○高橋
説明員 まあ、いろいろ御批判はいただいておりますが、しかし、それに対して基本的に何か欠けているものがあるんじゃないかと思います。これは私
どもの言い分です。というのは、独禁法というものをほんとうによく理解しているのかどうか、これは疑わしいと思います。そして特に、これは自由主義
経済体制をとっていく上で欠くべからざる
一つのルールなんですね。ほかの全く別な体制を
考えれば別ですけれ
ども、そうでない限り、特に大企業などを中心にはなはだ身がってなことが許されるということはあり得ないわけですね。つまり自由主義といってもそれは放任じゃないのですから、当然そこに
一つのルールがあってしかるべきであると思います。それが当面あまり役に立たない、それから欠陥がある、落ちこぼれがあるというふうな問題に対して、いつまでもそれを放置しておくということは問題である。
とにかく何が欠けているかと申しますと、たとえば大企業を中心とする企業サイドが、
経済観念だけが先行しているのではないか。
経済観念と申しますのは、もっと具体的に言うと自分
たちの利益の擁護であります。そういうことに先に頭がいっちゃっている。そして反対の
ことばを使いますれば社会観念が安易だ。これでいいのかという問題ですね。私は、独禁法はあくまで純粋に
経済政策の中の
一つのあり方だと思いますが、しかし、これからの
わが国のあり方を
考えてみましたときに、いろいろな制約、特にオイルダラー等を中心として、油
そのものよりもドルの偏在からくるところの
成長に対する重大なる制約、これをカルテルで乗り切ろうなんてもってのほかですね。企業の協調でやるということ、企業はそれで存立するかもしれませんけれ
ども、犠牲者がどこかにできるわけです。それは言ってみれば一般
国民であり、一般消費者であるということは目に見えておるわけです。
そういうことから
考えまして、いまの四項目の中には、いずれもそういったものに対して最小限度の法律の体制を整えたいという理念が私
どもにはあるわけです。その理念に対して、ほとんど理解ある見解は表明されておりません。場合によって非常に大まかであり、こういう問題は大事であるから慎重に時間をかけて検討すべきだとか、あるいは法律ができ上がったときの
状態を想定して商法との関連がどうなっておるのだとか、特許権がどうなるんだとかいうふうなたいへん技術的な話、それはむずかしいのじゃないかというふうになっちゃっているのです。こういうことについて私
どもが試案というものを出した意味は、
考え方の基本をそういう
方向で御理解願いたいということでありますから、たいへん大まかになったり、著しく技術的に走ったり、そういう見解では私ははなはだもの足りない。
また、
物価政策に
関係ないじゃないかというふうなことをおっしゃいますが、私ははっきり認めます。これは正直に言って
物価対策ではありません。しかしながら、先ほど午前中にも私は松浦
委員にお答えしましたが、OECDの
理事会決議による勧告がはっきり申しておるわけです。いわゆる
景気循環的なものに対する
政策は
金融や財政で対応するのが当然である、しかし、長期的な観点に立った場合に、独禁
政策の強化とか活用は、そういう
インフレの高進に対して非常に役立つものであるということは否定できないんだ、だから、そういう意味からもこれを強化すべきであるというふうなことを申しておられるわけでして、私もその点については当面の
物価対策ではないと思います。しかし、基本的に、そういう面からもこれは無視のできない問題であろうと思いますので、基本的な理解が十分得られないという点について、私
どももっと努力して御理解を得るようにしていかなければならぬと思います。