○山崎竜男君 ただいまから第三班の派遣報告をいたします。
派遣委員は、私と森中
委員の二人で、去る九月十七日から二十日までの四日間にわたり、福岡県、
宮崎県、熊本県下の運輸
事情を
調査、視察してまいりました。
まず、その概要を申し上げます。視察いたしました空港は北九州空港、
宮崎空港、熊本空港の三空港で、港湾
関係としては、北九州港、博多港、
宮崎港、及び熊本新港、三角港であります。また
山陽新幹線の
工事状況、日立造船有明
工場、航空大学校、全日空乗員基礎訓練所を視察し、
宮崎県庁、熊本県庁を訪問、両県知事より県内運輸
関係についての要望を聴取してまいりました。なお
国鉄九州総局及び九州海運局等、運輸省地方機関から管内
事情を聴取してまいりました。
以下順次御報告いたしたいと思いますが、
関係当事者からはそれぞれ詳細な資料が提出されておりますので、現地の特徴的
事情あるいは要望事項等を中心に、その概要を御報告することといたします。
最初に運輸省地方機関の管内
事情の主なる点について申し上げます。
まず海運行政について申し上げます。九州海運の特色としては、管内には離島が多く旅客定期航路の六七%は離島航路である。その航路の改善をはかるためには、船舶建造資金の調達、離島各港湾
施設の整備を促進する必要がある。また最近長距離フェリーが急速に伸びてきているが、そのメリットを発揮するためには、船質の向上、港湾
施設、接続道路の整備が必要である。特に
安全対策については指導の徹底を期している。また内航海運の近代化を進める上で、集約統合等が今後の課題であるとのことでありました。なお三角において海運局支局の管内
事情の説明がありました。
次に、陸運行政について申し上げます。九州管内では最近路面
電車の輸送量が減少しており、それにかわる大量高速輸送機関として福岡市における地下鉄、北九州市におけるモノ
レールの
建設が進められている。管内の中小私鉄は利用客が減少しており、
経営難にあえいでいる。また過疎地域のバス事業の
経営も苦しく、これらの地域交通の維持をはかるためには国の助成策の強化をはかる必要があるとのことでありました。
また管内の自動車数はこの十年で約六倍の二百八十万台に達しているが、定員の増加はほとんどなく、陸運行政の高度化に対応するため、定員増について特段の配慮をしてほしいとの要望がありました。なお熊本において、陸運事務所より県内
事情の特色等についての説明がありました。
次に、海上保安業務について申し上げます。管内の要救助海難はここ数年おおむね横ばいの
状況にある。日韓
関係については、漁業協定締結以来韓国漁船によるいわゆる専管水域侵犯は
昭和四十五年以来減少し、昨年は百十七件と最低を記録したが、本年は増加の傾向にある。また海洋汚染発生
件数は
昭和四十四年以来増加し続けてきたが、昨年初めて減少のきざしが見えてきたとのことでした。なお管内の巡視船の大部分が船齢二十年をこえており、巡視船の代替建造の促進とあわせ、航空機二機の増強についての要望がありました。なお三角において海上保安部より、現地における航行
安全対策の実施
状況等についての説明がありました。
次に、航空行政についてでありますが、九州地区の各空港の利用
状況は需要増加に対応して年々増加の傾向にあり、今後は航行援助
施設と空港の整備促進をはかるとともに、特に空港周辺における騒音
対策については行政機構上、大阪、福岡の両空港に騒音
調査室を設ける等、真剣に対処しているとのことでありました。
次に、港湾行政について申し上げます。管内の港湾整備は五カ年
計画の線に沿って順調に
工事が進んでいる。最近新たに追加された航路の管理、海洋汚染防除に関する事業等、港湾環境の整備について
努力している。特に油回収船の建造については今
年度発注、五十
年度完成をはかりたいとのことでありました。なお熊本において八代港
工事事務所より、八代港改修事業等について説明がありましたが、今後増大する
工事量に対応しての定員増についての要望がありました。
また門司海員学校より海員学校教育制度のあり方、第三期新営
工事の促進等についての要望があり、日本
鉄道建設公団より九州地区における新線
建設の
状況等について詳細な説明がありました。
次に、
国鉄地方機関等の管内
事情について申し上げます。九州における旅客、貨物の収入割合は、
昭和三十七
年度を境とし、旅客収入が優位に転じ、その後旅客は順調に伸びている。これに対し貨物収入はエネルギー革命による石炭輸送等の減少により横ばい状態で、昨
年度は旅客七十四対貨物二十六の割合にまでなった。総局としては通運との
関係を調整し、省力化を促進する等、貨物輸送体制の改善をはかっていきたい。なお九州地方のコンテナ基地である箱崎基地の整備は順調に進んでおり、
昭和五十年三月には
営業開始ができる見通しであるとのことでした。また熊本鉄道管理局では、管内貨物輸送量の伸びは全国平均を大きく上回る実績をあげているとの報告がありました。
ここで
山陽新幹線の
工事状況について申し上げます。われわれは新関門トンネル、及び北九州市地区の
工事現場を視察いたしましたが、
工事規模の雄大さ、技術の進歩にまずもって驚異と敬意を表した次第です。
工事はいずれも順調に進んでおり、来年三月上旬の
営業開始に向かって着々準備を進めているとのことでした。
次に、今回視察いたしました空港、港湾について申し上げます。まず北九州空港ですが、滑走路千五百メートルでYS11型機により、北九州−大阪間一日十四便の運航が行なわれておりますが、同空港は三方が山に囲こまれ、周辺は市街化されており、現空港の拡張はきわめて困難な立地条件となっております。しかしながら北九州都市圏の航空旅客は百万人と推定されており、北九州市より第三次空港整備
計画に新空港の
調査、
建設計画を織り込んでほしいとの強い要望がありました。
次に、
宮崎空港ですが、滑走路千八百メートルで一日に全日空(東京−
宮崎等)三十六便、東亜国内(福岡−
宮崎等)十四便がボーイング737型機等により運行されています。また航空大学校の小型機が一日百回程度の離発着数があるとのことでした。同空港の利用客は昨
年度で百二十五万人を突破し、なお年々増加の傾向にあり、
宮崎県としては滑走路の延長を実現したい意向でありますが、立地条件からみて延長は海側に向かって伸ばすことになるわけで、現在地元利害
関係者との調整がやや難航しており、
工事着工は今後の課題となっております。
ここで
宮崎空港内にある航空大学校について申し上げます。本校は運輸省の設置するパイロット養成機関で、一学年百三十五人の定員で、高校卒二年六カ月の教育過程を経て、事業用操縦士の資格の取得に必要な技能を習得させることにしている。最近の航空界はジェット化、大型化が急速に進んでおり、これに対応して教育の充実、強化をはかる必要があるとのことでした。
次に、態本空港について申し上げます。同空港は
昭和四十六年から旧空港にかわり供用が開始されたものであり、滑走路は二千五百メートルで、全日空(東京−熊本等)十六便が運航されております。空港の立地条件はきわめて良好で、騒音問題等も少なく、県は周辺土地をすでに買収しており、将来の拡張にも十分対応できる態勢になっております。現在、大型ジェット機が就航できるよう滑走路のかさ上げ
工事が進められており、
関係者からその早期実現が要望されました。なお同空港に隣接してある全日空乗員訓練所を視察いたしましたが、近代的
施設による充実した訓練が行なわれていましたことを御報告しておきます。
次に、今回視察いたしました北九州港、博多港、
宮崎港、熊本新港、三角港について申し上げたいと思いますが、それぞれの港湾管理者から、取り扱い貨物量の推移に対応した詳細な港湾整備
計画が資料として提出されておりますことを御報告しておきます。
ここで
宮崎港と熊本新港について申し上げます。
宮崎港の整備
計画では特に自然環境との調和に特段の配慮がなされていることが特色となっており、また熊本新港は海上港湾としての新しい構想が特色となっております。また熊本新港の開発が今後の三角港の運営に与える影響については十分な配慮が必要であると思われました。
次に、日立造船有明
工場についてですが、同
工場は熊本県の有明地域開発
計画に基づいて造成された臨海地区に
建設された世界的規模の超近代的
工場で、昨年四月から操業が開始されております。第一船は本年十二月に引き渡すことになっており、同
工場は今後のわが国造船界の発展に寄与するものと思われます。
最後に、
宮崎県、熊本県からの要望事項について申し上げます。
宮崎県からは、
一つは大型ジェット機が就航できるような
宮崎空港の拡張整備促進について。二つは油津港、細島港、
宮崎港の整備促進について。三つは東九州
新幹線の早期実現について。四つは日豊本線の複線電化の促進及び高千穂線の
工事促進等であります。
また熊本県からは、
一つは熊本新港の整備促進について。二つは熊本空港の拡張促進と騒音防止法の特定飛行場指定について。三つは九州
新幹線の早期着工と県内四停車駅の実現等について。四つは県内の重要課題である水俣湾のヘドロ処理についてでありますが、特にこの問題は
工事方式、費用
負担の
方法等問題も多く、
工事促進について特段の配慮をしてほしいとの強い要望がありました。
以上で報告を終ります。