○
黒柳明君 私はこの
決議案に
賛成する
立場で
意見を開陳したいと思います。
本
国会におきます
政府、
田中内閣と
与党・
自民党の
罪状を私は個条書きに述べましてそれで
皆さん方の奮起、また本
決議案に対する、ぜひとも
与野党ともに
賛成の
意思をあらわしていただきたいと、こう思う次第であります。
まあ、
罪状と申しましても幾多ありますので、私、この
罪状を述べ立てますと大体三時間ぐらいかかるんではなかろうかと、こう思いますが、ぜひともごしんぼういただければと、こう思います。
その前に、私述べたいことは、今回の第十回
参議院通常選挙が
保革逆転という大きなテーマをひっさげて、
内外の
注目を浴びながら
選挙戦が準備され、また進み、そしてそのさなかにおいても、
自民党を
中心にしましてのいわゆる
企業ぐるみ、
金権選挙、
自民党の
主要閣僚からもこれに対しては大きな
批判が出てきた。そして終わった結果が、これまた
異例な大量な
選挙違反という事実をもってまだこの結末すらついていない。そして
自民党の大敗北という、そういう、まあ
皆さん方にすれば、
与党・
自民党とすれば、予想もしなかった結果が出たわけであります。
こういう今回の
参議院通常選挙は全く
選挙前、そして
選挙期間、さらに
選挙後、そしていまに至るまで
異例ずくめの連続であります。このさなかに、またこの
異例な、わずか八日間という
国会の
会期があしたで終わろうとしているわけであります。
これに対しまして、私いま申しましたように
田中総理大臣、はたして
与党・
自民党の中の一部の
議員の突き上げにおたおたして
野党の
意見を聞けないのか。
議員総会でも、あるいは
選挙直後の七月九日の
記者会見では、非常に低
姿勢というか、あるいは謙虚な
姿勢で
記者会見いたしまして、
野党の
皆さん方と話し合って
国会運営をやっていきたいと。私は聞きながら、こいつ、またうそついているなと、こう思いましたが、まずすなおに私も信じたい
気持ちでいました。しかし、そのうそがみごとに
本音になって、八日間が
本音になってあらわれてきたことは私が申すまでもありません。
田中総理大臣は
与党に、そして一部の
与党の中の
自民党の
意見に突き上げられ、
野党の鋭い、そして
国民の鋭い
批判というものを受けて立つだけの力がなくなったのか。であるならば、昨日の
議員総会で、
皆さん方がやめろと言うならば、それでよければ私やめたいんだ、これもぜひ
本音として実行していただきたいと、こう思いますが、いかんせん御本尊がここにいないわけであります。あるいはその代理であるせめて
官房長官にでも、今回の
国会におけるこの異常な
会期の
決定のしかた等々につきましても
真意をただしたいと、こう思いましたが、その
官房長官すらも
給与関係の
閣僚会議に出て
——人事院勧告に対して検討しているかどうかわかりません。しかし、こんなこともなかろうかと思います。とんずらをきめたわけであります。ということで、すべて
国民に対してはあほうの行者のごとく口を結んで、そしてずるをきめている、こういう
国会であります。私はこの報いは必ずやこの次の
国会、ないしは
田中内閣自身にあらわれることは間違いない。それが
田中内閣、一昨年の七月誕生して一年十一カ月、今回の
参議院でこれだけ議席が減ったというみずからの
反省の材料があるにもかかわらず
反省しないということは、間違いなく、また第二撃の
国民の鋭い鉄槌がおのずから下されることは間違いないと、こう思う次第であります。
そこで私、まだまだ冒頭に申したいことがありますが、
罪状について私逐条あげていきまして、これについて
皆さん方の御判断を求めたいと、こう思います。
いまも
社会党の
委員から指摘されましたように、
臨時国会後の
所信表明が行なわれないというのは全く
異例な事実であります。七千五百万有権者がこれほど熱心に
国政に参加し、三年に一ぺんのこの
参議院の
選挙でありながら、その
国民の
意思を全く無視して踏みにじったこの
姿勢であります。
野党の、
所信表明を含めましての
実質審議というものに対こて全くこれを無視した、こういうことについてはこれは
異例な
事態であります。
第二は、
官房長官談話におきまして、明らかにこれは
行政の立法に対する介入であります。六月三日の先
国会におきまして
審議が尽くされている、だから今回は
審議をする必要はない、
会期は一週間程度にとどめる。いまだかつてそういう
会期の
決定につきまして
行政のほうが先行してこういう
官房長官が
談話を出すなんということはもうなかったわけであります。これこそ全く
田中総理大臣の独走、おれの言うことは正しいんだ、おれの
あとについてこいと、こういう全くファッショ的な傾向というものがこの
官房長官の
談話に出ていると、こう思う次第であります。これが第二点。
第三点は、三木、福田、
外務、大蔵という
主要閣僚が抜けたにもかかわらず、急速な
人事の補充でこれを糊塗した。そして
内外にわたる
物価問題、外交問題における大きな方針に対しても何らこれを示す余地もなかった。また示す考えもなくして
急速人事でこれを糊塗した。これについても全く
異例であります。しかも、この事実が、
自民党内部におきましても、
衆議院の
議運の
理事会で二人の造反が出たと、こういうことでも大きな、
与党・
自民党、
田中内閣、
政府に対しての
反省の材料を提起したんではなかろうかと、こう思います。これが第三点。
第四点は、
所信表明どころか、
実質審議もまず行なわれないで終わるんではなかろうかと、こういう雰囲気であります。本日、先ほ
ども社会党の
委員が指摘しましたように、
自民党の三
委員長が、あれほどきのう約束した
委員会の
公報掲載も行なわれておりません。こうなりますと、まずこういう
委員会が開かれるのか、あるいは明日までに何らかの
審議が行なわれるのか、全くこの可能性はないということでありまして、
所信表明どころか、
実質審議が全く行なわれないでこの
臨時国会は終了しようとしていると。これが四点。
第五点、
人事院の
勧告が二十六日に出された。これにつきまして絶えず
政府が繰り返してきたのは、
人事院勧告は尊重すると、
野党よりもと、こう言いながら、全く今回の
臨時国会におけるみずからの策として、この
人事院勧告を無視をした、こういうことであります。これはただに国家公務員の生活問題だけではありません。大きく
政府に対しての不信感というものを
国民の、そして
野党のわれわれの不信感をただつのらせるだけのものではなかろうかと、こう思います。この
人事院勧告無視という
態度は全く
異例であり、けしからぬことであると、こう思います。
さらに、
実質審議が行なわれないその結果として、第六点目は、六月一日の電気、そして私鉄、ガス、続々と上がるであろう生産者米価、消費者米価、これに対して公共料金を
中心とする
物価の値上げ、
物価問題、これに対して全くまた
審議もなされないで今
国会は終わり。
臨時国会が十一月ごろ開かれればそこで
人事院勧告も
物価問題もと、こういう
官房長官の
談話であります。これも全く不見識きわまりない事実であります。十一月の
事態ではありません、いまの問題であります、この
物価問題というのは。
さらに第七点、韓国問題を
中心としまして、日本の外交政策はどう転換をされていくのか、ソ連とのシベリア経済開発、経済
協力の問題、あるいはアメリカのニクソンのウオーターゲート事件の問題、わが国にどうこれが影響するのか等々、日本の外交はまた
田中内閣、
政府独走の外交体制でいくならば、間違いなくこれは先回の前
内閣と同じような失敗を繰り返すんではなかろうかと、こういう心配も私はするわけであります。この外交問題は結果が出て失敗したというわけにはいきません。いまから私たち
国民の、そして
野党の見識というものをよく含めて外交問題に対処しなければならない重大事件であります。ところが残念ながら、この外交政策においても
政府は全く
野党、
国民の
意見に対しては耳をふさいで独走態勢をとっております。大きな外交政策の失敗も起こすんではなかろうかと、こう思います。非常に憂えるべき時点であります。これが第七点。
第八点、
議長、副
議長の問題におきまして、これは言うまでもなく党内の
意見調節がつかない。私たち一日待たされて、そして深夜における
異例の
議長、副
議長の
決定、しかも副
議長が党籍離脱さえもすることができないと、こういうこれまた先回の
議長、副
議長選挙後、その後の
与野党の話し合いとは全く逆行した状態においてこの副
議長——申しわけありません
——党籍離脱しないという副
議長が現にいることはこれは事実であります。これ自体
田中内閣、そして
政府、
与党自民党が全くたががゆるんで、これから
内外にわたる政策をどう展開していくのか、私たちは全く不安でならない。こういうことも非常に異常であり、大きな罪の一つだと思います。そして先ほど申しました院の
構成、院の
構成国会であると言いながら、私たち
議運の
理事は二回招集され、何も
自民党の
参議院の役員
人事がきまっていないということで二回の
議運の
理事会は暑い中呼ばれて私たちはお預けを食ったわけであります。そして昨日、今度こそはきょうは
理事はきまると、
理事なんか院の
構成の重要な一環でありますと言いながら、まだ
理事がきまったんだか、きまんないんだか、しかも、
自民党の三
委員長の
委員会は
公報にも掲載できないと、こういう全くみずから院の
構成中心の
臨時国会と言いながらそれすらも行なわれていないという、これまたおかしな状態が続いております。
さらに本日のこの
異例な
委員会における採決等々まだこれ申しますと、また
河野議長からストップがかかる可能性があります。私は、さらにさらに
罪状をあげますと、これ、いっぱいあります。
ひとつ
与党の
皆さん方も、特にいまの
自民党田中内閣の
政治姿勢に対して
与党の内部から大きな反駁が、反論が起こっているわけであります。ぜひともこの
決議案に対して
皆さん方の良識ある
態度をもちまして、ここでひとつこの
田中内閣の
選挙前、
選挙中、
選挙後今日に至るまでの非常にファッショ的な、独裁的なこの
姿勢というものを、できれば
野党のみならず、
与党の心ある
皆さん方と力を合わせて、ここで大きな
国民の見識、良識というものをこの
委員会の採決という行為をもって示していただきたいと、こうお願い申しまして、短い
意見でありますが、私終わらせていただきたいと思います。