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1974-11-25 第73回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月二十五日(月曜日)    午後一時十五分開会     —————————————    委員の異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      江藤  智君     木村 睦男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 山崎 竜男君                 森中 守義君                 三木 忠雄君     委 員                 石破 二朗君                 岡本  悟君                 佐藤 信二君                 平井 卓志君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 岩間 正男君                 和田 春生君    国務大臣        運 輸 大 臣  江藤  智君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        外務省アメリカ        局安全保障課長  山下新太郎君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵省主計局主        計官       佐藤  徹君        運輸政務次官  小此木彦三郎君        運輸省船舶局長  内田  守君        運輸省鉄道監督        局長       後藤 茂也君        運輸省自動車局        長        高橋 壽夫君        海上保安庁長官  寺井 久美君        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道理        事        加賀谷徳治君        日本国有鉄道理        事        伊江 朝雄君        日本国有鉄道理        事        山岸 勘六君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君        日本国有鉄道電        気局長      尾関 雅則君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (LPGタンカー第十雄洋丸貨物船パシ  フィック・アリス号衝突事故に関する件)  (首都圏における通勤輸送対策に関する件)  (国鉄の運転保安問題及び経営改善等に関する  件)  (地方バスの運賃改定問題に関する件)  (米軍艦船港湾使用状況に関する件)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) それではただいまから運輸委員会を開会いたします。  江藤運輸大臣及び小此木運輸政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。江藤運輸大臣
  3. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 私、このたび、はからずも運輸大臣を拝命いたしました。ただいまの困難な運輸行政責任者といたしまして、責任がきわめて重大なことを痛感いたしておる次第でございます。  しかし、私まことに微力、不敏でございます。運輸委員会の諸先生の御指導また御協力、御激励を得まして、職責を全うしたいと存じておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  4. 宮崎正義

  5. 小此木彦三郎

    説明員小此木彦三郎君) 私、運輸政務次官を拝命いたしました小此木彦三郎でございます。  ただいま大臣が言われましたように、運輸行政責任が非常に重大なときに、非才ではございますけれども、大いに奮励努力する覚悟でございます。委員長はじめ諸先生方のよろしき御指導を何とぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。(拍手
  6. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 せっかく大臣がお見えだし、ほんとうならもう少し大臣就任の抱負をじっくり拝聴できるかと思ったのですけれども、きわめて簡単に済まされましたが、問題は非常にたくさんあるわけです。  まず、この前、私は交通安全の特別委員会でもちょっと質問したのですが、東京湾タンカーがぶつかって、第十雄洋丸、これはまだ燃えている。まことに始末の悪いことになっておるということなんでありますけれども一体、この雄洋丸始末をどうするつもりかということをこの前お聞きしました。ただああやってほっとくわけにいかないし、いっそ海上自衛隊に頼んで魚雷か何かで撃沈しちゃったらどうかということを私言ったんですけれども、そのときは別にこちらも真剣に検討してしゃべったつもりじゃなかったのですけれども、笑い話のような状態でした。この雄洋丸がいろいろ始末が悪くなって撃沈をするというお話をお聞きしました。  この雄洋丸のような事件が今後とも起きないという保証はないわけです。それほど海上交通では東京湾ふくそうしているわけです。まさに海の過密ダイヤがこういう事故をもたらしたのだろうと思うのですけれども、この雄洋丸処理については、一体、いつどういう方法始末をしてしまうのか、これは海上自衛隊とももう連絡がついていることと思うのでありますけれども、それらの経緯等をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 私の就任直前であったと思いますが、東京湾におきまして、ただいま御指摘になりましたパシフィック・アリス号と第十雄洋丸との衝突事件が起こりました。たいへんな事故でございますし、まずその処理が必要でございます。同時に、今後、このような事故が起こらないようにしなければいけない、そういうふうに考えまして、いろいろと今後の対策等につきまして海上保安庁長官とも打ち合わせをし、また水先案内の問題などにつきましては船舶局長の主管でございますので、関係の各局とも打ち合わせまして、これから皆さま方の御意見、御要望も受け入れまして、十分対策を立てなければいかぬというふうに考えておりましたやさき、この次には東京湾を当委員会で御視察をしてくださるというお話を聞きまして、非常にうれしく実は思っておるような次第でございます。  事故処理の問題につきましては、詳しくは海上保安庁長官のほうからお話をいたしますが、とにかくあの木更津沖で四万トンのLPG船が座礁しておるということはいろいろと支障がございますので、これを引き出すことにいたしました。そうして途中で爆発を起こし、また引き船の索を切りまして、ただいまは黒潮に乗って東のほうに流れておる、漂流をしておる、こういう状態でございます。もちろん巡視船を二隻つけまして監視をいたしておりますけれども、どんどんと本州から遠ざかりつつあるわけでございまして、たしかただいまは銚子沖から百八十海里程度の黒潮の中に乗っておるわけでございます。  そういうような情勢でございましたので、いろいろと海上保安庁のほうでも検討した結果、瀬谷先生が御指摘になったそうでございますけれども、やはりこれは自衛隊の手をかりまして処理をする必要があるというふうに考えられましたので、閣議にも報告をいたし、所定の手続を経まして、これは海の中に処理をするということに実は相なっておる、こういうような経過でございまして、詳しくはひとつ事務当局のほうから御説明をさせたいと思います。
  9. 寺井久美

    説明員寺井久美君) ただいま大臣から概略御報告申し上げましたが、この第十雄洋丸の措置に関連いたしまして、先般、交通安全の委員会瀬谷先生から御指摘がございました。そのときもお答えを申し上げたと思うんでございますが、できれば火を消して燃料油処分をしたいという考えを持っておりました。  その後、いろいろ検討をいたしましたところ、やはり一刻も早く湾外に引き出すべきだという結論に相なりまして、二十日の午前八時二十分に引きおろしに成功いたしまして湾外へ曳航する作業に入りました。ちょうど二十日の午後七時四十分過ぎに洲崎の南で不幸にしてナフサタンクがまた爆発をいたしました。その後急激に火災が広がりまして、全タンクが炎上するという状態になりました。そこで二十一日の午前二時二十七分ごろに曳航を断念いたしまして、野島崎の南方で曳索を切断いたしました。その後、同船黒潮に乗って北のほうに流れ、現在は東に向かって漂流中でございます。で二十五日の午前八時現在の位置犬吠崎東方約百八十海里の地点にございます。  当初、何とか湾外に引き出して消火を試み、消火ができればそこで最終的に油を抜くことも考えようということもございましたけれども、このような状態になってしまいましたので、あとは航行船舶障害等にならないこと、あるいは燃料油その他が流出いたしましても被害が及ばないような地点に大体現在参っておりますので、二十二日に防衛庁に対しまして、可及的すみやかに同船沈没処分していただきたいという、いわゆる災害派遣の要請をいたしました。現段階では、防衛庁がいろいろ技術的な面を詰めておりますが、二十八日ごろに沈没させる作業にかかれるというふうに聞いております。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 こういう船舶火災に対して撃沈をするといったような例はいままであまり聞いたことがないのですけれども、こういう事故可能性東京湾ではこれからもないという保証はないわけです。いまもって大型タンカーは出入りしているし、ちょっとぶつかればあんなような事故になる。事と次第によってはたいへんなことになるだろうという危険があるわけです。  そうすると、根本的にこの対策考える場合には、東京湾の中になるべくタンカーを入れないようにするというくふうをしなければならぬ。そういうくふうをする場合には、コンビナート等位置からして考えなければいけないし、あるいは外洋からパイプライン等を使うといったようなことも考えなければならぬ。そうでないと、単に航路の安全を期して小手先細工だけをやっておっても、一たびこういう大きな船が火災事故を起こした場合にまことに始末の悪いことになる。それらの根本的な問題について、政府としては、今度の事件教訓として考えているのかどうか、どういう方向で考えているのか。  それから今後の問題として、このタンカーは先般の委員会では構造上は心配がないのだというお話船舶局長でしたか、あったようですけれども、しかしちょっとぶつかっただけで相手の船まで火だるまにして大ぜいの人が死ぬといったようなことは、構造上安全であるというふうに断言するわけにいかぬという気がするのですよ。どうしても、これはもう積み荷積み荷だから、ぶつかったときはもうしかたがないのだというふうにあきらめる以外にないものなのかどうか。沈没はしてないのですから、かなり船は沈むことに対しては強度がよくできているのじゃないかと思うのですけれども火災の発生についてはこれはまことに弱い。一瞬のうちに逃げるひまもなく、両船に多くの犠牲者を出しておるわけです。だから、これは火災の面でも、ちょっとぶつかったぐらいでもろに火をかぶるということのないような構造上の検討はできないものなのかどうか。その安全性について処置するような指導はできないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  11. 寺井久美

    説明員寺井久美君) まず最初の御質問でございますが、このようにタンカー火災が発生して撃沈沈没処分にした例をあまり聞かない——確かに例は非常に少のうございますが、一九六六年の六月にニューヨーク港で英国籍船舶アメリカ籍船舶衝突いたしまして、これもやはりナフサを積んでおった船でございますが、結局消火できずに、これは大西洋に引き出しまして大西洋撃沈をしております。こういう事例が、数は少のうございますが、ございますということでございます。  それから第二点の、東京湾ふくそう状態から考えて、こうした大型タンカー入港を制限すべきではなかろうか、この点についてでございますが、確かに御指摘のように、このように船舶交通ふくそういたします地域大型タンカー等が入りまして、万一事故が発生した場合の災害が非常に大きゅうございますので好ましいことではございませんが、わが国の臨海工業地帯の大半が東京湾、伊勢湾あるいは大阪湾周辺にございまして、産業活動上不可欠なエネルギー資源輸送に当たっておりますタンカー入港を直ちに制限するということ、あるいは禁止するということは現実的ではないのではないかと考えております。したがいまして、こうした大型タンカー入港、入湾を制限、禁止することは、臨海工業地帯の再配置あるいはパイプライン網整備等、総合的な政策、施策の一環として解決されるべき問題であろうかと考えております。  最後に船舶構造上の問題につきましては、船舶局長のほうから。
  12. 内田守

    説明員内田守君) 本船構造LPG船といたしましては世界的にはごく標準的な構造のものでございますので、そういう意味におきまして特に本船構造上問題があるというふうには考えておらないと前回お答えしたわけでございます。で現在考えられますLPG船として特に耐衝突構造あるいは消防設備等相当な規制も加え、それに応じた諸設備施設しておるわけでございます。今回ああいう衝突が起こりましてわりあい急速に大火災に発展したといいことにつきましては、これからの原因の探究を待ってそれに応じた対策というのは当然立てられるべきだと考えておりますし、それからわれわれもLPG船構造施設が現状で十分だというふうには決して思っておるわけではございません。  ただ、何と申しましても船でございますんで、一般的には船という局限された構造物でございますんで、船自体施設だけでああいう大火災になってしまってからの消防対策というのはなかなか困難である。むしろ船施設というのは初期消火あるいはそれにも増してそういう災害を未然に防止するということに重点を置いて従来からやっておるわけでございます。  それから先生指摘の、これからの問題としてやはり改善というのは常に行なわなければなりませんし、御承知だと思いますけれども、現在IMCOにおきましてLPG、こういう専用船安全基準について従来から検討しておるわけでございます。私どももそれに積極的に参加していろいろ協力しておるわけでございますが、私どもといたしましては今回の事故を契機にいたしまして、それらの国際的な協力についてより積極的に推進をはかっていきたいというふうに考えております。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ぶつかった船が幸か不幸か旅客船でなかったわけです。しかし、それでもほとんど全員が死亡したわけですね、このリベリア船は。まことに気の毒なことになったと思うんですよ。これもし旅客船だったとか、あるいはカーフェリーだったらどういうことになったか、これは一ぺんに何百人といったような、あるいは何千人といったような犠牲を生ずる可能性はあったわけです、こういった形態で一瞬のうちに火だるまになっているわけですから。そういうことを考えてみると、これはぶつからなければいいんだといえばそれまでなんですけれども、ぶつかった場合にこんなおそろしいことになるということは、これは一つの大きな教訓だと思うんです。  したがって、船と船はめったにぶつかることはないけれども、たまにぶつかるということがあるわけですから、しかも相手が悪かったわけですよ、パシフィック号にとってはまことに不幸な相手だったわけです。したがって船そのものの損害は保険や何かで片づけることができるとしても、人命のほうはそうはいかないのですからね。やはり人命支障なからしめるためには、タンカーそのもの構造についても、そうやたらと火をふかないような方法考えられないのか、これはもうどうくふうしても、こういう物騒なもんなんだというふうにあきらめざるを得ないもんなのかどうか、その点はどういうもんなんでしょうかね。
  14. 内田守

    説明員内田守君) 先ほど来申し上げておりますように、今回の事故でああいう急速に火災が発生したのはどういうことかというようなことは、もう少し詰めませんと、それが一般的にタンカー構造的な問題ということには断定できないと思います。  ただ、いま申しましたように、本船につきましても、衝突時の損傷あるいは座礁あるいは復元性等について一応の国際的にもいろいろ努力しておりますスタンダードというものに対しては合致しておりますし、したがいまして今後もいろいろ国際的にも協力しておるわけでございますけれども、本質的に、今回の事故原因はともかくといたしまして、絶対衝突しても火災が発生しない、あるいは火災が発生しても本船自体構造物で、施設消火をするというような構造なり施設なりというのは、実際問題としては非常に困難だというふうに考えております。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると結論としては、ぶつかった場合にはああいうことになるのはしようがないのだ、避けられないのだというふうに聞き取れるわけですよね。雄洋丸構造自体についてはもう文句はないのだから、これはぶつかったときは運が悪かったと思ってあきらめろということになるわけですか、結論としては、どうなんですか。
  16. 内田守

    説明員内田守君) 先ほど来申しておりますように、今回の事故でどういうふうに火災が発生したかということによりまして、今後の構造とかそういう面についての改善の余地というのは当然考えられると思います。ただ私が申し上げておりますのは、一般論といたしまして船という一つの制約された構造物でございますので、どういう損傷あるいはどういう衝突に対しても火災が発生しないとか、あるいは火災が発生してもそれを本船消防設備等で鎮火するというような構造なり施設というのは、船である以上、非常に技術的には困難でございますということを申し上げておるわけでございます。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今回の事件は、これはもうはっきりとした事件であって、たまたま相手貨物船だったから乗り組み員だけがなくなった。しかし乗り組み員だってあらかた死んだわけですからね。あの東京湾はかなり大型カーフェリーも出入りしているわけです、それから旅客船だって出入りしているわけですから、そういう相手とぶつかって、しかも火災を起こしたということになるとたいへんなことになるだろうということは考えざるを得ないのですよ。だから特に人命の問題を考えてみた場合、非常に危険な一つ教訓になったわけですからね。  今後の問題として、ただ単にこの船は構造上は欠陥がないのだ、合格しているのだというだけでは今後の安全の問題に対する保障にはならぬわけです。だから今後の安全の問題に対しては一体どうしたらいいのかということは、これは担当局長のいままでの答弁だけでは何ら気休めにならぬわけですよ。そこで大臣のほうからも、まあ大臣もいろいろいまたいへんだろうと思いますけれども、これは後々の問題にかかわりのあることですから、一体、根本的にはいかにすべきか、これは東京湾だけじゃないと思うのです、瀬戸内海だろうと、こういう狭い水域でタンカーあるいは一般旅客船貨物船が錯綜しているところで一体どうしたらいいのかということは大きな課題だろうと思うんです。だからその点を私は大臣としての方針を明らかにして、それから責任を持って今後の問題についても私はもし留任をされるんならばやっていただきたいし、留任をされない場合にでもこれはどなたがおやりになるとしても、江藤大臣のときの次元として今後は考えてもらう必要があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  18. 江藤智

    国務大臣江藤智君) ただいま運輸大臣でございますから、運輸大臣としての考えを申し述べたいと存じます。  このたびの事故、特に相手のパシフィック・アリス号の乗員が非常に多くの犠牲者を出した。これがもし旅客船カーフェリーのようなものであったらどうだ、こういうような御指摘につきましては私は全く同感でございます。したがって今後このような大惨事を起こすことのないようなしっかりした方策を立てる必要がある、かように私は考えまして、関係部局とも私の考えを話してあるわけでございます。  一つは、LPG船そのもの構造について、今度の大災害をよい参考として構造上でできるだけの改善をはかる必要があるならばそれはどこだということを探求して、ひとつこれを直すべきものは直す、また消火関係につきましても今後一そうの研究をしていく必要があるんじゃないか、こういう問題につきましてはひとつこれからの研究調査に待つよりしようがございませんけれども、この犠牲を無にしないように全力をあげて努力をいたしたい、かように考えております。  もう一つ原因は、こういう危険船が非常にふくそうした航路を通るときの安全処置でございます。東京湾はもう言うまでもなく非常にふくそうをいたしておるわけでございまして、その関係で過日当委員会におきましても海上交通安全法を改正していただきまして、あすこは一方通行規制地域になっておるんであります。ですから、その航路の中は確かに一方通行で走っておりますけれども、それを出たところは縦横に航路が走っておるのであります。したがいまして、ちょうどその航路を出たところでぶつかっておるようでございます。まだ私明確な地点は聞いておりませんけれども、大体そういうふうに考えられるというわけでございます。さすれば、やはり湾内交通という面において、できるだけそういう危険のないような航路を通らせるように考えなけりゃいかぬ。たとえばブイやなんかもあるわけでございますから、そういうことを考えなけりゃいけない。  いま一つは、あのパシフィック・アリス号木更津港を出まして、出たときは水先案内を乗せておるわけでございます。そうしてぶつかる前に水先案内をおろしておるということから考えましても、こういうようなふくそうした湾内においては湾内の航海に習熟した水先案内を義務づける必要があるんじゃないか。この問題につきましては実はいろいろな問題がございまして、詳しいことは船舶局長のほうからもしあれでございましたら御説明いたしますが、私はこういう危険なところにおいては水先案内をつけるというようなことをぜひいたしたいものだ、こういうふうに考えております。  それからもう一つ私が感じましたことは、中ノ瀬航路を通りますときには付随船がついておるわけでございますけれども、その付随船が実は十分にそういうことについての注意を払うことにおいて欠けたんじゃないか。これは実は責任問題とか何とかという問題じゃございませんけれども付随船がせっかくついておる以上は、何とかそういうような事故防止にその付随船がもっと働けるようなやり方はできないだろうか。  実は、こういう三点を関係局のほうに話しましていま検討をしておる、こういうところでございまして、私は瀬谷先生のお考えと同じでございまして、この教訓を生かしてできるだけこういう事故が二度と起こらないように全力をあげて努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、この問題についてはさらに当委員会視察等も予定されておりますので、またあらためていろいろと視察の結果、質問をしたいと思います。  ただ、この雄洋丸撃沈するということで、たとえば公害問題この積み荷がばらまかれることになるわけですが、公害問題であるとかあるいは危険の問題であるとか、いろいろあると思うのですけれども、そういう点の心配はないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  20. 寺井久美

    説明員寺井久美君) そういう点が心配ないように行なわれますよう、防衛庁ともいま寄り寄り協議をいたしておりますが、まず銚子から東方百八十海里沖でございまして、黒潮の外側になっております。付近ではあまり現在出漁中の船もございませんし、わがほうで二隻の巡視船を張りつけて警戒いたしております。いざ実施にあたりましては、万全の注意を払ってとり行ないたいというふうに考えて、防衛庁と打ち合わせをいたしております。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 法的にも公害対策の面でも問題はないというふうに理解をいたすわけですが、それではこの問題については一応打ち切りまして、国鉄の問題についてお伺いしたいと思います。  新幹線及び在来線ともに最近は非常に事故が多いし、動揺がひどいし、これらの安全問題について社会党でもいろいろと現地調査等もやってまいりました。青木委員あるいは目黒委員からも実際のこの調査に基づいた質問が行なわれると思うのでありますけれども、私は問題を首都圏の通勤輸送のあり方の点からちょっと聞いていきたいと思うのです。  国鉄の首都圏交通調査会というのが首都通勤輸送のあり方で提言をしているわけですね。その提言によれば、国や地方自治体や企業にも協力をしてほしいといったような内容になっているわけです。国鉄としては首都圏交通調査会といったような機関に対して諮問をして、その結論を得たんならば、それを当然取り上げなければならない義務があるのではないか、こういうふうに思われます。したがって、この調査会の結論をどのように受けとめ、これをどのように生かすつもりなのか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  22. 伊江朝雄

    説明員(伊江朝雄君) 御指摘首都圏交通体制調査会と申しますのは、国鉄の中央機関であります首都圏本部というのがございますが、当面非常に通勤輸送に力を入れているいわゆる中央機関でございますが、ここで先生方、主として外部の大学の先生方でございますが、を中心としました委員会、これの提言のことについての御質問でございますが、私どもは方向といたしましては大体調査会で出されました提言内容とほとんど同じ考えでございます。  しかし、これをどう施策に取り入れていくかということにつきましては、提言の内容にもございますように、もう首都圏の人口のあと追い対策輸送では間に合わないんだと、したがって、そういう対策は現在持っていても、それを進めながらも、やはり空間的時間的にはいろいろと技術的な制約があるから、これは住宅公団を含めた国あるいは関係の地方自治体、あるいは利用者、あるいはその利用者を雇用いたします企業、こういったものと国鉄は種々協調し、また協力体制をとらなければ、この問題は解決しない、こういうふうな提言の内容でございます。  したがいまして、これは、今後、首都圏の本部あるいはまた私どもの本社で具体的内容に詰めをしてまいらなければなりませんが、将来は、やはり関係の住宅公団でありますとか地方自治体、あるいは関係の連絡運輸いたします私鉄、地下鉄などとこの問題についての詰めを今後やっていきたい、かように現在は考えている次第でございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄独自では現在の通勤輸送の問題を解決することはできないということを指摘をしているわけですよね。とすると、国として総合的な交通政策というものははっきりと確立をしなければならないし、これは住宅問題についても道路問題についてもみんな関係してくるわけですね、この内容を見てみますと。  たとえば都市機能の分散であるとか、国鉄の資産を地域の開発に有効に活用するとか、都市構造改善に寄与する計画だとか投資であるとか、現在の極端な都心集中的な通勤輸送の分散に役立つような方法考えにゃいかぬということをいっているわけですよね。それをやるには、これは国鉄の首都圏本部だけではさか立ちしたってできないと思うのですね。そうすると、国鉄としたら一体どうすればいいのか、この提言をもし取り入れるということであれば、どういう構想でもって政府と折衝しなければならぬか、こういう問題が出てくるわけでしょう。その点はどうですか、総裁。
  24. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 都市圏の交通をどうするのかというのは実はむずかしい問題である。むずかしい問題と申し上げるゆえんは、実は国鉄が往復七百万人を運んでいるといいますけれども、これは全交通量の三五%ぐらいであって、七百万人——三百五十万人片道でございますか、これは三十何%でございまして、あとは地下鉄あり私鉄ありバスありといったようなことで、この方々としかるべくお話し合いをして受け持つ分野をきめるというようなこと、これは非常にむずかしいことでございますが、こういうことをやる。  それから第二の問題としては、住宅公団であるとか何とか、これは必然的に起こってきたんでございますけれども交通機関には一応無関係というような形でぼこぼこできてくる。そうすると、国鉄は五正面作戦とか何とかいってえらい苦労して整備できても、日ならずしてまたもとのもくあみになるというようなこともございまして、住宅政策であるとかあるいは私鉄、そういうものをひっくるめてこれをどうするか、この大都市の一番重要な機能なんでございまして、私どもでき得る限りのことは関係の向きと協議をしてしかるべき方向で進めますけれども、非常にむずかしい問題であるということを申し上げておきます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 むずかしい問題であると言って気の長いことを考えている余裕はないと思うんです、いまは。この通勤輸送の問題にしても、あるいは安全の問題にしても、これはもう緊急に解決をしなければならない問題になっているんじゃないかと思います。国鉄として確かにむずかしい問題には違いないと思うんです。むずかしい問題だからといって腕組みをしているだけじゃ問題は解決しないでしょう。一体、どうするつもりなのか。  これは今度は運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、国鉄のほうで首都圏交通調査会という諮問機関が一つ結論を出した。その結論は、需要追随型ではどうにもならない、行き詰まっている。だから地方自治体にもあるいは住宅公団なんかにもいろいろ考えてもらうということなんですね。しかし住宅公団だって全然鉄道の便のないところに建てるわけにはいかないと思うのですね。山の中に公団住宅をつくったって入り手はないし、それから便利の悪い地域につくれば、もっと便利をよくしてくれと、一時間に一本しか走らないんじゃ困るから、これを複線にして電化にしてもっとどんどん電車を走らしてくれという要望が必ず出てきますよ。現にそういう例があるのですから。その場合に、これは政府としてほうっちゃおかれないだろうと思うのですね。この問題を一体政府としてはどうするつもりなのか。  来年度予算はまだ輪郭が明らかになっておりませんけれども、このままではどうにもならぬということだが、たとえば東北新幹線、上越新幹線等は、これはしばらく待ってやらなければならぬといったような事態も出てきているかのようにお聞きするのですけれども、たとえば田中構想である日本列島改造論、この新幹線構想といったようなものは一時ストップして、そうして緊急の問題に焦点を当てた方針をとるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  26. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 大都市交通、特に首都圏交通という問題は非常にむつかしい問題でございます。ということは、首部圏を考えてみましても、以前は山手線の中で通勤が行なわれておった。戦後、日本の経済の異常な発展に伴って急速な都市集中、特に首部圏に人口が集中してきた、これはもう言うまでもないことであります。そうしてたいへんに遠くに住宅ができまして、いわゆる通勤輸送の絶対量というものが非常な大きなものになってきた。しかもそれが通勤あるいは帰るとき片道輸送、したがいましてたいへんなロードが鉄道にかかってきておることは御承知のとおりであります。したがって、いまの提言のお話の内容を聞いてみるというと、鉄道だけでそこに輸送がふえたから、従来のように単に複線を複々線にするとか、車両数をふやすとかというようなことだけではもうできない。これは私は当然のことだと思います。もしやろうとしましても、もうこういう大都市におきましてはいろいろな支障が起こって複線増設すらできないというような状態でございます。したがって、どうしてもこういう問題は都市政策としてこれを考えなければいかぬ。これはもうお説のとおりでありますし、提案のとおりでございます。  また交通全般から考えましても、やはり総合交通という面で考えなければいけない。たとえばこれは私個人の持論でございますけれども、公共輸送機関を最優先させる、こういうような政策をとる必要があるのじゃないか。私も実はこの問題については長い間非常に苦労をしたわけでございます。以前は住宅公団あたりの考え方も、そこに土地があればすなわちもう住宅を建ててもいい、あとはその近所を通っておる鉄道が何とかまかなってくれるだろう、こういうふうな考え方で進めておったことは事実でございますが、われわれも住宅という問題については、足がなかったならばこれは住宅じゃないじゃないか、こういうような意見を申しまして、だんだん認識を深めて、ただいま住宅公団のほうにも運輸省のほうから人を出しておるというようなことで、最近は相当にその連絡がよくなってきておるように思います。  それから税制面におきましても、自動車重量税の中から鉄道特に通勤輸送というようなことを考えて、三分の一を鉄道に回す、そういうような事柄も実施されておるのでございまして、どうしても都市政策あるいは総合交通政策の上からこれを解決しませんというと、単に鉄道に金をつけたということだけでは解決されない。ひいては結局日本全体を考え処理をしないと解決ができないようなこれは重要な問題でございます。  しかし、いますぐの問題ということになれば、やはりでき得る限り通勤対策に車両あるいは線路増設を進めるというようなことでやらなければいけないのでございまして、そういう問題について国鉄が十分に案をつくってこちらのほうに要求してくるならば、私たちは全力をあげてこれを助けて大都市の交通の緩和にひとつ努力をいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そこで東北新幹線あるいは上越新幹線、これらの建設は一時延期をしても、当面の安全問題通勤問題に力を注がなければならない、こういう時期に来ているように思われるわけです。その種の記事をいろいろ読みましたけれども、政府の考え方として。  その点は、政府としては、田中内閣のことだからちょっとここで大みえ切るわけにいかないかもしれませんが、聞くほうもその点は聞きづらいのですすけれども、しかし政府がどうあろうと、田中さんがどうなろうとも、ともかく現在の輸送需要というのは減らないことは間違いないですからね、これは。そうかといって、これを減らすことも簡単にできないことも間違いないですからね。そうすると輸送は増強しなければならないということははっきりしている。増強しなければならないならば一体どうしたらいいかという問題はおのずから考えなければならぬことだろうと思うのです。だから新幹線計画との関連で一体政府としてはどうするつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  28. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 大都市交通のために東北新幹線、上越新幹線の仕事を打ち切る気持ちがあるかどうかというお話でございますが、まだ予算もきまっておりませんので、打ち切る、打ち切らないというようなことを申し上げる時期ではございません。  しかし、私の気持ちとしては、通勤対策といったって東北線はやはり遠距離列車も含めて非常な過密になっておる。したがって線路保守が悪いというおしかりも受けておるようでございますが、同様に高崎線もそういう状態でございます。したがって私たちは、東北新幹線あるいは上越新幹線というものを単に新幹線として別個に考えておるのじゃなくて、東北線もとにかく線路の増強をはからなければならぬ。高崎線、これは上越線の一部になるわけでございますけれども、これもとにかく輸送力の増強をはからなければいけない。その輸送力を増強するためには現在線のような狭軌の線路増設もございましょうし、せっかく線路を敷くのでございますから、今日の技術を集めた新幹線という方式によって線路の輸送力をつけよう。いずれにしても首都圏交通を緩和する意味におきましても 高崎線にしたって東北線にしたって線路増設をしなければいけないわけでございます。そういう意味で私は東北線、上越線の新幹線工事はぜひ推進したい、そういう気持ちでございます。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 気持ちがそうであっても、田中総理だって気持ちとしては日本列島改造論をやりたいという気持ちは持っていたのだろうと思うけれども、足元からああいうふうにいろいろとくずれてきたわけですからね。現実の問題としては相当考えなければならぬだろうと思うのです。  そこで安全対策に万全を期する必要があるだろうと思うのですね。東北線でも高崎線でも房総線でも新幹線でも総じて動揺がひどくなってきましたよ。これは保守が追いつかないということが言えるのじゃないかと思うのですね。特に新幹線なんかの場合は、真夜中にしか架線にしても道床にしても保守ができない、こういう事情にある。これは小事故が続発しているということからしても、あるいはまた定時の運転が確保できないという状態からしても、国鉄としてはもうゆるがせにできないところに来ているのじゃないだろうか、こういう気がいたします。  そこで、将来のあるべき姿としての全国新幹線計画といったようなことをどうするかということもそれは必要なことかもしれないけれども、さしあたっての問題として、一体、国鉄としてはそれで現在のダイヤを守ることができるのかどうか。要員の面であるいはたとえば外注といったようなやり方でもってだいじょうぶなのかどうか、こういう不安が出てくるわけです。おそらく保守の状態にしても、あれは一日二日でもってどうこうという問題ではないから、テンポがおくれながらでもやっているからそれでいいとおっしゃるのかもしれませんけれども、小事故が続発していることも事実だし、また安全の面で非常な不安があることも間違いないでしょう。そうなると国鉄としてはたしていまのままの状態で、いまのテンポでもって保守を続けていってもよろしいのかどうかという問題には当然ぶつかるだろうと思う。その点を一体国鉄としてはどう考えているのか。特にいままでの国鉄の財政再建計画というものが根本的に再検討を必要とする状態になっているのじゃないかと思うので、それらの点、一体、どう考えていったらよろしいのか、そういう点をお伺いをしたいと思うのですがね、これは国鉄に。
  30. 伊江朝雄

    説明員(伊江朝雄君) 保安の問題に関連をいたしますけれども、通勤輸送の前提のお話が続いておりますので、私から答弁を申し上げたいと思います。  いま先生から御指摘をいただきましたのは、現時点における輸送力の維持をこのまま続けていけるのかどうかということが一つと、それについては保安上いろいろと問題点がある、これに対する取り組みはどうなのか。また今後増発していく場合に、要員問題その他ではたしてそういった輸送力をまかなえるような状態を構成できるかどうか、大体こういう三点であったかと存じますが、それでよろしゅうございますか。  第一点でございますけれども、御承知のとおり、私ども首都圏通勤輸送対策といたしまして東海道本線それから中央線、御承知の高崎線、あるいは常磐、総武、こういったふうに五方面にわたるところの通勤輸送の大幅な増強を講じてまいりました。一方、また都営地下鉄あるいは営団の地下鉄と相まちまして、都心部に対する通勤の輸送力のパイプというものは非常に大きくなったと存じます。これはいささかてまえみそでございますけれども、もし私どもが通勤輸送に手を加えなかったといたしましたならば、たいへんな混乱になっていただろうというふうに存じますが、その後、やはり先生の先ほどの御指摘のとおり毎年都心部への流入がふえてまいっております。これに対してどういう手を打つかというのが次の問題だろうと思います。  私どもやはりあくまであと追いではございますけれども、提言の内容は前向きで踏まえながらも、やはり現在考えておりますところの輸送力増強施策は進めなければならないという立場でございまして、目下、東海道線と横須賀線が線路を共用しておりますことによるところの輸送力の増強が阻害されている地区、これを重点といたしまして目下増強工事を進めておることは御承知のとおりでございます。  ただ、残念なことは、先ほど申しましたように、空間的にも時間的にも非常に制約があるという問題がございまして、その点は、東海道地区において一部土地の買収が非常に難航いたしております。そのためになかなかはかどらない、こういう問題がございますけれども、これは先ほどの提言にもありますとおりに、地方自治体あるいは利用者の方々の十分な御協力を得ながら進めてまいりたい、そういうことでございますので、首都圏の通勤輸送については当然今後とももちろん力を入れてまいらなきゃなりませんし、あるいはまた首都圏に通ずる各ローカル線、これなどの電化によるところの電車の直通体制、こういったものも考えることによって乗りかえによるところの混雑、あるいは一部の線に通勤が片寄るというふうなことのないような配分、配慮というものをやってまいりたい、かように考えております。  それから二番目の、人の問題その他で、保安の問題あるいは輸送力増強の問題ができないかどうかという点でございますけれども、これは私どもやはり安全の確保のためと、それから輸送力の増強は通勤に限りませず一般的な年末年始の輸送もございますし、平常の輸送もたいへんな列車を運行いたしておりますので、これの確保につきましては万全を尽くしたい、こういうふうに考えております。  保安問題につきましては、担当の山岸がおりますので……。
  31. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 先生指摘のとおり、私ども国鉄の諸設備が現状でよろしいというふうには思っておりませんで、福祉社会の論ぜられる今日、ますますじょうぶな国鉄にしていかなきゃならぬ、確実な輸送をする国鉄にしていかなきゃならぬというたてまえ、もちろん安全以前の問題として、じょうぶな国鉄づくりをしていかなければいかぬという立場で、いま見直しをしているところであります。  先ほど御指摘の房総線あるいは東北線、中央線の一部、あるいは美禰線、鹿児島線といった五線区につきましては、とりあえず列車間合い等を設定して、そうしていま悪化の傾向にある状況を食いとめ、そうしてさらに今後じょうぶな線にしていくように、他の線区ともにこれらの保守あるいは設備の増強等をしてまいりたい、こう考えているわけであります。  これにつきまして、人それから間合いという問題があるわけであります。間合いにつきましては、かねてより博多開業の時点をつかまえまして、西日本一帯につきまして相当大幅な間合いの設定を計画してやっているところでありますが、このダイヤ改正の影響が東北線あるいは上越線等に大きく及びませんために、いまこの東北、上越等の線区につきまして、とりあえずの処置といたしまして、三十五分程度の昼間の間合いを設けておるわけでございますけれども、早急に今後この点の研究をいたしまして、昼の間合いの確保、あるいはまた時と場合によっては相当大幅な列車間合いの確保を臨時に設けて、思い切ったレール交換等を行なうというようなことを踏まえまして、ただいま研究中でございます。
  32. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 研究しているとか、あるいはこうしたいとかいう話だけでは安心はできないわけです。しかし、問題は、小事故が急増しているということは大事故可能性を意味しているわけですね、つまり安心できないということ。それから、これは何と弁明をされようとも、新幹線をはじめ在来線、過密ダイヤであればあるほど動揺がひどくなっているし、事故も多くなっています。したがって時間も不正確になっているわけです。これはもう否定できないんです。一々具体的な事実を取り上げなくとも、それは時間がかかるし、また青木委員なりあるいは目黒委員からも指摘があると思いますから、私はあえてこまごまと申し上げませんがね。  そういう最近のいろいろな事故の多発とかいうことを考えてみると、最初、国鉄の再建計画にあるように十何万人減らしてやりますとか、合理化によって何とかしますとかいうきれいごとじゃ済まないと思うんです。そういうきれいごとを言っている段階ではない。したがって外注のあり方についても、たとえば私ども深夜作業をいろいろ見てみました。そうすると出かせぎの労務者で、もういいかげんな年配の人がやっているわけですね、これは。そういう人しか集まらないのかもしれない。そうすると、こんなことでだいじょうぶだろうかという心配も出てきますよ。だから、そういう外注のあり方にはたして検討の必要がないのかどうか。いまの外注が、これは絶対にいかぬということを言ったって、それはそうはいかないだろうと思うから、そういうことを私は言いませんがね。しかし外注のあり方にしたっておざなりにやっているわけにいかないだろう、相当考える必要があるんじゃないかということ。  それから要員の問題にしても、結局仕事をするのは人なんですから、人を減らして仕事をよけいするということは物理的に不可能だろうと思います。そうすると要員の問題を根本的にどうするんだ。つまり来年度予算の面で、これらのいわゆる合理化の問題と要員の問題、これはからんでくるわけですね。減らすという方針をとったならば安全に万全を期することはできないだろうと思うのです。これはしろうとが考えたってこういう結論になると思うんです。その点ではたして確信を持ってやれるというふうに言い切れるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  33. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 現在の国鉄の状況におきまして、各種故障が起きているわけでありますけれども、これはまあ全部ゼロにするというわけにはいきませんで、年々統計を見ながら見ているわけでありますが、現在線につきましては、御指摘の線路関係の故障あるいは弱点個所、あるいはまた信号保安装置の問題、これは特に七月の事故以来電気関係の系統に故障を起こしているわけでありますが、この二点が現在のところ昨年よりも悪化しているわけであります。  一般に、非常に私ども気をつかっております列車事故あるいは踏切事故というようなものは昨年度より非常に減少いたしておりまして、全体として国鉄が非常に悪化しているということじゃございませんので、この保線の問題を取り上げまして先ほど申し上げたわけであります。  保線の問題につきましては、いろいろいま保線の専門家の意見を聞きながら私どもやっているわけでありますけれども、これはやはり夜間の能率と昼の能率というものがたいへんに違うわけであります。夜間作業につきましては、月間の稼働日数も制限を受けているというような状況でありますから、やはり昼にどれだけ力を入れて仕事をやれるか、昼のエフィシェンシーをどういうふうに使うかということが非常に大きな要素になっているのでございまして、私どもやはりこの点を重視した施策を打っていかなきゃならぬのじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。  また一般的に、人を減らして安全度を上げるということはできないじゃないかという先生の御指摘でございましたけれども、そういう問題を含めまして、私ども、今後、何といいますか、国鉄がそういう諸設備におきまして弱くなるということじゃありませんで、一歩一歩強固になっていくという施策をとることにつきまして万全を期していきたい。要員の問題につきましても、この面におきまして、先ほど申し上げましたように、総本的な力としてより合理的な人間の力の使い方を踏まえながらやってまいりたい、このように考えているわけであります。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 どうもあまり具体的でなくてわかりにくいんですがね、万全を期していきたいと言うだけじゃ、これはことばが抽象的なんですよ。そこでどういうふうに万全を期していくのか、人間は減らすのかふやすのかといったようなこと、これは二つに一つなんですからね。こういう点はイエスかノーかなんです。それから外注のあり方について再検討しなくてもいいのかどうか、いろいろな問題が出てきているだろうと思うから、そのことを私は言っているんです。  しかし、もういままでの御答弁では少し抽象的過ぎると思います。そこで具体的な問題についてはこれは青木委員なり目黒委員のほうからさらに追って質問があると思いますから、それらの点についてより具体的に御答弁あらんことを希望いたしまして、私の質問は一応終わります。
  35. 青木薪次

    ○青木薪次君 青木であります。  ATCの故障について十一月七日の運輸委員会において私が質問したわけであります。すなわち九月十二日の品川の機器室の異常電波の発信について、今後このようなことが絶対ないようにしなきゃいかぬということで、答弁としては全部検査した、類似のものを検査したので一切異常はないという答弁でありました。私はどんな場合でも安全側に作用するということを確信を持っているかと、こう念を押しました。そうしたら山岸常務は絶対だいじょうぶだという立場に立って、はっこうですという答弁があったけれども、このことについて確認していいんですか。
  36. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 先般この席におきまして、絶対ということばにつきまして若干私申し上げたとも思うんですけれども、自信をもって列車運転に当たりますということを申し上げたことを記憶いたしております。
  37. 青木薪次

    ○青木薪次君 十一月十二日の新大阪駅におけるATC事故ですね。これはATC電源を安定させるためのAVRすなわち自動電圧調整機の予備機が実は故障であることが判明したわけですね。私はこの前申し上げたのは、誘導電波が流れるということで品川の場合とまったわけです。いろいろ混触検知装置なんかがあって、一番悪いのは異常現示することなんです。異常現示で最も悪質なのは上位信号を出すことですね。ゼロ信号であるのが二百十キロ信号を出したりするんですから。そういうようなことが絶対あってはいけないということで言ったわけですけれども、この問題について、十一月十二日の新大阪駅における事故についてお伺いします。
  38. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 十一月十二日午後二時二十二分から夕方にかけまして上り列車の四本が新大阪駅の六番線到着並びに発車の際に、一部区間におきまして、約四十メーターないし五十メーターの区間でありますけれども、この区間におきまして三十信号、あるいは七十信号であるべきところに二百十信号が発生したのであります。これは当時、いわゆるゼロスリーと私ども言っている区間があるわけでありますが、このゼロスリーは実は六番線は上り線でありますけれども、下り列車を上り線にとって折り返すという場合があり得るわけでありまして、そういうことをやる場合、非常の場合の措置としてゼロスリー区間、こういう列車に対するゼロスリー区間を設けているわけであります。いわば下り列車が上り線に入る際の安全側線ともいうべき場所になっているのであります。このゼロスリー区間の四十メーターないし五十メーカーの区間におきまして、二百十信号を二秒ないし三秒受信したわけであります。  したがいまして、私どもといたしましては、これが直ちにきわめて危険な運転状態につながるという判断はしてなかったんでありますけれども、しかし事柄が事柄であるというようなことから、直ちにこの構内のATCを全面使用停止にいたしまして、そして調査に当たったわけであります。調査結果、先生指摘のように確かにAVRの予備機に問題点がしぼられたんでありますけれども、現地におきましては調査不十分である、とても調査できないということから、これを別の予備機に取りかえまして、東京へ持ってまいりまして詳細な調査をいたしたわけであります。同時にまた同型式のAVRにつきましても、他の個所でも使用いたしておりますので、細部点検をいたしました。  この細部検査と申しますのは、もちろんばらして見るわけじゃありませんけれども、普通の測定器以上に、オシログラフを使ったところの測定器でないとわからぬというようなことで、そういった測定をいたしまして、一応一ヵ所姫路の予備機におきまして若干あやしいものがあるということで、これまた予備機を取りかえておりますけれども、東京へ持って帰りましたこの新大阪駅のAVRの二基につきまして詳細に点検いたしましたところ、いわゆる常用機のほうにおきまして、いわゆる端子板、いろいろ電線を接続している端子板でありますけれども、この端子板に亀裂があったわけであります。  この亀裂は、おそらくネジの締めつけが強かった、製作時において強かった、若干の傷が、製作時期においてあるいは亀裂がなかったかもしれませんけれども、その後におきましてだんだん大きくなりまして相当の傷になってしまった。非常に小さいものでありますけれども、このために電線の接続部がゆらぐというふうなことで、ふらふらしているうちにこの二百十信号に非常に近い九百八サイクルというものが出ておったということであります。したがいまして、全列車に出なかった、あるものに出あるものに出なかったというふうな現象も解明できたわけであります。  この過程の中に、先生指摘の予備機の調整装置かつないてない——これはつないでないというのはつないでなくともよろしいということなんでありますけれども、このいわゆる電圧調整がその結果としてうまくいっていないということ、これは先に発見されたものでありますから、このほうが一般に報道されたわけでありますけれども、独立した二つの問題が浮かび上がってきたわけであります。  今後これらの処置につきまして、現在使用中のもの、あるいはまた博多開業に向かって使用しているものについては、全数調査してございますけれども、実はこの二基ともに十一日の晩に取りつけているわけであります。過去三年半ほど使いまして、新大阪駅の東のもとの機器室で使っておったものを西に移動いたしているわけであります。このために、あるいはそういった調整不良あるいは傷が大きくなるというふうなこともあったかもしれません。これらの工事につきまして、今後ともに気をつけていかなければいかぬ問題も付随しているわけであります。まあ先生指摘のように、自信を持っているとは言いながら、このような故障を起こしまして、列車も多数運休いたしまして御迷惑をおかけして、たいへん不面目な次第でありますが、一そう今後ともにこれらの事故の撲滅に努力してまいりたいと思う次第であります。
  39. 青木薪次

    ○青木薪次君 この車両の検修作業というものは入念にしかも細心の神経を使いながらやらなければいけないということは、これは言うをまたないわけであります。特に私は、率直にいま山岸常務がいわれましたから、この点は了とするわけでありますが、検査の対象個所からはずれた部分で、そのことが原因で、いわゆる検査を省略したために事故になったというような事例について、私はこの十年間ぐらいをデータとしてほしいわけでありますが、特にその例について簡単にひとつ説明していただきたいと思います。
  40. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 検査のあり方の変更と申しますか、合理的な検査への移行に伴って故障が起きているのではないか、それらのものについて明確に説明してほしいというお話のように承ったわけでありますけれども、実は非常にこの点がいわゆる検査省略というようなことで、重要個所を検査省略をしているわけがございませんので、あるいは清掃の一部を省略したというようなことはありますけれども事故の主たる原因がそれであるという断定ができるものはおそらく私の記憶ではないんでありますけれども先生指摘の点がどういう形のものであるか、いま実は車のほうに頭を置いて申し上げておるわけでありますが、その他具体的なことを先生おつかみになっておっしゃっておられるならば、またそれに対してお答えを申し上げたい、このように考えます。
  41. 青木薪次

    ○青木薪次君 じゃあ申し上げますけれども、浜松−静岡間で去年の八月十日に電気連絡器——電線をたばねて各車両間を貫通しているその装置に雨水が入った。それで列車が運転不能になったとか、あるいはまた静岡駅で「こだま」がドアをあけっぱなしでもって走ったとか、そういうのは簡単なものですけれども、これはやっぱり事故につながっているわけです。しかも私の調査いたしましたのは四十九年の四月の十七日に新枇杷島の変電所において変圧器の焼損事故があったわけです。これがやっぱり運転阻害を起こしているわけですけれども、これは検査報告にも入ってないんです。  それから昭和四十九年の七月の六日に岐阜羽島駅の構内で電気転轍機の故障について、これもやっぱり列車阻害を起こしたわけです。これも検査項目に入っていない。たとえばテンション式バランサーのワイヤーロープの断線なんという事故があるわけですけれども、これは外注検査なんです。こういうものがあるということをあなたは知っていますか。
  42. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 変圧器——これは岐阜羽島のところは吸い上げ変圧器だと思います。それからもう一つ同じようなところで起こりました、同じ付近で起こりましたのは計器変圧器といっているのでしょうか、非常に小型のものでございますけれども、実はこの変圧器の問題につきましては、私ども今後とも研究を続けていかなきゃいかぬ問題でありますけれども、これは五年、十年ですぐだめになる性質のものではございません。しかしながら雷等の大電流が流れ、しかもそれがそのとき故障に至らない、あるいはまたあけてみても油その他に異常を発見できないようなことで計器点検をしたがオーライであるというようなことから、そのまま使っておりますと、二、三週間のうちにパンクをするというような現象が実は二件ほど起きたわけであります。これらのことについてどういう防止をしていくかということでありますけれども、いま私ども吸い上げ変圧器というものに対しまして四百四十個ほど現在使用しているものがあるわけでありますが、その一割を非常に詳細な分解をいたしまして、そういう中間的な変化というものをどうしてつかむかということを勉強中でございます。勉強中、勉強中ということでまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、非常に新しい機械が多いためにどうしてもまだまだ勉強して一そう安定化へ持っていく必要があるわけであります。したがいまして、この変圧器というようなものをかりに毎日ふたをあけたからこの事故は防げるという性質のものではないわけであります。どういうふうに使い、いつの時期に取りかえていくかという性質のものではないと思うわけであります。  それから、またテンションバランサーの素線切れ等の問題につきましては、やはり点検の不備の問題もあったかと思いますが、外注をしているからこれが見つからぬという性質のものではないと思います。巡回しておってもこのバランサーのところというのはよく見えるところでありまして、その後も巡回中に何ほか見つけまして、そしてこの手当てをいたしているのでありまして、決して外注とバランサーの断線とがイコールであるとは考えていない次第でございます。
  43. 青木薪次

    ○青木薪次君 あなたそうおっしゃいますが、変圧器なんていうのは二十年間手をつけるなと言っているんですよ、それがこの間事故が起きたじゃないですか。そういうことをただ単に理論上そうなっているからということでは現実は絶対ないということなんです。たとえば、いま言った連動装置等の検査については定期検査をしていたのが、これが不定期検査となったために信号設備の故障が多く発生しているということなので、こういうものは定期検査に移すべきだと、こういうことを私は言っているのです。それから電車線のつり架線とか補助つり架線あるいはトロリー線については検査掛が昼間六キロも歩いて入念に調べて歩く。昼間ですよ。ところが昭和四十六年ですか、今度は検査規程を変えて、人がないから二百十キロの運転室から見て調べろ、亀裂が入ったとか、ハンガーがはずれたのとか、あるいはまた新幹線の八・五ミリ以下になっちゃいけないというのがこれでわかりますか、その点どうですか。
  44. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 架線の摩耗の状態が二百十キロの運転室からわかるかどうかということでありますけれども、これはわかりません。私どもわからないと思います。したがいまして、これらにつきましてはやはりある期間を置きまして測定をして、そしてはかっているわけでありますけれども、近くもうすでに落成いたしましたけれども、二百十キロで走っても詳細につかめる装置が完成いたしております。しかし先生の御指摘のように、毎日見ておったものが見てないじゃないかというようなことでありますけれども、逆に言いますと、下からだけ歩いてみて全部見えるものでもないわけでありまして、架線の動揺状況というようなものは運転台のほうがはるかによくわかるわけであります。したがいまして、全部歩くということよりも、三日に一度歩く、あとの二日は車上でもよろしい、そのほうが効率的であるというふうに判断してそのような措置をとった次第であります。
  45. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 電気局長でございますが、少し補足させていただきたいと思います。
  46. 青木薪次

    ○青木薪次君 簡単にやってくださいね、時間がないから。
  47. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 四十六年八月当時に定期検査をしておったものが不定期検査に落としたじゃないかという御指摘がございましたけれども、そのとおりでございまして、なぜ落としたかというのは、開業当初からその当時までの実績によって、不定期で随時管理者が判断して、必要ありと考えたときに検査をすればよろしいというふうに考えたわけでございます。その後四十六、七年とあまり事故も増加しませんでしたが、最近の状況にかんがみまして、事故原因を十分分析いたしまして、それが不定期検査に落としたことによるものならば見直しをしなければいけないというふうに考えております。またほかの、たとえば機械の設計なり、材質の欠陥なり、そういうところに原因があればこれはやはりそのような材質そのもの、あるいは設計を見直していかなければいけない。いずれにしましても最近起きました事故を分析をいたしまして対策を立てたいというふうに考えております。
  48. 青木薪次

    ○青木薪次君 電気局長そうおっしゃいますが、たとえば、トロリー線の摩耗なんていうものは、いままで五年から七年で取りかえておったんですよ。それがいまや二年か三年で取りかえなかったら間に合わない、いつ事故があるかわからない、これくらいフルスピードで、しかもフランスの国鉄総裁が言ったように、まるで軽わざ師が走っているようだ、これくらいダイヤの目がこまかいのです。そういうことを考えていかないと、あなた方は命令をばっとすればいいけれども、しかし現場で働く人はこれじゃ困るのだと、こう言っているのですからね、その点をよくひとつ検討していただきたいと思います。  それから運輸省令で毎日検査しろといっているのですが、二百十キロのところでこう見ておって、大体架線のたわみがないからいいというけれども、架線のたわみというのはどこからきているかといえば、車両の問題とそれからレールの、いわゆる道床の細粒化に伴う固結化が一つの理由にもなっているでしょう。そういうことを考えてみれば、私はやっぱりそれはまずい、定期検査に戻すべきである、こういうように考えていますが、一言だけ、検討する余地があるかどうか言ってください。
  49. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) いま先生おっしゃいましたような運輸省の規則は毎日電車線路を巡視しろというふうになっておりまして、これは徒歩で巡視する、あるいは列車に乗って巡視するということを含めていっておるものと私は解釈しております。徒歩で巡視します場合は、それなりの長所がございますし、運転台に乗って見ていけば実際に稼働しておる状態でスパークがどのくらい出るか、架線がどのくらい振動するか、両方特色があるわけでございまして、過去の経験から徒歩は三日に一ぺんにしてもよろしいというふうに考えまして、現在そのようになっております。これは今後ともこのようなやり方でよろしいというふうに考えております。  それから摩耗の問題でございますが、確かに列車頻度なり連結車両数は非常に増加をしておりますので、これは取りかえの周期が非常に短くなって平均三年ぐらいに縮まっております。そしてわれわれは現在摩耗限度を越えない範囲内でこれを取りかえております。そのために測定をどうするか、どのくらい摩耗しておるか、どのように進んできておるかということを検測車でもって検測するのを最近完成をいたしまして、これからはそういう検測車でひんぱんに調査をし測定をしていくというようなつもりで対処してまいりたいと思います。
  50. 青木薪次

    ○青木薪次君 検測車の話はよくわかりましたけれども、架線延線車ですね、夜間作業の。この架線延線車を私は新幹線ばっかりじゃなくて現在線にも使うべきだと思うんですよ。もう一スパンの中で現在線七・五ミリ以下なんですから、   〔委員長退席、理事山崎竜男君着席〕 これはもうそれ以下のものもあるのですよ。この間私は現地で見ておって一スパンの中で二ヵ所、七・五ミリ以下のものがあったのを私はデータを添えてまあ出したいと思っていますけれども、そういう状態なんです。これはすべて人が足りないところからきているということをひとつこの際確認していただきたいと思うんでありますが、特に新幹線の場合に架線延線車は非常に便利なんです。しかし保守用基地がないのですよ、保守用基地が。そういう計画はあるようですけれども、これは早急に増備すべきだと、こう思いますが、いかがですか。
  51. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 新幹線も保守用基地を増備いたしたいと考えております。  それから過日、運輸大臣にも御報告いたしましたように、東海道新幹線の架線を重架線にするということで、強風区間その他駅構内の架線が複雑な個所から手をつけるということで、それにはやはり現在だけの敷地では足りませんので、増強するつもりでおります。それから前々から先生の御主張であります架線延線車を現在線でも使ったらどうかと、われわれも全く同様に考えておりまして、できますことならば現在線でもそれを使いたいと思っておりますが、何せあのような超大編成のものを持ち出しますと間合いがどうしても数時間ないと有効に使えませんので、何とか間合いをもう少しふやすべき方向と、それからそんなに大きな間合いがなくても、せいぜい一時間とか一時間半とか二時間とかいう程度の間合いがあれができるような現在線向きの架線作業車というものを開発したい、この両面から、せめて現在線もなるたけそのように手数が少なくて仕上がりのいい方法というようなものを見出してまいりたいというふうに考えております。
  52. 青木薪次

    ○青木薪次君 施設のことでお伺いしたいのでありますが、いま道床噴泥化とか細粒化による固結化が非常に多くなって、列車の左右動、上下動というものが国民に指摘されております。あとで目黒委員からも話があると思うのでありますが、東北本線とか上越線なんというのは、もうビールが倒れてしまう。もうあそこへ就職しているビュッフェの職員はいやだと、こう言っているんですね。これは線路だけの関係ではありません、もちろん車両にもあり、いろんな関係があるわけでありますが、その実情と対策を、施設局長お見えですから、簡単にお願いしたいと思います。
  53. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生指摘のとおり、東北線と高崎線につきましては、地盤も悪いということもございますが、新幹線関連の工事がふくそうしておりまして、切りかえその他に追われておりまして、所定の材料更換がおくれておったことは事実であります。しかも通過トン数が東北線は四千五百万、高崎線は三千万というようなかっこうで昼間ほとんど間合いがなくなりまして、夜間しか間合いがない、したがって機械の能率が非常に悪くなっていたというのは事実であります。したがって、いま緊急整備としまして東北線につきましては昼間三十五分間合いをとりまして鋭意線区保守をやっております。内容は、一番線路を強くする、補強をやっておりますのはレール更換であります。したがってレール更換を鋭意やっております。それからマルチプルタイタンパーをやっております。特に東北線と高崎線につきましては、従来の五十キロのレールを六十キロにかえていきたい、こういうふうにして補強していきたい、かように考えております。
  54. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は五日前に東海道本線の由比−興津間を視察をいたしました。七・七集中豪雨のために約一キロにわたりまして土砂崩壊と河川のはんらんによってまさにたんぼの上へ線路を敷いたような状態になっております。で、いま国鉄当局もこれに対して手をつけておりますけれども、四ヵ月半徐行を実は続けているのであります。このことについて現地へ行って聞きました。そうすると要員が足りないということを言っているのでありますけれども、完全復旧の見通しと、しかも私は、このようにいつ土砂崩壊が起こるかもしれないような地盤の軟弱な山を控えており、しかもあの地域は国鉄の東海道本線とバイパスと、それから東名高速道路、そして国道一号線、四つのものがひしめき合っているわけでありますが、この際、私はこの前災害対策委員会施設局長質問したわけでありますが、むしろ由比から興津までトンネルを掘ってしまって、そうしてあの辺の何百世帯の人たちは人命をいつ損傷されるかわからないような状態なんですから、一たん災害が起こるともう引っ越したい、こういうことなんでありますけれども、一夜さめて平常に戻るとまたここに居すわってどうしても動きたくないという気持ちが起こるのは、これは当然のことなんですけれども、その国鉄の線路のところへ民家をおろしてやれば、これはあらゆる条件がここに解決する、こういうふうに思っているのでありますが、これらの点についてあわせてお願いしたい。
  55. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 最初の由比−蒲原の災害の現場、先生のおっしゃるとおり上下線二キロです、本線にして一キロですから上下線にして二キロ、約一メーター五十くらい土砂をかぶっております。先生御承知のとおり昔は東海道本線が波打ちぎわを走っておりましたので、あそこに波返しの擁壁があります。これにぶつかって線路が埋まった。線路の地盤そのものは海岸向きでございまして、そう悪くございません。ただ地すべりの山のほうから持ってきた土は決していい土でございませんで、ヘドロでございます。これをいま鋭意取り除いておりますが、現地はロングレールになっておりますので、夏場そのレールの下の砂利をいじることは一応タブーといいますか、たくさん一ぺんにいじれないというのが悩みであります。一日一回りずつくらい道床をかえていかざるを得ないというようなスローペースでないとロングレールはいじれません。したがいまして、夏場を過ぎてから着手しておりまして、非常におくれておることは事実であります。現在五十キロの徐行をしておりますが、大体上り線は二月末、下り線は四月末の目標で道床更換を片づけたいと、こう思っております。  それから二番目の先生の御指摘の由比−蒲原の線路を地元と話をして、あそこに山側の民家を移して線路を別線でルートを考えたらどうだという御意見でございますが、確かに東名高速道路は海岸の家が建っている中を走っておりますし、バイパスも線路よりも海側にいっておることは事実であります。この前の災害対策特別委員会先生から御指摘もありまして、私のほうの貨物用地のあと地、そういうものを踏まえて国鉄はどう対処するのかというときに御答弁申し上げましたが、現段階では国土庁が中心になりまして地すべり対策技術委員会というものを設置しております。国鉄はこの技術委員会の中で不用地も踏まえましてこの辺の活用をあわせて検討していただいて、技術委員会結論が出れば前向きに検討していきたい、こう考えております。   〔理事山崎竜男君退席、委員長着席〕
  56. 青木薪次

    ○青木薪次君 次に時間がありませんから、外注についてお伺いしたいと思いますが、昨年九月に森中委員質問に対して、国鉄から外に依頼あるいは契約によって頼んだものが全部外注というわけではない、近代化、合理化という観点から部外能力を活用するという意味での外注ということに一応概念を整理するというように、国鉄の当時の小林常務理事は答弁されておるわけでありますが、外注の種類について、時間がありませんから棒読みに施設、電気、工作、移転、駅というぐあいにいま大きなものについてあげてもらいたいと思います。
  57. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 昨年森中先生の御質問の中にいろいろ出てまいったことはそのとおりでございますが、特にあの当時は安全とかそういった問題についての御質疑を賜わりまして、外注について合理化のためにむやみやたらにやっているのじゃないということを申し上げたわけです。その方針につきましては現在も変わっておりません。  外注はそのときもいろいろ申し上げてありますが、サービス上部外の機関を使ったら非常に便利である、利用者にも便利であるというような場合とか、あるいは特殊な技術でございまして、国鉄で一々そういった技術を保持する、養うということが非常にむだであると、たとえば最近エスカレーターとか空調装置とかコンピューターとか非常にむずかしいものがありますが、そういったようなものにつきましては外注をするんだと、それからあといろいろございますが、これは外注を始めた一番もとになるものですが、やっぱり労働力を確保できるかどうかという問題、非常に何というか、夜間であるとか重労働とか、そういった条件の悪い単純な作業でございますね、そういったものについての労働力の確保上いろいろ問題のあるものについてというような基準でやっておりますので、いま外注事項をずらりと並べろと言われましたが、まあそういった意味では単純な荷役作業とか、あるいは車の清掃作業とか、それから線路の問題でいきますと単純なまくら木更換、道床更換といった労務作業というようなものなどになると思います。その他いま基準を三つあげましたが、サービス上とか、それから技術上とかいったような問題につきましてもいろいろありますが、ちょっとこれは並べますと非常に時間がかかりますので御了承願いたいと思います。
  58. 青木薪次

    ○青木薪次君 レール更換、それから架線張りかえ、これは私は見ておったけれども、いま加賀谷常務理事がおっしゃったような単純作業だと私は考えておりません。したがって、これは運転保安上問題があるというように私は思います。ですから、これからの関係を加えてひとつ外注問題をもう一度問い直す時期に来ている、こう思うんでありますが、これは総裁からひとつ答弁してください。
  59. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 私どものやる作業は、いずれの作業でも安全を第一にしなくちゃいかぬということでございまして、諸種の事情から外注をやっておりますけれども、これは一たび安全に響くようなところは、たとえ外注をとっても監督を厳にやる、しかも厳にやってもなおかつ懸念があるというようなものは外注に出さないということがやっぱり基本でございまして、いろんな要員事情とかなんとかで外注もいたしておりますけれども、要は安全が最高で、安全をこわさぬという点ですべてが制約されると、かように思います。
  60. 青木薪次

    ○青木薪次君 それは総裁、答弁じゃないですよ、いまの話は。私はもっと明確なことを申し上げた。検討する気があるかないかということなんです。私は現に調べてきた。あなたは総裁室にどかっとすわって、私は現地を見てきた。その点でこれは非常に問題がある、こういうように思うので再検討する気があるのかないのかという点について。そういう答弁では満足しかねる。
  61. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 先生ごらんの結果はなはだ懸念があるということでございますので、再検討をいたす用意はございます。
  62. 青木薪次

    ○青木薪次君 すなおな答弁でけっこうです。私は運輸大臣、せっかく大臣になったんですからもう少し時期がいいときになってもらいたかったと思うのでありますが、この次再選するかもしれませんからひとつよく聞いていただきたいと思うのでありますが、国鉄の要員構成が、あなたはこの前出席されたかどうか知りませんけれども、私は図を持ってきて、いま四十歳以上がこうなってキノコ雲のようになって、柄の部分がずっとなって——そして実はこの要員構成の問題を一刻も放置できない段階に来ているわけです。したがって、これは戦時中の遺物だからしかたがないんだというように総裁も加賀谷常務理事もお考えになっているようでありますが、これでは済まされないと思うのでありまして、実は四十歳以上のスタンドのかさの部分が、技術断層の防止、あらゆる開発、そうして当局の策定した計画の進行という問題に向かって非常にがんばって実はいるわけであります。四十歳以上が退職しなければ抜本的な要員対策ができないではこれは問題が多いと思う。ですからスタンドのこのかさの部分からずっと中途採用をしてそうしてやらないと非常に問題があるじゃないか。総裁この基本的な考え方というものが現場第一線の人たちを刺激して張り合いのないものにしている、これで一体いいんだろうか。われわれはこんなに勉強しこれだけがんばっているけれどもこれでいいんだろうか。国鉄の再建の意欲に燃えているんだけれどもこれはどうだろうか、こういうふうに考えているのでありまするけれども、これはひとつ運輸大臣に主管の責任者として答弁していただきたいと思います。
  63. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 私はかねがね、真に国鉄を再建するためには四十万をこえる国鉄の職員の方々が職場において希望を持ち自信を持ち誇りをもって働けるような体制をつくり出さなければいけない、かような気持ちを持っておるものでございます。  そこで国鉄の人員構成がちょうどキノコ雲のようになっておるという御指摘でございますが、私も十二分に承知をいたしております。非常に年齢構成がアンバランスになっております。これはいま御指摘がございましたように、戦争の影響でございますけれども、しかし、この問題はいつも頭に置きながら考えていかなければいけない。キノコ雲がなくなったあとに、うしろを振り返ってみたならば、ほんとうに働く人がいなくなっておった、こういう姿ではいけないのでございまして、いつも人員構成というものは頭に入れながらひとつ労務対策もやっていただきたい、こういうふうに実は国鉄当局にも念願をしておるわけでございまして、直接——平素言っておることでございまして、大臣になりましてからまだそういう時間もございませんけれども、平素からそういうことは国鉄当局にも言っておることでございまして、全く同感でございます。
  64. 青木薪次

    ○青木薪次君 運輸大臣運輸行政のベテランなんですから、いまの積極的な答弁をひとつ演説だけに終わらせないように、田中さんの運命はあしたで終わるようですけれども、しかしあなたは将来ともこの道にかけてぜひひとつ真剣にこの問題を考えていただきたいというようにお願いいたしたいと思うのであります。  それから予算定員ですね、私は予算定員ということばはきらいなんですけれども、この予算定員はいまの運転保安の問題累増する業務の問題等を考えてみてとても減らされる現状じゃないし、また減らそうとは思っていないと思うのでありますが、その点についてどう考えておられるかひとつお聞きしたいと思います。運輸大臣
  65. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 国鉄も国民の足を確保しながら運営をしていく一つの企業でございます。したがいまして、国鉄の要員というものも国鉄を近代化することによってできるだけこれを少なくしていきたいというのが財政再建のときの一つの柱になっておることは御承知のとおりであります。  ただ問題は、ただ人間を減らせるというのでは決してございません。もう皆さま方専門でいらっしゃいますけれども、信号機一つとりましても明治の初年の信号機とCTCを採用したときとでは非常に要員は合理化された。あるいは動力関係におきましても蒸気機関車を電気あるいはディーゼルにかえることによりまして要員が減っていく。あるいは作業の近代化、そういうようなもの、あるいはいろいろな新しい施設、そういうものを入れることによって国鉄の安全には支障ない程度において、できるだけ要員は削減していきたい。これが国鉄としてできるだけ安い運賃で、しかもいいサービスをする一つの大切な要点である、かように私は考えております。決して第一の眼目である運転、運転と申しますか安全ですね、安全というものを犠牲にして要員削減するという気持ちは私は持っておりません。
  66. 青木薪次

    ○青木薪次君 答弁が少し弱くなったような気がするのですけれども、私は明確に予算定員ということを言ったわけです。いま大臣の言ったようなことを地でいくためには必要な要員というのは、ある一定の仕事をする人と、それからあなたも御案内のように予備定員というもの、予備率というものがある。これを現在国鉄当局ではサバを読んで少なくしているんですね。たとえば労使協定による時間短縮があって二週間に一ぺんずつ特別非番日というのがあるんですけれども、これが一年間に二十六日あるはずですけれども組んでない。あるいはまた年末年始に三日協定があるのですけれども、これも一日しか組んでない。あるいは産前産後の休暇とか生理休暇というものも組んでないということでたいへん問題が実はあるわけです。これらの関係等について、時間短縮の協定を労使で結んでおりながら実行していない。この点について加賀谷理事からお願いしたい。
  67. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) この仕事をこなす要員といいますか、定員と申しますか、これは国鉄のように非常に一日のうちでも波動がありますし、年間の波動があるわけで、年間の仕事をこういうふうな要員でこなすというたてまえで組合とも話し合いの上配置しておる、こういうことでございます。  いま予備率云々と、いろんな非番日のこととかいろんな御指摘があったわけでございますが、これは特に労働条件に間接的には関係がありますけれども、ある程度の組合との話し合い、合意もできておるわけでございます。したがって、そういった年間の波動の中でそういったものについて、できるだけこなしていく、実情において実際問題としては休みの要求があった場合にそれを入れてこなしていくという形でやっておるわけでございますので、決して先生おっしゃるように、そういうものを何が何でもとかというような実情にはなっておりません。
  68. 青木薪次

    ○青木薪次君 時間がありませんから、先ほどの外注検討の中にはひとつ労働組合の建設的な意見も十分いれてやっていただきたい、こう思います。  それから大蔵省にお願いしたいのでありますが、政務次官お見えですね。それから主計官もお見えですね。私はきょうはほんとうは主計局長に来ていただきたかったのでありますが、前回も出ない今回も出ない。聞いたところによると、国鉄の問題なんかについて大臣室に入り込んじゃって徹夜をやっているという話ですけれども、こちらも大切なんですからね。国政の審議に対して事務的な作業も大切だろうけれども、その点は十分これからも配慮して委員会の要求に基づいて出席するようによく言ってください。  きょうはお二方がお見えですから特に国鉄に対する財政措置の状況について昭和四十四年から五年間の年度ごとのひとつ状況を教えてください。
  69. 佐藤徹

    説明員佐藤徹君) お答えいたします。  昭和四十四年度は国鉄助成総額で八十四億円でございます。四十五年度百二十三億円、四十六年度三百四十三億円、四十七年度が補正後で千百九十五億円、かようになっております。
  70. 青木薪次

    ○青木薪次君 四十九年度予算はどうなんですか。
  71. 佐藤徹

    説明員佐藤徹君) ただいま四十七年度まで申し上げましたが、四十八、四十九と申し上げますと、四十八年度は補正後で助成の総額が二千八百大十二億円、四十九年度は、これは当初予算でございますが二千百五億円であります。
  72. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうすると減ったわけですね。その減った理由は、運賃が少し延びたということだろうと思うのでありますが、いま国鉄は高度成長が続いた中で特に人口が都市に集中して過密状態になっている。しかも、これは極限に達している。交通難とか住宅難あるいはまた公害等、非常に都市問題は深刻なものがあるわけでありますが、さらに輸送力が輸送需要にこたえられないという現象、片一方ではモータリゼーションの中でどうしても国鉄はこれに食われてしまう。しかも、この労働力がいま申し上げましたように都市に集中したということは、一方では過疎現象を生んで、このことが極端に輸送量の激減を生じているというような状態なんですね。これらの関係についてどうしても交通手段を確保しなければならぬというようなことから、昭和三十九年度から設備投資または国鉄新幹線の建設を中心とする設備投資をやってきたし、あるいはこのためにも地方ローカル線といえどもやはり投資を行なってきたことが債務及び利子を増加して、そうして赤字に赤字を重ねてきたということだと思うのでありますが、この点についてヨーロッパの状態について私は資料を持っているのでありまするけれども、政務次官、どうお考えになっておりますか。
  73. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 現在の一般会計から国鉄に対する繰り入れにつきましては、御承知のとおりに四十八年度から五十七年度に至る十ヵ年の再建計画に基づいて、このワクの中で繰り入れ計画をやっているわけでありまして、年度間におきましては、国鉄財政の都合によりまして繰り上げ出資をふやしたりしたこともございますけれども、基本はあくまでも再建計画の数字がもとになっておるわけでございます。  したがいまして、これに対しまして、いま政府が繰り入れておる一般会計の比率を申し上げますと、四十八年度では一・九%でございました。これを諸外国の例を考えてみますると、イギリスが〇・六、フランスが三・四、西ドイツが四%と、わが国よりも高い比率を示しておりますけれども、これはこの機関ができました歴史的沿革なり、あるいは社会的環境が違っておることもございますし、なおかつわが国の財政制度がこういった国の公社につきましては、一応独立採算制をもってきめていくという立場をとっております。したがって、かように一般会計からの繰り入れ比率は諸外国に比べては低くなっておることを率直に申し上げておきます。
  74. 青木薪次

    ○青木薪次君 きわめて不満な答弁です。そんな答弁は私どもこれから国鉄の役割りというものが問い直されているときに、あなたのような答弁は五年ばかり前の答弁です。そんな答弁は答弁になっていないというように言わざるを得ないと思うんです。  で、じゃ政務次官に聞きますが、いまあなたは諸外国は何ですか、歴史的沿革と社会的性格がわが国とは違う、わが国は独立採算制だと。この独立採算制ということはマッカーサーがもってきて当てはめたことばでしょう、あなた知っていますね、それは。そういうことの中でそれを変えようとするような努力、国鉄は一体輸送の中でどういう立場に立って考えなければならぬのか。もっと端的に言うならば、地方ローカル線等について運賃を上げても上げてもこれは黒字になるという見通しがありますか、それを答えてください。
  75. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 私は大蔵省の立場で申し上げておるのでありまして、運輸行政の立場であなたはそういうことをおっしゃるんでありましょうが、それならば大蔵省に対して新しい再建計画を現在の経済情勢にマッチするものをおつくりになって見直して御要求なさらなければ、ここで私とあなたが運輸政策の討論をやっても、私はその専門ではございませんので御答弁はいたしかねるのであります。現在の時点においてのことを申し上げておるのであります。
  76. 青木薪次

    ○青木薪次君 あなたも政府の一員ですからね。経済情勢のために昭和四十五年分五月九日の国鉄の再建計画、昭和四十四年から五十三年度の分がこれがだめになりましたね。このときが設備投資額が三兆七千億円。それから昭和四十七年二月に提案いたしましたのが、これは審議未了議長あっせんというような前例のない事態でありました。それから再度今度は運賃法、再建促進法を国会に提出して、そうしてこの値上げを一年延期しております。で、政治的妥協をして昭和四十八年四月一日から昭和四十九年の三月三十一日まで延ばせということになったわけです。これはおたくが全然関係ないようなことを言われているけれども大蔵省だってこの問題を提案しているのですよ。あなたの答弁無責任きわまると思う。  さらに延ばしておきながら、しかも強行採決までしてやったことが今度はどうですか、昭和四十九年二月十八日、第七十二国会、ここでまた政府が参議院選挙だかが心配になるか知らぬけれども、二Kといわれる米と国鉄運賃をさらに六ヵ月延ばしたわけです。このことが大蔵省の立場で提案をしておきながら、大蔵省が中心となって提案をしておきながら、私は大蔵省の立場で言っているから、あなたは運輸行政だ、こう言えるのですか。答弁してください。
  77. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 国全体の運賃をきめる場合に四原則がございます。御承知のとおりでありまして、これが物価、賃金あるいは産業、経済に及ぼす影響を考えなければならないようになっておりますために、政府として運賃値上げの時期をおくらしたわけであります。したがって、このことが全体の財政計画に一年半ほどのずれが出てまいっておりまして、それに対しましては国としては出資金を前もって繰り上げて出資をするとか、あるいは一時借り入れ金の利子を補給するとかいう底入れをいたしまして、この国鉄財政の運営を助けるように一般会計は努力をいたしておるわけでありまして、決して放任をしておるわけではございません。
  78. 青木薪次

    ○青木薪次君 私はITFの関係でヨーロッパの各国の数字を全部調べました。で、この中でイギリスが比較的悪いそうなんですけれども、国家財政が一九七二年、十三兆三千四百十八億円、これに対して国家援助が八百二十七億円、しかもその前に国鉄の収入は五千九百四十九億円、補償金というのは七百六十三億円、支出が六千百六十億円で、補償金はこれは別掲として出してあるわけですが六十四億円、損益の関係の赤字が二百十一億円、これらの関係について国家援助が八百二十七億円出すことによってもう黒字に転化をしているということなんです。それから特に国鉄収入に対して国家援助の割合が一六%。なお同じように西ドイツにおいては四一・二%を出しているのですよ。で、フランスの場合には四四・九%。社会的性格が違うとか歴史が違うなんということを言っても、いまの国鉄はヨーロッパに対して社会的に影響力があるのかないのか、あるいはまた日本のこの新しい発展計画について寄与しているとかいないとかという問題があるわけですが、それは寄与していると思うのかどうか。その点あなたの答弁をもう一回聞かしてもらいたい。
  79. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 御質問の趣旨はよくわかっております。わかっておりますが日本の財政制度は、たとえば税の種類、税率をきめます場合に、こういう公社につきましては独立採算制をするというたてまえでそういう税制ができておるのであります。  なお、イギリスであるとか、ドイツの例、フランスの例をあげましたが、これは所得に対する税率は、御承知のとおりに日本よりも一五%ないし二〇%高いわけでございます。そうして、そういう税の平均運動をもちまして庶民の必要とする運賃等に対してはこれだけの助成をいたしておるのでございます。したがって運賃を助成することは非常にけっこうなことだと私も思いますけれども、そういうように立て直すためには財政の制度そのものを立て直して、あるものについては安くする、あるものについては高くするというような方向をとらなければ、抜本的にいまの財政制度をやり変えなければ、すぐに国鉄に対して多額の繰り入れ金をするということは困難な財政制度になっておるということを申し上げておるのでありまして、これは率直にありのままを申し上げておるのであります。これを将来どうするかというような問題につきましては、近い将来国鉄の再建計画も経済、社会情勢に沿って見直して出していただかなければならないと考えております。
  80. 青木薪次

    ○青木薪次君 たてまえ論と、あなたのおっしゃった財政制度がこうなっている、社会的歴史がこうなっているというようなたてまえ論でものごとの尺度をはかっていくということは、まさにこれは機械的な議論でしかないと思うのであります。  いま国鉄の二万キロといわれる中で一万キロはどうしても何をやったって赤字になっちゃう、あとの一万キロは何とかなるというような状況の中で、いま国民全体が、新しい総合交通体系がいつできるかそれはわかりませんけれども、とにかく何とかしていま国鉄の輸送という問題について見直さなければならぬという時期に来ている。そのときに三本の柱というようなことで内部のいわゆる企業努力、もう一つは政府の補助あるいは利用者負担というようなことがいわれておりますけれども、こういう物価が高騰している中において、むしろこういうときこそ公共料金を凍結しなきゃいけないというように考えているときに、あなた方のおっしゃるのはもう安全問題がぎりぎり決着のところまで来ている。そのときにいや財政制度のたてまえがこうだからだめだ、こういうことは言えますか。そしてまた利用者の関係等についても、もっともっと深刻に考えなきゃならぬ時期に、利用者の意思というものにさからって運賃をどんどん上げていくという立場に立つか、その点についてどう考えていますか。
  81. 柳田桃太郎

    説明員柳田桃太郎君) 青木先生の御質問の趣旨は私もよくわかっております。この国鉄というものをどういうように今後立て直していくか、過去長い間やってまいりましたこの独立採算制の制度のもとではもうやっていけないような社会経済体制になっておるということになれば、現在四十八年度から五十七年度の間、十ヵ年にわたって再建計画というものが示されている。それにのっとって政府の財政計画というものがつくられておるわけであります。そこでこれを、いま先生のおっしゃるように、東欧あるいは西欧流にこれを切りかえていくということは決して私は間違ったお考えじゃない。まことに時宜を得たものかもしれません。  しかし、それはいまの状態においてこれを私が論ずるのではなくて、すみやかに再建計画をお立てになって軌道に乗せていただかなければならぬということを申し上げておるのでありまして、その再建計画のないときに、ほかの公社もございます、ほかの公社もそれぞれやはり国家的重要な役割りを果たしておることは申し上げるまでもございません。国鉄同様に重要な役割りを果たしておりますが、そこもまたやはり独立採算制で一応料金制でやることになっております。これをあらためてひとつ新しい行き方にしようじゃないかというような、そういったような案がまとまるということになりましたならば、それに合うような財政制度をまた政府も考えていかなければならない。ただそこだけを直して財政制度は直さないということになったら、膨大な財源をどういうぐあいにして捻出するかということについて非常に困難が来るわけです。  しかし、そうしても何とかして財源をつくってもやるべきときが来ておるのだということをいま青木先生がおっしゃっておることと私は考えております。その点につきましては、近い将来、財政再建計画はきっと出されるであろう。そのときにはわれわれも慎重にこれに取っ組んでいかなければならぬと覚悟をいたしておるわけであります。
  82. 青木薪次

    ○青木薪次君 いまくらいの答弁だったら少しはわかってくるのですけれども。その前の答弁は全く国民無視の行政だ、こう言わざるを得ないと思うのですが、その点ひとつ要望しておきます。  私が一番問題にしているのは、国鉄財政再建計画というのが、これが昭和四十四年に出したら設備投資の額が三兆七百億円、今度は四十七年の二月に出してきたやつについては今度は七兆円にまたふくらんだ。今度は四十八年になったら十兆五千億だ、こういうのでしょう。あなたは再建計画ができりゃと言うができてきているのですよ。一応できてきているのだけれども、一年ごとに見通しを誤り、しかもまた行政の意思が財政援助を十分にやりたくない、こういう行政の意思が働くものだから、片方の車輪だけは十一万人減で人を減らしている。片方は財政措置がなく、がたんがたんしている、こういう状態にいまなっていることは、よくひとつ政務次官御認識を願って、これからもこの問題について、私どもは真剣にひとつ国民の国鉄となるようにがんばってやってもらいます。以上で質問を終わります。
  83. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 目黒でありますが、大臣にちょっとお伺いします。いま大蔵政務次官から答弁がありましたが、大臣は前の徳永大臣と同じようにまず輸送行政は安全の確保が何ものにも優先する、国民の公共的な生活基盤については何ものにも優先する。それが運輸行政の基本であるという点をわれわれ新議員が出たときにおっしゃられたのですが、この考え方は新大臣お変わりありませんか。
  84. 江藤智

    国務大臣江藤智君) いささかも変わっておりません。
  85. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃあ以上確認いたします。  それで瀬谷先輩なり青木同僚からいろいろありましたから、私はダブらない程度で三十分ほど国鉄問題についてお伺いしたいと存じます。  この前の委員会ではマル記、マル物とマル時ですか。大体新幹線で少ないときで三十件、多いときは四十件、この程度問題が発生しているという点は山岸常務のほうから説明がありまして、この件数については双方あまり隔たりがありませんでした。それで私はお伺いするのですが、先ほど青木委員質問したのですが、昭和四十一年に機関車関係が四千八百八十五両、EC、DCが一万四千二百六十九両、客貨車関係が十五万八百六十四両、これは国鉄の統計ですから間違いないと思うのです。四十九年の四月現在を見ますと機関車の関係が四千四百十四両、EC、DCが二万九百十一両、客貨車が十五万五千八百七十八両、これが国鉄の車両在籍簿からとった数であります。  この両数を比較してみますと、機関車関係はマイナス四百七十一両、EC、DCがプラス六千六百四十二両、客貨関係が約五千のプラス、こういうような数字になっているわけであります。実際に検査修繕にかかわる方々の在籍を調べて見ますと、昭和四十一年の検修要員は三万八千五百人、これは百以下は切り捨てですが三万八千五百人。四十九年の四月は三万二千百人、要員関係が六千四百人マイナスになっているわけであります。  私が聞きたいのは機関車が若干電車にかわったとしても、これだけの第一次車両が膨大にふえているにかかわらず六千四百人も研修要員が減っているということは、もう八月以来本委員会で議論してきた新幹線も含めた車両関係の手抜きというふうに非常に安全面に影響すると思いますが、この関係について見解をお聞かせ願いたい。
  86. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) ちょうど昭和四十一年と申しますと、いわゆる検査修繕のあり方について新しい方式、いわゆる新幹線方式と申しましょうか、部品更換方式という方向への転換の時期であったかと思います。  その後、そういう部品更換方式で大きく在来線につきましても特に新しいEC、DCにつきまして大幅に採用してまいったわけであります。したがいまして、この部品の更換方式による特に機関関係の要員あるいはまた工場でもそういう方向をたどってまいったわけでありまして、単に両数がふえたから人間がふえなきゃならぬという議論にはイコールにはならないんじゃないかと思います。ここでは総体的に先生おっしゃられましたので、総体的な方向としての私どもの認識を御返答申し上げた次第でございます。
  87. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 答弁よくわかりませんが、じゃ鉄監局長にお聞きします。  昭和四十年の七月一日運輸省令五十二号で日本国有鉄道運転規則がありまして、昭和四十五年九月十日に同じ省令七十九号で、この回帰の延長を省令で出しておりますね。
  88. 後藤茂也

    説明員(後藤茂也君) お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、そのような規定になっております。
  89. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで、私も前の経験からお伺いしたいんですが、国鉄側に回帰延長の議論をしますと、運輸省が運輸省令で許可したんだと、そういう回答が返ってくる。運輸省側にこの問題をただしますと、国鉄側がいいというから省は出したんだと、こういう回答が陳情その他で返ってくるわけであります。一体どちらがどういう責任を負っているのか。私は運輸省と国鉄側の車両検修にかかわる責任のなすり合いだと、こう受けとめても——皮肉かもしれませんが、そういう気かいたしました。  それで私は、今日車両関係が新幹線も在来線も多くの故障が発生しているこの関係は、さかのぼればこの辺にやっぱり根本的な問題があるんではなかろうか。ずばり言わせてもらえば、検修要員をまず削減すると、要員の削減の前提をお互いに確認して、そのために帳じりを合わせたと、逆算をして一年の回帰キロを一年六ヵ月、二年のやつを三年、二十五万を三十五万とかというように延長していったというふうにしか私は受けとれないんですが、その辺はいかがでしょうか、両方から。
  90. 後藤茂也

    説明員(後藤茂也君) 運輸省令についてのお尋ねでございます。いろんな人がいろんな説明先生に対していたしたようでございますが、運輸省令の承認につきましては運輸省自身が最後まで責任をとるべきものと考えております。  ただいまの検査期間の延長についての省令の承認についての御質問でございますけれども、検査期間——私自身まだ十分に承知して、勉強して御説明できるかどうか若干自信がございませんが御説明させていただきます。単に二年とあるのを二年半に緩和するということが直ちに事柄が不安全につながるというふうには私ども考えておりません。この基準の改正につきましては、一方では走行期間の制限というものは存置したままなされたものでございまして、私どもはいろんな事情を勘案して新しい基準による検査が車両の安全に支障がないものと判断してただいまのような基準をつくったものでございます。
  91. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 私ども運輸省に対しまして、省令によってのお話はもちろんでありますが、さらに回帰延長等につきましては自信を持った経験値を提出いたしまして、そうして新しい省令に従ってやっているわけでありますが、非常に申し上げにくいんですけれども、車両故障といたしましては、全般的な流れとして私決していいとは申しませんけれども、在来線で言いますと、昨年とことし比較いたしますと、若干なりとも故障件数と申しますか、減っている傾向にあるように認識しているわけであります。また新幹線につきましては、残念ながらこれまた若干増加の傾向にある、このように見ている次第でありまして、回帰の延長等がこれらの問題に直結しているとは考えていない次第でございます。
  92. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 短時間で専門的な技術の面を聞くには時間が惜しゅうございますから、相当科学的な、技術的な裏づけがあっておのおの延長したんでしょうから、その科学的な、技術的な裏づけについて文書をもって私のほうに出してもらいたい、運輸省と国鉄側、両方。われわれの見解ではこの十年前にやった、いま言った運輸省令以来、その合理化の積み重ねが今日の車両故障を激発している、そのように受けとめておるわけでありますから、そうではないんだというふうにおたくが考えるならば、それを立証する科学的、技術的な裏づけの資料を出してもらいたい、こう要請をしておきます。  次に検修関係でちょっと触れましたから、お願いなりお伺いするわけですが、この前新幹線の現地調査で大阪運転所に行った際に、これは浜松の工場と大阪運転所が最も基本になる台車の検査の職場になっていると、非常に大阪の台車検査設備が開業当時から日がたっておって、機械も古いし、非常に現在のこの十六両編成や、あるいは博多新幹線も含めてたいへんだ、それで聞くところによると、本社段階では何かこれを改良しようというふうに決定されているけれども、予算の執行面になると大阪運転所が大阪鉄道管理局の管轄になるために、なかなかその点がうまくいかないと言って職制側もこぼしておりました。したがって、これも安全に対する……、もう車両の最も骨格でありますから、台車というのは。ぜひこの会議でこの考え方を統一して早急に取りかえるように要請したい、こう思いますが、いかがですか。
  93. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 大阪運転所の台車検査設備につきましては、私ども先生おっしゃるとおりに決してあれでいいとは思っておりません。特に台車の気吹き装置などはマスクあるいは防塵被覆等の措置をしてやってもらっているとは言いながら、決していい状況ではないという認識をいたしております。で、予算の執行問題でありますけれども、たとえばこの気吹き装置の取りつけ、あるいは自動気吹き装置の取りつけというようなことは非常に大きな問題でありまして、現在博多の総合車両部に取りつけるべく新設計をいま進めているわけでありますが、これが完成いたしますか、あるいはまた十分な自信があれば大阪運転所にもできるだけ早い機会に持ってまいりたい。その他主電動機組み立て装置等も、これもやはり設計その他におきまして本社がタッチしていかなきゃいかぬ問題でありますので、いわゆる修繕その他についての予算執行面につきまして、修繕設備等の改良についての予算執行面につきまして問題点があるのじゃないかという御指摘でありますが、こういう大きな問題については本社が責任をもってタッチしてまいりたいと思います。また小さい問題につきましては私どもも若干そういう声を聞いております。大阪の管理局等をよく指導して、そしてできる限りのことを、むしろ新幹線重点にぐらいの気持ちでやるように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  94. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ちょっと回りくどいんだけれども、現場の要望をいれて、本社の責任でやりますという、確認していいですか。
  95. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 台車の気吹き装置、主電動機組み立て装置等につきましては、そのように確認していただいてよろしいかと思います。
  96. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ確認いたします。  それから先ほど青木委員のほうから大阪のATCの関係があったんですが、これはもう何回もやってくどいんですが、新幹線の生命は何ですか、総裁。運転上の生命は何でしょうか。
  97. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ひとり新幹線というのみならず、安全であるということが生命でございまして、特に新幹線は速度が速い、安全がそこなわれた場合の悲哀というようなことを考えると、安全であると言わざるを得ないと思います。
  98. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私も大体そう聞いてきたんですが、新幹線は速い、速い新幹線の生命はATCだと、ATCがあれば乗務員は一人でいいし、前の磯崎総裁の発言によると、場合によっては無人電車も走るんだと、そのくらいATCが位置づけられておったことを私は思い出します。そのATCが青木委員も言ったとおり、この前の九月の十二日の際もしかり、鳥飼の問題もしかり、相生駅の通過もしかり、こうATCが故障しておったのでは、やはり新幹線開業当時、乗務員一人か二人かと議論したあなたたちの絶対の根拠は、ATCは絶対だいじょうぶだと、その神話がくずれちゃったんですよ。そう思いますがいかがですか、総裁。神話はくずれたと思いますか。
  99. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) これもおそらく先生にしかられるだろうと思いますけれども、われわれは新幹線のようなシステムは、どういう意味で皆さん神話ということばをお使いになるのか知りませんけれども、やはり確固たる科学的の根拠があって、それでも運んでおるということでございまして、ATCに対する信仰であるとか盲信であるとか、そういうもので私のみならず国鉄の諸君は運んでおるんじゃないだろう。しかし表現として、過去において十年も故障のなかったものが、にわかに何とかなったんでこれはATCの神話が破れたというような表現は、これは御自由でございますけれども、私はそういうように考えております。
  100. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その場その場によってことばの表現を変えるのはやめてもらいたいと思うんです。やはり国鉄のPR紙を見てもそう書いてあるんです。  三河島事故ではATSだと言って在来線の問題を取り上げて大いに吹聴をしておりながら、船橋のような、お茶の水のような事故が起きる。新幹線はATCがだいじょうぶだと言っていながら、こういう事故が起きると。こうしますと、私は後ほどまたいたしますが、やはりATCに対する信頼性がない現状においては、ほんとうに技術的にだいじょうぶだということを客観的にも実証されるまでは、最先端を走っている乗務員の乗り組み基準というものについても二人乗務ということについて見直す段階にあるのじゃなかろうか。そして一定期間を置いて、ほんとうにATCは信頼できるということについて、社会的にも乗務員の皆さんにも、国鉄全体からもそういう信頼感が出た際に、あらためてまた議論するとして、そういう意味ではATCにかかわる運転の関係、保守の関係、信号関係について見直す必要性があると、十一月十二日の大阪の事故は教えていると、こう私は確信いたしますが、そういう気持ちはありませんか、総裁。
  101. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ATCといえども、これは人間のつくった機構でございますので、これは絶対にこいつが間違いを起こさぬ神話であるとは、神さまであるとは決して言い得ないと思いますけれども、現況の段階において普通の意味合いにおける安全性は保てるというふうに考えますし、はたまたそいつが信頼をおけないということになったら一体どうすればいいかというと、これは百キロで走りましても、何か事故が起これは事故に相なるし、と同時にああいう大きなシステムで、これは乗務員が二人なり三人乗っているから、それを防止できるというような性格のものでもないということなんで、私どもとしちゃ、極力いまATCが安全だ安全だという盲信をせずに、できるだけ安全度を高める努力を不断にしていくという以外に道がないんじゃないかと私は考えるんであります。
  102. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そう言いながら毎日事故を起こしているんですからね。そうでしょう。さっき青木先生質問に対してお答えしたとおり、そう言いながら事故が起きているんですから、その事故東京湾の船の衝突みたいなように、起きないうちに安全に対する最大の努力をするのが、私は大臣が冒頭表明した安全は何よりも優先するということにマッチするんではなかろうかと私はそう思います。運轉士が毎日水杯で家を出てくるような、ほんとうの不安な状態に置くということが、はたして何千名と乗っている新幹線のお客さまの安全を守れるか、どうもそこに私はひっかかるような気がいたします。この点は幾ら言ってもしようがありませんから、新幹線の脱線転覆が起きて総裁の責任問題などが起きない前に、やはり安全サイドで最大の努力をしてもらいたいということを要望してこの問題を打ち切ります。  次に、きょうは和田先生がいっしゃいませんが、レール関係の問題ですがね、これは参考までに、この前行なったものを大臣見てください。これはこの前本委員会で若干議論がありまして、加賀谷常務からも答弁があったわけでありますが、動力車の組合員が休みを返上して点検したときの一部の写真です。これについて大臣もかつてはこの方面の専門屋でいらっしゃるわけでありますが、現在の急行が走っている線路でこういう状態だというのはどう見ておりますか。
  103. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生の御指摘の両毛線というのを見せていただきましたが、望遠レンズでございますので、実際に現地のレポートとだいぶ隔たっていると思いますが、私どものほうは先生も御案内のように、自動検測車で線路の重要性に応じまして、回数もふやして現状はキャッチしているつもりでございます。場所によっては確かにレールが悪うございまして、この落ち込んでいるのはおそらく継目落ちであろうと、こう思います。
  104. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大臣どうですか。
  105. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 私も以前こういう仕事をやったことがございますけれども、国鉄の保線というものも御承知のように百年の歴史をもって線路を守ってきたわけでございます。したがいまして、ただいま施設局長のほうから自信をもってそういうお話がございました。この写真で見るようなとおり、いわゆる、あれでございましたら、私もちょっとびっくりしたのでございますけれども、望遠レンズだそうでございますので、ちょっと肉眼でこのとおりのものではない。もしもこのとおりが肉眼であったら、これはたいへんだと、かように考えます。
  106. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 望遠レンズの技術的な問題は別にしても、DCの急行列車の走っている本線がこういう現状にあるということを認めようとしないのですか。
  107. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先ほども御答弁申し上げましたが通過トン数の増等に伴いまして東北線あるいは高崎線、外房線というような幾つかの線が確かに線路が悪くなってきているということで、私どものほうも提案し、早急に復旧体制をとるように現在国鉄部内で協議しつつあります。
  108. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃあ逆に聞きますが、十一月十六日、昭島市議会の青梅線改善対策特別委員会という委員会の皆さんが保線区の区長さんの案内で八高線と青梅線を現地調査したのは知っておりますか。
  109. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 承知しております。
  110. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その際に指摘された事項と、いまここで出したはさみ板の一例であるとか、線路の宙づりであるとか、こういう問題については意見が食い違っておりますか、どうですか。
  111. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 具体的に、たとえばまくら木が何丁悪いとか、あるいは継ぎ目板が何ヵ所欠陥があるというような指示は聞いております。全体的に私どもが線路を保守する場合に、たとえば青梅線の線路ですと、おそらく一キロ当たり千六百本ぐらいまくら木が入っておると思うんです。千六百本のうち、木のまくら木が青梅線のほうはほとんど主体でございますので、これの不良率、大体十五年ぐらいしますと、まくら木というのは更換してまいります。通過トン数にもよりますし、列車の頻度にもよりますが、更換せざるを得ないと思いますが、大体不良率が二〇%をこしますと、まくら木が連続して悪くなってくるという現象を起こしますので、現在青梅線の現状は、一〇%ぐらいが不良率じゃなかろうかと、こう思っております。三本続けて悪くなったらまん中を取りかえる、緊急対策としては、まん中の一本だけ至急に取りかえなさい、このように指示しておりまして、現地の指示で、まくら木が何本とおっしゃいましたが、一キロ当たりでは千六百本ぐらいあるので、比率ではこれぐらいでございますというように現地で説明しているかと思います。
  112. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、この市議会の特別委員会の要請に対しては、あなた方は、だいじょうぶだと、心配ないという回答をしているのですか、非常に安全に問題があるから早急に御指摘の点は直しましょうと、こういう意思表示をしているのか、どちらなんですか。
  113. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生のいま御指摘のあった八高線につきましては昼間列車をバス代行いたしまして、レール更換いたしました。したがって八高線は非常によくなったというようにいわれております。青梅線につきましては現在、重軌条更換の工事承認が得られましたので、これからレールを五十キロに取りかえていって早急に軌道強化をはかっていきたい、こう考えております。
  114. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それから、もう一つは社会党議員団がこの前歩いた外房線ですね、外房線の写真もあります。これも大同小異です。こういうところのいろんな積み重ねで動揺が起きたり、あるいは競合脱線が起きたり、こういうものの積み重ねが運転事故につながっていると、こう私は理解するんです。ですから科学的にどうのこうのと言う前に、こういう最も基礎になる線路状態を置くべきかどうかという姿勢の問題だと思うのです。姿勢の問題、その点はいかがですか。
  115. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) いま先生の御指摘のとおり、われわれとしては、できるだけきわめていい線路にしたい。それには間合いがほしい。昼間しかるべきレール更換をする間合いがほしい。夜間だけでは、どうしても保守がおくれぎみの場所がある。たとえば東北本線あるいは高崎線のように昼間間合いのないところでは、どうしても保守がおくれがちになる、したがって、こういうところは緊急に間合いをくれというので、現在東北線は昼間間合いをもらいましてレール更換及びマルタイのタンピングをやっております。しかし、それぞれの線区につきましても、今後は八高線のようにバス代行でレール更換をするというような能率のいい作業方式を検討いたしまして、できるだけ線路を早く強化したい、かように考えております。
  116. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この間合いの問題はあとでまた。  やはり私は意見がありましたけれども、この前、この資料をもらったところによりますと、まくら木、犬くぎの抜けている個所が三十七万七千九百八十八ヵ所、継ぎ目板やボルト折損などが十五万四千二百四十九件、レールの路盤の弱くなったやつが一万八千九百二十一件、ポイント分岐点の不良五千二百十件、その他三万八千八百三十六件。そのくらい線路設備関係で、一応乗務員なりあるいはおたくの直接の配下である保線区の方々あるいはそういう方々も含めて点検した結果、これだけの不良個所があるという点を指摘しておるわけです。その現状がこうであると、こうなっておるわけでありますから、やはり早急にこの問題については万難を排してやはり設備補強をするべきだと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  117. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 現状は十分保線区を通じて私どもは聞いております。したがって必要な個所はレールを太くする、あるいは道床を取りかえる。その場合に、間合いをとるというようなことで、現在部内でも委員会をつくりまして、必要な間合いをとって、早く保守をあるべき姿に戻すというようにやっておることは事実であります。
  118. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その他、この前三木先生指摘した踏切などについても千四十四ヵ所、二年ほど前に指摘したのから見ますと減っています。それはおたくのほうの努力のたまものだろうと思っております。しかし、まだ千件も残っておりますから、これについても時間の関係で重複いたしませんが、早急に直してもらいたい、こう思います。
  119. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) おっしゃるとおり、私はちょっと踏切については先生と見解が違いますが、私は自動車の通る踏切は全部あぶないと思っております。したがって現在国鉄の踏切は三万数ヵ所でございますが、そのうち二万何がしは自動車が現在通っております。自動車の通る踏切は、幾らこちらが注意しましても自動車側の過失によって、脱輪とか、あるいはエンストというようなことが当然ありますので、二万何がしの自動車の通る踏切は全部あぶない、かように承知しております。したがって道路管理者のほうと立体交差あるいは都市内における高架化あるいはどうしても自動車が通る踏切で残る踏切につきましては全遮断、車の少ないところは極力車禁、車を通さない、あるいはつぶしてくれというように道路管理者と相談をいたしまして今後極力その方向で踏切事故を減らしていきたい、かように考えております。
  120. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それは早急に実行するよう要請しておきます。  それから、この間合いの関係考え方を伺いたいのです。私もいなかが仙台なものですから、一週間に一回や二回必ず帰るのですが、上野から白河まで二十二ヵ所ですか、徐行区間を設定しておるのですが、あれは相当長時間になるわけですね。おくれないときでも三十分、ちょっとやりくりで五十分ぐらいおくれるのです。私はああいう長期的な間合いをやる際には一時時刻変更をして、告示をして、そして乗客に示してやらないと非常に不便とか、いろいろな差し違いがあって、駅の方々であるとか車掌さんだけが苦労していらっしゃるという点を毎日帰るたびに見ているのですが、一週間がいいか一ヵ月がいいかは別問題として、国鉄側のそういう施策のミスからしてやる際には、それなりに手を打つべきだと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  121. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 東北線の列車のおくれ、あるいは高崎線も含めまして注意をして二十二ヵ所の徐行によるおくれ等を含めて見ているわけでありますけれども、最近いわゆる徐行個所が多いとどうしても乗務員がふなれでありますから、損失時分も多くなるわけであります。最近よく場所の認識その他運転方等もなれてきたと思うのでありますが、大体二十分を割る状況になっております。しかし、それだからといって、決していいものではありません。ただ現行、先ほど施設局長からも申し上げましたように、できるだけ早く線路の復旧に当たるために、多少徐行個所の移動等もありますので、その辺の落ちつきを見て、先生のおっしゃるような措置を講ずる必要があるんじゃないか、その一応の目標といたしましては、やはり三月ごろを目標としてそういう作業考える必要があるんじゃないかというふうなことで、現状毎日見ているわけであります。
  122. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 運転計画では、十六分とか二十分とかいっていますが、いろいろな関連列車がありますから、どうしても三十分から四十分おくれているんですよ。ですから特急「ひばり」が仙台へ行く際には、三時間五十九分ですか、これで行くやつを、五十分なら五十分、いま四十分おくれますというふうに告示してやったほうが親切じゃありませんか、それが当然じゃありませんかと。新幹線の乗り継ぎも、仙台始発の急行の乗り継ぎも、非常にみなおくれているのですよ、お客さんが現に。ですから私は現に行なっているんですから、施設のほうの計画で、一体この行事は十二月までかかるのか、来年三月までかかるのか、その期間はある程度余裕をもって、やはり時刻表の一時変更という措置をすべきじゃなかろうかと、こんなふうに考えるので、これはひとつ検討してもらいたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  123. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 先ほど申し上げましたように、この徐行問題と時刻の変更、告示の問題、十分に検討してまいりたいと思います。
  124. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ実現方要望いたします。  それからもう一つですが、この前も時間がありませんでしたので、きょうお伺いしたいんですが、この四十三年の九月に国鉄諮問委員会から八十三線区、二千六百キロですか、この問題が諮問されてから今日まで、非常にこの線区に対する安全の設備といいますか、投資といいますか、ほとんど手をつけていないという声をあっちこっちから聞くんですが、その実情を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  125. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 八十三線区につきまして、当時いろいろ論議がございますたが、われわれ線路を保持する側からいきましては、最小必要限度の保安を保つ、保てぬ場合には徐行で処置するというような処置をとってまいっております。私は名古屋の管理局長をしておりましたが、明知線につきましてもレールの更換はやってまいりました。最小必要限度でございまして、東海道、その他のように、いわゆる工経的な強化はやっておりませんが、現状維持を最低必要限度とするぐらいの投資については施設局としてはやっております。
  126. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃたとえば、ここに新聞があるんですが、これは私らの仲間である成田機関士が国鉄側のたいへんなミステークから海中に沈没してなくなった五能線ですがね。五能線の関係については、じゃどうなっているんですか。私もこの前行ってみましたけれども、まあよくこれで列車が通るわいというくらいに放置されてちょっと雨が降ると一体列車が通れるか通れないかというくらいの問題であるし、青森県自体も五能線には困っていると。ところが、あそこらは五能線だけがただ一つ交通機関なわけですね、住民にしてみれば。そういう点で、これらの関係について、いま局長の答弁とその関連などについて、どういう考えか聞かしてもらいたい。これは一例です。
  127. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 四十七年の十二月の五能線の事故はわれわれとしては非常に残念な事故だと深く反省しております。先生も御承知のとおり、従来五能線というのは海岸線から相当離れたところを走っておりましたんですが、年々歳々陸地が侵食されてまいりまして、現在五能線はほんとうに海岸べりを走るようになった。それでたまたま当時異常気象で長時間低気圧が通りまして、水位が非常に高くなった。海面の水位が上がりまして、これが護岸の裏側に回りまして護岸を決壊して、それに列車が突っ込んで、まことに申しわけない事故を起こしたわけでございます。  私のほうは、あそこは警備用員を配置して、大体その日の季節風によって常時警備しております。十一月、十二月あるいは一月になりますと、ほとんど三日に一回、保線区員が夜間巡回をしております。当時は異常気象であったため朝の巡回をやらなかったというのはまことに申しわけないと思っておりますが、その後、これを踏まえまして、従来は瞬間風速三十メーターで列車をとめておりましたのを、現在二十五メーターに指定しております。これを受けまして、先生の御指摘のように、地元からは、これでは列車がよくとまるからもう少し列車をふやしてくれと、防災に金をかけて強い線路にして列車をふやしてくれという御要望がございました。私どももっともだと思いまして、当時五能線には十三億かけました。現在までに金は十三億かけました。しかし、まだまだこの五能線全体からいきますと要注意個所がございます。しかし、ひるがえって考えてみますと、国鉄が海岸の第一線を全部守らにゃいかぬというのは非常に無理があるんじゃないか。国の施策としてぜひ護岸は国あるいは地元も応援をしてくれぬかというように現在協議しつつあります。海岸の保全担当者のほうといま協議をしております。もしこういう方々から御協力がいただければ、国鉄が十ヵ年計画でやっているのは五ヵ年でできるのですというように説明しております。現在また要注意個所につきましては一応ワイヤーによる警報機が全部つきました。したがって擁壁が倒壊いたしますと信号機が赤になるというような設備は一応整えてございます。しかし抜本的には護岸を全部復旧するのが土木工学的に一番いい方法でございます。したがって国鉄の力だけじゃなしに御協力願うようにいま関係個所と協議しておるというのが実情でございます。
  128. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは国鉄だ県だ建設省だと言ったって、住民にしてみれば国の政治のサイドでやってもらいたい、行政のサイドでやってもらいたいという要望は同じなんですよ。ですから早急にこういう問題については関係方面で努力をして、やはり先ほど大臣が言った、やはり生活路線を守るということのための最大の努力をしてもらいたい。このほかにもいろんな線がありますが、時間の関係で省略します。  同時に私は、こういうローカル線で、ここ五、六年見ていましても、ほんとうに乗務員が犠牲になっている。東京湾の先ほどのあれじゃありませんが、たまたま貨物列車が多いので社会問題になっていないんですが、やはりこういうものの防災の警報といいますか巡回といいますか、その点については特段の配慮を願う。それで風速二十五メーターなど言わないで、二十メーターになったら押えるとか、あるいは集中豪雨の予報が来れば押えるとかと、そういう十分に安全に対しては慎重の上にも慎重にして再びこういうローカル線でいろんな殉職事故なり、あるいは客貨の損害の起きないように十分な指導を要請しておきます。  それから国鉄側の最後の問題として、私は出身が乗務員でありますから、乗務員の問題について二つ、三つ要望なり、あるいは考え方を聞いておきたいと思っております。  一つは、運転労働に関する調査委員会というのができておったわけでありますが、その運転の調査委員会の皆さんがいろいろ協力されまして、正式には日本産業衛生学会運転労働安全委員会、こういう方々が約二年ほど研究されて、四十九年の九月の十八日、労働省と運輸省に意見書を提出したと、こうなっておるわけでありますが、この意見書は受け取ったでしょうか、労働省と運輸省。
  129. 後藤茂也

    説明員(後藤茂也君) はい。先生指摘のその意見書は私どもはいただいております。
  130. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いただいておるとすれば、現在の乗務員の乗り組み基準、一人乗務か二人乗務かという問題については長い間の労使の紛争があって、一応の決着を見ながら今日に来ておることもおわかりだと思うのでありますが、その中心になったのが俗に言う大島委員会、この答申だということについてはいいですね。
  131. 後藤茂也

    説明員(後藤茂也君) 御指摘のとおりだと承知しております。
  132. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その大島報告のメンバーであった方々も入りましていろいろ議論されたわけですが、この内容を見てみますと、単に国鉄の方々だけでなくて、路面交通の長距離トラック、ワンマンバス、特に深夜運転、こういうものについて多方面から意見を出しておるわけでありますが、これも時間がありませんから、この問題について運輸省に検討してもらいまして、検討の意見といいますか考え方といいますか、それをぜひ後ほどまとめて出してもらいたいということを要求しておきます。
  133. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 後藤局長、よろしゅうございますか、いまの。
  134. 後藤茂也

    説明員(後藤茂也君) わかりました。
  135. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それから、この前の委員会で労働省にお願いしてこの資料をもらったんですが、この資料を見ますと、電電とか専売などについては週休二日制が行なわれていると、こういうふうに見るわけですが、国鉄は全然そういう気配がないと、こういうことなんですが、ここら辺に対して、先ほどの予算定員の関係もありますが、どんなふうなお考えでいるのか、今後の方針なり考え方などについてもう一度お知らせを願いたいと、こう思うわけです。
  136. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) この前にも大体お答え申し上げたわけですが、よその資料を見せていただきましたけれども、まだ週休二日制というところまではいっていない。私のほうも、かなり時短の問題につきましては、労働条件の改善というようなことで回りの均衡も考えて、過去においてもいろいろやってきているということでございますが、国鉄の場合、何といいますか、交代制勤務といったようなものが非常に多うございまして、非常にやりにくいといったような面があります。こういった面につきましては組合とも目下話し合い中でございますし、またこれまでの経過といたしましても、やはり全般的な時短の各民間を含めた考え方としましては、これによって人をふやしてどうのということでなくて、やはり合理化を進める、その中においてやれるだけ前進していこうということでやっておりますので、やはり一つの企業の中の合理化の進め方とかなんか、一つの企業としての力に関係すると思います。  昨年もある程度実質的にやれるものにつきましてはやってきておりますので、平均的にはかなりの一週間の勤務時間というものが縮まってきておりますが、いま申しますような交代要員、そういったものについては、よそと比較いたしまして、必ずしもよそのレベルまでいっていないという感じを持っておりますので、そういったものについても、できるだけできるようにしたいということで、目下組合との間で話をしておるという段階でございます。
  137. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大臣にも伺いたいのですが、いま国鉄側の答弁によりますと、専売とか電電、これに比べて時短の問題についても週休二日制の問題についても、現在比べて低い、それを何とかバランスのためにがんばる、それには合理化だと、こういう話が出てきたわけです。しかし合理化の問題についてはもう八月から今日まで、新幹線問題、在来線問題などを通じて、もうこれ以上何を合理化するんだろうかというくらい、むしろ安全の問題が縮小されるくらい現在問題になっている。そのかね合いとの関係で、専売や電電の皆さんも一生懸命やっておりますが、国鉄の職員だって私はたいへんな仕事をやっていると思うのですよ。そういう方々が長時間労働でがんばる、そのしわ寄せをすべて国鉄の現場の労働者が受けるということは、行政の姿勢としては私はあまり好ましくないと、こう思うのですが、大臣の、この合理化などを抜きにして、やはり週休二日制なり、あるいは四十時間制などについて思い切った、やはり労働条件を緩和してやって、希望の持てる職場にしてやるというあなたの先ほどのことばですね、それを具体的にやるのは私はこの問題がとりあえずあると、こう思うのですが、どうしても合理化が必要かどうか、合理化をするとすればどこを合理化するのか、これ以上どこを合理化するのか、安全との関連で大臣の見解を聞きたいと思うのです。
  138. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 労働時間の短縮という問題につきましては、これは国鉄あるいは公社五現業のみならず、社会的にそういう方向に進んでおる、かように認識をいたしております。  そこで、実はこの問題について、国鉄のほうからも現状を聴取いたしまして、国鉄のほうでもできるだけ前向きで話を進めたい、何といってもこれは労使で話し合われる非常に重要な問題でございます。したがって私も国鉄のほうの意見も聞きまして、そうしてできるだけ双方が満足できるような結果に持っていってもらいたい、かような気持ちでおります。
  139. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まあ労使でやるということでしょうけれども、労使の前に国鉄を預かる運輸省として勤務時間とか週休二日制についてはこうだということを積極的にむしろ打ち出して、大蔵省に折衝などをすべきじゃなかろうかというのが私の希望なんです。単に労使にまかしてたって、先ほどの大蔵政務次官じゃありませんが、どうにもならないものですから、やはりそれはそれなりにひとつ要望しておきます。  それから、この時短に関する問題等について、時間が来たようですから言いっぱなしになりますが、国鉄の職員の中で最も仕事の中心になっている一昼夜交代勤務者であるとか、それから運転士であるとか車掌さんであるとか、いわゆる乗務員ですね、この方々が合理化のかね合いで日勤職は時短をされておっても、こういうほんとうの国鉄事業の中心になる方々がいまだに時間短縮されないで行なわれているという点はどう考えても私は不健康なあり方だと、こう思うんですよ。そういうものをきちっとしないから労使関係が常に乱れてくるんであるから、ものごとには順序というのがあるんですから、その順序を取り違えないように大臣も十分監督してもらいたいし、あるいは総裁以下についてもそういう順序を間違わないように、やっぱり正すべきは正してもらいたい、こういうことを要望として申し上げておきます、姿勢として。  それから建設省が来たそうですから要望だけ申し上げます。実は飛騨川の名古屋高裁の判決がありましたね。それで私も判決の原文をもらいまして、その内容を検討してきょう若干の質問をしたいと、そのように希望しておったわけですが、物理的な問題もありまして判決の内容が手に入りませんから、次回に十分やりたいと思っております。ただ私は、同じ運転労働をやってきた者として、運転手の方々、家族の方々、そういう六年三ヵ月の長い間の苦しみといいますか、聞くところによると遺族の方で四名ほどもなくなっておると、そういうことも知りまして、社会的に、精神的に相当私は苦しんできたと、こう思っておるわけであります。ですから、あのような判決の内容が、他にも二件ほど、従来、函館の問題であるとか、そういうものでしるされてきておるわけですから、やはりこの際はほんとうの政治の政治たるところを発揮して、社会的な制裁から解除してやって、そして安心をさせてやるということについて最大の努力をしてほしいということだけ特にきょうは要望だけ申し上げて、内容の検討をして、十二月四日ですか、時間切れがありますから、その辺のおたくのほうの出方を見ながら問題があればあらためて質問したいと、思ってきょうは要望にとどめます。  それから、これもこの前の委員会お話をしたんですが、私鉄の中小の問題ですね。自動車局長、私鉄の中小の問題について一生懸命努力されておることはわかるんですが、おたくのほうで十月十八日、地方路線のバスの運賃改定について、従来の方式を変更して自由に値上げすることができるという方針を発表しましたね。この方式の変更というものが非常に地方の中小の私鉄の経営者に微妙な影響を与えておってなかなか再建工作がうまくいかない、こういうことを耳にしておるわけなんですが、この地方路線バスの運賃の改定についてどう考えていらっしゃるんですか。
  140. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) 私たいへん申しわけございませんけれど、いまの御質問の中でバスの運賃の設定のしかたが自由になったようなお尋ねがございましたけれども、そういう事実はございませんで、従来どおり道路運送法によりまして認可申請を受けまして、それによって私どもは全国を三十六のブロックに分けまして、それぞれのブロックごとに標準的な原価計算をいたしまして運賃の設定をしているわけでございます。その方針がつい最近変わったというような事実はございませんので、ちょっと御質問の趣旨がはかりかねます。
  141. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、日本経済新聞の十月十八日のこの記事は誤りだと見ていいんですか。たとえばいま言った全国を三十五ブロックでやっておった現行法を九つの陸運局別にブロックを変更すると、それから二年に一回のローテーションでやってきたやつを毎年上げてもいいというふうに方針を切りかえると、こういう新聞記事で、この新聞記事がこの前の委員会で、現行二百億のやつを八百億に現在大蔵省と折衝していると、こういう折衝が岩手県の中央バスであるとか、あるいは宮城交通バスであるとかという赤字に悩んでおる地方中小バスに対する銀行筋の裏打ちになっているわけですね、裏打ち。こういう記事が出るものですから、どうも運輸省の方針が変わると、変わるということになると銀行が裏づけをしない。たとえば岩手中央バスに県が出資をしようと言ったがパアになっちまったと。宮城バスの事態収拾について社長以下全部退陣したと、そこまでやったのに、いわゆる県が預託をすると、そういう預託の関係も通知預金に変わってしまったという現状があるわけです。内容をいろいろ検討すると、運輸省のこの地方バスに対する方針の変更というのはきわめて微妙に影響しておるということを承ったものですから、質問したわけなんです。この点いかがですか。
  142. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) よくわかりました。それはこういうことでございます。現在三十五、沖繩を加えまして三十六ブロックごとに計算をしているわけでございますが、非常にブロックの数が多いものですから、原価計算をします手間がたいへんかかります。ことしなんかでもすでにかなりの原価の上昇があったものですから、早く運賃改定を一巡させまして、いま先生指摘のような地方の中小バスやなんかに早く銀行から金が出るようにいたしたい——といいますのは運賃か早く上がれば金を貸してやるということがあるものですから。ところが三十五もございますとなかなか手間ひまがかかるということがございましたので、これをこの次の運賃改定のときからはできれば十ぐらいのブロックに簡素化をして、運賃を上げるべきだと、上げてもいいということになったら早くひとつ処理ができるようにしようということでやったわけでございまして、まだこれも十にするときめたわけじゃありませんので、三十五をできるだけ数を少なくする方向で事務の簡素化をはかりたいということでございます。  それから二年ローテーションを一年に縮めるという話は、これはきめたわけじゃありませんで、たとえばたいへん異常な物価が毎年続くというふうなことがあるとするならば、二年にこだわらないで一年でも上げなければしようがないだろうということを考えたわけでありまして、いずれも現在の特に中小バスの経営のことを考えて、そのために現在の制度を変えることを検討しようかと言ったわけでありまして、もしこの点を金融機関が逆手にとっているとしますれば、これは全くの間違いでございまして、もしそういう事実があるとすれば、私どもは直ちに金融機関等に説明をいたします。
  143. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ぜひそのように御指導方お願いいたしまして、いま地方が紛糾をしていることについて、そういう面からの事態収拾に努力をしてほしいと、こう思います。  それからもう一つは、それとうらはらになるんですが、自民党の交通部会ですか、これもまあ行政と政党が一体ですから、自民党の交通部会の資料を見ますと、いま言った過疎バスですね、過疎地帯の問題についてはやはり国とか公共団体の財政負担でまかなうたてまえだと、それから大都市については経営者側の努力、タクシーについては利用者負担と、こういう三つの分担の原則を、国鉄を除いて自民党の交通部会がきめて、この線で運輸省に対する働きかけをしているというニュースを九月の二十八日私は持ったわけでありますが、この問題といま言った運賃だけにたよっていくと、この問題は相矛盾しますので、その点も十分に議論をしておいてもらいたい、こう申し上げておきたいと思います。この点はどういう働きかけがありましたか。
  144. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) いまの自由民主党交通部会のお話は、交通部会で方針をきめたということではまだなくて、私の承知しております限りでは、交通部会長の佐藤孝行先生がそういうお考えを持っていらっしゃいまして、何かの席で御発言になったことを私は伺っております。  この考え方は、つまり交通機関の中にはタクシーのように北較的選択的な交通機関と、バスのように必須的な交通機関と二つある。選択的な交通機関は利用者負担を原則とすべきであるし、バスのような必須的な交通機関は場合によっては国庫なり地方の補助まで入れて立てなければならないということでおっしゃったのでありまして、この考え方は私正しいと思っております。私たちも現にやっております運賃行政もおおむねそのようなことでやっております。したがいまして、御指摘のような地方の中小バス等につきましては、運賃だけでは十分まかない切れない点もございますので、国と地方公共団体の両方から補助を出すということになっているわけでございます。
  145. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 単なる意見の相違でありますから、時間がたちますからこれ以上私は深入りいたしません。こういう問題についても十分に本委員会で議論をされるよう要請いたしまして、当面は先ほど申し上げた中小私鉄のバスの賃金の未払いなり欠配、それから倒産ということの起きないように最大の努力をしてほしいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  146. 森中守義

    ○森中守義君 関連で大臣に二、三点伺いたいと思います。  ちょうどきょうの委員会まで二回にわたりまして国鉄問題を中心にかなり議論が深まってまいりました。そこで、こういう政局混迷のときでもありますから、なかなかすんなりとしたお答えがいただけるとも思いませんけれども、まあ時が予算の時期でもございますし、非常に重要な中身をお尋ねしたいと思います。  先ほど青木君の質問に、総裁でしたかね、外注については再検討をしたい、こういうお答えがあったようです。そうなれば、外注の再検討ということは当然要員問題にもすぐ結びついた問題になるんですが、これは当初の再建計画からいけば十一万人削減をするということですべり出したと記憶をいたしております。そうなれば、現在まで相当の期間が経過しておりますが、実数何人ぐらい削減をされているのか。したがって、これから残余の数はどのくらいになるか。これは大臣よりも国鉄のほうがいいかもわかりませんね、ちょっとお答え願いたい。
  147. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 外注によって——まあ外注の歴史は実は古いのでございますが、この再建計画以前からむしろ労働条件の向上といったような意味で始まっておりまして、ずっと以前からの数字はわかりませんが、この二、三年、まあ多少再建計画に触れてまいります年を考えてみますと、六千五百ぐらいかと思います。まあ今後につきましては、別にものの考え方を拡大してどうという気持ちはございませんので、いままでのような考え方を踏襲するというような意味でやっておりまして、もちろん安全の観点、そういったものについては絶対だいじょうぶと、それから設備も完備し、いろいろな諸施設が完備してこれでやれるんだということをはっきり確認した上でわれわれやっておると、ただ以後につきましても、御承知と思いますが、労働組合とも、これまでも話をしてやってきておりますが、労働組合とも話をした上十分な理解を得てやっていくということでございまして、以後の数字はどうかということにつきましては、いまちょっとはっきりしたお答えは……。
  148. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと加賀谷さん、運賃審議の際の数字とだいぶ違いますね。当時たしか、十一万の中ですでに三万数千名は削減が終わって、あとは七万幾らというようにたしかお答えがあったように記憶するのですが、だいぶ数字が違う。
  149. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) その数字はちょっとわかりかねますけれども、まあ要員の問題は御承知のように四十四年からの数字を計上しておるわけですが、十ヵ年再建計画が始まりまして、全体の合理化計画としては七万幾らかになっております。ただ業務量増その他ありますので、そのうち三万幾らはそういったものに充当しておると、実際に減らしてまいりました数は四万三千であると、その残りであるということでありますが、外注の問題でそういう話をした……。外注の数字とはちょっと違うんじゃなかろうかというふうに思います。私が勘違いしておるかもしれませんが。
  150. 森中守義

    ○森中守義君 外注とじかに結びついているという言い方をしたのでそういう受け取り方をされたと思う。そうじゃなくて、要するに、再建計画を開始してその後ずっと何名落としてきたのか、あるいはこれから何名落とさねばならぬのか、この数字が手元にあれば教えていただきたい。なければあとでもいい。——わかりますか。実数どのくらい削減をして、これからどのくらいやっていかねばならぬのか、計画上。
  151. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 外注によって落としてきた数字はいま申し上げましたが……
  152. 森中守義

    ○森中守義君 外注じゃない。合理化で。全体で。
  153. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) どうも失礼しました。合理化によって行なってきました数字、再建計画の四十四年からあれいたしますと七万三千六百二十。それからいま申しましたように三万六千三百ぐらいは業務量増に充てると申しますか、そういったようなことがあったと思いますので、残りの四万三千二百ぐらいになると思いますが、それを現実に減らしてきたと。
  154. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、計画の数字としては四万三千二百ぐらいをこれから始末をつけなくちゃならぬ、こういったように認識していいですね。
  155. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 今後の減の計画でございますか——十一万の線に沿って考えますと、以後その四万三千を引いた約七万でございますか、そういった問題があるということにはなります。
  156. 森中守義

    ○森中守義君 わかりました。  それで外注によって、これは業者があれしているわけでしょうが、外注でどのくらい人を使っておりますか。
  157. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 外注側でどれくらい使っているかというのは、いろいろな職種もございますし、いろんな会社がございますので、それからまた時期によっていろんな労働力を使いますので、変動もあると思いますので、現在それをはっきり把握した数字はちょっと承知しておりません。
  158. 森中守義

    ○森中守義君 これは加賀谷理事ね、外注のためにどのくらい人を持っているか一ぺん数字を整理してみてくださいよ。次の機会でいいですからね。いまはお答えいただかなくても。  それで、ここで申し上げたいのは、一つの概念として外注は再建計画以前のものである、こう言われるけれども、結果的に再建計画で十一万を落としていこう、あと七万残っている、こういうことなんですが、何といっても国鉄の場合には労働集約産業ということなのだから、十一万人落としたからそれでもう外注で人がふえないということはないと思う。ずっと以前そういう議論を一回したことがあります。本職員を削った、表向きには定員を削ったのだが裏のほうでは外注の人がふえた、これが大体パターンになっているのではないかというように思うのです。だから実はどのくらい外注を持っているかということを聞きたい、こういうことなんです、私の問うている意味は。それで総裁がお答えになりました外注の再検討ということは、質問者である青木君の意向は多分にその辺にあったと思う。それを再検討しようということのようですが、これはこれから七万人処理していかなければならぬのだが、その七万人ということはもう過去のものとして、それをどうするかというのはこれから検討しよう、こういったように理解していいものですか。
  159. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  私は先生の外注外注と、こういう御議論で、その裏は人員を整理して足らなくなるから外注やるのだろうというふうにおっしゃっておりますけれども、これは全く経営上の議論から、つまり外注のほうが便利なものは外注をするということであって、人間を減らしたから外注するというふうに私は実は考えていないのでございます。  先ほど申し上げたのは、この外注は国鉄の職員じゃないんだから安全性とかなんとかに懸念があるだろうと、そうおっしゃられれば確かに職員よりもそのおそれがあるから、そういうことに対して青木先生がおっしゃったように、懸念があるかどうか検討して、こういうものは外注でいままではやっておったけれども、懸念があるから改めようかどうかというような検討をいたしましょう、こういうように申し上げたので、先ほど十一万人の御議論がございますけれども、経営の合理化というのは、これは私が申し上げるまでもなく何も人間を減らすことじゃないんで、収入がふえればいいということなんです。ですから人間が減るということは、人件費なんか相当のパーセントを占めておるから減ることが直ちに有利に働くということであって、これを減らすということは、安全性を落として減らしたんじゃ元も予も何のことだかわからぬので、やっぱり省力化する機械装置とかなんとかを生み出して、そのかわりとして人力を機械力で置きかえていくということなんです。  今後十一万人を十年間ぐらいに減らせるのかという質問が中心だろうと思いますが、これはもう技術というものは非常に進歩しておりますので、できるだけそいつを満たすような合理化というか、省力化というか、これを進めていきたい。しかしいま直ちにあとの七万人はこれを引き受けましたという状態にはいまはなっていない。しかし十年ぐらいなれば、努力を重ねてそういう形ぐらいまでは持っていかなくちゃいかぬのじゃないかということと、同時に先生すでに御承知のように、国鉄の労務というのはあまり若い者に魅力がなくて、なかなか人間を集めることは容易でないという面もある。そういうものは保線であるとか、あるいは操車場の作業であるとか、こういうものは機械力でもって置きかえてカバーしていかなくちゃならぬ、かように考えておりますので、私が申し上げたのは要員を減らして、それを外注で置きかえるということではないし、そうあるべきではないと私は思います。
  160. 森中守義

    ○森中守義君 実は一年余り前のように記憶するんですが、どこかで事故が起きた。その事故原因をずっと追及していきますと、やっぱり外注にその問題がある、こういうことがこの委員会で一度明らかになったことがある。ですから、いままでおやりになっている外注というのが、ただ人を減らすために機械的にこの部門もあの部門というようにやっておられるとは私も思いません。けれども全体的に減らされたもの、それと外注とのかね合いを考えると、たとえば百名削ったら外注で百名ふえている、こういうどうも因果関係がいま数字を体していくとあるように私は見受けている。ですから、これから外注の再検討ということは、いままでやった中で安全が確保されるかどうかということをひとつ基本に置きながら、もう一回やってもらいたい。  同時に、さっき申し上げるように、やはり労働集約産業ですから、なるほど新しい機械の開発等で人員削減ということもあながちこれは否定いたしませんけれども、やっぱり全体的にもう一回見直してみるということ。そういうことから、残りの七万人が計画上そうなっているからこれはやらなければいかぬのだということにあまり思い詰めるとちょっと無理が来ると思うのですね。ですから、じかに要員問題安全問題、外注ということは何かの形でつながっているはずですから、そういう意味でただむやみに七万人ということをゼロにすればいいという考え方ではちょっとまずいのじゃないか、こう私は思うのです。そういう意味で、これは大臣、非常に大事な問題なので、監督の立場においでになる大臣と総裁と、そういうものを含めてひとつ検討するなら検討するということに少し内容を見直すということでお答え願えればたいへんいいと思うのですがね。
  161. 江藤智

    国務大臣江藤智君) もう森中先生は、財政再建の審議中、ずっとよく御存じのとおりに、一応あの財政再建のときには、昭和四十四年度からでございますか、十一万人減らすということが一応基礎になっております。その中でこれまでに、いま国鉄からお答えをいたしましたように、四万数千人減らした、残りが七万だと、こういうことになっておるわけですね。しかし何といっても安全が第一でございます。  したがいまして、私大臣になりまして、一体どういう作業でどういうところで安全に支障なく、しかも能率があがるようなことで人間を減らすのか、要するに毎年一万、一万、一万と、私は減らすわけにはいかぬと思うのでございますよ。でございますから、今後残りは八年になりますか、九年になるか知りませんけれども一体七万という数字はどういう考えで出すのかということを、実は国鉄のほうに私指示をしたわけでございまして、いま総裁がお答えをしたのも、そういう意味でひとつこれを見直してみようと、こういうことであると思いますから、十分国鉄のほうとも打ち合わせいたしまして、御趣旨に沿うように——要は最初にお答えをしましたように、国鉄の運営の根本は安全である、これを基本にした考え方で検討してみたい、かように考えます。
  162. 青木薪次

    ○青木薪次君 関連質問。  重要なことですから、先ほどの私の質問に対して、外注関係についてひとつ再検討をするということになったのでありますが、このことが四十歳以下のやせ細ったいわゆるスタンド柄の部分、この部分の問題と同時に、いわゆる将来の要員構成の問題ということを中心としながら、いま運輸大臣も総裁もおっしゃったのでありますが、その問題について、一つは安全の問題、一つは業務量増というようなことが、これが国鉄の役割りが見直されることによって、そうして将来とも十ヵ年計画というものを持たれる、それでいわゆる設備投資というようなものが先に出てきて、これだけ金をやるからこれだけ減らすというようなことがいろいろいわれてきた。しかし、そのことだけではだめなんだよとわれわれは言って、ATSの事故やいろいろな機械部分、近代化されたものについても事故がこうしてあるのだよということで、機械に置きかえたから事故は絶対にないのだということじゃないのだ。人間の、いわゆる先ほど出ました労働集約型産業ですから、そういうことを言ってきたわけでありますが、外注にする場合の基準というようなものについては、たとえばメリットとかデメリット、あるいは経済効果の判定とか、運転不安を含めた責任体制の限界というものをどこに置くのか。  あるいはまた国鉄の本来業務というものについて、国鉄が本来的責任下にある工事の外注の妥当性という問題について、私は先ほど架線の張りかえとか、レール更換なんていうものを質問したわけですけれども、それらの関係等について、もう一度点検する必要があるのじゃないか、特に安全に関係した工事についての責任体制の確立と安全確認というようなものについてはしっかり考えていくべきじゃないか。それから外注先に技術力もない、要員を集めるだけの力もないというようなことについては、やはり外注業者を選定する場合の技術水準という問題についてもやっぱり考えなければならぬじゃないか。したがって、そういう面から労働力確保の場合において、先ほど瀬谷議員の質問されましたように、お年寄りでもうほんとうに働けないような人がずっとその仕事にたかっておって、それで外注だ、外注だというようなことには問題があるけれども、季節労務者なんかについても若干の問題があるのじゃないか、そういうようなことを考えて、いわゆる遂行能力というものを考えていくべきじゃないか。  したがって私はやっぱり十一万人の減員というものを、機械的に減らすという考え方でなくて、先ほど冒頭申し上げた国鉄の本来的業務というものが一体どうあるべきか、全体の交通輸送体系の中において国鉄が見直されてきた。九州を出たトラックがずっと東京まで走ってくるというようなことはいけないのじゃないか、それならこれは国鉄に載せるべきじゃないか、あるいはまたそのほかの関係について、たとえば閑散線区における国鉄の役割り、これはやはり高度経済成長政策、ある意味では日本列島改造論によってこういうことになったわけですから、これについては当然やっぱり考えるべきときに来ている。  したがって、それはこれから要員問題等については従来のようなパターンを繰り返してはいけないというようなことで、私は予算定員ということばを使って、金がこれだけあるから要員がこれだけなんていうことは、これはやっぱり輸送業務というものについて考えない議論だということで申し上げたわけでありますから、そういう立場に立って外注問題についてひとつ検討していただきたい、こういうように言ったわけです。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初に国鉄の質問に入る前に、この前の委員会で私の要求しました外務省の日本の開港並びに不開港に対するアメリカの艦艇がどれだけ入っているか、この資料を出してもらったのですが、非常にこれは御苦労なことでありますけれども、私の要望したものに対して非常に不十分なんですね。私は昭和三十五年から地位協定が発効してから、しかもその中でいま申しました日本の施設区域、つまり某地以外の港について、しかもジェーン年鑑で十一の核搭載可能の艦船をあげている。それらの艦船が入っているのを仕分けをして、そうして出してほしい、こういうふうに要望したわけです。出されたものを見ますというと、これは昭和四十五年以後のもの、最近四年間のものなんですね。これでは非常に不十分です。実態を明らかにすることができませんので、これは手数のかかることかとは思いますけれども調査をして、少なくとも三週間ぐらいのもし時間が必要だとすればそれはけっこうです。時間をかけてもけっこうだが、三週間後ぐらいには必ず出す、この確約をしてほしいと思うのでありますが、これは委員長、当委員会として決定したものでありますから、委員会責任でもあります。委員長にもお願いしたいのでありますが、最初にまず外務省から答弁を願いたいと思います。
  164. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) いま岩間先生から御指摘ございましたように、先回の本委員会におきまして、資料の要求をいただきまして、海上保安庁といろいろ打ち合わせをいたしまして、二十二日だと思いますが、当委員会に差し上げた次第でございます。  御指摘のございましたとおり、四十五年一月からことしの八月末までのものをまとめまして差し上げたわけでございますが、それ以前の分につきましては海上保安庁のほうで廃棄処分にしておられまして手元にない。そういうことから具体的な艦名をあげての資料は四十五年一月から四十九年八月三十一日までということ以上のものはつくれなかったという次第でございます。なお海上保安庁長官がお見えになっておられますから、御説明があるかと存じますが、三十五年以降につきましては、港別に年単位で何隻入っているというのはあるのでございますが、それはまた別のものとしてまとめて差し上げた次第でございます。
  165. 寺井久美

    説明員寺井久美君) 資料の点につきましてただいま外務省から御答弁がありましたが、私ども先回の委員会でも申し上げたと思いますが、入ってまいります船の船名、長さ、喫水について、港の中の安全の確保の見地から資料をとっております。その資料は大体一年間は保存してございますが、通常の場合それ以上の保存を義務づけておりません。最近の五年間については整理をいたしまして提出いたしました。たまたま五年間ございますが、それ以前のものにつきましては詳細な資料がございません。隻数だけを集計したものがございまして、これはお手元に差し上げたということになっております。
  166. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつも言うけれども、あなたたち努力しないんじゃないですか。これは、われわれがいままでやってみたところでずいぶんもらっていますよ。ちゃんと出てきていますよ。ここに小樽とそれから函館、それから苫小牧、それから別府、これだけはちゃんとわれわれ持っておるんだ。ちゃんと問い合わせれば来るんだ。これは港長並びに管理者に聞けばちゃんとあるわけだ、資料は。そして大体廃棄したと言うけれども、このような安保というような日本の国家の政策の根幹に関する問題のものを、廃棄するとしたって、そのあと記録は残っているでしょう。だから出す気持ちがないというようなことで、これはあんたたちもう非常に作業もたいへんだというようなことで、軽々しく考えられちゃ困る。われわれでさえとれるものを、あなたたちが機構を持っていてとれない、こんなばかなことがありますか。だから私は言っている。ここにはっきりこうした証拠がある。こういうような事態で国会の論議をちょろまかしては困ると思うんです。だから当然この努力をすべきです。だから私はいま、あす出せと言うんじゃない。必要だったら二週間なり三週間なりの時間は与えますよ。しかし必ずこれは年内には——年内といってもまあ三週間以内ぐらいには出すという決意のもとに、きちんと書類をつくって、いまから回せばすぐ来るでしょう。われわれは電話で一週間、十日でとれたんです。やる熱意があるかないかだ。そして日本の安保が実態としてどうなされているか。ことに艦艇が、日本のこれは海上安全とも深い関係のある、そういうものをアメリカの艦艇によってどうなっているかと、こういうことを聞いているんです。  だから、むろんあなたのほうでは、いままでの出せない九年間については数だけは出しています。これは参考にならないとは言いません。しかし、この数だけではだめなんだ。どんな船が入ったかということがいま非常に大きな問題になっている。数もむろんこれは九年間に六千十何隻入っていますね、米艦艇は。これだけでもたいへんなことでしょう。しかし、この中の種類を聞いている。いま問題になっているのはラロック証言以後の日本の安保がどう使われているかということなんです。これを聞くんだから、あなたたちそれを準備してないというのはおかしい。外務省がそれをちゃんと持っていないなどということは許されないことです。これ自身がたいへんな政治問題をはらんでいるんですよ。もしもこういうことで出されないという、そんなことじゃ話になりませんよ。いいですか。だから、その観点からちゃんと私は時間まで設定して言ったんですけれども、出してほしい。委員長にも要求しておきます。
  167. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  168. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こしてください。  この件につきましては、理事会でもう一度相談をし合って決定していきたいと思います。  岩間委員、その点でひとつ御了承願いたいと思います。
  169. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つはっきりさしておきたいんですが、この責任はやっぱり主務省の外務省なんですね。外務省が集める努力をすべきだ。それからたいへんにめんどうに思っていますが、これはそんなにめんどうじゃないですよ。私のほうで電話して、全部にしたわけじゃありません。電話してから間もなく来ているのです。ちゃんと公文書で向こうで回答してくれるんですよ。だから、あなた、やってもみないで、ないだろうというようなことでしょう。そういうことで、あなた、これは海上保安庁責任かどうかということは、一つは当然集めておいたほうがいいということにはなるんだろうけれども、この責任はやっぱり外務省にあるんで、外務省はあらゆる手を尽くして、海上保安庁はこれに協力して、そしてこれを集めるべきじゃないですか。  それで追加資料を必ず出してほしい。(「理事会でやるということにきめたじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、それを要望しておくんだ。いいですか。
  170. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  171. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) では速記起こしてください。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは私は国鉄の問題でお聞きしたいと思います。  最近の国鉄事故、特に新幹線の連続多発事故についていま国民は非常に不安を感じているわけです それは国鉄が今日まで続けてきた合理化、人減らし、これは先ほどから問題になっておりますが、さらにこれによる作業の無理なやり方、さらに新幹線にあっては、発足以来すでに十ヵ年も経過し、その施設全般が老朽化現象を起こしている、こういうことをあげることができると思う。それで国鉄総裁はこの事実を認められますか、どうですか。
  173. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えいたします。  最近、事故が多発して御心配をかけていることは非常に申しわけないと思いますけれども、まあ開業から十年たっておりまして、初めは六十往復ぐらいのものが現在二百四十往復ぐらいになっておると、非常に輸送力が四倍ぐらいにふくれているというようなことで、いわゆる事故の件数というものは多くなってきております。で、その件数といいますか、その走る距離に対して事故が何回起こったかというようなものをはじいたらどうだろうというようなことを検討いたしまして、四十六年くらいはうんと少ないのですが、それに比べますとやっぱり二、三倍ぐらいになっておるというようなことで、まあ四十六年の一番好調な時代よりは悪くなっていることはこれは事実であるし、同時に新幹線というのは御承知のようにハイスピードで走っておりますので、いかなる事故でもこれをつぶしていかないと大事故につながるかもしれないということでせっかく努力をしているわけでありますが、最近までは神経系統といったようなものの事故らしいものは実は、いや、あったのだとかいう言い方もあるかもしれませんが、たいしたものはなかった。しかし最近おしかりを受けておるような事故を二件ほど起こしておるので、これはたいへんだというので、まあ起こった事故そのものに対しては手当てはできたということでございますけれども、こういうものは重大なものに発展する可能性があるので、今後も一そう努力を重ねて安全性を高めていこうということでございまして、これはまあ新幹線は十年たって、だいぶ老朽して……
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 短くやってください。よけいなこと答えないで。
  175. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 何とか言いますけれども、そういうことではないと、かように考えております。
  176. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間を私は制限されておるのです。それで原因は何ですかと、三つあげたのですね。これは合理化による人減らし、それから作業が無理なようにやられているということ、それから新幹線による全般的な、十年も置かれて老朽化している、こう考えますかと聞いている。それに答えればいいんですよ。その概論、先のほうはもうお聞きしているから、何回も。どうなんです。簡潔に言ってください。
  177. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘の三点であると私は考えません。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 考えないんですか。国民はだれでも感じていますよ。だれよりも現場の労働者がこういうことを指摘しているんじゃないですか。現場の労働者の声ですよ、これは。あなた、それ知らぬですか、国鉄総裁が。考えませんと言ったって、十年で老朽しているということは、これははっきりしているでしょう。人減らしも影響していることは明らかだ。どうなんです。
  179. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 十年使いまして、なるほど老朽する部分もありますけれども、老朽する部分は、その老朽したごとに取りかえていっているので、しいて申し上げると、車体のごときもの、まあこういうものは老朽したじゃないかということにもなりますかもしれません。しかし肝心な部分は全部取りかえておると。まあ人減らしとかというお話もございますけれども、これは数はむしろふえております。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 聞いておることに端的に等えてください、時間の制限があるからね。とにかく、そういうような形であなたは何かこっちの質問に対して反発されるような答弁をされないで、実態をはっきりつかんでほしいと思う。もうとにかく、いまのような答弁をされておることは、これはあなたおかしいですよ。  私は安全の問題で、どうしても基本的な問題についてまず触れなければならぬと思う。施設が非常に問題になっているのです、施設の問題が。そこで第一に作業体制の問題を私は聞きたいと思うのです。現在の保安の作業体制というのは、これは昭和三十九年に新保守体制として合理化案が当局から提示され、そして現にこれが実施されてきているわけでしょう。そこで具体的にお聞きをしますが、新保守体制により保安区を整理統合して要員を削減しましたが、これはいままでに何人削減したか。これは先ほど答えがありました。また統合、削減によって軌道構造強化、これを名目にして、そのためには設備投資として最初の金で二千億出すと。これで体質を強化して、それで一方では人員の削減というものを条件にしたと思うのです。現在どうですか。第一の私の質問は四万八千ですか、削減の数は。話がさっきありましたからこれはいいけれども、さて二千億の最初の——これは組合とも話し合って、ちゃんと確かにきめたはずですよ。これが実行されておりますか。
  181. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 施設の新保守体制のことだと思いますが、設備投資につきまして、手元に資料を持っておりませんので、進捗状況その他について、ちょっといまここでお答えすることはできません。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 これわからないんですか、あなた。それがわからないからそういうことになるのです。これは資料として出してください、資料として出してもらいたいが、私たちはこれは調べて約七百億、二千億の三分の一の七百億しか実際は実施されなかった。そういうことですね。だから条件としては新保守体制を実施する、そのためには軌道構造物の強化によって、従来の随時即修方式、こういうものを定時的な修繕方式にかえる、そのために一つには約四千名の保守要員を一方では削減したはずです。さて首は切った、しかもその前提条件としての設備投資は約三分の一程度しか実行されなかった。そのために軌道整備は非常に不十分なままで新体制に移行せざるを得なかった。これが今日の事故多発の一つの大きな原因をなしていることははっきりしていると思うのです。この事実は客観的な事実でございますから認めなければならないと思いますが、いかがですか。
  183. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 設備投資とあわせまして新しい機械を投資しております。この投資した機械の稼働についてやはりあわせて検討しなければいかぬと思いますが、これは列車間合いとも関連いたしますが、現在ちょっとその辺の資料を持ってまいっておりませんので、正確な答弁はできませんことを残念に思っております。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは資料をもらって明らかにしていけばいいわけですが、軌道構造物というのは機械入りますか。軌道構造物の中に機械は入らないんじゃないですか、これは工作機械だ、あくまでも。軌道を強化する、そしてその上に立って人員削減ということを言っているんですからね。だからこういうような問題を、私は科学的に客観的な事実に従って鋭く指摘するかどうかということで、今日問題になっているこの事故対策、保安をほんとうにできるかどうか。つまりやぶ医者じゃしようがないんだ、病気の実態をつかめないで、そうしてあたりだけなぜておいて、実際はこれはたいへんな体質になっているのにかまわないということではこれは話にならぬ。だから、その点ではやはりいまの問題は一つの大きな原因になっておるんだということを、ここで率直に反省しなければならぬ。その結果どうなっているか、まあ軌道の狂いというようなことが起こっています。そして高低、通り、軌間、水準、平面性、こういうような問題も、修正を非常にやらなければならぬ。そうしてそのために労働時間がここで食われる。本来の定期的修繕のほうは、結局これはここでやれないという事態が起こっていると思うんです。  定期的修繕のほうは現在どれぐらい行なわれていますか、パーセントでいいですけれども、これを明らかにしてほしいと思います。
  185. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 私ども昨日事務局で質疑事項をお聞きしましたことと全然違っておりまして、資料を持っておりませんので答弁できません、残念ながら。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは話してなかったかな。大体五〇%ですよ、五〇%しな実際やられていないというのがいまの姿でしょう。だから、これは軌道整備基準というのがありますね。これに照らしてどうですか、いま直ちに保守をしなければならないという個所が全国で約八千キロあるというふうに聞いております。これは国鉄全線の約三分の一に当たるんじゃないか。これらの事実を見ても、いま国鉄当局が進めている新保守体制なるものは、安全よりも人員を減らす、修繕費を減らすということがその主要なねらいであったんではないか。事実がそうですからね、どうだこうだと主観的なことを私は言っているのじゃない。最初は二つの条件を出して、人員も削減する、しかし一方では軌道の構造というものを強化する、そのためには金を出すのだと。だが金のほうは三分の一というようなかっこうで、それで人員のほうはどんどん切っていけば、当然そこにひずみが起こってくる。そうするとねらいは何だと。そのねらいがはっきり、やはり合理化の名にかりて人員整理というものを優先さしてしまった。そして備えのほうは当然の削減の条件として、あなたたちいま説明したものは十分でないという結果になる。この事実は、これは具体的にお認めになるのが、私は国鉄総裁の当然の、いまほんとうにこの事故に対決する姿勢じゃないかと思う。いかがですか。
  187. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 少し長くなりますが、よろしゅうございますか。  先生指摘の面も確かにございますけれども、これは新幹線のあれで、先生の御指摘になったのは実は一般の路線、二万キロ路線の話で、この安全を確保しなけりゃならぬと、これはけっこうですが、ただ国鉄が二万キロあって三分の一の八千キロがおまえ狂っているじゃないかというような御議論がございまして、まあ施設局長がおりますけれども、私が承知している限りにおいては、線路の狂いとは何だということになると 大体この三ミリぐらいの狂いから、さらにその狂った個所が何割あるだろうかというようなことをはかりまして、その狂いの数が大きいほど、まず概論的に言って悪い線路であるというようなことで、その狂いの何割を悪いと言うかということは、これは脱線とか安全の技術に依存するのでございますけれども、私ども考えるところじゃ三〇%ないし三五%、その数を考えますと、一級線で少し要注意のやつが五百キロ、二級線が千五百キロ、三級線が千八百キロ、四級線が千五百キロぐらいある。三〇ないし三五%の狂いが悪いというのは、相当これはシビアな秤量のしかたでございますけれども、それでやって、まず総計五千何キロぐらいは要注意であるというので、これは先生の御指摘のやつの三分の一が五分の一だから、おまえ、いいとは言わさぬということもありましょうけれども、そんなことで……。  それから、レールは非常に悪くなったとおっしゃいますけれども、これは先ほども施設局長が答弁しましたように、昔は一メートルの長さのものが二十七キロだの三十キロだのというレールが普通だったのを、最近はもう原則的に五十キロにしようというので、これは全部五十キロにはなっておりませんけれども、それくらいの力の入れ方で、それからまくら木なんかも相当、コンクリートまくら木とかなんとかを入れておるというようなこと。それから列車間合いが少ないゆえをもって、突き方も機械でやるというようなことで、この機械の使いなれがしてないとか、列車の間合いがとれないとかいうことで、一〇〇%その効果は出ておりませんけれども、そういうようなことで、軌道も格段に強いものになりつつあるし、そこは機械力を入れていくというようなことで、近代化も何もせずに、機械も何も入れずに、金もかけずに、人間だけ減らして何だと、これはそういう言い方もなきにしもあらずだと思うけれども、それがすべてじゃないということは、これは確たる事実で、まあいろいろおしかりを受けておりますけれども 根本は国鉄の線路をより安全にしようという皆さまの御親切なんで、御忠言はよく伺いますけれども、どうも国鉄というやつはあぶなくて乗れぬぞということを宣言されると、お客さまのほうは必要以上にそういうことになっても困るので、そこらもひとつよろしくお取り計らいをお願いします。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 なきにしもあらずというようなことをおっしゃいましたけれども、これはまあ認めないということじゃない、それはやっぱり一つの要因になっていると、あなたのことばの中にそれははっきり出ております。すべてだと私は言っていない、これは一つの大きな原因であると、こう言っているのですから、そういう点ではあなたの御答弁、これは私の質問に答えられたということになるので、それを認めたいと思います。  私はこの線路の問題に戻りますけれども、大体この軌道というのは、列車の通過トン数、まあ重量や振動によって常に破壊を余儀なくされる構造物である。いわば消耗品とまで言っちゃいけないけれども、こわれるものである。これを前提とするかどうかということは、これは非常に重要な問題です。だから、たとえばそういうことのために今度は山陽新幹線とか九州新幹線ではスラブ軌道というのをこれはとったんだろうと思う。これは安全性とか騒音などは問題があるにしても、これは構造物としては理論的には、レールの摩耗は別として、破壊されにくいという条件があるだろうと思う。ところが在来線になりますと、東海道新幹線もそうですけれども、軌道構造はこれとは非常に異なっている。いまは盛り土、道床、そして軌道敷設というような、基本的には非常に破壊されやすい構造物という性質を持っている。したがって、これを今後どういうふうにこれは保守していくのかという問題がありますが、これはどう考えておられますか。
  189. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生指摘のとおり、これからつくる軌道構造は、極力いわゆるメンテナンスフリーといいますか、スラブ軌道にして、いわゆる保守をしないというようにしていきます。東海道新幹線とか、あるいはもうすでにやっておった在来線につきましては、一番手っとり早い軌道強化というのはレールを太くすることであります。これは非常に曲げ強度が強くなります。いま総裁も言いましたように、極力全部五十キロ、セコハンを入れますが、レールは五十キロにする。ある線区にはレールを六十キロにする。東海道新幹線も含めまして、高崎、東北線というのは六十キロにする。しかもまくら木をコンクリートまくら木にしたい。そうしますと、ロングレールが可能であります。信号機と信号機の間をロングレールにしてジョイントをなくす。要するに線路保守の一番の泣きどころはジョイントにあります。したがってジョイントをなくせばそれだけ保守がなくなる。したがって、そういうようなかっこうで総作業量を減していく。  二番目は極力機械を使って能率をよくする。これは若干うらはらでございますが、われわれの保線作業というものは非常の重労働でございまして、なかなかなり手がない。なっても定着性がない。したがって職員の定着性を持たせるためには、やはりかっこうのいいタンピングをする機械とか、あるいはまくら木を更換するのを機械化でやっていきたい。そうして検査と、それからいわゆる巡回というような純高度の技術的な判断を残すものを残していきたい、このように考えております。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは先のことを言われたわけだが、現在、在来線はそんなにもういきなり変えるということは、困難な問題を非常に含んでいるわけですね。スラブ軌道についても、これははたしてどういうのか、安全性の問題、それから騒音の問題あるいは車輪の摩耗の問題というのは、これはやっぱり残っていると思いますから、手放しではこれは言えないと思いますけれども、在来線との比較をしたわけですね。  そういうふうに何といいましても、在来線の問題から見ますというと、非常に摩耗の多い構造物である限り、私は常に直轄能力を持って保守を行なう作業体制を基本として、計画的な軌道整備を行なう必要がある。在来線はとにかく非常に摩耗が多い。そこでこの保安の問題が起こっているわけですから、これをどうするかという問題——先の新幹線の問題だけ、これはあとでやりますけれども、それだけを考えているわけにはいかないんですね。  ところが現在の新保守体制、こういうことになりますというと、これは具体的に見れば、たとえば車両の場合は、車輪に生ずるフラットとか、それから直摩耗、これについては何ミリメートルの誤差が出る、こういうことになりますというと、すぐに更換修繕をする。ところが車輪に接触をするレールのほうは、これは保線狂いに対する整備の基準というのは一応あるけれども、その限界の基準、どこで一体これを更換するということが、これははっきりしていないんでしょう。私たちの聞いたところでは、整備基準を越える、こういう事態が起こるというと十五日以内に保守することになる。こういうふうに聞いておるわけですが、その十五日の間にやはりこのような保安度の減少ということは非常に進行するんじゃないか。十五日間にそういうようないろいろな問題が起こらないとは言えないわけです。これは立地条件とか、天候とか、カーブの状況とか、道床などの条件によってその進行の速度も変わってくるわけですからね。だからこういう点から考えますと、いままでの随時即修をやる、こういうような体制でなくて、定期的に検査をしてそれを補修していくというようなことになるというと、その間にやはり危険が忍び寄る、そういう点が多いのじゃないか。  現に私はこの前駅に行って聞いてみたら、昔は保線区があって、まるで自分の畑を耕すように朝晩線路を見回っていたと。ところがいまは定期的で、しかも外注なんかがいろいろ入ってくるわけでしょう。そういう形で非常にかゆいところに手が届くようなわけにはいかぬ。そういうことがやっぱり、私は体制として、新保守体制というものはそういう一つのすき間を持っているのじゃないか。そういうこともやはり事故につながる原因になっているのじゃないかというふうに思うわけです。  で、私はお聞きしたいのですけれども、とにかく限界に達した、その整備基準を越えた、そのようなものに対して直ちにこれを補修するような体勢はとれないのか。もしもとれない場合には、これはその区間を自動的に徐行するなど、そういう措置というものは、やはりここのところは明確にしておく必要があるんじゃないかと思いますが、現在どうなっておりますか。
  191. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 非常に大きな軌道狂いがありますと、先生のおっしゃるとおり十五日以内に直ちに直す。並びに当日乗務員から通告があって非常に振動が大きいといいますと、現地に直ちに飛んで行って現状を見てすぐ直すか、あるいは二、三日後に直すか、あるいは徐行をとらざるを得ないというような判断をやるために検査班というのがございます。検査班は非常に密度を小さくしてございまして、この辺が巡回をしておりまして、何らかの形で一日一回列車に乗るなり、あるいは徒歩で巡回して全部自分の線路を把握しております。現在でも保線区が線路というものを把握しております。ただ昔の分区というものが支区になったというだけでございます。それは機動力をつけて、たとえばマイクロバスとか、そういうふうな機動力をつけまして、集団でその定期作業をするようになった。それはレールが三十キロから六十キロになった。まくら木がコンクリートまくら木になるというようにだんだんヘビー化いたしますので、どうしても一人や二人の従来のような線路班体制の保守ではやりきれない。したがって機動力をつけたわゆる新保守体制に切りかえたのであります。したがって、そういうものに対する機械設備も当然配置してあるというのが現状でございます。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 いろいろとけっこうずくめの答弁をされているが、なぜそんなら事故が起こっているのか、多発しているのか、ここが問題なんですからね。ただここで、いまのような答弁だけでこれは了承できない、そういう問題がたくさんあるし、現場からもそういう点は指摘されている。こういう点については率直にやはり、もうほんとうに病根をえぐるという体勢が私は必要だというふうに思うのですね。いまのように手放しでやられて、あなたたちいいことばかりやられて、なんで一体そんなら事故が起こるのか。そういうわけにはいかぬ。   〔委員長退席、理事森中守義君着席〕  それから第三の問題ですね。これは国鉄の建設基準には一級線から四級線まである。これは当然列車のスピードとか通過重量などを前提として一々基準が設けられている、みな違うでしょう、級によって。ところが最近のようにローカル線に急行や特急を増発して収益をあげることに、当局はまさに狂奔状態だと思うのですね。そうしてそのために三級線が二級線に格上げされるというような措置がとられて、その結果基準に合致しない個所が多く生じているのじゃないかということを私は指摘することができる。この場合どのような一体扱いが具体的にとられているのか。たとえば三級線以上の道床については、これは砕石を使用する、こういうふうになっているでしょう、条件として。はたしてそういうことが基準として厳正に守られているかどうか。またもしそのような整備がなされていない場合、これは速度制限というものをやっているのかどうか、ここが非常に重要です。私は資料として、これは時間の関係からいただいてもいいんですが、大体格上げやったのはどうなるのか、そこのところの保守はいま言ったような点で基準をはっきり守って厳正にやられているかどうか、この点をお聞きしたい。
  193. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 確かに先生の御指摘のとおり、線区によっては非常に最近客観情勢の変化で急激に線区のウエートが上がってきたと思います。たとえば房総線がそうでございます。従来は非常に三級線として特急も走ってなかった、電化もしてなかったということで、木まくら木あるいは古いバラス、レールは三十七キロというような線区でございましたが、電化及び最近の交通情勢に応じまして、レールは五十キロ、それからコンクリートまくら木、砕石化というものを進めております。ただし現在まだ一〇〇%はいっておりません。したがって、いってないところにつきましては特急といえども徐行で通しておるというような実情でありまして、極力われわれとしましては更換のピッチをあげて徐行を解除したい。あるいはああいう主要な線区については必要な個所は線増をしていただく。線増で列車の間合いをとって機械で保守するなり、あるいは単線に切りかえて、切りかえた、死んだ線路を早く二級線並みの線路に格上げをして、そして複線に適用するようなことを部内では関係個所と協議しているというのが実情でございます。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかくこれは資料を出してほしいと思いますけれども、格上げだけはやって、それで経営本位でやっていく、そういうものが負担に耐えかねて施設の荒廃を来たしているという現象は、やっぱり率直に反省しなければならぬと思うのですね。線路はそういう中で当然破壊される。そういう点から考えると、特に私は線路を保守するために保守要員というものを特別にそういうところには配置をする必要があるのじゃないか、格上げはやったけれども、さっぱり条件ははずれている、そういうところには保守要員を特に配置するという少なくとも対策が必要じゃないかというふうに思うわけです。これ、ちゃんとやられているかどうか。そういうことが非常に少ないために、ことにいま問題になっている八十三線区の場合には、過去三年間に軌道整備というのは非常に手抜きになったのじゃないか、一体どういう施策が行なわれているか、その八十三線区の問題なんかも明らかにしてほしいと思います。これは結局は国民の生命に関する安全の問題で放置できない問題であります。  それから時間の関係から次にもう一つお聞きしますが、この軌道整備が不十分のままに合理化が行なわれ、そして全く不安全な線路に特急や急行を運転して、多数旅客を誘致するような、そういう営業方針の結果は、房総線全線にわたるような安全性の低下としていま大きな問題になっていることは、これは明らかでしょう。しばしばいままでも委員会で論議されたことです。総武線、高崎線の問題なんかもこれと関連している。そこに何といっても経営中心主義がある。そうして再建法による安全性を無視した、しかも一万人を年々削減していく、これがまあ下積み、そして目に見えない保線全般に対してしわ寄せがなされていると、こういう点はあなたたちはここで弁解することはやさしいでしょう、私はしろうとだからね。だから実態はよくわからないかもしらぬからと、あなたたちのほうがやることはいいかもしらぬが、そうじゃなくて、ほんとうにこの点でいまなぜ問題が起こるのか、どうなに国会でうまい答弁をしたって、事故は減らない、ふえていっている。国民の不安はますますつのる、こういう現状からわれわれは目を離すことはできないわけですよ。この上に立たなければならぬ、この上に立たなければ国鉄の経営主義だけが優先してまかり通る、合理化がどんどん進行する、そうしてその結果が不測の事故につながるなどということでは、これは許されないことです。  私は運輸大臣にお聞きしたい。国鉄出身の大臣ですからこういう事情には通じていられると思う。先ほどから外注に対する再検討の問題も出てまいりました。全般的にこのような態勢についてほんとうにメスを入れるかどうかということは非常に重大な問題だ。だから国鉄総裁がこの問題にどう対処されるか、これに対して運輸大臣としてどのような指導方針を今後確立されるか、ここは非常に重大な問題だと思いますので、特に運輸大臣の決意をお聞きしておきたい。
  195. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 線路の保守が国鉄運営の基盤であるということは申し上げるまでもないことであります。この問題につきまして、いろいろと先ほどから各先生からの御注意もございました。国鉄当局もその点については十分に理解をしておると思います。  ただ保守というものは非常に技術的なものでございまして、いわゆる軌道構造とそれに加える線路の保守というものは、これは逆比例しておるわけですね。昔、私たちが仕事をやっておったときは非常に弱い軌道でありまして、常時手を加えておるというような保守方針をとっておった。ところが最近は、あるいは全世界がそうでございますが、むしろ軌道構造を強化して、しかも機械化を加えて線路保守の手数を省こう、こういう方向になっておることも事実であります。そういう点を踏まえて、国鉄当局では国民の方々に御心配のないように線路保守に万全を期するように指導してまいりたい、かように考えております。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま私が二、三指摘しました問題ですね、これは十分に御検討になる対象になりますかなりませんか。いま一般的にお答えになったのですね、これはもっともらしい御答弁なんです。しかし、とにかくわれわれは問題を提起しているわけですからな。単にここで苦言を言っているわけじゃない。われわれも調べもしたし、それからいろいろな意見も徴したその結果、非常に不十分でしょう、私の質問なんというのは、これは専門でもありませんし、十分でないかもしれません。しかし少なくとも国民が聞かんとするような、そういう問題の根本には、基本的な問題には触れていると思う。したがって、そういう点からの検討をされますか、されませんか。これは共産党の言うことだから聞かなくてもいいんじゃないかというようなものじゃ話にならぬと思うのです。どうですか。
  197. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 私がお答えいたしましたのは、岩間先生の御質問の趣旨も踏まえまして、国鉄のほうが検討するということを期待して御答弁申し上げておるわけであります。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 ことに国鉄に長くいられて、国鉄出身の運輸大臣としてこれは期待されているんですね。この前、奥羽線のある駅に行きました。そうしたら国鉄出身の江藤運輸大臣が出たんだけれども、田中さんのああいうやり方ではもう半月ぐらいで終わるかもしれない、どうも惜しいことだというような声を聞いたわけですな。期待があるわけですね、あなたに対して。それにこたえる、そこには勇気が要ると思うのですね。いまの点ではほんとうにもう少しやっぱり病根をえぐるような、いままでの一般的な答弁でわれわれはほんとうに耳にたこができるほど聞いているんだが、それじゃだめなんです。それは政治家の任務なんです。国務大臣としての任務ですから、そういう点については、私ははっきりしてほしいと思います。  次に新幹線の施設の問題について具体的にお聞きします。その前に、ここに国鉄総裁が出された、十月十五日に運輸大臣に答申した「新幹線の安全確保に関する対策について」なる報告書があるわけですね。   〔理事森中守義君退席、委員長着席〕 これを実施すれば、これは相当いまの問題は抜本的に解決する、安全を確保する、こういうことが、できるというふうにお考えになっていらっしゃいますか、どうです。
  199. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  運輸大臣からもおしかりを受けまして答案を出しましたが、私どもは外部から見たらいろいろのおしかりありますけれども、おしかりとかおほめとかに関係なく自分は安全を確保するのはどうするかということを考えておるんでございまして、運輸大臣に出しましたのは、根本は第一次につくったような車両は足は新しいんだなんていばってもだいぶ胴体は古くなっている向きもあるんで、これもだんだん第一次のやつを新しくすると。それから線路も岡山付近は六十キロになっているが、こっちは五十三キロだから、これも年齢からいったら二十四、五ぐらいの年齢で、まだ半分ぐらいしか寿命は来てないんだという議論もありますけれども、とにかくこれも太くいたしましょう、同時に架線の故障が多いので、架線ももう少しかたい構造にして、岡山付近みたいにかたい構造にして事故を減らしていこう——まあこれは架線をかたくするかやわらかくするか、学問上はいろんな議論があって、東海道はやわらかいほうがいいんだというので、やわらかかったら少しやっぱりかたいほうがしっかりしているぞというようなことでやりますので、これをやればだいぶよくはなりますけれども、じゃ現在動いているやつよりも格段によくなるかと言われると、どうもそれほどの自信はない。しかし現在よりよくなることは事実でございます。こういうふうに考えております。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは抜本的な対策というふうにはお考えになっていらっしゃらないわけですか。  運輸大臣にお聞きしますが、どうでしょう、これはお読みになったと思うが、これ実施したら相当よくなるんだと、しかし格段によくなるとは思っていないというような、たよりのない実際は答申なんだな。運輸大臣、どうお考えですか。
  201. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 神戸から博多までの新幹線は、実は十年間の新幹線の実績を踏まえてこれを行なっておるものでございます。したがって、この恒久対策なるものは十年間の経験を踏まえた山陽線並みの強化をするということでございますから、私は相当の効果がある、かように考えております。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは安全の報告なんですね、「新幹線の安全確保に関する対策について」ということですから、特に安全の問題での報告だというふうに考えるわけです。それで大臣のほうは、これをやれば相当やれると、十年間の経験を踏まえていると。総裁のほうは少したよりないですね、あの報告を出していながら。いいですかそんなことで。考えてくださいよ、ここで抜本的なのかどうか聞いてるんだから、あまり問題広げないでね。
  203. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 総裁は百点を期待しておられますのでそういうことばが出たと思うのでありますが、私ども事務的にこれを見ますと、本年度四月からのいろいろな事故を個々に昭らし合わせてみますと、その約六割はこれによって防げる、あとの四割につきましては非常に個々の特殊のものでございますので、それは個々にまた手を打ってまいりましたし、今後ともそういう問題について個々に十分な手配を打ってまいりたい、その恒久対策として大臣に報告した分については約六割ぐらいのものは防いでいけると、こういうことでございます。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 この論議、これだけやっているわけにはまいりませんけれども、六割ぐらいは、これはいままでの事故は防げると、こういうことですね。  それから道床についてまずお聞きしましょう。報告書によると、路盤噴泥、それから細粒化現象、こういう道床にとって重大な問題が起こっていることを指摘しているわけですね。これらの原因と予想される問題ですね、この起こる原因と、それからこれが事故とどうつながるか、こういうことについて、噴泥とそれから細粒化の問題について簡単に説明してほしい、われわれしろうとにもわかるように。
  205. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 噴泥と申しますのは、下から土が砂利の中に入ってきまして固結することをいいます。細粒といいますのは、高架橋の上で砂利がつぶされまして粉になって固まることをいいます。したがって噴泥の対策としましては、路盤改良といいますか、水は地下水を下げるような方法と一緒にやらざるを得ない。高架橋の細粒化対策としましては道床更換をいたしまして下にゴムマットを敷く、そうして砂利の耐用命数を延ばすということであります。  道床の噴泥あるいは細粒化が保安とどうつながるかということでございますが、保安的にはさしたる心配はありません。ただ保守周期が短くなる。いままで一年に一回タンピングでいいやつが半年に一回あるいは雨のあとすぐ一回タンピングをやらざるを得ない。雨のあとといっても相当の豪雨ですが、局部な点ですが、そういう点をタンピングで保守周期が短くなるという欠点はございますが、直接すぐそのままずばり安全につながるという性格のものじゃございません。
  206. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうですか。道床の問題そんなに簡単にできるのですか。これはやっぱり振動の問題とか、いろいろそういうなにを起こすのじゃないですか。やっぱり事故を多発させる大きな原因になってきたんじゃないですか。いま道床の問題大きな問題でしょう。レールを安定させるそのための道床、どうしたってここのところはもっと、いまのようなものじゃないと思うのですが、どうなんですか。
  207. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 道床につきましては先ほど申し上げましたとおり保守周期が短くなる、道床が悪くなると保守周期が短くなるということでございまして、直接そのままずばり直ちに保安につながるというものじゃございません。
  208. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもこれは了承しかねるんですがね、線路の安定からいって。しかもいろいろ、道床が十分になされていれば、これによって振動性とか、そういうものは吸収されるわけなんでしょう。ところが、実際道床が非常に不安定で、いま言ったような噴泥の現象あるいは細粒化の現象が起こったらたいへんですよ。そうでしょう。  どうですか。ところで東海道新幹線の場合、有道床区間というのは、これは大体一千キロですか、九百九十何キロでしたか。道床のないところは三十キロそこそこなんですよね、これは非常に少ないところで、これは鉄橋なんかで。いま話のあった盛り土区間での噴泥化、それから高架区間での細粒化によって道床としての弾力性、振動吸収などの機能に欠陥が生ずることは事実でしょう。レールの狂いを防ぐ役割り、そういう機能というものを果たしておるのが道床でしょう。そうでしょう。そういうために盛り土区間の厚さというものは、これはちゃんと基準できめられているでしょう、三百ミリメートルですか。高架区間はこれは二百五十ミリメートルですか。この基準が十分に保たれている区間というのは現在どの程度ですか、東海道新幹線では。
  209. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 盛り土区間は三百ミリです。隧道は二百五十ミリです。高架橋は二百ミリで当初施工いたしました。盛り土区間は先生のおっしゃるとおり砂利が路盤にめり込んでいく。めり込むのを防ぐためにCBR何がしかで転圧をしてその上に砂利を敷いてつくったわけですが、やはり日本の土あるいは天候で当初の計画よりもややめり込んでいく。したがって砂利がめり込んだあとへ砂利を補充しますから砂利そのものは非常に厚くなっているということでありまして、いわゆる砂利そのものは減っておるというわけじゃございません。高架橋の場合も砂利が逃げるわけじゃございませんが、砂利が粒になる、粉になる、それが固まって固結するということでございまして、厚さそのものは補充しますので変わりはございません。そういうのが実情であります。  それから道床が、先ほど先生が振動その他とおっしゃいました。確かに固結しますと振動は多いと思いますが、線路の狂いとしては縦方向に狂いが出る。これは十日に一回検測車を通しまして、その結果を見てすぐ即修をするというようにしてタンピングをやっておるというのが実情であります。
  210. 岩間正男

    ○岩間正男君 それで道床が不完全な状態ですね。そういうところはどれぐらいあるのですか。
  211. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 大体年間四十キロぐらいが不完全になっております。したがって、これは発生主義でございまして、悪くなったところ悪くなったところから取りかえております。現在の施工能力も大体四十キロぐらいでございます。
  212. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私たちここに資料をもらっているんです。これは静岡の保線区、これの何があります。そしてレールとかそれから道床の工事状態があるわけです。そういう中で、この道床が非常に不十分な、基準が保たれていない、こういう問題について組合のほうで調査をされた。そして横浜保線区の場合ですけれども、これは三分の一ぐらい欠陥があるんじゃないか、こういう調査の結果が出ているんですがね、これはどうですか。
  213. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 道床のいいか悪いかの判断というのは非常にむずかしゅうございます。たとえば隧道の中の道床なんて開設以来あまり悪くなっておりません。したがって横浜は確かに地盤の悪いところがございまして、砂利がめり込んでいって土が上がってきたということは知っております。ただ判断が、先生三十キロとおっしゃいますが、そのうちことしじゅうに取りかえなければいかぬのは何キロ、それからふるい分けだけで、少し長引かして来年取りかえなければいかぬのは幾らというようなものを私のほうは判断しまして、これは発生主義でやっておりますが、大体年間四十キロぐらい発生しておって、それに見合うように取りかえておるというのが実情でございます。
  214. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは定期修繕方式によると、道床更換というのは、まくら木、レールなどと同じように十年ということになっているんですか。発足以来十年を迎えたいま、その進渉状況はどうなっているのか、これが非常に聞きたいところなんだが、どうなんですか。
  215. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 道床の耐用命数というのは具体的にございません。これは先ほど申し上げましたように、客観情勢、地盤あるいは天候状態その他の条件によって全然違います。したがって開設以来、現在線でも道床更換していないようなところもあります。現在線のように速度のおそいところは、高架橋なんというのは、ほとんど道床は更換しない、しないでももつというように、それぞれの客観情勢によってかわっておるのが、実情であります。現在は先ほど申し上げましたように、年間四十キロぐらいずつ更換してまいりまして、開設以来トータルでは、軌道延長にしまして三百キロぐらい実績で更換しておると思います。
  216. 岩間正男

    ○岩間正男君 この更換がうまく進んでいますか。どうなんです。これは更換がなかなか進んでいない、そういう状態がこれはあると思うのですね。実際道床の更換をやるときは、深夜作業でしょう。実質作業というのは深夜ですから、十二時以後に現場に行ったって、四時ごろですか、四時間ぐらい。そしてあとで検査車が通るわけですか、それをやったあと。そういうことを考えると……。それから機械化という話がありましたけれども、これはバラストクリーナというやつは四、五年前から使えないでしょう、騒音のために。非常に能率があがらない。結局人力にたよる点が非常に大きくなってぐる。  そうすると、一晩一パーティー二十人と考えても、大体二十五メートルぐらいしかやれないというのが現状でしょう。これはこの前どなたかの答弁にもありました、これは私、速記録で読んだ。そうでしょう。さらに道床更換をした場所は、その後二日間というものは除行しなければならない、そうなっているでしょう。それからATCによる一閉塞区間三キロは除行しなければならない。そうすると、その区間を七十キロの速度で走れば、当然これは二分三十秒を要するわけです。そうすると、これは静岡だけでやっているわけじゃない、ほかのところもやっている。それから電気関係のそういうようなところを保守をやった、そういうところも除行しなければならぬ。そうすると、一運行余裕時間というのはこれは何分なんですか。
  217. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 東京−大阪間におきまして十分ないし十二分でございます。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私たちは八分から九分と聞いておるのですが、少し違いはあったにしても、これは時間の余裕が非常になくなる。そうすると、道床更換は遅々として進まない。一体全更換が終了するまでには何年かかるのか。先ほど十年の更換期間だということですが、私たちの調査したのとだいぶ違っておりますけれども、ほんとうにそうなんでしょうな。だから、こういうことですと私はたいへん時間がかかると思うのですよ。一キロやるのに四十日かかるわけでしょう。あなたたちのいま言ったのは、何か知恵をふるっていろいろ出しましたけれども、そんなふうには簡単にいかぬでしょう。ほんとうに安全な、そうしてレールを安泰にし、いろいろな振動というものを吸収できる、そうしてちゃんと機能を十全に果たすというような保守をやるためには私はたいへんな時間がかかるのじゃないかというふうに考えるわけです。  そうすると、こんな計算でいけばざっと考えたって二十年とか二十五年というようなものになるのじゃないですか。そうしたら東海道新幹線の道床更換というのは私はたいへんだと思うのですね。だから、報告書によるというと「機械化による高能率施行を前提として、保守基地の増強等を図り、周期更新体制を確立します。」と、こう書いているわけです。しかし、これはそう書いているけれども、具体的にいまのような点を細密に検討するというと、なかなかこれは、言うにやすく行なうには非常にむずかしい条件を持っているのじゃないか。そう思いますが、いかがですか。
  219. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 道床につきましては、立地条件によって耐年差が違うということは先ほど申し上げましたが、先生おっしゃるとおり一晩で一ヵ所一パーティー二十五名です。しかし先ほど御答弁しましたように、今後保守基地を増設したい。したがって基地から出ていく時間、帰りの時間が非常に短くなれば、それだけ作業時間帯がふえるというのが一つと、それから百十キロの臨速テコというものをいま検討してもらっております。これができますと七十キロで徐行するものが百十キロの徐行でいい。こうなりますと施工個所がふえる、余裕時分の中で施工個所がふえるというようなことで、パーティをふやしまして道床更換のピッチをあげたい。機械化といいますのは、現在まだ試作でございますが、バキュームカーのようなアイディアで、砂利を吸い取って入れていくというようなことも現在検討しておるので、はっきり書いてございませんが、そういうものをいま検討しておるということであります。  なお保守基地をふやしますと、砂利のフィードする時間、それからマルタイへ出ていく時間が非常に早くなって、帰りもゆっくり帰れるというようなことも、ホッパー車も含めまして検討いたしまして、能率をあげていきたい、かように考えております。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ、レールの問題をお聞きしたいと思いますが、道床の問題点は指摘しましたが、レールについてもほぼ同じことが言えると思います。レールの損傷は開業以来どのくらい起こっておりますかね。溶接部分と、中間部でも最近は非常に損傷していますが、これはわかりますか。これは分けて話してください。
  221. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) レールの折損は開設以来現在まで——二十二日まてですか、三百二十三件のレール折損が出ております。そのうち溶接部は大体九割ぐらいになります。二百七十八件が溶接部で折れております。その溶接部のうち約八割の二百十八件はテルミットであります。それ以外の溶接による個所の折損数は六十件で約二〇%、中間部では四十五件で十数%、こういうことになっております。
  222. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前衆議院でわが党の紺野議員がテルミット溶接部の除去について質問したわけですね。そのときの答弁では四十九年度に完了するというようなお答えだったと思うんですがね。この報告書を見ますというと、これは五十一年度というふうになっております。このおくれた理由は何なんですか。
  223. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 当初計画しました浜松のレールセンターの稼働が悪かったということと、レール溶接というのは非常に特殊な技術を要します。したがって、あまり全国にたくさん技術者がおりません。この技術者たちが山陽新幹線のほうに、最終的にうしろのほうに軌道工事が片寄ったために、たくさんとられたと、それが集約されてきたということと、六十キロレール更換、これが若干おくれましたので、そのために、五十三キロのテルミットを普通の溶接にかえて、またあとで六十キロにかえるというのは若干手戻りもあるものですから、その辺検討いたしまして、レールを六十キロにかえながらテルミットを取っていこうとすれば、五十一年度末にはできるだろう、五十二年にはできるだろうと、こう考えております。
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ溶接工が足りないと、それでまあ、そういう問題について、これは十分に検討された案じゃないということになるわけですかね。こういう問題について、この安全はどうするんですかね。まあ応急措置を何とかとっていく——まあ継ぎ目板でそこをつなぐからいいじゃないかとか、そういうことでは、これはまかり通れない問題だと思うんですがね。これはどうなりますか。
  225. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生のおっしゃるとおり、テルミットの溶接部は全部レール継ぎ目だけでございます。レールが折れますと、CTCのほうでレール折損の合い図が出ます。そうしますと列車は三十キロの徐行で通ります。その後、すぐ保線支所、保線所に連絡がございまして、信号と一緒に立ち会いまして、レールの折損個所を発見して、応急継ぎ目板を当てるとともに、レールボンドを当てます。その間十分間饋電停止いたしますが、レールボンドを当てますと七十キロに徐行速度を上げる。その晩に溶接部を取りかえるという手順をしております。したがってレールが折れますと信号機が赤になるといいますか、CTCセンターのほうでわかりますので、すぐ現地を調査して処置をするという体制をとっておりますし、安全のために継ぎ目板をかけておりますし、大体ロングレールは平均温度で設定しておりますので、レールが折れましても大きな目があかないというのが特色でございます。
  226. 岩間正男

    ○岩間正男君 ぎりぎりの保安度ですね。それにまかせていると、こういうことになるわけですね。いろいろ問題がこういう点であると思うのですよ。まあレールの損傷は累積通過トン数が五・四億トンであらわれるというような説明をしておられるのですね。五十六年度末までに五億トンと予想されておる。それまでにはレール更換は終了すると言っているんですけれども、現実には四十八年末の二・一億トンですでにもう損傷事件が起こっているわけです。こういう現状じゃないですか。こういう損傷が、先ほど話があったように、約三百件起こっているんですよ。そうすると、なかなかこれはたいへんなことじゃないですか。これはやはり大きな事故原因をはらんでおる、内包しているんですね。こういう問題とやっぱりもっとはっきり対決するという姿勢をとらなきゃならぬと思うんです。  だから運輸大臣に報告だけでまかり通るというわけにはいかぬわけですからね。この被害を受けるのはだれか。それは国民だ。そうして子供の親であり、人の親なんだね。そうなってくると、国民の安全を第一にするというようなことをさっきからしばしば言われている。しかし、そういう点ではいまのレールの更換、折損の問題これに対する対策というものも十分だと考えられないと思うんですね。まあレールの場合、これは定期修繕方式によるというと、この周期は十年で更換することになっている。何といってもレールというのは列車運転の命の綱ですからね、そういうところで国民の安全上重要な問題というのはやはり完全に解消してない。  最後に私お聞きしますけれども、こういう中で、国鉄は半日運休、これを四回やって保守を行なうと言っているわけですね。しかし、これで根本的な保守ができるでしょうか、どうでしょう。とりあえずということであるんですか、どうなんです。どういう考えですか。
  227. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 今回の点検はあくまでも点検でありまして、できる保守作業はやりますが、ちょっと先生御訂正さしていただきますが、新幹線の五十三キロレールは五・四億トンで疲労限度が来ると、これは継ぎ目の溶接部の疲労限度であります。母材そのものはもっともっともつわけであります。溶接部の疲労限度が、大体テルミットは弱いんですが、テルミットの疲労限度は大体五・四億トンくらいで疲労限度に達するので、それまでに取っ払って溶接部を取りかえてしまう。一番強い溶接はフラッシュバット、ガス圧接でありますか、これはあくまでも工場溶接。——どうしても現場で溶接をせざるを得ないんです、持ち運びで。これは諸外国は全部テルミットを使っておりますが、日本ではこれからは、高いしかも能率が若干悪いんですが、高いエンクローズド溶接を採用していく。エンクローズド溶接は非常にお値段も高うございますが、折損率がテルミットの半分以下になるということで、これに取りかえていきたいと、こう考えております。  レールは絶対折れないとは申しません。特に溶接部は弱うございます。その中で、テルミット、エンクローズド、ガス圧接、フラッシュバットそれから母材という順序になると思いますが、五・四億トンで疲労限度にくるということは、レールの溶接部について研究所が疲労試験をした結果五・四億トンでくたびれるぞと、こう言われておりますので、五・四億トンに達する五十数年前までにはレールを取りかえてしまいたいと、こう考えております。したがって、通過トン数にこれは比例するわけですから、通過トン数が相当伸びたとして考えて、五・四億トンに達するのは五十数年とわれわれは考えております。信号機が赤になってきますから、PTCセンターが赤になりますので、私たちはレールを折損した場合に応急手当を極力うまく、しかも早くやることを考えて、お客の迷惑の少ないように今後技術開発をやっていきたいと思いますし、レールの溶接についてはまだまだこれから技術開発もはかっていきたいと、こう考えております。
  228. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  229. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こして。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの定期修繕方式ではそうなってないじゃないですか。人員が少ないからさっきから問題になっているんですよ。どうしたって要員というのをもっとはっきり確保するという立場に立たなきゃ応急手当てとれないでしょう、実際。そこからやっぱり事故が発生する大きな原因があるんです。だから、そういう点から私はレールの問題と道床の問題でいま質問をしたわけでありますけれども、こういう点ではどうしても国民の安全上重大な問題をかかえておる。六〇%という話がありましたけれども、はたして六〇%も可能性があるのかどうか。かりに六〇%を解決したとしても、やはり依然として敵は内包されている。だから私はこういう点で、この恒久対策そのものをもっともっと具体的に検討しなきゃなりません。とにかく、はたしてこれで安全が確保されるのかどうか、十分にやはりいま質問した問題だけでも、われわれはわれわれの疑惑を払拭することはできない。  私は、そういう点から、これは総裁並びに運輸大臣に最後に申し上げたいんですけれども、何といっても、安全確保に必要な十分な要員を確保するという条件をほんとうに具体化するということ、これは絶対に必要なんです。したがって、そういう点から考えますというと、再建法それから新保守体制、こういうものについてはもう十二分にこれは検討する必要が来ていると思うんですね。再建法を改める、新保守体制もちゃんと緊急なそういう場に間に合うような、そうして、ほんとうに保守のそういう組織、いままで持っていた保線区にそのまま戻れということじゃありませんけれども、とにかくそういう体制を含めたところの体制をつくる必要があるんじゃないか。  もう一つは、スピードや過密ダイヤを改める、そうして十分に保守の間合いがとれる体制を確立する。このようなことが、少なくとも当面これは新幹線をめぐっての、新幹線だけじゃありませんけれども、この保安のために必要なんじゃないかと思いますが、最後に総裁と運輸大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  231. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 毎度申し上げておるように、安全の問題はすべてに優先する問題でございまして、経営の合理化と申しましても、安全を犠牲にして経営の合理化したなんというのは理屈にも何にもならぬので、先生の御趣旨は十分体しまして努力を重ねたいと、かように考えております。
  232. 江藤智

    国務大臣江藤智君) 国鉄総裁のただいまの意見と全く同じでございます。
  233. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 本日はこの程度にして、これにて散会いたします。    午後六時十一分散会