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1974-11-08 第73回国会 参議院 決算委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月八日(金曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————    委員異動  十一月七日     辞任         補欠選任      内藤  功君     上田耕一郎君      喜屋武眞榮君     野末 陳平君  十一月八日    辞任          補欠選任     向井 長年君      田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前川  旦君     理 事                 鈴木 省吾君                 橋本 繁蔵君                 小谷  守君                 田代富士男君     委 員                 岩男 頴一君                 遠藤  要君                 河本嘉久蔵君                 木内 四郎君                 世耕 政隆君                 寺下 岩蔵君                 永野 嚴雄君                 温水 三郎君                 久保  亘君                 工藤 良平君                 小山 一平君                 佐々木静子君                 須原 昭二君                 和田 静夫君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 加藤  進君                 田渕 哲也君                 野末 陳平君    国務大臣        建 設 大 臣  亀岡 高夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        国土庁長官官房        審議官      向井  清君        国土庁土地局長  河野 正三君        国税庁調査査察        部調査課長    篠原 忠良君        国税庁調査査察        部査察課長    村山  進君        気象庁予報部長  柿崎 英一君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省河川局砂        防部長      谷   勲君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治省行政局選        挙部管理課長   山本  武君        会計検査院事務        総局第一局長   高橋 保司君        会計検査院事務        総局第三局長   本村 善文君    参考人        住宅金融公庫総        裁        淺村  廉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和四十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十七  年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣  提出) ○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十二回国会内閣提出) ○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十二回国会内閣提出)     —————————————
  2. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨七日、内藤功君及び喜屋武眞榮君が委員辞任され、その補欠として上田耕一郎君及び野末陳平君が、また本日、向井長年君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 前川旦

    委員長前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省とそれに関係する住宅金融公庫決算について審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前川旦

    委員長前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめてください。   〔速記中止
  5. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 工藤良平

    工藤良平君 私は建設省関係決算につきまして、ただいまからいろいろ御質問をいたしたいと思いますが、特に先般の多摩川堤防決壊と関連をいたしまして、全体の河川管理の問題につきましていろいろと御質問をいたしたいと思っているわけであります。特に私は九州でございまして、災害の常襲地帯に育ってまいりました。特に私どもの場合、二十八年の六月災害を契機といたしまして河川そのもの管理、そしてまた河川ダムとの因果関係、こういうようなことから特に水の問題については強い関心を示してきたところであります。そういう意味合いから、私はこの多摩川堤防決壊というものが、今後日本災害における、特に河川管理の問題について重大な関心を払わなければならないと思いますので、その点でお聞きをしてまいりたいと思います。  まず多摩川災害実態でございますけれども、私どもといたしましては、新聞その他によりましてかなり承知はいたしておるつもりであります。私は一昨日も現地をずっと踏査をしてまいりまして、その実態というものも見てまいりました。そこで概略この多摩川災害特徴といいますか、災害実態、その点について建設省から御説明をいただきたいと思います。
  7. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  先般の多摩川災害についての実態はどうかというお話でございますが、現在の多摩川計画は、昭和四十一年度に工事実施基本計画という姿におきましてきめられたわけでございますが、この計画高水流量は従来のままの最終計画を踏襲しております。これは明治四十三年八月の既往最大級出水ということを対象にいたしまして、下流基準点石原におきまして毎秒四千百七十トンというものがきめられたわけでございますが、その工事実施基本計画のままに現在ずっと改修計画を進めてまいったわけでございます。しかしながら、先般の多摩川災害はこれを上回る洪水が出たわけでございまして、いま先生がおっしゃいますような計画の面におきましても管理におきましても、いろんな面の教訓といいますか、そういうものに遭遇したわけでございまして、今後こういうことのないようなやはり計画を改定すべき段階ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  8. 工藤良平

    工藤良平君 これから具体的に私いろいろお聞きをしてまいりたいと思いますけれども、この多摩川水系水害防止目的を含めましたダムが幾つございますか。その規模、建設の時期等について御説明いただきたい。
  9. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 現在多摩川水系におきましては洪水調節目的としたダムはございません。ただ今後の計画にあたりましては、一、二こういう計画を再検討しようということで検討しておりますけれども、まだ具体的な地名その他はきまっておりません。
  10. 工藤良平

    工藤良平君 もう一つ聞いておきましょう。多摩川河川総合開発事業調査費ということで予算がこの四十九年度に出ておるわけですが、過去こういう予算がついておったかどうか。四十九年度は実際にこの予算が約二千二百万ばかりついてるんですが、これはどのような調査をなさってきたのかお伺いいたしたいと思います。
  11. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 何年からこの予算がついたかいますぐお答え申し上げられませんが、あとから調べてすぐ御報告いたしますけれども、各河川におきましては、重要河川におきましては、いわゆる河川総合開発調査というものが一般になされておりまして、将来の大きな洪水あるいはまた大きな利水事業、そういうものを勘案いたしまして、広い意味でこういう調査をやっておる、その一環だと思っております。
  12. 工藤良平

    工藤良平君 そこで、まずお聞きをしてまいりますが、この計画高水流量、いまお話しによりますと、明治四十何年のデータを基準にいたしましてつくられたということでございまして、それをもとにした多摩川河川管理というものが行なわれてきたようでありますけれども現実に今回の降雨量が予定されておりました計画高水流量の毎秒四千百七十トンというものをオーバーをして四千三百トンという高水量があったと。したがって、このような欠壊が起こったというような印象を受けるわけですけれども現実被害のありました特に狛江市の欠壊地点被害状況というものははたしてそのようなことなのか。他に河川の施設その他によりまして、それが原因として起こってきたのか、その点についての特徴としてどのようにとらえているかお聞きしておきたい。
  13. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま先生がおっしゃいますことが一番私どもも重大な、技術的な観点からしても大切なことでございますので、関東地方建設局を含めまして技術委員会をいま設置いたしまして、現在第四回までの検討がなされて、その辺をいま究明しつつあるわけでございます。
  14. 工藤良平

    工藤良平君 これはまあ、特に狛江市のあの被災地点については別途委員会等の設置をいたしましてこまめに検討しておるようでありますから、私もここではその詳細のことについては触れたくありません。その結論を見ていろいろ論評してみたいと思うんですけれども、私も現地に入ってみまして、なぜこんなところでこんな被害が起こったのだろうかという印象を非常に強くするわけであります。しかも水は、建設省の発表でありますけれども、毎秒四千三百トンという水が流れたということでありますけれども、まだ正直申し上げまして堤防にはかなり余裕があった。そうすると、言っておりますように、取水きが原因であるとするならば、これはすでにかなり以前から建設をされておりました取水ぜきでありますから、当然それを配慮に入れた河川管理というものが私は本来の管理のしかただと、このように思っているのですが、その点についてどうですか。
  15. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、こういうような河川を横断いたします構造物は橋といわず床どめといわず、せきといわず、すべて治水上はやはり障害物一つでございまして、こういう工作物につきましてはそのつど遺憾のないような、治水上支障のないということに限り許可されてつくられるわけでございまして、そういう意味治水利水と併用する上におきまして十分な調査をしておくことが、また管理することが最も河川管理上重要なことと考えております。
  16. 工藤良平

    工藤良平君 ある一説によりますと、あるいは学者あたりの中にも、この利水というものと治水上からいう安全性、その一体どれをとるのかという極端な議論があるようでありますけれども、私はやはり多摩川が今日まで地域住民に与えた利水上の利点というものは、これははかり知れないものがあると思います。  ですからこの取水ぜきは、十何本の取水ぜきがありますけれども、これを除いた多摩川治水というものは全く考えられないと私なりに判断をするわけです。そういたしますと、これはやはり多摩川利水というものを相当重点に置きながら河川管理を考えるということが本来の多摩川のあり方だと私は思います。ところが今日の決壊というものは、もちろん一番ひどいのは狛江のあの地点でありますけれども現地に入ってみますと、五十数カ所のやはり決壊個所がある。もちろんそれは決定的な決壊ということではありませんけれども、そういうものがきっかけとなって大きな災害を引き起こすということになるわけでありますけれども、その点についての全体的な一体多摩川河川状態をどう把握しているか、その点について、私はきわめて重要だと思いますからお聞きしておきたいと思います。
  17. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 今回の多摩川災害につきましては狛江市のところだけではございません。おっしゃいますように今回の台風十六号によります災害は、支川の浅川を含めまして五十一カ所、この災害額は三十四億八千五百万という災害を受けておるわけでございます。おっしゃるとおりでございまして、全体についてやはり多摩川につきましては全線の見直しといいますか、そういうことになっている現状は私ども十分わかっておるつもりでございます。
  18. 工藤良平

    工藤良平君 どうも河川局長と話がかみ合わないですけれども、それでは具体的にさらにお聞きをいたしますが、さっきお話がありました計画高水流量を上回って毎秒四千三百トンの実は最大高水量があった。したがって、こういう被害を発生したんだということでありますけれども、それではその毎秒四千三百トンというのはどの地点における最大高水量でありましたか。
  19. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 現在の多摩川計画基本は、先ほど申し上げました下流基準点石原という地点でございまして、ここで計画が四千百七十トンということでございまして、ここには水位流量のいろんな曲線が過去の記録からできておるわけでございまして、そういうことから現地におきましては、その水位その他を参考にいたしまして四千三百という数字を発表させていただいたわけでございます。
  20. 工藤良平

    工藤良平君 そうしますと、この四千三百トンの高水量と地域的な雨量関係、さらに各地点最高水位等からいろいろ判断をしてみますと、今回の多摩川水害特徴というものが私はある程度つかめるように思うわけであります。そこで、これは関東地方建設局からいただきました資料でありますけれども雨量と、それから各地点における最高高水位の時間的な因果関係というものを拾ってみると、私は今度の特徴というものがほぼつかめるのではないかと、このように思っておるのですが、その点についてどのように理解していますか。
  21. 増岡康治

    説明員増岡康治君) そのとおりでございまして、私どもも現在続行しております調査結果を非常に大切に今後考えようと思っております。いま先生がおっしゃいましたように、今回の出水というものは、まず一つは、小河内周辺におきまして四百六十七ミリという記録があったわけでございます。それで過去の明治四十三年あるいはまた昭和二十二年の洪水あるいは今回の洪水と、雨のことから考えますと、明治四十三年におきましては二日雨量が三百二十四ミリと想定されております。それから昭和二十二年では二日雨量で三百三十七ミリと、今回の二日雨量だけをとりますと、三百六ミリということでございます。だから二日の雨量というものから比べれば、計画対象になりました明治四十三年あるいは昭和の二十二年に比べ若干下回るんですけれども、なぜ流量が多くなったかという問題が一つ特徴であろうと思います。したがいまして、雨の降り方につきましては、昔の資料は非常にどういいますか、現在ほど正確ではございませんけれども、やはり流域開発の問題だとか、あるいは洪水が早く出てくるとか、いろんなものを勘案いたしまして、同じ雨でも流量は多くなってくるという現象がおそらく解析の結果も出てくると思いますし、また、いままで私どもが本省で仕入れた記録におきましても、そういう事実があるようでございます。そういうのがいまおっしゃいます一つ特徴であろうと思っております。
  22. 工藤良平

    工藤良平君 さっき私お聞きをいたしましたときに、ダム関係をお聞きしましたけれども上流には小河内ダムがありますね。これはもちろん全く利水目的にしたものでありますから、洪水調節ということにはなっておりません。しかし、やっぱりこれはもちろん関係がないとは言えないと思うんですね。それから日原、それから秋川ダム、これについては全く多摩川とは関係がないわけですか。私も現場を見ておりませんけれども資料建設省からいただいておりますけれども
  23. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 直接洪水関係から見ますと、関係ございません。ただ小河内につきましては、もう少し詳しく申し上げさしていただきますと、これは利水ダムでございますけれども、今回の多摩川出水にあたりましては河川管理者のほうからいろいろとそのつど要請いたしまして、流す流量については指示をいたしまして、そのとおり実はやっていただいたと同時に、特に大臣のほうから今後この利水ダムについても洪水調節機能をふやすようにしろという強い指示がございましたので、実はこの小河内ダムにつきましても現在以上に洪水調節容量をとるような検討を現在しておるわけでございます。
  24. 工藤良平

    工藤良平君 いま御説明ありましたように、私も今度の洪水にあたっての小河内ダム調節の内容をつぶさに検討してみました。もちろん、この洪水に入りますまでに、予報が出る前に、大体総貯水量一億八千四百五十五万トンのうち、一億七千五百六十五万トンという状態でありましたから、九十何%という貯水量洪水の直前に持っておったと、余裕が約八万トンあったようでありますから、その段階でこれの調整をやってきたと、したがって最大流入量放流量最大を比較いたしますと、ほとんど、若干は流入量のほうが多かったけれども、どうにかダムとしてはその機能を果たしたということで、私も所長以下非常に努力をされておることについては敬意を表したわけです。  ただ問題は、今回の場合には雨が下流から降ったと、逆に上流から雨が降ってくればこれはもちろん今度の災害をさらに大きくしたと、これは非常に私、今度の災害特徴として、下流から降ってきたということが幸いをしたように思っておるわけでありまして、その意味からいたしますと、この小河内ダムがいま東京都の利水関係においては、利根川の調整的な役割りをきわめて大きく持っておるというようなことからいたしましても、私は、今後この災害調節につきましても配慮するということが非常に必要だと思うのですが、ただ今回の災害ダムという因果関係よりも、むしろ中流地域雨量というものが非常に集中的になされてきたし、この中流地域河川なり、あるいは流域状況変化というものについて、やはり今後の河川管理の上からは非常に重要な問題点を私は提起しておるように実は分析をしておるわけであります。  たとえば今回のこの多摩川の各地点における最高流量というものを見てみますと、たとえば一番下流でとっております田園調布、これは下流から十三・四キロであります。これは狛江のもっと下流になるわけですね。ここで警戒水位になった時間と、それから最高水位になった時間、それから石原警戒水位とさらに最高水位、それから日野橋警戒水位最高水位と、それから調布橋警戒水位最高水位というものを比較をしてみますと、やはり中流地域が比較的早く警戒水域に達し、しかも最高水位もかなり高い最高水位が出ていると、こういうような理解が出てまいります。  そこで私は、これは新しい問題提起でありますけれども、さっき河川局長お話しになりましたこの多摩川治水計画明治四十三年のそれをもとにして行なわれているということでありますけれども、やはりこれからの河川の基礎的な検討をやる場合にまず必要なことは、河川流域変化ということ、このことについて建設省としてはどのように理解をしていらっしゃるか、このことを配慮しなければ私はたいへんな事態が起こると思うのですが、その点についてお伺いをいたしたい。
  25. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 従来の日本直轄河川といえども既往最高洪水対象にしてきめた計画がございます。こういうさなかにありまして、最近の流域の変貌にどう対処するか、あるいは従来の都市集中が予想されるものをどうするかというような観点が非常に計画中心課題になりまして、多摩川におきましても、実は一年前からこういう解析を始めたわけでございまして、将来の予想される開発状況といいますか、こういうものを想定いたしまして、それと同時に過去の蓄積されました雨の降り方といいますか、そういう水文的なものもいろいろとやりますと、どういう場合が最もあぶないというようなことが起こるわけです。たくさんの支川が集まって一つの本川になるわけでございますので、そういう水文的な研究とあわせまして、将来どの程度まで開発されるであろうかという問題を想定いたしまして、まず雨をきめます。現在の多摩川の四千百七十というのはいまから計算しますと五十年に一度ぐらいの確率になります。まあ計算方法によってはいろいろありますけれども、大体オーダーとすればそういうことであろう。そういうことでございますので、私どもは今回の多摩川の雨の降り方、水の出方、そういうものがあるいはまた現在における流域開発状況あるいは今後の開発状況、昔はいかがであったか、この三段階ぐらいに分けまして、実は計画を至急まとめたいという作業を現在やっておるわけでございます。
  26. 工藤良平

    工藤良平君 私はこの河川流域変化ということをさっきから申し上げておるんですが、それは特に水田の持つ保水力、これは無視できないわけであります。よく私ども現実にぶつかるわけですけれども本流がまず一級河川として改修されていく。そうすると小さな河川が残ってまいります。逆に本流が完全によくなりますと、支川のほうに逆流してくるという現象がよく起こるわけです。これは河川改修の非常に矛盾だと思っているんですけれども、それはなぜそういうことが起こるかといいますと、従来やはり河川が全体的にまだ完備しておりません間は洪水が起こってまいりますと、それが遊水となって水田にたまっていく。それがかなり洪水調節役割りを果たすということが学説的にもいわれておりますし、日本全国水田に水をためた場合に一体どれくらいの水がたまるのかという計算まである学者はいたしております。私はこれは非常に洪水ということを考えた場合に、周辺流域変化というものはたいへん重大な私は役割りを持っておると思っておるんですが、いまのお話のように、明治四十三年から今日までの流域変化というのはたいへんなものであろうと思うのですが、そういうものを計算して河川管理をやらないとたいへんなところに実は大きな問題が起こる。今度の場合には狛江のこの地点だけで助かったわけでありますけれども、私は大きな問題だと思うんですが、そういう点についての基礎的な調査というものが現実にやられているのかやられていないのか、私はこれはたいへん大きいと思うんです。  それから、もし全国的に水田に水をためた場合に、なぞみたいなものでありますけれども、一体どれくらいの水がたまるか、計算をなさったことがございますか。私はある学者から聞いておりますが。
  27. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま先生おっしゃいましたとおり、山林の保水力、それから水田保水力、いろいろ私ども資料を読んだこともございますし、また研究所等におきましても、水文研究室でこのモデル調査もなされたし、また農林省においてもこういう調査をなされておる。まあいろいろ資料を勘案いたしまして、私どもはこの計画をやっていくわけでございますが、まあ卑近な例としまして、多摩川の隣の鶴見川が最も開発のテンポが早かったということで、先般計画の改定をしたわけでございますが、それが済んで、多摩川についてもこういう作業をやろうというさなかであったわけでございまして、こういうものがだんだんと宅地化されてきますし、また支川その他が改修されるとまた水が早く出るとか、実にたいへんなむずかしい問題をかかえております。そういうものを一つのモデルなり、いろいろのものから一つの算式を出しまして、みんなと協議しながら実は計画をきめていくという作業をやっておりますが、先ほど申し上げましたように、過去におきましては予算というものが大きなファクターな時代がございまして、予算流量といわれた時代がございます。したがって過去の既往最大をとにかくいかにつかむかという時代から、いまおっしゃいますように流域の変貌というものを主体にした計画に、現在全国の主要な川はすべてそういうことで作業を進めるような手法を用いておるわけでございます。
  28. 工藤良平

    工藤良平君 具体的に、もしわからなければわからぬでけっこうですが、たとえば多摩川流域水田が一体どの程度宅地として転用されているか。いわゆる水田以外に転用されているか。その影響はどのようになっているかということはお調べになったことがございますか。
  29. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 現在私の手元にございませんが、ちょうどいまこういう計画のさなかでございますので、こういうこともやろうじゃないかということで地建等にも指示してございますし、多摩川につきましても四十年から四十五年の間に流域の人口が八%ふえておりますけれども、試算は約二倍になるとか、いろいろなファクターのものさしがあるわけでございますが、そういうようないろいろなものさしといいますか、そういう洪水の流出に関係のあるものをできるだけ拾い上げてみようということでございまして、その中におきまして今回の多摩川出水というものが最も重要な役割りを果たすということで、今回の解析を含めまして、いまおっしゃるような問題まで突っ込みたいということで、いま全力をあげて勉強しておるわけでございます。
  30. 工藤良平

    工藤良平君 それと関連をして、今度の災害の際に取水ぜきが非常な障害になったということがいわれているわけですが、その計画高水流量計算する場合に、あそこに行くとわかりますけれども、やはり取水ぜきがありますから、かなり中州みたいなように堆砂が非常に大きいわけです。そうすると河床というものが高くなっております。それに合わせて堤防というものが補強されていかなければならないと思うのですけれども、あの地点でたしか十何カ所あります取水ぜきの一番堤の端からこの計画高水流量というものを計算をして、もちろんこの堤防というものは補強されておると私は思うのですけれども、その点はどうなっていますか。
  31. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 多摩川につきましては、いろいろ検討いたしましたあとわかったわけでございますけれども、いわゆる計画水位というものがございますが、これはあまりせきに影響のないような、わりあいちょっと高いところできめられておりまして、例の宿河原ぜきあたりのわずかな水位変化については、その計画水位のほうが上にあるものですから、そこまでシビアにそれを勘案して少し上に持っていったのではなかろうかと思いますが、詳細なことはわかりません。  ただ先生がおっしゃいますように、私どもは横断構造物があります場合には、いわゆるせき上げの計算をするわけでございまして、こういうものは必ず考慮に入れるということでございまして、全体の横断図にはなかなかそこまで表現できておりませんけれども、それを包絡するところで大体計画勾配といいますか、高水位の線をきめていくということでございますが、非常に影響が大きい場合はあそこで段差がついた計画があってしかるべきであろうということは十分私どもは考えておるわけでございます。
  32. 工藤良平

    工藤良平君 そこで、この問題についてはこれからの河川管理関係から、特に水域の変化、そういうものが重要になってまいりますので、この点については特にこれからの問題として、国土庁として建設省と十分な連絡をとって、そのような精密な国土の利用計画というものは進められていくのかどうか。国土庁来ておりますか。——その点はどのような構想を持っておりますか。
  33. 向井清

    説明員向井清君) お答え申し上げます。  先生御指摘ありましたように、国土の利用ないしは開発と自然災害の発生の問題は非常に重大な関連がある問題であるということは十分認識しておる次第でございますが、お話ございました国土利用計画の策定にあたりましても、この関連についての十分な配慮をするということは当然のことと考えております。それで国土利用計画におきましてどのような内容を盛り込むかということにつきましては、これからの議論になるわけでございますが、一つはっきりいたしておりますのは、やはり国土利用計画をつくります際の基本的な考え方というものははっきり確定しておこうということでございまして、そのうちの基本的な考え方の一つといたしまして、いま問題になっております自然災害の防除あるいは国土における市民生活の安全の確保ということについては非常に重く見ると、これをはっきり基本的な考え方の一つに据えるという方針であることは、これはまず間違いないところであろうと、このように考えております。したがいまして、いま御指摘ありましたような具体的な問題も踏まえまして、いろいろな調査関係各省との連絡等を密にいたしましてそういうような基本的な考え方を含めて国土利用計画というものを立てる、そのような方針になろうかと、このように考えております。
  34. 工藤良平

    工藤良平君 それではもう少し具体的な問題についてさらにお聞きをしたいと思いますが、気象庁おいでになっておりますか。今度の災害におきまして、私は幸いに上流地域のダム因果関係については上流の雨のほうが逆におくれたということから、その放流と下流の降水量関係が幸いにして一致しなかったというようなことから、かなり災害を防止し得たのではないかと私さっき申し上げたんですが、特にこのような河川につきましては予報ダム関係、あるいは予報と警戒体制の問題等、非常に重要になってくると思うのですが、今回予報が一体どういう時点で出されていったか、大雨注意報あるいは大雨警報ですね、その点についてまずお聞きをいたしたいと思います。
  35. 柿崎英一

    説明員(柿崎英一君) お答え申し上げます。  一応今回の雨は台風十六号が本州の南方海上を西進してきましたときに関東地方の西部から、三十一日の午後から夜に降り始めました。この雨はどういうぐあいに降ったかといいますと、われわれの解釈では、北海道方面から南下してきていました前線の末端がちょうど関東地方にひっかかっていたんですが、そこへ台風十六号があったかいしめった空気を運んで来たために降ったものである、そういうぐあいに解釈しております。そして、この台風十六号が向きを北に変えまして、土佐湾を目ざした八月三十一日の夜から九月一日の大体日中ですけれども、その辺にかけて関東の西部の山間部で雨が降ったわけでございます。  われわれはこれに対する警戒状況としましては、一応雨が降り始めまして、三十一日の午後から降り始めたのですけれども、三十一日の午後の七時四十分に大雨注意報を発表いたしました。この時点では小河内は約四十ミリの雨が降っていました。そのあと三十一日の十一時十五分に多摩地方だけですけれども、東京都全般を対象といたしますのですが、多摩地方だけに大雨警報と洪水注意報を出しまして、多摩地方以外には大雨注意報と洪水注意報、要するに東京都の付近なんですけれども、こういうぐあいに一応三十一日の午後の十一時十五分には多摩地方に大雨警報を出しております。そのあとまだ大雨が予想されましたので、一日の午前二時四十分に都全域に対しまして大雨警報を発表いたしました。それから、さらに大雨が続きそうなものですから、九月一日の午前十時四十分に大雨警報、洪水警報の内容を更新しました。大体警戒状況としましてはそういうような経過をとっているわけです。
  36. 工藤良平

    工藤良平君 現在の気象庁におけるこの予報の体制の問題でありますけれども、特に今回の場合私ども現地に入っていろいろと検討してみますと、たとえば大雨注意報が多摩地方でいまお話のように現地では十九時四十分に出されたということを聞いておりますし、大雨警報が二十三時十五分に出された。この降水量から推してみますと、すでに警報が出された段階でかなりの雨量があった、現地では、予報段階で。警報が出された二十三時前後にはかなりの降水量現地では把握をされておるわけですね。そういうものとダムの調整というものはきわめて重要な関係を持つのでありまして、この点について予報としてはもっと早く的確な情報というものが送れないのかどうか、この点についてかなりダム調節の上からいたしましても問題点が私は残るような気がいたしますので、その点についてもう少し御検討、御回答いただきたいと思います。
  37. 柿崎英一

    説明員(柿崎英一君) 大雨がいつどこにどのくらい降るかという予報というものは、いまのところなかなか的確には行ないがたいというのが予報の現状なのであります。しかし、われわれとしましては、やはりできるだけ早く正確な予報を出したいというのが当然なことでありますので、いろいろこの点について努力しているんでありますが、いまのところこういうもの——こういうものといいますのは、こういう大雨の量的なもの、そういうものに対しましてはうちの天気図からは大体のポテンシャルを判断いたしますけれども、最後にはやはりレーダーとか、それから気象衛星もありますけれども、そういうものを利用しておるわけなんです。しかし、それでもやはり不十分なものですから、ことしの十一月一日から正式の運用に入りましたけれども、地域気象観測網というものを展開いたしまして、それに基づいてとにかく、なかなか的確な予報はできない、あらかじめ雨の降らないうちから的確な予報はできないけれども、とにかく一応雨が降り始めてからかなりの雨量になるまでにはある程度の余裕があるものですから、とにかく雨が降り始めた時点でキャッチしたい、その雨量状況をキャッチしたいという意味で展開しました地域気象観測網、そういうものを計画しまして、ことしの十一月一日から運用になったのでありますけれども、いまのところは大体技術的なそういうような状況でありますが、この多摩地方に警報を出した時点では、われわれの持っております観測所の記録によりますと約百ミリをちょっとこえた、百二十ミリ前後の雨が降っていたようであります。  東京地方の大雨警報の基準というのは一応百ミリということになっておりますけれども、これは都市部を対象にして考えております百ミリでありまして、山では百ミリというのはイコール警報というふうには、予報官全般はそこまでは考えていない。大体そういうような状況でありますが、とにかく今後ともできるだけ早く的確な予報を出したいということは常に頭の中にあります。
  38. 工藤良平

    工藤良平君 それからもう一つ聞いておきたいと思いますが、これは建設省にお伺いをいたしますが、もちろん多摩川の場合には小河内ダム災害防止のためのダムではないということは私ども理解をしているわけですけれども、特に一億八千万トンという非常に大きなダムでありますから、これを運用についてはきわめて重要な困果関係を持つことはいまさら申し上げるまでもないと思うのですが、その際特にダムダム調節の連絡関係、この点については別に問題はないのか。特に現地に入りますと、たとえば放流の際には、河川敷にレジャーの人たちが相当量入っておりまして、それの管理のためにかなりの時間を要するというようなことも問題点として出ておるようでありますし、そういう点からいたしまして、連絡関係等に、警報等につきまして万全の体制がとられておるかどうか、その点についてもお伺いしておきたいと思うんです。
  39. 増岡康治

    説明員増岡康治君) ダム、貯水池と下流河川を守る河川管理者との間の情報連絡については、最近とみに上流ダム群ができましたものですから、非常に神経を使った連絡網を持っておるわけでございまして、治水ダム上流にあります場合は、これは当然な話でございまして、組織を持っておりますけれども、たとえそれが利水ダムでありましても、これはしょっちゅう会議をやりまして連絡網のルールをつくっておりますし、また一つ災害が出ましたら、豪水が出ましたら、また反省会をやるとか、いろんなことを実はやっておるわけでございます。今回の小河内につきましても、またこれが一つの契機になりまして、何時閲すれば下流に到達するのだろうかとか、いろいろ問題もありますし、また利水関係管理をなさる方々の言い分もいろいろありまして、この打ち合わせ会をやって新しい次の年度を迎えるためのルールをまた内々つくっておくと、そういうようなことをやりまして、先ほど申し上げましたように、小河内ダムにおきましても、もう少し予備放流してもらえないかというようなことで、最近大体きまると思いますが、ダム操作規程——私ども河川管理者の要望をいれて、千六百万トンぐらい予備放流をしようかというようなダム操作規程をいまきめようという段階に至っておるわけでございまして、先生おっしゃいますような連絡については、今後ますます重要なことでございますので、強化してまいりたいと思っております。
  40. 工藤良平

    工藤良平君 そこで全体的に河川管理の問題については多くの問題を私はこの多摩川は持っておるように思いますし、そういう意味合いからも本年度約二千二百万という管理の経費を計上して本格的な検討がなされるだろうと私は思っております。  ただ問題は、起こりました、特に狛江市の被害地点状態を見ますと、これは非常に特徴ですけれども、三十数時間にわたって家屋が流失していった、すでに水が引き始めた段階から、そういうような被害が起こっていったということ、これはやはり対策にいまひとつ私は重要な欠陥があったのではないかというように理解をせざるを得ないのですが、現地を見ましても取水ぜきからあの被害地点まではかなりの距離があるし、その間は逆に河川敷の利用が行なわれていたということから考えてみますと、起こったこと自身が非常に私はふしぎでならないんですけれども、もっと三十数時間の間に手だてはなかったのか、被害が最小限に食いとめられたのではないかというように、その当時の水の状態が、なくなった現時点とは状態が違うとは思いますけれども、いま現実に見てみますと、その点がどうもふしぎでならないわけで、特に対策について手抜かりがあったのではないかという疑問が持たれるわけですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  41. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま先生がおっしゃいますように、いまから思えばまだああしたいこうしたかったということは確かにそれはありますけれども、当時の状況といたしましては、水防団、その他の皆さん方の絶大なる御後援がございまして、水をオーバーさせなかったということでは実は一安心したわけでございますが、そのときは御承知のように相当の高水敷が逐次崩壊していったわけでございます。その間に水防団の招集も十分できましたし、そういうオーバーフローを防ぐ対策はみなできたわけでございます。残念ながらせきのために方向が横に走ったということで、これについては人力ではいかんともしがたいという状況になったわけでございます。まあ毎年私どもは豪水の出ます六月に総点検を実施してまいっておるわけでございますけれども、やはりそこまで見きわめ得なかったということが実態でございます。そういう意味で、今回は全国の現場の都道府県並びに地方建設局に対しまして、新しい意味の総点検を実施したというのもそのゆえんでございます。
  42. 工藤良平

    工藤良平君 これは単に多摩川だけの問題ではなくて、全国的に河川についてこのような状態がかなりあるのではないか。特に河川の施設等からいたしまして、このようなことが予想されますし、いまあらためて各河川の総点検というものをやる必要があるのではないか。特に近ごろは大きな災害が、河川関係でも集中豪雨のために起こっておるという実情を考えますと、しかもそれが規模的には全国的に広がっている。で、この欠陥はもちろんもっと高度な立場からの分析、検討が必要だと思いますけれども、やはりこれを契機にいたしまして、私は全国的な河川の点検整備というものが必要ではないかと、このように思うわけで、この点については後ほど大臣のほうからもぜひ前向きの検討をお願いをいたしたいと、このように思うわけであります。  それと同時に、すでにこの点は河川局長のほうから被災者に対する宅地の造成なり、いろいろな手だてというものは行なわれておるようでありますけれども、被災者にとりましては、もちろん安全という立場からあすこに居をかまえ、生活を営んできたというように私は思いますし、その生活への影響というものは非常に大きなものがあるわけで、あらゆる手だてを講ずるということは当然私は必要ではないのかと、このように思いますし、そういう意味合いから全体的な河川の点検、そしてまた被災者に対する万全な対策、こういうものも私はたいへん重要だと思う。ただ現地に参りまして私非常に感じたのですが、取水ぜきのすぐ上流には鉄橋と橋というように二本重なっておりますけれども、二十八年のときの久留米災害というのは、鉄橋、河川が入り乱れてあった、それに流木がかかってたいへんないわゆる何千戸という被害をもたらしたわけでありまして、必ずしも私はあの上流地点が安全とは思いませんし、狛江取水ぜきのところがたまたま被害を受けたわけですけれども、この上流地点といえども私は危険な個所がきわめてあるというように理解をしてまいりましたし、その河川堤防の両岸を比較してみましても そこにはかなりの差異があるような感じも受けましたので、水はどのような力学をもって災害を起こすかわかりませんし、そういう点から、私さっき申し上げましたように、全体的な見直し、検討というものが必要だと、このように思います。その点については、大臣のほうからも全体的なひとつお考えをいただきたいと、このように思います。
  43. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 河川問題につきましていろいろ実施踏査をいただき、積極的な御意見等も御開陳いただきまして感謝をいたします。実は私も就任以来建設省の体制というものがもっともっと河川に重点が置かれてしかるべきではないかという感じを実は非常に深くいたしたわけであります。そうしてあの多摩川災害の際にもちょうど八月三十一日の夜から雨が降りだし、一日には私たまたま江東地区の実は防水、防災、そういうことで震災記念日でもありましたので地元の方々等からいろいろ話を聞いておったわけであります。その間にものすごい降雨量になってまいりましてたいへん心配になり、小河内の実は貯水量はどのくらいになっておるんだと、もういつもあすこは雨が降れば満ぱいにするということでやっておるので、この調子で雨が一日降ったらたいへんなことになりそうだと、こう感じたものですから、たまたま河川局長も一緒でございましたので、いろいろ小河内のほうとの連絡をさせたわけでございます。そしてできるだけ予備放流と申しますか、そういう点も考慮しながら万遺憾ないような協力体制をお願いしろと、こういうことでやったわけでございます。東京都も非常によく協力をいたしてくれたわけでございまして、この点御調査いただいた工藤委員もよく御理解いただけると思います。それが最小限に災害を食いとめた一つの大きな私は理由であろうと、こう思っておるわけであります。次いで、私も一日の夜中の一時半ごろ局長から実は溢水をやっと食いとめましたと、多摩川堤防はこれで大体もちそうですと報告を受けて私も実はほっと一安心したわけであります。ところが二時、三時ごろになりまして水がだいぶ引いてから取水ぜきの表が出てくるころから流量が変わりまして、そうして家が流され始めたということでたいへん心配をいたしたわけであります。そこで直ちに、とにかくこれを最小限にとめにゃいかぬぞということで、どうしてももうテトラポットの投入しか道はないということで、関東全域から実は緊急に関係資材の集中を命じまして、とにかくあれだけの、十九戸というとうとい財産を失う結果にはなったわけでございまして、その際あそこに行ってみまして、三百トンから四百トンの水がもろに全く無防備な住宅地に水がぶつかっていくわけであります。自衛隊、地元水防団、消防団関係にたいへんな協力をいただいて、その水と戦いながら最終的な締め切りを行なったわけでございます。私心配いたしましたのは、もう一日雨が降っておったら、おそらくもう思わざるものすごい大きな災害になったのではないかという感じをいたしたわけでございます。  したがいまして、都市河川、特に中小河川もしかりでありますが、都市を流れる大河川流域に何万という人口を擁するような河川堤防が土堤防でいいんだろうかという、私しろうとでございますが、そういう疑問を実は持ったわけであります。やはり人命の被害を最小限に防ぐというためには、どんな洪水が来ても、その都市部において堤防が切れるというようなことのないような方法はないものだろうかというふうに考えまして、実は審議会のほうにもしろうとなりの問題を提起をいたしまして御検討をいただいておる、そういう点につきましては、実は昭和五十年度の概算要求をする際にあたりましても、実は河川に対する要求をまあ二五%以内に押えろということでございましたが、建設省自体としては二五%を目標にしつつ河川は三〇%の要求をしなさいと、そしてとにかく災害を未然に防止するという点を十分きわめなさいということと、もう一つ新たに河川局に指示をいたしておりますのは、いろいろ検討いたしてみますと、木を植えるのは私は農林省ばかりだと思っておったわけであります。ところが建設省としても農林省の手の届かない岩山、石山、そういうところに非常に細心な注意のもとに植林をされておる先例等も実は琵琶湖周辺現実にあるわけでございます。そういう意味からも、一面開発された分は少なくともほかの面で植林をして、保水力を減退させないという努力も非常な大きな仕事ではないかということで、そういう面についての予算要求ということも実はいたしておるわけでございます。ただ最も大事な建設省関係河川行政でございますが、まあ道路や住宅等にも劣らない意気込みで進めていかなければならないということで指導しておるところでございます。
  44. 工藤良平

    工藤良平君 時間があまりありませんから、多摩川問題についてはこれを契機にいたしまして、さっき申し上げましたようにぜひひとつ全河川に対する徹底的な点検と、補正に対する予算的な措置について検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  なお本日私、下筌松原問題についての質問を実は予定をしておったのですけれども、時間も制約をされておりますし、これにつきましてはすでに再三にわたります調査団の、専門的な学者の補強もしていただいてかなり慎重な検討がなされておるようでありますし、行管の調査、中間発表も行なわれております。話によりますと、近くその最終的な検討会を開いて結論を出すというようなことがいわれておりますが、大体の見通しがあればお聞かせをいただきまして、特に来年度予算編成にあたりましては下筌松原のクラックの状態につきましては、一日も早く解決をしていただいて、地域住民が安心できるような対策が必要だというようにも考えておりますから、これはその報告が出た段階で、私はあらためて建設省との間で詳細な検討をいたしたいと、こういうように考えておりますので、きょうの段階でもし見通しがわかれば、その点だけでも御報告をいただければと、このように思っております。
  45. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いろいろ御心配かけました松原下筌ダムにつきましては、先生おっしゃいましたように、中間報告が一度出まして、今度本報告が、本年度の十二月に出るということでございまして、いろいろとその間、行管からも御指摘をいただいておりますその線に沿って、いろいろな緻密な調査検討を加えておりまして、逐次そういうことが実っておるわけでございます。いずれにいたしましても、この問題は、今後のダムにつきましても、ダム周辺貯水地につきましても、いままで以上に今後ともほかのダムをずっとやっていきたいということでございまして、いずれにいたしましても、この下筌松原につきましては、早急にすべての対策を終わりたいと、そういうぐあいに考えておるわけでございます。
  46. 工藤良平

    工藤良平君 建設省関係は一応これで終わりますが、私は集中審議の関係から、一、二これは国税庁と会計検査院にちょっとお聞きをしておきたいと思います。二、三点でございますので御回答いただきたいと思います。  これは私、二月の決算委員会でいろいろと議論をしたところでありますけれども、国税庁として税の徴収における調査、この点についていま問題になっております田中総理の所得なり、あるいは関連会社に対する調査をやられる意思がおありかどうか。私は二月に質問をいたしました際に、この調査対象といたしましては、この実地調査は大体において悪質であるものというような——まあこれが悪質でということに当たるかどうかというのは調査をしなければわからないと思いますけれども、いま一般にいわれております疑問はかなり悪質であるというような印象を与えるわけでありますから、当然これは国税庁の実地調査対象として取り上げるべきものではないかと、私はこの二月の委員会の論議の中から判断をするわけですけれども、この点について、国税庁としてどのようにお考えになっているか、対象として取り上げるというようにお考えになっているかどうか、その点をまずひとつお聞きをしておきたいと思います。
  47. 村山進

    説明員(村山進君) 初めにたいへん申しわけないのですが、お断わりいたしておきます。  私、国税庁の査察課長でございまして、私の担当をしておりますのは犯罪としての租税犯の追及でございます。私だけしか参っておりませんので、その立場からお答えいたさしていただきたいと思います。通常の調査のほうについては、私はお答えする立場ではございませんが、通常の調査は、必要と認めた場合にはやるのがあたりまえでございます。私どもの犯罪捜査の場合には、これは私ども年間百二、三十件の法人税法違反、または所得税法違反として法人または個人を検察庁に告発しております。その前提となります調査は、一般の法人税法または所得税法に基づく調査とは全く性質を異にしておりまして、法的根拠も国税犯則取締法という法律が別個ございまして、これに基づきまして裁判所の令状をもらいまして臨検、捜索、差し押えといったような警察がやるのとほぼ似たような——逮捕権はございませんが、そういう調査をやることが認められているわけでございます。  で、ただいまの御質問に関連して私の立場からお答えいたしますが、いま申し上げましたように、こういった非常に強力な強制権でございますので、これはたとえば通常の税務調査より強力でございますので、このほうがやりやすいからというので全部にこれを適用するわけにはまいりません。したがいまして、こういう強制調査をやります前には、前段階として非常にじみちな情報収集活動をいたしまして、この個人なり法人なりが、刑事法廷において有罪の宣告を受けるに足る十分な証拠の収集ができるという見通しに立ちまして初めてこの強制権の発動をいたすわけでございます。したがいまして、そういった非常にきびしい条件で行ないますので、通常の調査よりはより慎重にその踏み切りが行なわれるということでございます。  それからもう一点御理解いただきたいことでございますが、まあ税務の犯罪としての刑事法廷におけるいろいろな訴訟の過程におきまして、証拠が完全に収集される場合は言いわけでございますが、これは犯罪でございますので脱税をする意思があったという立証もしなくちゃならない。それから私からそう言ってはあれなんでございますが、比較的証拠書類等で、紙でございますので、死体がそこにあるというわけにまいりませんので隠滅されることもあるわけです。したがいまして、たとえ私があすやろうと思っておる会社についてお尋ねがございましても、これはあらかじめやるんだということはちょっと事柄の性質上申し上げるわけにはまいりません。したがいまして、個別の会社もしくは個人につきまして、あらかじめこれをやるかやらないかということは、たとえ私がやると申し上げたくてもやれない立場にございますので、この点は御理解いただきたいと思います。
  48. 工藤良平

    工藤良平君 会計検査院は私きのう予定しておりませんでしたのできょうお見えになっていないと思いますけれども、会計検査院として、ことしの二月同じように私は議論をいたしまして、会計検査院として、納税者に対する直接的な調査というものはできないけれども、いわゆる税務署を対象とした調査はいたしますと、その場合に、必要があれば関係書類その他については当然調査をいたしますということを私は議論としていたしてきたわけですけれども、今回のこの問題について、いまここで即答はできないと思いますが、いわゆる一般的なものとして、当然これは会計検査院としても調査対象としてやるということもあり得る、このように私は二月の議論からは理解をするわけなんですけれども、もちろんこれに対してやるかやらないかということは院としてもいろいろ検討を必要とすることだと思いますが、これは集中審議の際までに私はぜひ御検討を願って、見解を伺いたい、このように思っておりますので、その点について現在答えられる範囲内で見解を聞かしておいていただきたいと、このように思います。またこれは後日やりたいと思いますから。
  49. 高橋保司

    説明員(高橋保司君) 突然の御質問で、ここで詳しい内容につきまして私からお答えできる限りのものでございませんが、いま先生の御趣旨の点は、院に持ち帰りまして十分検討をいたしたいと思います。
  50. 前川旦

    委員長前川旦君) それでは午後零時四十五分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      —————・—————    午後零時五十分開会
  51. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、建設省とそれに関係する住宅金融公庫決算について審査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  52. 久保亘

    ○久保亘君 私は、最初に、建設省に対して、昭和四十七、四十八年度における日建連加盟の大手四十三社といわれる建設業者の総受注額及びそのうち公共事業費に関する額について御報告をいただきたいと思います。昨日、私のほうからお知らせしてありますので、資料をすでに用意をされているものと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
  53. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) まず、受注額につきましては、現在、わが局におきまして統計報告調整法というものに基づきます統計を作成するための資料をやっておりまして、それにつきましては、受注額はわかるのでございますけれども、各個別の企業の受注額の内容は統計の性格上公表できませんので、これは御容赦願いたいと思います。  そこで完工高につきましては、建設業法の規定に基づきましてこれをとっておりますので、四十三社、上から順番に資料をお持ちしております。これを順番に完工高につきまして読みましょうか。
  54. 久保亘

    ○久保亘君 資料をお持ちであれば、それをひとつ提出をいただきたいと思います。
  55. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) はい、それでは後刻提出いたします。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  56. 久保亘

    ○久保亘君 そのことに関連をして、自治省見えておりますか、選挙部。——自治省の選挙部にお尋ねいたしますが、四十七年度、四十八年度政治献金について、国民協会及び各政治団体に対して行なわれました政治献金の内容についてお尋ねをいたしますが、国民協会に対してその大手四十三社に関連をして寄付が行なわれた総額が幾らであるか、この点についてお尋ねいたします。
  57. 山本武

    説明員(山本武君) ただいまの御質問にお答えいたします。  政治資金の収支報告書につきましては、四十七年、四十八年ほぼすでに官報に載り公示いたしておりますので、その官報によりますと、四十七年の上半期におきましては、国民協会に対する御指摘の建設会社からの寄付はございません。四十七年下半期につきまして、実は私ども大手四十三社というふうなものがいかなるものかについて必ずしも正確なるあれを持っておりませんので、官報に記載されておる建設業株式会社と思われるものを拾ってみますと、たとえば永大産業株式会社が百五十万とか、あるいは大和ハウス工業が二百万とかいうふうな記載がなされております。すでにこの点は官報等で御案内のとおりでございますので、それによって見ていただければおわかりのことと思いますが、ただいまほんの一例を申し上げた次第でございます。
  58. 久保亘

    ○久保亘君 それでは私のほうから、あなたのいまのような答弁ではどうも納得がいきませんから、お尋ねいたしますが、国民協会に対しては大手建設業者といわれる部門からの寄付額が官報に載った限りではたいへん少ないのであります。一方、そのころ、特に田中角榮氏の関係する政治団体に関する自治省への報告内容は、その寄付者の内容がほとんど建設業者にかかわるものであるということについては、あなた方もその点についてはお認めになりますか。
  59. 山本武

    説明員(山本武君) ただいまの御指摘が国民協会に対する寄付の状況でございましたので、国民協会に関する限りでお答え申し上げました。  そこで、ただいま重ねての御質疑でございますが、世上いわれるところの政治団体、たとえば越山会、政治経済調査会、財政調査会、経済社会研究会、新政経振興会等の政治団体に対する四十七年上半期・下半期、四十八年上半期・下半期の寄付の状況を見ますと、官報に記載されておる状況から判断いたしますれば、御指摘のように建設関係の法人からの寄付が多いように見受けられます。
  60. 久保亘

    ○久保亘君 いま自治省のほうでお認めになりますように、四十七年上期を例にとりました場合に、国民協会に対する寄付は建設業界からはあまり目立たないのでありますが、同じ時期に越山会、政治経済調査会、財政調査会、経済社会研究会、新政経振興会、この五つの田中角榮氏が関係をしている政治団体に対する寄付は、そのほとんどが建設業者のものである、このようなことがたいへん特徴的にあらわれております。で、ぜひ自治省のほうでも、この点について整理をしていただいて、資料として提出をいただきたいと思います。  私が質問の本論に入ります前に、いま建設省並びに自治省にお尋ねをいたしましたのは、この建設業者からの政治献金が、派閥といいますか政治家の個人の政治団体と非常に強く結びついているのだという実態を、あなたのただいまの御発言によって認めていただきましたので、そのような立場に立って私は全国治水砂防協会並びに砂防会館の問題について、この監督者であります建設大臣にお尋ねをいたしたいと考えております。  すでに御承知のように、全国治水砂防協会は、昭和十五年に砂防事業の調査研究並びにその啓発推進を目的とする社団法人となったのでありますが、その後、昭和三十年三月に参議院の所有をいたします国有地と砂防協会が所有をいたしておりました三筆の土地とを交換いたしまして、参議院所有の国有地つまり平河町二丁目七番地の現在地に昭和三十二年七月に砂防会館を建設して、その機会に砂防協会の定款の大部分を改正いたしまして今日の協会の運営になってきたものであります。  特に、この国有地と砂防協会の所有地とが交換をされます際には、その交換に先立って半年前に参議院がこの砂防会館の敷地となりました土地を外人系の社団法人から購入いたしまして、そしてその土地と砂防会館の約半分の面積の三筆に分かれた土地とを等価交換を行なっております。それはこの砂防協会が非常に公益性の高いものだという判断に立って行なわれたものではなかろうかと思うんであります。しかも、この国有地を交換譲渡を受けましたあと、この地に砂防会館を建設をするにあたっては、会員である全国の市町村に融資を求めて、その資金と積み立て金などを建設資金として砂防会館が建設された模様であります。  ところが昭和三十八年に徳川家正会長が死去されまして、当時建設大臣でありましたこの全国治水砂防協会の監督権者である河野一郎氏が会長に就任をされて、監督官庁の長たる大臣と監督を受けるべき砂防協会の会長とが同一人物になることによって非常に変わった形になってくるのであります。その後、この協会の運営の実権は正会員たる市町村の代表者の手から次第に離れてまいりました。そして自民党国会議員を中心とする政治家の集団によって全国治水砂防協会は運営が行なわれるようになってまいります。特に昭和四十年河野一郎氏の死去に伴いまして、当時大蔵大臣の任にありました田中角榮氏が、大蔵大臣現職のまま、この会長に就任をするのであります。そして昭和四十七年七月総理大臣に就任するにあたって辞任をいたしますまで、約七年間にわたって田中角榮氏は全国治水砂防協会の会長の職にあり、その期間にますますこの砂防協会の運営は特定政治家、特に世俗的にいわれます派閥的な勢力によって砂防協会の運営が壟断されるに至ったのではないかと思われます。そして田中氏がこの総理大臣就任に伴って全国治水砂防協会会長を辞任するにあたっては、総理大臣就任まで建設大臣として協会の副会長の職にありました田中派七日会会長の西村英一氏がその後任の会長に就任をされるのであります。そして今日まで西村英一氏は、現職閣僚としてこの砂防事業等ともかなり密接な関係を持つ国土庁長官の職にありながら、この協会の会長を兼務されているのであります。  しかも私が調査をいたしましたところでは、現在の役員は理事三十五名、監事三名のうち正会員たる市町村の代表はほとんど含まれておらず、田中、中曽根、大平の各派閥の幹部を中心に現職閣僚五名を含む閣僚経験者十六名、ほかにかなり古手の国会議員四名、元議員四名等が中心になり、これらの人たち以外であっても市町村の代表者にあらざる会員がこの治水砂防協会の理事、監事の職をほとんど独占をしているという実態にあります。  私はそのような実情を見ながら、監督者であります建設大臣の見解を伺いたいと思うのでありますが、建設大臣は砂防協会の運営は本来の目的に沿って妥当に行なわれていると考えておられるかどうか、この点について最初にお伺いをいたしたいと思います。
  61. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 久保委員百も御承知のとおり、砂防関係と申しますのは行政の部門でも非常におくれておる部門でございます。したがいまして砂防関係の公共事業を進めて強力にこれを推進したいという世論のあることも御承知のところでございます。したがいまして、そういう趣旨のもとに発足を見たのが砂防協会であるわけでございまして、私の監督の範疇に入っておるわけでございます。「建設大臣の主管に属する公益法人の設立及び監督に関する規則」を定めまして、これに基いて業務及び財産の状況等の報告をさせ、必要に応じて実地に検査を行ない、所要の報告を求める等、厳正に監督、指導は行なっているところであります。  したがいまして砂防協会もおくれがちな砂防関係の事業を、まあ不十分と申しながら今日までその事業量を確保するというような意味、またがって岐阜県の長良川で土砂決壊によってバスが河中に転落をするというようなあの問題を契機といたしまして、実は全国的にこの砂防事業の必要な個所、また非常に危険に瀕しておるという観点から全国的に調査をいたしました。その際に約六万カ所に近い砂防を施さなければならない個所があるというような実情にもかんがみまして、この砂防協会がそういう面について各市町村長等、非常に砂防事業に対する要請が住民から強く起きてきておるわけでございまして、そういういわゆる住民の意思というものがこの砂防協会を通じて、いろいろ政治の面、政策の面、立法化の面に一つの推進力となるということで、砂防協会定款にも、実はその第二条にその趣旨が書いてあるわけでございまして、砂防協会自身の社団法人としての自主性によって運営されてきておるところでございますので、その点については私は適正に社団法人としての運営がなされてきておるものと実は理解をしておるところでございます。
  62. 久保亘

    ○久保亘君 そういう抽象的なお答えではなくて、いまの砂防協会の役員構成を中心にしたその運営のあり方というのが、あなたの言われるような砂防事業を推進をしていく目的で十分生かされ、しかもこの運営が定款に従って公正に行なわれるような仕組みになっているかどうかということを私はお尋ねしているのであります。  現在、この砂防協会の会員となっておりますのは、市町村の会員が二千五百四十五名、それからいわゆる役員になるために千円の年間会費を納めてこの会員になっておる人たちが七十五名であります。合わせて二千六百二十名の会員によって構成をされておりますが、役員のほうを見てまいりますと、この七十五名の方がほとんど全役員を占有をいたしておりまして、二千五百四十五名の市町村を代表する役員というのは、この中に、私が調べました限りでは五指をもって数えるに十分な人数しか入っておらぬのであります。こういうことがこの会の妥当な運営につながるかどうかということをお尋ねしている。  しかも砂防協会の目的からいたしますと、国の砂防事業推進のために、特に大蔵省、建設省などに対して建議を行なうということも仕事の一つになっておるのでありますが、ところが今日のこの理事の構成を見てまいりますと、会長が西村国土庁長官、そして理事には大平大蔵大臣、中曽根通産大臣、二階堂官房長官、山中防衛庁長官、五閣僚が理事として名を連ねておられるのであります。よく見ますと、これ最近新聞でいわれる主流派に属する派閥の方ばかりのようでありますが、そのほかに現職国会議員の中には建設大臣の経験者、大蔵大臣の経験者、両院の建設委員長の経験者、大蔵委員長の経験者、予算委員長の経験者などがほとんどこの理事会を構成をするメンバーとなっておるのであります。このような形は全国治水砂防協会の目的に照らして妥当な運営あるいは妥当な事業推進に役立つ理事会の構成になっているのかどうか。それから公益法人である砂防協会と監督者である建設大臣、広く言うならば監督すべき立場にある、あるいはこの社団法人である砂防協会からいろいろな建議を受けてそのことを政府の事業執行の中に生かすべき立場にある政府の閣僚たちがこの砂防協会の主たる役員として存在をすることについて、これでこの砂防協会の目的が十分に生かされる役員の構成だとお考えになるかどうかということをお尋ねしているのであります。
  63. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) この砂防協会の役員の選任という問題につきましては、やはり定款に定められたところによりまして、総会において正会員の互選によって評議員が任命され、また理事及び監事はその評議員会において評議員の互選によって任命され、また会長、副会長及び常務理事は理事会において理事の互選によるということで、一応民主的な定款に基づいて選出をされておるわけでございます。  まあ久保委員も御承知のとおり、やはりお互い衆議院議員、参議院議員、おくれた地方においては特にこの砂防、治水治山、道路等に対する住民の要求は非常に強いわけでございます。したがいまして、そういう立場から、その後進性を脱却するためにどういう人を選んで、どういう構成で、どういう体制をとって、自分たちの政治的意思、政治的希望、政治的不満を是正、解決してまいるかという気持ちが私は結集していって、いろいろな社団法人等による団体が構成され、その団体の事業の中にやはり一応政治的な自分たちの希望を達成する仕事も入ってくることは私は当然であろうと思うわけでございます。  したがいまして現職の建設大臣がかつて会長であったという例もあるわけでありますが、むしろ目的は、建設大臣も治山治水、砂防、そういう面はできるだけ推進したいという気持ちであり、また、この社団法人の会員の一員に至るまでやはり一日も早く砂防事業等を完成をさしたいという気持ちにおいて一致するところがあるわけでございますから、これが国務大臣の兼任禁止という点には私は触れないと、これはもう何と申しますか、いわゆる無給の、ほんとに奉仕的な仕事ということに相なろうかと思いますので、私はそういう面において現職の大臣が役員に入っておっても決して世人の誤解を受けるものではない、こう考えるわけでございます。
  64. 久保亘

    ○久保亘君 その監督者たる建設大臣が、現在の砂防協会の運営などについて弁護をするような立場の発言しかできないというところに問題があるんです。いわゆるあなたの所属される党の実力者と称するのがずらっと名前をそろえて、この人たちが砂防協会の役員を全部占拠している状態の中で、どうして市町村の代表者たちがその役員構成について異議を差しはさんだり、総会で反対の主張をしたりすることができますか、そんなことは考えてみればわかるでしょう。  で、こういう形で、無給であなたは献身的に砂防事業のために奉仕していると言われるけれども、無給で砂防事業のために奉仕するために役員になっているんですか。そうではなくて、私はあとほど質問いたしますが、砂防会館を派閥の事務所にきわめて安い家賃で使用したり、あるいはこの砂防協会の運営を壟断して、そしてこの事業費の中に組まれている一千数百万円の視察旅費を役員及び国会議員の実情調査の旅費と称して使ったり、しかもこの協会に顧問として名前を連ねているのは全員六十一名自民党の国会議員である。こういうようなやり方の中で、砂防協会がいまほんとうに住民の意思を代表する形で、砂防協会の目的にふさわしく役員が構成され運営されているという、そういうあなたの弁解は私は成り立たない、こう思うんです。  それならば、あなたにひとつお聞きしたいのは、この砂防協会は会員に対して会費幾らを賦課いたしておりますか。
  65. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私、具体的に一会員がどのような会費を負担しておるかということについては現在つまびらかにしておりませんので、事務当局から答弁をさせます。
  66. 谷勲

    説明員(谷勲君) 現在、会費といたしましては、事業費の千分の〇・一から千分の〇・八ということで徴収しております。
  67. 久保亘

    ○久保亘君 協会の定款によれば、第八条に「正会員の会費は、年額一千円とする。」と書かれております。ただ、ただし書きとして「但総会の決議をもって臨時に変更することができる。」となっておるのであります。  ところが、今日、砂防協会は市町村の会員に対して、国の補助事業に対しては事業額の千分の〇・八、直轄事業に対しては三億円までは千分の〇・二、三億円をこえる部分に対しては千分の〇.一を会費として割りつけ、これを各市町村から徴収をいたしておりますから、定款に従えば、年額一千円の会費ならば正会員の会費は二百六十二万円にしかならないはずのものが、四十九年度の予算においてはこの会費が七千三百九十九万三千円地方自治体から徴収されておるのであります。このようなやり方を建設大臣は妥当なやり方だとお考えになっておりますか。
  68. 谷勲

    説明員(谷勲君) 現在、正会員は年一千円ということになっておりますが、これは会館の建設等もございまして、総会の決議に基づきましてこういう率を徴収するということになっております。
  69. 久保亘

    ○久保亘君 あなたは総会の決議、総会の決議と言われるけれども、この総会に出される原案が私がさっき言いました閣僚や古参の国会議員などを主力とする理事会によって決定をされ、それがかねがね皆さんのところに陳情にやって来る市町村の代表者を集めた総会にかけられるんです。そのときに市町村の側から、そういう会費の取り方に対して、これは市町村に対する会費という名前の賦課金であるということを思っておっても、そのことについて主張できる立場にあると考えているんですか。  現実建設省関係の各協会は、すべて建設省の行なう事業額に対応する比率によって会費と称する負担金を自治体から徴発している。そしてその負担金によってそれぞれの協会を運営し、その協会の運営は先ほど言いましたように、たとえば砂防協会ならば今日の田中角榮氏を頂点とする自民党主流の派閥によって壟断をされている。このようなことが現実実態としてあらわれているんじゃありませんか。私はそのような立場から考えるならば、田中金権政治の舞台として砂防会館が使われたことは、これは非常に理由があることだと思うのです。  で、会費について建設大臣にお尋ねいたしますが、定款は第八条によって「正会員の会費は、年額一千円とする。」ということになっておるんです。で総会の決議をもって変更することができるということであって、本則は会費は千円なんです。だから、この砂防協会の会費は本則に基づいて徴収するようにして、特に建設省が事業を各自治体に対してやってやるかわりに事業額に比例して負担金的な会費を徴収することをやめさせるべきだと考えるんですが、その点について大臣の見解を伺いたい。
  70. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほどからも申し上げておりますとおり、この砂防協会は認可法人であり、しかもその際の総会で議決されました定款に基づいて運営をされておるわけでございます。したがいまして正常に協会定款に基づいて運営されております限り、私といたしましては、それらにむしろ介入をするということにつきましては適当ではないと、こう考えるわけであります。  会費の件につきましても、これも総会で割り当てをされ、しかも議決をされ、しかもそれはおそらく各自治体の議会の了承を得て、議決を得て負担をされておるのではないかと、こう推察いたすわけでございまして、まあ今後は御趣旨の線も十分考慮いたしまして、特に最近自治体の財政等窮迫をしておるおりからでもございますので、こういう協会等の負担が過重にならないようにきびしく指導をしていきたいと、こう考えておる次第でございます。
  71. 久保亘

    ○久保亘君 きびしく指導をするというのはどういう意味かわかりませんが、地方自治体は今日三割自治、はなはだしきに至っては一割自治といわれているような状態の中で、国の補助事業とかあるいは国に直轄事業をやってもらうということに対して非常に大きな期待を持っておりまして、その獲得のために全力をあげているというのが今日大部分の自治体の実情ではなかろうかと思うんであります。その自治体の弱みにつけ込むような形で、事業量をやってやったかわりに、その事業額に率を掛けて会費を取るというようなやり方はこの協会の本旨に沿わない、私はそう思っております。それはあなたが先ほど一応民主的にと言われたが、確かに一応民主的な形を整えてはおります。しかし実際は、政府、権力者であるあなた方の立場の人たちが、ときには建設大臣、ときには大蔵大臣、ときには与党の幹事長が会長をつとめられるという状態の中で、市町村の側からそういう会費の徴収のしかたについて反発するということはほとんど不可能な状態だと私は思うんであります。  それをよいことにしてこの徴収された会費が何に使われているとお考えになりますか。私が調べてみましたところでは、確かに「砂防と治水」と称する年間二回発行される小冊子があります。これは(資料を示)十冊分をとじたものであります、これで五年分です。これが砂防協会の事業として出版されております。そのほかは全国総会を開いたり、あるいは治水砂防五カ年計画の事業の拡大や推進を陳情するために市町村長などを東京に集めてその総会を開いて、そしてそれを陳情する。何のことはない、この会長が陳情を受けるんであります。  そういうようなやり方でこの金は使われておりまして、しかもそのうち、私がたいへん不可解でならないのは、事業費のうち四十九年度の予算だけでも一千六百二十三万五千円は役員及び国会議員の視察旅費となっておるのであります。これは一体どういうことだろうか。砂防協会が国会議員を現地視察と称して市町村から負担をさせた会費でもって視察旅行に出すというようなことは私は妥当なことではない。そのことははっきり砂防協会から出された事業報告書の中にそのように書かれているのであります。だから私は少なくともいまのような役員の構成や運営がはかられている限り、砂防協会は本来の目的を次第に離れて、そして特定の政党や特定の政治家が地方自治体をコントロールすることによって自分たちの勢力培養のためにこの協会を利用している、こう思われてならぬのであります。だからそのようなことがあるとするならば、この点について建設大臣としてはきびしく監督をせられる必要がある。その点について私は砂防会館の運営についてお尋ねしなければならないと考えております。  砂防会館は、先ほども申し上げましたように、文藝春秋の金脈と人脈あるいは「淋しき越山会の女王」の舞台として登場をした会館なのであります。今日、いままで砂防事業のために砂防会館という会館があるということを知っていた人たちは専門的な立場の人たちが主であったと思うんでありますが、いまでは砂防会館というのは日本の政治の土砂くずれを起こしている会館として、すべての国民がこれを承知をいたしておるのであります。この砂防会館が一体どういうふうに使われているのか、私が調査をいたしましたところでは、この砂防会館は、実用面積の約半分に近い七百六十坪六合は公共性の高い二十団体に貸し室として貸与してあるということになっております。  私は建設大臣にお尋ねいたしますが、派閥の事務所とかあるいは個人の政治団体の事務所というのは、公共性の高い団体だと判断されるかどうかということについてお尋ねいたします。
  72. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私は、政治資金規正法に基づいて認められておる団体である限り、これはやはり公衆のための一つのよりどころと、こういうふうに理解する次第であります。
  73. 久保亘

    ○久保亘君 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。公衆のためのよりどころって、それは確かにいろいろなその派閥に属する人たちが集まったりするでしょう、だからそういう意味では公衆のよりどころかもしれぬけれども、そうじゃなくて、私が言っているのは、そういう団体が公益性の高い国有地の譲渡を受けて、市町村の出資によってつくられた会館に入るにふさわしい公共性の高い団体だと考えられるかどうかということをお聞きしているんです。
  74. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私は、公共性の高い団体である、したがって法律に基づいて設置を認めてある、こう先ほど、そのつもりで申し上げた次第でございます。  と同時に、やはりこれは社団法人砂防協会がいろいろ定款なり事業計画等に基づいてその事業を運営するにあたりましての一々こまかい事柄、問題につきましては、理事会なり役員会なりあるいは協議委員会なり等で決定した上で、入室を許可するか許可しないかというような、契約を結ぶか結ばぬかということは、私は、その当事者同士でやっておるところでございますので、その点については疑義を差しはさまなくてもいいんじゃないかと、こう考えるわけであります。
  75. 久保亘

    ○久保亘君 それじゃ、あなたに念を押しておきますが、政治団体としてその法的な登録をしている団体であれば、それは公共性の高いものだと考えるとあなた言われたですな、そのとおり確認してよろしいですか。  たとえば、ここへ入っている近代政治研究会、新政同志会、越山会、鉄心会、財政調査会、政治経済調査会、七日会、江崎真澄事務所、これらのものは、あなたのことばをかりれば、たいへん公共性の高い国有地の上に自治体の財産をもってつくられたそういう会館に入るにふさわしい公共性の高い団体だ、つまり自民党の派閥などは公共性の高いものだと、あなたは閣僚としてお認めになるんだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  76. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来いろいろ申し上げてきたわけでございますけれども、私は、やはり政治というものは、日本国憲法に基づいて主権者である国民から選挙という手続によって選ばれた者が議員としてそれぞれの定められた憲法並びに諸法律に基づいて行動するわけでございます。したがいまして公人として法律の命ずるところに基づいて行動をし、政治活動をするにあたりましては、おそらくいわゆる私心とかあるいは私欲とか、そういうものによって行動の基礎とされるようなそういう私心とかあるいは私の欲望とか、そういうものによって行動をしておるような政治家は、これは逐次賢明なる国民主権者によって排除されていくものと、こう私は信じておるわけであります。  私自身、そのようなつもりで政治家を志し、政治活動をいたしてきておりますので、おそらく私はこの法律によって政治家がやることこそ最も公益性が高くなければならないし、公益性が高いものと、こういう私は信念を持っておるわけでございます。
  77. 久保亘

    ○久保亘君 私心なく、国民のために奉仕をする政治家の団体やあるいはその政治家の持っている政治団体であるとあなたは言われておるんでありますが、私が特に砂防会館を問題にしているのは、この砂防会館はいま最も私心多く、最も反国民的な金権政治の舞台として疑惑の目を向けられているところでしょう。その舞台になったのがいまここに私があげました八つの事務所のうちの幾つかなんですよ。しかもこれらの人たちは、この事務所の責任者はすべて砂防協会の理事です、あるいは会長ですよ。  昭和四十三年、近代政治研究会、新政同志会という二つの中曽根さんの事務所、それから越山会、田中さんの事務所、それから、これはよく私はどの派閥に属されるのか知りませんけれども、小島徹三さんという方が代表になっている鉄心会という事務所、この三つが四十三年の春に入ってから、次第に田中さんが首相への道に近づくに従って財政調査会が入り政治経済調査会が入り、首相になった直後にその派閥である七日会がここに入っているのであります。しかも七日会が入ると同時に、七日会の会長は砂防協会の会長に就任をしておるのであります。  こういうようなことで、これが公益性高く、国民の期待にこたえるような活動をやっているんで、この砂防会館の中に事務所を占有していることはたいへんけっこうなことであるとあなたはお考えになっておるんですか。
  78. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど申し上げたことを繰り返すようになるわけでありますけれども、私たちはやはり国民のしあわせを祈念しながら政治活動を続けていると、私は自分が自分の信念をそう信じて私自身はそういう行動をしておるわけでございます。おそらくやはりきびしい選挙の試練を経て出てきておられる方々もそのような気持ちで政治活動をされておることには私は絶対に間違いないと、こう思うわけであります。したがってそういう方々の集まりによる一つの会というものが、しかも法律に基づいて認められておる団体である以上は、私は先ほど来申し上げておるように、公益性に反するものではないと、こう実は考えておる次第でございます。
  79. 久保亘

    ○久保亘君 少しあなたの言い方が変わっているんじゃありませんか、先ほどは公共性の高い団体だと考えると言われた、今度は公益性に反しない団体だと言われる、それだいぶ意味が違うと思うんです。公益性に反しないというのはまあ問題を起こすほどのものではないという意味、公共性が高いというのはそこに事務所をかまえることがふさわしい団体であるという意味ですよ。  私がやっぱりたいへん不可解に思いますのは、いまこの砂防会館の周辺には全国の地方自治体で都道府県会館や都市センターに入ることのできた自治体はいいんです。しかし市によっては事務所を都市センターに借りることができないために、民間のビルを契約して高い家賃を払って入っている市の東京連絡事務所があるじゃありませんか。それに市町村が融資をしてつくった、自分たちか会員である砂防会館にあき室があるのに、そこは全部この砂防協会の幹部をしている権力者たちによって占有をされておって、入ることができない。  しかも、この八つの政治団体が借りている事務所の家賃をあなた御存じですか。
  80. 谷勲

    説明員(谷勲君) 聞くところによりますと、坪七千円ということでございます。
  81. 久保亘

    ○久保亘君 聞くところによりますとって、あなた方何を監督しているんですか。七千円じゃありませんよ、四十九年度の予算書を見てごらんなさい、坪当たり五千円じゃありませんか。去年までは三千五百円で貸しておりますよ。四十八年度までは三千五百円、四十九年度が五千円ですよ、坪。七千円というのはあなたどこで計算されているんですか。
  82. 谷勲

    説明員(谷勲君) 五千円に共益負担金というのが二千円入っておりまして、坪。それを含めまして七千円。
  83. 久保亘

    ○久保亘君 共益費というのはね、自分が使ったものを支払うんで、これ家賃じゃないんですよ、そんなばかなことを言っては困る。その貸し室料というのはちゃんと砂防協会の予決算書の中にはっきり書いてあるでしょう、共益費というのは別に書いてあるはずです。だから家賃というのはその貸し室料のことであって坪五千円で貸し出される、それわかりますか。そして共益費というのは千五百円ですよ、あんたの言うのを実際に合算しても六千五百円にしかならぬです、七千円にならない。  しかも、この五千円という家賃は、周辺の貸しビルの相場に比べて妥当な価格だとあなた考えておられますか。
  84. 谷勲

    説明員(谷勲君) これは一般的には安いあれですが、こういう砂防会館の社団法人ということでございますので、収益をあげるということよりもそういう公益性に尽くすというなことで、ほかのところよりは安いと思います。これは一般に全部貸しておりますところはみな同じ単価になっております。
  85. 久保亘

    ○久保亘君 そこでまた公益性の問題になるんです。公益性が高いから、公益法人の所有する事務所だから、五千円で貸しても妥当だとあなた言われる。ところが、ここに出資をして、そして自分たちが会員である人たちは、あの周辺だったら坪五万円ですよ、そういう事務所を借りて、東京の連絡事務所を開いているじゃありませんか。自治体の連絡事務所が坪何万という家賃を払いながら、政治家の政治献金を集める事務所が坪五千円で社団法人の事務所に、しかも自分が役員であるという立場を利用して、この部屋をわがもの顔に使用しているということは私は許せないと思う。  しかも、この周辺の会館は駐車場についても、たとえば都道府県会館であっても、各都道府県自治体から駐車場の費用も一台当たり一万三千円取っておるのであります。砂防会館に関する限りは、あの広い駐車場がこれらの人たちにかなり自由に使われている。そして決算書を見る限りには駐車場の貸し料というのは徴収されておらないようであります。だから、この砂防会館にこれらの政治家たちは自分たちが砂防協会の役員を握っておることによって事務所を借りて、そして自分たちに非常に便利なように利用していくという意図を持っていることはきわめて明らかだと思うのです。しかも会長室は七日会の会長と同人物でありますから、事実上この会長室は砂防協会の役員のゆえをもって全部協会の費用をもっていつでも利用できるしかけになっておる。理事室も理事三十五名のうちほとんどは閣僚経験者や国会議員の集団であるから、いつでも自由にただで使えるようになっておるはずです、理事という肩書きによって。そういうことによってこの砂防会館はいまやこれらの政治家、特定政治家集団によって占拠をされていると言ってもいいと思う。  もちろん、この中には五千円の家賃で貸せるものならば貸してやりたい社団法人などがないわけじゃありません。しかし二十団体のうちこの八団体が貸し面積のおよそ半分に近い三百十九・一三坪を占拠をして、しかも政治献金をぬれ手でアワで集めながら、家賃は坪五千円しか払わない。こういうようなやり方が政治家の道徳として許されるものかどうか。そのことが地方自治体やあるいは砂防協会という一つのクッションを置いて政府と建設業界とのつながりをつくっていく舞台となっていくのではないか。私が最初にお尋ねいたしましたように、土建業者は、国民協会には通してこぬけれども、砂防会館にある越山会や財政調査会や政治経済調査会などには国民協会にいかない土建業界の献金がわんさといっている。それは先ほど冒頭に質問したことによっても明らかなんです。  そのようなことを見てまいりますと、この全国治水砂防協会を特定の政治家とその集団が占拠をしている。しかも会館を自分たちの事務所として使っているということは、これはやはり建設省の仕事と砂防協会とを結びつけながら、地方自治体並びに業界、関係業界と一つの支配関係や癒着関係を生んでいく原因になると思うのであります。それはこの政治献金のあらわれ方によっても明らかであります。  そのような立場からしても、私は砂防協会の役員の構成を抜本的に改めて、そして砂防会館の中にある公益性の高いと思われない団体に対して退去を命ずるか、またはこれらの団体に対して妥当な貸し室料を徴収すべきであると考えておりますが、いかがですか。
  86. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) まあ私には監督指導の責任があるわけでありますけれども、その法人である砂防協会が契約によって入室をしておる者に私自身の立場から退去を命ずるというようなことはこれはまあできないわけであります。  しかし先ほど来いろいろ御意見等もあったわけでございますが、私自身は先ほど来申し上げておりますとおり、政治はほんとうに国民のものでなければならないし、またそういう立場で政治家がもろもろのいわゆる大衆活動、組織活動、政党活動というものをしてきておることは久保委員も十分御理解いただけるところと思うわけであります。したがいまして、そういう面につきましてはやはりわれわれ政治家が国民からそういう疑惑を持たれないようなやっぱり行動、活動というものをしてまいるということが私は最も大事なものであると、こう常に私自身考えておるわけでございます。  世上、いろいろ雑誌等に記述されております問題等につきましては、国会において当然これは明らかにされなければならない問題であろうと思うわけでございます。私どもの承知する限りにおきましては、やはり公益性の高い団体として懸命に政治に取り組んでおる政治のグループと、こういうふうにまあ私自身は考えておる次第でございますので、御理解を賜わりりたいと思うわけでございます。
  87. 久保亘

    ○久保亘君 ずいぶんあなたも苦しい立場だろうから、いろいろ答弁のしにくい点もあるのかもしれません。あなたがどの派閥に属しておられるのかも私は知りませんので、たいへんお困りだろうと思うんでありますけれども、しかし、あなたはこの七日会とか越山会とか財政調査会とか政治経済調査会というのの事務所をごらんになったことはありますか。
  88. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 見たことはございます。
  89. 久保亘

    ○久保亘君 それらの事務所が今日砂防会館に入居している状態を、公益性の高い、そして非常に妥当な形での入居だとあなたはお考えになりますか。そして、そういう状態で借りておる家賃というのが、これが坪五千円であるということについては、これはもうたいへん当然なことだというふうに考えておられますか。
  90. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来、久保委員とちょっとイスカのくちばしのすれ違いというところであるわけでございますけれども、私は政治家はもうとにかく国民、主権者から選ばれてきた代表者であるという立場を常に何よりのやはり核心とし土台として行動しなければならないことは、これはもう申すまでもないことであります。したがいまして、その政治家が一つの法律に基づいてつくったグループというものである限りにおいては、その点は私は一向公益性に相反するものではない、こういう立場を実はとってきておる次第でございます。  もう政治に関する問題はすべて何かおかしなものであり、すべて何か色目で見なくちゃならないんだということはあまりにも残念であるわけでございます。やはりそういう点につきましては、私どもといたしましては、そういうふうに見られないように国会を中心にして正常な姿に、もし異常な姿である場合には、正常な姿にこれをつくり上げていくということがより望ましいことではないか、こう考えるわけでございます。
  91. 久保亘

    ○久保亘君 私は何も政治家の活動というのがけしからぬと言っているんじゃありませんよ。しかし、あなたも知っておられるでしょう、いま越山会とか、財政調査会とか、こういうようなものがここにおいて、あなたが言われたように主権者に選ばれてきた政治家の使命にふさわしいことをこの公益性の高い事務所においてやっておったのか、そうでなかったのかということについて、国民の間に非常な疑惑のあることはあなたもお認めになりますか。
  92. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私も文春は読みました。しかし、あの中の問題につきましては、国会において、それぞれ当委員会なりあるいはいろいろな委員会において、予算委員会等において明らかになった問題等もあるように私は実は読んだわけでございます。したがいまして、ああいう問題につきましては、おそらく国会において、審議の過程において明らかに国民の前にされるものと、こう考えておる次第でございます。
  93. 久保亘

    ○久保亘君 審議の過程において国民の前に明らかにされなければならないということは、いま国民の間にこの砂防会館の中にある政治団体の事務所を舞台にして疑惑があるということを認めざるを得ない、こういうことでしょう。
  94. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私自身現在の心境といたしましては、疑惑は私自身は抱いておりません。
  95. 久保亘

    ○久保亘君 あなたが疑惑を持たれないということになれば、やっぱりあなたの政治感覚の問題にもまた関してきましょうから、それはまた別に私は意見も伺いたいと思っております。  それからもう一つ、ここの家賃が五千円であるということについて、この砂防協会というのは貸し室から生ずる利益と地方自治体から徴収する会費とを一緒にして一般会計としているんです。この会館経理というのは別建てにはなっておらぬのであります。これ一緒に砂防協会の年間の予算として組まれております。そういう立場からいたしますと、結局、本来ならばこれらの貸し室からもっと徴収できる家賃を取らないために、運営のための市町村の負担金が重くなっている、こういうことも考えられるわけです。  かりに、相場並みとはいかなくても、現在のこの三百二十坪に近い政治家が占有いたしております事務所に坪三万円の家賃を課してごらんなさい、どれだけの収入になると思いますか、一年間の砂防協会の全予算は優にまかなえる。市町村から一銭も取らなくったっていいんです。しかしあんまりそういうことを言うと、やっぱひ政治献金が必要だという理屈にあなた方のほうはおなりになるかもしれませんからね。しかし私はこういう政治献金を集めることを主体としているこれらの政治団体が公益性の高い団体として認められて、ここに入っているということについてはどうしても納得がいきませんし、また、これらの団体がこの砂防会館を、極端なことばで言うならば、私物的に使っているのではないかと思われるような、そういう今日の会館の管理のしかたと連なって砂防協会の役員構成をどうしても問題とせざるを得ないわけであります。  しかも、この役員というのがどういう状態かといいますと、ここにあります総会の記録等を読んでみますと、当時会長である田中角榮氏が議長席に着かれて、そして本日御出席の国会議員を御紹介申し上げますと言って市町村から集まった会員に国会議員の紹介をされておるのでありますが、そのときに国会議員を紹介するのに、本会の理事だれだれ国会議員ということで紹介されておりますが、出席されております理事である国会議員は非常に少なくて、大部分は理事のだれだれ議員の代理の方が見えておりますという紹介をされているのが非常に多いのであります。一体、理事としての職務を果たしておるのかどうか。しかも事業報告を見れば、毎週一回在京の理事、監事の会議を開いたと報告書に出されておりますけれども、総会にすら出なかった理事が毎週一回開かれる理事会に出席するはずがない。ということは、理事とは、その理事であることによって受ける選挙地盤に関する利益あるいは資金的な利益、そういうようなものが考えられるから、私はこの協会の理事に大挙名を連ね、しかもあなたの党であっても新人の議員などというのは一切入っておらぬのであります。この協会の理事というのはあくまでも派閥の中堅幹部以上の人たちである。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕  あなたもまだ理事になられたことはないでしょう、いずれ建設大臣の経験者として処遇をされるのかもしれませんけれども。大体、建設大臣とか建設委員長とか大蔵大臣とか、あるいはその他の閣僚など、あるいは派閥の幹部として新聞にちらちら顔を出すような人でなければ、この協会の理事にはなっておらぬのであります。そのことを見れば、いかにこの砂防協会が自民党の派閥的な活動と密接に結びついているかということも私たちは推察するにむずかしくない、こういう気持ちがいたします。  しかも文藝春秋にあらわれたあのような記事を見てまいりますと、さびしい思いをしているのは越山会の女王じゃありませんよ、国民の側がそのような形で日本の政治が動かされている、砂防会館が金権政治の舞台になっているということによってさびしい思いをしているんです。ここで資金を集めて、雑誌の報ずるところによればかなり私たちがまゆをひそめたくなるような、そういうことを平気でやっている人たちはあまりさびしくはないんじゃないか、私にはそう思えてしようがないのであります。  きょう大臣のほうからいろいろお答えをいただいたのでありますが、あなたはとにかく、この砂防協会の運営についても砂防会館の管理運営等についても、今日の状態についていま直ちに監督大臣として調査をして手を加えるべき必要のものはない、こう考えておられますか。私が先ほどから申し上げましたような問題について、全く問題はないとお考えになりますか。
  96. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私は先ほど来申し上げてきておりますとおり、認可いたしました社団法人砂防協会というものが適正に運営され、適法に運営され、会館運営等についても、私はそれぞれの機関にまって出された結論に基づいて運営されておるものと、自主的に運営されておるものと、こう実は確信をいたしておるわけでございます。  したがいまして、いろいろ御指摘を受けました点につきましては、やはり事務当局——私もこまい点どういうところがどうなっておるかというところまで十分知り尽くしておるわけではございませんので、そういうこまかい点につきましては事務当局に——やはり家賃等において、わが省の法人だけじゃなく、各省関係のそういう相似た運営をされておるような点等の調査をいたしまして、結論を出してみたい、こう考えておりますので、御理解賜わりたいと思うわけであります。
  97. 久保亘

    ○久保亘君 いま大臣から御答弁をいただきましたいろいろな問題について、私がお聞きしたいと思っておったことに適切にお答えになっておりませんので、私はこれらの問題を保留をして、あらためて質問をすることにいたしたいと思いますが、もう一つ、今度は事務的なことでお尋ねいたします。  この砂防会館がつくられます前に、国有地である参議院の所有する土地が砂防協会の土地と交換をせられております。そのときに、参議院が交換の半年前に買い求めました土地は、現在の土地ですね、九百六十二・四七坪、一筆の土地でありまして、これを参議院は四千七百九万六千五百九円で購入をいたしております。昭和二十九年の七月であります。そして昭和三十年の三月に砂防協会の所有する五百四十二・四六坪、国有地の六割にも満たない土地、しかも三筆に分かれた土地と交換をしているのでありますが、そのときに砂防協会の所有地を国有地よりも高い四千七百十九万四千二十円と評価をいたしまして、そして等価交換の形をとっておるのであります。そして今度は砂防協会の四十九年度に出されました固定資産明細表を見てまいりますと、現在砂防協会の所有する土地は取得価額が千六百四十四万五千六百円で取得した、こうなっておるのであります。非常にその間についてはわかりにくいんであります。で当時のことについて、もし監督官庁として御承知のことがあれば、ひとつ御報告をいただきたい。
  98. 谷勲

    説明員(谷勲君) この件につきましては、ここではわかりませんので、また調査いたしまして御報告します。
  99. 久保亘

    ○久保亘君 いつやってくれますか。
  100. 前川旦

    委員長前川旦君) よく聞こえなかったのですが、答弁者、いつ出すんですか。
  101. 谷勲

    説明員(谷勲君) 日にちにつきましては、できるだけ早くということで。
  102. 前川旦

    委員長前川旦君) 早く出すわけですね。
  103. 谷勲

    説明員(谷勲君) はい。
  104. 久保亘

    ○久保亘君 大体、私が砂防協会や砂防会館の役割りや運営の実態について指摘をして、監督者としての大臣の見解を伺いたいと思っておりましたことは以上のようなことでありますけれども、あなたはぜひこの際監督大臣としてこの砂防協会や会館の運営の実態について詳細に調査をされて、私がいま申し上げましたような事実について、その妥当性について、また改革についての指導を行なう必要があるかどうかについて、御検討になるおつもりがありますかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  105. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど申し上げましたとおり、いろいろ御指摘いただいた面等で私もつまびらかにしていない面もありますので、その点はよく研究いたしましてまたお話し申し上げたいと、こう思います。
  106. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、またその機会に建設大臣としてお答えいただけるのかどうかわかりませんけれども、ぜひ建設省として、監督官庁として十分な御調査をいただいて、そしてしかるべき建設省側の見解を付して御答弁、御説明をいただきたいと考えております。そのとおりに、私といたしましてはこれらの問題についてさらに明らかにし、そして一番最初に申し上げました土木建設業界の政治献金がどのような形でこの国民協会を通らず特に派閥を中心に動いているか、なぜ派閥を中心に動かざるを得ないか、そういうことについて、これら建設省の外郭の協会の運営のしかたの問題などについてもお尋ねをしたいと考えております。それらの点についても十分な御検討をいただきたいと思います。  以上で、答弁についてたいへん私のほうでは理解しにくい点や不満足な点がたくさんありますので、質問を保留をいたしまして終わります。
  107. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  108. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 最初に建設大臣にお尋ねをいたしますが、いま決算委員会で文藝春秋のあの事件を中心といたしましていろいろ問題が提起されております。その中で私は信濃川の河川敷の買い占めの問題等につきましてきょうは質問をしたいと思います。  質問に入る前に、いま文藝春秋の中にも問題が提起されておりました室町産業という会社につきまして、この会社は、私が信濃川河川敷の買い占め問題をいまから質問をしようといたしますから、まずその主体になりますその会社のことにつきまして、どういう会社であるか、建設大臣もおわかりのことかと思いますから、まずおわかりの範囲内のことを御説明願いたいと思います。
  110. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私、つまびらかにいたしておりませんので詳しくは事務当局から答弁させます。
  111. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 室町産業の内容について申し上げます。  室町産業は、現在宅建業の、宅地建物取引業法の免許が失効しておりまして、免許の関係の書類がございませんので、その中身につきましていま調べているところでございますが、また記載された会社の住所にも電話はございませんし、入内島という方が代表取締役になっておりますので、電話いたしましたけれども、所在がわからないというようなことでございます。事情聴取が現在のところできておりません。したがいまして、室町産業につきまして早急に調査をこれからしたいと思っておりますけれども、その中身は現在の段階で詳しく申し上げることができないので御了承いただきたいと思います。
  112. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまの御説明によりますと、免許関係の書類が建設省にないということです。まあこれはちょっと驚きましたね。それと、その所在地の電話をかけても電話にはだれも出ない、また代表取締役の入内島というお方の所在が不明である。一体これはどういう会社なんですか。建設省にも書類がない。しかし、名前は厳然とあるんですけれども、これは大臣にお尋ねしたんですが、関係者に詳しくとおっしゃった、詳しくというお話がいまのことなんですが、大臣、いま御答弁をいただいた範囲内から私は聞いておりまして、関係書類がないというこの問題なんですね。これは建設省の不備なのか、それともほかに原因があるのか、この点、責任者といたしまして、大臣いかがでございましょうか。
  113. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 実は、こよは知事認可のあれじゃないかと思うわけであります。その関係で本省に書類が保存してないのではないかと、こう私は理解いたしておるわけでありますけれども、詳しくは局長から。
  114. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) ただいまの答弁を補足して申し上げます。  室町産業につきましては、昭和四十二年の三月二十日、東京都知事の免許になっておりまして、その後三年たちまして、四十五年の三月二十一日に免許の更新の申請がないまま、したがいまして、現在は取り消し、失効しておると、こういう状況でございまして、その書類がないと申しましたのは、知事免許でございまして、東京都のほうに問い合わせてみたのでございますけれども、その台帳にはございますけれども、当該本書類が失効中でございますので、その関係書類が現在のところさがしても見当たらないということでないということを申し上げたわけでございます。本社の所在地は、東京都新宿区の本塩町二十三番地にございまして、設立は三十七年十二月十七日、資本金は七億五千万円、これ四十二年一月二十九日当時、役員その他は台帳の中からはわかっておりましたので——代表取締役入内島金一さん、それから取締役数名ございます。その程度はわかるわけでございます。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 いまの御説明では、四十二年の三月二十日に都知事の免許を受けていらっしゃる、その後四十五年三月二十一日に免許の更新の申請をしなくてはならないけれども、それが出てないままに今日に至っているということでございますね。そうしますと、ちょっとお尋ねしますが、宅建業法の免許を与えられたのは四十二年三月の時点ですか。そうしますと、それ以前にもしもこの室町産業という名前のもとにそういう不動産の売買に関するような行為がされていた場合には、これは違法ということになるわけなんですね、また四十五年三月二十一日以降にそういう行為が行なわれていたならば違法とみなしていいわけですね、その点を明らかにしていただきたい。
  116. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 宅地建物取引業法は、消費者の保護ということの観点から、いま御指摘にありましたような、これを業として行なうことは免許を受けなければこれを許されておりません。したがいまして、業としてそういう取引を継続的に行なっているということであれば、それは違法でございます。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、もう一度確認しておきますが、四十二年三月の二十日から四十五年三月二十日までの間そういうような行為がなされている場合はこれは正当であるけれども、この期間を前後した期間においてそういうことがなされていた場合にはそれは違法であるということになるわけですね。もしそういう事実があったとしたならば、建設省はどういうように措置を講じられるんでしょうか。
  118. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 免許期間を過ぎ、あるいは免許がない以前に業としてそのような宅地建物取引業を行なうことはできません。したがいまして、そういう事実が発見される、あるいはそういうことが指摘されるようなそういう事実が判明いたしますれば、それを徹底的に調査する必要がございます。そしてそれが反復して継続して業として行なわれたかどうかを確認いたしました上、そうでないならば——そういう業を行なっていたということであるならば、業法に照らして罰則の規定を適用せざるを得ないというふうに考えます。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 それ確認しておきます。  それから電話をされたけれども相手が電話に出ない、また代表取締役の方が不在であっていまだに事情が聴取をできない、まあこういうことでございますが、実は私も電話をしてみました。電話に出ない。いまもう更新の申請がされておりませんから建設省関係ありませんということかしれませんけれども、じゃ端的に言って建設大臣、この室町産業というのは、電話をかけても相手が出ない、代表者が所在不明であるということは、また免許の更新の手続もなされていないということは、どういう会社でしょう、端的に表現すれば。大臣いかがでございましょう。これを大臣に聞くのはちょっと筋違いかわかりませんが、きょうは建設省の所管でございますから、全般的に含めて大臣いかがでございましょうか、これは。
  120. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) どういう会社か私全然存じ上げないわけでございます。きょうの決算委員会でいろいろ質問があるということで、まあ十分な答弁ができるように準備しなさいと、こういうふうに事務当局のほうに話したわけでございます。ただいま、局長から御答弁申し上げた点を、私も実は承知をいたしておる程度でございまして、ほんとうに申しわけない次第でございますけれども実態をつまびらかにいたしておりません。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 大臣言いにくそうに、つまびらかにいたしておりませんということですが、端的に免許証は知事の認可であるからというようなことをおっしゃいますけれども、これはないということだったんですけれども、ここらあたりどうなんですか、こういうこともあわせてつまびらかでないと言われますけれども、きょうはこの室町産業のことについて私は質問いたしますということを、いきなりこれを出したわけじゃないわけです。これは実在するのか、じゃ実在しないのか、その点、大臣いかがでございますか。
  122. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 先ほどもちょっと触れましたように、法人登録簿によりますと、事務所の会社の所在地も書いてあるわけでございます。ただ、宅地建物取引業法上の業者とは、失効しておりますからみなされないわけでございます。そこで、電話をかけましたのは、会社の事務所と、及び個人の入内島さんのところへ電話しまして、そういう行為があったかないかを至急調べたいと思いまして、さがしたのでございますけれども、短時日のうちなので、いま現在のところ、具体的に調査は進んでいないということを申し上げたのでございます。会社自身は法人登録簿を調べましたところ、いま言いましたような所在地及び電話番号も書いてあるわけでございますので、その限りにおきましては、法人としては存在するのではないかと思います。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 この問題はこの程度にしておきまして、後々、私が質問の順番に入っていくおりにあらためていま確認したことを確認しながら質問を進めていきたいと思います。  そこで、新潟県の長岡市の蓮潟町所在の信濃川の河川敷があります。もうちょっと詳しく申し上げますれば、古い提防が——大臣、この用紙ちょっと差し上げます、そのほうが説明しやすいと思います。これで質問いたします。それは見取り図です、いま申し上げました。その地図の下のほうが古い堤防になっていると思うんです、下のほうが。そして上のほうが新しい堤防になっております。ここが新潟県長岡市蓮潟町所在の信濃川河川敷ということを私がいまから質問をしようという場所でございます。まず、この場所の面積につきまして数字をもって御説明を願いたいと思います。
  124. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  現在、先生、いまおっしゃる地区につきまして土地の測量あるいは官民境界の確認等の調査を行なっておりますが、現在までに私どもが把握しております面積を申し上げます。全部で七十三ヘクタールでございます、これは皆、約でございます。そのうち、官地が十ヘクタール、民地が二十八ヘクタール、例の旧法でいいます九条地というのがございます、これが三十五ヘクタール。  以上でございます。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまの説明で民間地が二十八ヘクタール、それから官地が十ヘクタール、九条地——通称、九条地といわれておりますが、これは認定地とも言われるかと思いますが、三十五ヘクタールですが、この三種類の内容に分れておりますが、三種類の内容のたてわけにつきまして、詳しく説明をお願いいたします。
  126. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま、先生がおっしゃいましたのは、意味でございますか。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 ええ。
  128. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 申し上げます。  官地は、もうそのものずばりの国有地でございます。それから民地は私有地でございます。それから九条地と申し上げますのは、旧法ですでに河川として認められて、一応、私有権が現在ありませんけれども、廃川敷の処分をした場合には、これは元の、旧地主へ返すというようなたてまえの土地でございまして、そういうものをいま九条地と申しておりますが、現在、これは官地でございます。国有地でございます。  いま、三つの内容はそういうことでございます。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 いま、三つのたてわけをされましたけれども、九条地というような形で説明をされました。しかし、これは端的に民有地であるか、国有地であるかと分けた場合には、九条地も国有地に入ると思うんですが、その点、どうですか。
  130. 増岡康治

    説明員増岡康治君) そのとおりでございます。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 そこで私がお聞きをしたいのは、いま、建設大臣のところへ地図を持参いたしました。この持参しました地図で、かすみ堤がここに構築されております。かすみ堤を構築するに至りました経過を詳しくどういう計画もとに——準備された段階から完成された時点までの年度ごとによろしくお願いをしたいと思います。
  132. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  昭和二十八年にかすみ堤をつくることを計画いたしましたが、この内容は、いまおっしゃいました信濃川の左岸の十七・五キロ付近から乱流の防止、河道の整正の見地から、下流に向かいまして約二千百メートルのかすみ堤を計画したものであります。それで昭和四十年の九月に着工いたしまして、その後、長岡大橋架橋にも関連いたしまして、治水上の観点と、それから控え堤といいますか、いま配っておりますのが、これは控え堤と申し上げますけれども、それの補強、あるいは橋梁の工費など、いろんな検討材料がございまして、その結果、かすみ堤の先端から本堤までの約三百五十メーターにつきましては、昭和四十三年の七月に締め切ることに局部的な計画変更をいたしたわけでございまして、このかすみ堤の工事は昭和四十五年十二月に完成したものでございます。  以上でございます。
  133. 田代富士男

    田代富士男君 私がお聞きしたいのは、昭和二十八年に計画をされたということでございますが、四十年に堤防工事の着工がされております。この期間の準備がどのようにしてなされたか、これを詳しく説明してください。
  134. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま、申し上げましたように、昭和二十八年の計画を実行するにあたりましては、当地先は信濃川の中でも部分的に川幅が非常に広くなっておるわけでございます。そういうことで、先ほど申し上げましたようなこの周辺の乱流を防止するというのがやはり一番大きな問題でございまして、そういう意味で河道の整正をしようということで堤防の法線をまずきめなければいけないと。これが現在、いま先生おっしゃいましたようなかすみ堤の本堤の方向でございますし、現在はこれは締まっておるわけでございますが、この堤防につきましては四十年度の実施計画の際におきまして承認いたしまして、四十年九月に着工したわけでございます。まあそういうことで、先ほど申し上げましたように着工を見たわけでございますけれども、先ほどのような種々の観点がございましたので、四十三年の七月に締め切り計画に変えたわけでございまして、それから約二年余りたちまして完成したということでございます。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 河川局長ね、私は四十年からの着工後の計画はいま聞きました。だから私が再度お願いしているのは、二十八年にそういう計画があったと、それから長い月日を経まして四十年に着工しております。これだけの大きな工事ですから、着工するについては予算もつけなくちゃならないでしょうから、そういうような準備がどのようにして具体的に何年ごろから——二十八年に計画はありましたけれども、少なくとも着工する前にはそういうような調査の期間から基本計画といろいろあるでしょう。それを具体的に年度別に御説明を願いたいと言っております。  だから重点を置きますと、四十年より前の分ということです。だから信濃川の堤防を整備しようという趣旨はわかりますけれども堤防をつくるに至ったそれまでのいろいろ準備があったと思いますが、その準備を詳しく年度別にお願いしたいと思います。
  136. 増岡康治

    説明員増岡康治君) ちょっと失礼しました。  二十八年の総体計画からその後十年たちまして、昭和三十八年に再び総体計画の見直しをやっておるわけでございまして、この三十八年の総体計画は御承知のように従来どおりのかすみ堤の計画でございましたわけです。三十八年に見直ししたものが実際に工事になるのが、先ほど申し上げました四十年の九月でございまして、これはかすみ堤としての着工でございます。補足さしてもらいます。ただ年々、三十八年から四十年の間はそういうことでございまして、その後は四十年から四十三年まではかすみ堤の姿の計画をやっております。四十三年の七月からは先ほど申し上げましたように本堤堤防ということで、だんだんと延長を伸ばしてきたということで、四十五年十二月に完成いたしました。  以上でございます。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 まあ同じことを繰り返していてもしかたがありませんから、いまの御答弁を私が再確認いたしますならば、二十八年に総体計画があった。そして十年間はそのままの状態できて、昭和三十八年に再び総体計画を練り直しをした。その段階で、現在でき上がっているかすみ堤の調査計画がなされた。で、四十年の五月にこれが着工する段取りになった。  いま三十八年−四十年五月という一つの準備期間中のあれが出ましたけれども、これ以外におもな計画をされたあれはありませんか。
  138. 増岡康治

    説明員増岡康治君) この間はこのとおりでございます。それで、工事実施基本計画がこの間に行なわれております。これが昭和四十年四月でございます。工事実施基本計画をきめております。  それから、その間におきましては、先ほど申し上げました長岡大橋という国道の計画がこの中に一つ入ってまいります。関連の事業はそれだけでございます。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、これはやはりこれだけの大きな計画をしようと思う場合には、いろいろ予算関係もあるでしょう、予算がなければこういう仕事はできません。  じゃ、昭和三十八年度の、いま説明がありました総体計画を練り直し、そして四十年の四月には基本計画をされて、四十年の五月にはこれが決定した。この時点の予算関係の最高の責任者であります大蔵大臣はだれでございましたでしょうか。
  140. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いまちょっとよくわかりません。
  141. 田代富士男

    田代富士男君 ちょっと調べてください。
  142. 増岡康治

    説明員増岡康治君) はい。
  143. 前川旦

    委員長前川旦君) すぐわかることですから、すぐ調べて答弁してください。
  144. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 昭和四十一年当時は大蔵大臣は(「四十一年は聞いてない」と呼ぶ者あり)——田中先生だと思います。(「田中大蔵大臣」と呼ぶ者あり)はい、田中大蔵大臣。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 これは田中先生じゃなくて田中大蔵大臣というのがほんとうの立場じゃないかと思います。  で、いま明らかになりましたとおりに、この田中大蔵大臣が大蔵大臣に在職中に、この新堤防建設、かすみ堤が基本的に総体計画がされて、実施するということがきまったわけなんですね。そういたしますと、ここでまた、建設大臣、この表に戻りますが、新しい堤防がここにでき上がりますと、古い堤防はこれは必要なくなってくるわけなんです。古い堤防が必要なくなると同時に、私が当初申し上げました信濃川河川敷と申し上げました国有地と民有地を含めました約七十三ヘクタールのこの河川敷の取り扱いについて今後どのようになされるのか。これについて、今後の見通しについてお願いをしたいと思います。
  146. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 現在のこの堤防は、先ほど申し上げましたように四十五年の十二月に完成いたしまして、今日まで約四年の経過を経ております。したがいまして、河川管理者といたしましては、本川の堤防状態をもう一度確認しながら、また、これでいわゆる廃川処分をすべき時期がまいっておるという、処分可能な時期にきたという観点に現在考えておりまして、したがいまして、当初申し上げましたように七十三ヘクタールの内容について実際の立ち入り調査、確認等を現在調査をしておるわけでございまして、いわゆる廃川敷処分をする計画を持っておるわけでございます。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 いま河川局長から御答弁がありましたとおりに、これは現在立ち入り調査をして確認しているけれども、これは廃川するようにいま準備をしているということでございますが、その時期にきたというお話でございますが、旧河川法の四十四条が適用される時期は端的に言いまして、そういう時期がきたきたといいましても、おおむねのその時期ですね、これはいろいろな見方もあるでしょうけれども、もうそういう時期がきたとおっしゃるが、端的にどのくらいの見通しになるのか、そこらあたりちょっとお願いしたいと思います。
  148. 増岡康治

    説明員増岡康治君) この作業は、いま北陸地建の工事事務所で実際の作業を進めておるわけでございますけれども、いろいろとこの問題につきましては河川法上の手続なり、あるいは国有財産法の手続なり、いろいろ事務的なものもございますし、現地の先ほど申し上げました立ち入り確認の問題、いろいろとまだございます。まだ事業量が——そういう調査事項か残っておりますので、現段階では非常に申し上げにくいんですけれども、いずれまた冬にもなりますし、なかなか困難だというような考えでおりますけれども、先ほど申し上げましたように時期を得て、すべてのそういうような事務手続なり現地調査が終わりましたならば、そういう手続に入りたいと、そういう考えでおるわけでございます。
  149. 田代富士男

    田代富士男君 いまの局長の御答弁は理解できないわけではありません。理解をいたしますが、いままではそういう堤防ができるまでには、そういうことはなかったわけなんです。堤防ができた、四十五年に完成した、だからその準備をしてらっしゃる。河川法上の問題、国有財産法の問題等のあれがあるから、いますぐでなくしておおむねですよ、私は何年と限定したわけではありません。おおむね何年ぐらいであるか、このようにお尋ねをしておりますが、これ御答弁できないもんでしょうかね。そんなにむずかしいもんでしょうかね。建設大臣いかがでございましょうか。そんなむずかしい問題じゃないと思いますよ。
  150. 増岡康治

    説明員増岡康治君) そういう御質問に対しましては、私どもは御承知のようにいま調査に入っているところで申し上げましたので、今年じゅうとおっしゃっても、もう冬がくるし無理だなという感じで、ことしは無理だろうと思いますが、来年になって来年かその年ぐらいには、やはりまとめにゃいけないなという感じでおるわけでございまして、できれば来年あたりでないと、早くても来年でなければむずかしいというような気がいたしますし、またいろいろ調査の上、またいろいろな問題がありますれば、また延びるというような感じもいたします。その程度しか現在の段階では申し上げられません。
  151. 田代富士男

    田代富士男君 いまの御答弁はいろいろな意味を含めた答弁で、ことしじゅうにはできないと、これはだれでもわかります。これは来年ぐらい、あるいは来年ぐらいにやりたいけれどもとおっしゃれば、大きくそれを理解しまして、向こう二年間あるいは長くなっても三年ぐらいの間には河川敷は廃止される方向になるであろうと思うのですが、これは私の希望的な観測ですが。また、私はこの質問をするに際しまして、どのくらいぐらいになるものでしょうかという、これはまだ資料をお願いする段階で、個人的な会話の中にもおおむねどのくらいぐらいかということは聞いております。しかし、あくまでこれは個人的な立場で聞いておりますから、いま委員会の席上で局長お話を聞きますと、多くを見ても向こう二、三年の間には何とか廃止の方向に向くんじゃないかと、このように私は理解したいと思うんですが、建設大臣、私そのように理解してよろしいでしょうか。
  152. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) よろしいそうでございます。もう私も、堤防ができて水はこないわけですから、雪さえなければ調査事項は進められると、こう考えておりますので、いま先生の御質問のありましたような線で進めていくように督励をしたいと思います。
  153. 田代富士男

    田代富士男君 大臣がそのように御答弁願えれば、もう幸いだと思います。そのような方向になるだろうと。しかし、現時点の話ですから、将来どうなるのかわからない。これは私も理解しますが、おおむねそのようになるという確信を持つことができるんじゃないかと思います。さすれば現在、約七十三ヘクタール、これだけの大きな土地でありますが、現在河川敷でありますが、河川敷が廃止された場合には、これはたいへんな土地になると思うのです、この土地は。そこで私はお尋ねしたいんですが、すでにいま話しをするような方向へいくであろうということを知ってかあるいは知らずか、それは私はそこまで確認はしておりませんけれども、全体的な見方からするならば、これは堤防ができたその暁には河川敷は廃止される、旧河川法の四十四条が適用されたならば河川敷は廃止される、そのようにこれを知っている人は特定な人だと思うのです。その人が——もう昭和三十九年の九月の五日ごろから、いま申し上げました蓮潟町の信濃川河川敷の約七十三ヘクタールを買い占めている人がおります。その買い占めているというその実情です。いま立ち入り調査を一生懸命にやっているという、河川敷を廃止しなくちゃならないから、どういう実態になっているかという、立ち入り調査をやって現状を掌握していますということでございますが、もうこの土地が、最初に私が質問いたしました室町産業の手によりまして、七十三ヘクタールがほとんど買い占められている。この実情を建設省河川管理者としての責任はありますが、所有権の移転云々にまでは責任はないと、このようにお答えになるかわかりませんが、しかし、現時点は河川敷です。そういう立場から、河川敷の管理者として、そういうことがなされていることを承知していらっしゃるのかどうか、そこらあたりを最初にお聞かせ願いたいと思います。
  154. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 先ほど申し上げましたように、現在この土地についていろいろな土地の調査をやっておりますので、いまの先生のおっしゃったようなお話を仄聞したり、あるいはまたいろいろなもので記事で見たいということでございまして、実際のそういうことまでは、私ども本省はまだ確認をしておりません。
  155. 田代富士男

    田代富士男君 まあ確認をしていらっしゃらない。それは確認をしていらっしゃらないと思う。確認をしていらっしゃらない——立ち入り検査をやっていらっしゃるわけなんです、立ち入り検査を、事実。そうすると私はお尋ねしますが、どんな立ち入り検査をしていらっしゃるのか、そういうこともわからないようなどんな立ち入り検査をやっていらっしゃるんですか。
  156. 増岡康治

    説明員増岡康治君) まあ先ほど申し上げましたように、この七十三ヘクタールの中には官地がございます。官地の中でも建設省所管のものもございますし、農林省所管のものもある、そういう問題。それから私有地がございます。これは純粋なる私有地がございます。それから先ほどの九条地がございます。これは河川敷が廃川処分後に——現在国有地でございますが、旧地主へ下付するということになっておりますので、旧地主との境界問題をやっておるということでございまして、そういう状況が現在の状況であるわけでございまして、いま先生のおっしゃるような——ですから総体的な面積はもうわかっておるわけでございますが、個々の一つ一つについていま調査中でございますので、まだ総括的な結論を申し上げる段階に至ってない、そういうことでございます。
  157. 田代富士男

    田代富士男君 まあ私は立ち入り検査をやっていらっしゃって何にも知らないということはないと思うんです。ましてこの七十三ヘクタールの土地は、端的に言えば国有地が四十五ヘクタール、民有地が二十八ヘクタールです。だからその管理をされる場合に、国有地に対する管理、民有地に対する管理、これは河川法上で管理責任者は建設大臣になっております。管理をすることは責任があるんですが、いろいろな立ち入り検査だとかそういうものをされる場合に、国有地の扱い、民有地の扱い、それぞれ違いがあると思うんです。国有地の場合はこういう取り扱いはできる、民有地の場合はこういう取り扱いはできるという、端的に同じ管理責任者でありましても扱い方は幾分の違いがあると思うんです。その民有地に対する管理責任者としてどういう管理をするか、国有地に対して管理責任者としてどういう管理をするか、対照的に具体的に——具体的にですよ、詳しく説明してください。簡単じゃありませんよ。
  158. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 一般河川管理の立場は、一番最初に考えますことは、これが国有地であれ、私有地であれ、いわゆる河川敷という観点から立ちますと、やはり治水上に影響のある問題が一番大きなわけでございます。したがいまして、たとえば現在の蓮潟のこの地域におきましては、もし堤防がない場合はいまの控え堤といいますか、こういうほうに、やはりそこへ水がくるわけですから、その控え堤はどうなっておるかとか、その中に支障物件があるかどうかとか、こういう観点が一番主体でございまして、そういう治水上の問題がありません場合は、直ちにそれが河川管理上の問題として国有地と私有地を区別するような管理体制にはなっていないわけでございます。
  159. 田代富士男

    田代富士男君 もうちょっと詳しく、国有地と民有地の取り扱いについてもうちょっと詳しく、それじゃちょっとわかりません。私は詳しく具体的にと言っているんですから、重ねて詳しく、具体的に説明してください。
  160. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えします。  もう少し補足申し上げますと、私有地と国有地の差を申し上げますと、私有地につきましてはいわゆる占用問題とかいうのが出てまいらないわけでございますが、先ほどの治水上の問題としては一緒でございますけれども、いわゆる国有地と私有地の差といいますと、私有地の場合はやはり河川法でありましても占用云々という届けがなくなってくるわけでございますが、国有地にはそういうものがはっきり出てくるという差の程度だと思います。
  161. 田代富士男

    田代富士男君 どうも歯切れが悪いですね。そうしたら、具体的に聞いていきましょう。  この河川敷の、国有地と民有地とありますが、この売買はできますか。
  162. 増岡康治

    説明員増岡康治君) このいまの九条地の問題にいたしましても、また私有地にいたしましても、この問題の売買という問題は、まず九条地の場合は現在は国有地でございますのでそういうことはできないはずでございますが、私有地につきましてはできるはずでございます。  以上でございます。
  163. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、この民有地については、河川敷の中にある民有地については売買ができる、国有地にあっては一切の売買ができない、しかし、民有地と同じような、一切の売買というのは、まあ所有権の登記が民有地の場合にはできますけれども、国有地の場合は、国有地であるというその名のもとに、しかしその所有者は、国有地であるけれども、その土地の所有者、潜在所有者という者がおるわけなんです。その人は、登記上の手続はできないけれども実質的な売買をやっている、そういう売買は認められるかというんです。
  164. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま先生の御質問でございますけれども河川管理者の立場から言いますと、そういう点につきましては、これは私人間の取引に関することでございまして、私ども河川管理者からは関与できない立場にあるわけでございます。
  165. 田代富士男

    田代富士男君 ほんとうにいい立場だと思うんですね。何かの場合にはそれは国有地でございますと、何かの場合にはそれは私人間の問題でございますと、どちらにころんでも言いのがれといいますか、できると思いますが、少なくとも国有地です。これは民有地の場合はいざ知らず、国有地の場合は、そういう名のもとに所有権の移転等は登記はできないか知らないけれども、実際に行なわれるというようなことはこれはよくないことだと思うのです、私は。だから、ここに民有地と国有地と二つあります。私はここに契約書を二通持っております、契約書を二通。この一通の契約書は、土地売買契約書です。これは河川敷の中にあります民有地、私有地の土地売買の契約書です。そしてこちらにあります私のこちらのもの、これは九条地と言われます国有地の売買の契約書です。その国有地の売買の契約書は、停止条件つき土地売買契約書、この停止条件つき土地売買契約書という名のもとに、国有地が潜在所有者、旧土地の所有者の手からすべて室町産業に権利が移されている。この民間の土地も、土地売買契約書の名のもとに、国有地は、停止条件つき土地売買契約書という名のもとに、権利は全部譲られている。こういうことが河川上は、河川法の上から言うならば、建設大臣が最高の責任者であります。その国有地においても何らかの形で責任を持たねばならない。民有地か私有地だったらいざ知らず、国有地がこういうもとに現在所有権の移転ができないから停止条件つき土地売買契約書のもとになされているでしょう。こういうことを建設大臣として、これは当然である、どんどんおやりなさい、けっこうなことです、こういうお考え方か、これはちょっと考えんとあかぬなという考え方なのか、私にはかかわりないことでありますという紋次郎型でいかれるか、三つのうちのどれでしょう、建設大臣。大臣からお聞きします。
  166. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) ちょっと私は法律に弱いから……。
  167. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま先生おっしゃる問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、廃川処分をするまでは国有地でございますので、そういう状況が現在でございます。そのさなかにいま先生のおっしゃったようなことが行なわれたとおっしゃるわけでございますが、これはあくまで私どもの立場から見ますと私人間の契約に関することでございまして、河川管理者という立場から何とも言えないというのが私どもの立場でございます。重ねて申し上げます。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、私はいま三つの考え方を言いましたら紋次郎型でいくということなんですか、どうなんですか。
  169. 増岡康治

    説明員増岡康治君) ちょっとよく先生の御趣旨が……。
  170. 田代富士男

    田代富士男君 かかわりのないことでございますということでいくのですか。(笑声)
  171. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 河川管理者といたしますれば、現在におきましてはそういうことでございますので、そういうことになるわけでございます。(笑声)
  172. 田代富士男

    田代富士男君 「そういうこと」で……。だから私は大臣に御答弁をお願いしたい。そういうことだというけれども、「そういうこと」というのはどういうことなんでしょうか、私にはわからない。「そういうこと」の内容。
  173. 増岡康治

    説明員増岡康治君) ちょっと表現がまずくて申しわけありませんでしたけれども、先ほどから申し上げますように、河川管理者の立場から言いますと、先生のいま御指摘の問題、九条地に対する停止条件つき売買云々ということばについては関係がないという立場にあるわけでございます。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 そこで大臣、もう一回、法律におれは弱いのだ、そういうことをおっしゃらずに、端的に——私は大臣を責めようとは思いません。いま責めている形になっているかもしれませんが、責めようと思いません、大臣。思いませんが、国有地ですよ、大臣。民有地でしたならば河川法によって管理している。しかし、やむを得ない場合があるでしょうけれども、少なくとも国有地の、その国有地となりましても、中身はもうすでに大蔵省や農林省、あるいは建設省の所管の川や堤防みたいなものがあります。それ以外の旧所有者、九条地、そういう人の土地であるけれども、国有地として明治三十二年以来今日まできております、これは。言うなれば、そういう人たちは自分の土地ではないと思っております、どうすることもできないんですから。それを管理してきたのが建設大臣なんです、河川法上の最高責任者として。これは河川法にもありますとおりです。その土地が、ごく一部がそういう売買をされるということならばよろしいんですが、これは言うならば、売買の対象になるべき土地ではないんです、河川敷というものは、考えただけでも。河川敷を売買して利益をあげるという性格の土地ではないんです、河川敷というものは河川法によって建設大臣が管理しておりますから。それをあえて買おうとする人は、よほど何かたくらみがあるか、何か計画がない限りには河川敷を買おうというような人はおりません。その土地がいま七十三ヘクタールという膨大な土地です。その土地をほとんどといっていいくらい室町産業という会社によって、民間地におきましては本登記まで済んでおります。国有地においては停止条件つき土地売買契約書によりまして権利はすべて室町産業に移っているんです。こういうことを許してよいものかどうか、建設大臣としてお答えしにくいようだったらば、大臣でなくして亀岡個人として、こういうことは許されるのか。まあ、大臣は法律に弱いとおっしゃりますから個人の立場としてこれはどうですか。大臣として言いにくかったら個人の立場で、これは許せるか許せぬか、端的にですよ。
  175. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来局長から申し上げておるとおりでございます。実は河川法によって九条地は河川敷を廃止した場合、もとの地主に返さなければならないという法律があるわけでございます。したがいまして、やはり廃止をした時点においては、そういう法律の精神を一応尊重しなければならないということが先ほど局長が申し上げてきた精神であるわけでございます。しかし、いま田代委員も仰せのごとく、そこに何か歯にもののはさまったような感じも受けるわけでございます。したがいまして、官地はこれはもう国有地でございますから純然たる官地で、これは建設省として十分国民のために活用されることを考えればよろしいでございましょう。しかし、民地、九条地におきましても、私の感じを率直に申し上げますならば、やはり何百年も前からここには水の非常に関係の深い地域でございます。したがいまして、この間の多摩川のあそこへ行ってみて驚いたわけでありますが、堤防のじきそばまで家が建っておる。せめてこういう所だけでも、水に弱い地点には家は建てさせるべきではないなと、そういう指導、さらには緑あるいは公園といったようなことに活用していくような指導をしなければならぬのではないかという感じを実は私いま抱いたわけでございますので、事務当局に対しましては、今後やはり廃川敷にした後の都市計画なり何なりという問題が当然起きてくるだろうと思うのです。そういう際には、そういう意味できちんとした指導をなすべきである、こう指導していきたいと思っております。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 大臣、いま四十四条が適用されてから先のことは指導をしていく、こういうお話でございます。ところが、大臣も四十四条の精神は御存じだと思います。ここに河川法の四十四条がありますが、「河川敷地ノ公用ヲ廃シタルトキハ地方行政庁ハ命令ノ定ムル所二従ヒ之ヲ処分スヘシ但シ此ノ法律施行前私人ノ所有権ヲ認メタル証跡アルトキハ其ノ私人二下付スヘシ」と。旧所有者にこれを渡さなくてはならない。旧所有者へ渡すまでは建設大臣の河川法の及ぶ権限において指導はできますが、四十四条が適用された場合には、旧所有者に渡った場合には、建設省の指導をしていくとおっしゃるが、指導は及びません。だから、いま申すとおりに、旧所有者から室町産業なる会社がすべて権利を取ってしまっている。これがこの停止条件つき土地売買契約書、これで全部もう終わっておりますよ。だから四十四条が適用されて、九条地としてある国有地がもとの所有者へ戻されるという場合、おそらくこれは数年前までは複数の人に戻されるべき土地でありました。七十三ヘクタールが。しかし今回の場合は、四十四条が適用された場合は単数ですよ。室町産業だけにこれが払い下げされる。そうした場合に指導をしますといっても、払い下げられた場合に指導というのは及びません。だから、大臣は今後よく指導しますというけれども、指導はできないというんです。だから、こういう行為を許してよいかどうかと、私がいまさっきから何回も尋ねているのはそこなんです。だから、これを許すということになるのか、これはあまり好ましいことではないという、私にかかわり合いのないことでございますとはもうこれは言えません、いまの大臣の答弁からしまして。だから二つに一つ、好ましいのか、あまり好ましくない、二つのうちどちらか、どちらでしょうか。
  177. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) やはり合法的に行なわれます行為につきましては、これはやむを得ないのではないかという感じでございます。
  178. 田代富士男

    田代富士男君 しかし、これはですね、大臣、こういうことをやってもいいんですか。好ましいことですか。好ましいか、好ましくないか、どちらですか。好ましいか、好ましくないか。
  179. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま先生から、先ほど複数が単数になるとおっしゃいましたけれども河川管理者といたしましては、あくまで旧所有者へ返すという手続きでございますので申し添えます。
  180. 田代富士男

    田代富士男君 どういう意味ですか。
  181. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 河川管理者といたしますれば、廃川処分いたします場合は、九条地についてはあくまで御相手は旧地主といいますか、旧所有者が相手でございます。
  182. 田代富士男

    田代富士男君 旧所有者が相手といいましても、これは停止条件付土地売買契約によりまして室町産業の権利になっております。いま国有地であるから登記できないだけのことなんです。こういうことが、私はこれから先のことを、大臣ね、私はこの四十四条が適用されてから先のことを言っているんじゃありませんよ。そういう室町産業なる——大臣、室町産業という会社はどういう会社ですかと私は一番最初に聞きました。電話をしたけれども電話がかからぬ。代表者も不在である。そして宅建業のそういう手続をしたけれども更新はされてないという、そういう会社がこの停止条件付土地売買契約書の名のもとに売買をしております、国有地を。それでもですよ、これは一方的に許さざるを得ないという見方をされるんですか。それとも好ましくないということですか。そこらあたりはっきりしてください。
  183. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 何べんも申し上げるわけでございますけれども、民法上合法的になされた私人間の契約ということになりますと、政府としてもこれをどうすることもできないということではなかろうかと思います。
  184. 田代富士男

    田代富士男君 私が聞いているのは、それから一歩突っ込んだ聞き方をしているんです。所有権の移転をするのは民法上はそうやむを得ないかわからぬけれども、移転をしている相手の旧所有者と、この停止条件付土地売買契約をしている相手は室町産業という——この室町産業はわれわれも所在がつかめませんというようなそういう会社と、このような売買契約書がなされているわけなんです。しかも、これが国有地ですよ。これでも私はかかわり合いがありませんと、それでもやむを得ないとおっしゃるのかどうか、一歩進んでおりますよ。室町産業という、一番最初に私は尋ねたでしょう。後々これは聞いていきますよと言ったでしょう。だからここで聞いているのです。どこにある会社かわからぬのです。建設省当局がおっしゃった。その会社がこの売買契約、しかも国有地を全部買い占めてしまっている。これは好ましいことか、好ましくないことか、どちらか、どちらですかと聞いているのです。話は簡単です。好ましいか、好ましくないか、むずかしい話じゃないのです。どうです。
  185. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) やはり株式会社である以上、個人間の契約というものにつきましては、これはやっぱり合法と見なさざるを得ないと、こう先ほど来申し上げておるところでございます。いまここで室町という会社が私はどういう会社かわかりませんけれども、それがもう悪であるときめてかかっていいものかどうか、それは私にはいまにわかに結論を出し得ないわけでございまして、先ほども、もう少し調べさしてくださいと申し上げたゆえんもそこにあるわけでございます。
  186. 田代富士男

    田代富士男君 まあこれやっていたら、あと肝心かなめの時間がたってしまいますが、ここでいまさっき私が確認しますと言ったのは、室町産業の免許は四十二年三月二十日から四十五年三月の二十日までと確認しましたが、この売買契約書が三十九年の九月ごろから行なわれております、最近。この事実をどうされるか。
  187. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 室町産業の買収行為につきましては、確かに宅建業法上は定款にも営業目的として書いておるようでございますし、もしそういう売買行為を行なっておるとすれば、それは違反の疑いがあるというふうに推定できると思います。ただ現在のところ、室町産業の実態につきましてもう少し事実を確かめる必要があるというふうに考えまして、先ほど御答弁したような次第でございますので、室町産業自体がそういう行為をすることは宅地建物取引業法上の疑いがありますので、それに関して言えば好ましくないということが言えます。ただそれは事実関係をたどっていましばらく調べてみる必要があると思うのでございます。
  188. 田代富士男

    田代富士男君 いま建設省のほうから事実関係を調べた上で答弁をするとおっしゃいますから、その時点までこの問題は質問を留保します。これは次にまた続けていきます。この問題やっておりましても……。  ただ、大臣一言言っておきますが、端的に好ましいことか、好ましくないことかということを、私はこれを準備する段階で、いろいろ話し合いの中で、だれとはなしに話し合いの中で、これは好ましいことではないですなあということを聞いております。これは個人的な立場ですよ。しかし、いま申しましたとおり、国有地をそのような問題のある室町産業が介入して全部買い占めている……。この問題は留保しますから。  次に進みます。そこで、いま申しますとおりに、国有地も民有地も、ともに室町産業において買い占められてしまっている。どのくらいの金で買い占められているか。だからこまかくは分けません。端的に国有地と民有地に分けます。国有地は一坪約——まあ平均値を言いますと、ここにありますこの停止条件付売買契約書によって取引されました、まあ名前は伏せておきますが、ここに名前書いてありますが、Oさんとしておきます。Oさんと室町産業、これによって停止条件付土地売買契約がなされました。これの坪数は、地積は八畝四歩、これが三万一千二百円で契約をされております。この値段の単価を出しますと坪百二十八円ということです。たばこ二個分のお金で四十四年の八月にこれが契約をされております。坪百二十八円。今度は民有地ですから土地売買契約書、これは両方の地積がありますが、合計しますと、これは九畝二十歩の土地ですが、これが十四万五千円で土地売買契約がされております。民有地の単価を出しますと坪単価五百円。そうしますと、いま申し上げました国有地、すなわち九条地ですが三十五ヘクタール、合計しますと千三百四十四万円、一応概算ですよ、いま言った数字を出して。民有地坪五百円としまして二十八ヘクタール、これが四千二百万円、合計いたしますと五千五百四十四万円、こういう数字が出ることになるわけなんです。こういう価格において購入をされております。これは購入価格です。これは売買契約書ですから、売買契約書を私は坪単価で計算しますと、概算国有地が千三百四十四万円、民有地が四千二百万円、五千五百四十四万円で買われている。そこで、これは三十九年以来ずっと買われておりますから、現在私が問題に供しておりますこの蓮潟町の信濃川河川敷の現在の地価公示価格を、国土庁の方見えてると思いますが、ちょっと教えていただきたいと思います。
  189. 河野正三

    説明員(河野正三君) 長岡市の地価公示は本年度から始めたわけでございます。お尋ねの蓮潟町、寺島町には標準地がございませんので、その近辺の土地の価格を申し上げたいと思います。すぐ近いところでは、長岡市雨池町字木ノ下というところがございますが、ここは平米当たり七千二百円でございます。それから少し、二千メーターぐらい離れておりますが、長岡市上野町字大割というあたりでございますが、これが平米当たり一万三千八百円でございます。で、川の反対側が長岡の市街になるわけでございますが、つまり該当しております地域の対岸ということになりましょうか、距離的には比較的近いところでございますが、ここでは、長岡市水道町三丁目でございますが、平米当たり三万三千五百円でございます。  以上、ちょうどお尋ねの町に標準地がございませんので、周辺の土地の地価公示価格を申し上げたわけでございます。
  190. 田代富士男

    田代富士男君 ちょっと国土庁の方にお尋ねしますが、私がこの委員会に臨むにつきまして土地の公示価格を聞きました。そのときに長岡市上野町の公示価格は三・三で、一坪四万五千五百四十円、このように連絡を受けて私は計算を出してきました。これは間違いございませんか。
  191. 河野正三

    説明員(河野正三君) 平米当たり一万三千八百円ですから、三・三をかけますとおおむねそんな数字になるかと思います。
  192. 田代富士男

    田代富士男君 それから長岡市の水道町の一坪が十一万五百五十円と、このように聞いておりましたが、これも間違いございませんか。ちょっと確認します。
  193. 河野正三

    説明員(河野正三君) 先ほど申し上げましたが、川をはさみまして現在の既成市街地内の土地でございますから、蓮潟町、寺島町というあたりの土地価格と比べるには多少穏当を欠くではないかとその後事務当局が言っておりますが、しかし、それにいたしましても、三万三千五百円の三・三かけると、おっしゃるような数字になろうかと思います。
  194. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いま公示価格の説明を国土庁からしていただきました。  そうしますれば、この蓮潟町の河川敷の一番近くにあります上野町、まあ「うえの町」か「かみの町」か、これは土地の名前はちょっと確認しなくちゃならないけれども現地から約二千メーター離れたところ。まあさほど、二千メーターといってもほんの近くです。その地価公示価格は坪で四万五千五百四十円。このようになりますれば、これが旧河川法四十四条を適用されたあとは河川敷が廃止されます。その時点を、現在の土地の評価価格で計算を、ざっと試算をいたしましたら、購入価格はいま申し上げましたとおりに五千五百四十四万円で購入したのが、驚くことなかれ八十六億七百六万円です。驚くことなかれ百五十六倍の、現在国土庁で提示されてあります公の価格からいきましても百五十六倍です。河川敷は向こう二年か三年の間に廃止されることは間違いない。そして、旧所有者は室町産業によりましてこの権利移転は全部終わっている。あと二年か三年たちまして河川敷が廃止されたならば、いまの公示価格だけでも八十六億七百六万円の、百五十六倍の利益をあげるということです。  そして、いま国土庁の方が申されましたが、長岡市の水道町三丁目、これは中心街です。ここは、この地図で見ていただいたらおわかりのとおりに、この上段のここが長岡市の中心です。この長岡市の対岸の土地です、ここは。だから、いま申しますとおりに、河川敷が廃止されるだけで百五十六倍の利益をあげることになっている。これに対して建設大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。どうぞ。
  195. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) まことに不当であるような感じがいたします、気持ちといたしましては。いま田代先生いろいろの数字をあげられたわけでございますけれども、もしそういう取引が成立したという場合には、こういう人からは思い切った最大の税金を取るというか、そういう措置が行政的にはあるわけでございます。しかし、私が就任以来、土地でべらぼうなもうけをするというようなことはまことにけしからぬのだと。そういうやつを征伐したいんだというのが、私の実は建設大臣に就任しましたときの業界に対するあいさつをしたわけでございますけれども、したがって、適正利潤率というような線で土地の売買というものは、今度国土利用計画法もできたおりからでもありまするし、そういうことは私は、たいへん現在の国土利用計画法の法の精神からいってこういう点は妥当ではないと、こんな感じがいたします。
  196. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣が、こういうことは不当であると。今回は謙虚にこれをあれされまして、この精神で私はやってきたけれどもと、こうおっしゃいました。しかし大臣、堤防を一本つけて河川敷を廃止しただけで百五十六倍。これで驚いてはなりません。もっと驚くことがある。百五十六倍で驚いたらいけませんよ。  今度は、いま信濃川に——時間もありませんから、私、一つ一つ聞いていこうと思いましたが、もう時間があと十分ぐらいですから……、あと十分ですね。だから、まとめて言いますと、この信濃川に三本の橋がかかっております。長生橋、長岡大橋、それから蔵王橋、このように三つの橋がかかっておりますが、最近長生橋と長岡大橋の間に一つ大きな橋をかけようという計画がされております。これを簡単に御説明願いたいと思います、時間もあまりありませんから。
  197. 井上孝

    説明員(井上孝君) 三橋のうちのまん中の長岡大橋は四十五年に完成いたしました。ただいまのところ、この三つの橋以外に政府といたしましてもう一本の橋をかけるという計画は持っておりません。しかしながら、調べましたところ、長岡市を中心とした地元では新しい橋がもう一本ほしいということの要望があるようでございます。
  198. 田代富士男

    田代富士男君 それで、この長生橋と長岡大橋との距離の間隔はどのくらいですか。
  199. 井上孝

    説明員(井上孝君) 上流側の長生橋と、新しい長岡大橋との間隔は約二キロでございます。
  200. 田代富士男

    田代富士男君 私は大阪に住んでおります。大阪は人口約六百万の町です。いろいろな橋がかかっております。あの大阪でも、ここに橋をかけたいなあという場所は幾つもあります。なかなか橋がかかりません。長岡市の人口と大阪の人口と比べたら、これは比べものになりません。三本橋がかかっている。その長生橋と長岡大橋とたった二キロ。二キロのまん中になぜ橋をかけなくてはならないのかということです。橋をかけることにおいて——時間かあればこれ一つ一つ橋のこともやっていこうと思いましたが、時間がありませんから、また次回の建設委員会がありますからそっちに回しますけれども、橋をかけることにおいて——今度は大臣、この地図を見てください。(地図を示す)ここに、ここらあたりに橋がかかる予定で点線を入れております、これは見取り図ですが。橋がかかったならばここの河川敷を通ることになっている。そうすると、この河川敷の土地の評価というものは、橋が通れば長岡の中心部並みに地価が高騰することは間違いない。さすれば、いま国土庁のお方に尋ねた。現地の近くの地価公示価格、それから国土庁の人が長岡市内の中心部の水道町三丁目はここに比較になりませんと言われた。そのとおりです、現時点では。しかし、ここに橋がかかるようになりますれば、市内の価格と同価格とみなしてもこれは間違いではないと思うんです。距離的に何ぼも離れてない。  そうした場合に、いまさっきの長岡市水道町三丁目の公示価格が坪十一万五百五十円です。そうしますと、ここで計算しますと、橋を一本今度かけられたならば、河川敷の値段は五千万円少々で買ったのが二百八億九千三百九十五万円、実に三百七十七倍の金額になる、橋を一本かけることによって。この事実を建設大臣どうかと言っても、もういまさっきのあれで大臣お答えになっている。これはそれより倍することです。そうすれば、これはそういう金額ですから、もしそうやったらば、これを大臣はもう渡すわけにいかぬです。河川敷として公園とか緑に——多摩川の場合はそばまで家があった。こういうことはよくないです。ちゃんと残すべきだと、公園にして緑にすべきだと、そういう大臣のお考えでいきますならば——大阪の大和川の河川敷、これは昭和四十九年度に東住吉区矢田の左岸で建設省河川敷を買い上げた価格が何ぼであるか。これですね、坪単価六万七千九百八十円で買っていらっしゃる。同じ河川敷です。じゃあ長岡のこの河川敷を買おうという場合、値段の違いはちょっとあるかもわからぬが、この計算でいきますれば、建設省河川敷を買った値段でさえも百二十八億四千八百二十二万円になります。そうすると、これは何倍になりますか。こういうことが許されてよいのか。  時間がありませんから、私はまとめてこれを言うならば、いま問題になっております田中さん——田中ファミリーともいわれております。田中ファミリーのこの商法のやり方は、私は三段飛び商法であると名づけたい。田中ファミリーの商法は三段飛び商法、ホップ・ステップ・ジャンプ。これを今回の信濃川河川敷に当てはめるならば、ホップは何か。一定の、特定の人だけしか知っていない、そういうところに堤防がついてこういうことになるぞ、その時点で河川敷を室町産業が買い占めてしまった、五千五百四十万円。これがホップの段階。  ステップ。権力介入。堤防をつくって河川敷を廃止しようという。このときの大蔵大臣はだれですか。お調べになるのにずいぶん時間がかかりましたけれども、田中大蔵大臣である。基本計画のときから実施まで決定された。そこで、堤防建設河川敷が廃止されて室町産業の所有の土地になる。この時点で金額はいま明示した八十六億七百六万円、百五十六倍。これがステップの段階。  ジャンプの段階。これも権力介入。大手大橋を設置する、それによりまして河川敷の地価は長岡市街並みの地価に暴騰をする。このときの金額が二百八億九千三百九十五万円、実に三百七十七倍。  これを称しましてホップ・ステップ・ジャンプ、田中ファミリーの商法は三段飛び商法であるといわれるゆえんはここにあると思うのです。  そして、大手大橋につきましては、長岡市民の皆さん方に募集を出しまして、橋の名前を募集しますという募集までやって橋の名前をつけた。長岡市のニュータウン計画のためにこれをやりますという。名前は、長岡市のニュータウン計画のためにということで大手大橋をつくります、市民から橋の名前まで募集している。実に手の込んだやり方です。  実はこの実態——これに対しても時間がありませんが、私はこういうことは断じて許すわけにはいかない。だから、いまさっきの問題といい、まだ解明しなくちゃならない問題があります。留保しますけれども、いま言った田中ファミリーの商法は三段飛び商法であると、事実の上からまとめて私は言いましたけれども、大臣どうでしょうか。  ヨーロッパの王さまにはエンクロージャーということがよくいわれます。囲んで土地をぶんどるというエンクロージャー、ヨーロッパの王さま。ヨーロッパのエンクロジャー日本版が田中ファミリーの商法じゃないかと思うのです。この点大臣、最後のまとめといたしまして、私は時間がまいりますと終わりますけれども、最後に大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  201. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど申し上げましたように、やはり土地そのもので不当な利得をあげるということは、これはもう許されない時代になってきておることは田代委員も御承知のとおりであります。したがいまして、国土利用計画法なる法律を制定された趣旨もそこにあるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のありましたようなべらぼうなことは私はないと、こう信じたいわけでございます。またそういうことは許される時代ではないと、こう私は考えておるわけでございます。
  202. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  203. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  204. 加藤進

    ○加藤進君 私はいまから八年前、すなわち昭和四十一年の十月二十日の日の衆議院予算委員会におきまして、田中角榮氏にまつわる重大な容疑について当時の佐藤総理並びに橋本登美三郎建設大臣に質問をしたことがあります。その中で、本日も問題になっております信濃川河川敷を、田中角榮氏の会社ともいえる室町産業が買い占めた問題について、特に橋本建設大臣に次のように質問いたしました。いま信濃川左岸に進められている堤防工事は、治水上の護岸対策としてのかすみ堤というものであるか、それとも本堤そのものであるか。これに対して橋本建設大臣の答弁は次のとおりであります。ただいまお話のあったかすみ堤、建設省ではいわゆる導流堤といっておりますが、かすみ堤というのは見えるか見えないかというところで、かすみのごとくということでかすみ堤の名前がついております。要するに見えるか見えないかという程度の低い堤防をつくることになっております。これが本堤になるかという質問に対しましては、その意思はない。かすみ堤として、いわゆる流れの調整をはかる導流堤でございますと、きわめて明確に、かすみ堤でございますと言い切っておられるわけであります。本堤ではないと言い、しかも、見えるか見えないか程度の低い規模の小さい堤防でございます、こう言われたわけであります。ところが、私は当時現地調査に参りまして、一体堤防がそれほど低くて、かすみのように見えるか見えないかという程度のものかということを確かめました。ところがどうでしょう、このかすみ堤なるものは、本堤よりも一メートルも高いんです。堅固な堤防でありました。本堤といってもいわば言い過ぎではない程度のかすみ堤が当時できておったわけであります。この堤防に対して、当時の建設大臣はあくまで、かすみ堤でございます、治水上の対策としてつくったのであって決して本堤などとはいたしません、これが答弁であります。それが昭和四十一年十月段階における答弁です。  そこでお尋ねしますが、この堤防が本堤という形に姿を変えるのはいつの時期なんでしょうか。
  205. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。まず最初に、かすみ堤ということばでございますけれども、私どもはかすみ堤はいま加藤先生のおっしゃる一つの導流堤と、それからあと控えておるこういうような構造を総称してかすみ堤方式ということで私ども考えておりまして、そういう意味で……
  206. 加藤進

    ○加藤進君 そんなことを聞いているんじゃないんです。もう政府、大臣がしっかり答弁しておられますから、あなた特別にそんなことを言ってもらわなくてもいい。いつから……。
  207. 増岡康治

    説明員増岡康治君) それで、かすみ堤の締め切りを決定いたしましたのは昭和四十三年七月の十三日、個所別変更できめたわけでございます。
  208. 加藤進

    ○加藤進君 私の質問したのは昭和四十一年の十月段階ですよ。そのときには大臣自身が絶対に本堤にはいたしませんと、こう言っているんです。しかるべき筋の通った理由がなくちゃならぬ。一体どういう理由ですか、これは。
  209. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。先ほどもお話があったんでございますが、昭和二十八年にこのかすみ堤の計画がありまして、それが十年たちまして三十八年にも見直しの当時はかすみ堤でございました。それからいろいろと現地では将来の計画について調査検討を進めておりまして、いま先生がおっしゃいますように、四十一年の十月現在はかすみ堤の計画になっております。それからいろいろと全体の計画がなされる中におきまして、まず理由と申し上げますと、その後この信濃川中流部はやはり河道の整正といいますか、乱流の防止というものがやはり優先すべきであるということから一つの法線がきまっておるわけでございます。その法線の形は、いま先生おっしゃる導流堤の方向と一致しております。これを締めるか締めないかという問題になるわけでございますが、その後、長岡大橋がこの付近を通るというようなことが道路サイドのほうからも検討河川管理者に合い議される時期があるわけでございます。これが四十二年の九月でございます。このごろそういうような道路の問題が協議を受ける段階にあるわけでございまして、河川管理者といたしましては、いろいろかすみ堤のこの蓮潟地区の遊水効果というのはどうだろうかということを当時も計算しておりまして……
  210. 加藤進

    ○加藤進君 簡潔にお願いします。
  211. 増岡康治

    説明員増岡康治君) あまりない、〇・三%ぐらいしかきかぬだろうということが一つでございました。それから締めた場合と締めない場合のいろいろ効果を比較したところ、締めても問題ないということがわかりまして、すべての諸条件を比較いたした結果、四十三年七月にかすみ堤の締め切りを決定したわけでございます。
  212. 加藤進

    ○加藤進君 私に明確に本堤にはしないと答弁しておきながら、その後二年もたたないうちにこういう重大な計画変更が行なわれています。国会でこの私の答弁を否定したり、あるいは修正するような答弁を大臣がやられたことがありますか。建設大臣がやられたことがありますか。
  213. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いま先生のおっしゃることにつきまして経験が不足でございますのでまだ私よく存じ上げません。
  214. 加藤進

    ○加藤進君 全く国会には、こういう計画を変更しましたとか、あるいは従来の計画は取り消しますとか、何一つ言われていないんですよ。言われていないで建設省、大臣の言明にもかかわらず平気で計画変更してこれを進めている。その結果どういうことになっていますか。かすみ堤だ、かすみ堤だといって、いずれは遊水池となるんだから、この遊水池の底に沈むような土地ならこれは決して高くは売れぬだろう、しようがない、こうして坪百数十円で手放す人がどんどん出ていきました。全部買い占められたんです。買い占めが進行して、そして何が起こったかというと、かすみ堤というのは名ばかり、実は本堤締め切りをやる。そして先ほどの質疑の異常な状態が起こったわけでありまして、これは田中角榮に関係される会社の問題ばかりじゃないです。建設省自身の重大なこれ共同の責任があるんですよ、これは。いわばこのような計画が一方で進められておるときに、ちゃんと建設省ではそれに見合うように計画が実施されておるんです。そしてその土地は信濃川から切り離され、河川敷という名前が残っておるけれども、本来河川敷じゃない。名称を廃止すればそれで一般の土地に変わる、流用される、こういう状況をつくったのは建設省でしょう。私はその点で建設省建設大臣、この問題についてどういうお考えを持っておられるのか質問をいたしまして、上田議員に質問を譲りたいと思います。
  215. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 計画変更に至りました理由につきましては、ただいま河川局長から申し上げたとおりでございます。実は私も加藤先生からの御質問をお聞きしまして、ここに当時の委員会議録があるわけでございます。個所別予算は政府から国会に決算で報告しなければならぬわけでございます。ただいまそういう意味で御指摘をいただいたものと、こう私は受け取った次第でございまして、このような信濃川の治水上、また地元の方々のいろいろな御要請等もあるということも一面私も聞いておるわけでございます。したがいまして、大臣が加藤先生にお答え申し上げました、本堤にはしないということを申し上げました以降において、事務的に、技術的に、ただいま局長から申し上げたような線で計画変更をせざるを得なかったということはやむを得なかったのではないか、こう考えるわけでございます。私の気持ちを率直に申し上げると、その計画変更の際には、やはり国会で一応申し上げた大臣の所信でありますから、少なくとも御連絡を申し上げてしかるべきではなかったかという感じもいたすわけでございます。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ただいまの加藤議員の八年前の質問を初めとして、その後松本善明議員の質問、小林政子議員の質問、渡辺武議員の質問など、共産党は田中首相の金権政治にからまる疑惑の問題を国会でも次々とこれまで追及してまいりました。いまこの問題が非常に日本の政治の大きな焦点となって、国民も大きな関心を持っております。田中首相の地位の利用、財産の隠匿と脱税、幽霊会社利用等々にからまるこの疑惑は、清潔な民主政治を目ざす上でこれを解明することはもう不可欠の問題だ、その点で国会もこの問題を解明する上で非常に大きな責任を持っていると思います。私は先ほど田代議員、それから同僚の加藤委員の取り上げました信濃川河川敷問題、これは田中首相の選挙区、新潟三区で起きた重大な問題でありまして、この問題を続けて取り上げたいと思います。大臣に資料を差し上げたいと思います。
  217. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) はい、いただきました。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうですか。先ほど来明らかになっておりますように、どういう問題かということはほぼ出てまいりましたけれども、大蔵大臣当時、田中首相が公職の地位利用で得ることができた国の建設計画についての知識をもとにして幽霊会社室町産業を設立して、農民をだましてこの河川敷二十数万坪の広大な土地を買い占めた。今日の時価で私の計算ではおそらく数百億に達するであろうという土地に関する不当な利益を得たのではないかという重大な疑惑であります。  それで私は、まず最初にこの事件の規模、これを明らかにしていきたいと思います。問題の河川敷は長岡駅の市街地から車で五分と、非常に交通便利な土地にありまして、非常に広大な土地であります。私も先日現地に行ってまいりました。話には聞いておりましたけれども現地に立って見てみますと、当初三十万坪と言われ、新堤その他を入れますとそのぐらいになりますが、羽田飛行場の三分の一の広さだというわけで、田中首相は幹事長時代にここに飛行場をつくるつもりもあったということを言ったぐらいまことに膨大な土地であります。そうして、しかもこの西側には関越高速道、北陸高速道のいま建設中で、その合流点も近くできます。インターチェンジもできます。そのためにニュータウンだとか、工場だとか、ボウリング場だとか、分譲地だとか、いままさに建設ラッシュで、将来これは長岡の市街の中心地になるであろうと言われている土地であります。しかも、この問題が起きるまでは、つい最近までこの河川敷地帯というのは畑として耕作されておりまして、長岡市が消費する野菜の八割はこの河川敷における畑で生産されていたという農業政策上も非常に重要な土地なのであります。先ほど来明らかにされておりますように、新堤ができ上がってほぼ三年で堤が固まると、三年で大体これを廃川敷地にするというのがいままでの慣例だそうで、そのための所有関係調査がいま行なわれているという答弁がありました。私どもも北陸地建の長岡工事事務所の高橋副所長に聞きましたところ、細部を除いてほぼまとまったということであります。先ほど河川局長の答弁がありましたけれども、七十三ヘクタールの総面積と言われる中で、室町産業が三十九年から四十年にかけて坪五百円、占用耕作権は百円という安い値段で買い上げたわけですけれども、どのくらいの土地を買い占めているのか、その面積がわかっておりましたら再度明確にお答え願いたいと思います。
  219. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いまその問題については調査資料を私ども持っておりません。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この買い占めた河川敷についてことしの三月ごろ室町産業の委任を受けて越後交通、これは昔田中首相が社長をやっていた会社であります、非常に関係が深い。この越後交通の不動産部が委任を受けまして農民と離作交渉を昨年来始めて、大体ことしの三月ごろから離作料を反当たり六十万円払っております。私どもはこの越後交通不動産部の木川忠松部長にこの問題をただしました、どのくらい買い占めているのかと。木川部長の返事によりますと、約十二、三万坪、四十万平方メートルだという返事でありました。しかし、私はこれは違うであろうと思います。先ほど七十三ヘクタールと言われましたけれども、そのうち四十ヘクタールぐらいだというのではなくて、実際にはやっぱり全部買い占めているであろう、そう私は推定します。その一つの証拠は、先ほど加藤議員が追及いたしました、昭和四十一年の十月二十日に衆議院の予算委員会でこの問題を取り上げた夕刻、当時の田中幹事長は記者会見をして釈明の談話を発表しております。その中でこう述べております。この問題の河川敷の利用のために、これは大きい事業だと、私が蔵相就任まで社長をしていた日本電建でやってくれということになり、一億三、四千万円を投資して新しい会社室町産業をつくり、土地所有権を移した。こう御本人が釈明談話を発表しております。この一億三、四千万円という投資額をたとえば全部坪五百円で買ったとしてこれを割ってみますと、約三十万坪近くになりますので、この一億三、四十万円——、というのは室町産業というものは、ほかの仕事を何もしていないんですから、ほとんどこの投資に使ったと見ますと、とにかく二十三万坪近い土地のすべてをおそらく室町産業は買ったであろうという推定が一つ成り立ちます。それからもう一つは、これは建設省に私ども要求いたしまして、この問題ずっと共産党が調べておりますが、建設省から出た資料で、この蓮潟地区の河川敷の民有地についての登記簿の調査がございます。ここに一筆ごとにどの土地をだれが持っているかという調査のリストがあります。これを調べてみますと、山林、原野と、それから雑種地となっているところは、農林省と二、三の農民を除きまして、すべて室町産業株式会社の所有に移っております。で、民有地のうち畑については、農地法の制約がありますので、所有権まだ移転ができません。しかし、原野、雑種地については所有権の移転ができますので、すべて室町産業の所有になっている。そうすると、原野、雑種地のすべてが、二、三人を除きましてすべてが室町産業の所有に移っているということは、おそらく畑についてもすべて室町産業との間に契約が成り立っているであろうという推定が成り立ちます。そういう点で巷間いわれているように、この広大な河川敷については、室町産業が昭和三十九年から四十年にかけて、全部所有地については坪五百円、占用耕作権については坪百円という価格で一応合法的に手に入れたという推定が成り立ちます。しかも問題なのは、そういう安い値段で全部買い占めたとすると、いま価格がどうなっているか、先ほど田代委員からも指摘がありました。私ども現地に行っていろいろ価格を調べてみました。実際の取引価格を調べてみますと、このもとの堤から二百メートルぐらいのバイパスに近いところのいまの取引価格は十五万円であります。二年間で二倍になったということです。十五万円に二十二万坪かけてみますと三百三十億円になります。将来この高速道路が完成して、東京にも大阪にも自動車ですっと行けると、それから第二長生橋、先ほど問題になったあれまでかかりますと、すぐ二十万、三十万になるであろうといわれている土地であります。もし三十万になると、六百六十億円という計画になりますので、とにかく四百、五百、六百億円という価格で、田中首相のことばを信じて一億数千万の投資をしたとしても、これはばく大なもうけになる。十五万でも——坪五百円で買ったのが十五万ですかち三百倍ですね。三十万になったら六百倍と、数百億円のもうけを、不当な利益を得たという事件であります。よく三億円事件でわれわれ驚きましたけれども、三百億円としても三億円の百倍と、あの三億円事件の百倍の規模の詐欺、犯罪が行なわれたという重大な疑惑のある土地だということ、そういうことをまずぜひ御認識いただきたいと思います。私も現地に行きましたけれども、三十万坪近い膨大なこの土地、これが長岡市に野菜を供給していたにもかかわらず離作させられたと、いま草ぼうぼうの荒地であります。ここが室町産業の手に入って、数百億円に達する利益がもし移ってしまうと、そのことを日本の政治も国会も黙まって見ているとしたら、これは日本の政治にとって非常に大きな汚点になる重大な問題だということをまず前提として、問題の質問に移っていきたいと思います。  私が問題にしたい第一の疑惑は、率直に、単刀直入に申し上げますが、わが日本の総理である田中角榮首相の公職、地位利用、そういう重大な疑惑であります。先ほど明らかになりましたように、当時田中角榮氏は大蔵大臣でありました。したがって、この堤の建設計画、あるいは国道八号線のバイパス計画その他について、十分知り得る地位にありました。しかも、ここは新潟三区、田中氏の選挙区であって、公稱七万名といわれる越山会が組織されているところであります。この蓮潟地区も非常に越山会の強いところであります。だから、新潟三区の中で手にとるように何が起きてもすべて情報が集まってくる場所ですから、どこに堤ができる、どこにバイパスができるというようなことは当然詳しく知り得たであろう、容易に知り得たであろうということは非常に明らかであろうと思っております。先ほども田代委員質問で、この新しい堤防建設実施計画、これが昭和三十八年ごろから始まったということが明らかになりましたので、当然田中首相はこの堤の建設計画についても知ることができたということは、もう重ねて質問する必要がないと思いますが、この堤の問題と、もう一つ大事なのは、お渡しいたしました資料の地図のところにございますが、もう一つ国道八号線のバイパスがこの河川敷を通過して、先ほどから問題になっております長岡大橋が建設されたということがございます。これがこの地域の地価を非常に上昇させたもう一つの問題でありますが、一つ質問は、この八号線のバイパスの建設計画は一体いつごろ立てられたのかということについて御返答願いたいと思います。
  221. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 道路局長から答弁させます。
  222. 井上孝

    説明員(井上孝君) この国道八号線長岡バイパスの調査は、三十八年及び三十九年にわたって計画調査と、昭和四十一年まで構造物調査等を続けまして、四十二年に着工し、四十五年十一月に四車線のうち二車線だけが暫定断面として完成をいたしました。
  223. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの道路局長の答弁で大体調査が三十八年から始まったという答弁がありました。それで、この調査は三十八年に始まったけれども、ここに長岡都市計画の略図というのがありますが、この略図にも明らかなことなんですけれども、実際上この地域に、大体路線がここにきまると、橋は大体この地域に通るということは、実は関係者の中ではほぼ明らかなことであったろうということを推定できる根拠があります。というのは、このバイパスの長岡市街地部分、これは長岡の都市計画の中で、もうすでに決定路線でありまして、昭和三十六年八月に路線決定がされているという事実があります。そうしますと、このバイパスを通すのは、どうせ市街地を通さなければいかぬと、しかもその路線は、その東側にバイパス国道十七号線が通る予定がありますから、国道十七号線とつなげなければならぬ、そうすると、当然三十六年八月に決定されていたこの路線につなげる以外に大体道がない。しかもすでにある蔵王橋、長生橋の中間あたりでありますから、だから調査は三十七年から始まっているけれども、大体だれが考えてもここを通るということはきわめてあたりまえのことです。それから県や市の関係者とは当然建設省もこういう問題についてはいろいろ打ち合わせをして進めるということでありまして、こういう点から申しましても新堤の建設計画、八号線バイパスの位置並びに長岡大橋がどこにかけられるかということは、新潟三区の選挙区であり、また大蔵大臣である田中角榮氏にとってはもうすでに十分承知の上のことであったと、そう思われます。そうして、大体三十八年ごろから、越山会を中心にいたしまして堤防送り出し期成同盟というのが結成されまして、つまり堤防を前に送り出して、そしてここを廃川敷に将来してしまおうじゃないかという運動が起きていくわけであります。それで、三十九年の九月五日を最初にして四十年の三月までの間に農民から土地をごっそり買い占めていくという事態が起こりました。この点で私は非常に重大な疑惑を持たざるを得ないのは、三十九年から四十年にかけてのこの買い占め行為——堤の建設は四十年から始まったわけですから、まだ堤の影も形も見えない時期であります。ところが、買い占めた土地は実にみごとに将来堤ができる範囲内だけを買ってありまして、堤の、川の内側になる部分についてはほとんど買っておりません。これは国土地理院から出していただきました航空写真であります。(写真を示す)これは見えませんけれども昭和三十七年のこの航空写真を見ますと、ここが問題の河川敷なんですが、これは全部もちろん境も何もない畑地あります。ここで長岡市の八割の野菜が生産されておりました。次に、このかすみ堤が建設されていった昭和四十二年の航空写真でありますが、かすみ堤の建設が途中まで進んでおります。このかすみ堤が一体どこにつくられるかというのは、室町産業が買い占めを始めた時期にはまだだれもわからないはずであります。ところが、田中首相が自分の証言でも自分がつくった会社だと言っている室町産業の買い占めた土地は、みごとにかすみ堤の範囲内だけを買い占めた。わずかに外側に少しありますけれども、これは一筆でつながっているので、しょうがないので買ってしまったというのがあるだけであります。ですから、私はこういう事態を説明し得るものは、田中角榮氏が超能力をもって何か透視能力があったか、あるいは地位利用をしてどこかにかすみ堤が引かれるかという路線決定図あるいはそれに近いものをきちんと持っていた、それに従ってこの範囲内の七十三ヘクタールに及ぶ土地のすべてを買い占めたに違いないという疑惑を持たざるを得ません。そして、そういう地位利用の疑惑は非常にもう濃厚ですけれども、しかも許すことができないのは、自分はかすみ堤の場所も知っている、将来それがどうなるかも大体知っている、バイパスがどこを通って、橋がどこにかかるかも知っている、しかし農民に対してはそれを一切話さないで、次のような説明をして農民から土地を買い占めていったという事実であります。私は今回現地に行きまして農民にも会いました。共産党は前からこの問題について調べておりますが、農民のテープをも私持っておりますが、当時越山会の幹部とか越後交通の庭山康徳、片岡甚松氏らがこの農民に対するいろいろ説明会をやってくれた。そのときの話は、ここは河川敷で三年に一度水びたしになる、ひとつ私どもに売ってくれれば水害が起きたときのめんどうも見る、耕作もずっと続けさせる、地代も要らない、しかも、将来もし建設省のものになってしまったらおまえらの手に入らないぞ、という説明をした。農民は当時、こんないいことはない、地代は要らない、耕作はさしてくれる、水害のときはめんどうを見てくれる、しかも坪五百円というのは当時値段としてはそれほど安いと思わなかった。しかも信頼している田中首相の関係のある人々の動きであり、田中角榮氏が先頭に立っているということはよく知っているわけで、そして、これを売るということを承知してしまったということであります。  ひとつ建設大臣にお伺いしたいのは、こういう自分の地位を利用して路線その他国の建設計画についての知識を前もって知ることができ、それを利用して、売る農民に対しては詐欺同然の手口で手に入れるという事態が起きた、この事態について一体どう考えるのか。田中首相の地位利用の疑惑、これが非常に私は明白だと思いますけれども、こういう問題についてそういう地位利用の疑惑はないということを建設大臣として責任をもって言明できるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  224. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来から申し上げてまいりましたおとり、私の尊敬する田中角榮氏でございます。昭和二十六年ごろから、私が議員になる前から政治活動を一緒にしてきておる先輩でございます。したがいまして、ただいまいろいろと御発言がございましたけれども、私は、そういうことをなさるお方ではないと、こうかたく信じております。
  225. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 信じるという問題は、日本政府は核兵器持ち込みの問題でも、あのアメリカ政府も信頼している信頼していると言うのであって、その信頼の程度というのはもう明白だと思いますけれども、いまの建設大臣の田中首相に対する信頼の程度がいかなるものであるか、これは私は、第二の問題にかかわって一そう明らかになるのではないかと思います。田中首相の地位利用についての重大な疑惑は、建設大臣のいまの抽象的な返答にもかかわらず私が具体的に指摘したデータによってこれは打ち消すことができないと、そう私思いますけれども、第二に私が問題にしたい問題は、先ほど加藤委員も指摘しましたように、建設省そのものがこのトリックに協力したのではないかという重大な疑惑であります。この室町産業の河川買い占めのトリックの最大のかなめは、かすみ堤といって三百五十メートル締め切らないはずの堤が昭和四十三年に至って計画変更になって締め切られたという一点にあります。これがもし昭和二十八年以来の総合計画のまま、かすみ堤のままであるならば、これはなかなか、遊水地のままであって、この河川敷が廃川敷になって膨大な利権が生ずるという問題は生まれなかったかもしれない。だからこのトリック、これはもうきわめて大事な問題なんですけれども、その点を先ほど加藤委員質問したのに対して、河川局長並びに建設大臣は、治水効果——乱流防止の問題だとか遊水地の効果などの問題についてだけお答えになりました。しかし河川敷をどういうふうにするか、廃川敷にするかどうかというような問題は、治水効果の問題だけでなくて別に考えるべき要素があると思いますが、その点いかがでしょうか。
  226. 増岡康治

    説明員増岡康治君) いまおっしゃいますように、河川計画にあたりましてはいろいろとファクターがあります。おっしゃいますように、地域の住民の問題、流域の問題、相当広い面的な問題もありますが、やはり中心になるものは治水だと思います。それで、やはり川というものはしょっちゅう——どう言いますか、動いておる立場でございまして、私ども河川には、ある時期にきめましても時間がたつとともに、毎年いろいろな調査をしておりまして個所別に若干の計画は伴うのが各川の本来の姿でございまして、基本的には先ほど申し上げましたように、基本計画——工事実施基本計画できめておりますけれども、細部の問題につきましてはいろいろと、毎年ちょこちょこ、ちょこちょこと変える場合もありますし、その程度の変更というものはやはり本省内できめてしまうという場合もあるわけでございますが、いろんなファクターがあろうとおっしゃいますが、そういうことと、現在ここで起こりましたのは、やはり橋梁がかかってくる、どうするかと、そういう外的な条件も確かにあったわけでございます。その他いろいろあると思いますが、とりあえず思いついたまま申し上げます。
  227. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) つけ加えまして申し上げます。私も建設大臣に就任いたしまして一年近くなるわけでございます。その間三万一千人の建設省職員はきわめて公務員としてのきびしい立場で仕事をしておりますことを上田先生ひとつ御理解をいただきたいわけであります。私が一回や二回申しましても、理屈に合わぬこと、そういう問題については、たとえ大臣であっても反発をしなさいと、それが国家公務員の使命であるという指導をいたしてきておるわけでございます。したがいまして、ただいま建設省の公務員諸君に対していろいろ御指摘があったわけでありますが、私は建設省の役人諸君については、これは国家公務員の精神を踏みはずすというようなことは絶対にないと、こう確信をいたしております。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 問題は精神論の問題じゃなくて、やっぱり具体的な事実の究明だと思います。先ほど河川局長の加藤委員に対する答弁では、締め切るか締め切らないかいろいろ検討した、締めても問題ないという結論が出た、という答弁をしました。しかし、問題は締めても問題ないんじゃなくて、最初はかすみ堤だったわけだから、締めてもそれは問題ないでしょう、遊水量は〇・三%というんだから。しかし、締めないままでかすみ堤のままだったらどうしても治水上大問題があるということがあれば、いろいろ他に問題があっても、治水上締めなかったらたいへんだということがあり得るなら、われわれもある納得がいく。しかし、二十八年来かすみ堤という計画があって、昭和三十八年にこれの見直しをしてもなおかすみ堤だった。そうすると、締め切らなかったらたいへんなことになるというんだと、それまでの計画自体が全部おかしいということになる。二十八年の計画は正しかった、三十八年の見直しもよかったったという以上締め切らなくても——締め切らなかったらたいへんなことになるという根拠はないと私は思うんですけれども河川局長に、このかすみ堤のまま置いてあったら治水上大問題が起きるという科学的な根拠があるのかどうか、はっきり答弁をしてもらいたいと思います。
  229. 増岡康治

    説明員増岡康治君) かすみ堤のままに今日おきましても、それは治水上差しつかえございません。ただ、先ほども申し上げましたように、この四十三年の検討で締め切るときにきめましたものは、いろいろとその後の調査をまとめまして、やはり河道の乱流を防ぐという観点に焦点を合わせるならば、やはり締め切ってもその治水上のマイナスはないということでございまして、そのときに、先ほど申し上げましたようなバイパス計画がここへ入ってくるというようなことから、もし遊水地のままで、かすみ堤のままでおきますと、やはりまたいわゆる控え堤もまだ丈夫にしなければいけないわけです。それで橋梁もみな、どう言いますか、橋梁で渡るとか、いろいろなやはり総合的に考えた場合に、締め切りをして、しっかりした堤防にして河道整正をするということでいけると、そのほうがすべての資料を考えた場合にやはり工費的にも安かったわけでございます。道路の問題と川の問題と地域の問題といろいろ考えまして、治水上はやはりこれを締め切ってもよかろうという結論に達したのが四十三年と、そういうことでございます。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまお聞きのように、締め切っても問題ないという観点からやっぱり問題が追及されております。ここで考えなければならない問題は、すでにこの問題は、四十一年、四十三年の締め切り決定の二年前に加藤委員が国会で重大な疑惑があるという問題にして、建設省も当然そういう問題があることを知っているところであります。だから一つは政治問題であります。もう一つは、建設省としてこの長岡市の八割の野菜を生産しているこの河川敷をどういうふうに利用していくかという国の農業政策と国土政策に関係する問題です。これも当然このかすみ堤締め切り問題の場合に考慮しなければならない問題だと思います。この二つの問題を考慮するなら、締め切らないでもかすみ堤のままで治水上大問題がないのだとすれば、二年前の建設大臣の国会における言明を裏切って何も延長する必要は全くないんだろうと思います。私はこの四十三年の締め切り決定には、大きな政治的圧力があったのではないかという疑惑を感ぜざるを得ません。というのは、先ほどもあげました加藤質問のその日の夕方の田中幹事長の釈明談話の中にはこういう部分があります。この河川敷をどういうふうに使いたいかと。私としては、鉄道を引き入れ、コンクリート製造所をつくれば地元のために一番よいと考えていると。その日の答弁で橋本登美三郎建設大臣が、見えるか見えないか程度の低い堤防、これはあまりにアバウト過ぎると思いますけれども、それは別にしても、これを本堤にする意思はないと答えたばかりなんです。本堤にしなければ、遊水地、河川敷のままであります。その日の夕方田中幹事長は、鉄道を引き入れたりコンクリート製造所をつくるという考えを発表している。ここで質問しますが、河川敷のままで鉄道やコンクリート製造所をつくることができるのか、その点について質問をいたします。
  231. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 河川敷の中につきましては、治水上支障がないということがすべての前提になります。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、コンクリート製造所や鉄道はつくれますか、河川敷の中に。コンクリート工場、もう一つ鉄道を敷けるのかと、河川敷の中に。
  233. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 河川敷でもいろいろ種類がありまして、差しつかえない場所もあるかもわかりません。まあいまおっしゃるように、遊水的なものにありまして、直接治水上大きな著しい支障がない場合があるかもしれませんが、これはケース・バイ・ケースでございまして、原則としてはそういうものがないほうが最もいいにきまっておるわけでございますが、やはり詳細にやってみますと、そういう場所もあるかもしれませんので、そういう御答弁をしたわけです。
  234. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 このかすみ堤のままで、それまで三年に一度水をかぶる、遊水地にするこの信濃川河川敷にコンクリート工場や鉄道を敷けますか。
  235. 増岡康治

    説明員増岡康治君) これは先ほどの御答弁と一緒でございまして、やはりその鉄道というのは非常に公益事業でございます。したがってこれにつきましては河川管理者としては、やはり十分この内容について協議し、従来やっておりますのは、治水上支障のないような構造にする、そういうようないろいろな条件を付しまして協議するという問題だと考えております。
  236. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも田中さんとだいぶ協議してコンクリート製造所や鉄道をつくりたいようなお考えのようですけれども、水をかぶる鉄道や水をかぶるコンクリート製造所なんてあり得ないわけで、局長の答弁非常にあいまいですけれども、田中幹事長のこの答弁は、その日、橋本建設大臣が本堤にする意思はないと言ったばかりなのに、将来本堤にしてこれは河川敷でなくなると、そういうことを予定してコンクリート工場をつくるとか鉄道を敷きたいとかあるいは飛行場をつくりたいとかいうことを表明したものだ、そう私は思います。そうしますと、こういう経過があって、昭和四十三年に堤の締め切りがにわかに決定されたという事態、これは良識のある国民なら、一体どういうことが起きたんだろうかと、建設省が、この当初大蔵大臣それからこの時期には幹事長という田中角榮氏といろいろ意思を通じあって、田中氏のこの堤防送り出し期成同盟ですね、こういうものの意図に応じてこの堤防締め切りを決定したという重大な疑惑があると私は思います。この点では一体建設省というのはだれのために政治をやっているのか、だれのために建設行政をやっているのかという問題がこの問題の追及を通じて明確にされなければならないと思うのです。この昭和四十三年の締め切りさえなければ、室町産業の思惑は大きくはずれて、ここを耕作している農民の権利も守る道が開かれたのだと思う。四十三年にこの不当な政治的決定によって堤防締め切りが強行されたために、今日のような大問題にさらに発展した。トリックのかなめについて建設省が協力している疑惑があるという問題について、建設大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  237. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) もう申し上げるまでもなく、建設行政のみならず政治は国民一人一人のしあわせを増進するために行なわれることは、日本国憲法に明記してあるところであります。だれのためでもなく国民のための政治であり行政であり司法でなければならぬということは申すまでもございません。そういう意味において私は大臣就任以来、その方針で三万一千人の建設省の職員を督励をし、そして行政を進めてきておる次第でございます。われわれ自由民主党、政府といたしましては、そのような基本的精神に立って戦後三十年政治をやらしていただいた、国民から委任を、委託を受けさしてもらって国民のための政治を行なってきた、こう申し上げる次第でございます。
  238. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの建設大臣の答弁は納得するに足る論拠はやっぱり何もないと思います。私は、この問題についてもさらに究明したいと思いますけれども、時間がだんだん短くなっておりますので、この問題についてもさらに今後追及したい、保留したいと思いますけれども、次の第三の問題に移ります。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕  この信濃川河川敷の問題についての三番目の疑惑は、幽霊会社、室町産業株式会社による詐欺行為、違法行為についての疑惑であります。先ほど読み上げましたように、室町産業というのは、田中角榮大蔵大臣がこの信濃川河川敷の利用のためにつくった会社だということを御自分で証言なさっている会社であります。田代委員質問で重大な問題が明らかにされました。これは私も調べてありましたけれども、不動産取引についての認可を得たのが昭和四十二年だった。三十九年、四十年に何と二十三万坪に及ぶ土地を買い占めた。先ほど計画局長は、継続的に業務として行なった場合というようなことでしたけれども、まさに継続的に業務として膨大な土地を買い入れた。これはまさに違法行為だという重大な問題が明らかになりました。  さらに、これが違法行為であるだけでなく、田代委員も明らかにしたこの契約書、これは資料としてお配りしてありますけれども、この契約書も全くひどいものであります。たとえばこの占用地についての契約書を見ますと、第二条では、つまり、将来廃川敷になって払い下げられた場合、室町産業の手に入るということをきめてある。第五条では、廃川敷にならなくて払い下げられなかった場合はお金を全部返せということがきめてある。第六条では、契約に違反した場合、つまり土地を返せなんということになったら損害賠償をしろということがきめてある。驚くべきものだ。どっちへいっても室町産業がもうかって農民は損をするようにできているのであります。将来この土地が異常に値上がりして農民が返せと言ったとき、契約不履行で損害賠償だ。この膨大な、坪十五万円になっている土地、これを農民が損害賠償できるか。できやしない。これは普通の不動産取引のあるいは条項かもしれないけれども、このケースの場合にはきわめて悪質な契約書になっております。  さらに、私ども調査によりますと、この当時の契約のしかたというのは、これもまことに問題であります。共産党にある農民はこう語っています、名前は隠してくれということで。土地を売る契約のとき、印鑑を持ってきてくれと言われたので、印鑑を持っていくと、役員が契約書を読んで捺印しました。だから契約書の中身がどんなものか知りませんでした。最後まで土地を売ることを拒んだ一人は、一人一人役員に呼びつけられて、泣く泣く契約されたそうです。私がこんな話をしたということを発表しないでください、そう言われているのであります。こういう契約は、私は、やっぱり民法九十五条の「錯誤」によるものだというふうに思います。それからまた非常に不当なやり方だと思う。この契約のしかたは、たとえば民法第一条の、ほんとうに誠実に取引をしなきゃならぬという信義則にも違反していますし、不動産取引の際の原則、たとえば宅地建物取引業法の四十七条の一項一号「重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを」告げてはならないという条項にも違反していると思う。で、契約のやり方がひどいだけでなくて、これは事実を知らせていないわけです。将来堤内地になって払い下げられるかもしれぬということを全然教えていない。二番目に、払い下げられた場合、九条地は無償で旧所有者、旧地主に渡るということも教えていない。払い下げられたら建設省に取り上げられると、廃川敷になったら取り上げられるかもしれぬとうそをついている。三番目に、バイパス——長岡大橋かできて、地価か上昇するという大事なことも知らせていないのであります。一切彼らに有利な事項を隠して、不当な契約書を押しつけて、しかも認可もなしにこういう膨大な取引をやっているという点で、田中首相がみずから設立してやらせた室町産業のこの行為は、私は完全に無効な、全く違法な詐欺行為であると、そう断ぜざるを得ません。田中首相はこの問題が問題になってから、外人記者クラブでの発言で、個人の経済活動と政治活動を混淆されるのは迷惑だということを言った。混淆しているのは御本人であります。つまり農民は越山会の地盤であって、田中角榮さんを政治家として信頼していて、田中さんがやってくれることで農民のためになるだろうと思って売ったのです。ところがその政治的信頼を利用して彼の個人的私益、先ほど申しましたような数百億円に及ぶ個人的私益を追求している。まさに公人としての地位を利用して私的な経済的利益、これを得ようとして、私と公とを混淆しているのは田中角榮氏自身であると私は思うのでありますが、私はこれらの大きな問題をほんとうにこの国会で明らかにするために、先ほどから河川局長にいろいろ質問しておりますけれども、まだ調査が進んでいないと言われておりますので、室町産業株式会社による違法の疑いのきわめて強い信濃川河川敷についての買い占め状況の全貌、一筆ごとの皆さん方に差し上げたこの契約書、それから登記簿、その写しなどの全資料を要求したいと思います。私どもは登記簿も幾つか取りました。もうすでに畑地についてもすべて室町産業の仮登記がついております。それから先ほど言いましたように、原野その他については本登記になっている。債権まで設定されてある。完全な違法行為だと思いますので、この全資料をここで要求しておきたいと思います。  委員長、いまの問題について、全資料要求をいたしたいと思いますが。
  239. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 建設省当局に伺います。  ただいま上田君御要求の資料については、提出の用意ありますか。
  240. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 河川管理者としての権限の範囲内で取れるものは取りまして御提出いたします。
  241. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 第四の疑惑は、この室町産業がきわめて悪質なやはり幽霊会社、ぺ−パーカンパニーであるという問題でありますが、これは先ほど田代委員質問されました。で、ただ、幽霊会社であるというだけでなく、これがやっぱり田中首相ときわめて密接な関係のある会社であるという問題であります。先ほど申しましたように、室町産業はこの河川敷を利用するために設立した会社だということを田中氏自身が述べている。そして最初の代表取締役は、この今度の文藝春秋で「淋しき越山会の女王」と書かれ、田中角榮の権力と表裏一体の存在だと書かれました佐藤昭さんであります。で、この会社は当初佐藤昭さんの住居、住んでいるところに会社が置かれました。それからこの買い占めが行なわれたときの代表取締役は、田中首相が刎頸の友と国会で述べました入内島金一氏であります。この入内島金一氏は現在でも、先ほども出ましたように、この室町産業株式会社の代表取締役であります。その他役員の名前を一々述べる必要ないと思いますけれども、この買い占めで大きな役割りを果たし、この室町産業の役員をしていた、先ほど触れました庭山康徳、片岡甚松、これらの人々は田中氏が最初社長をしておりました越後交通のまた幹部であります。そういう点でこの室町産業は単なる幽霊会社ではなくて、足もちゃんとあると。その足は田中ファミリーというところに根づいておりまして、田中首相の側近、秘書、腹心だけでつくられている会社である。そうするとこの室町産業は、先ほどの違法行為、非常にふかしぎな農民に対する脅迫行為まで含んだやり方をもって、この信濃川河川敷にからまる数百億円の利得を得ようとする積極的な手段であったし、その利得の結果を隠そうとするべ−ルでもあったと、そういう疑惑がこの室町産業にあるわけであります。  さらに指摘いたしたいことは、何の免許もないというこういうとんでもない幽霊会社が、室町産業が、先ほどもちょっと触れましたけれども、越後交通に委託して、越後交通はこれを室町産業から賃借して、権利もないのに——権利もない会社から越後交通という会社が賃借してゴルフ場にする計画を進めているという問題であります。しかも、このゴルフ場にする計画については再び三たび田中首相の名前が出てまいります。一九七三年、去年の十月十一日に、長岡市議会の各派代表者会議が開かれました。ここで小林孝平市長は、次のような報告と提言を行ないました。かねて問題になっている河川敷について越後交通が室町産業から借りて、そこにゴルフ場をつくりたいと、それを市に了承してもらって、河川敷を耕作している農民との間に離作料交渉に入って、来春——つまりことしであります。来春から着工したいという申し入れが行なわれた。そしてその際、かねて田中角榮氏が、河川敷の利用計画を具体化したら市に相談すると言ってきたことに基づいて了承を求めるものだと、越後交通は小林孝平市長に説明したそうであります。この越後交通からの申し出に基づいて小林市長は各派代表者会議にこれを公式にはかっているのであります。この点についても、いま農民から取り上げて離作料を一反六十万円払って、草ぼうぼうにしてほんとうはことしからゴルフ場にしようという計画が進められて、その裏には田中首相がいるのであります。市議会で報告にもなっているのであります。  さて、もう時間がだいぶ過ぎておりますが、このゴルフ場にする計画が進んでいるということについてお伺いしたい。私の調査によりますと、耕作していた農民は、占用地についても建設省の長岡事務所に占用願いを出してもことしから受けつけてもらえませんと言っている。農民には占用願いを受けつけないで、ゴルフ場にはもし占用願いが出た場合には貸すおつもりなのですか。その点について返答願いたいと思います。
  242. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、この地区につきましては、廃川敷処分をしようということで調査をしておる段階でございますので、現段階におきまして、そのような占用許可が出ましても、私どもは適当でないという判断に立っておるわけでございます。
  243. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それではゴルフ場問題については適当でないという判断であることはわかりました。  それで、以上が大体この信濃川河川敷問題についての問題の輪郭であります。調べれば調べるほど、いかに重大な疑惑があり、いかに重大な不法行為があり、それをしかも一国の首相が指揮してやっている。今度のゴルフ場問題というのは去年出ている。田中首相の時期であります。やり続けているという問題であるということがはっきりしたと思います。  一番の被害者は農民であります。昨年の十一月三十日、日本共産党あてに長岡市蓮潟農民一同という手紙がまいりました。  「国会が始まったらまた信濃川蓮潟河川敷の件よろしく願います。このような物価高のとき、百姓は農地だけが頼りです。それをゴルフ場にするなんて、どこまで百姓をバカにしているのだ。それが田中角榮とその一族のすることか。土地のことをしている建設省は何をしているのか、グルだ。川合所長は越山会の業者の力を借りて猟官運動、自分の出世のことばかり、弱い者泣かせ、本省のキゲントリだ。局長河川部長もだ。絶対ゴルフ場反対してください。この世直しのためにも、われわれ農民の血と汗の土地を二足三文で取られた恨みを晴らしてください。」、こういう手紙が来ております。私が会った農民も、いままでのお金は利息をつけて全部返したいと、それであの土地を私は耕作したいと、この河川敷で六反あれば出かせぎしないで食べていけるのだと、田中さんが大臣になったときに私どもは万歳したけれども、もうしないということを言っております。いつかは問題になるだろうとわれわれは考えていたと言っているわけであります。こういう農民の要求、これも非常に私は大事な問題であると思うんです。私はこの問題を調査し、現地にも行って状況を見て、もしこの問題の黒い霧の策謀がそのまま進んで行ったらたいへんなことになると、これは絶対阻止しなければならないと、そう思いました。  先ほど三億円事件の百倍の事件だと言いましたけれども、ゴーゴリの名作に「死せる魂」という小説があります。チーチコフという人が死んだ農奴を買い集めて、これを利用して一旗上げて大もうけをしようということを書いた名作ですけれども、まさに水のかぶるような土地を買い集める。私は次の機会に取り上げたいと思いますけれども、例のもう一つの鳥屋野潟も沼の底の土地を買い占めるということで、まさにゴーゴリの「死せる魂」を思わせるような、何にもならぬ土地を、沼の底の土地やら水のかぶる土地を買い集めて、しかしそれで一旗どころか百旗、千旗も上げる。しかもそれが、一国の首相、その地位利用、大蔵大臣の当時の地位利用、そういうものを通じて行なわれている。だから悪徳商法だとまさに思うんですけれども、この実現を許したら、一体日本に政治があるのか、正義があるのかということになると思います。将来、あそこが長岡市の市街地になってビルディングでも建ってごらんなさい。日本の政治の恥の象徴と、二十数万坪の土地がそういうことになって残ると思う。そういうことをわれわれ知った以上、この問題を徹底的にやっぱり追及するということが政治家の任務であり、国会議員としての私は責任だと、そう考えます。そういう点で、事は一級河川建設省管理責任のある一級河川で起きている問題でありますので、日本の政治の民主主義を守る、モラルを守る、道義を守るという見地から、私は建設大臣に次の問題について質問したいと思います。  一つは、この室町産業の契約が、先ほどるると述べましたとおり、非常に違法の疑いが強い。民法に照らしても、宅地建物取引業法に照らしてもきわめて違法の疑いが強い。それから錯誤に基づく契約でもあると私どもは考えますが、そういう点でこの契約をやはり無効にすべきだと、そうしてやっぱり農民に返還すべきだと、そう思いますけれども、その点についていかがでしょうか。
  244. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来お答えしてまいりましたとおりでございまして、上田君は疑惑を持って御質問なさっておられるわけであります。総理の意思がさもそこにあるというようなお気持ちで御質問なさっておるわけでありますが、私といたしましては総理の政治家としてのそういうことは、自分の意思としてやらせる人ではないと、こうお答えをしてきておる次第でございます。以下、いろいろ具体的に御指摘いただきました点につきましては、私どもの責任の存するところもあるわけでございますのでございますので十分調査をさせていただきたいと、こう思うわけでございます。
  245. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣としては即答はできないし、田中首相を信頼したいと、しかし、具体的な問題については、私が指摘した問題については、建設省としても責任があるので調査をしたいというお答えでした。そうしますも、このやはり重大な疑惑にまつわる問題点調査をやっぱりされるという点、これは確認しておきたい。そうすると、こういう重大な問題が提起されている以上、先ほど河川局長は、いろいろ問題があるので二、三年かかるだろうと言われましたけれども、この問題を解決しないまま廃川敷の処理をいたしますと、一度旧所有者ということになるけれども、停止条件つきの例の契約書で、すぱっと室町産業にいってしまうわけですね。そういう状態のまま、この問題の具体的調査と解明をしないまま、幽霊会社、違法の疑いのある契約を行なった室町産業、これにいってしまう状態のまま河川敷解除は行なうべきでないと思います。その点について、河川敷解除の措置について、根本的な再検討を加える意思があるかないか、この点についても建設大臣にお伺いをいたします。
  246. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど申し上げましたように、土地によって不当な利得を得るということはこれは許さるべきではないというのが、実は私就任以来のいわゆる不動産業界に対して指導してきたところであります。適正利潤率をもって売買をしなさいと、こういう指導をいたしてきているわけでございます。また、国会においても国土利用計画法という法律が制定されたゆえんも、精神はそこにあろうかと思うわけでございます。したがいまして、御指摘のような事態を究明した上で決断を下したいと、こう思っておる次第でございます。
  247. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 事態を究明した上で決断したいと言うので、究明するまではこれについて軽々の措置はやっぱりとられないというように理解したいんですが、そう考えてよろしいですか。
  248. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 当然でございます。
  249. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう一つこの問題について。そうするとこの調査についてはかなり時間がかかるかと思いますけれども、権利を奪われた農民がこの土地を占用したいという場合、いま先ほどお見せしましたように、全然もう耕作が行なわれないで、草ぼうぼうの荒れ地になっておりますけれども、あらためて農民から占用願いが出された場合、占用許可をするつもりはないかどうか、この点についてお伺いいたします。
  250. 増岡康治

    説明員増岡康治君) まだその事実を、私ども、そういうことがまだきておりませんので、もしそういうような事態が起こりますならば、新しい立場といたしましてまた現地といろいろ協議してまいりたいと思っております。
  251. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この農民の権利を守り、また長岡市の野菜生産地の大事な場所をどう守っていくかということは、国土政策上も農業政策上も大事だと思いますし、いまの問題、もっと詰めたいんですけれども、時間がまいりましたので、結論に移らしていただきたいと思います。  いま建設大臣が言われましたように、やはり疑惑があり、具体的な問題を追及する必要があるということは認められた。私はこの問題について私の質問を保留したいと思います。  最後に、私は証人換問を要求したいと思います。この信濃川河川敷は、おそらく戦後最大の地位利用事件だと、そう私は考えます。なぜなら国民がいま注視しているように、一国の首相がこの黒幕にあると、そのイニシアチブを最初から最後までとり続けてきた重大な地位利用事件であるというからであります。この点で国会は責任を持って徹底的な調査を行なう必要がある。日本共産党は、先日、この田中首相にまつわる金権問題について臨時国会で特別調査委員会を開いて、ここで徹底的に問題を解明するべきであると、そういう態度を表明いたしました。しかし、まだ臨時国会は開かれておりませんし、特別調査委員会も設置されておりませんので、少なくともこの決算委員会で、きょうは田代委員、加藤委員と私と三名がこの問題について質問をいたしましたし、証人をこの決算委員会に呼んで徹底的に調べる必要があると思います。次の七名を私は証人喚問を要求したい。  第一は、田中角榮首相であります。田中首相は、昭和四十七年の十一月七日、松本善明議員が大蔵省に関する邸宅の問題並びに鳥屋野潟、信濃川河川敷問題について質問した際、次のように述べております。「田中内閣総理大臣」「私は先ほどから述べましたように、ほんとうに解明さるべきものはすべて解明していただきたい、こう考えております。私は不正に対して関知をいたしておりません。」「いつの日にかこの問題は解明しなければならないことだと心に期してはおりました。」と御自分で述べられているのでありますから、喜んでこの田中氏にからまる重大な疑惑を解明するためにこの委員会に出席するであろうと、こう私は考えます。  二人目は、当時の建設大臣である橋本登美三郎氏であります。これはかすみ堤問題について重大な食言を行なっておりますし、食言だけでなくて、先ほど提起しましたように、この信濃川河川敷問題につて協力した疑いがあると、そう私は考えます。その点で、当時の建設大臣である橋本登美三郎氏をここに証人として喚問させていただきたい。  三人目は、当時の長岡の工事事務所長の京坂元宇氏であります。きょうは時間がありませんのでこの事務所長の問題について触れませんでしたけれども局長の答弁によっても、この堤の問題、バイパスの問題、なぜ締め切ったのかという問題について最大の責任者である北陸地建長岡工事事務所長、この人を証人として呼んで調べる必要がある。先ほど指摘しましたように、全トリックのかなめをなす問題でありますので、京坂氏を呼びたいと思います。  四人目は、室町産業株式会社の最初の代表取締役である佐藤昭さんであります。理由は、先ほど述べましたので繰り返しません。もう時間がまいりました。  五人目は、入内島金一氏であります。現代表取締役であり、この土地の買い占めを行なった方であります。  六人目は、当時の室町産業の取締役、いま越後交通の会長である庭山康徳氏。  七人目は、いま越後交通の社長であり、室町産業の幹部でもあり、この土地の買い占めで役割りを果たしました片岡甚松氏であります。  以上の七人の証人申請をいたしたいと思います。委員長にぜひこの喚問について適切な措置をとられるようお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。ぜひ早急に理事会を開いて、証人喚問問題に結論を出していただきたいと思います。
  252. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 上田君にお答えいたします。  ただいま七名の証人喚問の御要求がありました。本件については、後刻理事会を開いて協議いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
  253. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こしてください。
  254. 田渕哲也

    田渕哲也君 私はまず日照権問題、特に公共建築物による日照被害の問題について質問をしたいと思います。  昨年の予算委員会で私は公共建築物による日照被害に対する補償について政府の方針をただしたのでありますけれども、当時の金丸建設大臣は四十八年中、つまり昨年中に基準をきめ結論を出したという答弁をされたのであります。ところがいまだにこれについての政府の方針は出ていないように思いますけれども、その後の経過をお伺いしたいと思います。
  255. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 御指摘のとおり、現在までに損失補償制度改善研究会を開きまして、その場所で日照権の法的な性格とか、あるいは受忍の限度あるいはその損失の補てんの措置の内容につきまして検討を重ねてまいりました。この研究会では専門委員会を合わせまして十四回開いたのでございます。その一応中間的な意見は得られておりますけれども、具体のケースに適用できるような当初の予期しました基準にはまだ致達していないのが残念ながら現状でございます。
  256. 田渕哲也

    田渕哲也君 長引いている理由は何かという点についてお伺いしたいと思います。  それから今後の見通しといいますか、大体いつごろその結論が出るのか、こういう点についてお伺いをしたいと思います。
  257. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) やはりこの問題は受忍の限度をどの程度に、判定するその基準をどうするか、あるいは被害者あるいは加害者である侵害の態様が非常に多様である、なかなかその中に統一的な基準もともとつくりにくい問題点が理論的にあるわけでございます。しかしながら、今後のわれわれの進め方といたしては、第一にはやはりわが国の特殊事情からいいまして、第一には早く公共事業を施行する側における設計の上での基準を改善していく、環境をなるべくそこなわないような基準を改善していくということを一方で進めるとともに、もう一つはそれによってもなお解決できない具体の生活利益の侵害に対しまして、理論的に完全なものができ上がるのには相当時間がかかるとすれば、とりあえずわれわれとしましては中間的にいろんな具体的なケースを類化いたしまして、できるだけ計量化してこれが運用できるように運用方針をきめていく、こういう基準をつくることのほうを急ぐべきではないかと、かように考えまして、その方針のもとに今後とも鋭意基準化を進めていくつもりでございます。で、われわれの予定では大体来年の秋までにはいま申しました一応の基準化を出したいというふうに考えております。
  258. 田渕哲也

    田渕哲也君 最近札幌の住宅公団の日照権問題に対する裁判の判決が出たわけであります。この判決では公共建築物といえども日照権の侵害は許されない、それに対する損害補償をすべきだということを示しておりますけれども、これを政府はどう受けとめておるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  259. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 先ほど札幌の公団住宅で裁判の結果が出ましたが、当該地域は商業地域内でございまして、商業地域内におきましては商業の利便を増進するということが地域本来の問題でございます。なお札幌の市街地の中心地から約二キロのところにございます将来非常に高度利用をはかるべきところであろうかとわれわれ考えております。したがいまして、そういうような商業地域におきます受忍の限度はどの程度かという問題につきましては、今後判例の累積を待って相隣権等の内容として確定されていくというものとわれわれ思っておりますので、今回控訴をいたしましてさらに判決を仰ぐということにしたいと思っております。
  260. 田渕哲也

    田渕哲也君 現実に高速道路あるいは国鉄の高架化等によって日照被害というものが出ております。私が去年の予算委員会で取り上げたのは総武線の新小岩並びに市川の問題でありましたけれども、これも国鉄側は建設省がこういう日照被害に対する基準をきめるのを待ってから処置をしたい、こういう答弁で非常に延び延びになっておるわけです。したがって、去年の予算委員会では去年じゅうにきめるという大臣の答弁をいただいたわけでありますけれども、それがさらに来年の秋ということになれば非常にこれは長引くと思うのですね。もう少し促進できないものかどうか、お伺いをしたいと思います。
  261. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) ただいま申し上げましたように、問題点は非常に複雑多岐なものの類型化のしかたの技術的な問題にかかっております。したがいまして、現在鋭意研究を進めております一つの成果が来年の二月ごろ出てまいりますので、それをもとにして私は秋ごろまでということを申し上げたのでございますが、できるだけ早い期間に結論を出すべく努力いたします。
  262. 田渕哲也

    田渕哲也君 これがもし基準がでかれば、電現紛争中のもの、過去のもににさかのぼってやはり補償するということは可能なわけですか。
  263. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 原則的には懸案中のものであればおっしゃるとおりでございますけれども、その方針はそのきめられたとき以後において適用されるべき性格のものだと思います。
  264. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、地価の問題について質問をしたいと思いますが、国土庁は十月一日現在の全国地価動向を発表されました。これによると公示価格に比べて、つまり一月一日の調査に比べて三・一%と上昇しておりますけれども、七月に比べては全国平均〇・九%の下落ということが報告されております。この下落傾向に転じた原因は何と考えておるか、お伺いをします。
  265. 河野正三

    説明員(河野正三君) おっしゃるとおり全国平均で三二%ばかり上がった程度でございまして、七月一日に比べれば〇・九%値下がりいたしているわけでございます。この理由は、まず金融引き締め、総需要抑制策による金融引き締めが非常にきいているという感じが第一にいたします。それから二番目には、石油ショック以来生産を制約する要件が非常に顕在化してまいりまして、今後の経済の成長が非常に低成長時代に移行するというようなことになっておりますが、その点が響いている点があろうかと思います。三番目には、土地税制あるいは国土利用計画法の成立というようなところにあらわれておりますように、土地を投機的利得の対象としてはいけないという社会観念が相当国民の間に強くなってきたというようなことが響いているのではないかというふうに考えるわけでございます。
  266. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、金融引き締め、総需要抑制政策は、これが解除されればこの原因は今度は逆に転ずるわけです。それから、これから高成長は望めない、これはまあかなり長期的な様相かと思います。それから国土利用計画法もこれからの問題でありますから、これからの地価の見通しについてどう考えられておるか、お伺いをします。
  267. 河野正三

    説明員(河野正三君) 国土利用計画法によりまして、土地取引の段階で投機的な目的のあるもの、明確な利用目的のないもの等につきましてチェックをする体制が整うわけでございます。したがいまして、適正に国土利用計画法の運用というものをはかっていくならば、従前ありましたような投機的投資によって拍車をかけられた暴騰というような事態は二度とないのではないか、という私は感じを持っております。しかしながら、今後わが国の人口は十年ごとに一千万ずつふえるわけでございます。一千万の人口と言いますと約三百万世帯ということになるわけでございまして、投機的な需要一仮需要的なものが排除されましても相当根強い実需要というものが続くわけでございます。そういうようなことを考え、またさらに総需要抑制策が永遠に続くということもあり得ないというようなことを考えますと、先生のおっしゃるとおり、再び過去のような暴騰はないにいたしましても、ある程度の地価の騰貴ということを招来するおそれなしとしないというふうに考えるわけでございます。何はともあれそういうようなことでございますので、今後は金融上の問題につきましても、望ましい土地供給と望ましくない土地供給というような選別を行ないまして、ある程度金融政策の慎重な運営をはかる。また税制上の措置につきましても、投機的投資の抑制というような点に重点を置きまして改善に改善を重ねていく。さらにまた、国土利用計画法の運営も、国会の御意思に沿いまして、十二分に円滑な実施をはかるというようなことに気をつけていかなければならないというふうに考えるわけでございます。
  268. 田渕哲也

    田渕哲也君 地価が下落の傾向を示したとは言いながら、これはごく微々たるものでありまして、いままでの年間三〇%をこえる上昇、こういう状態が続いてきたのに比べたら、これから暴騰はそれほど予想できないにしても、高値維持ということが言えるわけであります。現在の地価は、もうすでに異常に高過ぎると思うんです。したがって、これはやはり下げる方向で政策を考えていかなくてはならないと思いますけれども、政府としては望ましい地価水準というのはどれくらいと見ているか、この点についてお伺いします。
  269. 河野正三

    説明員(河野正三君) お尋ねの望ましい地価水準ということ、これなかなかむずかしい問題でございますが、例を住宅地にとって——工業用地であるとか商業用地いろいろございますが、例を住宅地にとってみるならばある程度の試算ができるわけでございます。四十九年八月現在、本年の八月でございますが、の勤労者世帯、これは京浜地域をとっておりますが、京浜地域の勤労者世帯の年間収入が約二百六十万円といわれております。かりに年間収入の三倍までローンがきくというふうに考えますというと、七百八十万円の借り入れが可能となります。一方、四十八年十二月末の勤労者世帯の貯蓄調査によりますというと一世帯二百三十五万円程度でございますから、このローンで借りる七百八十万円と住宅貯蓄額を合わせますというと、大ざっぱに申し上げまして約一千万円の物件の取得が可能であるということになろうかと思うのでございます。で、このうちで建築費がまあ坪当たりかりに三十万ぐらいで二十坪ぐらいの住宅を取得したいというふうに考えますと、これは非常に大ざっぱな試算でございますが、六百万円になりますから、残りの四百万円が土地取得に充て得る金であるということになろうかと思います。さて、この四百万円で土地を買うわけでございますが、かりに戸建ての住宅を買う場合とマンション的なものを買う場合とで敷地面積が違うわけでございます。かりにマンションの場合にいたしますというと、まあ二十三区内のマンションは一戸当たり平均十坪と言われておりますが、これではまあ環境があまりよくないということで、空地をとりまして一戸当たり二十坪程度というふうに考えますと、四百万円で購入し得る土地の坪当たり価格は二十万円、坪当たり二十万円、こうなるわけでございます。しかし、庶民がマイホーム、マイホームと言いますのは、まあマンションはやむを得ず買うのでありまして、できれば戸建て住宅が買いたいという希望が総評の調査等でも明らかでございますから、戸建て住宅に例をとってみますというと、建蔽率を六割と見ましても三十数坪の土地が必要となり、一戸建ての場合の坪当たり土地の取得可能な適当な価格というのは、十二万円というような試算結果が出てくるわけでございます。  で、お尋ねの問題につきましては、戸建ての場合は約十二万円ぐらい、マンションの場合は約二十万円ぐらいかなという程度にしかお答えができないわけでございますが、他方、しからば——少しこれはお答えがはみ出すかもしれませんが、四十九年一月の地価公示におきまして調べました地価の動向というものは、首都圏におきましては約四十キロ、五十キロ圏内、この通勤限界地、つまり八十分から百分通勤にかかるという土地は、もうもはや坪当たり十二万円以上というふうになっておりまして、私ども土地政策の衝に当たる者といたしましては、たいへんテリブルな状態にすでになっているということを、先生と同じように感ずるわけでございます。
  270. 田渕哲也

    田渕哲也君 望ましい地価水準から現在の地価を見てみますと、大体まあ倍ぐらいになっていると思うんです。そうすると、これからの政府の地価対策は、やはり現在の地価を半分ぐらいにするぐらいの目標を立てて地価対策を立てる必要があると思うんです。具体的にどういう対策を考えられますか、お伺いしたいと思います。
  271. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 国土庁のほうからお答え申し上げた大筋の地価対策の方策に沿いまして、建設省としては特にこの宅地というものが不足をいたしておるわけであります。まあ絶対宅地の数が不足をいたしておりますことが、やはり土地を投機の対象として暴騰をさせた大きな理由にもあげられるかと思うわけであります。したがいまして、この宅地を民間宅造にだけまかしてきたうらみのあるいままでの措置を、やはり公的な立場においても宅地を造成をするということを積極的に進めていかなければならないというところから、実は昭和四十九年度、本年度予算編成の際にも予算を認めていただき、この予算を執行するための宅地造成の宅地開発公団というものの設立を国会にお願いをして御審議をいただいておると、まあこういう形になっておるわけであります。特にこの宅地は、三大都市圏におきまして非常な不足を来たしておるわけでございます。したがいまして、この法律によりまして宅地の積極的な大々的な造成をはかるということと、さらに住宅公団、地方公共団体等の公的機関の行なう宅地開発事業の推進がはかられるように、補助政策を強化していきたいというような点でありますとか、あるいは大都市地域においては、現在提案をいたしておるわけでありますが、土地区画整理促進区域及び住宅街区整備促進区域の制度を創設をいたしまして、土地所有者による宅地開発及び住宅建設促進を助成をしてまいると、それで一定期間内に行なわれない場合には、地方公共団体がかわって直接開発を行なうことができるような法律もお願いをしてあるわけでございます。さらに、優良な民間宅地開発については、住宅金融公庫及び日本開発銀行による融資をさらに強化をしていきたいと、以上の諸施策を推進する上での最大の隘路は、何といっても宅地開発等に関連して必要になる公共、公益施設の整備に伴う地方公共団体の財政負担が一番問題になっておるわけであります。これが、最近団地お断わりという事態を招いておることは御承知のとおりでございまして、地方公共団体の財政負担を軽減をいたしまして、事業の円滑な施行を行なうために、国庫補助制度、立てかえ制度等を実行いたしまして宅地の造成をはかっていきたい。直接これは宅地の対策には入らないかもしれませんけれども、やはり宅地とともにその家を求めるという際に、いままで住宅金融公庫は、家を新築する際にしか融資を受けられなかったわけであります。それを、まあいわゆる中古と申しますか、古家等を購入する際にも住宅金融公庫の金融を受けられるようにいたしたいということで、五十年度からこれの実現を期すよう住宅金融公庫予算を要求をいたしておるところであります。
  272. 田渕哲也

    田渕哲也君 地価の安定のために、長期的に考えた場合にやはり需給の均衡をはかる、それから供給としましては公共的に安価な宅地を供給する、そういうことが必要だということは十分わかりますけれども、急な間に合うかどうかとなれば、なかなか急速に効果をあげないのではなかろうか。私は、やはり直接的な地価対策として一つ税制の問題があると思うんですね。まあ四十六年から始まった長期譲渡所得に対する分離優遇税制というものがあるわけですけれども、これが来年で期限が切れるわけです。これをその後どのようにするか。やはりその優遇税制をやめて重くすれば、五十年にはかなりの土地のはき出しがあるだろうと、それからやはり保有税を強化する、こういう税制面での対策が一つあると思います。それからもう一つは、国土利用計画法の実施の問題で、この規制区域の網のかけ方をどうするか。できるだけ必要なところは規制区域の網をかけられるような体制にする。それから同時に、その規制区域の標準価格のきめ方の問題、この辺がポイントじゃないかと思います。最近は、地価公示法、公示価格の算定方法を見直すということも言われておりますけれども、まあ収益還元方式に重点を置くというふうに言われておりますけれども、これもどの程度こういうものに重点を置くか、その度合いによって、さじかげんでかなり左右されるのではないか。だから、政府として大体望ましい地価のあり方というものを見詰めながら、この公示制度を改正してそして標準価格というものを適正にきめていく、この辺の努力が必要じゃないかと思いますけれども、この点についてどう考えられておるか、お伺いをしたいと思います。
  273. 河野正三

    説明員(河野正三君) おっしゃるとおり、投機的な需要でない実際の需要、これに対しましては供給の促進が必要でございまして、建設大臣のお答えもその点にあったわけでございますが、当面の地価形成の異常な部分をどうやって排除するかということに関しましては、国土利用計画法の運用ということで対処する以外には道がないのでございます。  そこで、おっしゃいますように、規制区域を大いに活用するということが一つ考えられます。この規制区域の指定をいたしますというと、指定時の価格で地価が凍結になりまして、まあ五年間以内の期間で規制区域というものがずっといく、五年たっても状況が改善されない場合は再指定を行なう、こういう制度になっているわけでございます。で、この問題に関しまして、各都道府県等と十分の連絡を現在とりながら、どういう形で運営しようかということを論議を重ねているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、七月一日以降、土地価格が微少ではございますが弱含みに転化をしてまいっております。地域的には例外もございますが、全般的な傾向としてはそういうことでございますので、この際規制区域を大々的に指定をいたしますというと、周辺の地域の地価は弱含みで下がるのに、規制区域内につきましては、こういった高値の段階で安定させてしまうという弊害が考えられるわけでございます。そこで、こういった事態におきましては、規制区域の指定はむしろ慎重に取り扱うべきではなかろうかというふうに考えられるのでございます。一方、将来ともしからばこういう状態が続けばよろしゅうございますが、何らかのことで再び反騰に転ずるというおそれも皆無ではございませんので、そういう段階が来たときに、伝家の宝刀としての規制区域の指定が間髪を入れず指定されるようにしておくことだけは必要でございます。  国土庁といたしましては、規制区域の指定のための詳細調査地域というものを各都道府県知事に選定をしていただきまして、その地域につきまして、毎月毎月地価動向あるいは取引件数等の動向の詳細な追跡調査をやらせるということを考えております。現在、全国の四十七都道府県知事から集まってまいりましたこの詳細調査地域に選定したい地域というものは五百万ヘクタールにのぼっておりまして、各都道府県の熱意も相当あるように思われるわけでございます。なお、その際の価格につきましては、おっしゃるとおり、鑑定評価基準に整備強化を加えまして、内容は省略いたしますが、市場相場の七割ないし八割の段階に、公示価格ないしは鑑定評価に基づく鑑定評価額というものがなるように期待をし、努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  274. 田渕哲也

    田渕哲也君 もう時間がありませんので、あとまとめて二、三点質問しますので、お答えいただきたいと思います。  この第二期住宅建設五カ年計画、これは当初の計画どおり建たないということがいわれております。大体百万戸ぐらい下回るのではなかろうか。これ、達成の見込みがないとするならば、四十九年度並びに五十年度ですね、五十年度に計画を改定するのか。あるいは改定しないとすると、この百万戸下回らないようにするためにどういう対策を政府が立てられるか、この点をまずお伺いしたいと思います。  それから、建設省住宅金融公庫の追加融資を要求されて、七万戸分は追加することにきまったようでありますが、さらに八万戸のこの追加融資を要求されておりますが、これについてはどうなるのか。それから住宅金融公庫の融資額を来年度は五百万円に引き上げる——現在三百五十万円、これでも先ほどの都市における住宅建設費等のデータから見ても非常に低いと思うんです。これの増額についてどう考えられるか。  以上お伺いをしたいと思います。
  275. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 先生おっしゃいますとおり、第二期の住宅建設五カ年計画につきましては鋭意努力をいたしておりますが、四十九年度まででは七五・二%の進捗でございまして、最終の五十年度相当努力をして見込みましても、やっぱり一〇〇%達成はむずかしいというふうに考えております。しかしながら、住宅建設計画法で定めておりますように、五カ年ごとの計画を定めておりまして、それをできるだけ達成するというのが計画本来でございますので、はなはだ残念ではございますけれども計画を変更するというのではなくて、できるだけ達成をはかりたいというのが現状でございます。計画変更については考えておりません。ただ、推進上の問題といたしましていろいろな問題がございますが、特に公営住宅、公団住宅等の公的住宅が立ちおくれております。そういうものを大いに進めるために、来年度の施策といたしましては、農地等を賃借いたしまして公的住宅を建設する新しい土地賃借方式を確立してまいりたい。それからさらに、特におくれております大都市の対策といたしまして、国有地、公有地及び工場あと地、それから低層の住宅の建てかえ地等を活用いたしまして、回りの悪い住宅の入居者を特定入居させまして、だんだん都市を改造していくという、いわゆる過密住宅地区更新計画に基づく事業を大いに進めてまいりたい。それからさらに、そういうふうな住宅建設の従来の隘路でございました、先ほど大臣からも申しましたけれども、関連公共、公益施設に対します立てかえ施行制度、地方債制度等の拡充強化、利子補給制度の新設等によりまして、大いに対策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。なお、八万戸分につきまして、中小建設業者等の現在の状況、それからいろんな建材店の在庫の状況等から判断いたしましても、何ら景気を刺激することにならないという立場で、われわれ強く要望いたしております。総需要抑制の見地の強い立場でございますので、現在まだ大蔵省と同意を得ておりませんが、引き続き強く要望してまいりたいと考えておる次第でございます。  それから金融公庫を、来年は、ことしの三百五十万円、たとえば木造の戸建てでございますが、融資額三百五十万円を五百万円に引き上げるという要求をいたしておりますが、これは大体五十年度の木造住宅、大都市地域で上物一戸建てでたとえば八十平方メートルぐらいのものを考えますと、上物だけで大体一千万近くなります。それの約五割を融資したいということで検討したものでございます。先生御案内のとおり、昭和四十六年度には九十五万円でございました。それを、毎年度のように百二十万、百五十万、二百五十万、三百五十万と上げてまいっておりまして、来年度は戸数もたっぷり要求したいと思っております。いろんなことを考えまして実現可能性もあり、過去の例を見ますと、公庫の融資によりまして、大体三八%ぐらいしかいままで融資をしてまいっておりません。それを五割まで、今度は実現可能性を考えまして引き上げたいというのが、来年度五百万要求の基礎でございます。
  276. 田渕哲也

    田渕哲也君 以上です。
  277. 野末陳平

    野末陳平君 先ほどから新星企業とか、室町産業とか、いろいろ名前が出ておりまして、これらの会社が田中角榮氏に特別の関係があるというようなことは、もう常識のようになっておりますが、私ここに一つ、ある場所に土地がありまして、この写真を見ていただけばわかりますが、これは場所は渋谷区の千駄ヶ谷、明治通りの一角です。一等地ですね。これが、この看板にありますようにこれ新星企業の管理地と、こういうふうに出ております。まあ五十坪余りで狭いんですけれども、一等地ですから時価はかなりのものですが。さて、新星企業のこの管理地ですが、ここに書いてある電話番号ですね、電話番号にかけますと、もちろん出てきません。違う電話番号を教えてくれます。そこへかけますと、また全然違いまして、ここでは全くその土地のことはわからないと、新星企業というのはときどき電話がかかってくるけれども、土地のことで責任を持って答えられる人はいないのでということで、まあ土地の管理が、ごらんになったとおり、もう荒れほうだいですね。管理と言ってはいますが、管理地と言っているけれども、ちょっとまともな管理とは思えないわけですね。しかも電話番号は、この書いてある電話番号は全くらちあかないということで、まさにこの新星企業というのは、幽霊企業であるといわれているような面目躍如たるものがあるわけですが。さて、この土地が一体どういう土地であるかということを調べてみますと、この土地の権利の移転について調べますと、これが、まずこの土地の謄本ですけれども、渋谷区の千駄ヶ谷、明治通り沿いの一角ですが、この謄本見ますと、四十七年の一月に新星企業から東邦企業というところに移っているんですね。四十七年一月、売買によって所有権が移転しております。  そこでまず国税庁にお伺いしますが、この所有権移転の時点において、その年の新星企業の所得というものに何か不審な点はなかったか、この土地譲渡というのがきちんと申告されていたかどうか、その点まずお伺いします。
  278. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) ただいまお尋ねの新星企業の法人税の申告並びに調査につきましては、適切に処理されております。  なお、ただいまお尋ねの金額等につきましては、従来申し上げておりますが、私ども個別の具体的な内容につきましては、ここで申し上げるのは御遠慮さしていただきたいと思います。
  279. 野末陳平

    野末陳平君 それでは今度は買ったほうの東邦企業のこの資金の出所についてもう調査が済んでいるか、同時にこの東邦企業というものはどんな業務内容の会社であるか、その辺、ちょっと御存じの範囲を説明していただきたい。
  280. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) お尋ねの東邦企業につきまして、申告並びに調査内容につきましても、先ほど申し上げました新星企業同様、具体的にはここで課税内容につきまして申し上げかねるんでございますが、私ども承知しております範囲内でここで申し上げられますことは、東邦企業の業務内容は不動産業ということに相なっております。それで、代表者は大橋賢治氏ということで承知いたしております。
  281. 野末陳平

    野末陳平君 さて、その東邦企業について、まあきちんと調べが済んでいるというお返事ですが、徐々に聞いていきます。この東邦企業は不動産業と——これが東邦企業の謄本ですが、確かに不動産業ですね。土地の造成、不動産の売買あるいは土木建築の設計施工、請負とか、いろいろ業務目的が書いてありますが、さて、建設省に登録されている業者ですか、これは。
  282. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 東邦企業は不動産を営業する会社であるということはただいま申されましたけれども、宅地建物取引業法上の免許を与えたことはかってございませんので、建設省としましてはこれは所管外であります。
  283. 野末陳平

    野末陳平君 つまり、まあ建設省に登録はされてない業者であるということですね。  そこで、いまのこの土地ですけれども、買ったものの二年も、二年以上野ざらしですよね、そのままにしてある。まあ別にかまいません。ただ、もとの売り主の新星企業がいいかげんな管理をして、また利用していない、どうもこれはまともな売買とは思えないんじゃないかというふうにしろうと考えで思いまして、東邦企業を当たってみたわけですね。そうすると、確かに不動産売買を目的としていながら正規な登録はしていない。まあそれもいいでしょう。場所がどこにあるかということで当たりますと、この場所が千代田区神田錦町。行きました。で、行きますと、影も形もない。ここには、この登記簿に載っておるこの番地は天理教会館ビル、九階建て。一階が三菱銀行、二階から上がこれ竹中工務店、そして問題の東邦企業は看板ももちろんない。電話もない。社員も全然いない。机も何もない。このビルの受付で聞いたらば、そんな会社は全然知らないと、こういうことなんで、まさにこれが幽霊会社。新星企業とか室町産業は、名前が、看板が出ているだけまだいいわけですよ。電話が登録されているだけまだいいんですね。そうなると、どうもこれも一連の田中角榮氏の関連した幽霊会社ではなかろうかと、こう思いまして、先ほど国税庁のほうで大橋何がしさんという方の名前が出ましたが、そこが問題なんです。  この役員を見ますと、大臣、ここからちょっと大臣にお聞きしたいんですがね、設立が四十五年の八月にこの東邦企業というのが不動産売買などを目的としてつくられたんですが、そのときの役員入内島金一氏あるいは遠藤昭司氏という、これがいわゆる田中ファミリーと言われる特別の関係にある、問題のといいますか、おなじみの人物なわけですね。そこで、この役員が四十五年に設立して、翌年に今度はかわりました。今度出てきた役員は竹沢修という方が代表になりまして、この方は現在の新星企業の代表取締役社長さん、それからまた国際興業の役員でもあるという、これでまたこの竹沢さんという方もまあ田中角榮氏と関係浅からぬ人だということになりますね。そこで、どう考えてもこの東邦企業というのは、設立のときからこの大橋という現在の方にかわるまでの間やはり実体がない。実体がなくて、そしていわゆる役員が、田中ファミリーの人たちが入れかわり立ちかわり役員として出たり入ったりするだけで、どう考えてもこれは室町産業、新星企業と同じ性格の、免許もない、実体もうやむや、どうもまともではないという、そういう会社の印象を受けるわけです。で、現在名義がかわったいきさつについては後ほどまた質問したいと思いますが、これまでのことで大臣いかがでしょうか。先ほどから新星企業、室町産業、いろいろ出ました。新しくもう一つ、ここに田中ファミリーと思ってもいいという東邦企業という会社がここにある、あったんですね。正確に言えばあったんですが、こういう実体がなくて何やっているかよくわかんないと、国税庁に聞くと、ちゃんと調べてるというものの、役員もいなければ会社の存在も受付の女の子も知らない、本店だけの住所、こういうものは建設省の立場からまともな会社ということなんですか。それとも何らかの意図を持った、まあ幽霊とは言いませんが特殊な会社、どちらなんですか、大臣。
  284. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) まあ先ほど局長から申し上げましたとおり、この東邦企業株式会社については、宅地建物取引業免許を与えた記録はございません。したがいまして私から、建設大臣として所懐をお尋ねされましてもここで申し上げる必要はないと、こう感じます。
  285. 野末陳平

    野末陳平君 まあ、建設省関係ないということになれば、国税庁にお聞きするしかないですね。この東邦企業、先ほどはきちっと調べているとおっしゃいましたが、四十五年の成立から四十八年度まで、まあ三年間ですか、ほんとうに業務内容調査なさって、事業内容あるいは税務上のきちっとした調査を行なっているのかどうかということで、もしほんとうなら資料を出していただきたいんですよ。後ほどいろいろ疑惑を述べますが、資料をこれ出していただかないと、国税庁のほうでうそ言っているかもしれない。やりました、適当に処置しましたと言っているけれども、ほんとうかどうか、それは信用ができないんですよ。資料出していただけますか、東邦企業と新星企業、両方なんですけど。
  286. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) ただいまのお尋ねの件につきましてでございますが、東邦企業の申告並びに事業内容につきましては、税務調査上知り得た具体的な内容にわたりまして、私どもといたしましては法律によって申し上げることができないことに相なっておりますので、ここではお許しいただきまして、また、資料提出等につきましても、お話の事項につきましてお出しすることを、私ここでお約束することができかねるという点を御了承いただきたいと思います。
  287. 野末陳平

    野末陳平君 そういうお答えはもう毎度聞いているわけなんで、それではもうやむを得ませんので、そこまで国税庁に言われますと、私のほうでいろいろ持っている疑問が解明のしようがありませんので、ここで委員長にお願いしたいと思うんですが、この新星企業と東邦企業だけでもいいんですが、この両者に共通した役員である入内島金一氏と、それから竹沢修氏というこの二人の方をひとつ参考人に呼んでいただいて、直接これから、私がいろいろ考えております疑惑についてお聞きしたいと、こう思うんですが、この参考人に呼んでいただく件、理事会で取り計らっていただけますか。
  288. 前川旦

    委員長前川旦君) 野末君に申し上げます。  ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
  289. 野末陳平

    野末陳平君 お願いします。  そこで、先ほどの国税庁から話がありました、現在の役員が田中ファミリーとは関係のない大橋という方になっております。この辺から本題に入っていきたいと思います。この大橋という方は、実は竹中工務店の役員ですね。そして、ほかの役員全部竹中工務店。ですから、おかしくないんですね、ある意味では。竹中工務店の建物の中にこの東邦企業という幽霊会社があるんです。ただ役員が、昔は田中ファミリーであったのだが、いまは竹中工務店の役員がそのまま全部異動したということに、一応形式上はなっているわけなんですね。そこで、本店が竹中ビルというか竹中工務店の中にあってもいいんですが、会社が、この役員異動と同時に会社の株がまるごと譲渡されたということになるんです。なっているんです、実は。そして、この東邦企業が実は、国税庁はもう御存じだと思いますが、事業は何もやっていないが土地だけを持っていた会社なんです。その土地はどこかといいますと、下田に一万坪、御殿場に三千坪がおもな資産、登記簿上。それはとっくに御存じでしょう。お調べになってわかっているはずでしょう。
  290. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) ただいまのお尋ねの東邦企業の資産内容につきましては、私ども十分調査いたしてございます。
  291. 野末陳平

    野末陳平君 そうなりますと、四十七年度に役員が異動した、この時点における税務上の調査はもちろんなさったんだというふうにとりますよ。  そこで、順を追っていきます。順を追って私が調べたことを説明しますと、この東邦企業というのが下田に一万坪の土地を持っておりまして、そしてこれは田中ファミリーですから、田中角榮氏が何らかの目的を持って、あるいはその周辺の人が何らかの目的を持って所有していたんでしょう、御殿場の土地も。竹中工務店がこの下田の一万坪を譲ってほしいと、こういうふうに交渉したわけですね。これは竹中工務店が経過を全部説明してくれたんですけれども、竹中のほうでは小佐野賢治氏と交渉したんだと言っております。しかし、これは竹中工務店の言うことですから、私はわかりません。少なくも田中ファミリーの会社が持っている土地を竹中工務店がほしいと、こういうふうに交渉した。そうしますと、下田の土地だけは売れないから、御殿場の土地ともう一つ新星企業が持っているこの土地と全部ひっくるめて会社を買ってくれと、会社ごと全部買ってくれということでこの話がまとまりました。ですから、土地の売買ではなくて、土地を持ったこの東邦企業という会社ごと譲渡する形になっているわけです。ですから、土地は所有権の移転はないですね。所有権の移転はないけれども、少なくも会社の株が、全株が譲渡され、そして役員がかわった、経営権も移動しているという形になっているわけです。  そこで国税庁にお伺いしますが、こういう場合はどんなことが考えられるでしょうか。
  292. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) ただいまお尋ねの東邦企業の株式の譲渡でございますが、東邦企業の株主は複数にまたがっておりまして、申し上げるまでもございませんが、発起設立いたしますときは七人以上の発起人ということで会社が設立されますことは、商法、法律等の最低限の規定でございまして、私ども七人以上の株主を承知いたしております。それで、個々の株主がどのような時点で、どういう経緯で株式の譲渡があったかということは、これは課税上知り得た事項でございますので申し上げかねますが、ただいま御指摘の株式の譲渡の形態、態様等によりまして、税法でいろいろの規定がございます。その点につきましては、十分調査の上、適切な処理をいたされております。
  293. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ、しろうと考えで率直に聞きますが、土地を売りましたば、いいですか、東邦企業が持っている下田の一万坪、御殿場の三千坪、土地を売りましたら、土地の売買だったら、当然これは課税されますね。そうですね。ところが、土地の売買ではなくて会社の有価証券、株の譲渡だという形になりますと、これは非課税もあり得ますね。どうですか。
  294. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) ただいまの所得税法の取り扱い、税法の規定によりますと、株式の譲渡、売却によります譲渡益、売買益は、原則として非課税になっております。ただ、例外といたしまして、特定の企業の支配株式にわたるような株式の譲渡につきましては課税の規定がございます。  さらに詳しく申し上げますと、たいへん詳細な規定なんでございますが、実質支配しておる株式を、その同一株主がその年並びに過去三年、二五%以上譲渡いたすような場合というような規定がそれでございます。それからもう一つの課税になる場合がございまして、それは年五十回以上、二十万株以上の、ひんぱんな営業に近いような譲渡があった場合というようなケースがございます。
  295. 野末陳平

    野末陳平君 確かにいろいろな複雑なケースがありまして、ですから、株式が譲渡、有価証券が譲渡されたからといって必ずこれが非課税であるということではない、課税のときもあり得ると、私もそれを聞きました。そこで、このケースがはたして非課税だったか課税だったかということが問題になりまして、どうでしょうか、そちらもこれは守秘義務じゃないと思うのですが、課税は少なくも発生していましたか、それともしていませんか。どっちに解釈なさって処理なさっていますか。
  296. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) ただいまのお尋ねの点は、東邦企業の株主の当該株式の譲渡にまつわる点でございまして、私、所管いたしておりますのは、法人税の課税に関して直接の責任を持っておりますが、ただいまのようなことになりますと、所得税、個人所得税の担当のほうでございますが、私ここで申し上げられますことは、本件の株主の構成が企業の実質支配になっているとは目されないケースのように聞いております。
  297. 野末陳平

    野末陳平君 だからその辺を明らかにしていただかないと、これはこういう疑惑になるのですよ。いわゆる田中ファミリー、あるいは小佐野賢治氏と特別の関係にあるこの東邦企業が、実質的には土地を売買しながら利益をあげましたよ。とにかく土地の売買でもって利益があがっているのですが、一応有価証券譲渡の形をとることによって税金をのがれている。脱税という疑惑が濃厚なんですよ、これは。だから、もとの株主それぞれについてどういう課税になっているか、そこが問題なわけですよね。そこが、だからあなたの立場ではわからないということになりますが、これはやはりわかる人に来ていただいて資料を見せていただかないと、ここが一番問題なんです。竹中工務店ではこう言ってるんですよ、土地の取引。ですから、土地の売買ということでやらないと非常に困ると、帳簿上。だけども、先方の希望で土地の売買でなくて、結果として有価証券の譲渡ということになったから幽霊会社を買い取る形になってしまったということを、はっきり言ってるんですよ。そうなると、買っているほうじゃなくて、売ったほうに問題が出てくる。これはわかりますね、当然。そこで、この売ったほうは、私が疑惑を持つのは、膨大な金がとにかくこれによって動いている。株式の譲渡と役員の異動をめぐって動いてるんだけれども、その膨大な金は、小佐野氏及び田中ファミリーという会社側にとってみれば、これは税金をのがれるためにそういう幽霊会社を売ったということになるんですよ。そこで資料を出してくれということなんですよ。資料を出していただかないと、調べて適切にやってますという、もうほんとうにばかの一つ覚えみたいなこと毎度毎度言われますと、そうするとこっちは、全部ごまかすために、こちらの疑惑を全部ごまかして逃げるために、それ繰り返しているとしかもう思えないんですね。ですから、これはあらためて委員長にもお願いしたいんですが、どうなんでしょうか、資料をですね、ここまできてもう適切にやっていますとか、あるいはよくわかりませんとかということになりますと、私のほうはこれ以上質問のしようがなくなっちゃうんです。そこで、参考人を呼んでいただくことも含めて、資料のこともこれはちょっと取り計らっていただかないと、と言うのは、買ってるほうと売ってるほうとこれは違うんですよ。買ってるほうは土地の売買で買ってで結果的に会社を買わされていると、ところがこの株式を譲渡するということになると、税金問題で非常な複雑なケースなんですね。その点で、いかがでしょうか、その資料の点を特別の取り計らいいただけますか。
  298. 前川旦

    委員長前川旦君) 調査課長、資料出せますか。出していただきたい。
  299. 篠原忠良

    説明員(篠原忠良君) ただいまのお申し出の件につきまして、私、ここで資料提出いたしますことをお約束はできかねますので、お許しいただきたいと思います。
  300. 前川旦

    委員長前川旦君) 野末君に申し上げます。  野末君から資料要求が出ておりますので、ほかにたくさん関連がありますので、後刻理事会で十分協議をいたします。
  301. 野末陳平

    野末陳平君 時間もなくなりまして、資料がこれ出てきませんと、これからこの問題を建設大臣にお聞きしたいと、こう思っているんですが、できません。そこで、きょうはまあ国税庁には資料の件ということでとどめまして、いま言ったのはこれなんですよ。実は、こういう形になっている。これ、複雑怪奇というか、田中角榮氏がおりまして、それで腹心の入内島金一氏と竹沢修氏がおりまして、それでこれが新星企業にもからみ、そしてこの東邦企業にもからむ。東邦企業は下田の土地と御殿場の土地を持っている。そして千駄ヶ谷の土地を社星企業が持っている。これ全部をひっくるめて、新星企業については土地売買をやった。それから東邦企業については株式譲渡をやった。有価証券の譲渡をやって、この竹中工務店に来た。竹中工務店はこういう形は望んでなくて、土地の売買のつもりで幽霊企業をやむを得ずいまでも自分のところに置いていると、こういうことになっている。こういう会社が、田中角榮氏に関してはあり過ぎるわけですな。あり過ぎてすべて疑問があると、国税関係では守秘義務になる。建設省関係では、どうも登録されてないからこれ以上は関知できないということになる。こういうことばかりやられると、これは一体田中角榮氏のほうが巧妙にわれわれの疑惑をすり抜けるように万全の手を打ったのか、それともそちらが、ごまかすために、この問題の追及を避けるためにそういうふうに言いのがれをしているのか、どっちにしても、もうこれ以上進まなくなる。非常にこういう疑惑が出てきていることに、疑惑はもう五つも十もあるわけですね。全部そういう形になると、これはもう政治不信を、国民の政治不信を高める以外に何ものでもない。  大臣、そこで、まあ国税庁関係は別ですけれども、最後にお聞きしたいんです。私は建設省の考え、あるいは宅建法との関連、そういうこともきょうお聞きする予定でしたが、これはもう保留させていただきまして、最後に、少なくも田中角榮氏がいろいろかんでいる会社は、みんな不動産あるいは建設会社ですね。それがここまでの疑惑を持たれている。それでもなおかつ大臣は、尊敬する田中角榮氏はそんなことはしてないんだと言い張るのか、それともやむを得ず言っているのか、薄々疑惑があるのか、その辺、はっきりしていただかないと困るんですよ。
  302. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私は、しんから先輩として尊敬し、政治家として同一行動をとってきた次第でございます。この点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、田中総理の意思によって御指摘されたようなことは毛頭ないと、こう私は信じておる次第でございます。
  303. 野末陳平

    野末陳平君 田中総理の意思でなくても、かりに百歩譲って意思でなくても、指導者あるいはその腹心、刎頸の友人がやっていることは全然私は知らないんだと、おれの意思ではないから知らないんだと。亀岡建設大臣も、総理の意思でないから関係ないんだと言って言い張れる問題ですか、これが。全く縁がないんだと言い張れる問題かどうか。最後にそれだけお聞きして、あとは次回に譲ります。
  304. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 一つ一つのケースを取り上げた際には、やはり諸法規に従って合法的に進められているものと、こう私は確信をいたしておるわけであります。
  305. 野末陳平

    野末陳平君 モラルについて。
  306. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) モラルについては、田中総理も私と同様、一億国民のために政治家を志し、そうして苦心さんたんとにかく総理にまで選ばれたと、こういうふうに私は理解をし信じている次第でございます。
  307. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ最後に私から、あまりにも無責任な答えに対してお返しします。総理は、国民のためでなくて、自分のために一生懸命に利益を追求したのだという以外に私たちには考えられない。それだけを言って、次回に譲ります。
  308. 前川旦

    委員長前川旦君) 他に御発言もないようでございますが、建設省関係質疑につきましては、各質疑者から質問保留が出されておりますので、後日再び建設省関係の審査を行なうことといたします。  なお、次の委員会は、来たる十一月十四日及び十五日の両日、大蔵省関係の審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会      —————・—————