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1974-08-28 第73回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十九年七月三十一日(水曜日)
委員長
の指 名で、次の
通り小委員
及び小
委員長
を選任した。 生活
関連
物資等
流通
問題小
委員
加藤
紘一君
加藤
六月君
片岡
清一
君
木部
佳昭
君 羽生田 進君 橋口 隆君
吉永
治市君
井岡
大治
君 中村 茂君
松浦
利尚
君 野間 友一君
石田幸四郎
君
和田
耕作
君 生活
関連
物資等
流通
問題小
委員長
木部
佳昭
君 ————————
—————————————
昭和
四十九年八月二十八日(水曜日) 午前十時三十八分
開議
出席委員
委員長
平林
剛君
理事
稲村 利幸君
理事
加藤
六月君
理事
木部
佳昭
君
理事
井岡
大治
君
理事
松浦
利尚
君
愛野興一郎
君
片岡
清一
君 三塚 博君 山本 幸雄君
吉永
治市君 山中 吾郎君 小林 政子君 有島 重武君
石田幸四郎
君
和田
耕作
君
出席国務大臣
通商産業大臣
中曽根康弘
君 国 務 大 臣 (
経済企画庁長
官)
内田
常雄君
委員外
の
出席者
公正取引委員会
委員長
高橋
俊英君
経済企画政務次
官 竹内 黎一君
経済企画庁調整
局長
青木 慎三君
経済企画庁国民
生活局長
岩田
幸基
君
経済企画庁物価
局長
喜多村治雄
君
大蔵大臣官房審
議官
後藤
達太
君
大蔵省主計局調
査課長 垂水 公正君
大蔵省銀行局長
高橋
英明君
食糧庁長官
三善 信二君
食糧庁次長
下浦 静平君
通商産業政務次
官 森下
元晴
君
通商産業審議官
天谷 直弘君
資源エネルギー
庁長官
増田 実君
資源エネルギー
庁石油部長
左近友三郎
君
資源エネルギー
庁石油部精製流
通課長
松村 克之君
資源エネルギー
庁公益事業部長
大永 勇作君
中小企業庁計画
部金融課長
若杉 和夫君
物価問題等
に関 する
特別委員会
調査室長
芦田 茂男君
—————————————
七月三十一日 一、
総合商社
の
事業活動
の
規制
に関する
法律案
(
松浦利尚
君外四名提出、第七十二回
国会衆
法第二九号) 二、
物価問題等
に関する件 の閉会中審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
物価問題等
に関する件 ————◇—————
平林剛
1
○
平林委員長
これより
会議
を開きます。
物価問題等
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
内田経済企画庁長官
から最近における
物価動向
について
説明
を求めます。
内田経済企画庁長官
。
内田常雄
2
○
内田国務大臣
ごあいさつを兼ねまして、最近の
物価
の
動向
につきまして若干申し述べさせていただきたいと存じます。 申すまでもなく、わが国の
物価
は、昨年
昭和
四十八年の春ごろからかなり目立った
上昇線
をたどっておりましたが、それが昨年暮れに近く、例の
石油ショック
に
関連
をいたしまして、異常な
上昇
をいたしました。 私が強く記憶をいたしておりますところでも、昨年の十二月には一カ
月間
で
卸売り物価
が七・一%
上昇
し、また越えて本年の一月になりましても
卸売り物価
は対
前月
五・五%一カ月で
上昇
、二月に入りましてもなおその
上昇率
はあまり衰えずに、三%をこえるような一
月間
の
上昇
を続けておりました。
消費者物価
につきましても、おおむね同じような
上昇
の過程を四十八年度中続けてまいりまして、暮れに至りまして若干
卸売り物価
の
上昇幅
よりも下回りましたけれ
ども
、それでもやはり昨年の十一月、十二月、本年の一月、二月当時の
消費者物価
の一カ
月間
の
上昇率
というものは、三・六%あるいは四・四%、あるいはことしの一月のころでも、一
月間消費者物価
三・四%というような
上昇
を続けてまいりました。 かくして、
昭和
四十八年度、すなわちことしに入りました三月、四十八年度の終わり三月ぐらいを、一年前の昨年の三月ぐらいの
物価
、前年同月というような比較をいたしてみますると、
卸売り物価
は三五%内外の
上昇
の
足取り
をその一年間で示し、また
消費者物価
も二四%ぐらいの
足取り
を示してまいりまして、私
ども
は一時これらを
狂乱物価
というような
ことば
をもって表現をいたしてまいりましたことも御
承知
のとおりでございます。 こうした
状況
に対応いたしまして、
政府
におきましては、すでに昨年の一月ごろから
金融引き締め
とかあるいはまた総
需要
の
抑制
の
政策
に
着手
をいたしたことも御
承知
のとおりでございまして、すなわち、昨年の一月には
市中銀行等
の
日本銀行
に対する
預金準備率
の
引き上げ
をまず行ないまして、続いてまた四月には、それまで比較的低かった
日本銀行
の
公定歩合
というようなものも
引き上げ
に
着手
をいたしまして、それぞれ昨年一年間に
預金準備率
の
引き上げ
、あるいはまた
公定歩合
の
引き上げ
を数回続けざまに行ないました。 これらの
状況
につきましては、従来しばしば申し述べたとおりでございますが、昨年の初めごろの
日本銀行
の
公定歩合
というものは、たとえば年率四分二厘五毛ぐらいであったと思いますけれ
ども
、それを昨年の十二月には九分まで
引き上げ
ておりまして、今日なお
日本銀行
の
公定歩合
九分という、かつてない高率が続いておるわけでございます。 そうした
金利政策
ばかりでなしに、いわゆる
日本銀行
の
融資規制
とか
窓口規制
とかいうような
手段
をもちまして
金融
の
引き締め
を行ないますとともに、
政府
の
財政支出
などにつきましても、
公共事業
の
予算成立
にもかかわらず、契約の後期への繰り延べ、あるいはまた
民間企業等
の
設備投資
の
抑制
でありますとか、あるいは
建築投資
さえも
抑制
するこういうような
手段
を続け、昨年の暮れにおきましては、
皆さま方
の非常な御
協力
のもとに、いわゆる
個別物資対策
としての
国民生活安定緊急措置法
による
標準価格
の
制度
、さらに越えて本年に至りましては、
石油価格
の
改定
に伴いまして、これは
法律措置
ではございませんけれ
ども
、
行政
上の強力な
措置
として、
石油
の各
製品価格
をはじめ、それらに
関連
すると考えられる
基礎資材
あるいはまた
国民生活重要物資等
五十九品目にわたりまして、
ことば
は悪うございますけれ
ども
、いわゆる
凍結価格制度
と申しますか、あるいは
価格引き上げ
の
主管官庁
による
事前承認制
というような
個別物資対策
もやってまいりましたことも御
承知
のとおりでございます。さらにまた、
末端百貨店
やスーパーマーケットで販売をされる数百の
日用生活品等
につきましても、いまの
凍結価格制度
に準ずるような、これはソフトな
制度
ではございますけれ
ども
、そうした
個別価格抑制対策等
もしいてまいりました。 これらの効果がおおむねあがってまいりましたこともすでにこれまで申し述べたとおりでありまして、
卸売り物価
、
消費者物価
ともことしの三月ごろから非常に目立った
上昇率
の
低下
、
上昇
はいたしましたけれ
ども
、その
上昇
の幅というものは一月一%を割り込むような月が三月以降続いてまいりました。その間、いろんな
天候
の
不順
の問題でありますとか、ある特殊の
物資等
につきましての
値上げ等
がありました
影響
を受けました月には、一、二カ月、一%をこえるような
上昇率
を示した月も今日までございましたけれ
ども
、しかし全体といたしましては、いま申しますように四十九年度に入りましてから
物価上昇
の
足取り
は
鎮静
をしてまいりましたことは、昨年と全く面目を異にいたしてまいっておるわけでございます。 私
ども
はこうした
状況
を何とか本
年度一ぱい定着
をさせまして、いわゆる
物価
の安定という目的を少しでも早く達成いたしたいと考えておるわけでございますけれ
ども
、しかしこれはしばしば指摘をされますように、これまで無理に押え込んでまいりましたような
公共料金
の
改定
も、どうしてもやらなければならないものもございます。申すまでもなく、ことしの四月に予定されておりました
国鉄料金
の
引き上げ
でございますとか、あるいはまた
消費者米価
の
改定
というようなものもすでにぎりぎりの限界に達しておりますので、この秋の間には
引き上げ
をしなければならない
事態
になっておりまするし、また、いろいろの分野におきまして類似のぎりぎりの
引き上げ等
も行なうこと等も考えますときには、
物価
が今後に及んできょうの
水準
でそのままくぎづけで並行になるとか、あるいは
下降線
をたどるというようなことには、いまの
段階
では私は至るまいと思いますけれ
ども
、それにいたしましても、年間の
上昇率
というようなものは昨年に比べて面目を一新する程度におさめてまいりたい、おさめなければならないと考えるわけでございます。 こうした中におきまして、御
承知
のようにいわゆる
個別物資
に対する
価格対策
というものは、これがまた一利一害の面も出てまいりました。総
需要
の
抑制
、
金融引き締め等
が非常にきいてまいりまして、
需要
と
供給
との関係が非常に接近をいたしまして、昨年の暮れにおける
需要
の
成長率
が
供給
の
成長率
をはるかに越える、つまり需給間に大きなギャップが生ずるというような
事態
が反対になりまして、物によりましては、
金融引き締め
、総
需要抑制
のために、
供給
はありましてもなかなか物が売れない。したがって、国の
個別物資対策
における法律的あるいは
行政措置
をもってきめられた
価格
にまで達しないというような
事態
も物によってはあらわれてまいりまして、したがって、こうした
個別物資対策
を続けることが、物によっては、
状況
によっては
物価
の下ざさえになるというような
事態
も生じてまいっておりますので、御
承知
のようにこれらの
個別物資対策
につきましては、あるものはその仕組みを一時はずしてまいるというようなことをやってまいりまして、その間、一方、
供給
と
需要
の
調整
をとってまいるというようなことも、最近は私
ども
の
施策
として続けておるわけでございます。 しかし、今後
物価
問題は、いま申しますように非常に
鎮静化
の方向はとりますけれ
ども
、私はこれで済んだと思いません。むしろ
物価政策
の方法とかあるいは
物価対策
の
構造
とかいうようなものにつきまして、より広い視野からいろいろな
施策
を展開してまいらなければならないと考えるものでございます。 たとえば
流通
の問題というようなものは、
物価
問題に対して今日まで一番大きなネックであったと思われますので、各省庁とも
協力
をいたしまして、
国民生活関連物資等
の
流通機構
の整備と申しますか、
合理化
と申しますか、
能率化
と申しますか、そういうことにもきびしいメスを入れてまいりたいと考えておりまするし、また、
個別対策
から手を引きます以上は、今度は、それらの
物資
を
供給
したり販売したりする業者が、いわゆる
共同行為等
によって、下がるべきものをこれを硬直させて、そして
価格
の形成についての
自由主義
のメカニズムを停止するというようなことにつきましては、これはさらに一そう
公正取引委員会等
とも
協力
して所要の
措置
をとるべきものであると考えまするし、その他一々申し述べませんけれ
ども
、また思いを新たにいたしまして
物価
の安定の
施策
に取り組んでまいりたい考えでございます。 ただ、最後に申し上げたい
ことば
、最近総
需要
の
抑制
とか
金融引き締め等
、
物価対策
が非常にきいてまいりましたために、
物価
の問題も非常に大切であるけれ
ども
、同時に
経済そのもの
が動かなくなってきておる、別の
ことば
で申しますと、
景気
が非常に沈滞をしてきているというような
状況
も、現実のいろいろな
指標
の中にあらわれております。
鉱工業生産
の
生産指数
がマイナスになったり、あるいはまたそれらの
企業
の
製品在庫
が著しく増加をしたり、あるいはまた
消費
のための出荷というものが著しく衰えてまいったり、また
企業そのもの
につきましても、
金融引き締め等
によりまして
手元流動性
というものが非常に小さくなりまして、いままでと全くその辺に様変わりもある。こうした
影響
が、
中小企業
でありますとかあるいは特殊の一部の業界に非常に大きな
影響
をあらわしつつあると思われるものも出ております。 さらにまた、これが
雇用
などの面におきましても、
所定外労働
時間が
減少
をいたしたり、したがって
賃金
総
収入
というものが、
ベースアップ等
がございましても、その
所定外収入
の
減少
というものもあわせて考えなければならないような
事態
もあるし、また、いわゆる
有効求人倍率
という
指標
にあらわされているところによりましても、
求人
とそれから
就職率
との
割合
が、いままでのように非常に
就職率
が
求人率
よりも高いような
割合
を示している
状況
ではない、
有効求人倍率
が小さくなってきておる。まだ顕在的な
失業者
が生ずるというところにまでは至っておりませんけれ
ども
、
有効求人倍率
が
低下
をしておりますことは、これらの
雇用
問題、ことに来年など、新しく学校を卒業して
就職戦線
に立つ
人々
の、それらの
人々
の
就職
とか
雇用
とかということも考えなければならない面が出てまいりまして、それらの
状況
を反映をいたしまして、総
需要
の
抑制緩和
とかあるいは
金融引き締め
の
緩和
を求める声もちらちら出てまいっておりますことも御
承知
のとおりであります。 しかし、これら総
需要
の
抑制
、
金融引き締め
と
物価
の問題あるいは
景気
、
雇用
の
問題等
は、それぞれ相矛盾する
経済
の一つの
要素
でございまして、したがってこの両全を期することはなかなかむずかしい面がございます。しかし、私は
物価政策
を放棄するつもりは全くございません。したがって、総
需要
の
抑制
とか
金融引き締め
を、その
ワク組み
を
緩和
する
ことば
適当ではないと考えますけれ
ども
、まあたとえて申すと、
平面交錯
におけるこれらの
物価対策
とあるいは
景気
、
雇用対策
というものは衝突をいたしますけれ
ども
、私は最近しばしば述べておるわけでありますが、
立体構造
の
総合交通政策
を一つ考える場合にこれを擬しまして、
平面交通
、その上の
高速交通
あるいは地下の地下鉄あるいは横っちょにモノレールをくっつけるという
総合交通政策
もあり得るわけであります。飛行機もあれば、また
海上フェリー輸送
というようなものも考えられておるわけでありますけれ
ども
、たとえばそれのごとく、いま申しますような矛盾する幾つかのファクターを、
立体構造
のもとに、
日本
の
経済
としても
国民生活
としても、また将来人口がふえてまいりますけれ
ども
、将来の
社会福祉
の
充実等
の面におきましても、それらが
物価政策一本やり
のためにすべて行き詰まりにならないようなことも、
立体構造
のもとに、またいまの
物価対策
の
ワク組み
の中において考えねばならないことを実は私は思っておるわけであります。これはいま直ちにどうこうするということはここで申し上げませんけれ
ども
、それらのことも、私は
経済企画庁
の仕事を担当するものといたしまして思っておりますことをここに申し上げる次第でございます。 以上、長々と申し述べましたけれ
ども
、
物価
の
課題
あるいはまた現在のもろもろの
経済
の
課題
、むずかしい面がございましてなかなか容易なものではございませんので、当
委員会
の各位からいろいろまた御教導やら御
協力
をいただきまして、その任務を果たしてまいりたいと思う次第でございます。ありがとうございました。
平林剛
3
○
平林委員長
引き続き、
物価局長
から
説明
を求めます。
喜多村物価局長
。
喜多村治雄
4
○
喜多村説明員
物価局長
でございます。 ただいま
大臣
から、最近の
物価動向
につきまして、
数字
を交えながら非常に詳しい御
説明
がございましたので、私からは、
先生方
にお配り申し上げました
資料
で
計数
的に
トレース
していただきますために、若干の
補足説明
をさしていただきたいと存じます。 お配りいたしましたものはきわめて簡単な二枚のペーパーでございまして、一枚目は
消費者物価指数
の
推移
でございますし、第二枚目は
卸売り物価指数
の
推移
となっております。この
資料
の
ていさい
は
消費者物価指数
、
卸売り物価指数
ともに同じでございまして、左側に
グラフ
、右側に表ということで、上の
グラフ
及び表は四十五年を一〇〇にいたしましたときの
計数
でございますし、下に述べておりますのは前年同月比ないしは
前月比——
これは表の中で
カッコ
として出されておりますが、
前月比
を掲示いたしております。 そこで、まず
消費者物価指数
の
推移
につきまして簡単に申し述べさしていただきます。 お
手元
でごらんいただきますように、四十五年を一〇〇といたしました
計数
は左の
グラフ
のように
推移
いたしておりまして、右の表で見ていただきますと、六月が
総合
で一五二・〇、七月は、これは
東京
の
速報
でございますけれ
ども
、一五五・三という高さにございます。 下の段の表でごらんいただきますように、
カッコ
の外にありますものは前年の同月比であります。前の年の同じ月に比べてどうかという高さでございまして、
カッコ
の中は前の月に比べてどのくらい伸びたのかということでございますが、
カッコ
の中をまず先にごらんいただきますと、
石油問題発生
当時の昨年十二月から今年二月の間は、
前月比
で、先ほど
大臣
のお話もございましたように三%をこえるというような異常な
上昇
を示したのでございます。ところが、三月に入りますと
前月比
は〇・七%というような
上昇
にとどまったのでございますし、四月は二・七%と若干反騰いたしております。これは
天候不順等
によります
野菜
の大幅な
上昇
、これは
寄与度
が大体一・〇ぐらいでございますが、あるいは
年度がわり
に伴います
教育費
の
上昇
、これも
寄与度
で申しますと〇・七ぐらいでございますが、そういうことがございまして、一時的、季節的な要因がこの四月に重なったということもございまして、これらを勘案いたしますと、
前月
三月の
基調
には変化がなかったと私
ども
は考えております。五月は〇・三というようなことでございますし、六月は〇・五と、ほぼ平穏に
推移
いたしました。なお七月は、これは
東京
の
速報
でございます。これは二・二ということになっておりますが、この二・二といいますのは、御
承知
のような七月の長雨、台風の
影響
によります
野菜
、
生鮮食料品
の急騰及び
新聞等
の
値上げ
がございましてそういう
計数
になったわけでございますが、これは
東京
の事情が入っておりますので、
全国値
が発表されます
段階
では、この二・二よりも低いものになろうかと思うのでございます。 以上のようなことでございますので、大体
狂乱物価
といわれたような時期からは脱したということではございますけれ
ども
、先ほどの高さで見ていただきました、上の表で見ていただきましたようなこととか、あるいは
カッコ
の外側で見ていただきますような対前年同月比が、本年に入りましてから二%以上をこえておるという高さにありますこと、それからその
右欄
にあります
季節商品
を除きました
商品
がございますけれ
ども
、そういったものが一月以降相変わらず一・何%という高い
上昇
にありますこと、このことは非常に注目すべきことでございますので、なおなおまだ
上昇圧力
が強いと申さなければならないと思うのでございます。 以上が
消費者物価指数
の
トレース
でございます。 二番目は、
卸売り物価指数
の
動向
でございます。 これも
消費者物価指数
で申し上げましたような
ていさい
になっておりますが、
グラフ
でごらんいただきますように、
昭和
四十七年の秋ごろまでは、四十五年を一〇〇といたしました
水準
の下にずっとございました。それが秋以来急激に上がってまいりまして、さらに昨年の十月には、
石油
問題の
発生
当時から急速にこれが騰勢を強めたということは御
承知
のとおりでございます。 しかし、本年の二月以降の
トレース
を見ていただくわけでございますが、本年二月には、下の(参考2)の
カッコ
の中を見ていただきますと、
前月比
で、本年二月中旬に、ちょっとこれは中旬の
数字
は、ございませんけれ
ども
、中旬に
前月比
が大体持ち合いを示しまして、以来、ごらんいただきますように、三月が〇・七、四月がこれまた〇・七、五月が〇・六と、比較的
鎮静
に
推移
いたしました。六月は一・三ということになっておりますが、これは
電力料金
の
引き上げ
がございまして、その
影響
が非常に強うございます。しかしこれは上旬の話でございまして、中、下旬はやはり低位に
推移
いたしましたということもあって、一・三というもので六月は
推移
いたしました。七月はこれまた一・一ということでやや続騰した形でございますが、
国内向け
及び
輸出向け
の
鉄鋼価格
が大幅に上がりましたこと、あるいは
円レート
の安によりますところの
石油
、石炭の
上昇
もございまして一・一ということになったものの、全体の
基調
といたしましては、先ほど
大臣
がお述べになりましたような
狂乱
時期に比べて非常に落ちついているということでございます。しかしながら、CPIでごらんいただきましたと同じような意味で、
カッコ
の外で見ていただきますと、前年同月比がございますが、これも相変わらず本年に入りまして三〇%以上の高さにあるということもございますし、なおなお今後警戒を要するものでございます。 以上、要しますと、先ほど
大臣
からお述べになりましたことと同じになるわけでございますが、最近の
物価動向
はこのところやや落ちついた動きを示しておるということでございますものの、
卸売り物価
には、今後
輸入価格
の
上昇
ということもございましょうし、それから
賃金
その他の
コスト面
の
上昇圧力
というものもございますので、こういうものの
卸売り物価
の
上昇
にはなお底がたいものがあると考えられますし、
消費者物価
につきましては、
賃金コスト
の
上昇
とか、あるいは
消費需要
の
回復いかん
によりましては、なお先行き楽観できないという情勢にございます。 以上、簡単に
資料
の
説明
をさせていただきました。ありがとうございました。
—————————————
平林剛
5
○
平林委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
片岡清一
君。
片岡清一
6
○
片岡委員
私は、
通産大臣
がおいでになっておりますので、
通産大臣
に対して、一、二の問題について御質問申し上げたいと存じます。 ただいま
経済企画庁長官
並びに
物価局長
から御
説明
がございましたように、去年の秋からことしの春にかけてのいわゆる
狂乱物価
はようやくおさまりを見せてきた、こういうことで、これはまことにけっこうなことでございます。そうして
消費者物価指数
も、また
卸売り物価指数
も、四、五、六と、ようやく
鎮静
の度合いを見せてきたことがはっきり
数字
の上に出ておるのでございますけれ
ども
、しかし、この七月になって、
東京
の
消費者物価
でございますが、二・二という、一時の三・五、四・四というものに比べたらこれはまだ小
さい
ものでございますが、かなり急に大きく上がったという
状況
でございます。 ことにこれから心配になりますのは、秋口からいわゆる
消費者米価
の問題、あるいは
国鉄
の運賃の
値上げ等
、その他プロパンガス、あるいは先般
東京
瓦斯の四六・八五という相当大幅の
値上げ
が認可せられたのでございまして、引き続いて、おそらく
中小
諸都市のガスの
値上げ
も続いてくることと思います。そうしますと、相当家庭の経費に響くものが非常に多うございます。そういう状態から、これからさらに、いまの御
説明
にもありましたように、
値上げムード
というものがやはり出てこないとも限らないと存ずるのでございます。 そういう点で、この
物価
問題は非常にまだ不安定な
要素
を大きく持っておるというふうに思うのでございまして、一連のいわゆる新しい
価格体系
というものができ上がるまでには、相当紆余曲折があるだろうと思うのでございます。 そういう状態にあるにかかわりませず、通産省としては、最近、生活
関連
物資
の
基礎資材
等については五十九品目の
価格
制限をしておられたのを、ほとんど大部分はずしていく、若干残るようでございますが、はずしていくという
状況
であり、ことに最近、ことしの三月から続けられておりましたいわゆるデパートやあるいはスーパーにおける日常
商品
の
価格
の凍結といったようなものを、九月からほとんど全部はずしてしまう、こういう御方針が打ち出されておるのでございますが、私はこういうことで何か非常に不安な感じを持つのでございます。国民も、やや
物価
が下がった、まあ下がったといいますか、落ちついたということは感じてはおりますが、さっき申しましたような一連の秋口の
公共料金
等の問題から、非常に不安を私はまだ抱いておると思いますので、何か少しそういう
措置
をとられるのが早いような気がいたすのでございますが、
通産大臣
は、この
物価
問題についてどういうお見通しをお持ちになってそういう
施策
をおとりになりましたのか、その点お伺いしたいと存じます。
中曽根康弘
7
○中曽根国務
大臣
物価
の情勢がまだ予断を許さない情勢にあることは、私も同感でございます。 ただ、この時点におきまして、
日本
の
経済
政策
をどういうふうにしたらいいかという点を考えますと、二、三月ごろとたいへん様相が変わってきたように思います。たとえば
製品在庫
指数等を見ますと、一、二月ごろは八〇%台に落ちておったのが、最近は一二〇%台に上がってまいりまして、在庫が非常にふえてきておる。そのほか、たとえば一番原料で問題になった
石油
等を見ますと、昨年の九月がストックが五十九日分でありまして、三月が一番最低で四十九日分に下がりました。それが八月末には七十日分に近づく、こういうわけで、わりあいにそういう原料やあるいは製品は豊富になってきたわけでございます。ことしの一、二月、三月ごろは、いわゆる思惑的な仮
需要
もかなりありまして、
物価
が需給関係から上がってきた面がかなりございます。しかもそれは心理的
要素
が多いわけです。ところが、最近はそういうことよりも、電力代あるいは
石油
代の値上がりあるいは
ベースアップ等
からくるコストプッシュの方向に原因は移行しつつあります。 そういう面からいたしまして、この際、かなり
物資
が豊富になってきておるものは、
行政
指導
価格
あるいは
標準価格
というような形あるいは事前了承制というような形にしておきますと、
物資
が豊富になったにかかわらず、その
価格
はむしろ値を下げるのを下ざさえしているような現象が出てきております。あるいはそういう口実を与える現象が出てきております。しかし、いろいろ原価計算的に見ますと、労賃が非常に上がったとかいろいろな交通費が上がるとかという理由で、いままでの事前了承制に対して
価格
の
引き上げ
を要請してくる向きがかなり出てきております。そういう
事態
から考えてみますと、一面において品物を非常に豊富にしてきたということ、あるいはデパートの売れ行きが非常に落ちてきている、一面においては総
需要
引き締め
ということがかなりきいてきまして、国民の皆さんも節約という気がまえになってきてくださっておる、そういう情勢から見ると、もはや必要ないと思われる
物資
についてはこれを解除して、そして市場機能にゆだねたほうが、結局は
消費
者の利益になるであろう、そういうような判断をもちまして、そういうものに適切な
物資
と思われるものは解除しておる。これはやはり
消費
者の利益のためになるし、業者が値をささえていく口実を失わさせる、そういうことで出てきておるわけであります。 なるほど物によっては一時少し小刻みに上がるという危険性のあるものもありますが、これもやはり
需要
者のほうの選択眼が強くなり、あるいは
企業
間のネゴシエーションにおいてなかなか
値上げ
を認めない、そういう
物資
もかなり出てまいります。なぜならば、最終末端の
需要
が非常に減っておりますから、値を上げられたのでは自分のほうの商売ができない。そういういわゆる市場の自動調節機能のほうにゆだねる。それがわれわれが本旨としている自由
経済
に近いし、それで公正競争、自由競争というものを徹底的に保障してやるようにすればむしろ値下がりの傾向に行くし、
経済
は自然に機能していく、こういう考えをもちまして一、二月とは違った情勢に対して対処しているわけであります。
片岡清一
8
○
片岡委員
ただいまの
通産大臣
の、最近の物の需給関係の実情から大体心配がない、むしろ下ざさえになることの心配が持たれるから、むしろ自然の
経済
の流れにまつというその御信念に対しては、私もそういうことであるべきかと存じます。 ただしかし、富山で最近、通産省がいままで御指導になっておりました生活必需
物資
の凍結解除について、その反応が若干まちまちのところがございます。それは、百貨店等ではいわゆる
企業
責任といったような立場から、依然として凍結をしばらく続けていくという状態になっておりますが、スーパーにおいては、何か高値安定というふうに勘ぐられると困るから、これはすなおに受け入れて凍結を解除していく方針だということが新聞紙上に見えております。私は、これがどういう、百貨店とスーパーとの本質的な差からそういう受け方が違うものかどうか存じませんが、こういうふうに反応がまちまちであるということが、何かやはりそこにすっきりしないものがあるようにも思われるのでありますが、万一この凍結を解かれた結果、再び生活心需品が、物が隠されてそして値上がりをするということになったら、それに対してどういう
措置
をな
さい
ますか。
標準価格
等をきめて指導されるか、取り締まっていかれるか、あるいは
行政措置
によってさらに
措置
を講ぜられるか、そういう点についてちょっと不安があるのですが、この問題について……。
中曽根康弘
9
○中曽根国務
大臣
大型店舗に対しましては、この春、三月十五日、
石油
の
値上げ
をやりましたときに、約四百数十社に私から直接社長に手紙を出しまして、おたくのこれこれの品物については値を上げないでくだ
さい
、そしてその了承を求めて返事をいただいておるわけです。 しかし、最近の情勢を見ますと、繊維製品そのほかをはじめとしてかなり荷物がだぶついてきて、それがまた下ざさえになってくるという危険性もございます。デパートの売れ行きは非常に落ちております。そういう情勢から見まして、むしろこれははずしたほうがよろしい。ただし、それを口実にして上げられては困りますから、大型店舗に対しては依然として自粛を要請しておるわけです。それで通産省の
物価
監視員等を動員しまして、その実施
状況
がどういう
状況
であるか、われわれは厳重に監視するつもりでおります。九月一日から一応解除する予定でおりますけれ
ども
、そういう手はずを整えておりますが、私は
経済
全般の情勢を見ますと、これはやはり解除して業者の自粛を求める、そして自動調節作用によれば、物によっては落ちるものがかなりある。競争がはなはだ激甚になってきて、みんなが特売というような形で
商品
をはけさせる、運転資金がかなり窮屈になってきているようですから、そういう形を促進するほうが賢明ではないかと思っているわけです。 スーパーと百貨店のいまの相違につきましては、どういう事情でやっているのかは、私いまお尋ねいただいて急にわかりませんけれ
ども
、さっそく
調査
してみます。それで、ねらいとしているところは、要するに
消費
者のため、お客さんのために安くさせようという考えでございますから、そういう方面に
協力
してもらうようにしたいと思います。
片岡清一
10
○
片岡委員
もう時間もありませんので、もう一つだけ
通産大臣
にお伺いいたしたいと存じます。 それは、
政府
は、最近の
石油
の輸入が量的に非常に順調に運んでおる、きょうの新聞によると産油国でもかなり
石油
が余っておるという
状況
でございますので、
石油
の量的なものに、
供給
については心配がないのだと思うのでございますが、何といってもわが国の
石油
の
需要
量は二億八千万キロリットルから三億キロぐらいことしは要るのでございましょうか、そういう点で今後心配がないのかどうか。きょうの新聞では、産油国が少し生産を
規制
するというようなことが出ておりますが、それは結局、やはり
値上げ
を目的にしておる、値下がりを防ぐということに大きな目的があるのだろうと存じます。 そこで、最近、特に新聞でクウェートのカフジ、いわゆるアラ石のカフジ油田、このアラ石の経営参加についてクウェートが六〇%以上の参加を求めておるというようなことでございます。非常に
日本
に好意を持っておるそのクウェートでもやはりそういうことがだんだん行なわれてきますと、私はOPEC、OAPECの各国もやはり相当そういう点できびしい態度にだんだんなってくると存じます。そうなると、量はありましても、値上がりというものはこれからやはりだんだんときつくなるんじゃないか。一部には直接
日本
と売買をやっていくDDというのでございますか、あれは非常に安くしてくれるとかいうようなことが新聞に出ておりましたが、これから
石油
の
価格
の安定といいますか、若干値下がりを期待するということも
日本
としては考えて期待しておったんだろうと思いますが、とてもそれはできないと思うのでございます。 そういう情勢からいたしまして、私はやはり
石油
の量は十分得られるとしても、最近の
日本
の国際収支が非常に赤字に悩んできておる。きょうの、最近の情勢では輸出がだいぶ伸びて情勢は必ずしも悪くないといっておりますが、すでに毎月相当赤字が出ておるということが伝えられておりますときに、私は資金的に間に合うのかどうか、量はあっても資金的に全部その
需要
を満たすだけのものは買えるのかどうかというようなことが心配になるのでございますが、そういう点からいうて、いまの
段階
において九月から電力及び
石油
の
規制
をおやめになるというのも、何か少し早いような気がいたします。そういう点についても若干の不安を私は持っておるのでございますが、
大臣
の御見解なり御信念を承りたいと思います。
中曽根康弘
11
○中曽根国務
大臣
石油
は世界的に最近だぶつき、ぎみであるということは、どうも事実のようでございます。メジャーズ等も
日本
に対しては売り込みの力が強いようでございまして、ことしの初めとは情勢もまた変わってきております。しかし、OAPECの国々がこのだぶつきぎみに対してやはり値を
引き締め
るという考えに一部の国が出ることは、これは予想されるところでありまして、九月十一日からOAPECの関係
大臣
会議
がまたたしかウイーンで行なわれる予定で、それらの
動向
もわれわれは非常に注目しておるところであります。決してわれわれは油断しているわけではございません。 しかし、いまのような情勢で、次第次第に世界情勢が
鎮静化
してまいりますと、それほどドラスティックな
政策
はとれないのではないか。やはり発展途上国や産油国も、先進国工業国から鉄鋼とかあるいはそのほかの資材を買っているわけですから、それが循環して高いものを買わされるというのでは、これはたまったものではない。そういう認識も出てまいりましたし、オイルダラーが中近東に偏在して、その結果世界
経済
が非常に回りが悪くなってきつつあるという点についても、OAPECの諸国は何か対策を講ずる必要があるということまで認識は十分出てきておるようであります。結局、だから世界
経済
が順調に、円滑に動き回るということが世界じゅう全体が福祉を得るゆえんであるという方向に、次第に考えがまとまりつつあるように私は思います。でありますから、そうドラスティックな
ことば
ないと思いますけれ
ども
、しかし国々によってはいまのクウェートのような話がございまして、そういう国々の
動向
もよく関心を持って見ておるわけであります。 それで、これらの問題を考えてみますと、われわれは秋に備えて、何といっても基本は油でありますから、油が潤沢に入っておれば国民の皆さんも安心してくださる。最近の
経済
問題というのは、品物があるなしという問題よりも、むしろ心理的な問題、精神的なパニックとか心理戦略戦という
要素
が非常に多いわけであります。トイレットペーパーの場合でも、品物はあったのですけれ
ども
、どこかでないといわれたら、みんな殺到して、半年分みんな買い込んでしまう、そういう現象が一部にはありました。つまりそういう心理戦略戦が非常に大きい。そういう意味で、灯油も昨年に比べて約百万キロリットル近くよけいいま備蓄しておるわけです。
石油
についても同様でございます。そういう意味で、まず基礎を安定させるということを懸命にやってまいりました。 それで、最近の情勢を見ますと、
石油
及び電力の
行政
指導による
規制
をしていますけれ
ども
、大体大口の
消費
者たちは割り当てられた量の一〇%ぐらい余しております。これはやはり原単位の効率を非常に上げまして、いままでむだをしておったということもあったようであります。これを定着させる必要がある。それで九月一日から省資源、省エネルギーの対策本部を内閣につくって、そうして国民の自発的な御
協力
をいただこう、これは単に
企業
ではなくして、官庁がまずこういう電気の制限とかエレベーターの制限とかを励行する、全国民もそれにならって、ぜひ御
協力
をいただきたい、そういうことをぜひ誘発させたいと思いまして、これは少なくとも
企業
とか官庁に関してはかなり強い要請を
行政
的にもやって、節約目標みたいなものをつくっていただいて、業界としてもそういうことを定着させていきたいと思っておるわけでございます。そういう形でやっていきますれば、いままでのように法的な
規制
や権力的な
行政
的な指導によるよりも、もっとぎくしゃくしないでスムーズに自由
経済
の本来の姿に戻っていけるのではないか、そういう考えをもちましてやってみるところです。 ただし、これでもし急に
物価
が上がるとか、一部に異変が出てくるということをすれば、直ちに
物価
の問題にせよあるいは量の問題にせよ再び発動いたしまして、われわれとしては適切な処置をとる考えでおります。
片岡清一
12
○
片岡委員
では終わります。ありがとうございました。
平林剛
13
○
平林委員長
次に、
松浦利尚
君。
松浦利尚
14
○
松浦
(利)
委員
私は、
通産大臣
の御出席の時間がございませんから、主として
通産大臣
に灯油の問題に限定をしてお尋ねをしたいと思います。 しかし、
物価
全体の問題について冒頭
経済企画庁長官
から御
説明
をいただいたわけでありますが、御
承知
のようにいままで
金融
財政面で
引き締め
を堅持して、一方では
公共料金
の
引き上げ等
は
政府
自身
行政
指導で据え置いてきたわけでありますが、最近、
公共料金
に対する
値上げ
を次々に
政府
自身はいま認めようとしておるし、また、通産関係の電気、ガス等はすでに認めたわけであります。私は、こうしたものが、直接的な
物価
への波及というのは確かに
数字
的に見れば少ないのですが、先ほど
通産大臣
が言われましたように、間接的な波及効果というのはたいへん大きなものが出てくると思うのです。 そこで、
経済企画庁長官
と
通産大臣
に簡潔にお答えいただきたいのですが、現状の
引き締め
政策
さえ続けていけば、
公共料金
を軒並み
引き上げ
ても
物価
全体を暴走させることはないのだ、そういうことを
政府
としては明確に判断をして行なっておられるのかどうか、その点をひとつ冒頭お聞かせをいただきたいと思うのです。
内田常雄
15
○
内田国務大臣
先ほど私から長々と申し述べたとおりでございまして、
経済
にはいろいろの面、複合的な要因が出てまいりましたので、それらを
立体構造
で処理しなければならないということを申し述べましたが、私は、
金融引き締め
、総
需要
の
抑制
というものは、
立体構造
の中でも今後も続ける必要があるとまず思います。 そうした中におきましても、
公共料金
の
引き上げ
につきましては、でき得る限りこれに
抑制
的に対処するという考え方も変えておりません。ただ、
公共料金
は、読んで字のごとく、その事業そのものが国民の生活に非常な密接な関係を持つ事業でございますので、料金もこれを認可制にしたり、
抑制
をしたり、あるいは
政府
みずからきめるわけでございますけれ
ども
、そうした
国民生活
に必要な分野の活動でありますために、不可能な強制をいたしましてその事業の運営が円滑を欠く、あるいはまた国民に対する各面におけるサービスが
低下
するというようなことになりますと、これは
公共料金
を押え込みましても
公共事業
そのものが動かぬということになりますので、以上申し述べましたような見地から、極力
抑制
をしながらも、必要な料金
改定
は、これはもちろん国民の家計とか
物価
全体の
動向
をも考えながら必要最小限な
措置
はやらざるを得ない、こういう考えでおります。それによりまして再び
狂乱物価
のような
事態
を起こさない、こういう用意や見通しをも持ちながらやってまいる所存でございます。
中曽根康弘
16
○中曽根国務
大臣
公共料金
につきましては、
国民生活
にも非常に
影響
する普遍性を持っておるものでございますから、われわれとしては非常な関心をもってこの問題に対処しなければならぬと思っております。内閣としてもこれを
抑制
するという基本方針をきめられておりまして、われわれのほうでもいろいろ
公共料金
の関係がございましたけれ
ども
、できるだけ時期をずらす、それからやむを得ず上げるという場合には思い切ってこれを縮減させる、査定を厳重に行なう、そういうような考えをもちましていままでやってきたわけでございます。 しかし、ともかくいまのような
石油
あるいは国際情勢の、資源の値上がりというような面から、
公共料金
の
値上げ
を行なわざるを得なかったということは、まことに残念な、遺憾な
事態
でありますが、今後とも
国民生活
全般に対する
影響
等を考慮いたしまして、われわれとしては最大限にこれは慎重に扱っていく、そういう考えでいきたいと思っております。
松浦利尚
17
○
松浦
(利)
委員
公共料金
の問題につきましては、いま言われた両
大臣
の御答弁をベースにいたしまして、午後、時間がありますから、そのときに
公共料金
に限定をして質問させていただきたいと思います。 そこで、個別
物価
に入りますが、これから灯油の
需要
期に入ってくるわけであります。そこで
政府
に、国民の非常な関心事でありますから、特に
通産大臣
に限定をしてお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、経過として、御
承知
のように、三月十八日に、原油
価格
の値上がりを理由にいたしまして
石油
製品それぞれ大幅に
値上げ
をいたしました。灯油につきましても、一万二千九百円の元売りを
需要
期の終わる四月までは据え置いたのでありますけれ
ども
、六月一日から民生用灯油を二万五千三百円という元売り
価格
にいたしました。そして、末端
価格
は六百円以下に押えるようにという通産見解を出して、実際には結果的に野放しにした状態が生まれてきておるわけであります。現実に灯油
価格
、北海道などはもうどんどんと上がってきておるわけであります。 そこで、具体的にまず不明確な点がありますからお尋ねをしたいのは、今度の原油
価格
の値上がりを理由にいたしましての全
石油
製品に対する平均
上昇
は、実は三月十八日、八千九百四十六円という平均値上がりを認めたわけであります。ところが、灯油だけは極端に高いところで
値上げ
を認めておる。八千九百四十六円の値上がりで済むところを、実質的に、平均をいたしますと、それにプラス二百円を加味いたしまして九千百四十六円という、全体の製品の値上がり
価格
よりも灯油の場合には高く
引き上げ
ているわけですね。一体なぜそういうふうに灯油のみ
引き上げ
を高くしたのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
中曽根康弘
18
○中曽根国務
大臣
三月十八日に八千九百四十六円に元売り仕切り
価格
を上げましたが、そのときも灯油はそのまま、
狂乱物価
が起こる前の値段でこれを約束どおり実行さしたわけです。それで、その元売り仕切り
価格
というものは約一万二千九百円であったと思います。ところが、その値段でいきますと、原油の購入
価格
よりもはるかに安いという値段になっている。買っている原油よりも、その原油を買ってそれを精製加工して灯油にしてつくり上げたもののほうが安いという、著しい逆ざや現象がありますから、このままいくと、業者のほうはそういう安いものはつくらない、損するものはつくらない、それで得するほうをつくってしまう。そういうことになりますと、この秋、冬の
需要
期に向かってもし灯油が減ってくるというようなことになると、またたいへんなことになります。したがって、やはり
経済
の法則というものは、短期間は押えることはできますけれ
ども
、長期間は、これはなかなか押えられるものではない。そういう意味において、業者が採算できるようなある程度の是正はしてやらなければ、秋、冬に向かっての灯油の備蓄というわれわれの責任が果たせない、そういうことを非常に心配したわけであります。 それで、大体
需要
期が過ぎまして、夏になって不
需要
期に入りましたものですから、一応これを排除して、大体の基本的な考え方は軽油と相準ずることにしよう。あの軽油の値段をきめるときも、これは
中小企業
、運輸関係に非常に響くので、あの軽油の値段もかなりきびしく
行政
指導
価格
をつくったわけであります。そういうわけで、大体軽油を見習ってわれわれの見当をつけたわけでございますが、その辺でいまのところ低迷しておりますけれ
ども
、しかし、これからこの
需要
期を迎えまして、灯油とプロパンガスというものは国民の必需品でございますから、これはやはり国がある程度強硬に、強力に
規制
する必要がある。しかし、
規制
するにいたしましてもやはり増産、備蓄という面を忘れてめちゃくちゃにやるわけにはいかない。その辺をずっといま見当をつけておるところです。 それで、灯油の値段自体を見ますと、北海道のほうはもう
需要
期にそろそろ入りつつある、九州のほうはまだあたたかくてそういう必要はない、だから、北高南低というような
価格
分布図にいまなっているわけです。これを全国一律にある程度きめないといけないという情勢でございますから、その動きの情勢をよく見詰めながら、通産省としてはその後の原価の情勢をにらんでこれを厳重に査定して、いずれ
標準価格
という形でこれを固定する、そしてこの冬の場を切り抜けていく、そういう考えに立つでおるところでございます。
松浦利尚
19
○
松浦
(利)
委員
私は、ちょっと事務的なことですから部長にお尋ねしますけれ
ども
、元売り
価格
を一万二千九百円に凍結したのは、やはり
政策
的な意味があったと思うのですね。国民の生活に直接的な
影響
があるからということで、ある意味では、
ことば
は悪いのですが、計算上は採算というものから
政策
的なものを入れた元売り凍結
価格
というものだったというふうに
説明
を聞いておるのです。私は今回もやはり同じことだと思うのですね。
政策
的にきめられておったから、安いわけですよ、市場
価格
からすると。確かに現状に合わない面も出てくるかもしれない、調べてみればあるいはそれでも高いかもわからないけれ
ども
、一応
政府
の言われた
政策
料金としての一万二千九百円という元売り
価格
だった
ことば
、私たちは認めたいと思う。ということになれば、いま
通産大臣
が御
説明
になったのですが、あまり安いところで元売りを凍結すると、ほかの製品のほうに流れて実質的に灯油の生産がサボられる、ですからある一定の
引き上げ
をしなければならぬ、こう言っておられるのだけれ
ども
、それでは、今度きめた二万五千三百円というものはそういった意味の
政策
料金なのかどうか。いままでそういう意味で業者のほうで損をした分もカバーできるような
価格
ではないのか、あるいはこれからある程度マイナスが出ないような
価格
できめたのではないかという誤解が非常に多いのですね。だから、これは
政策
料金じゃなくて、通産省が試算をした実態料金だ。だから
政策
料金というものは放棄して、実勢
価格
元売り凍結という形でこれから指導しようとするのかどうか。私は
標準価格
をきめる際の基本的な問題にかかわってくると思うのですよ。その点をひとつ部長のほうから内容的に詳しく
説明
してくだ
さい
。
左近友三郎
20
○左近
説明
員 お答え申し上げます。 一万二千九百円の元売り仕切り
価格
をきめましたのは四十八年の十月でございまして、
石油
危機が始まりましたときに、ほうっておきますと灯油が上がるおそれがある、それでは元売りの
段階
でとにかく押え込もうということで、お説のとおり
政策
的な配慮から一万二千九百円ということにいたしました。その後、ことしの三月二十八日に至りましてもなおこの値段を強行したわけでございます。その間、ほかのものにつきましては十二月までは逐次値上がりをいたしまして、十二月になって一応ほかの油については凍結をいたしました。それを三月十八日、十二月の上がった分からさらに八千九百四十六円値上がりを認めたわけでございますが、一万二千九百円というのは、そのほかの油種が十二月までに上がった前に、十月から押え込んでおるわけでございますので、この点については仰せのとおり
政策
価格
でございます。 それでは、六月一日に二万五千三百円にいたしました、これがどういう性格を持っておるかということでございますが、油の平均の原油の割り振りからいたしますと、灯油については、家庭用以外は二万七千五百円という工業用の値段を、三月十八日のときにすでに認めております。したがいまして、少なくとも灯油については、二万七千五百円という工業用の値段がいわば通例の
価格
と見てしかるべきだと思いますが、それを三月十八日には一万二千九百円で押し通したわけでございます。六月一日になりまして、先ほど
大臣
がおっしゃったように、原油の
価格
よりも安いということで、これは灯油の今後の確保に支障があるということで上げることにいたしたわけでございます。しかし、そのときに、工業用と同じように二万七千五百円にするのはやはり家庭用の灯油ということからいって妥当でない、極力
引き上げ
るべきだということで検討いたしまして、それでは需給の安定を期せられる、今後の備蓄ができるという範囲内において最低のラインは何かということで検討したわけでございます。それで最低といいますと、結局軽油とかA重油並みの値段、これは三月十八日にきまりました軽油、A重油並みの値段ということで二万五千三百円にしたわけでございまして、これは需給が確保される最低の値段ということで
政策
的にきめまして、そういう意味において工業用よりも約二千二百円ぐらい安くきめたわけでございます。
松浦利尚
21
○
松浦
(利)
委員
それはいま部長がお話しになったように、この二万五千三百円も、言うならば実勢
価格
から見れば
政策
的な意味を含んだ料金だ、実質よりも安くしてあるのだという御
説明
なんですが、かりにそういう
政策
料金ができるとすれば、ある意味では国民の生活に直接的な
影響
のある灯油でありますから、
政策
的な意味でもう少し下げることも可能じゃないですか。二万五千三百円より以上に下げることもできるのじゃないですか。 現に六月一日からこの二万五千三百円という元売り
価格
で、末端は六百円以下に押えな
さい
ということで野放しにしましたために、北海道あたりではすでにもう六百円をこえておるわけですね。九州などのようにまだ不
需要
期、しかもあたたかいところでは、灯油が売れないから
価格
が安い。しかし実質的に寒いところでは
価格
が上がってきておるのですね。六百円をこえておるところも出てきておるのですよ。結果的に先ほど
通産大臣
が言われたことと食い違ってきますのは、
標準価格
をきめるために二万五千三百円の元売り
価格
にしておいて野放しにして、全国的にずっと値上がりしていく
状況
を見た上で
標準価格
をきめるということになりますと、結果的に
標準価格
というのは高いところできまってしまう。要するに、下ざさえをするために
標準価格
というものはきめていくのだという誤解すら私は
標準価格
というものから連想されてくると思うのですよ。だから、
政策
料金なら
政策
料金らしく元売り
価格
の凍結というものをやるべきだと私は思いますね。 そこで、私は
通産大臣
にお尋ねしたいのですが、現に北海道旭川あたりでは、二百リットルのドラムかんを年間十五本使うのですね。昨年の
標準価格
でいきますと、大体北海道では四千円から五千円だったのです、二百リットルのドラムかんが。ところが、現実にいま一本六千円から七千五百円の灯油を買わされますと、十万円の支出ということになるのですよ、北海道は。岩手等を含めて東北地方では十本ですね。ドラムかんで売買をしておるのです。ですから、ある意味では北海道とか東北という寒いところは灯油の
価格
というものは非常に家計費に大きな
影響
を与えるのですね。ですから、そういったものも考慮した上で、寒いところのそういった生活にしわ寄せさせるという重要な
要素
もあるのだということを考えた上で、六月一日に二万五千三百円、そして六百円以下に押え込めという
行政
指導だけで、実際には末端
価格
を野放しにしてしまったわけなんですか、通産省のほうでは。その点はどうなんですか、具体的に。 現実にいまそういうことが北海道の旭川や札幌では起こっておるのですね。そうなることは想定せずに、不
需要
期だから末端
価格
を野放しにしてもだいじょうぶだという判断をしたのか、あるいは備蓄することだけが中心で、不
需要
期にどんどん灯油を備蓄させることだけを念頭に置いて元売りの凍結をやったのか、それとも北海道で十万円も支出をするという現状を想定した上で、元売り
価格
の二万五千三百円あるいは末端
価格
の野放しをやったのか、どちらを選択して二万五千三百円の元売り
価格
をきめたのですか。これは事務当局どうでしょう。そのどちらを基準に置いたのですか。
左近友三郎
22
○左近
説明
員 お答え申し上げます。 いまのお話でございますが、この
標準価格
をやめましたのは六月一日でございますが、その時点では全般的に、全国的に
需要
期が終わりました時点でございます。したがいまして、その時点においては備蓄というものも考え、この冬における灯油対策というものを考えた上で一応
標準価格
を撤廃する、しかしその
標準価格
は撤廃するけれ
ども
、元売り仕切り
価格
だけは自由に上げさせないで、先ほど申しました二万五千三百円に押えておくという
措置
をとったわけでございますが、その当時も、いずれ
需要
期に入りますならば、その
事態
を見て極力安い値で
標準価格
をきめたいということでそういう
措置
をしたわけでございます。
松浦利尚
23
○
松浦
(利)
委員
通産大臣
、実質的に北海道の人たちは十万円の支出をさせられるわけですね。いままで四千円から五千円程度で購入できたものが、いま
標準価格
はありませんが、六百円以下だという、そういう
行政
指導のおかげで、六千円から七千五百円というふうにたいへん高くなってきた。十五本もドラムかんで支出をするわけですから、年間十万円の支出、負担ということになってきておるわけですね。そういうことをやはり前提に考えて、初めて民生用灯油の
価格
というものはきめられていくべきじゃないか。ただ備蓄をすることだけ、量を確保することだけを考えて、末端の
消費
者がどれくらいしわ寄せされるのかということの計算は、私は事務当局になかったのじゃないかと思うのですよ。その結果がいまたいへんなしわ寄せを受けようとしておるわけなんです。しかも
標準価格
というものはまだきめられておりません。北海道で六百五十円近くの灯油が売られておるそうですが、おそらくこの六百五十円というものがある程度基準になって全国共通の
価格
というものがきめられていくのじゃないか。結局、
標準価格
というものは実勢
価格
になってしまうのですよね。そういうことをやらされておったのでは、国民のほうはたまらない。元売りのほうはいいけれ
ども
、
消費
する国民の側はたいへんな犠牲を受けるということになるのです。
通産大臣
にお尋ねをしたいのですが、
標準価格
を決定するのは大体いつごろなのか。そして同時に、現在のそういった末端
価格
は、極端にいうと、私たちから言わせれば、いま極端な
引き上げ
価格
だと思うのです。こういったものは十分精査をした上で
標準価格
をきめられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
中曽根康弘
24
○中曽根国務
大臣
標準価格
をきめるのは慎重にやりたいと思っておりますから、いまの全国的な値動きの情勢、それから原価の
問題等
をよく精査いたしまして、できるだけ低目にこれをきめるように私たちは努力していきたいと思っております。 ただ、先ほ
ども
申し上げましたように、
石油
の場合はいろいろメジャー系もあり、民族糸もあり、それから産油国の
動向
というものもありまして、非常に複雑なむずかしい
流通
過程があるわけであります。そういうようなものを背景にして
石油
行政
をやっていきます場合には、ある程度自由
企業
の市場機能というものを考えてやらないと、
供給
自体が円滑にいかないということになってくる。いま
石油
の
供給
体制というものは、食管会計みたいな元的な体制でいきかねる情勢であるわけであります。そういうような情勢からして、その情勢に即応しつつ、最も国民に安い灯油を
供給
しよう、そういう考えに立っていろいろ苦心しておるところでありまして、いつきめるかということは、九月に入って、そうして情勢をよく見きわめながら慎重にやる、そういう考えでおります。
松浦利尚
25
○
松浦
(利)
委員
通産省の事前の
資料
によりますと、灯油そのものは不自由をかけない、量は完全にこの冬、
需要
期には確保できるということは間違いありませんですね。
中曽根康弘
26
○中曽根国務
大臣
そのとおりです。やはりいまのわれわれの基本的立場としては、最低限量について不安や心配をかけないということが通産省の基本的な責任である、そう考えております。
松浦利尚
27
○
松浦
(利)
委員
それと、従来
標準価格
がきめられたときには十八リットルで三百八十円だったのですね。それが今日では六百五十円近くにも上がってきておるのですが、そういう
価格
は、実勢かどうかは別にして、上げ過ぎだというふうに判断されますか、それとも当然だと思われますか。
大臣
どうですか。
中曽根康弘
28
○中曽根国務
大臣
これは原油の相場の動きというものを見ないとわかりませんが、私の感じでは、六百五十円というのは上げ過ぎである。もっともその現地の事情を見て、タンクローリーを持っていく費用とか、距離がどうであるとか、そういうようないろいろな問題も見なければわかりませんが、一がいに申せれば、上げ過ぎではないか、そう思います。
松浦利尚
29
○
松浦
(利)
委員
六月一日に、末端
価格
は六百円以下に押え込め、そういう通達を通産省見解として出しておられるわけですが、現状としては
標準価格
はできておらぬわけでありますから、末端
価格
は六百円以下で売られるべきである、そういう
行政
指導はこれからも続けられるわけですか。
左近友三郎
30
○左近
説明
員 ただいまの末端
価格
の
行政
指導の件でございますが、当時の試算といたしまして大体六百三円という計算になっておりますので、大体六百円程度ということで指導しております。それですから、それよりも著しく上回るというものについては、われわれも今後も十分指導してまいりたいというふうに考えております。
松浦利尚
31
○
松浦
(利)
委員
六百円以下で
行政
指導していくということですから、通産省がいままでやってきたことから見て、私はほんとうにまじめに通産省が
行政
指導をやれば、六百円以下に押え込むことができると思うのですよ、やろうと思いさえすれば。ですから、現実に高いところは全部直ちに六百円以下で末端
価格
は押えられるように事務局のほうは指導していただけますか。
左近友三郎
32
○左近
説明
員 お答え申し上げます。 現在問題になっております地区は、北海道、東北といういわば寒い地区でございます。そういう点の実態に応じまして、実は従来ともそれぞれの出先の通産局あるいは都道府県と御相談しながらやってまいっておりますので、今後とも十分その地方の実態に応じまして指導してまいりたいというふうに考えております。
松浦利尚
33
○
松浦
(利)
委員
それで、
大臣
にお願いと同時にお答えいただきたいのですが、大体
標準価格
というものがきめられた場合、
標準価格
にたとえば運送費とかなんとかというのをプラスして、末端では
標準価格
というものが実際は下ざさえ
価格
になりまして、上乗せするところがほとんどなんですね。
標準価格
というのは少なくとも最高
価格
なんだ、これ以下で売れという最高限度額だというような、そういう考え方の
標準価格
というものを今回の灯油の
標準価格
ではきめることができないかどうか。それが一つであります。 それからもう一つは、プロパンの
標準価格
にいたしましても、北海道等には北海道
価格
というのが別にあるのですね、百五十円
標準価格
にプラスをするというような。一番利用するところほど高いのですね。
需要
が多いから高いんだといわれればそれまでですけれ
ども
、実質的には必要なところが非常に高い。寒冷地手当をもらっておる皆さん方はいそれはそれだけ、上がった分だけ寒冷地手当をふやせばいいからいいかもしれないけれ
ども
、実際に寒冷地手当をもらえる層というのはわずかなんですね。ほとんどは寒冷地手当などというものはもらえないのですから。ということになれば、何らかの形で
政策
的なものを加味した北海道
価格
というのですか、高くなる北海道
価格
ではなくて、安くなる
政策
料金というものが別にきめられてしかるべきじゃないかというふうに思うのですが、この二点について
通産大臣
の
政策
的なお答えをいただきたいと思います。
中曽根康弘
34
○中曽根国務
大臣
標準価格
は、われわれのほうは上限
価格
であると心得て指導いたします。 それから北海道の問題につきましては、前からいろいろ道知事をはじめ道議会からも御陳情がございまして、われわれも誠意を尽くしてその線に沿って努力しておるところでございますが、今度プロパンガスにつきましても、いままでは百五十円高かったのでございますが、元売り、小売りおのおの利潤を圧縮させまして、百円というふうに今度は圧縮をいたしました。灯油等につきましても、そういう面でせっかく努力してみたいと思います。
松浦利尚
35
○
松浦
(利)
委員
もう時間ですからこれで終わりますが、いずれにいたしましても、灯油一つをとってみましても、口では
国民生活
安定のためだ、こう言いますが、きめられてくる
価格
というものは実態に合わない。ぜひ灯油の
価格
その他をきめられるときには、地元の知事やらあるいは
消費
者、全体と言うわけじゃありませんが、
消費
者の皆さん方の意見も十分加味して、
政策
的に安いところで灯油
価格
は
標準価格
をきめていただきたい。そのことをぜひ本
委員会
に
通産大臣
お約束していただきたいと思うのです。 そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
中曽根康弘
36
○中曽根国務
大臣
灯油の値段をきめる際には、よく議会や知事さんや、あるいは道民の意見も徴しまして、適切にきめてまいりたいと思います。
平林剛
37
○
平林委員長
次に、小林政子君。
小林政子
38
○小林(政)
委員
私も、ただいま
松浦
委員
から質問がございました灯油の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 特に、先ほど、最近の
物価
の情勢は三月来からいわゆる
鎮静化
してきている、そして今後、経企庁の長官は、
物価
一本やりというような形でものを運んでいくということよりも、いろいろと検討していきたい、こういう御発言もございましたけれ
ども
、私は、やはり最近の
物価
の
値上げ
というものが
国民生活
をどれほど圧迫をしているか。特に、田中総理も参議院選挙のあのさなかに、最近の
物価
問題は雨漏り程度のものだ、こういうことを発言されまして、
物価
高騰のもとで苦しんでいる多くの国民からきびしい批判を受けているわけでございます。このような中で、
公共料金
の
値上げ
あるいはまた
石油
製品の
値上げ
が最近次々と解除されてきている。 特に、いまの
物価上昇
の特徴というものは何だ、こういうふうに考えてみますときに、原油の
値上げ
を理由として
石油
製品、電力、大手私鉄あるいはまた鋼材など、これらの
物資
が次々と上がり、
公共料金
あるいは
基礎資材
、こういうものが、新
価格体系
へ移行するという名目のもとで、むしろ
政府
が主導的といっても言い過ぎではない、こういう中で最近の
物価
が次々と上がってきている、こういうことが言えると思います。特にこの秋を迎えての第三波の
値上げ
などということがいわれておりますけれ
ども
、国民の非常に強い関心がこの
物価
問題に集中をしていることは、私は
大臣
も十分御
承知
のことだろうというふうに思います。 このような中で、先ほど来から
松浦
委員
からの質問もございましたけれ
ども
、五月三十一日の閣議決定によって家庭用灯油の
標準価格
を解除し、元売り仕切り
価格
を従来の一万二千九百円を一万二千四百円
引き上げ
て、二万五千三百円に大幅に
引き上げ
たわけでございます。これが実際に社会生活を行なっている国民にどのように
影響
が出てくるか、こういうことを十分認識された上でもってこのときに二万五千三百円という認可をされたのでしょうか、あるいはまた、北海道、東北、この地域の大量
消費
地での実態というものを十分
調査
もされ、そして把握をした上で、その上に立って認可をしたのかどうなのか、この点について一体どのような具体的な
政策
判断のもとでこの時期に二万五千三百円という認可をされたのか、この点については先ほど来からの御質問もございますけれ
ども
、私は再度お尋ねをいたしたいと思います。
中曽根康弘
39
○中曽根国務
大臣
灯油の問題は国民の家庭の
皆さま方
に一番緊切な問題でございますから、われわれも一番頭を痛めて苦慮しているところでございます。プロパンと灯油というのは、われわれとしては一番真剣に取っ組んでおる問題でございます。 それで、先ほど来申し上げましたように、どうしても秋にかけて備蓄をしておかなければまた
狂乱
のおそれがある、そういうような心配からも、備蓄を十分たくわえて御安心を願うということがまず第一である。それから第二番目に、できるだけ安く、その上に立って家庭生活に響かないように配慮するということが第二である。そういう基本的考えに立ちまして、不
需要
期になりまして、特に昨年の
狂乱物価
の以前の一万二千九百円という安い値段でほとんどいやがるのを無理じいに凍結してきたという情勢もございまして、これは解除してあげた。そしてその後の情勢を見ながら、できるだけ家庭生活に響かない値段で、しかも
需要
量が確保できるようなという接線を求めていま灯油の
価格
の問題を処理していこう、こう考えているわけでございます。
小林政子
40
○小林(政)
委員
いま
大臣
のお話ですと、備蓄の問題、あるいはまた家庭生活に響かないというような、こういう点に深い配慮をしながら考えているというお話でございますけれ
ども
、実際に
大臣
は、北海道のいまのこの灯油をどれほど必要としているか、使用量が大量に使われているというような具体的な実態なんかも御存じなんでしょうか。
中曽根康弘
41
○中曽根国務
大臣
私はよく知っておるつもりでございます。私自体も冬はよく北海道へ演説に行っておりますし、それから実際問題として、最近は知事さんやあるいは議会の議員の方々が私のところへ御熱心に参りましてそういう御
説明
もな
さい
ますし、それから各党の皆さん方も私らのところへ参りまして、ともかく内地のように十八リットルかんのかんを買うというのじゃなくて、先ほど来お話しのようにドラムかんで十本、十五本と一冬買っていく、そういうような大量
消費
の世界であるということは、よく認識しております。
小林政子
42
○小林(政)
委員
それを十分
大臣
が認識をされていらっしゃるならば、
需要
期が明けたからといって二万五千三百円に売りの仕切り
価格
を
引き上げ
るというようなことはおそらくできなかっただろうし、また当然すべきではなかったのではないか、私はこのように考えます。 特に家庭燃料の場合は、北海道の、あるいは東北の場合は、石炭とかあるいは
石油
だとかまきだとか、いろいろ燃料としては使っていますけれ
ども
、しかし九〇・八%は灯油である、こういうような
状況
であるし、こたつだとか電気だとかいうようなものは実際には代替が十分きかない、それほど寒冷地である、こういうような実態、あるいはまたそういう中で、一カ
月間
に光熱費が家庭生活の中で占める
割合
というものはきわめて高いのですね。実際北海道の全世帯一カ月の平均支出の中で、四十八年の十一月の場合には光熱費が七千八百七十円で七・一%を占める。これは私はたいへんなことだと思うのです。しかもこれは、七・一%というのは現在の時点ではなくて、三百八十円のあの時点でそうだったわけですね。ですから、今回これが
引き上げ
られるというようなことになれば、これはもうおそらく九%近く、あるいはその比率は九%をこえるかもしれない。家計支出の中に占める光熱費の支出の
割合
というものがこんなに高い
状況
にあるのだということ一つを見ても、どれほど灯油問題について
政府
が
政策
的にも真剣に考えなければならないかということは、これはもう私が言うまでもないと思います。私は、実際に
値上げ
を押えて元売り仕切り
価格
を引き下げるというようなことをおやりになるお考えがあるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
中曽根康弘
43
○中曽根国務
大臣
六月一日から解除をいたしまして、いまその情勢を見据えており、その後の原油の代金そのほかの情勢もよく精査しておるところでございまして、いま値段をどういうふうにするかということは、情勢を把握することをやっておるわけでございますから、ここで御答弁申し上げることはむずかしいと思います。
小林政子
44
○小林(政)
委員
私は、元売りの仕切り
価格
を引き下げなければ、実際には灯油の
価格
というものは現在平均で六百三円、あるいはところによっては六百四十円あるいはまた六百五十円というようなところまで小売り
価格
がきているわけですから、元売りの仕切り
価格
を押えなければこれは引き下げることはできないと思うのです。この点については、やはり
経済
ベースじゃなくて、ほんとうにその実態というものを十分に踏まえて、そして先ほ
ども
お話があったように
政策
的にこの問題解決をしていく、こういう態度をおとりになることこそが私は重要じゃないかというふうに思います。特にいま北海道の、あるいは東北の問題については、これはもう大きな一つの地域の社会問題にまでなってきているといっても私は言い過ぎでないと思います。道知事をはじめ市町村長やあるいは自治体ぐるみでもって、灯油がこの秋どうなるのか、このことに重大な関心が持たれ、また運動も大きく広がってきているのです。こういう中でこそ私は政治がほんとうにこたえていかなければならないと思うのです。ただ〇・何%
物価
が云々というような統計
数字
では、具体的にそこで生活をしている国民の生活実態というものを、この問題をほんとうに生かしていくということはできないと思います。私は現状の中でこの問題をほんとうに解決をしていくということこそが、政治がやらなければならない重要な問題だと思います。ぜひ
政策
的な配慮を加えて検討をするという立場を、ひとつ
大臣
の口から表明していただきたいと思いますけれ
ども
、いかがでしょうか。
中曽根康弘
45
○中曽根国務
大臣
もちろん先ほど来申し上げますように、灯油の問題というものは
国民生活
に非常に
影響
する問題でございますから、われわれが
価格
を査定し、あるいは
標準価格
を決定するというような場合には、もちろん
政策
的考慮を行なってやりたいと思っております。
小林政子
46
○小林(政)
委員
いまの御答弁伺っておりまして、時間がもう来てしまいましたけれ
ども
、結局
政府
は、灯油問題にしても、基本的な考えというのは、原油の値段が上がったんだから、だからまあやむを得ないんだ、こういう発想に立っていらっしゃる。しかし私は、いまも指摘したように、灯油の問題はまず
国民生活
をどう守っていくかという問題につながる重要な問題だと思います。私
ども
の党は、
石油
危機の当初から、この問題についてもメジャーズに対するこの
価格
、これにメスを入れて、そして
国民生活
に対する
影響
を少しでも解消していくために、これを下げるために
石油
諸税の減免を行なうべきだ、こういう積極的な提案も国会の中で行なってまいりました。しかし、残念ながら
政府
はそれらの問題についてまじめに検討し、実行されるという態度をおとりになっておりません。このことは、先般来参議院のわが党の上田耕一郎さんが質問主意書を
政府
に提出をいたしました、その回答の中身を見ても明らかでございます。 どうしても、この問題を解決をしていく、しかもどうしても国民にこれだけは負担してもらわなければならない、こういう立場に立つ場合には、私
ども
が提案をいたしておりますこれらの
石油
諸税を下げていくとか、あるいは
石油
そのものに対する根本的なメジャーズとの交渉をやるとか、こういうことを積極的に
政府
がまずやって、そしてその上でもって、それでもなおかついまこういう状態だ、こういう点を明確にした上で、国民の負担を、やむを得ないことなんだといって納得もしていただいた上で求めるべきではないか、私はこのように考えます。これらの問題についてはほんとうに誠意ある態度をおとりにならないでいて、そして原油の
値上げ
を口実に民生用の灯油を
引き上げ
てきた、こういう政治姿勢では、ほんとうに国民から政治が信頼をされるというふうには私は考えません。 これらの点について
大臣
から誠意ある御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
中曽根康弘
47
○中曽根国務
大臣
日本
は
石油
の大量
消費
国でございまして、しかもその
石油
は工業並びに民生に対して非常に大きな
影響
を持っておるわけでございますから、低廉な
石油
を、そして適切にこれを獲得するということについては、懸命の努力を実はやっておるのであります。OAPECの
動向
とか、あるいはメジャーズに対するいろいろな
施策
とか、そういう点については
政府
は深甚の、周到の手配をもってやっており、かつメジャーズに対しましてはいままでもかなりきびしい態度をもって臨んできておるのでありまして、引き続いてそのように努力いたします。
平林剛
48
○
平林委員長
次に、有島重武君。
有島重武
49
○有島
委員
通産大臣
がお昼までであるというので、もう時間が限られていると思います。 私も灯油のことについて少し触れたいと思っておりましたけれ
ども
、いままで同僚の
委員
からいろいろな質問がございまして、量の問題とコストの問題もう少し詳しくやりたかったわけですけれ
ども
、まず、私の
手元
には
日本
生活協同組合連合会あるいは岩手県
消費
者団体連絡協議会、こうしたところからの陳情書が参っておりまして、いままでの質問も大体こうした現場の声を吸い上げての質問であったと思いますが、こうした陳情については
通産大臣
はよく検討していただいておると思いますけれ
ども
、それを一ぺん確かめたいと思います。
中曽根康弘
50
○中曽根国務
大臣
いままでいただきました御陳情並びに各党の御主張につきましては、
政策
当局といたしまして周到にこれを検討しておるところでございます。
有島重武
51
○有島
委員
それで、いま物不足が一番おそろしいんだ、物が全然なくて不安になるよりは、少々値段が高くなってもこれはしかたがないじゃないかというような言い方にいままでの御答弁は私は聞こえるわけです。事実そうかもしれません。そういうのはちょっとおどかしみたいに聞こえるわけでございますけれ
ども
、そこでまず量の問題ですけれ
ども
、それでは北海道では去年どれだけの
需要
があったのか、そしてことしはどれだけの量を確保するという、そういったお約束はまずあるのか。東北各県おのおのについても、去年の量はこれこれであった、そしてことしはこれだけのものは通産省も責任をもって確保いたします、そういうことはしっかりと約束できますか。
左近友三郎
52
○左近
説明
員 北海道地区の灯油の
状況
につきましては、大体こちらの統計で調べておりますと、年度で申しますと、四十七年が大体二百万キロ、それから四十八年が二百四十三万キロというような
数字
でございまして、年々ふえておるわけでございますが、そのふえ率も勘案しまして、ことしは北海道地区について十分な
供給
がはかれるように努力をしております。これについては末端の
流通機構
あるいは備蓄の施設等々もわれわれのほうの指導でやっておりますので、今年の冬については数量的な御不便をかけることはないというように考えております。
有島重武
53
○有島
委員
いまのもう差し迫ったことでございますから、去年が二百四十三万キロであったというのですけれ
ども
、ことしの数量をはっきりここでもってまだ言えませんか。それから、それだけのものはほんとうに確保したのだということをまずはっきりさせるということがほんとうに通産省にできるのか、あるいはそのように指導したけれ
ども
、実態はそうではなかった、あるいはどこかにもぐってしまったなどということになるのかならないのか、もうほんとうに今年度二百六十万なら二百六十万キロというものは、これは北海道に関してはこれだけ確保しましたということがはっきりと言えるのかどうか、その辺はどうですか。
左近友三郎
54
○左近
説明
員 いまの御指摘でございますが、実はこの下期の需給計画は、最終的には全体の原油の輸入等々との
関連
がございまして、いま鋭意詰めておるところでございますので、もうしばらくお待ち願いたいと思いますが、これについてわれわれとしては、御指摘のとおり、道民の皆さまに御安心の願えるような
措置
を考えたいと思いますので、ひとつもうしばらくお待ちを願いたいと思います。
有島重武
55
○有島
委員
中曽根
通産大臣
が先ほどおっしゃいましたように、自由
経済
の自動
調整
機能にだんだんまかせていく方向が望ましい、そういうふうに言っていらっしゃいます。量の確保がはっきりとここでもってきまってしまうということさえ通産省でもって押えていただければ、あとは
消費
者の努力によって、確かに去年はドラムかんでもって二十本使っておった、けれ
ども
、ことしは何かまたくふうして節約しようじゃないかというような心はみんな持っていらっしゃると思うのですね。というようなことによって、そして指導
価格
以下にこれがむしろ守られていくというような環境をつくるということがどうしても大切じゃないかと思うのですね。ですから、まず量の確保だけはというようなことをおっしゃいましたから、そのことをほんとうに明示してもらって、さらにお願いしたいことは、北海道全体にはこうだけれ
ども
、やはり各個所、旭川にはどうだ、札幌にはどうだ、これだけのものは、これだけのものはということを公表して、これだけは確保しているということを公表なさるべきじゃなかろうかと私は思いますけれ
ども
、いかがでございますか。
中曽根康弘
56
○中曽根国務
大臣
各都市別にそういうことをやることははたして適当であるかどうか、それはまたある意味においては思惑を生んだりなんかすることが、不測なことが起こらないとも限らないと思うのです。ともかく全体的に量については通産省は責任を持って御心配かけませんと
大臣
が言っているのでございますから、十分御安心願って、量については安心していただいてけっこうであると思うのであります。 そういうふうに量が確保されまして、それで各家庭が多少なりとも節約の方向に向かってもらえば、ちょうどガソリンがリッター百円という指導
価格
をきめましたけれ
ども
、
石油
がどんどん入ってきまして、ガソリンが少しだぶつきぎみで掛けでやるところは九十円ぐらいになっております。そういうように需給関係で値を下げさせる力も生まれてまいりますから、両方、官民
協力
して、そういう形でできるだけわれわれも努力するし、
消費
者の皆さんも御努力を願い、業者にも
協力
させる、そういう形でいきたいと思っておるわけです。九月一日から内閣に省資源、省エネルギー推進の運動本部みたいなのをつくるというのも、そういう趣旨に沿いまして
日本
全体でできるだけエネルギーの
消費
を節約して外国に依存する度合いを少なくしていこう、そして
物価政策
をお互いで努力しよう、そういう意味もあるわけでございます。
有島重武
57
○有島
委員
おっしゃるとおりなんでございます。それでそういうようにやっていただきたいと思うのですけれ
ども
、業者のほうでは、大体二百四十万キロということになってそれでみんなも節約するであろうということになれば、そうするとやはりちょっと足りな目にしておかないと商売のおもしろみがないというふうに動くのが、これは商売の常道だと思うのですね。その辺を少し通産省としてはたっぷり目にやるという、そういったようなこともぜひ処置をとっていただきたい、それがお願いでありますが、お願いできますか。
中曽根康弘
58
○中曽根国務
大臣
通産省では、この初夏以来灯油の備蓄に非常につとめまして、業者を督励してやっておりまして、私の記憶では昨年よりも百万キロリッターぐらいよけいすでに生産されて備蓄されつつあります。そういう方針で今後も臨みまして、前申し上げましたように、量については御心配のないようにしていきたいと思っております。
有島重武
59
○有島
委員
コスト問題につきまして、これもいままでだいぶ詳しいお話ございましたけれ
ども
、今度一万二千九百円から二万五千三百円ということになるわけなんだけれ
ども
、これの根拠というものが国民に対してはどうも納得できない、わからない、何が根拠でこういうふうになっているのかということが非常にわかりにくい、ということがあるわけですね。それで、これはもっと納得のいくような、明らかにこういうわけなんだということをもっと公表することができないでしなうか。
左近友三郎
60
○左近
説明
員 いまお話のございました元売り仕切り
価格
の二万五千三百円というものの根拠でございますが、これにつきましては、原油の値上がり分を考慮いたしまして、御
承知
のとおり三月十八日に十二月来凍結しておりました
石油価格
の値上がりを認めた際に、平均して四十八年の十二月から三月までの間に八千九百四十六円の値上がりを見て妥当であるというふうな判断をして三月十八日値上がりを認めたわけでございますが、その八千九百四十六円というものの値上がり分を各油に従来の比率で配分をいたしましたのが大体こちらで考えております工業用の灯油の値段でございまして、これが大体二万七千五百円という数値が出ておるわけでございます。 それで、三月十八日現在ではまだ灯油の
需要
期でございましたので、この
標準価格
というものは
需要
期の間に変動さすべきじゃない、灯油もこの一万二千九百円という元売り
価格
はすでに当時の原油
価格
よりも安いという形になっておりましたので、単純な
経済
的な理論からいいますと上げるべきだということでございましたのですが、それではいけない、要するに灯油の
標準価格
というものは
需要
期間中は上げないでおこうという決心からそのままにしたわけでございますが、この
需要
期が終わりましたので、
引き上げ
るということにいたしました。しかし、それも均等の比率でやりますと二万七千五百円程度になったわけですが、これではいけないということで、結局どの程度下げられるかということを検討したわけでございますが、その結果、最低限下げられる線といたしまして、似たような油であります軽油とかA重油という油並みに下げる。本来の自由な時代の
価格
でございますと、実は灯油が一番高くて、その次軽油、A重油というような順序になるのが普通でございますが、大体似たような油でございますので、このA重油よりも安い値でかりに灯油が出ますと、むしろA重油のほうに流れる、若干のまぜものをして流れるというふうなおそれがございますので、当時の技術的な、あるいは
流通
を確保するという点からの最低限ということで、二万五千三百円ということにいたしたわけでございます。
有島重武
61
○有島
委員
時間がなくなってきちゃったのだけれ
ども
、このコストの問題でもってこまかい話になりますと、非常に専門的で、またこまか過ぎてわかりにくいわけですけれ
ども
、せんだって電力
値上げ
の問題のときに電力会社が政治資金をやめるべきではないかというような議論、これは一円不払い運動などが国民全般に起こって、そうして政治資金はもうやめるというような話にもなりました。 同じように、
石油
の問題これはまたあとでもってやろうと思っておりましたが、時間がないから一緒にやっちゃいますが、
石油
の問題、
公共料金
全般にわたって国民が非常に不審に思っておるのは、いろいろ言うけれ
ども
、政治資金を出しておるではないか、それからまた、金利というもののウエートというものもかなり大きいではないか、こういったものについてどういうふうにしていくか。非常に大ざっぱな話になりますけれ
ども
、少なくとも政治資金の問題はたいへん燃え上がってきたかに見えたらは、今度はそれがたいへん弱腰なことにまたなってまいりまして、政治資金はいたし方ないというようなふうになっているようでございますけれ
ども
、少なくともいまこうした国民的なけたでもって問題になっているこの
石油
の問題ないしは他の
公共料金
にわたっての問題、これについて、政治資金をやめるとかやめないとかいう議論の先に、どれだけの政治資金をやっておるのか、そのことをむしろ国民の前に公表させる、そうしたことが、コストの点でもってさらにさらにこれは業界のほうでも慎重にならざるを得ない、そうした風潮をつくっていくのじゃないか。私はそういうふうに思います。 そこで、
通産大臣
にお願いでありますけれ
ども
、今度の
石油
の業界についても、去年、おととし、または今年度、各政治資金を公表するようにひとつ御指導いただきたい。ちょっとかけ離れた議論のように思えるのですけれ
ども
、いまほんとうに国民が注視している問題ですから、そういう指導をなさるべきじゃないか。これが一つです。 それから、かためて言ってしまいますけれ
ども
、もう一つ、省資源、省力ということはどうしてもしなければならないわけであります。この中でもって
需要抑制
政策
を堅持するということになっておりますけれ
ども
、
石油
や電力の
消費
規制
をはずしていけば、こうしたせっかくのいままでの
政策
がくずれてしまうのじゃなかろうかというような心配が一つ、ございます。こうしたことはどのように考えていらっしゃるか、この問題。 それからもう一つは、省資源ということの範疇に一つあると思いますけれ
ども
、資源の循環利用ということをこれから進めていかなければならないと思います。そこで、資源の循環利用、これは裏からいえば公害対策にもなるわけでございますけれ
ども
、こうしたことについての資源循環利用を奨励する一つの
制度
を今後お考えになるべきじゃなかろうか。 もう時間がありませんから、その三つだけお聞きします。
中曽根康弘
62
○中曽根国務
大臣
政治資金の問題は自治省に届け出ているところでございまして、自治省のほうでぜひお調べ願いたいと思います。 これは
企業
が、政治参加という意味で、
日本
の民主主義を守るためにみずからの総意において
協力
をしておる。大学に寄付金を出すとか、あるいは宗教団体に寄付金を出すとか、それと同じように、政治もやはり国民のためにも重大な意味を持っておる場所でございますから、そういう意味で政治参加という意味で自由におやりになっておることで、私はこれは
企業
側の自由意思に基づいて良識をもって処理されるということがいいと思っております。 それから、全体の
規制
のワクをはずすことが
物価
につながらないかという御心配は、確かにそういう心配をわれわれもしております。しかし、にもかかわらず、現在の滞貨
状況
というものを見まして、そして総
需要
引き締め
政策
というものが続けられていくとするならば、この前のようなドラスティックな
物価
の
上昇
は起こらないし、また微
調整
という面で一時多少波乱があったとしても、それは落ちつきに転換していく、そういう見通しを持っておりまして、むしろいまのような下ざさえの傾向を排除するという意味において、そのほうが国民のためになると考えておるところでございます。 資源の循環利用という点は全く同感でございまして、来年度の通産省の大きな仕事の一つとして、そういうような資源の循環利用、俗な
ことば
でいえばバタ屋産業といいますか、ともかくくずでも何でも再生して利用する、そういう方面の
政策
に大いに力を入れていきたいと思っております。
平林剛
63
○
平林委員長
次に、
和田
耕作
君。
和田耕作
64
○
和田
(耕)
委員
通産大臣
に御質問いたします。 私の質問の時間は十分なものですから、ひとつ簡明にお願いしたいと思います。
大臣
、今回、九月の上旬になれば新しい灯油の
標準価格
をつくるようなことになるんじゃないかということを示唆されておるのですけれ
ども
、その理由はつまり、先ほどからの
大臣
の御
説明
によると、大体
石油
の需給は非常に
緩和
されてきておる、そしてもう再び
石油
が量的に非常になくなるというようなことは心配がないんだという一般
状況
のもとで、確かに値段の是正という問題はありますけれ
ども
、それを
標準価格
という形でやろうというその
措置
には、何か特別の理由があるのかどうか、あるいはほっておけばまた
石油価格
に
狂乱
状態が出るとかいうおそれがあるから、
標準価格
という形でこの問題に対しようとしておられるのか、その問題をひとつ。
中曽根康弘
65
○中曽根国務
大臣
行政
指導
価格
や
標準価格
というような
制度
は、臨時緊急の
措置
として緊急避難的にやつ七きたところでございます。そういうようなやり方については、公取側からも御批判のあったことは
承知
しておるとおりでございます。したがって、そういう
事態
が解除していくにつれてそれも解除していく。それがまた国民
経済
上並びに民生安定上重要であるという場合にはなおさらのことでございます。そういう観点に立ちまして、われわれはできるだけ早期に解除しつつ、自由
経済
本来の市場機能の世界に戻っていく。ただし、もしそれを乱すような場合や不正、不当なことが行なわれる場合には、
政府
は厳重に監視してこれを取り締まる、そういうことでいきたいと思っております。
和田耕作
66
○
和田
(耕)
委員
それは先ほど来の御答弁で
承知
しておるのですけれ
ども
、九月になれば
標準価格
というものを、まあ六百円、おそらくそれ以上になるというふうにも思われるのですが、きめたいという御意向のようですけれ
ども
、その腹をきめるためにはつまり何か理由がなければならない。先ほど、
石油
の問題は一般的には需給は非常に
緩和
しておる、もう心配ないんだというような御
説明
があるこの時期に、九月になれば
需要
期に入っていくから再び
標準価格
をきめることになるだろうということは、やはり何かの心配があるということがない、そういうことにはならないと思うのですね。その心配があるかどうかということを、これは仮定の問題でなくて、もう大体通産省としてはそういう方向をおきめになっておられると思うからお聞きしておるのですけれ
ども
、何かそういう御心配はありますか。
中曽根康弘
67
○中曽根国務
大臣
心配の有無もさることながら、やはり家庭生活の安定性という面から見て、この
需要
期はこの値段でいける、そういうふうに合理的な値段をきめるほうが、業者のためにも、また国民の、
消費
者の側のためにも安定性を持っていい。業者もまあこの値段ならしようがない、いわれているから
協力
しよう。それが天下に公表されますとインチキもできませんし、それをできるだけ低目にわれわれがきめてあげれば、国民の皆さまも利益を受けるわけでございます。そういう意味において、この冬はこれでいこうという一定の安定
水準
をきめるということが
国民生活
を安定させる上に大事ではないか、そういう考えから、プロパンと灯油についてはそういう考えを持っておるわけでございます。
和田耕作
68
○
和田
(耕)
委員
それでは、プロパンあるいは灯油等の
国民生活
と非常に関係の深いものについては、今後は自由
価格
的なものではなくて、やはり
政府
が一定の、はっきりした根拠に基づいた
価格
をきめて、それを守らせてやっていこうというお考えがあるから、
標準価格
という
制度
をこのいろいろ議論のあるときにおきめになったというふうに考えていいのですか。つまり、一般の
物資
とは違ったものだ、
国民生活
と関係が深いものだから、
標準価格
という形で対処していくんだ、格別心配とかいうことを予想しているわけじゃないけれ
ども
、不測のことがあってはいけないし、そういう重要
物資
だから
標準価格
という形でやっていきたい、こういうように理解していいんでしょうか。
中曽根康弘
69
○中曽根国務
大臣
標準価格
をきめました法律を見ましても、これは
国民生活
を安定させて、そしてまた国民
経済
を円滑に運営するために必要やむを得ない場合にやるということになっておりまして、これが常態ではないと思います。ただし、まだ異常な
事態
は根底的には存在するという認識のもとに、ともかく緊切な灯油とプロパンについてはこの法律を適用して
国民生活
を守っていく、そういう考えに立っておるわけです。
和田耕作
70
○
和田
(耕)
委員
あの法律の趣旨、内容を私も
承知
しておりますけれ
ども
、あれは一般的には、やはり
政府
がある強い、法律に基づいた
行政
力でもって押えなければいろいろ
価格
の問題で心配があるんだということが前提になっての法律です。しかし、これを考えますと、いまの
石油
の場合は、
大臣
が先ほどからお話しになっているとおり、もう
石油
の備蓄も三月
段階
の四十二日から現在では七十二日にも達するような状態になっておるというようなお話を聞きましても、一般的な状態はあの
国民生活
安定法に基づく
標準価格
というものを設定する時期ではないというふうにも考えられるのに、この秋から灯油あるいはLPGについては
標準価格
を設けるという趣旨を私は質問しておるのです。私は、当然こういう重要な問題については
標準価格
的なもので対処する必要があると考えておる。しかし、
政府
がこういうものはできるだけはずしたいというふうに言っておられる。そこのところを質問しておるわけです。 それで、少なくともこの冬は灯油あるいはLPGについては
標準価格
の方式で対処していくのだというふうに理解していいわけですね。
中曽根康弘
71
○中曽根国務
大臣
世界の
石油
事情は一応は安定の方向に向かっておりますけれ
ども
、OAPECの
動向
等を考えてみますと、必ずしも正常化したと言い切れる
段階
ではございません。九月十一日からのOAPECの外相
会議
等を非常に注目しておる
段階
でもございます。そういう面からいたしまして、
国民生活
に緊切な灯油やプロパンという問題については、われわれは周倒な手配をしておかなければならぬ、そういう考えに立っておるわけであります。
和田耕作
72
○
和田
(耕)
委員
もう一つ、この問題について。 先ほど
松浦
君からの質問にもありましたが、北海道は非常に灯油を使うということはだれしも認めるところですけれ
ども
、こういうたくさん使う非常に寒いところで北海道
価格
として高いということは、ちょっとこれは常識的に考えても——特にこのごろ
政策
的な観点からの
価格
の設定というものが重視される時期に来ると、やはりどうしても要るもの、しかも非常にたくさん使う、値段が上がればたいへん生活を圧迫するという、こういう品物は、北海道
価格
として
政策
的に安くしてあげる。また、たくさん使うのですから、ちょぼちょぼ使うところよりもコストが安くなるわけで、そういう考慮というものは、
大臣
、お考えになる必要がないというふうに考えておられるのか、やはりそれは若干考えなければいかぬなというふうにお考えになるのか、どちらでしょう。
中曽根康弘
73
○中曽根国務
大臣
北海道
価格
というのは妙な名前でございますが、私の記憶では、灯油には北海道
価格
というのはなかったと思います。LPGにつきまして、そういうような本土よりも少し高い値段がございました。灯油は全国一律でやっておると思いますが、この方針は続けていきたいと思っておるわけでございます。それよりもさらに安くしろというお話でございますが、これは別個の
政策
的考慮が必要で、通産事務当局あるいは通産省としては、全国一律というやり方が適切ではないか、そう思います。
和田耕作
74
○
和田
(耕)
委員
これは適切な例じゃないのですけれ
ども
、たとえば
電力料金
を上げるときに、社会のある層に対して
政策
的な配慮をする、ガス料金のときも同じようなことです。性質は違います。違いますけれ
ども
、北海道のようにたくさんの灯油を使わなければならないし、他のところとは著しく量も違う、家計への負担も違ってくるという
状況
では、やはりそういう
価格
に対しての
政策
的な配慮というものをする必要があると私は思うのですけれ
ども
、ひとつそういうような意味で御検討をいただくに値すると思うのですが、これはどうでしょう、やはり必要ないと思われるのですか。
中曽根康弘
75
○中曽根国務
大臣
和田
委員
のお話の趣旨は、私もよく理解をいたします。それはただ通産省の問題だけではなくして、厚生省とか各省が
政策
的に考慮すべき問題でありますが、御発言の趣旨はよく頭に入れまして考えてみたいと思います。
和田耕作
76
○
和田
(耕)
委員
最後に一言だけ、これと関係するわけですから。 先ほど
大臣
の口から公取の問題が出てまいりました。これは現下の非常に大事な問題ですけれ
ども
、新しい
物価
水準
をつくり上げなければならないという
段階
に立って、非常にこれはむずかしいということを
政府
はいろいろお考えになっておられる。そういうところで、
経済
の自主的な市場
調整
の能力というものを新しく発見をしておる
段階
だというふうな感じもするのですけれ
ども
、しかしそれにしてもそれではやっていけないというのがこの数年間の状態であって、
経済
の市場メカニズムによる
調整
というものに対して、国が
行政
あるいは法律でチェックしていくという必要が非常に強く出てきておるという状態ですね。 そういうときに、公取では、例の、公取
委員長
が独禁法の問題についていろいろお触れになっておられるのですけれ
ども
、あの
企業
の分割とかあるいは課徴金の徴収とか、そういうふうな公取で論議されている方向に対して、
通産大臣
としては、やはりこれは正しい方向だというふうにお考えになっておられるのか、あるいはこれは問題だというふうにお考えになっておられるのか。簡単でけっこうでございます。
中曽根康弘
77
○中曽根国務
大臣
この問題はこれから秋の大問題でございまして、通産省としても、アメリカやイギリスあるいはドイツの
制度
等もよく検討し、
日本
の立場もよく検討しつつ、いま非常に精力的に
調査
をしておるところでございます。公取側もまだ正式の意見発表はあったわけではなくして、研究会の発表とか、そういうような程度のもので、必ずしも煮詰まったものではないので、われわれとしてまだ意見を表明すべき条件が熟しているとは考えません。 ただ、いろいろな御意見についてはよく注目しながら検討を加えているというところでございますが、私の感じだけをちょっと申し上げますと、公取というのはむしろ審判機関のような
要素
が非常に強い。したがって、自由競争、無差別自由、公正取引、そういう面を確保するということが大事じゃないか。私的独占禁止法の第一条を読んで みますと、やはり制限とか不当な拘束を排除して、そして自由公正な競争を保障して、もって
消費
者あるいは国民
経済
に貢献する、そういう考えに立っておって、基本はやはり拘束の排除とかあるいは制限の排除とか、あるいは公正自由取引の奨励とかいうことにあるのだと私は思うのであります。あれはいいのではないか。 公取当局が
行政
価格
みたいなものまできめるということになると、これはいまの
制度
にもありますようになかなかむずかしいし、
中小企業
の問題まで考えると、バルクラインみたいな思想まで出てくる。下ざさえという形も出てまいります。そういうやぶへ入ってしまうと、なかなかこれは鳥もちがくっついたみたいになりやせぬか、私ら自分で
行政
をやってみてそう感ずるわけです。むしろ公取当局というものは、爆発力で拘束とか制限とかそういうものが出てきた場合にぶっこわしてしまう、完全に徹底的にぶっこわす、それで、
価格
の形式というものは、そのときの機能、自動調節作用、市場機能というもので競争をやらせながらきめさせるほうが、
消費
者のためにはなりやしないか。
標準価格
や
行政
指導
価格
というものは、今日の
事態
になってみると下ざさえになっているという情勢を見ますと、公取がそこまで入っていくことがはたして賢明であるかどうか。私は、やはり審判機関という性格を尊重して、そうして爆発力、破壊力として十分な機能を発揮させるというほうが適切ではないかという感じがしています。 しかし、これはまだ私の感じで、わが省の
調査
の結果まで待った答えではございませんが、
和田
さんからせっかくの御質問でありますから、感じをお答え申し上げたところです。
和田耕作
78
○
和田
(耕)
委員
終わります。
平林剛
79
○
平林委員長
午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後一時三十八分
開議
平林剛
80
○
平林委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。
片岡清一
君。
片岡清一
81
○
片岡委員
まず
内田
大臣
にお伺いいたしたいのでございますが、
物価
の先行きがいまだ非常に不安定な状態でございますので、
物価
に対する対策としての総
需要抑制
、
金融
の
引き締め
という
措置
はそう早急に
緩和
するということはできないだろうということは、私もよく理解できるのであります。 しかし、最近この
政策
の効果が非常に強くあらわれておりますことは、一方においてはまことにけっこうなことでございますが、それがだんだんと深刻の度を加えてまいったということができると思います。特に、資金的に非常に余裕のない
中小企業
においては、大
企業
からの締めつけ等もあり、またこのきびしい
政策
の結局しわ寄せをもろにかぶって、そうしていまや最大の被害者としてうごめいておる、うめき声をあげておるという現状であることは、おそらく
大臣
も十分御
承知
いただいておることと存ずるのでございます。これはもちろん、角をためんとして牛を殺すというようなことになっては、元も子もなくなるわけでございます。われわれもこの窮状をたびたび訴えられるのでございます。いろいろな面において相談にあずかり、また訴えられて、われわれもこの
措置
に非常に困っておるのでございますが、まあもう少しのことだからがまんをしてほしいというふうにわれわれは申しております。 しかし、どうもいまや限度に来ておるように弔われるのでございます。一般の
人々
は、特に
中小企業
の方たちは、大体秋口になれば何とか少しは
緩和
してもらえるんじゃないかという淡い期待感を持って、そして歯を食いしばってがんばっておるということでございます。ところが、もしその期待がはずれるようなことがありますと、私は、
中小企業
の倒産というのは、今日以上に非常に深刻な
事態
を現出することになると存ずるのでございます。 私は、これはたいへんむずかしい問題であろうとは存じますが、ことに
経済企画庁
の長官としての
内田
大臣
の御見解あるいはまた御希望、
通産大臣
としての希望、それからまた大蔵
大臣
としての考え方、これはそれぞれの持ち場持ち場において非常に苦労をしておられることと存ずるのでございます。しかし、ここで何とかひとつ、
物価
において最も基本的な責任をお持ちでございます
内田
長官が、いつごろになれば少し
緩和
していただけるかという何かのめどを与えていただきたい。そうしないとほんとうにお先まっ暗という状態で、私は国民はたいへん不安を感じ——不安どころか、たいへん深刻な状態におちいっておると存ずるのでございまして、もうすでにがまんの限度に来ておると思いますが、どうかいつまでがんばればいいのかという何かめどをお示しをいただきたい、私はこう思うのでございますが、どうぞお願いいたします。
内田常雄
82
○
内田国務大臣
たいへんむずかしい
課題
でありますことは、私が冒頭のごあいさつの中でも申し述べたとおりでございます。 最近、繰り返しませんけれ
ども
、
物価
の
上昇
傾向は
鎮静
をいたしておりますが、しかしこれと同時に、鉱工業の
生産指数
というものはかなり落ちております。その上、
需要
界に持ち出される製品の出荷というものも、出荷指数が落ち込んでおりまして、むしろ生産者の手持ちの在庫は反対にかなりふえる一方、こういうような
状況
にありまするし、また、
金融
などの面におきましても、
企業
の活用し得る
手元
の資金の
状況
を一口に申しますと、
企業
の
手元流動性
というものが次第に小さくなってきておる、非常に窮屈になってまいりまして、
金融
の面からも
企業
活動が非常に制約をされているというような
事態
が生じておりますことは、
片岡
さんもお気づきのとおりでございます。 そういうことをまた
総合
的に反映をいたしまして、ことしに入りましてから、一月ないし三月における国民総生産、すなわち国民総支出というものも、前期に比べますとマイナスが立つようになっておりまして、一−三月は前期に対してマイナス五%、その後本年度に入って、四−六月における国民総生産、あるいは同じ意味でございますけれ
ども
国民総支出というものの実績を、いま私
ども
経済企画庁
でまとめておりまして、これは来月の中ごろまでには発表し得ると思いますけれ
ども
、いま私が十分でない
資料
によりまして判断をいたしましても、四−六月が一−三月に対してかなり持ち上げてきているという
状況
にも思えません。一−三月に対して、フラットでもないかもしれませんけれ
ども
、その
上昇率
というものはかなり微々たるものであろうと考えられます。これらの
指標
はすなわち、
景気
が下降をし沈滞をしていることを物語るわけでございまして、それだけ
中小企業
はもちろんのこと、国の
経済
一般が非常に不況の中で動きが鈍くなってきておる、こういうことを示すわけであります。 そのことはまた、他面からいいますと、それだけ
物資
の
供給
力も制約をされてきておる。現に
企業
の稼働率というようなものは、
設備投資
を押えている中におきましてもかなり低くなっております。設備が全部フル稼働から見るとかなり遠い
状況
で、
物資
の
供給
はそれだけ減っている。同時に、しかしこれはまたエネルギーや資源が節約をされているということにもなるわけでございますが、そうした中におきましても、
金融引き締め
、総
需要
の
抑制
がきいておりまして、
需要
がはなはだ伸び過ぎて、そして昨年の暮れあたりに見られましたような需給のアンバランスといいますか、需給のギャップが見られておりませんで、むしろ
物資
の需給は
緩和
をしてルーズになってきておる、こういうような
状況
でもございます。 そのことはまた、他の反面からもう一ぺん反省をしてみますると、今日の時代の
経済
が動かないばかりでなしに、
日本
が毎年百何十万人の人口がふえ、あるいはまたこれから
国民生活
における環境整備でありますとか、
社会福祉
の充実とかいうことをやろうと思いましても、それが非常に困難にもなる、ふえる人口に職業を与えることにむずかしさが生じてくるということは、将来のエンプロイメントに対する大きな問題を生じますので、そこで私は、
物価
の
抑制
はもとより大切である、しかし
物価
の
抑制
が大切であるのは、
物価
の安定というものを通じて
国民生活
を安定すること、
国民生活
を豊かにすることのために
物価
の押え込みをやるわけでありますから、これがいま私が申し述べましたような不況現象というものがいま以上に強まったり、また
経済
の成長というものが全くなくなってまいるということになりますと、今度はまた
国民生活
を現状においてもまた将来においても非常に圧迫することにもなりまして、お
ことば
のとおり角をためて牛を殺すことにもなるわけでありますから、この二つの矛盾した事象をどのように組み合わせるかというところに私は問題があると思うわけであります。 しかしまた、
物価
の
状況
も、けさほどから申すように、手放しで楽観できるものではありません。
設備投資
の
基調
というものにも根強いものもございますし、またいろいろの面で油断をすれば
需要
が非常に旺盛になるような、これは私は必ずしも
賃金
だけのことを申すわけではありませんけれ
ども
、そういう
要素
もございますので、ここでいま手放しに
金融
緩和
、総
需要抑制
を解除する時期に来ているとも思いませんので、これは私は両方の
課題
をにらみながら、先刻も申しましたような
立体構造
、総
需要抑制
、
金融引き締め
という
ワク組み
は続けながら、それと正面衝突といいますか、横に衝突をしないような
立体構造
のような考え方をもって、
中小企業
のみならず、所要の分野につきましては——これはたとえば国民の住宅
供給
の面もありましょう。あるいは、一々申すと例にあげない面でいろいろ支障も生じますから例をあげませんけれ
ども
、非常な苦境に立たされているような分野につきましては、
立体構造
のもとに所要の
施策
を考えてまいるべきだと私は考えます。そのことを私は、通産省にも、大蔵省にも、その他の
政府
の内部の
経済
政策
の上にも
立体構造
的私の考え方の投影をはかってまいりまして、
片岡
さんはじめ
皆さま方
の御心配にもこたえてまいるべきである、このように私は考えます。
片岡清一
83
○
片岡委員
経済
、財政にたいへん該博な知識を持っていらっしゃいます
内田
大臣
のことですから、非常にむずかしいことをおっしゃって、よくわからないのです。
立体構造
の
政策
の投影がだんだんどういうふうに出てくるのか存じませんが、要するに、われわれが選挙区へ帰りましていろいろ相談にあずかりましても、一体いつまでがまんすればいいんだ、もう少しがまんしてくだ
さい
、もうそろそろですよということを言ってきて、われわれはとにかく秋になれば何とか
緩和
してもらえるだろう、することになるんじゃないだろうか、こういうふうに言っております。 たとえば、この間、
中小企業
の建築会社、この連中もたいへん難渋を来たしておりまして、いろいろの職員、労務者をかかえておりながら、仕事が総
需要抑制
のために全然ないということで、たいへん難渋しておる。せめて町村の事業ぐらいやらしてもらいたい、それで、自治省の起債の面からもひとつ何とか
緩和
してもらうようにしてくれ、あるいはまた、特に私のほうは雪の降るところでございますので、事業をやるにしても、雪の降るような時期にならない前に何とか早く手を打っていただかなければならぬというようなことで、いろいろ陳情を受けるわけでございます。 たいへん
大臣
もお立場上苦しいことと思いますが、とにかく秋にはとてもだめだ、年末でないとだめだとか、来年にならなければだめだとか、何とか少し大衆にわかりやすいような何か示唆を与えていただくわけにいかぬものでございましょうか。われわれもその間へ入って実に困るわけでございます。どうぞひとつ何とか示唆を与えていただけるならたいへんありがたいと思うのですが、もう一度お願いしたいと思います。
内田常雄
84
○
内田国務大臣
わかりにくい表現をいたしまして恐縮でございますが、もう少しわかりやすい表現をもっていたしますと、
金融引き締め
なり総
需要抑制
政策
というものを
金融
緩和
とか
景気
刺激
政策
に切りかえるというのには、私はまだかなりの時期が必要だと思います。来年の少なくとも半ばぐらいまでは私はいまの
政策
はその
ワク組み
は続けられなければならない、新しい出発は、
昭和
五十一年ぐらいに新しい準備ができた新
政策
の出発としてそろえたい、こう思うわけであります。しかし、それまでは待ってはおられないいま御指摘のような問題が生じておりますので、いままでの
政策
は
政策
として走らせておきながら、その
ワク組み
の中におきまして、
政策
を切りかえるのではなしに、その
ワク組み
は
ワク組み
として、それと、
立体構造
において、所要の
雇用対策
でありますとか、あるいは
中小企業
対策でありますとか、不振産業対策というものを立体的に取り上げることによりまして、
国民生活
というものを
物価
一本で押え込んでしまってほかはどうなってもかまわないということでないようにすべきだということを私は述べておるわけであります。 これは大蔵省は大蔵省なりに、通産省は通産省なりに、あるいは建設省は建設省なりに、私の述べておることをそれぞれ解釈されて、所要の
政策
をとっていただけるものと思いますが、私は
経済企画庁
として、わかりにくいとはいいながら、そういうことを申しておくことが非常に必要なことである、こういうふうに考えるわけでございます。
片岡清一
85
○
片岡委員
たいへんお苦しい立場よくわかりますし、また、そう責任のある方が簡単に時期を明示していただけるというふうにも私は考えておりません。 ただいまお話しのように、
立体構造
というのは、いろいろの面において
緩和
すべきものは
緩和
する、
緩和
といいますか、対策を講ずるというような、各省こぞってこの問題についてそれぞれの立場から対策を立てていくという意味に理解をいたすのでございますが、結局そうなりますと、いずれにしても、この
事態
を切り抜けるためには相当いろいろ真剣に考えていただかなければならぬ問題があると存ずるのでございます。特に私は、いま総
需要抑制
の
緩和
ということもさることながら、やはり資金のめんどうを見ていただくということが
中小企業
対策として非常に喫緊の要務であると考えるのでございます。われわれのほうへ、しばしば金を借りにいくんだがさっぱり受け付けてもらえないということで、非常に陳情が多いわけでございます。何とか
協力
をしてほしいというお願いが非常に多いわけでございます。 そこで、私は、
中小企業
庁長官
、
中小企業
庁の方が来ておられると思いますが、あるいはまた大蔵省のほうの御意見も承りたいのでございますが、私のほうへ来ました一つの例を申し上げますと、これは畳表とかあるいはじゅうたんとか、そういう敷きものの大きな卸問屋といいますか、その人なんですが、これは非常に手がたい仕事をしておる人で、まじめな方でございます。ところが、最近、畳表を熊本から買いたいがどうも資金がないので実に困る。それで三千万円何とか融通してもらいたいのだけれ
ども
、富山にございます
中小企業
金融
公庫支店へ行きましたが、これはなかなか貸してくれない。行って聞かれることは、あなたは何か協同
企業
の中へ入ってやっているのか、あるいは協同組合の中へ入ってやっておるのかというようなことを聞かれて、通産省の
中小企業
対策でやっておる協同あるいは協業といったような、何かそういうおめがねにかなったものでないと貸してくれないのかというようなふうにも思われる。あるいはまた人に聞くと、だれか有力な人に口を聞いてもらわなければ、庶民が窓口にすぐ行ったってとても貸してくれるものじゃない、こういうことで私のところへ参られたわけです。そういうことで結局私が、この人はよく私は知っておるんだが何とか考えてあげてほしいという電話をかけて行ったのですが、結局私もあんまり有力じゃないものだからうまくいかなかったのか存じませんが、何か代理貸しのほうへ行って頼みな
さい
、そういうところの道を選びな
さい
ということを言われて、それで結局代理貸しで二千万円だけ融通してもらった、あとの一千万円はどうしても貸してもらえないので弱りましたと言って、二度私のところへ参ったのでございます。 私は、
中小企業
のところで
金融
公庫の監督をしておられるのは
中小企業
庁、あるいはまた大蔵省のほうもそうだと思いますが、これはこういう直貸しでなしに代理貸しといいますか、そういう道を選ばされて、思うように満度の融資がしてもらえなかったということでたいへん嘆いておるわけなんですが、こういう点はどうなっておるのか、実際、皆さん方にわれわれは、
通産大臣
も一生懸命になって大蔵省にお願いされて、融資のワクを千五百億、さらに五百億加えて二千億になるように一生懸命努力されたとか、その後さらにワクを広げることに努力しておられるのだという
説明
はいたすのですが、ところが実際窓口に行くとさっぱり貸してもらえないということで嘆いておるわけでございます。実際問題として、いまのどから手の出るぐらいにほしいのが、それも二、三カ月待たされるのじゃどうにもならぬということで、たいへん
金融
面で困っておる人がたくさんあるわけでございます。そういう点、ひとつ具体的な問題についてどういうふうに扱っておられるのか、御
説明
願いたいと思います。
後藤達太
86
○後藤
説明
員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘の富山の問屋さんの件は、具体的には私
ども
まだ十分
承知
いたしておりませんめで、たいへん一般的な取り扱いの御
説明
になりまして恐縮でございますが、
中小
公庫の場合は、御案内のように支店が全国で四十二ほどでございます。これではなかなか取引先の便宜ということをはからうのに十分でございませんので、
中小
公庫の場合は代理貸しをかなりたくさんやっておりまして、これが八百ぐらいの代理店を置きまして、その窓口でお客さまに融資をする、こういう扱いになっております。で、額といたしましては、それぞれ
中小
公庫の——いずれから融資をいたしましても、これは
中小
公庫の貸し出しであるということには変わりはございません。ただ事務の扱い方といたしまして、数多い代理店でもございますので、一応本部のほうで各代理店あるいは各支店に融資のお申し込みの
状況
などによるめどを立てましてワクを配分いたしまして、融資をなるべく早くやらせる、こういうことにいたしておりますので、あるいはいま先生御指摘の支店の場合には、そういうワクの関係等がございまして、代理店のほうならワクがある、それから支店の場合にはワクがたまたま一ぱいになっておる、こういうようなことで代理店のほうへお回り願った、こういうようなことはあり得ることかと存じます。 ちなみに、最近の融資の貸し付けの実行
状況
を申し上げますと、この第一・四半期で、
中小
公庫の場合には昨年に比べまして七割、七四%ほど多い貸し付けを実行いたしております。
数字
として先生いま御指摘のようになかなか十分でないというおしかりをあるいは受けるかもしれませんが、公庫といたしましてはたいへん努力して実行しておる次第でございます。 いま御指摘の具体的な点につきましては、もし必要でございましたら、なおよく実情を調べさせていただきたい、こういうように考えております。
片岡清一
87
○
片岡委員
大体のことはわかりましたが、ただ、さっき言いました、何か協業をやっておるかとか協同組合へ入っておるかというようなことを聞かれたというのですが、そうでないと貸さないのですか。何かそういうことが選別融資の条件になっておるのですか。ちょっとその点を……。
若杉和夫
88
○若杉
説明
員 お答えいたします。 そういう事実はございません。全くございません。 それから、先ほどの大蔵省のお答えにやや補足して申し上げますと、代理店に二千万というのは、これは
制度
上代理店に二千万の限度というのをつくっておるわけでございます。 じゃ、どうして代理店に行ったらどうかということを言っておるかといいますと、先ほどお答えしたことでございますけれ
ども
若干補足しまけと、
中小
公庫へ直接来た場合には、運転資金の場合四千万まで、先ほどの場合は運転資金だと思いますが、可能でございます。ただ、
中小
公庫も支店の数が少ないものですから、それで、初めて取引される場合なんか担保とかで時間がかかるわけでございます。代理店といいますと、普通
中小企業
が毎日取引している銀行が指定されておりますから、そこへ行きますと担保問題とか相手の商売の規模とかはっきりわかっておるわけでございます。そういうことで非常に手続が迅速なんでございます。そういうことで、代理店のほうへ行ったほうがいいのじゃないですかと——確かに三千万に対して二千万ということは私も残念だと思いますけれ
ども
、いま非常に殺到しておりまして、率直なことを言わしてもらえれば、三千万の希望に対して二千万、限度一ぱい借りたわけですから、全体的観点から言えばいいほうだというふうにも考えるわけでございます。まあケースによって違いますけれ
ども
……。そういうことでございまして、直接来れば四千万ですけれ
ども
、時間とか手間がかかるものですから、つい代理店のほうに行ったほうがいいのじゃないか、こういうことがあるわけでございます。
片岡清一
89
○
片岡委員
時間がございませんので、大体いまの御
説明
で了承をいたしておきます。 次は、
消費者米価
の問題について農林省の
食糧庁長官
にお伺いしたいと思います。 この秋を迎えまして、やはり国民の最大の関心事は何といっても
消費者米価
がどうなるのかということだろうと思います。この間、答申抜きの米審が開かれてこの問題がまず論議の議題にのぼったのでございますが、九月三日から米審がこの問題で開かれるようでございます。これで、去年きめられてことしに実施延期になっております
消費者米価
の九・八%の決定しておるものに幾らか上のせになるのだろうと当然思います。それが幾らの上のせになるのか、これはそれぞれの立場で違うようでございます。大蔵省にしてみると、新聞で伝えるところによりますと四七、八%まで上げるのだ、ところが企画庁のほうでは、それはそんなになったら困る、だから二〇%程度だ、こういうことになって、おそらくまだきまっておらぬのか、しかし、近くこれは諮問案がきまることと思いますが、ここで、まだそういうきまらない状態において幾らのせられるのかということはなかなか出てこないと思いますけれ
ども
、私は、この食管会計というものの本質についてひとつ私の考え方を申し述べたいと思うのでございます。 もちろん
消費者米価
を上げれば食管会計の赤字が少なくなるということはよくわかりますし、逆ざやがなくなって、あらゆる点において都合がいいということでございましょうが、これは何と言うても国民の食糧費の問題ですから一番基本的な問題でございます。そこで、私は、この食管会計というものは普通の
企業
会計と違いまして、収支が相償うということが前提になるというような考え方のものとは違うと思うのです。食管会計は本質的には、生産者にはやはり事情の許す限りできるだけ高く買ってあげて、そうして
消費
者にはできるだけ安くしてあげる、こういうことが本質的にあるのだ、それが国民の食糧
政策
の基本である、こういう立場から、当然これは赤字になることがもう前提のものである、そうしてこの食管会計というものが存在しているのだと私は思うのでございますが、この点について食糧庁はどういうふうに考えておられるのか。よく食糧庁は、赤字が出るから生産者米価を上げないのだということで、生産者米価を押えることに一生懸命になるのでございます。それと同時に
消費者米価
を上げるということにも一生懸命になられるのだろうと思いますが、そういうことで私は、基本的なものの考え方、また
政府
全体としてもこの食糧問題について基本的に考えてもらいたい。 たとえば
国鉄
の会計にいたしましても、これは明らかに一つの
企業
だと私は思うのです。この
企業
でさえもやはり累積赤字が一兆五千億にのぼるといわれておるのでございます。ことしは五千億余りの新しいものが出てきて、それで累積が一兆五千億、食管会計では今度ようやく九千五、六百億ですか、一兆になんなんとしておるということは、これは確かに一つの大きな国の負担になるわけでございます。一般会計からの負担になるわけでございます。しかし私は、極端な言い方かも存じませんが、国民の食糧というものは国民を飢えさせないための一番基本的な問題だと思うのでございます。これは極端な言い方をすると、いわば国防費の一つだ、私はこう考えていいのじゃないかと思います。昔から、腹が減っては戦争ができない——私は何も戦争することを言うのじゃないのですが、腹が減ってはいくさができないというこの考え方は、結局まずたらふく食う、たらふくでなくても、とにかく腹がくちくなっておるということが人間が活動するすべての基本である。国民が国民として活動する一番基本である。そういう意味において、国防費の一端であるというふうに理解してもいいのじゃないかと私は思う。自衛隊費がこのごろ一兆一千億ですかになりました。そこで、今度は赤字が一兆加わったって二兆一千億、これは
日本
のGNPからいうと幾らになりますか。いまの自衛隊費は〇・八%でございます。それがたとえ二兆円になったとしても、国防費としてはまだ二%にならない、そういう状態だと思うのでございます。 そういうことから考えますと、この基本的な食糧費というもの、食管会計というものがある程度赤字で、そしてこれはみんな国民のすべてに均てんする問題でございますから、当然鉄道なんかと違った受益者負担という面のあれはなしに、これはみんなが同じように受益をするわけでございますから、これは一般会計から当然赤字負担をやってもいいものだと思うのですが、そういう意味において、基本的な問題として、食糧庁は私のこの考え方に対してどういうふうにお考えになっておるか、それをひとつお伺いしたいと思います。
下浦静平
90
○下浦
説明
員 お答え申し上げます。
片岡
先生の御意見でございますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、食糧管理特別会計につきましては赤字を当然の前提としておるものではないというぐあいに考えております。現に、御指摘のとおり、四十九年度におきましては、現状でございますと一兆一千億弱程度の赤字
発生
の見込みでございます。それから過去におきましても赤字がかなり出てきておるという経過がございますけれ
ども
、これは現実問題といたしまして赤字が
発生
しておるということでございまして、たてまえ上の問題ではございません。 現実の問題というのは、これも御指摘がございましたけれ
ども
、逆ざやの関係でございます。逆ざやの関係にも三つの考え方がございまして、買い入れ
価格
をもとといたしまして、これに保管でございますとか金利でございますとか、そういった必要な経費でございますが、それを加算いたしましたものと売り渡し
価格
との関係、これはコスト逆ざやと申しております。 〔
委員長
退席、
井岡
委員長
代理着席〕 それから売買逆ざやというものがございまして、これは売買の差額でございます。それから末端の
消費
者の
段階
での逆ざや、こうあるわけでございますが、私
ども
、コスト逆ざやにつきましては、
政府
の必要な経費の一部につきましては
政府
で持ったらいいではないかという御意見もございますが、そこまでとは申しませんけれ
ども
、少なくとも
消費
者の
段階
におきましての
消費
者の買い入れ
価格
、それから
政府
の買い入れ
価格
、この関係が全く逆の関係になっておるということはおかしいというふうに考えておる次第でございまして、この点につきましても、全部とは申しませんけれ
ども
、できるだけ埋めてまいりたい、こういう考えでございます。
片岡清一
91
○
片岡委員
ただいまの答弁は事務官僚としてはやむを得ぬことかも存じません。とにかく食管会計が赤字を出すのはたてまえじゃないのだという見方をされるところに、ほんとうに農民のためを思って農林省があるのか、私はそれを非常に疑わしく思うのであります。通産省は一生懸命に業者のために戦っておるのに、農林省は農民のために戦わないで、何か自分の予算のつじつまを合わすために戦っておるというような感じがいたしまして、それだからそのときどきにネコの目のように変わる農政が展開されておる。それだから農民がいつもしわ寄せになって、ひどい目にあうのでございます。そういう農林省の態度であっては、ほんとうにこの食糧問題の解決はできないと私は思う。 いまや食糧の自給ということはもう大事な基本的な
政策
でございます。そういう面からいうと、私はいま、極端な言い方ではあるが、とにかく国防費の一つだと見ても差しつかえないんじゃないか、それだからまるまる出してもいいんじゃないかというふうにさえ思っております。しかし、ここで農林
大臣
がおられるなら大いに私は議論をしたいのでございますが、失礼ですが一事務官僚と議論をするほど私はやぼではございません。そういうことで、私は、時間がございませんから、あと一つだけ御質問いたします。 それは、貯金の目減りの問題でございます。これは私は前からもやかましく言っておるのでございますが、インフレが依然として続いておりますと、何といってもインフレの一番最大の犠牲者は低所得者であります。低所得者が自分の老後なりあるいは何か事あるときに備えて貯蓄をしておる。この低所得者の気持ちというのはほんとうに大事なものだと私は思うのです。その低所得者が貯金をしたが、このインフレでどんどん目減りをするということは、ほんとうに耐えがたい問題だと思うのです。これはやはり国の福祉
政策
の一番基本的な問題として、何とかこれに対してある程度の対策を講ずべきであると思うのでございます。 この間、新聞に、フランスでしたか西ドイツでしたか、目減りの問題でいろいろな新しい
政策
を打ち立てておるということが出ておりました。大蔵省でもこの問題について、非常にむずかしい問題だが前向きに検討すると言っておるのですが、前向きでその後どうなったか、どういう検討をしておられるか、それだけを簡単にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
後藤達太
92
○後藤
説明
員 お答え申し上げます。 異常な
物価
高の中で、先生御指摘のように、預金をしておる人が購買力が減っていくということはたいへん重大なる問題だと私
ども
は考えておりまして、そういうところから、従来はなかったことでございますが、昨年来、預金金利を四回にわたって
引き上げ
るべく努力を重ねてきた次第でございます。 この問題の一番基本的な解決というのは、先生も御指摘のように、まさに異常なる
物価
高の問題を解消する、将来に向かってそういうことが起こらないようにするということが当然基本だと存じますので、総
需要抑制
策を堅持するということに努力をしておる次第でございますが、今後の問題といたしまして、さらに預金金利をどういうふうにしていくかということにつきましては、私
ども
いま一生懸命勉強しておるところでございます。 ただ、なかなかむずかしい問題がございまして、いろいろ具体的な御提案は承っておりまして、それも一々勉強いたしておるのでございます。例をあげて申し上げさせていただきますと、たとえば
物価
スライドというような問題が一つあるかと思いますが、ただ、これは預金だけの問題ではなくて、各種の
金融
資産なり、あるいは
賃金
とか地代、家賃とか
物価
とか、いろいろな方面に
関連
するたいへん大きな問題でございます。現に、これを実行いたしましたブラジルというようなところも、いろいろなほかの、
価格
凍結でございますとかあるいは所得
政策
とか、こういうものと合わせたやり方をしておる特殊なケースであろうと思いますので、わが国の場合に直ちに採用するということは非常に困難があることだと考えております。 また、預金の金利を一般的に
引き上げ
る、あるいはある特定のものについて預金の金利を
引き上げ
て、将来に備えて、債権者と、つまり預金者と、それから資金を使う借り入れ者の利益の
調整
をはかっていく、こういう角度からのいろいろな御意見があるわけでございますが、これにつきましては基本的にもあるいは技術的にもたいへん問題が多いのでございますが、当面最大の問題といたしましては、やはりこの
引き締め
が浸透しております中で、その金利の
引き上げ
が一番
影響
いたしますのは、
中小企業
の金利負担に響く、あるいは
中小
金融
機関の経営問題に大きな
影響
がある、こういうことでございます。 まあそういうようなところをせっかくいま勉強しておりますが、ただいまの御指摘もちょうだいいたしましたので、さらに気を新たにいたしまして、引き続き勉強をさしていただきたいと思っておりますが、ただ、恐縮ながら今日のところ、こういうことならどうか、こう申し上げる
段階
まで至っておりませんので、たいへん恐縮でございますが、勉強しておることを御
説明
申し上げるということにしかならないという
状況
でございます。
片岡清一
93
○
片岡委員
それでは、
平林委員長
も何かこれについて御質問があるそうですから、それをお聞きすることにして、これで私の質問を終わります。
井岡大治
94
○
井岡
委員長
代理
平林
剛君。
平林剛
95
○
平林
委員
私からは、特に預金金利の
引き上げ
の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 御
承知
のように、当
委員会
はさきの国会におきまして、
物価
安定対策の推進に関する決議をいたしました。この決議の第九項目に、「国民の零細な預貯金の急激な減価を防ぐため、適切な対策を検討すること。」つまり預金金利の
引き上げ等
を検討することを
政府
に対して要請をいたす決議をいたしました。この理由は
説明
する必要がありません。私
ども
としては、この決議の背景として、インフレの高進そのものを全力をあげて終息をさせる、そのためにも貯金に対する国民の信頼を取り戻しておく必要がある。そうでなければ、貯金の取りくずしなどにより、あるいは個人
消費
の拡大が総
需要抑制
の効果を薄めるということも見のがすことができないわけであります。 いま大蔵当局の話だと、勉強の
段階
だと言いますが、私は、勉強の
段階
ではなくて、もう実行すべき
段階
が来ておる、こう思うのでございます。前の福田大蔵
大臣
も佐々木
日本銀行
総裁も、さきの国会において、よい案があれば実施をしたい、最近大平大蔵
大臣
もテレビの対談の中におきまして、金利の
引き上げ
はやりたいという趣旨の発言をいたしたのでございます。大蔵省におきましても、
日本銀行
の当局においても、従来、私
ども
が
承知
している範囲では、少額貯蓄非課税、いわゆるマル優の
制度
のワク内で預金金利を
引き上げ
る方法を検討していたと伝えられておるわけでございますが、もう一度それが事実上断念をされた理由を明確にお答えを願いたいと思います。
高橋英明
96
○
高橋
(英)
説明
員 断念したということではございませんで、現在でも検討はいたしております。ただ、非常に技術的に難点があるのではないかということで現在ちゅうちょをしておる、こういうことでございます。
平林剛
97
○
平林
委員
技術的に難点というのは、どこですか。
高橋英明
98
○
高橋
(英)
説明
員 マル優の中で特別の金利をつけるというようなことをいたしますと、それが厳格に守られるということの保証をまずつけなければなりません。それで、そういったもののためには一人一人の身分といったようなものをはっきりさせることが非常に手数を要するというようなことがございます。 それからまた、郵便貯金もマル優と同じでございますので、マル優をいたしますと、郵便貯金のほうも全面的にしなければならないといったようなことがございます。そういうことで、これは郵便貯金のほうにも負担が非常に大きくなる。まあ負担だけで断念するわけではございませんけれ
ども
……。 それから、マル優の利用というものが
金融
機関の種類ごとによって違っておりますし、マル優のシェアが占められておるのが、農協とか、あるいは信用組合、信用金庫といった、どちらかといえば小規模の
金融
機関のほうが圧倒的に多いということから、負担がどちらかというと大きな
金融
機関よりは小さな
金融
機関のほうに大きく出てくるのではないか、そういったような
問題等
を考えましてちゅうちょしておる、こういうことでございます。
平林剛
99
○
平林
委員
特別の金利をマル優につけるということは厳格に守ることが困難だと言うが、現在マル優の
制度
は、少額貯蓄非課税という
制度
である程度定着しているのじゃないですか。それは銀行当局、
金融
機関と税務署との間の関係にあるものですから、マル優に特別の金利をつける以上に複雑なものであるのにかかわらず、ある程度マル優の
制度
は定着しているわけです。マル優のワク内において特別の金利をつけるということは、今度は銀行自身の負担増加になるわけですから、銀行自身がもっと厳格にやることができるので、実行上困難であるというのは、私は理由が納得できません。 それから、郵便貯金の負担という点がいまお話がございましたけれ
ども
、大体現在の
物価
の
上昇
ということを考えて、
消費者物価
が二〇%も二五%も上がるというときに、六分だ、七分だということ自体がもうすでにおかしいので、国民の納得を得られるはずがないと私は思うのであります。 先ほど、マル優のシェアが、信用金庫とか信用組合とか、そういう小さなといいますか、比較的規模の小
さい
金融
機関にもあって、その負担の増加のために問題があるというお話がありましたが、私は、この点はやはり一つの問題点であるということは認めます。しかし、
中小
金融
機関の経営が困難になるからとかいうことで、預金者がその犠牲になるというのはいかがなものでしょうか。私はこの点は、
中小
の
金融
機関の存立のために預金者が犠牲になるというのは、これは理屈にならない。この点を割り切るべきだ。経営困難にならないように
措置
する方法は全くないというわけじゃありません。 そういうことを考えますと、大蔵省がこうした問題についてなお勉強中の域を脱しないというのは、かなり問題があると思います。もちろん、国債発行による
政府
の金利負担が増大するという
政策
的なこと、財政的なことも考えなければならぬでしょう。しかし、国民の金を借りるのにまともな金利を払わないという理屈はないのですね。金利負担で困るというのなら、国債発行しないようにすればいいし、国債の発行を少なくすればいいわけでございます。国が借金をして、インフレになって得をしておるというような現状はむしろ改めるのがほんとうでございまして、理屈に合わない理由をもってこれを渋っているというのは、
政府
にやる気がないのじゃないかと疑われてもしかたがないと思うのです。 また、かりに金利を上げたために
金融
機関の経営が困難になって預金者保護に欠けるという理由がもしあなた方にあるならば、すでに預金保険機構が発足をしておるわけでありまして、預金は保険で守られているわけです。現在百万円ですから、百万円では足りないというなら、それをもっと上げればいいのでございます。 そこで、私はこの際、時間もございませんから、二回ほど大蔵当局ともいろいろ話を詰めてみましたが、その詰めた結果、試案でございますけれ
ども
、提案をしたいと思います。 私は、ただいま申し上げました理由によって、この際、
政府
は個人の定期性預金を対象にして、少額貯蓄非課税
制度
、つまりいわゆるマル優の三百万円のワク内で金利を
引き上げ
る。ただし、一世帯は一人に限る。マル優というのは現在預金者の利用によって、また銀行の勧誘、
金融
機関の勧誘等によって、自分の子供とかきょうだいまで名義を与えてやって広がっておりますが、私は一世帯一人に限る、こういう制限をするということをしたらどうかと思っておるのであります。つまり、マル優だけを対象にして預金金利を
引き上げ
るのは、大口預金とか法人預金を切り離して、個人預金を救うことができると考えておるわけであります。なぜかというと、大口預金あるいは法人預金の人たちは、どちらかというと
金融
機関を利用する度合いもかなりあります。現在、金利がかりに九%といたしましても、それを借り受けることによって、インフレ高進下にあってはある意味では相当の恩典を受けていることになるわけでございます。そこで、こうした法人預金、大口預金を切り離して、個人預金に限るということは理屈がかなう、こう考えておるわけであります。 次に、かりに個人の預金者でありましても、庶民
金融
の形で
金融
機関よりの融資を利用している者につきましては、これを除外することもやむを得ない。つまり、その範囲は小さく、額は小さくとも、ある程度インフレヘッジを果たしておるということになるわけでございますから、純粋に預け入れる人たちがインフレの高進によって俗にいう最も損をしておる、目減りをしておるということを考えまして、そういう限定をする。 次に、預金の金利は一年定期一〇%に
引き上げ
る。この
措置
はすみやかに講ずる。 私、結論から申し上げましてこういう考えを持ったのであります。 勉強中であり、大蔵省は専門家でございますから、かなりの程度の研究が進んでおると思います。かりに私がいま申し上げたことを実行するとしたら、
金融
機関はどの程度の金利負担の増加になるのか、あらゆる問題を検討なさっておるからお答えができるものと思いますけれ
ども
、大まかな
数字
でもよいからお示しをいただきたいと思います。
高橋英明
100
○
高橋
(英)
説明
員 ただいま御提案の一世帯一人ということですが、これは全く試算でございまして、あまり権威のあることは申せないのでございます。と申しますのは、現在の個人定期預金の残高等は把握できますけれ
ども
、一世帯当たりというところでややぼけてきます。 また、特別の金利をつけるということをいたしますとおそらくシフトが起こるであろうということで、そのシフトをどの程度と見るか、つまり六割と見るか、七割と見るか、八割と見るかというようなことで違ってくるわけでございます。したがいまして、こうなるだろうというようなことはあまりはっきり申し上げられないのでございますが、無理に各種類別の
金融
機関ごとにシフト率というものを仮定しておきまして、たとえば都銀の場合が六割ぐらいかなというようなこと、それから地銀が七割とか、そういう仮定でまいりますと、大体その利回りの
上昇幅
が二ポイントぐらい上がるのではないかという感じでおります。これは預金利回りでございます。個人の定期性預金の預金利回りが二ポイントぐらい上がるのではないか。そうしますと、全体の預金利回りとしては、個人の定期性預金のシェアによって違いますが、半分とすればこれも一・五とかあるいは二ポイントぐらいというような感じになるのではなかろうかと思います。 そういうことで、そのぐらい上がりまして、かりに貸し出し金利のほうを全然響かせないというようなことになりますと、
金融
機関の種類によって違いますけれ
ども
、少ないところで経常利益の六割ぐらいが消えてしまう、あるいは多いところでは一〇〇%こえて消えてしまうのではないかというような試算が一応できます。しかし、これは必ずしもこのとおりになるということではございませんし、また預金利回りが上がった場合に、貸し出し金利に全然響かせないで座して死を待つというような
金融
機関の経営もないと思いますので、こういうふうにはならないと思いますけれ
ども
、かなりの負担増になる
ことば
確かでございます。 ただ、先ほど先生が、
中小
金融
機関の負担増になるから預金利回りを上げるということをちゅうちょしているのではないかというような御指摘がございましたが、それは必ずしもそればかりではございません。そういう面ももちろん配慮しなければならぬ点ではございますけれ
ども
、
金融
機関を助けるために預金者に犠牲をしいるというようなことは許されませんので、そういう考えは捨てなければならぬと思っております。ただ、
金融
界にたいへんな混乱がすぐ起きるというようなことはさせるわけにはまいりません。その辺は、現実の秩序といったものと預金者にはできるだけ還元しなければならないというものとの調和をとりながら考えていかなければならない、そのように考えておるわけでございます。 それから、預金保険機構は現在は三百万円まで、マル優と同じことになっております。
平林剛
101
○
平林
委員
私がいま試案として申し上げました考え方を実際に実行する場合に、
金融
機関の負担すべき金額について一体どうなるか、これはいま口頭でお話がありましたが、どうもその
説明
は私は納得できないものがあります。そこで、この試案について実際上どうなるかというもっとこまかいデータをまとめて御提出をいただきたいということをまず注文しておきます。 そこで、私が納得できない理由を少し申し上げます。 その前に、現在行なわれているマル優の
制度
は、各
金融
機関、これは大きく分けていいです、都銀、地銀あるいは信用金庫、信用組合、農協、郵便局、いろいろあると思いますが、どういう
割合
になっておるかというその現状をまずお話ししていただきたい。私はそれを基礎にして若干の質問をしたいと思います。
高橋英明
102
○
高橋
(英)
説明
員 マル優の利用率でございますが、これは個人の預貯金を分母といたしまして、マル優がどのくらい利用されておるかといいますと、銀行で四三・三%でございます。それから相互銀行で五一・三、信用金庫で四〇・七、農協で五六・六というのが個人の預貯金の中でマル優になっておる比率でございます。
平林剛
103
○
平林
委員
そこで、やや具体的にお尋ねいたします。 いま信用金庫の場合にマル優の利用率は四〇・七%、私はもっと低く三七%と、こう見ておったわけであります。しかしかりに四〇・七%とすれば、信用金庫の定期性預金は七兆六千三百六十七億円、これは四十九年の三月末の
数字
である。そのうち四〇%と仮定をいたしますと約三兆円でございます。相互銀行はただいまのお話で五一・三%と言われましたが、私は大体四六%程度に
承知
しておりました。そこで相互銀行の定期性預金は四兆八千五百六十一億円であります。そのおおよそ五〇%というのは二兆数千億円程度になるかと思います。こまかいところまではけっこうですけれ
ども
、おおよその
数字
は間違ってないと思いますが、いかがですか。
高橋英明
104
○
高橋
(英)
説明
員 ただいま私が申し上げました。パーセントは、個人預貯金の総額に対するマル優率でございます。ただいま先生がおっしゃいましたたとえば信用金庫の七兆六千億というのは、個・人の定期預金でございます。したがってこれを分母にいたしますと、先ほど私が申し上げました四〇・七というのは五三・二になります。それから相互銀行の四兆八千億とおっしゃいましたのは、個人の定期預金でございます。これを分母にマル優の利用率をはじきますと六七・一ということになりますので、もう少し金額はふえると思います。
平林剛
105
○
平林
委員
マル優の実態について、
日本
経済
の社説の中だと私は記憶しておるのですが、預金残高全体の六分の一程度になるだろう、こういう推定がありました。私は、これから推計をして先ほど申し上げた信用金庫関係でおおよそ三兆円、少しふえるかもしれないというお話がありましたが三兆円、相互銀行において二兆円を少し上回る、こういうふうに実は推定をいたしたわけでございます。 そこで、先ほど言いましたようにマル優の
制度
は定着はいたしておりますけれ
ども
、必ずしも一世帯一人ということではなくて一世帯で二人ないし三人、多くて四人という形で、まあ
金融
機関と預金者との相互関係がございますけれ
ども
、ふえている。したがって、私が提案をいたしました三百万円のマル優のワク内において一世帯一人に限るということになれば、対象とするいわゆるマル優の預金金額というものはただいまあげた
数字
よりもっと少なくなると見ておりますが、いかがですか。
高橋英明
106
○
高橋
(英)
説明
員 少なくなると思います。
平林剛
107
○
平林
委員
そのとおりです。したがって、私は、零細なというか、
中小
金融
機関を中心にものを考えてみたいと思います。この場合に、私があげたのは、信用金庫に三兆円のマル優があり、かっこれはこれよりも少なくなるだろうという推定の上に考えます。かりに三兆円にいたしまして一〇%、一年定期を実現するといたしますと、現行よりおおよそ三%程度上積みになってくるということになります。その金額は、概算でありますがおおよそ九百億円に推定をいたします。ところが、
中小
の
金融
機関の年間の利益率から見ますと、半期におきましてもかなりの程度の収益があるわけでございますから、私は、先ほ
ども
し預金金利を
引き上げ
ればその
金融
機関の利益率が一〇〇%をこえて消えるというお話がありましたが、これは納得できないという理由なのであります。 同じように、相互銀行関係におきましても、二兆円と
数字
をあげましたが、私の推定ではそれより下回ります。そして相互銀行関係の年間利益というものを考えてみますと、この私の試案による金利負担よりもはるかに下回るということになりますから、実現可能である。 都市銀行の中におきましては、もうすでにみずから複利計算によるところの試案を出され、そして伝えられるところによると、みずから一〇%程度の金利
引き上げ
を実現したいという要請を大蔵省関係に働きかけているという現状から考えてみまして、私は
金融
機関の中においてもそういう機運が生まれつつあると考えておるわけであります。
数字
で言いますと、都銀、地銀では、都銀においては四十八年度下期で千九百五十一億円の経常利益をあげております。年間にいたしますと三千八百億円をこえる。地銀においても千八百十六億円の経常利益をあげておりますから、年間にすれば三千六百億円になるわけであります。私があげた試案程度の金利負担は、この経常利益の中に占める
割合
というのはかなり少ない。先ほどおあげになった六〇%は絶対にいきません。もっと少ない金額で実行可能であります。 そういうことを考えますと、私は結論から申し上げます、勉強の
段階
ではなくて、すみやかに実行すべき
段階
である。 以上、私は自分の考え方を述べまして、これについて大蔵省は専門家でありますから、私の試案に対してあらゆる角度から検討した
数字
を、私のあげた
数字
が間違っているならばどこで間違っておるか、こういう点について
資料
として御提出をいただきたい。本来、きょう私は大蔵
大臣
に直接おいでをいただいてお伺いをしたかったのでございますが、諸般の事情から銀行
局長
においでを願ったわけでございます。そこで、この私の試案を大蔵
大臣
に報告するとともに、すみやかに大蔵省の結論を得るように努力をするということをお約束いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
高橋英明
108
○
高橋
(英)
説明
員 ただいまの御提案、建設的な御意見でございますが、これをもちろん
大臣
には報告いたします。それから、私
ども
もできるだけ検討をしてみたいと思います。
平林剛
109
○
平林
委員
この
物価
特別委員会
の決議九項目全般を含めて、
経済企画庁長官
、ひとつ意のあるところをあれして努力をするとおっしゃられましたが、何かお考えがありましたらお伺いいたしたいと思います。
内田常雄
110
○
内田国務大臣
物価
に関する先般の国会における当
委員会
の御決議は、私は
皆さま方
のいろいろなお考えを集めた筋のあるものであると考えます。
経済企画庁
は大蔵、通産省のように個別の
行政
をいたしませんけれ
ども
、当
委員会
の御決議と同じような立場に立って、御決議の事項の実現方につきましていろいろまた構想を進めてまいりたいと考えます。
平林剛
111
○
平林
委員
どうもありがとうございました。
井岡大治
112
○
井岡
委員長
代理
松浦利尚
君。 〔
井岡
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
松浦利尚
113
○
松浦
(利)
委員
それでは、午前中に引き続いて質問をいたします。 主として
公共料金
、
消費者米価
について、
経済企画庁長官
並びに
食糧庁長官
にお尋ねをいたします。 午前中の質問の冒頭、現在行なっておる
引き締め
政策
を続けていけば、
公共料金
の
値上げ
が
物価
全体を暴走をさせることはないんだ、こういう点について質問をいたしましたが、長官は、極力
物価
狂乱
にならぬように手を打ちながら、ある程度の
公共料金
の
値上げ
というものは認めざるを得ないというような御発言があったわけでありますが、今回軒並み参議院選挙後の
公共料金
の
引き上げ
が行なわれてきておるわけでありますが、おそらく
公共料金
主導型の第三次
物価
狂乱
が到来するのではないかということを私たちは実は非常におそれておるわけであります。 現に、先ほどいろいろ
物価局長
からも指数の御
説明
がございましたが、
卸売り物価
の六月
前月比
が騰勢に転じてきた理由といたしましては、やはり
公共料金
、特に小康状態を保ちつつあったものが電気料金その他の問題が引き金になって騰勢に転じてきたんだという解説が出されておったと私は記憶をするのでありますが、従来の卸、
消費
物価
ともに騰勢から
鎮静化
の方向にたどりつつあるが、対前年度で比べていけば、依然として高い
水準
を保っておる。ですから、私はいまほど強力な
物価対策
が必要なときはないと逆に思うのです。ということになれば、
公共料金
等の
引き上げ
というのは少なくとも慎重でなければならぬはずであります。ところが、御
承知
のように
国鉄料金
の
値上げ
もすでに凍結解除して閣議で
値上げ
を認めております。あるいは私鉄運賃、バス等のローカル線等につきましてもすでに
値上げ
を認めておられる、
東京
瓦斯の料金の
値上げ
も認められる、十月一日からは
消費者米価
の大幅な
値上げ
がすでに予定をされておるというようなことを考えてまいりますと、いませっかく
鎮静化
の方向をたどりつつあるものが、逆に
物価
騰勢という方向に拍車をかけるという危険があるのではないか。その点については
経済企画庁長官
として、そういう御判断は立っておられるのかどうか、もう一ぺんそのことについて具体的にお尋ねをしておきたいと思うのです。
内田常雄
114
○
内田国務大臣
私は、二つの問題があると思います。
公共料金
は、たびたび申しておりますように、これまで
抑制
的な立場を堅持をいたしてまいりまして、いま御指摘の米価にいたしましても、また
国鉄
にいたしましても、予算やあるいは国会の法律で一度きまりましたものを、あえて半年間おくらせるようなことをいたしてまいりましたのも、昨年からことしの初めにかけての
狂乱物価
のさなかにおける
公共料金
の
値上げ
というものをぜひ避けたいという私
ども
あるいは私のほんとうの気持ちからこれをやってまいりましたわけでございまして、したがって、この十月から
国鉄
、米価などにつきまして既定の
値上げ
が起こることは、これはやむを得ないと思います。しかし、やむを得なということは野放しでやむを得ないということではございませんで、時期的にもそのようにぎりぎりまで持ってまいりましたし、また
値上げ
幅などにつきましても、いろいろ新しい
要素
もございましょうけれ
ども
、それらの新しい
要素
はでき得る限りこれはまた先に送りまして、
値上げ
幅も押えるというたてまえをとりながら
公共料金
の認可をせざるを得ないというわけでございます。もしこれをしないならば、たびたび申しますように、それらの
企業
体の活動というものが、停止はしないまでも非常に円滑を欠くことになりまして、物的、量的のサービスの提供というものが円滑を欠きまして、
国民生活
に非常な御迷惑を与えることになる、こういうことを思うわけであります。 第二番目には、そのような
公共料金
のやむを得ざる、また
抑制
した幅における
改定
をいたしました際に、再びこの秋以降
狂乱物価
が起こるかということにつきましては、私はそうはならないと思います。元来、昨年の暮れからことしの春にかけましての
狂乱物価
というものは、物不足の状態でありましたのと、さらにまた、先取り
値上げ
というものが事実私はあったと思うわけでございますが、
公共料金
につきましては先取り
値上げ
というものは全くないわけでございますし、それからまた、
公共料金
を押えますことが、物不足といいますか、サービスの提供の不足を来たすわけでありますから、昨年の暮れからことしの春にかけての
事態
と同じような
事態
を今後の
公共料金
の
改定
によって引き起こすものではないと考えます。また、これらにつきましても、他の一般的の
要素
から参る
卸売り物価
、
消費者物価
の
値上げ
の
状況
などをも観測をいたしながら、これは変な
ことば
でありますけれ
ども
、その間にモダレートな形で
物価
が
鎮静
をするようなふうに
公共料金
の
値上げ
の時期な
ども
あんばいをしてまいる、こういうことに私
ども
つとめておりますので、お
ことば
を返すような形になって失礼でありますけれ
ども
、私は、
狂乱物価
は起こらない、また起こしてはならないということで対処をしてまいるつもりでおります。
松浦利尚
115
○
松浦
(利)
委員
結果が起こってからではもうおそいわけでありますが、現に私たちがこの
委員会
で、電気料金
引き上げ
のときに
通産大臣
もおいでいただいて相当いろいろな議論をしたわけでありますが、そのときに、
影響
はもうないんだ、
消費者物価
に対する
影響
というのはほとんどないんだ、こういうお話があったと思うのです。ところが、現実にこの指数にあらわれてきた内容を見ますと、電気料金の
引き上げ
というものは、二%程度の
消費者物価
を押し上げておるという
影響
がやはり出てきておるんですね。ですから、いま
政府
で考えておるのは、そのものだけの指数で計算をしますと確かに
影響
は小
さい
のでありますけれ
ども
、それが波及する効果というのは、私ははかり知れないものがあると思うんですね。
通産大臣
が先ほど午前中にも言っておられたように、心理的な波及効果というものも出てくるわけですね。そういった意味で、
物価
が押し上がってくるということは私は否定できないと思うのです。 ところが、私は
政府
部内の考え方に若干ズレがあるのじゃないかと思うんですね。それば、大平大蔵
大臣
が
消費者米価
の
値上げ
問題をめぐりまして、
消費者米価
を
引き上げ
る
ことば
需要抑制
の効果を生むからいいんだということを、新聞記者会見でしたか、どこかで発表したんですね。確かに、そういうふうに生活必需品である
公共料金
その他の
値上げ
をすると、その
値上げ
した分だけ個人
消費
が押えられるから
需要抑制
効果があるんだということを大蔵
大臣
は言ったと思うんですね。発言の中に、
手段
と目的が混同しているわけです。 それともう一つは、
大臣
は
鎮静化
しつつある、こう言っているけれ
ども
、大蔵省の高木事務次官が、就任した際の記者会見談話では、来春までは
公共料金
の
引き上げ等
があって、
物価
を
鎮静
させることは非常に困難だ、いつどういう
政策
をとったかということが今日では問題なんだ、そのことのひずみを是正することが先だというような発言をしておられるんですね。 ですから、かりに大平大蔵
大臣
の言う考え方が妥当だとすれば、個人
消費
を押えるという意味の効果としての
公共料金
の
引き上げ
なんというものは一方的にどんどんやる。そうすると、逆にそういう大蔵
大臣
の発言とうらはらに、事務次官は、いや、来春まで
物価
は
公共料金
の
引き上げ等
があるから
鎮静化
しないだろう。一体どれが
政府
の見解で正しいのか、非常に国民は不安に思っておると思うのですね。大平大蔵
大臣
の言うことが
政府
全体の筋だとするなら、私はそれはそれではっきりすればいいと思う。個人
消費
を押える、
需要抑制
効果があるんだから
公共料金
を上げますよ、こういうふうにきちっと統一して言えばいい。ところがそうでもないらしい。
経済企画庁長官
は
物価
担当
大臣
ですからそういう極端なことは言われない。しかし
公共料金
の
引き上げ
は
企業
の健全な発展のためにはある程度やむを得ぬのじゃないかと思うという程度で言っておられるのですね。一体大平大蔵
大臣
の言っておられる言を
物価
担当
大臣
としては是とされるのか、その点が一つ。それから高木事務次官が言っておるような、どうも来春まで
物価
を
鎮静
させることはむずかしいという判断が正しいのかどうか。
公共料金
の
引き上げ
を前にして、その二つの点について
大臣
のほうからひとつ
物価
担当
大臣
としての見解を述べていただきたい。
内田常雄
116
○
内田国務大臣
大平大蔵
大臣
が
消費者米価
の
引き上げ
の問題に
関連
して、いま
松浦
さんから御指摘のような御発言があったことは、私は正直に言って知りません。しかし、新聞でちらりと見ましたが、そのことについては、私は大平
大臣
じゃございませんから、ここで彼の言うことが正しいとか間違ったとかいう批判はいたしませんけれ
ども
、いまあなたが私について申されたとおり、
物価
の基本に関することは私が指導的使命を持っておると自負いたしておりますので、私は大蔵
大臣
とは別の立場をもちまして、
公共料金
あるいは
消費者米価
の問題につきましては対処いたしてまいる所存でございます。 高木大蔵次官の言につきましては、これも私は高木君から直接そのような話は聞いたことはありません。あれは主税
局長
から次官になりましたことでございますし、そんなに当時
物価
のことも詳しくないので、減税の問題と
物価
の問題を間違えて考えたんじゃないかとさえ思うわけでございまして、そのことについては私はとやかく申しませんけれ
ども
、私の立場は先ほど来申すとおりでございます。
松浦利尚
117
○
松浦
(利)
委員
私は、
物価
問題というのはそう簡単に軽々しく発言してもらっちゃ困ると思うのですね。
経済企画庁長官
が私は
物価
担当
大臣
だと思うのです。にもかかわらず、大蔵
大臣
に横すべりしたからうれしかったのかどうかは別にして、とんでもない発言をする。そしてそのことが逆に、個人的な見解だけで終わるんじゃなくて、少なくとも大蔵
大臣
という国務
大臣
の発言でありますから、しかも大きく新聞に出れば、国民というのは非常に動揺を来たすのです。私は大蔵
大臣
の発言は間違っておると思うのですが、しかし、そのことを
経済企画庁長官
は新聞でちらっと見られた程度でありますから、この際閣議で真意を確かめていただいて、間違っておるところはやはり間違っておると指摘をしておいていただかないと、
物価対策
というのはばらばら対策で終わるんじゃないか。
公共料金
の
引き上げ
を前にして、いろいろ
経済企画庁長官
が
消費者米価
引き上げ
では御苦労なさっておることも知っておりますけれ
ども
、大蔵
大臣
あるいは農林
大臣
あたりはどんどん
引き上げ
ろという主張をしておるやに報道されておるのでありますから、そういった意味ではぜひ統一した態度をとっていただきたいと思うのです。これは希望であります。 もう一つ
大臣
にお願いしておきたいのは、
経済
指標
ですね。ある程度こういった
物価
が
鎮静
する方向に来たいまこそ、
政策
目標としてのたとえば
消費者物価指数
、
卸売り物価指数
、こういった
経済
指数を再検討するためのやはり
経済
見通しの再検討を、私はもう
経済企画庁
でしておると思うのでありますが、すべきだと思うのです。 現に四十九年度の見通しの
経済
指標
の修正はいたしたのでありますけれ
ども
、私は再々修正が必要だと思うのですね。そうしておかないと、あれはただ
政策
目標だからということで——この前も、四十八年度も私は議論をしたのですけれ
ども
、そういう
政策
目標というものをほんとうにぴしっとしておいてもらわないと、青空にしてしまいますと、極端に言うと何のための
政策
目標かわからなくなるのです。ですから、おもな
経済
指標
の修正を一ぺんしたわけですけれ
ども
、私はもう一ぺん国民の前に、
政策
目標としては四十九年度にここまでやるんだという目標数値というものを示すべきだというふうに思うのです。もうすでにそういう作業に入っておられるのかどうか、作業に入っておられるとすれば、いつ手直しの
指標
の修正、発表ということになるのか。その点も、この際、
公共料金
引き上げ
の前でありますから、
引き上げ
る前にひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
内田常雄
118
○
内田国務大臣
もっともな話でございまして、
経済
見通しにつきましては、
状況
はどんどん変わってまいりますので、私
ども
はその変わる
状況
に応じて、今後の
指標
としても
経済
見通しというものは適当な時期にさらに
改定
をいたしたいと思います。 ただ、
物価
の今後の見通しばかりではありません、
経済
成長というようなものにつきましても、御
承知
のとおり
金融引き締め
、総
需要
の
抑制
というものは非常に有効に働きまして、一−三月は
経済
成長がマイナス五でありますとか、また四月−六月は、これはまだ実績がまとまっておりませんが、けさほ
ども
ちょっと申しましたように、それは一−三のマイナス部分を取り戻すような勢いで
上昇
をしているような
状況
では決してありませんけれ
ども
、四−六の実績さえもまだ出ない際にそういうような
指標
を独立してばらばらに手直しすることもいかがかと思います。特に、国際収支などにつきましても、最近また考えなければならない問題も生じておりますので、それらはいろいろ
総合
的にまとめまして、必要な適当な時期に手直しをして、ごらんに入れて御批判をいただくようにいたしたいと考えて準備をいたしております。
松浦利尚
119
○
松浦
(利)
委員
くどいようですが、その時期はいつなんですか。十月までには出せるわけでございますか。
内田常雄
120
○
内田国務大臣
これは例年でございますと、大体明年度の予算の編成のときぐらいまでに一応の見通しを出し、さらにまた編成が終わる
段階
におきまして、予算における財政の、
物資
、サービスの購入というようなものは
経済
成長、国民総支出などに大きな
影響
を来たしますので、それらと
関連
をいたしましてさらに
改定
をするというようなことが例になっておるわけでありますけれ
ども
、そういうことも考えながら、
経済企画庁
は単に
行政
の準備官庁だけではないと思いますから、むしろいろいろなエコノミスト官庁としての立場、性格もございますので、それよりも早めて見通しの修正できる概算のようなものは、出し得るならば出したいと私は考えます。
松浦利尚
121
○
松浦
(利)
委員
できるだけ早く——早くといっても非常に作業の要することですからあれですが、現にもう作業をしておられるということですから、できるだけ早く国民の前に示していただきたいと思います。 それで、もうあと時間がありませんから、
消費者米価
問題にしぼってお尋ねをしたいわけでありますが、
食糧庁長官
にお尋ねをする前に、まず、
経済企画庁長官
と大蔵
大臣
と農林
大臣
との間で、いや四〇%上げろ、二〇%上げろという話があるわけですが、
消費者米価
の
引き上げ
については先般の生産者米価閣議決定の際の農林
大臣
談話、この中に
消費者米価
の
引き上げ
を示唆する
ことば
が入っておるわけです。「食糧管理
制度
の円滑な運営を図る見地から、その是正につき早急に検討を進めたいと考えております。」という、閣議決定についての農林
大臣
談話が出ておるのですね。ですから、この際生産者米価も大幅に上がったことだから、
消費者米価
はもう何が何でも上げなきゃならぬ、こういうことでございますか、その点をひとつ簡単にお聞かせいただきたいと思います。
内田常雄
122
○
内田国務大臣
農林
大臣
の談話は、私が相談に乗っているわけではございませんけれ
ども
、その談話の基礎となるものには、特に私の考え方として、家計費、
物価
その他の
経済
事情をしんしゃくしつつ、あるいは考慮しつつというような
ことば
を厳粛に実は私から申し立てをいたしておるわけであります。それは農林
大臣
も十分御
承知
でありますので、私がいま述べましたような
ことば
の趣旨にも立ちまして、先般来大蔵
大臣
、農林
大臣
とも、
消費者米価
のあり方、これは
数字
をもっていまあなたがおっしゃったように二〇%でなければならぬとか何十%であってはならないとかいう詰めはいたしておりませんけれ
ども
、
消費者米価
をきめるべきあり方というようなことにつきましてだんだんと実は話を詰めておる
段階
でございます。
松浦利尚
123
○
松浦
(利)
委員
お尋ねしますが、先ほど
片岡委員
からもきびしく国防費になぞらえて、それに匹敵するものだから出せ、
政府
が見ればいいじゃないか、一兆ぐらい何だと、こういう発言があった。私はまさしくそのとおりだと思うのです。 そこで、この際
食糧庁長官
にお尋ねしたいのですが、いまの食管のたてまえからいけば、赤字が出ることが当然な仕組みになっておると思うのですが、その点は間違いないでしょう。
三善信二
124
○三善
説明
員 御
承知
のように、現在食管の赤字というのは一兆をこす膨大な赤字になっておるわけでございます。それで、お尋ねの食管法のたてまえから
制度
的に赤字が出るようになっているのではないか、そういうお尋ねでございますけれ
ども
、この赤字の原因を申し上げますと……(
松浦
(利)
委員
「いいです、簡単に」と呼ぶ)一つは、私は、結論的に申し上げますれば、
制度
的に赤字になるようになっているとか、あるいは
制度
的に生産者米価と
消費者米価
が完全に遮断された別個のものであるというふうには考えておりません。と申しますのは、食管法で生産者米価のきめ方は書いてあるわけでございまして、また片や
消費者米価
のきめ方、家計の安定を旨としてきめる、生産者米価は再生産の確保を旨としてきめる、こういうことになっておりますけれ
ども
、その中にはやはり
物価
とか
経済
事情とか、そういうのを当然参酌してきめることになっているわけでございまして、そういう意味で両米価というのは、これはやはり私
ども
としては
関連
はあるというふうに考えております。
制度
的に二重米価とよくいわれますけれ
ども
、
制度
的にはそういうことになっているとは考えておりません。
松浦利尚
125
○
松浦
(利)
委員
それじゃおかしいんじゃないですか。それでは、食管会計で赤字が出ること自体がおかしいわけですか。
制度
上赤字が出たらおかしいわけですな。
三善信二
126
○三善
説明
員 そこで、先ほどちょっと申し上げようと思いましたけれ
ども
、その赤字の原因というのはどういうことでなっているか。御
承知
のように、生産者米価につきましてはやはり生産費、労賃や生産資材等の
上昇
を踏まえまして、生産コストというのが上がっておるわけでございますから、そういうのを踏まえて再生産を確保するために生産者の米価というのはきまる。片や
消費者米価
につきましては、やはり
物価政策
の観点、そういった面で据え置かれてきておる面もございますし、その点非常に生産者米価と
消費者米価
、この
価格
の中に逆ざやになっているというわけでございます。その逆ざやが膨大な食管の赤字になっているということでございまして、ただどの程度を財政的に負担をしていくか、そういう問題は当然あろうかと思います。所要の財政負担というのも、これも私は必要だと思いますけれ
ども
、本質的には、やはりたとえば売買の逆ざや、末端で
消費
者が買われる
価格
と
政府
の買い入れる
価格
、こういった差額の末端逆ざや、この末端逆ざや程度は少なくともできるだけ早く解消をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
松浦利尚
127
○
松浦
(利)
委員
どうも
食糧庁長官
、あなたの話を聞いておると、赤字を埋めることのほうが正しくて、赤字を出すことは間違っておるように聞こえがちですけれ
ども
、私はやはり
制度
上逆ざやになるというのはこれは
政策
だと思うのですね。逆に言うと、食管という法律のたてまえからいえば逆ざやが出るのですよ。赤字になることが初めからはっきりしておるわけです。そこにやはり
政策
というものがあるわけでしょう。 そこでお尋ねしたいのですが、もう端的に答えてくだ
さい
。食管会計の赤字はゼロでなくてもいいのでしょう。赤字があってもいいのでしょう、いろいろなことはもう抜きにして。あってもいいと思っておられますか、困ると思っておられるのか、その点聞かしてくだ
さい
。額の問題じゃない。赤字が出ることは間違っておるのか、結果的には赤字が出てもいいのでしょう。
三善信二
128
○三善
説明
員 簡単に答えろということでございますけれ
ども
、これまで食管会計の赤字、これはコスト逆ざやもない場合もございますし、売買逆ざやがないという場合もございますし、末端逆ざやがない場合もございます。最近は、私が申し上げておりますように、末端の逆ざや、これが非常に多くなってきたということでございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、その赤字と申しましても、やはり食管の
制度
上、
政府
の管理経費とか、そういった一つの所要の経費等まで全然財政負担する必要がないというようなことを現
段階
で考えているわけではございません。
松浦利尚
129
○
松浦
(利)
委員
ちょっと時間がないので突っ込んで議論できないんですが、要は、食管が現在末端逆ざやが出て、今度の生産者米価
引き上げ
に伴って約五千六百十億、従来からの赤字を累積すると一兆七百九十億円ぐらいの赤字になる、だからこれを埋めなければいかぬ、こういう端的な発想で考えた場合、一体それでは食管の赤字は幾らまでは財政負担をして、幾らぐらいは
消費
者に負担をさせる、国民に負担をかけるという、そういった一つのめどというのがあるわけですか。昨年の四十八年度の米価決定の際は、三分の二を国民に負担をしてもらおうというような意見があって、三分の一を財政負担にしようじゃないかということに大体米審あたりでも話があったというふうに私は聞いておるんですがね。一体、どれくらいは国民に負担をしてもらう、どれくらいは財政負担をするという、そういうおおよその方針というのが現存しておるわけですか。
政府
にあるわけですか。もう、あるかないかだけでいいです。
三善信二
130
○三善
説明
員 先ほどから申し上げておりますように、私
ども
がいま考えておりますのは、この末端逆ざや、これは玄米一俵当たり四千七百九十三円ございます。その末端逆ざやにつきましては、少なくともできるだけ早く解消をしていきたい、いま一挙にこれを解消するということも含めまして、できるだけ早い機会にこれは解消していきたいというふうに考えているわけでございます。
松浦利尚
131
○
松浦
(利)
委員
経済企画庁長官
にお尋ねをしたいんですが、いまの
食糧庁長官
の話を聞いてますと、あんな話を聞いておると、
消費者米価
を据え置くなんという発想はもう全くないわけですね、
食糧庁長官
自体にも。逆に言うと、末端逆ざやを早く解消することだけにきゅうきゅうとしておるわけなんですね。私はこれはたいへんな問題だと思うのです、国民の主食ですからね。国民の主食を、生産費が上がって生産者米価が上がったから、上がった分は全部国民に負担をしてくだ
さい
という短絡した発想に通じていくと思うのです。食管会計の赤字はいかなる理由でもゼロにせないかぬ。しかし、職員の給与とかなんとか管理費の関係があるから、この分だけは、管理費の関係は
財政支出
でいく、職員の首を切るわけにいかぬですから。そういう発想でいくと、私はもう食管会計なんというのは必要がなくなってきておるんじゃないかと思う。逆に言うと、自主
流通
米主導型の米価対策というものにもう転換をしておるんではないか、結果的に短絡的にものを発想しますと。 そこで、
経済企画庁長官
にお尋ねをしたいのですが、要は、末端逆ざやが起こってきたからといって、短絡的に
消費者米価
を
引き上げ
るというようなことをすれば、国民の生活に重大な
影響
を与えるばかりでなく、
物価
に対してもたいへんな大きな
影響
を与えると思うのですよ。私は
食糧庁長官
からあんな短絡した発想を聞こうとは思わなかったのですけれ
ども
、
経済企画庁長官
、ひとつその点をはっきり長官の立場からお答えをいただきたいと思うのです。
内田常雄
132
○
内田国務大臣
これから問題になりますのは、
消費者米価
、国民が幾らで
政府
の管理する米を売ってもらうか、直接家計から支出される米の対価ということになりますので、私はその見地に立ちまして、先ほ
ども
触れましたように、家計でありますとか、一般
物価
の趨勢その他の
経済
事情というものを念頭に置きまして、合理的に
消費者米価
をきめるような立場をとってまいりたいと思います。 しかし、米は、幾ら生産者米価としてきめられても、
消費者米価
は全然別であって、その間赤字が何千億あるいは一兆をこえるようなことになってもかまわないのだということも、財政の立場も顧慮をしなければならないことも私はよくわかるわけでございますので、そういうことも顧慮しながら、前段私が申し上げましたような立場に立って適正にきめてまいる、いろいろお話しすると長くなりますが、そのような立場で私はやってまいるつもりでございます。
松浦利尚
133
○
松浦
(利)
委員
大臣
、私はぜひこの際提言したいと思うのです。
食糧庁長官
、農林
大臣
が盛んにわいわい騒ぐのは、農林
行政
の予算の中で米価というものも総括してやっておるからいろいろ議論をするので、この際、米価というもの、特に食管から出る末端逆ざや等を含めた赤字というのは農林予算から別個にはずして、そして予算問題を検討する、農林
行政
のワクからはずして、食管というものについては検討を加えていく、予算
措置
をしていく、そういう発想の転換ができないのかどうか。やはりいままで
消費者米価
を据え置いてきたり、あるいは末端逆ざやが出るような仕組みをしてきたということは、それはあくまでも
政策
的な
政府
のとってきた態度だと思うのですよ。ということになれば、私は、
政策
的な意味でそういう一兆幾らの金というのは別ワクに扱っていく、そういう農林予算からはずしていくという発想に立てないものかどうか。そうすればおのずから大蔵省当局あるいは農林の発言というものも変わってくると思うのですね。いまは一つのワクの中なものだから、赤字はなくさぬといかぬという、何か大蔵
大臣
の演説みたいなことを長官が言うのだと思うのですね。それはどうでしょう。できないでしょうかね、そういう発想は。
三善信二
134
○三善
説明
員 先ほど私申し上げましたように、
消費者米価
の場合には、
消費
者家計の安定についてもこれは当然配慮してきめることになっておりますので、先ほど
経済企画庁長官
が言われましたような点も、これは
消費者米価
をきめる際にもそういう点は当然考えるわけでございます。 それから、いま農林予算の問題をおっしゃいましたけれ
ども
、農林予算というのをどういうふうに性格づけをするかという問題がございましたけれ
ども
、食糧の管理、これは二通り意味があると私は思うのですよ。一つは、やはり
消費
者に対して家計の安定を旨として定めたこの
価格
で
供給
をする。それは国民の食生活の向上や安定を維持するという面が当然あります。片や、この食糧の管理というのは、生産者に対しては再生産を確保するということを定めているわけです。したがいまして、当然農家
経済
との関係というのも出てきますし、農業の生産対策や
構造
対策との
関連
というのが当然出てくるわけでございます。そういう面があるわけでございますから、農林予算というのをどういうふうに性格づけするかという問題があろうかと思いますが、やはり食管の役割りの関係から見て、これをほかの予算でこうするということもどうかという感じはいたしております。 いずれにしましても、農林予算の中でこの食管の一般会計からの繰り入れというのが相当膨大になっておりますし、農林省の内部としましては、これから生産を伸ばしていかなければいけないような作物、そういうものに対してやはり今後重点的に予算をつけていくという問題もあるわけでございます。そういう
関連
において、私は、食管の一般会計からの繰り入れということは、先ほど申しましたような観点から考えていく必要があろうかと思っております。
松浦利尚
135
○
松浦
(利)
委員
大臣
に聞いているのだから、
食糧庁長官
、あなたが
政策
的なことを答弁をする資格はないわけだよ。あなたは赤字をなくそうという方向なんだから。赤字、逆ざやが出ないように、出ないように、だから
消費者米価
も上げると、あなたはさっきから言っているのだから、あなたに聞いたって始まらないのだよ。だから
経済企画庁長官
に聞いているわけだから。あなたのほうで農林予算のワクの中で考えているから、いろいろがたがた言うのでしょう。それならもうはっきり農林予算のワクからはずしてしまったらどうか、こう言っているのですよ、
政策
的なものも入ってくるのだから。国民の主食であり、先ほど
片岡委員
は、国防費に匹敵するような、同じようなものだから、別に一兆ぐらい出したってかまわないじゃないかとまで言い切っているのです、与党の議員が。それを受けて私は、だから農林予算からはずして、これは農林予算と関係のない
国民生活
安定の予算なんだという意味で、別ワクに
財政支出
というものを検討したらどうかという提起を、いま
経済企画庁長官
にしているのです。それを、赤字をなくすあなたが一生懸命答弁してもらったって困るよ。
大臣
から答弁してくだ
さい
。
内田常雄
136
○
内田国務大臣
松浦
さんのお話、私にはよくわかります。わかりますが、食糧管理特別会計というのは、農林省の一般の農政予算とは別の特別会計になっておりますから、それを農林省の所管からはずして大蔵省にまっすぐに持っていきましても、これはわけは全く同じでございまして、食管会計というものは食管会計で、先ほど
松浦
さんが言われたように、この問題は自主
流通
米ベースにして、食管
制度
というものはやめてしまったほうがいいということにもなりませんので、やはり配給を確保したり、生産を確保したり、あるいはまた国民のそのための
消費
支出を家計レベルにおいて安定させる、そういう見地からも食管会計というものはあったほうがよろしい、それを農林省に抱かしておりましても、農林省はそれによりまして農林省の他の一般の
政策
予算と混同して考える必要もない、かように思います。 ただ、この赤字というものは、今度の生産者米価は御
承知
のように外ワクまで入れますと三七・四%、内ワクだけでも三二・二%上げましたから、御
承知
のように六十キロ当たりの
政府
の買い上げ
価格
が一万四千数百円、一万四千百五十六円でございましたか、売り値のほうは、従来の値段によりますと一俵当たり七千何百円ということになっておりますので、買い値の約半分ぐらいの値段に安くして、そうして国民に
供給
をいたしておるわけでありまして、その差額というものばすべて税金で出されておるわけでございます。一方、減税の問題もあるし、その税金はだれが負担するかという問題もありますので、財政問題を離れてば考えられない面もありますので、私といえ
ども
、食管会計の収支がどのようになってもかまわないということでは全くございませんで、私も
政府
の一員でありますから、食管会計における財政の
状況
を考えながらも、たびたび申し述べておりますように、それは家計費あるいは
物価
その他
経済
の事情も勘案して、これは
物価政策
の基本になるわけでありますから、私は私なりに一つの筋の通る立場をもって対処をいたしていくというわけであります。 誤解があってはいけませんからもう一口申しますと、私のほうは
物価
庁のようなものだと思われましても、たとえば一般の鉱工業製品等の
標準価格
であれ、あるいは米の値段であれ、あるいはその他の
公共料金
であれ、私のほうがきめるものではありませんで、各所管庁がきめる。私のほうは
物価政策
の基本に関する事項を
調整
し、あるいは立案する、こういう立場でございますので、私が独走してしまいましても、私にきめる権限はありません。いろいろ大蔵
大臣
の言うことも十分尊重し、農林
大臣
のおっしゃることにも耳を傾けながら、
経済企画庁
として
松浦
さんの御激励にもこたえる、こういう立場にありますことも、これは釈迦に説法でございますが、あわせて御了解を願います。
松浦利尚
137
○
松浦
(利)
委員
四月一日から九・八%
引き上げ
る米価を、十月一日まで
政府
は引き延ばしましたね。私はこれは
政策
だと思うのですよ。ですから、そういった意味では、
政策
というものを加味していくなら、大蔵省がいうように四〇%以上の
数字
などというのは出てこないと思うのですね。いまいみじくも
食糧庁長官
が言ったように、赤字を早くなくそう、国の財政負担を少しでも少なくしょうという前提から発想していくと、それはやはり赤字をなくそうということで
消費者米価
を上げよう、こういうことに短絡的に通じていくわけですね。だから私は、生産者米価を上げた、そのこがイコール
消費者米価
にはね返らないようにするというところに
政策
というものがいままでもあったし、これからもなければならぬと思う。
政府
のほうで上げないでおこうと思えば上げないでい仕るわけです。
財政支出
を別に求めればいいわけでしょう。先ほどから指摘しておるように、一応
鎮静化
の方向に進みつつある
段階
に来て、いま急激に
消費者米価
を上げたら全体的に波及をして、価に
物価
狂乱
の引き金になるかもしれぬという、拙費者米価はたいへんきわどいところでしょう。私はこの際、十月一日
引き上げ
などということは思いとどまっていただきたい。
物価
担当
大臣
として、現在
消費者米価
を
引き上げ
ることは適切でないという主張をこの際閣議その他でも強くしてもらいたい。私は国民の代表として
経済企画庁長官
にお願いをいたします。長官のお返事をいただきたいと思います。
内田常雄
138
○
内田国務大臣
松浦
さんの御発言、私も十分心にとめてまいります。生産者米価の
引き上げ
に応じて、
消費者米価
も
引き上げ
て食管会計における逆ざや現象というものを消していい時期と、またそういう考え方のみではなしに、たびたび申しますような見地から考えなければならない時期と、時期によって私はいろいろあると思います。いまどういう時期かということも、私は微力であり、また浅学でございますけれ
ども
、その辺のことも十分検討をいたして対処をいたしてまいりたいと思います。
松浦利尚
139
○
松浦
(利)
委員
それでは、もうちょっと時間が超過しましたけれ
ども
、事務的なことをお尋ねいたします。 自主
流通
米の関係ですけれ
ども
、すでに南九州早場米地帯では、新米、特にあたたかいところにおけるコシヒカリが出回っておるのです。
東京
市場その他にも出回っておるのですが、それが現実的には食糧庁が指導しておる
価格
よりも高いわけですね。要するに自主
流通
米
価格
二千四百円プラス三百円、大体二千七百円程度で売るべきものを、実質的には高い
価格
で、三千円程度で売られておる。確かにこれは自主
流通
米ですから
政府
が介入するものではないにしましても、現実にこういった早場米地帯の自主
流通
米が食糧庁の指導
価格
を上回っておる。一体これに対して、
行政
指導
価格
よりも高いものについてどのように食糧庁としてはこれから指導をされようとするのか。自主
流通
米といえ
ども
一応管理米の中ですから、そういう意味では食糧庁としてそういったものについてチェックするだけの能力があるのかどうか、これが一つ。 それからもう一つは、徳用上米というのがありますね。これは
大臣
もぜひ知っておいていただきたいのですが、低所得者向けに徳用上米というものがあるのです。徳用上米というものは、それだけじゃありませんけれ
ども
、主として低所得者に回るようにということになっておるのですね。ところが、この徳用上米を病院、大きな県病院とかそういう大量大口
需要
者の人たちが全部押えてしまって、実際の低所得者には回っておらない。このことをいろいろ調べてみたら、低所得者といえ
ども
米ぐらいは高い自主
流通
米を、うまいものを食いたいというので横を向いておりますという話だったから、あなたほんとうにそうですかと聞いたら、いや、徳用上米をくれといったってないというのですね。五等米ですから、五等米が出なければ徳用上米の量が少なくなることは事実です。しかし、少ないけれ
ども
、
需要
があるわけですね。その
需要
がある人たちは、大口
需要
家が大半を占めておる。逆にいうと買い占め行為が行なわれておるということですよね。入院しておる人たちこそもっとおいしいお米を食べなければいかぬのに、病院のコストが合わないのかもしれませんが、徳用上米を大量に買い付ける。これにもやはり一つの、いまの食糧
行政
のひずみがあると思うのです。 それからもう一つは、十月一日からの
値上げ
を予想しまして追加割り当て申請というのがものすごく多いのですね。各県の知事からの添書をつけて、従来の割り当て以上に追加割り当て申請というのを各県を通してやっておりますね。その追加申請が非常に多い。いま食糧庁の方針としては、十月一日から
値上げ
になるかもしれないから、仮
需要
を見越して国民が必要なだけどんどんどんどん上げますよ、少なくともそういう仮
需要
が増大することによって量不足が起こらないように、要求したものはどんどんどんどん流すようにしておりますという。そのことはいいと思うのです。ところが精米してしまったら、白米ですから、各家庭で貯蔵する期間というのはそんなに長くないのですね。だから、これを貯蔵する場所としては精米する以前、つまり卸業者ですね。卸業者の
段階
ではこれはまだ玄米でありますから、貯蔵がきくわけですよ。ですから、そういう大口の卸
段階
で大量にストックするということが想定されるわけです。そうすると、安いときに払い下げを受けた米を、十月一日に
消費者米価
が
引き上げ
られたあとにどんどんどんどん出すということになれば、
流通
段階
はたいへんな利潤を得るということになるわけですね。そういうことを見越しての追加割り当てだとは私は思わないけれ
ども
、実質的に一、二調べてみた
資料
によりますとそういうことが想定されるところがあるのですね、急激に追加割り当てがふえてきておりますから。そういうものに対してどういう対策をしておられるのか。米の
政府
売り渡し
価格
改定
に伴う需給対策とか、あるいは大口
需要
者チェックとかなんとか、いろいろそういう指導をしておられるようですけれ
ども
、現地のほうで見てみましたら、人がおらない。検査をする人が非常に少ない。ですから、そういうことが常時行なわれることはないわけですね。口ではチェックするからだいじょうぶですと言っても、末端のほうに行ったら職員がおらない。検査をする技術者がおらない。そういったことで、検査をする能力を持った人というのは各県に一人か二人しかおらないのですね。結局やらないと一緒なんですよ。 そういった
状況
を見てまいると、大口
需要
者をチェックして回れとか、卸がストックしないように監査して回れというのは非常にむずかしいと思う。そういう問題について対策をぴしゃっと講じて、少なくとも
政府
が仮
需要
を見込んでどんどん流すものが、逆に、それはごく一部だというふうに私は思いたいけれ
ども
、買い占め的な行為による利益追求の場にならぬように善処していただきたい。そのことを最後に質問して、終わります。
三善信二
140
○三善
説明
員 第一番目は、四十九年産米の自主
流通
米の新米の
価格
のお話でございますが、先生御
承知
のとおり宮崎のコシヒカリが一番最初に出ましたので、宮崎のコシヒカリから大体新米については三百円を限度内に一応指導をしているわけでございます。現実に調べてみますと、たとえば宮崎の場合は、従前の十キロ二千二百五十五円が二千五百五十五円ということで三百円のアップでございまして、その他
東京
、福岡等を見ましても、大体私
ども
が指導しております三百円の範囲内でおさまっているわけでございます。これにつきましては、先生御指摘もございましたように、もしそういう三百円をこえて大幅に便乗
値上げ等
をするというようなことがあれば、私
ども
、食糧事務所を通じ、あるいは県に頼みまして、その指導を十分徹底してまいりたいと思います。幸い現在大体三百円程度でおさまっているというような現状でございます。 それからもう一つは特用上米、これは病院や学校等に大量に大口
消費
されているんじゃないかということでございますが、先生御
承知
のように特用上米というのは数量的にも非常に少ないわけでございまして、四十八年で大体五十万トンぐらい、四十九年産米で三十五万トンぐらいでございまして、パーセンテージでいけば全体の
流通
量の四、五%ということでございます。これにつきましては先生御指摘のような
事態
もございます。けれ
ども
、一般
消費
者がこれを買う場合にできるだけ店頭に置いておくように指導はしておりますが、病院等が大口に買うことも、あながちそれを
規制
するというようなことは必ずしも適当ではないと思います。ただ、いずれにしましても数量が非常に少ないものですから、そういう意味ではなかなか要望するところに行き渡らないといううらみがございますが、今後できるだけ指導はしてまいりかいと思います。 それから、追加割り当ての申請が最近急に多くなってきているのじゃないか、これはどうも十日の
値上げ
を見越して卸が買いだめしているというような御指摘でございましたが、先生も言われましたように、私
ども
は、仮
需要
とかあるいは重要の増加とか、そういうものに対しては原則的にどんどん売っていくというようなことを考えておったほうが、かえって円滑な
流通
に資するということは、基本的に考えております。ただ、そのために卸が不当に買い持ちをして不当な利益を得るというようなことがないように、私
ども
は現在、たとえば卸、小売りが通常の場合に持っているストックと申しますか、在庫は、小売りでいえば三日間ぐらい、あるいは卸でいえば一週間ぐらい、この辺は通常の場合持っているわけでございますから、そういう通常の在庫を非常にオーバーして持っているかどうかということが、買い占めといいますか買いだめといいますか、そういうことにもつながらないとも限りませんので、そういう点は一定の期日を限って
調査
をしたい。
調査
をするといっても、なかなか人員もいないし、そう簡単にいかぬじゃないかという御指摘もございました。しかし、その点は私
ども
、小売り、卸の在庫の報告を受けておりますので、それを見ますと、大体これが異常であるかどうかということも判断ができますし、卸等はほとんど食糧事務所でチェックできますが、小売りについては六万一千軒もございますので、これを全部チェックするということは先生おっしゃるように不可能でございますし、そういう点は抜き打ち的に、これは非常におかしいというようなことがあればそこに出向いてチェックしたい。食糧事務所だけじゃなくて、やはり県にもそういう
協力
をお願いしているというようなことでございます。
松浦利尚
141
○
松浦
(利)
委員
最後に、私は、
経済企画庁長官
に先ほどお願いをしたことにあわせて、
政府
が七月、麦価を二八%
値上げ
をしたときに、これは
物価
に与える
影響
は少ないという
政府
の
説明
であったのですが、もう長官も御存じのように、その後パンが上がり、うどんが上がり、めんが上がり、あるいはインスタントラーメンが上がり、マカロニが上がって、高いものでは二倍、安いものでも四〇%から七〇%近く値上がりをしてしまったのですね。ですから、お米の値段が上がるということは、私はたいへんに大きな
影響
、波及効果というものがあるということを考えます。先ほど長官が的確にお答えいただいたわけでありますが、十月一日に
引き上げ
るという時期の問題も含めて、この際
政府
でぜひ
消費者米価
の
値上げ
は慎重に、
値上げ
をしないように長官の立場で努力をしていただくということを信じて、私の質問を終わりたいと思います。
平林剛
142
○
平林委員長
小林政子君。
小林政子
143
○小林(政)
委員
消費者米価
の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 今回、
消費者米価
の
引き上げ
問題がいろいろ新聞紙上でも取り上げられておりますけれ
ども
、大蔵省はこの際四〇%から五〇%の
引き上げ
、あるいはまた農林省は三〇%から四〇%の
消費者米価
の
引き上げ
というような意向が表明されておりますけれ
ども
、先ほど来午前中の討議の中でも明らかなように、今日のインフレ、
物価
高という異常時に、
政府
みずからがこの
物価
高に拍車をかけるような
公共料金
を
引き上げ
るという、こういう姿勢がまず第一に問題ではないだろうか。
物価
の目付役としての経企
庁長官
の具体的な見解を、ひとつ私はお伺いをいたしたいと思います。
内田常雄
144
○
内田国務大臣
先ほど来申し述べておりますように、近くきめなければならない
消費者米価
の
値上げ
幅というようなものにつきましては、家計に与える
影響
、
物価
の
動向
その他の
経済
事情、中にはもちろん財政の問題もありましょうが、そういうものを
総合
的に考えてやるべきだと私は思います。ただ財政だけの事由で、食管会計にたまるべき赤字を全部この際
消費
者に持っていただいて、高く仕入れるのだから、高いお米は当然食べていただく方にも高い値段で食べていただかなければならないということにはしたくない、こういうことでせっかく努力をいたしております。 ただ、小林さんのお話を聞いてまいりますと、米は農家から高く買い入れても、今度食べる場合、
消費
者にはできる限り安く売るべきだ、こういうこと、それはお気持ちとしてはわかりますが、そうするとその差額、さやはだれが負担するかというと、結局
政府
が国民から税金をいただいて、あるいは国債を発行するということになると、これまた大きなインフレの要因になりますから、とどのつまりは税金を
引き上げ
て、そしてお米を安くするということになりますので、お米を安くするほうはいいけれ
ども
、これはまたおそろしい税金が襲ってくるという問題もございましょうので、ただ安ければいいんだ、こういうことでもない点に、私もあまり小林さんと同じような立場でのみ主張できない点がありますことも、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
小林政子
145
○小林(政)
委員
現在
物価
高に苦しんでいる国民の願いといいますか、せめて
政府
なりあるいはまた国が
価格
をきめていくことができるというようなものだけでも何とか押えてほしい、もう身の回りのものほとんど上がらないものは一つもないといわれるほどの
物価
値上げ
の中で、せめて
政府
がきめる
価格
ぐらい何とかこの際押えてもらえないか、これが私は偽らざる国民の願いだろうと思います。こういう時期に、いま
消費者米価
の問題が問題になってきているわけですし、
消費者米価
が四〇%だ、やれ五〇%だ、あるいは三〇%だというようなこんな大幅な
引き上げ
ということが行なわれたということになれば、これが
物価
にどのように
影響
していくか、
経済企画庁長官
、この点についてお伺いいたしたいと思います。
内田常雄
146
○
内田国務大臣
公共料金
の
引き上げ
の幅を大きくすればするほど、それは
消費者物価
全体の中にその
公共料金
の持っておるウエートに従いまして当然
影響
がございますので、
政府
がきめる
公共料金
というようなものにつきましては、おっしゃるように一つも上げないで済めばそれにこしたことはございませんが、そういかない場合におきましても、できるだけ上げ幅はこれを押え込んで、時期も先に延ばすような方途をとりまして、
消費者物価
全体の値上がり趨勢というものが大きくなくて済むように私は常に努力をいたしております。いままた、
消費者米価
の
引き上げ
幅のことにつきまして、大蔵省は四十何%とか、あるいは農林省は何十%とかというお話がございましたが、これは食管赤字——食糧管理特別会計の
政府
の米の買い入れ
価格
とそれをまた販売者に売り渡す
価格
との差額、これを売買逆ざやというのでございますが、それを消しますためには、
消費者米価
を七五・二%ぐらい上げなければ消えないそうでございます。そのほか、さらにお米は農家から買ってそれを売り渡すだけでなしに、その間お倉に入れて管理しておりますので、その管理費用、倉敷金利というものもかかるわけでありまして、そういうコストまで加えた逆ざやをなくそうと思いますと、実に一〇六・五%上げないと消えないそうでございます。さっき
食糧庁長官
が切々と述べておられました、いわゆる末端逆ざやを消すだけにいたしましても、六一・七%上げないと末端逆ざやさえも消えない。しかし、私は、こういう
値上げ
というものは、これは将来
物価
がほんとうに安定して、
皆さま方
が税金が高くなるよりも
公共料金
がある程度高くなることはやむを得ないというようなお考えに立たれたような場合はともかく、今日の場合には、こんな六一ないし一〇六%なんという
ことば
思いもよりません。しかし、しからば五〇%、四〇%でいいかというと、これもそれならいいということは私はなかなか言わないつもりでございまして、やはり
物価動向
、家計費に与える
影響
その他の事情を
総合
的に勘案をいたしまして、まあまあというところできめなければなるまいと思います。
小林政子
147
○小林(政)
委員
物価
のお目付役といわれる経企
庁長官
、特に国民にしてみれば、いろいろな官庁の中で
物価
の問題であれば何といっても経企庁が国民の気持ちもわかってくれるだろう、
物価
を押えるためのこん身の努力もしてくれるだろう、こういう期待を込めている長官が、財政のため云々ということだけでとはおっしゃっておりませんでしたけれ
ども
、しかし、やれ七五%
引き上げ
なければ逆ざやは埋まらないんだ、末端逆ざやだけでもこれだけあるんだという
数字
を出されて、やはり財政問題にウエートを置かれ、国民のいまの生活の問題から、
消費者米価
の
引き上げ
という問題を、経企庁が、いまいろいろ各省でもってパーセントが出ているときにできる限りこれを
物価
の立場で押えていこう、こういう立場に立つべき長官のいまの御意見を聞いて、私はちょっと情けない、ほんとうの意味でこれはさびしい気持ちがいたしました。 私、新聞の報道で、経企庁の宮崎事務次官が二十二日の記者会見で、二〇%程度の
値上げ
にとどめたい、こういう発言をしたという記事を見ましたけれ
ども
、この二〇%にとどめたいという根拠は一体どういうところから出てきた根拠なんですか。
喜多村治雄
148
○
喜多村説明員
次官が二〇%と申しましたのは、非常にリジッドな二〇%として申しおるわけではございません。おおまかに次官の頭の中にありましたのは、毎月の
上昇率
——午前中に私、御
説明
いたしました毎月の
前月比
が大体一%ぐらいに
上昇
していけるものということを一つの目標として立てました場合を一応仮定していただきました場合に、お米を一〇%上げますと〇・三二CPIを押し上げていく。そういたしますと、十月には
国鉄
の
値上げ
も予定されておることでもございますので、それを一から差っ引いたものでもって勘案いたしますと大体二〇%ぐらいが限度ではないのかというのが次官の頭の中にあったことでございまして、それからほかにもいろいろ考えました場合に、二〇%ぐらいが適当ではないかという、非常にリジッドな話ではなくて、雪の目安として言われたものでございます。
小林政子
149
○小林(政)
委員
正式な見解ではなくて、具体的な試算、ある程度の目安としてというお話でございますね。
消費者米価
の
引き上げ
によって実際に
消費者物価
にどの程度
影響
があると考えているのかという点について、これは
前月比
一%
引き上げ
ると
物価
指数に〇・三二ということですか。
喜多村治雄
150
○
喜多村説明員
お米の
価格
を一〇%上げますと、〇・三二CPIに
影響
するということでございます。
小林政子
151
○小林(政)
委員
そうしますと、一%では〇・〇三二
影響
するという
数字
が出てくるわけですね。 これは
食糧庁長官
に具体的に直接的な
影響
で伺いたいと思いますけれ
ども
、
政府
の売り渡し
価格
の
引き上げ
によって
消費者米価
というものがアップをした分、これは
政府
の売り渡し米の場合には、その中の
標準価格
米などは
行政
指導でそのアップというものを押えられますよね。ところが実際には、いわゆる自主
流通
米ではないけれ
ども
一般に内地米といわれている銘柄米の場合には、このところ何年か売り渡し
価格
が据え置かれているわけですけれ
ども
、事実上がっているわけですよね。ですから、
消費者米価
が一〇%上がれば〇・三二
消費者物価指数
に
影響
するというようなことだけでこの問題を解決することができるのだろうか、私はこう思うわけです。 ちょっと質問の意味がわかりませんか。直接の
影響
でいま伺っているわけですけれ
ども
、たとえば
政府
の売り渡し米
価格
が上がった場合に、
標準価格
米の場合にはある程度
行政
価格
ということでもって押えることができますでしょう。だけ
ども
、いわゆる自主
流通
米ではない内地米といわれている銘柄米が、実際その場合に、じゃ何%上がるのか、上がるのか上がらないのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
三善信二
152
○三善
説明
員 お尋ねのは、一つは
標準価格
米、これは現在十キロ当たり千六百円で一応末端の
価格
を指導しております。それからもう一つは、
政府
が買い入れて売り渡している銘柄米。
標準価格
米は大体非銘柄米でございます。その銘柄米につきましては、末端の
価格
を
標準価格
米のように押えてはおりませんが、私
ども
はたとえば自主
流通
米を上米としまして、それからいま先生おっしゃいました
政府
が管理している銘柄米を中米というようなことで、現在都道府県によって実情が非常に違いますので、都道府県知事と協議をしまして、都道府県で末端の指導をしているような状態でございます。と申しますのは、最近といいますか、ことしの一月ごろから便乗
値上げ
的に米価もいろいろの角度から使われては困るというようなことで、私
ども
はできるだけその便乗
値上げ
をなくするということで、都道府県と一体となって指導をしているというような
状況
でございます。で、大体私
ども
が指導しているような
価格
で米の末端
価格
というのはおさまっているというのが現状でございます。 ただ、新米が出回りますれば、先ほど
松浦
先生も言われましたように、その間の人件費、コストあるいは金利、倉敷、そういうものも相当値上がりしておりますので、そういうものを含めてある程度の末端
価格
の
上昇
、これはやむを得ないと思っているわけでございます。
小林政子
153
○小林(政)
委員
いま長官からの答弁にも出ておりましたけれ
ども
、いわゆる
物価
指数に与える
影響
というものは、米価の
引き上げ
一%程度では〇・〇三二%といってきわめて小さなものなのだ、そんなに大きい指数を
引き上げ
る、そういうものではないのだ、こういうことですけれ
ども
、実際には内地米といわれるようなこういう問題は、食糧庁が発行している
資料
を見ましても、このところ、四十七年十月を一〇〇とした場合、実際に四十九年の八月で一二・八%、これは上米です。それから、中米の場合には四十七年の十月を一〇〇とした場合に、四十九年の八月は一〇六・九、しかも四十七年十月以降、実際には
政府
の売り渡し
価格
というものは据え置きになっているわけですね。しかし人件費その他もあるでしょうし、こういう形で上がってきているわけです。ですから、単なる統計
数字
で何%、何%といっても、やはり
消費者米価
が上がれば全体の米が相当
影響
を受けて大きくつり上がっていく、こういうことがいえるのじゃないかと私は思うのです。 特に、先ほど
松浦
先生のほうからも、米が上がれば相当の
物価
に
影響
する、こういうお話がありましたが、特に外食をしている人たちの場合には、どのくらい
影響
が出てきているというふうにお考えになっているのでしょうか。
三善信二
154
○三善
説明
員
消費者物価指数
に
影響
する
数字
を先ほど
経済企画庁
のほうから言われましたけれ
ども
、あの
数字
のとり方、何も
標準価格
米だけの問題ではございませんし、現在実施されている実際の米価をとっておりますので、特にあの
数字
で、大体その
数字
の中におさまるというふうに私
ども
ば考えております。 それからもう一つのお尋ねは、外食に対する
影響
でございますが、先ほど企画庁のほうで言われました
数字
、一〇%上げれば〇・三二%
消費者物価指数
に
影響
があるということでございますが、これは米の値段を上げるに伴いまして、直接の
影響
といいますのは大体〇・二七%、それに外食とか、あるいは二次加工品、あるいは酒とか、みそとか、そういう間接的な
影響
が大体〇・〇五%ございますので、それを合わせまして一〇%上げれば大体〇・三二%であるというふうにおっしゃったと理解しております。 そこで、米価を上げると、米価そのものは安いということはわかっているけれ
ども
、心理的
影響
でほかのものに非常に
影響
するのじゃないかということを、よく私いわれますけれ
ども
、過去の例で私
ども
いろいろ調べてみますと、たとえばこういうことはいえると思います。これは事例的な
調査
でございますが、米の
政府
売り渡し
価格
を据え置いたときと、過去に上げましたとき、そのときの
消費者物価指数
に及ぼす
影響
といいますか、現実の
数字
としても出ているわけでございます。据え置いたときにもやはり
消費者物価指数
というのは上がっておりますし、米価を上げたからすぐ
消費者物価指数
に
影響
がそれだけぴしゃっと出たかということになりますと、そうとも必ずしも一がいにいえませんし、私
ども
大体米価を上げましたときの三カ月前の指数と上げました三カ月あとの指数、そういうのをいろいろ比較してみましても、いま申し上げましたように、非常にはっきりすご出てくるというものでもないということを、一応
数字
的にはいろいろ検討ばしております。実態片そういうふうになっているかと思います。
小林政子
155
○小林(政)
委員
米が一〇%上がれば、あるいけ三〇%上がれば
消費者物価
への
影響
がどの程度はね返りが出るかというような点を、いろいろと経企庁も
数字
など調べてはいるようです。私も
資料
をもらいましたけれ
ども
、ただ単なるそういう〇・〇何%の
影響
が出るというようなことではなくて、実際には私たちの日常生活の中で主食である米が上がるということは相当広範囲に
物価
に
影響
を来たしてくるということが、これは過去の例から見ても明らかですし、その具体例として食糧庁が小麦の
値上げ
をやった場合にも、これも先ほどお話が出ておりましたけれ
ども
、食パンにしろあるいはまた即席ラーメンに至るまで、すべてのそれに
関連
するものが何%上がるのだといっても、実際には例をあげれば食パン一斤四円二十銭
上昇
するという
説明
だったのです。たいした額じゃないのだ。ところが実際にはことしの一月
段階
ではすでに一斤二十四円アップ、五月には二十六円もアップしている。こういう
状況
で、やはり相当大きな
影響
が出てくるわけですし、それだけに私は
消費者米価
の
引き上げ
という問題については慎重を期さなければならないと思います。
消費者米価
の
値上げ
が一般家計への
影響
というものはきわめて少ないのだというような
説明
がいままでされてきておりましたけれ
ども
、実際にいま
国民生活
の立場から考えますと、もうバターは使わないで全部マーガリンにしていこう、あるいは豚肉なんかはもうできるだけ使わないで何かそれにかわるようなものにかえていこう、あるいは牛肉はもう豚肉にかえていく、こういうような形で、国民の生活というものは相当懸命にインフレから生活防衛という方向で最近努力をしてかわってきているのです。まして最近の傾向としては、お米をできるだけ食べていこう、こういう動きが出てきていますよ。 小麦が上がったので、前は米の
消費
というものは年々減ってきたわけですけれ
ども
、小麦が上がったという
段階
で、パンを食べるあるいはめん類を食べるというよりもできるだけお米を食べていこう、こういうような傾向すら出てきているのです。こういうことは、やはり
国民生活
というものが、ほんとうにいま主婦が懸命に家計を維持していく、そういう中で出てきている最近の傾向じゃないか。これは
数字
をあげてもはっきりしているわけです。たとえば小麦粉の場合を見てみますと、三十五年を一〇〇としますと、小麦粉の生産というものは四十年には十二五・六、四十五年には一四三・五、四十六年には一四六・一、四十七年には一五一・一と、ずっと歴年ふえてきていたのです。ところがことしに入りまして小麦粉を
値上げ
をした、こういう
段階
の中で、ことしの一月、二月、三月、ずっとこのところパーセントが落ちてきています。 その反面、お米はどうなっているか。お米は逆に、歴年いままでは米の
消費
量というものは減っていたわけです。三十六年の場合には対前年度比でもって三・七%、四十年には四・三%、四十五年には三・七%といって、四十八年には四・二%という形でずっと落ちてきていたのです。ところがことしの三月、四月ごろから、対
前月比
でもって
数字
を見てみますと、米の
消費
というものは二月が一〇三・五、三月が一〇一・四、四月が一〇二・二、五月が一〇五・〇、六月が一六三・四、七月が一一五・三という形で、パンが高くなった、めん類が小麦粉が上がって高くなったということで、逆に主食の米が相当各家庭の中で
消費
されている、こういう
数字
がずっと出てきているわけです。こういう点を見まして、やはりどれほどいま生活防衛の立場から主婦が苦労しながら、いろいろとやりくりしながら努力をしているか、こういうことがやはり浮き彫りの一つの姿として出てきているのではないか、私はこのように考えられます。 このような主婦の懸命な家計防衛というものに対する真摯な努力、こういうものに対して、経企
庁長官
、ほんとうにいま
消費者米価
というものが主食の内容にまで最近の動きを変えてきている、こういう実情等についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、御意見を私はお伺いしたいと思います。
内田常雄
156
○
内田国務大臣
おっしゃるとおりだろうと思います。しかし、食糧の
価格
は、
日本
ばかりではなしに、小林さんもよく御
承知
のように、国際的に不足ぎみの
状況
があらわれてまいりまして、小麦でも大豆でも、あるいはまた家畜の飼料になります穀類でも、また問題の米でも、国際
価格
も非常に上がってきて、それの
流通
も非常に制約をされてきておる中におりますので、米に限らず食糧の値上がりというものが家計を圧迫する傾向にあるのではないかということを私も非常に憂慮をいたしております。でございますから、米でも小麦粉でも、あるいはその他の肉類——まあ卵などというものはあまり値段が上がらないで養鶏農家の方々が非常にお困りになっておるような面もありますので、これな
ども
安ければ安いほどいいというわけにもまいらぬのでしょうけれ
ども
、しかし家計を預かる主婦の方々が食糧
価格
の
上昇
にいろいろ御苦労なさっておること、私も家庭を持っておるものでございますのでいろいろ聞かされておりますので、今回の
消費者米価
の値上がりにつきましても、これは可能な限り
政府
が負担をいたしまして——
政府
が負担するということは、国民の税金をそのほうに使わせていただくということを国民にも御了解をいただきまして、むやみに高くならないように合理的なところで押えていただくように、私も、そのものずばりの
ことば
を使いますと、大蔵
大臣
や農林
大臣
を大いに牽制をいたしておる、こういうわけでございます。
小林政子
157
○小林(政)
委員
私は
政府
の売り渡し
価格
を据え置くというためにも、実際には
消費者米価
の
値上げ
をまた押えていくためにも、現在物統令の問題について、この問題をやはり重視していく必要があると思うのです。この問題を、いわゆる再適用を復活させるというような、こういう見解というものは全く持っておりませんか。私はむしろほんとうに
消費者米価
を押え、そしてまた生産者米価にそれに見合った補償をしていくという、こういう立場に立った食管
制度
を生かしながら、物統令の適用をはかっていくべきだ、このように思いますけれ
ども
、見解を伺いたいと思います。
三善信二
158
○三善
説明
員 その前にちょっと先生先ほどおっしゃった米の
消費
の点を先にお答えさしていただきます。 米の
消費
の点につきまして実はよくいわれるのですが、去年の暮れごろからことしの一、二月にかけて、対前年に比べまして
政府
の売却量が非常にふえたわけです。一〇%から一二、三%ふえました。それで非常に米の
消費
はふえておるのじゃないかということをよくいわれましたけれ
ども
、現在まで私
ども
が
調査
している限りにおいては、特に家庭の
消費
がふえたというような
調査
はあまりございません。ただ、昨年は、実は一−三月というのは
政府
の米の売却量がわりあい少なかった時期で、おととしの一−三月あるいはことしの一−三月と比較しますと、多少ふえているという程度でございますが、片や御
承知
のように配給人口の伸びというのがございます。大体一・三%ぐらいかと思いますが、そういう人口の伸びと比較しまして、どうも米の一人当たり
消費
量というのは、やはりずっと減ってきておりますその減り方が少なくなってきた。がくんがくんと減ってきておったわけでございますが、その減り方が少なくなってきているので、ただふえているというようなデータはまだ持ち合わせていない。これは全体の量から考えてみますとそういう
状況
でございます。 それからもう一つは、家計支出に占める米の支出の
割合
というのがどういうことになっているかと申しますと、現在は、これはもう先生御
承知
のように、家計支出全体の中で米の支出の
割合
は、勤労者世帯でとってみますと大体二・八%、全世帯でとってみますと三・一%ぐらいになっております。これは三十年ごろはこの
割合
が一二・四%、四十年には六・六%、四十五年には四%、四十八年、現在は大体二・八%というような
状況
で、米の家計費の支出の中で占める
割合
というのは年々非常に
低下
をしていくというのが実情でございます。 それから、物統令の適用を復活したらどうかということでございますが、御
承知
のように、四十七年の四月でございましたか、物統令の適用を廃止したわけでございます。米の需給というのが非常に
緩和
されまして、四十五年以降、御
承知
のように、食糧庁としましては過剰米七百万トン以上を持ちまして、生産
調整
も生産の面では行なって需給の均衡をはかってきている。そういう
段階
で非常に需給が
緩和
した。片や国民の生活の向上といいますか、国民の方々は品質のいい米、うまい米、そういうのを非常に嗜好されるような傾向が強くなってきた。現に物統令で画一的に
価格
を統制してやるといっても、それは現実になかなか守れない。そういった一般的な事情を踏まえて物統令の適用を廃止したわけでございまして、現在においてまたそういった画一的な一つの
価格
統制というようなことをやる考えはございませんし、またそういうことをやれば、せっかくそういう国民の嗜好に応じた、選考に応じた米に対する需給というものがまた平められていくということもございますし、現在私
ども
としては、物統令の適用をまたやるというようなことは考えておりません。
小林政子
159
○小林(政)
委員
私は、ほんとうにおいしいお米を安定して、しかも
消費
者が安く家庭でもって
消費
することができるということをほんとうに保障する気があるならば、これはやはり物統令を再適用をしていくべき以外には——米は、自主
流通
米はどんどん上がっていく。そして、ほんとうに安定した、しかも安い
価格
で、家庭に不安を与えない、こういう
消費者米価
の安定という点から考えても、これをぜひ実施に移さなければ、今後ますますいろいろな
事態
が、不安が起こってくるであろう、こういうことがいえると思います。 この問題については、あまり時間がありませんので、十分質問をすることができませんでしたけれ
ども
、ただ一言私は、やはり何といっても食管
制度
という問題は、これはもう先ほど来だいぶ論議をされておりますけれ
ども
、もともと生産者米価、そしてまた
消費者米価
の基準をきめる、これはもうこの基準そのものが別個のものだと思います。そしてこの生産者米価については、第三条ではっきりと、生産費その他の事情を参酌して米穀の再生産を保障するということがきちんと明記されておりますし、また
消費者米価
の問題は、家計及び
物価
その他の
経済
事情を参酌して、そして
消費
者の家計の安定をはかるを旨とするということが、四条の二項でもって明記されているわけです。私は、農家には再生産がきちんと保障されるような、そしてまた
消費
者に対してはその生活の安定、これがむしろ食管法によって
政府
に義務づけられている問題だ、このように考えております。したがって、いまのようなこういう時代の中で、生産者と
消費者米価
の差が少し広がってきたからといって、この問題についての赤字が出ているといってこれを埋めるということよりも、これはむしろ私は当然のことだというふうに考えています。
消費者米価
の問題は
物価
抑制
という観点から、
経済企画庁長官
にほんとうに
消費
者の立場に立って十分ひとつそれこそ政治姿勢をかけたような強い意見をもって折衝に臨んでいただきたいと私は思います。そのことを強く要望いたしたいと思いますが、最後に長官の御決意をお伺いいたしまして、この問題についての質問を一応終わります。
内田常雄
160
○
内田国務大臣
小林さんのお気持ちよくわかりましたし、またこのことについては先ほど来再三申し述べておるところでございまして、私は大蔵
大臣
でも農林
大臣
でもございません、
経済企画庁長官
として、
物価
の問題とかあるいは農業生産、国民の家計、今後の
経済
動向
、すべての見地を
総合
いたしました判断から適切な米価をきめるべきだという立場をもって対処をいたしてまいる所存でございます。
小林政子
161
○小林(政)
委員
次に、私は、先般
値上げ
が決定をされました
東京
瓦斯の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 今回の
東京
瓦斯の四六・八%にものぼる料金
値上げ
は、首都圏四百五十万家庭にこれもやはり深刻な
影響
を与えています。通産省は、今回の
値上げ
申請に対してこれをきびしく査定をしてそしてできるだけ押えたのだ、こういうことをいっております。いわゆる申請料金原価の中に当然入ってくる二千四百億を二百二億削って、パーセントでは二八%削減したのだ、相当きびしい査定をやったのだ、こういうことをいっておりますけれ
ども
、しかしこれも中身を見てみますと、まだまだ査定は甘かったのじゃないか。この点については、いろいろと新聞などでもいまだにこの査定の内容等を踏まえて批判もされていることを見ても明らかでございます。私自身もその中の幾つかを調べてみました。 たとえば
東京
瓦斯はLNGに転換をしていく計画を進めていますけれ
ども
、これは四十七年から六十年までに六百億円という膨大な
設備投資
を計画しているのですね。しかもその
設備投資
が今回査定された原価の中には約百億円含まれています。いまこのような公益
企業
の
値上げ
については極力
政府
は押えるということをいっている、こういう現状の中で、膨大な
設備投資
の資金を料金原価の中に含ませて、そして一般の料金として国民から徴収をする、こういう行き方については私はやはり問題があるというふうに思いますし、検討をされた
段階
でこの問題についてはどのような取り扱いがされたのか、具体的にお伺いをいたしたいと思います。
大永勇作
162
○大永
説明
員 お答えいたします。
東京
瓦斯の管内での現在のガスの
需要
は大体五十億立米弱でございますが、
昭和
六十年には約二倍の百億立米になるものと予想されております。これをまかないますのにどういうことでやりたらいいかということでございますけれ
ども
、現在の方式でまいりますと、当然導管も倍にしなければなりませんし、それからガスホルダー、現在大体四十カ所ありますけれ
ども
、これも同じ程度のガスホルダーをつくらなければならないということになります。しかし、たとえばガスホルダーでいいますと、これは重要地に当然近いところにつくらなければならない。しかも一個所一万平米ぐらいの土地を要するということで、こういった現在の導管に見合う程度の新しい導管をつくったり、あるいは現在のガスホルダーに見合う程度のガスホルダーを増設するということは、これはなかなか地元住民との了解その他の問題で困難が予想されるわけでございます。そこで、
東京
瓦斯で現在計画しておりますのは、現在は五千カロリーのガスを
供給
しておりますけれ
ども
、これを天然ガスに転換いたしまして、約倍のカロリーの一万一千カロリーで
供給
するという計画でございます。そういう転換をいたしますと、現在の主要な導管設備とかあるいはガスホルダーにつきまして、あまり増設をしないで
供給
できるということになるわけでございまして、したがって、先生の御指摘の、確かに天然ガスに転換するにはいろいろ
設備投資
が要りますけれ
ども
、天然ガスに転換しないでかりに現在のままで
供給
したとしますと、設備を倍にふやさなければなりません。それとの比較でまいりますと、天然ガスに転換したほうが約五千億円ぐらい
設備投資
が逆に少なくなるという計画でございますので、現在の見通しでは、やはり天然ガスに転換するほうがずっとベターではないかというふうにわれわれとしては判断しておるわけでございます。
小林政子
163
○小林(政)
委員
料金算定の中にこのような巨大ないわゆる
設備投資
というようなものが今後六十年にわたって含まれていくというようなあり方、特に、いま激しい
物価
の
上昇
がいろいろと論議されてきたことによっても明らかなように、こういう時点の中で、このような
設備投資
が料金算定の原価の中に含まれるというような点について、検討の
段階
で何らかの論議をしてチェックをするというようなことができなかったのか、こういうことをいまお伺いをしたわけです。しかもLNGに転換をするということで、この問題についても私
ども
は、やはり安い石炭を今後もっと使っていくべきではないだろうか、そしてエネルギーの需給計画あるいは
供給
の安定をはかるということを真剣に考えるならば、必ずしもLNGに限ることはないではないか、こういう意見を持っておるわけです。この点についてお伺いをいたしたいと思います。
大永勇作
164
○大永
説明
員 二点ございますが、一つは
設備投資
を料金算定の中に入れるべきでないではないかという御意見でございますが、この点につきましてはほかの
公共料金
も全部同じだと思いますが、
設備投資
そのものはもちろん料金の中に入れるわけではございませんけれ
ども
、
設備投資
をいたしました場合の償却費あるいは金利といったようなものは、これは料金の中に入れませんと次の再生産ができないことになりますので、その分は料金の中に入れてございます。 それから、もう一つの石炭に転換をしたらどうかということでございますが、これは実は問題は一つには公害問題でございます。現在たとえば千住に石炭をガス化しましてやるコークス炉工場がございますけれ
ども
、これも付近の住民の反対等もございまして、公害問題で閉鎖せざるを得ないというふうな状態になっております。それから、その他ほかの豊洲等の工場につきましても同じような問題が出ております。したがいまして、一つには公害問題で現在の石炭ガス化の工場すら維持できないというのが実情でございますので、いわんや新しい工場を
東京
都の近くにつくるということはとても不可能だというのが一つでございます。 それからもう一つは、石炭をガス化します場合に、原料になりますのは原料炭でございますけれ
ども
、この原料炭は最近非常に国内でも需給が逼迫しておりまして、鉄鋼が主として使うわけでございますけれ
ども
、奪い合いの状態になっております。したがいまして、たとえ公害問題が片づいたとしましても、原料手当てができないというふうな点がございますので、石炭への転換ということはなかなか困難であるというふうに考えております。
小林政子
165
○小林(政)
委員
時間がなくなってきましたが、私は、確かに
設備投資
の問題については、それは減価償却の中に入れる、金利を入れる、そういう点については当然だと考えますけれ
ども
、そういう
設備投資
を含めて、料金をだから上げるというようなことは、こういう時点の中ではやるべきではなかったのじゃないか、何らかの方法で対処ができなかったのかということ、これを今後さらにはっきりさせていきたいというふうに考えています。 また、公害の
問題等
につきましても、これはやはり技術的にもいろいろ解決の方法はとられるはずだというふうに思いますし、また安全
供給
だとか公害が出ないだとかいろいろいわれているわけですけれ
ども
、しかし、私は、将来LNGを
東京
瓦斯が相当の範囲で使うということになってまいりましたときに、燃料費というものは逆に相当やはり上がるのではないか。この
ことば
、
石油
の場合にも一〇〇%海外に依存していたという現状の中で、相当これは手痛い目にもあっておりますし、こういうメジャーに
供給
を握られるというようなことな
ども
あって、やはり需給計画というものをきちんと立てていくということがいまから非常に重要ではないだろうかというふうに考えますし、特に燃料費の問題についても、LNGの
価格
を
東京
瓦斯自身が計算をした
数字
を見ましても、四十九年の下期にはトン当たり二万六千円、これが三年後の五十二年には四万一千円と、その上げ幅は八〇%ですね。ところが同期に同じ
数字
を見てみますと、ナフサの場合は二八%、それから原油の場合には四四%の
上昇率
の見込みということになっておりますけれ
ども
、これから比較しても、やはりLNGが燃料費として今後相当大幅な
上昇
をしていくのではないか、こういうことが
東京
瓦斯の
数字
ですらこのようにきちんと出ているわけですから、この問題についてどう考えるか、お伺いをいたしたいと思います。
大永勇作
166
○大永
説明
員 お答えいたします。 LNGを数年前に長期契約いたしましたころには、天然ガスはいわば空に捨てておったわけでございまして、したがいまして、その当時は非常に
価格
が安かったことは事実でございます。しかし、最近ではエネルギーが非常に貴重なものになってまいりましたので、今後はLNGの
価格
も大体
石油
の
価格
にスライドするようなかっこうで上がっていくものと考えざるを得ないと思います。しかし、それでも現在の見通しでは、たとえばナフサであるとかあるいはLPGであるとかといった
石油
系の燃料よりは、LNGのほうがまだ割り安であると考えておりますし、その傾向は今後とも当分の間続くのではないか。それから資源的に見ましても、先般の
総合
エネルギー
調査
会の報告にもございましたように、
石油
に比べればLNGのほうが相対的にゆとりがあるといいますか、相対的に豊富であるというふうにわれわれとしては判断しておるわけでございます。
平林剛
167
○
平林委員長
小林君、質問時間が相当こえておりますから、簡単にお願いします。
小林政子
168
○小林(政)
委員
それではもう一点お伺いをして終わりたいと思います。 この査定の中で、私いろいろと調べた中で、一つは内部留保の問題です。この内部留保についても、
東京
瓦斯は引き当て金だ準備金だと、四十九年度一月期だけでも総計で四百六十九億円も内部留保を持っているわけです。これを具体的に一体どの程度削ったのか。退職給与引き当て金だけでも百二十六億の積み立てがあるわけでしょう。これは実際に退職をした人の人数から見ても、大体年間四億ぐらい。これから見ると、百二十六億というのはもうほんとうに膨大な
数字
ですよね、内部取り込みが。むしろ
企業
が経営上困難になった場合には、内部留保の取りくずしというものを相当大幅に行なって対処すべきだということは、これはもう
政府
の方針なんでしょう。そういう点から考えても、もっと内部留保を削るべきだ、吐き出すべきだと思いますし、査定の
段階
で、退職給与の引き当て金百二十六億の積み立ても、私はむしろこのうちの三分の一を取りくずすだけでも、今回の最低料金の
値上げ
五百七十円の、これを七十円
値上げ
しないで、従来どおり五百円で据え置くことができたのじゃないか、こういうふうに思いますけれ
ども
、この点についても何らチェックがされていない、きわめてずさんな査定ではないか、私はこのように思うわけであります。 時間がありませんので、最後にもう一点。 私は、こういう中で政治献金の問題について、これもやはり選挙中に大きな問題になりました。一体今度の査定をする中で、今度のカットした分の中に、政治献金というものをカットしたのかどうなのか、この点をまずお伺いしたいと思いますし、公営
企業
が
値上げ
申請をするというその中に政治献金を含ませて出してきたそのものを、そういう姿勢に対してそれをそのまま受け付けるという通産省の姿勢というものは、私は問題だと思うのですね。 以上の二点にわたって質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
大永勇作
169
○大永
説明
員 最初に内部留保の問題でございます。一つ御了解を得たいと思いますけれ
ども
、料金の算定にあたりましては、現在どれだけ赤字があるか、あるいは利益が蓄積されているかということとは一応切り離しまして、向こう一年間の収支を見て料金をきめるということになっております。したがいまして、料金算定と内部留保とは直接には関係ないわけでありますけれ
ども
、
東京
瓦斯の決算でまいりますと、この七月期の決算で大体百十億円ぐらいの赤字が出る予定になっております。それから、当初は八月一日に
値上げ
を希望しておりましたが、九月三日に一カ月余りずらしましたわけですが、その間大体一日に二億円程度の赤字が出ている計算になっております。したがいまして、内部留保の中でいわゆる取りくずし得る繰り越し利益でありますとか任意準備金といったような利益性の強い内部留保は、この間にほとんど取りくずしてしまうというふうに考えております。 それから、御指摘のございました退職給与引き当て金の一税分、約六十億ございますけれ
ども
、これにつきましては、査定にあたりまして、もしそれを積まないで減価償却に引き当てていたらレートベースがもっと落ちていたはずであるという前提で、レートベースから査定をして落としております。 それから第二点の政治献金の問題でございますが、
東京
瓦斯の申請ではもちろん政治献金という項目での申請があったわけではございませんし、したがいまして、政治献金についてどうこう査定するという問題が査定の過程であったわけではありませんけれ
ども
、政治献金の支出源の一つでありますいわゆる寄付金につきましては、税法限度額二億八千万円程度でございますけれ
ども
、二億八千万円の申請がございましたけれ
ども
、査定では一億四千万円に半減の査定をした次第でございます。
平林剛
170
○
平林委員長
次に、
石田幸四郎
君。
石田幸四郎
171
○石田(幸)
委員
午前中から
総合
物価対策
並びに個別
物価対策
でいろいろと議論があったわけでございますが、私は主としてプロパンガスの問題についてこれから質疑を行ないたいと思います。 まず最初に経企
庁長官
にお伺いをするわけでありますが、いわゆる
物価
担当
大臣
としての役割りが非常に大きなウエートを占めているわけでありますが、この
物価
に対して、いわゆる
総合
的な基本的な
物価政策
、そういうものについては当然これはいろいろな御意見をいろいろなところで申し述べておられると思うのですが、個別の
物価対策
についてはどの程度経企庁としてはこれに参画をされるのか。 たとえばプロパンガスにつきましては、八月十六日の閣議におきまして、従来の千三百円から千五百円というように中曽根
通産大臣
から
説明
があって、閣議了解があったというふうに報道されておるわけでありますが、このプロパンガスの
値上げ
の問題については、実はだいぶ前になりますが、私はいろいろなこまかい点から疑問点を提起しておいたわけでございますけれ
ども
、今回のいわゆる十キロ入りボンベ千三百円から千五百円というふうに移行したその
状況
についても、あまりそういった疑問点が明らかにされてないようにも思うわけであります。一体経企庁のほうではこういった通産省の
価格
決定に対してどのような検討をされているのか、個別の
物価対策
としてはなされていないのかどうか、この辺についてまず経企
庁長官
にお伺いいたします。
内田常雄
172
○
内田国務大臣
個別物資
の対策につきまして、まずその個別
物価対策
をどのような
ワク組み
でやるか、またはずすかというような全体の構想につきましては、その
物資
の担当官庁と
経済企画庁
が十分の打ち合わせを行ないました上で個別
物価対策
の
ワク組み
を設定をいたしますので、このことにつきましては私
ども
もいろいろな見地から責任を持つものであります。 その次に、個々の
物資
につきましての
価格
ということにつきましては、必ずしも
経済企画庁
がその
物資
の所管をいたしておりませんので、事情な
ども
つまびらかにはいたしませんけれ
ども
、
総合
的判断を行なうというような立場から、個々の
物資
についての
価格
、ことにそれが法律に基づく
標準価格
などをきめたり
改定
をいたします場合には、当該
物資
の担当官庁から
経済企画庁
の担当部局に対して了解の打ち合わせがございますので、これも私
ども
のほうでもチェックをいたしておる、こういう仕組みでございます。しかし個別の内容につきましては、もちろん
物資
の各所管庁のように詳しい
事態
は把握していない場合も多いことも、やむを得ないと思います。
石田幸四郎
173
○石田(幸)
委員
それでは、今回のプロパンガスの
値上げ
につきましてはいかがでございましたでしょうか。
喜多村治雄
174
○
喜多村説明員
プロパンガスの
標準価格
の
改定
につきましては、当然法に基づきますところの協議がございます。したがいまして、今回の場合にも当然に協議を受けております。
石田幸四郎
175
○石田(幸)
委員
その協議はいつ行なわれて、どんな内容であったか、公開することはできますか。
喜多村治雄
176
○
喜多村説明員
特に協議書をもって協議をするという形はとっておりませんで、事務的に話を持ってこられましたのが八月の十日前後でございます。そのときに、内容は差し控えたいと思いますけれ
ども
、LPGのコストアップの
状況
がどうであるか、あるいはこの中に含まれますコストアップの中身はどうであるかというようなことについてはお互いに協議をし合いまして、このあたりでどうかというようなことについて私
ども
の意見も申し上げました。それから、結果的に千五百円という
価格
をきめます場合には、私
ども
のほうから家計支出その他
物価
の
動向
等を見まして、われわれの意見というものをくんでいただきまして、ある程度の下げをしていただいたのでございます。
石田幸四郎
177
○石田(幸)
委員
もう一度お伺いしますが、その千五百円に
値上げ
になったときに、いろいろな意見を申し述べた。特に
国民生活
の家計の上からこの程度にしたほうがいいのじゃないかという意見を言われたようでございますけれ
ども
、その際にこのプロパンガスの問題について私ずいぶんいろいろこまかい点を申し上げたわけでございます。い号、ろ号というプロパンガスのいわゆる内容の問題、それによって
価格
に差ができてきて当然であるという問題を申し上げました。あるいは重量売りあるいは立方売り、その違いも申し上げたはずでございますが、ここら辺のことは話題になりましたか。
喜多村治雄
178
○
喜多村説明員
もちろん先生のおっしゃる問題につきまして具体的に話の内容として出されておりますし、私
ども
のほうもそれについての御意見を申し上げております。
石田幸四郎
179
○石田(幸)
委員
それでは、森下政務次官にお伺いをいたしますが、このプロパンガスの
値上げ
に至りました経過、一つは、
値上げ
をせざるを得ないという、一つの原料の
値上げ
という問題もございますでしょう。そういう原因からどうしても
値上げ
をせざるを得なくなった、そういった検討の経過、それがどのように行なわれてこの十六日の閣議での了承ということになったのか、原因とその経過について、できるだけ詳しくお知らせをいただきたいと思います。
森下元晴
180
○森下
説明
員 LPガスの問題につきましては、二月の二十一日、この物特の
委員会
で石田先生にいろいろな御指摘をいただきまして、またいろいろな注文も実はつけられております。産気率の問題、その他非常に基本的な
問題等
についても御指摘を受けまして、私から直接検討をいたしますということの約束もいたしました。いまの御質問はいわゆるなぜ上げたかということでございまして、まずその問題についてお答えを申し上げたいと思います。 家庭用のLPガスにつきましては、本年一月以降
国民生活安定緊急措置法
に基づきまして、十キログラム充てん容器入りの正味量について千三百円、
標準価格
を設定してまいりましたけれ
ども
、次の理由でこれを千五百円に
改定
して、新しい
標準価格
で八月二十日から実施しておるわけでございます。まず第一に、LPガスの場合は半分国内の
石油
精製過程でできますし、あとの半分はやはり産油国から輸入しなければいけない。その輸入LPガスの
価格
がこの四月一日に実はさかのぼりまして約六〇%、すなわちFOB
価格
でトン当たり七十ドルから百十三ドルに値上がりした。それ以外に、人件費それから配送費というようなコストアップが認められた、こういうような
状況
のもとで
標準価格
を据え置いておくことは、むしろ民生用でございますいわゆる家庭用のLPガスの安定
供給
を阻害するおそれがある。これは灯油もそういうような事情で、同じような理屈でございますけれ
ども
、このようなために、適正な
価格
水準
のもとでの安定
供給
を確保するために
標準価格
を
改定
することにしたわけでございます。 今回の
標準価格
は、
経済企画庁
とも協議をいたしまして、先ほど申しましたように、コストアップの要因をきびしく査定して設定したものでございます。 なお、家庭用のLPガスの元売り仕切り
価格
については、ことしの三月の
水準
に対しまして、トシ当たり一万二千円を限度とする
引き上げ
を認めることにした、これが今回家庭用のLPガスを
値上げ
せざるを得なかったという原因でございます。
石田幸四郎
181
○石田(幸)
委員
先般来の
狂乱物価
からいろいろなものが値上がりをいたしておるわけであります。あるいは
公共料金
等の値上がりもございますので、いわゆる
値上げ
幅がこの場合は約一八%ぐらいということになろうかと思いますが、いずれにしても、
消費者米価
にいたしましても三〇%、四〇%という声が出ておりますし、いろいろな値上がりがあるわけでありますけれ
ども
、国民全体としては、こういった
狂乱物価
のあおりを受けて生活が苦しいから、何としても
政府
の認可料金等の問題については押えてもらいたいと切実な希望があるわけであります。 ただ、一番問題なのは、
政府
がそういうふうに
値上げ
幅をそれぞれきめますけれ
ども
、その明確な理由、原価計算等をして、コストがこれだけ上がったので、どうしてもこれだけ上げざるを得ないんだという御
説明
はほとんどない。今度のプロパンガスの問題にいたしましても、いわゆる輸入プロパンが六〇%値上がりをしたから、あるいは人件費、輸送費等が値上がりをしたから、その程度はやむを得ないではないかというふうにしかわれわれには聞こえない。一体こういった
値上げ
が行なわれるときに、
企業
は一般には肝心の原価計算というものを公表しないわけでありますし、通産省は通産省で、査定の根拠というものを明確な形で、国民がなるほどその程度は上げざるを得ないのかなと思えるような、そういう概算の
数字
すら明確にしないわけでありますから、これでは一体
値上げ
がされるたびに、全く知らしむべからずというようなことで内容が公開されておりませんから、国民は不安のうちに個別
商品
のいろいろな
値上げ
を見守っておるというような
状況
ではないかと思うのですが、このプロパンに関して、
政府
、特に通産省は明確に、コストの値上がり分はこう、人件費はこう、配送費はこう、したがって一八%程度
値上げ
せざるを得ないんだというような、そういう精細な計算というものははたして行なわれたのかどうか、この点についてお伺いしたいと思いますが、どうでしょう。
森下元晴
182
○森下
説明
員 御指摘の件につきましては、詳細な検討はいたしております。十キロボンベ入りの配達費込み正味量
価格
という表を一応読んでみたいと思います。 いわゆる元売り仕切り
価格
が、
改定
前が十キロ当たり三百五十円でございました。それが
改定
以後で四百七十円、
値上げ
幅が十キロ当たり百二十円になっております。それからこの小売り
価格
で、いま御指摘のように、人件費とか輸送費、保安費、それから一般経費、それから租税公課とか減価償却、そういうものをずっと含めまして、たとえば人件費は、
改定
前の月に四十六万二百二十円から
改定
後は五十二万六千四百五円、これはいろいろ、
ベースアップ等
のいわゆる人件費に、やはりプロパンを配達するための人件費とかその他の人件費もいわゆるベースアップした
価格
でございます。それが大体
値上げ
幅といたしましても、月当たり六万六千百八十五円。輸送費の場合は、これは一応
値上げ
幅は認めておりません。それから保安費も認めておりません。一般経費、これも一応認めておらない、零としてございます。それから租税関係も認めておりません。それから減価償却も一応その差は認めておらない。ということは、人件費で六万六千百八十五円、これが一応販売の経費の
値上げ
幅でございます。それから販売経費を十キロ当たりに直しますと、六十六円の上げ幅でございます。それから十キロ当たりの仕入れ原価、これが
改定
前は五百五十円、それが六百八十円になりまして、百三十円の
値上げ
幅になっております。 いま申し上げました十キロ当たりの販売経費と仕入れ原価を足しますと、千二百三十円が千四百二十六円になって、百九十六円の
値上げ
幅になっております。それから利益も、一応
改定
前も後も七十八円ということで、同じでございます。そういうことになりますと、小売り
価格
で、
改定
前が千三百八円、
改定
後が千五百四円、端数を切って、千三百円が千五百円になった。その上げ幅は百九十六円、実はこういうような計算はしておりまして、それに基づいて千五百円に
改定
をさしていただいたということでございます。
石田幸四郎
183
○石田(幸)
委員
いまかなり詳細にいろいろな明細が政務次官のお話の中に出てまいりましたので、後ほどまたその
数字
を検討さしていただきたいと思います。 経企
庁長官
にお伺いするのですけれ
ども
、いまプロパンの場合は、業界の一つの標準としてのやり方でいろいろ査定のしかたがあるんだと思うのですけれ
ども
、こういう形で
委員会
等に発表できるならば、たとえば鉄の問題にいたしましても、これはある程度、そういった
値上げ
をしなければならない
数字
的な根拠ですね、こういうものも発表することはできるんではないですか。そういうふうにお考えになりませんか。
内田常雄
184
○
内田国務大臣
鉄のごときは
標準価格
はつくっておりませんが、三月十八日か何かの実勢
価格
で凍結
価格
として押え込んできておりました。それを先般、数品種の綱材につきまして、いわゆるひもつき直売りとそれから市場売りとの両方に分けまして通産省が検討をされまして——これも必ずしも一物一価のような
価格
ではないようであります。綱材の
価格
というものは、取引の態様あるいはまた、それが造船であるか、あるいは自動車であるか、機械産業であるかによりまして、またメーカーごとにいろいろ複雑な
価格
のようでありますので、一つ一つにつきまして詳細な
資料
をつくってはおらないようでありますけれ
ども
、実勢
価格
の動き等につきまして、一つの判断をされておりまして、それらのことにつきましては、発表の形式等はございませんけれ
ども
、それぞれの理由を疎明して、
値上げ
の理由を明らかにいたしておるはずでございます。一々当
委員会
等に持ち出したことにはなっておらないと思いますけれ
ども
、ただつかみでやっておるということではないと私は考えております。
石田幸四郎
185
○石田(幸)
委員
この問題は、もう少し詳しく議論をしたいのでございますが、プロパンの問題と離れてしまいますので、一応省略をしまして、プロパンガスの問題につきましては、今回また千五百円に
改定
になるにあたりまして、
資源エネルギー
庁のほうから長官通達というような形で出ておるのだと思うのですけれ
ども
、この通達の内容を見ますと、いわゆる「メーター制販売における妥当な販売
価格
の判定及びブロック別基準産気率の設定」そういうような項目の中に、前回そういった理論産気率に基づいていろいろと
価格
を換算しな
さい
というふうに要請をしたけれ
ども
、「その後の
状況
をみると都道府県等の多大の努力にかかわらず、多くの都道府県等において妥当な販売
価格
の判定、指導等に困難な問題を生じている。」全国的にこれは非常に大きな問題になった。各県会等におきましても、一体これがどのようにわが国においてはプロパンの値段をきめるのかというので、かなり議論がかわされたわけであります。その後通産省のほうでは、その販売
価格
の判定や指導等に非常に困難な問題を生じたということを一体どのように把握しておられるのか、お伺いをしたいと思います。
左近友三郎
186
○左近
説明
員 お答え申し上げます。 実は、本問題につきましては、二月二十一日の当
委員会
において石田先生からもいろいろ御指摘がございました。われわれとしてはそのときに、単に通産省が標準の理論産気率を配付して府県で定めるというだけでなしに、府県の産気率の設定について十分指導するようにということでございまして、われわれもやったわけでございます。 ただ、府県でやりますときに、いろいろな組成をどうするかとか、あるいは隣接府県、ことに隣接府県との産気率の
問題等
々がいろいろ問題になりまして、そうして大体われわれのほうで調べてみましても、なかなか各府県できめることがでない府県も相当出てまいりました。そこで各府県から、この問題は府県ごとにやりましてもそういう隣接府県相互間の問題があるので、やはり中央で統一して——もちろん全国一つの数値という意味ではございませんが、統一した産気率をきめてもらいたいという要望があったわけでございまして、これについてはまことにごもっともなものでございますので、そこで統一をしたわけでございますが、その非常に困難であった理由というのは、現実問題としては、最近に至るまでこの産気率をきめ得なかった府県、あるいはきめても実際の実行をやれなかった県があるというふうな事実からきておるというふうにわれわれは考えました。それに対して今回統一をしたということでございます。
石田幸四郎
187
○石田(幸)
委員
では、産気率の前に重量制の問題でお伺いしますが、プロパンガスの全体を一〇〇といたしますと、重量売りは四一%というのがこの前の答弁でございました。そこで、私が指摘をいたしましたのが、いわゆる温度の低い気候のときですね、これは一〇%ぐらい残ガスが残るのだということについて、いろいろと申し上げたわけであります。そのときに前
石油
部長さんは、残ガスが残った場合には、その残ガスについて値下げをその分についてだけはすべきだ、こういうふうに指導しておるというふうに言われておりますけれ
ども
、これは着実に行なわれておりますか。
左近友三郎
188
○左近
説明
員 いまの問題につきましては、結局ボンベを取りかえるときに残ガスを計量いたしまして、そうしてその差額、つまり正味使った額で
価格
をきめるようにということで指導をいたしておりまして、われわれのほうでは、十分徹底するようにいたしておるつもりでございます。
石田幸四郎
189
○石田(幸)
委員
重量売りの場合はまだきわめて単純なことになるわけでございますけれ
ども
、今回通産省のほうから通達が出されておる、これを見ましても、いわゆる産気率によりますところの容量売りですね、これについては一般の
消費
者はあまり意味はわからぬのですね。これは私
ども
としては非常に不満なわけですね。これはお役所だけがわかっていらっしゃるのですね。一般の
消費
者は全然わからぬわけですよ。この前も指摘申し上げましたように、い号とろ号の問題、全体を一〇〇といたしますれば、二〇%はろ号であるというのですね。ろ号のほうはブタンが混入されているから、私の説によれば百二、三十円は安くなければならない。ところが実際には同じ値段で売られておるわけでしょう。こういう問題がまず的確に今度の通達の中ではどうも解決されていないように思いますが、この点どうでしょう。
左近友三郎
190
○左近
説明
員 実はプロパンの場合は、結局はボンベに詰めておるときには液体でございますが、使用するときに気体になる。そこで容量売りをいたしますと、重量から容量に換算をしなければいけないという問題が出てまいります。ところが液体から気体になります形が、温度とかあるいはその土地の高さ、つまり気圧の
状況
とか、その他いろいろな条件で変わってまいります。したがいまして、産気率と申しまして、つまり十キログラムのプロパンが気化いたしまして何立米になるかというのが、厳密に申しますとケース・バイ・ケースで異なってまいるわけでございますが、しかしそういうことでは取引の基準になりませんので、そこで産気率というものを今回きめまして、地区別に、ブロック別にきめたわけでございます。 ところで、いま先生御指摘のプロパンの中には、一がいにプロパンと申しておりますが、プロパンの純度の高いものと、それからプロパンより分子のやや大きいブタンが若干入っているものというのがございまして、ブタンの入っておるものはいわゆる気化する量が少ないわけでございます。 そこで、今回産気率をきめますにあたりましては、各地域で通常売られております基準の品種をとりまして、その基準の品種について産気率をきめました。そしてその基準の品種というのは、沖繩以外は、大体いままでいっておりましたい号のものでございます。そういたしますと、このい号の大体八五%ぐらいのものを基準としてつくっております。そういたしますと、産気率が、ある地域については同じでございますので、プロパン分の多いものは実は産気率できめたものと同じような気化をいたしますが、ブタンが相当混入しておりますと実際は気化が少し少ないわけでございますので、気体になる量が少ないわけでございます。結局、きめられた産気率が、気化の少ないものについてはむしろ割り安ということになりますので、したがいまして本来ブタンが多いものは若干安いわけでございますが、それについては
消費
者もやはり割り安になるということになりますので、この標準の産気率をきめますことによって、い号とろ号の
価格
差も大体平準化できるという結果に相なっております。
石田幸四郎
191
○石田(幸)
委員
そこのところはまだ明快に私には理解ができないのですがね。先般の通達によるところの理論産気率表によりますれば、ろ号のほうがいわゆる産気率が低くなっているわけですね。したがって、値段が同じであるということは産気率がそれだけ低いわけだから、かえって割り高になるのじゃないですか。
松村克之
192
○松村
説明
員 お答えいたします。 先生がおっしゃいますように、理論産気率自体はろ号のほうが低いわけでございます。したがいまして、本来ろ号であれば——ろ号というものは少ししか気体として出ない、つまりプロパンであればたとえば五立方出るところが四・五立方しか出ない、こういうことになるわけであります。そういたしますと、同じ十キログラムのものを売る場合に、ろ号でございましたら四・五立方しか出ないわけでございますから、少し高く売らなければならないわけでございます。しかしながら、今度、産気率の指導におきましてはい号、ろ号の差別をいたしませんで、いま部長から御
説明
いたしましたように一本の産気率でやっているわけであります。したがいまして、その分だけろ号については実態上安くなっている、こういうことでございます。
石田幸四郎
193
○石田(幸)
委員
それはおかしいじゃないですか。実勢
価格
はろ号のほうが仕入れ
価格
も安いのですよ。それを同じ値段で売って、どうして
消費
者のほうが得になるのですか。
松村克之
194
○松村
説明
員 おっしゃるとおりでございまして、私が申し上げているのは、ちょっと技術的で恐縮でございますが、十キログラム幾らということで売ればおっしゃるようなことでございます。ただ一立方幾らで売るわけでございます。一立方幾らで売る場合に、つまり計算を簡単にするためにちょっと
数字
を変えますけれ
ども
、プロパンの場合に五立方出るといたしますと、十キログラムの千五百円を五で割りまして、たとえば一立方当たり三百円という
数字
になるわけであります。ところがブタンでございまして、それがたとえば四・五という産気率だといたしますと、三百円よりは若干高いもので本来売らなければ、もしブタンとプロパンの仕入れ
価格
が同じだといたしましたならば、そういう
価格
で売らなければ損をするということになるわけでございます。総体的には損をするということになるわけでございます。 ところが、先生御指摘のようにブタンは安いわけでございますから、そういう
価格
であってもこれでペイをするといいますか、先生のお話のようにブタンの安いという実態がそのまま
消費
者のところまで伝わっていって、
消費
者にもプロパンに比べて総体的に一立方メートル当たりであれば安い
価格
で買える、こういうふうなことでございます。
石田幸四郎
195
○石田(幸)
委員
この議論をしておると時間がなくなりますのでやめますが、われわれも
消費
者なわけです。私は
消費
者の立場でやっておるわけでございますが、なかなかわかりにくいですね。もう少しわかりいいような発表をしなければいかぬと思うのですよ。あとで詳細な
説明
をしてくだ
さい
。 それから、今回きめられた、一本になった基準産気率でございますけれ
ども
、沖繩の場合は四・八〇、こういうことになっておるわけですね。これは御存じだと思いますけれ
ども
、沖繩の場合、特にこの産気率は温度と気圧の問題で変わってくるわけですね、主として温度計算が基本になるわけです。そうしてみますと、第四ブロックに入れた沖繩の場合、四・八〇という基準産気率はこれは非常に低いわけですね。そこら辺はどういう理由によるわけですか。
松村克之
196
○松村
説明
員 お答えいたします。 産気率の決定にあたりましてはいろいろなこまかい問題はございますが、大まかに申しますと、先生のお話のございました温度あるいは気圧というものと、それからLPGの組成といいますか、プロパン何%、ブタン何%といったような組成とのそういったファクターが大きく響くということでございます。 沖繩につきましては、沖繩には精製工場が三工場ございまして、そこでプロパンについては自給自足といいますか、それをやっているわけであります。そういった関係、また沖繩は非常に温度が高いということから、相当ブタンリッチなものが使われているわけでございます。それで一般的に言いますと、内地の場合にはLPGの組成はプロパンが八六%程度というふうに私
ども
考えているわけでございますが、沖繩の場合にはこれが七五%程度ということで、相当ブタンの濃いものを使っているということから、温度だけからいいますれば、先生のおっしゃるように沖繩の産気率が一番高いはずでございますけれ
ども
、組成の問題がございますので、若干その点
数字
が変わってきているということでございます。
石田幸四郎
197
○石田(幸)
委員
若干ブタンの混入率が多いからというのはわかりますけれ
ども
、い号の場合で考えてみますと、大体十五度Cで四・八〇の産気率になるわけです。ところが、沖繩の平均温度というものは二十二・三度ですね。この表を私は自分で詳しく計算してみているからわかるのですけれ
ども
、沖繩の人は、これで一般の
消費
者が四・八〇の基準産気率で一体メーター売りは幾らになるのだろうというようなことが明確にわからぬじゃないですか。 〔
委員長
退席、
井岡
委員長
代理着席〕 早い話が、この第一ブロックにおいては基準産気率が四・六九である、したがって十キロ入りのボンベ売りは千五百円であるけれ
ども
、メーター売りは第一ブロックのときは何ぼになりますよ、基準がこれであります、この前後ですよ、それから第二ブロック、第三ブロックについても同じ、沖繩についてはこれこれこういう理由でございますので、四・八〇の産気率で、メーター売りはたとえば千五百五十円なら五十円が基準になりますよというような発表のしかたをしなければ、
消費
者は全然わかりませんよ。業者とお役所のほうだけはわかっておって——今度上かったので、新聞紙上によりますれば、若干は、
東京
の場合は十一円幾ら安くなるのだというような
説明
をしておりますけれ
ども
、これでははなはだ不明朗な発表のしかたじゃないかと思うのですが、もう一ぺんここら辺のところを整理して、新たに今度の
標準価格
によれば重量売りは千五百円、それからメーター売りについては第一ブロックは幾らが基準というようなことを、明確に国民の前にお示しするわけにはいきませんか。
左近友三郎
198
○左近
説明
員 お答え申し上げます。 いまの先生のお話、まことにごもっともでございます。私のほうもさっそくそのようにメーター売りの場合に幾らになるということを府県と連絡をとりまして、府県からも一般の方々によく周知するように
措置
いたします。
石田幸四郎
199
○石田(幸)
委員
それから、これは政務次官に非常に大事な問題でお伺いするわけですが、いわゆる電気料金等については、ナショナルミニマムの問題が非常に話題になっておるわけでございます。これも生活基本
消費
財でございますので、将来そういうような
価格
設定というものはできないか、この点いかがでしょうか。これは非常に
政策
的な問題になるわけでございますけれ
ども
、私としてはぜひそういう方向をとってもらいたい、こういうふうに思うのでございますが、やはり地方へ行きますと、旅館等でも相当プロパンガスを使っておるようでございます。そういう大口
需要
というものと一般家庭の平均の
需要
というものを考えた場合に、やはりこれはナショナルミニマムを設定する可能性があるのではないか。むしろそのほうが一般
消費
者としても安心してこういうものを使用していけるのではないだろうか、こういう私の私見なんでございますけれ
ども
、いかがでございましょう。
森下元晴
200
○森下
説明
員 御指摘の趣旨には賛成でございます。ただ、そういう問題を実施するにあたりましては、また電力と電気と多少内容が違いますし、十分
委員会
等におはかりしたり、また、
経済企画庁
その他の関係官庁ともよく相談してきめたい。お考え方としては、これには私は賛成したいと思います。
石田幸四郎
201
○石田(幸)
委員
もう一点。このプロパンガスの中には家庭用、工業用いろいろあると思うのですけれ
ども
、広く使われておりますタクシーのプロパンの問題でございますが、これはいろいろ
状況
を聞いてみますと、夏場においてはブタンが一〇〇%、冬場においてはプロパンが二〇%混入のものを販売をしているのが大体の実態のようなんでございますけれ
ども
、先般あの
石油ショック
が起きていわゆるプロパンガスもなくなって、タクシーの特に個人営業の人たちがスタンドにずらっと並んだ経過があります。あるいは通産省等に押しかけたことがございますが、その際にたびたび聞いたのでございますけれ
ども
、やはりガスの力が非常に弱まったというようなことも間々聞いたわけであります。そういったところから、タクシー用のプロパンについてもやはりある程度の基準を設けて、夏場はブタン一〇〇%である、冬場はプロパンガスが二〇%混入するんだというような現在の実勢をそのまま認めてもけっこうでございますから、何らかの基準をつくっていただくことが、いわゆるそういった使用者とガスを販売するほうとの、適正なそういった販売ができるのではないだろうか、こう私は考えておるわけでございますけれ
ども
、この点はいかがでしょう。
森下元晴
202
○森下
説明
員 家庭用の暖房用、厨房用と違いまして、自動車の場合はやはり動力エネルギーでございまして、いわゆるブタンの組成の多い少ない、またプロパンの多い少ない、これによってかなり出力が違うと思います。ガソリン等においてもやはりオクタン価の高い低いによって出力が違うといわれておりますように、パワー、出力の内容をある程度明示する。ただ量さえ売ればいいということではいけない。いまおっしゃいましたように、あの当時非常に出力の弱い、力のないプロパンバスが売られたかどうか、その点は聞いておりませんけれ
ども
、もしそういうことがございましたら、これは内容的にはあまりよくないということで、やはり力の表示をすべきである、これも検討していきたいと思っております。
石田幸四郎
203
○石田(幸)
委員
終わります。
井岡大治
204
○
井岡
委員長
代理
和田
耕作
君。
和田耕作
205
○
和田
(耕)
委員
午前中の中曽根
大臣
に御質問する時間が限られておりましたので、そのときにあの問題をもっと突き詰めていくことができなかったのですけれ
ども
、
経済企画庁長官
、午前中中曽根さんとの質疑をいたしたのですけれ
ども
、たとえば九月の適当な時期に灯油あるいはLPガスの
標準価格
をつくるという方向を大体言明されたと思うのですね。いまの状態から見て、
国民生活
安定法、これは
大臣
の一番責任を持たなければならぬ法律だと思うのですが、
国民生活
安定法の中の
標準価格
を設定する要件と、現在の灯油あるいはLPガスの置かれておる状態というものは合うものかどうか。私はあの法律に規定されておる
標準価格
というものをつくるということについて、いまの灯油あるいはLPガスの状態というのはそれほど切迫した状態ではないんじゃないか、こういうふうに思うのですけれ
ども
、長官いかがでしょう。 〔
井岡
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
内田常雄
206
○
内田国務大臣
これはうかつにお答えができないような問題のようにも思いますが、
政府
としましては、私
ども
といたしましては、個別の
物価対策
というものを全然捨ててしまったわけではございません。例の
行政
指導による凍結
価格
の
制度
にいたしましても、また今度やめることになっております百貨店、スーパー等の末端の指導
価格
につきましても、またその上のということになりますか、いま御指摘のございました
国民生活安定緊急措置法
に基ずく
標準価格
の仕組みなどにつきましても、これを全然捨ててしまうつもりはございません。 しかし、これらの幾つかの
個別物資対策
というものは、いわば緊急の
措置
として設定された法律あるいはまた
行政
の仕組みでございまして、しかもその緊急というのは、
物資
の需給が非常に不均衡であるし、また
物価
全体としても著しく
上昇
する環境にあり、しかも当該
物資
の
価格
がこれを放置するときは著しく
上昇
するというような場合に限って法律の発動をし、また
行政
指導による
措置
もやる。しかもそうした
事態
がなくなったときには直ちにそれらの
措置
はやめるべきである、こういうような規定までもございます。そうしたことを考えます際には、はたしていま、これは灯油に限らずいろいろな
個別物資
について法律的、
行政
的に統制に似たような
価格
を設定すべきかどうかというところに若干の問題はないわけではないと思いますけれ
ども
、しかし、われわれが
政策
としてやらなければならないことは、非常に固定的なものでありますよりも、
経済
環境の流れに応じて必要なことは、その法律をおかりするなり、あるいは
行政措置
によるなりいたしまして、やはり国民の生活を守るべきであると考えられる場合もしばしばございます。 そう考えます際に、
石油
製品というものば七つも八つも種類がございます。ナフサもありましょうし、ガソリンもありましょう、あるいは重油系統もございましょうが、それらのうちの中の特定の製品、すなわち灯油でありますとか、あるいはLPガス等につきましては、これは米価と同じようなものだとは言いませんけれ
ども
、いろいろな意味からなるべく
価格
を安定をさせたり、またできるならば低目に設定をして、これは
公共料金
じゃございませんけれ
ども
、自由
物資
に属するものもございましょうけれ
ども
、それぞれのメーカーなりあるいは販売業者なりの
協力
を求めていくということも必要ではなかろうか、こういう考えを私は持つものでございます。 ここまで詳しく申しますと、
和田
さんも御理解をいただけたと思いますけれ
ども
、そのような見地から、
通産大臣
も私も、いまの
段階
におきまして、九月中といいますか、適当な時期に灯油についてはもう一度
標準価格
をつくるという方向でこれを詰めてまいるつもりで現在はおるわけでございます。
和田耕作
207
○
和田
(耕)
委員
大臣
も御存じのように、
国民生活
安定法の
標準価格
という考え方は、ある意味で異常な状態というものを前提にした考え方でしょう。私、これを問題にしたいのは、つまり
通産大臣
もいろいろおっしゃられておるように、
石油
の需給というのは非常に
緩和
してきた、ここ当分心配はない、そういう
状況
下で
標準価格
という一つの特定の法律に基づいた
価格
制度
を採用するということがいいかどうか、つまり、これは
標準価格
という問題を出すだけで
石油
はまたおかしくなるのじゃないか、灯油はまたおかしくなるのじゃないかというような考え方を持つ人が出ないとも限らない。あの法律はそういう法律なんですね。
石油
二法として異常な
事態
に対処するための法律なんだ。 それで、中曽根
大臣
も、公取のほうからいろいろ意見もあるのでという
ことば
で言っておりましたけれ
ども
、
高橋
公取
委員長
ですね、これは
高橋
さんが強硬に主張なさってこられた
行政
指導をもっと限定的に考えろという主張は、非常に強く中曽根さんにも
影響
していると思うのですけれ
ども
、いま申し上げたとおりたぶん中曽根さんは、これは私の推測ですけれ
ども
、通産省の指導的な
価格
でいいんだというふうに考えておると思うのです、いまの灯油あるいはLPガスの問題は。それを
標準価格
という形でおさめようとしておられる、こういうことじゃないかと思うのですね。私、そうだからといって、灯油あるいはLPガスの
価格
を自由
価格
に放任しておいていいとは思いません。こういう時期に、つまり通産省の従来からあったような
行政
指導的な考え方で対処するということも私は一つの理由があると思うのです。こういう問題、公取
委員長
どういうようにお考えになるでしょうか。現在の灯油あるいはLPガスの
状況
を見て、特定の法律に基づいた
標準価格
制度
を設定するのが正しいと思われるのか、あるいはまた通産省が
行政
指導をやって対処することが正しいと思われるのか、こういう問題、いかがでしょうか。
高橋俊英
208
○
高橋
(俊)
説明
員 私は前々から申し上げておりますとおり、
行政
指導全体をいけないということはないのです。そういう考えはありません。しかし、
価格
について
規制
を必要とする場合ですね、これは
行政
指導によるべきじゃない。つまり、
行政
優位の考え方があまり行き過ぎるということは好ましい傾向じゃないと私は思います。 同時に、
公正取引委員会
の立場からいいますと、かりに小売り
価格
であれ何であれ、
行政
指導でやるということは、そう言っちゃなんですが、お上から押しつけたカルテルみたいなものになりますから、その区分が私
ども
としては非常に立てにくいわけですね。ですから、そういう点からいっても、独占禁止法のたてまえからいっても好ましくないということは申せます。だから、やるんでしたら、
標準価格
制度
がいいか悪いかという御批判はあるでしょうけれ
ども
、それでやれば非常にすっきりする。それが実勢よりも高くきめられておれば、引き下げる方向に努力するようにやはりいろいろな方面から批判が出てくるでしょう。そういうことがありますので、やるんでしたら、ぜひとも私は
標準価格
制度
を使われたほうがいいと思います。
和田耕作
209
○
和田
(耕)
委員
ちょうどいい問題ですから、今度公正取引
委員長
がお考えになっておられる独禁法改正の問題について若干お聞きしたいのですが、四つ五つの重要な項目があるようですけれ
ども
、一つの例を
企業
分割
制度
という考え方の導入にとってみて、具体的に考えた場合に、この前の新日鉄ができるときの八幡と富士の合併のようなケースは、これは国民の目から見ても単純にわかる。押えるべきだという意見が出てくる。しかし、これはまあ率直に申し上げますけれ
ども
、麒麟麦酒の場合——私は麒麟麦酒と何の縁故もありませんけれ
ども
、麒麟麦酒のような、
経済
の自然な発達で出てきた一つの会社がある。これがしかも業界では六〇%近いシェアを持っている。そうなってくると、この麒麟麦酒という会社を分割する必要があるのじゃないかという問題の提起ができる。これもやるべきだというふうにお考えになっておられますか。
高橋俊英
210
○
高橋
(俊)
説明
員
和田
先生のせっかくのお尋ねですけれ
ども
、そういう麒麟麦酒がどうかという具体的な質問に対しましては、私はお答えできません。(
和田
(耕)
委員
「それは取り消します」と呼ぶ)ですけれ
ども
、ただ、分割
制度
というのは、これは世界各国に全部あるというわけじゃありません。しかし、そういう分割するという規定はないけれ
ども
、アメリカのシャーマン法では、それに基づいて裁判所が分割を命ずる権限が与えられております。そういうふうに解釈されておるし、イギリスも規定の上では、これは非常に辛い話になるのですが、合併の基準が、すなわちまたそれをこえているものについて独占状態というふうな表現になっておりますが、それが法律上昨年から二五%になっているわけです。それをこえたものはずいぶん幅広いわけですが、分割の対象になり得るということになっているわけです。実際士はそんな基準で行ない得るものではありません。私
ども
もそのようには考えておりません。 分割というのは、他に方法かない——競争状態を再現するために他に適当な方法があれば、分割によるべきじゃないと私は思います。ですから、そういう限定された条件で、まあいってみればある種の極限状態を想定しまして、そういう場合には——
自由主義
体制下で強い者が弱い者を食うという形が必然的にあらわれる業種があるのです。そういうふうにならない業界もあります。必ずそれは多数の業者が存在する。そういう業界もありまして、業界は限られていると思いますが、しかしそう少なくない。そういう場合においては、最終的に分割という方法によらざれば競争状態が起こらない、いわば独占を放任するということになりますから、独占禁止法の趣旨に沿わない、こういう考え方で提案をしようとしておるわけでございます。
和田耕作
211
○
和田
(耕)
委員
いまの新日鉄とか麒麟麦酒とかいう
ことば
は取り消します。 ただ、私いま申し上げたのは、きわめて普通の、自然にというわけでもないのでしょうけれ
ども
、比較的自然に大きくなった一つの独占的な
企業
体、この
企業
体の分割という問題はなかなかいろいろな問題を含んでおるのであって、これは最後の手としては考えられると思いますけれ
ども
、他の条項と並列してこの問題を提起する
ことば
どうかという感じを私は持つのです。もし押えられにくい強力な独占体ができた場合には、私は原価の公表というものをやらすべきだと思うのです。そういうある特定の場合に公取
委員長
が原価の公表を命令することができるということになれば、相当やはり目的の大部分は達成できるのじゃないかというふうに思うのですけれ
ども
、あの並べた五つぐらいの項目を、重要性というのか、実行する順に従って順位をつけるという考え方を持っておられますか。
高橋俊英
212
○
高橋
(俊)
説明
員 私としましては、これは個人的な見解になりますけれ
ども
、かつて研究会の中間結論として出しました改正の方向につきましては、いま格別順位というものは考えておりません。御意見のとおり、原価の公表ということがもしそういう寡占化をさらに独占化に進めるのを阻止するのに役立つということであれば、それは実際に運用上の問題としては先に使う、つまり分割から始まるのじゃなくて、分割に至るまでの間において原価の公表ということをやって阻止するのがいいのではないかというふうに思っております。つまり、分割はいわば最後の
手段
である。しかし一方で、われわれが直接接しておりますところの学者の
先生方
、評論家の方々などは、原価の公表にそれほどの効果が一体期待できるのかというふうな疑問を呈している向きもあります。原価の公表だけでは足らないのじゃないかということですね。理論的な問題ですよ。理論的な問題としては、それは
構造
的な改善をやらなければ、
構造
的な問題としてやらなければ解決がつかないのじゃないかという御意見が強いわけですよ。原価の公表それ自体意味がないとはいえないけれ
ども
、しかしどっちかといえば分割というのが一番適切な
手段
じゃないか。これはしかし、机上の論といっちゃ悪いのですけれ
ども
、そういう面もありますから、われわれ実務を担当するほうからいえば、
企業
分割というのはそれほどたやすいことじゃないのです。相手方の抵抗もいろいろありますし、いろいろな感情論も入りますから、そう簡単にこれをやるという気はありませんけれ
ども
、しかしそういう
制度
を持つことは必要であるし、現にアメリカあたりではハリス法案とかハート法案とか出ておりますが、これはたいへんな分割案なんですね。それは通るとば思いませんけれ
ども
、しかし現在のハート法案が、七つの業種に分けて、みな十数%までシェアを落とすところまで分割すべきであるというふうな
構造
的な解決を求めるような考え方に立っておるわけです。ですから、いろいろそういう例もありますので、一がいにどれは優先でどれは劣後だということは申しませんが、私は運用上の問題としてはさしあたり分割から手をつけるのじゃなくて、原価公表というような、私
ども
は何らかの効果があると考えておるわけですから、そういう
手段
に訴えてみたい、こういうふうに考えております。
和田耕作
213
○
和田
(耕)
委員
私は公取
委員長
が非常に勇気を持ってこの数年間寡占体制に対して挑戦をしておるということは非常に高く評価をする一人なんですけれ
ども
、しかし
経済
全体の流れとして、自由な
経済
を維持するということの非常なむずかしさですね、しかしそれをやってもまた
さい
の川原のようにこわされていくというような問題、こういう問題を、もっとこの問題を考える場合にお考えになる必要があるのじゃないか。たとえばそういう
企業
の分割とか、いろいろな原価の公表とか、あるいは超過利得税のあれだとかいうことも必要だと思いますけれ
ども
、やはり公共的な部門を
経済
全体の中でふやしていくとか、そういうふうな考え方と相まっていかないと、そういう公共的な部門をふやしていく、つまり私的な
企業
に対してもっと公的なウエートをふやしていくというような考え方がないと、公取の部面だけで自由な競争条件を確保しようとしても非常に困難です。また自由な競争条件それ自体も、今後とも維持することは非常にむずかしい。全体が非常に限定されていく、全体として国の
行政
指導的ななわ張りが拡大していくという一つの見通しに立つ必要があるのじゃないか。 そういう意味で、先ほど公取
委員長
もおっしゃったのですけれ
ども
、行彼指導全体を否定するわけではないのだ、これは大事な考え方だと私は思うのです。いままでの
行政
指導の大部分は非常にまずい
行政
指導をやった。まずい
行政
指導があるからといって
行政
指導自体を否定するということは、いまの自由競争から次第に公的な性格が
制度
的にもあるいは運用面でも出てくるという方向が正しいとすれば、正しい
行政
指導に対して役所は憶病であってはいけない、こういう感じがするのですね。 そういう問題で、灯油の
標準価格
をつくるということの場合に、あの
国民生活
安定法できめた
標準価格
を適用する条件というのは、いまのような条件ではないと私は少なくとも解釈をしている。もっと臨時の非常な
事態
ということを考えての法律だったと思う。しかしいまの
行政
指導というものがなかなかやりにくい
状況
だから、ああいうものをまたつくる。六月に撤廃して
石油
の需給が
緩和
した。今後だいじょうぶだからという形で
緩和
して、また新しい元売り
価格
を設定して、しばらくこの
価格
を放置して六百円から六百四、五十円というぐらいの状態になってきた。ここでまた
標準価格
をつくるという経過なんですね。あまりこういう便宜的な形ではいけない。自由な
価格
形式ということにもっと信頼を置くなれば、
標準価格
なんというものを安易に考えないで、適当な
行政
指導のもとで、これは
国民生活
に非常に大事な問題ですから、もしものことがあってはいけないから、監視する手を持ちながらも、自由
価格
の形成をやるべきです。私はそれが正しいとは思っておりませんけれ
ども
、非常に中途はんぱな形になっておるのじゃないかという感じがするのです。 またそうすれば、自由
価格
にしておいて、たとえば北海道地区のような問題になっているところは特別な地域的な配慮というものは当然やる理由もあるわけですから、そういう配慮でこれに対処していくという考え方が正しいのではないか。いずれにしても、この問題は、今後総
需要
の
抑制
あるいは新しい
物価
水準
をつくり上げていくという大きな仕事があるわけですけれ
ども
、この考え方というのは十分
政府
部内でも検討しておく必要があると私は思う。 企画
庁長官
、総
需要抑制
という問題をいま
政府
は一生懸命やっておられる。そして産業によってはかなり倒産等の状態に到達している産業もある。財界の一部からは相当強く手直しを要求される声もある。こういう時期に、
経済企画庁長官
として、とりあえずいままでのやり方の総
需要抑制
というものを、一部の手直しということはほとんど意に介さないで、介したところでほんとうの一部分、部分的な手直しであって、継続していかなければならない、当分そういう継続が必要だというふうにお考えになっておられますか。
内田常雄
214
○
内田国務大臣
その問題は、午前中にも私はかなり詳しく私の考え方を申し述べる機会がございました。
物価
は
鎮静
してまいりましたけれ
ども
、しかしまだ先行き
設備投資
などについての根強い動きもございますし、現にまた、その先駆的な
指標
でございます機械発注な
ども
、これは増勢にございます。しかし一方においては生産は減り、出荷も減り、生産者在庫というものがふえておる、しかも需給は非常に
緩和
しておる、こういうことになりまして、その
ことば
とりもなおさず、いまお話がございましたような、
経済
が動かなくなって
景気
が非常に沈潜をしてきておる、このままの
状況
で
推移
すると、倒産とかエンプロイメントとか、いま仕事に携わっておる方のエンプロイメントの問題よりも、新しく職業戦線に加わろうとする若い
人々
たちの
就職
の機会のこともございましょうし、さらにそれは三年、五年後の、今後の
日本
経済
のあり方、これは
社会福祉
も高くしなければなりませんし、あるいは生活環境の整備も必要でございましょうし、人口もふえてまいる、そうしたことに対応できるような
経済
構造
というものを想定した場合に、
物価
さえ押えればいま申し述べましたような
事態
はどうなってもいいのだということであってはならないと思います。 しかし、私は、最初に申し上げましたような、もう一度また
物価
を
引き上げ
るような要因になる
事態
の存在する限り、総
需要
の
抑制
、
金融
の
引き締め
そのものを転換するのではなしに、それはそれとしていままでのたてまえを堅持しながら、
ことば
が適切であるかどうか別でありますが、
立体構造
のもとに、
景気
政策
とか、あるいは国民総生産の
課題
の解決でありますとか、あるいは資源対策とか国際収支対策とかいうものを、それぞれ立体的に組み立てていく必要があるということを、私はいろいろ感じ取っておるものでございます。しかしそれは、いまの総
需要抑制
政策
をいつ今度はやめにしてということでは全くありません。それはそれにしてと、こういうことでございます。
和田耕作
215
○
和田
(耕)
委員
私がお聞きいたしましたのは、総
需要抑制
という問題を非常に部分的な手直しをしながら
政府
は進めていくだろう。しかし総
需要抑制
といっても、
政府
がいろいろ計画する仕事だとか産業界のいろいろな
需要
だとかいうような部面に限られておるので、その部面だけからいえば、一つの限界にいま近づきつつあるのだという判断をする人もおると思うのですね。そうなれば、国民総
需要
の半分以上を占めている個人的な
需要
に何らかの形で手をつけなければならないのではないか。そういう
段階
に次第に、これは好むと好まざるとにかかわらず入っていくのじゃないか。つまり、総
需要抑制
は進めながら、
政府
のいろいろな事業も押える、産業の
需要
も押える、しかし部分的な手直しをする。そうしながらその部面では大体の限界に達する。片一方、総
需要
の半分以上を占めている個人の
需要
に対して何らかの手を打っていく必要がありはしないかというような問題が現在直面している問題だ。 こういうふうなことを考えてきますと、つまりお米の問題でも——大蔵省の方お見えになっていますか。もう時間もありませんので簡単にしますけれ
ども
、大蔵省はできたら五〇%あるいは四七%ぐらい
消費者米価
を
引き上げ
たいというお考えがあるようですけれ
ども
、このお考えは単に
財政支出
を減らしていくというだけなのか、あるいは何らかの形で個人
消費
というものに対して
物価
の問題からいってもいい結果になるということも多少お考えになっておられるのか、その問題についてお聞きしたいのです。
垂水公正
216
○垂水
説明
員 担当の主計官が所用がございまして、私からかわって申し上げますが、御存じのとおり、生産者の米価が
引き上げ
られました結果、生産者米価と
消費者米価
が大きく乖離をしておる。その結果、四十九年度の、本年度でございますけれ
ども
、食管
制度
というものに非常な圧迫が来ておりますので、これを
計数
的に申し上げますると、食管の損失補てんを中心にしました食管繰り入れが現在のままでございますと約一兆二千億というようなことになってくるわけです。したがいまして、そういうことになりますと、とてもこの食管
制度
を維持するということ自体困難になるという問題のほかに、やはり財政には先生も御指摘のようないろいろな
需要
がございますので、そういう
需要
をまかなうにもあるいは支障を来たすということもございますので、それからさらに申せば、食管の
制度
の中でたとえば不正逆流というような、つまり不祥事件のようなものも
発生
するというような付随的な問題もございますので、そういったものをいろいろ考えてみますと、やはり家計の事情に十分配慮をしながら、先ほど申し上げました食管
制度
の持っておるいわゆる末端逆ざやの解消というものに向かって努力をしていくというようなことがこの場合適切であろうという認識に立っておるわけで、単に
財政支出
をちびりたい、そういうことではないのではないか、かように思っております。
和田耕作
217
○
和田
(耕)
委員
非常に正直なお答えに近いと思うのですけれ
ども
、この際はこういう特に一番大事な
物価
の
問題等
についてはやはり正直な話のできるような雰囲気をつくっていくのが一番大事だと私は思うのです。 そこで、農林省の方お見えになっていますか。米価審議会で、生産者米価と
消費者米価
を
調整
する必要がある。同時にやっぱり考えてみる必要があるというふうにお考えになっている人は、米審の中ではどういうふうな
状況
になっていますか。
下浦静平
218
○下浦
説明
員 お答え申し上げます。 生産者米価と
消費者米価
の
関連
につきまして、実は生産者米価の御審議を願いました七月の米価審議会で相当議論がございまして、その経過を踏まえまして、八月の二十二日に、実はその辺の御議論をいただくために米価審議会を一日開いたわけでございますが、その際の大方の御意見では、生産者米価と
消費者米価
、この
関連
なしとはなかなか言えないのではないか、無視はできないのではないかという御意見がかなり多かった、こういう
状況
でございます。
和田耕作
219
○
和田
(耕)
委員
食管
制度
という問題の成り立ちあるいはその後の経過を考えてみると、これを運用すれば相当の赤字が出てくるということは当然考えられるのですけれ
ども
、やっぱりある限度以上のものはなかなか容認できないという考え方もよくわかるわけですね。そういうふうな意味から、農林省が初め米価審議会に諮問した二五・五%というのは、農林省としては確信をもって提案した
数字
なんでしょう。しっかりした理由を持った、これで農業生活もしっかりやっていけるのだ。りっぱにやっていけるのだという
数字
なんでしょう。それはいかがでしょう。
下浦静平
220
○下浦
説明
員 昨今の
物価
、
賃金
の情勢等を踏まえまして、私
ども
再生産を維持確保していくためにこのくらいが必要であるということで計算をいたしました
数字
でございます。特に六月までの
賃金
の
数字
を入れたというようなこともございますが、私
ども
といたしましては、あれはあれなりに適正であったというぐあいに考えております。
和田耕作
221
○
和田
(耕)
委員
農林省としては、これは農民の立場を十分考える省なんですから、責任をもって出したその二五・五%が、あんまり根拠なしに三二・二%、あるいはそれに対する
政府
のいろんな加算を含めて三七・四%、実に十二%もあっという間に加算されるというのはどういうわけですか、農林省として考えた場合に。
下浦静平
222
○下浦
説明
員 先ほどの
賃金
のところは、従来四月までであったのを五月まで入れたということでございますので、訂正をさせていただきます。それから、ただいまのお尋ねでございますけれ
ども
、基本米価と申しますか、それにつきましては三二・二%ということでございました、あと各種奨励金等を入れますと先生おっしゃったような三七・四%ということになりますが、これは米価ではございません。私
ども
二五・五%ということで米価審議会に諮問をいたしまして、米価審議会におきまして、実はこれは足かけでございますけれ
ども
五日の御審議を経た案を得たわけでございます。それでいろいろ御意見をいただきました上で、先生御
承知
のあるような答申をいただいたということでございます。この答申を踏まえまして、さらに関係各方面の御意見を徴しながら最終的に修正をいたしたということでございますので、この最終的に決定をいたしました米価、これも私
ども
といたしましては諮問におきまする試算米価以降の経過をも考慮に入れまして決定をいたしました数値でございますので、これも私
ども
適正に決定いたしたと考えております。
和田耕作
223
○
和田
(耕)
委員
これは単に農林省の問題だけではなくて、
物価
の問題に責任を持っている
総合
的な
調整
役である企画
庁長官
、これは重大な問題だと私は思うのでございます。つまり
政府
として二五・五%という
数字
を十分な根拠を持って米審に諮問をした。米審からは、ちょっと意味のわからないような、まあまあ答申が出てきた。その場合に
政府
は、根拠を持った二五・五%というものを相当責任を持って押えていくということが、責任のある態度だと思うのです。これをあっという間に、わけのわからぬ形で一二・四%でぐらいふやすものだから、現在に至って全く生産者米価と
消費者米価
を離して、生産者米価はよろしい、あるいはもっともっと——これは各政党、ぼくらのところの政党も責任あるが、もっともっと上げろ、そうして
消費者米価
は全部国の財政でまかなえ、こういう無責任な意見が出てくるのは、もともと
政府
が二五・五%という
数字
を出しておきながら、これを紙くずのように捨ててしまうという態度にあるんじゃないですか。その点いかがでしょう。
内田常雄
224
○
内田国務大臣
農林
大臣
がおらないこと、まことに残念であります。しかし、農林
大臣
にかわる農林省の
政府
委員
ないし担当官からいま御答弁があったとおりでございまして、米価審議会という法律上の機関にはかって米価はきめる、こういうことでありまして、米価審議会における長い四日間の議論、あるいはまた幾つかの考え方を述べ上げた答申の趣旨をも考えつつああいう生産者米価がきまった、こういうことでございますが、
和田
さんの御意見は一つの筋の通った御意見であると私は先ほどから拝聴いたしておりました。
和田耕作
225
○
和田
(耕)
委員
この
段階
の
物価
問題というのは、当然こうまで上がってきますと、私も個別
物価
についていままでは相当いちゃもんつけて文句を言ったのですけれ
ども
、やはりこれはもうあけすけに問題を話し合って、そして国民の合意を求めていく以外に方法はないのです。今度の米価のようなことを
政府
が今後もやれば、他の国民の側からどういう要求が出ても、一言も
政府
は返答できはしませんよ。私はそう思いますね。
政府
が責任を持って二五・五%でよろしいと思うがどうでございましょう、こう諮問を出しておいて、米審から御案内のようなあの抽象的な答申が出てきた。それで、わずか二、三日のうちに一二%上のせするなんということは、とんでもないことじゃないですか。国民の側から見れば、どうにでもなるのだ、こう思うのはあたりまえじゃないですか。そういうような問題は今後とも厳重に直していただきたい。 この要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
平林剛
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平林委員長
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四分散会