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玉置和郎君 いや、そんなことはない。それはとんでもないことですよ。これは私が前に大平さんにも聞いたんですよ。これは
アメリカの世界戦略、ちゃんと文書になってます。これはね、そんなこと言ってたら
大臣、もの笑いになりますよ。
アメリカの基本戦略の第一は、
アメリカの国がよって立つところの自由と民主主義、この体制にある国に対してはこれはずっと支持をしていくというか、友好
関係を続けていくということ。それと同時に、この自由と民主主義というものに対して反対をする、たとえば全体主義国家、権力主義国家に対しては
アメリカはやっぱりきびしい批判をしていくという、これがやっぱり
アメリカの基本戦略になってるはずです。これはもうずっと前に出されて、それでその自後修正がされていないので、私はその認識において間違いがないと思うんです。
まあこのことで議論しておってもしかたがないから次に進みますが、いまのこの三つの柱――平和主義という四つの柱、そうすると、一番最初にある国連中心主義という
考え方からするならば、あなたがこの前言われた「北の脅威がない」、そういうことになって、国連軍の存在というものは、これは国連の決議に基づいて、国連憲章の精神に基づいて国連軍があそこに配置されとるはずですよ。それを
日本が、
日本の
外務大臣がかってにそういうことについてのよしあしについて言及することが国連中心主義になるんですか、ならないんですか。私は少なくとも国連中心主義の範囲を逸脱しておると、こういうふうに思うんです。
第二番目、
日本協調というのが
日本の
外交の大きな柱である、二本目の柱であるとするならば、
アメリカの世界戦略に基づいて、
アメリカの国の方針に基づいて、そうして
韓国のいろんな情勢はあっても
韓国に協力をしておる、軍事的に、政治的に、文化的に、人事の面においても。そういうときに、
アメリカの方針が行き過ぎであるぞよ――というふうなことを言ったわけてはございませんが、とり方によっては
アメリカの
韓国に対する
やり方はこれは少し行き過ぎじゃないかというふうな判断もできるようなあなたの言辞というものは、私は
日米協調の線から少しこれも逸脱してるんじゃないかと思う。
もう一つ、三番目のアジアの国と仲よくしていくという観点からするならば、私はあなたのほうの
高島君のアジア局かも資料をもらったんですが、このアジア諸国における共産党の扱い、これは、共産党というものを合法化しておるのはこれは中国と北ベトナムとモンゴル。条件つきで合法化しておるのは大体まあバングラとスリランカとラオス。インドとカンボジアはこれはいまこういう法律では予防拘禁法及び国防法により規制をすると。それからまたカンボジアのほうは国内法上の政治結社の自由を認めてるが、事実上共産主義活動はないということ。これからするならば、これはやっぱりあなたのほうのアジア局の所管である二十幾つかの国の中でほとんどの国が――多くの国が非合法化されておる、共産党の活動というのは。だから、
日本がこの
北朝鮮という共産主義を国家の基本理念としておる、こういう国に対して、しかもまだ国交も開いていない国に対してあなたのような言辞をされるということに対しては、はなはだ快く思っていないと私は思うんです。これは私はかつて台湾問題があったときにASEAN五カ国に飛んで、そしていろいろ聞いてきた。ことにインドネシアのあのアリムルトボだとかウィットノだとか、そういう連中の
考えは非常にきつかった。タイにおいてもそうだった。そういうことを
考えてみますると、これまた第三のアジアの各国と協調
関係を結んでいくという立場からするならば、少し行き過ぎた発言じゃなかったか。平和主義というのがね、
大臣、これはやっぱり力の均衡をどこかが破ったときには、平和主義はこれは放てきされるんです、なくなっちゃうんですよ。いまその力の均衡というものを、
日本が何を好んで手を出さなけりゃいかぬのか、そうして破らなきゃいかぬのかというのが私
たちの認識なんです。この辺におけるあなたのこの基本的な
考え方、これをひとつぜひお聞かせ願いたいと思います。