○和田春生君 そこで私さっき
質問したんですよ。みんな
原子力船「
むつ」「
むつ」と、こう言っているんだけれども、あれは一般的な船で、
原子力船として完成したものではない、実験用の動力の一部になるべき原子炉をそれに積んでいると、二つに分けて
考えたほうが実体的に正しいんじゃないかと、そこで
運輸省の
責任というのはその実体的な、いわゆる船の部分というものについて負っているのではないのか、それとも原子炉の部分も含めて安全だし、そういうような問題についての
検査、監督等の
責任を持っているのかと聞いたら、あなたはその原子炉も含んでだというから、そうしたら法律的に見ても、
行政的に見ても
運輸省が一番
責任があるので、
技術庁なんというのは事業団に一生懸命やれと言っていればいいんです。
技術庁の
長官がおれが何でもやるなんてせり出すことはひとつもないんだ。
ところが、いままでの実体を見たら
科学技術庁ばかりがせり出して
運輸省というのは陰にきれいに隠れておった、そして船が漂流しだすようになっていよいよ問題になったら、何か知らぬけれども、運輸
大臣がここに出てきた。
技術庁長官は病気かどうか知らぬが、どっかへ雲隠れしてしまった。そうして、この前の
委員会のときには呼び出しは前から、私も
質問しようと思って
技術庁の
長官に言っておったところが、現地の「
むつ」の問題を解決するために非常に忙しくて、現地としょっちゅう電話で連絡をとらなくちゃならぬから、
委員会に
出席するいとまがないという形でとうとう出てこなくて、
委員会はお流れになっちゃったわけでしょう。ああいう問題が起きたのは安全に関して起こった問題なんです。そしてはっきり言えば、放射線漏れということは起きた。これは今後出力を上昇して、安全に運航に耐えるいわゆる
原子力船にもっていくという点については、なるほど重大な問題かもわからない。しかしそれが事前にチェックされて、原子炉はストップした。乗っている乗り組み員に対しては放射線の被曝とかそういうことは全然起こっていないわけですね。いまだにこうやって乗ってますし、おりてきた船員もそういう問題は起きていない。そして原子炉の部分が、これからこれを動かしていくという形になれば問題だけれども、ストップしている状態においてはほかの船の部分は全く無傷なんです。そういう面が区別されずにやられているものですから、運航している乗り組み員はえらい迷惑ですよ。何をあわてているのか知らぬけれども、「へらくれす」や補給船まで何かばい菌をつけた船が来たように思ってですよ、港に入れるの入れないのという形で船員を海の上でひぼしにするようなことを平気でやっている市長がおる。けしからぬ話ですよ、こんなものは。「
むつ」の問題じゃないんですよね。
それが結局そういうふうに問題をきちっと分けて、それぞれの
責任の所在がどこにあるかということを
行政的にも技術的にもきっちりして担当をきめてやっていないからこういうことになってきて、わけのわからぬことになってくるんですね。いままでのいきさつでいけば、
科学技術庁が
責任を持っている。原子炉の問題については全
責任を持ちなさい。そうして事業団は船と船員の運航管理というものについては全
責任を果たしなさい。
運輸省は全体を包んで、これも
船舶は
船舶ですから、これの安全を担保するという
行政的な
責任を果たしなさい。そういうきっちりしたことは何にもやられずに、何か知らぬけれども手柄争いのようにおれがおれがと出てくると、ぐあいが悪くなると実体的にどうとか法律的にはそうではないとかですね、いやそれは
安全審査会がどうとかいって全部持って回るから、朝からのあれだけの
質問でも一体あの事故を起こしたことの
責任をだれがとるかということは
一つも明らかになっていないでしょう、これは。聞いておったってチンプンカンプンですよ。どなたが一体
責任を持つのですか。
それは最高
責任は内閣
総理大臣だと言ってしまえばそれまで。しかし内閣
総理大臣に
責任はあるけれども、これはまた別の場で追及をするけれども、何もかも内閣
総理大臣がやるわけじゃないでしょう。そういう点をきちんと分けて、それぞれに対する
機能を備えて、それぞれがそのことを誠心誠意やればいいわけですね。ところが、先ほど来の
質問でも、
原子力船の「
むつ」を強行出港させるということについては
官房長官と
技術庁長官が相談をして事業団に命令をしたとこう言っている。
官房長官またそこに入ってきたわけだ。一体ではその出港ということは何でしょう。これはやはり現地の
事情を見、船の
安全性を見、船長や乗り組み員や現場の
意見を聞いて、船会社でいえば船会社の社長が
判断をする。事業団の理事長が
責任をもって
判断をしなくちゃいけない。理不尽がと思えばそういうことは待てと言うのがあなたの
責任です。
現に
あと何日間か待ちなさいということが事業団の現場の中からも船の中からも出ておったじゃないですか。文書にはなってないけれども。それを
科学技術庁は功をあせって強引に出そうとする。船が沈没したって絶対放射線の漏れは起きないと、沈んだってだいじょうぶだと豪語したのは森山
科学技術庁長官ですよ。沈まない先に漏れが起こっちゃった。そういうような形でお互いに功だけを争おうとする。
責任をとろうとしない。功だけを争おうとする。そして最後になれば一体どこに
責任がある、所在があるか全然わからない。私はこういうことがこの問題の根本にあると思う。
先ほど来
政務次官はいろいろなことをおっしゃっています。人間のやることに絶対なんということはあり得ませんよ。だからあの「
むつ」の問題についても、
長官が言うように絶対安全だったらテストは要らないんでしょう。ひょっとしたらあぶないかもわからぬからテストをやるんでしょう。そのときに、そのためのテストをやりますと、何か起こるかもわかりません。しかし起こったときにはこれこれの安全措置がありますし、原子炉も直ちにストップをして放射線漏れで被曝障害を起こすようなことは心配ありませんと、そういう点については万全の手を打っていくつもりですと、その
責任については全
責任をどこどこが負いますと、そういう形できちんと理非を明らかにして、十分に現地の諸君にも納得をしてもらう、船の乗り組み員に対してもそれを納得してもらう、そういう
体制をとっておれば事態はよほど私は変わっておったと思う。そうじゃなくて、
原子力船をつくるということばかりにいってしまって肝心の点がどうにもなっていないというところに起きた。これは技術的ミスという問題もある。原子炉の
設計と製造という面についてはあるからこそそういうことが起きたんでしょう。追及しなくちゃいかぬけれども、いま起きている事態というのはまさにこれは
政治的な事故ですよ、技術的な事故というよりも。原子炉はそうだけれども、原子炉をのけてしまえば問題は起こらなかった、「
むつ」で。ところが、いま乗り組み員はその被害を一身に背負っている。被害者というのは乗り組み員ですよ。全くこれは気の毒な、しかも
挫折感を味わって、みじめな立場にあると思う。そういう点について、これは運輸
大臣と、それから
技術庁長官の代理で
政務次官がお見えになっているわけですから、今後一体政府の部門でどこが全
責任を背負うのか、全般の問題について。それとも、船とそういうような原子炉という問題、船の運営、船員についてどこが最終
責任を背負うのか、その点をひとつ明らかに、ここです、ここですということをはっきり言っていただきたいと思う。