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1974-10-14 第73回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月十四日(月曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 山崎 竜男君                 森中 守義君                 三木 忠雄君     委 員                 石破 二朗君                 岡本  悟君                 橘  直治君                 平井 卓志君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 加藤  進君                 和田 春生君                久次米健太郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        内閣官房長官  大村 襄治君        原子力委員会委        員        山田太三郎君        科学技術政務次        官        中村 禎二君        科学技術庁原子        力局次長     福永  博君        科学技術庁原子        力局原子炉規制        課長       中村 守孝君        運輸省船舶局長  内田  守君        運輸省船員局長  山上 孝史君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        日本国有鉄道理        事        山岸 勘六君    参考人        日本原子力船開        発事業団理事長  佐々木周一君        日本原子力船開        発事業団理事   堀  純郎君        日本原子力研究        所東海研究所副        所長       天野  昇君        立教大学教授   田島 英三君        日本原子力研究        所労働組合副執        行委員長     青柳 長紀君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (原子力船むつ」に関する件)  (国鉄の運転保安問題に関する件)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) それでは、ただいまから運輸委員会開会いたします。  中村政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。中村政務次官
  3. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 本月の一日に当委員会が開催されまして、大臣出席を強く要求されておりましたにかかわらず、大臣がよんどころない事情出席ができなかったために、たいへん皆さんに御迷惑をおかけいたしました。そこで委員長はじめ森中委員から強く御発言がございまして、大臣がおるのにかかわらずなぜ大臣出席しないのか、国会並びに委員会無視ではないかという強い御発言を賜わったのでございます。なおまた、私に対しましても、次回の十四日の委員会にはぜひ出席をさせるようにというような強い御要望もございました。そこで私はさっそく大臣にお目にかかりまして、この委員会の模様、また委員長森中委員の御発言内容等を率直に伝達をいたしまして、十四日の委員会にはぜひ出席をなさるように申し上げておったのでございます。  私は、土曜の日から所用がございまして長崎に帰っておりましたが、土曜の午後、官房長から電話がございまして、大臣が医者の診断の結果どうしても一週間程度は安静をせなければいけない、入院をせなければならない事態になったので、早急に帰ってほしいというような連絡がございましたので、私は昨晩十一時ごろ宿舎に帰ってまいったわけでございます。  大臣病状等につきましては、あらためて官房長からお話を申し上げますが、本日、再度、大臣出席できないことをたいへん遺憾に存じます。皆さんに申しわけないというふうに考える次第でございます。
  4. 森中守義

    森中守義君 いまの政務次官の御趣旨は御趣旨として承っておきます。  ただし、そういう技術庁長官出席できないということを前提にして委員会を開いているのではない。これは前回の経過もありますし、それから参考人皆さんにもこの前はたいへん無礼なことになっておりますから、そういうことなども踏まえながら、委員会開会をせざるを得なかった。もちろん長官の病気がはたしてほんとうであるかどうかは疑いもあります。しかしながら官房長官にはあとで来てもらいますから、その際にこの件についてはもっと克明に議論をすることにいたしておきます。  ただ私が、個人の見解としては、長官不在のまま委員会開会してもよろしいという意向を固めましたのは、森山技術庁長官はすでにその任にない、そういう人を相手に幾ら話してみてもしようがないというようなつもりでやっているわけですから、政務次官の御意向は御意向として聞いておきますけれども、長官の欠席を承知の上で聞いているということではございませんので、そこのところはよく了承願っておきたいと思います。     —————————————
  5. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のうち、原子力船むつ」に関する件について、本日、参考人として、日本原子力船開発事業団理事長佐々木周一君、同理事堀純郎君、日本原子力研究所東海研究所所長天野昇君、立教大学教授田島英三君及び日本原子力研究所労働組合執行委員長青柳長紀君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 森中守義

    森中守義君 田島参考人、たいへん御多用中をありがとうございました。日程の御都合と承りましたので、最初にお尋ねいたします。  原子力委員として約一年有半在任されましたが、この間にお気づきになった点、特に原子力基本法で定めてある民主自主、それに公開、この三つの原則が今日の原子力行政上正確に守られているかどうか、このことを最初に承りたい。
  9. 田島英三

    参考人田島英三君) ただいま御指名いただきました田島でございます。  私は、いまお話がありましたように、一年数カ月原子力委員会委員をつとめさせていただきましたんですが、つとめた当初から、私は、日本原子力開発につきまして、安全、環境問題について施策を施さないと、原子力開発が滞ることがありはしないかとかねてから主張してまいりました。で、いまの原子力行政体制と申しますか、それはどちらかといえば日本原子力開発をやり始めた当初のままにきておる次第であります、そのように感ずるわけです。当初ですから、当然のこと、原子力推進という面を大きくとらえまして、どちらかといいますというと環境安全の問題に対する配慮が足らなかったことを私就任いたしまして感じたわけであります。  ところが、特に最近、昨年以来のエネルギー危機を境にいたしまして、この原子力開発推進が叫ばれておるわけでありますが、これを推進するにしましても、環境安全問題の点が重視されなければ結果的に推進がかなわないだろうというふうに感じまして、原子力委員に就任して間もなく——私は非常勤原子力委員に就任したのでありますが、環境安全問題の常勤委員を加えてほしいということを申しておったわけであります。ところが、実際はそうならなくなって今日のようなことになったんでありますが、私が最も強く考えましたことは、もう少し環境安全問題に日本政策として力を入れるべきである、そうしてそのために諸施策、諸政策あるいは諸体制を変えるべきであるということが一つの点であります。今後の原子力開発はこの点が解決されないと、おそらく立ちどまるのではなかろうかというふうな気がいたします。その端的なあらわれが今回の「むつ事件であるだろうと、そういうふうに考えるわけです。  「むつ事件につきましては、おそらくこの日本原子力推進のしかたのいろいろな弱点があの「むつ事件というかっこうで出ているというふうに私は感じておるわけです。  ただいま、ことにこの原子力を進める上に原子力基本法にありまする三原則民主的な運営というもの、あるいは公開という原則が守られない限りは、おそらくいまの国民理解が私は得られないんではなかろうかというふうに感じております。  私の辞任の問題につきましても、一つ理由は、環境安全問題の常勤委員を加えてほしいということがかなわなかったのが一つ理由でありますが、もう一つ理由は、今回の人事の取り運びが民主的でなかったということがもう一つ理由になっております。で、私はかねてから民主的に人事が運ばれるということを聞いておりましたし、また民主主義というものが非常に人事に重きを置くことは御承知のとおりでありますので、重要な原子力委員人事が非民主的に行なわれたと私は思っておりますので、この点で原子力開発に非常に支障を来たす、あるいは私としてはその原子力委員の職責を全うすることがかなわなくなったというふうな判断に立ちまして、そこで原子力委員辞任いたしたわけであります。  しかしながら日本原子力を進めるということは、やはり私としましてもこのエネルギー危機に重要な課題であることを十分承知しておりますので、かりに今後の人事として民主的に行なわれる保障がありますならば、私は実は原子力委員会に先輩の方々の御意見をいれまして戻ろうと思いましたが、それもかないませんでしたので、辞任をいたす決意を固めたわけであります。今後の原子力委員会人事、これは非常に重要なものと私は考えておりますが、この人事がいままでのことは別として、今後は民主的に行なわれるという保障がもし得られるならば、私は原子力委員会にとどまろうというふうに決心をいたしたのでありますが、実はその保障も得られませんので、ついにやめ、ざるを得なくなったというのが実際であります。私のことばかり申し上げましてたいへん恐縮でございますが、このようなことが私はひいては日本原子力に非常に挫折——まあ挫折と言っちゃちょっとオーバーな言い方ですが、非常に支障になるというふうに考えたわけであります。  さらに、これからの原子力開発国民理解のもとにやるためには、公開という原則が非常に重要な点であろうかと思います。原子力委員会では、私の在任中のことでありますが、いささか書類公開する段階に相なっておりますが、これはもう少し徐々に公開内容をふやすべきであるだろう。この公開内容も、極端に公開を一度にやるということもいろいろ差しさわりがあろうかと思いますので、私在任中にいささかの書類公開に踏み切ったわけでありますが、それをさらに公開の方向に持っていくべきであるだろう、こういうふうに考えております。  それから自主ということがありますが、これに一々お答えしなければいけないかと思うんですが、今度の「むつ」の問題について申しますというと、これは過去の話に相なりますけれど、原子力船——舶用炉というものは私の考えでは設計その他の制約が非常に陸上炉と違ったものがあるように思います。それはスペースの点あるいは重量の点、それからもう一つ原子力発電発電用の炉に対しての技術公開度程度舶用炉に対する技術公開度程度は、はるかに舶用炉のほうが低い段階になっている。要するに簡単に申しますというと、原子力発電のほうはかなり技術公開がされておるけれども、舶用炉のほうはそもそもが原子力潜水艦で発達したような経過もございまして、技術公開程度が低いのではなかろうかと思います。こういうものに対する自主的な開発体制というものをわれわれは今後考えなければいけないんじゃなかろうかというふうに考えております。いろいろ問題があります場合には、これはたとえば原型炉から始める、そこで種々の検討を行なった上で本番をやるというふうな原型炉推進のしかたを一つ自主開発の問題として考えなければいけなかったんではなかろうかというふうに考えるわけであります。  最近は、国際協力によって、たとえば安全問題を国際協力によって解決すると申しましても、これは日本自身がある種の特色のある研究をしないと、ほんとう国際協力がかなわないという状況になっております。たとえばある研究に金を出す、研究費を出すというだけではほんとう国際協力は得られない。私は、この前、たとえばアメリカ使節団が来た場合にもつくづくと感じたのです、日本日本独特の研究を持っていないと。しかしながら、それは安全問題、かりに安全問題全般にかかわらなくても、安全問題のうちの特殊な日本独特の研究課題を持っておりますというと、そうすると相手の国とのほんとう国際協力がかなうわけであります。  で一例を申し上げますというと、たとえばアメリカ使節団が参りましてもソ連の使節団が参りましても、日本原子力開発地震に対する研究開発はどうであるかということをよく聞かれるわけですが、私は、一つの例として、日本地震に対する自主開発を行なうということによって、そうすることによってほかの分野の安全問題の研究に広げることができるというふうに考えております。これは単に研究費の一部を分担するというふうなやり方では、今後は、日本ほんとう意味国際協力はできないと思うのであります。で、これこそほんとう自主開発ではなかろうかと、そういうふうに考えておるわけです。  どこまでお話ししていいかわかりませんですが、一応この辺で……。
  10. 森中守義

    森中守義君 逐次お尋ねいたしますので、そのおつもりでお願いします。  いまのおおよその御意見でよく理解できました。それと九月十日付の「エコノミスト」で対談をなさっている内容があります。これも私一通り拝見をいたしまして、いまお話しいただいた内容とほぼ同様であり、結論としては民主自主公開の三原則は残念ながら今日の原子力行政の中に生かされていない、こういうことを私は深く感じました。  そこで、一体、何がそうさせているのか、こういう問題ですが、その中の一つ委員長国務大臣である技術庁長官が兼務しておる。このことはどういうふうにお考えになるのか。
  11. 田島英三

    参考人田島英三君) これは原子力委員会性格をどうするかということにもよろうかと思いますが、いまの原子力委員会性格が一口で申しますというと、非常に権限責任範囲が分明でない、はっきりしてないというようなところがあるわけです。実際上はかなり行政面に接触する場合が往々あるんですが、性格的には諮問委員会かっこうをとっておるわけです。この辺のところは私よりもむしろ科学技術庁事務局その他の方にお伺いしたほうがいいかと思いますが、原子力委員会と申しましても、アメリカ原子力委員会日本原子力委員会とは非常に雲泥の違いがございます、権限にしろ、責任範囲にしろ、スタッフの量にしろ。  で、どういう原子力委員会であるべきかということが一つ問題になりますが、私は、やはり本筋から申しますと、原子力開発という問題には時の政府の行政があまり入らないほうが本来のかっこうに、本来のいい姿の原子力開発ができるのではなかろうか、そういうふうに考えております。したがって原子力委員会性格づけにもよりますが、もし強力な原子力規制、この原子力委員会性格一つとして、国民の安全のために規制の面を強く出すという場合には、その原子力委員長国務大臣が兼務されないほうが国民信頼を得るゆえんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  12. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結局、科学者の良心に沿わない、あるいは研究開発調査審査、こういうものにかなりの制約がある、こういつたように認識をしてよろしいんですか、現在の体制は。
  13. 田島英三

    参考人田島英三君) この原子力委員会が完全に、何といいますか、大学の研究所のような意味科学的であるというわけには私はいかないと思うんです。要するに原子力委員会というのは科学政治との接触面であるような気がいたします。科学あるいは科学技術の面と政治の面との間に立つのが原子力委員会であるだろうと思います。したがって原子力委員会は全く科学的な議論ばかりをやっていいともぼくは思わない。やはり日本原子力開発にはどうしたらいいんだろうかというようなのは、それだけでは済まないんじゃなかろうかというふうに考えております。しかしながら、その議論科学的技術的な見解によって裏づけられておるものでなければならない、政策が裏づけられておるものでなければならない、そういうふうに考えておるわけです。  で先ほど非常になまなましい御質問を承ったわけですが、いまの原子力委員会は非常に科学的なものを曲げていやしないだろうかというふうに御質問があったように承っておりますが、そうですか。——私はそのようなはっきりした証拠といいますか、事例を実は持ち合わせていないので、お答えようがないわけですが、いまのは、たとえば科学的に検討したことが白であったのを黒としろというふうなことがあったかという事例は私は経験はしておりません。
  14. 森中守義

    森中守義君 そこでちょっと内容的なものをお尋ねいたしますが、いまの体制で安全ということが十二分なものとして確立されているかどうか。少なくともこの対談の中でお話しになっている内容からいけば、全く安全体制というのはもう幾ら希望しても満たされていないんだ、こういう指摘があっているわけですね。そこで炉規制法の二十八条で、使用前の検査がやられねばならぬ、こういうことがきめられている。ところが実際問題になりますと、使用検査というものは船舶安全法にゆだねられて省略できる、ここが一つ私は問題だと思う。  つまり設置許可が出る、これが一定の許可基準によって安全専門審査会に付され、そのあと設計及び工事方法認可が行なわれる、ここまではいい。でき上がったものは、現在のパターンからいくならば、直ちに運輸省船舶としての検査に移される、ここで安全性が最終的にチェックされる、こういうようなコースなんですね。私は安全審査、その専門審査というのが権威あるものだとは思います。けれども、そのあと設計及び工事方法認可が行なわれて、それから工作に入る、今度の「むつ」のような問題もどうもやっぱりこの辺に少し問題があったように思う。  ですから、ここでお尋ねしたいのは、一つには使用検査というものをやはり原子力委員会が握るということ、もしくは安全体制というものが環境庁に移っていくということ、こういう方法も私はあると思う。環境庁原子力委員会技術庁ができたあとに生まれたわけですから、そこまで目が届いていないんです。だから、これからほんとう安全体制を確立していこうというならば、ひとり船舶安全法による検査に最終的なものは依存しない、その前に自前で何かチェックする方法はとれないのか、あるいは環境庁にこういうものは移されないのかということ、こういう具体的な問題が一つ出てくるんですが、こういうことについてはどういったようにお考えでしょうか。
  15. 田島英三

    参考人田島英三君) 初めに、安全かリスクがあるかという問題ですが、私はこの問題についてはこう考えております。  安全というのは、もうこれで安全であるという段階はいつになっても出てこないだろうというふうに考えております。安全と危険との何といいますか、緊張関係において私は安全が保たれるんだろう、そういうふうに考えております。要するにこれでおしまいだということにはならない。その緊張があることが実は安全を、裏返していえば、保つ要因になっている、そういうふうに考えます。  それから、あとのほうのお話ですが、安全審査関係のことを申された御質問があったように承っておりますが、いまの体制を私なりに見ますと、これはそちらの方面の専門でないから誤りがあるかもしれませんが、私は原子力推進規制とがいろんな省庁間に分散しているということが何としても安全を確保する上に支障を来たし、国民信頼も得られない一つの原因ではなかろうかと思います。その辺の事情は私がとやかく申すまでもなく御承知だろうと思いますが、総理大臣に施設の申請がありますというと、原子力委員会諮問がまいり、原子力委員会では一見理解できるようなこと以外のものは安全審査会にはかる、安全審査会においてはそれの基本的な事項について審査をして原子力委員会に答申し、原子力委員長総理大臣に答申するということになっておりますが、詳細設計については、ただいまお話がありましたように、原子力発電所については通産省、船舶については運輸省というふうに分かれるわけであります。  それで、ここで一つ問題になりますのは、基本的事項というのは何かということがぼくは非常に大きな問題になるだろうと思うんですが、基本的事項というのは私は基本設計は当然含まれるべきものではなかろうか、そういうふうに考えておるわけです。で詳細設計というのは基本設計機能をそこなわないで建設のための詳細設計であるべきであって、基本設計機能がそこなわれるような詳細設計はやってはならないというのが当然のたてまえであろうかと思うのであります。  今回の「むつ」の問題が、これは私は「むつ」の許可申請書を拝見しておりませんので、今度の問題がどこの辺に位置するのかがはっきりわかりませんですが、安全審査会のほうの答申は拝見いたしております。手元にありますんですが、これを読みますと、何ともどうも申請書を見ないとどういうことを意味しているのかよくわからない点がございます。  私は、かりに今度の「むつ」の問題が原子力委員会の問題として問題になるならば、あの遮蔽のやり方がどこでああいうふうになったのか、鉛の上にポリエチレンあるいはパラフィン等々のものが抜けたのかというところが非常に問題になるのではなかろうか、そういうふうに考えるわけです。この材料は何を使うかということは私はまさに基本設計の一部であるだろう、そういうふうに考えるわけです。したがって、ここでは、どこがどうということがどこのところに一その審査運輸省のところの段階なのか、安全審査会段階であるのか、審査報告書その他の資料がないと判断がつきかねるんですが、問題はその辺にあるだろう、そういうふうに思うわけであります。  以上、何か答え落としたことがございましたら……ちょっとたくさん過ぎますと忘れてしまいます。
  16. 森中守義

    森中守義君 それから、いま一つお尋ねして他の質問に入りますが、確かにこの対談で指摘されておりますように、推進規制、この辺のバランスがどうもいま失われておる、こういうお話のようですが、実際、この一年有半の経験の中からそういうことをお感じになりますか。  要するに、規制が非常に重視さるべきでありながら、推進のみがひた走りに走って、そのことがさつきお話しになりましたように、安全担当委員を、しかも常勤で一名参加さすべきだという、こういうことがその主張のあらわれかと思うのですが、どうお考えになりましょうか。
  17. 田島英三

    参考人田島英三君) 結論的にいまおっしゃったとおりでありまして、いまの体制は、先ほど申しましたように、日本原子力開発初期においてつくられたものであるのではなかろうか、それ以後多少の手直しはあったと思いますけれども、根本的に推進が主であったんではなかろうかと思います。私はそれはいままではそれでよかったと思うわけです。  これから、エネルギー危機が叫ばれなくても、おととしかの原子力開発長期計画にありますように、五十五年三千五百万キロワット、昭和六十年六千万キロワットという原子力発電を遂行するとするならば、これは遂行するようにするのが私は原子力委員会の重要な役目である、こういうふうに考えておるわけです。そういたしますと、私はいまの体制をもう少しというか、大いに安全環境問題を重点に置いた施策といいますか、体制をとらないというと、長期計画にいわれているような目標は達せられない。私はいまやもう達せられない時期にきているのじゃなかろうか、こういうふうに思っておりますが、しかしながら原子力委員会としては原子力委員会でみずからきめた長期計画は当然達成しなければいけない、努力しなければいけないはずのものであろうかと思います。そういたしますというと、それを達成する、できないまでも努力をする一つとして、私は安全環境問題に力を注がないというと、おそらくできないであろう、そう考えます。  これはまあ私一人が言っているばかりではなしに、そういう御意見の方はほかにも聞きますので、私特有の意見ではない、そう思っております。
  18. 森中守義

    森中守義君 ちょっとそれでは運輸大臣のほうにお尋ねいたしますが、現在の「むつ」は船としてどういう立場にあるのですか。つまり国籍証書は出されているのかいないのか。もちろん検査証書というのはこれからでしょうが、この辺どうなっているんでしょうか。
  19. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 国籍証書は出ているそうでございますが、船としての検査証書はまだ出してないというのが実情でございます。
  20. 森中守義

    森中守義君 どういう段階で国籍証書は出るのですか。
  21. 内田守

    説明員(内田守君) 国籍証書は、船が完成というのは安全問題じゃなくて、物理的にその船が走れるような工事が全般的に完成したときに国籍証書というのが交付されるわけでございます。  一方、それに対する安全を確かめるための船舶安全法の面から、いろいろ堪航性等の検査があるわけでございますけれども、それは御承知のとおり現在検査中の船でございますので、いわゆる普通の船でいえば試運転の段階の船であると御運解いただきたいと思います。
  22. 森中守義

    森中守義君 それでは、今回の八百キロ沖合いの洋上における出力上昇試験というものは、これは炉の工作過程の一試験であったのか、あるいは船の製造検査もしくは完成検査、こういう中のどれに該当するんですか。
  23. 内田守

    説明員(内田守君) 先生御承知のとおり、船の検査の場合には、工作設計、それから工作、それから性能試験という段階を踏まえて検査というものは行なわれるわけでございますけれども、部分的な性能の試験、船全体の性能試験、いろいろこう複雑に分かれておるわけでございます。  したがいまして今度の「むつ」の状態は一言で言えば船としての最終的な試運転ということになりますけれども、その試運転というのは、それまでの工作、あるいはそういうようなものの結果が妥当であるかどうかということを見る一つの手段として工作あるいは完成検査という意味も含まれておるわけであります。したがいまして今度の状態が性能試験であったか、あるいは工作の試験であったか、あるいは完成試験であったかというふうに分類するのはちょっと困難だと思います。
  24. 森中守義

    森中守義君 なるほどね、まあそういう総合的な意味合いと言われると、そうなのかと思うんですがね。  しかし、今回やってみてよかったならば、完成したということで合格証書出すんでしょう。ですから、もうちょっと詰めたところで、では今回洋上に出た出力上昇試験というものは完成検査であったというふうに言い切れるんじゃないですか。私が聞こうというのは、要するに湾からいかりをあげて出ていった、そこの主役はだれであったのか、つまり技術庁が今回の主導役を果たすべき立場にあったのか、船の検査をする側の運輸省が主役の立場にあるべきであったのか、その辺を実は聞こうとしているんです。
  25. 内田守

    説明員(内田守君) 先ほどお話がありましたように、船の開発という問題から、船を設計し、工事し、あるいはそれを完成させて性能を確かめていくという基本的なことは開発母体である原子力船開発事業団なり、あるいは炉の場合には三菱原子力とか、そういうメーカーになるわけでございます。  それに対しまして、たとえば私どものほうでいえば、そういう一つの工期と申しますか流れに対しまして、船舶安全法という法律の面から各段階段階に応じてサイドからチェックしていく、法律でチェックしていくというたてまえでございます。したがいまして、われわれの船舶安全法という立場からいえば、今回の出力試験というのは、先ほど申しました海上試運転という、検査の面からはそういう立場になるということでございますけれども、あの出力試験を施行するとかしないとかいうことは、むしろそういう法律的に出てくる問題ではないと思います。
  26. 森中守義

    森中守義君 ちょっとその辺のことがどうも私も整理つかないのですよ。  こういう聞き方をしましょうか、要するに、「むつ」というのは、炉を除く船体の構造、これとプラス炉を含めてワンセットにして一つの船ということになるのですか。したがってそういうことであるとかりに私が考える場合、最終的な検査合格ということは、運輸省の完成検査の終了を待って、だいじょうぶという認定が下されたときに初めて原子力船としての性格を帯びる、こういうことになるのですか。
  27. 内田守

    説明員(内田守君) そのとおりでございます。
  28. 森中守義

    森中守義君 そうなりますと、今回の検査計画ですね、一回で終わるつもりだったのか。何か仄聞すれば六回ぐらいに分けて検査をするようになっておったようですね。その検査計画の内容をちょっとお示しになってください。
  29. 内田守

    説明員(内田守君) 出力試験は六回に分かれております。で中身は、六%まで、二〇%まで、五〇%まで、七〇%まで、九〇%まで、一〇〇%までのそれぞれの出力試験でございます。
  30. 森中守義

    森中守義君 確かに私の調査でもそうなっている。それでこの一回から六回にわたる出力上昇の試験の場合、第一回目の六%で、そこで一・二から一・四の段階でこういう事故が起きた、こういうことですね、間違いありませんか。
  31. 内田守

    説明員(内田守君) そのとおりでございます。  それからなお、先ほど申し上げましたように、第一回から第六回までの分離した出力試験というのは、原子力船開発事業団が当該船に対する性能を確かめるために計画することに対しまして、われわれは検査という面からその申請に対してチェックしていくというたてまえでございます。
  32. 森中守義

    森中守義君 実は、これがこれからの「むつ」をどう処理するかという問題につながってくるのです。いま検討委員会というのを運輸省技術庁でおやりになっておりますね、これから入りましょう、検討委員会というのは法的な根拠は何によるのですか。  つまり私のあれでは放射線審議会、何かそういうのがありますね、これは技術庁でもいいんだが、放射線審議会令というのがありますね、これに基づくものであるのか。ただ、こういうような事件が発生をしたから、運輸省技術庁の両方で適当に専門家というのを集めて調査しようではないかという、そういうたぐいのものですか。何か法律的な根拠を持っているのですか。
  33. 福永博

    説明員(福永博君) ただいま先生から放射線審議会というお話が出ましたけれども、放射線審議会と申しますのは、放射線の許容線量の基準ですとか、そういったようなことを審議しているものでございます。  私どもが両省庁でやっております技術検討委員会は、今回の放射線漏れという事態の原因の究明あるいは調査というものをするために九月の三日両省庁相談の上設置したものでございます。
  34. 森中守義

    森中守義君 わからないね。要するに法的な根拠はないということですか。
  35. 福永博

    説明員(福永博君) ございません。
  36. 森中守義

    森中守義君 ない、そういうことになりますと、この検討委員会という法的な根拠を持たないものをつくって、一次遮蔽、二次遮蔽までを含めて検討を加える、こういうことですね。  そこで問題になってくるのは、第一回の六%まで上げるという検査で、しかも六%まで上がらないで一・二か一・四のところで事故が起きた。これは全く私のようなしろうとの考えですが、この程度でこういう事故が起きたならば、一体一〇〇%まで上げる段階ではどういうものが起きるだろうか、こういうように直感的に考える。そうなってきますと、一体、検討委員会というのは一ヵ月ぐらいの間で答えを出そうということのようですけれども、さてはたして一次、二次遮蔽の検討でとどまるべきものであるかどうか、その辺はどういうようにお考えになっていますか。
  37. 内田守

    説明員(内田守君) 先ほどの科学技術庁の答弁にちょっと補足させていただきますが、確かに検討委員会は法律的な何とか委員会とか何々委員会の下部機構であるということではございません。ただ運輸省科学技術庁とが行政ベースで協力し合って一つの合同の立場で本問題をとらえていこうということで設けたものでございます。したがいまして、その構成は基本的にはそれぞれの職員で構成いたしまして、必要に応じて学識経験者の御意見を聞くという構成をいたしております。  それから、さしあたりの問題といたしましては、その検討委員会が、現在、今回の原因について調査しておるわけでございますが、その調査結果がさらにわかった段階で、どういうふうにそのあと持っていくかということにつきましては、いま検討委員会が引き続き進めるかどうかということはまだ未定でございます。とりあえずは、原因の探究と、それからそれに対する対処のしかたにとどめて検討しているという段階でございます。
  38. 森中守義

    森中守義君 大臣技術庁長官がいないんでたいへん残念ですが、これはもう全く私のしろうとの考えですよ。六回に分けて検査をやる、しかも一回は六%、順次高めて一〇〇%に持っていこう、こういう段階で、六%に至らないで、わずか一・二か一・四のところでこういう事故になっている。さて、この炉というものがはたして森山技術庁長官が言っていたように完全に成功するというようなそういう可能性というものはどうもやっぱり考えられぬのですね。  ですから、法的な根拠に基づかない検討委員会をつくって——もちろん検討委員皆さんはそれぞれの専門家ではございましょう、けれども、だんだんだんだん検討した結果、言われている一次遮蔽・二次遮蔽の段階にとどまらないで、炉の構造全体に影響があるようなそういう欠陥があるのではないか、こういう私は一つ考え方を持つんです。それであるならば、これはもう非常に事は重要ですよ。  ですから、一次、二次遮蔽という検討委員会にとどまらないで、これをもう少し拡大をした、つまり設置許可申請段階に戻る、あるいは百歩譲っても設計及び工事方法認可、ここまでぐらい譲ってでも検討の対象を広げていく必要があるんじゃないか、こういうように考えるんですがね。少し場当たり主義で、どうも上のほうが鉛がどうであったとか裸であったとか、だからいよいよこれは二次だろうと思ったところが二次じゃない、もう少し中へ入って一次遮蔽まで広げようというところでいま一次遮蔽を含めた遮蔽検討委員会と、こう言っているわけですね。こういう段階でとどまるものと言い切れますか、その辺どうでしょう。
  39. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) これまた全くのしろうとの私がお答えするんでございますから学問的なことはわかりませんけれども、先ほども田島先生のお話にもございましたように、安全というものには私は絶対というものはあり得ないと思うんです。でございますから、それに対するあらゆる対策なりあるいはチェックの方法なり万全の措置をやはりとっていかなきゃならぬし、またとってあるだろうと思うんでございます。  いまお話しのように、対策委員会だけで事足れりとしているのかと、さらにさかのぼって基本設計まで検討しなきゃならぬじゃないか、そういう面について一体どう考えるかということでございますが、さしあたり、この原因がどこにあるか——最終的には、私はこの原因を明確にして国民の前に明らかにしなきゃならぬと思います。その段階として、さしあたりどういう手段があるのかということで、両者間で技術屋関係の人が相談して、一応、なぜこういうことになったかという原因をまず探究しよう、そこから、その結果によってはさらにどういうような進め方あるいは手段があるかということは、その時点でさらに私は問題があるとするならば拡大もしなきゃならぬし、深く検討に入らなきゃならぬと思います。この点は森中委員と全く私同意見でございます。  ただ、いま直ちに、それではその基本設計じゃないかというんで原子力委員会なり安全審査会を動員するのがいいかどうかという点については、私何ぶんしろうとで判断に迷うわけでございますが、両省の間でいろいろ相談をして、当面は、その検討委員会においてまず原因の究明をはかろうということでございますから、当面の問題としてはこれの原因究明を進めるべきじゃなかろうかと、かように考えるわけでございます。
  40. 森中守義

    森中守義君 どなたであったか、ちょっと私名前を失念いたしましたが、ある原子力学者がこういうことをおっしゃっている。今回の「むつ」のこの事故というものは原子力船が宿命的にになったものであって、いずれやっぱりこういう段階を経なきゃならぬ、こういうことを何かの論評として出されていたのを思い出す。  確かに、その研究開発というのは未知への挑戦ではありましょう。しかしながら素朴な——大臣もしろうと、私もしろうとに違いないけれども、しろうとがしろうとなりに考え一つ意見としましては、さっき申し上げたように検査計画は六回に分かれておった。一回が六%まで、二回が二〇、三回が五〇、四回が七〇、五回が九〇、六回が一〇〇というところまでやる計画なんです。ところが一回目予定していた六までいきもしない一・二でこういうものが起きた。それならば、やってみなきゃわからぬとは言いながら、一応の推理としては、六までいかないときにこのざまじゃないか、これが二〇、五〇、七〇、九〇、一〇〇までいくにはとてもじゃなかろうというような素朴な私は感じを持つんです。  そこで、さっき、私は、民主自主公開の三原則というものがほんとう原子力基本法の中にうたい上げられておるし、それを国民承知で認めておるわけですから、そのことにより忠実であろうとするならば、やってみなきゃわからぬでなくて、非常に低い段階でこういう事故が起きたならばもう一回見直しをやろう、そのためには起きた事故を限界にして対策を立てるというのはあまり知恵者のやることじゃないと思う。責任のある者のやることじゃないと思います。  検討委員会の諸君を信用しないというわけじゃありませんよ。しかしやっぱり、さっき田島先生も言われたように、安全ということは信頼ですよ。あれほど強硬であった漁民が、これはたいへん目の前で恐縮ですけれども、信頼をされている田島教授ほか数名の人が行かれたから、なるほどこれならばだいじょうぶというそういう安心感を持った。この辺が一番大事だと思うのです。ここに実ば役人のメンツやそういうものにこだわるところなく、一次遮蔽、二次遮蔽ということに限界を置かないで、もう一ぺん原点に戻ったやり直しのほうがむしろ筋が通るし、安全と信頼という、こういう因果関係からしましても国民は得心をするのじゃないでしょうか。  だから、いまこういうとりあえずの措置としてどうも二次遮蔽と思っていたが、そうじやなさそうだ、それならば一次遮蔽まで入れて検討の対象にしようじゃないかということではあまりにも場当たり過ぎですよ。だれか言ったように、こういう状態で原子力船の幕あけというのはまことに暗い。暗いということは海運界にそっぽを向かれているというような皮肉がやはり出てくると思うのです。官房長官見えたらあとでこのことは私聞きますけれども、もう少しやっぱり対策として次元を変えたやり方のほうがいいのじゃないですか。どちらが提唱して検討委員会をつくろうと言ったのかそれはわかりませんけれども、両方が合同でつくったとこういうのだから、何も法的な根拠にこういう場合ですから何もかにも依存しなければならぬということまでは私は言いません。言わないけれども、検討の対象というものがちょっと狭過ぎる。どう思われますか、当然これは検討すべきだと思うのです。
  41. 福永博

    説明員(福永博君) 放射線遮蔽技術検討委員会は、先ほど申し上げましたように……
  42. 森中守義

    森中守義君 もうちょっと声を大きくして。聞こえないよ。
  43. 福永博

    説明員(福永博君) 三日に設置いたしておりますけれども、九月の十三日には中間的所見をちょうだいしているわけでございます。  それでこの所見によりますと、いろいろ問題点はございますけれども、大きな問題点といたしましては、原子炉圧力容器と一次遮蔽の間隙——すき間を伝わっての上下方向の漏れが主たるものであり、上方向の漏れが大きい。以下何項目かございます。  こういう遮蔽技術検討委の中間報告を踏まえまして、他方先生御指摘のように、あるいは炉心部分にも何か問題があるのではないかという御指摘でございますけれども、その点につきましても私ども一応事務局なりに調査いたしております。  それによりますと、炉心部分のいわゆる核設計でございますけれども、これにつきましては初回の臨界試験におきましては、臨界時の制御棒の位置でございますとか、あるいは反応度停止余裕測定試験とかという一連の核設計の試験がございます。それからあるいは反応度計数の試験、こういったようなものもございます。こういった一連の核設計関係の試験につきましては当初の設計値と非常によく合致しておりまして、再現性を示しておりますので、当面のところはこの炉心関係には深く急遽調べるような問題点はないであろうというような認識に立ちまして、さしあたりのところは遮蔽関係にテーマをしぼりまして調査を進めている次第でございます。
  44. 森中守義

    森中守義君 そんなことは聞かないでもわかっているよ、それが問題だと言っている。  あのね、私がさっきから指摘しているのは設計のミスなのか施工のミスなのかどこかに問題があるわけです。いいですか、もし設計のミスだというならば、設置許可の事業団が申請をした内容に問題がある。これに審査を加えた安全専門審査会に問題がある。じゃそれで問題がなかったとするならば施工上のミスだろう。施工上のミスならば設計及び工事方法認可に問題がある。どっちにしたって一次遮蔽、二次遮蔽というものが全体に影響があるということですよ。そうならないの。大臣、そう思いませんか。  基本計画の設計にミスがあったのか、施工にミスがあったのか、二段階に分かれて、基本計画、それに基づいた安全専門審査会、そのあと今度は設計及び工事方法認可をやっているわけだから、この段階で問題があるのかどうなのか。ここまで実はやっぱり発展をしていかないと、ほんとうの検討にならぬのじゃないですか。  これはひとつ田島先生のお話を承ったほうがより正確かわかりませんね、どうでしょう。
  45. 田島英三

    参考人田島英三君) この間出てきました線量カウントは、あれはガンマ線だけでありまして、ニュートロン線量がおそらくたくさん出ているだろうと思います。その程度はわかりませんが、もう少し多くなっていくだろうと思います。それが第一点です。  それはたいしたことはないんですが、それからもう一点は、シールディング、遮蔽という問題は核設計と同じように非常に重要な問題でありまして、これは基本設計の中に入ると私は了解しております。私がそう信じます理由は、東海第二発電所の原子力委員会の答申の中にも、安全審査会は平常時及び異常時について一般公衆及び従業員に対して放射線障害を与えず、かつ万が一の事故を想定した場合にも一般公衆の安全が確保されるべきである、ということを基本方針としておりますので、遮蔽という問題は炉をつくる上の核設計その他のものと同じように非常に重要な問題である、私はそう考えております。したがって基本設計の一部である。  それから、もう一つの私の意見をささえるものといたしまして、一度許可になりました原子力施設が、たとえばその重要なある部分の材料を変更するという場合には原子力委員会の許可を必要とします。許可を必要とするということは、これは基本設計に含まれるようなものでありますので、どういう材料を遮蔽に使うかということは同じように重要な問題であるというふうに私は了解しております。したがって何か遮蔽の材料を変えたり寸法を変えたりして機能を落とさないのは、施工上の問題とは考えない、基本的な設計の中に含まれるべきものだ、そういうふうに考えております。  以上であります。
  46. 森中守義

    森中守義君 いまの田島教授のお話で非常にはっきりしましたね。やっぱり基本設計に問題がある、そういう大きなワクの中にあるものだと、こういう御指摘ですからね。当然、これはやっぱり遮蔽だけの検討じゃ済まない、こういうことになるんじゃないですか。  そこで、大臣、私はもうちょっと議論を進めますが、そういうことであれば、これはもう小手先の修理などでは間に合うものじゃないですよ、私はそう思う。それならば、当然なこととしまして、一度これは認可を取り消す、そしてやり直す、もうこういうこと以外にないんじゃないですか、方法は。これからの「むつ」をどうするかというのはその辺にどうしても行きつかざるを得ませんよ。  もちろん技術的に百二十一本の棒を一束にして、三十二束をどうして抜くのか、それをどこに置くのか、機械はあるのか、船はどうだ、どこへ持っていくとか、そういういろんなこまかな問題もありますけれども、原則的に考えにゃならぬのは、一体「むつ」の将来というものはどうしたらいいのかということになりますと、いま田島教授がお話しになったように、施工上のミスといえどもこれは基本設計のワクの中にあるのだということであれば、当然これはやっぱりやり直す以外にないんじゃないですか。そこまでいかないと安全、信頼という関係はもとに戻りませんよ。もとに戻らないために、私は、実は第一回の六%でこの始末じゃないか、二回目どうだ、三回目どうだ、四回目どうだ、五回目どうだ、六回目どうだというそういう果てしない疑問と不安がどうしてもつきまとうんです。何か検討委員会というのは上のほうをどうかするためにちょこちょこっと話をやっているという、そういう感じしか受けないんですがね、それで事が済みますか、技術庁運輸省ももうちょっと考えてもらいたい。
  47. 内田守

    説明員(内田守君) 実は問題二つございまして、実質的に今度の原因をどういうところから攻めていったらいいか、もう全く技術的に攻めていったらいいかということにつきましては、これは確かに全体から全部を見つけていくという考え方もありますけれども、少なくともいまの段階で先ほど科学技術庁から御説明がございましたように、炉よりもむしろ遮蔽である、しかもその遮蔽は一次のほうが強いと、もちろん二次も含めてでけっこうでございますけれども。要するに遮蔽に技術的に問題がありそうだ、そこでそういう原因がどういうことだったんだろうかという全く技術的に進めていく上で遮蔽から食いついていったということでございます。  それからもう一つは、先ほど田島先生からもお話ございましたように、炉と遮蔽とどっちが大事だとかそういう問題はまた別の問題でございまして、これは先ほど来先生おっしゃっておられますように、遮蔽も含めまして、炉はもちろん、あるいはそのバウンダリーも含めまして、炉規制法安全審査に対して基本計画ないしは設計審査がありますし、またそれについての詳細設計、あるいは工事等につきましてはわれわれの安全法の範疇に入ってくるわけでございます。したがいまして、いま技術的に攻めていってかりに遮蔽のこういうところであったということであるならば、そのこういうことということが、一体、基本計画ないし設計の点から改めていくべきであったか、あるいは詳細設計段階で改めるべきであったか、あるいはさらに設計はよかったんだけれども、工事がうまくなかったんだという面であったか、そういう逆にその段階というものが分明になれば、おのずからいま先生の御指摘になりましたように当然安全審査のやり直しであるとか、あるいは検査中ではございますけれども、それを工作の面で修理して検査を続行——むつ」の問題は別にいたしまして、性格的には検査のやり直しで済む問題であるか、それはいま申しました各ステージのどこでこういう問題が起こったかということを詰めることだろうと思います。
  48. 森中守義

    森中守義君 非常にその辺むずかしい問題ですが、やっぱりこれは国民信頼にどうしてこたえていくのか、失われた「むつ」への信頼をどう回復するかということになりますと、あまりやっぱり小手先じゃいけませんよ。私がさっきから申し上げるように、もう一回原点に戻る、設置許可申請からやり直す、再審査やってもらうというところに戻らなければ、これはとてもじゃないが話にならぬ。  まあよしんば二次遮蔽もしくは一次遮蔽の段階でこの場は済んだにしても、じゃさらに今後もやっぱりその検査計画というものは一回から六回に分けてやるということは変わりないんでしょう、これから先もね。それでうまいぐあいに遮蔽はいったが、この次二〇%に上げた場合には一体どうなるか、そういう問題がやっぱり予想されますよ。予想されるということは不安がある。何しろ六%まで上げる予定なのがわずか一・二か一・四でこういう不始末をしでかしたのだから、気の毒ながらしろうと筋には全く「むつ」に対する信頼はない、ゼロ信頼。それを徐々にまた回復していくには振り出しに戻る以外にないのじゃないか、こういうように私は思う。  だから、ちゃんと炉規制法で許可の取り消し、運転中止ということがあるんだから、この際思い切って設置許可の再申請あるいは安全専門審査会調査を経るとか、こういう所定の手続をとったほうがいいのじゃないんですか。そのほうが非常にすっきりするしね。もちろんこれはたいへんな国費が投じられておりますよ。国費もさることながら、信頼ということを考えるならばその道を選ぶべきであろう。あるいは検討委員会をもう少し性格変えなさいよ。一次、二次遮蔽の検討委員会じゃなくて、全体を見直す検討委員会。これは審査会の皆さんは何と言われるかわかりませんがね、少なくともそういうところまで拡大強化すべきじゃないですか、無理ですか、私の申し上げることは。これは政治的な判断だ。
  49. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 私の言っていることと森中委員のおっしゃることとは、そう大きな食い違いはないと思うのですよ。
  50. 森中守義

    森中守義君 だいぶあるな。
  51. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) いまその原因をまず——私これをすぐちょこちょこっと修繕してまた出発させようなんというような、そういう大それたことは考えておりません。とにかく原因をまず探求しなければならぬ。それを国民の前に、どういうところに問題がございましたということを明らかにせなければならぬ。もう原子力開発というものは全部やめてしまうなら別でございますけれども、将来いろいろな問題が残ろうと思います。  ただ「むつ」と原子力開発というものを一緒にしていま私はものを言っているのじゃございません。「むつ」の問題は、いまおっしゃるように、あれはもうパーにして原点からいけと、こうおっしゃるわけです。まあその原点からいくかどうかということについては、いろいろまたどういうやり方があるかとか、いろいろ政府部内にも意見がございましょう。意見がございましょうが、主務大臣である科学技術庁長官はきょうおられませんから、私が先ばしってここで何もかも言ってしまうということはいささか僭越でございますが、まず原因を明らかにして国民の前にそれを明らかにする。その上でいまおっしゃいましたような三原則の原点に立ち返って、間違いがあったところはどういうところに間違いがあったか、今後対策を立てるとすればどういう方向にいかなきゃならぬかということに原点に立ち返って出発しなければならぬと、私も全くそのとおりに思うわけです。  ただ、その間の行き方に、いま森中委員のおっしゃるのは、技術検討委員会だけでは力が弱いんじゃないか、それだけでは原因の究明に不足じゃないかということではないかと思うのでございますが、この点は技術的な問題でございますから、もしいまの技術検討委員会だけで原因の究明が不足するということであれば、これはもう衆知を集めてその原因の究明をやっていかなければならぬ、かように思うわけでございます。でございますから、私はそう大きな——大きなどころじゃない、全く意見は同じように思うのでございますが、どうでございますかね。
  52. 森中守義

    森中守義君 いまだんだん大臣のそういうお話聞いて、少し近づいたなという気はするんです。  ただ技術庁長官がいないからと言われるけれども、もともとこの人はもうまぼろしの長官だから相手にしていないから委員会やっているわけですからね、当面のこの問題の閣僚の責任者は運輸大臣だけですよ。これはよく閣議にも報告しておいてもらいたい。相手にならぬのを相手にしたってしょうがありませんからね。  そこで、大臣、確かに言われるようにどっかでクロスしていますよ。しかし私は一次、二次遮蔽という検討委員会の名称がいいとか悪いとか言っておるんじゃない。何か限定をしたところで検討されているような印象が非常に濃厚なんですよ、よろしいですか。  そこで炉全体の構造がどうなっているのか、どこにミスがあるのかということは、これはやっぱりもうちょっと範囲を広げた、たとえば田島先生のような各界の権威者をやっぱり網羅すべきだろう。言いかえればこれは再審査ということですよ、簡単な言い方しますとね。そこまでいかなければこれはとうていおさまらないであろう。一から六までの間の一・二、一・四で起きたんだから、あとはだいじょうぶという保障はどこにもないんです。どこにもないからもう一回見直しなさいと、こう言っているわけなので、これはやり検討委員会というものはもう少し内容をよく検討して、もう一回見直すということ以外にない。だから私はことばを詰めて言うならばもう一ぺん取り消す、出直せと、こういうことなんですがね。  趣旨がおわかりであれば、それでもかまいません。けれども、これはやっぱり国民が見ています。一体「むつ」はどうなるのか、どう処理するだろうかという非常に大きな関心を持っていますから、それにこたえなさいと、こう言っている。よろしいですか、ここはだいぶ違うんですよ。民主自主公開の三原則というのはこういうことを言うんです。要するに信頼ですよ。だから信頼を回復するには原点に戻ったらよろしい、出直すのがよろしい、この信頼のほうが国民はよほど理解しやすいでしょうね。第一次遮蔽だ二次遮蔽だと、大臣も私も同じようにまさにこれはしろうと、けれども、しろうとの議論というのは意外にあるポイントをつく場合があるんだ。ですから、このことは正確に言うなら、許可の取り消し、やり直しということに尽きると、こう思う。どうなんですか。
  53. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 国民信頼を得なくて、この未知の世界に挑戦することは私はできないと思います。だからこそ三原則を国会においても明確に承認といいますか、審議されたわけでございまして、この点は森中委員といささかも異論を持つものではございません。  そこで、そのやり方の問題で、先ほども非常に簡単なことを——法律的な用語は私はここでよくわかりませんけれども、もう再審査というのは、再出発するんだということについては同感でございます。  それから、いま取り消すとか取り消さぬというようなそういう問題の前に、いろいろやらなきゃいかぬ問題がございまして、そういうものを詰めて、原点に立ち返るからといってばあんと全部こうさら地にするのも一つ方法かもわかりませんけれども、一応原因の究明ということが急がれることであり、また、どういうところにそういう不始末があったかということを国民は知りたがっていると思います。でございますから、繰り返し申し上げるようでございますが、その原因、どういうところにこの原因がございましたと、よってしかじかということはそれから出てくる問題だと私は思います。したがいまして原因の究明をまず急ぐ、その上で国民の納得のいくような処置をとっていかなければならない。お説のように全部許可取り消しというようなこともその時点であり得ると思います。あり得ると思いますけれども、いまここでそこまでいくかどうかということは、いろいろやっぱり原因の究明が先行するんではないかというふうに考えるわけでございます。  したがいまして国民の納得のいくような理解を求め、民主自主公開原則に立って、原点に立ち返って再出発するというその気持ち、抽象的ではございますけれども、そういう立場は私は全く同感でございます。
  54. 森中守義

    森中守義君 大臣、同感であるということは、そうしてもらわなきゃならぬということですからね、まあ一応じゃ次に進みましょう、もう時間もあとあまりありませんのでね。  当面の現地対策といいますかね、この処理の問題がきょう大体漁連側と何か決着がつくような話も流れておりますが、きのうの報道関係の伝えるところでは、強硬派であった一部漁連のほうで三つの案が出された。そこで、その一つの案は母港撤去の時期を明確に示すこと、それから炉は凍結して母港での棒引き抜きはやらないこと、この二つのことをさしずめ聞いておかねばならぬのですが、おそらくこのことをのまなければ湾内に入れませんよ、これは。入れない、これだけは間違いない。そこで、のむという場合に、いつ時期をきちんとされるのか。何か鈴木さんは海が荒れなくなるのを待って来年の三月ごろまで置こう、こういうようなことも伝えられておるようですが、これはひとつ運輸大臣あるいは技術庁——まあ技術庁でこれちょっと答弁できる人いないねえ、あんた方のこれはサイドじゃ片づかぬ問題だからね。閣僚として大臣どうなんです、大体どの時期を明示されるおつもりですか。
  55. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 非常に微妙な段階にもございますし、また事柄自体が非常にむずかしい問題でございます。したがいましていま現地で鈴木総務会長がいろんな角度からそういう御決意のあったということは新聞報道を聞いておりますけれども、これからお話し合いがなされることだと思います。したがいましていま私はこの段階で、いつごろの時期に母港撤去なりをやり得るかということを申し上げる実は覚悟もございませんし、段階では——微妙な段階でございますから、いささかはばかるわけでございまして、その辺せつない心中、まことに歯切れが悪い答弁で恐縮でございますけれども、心中お察しいただきたいと存じます。
  56. 森中守義

    森中守義君 船舶局長、この検討委員会の結論は大体一カ月ぐらいだろうというように聞いておるんですがね、時期は別として、検討委員会の結論が出た、ここをこうすればいいと、所定の手続と究明が終わって、それで問題点がはっきりした場合、「むつ」をどこかに移すということと、あそこにいるということの関係はどうなるのか。つまりこういうことですよ、棒の引き抜きはしないけれども、その余の施工のやり直し等はあそこでやるつもりですか。もう「むつ」では一切何もかにもしないと、陸奥湾では、大湊ではしない、こういうことのかね合いはどうなるんですか。
  57. 内田守

    説明員(内田守君) いま検討委員会で進めておりますのは、全く純粋に技術的に進めておるわけでございます。先生御指摘のように、おそらく一カ月ぐらいである程度の結論は得られるんではないかというふうに考えております。それはいま申しましたように全く技術的な問題で、それだけを取り上げれば、こういうふうにしたら直るとか、ああいうふうにしたらどうなるというふうな議論には技術的にはなるわけでございますけれども、先ほど来御指摘のありますように、三原則に従ってこういう原子力船開発を進めていくという場合には、また別の面からの検討も必要だと思います。必ずしもそれとこれとが直截に結果が出たからすぐ「むつ」がどうなるということでは律せられないというふうに考えております。
  58. 森中守義

    森中守義君 大臣、これは示されている三条件の中のいまの重要な二条件ですね、のまなければ入れないということは、もう一切大湊では何にもしないんだと、だから一定の時期を明示して、その間はアンカーを入れておくだけだと、こういうように理解していいんですね。
  59. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 私、技術的なことよくわかりませんけれども、おそらく炉の修理なんというものはあそこじゃできないだろうと思うんです、あの大湊では。もちろんそういうことでございましょうし、学者——田島先生なんかの御意見聞きますと、非常に棒を抜くのは技術的にいろんな問題点があるけれども、そういうものを一つ一つ、あそこで練習するんでございますか、何か検討していけば、半年ぐらいの研究期間を置けば棒は抜けるんじゃないかというような御判断も聞いております。  しかし、それはそれとしまして、いま現状では鈴木特使の提案もございますし、それに対します、私は新聞報道程度しか知りませんけれども、単位漁協のそれぞれのお考えもあるようでございまして、その辺をきょうの午後の漁民大会においてどういうふうに結論が出され、またどういうふうに今後の話し合いが進められますか、その辺が非常に流動的なものもございますし、鋭意いま現場で鈴木特使は検討中でございますから、その結果による以外、いまここで見通しの判断というものを申し上げるわけには、知識は持たないわけでございます。したがって、先ほど申し上げたように、非常に歯切れが悪くって恐縮でございますけれども、その交渉の結果を待ちつつ考えを固めていかなきゃならぬと、こういう段階でございます。
  60. 森中守義

    森中守義君 これも答えてくれと言っても同じようなことでしょうが、とにかくもうみんなきらわれものになっちまったわけだ、「むつ」は。なったというよりも、きらわれものに技術庁がしたんだね、これはほんとうは。こう森山長官がしてしまったんだよ、きらわれものに仕立ててしまったんだ、そういう意味責任をとってもらわにゃいかぬ。大体、どこの港にこれを移すつもりですか、予想するところでは。なかなかこれ、こんなきらわれものになったのを、さあいらっしゃいというところはありませんがね、なかなかこれもやっかいな問題ですね。  そこで、もうこれで最後の質問といたしますが、何か総理が中南米から帰ったあとで、この問題に触れて、もう一回原子力行政のあり方すべてを見直そう、こういうことでなかなか珍しいいいことを言っている。私は賛成だ。ですから、当然それを急ごう、信頼を回復しようとするならば、次の通常国会にいろんな法律の改正がこれは必要ですよ、する用意があるのかどうか。  それから、ことに運輸省に関係をした場合、さっき使用検査ということを私申し上げた。これは現行法では炉規制法によって船舶安全法の適用を受けるならば使用検査は適用除外だと、こういうことになっているわけです。それから田島先生にもお尋ねしましたように、やはりこれは設置をした者、認可をした者、そういう自主検査といいますかね、こういうようなことをしないで、いきなり最終的に全部運輸省検査しなきゃならぬということになると、非常にこれは問題がありますよ。  まず第一の問題は、一体、今日の運輸省船舶局にそういう専門的な頭脳、あるいは人の配置、そういうものが完全に確立されておるかどうか、これはやっぱり一つの問題。何だか今度はこの検査のために船舶検査官はあまりそう多数乗り組んでいなかった。そういうものであるかどうか知りませんが、一般的な慣例として、いままでのことが。それからどうもいま運輸関係の予算を見たり、要員の配置を見たり、機構などを見ますと、こういう重大な問題を全部運輸省が最終的に完成検査によって認定をつけるということになると、少なくとも運輸省の当事者能力の内容というものは問題になってくると思うんです。それもあります。ですから、少なくとも使用検査ということは船舶安全法によるということで適用除外にしないような、こういうやっぱり法律改正等も必要だと思うんです。  それと、さっき田島先生に申し上げたように、安全体制というのはどうしても技術庁でも重視していない。もう一人専門委員を置いてくれ、そういう科学者としての良心による意見すらも採用しない、しかも問答無用だ、突如として死亡した委員の補充をつける、これは原子力以前の問題としても不都合ですよ。もう少し安全体制ということについては正確に確立できるように、信頼持てるような法律改正が必要だと思う。  あと官房長官見えたならそのことも聞きますけれども、とりあえず原子力に関連をする一つの省庁としての運輸大臣見解はどうです。あるいは技術庁政務次官、この法律改正を総理はそう言っているわけだから、直ちに取り組まないともう間に合いません。次の通常国会に出す意思があるかないか、原子力関係をもう一回洗い直すという意思があるかないか、それを最後に承って私の質問を終わります。
  61. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) おっしゃったことは私よく理解できるわけでございます。特にこういう原子力開発原子力船開発というような問題は、これはもう安全の問題がまるまるそうでもいいといったぐらい大切な問題であると思います。私は運輸行政そのものをあずかるときに安全ということを申し上げておるわけでございますが、特に安全環境というような問題につきましては、この開発には欠かせない最重要な最優先する問題だというふうに思うわけでございます。それがために、すぐいわゆる詳細設計に対する安全審査会というものを法律でつくったらどうかという御意見でございますが、その一点にとどまらず、総体的にやはり私はもう一ぺんいろんな点から見直さなきゃならぬのじゃないかというふうに考えます。  したがいまして来国会にすぐそういう問題を見直して法律を出すのか出さぬのかという問い詰めに対しては、私はここで明確にお答えをする用意はございませんけれども、いまおっしゃったようなこと等々を十分勘案して、総理も記者会見で申しておるようでございますが、根本的にやはり行政の面からもひとつ初心に返って検討すべきじゃないか、考え直すべきじゃないか、そういう点も多々あると思います。したがいまして、いま御指摘の点等につきましては、十分今後慎重に検討を続けてまいるということを申し上げたいと存じます。
  62. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 今回の「むつ」の問題にいたしましても、大体、技術的な安全の問題、それに一般国民の不安の問題、この二つが交差しまして問題がここまでこじれ、発展してまいっておるわけでございます。今後、原子力開発推進してまいるといたしますならば、まずこの安全性の確立をせなければ推進は私は不可能と思います。日本の国情からいたしまして、今後、原子力開発推進をストップするわけにはまいらぬと思うわけでございますから、この点に対しましては、あくまでもひとつ安全性の確立をはかって、また技術的な問題もより推進をしてまいって、原子力開発推進をしてまいらなければならぬと思うわけでございます。  そこで、いろいろ今回の問題で検討せなければならぬ問題があるわけでございますから、科学技術庁といたしましても、事務的にこういう問題をどう今後処理してまいりますか、あるいは次の国会にいろいろ改正案なり何なりを提出するかどうかということにつきましては、今後、十分検討をしてまいらなければならぬであろうと、私はかように思うのでございます。
  63. 森中守義

    森中守義君 事前にそういう質問に答えてくれという通知をしておったわけじゃありませんから、大臣あるいは技術庁政務次官のお答えもこの場では無理からぬと思う。しかし、よく考えておってくださいよ。けさ参考人の御意見を聞きましても、その他国全体の識者の意向というものは、原子力政治行政が介入し過ぎる、振り回し過ぎる、こう言っているわけですね、そのことが民主自主公開の三原則をじゅうりんしているんだと、その結果こういうことですよ。  のみならず、推進が先ばしっていって規制がそれに追っついていかない、こういうことではいつまでたっても私は国民信頼を獲得し得る段階に至らないと思う。で、その根源を正していくにはどうしたらいいかというと、さっきちょっとお尋ねしましたように、国務大臣である科学技術庁長官が頂点に委員長にすわっている。ほんとう専門家というのはときによっちゃ一人か二人しかいなかった。それは大臣であろうと政務次官であろうと、技術関係の技術庁局長といえども、役人じゃわかりませんよ、こういうことは。そういう人たちが仕事がやりやすいようにやっぱり法の体系というものをもうちょっと整備しなきゃならぬ。そういう意味で、私は総理が外遊から帰ったあとの記者会見で言っているということは、このことに関する限り、このことに関する限りいいと思う。ちゃんと総理が言っている。だから早く運輸省技術庁も、今日のこの状態というものを敏感に受け取るならば、先んじて法律改正に踏み切るべきじゃないですか。そのくらいの対応性、しかも国民に対する親切さがあってもいいと思います。いま、やるのかやらぬのかわけのわからぬようなことでは、これはちょっと困る。ですから早急にひとつ検討してもらいたい、よろしゅうございますか。  それからいま一つ、佐々木さん、これこの前送っていただきました。これ非売品ですか。——自分でおつくりになった。
  64. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) さようでございます。
  65. 森中守義

    森中守義君 はい、わかりました。  内容をちょっとこう拾い読みしましたが、非常にわかりやすく、よく書いてあります。けれども、このお書きになっている内容は、いままで議論をしてきたように、世間が騒いでいるようなそういう状態とだいぶかけ離れておりますね。描かれている一つの構想——要するに油が足りない日本だからできるだけそういうものに対応しようという意思はわかります。しかし事業団もこういうことが名実ともにこうであるようにもうちょっと勉強と努力をしてもらいたい、こういうように特にあなたには要望しておきます。答弁要りませんよ。
  66. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することといたします。  田島参考人につきましては、まことにお忙しいところたいへん御苦労さまでございました。お礼を申し上げます。  それでは休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会
  67. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  68. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 「むつ」は「サバンナ」、「レーニン」あるいは「オットー・ハーン」に続きまして世界で第四隻目であります。すでに「むつ」自体は二年前にでき上がったのでございまして、それまでにあるいはその後に安全性の確認、陸上実験等において慎重な検討が行なわれたはずでございます。しかしながら、いま安全審査原子力委員会段階あるいは船舶安全法に基づく検査等の各段階におきまして、放射線の遮蔽について十分な審査が行なわれたかどうかというふうな点等につきまして、なお疑問が呈せられておるところでございまして、これは午前中の論議にもありましたけれども、各段階につきまして御答弁を願いたいと思います。山田さん来ておられませんか。——じゃ科学技術庁運輸省から。
  69. 福永博

    説明員(福永博君) ただいまの御質問安全審査の経緯と申しましょうか、その基準等に関するものと存じますが、原子炉等規制法に基づきまして、科学技術庁では安全審査を担当しているわけでございます。安全審査は大まかに分けますと、設置の許可、設計及び工事方法認可、さらに検査といった三段階に分かれて安全の審査が行なわれるわけでございますが、原子力船につきましては、科学技術庁が担当いたしまして審査しておりますのは原子炉の設置許可段階でございます。そのあと設計及び工事方法認可という段階になりますと、これは船舶に設置されておる炉ということで、船舶安全法の体系のもとで安全が審査されておる、こういう段取りになっております。
  70. 内田守

    説明員(内田守君) 「むつ」の安全法の適用につきましては、昭和四十三年の四月十日に石川島播磨重工及び三菱原子力工業から製造検査申請がございました。これはいま科学技術庁から御説明のありました設置許可後でございます。で、さらに第一回定期検査が製造検査と並行いたしまして行なわれるわけでございますが、これは昭和四十四年の六月十六日に日本原子力船開発事業団よりなされております。で、今日まで原子炉設備を含めまして船体、機関、電気設備及び救命、消防設備等諸設備につきまして検査が行なわれてまいりました。ちょうど今後出力上昇試験を含む海上試運転で諸性能が基準に適合していることを最終的に確認する段階で、今回の放射線漏れが起こったわけでございます。
  71. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 今回の放射線漏れには危険性に大きな問題がないといわれておるわけでございますが、その点をもう一度はっきりしていただきたいというのが第一点。  それから次の点は、一・四%出力試験でありますけれども、今回の事態となったことは決して軽視できないのではないかと思います。さらに出力試験が進行した場合を仮定した場合にはどのようになったかというふうな点も十分検討をしなければならないと思います。その二点につきまして御答弁をいただきたい。
  72. 福永博

    説明員(福永博君) 第一点の放射線漏れの状況は危険なものであるかどうかという点につきましては、専門家グループの調査、それからその前に、船内における調査の結果によりますと、一時間当たり〇・二ミリレントゲンという量でございます。この一時間当たり〇・二ミリレントゲンと申します量は、簡単に申しますと、普通の私どもの日常生活と比べて考えてみますと、〇・二ミリレントゲン・パー・アワーというところに、一日かりに八時間いるといたしまして、これを一年間続けたといたしますと、これで大体概算いたしますと、六、七百ミリレム——ちょっと暗算を間違えたかもしれませんが、約一年間たちましたときに、普通、胸とか腹とかの、そういうレントゲン写真一回分ぐらいの量でございまして、危険な量というものではございません。  それから第二点は、これが一・四%という出力段階で生じたわけでございますけれども、これが一〇〇%の場合はどうなっておったかということは、ただいま調査の結果を解析しておりまして、その結果を見なければ、ただいまのところ推定では何とも申し上げかねるというような技術的な状況でございます。
  73. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いまの点は今後の検討に待たなきゃならぬ点も相当あると思いますが、数理的にコンピューター等のあれによりましてある程度明確になるのではないかと思うんですが、どうですか。
  74. 福永博

    説明員(福永博君) 先生御指摘のように調査の結果を持ち帰りましてただいま解析を進めている段階でございます。しかしながら調査の中間的な所見ということでちょうだいいたしておりますのは、原子炉圧力容器と一次遮蔽の間隙を伝わって上下方向の漏れが大きい、特に上方向の漏れが大きいというようなことを中心といたしまして、その他数項目にわたって中間的な所見が出ております。なお、これもいまのところは定性的な報告でございまして、これを定量化し、さらに精密なものとするという意味におきましてコンピューターも利用いたしますし、作業を進めている段階でございます。
  75. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 それらの点もひっくるめまして原因究明の点について、午前中もお話がありましたが、今後の段取り、それからいつごろまでに明白となるのか、もう少しこの段取りその他につきまして納得し得るように、わかりやすくひとつお話を願いたいと思います。
  76. 福永博

    説明員(福永博君) 今後の段取りといたしましては、ただいま申し上げましたコンピューターを利用しての解析を含めまして調査を進めておりますが、この結果が正確にはまだ申し上げかねますが、今月中ぐらいにはでき上がるものと期待しております。その結果を見まして、原因がさらに明らかになると思いますので、その状況によりまして午前中船舶局長からも御答弁申し上げましたように、あらためてどういうふうに検討を進めていくか考えてまいりたいと思っております。
  77. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 抽象的にはそうでしょうけれども、各論的に検討すべき諸点というものが、おもな点はいろいろあると思うんですけれども、各論的にもう少し。
  78. 福永博

    説明員(福永博君) 今後検討すべき問題といたしましては、ただいま申し上げました調査結果の解析はもちろん中心的なことでございますけれども、その結果によりまして、原因が設計にあったのか、あるいは計算にあったのか、または材料的なものであるか、工作的なものであるかといったような、各論にわたって今後詰めていきたいと思います。いまのところはまずこの技術関係の調査を急いでいるわけでございます。
  79. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 この原子力船の問題等につきまして、政府あるいは原子力事業団が国民に対しまして安全ですと、一〇〇%安全ですということを繰り返しただけでは問題が解決できないので、なぜ安全であるかという説明あるいは解説がわかりやすくなされなければならないと思うわけでございます。今度のような大きな社会問題になった理由は、十分な情報を切れ目なく供給すると、そして理解を得るためにあらゆる努力をするということが必要であると思うわけでございますが、事前あるいは事後におきます地元との率直な話し合い、あるいは迅速適切な措置、途中におきまして船長との連絡が十分ではなく、意思疎通が不十分であるというふうなことも、いわゆる後手後手だということがいわれておるわけでございますけれども、従来こういう点につきましてどのように取り組んでこられたか、どのような心がまえで関係の役所あるいは事業団が取り組まれてきたか、あるいは今後どのように考えるかということを役所のほう、あるいは事業団のほうからひとつお答えを願いたいと思います。
  80. 福永博

    説明員(福永博君) 従来政府なり事業団なりは「むつ」の、安全性についてどういうふうに説明し、あるいは地元にPR等をつとめておったかという御指摘かと存じますが、政府、事業団は、原子力船むつ」の開発にあたりまして、特に安全性につきましては、地元関係者の御理解、御協力を得るべく従来から説明会あるいは見学会をやるとか、討論会をやるといったような、あらゆる機会を通じましてPRにつとめてきたわけでございます。  この間、地元関係の方々の原子力そのものに対する不安といったようなものも非常にございまして、この「むつ」の安全性について御理解をいただくため「むつ」の機械的な安全性あるいは放射性廃棄物の処理、処分の問題等安全対策の説明につとめてきたわけでございますけれども、ややともいたしますと、こういった機械的安全性あるいは放射性物質の取り扱いと、こういった面の説明が重点的になりまして、結果としてはこの技術開発の過程にある試験の意義あるいは出力上昇試験というものが原子力船としての機能確認の段階にあるといったようなところに不十分な面があったのではないかということを反省している次第でございます。
  81. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 理事長どうですか。
  82. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 地元に対しまして本船の状況をよく知っていただくことにつきましては、事業団としましては事業団のかかえております人間及びその予算の範囲内ではできるだけのことをしたつもりでございますが、まだそれが十分に徹底しなかったということについては非常に反省しておる次第でございます。  それから船長との連絡でございますが、これはもう非常によくやっておるのでございますが、電信電話の連絡が機械とかあるいは距離の関係で十分その目的を達してないようなうらみがございます。そういう点もひとつ御了承を願いたい、かように存じます。
  83. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 まあいろいろやっておるというお話でございますけれども、あながち世の中はそうは見ていないと思いまして、今後この問題は、先ほど申し上げましたように、原子力の問題、船も電力の場合もそうだと思いますけれども、内容につきまして安全であるということを十分わかりやすく説明をしてもらわなけりゃいけないと思うわけでございまして、ひとつ科学技術庁もあるいは運輸省も事業団も、ひとつ具体的にどのようにして今後は対処していくかということを、従来のことを大いに反省してもらいまして、将来に向かってこの問題の具体的な対策を立てていただきたいと思います。官房副長官も来られましたけれども、内閣の問題でもあると私は思うわけでございまして、それらの点、将来具体的にどうやっていくか、ひとつ国民皆さん理解を得るという方法につきまして具体案を言っていただきたいと思います。——政務次官どうですか。
  84. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 原子力船むつ」の安全性につきまして、安全であるという見方、欠陥があるという見方、いろいろあるわけでございます。私はこの安全性の認識、理解のし方が立場によって相違しておる、異なっておる点が多少ありはしないか。そこでこれは、いま黒住委員が御発言になりましたように、安全性の問題に対しましては、やはり具体的に率直に国民理解を求めておく必要がありはせぬかと、まあ絶対安全と申しますと、たとえば今回のように出力一・四%程度で放射線漏れが出たと、これは先ほども御説明にありましたように、ごく微量でございまして、もとより人体には何ら影響はない。この点から申しますと、安全と言えば安全と言えるのではないかと思いますし、またかりに〇・二であってもレントゲン線が漏れたんだから、これは安全ではないではないかといわれもするわけでございます。そこで私は現地あるいは「むつ」にも参りまして痛切に感じましたことは、根本的に、これは当初やはり「むつ」が出港する前に、今回は臨界出力試験に出港するので、たとえば六回試験を繰り返してやる、その時点で多少放射線が出るかもしれない、大気のうちにも放射線は現在あるわけなんだから、多少のものは出るかもしれぬが、これは人体には絶対影響はないんだと、そういうことを当初十分地元関係者にPRをして理解、認識を求めておけば、私はここまでこの問題は大きく発展しなかったであろうということを痛切に感じてまいったわけでございますが、そういう点が多少私は手抜かりがあったのじゃないか。  むろん科学技術庁といたしましても原子力船開発事業団といたしましても、地元で講演会をやり、説明会を数回いたして、また「むつ」も公開をいたして、あるいは質問等にもお答えをして十分PRはいたしたわけでございますけれども、根本的にいわゆる安全に対する認識、理解が少し立場によって変わった。その点に問題があったんじゃないかということを痛感をいたしております。そこで、こういう点、今後十分反省をいたしまして国民理解、認識を求めなければ、今後の開発にいろいろの支障が今後も生じてはきはせぬかということを考えておりますので、この点は十分反省をいたしてまいらなければならないと考えておるのでございます。
  85. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 その点に関しまして運輸大臣の御所見も承りたいんでございますが、時間の関係等ございますのであとでひとつ一括してお答えを願いたいと思います。  世界的エネルギー危機、すなわちもう石油はいつまでも使えるというものではなくなっておるわけでございまして、次の主要なエネルギー源としては核エネルギーに世界の目が向けられているところでございます。原子力船は在来船に比しまして高速である、そして超大な航続力を有するという大きな特色があるわけでございます。今回の事態はまことに不幸なことであったのでございますが、今後この安全性の確保に万全を期する、国民理解信頼にささえられた原子力開発利用をはかっていかなければならない、さように存ずるのでございますが、これにつきまして原子力船の将来につきましての御見解、それから、先ほど政務次官からお話がございましたけれども、国民にどうやって知っていただくかということに対する所見、運輸大臣に承りたいと思います。
  86. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 原子力船の将来の問題でございますが、日本原子力船開発事業団法が審議され可決されたのは昭和三十八年だったと思います。これも委員会においては全会一致で可決されておるわけでございます。いまお話がございましたように、将来もろもろのことを考えますと、この原子力船が海運政策上必要である、こういう認識のもとに私は全会一致の開発法ができた、かように考えております。  いろんなそれから歴史を経まして今日に来たわけでございますが、将来の問題におきましても、この「むつ」とは切り離して、将来の原子力船という問題はそういうような当初の経緯もあり、またその認識は私は正しかったというふうに思います。将来におきましても、このたびのいろんな経験と申しますか、事態を正確にとらえまして、国民皆さんの十分な理解の上にこの原子力船開発というものは将来とも考えていかなければならない問題であろうと思うわけでございます。  そこで、その間における国民理解を求めるためにどうしたらいいのかということでございますが、安全の問題あるいは環境の問題、たびたび私が申し上げるように、安全ということは絶対一〇〇%ということはあり得ないわけでございまして、一〇〇%に近づける努力、常にその努力は積み重ねてまいらなければなりませんけれども、どうしてもこういう未知の問題に対する一つ開発、挑戦という場合には、よほどの仕組みとそれからまた理解を求める手段というものが必要であろうと思います。  いま科学技術庁中村政務次官がお答えになりましたように、この炉というものはこういうものである、こういうところにそういう危険がはらんでおるけれども、それがためにはこういう試験を重ねる、またその試験の段階ではあるいはこういうことになるかもわからぬが、その場合にはどういうような安全弁があって、人体に及ぼす以前にそういうものが作動して防げるんだというようなことを事こまかにみんなにわかりやすく納得してもらわなければならないと思います。これはひとり原子力ばかりでございません。ほかの問題等におきましてもやはり新しい開発に対してはそういう努力を怠ってはならないと思います。  今後におきましては、このさしあたっての「むつ」をどうするかという問題につきましては、ただいま鈴木総務会長が現地に行っておられまして現状の解決に全力を傾けておる段階でございますから、この結果を踏まえ、また今回の経験を十分参考と申しますか、考慮いたしまして国民の納得のいくような方法をとってまいらなければならない、かように思う次第であります。
  87. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は「むつ」の放射線漏れに関連いたしまして、政府の政治責任と、それから行政責任を追及する、そういう基本的なかまえで、時間的なワク組みがありまするので、その中でいま申し上げたような基本的な判断質問をいたします。  私は去る九月の十一日でしたと思いますが、科学技術特別委員会の中で、要するに日本原子力開発は、あるいは原子力行政はおよそ国民の合意とそれから信頼と納得を得るということの基本認識の上に立って進めなければうまくいかないだろうと、その時点では、私は陸上においてはたとえば原子力開発を意識し、それから、あるいはやがて問題になることを予測した、いわゆる核燃料再処理工場等も含めた、いま当面問題になっておる、海に漂流しておる原子力船むつ」問題にスポットライトを当てて、これに対してもいま申し上げた認識の上に立って行政を、あるいは政府はそういう政治姿勢をもってやっておられるかどうかという私の質問に関連をいたしまして、私は二階堂官房長官を意識して、時局多端のおりから大村官房副長官でというかっこうでがまんしていこうという、そういう現状認識の上に立ちながら、もちろん当時は五体満足で非常に心臓の強い森山長官もおられたわけでありまするから、そういうことを意識しながら一応質問をしたわけでありますが、はね返ってきたことば、大部分の国民の支持と——なかなかあなたのほうは政治的用語として信頼ということばをお使いになりませんね——理解を得ているものと信ずると、こういうことばがはね返ってきておるわけであります。これはもう議事録で明瞭でありまして、あなたがどういうことをしゃべったか、あるいは森山長官がどういうことをしゃべったということはこの科技特の参議院の第一号によって明確でありまするので、そのとおりであります。実はそういうことに関連をして、私はその後の結果として太平洋上に「むつ」が漂流をしておる、このことはだれがどう見ても、日本原子力に関する科学技術というものが世界の笑いものになっておるんだ、少しオーバーでありまするけれども、そういう表現をあえて、それは決して酷評ではないというふうに判断をいたしておるわけであります。  そこで副長官にお尋ねをいたしますが、その前にそういう時間の経過の流れの中から、言うならば田中総理はラテンアメリカやあるいはワシントン、カナダを通して外遊から帰ってこられましたね。そして二十八日に内閣記者団と会見をしたわけです。この場合に原子力船むつ」の問題をどう解決するかという記者の質問に対して、首相は「むつ」の問題は根本的にメスを入れなければならない。一両日中に党と政府で結論を出したい。昭和六十年で原子力発電が六千万キロワットを必要だとされているから「むつ」が漂流するような事態は全く政治的な責任である。これは長い自民党政権の責任でもあると思うと、こう言っておるわけであります。で、そういうことを含めて、今日ただいまの次元で漂流しておる「むつ」問題に対してどういう反省をしておられるか。  また、これを反面教師として今後の原子力開発等の、原子力船開発等をもうやめたとおっしゃれば別であるが、やるとするならばどうこれを教訓としておられるかどうかというところを、いま申し上げたとおり、答えるのは大村官房副長官であるけれども、本音で言うならば、これは私が予算委員会に席を置いておるなら田中総理と渡り合わなければならないポイントだと、こう思っているんですが、ひとつきょうはそういう点でコクのある、通り一ぺんではなくて、私は六十五分間という時間をいただいておりますので、その間だけはぜひひとつつき合っていただきたいと、こう思うんです。その点をまずお答えいただきたいと思います。
  88. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) たいへん次元の高いお尋ねでございますので、私からお答え申し上げるのも必ずしも適当でないかとは思いますが、御指名がございますので、ただいまのお尋ねの点につきましてお答え申し上げます。  御承知のとおり原子力開発にあたりましては他産業に見られないきびしい規制が課せられておりまして、その安全性の確保についてはかねてから万全を期するための努力を続けてきたところでございます。一方、原子力開発利用の必要性と安全性の確保につきましては、国民の一人一人に対する絶えざる説明の上に、その合意と納得を得る努力が必要であることにつきましても十分認識しているところであり、及ばずながらその努力を重ねてきたところでございます。前回のお尋ねに対しまして私から政府の見解をお答えいたしましたのもこの趣旨にいずるものでございます。  そこで、このたびの「むつ」の出港に際しましても、地元住民の納得を得るための努力をいたしましたが、一部の反対を残したままで出港せざるを得なかったことにつきましては、当時の状況から見てやむを得なかったというものの、はなはだ残念なことであったと考えております。政府としては、今後さらに安全性を向上させるため、原子力施設の安全研究の強化、安全審査体制の充実に一そうの努力を払うとともに、国民理解と協力を得るための話し合いに最善を尽くす所存でございます。  なお今回の「むつ」における放射線漏れについては、専門家グループを船に派遣して原因の究明を行ない、当面の安全性についての検討を行なった上で九月十五日閣僚懇談会において、「むつ」を定係港に入港させ必要な措置を終えた後「むつ」を神戸に回航させることを決定したのでございますが、この決定に対し青森県知事に地元関係者からの入港延期の要請が出されましたため、地元の意向を尊重して政府は入港を延期するとともに、中村科学技術政務次官を長とする政府代表団を派遣し、地元関係者との意思疎通をはかった次第でございます。  さらに今月に入りまして鈴木総務会長を青森に派遣し、「むつ」の安全性に関して専門家会議を現地で開催して、これを公開の席で確認するとともに、これに基づき地元住民の十分な理解と支持を得るよう粘り強い話し合いを現に続けておる最中でございまして、地元との円満な解決をはかるよう最善の努力を傾注いたしている次第でございます。  総理の帰朝後のおことばで、政治責任であると述べました点はまさにそのとおりでございまして、事態の円満な解決をはかるように、ただいま申し上げましたような最善の努力を払っているところでございます。
  89. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間のワク組みの中での質問ということになると、これだけで時間が詰まると思いますけれども、しかし私は、何も二階堂官房長官でなくても、実感としては、あなたは現に「むつ」にも行っておりますし、八月の二十六日の時点では——あなたの個人の立場であるないは別の問題として、どうしてもやはり今夜じゅうに「むつ」を、まあことばのあやでは強行出港であるとか見切り出港であるということは別としても、出なさい、出るべきであるという電報もあなたは打っておられるということも情報として私は知っております。  それから、これは時間のむだになりまするけれども、「「むつ」の放射線事故の教訓」という見出しで、中身は「問われる原子力行政」と「住民との信頼関係」というもので、これはやはり私は新潟県地方区選出でありますけれども、「新潟日報」が社説で書いておりますので、まさにこれは政治問題であり社会問題であるが、要約して、問われる原子力行政を洗い直さなきゃいかぬと、そういうことと、それから陸奥湾を中心とした下北半島の沿岸住民、船員、その他地域住民等も含めて、ともかくも日本列島全域からいっても、この問題は陸にせよ海にせよ、いわゆる信頼感、理解というものが十分ないといかぬということが書いてありますので、まことに時宜を得た処置だと思いますけれども、実は時間のむだになりますから、あとでこれ見といてください。  いま申し上げたとおり、大村官房副長官は、これは八月二十六日の時点でありますが、十二時過ぎに、今晩をのがすと同じことの繰り返しになるので、今晩中に極力出港するようにと、そういう電報を打たれておりますが、事業団からは荒船長に向かってきょうじゅうに出港せよという、これは指令でありますが、通念上業務命令か指令か、いずれにいたしましてもそういうことが経過の中に含まれておると思うのであります。このような姿勢が今日の言うならば結果を招いた大きな原因にもなっておるのではないかというふうに判断をしておるわけでありまするが、これに対してはあなたたちの良心によって、いやそんなことはあるないというのは別の問題として、こういう主体的事実があったんですかどうですか。こういう電報をお打ちになったり、あるいは佐々木理事長はそういう一つの指示とか指令とか電報とかお打ちになっている事実があるわけですか。これは新聞にはそういうふうに共同通信であらゆる日本の新聞に出ておると思いますが、そういうことは事実無根で、なかったのか。そういう点ひとつ答えてくれませんか。
  90. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) ただいまお尋ねの電報の件でございますが、内閣官房といたしましてはそういう事実があったことを承知いたしてません。(「そういう事態は関知してないということ」と呼ぶ者あり)ただいまのお話は、官房長官名あるいは副長官名でそういう電報を打ったのではないか、そういうお話でございますから、そういう事実は承知しておらないと申し上げたわけです。
  91. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 科学技術庁長官から二十五日中にできれば出港させろ、こういう指示がございましたので、私から船長に同様の指示をいたしました。
  92. 森中守義

    森中守義君 ちょっと関連。  技術庁の場合、現地の漁連のほうから月末まで延期してくれるならば強制的な阻止はしない、こういう申し入れがあったでしょう。それを森山長官が受けて、もうすでに阻止する能力を失った、反対できなくなったものだからメンツを立てるためにこういうように言ってきたんだ、こういうことを前置きにしながら月末まで待てない、二十五日出すんだ、こういって出したということなども伝えられています。二十五日がどうして月末まで待てなかったのか。その根拠は何ですか。これ一つ教えてもらいたい、いまのと関連してね。  それと午前中私がお尋ねした大体完成検査が目的だったということだから、当然そこには運輸省技術庁あるいは事業団とはいろいろ話し合いもあったと思う。そこで二十五日以降はどうにでも待てないという結論が出たのかどうか、その辺もいま杉山君の質問とあわせて御答弁願いたい。
  93. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 大体十九日に出港を予定しておったわけでございますけれども、地元から要請がございまして、それにこたえて二十五日に出港をするようにされたわけでございます。これは関係閣僚懇談会で官房長官科学技術長官に一任をしてあります。官房長官科学技術庁長官とがお話し合いをされて二十五日に出港するように原子力船事業団理事長にその旨を連絡をされました。ただいまお話しになりましたように、理事長から荒船長に指令を出してあるわけでございます。そこで私は詳細なことにつきましては存じませんけれども、さように私は承っております。
  94. 森中守義

    森中守義君 だから二十五日が月末まで待てないという理由にはそれはならぬわけだ。両方の長官が話し合ってきめたことだから待てないというだけで、全然話し合いも何もしてないじゃないか。
  95. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 大体陸奥湾沿岸の漁協は二十九漁協がございます。そのうちの二十五の単協はすでに賛成をしている。四つの漁協が反対をしておったわけでございます。そこで青森県知事と連絡をいたしまして、青森県知事からも青信号が出て、まあ出港していいだろうというようなことで出港に踏み切られた、こういうことでございます。
  96. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 事業団の理事長は何とも言われませんけれども、時間も制約されておりまするから前に進みますけれども、それから運輸省にしてもやっぱりこれは運輸大臣と全然関係のないことじゃないですから、その点は意識してとにかく先へ進んでいきます。  そこで、きょう私は大村官房副長官と森山科学技術庁長官は、とにかく推進派であろうと期成派であろうと反対派であろうと、どの立場をとろうと、しょせんこの道はわれわれは通らなければならないと、科学技術の必要性からそういうことを意識しながら来てもらうということを期待をしておったわけでありますけれども、まあまぼろしの長官だというかっこうで、しかし厳然として、政治的に、やむを得ず入院しておられるということにしておりまするので私は中村政務次官に言っておきますが、今回の「むつ事件では私は私なりに森山長官語録というものをつくっておるわけですよ。いいですか、それだけ国民の感覚との間にズレがあるのです。  言うならば、いわく強行出港でないと、どういう視点をとらえたとしても、見切り発車でない、強行出港でない——なるほどいい心臓だなというふうに私もびっくりした。いわく試行錯誤、科学技術については試行錯誤があることはやむを得ない。試行錯誤ということを繰り返し繰り返し言っている。いわく絶対安全だということばを使っている。大体政治家は絶対ということばは使わないほうが賢明だと思いますが彼は正直だから。いわく絶対安全だと言っている。それからいわく原子力開発に反対するものは科学に対する挑戦である、なかなか心臓の強いことを言っています。このような認識に立って行政をしてきたからこそ初歩的といわれるミスが出たと私は理解をしておるわけなんですよ。  で、いろいろ申し上げたいことはあるわけでありまするけれども、そこで長官を私は意図的に悪口を言うわけじゃないんですよ。ついに陸奥湾の漁民からは、これは罷免要求だね。ああいう心臓屋の、わからず屋の人はとにかくもう罷免してもらいたいんだ、来てもらっちゃ困るといったようなことが出ておるわけであります。本来ならば、長官みずからが行って、鈴木善幸さんが行かれる前に行って、いろいろと、とにかくおれはどうも言い過ぎであったというようなことを言われてしかるべきじゃなかったかというふうにも考えておるわけであります。  そこで、この際私はまあ時間にも借金があるような立場におりまするので進みまするけれども、この際あなたから、森山長官国民に対して世間を騒がしたことをわびて、この原子力船問題は、ただ科学の問題や政治的な問題であるだけじゃなくて、船員、漁民を含めて社会問題化しておるというようなことで世間を騒がした、そういったようなもろもろの要素を含めて責任をとるべきである、私は辞職しなさいとかやめなさいとは言わぬけれども、責任をとるべきであると、こういうふうに道義的に私が言っておるというふうに、ひとつあなたは、やはりきょうのこの客観的な、主体的なこの委員会の場としては森山科学技術庁長官の代理というかっこうで来ておられまするけれども、位置づけがやはり政務次官に違いありませんので、そういう点でひとつお伝えおきいただきたい。真情を込めて杉山が時間を費やしておこっておったと、そういうことをひとつお伝えください、こう思います。  で、このことはきょうは原子力委員会も来ておられまするけれども、ただ森山長官だけが悪いということじゃなくて、これは原子力委員会にしても、それから安全専門審査会にも責任があると思うんですよ。形の上ではやはり委員会にしましても安全専門審査会にしましても、首相の諮問機関であっても、わが国の原子力開発を今日のようなやり方推進してきたのは原子力委員会であると、常識的に見てそういうふうに私なりに判断をしておるわけであります。で、きょうは原子力委員会から山田委員がお見えになりまするけれども、私はどうしてもあの十月の八日の時点でNHKの放映の中に内田安全専門審査委員長の画像を見て私の受けた感じ、国民もあるいは同じであったように思いますけれども、原子炉安全審査会はああいう姿勢とああいう態度では非常に困るんじゃないかというふうに私ははだで感じたわけであります。  この点については、ひとり森山長官だけではなくて、原子力委員会もそれからその重大な心臓部である、たとえば新潟あたりでは県知事にしても柏崎の市長にしても、安全審査会が、とにかくだいじょうぶと言ったんだからこれを信頼しちゃえばすべてだいじょうぶだという説得力は一つもないんですよ。そういうことで、安全審査会なり原子力委員会に依拠依存をしておるわけでありまするから、どうかひとつこの原子力委員会も、きょうは内田安全専門審査委員は大学の教授でいらっしゃるそうですから来ておられないでしょうけれども、こういう二枚鑑札は行政を洗い直すためにはやめていただきたいと思うんですよ。まあいろいろよけいなことを申し上げましたけれども、中村政務次官と山田原子力委員も、いまの内田安全専門審査委員も含めて、ひとつ所信といいますか、真意というものをこの場でお伺いしておきたいと、こう思うんです。
  97. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) ただいま杉山先生のお話でございますが、まず原子力安全審査ということにつきまして一般的に言いまして原子炉安全審査会というところで全部の安全審査を行なっておるというふうに一般的に受け取られておるということはどうも事実のようでございます。しかしながら、現在の体制におきましてはそういうふうにはなっておりません。したがいまして安全審査会においては基本設計及びその具体化の方向というものを見出すならば、それからあと段階は実施設計あるいは工事のやり方等は原子力発電の場合には通産省、それから原子力船の場合には運輸省に回るという形になっております。ですから、現行法の上からいきましてはそういう形でございますが、しかし最近の新聞論調その他あるいはそうでなくても、われわれ自身もこの原子力安全行政は現在のままでいいのかということは確かに問題になると思います。  それで、ここにはいろんな意見考えられますが、これを一元化して、どこからは科学技術庁、どこからは通産省といったような二元的なものでほんとうにいいかどうかということについても将来考えていかなければならないであろうと思います。しかし、まあそういうふうに二元的になっておるにはそれなりの理由があるわけでございますから、その利害得失といったようなものを十分に検討して、これから原子力は安全行政をどうやっていくかというようなことを考えていきたいと思っております。  さらに海外の様子を見てもそうでございますが、この原子力の安全の問題と、それから原子力開発といった問題が過去においてはすべて一カ所において行なわれておったのでございますが、最近の情勢におきましてはそれがだんだん二元化しつつある。そういう情勢がございます。そういう海外の様子をながめ、それらについてのどういうふうに考えていくのが一番いいか。外国でやっておるからすぐにそれがいいというふうに飛びつくわけにはまいりませんけれども、そういったことを他山の石といたしましてどういうふうにやっていくか。その場合には一体原子力基本法はどうなるのかとか、いろいろな問題があると思いますが、しかしこの際あまり急いでやりますと間違うおそれがございますけれども、じっくりとかまえてその基本的な問題について原子力委員会としては考えていこうというふうに思っております。
  98. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 往復やりとりしておると時間を食ってしまいますので、もともと私は原子力船むつ」の放射漏れに関連して、政府の行政責任を追及する、そういう立場を主軸にして話しておりまするので、限られた時間でありますので先へ進んでいきます。  船舶の運航と港湾の管理運営、船員の雇用、安全など監督指導の立場から運輸省責任も重大だと思います。特に船舶の建造について最終的なその安全性はいまいみじくも山田委員が言っておりましたけれども、建造について最終的にその安全性を検討する責務を負っているのは運輸省である、これは、実は九月十一日の科学技術特別委員会において森山長官も山田委員も今回の行政や法令上の責任運輸省にあると、こう言っているわけであります。で、この見解について、運輸省だ、科学技術庁だという、私は実は常任委員は運輸委員であり、それから科技特にも実は委員としておるわけでありますが、この点についてやはり運輸省はどういうふうに、これは最終責任運輸省にあるというふうになっておるわけでありますが、この点についてはどういうような見解を持っておられますか。
  99. 内田守

    説明員(内田守君) 繰り返すようでございますけれども、設置許可にあたっての安全審査におきましては、これは炉規制法で基本計画及び設計について審査されるわけでございます。その設置許可につきましては、もちろん運輸大臣の同意を要するわけでございます。したがいまして、それにつきまして、われわれは安全審査内容というのは熟知しておるわけでございます。で、そうした安全審査を受け、設置許可を受けました原子炉施設は、先ほど来申し上げておりますように、船舶安全法に基づく検査に移っていくわけでございます。したがいまして、そういう原子炉を積んだ原子力船なる船舶は、最終的には船舶安全法に基づく検査証書が交付されなければ航行の用に供してはならないという段取りになるわけでございます。で、御承知のとおり現在の「むつ」はその検査中の船であったということでございます。  そこで一体安全審査での問題であったのか、あるいは船舶安全法上の段階での問題であったのかということになろうかと思いますが、これは先ほど来申し上げておりますように、現在その放射線漏れの原因を懸命に運輸省並びに科学技術庁で合同検討会で調査しておるわけでございまして、その原因が一体、基本計画あるいは設計の時点で整備すべきものであるか、あるいは設置許可申請段階に考慮がとられるべきであったのか、あるいは詳細設計段階でチェックすべきであったか、あるいは工作上の問題であったか、おのずからその原因によってそのステージというのは明白になると思います。そういう意味におきまして、現在それがどういう段階での問題であったかということばまだ申し上げる事情にはございません。
  100. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この問題について、運輸省がどうであるとか、あるいは科学技術庁がどうであるとかということになると切りがありません。しかし原子力船むつ」が太平洋上に欠陥原子力船ということでその実態をさらしておるということだけではなくて、これは皆さん全部ごらんになっておると思いますけれども、十月の七日の——まあ中央紙、地方紙ともに大体社説で扱っているんですよ、この問題は。その中で「漂流する原子力行政」という扱いをしておりますね。新聞の名前を言うまでもなく、これを見ない政治家や、またいろいろな感じ方のない人はないと思いますけれども、このとおり出ておるんですが、この中で私は勉強の過程中でありまするからはっきりと整理がついたわけですよ。  原子力施設の安全性審査体制の整備を必要とするということが一つのポイントなんです。基本設計段階においては、やはり重要な比重と役割りを持っているのは原子力委員会安全専門審査会であると。言うならば、詳細設計については原子力発電の場合はやはり通産省だと、原子力船の場合は運輸省だと、そういうふうに整理をされておるわけであります。  それから二番目のポイントとしては、「むつ」の安全問題を関連分野の専門家が検討するに際して、原子力基本法民主自主公開原則というものが空文化されておるんだと。もっとこれは、さっき田島教授ですか、参考人でお見えになった、こういうようないろいろな人たちが、やはりいろいろとこれはほんとうに知りたいんだ、勉強したいんだと言っても、原点に立ってくるというとこの民主自主公開原則が空洞化されてしまって活用されていないのが一つのポイントなんだと。  で、原子力技術の未完成であるということはこれはもう「むつ」をもって象徴とされておりまするけれども、陸上で言えば、福井の美浜の原子力発電においても、きれいごとを言って何にも故障が起きていないような顔をしておりますけれども、実は取り返しのつかないいろいろなものがあるわけです。で、これについてはこう言っているんですよ。原子力技術の未完成であることの認識の欠如である。たとえば六十年原子力発電所六千万キロワット計画に対応してこの廃棄物の処理方策の見通しが立ててない。このことは陸も「むつ」の場合でもそうなんです。これがある、これがあるということになりまするけれども、こういうわけで、とにかく何十万何百万というこの情報社会の中でマスコミの中が社説で機能を動員してこういうようなことを書いておるわけであります。  こういうようなもののあり方について一体、科学技術庁やそれから運輸省についても、どういうふうにこれは——見ておられると思いますけれども、どういうような一つ——所信とまでここで今日追及したり……、お互いが勉強の過程であると思いますので。そういう点についてひとつお答えをいただきたい。私は先へ進む関係上簡潔にお伺いいたしますが、そういうことについてお答えいただきたい。どなたでもけっこうです。
  101. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) その社説も私拝見いたしました。そのほか各社とも、署名入りの解説あるいは社説等を掲げまして、いろいろこのたびの「むつ」問題に対して御批判なりまた意見なりを発表しておられるわけでございます。一々ごもっともなことでございまして、私どもは、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、この原子力船開発につきましてはあらためて三原則にのっとってそういう面に問題はなかったかと、あるんだという御指摘はすなおにこれを受けとめまして、今後これらの問題の開発のためにこのたびのことを十分教訓といたしまして処してまいりたいと、かように考えております。
  102. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 先ほど杉山委員から大臣並びに関係の方に対して御発言がございました。御発言の要旨はとくとお伝えを申し上げます。  なお、ただいま御質問のありました点につきまして、安全審査体制の強化につきましては、昨年来専門職員の増強につとめつつあるわけでございまして、これを強化してまいらなければならないと考えております。  なおまた、資料公開につきましても、申請書あるいはその他の書類等もある程度これはひとつよく精査いたしてまいらなければならぬと思うわけでございます。なおまた、申請書添付書類内容を拡充していかなければならないと、かように考えております。  いずれにいたしましても、安全性の問題は最も重大な問題でございますので、原子力開発推進を進めていく上からひとつ抜本的にこれは対処をしてまいらなければならぬと考えております。
  103. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 実は私は、しゃべくっておるというと長くなるからと思って原稿を切って言っているけれども、それでもなおかつ時間に心配がありますので、実はこの重要な原子炉のやはり基本設計から詳細設計までに至る過程については、これは科学技術の中でやることのほうが能率的でありやってもいいとこう判断をいたしておりますので、私のほんとうにきょうは官房副長官に来てもらって聞きたいことがそれちゃいますから、ただ一つこの中でどうしても聞きたいことは帳面のところに符牒をつけておるのでありますけれども、これは要するに佐々木事業団理事長も聞いておいてもらいたいのですけれども、いろいろな設計資料がありますわね。基本設計からそれから詳細設計段階において、三菱原子力工業所が持って、非公開になっている事実があるわけでありますけれども、私はこれはしろうとながらどうして感づいたかというと、原研に働いておられる技術者、それからいろいろな方々を含めて労働組合ができておるわけでありますが、この人たちが「むつ」の原子炉の設計資料の公開を要求しているわけであります。これは朝日の九月十二日に書いてありまするけれども、実はきょうは原研の労働組合の副委員長も来ておられまするので、これはなぜ一体公開できないのか。これは「むつ」の原子炉に対して九九%まででなくても、私は勘ぐればアメリカ原子力潜水艦の炉を純国産に引き当てたという、そういう私の推定ですよ。しかし日本では初めての国産第一号のあれであるけれども、その点についてもウエスチングハウス社がこの点は非常にマークしておきますよと、そういうことを実際に、詳細にやったかやらないかということについては、これは三菱の原子力工業所では持っているはずなんですよ。だからそういう点について、たとえば三菱原子力工業に秘物化されておる現状では信頼できる原因調査は期待できないと、国に対して資料公開を要求していくことになったというふうに言っておられまするので、これはぼくは重大だというふうに思いますので、その点について、これでやめますけれども、ひとつ。
  104. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 私、原子力研究所の労働組合の副委員長をやっております青柳でございます。  私たちの原子力研究所の労働組合の中に中央委員会の小委員会というのがありまして、原子力安全問題小委員会というのですが、今回こういうような事態が起こりまして、直ちに私たちの組合は科学技術の面からもいろいろ関与しておりますので、検討を加えたわけでございますが、その過程でやはり原子力船に関する諸データ、特に最終的には検討を加えていく過程で、私たちのほうから原船団のほうに御要望したのは、最終完成図面ですか、図面がいろいろ違いまして、検討が非常にしにくかったもので、そういうものがあったら提出していただきたいということもありまして、公開の関係からいいましても特に問題ないと思いますので、私のほうから申し入れしたわけですが、残念ながらノーハウ等の関係もあるのでということで、お断わりしてきたというような経過があります。  そういう経過の中で特に原因の究明その他を正確に行なうということになりますと、やはり具体的なデータ、特に安全審査設計段階から詳細設計及び具体的には工作工事その他の段階のデータが公表されませんと、やはりその関係で多くの研究者、技術者を集めまして正確に事態をとらえるということは非常にむずかしいというふうに私たちは判断しておりましたので、そういう点で、そういうデータが公表されるならば、それなりの検討が十分進め得るという意味で、ぜひそういうふうにしていただきたいということも申し入れているわけでございます。
  105. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この原研の研究所の中で縁の下の力持ちと言っては失礼でありますけれども、実際にスタッフとして情熱を傾けてこの点を知りたいんだと、のにもかかわらず資料が出てこないと、こういう問題について、知る権利、そういった問題について、ほんとう日本科学技術というものをみんなして国民のものにすると、そういうような問題について、これを公開するとかなんとか、そういったような問題について、この場では当事者がおらないから何ともならぬと、そういうことになりますか、どうなりましょうか。その辺について、科学技術庁のほうか、あるいは運輸省のほうでも、どちらでもいいですが、どうですか、その点は。
  106. 福永博

    説明員(福永博君) 原子力船の建造を進めてまいります段階としまして、当初基礎的な研究から始めるわけでございます。特に今回問題になっております遮蔽につきましては、原子力研究所船舶技研、原子力船開発事業団、この三者の共同研究で進めてまいったものでございます。それからこういった基礎的なデータをもとにいたしまして基本設計を開始し、詳細設計、工作図面、こういうふうに進んでいくわけでございますけれども、この当初の基礎研究の部門につきましては、すでに事業団のレポートという形でまとまったものが公表されております。  それから安全審査につきましては、申請書ないしはその添付書類といったものは全面的に公開いたしておりまして、部数の関係もございまして広く配布するというわけにはまいりませんけれども、私どものほうの公開資料室にございますので、いつでも利用できるものでございます。その他、原子力委員会で行ないます公聴会の資料等々につきましても、検討結果、説明書を公表しているとかといったようなことで、極力国民の皆さま方の理解をいただくように、資料の公開という点については努力しているわけでございます。  ただ、ただいまお話がございました詳細設計と申しましょうか、工作図面と申しましょうか、そういったものにつきましては、いわゆるノーハウといったようなものが含まれておりまして、これは工業所有権の保護といったような観点もございまして、公開いたしておりません。
  107. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 納得のできたとかできてないということは別にして先に進みまするが、原研の組合においても大いに勉強していただきたい。たいへん御苦労さまでございました。  それでは先に進みます。「むつ」の事故に関連する諸問題という中で、これは簡潔に私も質問をしますので、簡潔にお答えをいただきたいと思いますが、まず港湾管理について、たとえば「むつ」事故に関連して、函館であるとか室蘭港に「むつ」の随伴船や給油船が入港し、また出港した際に起きたもろもろの問題がありまするが、港湾管理者の権限について伺いたいと思います。まずこの二つの港の港湾管理者は一体だれであるかということと、それから九月二十三日の未明に「むつ」のタグボート「へらくれす」が函館港に到着したが、管理者から港湾区域外に退去命令が出ておるわけでありますが、この間の事情と、前段申し上げた港湾管理のあり方、そういったような問題について、これは実は港湾局長に来てもらいたいと思いますけれども……
  108. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 来ております。
  109. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そうですか。じゃあお答えください。簡単でようございます。
  110. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 管理者は、函館港におきましては函館市でございます。室蘭港におきましては室蘭市でございます。  函館におきまして「へらくれす」の退去という点につきまして、確かにこの点トラブルがございました。その事情をちょっと御説明いたしますと、「むつ」補給船が函館に入りましたのが九月二十三日の夜半でございまして、実際的にこの公共の岸壁に接岸したわけでございますが、夜半のためにその手続が困難だったわけでございます。しかしながら、その後管理者と船長のほうと話し合いまして、岸壁使用の許可を受けて、その点は解決していると聞いております。  室蘭港におきましては、これは日石の私設岸壁に給油船が、補給船が着いたわけでございますが、私設岸壁でございますので、管理者といたしましてはこれの使用許可云々の権限がございません。しかしながら管理者といたしましては、「むつ」に関連するこのような重大な問題でございますので、入港にあたりましてはできるだけ事前に連絡してもらいたい、このようなことを申しております。  函館にいたしましても室蘭にいたしましても、この連絡船等手続上はその必要ないこともございますけれども、市民の意向も十分ございますので、入港の際には事前に連絡していただきたい、こういう要望がございます。この点につきましては、事業団のほうに運輸省船舶局等を通しまして申し入れている次第でございます。  なお私ども運輸省といたしまして、管理者を監督する立場から考えますが、港湾管理者は地元の市民の意向を十分に尊重しなくてはいけないということは当然でございますけれども、港湾の管理運営について特に支障のない限りは施設使用を拒否できない立場にあるというように考えます。むしろ港湾管理者といたしましては、船舶がその港湾を利用する場合に生じるさまざまな障害を除去するような努力をしてもらいたい、このように考えている次第でございます。このような場合にはできるだけ事前に連絡を受けまして、いろいろその点について善処するように私どもとしては管理者に要望している次第でございます。
  111. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) ただいまの御説明を補足させていただきます。  「へらくれす」が函館に入港いたしましたのは九月二十三日でございまして、前日が日曜で、かつその翌日が休日ということがございまして、港長並びに港湾管理者に対する連絡が不十分でございまして、十分の返事の確認をいたしませんまま入港いたしましたのでただいまのようなことがございました。われわれといたしましては、今後こういうことのないように「へらくれす」の船会社に対して厳重に注意をいたしました。
  112. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進みます。急行で進まなければだめになってきましたから。  実は大村副長官にお尋ねいたしますが、去る九月二十一日、全日本海員組合の村上組合長ほか中執の方々があなたに対して五つの項目を要求という形、つまり申し入れという形であなたが窓口で受け取られましたね。五つの項目については申し上げるまでもないことと思いますが、おわかりですね。
  113. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) わかります。
  114. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いいかげんなことを言われるというと、これ読まなければならぬ。時間の空費になりますから。五項目ありますので。私も、ここにおられる和田委員も船乗りでありますので、実はその点だけは潮気もあるし、いろいろ行っておりますから、あなたがいいかげんなことを言うとまた聞く時間が長くなりますから。これをどういうふうにあなたは配慮されて、ただ聞き置くとか、そういうことに扱われたことはないと思いますけれども、この五つの中に私もなかなか重要なポイントをついておると、こう思いますが、これについて九月二十一日、全日本海員組合の村上組合長の大村官房副長官に対するこの五項目要求申し入れをどのように配慮され、どのように評価されておるかという点について、ひとつ簡潔な解明とお答えをいただきたいと、こう思うのです。
  115. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) その日は申し入れを受け取ったのでございまして、よく検討して後日回答したいと申し上げた次第であります。その後、数日を経ましてあらためて来ていただきまして、口頭で回答申し上げました。なお要旨のメモをお渡しいたしました。  以上であります。
  116. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 はなはだ意に介しないところもありますけれども、まあそれで一応理解をいたしたということにしておきます。  そこで次へ進みまするが、欠陥船「むつ」の処置と今後の原子力船開発について、まあ私はほんとうは欠陥船なんていうことばは使いたくないと思うのです。しかし炉もうまくいっていないし、それから船舶の構造も、実はこれを処置の結果商船に使うとしても、なかなかこれは扱いにくい。そういうふうに船体の構造的にも原子炉ももちろんあわせて、総括して「むつ」はやはりどうほめても欠陥原子力船むつ」と言わざるを得ない、こういうふうに考えているわけであります。  そこで、ひとつこれはやはり質問に入る前に確認をしていきたいと思うのであります。九月十五日であります。暦を思い出していただくとわかりますが、この午後一時から官邸で閣僚懇談会が開かれております。この時点で四つのことが三時間も時間をかけて慎重審議されておるわけでありますが、母港に一たん帰る、それから母港で燃料を補給する、核燃料を取り出す、約一カ月ぐらいかかるだろう、神戸港に回航して炉を修理する、母港接岸に関しては強行しない。この閣僚懇談会については二階堂官房長官、森山長官それから町村自治大臣それから徳永運輸大臣、それから漁民のことを考慮なさったと思いますが内村水産庁長官、こういう方たちがお集まりになっておるわけでありますが、これは確認でありますが、あったらある、ないならない、その点をひとつ運輸大臣がおられますから、どうですか。
  117. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) そのとおりございました。
  118. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一つ、九月三十日ですね、田中角榮総理の記者会見の翌々日に新聞に出ましたが、やはり閣僚懇談会が開かれております。一つ原子力船開発計画を引き続き進めるが、「むつ」問題ではこの際全面的に譲歩する。計画が二、三年おくれることもやむを得ない。第二点として、しかし「むつ」の核燃料は去る十五日の政府決定どおり母港で取りはずすと。第三番目は、そのためには母港撤去を含めた地元側の要求は大幅に認める、などの基本方針を申し合わせた。で、以上の方針に基づき、地元尊重の立場から鈴木総務会長に白紙一任と、一応ここで鈴木特使というものが前例の有無にかかわらず、やはり選出されてきておる、こういうふうに思うのでありますが、この点はどうですか。
  119. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 私はいまお読みになりました内容の明確な記憶はございませんけれども、政府の関係閣僚と与党三役の懇談会を開いたことは事実でございます。そうしてその席で、鈴木総務会長に現地に特使として行っていただくということの決定は、そのときになされたものでございます。
  120. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 自民党の執行部の三役の方とそれから官房長官、あなたも森山長官等もおられたということで、こういう三十日に関係閣僚懇があったということだけは、中身の問題はともかく、この点についてはどうですか。
  121. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 三十日に与党の三役と関係閣僚が集まってお話し合いしたことは事実でございますが、そのときの内容はいまお読み上げになったようなこまかいものを文書で確認したということではなくて、とにかく政務次官を中心としまして現状の調査に参りまして、その報告をつぶさに聞きまして、そうしてその結果鈴木総務会長にこの解決方をお願いする、こういう決定を見たわけでございます。
  122. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ずばりでお伺いしますが、「むつ」の今後の処置について具体的にはどうするか、また母港撤去はどうなるかということについて知りたいんでありますが、実はきょうの午後一時から青森ではいろいろ真剣な、知事それから菊池市長それから青森の漁連、全国漁連からも行っていることは私は知っておるわけでありますが、真剣に討議されておるわけでありますが、その辺について何か情報が入っておりませんか。ただいまの情報という問題についてはどなたもお持ちになっておりませんか。
  123. 内田守

    説明員(内田守君) 現在までのところ入っておりません。
  124. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 困りますね。これは運輸省にお尋ねしますが、原子力開発のこれは、大村官房副長官もやはり現地、出先と内閣との間の往復を、いい意味の飛脚をしておられるわけで御存じだと思いますけれども、原子力開発のこれは政府のプロジェクトチームというものができておるのですか、ないのですか。この点はずばりを言ってそういうものはつくっていないと、あるいは事業団のほうでそういうものは考えておられるかどうか、その点についてあるならある、ないならないと、こういうことで、プロジェクトチームですよ。今後も原子力開発について「むつ」の措置も含めてプロジェクトチームというようなものに類するものがあるかないかという点だけはっきりお答えいただきたい。
  125. 内田守

    説明員(内田守君) 現在そういう意味での明確なプロジェクトチームはございません。
  126. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは田中総理の九月二十八日の内閣記者会見で後段、二つの質問に対して、母港はとにかく大湊については地域住民がいやだというならしようがないんだと。しかし今後の問題については実はつくっておけばよかったなあと。ドックとそれから地域も含めて一つ体制を整えていくべきであるといったようなことを言っておられるわけでありまして、そういう二つの質問に記者会見で答えて、その後段の部を私は書いたものを持っておったのですけれども、とにかくはしょってやるものだから、どこかへそいつがいっちゃったんですけれども、それは記者団が明確にしておられるわけだから、その点はどうなんですか。  それと関連して、もう時間が来ておりますが、実はこれは佐々木理事長にひとつ性根を据えて、あなたは老練たんのうの士だと、こういうふうにお見受けいたしますので、先ほど森中委員が言いましたけれども、あなたのお書きになった「原子力船の話」、それと関連して私思うんでありますけれども、この原子力産業会議が陸の面については昭和八十年の展望をつくって、日本のエネルギーの中核として原子力をこれこれに位置づけるという数字まで出しておりますが、海についてもやはり原子力船の長期計画というものがあるそうでありますが、これはありますか。
  127. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) ええ、ございます。
  128. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ございますね。
  129. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) はい。
  130. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そこで、この「海事産業研究所報」というものを出しておりますね、この海事産業研究所というところで。そこで一つの情報かなんか、そういうものを出しておられますね。ありますね。
  131. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) はい。
  132. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この中でこう書いてありますよ。一九八〇年、言うならば昭和五十五年に原子力船を二隻、それから一九九〇年に——これは昭和六十五年でありますが二十三隻。それから西暦二〇〇〇年に——これは昭和七十五年になりますが二十隻。それからコンテナ船ですね、コンテナ船をやはり十八隻。それから何々をということで、合計とにかく二百四十八隻をやはりひとつマークをして、この努力目標に向かっていこうというふうなことが、ちょうど原子力産業会議で昭和七十五年を展望して二億二千万キロワットを立地的に設けて発電をしようということと、海のほうではいま申し上げたようなそういう基礎数字が出ておるということになりますというと、まあ田中丸は政権の続く限り、こういう方向に向かって、海はこれこれだということに私は理解をするわけでありますけれども、これは架空の数字ですかどうですか。その点について、これはあなたの「原子力船の話」の中にも書いてあるわけでありまするけれども、今日的な事件については重大なポイントであると思いますので、一切を白紙に返してもうやめたということになるかどうか、そういった点についてお答えをいただきたいとこう思うのであります。
  133. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) ただいまお示しになりました数字は、現在の大きな船会社の実務者、それから海務の経験のある方々、約三十人の専門家が約六カ月かかって研究せられた結果が出ておるわけでございます。それですから相当信憑性があるものと私は考えておる次第でございます。
  134. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間がもう来ましたので、これでやめます。ありがとうございました。
  135. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 きょうは科学技術庁長官にとくと質問したいと思ったんですけれども、先ほどからいろいろ言われたように、さまよえる原子力行政になってしまって、当の当事者が病院に入院しなければならないようなお先まっ暗な原子力行政になってしまったわけで、非常に私は残念に思うんです。  あえて言うならば、こういう問題は国民の前ではっきりと答えて、そうして原子力に対する国民理解というものをはっきり得るのが当然の姿ではないかと私は思う。しかし、まあ人道的な立場もあるし、やはり病気と言われれば私もそれ以上しつこくこの問題に論及する必要はないと思いますけれども、しかし今回のこの原子力船むつ」の問題を考えてみれば、一番困っているのはやはり漁民であり、船員の方々が一番苦労しているわけでありまして、そういう問題に対する政治責任というか、行政当局のとった手というものは非常におくれている。この点私は怒りを感ぜざるを得ないわけです。特に私は何点か指摘をしたいと思う。これは結果論になってしまう。しかしながら、やはりそういうものが特にまじめな研究者の意見を無視して、そうして行政政治の力で何とか開発体制を急ごうという、こういう問題が今日のこのようなさまよえる原子力船むつ」という、こういう問題になってしまったんじゃないかと思うのです。  ここで私は、まあ技術庁長官がいないけれども、技術庁を代表して政務次官、また運輸大臣、それから原船理事長に、その三者からこの「むつ」に対する、あるいはまた原子力行政、現時点におけるこの「むつ」問題、あるいは原子力問題に対してどう考えているのかということについての率直な意見をまず三者から伺っておきたいと思います。
  136. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 原子力船の問題でございますが、御承知のとおり今日のわが国のエネルギーの問題から申し上げましても、将来どうしてもやはりエネルギー源を原子力に依存せなければならないということは、これは御理解いただけると思うわけでございます。そこで何といたしましても、好むと好まざるとにかかわらず、将来は原子力船開発は強力に推進してまいらなければならないわけでございますけれども、日本国民は核に対するアレルギーと申しましょうか、特に強いわけでございます。そこで先ほどから何回も御発言になりましたし、またお答えもいたしておりますとおり、何としてもひとつ安全性を確立して、その上で強力に開発推進をせなければならないのでございます。そこで今後はひとつあらためてこの原子力安全性について善処してまいらなければならないと考えております。  なおまた原子力あるいは放射能に対します国民理解、認識が十分でございませんので、科学技術庁といたしましても、この点についてひとつ十分PRにつとめまして、国民理解を求めることに努力をしてまいらなければなりません。国民理解、認識がなくして原子力開発は、これは不可能でございますので、その点に留意して今後まいらなければならないと痛切に感じておる次第でございます。
  137. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) ただいま科学技術庁政務次官からお話がございましたように、将来の海運政策上からも、原子力船開発というものは必要であろうと思います。また先ほどもお答えいたしましたが、昭和三十八年だったと思いますが、日本原子力船開発事業団法の御審議をいただき、国会で成立いたしましたのも、全会一致で委員会において成立いたしましたのも、そういうところを踏まえての私は意見の合意であろうと、こういうふうに考えるわけでございます。今後におきましても、いま政務次官が申しましたように、安全、環境、こういう問題を十分配慮いたしまして、このたびのこの事柄を教訓として、再び国民信頼を裏切ることのないように、あらゆる手だてを尽くしてまいるべきであると、かように思う次第でございます。
  138. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 今度の原子力船むつ」が尻屋崎沖でいまもって漂流しておるということはまことに残念なことでございまして、全く私どもの予期しなかったことでございます。こういう原因をひとつ究明しまして、そうして今後こういうことの起こらないように、そうして原子力船開発が今後も進んでいくように今後とも努力したいと、かように考えております。
  139. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に、科学技術庁として、この安全性を確立するというこういう問題、行政上の答弁としていろいろ述べていらっしゃるわけですけれども、実際に振り返ってみれば、原子力船むつ」がこうならざるを得ない結果を、やはり数多くの問題点を含んでおったということは、いろいろな部面から指摘をされているわけです。まず第一点に、むつの市長から安全再審査の要求が出されておったわけですね。この問題に対して、なぜ安全の再審査に応じなかったのかどうか、この問題についてまずお答え願いたいと思います。
  140. 福永博

    説明員(福永博君) むつの市長さんから安全審査の再要求といいましょうか、再審査と申しましょうか、そういうことのお申し出がございました。内容的には私どもが所掌しております安全審査というものではなくて、いわゆる総点検といったような感じのものでございます。たとえば、保守管理を十分に行なうとか、点検を行なうとかいったような内容のものでございまして、私どもが安全専門審査会でやっております安全審査とは違う内容のものでございます。したがいまして安全審査というものはいたしません。
  141. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 原子力事業団に聞きたいのですけれども、原子炉施設保安規定というのは原子力事業団にあるのですか。原子炉施設保安規定、この百二条の規定はどういう規定になっているのですか。
  142. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) そういう規定は事業団で設けております。ただいまおっしゃいました百二条の規定はいま調べますので御猶予いただきたいと思います。
  143. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと内容がわかったら知らせてください。
  144. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) いろいろの重要な問題につきましては、安全審査委員会、われわれのほうに設けてある委員会でございますが、これの意見を聞かなければならない、こういうことになっております。
  145. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この問題について、原子力事業団の理事長としまして、むつの市長あるいは青森県から要請が出ましたね、この問題に対するどのような段階を経たのですか。
  146. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) その要求あるなしにかかわらず、ここに幾つかの安全審査委員会にかけなければいけない事項が列挙してございますが、これにつきましては、いずれもかけまして、十分の審議をいたしまして、その結論を理事長が取り上げて処置いたしております。
  147. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 安全審査委員会、これは原子力船事業団の中に設けられている安全審査委員会ですね。この問題について、具体的にボルトが落ちたとか原子炉の中にいろいろな問題点が——その出港前にいろいろな問題が出てきたわけですね。あるいはアルバイトを使って、配線工事をやっていろいろ問題になったということが新聞でも報道されております。あるいは現地の声も聞いております。こういう実態があって、おそらく私は行政当局者として、むつの市長ほど具体的に——私はむつの市長と特別関係があるわけじゃない。ところがむつの市長ほどこの原子力問題について真剣に考えている行政当局者は私はいないと思う。こういう点から考えますと、こういう実際にいろいろな声をはだ身に感じて、漁民の声を率直に代弁して、そうして安全審査をもう一ぺんやり直さなければだめだと、こういう点についての問題を、原子力船事業団としてはやはりああむつの市長だから、この安全を言っているんだ。こういうふうに取り扱ったのが、やはり一つの大きな欠陥を生じた問題ではないかと私思うんですけれども、こういう点について率直な意見を伺いたい。
  148. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) この安全審査委員会で審議すべきこととして、今度の出力試験のいろいろの計画、その他内容がそれに該当しておりますが、これにつきましては、もちろんむつ市長その他からの御注意もございましたし、そういう意見を十分参考にいたしまして審査いたしまして、その結果出力試験に出港したというような次第でございます。
  149. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それはね、安全審査委員会で具体的にどういうこのむつ市長から、あるいは青森県から二十日ですよ、それからわずか一週間の間にどれだけの安全審査をしたかという問題についての、もし安全審査委員会が開かれた議事録があれば、出せるものなら出してもらいたいと思うがいかがですか。
  150. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 出力試験につきましては、前々から何回も……
  151. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いやその問題じゃない、議事録を出せるかどうか。
  152. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) それは調べまして後刻御返事いたします。
  153. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、話は食い違っているよ。安全審査をやったというあなたの答弁だ。しかし、いまから調べるというのだとちぐはぐだ、やったというのなら具体的に出してもらいたい。
  154. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 佐々木理事長、ただいまの三木君の提案についてお考えを率直に申してください。
  155. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) そういう調査をやりましたか、あるいは何日にやったかということを調べて、後刻御報告を申し上げます。(「これは事実関係だから、たいした長い時間かからないのだから、やっている間にちゃんと調べなさいよ」と呼ぶ者あり)
  156. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから二十日から二十八日の出港までの間に何をやったかという事例を出してもらいたい。
  157. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  158. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こして。
  159. 福永博

    説明員(福永博君) 私が先ほど安全審査をやっていないと申し上げましたのは、科学技術庁事務局をいたしております安全専門審査会のことでございます。
  160. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 原船のほうだ。(「事業団はいつやった、八月十日もごまかしたのだろう」「何とか言いなさいよ、ちょっと調べるから待ってくれなら待ってくれと、黙ってそこへすわっているものじゃないよ、どうなってるんだ」と呼ぶ者あり)
  161. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) ただいま調べさせておりますので、暫時御猶予をいただきたいと存じます。
  162. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) しばらくこのままで待っております。
  163. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 やりましょう。いまその問題については、時間も私ども限られた時間でありますし、その質問だけ保留します。あとで議事録なり、はっきりこの委員会が終わるまでに出してもらいたい。  次の問題は、今回の「むつ」の出力試験において、一次遮蔽の問題が一番大きな問題になっているわけです。けさの田島委員からのいろいろな参考意見、私も非常に貴重な意見だと思うんです。特に原船に聞きたいんですけれども、原船の事業団に技術検討委員会というのが存在しますかどうか。
  164. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 技術委員会がございます。同じような、先生のおっしゃるのと同じものだと思います。
  165. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 四十五年六月に原船のこの技術検討委員会で遮蔽研究者の検討した結果というものが、原船の理事長のところに届いていたと思うんですがね、その問題についてはどういうふうな態度で臨まれたのですか。
  166. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) この遮蔽の問題について御説明いたしますと、この遮蔽につきましては、昭和四十年から四十二年にかけまして、原子力研究所に設けましたJRR4という原子炉を使いまして、十分な研究をいたしました。その内容について申し上げますと、その前に設計いたしましたものにつきまして、遮蔽関係だけを申しますが、実物大かつ実際の材料を使った模型をつくりまして、それをそのJRR4という原子炉で照射してみました。どういう現象が起きるかということを調べたのでございまして、これにつきましてはその研究が二つに分かれておりまして、まずそれの実験をやります方案をつくるということが一つございます。それから実際現場で実験をするという二つに分かれておりまして、その方案をつくることにつきましては、日本造船研究協会という造船業者の共同研究の場がございまして、ここへ各造船会社の技術者、それから原子力会社の技術者、それから原子力研究所、それから船舶技術研究所運輸省にございますが、こういうところの技術者、その当時におきましては、少なくともこの遮蔽に関しては日本の最高の水準を、ポテンシャルを持っておると思われる技術者を集めまして、方案書をつくりまして、この方案書によりまして、今度つくりましたその模型を、先ほど申しましたように東海村にございますJRR4の前で照射いたしたのでございます。この照射の実験は事業団と原子力研究所と、それから船舶技術研究所のこの三者の共同研究という形で行なわれまして、それに参加いたしますのは原子力研究所の方、それから船舶技術研究所の方、こういう方はもちろんその分野における最高の権威のエキスパートでございましたが、これにプラスいたしまして、事業団の現有勢力と、それから事業団の現有勢力で足りませんところはさらに造船会社、原子力会社、たとえば日立製作所、日立造船会社、それから三菱重工業、それから日本鋼管あるいは三菱原子力、その他全部で八社ございましたが、こういうところから研究者に出てもらいまして、共同研究をいたしたのでございますが、その結果を反映いたしまして今度問題になりましたが、一次遮蔽の設計をいたしたものでございます。そういうふうな次第で、それの結果は全部事業団ももちろん検討いたしておりますし、さらにそれに基づきまして三菱原子力——受注者でございますところの三菱の設計その他に全部反映いたさせております。
  167. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そのいろいろ研究した過程は私いいんですよ。四十五年の六月に技術検討委員会から、この遮蔽研究者の検討結果が理事長あてに具体的にその問題点が指摘をされて、そうして原子力船むつ」の問題で技術検討委員会でいろいろ検討した結果が、こういう点がまずいといういろいろな問題点が、原船理事長あてに検討委員会の結果が出ていると思うんですよね。この状態はどういう内容であったかということを私は聞きたいんですよ。
  168. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 先生のおっしゃっているのは昭和四十五年でございますか。
  169. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうです。四十五年六月。
  170. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) いまの委員会の実験の結果出ましたのが先生のおっしゃってるその結果だと存じますが。
  171. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますとあなたの話はちぐはぐだ。今回のこの「むつ」の出力試験のときに流蔽研究者は一人も乗っていないでしょう。この点は厳重に指摘があったのは四十五年六月の造船技術検討委員会でしょう。あなたうなずくでしょう。理解するはずですよ。それを実験に全然乗せなかったということは、これ自体がもう手抜かりですよ。遮蔽研究者を出力試験上昇に伴ってこういう問題が出てくるということを指摘をされて、それは必ず乗せておくべきだということで厳重な警告があり、注意があって四十五年六月に指摘を受けているはずですよ。それを無視したんじゃないですか、どうですか。
  172. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 遮蔽のことが全然わからない者だけが乗っていたということにはならないと思いますが、特に遮蔽の専門の者がおりまして、その者が乗る予定でおりましたのが健康上の都合で乗船しなかったという事実はございます。
  173. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そんな答弁は話にならぬ。天候上の都合だこうだと言って、天候の都合が悪かったら船を出さなければいいじゃないか。漁民をばかにし、船員をばかにしているじゃないか。あなた方の頭だけじゃないか、それじゃ。四十五年の六月にわざわざ技術検討委員会をつくってまでして、そこまで指摘を受けておった。その指摘と天候上とどっちが大事なんだ。それがやはり原子力事業団の、あるいは科学技術庁長官のゴリ押しをした一つの問題点なんです。だから原子力船が漂わなければならないんです。さまよわなければならないんです。一番困るのは漁民であり、あるいは不安におとしいれた、あるいは原子力に対する不信感を持った国民の怒りだ。こういう点が手抜かりがあったわけでしょう。私はこの問題だけで時間をかけているとあれだから、もしこの問題に対する具体的な指摘事項がまだあったらもらいたいと思うんです。  それから次に、三菱原子力工業はウエスチングハウス社の注意を守らなかった問題が指摘をされているわけでしょう。この問題に対して、原船かあるいは科学技術庁——この問題について三菱原子力工業がいろいろウエスチングハウス社に四十三年、四十四年にわたって調査研究委託をしているわけです。これは聞くところによる話ですからわかりませんけれども、八千万円出して調査費だけを出しているという話もある。こういう実態の中で、このWH社から具体的にこの遮蔽問題は注意をしなければならないという指摘があったはずなんです。これをどうして守らなかったかという問題について、原子力事業団、またきょうの田島先生の話ではやはり基本設計の中に含まれるという、こうなれば科学技術庁原子力委員会の問題、どう考えますか。
  174. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) お答えいたします。  三菱原子力工業がウエスチングハウスにチェック・アンド・レビューを頼みましたのは事実でございまして、これは事業団の要請によりまして頼んだものでございます。これのために金額は約六千七百万円を支払っております。なぜこれを頼んだかと申しますと、御承知のとおり三菱原子力日本におきましてPW型原子炉の建設の経験の一番あるところ、PWについては一番知識を持っておるところでございますが、何ぶんにも日本でつくります実用炉としては初めての原子炉でございますので、設計値の確認とかその他念を入れますために、それのお師匠さんともいうべきウエスチングハウス社にチェック・アンド・レビューをするように事業団から注意いたした次第でございます。その結果、ウエスチングハウスで三菱の設計を見まして大体三種類に分けて回答いたしてまいりました。一つは、そのままでけっこうだという、これはまあお墨つきを得たわけでございます。それから一つは、再検討してみる必要があるんじゃないか、もう一度注意してみて、それでよければいいし、注意してみなさいというようなこと。それからもう一つは、それでは不十分であるから十分吟味するようにというような三種類の回答がまいりまして、この三種類につきまして、一番最初のものは問題ございませんので、その次のものにつきましては三菱といたしまして十分検討いたしまして、そのままでいいものはそのままにいたしましたし、それから変えるべきものはそこで手を入れ改良を加えておる。それから最後のものにつきましては、もちろん十分検討いたしまして改良したというような次第でございます。  それで問題は、いま先生のおっしゃった当面問題になっております例のいわゆる放射線漏れのことでございますが、これは午前中にもいろいろお話がございまして、科学技術庁あるいは運輸省から御説明がございましたが、要するにこの結論は今月一ぱい、あるいはもう少しかかりまして年末近くにならないとはっきりした最終の原因の究明は終わらないかと存じますが、ただいまわれわれが調査関係者から聞いておりますところによりますと、原子炉の圧力容器と、それからそれの外側に一次遮蔽がございますが、これとの間に、十五センチくらいのすき間がございまして、ここから上向きに中性子が多量に出ている、これが一番問題だというようなことを聞いております。で、それに対しまして、三菱でも上にリング状の鉄の遮蔽をいたしましたが、それが不十分で上へ出ているということでございますが、これにつきましては、当初、三菱ではコンクリートで上を遮蔽しましたものをウエスチングに出しまして、それで十分であるというウエスチングの回答を得ております。それに対しまして、設計の都合上、このコンクリートと同じ効果を持つところの鉄のリングに変えたものでございまして、まさにこれはウエスチングのいうとおりのことを聞いてやってなお今日の結果になっておる、そういうことでございます。決して、一部に伝えられておりますように、ウエスチングの言うことを聞かなかったとか、そういうことではないと三菱から聞いております。
  175. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは遮蔽の問題だけで時間をかけても一時間、二時間、これは専門的に検討してもらわなければ……。これは私、後日に譲るにしましても、このウエスチングハウス社から出したこの三項目の問題について、具体的に、それじゃ三菱原子力工業とそれから原子力事業団との間に具体的な検討会が持たれたんですか。  それから、もし許せば、原子力事業団と三菱原子力工業との契約は具体的にどういう内容になっておるのか、この契約書の写しをもらいたい。
  176. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) お答えいたします。  この問題につきましては事業団と三菱原子力との間で十分検討いたしております。  それから三菱がウエスチングにどういう項目のチェックを頼んだかということは、これははっきりしておりまして、これは申し上げれますからもしあれなら申し上げたいと存じます。で、依頼いたしましたのは、相当の、十項目近くございますが……
  177. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そんなに多かったら、要点だけ言ってもらって、資料で出してもらいたい。
  178. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 要点は、計測制御系統の総括的レビューとか、それからたとえば安全保護糸のチェックとか、それから炉心構造の強度のチェックとか、こういう種類のものを十種類ほど頼んでおります。
  179. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ、その契約書の問題は……。出せますか。
  180. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 契約書は、これはウエスチングと三菱との間の契約書でございますね。
  181. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 原子力工業とおたくの。
  182. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 原子力工業とわれわれの間の……。
  183. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そう。どういう契約内容になっているか。
  184. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) これは相手方の了解を得れば差し上げられます。三菱原子力工業の了解がとれれば差し上げられます。
  185. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはちょっと横にそれますが、こういう事故の問題のときに、これはいま技術を検討しているわけですから、どこがどうなるかということは、これは結論を待たなければならないけれども、こういう問題についてはメーカー側が全部責任を持って、メーカー側のいろいろな具体的な問題が出た場合には、これは契約上はメーカー側の全部責任という形になっているのですか。その点はどうですか。
  186. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 問題は、あと一カ月か二カ月か、あるいは年末になるかもしれませんが、原因の究明が終わりませんと、技術的な責任の所在がどこにあるかということは、これははっきりいたさないと思います。ただ契約上は、われわれが与えました仕様書、その他、あるいは設計条件によりまして——三菱に与えましたのは仕様書はもちろん、こまかい設計の図面、その他ついております。たとえば放射線量につきましては、非管理区域においてはこれこれ以下であるべきこと、また管理区域につきましても、それにいろいろ段階がありますから、その段階によってこれこれ以下、あるいはこういうところについてはこれこれ以下という数値を示しまして、設計条件として与えておりますので、それをこえるときは当然これはメーカーの責任考えます。  それからまた先ほど中性子の問題を申しましたが、原子炉の一次遮蔽のところの、これは専門語を使ってはなはだ恐縮でございますが、中性子のストリーミングというのが、まっすぐいかないでふらふらとくる特徴がございまして、これが今度の放射線漏れの問題点じゃないかと存じておりますが、これにつきましては特に計測孔からの中性子のストリーミング、それから原子炉から熱いお湯が熱交換のほうに参りますから、そのお湯のパイプのところがちょっと漏れやすいものですから、そういうところのストリーミングについては特に気をつけるようにという設計条件を与えてございます。ですから、それにもし反しているとすれば、これはメーカーの責任考えます。
  187. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運輸省に一点だけ聞いておきたいんですけれども、船舶局長、「むつ」の建造以来点検整備はどう具体的にやってきたのか、具体的に設計段階からいろいろ船舶技術研究所あるいは運輸省として基本設計から詳細設計に移った段階運輸省でいろいろタッチしてきたと思うんです。この「むつ」問題に対してどのような点検あるいは整備あるいはこういう点が問題であるというような点が何点指摘されたのか、そういう点についての検査状況をひとつ。
  188. 内田守

    説明員(内田守君) 検査の概括を申しますと、検査は図面承認から現在検査中でございますけれども、今度の問題が起こりましたまでの検査件数は約三千件でございます。三千回と申し上げてもよろしゅうございます。それで、その間先生御承知のように検査と申しますのは設計、それから工作試験、それは項目別に錯綜して繰り返されていくわけでございますし、それからまた検査のやり直しとか、それからやり直しによってまた設計を直すというふうに繰り返しが何回か行なわれていっているわけですけれども、大きいものといたしましては、私ども検査関係で直したものといいますのは、あるいは計画変更をわれわれが指示して直したものというものは炉関係はほとんどございません。たとえば居住区域の関係の救命設備であるとか、それから原子炉室の囲壁の防熱関係のものであるとか、それから消火ポンプ、あるいは衝突構造あるいはいわゆる船の復原性の問題とかいうようなものが大きな計画変更でございます。
  189. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、運輸省最初に「むつ」の開発を始めようとしたときには観測船で始めようという計画だったわけですね、それが途中で四十二年三月だと思うんですけれども、「むつ」を貨物船に変更したわけですね、それから大蔵省の予算の関係もいろいろあって削られて観測船からおそらく貨物船に変更したわけですね、これは事実ですね。
  190. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) いまの設計の変更についてお答えいたします。  これは先生のおっしゃいましたとおり、海洋観測船、ただしこれは海洋観測を目的とする船ではございませんで、あくまで原子力の動力実験船でございますが、その実験の使命を達しましたあとでは海洋観測並びに船員の養成訓練に利用する、そういう意味の船でございました。ところが、それで設計いたしまして造船各社を招きまして競争入札を求めましたところ、一社もこれに入札するものがなかったということでございます。で、これは当初の予算は三十億ないし三十四億でこの原子力船ができるというような見積もりでございましたのが、事業団ができまして三十八億要求いたしまして大蔵省から三十六億つけていただいた、手持ちの金は三十六億でございます。これでつくろうとしたところがどこも入札に応じない。で、そのとき新聞に報ぜられるところによりますと、三菱重工業の社長は七十何億かかけなければああいう船はできないというようなことで、ここで建造の発注が立ち往生したわけでございます。その結果予算もふやさなければいけない、ともかくそんなにかかるものであれば予算もふやさなければいけないが、一方船の値段も再検討してみる必要があるんじゃないか、特に海洋観測に使えるというような船になりますと、その構造上非常に高価につきまして、何かこれの値段を下げる方法考えたいということで、海洋観測に使えるというあとの使命をやめまして、多少の貨物が運べるというようなものにいたしまして、建造費そのものの値下げも考えますし、予算のほうの増額もするということで解決がついたわけでございます。
  191. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 科学技術庁に伺いたいんですけれども、観測船から貨物船に変更になったわけですね、このときに四十二年の十一月に原子力委員会から総理大臣炉規制法の許可の基準に適合している、こういう答申を出しているわけですね。それで観測船から貨物船に変わった時点においてやはりこの計画変更、設計変更、こういう問題についての検討は全然なされなかったのかどうか。
  192. 福永博

    説明員(福永博君) 原子炉等規制法で、担当しております安全専門審査会に提出されました設置許可申請書は当初から貨物船ということで出ておりまして、途中の計画変更はございません。
  193. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、原子力事業団の観測船と貨物船、こういう違いについて、原子炉の積載の問題とか、いろんな関係は全然そごを来たさないのかどうか、この点についていかがですか。
  194. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) ただいま次長からお話のございましたように、観測船時代にはまだ安全審査を、設置許可を政府に求めるまでに至らなかったものでございます。で、それは入札さえ拒絶するというような状態で、話が具体的に進みませんでしたので、そういう段階でございまして、設計変更いたしましてから法律に基づく設置許可を求めるということになったことでございます。  それからただいま私一方において予算をふやすとともに、一方において船価を減らすことをしたということを申し上げましたので、あるいは原子炉その他についていろいろ安全のものを削るとか、そういうことをしたんじゃないかというあるいは御懸念をお持ちかと存じますが、そういうことはいたしておりませんで、たとえば安くするためにいたしましたのは船員の部屋の数を減らすとか、それからものが原子力船でございますので、相当自動化をはかろうといたしておりましたが、そういう自動化をすればそれだけ金がかかりますので、これを不便ではございますが、手動に切りかえるとか、あるいはプロペラを可変ピッチを考えておりましたのを、そうじゃなくする。タグボートを十分に使えば安全その他には何ら影響のないものでございまして、そういうふうにいたしまして値段の引き下げをしました。  それからたとえば観測船に使う場合にはヘリコプターの格納庫をつけたり、そういうことも考えておりましたが、そういうものを減らして減らした。  それからさらに、これはあるいは見せかけの船価の低減じゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、あとでいろいろ装備すればいいようなものはそれが必要になったとき装備すればいい。初めいきなりそう高いものでつくらなくてもいい、そういうことをいたした次第でございます。
  195. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いまはしなくも意見が出たわけですが、船員の問題にしわ寄せがいっているわけじゃなしに、やはりこれは詳細な問題を検討しなければ、これは私はわからないと思います、専門家でなければ。しかし、やはり観測船から貨物船に移った段階において金額的に相当下がったという問題だけではなしに、やはり相当な内容設計変更が行なわれたことは事実だと思うんですね。まあ一部分いまの答弁では、われわれわかる範囲の減らし方に聞こえますけれども、やはりそれだけではなしに、予算を削減した陰には、炉に対するいろんな問題点も私はあったんじゃないかと思うんです。その点でやはり予算を削減した結果というものが、こういう遮蔽の問題とかいろんなところ、あるいは原子力工業との契約の問題、また石川島播磨との問題、いろんな点がここにそごを来たしてきたんじゃないかということを私は考えるんですけど、この点はどうですか。
  196. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) お答えいたします。  先ほど私、金を減らしましたいろいろのことを申し上げましたが、たとえば船室を減らしたというのは、船員の部屋を減らして船員を減らすというようなことじゃございませんで、たとえば観測船ですと非常にたくさんの観測員を乗せなければいけませんが、そういうものが必要なくなったというようなことでございます。  それから一番先生いま御心配なのは、原子炉についても改造を加えて、安全その他でスペックダウンしたんじゃないかというような御意向だと思いますが、そういうことは一切いたしておりません。ただ、一つ最近問題になりましたんで、御参考までに申し上げておきますと、あれは科学技術委員会かと存じますが、この放射線漏れの話で、初め二次遮蔽が問題じゃないかというようなことになりまして、上にポリエチが張ってあるとか張ってないとかいうような問題が生じましたが、あれは前の場合にはポリエチが張ってございました。それはなぜかと申しますと、上にヘリコプターの格納庫を設けまして、これが非管理区域でございましたのでそういう遮蔽をいたしましたが、格納庫を取りました結果、あそこには人が行かない場所になりましたんで、必ずしもポリエチが必要なくなりまして、この程度の変更は加えておりますが、本質的な変一更は加えておりません。
  197. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もうあまり時間がないんですが、けさほどから話の出ているこの安全審査の問題で、もう一点私伺っておきたいんですが、きょうの朝の参考人田島さんの意見によりますと、やはりこの一次遮蔽の問題、これは基本設計の問題であるという、こういう考え方に参考人意見は立っていらっしゃるわけです。まあラロック証言じゃないけど、一私人の発言というかもしらぬけれども、実際にこの一次遮蔽の問題、この問題がもし、まあいま検討中ですから、どこから一原因がなっておるかわかりませんけれども、この一次遮蔽の問題は、科学技術庁としては、これは基本設計であるとはっきり認められますか。
  198. 福永博

    説明員(福永博君) けさほど来御答弁申し上げておりますように、安全審査会におきましては、たとえば遮蔽設計でございますと、いま話題になっております遮蔽設計でございますと、遮蔽設計におきましては、基準となるべきいまの場合ですと、格納容器の外になるわけですが、放射線レベルの妥当性あるいは炉心につくった一次遮蔽、格納容器の外側に二次遮蔽を設計すること及びおのおに使用される遮蔽材料の妥当性といったようなものについて審査しておるわけでございます。ここで設置許可申請書ないしはその添付書類に書かれておりますような基本条件で設計をし、それらの材料を使って遮蔽計算をすれば、十分設計の基準になるような状況を満たすことができると、こういう審査をしておるわけでございます。  したがいまして、先生も御指摘のように調査会の調査の結果を待たなければ何とも申し上げかねるところではございますけれども、設置許可申請書に書かれております事項に変更を及ぼすようなことがあれば、安全審査を、再び変更審査を行なうと、こういうことになろうかと思います。
  199. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、今回、最終結論は出ませんけれども、この遮蔽の問題からいろんな問題が出てきたとなれば、この責任はあくまでも科学技術庁責任をとらなきゃならない、こういうことになりますね。
  200. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  原子炉等規制法で設置許可に際しまして、設置許可段階審査いたします内容は、基本的な設計の方針……
  201. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 審査内容はどうでもいい。
  202. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 及びその見通しでございまして、現在の原子力船事業団から提出されました資料で、申請書添付書類設計内容は書いてあるわけでございます。基本的設計内容は書いてあるわけでございます。それをよしと認めたということでございますので、その基本的設計の中で周辺の一次遮蔽体としては重コンクリートとか、それから水と鉄との相互に重ねました遮蔽を周辺に置き、上方には鉄製のリングを置くというようなことが書いてございますが、この内容においてこれが欠陥であったということであれば、基本的設計の問題かと思いますが、いままで問題となっております上方へのストリーミングにつきましては、鉄材も有効な材料でございますので、鉄を使ったことがいけないということではないというぐあいに理解しておりますが、この辺はさらに今後の解析結果を待ちまして判断していかなければならない問題だと考えております。
  203. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ先ほど杉山委員質問に対しても、科学技術庁からこれは運輸省責任だ、やれ何だとこう言って、科学技術庁のほうはずいぶんたかをくくっているらしいけれども、実際に今回のこの問題は運輸省船舶安全法でいろいろ点検したって、これはなかなか具体的な問題は見つからないし、先ほどから言っているように、具体的な基本設計のところをやり直してもらわなければならぬようなことが、詳細設計で出てこないわけですから、こうなってきますと、やはり基本設計、特に原子力委員会のほうですね、このほうに専門家が相当に集まって、あるいはまた専門家の意見を聞いている科学技術庁、ところが運輸省は、詳細設計を具体的にして、もうこれだけ権威のある基本設計運輸省がくつがえすようなことは、私は聞いてみると十八人かいないんですよ、運輸省に。三年前から養成を始めて全部で十八人かいない。こういう人たちが基本設計をくつがえすようなことは、おそらく不可能だと思うんですよ。こういう問題で、私は科学技術庁責任負えとか運輸省責任負えとかいうなすりつけ合いしたくない。しかし、いずれにしてもこういう安全審査の問題について、もっと国民の前に明確に、私は何も首をとるのがいいとか悪いとかいう問題じゃなしに、もっと安全審査の具体的な、国民がどこが責任をもってほんとうにこの原子力問題に対して安全審査をしてくれているんだということが、はっきりわかるようにしなきゃならないと思うんですよ。この点について、もっと具体的に科学技術庁として詰めなきゃならぬ問題じゃないかと思うんですがどうですか。政務次官でいいよ、行政当局はわからない。
  204. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 責任をはっきりするということ、これは当然のことでございます。そこでただいま最終的な調査をやっておるわけでございますが、その結論が出た上で責任の所在をはっきりいたしまして、それぞれの責任を明らかにいたさなければならぬ、かように考えております。いずれにしましても、国民が非常に不審を抱いておりますので、三木委員お話のとおり、責任はいずれにしても明らかにせなければならぬということは、これは当然であると私たちも思っております。
  205. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 先ほどからもいろいろと議論されておりましたけれども、実際に運輸省が船のほう、それから発電所のほうは通産省——詳細設計ですね、これはまあ通産省と科学技術庁とは案外うまく連系がとれている、世評で聞きますとね。何か原子力委員が両方にまたがっているわけです。運輸省のほうは、そのわずか要請した、まあ間に合わせと言っては失礼かもしれませんけれども、そんなに専門的に原子力船むつ」のために、それだけの大きな機構をつくってやる体制もできなかった問題でもあろうと思いますけれども、実際にこういう点から考えますと、やはりその責任の所在をああだこうだと突き詰めてみても、実際にそういう体制が整っていないというところに私は大きな問題があるんじゃないかと思うんですよ。運輸省で十八人ぐらいで、実際にこういう問題を検討しろと言ったって、まあ日本の有名な学者や、あるいはまた有名な権威者を集めて基本設計をし、こういう問題を審査した過程において、運輸省の事務当局がわずか十八人や二十人ぐらいで、予算もない中で、具体的に詳細設計を見て、これが安全であると断定を下せるかどうかということは、私は非常に問題じゃないかと思うんですよ。  こういう点について、行政の一元化という問題がけさから出ておりますけれども、これはまた安全問題ということになると、環境庁の問題がいろいろ今後論議されてくると思うんです。そうしますと、ますますばらばら行政になってしまって、どこに責任の所在があるのか、こういう問題が非常に大きな問題になってくる。したがって開発とそして安全という問題を二元化するなり三元化するとか、明確な路線をですね、やはりこの安全審査の問題に対する今回の「むつ」の事故を一つの契機にして、やはり開発と安全という問題に対する明確な行政当局の姿勢というものを示すべきではないかと思います。この点について、大臣政務次官御答弁を。
  206. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) お話の点は全く、私もそういう点を懸念しているわけでございます。先ほども、森中委員からそういう意味合いの御指摘もございまして、今度法律を改正するかどうかというようなところまで御発言があったようでございますが、私は手探りでものを言っているようなことでまことに恐縮でございますけれども、技術屋でないものですから。この詳細設計段階で新聞等の論評などを見ますと、詳細設計段階での安全審査というものが、運輸省なら、船舶関係の運輸省の役人だけでいいのかどうかというような問いかけも一、二あるわけでございます。まあ私のところの職員をだめだというわけじゃございませんけれども、実際問題として、半年ぐらい東海村に講習に行ったぐらいでございますから、もちろんそのいろんな基礎的なものは勉強していると思いますけれども、通産省のほうは、先ほどお話があったようにダブっているようでございます。それでまあ詳細設計段階でいろんな数字を計算したり、そういうようなことはやるべきなのかどうかということは、実は私はわかりませんけれども、いつの段階においてもこの安全審査というものは私はずっと並行して最後までついていかなきゃならぬだろうと思います。  それは審査会という名前になってチェックするのか、あるいはどういうものがいいのかは、早急に思い当たりませんけれども、まあいずれにしても、いま御指摘になったような点を私はもう一ぺん再検討してみたいと思います。率直に私の感じを申し上げまして、まだ専門的にいろいろな議論があるかもしれませんが、私の感じはいまおっしゃったような御指摘の点を十分かみしめてみたい、かように考えております。
  207. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 原因を究明いたしまして、それによって責任の所在をはっきりいたしてそれぞれ責任をとるべきものはとらなければならぬ。今後、そういうことをうやむやにしますと、国民の不安はますます増してまいるわけでございます。抜本的に原子力船開発推進できないということにもなる重大な問題でございますので、それは十分私どもといたしましては考えておる次第でございます。
  208. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは最後の質問をして私終わりたいと思うのですけれども、これは別次元の問題で、「むつ」がこういう問題になってきましたし、国民は非常に原子力船に対する不安を抱いているわけです。これは来年の沖繩海洋博には西ドイツの原子力船オットー・ハーン号ですか、これが来るという、こういう話が出ているわけですね。この安全性審査の問題は具体的にどういうような形でやるのか。あるいはこの西ドイツの原子力船は来ないのかどうか。来た場合にはどこが担当でどういうふうな処置をとるのか、この点伺って私の質問を終わりたいと思います。
  209. 福永博

    説明員(福永博君) 原子炉等規制法におきましては、国内における原子炉の設置と全く同じ手続で安全審査をいたします。
  210. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、現時点では、「むつ」はこういう問題が起こった、これはあなたに聞くのではなくて、私は科学技術庁長官に聞こうと思ったのです、ほんとう総理大臣が決裁するのだろうけれども。この西ドイツの原子力船は海洋博に、現時点では来る、こういう見通しで進めているわけですか、どうですか。
  211. 福永博

    説明員(福永博君) 先生御指摘のようにオットー・ハーンを沖繩の海洋博に寄港させたいというドイツ側からの要望はございました。しかしながら私どもといたしましては、同じ原子力船の「むつ」がまだ運航のめどもないというような情勢にございますので、現在のような状況のもとでは沖繩博寄港は困難ではないかというような判断のもとにおるわけでございます。
  212. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは閣僚として最後に運輸大臣に。海洋博は、やはり原子力船むつ」の問題にからんでも非常に検討しなきゃならぬ問題があると思うのです。この海洋博の原子力船寄港の問題について閣僚の一人としてどういう、これは科学技術庁の炉の規制の問題がいろいろあるでしょうけれども、船の問題でありますし、運輸大臣としてどうお考えになるか、その答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  213. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 事前にやはり海上人命安全条約による安全証書による安全性の評価とか、あるいは間違いを起こした場合の賠償というようなものを日独両国間で詰めて締結する必要があろうと思います。その上で原子炉にかかる許可を、どういうふうに入港を認めるかということでもちろん安全審査というものが必要になってくると思います。さらに寄港地の選定が問題でございますから、地元の了解なしにこの寄港を認めるわけにはまいらぬと思います。そういうようなむずかしい問題がある上に、今回の「むつ」の事件でございますからさらに問題をむずかしくしていると思います。まあ実際に申し入れがありましたら、いまの申し上げたような手続等も要ると思いますが、十分関係方面とも協議いたしまして対処してまいりたいと、かように考えております。
  214. 加藤進

    ○加藤進君 青柳参考人には御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  いま政府は、原子力船むつ」の問題の解決にあたって漁民代表との交渉を続けています。これは漂流中の「むつ」を何とかして母港に入れたい、こういうことが中心になっておるわけであります。これは国民がいま一番心配にし、いま一番要求しておることとはほど遠い問題だと思います。国民はもっと根本的な問題の解決を強く要求している、こういうふうに私は思います。  第一に、一体今度の原子力船むつ」の放射能漏れというような重大な事態について、今日まで新聞報道等々を通じて若干は聞いていますけれども、しかし責任ある徹底した真相の究明なるものはまだ国民には知らされておりませんし、まだまだ十分な究明がやられておらないと思います。この究明を早急に行ないながら、国民にその事態を明らかにしていくという責任が私は政府にあると考えます。  第二には、こういう今回の事態を引き起こした問題についてもっともっと深刻な反省があっていいと思うんです。こういう反省の上で、今日まで続けてきた政府のとった原子力行政というものが、一体どれほど重大なあやまちをおかしてきたかということについて十分な検討を加える必要があると思います。その上に立って、では今後の日本原子力行政はどうあるべきか。言うまでもございません、すでに原子力基本法が明記しておるわけでありまして、自主民主公開、この三つの原則の上に立って、国民の安全を第一にするような原子力行政、これに根本的に転換すること、このことを私は今回の問題を通じて国民は強く要求しておると思います。こういう問題についての政府の責任を明確にし、原子力行政の根本的な転換を行なうことなしには「むつ」問題の真の解決は私はないと思います。そういう観点に立って質問したいと思います。  私は去る九月十二日の科学技術特別委員会において今度の「むつ」の放射能漏れ問題について質問しました。科学技術庁は真相究明については調査団が戻ってから報告を聞き、専門家グループの検討を早急に進めて対処したい、こう言って明確な答弁を避けていました。その後十三日、「むつ」放射線遮蔽技術検討委員会調査団の測定データをもとにして、放射線漏れ原因の中間的所見を発表いたしました。原子力事業団に対しても改修の方法について検討するようにこの文書は指示しています。  そこで、まず私は青柳参考人にお伺いしたいと思います。日本原子力研究所の職員組織である労働組合の方たちは「むつ」の基礎実験等々に今日まで携わってこられました。九月二十日の日には記者会見を行なわれ、この中間的所見についての見解なるものを発表されました。これは原子力船むつ」放射線漏洩問題に関する報告書であります。  最初に、この報告書の作成責任者は青柳参考人自身であると聞いておりますけれども、この点は事実でございましょうか。
  215. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 私たちの労働組合の中には中央委員会というのがございまして、この中央委員会の中に原子力安全問題小委員会というのがありまして、ここで、これにプラスしまして遮蔽その他技術関係の研究者、技術者を入れまして検討を加えたわけでございますが、その取りまとめ役として私が執行委員会からの窓口として入っておりますので、私の責任においてこれは公表いたしております。もちろん、つけ加えますが、中央執行委員会見解として出しております。
  216. 加藤進

    ○加藤進君 遮蔽検討委員会の中間報告によりますと、放射線漏れは上下方向の漏れが主たるものであって、上方向への漏れが大きい。こういうふうに書いています。原子力研究研究者の立場から見て、こういう中間報告の見解について青柳参考人はどのようにお考えになるでしょうか。
  217. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 政府の「むつ」放射線遮蔽技術検討委員会の中で答えられておりますいわゆる中間報告について、原因のかなりの部分についてはその面があると思います。  ただ、この点において二点ほど、違いといいますか、若干見解を異にし、また検討する余地があるという点について述べますと、特に下方向の放射線について、見解では問題にしておらないようですけれども、これは設計上特に建設上圧力容器の中の水、それから容器の遮蔽なども薄く、このようなものを含めまして下方向に対する放射線の漏洩等についても十分考慮しなければならないという点と、それからガンマー線量につきまして、特に出力が高出力で運転した場合全然問題にならないかどうかという点についても、やはりあのような一般的な漏洩がある場合に問題になってくるんではないだろうかと。この二点については、技術検討委員会に加えまして私たちの見解が加わる必要があるのではないかという結論になっております。
  218. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、いままで事業団などの関係筋でよく言われておるように、上部の遮蔽リングの設計をやり直して、ここを改修すれば放射線漏れは防げる、こういう考えは誤りであって、中性子についてはこの程度のことで防ぐことはできないと、こういう見解理解してよろしゅうございましょうか。
  219. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 高出力の運転時において中性子散乱によりまして、下方向からの問題が起こってくる場合、全体として雰囲気その他が放射線が高くなるという考え方もありますので、そういう点につきましては、十分、下方向からの反射等も考慮に入れなければならない。また、そういうような事態になった場合には、リングだけの問題で済まされるかどうかという点については非常に疑問があるというふうに思います。
  220. 加藤進

    ○加藤進君 いまの青柳参考人を代表とする研究者の見解について中間報告をまとめられた技術検討委員会、これは政府担当でございますから、その立場からどうお考えになるのかお聞きしたいと思います。
  221. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  下方向への放射線の漏れにつきましても、いまお話ございましたように、格納容器下面における反射、散乱等によりまして上部方向への寄与ということは考えられるわけでございますが、これらの点については、調査団の当時の報告によれば、上方への寄与というのは比較的少ないのではないかという見通しでございまして、現在、それらについて詳細な検討を進めている段階でございます。
  222. 加藤進

    ○加藤進君 そうすると、技術検討委員会あるいは政府の立場からいうと、下方部への漏洩ということについてはあまり考慮する必要がない、こういう考えでしょうか。
  223. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  現在、いろいろな測定値についての、雑音と言っておりますが、なまのままの状況では十分な状況把握ができませんので、そこら辺についての解析をしております。その結果を待たなければ、私どもとしてはいまここでどうのこうのという議論のできる段階にございません。
  224. 加藤進

    ○加藤進君 少なくとも下方向への漏れについては考慮する必要がある、検討する必要がある、こういう点は言えるわけですね。  そこで、もう少し私は具体的に聞きたいんですけれども、この炉の下方部の一次遮蔽というのは何でつくられているんですか。鉛と鋼鉄なんでしょう。鉄板でしょう。一体、中性子は鉛と鉄板で防げるんですか。どうですか。イエスかノーか言ってください。
  225. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  鉄材の厚さにもよりますけれども、中性子線に対する遮蔽の効果という点からいいますと鉄というものはかなり有効なものと聞いております。ただ、現在のもので防げるかどうかということについては、私ここで即断いたしかねます。一方、下方には水がございまして、水による吸収ということも十分考えられるんじゃないかと思っています。
  226. 加藤進

    ○加藤進君 これは政府の政治姿勢の問題になりますよ。これだけ専門的な科学者の諸君が指摘しておるのです。いいですか、疑いがあると言っているのです。これについては十分検討しようと言っておるのです。ところが、いまの答弁聞いておるとどうですか、あまりそういう心配はございません。ございませんと否定だけじゃありませんか。第一、鉛や鋼板は中性子を通さないなどというような知識だったら、これは中性子についての初歩的なことを知らないということなんです。あるいは知っててもこれを隠しておるということになりますよ。大臣、この点よく覚えておいてください。こんなことについてわれわれをごまかすなどというような態度は許しませんよ。もっと責任ある態度で答えてください。
  227. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 私ども検討しないというようなことを申しておるわけでもございませんし、全然問題にするに当たらないとも申しておるわけではございません。現在データの解析の結果を待って検討したいと申し上げておるわけでございます。
  228. 加藤進

    ○加藤進君 それでは上方からの漏ればかりではなく、下方からの漏れについても十分考慮して検討する、こういうことですね。
  229. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 下方への漏れについてもその影響について十分検討いたします。
  230. 加藤進

    ○加藤進君 そこで今度は青柳参考人にお聞きしますけれども、ともかく今度の放射線漏れ、これは三%以内の出力によってもうすでに中性子があれだけの漏洩を起こした。もし出力を一〇〇%に上げていった場合に、もし下部の方向から漏れる中性子は一体どんな状態になると予想されるでしょうか、科学的に。
  231. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 当然、出力が一・四%以内であれだけの中性子線の漏れがあるということになりますから、それに一〇〇%になれば、何といいますか、たとえば二%としますと五十倍の放射線が漏れてくるということと、それだけでなく、中性子線について見ますと、エネルギーが非常に高いものもありますし、実際にいま検出されない場合でも出力が上昇することによってどういう結果として漏れてくるか、どういうエネルギーのものがどれくらい漏れてくるかというのが判明してくることは十分考えられるわけです。そういう意味から、決してこれがいまの段階で漏れないというような断定はできないというふうに考えます。
  232. 加藤進

    ○加藤進君 その場合に、船中あるいは甲板上で船員が作業できるような状態であるかどうかという点についての所見を一言お伺いしたい。
  233. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) それにつきましては当然いま申しましたように五十倍以上の放射線の漏れになってくるわけなので、いまの段階においては〇・二ミリレントゲンの放射線であっても、それが出力が一〇〇%の段階に達したならば、それの数十倍に及ぶ放射線がいまの状況では漏れてくるということは明確だと思います。
  234. 加藤進

    ○加藤進君 続いてお聞きしますけれども、この中間報告によりますと、測定結果の分析と並行して、改修の方法についても検討しなさいということを事業団に指示していますね。事業団はこれを受けてどのような改修方法というものを検討しておられるのでしょうか。
  235. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) まだ調査の結論が出ておりませんので、原因究明が終わりましてからわれわれとしては検討いたしたいと存じております。
  236. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、遮蔽技術検討委員会の、改修についても検討するように指示するということは、これはいま直ちに行なうことではなしに、今後そういうこともとるということなんでしょうか。読んでみましょうか、今回の測定結果の詳細な分析と並行して改修の方法について検討するよう事業団に指示したとありますよ。指示されたんでしょう。されませんか。
  237. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 直接指示は受けておりません。
  238. 加藤進

    ○加藤進君 おりません……。
  239. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) それから、その検討委員会を私傍聴いたしましたところによりますと、検討委員会ではさらに原因を究明して、それから先に改修の方法その他についても研究する、こういうような順序であると伺っております。
  240. 加藤進

    ○加藤進君 伺っております程度じゃ困りますよ、これは。技術検討委員会からのちゃんとした指示なんです、これは。科学技術庁の判が押してあります。そうでしょう。こういう指示をしたんでしょう。した立場からいって、あなた、いまの見解についてどう思いますか。
  241. 福永博

    説明員(福永博君) 技術検討委員会の詳細な調査解析と並行いたしまして、事業団においては、わかるところから、何も調査の結果を待たなくても検討できる部門もあるわけでございますから、そういうところから着手するようにということで、関係担当課を通じて指示しております。
  242. 加藤進

    ○加藤進君 片方は指示しておるというのに、私は聞いたはずはないでは困るじゃないですか。
  243. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 私、言い方が足りのうございました。検討委員会と協力いたしまして、われわれのほうからも参加いたしまして、改修の方法その他についても検討いたしておりますが、その改修の方法そのものは最終の原因の究明が終わりませんとはっきりいたしません。そういう意味で申し上げましたので、ことばが足りませんで失礼いたしました。
  244. 加藤進

    ○加藤進君 そこで改修となれば、これは重大な改修になるのではないかと私たちも考えるわけです。ただ、ふたを取って中の遮蔽の部分についての研究や改修をするなどということでは済まされない、炉全体、圧力容器全体について十分な検討を加えて、そのための大改修をも考えていかなくちゃならぬ、私たちしろうともそう考えますけれども、その点について科学技術庁及び事業団はどう考えられますか。
  245. 福永博

    説明員(福永博君) 先ほど来、繰り返し申すようでございますけれども、この検討の結果を見なければ、どれほどの改修になるものか、どういう方法をとるものか、いまのところちょっとお答えいたしかねると思います。
  246. 加藤進

    ○加藤進君 それでは聞きますけれども、下部からの漏洩ももう明らかになっているし、その疑いはきわめて濃厚だという段階で、もし改修をしなくてはならぬということになると、これは上部だけで済まされぬということは明らかですね。下部についてまで改修を要する、これくらいのやっぱり見当は、少なくとも科学技術庁ならつくはずだし、事業団だったらつくはずだと思いますけれども、その点をもう少し明確に答えてください。
  247. 中村守孝

    説明員中村守孝君) いまの先生の御質問でございますが、下部からの漏洩の上方への寄与率、これをいま分析中でございますので、それを待たなければ私どもとして判断できない状況でございます。ただ、その当時の検討委員会の中間報告にもありますように、洋上で改造できるほどの簡単なことではないだろうということは検討委員会の中間報告にも述べているとおりでございます。まあある程度の、洋上でできない程度の規模の改修工事にはなるかと思っております。
  248. 加藤進

    ○加藤進君 ともかく、この「むつ」放射線遮蔽技術検討委員会の報告と申しますか、答申と申しますか、これに基づいてとにかく今後も進めていくということですね。
  249. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 先生御指摘の報告はあくまでも中間報告でございますので、現在進めております最終的なデータの解析を待って行なうものでございますので、いまの中間報告、その解析の結果いかんによっては、その中間報告がこう書いてあるから、そのとおりやる、そのようなことはございませんで、データの解析の結果を待って対処していきたいと考えております。
  250. 加藤進

    ○加藤進君 その結果が出るのはいつごろですか。
  251. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 大体今月一ぱいぐらいではないだろうかと、いまのところ見通しております。
  252. 加藤進

    ○加藤進君 今月一ぱいに出るなら、その結果を待ちましょう。検討させていただきますよ。  次に放射線漏れの原因というものは一体どこにあるか、放射線漏れを起こすような原因となったものは何か、こういう点でありますけれども、この点について、九月十三日には検討委員会のいわゆる中間報告が発表されましたが、その際、宮坂団長の記者会見での談話によりますと、その原因は「むつ」の原子炉の設計上のミスとも考えられると、こういういわば判断が出されておりますけれども、その点について政府はどう考えられますか。
  253. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 設計上のミスといってもいろいろあるかと思います。十分に情報があったにもかかわらず、その情報を設計に取り入れなくて生じたミスとか、あるいは設計は十分にやったけれども、予想しなかったことが起こったとか、いろいろあると思いますので、一がいに十分な情報がありながらチェックミスしたということではないんではないかというぐあいに判断しております。
  254. 加藤進

    ○加藤進君 おかしいですね。じゃあ設計は十分にやられたと、だいじょうぶだという証拠はありますか。設計だけはだいじょうぶだという、出してください、それを。
  255. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 現在までのところ、たとえば具体的に申しますと、ストリーミング現象ということでありますと、鉄を十五センチ——厚さ十五センチの鉄を使う場合には四けた以上の低減率がございます。そういうようなところで、中から出てまいります中性子、そのストリーミングして出てまいります中性子等につきましては、水の中を通り、あるいは長い距離を通ってまいりますので、熱中性子であるというような判断に立てばもう十分遮蔽できているのではないかと思いますが、ただ今回の測定ではそこら辺のエネルギー分布についての分析をいましておる段階でございます。そういう意味で、そこら辺の結果を待たなければ詳細な原因の究明というのはできませんので、一がいにいま先生から御指摘ありましたように、設計ミスだとか、設計ミスでなかったとかいうことも、ちょっと言いにくい状況にございます。
  256. 加藤進

    ○加藤進君 言いにくい点もあるでしょう。あるでしょうけれども、私たちは政府に質問しておるんです。今日まで時間もたっているんですよ。たっていて、しかも専門責任ある立場のあなたたちが、いまなお設計についてまでまだどうもよくわからぬ。何がよくわかったんですか。漂流していることだけじゃないですか、わかったのは。こんな事態では質問にならぬのですよ。だからもっとまともな答弁をしていただきたい、こういうことを特に要望するんです。  それで、すでに内田原子炉安全専門審査委員長は、先般の九月十日の国会において、現在の安全体制のもとでは「基本計画の前提条件について審査する」だけであって、言うならば形式的な安全の理想論を述べているだけで、実質的な安全を何ら保障したものではありませんと、こう言っています。技術上の問題よりも、もう原則的な問題になっているんです、これは。安全審査は何らいわば安全の保障にはならぬと言っているわけです。そうでしょう。  まだあります。先ほども他の委員から触れられましたけれども、NHKの十月八日の報道特集「原子力船むつ〃」、ここでも内田さんはもっとはっきりと言っていますよ。どう言っていますか、これは私は録音テープでとってありますから間違いありませんが、こう言っております。安全専門審査会の役割りというのは、原子炉の安全性を確保する全体のシステムの中のほんの初歩的なポイントを押えているだけであって、それが通ったからといって野放しに安全だということではない。これは政府の言うことと全く違う。安全ではありませんと言っている。そういうものを安全だという理由づけにするのはわれわれとしても迷惑ですと言っているんです。どうですか。政府はこういう大先生に対して迷惑なことを押しつけておるんですよ、安全だ安全だと言って。どういうことですか、それは。
  257. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  内田先生の御発言については、全面的にそのとおりということではございませんですけれども、国の安全審査というものは、御案内のようにまず設置許可段階におきます安全審査が行なわれ、その後詳細設計についての審査と、引き続きまして製造中の検査、それから使用する前に、本格的な運転開始をいたします前に使用検査という、幾つもの段階で国がチェックをいたします。したがって国の安全審査というものについて、一般の方が考えられておられますように、原子炉が安全である、国が保障するというのは、こういったステップを全部終わった段階でいわゆる安全性を国が保障すると、こういう形になるのだと思います。したがって安全審査段階におきましてオーケーしたとしても、そのあと詳細設計において誤りがある、あるいは検査段階において見落としがあるというようなことになりますれば、安全審査会の先生方が安全と判断したことが実際にはそのとおりのものになっておらないわけでございますので、安全は確認できないということで、各段階を通じて安全審査——国としてのチェックがなされるので、まあ安全審査会だけを通ったらすべてもう実際に動くものが安全だと、そういうぐあいに認識してもらっては困ると、そういう意味ではないかと私は拝察いたしております。
  258. 加藤進

    ○加藤進君 冗談言っちゃいけません。政府はいままでどう言ってきましたか。特に科学技術庁を中心として、事業団もね。安全審査会審査がパスしたからもう絶対安全だと、こう言ってきた。パスしたから安全だと言ってきたのですよ。われわれは政府が安全だということだけでは信用できないけれども、安全審査会委員会のこの審査をパスしたから安全だと、そうかもしれぬと思った、そのとおりだと思った、この責任どうしますか。あなたたちね、船をそうして動かしてみなければ安全かどうか最終的にはわかりません、こんなことはいままで一度も言っておりませんよ。次官どう思われますか、その点どうですか、はっきりしなさい、その点は。そんな答弁じゃ審議続けられませんよ。次官から答えてください。
  259. 中村禎二

    説明員中村禎二君) お答えいたします。  すべてのことに絶対安全だということは、これはあり得ないと私は思うわけでございます。そこで、すべての審査等を経て、そうして総合的にそれが安全でなければ安全と言われないと思います。いま加藤委員の御発言承っておりますと、その点がどうも少し説明が足らなかった、舌が足らなかったというような感じを私は受けるわけでございます。
  260. 加藤進

    ○加藤進君 そういう弁明は弁明として聞きますけれども、今日まで政府が国民の前に言ってきたことは何かということです。さまざまな文献がありますよ、証拠がありますよ。科学技術庁長官に至っては何度も何度も言っていました。科学に対する挑戦である、火を見て驚く野獣である。われわれ国民野獣にしてしまいました。ここまで言い切って、しかも安全は心配ないと言っていたにもかかわらず、今回の事態が九月一日に起こったがために、あなたたちの国民に対する説明のしかたががらっと変わっているのです。そうですよ。私はこの問題についてはなお今後明確にしたいと思いますけれども、このことだけは私は間違いないと思いますから、こういう二枚舌を使うようなことを政府の側でやられては困る、こういう点をまずはっきりしておきたいと思います。  こうしてみますと、基本設計段階での安全審査さえ、いわば内田委員長の言われるような状態ですから、こういうことをもとにして基本設計そのものがだいじょうぶだという保障はどこにもないと思います。どっかあったら言ってください。基本設計そのものはだいじょうぶ、基本設計だけはだいじょうぶ、こう言える保障がしっかりあったら言ってください。
  261. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 安全審査会で一番問題といたしますのは、公衆に対する災害評価及び中におきます従業員の安全、そういうものを最大の主眼点にいたして審査いたしております。そういうことで、細目の補機類等についてのこまかな内容にまでは審査いたしておるわけではございません。  災害評価等につきましては、十分に海外の諸文献、知識、そういうものを活用いたしまして、審査会のほうで検討いただいておりますので、その点において基本的な設計の方針等につきましては、十分この線に沿ってやっていただけるならば安全なものができるというぐあいに確信いたしております。
  262. 加藤進

    ○加藤進君 次官にもう一度聞きます。この原子炉安全専門審査会というのは、「むつ」の基本設計について安全であるという、いわばパスポートを与えたわけでしょう。審査の結果いいと言ったでしょう、言わなかったですか。そういう審査やらなかったですか。あなたの答弁によると、そんな審査安全専門審査会権限外だなどというようなふうに聞こえる答弁ですよ。これは重大な誤りであって、基本設計そのものについて審査して、審査の結果これでよろしいという判定を加えた、これは事実でしょう。簡単に言ってください、時間がないから。
  263. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 基本的設計と申しますのが、先ほど私が申しましたように、すみからすみまで、こまかいものまでやるものではないということです。先ほどのたとえば……
  264. 加藤進

    ○加藤進君 簡単に。
  265. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 遮蔽の計算につきましては、原子炉等規制法におきまして、遮蔽計算書というのは許可段階でなくって、詳細設計段階で提出するたてまえに規制法自体がなっております。  それから災害評価で周辺の公衆が被曝する計算……
  266. 加藤進

    ○加藤進君 ちょっと時間がありませんからね、こまかいことを私はあなたに聞いているわけじゃない。安全審査会は、基本設計についての審査をやったかどうか、審査の結果パスさせたかどうかということを聞いているんです。
  267. 中村守孝

    説明員中村守孝君) これはやっております。基本的にいろいろ計画についてやっております。
  268. 加藤進

    ○加藤進君 それだけでよろしい。  そうなってくると、基本設計自体は、審査会の委員長自身が確かなものじゃないと、こう言っているわけです。大臣ね、これは基本設計から根本的にやり直さなくちゃならぬと、こういうことが明らかに出てくるんじゃないですか。これは次官と大臣にひとつお答え願いたいと思います。
  269. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 私、内田審査委員長発言なり、その前後の模様をつまびらかにいたしておりませんから、ここで即断的に申し上げるのはどうかと思いますが、とにかくそういうような問題は十分検討いたしまして、安全の問題については、これもう一〇〇%絶対安全ということはあり得ないということはたびたび申し上げているわけでございますが、しかし、それに近いだけの努力は、一〇〇%に近いあらゆる機械と、あらゆる組織と、あらゆる知能、英知を集めまして努力をしていかなきゃいかぬことは、これはもう言を待たないことでございます。内田審査委員長のことばを、私よくその前後の模様、あるいはこの真意というものをよく存じませんけれども、安全専門審査会というものは、基本設計に対しては安全の責任を持ってもらわなきゃこれはいかぬ問題だと私は思っております。
  270. 加藤進

    ○加藤進君 これは科学技術特別委員会で内田審査委員長参考人として呼んで、そうして参考人発言の中にこういうことが明確になってきておるわけであります。これは決してよそからの引用じゃありませんよ。国会での審議です。そういう意味から見て、基本設計について安全審査会が通ったからといってこれが全く安全だなどというようなことは保障できませんと、そんなことを言われたら私たちは迷惑ですと、ここまで言っておる、責任ある人が。基本設計から洗い直していくということは、これは当然政府のやるべきことじゃないですか、そういうことを聞いているんです。
  271. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 端的に加藤委員のことばをずっとこう持ってきますと、それはそのとおりだと思います。
  272. 加藤進

    ○加藤進君 そうなるでしょう。
  273. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) だから安全専門審査会基本設計諮問するわけでございますから、そういうことですね、諮問するんだから。それに私は安全について責任が持てませんなんていうようなことではこれはたいへんなことだと思います。これはやはり基本設計につきましては、安全専門審査会がその段階でですよ、それだから一番最後に船を動かして一〇〇%ぐっと上げたときまでおまえ責任持てと言うのは、これは持てぬでしょう。だからこそいろんな試験があるわけです。チェックがあるわけですから。しかし委員会諮問した段階では、これは安全については責任を持ってもらわなければ、だれよりか安全に責任を持ってもらわなければ……。おらぬと無責任な話にはいかぬと思います。
  274. 加藤進

    ○加藤進君 そこで聞きますけれどもね。政府はそれじゃ安全専門審査会をパスしたこの安全審査書に対してどのようなチェックをしましたか。どういうチェックしたんですか。いま言われた安全専門審査会のほうは仕事としてやられたけれども、それをチェックしなければわからぬでしょう、政府としても。
  275. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 原子力局におきましては、原子力委員会事務局でもございますので、原子炉安全専門審査会におきます討議にあたっては、事務局として参加し、常時この審査に立ち会い、かつ資料の調整等も行なっておるわけでございます。その過程を通じて審査いたしております。
  276. 加藤進

    ○加藤進君 そんなの共同作業じゃないですか。何もチェックじゃないじゃないですか。チェックはしてないということをあなたは言外に言ったんですよ。  次に、これは科学技術庁だけの責任じゃないということです。詳細設計以降は全部運輸大臣責任ですよ。しろうとだから存じませんなどということは言わぬでください。では詳細設計についてどういう審査をやったのですか、詳細設計については。運輸省管轄でどんな審査がやられたんですか。
  277. 内田守

    説明員(内田守君) 先ほど来申し上げておりますが、船舶安全法段階入りますと、炉を含めまして詳細図面のチェック、それから工作、それからそれに応じた各種試験というようなものを繰り返しておるわけでございます。先ほどちょっと数字を申しましたけれども、本船について大体三千回ぐらいの輪転回数のところで海上試運転に入っているということでございます。
  278. 加藤進

    ○加藤進君 そこでお願いがありますがね。とにかく運輸省管轄でやった詳細設計以降の安全審査について、ほとんど学会にも明示されておりませんよ。青柳参考人どうですか。青柳参考人のほうにもそういう点の明示がありましたか。
  279. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 私ら労働組合であれですけれども、一般に公開されるような形で明示されているのではなくて、役所間の、及び事業団との間でそういう明示がなされていたのだと、そういうふうに判断しております。
  280. 加藤進

    ○加藤進君 だからわれわれには知らされておらないんです。大臣ね、この点だけ私は約束してくださいよ。どういう手順でどのように審査をやったのか。詳細設計を通じてですよ、やったのかということを公表してください、委員会に。
  281. 内田守

    説明員(内田守君) どういう図面をとって、どういう点にチェックをしたという、三千回オーバーいたしたと、こまかくなりますけれども、そういうどういう項目に対してどういうチェックをしたのかということは資料としてまとめてお出しできると。ただ御承知だと思いますけれども、この詳細設計に入ってまいりますと、図面をとってだめだと返す、それから試験をやってぐあいが悪いと現場でまた直したやつができるというような形で、ぐるぐるぐるぐる回っておるわけです。むしろ申し上げ方を逆にいたしますと、メーカーなり事業団なりが一つ詳細設計をしたものをわれわれがチェックするという立場でございますから、そこでわれわれのほうが強権でそういうものを取り上げてチェックするわけでございますから、そのお出しいただきました図面を全部お出しできるかどうかということはちょっとメーカーとか事業団と相談さしていただいて……。
  282. 加藤進

    ○加藤進君 検討してくれますか。
  283. 内田守

    説明員(内田守君) はい。
  284. 加藤進

    ○加藤進君 そうやって詳細に時間をかけ金をかけ人をかけてやって、だいじょうぶだと言った「むつ」が今日のような状態でしょう、そこに私は重大問題があると思うんです。陸上の原子炉だっていまいろいろな事故が起こっております。そのとおりでしょう。陸上だって起こるものが、海上のゆれておる、いろいろな災害、いろいろな事故が起こりかねないような海上での船の原子炉についてはなおさら厳重に厳格に何度もやらなくちゃならぬ、これは言うまでもないじゃないですか。地震が起こったときに、陸上の原子炉はどういう措置をとりますか、原子力委員会
  285. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 地震が起こりますと、原子炉の場合は、その地震の大きさにもよりますが、スクラムいたしまして原子炉を停止いたします。
  286. 加藤進

    ○加藤進君 船の原子炉は常時地震にゆられておるような状態でしょう、それが現実ですよ。だからこそ私たちはこの原子炉についての安全は陸上の原子炉とは比較にならないくらい厳重かつ慎重にやらなくちゃならぬと、これを私たち強調しているんです。そのとおりでしょう。これは答弁よろしい。  そこで私はひとつ、先ほど原子力事業団の——三菱ですね、三菱の代表ですね。三菱工業ですか。
  287. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) いえ、私原子力船事業団の役員でございます。
  288. 加藤進

    ○加藤進君 あなたね、先ほどの答弁の中で、いや、根本的な改修ということはいままでの検討上なかったと、ただ船室を減らすのにどうこうするかというようなことについては若干の手直しをしたということで、いわば設計上あまり大きな変更ばしなかったと、こういうような答弁がありましたね。
  289. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 海洋観測船を現在の貨物船と申しますか、これに変更する際にはそうだったということを申し上げたわけでございます。
  290. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、今度の「むつ」の原子炉の問題について、いろいろ困難な研究上の課題があったと思います。これはわかります。同時に研究者の立場から、技術者の立場からいって、国民の安全を優先させるというならこのことだけはどうしてもやらなくてはならぬなと思ったいろいろな問題があったと思う。その問題についてすべていわば政府なり事業団なりはこたえましたか。
  291. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 御趣旨に沿うようにやったつもりでおります。
  292. 加藤進

    ○加藤進君 さようでございますか。この前、私は国会でも聞きました。聞いたときに、現場の実験に担当された方たちは、とにかく新しい問題だから理論計算だけではとうてい計算のしょうがない問題がある、そうですね。それから、モックアップ試験だって、小型の原子炉の模型をつくったってこれはだめだ、実物大をつくらなくちゃならぬと言ったときに、実物大をやってくれなかったのが政府なり事業団でしょう。そうじゃなかったでしょうか。これはもういままでの質疑ではっきりしていますから、その点は。  もう一つ私は証拠を出します。これは「日本舶用機関学会誌」です。一九七二年の十二月号です。そこに「原子力船むつ〃の原子炉」という表題で、三菱原子力工業の藤永一さんが書いておられます。読みますよ、その中を。「〃むつ〃炉心」——むつ」の炉心ですから、原子炉の中心です。「〃むつ〃炉心は初期の炉心形式のままであるといえる。」、ちっとも直してない。その次です。「建造に先立って、陸上炉における改良のいくつかは採用したいという意見も出た」、陸上炉では何度もやってるんですから、そのいい成果は生かしたいという意見が出た。「いろいろ事情による時間的な制約」、いろいろ事情によるという表現をしていますが、時間的制約、急げ急げです、これは。ことばをかえて言えば、そうでしょう。時間的制約がある、いつまでにつくれということです。もう一つです。「特に根本的な改良設計に必要な設計費が非帯に高価なものにつくために断念した。」という。どういうことですか、これは。金がかかるから断念したんですよ、改良を。これほどまでにして金と時間が惜しいから結局のところ人命を軽視したんです。安全を軽視したんですよ。その結果から起こったんじゃないですか、重大問題です。これについてどう思われますか。私はうそを言ったわけじゃない、ここにちゃんとあります。どう思われますか、この点。答えがあったら言ってください。うそだというならうそだと言ってください。
  293. 福永博

    説明員(福永博君) ただいま先生引用されました論文につきましては、私、その内容の詳細を存じておりませんけれども、ただいまのお話は炉心設計に関する部分かと了解いたします。  炉心設計につきましては、けさほど来、私答弁申し上げましたように、ゼロパワーのときの諸試験に照らしてみまして、何ら問題はない、設計どおりであったというふうになっております。
  294. 加藤進

    ○加藤進君 そういうことを全部信用しておると、また「むつ」のような事態を引き起こして、これはたいへんだということになるんです。いま政府に問われておるのは、その信頼性なんです。信頼性を回復できるような答弁しなかったら、答弁必要ないですよ、ほんとうに。  そこで、私は、もう時間がありませんから、最後に要望を含めて三つのことを言いたい。  その第一は、ともかく以上申し上げ、あるいは委員会においてさん、ざん議論になりましたような、今日の安全体制そのものは根本的に改めなくちゃならぬ。おそらく改めるくらいの考えは政府にもあると思う。じゃあ、その内容です。だれに当たってもらうかという問題です、安全体制。これは従来の方たちじゃ私たちは信頼できません。もっともっとわれわれの信頼できる代表を送らなくちゃいかぬ。これは陸奥湾の漁民たちもそういう代表をわざわざ「むつ」の船まで送ったんですから、できないはずないんです。田島先生や服部先生を送ったんですから、われわれはそういう権利がある。とりわけその中には大学等の専門的な研究機関の代表者、日本学術会議の代表、これの専門委員会ができます。こういう代表を入れて、そうして民主的にこれを改組する、こういう決意はおありになるかどうか、これは科学技術庁とそれから運輸大臣にお聞きしたい。
  295. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 安全体制の改善とおっしゃいますけれども、これは安全審査体制の改善ということだろうと思います。安全審査体制は、これはもう万全を期さなきゃならぬことは、これは言をまちません。いまお説のようなことも一つの貴重な御意見として承っておきます。
  296. 加藤進

    ○加藤進君 私はたびたび政府に質問しますと、御意見は御意見として考えますとか、検討しますとか、いろいろお答えありましたけれども、大体ほとんど全部われわれの要望ば満たされておりません。今度は運輸大臣ですから信頼しますがね。とにかくこういうことをそのままにほっておいたら国民政治不信になります。私はその点で安全審査体制の万全を期して、たとえ不完全なものでもそこでチェックできる体制をとれと、こういうことを特に要望として申し上げたいと思います。  同時に、こういう安全審査にあたっての審査基準というものがきわめて不明確、基本設計はこれは科学技術庁詳細設計以降は運輸省、これじゃもうできっこありませんよ。こういういわば体制を改組すると同時に基準についても明確にして、同時にやはりこれができるような体制をつくり上げていく、それを法律的にも明らかにしていく、法制的にも明確にするもとでこういうことを私たちは実行してもらいたいというふうに考えますけれども、その点いかがでしょう。
  297. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 御発言趣旨は、今朝来森中委員それから三木委員にお答え申し上げたとおりでございますので、いまここで直ちに法律を改正しますというだけの私は資料を持ち合わせませんけれども、そういうようなものも含めて十分ひとつ慎重に検討させていただきたいと、かように考えます。
  298. 加藤進

    ○加藤進君 二番目、洋上試験の測定データ、これは全然専門家にもこれは知らされていない。洋上試験の測定データ、重要ですよ、これは。それからまた、この設計図です。この設計図につきましては、基礎研究に携わっている原研の研究者の側にも何らそれは知らされておらなくて、隠されたままですよ、出してくれない、秘密主義ですよ。設計計算の根拠は何かと言ったってわからない、秘密です、これは。最終完成図は何かと言っても、これも秘密、安全審査内容の資料についても、なお今日、明確にわれわれの前には出されておらぬ。これは原子力基本法の違反ですよ。公開原則なんですから、公開する、国民の前に明らかにする、検討を依頼する、これでだいじょうぶということを国民の中で、専門家の側から見て十分にチェックしてもらう、こういうことをやらなければ、私は今度のあやまちを再び繰り返す危険がある、こういうふうに思いますけれども、その点については、すでに学術会議も政府に直接申し入れているわけでございます、こういう資料公開については。その点についての基本的な御見解を政府、責任者からお聞きしたいと思います。まず中村さんから。
  299. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 安全審査体制の確立につきましては、この「むつ事件を契機としまして、抜本的に考慮して強化、確立をしてまいらなければならない、私はさように考えております。
  300. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  301. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こして。
  302. 加藤進

    ○加藤進君 ともかく日本学術会議からの申し入れについては十分これを尊重する、こう理解していいですね、その点は。
  303. 中村禎二

    説明員中村禎二君) さようでございます。
  304. 加藤進

    ○加藤進君 一番最後の発言でございます。最後に私が申し上げたいのは、今日の事態の真相をとにかく早く究明して、国民の前に明らかにしてもらいたいということ。今日までの無責任原子力行政政治責任を明確にしてもらいたいということ。日本原子力開発を進めるにあたっては、今後あくまで平和で安全な国民本位のものにするという抜本的な改善をこの際はかるべきであるということ。こういう点につきましては、私たちも今後科学技術特別委員会等ともありますから、引き続き追及していきたいと思いますけれども、以上の点を要請して私の質疑を終わりたいと思います。
  305. 和田春生

    ○和田春生君 だいぶ時間もたっておりますけれども、先ほど来同僚委員と政府側との質疑応答を通じて、原子力船むつ」の問題に関して、一体政府や事業団の体制がどうなっているかということについて、何が何だかわからぬというのがほんとうではないかと思うんです。そういうところから今日の不祥事も起き、無責任体制というものが出てきておると思うんです。  そこで私は、問題点を少し具体的に整理をして、それぞれただしていきたいと思うんですが、その前に、これは原子力事業団の理事長にお伺いしたい。実はすでに一ヵ月余前の九月十日に今日のような事態が生ずるであろうということを懸念をして、私はこの運輸委員会で、主として運輸大臣に監督責任や、いろんな点をただしました。しかし私があの質問をした内容は、そういう事態を起こさないようにしてもらいたい、こういう念願を込めて、ある意味でいけば政府や事業団を失敗におとしいれるのではなくて、問題をうまく処理してもらいたい、そういうふうに考えてああいう質問もしたわけです。  ところが、この質問内容は全く生かされていない。その結果どういうことが起きているかというと、私のところに現地から連絡が来ておりますけれども、御承知のように「むつ」の乗り組み員がきょう、あすに下船をしたいという形で船内でかなりもめているわけです。この経緯は御承知のように、すでに先月の二十五日に、世間では海員組合が指令したように言っているけれども、そうではなくて、乗り組み員の一致した意思として、九月二十六日を起点として一週間以内に問題を解決しなければ、当てどもない漂流を続けるということは本来の船員の任務と反する。そういう不安な状態は続けられないから下船をしたいということを言っておった。  これを受けて海上労働者の組織である海員組合が間に入ったわけですけれども、いろいろな立場を考えまして、即時強行下船という措置はとらなかったことは御承知のとおりでございまして、十月の七日、さらに一週間待って下船の措置をとったわけです。その九日に、これは事業団と組合の間で話し合いが行なわれ、とりあえず保安要員並びにあとの補充船員の乗り組み引き継ぎと、こういうものがあるので、十月の十二日には組合員五名を含む十九名の残りの者も全員下船をさせるという話し合いが成立をしておることは御承知のとおりであります。その十二日は、きのうでやってきたわけです。現地の一方の陸奥湾のほうでは解決が長引いている。しかし十三、十四日中にも話し合いがつくかもわからないという情報もありましたものですから、私の得た情報によれば、「むつ」の荒船長は、せっかくここまでがんばった、あと一日、二日なら、このままの体制で、もし円満に陸奥湾に入れるなら、船を持っていって最後の任務を果たしたい、こういう気持ちで、しばらく待ってくれないか、こういう希望もありますので、組合や下船を主張する者も、船長の板ばさみの苦衷というのはわかりますから、それに協力する形で、今日まだ下船という措置は起きていない。しかし、きょう一日たってもまだ解決をしないとすれば、あしたには残った船員が全部おりるという問題が起きるかもわからない。  実はここに二つの問題がある。一つは後任として派遣されてきた船員が、それぞれの分野においては経験を持った船員かもわからないけれども、「むつ」のいわゆる船舶の構造、エンジンも含めて、非常にそういうものには不向きと言うと言い方が悪いかもしれませんけれども、なれていない。そこで引き継ぎがスムーズにいかない。したがって、いままでの乗り組み員が新しい者に引き継いでおりていったら、満足に船が動かせるかどうかわからぬということが船長の非常に大きな不安の材料になっているそうであります。もう一方、あとから派遣されたほうの船員にしてみれば、現状を十分説明されないまま、さあ行けと送り込まれた。こんなことで、われわれが今度は責任を負わされて漂流をするのはかなわぬから、前から乗っておる船員がおりるのなら、おれたちも一緒におろしてくれという話が出てきておる。もしそういう形になって、かりに今明日どういうことになるかわからない。まだ仮定の話ですけれども、船員がおりるという形になっておる。そのあとで陸奥湾で問題が解決しても、これは完全に「むつ」はどうにもなりません。ともかく戦争ということを除けば、戦後の日本で最大の愚劣な大浪費が行なわれようとしているわけです。いままでもすでに浪費でありますけれども、この上にさらに大きな浪費が続けられるかもわからない。  とかく一般の人は陸奥湾の漁民の反対だけを問題にしている。一番大きな被害者は船に乗っている乗り組み員です。一体事業団の理事長として、あなたは船舶のオーナーの立場にあるわけです。船員を雇用している船主の立場にあるわけです、船員との関係では。その事業団の船に乗っておる乗り組み員のこの状態について、いまどういう対策を持ち、どういうように解決しようとしておるのか、そのことをまず最初に伺っておきたい。   〔委員長退席、理事森中守義君着席〕
  306. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 「むつ」の乗り組み員の状態につきましては、私は非常に心配をしておりまして、現在までのところ、荒船長並びに海員組合の幹部と十分連絡をとりまして、善処をしておるところでございます。
  307. 和田春生

    ○和田春生君 善処をしておったらこんなこと起こらぬではないですか。善処をしていないからこういう深刻な問題が起きたわけでしょう。もしこれが普通の船会社でこういう事態が起きたら、神長はおそらくまっ先に船に行きますよ。あるいは社長が行けなければ責任のある者を派遣して、この問題のために真剣になるでしょう。理事長は一ぺんでも船に行きましたか、漂流中。あるいは理事長にかわる人が行って一緒に漂流しておりますか、お聞きしたいと思います。
  308. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 私も十二メートルかの波があったのに本船へ参りまして船長、機関長上も十分打ち合わせをいたしました。それから船長とはほとんど毎日電話で話をしております。それから海員組合の幹部の方々にも、参りまして事情を申し上げて、十分連絡をとって、この状態をどういうぐあいにして切り抜けたらいいのか苦慮しておる次第でございます。
  309. 和田春生

    ○和田春生君 船に行ったのはいつですか。
  310. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 二十六日でございます。
  311. 和田春生

    ○和田春生君 その後に問題が起きているんです。問題が起きてから行きましたか。
  312. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) いえ、二十六日に行っただけでございます。
  313. 和田春生

    ○和田春生君 二十六日を起点にして一週間で問題が解決しなければ乗り組み員は全部おりたいというところから問題が発生しているんです。その後だれも行ってないじゃないですか。
  314. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) その後北川も参っておりますし、それから、むつの木堂所長も常時八戸に駐在しておりまして本船と連絡をとっております。
  315. 和田春生

    ○和田春生君 この問題であまり時間をとりたくありませんけれども、私は要望しておきたいと思う。  いま非常に重要な問題が起きている。今夜じゅうにでも解決をすれば無事陸奥湾に「むつ」が入ることになるかもわからない。しかしそうならないかもわからないんですね。そうなった場合に、理事長、あなた船にいらっしゃい。そしてどうしても現在乗り組み員に船を守ってもらわなくては困るというんなら、ほんとうに心を込めてお願いしなさい。その結果、もしうまくいけばよし、そういう手段もとられずに船が漂流物と化した場合にはあなたの全責任です。なぜ私はこういうことを言うかというと、陸奥湾のいまの漁民の反対運動に関しては事業団は全くお手あげなんです、無能力者なんですよ。事業団のやることは現在の船を守ることでしょう。使っている乗り組み員の安全を維持するということが現在の事業団における最大の使命じゃありませんか。そういう使命感も責任感も全然ない。そういうことではぐあいが悪いんです。十分やはり事業団の理事長としての責任を感じて善処してもらうことを要望しておきたいと思います。  それでは問題の本筋の質問に、この問題も非常に重要ですが、移りたいと思うんですが、午前中からの同僚委員質問に対して、船舶局長はこういうふうに答えておりますね。普通の船でいえば試運転に相当する——確認してよろしゅうございますか。
  316. 内田守

    説明員(内田守君) そのとおりでございます。   〔理事森中守義君退席、委員長着席〕
  317. 和田春生

    ○和田春生君 原子力船の「むつ」に国籍証書は出されていると言っておりましたけれども、船舶検査証書は出したんですか出さないんですか。
  318. 内田守

    説明員(内田守君) 出しておりません。
  319. 和田春生

    ○和田春生君 そうすると、船舶安全法の規定によりますと、これを航行の用に供するときには、一つは臨時航行の検査——船舶検査証書を有しない船舶を臨時に運航するときには臨時航行検査をやって臨時航行許可証を出す。もう一つ船舶法の施行細則の第四条の第一項第一号によりまして、試運転のときには航行許可証を出すという形になっている。どちらで処理しましたか。
  320. 内田守

    説明員(内田守君) 形式的には船舶法と船舶安全法とは全く関係のない法律でございます。船舶法の面では物理的にその船が船の形態をなしてきますと登録をいたします。したがいまして、船舶法上は船舶国籍証書を持っておりますから、船舶法上特別の許可を要するという問題は起こらないわけでございます。一方船舶安全法と申しますのは船の堪航性を確保する法律でございまして、これは船舶安全法上はまだ堪航性が明確にされておりませんので検査証書は交付されておりません。したがいまして、検査証書を受有しない船が船舶安全法上安全の意味で航行するためには、いま先生御指摘のような臨時航行許可証か、もしくは公式の試運転のときにはその手続が必要ないわけでございます。「むつ」は現在船舶検査官が出港以来ずっと乗り込んでおります。船舶安全法上は試運転でございますので、臨時航行許可証は必要ないということでございます。
  321. 和田春生

    ○和田春生君 たぶんそういう答えが出るだろうと思って実は質問したわけですが、この前の九月十日の委員会質問をしてお答えいただいた。これは船舶法上も船舶安全法上も日本船舶である。これが適用されておる。船員法も適用されておる。ところで検査証書は交付されていない、そして検査官が乗り込んで堪航性をテストしているから、船員法は適用されるのですか。
  322. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) ただいまの試運転の船に対しましては船員法は適用があります。
  323. 和田春生

    ○和田春生君 そうすると、この乗り組み員について、これは船員局長、船員法の適用がある。全部船員手帳を持って船舶乗り組み員は雇い入れ公認をしていっている、途中で下船をした船員がおる、それからあとから乗っていった船員もおる、それには本来の船員手帳を持って、船員の経験を持っている者もおるし、あるいはそうでない者が含まれているかどうか知りませんが、その辺の手続はどういうふうにしておりますか。
  324. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 乗り組み員の全員につきまして船員手帳を交付し、雇い入れの公認あるいは雇いどめの公認をいたしております。
  325. 和田春生

    ○和田春生君 この前もそれに関して船長の権限と乗り組み員の義務等について質問したわけですが、じゃ九月の十日の、時間もありませんから一一おさらいをしながら問題点を広げていくことは避けたいと思いますけれども、質疑応答の内容はそのまま確認しておいてよろしゅうございますね。船員局長船舶局長あとからもし違った問題が出てきたらそのときにまたやらしていただきますから、げたを預けておきます、これは。どうでしょうか。だいじょうぶですか。
  326. 内田守

    説明員(内田守君) 私のいままでの答弁で間違いないと思います。
  327. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) いままでの答弁で間違いないと思います。
  328. 和田春生

    ○和田春生君 そうしておきましょう、いまここは。  そこで問題を少し先へ進めたいと思うんですが、原子力船事業団の性格について、これは事業団の理事長がどういうふうにお考えになっているかということ、さらに主務大臣である運輸大臣、それから科学技術庁長官代理の政務次官にお伺いをしたいんですけれども、一般的な船舶の建造、運航という場合には、船主は船を造船所に注文します。そしていまも話が出ましたけれども、試運転をやる、間違いがないという形で完成引き渡しを受ける、そしてこれを船主が船員を乗せて運航をすると、こういう形になるわけです。原子力事業団は特殊法人であるけれども、そうしたつまり船主のような立場に立っていると、こう考えていいんでしょうか。またそういうお考えでしょうか。あなたの仕事を聞いているのですよ、理事長の。
  329. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) お答えいたします。ただいま先生がおっしゃいましたように、普通の船でございますと、いわゆる船機一体でございまして、でき上がった動く船を造船所が船主に納める、そうしてすぐ走らすというのが普通でございますが、この原子力船の場合は、これを一社で製造する造船所がございませんでしたものですから、これを船体と原子炉に分けまして、別々に注文をいたしました。したがって造船所でつくりましたものは、中にエンジン——非常用のボイラーは入っておりますが、これは別といたしまして、原子力のエンジンが入りませんで、これをわれわれが受け取りまして、別途原子炉をメーカーにあつらえましてつくりまして、これを中に据えつけた。そして据えつけた段階で今度は原子炉もわれわれが受け取った。そういたしますと、まだ動かない船をわれわれが受け取りまして、これに原子燃料を装荷いたしまして、事業団がこれの出力試験をやっているということでございます。
  330. 和田春生

    ○和田春生君 原子力船開発事業団法の二十三条第一項の第一号に、事業団の業務として、「原子力船設計、建造及び運航を行なうこと。」、こう書いてありますね。そうすると、建造という任務も事業団は持っている、つまり船をつくってそのつくった船を運航する。第二号によると、「原子力船の乗組員の養成訓練を行なうこと。」、船員養成もやる。つまり造船会社のすべての任務じゃないかもしらぬけれども、建造という仕事——船をつくるという仕事と、そしてそれを運航するという仕事と、船員も養成する、全部事業団がやってるわけですね。
  331. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) おっしゃいましたとおり、事業団法のその条項によりまして、みずから設計し、建造の何と申しますか、パーツとしての船体と、それから……
  332. 和田春生

    ○和田春生君 いや、ぼくはわりあい専門的知識はあるんだから、こまかいことはやらぬでよろしい。
  333. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 炉は分けてあれですが、これを出力試験をするということにおいてはまさに先生のおっしゃったとおりの建造に当たります。それから船員につきましては、事業団がみずからこの船用の船員を養成いたしまして、それを乗せております。その養成のためにそのほかの施設も設けております。
  334. 和田春生

    ○和田春生君 そうすると、この原子力船をつくった、船体及び通常の機関その他の付属設備、それからこれ、原子炉というのはやっぱり動力の一部なんですが、これをつくった製造の会社は、言うなれば原子力船事業団の下請でやった、こう解釈していいわけですな。
  335. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 契約の形式上は下請ではございません。つくったパーツを事業団が原子力船として仕上げるという形というのが適当じゃないかと思います。
  336. 和田春生

    ○和田春生君 これは船舶局長にお伺いしたいんですが、船舶法でも安全法でもすべて船舶については製造、修繕ということばを使ってる。製造、修繕ということばを使ってますね。で、法律関係で言うと、臨時船舶建造調整法で建造ということばが使われている。この場合もこの建造というのは、造船所の船をつくることを建造ということばで使われてるわけ。そうすると、船舶安全法等で使われている船舶の製造という意味と事業団法の建造という意味とは同義と解釈してよろしいですか。
  337. 内田守

    説明員(内田守君) いま臨時船舶建造調整法のほう、ちょっと調べておりますが、船舶安全法では製造者ということばで出ております、建造者でなく。で、この場合、「むつ」につきましては実体的な製造者である、船体の石川島播磨重工と、それから炉のメーカーである三菱原子力工業の連名で製造検査申請させております。  それからなお、第一回定期検査というのは、先生御承知のように船舶所有者の立場でございますので、第一回定期検査原子力開発事業団から申請されております。それから臨時船舶建造調整法のほうはいま調べておりますのでちょっと時間をかしていただきたいと思います。
  338. 和田春生

    ○和田春生君 その辺に一つの大きな混乱が私はあると思うんですよ。これはことばのあやだけじゃないんです。建造と製造と。で、船舶をつくる場合の船体とか汽かんとか、あるいは排水装置とかいうものに対する製造検査、これは船を実際につくる、いま船舶局長が言ったように、これは実体的にその船をつくっているところになっている。私はその前段として事業団にもお伺いをしたわけだ。事業団は設計をして、そうしてその船をつくるんだが、下請というような契約の形にはなっていないが、船を、つくったやつを持ってきて事業団がやっている。そして第一回の定期検査、つまり初めて航行の用に供するときの検査については建造者としての事業団がやっている、こういうような複雑なからみ合いがあるものですから、先ほど来同僚委員からも質問がありましたけれども、一体どこに責任の所在があって、今度のような問題を引き起こしたのはだれが責任をとるかということが全くあいまいもこになっちゃっている、こういうようなことがあると思うんです。こういうことをまとめてあとでまた運輸大臣あるいは政務次官にお伺いをいたしますが、関連がありますから重ねて質問します。
  339. 内田守

    説明員(内田守君) 先ほどの補足でございますが、臨時船舶建造調整法の場合には、建造許可というのは、造船事業者に対して許可するということでございまして、「むつ」につきましては石川島播磨重工業に対しまして建造許可を行なっております。
  340. 和田春生

    ○和田春生君 そうすると、運輸省の、いわゆる船舶をつくる場合の監督官庁は、実際船をつくるその製造の業者に建造許可をしたと。ところがさっき事業団は、自分のところが建造するんだと言っている。しかも事業団法には「設計、建造」すると書いてある。どっちですか、一体。
  341. 堀純郎

    参考人(堀純郎君) 私は法律的なことを申したんではございませんで、実体的なことを申したんでございまして、法律的には船舶局長のおっしゃるように、この船舶の製造業者は石川島でございます。
  342. 和田春生

    ○和田春生君 都合のいいほうに逃げちゃいけないと思うんですね。おそらく原子力船でもうまくいったら手柄は科学技術庁と事業団の手柄にしようと思っておったんじゃないかと思うんだけど、これはまあよけいな勘ぐりですけれども。実体じゃなくて、責任を負うという場合になると、実体的な責任もある、法律上の責任もありますよね。組織の上における責任という問題もいろいろあるでしょう。ですから一体事業団というのは何なんだ、非常にこの事業団の性格があいまいだと思うんですね。で、いまのやつをどんどん法律の条文引用して追及していけばいろんな問題が派生して関連して出てくると思うんですが、これはまあきょうのところは、いまのことでも大体その辺のあいまいもことした、責任の主体というものがあいまいもことしているということが大体わかったと思うんで、先へ進めたいと思うんです。  関連して、私は船というものについて、これはこの前の質問のときにも言ったんですけれども、みんな原子力船原子力船と言っているところに間違いがあるのじゃないか。いま「むつ」という原子力船ではない一般の船というものがここに一つできている、そして動力の一部として実験用の原子炉を積んでいると、これが実体的な認識だと思うんです。それを十ぱ一からげにしてしまうものですからいろいろ混乱してくるんですけれども、そこでお伺いしたいんですが、運輸省の監督責任検査責任というのは原子炉を含めて「むつ」全体について背負っているのか。少なくとも今日までの段階においては原子炉並びにその付属装置を除いた部分の船舶あるいは補助機関その他の部面についての検査責任を背負ってきて、原子炉については一体科学技術庁なのか、あるいは通産省なのか、どこが責任を持っているのか、その点をひとりお伺いしたいと思います。
  343. 内田守

    説明員(内田守君) 法律的には船舶安全法の範疇では特に炉を除外するとか、あるいは炉を検査対象からはずすということではございません。いま先生の御指摘の事項を逆に言えば炉も船の中の動力の一つでございますので、炉を含んで船舶安全法の対象ということになります。一方、その炉は炉規制法の面から見ますと原子炉施設でございます。先ほど来いろいろ御答弁申し上げておりますように、炉規制法設置許可について基本計画等について安全審査がなされておるということでございます。
  344. 和田春生

    ○和田春生君 そうすると、いまの船舶局長の答弁で、この原子力船むつ」については一般的な船舶の部分と実験用の原子炉の部分も含めて運輸省の監督下にある、そういうふうに理解していいわけですね、監督行政からいえば。
  345. 内田守

    説明員(内田守君) 監督という表現がむずかしいんでございます。船舶安全法という安全という面からは一般の船と炉を含んで同じでございます。ただ炉だけがもう一つ前に炉規制を受ける。それから監督という問題は、いま御指摘になりました原子力船開発事業団、言うなれば船会社的なものと開発をやる面と両方持っておるわけでございますが、これは科学技術庁運輸省の共管でございます。
  346. 和田春生

    ○和田春生君 事業団法によれば、主務大臣は運輸大臣と内閣総理大臣だ、内閣総理大臣はその一部の権限科学技術庁長官に委任することができるとなっておりますね。そうすると、監督行政ということばも短い時間で言えばいろんな意味も含むでしょうが、ここではいま安全を中心にものを言っているわけですね。それは運輸省の管轄だ。そうすると、これを分類すれば、言うなれば事業団はプレーをするチームだと、科学技術庁はオーナー代理としてそれを監督していると、アンパイアが運輸省という関係になるんじゃないでしょうかね、そうでしょう、審判をするのは。法律体系からいってあなたの答弁を持っていけばそうでしょう。運輸省安全審査というものについては、国家の行政組織として、法律上も行政的にも最終責任を負うんだという形になれば、科学技術庁は安全の問題については安全なものを事業団につくらせる、その監督責任があるということ、そういうふうに解釈しなくちゃならぬでしょう、どうでしょうか。
  347. 内田守

    説明員(内田守君) 運輸省と同じ立場での監督責任と、共管でございますから。それからもう一つは、先ほど来申し上げておりますように、アンパイアの例がぴたりとこないのでございますけれども、原子炉施設としてもう一つ前の基本計画あるいは基本設計についての安全についての責任と申しますか、それは科学技術庁にあると考えております。
  348. 和田春生

    ○和田春生君 比喩はしばしば誤解を生みますから、あまりそういう例を引かぬほうがいいと思うんですけれども、さっきから言っているように、事業団法によって事業団が「むつ」をつくるんだ、そして科学技術庁が事業団とかかわりができるのは事業団法によって内閣総理大臣権限の一部を委任されているから、科学技術庁というものは事業団とのかかわり合いができるわけです。しかし船を建造し運航し船員を養成するという仕事をやっていく。しかも、そこでつくられる船そのものについての安全審査をする、それを法律的に行政的に責任を負うのは運輸省なんでしょう。科学技術庁がそんなことをやっていいなんというのはどこにもないです、法律に。
  349. 内田守

    説明員(内田守君) いま先生御指摘の面が一つと、それからもう一つは、炉規制法でいう原子炉施設設置者が原子力船事業団になるわけでございます。炉規制法の適用を受ける原子炉施設設置者が原子力船事業団ということになります。その意味科学技術庁とつながっているわけでございます。
  350. 和田春生

    ○和田春生君 そこで私さっき質問したんですよ。みんな原子力船むつ」「むつ」と、こう言っているんだけれども、あれは一般的な船で、原子力船として完成したものではない、実験用の動力の一部になるべき原子炉をそれに積んでいると、二つに分けて考えたほうが実体的に正しいんじゃないかと、そこで運輸省責任というのはその実体的な、いわゆる船の部分というものについて負っているのではないのか、それとも原子炉の部分も含めて安全だし、そういうような問題についての検査、監督等の責任を持っているのかと聞いたら、あなたはその原子炉も含んでだというから、そうしたら法律的に見ても、行政的に見ても運輸省が一番責任があるので、技術庁なんというのは事業団に一生懸命やれと言っていればいいんです。技術庁長官がおれが何でもやるなんてせり出すことはひとつもないんだ。  ところが、いままでの実体を見たら科学技術庁ばかりがせり出して運輸省というのは陰にきれいに隠れておった、そして船が漂流しだすようになっていよいよ問題になったら、何か知らぬけれども、運輸大臣がここに出てきた。技術庁長官は病気かどうか知らぬが、どっかへ雲隠れしてしまった。そうして、この前の委員会のときには呼び出しは前から、私も質問しようと思って技術庁長官に言っておったところが、現地の「むつ」の問題を解決するために非常に忙しくて、現地としょっちゅう電話で連絡をとらなくちゃならぬから、委員会出席するいとまがないという形でとうとう出てこなくて、委員会はお流れになっちゃったわけでしょう。ああいう問題が起きたのは安全に関して起こった問題なんです。そしてはっきり言えば、放射線漏れということは起きた。これは今後出力を上昇して、安全に運航に耐えるいわゆる原子力船にもっていくという点については、なるほど重大な問題かもわからない。しかしそれが事前にチェックされて、原子炉はストップした。乗っている乗り組み員に対しては放射線の被曝とかそういうことは全然起こっていないわけですね。いまだにこうやって乗ってますし、おりてきた船員もそういう問題は起きていない。そして原子炉の部分が、これからこれを動かしていくという形になれば問題だけれども、ストップしている状態においてはほかの船の部分は全く無傷なんです。そういう面が区別されずにやられているものですから、運航している乗り組み員はえらい迷惑ですよ。何をあわてているのか知らぬけれども、「へらくれす」や補給船まで何かばい菌をつけた船が来たように思ってですよ、港に入れるの入れないのという形で船員を海の上でひぼしにするようなことを平気でやっている市長がおる。けしからぬ話ですよ、こんなものは。「むつ」の問題じゃないんですよね。  それが結局そういうふうに問題をきちっと分けて、それぞれの責任の所在がどこにあるかということを行政的にも技術的にもきっちりして担当をきめてやっていないからこういうことになってきて、わけのわからぬことになってくるんですね。いままでのいきさつでいけば、科学技術庁責任を持っている。原子炉の問題については全責任を持ちなさい。そうして事業団は船と船員の運航管理というものについては全責任を果たしなさい。運輸省は全体を包んで、これも船舶船舶ですから、これの安全を担保するという行政的な責任を果たしなさい。そういうきっちりしたことは何にもやられずに、何か知らぬけれども手柄争いのようにおれがおれがと出てくると、ぐあいが悪くなると実体的にどうとか法律的にはそうではないとかですね、いやそれは安全審査会がどうとかいって全部持って回るから、朝からのあれだけの質問でも一体あの事故を起こしたことの責任をだれがとるかということは一つも明らかになっていないでしょう、これは。聞いておったってチンプンカンプンですよ。どなたが一体責任を持つのですか。  それは最高責任は内閣総理大臣だと言ってしまえばそれまで。しかし内閣総理大臣責任はあるけれども、これはまた別の場で追及をするけれども、何もかも内閣総理大臣がやるわけじゃないでしょう。そういう点をきちんと分けて、それぞれに対する機能を備えて、それぞれがそのことを誠心誠意やればいいわけですね。ところが、先ほど来の質問でも、原子力船の「むつ」を強行出港させるということについては官房長官技術庁長官が相談をして事業団に命令をしたとこう言っている。官房長官またそこに入ってきたわけだ。一体ではその出港ということは何でしょう。これはやはり現地の事情を見、船の安全性を見、船長や乗り組み員や現場の意見を聞いて、船会社でいえば船会社の社長が判断をする。事業団の理事長が責任をもって判断をしなくちゃいけない。理不尽がと思えばそういうことは待てと言うのがあなたの責任です。  現にあと何日間か待ちなさいということが事業団の現場の中からも船の中からも出ておったじゃないですか。文書にはなってないけれども。それを科学技術庁は功をあせって強引に出そうとする。船が沈没したって絶対放射線の漏れは起きないと、沈んだってだいじょうぶだと豪語したのは森山科学技術庁長官ですよ。沈まない先に漏れが起こっちゃった。そういうような形でお互いに功だけを争おうとする。責任をとろうとしない。功だけを争おうとする。そして最後になれば一体どこに責任がある、所在があるか全然わからない。私はこういうことがこの問題の根本にあると思う。  先ほど来政務次官はいろいろなことをおっしゃっています。人間のやることに絶対なんということはあり得ませんよ。だからあの「むつ」の問題についても、長官が言うように絶対安全だったらテストは要らないんでしょう。ひょっとしたらあぶないかもわからぬからテストをやるんでしょう。そのときに、そのためのテストをやりますと、何か起こるかもわかりません。しかし起こったときにはこれこれの安全措置がありますし、原子炉も直ちにストップをして放射線漏れで被曝障害を起こすようなことは心配ありませんと、そういう点については万全の手を打っていくつもりですと、その責任については全責任をどこどこが負いますと、そういう形できちんと理非を明らかにして、十分に現地の諸君にも納得をしてもらう、船の乗り組み員に対してもそれを納得してもらう、そういう体制をとっておれば事態はよほど私は変わっておったと思う。そうじゃなくて、原子力船をつくるということばかりにいってしまって肝心の点がどうにもなっていないというところに起きた。これは技術的ミスという問題もある。原子炉の設計と製造という面についてはあるからこそそういうことが起きたんでしょう。追及しなくちゃいかぬけれども、いま起きている事態というのはまさにこれは政治的な事故ですよ、技術的な事故というよりも。原子炉はそうだけれども、原子炉をのけてしまえば問題は起こらなかった、「むつ」で。ところが、いま乗り組み員はその被害を一身に背負っている。被害者というのは乗り組み員ですよ。全くこれは気の毒な、しかも挫折感を味わって、みじめな立場にあると思う。そういう点について、これは運輸大臣と、それから技術庁長官の代理で政務次官がお見えになっているわけですから、今後一体政府の部門でどこが全責任を背負うのか、全般の問題について。それとも、船とそういうような原子炉という問題、船の運営、船員についてどこが最終責任を背負うのか、その点をひとつ明らかに、ここです、ここですということをはっきり言っていただきたいと思う。
  351. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) いろいろ御意見を拝聴いたしまして、法律的な問題あるいはその他の問題につきまして貴重な御意見を拝聴したわけでございますが、責任という問題につきましては、これはもうそれぞれの立場で原因が明らかになってまいりますればおのずからそこに出てまいると思います。しかし、その原因の問題は、今朝来のいろんな質疑応答の中に明らかになっておりますように、しばし時間をかしてもらわなきゃならぬと思います。  しかし当面の問題を解決しなきゃならぬということでございまして、当面の問題におきましては、これはどこにこの原因があり、どこにその責任があるかといういろんな問題が重なり合ってこういうことに相なっておるんでございますから、当然その責任は政府にあることは間違いございません。  また、一つ一つの問題の解明につきましては、いろいろ御意見があるわけでございますが、私どもはこの責任をのがれようとするわけではございません。いかなる問題におきましても行政には責任はつきものでございます。その責任のあるところにおいてはそれぞれの立場で私は責任を明らかにし、国民の前にも明らかにし、そうしてその責めを果たしてまいらなきやならぬと思います。  いま当面の船につきましては、原子力船事業団が中心になって、私どももそれに力添えをいたしまして、入港その他の問題に——運営の問題、運航の問題につきまして衆知を集めているところでございますが、問題解決も鋭意現地でいままっ最中だろうと思います。微妙な段階でございますから、乗っておる船員等につきましても、みんなが知恵を出し合い不安のないように全きを期していきたい、かように考えております。
  352. 中村禎二

    説明員中村禎二君) ただいまの御質問に対して運輸大臣から御答弁になりましたとおりに私も考えております。今後責任の所在をはっきりいたしまして、責任をとるべきものはとらなければならぬと、かように存じております。
  353. 和田春生

    ○和田春生君 ともかく、何をやるんでも監督が二人も三人もおったり、一人がピッチャーもキャッチャーもバッターもやろうなんとすれば、これは混乱が起きるのはあたりまえなんです。たとえは悪いかもしらぬけれども、いまの原子力船むつ」に関する政府、事業団の体制は私はそんなようなもんだと思うんですよ。混乱しちゃっているんですよね。それをまず、いま運輸大臣お話しになりましたけれども、出直しをするにあたってはきっちり整理をして、こういうことは二度と起こさないようにまず体制をきちんとしてもらう、そして責任の所在を明らかにし、それぞれが責任ある仕事をしてもらうと、こういうことをぜひ希望したいと思うんです。  最後に一つ質問ですが、いま船の乗り組み員が非常に苦労いたしました。おりてきた者もおります。すでに二ヵ月近く漂流を余儀なくされようとしておる者もおる。それらに対する補償や今後の措置、そういう問題について要求が出ているわけです。ここで具体的にその要求について一つ一つお答えはいただこうとは思いません、時間の関係もありますから。それには誠意と責任をもって処理される、これは運輸省技術庁、事業団、それぞれそのことをここでお約束願えますか。
  354. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 一つ一つ法律的な理屈を言うといろいろ理屈があるだろうと思いますけれども、私どもはいまおっしゃったように三者一体となって誠意をもってこたえてまいりたいと、かように考えております。
  355. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 私は先般「むつ」に参りまして、目的なく漂流いたしております船員の心情をうかがい、精神的なまた肉体的な苦痛に対して、まことに私は何と申していいかことばで言いあらわすことができない感じをいたしたわけでございます。そこで、その苦労に報いるべく最善の善処をいたさなければならないと、かように考えております。
  356. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 下船をしました乗り組み員に対しては、十分な誠意をもって適当な処置をとりたい、さしあたりは、おりた人には七日間の有給休暇をとりあえず与えました。それを含んで……
  357. 和田春生

    ○和田春生君 あまりそんな具体的なことは言わぬほうがいい。また七日間とは何事だという問題が起きますよ、五十日も漂流していて。
  358. 佐々木周一

    参考人佐々木周一君) 御参考までにお知らせいたします。
  359. 和田春生

    ○和田春生君 参考にならぬですよ、それは。それじゃいまのことばどおりに確実に実行してもらうということを確認をいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  360. 森中守義

    森中守義君 これで「むつ」関係は一応終わるわけですが、少しく議事進行ということで特に意見なり、あるいはお願いなり申し上げておきたい。  実は今月の一日にやるものがきょうになった、かなり時間もたっていますしね。ある程度疑問としている点が解明をされるであろうという期待のもとに関係の委員がいろいろお尋ねした。ところが聞けば聞くほど混迷が深くなってちっとも問題が解明されない、一体これはどういうことになっていくのか、だんだんわからなくなってきたわけです。そこで私は八月の十三日に設置されたという原子力船関係閣僚懇談会、これは一体何をやっているのか。ただ沖合いから湾内に入れればいい、これだけのことにすべて集中しているのか、その余のことは一体どういうようなことになっているのか、全くわかりません。したがって、これから申し上げる二、三のことは官房長官はきょうお見えになっていないから、大村さん、特にあなたはこのことを総理周辺にもお伝え願いたいし、また運輸大臣技術庁政務次官も十分お考えいただきたい。特にその中の一つは、朝来の問題点の一つは、基本計画上のミスなのか、あるいは施工工作上のミスなのか、この辺を検討しようというわけで検討委員会ができたわけですね。ところが運輸省あるいは技術庁の話を聞いておりますと、どうもやっぱりどこかでかみ違っておる。したがって、もしこの検討委員会がだんだんだんだん進んでいきますと、どこかでやっぱり対立関係が生まれてくるんじゃないかという、こういう想像も生まれるんですよ。  そういうものがさらに発展してどこかで妥協が生まれる。一番肝心な原因というものがこの検討委員会ではたして決着つくものかどうかわからない。だからそういう意味で、私は第三者による検討委員会というのがむしろ望ましい、そのほうが公開原則に沿うというように考える。これはひとつすみやかに検討されて、検討委員会のあり方、その設置内容、こういうものをもう一回検討してもらいたい。  朝からずいぶん関係の委員がこうすればいいじゃないか、ああすればいいじゃないかという幾つかの問題提起があり、提案みたいなものがあった。どれもこれもこれは否定とまではいかないにしても、まさにぬかにくぎですよ。だから、この辺のことなども考えてもらわにゃいかぬ。  それから、いろんなことを聞かれても言われないというのは、方針が立っていないから言わないのか、このまま何とかのがれ切ればいいということであるのか、あるいは関係の各省庁で十二分に話が詰められていないということであるのか、どれが真相か全くわからない。ですから、十一月の十一日、もしか十二日に本院の五つの委員会が連合審査の予定です。連合審査にまでこういうような姿勢で臨まれるならば、これはたいへんな問題ですよ。これはひとつ十分、この「むつ」の問題に関してはもう少し正確なお答えができるように政府側で十分なる検討と対策を、単に答弁のための対策でなくて、今後の処理問題について早急に検討をお願いしたいと思う。  それからいま一つは森山長官の進退の問題ですがね。非常に極限に達している今日のこの問題で、中村さんに気の毒ですけれども、やっぱり政務次官長官といいますと、おのずから話の内容も変わってくると思う。いままでどちらかというと、さっき和田君がおっしゃっておりましたように、一切の主役を演じてきたような立場にあったわけです。そういうように私どもは受け取っております。その人が病気になった。さあ運輸大臣がだれを相手に何をしょうかといいましてもこれは直ちに困ると思う。ですから閣僚懇等がそういう一切の責任を持つという場合でもないでしょうね。それであるならそれでもいいですよ。しかしやっぱり技術庁長官というものは、この際における一つの大きな役目をになった人ですから、私はあまり病気とは思ってないけども、ほんとうに病気だというなら更迭しなさいよ。代理を相手に話してもしようがない。しょうがないし、いろいろな方針をきめることについても困るんじゃないですか。これは副長官官房長官なり与党の幹事長なり総理にもとっくりと話をされて、一日も長官の代理を置くような事態は許されないし、また健康が許さないというならば、いろいろその背景は別なものとして、新しい長官を任命したらどうです。こういうことを私はこの際特に申し上げておきたいと思う。  いずれもにわかに答弁いただけるものであるかどうかわかりません。しかし朝、私は法律改正をやれとか、あるいは安全担当原子力委員をもう少し出しなさいとかいろいろな問題を言っております。それは運輸大臣みなお聞きですから、よくその辺のことはお聞きいただいて、できるだけ早急に事態の収拾をはかってもらいたい。重大な関心を私は持ちます。ですから閣僚懇で何を協議しているのか、検討委員会はどうするのか、森山長官の更迭はどうするか、こういうことを副長官から答えのできる範囲でひとつ正確なお答えいただきたいし、また大臣からは、検討委員会は関係ありますからね、一体どうなさるのか、このままでいかれるかどうか、その辺のお答えをいただいて、たいへんきょうの委員会は、私ども委員側といたしましては政府の対応には不満です。そのことを特に表明しておきたい。
  361. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 閣僚懇が何を検討しているかというお尋ねの点でございますが、当面のところ御案内のように「むつ」が洋上に漂流しておりますので乗り組み員の健康の保全の問題等早急に見通しをつける必要がございますので、地元の御納得を得て何とか「むつ」が入港できるようにいたしたい、そういった点を中心に検討を重ねておった次第でございます。  本日、現地で漁協の代表者と鈴木総務会長との協議が、本日四時から行なわれておる次第でございまして、何らかの結論が出れば、今晩もしくは明日閣僚懇をさらに開いて、この問題についてとりあえずの結論を引き出すことにいたしたいと、かように考えている次第でございます。今後の対策とか基本的な問題につきましては、なおその事実を踏まえて、対処してまいる、さように相なることになろうかと考えておる次第でございます。
  362. 森中守義

    森中守義君 もう一つ長官の更迭。よく言われるのかどうか、これは大事だよ。
  363. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 森山長官の進退についてでございますが、重要な御発言でございますので、私単独でもとより申し上げる限りのものではございません。要旨を上司によく伝えることにいたしたいと思います。
  364. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) いま検討委員会がつくられておるが、これを第三者の委員会にしたらどうだというお話でございますが、検討委員会というのは、これは私は科学にはごまかしはできぬと思うんです。いまいろんなデータをコンピューターに入れたり何かして計算して、その結果をいま出そうとしているようでございますからその結果を見て、必要ならばさらに第三の委員会、第三者の委員会というようなものも私は必要によってはつくるべきだと思います。しかし、まず行政責任において明確にするところは全部並べてみる必要があろうかと思います。この点につきましても多分に技術的な問題でございますから、そういうような御指摘のことを、私、常識的にはわからぬことはございません。そういうようなものを第三者がやればより信頼度が高まるのじゃないかというようなことも考えますが、この点ひとつよく検討さしていただきたいと思います。
  365. 森中守義

    森中守義君 大臣、それでいいんですが、ただ朝からいろいろ政府側の答弁を聞いておりますと、やっぱりこの検討委員会はひっかかるんですよ。そう感じなかったですか。特に私は中村規制課長あたりの答弁聞いていますと、やはり基本計画のミスなのか施工工作上のミスかというのはこれから一つのポイントになってくる。それを基本計画は間違いないはずだ、施工工作のミスじゃないかというような、そういうニュアンスに受け取れる節が多分にある。  で、そのことは何も責任を、基本計画のミスならば技術庁だ、施工上のミスならば運輸省だ、そういうきめ方をしようという意思はない。やはり全体を通しまして、また議論が振り出しに戻っちゃいけませんけれども、六%に届かない第一回でこれだけ、あと一〇〇%になったらどうなのかという、こういう素朴な疑問もありますから、その辺をやはり考えて第三者に移したらどうなのかと。どうも答弁の中では、必ずしもそういうものとばかり受け取れない節が多い。やはり技術庁運輸省というそういう分限における問題の詰め方がですね、詰め方にとられているような感じがする。だから対立が生ずる、解消するために妥協が生まれるということになると、大臣の言われるように、科学の純粋性というものはそういうところで埋没はしないでしょうけれども、やはりあり得ないことではないというような気もするものですからね、そこをひとつ御理解を願いたい。  それからもう一つですが、四時から始まっているんですね、交渉は。もうそれぞれ何らかの接触はあっているんでしょう。まだこの委員会あと質問者が一人ありますからしばらくかかる。親切気があるならば、中間でも何でもいいから一ぺん報告しなさいよ。そういう意味では非常に不親切だ、いまの政府側は。目黒質問が終わるまででいいですからね、きちんとまとまらなければ、その時点においてはこういう状況だということを報告してくださいよ。——そのくらいのことをやってもいいですよ。
  366. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 先ほどこの委員会を退出してからの状況を御報告さしていただきます。  四時半ごろに、現地に派遣しておりました川島副長官が帰ってまいりました。その報告を聞いておったんでありますが、五時過ぎに現地に連絡をしましたところ、代表者二十人と鈴木総務会長との交渉と申しますか、話し合いが始まったところであるというお話でございますが、まだ話し合いの途上でございますので具体的な状況はよくわからないと、こういうことであったのでございます。  私は、その後五時四十五分ごろ官邸を出ましてこちらへ参りましたので、まだその後の状況は詳しく聞いておりません。
  367. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  368. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こしてください。
  369. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 目黒ですが、いままで原子力船むつ」の問題、安全の問題でいろいろあったんですが、大臣にちょっとお伺いいたします。  いままで海の安全の議論がされたんですが、私はいまずうっと聞いておって、過去十年間国鉄における安全論争をやってまいりまして、国鉄側のいままでの安全論争と違う点が二つほど私は気がついたんです。一つは新幹線の問題についても絶対安全だ、在来線の問題、信号、保安の問題についても絶対安全だ、特に新幹線の安全問題について挑戦するほうがおかしいんだと、こういうふうにずうっと私はこの国会に出る間十年間国鉄側と論争して、常に悪者にされてきたわけですが、きょうの「むつ」問題にかかわる論争を聞いておりますと、安全には絶対というものがない、さっき大臣答弁ですね。しかし、その可能性については最大の努力をすると、そういうことがあったんですが、国鉄の新幹線に対する安全の考え方と大臣考え方にズレがあると思うんですが、このズレについては国鉄側も含めて認めるかどうか、その点に対する安全の基本について、私はまず第一に聞きたいと思うんです。
  370. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 私、就任いたしました第一回の記者会見で、まず交通問題は安全でなくてはならないと、これが第一の要件であると、今後運輸行政を進める上においても、この安全問題については全力をあげてこれを確保するように努力するということと、さらに私は繰り返しこの「むつ」問題で言っているわけではございません。安全というものは絶対というものはあり得ない。これは飛行機もそうでございます。何十万回かに一回はいままでの統計を見ても不幸な事件が起こっているということが言われております。でございますが、一〇〇%に近く押え込むという努力は、これは不断にしていかなければならぬと思っております。いままでの私の考えにいささかもここで修正するつもりはございません。安全問題は人間がやることでございますから、いかなる精密な機械にたよろうとも一〇〇%の安全ということはできないことでございます。しかしながら人間をあずかる機関をあずかっておるわれわれでございますから、その一〇〇%に近いところまで安全を確保するという努力は不断にこれを続けていかなきゃならぬ、この基本的な態度を堅持しているものであります。
  371. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 目黒先生がどういう場で安全は絶対であるということを国鉄側として言っておったということにつきまして、私、直接拝聴いたしておりませんので、その点についてはわからないのでありますけれども、前総裁の磯崎総裁並びに現総裁の藤井総裁ともに、安全は無限の追求であると、無限の追求をしていかなければならないということをおっしゃっているわけであります。無限の追求をするということは、やはり無限の極限値までにはなかなか到達できないものだ、しかもこれに対して有限のもので対処しなければならない。したがいまして、その努力が要求されるんだということをおっしゃっておられるわけであります。この見解には、全く私個人といたしましても同感でありまして、私、国鉄側の見解というものはこの点に尽きるんではないか、このように考えている次第であります。
  372. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうしますと、前の国鉄の磯崎総裁が新幹線なり在来線の安全問題をめぐって、当該乗務員なり、あるいは組合側と話をする際に、どこの新聞だか忘れましたけれども、やはり現在は宇宙船の時代だ、乗務員はうるさくてしょうがない、したがって新しい交通システムでは無人電車を走らす、そういう開発が一番いいんだ、それは現代の科学技術ではできるんだ、できればそういうものを人事管理という角度から開発したい、こういう発言が前総裁にあった とを私は十分覚えております。それから国鉄 ついても、安全の可能性を追求する際に、何万回に一回ぶつかる衝突、脱線、こういうものの安全のために不要な人間を配置するのは不経済だ、何万回に一回ぶつかる乗務員なり関係者は不運としてあきらめざるを得ないんじゃないか、そういう暴言をある会議で吐いたことがあるわけでありますが、私が代議員当時、この前総裁の発言したことについては、いまお二人の考え方を聞きますと、基本的に誤りであるという点を確認していいですか。
  373. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 自動運転であるから安全なんだということには私は直結しないんじゃないかと思います。もちろん自動運転によって安全性がより高くなるということも可能性は私はあると思います。しかし自動運転そのものによって安全が絶対保てるということに至るまでは、世界の鉄道事情というものはまだまだ時間がかかるのではないか。しかしながら、世の中の趨勢または福祉社会全体の向上というような意味からいいまして、やはり人間の力をさらに有効に社会全体の中に還元していくという意味からいいまして、どこの国でも自動運転につきましての研究をしていることも事実であります。  それから何万回に一回の不安に対しましてはやむを得ないのだというような発言ほんとうになされたのかどうか私お聞きしておりません。しかし何万回に一回あるからいいんだという考え方は、私は間違いだと思います。やはりその何万回に一回の原因を追及し、われわれの努力によってそれを克服していく、また科学的追及によって克服していくという不断の努力が大事なんじゃないかと考えております。
  374. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まあ二十分という時間ですから、私は鉄道記念日にこんな質問するのは私自身も不愉快な気持ちなんですが、しかし新幹線を昭和三十九年に開業する際に一番論争をやったのは、それはいまの方々はそういうきれいごと言いますが、当時の国鉄の絶対条件は、CTC、ATCは絶対安全だ、パンタグラフの故障にしても路盤の故障にしてもすべてコンピューターが知らせるんだ、場合によったら運転士がいなくてもいいのだ、しかし現実に労働問題があるから運転士を「ひかり」に乗せるんだ、「こだま」に乗せるんだ、ここまで極言して論争をやったんですよ。これは労使関係の議事録を全部公労委から持ってくればみんなわかってくる。  こういう安全の神話ですね、その安全の神話がだんだんくずれているのですが、この前の委員会では、資料くださいと言ったら、これは第三者の妨害じゃなくて、国鉄自体の自責に関する件数が、これはおたくの資料によりますと、七月中に十八件、それから八月には九件、二カ月合計で二十七件。二日に一回国鉄の自責において、一方一秒か二秒の判断を誤れば新幹線脱線転覆という事故が起きてるんですよ。これは認めますね、おたくの資料ですから。そうして九月三日に総裁から運輸大臣に対して新幹線の安全確保に対する応急処置についてという報告がありましたね。この報告について大臣はどういうふうに受けとめましたか、この報告を。  それから国鉄側についてはこの報告にあたってどれだけの実際上の調査をしたのか。たとえば三日間やったとか四日間やったとか、それを具体的に知りたいですね。
  375. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように九月三日に応急処置につきまして車両であるとか路線であるとか、あるいは電気施設であるとかいうような重点的な一斉検査を実施して所要の処置をとりましたという報告を受けたわけであります。  私としましては、さらに応急の処置ではなくて、応急の処置は処置として私は一応評価するけれども、さらに抜本的な対策を立てて報告してもらいたいということを重ねて指示したわけでございます。間もなくまた十二日にATCの事故が起きているわけでございますが、いずれにしましても恒久的な対策に対する国鉄側の回答はまだ出てきておりませんけれども、近々これは回答をと申しますか、報告が出てくるものと私は期待しております。
  376. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 大臣からの報告を提出するようにという御指示は、八月八日にいただいているわけであります。私ども一件一件の事故につきましてはそのつど原因が明確になるまで追及をいたしているつもりでありまして、差し上げました資料全体について、いつからいつまでというような期間はちょっと私ども申し上げにくいんでありますけれども、一件一件につきまして原因が明確になるまで追及をし、それに基づいて対策を充実してやっているわけです。  ただ私どもといたしましても、そういう一つ一つの事故の追及に追われて、全体を見失ってはならない。こういうふうに私どもも自覚をいたしておりますし、また大臣から恒久対策について多少の時間の余裕をやるから、対策を立てて提出しなさいという御指示があったわけでありますが、そういう私どもの考えているところを誉さしくずばりと大臣からの御指摘があったんじゃないか、このような気持ちで鋭意恒久対策につきまして御報告につきましてさらに事務的に現在進めているところでありまして、間もなく早い機会に御提出できるんじゃないかと、このように考えている次第であります。
  377. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この三日の報告にありますね。たとえばパンタグラフについては一斉点検を行ないましたが、特に異常は認められませんでした。電気系統について、信号回路について一斉検査をやったけれども、異常は見当たりませんでしたと。特にATCについては重要なのでやりましたと。これも異常ありませんでした。  こういうことをやりながら、もう大臣、先手を打ったと思うのですが、九月十二日、ATCの故障で、運転士が時速七十キロで進入したらどうなるんですかね。あんたたちは機関士に対しては信号が絶対命令だと。検察庁も信号が絶対命令だと。その信号が七十キロで進入しなさいと、前を見ればポイントは別なほうになっている。七十キロで入ったらどうなるんですか。脱線転覆すれば結局機関士の不注意だ、運転士の不注意だといって社会的に責めるのが落ちでしょう。こういう三日に調査をしても、これATCが九月の十二日、CTCは十月の一日、タべもパンタグラフですね。鉄道記念日に贈りもので。まあ新聞にはありませんが。そうしますと、私は技術のほうも運転のほうも電気のほうも設備のほうも、一生懸命当面の措置に追われておることは了解します。やってないとは言いません。しかし新幹線にからむ国鉄全体の職員の意向を聞くと、こういう報告を大臣に出しているけれども、うちんとこ見たのかやと、ほとんど見てないと。車両にしてしかり信号にしてしかり。そうすると、この前、国労さんと動労のほうからあったわけでありますが、思い切って一日か二日新幹線を休んで一斉検査をする、それ以外にほんとうの、原子力船むつ」の問題じゃありませんが、抜本的原因を、国鉄の全技術陣を動員して点検するということは物理的にできるんですか。私はできないと思うんですよ。あれだけの列車の過密の状態の中で。抜本的対策を立てるとすれば、一斉に洗うしかないでしょう。たとえばATCの問題にしたって、異常電波というのはわれわれは十年前に言った。十年前に言った異常電波が去年の二月にもあった。ことしは四件ある、異常電波が。結局十年前にわれわれが言ったことが、運転士が言ったことが現実にあらわれているじゃないですか。  そうしますと、とりあえず新幹線の問題については、そういう一斉休業をやって国民に明らかにする。脱線転覆して千何名死んでから、いや申しわけなかったじゃ私は済まない。時速二百キロの問題ですから。思い切って一日か二日一斉点検をやって、その結果を見て国民に向かっては、やっぱり新幹線は一カ月に一回なり十日に一回点検日を求めて検査すると、そのくらいの慎重さがあってもいいじゃないか。もう速い新幹線はわかりましたから、いかに安全かという信頼を回復せにゃならない。きょうは私は総裁に求めたかったわけですが、きょう鉄道記念日で別のほうにいらっしゃるから、そういうことについて私は強くあなたに申し上げて、この次の委員会までに検討してもらいたい。答弁要りません。答弁してもしようがありませんから。  もう一つ、在来線の問題についてちょっとお伺いするのですが、東北本線の脱線問題について、私は国鉄のやり方はおかしいと思うのです。東北本線の急行まつしま号の脱線の第一次原因は何ですか。それをしっかりしてください。第一次の原因は。
  378. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 私どもいわゆる途中脱線と総称しております脱線形態でありますけれども、途中脱線にもいろいろあるわけであります。踏切事故でも途中脱線に入るわけでありますけれども、東北本線の場合、踏切でもありません。カーブも六百というカーブであります。直接的に結びつきません。また運転速度も七十キロという速度でありまして、これもまた直接的に結びつきません。現在研究所並びに本社の技術開発室の専門家を動員いたしまして、線路の状況それから車両の状況−大体積み荷の状況はわかっているのでありますけれども、その辺から七十キロというスピードも含めまして、脱線の可能性というものは何によって起こるのか、いろいろな場合を想定いたしまして、たとえば貨車のバネとか、それから貨車の特性とか、あるいは線路の測定値というものは約一ヵ月前の測定値があるわけでありますけれども、それを基盤にいたしまして、さらに現在の線路の測定値等を含めて勘案しまして、これがどういうふうになったら一番危険になるのか、そのままでも脱線の危険性があるのか、現状のところ、そのままではすぐ脱線に結びつくという結論に至っておりませんけれども、細部につきまして、現在特殊のコンピューター、若干私ども能力不足だと思っているんでありますけれども、このコンピューターを駆使してやっています。非常にむずかしい脱線形態でありまして、通常私ども一カ月とちょっとそれらの人間を動員して解明にかかっているわけでありますが、もうしばらく、これが原因でございますと申し上げるまで時間をかしていただきたいと、こういう状況であります。
  379. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 しろうとではそれでごまかせるかと思いますがね、私は了解いたしません、そういう答弁では。それはしろうとの委員ならごまかせますが、この脱線事故技術調査委員会がありまして、これいろいろ調査をして九項目ばかりの提案をしていますね。その提案の中でいろんな若干の改造はあるにしても、この種貨車は、時速六十キロをこえると脱線ケースがものすごく多くなる。これは出ていますね。ですからこの問題が出た際に、この種脱線傾向のある車両については抜本的な改造をするか、あるいは法定速度六十キロに押えるか、どちらかしなければ、必ずまた脱線を繰り返すと、こういうことを現にハンドルを握っている乗務員なり、あるいは検査の仕事に当たっている従業員が提起をしているじゃありませんか。  それをあなた方は輸送力増強、国鉄は赤字で金がないと、そんな改造はできないということで、これが答申を受けながら現実まだやってきているじゃありませんか。それで脱線した九〇〇〇〇型という貨車は、いままで何回か脱線しています、この答申が出てから。もう九回も同じように脱線しています、九回。同じ傾向の車両が。それが日本国じゅう一万五千両走っております。どこかでまた同じ脱線が起こるかわからない。こういう条件下で日本国じゅうを貨車が走っている。こういう現状だと私は思うんですよ。時間がないからもう締めくくりします。  それから、きのう、おとといだかの外房線の線路折損、これも一体外房、内房に新型電車を投入する際に、三十七キロ軌条ではもうどうにもならぬと、少なくとも五十キロか七十キロ軌条をやって線路をチェンジしてほしいという点は、再三これも現実にハンドルを持っている乗務員から私はあったと思うんですよ。そこで、いままで三回ほどありました、軌条折損が。現にまたありましたね。こういうことについても私は非常に問題ではないのか。  それからもう一つ、東北本線のはつかり号のゆれですね、上下動、左右動。それから高崎線のゆれ、これは私は鉄道弘済会の食堂のおねえさんたちはかわいそうだと思うのですよ。ビールびんが倒れる、ジュースが倒れる、文句を言われる。私も毎回乗っておってほんとうにおそろしいと思いますよ。もう少し在来線は、上下動とか左右動ぐらいはいいですけれども、あれが今度は競合脱線と同じような条件があったらどうなるんですか。私はやっぱり新幹線の安全の問題もわかりますけれども、在来線でも途中脱線、線路のひび、左右動、上下動、この点を考えると、ほんとうに運輸大臣は、この前私の顔を見たら委員会開かれるたんびに、いつ大事故が起きるかたいへんだと言っておったんですが、こういう問題について、きょうは時間がありませんから次の委員会まで、具体的に私は原因と対策を教えてもらいたい。同時に、私は最後にお願いしたいのは、そういういろいろな悪条件の中で、保安という問題で社会的な追及を一身にになっているのはこれら機関士、運転士じゃなかろうかと、こう思うのです。すべての悪条件の基本を機関士、運転士が受けている。  たとえば古河の事故等三分間論争ですぐ警察が入ってみたり、北陸トンネル事故で、総裁表彰をもらうくらい一生懸命機関士がやったのに、今度は罪人扱いをしてみたり、新幹線でもCTC、ATCが一歩誤れば、あなたたちは全部まるめちゃって、全部運転士の責任だと運転士に転嫁しているでしょう。そうなりますと、やっぱり機関士、運転士への転嫁だけ考えないで、ほんとうに金はかかるだろうけれども、抜本的な問題をどうするかという点を新幹線、在来線ともやはり考えてもらいたい。  それで運輸大臣にお伺いしますが、そういう保安の問題について、来年度の予算について配慮した大蔵省折衝をしておるのかどうか。この前の委員会では私鉄中小に対しては相当配慮しましたね。国鉄の安全対策について、そういう問題について予算折衝で考えておられるのかどうかなどについてちょっとお伺いして終わります。
  380. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) これはもう繰り返し申し上げるまでもなく、安全の面については万全の対策をとっていかなければいかぬと思います。金をかけるだけが安全でもございませんけれども、しかし予算抜きで安全が確保できないことも事実でございます。そういうような面につきまして明年度いろいろ配慮をしていると思いますが、数字につきましては鉄監局長から御説明申し上げます。
  381. 秋富公正

    説明員秋富公正君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、運輸省としましても保安対策の金は必ず確保するということで進んでおりまして、来年につきましてもこの安全のための予算の獲得ということにつきましては十分な気がまえでもって今後さらに折衝いたしたいと考えております。
  382. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いろいろありますが、十一月七日に十分時間をとってやりたいと思いますから、きょうは記念日ですからこれでやめます。
  383. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十二分散会