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1974-11-07 第73回国会 参議院 決算委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月七日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  十一月五日    辞任          補欠選任     安納  勝君      久保  亘君     野末 陳平君      喜屋武眞榮君  十一月六日    辞任          補欠選任     星野  力君      内藤  功君  十一月七日    辞任          補欠選任     田渕 哲也君      向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前川  旦君     理 事                 鈴木 省吾君                 橋本 繁蔵君                 小谷  守君                 田代富士男君     委 員                 岩男 頴一君                 遠藤  要君                 木内 四郎君                 世耕 政隆君                 寺下 岩蔵君                 永野 嚴雄君                 温水 三郎君                 久保  亘君                 工藤 良平君                 小山 一平君                 須原 昭二君                 二宮 文造君                 峯山 昭範君                 加藤  進君                 内藤  功君                 向井 長年君    国務大臣        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        内閣官房長官  大村 襄治君        内閣法制局次長  真田 秀夫君        防衛庁参事官   菅沼 照夫君        防衛庁長官官房        長        齋藤 一郎君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁人事教育        局長       今泉 正隆君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        防衛施設庁次長  長坂  強君        外務政務次官   山田 久就君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        国税庁次長    磯辺 律男君        運輸省航空局技        術部長      中曽  敬君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        建設省河川局次        長        堺  徳吾君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君        自治省税務局長  首藤  堯君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第五局長   中村 祐三君    参考人        日本放送協会技        師長       藤島 克己君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和四十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十七  年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣  提出) ○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十二回国会内閣提出) ○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十二回国会内閣提出)     —————————————
  2. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月五日、野末陳平君及び案納勝君が委員辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君及び久保亘君が、また昨六日、星野力君が委員辞任され、その補欠として内藤功君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 前川旦

    委員長前川旦君) 次に、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、当委員会が行ないました国家財政の経理及び国有財産管理に関する実情調査し、もって昭和四十七年度決算外二件の審査に資するための徳島県、香川県及び愛媛県への委員派遣について報告書委員長の手元に提出されておりますが、口頭報告はこれを省略し、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前川旦

    委員長前川旦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 前川旦

    委員長前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は総理府のうち防衛庁決算について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前川旦

    委員長前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 前川旦

    委員長前川旦君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 小谷守

    小谷守君 防衛庁に伺います。  航空機喪失状況でありますが、国有財産統計は四十五年度末に八機、四十六年度末に十一機、四十七年度末に七機を計上しておる。一方、防衛庁資料によりますと、大事故統計ということで、四十五年度十二機、四十六年度十一機、四十七年度七機と記録されておる。両者の間に数の相違があるように思いますが、この点はどういうことでありますか。
  9. 山口衛一

    説明員山口衛一君) ただいま御指摘を受けました四十五年度当庁数字、十二機という数字につきまして、喪失機数がただいま御指摘ですと八機となっておりますが、その点の相違につきまして、私どもの持っております物品管理台帳におきまして二機の分につきまして、一つは大破いたしましたが、残骸が収容できまして、物品としまして一時台帳に整理いたしました。それからまた一つは大破いたしまして、これはアメリカからMAPで導入いたしたものでございまして、これは物といたしましてアメリカ側返還の手続きを一応とりました。  しかしながら、国有財産台帳におきましては、これはいずれも国有財産台帳からは抹殺されますので、広い意味で言いますと喪失として統計ができるというふうに考えられます。正確に言いますと、私どもの手続では、一つ返還一つは取りこわしというような事後措置をとりましたので、その点が二機違っておりまして、当方としましては正式の意味喪失機数六機、それとただいまの喪失状態と同様になったもの二機含めまして八機というふうに計算をしております。したがいまして、大蔵省統計におきます喪失と同様の状態というふうに考えております。  それから残りの四機でございますが、これにつきましては、私どもといたしたして、取りこわしその他によりまして、いわゆる減耗としまして処分をしておるということでございまして、喪失というようなことにはなりません。したがいまして、減耗機数としまして私どもはそのような計算をしておるというような状態でございます。
  10. 小谷守

    小谷守君 こういうばらばらの発表のしかたでは国民が非常に奇異に思うと思います。国有財産管理大蔵省側十分連絡をとって発表されるように願いたいと思うのでありますが、それにしてもたいへんな国損を招いておるわけであります。四十五年度八億、漸減はしておりますが、四十七年度でも三億円近い。航空機のこういう喪失を有効に防止するための対策というものはどういうふうに考えておられますか。
  11. 菅沼照夫

    説明員菅沼照夫君) 常に事故が起こりますと、その事故に対しましては特別の調査委員会等を設定いたしまして、その原因調査して、その原因に対応する対策をもちろんとってまいっておるわけでございますが、最近も何件か事故が起こっておりますけれども、その事故のいろいろ原因調査してみますと、操縦上の過誤というようなこともかなりございまして、それぞれのパイロットにつきましての安全教育というものについて十分な教育をやるということで、私ども常に事故たびごと反省をいたしまして、いろいろの防止策を講じてまいっておりますけれども、残念ながら多少の事故が起きて非常に遺憾な状態であるというように考えております。
  12. 小谷守

    小谷守君 この中で見のがすことのできない問題は、四十八年六月二十三日、陸上自衛隊航空学校宇都宮分校自衛隊機乗り逃げ事件が発生しておる。整備科勤務の三等陸曹飛行機乗り逃げしたという事故です。昔の軍隊では、演習で薬きょう一つ失ってもたいへんな騒動をしたものです。飛行機乗り逃げをするなんていうことはゆゆしいことじゃないか。  この問題についてひとつ掘り下げて伺いたいと思いますが、まず、国有財産である航空機管理は、教育部隊においては諸部隊の手本ともなるべきものと考えられる。この事故はそれが逆にルーズな、綱紀の弛緩によるものである。まず、航空機の格納は、訓練終了後とびらを閉鎖して錠をかけていたのかどうか、たいへん初歩的なことですが、錠の保管はどうなっていたか。これが一つ。  航空機格納庫から出す場合、エンジンをかけて滑走しなければ一人でころがすことは困難ではないかと言われている。共犯者はいなかったか。エンジンをかけて滑走しても、単発プロペラ機の場合、いわゆるミズスマシの状態となって、地上の同一地点を中心に機体が自転して、目的離陸地点まで達するのは簡単にはいかないと言われておる。これを防ぐためには、主翼の先端を一人が手で保持する、そうして目的方向を維持させる場合が多いのであります。犯人と目される者が地上滑走を習得していない場合は当然共犯者の存在を疑うべきである。この点はどのような調査結果であるか。  次に、教育部隊滑走路離着陸指揮所勤務は、教育訓練終了時をもって終了することになっているが、およそ飛行場を持っている部隊は、それが教育部隊であれ、他からの不時着機に常時対応できる態勢をとっておるべきではないか。これについてはたいへんな手抜かりではなかったか。  次、捜索活動において、事故発生以来陸海空自衛隊及び警察、海上保安庁による約一カ月の努力にもかかわらず事故機は発見されなかった。諸般の状況から海上に墜落し水没したものと推定して捜査を打ち切っておる。これについては、犯人と認められる者が操縦経験がなく、南方に直進していると見られる状況において、本機の単発プロペラ回転に伴う左旋回の癖を勘案して、飛行方向を栃木県東部あるいは茨城県沖の太平洋方面と推定したと伝えられておる。このことが先入観となって捜査が拘束された結果となったのではないか。捜査発進地点から三百六十度にわたって漏れなく行なわれたかどうか、この実情を説明してもらいたい。  関係者に対する処分が四十八年八月一日付で行なわれておるが、ほとんどが戒告程度のことではありませんか。このような形だけの処分で一体いいのかどうか。  損失額六百八十七万六千円、再発を防止するためにどういう手だてをとられたか。  本件は、自衛隊員不正行為による国有財産喪失であると考えますが、会計検査院はこれは不当事項として当然掲載されるものであると考えられるが、本件取り扱いの見通しはどうか。  まず、こういう点をひとつ伺っておきたい。
  13. 今泉正隆

    説明員今泉正隆君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、昨年六月二十三日にまことに申しわけない事故を起こしてしまいましたが、まず御質問の第一のかぎ保管であります。この点はまことに結果的にいって抜かりがありまして、過去に陸上自衛隊格納庫火災がありました。その際航空機を焼失したというような経験から、もちろん格納庫かんぬきをして、訓練が終わったあと締めておくわけでありますけれども、その最後かぎはかけませんで、ごく一部の、菅野三曹を含む整備員等に、一たんそういった事故があった場合に航空機をできるだけ早く他に移動させるということにいたしておったわけであります。それが昨年の場合、全く裏目に出ましてこういった事故になりました。これが一つであります。  それから、第二の御指摘共犯がおりはせぬかという問題でございます。この点は、私たちもこの事故が起きますと、まずその点に着目しまして調査をいたしましたが、現在までのところ菅野三曹の単独の犯行と思われます。この喪失——乗り逃げ航空機連絡偵察用のLM1型航空機でありまして、これは先生いろいろ御指摘のとおり、一人でこれを操作するというのは非常に困難でありますけれども、いろいろ調査しますと不可能ではありません。それからまた、部外から当時侵入した形跡の有無ということについても、相当長期にわたって調査いたしましたけれども、そういった事実も出てまいりません。それから、先生指摘のとおり、本人整備員でありまして、航空機操縦経験はございません。ございませんが、整備員でありますために、菅野三曹についていえば、これまでに約六時間半、操縦士の横で、副操縦士席整備員として塔乗した経験がある。まあそういったことで、彼の操縦についての技量というものは、もちろん操縦員ではありませんから測定はいたしておりませんが、同僚その他からの調査の結果では、そういった整備経験から、たとえば当日についていえば地上夜間照明のあるところでは一応水平飛行ができる技量を持っておる。ただ、たとえば海面、海に行きました場合には、方角それから高度がわからなくて墜落する可能性があるというようなことであります。  それから、捜索につきましても、この航空機の持っております航続能力、当時の保有しておりましたガソリンの状態などから太平洋岸一帯、また陸地上空につきましても約一カ月にわたって捜索をいたしました。もちろん、この事故直後に宇都宮分校GCAレーダーを持っておりますので、それでの追跡、捜索、それから航空自衛隊の北部・中部航空警戒管制団レーダーによる捜索を行ないましたが、そのレーダーにはいずれの場合にも映ってまいりません。これはまあ、そのことから直ちに断定はできませんけれども、比較的低空を飛んだんではないかというふうに思われます。  それから、処分でありますが、処分は、この点について御指摘のとおり、八月一日に行ないました。八人について行ないました。本人菅野三曹についてはもちろんこれを懲戒免職といたしましたほか、当時の、当日の当直司令及び警衛司令の二人は停職処分をいたしました。また宇都宮分校校長及び整備課長につきましては減給処分をいたしました。それから……(「それはわかっておる、資料にあるから」と呼ぶ者あり)そういうことで八人について処分を行なった次第でございます。  なお、最後に、こういった事故、これはまことに申しわけないと同時に、ちょっと常識で考えられない事故でありましただけに、われわれも深く反省いたしまして、火災その他の緊急の際もさることながら、たとえば、かぎはきちんとして、これをそれぞれの当直の幹部が保管をしておくというきわめて基礎的な反省をはじめといたしまして、こういった事故が再び起こらないように、いろいろと施策を行なっている次第であります。
  14. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) ただいまの件につきましては、きわめて高額な航空機という国有財産亡失事故でございますので、私どものほうといたしましても、きわめて重大なゆゆしい事柄といたしまして、もっぱら国有財産管理という面で問題がないかということで非常な関心を持ちまして検査し、検討をいたしておるところでございます。ただ、現在、四十八年度の決算報告を私どもでは取りまとめの検討をいたしております最中でございまして、この点につきまして最終的な結論はまだ得ておりませんので、非常な関心を寄せて検討をさしていただいておる、こういうことに御理解をさせていただきたいと思います。
  15. 小谷守

    小谷守君 大臣に伺いますが、こういう事故をどう御認識になっておりますか。いま関係者処分について御報告がありましたが、資料をちょうだいしております。拝見しますと、学校長訓戒停職云々がありましたが、停職は一日です、一日の停職。ほとんどが戒告減給も一カ月の十五分の一、こういう事もなげな処分であります。私は、こういう取り扱いでは国民は納得しないと思いますよ。自衛隊員飛行機乗り逃げしたというふうな大事件について、大臣自身が、自分自身処分しなきゃいかぬ問題じゃないかと、こういう気がいたしますが、どうです。
  16. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) あるいはそういう責任の取り方も必要であるかもしれません。この問題については、起こりました直後から考えられない事故操縦の資格も能力ももちろんない、しかし、その者が整備員であったために、たまたまかんぬきを外からあけて、そして火災にこりて一々各機に施錠していなかったものをそれを動かして、深夜の空に消えて、そのまま行くえ不明になったという、まことに異常なできごとでありましたから、先ほどのお話しのような共犯問題等も含めて、徹底的な捜査もいたしました。また、本人のなぜそのような行動に出たかについても、あらゆる遺留品その他を調べてみたのでありますが、どうもはっきりしたことがつかめない。したがって、その後は、格納庫のとびらのまず大とびら締め方、それから個々の機体のキーの処理、保存、それの責任のあり方、緊急の場合のそれのまたかぎの渡し方等、単に宇都宮分校ばかりでなくて、すべての航空基地飛行機のあります格納庫について、処置をきちんとさせたところでありますけれども処分の問題は、これはやはり本人の一身上、将来ずっとついて残るものであります。したがって、減給十五分の一カ月といえども、それは本人にとっては、将来の長い人生の自衛隊における進路にとって非常に大きな影響を与える処罰の一つでありますので、本人自身——これは生存はもはや絶望でありましょうが、懲戒免にしたところで、本人はいない。なぜそのような考えられないことが起こったかについて、振り返ってみると、あながちその宇都宮分校校長以下の当直司令その他だけが、事柄について怠っていたことがあったから、起こるべくして起こった事件ではどうもないようである。このような不可解なことができないようにしようということで、罰を憎んで人を憎まずという気持ちで、国損の問題は別にしまして、一応組織上の責任の者だけを処分いたしました。統括責任者たる私自身自分責任を課すべきであったというおしかりについては、今後あるべき姿勢として、そのようなことも考えていかなければならないことの一つであることを認識させていただきます。
  17. 小谷守

    小谷守君 防衛庁関係四十七年度の検査報告を拝見しますと、不当事項三件の指摘がございます。この底流にあるものは、端的に申し上げて、規律の弛緩であるという印象を強く受けます。この点で、宇都宮自衛隊機乗り逃げ事故の場合と同様であると申し上げなくてはなりません。  そこで三件を一括して伺いますが、まず不当事項第一号、演習弾調達にあたり、この不始末のために起きた問題——時間がありませんから一々は内容を申し上げませんが、不当事項第二号、航空機用ボルト等調達にあたり、原価調査が不十分であったため、契約額割り高になった問題。不当事項第三号、「タービン燃料管理が適切でなかったため損害を生じたもの」、この三件一括して、この指摘にどうこたえたかということを御報告願いたいと思います。
  18. 山口衛一

    説明員山口衛一君) ただいまの三件につきまして、まず第一でございますが、五十四口径の五インチ砲用対空演習弾及び演習弾につきまして、これはわが国側で開発したものでないために、米国海軍におきまして同じたま弾底せんつき信管つき使用がなされておりまして、私どもはこの性能及び安全性につきましての実験をみずからやる経過がなかったために、従来どおりのアメリカ仕様設計をそのまま採用しておりましたが、検査院指摘を受けまして、私どももこの対空演習弾及び演習弾につきましてのこれまでの使用実績、それから性能諸元、こういうものにつきましての再度検討事務を行ないまして、四十九年度からその性能安全性を十分確認するために弾底信管孔をあけないたまを試験的に調達いたしまして、現在各艦隊におきましてその発射実績試験確認中でございます。したがいまして、弾底せんつき信管つきのものは自後調達しないという方針で、現在試験的な調達を行ないながら、その実験を確認しておるというように改善いたしました。  第二点の航空機用ボルトでございますが、これにつきましては一昨年から昨年にかけまして国会におきましてもきびしい指摘を受けまして、この原価監査につきまして、相手方東京螺子その他六社の中小企業でございまして、この製品元帳及び伝票等会社側におきます始末がきわめて不適切でありまして、実際に私どもとしましても集計しにくいような実情にありましたために、会社側提案そのものを私ども計算値から推定いたしまして、四十六年度価格表形成いたしました。この価格表形成につきまして実際の原価監査をやられた結果が千三百四十四万七千円の過当支出になるという御指摘を受けましたので、私どもは直ちに昨年二月にこの価格表使用を停止いたしまして、それ以前、四年前の四十二年度の価格表に訂正いたしました。したがいまして、きわめて低い価格に換算し直しまして、調達を再度行ないました。また、新しい価格表の作成を昨年の十一月二十六日に新しくつくり上げまして、これにつきましては全品原価監査を行ないまして、再度新しい価格表形成によりまして厳密な価格査定を行ないました。したがいまして、このような体制におきまして現在、価格査定を厳重にやっておりますが、四十六年度価格表を適用しました結果、指摘されました東京螺子千三百万円、その他の数社につきましてもやはり同じ価格表の適用がありましたので、私どもは新しい価格表に基づきまして、すでに納めたものについては返金を行なわせる。現在まだ契約履行中でございまして、納入されてないものにつきましては契約を更改いたしまして、新しくそのような価格の厳密な変換、減額を実施をいたしました。このような処置によりまして、これまでの調達分につきましては会計検査院の御指摘の趣旨に沿いまして改善をいたしましたが、今後の対策につきましては相手方が非常に中小企業でありますので、このような伝票その他製品元帳類の厳正な管理、それから私どもの厳正な価格監査というものを今後も続行いたしまして、十分に厳格な査定を続けようというふうに考えております。  それから第三番目のタービン燃料でございますが、これにつきましては、まことに油の取り扱いに当たります者の不注意から生じたものでございまして、当時二万六千四百リットルを流失してしまいましたが、このようなきわめて不適当な貯蔵及び取り扱いにつきまして、十分反省をいたしますとともに、今後燃料使用管理に関します諸規則を整備いたしまして、各部隊におきます点検管理の強化をはかる。このような体制と同時に、また自動的に取り扱い者が、いまタンクにどのくらい入っているかというものを直ちにキャッチできるような自動液面計調達を行ないました。また、その他自動覚知装置調達も行ないまして、目で見れば直ちに遠くに離れているタンク貯蔵状態がわかるというような体制をとるようにいたしました。また最後に、燃料主務者に対します研修、講習等もそれから実施しておりまして、今後このような不手ぎわな事態が二度と起こらないように十分注意してまいりたいというふうに考えております。
  19. 小谷守

    小谷守君 この不当事項指摘のうちで、どうにもわれわれが怒りを押えることができない問題は、第三の岐阜基地で起きた燃料の流失問題です。これに伴って大きな火災を起こして付近の民家を焼いておる。民間にもたいへんな迷惑をかけておる。こういう考えられぬような事故ですね、これについては特命総合監察を行なわれたようでありますが、その監察の結果の概要を簡略にひとつ御説明願いたいと思います。
  20. 齋藤一郎

    説明員(齋藤一郎君) ただいま御指摘がございました岐阜基地の燃料漏れの事故、これがこういうことがあってはならない、まことに申しわけないことであるということで、航空自衛隊ではこの事件を発端としまして、航空自衛隊の中における運営の現状、特に指揮者の指揮あるいは管理教育の実態、それに基づく組織の行動力の実際を把握して、そして航空自衛隊運営一般の今後の改善の資料にしたいということを目途といたしまして、監察を、いわゆる特命総合監察ということで監察団を組織して行なったのでございます。で、そのやり方といたしましては、いま申し上げたような実態を把握するために、単に通常の監察調査を行なうというだけでなくて、団長の指示によって特別な作業をやらせてみる、あるいは参加者に検討をさせる、あるいはまたその実態を調査するために何か想定でもって行動させてみるといったようなことをしまして、そして実態把握につとめる努力をしたのであります。その結果、特にこの監察にあたっては先ほどのようなまことに申しわけない事態が起きたということを強く反省しまして、なるたけ悪いところだけを取り上げる、いいところをほめるということじゃなくて、欠陥を何とかして探し出して、そして航空自衛隊隊員全般の基盤にある悪いところを知ろうということでやったわけでございまして、その結果、指揮統率の関係において、たとえば特技を延長した教育訓練の結果、ごく基礎的な知識が不十分であると、あるいは指揮能力が一般に下級幹部において不足しておる。それからやはり平素安全を確認——十分安全な作業を行なうためには、十分なる指揮をする必要がある、指揮即安全という考え方が不十分である。それから人間関係において、そういう考えられないような事態が起こるような、いろいろな縦横の人間関係、処遇関係、そういった問題があるのだといったようなことを結論として取りまとめる。それを長官報告して、今後の管理運営の資料に資するという結果になっております。
  21. 小谷守

    小谷守君 これの処分はどういうふうにされたか。責任者の処分はどういうふうにされたか。
  22. 齋藤一郎

    説明員(齋藤一郎君) ただいまの私から御報告申し上げましたのは、この岐阜基地における事故の処理ではなく、事故調査ではございませんで、最初に申し上げたことばが不十分でございましたが、こういうことが起因してくる基盤にどういうものがあるか……。
  23. 小谷守

    小谷守君 だから、それはわかったから、処分だけ簡単に。
  24. 今泉正隆

    説明員今泉正隆君) お答えいたします。  この事故先生指摘のように、全く基礎的な安全管理規則の違反でありまして、立ち会い、バルブの開閉標示を怠っている、清掃工場の点検を怠っているということで、まず刑事処分として関係者が二人罰金刑に処せられました。内部の処理といたしましては、十三人を懲戒いたしました。内容は停職一人、減給四人、戒告三人、訓戒二人、文書による注意三人でございます。
  25. 小谷守

    小谷守君 これまた大臣に伺います。こういう初歩的な不注意、しかも火災を起こして建物九軒を焼失しておる。まあこれは民間との間に和解が成立したようでありますが、それにしても規律の厳正なはずの自衛隊としては考えられぬことであります。綱紀がたるみきっておると申し上げなきゃなりません。いままた処分状況を伺うと、宇都宮の分校のときと同じように、出先のほうにごく軽い処分をして、それで事終われりです。監察の結果の文書もちょうだいしておりますが、これを拝見しましても、核心に触れたものではない。待遇改善をしなきゃならぬというふうな、福利厚生に力を入れなきゃならぬというふうなまことにピントの怪しげな随筆風のものであります。こういうことでは災いの根は断ち切ることはできない。  大臣に重ねて伺いますが、こういうばかげた事故を起こした場合には、出先だけでなしに、自衛隊の規律の元締めであるところの中枢部に対しても責任を問うだけのことをされなきゃいかぬと思いますが、いかがですか。
  26. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほども御答弁したことでありますが、この会計検査院指摘事項の岐阜基地における航空用燃料流失問題は、一つには自衛隊タンク等の非常な老朽化あるいは現在の施設から見れば、非常に古い能力のものがあった。それに対して注意してやらなければならないことのほとんどを注意しないでやったために結局は油が流れ出して火事になった。自衛隊というのは、これは立場は、政党によって違いますが、置かれてある以上は、国民の生命財産を守る立場であって、この場合においては国民の貴重な財産に対して焼失ということにおいて、かえって危害を加えたことになりますし、また飛行機の墜落事故等によっては先般の小牧基地におけるように、取り返しのつかない若い学徒の三名の命を奪うことになって、生命にも危害を与えたということも起こりました。  責任の問題というものは、これは毀誉褒貶を考えてやってはいけないと思って、いままで答弁をいたしませんでしたが、小牧の場合においては、みずから私自身の歳費一カ月を国庫に返納いたしまして、それによって全自衛隊がみずからそれを黙って長官の心境を察して、しまっていってもらいたいということで、何らそのことを隊員あるいは陸海空の指揮系統を通じて私は流してはおりませんが、耳に聞こえた場合において、長官みずからがみずからをむち打っておるということならば、自分たちはしっかりしなきゃいかぬという気持ちになってほしい、こう願ってやっただけのことであります。まあしかし、それぞれ陸海空の最高の責任者が幕僚長でおりますから、それらの者について、直ちに、ケースによって異なると思いますが、全国の各基地において起こった、あるいは一隊員が犯してしまったミス等によってそのつど処分をいたしますことが、はたしてその後の事故の絶滅を期するためにプラスに働くのか、マイナスに働くのかは、これまた判断の問題があろうかと思いますが、しかし、形がどうあれ、事故が起こりました場合においては、その指揮系統の最高首脳部に至るまで粛然としてみずからにむち打ち、えりを正さなければならない存在が自衛隊である、そのように考えておる次第であります。
  27. 小谷守

    小谷守君 時間がありませんから先へ進みますが、大臣は先般アメリカを訪問されてお帰りになったのであります。たいへん御苦労でありました。  さて、大臣は日本を立たれる際に、ラロック問題については所管違いであるから触れないんだというふうなことを、事前に発表して御出発になったようであります。平素非常に濶達な山中大臣としては、山中さんらしからぬことではないかというふうに思いましたが、そこで、米軍の首脳といろいろと会談を重ねられたようでありますが、米軍提供施設の所管大臣でもあります山中大臣としては、当然ラロック証言の問題について国民の疑惑を解消させるための話し合いをなさるべきであると思いますし、なされたことと存じますが、ラロック証言の問題について米国防総省関係者と話し合いをされたのかどうか、あるいは向こうからそういう話題が出たのかどうか、ラロック問題について一切の話し合いが行なわれなかったなんていうことはあり得ないことだと存じます。国防長官、国防副長官、統合参謀本部議長、米軍最高首脳との会談ではどういうことが話題になったのか、さらにこの問題とあわせて基地返還、在日基地返還の問題についてどういう努力が払われ、どういう成果があったか、そういう点について御説明を願いたいと思います。
  28. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 山中らしからぬというお話でありますが、これで私も案外慎重なところもございまして、出発前にこの問題が起こりましたので、おっしゃるとおり日本の国民感情あるいは政策の立場からいってきわめて重大な問題でありますから、木村外務大臣と閣議の合い間に相談をいたしまして、この問題はやはり外務省と国務省との間において、それぞれの国を代表して結ばれた安保条約及び地位協定その他の諸取りきめというものと日本の国策というものとが確実に順守されているかどうかということに期するのであって、軍事的な議論とまた別であろうということで、この問題は私は触れないで外交ルートでやっていただけますか——そうしましょうということで、けじめをつけて出発をしたわけでありますから、特別に、私らしからぬとお考えになるのも無理もありませんが、まあしかしやはり、このような問題は閣議等においては活発に私もやりますけれども、しかしながら、国を出ますと、その国を代表している立場でありますから、何を資格において代表しているのだということは絶えずはっきりしていなければならぬと考えます。その意味において、外交の立場を私は総理からも外務大臣からも私に対してまかされたり、あるいは聞いてきてくれという権限委譲等を受けておりませんし、委託も受けておりません。したがって、私がワシントンに到着いたしましたときには、外務省ルートによる正式な駐米大使、安川日本大使のルートによってインガソル国務副長官等のルートからのアメリカ国務省の米国の態度としての応答がすでになされていたあとであったという事実においても明らかであると存じます。  そこで、具体的に向こうのアメリカの国務省のシビルの最高首脳部あるいは統参本部議長等と話し合って、事実上そんな問題が出なかったのかいうことはあり得ないことだと、こういう話であります。アメリカのほうではあまりこのラロック問題というものを特別に問題にしているような節が実はございません。私のほうは持ち出す意思はなかったわけでありますからもちろん持ち出しておりません。したがって、向こう側のほうからもまた何もその問題について触れておりませんので、結果的においてどちらも言わなかったということは、その問題については話し合わなかったということであります。これはもう大使も立ち会っておりますから当然私だけの秘密事項ではございません。  それから基地の問題でありますが、私は国防長官に対して日本の、アメリカに提供している基地の中で、ことに沖繩において顕著なことであるが、第二次大戦遂行のためにアメリカが取得した基地というものの沖繩の基地であって、本土の国有財産を主として提供された基地とは違う。そのために沖繩の場合においては今後の沖繩県民の生活向上あるいは各振興計画等の立案樹立等にも非常に大きなマイナスになっているので、この問題は沖繩をも視察して現地で見ておられる、そしてまた分担としては太平洋、東南アジア、極東を担当しているクレメンツ国防副長官とこの沖繩の主として基地の統廃合について話し合いを具体的に詰めていきたい。山中メモを提案するから配慮を願うということで、よろしい、じゃあクレメンツ副長官との話し合いをしてくださいということになりまして、そこでクレメンツ国防副長官に、沖繩の、もともと米側作成にかかります地図、アメリカの、主として中南部に広大な地域を占める、沖繩にとっては広大な地域を占める陸海空等の色分けをした地図を渡しまして、それによって私は復帰後返還をされた面積等も書き込み、色も塗り分けまして、そこで詳しく説明をして今後沖繩について、あなたも一ぺんは見ていることだし、私がこれから提案する山中メモというものについて、積極的な姿勢をもってこたえてもらいたい、こういうやりとりをいたしました。クレメンツ国防副長官はケース・バイ・ケースで喜んで応ずる、山中メモの検討に応ずるにやぶさかでないということでございますので、これを受けていま防衛施設庁を中心に作業をさせておりますが、いずれ外務省と相談の上、近く開かれる、あるいは年を越すことに毎年なっておりますが、日米安保協議委員会等の場において最終的な、最終的と申しますか、今回の訪米に伴う私の山中メモ提出にかかる折衝というものに成果をあげたいと考えておる次第であります。
  29. 小谷守

    小谷守君 外務省にお伺いいたしますが、先般、十月三十一日の内閣委員会で、核装備アメリカ軍艦の日本領海通過については政府は以前は安保条約上事前協議の対象にならないとしておった、現在はこれを事前協議の対象となるとしており、見解が不統一であるというので統一見解が出されることになっておるようであります。これについて統一見解はいつごろ示される見込みか、またその際、アメリカの軍艦とはどのような艦種をさすのか、明確にするよう要望したいと思います。旧日本海軍の場合、軍艦とは、海軍の所有する全艦種ではなく、戦艦、巡洋艦など限定された艦種のみが該当し、それらは日本の国土の延長として国際的待遇を受けていた。現在、国土の延長としての軍艦と、そうでない艦種との区別は存在するのかどうか。もし存在するのであれば、国土の延長としての軍艦がどのような装備をしてどこにいようとも、それはアメリカ国内における装備の問題であり、たとえ核武装をして日本領海を通過しても事前協議の対象にならない性質のものであるのかどうか、それを説明してもらいたい。もしそれが事前協議の対象にならないものであれば、たとえばLSTとか給油艦とか、軍艦でない艦船のみが核武装をして日本の領海を通過する際事前協議の対象としても、全くこれは片手落ちな話である。統一見解の取りまとめに際しては、たとえばアメリカの全艦船の核武装通過は事前協議の対象になる旨を明確にすべきではないか、これをひとつお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
  30. 山田久就

    説明員(山田久就君) 政府が、本件につきまして統一した考え方をお示しするということを申し上げたわけでございまするが、事柄の性質上、いろいろと目下慎重にこれを考慮いたしております。責任者不在というようなこともございまして、いろんな、なおいつまでにということはいまこの時点ではちょっと申し上げかねまするけれども、可能なできるだけ早い機会に取りまとめてお示し申し上げるというふうにしたいと、こう考えております。  いま軍艦の種類についてのお尋ねがございました。核兵器のわが国持ち込みという点につきましては、その運搬手段のいかんを問わないということになっております。それらの点を考慮いたしまして善処いたしたい、こう存じております。
  31. 小谷守

    小谷守君 統一見解を出される時期がまだ不明確であるということであります。そこで、統一見解を取りまとめられる際に、私が先ほど指摘しましたアメリカの全艦船の核武装通過は事前協議の対象となるということは明確であると、その点は間違いありませんか。
  32. 山田久就

    説明員(山田久就君) ただいまお答え申し上げましたように、運搬手段のいかんを問わずというたてまえをとっておりまするので、御趣旨の点は十分考慮されると了解いたしております。
  33. 小谷守

    小谷守君 アメリカの軍事権威筋が明らかにした米軍横須賀施設の核一時貯蔵庫について外務省の御見解を伺いたいと思いますが、これは私はいわゆる道聴塗説ではないと思う、かなり信憑力が高いと見ざるを得ないと思いますが、この点についてはいかがですか。
  34. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) この報道によりますと、アメリカの軍事問題の権威筋がこう語ったということでございますが、このニュースソースにつきましてわれわれもいろいろと調べてみましたけれども、よくわかりません。したがいまして、こういうニュースソースが明らかでない問題についてわれわれとしては一々コメントいたしかねるわけでございますが、いずれにいたしましても、前々から申し上げておりますとおり、核兵器のわが国への持ち込みに関しましてはこれは事前協議の対象でございまして、そうしてこの事前協議に関する日米間の約束は従来も順守してきたし、今後も順守するということをアメリカは言明しておる次第でございます。したがいましては、横須賀にこのような核兵器の貯蔵庫があるとは考えられない次第でございます。
  35. 小谷守

    小谷守君 時間がありませんからこれでやめますが、ラロック証言を裏づけるように、米軍軍艦の乗り組み員二人の水兵の核持ち込み証言、具体的な証言が出ておる。これに対して十月二十三日の朝日新聞で軍事評論家小山内さんは、信憑力がきわめて高いと言っておる。また、いま申し上げた米軍権威筋が伝えた横須賀の貯蔵庫の問題これらはラロック証言をまさに裏づける事態であると考えられる。しかし政府は、いまだにほっかむりして国民の疑惑を晴らそうとしない。私は時間がありませんからここでこの問題をこれ以上追及しようと思いませんけれども、また外務あるいは内閣、こういう委員会で引き続きこの問題は解明を求めたいと思いますが、いまのような外務省の態度では、ますます国民の疑惑は深まるばかりであります。強く反省を求めておきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  36. 工藤良平

    ○工藤良平君 私はほかの立場から入ろうと思いましたけれども小谷委員がちょうどラロック証言の問題に触れましたので、ちょっと形を変えましてここから入りたいと思います。  いま外務省の御答弁を私聞いておりましてたいへん矛盾を感ずるわけでありますが、先般十八日の参議院の外務委員会で外務大臣と原文兵衛委員、さらにわが党の羽生委員から、この問題についてもいろいろと質疑がなされておるようでありますけれども、いまお話によりますと、事前協議の対象になると、このように外務省のほうは考えておるようでありますし、さらにそれらの問題についてはすでに明確になっている点であるから論外であるというような言い方までも、極端に言いますとなされておるようでありますが、しかし、ここ一カ月余りにわたりまして核問題が非常に重要な問題になりました。特に、アメリカの統合参謀本部の解釈といたしまして、核の積載艦やあるいは飛行機の立ち寄りについては事前協議の対象外であるというような報道がなされておりますけれども、そういたしますと全くのすれ違いになるわけですが、その点について私どもとしてはどのようにこれを解釈したらいいのか、これはあとでまた防衛庁長官にも、実際に防衛を担当する長官としての見解を聞きたいと思いますけれども、私どもどうもわかりませんので、その点を明らかにもう少ししていただきたいと思います。
  37. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) ただいまの御質問のうちに、米国の統合参謀本部筋の言明で、核搭載艦の通過は事前協議の対象外であるというふうなお話がございましたが、その報道につきましてもわれわれはいろいろと調べてみましたが、統合参謀本部それ自体でそういうふうなことを言明した人はいないということでございまして、その報道につきましては、われわれとしては責任を持ってお答えすることはできかねる次第でございます。
  38. 工藤良平

    ○工藤良平君 責任を持って御答弁いたしかねるということでございますけれども、そういうことではこれはあいまいもことした形で、依然として平行線で、日本は対象になると言う、向こうはならないと言う、話し合いの余地というのは全くないじゃございませんか。安保条約を読み返してみても、どちらかに疑問が起こればこれは協議の対象になるということになるんではございませんですか。そうすると、事前協議の内容そのものについて、安保の性格そのものについても疑問が起こってくるわけで、外務省としては当然その問題についてアメリカ側に対して、安保条約でいう協議の対象として問題を取り上げるということも不可能でございますか。
  39. 山田久就

    説明員(山田久就君) ただいまアメリカ局長がお答え申し上げましたように、報道としてはいろいろなことがいわれておるけれども、しかし責任ある筋においてそういう点に触れたことはないということを申し上げたわけでございます。したがって、これはニュースについての信憑性を申し上げているわけでございまして、少なくとも責任あるわれわれの当局間においては、この事前協議の問題はアメリカとしても安保条約というものの義務といたしまして、したがって日本政府の意思に反したことはこの点については行なわないという、この一貫した言明というものを忠実に履行してきておるというふうにわれわれに保証を与えておる、これらの点については何らの食い違いも誤解もない次第でございます。この点を申し上げておきたいと思います。
  40. 工藤良平

    ○工藤良平君 しかもこの報道の中には、日本だけの問題ではなくて、アメリカが、六七年の二月に中南米諸国が調印をいたしました中南米核兵器禁止条約に関連をして、これと同じような問題が提起をされ、それは事前協議の対象外という解釈をしてきたと、そういうものに時間をかけて話し合いの結果、調印がされたということになっているわけでありますね。そうすると、日本も同じように、アメリカとしては事前協議の対象外として理解をしていたということは、私はきわめて信憑性がある、このように言わざるを得ません。そういたしますと、この中南米諸国と結びました議定書、さらには、いま私が申し上げましたように、日本に対するこの事前協議の対象外という解釈が、アメリカのどのような高官との話し合いの中でその点が明らかにされたか、外務省としては、ここにぜひ明言をしていただきたい。事実関係を明らかにしていただきたい。
  41. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 中南米核兵器禁止条約に関連する御質問でございますが、これは核兵器を中南米に置かないということを主目的として結ばれた条約でございまして、その第二議定書でその精神を尊重するという議定書がございまして、米国はそれに署名し批准をしておるわけでございます。それに関連しまして米国は一つの解釈声明を行なっておりますが、これは何ぶんにも中南米諸国とアメリカとの間でございまして、その解釈声明が中南米諸国によってどういうふうに受けとめられているかその他につきましては、われわれとしてもつまびらかにしておりませんので、このアメリカと中南米諸国の間の問題につきましてわれわれはコメントする立場にはございませんし、これがいま日米安保条約の問題の先例になるものとも思いません。  それから、この核兵器の持ち込みの問題に関しましては、たびたび申し上げておりますように、安保条約の六条の実施に関する交換公文の中で、合衆国「軍隊の装備における重要な変更」ということは事前協議の対象になっておりまして、そしてこの装備における重要な変更とは、核兵器及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設であるということが、当時の交渉当事者でございました藤山外務大臣とマッカーサー大使との間で口頭で了解されている次第でございまして、このことにつきましては、安保国会以来政府が申し上げておるわけでございまして、そういう点において日米間の交渉の当事者が明快に了解を遂げておる次第でございまして、われわれはその了解のもとに考えておるわけでございます。
  42. 工藤良平

    ○工藤良平君 その前段の答弁の中で、この中でも指摘をされておりますように、アメリカの統合参謀本部は、条約によって規定された非核地帯に対する核の配置を禁止する条項の中に、核の一時立ち寄りが含まれては困るという立場からこの話し合いを進めて、アメリカの解釈声明ということになったわけでしょう。もちろん日本が、この中南米の議定書としては当事者ではありませんけれども、核の問題を扱う上において、しかも事前協議が非常に重要な問題になっておるときに、国際的にそういう事実関係があるものを、私どもが対象として十分検討した上で事前協議の問題について議論をするということが、当然私はしかるべきではないかと思うのですが、その点について、当事国ではないから日本が独自の問題として扱うということで、いまおっしゃるように、明らかにそれでは核の通過については一切事前協議の対象としますという明言がありますか。向こうはないと、こう言っているんですけれども。一方的な解釈で日本の外務省がそう言っているわけでしょう。その点、明確なものがあるならば明らかにしていただきたい。納得できませんよ、そんなばからしいことは。
  43. 山田久就

    説明員(山田久就君) ただいまアメリカ局長がお答え申し上げましたように、わが国との間は、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにその基地の建設をさすというこの口頭了解、これによって対処しており、それ以外の別のことが取り上げられたということはございません。したがってわが国との関係は、これによって律せられておるということでございます。大統領もこの点に関して、日本側の意思に反したようなことは一切する意思がないという保証を行なっておって、それ以外の例外のことが取り上げられておらないという、これが現実でございます。
  44. 工藤良平

    ○工藤良平君 それではもう少しはっきりしましょう。ここを明らかにしてください。私はどうも納得できませんからね、何べんでも聞くわけです。十八日の外務委員会、これは羽生議員の質問に対しまして木村外務大臣が答弁をいたしているわけですけれども、その中には、「日本の本土また沖繩に核兵器が存在しないということは、これはもう御承知のようないろんな日米共同声明、あるいは沖繩返還協定の規定、またロジャーズ国務長官の米議会における証言等でこれは明らかになっております。」、いわける公式の席でそれは明らかにされている。日本には核は持ち込まれていないということは明らかにされているということで終始一貫今日までまいりました。しかし、そのあとに、「ただ問題は、わが国に出入いたします艦艇についての問題があります。」、これについてはアメリカの秘密事項として一切明らかにできないということを外務大臣が答弁をいたしているわけです。そういうことで、それじゃ事前協議の一方は対象外にするんだと、日本は対象とすると、こう言いましてみても、秘密事項ということですべて逃げ込まれたときに、私ども国民は一体どうすればいいのですか。しかも、ラロック証言以来、もう相次いて日本の基地に——これはすでに過去の衆議院、参議院の予算委員会でも、日本の基地に核があるということはいろいろな角度から追及されてまいりました。そのつど秘密という事項で日本国政府は逃げ回りましたけれども、ここまできて具体的にいろいろな事実関係が明らかにされるにつれて、私どももなおここで一体どのような抵抗によって日本に核が入ることを防ぐのかという、非常に重要な段階にいま私は到達をしていると思います。さしあたり私どもが、憲法論議はここでは抜きにいたしますけれども、せめてこの事前協議という対象にするかしないかということで、せめてもの抵抗をしようと試みているときに、外務省がそのようなかっこうで私は逃げられる、すれ違いになるということはきわめて遺憾であります。このいま申し上げました事前協議の対象になるということと、対象外ということ、これはいつ、いかなる場合に、どこではっきりしたか。さっきはこの情報を確認をしたということでありますから、その点をもう一ぺん明確にしてください。
  45. 山田久就

    説明員(山田久就君) 日米の間に、その点について食い違いがないということは、先ほども重ねて申し上げたとおりでございます。にもかかわらず、いろいろな風説というものが伝えられておるというような状況にもかんがみまして、この点についてあらためてアメリカ政府当局の意向を再確認するという措置をとったわけでございまするが、これは十月八日でございましたか、この点、米国政府の見解でも、米国政府としては事前協議に関する約束は誠実に順守してきたし、また引き続き誠実に順守することを再確認してきておるわけでございます。御承知のように、こういう安全保障条約というものは、つまり最高の両国の信義関係ということに立脚しているものでございまして、したがって、われわれ両国としてはこのような言明、これに立脚して両国の関係を律していくというたてまえに立つ、そういう立場でいくべきものと了解をいたしております。
  46. 工藤良平

    ○工藤良平君 相互の信頼関係、もちろんわかりますよ。相互の信頼関係がなければ国際関係というものはこれは続いていかないということは私はわかるんですけれども、しかし、そういうことだけで、信頼してくれ信頼してくれといいましても、信頼できないじゃありませんか、全く食い違っているんですから。その食い違っている信頼性のないものをここで明らかにしなければ、国民はどう考えますか。日本の国会の私は重大な責任だと思っているんです。ですから、さっきアメリカ局長言ったわけでしょう。明らかにしたということですから、だれと、どういう形で明らかにしたということを明言できないわけですか。おかしいじゃないですか。はっきりしてください。
  47. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 日米両国の間で見解が食い違っておるというふうに先生はおっしゃっておられますけれども、これはそういう米国艦船の通過は事前協議の対象外であるというふうな報道をもとにしておっしゃっておられるのかと思いますが、われわれはそういう報道につきまして、そのニュースソースその他に当たりましたところでも、アメリカのほんとうの責任者はそういうことは言っておらないのでございます。したがいまして、日本政府は、先ほどから申し上げておりますように、藤山・マッカーサー口頭了解以来の核兵器の持ち込みはすべて事前協議の対象となるということで一貫して御答弁申し上げている次第でございます。
  48. 工藤良平

    ○工藤良平君 たいへんやりとりで申しわけないけれども、核持ち込みについては事前協議の対象になるとあなたはおっしゃいましたね。しかし、現実に核積載艦が寄港して出て行く、その日本に寄港する空母なり巡洋艦が核を持っておるということは、はっきりは言わないけれども、暗黙の了解といいますとこれはたいへん問題があるかもわかりませんけれども、核を持っている、おろしてくるということはあり得ないだろうと、これは常識的になってきた。その現実の上に立って、今度は事前協議の外だと、それは、外だと、持ち込んではいない、寄港しただけだと、これは新しい記事では核貯蔵庫が横須賀にあるということまでも実は言ってきているわけですからね。こういう疑問がたいへん残っているわけですから、私は、あなたがさつき明らかにしたということですから、その点をいつ、どういう形で明らかにしたということを明言をしていただきたいということを言っておるのですが、あなたは言わない。これは秘密事項として言えないわけですか。その点を明らかにしてください。機密事項だから言えないということであれば、それはそれなりにまた私は別の機会に資料を整えて議論をしたいと思います。
  49. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 日米の間にそういう種類の秘密協定があるということはございません。それから、核を積んできておるという前提でおっしゃっているようでございますけれども、わが国に参ります米国の艦船が核兵器を積む能力を持っているものがいるということは事実でございますが、核兵器を現実に積んできているということは承知しておりません。そうして核兵器をほんとうに積んできて日本の港に入るのであれば、それは持ち込みでございますので、当然事前協議の対象となるはずでございます。われわれはそういう事前協議は受けておりません。
  50. 工藤良平

    ○工藤良平君 ちゃんと私に簡単に答えてくださいよ。  さっきあなたは、事前協議の対象外と、こう言っているけれども、それは外務省の解釈である事前協議の対象になるということを確認をしたと、こういうことでありますから、それはアメリカのどなたといつ確認をしたかということを明らかにしてほしい。もしそれが機密事項として言えないならば言えないと、こういうことを国会で答弁をしてほしいと、ぼくはこう言っているのですから、それは簡単です。
  51. 山田久就

    説明員(山田久就君) ただいま先生のお話は、新聞報道として伝えられているというそのことを根拠にしておっしゃっておられるわけです。しかしながら、アメリカ政府としては、その新聞の引用している責任ある筋では、そういうことを言っていないということを言って否定しているわけでございます。しこうして、責任ある関係においては、米国政府としては、今回も米国政府としては事前協議にかかる約束は誠実に順守してきたし、引き続き誠実に順守するという点を再確認しておるということでございますので、したがって、その点に意見の食い違いというものは存在していないというふうに御了解願えるのじゃないかと思うのです。
  52. 工藤良平

    ○工藤良平君 だからその事実関係を、いつ幾日はっきりしたということがわかれば、私はいつでも理解するわけですよ。それを言っている。秘密事項で言えないなら言えないと言ってくださいよ。話が進まないじゃないですか。秘密事項だから言えない。いつ幾日それはやりました。ですけれどもそれは秘密事項で言えない、相手の高官も言えないということであれば、それをはっきりしてください。日本の外交はそういうことで進むなら進むということを私は確認をするわけですから。そうでしょう。
  53. 山田久就

    説明員(山田久就君) 繰り返すようになりますけれども、われわれ両国間の了解は、先ほど申し上げましたように藤山——当時の藤山外務大臣、マッカーサー大使との間の口頭了解でございます。このたびいろいろいまお話のあったような風説というようなものにもかんがみて、あらためてということについてはいろいろ議論もありましたが、再確認の措置をとってインガソル国務副長官、そしてわが安川大使の間に、いま言ったように米国政府としては事前協議にかかる約束を誠実に順守してきたし、引き続き誠実に順守するということを再確認するという言明を得ているわけです。十月十二日です。
  54. 工藤良平

    ○工藤良平君 十月十二日に安川大使を通じてアメリカのどこと明らかにしたんですか。あなたの答弁じゃわからない。マッカーサーを引っ張り出して私はいま言っているんじゃないんです。マッカーサーは過去の人ですよ。現実にいまの問題としてさっき言ったじゃないですか、アメリカ局長が。この記事を確認をしたと言ってるじゃないですか。それを明らかにしなさい。秘密事項で明らかにできないならできないと、こう言ってください。
  55. 山田久就

    説明員(山田久就君) いま十月十二日、相手は国務省のインガソル国務副長官です。いまそう申し上げたばっかりですよ。
  56. 工藤良平

    ○工藤良平君 それではそういうことで明らかにしたいということですね。しかし、現実には核を積載をした艦艇や飛行機が日本の基地に入っているということは、もうこれはだれが見ても常識として明らかになってきていると私は解釈している、外務省はそうでないとこう言い張っているわけでありますけれども。ところで、そこで私はその問題からいろいろ疑問が出てくるわけでありますが、衆議院の決算委員会、あるいは内閣委員会、参議院の内閣、あるいは決算委員会の議事録等を全部拾ってみますけれども、どうしても私はわからないことがある。それはなぜこのようなすれ違いが起こるのかという原因であります。なぜすれ違いが起こるのかという原因。それはもとをただせば日本政府の非核三原則、それと核の四つの政策という、いわゆる核抑止力に、アメリカの核抑止力にたよるというこの一つが加わることによってたいへんな混乱が起こっているわけです。非核三原則については国会でも承認をしてきたところで、みんな一致しているわけです。核の四つの政策ということになると、核抑止力にたよらざるを得ないというところで実は問題が複雑になってくると私は思います。木村外務大臣のこれ答弁を見ましても、どうもそこにくるとわからないんです。さっき私は例を引きましたけれども、核をつくらない、持たない、持ち込みもしないというところまではわかるんですけれどもアメリカの核抑止力にたよらなきゃ日本の防衛ができないというこの解釈。それは日本の基地の中に核を置かなければできないというのか、あるいはアメリカがどっかほかのところで保有しているから、それでもって日本の安全が保たれるという理解をするのか。その二つがいつも議論として出てくるわけです。この点について私はもう一度、これは外務大臣がおるといいんですけれども、外務大臣の速記録は見ましたけれども、その点がどうもはっきりとしませんが、もう一度確認をする意味で外務省からの御答弁をいただきたい。
  57. 山田久就

    説明員(山田久就君) 現在の日米安保条約、この安保条約は、御承知のように先方の攻撃がなければ発動しない。こういう防衛的な性格のものでございます。しこうして、改定安保によりましてアメリカは、武力侵略に対して日本を防衛するという義務を改定安保によって明らかにいたしております。つまり、日本に対する攻撃は、アメリカを相手に一戦を交えるという用意なくして日本の攻撃をすることはできない。しこうして、アメリカからの報復、その中には、先方の攻撃の態様いかんによっては核報復をも行なうというような、つまり行なわれるかもしれない危険性を持っておる、これが安保条約の持つ抑止力発揮の性格であることは御承知のとおりでございます。今日までそういうような意味において日本は武力攻撃を受けない、受けたことはない。実質もこの長い間、そういうような意味においてわが国の安全が確保されてきておるというその事実は、われわれは厳粛に評価される点であろうかと思います。
  58. 工藤良平

    ○工藤良平君 防衛庁長官とやらなければならぬのですけれども、時間がなくなってしまいますけれども、これは行きがかり上やむを得ませんからもう一つ聞きますけれども、あなたはいま非常に重要な発言をなさいましたね。日本がやはり核の攻撃を受けるという一つの想定の上に立って、やはり核抑止力というものを重大な安保条約の柱として考えていらっしゃる、私はそのようにいま聞きました。  そこで、それではさらにお伺いいたしますが、日米安保条約の第三条、これはあなたはどのように解釈をなさるわけでしょうか。私は疑問が出てまいりました。この点を明らかにしてください。そして山中長官にお伺いします。
  59. 山田久就

    説明員(山田久就君) いま、ある状態を想定してというお話がございました。私はそれを想定しているというわけじゃない。この第五条の解釈を端的に申し上げたという事実でございます。いま三条の点を引用なされての御質問でございまするけれども、この点についてどういう点をお聞きになられようとしておるのか。まあ三条の点では、この条約制定のときに非常に重要な問題として議論された点は、憲法上の規定によることを条件として、という点が重要な問題で、名実ともにそういう条件でわれわれは対処しようと、こういうことでございます。
  60. 工藤良平

    ○工藤良平君 それでは、私はもう一つ聞きますけれども、あなたはさっき核の攻撃を受けることが考えられる。したがって核の抑止力下に入る。そういたしますと、その議論の発展は、もしもアメリカが核を積載をした艦艇や、あるいは航空機を日本の基地に寄港させるということがあっても、これは日本の安全のためにはやむを得ないと、こういう解釈が出てきますね。それは、この第三条で言う、いまあなたがおっしゃった憲法上の解釈との重要な問題が出てくるわけです。「憲法上の規定に従うことを条件として」日本がアメリカとの間に相互協力の関係を結ぶということが、原則が出てくるわけです。もちろん、それはさらにさかのぼれば、憲法九条の軍事力との問題にも関連をしてまいりますけれども、核兵器そのものもこれは憲法上も何ら抵触をしないという解釈が出てくるということになりますと、これは重大なあなた発言になりますよ。これは飛躍かもわかりません。そうじゃないですか。ここにうたってあるわけでしょう。  そこで、あなたは私の質問にさっき答えませんでしたけれども、木村外務大臣が言った、結局非核三原則のほかに核の抑止力の中に入るという、そこがどうしてもぼけてくる。核の抑止力に入るということは、日本の基地に核を置くことが抑止力なのか、あるいはアメリカが保有することが核の抑止力なのかと、こう追及をしますと、それは秘密事項として言えないということですべてが処理されてきている。そこに私は問題があるわけです。あえてもう私はあなたから答弁をいただきません。これは外務大臣とやらないと話にならぬ。  そこで山中長官にお伺いいたしますが、あなたはことしの四月の衆議院の決算委員会におきましてこういう問題について議論をなさっております。私が速記録を読む限りにおいては、外務大臣のいろいろな答弁の内容と、山中長官のこの核抑止力に対する考え方の上には若干のニュアンスの違いがあるように、私はこれを何べんも繰り返し繰り返し読みましてそういうような理解をいたしておるわけであります。山中長官のような考え方に立ちますならば、これは私は安保条約を是認をするという意味じゃありませんけれども、ありませんけれども、一貫してあなたが防衛庁長官としてこれからの日本の防衛というものを、日本の自衛隊法やあるいは安保条約に基づいて進めていくとするならば、むしろあなたの解釈のほうが私は一本筋が通っておるというように実は理解をしてきたわけです。もしもいま政務次官や、あるいは外務大臣の答弁のようなことでまいりますと、私は安保条約そのものの性格について大論議をしなければならないというような実は気がするのでありますけれども山中長官の四月の衆議院の決算委員会で答弁をしたニュアンスと、今日の、この核の問題が非常に大きくなってまいりましたこの現時点における考え方というものは変わらないと思いますけれども、その点について御見解を伺いたいと思います。
  61. 山田久就

    説明員(山田久就君) ちょっと一言だけ。私の発言について言及されました点についての工藤先生の御発言は私はたいへん——自分でもちょっとそういうようなニュアンスのことを言われたけれども、たいへん飛躍されておると思います。私の言っておることと全く違った方向に行っている。あなたの推測によっての御発言によっていろいろ憶測、批判されておられる点は、はなはだその点は遺憾であるということだけをはっきり申し上げておきたいと思います。
  62. 工藤良平

    ○工藤良平君 政務次官、その問題については、私はまた機会をあらためて外務大臣とやりたいと思います。きょうは問題になりません、政務次官とは。
  63. 前川旦

    委員長前川旦君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  64. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  65. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいま拝見させていただきました私の答弁、これはいまも変わっておりません。ことに政府の方針としては、わが国の憲法下において許容さるべき範囲の戦術核であっても——解釈の問題として、それでも日本は持たない、こういう政策をとっているわけであります。あるいはまた通常の推進力としての原子力の利用についても、これは兵器じゃありませんが、原子力基本法第二条によって、まず自衛艦から装備するということはあり得ない。しかし、すべての日本の商船やその他のものまで、世界じゅうが原子力推進になったときに、日本の自衛艦だけディーゼル、タービンで走れということはまた別の問題でありますという答弁もしております。そのことにおいて、私どもがいわゆる核のかさと安保条約というのは、わが国にいわゆる核大国というものしか、おそらく日本に対する攻撃というものがあるとすれば、想定できないと思いますが、そういう場合には核保有超大国同士の間において、ワク組みとして単に日本のみならず、安保条約を結んでいる、欧州においてはNATOであり、またワルシャワであるというようなことから、私たちとしては、日本に対して手を出すことは、この意味では外務次官が言われたとおりでありまして、アメリカに対する攻撃とみなすというのが第五条だと思うんです。そういう意味において、日本に対してその項から、あるいは非常に人類壊滅のトリガーになりかねないようなそういうことが起こり得ないだろうと、起こらないということのもとにおいて、私たちは通常の兵器によってする通常の局地戦略、進攻、そういうものに対処する自衛隊の装備を整えていくということでありまして、あとは外交政策としてそのアメリカの核のバランスの上に立った人類の平和のための、いまはデタントの方向に進んでおりますからたいへんいいことだと思いますが、それをわれわれは信頼して、その箱の中においてのみわれわれの存在があるというふうに考えております。
  66. 工藤良平

    ○工藤良平君 ここでもう一点私見解を伺っておきたいと思いますが、そういう考え方の上に立って安保条約を見、それから自衛隊の本来の任務というものを考えていった場合に、いわゆる局地戦に備えて、それに対応した兵備を、装備を充実をしていく、こういう考え方に立つならば、これはいわゆる「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」の第二条の第二項、これでいう「いずれか一方の要請があるときは」検討しなければならないという私は検討事項に、やはり本来これらの問題が提起をされてまいりますと、当然その必要性が出てくるのではないかという私なりの解釈をするわけで、これは直ちにいま防衛庁長官が即答はできないと思いますけれども、当然こう一貫してずっと長官の私は速記録というものを見てみると、そういうことが起こってしかるべきではないか、もちろん閣議の中でそういう発言が起こってもふしぎではないという気がいたしましたので、その点をひとつ御見解として伺っておきたいと、かように思うんです。
  67. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) よくわからなかったんですが、外務省の見解を示すべき御質問だったと思うんですけれども、閣議の中でという話でありますから、防衛庁長官たる国務大臣というものが、わが国の平和と安全を守るために私たちが持っておる自衛隊というもののあり方というものでありますならば、われわれは核戦争というようなものまで想定をし、それに備えて自衛隊訓練とか、装備とか、そういうものはいたしませんと、そういうことであります。したがって、汚染された船体をどのようにきれいにするかとかなんとかという、こういうのは通常それはやりますけれども、それは日本に対して核攻撃が行なわれるということを前提の問題としてやっておるわけではありませんので、その点において実際的に日本に対する核攻撃のおそれありという前提の想定は自衛隊としてはやってはおらないということであります。
  68. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは問題が中途はんぱになってしまいまして非常に残念ですけれども、時間があと一、二分しかありませんから、残念ですが、一つだけ私きょうぜひお聞きしたいと思いましたのは、自衛隊の充足率、これにつきましては非常に年々問題になっておりまして、その傾向が非常に私は重要だと思いますし、もちろん充足率が完全でないということは日本の自衛隊の特性かもわかりません、それが。性格かもわかりませんですね。その点で、私はこれは特殊の条件だと思いますけれども、その状態と、さらにもしそういうような状態が今後なお続くと考えられるならば、当然これは基地の縮小あるいは装備の縮小ということも考えられるべきではないかというように、これは予算的な観点から見ますと当然出てくるわけですね。これは時間があればもっと私は詰めたいと思ったんですけれども、大体概略をお聞きいたしまして、これはまた内閣委員会等でいろいろと議論をいたしたいと思いますので、その点だけひとつ伺っておきたいと思います。
  69. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 充足率に悩む国は、いずれも志願兵制度をとっている国であります。アメリカも徴兵から志願にポストベトナムで切りかえましたために、いろんな待遇改善その他で、完全週休二日とか、歩哨はやらせないとか、いろんな苦労をしているようです。夫婦結婚して一緒に宿舎に入ってもよし、必要ならば奥さんの高校への勉強もめんどうみようというところまでサービスこれつとめているようですけれどもアメリカもなかなか完全充足はできないようであります。予算上の問題においては、わが国は実人員について予算措置をいたしますので、それを不用な金額としてあとでみすみすわかっているものを一〇〇%予算とっておいて、定員だけとっておいて、それで不用額に立てるということはいたしておりませんで、毎年の募集定員の目標を定めまして、それに近づける努力をいたしております。ずっと最近の傾向として、あるいは将来の展望においてもなかなかこの充足率、ことに陸の充足率等がきわめて低い問題の解決は容易ではないだろうと考えておりますが、昨今の求人倍率等が一・〇一ぐらいに落ち込んでまいりました環境を反映してかどうしてかわかりませんが、現在は現時点においてはきわめて募集定員に対しては応募率がきわめて高くなりつつある、この相互関係はわかりませんが、現状においてはまずまずのところであろう、こういう気持ちでおります。
  70. 工藤良平

    ○工藤良平君 時間がきましたから一応終わります。
  71. 前川旦

    委員長前川旦君) それでは午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  72. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き昭和四十七年度決算外二件を議題とし、総理府のうち防衛庁決算について審査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  73. 須原昭二

    ○須原昭二君 「かつて、これほど政治と金の結びつきが論議された時代があったろうか。そして宰相・田中角榮氏こそ”金権政治”を一身に具現した存在だという。」云々という冒頭の紹介文から始まった、いわゆる「田中角榮研究——その金脈と人脈」文春の記事でございますが、これは田中総理の人脈あるいは金脈というものではなくて、ざらに進んで、私は命脈にかかわる重大な問題点である、こういう観点から、さきの当委員会において大蔵大臣はじめ大蔵省当局に国有財産の払い下げをめぐる諸問題特に、とりわけ幽霊会社といわれる室町産業、新星企業、パール産業あるいは東京ニューハウス等の確定申告と課税決定額の資料提出を私は要求しました。しかし、その後守秘義務をたてにとって、いまだに拒否を続けられております。  したがって私はきょうはこの問題は後ほどの問題として譲りたいと思いまして、特にきょうは防衛庁の関係で、さきに四月の二十四日、当委員会で私が取り上げましたいわゆる電気興業株式会社の設立にまつわる多くの疑惑を持っておるわけです。この点についてはいまだに解明をされておりません。しかしながら、事もあろうに、今度のこの文春の一一五ページに、実は政治献金にまつわる問題としてコメントが出ております。「なぜ、どの企業もそれほど献金について語ることを避けたがるのか。」云々という話から始まって、この筆者が尋ねたところ、電気興業株式会社は「ご想像ください」というような、実に優等生的な答弁をいたしておるわけです。したがって、これに関連をしてきょうはお尋ねをいたします。  この文春が取り上げた電気興業株式会社の政治献金にまつわる問題点でありますが、まず最初に山中防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、電気興業株式会社の問題点については私が四月二十四日の日に御質問を申し上げた事実について、内容について御記憶がございますか。
  74. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 記憶しております。
  75. 須原昭二

    ○須原昭二君 その確認の上にひとつ質問を続けていきたいと思います。  この電気興業株式会社はくしくも私が取り上げた会社でございますが、まさに疑惑だらけの米軍依佐美通信所の土地と通信施設の所有者であります。日米安全保障条約による地位協定に基づいて米軍に提供するために防衛施設庁が借り受けているものであります。すなわち電気興業株式会社はその貸し主であります。あらためて確認いたしますが、相違ありませんか。
  76. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりです。
  77. 須原昭二

    ○須原昭二君 米軍にこの依佐美通信所の土地及び通信施設を提供するため防衛施設庁はその所有者である電気興業株式会社に昭和四十七年度一億二千三十九万九千円、さらに四十八年度は一億二千四十九万円の借料を支払ったとこの間御答弁をいただきました。したがって、その点について間違いがないかということをさらに確認をすると同時に、昭和四十九年度、本年度借用料は幾らになっておるのか、あらためてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  78. 長坂強

    説明員(長坂強君) 昭和四十八年度分の借料はこの依佐美通信所関係で一億七千三百万でございますが、うちこの電気興業分といたしましては約一億二千万円でございます。それで四十九年度の借料というものは、これは現在評価作業中でございまして確定を見ておりません。これは前年度額を当面四月に払いまして、この年度の間、評価をいたし、それから会社側契約の締結の話し合いをする、こういう段階でございます。
  79. 須原昭二

    ○須原昭二君 確認をさせていただきますが、四十九年度はまだ明らかになっておらない。したがって、四十八年度まで、実は昭和二十五年から四十八年度まで約二十億五千万円の借料を払ったということにこの間答弁をされておりますが、これは間違いございませんか。
  80. 長坂強

    説明員(長坂強君) 昭和二十五年度から昭和四十八年度までの二十四年間におきます借料の支払い総額は約二十億五千五百万円でございます。
  81. 須原昭二

    ○須原昭二君 わかりました。  そこで、郵政省並びに会計検査院等々にお尋ねをいたしますが、あらためて確認です。  この電気興業株式会社の前身を洗ってまいりますと、かつて戦前国際電気通信株式会社という国策会社から出発をして、いわゆるGHQの集中排除法の命令を受けてこれが解散をし、その財産要員はすべて国に帰属をいたしました。ただ、この米軍の使用いたしておるところの依佐美通信所、これは国際電気通信株式会社の所有であったんですが、これは国有に返らなくて、ただこれだけが新たに国際電気興業株式会社という国策会社の代理会社として実は出発をいたしておるわけです。したがって、国際電気通信株式会社の財産が全部国有になっておるにもかかわらず、依佐美の通信所だけなぜ除かれて電気興業株式会社の所有になったか、この理由については前委員会においても明らかにされておりません。どうしてなったかということについてはつまびらかになっておらない。あえて聞きますと、これはGHQの命令で、その当時のことはわからない、こういう御答弁でした。これで確認してもいいかどうか。  さらに国際電気通信株式会社の清算がまだ今日二十数年たっても継続中であります。第二会社の電気興業株式会社を設立したときに、設立をされておるにもかかわらず、まだ清算中である。この事実はわれわれには不解明である。ただ中国だったか、かつての満州だったか、そういうところにあったかつての放送施設、そういうものがなお清算ができないのだ、在外資産の問題についてはもうすべて私たちは消滅をしたという解釈に立っておるわけであって、こういうものがまだ清算をされておらないことについては不明瞭である。これが第二点。  第三番目は、電気興業株式会社の株がいつ、だれに、どれだけの価格処分をされたのか。この事実については、たとえば持株整理委員会等で行なわれて処理をされたとはいうものの、具体的にその内容が明らかにされておらないのです。この三点についていまだもって不明瞭である。これが御答弁ができないのかどうか、あらためて確認をいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  82. 佐野芳男

    説明員(佐野芳男君) お答えいたします。  先生指摘の第一点につきましては、御指摘のとおりGHQの命令に基づきまして通信管理施設、ただしいま御指摘のありました依佐美送信所資産の一部及び在外資産を除きまして、国、当時の逓信省に譲渡されました。  それから第二点、清算未了の件につきましては先回に御答弁がありました。  それから第三点につきましては、これも持株整理委員会が御存じのように二十六年に清算されておりますので、当時のそういう資料が郵政省にはございませんが、どこかの関係官庁でお持ちになっておられるのじゃないかと思いますが、その点につきましても会計検査院のほうからお願いしたいと思います。
  83. 須原昭二

    ○須原昭二君 会計検査院
  84. 中村祐三

    説明員(中村祐三君) 国際電気通信株式会社から第二会社の電気興業株式会社へ現物出資という形で出資が行なわれたという点についての検査でございますが、当時、会計検査院の検査の結果につきまして、特に検査上問題があったという場合には記録として残っておりますが、この関係の検査につきましては現在記録として残っておりません。ということは、当時の検査として特に問題がなかったということで処理をされたということで現在考える以外にないのでございます。  ただ、われわれ現在時点に立ちましてこの問題をあらためて考えてみますと、一般に現物出資される場合の検査につきましては、一つには現物出資をする根拠、これが不当であるかどうかという点と、それからもう一点は、価格評価が不当であるかどうかという点、この二点になるかと思います。  第一点につきましては、この会社は企業再建整備法という法律に従ってその企業再建整備計画の認可を受けまして、その計画に基づいてこのような現物出資をしたという点であります。
  85. 須原昭二

    ○須原昭二君 いつだれにどこで渡したかということだよ。
  86. 中村祐三

    説明員(中村祐三君) 現物出資についての問題点はなかったんじゃなかろうかというふうに考えます。  それから、その評価の点につきましては、当時、現物出資をする場合には簿価によって行なうという一般の公示がございまして、その場合もその方針に従ってやっておるということで、この点についても特に問題はなかったということで、われわれ現在時点に立って振り返ってみましても、そういうように当時処理されたということについて検査上取り上げる問題はなかったというふうに考えていいわけであります。  それから、まだ……。
  87. 前川旦

    委員長前川旦君) 答弁者、答弁簡略に願います。
  88. 須原昭二

    ○須原昭二君 要点だけ。
  89. 中村祐三

    説明員(中村祐三君) その点だけであります。
  90. 須原昭二

    ○須原昭二君 答弁になってないんですよ。少なくとも国の決算と検査について、会計検査院は、いまなお清算法人として国際電気通信株式会社、これを明記しているわけです。監督下にあるわけです。しかも今日、国際電気通信株式会社が清算法人として存続をして、代表清算人は萩原憲三さん、この方はくしくも電気興業株式会社の現在の社長です。しかもその両事務所は同じ東京都千代田区新東京ビル内にあるわけです。どういう事態に至っているかということは、国際電気通信株式会社がなお清算法人であるならば現在資料があるはずです、ないはずがないわけです。同人物です。そういうことを会計検査院は何ら調べておらない、こういう点を指摘しておかなければなりません。時間の関係がございますから、この問題点については前委員会において鋭く私たちは追及をしたのですが、いまだに明確なる回答が出てこない、きわめて疑惑に満ちた会社であると断定しても私は過言でないと思います。したがって、この問題は後ほど提起をさしていただきたいと思います。  この国際電気通信株式会社の代表清算人萩原憲三、同じく電気興業株式会社の——同じ人間でございますが、取締役社長萩原憲三さん、この方をひとつ証人として、参考人として一ぺん御出頭いただきたいと要望しておきます。後ほど総括してお願いをいたします。  さらに、このような疑惑の上に立っておるにもかかわらず、電気興業株式会社は自民党あるいは田中派に政治献金をいたしておるわけです。  さらに、私は、この会社の内容をつぶさに調査をしてまいりますと、実は郵政大臣時代に田中総理がFM放送の実験放送を開始しております。その後、四十二年四月にFM本放送の開始の道を開いた方でございますが、FMの本放送開始により、特にNHKは全国都道府県に漏れなく各一施設当てFM放送を建設いたしております。現在も、それも日本全域に、FM受信を可能にすることができない地域もあるわけでありまして、さらに施設を増加する計画があるかに聞いております。この施設の実はかっこうの納入業者となっているのが、FMアンテナの設備の設計、製作、建設、保守、これを一貫して直営をやっているのがくしくもまたこれ電気興業株式会社なんです。この電気興業株式会社の第四十六期、有価証券報告書——四十八年度でありますが、これを見ましても、これらの仕事を「一貫して直営でやっている会社は現在のところ当社」——わが社だけですと、こういういわば独占的な企業です。そして同社の主要取引先は、会社年鑑によりますると、日本電気、電電公社そしてNHK、その三番目にNHKがランクされておるわけです。FM放送は電気興業株式会社のために開始されたようなものと言っても私は過言でない、こう言ってもいいと思うわけです。  したがって、この際、きわめて簡単でけっこうでございますが、要約をしてNHKの現在のFM設備受注の実情について、この電気興業株式会社との関係について御説明をいただきたいと思います。
  91. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) お答えいたします。  ただいま御指摘のとおりに、現在、NHKはFM放送が全国で今年度末で四百四十四局になります。普及率で申し上げますと、大体九六%のカバレージを確保することになっております。したがいまして、それらの年々の工事につきましては各社に格段の御協力をいただいているわけでございますけれども、主としてそういう関係の空中線その他を受注して仕事をやっていただいております会社は、古河電気工業、住友電気工業、日立電線、それからただいま話題になっております電気興業、それから八木アンテナ、全日本テレビサービス、こういうところがそれぞれ仕事の内容に応じまして分担をいたして仕事をしているわけでございますが、いま御指摘の電気興業のシェアはこの中の約一割でございます。
  92. 須原昭二

    ○須原昭二君 そういたしますと、この電気興業株式会社の有価証券報告書の中に記載されていることは、これは事実でないということですね。
  93. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 電気興業のほうのそのリポートは私はよく存じませんけれども、私どもの仕事の規模から申しますと、いま申し上げたような割合になっております。
  94. 須原昭二

    ○須原昭二君 その事実についても、あらためて参考人として出ていただいて事実の究明をいたしたいと思います。そのときにまたNHKさんとも質疑をいたしたいと思います。それまで保留さしていただきたい。  そこで時間の関係がございますから、さらに進めてまいりますが、一般論として、文春は政治献金の問題について「企業は営利を目的とする以上、見返りのない献金は絶対にしない。その意味で、政治献金は、すべて汚職まがいか恐喝まがいのものであるといってよい。」こう実は断言をしております。このような疑惑の生じないように政府は姿勢を正すべきである、正すとともに政治献金の規正というものを厳正にすべきであると私は痛感をいたします。したがって、政府はいま述べたこの文春の指摘についてどのような見解に立たれるのか、一度その見解を明らかにしていただきたいと思います。
  95. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) お答えいたします。  政治資金の問題につきましては、最近新しい動きがあり、論議が高まっていることは新聞、雑誌等の報道により見聞しているところでございます。この政治資金規正法の問題は、申すまでもなくきわめて重要な問題であると考えておりまするが、過去において幾たびか改正法案が国会に提案され、廃案になった経緯があることもまた周知のとおりでございます。この問題を現在の時点に立って考えてみますると、金のかかる選挙制度をそのままにして、これを具体化するにいろいろと無理があることを示しているようにも思われますが、政府といたしましては、今後、政党本位の金のかからない選挙制度の実現への動向をも踏まえつつ、さらに検討と論議を積み重ねてまいりたいと考えております。また各界においても十分な論議を尽くされ、各党の間におきましてもいろいろお話し合いが持たれているのでありますが、十分な話し合いが行なわれまして、何らかの一致点が得られるならば最も望ましいところであると考えております。
  96. 須原昭二

    ○須原昭二君 実は答弁になってないんです。  私は、文春に書いてあるこの事実、いわゆる「企業は営利を目的とする以上、見返りのない献金は絶対にしない。その意味で、政治献金は、すべて汚職まがいか恐喝まがいのものであるといってよい。」といっているけれども、それについて政府はどのような見解を持つかといって聞いているんです。
  97. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 政治資金の問題についていろいろな議論が最近行なわれております。また文春の記事もその一部をなすものであるというふうに理解いたしております。一々について見解を申し上げることは差し控えたいと思います。
  98. 須原昭二

    ○須原昭二君 一々ということではなくて、「すべて汚職まがいか恐喝まがいのものであるといってよい。」こういっているわけですね。この点についてどうですかといって聞いているのですよ。そういう事実がないというなら、ないでいいですよ。
  99. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 新聞、雑誌の論議は各論ございますので、まあ文春もその一部でございまするが、それについて一つ一つお答えするのはいかがか、そういう意味で申し上げたわけであります。
  100. 須原昭二

    ○須原昭二君 まあわからないけれども、これ以上申し上げません。  ただ、政治資金規正の措置の検討実情と将来の方向について、政府はいろいろの意見を聞くというのじゃなくて、指導的に政府はどのようにいまお考えになっているのか、国民協会改革案など出ておりますけれども、そういう問題についての方向、どういうものを考えられているのか、この点明確にしていただきたいと思います。
  101. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 各方面の御意見がございますし、また国会委員会でも検討されておりますので、そういったものを十分踏んまえて対処してまいりたいということでございます。国民協会の改革案は党の問題でございますので、私としてはちょっとお答えするべきではないと思います。
  102. 須原昭二

    ○須原昭二君 そういたしますと、いまこれだけ大きな話題になっている政治資金の問題について、まだ具対的に政府というものは方針というか方向づけというものはされておらないと解釈してもいいですか。
  103. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 先ほど来申し上げておりますように、検討しておるということでございます。
  104. 須原昭二

    ○須原昭二君 まさに答弁にならないんですよ、それではね。これを押し問答しておっても時間がかかりますから、さらに進めます。  じゃひとつ自治省にお尋ねをいたしますが、田中派の政治団体として越山会、政治経済調査会、財政調査会、経済社会研究会、新政経振興会、この五団体が実はあると聞いております。その中にも実は消滅したものも含まれておるように感じますが、この五団体を確認してもいいですか。
  105. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) ただいまお話しのございました越山会、それから政治経済調査会、それから財政調査会、これは現在でも存続をいたしておるわけでございますが、経済社会研究会、新政経振興会、これは四十八年の三月十五日に解散届けが出ておりまして、現在はございません。
  106. 須原昭二

    ○須原昭二君 わかりました。じゃ、それ以外に政治団体ありますか、田中派の。
  107. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 届け出のございました政治団体がどういった政治家と関係があるのかといったようなことは私どもにはわかりかねるわけでございまして、いまのお尋ねの田中派関係であるかどうかということについては、私どもにはわかりません。
  108. 須原昭二

    ○須原昭二君 じゃ越山会、政治経済調査会、財政調査会、この三つについては従来からある、いまもある。経済社会研究会と新政経振興会は四十八年三月に消滅をしている、しかし資料は残っていますでしょうね、報告資料は。
  109. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 資料は三年間保存することにされておりますので、残っております。
  110. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで最近では、昭和四十八年七月三十日の官報に電気興業株式会社が経済社会研究会に対して三十万円を寄付したということが、私がたまたま官報を見ましたら出てまいりました。また同日の官報には、国際電気株式会社が三十八万円を国民協会に、さらに昭和四十九年九月二十八日の官報には、国際電気が財団法人国民協会に二十万円というのが具体的に私の目にとまりました、たまたまたまたま目に触れたわけです。国際電気株式会社だとか国際電気だとか、この名称の問題と、さらに国際電気通信株式会社との関連はあるのかどうか。具体的に明記をされておらないのですか、片一方は正式に名前を書いておるようですし、片一方は俗名で出されておる。そういう報告でいいのですか、こういうものは、その事実関係について。
  111. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 当該政治団体からその名前で届けられておりますものは、私どもとしてはそのとおり公表いたしておるわけでございます。
  112. 須原昭二

    ○須原昭二君 それを一々示唆はしないんですか、ただ報告すればいいという問題ですか。虚偽報告との関係についてどうあなたたちはこれを監査しているんですか。
  113. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 政治団体名について、その名前があるいは類似した団体がほかにあるかもしれませんけれども、それがこれと一緒ではないか、この名前が違っておるのではないかといったような形で、一々私どもとしてはたくさんの中でチェックできるというわけにはまいらないわけでございまして、やはり届け出られたものがそういう名前の政治団体であるということで受け取っておるわけでございます。
  114. 須原昭二

    ○須原昭二君 報告すればいいわけで、虚偽の報告があった場合には懲役何年間以上の罪に処せられる、この虚偽の報告をどこで調べるんですか、いかがですか。
  115. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 虚偽の報告というのは、中身かあるいはいまの名前か、いろいろそれが食い違っておることもあろうかと思いますが、まあ中身については私ども一々全体をチェックするといった立場にはございませんで……
  116. 須原昭二

    ○須原昭二君 だれがチェックするんですか。
  117. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) そういった問題が虚偽事項であるかどうかということになりますと、それはやはり捜査当局の問題、司法当局の問題になってくるかと思います。
  118. 須原昭二

    ○須原昭二君 結局、私は、昭和三十二年田中角榮氏が郵政大臣就任以来今日に至るまで、自民党及び田中派の政治団体と思われる団体に、さらに田中さんが実は総裁に就任された後は国民協会を加えて、これら政治団体に対する電気興業株式会社または国際電気通信株式会社——清算会社が金を出すようなことはないと思うけれども、ないと思うけれども、あえてお尋ねをしておきますが、国際電気通信株式会社の政治献金の件数、金額、これは幾らになるのか年度別に報告してもらいたいと思うんですが、出せますか、いかがですか。
  119. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 先ほども申し上げましたように、私どものほうへ届け出がまいりますのは、政治団体として政治団体ごとに届け出があるわけでございます。したがいまして企業のベース、会社のベースとしてそちらのほうからどこどこへ幾ら出したという形ではまいっておりません。そういうことになりますので、ある会社がどこへどう出したかということは、にわかに私どもとしては資料はつくれないわけでございます。
  120. 須原昭二

    ○須原昭二君 そういたしましたら、昭和三十二年田中さんが郵政大臣就任以来今日まで、いわゆる私がいま列挙をいたしました五つの政治団体あるいは国民協会等の政治団体が自治省に報告をした金額、件数、これを年度別に報告していただくことはできますか。
  121. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 政治団体名をはっきりお示しいただきますれば、それについて、ただいまの会社が幾ら献金をしたかということはこれはわかるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、一応資料は三年間保存ということで非常に膨大なもので順次焼却をいたしております。したがいまして非常に古いものはちょっと私どもの手元にはもうないわけでございます。まあ官報で見られる限りはわかると思いますけれども……
  122. 須原昭二

    ○須原昭二君 官報が残っているでしょう。
  123. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) はい。団体名をおっしゃっていただければ、そのことは拾えると思います。
  124. 須原昭二

    ○須原昭二君 わかりました。したがって先ほど申し上げました越山会、政治経済研究会、財政調査会、経済社会研究会、新政経振興会並びに国民協会、これに対して電気興業株式会社、もう出しておらないと思うけれども国際電気通信株式会社、この二つの社がこれらの団体に出した金額、件数、これを年度別に報告していただくことはできますね。資料要求をいたしたいと思います。
  125. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 官報によれば古いものはわかるわけでございますから、しばらく時間をかしていただきましたら、できると思います。
  126. 須原昭二

    ○須原昭二君 ぜひともひとつ早急に、たいへんな事務だと思いますけれども、ひとつあえてお願いをいたしておきたいと思います。  そこで文春の「田中角栄研究——その金脈と人脈」を読むと、九八ページ、一一三ページに、政治献金に表と裏の金がある、表金は裏金のごく一部であるにすぎないと実は述べているわけです。先ほどもたまたま私の目に映った三十万円という数字を出しましたけれども、実に私が仄聞する、私の調査からいたしますと、これはマルの数が落ちている。三十ではなくしてマルが一つか二つ取れておる、こういうふうに実は仄聞をいたしております。  特に電気興業株式会社の場合、政治献金の財源を一般の場合と同じように交際費もしくは寄付金と見れば、昭和四十七年十月から昭和四十八年九月まで一年間を例にとると、実は、この有価証券報告書総覧によりますと、電気興業株式会社の場合は、交際費は六百九十一万八千円、寄付金は二百二十八万七千円、合計九百二十万五千円、すなわち一千万近くの該当の金額、その中から出してもいいという金額が出てくるわけです。三十万というのは、私がマルが落ちておると仄聞をしておる数と一致をしてくるわけです。政治献金はこの範囲で実は帳簿上行なわれておると見ざるを得ないわけです。  したがって自治省にお尋ねをいたしますが、この政治献金の受け入れは、銀行よりの振りかえなのか、あるいは立ち会い人を設けての現金収納なのか、実情は政府はどのように承知をしておりますか。
  127. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 内部的なそういった受け渡しの関係につきましては、私どもには一切わかりません。
  128. 須原昭二

    ○須原昭二君 そういたしますと、表・裏金の関係については何も関係ない、その実情は全然政府はとらえていない、こういうふうに理解をしてもよろしいですか。
  129. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 御承知のように政治資金規正法によりますと、各政治団体が届け出たものを私どもはそれぞれ個々に公表をする、そういった事務を行なっておるわけでございまして、その内容について一々立ち入って調査をするとかどうとかという能力もなかなかございませんが、そういった仕事をやれるようにはなってないわけでございますので、その点は了知していないわけでございます。
  130. 須原昭二

    ○須原昭二君 了知しておらない——そうすると、まさにざる法ですね、これは。  そういたしますと、実際三十万しか出していない帳簿上は、自治省に報告した報告には三十万しか出しておらないといっておるにもかかわらず、実はそれと違った数字が出てきた場合にはいわゆる政治資金規正法違反ということで、虚偽報告の罪、こういうことに実は該当しますね。「五年以下の禁錮又は五千円以上十万円以下の罰金」の虚偽報告の罪に該当すると思いますが、その点を確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
  131. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) まあ事実に基づいたことではございませんので、明確には申し上げかねますが、現実にあったにかかわらずそれを届けていないとかいったような問題になりますと、それは、ただいまおっしゃったように、問題ではないかと思います。
  132. 須原昭二

    ○須原昭二君 それは、特にこの際、確認をしておきたいと思います。  そこで時間の関係がございますので、非常に恐縮でありますが、やはり、私は、いまなお電気興業株式会社の今日の歴史的な過程、今日の営業の実態、こうしたものと田中派あるいは政治との関係のつながりが非常に強いと認定せざるを得ないわけです。電気興業株式会社については去る四月二十四日の当委員会においての私の質疑で明らかであり、しかもなおきょうの答弁で、時間を猶予したにかかわらず何ら明らかにされておらない。アメリカ軍の占領下のもとで、本来国有となるべきこの依佐美基地の現施設、依佐美だけ電気興業株式会社という名の会社の設立に現物出資の形で参加しているわけです。しかも現在国際電気通信株式会社との関係においては二十数年間もなお清算中のままに実はしてある。こういう関係からいって、まさに疑惑に満ちておると言わなければなりません。特に株を国から同会社に売却したという話ですが、いつ、だれに、どれだけの金額で、これらの株が処分をされたのか、これまた明らかではございません。きわめて不明瞭です。きわめて疑惑に満ちている。  そういう会社に、前回の当委員会でも申し上げましたが、当会社に対して四十八年度には一億二千万円の国費が支払われておる。今日まで通算して二十億五千五百万円でしたか、この借料を支払っている。かつての国の財産がいつの間にやら私企業の財産になってしまって、同社の設立に伴う株式の行くえはいまだにわからない。私はきわめて疑惑に包まれておると言っても過言でありません。これはこの間も、山中長官は私は借りているだけだと、こうおっしゃいました。私には関係ないというお話でございましたけれども、このような会社からいわゆる田中派の政治団体あるいは自民党という形で献金を受けているということは、与えられた利益に返礼という以外に私はないのではないか、あるいは同社にかかわるところの疑惑を黙認していることにつながるのではないかと実は考えざるを得ないのです。  世上とかくの疑惑のある会社からの献金を受け取らない、こういうことを明確にこの際私は明らかにされなければいけないと思うわけですが、これは防衛庁長官という立場よりは、田中内閣の一つの重要な任務を負われておる国務大臣として、山中さんの見解をひとつお尋ねをしておきたいと思うんですが、いかがですか。
  133. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 李下に冠を正さず、瓜田にくつをはかず、これは政治家の私自身の考え方であります。  いまの会社の問題は、これは占領軍の接収に伴って、これを提供施設とせざるを余儀なくされたものについて、わがほうは、その内容については、賃借料としての対象の評価が正しいものであるかどうかをやって、それによって支払いをしておるだけのものであります。これは前にもお話ししたとおりでありまして、その中に政治資金分を上のせしているとか、そういうようなことなんかの操作の余地があろうはずはありませんで、まさに賃借料そのものであります。
  134. 須原昭二

    ○須原昭二君 それは国務大臣としてひとつこの問題はしかと受けとめていただきたいと思うんです。こういう疑惑のある会社、こうしたところから、こういう会社から政治献金を受けることすらやはり今日大きな問題だと思います。ひとつ特に御留意を願いたいと思います。  したがって、この問題点については、やはり会社の設立の経過、今日までの事業の内容そして政治団体とのあり方、こういうものに関連がございますし、したがってこの国際電気通信株式会社代表清算人である萩原憲三さん、同時にまた肩書きはもう一つあるわけですが、電気興業株式会社取締役社長萩原憲三さん、同一人物ですが、この方をひとつ参考人として当委員会に招聘を願いたい。  同時にまた、電気興業株式会社、さらに出しておらないであろうと思われる清算中の国際電気通信株式会社の先ほど申しました五つの政治団体に対する政治献金、いつ、どれだけの額、件数、これは資料要求をしていただきたいと思いますが、委員長いかがですか。
  135. 前川旦

    委員長前川旦君) いま須原委員から要求のありました参考人の件については、参考人はいつも理事会で希望に沿えるように決定をしておりますので、後の理事会で相談をしたいと思います。  なお資料の問題は、先ほど選挙部長からああいう回答がありました、あれでよろしいんですね。須原委員、いいんですか、あれで。
  136. 須原昭二

    ○須原昭二君 はい、けっこうです。  では、次の問題に移ります。今度は、自衛隊演習と災害、事故の関連についてお尋ねをいたします。  防衛庁が民間に与えた損害の賠償と演習の規模とは決して私は無関係ではないと思います。最近続いて起こっておりまする自衛隊機事故などにかんがみまして最近における演習の実態を調べてまいりますと、防衛庁資料によりますと、昭和三十八年から四十八年まで十一年間に陸海空三自衛隊の統合演習が四回、各自衛隊別の主要な演習は、陸上自衛隊十二回、海上自衛隊十一回、それから航空が八回と、こう記録をされております。したがって演習地域は単に演習場内にとどまらず、四十一年度の海上自衛隊演習、三十九年十一月以降の六件の航空自衛隊総合演習のように全日本の地域に実は広まっているわけです。したがって自衛隊演習に伴う災害は全国至るところで発生しておるという観点に立たざるを得ないのであります。そういう立場からひとつお尋ねをいたしたいのでありますが、まず運輸省と防衛庁に関連をしてお尋ねをいたします。  昭和四十六年の夏の自衛隊機と全日空機が実は衝突して以来、自衛隊機が民間航空路を横切る場合、スクランブルを除き、特別に設けられた回廊しか飛行し得なかったわけです。その後、自衛隊の要望に基づいて、運輸省は、自衛隊機の物資輸送ですか、などの要務飛行については注意すれば有視界飛行による航空路横断を自由にできることを認める方針を固めたかというようなお話を承りました。また防衛庁は、四十七年の十一月の沖繩を含む日本全地域を対象とした航空自衛隊の総合演習を機会に、十本の既定回廊の数を大幅にふやしたい旨運輸省に実は強く要望したと伝えられておりますが、その事実とその結果についてどうなっているのか明確にひとつ、簡単でけっこうでございますから、御報告を願いたいと思います。
  137. 中曽敬

    説明員(中曽敬君) 先生御質問のまず第一点でございますが、雫石事故、四十六年の七月でございましたけれども、雫石事故がございましてから、その直後におきまして、実は総理府が中心になられまして航空交通安全緊急対策要綱というものを政府といたしましてきめたわけでございます。この航空交通安全緊急対策要綱と申しますのは、雫石事故にかんがみまして、いわゆる一般の航空路、ジェットルートを通りますそういう一般交通と、それからいわゆる自衛隊を中心といたします訓練をやります空域と完全分離いたしまして、そして二度と雫石のような事故が起らないようにという趣旨のもとにつくられた要綱でございます。で、それ以来今日に至るまで自衛隊につきましては、あるいは民間の飛行機につきましても訓練空域というものを特別に設定いたしまして、訓練はその区域でやっていただく、まあ封じ込め作戦でございますけれども、そういうことでやってきておるわけでございます。  ところで訓練と申しますのは、非常に姿勢をひんぱんに変えたりあるいは高度を急激に変えたりというふうな飛行をするわけでございますけれども、そういう飛行じゃございません通常の飛行につきましては、実はこの対策要綱では触れておりませんで、要するに所定のルールを守りさえすれば航空路を横切って飛ぶこともできるんだということになっておるわけでございます、差しつかえないということになっておるわけでございます。しかしながら防衛庁といたしましては、雫石事故の直後から四十八年の三月末に至るまでの間、そういった何といいますか航空路を横切っての物資輸送とかあるいは要務飛行とか、そういった飛行につきましては自粛をいたしまして、やられなかったという事実があるわけでございます。したがいまして、先ほどもお話しございましたように、雫石事故以後VFRで横切っちゃいけないということをきめたわけではございません。そしてまたそれを私どものほうで途中でもって認めるという措置をとったという事実もないわけでございまして、自衛隊のほうで防衛庁で自粛されたというのが事実でございます。  それから、もう一つの第二点の訓練空域に往復するために実は回廊というものを設けたわけでございます。これはやはりただいま申しました対策要綱ができました直後、訓練空域を設定しましたときに、回廊というものを設けたわけでございますが、当時、十本の回廊を設けました。ところがその後防衛庁から特にその回廊をふやしてくれというふうな要望はなかった。ただ昨年だったと思いますけれども、一年半ほど前になるかと思いますが、そういった回廊について若干改定をしてくれないか、つまり回廊の幅なりあるいは高度なりを若干変えてくれないかというふうな要望があったことは事実でございますが、回廊そのものの本数をふやしてくれという要望はなかったということでございます。
  138. 菅沼照夫

    説明員菅沼照夫君) ただいま運輸省の技術部長から御説明がございましたように、雫石事故のあとに航空交通安全緊急対策要綱というのができまして、訓練試験飛行につきましては、その対策要綱に基づいて航空路等と完全に分離された空域において行なうことになったわけでございますが、ただいまお話がございましたように、通常の飛行態様のものであれば、一般機であろうと自衛隊機であろうと、航空路等を有視界飛行方式で飛行することができることになっております。防衛庁としては、ただいまもお話ございましたが、雫石事故の直後から飛行の安全を配慮いたしまして、航空路等におけるVFR飛行を自粛をいたしたわけでございます。そしてその間、所要の飛行安全上の措置をとった上で四十八年四月以降これらの飛行を再開をいたしております。  それから第二点でございますが、ただいま運輸省からもお話がございましたが、運輸省のほうに一部の回廊について改善の要望を事務的に提出したことはございますけれども、増設について具体的に要望した事実はございません。それから回廊については、航空路等を利用する航空機の安全を確保すると同時に、航空路を横切る自衛隊機の安全等もはかるものでございますので、航空交通の安全の立場からその位置、数等はおのずから定まってくるものだと考えております。
  139. 須原昭二

    ○須原昭二君 ひとつ要領よく御答弁いただきたいと思います。  そこで最近の自衛隊航空機の航空大事故を見ますると、発生原因操縦上のミス、操縦上の過誤、こういうものが最も多いわけですね。防衛庁資料見ますと、四十四年から四十八年の五年間で二十件、二十三機三十六人死亡となっているが、これは責任を何か死者に転嫁するような安易な処理方法がされているんじゃないかという実は危倶を持たざるを得ない。  事故原因調査の厳正実施、こうしたものはどのように考えられておるか、さらに航空大事故で戦闘機の実は事故が目立っておるわけですが、F4ファントムについては総点検が行なわれましたけれども事故率が最大であるF104について総点検をやる意思があるのかどうか、こういう問題点をあわせてひとつお尋ねしていきたいのです。簡単でいいです。
  140. 菅沼照夫

    説明員菅沼照夫君) ただいまのお尋ねの件でございますが、操縦上の過誤というのが確かに多うございます。ただその結果が出ましたのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども事故調査委員会等第三者におきましていろいろ事故原因検討し、機体エンジン等それぞれの面から検討を加えた上、その機体エンジン等に欠陥があればその整備等の原因が出てまいるわけでございますけれども、そういうように消去法でやりまして、そちらに欠陥がないということで、あるいはパイロットが生存しているというようなときになりますと、その証言等からいろいろとパイロットの過誤ではなかろうかという原因が多く出てくるわけでございます。  これにつきましては、先生指摘のように、厳正に実施しているかということでございますが、もちろんこういう大事故が発生いたしますことは非常に国民の皆さん方にも御迷惑をおかけいたしますし、またわれわれのほうといたしましても貴重なパイロットを失うということになりますので、その事故が起こりますたびごとに、そういう委員会を通じまして適正な原因調査し、その原因を排除していくということで厳正に実施をいたしておるわけでございます。
  141. 須原昭二

    ○須原昭二君 F104。
  142. 菅沼照夫

    説明員菅沼照夫君) 失礼いたしました。  先ほどから出ておりますように、最近の104の事故につきまして調査をした結果は、パイロットの過誤によるものではなかろうかという点が非常に原因が多うございまして、明らかに機体等に原因があるということになりますれば、飛行停止等も行なってきておるわけでございますが、最近の数件の事故につきましては、おそらくパイロットの過誤であろうということが出ておりますので、いま直ちに総点検をするということは考えておりません。  なお、航空機事故でございますが、先生のお話ですと最近非常に多くなっておるということでございますが、これは長期的に見ますと、多少減ってきているというような傾向にはございます。ただふしぎなことに、事故と申しますのは、一度事故がございますと続いて起こる、周期的に起こるというような現象がございますので、本年はまさに何機か続いて落ちまして、いろいろ御迷惑をおかけしておるわけでございますけれども、決して特に多くなっておるということではございません。
  143. 須原昭二

    ○須原昭二君 やるかやらないかということだけ言ってもらえればいいのです、時間が不経済ですから。  そこで、最近、七月の八日でしたか、小牧で発生をしましたF86Fの事故もこれまた操縦上のミス、操縦上の過誤ということになっております。そのいかんはともかくといたしまして、賠償の進展状況ですね、これについて実はお尋ねをいたしたいのですが、パイロットを含めて実は四人もなくなられて、家屋も全焼した多くの被害が出たわけです。山中長官にはわざわざ現地まで訪れていただきましてお見舞いいただきまして、民間の犠牲者に対しては最大限の実は補償をしたい、こう言明されたことを新聞紙上から私は仄聞をいたしました。したがってその遺族補償について長官から決裁を受けられたと称して、現地で呈示をされた額は私は聞いておりませんが、何か呈示をされたように聞いております。遺族の要求額とどのように差があるのか、この問題点。  さらに実はこの問題点については、現地では、現地の舟橋小牧市長が、少なくとも山中長官にお約束をいただいたんだから、何か田中内閣も余命幾ばくもないから、したがって山中長官の在任中にぜひとも解決をしたい、近く上京する。もしそれで妥結をしなければもうその交渉から手を引くと、これまで実は地元の新聞で伝えております。きわめて急迫な段階です。この点についてどのように対処されておるのか御報告をいただきたい。  さらに、そういう補償がまだ明らかになっておらないにもかかわらず、実は昨日、六日の新聞を見ますると、F86Fは二、三日のうちに訓練を再開をする、こういうことで現地の住民の抗議の声が盛り上がっておるわけであります。藤沢基地司令がおとついですか、発表したそうです。いやしくもあのような大事故を起こしておいて、そうして住民の納得のないままに、補償もさせないままに訓練を再開をするというのはもってのほかだと言わなければなりません。訓練再開を私は見合わせるべきだ、こう思いますが、この点について長官はどのようにお考えになっておるのか、以上二点について。
  144. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 御遺族の御心情及び春秋に富む二十歳の学徒、この方々が命をなくされたわけでありますから、人命を金で計算することはできないと私は思っておりますけれども、最大限、国の賠償法その他の法令の許す最高限のことをしなければならない、金の問題についてもしなければならない、こう思っておりますので、その旨まだ決裁とかいう手続を経ておるわけではありませんが、一応、事務当局が過去の事例に徴し最大限の金額として積み上げましたものを御遺族の方々に御提示してよろしいかということでありましたので、お話し合いに入るわけでありますから、じゃそれで提示してよろしいということを申しました金額はございます。もちろんそれに対して御遺族の方から御要求の金額と離れているというまことに切ない現実がございますことも私承知いたしておりますが、法令の限りにおいて私どもが過去の例をすべてさらいながら計算をいたしました精一ぱいの金額というものが結果において御遺族の期待される、あるいはまたせめて金額だけでもと思われる金額に合っていないということについては、非常に苦悶いたしております。これらの点は私どもの判断だけで突破できない壁もございますし、そういう問題等は法制局なり大蔵省なりといろいろと相談も積極的にはしていくつもりでありますけれども、御遺族に対して決して私どもが金でたたくというような気持ちは毛頭ございません。その点は、できればこの場を通じて御理解を願いたいものと考えております。  さらに飛行再開の問題でございますが、これはもう御遺族も含めまして県知事さん、議長さん、その他関係の市長さん、町長さん等全部、あるいはそれらの関係市町村でつくっておられます対策協等とも何回も何回も協議を重ねさしていただきました。そしてその事故原因とそれへの対策と、そして再開するにあたっての自分たちの対処する問題をすべてお話を申し上げました。わかりやすい図解したもの等も必要だということで、それもつくりまして、むずかしいエンジンの構造その他についての御説明も図解等で各地区ごとの話し合いもさしていただきました。そのような積み重ねの上に立って、最終的に、一応そこまでやったんならば自衛隊もいつまでも飛ばさないというわけにもいかぬだろう、賛成とは言えない、まあしかしやむを得ないであろうという御感触をいただきました。  いままでのそういう事故折衝では、空幕、あるいはその他の事件を起こしました幕の段階の話し合いにまずゆだねたのでありますが、今回は事柄事柄でありますだけに内局の参事官もそれに参加させまして、現地で話し合いをさせたわけであります。その結果、一応暗黙の御了解をいただいたものと——賛成をいただいたとは決してそんな不遜なことは申しておりませんが、やはり一応F86Fの飛行機の一個スコードロンを置いております以上は、ふだんの任務をこれ以上放棄するわけにもまいりませんし、練度の落ちないように他基地等において、あるいはシミュレーター等においてやってはおりますけれども、これをずっと永久にやらないというわけにもまいりませんし、したがってそれらの点の御理解を最大限に得る努力をした結果、よろしかろうということでお願いをさしていただきました。  その結果、本日たいへん恐縮でございますが、そのような私どものいままでの長い積み重ねの上に立って、そして判断をいたしました結果として、本日、いまのところ四機でありますが、一応飛び立たしていただくということにしたわけであります。
  145. 須原昭二

    ○須原昭二君 それは何か長い間の積み重ねで努力をしたんだ、だから暗黙のと、こういうお話ですが、決して現地はそのように承知をしておらないわけであります。  直ちに現地における小牧市会も全員協議会を開いて、全員一致、この申し入れを撤回をしてください、さらに直ちにそういう再開はいきまへん、こういうことを明確に言っているわけです。お隣の春日井市もそうです、愛知県の空気もそうです。そういう状態、しかも特に補償すら何も妥結しておらないにもかかわらず、飛び立たせるということはまさに住民の意向を踏みにじったと言っても過言ではありません。  二機か四機、きょうは飛び立ったというならば、あすからでもいいから直ちに中止をする、そういう意思はないのかどうか、この点はひとつ重ねて要求いたしますが、いかがですか。
  146. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 遺族のいわゆる補償問題でありますが、その他の物損等はおおむね片づいておりまして、あとなくなられた三名の方々に関する家屋あるいは御本人の国家賠償の問題が残されているわけでございます。この問題は雫石等でもありましたように、その他の事故でもありますが、話し合いがつかない場合の最終的な訴訟等のケース等もございますし、そう簡単に一週間や二週間、一カ月や二カ月で話がなかなかつくものでもなかろう、また事故直後からすぐに幾ら国のほうで誠意を示す形とはいえ賠償の話などするのは不謹慎であるということで、たしか四十九日それを待たせた。世間の慣習の四十九日間という意味でその折衝もいたさないままでまいったような配慮もございまして、その後一生懸命やっておりますが、食い違いがあるということは申しわけないと思っておりますし、それは歩み寄れるように最大限の努力をこれからもしていきますということを申し上げているわけであります。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕  それが片づくまでは飛行の再開をやってはならないということに、御要望がかりにそうなりますと、それはずっと小牧の86Fは飛び立てないということになりますので、その間、ただいまおっしゃったような御感触もおありと思いますが、それぞれの各市町村のつくっておられます協議会や議長さんや市長、町長さんたちには全部、知事も含めてお会いをいたしまして、それぞれ賛成とは言っていただいておらないことは事実であります。しかし自衛隊も任務があるのだから、一定の時期がきたらしかたがないでしょうという意味の、了解とも私は言ってはいないと思いますが、そのような意味のおことばをいただいて、それでまあ私どものほうも任務遂行上、ここまでお話し合いをいたしてまいりましたからということで、二、三日中に飛ばしていただきますという御通知を差し上げたということでございます。したがって決して地元の意思をじゅうりんして、われわれが練習を強行するというような気持ち、不遜な気持ちは全くないという、そういうことはおわかりいただきたいと思うのです。  現に、私は、アメリカに二週間ほど留守をいたしましたときも、留守中は木村大臣に代理になっていただいたわけでありますが、この小牧の飛行再開に関する問題だけは、私がワシントンにいようとどこにいようと直接私から、どのような環境でどのようなところまできたということを全部報告をして、私が電話口から自分の頭で判断してイエスと言わない限りは、飛ぶことについての時期をきめてはならぬということまで申して出かけたほどでございますので、私としても十分に配慮をして今日まで至ったことについて、一生懸命やったことだけは認めてほしいと思っております。
  147. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 須原君に申し上げます。割り当ての時間が超過しておりますので簡略にお願いいたします。
  148. 須原昭二

    ○須原昭二君 はい。時間が来てしまって非常に残念でありますが、何か長官のお手元へいっている各部下からの報告が私は真実を申告していないのじゃないか。何か地方の協議会の代表だとか県知事さんだとかいろいろお会いになったけれども、任務をお話をしたら、まあしかたがないというような言い方に受けとられているようでありますが、これは明らかに当該地方の代表者に責任を転嫁したことになります。これは大きな問題になります。  きょうも、実は、私のところへ長官に会わしてくれ、きょうは決算委員会の席上で実は防衛庁長官はずっと一日じゅうあれだからだめだ、こう言ってきょうは連絡をしているくらいです。それほど大挙して防衛庁長官最後に会いたい、こういう申し入れがある状態です。こういうものをとらえて、部下からの報告が私は真意を伝えていない、こういうふうに実は思います。直ちにひとつ再考願いたい。これは特に要求しておきます。  それからもう一つ、時間がきましたから、この基地撤去の問題ですね。第三航空団の早期移転の問題について、初め四十九年度中にということが五十年以降ということに変わったようです。三沢のほうが反対があるというお話でありますが、これらの見通しももはや私は山中長官の政治的判断、決断に迫るところである、きまる問題だ、こういうふうに解釈をいたします。これも加えてひとつ御答弁をいただきたい。
  149. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほど申しましたように、現地の航空自衛隊関係者だけの折衝では機微な民心の実情等について誤るおそれがあるということを考えて、わざわざ今回は本省から施設参事官も私の命によって現地に派遣をし、そして会合いたしましたときには現地から私に電話で真夜中でもその経過報告を毎日させてまいりました。しかし、御指摘がございますから、人間にはあやまちというものがございますので、もう一ぺんお前たちの報告は確かにそのとおりであったかについては、私の部内の統率の立場においてそれを再調査することを約束いたします。  さらに移転の問題については、これは予算編成のときに決着をつけなければなりませんので、それまでの間これはお許し願いたいと思うんですが、どこに行くということは言明できません。二、三カ所を対象に折衝いたしまして、そしてお許しの願えた場所に行かなければならない、こういうことを考えておりますので、方針として申し上げるならば、小牧が最も戦闘機の常駐する航空飛行場としては市街地の密集区域になってしまっておる、まずここを他の地域に、せめて緊急脱出なり、あるいはタンクの切り離しなり等が比較的やりやすい場所のほうに移したい、これが既定の方針でございますから、この方針は前提としてお受け取り願ってけっこうであります。ただ、これを受け入れるほうもまたいろいろと条件がございますので、それらのお話し合いが進んだ上でなければ、すなわち、予算のときに確定した場合において初めてその地名が明らかになるということで、この点は曲げて御理解を賜わりたい、そう思います。
  150. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  151. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 速記を起こして。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、きょうは、本日の質問に先立ちまして、先般から問題になっております文藝春秋の田中金脈問題につきまして各省に資料を要求したいと思います。  まず初めに建設省関係でございますが、信濃川左岸、すなわち長岡市の宮関、それから蓮潟、寺島町などにまたがる河川敷のかすみ堤を本堤へ変更した決裁文書及び付属資料の写し。  次に大蔵省関係でございます。次に読み上げる各社の昭和四十五年から四十八年までの年別納税額、事業所得、事業概要、できれば貸借対照表、損益計算書ども含みます。まず一番、東京ニューハウス、それから室町産業、三番目、新星企業、四番目、パール産業、五番目、理研ビニール、六番目、日本電建、七番目、国際興業、八番目、田中土建、九番目、三建企業、十番目、越後交通、それから十一番目、新潟交通、以上であります。  次に自治省関係でありますが、次の政治団体に対する昭和四十六年から四十八年までの企業別、個人別献金額、一、財政調査会、二、越山会、三番、七日会。それから次の田中角榮氏所有の土地、建物の固定資産税について昭和四十四年から四十八年までの年別納税額、一、目白の私邸、二番、軽井沢の別荘のうち田中個人所有のもの、以上であります。  以上の点につきまして、委員長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。
  153. 小谷守

    ○理事(小谷守君) ただいま峯山君より資料の御要求がありました。それぞれの当局に伺います。資料の要求については御提出願えますか。
  154. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 信濃川の締め切りの変更の書類でございますが、この資料は実施計画の承認の形で建設本省に出てくる資料でございまして、実は保存期間が三年でございまして、すでに廃棄されておるわけでございます。しかし、地方建設局のほうにおきましてこの実体のわかる設計書なり図面なり、そういう内容となる資料はあるそうでございますので、提出できると思います。
  155. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) ただいま御要求になりました資料のうち、直ちにこれは提出できます、これはごかんべん願いますという点について詳細にお答えすることはできませんけれども、一応これを持ち帰りまして、私たちとしては提出できる範囲内においてできるだけの資料提出させていただきたいと考えております。
  156. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) ただいまの御指摘のうちで最後の七日会はちょっと政治団体として出ておったか私記憶がないわけでございますが、届け出のあるものは調査の上資料を作成いたします。
  157. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) ただいま御指摘のございました固定資産税に関する資料でございますが、この資料は、御案内のように、当核の地方団体が持っておるものでございますが、税額、課税標準等につきましては地方税法上の調査に関しまして知り得ました秘密事項に相なるかと思いますので、提出をすることはお許しを願いたいと思います。
  158. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 峯山君に伺います。ただいまの御答弁でありますが、よろしゅうございますか。
  159. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいまの資料につきましては、ぜひとも今後の決算の審議にどうしても必要なものでございますので、それぞれぜひとも提出をお願いしたいと思います。  そこできょうは続いて質問に入りますが、先般から問題になっております、ただいまも最後に答弁ございましたが、すでに私がただいま申し上げました企業の中で四つの企業、すなわちパール産業、東京ニューハウス、新星企業、室町産業、以上四企業につきましてはすでに同僚議員が資料を要求いたしております。この問題につきまして私たち決算の理事会でも何回かもんでもまいりました。これは当局にお伺いいたしますが、こういうふうな資料提出できない理由は何でございますか。
  160. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) 御承知のように、国家公務員につきましては、まず公務員法第百条によりまして守秘義務というものが課せられておるということが第一でございます。これは国家公務員法第百条に、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」というふうなことが第百条の第一項にございます。それから同時に、そのほか税務職員といたしましては、御承知のように、所得税法第二百四十三条、法人税法第百六十三条、相続税法第七十二条というふうに、それぞれ簡単に申しますと、調査に関する事務に従事している者または従事していた者が、その事務に関して知ることのできた秘密を漏らしてはならないという規定がございますので、私たちといたしましては、国家公務員法並びにこのただいま申しました三つの税法、それに従いまして、調査上知り得たことにつきましては、資料提出をするということについては、ごかんべんをお願いしておるわけでございます。
  161. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、私たちが資料を要求いたしまして、出せない理由は、端的に申し上げますと、公務員法、これは国税庁の次長さんですから国税関係で答弁をしていらっしゃいますが、公務員法あるいは地方公務員法、きょうの場合は国家公務員ですから公務員法でいきますが、要するに公務員法あるいは税法、この二つの守秘義務、これは各条書き方は違いますが、大体同じ意味だと私は思います。これによって、こういうふうないわゆるその資料要求に対して、その資料提出することはできない、こういうことでございますか。
  162. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) 純法律的には、そういった場合には、秘密を漏らしてはならないということになっておりますので、国会の御調査に対しては御協力するにやぶさかでありませんけれども提出するのを私どもの立場としてはお許し願いたいということでございます。
  163. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、要するに提出することはできないということですから、できないというからには、その法的根拠が必要なわけですね。その法的根拠は、いま私が申し上げた、あなたが先ほどおっしゃったこの二つにかかってくるということでございますね、これどうですか。
  164. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) そのとおりでございます。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、これから私がいろいろ質問申し上げてまいりますが、私たち国会におきまして、私たちは国政調査権というものがあるわけでございますが、どういう事態になってもこれは出せないというのがあなた方の考え方でございますか、これはもう一回お伺いしておきたいと思います。
  166. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) 私たち事務当局の立場として申し上げたいと思いますが、もちろん国政調査権、特に国会法第百四条に基づきますところの国政調査権という存在があって、これは非常に強い権限を与えられておるということについては、重々承知しているわけであります。したがいまして、私たちとしては、この国政調査権の百四条に全く対立した意味におきまして、国家公務員法あるいは各税法の守秘義務というものを主張するわけではございませんけれども、できましたならば、私たちこういった税務の執行に当たる者の立場といたしましては、各税法に基づきました守秘義務あるいは国家公務員法に基づきました守秘義務という立場の御了承をいただきまして、資料提出はお許し願いたいということでございます。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一回重ねてお伺いいたしますが、現在問題になっておりますのは、田中総理自身の個人的ないわゆる疑惑でございますね、これがいま日本国じゅうに提示されているわけであります。これを明らかにすることが、私は国益に沿うことであろうと思います。そういうような観点から、国益のためにどうしてもこの問題を明らかにしなくちゃいけない、そういうような立場でも、これは出すことはできませんか、これはどうですか。
  168. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 税務職員が守秘義務に反して税務の調査の内容を明らかにする方法は、御承知のとおりにあるわけでありまして、証言を求められて、公務所または監督官庁の承認を得た場合には、それを漏らしてもいいわけになっております。したがって、いま御質問は、そういう場合でも秘密ということにして、これを公表しないのかという御質問だろうと思いますが、これは守秘義務が税務職員にあるとともに、国会には国政調査権がございまして、この国政調査権というものはあくまで尊重しなければならないことは十分承知をいたしております。しかしながら、この税務職員の守秘義務ということにも、税務行政運営上のいろいろな理由からそういう義務が課せられておるものでありますので、この国政調査権との関係について、きわめてデリケートな問題がございます。したがいまして、いま大蔵省部内におきましても、関係方面といろいろその内容を詰めておる段階でございまして、いましばらくどの程度までこれを公開するかということについては、時間をおかし願いたいと思います。したがいまして、いま国税庁の次長が御答弁申し上げることよりも、一歩前に進んだ考え方で監督官庁としては審議を進めておりますということを、中間的に御報告申し上げたいと思います。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、逆に言いますと、守秘義務があるけれども大蔵省としては、これはいままでは一切公開しないと、これがあらゆる委員会での主張だったわけですね。しかしいまの御答弁によると、これ、前向きで一歩前進して検討しておると。中間報告ということでございますが、これは要するにいままでは全然シャットアウトだったんですから、これを何らかの形で公開するという方向検討をしているということでございますか。
  170. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) すでに……
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私が言ったことだけ答弁してもらえばけっこうです。
  172. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 本件につきましては、大蔵当局だけではなしに、すでに昭和四十七年の六月の十二日に官房長官からこれに対する答弁が行なわれておりまして、そういうような答弁の趣旨もございまして、場合によりましては、この内容をいろいろな方法で御説明を申し上げることも考えなければならないということを、すでに政府として統一見解として申し上げておることでございます。したがって、その統一見解に基づきまして、この税務の内容をどの程度に公開するかということについて、ケース・バイ・ケースでいま詰めておるわけでございます。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、先般からの私たちの要求に対しまして、この守秘義務というのをたてにとりまして、いままで一切の資料等、次長の説明も、先般の理事会における説明も、これはシャットアウトでございました。ケース・バイ・ケースということはございましたけれども、実際問題としてはシャットアウトです。秘密会とかいうような問題につきましても、同僚議員から出されておりましたけれども、実際問題はシャットアウト。そういうような意味から考えてみましても、これは守秘義務ということだけで、私はこれをシャットアウトすることはできないんじゃないか、こう考えております。そこで、きょうは法制局にもお見えになっていただいていると思いますが、法制局としては、この問題についてどういうふうにお考えか、お伺いしておきたいと思う。
  174. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 私は法制局の職員でございますので、特定の事案についての処置ぶりはどうあるべきかというようなこと、そういう観点からお答えする立場ではございません。一般論として法制的にどうなるかというような観点からお答えせざるを得ないわけなんですが、公務員の守秘義務、それから特に税務調査に当たった職員の守秘義務について法律上罰則で守秘義務を課しておることは、先ほど国税庁の次長さんがおっしゃったとおりでございます。それは一にかかって、個人の職員が、国家公務員なり地方公務員が職務上知ることのできた秘密、その中に調査の対象になった個人の秘密もありましょうし、またそれをほかへ漏らすことによって今後の行政の円滑な運営の確保がむずかしくなるというような公の利益もあるだろうと思います。そういう観点から法律はむしろがんじがらめに職員に守秘義務を課しているわけですが、ただ、一方国会、議院——ハウスですが、議院の国政調査権、あるいは司法権、裁判所が事件の、訴訟事件の処理にあたって事実を調べなきゃならないという司法権の作用、そういうこれまた一つの公益でございますが、それが二つ衝突する場合があみわけで、その場合にどうするかという問題だろうと思います。それで議院との関係では御承知の議院証言法というのがありまして、議院から証人として喚問され、呼び出しを受け、そこで証言を求められたときに、いまの国の秘密事項が調査の対象になった場合にどうするかというのは、議院証言法の第五条に、その調整の規定がございます。それから訴訟法にもそれぞれその調整の規定がございまして、民事訴訟法ならば二百七十一条、刑事訴訟法ならば百四十四条がございまして、監督官庁の承認がなければ裁判所といえども証言を求めることはできない。だから刑事訴訟法によりますと、監督官庁が承認を拒むにはやたらに拒んじゃいけないんで、やはり国の重大な利益に関係があるという観点から承認するかしないかをきめなさいということが書いてございます。  大体、以上でございます。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、もう少し端的に私申し上げますが、たとえば法人税法百六十三条の秘密というものがあります。こういうようなものが絶対的に重要な秘密であって、そして国政調査権に対しても常に優越するというようなものであるかどうか、この点、第一点。  それからもう一点は、これは一般的に言って、守秘義務があるからといってお答えできませんというような言い方ができるのかどうか、この二点についてお伺いしたい。
  176. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 第一点の御質問ですが、公務員の守秘義務と、それから議院なり裁判所なりの調査権限と一がいにどちらが上だと、あるいはどちらが優先するんだというようなことが言える性質のものではないんだと思います。それぞれの事案に応じまして、これは証言を拒むのが国益に合うか、あるいは議院なり裁判所の調査権に応じてこれに協力するのが公益に合うかということを両方比較考慮して判断すべきものだと思います。  それから第二点は、守秘義務があるからということで常に断わるのがいいかという御質問だと思いますが、それは職員の場合は、これは公務員法でいいますと、百条の第二項に、そういう法令によって、法令による証人として証言を求められた場合でも、それは監督官庁の承認を得なければしゃべってはいけませんよというふうに書いてございますので、承認がない以上は、監督官庁の承認がない以上は職員としてはいきなりお答えするというわけにはいかぬだろうと思います。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 初めの問題は、これはケース・バイ・ケース、その具体的な事案が出てこないとわからない。しかし、この問題については、いま私があなたに話をしたのは、あなたの第一部長が答弁したとおり私は言ったわけです。あなたがもし私が言っていることが違うというならば、これはあなたと第一部長との見解の違いになる。要するに、第一部長の答弁によると、法人税法の百六十三条の秘密というものが、絶対的に非常に重大な秘密であって国政調査権に対しても常に優越をするというようなものではありませんと、こうおっしゃっているわけですね。ですから、あなたの先ほどの答弁とは食い違ってはおりませんけれども、こういうふうに明快ではない。  もう一点のいまの問題は、一般的に、あなたは公務員法の第何条というお話をされましたけれども、守秘義務というのはいろいろな法律にあるわけです。そういうふうな一切の守秘義務、一般的にそういうふうな守秘義務というのは、守秘義務があるからお答えできませんという言い方は、現在のいわゆる国政調査権に対して常に優越、優先するというような言い方は今日では法解釈上むずかしいと、こういうぐあいに御答弁になっていらっしゃるわけです。これはどうですか。
  178. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 初めの部分は、第一部長と私と決して矛盾するお答えをしたとは思っておりません。また、先生のおっしゃることと矛盾したことを言ったというつもりもございません、ただ御質問にお答えしているだけでございますから。  それから第二点のほうは、これは一人一人の職員にそういう国政調査権に協力するのが国益か、あるいは守秘義務を守るのが国益かというような高度な判断を求めることが無理なんであって、職員としてはまず断わりなさいと、監督官庁の承認がなければしゃべってはいけませんという法制になっているということを御説明したわけでございます。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、そのことは私聞いていないんだよ。そんなことは聞いていないんで、その先のことを聞いているんで、一般的なことを、私が言ったことに答弁してもらえばいいんです、あなたは。私はあなたに、一般の職員の場合はどうのこうのという話は全然していない。よけいなことを言う必要はないわけですよ。私の質問に純粋に答えていただければいいわけです。その点もう一回あとで答弁いただきたい。  それからもう一点、これは税法には——税はいろいろ法人税、所得税いろいろあるわけですが、税法によって差別されることがあるのかどうか。これはどうですか。守秘義務というのが全部ありますね、税法に。それぞれ税法並びに公務員法には守秘義務というのが全部あります。ありますね。その中の守秘義務というのは税法によって差別があるのかどうか、これはどうですか。
  180. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) その所得税法とか、法人税法とか、相続税法とか、地方税法、それぞれ該当条文がございますが、その解釈は同じだろうと思います。その立法趣旨も、それからその運用についての心がまえだって同じことだろうと思います。
  181. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 同じでなくちゃおかしいのでありましてね。  それではここで具体的に問題を出します。きょうは自治省もお見えになっていらっしゃると思いますが、ここに、私の手元にあるわけでございますが、これは地方税の滞納について、これはある個人が公表されたいきさつがあります。地方税の中身について、何の何がしさんは何年度の地方税を滞納しておると、こういって現実に公表されています。こういう事実があるわけですが、これは一体いかなる法律を根拠にして公表されているのか、この点一ぺん自治省並びに担当当局にお伺いしたい。どういう法律根拠に基づいてこれは公表されたのか。先ほど田中総理大臣のいろんな問題については公表しないということでございましたけれども、現実にこの地方税の滞納についてある個人が——一人じゃない、相当たくさんの人ですが、公表された事実があります。これは一体どういう法律根拠に基づいて公表されたのか、お伺いしたい。
  182. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 地方公共団体の中で幾つかの団体が滞納者名簿の一覧表等につきまして、公表と申しましてもいろいろな形態がございますが、出したことがある事実は私どもも存じております。ただ、当該団体がいかなる法律に基づいて公表したのか、これはちょっと私どもとしては的確に判断はいたしかねるわけでございます。ただ、従前の私どものほうに問い合わせのございましたことに関連をいたしました行政実例で、昭和三十三年でございますか、議会の委員会等におきまして滞納の金額の一覧表を提出をすることが秘密漏洩になるのかどうかという問い合わせがあったことがございました。これに対しましては、通達をもちまして、秘密漏洩には該当しない。しかし、これは文書には書いてございませんが、具体的には地方税法の二十二条にいう秘密には該当しないが、「地方公務員法第三十四条の規定に係らしめることができることはいうまでもない」と、まあこういうような通達が出たことがございまして、この通達の書き方等につきまして若干舌足らずの点等があり、若干の団体においてそのような滞納名簿一覧表等の発表をしたということがあったのではないかと考えております。
  183. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、あなたが、どういう根拠によってその公表をしたか、事実があるということですから、あなたも御存じでしょう。事実があって、しかもその地方税の個人別の滞納表です、何の何がしさんが幾ら滞納しておるということを公表しておるわけです。まあ公表のしかたはいろいろありますが、現実にその名簿を出しておるわけです。これが適当であるかどうか、またこういうふうに公表することがどういうふうにしてどういう法的根拠に基づいてこれを公表したかわかんないなんていうことは言わせませんよ、あなた。あなた方は、こういう事実がわかったら、どうしてこういうことをやったんだと、どういう法律に基づいてこういうことをやったのかということは、あなた方は職務として当然詰めるべきでしょう。知らないとは言わせません、あなた。具体的にこれはどういう根拠なのか、もう一回お伺いしたい。
  184. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 当該団体がどのような法的根拠でやったかということにつきましては、ただいま御指摘もございましたが、私どもつまびらかにいたしておりません。ただ、滞納者名簿一覧表等の発表の扱いにつきまして三十三年にいたしました行政通達、まあこの通達の内容に舌足らずなところがあって、そのような事態が生じておると思うわけでございますが、一般論的に申しますならば、このようなものを公表するということは、私どもは適当ではないと、このように考えておる次第でございます。
  185. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなた方ね、一人や二人じゃない、現実に幾つかの県でこういうふうに滞納状態が個人別にいわゆる公表されています。あなたは法的根拠はわからないとおっしゃった。法的根拠というよりも、どうしてこういうことをしたのかわかんないとおっしゃった。しかし、こういうふうな問い合わせがあったから、これによるんじゃないかという意味のこともあなたはおっしゃっておる。そうすると、もしこういうふうな地方税法に基づいていわゆる滞納一覧表を個人別に発表するということは、これは、あなた方、どういう法律に違反をいたしますか。これはどうですか。
  186. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 滞納者名薄の一覧表が先ほどから御指摘のございます秘密漏洩に当たるかどうか、この点につきましては、御案内のように、秘密と申します場合には、地元税法第二十二条にいいます秘密、まあこれは国税関係の法律各法にあるものと同じでございます。それから地方公務員法の第三十四条に申します秘密、これも国家公務員法に申します場合と同じケースでございますが、その二種類あるわけでございまして、一般的に申しますならば、税務に関します調査によって知り得ましたもの、つまり収入額とか所得額とか税額とかこのようなたぐいのものは、二十二条の秘密に該当すると思います。それから滞納者の一覧表あるいは滞納税額の一覧表といったようなものは、これは調査によって知り得た秘密とは申しかねますので、これは地方公務員法の第三十四条、これによる秘密に該当するものだろうと思います。したがいまして、地方公務員がこのような秘密を漏らすことは一般的には禁止をされておるわけでございまして、特例的に発表していい場合は、御案内のようにいろいろなケースが設定をしてあるわけでございます。したがいまして、当該地方団体が滞納者名薄の一覧表等を発表いたしました場合には、これは当該団体としていたしたことでございましょうから、先ほどから御指摘がございました最終的にそのような秘密規定のあります事項のものとそれから議会による調査権と個々の調査をどのように考えて処置をしたのか、こういうことになってくるのではなかろうかと思います。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではまず二点お伺いしたい。  まず第一点は、この地方公務員法三十四条あるいは地方税法二十二条に明らかに違反をしているということですね、この公表するということは。これは確認をしておきたい。  それからこの問題について、まず法制局の見解もお伺いしておきたい。地方税の滞納者一覧表、個人別であります。この個人別の一覧表を公表したわけですね。これは地方公務員に課せられた守秘義務であります。まあいまちょっとこういうことをおっしゃった、公表した場所はこの通達の中にもございますが、監査委員会あるいは公開の県議会あるいは県議会の常任委員会の秘密会、こういうような特定のところでございましょう。ですから、地方議員のいわゆる調査権というものとこのいわゆる地方税のこういうふうな守秘事項とかち合って、この場合には自治省としては、これはそういうふうなかち合った場合には、自治省としては出したほうがいい、出さざるを得ないというのがこの通達の趣旨でございますね。これはどうですか、この二点。
  188. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 当時の通達の趣旨でございますが、個人別の滞納税額一覧表をそのような議会の委員会とか監査委員会とか、このことに出すことが秘密漏洩になるのかどうかということに対しまして「「秘密漏えい」には該当しない。」、こういっておるわけでございます。これは、つまりこの一覧表が地方税法第二十二条の秘密事項、これには該当しないということをいったものであろうと考えておるのであります。したがいまして、そのあと、「なお、徴税の政策上、」云々と通達がございまして、この場合でも「当該事項を取扱いの上で秘密とし、地方公務員法第三十四条の規定に係らしめる」こういうことはもちろんできるものである、まあこういっておるのでありまして、このときの通達は、出すことがいいんだとか悪いんだとかいうところまで、この問い合わせに対して明示をしたものかどうかは疑問であると考えておるのであります。ただいま私どもの考え方といたしましては、一般的には——特殊の、競合いたしましていろいろ判断をいたしたケースの場合は別でございますが、一般的には公表することは適当でない、このように考えておる次第でございます。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まず第一点の確認はどうなっている……。
  190. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 第一点で、滞納税額の一覧表が二十二条違反であるかどうかという点につきましては、これは先ほどから申しておりますように、調査に関して知り得た秘密という事項には該当いたしませんので二十二条ではない。ただ地方公務員法三十四条、これの規定には該当してくる性質のものである、こう思います。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、端的にお伺いしますが、地方税の滞納の問題について、これ、一覧表を公表するということは、地方公務員法三十四条に違反をするということでございますね。どうですか。
  192. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 三十四条そのものにおきまして、「秘密を漏らしてはならない。」という事項には、その「秘密」には該当すると思います。ただ先ほどから御指摘がございましたように、そのようなものについて、他の調査権との競合がありました場合の守秘、この問題が残るわけで、それが最終的な許可とかあるいは取り扱いによりまして免責事項になるのではないか、このように考えておるわけでございます。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、あなた、自分で言ってること、だんだん矛盾してくるじゃないですか。地方議会においてあなた方、これは通達では「三十四条の規定に係らしめることができることはいうまでもない。」と通達しているわけですね。ということは、あなた、三十四条で、あなたの通達は、これは、この問題については税法上は秘密漏洩には該当しない。けども三十四条には違反するのですよといってるのですか、あなた、通達は。これは決して一般にいってるのじゃないのですよ。私はさっきから言っているように、この問題については文章のこの問い合わせにもちゃんとありますように、要するにそれぞれの県の監査委員会の監査とか公開の県議会とかあるいは県議会の常任委員会の秘密会とかそういうふうなところでこれを個人別の滞納額を発表することが、これはいわゆるいいのか悪いのかと、こう問い合わせているわけです、端的に言いますと。それに対してあなた方は、「これは「秘密漏えい」には該当しない。」と、こうおっしゃっているわけです。それは該当しないならしないでもよろしい。地方税法の二十二条にはそれはこの問題は該当しないかもわからない。そうすると、しかしそのうしろのほうで、地方公務員法第三十四条の規定にこれは違反をするぞと、こう書いているわけです。それじゃあなたは、私は先ほどから言っているわけです。現実にあなた方の通達に基づいて地方税の滞納について個人の名前を発表された事実がある。あなたは認めました。これは地方税法の二十二条には違反しないが、地方公務員法の三十四条には違反するということになるのか。これはどっちなんですか。どっちかにしてもらわないと困るわけです、これ。あなたが両方とも逃げたんじゃ困るわけです。はっきりしてください、これ。どうですか。
  194. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 地方公務員法の三十四条は御案内のように、まず柱といたしまして業務上知り得た秘密を漏らしてはならないと、こういう規定がありますのはそのとおりでございまして、その秘密には該当するわけでございます。しかし二項にそのほかの規定がありまして、たとえば証人とか鑑定人とか、こういう者は任命権者の許可を得ました場合にはこれは出すことができるという規定もありますのも御案内のとおりでございます。したがいましてこの通達はなお、徴税の政策上、個人別の滞納状況を外部に公表することが不適当とする場合においては当該事項を取り扱いの上で秘密とし、地方公務員法第三十四条の規定にかからしめる。つまり当該団体の長がいわゆる両方の権衡を考えまして、これは発表すべきでないということで、三十四条の秘密、これには該当するわけでございますから、それの三十四条の事項に該当するということで出すなということの扱いをする、それができるということは言うまでもない、こういう通達であろうと思います。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなた、もう一回初めから言います。  あなた、現実に地方税の滞納について個人別に全部これを発表になっておるわけです。個人別にです。私は総理大臣のやつを全部出してもらいたいと言っているけれども、あなた方は守秘義務があるから出せないと言っているからこの問題を明らかにしたいということが私は根底にあるわけです、これは別問題ですけれども。一般の庶民の滞納状況とか税務の状況は全部公開して、そして法人とかこういうようなものは守秘義務があるから出せないなんということが、そういう理屈が通るかと言うんです、一般的に考えてみても。これは庶民の疑問ですよ。しかもあなた、地方税の滞納について発表した事実があるわけです、現実に、ここに。この事実は、これはあなたが言うこのあなたの通達に基づいてこれは公表したんです。それで私はこういうようなところで公表することが適当なのか適当でないのかと聞いたら、あなたは適当でないとおっしゃった。適当でないということは、これは地方公務員法第三十四条か地方税法二十二条かどっちかに違反するから適当でないとおっしゃっているわけでしょう、あなた。そうすると、ここに現実にこの公表した事実、またあなたのこの通達に基づいて公表したんですよ。この公表した事実は一体どっちに違反するんだと私は言っているわけです。どっちかに違反しなければこれはこの事実というのはどうしようもない事実なんですから、隠し切ることできないんですよ、これは。どうなんですか。
  196. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 先ほども申し上げましたように、三十四条そのものは、まず第一の段階といたしまして秘密を漏洩してはならぬという規定があるわけでございますが、これが二項におきまして他の調査権限と競合いたしました場合には、ここに団体としての判断と申しますか、長としての判断が入るのだろうと思いますが、議会の審議における必要性とか、納税者の利益の保護とかあるいは行政の円滑な運営の確保の必要上とか、こういったことを総合的に勘案をいたしまして、もし長が許可をいたしますならばそれは出すことができるわけです。そこを比較検討いたしまして、長が出しても適当だろうと、こう考えて発表したものであれば、三十四条第一項のいわゆる免責事項でございますので、そういうことになるのではないかと申し上げておるのであります。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それならそれでいいんです。あなたが長々とおっしゃっているのはだれですか。
  198. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 当該地方公共団体の長の意味でございます。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その人はだれかは知りませんけれども守秘義務があるんでしょう、やっぱり。どうですか。
  200. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 地方公共団体の長につきましては、地方公務員法の第三十四条の適用は受けない。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなた受けないといまおっしゃったんですか。
  202. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 三十四条の適用は受けません。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何条の適用を受けるんですか。
  204. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 地方公務員法上守秘義務につきましての特に明文の規定はございません。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなたが言っている守秘義務のない地方公共団体の長というのはどういう人ですか。明快に全部言ってください。
  206. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 地方公共団体におきます特別職の指定を受けております者は地方公務員法の規定の適用を受けておりませんので、三十四条の守秘義務の規定の適用はないわけでございます。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなたに非常に診しいことを私きょうお伺いしたんですが、国会におきましては総理大臣大臣全部これは特別職であります。法制局次長、これは要するに秘守義務というのは全然ないんですか。どうですか。
  208. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) およそ公務員が職務を行なうについて知り得た個人の秘密があった場合にそれを漏らしていいなんということはまずないんだと思います。  それから法律上の規定といたしましては、国家公務員のうちの特別職については官吏服務紀律がなお生きておりますので、その第四条で守秘義務がかぶっております。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 局長さん、あなた法制局の見解とも違いますね、これは。秘守義務がないというのをちょっと一ぺん言ってみてください。だれとだれがないのか。そしてほんとうにそういう人たちは職務上知り得た秘密ですよ。これを漏らしてもいいなんというのは、私きょう生まれて初めて聞くんです。総理大臣でも守秘義務があるということで、この間から参議院の決算委員会でもさんざもめている。あなた地方公共団体の長が守秘義務がないなんというのは、そしてしかも地方公共団体の長に守秘義務がないために一般の庶民は税金の内容までぱんぱん公表されて、総理大臣やそういう一般の、われわれがこれから明らかにしようというのは秘守義務があって出せないなんというそんなばかなことはないでしょう、あなた。どうなんですか、これ。
  210. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 先ほどからの御質問でございましたので、ちょっと答弁の舌足らずの面があったかと思いますが、先ほど申し上げましたのは、三十四条の守秘義務の規定、これは地方公共団体におきます特別職の職員には適用がないという点を申し上げたわけであります。一般的に公務に携わります者が秘密を守ると、こういったようなことはそれは法律の明文の規定は現在はございませんけれども、それは当然のことだろうと思っております。三十四条の適用関係につきましてのみ御答弁を申し上げた次第であります。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの答弁は、絶対これは、先ほどの議事録を調べてもらってもいいですけれど、詭弁ですよ、あなた。私は公務員法三十四条を適用するのかどうかということはお伺いしておりません。地方公共団体の長は守秘義務があるのかないのかと、一般的にもお伺いしているわけです。それに対してあなたは三十四条には違反しない。それだけじゃない。守秘義務はないと重ねてあなた答弁しているんです。  それじゃもう一回お伺いしますが、地方公共団体の長には守秘義務があるのかないのか、これどっちなのか。
  212. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 三十四条等の明文の規定はございませんが、一般的に秘密を守るということは当然のことだろうと思います。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 およそ仕事をしている者が地方公務員なりあるいは地方の長なりが一般的になんというものは絶対ない。全部何らかの法律に基づいて守秘義務が課せられているはずです、いいですか、あなた。法律がないからたとえば大臣やそういうようなものでさえ国家公務員法の中から削除、別項目になっておる。にもかかわらず、大臣やそういうようなものが守秘義務があるというのは、先ほど法制局次長がおっしゃいましたが、官吏服務紀律というのが生きておるというんですよ。官吏服務紀律というのは明治年間にできたほんとうに古い紀律ですよ。こういうようなものから考えてみても、ないなんということは絶対言えない。何らかの法律根拠に基づいてあるはずです。しかも、あるならば、そのある長が、あなたが先ほどおっしゃったようにある長がもし守秘義務が少しでも、一般的にでも何でもいいや、それじゃね、あるとするならばその人はこの事実を公表していいということを言えるわけがない、この点についてはどうですか。
  214. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 長に対します守秘義務の法律の規定につきましては、私よく存じておりませんので、なお調べましてまたお答え申し上げさしていただきます。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ先ほどの答弁を訂正しなさい。
  216. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 先ほど御答弁申し上げました趣旨は、三十四条の守秘義務の規定、この規定につきましては、地方公共団体の長には適用がないということだけを申し上げたわけでございまして、地方公共団体の長の守秘義務そのものにつきましての問題につきましては、なお調査をいたしましてお答えを、申し上げたいと思います。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はあなたの答弁を聞いておりますと、それじゃね、現実にあなた、ここに先ほど、もう一回私は言いますが、現実に地方税の滞納について名前をぱっと公表された人がいるわけです。これはあなたは地方公務員法三十四条の違反になるかどうか、この問題についてまだはっきりしてない。先ほどあなたはいわゆるこういうふうにこれを明らかにしたのは、いわゆる地方議会においていろんなどうしても必要な、たとえば監査とかいろんなところが必要があって、そういう認可を受けて公表したんでしょうということですね。そういうふうにあなたは、先ほどこういうふうに地方税の滞納の一覧表について発表したのは、これは守秘義務ということもあるけれども、地方議会の調査権とあわせてどちらが優先するかということもありますけれども、これはどうしても公表せざるを得ないということで、いわゆる長の許可を受けてこの問題を明らかにした、こういうことですね。これは私がいま言っていることは、そのとおりでしょう。これは間違いないですか。
  218. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) そのとおりでございます。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、次官、これは地方においては、私は先ほど法制局次長にもお伺いいたしましたが、法律において差別はない、どういう法律でも一緒である、守秘義務についても同じだ、こういう考えでした。ところが、実際にはいまの、これは政務次官、税務局長さんはね、地方税法に基づいたこの守秘義務という問題はその地方議会でどうしても必要であれば、まあそれはもちろんケース・バイ・ケースですよ、ケース・バイ・ケースですが、どうしても必要であればということで資料を現実に出した事実があるわけです。個人の権限の全部、全部現実に出しているわけです。個人別の滞納ですよ、一覧表出しているわけです。滞納の一覧表なんか出されるということは、その人の商売に全部影響しますよ、そうでしょう。ということは、それができて国税でどうしてこれができないか。われわれ国政調査権で資料を要求している。なぜこれができないか、こんなばかなことはないでしょう。私たちは国政調査権のほうが優先すると言いたいけれども、同じかち合うとしても、少なくとも現在これだけ問題になっている、この問題になっているときに、私たちはあなた方が守秘義務だけをたてにとっていわゆる資料を出さないなんということは言えないんじゃないか、この点どうですか。
  220. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 技術的な問題につきましては国税局の次長から答弁させますが、国税の中でも例外として一定の所得水準以上の所得金額については一般に公表するたてまえになっておりまして、やはりたとえば所得税一千万円をこえるものの所得だとか、法人で一年間四千万円以上の所得を得たもの、あるいは半年で二千万円以上というように、そういうような例外のものについては所得金額の公表を命じておる法律規定もあります。したがって、それを公表することが国益であるというような問題につきましては、これを当然公表すべきものでありますが、いまの時点につきましてケース・バイ・ケース、そのことを考えながら御要求のあった資料を十分に審議をいたしまして、国会調査権限を尊重してわれわれも取り扱うということを申し上げたのでございます。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではもう、次官の答弁、それだけではこれはとてもじゃないけれども、納得できる問題じゃございません。  そこで、私はまず一つは、少なくとも地方税における扱いと国税における扱い、いわゆる地方公務員と国家公務員における扱いが違います。事実として現在出てきています。この問題についてははっきりとした統一見解を出してもらいたいと思うが、これはどうですか。
  222. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) さきに御指摘のございました通達等の書き方におきまして、先ほども申し上げましたように、若干舌足らずの点等もあり、地方団体におけるこれらの取り扱いが乱に流れておるということもございますので、国税の取り扱いとの間に調整と申しますか、統一すべき問題だと思いますので、意見の調整をいたしまして、近々通達を出すと、こういうことでこれは春の国会におきましても衆議院等の地方行政委員会等で御指摘がございましたので、現在調整中でございまして、そのような措置をとりたいと考えております。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はね、あなたのそういうふうなことじゃ困る。政府としてこの問題については大きな問題であります。きちっとした統一見解を出してもらいたい。これは政務次官からきちっと答弁もらいたい。
  224. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 本件については研究をいたしておりますので、近日これに対する明確なる統一見解を発表いたすことにいたします。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題につきましては、これは非常に重要な問題を含んでおります。これはもうあまり、きょうは時間的な関係がございますので、現実の問題としてこの地方税の滞納についていわゆる発表された、個人がですよ、私はこういうふうな税務上知り得た秘密あるいは公務員が知り得た秘密を公表されたためにこういうふうな損害をこうむったという事実が出てきます。現実にきょうのいろんな議論の中から、これは要するにこういうふうな地方税の滞納の実情について発表することは適当でないと先ほどおっしゃっている。適当でないことが現実に行なわれて、そしてそういう被害が現実に出てきた場合に訴訟になります。告訴されて訴訟になったら一体これはどういうことになるのか。これは相手はその当事者ですね、とりあえず。当事者ですけれども、さかのぼっていきますと、先ほど税務局長がおっしゃったその長になるはずです。その長は一体だれの指示でこうなったかというと、あなたおっしゃったように、自治省の通達に基づいてこれやった。読み違いはあったにしても、それは内部の問題。そうすると、今度は自治省と大蔵省の食い違いです。大蔵省ではこういうようなものは公表するということになってない。自治省ではこれを公表しておる。一体この責任はどこにあるのかという問題にも発展してきます。そして、今度はそれをさかのぼっていきますとね、自治省や大蔵省というのは一体何だ、これは政府の一機関である、こうなりますよ。政府の一機関の長は一体だれだ、総理大臣になるじゃないですか。総理大臣は、自分の分はこれは守秘義務で出しちゃいかぬ、一般の庶民の分は全部公開して、——こんなばかなことか許せますか、実際問題として。  いずれにしても、そういうふうないろんな観点から、今後の国政調査権という問題も踏まえて、こういうふうな問題は早急に私は決着をつけてもらいたいと思うし、また今回問題になっておりますこの金権政治で相当問題になっております、先ほどから資料要求いたしましたこういうふうな資料につきましては、私は国益のためにもぜひとも必要であると思いますので、ぜひともこの問題を早急に決着を出して、そして資料も十分提出してもらいたいということを政務次官にこの問題の最後にお願いをし、答弁をお伺いしておきたいと思います。
  226. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 国政調査権を十分に尊重いたしまして、こちらのほうで検討いたしまして資料提出いたしたいと存じます。
  227. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 峯山君に申し上げます。  峯山君要求の資料について、建設省関係及び自治省関係のうち政治資金の届け出につきましては提出する旨の答弁がありましたが、国税庁関係及び自治省関係のうち固定資産税の部分については提出できないとの答弁により、その取り扱いにつきましては本日の委員会散会後の理事会において協議いたします。さよう御了承願いたいと思います。
  228. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 よろしくお願いいたします。  それでは、次にもう一点きょうはお伺いしておきたいと思います。これはですね、先般——いろいろございますが、一つずつお伺いしてまいります。どなたでもけっこうでございますが、田中さんが総理大臣になったのはいつごろでございましたでしょうか。
  229. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 昭和四十七年七月七日であったと記憶いたしております。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 田中さんが総理大臣になったのは四十七年の七月でございます。そこで、きょうは決して——関連がございますのであえてお伺いしたわけでございます。  そこで、きょうは防衛庁関係でございますので、特に防衛庁の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、兵器の購入にあたりまして、非常に大事な問題でございますのでお伺いしておきたいと思いますが、まずT−2並びにFS−T2改の問題についてお伺いしたいと思います。初めに、T−2並びにFS−T2改のいわゆる経過ですね、購入の経過について初めに御説明をお願いしたいと思います。
  231. 山口衛一

    説明員山口衛一君) 最初にT−2の調達経過について申し上げます。  T−2は昭和四十二年度におきまして開発を開始いたしました。すなわち四十二年度に基本設計命令が出まして基本設計の予算を計上されております。四十三年度細部設計、四十四年度試作技術試験、実用試験ということで四十六年度から四十八年度半ばまで技術試験及び実用試験を実施いたしました。その過程におきまして四十六年七月と十一月に試作機が二機でき上がりまして、いずれもこの初飛行及び超音速飛行を実施いたしました。それから四十六年から四十七年にかけまして試作機及び実用試験機この四機によりまして技術試験と実用試験を実施いたしました。四十八年度には疲労試験を実施いたしまして、このような開発経過から四十七年度に二十機の調達契約を結んでおります。  調達契約といたしましては二百六十三億六千七百万円、二十機分としまして予算に計上されまして実施をいたしました。当時の実際の予算は二百八十二億でございましたが、このエンジンがアド−アエンジンといいまして、イギリス及びフランスの共同製作のものでございまして、これに関します当時の円の切り上げがありまして、したがいましてその差額が出まして二百六十三億六千七百万円というのが四十七年度に計上されまして二十機を契約いたしました。次に四十九年度に二十二機が予算に計上されております。これは総額は三百六十四億六千万円でございまして二十二機分。この二十二機分につきましてはまだ契約に入っておりません、本年度でございますので。  以上がT−2につきます開発及び調達の概要でございまして、契約の相手先は主契約相手先は三菱重工業でありますが、三菱重工業以外に富士重工その他関係の機体及び部品メーカーがこれに参加しております。  その次にFS−T2改でございますが、御承知のとおりFS−T2改は四次防の当初におきまして六十八機というような計画が出されております。当初は四十九年度に二十二機の予算概算をする予定でございましたが、当庁の総需要抑制方針に沿いました予算変更によりまして、四十九年度はこれを概算要求をしませんで、現在五十年度の概算要求に二十二機を計上しておりますが、これにつきましてはこれからまだ予算折衝が行なわれる段階でございます。  以上が概要でございます。
  232. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではきょうはこの中の特にFS−T2改についてお伺いしたいと思います。  このFS−2T改につきましては、昭和四十七年、これは大体十月前後でございますが、特にこのFS−T2改につきましては、当時の大蔵省の見解等にもよりましてFS−T2改をこれは輸入したらどうかという話がずいぶん出てまいりました。新聞紙上にもF−5E等を使ってはどうかという話がずいぶん報道されておりましたが、ここら辺のいきさつについてどうですか。
  233. 山口衛一

    説明員山口衛一君) 先ほど御説明いたしましたが、FS−T2改は御承知のとおりまだこれからの調達にかかわる分でございまして、これはT−2の変型でございます。T−2は御承知のとおり超音速の高等練習機でございますが、この高等練習機と機体及びエンジンは全く同じでございまして、これにさらに爆弾を塔載する諸装置その他気象関係の諸装置等の実戦的な諸装置をつけましてFS−T2改という対地支援戦闘機というふうに改称しているわけでございますが、これはT−2そのものの延長というふうにわれわれは考えておりまして、このFS−T2改の段階におきまして、先生おっしゃいますF−5Eの輸入という点につきます問題が提起されまして問題になったという点は、私どもとしましては十分つまびらかにいたしておりません。
  234. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 装備局長、あなたはつまびらかでないなんておっしゃっていますけれどもね、昭和四十七年当時の十月前後の各紙見てみなさい。あなた、このT−2改が輸入になるかどうかという問題については、これは輸入にするか国産にするかということの裁断はこれは一体だれがしたんですか、この問題について。この問題については、四次防であなた方はFS−T2改については九十六機要求しておったでしょう。私のあれが間違いなら言ってください。あなた方の資料に基づいて私は言っているわけでございますが、   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 あなた方の資料によると、初め防衛庁は九十六機を希望しておった。ところが四次防の決定にあたって六十八機になった。これはT−2改のほうです。これが輸入であるか国産であるかということについては、これはもう当時さんざんもめた問題であります。ここら辺のいきさつについて装備局長みんなかわっているからわからないかもしれませんけれども、現実にこういう問題があったはずであります。なかったとはこれは言えないはずであります。現実にそういう問題があったと私はこの新聞のいろんな報道等からも見るわけですけれどもね。そこら辺のことについては、あなた方がT−2改はT−2の延長である、確かに延長でしょう。しかしながら、現実にF−5Eという名前なんかも何回も出て、現実にこの問題については大蔵省当局からこれは当然、当時のいろんなドルショックや何やかやからこれは輸入すべきじゃないかという意見もずいぶんあった。しかしながら、これはやっぱり国産にしたほうがいいという防衛庁の強い要請によっていわゆる総理の決断を求めるところまでいって、そして十月の当時九日に早朝から行なわれた国防会議、これは問題の先取り問題のときです。これは現実にそういうことからこれは国産に変わったといういきさつがあるはずであります。ここら辺のいきさつ、どうですか。
  235. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 当時の事情をつまびらかにする関係者がおりませんので、大体ただいま先生が御指摘のような経過をたどりましたように私どもも聞いております。
  236. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ現実に、私決してオーバーに言っているつもりは全然ないんです。これは当時の新聞紙上を見ましても、いろんな報道によりましても、あるいは私たちの手元にある資料によりましても、当然輸入したほうがいいんじゃないかという話が出てきたということも事実のはずであります。そして、T−2の延長ということで、また総理に決断を求めて、田中さんが総理になった直後でございますから、いろんな事情もあったんでしょうけれども、いずれにしても輸入というあれを押えて国産に切りかわったという事実もそうだろうと私は思います。そこでこのT−2改国産で六十八機をつくるとすれば、概算ですよ、概算、これはどれぐらいの金額になるものでございますか。
  237. 山口衛一

    説明員山口衛一君) これは明確なお答えにならないと思いますが、と申しますのは、現在私どもが五十年度の概算要求の段階で概算要求をしております。これは御承知のとおり、むろんこれから大蔵省との折衝によりまして、単価なり概算がそれに従って決定されるわけでありますが、四次防当初におきましては六十八機全体で四十七年度当時の価格で約千百三十億程度の金が計上されておったと思いますが、それからあとの現在の物価状況、卸売り物価の状況、人件費アップその他のコスト計算を現在概算をやっておりますが、これによりますと、やはり当時の金よりも年平均にしますと一〇から二〇%程度の年率アップを見なければなりませんので、したがいまして、現在のところ明確に六十八機分で幾らというような算定が非常に現在の経済情勢で、私ども算定しにくいという状況でございます。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、これが昭和四十七年当時の金額で千百三十億円になる、これはそういうことでございますね。しかもこれは先ほども申し上げましたように、田中総理のいわゆる決断によって、新聞の報道のいろんなあれによりますと、首相裁断でケリとか、けさ首相に裁断を求める、そういうようなのがずっと載っているわけです。戦闘機やはり逆転裁断、輸入機は飛ばずとかね、当時のこれは新聞の見出しであります。それで、これが確かに六日、七日、八日までは対地戦闘機T−2改は輸入かというのが当時のいろいろな情勢であります。ところが、現実にこれは九日の国防会議の席上で田中総理の決断によってこれが輸入から国産に変わったということはこれは明快であります。そこでT−2改のいわゆる何といいますか、主契約者はこれはどこでございますか。
  239. 山口衛一

    説明員山口衛一君) 現在のところプライムは三菱重工業を考えております。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは自治省にお伺いいたしますが、三菱重工の政治献金についてお伺いをしたい。  まず昭和四十五年から順次、昭和四十五年の上期幾ら、下期幾らと、それから四十六年の上期幾ら、下期幾らというようにずっと、私の手元にも調査した資料ございますが、一ぺんお伺いしたい。
  241. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 三菱重工につきましては、四十五年、六年がございませんで、四十七年の下期に四千七百八十万円の寄付をいたしております。それから四十八年の上期に四十万円の寄付をいたしております。
  242. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ちょっと私の調査した資料と違うんですが、何でこれは違うのや。ちょっと待ってください。——わかりました。私の間違いでございますな。  確かに三菱重工の政治献金は昭和四十五年の上期になしと、それから四十五年の下期には三十万円あるんですけれども、これは国民協会というのはちょっと見誤っておりまして、国民道徳協会というふうになっています。これは三十万円です。それで四十六年の上期なし、下期なし。そして四十七年の上期なしで、下期に四千七百八十万円の政治献金が行なわれている。そして四十八年の上期に四十万円、下期になしと、こういうことでございます。これは一体どういうわけですか。これは大臣関係ないかもしれませんが、私は国民の一人としまして、当時の新聞紙上にも騒がれておりますし、三菱重工がもしもT−2改が輸入ということになったら非常にたいへんである。いわゆる防衛庁のこういう仕事をしている関係上、もしこれが輸入ということになるとみな遊んでしまうと、いろいろなことが報道されておりますけれども、実際問題としてこれは一体どういうことなんだ。三菱重工がかねがねから政治献金を自民党に対してこういうぐあいにしているなら話がわかる、毎年しているならこの話はわかる——わかるわけはありませんけれどもね。(笑声)とにかく四十七年の下期、すなわち、田中さんが総理大臣になったいわゆるその期でございます、しかもその期に首相裁断ということで、大蔵省や当局がさんざん輸入しろ、輸入しろといっておったのが遂には国産に踏み切った。その国産に踏み切った同じ期にいわゆる政治献金が三菱重工から四千七百八十万円されている。先ほど先輩の方が私の前に質問されておりましたが、政治献金には裏と表があると、私は裏があるのか表があるのか、それはわかりませんけれども、わかりませんが、私はきょう言っているのは政治献金の表のほうでさえ四千七百八十万円というような、庶民から見れば気が遠くなるような政治献金が行なわれている。これは一体どういうわけなんですか。これは確かに私は重大な問題であろうと思います。もしもこういうふうな今回の文春が指摘いたしておりますように、「田中角栄研究−その金脈と人脈」と書いてあります。私はこれはほんとうに取引にされている。しかも業者が、メーカーが政治献金をするのは決してただでやるんじゃない。その見返りがあってやるんだという考え方がこの記事の中にずうっと流れております。そういう点から言いましても、私はこの三菱重工のこういうような政治献金のあり方、当時の政治情勢、いろんな観点から考えてみても非常に私はおかしいと思います。現実に国民から疑惑を持たれてもやむを得ないと思うが、この点については大臣どうお考えでしょう。
  243. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は昨年五月の三十日に就任いたしましたので、その前の年の下期の問題についてよくわかりません。
  244. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはこういうふうな疑惑は非常に私は重大な問題であると思います。これは、この疑惑を解明しない限り、この問題は私は解決しないと思います。したがって、今後委員会が開かれると思いますが、三菱重工の社長を証人としてこの席に喚問したいと思います。委員長よろしくお取り計らいのほどをお願いしたい。
  245. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいま峯山委員の要求につきましては理事会で取り扱いを協議いたします。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 以上で質問を終わります。
  247. 内藤功

    内藤功君 まず、法制局に対してお尋ねしたいと思うんです。  田中首相が一億円に満たない申告所得で目白に広大な時価二十四億円もの私邸を持ち、軽井沢に三つの別荘を持っている、文藝春秋が報道しております。いま国会の国政調査権というものをもって必要な資料を要求し、参考人の喚問を要求する、当委員会でも各委員からこれが要求されておる。こういう状況のもとで、先ほど国税庁あるいは自治省の担当官がお答えになった、秘密であるから資料提出はできない、こういうような答弁は国会が国権の最高機関であるという権威、国会というのは民主主義の政治の上において最高機関である、その権威のもとに国政調査権を憲法第六十二条で持っておるわけですね、この六十二条を一体何と心得ているか。さらに国会が国権の最高機関だという民主主義の原則をどう考えているかということにかかわる根本問題だと思うんです。  そこで、私はまずお伺いしたい。この憲法六十二条に基づいて国会法の百四条ができた。「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」、この条項ができたときの政府の説明というものを法制局長官は知っておられるかどうか。
  248. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 議院のいわゆる国政調査権が憲法六十二条に由来するものであって、国政の運営上非常に重要なものであるという点はおっしゃるとおりでございます。国会法の百四条ができたときの説明を政府のほうでやっているはずだとおっしゃいますが、これはたしか議員立法でございまして、提案理由を政府のほうでやることはないんじゃないかと思います。なおよく調べて、もし見つかれば機会を得てお答えさせていただきたいと思います。
  249. 内藤功

    内藤功君 私の調査したところでは、昭和二十一年の十二月十九日の第九十一回の帝国議会、これで大池説明員から説明がなされております。その中身は、内閣、官公署その他というのは会社及び個人も含んでいる、たとえ秘密な書類といえどもその提出を求めることができるのでありまして、その秘密な書類を審査する場合には秘密会を開けば足りることだ、秘密なるがゆえにこの提出を拒絶することはできない、こういう説明が提案のときなされて、この法律は可決されている。このことはお認めになりますか。
  250. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) いまおっしゃったような趣旨の説明があったらしいことは私知っておりますが、ただ、手元にいま資料がございませんので、おっしゃるとおりであったかどうかはちょっと即答いたしかねます。
  251. 内藤功

    内藤功君 これ、お調べください。確かに議事録には秘密であるということを理由に国会からの調査要求を拒否できないと書いてある。しかもこれは旧帝国憲法下の議院法と比べてどうであったか。これは旧憲法下の議院法では、「各議院ヨリ審査ノ為二政府二向テ必要ナル報告又ハ文書ヲ求ムルトキハ政府ハ秘密二渉ルモノヲ除ク外其ノ求二応スヘシ」というのがあったのです。旧議院法はこういう規定があった。いまの国会法百四条にはないですね、これが。この点が根本的な違いであります。それでこのような秘密にわたるということだけで先ほど国税庁や大蔵省資料提出を拒否しているように見える、この点、法制局長官はどう思われるか。また、いまの政府の法制局の見解は、この国会法制定当時の大池説明員の見解についてこれは正しいものだとお考えになるかどうか。
  252. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 国政調査権が非常に大事なもので、資料提出なり証言を求められた場合に、これを極力尊重しなければいかぬということはそのとおりだと思います。ただ、いかなる場合でも、いかなる事項についても証言をしなければいかぬ、資料提出をしなければいけないかということになりますと、それは国会法の百四条を受けまして、いわゆる議院証言法というのが、これがやはり議員立法としてできておりまして、その中にいわゆる職務上の秘密を回避することと、それから国政調査権との調整規定がございまして、それは御存じだと思いますが、先ほども述べましたように、議院証言法の五条で、一定の場合には証言を拒むことができるという制度がございますので、何が何でもすべて国政調査権のほうが上位であるというふうには考えておりません。
  253. 内藤功

    内藤功君 国政調査権は憲法六十二条、最高法規に基づく権限ですね。これに対して拒否権というのは憲法に規定はないんです。いま上下の関係はないように言われたが、明らかに憲法の国政調査権のほうが優位をする。ただし、いま言われた議院証言法と略称する法律によって、ただ一つ、「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明」というものがあるだけだ。そこで、問題は、いまここで問題になっている「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」、こういうのは一体いままでの国会の慣例、あるいは学説、あるいは裁判所の判例というものでどのように考えられてきているか、この点はあなたはどう理解していますか。
  254. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) どういう場合が国家の重大な利害に悪影響を及ぼすに当たるかどうかということをここで定義的に申し上げるような事柄ではないと思います。いままでの国会の扱いがどうであったかということでございますが、これはもう私のほうで言うまでもなく、国会でお調べくださればすぐわかるわけなんですが、かつて昭和二十九年に、いわゆる造船疑獄事件のときに議院証言法にのった正式の手続で証人喚問がありまして、そのときはたしか検事総長とそれから東京の地検の検事正が呼ばれまして、捜査の中身について御質問があった際に、いまの内閣声明を出しまして、そしてその問題はケリがついたということがあったことを承知しております。
  255. 内藤功

    内藤功君 その前に、学者の重要な貴重な参考意見を聞こうというので、昭和二十九年の十月十一日の第十九国会で、これは衆議院の決算委員会ですね、いまの最高裁の判事の団藤重光教授、それから滝川幸辰教授、刑法の。この二人の有力な学者を呼んで証言を求めたことがありますね。これはおわかりですか。
  256. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 的確に記憶しておりません。
  257. 内藤功

    内藤功君 このときには両証人ともはっきりと、この国家の重大な利益に影響のある事項、つまり国政調査権を拒み得るほどの事項というのは国家の存立、存続に影響のある事項、こういう場合に限られるということをこの両教授とも、一人はいまの最高裁の判事になられた方ですが、明言しておられる。国政調査権は非常に大事な国権の最高機関の権限であるがゆえに、国家の存立、存続に影響があると——これはもうよほどのことであります。こういう場合でなければ拒み得ないということを両証人は言っておられます。この点はあなたは御記憶がありますか。
  258. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 的確に記憶しておりませんし、その場に居合わせたわけでもございませんので、直接聞く機会もなかったわけでございます。
  259. 内藤功

    内藤功君 法制局長官は法律の番頭さんですから、しかもいま国政調査権と守秘義務の問題が政局の焦点になっている問題ですから、そのぐらいのことはやっぱりお調べになっておいてください、一番大事なところだと思うんです。この筋をはずれちゃいますと、通達がどうのこうのという議論の前に、国の民主主義を守るかどうかという問題にいまはなってきているわけですからね。  そこで、いまの造船疑獄の問題、それからいわゆる浦和地方裁判所の問題、こんな問題が国政調査権で日本の戦後の国会史上問題になったわけです。この造船疑獄事件で、いわゆる関係人、特に検事総長、時の検事総長と東京地検の検事正の証言を拒否したその理由は、秘密だから、単に秘密だからということで拒否をしたのですか。いま田中総理にからまるいろんな土地の問題、税金の問題、こういった問題についての資料要求するのに対して、さっきから国税庁や大蔵省は、秘密だから出せない、この一点ばりだけれども、当時の拒否した理由はそれじゃないですね。現に捜査され、そうして起訴されている事件だと、現に刑事事件としてこれが起訴されている案件だと、それにかかわるものだからという理由であります。それからいわゆる司法権の独立と関連した浦和充子事件、この浦和充子事件で、国政調査権に対して時の最高裁判所がこの調査に応じられないと言ったのは、これは具体的なある被告人に関する裁判案件だということで拒んだわけです。現在のように裁判にかかっているわけじゃありません。将来かかるかどうかは私はわかりません。起訴されてはいません。将来起訴されるかどうかはわかりません。いまは起訴されていない、裁判にもかかっていないこういう案件について、単に憲法より下位の所得税法、地方税法、国家公務員法、みんな憲法より下位にある法律じゃないですか。そういうものを根拠にして秘密だから出せないということは、このどんな面から見て、憲法から見て、国会法百四条から見て、提案理由から見ても、さらに先例から見ても、参考人の団藤さん、滝川さんの発言から見てももう理由がないんです、これは。法制局長官として、この点を十分に調べて、よく考えて、これについてさっきの大蔵省や国税庁などのあの答弁で済むものかどうか、憲法の原理、民主主義の原理というものから考えてもらいたいと思います。いかがでしょう。
  260. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 先ほども申し上げましたけれども、具体的な事案の処理ぶりについて、どうすべきであるかと、どうするのが正しいのかというようなことを私のほうから申し上げるような立場にございませんので、その点は御了承願いたいと思います。  それから浦和事件ですか、あれはたしか具体的な事案の裁判の中身について、それを国政調査権ということで批判がましいことをやるのは、それは国政調査権の乱用ということばがありましたかどうか、行き過ぎであると、それはやはり司法権の独立を守るべきだというような理由だったと思います。  それから昭和二十九年の決算委員会の議院証言法の問題は、やはり具体的な事案について捜査の中身を述べるということは今後の検察行政の進行上非常に障害があるというような観点から、したがって秘密として守らなきゃならないという見地だったと思います。
  261. 内藤功

    内藤功君 私はいかなる意味においても——繰り返して言いますが、いま政府、特に大蔵省、国税庁が矢面に立っておりますけれども、これはほかの役所にも及ぶでありましょう。ほかの会社にも及ぶでありましょう。この場合に、秘密である、あるいは個人のプライバシーであるというような理由では、わが国の憲法、国会法、議院証言法、国会のいままでの慣例から見ても、とうていこれは守秘義務を主張し得る案件ではない。憲法、法律からして、これはもう許されない案件である。これはもう超党派でですね、国会の権威にかけてこの問題は事実を明らかにするという問題であるということを意見として申し上げておきます。  最後に、この問題について、ここにおられる国税庁、大蔵省、それから建設省、自治省、これらの当局者の方々がいまの見解についてどういうふうにお考えになっているか、なおかつ私のこれだけの説明に対して反駁できるかどうか、憲法上も、法律上も、出さなくていいんだと言えるかどうか、この点を順番に答えてもらいたい、だれからでもけっこうです。
  262. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) ただいまの御意見につきまして、私たち事務当局としてお答えさしていただきたいと思いますが、国政調査権と、それから税法におきます守秘義務との競合の問題、これは私たちも十分存じ上げております。ただいまの問題につきまして、私たちが資料提出をごかんべんをお願いしたいと申し上げておりますのは、その納税者がたまたま総理大臣という田中角榮氏にかかるものであるというようなことではございませんで、やはり税務職員といたしましては、あくまでも税務調査というものは相手方の協力を得て任意に調査をしていくというふうなことが必要でございますから、その相手方の信頼によって調査をしたその事実が公表されるということは、今後私たちの税務運営に非常に支障を来たすというふうな観点から、私たちが職務上知り得た事実につきまして、ここで公表するということはごかんべんをお願いいたしたいというふうにお答えしているわけでございます。  しかしながら、一方におきましては、繰り返して申し上げますように、国政調査権と、それから税務官吏の守秘義務というものは、それぞれによって保護されます法律も、比較勘案の問題もあろうかと思います。したがって、そこの比較勘案の問題というのは私たち事務当局の手に及ぶところではございません。ですから、私たちはあくまでも事務当局として提出するのはごかんべんをお願いいたしたいと、かように考えているわけでございます。
  263. 内藤功

    内藤功君 順番に答えてください。
  264. 首藤堯

    説明員(首藤堯君) 守秘義務という問題につきましては、ただいま国税庁のほうからお答えがございましたが、私どもも税を扱います当事者としての考え方としては全く同じことでございまして、この最終的な守秘義務と国政調査権との競合の調整の問題、まあこれは別途にあるかと存じますが、当事者としては地方税法二十二条の秘密等にかかわるものにつきましてはぜひ提出をお許しいただきたいと、このように考えておる次第でございます。
  265. 内藤功

    内藤功君 次は、あといませんか。
  266. 堺徳吾

    説明員(堺徳吾君) 建設省のほうに要求された資料につきましては、先ほど申しましたように特に秘密ということではございませんで、文書決裁規程によりまして管理期間が三年とされておりますので、御要求の決裁書自体はございませんけれども、その内容となるものは出先機関にございますので提出できるであろうということを申し上げたわけでございます。
  267. 内藤功

    内藤功君 中身の多少ある答弁をしたのは大蔵省だけです。  そこで、大蔵省に一言だけ私は言っておきたい。確かにおなたは事務当局の答弁、これはほんとうならここにいる政務次官に聞かなくちゃいけない、政務次官は帰ってしまった。そこで、さらに政務次官なり大臣なりに私は聞きますが、しかし、これは事務当局でも答えられること、これはどういうことかというと、あなたは国政調査権という憲法の権利に対して所得税法をもって向かってる。これはたとえて言うと、失礼だけれども、王さまに対して歩をもって向かうようなものです。もっとも歩の使い方によっては王さまを詰められる。歩はならないと王さまは詰まないわけです。歩の、表だけの歩じゃ王さまは詰みませんよ、そういうルールになっている、将棋は。まあたとえて言えばそういうものです。王さまに対して歩をもって向かう、そんな関係なんです、憲法と所得税法なんというのは。憲法に対して多少の例外があるとすれば、議院証言法の五条の国家の存立、存続に影響があるというのは、これは全くほとんど考えられないようなケース、こういう場合だけです。そうすると、あなたの見解は、田中総理大臣のいろんな資料を出すことが国家の存立、存続にかかわることだから出せないと、こうおっしゃるんですか。
  268. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) 私が申し上げておりますのは、国税当局で考えておりますいわゆる守秘義務というのは二つあると思っております。一つは税務の適正な運営というものを確保するために税務上知り得たことを他に漏らしちゃならないというふうな問題、一つはもちろん私人の秘密という問題と、二つあると思います。そういった観点で、私たちが任意調査によって知り得た事実というものを公表することは、今後の税務運営に対しましてかなり好ましくない影響を与えるおそれがありますので、ここで私たちは提出はしないと申し上げておるわけでは決してございませんで、できましたらごかんべんをお願いいたしたいと言ってお願いしているわけでございます。
  269. 内藤功

    内藤功君 そうすると、提出をしないというわけじゃない、できればごかんべん願いたいということですな。かんべんはできません、これは。かんべんのできない問題です。いや、これはもう論争ですから、答弁がなければよろしい。ありますか。
  270. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) 事務当局としては、ただごかんべんをお願いしたいということだけお願いいたしておきます。
  271. 内藤功

    内藤功君 それじゃ一応次の質問に入ります。質問についての問題が米軍関係の文書にわたりますので、文書を配付——委員各位と政府側にお配りいたします。  外務省にお聞きしたい。これはアメリカ局長にお尋ねいたします。いま日本は非常に重要な時期に来ている。国民の中には核も角もごめんだという声が広がっていると、ある新聞に書いてあった。なるほどうまいことをいうものだと思った。最初の核は核兵器の核、あとの角は将棋の角という字を書いた角であります。この核も角もごめんだという中で、日本には一体核兵器が持ち込まれているのかどうかと、十月のラロック証言以後、すごいですね、毎日のようにニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストという一流の新聞が、核兵器の通過協定はあるぞ、核は持ち込まれているぞという報道をする、元プロビデンスの艦長もそういう証言をする。一方では核通過協定というものについて、核通過について、これが持ち込みになるかどうかという点が論争になって、外務省、きょうに至るまで統一見解出ない。私はこの問題きょうは聞きません。統一見解が出ていないから、出てからまつ正面から聞こうと思う。こういう問題がある、そうして国会で追及されると、今度は政府は、アメリカを信頼しております、持ち込まないものと信じております、ですから、ありませんですと、と思いますと、こういう答弁であった。これは国会の答弁としては通用していると思うかもしれないが、公平な第三者が見た場合は、これはもう明白に勝負はあったんです。あったか、ないかの勝負はあったんです。裁判所だったら九割の推定、七割の推定で、これは被告が国とすれば負けているケースなんです。あるかないか、どんな人が裁判官だってあるという認定をするケース、こういうことになっていると思う。私はいまこういう状況の中で、日本の重要な基地に核が持ち込まれているという問題がいろいろ出てきている。  その材料としていまここに一つ資料を示したい。これはわが党国会議員が入手をした太平洋空軍核兵器安全計画書です。これはすでに去る十月十四日、衆議院の外務委員会で、わが党の松本善明議員がこの資料についてアメリカ局長に質問しておる。そうしてそれに対する御答弁は、この太平洋空軍核兵器安全計画書の配布先、一覧表について、アメリカ局長は、調べる、アメリカにも問い合わせて回答する、こういうふうに言いました。一体どういう内容であるのか。これは前回もすでに松本議員から言いましたように約三百部ですね、三百部の文書が各地に配られているんです、極東の各地に。たとえば韓国でいいますと烏山、群山、南ベトナムではディアン、台湾の台南、あるいは清泉崗といいますか、フィリピンのクラークフィールド基地。そして日本ではどうか、太平洋空軍兵器学校、これは日本のジョンソン基地、さらに第五空軍司令部・府中、三沢基地・四七五戦術戦闘航空団、横田基地・三四七戦術戦闘航空団、板付基地・三四八戦闘群、さらに立川の三一五航空師団、八一五戦術空輸中隊、嘉手納の三一三師団などの部隊、四九八戦術ミサイル群。それからこの間わが党の立木議員が外務委員会で明らかにした第一八戦術戦闘航空団、核模擬爆弾を伊江島でやっておる。そうして四〇〇弾薬整備部隊、こういったものがこの配布先として書いてあり、そうしてしかもその配布の部数が書いてある。私はこれをコピーしたものですけれども、ここに明らかなんです。そしていまここの問題になっているのは、お手元に出しているのは……
  272. 前川旦

    委員長前川旦君) 内藤君、こちらで御発言ください。
  273. 内藤功

    内藤功君 どうも失礼しました。  このように配布先が全部書いてあり、また配布部数も書いてある。非常に具体的な内容も書いてある。  まず、十月十四日からすでに三週間以上たっているわけですが、この米太平洋空軍核兵器安全計画書、この配布先一覧表について、アメリカ局長は、調べると、アメリカにも問い合わせて回答すると答弁しておられるはずですけれども、お調べの結果はどうですか、政務次官でもけっこうですが、前にアメリカ局長答えてください、どっちかひとつ。
  274. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) この米太平洋空軍核兵器安全計画は、先生の現在配布いただきました資料によりますと、一九六七年五月二十五日付となっておるようでございます。この問題に関しましては、御指摘のとおり十月十四日、衆議院の外務委員会において松本議員から御質問がございまして、私のほうで資料を確かめて米軍にも問い合わしてみるということは御答弁申し上げました。  その後、在京の米国大使館を通じまして調べました結果、米側から次のような回答がございました。すなわち、米軍は災害対処計画及び実施に関する空軍の規則、手引きに従って、核事故が発生した際の対処訓練を世界じゅうで定期的に行なっている。この太平洋空軍核兵器安全計画は、こういう空軍の規則、手引きの一環として作成されたものである。しかし、この計画は現在では使用されていない、という旨の回答を得た次第でございます。
  275. 内藤功

    内藤功君 災害対処計画及び実施に関する米空軍の規則と、ことばですが、そういうことばですね。
  276. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) そうでございます。
  277. 内藤功

    内藤功君 これは米空軍には、特に太平洋空軍には規則の番号がありますが、何番ですか。
  278. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 御質問の趣旨がよくわかりませんが、規則の番号という意味でございますか。
  279. 内藤功

    内藤功君 そうです。
  280. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) その点は承知しておりません。
  281. 内藤功

    内藤功君 これが一九六七年の五月二十五日につくられたものなんです。その後修正をされて現在に至っているわけですが、その米軍の回答によれば、この計画はいつまで存在したのですか。
  282. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) われわれが種々問い合わせました結果得ました回答は、現在これが使用されていないということでございまして、いつまで使用されておったかということは承知いたしておりません。
  283. 内藤功

    内藤功君 そうすると、あなた方の問い合わせとしては、これがいつからいつまで実際に使われていたかということは問い合わせていないわけですか。
  284. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) この前の松本議員の御質問の趣旨も、こういうものは存在するかということでございまして、われわれは種々問い合わせました結果、そういうものは現在使われていないという回答を得た次第でございます。
  285. 内藤功

    内藤功君 私は、アメリカ局長に、この米空軍の計画書というものが一体いつからいつまでこれが実際に使われていたかということを、さらに調査なさるように要求いたします。
  286. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) これは米空軍が世界じゅうにわたって、いま申し上げましたように災害に対処するための計画書の一部でございまして、特に日本を目的としたものでもございませんし、そういうものとしてつくられたものだと思います。したがいまして、そしてそれは現在使われておりません以上、この使用期間を調べることはどういう意味があるのか私としては理解いたしかねる次第でございます。
  287. 内藤功

    内藤功君 使用期間は非常に重要です。この核事故に対処する訓練アメリカの空軍が行なっていたその計画書であるわけですから、そういう計画書に基づいていつからいつまでこれが使われていたか、このことを分析することは非常に大事なことです。というのは、いま日本には核が持ち込まれていない、いるわけがないという詭弁が行なわれている。私はあえてこれは詭弁と言いたい。この中に配布先にはっきり書いてある。さっきも言いましたように、日本を対象としたものではないと言うけれども、日本も対象にしているわけですね。この配布先には、日本の府中基地、ジョンソン基地——詳しく言いましょうか、ジョンソン基地に二部、府中に十部、三沢基地に十部、横田基地に十五部、板付基地に三部、そして那覇基地の第五一戦闘迎撃航空団に八部、第三七四戦術空輸航空団に十五部、立川基地の第三一五航空師団に十部、第八一五戦術空輸中隊に三部、これだけのものが、部数が配られている。つまりこれだけの部数が配られているということは、こういう核兵器の安全に関する文書を必要とする兵員がこれだけの数、日本の基地にいるということですね。これは日本だけを対象としたものじゃない、全世界を対象にしたものだけれども、特に日本のこれだけの数の基地、お手元に差し上げた資料にも書いてある、これだけの基地に配っているということは、核のないところに配るわけがないじゃありませんか。核兵器が持ち込まれ、あるいは貯蔵され、あるいはそこをいわゆる通過をするから、ここに事故を防止するためのこういう安全計画を立てろ、あるいは安全計画をこういうふうにしろという文書が配られている。これはだれが見たって明らかじゃありませんか。いかがですか。
  288. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) アメリカの空軍の場合は、その性格上世界じゅうを移動するわけでございまして、米空軍がたとえば本土にあります場合に、こういう核兵器の安全計画に基づく訓練が行なわれるであろうということも十分想像できます。したがいまして、そういう手引き書がある時期配られていたということと核兵器の持ち込みということとは、私たちとしては全く別の問題であると考えます。その上、現在この安全計画書は使用されていないということでございますので、これの使用期間について云々することはあまり意味がないのではないかと存じます。
  289. 内藤功

    内藤功君 いま言われたのはあなたの想像ですか、あなたの、アメリカ局長の主観的な見解ですか、あるいは政府としてのこれは見解ですか、あるいはアメリカにそのように確認しての見解ですか、その三つのうちのどれですか。
  290. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) この資料につきましてアメリカに問い合わせた結果につきましては、私が先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。ただ私は、核兵器の持ち込みと、この計画書とは別であるということを申し上げたわけでございまして、核兵器の持ち込みということになりますれば、たびたび御答弁を申し上げておりますが、日米安保条約の義務に従ってアメリカ側はわがほうに事前協議をしてくることになっておるわけでございまして、そういうことは、ここにあげられております那覇基地とか嘉手納基地とか立川基地についてないわけでございますから、われわれとしては、そういう核兵器の持ち込みはないと確信しておる次第でございます。
  291. 内藤功

    内藤功君 そこで、おそらくそういうふうな答弁を私はせざるを得ないだろうと、いままでの核持ち込みがないということとロジックを合わせるためにはそう言うしかないだろうと予想していたんです。そこで私はそこにわざわざ指摘しておいたんです。このテキスト、約六〇ぺ−ジあります。このテキストの第一章の責任体制、その最初のゼネラルというから総論あるいは総則であります。ここのところにこう書いてあるですね。この教範は、核兵器取り扱い能力の保持を必要とする太平洋空軍のすべての施設と部隊に適用される。逆に言うと、核兵器の取り扱い能力の保持が要らない施設と部隊、つまり絶対に核兵器が入るわけがないそういう部隊にはこれは配られない、適用されないということであります。私はこの第一章の総論——適用という部分をどのようにお考えになるか、この点をお伺いしたい。はっきりここに核兵器取り扱い能力の保持を必要とする施設と部隊にこの安全計画は適用されると書いてあるじゃありませんか。この文書を配ったということ、核兵器がここにある、核兵器の取り扱い能力を必要とする——それは一時的であるかもしれませんよ、ずっとある場合と、それから一時持ち込んでいる基地もあるかもしれぬ。いずれにしてもその三沢なり横田なりに核兵器が来る、したがって事故が起きる可能性がある、危険がある。そのために三沢とか横田とかに配られているんじゃないですか。そう見るべきじゃないんでしょうか。もしお答えになれたら答えてください。
  292. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 拝見いたしました資料が正しいといたしますれば、それは「本教範は、核兵器能力を維持することを要請されている太平洋空軍のすべての施設と部隊に適用されるものとする。」というふうになっておるわけでありまして、核兵器そのものを維持することを要請されている施設と部隊ではないと思います。で、先ほどから申し上げますように、米空軍は世界じゅうに展開しておりますので、そういう能力訓練を重ねていくということはあると思いますが、核兵器を持っている部隊ということは別の問題であろうと思います。
  293. 内藤功

    内藤功君 日本語の解釈と英語の解釈と両方で、英語のほうはアメリカ局長のほうがじょうずだと思いますがね。ただ私はこれははっきり言える、核兵器の取り扱い能力と核の取り扱い能力、これはこの英文から見てもはっきりしているんじゃないですか。お手元に英文あるんでしょう。いまうしろから出されて読みましたから、英文はあるんでしょう、どうです。これは核兵器を取り扱う能力ですか。核兵器を取り扱う能力ということは、そこに核が来れば取り扱える能力、そのことは核兵器がその基地に来るから核兵器の取り扱い能力が問題になるんですね。核兵器が全然来ないと、もう日本のこういう基地には全然来ないというんなら、取り扱い能力の維持も何もありはしません。こういう文書が配られているということは、そこに核兵器が来ることがあるという前提じゃないでしょうか、重ねてお伺いいたします。
  294. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 先ほどからたびたび申し上げますように、米空軍は世界じゅうを移動しておりまして、その人間も移動するわけでございます。そういう人間に対して訓練をするということはあると思います。しかしそれは、それと核兵器を保有する部隊であるかどうかということととは別の問題であると存じます。
  295. 内藤功

    内藤功君 この文書は大体部数を限定している。太平洋空軍は三百部しかつくらない。そしてこのように部数を限定し、おそらく配付対象者も限定して、そしてこれを明らかにしている、そして配っている。非常に秘密の文書だと思う。さっきの話じゃないけれども、国家にとって存続とまでいかないだろうけれどもアメリカにとっては大事なものですね。これを核も絶対来ない。昔、核も何もないなんとかと言いましたけれども、核が絶対来るおそれのない基地に配る必要がない。人間か全世界を移動している——それはそうでしょう、転勤があるから移動するでしょう。しかし、転勤した先にみんなこういう核の文書を配っている、そういうことじゃないですね。核を取り扱う部隊アメリカ空軍でも厳格にこれは指定されている。そして指定されておって、その指定されておった部隊や指揮官に対しては、限定された部数の秘密の書類、取り扱い資料が来ている。これは軍事的意味で当然だと思う。この点防衛庁いかがです。核を取り扱う場合の安全計画書というものは、部数を限定し、そして対象を限定して、そして配られるものだと。しかも核の来る心配の全然ないところに核兵器の安全計画書を配っている。こういうことは軍事的に見てどうです。防衛庁の軍事専門家の長官でも局長でもけっこうです、いかがです。
  296. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) アメリカ局長が先ほどから繰り返し御答弁申し上げている趣旨に全く私も同感だと思います。中身はただいま拝見いたしましたので全く推測にすぎませんが、要するに部隊として核兵器を取り扱う能力を維持するかどうかということは一つ大事なことだと思います。それが即核兵器を持っておるかどうかという問題とは別問題だと思います。
  297. 内藤功

    内藤功君 さらに、この内容を見ますと、こういうことも書いてある。核能力を有する各飛行戦隊、基地は、大小の核事故、欠陥の防止への計画からなる事故防止計画を発表するというようなことも書いてあります。事故防止計画を各基地、各部隊ごとに発表しろ、さらに各級司令官は非常軍令の発動及び当該当局の命令の場合を除き、故意の核兵器の安全解除、発射、発砲、投下を防止する積極的措置を行なう責任があるということも書いてあるわけですね。そしてさらにこの目次に書いてありますように、この核兵器を扱う核安全将校、この核安全将校を設けること。さらに核安全教材、核事故調査、核安全検査、さらに核小委員会——小さい委員会をつくること。核情報をファイルすること。こういったことが目次を見ると明らかに出ておるわけです。私はこの核能力、核兵器を取り扱う能力のある部隊が日本の基地に現実にいたということだけでも重大問題です、これは。これは核がそこへ来ないのに核兵器を取り扱う能力のある部隊がいるわけがないと思います。どうですか。
  298. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) アメリカの空軍の場合にはいろいろな装備をしておるわけでございまして、また装備の中には核と非核両用というふうな武器もあるわけでございますから、そういう部隊がおるということは、直ちに核兵器が日本の中にあるということではないと存ずる次第でございます。
  299. 内藤功

    内藤功君 いま核、非核両用の兵器があることはもう前から認めている。核、非核両用兵器というのは、これはラロック証人という非常な軍事専門家の言をまつまでもなく、核か非核か両方使えるという場合には、アメリカ軍はいまや広島型原爆六十一万発分の原爆を全世界に展開さしているんですから、核装備をするのがあたりまえなんですね、これは。これが軍事常識だと思うのです。さらにこの核、非核両用兵器があって、そしてそこに核能力、核兵器を取り扱う能力のある部隊がいるということは、これは繰り返しますけれども、核兵器がそこへ来ない、絶対に来ないというような基地であれば置くわけがない、このことが一番大事なことだ。で、これは非常に重大な問題だと思う。いままで核の持ち込みについていろいろ議論されていたけれども、現実に存在するこの核兵器の事故が起きたときどう措置をするかという計画書が配られているんです。  たとえば実際に地震の起きない国、火事の起きない国に地震探知器を配ったり、消火器を配ったりする必要がないと同じように、核が絶対に来ない基地や部隊に核兵器の事故の安全計画を、しかも相当秘密で、部数が限られているものを配るわけがない。私はこの点について、ただこのアメリカ大使館を通しての回答で、ああそうでございますかというだけで引き下がったというさっきの回答は不十分だと思う。これは実際いつからいつまでやられているのか、この計画がなくても、この計画がさらに変更された場合だって考えられます。あなたはさっき一九六七年五月二十五日作成でございますが、これを廃棄されたと、こう言った。そうすると、アメリカ軍は五月二十五日のものは廃棄したけれども、それにかわる新しいものをつくっているかもしれないじゃありませんか。こういった点をさらに調べて、日本にほんとうに核兵器というものが持ち込まれていないのかということを調べることがこれは政府としての責任だと思います。私は重ねてこの点についてのアメリカ局長の答弁を求めたい。     —————————————
  300. 前川旦

    委員長前川旦君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま田渕哲也君が委員辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     —————————————
  301. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 先ほどから申し上げておりますように、こういう計画書があるということと、核兵器が持ち込まれているということとは別の問題でございまして、その後そういう種類のものがあるかどうかは私は存じませんけれども、この点につきまして、これ以上アメリカ側に問い合わせることは私としてはあまり意味がないと存じます。
  302. 内藤功

    内藤功君 意味がないというその感覚が、非常にいまの日本国民の、庶民の安全と平和を求める気持ちからはかけ離れていると思うんです。こういういまラロック証言に始まる一連の核兵器持ち込みについてのいろんな報道、うわさ、それも三流新聞じゃありません、失礼だけれどもアメリカではもう権威のある新聞が報道している、アメリカの権威のある元軍人が証言をしている。こういう中で、国民に対して政府というのは国民の命をあずかっているんです。大げさに言うと。安全をあずかっているのが政府なんです。その政府が、これに対する答弁、さっき読み上げられた私は繰り返さないけれども答弁、現在はそのような計画は存在しませんというんで引き下がるんじゃなくて、じゃ過去にあったのかどうか、過去はいつからいつまであったのか、核能力整備部隊があるということは核が来るのじゃないか、いかに日米安保条約を前提とする友好国であったとしても、友好国であったとしても、日本の政府なんですから、これは相手に問い合わせるのが当然だと私は思うのであります。  さらに議論を進めると、質問を進めると、この中にはますます核兵器がこういう基地にあるということを疑わせるところがあります。それはいまお配りした中で、核に接近する要員について非常に選別をする、できれば「各要員のつぎのことをつきとめる。」——これはその前か各要員と面接をして、その要員には計画の目的、安全計画の目的、各要員や部隊や太平洋空軍の計画の重要性、割り当てられた任務の重要性、こういったものをずっと話をして、そうして七番目に、できれば「各要員のつきのことをつきとめる。」——(a)(b)(c)(d)(e)とあって、「割当てられた任務にたいする態度」「核兵器使用にたいする態度」「個人的習慣(飲酒等)」——こんなプライバシーにわたることまで調べる。あんまり酒を飲むような人は核兵器の近くに置くとまずいという考え方だと思うんです。「金銭状態——あんまり大きな借金を持って気持ちが落ちつかないような人は核兵器の近くに置かないという考え方だと思う。「家庭問題」——これがはっきりしない人は核兵器の近くに置かないという配慮だと思う。こういうような配慮をしているということは、これは明らかに核がある。核がなければこんなこまかい配慮をする計画書を立てるわけがないと思う。こういう疑惑のあるものです。いま拝見すれば、そこに、うしろのほうの政府側の当局が、翻訳したものを持ってアメリカ局長のところへいらっしゃっているようにちょっとお見受けしたんだけれども、外務省はこの安全計画書、英文、持っていらっしゃるでしょう。
  303. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) 私のほうでいま持っております英文は、先日松本議員からいただきましたものだけでございます。  そして、ただいまいろいろなこういう要員の選別から見ても確実ではないかというふうなお話でございましたけれども、先ほどから申し上げますように、そういう人間の訓練、要員の訓練は、アメリカは世界各地におるそういう要員に対しては訓練をしているのだと思います。また、そういう人たちは世界じゅうの各地に移動するわけでございます。そういう意味で、その要員について安全計画の訓練をするということはあるものと推測いたしますけれども、それと、日本の中に核兵器を持ち込まれるということとは全く別問題であるということを申し上げておる次第でございます。
  304. 内藤功

    内藤功君 これは単に核兵器を取り扱う能力のある部隊がいるというだけじゃなくて、非常にこまかい要員の選別から、それから安全計画の作成から、あるいは安全についてのファイルをつくることから書いてあって、しかも冒頭には、この教範は、核兵器取り扱い能力の維持、保持を必要とする太平洋空軍のすべての施設と部隊に適用されるという前書きのついた文書が配られておるんですから、ここまできて、なおかつ核がないと言うことは、これはわれわれは国民に対する安全を任務とする政府としてははなはだ無責任なことだと思うのです。私は、さらに強く政府に対してこの重大な事実、戦術核はさっきのラロック証言によってどんどん日本に入ってきている。そして戦術核を持った——戦術核、非核両用兵器を持ったアメリカの海軍と日本の海上自衛隊演習をしている。これに戦術核の疑いもある上に、戦略核が持ち込まれていたという疑い、少なくともこの計画書の存在した期間、いっこの計画がなくなったかはあなたは言いませんから——この期間において存在していたと、こういうおそるべき事実が、私はこれは常識のある人だったらだれでもわかることだと思うんです。  ここで私は特に指摘をしておきたい。いまから二年前の昭和四十七年の二月二十八日に、元アメリカ空軍曹長アル・ハバトという人が、自分アメリカの本土から数回にわたって核兵器を運び込んだ。一九六〇年から六三年の間数回にわたって核兵器を運び込んだと、こういうふうに発表している。これはC124グローブマスターで、ホノルル、ウェーク、グアム、あるいはクラークフィールドを通して、横田、三沢、ジョンソン、千歳、嘉手納に運び込んだということを発言しているわけです。これは当時の新聞にも発表されたことです。私はこれと、ここに書いてある横田、三沢、ジョンソン、嘉手納というものと、この核兵器安全計画書が配られているところが一致しているというところから、これは根も葉もないものではない。いわんやこれは米空軍の公式文書である。私どもはこういう面でいまのアメリカ局長の答弁に非常に不満であります。これを徹底的にやはり政府は究明すべきだ。しかもこういう問題をはっきりさせないでアメリカ大統領の訪日を迎えるということは、日本の安全をつかさどる政府として非常に責任を果たしていない、遺憾なことであるということを申し述べたいと思うんです。これについて外務省並びに防衛庁、どういうふうにお考えか。特に国の軍事の立場、これを担当する防衛庁としてはどういうふうに考えられるかということをお聞きしたいと思う。
  305. 山田久就

    説明員(山田久就君) ただいま米太平洋空軍核兵器安全計画、これに基づいての総論等の文言等を引用されていろいろな御発言がありました。アメリカ軍がこれを配るのについて、どのような必要と、ひとつ判断をもってこれを配られたかということは、私はこれ外交問題というよりも、事軍事関係のいろいろ必要性ということでございまするから、私から、外務省からこれを推測に基づいてのことを申し上げる立場にはないと思います。で、われわれの立場は、要するに国家間の約束、繰り返して申しまするけれども、最高機関の大統領が、日本に対しては、日米安保条約の事前協議にかかる事項については、日本政府の意思に反して行動する意図がないということを約束しておる。しかもけさほども申し上げましたように、あらためて最近のいろいろな御指摘等にもかんがみまして、念を押す意味で米国政府に、インガソル国務長官代理に対して確認した、それの米国政府側の回答によっても、米国政府としては事前協議にかかる約束を誠実に順守してきたし、また引き続き誠実に順守するということを再確認しておる。われわれはこの国家間の約束、安保条約による義務についての先方の確約ということにおいて、国家の関係をそれが優先する立場において信頼するという、これがわれわれの立場であろうと思います。この安保条約によれば、ここに、日本に駐留しておる軍隊、むろんこれは日本に対して攻撃が加えられたときこれに対応するという意味の軍隊であると同時に、御承知のように、第六条によりまして……
  306. 内藤功

    内藤功君 もう少し端的に答えてくださいよ。
  307. 山田久就

    説明員(山田久就君) 「極東における国際の平和及び安全の維持」、これに寄与する、そういう必要というものを持った軍隊でもあります。そういうような意味から、アメリカがどのような必要でやっておるかということは、これはアメリカの軍事的必要ということでやっておるわけでございますから、私のほうからこれについて、推測その他のことについて申し上げる立場にはないと思います。  以上。
  308. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私たちはこの種の問題の国家間の取りきめについて防衛庁独自で折衝をする立場にありませんが、私自身は、沖繩担当の大臣をいたしておりましたときに、復帰返還に伴う沖繩の核抜きという問題でたまたまその一端の話をうかがい知る機会を得ました。その限りにおいて、沖繩から完全に核が撤去されたと、撤去した後に本土に復帰させるという約束をアメリカ側が守ったという事実を知っておりますので、ましてや本土にそのようなことが、外務省が否定しているようなことが実際上あろうはずはない。そういうふうに、これは防衛庁長官の立場とちょっとはずれますが、過去に私の体験したことから、そういうことであろうと。いずれにしても外務省の間で、アメリカのほうと正式ルートにおいて合意されたワク内において私どもは存在をするということでありますから、そのような立場における折衝その他については、すべて外務省におまかせをいたしておるところであります。したがって、政府は一体でありますから、外務省のそのような理解のもとに、私たちはそれを信じていくということであります。
  309. 内藤功

    内藤功君 同盟国間の条約があった場合に、相手に対する信頼をもって条約を結ぶ、あるいは個人間の私契約においても、お互いの信頼をもって契約を結ぶ、これはたてまえでありましょう。しかし、同時に、契約なり条約というものは、それが万一相手によって履行されない場合、違反された場合はどうするか、このことも考えるのがこれは人間社会では世間の常識だし、国際社会では条約というものは破られることがある。古来一回も破られなかった条約なんというのはありやしません。いろんな有為転変が条約の運命にはあるわけです。相手は絶対に、声明書を出しているから、一片の声明があるから守るであろう、こういう考え方で国際社会に伍していく外交のあり方がいかに私は危険であるか、日本国民の運命をになっている政府としていかに無責任であるかということを、私はいまのお二人のお方の御答弁をお聞きして実は痛感した次第であります。今度の文書は——時間がないのでほかの質問ができなくなりましたけれども、冒頭にアメリカ局長が認めたように、アメリカ空軍が確かに全世界のここに書いてある空軍基地に配っている、核兵器の災害対処計画に関する米空軍の文書であり、しかもここに書いてあるように、米空軍に、核能力維持あるいは保持の能力のあるすべての部隊に配られているということは明らかになっております。そしてこの中に書いてある幾つかの基地、これは日本の現実に存在する基地である、そこに核能力を維持する部隊があることが明らかになった。私はこういう点について、またアメリカ局長の答弁のように、これ以上の調査をすることが意味がないというような政府の態度は、はなはだ遺憾であるということを最後に申し上げたいと思います。  私の質問は以上で終わります。
  310. 前川旦

    委員長前川旦君) 他に御発言もないようですから、総理府のうち、防衛庁決算につきましてはこの程度といたします。  次回の委員会は、明八日午前十時三十分から建設省関係を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会      —————・—————