に買って四十六年に売っています。新星企業、これは事実はどうですか。
  324. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 先ほどの御答弁と同じように、登記面上でそういうふうに出ておりますので、そのことは事実だと思います。
  325. 野末陳平

    ○野末陳平君 登記面に売買とはっきり出ておりますので事実だと思います。ただし私が聞いたのは、税務上の手続が完全で適切であるかどうかということも、国税庁、あらためてお答えいただきたい、こういうことです。
  326. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 御指摘の不動産の取引につきましては、処理されております。
  327. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで建設省にお伺いしますが、これはくどいようですが、この室町産業新星企業が、不動産売買のいわゆる宅建法における免許を取得していた期間をちょっともう一度言ってください。
  328. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 室町産業昭和四十二年三月二十日から四十五年三月二十日まで、新星企業昭和四十一年十二月九日から四十四年十二月九日までであります。
  329. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっともう一度言ってください。
  330. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 室町産業昭和四十二年三月二十日から昭和四十五年三月二十日まで。それから新星企業につきましては、昭和四十一年十二月九日から昭和四十四年十二月九日まで、東京都知事免許を。
  331. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっと私のほうで調べたのと一年ずれておりますが、いずれにしてもこの三年間だけ免許期間で、そしてその前後は、免許はあとは失効したまま更新手続がとられていない、そして前の期間は免許を初めからとっていないということでいいですね。
  332. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 免許の更新をしなくて、いわゆる期限切れで失効しているのは御指摘のとおりです。前のほうにつきましては、実は東京都の台帳には、第一回の免許が先ほど申し上げたようなことになっておりますが、三十九年までは登録という制度がありまして、登録につきましては全然わからない次第です。
  333. 野末陳平

    ○野末陳平君 登録が全然わからないとなりますと、その以前の段階では無免許なんですか、それとも有免許なんですか、宅建法にいう免許について。
  334. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 法律の改正によりまして、登録から免許に切りかわったわけですが、免許の時代には、先ほど申し上げた免許しか持っておりません。登録を持っていたかどうかは、書類がありませんので、現段階ではわかりかねる実情です。
  335. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは、いずれかにしても更新をしていないというところに焦点を合わしただけでも十分違反の事実は明らかなんですから、この表をあらためて見ていただきたいと思います。つまり、もぐりだと思います。現在室町は、昭和四十五年以降、新星企業は四十四年以降は無免許ですから、もぐり不動産業者ですね。そこでこれを見ていただきますと、(資料を示す)この期間が免許があったわけです。そこで売買、新星企業がこれですね、売り買いやっていますね。室町産業は売りと買いをやっていますね。いずれにしても免許を持たない期間において、免許を持たない機関によって買って売っている、不動産を。ということで、明らかにこれは私は宅建法に違反していると、こう断定したいのですが、建設省の見解はどうですか。
  336. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 無免許営業であるかどうかは、まず宅地を売買したかどうかという点と、それからもう一つ、業として行なったかどうか、具体的に申しますと、不特定多数のものを相手としまして反復継続的に売買を行ないまして、それが社会通念上業と認められるに至っているかどうかという両方の点を調べなければならないと存じます。前回、計画局長から答弁申し上げましたように、その辺を含めまして目下建設省におきましても実態調査をいたしておる段階でございます。
  337. 野末陳平

    ○野末陳平君 その調査についてはあとでお伺いしますが、まず二点、宅地かどうか、業かどうか。宅地です。宅地ですからこれはあとに、論議しないで置いておきます。そして、宅地の解釈はそちらで宅建法の解釈と登記面における地目の解釈とどちらをとるのかは知りませんが、いずれにしても宅地ですから、業としてどうかという点をまずお聞きしたいんです。  そうすると、この二つのそれぞれの両者のこの二つの例を見て、そちらでは業と思われているんですか、それとも業でないと思われているんですか。調査過程でもうとっくにおわかりでしょう、これ二つ。
  338. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 調査は目下中間段階でありまして、まだ私どもとしましては最終的に心証を得てはおりませんが、宅地を売買したからといって直ちに無免許営業ということはできないのは先生指摘のとおりでありまして、具体的に申しますと、何か資金繰りの都合で別の用途に買うつもりであったものをあとで手放したということもありますので、いずれにしても実情の調査をいたしませんと、現段階では直ちに無免許営業と断定するには至っておりません。
  339. 野末陳平

    ○野末陳平君 あんまりかばうとあとでぼろが出ると思うんであえて言っておきますけれども、じゃ建設省は、室町産業新星企業のこの土地売買、宅建法に違反かどうかということを調べるのに相当な自信がおありのようなんですけれどもやっているんですか、ちゃんと。やれてますか。事実、やれる会社ですか。
  340. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 無免許営業が横行いたしますことは消費者保護のために重大な支障がありますので、現に無免許営業の疑いのある会社につきましては、その実情を調査するのは建設省といたしまして当然の責務と考えております。目下、鋭意調査をいたしております。
  341. 野末陳平

    ○野末陳平君 鋭意じゃない、だからやれている自信があるのかと……。  じゃ建設省はおそらく自信がないと思います。できないと思います。やりたいとは思っても建設省独自の立場ではここの責任者に会えるわけもないし、土地売買の実態を前に洗ってやれないと思います。国税庁と相談すればできると思います。国税庁にはおそらくそういう土地売買のこまかい資料があると思うんです。こういう点だったら建設省が国税庁に相談して、違反の容疑があるんだから、あとで業か業でないかはこちらからまた議論出しますが、少なくもこうやってあるんだから、あなたがいま言ったように金繰りに困ったとかそういうことじゃなくて、土地の売買なんだから明らかに。だからこれがいま違反だと断定できないならば、国税庁と相談して調べたほうがいいんじゃないか。独自で調べても無理だろうということを言うんですが、こういう場合はどうなんですか。お互いに連絡を取り合って、われわれには守秘義務でも、国税庁、違反の容疑があって建設省も調べたいと言っているわけだ、しかしなかなか調べるのがいまむずかしいのは明らかなんですよ。そこで、国税庁としては税務上の資料を建設省だけに見せて、特にこれがいま問題になっている疑惑ですから、これは資料をお互いに融通し合うというか見せてもいいんじゃないかと思うんですが、これはどうなんですか。
  342. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私たち税務署職員が職務上知り得た秘密というものを漏らしてはならないというのは、政府部内においてもそういったことで私たちはやっております。ですから、よその官庁からそれを聞かれた場合でも、税務上の問題でありましたらわれわれとしてはお答えするというのはこれは拒否しております。もちろん刑事訴訟法には、国家公務員が職務を執行するにあたって知り得た違法な事実は、これは司法関係に通報しなければならないという規定がございますけれども、私たちが知り得た事実、税務上知り得た事実について建設省のほうから聞いてきても私たちとしては回答するのはお断わりしているというのが従来からの慣例でございます。
  343. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、違反の容疑があってこれをもっと調べたいんだと言っていてもやっぱりそれは守秘義務でそれ以上調べさせない、協力できないということになりますと、これは違反容疑野放しで、野放しでも税務署としては金だけ取っていればもういいので、ほかの役割りは全然しないんだと、特にこういういま国民疑惑になっている問題に関しても、国税庁はそういう立場をとり続けるのですか、もう一回言ってください。
  344. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それは非常に微妙な問題でございますけれども、国税当局の立場といたしましては、たとえ違法な経済行為であっても、あるいは違法な取引でありましても、実質的に所得がそこで発生しておりましたら、その所得が発生しているという事実に基づいて課税をすべきであるし、また、それをもって私たちの仕事といいますか責任は果たせるという考えでやっておるわけでございます。ですから、これはちょっと余談になりますけれども、たとえば詐欺によって得た所得であるとか、あるいは横領によって得た所得というようなことになりましても、一応その段階におきましては、所得がそういった犯人に帰属しておりますので、その段階においては私たちは課税をするという主義でやっておりますので、やはり、ある面においては、現在その新星企業あるいは室町産業が宅建法違反の商行為であるかどうかはそれは私たちの所掌するところではございませんでわかりませんけれども、その免許有無あるいは無免許営業の有無にかかわらず、そこに課税所得が発生しておれば私たちはそれを課税していく、そういったかっこうで処理しております。
  345. 野末陳平

    ○野末陳平君 それではもう一度建設省に話を戻しましょう。違反容疑があっても、これはもう国税庁がその協力すらできないとなれば、われわれに資料を出さないのはあたりまえだと、あきれてものが言えなくなりますからね。  建設省、さっき業か業でないかと、宅地の問題は宅地ですから解決したことにして、あとでもし不審ならお調べになればいいんですが、業か業でないかということを、継続反復ということばも使われましたが、この新星企業室町産業に関する限り、業なんですよ。土地売買はこのほかにもありますからね、まあありますけれども、とりあえず二つずつ出したわけですが、なぜ業かというと、まずこの会社は、営業目的に不動産売買をはっきりうたっておるということですね。そうして免許をとっている、現実に。とって営業したときもある。そうして、更新するに際してそのままにしておりながら、失効している間でも営業目的はちっとも変えていない。しろうとがあるいは何かの都合で土地を一回か二回売ったというのとはえらく違うのです。明らかに業としてやっていたその延長でもってやっている、あるいはそういう性格でつくられた会社が売買している。これでも業でないんですか、どうですか。ちょっと見解を、簡単に。
  346. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 定款の目的につきましては、定款に記載されたことをもって直ちに無免許営業とすることはできないと考えておりまして、むしろ建設省の取り扱いといたしましては、免許を受けるときにはあらかじめ定款を改正して、土地取引を営業目的として入れてくるように指導いたしております。
  347. 野末陳平

    ○野末陳平君 何だかさっぱりわからないですな。  じゃ聞きますが、宅建法における業というのは一体何なんですか。継続反復といいますが、安い大衆的な商品を売るんだったら継続反復はありますよ。土地なんというのは一つの物件がまとまれば億の単位で動くときが多いんですよ。そうなりますと、午前中の質疑政務次官は、会社の定義を言った場合に、何年間で一つ大きな取引をしても会社だというようなことをちょっとおっしゃいましたが、それと同じ意味で、土地なんというのは一つか二つまとまったって、もうこれは業としてやっているという場合が多いんですよ。そういう意味で、あなたがさつきから業か業でないかということでしきりと力説されますが、宅建業法における業とは一体何なんですか。土地売買の回数で言うんですか。金額で言うんですか。それとも何か業の定義があるんですか。それをちょっと言ってくださいよ。
  348. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 業か業でないかの判定につきましては、回数のほかに、たとえば買い主をどういう形で選んだか、広告をしたかどうか、仲介業につきましては、報酬をもらったかどうかというような点を総合的に勘案いたしまして、消費者保護の観点からきめるものでありまして、数字をもちまして、これだけやれば業だというふうには考えておりません。  それから、ただいまの御質問に直接は関係ありませんが、私どもは業でないという予断をもって調べているのではもちろんありませんので、先ほど申し上げましたように、調査は、非常に順調にいっているとは申せませんけれども、私どもとしてはベストを尽くして調べておりますし、これからも一そう努力いたしたいと思っております。
  349. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は、少なくも無免許で、もぐりでもって土地の売買をしていると言っているわけで、単純なことを言っているんですが、ただこの解釈が、そちらは業でないと言うわけで、これが業でないと断定できる理由をわかりやすく説明してください。私は、業であると言って、いままでのいろんな解釈をここで出したわけですから、あなた、それに対してなかなか納得しないんだから、無免許期間に土地の売買をやっている、これは業でないならばその理由、断定できる理由を説明してください。
  350. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) 私は業でないとは毛頭断定いたしておりません。業であるかどうか、なお実態調査をいたしませんといまの段階で業だと断定することはできないと申し上げているわけでございます。
  351. 野末陳平

    ○野末陳平君 いまの段階でできなくても、調査が順調にはいっていないわけです。おそらく、順調にいかないどころか、全然できないし、やる気になっても全くできないのがあたりまえだと思います。これは建設省じゃ無理だと思う。しかし、国税庁もそれに参考になる資料も出さないとなれば、明らかにそこで、業でない、業であるという解釈をめぐっているうちに、うやむやにされるおそれがある。  そこで、今度は警察庁に聞きます。一体、宅建業法の違反でもって——いままで幾つかあると思います。しかしながら、それは被害者からの訴えあるいはトラブル、そういうものに基づいて、無免許というものが発覚したという例が多いんだろうと思います。しかし、この免許事業においては、被害者のトラブルあるいは訴えがなくても、無免許で営業したという事実の疑いが少しでもあれば、これは当然警察としても調べる対象ではないかと思います。無免許運転、無免許で運転していて事故を起こしたからいけないんじゃなくて、無免許で運転しているところを発見すれば、明らかにそれは違反で、取り締まりの対象になっているわけですね。いま業であるか業でないかは別として——私は業であると思いますが、警察の判断でこれを調べると、早急に調査すると、無免許のもぐり営業という点で。そういう意思はありませんか、いままでの話で、当然そちらのお考えがきまると思うんですが。
  352. 四方修

    説明員(四方修君) 警察庁が悪質な宅建業法違反について、かなり真剣にその取り締まりに従事しておることは、先生も御存じだと思います。ただ、宅建業法のみならず、一般の行政法規の違反につきましては、警察の基本的姿勢は、あくまでもその行政法規の目的の実現が使命でございますので、関係の行政機関において適切な措置がとられると、それを待って、特に法律の目的を阻害しておるような悪質な事態について警察が乗り出すというのが実態でございます。  いま御比較がございました道路交通法の免許につきましては、道路交通法自体は、これ警察が所管をいたします法律でございまして、したがって、御存じのような運営をいたしておるわけでございます。で、御質問室町産業あるいは新星産業の宅建業法の、無免許の宅建業という問題につきましては、ただいま所管の建設省のほうからもお答えがございましたけれども、われわれは関係機関の調査の結果を待つとともに、十分その実体を把握をいたしまして、警察が処置すべき実体があれば、これはいままでわれわれがやっております宅建業法違反の措置と同様に処置をしていきたい、このように考えております。
  353. 野末陳平

    ○野末陳平君 建設省の結論が出なくてもぼくはやれると思うんですよ、宅建業法というのがあって、そこにはもぐりで営業しちゃいけないと、こう書いてある。もぐり業者がいるということが、すなわちその業界の秩序が乱れる、あるいは消費者に迷惑を及ぼすとかいうことになるわけですね。だから、あなたの解釈でいきますと、もぐりをやっていても被害を与えなければいいような、つまり、この法律の趣旨に反しなければいいような、そういうふうにもとれますが、この宅建業法というのは、もう建設省も御存じだと思いますが、購入者等の利益の保護なんということもうたってはおりますが、少なくもこの「業務の適正な運営」乙か、「宅地及び建物の取引の公正」とか、そういうものを目的にうたってるんですよ。そういう目的のもとに、もぐり業者が売買やっているということになったら、建設省がどういう結論を出そうが、警察だってやらなきゃいけないというふうに考えるわけなんです。しかも、いままでお聞きのように、建設省やると言っているけど、やれないんです。やれないほど、これがふかしぎな会社なんですよ。ですから、今度は警察がこの容疑でもって調べ始めりゃ、今度は国税庁に対してだって、資料を見て、それを参考にして、さらにこの違反容疑が業であるか業でないか、不動産売買の実体か、私がいまあげた、一社か——二つずつあげましたが、まだ三つも四つもありますよ、それを明らかにできると思うんです。警察庁の立場ならできると思うんです。ですから、ここで、少なくもあげたんですから、もぐりであるという実例を。これでもまだ全然動けないんでしょうか。
  354. 四方修

    説明員(四方修君) ただいまお答え申し上げましたとおりに、関係機関の調査が全部終わるまで何にもしませんとは申し上げていないわけでございます。そういうものもあわせて参考にしながら、われわれのほうでこの両産業の実体が、無免許の宅建業法ということになるのかどうか、もしもそういう結論が出れば、もう当然われわれのほうで調査をやらなきゃだめだと、そういう前提で十分調査をしていきたいと、このように考えておるわけでございます。
  355. 野末陳平

    ○野末陳平君 それは困るんだな、建設省だって自信がないんですよ。だから、自信がないから、私は警察庁にもお願いして、できる立場の人がこれをやらなければだめだと、こういうことを——これは小さいことなのかもしれないけれど、これ一つ解決するだけでも、この田中総理大臣に関する疑惑が部分的にほぐれてくる重要なかぎの一つなんですよ。  国税庁に伺いますが、警察または検察庁とかいうところから、司直から資料の要求があった場合は、これはもうどんな資料でも当然出せるわけですね。
  356. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 普通警察のほうから資料要求がございますときには、刑事訴訟法の手続によりまして、われわれのほうに資料照会がございます。そのときには当然その資料提出はいたします。
  357. 野末陳平

    ○野末陳平君 だから、これは資料を手に入れて、実体を調べることができるのは警察庁だけなんですよ、はっきり言いますが。業か業でないかという解釈は、回数がふえれば、もう完全に業にきまっているわけですね。しかも税務上の業として、ちゃんと税務署に対する資料には営業として申告所得をあげてるんですから、これ建設省がこれ以上調べられなくても、もう明らかに疑いは濃厚なわけです。私があえて断定しているのは、このままではどこも調べない、違反が容疑のままで終わって、うやむやにされるおそれがあるから、あえて、警察庁に来ていただいてるんです。  重ねて聞きます、建設省、一生懸命に調査するとおっしゃってるが、ほんとうのところ調べる過程で困ってませんか、最後まで調べられますか、あるいは責任者——どんな責任者に会って、不動産売買の実体を、宅建業法との関係において調べていますか、具体的にほんとうにやっていますか、やれますか。
  358. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) お察しのとおり、必ずしも円滑に調査が進んではおりませんけれども、ただ具体的に、いまどういう形で調査をしているか、今後どういう調査をするつもりであるかというのは、今後の調査にちょっと差しつかえますので、その答弁は控えさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、無免許営業が現実にあるということになりますと、業法を所管する建設省といたしまして、当然実態調査をしなければならないわけですから、今後とも鋭意努力いたしたいと考えております。
  359. 野末陳平

    ○野末陳平君 時間切れになってきたようですからもう言いませんが、いずれにしても建設省あるいは国税庁、それだけにまかせておいても全然だめなんですよ、こういう田中総理大臣に関する疑惑は。各省庁が連終をとり合って一つの違反容疑があって、これはどう考えてもほっとけないという立場で協力し合う形をとらなければ、いつまでたってもこの問題は国会で同じようなことをぬらりくらりとやって時間をロスするだけですよ。ですから建設省の立場で言うと、あなたが幾らがんばっても無理なんですから、建設省ががんばっても無理なんだよ、ほんとうの話。責任者がいない会社なんですから。あるいはあなただって会えない会社なんですから。そこで警察庁も協力する、国税庁も警察庁の依頼があれば資料を出す。連携プレーをとってこの問題を何とか、こういうわかりやすい問題を、これはモラルの問題でも何でもない、違法であるという問題ですからね。そして、業であるか業でないかという解釈はこれは回数になるか金額になるか知りませんが、常識的に億の単位の不動産が売ったり買ったりされる。どういう相手に売られているかを考えれば、明らかに簡単に業であるという結論は出ると思うのです。連携プレーをしなかったら出ないんです。政務次官、これは連携プレーをとれるように大蔵政務次官としてはそういう立場でもってこの問題に取り組んでいただかないと、われわれが幾ら国税庁にそういう資料を出せと言ってもだめなんです。室町産業新星企業、全く資料が出てこない。となれば、やはりわかりやすいところから少なくも違反の容疑——私は違反であると断定します。常識的にだれでも断定できると思うのですが、その辺のいまの私があげた違反容疑について協力する立場で連携プレーをとる、ひとつその旗振りを大蔵省がやらなければだめだと思うのですよ。どうですか、これは連携プレーをしなければ解決しない問題ですが、やはり国税庁の仕事はここまで、建設省はここまで、建設省が結論を出せば警察は動く、こういうようななまぬるい、国民をおこらせるような、そういうやり方でこの田中総理疑惑にこれからも取り組んでいくのですか。それ、はっきりしておいてくださいよ。
  360. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 税法上の守秘義務を、必ずしもそこまで使わなくとも、これが営業として行なわれているかどうかということは、他に調べる方法もありますし、これはもちろんこの問題の一環のものとして、全部を国民の前に疑惑を晴らさなければなりませんので、われわれとして法律上許される問題について、あるいは御協力できる問題についてはやはり一致協力してこの調査に当たりたいと思います。
  361. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあやってくださいよ。こういうもぐりの不動産業者が横行しているというか、堂々と、いばって仕事をしていて、それが一国の総理大臣と深い関連があるなどということを、これ以上何も手が出せない、調査すら十分にできない。これは日本は法治国家じゃないですよ。法律がどうのと政務次官は言ったけれども無法国家だ、これじゃ。警察庁にもあらためてお願いしておきますよ。もし必要なら、私はこのほかの事実も出しますよ、土地売買の。そうして建設省と警察庁が、業であるか業でないか判断して、早急に調査してくださいよ。少なくも警察庁はこれの即刻調査に動き出すべきだと私は思うので、それを最後に聞いて終わります。
  362. 四方修

    説明員(四方修君) 通常警察のほうで行なっております無免許の宅建業法違反の場合は、その他の宅建業法違反の場合とも同様でございますけれども、被害者の申告に基づいてやる場合がほとんどでございます。実際に現実に検挙いたしておりまする無免許の宅建業の場合には、非常に多くの被害者が出ておりまして、土地の売買等も短い期間に相当な件数が行なわれているというのが通常でございます。今回の御質問の点につきましては、ただいまお聞きした限りにおいては私たちもすぐには判断できませんけれども、それがいままでもやっております無免許の宅建業と同じような状態で行なわれているのかどうか、警察といたしましても十分調査をして、警察としてのとるべき措置についてはできるだけ早く結論を出したい、このように考えております。
  363. 野末陳平

    ○野末陳平君 わかりました。もぐりを野放しにしている、宅建業法に違反しているという点で、被害者は国民です。だから被害者の申告がなければというなら、私が被害者として申告しますから、これによって調査していただきたいと思います。そういうふうに思います。お願いします。
  364. 前川旦

    委員長前川旦君) 他に御発言もないようですから、本日はこの程度といたします。  次回の委員会は明十五日午前十一時から再び大蔵省関係を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      —————・—————