運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-09-11 第73回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十一日(水曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員異動  九月四日     辞任         補欠選任      岩男 頴一君     前田佳都男君  九月九日     辞任         補欠選任      中村 利次君     木島 則夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中尾 辰義君     理 事                 中山 太郎君                 塩出 啓典君                 小巻 敏雄君     委 員                 鍋島 直紹君                 船田  譲君                茜ケ久保重光君                 小野  明君                 杉山善太郎君                 浜本 万三君                 加藤  進君                 木島 則夫君    国務大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    説明員        内閣官房長官  大村 襄治君        原子力委員会委        員        山田太三郎君        科学技術庁原子        力局長      生田 豊朗君        科学技術庁原子        力局次長     福永  博君        科学技術庁原子        力局原子炉規制        課長       中村 守孝君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   高橋  宏君        運輸省船舶局長  内田  守君        運輸省船員局長  山上 孝史君        海上保安庁警備        救難監      船谷 近夫君    参考人        日本原子力船開        発事業団理事長  佐々木周一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力船むつ」の放射線漏れ等に関する  件)     —————————————
  2. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る九月九日、中村利次君が委員辞任され、その補欠として木島則夫君が選任されました。     —————————————
  3. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本原子力船開発事業団理事長佐々木周一君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、原子力船むつ」に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 中山太郎

    中山太郎君 この今回試運転を行なった原子力船むつ」に関して、まず科学技術庁長官にお伺いをしたいのでありますが、原子力船むつ」の出港から試運転の中で放射能漏洩が起こったという事件がありますけれども、この「むつ」の出港に関してわれわれ新聞報道等を通じて、ずいぶん地元住民との間に出港をめぐって紛争があった。しかし、あえて出港を行なったという中で、まず最初にお伺いをしておきたいことは、地方地域住民と国の間に原子力船開発について十分な意見の交換が行なわれておったかどうか、相当な反対があった、私どもはいろいろなことが行なわれるときには必ず反対運動というものが起こる。これば考え方の相違というものがあって、いろいろと起こってくるというケースが多いのでありますけれども、事この原子炉を積んだ、原子力という問題については、イデオロギーをこえてやはり安全性確保をめぐってのいろいろな論争がその対立の原因になっている。そういう中で、国としては、科学技術庁としては十分地元の了解を得るようにやってこられたかどうか、そういうふうな経過について一応大臣からもお答えを願いたいと思います。
  7. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) このたびの「むつ」の出港につきましては、私が昨年十一月着任前からいろいろな経過があったようでございます。ごく大筋を申し上げますと、昭和四十二年むつ定係港にいたします当時におきましては、ぜひひとつ原子力船第一船だけではなく第二船、第三船と引き続きやってもらいたい、あまり不義理なことをしてくれるなというような話があったようでございます。そういうような地元の要望に基づいて、定係港の設置がきまったわけでございますが、それから五年たちまして、昭和四十七年、この段階においては船もでき、それに原子炉も据えつけ、燃料も装てんをいたしまして、いざ出ようという段階に入りましてから地元から異論が出てきたとのことであります。それまで、四十二年から四十七年までの五年間の間にどういう変化があったかということについて、私はつまびらかにはいたしませんが、いずれにいたしましても全く正反対動きになったわけでございます。そこで、四十七年以来、せっかく船もでき上がったことでございますから、これ動かさなければならぬということで、歴代の科学技術庁長官及び科学技術庁関係者は、そのために役所立場から、また当面の衝に当たる原子力船事業団もこのことについて出港方をいろいろ努力をしてまいったようでございます。しかし、なかなからちがあきませんで、私が大臣に着任いたしました段階におきましては、ともかく出力上昇試験をやるのは、岸壁でやらないで太平洋の沖、尻屋崎八百キロの洋上でやるのだということにもうきまっておったようでございます。それまでに、最初岸壁じゃなくて、湾内だと、その次には日本海だと、その次は日本海のほうはどうも日本海の沿岸の人たちの御意見があるというので、太平洋だということで、太平洋尻屋崎沖八百キロというところでやることにきまっておった。でありますから、本来ならば放射能も、放射線も、心配全くないわけであります。出力上昇試験洋上でやるわけでございます。ちなみに各国の原子力船の前例によりますと、二〇%出力ぐらいまでは岸壁でやるというのでありますが、今回はそういう経過等もございまして、歴史始まって以来の初めての洋上試験、まあ洋上試験といえば名前はいいのでありますが、実はその間推進機関をとめなければなりませんから、いわば漂流試験でございまして、そばにタグボートをつけて漂流しながら試験をやるというようなことで、実ば私どもも話を聞いて、これで安全上の心配がないのかなという心配もしたくらいでございました。が、とにかくそういう試験出力上昇試験をやるのだということで、それならばもうすっと出してくれるのかと思ったら、いやまだ出せぬと、こうおっしゃるわけでございまして、そればどういうことかと、安全性の問題は心配しようにも心配する種がないのですから、岸壁でやらないのでございまして、洋上でやるのですから、いやこの際ということで議論がなりましたことは、いわば開発利益地元還元ともいうべきもの、すなわち地元対策といたしまして、懸案バイパスをつくるということ、それから有線放送を置くということ、それから体育館を、これば原子力船事業団体育館を町うちにつくりましてひとつ共用してやろうというようなこと、それに漁業のことでホタテガイのことが心配だから、その意味で漁業組合に、三年がかりで一億五千万円補助金を出そうとか、あるいは魚価がうわさだけでも上がったり落ちたりなんかしてもいかぬからということで、これは私はいろいろ問題があると思いますが、まあ一億円、魚価安定の買い上げ資金として貸し付けをするといいますか、預託をするというような手を講じまして、そうしてこれらの問題は、地方では非常に懸案事項でございましたので、私はこの話の最終的にまとまります際に、ちょうど青森県の副知事が来ておりましたから、これだけの地元懸案事項がまとまったのだから、こればしかも内容的には、知事さんも市長さんもいずれも銅像が立っていいくらいの、ひとつ地元懸案処理であるから、すぐそば科学技術庁長官の小さい石の地蔵さんでもつくってくれというようなことを私は言うくらいの地元対策を講じまして、それでどうだろうということになったわけです。ところが漁業組合関係につきましては、二十九組合中二十五組合はこの際出港に賛成するということでございましたが、四組合がどうしても話を聞いてもらえなかったわけであります。その問いろいろ紆余曲折はございますが、当初七月の終わりごろ出港しようというめどでございましたが、これを八月の十七日に、さらに二十三日に、最終的には二十五日に延びて出港が行なわれたわけでございます。そこで二十九組合のうち二十五組合出港に賛成した。四組合反対したということでございまするが、この段階においてやむを得ないということで、知事さんのほうから青信号が上がりましたから、私どものほうは出港に踏み切ると。四組合の問題につきましても、海上保安庁から入りました情報では、出港阻止はやらないという情報であったそうであります。私はこの種のいろいろな動きを見ておりまして、そうすらっといくというふうには、甘くは考えておりませんでしたが、ともかくそういう情報もございましたから、これで出港したらよかろうというので出港に踏み切ったというのが今回の経過でございまして、地元対策といたしましては、もうできる限りのことを私は尽くしたというふうに考えております。  それが私のいまの御質問に対するお答えであります。
  8. 中山太郎

    中山太郎君 従来日本政治の中で、冷静に理解するべき科学技術の問題について、いわゆる科学技術発展というものと無関係に、その発展の目的を達成するための手段として地元にいろいろと便宜を与えてきた。しかし、そういうやり方については、私はこういう結果が出てくれば、いわゆるそういうことではなかなかこれからも片づくものではなかろうと。やはりもっと学問的にわかりやすく国民理解を得るという姿勢が必要なんではなかろうか。いまお話を承っておって、バイパス体育館漁業補償といろいろされ、地元住民、漁民のために配慮をされたことについては深く敬意を払いますけれども、今後のこういうふうな原子力関係のいわゆる推進について、従来のような考え方ではたしていいのかどうかということについても、後刻最終的に御答弁をいただきたいと思いますが、いま大臣の御答弁の中で出港について地元知事青信号を出したという御発言があったわけでありますが、私どもはああいうふうな台風が来た、その時点反対漁船の行動が不可能になる、こういう中で出港に踏み切ったんではなかろうかという国民考え方があったんですが、地元知事から出港してもよかろうという青信号が出たというふうにいま理解をしたんですが、それで間違いないのですか。
  9. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) そのとおりでございます。
  10. 中山太郎

    中山太郎君 わかりました。  それでは次に、放射線漏れの概要と措置についてお伺いをいたしたいと思います。今回実験がうまくいっておればこれはもう問題がなかった。しかし、不幸にして試運転の中で放射能漏洩があったと、こういうふうに言われておりますが、そういうふうな、いわゆるどの程度放射能漏洩があったのか、あるいは今回の事態についてその後の措置等経過についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  11. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 放射線漏れの通報は、不幸にしておよそ二十時間後に私どもの耳に達しました。それは二日の私のところでは午後一時ごろでございまして、科学技術庁は十時から十一時ぐらいの間であったようでございます。が、いずれにいたしましても前日の五時過ぎに原子炉の上部から放射線漏れが発見されました。それは一・四%出力段階で一時間〇・二ミリレントゲン放射線が出る状況警報装置によってその情報を得たようでございます。〇・二ミリレントゲンというのは、専門家の方々はすぐぴんとくるわけでございますが、私のような専門家じゃない者からどのぐらいの量かというのを聞きただしましたところ、大体この炉の上に一日八時間ずつぐらいすわって仕事をして、そして一年間その上で仕事をして受ける放射線量は、胃のレントゲン一回分ぐらいだそうであります。でございますから、これは中山先生お医者さんでございますからよく御存じでございましょうが、たいした量ではございません。もちろん、放射線漏れで、電気の光線漏れみたいなものでございまして、放射能が表に飛び出しているという、いわゆる放射性物質が表に出るというような、そういう問題ではございません。放射線漏れで、しかも現在の段階におきましてはきわめて軽微なものでございますが、私は従来の経過、先ほど来お話しのいわゆる安全性問題等を考えまして、こういう問題は重要視して取り扱わなきゃならないというふうに考えましたから、その情報が入りましてから直ちに原子力船むつ」は現地点において追って別命あるまで動いてはならぬ。そして、よく実情を調べるように、こちらからも調査団を送るということを知らせました。  日程で申し上げますと、一日の夕方にそういうことが起きまして、二日の日の昼ごろ私どものところに耳に入りました。もちろん、役所のほうで動き出したわけでございますが、三日の日に運輸省科学技術庁の両者の合同委員会が開かれました。そして、四日の翌日の昼には、現地にとにかく船を出すということが十二時の段階で、四日の昼には船を出せるというような態勢ができましたが、まあ出す以上は人をそろえなければなりませんし、それから修理の機材——機械及び材料が関係がございますから、それらを手当てをいたしましたので、その機会にまあ牛肉を二十キロだとか、あるいは果物あるいはたばこ等のものも添えて現地に送ったわけでございます。何しろ尻屋崎から八百キロといいますが、東京から千二百キロございまするものですから、「いず」という海上保安庁の船も現地に着くのに丸二日かかるわけでございまして、結局五日に出まして七日に向こうに着きました。そして八日から調査を始めておるのであります。  これの調査団は、原子力研究所から遮蔽の専門家一名、それから三菱原子力工業からこれらに関係した職員四名、それから船の関係で石川島播麿重工から二名、計七名の者が行って、現地において鋭意調査を進めておるところでございます。そこで、その調査を八日から九日、十日、十一日、きょうまで続けましたのでありますが、本日十三時、この船の引き船で「ヘラクレス」というのがございますが、この「ヘラクレス」号が調査団七名を乗せて釧路港に向かっております。そして、調査団は十三日帰京の予定であります。これはい。ま入りましたニュースでございますから、新聞記者の方もお聞きでございますから、ここでこの機会に全部の発表をさせていただきたいと思います。そういう状況で、私どもといたしましては一日の晩にそういう事態が起きましてからできるだけ早く実情調査をやりたいということで、もういま毎日毎日一つずつことを進めて、ようやく十三日の日に団のほうから説明を聴取するというふうな段階でございますし、ここで両省間のかねてからできております会合のほかに、専門家グループ会合も用意をいたしまして、十分この問題に検討を加えまして措置をいたしたいというふうに考えております。これが経過でございまして御報告申し上げます。
  12. 中山太郎

    中山太郎君 いろいろ御苦労いただいていることに対してはあらためて敬意を表しますが、問題は、いま大臣の御説明があった出力一・四で〇・二ミリレントゲン漏れがあった、これはいわゆるもっと出力を上げておったらどうなっておるか。私どもが聞き及ぶところによると、出力の一・四という時点ですでに放射線漏れがあったということに技術的な大きな問題があるんじゃないか。これは大臣専門家でいらっしゃいませんので、どうぞひとつ専門家から——どなたか来ていらっしゃいますか。原子力委員来ていらっしゃいますか。——原子力委員のほうがいいですね、この問題は。どうですか、専門的に。
  13. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 初めに私がお答えいたします。
  14. 中山太郎

    中山太郎君 それでは局長にお尋ねしますが、当初の見込みと実際試運転をやってみての大きな当初の考え方との誤差、それはどこにあったかというと、私は、上この出力一・四で〇・二ミリレントゲン漏れがあった、ここに大きな技術的な問題点の本質がある。それについてまずどういうふうなお考えか、私の申し上げていることが正しいのかどうか、その点はっきりお答え願いたい。
  15. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、今回行なっておりますのは出力上昇試験と申しますか、いわば原子炉が設計製作されまして実際に稼働するための試験あるいは実験段階でございますので、試験あるいは実験の過程で何がしかのこの種の問題ば全く起こらないということのほうがむしろまれでございまして、多少の問題は起こると考えるほうが常識的だろうと思っておりましたわけでございますが、ただいまの先生の御指摘のとおり、一番最初の、しかも出力一・四%という段階でこれだけの放射線漏れが出ましたということは、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、そのとき漏れました放射線そのものは微弱ではございますけれども、たいへん低い出力段階でそれが漏れたということを私どもはたいへん重要視しております。その点先生の御指摘のとおりだと思います。
  16. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 杉山君。
  17. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 官房長官都合でありますので、非常にスタイルとしてはまずいのでありますけれども、一応理事会でそういうことをきめましたので、ずばりで質問申し上げますけれども政府原子力開発並びに原子力行政あり方について国民合意納得を得ておるというそういう現状認識の上に立って原子力行政推進しておられるかどうか、そういったような基本的な問題について政府見解をずばりとお伺いしたいと思います。  私ども往復ワク組みでわずかの時間しか立っておられませんし、いま自民党の中山先生質問の中で、あなたの御都合で非常に見ばが悪いのでありますけれども、ずばり言って、政府原子力開発並びに原子力行政あり方について国民合意納得を得ておる、そういう認識の上に立って原子力行政推進しておられるかどうか。同様なことは私の質問の本番に入ったときに、森山科学技術庁長官に十分、食い下がるという形式でなくて、ひとつコクのあるということになりますが、いまの時点ではひとつ官房長官代理というような風格で大村官房長官から所信と御見解を伺っておきたい、こう思うのです。  で、念のために申し上げておきますけれども原子力開発ということについては、日本列島全域において非常に原子力開発建設等に関するいろいろな問題があります。そして、燃料処理工場の問題についても将来やはり問題になることが予測されます。当面においては、原子力船むつ」がいま非常な政治課題になり、あるいは一つの当面の大きな脚光を浴びておるというものを意識して、総称して、ひとつそういう認識の上に立って、往復でありますので簡明直截でいいのでありまするからお答えいただきたい、こう思うのです。
  18. 大村襄治

    説明員大村襄治君) お答えいたします。  国民生活に不可欠なエネルギー長期的安定的確保のため、原子力発電の強力な推進等原子力平和利用を進めることは現在における重要な国民的課題であると考えております。  政府といたしましては、原子力平和利用推進にあたり原子炉等規制法施行等を厳正に行なうことによりまして、かねてから安全の確保には万全を期しているところであります。他産業には見られないきびしい想定事故を考えて、それに対しても安全防護施設の動作により安全が確保できるようにいたしておるのでございます。  このように、原子力開発に伴う安全性確保につきましては、でき得る限りの努力を尽くしてきたところでありますが、政府といたしましては、さらに安全性を向上させるため、原子力施設安全研究の強化を初め、安全審査検査体制の充実になお一そうの努力を払ってまいる所存でございます。  また、原子力平和利用推進必要性及び原子力施設安全性につきまして、地域住民はもちろん、広く国民による理解を得つつ原子力開発を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  19. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 おことばでありますが、国民合意信頼を胸を張って政府確保しておると言う自信を持っておられますかどうか。  それに関連をして、具体的な問題として、これは時間がありませんからこれも簡単でいいですが、九月二日の時点で当時官房長官は国外へお出かけでありまして、小坂官房長官代理科学技術庁福永原子力局次長ですか、お呼びになって、海上でさまよい歩いておる原子力船むつ」の情報がおそいじゃないかというような問題がありまして、その翌日、九月三日に閣議が開かれておりますね。長官にはあとでお伺いしますけれども田中首相は帰港までに原因解明を急いで万全の対策を講じてほしいということを言っておられますので、当時官房長官は不在でありますので小坂官房長官代理がやはり事重大として代理をつとめておるわけでありますので、実は私は、きょうの私の認識によれば、官房長官代理として大村長官に来ていただいておりますので、伺っておきたいのは、いま官房長官がおっしゃっておりまするけれども、結局、国民信頼納得を十分受けてないところに——おっしゃいますけれども、たとえば柏崎・刈羽の原発にしても、福島にしても、美浜のそういう地域においても、いろいろな問題が起きて、決して地域住民信頼納得確保しておるということには、客観的にも、主体的にもなっていないじゃないかというふうに私は思いますので、この点について見解所信をお伺いいたします。非常に見ばは悪いんでありますけれども、まあ往復をやっておると切りがありませんので、そういう点の真意を私は国民の代表として聞きたいことを聞こうと、こういう立場でありまするから、そういう点をかみ合わせてひとつ簡明直截にお答えをいただきたい、こう思います。
  20. 大村襄治

    説明員大村襄治君) 原子力安全確保につきましては、先ほども申し上げましたとおり、政府といたしましては最善を尽くしているところでございまして、国民の大部分の支持と理解を得ているものと信じております。
  21. 中山太郎

    中山太郎君 先ほどの質問をさらに継続をさしてもらいますが、私が指摘したとおり、出力一・四で〇・二ミリレントゲン漏れがあったということは重大な問題だ、こういうふうな認識が一致したわけであります。そのことをかまえて、大体当初の予測では少々の漏洩はあるだろう、しかしどの程度出力でどの程度漏れがあるのか、そういうふうな見通しを持っておったのかどうか。その点をお持ちだったと思います。現在この時点でこれだけの漏れがあったということは予想外だとおっしゃった以上はどの程度漏れがあるだろうという予想をしておられたのか、それをお答えいただきたい。
  22. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 先生御承知のとおり、これは全く放射線漏れないということはないわけでございます。それが一定の許容値の中におさまっているかどうかということが問題だと考えておりますが、当初の設計と申しますか、予想しておりました水準でございますが、一〇〇%の出力に達しました段階で〇・一ミリレントゲンバーアワー、そこをアラームレベルに設定いたしまして、それをこえた場合にアラームが鳴るというふうにセットしてございます。
  23. 中山太郎

    中山太郎君 それでは一〇〇%で〇・一ですから、一・四で〇・二ということはもう当初の予想と全く相反して、この原子炉の構造設計等についてもう基本的に間違っておった、どっかで大きな事故がある、欠陥があるというふうに理解せざるを得ませんね。もし一・四で〇・二出たということがおかしいと、当初の予測では一〇〇%の出力で〇・一の漏洩はいたしかたがない、少々の漏洩ばあるだろうという見通しであったといういま御答弁ですが、この点の大きな開きについて、一体それじゃどこに原因があるのか、そこをひとつお答えを願いたい。
  24. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 先ほど大臣の御答弁にもありましたように、調査団専門家が検討中でございますが、現在まで私どもが得ております感触といたしましては、ただいま先生がおっしゃいましたような原子炉の構造あるいは設計に基本的な欠陥があるのではないかという感じはあまり強く持っておりません。  一応理論的に考えられます原因でございますが、なぜ予想を上回った多量の放射線が出てきたかということでございますが、三つ一応仮説でございますが、考えられると思います。一つはいわゆる二次遮蔽、格納容器の外側の遮蔽の効果に何か問題があったのではないか。それから第二は一次遮蔽、つまり圧力容器の外側、格納容器の内側で、圧力容器の外側の部分に一次遮蔽を施してございますが、その一次遮蔽に何らかの問題があるのではないか、三番目が先生の御指摘になりました炉心も含めまして原子炉の構造設計全般に問題があるのではないかというその三つでございます。  調査団はその三つの仮説のうちのどれが当たっているかということで調査を進めている段階でございますが、私どももその調査の結論を待たずに軽卒な結論を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますが、一応の感触といたしましては、初めに申し上げましたように、原子炉全体の設計あるいは炉心に問題があるということはほとんど考えられないというように思っております。問題は二次遮蔽か一次遮蔽か、そこにおそらく初歩的と申しますか、ごく部分的な何か問題があったために放射線予想以上にたくさん出たということではなかろうかと、かように考えております。
  25. 中山太郎

    中山太郎君 いまの御答弁でだいぶはっきりしてきたわけですね。炉心本体に大きな事故がなかろうということ、それから遮蔽に問題があったろうと。その遮蔽の効果の試験についてお尋ねをしたいんですが、放射線漏れのチェックというのをはたして陸上試験で実施されたのか。これはされなかったわけですね、どうでしょうか、その点。
  26. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 遮蔽につきましては、この原子炉をそのまま陸上で一応動かしてみまして、その遮蔽の効果があったかどうかというテストはいたしておりません。したがいまして、一体となりまして完成いたしました原子炉を動かしますのは今回が初めてでございますが、この遮蔽につきましては、原子力研究所におきまして、船舶技術研究所と共同いたしまして、遮蔽材あるいは遮蔽の方法等につきましてかなり慎重な試験を行なっております。
  27. 中山太郎

    中山太郎君 それじゃ陸上試験は遮蔽に関してはおやりになったというふうに理解してよろしゅうございますね。
  28. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 遮蔽そのものについてはやっていると御理解いただいてけっこうでございます。ただし、原子炉全体が組み立てられました場合に、その設計どおりの、何と申しますか、遮蔽効果が十分あらわれているかどうかということにつきましては、これは、原子炉を動かしてみる以外に方法がないわけでございます。それが今回の実験でございまして、残念ながら、その予想以上の放射線漏れがあったということでございますので、従来の実験の結果、それから全体の設計それから工事ないし施工、その辺のところの相互関係を追及することが原因の究明の一番のポイントであろうかというふうに考えております。
  29. 中山太郎

    中山太郎君 これは、今回のこともあるから念のために伺っておきたいんですが、こういうふうに実際組み立ててみて、洋上実験をやらないとしようがないという事態になっているんですが、今後、陸上での試験をやることを考えられる余地があるのかないのか、その点伺っておきます。
  30. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) この「むつ」を建造いたします当初にも、まず、原子炉だけを陸上で試験をやってみて、それで試験の終わった原子炉を載せればいいではないかという議論も、もう十年ほど前でございますがあったように聞いております。今回も、あるいはその調査の結論によりまして非常に根本的な問題があるというような場合にはそういうことも検討いたさなければならないかと思っておりますが、その辺の結論につきましては、調査団の結論、それから、専門家の小委員会を設けてございますので、その専門家の小委員会での検討の結果に待ちたいと考えております。
  31. 中山太郎

    中山太郎君 その遮蔽を許認可する時点科学技術庁は十分なチェックをしたかどうか、それを科学技術庁運輸省からお伺いいたしたいと思います。
  32. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 科学技術庁及び原子力委員会の守備範囲でございますが、これはいわゆる安全審査でございまして、原子炉の設置許可が提出されましたとき、これは内閣総理大臣から原子力委員長に諮問がございまして、原子力委員会といたしましては安全専門審査会を開きまして安全審査をいたします。これは基本設計につきまして審査するわけでございますので、この遮蔽の問題につきましても、実際に具体的にどういう遮蔽をするかということは、この安全審査の基本設計の段階では具体的に決定し審査するわけではございません。むしろ、こういうものを使ってこの程度放射線量を押えるような遮蔽をすべきであるということを結論として安全専門審査会が原子力委員会に答申をするということでございまして、この安全専門審査会の報告によりまして原子力委員会原子炉の設置許可についての答申をし、内閣総理大臣が許可をするということでございます。以下はその詳細設計ないし工事の問題でございまして、この基本設計につきましての安全審査の結論がそのまま生かせるようにその詳細設計あるいは工事が進められるということであろうかと考えております。
  33. 中山太郎

    中山太郎君 いままでの説明を聞いていますと、安全審査上の問題よりも認可後の工事の問題じゃなかろうかというふうに私は理解をしているわけです。この工事認可の段階安全審査上の基本的な点が実際に盛り込まれているかどうか、チェックすべき点があり、その体制がなければ今回のような事故がまた起こってくる可能性がある。こういう点について、安全審査を「むつ」についてやり直すべきではないかというふうに考えますが、この点、ひとつ、大臣からお答えを願いたいと思います。
  34. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 先ほど原子力局長から現在の段階で考えられる場合が三通りぐらいあるという説がありました。あるいはそうであるかもしれませんが、また、その、何と言いますか、カテゴリーに入らないような事態もあるかもしれません。実を言うと、いまのところ、一・四%で〇・二ミリレントゲン放射線が出たというこの事実以外に、それ以上にこの現在の事態がどういう事態なのであるか、なぜ起きたか、また、どういう対策を講ずべきかということについて、今日までの段階——先ほど来申し上げますように、私どもが耳にいたしましてから考え得る最も速いスピードで調査を進めておるわけでございますが、まだ、現在の段階において内容をつまびらかにしておりませんので、いまお話しのようなことにつきましても、事情を調査いたしました結果対処してまいりたいというふうに考えております。その場合、事態実情いかんによりましては相当思い切ったこともやらにゃならぬと思っておりますが、いまどういうことをやったらいいかということについて私から意見を具体的に表明することはお許しを願いたいと思います。
  35. 中山太郎

    中山太郎君 それじゃ、強行出港のことについてお伺いしたいと思うのです。この「むつ」の出港安全性について地元納得のいく説明がなかったということ、しかも事業団は遮蔽についてごまかしの説明図を載せて平気でやっていた。これは重大な私はミスだと思うのです。地元安全性について不安に思うのもしかたがないのではないか。これはどうでしょうか。簡単にお答えを願いたい。
  36. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 事業団の発行いたしました原子力船むつ」の安全性についてのパンフレットでございますが、これはただいまの御指摘のように実際の設計図と違う絵がかかれております。特に問題の原子炉格納容器の一番上のちょうどその頂点の部分でございますが、そこまでポリエチレンの遮蔽材でおおわれているというような絵がかいてございまして、これで安全だという説明になっていたにもかかわらず、その絵が間違っておりまして、実際の設計図、それから実際の原子炉そのものは格納容器の上部の回りのところは鉛とポリエチレンでおおわれておりますけれども、一番まん中の部分はポリエチレンがございませんで、鉛だけでございます。それで昨日も衆議院の科学技術特別委員会におきまして、その点いろいろ御叱責を受けたわけでございまして、これは実際の設計図と違う、まあ見取り図と申しますか。それを安全性のパンフレットにかきました事業団の重大な手落ちであろうと考えておりまして、事業団にもその点なぜそういうことを、間違いを起こしたのかという点を厳重に究明するように指示してございます。  それから第二点の、出港に際して地元住民の方に安全性についての説明が足りなかったのではないかという御指摘でございますが、これは先ほど大臣の御答弁にもありましたように、昭和四十七年の九月にいつでも出力上昇試験を開始できる状態になったわけでございまして、地元反対その他がございまして、約二年間出力試験の実施を行なうことができなかったわけでございますが、その間にもっとその安全性についての説明を、極端に申しますと、地元住民の家を一軒一軒歩いてでも説明して納得していただくというような努力をもっとすべきであった。その点につきましても努力が足りなかったということは反省しております。
  37. 中山太郎

    中山太郎君 時間がないので、これから質問することをひとつ簡単にお答え願いたいと思うのですが、事業団、来られてますか——。  事業団にお尋ねをしたいのですが、いま原子力局長からもお話がありましたけれども、そのパンフレットにいわゆるそのとおりの解説の平面図がなかったということについて事業団としてはどのような考え方をお持ちなんですか。
  38. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 間違ったパンフレットを出しましたことにつきましては、非常に遺憾に存じております。至急訂正するようにするつもりでございます。
  39. 中山太郎

    中山太郎君 私は、訂正して済む問題ではないと思います、はっきり申し上げて。それはいやしくも日本の大きな国費を投じて、そして日本の大きな国家の政策の一つとして開発している原子力船のいわゆる第一号船に当たっている。まあそういうふうな無責任ないわゆるパンフレットをつくって出しておったということについては、私はこれはなかなか重大な問題が含まれている。まあ、訂正をして済むという問題でなしに、もっと基本的な姿勢がやはり当然あるべきではないか。少なくとも科学技術というものについてはやはりだれが見ても納得のできるものが解説されなければ、だんだんだんだん教育水準が上がってきた国民は、政府のやっていることについて非常な不信を持つ、現在不信を持っているわけでありますから、そういう点についてひとつ基本的な考え方をこの際明らかにしていただきたい。
  40. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 御承知のように、原子炉の設計図はまことに複雑で、一般の人には理解しにくい面もございまするので、その概念図を皆さんにわかるようにかいたものでございまして、中には漫画も入れると、こういうような状態でございますか、実際の皆さんに、——専門家あるいは官庁なんかにお配りしておりまするパンフレットは非常に正確なものをかいておるのでございますが、しかし先ほど御指示がございましたように、一般のものでもそういう誤解を得てはなりませんので、十分今後は注意いたしたい、かように考えております。
  41. 中山太郎

    中山太郎君 もう一つこれはお伺いをしておかなければならないのは、地元の漁民に対する問題です。それで私ども、まあ一応科学技術にしろうと的でも相当理解を持っている人間としては、海洋汚染というものは、今回の問題ではなかったというふうに理解をしておりますけれども、一応正式に、委員会の場で科学技術庁長官からその点について明確に御答弁をしておいていただきたいと思います。
  42. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 先ほども説明いたしましたとおり、原子力船むつ」は、通常推進機関とそれから原子力推進機関と二つあるわけでございまして、私が着任する前の段階で、すでに原子力推進についての出力上昇試験岸壁で行なわないで、通常機関をもって、結論的には青森県尻屋崎八百キロの太平洋上においてやるということになっておりましたから、したがって放射能並びに放射線が陸奥湾内において出る余地は私は全くなかったと、こういうふうに考えております。
  43. 中山太郎

    中山太郎君 それから次の問題は、乗組員の人たちの問題ですが、乗組員の中に女性がいるというふうにテレビで拝見したのです。この女性を含めて乗員が相当疲れている。こういう人たちの問題についてどういうふうな処置をとろうとお考えか、それをひとつお答え願いたいと思います。
  44. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 本船の第一回の出力上昇試験の予定は十四日まででございます。十四日に、順調にまいりました場合にはむつに帰港する予定でございましたので、まだ現在の段階で予定の期間をはるかに過ぎているということではございません。先般調査団を派遣いたしました際、原子力局の職員を二名本船に派遣いたしまして、その辺の状況も十分調査させてまいったわけでございますが、乗組員は女性も含めまして、現在のところはまだ元気であるという報告を受けております。ただ技術者の方あるいは検査官その他船になれない人には若干疲れが見られるということでございますが、今後の計画をもにらみ合わせまして御指摘の点は十分配慮してまいりたいと考えております。
  45. 中山太郎

    中山太郎君 まあ問題は、これから帰港についてどういうふうな対策をとられるかということに出てくるだろうと思います。まあいろいろと洋上の検査をやっておられる。そういうふうな洋上での一応修理と申しますか、修復と申すか、そういうことを終わって帰港するのに、どういうふうな方針を政府はお持ちか、それをひとつ御答弁願いたい。
  46. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 現在のところでは洋上原因の究明を徹底的に行ない、その結果に応じまして修理の資材もある程度運んでございますので、洋上で修理をいたしまして、放射線漏れが一切ないということを確認いたしまして、その点を青森県及びその地元に通報いたしまして、その了解を得た上でなるべく円満に帰港いたしたいと考えております。
  47. 中山太郎

    中山太郎君 出港する際に相当な抵抗があったのを踏み切って出ているわけです。そうして安全だといって出て行った。しかしそれは事故が起こった。これは安全で、まあ終始うまく実験が終わって帰ってくる場合には、これは私はあらためて地元にそういうふうな説明をして帰られることは、これは問題はないと思うんです。しかし、今回のようにミスがあった場合に、はたして強行出港したあとに強行入港はできないだろう。こういう点についてまあ地元の了解をいただいてとおっしゃいますけれども、具体的にそれがとれるという自信をお持ちですか。
  48. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 完全に自信があるかどうかというお尋ねに対しましては、完全に自信があるともお答えできかねるわけでございますが、とにかく全力を尽くしまして、青森県知事はじめ地元の方の御了解を得るように努力いたしたいと考えております。
  49. 中山太郎

    中山太郎君 もし入港できなかった場合に、代替入港地というのを考えておられますか。
  50. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) たいへん重要なお話だと思いますが、先ほど来申し上げましたように、調査の結果がごく近い時期にまいります。原子力局長が言うように三つの場合になるのか、それ以外の場合に当たるのか、現在の段階においては何人といえども想像ができないような状況でございます。新聞紙上にもいろいろ報道はせられますけれども、いずれも断片的な情報でございまして、したがって、私どもは総合的にこういう結果を見まして、かつ先ほど来の経過を考えまして、原子力局長の回答にありましたように、非常に苦渋に満ちた今後の処理に相なろうかと思っております。  そういう点を踏まえまして、今後の方向を考えてまいりたいと思いますが、現在の段階でまだいかなる方向をとるか——もちろんいかなる事態がありましても、青森県知事並びにむつ市長に対しては一度は御相談をしなければならないことは申すまでもございません。また、その結果いかんにかかわらず、当方としても措置をしなければならないような事態が出てくるかもしれません。まあ、いずれにいたしましても、容易ではございませんけれども、全力を尽くしてこの事態の解決に尽くすということを現在の段階においては申し上げるほかないと思っております。
  51. 中山太郎

    中山太郎君 御答弁、非常に重要な問題があると思うのです。私も、大臣としてそれ以上なかなか突っ込んだお話はしにくかろうと思いますけれども、私ども国民サイドから見て、知事の了解、市長の了解が得られて、はたしてそのまま入港ができるのかどうか、ここいらにも大きないわゆる行政処置だけの問題ではまたいきかねる問題があろう。  そういうことを考えてくると、その船をむつに入港させることはできなかった、できないという条件になった場合の問題も、当然政府としてはお考えになっておられるだろう、また考えておかなければならない。そういう点について放射線漏洩は全然ないということだけで、なかなか簡単に事は済むまいと、私は現状から見てそのように認識をしておるんですが、こういう点について、運輸省としては船舶の管理上どういうふうにお考えか、その点ひとつ船舶局長からお答えを願いたい。
  52. 内田守

    説明員(内田守君) 「むつ」そのものにつきましては、いま森山大臣から御答弁ありましたように、現在どの程度の修繕なり、あるいは対策を要するかということがまだわかりませんので、それに対応して「むつ」につきましてはどういうふうに、たとえば洋上でできるか、あるいは係留でできるかというような問題もございますので、従来から科学技術庁と十分連絡をとって、緊密に連絡をとっていろいろ相談をしているという状況でございます。
  53. 中山太郎

    中山太郎君 運輸省としても、一隻の船舶の入港が不可能になるという事態になったときに、運輸省としては、その船舶をどこに入港させるかということについては、当面やはり責任者の責任の一端をかついでおられると思うのですが、そういう場合にはどういうふうに考えるのでしょうか。
  54. 内田守

    説明員(内田守君) 基本的な考え方、いろいろあろうかと思いますけれども、いま申しましたように、現段階では実際どういうふうになるかわかりませんし、先ほど来繰り返すようでございますけれども、両省であらゆる面で御相談を申し上げているという状況でございます。
  55. 中山太郎

    中山太郎君 ほかの港に入港することも一応考えておられるのですか。
  56. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 現在の段階で、そういう点について確たるお答えを非常にし得ない段階であることはまことに遺憾でございますが、先ほど来申し上げましたように、一日の夜こういう放射線漏れの事件が起きましてから、連日にわたって措置をとって、十三日の日には回答を持ってくるところまで御報告申し上げましたが、事態の推移に従いまして今後どういう手だてをとったらいいかということについて、手をこまねいて見ておるわけではございませんが、今日の段階において具体的なお答えできるような段階にはいずれもなってないということでございますので、御趣旨を体して全力を尽くすつもりでございますので、どうかひとつ、この段階におきましては、この程度答弁でぜひお許しを願いたい、御趣旨を体して一生懸命やりますからどうかよろしくお願いします。
  57. 中山太郎

    中山太郎君 最後の質問に入らせていただきたいと思います。  いまの大臣の御答弁、私どもとしては現状ではそういうふうに御了解を申し上げたいと思います。  問題は、この問題から端を発して日本原子力行政、また原子力船開発計画というものの遅延が起こる可能性が出てくる。現状でこういうふうな問題が出てくると、やはりチェックしてやっていくということになりますが、そういう点について、まあこれからの原子力船開発計画というものについてお答えいただきたいと思います。  その前にひとつ運輸省の船舶局長にお尋ねをしておきたいことがあるんですが、運輸省原子力船時代に備えて職員を海外に研修をさせられましたか、ドイツとか、アメリカの原子力船の運航について職員を派遣されましたか。
  58. 内田守

    説明員(内田守君) まず、海外の研修につきましては、科学技術庁の予算で、科学技術庁のほうへ出向をいたしまして、海外に相当数行っておりますが、いま何人という確たる数字は持っておりません。
  59. 中山太郎

    中山太郎君 今回、検査官を乗船さしておられますね、どうですか。
  60. 内田守

    説明員(内田守君) 乗船させております。
  61. 中山太郎

    中山太郎君 その方は海外に研修に出された経験者ですかどうですか。
  62. 内田守

    説明員(内田守君) 経験はございません。
  63. 中山太郎

    中山太郎君 私はこれが非常にふしぎなんです。いやしくも国費を使って、そうして先進国の原子力船の就航について研修を終えた人間を日本原子力船の第一船の実験航海に搭乗させない考え方、それはどういうことなんですか、基本的な考え方は。少なくても自然科学の分野では、そういうふうな新しい技術開発が行なわれる研修に出した人が、国内における第一の実験には検査官あるいは責任者として立ち会うのが私は常識だと思います。ただ順番に海外に研修に出す、そういうふうな考え方で今後のこういうふうな開発計画に対する基本的な姿勢があるということについては、私は大きな問題があると思いますが、ひとつその点明快にお答えを願います。
  64. 内田守

    説明員(内田守君) 「むつ」の今回の試験、それからそれまでの検査に関連いたしまして、いまの御指摘のございました海外の研修、それからあるいは国内の原子力研究所に派遣した研修職員等、運輸省にある程度の数は持っておるわけでございます。で、従来からそれぞれの場所に配置されておるわけでございますけれども、「むつ」の検査につきましては、炉のメーカー等——神戸とか、それぞれのところに従来配置して担当させてきておるわけでございますし、それからまた青森にもその検査員にそういう人間を配置しております。ただ、原子力船の検査につきましては、一般船舶の場合と異なり、確かに御指摘のように普通の船舶工学あるいは汽かん工学にプラスして、原子力という問題につきましてもある程度の専門知識というものは必要だと思います。そういう意味で、従来から原子力船に限りましては本省みずから検査を行なうという、ほかの船は地方でやっているわけでございますけれども、本省みずから検査を行なうという体制になっております。したがいまして、本省におきましてはいま申しました担当者を従来から実施しておったわけでございます。で、もちろん数限りございますので、そういう研修者を省内的にもお互いに切磋琢磨し合って、それから検査にあたっても勉強し合って、部内的にも教育してきておった。で、今回の「むつ」の出港試験につきましても、今後予定では数回出力段階を迎える予定でおったわけでございまして、当然その全体の出力試験の中で担当者を乗船させるつもりでおったわけでございますが、たまたま今回ゼロ出力と申しますか、最初のむしろ船舶全体の問題もございますので、確かに研修を受けた人間ではございませんけれども、従来から本省でその原子力船の実務に携わっておった当該検査官を派遣したという実情でございます。
  65. 中山太郎

    中山太郎君 まあいろいろと理由はありましょう。しかし今後私は政府に望みたいことは、少なくとも自然科学の分野では、海外に研修に出した人間をよそのところに配置しておいて、自分の国の技術開発をやった第一船、第一の実験にその研修した人間の頭脳を使わないというような、私どもから言わせれば実に愚かなる考え方というものは今後修正をしていただきたい。そういうことば国民のために好ましいことではありませんし、科学技術発展のためにも好ましいことではありませんし、私は大きな意味で国家の損失だと思います。その点について今後はそういうことはない、海外に新しい技術の開発に研修に出した人間は国内の新しい技術が完成したあと、それの実験についてはその人間が当然立ち会うのだという考え方に修正するということをここで明確にしていただきたい。
  66. 内田守

    説明員(内田守君) 将来の原子力船開発に対処するために、いま先生の御指摘になりましたように、特に原子力船についてわれわれのほうの海外技術研修等の人間をそういう面に配置して、さらに技術者の養成等充実につとめたい、かように思います。
  67. 中山太郎

    中山太郎君 それでは最後に、ここに日本原子力産業会議から出ている原子力船第一船開発基本計画というのが載っておりますね。この中を拝見していると、この原子力船第一船に関しては責任体制を明確にするということが書いてある。私は、きのう衆議院の科学技術特別委員会でいろいろと責任問題というようなことが出たというような話を聞いておりますけれども、私はこれを読んでも明快なように、やはり原子力船開発事業団、そういうものが明確に責任体制を確立すべきだということはここにちゃんとうたわれている。この点についてやはりこの原子力船の問題についての責任は事業団にあるというふうに私ども理解していいかどうか、その点事業団の理事長からお答えを願いたいと思います。
  68. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 御指摘のように事業団にそういう責任があると、かように考えております。
  69. 中山太郎

    中山太郎君 それではこれで質問を終わりますが、いまお答えのとおり、一切の責任は原子力船事業団にあるということをもう一回確認させていただきたい。
  70. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) ただいまの御趣旨のとおりでございます。
  71. 中山太郎

    中山太郎君 以上をもって質問を終わります。
  72. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いま政府を代表しての大村官房長官は去られましたけれども、非常に遺憾に思います。政府国民合意納得を得ておる、信頼を得ておるというようなことは、全くあの答弁については私は国民を代表する名において不満だということを率直に申し上げておきます。同様の質問は、実はこの私の持ち時間の中では科学技術庁のスタッフである長官と、そして原子力委員の方からひとつ御解明をいただきたいと思いますが、率直において政府のとにかく原子力開発に関する諸問題、それから原子力行政に関する諸問題について国民合意納得を得ているなんということはとんでもないことだと、そういうふうに思いますが、これは対決をしてもよろしいと思いますので、ひとつ時間に非常に往復でこうせっぱ詰められてはたいへんだと思いまするけれども、延々として今後将来においても追及いたしますので、合意納得を得ておられることに自信が起きるなら、ああいうたとえば原子力開発に関する地域社会における環境その他の諸問題についても問題が起こるはずはありませんよ。それから当然起きてくるところのこの核燃料処理工場の本番に入ったときの問題、当面の原子力船むつ」の問題についても、オーバーな言い回しをするというようでありまするけれども、あなたのほうは、率直に言って船が沈没しても原子炉は安全だといったようなニュアンスをいろいろな陰に陽に言っておられますよ。そうして森山長官はとにかく青森県のむつに着いて、漁民の前で、だいじょうぶだと、政府信頼せよというようなことを言い切っておられるといったような問題もあります。しかし、私がそういうような点について私の真意というものは、政府については大村長官から聞きましたけれども、あれは不満だということと今度はひとつ同様なことなようであります。原点です。原子力行政あり方とか、あるいは原子力開発について国民信頼納得を得るかどうか、そういう認識の上にのっとって、今日総合エネルギーの中にとにかく原子力を位置づけようというのが政府の腹がまえでしょう。そういうような関連についてまずひとつ簡明直截にやはり科学技術庁長官原子力委員の方から、時間を私は厳守しますから、簡明直截にひとつ往復ですから簡単にやってくださいよ。
  73. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 私が代表して、時間の制限もあるようでございますから簡明直截に申し上げますが、いかなる行政も、そうしてこの場合原子力行政国民納得信頼を得て実施に移していくべきことは当然でございます。そうして私は現在の原子力行政国民多数の信頼納得を得ているものと確信をいたしております。
  74. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 原子力委員でどなたか出席しておられますね、代表しておられます委員からぜひひとつ……。
  75. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) この理解納得ということが非常に重要であるということは先生指摘のとおりでございます。しかし世界じゅうの原子力開発をながめてまいりますと、完ぺきなる理解、一〇〇%の理解が得られている国はどこにもございません。長官がいま発言されましたように、私どもも多数の理解を得ておるというふうに確信しておりますが、しかしその数をさらにふやしていくという努力をぜひ続けなければならぬ、こういうふうに考えております。
  76. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 やはりいろいろ申し上げたいことがありますけれども、十二時三分までが私の持ち時間と、時間は厳守してほしいということになりまするから、やはり慣行は無視できませんので、先へ進みまするけれども、しかし原子力局長は出ておられますね。
  77. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) はい。
  78. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先ほど何でそんなに急がれるか、こういう重大な問題について大村官房長官の話は不可解で、あとで追及しようと思いますけれども、九月二日の日に小坂官房長官代理福永科学技術庁の原子力局次長、あなたの次長に、この問題について情報がおそいじゃないかというようなことを私は新聞で見て、これは当然政府もなかなか小坂官房長官代理は言っておるということだが、一体どういうことを調べられたか、あなたは長としてお答えなさいよ、きょうはあなたでいいと思います、局長ですから。
  79. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) ただいまの点でございますけれども、今回の放射能漏れがモニターで発見されましたのは九月一日の午後五時でございます。それが科学技術庁に通報されましたのが翌日の十時半ごろでございます。これは「むつ」に乗船しております原子力局の職員から原子力局に電話連絡があったわけでございます。で、当日たまたまその時間に私ども会議をしておりまして、直ちにその連絡を受けなかったのはたいへん遺憾でございます。大臣への御報告も、そのためにおくれまして、たいへん御叱責を受けたわけでございます。で、会議が終わりました直後、十二時過ぎでございますけれども、その通報を受けまして、さっそくその対応策を立てるために奔走したわけでございますが、総理官邸のほうへの御連絡も、そういうことで、とりあえず電話では御報告いたしましたけれども小坂官房長官代理が至急私に来て、その事情を報告しろということでございました。ただ、私はその対応策を立てるのにちょっと手が放せない状態でございましたので、福永次長をかわりに官邸に派遣いたしまして、小坂長官代理に御説明申し上げたということでございます。
  80. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 森山長官、簡明直截でけっこうでありますけれども、ものには程度と限度がありますので、また多少追及というふうに悪意に受け取ってもらっては困りまするけれども、大体放射線漏れは、「むつ」の場合、絶対にあり得ないというような、そういう認識の上に立っておられると思います。そのあり得ないということが、客観的にも主体的にも起きたでしょう、漏れたでしょう。そういった問題と、大多数の国民信頼納得を得ていると思うと。それもあなたの主観として、また政府科学技術庁長官としてようございましょう。ただ、私は言っておきますよ。そんなことを言われても、科学技術庁の汚職事件の問題だとか・日本分析化学研究所の原潜のデータの捏造の事件だとか、関西美浜の原子力発電所の事故、これはあなたが関心を持って企業側に指示されておられるようでありまするけれども放射性物質の取り扱いのミスというものが、イリジウムをはじめいろいろずさんになっておりますよ。これは管理がたるんでおるということになりまするけれども、管理を受ける企業側の姿勢にも問題があると思いまするけれども、あるいは原子力委員会あり方についても、行政の姿勢が問われていると思うのであります。わが国の原子力行政が抜本的な改革を求めるときに来ておると私は思いますが、とにかくこれも簡潔でようございまするけれども長官としてどういうふうに認識しておられるか。いや、これでいいんだと、多数の信託があって、一握りの者なんかけ飛ばしてしまえというような、そういう不見識なことは思っておられないと思いますけれども、この辺について、これも簡明直截にひとつ、原子力大臣ですから、大臣の風格とど根性で私、お答えをいただきたいと、こう思うんですよ。
  81. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) たいへんありがたい御忠言をいただきまして感謝をいたします。  いろいろ申し上げたいことが山とありますが、御質疑の時間に制限がありますので、できるだけ御協力申し上げたいと思いましたので、先ほどの程度にとどめたわけでございますので、どうかひとつ、御質問の時間内に結論だけでもお伝えしたいということで申し上げたわけでございますから、御了解をいただきたいと思います。  「むつ」の問題につきましては、放射線漏れの問題云々というお話でございましたが、私は、別に放射線漏れがないというようなことを言っているわけではございません。いろんな問題が、それは出力上昇試験であり、いわば試験航海でございますから、ぐあいの悪いところがその結果出てくれば直すというのが目的の出港でございますから、いろんな問題が出てくるであろうということは考えておりました。しかし、私が言っておりますことは、安全性については心配ありませんよと、要するに、原子炉というものは、一番新しい科学技術の手法を用いておりまして、すなわちテクノロジーアセスメントという考え方で、放射能というものは、あるいは放射線というものは、レントゲンだとかラジウムだとかで、昔からわかっておるものでございますから、そういう知識を前提にいたしまして、それを多重防護するという形で、もし何かそういうものが出てきた際には、警報装置が鳴るとか、あるいは場合によってはかわりの機械が動くとか、あるいは原子炉がとまるとか、そういう仕組みになっておるわけでございますから、そういう意味で、安全性に疑念はありませんよということを私は申し上げている。事実そうでございまして、出港するときには通常エンジンで出るわけでございますから、放射線放射能が出る余地がない。洋上で行なっておる問題でございますが、これもまた今回は警報装置が鳴りましたものですから、その実情をつかむことができた。そして量は、先ほど申し上げましたように、その上に八時間すわっておりましても、一年間たって、胃のレントゲン一回分ぐらいということであるが、しかしこれは小さく考えちゃいかぬぞと、とにかく従来の経過から考えて、これは重大視しなくちゃならないということで、むしろ私どものほうで、これは大まじめにこの問題と取り組んでおりまして、しかもなおかつ先ほど申し上げますように、九月の一日にこのことがわかりましてから今日まで、日にち別に先ほど申し上げましたように、一日として拱手傍観をせず、一番早い日程で対策を進めておるわけでございまして、まあ微力ではございますが、一生懸命やっている点だけはどうかひとつお認めを願いたいと思っておるわけでございます。この原子力船むつ」の問題につきましては、確かにこれから事態がはっきりして、まいりまして、そのはっきりしてまいりました事態に沿って、誤りなく措置をいたしてまいりたいと思っておりますが、原子力行政全般についていろいろ御意見ございました。それは確かに私が大臣になりましてから、一つにはたとえば原子力発電がストップしておったのを立て直しをいたしました。すなわち、昭和四十七年の六月に電調審に一基の申請がありましてから私が着任いたしますまで、一年半原子力発電がとまっておりましたものを、立て直しをやりまして、本年七月には二基の申請ができ、年度内に数カ所の原子力発電所の申請が出てくるでございましょう。そういうこともありましたし、それから米軍の入港関係で分析化学研究所がいいかげんなことをやっておったことは事実でございますから、それに対しても善後措置を十分とったつもりでございます。そしてこれにかわるべき日本分析センターもすでに実務を開始をいたしておるというようなことでございまして、ああいう問題を起こしたのはけしからぬでないかという御指摘に対しては、全く私も同感でございます。しかしそれに対応するところの措置は、お立場でいろいろな御意見はございましょうが、大きく取り組んでやっております。またアイシトープにつきましても、放射性同位元素につきましても、いろいろ事件が出ましたから、それに対する対策も確立いたしまして、これと真正面に取り組んでおるわけであります。原子力船むつ」の問題は、もう御案内のとおり十年以上前からこれにかかり、国の費用全部で百五十億円もかけて、しかも二年前に船ができ上がって、原子力も据えつけ、燃料も挿入して、動けない。ですから、ある週刊誌には、眠れる日本の象徴としてこの「むつ」があがっておるわけでございました。だから、努力をいたしましてこれを出そうとすることは、私は当然のことだと思っておるのです。いままでやらないのがむしろ私はおかしいと思っておるわけでございます。おそらく二年前にやれば、やっぱり同じような事件が起きたかもしれません。昨年やればできたかもしれません。またことし私がやらなくても、だれかがやれば、来年、再来年起きたかもしれません。しかし私の代にこれをやって今回のような事態が明らかになったということは、これはもう私はそういう運命だと思っております。でありますから、この対策については全力を尽くしたいというふうに考えておる、その全力を尽くすことが国民に対して、そして国民原子力行政に対する信頼を回復する私は最大の道である、そのために私は全力を尽くしたい、そういうふうに考えておる次第でございまして、率直に申しますと、先ほど来の御忠言につきましては、一代議士といたしましては、全く同感の点がございまして、一体何がいままで行なわれておったのかと、そしてその真相を究明いたしまして、相当幾つかのことでやってまいったつもりでございますから。なお、これ以上いままでやってきたことでもなまぬるい点があったのだなあということをいま痛感をいたしておりますが、まあ事態を正確に認識してからでございませんと、いまのところはっきりしたことで対策の打ちようがない。あと十三日の日に帰ってまいりますから、それの報告を聞きまして、真面目に取り組んで、皆さまの御期待、御要望に沿うように全力を尽くしてまいりたいと、そういう所存でございます。
  82. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 山田原子力委員は何か一言ありませんか。なければいいんですが、やってください。ないですか。
  83. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) この放射線漏れという問題につきましては、実は原子力炉の遮蔽というのは、発電所等におきましては技術的にそれほど大きな問題ではないのであります。しかし、この原子力船の場合になりますと、たとえばこの「むつ」の場合は、船の目方の相当部分をコンクリートの遮蔽で占めるというような非常に重大な問題がありますので、われわれといたしましては、原子力船事業団が遮蔽の問題を重視しまして、原子力研究所にJRR−4という原子炉、遮蔽用のための原子炉をつくって開発をいたしたわけであります。そういうようなことで、この問題は初めから非常に重要視しておったし、その関係の技術者は非常な努力をしてまいったと思うのであります。にもかかわらず今回のようなことが起こって、実は非常に驚いておるわけでございますが、この問題が何がほんとうの原因であるかということにつきましては、そういう設計に携わった人々がすでに現地を調べておるわけでございますから、その結論を待って解決策を講じていきたいというふうに考えております。しかしながら、この問題が非常に重要視されて、しかも十分研究されながらこういうことになったということにつきましては、非常に遺憾であるというふうに考えております。
  84. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進みますが、具体的な実例として、ひとつ二、三質問をして、御見解を承っておきたいと思いますが、具体的には、母港であるむつ市の菊池市長は、再三にわたり原子炉の点検であるとか安全確保を当局に要請しておられるわけであります。沿岸漁民も見切り出港反対したが、当局は聞き入れなかった。すべてを権力と行政ベースで運ぼうとする、住民無視のとにかく考え方がどこかに体質の中に潜在しておったのではないかというふうに私は考えております。これは長官に、簡潔でありまするけれども原子力大臣伺いますが、総理の見切り出港に対しての何らかの暗示か指示がありましたか。それとも原子力大臣として、これはこの時点においては、もう限界だという形で指示をなさったのか。同様のことが実は原子力発電所建設についても言えるわけであります。質は違いまするけれども、たとえばこれは若干次元は違うということで、お答えをいただいてまた質問をしようと思いまするけれども、時間の短縮の意味から、次元は若干違いまするけれども、たとえば去る七月の四日、七夕選挙が七月七日でありますから、その三日前であります。この当時総理は総裁として新潟県で選挙演説をやっておりましたけれども、とにかく、七月の四日に新潟県柏崎・刈羽東京原子力発電所の電調審の決定についてでありますけれども、この日に電調審が開かれて、やはり巨大な原子力基地に匹敵するところの原子力発電の問題が許認可をされておるわけであります。東電側の一連の書類の申請と新潟県知事から——住民無視でありまして、非常に新潟は反対でありまするけれども、しかし、言っておきますけれども、決して純理と科学の上に立った反対であって、反対のための反対じゃありませんが、その住民の意思を無視して、新潟県の君知事住民無視の同意書を出しております。しかも、私どものこれは受けとめ方でありまするけれども、抜き打ちに、かつ代理人によって審査が行なわれております。この電調審のメンバーの、大臣の方もおられますが、それから原子力委員の人もおられまするけれども、それで代理の人もおられますし、欠席者も多いわけであります。非常に巨大な原発、世界的にも集中的な原子力の基地がつくられるというような、そういう展望の中で、七月の四日でやはり住民意識不在の審査が、これは慎重な審査じゃないというふうに理解をしておるわけであります。  そこで、当日の住民の陳情、要請があったわけでありまするけれども、これに対して機動隊を導入して、バリケードを張って代表にも会っていないんだと、こういうような姿勢に問題があるということも指摘しておきます。  私は、この当日の審議会、具体的には七月四日の電調審における本件に関する審議会に出席した代表者の名簿と、それからそこで審議された資料というもの、それは自主、民主、公開の原則からいって、これはわれわれが国会の場で聞くんだから、資料として出していただきたい。このような国民合意信頼というものが、みずから断ち切られているようなことについては、十分これは反省をしてもらわにゃ困る問題だというふうに考えております。この問題について、委員長にもお願いしておきますが、関係の資料は出していただいてもらいたいことを確認していただきたいと思いますが、この点について、非常にはしょった質問でありまするけれども、私の質問の真意は、ひとつ長官政治的に理解をいただいて、ひとつ何とか簡明直截にお答えいただきたいと、こう思うんです。
  85. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 地元の意向をできるだけ尊重しろというのは、御説のとおりでございまして、私どもも「むつ」の問題につきましては、それはもうほんとうに地元の意向を尊重しておりましたから今日までなったのであります。というのは、先ほども申し上げましたように、昭和四十二年には、とにかく原子力船の基地にしてもらいたいという申し出があって、しかも第一船だけなんて不義理なことをしないでくれよと、第二船、第三船もやってくれよというようなことで定係港がきまったわけでございますから、そうして船ができて、原子炉を据えつけて燃料を装荷して、いざ出ようとなったら、おいちょいと待ったと、こういう待ったがかかった。私はその間にいろいろなことがあったと思います。どうも地元の意向を尊重してやったが、まあそういう動きが、手のひらをひるがえすような事態が起きてきた。そういうことでありましても、国がやる仕事でございますから、そういう点についてできるだけ地元のということで、結局どうなったかというと、もう世界で初めての洋上試験というようなことに踏み切らざるを得ないところまで地元の御意見を尊重した。もうこれならば放射能とか放射線ば表へ出っこないんでございますから、全く心配ない。ただ、出してくれるかと思ったら、いやいや、出さぬと、こういうわけでございます。それで、地元の御意見を尊重いたしましたことと、もう一つは、電源三法の趣旨等も考えまして、やはり原子力船という、十年後でございましょうか二十年後でございましょうか、世界の海運界はそういう方向に私は向いていくんだと思います。わが国のような海運国であり、造船国であるわが国といたしましては、やはり将来の海運界、造船界のになうべき重要な仕事に対して、やはりこういうことをやっていくという、これは必要性があるわけでございます。そういうことで、そういう開発利益という点を考えて、先ほど来申し上げましたように、道路だとか有線放送だとか、体育館だとか、あるいは漁業組合に対する補助だとか、あるいは魚価安定資金とか、そういうほうにも頭を使って、さあひとつこれでお出し願えまいかと、そこまでまた地元の御意向を参酌してやってまいったのでございまして、そうして最終段階、結局二十九の漁業組合のうち二十五組合が、まあいいだろと、四組合がどうしてもお聞きにならない。やはりいろんなお考えをもっておる方でございまして、やはりわが国は自由主義の国でございますから、いろんなお考えを持つということはこれはやむを得ないことだと思います。ですから、多数の方がそういうことになり、現地知事も、この段階であるから出港やむなしということで青信号を出されたわけでございますから、私はもうこのぐらい地元の意向をそんたくしている点はないと思うんです。しかも、私は海上保安庁の人の情報で、実力阻止はやらぬよという情報だった。私はむしろこの段階において言うべきことは、ともづなをハンマーを振りあげて切ったり、いかりにつなを巻きつけて出港を拒否したという、むしろそういうことが大きな問題じゃないかと思っておるんでございます、むしろ。地元については十分尊重しました。これ以上のことはできません。そしてやるだけのことをやったにかかわらず、今回のような事態を迎えたことは、もうほんとうに残念しごくであります。しかし、これが順調にいけばわかっていただけると思っておりましたところ、今回のような問題が出ましたから、私は事は小さくともこれは重大視をして事に当たっておるわけでございますので、どうかひとつその辺のところを、地元の意向を無視したとか何とかというふうにお考え願わないで、もう地元の意思は十分尊重したわけでございます。  それから、原子力発電所のあれは柏崎・刈羽の問題は、七月四日に電調審にかかったわけでございます。まあおそらく先生と同じように私も他の選挙区のほうに行っておりましたから、現場は確認をいたしたわけではございませんけれども、いろいろ例によって一部の方々がたいへんめちゃくちゃな物理的な抵抗のような形のことをやったことは事実でございましょう。しかし、私は県民の多数というものは、あの原子力発電の立地に賛成をいたしておると思います。現に地元の君知事さんは、当選したばかりでございましたが、同意書を出しておりますから、私ども地元住民意見というものは知事意見によって代表されていると、こういうふうに思っておるのでございまして、何かそういうことをやりますと、地元の意向を尊重しない、尊重しない——何をもって一体尊重しないと言われるのか。一握りの人たちが物理的抵抗をやった力をもって、それでもって地元の意向を尊重するとか尊重しないとか言われるとするならば、私は遺憾しごくであると思っておるわけでございます。でありますから、原子力発電の問題につきましても、いろいろ先ほど来御忠言がございます。私どもはそういう点をできるだけ考えて処理いたしたいと思っておるわけでございますが、はからざるごたごたが起きるということになりますれば、それはたいへん残念しごくでございます。時と場合によりましては、何にもやらないでまいりますれば、わが国の行政が停滞するだけではございません。日本の国の将来に大きなことになると思います。たとえば原子力発電の場合、それはアメリカのように、もう石油はわんさと持ち、石炭はもう世界の半分以上も持ち、天然ガスも持っていると、オイルシェールもあるという、そういう国でさえも原子力発電に一九八五年でございましたか、一億二千五百万キロワットぐらいの電力を原子力発電やろうとしておるんであります。物のある国でさえもそうであります。わが国のように、アメリカのように石炭もなきゃ、石油は全部輸入でございますし、石炭も残念ながらわが国の賦存量はごくわずかでございますし、今日わが国における石炭発電の依存度は六%ぐらいでございまして、これに大きく依存するということはなかなかむずかしい。現に石炭は、国内生産もございますが、その品質によりましては外国から輸入しなきゃならないというふうになっております。もうほとんど天然ガスは取れませんし、そういうことでございますから、やっぱりわが国の将来のエネルギー考えれば、これは原子力によらなきやならないのでありますから、それはもうそのために最善を尽くすということは私は当然であろうと思っております。これは日本だけではありません。アメリカでさえもそうでございますし、フランスも——フランスは、これからつくる発電所は全部原子力発電、そういうふうに方針をきめておるわけであります。ドイツもまたしかり。いずれの国々も原子力発電に大きなウエートをかけておる時代、そうしなければ、何年か後においてわが国のエネルギーというものはたいへんな状態にぶつかるわけでございます。現に、現在のような発電所の建設状況でまいりますと、従来の計画でまいりますれば、昭和五十三年ごろになりますと、電力の供給のほうが需要に対して追いつかなくなるというような計算もされておる。まあ近来電力の使用量は予想を下回っておるようでございますから、そういう心配が出てこなければいいなと思うわけでありますが、もし将来、電気がとまるようなことになったら、これは大きな責任であります。電力会社が供給責任を持っておるだけではございません。私ども政治家といたしましても、そのときになってからでは間に合わないわけでありますから、そのために全力を尽くすことは必要である、そういう点かれこれいろいろ考えながらやっておるわけでございますので、どうかひとつ安全性確保等について気をつけろよと、心配ないようにやれよという御忠言としてはありがたくお受けをいたす次第でございますが、原子力発電そのものについてどうだなというような御疑念を呈される点だけは、とされるならば、私はその点には同意をいたしかねる、こういうことでございます。
  86. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 やがて新潟県においては新潟県議会が開かれまして、およそ全期間の三分の一は、この同意書が実際に県民の真意の上に立ってなされているかどうかということは、大きく新潟県議会をゆり動かさすような問題になりまするから、これは問題は残しておきましょう。しかし、形式の上ではやはり同意書が出ているということは、私も了知しております。それで、いずれあらためて質問は展開をするということでおきますが、具体的な問題としては、東電柏崎火力発電所の電調審申請にあたり、建設予定の地帯における大きな断層があるんですよ。あそこは石油の基地であって、いわゆる非常に地盤が脆弱であります。胴切断層がある。で、基盤となるところの西山ですね。これは西山断層といって、石油を掘ったところで非常な砂丘地帯で、これには信じがたいほどの弱い土質があるわけであります。そういうことが明らかになっておるんです。新潟大学のやはり学者陣が十分これをマークしているわけであります。そこで、東電はこれらを隠して五点にわたってやはり手回しの申請書を、書面の中身をごまかしておる疑いがあるわけであります。で、通産省は、資源エネルギー庁は、事前に地質調査をチェックしたのかどうかと、それで現在環境審査顧問会というものが構成されておるようでありまするけれども、この構成と機能についてもひとつ、いいものはいいとして評価しまするから、ひとつあとで御解明をいただきます。それから電調審では、七月の四日どんな審査をしたか。反対住民のやはり開発促進法第三条第三項に基づく異議申し立てが理由を付してこれはすでに書類が新潟県を通じて出ておるはずでありまするから、そこで電調審に東電が提出した一切の書類、新潟県知事の同意書の写しを資料として提出することを要求しておきます。これはひとつ委員長に特にお願いを申し上げておくわけでありますが、次に進めることにいたしますが、いま申し上げた点についてですね。
  87. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまの要求資料、よろしゅうございますか。
  88. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 電調審の関係は、経済企画庁が当たっておりますので、経済企画庁のほうと御相談をいたしまして、委員長にまた御報告をいたしたいと思います。私のいまの立場で御返事をするわけにはまいらぬと思いますので。  それから断層の問題は、これは私は初めてお伺いいたしました。ここに幸い原子力委員もおられまして、安全審査の際にそういうお話がありましたことは十分念頭において事態処理に当たるつもりでございます。
  89. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) ただいまの御質問でございますが、先生御承知のように柏崎の原子炉設置許可の申請はまだ提出されておりません。提出されました段階原子力委員会及び科学技術庁といたしまして御指摘の点も十分検討いたしたいと思います。
  90. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進むことにいたしますが、ひとつ大臣真意だけは善意に受けとめておいてください、これは重大な問題でありますから、これが第二の、柏崎の原電において海の「むつ」と同じような結果になるということになると、やはりたいへんな問題になりまするから。  今度は、政府がこの日本原子力船開発事業団をつくられた真意、そして原子力船むつ」を建造した目的は何であるかと、ついでにべたに質問いたしますけれども政府並びに事業団は第二次船、第三次船の建造を考えておるか、そういう真意について、これは事業団でやらせるのか、そしてたとえば各企業にやらせるのか、「むつ」の将来は何に使うのか、こういったような問題について、これは政府と事業団の理事長から、参考人として来ておられるはずでありまするから、これも簡明直截でようございますからひとつお答えいただきたい、こう思います。
  91. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 御承知のとおり原子力船は少量の燃料で長期間の運航が可能であります。また大量の燃料油の搭載が要らないという意味ですぐれた点を持っております。これらのすぐれた特性を有しておる原子力船を実用化するために、アメリカをはじめとして世界の主要国でその開発を進めております。現在までにアメリカでサバンナ、ソ連でレーニン号、それからドイツでオットー・ハーン号ができておることは御案内のとおりでございます。わが国は四方海に囲まれて、将来にわたってわが国に必要な食糧及び資源を入手するためには大量かつ低廉な高速海上輸送手段を確保していかなきゃならないわけでございまして、このことは十年か以上先に大型輸送手段としては原子力機関というものが中心になってくる時代もある程度予想されるわけでございます。このために日本原子力船開発事業団を中心に、官民協力して原子力船の「むつ」の建造を始めておるところであるわけでございまして、原子力船事業団はそういう目的で設置をされたわけです。この事業団は、原子力基本法の精神にのっとって設立されたものでございまして、原子力船の建造が平和目的に限っておるという点は申すまでもないところでございます。これが原子力船についての考え方、その考え方に沿っての原子力船事業団が設置をされたわけでございます。  将来どうなるんだということでございますが、率直に言って、今回の事態について真面目に取り組んで、その結論を待って具体的には考えていかなきゃならないというふうに思っております。それば先ほど来申し上げたとおりでございまして、以上をもって私の考え方を申し述べました。
  92. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 事業団が「むつ」を建造しました理由は、先ほど大臣のお話しございましたとおり、原子力船の技術を開発し、建造と運航の経験を得、もって造船、海運、原子力の各界の発展に寄与することとなっておるわけでございます。  それから第二船の問題でございますが、事業団といたしましては、府政から示されました原子力第一船開発計画により「むつ」を建造し、運航することとなっておるのでございまして、事業団は「むつ」以外の原子力船の建造計画は全く持っておりません。
  93. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そうするというと、第一次船が「むつ」でありますので、二次船、三次船というような問題について先ほど中山先生質問に対して、ニュアンスとしては、私聞いておって二次船、三次船の展望というものをいみじくも大臣は言ったようでありまするけれども、どうもその辺にも食い違いがありまするので、これは食い違いを追及するわけでありませんが、ただ私はひとつ、これもおまえさんのよけいな心配だと言われるかも、それでもいいと思いますけれども、大体原子力船むつ」の原子炉そのものは国産第一号でありまするけれども、ほんとうはアメリカ原子力潜水艦の技術を導入しておるということについては、間接的であっても間違いありません。そこで、これは幸か不幸かは別にしても、科学技術庁長官は国防会議の委員の中に一つ差しはさまれております。あなたの善意いかんにかかわらず、とにかく国防会議の中に。そういいますというと、原子力船、そして原子力潜水艦というものはそういうよけいな心配は無用だよというふうに言ってもらいたいと思いまするけれども、そういう点について。  そしてもう一つはこれは運輸省に言いまするけれども、大体原子力船むつ」の実用の展望は、大型のコンテナ船であるとか、タンカー船とかいうことにこれは海運業の中では考えておるではないかというふうに私は見ております。そういうことも心配ないのだというふうに言い切れるなら言い切ってもらいたいと、こう思います。  それから時間がありませんが、これは佐々木理事長から「原子力船の話」というものをいただきましたので、十分読んでありまするけれども、だいぶこれは自信過剰でありまするけれども、どうも言われておることと結果は逆な目が出ております。別にどうこうして批判するわけじゃありませんけれども、重大な問題でありまするので、いろいろとひとつそれぞれのお方からお答えいただきたい、こう思います。
  94. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 原子力船第二船、第三船というのは、先ほど申し上げましたように、「むつ」にきめるときに、第一船だけじゃなく、第二船、第三船も定係港にしてくださいよ、あまり不義理なことをしないでくださいよと言われたときに、まああとのことは続くというふうに常識では考えられますし、それから現在の原子力開発利用長期計画、先ほど中山先生が読まれたのはその問題でありますが、原子力第一船「むつ」の建造及び運航の経験、舶用炉の研究開発等を踏まえて民間において自主的に進められることを期待しておる、第二船、第三船はですね。しかしながら現段階においては民間において第二船を建造する計画があるとは全く聞いておりません。ときどきそういうことを御相談になる会あるようなことは新聞なんかで拝見はいたしますが、現在はそういう計画はないのであります。  それから先ほども原子力船事業団原子力基本法に基づいて平和目的に限るということでございますから、これは軍事的な、いまの政府の方針では原子力を自衛艦等に使うことにつきましては、これは原子力推進というものが一般的にまだなってない現状においては好ましくないということでございまして、わが国といたしましては軍事目的の原子力潜水艦などをつくるということはこれを認めないと、こういう解釈になっておるわけでございます。  具体的な今回の原子炉につきましては、何かアメリカの原子力潜水艦の技術をこっちへもってきてやったんじゃないかと、こういう御趣旨のお話がございましたが、九〇%以上が自主開発でございまして、したがって自主開発の過程において今回のような問題が私ば出てまいっておるんだと思います。その点は、原子力発電の場合の原子炉が当初はアメリカの軽水炉をそのまま——これは英国製の場合もありますけれども、大勢はアメリカの軽水炉を持ってまいりまして、そして、二回目、三回目からこれを逐次国産化してやってきたものとは全く趣を異にいたしておるわけであります。  そこで、よく原子炉についてば、アメリカの技術を持ってきて、どうもいざというとき困るじゃないか、一々アメリカへ行かなきゃならぬというのは何だというふうに加藤先生にもしかられたことがかつてあるように記憶をいたしておるわけでございますが、私は、どうでしょう、そういう意味で自主開発を方向としてはしなきゃならないということでございますが、今回のように、自主開発の路線に沿ってきてこういう問題が出てまいるということになってまいりまして、しかも、事柄自体は先ほど申し上げましたようなことでございますが、従来の経過から見て、これは政府は非常に今回の事態を重大視して取り扱っておるわけでございますが、なかなか自主開発というのは容易じゃないということをこのたび痛感をいたしておるわけでございます。外国から技術を持ってきて、それを移植してやっていくやり方、ようやく軌道に乗りつつありますけれども、これはアメリカからの技術でけしからぬじゃないかという御批判を受けるかと思うと、自主開発ではこういう事態が起きてくる。非常に私はこれからのこういう問題についてどういうふうに考えていったらいいかということで苦慮をいたしておるわけでございます。  なお、アメリカの潜水艦の技術を持ってきたんじゃないかという御疑念に対しましては、原子力局長のほうからお答えをさせます。
  95. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 「むつ」の原子炉は、金額換算いたしまして、九二%が純国産でございます。外国から輸入いたしましたのは制御棒駆動装置だけでございまして、その駆動装置も中の一部を、輸入いたしました後、国産に取りかえております。したがいまして、あるいは先生の御質問は、原子力潜水艦に使われている原子炉が加圧水型の原子炉であるから、その意味では同じ加圧水型の原子炉を使っている「むつ」の原子炉原子力潜水艦と同じものではないかということをおっしゃられるのでございますれば、そういう広い意味では同じでございますが、加圧水型の原子炉は発電用にも使われております。原子力潜水艦だけの特殊なものではございませんので、狭い意味では原子力潜水艦の技術を導入したものではないと申し上げてよろしいかと思います。
  96. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 運輸省、何も言わぬでいいですか。短くやってください。
  97. 内田守

    説明員(内田守君) 私ども原子力船の将来の開発ということに従来からやってまいりましたし、それから今後もそういう努力を続けていくわけでございますが、御指摘のとおり、原子力船はその優位性というのは大型高速ということに優位性があるわけでございまして、一つの目標としては、将来どうなるかわかりませんけれども、コンテナ船あるいは大型タンカー船というものが目標になろうかと考えております。
  98. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 船員対策についてお伺いいたしますが、「むつ」の乗り組み員の職員、部員別の数、船員の供給源、初めての船に乗るわけですから、どこから——有能なスタッフだと思いますけれども、どこから出てきておられるかということと、事業団との雇用関係と危険保障の問題、海員組合などのほかに、たとえば船舶通信士労働組合等もありますが、これらの海員組合などの関係運輸省の行政上の指導のあり方についてどのように考えておられるか。これは運輸省の船員局なり担当関係から。むずかしく考えなくてもいいんだ。シビアにありのままをお答えいただきたい、こう思います。
  99. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 「むつ」の乗り組み員としては五十八人船員法による船員がおります。職員と部員との別につきましては後ほどお答え申し上げます。  なお、船員法による船員に対しましては、その安全につきましては、船員法に基づく船員電離放射線障害防止規則という省令がありまして、これに基づきまして管理区域の設定とかあるいは被曝線量の限度等を定めております。そのほか乗務員の健康診断、これを定期的に行なうというようなことが定められておりまして、この一連の規制によりまして乗務員の放射線による障害の防止のための措置として万全を期しておる次第でございます。
  100. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まだそれは足りませんよ。船員団体、これは海員組合関係ありませんか。海員組合の乗り組み員でしょう。そういうのと運輸省の行政上の指導、そういったような問題について、ずばり言って船員局と海員組合とお話しになっておるでしょう。これは大事なことですよ。コンピュレターで何であろうと原点は基礎データは人間がやるわけなんですから、そういう点についてやはり言ってもらわにゃ困りますよ。
  101. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) ただいま申し上げました船員の五十八名の中では、海運会社等から派遣されている船員は四十一名でございます。残りの十七名につきましては運輸省の航海訓練所の職員を派遣しております。  なお、海運会社から派遣されております四十一名につきましては、これは事業団とそれから当該海運会社との話し合いによりまして、現在は雇用契約といたしましては事業団と各船員との間でもって締結されている、こう承知しております。
  102. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 理事長以外に事業団のどなたか補佐役の方来てお見えになりませんか。
  103. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 来ております。
  104. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 その方からその辺のことをちょっとさわりで——もう時計の針回っておりますから、簡単にひとつやってください。——それならいいです。あとで資料で教えてください。
  105. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 先ほど御指摘の乗り組み員のうち職員、部員別の数でございますが、職員が二十四人、部員が三十四人、合計五十八人でございます。
  106. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは長官からお答えいただきたいと思いますが、見切り出港及び事故による陸奥湾一帯の漁民、住民に対する精神的、物質的な補償について、たとえばむつ市長だとかあるいは出先の知事とかというような点については、これは精神的、物質的な問題について漁民や住民が持っていることは事実です。この点については全然配慮しでおられないかどうか。その点について、大臣でなくてもけっこうでありまするけれどもお答えいただきたいと思います。
  107. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) どういう意味でしょうか。ちょっと質問の趣旨がわからないんですけれども
  108. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 精神的、物的ですね。たとえばホタテガイが値下がりをするとか、あるいは、いずれ帰ってきた場合についてはデータとしてやっぱりいろいろなものをあれしておるのでありましょうけれども、そういったような点に関連して何か、物質的というのは、物の補償というようなものを配慮しておられるのか。そういうものは一切交渉の過程にもなかったが今日もなっていないかというような、その点なんです。
  109. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 見切り発車じゃないということは先ほど来るる申し上げたとおりでございます。もう尽くせるだけの手を尽くして後出港したわけでございますから、見切り発車ではございません。そして、それに何かいま大騒ぎ料か何か出せというようなお話でございますが、そういう気は毛頭.ございません。
  110. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一点で終わりますが、きょう海上保安庁関係の方は来ておられますね。いろいろなことを——とにかく時間をちょっとオーバーしちゃっておりまするから。  一体、海洋で検査という問題について、海難事故や海上汚染という問題について、それは私は率直に言って、海上保安庁あり方というものが海上自衛隊の出先機関のような海上機動隊であってはならないと思います。いわんや、海上の安全、保全という問題について、海難事故や海洋汚染問題についてわれわれでだいじょうぶだというふうに、今日フェリーだとかその他に対して平和の守りであるところの海の機関が、今度いろいろな問題がありましたが、ずばり言って海難事故や海洋汚染問題等について心配はないかどうか。これはやはり問題は保留してこれでやめまするけれども、ひとつ十分なありのままの、一体海上保安庁はやはりあの出港の当時において漁船のいろいろなまあ一つ反対の抵抗の象徴としてデモがあったようでありまするけれども、そういうようなものに介入されておるが、それは自発的にやられたのかあるいはどなたの指示があったのか、それともいまそれが八百キロであろうと七百キロであろうと海洋上でとにかく実験をやっておることは事実なんですから、海難事故や海洋汚染についてはこれは心配ないかどうか。それについて、もうこれでやめますが、どうかひとつ簡潔にして要を得てお答えいただきたいと、こう思うんです。
  111. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 海上保安庁は海上における安全の問題あるいは法令の励行等を所掌しておりますが、出港時のああいった事態につきましても、漁船も「むつ」も含めまして海上の安全を確保するという観点及び違法行為の防止等について法令の励行の仕事を持っておりますので、自発的に当然の海上保安庁の任務としてできるだけのことをしたわけでございます。洋上における実験中の安全につきましては、またあるいは海洋の汚染等の問題につきまして事業団としての責任がございます。法令上の責任がございます。したがってお話し合いの途次に特別に警戒船を配置してもらっておるわけでございます。で、必要に応じまして海上保安庁といたしましても飛行機を飛ばし、あるいは巡視船を派遣してできるだけの安全の確保に当たるというつもりでございます。
  112. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ついでですが、海洋汚染については心配ないというふうな認識ですか。場違いですか。
  113. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 海洋汚染につきましては「むつ」の原子力に関するいろいろの施設等について非常にちょっとほかに例がないくらいの安全措置を講じておる、たとえば衝突事故に対しても従来の衝突事故の事例から推して、まずは炉がこわれるようなことはないという施設になっているそうでございまして、その点はまずは起こり得ないと考えております。万々一そういうことが起こった場合には漁船その他がその付近に近寄らないようにとか、警報を発するとかいう措置を講ずるわけでございます。
  114. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これで終わりますが、先ほど大臣が経企庁とも相談をして云々という問題についてはこれはここの場で御回答はいただきませんけれども、ひとつ委員長で記録に基づいてその点は確認しておいていただきたい。時間を過ごして恐縮でありましたけれども、私はまだこれは数時間ほしいんですけれども、またあとの自余のものはやはりお互いが勉強してこういう委員会の場で勉強させていただきます。  終わります。
  115. 浜本万三

    ○浜本万三君 社会党の浜本でございます。  私は広島の選出議員でございまして、放射能問題につきましてはいささか関心を持っております。特に広島では御承知のように二十九年前にアメリカの原子爆弾によりまして一瞬にして多数の死傷者が出ますと同時に、その後放射能障害は直接被爆者あるいは間接被爆者、さらに被爆二世、三世というふうに今日なお影響力が続いておるわけでございます。そういう意味で私は放射能問題について非常に関心を持っておるわけであります。ちょうど最近長官のお話がございましたように、原子力発電の問題が資源不足の問題から長期的にしかも大型の、しかも大量に計画をされておりますが、その中で美浜原子炉の不祥事件あるいは今回の「むつ」の放射線漏れという問題が起きまして、かねてから心配をしておりました安全問題について非常に憂慮しておる次第であります。そういう立場森山長官、さらに運輸省、通産省及び事業団の関係官の方に御質問を申し上げたいというふうに思います。  まず最初に明らかにしておきたいと思うんでございますが、今回の「むつ」の出力上昇試験に際しまして放射線漏れがあったと、こういうことでございました。
  116. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 放射線です。
  117. 浜本万三

    ○浜本万三君 放射能漏れがあったと。私は放射能漏れというふうに言っておるんですが、長官放射線というふうに言われている。私は放射能漏れというふうに言っているんですが、放射線漏れがあったというふうにおっしゃいました。その責任はあげて事業団にあると、こういうふうにおっしゃいましたが、当時出港状況から見ますと、出港にあたって事業団の理事長と森山長官との意見が食い違っておったという情報があるのでございますが、それは間違いございませんか。出港にあたって出港させるかどうかという点について意見の食い違いがあったというお話を聞いたんですが。
  118. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) そういう食い違いはなかったと思います。
  119. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうすると、事業団の理事長も含めましてあの時点でまあわれわれからいえば強行出港させるという点については完全な意見一致を見られておったわけですか。
  120. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 先ほど来強行出港じゃないということを再三再四申し上げているわけでございます。
  121. 浜本万三

    ○浜本万三君 私の立場からというふうに申し上げております。
  122. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) だから、あなたのお立場では強行出港とお考えになり、私どもはもう手を尽くしてそしてああいう事態になってまことに残念だと、こういうことでございます。  先ほど申し上げましたように、漁業組合二十九組合中二十五組合出港に賛成いたしました。知事からとにかくあと四組合反対はあるけれどもということで青信号が上がったわけでございます。また、四組合についても海上保安庁とはふだんのつき合いがありますから実力行使をしないということでございましたので、私どもは多少のごたごたがあるにいたしましてもああいう事態になるということは予想いたしませんでした。しかし、ともかく既定方針に従って出港したと、こういうことでございまして、決して強行じゃございませんよ。むしろ非常にああいうむちゃな妨害が出てきたということの中に問題があるのじゃないかと私は思っているんです。そういうことはやっぱりはっきり申し上げなきゃいかぬと思いますね。それを強行強行というふうに一方的におっしゃられるということについては私は同意いたしかねます。
  123. 浜本万三

    ○浜本万三君 事業団の理事長に伺いますが、新聞によりますと食い違いがあったやに報道されておりますが、いまの長官の御発言と全く変わりはございませんか。
  124. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) いまの長官の御回答のとおり何も間違いございません。
  125. 浜本万三

    ○浜本万三君 この責任問題に重要な関係のございます安全性の問題についてその責任の範囲についてお尋ねをしたいというふうに考えます。  安全審査に関するそれぞれの分野での責任範囲というものがあるというふうに思うんですが、たとえば原子力委員会原子炉安全専門審査会、これはどういう範囲での責任があるんですか。
  126. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 原子力委員会の安全専門審査会が行なっております安全審査は、原子炉の基本設計につきましての審査でございます。
  127. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうしますと、その後行なわれる細部設計とか建造工事に対する審査並びに検査の責任はどこの役所が担当されるんでしょうか。
  128. 内田守

    説明員(内田守君) 安全審査は炉規制法に基づきまして安全審査を終わりまして、設置許可を受けた原子力船は私どもの担当いたします船舶安全法に基づく製造検査あるいは第一回定期検査というふうな段取りになっております。
  129. 浜本万三

    ○浜本万三君 次にお伺いしますが、安全審査の問題で、細部設計の段階における安全審査につきましては、これは原子力船事業団のほうはどういう責任があるんでしょうか。
  130. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 事業団は、安全審査安全審査会に提出して審査をしていただくわけでございます。
  131. 浜本万三

    ○浜本万三君 事業団の理事長にそれじゃ伺いますが、事業団から発行されましたパンフレットの中の原子炉模型図で、今回問題になっておりますところの原子炉格納容器頂上部にポリエチレン遮蔽板が実際取りつけてないのに取りつけてあるやにかかれておったということを聞いておるんですが、それは間違いございませんか。
  132. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) ただいま御指摘になりましたとおりでございまして、これは非常に事業団の手落ちでございまして、事業団としましては一般の人に理解をしてもらうように簡単に考えて、そういう図面をパンフレットにかいたものでございますが、その他の、ほかに配布しております説明書は詳細に書いてお渡ししておるんでございまして、一般の人に出すのには簡単にそういうことをしましたが、これは非常な手落ちだと、かようにいま反省しておる次第でございます。
  133. 浜本万三

    ○浜本万三君 そういうことを事業団が一般のパンフレットにして発行されるということは、たとえば基本計画の時点等でポリエチレンの遮蔽をしなければならないという考え方があったためではないですか。
  134. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 一番最初の設計には、ただいま御指摘のように、ポリエチレンもその上部にあったのでございますが、その後の設計の変更によってポリエチレンが除かれておるわけでございます。
  135. 浜本万三

    ○浜本万三君 原子力委員会に提出された基本設計そのものには、それは載っておったわけですか、一番最初の。
  136. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 基本設計には、その格納容器の上部にどういう形で、どういう厚みのポリエチレンをどこに被覆するかということまではきめておりません。鉛及びポリエチレンで遮蔽することということになっておりますが、格納容器上部のまわりの部分はポリエチレンと鉛で遮蔽されております。まん中の部分が鉛だけでございます。その辺のどこにどういうものを使うかということは基本設計の問題ではございません。
  137. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうすると、最初からポリエチレンを遮蔽板として使用するということはあったわけなんですね。原子力局長、どうですか。
  138. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) ございました。ございましたので、結果的にはその上部のまわりの部分にはポリエチレンを使っております。
  139. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうすると、上部のポリエチレンはなぜその後取ったわけですか。
  140. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 基本設計の段階、あるいは安全審査段階はそういうことでございますが、その後の詳細設計以降の段階におきまして、安全審査で指示をいたしました放射線量との関連におきまして、その中央部におきましてはポリエチレンの被覆が必要ないという結論に至ったものだと考えております。
  141. 浜本万三

    ○浜本万三君 それは原子力委員会安全審査段階でそうなったのですか、そうしますと。
  142. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) そのあとだと考えております。
  143. 浜本万三

    ○浜本万三君 そのあとと申しますのはどこですか。
  144. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 詳細設計でございますから、その設置許可を受けまして、安全審査の報告に盛られました諸条件を満たすために、原子炉のメーカーが詳細設計をするわけでございます。で、さらに原子力事業団がそれをもとにしまして総合的な工事の計画を立てまして、あとは船舶安全法による検査を受けるわけでございますが、その安全審査以後の原子炉の詳細設計、あるいは製作工事、その段階でそういう結論に達したというように考えております。
  145. 浜本万三

    ○浜本万三君 しかし、その申請者が安全審査会にポリエチレンの遮蔽板を使うことが必要であるというふうに申請をしておるのに対して、この原子炉安全審査会のほうはどういう態度だったんですか、いまのお話を聞くと、どうもわからないんです。
  146. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 先ほども申し上げましたように、遮蔽設計というのは非常に重要でありまして、その意味で、原子力船事業団が遮蔽問題をいろいろと検討したことは、先ほどの実験研究その他によって明らかでございます。で、この原子力船最初に設計された当時、たとえば三十九年の終わりごろにおきましては、確かに上にポリエチレンが張ってあったわけでございます。その後四十一年の半ばごろ、改良設計をした段階におきましても、まだ、このポリエチレンが原子炉の頂部に、格納容器の頭の部分についておりました。しかしながら、その後修正設計が行なわれまして、四十二年三月段階におきましては、この上の部分はポリエチレンが取られております。で、その段階において、四十二年の四月に安全審査の申請が出てまいったわけでございまして、そういうことでございますから、まあ実際にどうしろというようなことにつきましては、安全審査会としては特別指示したとは思いませんけれども、設計自体としては、そういう上部のポリエチレンを取りはずすという方向でデザインがなされておる。これは先ほど申し上げましたいろんな実験をやった結果、そういうことが可能であるというふうに考えたもので、原子力船事業団のほうで考えたものであろうと思いますし、そういうことによって、この原子炉の頂部あるいは格納容器の頂部付近においての、年間のそこにおる人の受ける放射能量が非常に小さいということがわかっておったというふうに考えております。実際の、結果においてはそうなっておりませんけれども、デザインの段階においてはそういうふうになっております。
  147. 浜本万三

    ○浜本万三君 その点についての原子力委員会の安全専門審査会の責任、手落ちというものはないんでしょうか。
  148. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 先ほど生田原子力局長が申し上げましたとおりに、そこに張る鉛が何センチメートルであるとか、あるいはポリエチレンが何センチメートルのをどう張るというようなことについては具体的に安全審査会では指示しておりませんけれども、そういうことによってこの期待される放射線の防護が可能であるということを原則的に原子炉安全専門審査会においては承認したというふうに考えております。
  149. 浜本万三

    ○浜本万三君 いずれにしましても、直接間接を問わず、安全専門審査会が頭部のポリエチレンを取ることを承認したということになれば、原子力委員会の責任は重大じゃないですか、しかもそのことによって事故が起きているとすれば。
  150. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 頭部を取るというふうな表現でございますが、申請が出されてきたものは初めからないのでございます。
  151. 浜本万三

    ○浜本万三君 原子力委員会は、当初いろんな計画にはポリエチレン容器でおおうということが大体あったということは御承知になっていたと思うのですが、その後、それが申請がないということは、安全性の問題につきましてもう少しやっぱり積極的な姿勢を示さなきゃ、ならぬという義務があるんじゃないでしょうか。
  152. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 鉛の部分だけで十分に遮蔽ができるというふうな設計上になっておったということを承認したと思います。で、現在の問題が、このポリエチレンの問題だけであるかどうかについてはまだわかっておりませんので、先ほども長官からも申し上げておりますように、実態を全部明らかにした上でその問題が検討されるというふうになると思います。
  153. 浜本万三

    ○浜本万三君 もしかりに、そこにポリエチレンをおおわなかったということによって放射線漏れがあったということになれば、そこで当然原子力委員会の責任が起こってくるということも考えられますが、その点いかがですか。
  154. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) そのようなことになりましても原子力委員会の責任ということにはならないと思います。
  155. 浜本万三

    ○浜本万三君 原子力委員会の責任にならないというんですけれども、しかし、直接、間接に、初めての原子力船の建造計画を推進するわけなんでございますから、しかも国民の税金を使うわけなんでございますから、原子力委員会を問わず関係省庁がそういう安全性の問題について鳩首協議をいたしまして全きを期するということが当然あってしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  156. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) その点は当然原子力委員会科学技術庁運輸省協力してやることでございまして、現在までの段階でも、それから当時の安全審査あるいは船舶安全法での検査の段階におきましても、私ども運輸省とは十分協力してやっております、これは政府ば一体でございますので。その点、ただいま法令上の責任あるいは技術的な問題を申し上げましたが、そういう行政の体制としては十分協力してやっておりますし、当時でも万全を期しているわけでございます。
  157. 浜本万三

    ○浜本万三君 事業団の理事長に伺いますが、なぜ事業団はその頭部のポリエチレンの遮蔽を除外して申請なさったんですか。
  158. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) それはですね、その方面の専門委員をわれわれは持っておるわけでございまして、その専門委員の方々のサゼスチョンによって設計変更なり基本計画の変更をしておるのでございます。そういうわけでございます。
  159. 浜本万三

    ○浜本万三君 その専門委員会とは具体的にどういう方々が参加されておる委員会ですか。
  160. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) お答えいたします。  それらの専門委員の方々が十分計算をし実験をした結果、確かめた結果そういうものが必要ないと、こういうことで設計の変更があったわけでございます。
  161. 浜本万三

    ○浜本万三君 十分確かめ計算をした上でなおかつ事故が発生したわけなんですから、したがって、そういう進言をした専門委員会人たちの責任は重いと思うのですよ。だから、名前を伺っているわけですから、名前を教えてください。
  162. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 名前はひとつあとで調べて御報告をいたします。
  163. 浜本万三

    ○浜本万三君 先ほどから質問をしておるんですけれども、ポリエチレンの遮蔽をしなかったということは、今日事故が起きてみると非常に重大なことだというふうに思いますから、その辺のいきさつを明確にしていただきまして、報告書を出していただくようにお願いしたいと思います。
  164. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまの浜本君の要求資料、どうですか。
  165. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 御報告をあとでいたします。
  166. 浜本万三

    ○浜本万三君 それから、先ほど長官のほうから重大な私に対する指摘がありましたので、その点についてちょっと長官にお伺いしたいと思うのであります。  今度のこの「むつ」の原子炉から放射線漏れた、こういう点について、私はまあ放射能というふうに申し上げたのでございますが、その点の見解について伺いたいと思うんです。特に先ほどから原子力局長長官答弁を伺っておりますと、局長は正確に放射能というふうに発言をされておるわけです。しかし、長官は昨日の衆議院の御答弁でも放射線というふうに表現されておるわけでございます。そこで私の見解を述べて長官の御意見伺いたいというふうに思います。  この放射線漏れたということは、私の見解では中性子が漏れたというふうに理解をしておるわけです。中性子が漏れまして他の物質に接触をすれば、それは必ず放射性物質になるということはもう論をまたないというふうに思うわけです。たとえば「むつ」で中性子が漏れて他の物質に当たって、そしてそれが放射性物質になるということはまあ明らかだろうというふうに思うわけです。そしてその放射能が甲板の上に漏れまして雨が降れば当然死の灰になる。量は大量であるとか微量であるとかいうのは別問題といたしまして、私はやっぱり放射線というよりも放射能というふうに理解をしたほうが正しいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  167. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 私が放射能と言いましたかどうか、実は記憶をしておりませんが、放射能と言ったのでございましたら放射線と訂正さしていただきます。  それからただいまの先生の御質問でございますけれども、私ども理解しておりますところでは、今回放射線漏れましたものは、中性子が格納容器にぶつかりまして、そこで発生いたしますいわゆる二次ガンマ線が外に出てきてモニターによって感知されたということでございまして、これはいわゆる電磁波のようなものでございまして、物質ではございません。一種のまあたとえて申しますれば光のようなものでございます。したがいまして、そこから出てまいりましたガンマ線が雨に当たりましても死の灰に変わるということは一切ございません。放射線放射能というのは混同されがちでございますが、正確に申しますと、放射性物質原子炉の外に出たか、あるいは放射性物質から出ます放射線あるいは放射能というものだけが漏れたのかと、そこが問題でございまして、今回は放射性物質原子炉の中に格納されておりまして、一切出ておりません。放射線だけが何らかの原因で出たと、かように理解しております。
  168. 浜本万三

    ○浜本万三君 中性子が漏れて外の物質に当たれば、ガンマ線を出すと同時に、中性子を吸収して鉄やコバルトやマンガン、さらには空気中の窒素や酸素などに放射性同位元素、つまり放射能を持った放射性物質ができるということに私ども理解をしておるわけなんですが、それは間違いでございますか。そういうことを長官ご存じないということになりますと、やっぱり放射線放射能というものを変に欺瞞をして国民に伝えるようなことになると私は思うのですが……。
  169. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 原子炉規制課長から説明させます。
  170. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 中性子に当たりまして放射化されるということにつきましては、高エネルギーの中性子が出ました場合には確かに放射化されます。それは原子炉の格納容器の中におきます放射線につきまして一次遮蔽をしておるというのは、原子炉の中から出てきます高エネルギーの中性子線が多量に周辺の機器に当たってその機器にやはり放射化をさせるということで一次遮蔽を施しておるわけでございます。その外側に二次遮蔽として生体遮蔽というものを施しておるわけでございます。そこで、その生体遮蔽を漏れ出てきます中性子というものも、これは微々たるものがあるわけでございますが、問題は、そのような放射化されるような中性子というものは多量に外に出ないようにしておるわけでございます。
  171. 浜本万三

    ○浜本万三君 いずれにいたしましても、長官ももう少しやっぱり専門的に御研究いただきたいというふうに思うんです。いずれにいたしましても、いまの点は非常に重要でございますので、あとでまた正確な御答弁をいただきたいというふうに思います。
  172. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 放射線はいわば電気の光線漏れみたいなものでございますし、あなたの言うような放射能とおっしゃると、放射性の物質が表に出て、汚染というようなことばを使ったり、死の灰とかいうことばをお使いになりますが、そういう心配はないわけでございますから、この際は放射線ということばでやったほうが正確な表現だというふうに私は考えておるわけであります。でありますから、さもないと、何かこれによって汚染が生じると。死の灰が出ると。そんなことはありませんですからね。そんな状態じゃありませんから。だから、それはそういう誤解を受けないように、私ども事態を重要視して考えておるということはもうよくおわかりでございましょうから、そういう際に、何といいますか、さらにそれに乗ってそういうむずかしい表現をお使いにならずに、単純にやっていただいたらどうかなと私は思うわけでございます。そういう意味で私は申し上げたわけで、別に放射能か、放射線かというような、あまり本来——実態が大事でございますから、それによって放射性物質が表に出て汚染という現象が起きるかどうか。こういう問題によっていわゆる死の灰が出てくるかどうか。そういうへ配は全くありませんから、そういう意味で私は放射線ということばをお使いになったほうがいいのじゃないかと申し上げたわけです。
  173. 浜本万三

    ○浜本万三君 まあガンマ線が出ておるということになれば、当然中性子が出ておるということにもなるのですけれども放射能が出ているということにもなるのですけれども長官がそういうふうにおっしゃるなら、あえて時間がございませんので追及はしないようにいたしたいと思うわけです。しかし、問題は、そのように非常に安全性の問題について国民を欺瞞し、かつまた糊塗されるような政府関係機関の発言が非常に多いわけでございます。そういう点私は非常に遺憾に思うのですが、その一つの例といたしまして、「今週の日本」という九月第一週号に出ておりまして、その紙面には、森山長官の「「むつ」に”原子の火”ともる」、安全性は全く心配ない、こういう談話が載せられておるわけであります。私はこの新聞を通して見まして、長官の、いわばことばは悪いけれども、欺瞞的、そしていかにも国民安全性心配ないというふうな過大な宣伝が行なわれておるきらいを受けるわけなんですが、たとえばその文章を見ますとこういうことが書いてある。「安全性心配ない」「廃棄物処理施設も完備」という小見出しがついているのですが、その中で、まず私が問題にいたしたいと思いますのは、「安全性についてはとくに留意しており、事故は絶対ないと考えています。具体的にいいますと、異常が出た場合は自動的に停止するシステムになっており、また原子炉は二重のしゃ蔽がしてあり放射線の影響はまったくない。万にひとつ衝突したり、座礁しても非常に厚い鋼板を使用しており心配はない。」また放射性物質が海中に流れる心配もない。こういうふうにおっしゃっておられるわけでございますが、私が一番心配をいたしますことは、先ほど申しましたように、中性子が流出しておるということに、漏れておるということになってまいりますと、今回の一・四%の出力試験でさえ相当の危険性があると。予想する約百倍の放射線を出しておるということが言われておるんですが、もしこれを船を運転できるような出力に上げた場合には、一そうその危険性は強まってくるのではないか、こういうふうに私は思うわけです。そういう点から考えますと、長官のこの発言は非常に国民を欺瞞する発言であるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  174. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) とんでもないことだと私は思っております。欺瞞するどころか、その文章を読んでおわかりのとおり、私はしゃべったことは記憶しておりますが、どういうふうな新聞になったか私自身が読んでおりませんからわかりませんけれども、いま読まれた範囲内でもおわかりのとおり、そういう際にはもう事故の心配はありませんということを言っておるわけでございまして、したがってそういう際には警報装置が鳴ったり、かわりの機械が動いたり、原子炉がとまるという、いわゆるテクノロジーアセスメントが徹底しておって、そういうことについては心配ないということを私は主張しておるので、そのとおりじゃないかと思います。私は先ほど来そういうふうに申し上げておるわけで、事故は起きませんよということを申し上げておる。今回の問題、事故じゃございませんから、どうかひとつその点は……。
  175. 浜本万三

    ○浜本万三君 その点についてさらにお尋ねしますが、これ、新聞によりますと、先ほど私が読み上げましたように、「原子炉は二重のしゃ蔽がしてあり放射線の影響ばまったくない。」というふうにおっしゃいましたけれども放射線の影響は、漏れてあったわけですから、これはやっぱり新聞記事と実態違うんじゃないですか。
  176. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 私が先ほど来申し上げておりますように、あの炉の上に毎日八時間乗って一年間やっても胃のレントゲン一回分ぐらいの線量にしかならないと。その段階において警報装置が出ているわけでございますから、そういう仕組みになっておるわけでございますから、安全に心配ないじゃないですか。だけれども、私はこれを当面の、いま出ておる事態だけではなくて、これは実際何が起きておるのかはっきり調べようと、なぜそういうことが起きておるのかこれを調べようと、それに対するどういう対策を講ずべきかというのをこれから調べようということを申し上げておる。それなればこそ出力上昇試験をやる。試験をやるということは、もう何かのふぐあいがあってはいかぬからやるわけでございますから、しかしその際に、安全に疑問のあるような試験ではございません。先ほど来申し上げましたように全く心配ないのでありますから。それはそこに書いてあることを私の言うこととは違っていませんよ。いまここで——しかし、私がしゃべったことがその新聞にどういう書き方になっているか、私は読んでおりませんから一回読ましていただきたいと思っております。
  177. 浜本万三

    ○浜本万三君 もう一つお尋ねするんですが、廃棄物処理施設は完備したと、こういうふうに載っておるんですが、廃棄物の処理の問題につきましてお尋ねをしたいというふうに思います。  むつ港で確かに廃棄物の処理施設はありますが、そのむつ港に処理いたしました微量の汚染水というものは流されるわけじゃございませんでしょうか。
  178. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 技術的な問題はあとでまた補足説明いたさせますが、むつ港におけるところの基地としての機能というものは、私はレーニン号や、サバンナや、オットー・ハーンでは見られないくらいしっかりした基地ができておると思っております。現場においでになった方はおわかりのとおり、あの港の岸壁のうしろに建物幾つもございまして、これだけのりっぱな施設ができているところは世界じゆうにないのじゃないか、原子力船といたしましては、と思っておるわけでございます。したがって、そういうものの処理対策というものは最も考えてやってある事態であるということをまず申し上げたいと思います。  自余の問題は事務当局から説明いたさせます。
  179. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) ただいま先生質問放射能を帯びた水でございますが、これはタンクの中にためることにしております。一切外には流さないことといたしております。
  180. 浜本万三

    ○浜本万三君 いま局長がそういう御答弁なさいましたが、申請書類の中には、微量の汚水は流すという意味の申請がなされているように私は聞いているのですが、それは間違いでしょうか。
  181. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) おそらく先生指摘のは当初の計画だろうかと思いますが、出力上昇試験の実施に際しまして、昨年来青森県を通じまして地元といろいろ話し合いを進めたわけでございますが、そのときにそういう御要望もございまして、たしか昨年の秋ごろだと私記憶しておりますが、タンクの中に全部ためるというように変えたわけでございます。
  182. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうすると、申請書に書いてあることは修正されておるわけですね。−そうですが、わかりました。そうすると、最後の最終処理というものはどうなっておるんでしょうか。
  183. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 最終処理につきましてはいろいろ検討いたしております。ある程度エバポレーターを備えつけまして蒸発させます。最終的に残りましたものをほかの原子力発電所の場合と同じように最終処分の方法を考えますとか、いまその辺を検討しております。たしか二年でございましたか、その部分は十分貯蔵能力があるということでございますので、最終処分につきましても引き続き検討している段階でございます。
  184. 浜本万三

    ○浜本万三君 質問の方向を変えましてお尋ねしたいと思うのでございますが、先ほどいろいろ質疑の中で明らかになったんでございますが、日本原子力平和利用という問題につきまして、私は若干疑念を持つものでございます。もちろん地下資源、あるいは資源エネルギーが不足をしていますから、何らかエネルギーは別に考えなければならぬということはわかるわけであります。しかし、先ほどお話がございましたように、比較的技術的にも容易だといわれておりますところのこの第二次遮蔽装置、そういうものについても若干の欠陥があったということになりますと、さらに技術のむずかしいといわれております燃料でありますとか、あるいは緊急な冷却槽でありますとかいうような技術はさらに重要な欠陥を生ずるのではないだろうかという心配があるわけでございます。したがって、私といたしましては、もう少し安全性の問題につきまして、原子力委員会は積極的に安全性の問題について検討いたしまして、安全確保の上に立って原子力平和利用というものについて政策を進められるのが正しいのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  185. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 原子力平和利用に徹するということは、もう申すまでもございません。それから安全性にくれぐれも留意するということについても全く異存はございません。そういう方向で今日までやってきておるわけでございます。それについて御疑念がおありで御質問でございましょうか。
  186. 浜本万三

    ○浜本万三君 今回の「むつ」の事件を見ましても、あるいはまたあとで申し上げる関西電力の美浜の原子炉の問題につきましても、非常にまだ未開発の点が多いのではないかというふうに思うわけでございます。特に、遮蔽装置の問題は、比較的技術的に容易だといわれておるにもかかわらず、ああいう事件が起きたというふうに報道もされておりまするが、それならばなお燃料棒であるとか、それから蒸気発生装置——よく事故の起きます——そういう問題でありますものとかは、なおむずかしい技術を要するというふうに思うわけなんでございます。そういう事情から考えますと、もう少し基礎的な研究調査というものをしっかりおやりになって、そして国民の疑念をなくして積極的な平和利用の方向に推進されるのが正しいのではないかというふうに私は思うのです。そういうことを言っているわけです。
  187. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 美浜の蒸気発生装置の細管に肉が薄くなっているとか、穴があいているとかという問題があるわけでございます。そういうものは、二年ほど前にそれが発見をされまして、これは最初警報装置があって、異状があるというので炉をとめて調べてみました。そして幾つかの穴を埋めたわけであります。それから定期検査をそれ以来二回ほどやって、そのつど若干の蒸気発生器の細い管の肉が薄くなっているところなどが発見されたわけでございます。私どもはそういう意味の安全性から申しますれば、これは肉が薄くなったり、小さい穴、いままで八千幾つある細管の中で小さい穴があいたのはわずかに三ケ所でございます。肉が薄くなったものは二千本ぐらい、今日までの段階でなっておるわけでございますが、そのつど穴を埋めてやっておりますから、安全性については心配ない、しかし能力の悪い炉ではないか、これは。実際問題として、全部の機能の一割、二割というものが、あるいは三割に近いものが機能しないわけでございますから、それは非能率の炉であるという意味で、安全性の見地からの御論議がございましたが、これは能率性の問題であるというふうに私どもは主張し、いまやまあ大体そういうふうなお考えに、おわかり願ってきたのではないかと、私は実は思っております。が、今回の場合、定期検査をやりましてから、一カ月半ぐらいたって、またこの問題がわかりましたものですから、これはまあとにかく能率が悪いだけで、こういつもいつもこうなってくるのでは能率が悪いだけで済まないのじゃないかと、一回こういう蒸気発生器はまるごと取りかえるということも含めて真相を究明して対策を立てて返事してもらいたい、こういう指令を、これは科学技術庁長官である私が出したわけです。この問題で、衆議院で、これは今度の「むつ」の炉と同じような加圧式の軽水炉でございますから、だからそうなんだろうとおっしゃるが、いやとんでもない話ですと、これはもっと前に、七月の幾日にそういう事態がわかりましたので、もう何回もこんなことをやっていてはいかぬから、とにかくそういう点はっきりいったほうがいいというので、私のほうから準備をさしておりましたところ、こういう事態等が出てまいりまして、時間的には先週の金曜日にこれを発表したわけでございまして、そういう点を科学技術庁長官としては気を使って、とにかくそういうのは考え直しなさいというだけ、なかなかよくやるじゃないかといってほめていただきたいと実は私は思っているわけでございまして、安全性の問題については、そのとおり私は万遺憾なきを期しておるわけでございます。  それから今回の「むつ」の原子炉安全性の問題につきましても、先ほど申し上げましたようなことで警報装置でわかったわけでございます。現在は事柄としては大きくないが、しかし事態の真相をつかんで間違いないことをやらなければいかぬということで事を重大視してこういうふうに措置をいたしておるわけでございますし、始まりましてから今日までの間、対策としては休むことなく処置を講じて、ちょうどいまの時間、十三時にいま船から釧路に向けて出かけている調査団が帰ってくるところでございまして、安全性については、このくらいとにかく一生懸命やっておるのでございまして、それを何か安全性に疑念があるようにおっしゃる点は——それは微力でございますから、どうもおまえら気持ちはわかるけれども、なかなかこうじゃないかというようなふうに御批判いただくのはそれは甘んじて受けなければなりませんけれども、しかしその問題について一生懸命やっており、少なくも事態の収拾策といたしましても、最短距離を走って今日までやってきておるわけでございますから、どうかそういう点御理解願いまして、やはりこれは一つの消極、積極の差はございましょうが、一つの国家的な大きな仕事への取り組みでございますから、どうかひとつそういう点を十分御理解願えれば幸いに存じます。
  188. 浜本万三

    ○浜本万三君 理解をしようと思って御質問を申し上げているのですが、そこでいま美浜の問題について長官のほうから言及されましたので、美浜問題について若干御質問申し上げたいというふうに思います。さっき長官の積極的な姿勢を示したとおっしゃいましたのは、九月六日の発言でございましょうか、つまり九月六日に欠陥部分の蒸気発生器取りかえを指示したというふうに新聞では報道されておるのでございますが、そのことでございましょうか。
  189. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 私は文章はこまかくは覚えておりませんが、その蒸気発生器の取りかえを含めて、実情を調べて対策を講じなさい、その返事をください、こういう話をしたように覚えております。あとは原子力局長のほうで、具体的な発言記録が残っておりますから、まあ何でもかんでもは覚えておりませんけれども、大筋は間違いないと私は思っております。
  190. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 詳しく御説明申し上げます。  九月の六日でございますけれども、関西電力の伊藤副社長、鈴木専務を大臣室に招きまして、大臣から吉村社長あての指示といたしましてただいま大臣から御説明のあったようなことを口頭で伝えたわけでございます。それは、美浜第一号原子炉の蒸気発生器の細管損傷につきまして——この事実につきましては先生十分御承知でございますので省略させていただきますが、特に定期検査が行なわれました一カ月半という非常に短い期間の間にまた問題が起きたということを非常に重要視いたしまして、これまで、たとえば二千本以上の細管につきましてめくらせんを施すその他の対策、安全上必要な対策は十分講じられてきているわけでございますけれども、それにいたしましてもこのように蒸気細管の減肉が進展するということはやはり異常だと考えざるを得ない。そのことによってただいま先生からも御指摘ございましたように原子力発電の全般について不信感を与えるような事例ともなっておりますので、そのような事情にかんがみまして、徹底的にその原因の究明を行なうということが第一。それから、蒸気発生器の取りかえ等抜本的な対策についても検討して、早急にその方針を固めて報告されたい、ということを大臣から要請されたということでございます。
  191. 浜本万三

    ○浜本万三君 実は、取りかえだけじゃなしに、取りかえを含めて抜本的な対策を講じて報告するようにということなんですが、抜本的対策とは、取りかえ以外にどういうことがあるのでしょうか。
  192. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 蒸気発生器の全面的な取りかえと申しますのが一番抜本的な対策であると考えます。  ただ、関西電力で総点検をしておりますその最終結果もまだその時点では判明しておりませんでしたし、今後通産省の原子力発電技術顧問会におきましてもいろいろ検討がされるわけでございますので、いま直ちに蒸気発生器の全部取りかえということを指示するのはいかがかというように考えたわけでございまして、その抜本的対策の一例といたしまして蒸気発生器の取りかえということをいったわけでございます。
  193. 浜本万三

    ○浜本万三君 通産省の方に伺うのですが、関西電力は、その指示を受けて何か新しくアメリカの当該企業のウエスチングハウスですか、そこに設計依頼をしたとか発注をしたとかいううわさもあるのですが、その間の事情はいかがでしょうか。
  194. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 美浜一号の蒸気発生器につきましては従来から種々対策を講じてきたところでございますが、先ほどお話しのように再び漏れたことにつきましてはたいへん遺憾だと存じております。通産省としましても、科学技術庁と十分連絡、協調の上、今後徹底的な原因究明と抜本的な対策を検討するつもりでございまして、先ほど原子力局長からお話しございましたように、今後原子力発電技術顧問会の中にそういうワーキンググループをつくりまして積極的な分析、検討をしたいと思っておりますが、その結果、抜本的な対策一つとしまして蒸気発生器の取りかえというふうなことが一つの手段として考えられるわけでございますが、それにつきましてはいろいろ設計とか製作にも時間がかかることでございますので、そういう検討も並行しまして、この設計、製作に関します検討を進めるように関西電力に指示いたしております。さらに先日の科学技術庁長官の御指示もございまして、関西電力は鋭意その線に沿いまして検討いたしておりますが、現在のところ、関西電力はウエスチングハウスに対しまして蒸気発生器の設計及び取りかえ方法につきまして検討をいたさせております。その設計は現在緒についたばかりと聞いております。来年の初めごろまでにはこの設計の概要が固まる、そういう段階であるというぐあいに聞いております。
  195. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうすると、その間一号炉は運転を停止するということになりますか。
  196. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) お答えいたします。  先ほどお話しいたしましたように、本件につきましては、何ぶんにも徹底的な原因究明ということが最優先かと存じます。その原因を究明いたしまして、その結果によりまして今後の抜本的な対策を考える、そういう手順で進めたいというぐあいに考えております。  なお、当該一号発電機は現在停止いたしております。
  197. 浜本万三

    ○浜本万三君 それでは続いてお伺いします。  これは通産省の原子力発電課長でけっこうでございますが、関西電力のいまの美浜発電所の一号炉事故の原因、これは関西電力から報告書が出ておりますが、それによりますと、「蒸気発生器細管には細管の揺れどめとしてストラップがある。曲げ加工した細管がストラップ部内にある箇所では、蒸気発生器二次側」——これは細管の外側のことでございますか、——「の蒸気と水の混合体の流動が局部的にさまたげられ、熱影響を受けやすいこと。」、もう一つは「上述のストラップ部では蒸気発生器の器内水に混在する微量の物質および水質管理のために注入した薬品が濃縮されやすく蒸気発生器細管の表面が化学的腐食を受けやすいこと。」、この二つが複合して起きたのが原因であるというふうに報告をされておるのですが、通産省もこれと同様な見解を持っていらっしゃいますか。
  198. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 前回の定期検査の際に発見されました減肉現象等を詳細に当時のデーターによりまして分析検討いたしたところでは、いま先生がお話しになりました二つの原因が考えられる。特にそのうち、前者のほうでございますストラップ内にある曲管部で二相流ができまして、それが局部的に妨げられましてホットスポットを生ずるということがおもな原因ではなかろうかというぐあいに判断をいたしております。  なお、そういうものと同時に、この二番目にあげられました原因につきましても複合的に腐食に寄与している可能性はある、そういうことが現在までに解明いたしております事故の原因の想定でございます。
  199. 浜本万三

    ○浜本万三君 そうすると、大体その関西電力の見解と同様に理解をいたしまして御質問するのですが、六月四日に四回目のピンホールが発見をされまして、そしてこの修理をされてわずか一カ月半、つまり七月十七日に再び、五たびですか、一次冷却水の漏洩事故が発見をされておるわけですが、この七月十七日の一次冷却水の漏洩事故を発見いたしましたときには、新たに二つのピンホールと、それからその原因となる腐食した個所が新たに見つかったというふうに報告をされておりますが、それは間違いございませんか。
  200. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) そのとおりでございます。
  201. 浜本万三

    ○浜本万三君 そういたしますと、美浜一号の蒸気発生器の欠陥のもとに、美浜二号、三号、さらには別の加圧式の蒸気発生器を導入をされて、さらに大型化されようというふうにしておるんでございますが、関西電力が指摘いたしました以外の原因が、七月十七日にわかったというふうに私は理解をするならば、新たに予定をされております原子力発電所も、美浜一号と同様な事故の危険性はないであろうかという疑問を持つのですが、いかがでしょうか。
  202. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 原因究明は現在進行中でございますので、それがわかった段階で判断すべきものと考えます。ただ、先生御存じのように、美浜の一号機は、この蒸気発生器ばコンパッション・エンジニアリングというところのつくりました型でございまして、美浜の二号以降につきましてはCEのタイプじゃございません。構造が違っておるわけでございます。したがって、先ほどお話しいたしましたように、原因がやはりこのストラップ構造等と密接な関係があるというぐあいに考えておりますので、いまのところ美浜二号のS・Gとは直接的には影響ないというぐあいに考えております。
  203. 浜本万三

    ○浜本万三君 再びその点お伺いしますが、七月十七日の事故は、発見個所は、関西電力が指摘いたしました原因より別のものになるのじゃないでしょうか。たとえばこのストラップと、曲がりの部分にいろんな問題が、熱が起きるとかいう話だったのですけれども、今度は普通の直線部に腐食部分が発見されたと、こういうふうになっておるのじゃないですか、七月十七日の発見は。
  204. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 七月十七日に発見されました二本の漏洩個所、これはいずれもストラップ板の中に属する個所でございまして、ストラップ構造との関係は非常に密接かと考えます。
  205. 浜本万三

    ○浜本万三君 さらに引き続いてお尋ねしますが、結局ダブっておるところ以外に、問題の個所が発見されたということになるのじゃないですか。つまり、問題の個所はめくらを入れたと。それ以外にですね。要するに新しい個所ということは考えられませんか。
  206. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 原因究明をした後にはっきりとしたお答えができるかと思いますが、現在のところ減肉現象、新しく出てきた減肉現象個所、いずれもストラップ構造と非常に密接な関係のある部分かと了解しております。
  207. 浜本万三

    ○浜本万三君 もう一つ、関西電力をいろいろ社会党のほうからも行って調べましたところ、問題の個所は全部めくらを入れたという話がございましたんですよ。だから、それ以外の個所が起きたとするならば、関西電力が主張しておる原因以外の原因ではないかというふうに私どもは思っておるわけですけれどもね、その点いかがでしょうか。
  208. 高橋宏

    説明員(高橋宏君) 原因を究明して後日お答えをいたしたいと思います。
  209. 浜本万三

    ○浜本万三君 時間が参りましたので、最後に長官にお尋ねをしたいというふうに思うんですが、安全問題というのは非常に国民も重視をしておりまするし、また長官自体も重視されておるというふうに伺っておるわけですが、安全に関するやっぱり国民合意を取りつけるためには、何と言ってもわれわれ全体が努力しなきゃならぬと思うんですが、ましてや原子力委員会の安全に関する究明というものが非常に重要な位置づけになるというふうに思います。ところが、原子力委員会の問題につきましては、どなたか委員の方がひとつおやめになったり、また、ちまたの話では安全に関することを非常になおざりにしておると。  また今回のむつの問題にいたしましても、何か形式的な審査をおやりになったように私はとっておるわけでございます。それでは原子力委員会の責任を果たせないと思うのですが、もう少し国民合意ができるように、原子力委員会の民主的な改組というようなことをおやりになる御見解はないでしょうか。
  210. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 安全性の問題につきましては、たとえば先ほど来お話の美浜の問題も、これは私ども立場から、あるいは通産省ともよく連絡の上、こういう新しい異例の措置をとっておるわけでございます。いろいろ御論議になられた経過等から見れば、まあまあとにかくいろいろな見方がおありになると思いますが、措置としてはたいへんよかったじゃないかとのおほめのことばぐらいいただけると思っておったのでございますが、何かそういう問題について依然として疑念を呈せられておられるのでございますが、私ども安全性の問題はもう一生懸命やらにゃいかんと思っておるわけでございます。「むつ」の問題につきましても、昨日安全専門審査会の部会長さんからのお話で、基本設計に関する安全審査としてはもう心配ないような体制でやったということを言っておられましたから、私はそのとおりであろうというふうに思っておりますが、しかしながら、「むつ」の問題は先ほど来再三再四口すっぱくして申し上げるとおり、現在の問題としてはそう大きな問題ではございませんけれども、技術的に見れば。しかし、その中にはんとうに何が起きておるのかということをどうしてもつかまなきゃいかぬと思って、船はそこを動くなと、専門家が行って調べるまでとにかくそこにおれということで、いままでやってまいったわけでございますので、ちょうどもう「ヘラクレス」に乗り移って釧路に向けて引き船が走り出した段階でございますから、どうかその結論を見て私は思い切った措置を講じたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、原子力委員会の問題についていろいろ御意見がございますが、何か安全審査を軽視しているようなお話でございますが、全くそんなつもりはございません。まあ、委員異動等がありまして、いろいろな議論がございますが、私どもといたしましてはこれだけ広い分野のことでございますから、何でもかんでも専門家をそろえたら、それは原子力委員が二十人あったって三十人あったって足りないわけでございますから、やはりそういうものを大所高所から判断できる方々に、これは技術、事務を問わずおそろい願って、やっていただくほかないと思っております。でありますから、そのためにこそ原子力委員会には参与制度もあり、たくさんの参与もあり、専門員が百四十人もありいたしまして、そういうものを総合的に活用いたしまして原子力委員会の機能発揮をはからなければならないと思っておるわけでございます。そういう意味で原子力委員会がなお機能を発揮するように、これから努力いたしたいと思います。まあ、従来長年、でき上がりまして十八、九年になりますから、その運営については十分この時期において考え直していかなければならない問題点を含んでいることは事実でございますから、現行制度のもとにおきまして十分機能を発揮するように今後とも努力をいたしたい。そういうつもりでございます。
  211. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) ただいまのお話で、まあ私は原子力委員の中で、ある意味で安全を担当しておるというふうに自分で考えておるわけでありますが、その意味から申し上げましてただいまのような御発言についてば非常に遺憾だと思うのであります。しかしながら、われわれのやっておることがすべていままで万全であるということはもちろんございませんので、できるだけその安全問題についての見解を人的、物的に深めていきたいというふうに考えております。具体的には安全審査に携わるメンバーを強化することもありますけれども、しかしもう少し抜本的に安全の問題とは一体どういうことであるかというような表面的な安全審査のほかにさらに安全の本質について検討を加えたいというふうに考えておりますので、ある意味でそれは安全会議というようなものを原子力委員全員が出まして学識経験者とともに検討いたしております。そこで安全の問題について万遺憾なきを期していきたいと思いますが、過去におきましても十分努力してまいったつもりでございます。
  212. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後一時二十分休憩      —————・—————    午後一時五十九分開会
  213. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  それでは休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  214. 加藤進

    ○加藤進君 長官。まず長官にお尋ねしたいと思いますが、第一に、きのうの衆議院の科学技術特別委員会で、私は情報としても聞きましたし、また新聞にも出ておりますけれども長官を含めて二人の間に口論となった。森山長官は「ただじゃ済まさないぞ。」と大臣席にすわり直そうとしたが、おこった某氏は「ただじゃ済まさないとはどういうことだ。」、こういうやりとりがあったという。これは国会の中でやられたことですね、委員会の中でしょう。(「休憩中だ」と呼ぶ者あり)休憩中にしろ委員会の中ですよ。どうですか。こんなことばが科学技術行政の最高責任者の口から出た。これを国民はどう思いますか。国会の権威にもかかわることです。私は強くこれを追及するつもりはありませんけれども、こんな発言は休会中といえども国会内で起こったことですから、国会で取り消しなさい。反省しなくちゃならぬ。いや反省しませんというならそれでいいですよ。はっきりしてください。
  215. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) お答えする必要ありますか。
  216. 加藤進

    ○加藤進君 はい。
  217. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) きのうそういうハプニングがあったことは事実でございます。まあしかし新聞報道によると、「顔面そう白」という人もあり……
  218. 加藤進

    ○加藤進君 そんなことは言いませんよ、私は。
  219. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 「顔をまっ赤にして」という人もありい色がいろいろみな違いますので……。やっぱり新聞によって書き方がいろいろ違っております。与党の某君からの質疑でございましたし、質疑の内容についても、与党の立場でございますからね、いろいろ話を調整しておやりになったらいかがかと思われる点もございますし、特に事務次官を呼び出して質疑応答をされようとするわけでありますから、御案内のように……
  220. 加藤進

    ○加藤進君 大体状況は聞いています。簡潔でいいです。
  221. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 事務次官はこれば政府委員にもなっておりませんし、そういうことをやる際にはやはり私どもによくお話をされてやられたらどうかというふうに私は思いました。  まあ実はこれにさらにつけ加えたいこともいろいろございますが、こういう席でございますから御遠慮は申し上げますが、そのままにはほっておけないと、こういう意味でございます。これ以上のことは与党内部のことでございますから、あなたに対して返答する限りではないと思っております。
  222. 加藤進

    ○加藤進君 いや、私の聞いているのは、そのままでほっておかないというようなことは相手のあることですから、どうぞ個人的にはけっこうです。しかしあなたは閣僚でしょう。行政の責任者ですよ、科学技術行政の。そのあなたがこういうことを委員会の中で、国会の中で発言されるということは重大だと。国会の権威にかかわる。取り消しなさいといっているんです。取り消さないですか。
  223. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 委員会の過程におけるやりとりではございません。済んだ段階においてのことでございますから、もうこれ以上あなたからの御意見——先ほど私か申し述へたとおりの考え方でございますから……。
  224. 加藤進

    ○加藤進君 取り消さないというなら取り消さないでけっこうです。  そこで、私はこの九月の五日の日から三日間、青森県に参りました。青森の竹内知事にも会い、あるいはむつ現地にも参りましたし、漁協の幹部にも会いました。現状の視察と事情の聴取をしてまいったわけでございますから、私はそういう調査に基づいてこれから質問をしたいと思います。  まず初めに、今度の放射線漏れの問題について、地元住民をはじめとして広範な人たちがこれ怒りに燃えています、これは事実。これは九月の五日の日のあの漁民大会、総決起大会において明らかです。四千人をこえる漁民と家族がこれに集まっている。これはもう政府、事業団に対する強い抗議を行なっている、こういうことでございますけれども、このような事態になってもなおかつ森山長官はこれは一部の漁民の反対だと、こういうふうにいまでもお考えになっているでしはうか。
  225. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 九月一日のできごとが出ましてから、地元の空気が相当変化したことはよく承知をいたしております。そういう空気の変化に対しまして、これはそれを事実として受けとめて——いろいろ判断はございますけれども、事実として受けとめて今後善処をいたしてまいりたい、こういうことでございます。
  226. 加藤進

    ○加藤進君 佐々木理事長、いらっしゃいますね。——事業団の理事長はこういう漁民の怒りが爆発的に高まったというのは、一体どういうところに原因があるのか、理由があるのかとお考えになりましょうか。
  227. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 私ども原子力船むつ」は放射能汚染を絶対しない、こういう観念で、またいままでもそういうことをずいぶん説明し、御了解を得るように努力してまいったつもりでございますが、まだその努力が足りませんで、今度の放射線漏れのことがああいうぐあいに皆さんにとられて御心配をかけたということについては非常に残念に思っておりますが、今後とも本船の安全性を何かの方法でもう少しみんなに了承してもらって、そして御理解を得たい、こういうぐあいに考えております。
  228. 加藤進

    ○加藤進君 事柄はとにかくいままで政府は事業団も「むつ」号は絶対に安全だ、放射能放射線漏れがあるということは絶対にあり得ませんと説得これつとめてきたのですよ。ところが今回の起こった事故はまさにこれを裏切ったわけでしょう。しかも裏切って一体政府は何をやっているのかと、われわれをごまかしたのか、こういっているやさきに、長官も言われましたけれども、さまざまな悪罵をこのような漁民に対して投げかけておりますね。たとえば原子力を恐れるものは火を恐れる野獣のようなものだと言った関係者がおりますよ、政府関係者が。また出力試験反対するのは科学に対する挑戦だ、こういう名文句をはかれたのは、ほかならない長官だと思うのです。これこそ、いわば今回の問題とあわせて漁民の怒りを爆発させたものだと、こういってもいいんじゃないですか。その点どうですか。イエスかノーかということで。この判断間違っておりますか。
  229. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 十分、今度の放射能漏れのことも非常に過大に漁民の方々に映ったのじゃないかと思うのです。御承知のようにこれは日本で初めての仕事でございまして、われわれ技術者のうちにはこういうこともあり得ることと予想しておる人もございますが、これはしかし先ほども申しましたとおり、安全ということについては、「むつ」は十分注意をしておるつもりで、放射線あるいは放射能汚染をしないということには、従来もそうですし、今後も十分やっていく。したがってある期間を得ればいまよりもなお多く漁民の方々、一般の方々の御了解を得られるものじゃないか、こういうような希望を持っております。
  230. 加藤進

    ○加藤進君 ともかくいままでパンフレットを何万部刷られましたか。みなこのような構造でございますから原子炉は絶対安全でございます。何の事故も起こりません。どのような放射線漏れも、放射能漏れもありません。といってきたのでしょう、あなた方。言ってきた事柄があの今回の問題で、今回のような事故で、事件でひっくり返った。これをもって怒りを感じないのばおかしいです、これは。そうでしょう、このことを私たち漁民の切実な感情だという、このことをお忘れなくあなたたちも考えていただかなければいかぬと思うのですよ。  そこで、科学技術庁長官にお伺いしたいのですが、今回「むつ」号の出力試験、この出力試験は何をやろうという試験なんでしょう、どういう性格を持った試験なのか、この点お尋ねします。
  231. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 出力上昇試験原子力船むつ」が完成いたしまして、それが原子力船として十分使用に耐えるものであるかということを検査するためのものでございます。発電用の原子炉にたとえてみますれば、建設工事が終了いたしまして、最終検査に至るまでの何と申しますか、試運転と申しますか、その段階にほぼ相当するということでございます。
  232. 加藤進

    ○加藤進君 つまりこれはあれでしょう、原子炉をはじめとする装置の試験のために行なった航海でしょう、航行ですね。
  233. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) そのとおりでございます。
  234. 加藤進

    ○加藤進君 だとするなら、試験なんですから、これはどういう事態が起こってくるのであろうか、こういうこと、問題になりますね。計算どおり、考えどおりうまくいくかどうか、これはわかりません。わかるなら何も試験やる必要ないんですから。この試験やられるにあたっては、設計どおりいく場合があればあるいはいかない場合もある。こういう点で私はきょう安全審査を行なわれた内田先生にお聞きしたいわけでございますけれども、きょう残念ながらお呼びする余裕がありませんでしたので、かわって山田原子力委員にお聞きしたいんでございますけれども、このように試験である以上は考えどおり、設計どおりいく場合といかぬ場合がある、こういう点は御確認いただけますか。
  235. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 簡単にお答えすればこのとおりであるということでございますけれども、しかしそこにいきます経過におきましては、設計の基本方針を十分に原子炉安全専門審査会において審議し、オーケーを出しておるわけでありますし、その線に沿って機械がつくられておって、また据えつけられておるということになれば、万々一起こらないとは言えませんけれども、大体大丈夫であると考えるほうが普通であると思います。
  236. 加藤進

    ○加藤進君 大体というのはどういう意味ですか。大体といえば例外があるでしょう。そのような例外として起こり得るような欠陥、故障事故というのはどんなことを予想して出航されたか。
  237. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) その段階原子力委員会段階ではございません。
  238. 加藤進

    ○加藤進君 山田原子力委員、あなたのお答えがないんですか、その限りにおいては。どなたかをじゃ指名してください、責任者を。
  239. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 安全専門審査会は原子力委員会の下部機構ではございますが、そこでの責任の限界は、この原子力船に使われます原子炉型が原理的に設計として十分であると、しかもそれは実現可能なデザインになっておると、どうやってやるということについては、具体的な寸法とか形といったようなものについてはわれわれは、安全専門審査会はそこまでは問いませんが、原理的にできるということまでの段階安全審査ということになっておりまして、それからあとは、今度の場合におきましては、運輸省におきましてそれの具体的な寸法、形状の入った状態においてそれがいいかどうかということを見るわけでありますし、それの据えつけについても運輸省の責任であろうと思いますし、それの運転についても責任であろうと思います。したがいまして、その段階運輸省段階であるというふうに考えます。
  240. 加藤進

    ○加藤進君 となれば、同じ政府部内ですけれども運輸省から御答弁いただきたい。
  241. 内田守

    説明員(内田守君) いまお話にございましたように、「むつ」の例で申しますと、安全審査を通しまして設置許可を終わりますと、その具体的な船の検査というのは船舶安全法によってなされていくわけであります。私どもいまの炉規制法の安全審査につきましては積極的にわれわれも委員として参加いたしまして、その審査の状況というのは逐一われわれも承知いたしておるわけであります。そうした基本設計ないしはその審査の状況を体しまして、事業団が具体的に作成しました詳細設計、あるいはそれに基づく材料、工事、性能ということがわれわれの検査の対象になってくるわけであります。御承知だと思いますけれども、これは原子力船ばかりではございませんけれども、船の検査というのはそういう意味で、材料、工事、性能、さらに効力試験というふうに順序を追って進められていくわけでございますけれども、船というのはちょっと陸上のものと違いまして、気象、海象というようなものの外的条件というのが非常に激しく変化する状況のものでございます。したがいまして、私ども従来からこういう船の検査というのはいま申しました詳細設計であるとか材料とか工事とか性能とか、そう羅列いたしましたそれぞれの段階で何かふぐあいがあれば、さらに前の段階にさかのぼってそれぞれに必要な変更を加えて検査を実行していくというのが船の検査のやり方であります。したがって、船舶の検査というのはそういう詳細設計であるとか、材料であるとかあるいは工事、性能、効力試験というのは何月から何日までとか、そう画然と区別して実施されるわけでございません。常にさかのぼりながらやっていくというものでございます。したがいまして、この船が、「むつ」の例で申しますと、「むつ」が製品として船舶安全法に合格するという判断は、最終的には最後のその効力試験が終わって初めて船舶検査証書というものは交付されるわけでございます。御承知のように、今回の「むつ」の出力上昇試験というのはこの検査の一環の中の問題でございます。したがいまして、われわれ自身はもちろん設計であるとか材料であるとか工作であるとか、その段階段階におきましてはその時点において最善の努力をしてくるわけでございますが、いま申しましたようなものである以上、やはり効力試験あるいは最終的な試験というものを実施しない限り一〇〇%もういいんだというようなことにはならないわけでございます。そういう意味で、今回の「むつ」につきましてもやはり可能性としてはこれは最終試験をやらない限り何らかの問題は出てくるかもしれないということはあり得るわけでございます。そういう意味で今度の試験につきましても、御承知のように段階的に試験を徐々に出力を上げるというようなことで、試験そのものは安全に行なわれるように、また先ほど科学技術庁のほうからも御説明ありましたように、万一のことがあってもその安全は確保できるような試験方法というものをとっておるわけでございます。御指摘の大体というお話がございましたけれども、これは大体と言っても、われわれ自身はいま申しましたように最善の努力を続けて、それぞれのステージにおいて検査というものを実施してきたわけでございますが、しかしその時点においてはわれわれは試験で万一ということがあり得ても、そのステージにおいてはそういう異常というのはないことを信じながら検査というものを進めてきたわけでございます。検査そのものというものはやはり最終試験まで確認しなければ合格にはならない、こういうことでございます。
  242. 加藤進

    ○加藤進君 あなた、大体ということばがきらいなようで、万が一ということばに変えられましたけれども、大体ということと万が一ということは例外的にはとにかく何らかのことが起こると、不測の事態が起こりかねない、こういうことが一つあるわけでしょう。だから試験をやるわけですから。その試験をやるためにはやはり不測の事態に対応するような、いわば措置あるいはそれに対する防除方法等を講じておられたかどうか、この点についての具体的な措置はどんなことになっておりますか。
  243. 内田守

    説明員(内田守君) 別に万一とことばを変えたわけではございませんで、例外的には試験である以上ふぐあいな問題が出てくることは当然予想して行なわれるわけであります。それは先ほど申しましたように、万一そういうようなことがあっても出力上昇試験というものを段階を追ってやるあるいはそれに対応する先ほど来話の出ておりますような警報装置であるとか、そういうような監視であるとか、そういう問題を十分配慮いたしまして、試験そのものを安全に実施するという態勢をとっておるところでございます。
  244. 加藤進

    ○加藤進君 私の聞きたいのはもっと具体的なことなんですよ。これはとにかく炉の上部から中性子が飛び出したわけでしょう、ともかく。放射線が飛び出している。こういう事態に対してじゃどういう対応策を持っておられるのかということなんです。あなたたちのやられたこと、どうですか最初の手だては。硼素入りのめし粒をたいて、これで中性子をとめるというような措置をとられたわけ。それ以外のいわば具体的な措置、具体的ないわば器具その他の対策というのはあったんですか。硼素入りのめし粒でやられたわけでしょう。こういうことしか、こういう手段しかとり得ないような態勢にあったのではないかと私聞いているんです。ありましたら、いやそうではないと言われたらそうでないように言ってください。
  245. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 先生おっしゃいましたように、確かに不測の事態が起きたことは事実でございます。それでその棚素をまぶしためし粒でしか対応策がとられないような非常に準備不足であったのではないかという御意見でございますけれども、これは船に乗っております技術者あるいは専門家がとりあえず放射線漏れております個所を点検します一つの手段といたしましてやむを得ず、ほかに適当なものがございませんで、めし粒を使いまして硼素をまぶして使ったということでございます。本来であれば放射線漏れ段階におきまして直ちに定係港に引き返して、そこで点検をするとかいうことが筋であろうと私ども考えております。ただ、それにいろいろ困難もございますので、とりあえず応急の措置としてそのようなことをした、こういうふうに考えております。
  246. 加藤進

    ○加藤進君 そうおっしゃいますけれども、あとであわててわざわざ専門家を乗せて、器材は何トンかもしれぬけれども、たくさんの器材を持って急行されたでしょう。そんな措置をあわててとる前に、大体この船が行くその段階でその措置はどうしてとられなかったか。それが万全な対策じゃないですか、少なくとも。
  247. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) これは先生のおことばではございますけれども、もしも出かける前に、これは格納容器の上部から放射線漏れるであろうから、そのために、そうなった場合には、さらに遮蔽を厳重にするためのポリエチレンを積んでいくとかいうことをいたしましたら、それこそ問題でございまして、私どもはそういうことはない——また不測の事態について不用意だとおしかりを受けるかもしれませんか——ということて出たわけでございます。したがいまして、結果論といたしましては、なぜその遮蔽の専門家を乗せなかったか、遮蔽材をなぜ持っていかなかったかというおしかりを受けるわけでございますが、当初は、そういうものの必要がない、またそういうことは起きないという一応予想のもとに試験を始めたということでございます。
  248. 加藤進

    ○加藤進君 そうすると、原子力局あるいは科学技術庁はあのような状況が発生しても、これに対する防除策はとり得ないような状況があっても、こういう出力試験状況に対する技術的な体制というものは決して不十分じゃなかったと、これでいいんだと、こういう考えですね。
  249. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) たいへんむずかしい御質問でございますけれども、本来、先生御承知のように、この段階出力上昇試験岸壁でやるたてまえにしておりました。これは諸外国の原子力船すべて二〇%の出力上昇試験までは岸壁でやってきているわけでございます。これが地元の御意見その他がございまして、やむを得ず太平洋上で初めから出力上昇試験をやるということになったわけでございますが、もしもこれが当初の計画どおり岸壁で行なっておりました場合には、これは、技術陣の派遣にいたしましても、資材の運搬にしましても非常に容易でございまして、直ちに応急策がとれたわけでございますが、第一段階から太平洋上八百キロの沖合いに行かざるを得ないということでございますので、船に乗船できる人数の制限その他もございますので、理論的にこの段階ではこういう点を重点的に試験するということに応じまして、やはり技術者の数なり何なりを制限せざるを得なかったということでございます。
  250. 加藤進

    ○加藤進君 もともとは岸壁でやりたかった。しかしやれなかったわけでしょう。やれない最大の理由は何ですか。強行出港したからでしょう。そうして、「むつ」号だけとにかく八百キロの洋上に出したわけですよ。これに何ら策を持たなかったわけですよ。岸壁ならやれると言いますけれども岸壁でやられるためには、岸壁にそのような装置を備えつけて、そうして岸壁でやり得る万全の対策をとるという考えがあったわけでしょう。これを洋上に行ったときにはなぜやらなかったかということです。何もやらなかったじゃないですか。こういうことでは私たちは、十分な技術的な対策を持たずにただ太平洋上の孤児にあの「むつ」号をした、こういう責任は科学技術庁政府に重大な問題としてありますよ。  続いて私聞きますけれども昭和四十二年に開かれた原子力学会の報告論文の中に「原子力船一次遮蔽モックアップ実験」、こういうのがありますね、御承知のとおり。これについて私ばお聞きしたいわけですが、この「原子力船一次遮蔽モックアップ実験」、こういうのが昭和四十二年原子力学会の年会要旨集に出ているわけですね。これには原研あるいは原子燃料公社、原子力産業会議等々が参加しています。この結論として出されておるのは「炉心に対して斜上方向へのγ線および中性子の遮蔽体中での減衰は、遮蔽体が複雑な形状になるため、現在の理論計算の技術では信頼できる値を得ることは困難である。」——理論計算では困難であると指摘しています。「一方実験的にも単純な小規模の装置から類推することはむつかしく、結局実規模の大きさのモックアップ実験が必要である。」と、こう指摘しています。これ、やられましたか。このいわば学会での警告についてはどう対応されましたか。
  251. 福永博

    説明員福永博君) 御説明申し上げます。
  252. 加藤進

    ○加藤進君 簡単にやってください。
  253. 福永博

    説明員福永博君) 遮蔽の設計をいたします際には、一般的に申しまして、先生がおっしゃいますように機器の構造あるいは配置などが単純な.ものにつきましてはすでに開発されておる計算コードを使って設計をするわけであります。しかし放射線というものは、御案内のように遮蔽施設の複雑な構造等がございますと透視いたしましたり吸収いたしましたり、あるいは散乱したりというようないろんな現象が重複して非常に複雑なふるまいを示すことがございます。したがいまして、こういったようなものについては模型実験等を行ないまして、その結果を設計に反映させるわけでございます。  それから、工事が終了いたしますと設計どおりつくられているかどうかといったようなことを確認いたしますためには、原子炉の場合にはそれに匹敵するような大きな線源が要るわけでございます。しかしながら、こういった大きな線源というものは得られませんので、実際に炉を運転して継続して核燃焼させる、こういうような性質のものでございます。  他方、私、最初申し上げましたような機器の構造、配置等、基本的な部分あるいは接続部、貫通部といったような問題につきましては、原子力研究所にありますJRR−4という原子炉がございますが、これを利用いたしまして実験をやっております。
  254. 加藤進

    ○加藤進君 いや、そういう説明では納得いきませんよ。ここで指摘されておるのはどういうことかと言うと、現在の理論計算の技術では信頼できる値は出ない、現在の理論計算ですよ。だから理論計算をさらに精密にして開発しなくちゃこれは値が出ないと言っているのです、理論計算では。しかし、こう言われておる理論計算を用いて今日の安全審査のあれを出されたわけでしょう。これが第一。  第二には、実験はどうやられたかと言うと、実験は小規模の炉でやられたでしょう。同じ規模大でやられましたか。やられたかどうかということを聞いているんです。同じ規模大でやらなければ実験はほんとうにできないと、こう言っているのですよ。できないということが忠告されておるにかかわらず、やられたかどうかということを聞いておるのであって、イエスかノーかのお答えだけでけっこうですよ。
  255. 福永博

    説明員福永博君) お答えいたします。  私の説明の後段で申し上げましたように、一般的には機器の配置等単純なものにつきましては実測いたします。しかし、これが実際のものと全く同じもので実験したかという点につきましては、御説明申し上げましたように原子炉を使わなければできないので、実際の炉では、実験ではやっておりません。
  256. 加藤進

    ○加藤進君 そこで、私はきょうお呼びしたがったんですけれども、御出席願えなくて残念ですけれども、内田原子炉安全専門審査会の部会長さん、きのう国会で次のような発言をしておられます。「安全審査会というのは電力会社や原子力船開発事業団から出た申請書をもとに、本設計を審査、建造に当たっての注文をつけるだけ」。基本設計を審査して、建造にあたって注文をつけるだけである。「あと、どんな炉が実際に作られるかにはノータッチだ。」そうでしょう、そのとおりですよ、言われたのは。続いて、「それでも発電炉の場合は、通産省の技術顧問会に安全審査委員のほとんどが参加しているため、チェックはできるが、原子力船についてはまったく関知しない」。こう言っているわけじゃないですか、これ。にもかかわらず、あなたたちは安全だ安全だと、こう言っているわけでしょう。「むつ」が——こういう指摘ですよ、こういう学会の権威ある指摘をどう生かされたかどうか、もし生かされたならば今日のような事態は起こらなかったかもしれない。これはそうでしょう。これを無視されたのです。無視されて、今日のような、原子炉をつくり、原子力船をつくり、そして出港された。だとするなら、このような洋上実験であなたたちの考えておられること以外のことが起こることはあたりまえじゃないですか、これは。科学者の諸君、技術者の諸君はもう警告しているのですよ、これを。そこに私は今度の問題の根本的な問題があると思う。私は、第一次遮蔽についての問題や、あるいはその一番問題を起こしたところが炉にあるのかどうかというような問題については、時間がございませんから、こればいずれ私は委員会専門家参考人として呼んでこの点については一そう明確にしていきたいと思って、この質問はこれで保留いたします。ただ一言、この問題について言うならば、今回の放射線漏れは予期に反して起きたと科学技術庁はちゃんと説明している。この論文の指摘しているようにやっておれば未然に防ぎ得たであろう、こういう予測も成り立つ。この点でも、科学技術庁原子力委員会の責任は重大だ。このことだけは私は指摘しておかなくちゃならぬと思います。  続いて、次の質問に移りますけれども、今回の青森沖の八百キロの洋上で漂流中の——いわば欠陥原子力船むつ」です、これは明らかです——欠陥原子力船むつ」ではどのような応急修理をやろうとしておられるのか。これは佐々木理事長にお尋ねします。
  257. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 応急修理といいますよりも、むしろ放射線漏れ原因、それの究明をいま考えておるわけでございます。そうして、持っていった機材に可能な限りの放射線漏れを防ぐことができれば、それをやってみたいと、こういうことでございます。
  258. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、何トンも運ばれた機材というのは何に使われるのですか。少なくとも、今回起こった事件に対して、事態について、対応策がなくちゃならぬでしょう。これは、めし粒のかわりに今度はストッキングを持っていかれた。これも一つの対応策かもしれない。しかし、もう少し合理的、科学的な対応策があったはずだ。どこを修理するのか、修理するためにどのような技術と機材が必要なのか、こういう問題については何ら事業団としては考えることなしに、ただ、一体この事故の原因は何かということを主たる問題としてなされた。だから、修理とか補修とか、あるいは手当てということは考えておらない、こう理解していいんですか。
  259. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 一応原因の究明ということに主点を置いて調査団に行ってもらったわけでございます。
  260. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、すでに指摘されておるように、これは二次遮蔽から漏れておるというよりも、一次遮蔽に問題がある、あるいは、さらにその内部かもしれぬ、原子炉自体かもしれぬ、こう指摘されておるわけでしょう。そんな指摘については事業団はどういうふうにこれに対してお考えになり、これに対して対応しておられますか。
  261. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 調査団調査結果、報告をいま待っている状態でございます。
  262. 加藤進

    ○加藤進君 待っていて、それはいつごろ結果がわかるのですか。
  263. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 三、四日のうちにわかると思います。
  264. 加藤進

    ○加藤進君 三、四日後にはその結果報告に応じて態勢をとって、やっぱり洋上に船を出されるのですか。
  265. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 本朝来経過報告をいたしましたとおり、鋭意対策を急いでおりますが、真相究明につきまして、調査団がきょうの午後一時に向こうを立ちまして、十三日にはこちらに戻ってまいります。その戻ってまいりました情報をもとにして——午前中は原子力局長から三つくらいの場合があるというような話がありましたが、その三つの中の一つのケースに入るか、それ以外のケースに入るか、ちょっといまのところ何とも言えない段階でございますから、その調査団の報告を聞き、専門家グループの検討を早急に進めまして処置をいたしたいと思っております。したがって、現在の段階において、これ以上具体的なことを申し上げる段階にないことをお答え申し、上げておきます。
  266. 加藤進

    ○加藤進君 ただいまの森山科学技術庁長官は、洋上で修理して、全く心配のないようにして、「むつ」の母港に帰りたい、はっきり言っておられますよ、洋上で修理して心配のないような状態にする。また、きのうわが党の津川武一議員の質問に対して、佐々木理事長、安全性心配のないようにしてむつに帰りたい、こういう答弁でしょう。安全性心配のないように、もとどおりにして帰りたいとこうおっしゃるわけです。そうなってくると、これはあれですよ、事故の原因調査などということにとどまったらこれはたいへんでしょう、対策を立てなくちゃならぬ。その場合に、ひとつ確めておきたいのは、こういういわばとらなくてはならぬ措置として、原子炉等規制法関係して、安全審査のやり直しをやらなくてはならぬというようなことも予想しておられるかどうか、この点どうですか。
  267. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) むつ定係港でございますから、むつに帰るのが本則でございます。したがって、そういうふぐあいな点がございましたならば、それに対して心配のない状態にして帰すという原則論を昨日申し上げたわけでございます。しかし、具体的にどういうふうなこれから成り行きになっていくかにつきましては、調査団の報告を聞いて、そうしてこれについて十分評価をいたしまして、それによって対策を考えていくわけでございますから、この段階においてどういう措置をとるということを申し上げる段階ではないと、こういうふうに考えております。どうか御了解願います。
  268. 加藤進

    ○加藤進君 そうすると、重ねて聞きますけれども、一次遮蔽に問題が起こったと、そこで放射線漏れているということになると、これを軽微な状態だと、こういうふうにお考えになるのか、この一次遮蔽自体に事柄が関連していくならば、この問題については、船そのものについて、原子炉そのものについて重大な問題だ、こういう認識なんでしょうか、どちらなんでしょうか。
  269. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 一次遮蔽か二次遮蔽か、その辺のところについての実情は、一.四%出力を出しました際に〇・二ミリレントゲン放射線が表に出たという事態ははっきりしておりますが、それがはたして二次遮蔽にとどまるのか、一次遮蔽まで関連があるのか、そういうことについてはまだほんとうの姿というものについては何びとも把握しておらないわけです。いま調査団がそれを調査をいたしまして、その調査の結果について専門家グループがこれを評価して、そして対策を立てようというわけでございますから、ただいまの段階においてはそれは原子力局長が三つか四つのケースを出され、私が原則論を述べたというようなことはございましょうが、何とも御返事がいたしかねる段階だと、とにかくできるだけ真相を把握したいということで、一日に起きた事件で、まあ私ども耳に入るのがおそかったわけでございますが、それからあとの段階についてはもうできるだけ早いスピードでもって処理して、もう現在の段階においては「ヘラクレス」という引き船の上に調査員が乗って帰りつつあるという段階でございますから、どうかひとついましばらく——どういう調査結果であったか、調査結果については公表いたします、もちろん、もとより。どうかひとつそれまでしばらくお待ちを願いたいということであります。
  270. 加藤進

    ○加藤進君 国民立場から言いますとね、いろいろ報道がなされています。特に海上、その船上での記者団の発表というのがあります。事業団の発表もあります。発表の一つ一つはきわめて重大な内容を持っております。そこで国民は、一体これはどうなるのか、どうされるのかという問題を聞いているんです。それと、いまの報告によりますと、これから行って調べなくちゃわからぬ、あと数日待ってくれというのですけれども、船の中にはこのような事態についても大体こうでございますという判断のできるような専門家は乗っておらなかったということが言えるのですね、結論的に。それからまた事業団が発表したことも記者団の発表も、あれは十分に信憑性を持って受け取ってもらっちゃ困る、こういうことなんですか。
  271. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) まあ、いろんな報道が出まして、あなたのおっしゃるとおり何が真相だかわけがわからぬということで疑心暗鬼が生じておることは事実でございます。全体としてどう.なっているのか、象のからださわって、鼻のところだけさわって象は長いものだと言う。おなかのところさわって平らだから、まっ平らなものだと言う。そんなことを、応答やっていたんでは真相が明らかになりません、そういう断片的では。やはり総合的なその調査結果というものをできるだけすみやかに把握いたしまして、それに対する対策を的確に講じていくということが政治家としてのわれわれの責任でございます。また科学技術庁が行政官庁としてやらなきゃならぬ仕事でございます。でございますから、そういう意味でいままで入っていました断片的な情報だけで処置するわけにはいかないわけでございますし、この段階においてそういう断片的な情報をもとにし、あるいは幾つかあるケースの問題をもとにして一つ一つやりますれば、もうよけい混乱が増すだけでございますから、ですからいましばらくお待ちくださいということを本朝来委員の方々にお願いしているわけでございますから、どうかひとつ加藤さんも御理解願いましてね、それはお立場、お立場で……。
  272. 加藤進

    ○加藤進君 立場などという問題じゃありません。
  273. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) こういう事件が起きたことについていろいろな従来の御発言からすれば、いろんなお考えを持っておられるかもしれませんが、いまの段階で私は役所の責任者としてはこの程度の御返事しかできません。
  274. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、報道に関して言うと、これは原子力船事業団あるいは科学技術庁には特別の、直接の情報ルートというのはこれ、あるでしょう。ありますね、これは。
  275. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 何です、どういうことですか。
  276. 加藤進

    ○加藤進君 船上からの直接の、この船内に起こった状況のやっぱり報告、そのルートはあるんですね。新聞記者団とかあるいは事業団発表ということよりも、もっと信憑性のあるものを持っておられるのですか。
  277. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) その信憑性云々の問題は別にいたしまして、船から事業団経由で科学技術庁あるいは運輸省への連絡ルートはございます。
  278. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、事業団の発表というのが大体その内容になっている、こう見ていいんですか。
  279. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 大体そうお考えになってよろしいかと思います。ただし、ときおり事業団として、何といいますか、事実に加えまして予見を加えて発表した場合がございます。そのような場合には、個人的な見解であるのかあるいは公式の見解であるのか、その点まぎらわしい場合もございましたので、そういう場合にはその点をはっきりするようにつとめております。
  280. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、今度の事故について原因調査究明をやると、同時に今日の状況で可能なやっぱり手だでをとる。こういうことですけれども、これは大体いつごろまでかかる予定なのでございましょうか。
  281. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 調査団は、いまのところ十三日に東京へ帰ってくるという予定でございますから、この帰ってきました時点からできるだけ早い時期に対策を講じたいと、そういう考えでございます。
  282. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますとね、いままでいろいろ言明されておるように、洋上でもとどおりにして帰りたい、こういうことで鋭意努力をすると、こういうことですか。
  283. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 先ほど来申し上げますように、そういうことを含めまして、そういうことが可能であるかあるいは可能じゃないか、いろんな考え方が今度の調査団にはおありになるでございましょうから、それをまとめて評価して、それでこういうこれこれの措置をとりたいという結論を出したいと思います。ですから、それは私が申し上げましたことは本則の問題でございましてね、それは出力上昇試験でございますから、このふぐあいな場所があればそれは直すということが前提にはなっておるわけでございますから、したがってそういう点について直してむつへ帰りたいというのは、これは定係港——今日はまだ定係港でございますから、そういうようなことは当然のことだと私は思っております。まあそういう意味で申し上げましたので、今回の場合に具体的にどういうことが起きておるのか、何が原因で起きておるのか、そしてそれについて対策としてどうあるべきかというのはこれからのことでございますから、それをいまああだこうだということを言うことは適当ではないというふうに考えておるわけでございます。
  284. 加藤進

    ○加藤進君 そうするとね、まあ洋上で修理はこれではできにくいと、こういうような判断もとにかく持たざるを得ない状況ですね。そうじゃないですか。
  285. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) そういうこともあり得ましょう。あり得ないかもしれません。これはいずれにしろこれからのことでございますから、加藤さんね、それは一日にこういうことを言うてわれわれの耳に入るのがおそかったかもしれぬけれども、あとはできるだけ早く結論をしようというんで今日まで鋭意努力しておるわけです。でございますから、この段階はひとつこれ以上の答弁をするわけにまいりませんので、どうかひとつ御了解を願いたいと思います。もうすぐわかるわけですから。
  286. 加藤進

    ○加藤進君 それでね、まあ洋上で修理可能な状況か、あるいはそうでなければ洋上でなしにやっぱりどこかへ持ってこなくちゃならぬ、これはまあ子供でも考え得る論理ですね。そこで、もし洋上で修理不可能だといった場合には、いま科学技術庁としましても、事業団としましても、どこへ行って修理をしよう、こういうお考えも持っておられなくちゃならぬと思いますけれども、その点はどうですか。考え全然ないですか。あるんですか。
  287. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 鋭意その問題について検討を進めてみたいと思っております。詳細を御報告する段階に至っておりません。
  288. 加藤進

    ○加藤進君 きわめてわれわれには納得しかねる答弁ばかりでございますけれどもね。こういう答弁を繰り返していかれて、そうしてしかも科学技術庁は責任は責任として果たしておるなどというようなふうに言われても、われわれは納得しませんよ。国民はそんなばかじゃないですから。こういう点を十分私は警告をして、次へ進みたいと思います。  いま「むつ」で起こっている問題について、日本原子力開発そのものが問われておるという認識は当然持たなくちゃならぬと思いますけれども、その点はどうですか。
  289. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 御意見として承っておきます。
  290. 加藤進

    ○加藤進君 私の意見として承っておくということだけで、局子力局長はこの問題を指針にし教訓にして日本原子力開発行政の全般について十分な検討を加えようというお考えにまでは至っておらないと、こういうことですか。
  291. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 今回の事件は、十分真相を究明いたしまして、この問題について適切な措置をとりたいと思いますし、それがわが国の原子力行政全般に影響があるといたしますならば、それも十分に考えて措置をするつもりでございます。
  292. 加藤進

    ○加藤進君 私は青森の現地へ行ったときに青森県の自民党の知事ですよ、竹内さん、どう言われたか、これはこう言っておられるのです。今度の「むつ」の放射能漏れについては、頭のうしろから金づちでなぐられたような気がする。政府に裏切られたと言っているんですよ。裏切ったのはまさに政府ですよ。ところが長官はどうですか、何ら原子力行政の将来について、ゆゆしい事態が起こったんだから、これをもとにして反省して、原子力行政の見直しをやろう、国会でも一言も言えないのですか、その点は。
  293. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 青森県知事がうしろからがんとなぐられたと感じておるということですが、私は全く同感でございます、その点は。
  294. 加藤進

    ○加藤進君 なぐったのはあなたですよ。
  295. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 別に私、なぐったつもりございませんで、従来からの懸案になっていた事項を解決したその過程においてこういう点が出てまいりました。その点はまことに遺憾でございまして、私自身も衝撃を受けたことは間違いございません。そしていまそのために真相究明を急いでおることも、これは役所仕事としてはずいぶん早いほうに私は進んでいると思いますよ。それはあなた方のいろいろお力で、洋上八百キロで洋上実験という——ことばはいいてすが、これ漂流実験をやっておるわけでございますから、東京から千二百キロの海上でございますから、飛行機を使えないような状況でございますから、船で行っておるので、できるだけ早い時期に真相を究明して——私自身も実際じりじりしているわけです。一体なぜこういうことが起きているのか、しかし現在までの段階で断片的に受ける情報ではなかなか真相がつかめないわけです。ですから、総合的な情勢をできるだけ早くつかんで、そのための措置をいたしたいというふうに考えておりますし、それから、それがわが国の原子力行政全般について考え直す必要があれば、大いにそれは考えなければならぬと私はもちろん思っていますよ。ただ、加藤さんの所属される政党のお立場でいろいろ従来から御批判がございますから、そういう線に同調しているわけではない、その点だけをはっきりしていただければいいのであって、共産党路線で反省するような気はいささかもございませんから、しかし科学自体が大事な問題だと私は思っているんですから、ですからこれはただごとで済むとは思っておりません。それはそれ相当の腹がまえを持って事に臨むつもりでございますから、ですから、どうか、きょう初めてではなく、加藤委員とはしばしばいろいろやりとりしてまいりましたから、あなたがいまの席でおっしゃられることと、従来お話になっておられることを総合してみますと、あなたがおっしゃるような路線で考え直す必要があるかどうかは別問題でございますが、しかしながらこの問題が重要な問題であって、これからの原子力行政を進める上において十分今回の事件、何と言いますか、教訓といたしまして、もう措置をしなければいかぬ点が出てくるのではないかと思います。もしそういうことになるといたしますならば、果敢にその問題に取り組んでまいりたい。そういうことでございます。しかし、取り組み方があなたのおっしゃるような路線で取り組むかどうか、その辺のところまでお約束をいたしかねますから、一言申し添えておきます。
  296. 加藤進

    ○加藤進君 私は何もきょうは路線の宣伝をしているわけじゃないんです。
  297. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) あなたの時間は超過していますから……。
  298. 加藤進

    ○加藤進君 わかりました。あともうちょっと、もう一言。科学者泣いていますよ、いま。あれだけ努力して開発して、にもかかわらず結果がこんなことになったのは一体なぜか。原子力の将来は一体どうなるのか。原子力の将来というのは日本の将来がかかっているのですよ、これ。だから洋上の「むつ」の手当てもさりながら、この「むつ」の手当てだけで事柄は終わってはならぬ。このような事態を引き起こした原因を究明して、究明した上に立って日本原子力行政の根本にかかわる見直しをやらなくてはならぬ、こういうことを私は強調しておるわけです。最後に私はこの点でひとつお聞きしたいことがありますが、森山長官、今度外国へ行かれるそうですね。どういう計画ですか。
  299. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 国際原子力機関の総会が十六日からあります。政府代表として出席する予定になっております。
  300. 加藤進

    ○加藤進君 こういう重大な問題が生起しておるときに、しかも一番責任のある担当者が一それは必要な会議はいいですよ。何日も何日も行っておられる。私の聞いたところでは二十五日までおられるという話、こんなことでは私たち安心して科学技術行政おまかせできませんよ。どうですか、その点は。
  301. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 今回は会議に出席いたしましてからあと、かねてから連絡がございましたブルガリアの科学技術庁長官からの招待等がございますし、かねて英国、フランス、ドイツの原子力施設等を見るという予定で計画をいたしておりました。しかしこういう問題が九月一日から起きましたものですから、今回の私の出張計画につきましては、まず同行する予定でありました原子力局長及び次長は、もう局長の場合は政府代表代理の発令があったわけでありますが、昨日の閣議をもって原子力局以外の者から代表の交代をさせることにいたしました。  それから私自身の問題につきましても、あなたがおっしゃるように、会議はあれだが長過ぎるではないかという点は、かねがね考えておりましたから、半分ぐらいの日程に切り詰められればということでいま考えておりますが、それも実はこういう時期で、いろいろな不測の事態も予見をされますものですから、昨日、総理及び外務大臣の海外出張があって、それぞれ不在中の担当大臣の発令がございましたが、私の場合はこういう状態でありますから、不在中の大臣の発令は遠慮さしていただいておるということでございます。まあ国際会議でございますから、できれば出席はいたしたいと、前々からのことでございますから思いますけれども、はたしてこれからの情勢の推移で行けるようになるかどうかということにつきましては、現在の段階においては確固たる決定ができない状態でありますが、少なくも私の留守中の代理大臣の発令がされてないということだけは、どうかひとつそのつもりで事に臨んでおる、そういうふうに御了解をお願いいたしたいと思います。
  302. 加藤進

    ○加藤進君 そこで、外遊問題をも含めて、とにかくいま科学技術庁を中心とする日本科学技術行政そのものが問われていると、こういう中心に自分がいるんだというやはり自覚を持って、一つ一つの事に当たっていただかなければならぬと思います。  そこで二つだけ要望しますけれども、以上のようなことから、今度の「むつ」号の安全審査のやり直し、総点検をやる。そうしてこの結果については国民の前にすべて明らかにする、これが第一の私の要望です。特に最近「むつ」から帰った技術者の諸君に対して、きびしい箝口令がしかれているでしょう。これは公開の原則に反しますよ。技術者に対してどんな罪がありますか、しゃべるなと言っているのですよ。こんなばかなことを科学技術庁はやっちゃいけませんよ。国民の前に事態を明らかにする、こういうことをまず第一に要望します。  第二に、今回の「むつ」の強行出港放射線漏洩問題、これまでの各種の原子力発電所の相次ぐ事故などから見ても、日本原子力行政を何をおいても国民本位のものに、安全第一に根本的に改める、こういうことを私は政府に強く要望して、若干時間が超過しまして恐縮ですけれども、これで質問を終わります。
  303. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私も「むつ」の出港の前日と当日は「むつ」に乗って、そうしていろいろ漁民の皆さん、あるいはむつ市長、それから青森県では副知事にもいろいろお会いをして帰ってきたわけでありますが、きのうの衆議院の科学技術特別委員会、また本日の長官発言、そういうものを見て、私は今回のこういう一連のできごとに対して、長官として反省をしておるのかどうかですね、あまり反省していないのじゃないか。おれのやったことは強行出港ではなくて非常にいいことをやったのだと、こういうように思っているんじゃないかなと思える節もあるわけですよ。率直にどういう気持ちなんですか。これをまず伺っておきたいと思います。
  304. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 再三お話しいたしますように、今回の出港自身は強行出港だとは思っておりません。それば前々からの事の成り行きをもし御勉強願えるならばおわかりであろうと思いますが、昭和四十二年ごろ、とにかく定係港にしてもらいたいという話があり、第一船だけでやめちゃうのでは薄情ですよ、第二船、第三船もしてもらいたいというようなお話もあったくらいでございますが、昭和四十七年に船ができて、原子炉を据えつけて燃料を装てんして、出られるばかりになった段階でノーという返事が地元から出てすいったわけでございます。それでございますから、何とか出したいということで科学技術庁のほうも努力をしたようでございますし、もちろん原子力船事業団は責任者として現地で一生懸命働いたようでございますが、どうしてもなかなか話がまとまらぬ。そこで、ともかく出力上昇試験だけやらしてくださいよということであったところが、とにかく岩壁じゃ問題だから湾内へ出てやりなさい、湾内へ行ってということになったら、いや、湾外へ出なさい、日本海側がある。日本海側はまた問題が出てきて、それじゃ太平洋上に行きなさいといって、尻屋崎八百キロという、世界で初めての、岩壁試験ではなくて、洋上試験——ていのいいことばでございまして、実は漂流試験をやるわけでございます。そこまで今回の試験の実施については地元の御意向を尊重するような形になったわけであります。でありますから、もう放射能が回りにまき散らされるなんという心配も全くないという状態になっておる。それでも出るということについては御了解得られないという段階で私が科学技術庁長官に新任したわけでございますから、一体何が問題なんだということで聞きましたら、結局電源三法が通りました段階においてのことばを使えば、開発利益地元還元、すなわち原子力船開発についての開発利益地元に還元するという考え方で施策を講じなきゃいかぬということで、バイパスの問題、それから有線放送の問題、あるいは体育館の問題、あるいは漁業組合に対する補助、漁価安定対策資金の預託等の施策を講じて、まあこれならどうだということで、知事さんのほうで漁業組合のほうにおはかりになったところ、二十九の組合のうち二十五が賛成をしていただいたわけでありますが、四つだけがどうしても賛成をされないのであります。それで、その間、七月の終わりぐらいに実施する予定が、八月の十七日、八月の二十三日、八月の二十五日というふうに延期に延期を重ねまして、ついに、いろいろ紆余曲折はございましたが、大勢は出港賛成であるから、出港することについての青信号知事さんから参りましたから、そのサインを見てわれわれのほうは出港をきめたわけでございますよ。そこへさらに四組合につきましては、海上保安庁のほうの情報では実力阻止はやらぬという情報ですと言うから、私はそんなに甘く考えないほうがいいんじゃないか、多少のごたごたはあるんだよというぐらいのことは覚悟して私は行きましたところ、ああいう状況であったわけでございまして、強行出港というよりも強行阻止ですよ、あなた、逆に。私は強行出港だということをあなたから承るということは率直に言うと本旨に反する。やるだけのことをやりました。これ以上できないぐらいのことをやりました。もちろんその過程におきましていろいろございますよ。ございますけれども、主観的にはそういうつもりでやったわけでございますから。こういう結果になって国民に御心配をかけておるということにつきましては、私どもはもう深く遺憾としておるわけでございまして、したがって、そのために真相を究明して対策を立てて、ほんとうに心配のないようにすることがわれわれの義務だと思ってやっておるわけであります。その意味の深刻な反省もいたしておるわけでございます。どうかひとつ私どもの意のあるところを御理解賜わりまして、事態の円満な解決にひとつ側面的に御支援、御鞭撻をお願いをいたしたいと思います。
  305. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 むつに母港を設置するということがきまりましてから今日までかなり、たとえばホタテガイに関する状況とか、そういうのが変わってきた。そういう点で科学技術庁とすれば当初の状況とだいぶ変わっておるわけですから、そういう点は私も理解をするわけですが、そしてまた「むつ」の出港、いわゆる出力上昇試験をずっと延期をして、ねばり強く住民の総意を得るために努力をされた、こういうことは私たちもある程度は認めるわけなんですけれども、ただ私がひとつ納得がいかないのは、いま長官知事のサインがきた——確かに知事とそれから事業団の間には二者協定を締結をしてやったわけですけれども、その二者協定の中には、いわゆるむつ市長も加わって三者協定で進んでおったわけです。私はこういう問題は青森県の全員の同意というものは、これはやっぱり得られないかもしれない、こういう問題については。しかし、いやしくもむつ市といえば陸奥湾のある一番の地元ですから、これは青森県も青森県ですけれども、やっぱり一番関係のあるのはむつ市ですから、むつ市の市長というのは、これはいやしくも民主的な選挙によって選ばれた市長ですから、その市長も含めての三者協定というものの締結の方向で進んでおりながら、最後の段階になって二者協定でむつ市長を除外して、むつ市長の同意もなしに出た。私は今日まで船ができてから二年近くもしてきたのに、あの最後の段階でもう少しやはりむつ市長の同意を得るところまで努力をして、全体の同意は得られなくても、いやしくも市民の半数以上の支持を得た市長の同意なしに出たというところは、私は強行出港と言わざるを得ないのじゃないか、こう思うんですけれども、その点はどう考えておりますか。
  306. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) お説のとおり、むつ市長は大事なお立場の方でございます。したがって、私もお会いをいたしましたし、科学技術庁から何人かの人も会っております。事業団も足らずながらも努力をいたしたように私は思っております。最終段階につきましては知事むつの市長と話をつけるということで、むつ市まで青森から出かけられたようでございますが、門前払いを食って、やむを得ざる状況になったわけでございまして、それぞれ選挙によって出るわけでございますし、それぞれ政治家でございますから立場はありますわね。むつの市長さんは選挙をおやりになる。保守の票ももらっておるが、今度の反対運動の中心になるような人の票ももらっておるというようなことで、なかなか一義的に意思表示ができないお立場にあるわけでございますから、私は武士は相見互いでございますから、そういう公選で出られた市長の方々のお立場よく承知しております。ですから、私はそういう意味で接触し得る限りの接触はしましたけれども、ついに——これは私じゃありませんよ。全体の流れとしてむつの市長さんを無視して動いたなんということはございません。最も重要視して動いたわけでございますし、今回の地元の問題にいたしましても全部むつ関係あることでございます。道路の問題、バイパス  の問題長年にわたっての懸案でございますよ。それから有線放送の問題、有線電話の問題、それから体育館の問題、それからあとば組合関係ですからむつだけではございませんけれどもむつが主体になってまいりましょう、場所柄。その補助金の問題とか、そういう魚価低落の際のことを考えての資金預託の問題等もうほとんど大部分がむつ市の多年の要望でございます。ですから私はきょうも午前中申し上げたのでございますが、この話がおおよその話がきまりました際に、青森県の副知事が来ておりました。これは長年のこの地方懸案だから、これは知事の銅像や市長さんの銅像が建ってもいいくらいの仕事なんだと、またそういう話を私どもは聞いたことがございます。そこで、ですから私はこのお二人のもし銅像ができるならばその隣に科学技術庁長官の小ちゃい石の地蔵さんをつくってくれという万斛の思いを込めてそういうことさえ申したのでございますから、どうかほんとうにおもてへ出るわけでありますから、放射能心配はもう論理的にないのであります。そうでございましょう。そして開発利益地元還元も、電源三法できたあとでありますからできるだけの手は打ったのであります。そして市長さんにも何回もそのことは接触はいたしました。しかし、最終的にまあ地元知事さんが市長さんに、何というか、門前払いを食うというような形でもっての市長さんのあれは幕切れでございましてね。お互いに武士としてその辺のところはよく私はわかっているんじゃないかと思いますね。しかしあなたがおっしゃるように、それを頭から無視して……、十分考慮して私はやったと思っておりまして、強行出港なんということはないですよ。私、それよりも、ともづなをまさかりでもって断ち切り、あるいはいかりにひもを結びつけて、物理的力をもって阻止しようというこの動きこそ大きな問題じゃないでしょうか。私は日本の国はこれでいいのかという感じを実は持っております。
  307. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあいろいろいま長官有線放送をつくったとか、それから体育館をつくったとかね。こういうことは認めます。けれど、私はやっぱりむつ市長が一番問題にしたのは、やはり安全性の問題じゃなかったかと思うのですね。それは今回の洋上試験の事故だって、午前中の長官発言ではこういう放射能は何ら心配はないと。それは専門家から見りゃそうかもしれませんけれどもね。やっぱりこういうような事態になれば、実際いま青森県の自民党の県連にしても、あるいは全漁業組合にしても、県知事にしても、行く前よりはやはり態度は硬化しておる。そういうように困難な状態になっておるわけですね。そういうわけで、むつ市長としても市民の生命を預かる大事な立場ですからやっぱりいろいろ安全性の問題について事業団や科学技術庁にも要望をしておったと思うのですね。たとえばこれは私は市長から直接聞いたのじゃございませんが、雑誌で見たわけですけれども、できてから二年間も使ってない原子炉を使う前に安全審査をやれと、こういう要望をした、あるいはまたいわゆる避難の、防災のときのそういうときの退避はどういうぐあいにするのか、いわゆる防災業務計画ですか、こういう問題についてもいろいろ市長の立場から追及をしていく。私がいろいろ聞いている範囲ではむつ市長さんは市長に就任して以来この原子力船の問題についてもかなり勉強をして、まあそれは私当然じゃないかと思うのですね。それは市民の生命を預る市長であるならばただ科学技術庁あるいは事業団分言うことをうのみにして、やっぱりそれでうんというわけにはいかぬ。やはり自分自身がいろいろなそういうものを研究して、そういう立場からいろいろなことを発言されておるわけで、そういう問題に対して事業団あるいは科学技術庁はどういう回答をしたのかということですね。この点はどうなんですか。
  308. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) むつ市の菊池市長は、ただいま大臣の御答弁もありましたようにわれわれにとりましてはたいへん大事な方でございます。今回出力上昇試験の実施に伴いまして準備を進めていく段階で、私ども、私自身も二回御懇談する機会を持ちました。その他科学技術庁の職員がいろいろ市長にはお目にかかっております。また間接にもいろいろ御意見を伺う機会を得ているわけでございます。  先生の御質問の事業団との協定でございますが、これにつきましてもこれは事業団と県あるいは市との協定でございまして、私ども直接関与しているわけではございませんが、私ども一応考え方といたしましてもでき得れば青森県だけではなくて、むつ市も入れた三者協定のほうが望ましいという考え方をとっておりましたし、そういうことで事業団を指導しておりましたし、最終段階まで何とかして三者協定の形をとりたいというように考えていたわけでございます。それで実はその協定の内容に盛り込みます事項につきまして青森県の当局の御要望、御意見と、それからむつ市の御意見とかなり食い違っております。食い違っておりますというのも青森県よりもきびしく範囲の広い内容を協定に盛り込むというような御意見むつ市にあったようでございます。で、私どももその三者協定になります場合はそこまでさらにきびしい条件をのみ、さらに広い範囲まで約束をするということでもやむを得ないのではないかという形で、その点も県にもその意見を申し上げ、事業団にもそう申しまして最後まで努力をしたつもりでございますけれども、先ほど大臣が言われましたように、最終的に青森県の知事さんが三者協定締結のための最後の交渉に行かれてもついにお会いできなかったということで、三者協定になり得なかったのはたいへん残念なことだと、こういうふうに考えております。  第二点でございますが、防災の問題につきましては、私が今回の問題に関連しまして市長さんに最初にお会いしましたときにそういうお話がございました。これは防災道路それから防災計画と申しますのはその有線放送のことでございます。それからもう一つは防護服の問題、その三点御要望がございました。これは私どもはそういう災害が起こるとは考えておりませんので、防災のための道路あるいは防災の通報連絡のための有線放送施設ということではなくて、大臣の言われましたような開発利益地元への還元ということで、名前は違いますが、市長さんの考えておられるのと同じ道路なり有線放送なり、それから防護服は小さい問題でございますので、これはさっそく手当てをいたしましたけれども、そういうことで全部御要望に沿ったというように考えております。  それから第三点でございますが、安全性につきまして安全審査の、何と申しますか、再審査ということをかねがね言っておられたわけでございますが、これは私ども原子炉規制法に基づきます安全審査、あるいは広い意味で運輸省が担当いたします船舶安全法の検査、これも広い意味の安全審査と申しまするとすれば、それについてもそれをやり直す必要はなかろうというふうに考えておりますが、あるいは市長さんの御意向がそういうことではなくて、事業団として総点検をやれというような御意向だったかもしれないというふうに考えております。この点は確かに二年間もあそこに係留されたままの船でございますので、試験の実施の前に当然総点検をするべきだということで事業団に指示いたしまして、それは事実点検をしたわけでございます。で、点検をいたしましたし、多少の補修と申しますか、それもいたしまして、一応十分だという態勢で出たわけでございますが、まあ今回のことが発生いたしまして、これもたいへん残念に思っております。その他安全問題につきましても私ども新聞その他で拝見いたしまして、菊池市長が安全問題についていろいろ勉強もしておられますし、いろいろ御意見もあるように伺っておりました。それでこの点につきましても私ども原子力局の監理官あるいは事務次官、原子力局次長、そういうスタッフが市長さんと出港の前にお会いする機会がありまして、いろいろ安全問題について具体的にどういう点について御議論を持たれ、どういうふうな感じを持っておられるか、どういうふうにすべきかという考えを持っておられるかということもお伺いしたわけでございますけれども、あまりはっきり、たとえばこの部分について非常に問題がある、だからここのところをこういうふうにしてくれなければ困るというふうなはっきりした御意見は伺えなかったようでございます。全般的にやはり安全性について何となく不安があるというような御意見だったようでございますので、特にこちらとしても一般論でお答えするだけにとどまらざるを得なかったということでございます。
  309. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この問題は時間もたちますので終わりにしますけれども現地で事業団の方にお会いしたときと、やはり市長あるいは県知事を含めて三者協定がよりベターだと、しかし知事もやはり住民を代表しているんですからいいんだと、先ほど森山長官の言われたようなことを言われました。確かに知事も選挙で選ばれておりますけれどもね。けど、そういう知事が代表しているんだから、知事がオーケーしたんだからいいんじゃないかと、こういう考え方は私は非常に危険な考え方で、やっぱりそれをもってそんなことをいえば、じゃ自民党は選挙で多数を占めたんだから自民党の言うのは何でもいいんじゃないかと、こういうことになってくるわけで、そういう点はやはり反省をすべきである。そうして市長は県知事がたまたま行ったときは会えなかったかもしれませんけれども、ただそれだけのことで一回だけで、それまでずっと話し合いをやってきたんですから、最後のところで会わなかったからといって、それを理由に二者協定に走るということは、やはり原子力行政の長い将来を考えるときに、私はそういう姿勢はよくないんじゃないか、このことを意見として申し上げておきます。  それから午前中も問題になりました安全審査の問題でございますが、原子力委員さんもう帰られましたか、山田さんは帰ったですか。——ちょっとお尋ねいたしますが、昭和四十二年十一月に原子力委員会の安全専門審査をパスをした。これはもちろん書類審査であったそうでございますが、その前にきょうの午前中の答弁では遮蔽用の原子炉をつくっていろいろ研究をした。おそらく今回はいわゆる舶用炉としては初めての炉でございますし、一番問題になるのは船に載せる容量の問題から遮蔽をどうするかということが一番問題だからこういう炉をつくって実験をしたんじゃないかと思うのですけれども、大体どういう実験をし、その結果に基づいてどういう審査を原子力委員会の安全専門審査委員会が審査をしたのか。これをあまり長くならない範囲で簡単に説明してくださて。
  310. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) この遮蔽の問題につきましては原子力研究所にJRR−4という実験装置をつくりまして、その実験装置によりましてこの「むつ」の原子炉の遮蔽効果につきましての実験を行なったわけでございます。  それから安全専門審査会での審査でございますが、これは基本設計につきましての審査でございます。この審査によりまして設置許可の申請書の内容が正しいと申しますか、妥当なものであるかどうかを審査するわけでございまして、この遮蔽の問題につきましては遮蔽材として鉛あるいはポリエチレンを用いるということと、それからその遮蔽の効果が法令上許される範囲内にとどまるかどうかということが理論的にそういうことが可能であるかどうかということを基本設計の段階で審査したわけでございます。
  311. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは非常に短時間で説明もできない問題だと思うのですが、これは今後の、やはりわれわれも参考として、今回最初の計画の放射線の量に比べて一・四%で、一〇〇%の倍出るということは計算上からいえば実に百倍以上の違いがあるわけで、こういうことは普通考えられないことでございまして、そういうことがありますとますます科学技術庁のいうことは全く信用できない、何もかもこういうことでわれわれをごまかしてきているのじゃないか、こういう結果になると思うのですね。これは今後どういうところに原因があったかわかると思うのですが、そこで四十二年十一月のいわゆる安全審査の、それから内容、それからこの遮蔽用原子炉をつくったときにどういう遮蔽材を使って、どれぐらいの大きさの炉でやったところがどうだったんだと、こういうものを資料として提出をしてもらいたいと思う、その点はどうでしょう。
  312. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 御提出いたします。
  313. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 やはり安全審査あり方というものが昨日の衆議院の委員会でも問題になりましたし、きょうの委員会でも問題になったわけでありますが、原子力産業会議の要望書の中にも「原子炉安全審査体制の拡充」ということがここに要望が出ているわけですが、この中には「原子炉安全専門審査会の委員、とくに安全審査委員の常勤化および調査委員の増強など審査会の機能を格段に強化する必要がある。これと同時に審査の実務を行なう安全審査官の大幅な増員を含む原子力局行政機構の抜本的な整備強化が必要であり、」こういうことを——この原子力産業会議というのは原子力推進していくほうの、いうならば立場、そういう人たちもこういう要望をしているわけですけれども、これに対して特にこれは「むつ」とは関係ない一般的な問題ですけれども、「むつ」のようなこういう問題があればなおさら検討すべき問題じゃないかと思うのですけれども、いま安全専門審査会の委員というのは常勤が何名、どういうぐあいになっているのですか、今後どうするつもりなんですか。
  314. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 安全審査体制の整備強化につきましては、ただいま先生お示しになりました原子力産業会議の要望もございますが、われわれといたしましても、原子力行政の非常に大きな柱だと考えておりまして努力をしているわけでございます。たとえば、昨年の十二月に予算の追加要求をいたしまして、ほとんどその追加要求が実現したわけでございますが、その場合にも安全審査関係の人員の増加でこれを百名増加すべきであるということで要求いたしました。ただ一挙にその昨年の予算の追加要求の段階で百名増加というのは非常に大き過ぎるというようなことがございましたので、昨年の段階では第二次の要求といたしまして、その百名の増員を三年計画で実現するということで、初年度五十名、あと第二年度は以降二十五名ずつという計画で折衝をいたしました結果、五十名の要求に対しまして三十七名の増員を獲得いたしまして、ただいまその定員の実員を補充する、発令するという手続を進めているところでございます。あとそれに引き続き拡充を進めていくという方針で、五十年度の予算要求におきましても引き続き増員を要求しております。五十年度の予算要求といたしましては、四十九年度の三十七名に対応いたしますものとしまして五十三名の要求を出しております。そういうことでございまして、原子力局あるいは原子力研究所関係安全審査の担当官の増員は進めているわけでございますが、安全専門審査会の委員でございます。これは三十名で全部非常勤でございます。今後、原子力発電を中心にいたしまして、この原子力施設原子炉安全審査の事務量が相当ふえてまいると思いますので、その一部といたしまして安全専門審査会の委員の常勤化ということをわれわれも実は考えて検討したわけでございますが、これは正直に申しまして常勤化ということを考えることは容易でございますが、ただ、現実の制度として常勤化をどういうふうにして、どういう人を常勤の委員として連れてくるか、あるいは連れてくることが可能であるかということになりますと、いろいろ困難がございますので、五十年度の予算要求といたしましてはひとまず見送りまして、具体的に常勤化の方法をもう少し検討した上で実現をはかってまいりたいどいうことで進めている次第でございます。
  315. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点はひとつ長官も積極的に努力していただきたいと思いますが、それとこの審査のあり方、これはいまのように設計の段階で計画だけを紙上設計するというのではこれは当然まずいわけで、はたしてできた品物が設計図どおりであるかどうか、こういうやはりあとの検査をしなければならない。これはもう当然のことじゃないかと思うのですけれどもね。これはいままでもやっていなかったという話ですけれども、われわれもそういうのを見てもう驚いたわけですけれども、これはもう直ちにこのような審査のあり方を改めて、場合によってはもうでき上がってからではすでに隠れてしまう場合もあるわけですから、それぞれの段階で常に工事をチェックしていくと、こういうことをやはり厳重にやっていかないと製作所、つくるほうはそういう意図でなくても、たとえば変なやつが中にいてわざとボルトを抜くとか、そういうような考えの人もあるいはなきにしもあらず。そういう点で、この安全審査あり方を抜本的にやはり検討すべきだ、こういう考えが当然じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  316. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) これはもう全く先生のおっしゃるとおりでございまして、実は私どもの御説明が多少不足だったかとも思いますが、書類審査だけではございません。原子力委員会の安全専門審査会におきます審査は書類審査だけでございますが、その後あとの段階で詳細設計あるいは工事方法の認可、これは発電用の原子炉の場合でございますと、通産省の電気事業法でやるわけでございますが、それ以後の段階におきましては発電用の原子炉につきましても工事検査をこの建設の各段階におきましてやっております。つまり図面とか工事方法で認められたものどおりにつくられているかどうかということをやっているわけでございます。船の場合も船舶安全法によりまして運輸省がその段階的な検査を進めておりまして、今回の出力上昇試験もその検査の一部でございます。したがいまして、ただいま先生が御指摘になったそのとおりでございまして、はたしてそのとおりにできているかどうかということを、そういう検査をしながら確かめていくと、その検査に合格したならばその次の段階に進むということで進めている段階でございますが、その途中におきまして今回のようにごく何と申しますか、形式的に申しますと検査に合格しないような事態が出てまいったということでございますので、先生の御質問に対してたいへん開き直ったような言い方をして恐縮でございますけれども、こういう段階を経まして、図面と実際の実物とが一致しているかどうかということを確かめながら進めていくということでございますので、こういう事態がないほうがもちろんいいわけでございますが、検査をいたします以上はこういうこともあり得るというように考えている次第でございます。
  317. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 結局計画の段階原子力委員会が審査をしてそれからあとは原子力委員会関係なしにあるいは通産省あるいは運輸省がその計画に基づいてその設計図どおりできているかというのをチェックしていくと、こういう体制になっているわけですね。しかし、そういう点もやはりこういう問題になってまいりますと、それは通産省あるいは運輸省、こういう船舶だけの問題ではなしに非常に目に見えないややこしい放射能という問題があるわけですから、当然そういう分野にも原子力委員会のもとにある安全審査会がやはりチェックをしていくと、こういうやはり体制が理想的じゃないかと思うんですけれども、そういう方向にやはり検討すべきだと思いますが、そういう考えはあるのかないのか、どうですか。
  318. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 先ほど来この問題いろいろお話ございましたが、安全審査というのはこれは原子力委員会の安全専門審査会でやるようになっておるわけです、基本設計ですね。しかし具体的な設計、図面を承認したり、それからそれについての現地の検査をやりますのは、これは発電用原子炉の場合には通産省がやるようになっているわけです。それからこの原子力船の場合は船を担当します運輸省がやっておるわけです。私はこの際ぜひ誤解をしていただきたくない、こういう点はっきり申し上げたいのでありますが、そういうことを申し上げますと、何かこの段階になって政府部内で責任のなすり合いをしているように思われるから、私どもははっきり申し上げたいのを特にはっきり申し上げないのでありますが、一応はそれぞれの、ここまでは科学技術庁、ここまでは通産省あるいは運輸省というふうにきまっておるわけでございます。しかしながら、私は従来の経過もございますから、こういうことについて科学技術庁は責任を回避するような態度がいささかもあってはならぬというふうなことを話をしておるわけでございます。問題は、要するに関係者がみんなで力を合わせてこの問題の解決に努力することであって、こういうときに一番おそろしいのは、やっぱり中でお互いにおれの責任じゃない、おれの責任じゃないなんというようなことでやることが一番私は問題でございますから、くれぐれもどうか誤解をなさらないようにしていただきたいことは、仕事のそういう、基本設計はこれは原子力委員会安全審査会の仕事であります。それによって政府で許可をいたしまして、そして具体的に図面を引いて、引くのはこれはもちろん船会社とかあるいは原子炉の製造メーカーでやるわけでございますから、その図面を承認してそして現地でもってこれを検査するのは——そしてまあ今度みたいに総合的にまとめてやるという責任は、それを監督する責任はこれはそういうふうに手分けしてやっておるわけでございます。そうして両省の管轄といたしまして原子力船事業団というのがありまして、こういう理事長の任命等につきましても両省所管でいくので、ですから科学技術庁長官というより、これは内閣総理大臣と運輸大臣の連名でやっておるというようなかっこうになっておるわけでございます。そういうことでございますか、この段階でそういうことをあまり——やっぱり事務的にははっきりしないと困るということを原子力局長など申しますけれども、それはよくわかりますが、そういう事務的にはっきりしてもちろん処理しなければできませんけれども、気がまえとしてはやはりこれは共同の仕事として事に当たっていくという精神を失っては相ならぬと、そういうことを言って、おれのところの仕事じゃないなんというような、そういうようなことがいささかもあってはならぬと言って、私はやかましく言っているものですから、そういう問題についてはっきり申し上げる点がちょっと不足しておると思いますが、どうかひとつ御了解を願いまして、これからの処理につきましてはこれは運輸省の監督分野に属することでありましても、私どもは微力でもお手伝いをさしていただきたいと思っております。また、私どもの本来的な仕事でございましても運輸省の方々のお助けをいただいて相ともにやっていかなければこういう問題はむずかしいわけでございます。どうかひとつ、そういう気がまえでこの問題に当たっているのだということにつきまして、御理解を願いたい。どうかひとつ——なかなか運輸省局長もよくわかっていただいておると思っておりますが、非常に世の中に往々にして苦しいときにはいろいろなことが起きますから、そういうときにみんな団結してやらなければ仕事ば克服できないのだということで、いま一生懸命相つとめておるわけでございますので、どうかその辺のところを御理解をお願いしたいと思います。
  319. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 一つこういう事件が起きますと、先ほど申しましたように、非常に国民に対する、原子力問題に対して非常な不信、必要以上のそういう不信を持つ場合があったのではこれはよろしくない。そういう点からも、こういう事故を起こさない、こういうことを積み重ねていくことが国民理解を得る一つの道でございますので、こういう安全の問題には万全の措置をとってやってもらいたい、このことを要望しておきます。  今回の試験にいたしましても、これはあとからの話になるかもしれませんが、いろいろそういう専門家の話を聞いてみますと、今回の舶用炉としてはわが国で初めての技術ですから、しかもいろいろ技術の指導を受けたにしても大半が日本の国内でやったわけですから、そういう点で当然陸上でやはり試験をして、その結果船に乗るべきではなかったのじゃないか、こういうことを言っている人が大半でありますけれども、こういう点はどうなんですか。われわれも普通に考えれば初めてのそういう炉ですから、船に乗せちゃってからあと悪かったといってまた船からはずすということもたいへんだし、船に乗る前に陸上でそういう試験をちゃんとやって、それから船に積み込むとか、こういうことのほうがよかったのじゃないか、これはどういうことなんです、できないのですか。
  320. 内田守

    説明員(内田守君) 先ほども説明いたしましたように、船の、特に舶用のいろいろな問題につきましては、先ほど来も申しておるわけでございますけれども、設計とか材料とか工事とか性能というものが、結果的にはある性能を確保するわけでございますけれども、もう気象、海象という激しい中で実際に外力の変動というのは非常に激しいのが船でございまして、これは原子炉ばかりではございません。従来のエンジン等につきましても陸上試運転というやり方はあるわけでございます。しかし、やはりそういう変動とか、そういうようなものはしょせん船で最終的に確かめなければやれないということが一つと、それから今度の炉のケースでも、先ほど来御説明いたしましたように、原子力船開発事業団と原子力研究所、それからわがほうの船舶技術研究所といろいろ共同実験を実物に近い大きさのものについてやっておるわけでございます。先ほど来何回か説明があったところでございます。しかし、しょせんその炉自体そのものは、たとえば二次遮蔽につきましても現場工事を含むわけです。したがいまして、ある程度の設計のめどなり、あるいはある程度できるだけ陸上の段階で図面、計算、あるいは陸上の実験も含めてできるだけの見通しはっけることは、これはわれわれも従来から努力やっているわけでありますけれども、しょせんいま申しましたようなことから現場工事も含みまして、最終的にはやはり船で、実船の試験で担保しなければならない、これば従来からそういうやり方でございますし、私どももそういうやり方でなければ、安全というのは確認できないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  321. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ひとつ今回の「むつ」の事件を、原因はまだ調査中で結論は出ておりませんけれども国民の皆さんにははっきりと公表をして、そして今後のひとつ原子力行政においてはあくまでも粘り強く安全ということをもっと第一に考えて、もちろんまあ体育館をつくるとか、こういうこともそれは大事ですけれども、何かそういうことが住民納得させる一つの手段、こういういき方というのは、あまりそちらへ行き過ぎたのでは——これも大事なことですけれども、一番大事なことは、やはり安全という問題について、国民の皆さんの理解を得ることのできるような、そういうところまでいかなければ、あまり進めてはならないのではないかと思うわけであります。それを早まりますと、また今回のように早まったためにおくれる、急がば回れということもあるわけですから、そういうひとつ姿勢でもって、今後の原子力行政に臨んでほしいと、こういうことを要望いたしまして質問を終わります。
  322. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) たいへん貴重な御意見ありがとうございました。十分御意図のあるところを体しまして善処をいたしたいと思います。まあただひとつ最後に付け加えさしていただきますれば、この原子力船の建造の歴史は、十年以上の長い歳月を今日まで経過しておりまして、船ができ上がって二年もたっておりますから、これをいつまでも放置しておくことは私は適当でないと思います。結果において九月一日のできごとがございましたから、私なども青森県知事さんと同じように、うしろからがつんとぶんなぐられたような感じでございます。したがって、それだけに真相を究明してやらなければならぬと思っておりますし、御趣旨に沿って対策を講じてまいりたいと思っておりますが、やはりこういう時期に一応出して、いずれにしろことし出さなければ来年出す、再来年出す、ほっておくわけに私いかないだろうと思うのですね。その段階に出て、何年かたってやるよりも、もっとほんとうは二年前にこれわかっていたらなおよかったと私は思っております。このプロジェクト全体についていろいろ御批判があればまた別でございますが、始まりましたときに、アメリカのサバンナ号とか、レーニン号とか、オットー・ハーン号とかいうものが、どんどんできてくる段階にわが国も計画が立ったわけでございますので、そうして、まあ現在の段階でも十年後には大型の高速船には、原子力船というものの時代がくるというふうに見られておりまするので、どうかひとつプロジェクト全体として、その中のこの段階において出港がありこの段階においてこういうできごとがあった。どうかひとつその点について御理解を賜わればと思っております。今後の措置につきまして、御趣旨の筋を体しまして全力を尽くすわけでございます。どうかひとつ側面的に御叱正、御鞭撻をお願いいたします。ありがとうございました。
  323. 木島則夫

    木島則夫君 他の委員の方々の御質問に重複をしない範囲で、できるだけ私も簡潔に要点だけをお尋ねをしたいと思いますので、どうかひとつお答えのほうもその趣旨に沿ってお願いをしたいと思います。  その後「むつ」に関する新しい情報は入っておりますか。
  324. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 午前中に大臣から御説明申し上げました、本日の午後一時に調査団として先般派遣いたしました七名が「むつ」を離れまして、釧路に向かったということでございます。十三日の午後に東京に帰着する予定でございますが、その後は新しい情報は入ってございません。
  325. 木島則夫

    木島則夫君 大臣伺います。今回の事故発生によりまして、これまで政府推進をしてきた原子力平和利用に変更があるのかどうか、特に原子力船開発についてはどうであるのか。この辺は確認をする意味で、私ども立場としては積極的に原子力平和利用推進をする。そうして原子力船開発推進をすると、もちろん安全ということを踏まえた上でのことでありますけれど、確認をする意味で、今回の事故によって多少の修正があるのかどうか、その辺を確認をする意味で伺っておきます。
  326. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 原子力船の第二船以降の計画につきましては、今回の第一船の、いま何が起きているかということについての実情把握の結果によるわけでございますが、全く影響をなしとしないということはないと私は思います。しかしわが国が世界有数の海運国であり、船舶国でございますから、何とかしてナショナルプロジェクトを実現し得るような方向で全力を尽くしたいと思っております。しかし、これが影響がないというふうには考えられません。  それから、原子力開発の、平和利用開発全体の問題でございますが、特に原子力発電の問題でございますが、私は今回の事態の解明の過程において、もし検討すべき点があるといたしますならば、検討せにゃいかぬと思っておりますが、この段階で申し上げられますことは、本質的には私は違ったことであると思っております。しかし、この問題の検討の過程において判明したことで、全体のわが国の原子力平和利用の上で考慮すべき点があるといたしまするならば、これは虚心それらの新しい事態を受け入れて善処をするつもりでございますが、今日の段階まことに抽象的で恐縮でございますが、この程度のことしか申し上げられません。
  327. 木島則夫

    木島則夫君 今回の放射線漏れの意味、事故発生といってもいいと思いますけれど、これについて伺います。  各国の原子力船開発経過とか実情から見まして、今回のようなこういう事故は往々にしてあり得ることなのか。
  328. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 私はかようなものはあり得ることだと考えております。たとえば、アメリカの原子力試験船サバンナでございます。これは全部試験を終了いたしまして、いま係留されております。このサバンナの技術をもとにいたしまして、アメリカは現在大型の原子力タンカー十数隻の建造計画を進めているわけでございますが、このサバンナにいたしましても、実験航海中、原子炉がスクラムと申します自動停止するようなことが数回ございました。あるいは冷却水が一部漏れるというようなこともございました。私どもは判断といたしましては、今回の問題よりもそういう問題のほうがいわゆる事故でございまして、本質的には重大なものであろうと考えておりますが、そういうこともございます。オットー・ハーンとレーニンにつきましては、ただいま資料を持ち合わしておりませんが、想像いたしまするに多少のことは当然あったのではなかろうかと、こう考えております。
  329. 木島則夫

    木島則夫君 あり得ることとして私もいまのお答えでよろしいと思うのですけれど、低い出力段階で〇・二ミリレントゲンという放射線漏れがあったということが問題で、何かあまりにもけた違いであり過ぎた、開きがあり過ぎたということからしますと、たいへん口の悪いきびしい言い方をすれば、技術以前の問題じゃないだろうかという人がいる。この辺はどうですか。
  330. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) その辺のところが調査団の結論でわかるわけでございますけれども一つは一・四%の出力上昇試験で〇・二ミリレントゲンパーアワーの放射線漏れたので、一〇〇%上げればそれと比例計算でそのままふえるかどうか、この辺はやはり原因によりましてかなり違う場合もございます。必ずしも比例計算どおりに影響が大きくなるとは言えない点もございますので、その点は原因のいかんによると考えられます。あるいは、その先生が御指摘になりましたような技術以前の段階と申しますのは、非常に単純な工作上の問題ということもあり得るかと考えております。
  331. 木島則夫

    木島則夫君 いまの調査団が釧路に着くのですか、着こうとしている。そして間もなく十三日に帰ってくるという結論を待たなければ、私も軽々にここでいろいろ申し上げることは差し控えたいと思うのですけれど、原子炉安全審査会の内田会長とさっき私はちょっとお話しをする機会があったのです。これは私直接ではありませんけれど、私の党の政策審議会のメンバーをして、いろいろ非公式的にではありますけれど話をした。そのときに洋上での調査ということはこれは非常に困難であるので、やはり造船所に帰らなければだめなのではないかということをおっしゃっていた。したがって、先ほどからのいろいろの洋上調査はもちろんのこと修理も云々という見方は、私ちょっと甘いんじゃないだろうか。その辺もう一回伺いたいのですけれど、いかがですか。
  332. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) やはり、あなたのおっしゃるようなことになるかもしれません、ならないかもしれません。これはこれからの調査の結果待ちであります。調査団のほうからなまの情報を出していただいたものを、専門家グループで評価いたしまして、早急に結論を出したいと思っておりますが、まあどういうことになるかはその段階でなきゃ申し上げがたいのでありますが、少なくとも言えますことは、当面どう動くにつきまして、どういうお考えがあろうとも、やはり青森県知事並びにむつの市長にはとりあえず本来ならそれらのところへ行くのがほんとうでございますから、私どものほうは一回お願いしなきゃいかぬと思っております。それはそれからのことでございましてね、どうでございましょうか、いま内田さんの御所見なるものもまだちょっと早いんじゃないかと思っております。
  333. 木島則夫

    木島則夫君 その意味で非公式と申し上げたわけです。
  334. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) どういう事態がありましても、私は青森県知事にはこういうことになったので御意向はどうかということはお尋ねをいたしてみたいと思っております。それはいまこういう情勢でございますから、情勢は出港前の情勢とはおもむきを異にしていることは万承知をしております。しかし、たいへん御苦労、御心配をかけておるわけでございますからね、勝手なことできませんよ、これ。ですから、私はともかく声はかけて御所見を承って上のことだと、こういうふうに思っております。
  335. 木島則夫

    木島則夫君 さっきも私申し上げたんですけれど、試験航海中のことでありますから、ある程度放射線漏れですか、今回は。そういう予測されない事故が起こり得ることは、これはもう科学は一〇〇%万全ではないということからすれば当然だと思いますけれど、そうだとすればなおさらのこと、その洋上での調査あるいは機材の搬入であるとか、もしそういう事故が起こった場合に最悪のことを考えて、造船所に入ることも予想をして出発をさせたのか。そうして出発をさせるときに安全ですよと言い切ったそのおことばの裏で、たとえば地元の市長さんなり県知事さんに、もしこういうことがあった場合にはちゃんとこちらに帰ってきますので、そのときにはよろしくということまで当然スケジュールに入れてお話しになってきたのかどうか。私はほんとうのいわゆる行政というものはそこまでお考えにならなければいけないと思います。やるべきことをやったんだから安全だと。行って予測されない事故が起こった、さあたいへん。調査団の報告を待って、洋上にストップさせてというんじゃあですね、何か私は古いことを言うわけじゃないけれど、戦争中の軍用機が航空母艦を立って、帰るべき航空母艦がなかったというのと同じような私は状況だと思いますけれど、当然先のことをお読みになる長官としては、その辺まではおやりになっていらしったわけでございましょうか。
  336. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) そこまで気が回れば大したもんでございましたが、私は青森県知事と同様にうしろからぶんなぐられたような感じでございました、最初は。しかし、まあ事の次第を聞いてみますと、アラームによってそれが未然に発見し、そして自主開発の過程において諸外国ならば、こういう問題はこういう取り扱いは受けないであろうなというのを次の瞬間に考えました、これは。しかし、わが国において行なわれる試験でございますから、やはり郷に入っては郷に従うという精神で、やはりこれについては重大視してやらなきゃいかぬというふうに考えました。そして、とにかく船は洋上にとどまって事態の真相を明らかにするように努力をしてくれと。遮蔽の専門家が乗っておらなかったものでございますから、そこでとにかくこちらから送ると。まあいつでも申し上げるのですが、一日に起きて、二十時間おくれて情報を受けた。すぐあれしまして、三日の日に運輸省と相談をして、四日の午前十二時には、昼の十二時には出港できるだけの態勢はつくったんですが、船だけ行ってもしょうがない、人間とか機材がございますもので、それで結局五日に延びたというようなことでございまして、もっと早くできたじゃないかというふうに言われるかもしれませんが、なかなかこの種のものといたしましてはできるだけ早く態勢は整備しようということで態勢を整備しまして実情調査をやる。したがって、私はほんとうにこの問題については重大視したというのは口先だけでなく今日までのやり方でどうか御理解を願いたい。それについていろいろ意見ありますよ。これは自主開発の場合にこんなことでだいじょうぶか、やはりある程度腹くくってやらなきゃいかぬよという御意見もあります。また先生からお話のようにもう少しあらゆる場合考えてあの場合はこう、あの場合はこう、そしてその場合については知事さんとの打ち合わせというような点はありますが、そこまでは気が回りませんでした、これ。それはまことに不明のいたすところでございまして、ただ私は前々から言っております主張と必ずしも相反すると思っていないんです。なぜかというと安全性については心配はないということを私は申し上げておる。要するに科学技術の発達は産業革命、技術革新、テクノロジーアセスメントという進化の過程を通るという評論家もあられるように、最も新しいテクノロジーアセスメントの手法を原子力科学技術には取り入れてやっているわけでございます。したがって何かふぐあいなところが起きれば警報が出る、あるいはかわりの装置が動く、あるいは最悪の場合には原子炉がとまるというシステムになっておりまして、これだけのテクノロジーアセスメントが取り入れられた科学技術産業はほかにないのでございますから、歴史が新しいだけにそういう手法をとっていって、だからこそこれがわかった、さればこそ安全性確保されているということは私は前々から申し上げておるわけでございまして、私はその意味での安全性について心配ないという考え方はいまもって間違っているとは思っておりません。しかしとにかく順調にいくべきものが順調にいかない、そしてその問題についての真相がまだはっきりしていないということで国民多数の方々が心配しておられる現況に対してはもうまことに遺憾にたえないというふうに思っております。何とかして一日も早くこの真相を明らかにして対策を講じてまいりたいと、そういうことでございます。
  337. 木島則夫

    木島則夫君 いま長官がこういう事態が起こったことに対して、外国ではこういう受け取り方はきっとなかったであろうという意味のことをおっしゃたんでしょう。私もそれと同じ意味で、つまりやるべきことを、たとえば遮蔽実験にしてもこれは部分的なものですね。それから陸上実験ができなかったとか、いろいろ制約が日本ではあります、確かにだからこそあらゆる起こることを想定をしてやはりころばぬ先のつえまで考えるのが私は行政ではないだろうかというふうに考えて申し上げたわけです。それも過去の原子力行政に対してまだ国民の皆さんば必ずしも十分なコンセンサスが得られていない。そういう行政に対して十分な信頼性が持たれていないことを考えれば考えるほど私は原子力船第一船であるこの「むつ」についてはそこまで慎重であるべきであったと思いますね。で事業団が発行されたパンフレットについて誤植があったとかいうことも小さいことのようですけれども、必ずしもそうじやない。やっぱり原子力船がほんとうに成功するかしないかということを考えればこれはやっぱり死活の問題だというふうに私も思います。だからそういう意味でへう慎重であるべき上にも慎重であってほしかったという意味で申し上げているんですから、私は足を引っぱったりただ反対のための反対なんてしようと決して思っていない。そういう意味でひとつ御理解をいただきたいと思うんです。どうでしょうか、私も専門家ではございませんので少し当を欠いている言い方かもしれないけれど、やるべきことの最低はここまであるというような、やるべき最低線というものを専門家の方はどういうものだというふうにお考えでございますか。
  338. 生田豊朗

    説明員生田豊朗君) 私も技術の専門家ではございませんけれども、やるべき最低限度、この安全性に関してのことでございますけれども、あるいは先生の御質問お答えできることになるかどうか多少疑問に感じておりますけれども、私はその安全だということと、それから試験あるいは実験をやるということとどうやって両立させたらいいかということを今回の問題にかんがみまして考えている次第でございます。昨日来国会での御質疑を通じまして安全だと言っているのにこういう事故が起きたではないか、安全だと言ったのはうそではないかといういろいろ御質問がございました。そこで私は安全ということに二とおりあるのではないかというように考えております。私どもがこれは大臣の御発言もそうでございますが、安全だと言っておりますのは、たとえば周辺の住民あるいは周辺の地域に影響を及ぼすような大きな事故が発生するというおそれはない。これは理論的にも技術的にもはっきり証明されているし、自信があるという意味で安全だと申し上げているわけでございます。今回の問題もこれはもちろんこれを軽視するというわけじゃございませんけれども試験あるいは実験の過程におきます一種のふぐあいであろうかと考えております。そういたしますと、先ほども説明申し上げましたように、はたして設計どおり、その工事方法の指示どおりに現物ができているかどうかということを私ども政府といたしましては検査をするわけでございますが、何分にも純国産技術のものでございますと、この技術開発あるいは試験実験というものは試行錯誤でございますので、試行錯誤に伴います当然の幅がございます。ただこの幅が非常に大きくなりまして人命に影響を及ぼすとかあるいは周辺住民に非常に大きな被害を与えるとか、そういう幅があることはたとえ試験段階でも技術開発段階でも許されてはならないと考えておりますが、それがその点の安全性は十分自信があるけれども、そういうたとえば工作上の問題でございますとか、遮蔽も一部そういうことになろうかと思いますが、そういう点についてはある程度の試行錯誤の幅が許され、しかもそれがさらに大きな問題に発生しないように警報装置その他で何と申しますか、安全装置がついているという場合に、その幅の中で起きた問題というのは絶対に許されないものであるかどうか。これは絶対に許されないものであるとするならば、試行錯誤というものはできないわけでございまして、しからばどうやってその試験をやったらよろしいのか。ここで私は申しわけございませんけれども、どうやったらいいのか実はわからないわけでございますということで、あるいは先生の御質問に対してお答えしたことになるかどうかわかりませんが、そういう大きな影響を及ぼすようなことはない、その点の安全性確保されているという自信を持ってある程度の試行錯誤の試験あるいは実験に入っていく。これが私は最低限のものであろうというふうに考えております。
  339. 木島則夫

    木島則夫君 実は私もその辺を伺いたかったんです。実は政府は県なり地元住民あるいは漁民の皆さんに対して安全性はだいじょうぶなんですよというようにおっしゃる。しかしこういう放射線漏れというものが起こる。これは放射線漏れではあっても、それがすぐに人命への危害であるとか影響にはつながらないんだという安全ですね、そこにはどうしても落差、幅があるというあなたお話をされた。私もそうだと思う。しかし一般の、私もそうですよ、安全だと言われれば何も起こらないんだというふうにとりがちですね。そうしてあなた方は一方ではこれは試験公開中のものであるから、ここで御説明があったようなことも起こり得るんだという、この幅をこれからどうやって埋めていくか。私はここに一つ原子力行政なり、原子力船開発を進めていく上のポイントがあると思う。そういう過程の中でまあ再々言ってあなたにはお気の毒だけれど、誤植があったりするということは、これはほんとうに困りますね、私は困ると思う。それからそのいまの落差、幅をいかに埋めていくということがやはり行政であり、PRであると思いますけれど、この辺はどういう御努力を重ねられておりますか。長官のおっしゃり方の中にも、こんなことを言って失礼かもしれないけれど、絶対だいじょうぶですよという行政的なウエートが強過ぎますよ。やっぱりそのプロセスなり幅を、落差を御説明する、私はもう少し説得力なり御努力があってしかるべきじゃないだろうか。それが今後の日本のこういう行政を、原子力開発なりを私はスムーズに進めていく一つのポイントだと思いますけれども、これは長官に御意見伺いたい。
  340. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) たいへん有益な御意見を承ってわれわれまことにありがたく思っております。  原子力の発電につきましては、事実として私は申し上げておりますことは、わが国だけではなくて世界全体として見ましても、実用段階に入ってから以降ですよ、試作段階ではございません、実用段階に入ってから以降、オペレーターはもとより一般住民に心身の障害を与えるような事故というのは今日まで一件もないんです。一件もないんです。でございますから、私は、わが国の場合で言いますと、昭和三十七年から四十八年の十一年間でございましたか、全部で三十七件、原子力規制法に基づく届け出がございました。その中で人身に関係あるものは三件でございまして、その三件もいずれも当事者の過失に基づくものでありますが、これまた規制線量以下の問題でございまして、そういう意味におきましては安全性の問題というのは実用原子炉においてはもう全く問題がないというふうに私は事実として考えておるわけです。ですから、心配ありませんよということを私は申し上げておるわけでございます。そしてそういうことは幾ら申し上げましても、もうとにかく頭からだめだという方々が、そういう政治的なお立場でものを考える方がかなりおいでになりますし、そしてそれらの方々は数は少なくても声は大きいですし、それから学者グループの中でも、わが国の特性でございますが、学者のものの考え方ば絶対にというときはほんとうにないんですね。危険性がもういささかもないという段階が絶対ございますから、そういうのは社会の通念から申しますと、そういう絶対というものはほとんど存在しないのであって、そういう意味において社会通念上心配ないということで私どもは言っておるわけでございますが、したがって学者の中には、いやそれはそういうことで学問の世界における安全性の問題と、それから社会通念上の安全性の問題は区別して御発言になる方もございます。また学者の中には学問の考え方をそのままこれは善意で社会生活にそのまま押し通そうとされる方もございます。中には胸に一物ございまして、差があるのは承知の上で科学論のような、技術論のような顔をして政治論をおやりになっている方があるわけです。そしてたいへんこういう時代は、何と申しますか、こういう情報時代でございますからね、マスコミの威力きわめて重大でございますが、これはやはり今日のマスコミの一般的傾向のもとにおいてわれわれみたいにあたりまえのことを言っていてはおもしろくないのでございまして、やはりあたりまえじゃないような意見のほうが情報価値があるというような面も、これは木島先生そのほうの権威でございますからよくおわかりでございましょう。たとえばここでいまやっているまじめな議論というものよりも、きのうの委員会の、衆議院で委員会が終わったあとの段階におけるようなそういう小さなできごとをそれをこう非常に拡大して、そのほうが記事になって、肝心の私どもがほんとうに声をからして皆さまに御説明をしお願いをしていることについてはあまり記事にならないんですね。そういうやっぱり傾向の中で、微力でございまして、一生懸命やっているんですよ。だけれども声が届かないんです、これは。これをどういうふうにやったらいいかということについて私は非常に苦慮しております。それは自分の仕事として苦慮しておるのではございません。日本の国の十年か二十年先のことを考えて、そうは言わなくても五年先を考えて、わが国のエネルギー政策の見地からこれでいいのかと思っております。微力にして私の考えております点、あるいは現在政府が考えております点について十分御理解を願えない向きがあることは事実でございます。そしてまた微力でございますだけに、やらなきゃならないことが残っておることも事実でございます。しかし、足らずながら一生懸命相つとめさしていただきたいというのが率直な心境でございまして、まあお答えになったかどうかわかりません。しかし、率直な心境だけは申し述べさしていただきます。
  341. 木島則夫

    木島則夫君 四時半に御出発ということですから私もきょうは時間を守りたいと思います。こまかい問題たくさん伺いたいと思って用意してきたのですけれど、それは省きます。「原子力利用の推進に関する方策」という表題で原子力問題懇談会が報告書をまとめておりますけれど、この中で安全性の問題については次のような諸点を指摘をしております。第一に「現在の安全審査体制では量的に不十分」ということであります。さっきこれは塩出委員からの御指摘にもございましたけれど、まずこの一点。で、これに対して森山長官は、この報告書に対しすみやかに適切な措置を講ずると言明をされておりますが、どういうことなのか、どういうふうな具体的な方策をお持ちなのかということ。  それから第二の点ですね、「原子力利用の推進に関する方策」で指摘をされている第二の点は、「原子炉安全審査と、それ以降の」、それを運営をするというふうに言いかえてもいいと思います。「それ以降の規制監督行政」がばらばらであるということ、つまり原子炉の安全設計については科学技術庁、それ以後の運転については通産省というような現状です。これでは一貫した安全体制というものはとれないと思いますが、この点も含めてもう一つ伺います。「原子力利用の推進に関する方策」に従えば、原子力行政問題点として「原子力発電所の安全規制とその開発促進の行政体制が一つであって安全が」軽視をされるのじゃないかという問題もあるわけであります。こういう点はどういうふうにお考えになっておいでになりますか。
  342. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) ただいまのお話はいろいろ従来からの宿題のような、要するに、今回の「むつ」も宿題の一つでございますが、私が大臣就任後幾つかの問題にぶつかりました。一つ原子力発電の立て直しであります。昭和四十七年六月以来電調審に一基の申請があったきり、ずっと一年半も、私が大臣になったときとまっておりました。これをどうするかということが一つ問題点でありました。もう一つ問題点は、アメリカの原子力潜水艦入港に際しての放射能測定について日本分析化学研究所に不詳事態がございました。この事態のあと始末をつけなきゃならないという問題が一つございました。それからもう一つはアイソトープで、いま各方面に使われているアイソトープの取り扱いが非常にルーズに流れておりました。これについての対策を講じなきゃならないということが私にとって第三の宿題であります。そして次の最後の宿題はこの「むつ」の問題でございました。そしてこれらの宿題を一つ一つ片づけつつありました段階で、いままでの問題だけをこうやっておってはうしろ向きのことだけでいかぬのじゃないか。やはり前向きにわが国の原子力行政の将来の方向づけをしていかなきゃならないのじゃないか。しかしその際、将来の方向づけをやったらいいじゃないかということを原子力委員会でただ提案いたすだけではこれは口先だけになりますので、四月以来そこに掲げておりますような方々と意見交換をいたしました。これは党の関係者もあり、こういう事業に関係ある方々原子力委員の方々あって、その結論がそれでございます。そしてそれをいま、たとえばその中の一つの項目として安全審査体制を充実させなきゃいかぬと、こういうことでございます。先ほど原子力局長がそのことについてちょっと触れました。それで先ほど申し上げましたように、昭和四十七年の六月からことしの実は七月まで満二年間、新しい原子力発電所の申請はございませんでした。ですから一年間は原子力委員会安全審査仕事というものばなかったわけでございますよね。ところが、いろいろ先ほど来問題がございますが、九州の玄海と新潟県の柏崎・刈羽地区の二カ所があり、今年度内に順調にまいりますれば数カ所が新たな申請として予定もされておりますので、そういうことになりますと、今度は安全審査体制を、いままでの体制だけでは足りないではないかと、かねがね、急に言っても間に合わないわけでございますから、すでに専門の審査官制度というものが動き出して、昭和四十七年から若干、四十八年度からかなり大きく進んで、四十九年も従来の形でいえば、少なくも四十八年同様、しかし、実際はもっと大きくこれを伸ばすという予定でございます。  そこでこの問題につきましては、一つには原子力委員会で、いままでで、昭和四十七年につくっております長期計画をこの際見直していただく必要がないかと、その際にこれを参考にして、こういうディスカッションの過程を参考にしてもらいたいということで付議をいたしました。  もう一つは、昭和五十年度の予算がいま、八月末で一応集計が終わっている段階でございます。その段階でこういう問題を具体的に考えていかなきゃいかぬと。先ほど原子力局長が三年計画でという話しをいたしましたが、昭和四十九年と五十年が同じ数字でいいかどうかという問題はあるわけでございまして、私どもは、この際、さらにこれを拡充してやらなきやならぬと、予算の上においてもこれを反映させなきゃいかぬと、そういうことでこの問題に一つは対処をいたしておるわけでございます。  それと、項目もう一つ——これは先ほど来問題に……。
  343. 木島則夫

    木島則夫君 なるべく簡潔でけっこうですから……。
  344. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) そういう問題で、同じような人がやっておるではないかというような御意見もありましたが、今度のような点から見ますると、安全審査委員が、技術顧問といたしまして設計の承認とか、あるいはまた工事の建設の監督というような面に技術顧問として参画することは、安全審査実情が反映する面において一つのシステムであるというのは、私ども実は見直しておるわけでございますが、原子力行政全般といたしまして、アメリカで現在行なわれておりますような大きな機構ですね、たとえばいま、先ほど電調審の話しがございましたが、電源開発調整審議会の委員の中に科学技術庁長官入っていないんですよ。あの法律は、水力電気が中心の時代でございましたから、それは火力発電もまだまだ水主火従の時代の法律でございまして、いまや、しかし新しい工事は原子力が一番大きいわけでございますから、出力からいたしますると。ところが、科学技術庁長官は、その関係閣僚の中にも入っていないと、もちろん事務当局は実質的には参与はいたしておりますが。そういう情勢でございまして、今日の法的なこの種問題についての体制全般に非常に問題があるんじゃないかと。だからこの際、アメリカでもいろいろ機構改革の問題が、いま現に法案としてまさに通ろうとしているような段階でございますので、われわれもこういう実態に即応して、そういう機構改革とひとつ考えていく必要があると、これは、こういうふうに、大きく申せばそういうことでございます。
  345. 木島則夫

    木島則夫君 今回の事故で問われる最大の問題点は、この〇・二ミリレントゲンという放射線漏れによって、まあ石油にかわる最も現実的なエネルギーである原子力開発を大きく後退をさせるか、あるいは事故は事故として原因を究明して、現在の安全体制を拡充——いまのお話しのように拡充強化し、原子力開発に前向きに取り組むか、まさに私は分かれ道であると、これは決して大げさな言い方ではないと思います。そういう意味も踏まえて、われわれは当然後者の道を選んで、事故は事故として万全の体制をつくりながら、積極的に原子力開発に取り組んでいきたいと、推進をすべきであるというふうに考えられまずけれど、最後に確認の意味もこめて長官から一言私はお話しをちょうだいをしておきたいと思います。——四時半でけっこうですから、もう…、
  346. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) たいへんありがたいおことばをいただきました。微力ではございますが、将来への希望を持って、当面の事態の間違いのない措置に当たりたいと思います。しかし、当面の措置につきましては、相当きびしい姿勢をもって臨みたいと思っておりますので、将来に、特に原子力船の問題については、影響なしとしないと思います。しかし、このために、一切が無に帰するようなことがないように、最善の努力を尽くす所存でございます。  また、原子力平和利用原子力発電推進につきましても、むしろこういう問題があったればこそ、これを生かして、これを教訓として、さらに原子力平和利用推進のために努力をいたしたい所存でございます。
  347. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会