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倉成国務大臣 ただいまの御
質問まことにごもっともと思います。私
どもも庶民の
立場からいうと、こういうふうにすれば大体一五%になるんだという的確な資料を示すことが、できればこれは一番いいと思うのですけれ
ども、残念ながらそこまで的確な資料を示すというか、統制
経済をやっているわけではございませんので、なかなかそこはむずかしいと思うのです。物価対策というのは
一つでのきめ手がないわけでございます。公共料金だけで物価を全部押えることができるということになればいいけれ
ども、公共料金の全体に占めておる比重というのは、百分比でしますと、狭義の公共料金で一二%、米やその他を入れますと一八%ということでございますから、波及効果は別ですけれ
ども、なかなかそれだけでもきめ手にならない。したがって、あらゆる
政策を総合的にやっていかなければならないというところに、物価
政策のむずかしさがあろうかと思うわけでございます。
そこで、そういう
政策のかなめになるものは何かということになりますと、第一は、これまでの物価の上昇というのが物不足、超過需要というところにあったかと思うのでありますけれ
ども、その問題はおおむね解決してきた。すなわち、需要を押えてまいりましたから、物の面ではかなり潤沢になってきたということはいえると思います。ただ、コスト面から、やはり人件費が上がったりいろいろな資材が上がったりする面からの上昇の要因が残っておりますし、また潜在需要と申しますか、ちょっとゆるめるとまた需要が急激に伸びてくる。たとえば住宅投資
一つとってみましても、住宅はわれわれはぜひつくらなければいかぬと思うけれ
ども、これが一ぺんに需要として出てくれば、木材とかその他の問題にすぐ響いてくる。そういう潜在需要が非常に強いわけですから、やはり人々の
気持ちの中に、
企業家の
気持ちの中にインフレ心理というのが残っておる。物は先になったら上がりはしないか、そういうことが背景としてあるわけでございます。私は、いまインフレとの戦いで一番大事な問題は、やはり
国民の中に定着しつつあるインフレ心理をどうやって断ち切るかということに、
国民各階各層の理解と協力がなければ、このインフレの問題は解決しないと思っておるわけでございます。そういう
意味で、やはり総需要の抑制
政策ということを、財政金融面からさらに続けていかなければならない、堅持していかなければならない、こういう感じを持っております。これがやはり第一の要件であると思います。
ただ、この総需要抑制
政策で一番私
どもが悩んでおりますのは、やはり繊維産業はじめ中小
企業、下請などに波が非常に強くきておりますので、これらの問題に対してどういうきめこまかい配慮をしていくかというかね合いの問題、ここがこれからの
政策として非常に重要なことではなかろうかと思いますけれ
ども、しかし、基本としては、総需要抑制
政策は堅持していくということを考えております。
それから第二番目は、来年の上期というのが、何と申しましても
日本経済にとって非常に大きな節目になる。まあこの時期に運営を誤り、そして
日本経済が再度インフレを誘発するということになりますと、私はイタリアのような
経済になる可能性があるんじゃないかということを非常に心配しております。そういう
意味から申しましても、先ほ
ども御指摘ございましたように、今年度じゅう郵便料金、麦、塩を据え置くことを昨日の閣議で決定をいたしたような次第でございます。そういう主要な公共料金を抑制し、それから生活必需物資について価格や需給
状態、まあ金子
先生にもいろいろお教えいただきたいと思うのですが、黙っておくと値上がりしそうな品目をずっと
調査をいたしまして、これに対して絶えず監視をしていく、そして先制攻撃をかけていく、そういうことで、いつの間にか値上がりしているということのないようにしていこう、そういうことを第二の柱として考えておるわけでございます。
第三の柱としては、やはり年末年始対策だと思うのでございます。やはり年末になりますと、正月用品を中心に、または年末の商戦ということで、どうしても生活必需物資の需要が大幅に増加する、これを見越して価格が上がってくるということになりますから、どうしてもそういう年末、正月用品の供給を十分確保する。幾らお説教しましても、供給が確保されなければ物の値段は上がるというのが原則でございますから、輸送対策を含めてこれをぜひ確保する。それからまたストライキとかそういうことが起こりますと、これが輸送に非常に大きな影響を及ぼして、物価の値上がりにも響いていくということも考えられますので、これらの問題についてもよく話し合いをして、そういう不幸な事態が起こらないように努力をしていくということで、昨日の閣議で私から、年末年始時における物価対策についてということで、
関係各
省庁と物価担当官
会議でこまかく詰めましたモチ米をはじめ、野菜、くだものや肉、魚、あるいはその他の加工食品についてのこまごましたきめこまかい対策につきまして御報告をいたしまして、これについて
関係各
省庁の御協力をお願いいたしたわけでございます。例年よりもかなり早い時期にこの対策を打ち出して、これらの年末対策に万全を期そうということでございます。これはやはり物価抑制に大きな
役割りを果たすと思うわけでございます。最近の物価の値上がりの半分程度は、こういう生鮮食料品を中心として起こっておるわけでございますから、これを押えていくということが、やはり大事なことではなかろうかと思います。
それからもう
一つは、消費者へ的確な情報をお知らせするということでございまして、これは主婦連その他にもいろいろ御協力をいただいておりますけれ
ども、やはり消費者団体にも御協力いただいて、われわれのほうからも的確な情報を流す、また、そういう身近に生活の実感として感じておられる皆さまからも企画庁のほうにいろいろな情報をいただく、そして両方相まって正確な情報を
国民が
承知をする、そしてむだな、無用な買い急ぎをしたりすることによって価格をつり上げたりすることのないようにしなければならないし、また、国際商品でどうしても輸入価格が上がるというようなものについては、できるだけ消費を合理的に、節約できるものは節約をしていく、そういういろいろな施策を全部ひっくるめて総合的な物価対策というのをやっていかなければならないのじゃなかろうかと思うわけでございまして、これらの点についていろいろ私
ども知恵をしぼっておりますけれ
ども、なかなか思い至らない点が多々あるかと思いますので、私は当物価対策
特別委員会、非常に御経験の深い皆さま方から、こういうことをやったらどうかというようなことを、いろいろ積極的な御提言を賜われば非常に幸いだと思っておるわけでございます。特に、金子
先生には主婦の
立場から、そういう御提案をいただけば幸いと思います。