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1974-09-10 第73回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十日(火曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 森中 守義君                 三木 忠雄君     委 員                 江藤  智君                 岡本  悟君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 岩間 正男君                 和田 春生君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        運輸政務次官   増岡 博之君        運輸省船舶局長  内田  守君        運輸省船員局長  山上 孝史君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        高橋 壽夫君        運輸省航空局長  中村 大造君        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道理        事        山岸 勘六君        日本国有鉄道理        事        天坂 昌司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (国鉄運賃改定等に関する件)  (御前崎港の改修に関する件)  (東海道新幹線の事故対策に関する件)  (東北新幹線建設工事作業員労働災害に関す  る件)  (地方中小私鉄バス事業経営改善問題に関  する件)  (航空運賃改定等に関する件)  (原子力船乗務員安全対策に関する件)  (運輸省昭和五十年度予算等に関する件)  (台風第十八号による国鉄等被害状況に関す  る件)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  徳永運輸大臣から発言を求められております。この際、これを許します。徳永運輸大臣
  3. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 通常選挙が終わりまして、皆さんそれぞれ御当選いただきましてこの委員会でお目にかからしていただきますことをたいへん光栄に存ずる次第でございます。また、初当選あるいは再選されました議員の諸君に対して、心からお祝いを申し上げる次第でございます。  当運輸委員会におきましては、いろんな角度から運輸省に対して御鞭撻、御指導をいただいておるわけでございますが、今後とも変わらざる愛情をもって御鞭撻賜わりますように、御指導賜わりますように心からお願いを申し上げまして、一言ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)     —————————————
  4. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) それでは運輸事情に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 社会党の青木薪次であります。私は、運輸大臣国鉄総裁に対しまして、十月一日から国鉄運賃改定が行なわれることになっておりますので、そのことについて御質問申し上げたいと存じます。    〔委員長退席理事森中守義君着席〕  運賃は非常に物価影響されますから、まずこの物価問題の現状について申し述べたいと思うのであります。昭和四十八年の十月の中旬でありましたか、中東戦争の停戦とともに起こった、全く予期しなかった石油供給の削減問題が発生いたしまして経済は大混乱におちいったのであります。十二月に至りまして一応OAPECの対日石油供給緩和措置により、一応の見通しは立つに至ったものの、大企業を中心といたしまして土地や資材の買い占めや、やみカルテルが横行し、売り惜しみの悪徳行為によって、年末段階においては卸売り物価上昇が三〇%台に達したのであります。消費者物価もついに二〇%台となりました。  私は、以下この値上げ現状というものについて調査した結果について、まず申し上げたいと思うのでありますが、ことしに入ってからは、消費者物価が前年同月比の上昇率が二〇%台を下がっておりません。すなわち一月に二三・一%、二月に二六・三%、三月に二四・〇%、四月が二四・九%、五月が二三・一%と続いているのであります。六月に至りましても二三・六%、七月が二五・二、八月が二三・〇というように上がっている現状であります。ことしの春、田中総理発言にありましたように、物価ば鎮静した、総需要抑制政策は功を奏したということで、早くも物価安定やインフレ抑制策を放棄して、物価値上げインフレ刺激政策に転換する姿勢が、参議院選挙前後における田中内閣公共料金値上げ政策に私は見ることができたと思うのであります。  特に参議院選挙後の七月十二日に私鉄運賃が二六・九%の値上げが認められまして、七月の二十日より実施するということなのであります。同時に、値上げされた東京、名古屋、大阪のトラック運賃とともに、六月の電力料金に続く公共料金引き上げの第二弾でありまして、七月十一日は、すでにセメントメーカー等事前了承制に基づいてセメント値上げ申請をいたしており、狂乱物価再燃の引き金となってしまったのであります。たまたま本日国内航空三社は二九・三%値上げとなるということを聞いておるのであります。  九月中にこの影響を受けて値上がりするものに、公共料金以外のもので灯油や家庭電化製品合成樹脂石油、洗剤などが予定されておりますし、また上がっておるのでありまして、生活必需物資の軒並み値上げに対して連鎖反応を示しているのであります。これらは鉄鋼や化学や電力という三つの基礎的産業が近く供給不足になるかもしれないということで、まさに選択的緩和といいましょうか、増設を認めようとする動きさえあるのでありまして、表裏一体の動きであるということが言えると思いますし、これら一連の物価値上げ政策財界に対する超過利潤獲得のための最もよい材料提供となっていると思うのであります。  このごろだれが言いだしたか、政府筋財界には新価格体系ということばが定着してしまいました。原油価格が大幅に引き上げられたのだから、それを基礎とした新しい価格体系を形成しなければならないというのであります。私は新価格体系などということばをもてあそんではいないだろうかと思うのでありまして、石油をたくさん使っている製品石油依存度の低い製品とはコスト上昇の面でも大きな違いが出てくると思いますし、それが価格体系変化であるはずなのに、産業界では石油が上がったのだから物価が上がるのは当然だという意見があるのであります。  十月一日から、凍結されていた国鉄運賃旅客二三・二%、貨物が二四・一%、平均して二三.六%が上がることになっております。これば同じく十月一日から値上げとなることになりました消費者米価三二%と並んで私は東西の横綱であると思います。さらに十月一日に値上げを予定されているものに六大都市のタクシーが約三七%、医療費が一六%、小包郵便そして都営、民営バスの約七五%、大阪ガスの五五・二六%、営団地下鉄二六・九%となっております。国鉄米価に便乗した値上げだという声がちまたにはんらんいたしているのであります。  そのほか一般生活物資値上げも十月一日という、いわば物価値上げの吉日といいますか、一斉に値上げされる予定でありまするから、狂乱物価の波はまさに大きく拡大しようといたしているのであります。  私はここで国鉄運賃値上げ連鎖反応的に諸物価に与える影響についてどうお考えになっているか、運輸大臣国鉄総裁に御質問申し上げたいと思います。
  6. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いろんないままでの例を御指摘になりましてのお話でございます。まあ物価上昇ば、御承知のように昨年の暮れから今年の春にかけまして、御指摘のような狂乱物価といわれるような物価上昇を見たわけでございます。で、これをどういうふうに征伐していくかということが大きな政治の課題でございまして、その点については今日までいろんな方策なり施策をとってまいったわけでございますが、先生指摘のように今年に入りましてからも、対前年度比大きな変化を見てまいりましたが、四月、五月ごろに至りましてやや下降状況をたどってまいり、七月はまあ二%台にたしかなったと思いますが、これも新聞の値上げ、あるいは野菜等もあったと思いますが、大体一%以下で推移してきたと思います。まあ十月は、いま御指摘がございましたように、米の問題あるいは国鉄問題等がございまして、これは私は二%台に押し上げてくるんじゃないかというふうに考えるわけでございますが、まあ米価は一・一%だといっておりますけれども、そのほか国鉄の問題もございますし、その他いろんな関連等におきまして二%台の対前月比アップを見るんじゃなかろうかというような感じがするわけでございます。  まあそういうような推移をたどってきたわけでございますが、いま国鉄運賃等をしからばどういうふうに考え、また国鉄運賃アップをどういう面で消化していくかということにつきましては、いろんな見方、考え方があろうと思いますけれども、私どもといたしましては、いま直ちに国鉄運賃の問題をここでさらに繰り延べするというような考えは持っておりません。  なお今年度に入りましてからのいろんな状況考えてみますと、当初政府が申しておりましたように、今年の三月と来年の三月における物価上昇率というものは、消費者物価上昇率は当初考えておりました十数%あるいは一二、三%から一八%台ぐらいの上下はあるかもわかりませんけれども、大体その辺の範囲におさめられるのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。昨年は、たしか二四%であったと思うわけでございますが、二四%のできれば半分に押えたいわけでございますけれども、なかなかそう手ぎわよくいかない面もあろうかと思いますが、そういうようなことから考えまして、対前年度比でものを考えますと、九月、十月、十一月は相当やはり対前年度比では大きな上昇を見ると思いますけれども年度内相対から見ますと先ほど申し上げましたような範囲の中に吸収されていくというふうに考えておる次第でございます。
  7. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  国鉄運賃は、先生承知のように、まずこの素案は、こういうことを言ってはどうかと思いますけれども、二年半以上前につくって、国会で十二分な御審議を願って昨年のいまごろ通過した、それがまあ物価政策、諸般の事情によってことしの三月末日まで延ばし、さらに十月の一日まで延ばしたというようないきさつをとっておるものでございまして、これが物価影響ばないとか〇・二だとかいうようなことはあえて申しませんけれども国鉄運営する立場からいうと、まあまあむやみな値段でもなし、運輸大臣がおっしゃったようなことで、ひとつ国民各位に歯を食いしばって御認容願いたい、かように考えております。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄昭和二十四年以来、公共企業体として独立採算制をたてまえとしながら、用地の取得、そして施設、車両その他動力費人件費に至るまで、その一切を自前で調達しながら、一九六〇年から七〇年代の今日に至るまで、急速な高度成長の中に、急激な工業化都市化の波の中で、政府の指向する輸送需要にこたえるために、旅客輸送においてば都市間輸送のために主要幹線充実強化、すなわち輸送力の増強のために投資を行なってきた。さらに大都市間の輸送需要にこたえるために新幹線の建設を行なってまいりました。なお中距離線貨物輸送は、フレートライナー及び物資別適合輸送の体制をつくるための施策を行なってきたことは御案内のとおりです。反面都市化とモータリーゼーションの進行に伴って、過疎地帯をはじめとして急激に経営悪化しています。過疎地帯だけではありません。しかしこの輸送需要にこたえるための建設費経営費について、私はいま国鉄総裁から運賃値上げは二年半ぶりだということを聞いたわけでありますが、そのことを踏まえながら、現状経営状態について聞きたいと思います。
  9. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 非常にむずかしい質問でございますが、詳しくは経理担当者が来ておりますのでお答えさせますけれども国鉄状態、これももう非常に物価であるとか賃金その他の変化によって苦しくなりまして、端的に言えば今年、つまり四十八年度なんかをとりますと、四千何百億というような赤字が出るというようなことで、これは何とかせぬと経営ができないというような状態になっておる。これをどういうふうに持っていくのかというようなことになると、これは御承知だろうと思うんでございますけれども、大体国鉄経営費というのは、そのことがいいか悪いかは別として、大体人件費が八〇%を占めておるというようなことで、そうかといって国鉄は一生懸命に働いているんだから世間並み、あるいはそれ以上に値上げしてやりたい、それが親心であり、どうしようかというようなことで、これは国鉄国民鉄道なんで、政府を介するか介さぬは別として、国民各位にやっぱり御理解を願って国鉄が最小限度成り立っていくような、あえて運賃値上げとは申しませんけれども政府助成措置であるとか、あるいは運賃であるとか、その両面から国鉄を立てていただく。そのかわり私ども四十数万の者は一丸となって今後力を尽くして働くというようなことで、この十月一日の運賃値上げをやりましても、あとは楽になるかといったら、あとがまたたいへんなんで、その点もひとつ十分御認識を願っていると思うんでございますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 二年半運賃値上げを据え置いたというけれども、それじゃ国鉄当局は、昭和四十四年の国鉄財政再建計画が始まった初年度は四十六万六千人という職員がおったですね、それから今度の監査報告を見たわけでありますが、昭和四十八年の四十三万二千人へと、要員を三万四千人も減らしておる。そうして輸送需要にこたえると称して、たとえば乗務員を一人乗務にするとか、あるいはまた五人あったら二人に減らしてしまうとかいうようなことが盛んに行なわれているわけでありますが、これは機械化近代化の名のもとに設備投資を行なっているわけですね。このことが昭和四十八年の長期借り入れ金及び鉄道債券残高の四兆三千六百七十九億という数字になっているんではないかと思うんです。  私は西欧諸国状態をかつて視察してまいりましたけれども国鉄に対して政府建設費等についてはほとんど交付しないというような点について、総裁はいろいろ言われるけれども国鉄当局は内部には非常に強い、ところが政府に対しては非常に及び腰だというふうに私は言わざるを得ない。したがって、そういう点について、政府にどういう要請をしたか、その点についてお聞きいたしたいと思います。
  11. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) これもまたはなはだむずかしい御質問でございますが、国鉄は先ほど申しましたように、四十数万の者が一丸になって働けば、これは働きが悪いからもう少し働けというおしかりば当然なんだけれども、働いた末なおかつお金か何か足らぬということになれば、鉄道国民鉄道であるから国民が世話してくださらなくちゃ困ると。それは直接のお世話いただくものが運賃値上げであり、あるいは政府政策その他を考え助成策を講ずるというような点も、これは国鉄とすれば、いずれをとってもいいんだけれども、あえて申せば政府にお助けを願っていくということは、四十数万の国鉄従業員が何だかおれたち半人前でお助けを願わぬと生きていけぬのかというような劣等感を持って困ると、張り切らぬというんで、まあ私だけのこれは無理な話なんだけれども、あまり政府のごやっかいにならずに御利用者に御負担を願ったらどうだと。それが本筋じゃないか。これはむろん政策ですから、いろいろな何というか修正が必要なんですけれども、私個人はそういうふうに考えています。  それから先ほどの、おそろしくおまえら減らしてというような話でございますけれども、やはり近代化合理化というような、ことばはまあいいか悪いかしらぬけれども人間労働力なんというものは、これは機械に置きかえられるなら置きかえることが、その労働力そのものに対する尊敬であって、機械に置きかえられる限度において置きかえていくと。結論的に人間が減ったということでございますが、これをあまり急ぎ過ぎて機械、装置ができていないのに減らすというようなことになると、御指摘になったような労働強化であるとか安全の低下だという問題につながってくるんで、こういうことは厳に考えながら、できるだけ機械力に依存していこうということを——ここだけで申し上げるんですけれども、どうも国鉄職場というものが一般の若い者にあまり魅力がなくなって、国鉄志望者が少なくなってきたというような現象もございますので、そこらも踏まえて省力化をやる。ただし労働強化であるとか安全の低下はいたしませんというのが私の使命でございます。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣にいまの御答弁をお願いします。
  13. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先生がいまお話しになったようなことを踏まえて、そういう背景において十年の再建計画というものが四十七年でございますか国会に御審議お願いしたわけでございます。四十七年、四十八年となかなかこれが運びませんで、いろいろの問題がございましたのは御承知のとおりでございます。で、国鉄としましても、また私どもといたしましても、国民生活に直結した最も重要な足でございますから、これを放置するわけにはまいらぬというわけで、まず四十七年度は再建計画に基づきます基礎において、こまかい金額は失礼でございますが省略させていただきまして、財政投融資並びに補助金の拡大、この両面において手当てをしたわけでございます。四十八年におきましても全額借り入れ金をいたしまして、さらに利子補給方式によってその借り入れ金に対する利子は補給してもらう、政府が補給するということでございます。さらに四十八年度におきましては政府出資を千五百億いたしたわけでございます。まあ四十九年度も御承知のようにいろんな問題をかかえておるわけでございまして、四十九年度におきましては、借り入れとさらに利子補給においてこれをまかなっていこうと、こういうことでございます。  まあいろいろ今日まで、あるいは今後におきましても問題を残しておるわけでございます。四十九年度は私ちょっと申し落としましたけれども政府出資を二百三十五億円追加をいたしたわけでございます。そういうことで、その十カ年の再建計画にのっとって今日まで、政府出資なり、あるいは全額借り入れなり、借り入れ金に対する利子補給なりということで今日に来たわけでございますが、今後ばまたこれから御議論があろうと思いますけれども、こういうことでしのがれる問題ではないと思います。したがいまして、いまどういうふうに国鉄運営をやっていくか。すでに今年度におきましてはもう経営費が、たとえ十月から運賃を上げていただきましても、経営費のほうがはるかに上回るというような状態になってきたわけでございまして、今後これらの問題については慎重にただいま対処を検討いたしておるところでございます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 四十八年度の赤字四千五百億と聞いておりますが、これでいいですね。この原因は何であるか。で、その対策についてはどういう対策を講じようとしているのか、その点についてお聞きいたしたいと思います。
  15. 天坂昌司

    説明員天坂昌司君) ただいま四千五百億の赤字と申しましたが、私どもで先般発表いたしました昭和四十八年度の決算の結果の数字であろうかと思いますが、四千五百億の赤字国鉄の四十八年度の事業費全体としての赤字でございまして、その前年の四十七年度には三千五百億の赤字でございました。したがいまして、一年間に約一千億以上の悪化を来たしたわけでございまして、これば一言にして申しますと、収入のバランスがくずれてまいりまして、と申しますのは、収入につきましては運賃値上げが四十七年実施が延ばされたということもございますし、経費につきましては、人件費物件費それぞれ予想いたしておりましたよりも非常な値上がりがございまして、経費悪化になるということになるというような結果でございまして、その姿が今年度に引き継がれておるわけでございます。  で、お尋ねの件ば今年度はどうするかということだろうと思いますが、今年度につきまして事情を多少お話しいたしますと、御存じのとおり人件費につきましては裁定が出まして、それから物件費につきましては相当な物騰がございます。もっとも今年度の予算につきましては、そういった物騰の点では不安定な時期でもございましたし、かなりの程度の物騰を見込んで今年度の予算を作成しておりますので、物騰分をもろにかぶっているということではないにいたしましても、当初計画いたしておりましたものと比べましてかなり格差が出ております。たとえて申しますと、電力料金値上げ、これで年度末見込みで約二百五十億ほどかさみます。それから石油、これもまだ完全に安定はいたしておりませんで、浮動しておるわけでございます。したがいまして、この精査をいたしておるわけでございますが、大体先ほど申し上げました二百五十億を加えまして、五百億ないしは六百億というフレが出てくるのではなかろうかというふうに考えております。人件費の面につきましては特に御説明の要はなかろうかと思いますが、これで大体二千二、三百億の増高を来たしておるという結果に相なっておるわけでございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 先ほど総裁から人件費は八〇%にもなるということをお聞きしたわけですけれども職員はいま合理化要員削減の中に非常に忙しい、目の回るような仕事をしているというのが実態です。すなわち労働密度がものすごく強化されておるというように言えると思うんであります。しかも賃金はどうかということを見てまいりまするならば、昭和四十八年度の監査報告に出ておりましたけれども、十万そこそこという状態で実は働いているわけです。こういう状態の中で、私は今日一生懸命何とかしたいということで考えて働いているのが国鉄職場実態だということを認識してもらわないと困るというように思うのでありまして、そのことは、この国鉄現状についてですね、いま総裁は、政府にたよる前にうちの中で一生懸命やるのだ、この気がまえは私は別といたしまして、それだけではできない体制的な問題がある。一体国鉄をどうするんだというような問題等について考えていかなきゃならぬと思うのであります。  そういう点から、時間がありませんからはしょって申し上げまするけれども国鉄運営建設に要する費用の調達というものは、従来ともすれば、最後的には全部利用者がすべてを負担してきたということではないかと思うのです。これがいわゆる公共負担と称される国の政策実行費用まで実は負担しているのであります。よく外部経済外部経済というようなことばが使われておりまするけれども、これば正しく評価されていないと思うのです。このようにこの受益者負担の原則というものが確立されないですべてが利用者に転嫁される仕組みというものは公平を欠いていると、責任を不明確にしていると思うのであります。この運賃料金が正しくその原価を反映し設定されて回収されるということが望ましいことではありますけれども公共負担制度の存在とか、あるいはまた物価抑制政策との関係を考慮せざるを得ない現状から、これらの政策から来るところの費用負担というものについて、何らかの形において当然この原因者である国において措置するという制度の確立が絶対必要な時期に来たというように私は思います。  この運賃料金の設定というものについては総原価主義というものが原則であるというように私は思いまするけれども、これ以外に、やはり運賃料金を設定する場合には、公正妥当なものである。それから経済の発展に資することができる。当該働く者の生活の安定ができる。物価に対して弊害を与えるものであってはならない、寄与するものでなければならないというように私は思うのです。で、利用者である国民の合意を必要とするものでありまして、これらの原則を運用して民主的に決定するための諸方途をやっぱりこの際ちゃんとしなければならない時期に来たのじゃないかというように私は思います。  国鉄をはじめといたしまして、交通企業経営赤字問題は、その発生原因の主たるものが政府施策の犠牲からであると思います。国鉄をはじめ交通産業が他産業発展のためにその従属を強要され、そのために体質改善がおくれたということが今日言えると思う。この赤字解消は利用者負担労働者の犠牲で処理するということでなくて、国の責任で私は行なうべきものであると思います。そのためにはそれぞれの再建計画を将来の交通体系ともにらみ合わしてつくって、今日までのばく大な債務のたな上げ、利子補給などの財政措置をつくるべきときに来ていると思います。  私は九月三日から四日間、委員長宮崎先生と一緒に瀬戸内海の臨海工業地帯である大阪南港をはじめとして神戸のポートアイランド、あるいはまた計画中の六甲アイランドや岡山の水島臨海工業地帯、広島の臨海工業地帯を行政視察いたしてまいりました。この次の委員会で御報告申し上げることになっておりますが、その中で直轄事業とか補助事業を問わずに、ばく大な財政援助によって海中に出現いたしました島が、今日大阪南港と言わず、ポートアイランドと言わず、わが国の内航、外航海運の基地として広く外国船舶にも提供いたしております。世界一としての折り紙がつけられていることを私は見てまいりました。陸海空の総合交通体系をつくるため、今日の行政の多元化的な現状を打開しなければ混乱を招くだけだと思います。  私は、七月の「中央公論」に、元経済企画庁長官の宮澤喜一さんが書いておられます。「通学のための定期券代」として、交通機関にとってはピークとなるラッシュ時だけにこれを無料とすることは収支計算にかなり響くだろうし、しかし通勤費は雇い主の負担とするという慣行が広がりつつあるんだから、この際通学に重点を置いてこれを無料とさしたらどうか、あるいはまた身体障害者や老齢者の無料乗車を考えたいという傾聴すべき意見を吐いておられます。  いま国鉄の役割りが問い直されて、大量低廉交通機関として国民から期待されているでしょう。私は政府の財政援助によって当然その役割りを位置づけることが緊急の課題であろうと思います。私たち社会党も真剣にそのことを考えたいと思います。したがって、この十月一日からの国鉄運賃値上げは、私がいまも申し上げた点に立って、再凍結して、総合交通体系の中で策定することを要求いたしたいと思います。運輸大臣国鉄総裁の答弁をお願いいたします。
  17. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) たいへん手きびしく、かつまた示唆に富む御意見を拝聴したわけでございますが、私はやはりいまお話ございましたように、国鉄というものはやっぱり国民生活に寄与するものでなければならない、そのとおりだと思います。それをひっくり返して申しますと、私ども政府の立場からいたしますれば、国民生活をどういうふうにして守り抜くかということがやはり一番の主眼に置かれなければならないということであろうと思います。これも非常に抽象的なことばでございますけれども、御専門の先生でございますから、私がよけいなことを言うまでもございませんけれども、そういうことであると思います。そういう立場から今日までも努力してまいりましたが、今後もそういう基盤に立って事を進めてまいらなければならぬと思います。  それから、たいへんいまの国鉄経営不振ば政府施策の犠牲であるという手きびしい御批判でございましたけれども、いろんな見方もあろうと思いますが、私どもとしましては、先ほどもお話し申し上げましたように、十カ年計画を国会に御審議願い、その線に沿って今日までまいったわけでございますが、いまも先生お話しのように、そういうものも一応振り捨てて、ひとつ新しい総合交通体系の中に国鉄の占める位置というものを見出して、そしてこれをどういうふうに生かしていくかということを、この際運賃の凍結をも含めて考えるべきじゃないかという御意見でございますが、総合交通体系の問題につきましては、昨年来、いま委員長席にすわっておられますが、たいへん手きびしくやられまして、そして私はその見直しをお約束をして、いま審議会で鋭意検討をお願いしている最中でございます。そういうようなものの結論等も見なければなりませんけれども、いま直ちに十年計画というものを御破算にして、そうしていまの運賃を凍結して、そして見直すという段階にはないわけでございまして、私どもとしましては、十月一日からの運賃値上げはこのまま値上げをさしていただき、そうしてその抜本的な対策と申しますか、いろいろな経済社会基本計画もいま経済企画庁で鋭意検討を続けておる最中でもございますし、総合体系の見直しも先ほど申し上げたとおりでございます。そういう等々を十分勘案し、背景としまして今後の対策を立ててまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 時間の関係もございますから国鉄総裁はまたこの次にお伺いすることにいたします。  次に私は、港湾局長お見えですね、静岡県に御前崎港という港がありますが、遠州灘と駿河湾を二分する半島の先端にあって、付近には暗礁が多くて海難事故がしばしば起こっておりますけれども、航行船舶が風浪を防ぐのに最適な地形だとして避難港として防波堤ができていたと思います。今日地元産業の育成、特に木材業界の発展のために、ここは膨大な土地を埋め立てるという計画で、すでに一部着工し始めたところもあるのですが、この点について、時間の関係もございますけれども、その改修計画をごく簡潔にお伺いしたいと、こう思います。
  19. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 御前崎港、いま先生のおっしゃいましたように避難港として発足いたしまして、その後清水港等の木材の狭隘そういうものに対処する問題あるいは地元の木材業者の育成という点も含めまして、現在木材輸入港といたしまして整備を進めております。先生のおっしゃるとおりでございます。  この整備の仕方といたしましては、公共事業費といたしまして防波堤とか岸壁を整備いたします。これに対しては国が補助をいたしております。また……
  20. 青木薪次

    青木薪次君 その辺でいいです。
  21. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 埋め立てといたしましては、地方債というものをあっせんいたしまして現在大体百五十ヘクタール程度の工業用地を造成中でございます。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 私の質問したいのは、現地における御前崎港の拡張に伴って相良町の新庄地区における埋め立て反対の陳情書が県知事に届けられて、港湾局長も知っていると思うのでありますが、埋め立て地と現住宅地との落差二メートル、それからすでに埋め立てた地区は湿地帯となっておって畳は五年ももたない。もしもこれが実行されると当該地域は台風八号による集中豪雨等の影響でもって、たいへんな、浸水家屋がほとんどとなってしまうんではないかということさえ憂慮されるのであります。しかも現地ばワカメ、サザエ等のりっぱな漁業地帯でありまして、現地の住民の同意が得られるまで強制収用とか漁業権抹消とかいうようなことがないと理解していいかどうか、その点について。
  23. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 埋め立ての進行によりまして背後地の排水が非常に悪くなっているという先生の御指摘でございますが、実は私そのこまかいところまでは情報を入手しておりません。しかしながら埋め立てによって背後地の排水が悪くなるというようなことがあっては全くいけないことでございますので、それに対しては十分な対策を講ずべきであるというように考えます。  なお工事の整備を進めるに際しましては、当然漁業者の賛成等が得られなければ進めることはできないわけでございますので、事前に十分話をして進めていかせるように港湾管理者である県のほうを指導していきたいというふうに考えております。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 時間がございませんので、私は特に今日の新幹線問題についてお聞きいたしたいと実は思っているわけでありますが、新幹線が夢の超特急と宣伝されまして、昭和三十九年十月の東京オリンピック開催とともに東京−新大阪間に開業されてから、ちょうど十年になるわけです。この間、七・七集中豪雨によって約三日間ほとんど完膚なきまでに打ちのめされてしまいました。しかし世界一のスピードで二百十キロを誇って、東京オリンピックで金メダルを獲得したいという日本国民が、当時経済的不況の限りの中で世界に向かって自慢のできる一つのできごとであったし、日本の技術水準の高さについて喜んだものであったわけでありますが、いままで新幹線は、昭和三十九年中に列車本数三十往復で一千百一万八千人を輸送して以来、昭和四十八年には百十一往復となって年間で一億二千八百八万人となって、累計で六億八千六百四十一万人、すなわち日本人口の約七倍を輸送したということなのであります。  この間に、万博との関係で十二両編成が十六両編成になった。「こだま」「ひかり」ともスピードアップされまして、東京−岡山間を四時間十分がら四時間三十分で突っ走るという状態です。したがって一般的には速い、便利だという積極面だけが強調されていますけれども、雨にも弱い、雪にも弱い、風にも弱いなどといわれながら、増発に増発を重ねてきた。こういうようなときだけに、国鉄の新幹線問題について、特に電気にしても施設にしても運転にしても、非常に事故が続発いたしているわけであります。したがって、この事故の概況について、今日各系統ごとに事故の概況を知りたい、こう思います。
  25. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 先生指摘のように、新幹線の各種設備車両の故障は四十七年度から非常に急激にふえてまいったわけでありまして、昨年の二月には大臣から総点検をやれというようなおしかりをいただきまして、総点検をやったのでありますけれども、四十八年度において総体で百四十七件というような故障件数を出しているわけであります。  私どもこの内容を見てみますと、大体車両も電気も施設も総体的にふえている形になっております。  昨年一年かかりまして総点検の結果に対していろいろ対応してまいったわけでありますが、幸いにしまして、四十九年度に入りまして四月が九件、五月が七件、六月が九件というような状況で、この総点検並びにその対策の結果として良好な線を歩いてきたという認識でおったわけでありますけれども、七月の七日から各種故障が再発し、あわせて台風八号による未曽有の雨による故障というようなことが連続いたしまして、七月に十八件の設備車両の故障と合わせて、たいへん御迷惑をおかけしたのであります。  で、私ども急遽これらに対する対応を考え、努力してまいったわけでありますが、幸いにしまして八月には再びまた九件というような数字に戻り、夏季の多客輸送期を一応無事に乗り切ることができたのであります。なお今後とも各種設備車両についての措置を一そう推進してまいりまして、世界に誇る新幹線の名に恥じない輸送を完遂してまいりたいと、このように考えておるところであります。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 私ば、時間がありませんので事故の概況についてお聞きすることができないわけでありますが、今日新幹線は夜間短時間の間に、線路にしても架線にしても、いわゆる電気施設に至るまで保守業務を行ない、昼間はいわゆる点検ということでありまするけれども、今日の段階では、小さな事故の卵が続発している。むしろ表面にあらわれた事故よりも、その背景にある事故のほうが私はおそろしいと思うんです。  そういう点から私は総裁にお伺いいたしたいと思うんでありますが、昼間の作業に夜間作業を切りかえる意思はないかどうか、その御決意を私はお聞きいたしたいと思います。
  27. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生申しましたように、小さい架線なんかを中心にした事故が起きて御迷惑をかけておる、これはおわびする次第でありますけれども、これは実は当然のことながら、あの種の事故はいずれも、何というか、おそろしい大きな事故にはつながらぬような程度の事故であって、これは先ほど申しましたように、総点検などを強化して、まあ新幹線がスピードが速いというゆえをもって、これは大事故にならぬと言ってもお客さんは御不満であろうということなんで、これもだんだんとつぶしていきますが、現況は、ああいう複雑な機構でございますので、ただ昼間ちょこっと見たらというような面もあるかもしれぬが、大多数は、線路は軌道試験車というような機械ではかるし、架線のほうは架線の試験車ではかる、レールは探傷車ではかるといったようなことを重ねておりますんで、まあこれをやりまして、そう手落ちはなかろうとも思いますけれども、ハイスピードで走っておるのでございますから、先生が御指摘のように、昼これを点検したらより安全だというような事態には至るかもしれぬ。そういう事態に至れば、これは安全が第一でございますので、もうあらゆる手を打って安全性を確保したい、かように考えておりますが、ただいまのところ、お客さんに御迷惑をかけて昼休んでいただいて点検するというところまでは、先ほど申したようなことでいっていないと、かように考えております。
  28. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 目黒今朝次郎でございますが、ちょっとノルウェーの国会議員団との打ち合わせに行っていまして、おくれたこと申しわけございません。新米議員でありますから今後ともよろしくお願いいたします。  いま同僚の青木委員のほうから新幹線の問題が出ましたので、私も引き続いて二、三お伺いいたします。  八月八日に運輸大臣国鉄総裁並びに技術陣の首脳幹部を呼んで、七月以降の十八件に及ぶ国鉄の責任に関する事故についてはきわめて重大な問題であるし、利用者の間に非常に不安と不満があると。したがって早急に点検をするようにと、こういう私は訓示があったように聞いております。いま総裁は、架線の故障などは旅客の重大な死傷を呼ぶものじゃないと、こういう御発言があったが、ちょっと私は行き過ぎじゃなかろうか。少なくとも、私も国鉄に長くおりまして、現職の機関士でありますが、運輸大臣総裁を呼んで警告するというのは相当私は重要な問題を含んでおるものと思うのであります。  その辺について、まず大臣にお伺いしますが、いま総裁の言ったような軽い認識でお呼びしたのか。やはり、このままいけば重大事故につながると、こういう認識のもとにお呼びになったのか。その辺の大臣の心がまえについて、ひとつ率直に聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  29. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 国鉄総裁の御発言も、架線の問題なんてたいした問題じゃないというふうなお話でございますが、私はそういうふうに受け取っておらぬわけでございまして、いろいろこまかい故障等はつぶしていかなければならぬというような真剣な態度であるというふうに承知しておりますし、いまの発言もそうであるというふうに考えております。  私が国鉄総裁以下お呼びしまして、警告いたしましたのは、御承知のように、六月から七月にかけまして新幹線の故障等いろいろな問題が出てきたわけでございます。したがいまして、私どもはいまお話がございましたように、小さい故障というのが、これは小さいからといって見過ごす、これが一つのなれになってやがては大きな問題を起こすということにつながっていくわけでございますから、たとえそれが小さい問題でありましょうとも、人の命をおあずかりいたしておる輸送機関が、これをないがしろにすることは許されぬと、したがいまして、六月、七月の状況にかんがみまして、一たび新幹線が事故を起こしますと、大事故につながることは、これは先生のほうが御専門でございますから、私以上にいろんなこまかいことについて御承知のとおりでございまして、そういうことがあってはならないということで、総点検を、当面の対策とさらに恒久対策をどういうふうに立てていくか、また、どう考えるかということをあわせて警告をいたした次第でございます。
  30. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 総裁にお伺いします。  いま大臣の言うことと、あなたの受け取り方がだいぶ私はものの認識が違うと思うんですが、さらに大臣から警告を受けた翌九日早朝からブレーキの故障があった、パンタグラフの故障があった、ひかり四二四号がだいぶおくれたと、午後一時になってまたパンタグラフの故障があった。一日三件もパンタグラフの故障が翌日あったわけなんです。これは鶴見事故の例じゃありませんが、パンタグラフのその悪条件が競合しますと、何百人という死者を出した苦い経験があって、総裁が引責辞職をしたと、こういうふうに発展する可能性を持っているパンタグラフの事故が一日三件もあったと、これはさっきの総裁発言と一体どういう関係になるのか。  また十日の午前七時四十分、これは平塚のATCの信号回路が故障になったと、信号が四時間にわたって全線ストップしたと、一体これはどういうことなのか。しかも、八月二十六日午後三時四十三分、相生駅において停車すべきひかり八〇号が通過線に入って運転士が気がついて約一キロ行って非常ブレーキでとまってバックをしてやったと、私は今回このような立場にありますが、機関車を運転した張本人であります。少なくとも張本人からいうと、異線進入というのは最も重大な、悪質な運転事故であります。在来線であれば、直ちにものすごいおたくさんのほうから罰則を受けると、一歩間違えれば刑務所にぶち込まれると、一歩間違えれば旅客もろとも、お客さんとあの世にいってしまうと、こういう異線進入の事故であります。CTCの掛員が装置を押すのを間違って、簡単に見のがすような私は事故ではないと思うのであります。  そういう事故の連続をやっていながら、私は九月三日、あなたのほうから運輸大臣に、先ほどの警告について報告があったと思うんでありますが、このような事故についてあなたは、いま青木委員の質問に対して、同じような考え方を持っておるのか、新幹線がきわめて運転保安上、輸送の安全上やはりいろいろな原因が競合するとか、大事な時期に来ているという認識をもって大臣に報告をしたのかどうか、その点をもう一回、総裁のものに対する考え方を聞いておきたいと思うんです。
  31. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  先ほど架線の故障を何か軽視するような舌足らずで申しわけないんですが、私の申し上げた意味ば、架線は、先生承知のように、新幹線のごとく、それに故障ができて、事故電流が流れると直ちに電源を切られるというような装置ができておりますので、それで電源を切ったらそれでいいかといったら決してよくないんで、そういうような意味で、おそるべき事故に発展する可能性は比較的少ないということを申し上げたんだが、これはほうっておいていいということじゃないんで、架線事故の、先生は御承知だと思うんですが、わたり線のところに取りつけ金物があって、それにワイヤーをつないでいる。そこが、そのワイヤーが弱って切れる事故が多いというようなことで、これを全部点検させまして、取りかえさしまして、その後、万全を期しているというようなこと。  それから相生駅のやつは、これはまことに申しわけないんだけれども、コムトラックと称して、コンピューターに全部運行指令を入れておると、それをコンピューターに、だいぶ列車が乱れておった時期だものだから、入力する者が誤って違う列車の番号を入れちゃったというので、その違う列車はあれを通過できるので、機関士が知らぬ顔して行ったというような、まことに初歩的なと申しますか、そういう事故で、これは申しわけないんで、先に延ばすときはコムトラックのそういう点も十分考えて、二度とそういうことをやらぬような手を打っている。  それからATCの問題は、私はまだ詳しく聞いていないので、山岸君にひとつ説明していただきます。
  32. 山岸勘六

    説明員(山岸勘六君) 大臣からおしかりを受けまして、その翌日に三件の事故を起こしまして、ほんとうに私ども赤面の至りであります。御指摘のパンタグラフの事故は、大阪の運転所構内のA型架線のセクションというようなところの調整不良に基づいてパンタグラフの故障があったわけでありますが、それが名古屋駅で見つかった。あるいはまた、その原因を追求中に、大阪駅でももう一つの列車において見つかるというような事故であったわけであります。A型セクションにおける調整不良に基づくパンタグラフの故障というようなことは、きわめて過去の事例としては少ない事故であったわけでありますが、やはり少なかったからといって手を抜いちゃいけませんので、この調整、または先々はB型セクションと、非常にこの調整が安定したB型セクションに極力取りかえてまいりたいというふうに認識しており、それらの勉強をしているところであります。  またATCの架内配線におきます事故、これも四時間ほどとめたのでありますけれども、この点、電気機器の中にはふだんあまりあけ締めしないほうがよろしい、半永久的であるというような機器もあるわけでありますが、いわばATCの地上におきます架内配線における配電盤等はそういうものを持っているわけでありまして、全部を点検していくというようなことは、むしろ、湿気とか、あるいはまた、ハンマー等によってあけてのぞいて見ると、接触位置をさらに動かしてみるというようなことは、かえって問題を生ずる。そういったところにおける電線の接続個所の、これはでき上がりのハンダづけが悪かったわけでありますけれども、事故を起こしているわけであります。  で、これらを見ますに、七月から八月にかけての事故の多くは、いままでに私ども経験してなかった事故が多発しているわけであります。この点を私どもたいへん重視したわけであります。したがいまして、大臣からのおしかり、緊急対策並びに恒久対策を早急に報告しなさいというおしかりに対しまして、私ども十分勉強をしなきゃいかぬ問題をたくさんかかえていて、いつまでも、また一面におきまして大臣への報告がおくれるということも問題でありますので、八月中に一応の手を打った。また七月、八月の事故を振り返り、さらに四月からの事故もあわせて振り返ってみまして、一応これなら同じような事故に対しましては格段の安定性を持ってきたという自信の持てた措置を大臣に緊急措置としてとりあえず中間報告を申し上げたわけであります。なお今後の恒久対策といたしまして私どもいま鋭意勉強中でありますけれども、大体十月の上旬ごろに大臣に最終報告を申し上げたいということで勉強中でございます。
  33. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間の割り当てもありますから、新幹線問題についてはひとつお願いします。国鉄総裁から九月三日大臣に報告書を出していると思いますが、その報告書の資料をぜひ配付願いたい。同時にその資料に対する大臣の見解などつけてもらえば幸いであると、こう思っております。それから国鉄側にいまいろいろありましたが、私は去年の鳥飼事故などを含めていろいろ言いたいのですが、今後逐次やるとして、国鉄側に対しては六月、七月、八月、この期間において国鉄側に起因する事故の種別、原因、対策、それをやはり一覧表にしてほしい。それらをもらってからあらためて質問することにして、新幹線問題は打ち切ります。
  34. 森中守義

    ○理事(森中守義君) 大臣、資料の提出はよろしゅうございます。
  35. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ただいま御指摘ございました資料は提出いたしますが、大臣の所見をつけろということでございますけれども、この点につきましては委員長、理事とよく御相談さしていただきまして処理さしていただきたいと思っております。
  36. 森中守義

    ○理事(森中守義君) ただいまの資料提出に関する大臣の所見については、後刻委員長理事打合会で善処いたします。
  37. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 新幹線の保安関係ではありませんが、この点は時間がありませんから次の機会でけっこうですからぜひ提出を願いたいと思うのですが、私も生まれが宮城県なもので、この前いなかに帰りましたら、ちょうど岩間先生も同じ隣町でありますが、岩間先生の隣の柴田町、村田町がありますが、その柴田町、村田町あたりで東北新幹線の土木工事に従事している方々が、きわめて非人間的な扱いを受けているという点があったわけなんです。   〔理事森中守義君退席、理事三木忠雄君着席〕 参考までにここに河北新報というローカル新聞がありますが、たとえばけがをしても労働保険を適用しないでごまかしでやってしまう、そういう点がいろいろ行なわれているわけであります。私も現に確認したわけじゃありませんから、今後私自身も行ってみたいと思っておりますが、この前、長谷川労働大臣が現地を視察したという話もありますから、宮城労働基準局それから大河原労働基準監督署、この二つに問い合わせたところ、この記事は真実であるという点が明らかになっておるわけであります。たまたま私、けさ出てくるとき朝日新聞を見ましたら、朝日新聞の欄に「大量の「じん肺患者」」、こういう見出しで東北新幹線の建設の下請会社がやはり労働者をこき使って、実際に昨年八月からことしにかけて七百人の労働者を調べた、そのうち百四十八人が胸の病気にかかっている。そのうち六十人はもう入院が必要だ。そういう実際労働環境に置かれて新幹線建設が行なわれているという記事が載っておるわけであります。これを摘発したのは全日本建設産業労働組合、これが摘発をしているわけでありますが、私はこの問題は新幹線に直接関係あるかどうか知りませんが、少なくとも大臣の見解を聞きたいんですが、国の事業をやっているものが、請負であろうとも、こういう公然と法をくぐって、労働者を酷使しながら新幹線の建設が行なわれているということはゆゆしい問題だと、こう思うのです。  私は時間がありませんから、早急にこの問題を運輸省の責任で調査をして、これに対する私は行政指導なり、あるいは契約の取り消しなり、この問題の実態を明らかにして、これは社会労働委員長会でも関係あると思うのですが、あるいは建設委員会とも関係あると思うのですが、その点を明らかにして、私はこういうことの撲滅のために最短距離で措置をしてもらいたいということをお願いして、とりあえずこういう事故についての大臣の見解を聞いておきたいと、こう思うのです。
  38. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私も新聞をいまここで拝見しておるところでございますが、法治国家において少なくとも法律に定められたことでございますから、これを順守するということは当然なことでございます。この問題につきましては労働省においてすでに調査を開始しておるようでございますし、それぞれの機関にばかりまして、   〔理事三木忠雄君退席、理事森中守義君着席〕 こういうことのないように、今後撲滅をはかるように私どももこれに対処してまいるつもりでございます。
  39. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 国鉄の問題もう一つあるのですが、立場をかえて私鉄の問題をちょっとお願いしたいと思うのです。  地方の私鉄のバス、軌道、三百五十八社がありまして、いろいろ石油ショックや乗客の減少や人件費の高騰で非常に経営が困難になっている、こういう点については関係者もおわかりと思うのでありますが、この問題について、今月私鉄総連の調べによりますと、七月末現在で約三十二社、四十億に及ぶ賃金の遅配欠配があって非常に地方でもめておるわけであります。  私もこの前参りました岩手の県南バスなり、宮城バスなり、福島交通といったわりあいにいいといわれておる会社においても、相当賃金の遅配欠配でもめているという現状に遭遇をしてきたわけでありますが、この問題は何といっても私は長い議論をされて四十七年、四十八年から一部助成制度などもとられて今日にまいっておるわけでありますが、この問題について、なぜこうなってしまったのかということについて、われわれはわれわれの見解があるわけでありますが、いわゆる企業としてのみ追求するのではもう限界ではないか、公共の福祉といいますか、公共の生活路線といいますか、そういういわゆる地域の住民の生活を守るという立場から、もう一回抜本的な洗い直しをしなければ、この問題ば若干の助成をしても堂々めぐりをしていくのではなかろうか、こんな気がするわけであります。  一方、地方の県知事であるとか、地方自治体の責任者に会ってみますと、全然関係ないとは言わぬけれども、直接その運営について責任があるというところまでは位置づけられていない、こういうこともまあ明らかになっておるわけでありますが、私はこういう点から考えますと、何といっても、確かに企業性から見れば赤字の問題はありますが、住民の生活から見れば、どうしてもその路線は病院に通う、学校に通う、職場に通う、あるいは緊急な場合に連絡する、そういう点で、国民生活に不可欠な要件だ。俗に衣食住といわれておりますが、衣食住と並ぶぐらいのやっぱり地方交通機関というのが私は日常生活にはびこっているんじゃなかろうか、こんなように考えるわけであります。したがって、これらの問題について新聞の報ずるところを見ますと、運輸省段階でも五十年度予算についていろいろやっておりますが、われわれ社会党としてもこの問題については、一つは地方交通確保に関する法律ということで、きちっともう一回根本から洗い直そうという法律案なり、あるいは中小民営交通、タクシーも含めた財政基盤に関する特別法なり、あるいは交通金融公庫という、一つの発想でありますが、いろんな融資関係についてめんどう見ると、そういう交通三法——三つの法律などを現在党段階でも検討しながら、鋭意この問題の抜本解決に社会党も取り組みたいと思っておるわけでありますが、当面の措置として、政府側に次の点をお伺いしたいと思うのであります。  一つは、来年度予算編成にあたって、このような私鉄なり、あるいはバスなり、あるいはタクシーなりなどのいわゆる補助金制度ですね、補助金制度について、去年は二十億といいますか、大体私鉄を例にとれば二十億ですね、二十億前後といわれています。この助成について抜本的に五十年度で考える意思があるのかどうかという点をひとつお伺いしたいと思うんです。
  40. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お話のように、地方過疎地帯における中小私鉄並びにバスの経営難というのは、御指摘のとおりでございます。特にバスはここ二、三年来急激に悪化してまいったわけでございます。したがいまして、中小私鉄につきましては、これはもう利子補給をも含めた赤字対策を進めておるわけでございまして、明年度におきましても大体の構想を持ってただいま予算折衝を始めんとしておるところでございます。またバスにつきましては、いま先生の御指摘がございましたように、これはもう地方住民との生活の中に溶け込んだ問題でもございますし、中小私鉄もそのとおりでございますけれども、昨年二十億余りの予算を獲得したわけでございます。これも、もう運輸省としましてはほんとうに最後まで、大臣折衝まで残してもう大蔵大臣の首をかけてでも取ってこようぐらいの勢いでやって、そこまでいって、よくやったとほめられたとたんに、ふたをあけてみましたら、今年度になりますと、そんなことではとてものこと話にならぬというようにバスの経営状況悪化してきていると、こういうことでございます。  したがいまして、今年度はその補助対策あるいはいままでは甲種、乙種、丙種というふうに、去年丙種をつくった、補助対象にしたわけでございますが、これを称して丙種合格といって喜んだわけでございますけれども、そういうような逐次内容につきましても検討を加え、改善をいたしてまいったことも御承知のとおりでございます。しかしながら、今日なお深刻な状態に至っていることも御指摘のとおりでございまして、今年度はさらにその内容につきましても検討を加えまして、いままでの補助対象をどういうふうにかみ砕いて、より適切な、より地域住民の足の確保に役立つかということについてただいま検討しておりますし、予算につきましても、昨年度どころではない、もう少し思い切った予算の要求をやりまして、これらの解消に当たりたいと思っております。  なお、いままでのいろんな、今日までの賃金不払い、あるいはいろんな問題につきましては、大蔵省や中小企業庁との関係に積極的にいま働きかけておりますし、本年五月に行なわれました中小三公庫の金融措置等につきましても、これら業者に対して優先的にこれを融資するようにということで、私どもも努力いたしておる次第でございますし、なお三、四・四半期における政府の融資につきましても千億余りの、三金融公庫に対して特別の融資の配慮を大蔵省はやっているようでございますから、この点につきましても、これらの業者に対して、運輸省といたしましてもできる限りの努力をして、不安のないようなことにいたしてまいりたいと思います。  なお交通金融公庫と申しますか、そういう面につきましては、昔そういう議論があったそうでございます。あったそうでございますけれども、立ち消えになっておりますが、これは景気がよくなったからだろうと思いますけれども、そういう点について、またいろいろと今後も検討をしてまいりたいと、かように考える次第でございます。
  41. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これはあるニュースを見ると、来年度については約四倍、ある情報では三倍とか四倍とかということばを使っておるんですが、やはり現実に、二十億に対して四倍なら八十億ですね。八十億程度の助成をやると、そういうことが運輸省で固まって現に折衝されているのかどうか。その八十億程度の裏づけをすれば現在の中小の私鉄のバスなどの皆さんについて、どの程度のてこ入れができるのか、そういう見通しなどについてわかれば説明願いたいと、こう思うんです。
  42. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) 地方のバスをバックアップするための予算につきましては、来年度約八十億の予算要求を大蔵省にいたしております。これはことしが二十二億ちょっと欠ける程度でございますので、四倍弱、三・七、八倍になるわけであります。この制度はちょうど裏負担で同額のものが各県から出ております。合計いたしますと、かりに八十億国が満額取れれば百六十億円のお金が出る形になるわけであります。そういたしますと、もちろんこれで今後起こり得る赤字の全部が埋まるというところまでまいりませんですけれども、一方におきまして、適正な幅におきまして運賃改定をやっていくということと並行いたしまして、この補助金を支給いたしますと、五十年度以降大幅な赤字が出るということは避けられるのじゃないだろうかというふうに考えております。  ただ経費増高その他の見通し等につきましては全く未知数でございますので、そういった点につきましては不安定な要素もございますけれども、かりに現在のままの経費状況で推移するといたしますならば、この予算によりまして相当部分の赤字は処理できるというふうに考えております。ただ過去の状況の中で累積赤字ができておるという会社がございますので、これにつきましては、ただいまの八十億の中に若干手当てもしてございますけれども、過去の累積赤字に対しましても、たとえば債務のたな上げをいたしまして、それに対して利子補給をするというふうな制度を何とか実現したいと思って折衝いたしております。
  43. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私も新米で、百六十億を融資すればどの程度になるかということははっきりつかめませんから、これ以上については努力をお願いするしかないのでありますが、ただ、いま最後に言われた不良債務のたな上げですね。この件については非常に賃金の遅配、欠配になっている会社の実態を見てみると、まあいい悪いは抜きにして、現実に問題になっていることは事実でありますから、ぜひこの法律の成立を期して、それに対する手当てをしてもらいたいということを要望として申し上げておきます。  ただ、この際、いま言われた八十億の、大蔵省が認めれば地方自治体がやっぱり八十億と、こういうふうになるわけですが、地方自治体の財政も必ずしもこれにオーケーということになりかねない実情もあるのではなかろうかと、したがって、そういう場合における行政指導といいますか、側面的な指示といいますか、そういう問題と、もう一歩進んでそういう場合における地方自治体の長ですね、県知事のこの地方交通に対する関連行政指導というか、権限というか、そういうものについてはいまのところ明確になっていない。この前岩手県に行ったら、岩手県の知事さんが最終的には県知事は責任がないんだという、こういう暴言を吐いたとか吐かないとかいう話がありましたが、いろいろ調べてみると、権限上の問題で、県知事の地方における交通部門の確保に対する権限といいますか、そういうものについて非常に不十分な点があるんではなかろうか、こんなふうに考えるわけであります。  したがって、これだけ地方交通問題が問題をかもし出す情勢になれば、やはり地方交通の住民の足を確保する責任は地方自治体の首長さんに私はあると、こう言っても過言ではないと思っております。むしろ積極的に住民の足を守るために行政的な努力をするのが地方自治体の長の仕事ではなかろうかと、こんなふうに考えますと、これらの権限の強化なり、あるいは確保に対する責任などについて運輸省の段階で考えておるかどうか、この点を聞きたいし、われわれとしてもこの問題については当然裏づけすべきだ、こういう考えを持っておるわけでありますが、その辺の見解を聞きたい、こう思うわけであります。
  44. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 地方自治体の首長の地方交通に対する権限という問題でございますが、ただいまのところ運輸省としましては、御指摘のような、お話のような、法律的にはそうなっているわけでございます。しかし地方の住民の足をどう生活に直結して、どう生活を守り抜くかということでございますから、これは法律の問題もさることながら、地方の首長さん方も、これはもう真剣にこれと取り組み、考えてもらわなきゃならぬと思っております。  なお、こういうふうに非常な急激な変化によって地方の交通網というものが不安におとしいれられておるという現状にかんがみまして、いま法律的にもこの権限を地方に委譲したらどうかという有力な意見があるわけでございます。しかし、これは総合的な交通体系の根本的な問題でもございますし、この問題につきましては、私どもも十分今後検討してまいりたいと、かように考えております。
  45. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 先ほど聞き落としたので申しわけないんですが、もう一度、たとえば賃金の遅配、欠配で困っておる地方の企業に対して融資のワクを一千億と言ったのですか、一千万ですか、ある程度のワクをきめて指導しているという点を聞き漏らしたのですが、この点、再度ありましたら、お答え願いたい。
  46. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私が申し上げましたのは、今年の五月に中小の三政府機関の公庫に大体一千億の予算、ちょっとその数字をいま、五月の分でしょう——忘れましたけれども、中小企業庁や、あるいは大蔵省等に積極的に働きかけまして、この融資につきまして、一千億全部これに流すというわけではもちろんございません、そのほか中小、弱小、いろんな企業に対しましての中の一環でございますけれども、このバス業者等に対しても融資するように私どもも働きかけたわけでございますし、また、つい最近、たしか三、四・四半期の初頭にあたりまして、大蔵省は中小企業のためにたしか千百億ぐらいだったと思いますが、この数字は多少誤差があるかもわかりません、大体一千億ちょっとの融資ワクを設けまして特別な融資をやることになったわけでございます。したがいまして、そういうようなものも含めまして、今後これら非常に困っておられる方々に対しまして、運輸省としてもその融資方に努力していきたい、こういうことでございます。
  47. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いろいろだいへんな問題があると思うのでありますが、先ほど言った住民の生活に直結する問題でありますし、並びに関連して働いている交通労働者の生活にも影響する問題でありますから、今後われわれもなお実態を調べて、さらに要求し、要請する点もあろうと思いますが、今後とも格段の努力をお願いいたしましてこの問題に対する質問を打ち切ります。  同時に、これと関連しますが、タクシー関係ですね、ハイタク関係についても私は条件としてむしろバス、軌道よりももっと事業競争が激しく、過疎過密で問題があると言っても過言ではないと思うのであります。でありますから、このタクシーの問題も一部いろんな議論があるとしても、大多数はやっぱりこれも地方における私鉄軌道なり、バスと同じような位置づけで多くの問題をはらんでいる。したがって、いま言ったような基本的な考えを、やはりハイタクの関係についても十分な措置をしてもらいたいということをお願いしたいと思いますが、この関係はいかがでしょうか。特別にいま言った融資関係その他についてハイタクの場合は例外だと、こういう考えがあるかどうか。私は基本的にこの問題については、公共の足を確保する、そこに働く労働者の生活を保障する、現在のインフレ、諸物価の値上がりから、非常に税金その他の問題でも苦労されているという現状から考えると、この問題についてもやっぱり基本的には国民の足を守る、そこに働く労働者の生活を安定するという点から、政府としても行政指導なり、あるいは金の面のめんどうなどについても、今後とも努力する方向でやってもらいたいという要求なんですが、いかがでしょう。
  48. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) お答え申し上げます。  あるいは若干先生の御意見と私の申し上げることと食い違うかもしれませんけれども、同じく地域の足を守る交通機関の中でも私は鉄道、バスとタクシーとは若干公共性の程度が違うと思います。もちろんタクシーでも貴重な人命を預かって他人の需要に応じて運営するわけでありますから、もちろん公共性は高いわけであります。したがいまして、運輸省も陸運局を通じまして、免許行政をしいているわけでありますけれども、ただ、バスに比べるならば、やはり地域の足を確保するる最小必要限度のものという意味ではバスのほうがウエートが高い。これは常識的にも言えることかと思います。  したがいまして、たとえば、タクシー事業の経営が非常に危殆に瀕してきたというふうな場合につきましては、バスとか中小私鉄のように、国や県の補助金を出してまで援助するという対象では私どもはないと考えております。したがいまして、タクシーにつきましては必要な人件費あるいは燃料の値上がり等によりまして、必要な経費が上がってくる場合には、この経費をまかなうだけのやはり運賃改定というものを適時行なっていくということを基本にいたしておりますが、ただ時期的にはかなり資金繰り等が苦しい企業も出てまいります。これにつきましては、やはり公共的なサービスでございますので、それぞれの地域の中小企業三金融機関に対しまして随時資金のあっせん等やっておりますし、従来もそういった実例もございます。今後もそういったことで対処していきたい、こう思っております。
  49. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間がありませんが、これらの問題については見解をわれわれと若干異にするのでありますが、確かにいまハイタクの現状そのままで問題点として摘出する点もなくはないと思っております。われわれとしてもその地域における最低の足を確保するために共同化であるとか、共同企業体をつくるとか、そういうものをつくりながら、そこのタクシーとしての、私鉄、バスと違った意味での足の確保、そこに働く労働者の条件をどう確保するか、そうして非常にタクシーの場合には刺激的な歩合制というのが多くの問題をかもし出して、これは労働省も二・九通達で指摘をしているところでありますから、そういう問題も含めて、ともに前向きにこの問題についても今後討論を進めていくという点で、この問題については時間の関係で質問を打ち切ります。  最後に、国鉄の関係にもう一回戻りまして、運賃値上げの問題についてお伺いしたいと思うのであります。これは八月二十一日、国鉄の監査委員会から監査報告がありまして、赤字が四千五百四十四億、償却前でも二千二百二十四億、累積赤字が昨年から四〇%ばかりプラスになって一兆五千九百五十五億と、こういう膨大な赤字で、もう国鉄の財政の危機というよりも崩壊の一歩前だという指摘が監査委員会から出ておるわけでありまして、その副題として、もう運賃値上げについては自主決定をしてほしいとか、あるいは合理化の問題についてはもっと強力にやってほしいとか、それから安全の問題についても努力すべきである、こういう幾つかの点があったわけであります。  私は、この監査委員会がこういう報告を出しておる表面的な現状については、これは否定する何ものもありませんから、これはこれとしてそれなりに数字としては認めておるわけでありますが、しかし八月の二十二日ですか、この監査報告を出した次の日、財界調査機関である日本経済調査協議会は一つの構想を発表いたしまして、国鉄のローカル線約一万一千キロ、この問題については地方自治体に移管して、五年以内に自治体が受け入れなければ、それは廃止をするというような一つの構想を打ち出しておったり、あるいは経済企画庁長官の研究機関である総合交通研究会というものが、ある中間答申を発表いたしまして、これは今後の交通体系はエネルギーの関係からいって車から鉄道に移るべきであると、鉄道集約型の交通体系に切りかえるべきであると、そのためには財政援助も含めて、政府は思い切った手を打つべきであると、こういう構想などが発表されて、きわめて四面楚歌、はなばなしい議論がされておるわけであります。しかし、私はこの問題についてはいろいろ今後議論をするとしても、いろいろ今日まで運賃問題が議論されてまいりましたが、ひとつ結論だけ申し上げたいのは、国鉄運賃が閣議決定で凍結解除されて十月一日から上がると、こういう実情にあるわけですね、いまのところ。   〔理事森中守義君退席、委員長着席〕 で、私はこの問題については、もう物価問題という観点と国民生活の安定という点から、この凍結解除については再検討をしてもらいたいということを申し上げたいと思うのであります。  時間がありませんから……。ことしの一月以降、医療費、五大ガス、電力、大手私鉄、国内航空、ずっと三割から四割引き続いて上がっておりまして、一般物価のはね返りが約一・二、三%だと、こういわれておるわけであります。今後のことを考えますと、いま言われた消費者米価が十月一日から三二%、国鉄関係が平均で二三%ないし四%ですか、それから地下鉄関係が、申請中で約三〇%、東京の民営バスがこれも約三〇%、大阪瓦斯が五五・三六%、それから東京都営がこれも四十円から七十円に上がる。こういうことを見ますと、ほとんどこのとおり上がりますと、経済企画庁の調べでは月平均二・六%程度は上がるだろうと、こう経済企画庁は発表をしておるわけであります。  ところが、六月から七月にかけて一%上がるといった予報が、実際は二%強上がっておる。約倍ですね。だから二・六%というのは大体四%から五%上がるのじゃなかろうか、こういう予想をするわけです、経済企画庁の見通しと実際の物価の動向が。そうしますと、やっぱり狂乱物価といわれた去年の十二月、今年の一月、二月の実数を調べてみますと、これは月平均ですよ、狂乱物価の始まった十二月が三・六%、一月が四・四%、それから二月が三・四%、この数字を見ますと、狂乱物価といわれた十二月、一月、二月の月平均の伸びぐあいと、いま言った米価国鉄などといった経済企画庁の予報と実績を考えますと、どうしてもこのままいくと第二の狂乱物価が来る、来年を控えてなおさら。  いわゆる公共料金政府主導型で再び物価高がくるのじゃなかろうか、こんな予測をするのです、予測、予報。したがって、そういう点から考えますと、私はいろんな諸物価の中で、公共料金物価の中で、国鉄運賃だけが国会が直接タッチできる料金だと言っても過言ではないと思います、国鉄運賃がですね。ですから、私は時間がありませんから、言いっぱなしになりますが、われわれとしては’そういう点から、国民生活への影響から考えて、やはり凍結は解除しないでこのままいくべきだ。同時に、しかしそう言っても、全体の物価政策からくる凍結のしわ寄せを国鉄労使にだけにやるというのは酷でありますから、これは誤りでありますから、やはり一般物価政策のために押えた、凍結をしている、俗に減収分があるわけですね、実際の減収分。この減収分については、私は予算委員会なりあるいは物価対策特別委員会なりで議論を十分してもらって、たとえば今回の監査委員会の報告書のイギリスの物価政策に関する問題と国鉄運賃の関係、一七七ページ、一七八ページから諸外国の運賃料金制度というのがあります。ここにわざわざ親切に監査委員会がつくってくれたんですから、これをずっと調べてみますと、やっぱりインフレで悩む物価政策の段階では、たとえばイギリスの例で一九七二年は物価政策による運賃値上げの抑制が行なわれ、それによる減収分は特別法によって補償されたと、こうあるわけであります。  したがって、こういう問題などについてやっぱり国鉄の財政について裏づけをするという高度な政治判断が必要じゃなかろうか、こんなふうに考えて、そういうことを含めて、私はやはり凍結解除反対、したがって、そういうことをやりながら、米価の問題今後来るいろいろな問題についての物価の安定の方面に積極的な努力をしてもらいたいということを、時間が参りましたから言いっぱなしになりますが、一応見解として表明しておきます。以上です。
  50. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間が限られておりますので、航空問題にしぼって質問いたします。  特に、きょうから国内運賃値上げになっておりますが、具体的に今回の航空運賃値上げの問題に対する運輸省の、特に運輸大臣の認可の理由ですね、この問題からまずお聞きしたいと思うのです。
  51. 中村大造

    説明員(中村大造君) お答え申し上げます。  今回の航空の国内運賃の改定につきましては、昨年来からの燃料の大幅な値上がりその他諸物価の値上がりによりまして、会社の経理状況が非常に悪化いたしまして、いろいろ企業努力をいたしましても、このまま放置いたしますと、安全運航を確保し、またサービスを確保する点において万全を期することができないというふうに判断いたしまして今回改定に踏み切った、こういうことでございます。
  52. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ、きょうは時間が限られておりますからこまかな数字まで及ばないかと思いますけれども、まず旅客需要増の見込みですね、これを幾らに見た上でこの運賃を認可したのかどうか、こういうところから、まず数字的な問題から御説明願いたいと思うんです。
  53. 中村大造

    説明員(中村大造君) これは、旅客がどの程度伸びるかという見通しはなかなかむずかしいわけでございますけれども、最近の輸送量の実績というものを基礎にいたしまして四十九年度の輸送量というものを推定したわけでございまして、平均いたしますと、全体で約一二%程度の輸送量が伸びる、こういう計算をいたしております。
  54. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 非常に算定の基礎があいまいなんです。平均一二%。ところが四十八年度、たとえば全日空のこの輸送実績を見ましても二六%増となっているわけですね。これは、この運賃改定のときに出した輸送増の見込みが八%しかないわけですね。この点から考えた場合に、輸送増を全然見込まないでただ赤字だという算定のもとに運賃を認可しているという点、この点についていかがですか。
  55. 中村大造

    説明員(中村大造君) 確かに四十七年、四十八年という年は非常に輸送量が伸びた年でございます。ただ最近、特に私どもこれからの輸送需要を推定いたしますときに、ことしに入りまして四月から七月の輸送実績、こういうものを見まして、それによって修正をいたしたわけでございまして、もちろんこの見込みが絶対に正しいかどうかということは今後の推移を見なければわかりませんけれども、私どもといたしましては、四十八年度までの傾向というものは、これは一つの算式がございまして、それで一つの傾向を見まして、それを四十九年の四月から七月の一番最近の実績で修正してこういう数字を出した、こういうことでございまして、この見込みが甘いか、あるいは辛いかということについては、今後の推移を見なければならないのじゃないか、こういうふうに思います。
  56. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはまあ議論の分かれる点があるのは私も了解しますが、あまりにも低く見積もった上の運賃値上げ認可だ、こういう点が考えられるわけです。たとえば日本航空にしても全日空にしても、その具体的な内容から考えましても、やはり八%あるいは一二%というこの輸送増の見込みをそこに押えた理由として具体的な何か国民に示されるべき問題点がなければならないと思うんですけれども、やはり一二%に輸送増を見込んだ何点かの理由があると思うんです。この点について。
  57. 中村大造

    説明員(中村大造君) これはただいまも御説明申し上げましたように、ごく最近の輸送の伸びといいますか、実績、こういうものによりまして最近の四十八年度までの輸送需要の伸びというものを若干修正して一二%というものを算出したわけでございます。したがいまして、この見通しというものは一応需要見込みのやり方としては妥当な線ではなかろうかと思います。
  58. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 なかなかわからぬ答弁ですがね。たとえば大阪空港で騒音問題がある、便を減らさなきゃならない、こういう問題を相当加味した上で、あるいは将来——私はあと質問しますけれども、航空再編成の問題とか、あるいは航空政策全体の問題あるいはダブルパーキングの問題とか含めた問題で、そういうものを見込んだ上でのこの一二%の需要増としているのかどうか、この点について。
  59. 中村大造

    説明員(中村大造君) 必ずしもそういうことではございません。ちなみに最近の四十五年から四十八年度までの輸送需要の伸びでございますけれども、これはやはり年によりまして非常にアンバランスがございます。で、四十五年は非常に大きく伸びまして三一%伸びました。ところがその翌年の四十六年には六%しか伸びておりません。で、四十七年度は一五%の伸びでございました。四十八年度は二三%の伸びということで、四十八年度は確かに大きな伸びを示したわけでございます。で、四十九年度の推定につきましては、ただいま申し上げましたように、いままでのそういう需要変化というもの、あるいはGNPとの相関関係、そういうものによりまして推計をいたしまして、それに最近の四月から七月までの実績、こういうものも勘案いたしまして一二%という数字を一応はじいた、こういうことでございます。
  60. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この問題の数字を議論していく時間はありませんけれども、たとえば国内三社の中で東亜国内航空が一番赤字をかかえているわけですね。それに合わせて今回の運賃値上げをしたと。——まあ確かに燃料費、人件費問題等があって、日本航空、全日空等のその赤字経営の問題はいろいろ表面的には私たちも理解できる点はあるわけです。しかしながら、今回の運賃値上げの認可の中にやはり東亜国内航空の七十億に及ぶ赤字を何とかしなければならないという観点から、やはりそれを基準にした運賃値上げの認可になっているのじゃないかという点があるのですが、この点いかがですか。
  61. 中村大造

    説明員(中村大造君) 確かに東亜国内航空の収支の状況というものがここ数年悪化しておることは事実でございます。したがいまして、四十九年度につきましてもこのまま放置すれば相当な赤字になる、こういうことでございます。しかしながら、日本航空並びに全日空につきましても、確かに四十八年度までは黒字を計上いたしておったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような油ショックその他の原因によりまして四十九年度については相当な赤字が見込まれる予定でございまして、現に四月から六月までの概算を見ましてももうすでに相当な赤字になっておる、こういうことでございます。したがいまして、私たちといたしまして、決して東亜国内航空だけに焦点を合わせてこれを救済するために値上げをしたと、そういうことではございませんで、全日空をはじめ各社の経理状況がそろって四十九年度において相当な危機に瀕する状態になる、こういう認識をいたしまして運賃の改定をしたと、こういうことでございます。
  62. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこで運輸大臣に伺いたいのですが、まあ東亜国内航空は七十億の赤字、今回の運賃値上げ、確かに燃料費、人件費の問題、いろいろな点があると思うのです。しかしこの航空政策の根本的な問題をはっきりしないで、そして運賃だけ認可に踏み切ったというのが今回の航空運賃値上げの問題ではないかと私は思うのです。  したがって四十七年の丹羽大臣のときの通達の問題あるいはローカル線と幹線との乗り入れの問題、こういう点についてのやはり航空政策の洗い直しというか、こういう問題をはっきりしないで、ただ東亜国内航空赤字だから、あるいは今回、全般的な燃料費の問題人件費問題等があるから値上げに踏み切ったわけでありますけれども、もっと根本的にやはり地方ローカル線だけやっている東亜国内航空、いまの状態からいけばますます赤字になっていくことは当然だと思うんですね。こういう点をやはりもう一ぺん抜本的に考え直さなければならない時点ではないか。これをはっきりした上でやはり運賃の論議をすべきじゃないかということなんですが、この点いかがですか。
  63. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のようなお説も確かにあると思います。御存じのように、東亜国内航空が出発にあたって、いろいろな、これには、私が御説明申し上げるまでもなく、日本航空との合併問題をはじめ、いろいろな過去に歴史があるわけでございます。大事故を起こした——せっかく腰を上げたところを腰骨をたたき折られたようなことになりまして、それが最初のつまずきとして、だんだん今日に至って七十億の赤字をかかえてきた。七十億の赤字をかかえて、行政責任者である運輸当局は一体これをなぜ放置するかという御意見、これはごもっともでございます。もしもこれが安全の不安につながるというようなことがあったら、これはたいへんなことでございまして、私も実は心を痛めておる問題でございますけれども、今回の運賃値上げというのは主としてローカル線を持っておりますYS11でございますか、これはもう乗客が一〇〇%ないとなかなかまかなえないというような、非常に効率の悪い路線を、全日空もそうでございますけれども、持っておるわけでございます。  そういうようなものもからめまして、いろいろなことから今度の値上げに踏み切ったわけでございまして、このことにつきましてはいま航空局長から御説明申し上げたとおりでございます。この国内航空に関しましては、先ほどのお説をも踏まえまして、今度の運賃の改定の結果によって今後の運営等も十分にらみ合わせまして、あるいは路線の配分等、いろいろやっていかなければならぬことがあろうと思います。そういうような経営状態等も勘案して、十分異論のない検討を続けてまいりたいと、かように考えております。
  64. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この運賃の認可の前に、たとえば四十七年七月に航空政策の四十七年運輸大臣通達というのが出ていますね。この問題について、やはりローカル線だけの運営の東亜国内に、四十九年度をめどにして幹線乗り入れを認めるような通達を出しているわけですね。こういう明確な路線設定をした上での運賃値上げ、あるいは将来の採算ベースというものを考えなければ私はならないのではないかと思うんですよ。それを全然無視して、ただ、いまのままで運賃値上げし、そしてそのまま何の洗い直しも行なわれないで踏み切っていくというやり方は、ちょっとまずいんじゃないかと思うんですね。この点についていかがですか。
  65. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 確かに御指摘の点は私の胸にこたえるものがございます。ございますが、この路線の決定等につきましては、既得権その他いろいろな問題がございまして、いま御指摘の四十七年七月一日の航空企業運営体制についての通達、この点にもう一ぺん立ち返りまして、今後の経営状態等もにらみ合わせまして、早急に、できるだけ早い機会に措置してまいりたいと、かように考える次第でございます。
  66. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その措置がなかなかむずかしい問題で、これからはたしてじゃあ全日空が幹線を譲るかどうかという問題ですね。あるいは東亜国内航空が幹線に乗り入れをしなければ、おそらくいまのローカル線だけでは、いまの体制では赤字になってくる、こうなってくれば、そのまま東亜国内の赤字がふえてくる、それによってまた運賃値上げと、こういう形を絶えず繰り返さなければならないような問題点がひそんでいるんではないかと思うんですよ。したがって、この問題にいつ決着をつけるのか。たとえば四十九年度に、いま具体的に聞きたいのですけれども、東亜国内に十四機のDC9ですか、これを五十年七月までに導入する計画がもう決定し、オーケーになっているわけですね。この点について、はたしてじゃあ東亜国内が十四機導入した場合に、幹線を渡す約束のもとに運輸省はこれを認めたのかどうか、こういう点について伺います。
  67. 中村大造

    説明員(中村大造君) 今後のジェット化の計画につきましては、当然私ども将来の幹線乗り入れ、あるいはローカル線につきましてもジェット化の計画の推進、そういう点を、あるいは老朽機の更新とかそういうものを総合的に考えまして、会社の計画をできる限り推進させてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。で、先ほど先生おっしゃいましたように、確かに幹線乗り入れ、あるいはローカル線におけるいわゆるダブルトラックの問題は、現実に当てはめてまいりますと、やはりこれは各企業間の協力体制がなければなかなか進まないわけでございますけれども、それにも増しまして、やはり最近の東京−大阪等の空港の事情というものが、この四十七年当時に策定されました計画をそのまま推進できない理由になっておるのではないかと思うわけでございまして、私といたしましては、こういう方針が打ち出されております以上、できる限りその線に沿って、しかしながら、やはり各企業間の調整につきましては、単に一方的にテーク・アンド・テークということではなくて、やはりギブ・アンド・テークというふうな観点からもこれを進めていくという必要があろうかと思いますし、また幹線乗り入れにつきましても、やはりストレートなやり方でいくか、もう少しいろいろくふうをこらすか、この点については現在私どももいろいろ知恵をしぼっておるわけでございまして、そういう点も含めて、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、運営体制について、できるだけ早く、最終的な結論とまではいかなくても、とにかくできるところから実施していくということにいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  68. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に、東亜国内の十四機のジェット化は運輸省として承認されたわけですね。そしてもうそれは具体的にきまっているわけですね。
  69. 中村大造

    説明員(中村大造君) お答え申し上げます。  五十年の六月までに十四機の導入の計画はきまっておりまして、これを運輸省としても認めておるわけでございます。
  70. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ここが、やはり十四機ジェット化をもう認めているわけでしょう、また運輸大臣通達によって、それをやらなければならないようになっているわけですね。しかしながら、いろいろ全日空、日本航空、東亜国内、私はどこにも利害関係があるわけではないですから、国民の立場から私はもっと安全で、やはり何でもかんでも運賃値上げ的に、ただはっきり航空政策も確立されないままの運賃値上げということに対して、私は強い怒りを持つわけですよ。そういう点から、やはり東亜国内のこの十四機ジェット化を認めた、相当な設備投資をしているわけですよ。七十億の赤字——確かに七十億の赤字かもしれない、表面上は。相当な設備投資をしている。ある意味じゃ無理をしているかもわからぬ。それで運賃値上げという形になってきますとね、じゃあはたしてこの十四機のジェット化がどの幹線をとって、どういうふうに今後の運営体制になっていくのかということは、何らはっきりしないままに運賃値上げだけ認められている。  そうしてそのままうまくいくのかどうか、これはやはり三社でいろんなトラブルが出てくる、あるいはどういう行政指導するのか、これは今後の問題だと思いますけれども、いつごろにそのめどをつけるのか、こういう点はやはり私たちとしても知りたい問題だし、やはり運輸大臣の腹の中ではこの問題にいつ決着をつけるのか。ジェット化は進んでいる、米輸銀からも東亜国内航空は融資を受けるように決定したわけですね、先般。こういう点から考えればもう幹線就航は間違いないという、まあ悪く言えば裏ではもう話し合いができ上がっている、しかしながら、まだ決断はしていないという、こういうことではないかと私は想定せざるを得ないわけですね。こういう点、いつごろまでをめどにしてこの幹線の割り振りというか路線問題は決着をつけるのかどうか、この点について運輸大臣から。
  71. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ジェット機の購入は承認しているわけでございますから、機材が日本に買ってきてから飛行場で雨ざらしになるというようなことは考えられぬことでございますから、それまでにはいろんな点を勘案いたしまして間違いのないような、運航に差しつかえのないような配慮をいたしたいと、決定いたしたいと、かように考える次第でございます。
  72. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運輸大臣大ざっぱなことがわからぬらしいけれども、やはり具体的にもう就航計画という、具体的にジェット計画はもう進んでいるわけですね。この問題の中で、やはり路線の配分問題あるいは騒音問題が、大阪空港の乗り入れの問題が非常に複雑な問題になってくる。こうなったときに、あるいは片やいままでDC8で運んでおったものがトライスターになったり、あるいはジャンボになって、同じ一便でも内容が変わってきているわけです。片っ方はもうDC8でわずか百二、三十人運んでおったのが今度は同じ一便でもトライスターやジャンボを使えば三百五十から四百運ぶわけですね。こうなった場合にはやはり見直ししなければならない問題ではないかと、こういう点を考えるわけですね。それがやはり運航上の問題点あるいは安全上の問題点、いろいろ出てくるんではないかと思うんです。確かに企業間の利害の問題はいろいろあると思うんです。しかし私たち国民の側からすれば、そういう問題もう少し明確にしなきゃならぬのじゃないかと思うんですけれどもいかがですか。
  73. 中村大造

    説明員(中村大造君) 確かに先生おっしゃるとおりでございます。したがいまして私ども今回の運賃値上げですべて問題が解決したというふうにば絶対に思っていないわけでございまして、運営体制の問題は四十七年に通達が出まして以来、これがどのように実行されておるか、あるいは実行されていないか、この点についてやはりわれわれとしては、もちろんその後の情勢の変化もございますけれども、そういうものをにらんでひとつこの方針というものを検討する必要がある、そうしてしかる上において新しい運営体制というものはどうあるべきかという点につきましても、できるだけ早い機会にこれを再検討すると、こういうことではなかろうかというふうに思っているわけでございまして、決して運賃値上げで事足れりというふうに思っておるわけではないことを御了承願いたいと思います。
  74. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ、この問題の最後に運輸大臣、運輸政策審議会ですか、これにこの路線問題を審議してもらうと、運輸省だけではもうこの問題は決定できない、運輸政策審議会等で路線問題を含めたこの問題を検討すると、こういうふうな考え方をちょっと承っているんですけれども、この点についてはいかがですか。
  75. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 四十七年七月一日のこの通達を変えるということになりますと、これは御承知のように四十五年の十一月二十日の閣議了解事項を背景に運輸審議会等の御審議をいただき——運輸審議会のほうが先でございますか、背景に閣議決定をやり、それが大臣通達、こういうふうな順序を踏んできているのでございますから、これを変える場合には、私はやはりいまおっしゃったような審議会の御審議をわずらわすことになると思いますけれども、この通達の範囲内でやる場合にはやりにくいからといって運輸大臣がしり込みして人に責任をなすりつけるようなことはしちゃいかぬと思います。私はやるときにはきちんとしてやります。
  76. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、この問題は運輸大臣が決着をつける、そうして私はこういう問題は早く、この問題はいずれしなければならない問題だと思うのです。このままで過ごしていけばますますどうにもならない日本の航空行政の行き詰まりになってくると思うんです。いわんや安全問題に大きな影響が出てくると思うんですよ。この点についてはやはりいつごろをめどにしてこの問題に決着をつけるのか、運輸大臣、これについての御意見を伺いたい。
  77. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 何月をめどに決定ということでございますが、まあ機材も入ることでございますから、そういうものも考え合わせましてなるたけ早い時期に結末をつけたい、かように考えております。
  78. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間があまりないそうですから、この問題はまた別な機会に具体的に伺いたいと思います。  羽田空港の問題で一、二点伺っておきたいと思うんです。以前からこれは問題になっている点で、御存じのとおりでありますが、この間東京都で調査したいろんな問題点が明るみに出ております。特にこの一つは、羽田空港のC滑走路を使って離着陸する航空機についてモノレール線より陸側を飛行しないようにいろいろ行政指導されているわけです。ところが現実には都でいろいろ調査してみると、行政指導が行なわれているにもかかわらず、実際には問題点が多いということ、こういう点については具体的にどのように運輸省としては認識をされているかどうかです。
  79. 中村大造

    説明員(中村大造君) この羽田の空港につきまして、従来からモノレールの軌道の内側に入らないように、飛行をするについてはいろいろ行政指導をしてきておるわけでございますけれども、最近東京都知事から文書をもって要請がありました中にございますように、一年間に相当な回数の騒音の発生がモノレールの軌道の内部にあったということで、これは相当数の飛行機がやはりモノレールの軌道の中に入っておるケースがある、こういうことでございまして、私どもといたしましても、いろいろな実態把握をいたしておるわけでございますけれども、これ東京都のお示しになった回数が即モノレールの軌道の中に入った回数であるかどうかということは、これは若干疑義があると思いますが、しかし、やはり相当数のものがそういう状態にあるということは認めざるを得ないというふうに思っておるわけでございます。
  80. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 だからこれは東京都が具体的に実態調査したわけですよ。国じゃこういうものは何もないわけですね。皆さん方のほうは行政指導するけれども、具体的に東京都は被害住民の側に立って具体的に調べて、たとえば四十八年中にC滑走路から発着した航空機の約一九・八%、五千四百二十機が違反しているというのです。これは皆さん方は東京都の調査だからと、こう言うかもわかりませんけれども、実際的にそういう実態が出ているわけです。これに対してもっと具体的に運輸省当局として手を打たなければならないのじゃないか。具体的な指導をすべきじゃないか、こう思うんですけれども、この点はいかがですか。
  81. 中村大造

    説明員(中村大造君) 運輸省といたしましては、たとえばB滑走路を延長いたしまして、できる限りその滑走路を利用することによりまして相当数の内陸部の飛行回数を減少させておることは事実でございます。しかしながら先ほど申し上げましたような状況であることは私どもとしても非常に残念なわけでございますが、現在のところ措置いたしておりますことといたしましては、本年の四月二十六日でございますけれども、空港長から各航空会社に要請をいたしまして、これは後ほど飛行場部長から詳細申し上げますけれども、御宿のVORのバックビームを使用いたしまして、それで品川から一定の傾きをとって入りますと正確に滑走路に入るということで、それによって内陸部に入ることを防ぐと、こういう航法をとるようにということを四月二十六日に各航空会社に要請するというふうな措置をとっておるわけでございまして、この点をさらに徹底させるというふうにいたしたいと思っておるわけでございます。
  82. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いまの行政指導程度では現在とあまり変わらないじゃないかと思うんです。もっと具体的にこれをモノレールの内側より飛ばさない方法、あるいは着陸方法の問題にもう少し検討を加えるべき点があるんじゃないかと思うんですが、その点についてはいかがですか。
  83. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘の点は私もよく理解できるわけなんです。またモノレールの内側はたいへんな人家があるわけで、東京都でいろいろ心労を悩ましておられることも痛いほどよくわかるわけです。このC滑走路というのは外国の飛行機も日本の飛行機も使っているわけでございますが、成田をとにかく早く一日でも開港したいというこの念願にいま燃えていろいろ努力しておりますが、これは別におきまして、この国際線の風向きとか天象、気象によりましてなかなか飛行機の操縦が思うようにいかなかったこともあるようでございますし、また徹底してない面もあると思います。したがいまして、この点は東京都からの御指摘を待つまでもなく、いままでも気に病んでおったことでございますが、これを機会になおそれの徹底をはかりたい、かように考えております。
  84. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ時間の問題ですね、午後十一時から翌朝六時までのジェット機の発着禁止の問題ですね、これもやはり東京都の調査においては制限時間内で飛行しているという、こういう問題確かに国際線の問題でいろんな点は私ある、全然無視するわけにはいかない点も中にはあるかと思いますけれども、あまりにも違反機が多過ぎるということですね。これについてやはりもっときびしい処置をとれないものか、この点についていかがですか。
  85. 中村大造

    説明員(中村大造君) 深夜の二十二時から七時まで、これについてやはりできる限り海側に離発着するように、こういう指導は強くしておるわけでございます。何ぶんにもそのときの気象状況等の関係で、これが厳格に守られないということは私どもとしては非常に遺憾であるというふうに思っております。この原則を守るように、さらに具体的な改善策を研究いたしまして善処してまいりたいというふうに思っております。
  86. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 どうも答弁不満なんですけれども、時間がもう二、三分しかありませんので、最後にもう一点だけ運輸大臣に伺っておきたいんですけれども、この羽田空港の補償の問題ですね、航空機騒音防止法に基づいて運輸省から東京都に示された騒音地域の問題ですね、運輸省側では、大体あの地域を六千世帯ぐらいを含めた地域をこの法の適用範囲考えているそうでありますけれども、やはり現地の実態調査をしてみますと、やはり東工事あとを含めたあと千五百世帯ぐらいは実際同じような被害を受けている住民地域であるということです。こういう点をもっと具体的に調査をし、やはりいまの運輸省が指示している地域をもう少し私は拡大しなければ住民は納得できない問題点があるんじゃないかと思うんです。その点についての運輸省の見解を伺っておきたいと思います。
  87. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私に答えろということでございますから、せっかく航空局長が手をあげておられますけれども、私がお答えいたします。  御指摘のように、東京都が申しておるような、そういうようなところにおいて問題があれば東京都と共同してやらせます。このことをお約束いたします。  それから前の二十二時−七時の問題でございますが、これも今後はこれを機会にできるだけの努力を積み重ねてまいりたいと思います。
  88. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一点だけ。  さらに共同をして調査をやるという問題についても、いつも地方自治体だけに負担をかけて、そしてなかなか国側はやらぬというのが実態なんです。たとえば、この拡大する問題についても、いま運輸大臣は拡張を検討するということですから、具体的に共同調査等も、運輸省や国側も積極的に東京都と協力し、費用問題等についても具体的な調査活動を進めてもらいたいと思うのですが、これはよろしいですね。
  89. 中村大造

    説明員(中村大造君) そのとおりに行ないたいというふうに思っております。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 運輸大臣に最初お伺いします。  就任してからもうすでに八カ月もたっているんですね、だいぶ運輸行政にも熟達されたと思うんですが、いま重点的に考えておられるのはどういうことですか。
  91. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 重点的に何を運輸行政で考えているかということでございますが、重点的に考えているのはやはり何といっても安全の問題でございます。それと公共輸送機関をおあずかりするわけでございますから、国民生活をいかに公共輸送機関を監督する立場で守り抜くかというこの二点が私に課せられた一番大きな問題だというふうに心得ております。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは具体的にお聞きしますが、自民党内閣の多年の高度成長政策によって、大都市の過密現象というものはたいへんなことになって、いまやどうにもならぬような都市問題をかかえているのが現状だと思うのですね。その反面に、農山漁村の僻地では過疎現象がますます深化している。それで地域住民がそのために非常に多大の生活上の犠牲を払っているというのが現状だと思うのですね。中でも交通問題は非常に深刻だ。ここに経企庁が昨年五月に発表した山村住民の意向調査というのがありますが、これによるというと、まず住みにくい根拠としてあげているのは交通問題これが二一・四%でこれが最高になっているわけです。さらに五年前と比較して住みにくくなった根拠として、公共交通の回数が非常に減っている、または廃止された、これが二〇・八%を占めています。  この結果どのようなことを希望しているか、希望する施策として、交通問題が二二・五%でこれがやはり最高になっています。運輸行政の立場から考えて、このような調査の結果、これにどのようにこたえる施策を具体的に考えておられるか、この点お聞きしたいと思います。
  93. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) たいへん原則的な問題でございますが、そういうような過疎地帯——過疎地帯ばかりではなく、先ほども申し上げましたように、国民の足というものはもう生活の即実態でございます。この国民生活をどういうふうに守り抜くかということが一番大切な問題であるというのは先ほど申し上げたとおりでございまして、私どもとしましては、これをどういうふうに具体的に個々の問題に対処するかということで、今日までもバスの問題あるいは中小私鉄の問題等いろいろ御質問の過程においてお答えしてまいりましたが、そういうような個々の問題に対処するために、あとう限りの努力を今後も最善の努力をひとつ積み重ねていきたい、かように考える次第でございます。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは具体的に、先ほど目黒委員も質問されたのでありますが、いま五十年度の予算要求の中で地方バス路線維持費補助金の増額というのがなされているわけですね、努力されている。それはその内容だというふうに考えていいですね。いまあなたが努力されるというのは、具体的にその一部として考えていいですね。
  95. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) その中の、多くの中の一つでございます。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 この「補助金交付要綱」というのを見ると、これは第七条で、「補助金対象事業者より路線バス事業合理化計画を提出させる」とあるわけてすね。——そうですね。合理化計画書を出さなければ補助金は出さないということにこれはなるんだろうと思うんですが、これでは、補助金を出すのはいいんだが、これは合理化を推進するための誘い水に使われる、そういう危険はないんですか、どうですか。端的に答えてください。
  97. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) お答え申し上げます。  これは四十七年度に補助金制度を大幅に拡充いたしましたときの考え方といたしまして、全国を八十七のブロックに分けまして、それぞれのブロックの中でできるだけ集約、統合を進めるという方針がございました。その方針にのっとって、これは各社ごと、各地域ごとに、合理化と申しましても中身が違いますけれども、そういう方針に沿ってできるだけ要らない経費を節約していくという意味での計画を出していただく、こういう意味でございます。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、いまの説明ではやはりこれは合理化を推進するということを目標に掲げている。これが前提のようでありますから、その誘い水としてこれは出す。それで地方でもそれにふさわしいような見合うようなものを出して、それで進めるということになるので、この点がやはりこの中では非常に大きな性格になっておる。先ほどの運輸大臣の答弁とこれは少し違ってくるんじゃないですか。ますます合理化を進める、そのためにいろいろなこれは計画書が出されるということになるわけでしょう。だから、バス事業合理化計画書というのを私見たんだが、合理化の具体的内容として、第一にワンマンカー、その次は事業の合理化、第三は車両修繕の外部委託、それから第四は系統の統廃合、第五は運行回数の調整、第六は営業所の統廃合、こういうふうにあげると全部これは合理化計画ですね。この合理化をやらなければ補助金は出さないんだということにこれはなるわけでしょう。この結果は必ず料金の引き上げ、バス労働者の低賃金、首切り、さらに地方バス運営合理化のてことしてこれは作用してくる。さらに事業の一元化、官僚統制化、こういう方向をとっていくというふうにならざるを得ない面が出てくるんじゃないか。  そうすると運輸大臣の先ほどの答弁とは必ずしもそぐわないという事態が起こるわけですね。これは大臣の答弁では、とにかく国民生活を優先する、そうしてことに過疎化の中で苦しんでいる住民の切実な要求である足を保障するんだ、そこに根底を置いているのと、いまの合理化計画というのは必ずしも一致しないという、そういう問題が出てくる。この点についてもっと抜本的な政策をとらざるを得ないんじゃないかというように考えますが、この点はいかがですか。
  99. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私の申し上げました原則は原則としておいておきまして、合理化をやらなければ補助をしないぞということではないであろうと思います。とにかく放漫な経営はごめんだと、できるだけ国民生活にサービスを供給する、できるだけのやはり合理化によって経費の節減をはかってくれという願望でございまして、それがそういう文書になってあらわれておると思います。でございますから、私の考えとそごするものはないと思います。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、いまの発言は非常に重要ですから確認しておきたいと思います。いま言った合理化計画書というものでこれは出してきているわけですね。この計画書にできない、そういう事態もこれは起ってくる。そういう場合に、必ずそれに対して補助金は出さないんではない、そういうふうにこれは解釈できるわけですね。  いまの運輸省に従うということが必ずしも大前提……、これに従わないものは切るんだということではない、補助を出さないんだということではない、こういうふうに考えますというと、これは一応の目安ですか。むろん経費の節約というのはいまの運営状態から見れば必要でありましょう。しかし問題は、地域住民の、ことに過疎地における生活を優先するんだ、そこに大前提を置くということに政治の目標をはっきり置けば、いま言ったようなこういうやり方、きめ方でどんどん出してきて、実際は、運営実態を見るというと合理化というのはどんどん進められます。そうして条件が悪い、こういうことで実際は補助金はだめになる。補助をもらうためにはどうしても首根っこを押えられる、こうならざるを得ない。そうすると、いまの大臣の方針を、局長、どうですか、これはあなたやれますか。いまの方針でやれますか。そのところが問題だ。
  101. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) 基本的な考え方は、大臣がお答え申し上げましたように地域の足を確保するという点にあることは間違いございません。そのために、できるだけ節約はしていこうということでございます。したがいまして、私ども合理化計画を出していただきまして、もちろんそれにのっとってやっていただくことを希望いたしますけれども、地域の状況等によりましてどうしてもその合理化計画どおりにいかないという場合が起きましても、その足を守るために必要であれば補助金を出さざるを得ないというふうに考えて運用しております。したがいまして、目安といいますとちょっとことばがやわらかくなり過ぎますけれども、その会社としての決意と申しますか、そういったものを一応承っていくということで運用いたしております。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 会社の意向もあるだろうけれども、地域住民の世論調査でもやっぱりやるんだね。その上に立ってやるという、そういう前提を置かなきゃならぬ。実際は、いまのような答弁をしておりますが、末端ではそうなっていないというのが実情です。このことは、私たち具体的に知っているから言っているのでありまして、しかし、いまのことばは、あなたたちは、大臣も局長も確認したんですから、これは確認しておきます。これははっきりしておかぬというと困る。今後の行政の中で、われわれが実際現場にタッチして、地域住民の要求を聞いてこれをどう実現するかということですね。実際は反対のことがほとんどだ。一〇〇%反対に行なわれているというのが現状です。実態に合いませんよ。だから、いまのことばというのは非常に重要です。必ずしも合理化の条件に出してこない、計画書は出してきたけれども非常にこれではできない、そういうふうな場合にも補助金を出すんだということは、これは確認しておきます。これは重要ですからね。  具体的にお聞きしましょう。そこで政府の地方バス対策について総合的に聞きたいんですが、まず今年になってから運輸省が認可した運賃値上げ状態を見るというと、平均値上げ率において六五%に近いもの、また五〇%をこえているものが相当数にのぼっています。政府は、このような今回の大幅運賃値上げが妥当なものであるというふうに考えておりますか、どうですか。
  103. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) バス運賃は、原則といたしまして二年に一ぺんずつ見直しをいたしまして適正なコストをまかなうような運賃水準を設定をしておるということできております。そこで、ことしの春以来の各バス事業経費状況を見てみますと、昨年の石油ショック以来、各般の経費の値上がり、これが非常に急激に来ております。したがいまして、その経費増高に応じました運賃体系をいたしませんとバス会社の経営が成り立たないというふうな観点から、私ども経費増高状況を審査いたしまして認可いたした金額でございます。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題やりだすとこれは時間がうんとかかるんですね、兼業の問題どうするかということ、内部保留の問題どうするかと、政治献金をどうするかと、この問題もうみんなからんでいるんです。これをやりだすと三時間も要るんですよ。しかし、もう時間がないんだから、これいまやれないが、具体的にそのために起こっている例をあげましょう。  北海道の道北に朝日町という、人口約四千名の町があります。ここは国鉄の士別駅から約二十キロの地点にあって、士別−朝日町を結ぶ交通に士別軌道という民営バスが通っている。ここで問題になっているのは、朝日町には高校がないために、士別市の高校に通わなければならない。高校生は百五十三名います。ところが来年八月一日からこの運賃値上げされることになった。通学定期についても実に五〇%の値上げになったんです。その額か一これはよく聞いておいてください、運輸大臣、驚くなかれ月に一万四千五百八十円ということになった。一万四千五百八十円。これは暫定で、五十年の二月には一万五千百二十円になるそうであります。こうなると、もう父母負担の能力の限界を越えて、全くとほうにくれているというのが実情です。  調べてみますと、北海道の道立の高校の場合の授業料というのは千二百円かかる。千二百円に対してバス代を十二倍の一万五千円払わなきゃならないと、これが一年間の負担になるととてもたえられたものじゃないと思うわけです。これは一国の文教政策から考えましても、この前、五能線の問題で、私はことしの四月に運輸大臣に、ほんとうに教育の公正化、それから普及、そういう問題を国家の政策の大原則としてお聞きをしたわけで、あの結果が答弁どおり行なわれていないということが訴えられておりますけれども、こういう問題は至るところで発生しておるわけです。そうすると、そういう実態についてもっと調査する必要があると思う。そうしてそれにふさわしいところの具体的な対策を、先ほど最初に私がお聞きしました、ほんとうつ国民生活優先、これに文教政策、これは自民党は大切にされておるそうでありますから、こういう立場からいったら、当然この問題等、対処をしなきゃならぬと思うのですが、これはどういうことになりましょうか。
  105. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) 私もそのような例を一、二伺っておりますのですけれども、これはバス事業のほうの分野ではどうにもならない問題でございまして、バス事業としては、やはり先ほど申し上げましたようなコストの増高に見合った運賃改定をせざるを得ないと、その結果、通学定期がこのようになったわけでありますけれども、文教政策上の問題として、私どもはこういったものはひとつ文教予算から出してほしいと、そうしないと地方のバス会社も、それでなくたって経営が危殆だ瀕しているんで、これ以上、たとえば通学定期の値下げというふうなことにたえられない、すべからくこれは文教予算で出してほしいという要求を文部省のほうにはしているわけでございます。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう言い方をするんだね、あなたたちに聞くと、いつでも、文教のことは文教のほうでと。これはそういうようなことを、もっと総合的にやっぱり交通政策の中でも取り上げて、地域住民のほんとうの利益を守るんだと、ことに子供たちの、日本の未来を背負う子供の教育のために必要なんだということになれば、あなたたちはもっとこれは一歩乗り出して、そうして文部省ともっと協力をして、もっともっと文部大臣のしりをたたくということが必要でしょう、文部省は立ちおくれているからね、だからこういうことは必要だと思います。第一これは調査していますか、私は一例しかあげていないんだ、こんなのは僻地の極端な例ってあんたたちは言うかしらぬけれども、これは至るところで起こっている、各地で。あなたたちの政治の責任ですよ、これは。長年の所得倍増計画が、こういう実態というものを末端でざらに生んでいるんだ。これに対する私は政治的な責任を加えてこの問題と対決をしなけりゃならぬのだと、こう考えているんです。  いまのように、いつでももうセクショナリズムに聞こえるんだね、運輸省運輸省のもう範囲から逸脱しておりますから、これは文部省のほうの予算から出してもらいたいと、これなんだ、少なくとも共同闘争なんかやるという、そういう意向はないんですか、これは。どうです運輸省、自動車局長に聞いたってらちがあきそうでありませんが、運輸大臣、どうですか。
  107. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 一カ月に通学定期が一万四千五百八十円ですか、来年の二月からは一万五千百二十円になると、これはやっぱり——学生割引をしての数字ですかどうか、よくその辺がわかりませんけれども……
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 してです。
  109. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いかにも道立の高校の授業料の千二百円に匹敵して高いと私もそう思います。この通学定期の割引について、文部省と共同闘争をやれということでございますが、こういう実態をお聞きしましたから、文部省にもこのことをお伝えしまして、善処するように要望いたしたいと思います。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはとにかく十分に考慮してほしいと思うので、具体的にそのようにやってほしいんですよ、すぐにまた来月委員会開かれますから、それまでにこれは報告できるよう、少なくとも、いま予算要求の過程ですから、それぐらいのスピードがあっていいと思うんです。  もう一つの問題をお聞きしたいんですが、来年の予算要求の中で、運輸省は乗車密度五人未満の路線に対して、その運行維持のため補助金を出すようにしていますけれども、これはいままでにどうして出さなかったのか、そうして今度出すことになったのでありますが、これはどうしても必要なので恒久化する、そういう考えがあるのですか、どうですか。
  111. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) お答え申し上げます。  四十七年度に現在の制度ができたわけでありますが、そのときには乗車密度五人ないし十五人の路線について補助をしょう、十五人以上乗っている路線はペイするはずであると考えられており、もう一つは、五人以下の路線は少なくともこれは経済政策、交通政策のらち内の問題ではなくて、社会政策的な問題である。したがって交通政策としては、五人未満の路線というものは、少なくとも民営バス事業としては将来整理したほうがいいんだという考え方があったのだろうと思います。そうして、そういったものにつきまして、もしも当該市町村が肩がわりをしようという計画があるならば、それに対しては補助を出そうということであったわけでございますけれども、現実問題といたしましては、先生も御承知のように、五人未満の路線はたくさんございます。そして、これが現に地域の足を確保いたしておりまして、民営会社が経営悪化を理由に廃止しようと思いましても、なかなかそれは地域社会との関係でできないわけであります。  一方そういったことで廃止、整理もできない、また補助も出ないということでございますと、ますます地方のバス会社の経営を圧迫する、そういうことでございますので、これは五十年度の予算考え方の大きな転換でございますけれども、目玉といたしまして、五人未満の路線につきましても、大臣が先ほどお話し申し上げましたような、地域の足を守る、生活優先という立場からこれも取り上げまして補助対象にするという考え方にいたしたわけでございます。もちろんこれは暫定ではございませんで、現在の補助要綱の続く限り、ほかの補助の制度と同じように続けていくつもりでございます。
  112. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記起こして。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなは七月二十六日、バス協会では別なようなことを言っているわけですね、「五人未満の路線については、地方公共団体等に維持させるなど経営合理化を進めるべきであると思う。役所としても、いかにして効率的な経営が維持され、公共の利便に供するかを真剣に考えている」というのが、これは高橋自動車局長のバス協会でのあいさつだ、これはわがほうで持っている。だから、これはもう変えておるんだね、いまの答弁では、明らかに前言から一歩進歩したと、そうして大臣が言われる方向で、あくまで足を確保する、そうしてこれは恒久対策としてやっていくんだと、この点ははっきり確認してようございますね。  さて八十億の予算要求の中で、いまの五人未満というのは加えられたわけですか、この八十億はとにかく全部取る。かりに削減などというようなことが起こるにしても、これは優先的にしますか、五人未満というやつは、この場合どうしますか。これは優先的に取らなきゃならない事態だと思いますが、どうですか。
  115. 高橋壽夫

    説明員(高橋壽夫君) 私どもといたしましては、もちろんそのとおりでございます。ただ従来の補助制度の考え方のかなり大幅な転換でございますので、財政当局との折衝は相当骨が折れると思いますけれども、がんばるつもりでございます。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういうとにかく過疎地域対策緊急措置法というのがあるわけですね。こういう点から考えましても、この法律の精神からいっても、これはどうしても優先的にやらなくちゃならないんだ。一つのこれは目玉だというふうに思いますから、これをやっぱり一つの、額はたいしたことはないようでありますけれども、これをもっと拡大して、さっきの大臣の答弁の精神をもっと大きく前進させるために努力をされるべきだと思いますが、最後に大臣からこの見解を承っておきたい。
  117. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 今後もそういう方向で努力してまいりたいと思います。
  118. 和田春生

    ○和田春生君 私の質問は一点だけですが、原子力船の「むつ」が事故を起こしました。この「むつ」それ自体の問題や政府と事業団の責任、今後の方針等については、いずれ日を改めていろいろとお伺いいたしたいと思います。  ただ、この事件に関する政府の対応策や政府のいろいろな考え方がマスコミを通じて国民にもそれなりに知らされているわけですけれども、陸奥湾の漁民あるいは地元の反応、こういうことは非常に大きくクローズアップをされている反面、「むつ」に乗り組んでいる船員の問題はネグレクトされているというと言い過ぎかもわかりませんけれども、ほとんど忘れられているんではないか。報道を通してみましても、少しばかり、事故に関する説明会で船員の中に不安が広がったというふうなことが出ているわけですけれども、一方、残されている家族の不安というのは非常に深刻なものがありまして、このことについての問い合わせや心配が表明をされているわけであります。  そこで、そういうことを前提にしてお伺いをいたしたいんですが、原子力船事業団の主務大臣は、法律によれば内閣総理大臣と運輸大臣、こういうことになっております。ただ御承知のように総理大臣の権限については、科学技術庁長官にその一部をまかせることができるということになっているわけです。まず第一点は、原子力船「むつ」は船舶法並びに船舶安全法に基づく日本船舶である、こういうことについて変わりないでしょうか。これは船舶局長にお聞きしたいと思います。
  119. 内田守

    説明員(内田守君) 原子力船「むつ」は船舶法に基づく船舶でございます。
  120. 和田春生

    ○和田春生君 そうすると、この「むつ」の船舶所有者は事業団であり、乗り組み員については船員法がそのまま適用されている、この点も間違いないでしょうね。これは船員局長に確かめておきたいと思います。
  121. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 間違いございません。
  122. 和田春生

    ○和田春生君 さて、そういたしますと、船舶に対する指揮命令権は船員法に基づいて船長が持っているわけです。出港して洋上で実験をやっている途中にああいう事故を起こしたんですけれども、この原子力船「むつ」が航海をやり、帰港してくるというまでの船舶における最高の責任者、そしてその指揮命令権は船長が持っていると理解してよろしいか、それを確かめておきたいと思います。
  123. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 先ほど御指摘のようにこの「むつ」の船員につきましては、船員法の適用を受けております。したがいまして、船員法の第七条の規定に基づきまして、船長は船員を指揮監督し、かつ、船員でなくても、船内にある者に対しまして、自己の職務を行なうのに必要な命令をすることができます。したがって、いわゆる船長の指揮命令権は、船員はもとより船に現に乗っております実験員等についても及ぶということでございます。
  124. 和田春生

    ○和田春生君 現在、あの実験のために乗り組んでいる技術者等もおるわけです。今度の事故で臨時に派遣された人は別としまして、この人たちはやはり船舶乗り組み員という形で船員手帳を持って乗っているわけですね。
  125. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 「むつ」の乗り組み員五十八人につきましては、船員法による船員の取り扱いをやっておりまして、船員手帳を交付しております。
  126. 和田春生

    ○和田春生君 そのほかに、今度の事故による臨時の派遣者は別といたしまして、乗っている総数は、今回の出港の際、全部で何人ですか。
  127. 内田守

    説明員(内田守君) 船員を除きまして三十一名でございます。
  128. 和田春生

    ○和田春生君 それは五十八名を除いて、そのほか三十一名。
  129. 内田守

    説明員(内田守君) そのとおりでございます。
  130. 和田春生

    ○和田春生君 トータル八十九名ですか。
  131. 内田守

    説明員(内田守君) 八十九名でございます。
  132. 和田春生

    ○和田春生君 以上を前提にいたしまして大臣にこれは確かめたいんですけれども、いま言ったところで、原子力船といえど「むつ」は船舶である。で、船舶安全法、もちろん船員法も適用されているわけです。現実に、出港してから帰ってくるまでの乗り組み員の安全対策を含めて、現在「むつ」に対する指揮命令は、いまの答弁どおり船長がやっておりますか。それを確かめたいんです。
  133. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私は現場の詳細についてば存じませんけれども、少なくともいま政府委員が御答弁いたしましたような諸規則の上においての責任と申しますか、指揮命令は船長がやっているというふうに心得ておりますが、まあ内容が原子力の問題でございますし、いろいろな御意見と申しますか、船長に対するアドバイスと申しますかそういうものは船内でいろいろ行なわれているんではないかというふうに思いますけれども、あくまでも最終的な責任というものは船長が持っておると、かように考えております。
  134. 和田春生

    ○和田春生君 いまの大臣の答弁を確認いたしておきます。  先ほど来、少し前提で申し上げたんですけれども、主務大臣は運輸大臣。で、事業団が船舶所有者、船長が最高の責任者である。ああいう事件が起きたときに、そうであるならば当然運輸大臣−船長、こういうラインというものが対応策について出てくるはずなんですけれども、何にも出てこない。科学技術庁長官ばっかりがなにかマスコミその他を通じて出ているわけですが、間違いなくやられているでしょうね。もし違っておったらあとで次の機会にその点についてさらに追及いたしますから、はっきりさしておいてください。
  135. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いろんな詳細の報告等について、どういう名前でどういうふうな連絡があったか、私は詳細には承知しておりませんけれども、船長の権限そのものについて、私がここで指揮命令するということではなくて、やはり船長。現場の状況というものについては、私はその詳細を承知してないわけでございます。したがいまして、報告の範囲内においては、やはり私の責任の分担というものは明確になっておりますから、私の責任の範囲内においてば私に責任のあることは、これはもう間違いのないところでございます。
  136. 和田春生

    ○和田春生君 間違いないということでございますから、きょうはそういうふうにしておきますが、どうもあの対応策を見ていますと、船長並びに乗り組み員というのは横っちょのほうに置いてしまっておって、何がどうなっているかよくわからない。かなりたってから説明が行なわれている。送られてきた新聞を見て事の重大さに乗り組み員がびっくりしている。こういう報道が行なわれておりますし、先ほども言ったように、家族の不安というものはたいへんな問題があると思います。きょうは限られた時間の中で基本的な問題だけを質疑いたしますから、このことについて十分運輸大臣は主務大臣として配慮をしておいていただきたいということを注文いたしまして、いまの答弁については再確認をしておきたいと思います。  ところで、そういう形になってまいりますと、いま洋上修理あるいは点検が行なわれているわけでありますが、一方、陸奥湾の地元民は、「むつ」の再入港は絶対反対、阻止すると、こういうふうに言っておりますし、政府与党である自民党県連等もそういう意向であるやに伺っているわけです。あの途中で油が不足して油を補給する問題も起きましたが、今後食糧の問題、乗り組み員の不安の問題、家族の問題船長がどうしても早く帰らなくてはならないというふうに判断をした場合に、どこに持っていって、どこに入れるんでしょうか。その点ちょっとお伺いしたいんです。
  137. 内田守

    説明員(内田守君) 現在ただいまのところ、まだ専門家グループが参りまして測定をやっておりまして、もう数日見通しをつけるまでかかるようでございます。実は三十分ばかり前にもそういう連絡がございまして、したがいまして、その応急修理にしろ、本格的な修理にしろ、その修理をどういうふうにしたらいいかという見通しをつけるには、いま申しましたように時間がちょっと必要でございますので、その見きわめをつけないと、原則的に陸奥へ帰るか、あるいは近くで修繕するかというような問題を具体的に考えなきゃいかぬということでございまして、その報告と並行いたしまして、現在科学技術庁と私どもと、いまの調査結果がわかり次第、どういう対応策をするかということを相談してまいりたいというふうに考えております。
  138. 和田春生

    ○和田春生君 そういう技術的なことじゃなくて、本質的な問題で大臣にこれはざっくばらんにお伺いいたしたいんですけれども、日本の船員はきわめて優秀で責任感があるわけであります。「むつ」の乗り組み員は、これは政府の雇用船員ではなくて、五つほどの船会社から三十数名の船員が派遣という形でいま運航に当たっているわけであります。その会社にも、家族や関連者からも、こういうことでは困るではないかという意見がかなり出ているようなんですが、いつ母港に帰れるかわからない、洋上でさすらいを続けていくと、そういう不安なことでは困るからおろせという問題が出てきたらどうするでしょうか。  さらにもう一つは、そういうことなら、今後もう船員の提供はやめた、乗るほうもこういう不安なことではやっていけないから乗り組みは困ると、こういうような空気が広がってくると、いくら船ができても、これは単に材料のかたまりにすぎないわけなんです。そういう問題が一歩誤ると起こりそうなんです、実を言いますと。そのことは、どうも政府は原子力船とか、地元のことばかり考えているけれども、一番あぶないというか、危険があるというもとには、乗り組み員が、またそれと関連して技術者が乗っている。そういう人の安全というものは二の次、三の次に置いているんではないか、忘れてしまっているんじゃないか、極端に言えば。そういうことに対する不満が非常にいま大きくなってきていると思うんです。そういう点について運輸大臣として今後どういうふうに取り組まれようとするのか、基本的な考えを伺っておきたいと思うんです。
  139. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 船員につきまして、決してないがしろにしておるわけではございません。これは新聞——あの中には報道班員がたしか三名でございますか三社でございますか、よく存じませんけれども、とにかく乗っている。そういうようなところからいろんな情報と申しますか、が出てくるわけでございますが、そういう情報によってこれが報道されるということで、船員の問題についてそういう報道が非常に少ないということは、これは御指摘のとおりかもわかりませんけれども、私どもとしましては、船員の問題というのは、これは船がいかに機械化されようとどうされようと、最後は人間の英知と力によって動かすものでございますから、しかるがゆえに、船員に対する対策全般についても今日までおろそかにしたことはございません。そういうものの中の一つの船でございますから、今後においてもそういう問題については決しておろそかに考えてまいるものじゃございません。  ただ、おろせという議論、話が出たらどうするかということでございますが、私どもはそういう声のなからぬことを期して今後も努力していきたいと思いますし、また今後におきまして、いま船舶局長が御説明申し上げましたように、そう長い期間洋上にさすらうわけでもなかろうと思います。原因究明でございますから、どのくらい時間がかかりますか、結論を出しますまでにはあるいは数日、十数日かかるかもわかりませんけれども、その辺はいま予測をつまびらかにすることはできませんが、とにかく私はこの国家的な一つの事業でございますので、いろいろな試行錯誤もあろうと思います。こういう問題が起きたことはまことに不幸なことで、申しわけないことだと思いますけれども、それに耐えてこの国家的な使命遂行に協力いただけるものだと、またしてもらいたいということをこいねがっておる次第でございます。
  140. 和田春生

    ○和田春生君 そういう大臣のお気持ちは理解できますけれども、私自身もまあ船乗り生活をやっておったのです。船員が安心して航海に従事するというのは、どっかから出て目的の仕事を終わればまた帰ってくる、ちゃんと航海のスケジュールなり目標というものがきまっている、あるいは何か事故が起きたときには、すぐもよりの港なり必要なところに帰って対応策がとれる。これがあるから一生懸命職務に精励をしているわけなんですね。ところが現在の段階では、いま申し上げましたように、政府与党の自民党の青森県連でさえも「むつ」の再入港については反対だというふうに非常に強硬な態度をとっているということを聞いているわけですし、もちろん地元はこれに対して反対であります。反対することがいいことか悪いことかを問うわけではなくて、いまの状況で強行入港ということはなかなかできそうにない。どこに一体「むつ」を持っていくのか、船員の不安は非常に高まってくると思います。まして家族にとってはやりきれないことだと思います。どこへ「むつ」を持っていかれるのでしょうか、そのめどはいつですか。それがはっきりしなければ、ヘリコプターを送ってでも乗り組み員を帰せという問題が起きてきますよ、ほんとうに。  それをただ、がまんせい、がまんせいという精神論だけでは、これはいけません。もちろん日本の船員は先ほど言ったように、責任感旺盛でやるであろうと思いますけれども、それはたとえ一カ月かかろうと二カ月かかろうと、目標がはっきりしておって、だいじょうぶなんだということがわかればいいけれども、へたをすると、どこへも入れてもらえぬし、あのままさすらっていなくちゃいけないという形になれば、応急修理のために行った技術者なんかは帰ればいいけれども、船の乗り組み員は船をほおりっぱなしで帰るわけにはいかない。地元は船を追い出してしまう、入れない、もう原子力船は入ってこないのだから安心だ、それで済むかもわかりませんけれども、乗っている人間はそうはいかないのです。ですから安全と人命というものについて一番重要なことは、その船に乗っている乗り組み員の問題です、原子炉のそばにおって。そういう点について政府はどう考えているのですか。私は単なるおどかしで言っているのではない。このままの状態が続いていって不安が起きてくれば、この問題はきっと起きてくる。その場合に政府の責任はどうするのですか。
  141. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私も長い間の船乗りでございまして、十五の年から十八年ばかりほとんどが船の上で暮らし、先生のお気持ちは私にもよくわかるわけでございます。まあ地元が入れないと言っているのは、やはり原子炉に対する不安があるからだろうと思います。地元の県知事なり、あるいは自民党の人々なり、そのほかの人が言っておりますことは、安全が確保されなければ、それが了承できなければ入港お断わりということのまくらことばがあるわけでございます。  したがいまして、この原子炉がどういうふうな操作によって人体あるいは陸奥湾その他反対している方が納得されるような安全の度合いというものを明確にする必要があろうと思います。その上で故障の究明がなされ、そうしてその究明の上に立って、あるいは湾内か、あるいは湾外のどういうふうな処置をするのかということを決定しようといま鋭意努力をしておる最中でございますから、このことにつきましては私は乗り組んでいらっしゃる船員諸君も了解していただいている、またいただけるものだということを信じておるわけでございます。
  142. 和田春生

    ○和田春生君 いま大臣のお話のとおりやっていただきたいと思いますが、最後に私は注文をつけておきたいと思うんです。どうもいままでの政府の対応姿勢というのを見ていると、原子力船の動力源である原子炉並びにその格納庫、そこへばっかり問題意識がいってしまっている。しかし船を動かすわけですから、原子炉並びに格納庫というのは船舶の一部であって、あくまでこれは船舶としてとらえるべきであるし、それには乗り組み員が乗って運航を続けていかなければならないという問題があるわけであります。計画を全部やめちまうというなら別ですが、巨額の国費をかけているわけですからそうはいかない問題もあると思います。したがって、ぜひこの問題については、先ほど言ったように日本船舶であるわけで主務大臣は運輸大臣であります。やはりそういう面から十分責任ある対応策をとっていただいて、思わざるそういう人間関係のトラブル、あるいは乗り組み員に対して不幸な問題、家族に対して不安を与える、こういうことがないように、これを乗り組み員の乗っている船である、こういう観点から原子力船の問題をぜひ政府としてはお考え願いたい。このことを強く要望いたしまして、それについての大臣の御答弁を求めて私の質問は終わります。
  143. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 最善の努力をいたしまして御指摘の点にこたえたいと思います。
  144. 森中守義

    森中守義君 ちょっと大臣、これからの委員会運営に非常に重大な関係がありますのでお尋ねをしておきますが、五十年度の予算の概計の作業は終了いたしましたか。それが一つと、それから法案は通常国会にどの程度どういうものを予定されるのか、これが二点。それから航空局長は帰りましたけれども、二十九日に日中の第一便が飛びかうようですが、実はせんだって私北京へ行ったんです。いろいろとそういう話もありましたけれども、これは後日に譲りますが、とりあえず外務省でははっきりコメントしておりませんが、上海に領事館を開設をしたい、それがもし実現をすれば当然大阪にも領事館開設になるでありましょうが、まず日本航空の出店は北京だけなのか、あるいは上海にもおつくりになる予定なのか、また中国側はそういう意向をどういったように表明しているのか、この三点についてお尋ねしたいと思います。
  145. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 五十年度の概算につきましては取りまとめができました。まだ多少いろんな詰めなければならぬ問題でございますけれども、おおよその概要というもの、骨格というものはできたわけでございます。大蔵省に提出をいたしております。  それからどういう来年度に法案を予定しているかということでございますが、まだこの点については予算問題等もこれあり、これから先、来年度の予算編成が完了いたしまして予算の裏づけがことしの暮れにたぶんなると思いますけれども、その時点ででき上がるわけでございますが、それでは概略の予定はどうかということだろうと思いますけれども、その点につきましても、まだ定員等について部局の、局を開設しようとは思いませんけれども、部の増設等というようなことも頭の中には描いているわけでございます。こうしますと、どうしても法律が要るわけでございますが、そういうような程度のものでございまして、まだ固まったものが、御報告申し上げるほどのものがないわけでございます。ただ重要な問題としては港湾の五カ年計画はあるいは今年お願いできたらしたいというぐらいの希望を持っている程度でございます。そのほか先ほど申し上げましたような定員の問題等というようなものはこれから先、予算との見合いによって出てくる問題だろうと思います。  それから二十九日の日中間の第一便の問題に関連して、上海に外務省が領事館を置きたいということはいま初めて承知したわけでございますけれども、これと関連ということでもございませんが、日航の事務所をどうするかということでございますが、私その詳細について実はまだ報告を受けておりませんし、その点についてはお答えする用意が実はないわけでございます。しかし上海に日航が寄ることは間違いございませんし、上海からお客さんを運んでくるようになることも間違いないと思います。これが全部代理店業務において行なわれるという点等については日航と中国民航の間に話し合いができていると思いますが、もうすでに決定していると思いますけれども、またその点につきましては後刻御報告申し上げたいと思います。
  146. 森中守義

    森中守義君 この次、少し大臣にお尋ねいたしますので、きょうはそこまで申し上げませんが、まず予算の問題でせんだって来ずいぶん激しく議論をしてきました分担確立の問題、これはきちんと作業をやろうと、こういう実はお答えをもらっているわけです。そこで分担確立というものが五十年度予算にもろに関係してくるでありましょうし、もちろん企画庁のほうで基本計画の見直しをまだ発表いたしませんから、総合交通体系の見直しには容易に踏み込めないだろう、それは私も理解いたします。しかしながら、この際、特に申し上げておきたいのは、今朝来ずっと問題になりました、たとえば航空運賃あるいはトラック、タクシー運賃であるとか、こういう一連の運輸省の認可料金ですね、これはもちろん企画庁あるいは政府一体、ことに閣僚協の問題でもありましょうけれども、どうもやはり全然政策が、どこまでそういう料金問題をとらえていこうとするのか、簡単な言い方をすれば、在来のパターンをずっと繰り返しているにすぎない。かなり高率な申請が出た、それを受けてどこまで制約をするのか、まあいわば認可当局と、申請者の、そしてまた世論を背景にした妥協ということが在来のパターンだと思うのですね。しかもそれは一番問題なのはどうしても受益者負担ということを財政当局が中心になってやっておるということだと思う。そこにやはり助成金だ補助金だということが先ほど来問題になっているわけですから、一体助成金、補助金という原則は何なのか、基準はどうするのか、すべからく受益者負担の原則によってものごとを進めてまいりますと、またこれは来年同じようなことになるのじゃないか、ちっとも進歩がないのですね。  しかもそういうようなことがやはりかなり物価に大きな寄与率を与えるということになるわけですから、まあこの辺が、大臣ひとつ新味を出していこう、物価対策に正面から取り組んでいこう。そのためにはもとより受益者負担及び国庫負担のバランスをどうとっていくのか、しかもそれを進んで制度化の方向にいくようなことを、政策的に考えていく必要が私はあると思う。これが五十年度の予算に直ちに芽をふくかどうかそれはわかりませんけれども、さしずめ物価問題がここまできておりますから、こういうことを考えるならば受益者負担と国庫負担のかね合い、ひいては制度化、こういうことを検討されてしかるべきだと思うわけです。このことはある意味では注文でもありますが、この場における大臣の率直な感懐を承っておきたいと思います。
  147. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 森中先生の昨年来からの御質問にこたえて、私は総合交通体系の見直しというものをいま真剣にやっておりますし、審議会にもそのことをお願いしております。なるたけ早い時期に、この予算に生かしたいと思いましたけれども、なかなか大作業でございますし、思うような結論が出ておりませんが、これは予算に生かすばかりではなくて、今後の政策に十分生かしてまいりたいと思うわけでございます。  なお抜本的な、いま国庫負担の割合、受益者負担の割合というものを、認可料金をかかえている運輸省としてどう考えるか、これはもうたいへん重大な問題であろうと思います。したがいまして、この点についてはいろんな角度から検討はいたしておりますが、明年度これを直ちに政策の上に反映さすというところまで、まだ積み上がっておりません。宿題としてちょうだいして、今後もこういう問題等について十分ひとつ検討してまいりたいと思うのでございます。  まあ、いままでのパターンを繰り返すのかということでございますが、いずれにしても、それぞれの運賃に認可料金とは申しながら、実態の差があるわけでございますから、航空運賃航空運賃なりに、あるいは先ほど来お話がございましたタクシー運賃にいたしましても、あるいはバスの運賃、あるいは船の運賃にいたしましても、単独航路の問題もございます、複数航路の問題もございますし、いろいろな面でそれぞれの実態がございますから、一がいに国庫と受益者をどう締め上げるかという結論にも達しにくいかと思いますが、しかし大まかな、そういうような一つのものの考え方というものは、これは基本的には大切なことであろうと思います。この点につきましても、今後十分検討させていただきたいと思っております。
  148. 森中守義

    森中守義君 たいへん恐縮ですがね、私は単なる国会の中の政府との議論におさまらない。もちろんその改定をされる料金あるいは運賃等がここまでくると、高い安いという議論じゃないんですね。国会でも大体もう尽きましたよ、その高いとか安いとかいう議論は。あとはどうしても方式の問題であるし制度の問題だ。もちろん財源、財政の問題になりましょうけれども、もとよりこれは自然増収というものが毎年相当高額なものとしてあるわけですね。こういうものも財源の一つの重要な課題として一ぺん関係の閣僚で、ことに運輸大臣は認可料金を持つ所管の大臣としまして検討してもらいたいと思いますね。これはきょうあらためた議論じゃないのです。長年ここでそういうことをやってきておりますがね。真剣に大蔵大臣なり、あるいは経企あたりと具体的に相談をしてみたらどうですか。
  149. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 非常に内容も多岐にわたっておりますし、重要な問題でもございますし、いきなり大臣同士の話し合いでこれは方向がきまるというものでも、なかなかむずかしい問題だろうと思いますが、いずれにしましても、そういうような問題等について今後ひとつどういう手だてがいいのか、そういうようなものもあわせて考えまして検討してまいりたい、かように考える次第でございます。     —————————————
  150. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 次に、台風十八号による国鉄被害状況について説明を聴取をいたします。杉浦国有鉄道部長。
  151. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) お手元の資料によりまして、台風十八号による被害状況につきまして御説明をいたします。  一ページの右側に図面がございますけれども、まず台風の進路でございますが、台風十八号は八日の二十時十分ごろ鹿児島県の枕崎市付近に上陸をいたしました。九日の四時ごろに愛媛県の宇和島市の北方に再上陸をいたしました。同日六時に土佐湾で熱帯性低気圧となりました。このために九州の南部が強風圏に巻き込まれ、それから前線の刺激によりまして西日本各地が大雨となりました。  その被害状況を申し上げます。九州、四国、中国、北陸、東北地方二十五線区、六十五区間にわたりまして線路浸水、土砂崩壊等の被害が発生いたしました。詳細は二ページ以下の資料に各線別の内容が出ております。  また、これによりまして脱線等の事故はございませんでしたが、降雨量が増大したために、二十四線区におきまして列車の抑止あるいは徐行運転を行いました。現在の不通線区につきましては日豊、土讃、徳島、奥羽等の九線区が不通になっておりますが、土讃、徳島につきましては被害が大きかったために、現在復旧の見込みが立っておりません。その他の七線区につきましては本十日中に開通の予定になっております。  以上が国鉄被害状況でございますが、参考までに、資料が出ておりませんが、私鉄関係の被害状況を申し上げますと、福岡地方、高松並びに神戸地区におきまして、私鉄合計六社が被害を受けております。それぞれ昨九日中に全線開通をいたしております。  以上でございます。
  152. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 本日はこの程度にし、これにて散会いたします。    午後二時八分散会