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国務大臣(
山中貞則君)
山中らしからぬというお話でありますが、これで私も案外慎重なところもございまして、出発前にこの問題が起こりましたので、おっしゃるとおり日本の
国民感情あるいは政策の立場からいってきわめて重大な問題でありますから、木村外務
大臣と閣議の合い間に相談をいたしまして、この問題はやはり外務省と国務省との間において、それぞれの国を代表して結ばれた安保条約及び地位協定その他の諸取りきめというものと日本の国策というものとが確実に順守されているかどうかということに期するのであって、軍事的な議論とまた別であろうということで、この問題は私は触れないで外交ルートでやっていただけますか
——そうしましょうということで、けじめをつけて出発をしたわけでありますから、特別に、私らしからぬとお考えになるのも無理もありませんが、まあしかしやはり、このような問題は閣議等においては活発に私もやりますけれ
ども、しかしながら、国を出ますと、その国を代表している立場でありますから、何を資格において代表しているのだということは絶えずはっきりしていなければならぬと考えます。その
意味において、外交の立場を私は総理からも外務
大臣からも私に対してまかされたり、あるいは聞いてきてくれという権限委譲等を受けておりませんし、委託も受けておりません。したがって、私がワシントンに到着いたしましたときには、外務省ルートによる正式な駐米大使、安川日本大使のルートによってインガソル国務副
長官等のルートからの
アメリカ国務省の米国の態度としての応答がすでになされていたあとであったという事実においても明らかであると存じます。
そこで、具体的に向こうの
アメリカの国務省のシビルの最高首脳部あるいは統参本部議長等と話し合って、事実上そんな問題が出なかったのかいうことはあり得ないことだと、こういう話であります。
アメリカのほうではあまりこのラロック問題というものを特別に問題にしているような節が実はございません。私のほうは持ち出す意思はなかったわけでありますからもちろん持ち出しておりません。したがって、向こう側のほうからもまた何もその問題について触れておりませんので、結果的においてどちらも言わなかったということは、その問題については話し合わなかったということであります。これはもう大使も立ち会っておりますから当然私だけの秘密事項ではございません。
それから基地の問題でありますが、私は国防
長官に対して日本の、
アメリカに提供している基地の中で、ことに沖繩において顕著なことであるが、第二次大戦遂行のために
アメリカが取得した基地というものの沖繩の基地であって、本土の
国有財産を主として提供された基地とは違う。そのために沖繩の場合においては今後の沖繩県民の生活向上あるいは各振興計画等の立案樹立等にも非常に大きなマイナスになっているので、この問題は沖繩をも視察して現地で見ておられる、そしてまた分担としては太平洋、東南アジア、極東を担当しているクレメンツ国防副
長官とこの沖繩の主として基地の統廃合について話し合いを具体的に詰めていきたい。
山中メモを提案するから配慮を願うということで、よろしい、じゃあクレメンツ副
長官との話し合いをしてくださいということになりまして、そこでクレメンツ国防副
長官に、沖繩の、もともと米側作成にかかります地図、
アメリカの、主として中南部に広大な地域を占める、沖繩にとっては広大な地域を占める陸海空等の色分けをした地図を渡しまして、それによって私は復帰後
返還をされた面積等も書き込み、色も塗り分けまして、そこで詳しく説明をして今後沖繩について、あなたも一ぺんは見ていることだし、私がこれから提案する
山中メモというものについて、積極的な姿勢をもってこたえてもらいたい、こういうやりとりをいたしました。クレメンツ国防副
長官はケース・バイ・ケースで喜んで応ずる、
山中メモの
検討に応ずるにやぶさかでないということでございますので、これを受けていま防衛施設庁を中心に作業をさせておりますが、いずれ外務省と相談の上、近く開かれる、あるいは年を越すことに毎年なっておりますが、日米安保協議
委員会等の場において最終的な、最終的と申しますか、今回の訪米に伴う私の
山中メモ
提出にかかる折衝というものに成果をあげたいと考えておる次第であります。