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1974-08-28 第73回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年七月三十一日(水曜日)委員長の指 名で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  生活関連物資等流通問題小委員       加藤 紘一君    加藤 六月君       片岡 清一君    木部 佳昭君       羽生田 進君    橋口  隆君       吉永 治市君    井岡 大治君       中村  茂君    松浦 利尚君       野間 友一君    石田幸四郎君       和田 耕作君 生活関連物資等流通問題小委員長 木部 佳昭君 ————————————————————— 昭和四十九年八月二十八日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君       愛野興一郎君    片岡 清一君       三塚  博君    山本 幸雄君       吉永 治市君    山中 吾郎君       小林 政子君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         大蔵大臣官房審         議官      後藤 達太君         大蔵省主計局調         査課長     垂水 公正君         大蔵省銀行局長 高橋 英明君         食糧庁長官   三善 信二君         食糧庁次長   下浦 静平君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業審議官 天谷 直弘君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         中小企業庁計画         部金融課長   若杉 和夫君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 七月三十一日  一、総合商社事業活動規制に関する法律案   (松浦利尚君外四名提出、第七十二回国会衆   法第二九号)  二、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、内田経済企画庁長官から最近における物価動向について説明を求めます。内田経済企画庁長官
  3. 内田常雄

    内田国務大臣 ごあいさつを兼ねまして、最近の物価動向につきまして若干申し述べさせていただきたいと存じます。  申すまでもなく、わが国の物価は、昨年昭和四十八年の春ごろからかなり目立った上昇線をたどっておりましたが、それが昨年暮れに近く、例の石油ショック関連をいたしまして、異常な上昇をいたしました。  私が強く記憶をいたしておりますところでも、昨年の十二月には一カ月間卸売り物価が七・一%上昇し、また越えて本年の一月になりましても卸売り物価は対前月五・五%一カ月で上昇、二月に入りましてもなおその上昇率はあまり衰えずに、三%をこえるような一月間上昇を続けておりました。  消費者物価につきましても、おおむね同じような上昇の過程を四十八年度中続けてまいりまして、暮れに至りまして若干卸売り物価上昇幅よりも下回りましたけれども、それでもやはり昨年の十一月、十二月、本年の一月、二月当時の消費者物価の一カ月間上昇率というものは、三・六%あるいは四・四%、あるいはことしの一月のころでも、一月間消費者物価三・四%というような上昇を続けてまいりました。  かくして、昭和四十八年度、すなわちことしに入りました三月、四十八年度の終わり三月ぐらいを、一年前の昨年の三月ぐらいの物価、前年同月というような比較をいたしてみますると、卸売り物価は三五%内外の上昇足取りをその一年間で示し、また消費者物価も二四%ぐらいの足取りを示してまいりまして、私どもは一時これらを狂乱物価というようなことばをもって表現をいたしてまいりましたことも御承知のとおりでございます。  こうした状況に対応いたしまして、政府におきましては、すでに昨年の一月ごろから金融引き締めとかあるいはまた総需要抑制政策着手をいたしたことも御承知のとおりでございまして、すなわち、昨年の一月には市中銀行等日本銀行に対する預金準備率引き上げをまず行ないまして、続いてまた四月には、それまで比較的低かった日本銀行公定歩合というようなものも引き上げ着手をいたしまして、それぞれ昨年一年間に預金準備率引き上げ、あるいはまた公定歩合引き上げを数回続けざまに行ないました。  これらの状況につきましては、従来しばしば申し述べたとおりでございますが、昨年の初めごろの日本銀行公定歩合というものは、たとえば年率四分二厘五毛ぐらいであったと思いますけれども、それを昨年の十二月には九分まで引き上げておりまして、今日なお日本銀行公定歩合九分という、かつてない高率が続いておるわけでございます。  そうした金利政策ばかりでなしに、いわゆる日本銀行融資規制とか窓口規制とかいうような手段をもちまして金融引き締めを行ないますとともに、政府財政支出などにつきましても、公共事業予算成立にもかかわらず、契約の後期への繰り延べ、あるいはまた民間企業等設備投資抑制でありますとか、あるいは建築投資さえも抑制するこういうような手段を続け、昨年の暮れにおきましては、皆さま方の非常な御協力のもとに、いわゆる個別物資対策としての国民生活安定緊急措置法による標準価格制度、さらに越えて本年に至りましては、石油価格改定に伴いまして、これは法律措置ではございませんけれども行政上の強力な措置として、石油の各製品価格をはじめ、それらに関連すると考えられる基礎資材あるいはまた国民生活重要物資等五十九品目にわたりまして、ことばは悪うございますけれども、いわゆる凍結価格制度と申しますか、あるいは価格引き上げ主管官庁による事前承認制というような個別物資対策もやってまいりましたことも御承知のとおりでございます。さらにまた、末端百貨店やスーパーマーケットで販売をされる数百の日用生活品等につきましても、いまの凍結価格制度に準ずるような、これはソフトな制度ではございますけれども、そうした個別価格抑制対策等もしいてまいりました。  これらの効果がおおむねあがってまいりましたこともすでにこれまで申し述べたとおりでありまして、卸売り物価消費者物価ともことしの三月ごろから非常に目立った上昇率低下上昇はいたしましたけれども、その上昇の幅というものは一月一%を割り込むような月が三月以降続いてまいりました。その間、いろんな天候不順の問題でありますとか、ある特殊の物資等につきましての値上げ等がありました影響を受けました月には、一、二カ月、一%をこえるような上昇率を示した月も今日までございましたけれども、しかし全体といたしましては、いま申しますように四十九年度に入りましてから物価上昇足取り鎮静をしてまいりましたことは、昨年と全く面目を異にいたしてまいっておるわけでございます。  私どもはこうした状況を何とか本年度一ぱい定着をさせまして、いわゆる物価の安定という目的を少しでも早く達成いたしたいと考えておるわけでございますけれども、しかしこれはしばしば指摘をされますように、これまで無理に押え込んでまいりましたような公共料金改定も、どうしてもやらなければならないものもございます。申すまでもなく、ことしの四月に予定されておりました国鉄料金引き上げでございますとか、あるいはまた消費者米価改定というようなものもすでにぎりぎりの限界に達しておりますので、この秋の間には引き上げをしなければならない事態になっておりまするし、また、いろいろの分野におきまして類似のぎりぎりの引き上げ等も行なうこと等も考えますときには、物価が今後に及んできょうの水準でそのままくぎづけで並行になるとか、あるいは下降線をたどるというようなことには、いまの段階では私は至るまいと思いますけれども、それにいたしましても、年間の上昇率というようなものは昨年に比べて面目を一新する程度におさめてまいりたい、おさめなければならないと考えるわけでございます。  こうした中におきまして、御承知のようにいわゆる個別物資に対する価格対策というものは、これがまた一利一害の面も出てまいりました。総需要抑制金融引き締め等が非常にきいてまいりまして、需要供給との関係が非常に接近をいたしまして、昨年の暮れにおける需要成長率供給成長率をはるかに越える、つまり需給間に大きなギャップが生ずるというような事態が反対になりまして、物によりましては、金融引き締め、総需要抑制のために、供給はありましてもなかなか物が売れない。したがって、国の個別物資対策における法律的あるいは行政措置をもってきめられた価格にまで達しないというような事態も物によってはあらわれてまいりまして、したがって、こうした個別物資対策を続けることが、物によっては、状況によっては物価の下ざさえになるというような事態も生じてまいっておりますので、御承知のようにこれらの個別物資対策につきましては、あるものはその仕組みを一時はずしてまいるというようなことをやってまいりまして、その間、一方、供給需要調整をとってまいるというようなことも、最近は私ども施策として続けておるわけでございます。  しかし、今後物価問題は、いま申しますように非常に鎮静化の方向はとりますけれども、私はこれで済んだと思いません。むしろ物価政策の方法とかあるいは物価対策構造とかいうようなものにつきまして、より広い視野からいろいろな施策を展開してまいらなければならないと考えるものでございます。  たとえば流通の問題というようなものは、物価問題に対して今日まで一番大きなネックであったと思われますので、各省庁とも協力をいたしまして、国民生活関連物資等流通機構の整備と申しますか、合理化と申しますか、能率化と申しますか、そういうことにもきびしいメスを入れてまいりたいと考えておりまするし、また、個別対策から手を引きます以上は、今度は、それらの物資供給したり販売したりする業者が、いわゆる共同行為等によって、下がるべきものをこれを硬直させて、そして価格の形成についての自由主義のメカニズムを停止するというようなことにつきましては、これはさらに一そう公正取引委員会等とも協力して所要の措置をとるべきものであると考えまするし、その他一々申し述べませんけれども、また思いを新たにいたしまして物価の安定の施策に取り組んでまいりたい考えでございます。  ただ、最後に申し上げたいことば、最近総需要抑制とか金融引き締め等物価対策が非常にきいてまいりましたために、物価の問題も非常に大切であるけれども、同時に経済そのものが動かなくなってきておる、別のことばで申しますと、景気が非常に沈滞をしてきているというような状況も、現実のいろいろな指標の中にあらわれております。鉱工業生産生産指数がマイナスになったり、あるいはまたそれらの企業製品在庫が著しく増加をしたり、あるいはまた消費のための出荷というものが著しく衰えてまいったり、また企業そのものにつきましても、金融引き締め等によりまして手元流動性というものが非常に小さくなりまして、いままでと全くその辺に様変わりもある。こうした影響が、中小企業でありますとかあるいは特殊の一部の業界に非常に大きな影響をあらわしつつあると思われるものも出ております。  さらにまた、これが雇用などの面におきましても、所定外労働時間が減少をいたしたり、したがって賃金収入というものが、ベースアップ等がございましても、その所定外収入減少というものもあわせて考えなければならないような事態もあるし、また、いわゆる有効求人倍率という指標にあらわされているところによりましても、求人とそれから就職率との割合が、いままでのように非常に就職率求人率よりも高いような割合を示している状況ではない、有効求人倍率が小さくなってきておる。まだ顕在的な失業者が生ずるというところにまでは至っておりませんけれども有効求人倍率低下をしておりますことは、これらの雇用問題、ことに来年など、新しく学校を卒業して就職戦線に立つ人々の、それらの人々就職とか雇用とかということも考えなければならない面が出てまいりまして、それらの状況を反映をいたしまして、総需要抑制緩和とかあるいは金融引き締め緩和を求める声もちらちら出てまいっておりますことも御承知のとおりであります。  しかし、これら総需要抑制金融引き締め物価の問題あるいは景気雇用問題等は、それぞれ相矛盾する経済の一つの要素でございまして、したがってこの両全を期することはなかなかむずかしい面がございます。しかし、私は物価政策を放棄するつもりは全くございません。したがって、総需要抑制とか金融引き締めを、そのワク組み緩和することば適当ではないと考えますけれども、まあたとえて申すと、平面交錯におけるこれらの物価対策とあるいは景気雇用対策というものは衝突をいたしますけれども、私は最近しばしば述べておるわけでありますが、立体構造総合交通政策を一つ考える場合にこれを擬しまして、平面交通、その上の高速交通あるいは地下の地下鉄あるいは横っちょにモノレールをくっつけるという総合交通政策もあり得るわけであります。飛行機もあれば、また海上フェリー輸送というようなものも考えられておるわけでありますけれども、たとえばそれのごとく、いま申しますような矛盾する幾つかのファクターを、立体構造のもとに、日本経済としても国民生活としても、また将来人口がふえてまいりますけれども、将来の社会福祉充実等の面におきましても、それらが物価政策一本やりのためにすべて行き詰まりにならないようなことも、立体構造のもとに、またいまの物価対策ワク組みの中において考えねばならないことを実は私は思っておるわけであります。これはいま直ちにどうこうするということはここで申し上げませんけれども、それらのことも、私は経済企画庁の仕事を担当するものといたしまして思っておりますことをここに申し上げる次第でございます。  以上、長々と申し述べましたけれども物価課題あるいはまた現在のもろもろの経済課題、むずかしい面がございましてなかなか容易なものではございませんので、当委員会の各位からいろいろまた御教導やら御協力をいただきまして、その任務を果たしてまいりたいと思う次第でございます。ありがとうございました。
  4. 平林剛

    平林委員長 引き続き、物価局長から説明を求めます。喜多村物価局長
  5. 喜多村治雄

    喜多村説明員 物価局長でございます。  ただいま大臣から、最近の物価動向につきまして、数字を交えながら非常に詳しい御説明がございましたので、私からは、先生方にお配り申し上げました資料計数的にトレースしていただきますために、若干の補足説明をさしていただきたいと存じます。  お配りいたしましたものはきわめて簡単な二枚のペーパーでございまして、一枚目は消費者物価指数推移でございますし、第二枚目は卸売り物価指数推移となっております。この資料ていさい消費者物価指数卸売り物価指数ともに同じでございまして、左側にグラフ、右側に表ということで、上のグラフ及び表は四十五年を一〇〇にいたしましたときの計数でございますし、下に述べておりますのは前年同月比ないしは前月比——これは表の中でカッコとして出されておりますが、前月比を掲示いたしております。  そこで、まず消費者物価指数推移につきまして簡単に申し述べさしていただきます。  お手元でごらんいただきますように、四十五年を一〇〇といたしました計数は左のグラフのように推移いたしておりまして、右の表で見ていただきますと、六月が総合で一五二・〇、七月は、これは東京速報でございますけれども、一五五・三という高さにございます。  下の段の表でごらんいただきますように、カッコの外にありますものは前年の同月比であります。前の年の同じ月に比べてどうかという高さでございまして、カッコの中は前の月に比べてどのくらい伸びたのかということでございますが、カッコの中をまず先にごらんいただきますと、石油問題発生当時の昨年十二月から今年二月の間は、前月比で、先ほど大臣のお話もございましたように三%をこえるというような異常な上昇を示したのでございます。ところが、三月に入りますと前月比は〇・七%というような上昇にとどまったのでございますし、四月は二・七%と若干反騰いたしております。これは天候不順等によります野菜の大幅な上昇、これは寄与度が大体一・〇ぐらいでございますが、あるいは年度がわりに伴います教育費上昇、これも寄与度で申しますと〇・七ぐらいでございますが、そういうことがございまして、一時的、季節的な要因がこの四月に重なったということもございまして、これらを勘案いたしますと、前月三月の基調には変化がなかったと私どもは考えております。五月は〇・三というようなことでございますし、六月は〇・五と、ほぼ平穏に推移いたしました。なお七月は、これは東京速報でございます。これは二・二ということになっておりますが、この二・二といいますのは、御承知のような七月の長雨、台風の影響によります野菜生鮮食料品の急騰及び新聞等値上げがございましてそういう計数になったわけでございますが、これは東京の事情が入っておりますので、全国値が発表されます段階では、この二・二よりも低いものになろうかと思うのでございます。  以上のようなことでございますので、大体狂乱物価といわれたような時期からは脱したということではございますけれども、先ほどの高さで見ていただきました、上の表で見ていただきましたようなこととか、あるいはカッコの外側で見ていただきますような対前年同月比が、本年に入りましてから二%以上をこえておるという高さにありますこと、それからその右欄にあります季節商品を除きました商品がございますけれども、そういったものが一月以降相変わらず一・何%という高い上昇にありますこと、このことは非常に注目すべきことでございますので、なおなおまだ上昇圧力が強いと申さなければならないと思うのでございます。  以上が消費者物価指数トレースでございます。  二番目は、卸売り物価指数動向でございます。  これも消費者物価指数で申し上げましたようなていさいになっておりますが、グラフでごらんいただきますように、昭和四十七年の秋ごろまでは、四十五年を一〇〇といたしました水準の下にずっとございました。それが秋以来急激に上がってまいりまして、さらに昨年の十月には、石油問題の発生当時から急速にこれが騰勢を強めたということは御承知のとおりでございます。  しかし、本年の二月以降のトレースを見ていただくわけでございますが、本年二月には、下の(参考2)のカッコの中を見ていただきますと、前月比で、本年二月中旬に、ちょっとこれは中旬の数字は、ございませんけれども、中旬に前月比が大体持ち合いを示しまして、以来、ごらんいただきますように、三月が〇・七、四月がこれまた〇・七、五月が〇・六と、比較的鎮静推移いたしました。六月は一・三ということになっておりますが、これは電力料金引き上げがございまして、その影響が非常に強うございます。しかしこれは上旬の話でございまして、中、下旬はやはり低位に推移いたしましたということもあって、一・三というもので六月は推移いたしました。七月はこれまた一・一ということでやや続騰した形でございますが、国内向け及び輸出向け鉄鋼価格が大幅に上がりましたこと、あるいは円レートの安によりますところの石油、石炭の上昇もございまして一・一ということになったものの、全体の基調といたしましては、先ほど大臣がお述べになりましたような狂乱時期に比べて非常に落ちついているということでございます。しかしながら、CPIでごらんいただきましたと同じような意味で、カッコの外で見ていただきますと、前年同月比がございますが、これも相変わらず本年に入りまして三〇%以上の高さにあるということもございますし、なおなお今後警戒を要するものでございます。  以上、要しますと、先ほど大臣からお述べになりましたことと同じになるわけでございますが、最近の物価動向はこのところやや落ちついた動きを示しておるということでございますものの、卸売り物価には、今後輸入価格上昇ということもございましょうし、それから賃金その他のコスト面上昇圧力というものもございますので、こういうものの卸売り物価上昇にはなお底がたいものがあると考えられますし、消費者物価につきましては、賃金コスト上昇とか、あるいは消費需要回復いかんによりましては、なお先行き楽観できないという情勢にございます。  以上、簡単に資料説明をさせていただきました。ありがとうございました。     —————————————
  6. 平林剛

    平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
  7. 片岡清一

    片岡委員 私は、通産大臣がおいでになっておりますので、通産大臣に対して、一、二の問題について御質問申し上げたいと存じます。  ただいま経済企画庁長官並びに物価局長から御説明がございましたように、去年の秋からことしの春にかけてのいわゆる狂乱物価はようやくおさまりを見せてきた、こういうことで、これはまことにけっこうなことでございます。そうして消費者物価指数も、また卸売り物価指数も、四、五、六と、ようやく鎮静の度合いを見せてきたことがはっきり数字の上に出ておるのでございますけれども、しかし、この七月になって、東京消費者物価でございますが、二・二という、一時の三・五、四・四というものに比べたらこれはまだ小さいものでございますが、かなり急に大きく上がったという状況でございます。  ことにこれから心配になりますのは、秋口からいわゆる消費者米価の問題、あるいは国鉄の運賃の値上げ等、その他プロパンガス、あるいは先般東京瓦斯の四六・八五という相当大幅の値上げが認可せられたのでございまして、引き続いて、おそらく中小諸都市のガスの値上げも続いてくることと思います。そうしますと、相当家庭の経費に響くものが非常に多うございます。そういう状態から、これからさらに、いまの御説明にもありましたように、値上げムードというものがやはり出てこないとも限らないと存ずるのでございます。  そういう点で、この物価問題は非常にまだ不安定な要素を大きく持っておるというふうに思うのでございまして、一連のいわゆる新しい価格体系というものができ上がるまでには、相当紆余曲折があるだろうと思うのでございます。  そういう状態にあるにかかわりませず、通産省としては、最近、生活関連物資基礎資材等については五十九品目の価格制限をしておられたのを、ほとんど大部分はずしていく、若干残るようでございますが、はずしていくという状況であり、ことに最近、ことしの三月から続けられておりましたいわゆるデパートやあるいはスーパーにおける日常商品価格の凍結といったようなものを、九月からほとんど全部はずしてしまう、こういう御方針が打ち出されておるのでございますが、私はこういうことで何か非常に不安な感じを持つのでございます。国民も、やや物価が下がった、まあ下がったといいますか、落ちついたということは感じてはおりますが、さっき申しましたような一連の秋口の公共料金等の問題から、非常に不安を私はまだ抱いておると思いますので、何か少しそういう措置をとられるのが早いような気がいたすのでございますが、通産大臣は、この物価問題についてどういうお見通しをお持ちになってそういう施策をおとりになりましたのか、その点お伺いしたいと存じます。
  8. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 物価の情勢がまだ予断を許さない情勢にあることは、私も同感でございます。  ただ、この時点におきまして、日本経済政策をどういうふうにしたらいいかという点を考えますと、二、三月ごろとたいへん様相が変わってきたように思います。たとえば製品在庫指数等を見ますと、一、二月ごろは八〇%台に落ちておったのが、最近は一二〇%台に上がってまいりまして、在庫が非常にふえてきておる。そのほか、たとえば一番原料で問題になった石油等を見ますと、昨年の九月がストックが五十九日分でありまして、三月が一番最低で四十九日分に下がりました。それが八月末には七十日分に近づく、こういうわけで、わりあいにそういう原料やあるいは製品は豊富になってきたわけでございます。ことしの一、二月、三月ごろは、いわゆる思惑的な仮需要もかなりありまして、物価が需給関係から上がってきた面がかなりございます。しかもそれは心理的要素が多いわけです。ところが、最近はそういうことよりも、電力代あるいは石油代の値上がりあるいはベースアップ等からくるコストプッシュの方向に原因は移行しつつあります。  そういう面からいたしまして、この際、かなり物資が豊富になってきておるものは、行政指導価格あるいは標準価格というような形あるいは事前了承制というような形にしておきますと、物資が豊富になったにかかわらず、その価格はむしろ値を下げるのを下ざさえしているような現象が出てきております。あるいはそういう口実を与える現象が出てきております。しかし、いろいろ原価計算的に見ますと、労賃が非常に上がったとかいろいろな交通費が上がるとかという理由で、いままでの事前了承制に対して価格引き上げを要請してくる向きがかなり出てきております。そういう事態から考えてみますと、一面において品物を非常に豊富にしてきたということ、あるいはデパートの売れ行きが非常に落ちてきている、一面においては総需要引き締めということがかなりきいてきまして、国民の皆さんも節約という気がまえになってきてくださっておる、そういう情勢から見ると、もはや必要ないと思われる物資についてはこれを解除して、そして市場機能にゆだねたほうが、結局は消費者の利益になるであろう、そういうような判断をもちまして、そういうものに適切な物資と思われるものは解除しておる。これはやはり消費者の利益のためになるし、業者が値をささえていく口実を失わさせる、そういうことで出てきておるわけであります。  なるほど物によっては一時少し小刻みに上がるという危険性のあるものもありますが、これもやはり需要者のほうの選択眼が強くなり、あるいは企業間のネゴシエーションにおいてなかなか値上げを認めない、そういう物資もかなり出てまいります。なぜならば、最終末端の需要が非常に減っておりますから、値を上げられたのでは自分のほうの商売ができない。そういういわゆる市場の自動調節機能のほうにゆだねる。それがわれわれが本旨としている自由経済に近いし、それで公正競争、自由競争というものを徹底的に保障してやるようにすればむしろ値下がりの傾向に行くし、経済は自然に機能していく、こういう考えをもちまして一、二月とは違った情勢に対して対処しているわけであります。
  9. 片岡清一

    片岡委員 ただいまの通産大臣の、最近の物の需給関係の実情から大体心配がない、むしろ下ざさえになることの心配が持たれるから、むしろ自然の経済の流れにまつというその御信念に対しては、私もそういうことであるべきかと存じます。  ただしかし、富山で最近、通産省がいままで御指導になっておりました生活必需物資の凍結解除について、その反応が若干まちまちのところがございます。それは、百貨店等ではいわゆる企業責任といったような立場から、依然として凍結をしばらく続けていくという状態になっておりますが、スーパーにおいては、何か高値安定というふうに勘ぐられると困るから、これはすなおに受け入れて凍結を解除していく方針だということが新聞紙上に見えております。私は、これがどういう、百貨店とスーパーとの本質的な差からそういう受け方が違うものかどうか存じませんが、こういうふうに反応がまちまちであるということが、何かやはりそこにすっきりしないものがあるようにも思われるのでありますが、万一この凍結を解かれた結果、再び生活心需品が、物が隠されてそして値上がりをするということになったら、それに対してどういう措置をなさいますか。標準価格等をきめて指導されるか、取り締まっていかれるか、あるいは行政措置によってさらに措置を講ぜられるか、そういう点についてちょっと不安があるのですが、この問題について……。
  10. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大型店舗に対しましては、この春、三月十五日、石油値上げをやりましたときに、約四百数十社に私から直接社長に手紙を出しまして、おたくのこれこれの品物については値を上げないでください、そしてその了承を求めて返事をいただいておるわけです。  しかし、最近の情勢を見ますと、繊維製品そのほかをはじめとしてかなり荷物がだぶついてきて、それがまた下ざさえになってくるという危険性もございます。デパートの売れ行きは非常に落ちております。そういう情勢から見まして、むしろこれははずしたほうがよろしい。ただし、それを口実にして上げられては困りますから、大型店舗に対しては依然として自粛を要請しておるわけです。それで通産省の物価監視員等を動員しまして、その実施状況がどういう状況であるか、われわれは厳重に監視するつもりでおります。九月一日から一応解除する予定でおりますけれども、そういう手はずを整えておりますが、私は経済全般の情勢を見ますと、これはやはり解除して業者の自粛を求める、そして自動調節作用によれば、物によっては落ちるものがかなりある。競争がはなはだ激甚になってきて、みんなが特売というような形で商品をはけさせる、運転資金がかなり窮屈になってきているようですから、そういう形を促進するほうが賢明ではないかと思っているわけです。  スーパーと百貨店のいまの相違につきましては、どういう事情でやっているのかは、私いまお尋ねいただいて急にわかりませんけれども、さっそく調査してみます。それで、ねらいとしているところは、要するに消費者のため、お客さんのために安くさせようという考えでございますから、そういう方面に協力してもらうようにしたいと思います。
  11. 片岡清一

    片岡委員 もう時間もありませんので、もう一つだけ通産大臣にお伺いいたしたいと存じます。  それは、政府は、最近の石油の輸入が量的に非常に順調に運んでおる、きょうの新聞によると産油国でもかなり石油が余っておるという状況でございますので、石油の量的なものに、供給については心配がないのだと思うのでございますが、何といってもわが国の石油需要量は二億八千万キロリットルから三億キロぐらいことしは要るのでございましょうか、そういう点で今後心配がないのかどうか。きょうの新聞では、産油国が少し生産を規制するというようなことが出ておりますが、それは結局、やはり値上げを目的にしておる、値下がりを防ぐということに大きな目的があるのだろうと存じます。  そこで、最近、特に新聞でクウェートのカフジ、いわゆるアラ石のカフジ油田、このアラ石の経営参加についてクウェートが六〇%以上の参加を求めておるというようなことでございます。非常に日本に好意を持っておるそのクウェートでもやはりそういうことがだんだん行なわれてきますと、私はOPEC、OAPECの各国もやはり相当そういう点できびしい態度にだんだんなってくると存じます。そうなると、量はありましても、値上がりというものはこれからやはりだんだんときつくなるんじゃないか。一部には直接日本と売買をやっていくDDというのでございますか、あれは非常に安くしてくれるとかいうようなことが新聞に出ておりましたが、これから石油価格の安定といいますか、若干値下がりを期待するということも日本としては考えて期待しておったんだろうと思いますが、とてもそれはできないと思うのでございます。  そういう情勢からいたしまして、私はやはり石油の量は十分得られるとしても、最近の日本の国際収支が非常に赤字に悩んできておる。きょうの、最近の情勢では輸出がだいぶ伸びて情勢は必ずしも悪くないといっておりますが、すでに毎月相当赤字が出ておるということが伝えられておりますときに、私は資金的に間に合うのかどうか、量はあっても資金的に全部その需要を満たすだけのものは買えるのかどうかというようなことが心配になるのでございますが、そういう点からいうて、いまの段階において九月から電力及び石油規制をおやめになるというのも、何か少し早いような気がいたします。そういう点についても若干の不安を私は持っておるのでございますが、大臣の御見解なり御信念を承りたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石油は世界的に最近だぶつき、ぎみであるということは、どうも事実のようでございます。メジャーズ等も日本に対しては売り込みの力が強いようでございまして、ことしの初めとは情勢もまた変わってきております。しかし、OAPECの国々がこのだぶつきぎみに対してやはり値を引き締めるという考えに一部の国が出ることは、これは予想されるところでありまして、九月十一日からOAPECの関係大臣会議がまたたしかウイーンで行なわれる予定で、それらの動向もわれわれは非常に注目しておるところであります。決してわれわれは油断しているわけではございません。  しかし、いまのような情勢で、次第次第に世界情勢が鎮静化してまいりますと、それほどドラスティックな政策はとれないのではないか。やはり発展途上国や産油国も、先進国工業国から鉄鋼とかあるいはそのほかの資材を買っているわけですから、それが循環して高いものを買わされるというのでは、これはたまったものではない。そういう認識も出てまいりましたし、オイルダラーが中近東に偏在して、その結果世界経済が非常に回りが悪くなってきつつあるという点についても、OAPECの諸国は何か対策を講ずる必要があるということまで認識は十分出てきておるようであります。結局、だから世界経済が順調に、円滑に動き回るということが世界じゅう全体が福祉を得るゆえんであるという方向に、次第に考えがまとまりつつあるように私は思います。でありますから、そうドラスティックなことばないと思いますけれども、しかし国々によってはいまのクウェートのような話がございまして、そういう国々の動向もよく関心を持って見ておるわけであります。  それで、これらの問題を考えてみますと、われわれは秋に備えて、何といっても基本は油でありますから、油が潤沢に入っておれば国民の皆さんも安心してくださる。最近の経済問題というのは、品物があるなしという問題よりも、むしろ心理的な問題、精神的なパニックとか心理戦略戦という要素が非常に多いわけであります。トイレットペーパーの場合でも、品物はあったのですけれども、どこかでないといわれたら、みんな殺到して、半年分みんな買い込んでしまう、そういう現象が一部にはありました。つまりそういう心理戦略戦が非常に大きい。そういう意味で、灯油も昨年に比べて約百万キロリットル近くよけいいま備蓄しておるわけです。石油についても同様でございます。そういう意味で、まず基礎を安定させるということを懸命にやってまいりました。  それで、最近の情勢を見ますと、石油及び電力の行政指導による規制をしていますけれども、大体大口の消費者たちは割り当てられた量の一〇%ぐらい余しております。これはやはり原単位の効率を非常に上げまして、いままでむだをしておったということもあったようであります。これを定着させる必要がある。それで九月一日から省資源、省エネルギーの対策本部を内閣につくって、そうして国民の自発的な御協力をいただこう、これは単に企業ではなくして、官庁がまずこういう電気の制限とかエレベーターの制限とかを励行する、全国民もそれにならって、ぜひ御協力をいただきたい、そういうことをぜひ誘発させたいと思いまして、これは少なくとも企業とか官庁に関してはかなり強い要請を行政的にもやって、節約目標みたいなものをつくっていただいて、業界としてもそういうことを定着させていきたいと思っておるわけでございます。そういう形でやっていきますれば、いままでのように法的な規制や権力的な行政的な指導によるよりも、もっとぎくしゃくしないでスムーズに自由経済の本来の姿に戻っていけるのではないか、そういう考えをもちましてやってみるところです。  ただし、これでもし急に物価が上がるとか、一部に異変が出てくるということをすれば、直ちに物価の問題にせよあるいは量の問題にせよ再び発動いたしまして、われわれとしては適切な処置をとる考えでおります。
  13. 片岡清一

    片岡委員 では終わります。ありがとうございました。
  14. 平林剛

    平林委員長 次に、松浦利尚君。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、通産大臣の御出席の時間がございませんから、主として通産大臣に灯油の問題に限定をしてお尋ねをしたいと思います。  しかし、物価全体の問題について冒頭経済企画庁長官から御説明をいただいたわけでありますが、御承知のようにいままで金融財政面で引き締めを堅持して、一方では公共料金引き上げ等政府自身行政指導で据え置いてきたわけでありますが、最近、公共料金に対する値上げを次々に政府自身はいま認めようとしておるし、また、通産関係の電気、ガス等はすでに認めたわけであります。私は、こうしたものが、直接的な物価への波及というのは確かに数字的に見れば少ないのですが、先ほど通産大臣が言われましたように、間接的な波及効果というのはたいへん大きなものが出てくると思うのです。  そこで、経済企画庁長官通産大臣に簡潔にお答えいただきたいのですが、現状の引き締め政策さえ続けていけば、公共料金を軒並み引き上げても物価全体を暴走させることはないのだ、そういうことを政府としては明確に判断をして行なっておられるのかどうか、その点をひとつ冒頭お聞かせをいただきたいと思うのです。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほど私から長々と申し述べたとおりでございまして、経済にはいろいろの面、複合的な要因が出てまいりましたので、それらを立体構造で処理しなければならないということを申し述べましたが、私は、金融引き締め、総需要抑制というものは、立体構造の中でも今後も続ける必要があるとまず思います。  そうした中におきましても、公共料金引き上げにつきましては、でき得る限りこれに抑制的に対処するという考え方も変えておりません。ただ、公共料金は、読んで字のごとく、その事業そのものが国民の生活に非常な密接な関係を持つ事業でございますので、料金もこれを認可制にしたり、抑制をしたり、あるいは政府みずからきめるわけでございますけれども、そうした国民生活に必要な分野の活動でありますために、不可能な強制をいたしましてその事業の運営が円滑を欠く、あるいはまた国民に対する各面におけるサービスが低下するというようなことになりますと、これは公共料金を押え込みましても公共事業そのものが動かぬということになりますので、以上申し述べましたような見地から、極力抑制をしながらも、必要な料金改定は、これはもちろん国民の家計とか物価全体の動向をも考えながら必要最小限な措置はやらざるを得ない、こういう考えでおります。それによりまして再び狂乱物価のような事態を起こさない、こういう用意や見通しをも持ちながらやってまいる所存でございます。
  17. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公共料金につきましては、国民生活にも非常に影響する普遍性を持っておるものでございますから、われわれとしては非常な関心をもってこの問題に対処しなければならぬと思っております。内閣としてもこれを抑制するという基本方針をきめられておりまして、われわれのほうでもいろいろ公共料金の関係がございましたけれども、できるだけ時期をずらす、それからやむを得ず上げるという場合には思い切ってこれを縮減させる、査定を厳重に行なう、そういうような考えをもちましていままでやってきたわけでございます。  しかし、ともかくいまのような石油あるいは国際情勢の、資源の値上がりというような面から、公共料金値上げを行なわざるを得なかったということは、まことに残念な、遺憾な事態でありますが、今後とも国民生活全般に対する影響等を考慮いたしまして、われわれとしては最大限にこれは慎重に扱っていく、そういう考えでいきたいと思っております。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公共料金の問題につきましては、いま言われた両大臣の御答弁をベースにいたしまして、午後、時間がありますから、そのときに公共料金に限定をして質問させていただきたいと思います。  そこで、個別物価に入りますが、これから灯油の需要期に入ってくるわけであります。そこで政府に、国民の非常な関心事でありますから、特に通産大臣に限定をしてお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、経過として、御承知のように、三月十八日に、原油価格の値上がりを理由にいたしまして石油製品それぞれ大幅に値上げをいたしました。灯油につきましても、一万二千九百円の元売りを需要期の終わる四月までは据え置いたのでありますけれども、六月一日から民生用灯油を二万五千三百円という元売り価格にいたしました。そして、末端価格は六百円以下に押えるようにという通産見解を出して、実際には結果的に野放しにした状態が生まれてきておるわけであります。現実に灯油価格、北海道などはもうどんどんと上がってきておるわけであります。  そこで、具体的にまず不明確な点がありますからお尋ねをしたいのは、今度の原油価格の値上がりを理由にいたしましての全石油製品に対する平均上昇は、実は三月十八日、八千九百四十六円という平均値上がりを認めたわけであります。ところが、灯油だけは極端に高いところで値上げを認めておる。八千九百四十六円の値上がりで済むところを、実質的に、平均をいたしますと、それにプラス二百円を加味いたしまして九千百四十六円という、全体の製品の値上がり価格よりも灯油の場合には高く引き上げているわけですね。一体なぜそういうふうに灯油のみ引き上げを高くしたのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  19. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 三月十八日に八千九百四十六円に元売り仕切り価格を上げましたが、そのときも灯油はそのまま、狂乱物価が起こる前の値段でこれを約束どおり実行さしたわけです。それで、その元売り仕切り価格というものは約一万二千九百円であったと思います。ところが、その値段でいきますと、原油の購入価格よりもはるかに安いという値段になっている。買っている原油よりも、その原油を買ってそれを精製加工して灯油にしてつくり上げたもののほうが安いという、著しい逆ざや現象がありますから、このままいくと、業者のほうはそういう安いものはつくらない、損するものはつくらない、それで得するほうをつくってしまう。そういうことになりますと、この秋、冬の需要期に向かってもし灯油が減ってくるというようなことになると、またたいへんなことになります。したがって、やはり経済の法則というものは、短期間は押えることはできますけれども、長期間は、これはなかなか押えられるものではない。そういう意味において、業者が採算できるようなある程度の是正はしてやらなければ、秋、冬に向かっての灯油の備蓄というわれわれの責任が果たせない、そういうことを非常に心配したわけであります。  それで、大体需要期が過ぎまして、夏になって不需要期に入りましたものですから、一応これを排除して、大体の基本的な考え方は軽油と相準ずることにしよう。あの軽油の値段をきめるときも、これは中小企業、運輸関係に非常に響くので、あの軽油の値段もかなりきびしく行政指導価格をつくったわけであります。そういうわけで、大体軽油を見習ってわれわれの見当をつけたわけでございますが、その辺でいまのところ低迷しておりますけれども、しかし、これからこの需要期を迎えまして、灯油とプロパンガスというものは国民の必需品でございますから、これはやはり国がある程度強硬に、強力に規制する必要がある。しかし、規制するにいたしましてもやはり増産、備蓄という面を忘れてめちゃくちゃにやるわけにはいかない。その辺をずっといま見当をつけておるところです。  それで、灯油の値段自体を見ますと、北海道のほうはもう需要期にそろそろ入りつつある、九州のほうはまだあたたかくてそういう必要はない、だから、北高南低というような価格分布図にいまなっているわけです。これを全国一律にある程度きめないといけないという情勢でございますから、その動きの情勢をよく見詰めながら、通産省としてはその後の原価の情勢をにらんでこれを厳重に査定して、いずれ標準価格という形でこれを固定する、そしてこの冬の場を切り抜けていく、そういう考えに立つでおるところでございます。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、ちょっと事務的なことですから部長にお尋ねしますけれども、元売り価格を一万二千九百円に凍結したのは、やはり政策的な意味があったと思うのですね。国民の生活に直接的な影響があるからということで、ある意味では、ことばは悪いのですが、計算上は採算というものから政策的なものを入れた元売り凍結価格というものだったというふうに説明を聞いておるのです。私は今回もやはり同じことだと思うのですね。政策的にきめられておったから、安いわけですよ、市場価格からすると。確かに現状に合わない面も出てくるかもしれない、調べてみればあるいはそれでも高いかもわからないけれども、一応政府の言われた政策料金としての一万二千九百円という元売り価格だったことば、私たちは認めたいと思う。ということになれば、いま通産大臣が御説明になったのですが、あまり安いところで元売りを凍結すると、ほかの製品のほうに流れて実質的に灯油の生産がサボられる、ですからある一定の引き上げをしなければならぬ、こう言っておられるのだけれども、それでは、今度きめた二万五千三百円というものはそういった意味の政策料金なのかどうか。いままでそういう意味で業者のほうで損をした分もカバーできるような価格ではないのか、あるいはこれからある程度マイナスが出ないような価格できめたのではないかという誤解が非常に多いのですね。だから、これは政策料金じゃなくて、通産省が試算をした実態料金だ。だから政策料金というものは放棄して、実勢価格元売り凍結という形でこれから指導しようとするのかどうか。私は標準価格をきめる際の基本的な問題にかかわってくると思うのですよ。その点をひとつ部長のほうから内容的に詳しく説明してください
  21. 左近友三郎

    ○左近説明員 お答え申し上げます。  一万二千九百円の元売り仕切り価格をきめましたのは四十八年の十月でございまして、石油危機が始まりましたときに、ほうっておきますと灯油が上がるおそれがある、それでは元売りの段階でとにかく押え込もうということで、お説のとおり政策的な配慮から一万二千九百円ということにいたしました。その後、ことしの三月二十八日に至りましてもなおこの値段を強行したわけでございます。その間、ほかのものにつきましては十二月までは逐次値上がりをいたしまして、十二月になって一応ほかの油については凍結をいたしました。それを三月十八日、十二月の上がった分からさらに八千九百四十六円値上がりを認めたわけでございますが、一万二千九百円というのは、そのほかの油種が十二月までに上がった前に、十月から押え込んでおるわけでございますので、この点については仰せのとおり政策価格でございます。  それでは、六月一日に二万五千三百円にいたしました、これがどういう性格を持っておるかということでございますが、油の平均の原油の割り振りからいたしますと、灯油については、家庭用以外は二万七千五百円という工業用の値段を、三月十八日のときにすでに認めております。したがいまして、少なくとも灯油については、二万七千五百円という工業用の値段がいわば通例の価格と見てしかるべきだと思いますが、それを三月十八日には一万二千九百円で押し通したわけでございます。六月一日になりまして、先ほど大臣がおっしゃったように、原油の価格よりも安いということで、これは灯油の今後の確保に支障があるということで上げることにいたしたわけでございます。しかし、そのときに、工業用と同じように二万七千五百円にするのはやはり家庭用の灯油ということからいって妥当でない、極力引き上げるべきだということで検討いたしまして、それでは需給の安定を期せられる、今後の備蓄ができるという範囲内において最低のラインは何かということで検討したわけでございます。それで最低といいますと、結局軽油とかA重油並みの値段、これは三月十八日にきまりました軽油、A重油並みの値段ということで二万五千三百円にしたわけでございまして、これは需給が確保される最低の値段ということで政策的にきめまして、そういう意味において工業用よりも約二千二百円ぐらい安くきめたわけでございます。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それはいま部長がお話しになったように、この二万五千三百円も、言うならば実勢価格から見れば政策的な意味を含んだ料金だ、実質よりも安くしてあるのだという御説明なんですが、かりにそういう政策料金ができるとすれば、ある意味では国民の生活に直接的な影響のある灯油でありますから、政策的な意味でもう少し下げることも可能じゃないですか。二万五千三百円より以上に下げることもできるのじゃないですか。  現に六月一日からこの二万五千三百円という元売り価格で、末端は六百円以下に押えなさいということで野放しにしましたために、北海道あたりではすでにもう六百円をこえておるわけですね。九州などのようにまだ不需要期、しかもあたたかいところでは、灯油が売れないから価格が安い。しかし実質的に寒いところでは価格が上がってきておるのですね。六百円をこえておるところも出てきておるのですよ。結果的に先ほど通産大臣が言われたことと食い違ってきますのは、標準価格をきめるために二万五千三百円の元売り価格にしておいて野放しにして、全国的にずっと値上がりしていく状況を見た上で標準価格をきめるということになりますと、結果的に標準価格というのは高いところできまってしまう。要するに、下ざさえをするために標準価格というものはきめていくのだという誤解すら私は標準価格というものから連想されてくると思うのですよ。だから、政策料金なら政策料金らしく元売り価格の凍結というものをやるべきだと私は思いますね。  そこで、私は通産大臣にお尋ねしたいのですが、現に北海道旭川あたりでは、二百リットルのドラムかんを年間十五本使うのですね。昨年の標準価格でいきますと、大体北海道では四千円から五千円だったのです、二百リットルのドラムかんが。ところが、現実にいま一本六千円から七千五百円の灯油を買わされますと、十万円の支出ということになるのですよ、北海道は。岩手等を含めて東北地方では十本ですね。ドラムかんで売買をしておるのです。ですから、ある意味では北海道とか東北という寒いところは灯油の価格というものは非常に家計費に大きな影響を与えるのですね。ですから、そういったものも考慮した上で、寒いところのそういった生活にしわ寄せさせるという重要な要素もあるのだということを考えた上で、六月一日に二万五千三百円、そして六百円以下に押え込めという行政指導だけで、実際には末端価格を野放しにしてしまったわけなんですか、通産省のほうでは。その点はどうなんですか、具体的に。  現実にいまそういうことが北海道の旭川や札幌では起こっておるのですね。そうなることは想定せずに、不需要期だから末端価格を野放しにしてもだいじょうぶだという判断をしたのか、あるいは備蓄することだけが中心で、不需要期にどんどん灯油を備蓄させることだけを念頭に置いて元売りの凍結をやったのか、それとも北海道で十万円も支出をするという現状を想定した上で、元売り価格の二万五千三百円あるいは末端価格の野放しをやったのか、どちらを選択して二万五千三百円の元売り価格をきめたのですか。これは事務当局どうでしょう。そのどちらを基準に置いたのですか。
  23. 左近友三郎

    ○左近説明員 お答え申し上げます。  いまのお話でございますが、この標準価格をやめましたのは六月一日でございますが、その時点では全般的に、全国的に需要期が終わりました時点でございます。したがいまして、その時点においては備蓄というものも考え、この冬における灯油対策というものを考えた上で一応標準価格を撤廃する、しかしその標準価格は撤廃するけれども、元売り仕切り価格だけは自由に上げさせないで、先ほど申しました二万五千三百円に押えておくという措置をとったわけでございますが、その当時も、いずれ需要期に入りますならば、その事態を見て極力安い値で標準価格をきめたいということでそういう措置をしたわけでございます。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産大臣、実質的に北海道の人たちは十万円の支出をさせられるわけですね。いままで四千円から五千円程度で購入できたものが、いま標準価格はありませんが、六百円以下だという、そういう行政指導のおかげで、六千円から七千五百円というふうにたいへん高くなってきた。十五本もドラムかんで支出をするわけですから、年間十万円の支出、負担ということになってきておるわけですね。そういうことをやはり前提に考えて、初めて民生用灯油の価格というものはきめられていくべきじゃないか。ただ備蓄をすることだけ、量を確保することだけを考えて、末端の消費者がどれくらいしわ寄せされるのかということの計算は、私は事務当局になかったのじゃないかと思うのですよ。その結果がいまたいへんなしわ寄せを受けようとしておるわけなんです。しかも標準価格というものはまだきめられておりません。北海道で六百五十円近くの灯油が売られておるそうですが、おそらくこの六百五十円というものがある程度基準になって全国共通の価格というものがきめられていくのじゃないか。結局、標準価格というものは実勢価格になってしまうのですよね。そういうことをやらされておったのでは、国民のほうはたまらない。元売りのほうはいいけれども消費する国民の側はたいへんな犠牲を受けるということになるのです。  通産大臣にお尋ねをしたいのですが、標準価格を決定するのは大体いつごろなのか。そして同時に、現在のそういった末端価格は、極端にいうと、私たちから言わせれば、いま極端な引き上げ価格だと思うのです。こういったものは十分精査をした上で標準価格をきめられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  25. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 標準価格をきめるのは慎重にやりたいと思っておりますから、いまの全国的な値動きの情勢、それから原価の問題等をよく精査いたしまして、できるだけ低目にこれをきめるように私たちは努力していきたいと思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、石油の場合はいろいろメジャー系もあり、民族糸もあり、それから産油国の動向というものもありまして、非常に複雑なむずかしい流通過程があるわけであります。そういうようなものを背景にして石油行政をやっていきます場合には、ある程度自由企業の市場機能というものを考えてやらないと、供給自体が円滑にいかないということになってくる。いま石油供給体制というものは、食管会計みたいな元的な体制でいきかねる情勢であるわけであります。そういうような情勢からして、その情勢に即応しつつ、最も国民に安い灯油を供給しよう、そういう考えに立っていろいろ苦心しておるところでありまして、いつきめるかということは、九月に入って、そうして情勢をよく見きわめながら慎重にやる、そういう考えでおります。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省の事前の資料によりますと、灯油そのものは不自由をかけない、量は完全にこの冬、需要期には確保できるということは間違いありませんですね。
  27. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そのとおりです。やはりいまのわれわれの基本的立場としては、最低限量について不安や心配をかけないということが通産省の基本的な責任である、そう考えております。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それと、従来標準価格がきめられたときには十八リットルで三百八十円だったのですね。それが今日では六百五十円近くにも上がってきておるのですが、そういう価格は、実勢かどうかは別にして、上げ過ぎだというふうに判断されますか、それとも当然だと思われますか。大臣どうですか。
  29. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは原油の相場の動きというものを見ないとわかりませんが、私の感じでは、六百五十円というのは上げ過ぎである。もっともその現地の事情を見て、タンクローリーを持っていく費用とか、距離がどうであるとか、そういうようないろいろな問題も見なければわかりませんが、一がいに申せれば、上げ過ぎではないか、そう思います。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 六月一日に、末端価格は六百円以下に押え込め、そういう通達を通産省見解として出しておられるわけですが、現状としては標準価格はできておらぬわけでありますから、末端価格は六百円以下で売られるべきである、そういう行政指導はこれからも続けられるわけですか。
  31. 左近友三郎

    ○左近説明員 ただいまの末端価格行政指導の件でございますが、当時の試算といたしまして大体六百三円という計算になっておりますので、大体六百円程度ということで指導しております。それですから、それよりも著しく上回るというものについては、われわれも今後も十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 六百円以下で行政指導していくということですから、通産省がいままでやってきたことから見て、私はほんとうにまじめに通産省が行政指導をやれば、六百円以下に押え込むことができると思うのですよ、やろうと思いさえすれば。ですから、現実に高いところは全部直ちに六百円以下で末端価格は押えられるように事務局のほうは指導していただけますか。
  33. 左近友三郎

    ○左近説明員 お答え申し上げます。  現在問題になっております地区は、北海道、東北といういわば寒い地区でございます。そういう点の実態に応じまして、実は従来ともそれぞれの出先の通産局あるいは都道府県と御相談しながらやってまいっておりますので、今後とも十分その地方の実態に応じまして指導してまいりたいというふうに考えております。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、大臣にお願いと同時にお答えいただきたいのですが、大体標準価格というものがきめられた場合、標準価格にたとえば運送費とかなんとかというのをプラスして、末端では標準価格というものが実際は下ざさえ価格になりまして、上乗せするところがほとんどなんですね。標準価格というのは少なくとも最高価格なんだ、これ以下で売れという最高限度額だというような、そういう考え方の標準価格というものを今回の灯油の標準価格ではきめることができないかどうか。それが一つであります。  それからもう一つは、プロパンの標準価格にいたしましても、北海道等には北海道価格というのが別にあるのですね、百五十円標準価格にプラスをするというような。一番利用するところほど高いのですね。需要が多いから高いんだといわれればそれまでですけれども、実質的には必要なところが非常に高い。寒冷地手当をもらっておる皆さん方はいそれはそれだけ、上がった分だけ寒冷地手当をふやせばいいからいいかもしれないけれども、実際に寒冷地手当をもらえる層というのはわずかなんですね。ほとんどは寒冷地手当などというものはもらえないのですから。ということになれば、何らかの形で政策的なものを加味した北海道価格というのですか、高くなる北海道価格ではなくて、安くなる政策料金というものが別にきめられてしかるべきじゃないかというふうに思うのですが、この二点について通産大臣政策的なお答えをいただきたいと思います。
  35. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 標準価格は、われわれのほうは上限価格であると心得て指導いたします。  それから北海道の問題につきましては、前からいろいろ道知事をはじめ道議会からも御陳情がございまして、われわれも誠意を尽くしてその線に沿って努力しておるところでございますが、今度プロパンガスにつきましても、いままでは百五十円高かったのでございますが、元売り、小売りおのおの利潤を圧縮させまして、百円というふうに今度は圧縮をいたしました。灯油等につきましても、そういう面でせっかく努力してみたいと思います。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間ですからこれで終わりますが、いずれにいたしましても、灯油一つをとってみましても、口では国民生活安定のためだ、こう言いますが、きめられてくる価格というものは実態に合わない。ぜひ灯油の価格その他をきめられるときには、地元の知事やらあるいは消費者、全体と言うわけじゃありませんが、消費者の皆さん方の意見も十分加味して、政策的に安いところで灯油価格標準価格をきめていただきたい。そのことをぜひ本委員会通産大臣お約束していただきたいと思うのです。  そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  37. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 灯油の値段をきめる際には、よく議会や知事さんや、あるいは道民の意見も徴しまして、適切にきめてまいりたいと思います。
  38. 平林剛

    平林委員長 次に、小林政子君。
  39. 小林政子

    ○小林(政)委員 私も、ただいま松浦委員から質問がございました灯油の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  特に、先ほど、最近の物価の情勢は三月来からいわゆる鎮静化してきている、そして今後、経企庁の長官は、物価一本やりというような形でものを運んでいくということよりも、いろいろと検討していきたい、こういう御発言もございましたけれども、私は、やはり最近の物価値上げというものが国民生活をどれほど圧迫をしているか。特に、田中総理も参議院選挙のあのさなかに、最近の物価問題は雨漏り程度のものだ、こういうことを発言されまして、物価高騰のもとで苦しんでいる多くの国民からきびしい批判を受けているわけでございます。このような中で、公共料金値上げあるいはまた石油製品の値上げが最近次々と解除されてきている。  特に、いまの物価上昇の特徴というものは何だ、こういうふうに考えてみますときに、原油の値上げを理由として石油製品、電力、大手私鉄あるいはまた鋼材など、これらの物資が次々と上がり、公共料金あるいは基礎資材、こういうものが、新価格体系へ移行するという名目のもとで、むしろ政府が主導的といっても言い過ぎではない、こういう中で最近の物価が次々と上がってきている、こういうことが言えると思います。特にこの秋を迎えての第三波の値上げなどということがいわれておりますけれども、国民の非常に強い関心がこの物価問題に集中をしていることは、私は大臣も十分御承知のことだろうというふうに思います。  このような中で、先ほど来から松浦委員からの質問もございましたけれども、五月三十一日の閣議決定によって家庭用灯油の標準価格を解除し、元売り仕切り価格を従来の一万二千九百円を一万二千四百円引き上げて、二万五千三百円に大幅に引き上げたわけでございます。これが実際に社会生活を行なっている国民にどのように影響が出てくるか、こういうことを十分認識された上でもってこのときに二万五千三百円という認可をされたのでしょうか、あるいはまた、北海道、東北、この地域の大量消費地での実態というものを十分調査もされ、そして把握をした上で、その上に立って認可をしたのかどうなのか、この点について一体どのような具体的な政策判断のもとでこの時期に二万五千三百円という認可をされたのか、この点については先ほど来からの御質問もございますけれども、私は再度お尋ねをいたしたいと思います。
  40. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 灯油の問題は国民の家庭の皆さま方に一番緊切な問題でございますから、われわれも一番頭を痛めて苦慮しているところでございます。プロパンと灯油というのは、われわれとしては一番真剣に取っ組んでおる問題でございます。  それで、先ほど来申し上げましたように、どうしても秋にかけて備蓄をしておかなければまた狂乱のおそれがある、そういうような心配からも、備蓄を十分たくわえて御安心を願うということがまず第一である。それから第二番目に、できるだけ安く、その上に立って家庭生活に響かないように配慮するということが第二である。そういう基本的考えに立ちまして、不需要期になりまして、特に昨年の狂乱物価の以前の一万二千九百円という安い値段でほとんどいやがるのを無理じいに凍結してきたという情勢もございまして、これは解除してあげた。そしてその後の情勢を見ながら、できるだけ家庭生活に響かない値段で、しかも需要量が確保できるようなという接線を求めていま灯油の価格の問題を処理していこう、こう考えているわけでございます。
  41. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま大臣のお話ですと、備蓄の問題、あるいはまた家庭生活に響かないというような、こういう点に深い配慮をしながら考えているというお話でございますけれども、実際に大臣は、北海道のいまのこの灯油をどれほど必要としているか、使用量が大量に使われているというような具体的な実態なんかも御存じなんでしょうか。
  42. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私はよく知っておるつもりでございます。私自体も冬はよく北海道へ演説に行っておりますし、それから実際問題として、最近は知事さんやあるいは議会の議員の方々が私のところへ御熱心に参りましてそういう御説明もなさいますし、それから各党の皆さん方も私らのところへ参りまして、ともかく内地のように十八リットルかんのかんを買うというのじゃなくて、先ほど来お話しのようにドラムかんで十本、十五本と一冬買っていく、そういうような大量消費の世界であるということは、よく認識しております。
  43. 小林政子

    ○小林(政)委員 それを十分大臣が認識をされていらっしゃるならば、需要期が明けたからといって二万五千三百円に売りの仕切り価格引き上げるというようなことはおそらくできなかっただろうし、また当然すべきではなかったのではないか、私はこのように考えます。  特に家庭燃料の場合は、北海道の、あるいは東北の場合は、石炭とかあるいは石油だとかまきだとか、いろいろ燃料としては使っていますけれども、しかし九〇・八%は灯油である、こういうような状況であるし、こたつだとか電気だとかいうようなものは実際には代替が十分きかない、それほど寒冷地である、こういうような実態、あるいはまたそういう中で、一カ月間に光熱費が家庭生活の中で占める割合というものはきわめて高いのですね。実際北海道の全世帯一カ月の平均支出の中で、四十八年の十一月の場合には光熱費が七千八百七十円で七・一%を占める。これは私はたいへんなことだと思うのです。しかもこれは、七・一%というのは現在の時点ではなくて、三百八十円のあの時点でそうだったわけですね。ですから、今回これが引き上げられるというようなことになれば、これはもうおそらく九%近く、あるいはその比率は九%をこえるかもしれない。家計支出の中に占める光熱費の支出の割合というものがこんなに高い状況にあるのだということ一つを見ても、どれほど灯油問題について政府政策的にも真剣に考えなければならないかということは、これはもう私が言うまでもないと思います。私は、実際に値上げを押えて元売り仕切り価格を引き下げるというようなことをおやりになるお考えがあるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  44. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 六月一日から解除をいたしまして、いまその情勢を見据えており、その後の原油の代金そのほかの情勢もよく精査しておるところでございまして、いま値段をどういうふうにするかということは、情勢を把握することをやっておるわけでございますから、ここで御答弁申し上げることはむずかしいと思います。
  45. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、元売りの仕切り価格を引き下げなければ、実際には灯油の価格というものは現在平均で六百三円、あるいはところによっては六百四十円あるいはまた六百五十円というようなところまで小売り価格がきているわけですから、元売りの仕切り価格を押えなければこれは引き下げることはできないと思うのです。この点については、やはり経済ベースじゃなくて、ほんとうにその実態というものを十分に踏まえて、そして先ほどもお話があったように政策的にこの問題解決をしていく、こういう態度をおとりになることこそが私は重要じゃないかというふうに思います。特にいま北海道の、あるいは東北の問題については、これはもう大きな一つの地域の社会問題にまでなってきているといっても私は言い過ぎでないと思います。道知事をはじめ市町村長やあるいは自治体ぐるみでもって、灯油がこの秋どうなるのか、このことに重大な関心が持たれ、また運動も大きく広がってきているのです。こういう中でこそ私は政治がほんとうにこたえていかなければならないと思うのです。ただ〇・何%物価が云々というような統計数字では、具体的にそこで生活をしている国民の生活実態というものを、この問題をほんとうに生かしていくということはできないと思います。私は現状の中でこの問題をほんとうに解決をしていくということこそが、政治がやらなければならない重要な問題だと思います。ぜひ政策的な配慮を加えて検討をするという立場を、ひとつ大臣の口から表明していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  46. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もちろん先ほど来申し上げますように、灯油の問題というものは国民生活に非常に影響する問題でございますから、われわれが価格を査定し、あるいは標準価格を決定するというような場合には、もちろん政策的考慮を行なってやりたいと思っております。
  47. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまの御答弁伺っておりまして、時間がもう来てしまいましたけれども、結局政府は、灯油問題にしても、基本的な考えというのは、原油の値段が上がったんだから、だからまあやむを得ないんだ、こういう発想に立っていらっしゃる。しかし私は、いまも指摘したように、灯油の問題はまず国民生活をどう守っていくかという問題につながる重要な問題だと思います。私どもの党は、石油危機の当初から、この問題についてもメジャーズに対するこの価格、これにメスを入れて、そして国民生活に対する影響を少しでも解消していくために、これを下げるために石油諸税の減免を行なうべきだ、こういう積極的な提案も国会の中で行なってまいりました。しかし、残念ながら政府はそれらの問題についてまじめに検討し、実行されるという態度をおとりになっておりません。このことは、先般来参議院のわが党の上田耕一郎さんが質問主意書を政府に提出をいたしました、その回答の中身を見ても明らかでございます。  どうしても、この問題を解決をしていく、しかもどうしても国民にこれだけは負担してもらわなければならない、こういう立場に立つ場合には、私どもが提案をいたしておりますこれらの石油諸税を下げていくとか、あるいは石油そのものに対する根本的なメジャーズとの交渉をやるとか、こういうことを積極的に政府がまずやって、そしてその上でもって、それでもなおかついまこういう状態だ、こういう点を明確にした上で、国民の負担を、やむを得ないことなんだといって納得もしていただいた上で求めるべきではないか、私はこのように考えます。これらの問題についてはほんとうに誠意ある態度をおとりにならないでいて、そして原油の値上げを口実に民生用の灯油を引き上げてきた、こういう政治姿勢では、ほんとうに国民から政治が信頼をされるというふうには私は考えません。  これらの点について大臣から誠意ある御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  48. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日本石油の大量消費国でございまして、しかもその石油は工業並びに民生に対して非常に大きな影響を持っておるわけでございますから、低廉な石油を、そして適切にこれを獲得するということについては、懸命の努力を実はやっておるのであります。OAPECの動向とか、あるいはメジャーズに対するいろいろな施策とか、そういう点については政府は深甚の、周到の手配をもってやっており、かつメジャーズに対しましてはいままでもかなりきびしい態度をもって臨んできておるのでありまして、引き続いてそのように努力いたします。
  49. 平林剛

    平林委員長 次に、有島重武君。
  50. 有島重武

    ○有島委員 通産大臣がお昼までであるというので、もう時間が限られていると思います。  私も灯油のことについて少し触れたいと思っておりましたけれども、いままで同僚の委員からいろいろな質問がございまして、量の問題とコストの問題もう少し詳しくやりたかったわけですけれども、まず、私の手元には日本生活協同組合連合会あるいは岩手県消費者団体連絡協議会、こうしたところからの陳情書が参っておりまして、いままでの質問も大体こうした現場の声を吸い上げての質問であったと思いますが、こうした陳情については通産大臣はよく検討していただいておると思いますけれども、それを一ぺん確かめたいと思います。
  51. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いままでいただきました御陳情並びに各党の御主張につきましては、政策当局といたしまして周到にこれを検討しておるところでございます。
  52. 有島重武

    ○有島委員 それで、いま物不足が一番おそろしいんだ、物が全然なくて不安になるよりは、少々値段が高くなってもこれはしかたがないじゃないかというような言い方にいままでの御答弁は私は聞こえるわけです。事実そうかもしれません。そういうのはちょっとおどかしみたいに聞こえるわけでございますけれども、そこでまず量の問題ですけれども、それでは北海道では去年どれだけの需要があったのか、そしてことしはどれだけの量を確保するという、そういったお約束はまずあるのか。東北各県おのおのについても、去年の量はこれこれであった、そしてことしはこれだけのものは通産省も責任をもって確保いたします、そういうことはしっかりと約束できますか。
  53. 左近友三郎

    ○左近説明員 北海道地区の灯油の状況につきましては、大体こちらの統計で調べておりますと、年度で申しますと、四十七年が大体二百万キロ、それから四十八年が二百四十三万キロというような数字でございまして、年々ふえておるわけでございますが、そのふえ率も勘案しまして、ことしは北海道地区について十分な供給がはかれるように努力をしております。これについては末端の流通機構あるいは備蓄の施設等々もわれわれのほうの指導でやっておりますので、今年の冬については数量的な御不便をかけることはないというように考えております。
  54. 有島重武

    ○有島委員 いまのもう差し迫ったことでございますから、去年が二百四十三万キロであったというのですけれども、ことしの数量をはっきりここでもってまだ言えませんか。それから、それだけのものはほんとうに確保したのだということをまずはっきりさせるということがほんとうに通産省にできるのか、あるいはそのように指導したけれども、実態はそうではなかった、あるいはどこかにもぐってしまったなどということになるのかならないのか、もうほんとうに今年度二百六十万なら二百六十万キロというものは、これは北海道に関してはこれだけ確保しましたということがはっきりと言えるのかどうか、その辺はどうですか。
  55. 左近友三郎

    ○左近説明員 いまの御指摘でございますが、実はこの下期の需給計画は、最終的には全体の原油の輸入等々との関連がございまして、いま鋭意詰めておるところでございますので、もうしばらくお待ち願いたいと思いますが、これについてわれわれとしては、御指摘のとおり、道民の皆さまに御安心の願えるような措置を考えたいと思いますので、ひとつもうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  56. 有島重武

    ○有島委員 中曽根通産大臣が先ほどおっしゃいましたように、自由経済の自動調整機能にだんだんまかせていく方向が望ましい、そういうふうに言っていらっしゃいます。量の確保がはっきりとここでもってきまってしまうということさえ通産省でもって押えていただければ、あとは消費者の努力によって、確かに去年はドラムかんでもって二十本使っておった、けれども、ことしは何かまたくふうして節約しようじゃないかというような心はみんな持っていらっしゃると思うのですね。というようなことによって、そして指導価格以下にこれがむしろ守られていくというような環境をつくるということがどうしても大切じゃないかと思うのですね。ですから、まず量の確保だけはというようなことをおっしゃいましたから、そのことをほんとうに明示してもらって、さらにお願いしたいことは、北海道全体にはこうだけれども、やはり各個所、旭川にはどうだ、札幌にはどうだ、これだけのものは、これだけのものはということを公表して、これだけは確保しているということを公表なさるべきじゃなかろうかと私は思いますけれども、いかがでございますか。
  57. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 各都市別にそういうことをやることははたして適当であるかどうか、それはまたある意味においては思惑を生んだりなんかすることが、不測なことが起こらないとも限らないと思うのです。ともかく全体的に量については通産省は責任を持って御心配かけませんと大臣が言っているのでございますから、十分御安心願って、量については安心していただいてけっこうであると思うのであります。  そういうふうに量が確保されまして、それで各家庭が多少なりとも節約の方向に向かってもらえば、ちょうどガソリンがリッター百円という指導価格をきめましたけれども石油がどんどん入ってきまして、ガソリンが少しだぶつきぎみで掛けでやるところは九十円ぐらいになっております。そういうように需給関係で値を下げさせる力も生まれてまいりますから、両方、官民協力して、そういう形でできるだけわれわれも努力するし、消費者の皆さんも御努力を願い、業者にも協力させる、そういう形でいきたいと思っておるわけです。九月一日から内閣に省資源、省エネルギー推進の運動本部みたいなのをつくるというのも、そういう趣旨に沿いまして日本全体でできるだけエネルギーの消費を節約して外国に依存する度合いを少なくしていこう、そして物価政策をお互いで努力しよう、そういう意味もあるわけでございます。
  58. 有島重武

    ○有島委員 おっしゃるとおりなんでございます。それでそういうようにやっていただきたいと思うのですけれども、業者のほうでは、大体二百四十万キロということになってそれでみんなも節約するであろうということになれば、そうするとやはりちょっと足りな目にしておかないと商売のおもしろみがないというふうに動くのが、これは商売の常道だと思うのですね。その辺を少し通産省としてはたっぷり目にやるという、そういったようなこともぜひ処置をとっていただきたい、それがお願いでありますが、お願いできますか。
  59. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通産省では、この初夏以来灯油の備蓄に非常につとめまして、業者を督励してやっておりまして、私の記憶では昨年よりも百万キロリッターぐらいよけいすでに生産されて備蓄されつつあります。そういう方針で今後も臨みまして、前申し上げましたように、量については御心配のないようにしていきたいと思っております。
  60. 有島重武

    ○有島委員 コスト問題につきまして、これもいままでだいぶ詳しいお話ございましたけれども、今度一万二千九百円から二万五千三百円ということになるわけなんだけれども、これの根拠というものが国民に対してはどうも納得できない、わからない、何が根拠でこういうふうになっているのかということが非常にわかりにくい、ということがあるわけですね。それで、これはもっと納得のいくような、明らかにこういうわけなんだということをもっと公表することができないでしなうか。
  61. 左近友三郎

    ○左近説明員 いまお話のございました元売り仕切り価格の二万五千三百円というものの根拠でございますが、これにつきましては、原油の値上がり分を考慮いたしまして、御承知のとおり三月十八日に十二月来凍結しておりました石油価格の値上がりを認めた際に、平均して四十八年の十二月から三月までの間に八千九百四十六円の値上がりを見て妥当であるというふうな判断をして三月十八日値上がりを認めたわけでございますが、その八千九百四十六円というものの値上がり分を各油に従来の比率で配分をいたしましたのが大体こちらで考えております工業用の灯油の値段でございまして、これが大体二万七千五百円という数値が出ておるわけでございます。  それで、三月十八日現在ではまだ灯油の需要期でございましたので、この標準価格というものは需要期の間に変動さすべきじゃない、灯油もこの一万二千九百円という元売り価格はすでに当時の原油価格よりも安いという形になっておりましたので、単純な経済的な理論からいいますと上げるべきだということでございましたのですが、それではいけない、要するに灯油の標準価格というものは需要期間中は上げないでおこうという決心からそのままにしたわけでございますが、この需要期が終わりましたので、引き上げるということにいたしました。しかし、それも均等の比率でやりますと二万七千五百円程度になったわけですが、これではいけないということで、結局どの程度下げられるかということを検討したわけでございますが、その結果、最低限下げられる線といたしまして、似たような油であります軽油とかA重油という油並みに下げる。本来の自由な時代の価格でございますと、実は灯油が一番高くて、その次軽油、A重油というような順序になるのが普通でございますが、大体似たような油でございますので、このA重油よりも安い値でかりに灯油が出ますと、むしろA重油のほうに流れる、若干のまぜものをして流れるというふうなおそれがございますので、当時の技術的な、あるいは流通を確保するという点からの最低限ということで、二万五千三百円ということにいたしたわけでございます。
  62. 有島重武

    ○有島委員 時間がなくなってきちゃったのだけれども、このコストの問題でもってこまかい話になりますと、非常に専門的で、またこまか過ぎてわかりにくいわけですけれども、せんだって電力値上げの問題のときに電力会社が政治資金をやめるべきではないかというような議論、これは一円不払い運動などが国民全般に起こって、そうして政治資金はもうやめるというような話にもなりました。  同じように、石油の問題これはまたあとでもってやろうと思っておりましたが、時間がないから一緒にやっちゃいますが、石油の問題、公共料金全般にわたって国民が非常に不審に思っておるのは、いろいろ言うけれども、政治資金を出しておるではないか、それからまた、金利というもののウエートというものもかなり大きいではないか、こういったものについてどういうふうにしていくか。非常に大ざっぱな話になりますけれども、少なくとも政治資金の問題はたいへん燃え上がってきたかに見えたらは、今度はそれがたいへん弱腰なことにまたなってまいりまして、政治資金はいたし方ないというようなふうになっているようでございますけれども、少なくともいまこうした国民的なけたでもって問題になっているこの石油の問題ないしは他の公共料金にわたっての問題、これについて、政治資金をやめるとかやめないとかいう議論の先に、どれだけの政治資金をやっておるのか、そのことをむしろ国民の前に公表させる、そうしたことが、コストの点でもってさらにさらにこれは業界のほうでも慎重にならざるを得ない、そうした風潮をつくっていくのじゃないか。私はそういうふうに思います。  そこで、通産大臣にお願いでありますけれども、今度の石油の業界についても、去年、おととし、または今年度、各政治資金を公表するようにひとつ御指導いただきたい。ちょっとかけ離れた議論のように思えるのですけれども、いまほんとうに国民が注視している問題ですから、そういう指導をなさるべきじゃないか。これが一つです。  それから、かためて言ってしまいますけれども、もう一つ、省資源、省力ということはどうしてもしなければならないわけであります。この中でもって需要抑制政策を堅持するということになっておりますけれども石油や電力の消費規制をはずしていけば、こうしたせっかくのいままでの政策がくずれてしまうのじゃなかろうかというような心配が一つ、ございます。こうしたことはどのように考えていらっしゃるか、この問題。  それからもう一つは、省資源ということの範疇に一つあると思いますけれども、資源の循環利用ということをこれから進めていかなければならないと思います。そこで、資源の循環利用、これは裏からいえば公害対策にもなるわけでございますけれども、こうしたことについての資源循環利用を奨励する一つの制度を今後お考えになるべきじゃなかろうか。  もう時間がありませんから、その三つだけお聞きします。
  63. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 政治資金の問題は自治省に届け出ているところでございまして、自治省のほうでぜひお調べ願いたいと思います。  これは企業が、政治参加という意味で、日本の民主主義を守るためにみずからの総意において協力をしておる。大学に寄付金を出すとか、あるいは宗教団体に寄付金を出すとか、それと同じように、政治もやはり国民のためにも重大な意味を持っておる場所でございますから、そういう意味で政治参加という意味で自由におやりになっておることで、私はこれは企業側の自由意思に基づいて良識をもって処理されるということがいいと思っております。  それから、全体の規制のワクをはずすことが物価につながらないかという御心配は、確かにそういう心配をわれわれもしております。しかし、にもかかわらず、現在の滞貨状況というものを見まして、そして総需要引き締め政策というものが続けられていくとするならば、この前のようなドラスティックな物価上昇は起こらないし、また微調整という面で一時多少波乱があったとしても、それは落ちつきに転換していく、そういう見通しを持っておりまして、むしろいまのような下ざさえの傾向を排除するという意味において、そのほうが国民のためになると考えておるところでございます。  資源の循環利用という点は全く同感でございまして、来年度の通産省の大きな仕事の一つとして、そういうような資源の循環利用、俗なことばでいえばバタ屋産業といいますか、ともかくくずでも何でも再生して利用する、そういう方面の政策に大いに力を入れていきたいと思っております。
  64. 平林剛

    平林委員長 次に、和田耕作君。
  65. 和田耕作

    和田(耕)委員 通産大臣に御質問いたします。  私の質問の時間は十分なものですから、ひとつ簡明にお願いしたいと思います。  大臣、今回、九月の上旬になれば新しい灯油の標準価格をつくるようなことになるんじゃないかということを示唆されておるのですけれども、その理由はつまり、先ほどからの大臣の御説明によると、大体石油の需給は非常に緩和されてきておる、そしてもう再び石油が量的に非常になくなるというようなことは心配がないんだという一般状況のもとで、確かに値段の是正という問題はありますけれども、それを標準価格という形でやろうというその措置には、何か特別の理由があるのかどうか、あるいはほっておけばまた石油価格狂乱状態が出るとかいうおそれがあるから、標準価格という形でこの問題に対しようとしておられるのか、その問題をひとつ。
  66. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 行政指導価格標準価格というような制度は、臨時緊急の措置として緊急避難的にやつ七きたところでございます。そういうようなやり方については、公取側からも御批判のあったことは承知しておるとおりでございます。したがって、そういう事態が解除していくにつれてそれも解除していく。それがまた国民経済上並びに民生安定上重要であるという場合にはなおさらのことでございます。そういう観点に立ちまして、われわれはできるだけ早期に解除しつつ、自由経済本来の市場機能の世界に戻っていく。ただし、もしそれを乱すような場合や不正、不当なことが行なわれる場合には、政府は厳重に監視してこれを取り締まる、そういうことでいきたいと思っております。
  67. 和田耕作

    和田(耕)委員 それは先ほど来の御答弁で承知しておるのですけれども、九月になれば標準価格というものを、まあ六百円、おそらくそれ以上になるというふうにも思われるのですが、きめたいという御意向のようですけれども、その腹をきめるためにはつまり何か理由がなければならない。先ほど、石油の問題は一般的には需給は非常に緩和しておる、もう心配ないんだというような御説明があるこの時期に、九月になれば需要期に入っていくから再び標準価格をきめることになるだろうということは、やはり何かの心配があるということがない、そういうことにはならないと思うのですね。その心配があるかどうかということを、これは仮定の問題でなくて、もう大体通産省としてはそういう方向をおきめになっておられると思うからお聞きしておるのですけれども、何かそういう御心配はありますか。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 心配の有無もさることながら、やはり家庭生活の安定性という面から見て、この需要期はこの値段でいける、そういうふうに合理的な値段をきめるほうが、業者のためにも、また国民の、消費者の側のためにも安定性を持っていい。業者もまあこの値段ならしようがない、いわれているから協力しよう。それが天下に公表されますとインチキもできませんし、それをできるだけ低目にわれわれがきめてあげれば、国民の皆さまも利益を受けるわけでございます。そういう意味において、この冬はこれでいこうという一定の安定水準をきめるということが国民生活を安定させる上に大事ではないか、そういう考えから、プロパンと灯油についてはそういう考えを持っておるわけでございます。
  69. 和田耕作

    和田(耕)委員 それでは、プロパンあるいは灯油等の国民生活と非常に関係の深いものについては、今後は自由価格的なものではなくて、やはり政府が一定の、はっきりした根拠に基づいた価格をきめて、それを守らせてやっていこうというお考えがあるから、標準価格という制度をこのいろいろ議論のあるときにおきめになったというふうに考えていいのですか。つまり、一般の物資とは違ったものだ、国民生活と関係が深いものだから、標準価格という形で対処していくんだ、格別心配とかいうことを予想しているわけじゃないけれども、不測のことがあってはいけないし、そういう重要物資だから標準価格という形でやっていきたい、こういうように理解していいんでしょうか。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 標準価格をきめました法律を見ましても、これは国民生活を安定させて、そしてまた国民経済を円滑に運営するために必要やむを得ない場合にやるということになっておりまして、これが常態ではないと思います。ただし、まだ異常な事態は根底的には存在するという認識のもとに、ともかく緊切な灯油とプロパンについてはこの法律を適用して国民生活を守っていく、そういう考えに立っておるわけです。
  71. 和田耕作

    和田(耕)委員 あの法律の趣旨、内容を私も承知しておりますけれども、あれは一般的には、やはり政府がある強い、法律に基づいた行政力でもって押えなければいろいろ価格の問題で心配があるんだということが前提になっての法律です。しかし、これを考えますと、いまの石油の場合は、大臣が先ほどからお話しになっているとおり、もう石油の備蓄も三月段階の四十二日から現在では七十二日にも達するような状態になっておるというようなお話を聞きましても、一般的な状態はあの国民生活安定法に基づく標準価格というものを設定する時期ではないというふうにも考えられるのに、この秋から灯油あるいはLPGについては標準価格を設けるという趣旨を私は質問しておるのです。私は、当然こういう重要な問題については標準価格的なもので対処する必要があると考えておる。しかし、政府がこういうものはできるだけはずしたいというふうに言っておられる。そこのところを質問しておるわけです。  それで、少なくともこの冬は灯油あるいはLPGについては標準価格の方式で対処していくのだというふうに理解していいわけですね。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 世界の石油事情は一応は安定の方向に向かっておりますけれども、OAPECの動向等を考えてみますと、必ずしも正常化したと言い切れる段階ではございません。九月十一日からのOAPECの外相会議等を非常に注目しておる段階でもございます。そういう面からいたしまして、国民生活に緊切な灯油やプロパンという問題については、われわれは周倒な手配をしておかなければならぬ、そういう考えに立っておるわけであります。
  73. 和田耕作

    和田(耕)委員 もう一つ、この問題について。  先ほど松浦君からの質問にもありましたが、北海道は非常に灯油を使うということはだれしも認めるところですけれども、こういうたくさん使う非常に寒いところで北海道価格として高いということは、ちょっとこれは常識的に考えても——特にこのごろ政策的な観点からの価格の設定というものが重視される時期に来ると、やはりどうしても要るもの、しかも非常にたくさん使う、値段が上がればたいへん生活を圧迫するという、こういう品物は、北海道価格として政策的に安くしてあげる。また、たくさん使うのですから、ちょぼちょぼ使うところよりもコストが安くなるわけで、そういう考慮というものは、大臣、お考えになる必要がないというふうに考えておられるのか、やはりそれは若干考えなければいかぬなというふうにお考えになるのか、どちらでしょう。
  74. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 北海道価格というのは妙な名前でございますが、私の記憶では、灯油には北海道価格というのはなかったと思います。LPGにつきまして、そういうような本土よりも少し高い値段がございました。灯油は全国一律でやっておると思いますが、この方針は続けていきたいと思っておるわけでございます。それよりもさらに安くしろというお話でございますが、これは別個の政策的考慮が必要で、通産事務当局あるいは通産省としては、全国一律というやり方が適切ではないか、そう思います。
  75. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは適切な例じゃないのですけれども、たとえば電力料金を上げるときに、社会のある層に対して政策的な配慮をする、ガス料金のときも同じようなことです。性質は違います。違いますけれども、北海道のようにたくさんの灯油を使わなければならないし、他のところとは著しく量も違う、家計への負担も違ってくるという状況では、やはりそういう価格に対しての政策的な配慮というものをする必要があると私は思うのですけれども、ひとつそういうような意味で御検討をいただくに値すると思うのですが、これはどうでしょう、やはり必要ないと思われるのですか。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 和田委員のお話の趣旨は、私もよく理解をいたします。それはただ通産省の問題だけではなくして、厚生省とか各省が政策的に考慮すべき問題でありますが、御発言の趣旨はよく頭に入れまして考えてみたいと思います。
  77. 和田耕作

    和田(耕)委員 最後に一言だけ、これと関係するわけですから。  先ほど大臣の口から公取の問題が出てまいりました。これは現下の非常に大事な問題ですけれども、新しい物価水準をつくり上げなければならないという段階に立って、非常にこれはむずかしいということを政府はいろいろお考えになっておられる。そういうところで、経済の自主的な市場調整の能力というものを新しく発見をしておる段階だというふうな感じもするのですけれども、しかしそれにしてもそれではやっていけないというのがこの数年間の状態であって、経済の市場メカニズムによる調整というものに対して、国が行政あるいは法律でチェックしていくという必要が非常に強く出てきておるという状態ですね。  そういうときに、公取では、例の、公取委員長が独禁法の問題についていろいろお触れになっておられるのですけれども、あの企業の分割とかあるいは課徴金の徴収とか、そういうふうな公取で論議されている方向に対して、通産大臣としては、やはりこれは正しい方向だというふうにお考えになっておられるのか、あるいはこれは問題だというふうにお考えになっておられるのか。簡単でけっこうでございます。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この問題はこれから秋の大問題でございまして、通産省としても、アメリカやイギリスあるいはドイツの制度等もよく検討し、日本の立場もよく検討しつつ、いま非常に精力的に調査をしておるところでございます。公取側もまだ正式の意見発表はあったわけではなくして、研究会の発表とか、そういうような程度のもので、必ずしも煮詰まったものではないので、われわれとしてまだ意見を表明すべき条件が熟しているとは考えません。  ただ、いろいろな御意見についてはよく注目しながら検討を加えているというところでございますが、私の感じだけをちょっと申し上げますと、公取というのはむしろ審判機関のような要素が非常に強い。したがって、自由競争、無差別自由、公正取引、そういう面を確保するということが大事じゃないか。私的独占禁止法の第一条を読んで  みますと、やはり制限とか不当な拘束を排除して、そして自由公正な競争を保障して、もって消費者あるいは国民経済に貢献する、そういう考えに立っておって、基本はやはり拘束の排除とかあるいは制限の排除とか、あるいは公正自由取引の奨励とかいうことにあるのだと私は思うのであります。あれはいいのではないか。  公取当局が行政価格みたいなものまできめるということになると、これはいまの制度にもありますようになかなかむずかしいし、中小企業の問題まで考えると、バルクラインみたいな思想まで出てくる。下ざさえという形も出てまいります。そういうやぶへ入ってしまうと、なかなかこれは鳥もちがくっついたみたいになりやせぬか、私ら自分で行政をやってみてそう感ずるわけです。むしろ公取当局というものは、爆発力で拘束とか制限とかそういうものが出てきた場合にぶっこわしてしまう、完全に徹底的にぶっこわす、それで、価格の形式というものは、そのときの機能、自動調節作用、市場機能というもので競争をやらせながらきめさせるほうが、消費者のためにはなりやしないか。標準価格行政指導価格というものは、今日の事態になってみると下ざさえになっているという情勢を見ますと、公取がそこまで入っていくことがはたして賢明であるかどうか。私は、やはり審判機関という性格を尊重して、そうして爆発力、破壊力として十分な機能を発揮させるというほうが適切ではないかという感じがしています。  しかし、これはまだ私の感じで、わが省の調査の結果まで待った答えではございませんが、和田さんからせっかくの御質問でありますから、感じをお答え申し上げたところです。
  79. 和田耕作

    和田(耕)委員 終わります。
  80. 平林剛

    平林委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  81. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。片岡清一君。
  82. 片岡清一

    片岡委員 まず内田大臣にお伺いいたしたいのでございますが、物価の先行きがいまだ非常に不安定な状態でございますので、物価に対する対策としての総需要抑制金融引き締めという措置はそう早急に緩和するということはできないだろうということは、私もよく理解できるのであります。  しかし、最近この政策の効果が非常に強くあらわれておりますことは、一方においてはまことにけっこうなことでございますが、それがだんだんと深刻の度を加えてまいったということができると思います。特に、資金的に非常に余裕のない中小企業においては、大企業からの締めつけ等もあり、またこのきびしい政策の結局しわ寄せをもろにかぶって、そうしていまや最大の被害者としてうごめいておる、うめき声をあげておるという現状であることは、おそらく大臣も十分御承知いただいておることと存ずるのでございます。これはもちろん、角をためんとして牛を殺すというようなことになっては、元も子もなくなるわけでございます。われわれもこの窮状をたびたび訴えられるのでございます。いろいろな面において相談にあずかり、また訴えられて、われわれもこの措置に非常に困っておるのでございますが、まあもう少しのことだからがまんをしてほしいというふうにわれわれは申しております。  しかし、どうもいまや限度に来ておるように弔われるのでございます。一般の人々は、特に中小企業の方たちは、大体秋口になれば何とか少しは緩和してもらえるんじゃないかという淡い期待感を持って、そして歯を食いしばってがんばっておるということでございます。ところが、もしその期待がはずれるようなことがありますと、私は、中小企業の倒産というのは、今日以上に非常に深刻な事態を現出することになると存ずるのでございます。  私は、これはたいへんむずかしい問題であろうとは存じますが、ことに経済企画庁の長官としての内田大臣の御見解あるいはまた御希望、通産大臣としての希望、それからまた大蔵大臣としての考え方、これはそれぞれの持ち場持ち場において非常に苦労をしておられることと存ずるのでございます。しかし、ここで何とかひとつ、物価において最も基本的な責任をお持ちでございます内田長官が、いつごろになれば少し緩和していただけるかという何かのめどを与えていただきたい。そうしないとほんとうにお先まっ暗という状態で、私は国民はたいへん不安を感じ——不安どころか、たいへん深刻な状態におちいっておると存ずるのでございまして、もうすでにがまんの限度に来ておると思いますが、どうかいつまでがんばればいいのかという何かめどをお示しをいただきたい、私はこう思うのでございますが、どうぞお願いいたします。
  83. 内田常雄

    内田国務大臣 たいへんむずかしい課題でありますことは、私が冒頭のごあいさつの中でも申し述べたとおりでございます。  最近、繰り返しませんけれども物価上昇傾向は鎮静をいたしておりますが、しかしこれと同時に、鉱工業の生産指数というものはかなり落ちております。その上、需要界に持ち出される製品の出荷というものも、出荷指数が落ち込んでおりまして、むしろ生産者の手持ちの在庫は反対にかなりふえる一方、こういうような状況にありまするし、また、金融などの面におきましても、企業の活用し得る手元の資金の状況を一口に申しますと、企業手元流動性というものが次第に小さくなってきておる、非常に窮屈になってまいりまして、金融の面からも企業活動が非常に制約をされているというような事態が生じておりますことは、片岡さんもお気づきのとおりでございます。  そういうことをまた総合的に反映をいたしまして、ことしに入りましてから、一月ないし三月における国民総生産、すなわち国民総支出というものも、前期に比べますとマイナスが立つようになっておりまして、一−三月は前期に対してマイナス五%、その後本年度に入って、四−六月における国民総生産、あるいは同じ意味でございますけれども国民総支出というものの実績を、いま私ども経済企画庁でまとめておりまして、これは来月の中ごろまでには発表し得ると思いますけれども、いま私が十分でない資料によりまして判断をいたしましても、四−六月が一−三月に対してかなり持ち上げてきているという状況にも思えません。一−三月に対して、フラットでもないかもしれませんけれども、その上昇率というものはかなり微々たるものであろうと考えられます。これらの指標はすなわち、景気が下降をし沈滞をしていることを物語るわけでございまして、それだけ中小企業はもちろんのこと、国の経済一般が非常に不況の中で動きが鈍くなってきておる、こういうことを示すわけであります。  そのことはまた、他面からいいますと、それだけ物資供給力も制約をされてきておる。現に企業の稼働率というようなものは、設備投資を押えている中におきましてもかなり低くなっております。設備が全部フル稼働から見るとかなり遠い状況で、物資供給はそれだけ減っている。同時に、しかしこれはまたエネルギーや資源が節約をされているということにもなるわけでございますが、そうした中におきましても、金融引き締め、総需要抑制がきいておりまして、需要がはなはだ伸び過ぎて、そして昨年の暮れあたりに見られましたような需給のアンバランスといいますか、需給のギャップが見られておりませんで、むしろ物資の需給は緩和をしてルーズになってきておる、こういうような状況でもございます。  そのことはまた、他の反面からもう一ぺん反省をしてみますると、今日の時代の経済が動かないばかりでなしに、日本が毎年百何十万人の人口がふえ、あるいはまたこれから国民生活における環境整備でありますとか、社会福祉の充実とかいうことをやろうと思いましても、それが非常に困難にもなる、ふえる人口に職業を与えることにむずかしさが生じてくるということは、将来のエンプロイメントに対する大きな問題を生じますので、そこで私は、物価抑制はもとより大切である、しかし物価抑制が大切であるのは、物価の安定というものを通じて国民生活を安定すること、国民生活を豊かにすることのために物価の押え込みをやるわけでありますから、これがいま私が申し述べましたような不況現象というものがいま以上に強まったり、また経済の成長というものが全くなくなってまいるということになりますと、今度はまた国民生活を現状においてもまた将来においても非常に圧迫することにもなりまして、おことばのとおり角をためて牛を殺すことにもなるわけでありますから、この二つの矛盾した事象をどのように組み合わせるかというところに私は問題があると思うわけであります。  しかしまた、物価状況も、けさほどから申すように、手放しで楽観できるものではありません。設備投資基調というものにも根強いものもございますし、またいろいろの面で油断をすれば需要が非常に旺盛になるような、これは私は必ずしも賃金だけのことを申すわけではありませんけれども、そういう要素もございますので、ここでいま手放しに金融緩和、総需要抑制を解除する時期に来ているとも思いませんので、これは私は両方の課題をにらみながら、先刻も申しましたような立体構造、総需要抑制金融引き締めというワク組みは続けながら、それと正面衝突といいますか、横に衝突をしないような立体構造のような考え方をもって、中小企業のみならず、所要の分野につきましては——これはたとえば国民の住宅供給の面もありましょう。あるいは、一々申すと例にあげない面でいろいろ支障も生じますから例をあげませんけれども、非常な苦境に立たされているような分野につきましては、立体構造のもとに所要の施策を考えてまいるべきだと私は考えます。そのことを私は、通産省にも、大蔵省にも、その他の政府の内部の経済政策の上にも立体構造的私の考え方の投影をはかってまいりまして、片岡さんはじめ皆さま方の御心配にもこたえてまいるべきである、このように私は考えます。
  84. 片岡清一

    片岡委員 経済、財政にたいへん該博な知識を持っていらっしゃいます内田大臣のことですから、非常にむずかしいことをおっしゃって、よくわからないのです。立体構造政策の投影がだんだんどういうふうに出てくるのか存じませんが、要するに、われわれが選挙区へ帰りましていろいろ相談にあずかりましても、一体いつまでがまんすればいいんだ、もう少しがまんしてください、もうそろそろですよということを言ってきて、われわれはとにかく秋になれば何とか緩和してもらえるだろう、することになるんじゃないだろうか、こういうふうに言っております。  たとえば、この間、中小企業の建築会社、この連中もたいへん難渋を来たしておりまして、いろいろの職員、労務者をかかえておりながら、仕事が総需要抑制のために全然ないということで、たいへん難渋しておる。せめて町村の事業ぐらいやらしてもらいたい、それで、自治省の起債の面からもひとつ何とか緩和してもらうようにしてくれ、あるいはまた、特に私のほうは雪の降るところでございますので、事業をやるにしても、雪の降るような時期にならない前に何とか早く手を打っていただかなければならぬというようなことで、いろいろ陳情を受けるわけでございます。  たいへん大臣もお立場上苦しいことと思いますが、とにかく秋にはとてもだめだ、年末でないとだめだとか、来年にならなければだめだとか、何とか少し大衆にわかりやすいような何か示唆を与えていただくわけにいかぬものでございましょうか。われわれもその間へ入って実に困るわけでございます。どうぞひとつ何とか示唆を与えていただけるならたいへんありがたいと思うのですが、もう一度お願いしたいと思います。
  85. 内田常雄

    内田国務大臣 わかりにくい表現をいたしまして恐縮でございますが、もう少しわかりやすい表現をもっていたしますと、金融引き締めなり総需要抑制政策というものを金融緩和とか景気刺激政策に切りかえるというのには、私はまだかなりの時期が必要だと思います。来年の少なくとも半ばぐらいまでは私はいまの政策はそのワク組みは続けられなければならない、新しい出発は、昭和五十一年ぐらいに新しい準備ができた新政策の出発としてそろえたい、こう思うわけであります。しかし、それまでは待ってはおられないいま御指摘のような問題が生じておりますので、いままでの政策政策として走らせておきながら、そのワク組みの中におきまして、政策を切りかえるのではなしに、そのワク組みワク組みとして、それと、立体構造において、所要の雇用対策でありますとか、あるいは中小企業対策でありますとか、不振産業対策というものを立体的に取り上げることによりまして、国民生活というものを物価一本で押え込んでしまってほかはどうなってもかまわないということでないようにすべきだということを私は述べておるわけであります。  これは大蔵省は大蔵省なりに、通産省は通産省なりに、あるいは建設省は建設省なりに、私の述べておることをそれぞれ解釈されて、所要の政策をとっていただけるものと思いますが、私は経済企画庁として、わかりにくいとはいいながら、そういうことを申しておくことが非常に必要なことである、こういうふうに考えるわけでございます。
  86. 片岡清一

    片岡委員 たいへんお苦しい立場よくわかりますし、また、そう責任のある方が簡単に時期を明示していただけるというふうにも私は考えておりません。  ただいまお話しのように、立体構造というのは、いろいろの面において緩和すべきものは緩和する、緩和といいますか、対策を講ずるというような、各省こぞってこの問題についてそれぞれの立場から対策を立てていくという意味に理解をいたすのでございますが、結局そうなりますと、いずれにしても、この事態を切り抜けるためには相当いろいろ真剣に考えていただかなければならぬ問題があると存ずるのでございます。特に私は、いま総需要抑制緩和ということもさることながら、やはり資金のめんどうを見ていただくということが中小企業対策として非常に喫緊の要務であると考えるのでございます。われわれのほうへ、しばしば金を借りにいくんだがさっぱり受け付けてもらえないということで、非常に陳情が多いわけでございます。何とか協力をしてほしいというお願いが非常に多いわけでございます。  そこで、私は、中小企業庁長官中小企業庁の方が来ておられると思いますが、あるいはまた大蔵省のほうの御意見も承りたいのでございますが、私のほうへ来ました一つの例を申し上げますと、これは畳表とかあるいはじゅうたんとか、そういう敷きものの大きな卸問屋といいますか、その人なんですが、これは非常に手がたい仕事をしておる人で、まじめな方でございます。ところが、最近、畳表を熊本から買いたいがどうも資金がないので実に困る。それで三千万円何とか融通してもらいたいのだけれども、富山にございます中小企業金融公庫支店へ行きましたが、これはなかなか貸してくれない。行って聞かれることは、あなたは何か協同企業の中へ入ってやっているのか、あるいは協同組合の中へ入ってやっておるのかというようなことを聞かれて、通産省の中小企業対策でやっておる協同あるいは協業といったような、何かそういうおめがねにかなったものでないと貸してくれないのかというようなふうにも思われる。あるいはまた人に聞くと、だれか有力な人に口を聞いてもらわなければ、庶民が窓口にすぐ行ったってとても貸してくれるものじゃない、こういうことで私のところへ参られたわけです。そういうことで結局私が、この人はよく私は知っておるんだが何とか考えてあげてほしいという電話をかけて行ったのですが、結局私もあんまり有力じゃないものだからうまくいかなかったのか存じませんが、何か代理貸しのほうへ行って頼みなさい、そういうところの道を選びなさいということを言われて、それで結局代理貸しで二千万円だけ融通してもらった、あとの一千万円はどうしても貸してもらえないので弱りましたと言って、二度私のところへ参ったのでございます。  私は、中小企業のところで金融公庫の監督をしておられるのは中小企業庁、あるいはまた大蔵省のほうもそうだと思いますが、これはこういう直貸しでなしに代理貸しといいますか、そういう道を選ばされて、思うように満度の融資がしてもらえなかったということでたいへん嘆いておるわけなんですが、こういう点はどうなっておるのか、実際、皆さん方にわれわれは、通産大臣も一生懸命になって大蔵省にお願いされて、融資のワクを千五百億、さらに五百億加えて二千億になるように一生懸命努力されたとか、その後さらにワクを広げることに努力しておられるのだという説明はいたすのですが、ところが実際窓口に行くとさっぱり貸してもらえないということで嘆いておるわけでございます。実際問題として、いまのどから手の出るぐらいにほしいのが、それも二、三カ月待たされるのじゃどうにもならぬということで、たいへん金融面で困っておる人がたくさんあるわけでございます。そういう点、ひとつ具体的な問題についてどういうふうに扱っておられるのか、御説明願いたいと思います。
  87. 後藤達太

    ○後藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘の富山の問屋さんの件は、具体的には私どもまだ十分承知いたしておりませんめで、たいへん一般的な取り扱いの御説明になりまして恐縮でございますが、中小公庫の場合は、御案内のように支店が全国で四十二ほどでございます。これではなかなか取引先の便宜ということをはからうのに十分でございませんので、中小公庫の場合は代理貸しをかなりたくさんやっておりまして、これが八百ぐらいの代理店を置きまして、その窓口でお客さまに融資をする、こういう扱いになっております。で、額といたしましては、それぞれ中小公庫の——いずれから融資をいたしましても、これは中小公庫の貸し出しであるということには変わりはございません。ただ事務の扱い方といたしまして、数多い代理店でもございますので、一応本部のほうで各代理店あるいは各支店に融資のお申し込みの状況などによるめどを立てましてワクを配分いたしまして、融資をなるべく早くやらせる、こういうことにいたしておりますので、あるいはいま先生御指摘の支店の場合には、そういうワクの関係等がございまして、代理店のほうならワクがある、それから支店の場合にはワクがたまたま一ぱいになっておる、こういうようなことで代理店のほうへお回り願った、こういうようなことはあり得ることかと存じます。  ちなみに、最近の融資の貸し付けの実行状況を申し上げますと、この第一・四半期で、中小公庫の場合には昨年に比べまして七割、七四%ほど多い貸し付けを実行いたしております。数字として先生いま御指摘のようになかなか十分でないというおしかりをあるいは受けるかもしれませんが、公庫といたしましてはたいへん努力して実行しておる次第でございます。  いま御指摘の具体的な点につきましては、もし必要でございましたら、なおよく実情を調べさせていただきたい、こういうように考えております。
  88. 片岡清一

    片岡委員 大体のことはわかりましたが、ただ、さっき言いました、何か協業をやっておるかとか協同組合へ入っておるかというようなことを聞かれたというのですが、そうでないと貸さないのですか。何かそういうことが選別融資の条件になっておるのですか。ちょっとその点を……。
  89. 若杉和夫

    ○若杉説明員 お答えいたします。  そういう事実はございません。全くございません。  それから、先ほどの大蔵省のお答えにやや補足して申し上げますと、代理店に二千万というのは、これは制度上代理店に二千万の限度というのをつくっておるわけでございます。  じゃ、どうして代理店に行ったらどうかということを言っておるかといいますと、先ほどお答えしたことでございますけれども若干補足しまけと、中小公庫へ直接来た場合には、運転資金の場合四千万まで、先ほどの場合は運転資金だと思いますが、可能でございます。ただ、中小公庫も支店の数が少ないものですから、それで、初めて取引される場合なんか担保とかで時間がかかるわけでございます。代理店といいますと、普通中小企業が毎日取引している銀行が指定されておりますから、そこへ行きますと担保問題とか相手の商売の規模とかはっきりわかっておるわけでございます。そういうことで非常に手続が迅速なんでございます。そういうことで、代理店のほうへ行ったほうがいいのじゃないですかと——確かに三千万に対して二千万ということは私も残念だと思いますけれども、いま非常に殺到しておりまして、率直なことを言わしてもらえれば、三千万の希望に対して二千万、限度一ぱい借りたわけですから、全体的観点から言えばいいほうだというふうにも考えるわけでございます。まあケースによって違いますけれども……。そういうことでございまして、直接来れば四千万ですけれども、時間とか手間がかかるものですから、つい代理店のほうに行ったほうがいいのじゃないか、こういうことがあるわけでございます。
  90. 片岡清一

    片岡委員 時間がございませんので、大体いまの御説明で了承をいたしておきます。  次は、消費者米価の問題について農林省の食糧庁長官にお伺いしたいと思います。  この秋を迎えまして、やはり国民の最大の関心事は何といっても消費者米価がどうなるのかということだろうと思います。この間、答申抜きの米審が開かれてこの問題がまず論議の議題にのぼったのでございますが、九月三日から米審がこの問題で開かれるようでございます。これで、去年きめられてことしに実施延期になっております消費者米価の九・八%の決定しておるものに幾らか上のせになるのだろうと当然思います。それが幾らの上のせになるのか、これはそれぞれの立場で違うようでございます。大蔵省にしてみると、新聞で伝えるところによりますと四七、八%まで上げるのだ、ところが企画庁のほうでは、それはそんなになったら困る、だから二〇%程度だ、こういうことになって、おそらくまだきまっておらぬのか、しかし、近くこれは諮問案がきまることと思いますが、ここで、まだそういうきまらない状態において幾らのせられるのかということはなかなか出てこないと思いますけれども、私は、この食管会計というものの本質についてひとつ私の考え方を申し述べたいと思うのでございます。  もちろん消費者米価を上げれば食管会計の赤字が少なくなるということはよくわかりますし、逆ざやがなくなって、あらゆる点において都合がいいということでございましょうが、これは何と言うても国民の食糧費の問題ですから一番基本的な問題でございます。そこで、私は、この食管会計というものは普通の企業会計と違いまして、収支が相償うということが前提になるというような考え方のものとは違うと思うのです。食管会計は本質的には、生産者にはやはり事情の許す限りできるだけ高く買ってあげて、そうして消費者にはできるだけ安くしてあげる、こういうことが本質的にあるのだ、それが国民の食糧政策の基本である、こういう立場から、当然これは赤字になることがもう前提のものである、そうしてこの食管会計というものが存在しているのだと私は思うのでございますが、この点について食糧庁はどういうふうに考えておられるのか。よく食糧庁は、赤字が出るから生産者米価を上げないのだということで、生産者米価を押えることに一生懸命になるのでございます。それと同時に消費者米価を上げるということにも一生懸命になられるのだろうと思いますが、そういうことで私は、基本的なものの考え方、また政府全体としてもこの食糧問題について基本的に考えてもらいたい。  たとえば国鉄の会計にいたしましても、これは明らかに一つの企業だと私は思うのです。この企業でさえもやはり累積赤字が一兆五千億にのぼるといわれておるのでございます。ことしは五千億余りの新しいものが出てきて、それで累積が一兆五千億、食管会計では今度ようやく九千五、六百億ですか、一兆になんなんとしておるということは、これは確かに一つの大きな国の負担になるわけでございます。一般会計からの負担になるわけでございます。しかし私は、極端な言い方かも存じませんが、国民の食糧というものは国民を飢えさせないための一番基本的な問題だと思うのでございます。これは極端な言い方をすると、いわば国防費の一つだ、私はこう考えていいのじゃないかと思います。昔から、腹が減っては戦争ができない——私は何も戦争することを言うのじゃないのですが、腹が減ってはいくさができないというこの考え方は、結局まずたらふく食う、たらふくでなくても、とにかく腹がくちくなっておるということが人間が活動するすべての基本である。国民が国民として活動する一番基本である。そういう意味において、国防費の一端であるというふうに理解してもいいのじゃないかと私は思う。自衛隊費がこのごろ一兆一千億ですかになりました。そこで、今度は赤字が一兆加わったって二兆一千億、これは日本のGNPからいうと幾らになりますか。いまの自衛隊費は〇・八%でございます。それがたとえ二兆円になったとしても、国防費としてはまだ二%にならない、そういう状態だと思うのでございます。  そういうことから考えますと、この基本的な食糧費というもの、食管会計というものがある程度赤字で、そしてこれはみんな国民のすべてに均てんする問題でございますから、当然鉄道なんかと違った受益者負担という面のあれはなしに、これはみんなが同じように受益をするわけでございますから、これは一般会計から当然赤字負担をやってもいいものだと思うのですが、そういう意味において、基本的な問題として、食糧庁は私のこの考え方に対してどういうふうにお考えになっておるか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  91. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  片岡先生の御意見でございますけれども、私どもといたしましては、食糧管理特別会計につきましては赤字を当然の前提としておるものではないというぐあいに考えております。現に、御指摘のとおり、四十九年度におきましては、現状でございますと一兆一千億弱程度の赤字発生の見込みでございます。それから過去におきましても赤字がかなり出てきておるという経過がございますけれども、これは現実問題といたしまして赤字が発生しておるということでございまして、たてまえ上の問題ではございません。  現実の問題というのは、これも御指摘がございましたけれども、逆ざやの関係でございます。逆ざやの関係にも三つの考え方がございまして、買い入れ価格をもとといたしまして、これに保管でございますとか金利でございますとか、そういった必要な経費でございますが、それを加算いたしましたものと売り渡し価格との関係、これはコスト逆ざやと申しております。   〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 それから売買逆ざやというものがございまして、これは売買の差額でございます。それから末端の消費者の段階での逆ざや、こうあるわけでございますが、私ども、コスト逆ざやにつきましては、政府の必要な経費の一部につきましては政府で持ったらいいではないかという御意見もございますが、そこまでとは申しませんけれども、少なくとも消費者の段階におきましての消費者の買い入れ価格、それから政府の買い入れ価格、この関係が全く逆の関係になっておるということはおかしいというふうに考えておる次第でございまして、この点につきましても、全部とは申しませんけれども、できるだけ埋めてまいりたい、こういう考えでございます。
  92. 片岡清一

    片岡委員 ただいまの答弁は事務官僚としてはやむを得ぬことかも存じません。とにかく食管会計が赤字を出すのはたてまえじゃないのだという見方をされるところに、ほんとうに農民のためを思って農林省があるのか、私はそれを非常に疑わしく思うのであります。通産省は一生懸命に業者のために戦っておるのに、農林省は農民のために戦わないで、何か自分の予算のつじつまを合わすために戦っておるというような感じがいたしまして、それだからそのときどきにネコの目のように変わる農政が展開されておる。それだから農民がいつもしわ寄せになって、ひどい目にあうのでございます。そういう農林省の態度であっては、ほんとうにこの食糧問題の解決はできないと私は思う。  いまや食糧の自給ということはもう大事な基本的な政策でございます。そういう面からいうと、私はいま、極端な言い方ではあるが、とにかく国防費の一つだと見ても差しつかえないんじゃないか、それだからまるまる出してもいいんじゃないかというふうにさえ思っております。しかし、ここで農林大臣がおられるなら大いに私は議論をしたいのでございますが、失礼ですが一事務官僚と議論をするほど私はやぼではございません。そういうことで、私は、時間がございませんから、あと一つだけ御質問いたします。  それは、貯金の目減りの問題でございます。これは私は前からもやかましく言っておるのでございますが、インフレが依然として続いておりますと、何といってもインフレの一番最大の犠牲者は低所得者であります。低所得者が自分の老後なりあるいは何か事あるときに備えて貯蓄をしておる。この低所得者の気持ちというのはほんとうに大事なものだと私は思うのです。その低所得者が貯金をしたが、このインフレでどんどん目減りをするということは、ほんとうに耐えがたい問題だと思うのです。これはやはり国の福祉政策の一番基本的な問題として、何とかこれに対してある程度の対策を講ずべきであると思うのでございます。  この間、新聞に、フランスでしたか西ドイツでしたか、目減りの問題でいろいろな新しい政策を打ち立てておるということが出ておりました。大蔵省でもこの問題について、非常にむずかしい問題だが前向きに検討すると言っておるのですが、前向きでその後どうなったか、どういう検討をしておられるか、それだけを簡単にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 後藤達太

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  異常な物価高の中で、先生御指摘のように、預金をしておる人が購買力が減っていくということはたいへん重大なる問題だと私どもは考えておりまして、そういうところから、従来はなかったことでございますが、昨年来、預金金利を四回にわたって引き上げるべく努力を重ねてきた次第でございます。  この問題の一番基本的な解決というのは、先生も御指摘のように、まさに異常なる物価高の問題を解消する、将来に向かってそういうことが起こらないようにするということが当然基本だと存じますので、総需要抑制策を堅持するということに努力をしておる次第でございますが、今後の問題といたしまして、さらに預金金利をどういうふうにしていくかということにつきましては、私どもいま一生懸命勉強しておるところでございます。  ただ、なかなかむずかしい問題がございまして、いろいろ具体的な御提案は承っておりまして、それも一々勉強いたしておるのでございます。例をあげて申し上げさせていただきますと、たとえば物価スライドというような問題が一つあるかと思いますが、ただ、これは預金だけの問題ではなくて、各種の金融資産なり、あるいは賃金とか地代、家賃とか物価とか、いろいろな方面に関連するたいへん大きな問題でございます。現に、これを実行いたしましたブラジルというようなところも、いろいろなほかの、価格凍結でございますとかあるいは所得政策とか、こういうものと合わせたやり方をしておる特殊なケースであろうと思いますので、わが国の場合に直ちに採用するということは非常に困難があることだと考えております。  また、預金の金利を一般的に引き上げる、あるいはある特定のものについて預金の金利を引き上げて、将来に備えて、債権者と、つまり預金者と、それから資金を使う借り入れ者の利益の調整をはかっていく、こういう角度からのいろいろな御意見があるわけでございますが、これにつきましては基本的にもあるいは技術的にもたいへん問題が多いのでございますが、当面最大の問題といたしましては、やはりこの引き締めが浸透しております中で、その金利の引き上げが一番影響いたしますのは、中小企業の金利負担に響く、あるいは中小金融機関の経営問題に大きな影響がある、こういうことでございます。  まあそういうようなところをせっかくいま勉強しておりますが、ただいまの御指摘もちょうだいいたしましたので、さらに気を新たにいたしまして、引き続き勉強をさしていただきたいと思っておりますが、ただ、恐縮ながら今日のところ、こういうことならどうか、こう申し上げる段階まで至っておりませんので、たいへん恐縮でございますが、勉強しておることを御説明申し上げるということにしかならないという状況でございます。
  94. 片岡清一

    片岡委員 それでは、平林委員長も何かこれについて御質問があるそうですから、それをお聞きすることにして、これで私の質問を終わります。
  95. 井岡大治

    井岡委員長代理 平林剛君。
  96. 平林剛

    平林委員 私からは、特に預金金利の引き上げの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  御承知のように、当委員会はさきの国会におきまして、物価安定対策の推進に関する決議をいたしました。この決議の第九項目に、「国民の零細な預貯金の急激な減価を防ぐため、適切な対策を検討すること。」つまり預金金利の引き上げ等を検討することを政府に対して要請をいたす決議をいたしました。この理由は説明する必要がありません。私どもとしては、この決議の背景として、インフレの高進そのものを全力をあげて終息をさせる、そのためにも貯金に対する国民の信頼を取り戻しておく必要がある。そうでなければ、貯金の取りくずしなどにより、あるいは個人消費の拡大が総需要抑制の効果を薄めるということも見のがすことができないわけであります。  いま大蔵当局の話だと、勉強の段階だと言いますが、私は、勉強の段階ではなくて、もう実行すべき段階が来ておる、こう思うのでございます。前の福田大蔵大臣も佐々木日本銀行総裁も、さきの国会において、よい案があれば実施をしたい、最近大平大蔵大臣もテレビの対談の中におきまして、金利の引き上げはやりたいという趣旨の発言をいたしたのでございます。大蔵省におきましても、日本銀行の当局においても、従来、私ども承知している範囲では、少額貯蓄非課税、いわゆるマル優の制度のワク内で預金金利を引き上げる方法を検討していたと伝えられておるわけでございますが、もう一度それが事実上断念をされた理由を明確にお答えを願いたいと思います。
  97. 高橋英明

    高橋(英)説明員 断念したということではございませんで、現在でも検討はいたしております。ただ、非常に技術的に難点があるのではないかということで現在ちゅうちょをしておる、こういうことでございます。
  98. 平林剛

    平林委員 技術的に難点というのは、どこですか。
  99. 高橋英明

    高橋(英)説明員 マル優の中で特別の金利をつけるというようなことをいたしますと、それが厳格に守られるということの保証をまずつけなければなりません。それで、そういったもののためには一人一人の身分といったようなものをはっきりさせることが非常に手数を要するというようなことがございます。  それからまた、郵便貯金もマル優と同じでございますので、マル優をいたしますと、郵便貯金のほうも全面的にしなければならないといったようなことがございます。そういうことで、これは郵便貯金のほうにも負担が非常に大きくなる。まあ負担だけで断念するわけではございませんけれども……。  それから、マル優の利用というものが金融機関の種類ごとによって違っておりますし、マル優のシェアが占められておるのが、農協とか、あるいは信用組合、信用金庫といった、どちらかといえば小規模の金融機関のほうが圧倒的に多いということから、負担がどちらかというと大きな金融機関よりは小さな金融機関のほうに大きく出てくるのではないか、そういったような問題等を考えましてちゅうちょしておる、こういうことでございます。
  100. 平林剛

    平林委員 特別の金利をマル優につけるということは厳格に守ることが困難だと言うが、現在マル優の制度は、少額貯蓄非課税という制度である程度定着しているのじゃないですか。それは銀行当局、金融機関と税務署との間の関係にあるものですから、マル優に特別の金利をつける以上に複雑なものであるのにかかわらず、ある程度マル優の制度は定着しているわけです。マル優のワク内において特別の金利をつけるということは、今度は銀行自身の負担増加になるわけですから、銀行自身がもっと厳格にやることができるので、実行上困難であるというのは、私は理由が納得できません。  それから、郵便貯金の負担という点がいまお話がございましたけれども、大体現在の物価上昇ということを考えて、消費者物価が二〇%も二五%も上がるというときに、六分だ、七分だということ自体がもうすでにおかしいので、国民の納得を得られるはずがないと私は思うのであります。  先ほど、マル優のシェアが、信用金庫とか信用組合とか、そういう小さなといいますか、比較的規模の小さい金融機関にもあって、その負担の増加のために問題があるというお話がありましたが、私は、この点はやはり一つの問題点であるということは認めます。しかし、中小金融機関の経営が困難になるからとかいうことで、預金者がその犠牲になるというのはいかがなものでしょうか。私はこの点は、中小金融機関の存立のために預金者が犠牲になるというのは、これは理屈にならない。この点を割り切るべきだ。経営困難にならないように措置する方法は全くないというわけじゃありません。  そういうことを考えますと、大蔵省がこうした問題についてなお勉強中の域を脱しないというのは、かなり問題があると思います。もちろん、国債発行による政府の金利負担が増大するという政策的なこと、財政的なことも考えなければならぬでしょう。しかし、国民の金を借りるのにまともな金利を払わないという理屈はないのですね。金利負担で困るというのなら、国債発行しないようにすればいいし、国債の発行を少なくすればいいわけでございます。国が借金をして、インフレになって得をしておるというような現状はむしろ改めるのがほんとうでございまして、理屈に合わない理由をもってこれを渋っているというのは、政府にやる気がないのじゃないかと疑われてもしかたがないと思うのです。  また、かりに金利を上げたために金融機関の経営が困難になって預金者保護に欠けるという理由がもしあなた方にあるならば、すでに預金保険機構が発足をしておるわけでありまして、預金は保険で守られているわけです。現在百万円ですから、百万円では足りないというなら、それをもっと上げればいいのでございます。  そこで、私はこの際、時間もございませんから、二回ほど大蔵当局ともいろいろ話を詰めてみましたが、その詰めた結果、試案でございますけれども、提案をしたいと思います。  私は、ただいま申し上げました理由によって、この際、政府は個人の定期性預金を対象にして、少額貯蓄非課税制度、つまりいわゆるマル優の三百万円のワク内で金利を引き上げる。ただし、一世帯は一人に限る。マル優というのは現在預金者の利用によって、また銀行の勧誘、金融機関の勧誘等によって、自分の子供とかきょうだいまで名義を与えてやって広がっておりますが、私は一世帯一人に限る、こういう制限をするということをしたらどうかと思っておるのであります。つまり、マル優だけを対象にして預金金利を引き上げるのは、大口預金とか法人預金を切り離して、個人預金を救うことができると考えておるわけであります。なぜかというと、大口預金あるいは法人預金の人たちは、どちらかというと金融機関を利用する度合いもかなりあります。現在、金利がかりに九%といたしましても、それを借り受けることによって、インフレ高進下にあってはある意味では相当の恩典を受けていることになるわけでございます。そこで、こうした法人預金、大口預金を切り離して、個人預金に限るということは理屈がかなう、こう考えておるわけであります。  次に、かりに個人の預金者でありましても、庶民金融の形で金融機関よりの融資を利用している者につきましては、これを除外することもやむを得ない。つまり、その範囲は小さく、額は小さくとも、ある程度インフレヘッジを果たしておるということになるわけでございますから、純粋に預け入れる人たちがインフレの高進によって俗にいう最も損をしておる、目減りをしておるということを考えまして、そういう限定をする。  次に、預金の金利は一年定期一〇%に引き上げる。この措置はすみやかに講ずる。  私、結論から申し上げましてこういう考えを持ったのであります。  勉強中であり、大蔵省は専門家でございますから、かなりの程度の研究が進んでおると思います。かりに私がいま申し上げたことを実行するとしたら、金融機関はどの程度の金利負担の増加になるのか、あらゆる問題を検討なさっておるからお答えができるものと思いますけれども、大まかな数字でもよいからお示しをいただきたいと思います。
  101. 高橋英明

    高橋(英)説明員 ただいま御提案の一世帯一人ということですが、これは全く試算でございまして、あまり権威のあることは申せないのでございます。と申しますのは、現在の個人定期預金の残高等は把握できますけれども、一世帯当たりというところでややぼけてきます。  また、特別の金利をつけるということをいたしますとおそらくシフトが起こるであろうということで、そのシフトをどの程度と見るか、つまり六割と見るか、七割と見るか、八割と見るかというようなことで違ってくるわけでございます。したがいまして、こうなるだろうというようなことはあまりはっきり申し上げられないのでございますが、無理に各種類別の金融機関ごとにシフト率というものを仮定しておきまして、たとえば都銀の場合が六割ぐらいかなというようなこと、それから地銀が七割とか、そういう仮定でまいりますと、大体その利回りの上昇幅が二ポイントぐらい上がるのではないかという感じでおります。これは預金利回りでございます。個人の定期性預金の預金利回りが二ポイントぐらい上がるのではないか。そうしますと、全体の預金利回りとしては、個人の定期性預金のシェアによって違いますが、半分とすればこれも一・五とかあるいは二ポイントぐらいというような感じになるのではなかろうかと思います。  そういうことで、そのぐらい上がりまして、かりに貸し出し金利のほうを全然響かせないというようなことになりますと、金融機関の種類によって違いますけれども、少ないところで経常利益の六割ぐらいが消えてしまう、あるいは多いところでは一〇〇%こえて消えてしまうのではないかというような試算が一応できます。しかし、これは必ずしもこのとおりになるということではございませんし、また預金利回りが上がった場合に、貸し出し金利に全然響かせないで座して死を待つというような金融機関の経営もないと思いますので、こういうふうにはならないと思いますけれども、かなりの負担増になることば確かでございます。  ただ、先ほど先生が、中小金融機関の負担増になるから預金利回りを上げるということをちゅうちょしているのではないかというような御指摘がございましたが、それは必ずしもそればかりではございません。そういう面ももちろん配慮しなければならぬ点ではございますけれども金融機関を助けるために預金者に犠牲をしいるというようなことは許されませんので、そういう考えは捨てなければならぬと思っております。ただ、金融界にたいへんな混乱がすぐ起きるというようなことはさせるわけにはまいりません。その辺は、現実の秩序といったものと預金者にはできるだけ還元しなければならないというものとの調和をとりながら考えていかなければならない、そのように考えておるわけでございます。  それから、預金保険機構は現在は三百万円まで、マル優と同じことになっております。
  102. 平林剛

    平林委員 私がいま試案として申し上げました考え方を実際に実行する場合に、金融機関の負担すべき金額について一体どうなるか、これはいま口頭でお話がありましたが、どうもその説明は私は納得できないものがあります。そこで、この試案について実際上どうなるかというもっとこまかいデータをまとめて御提出をいただきたいということをまず注文しておきます。  そこで、私が納得できない理由を少し申し上げます。  その前に、現在行なわれているマル優の制度は、各金融機関、これは大きく分けていいです、都銀、地銀あるいは信用金庫、信用組合、農協、郵便局、いろいろあると思いますが、どういう割合になっておるかというその現状をまずお話ししていただきたい。私はそれを基礎にして若干の質問をしたいと思います。
  103. 高橋英明

    高橋(英)説明員 マル優の利用率でございますが、これは個人の預貯金を分母といたしまして、マル優がどのくらい利用されておるかといいますと、銀行で四三・三%でございます。それから相互銀行で五一・三、信用金庫で四〇・七、農協で五六・六というのが個人の預貯金の中でマル優になっておる比率でございます。
  104. 平林剛

    平林委員 そこで、やや具体的にお尋ねいたします。  いま信用金庫の場合にマル優の利用率は四〇・七%、私はもっと低く三七%と、こう見ておったわけであります。しかしかりに四〇・七%とすれば、信用金庫の定期性預金は七兆六千三百六十七億円、これは四十九年の三月末の数字である。そのうち四〇%と仮定をいたしますと約三兆円でございます。相互銀行はただいまのお話で五一・三%と言われましたが、私は大体四六%程度に承知しておりました。そこで相互銀行の定期性預金は四兆八千五百六十一億円であります。そのおおよそ五〇%というのは二兆数千億円程度になるかと思います。こまかいところまではけっこうですけれども、おおよその数字は間違ってないと思いますが、いかがですか。
  105. 高橋英明

    高橋(英)説明員 ただいま私が申し上げました。パーセントは、個人預貯金の総額に対するマル優率でございます。ただいま先生がおっしゃいましたたとえば信用金庫の七兆六千億というのは、個・人の定期預金でございます。したがってこれを分母にいたしますと、先ほど私が申し上げました四〇・七というのは五三・二になります。それから相互銀行の四兆八千億とおっしゃいましたのは、個人の定期預金でございます。これを分母にマル優の利用率をはじきますと六七・一ということになりますので、もう少し金額はふえると思います。
  106. 平林剛

    平林委員 マル優の実態について、日本経済の社説の中だと私は記憶しておるのですが、預金残高全体の六分の一程度になるだろう、こういう推定がありました。私は、これから推計をして先ほど申し上げた信用金庫関係でおおよそ三兆円、少しふえるかもしれないというお話がありましたが三兆円、相互銀行において二兆円を少し上回る、こういうふうに実は推定をいたしたわけでございます。  そこで、先ほど言いましたようにマル優の制度は定着はいたしておりますけれども、必ずしも一世帯一人ということではなくて一世帯で二人ないし三人、多くて四人という形で、まあ金融機関と預金者との相互関係がございますけれども、ふえている。したがって、私が提案をいたしました三百万円のマル優のワク内において一世帯一人に限るということになれば、対象とするいわゆるマル優の預金金額というものはただいまあげた数字よりもっと少なくなると見ておりますが、いかがですか。
  107. 高橋英明

    高橋(英)説明員 少なくなると思います。
  108. 平林剛

    平林委員 そのとおりです。したがって、私は、零細なというか、中小金融機関を中心にものを考えてみたいと思います。この場合に、私があげたのは、信用金庫に三兆円のマル優があり、かっこれはこれよりも少なくなるだろうという推定の上に考えます。かりに三兆円にいたしまして一〇%、一年定期を実現するといたしますと、現行よりおおよそ三%程度上積みになってくるということになります。その金額は、概算でありますがおおよそ九百億円に推定をいたします。ところが、中小金融機関の年間の利益率から見ますと、半期におきましてもかなりの程度の収益があるわけでございますから、私は、先ほどもし預金金利を引き上げればその金融機関の利益率が一〇〇%をこえて消えるというお話がありましたが、これは納得できないという理由なのであります。  同じように、相互銀行関係におきましても、二兆円と数字をあげましたが、私の推定ではそれより下回ります。そして相互銀行関係の年間利益というものを考えてみますと、この私の試案による金利負担よりもはるかに下回るということになりますから、実現可能である。  都市銀行の中におきましては、もうすでにみずから複利計算によるところの試案を出され、そして伝えられるところによると、みずから一〇%程度の金利引き上げを実現したいという要請を大蔵省関係に働きかけているという現状から考えてみまして、私は金融機関の中においてもそういう機運が生まれつつあると考えておるわけであります。数字で言いますと、都銀、地銀では、都銀においては四十八年度下期で千九百五十一億円の経常利益をあげております。年間にいたしますと三千八百億円をこえる。地銀においても千八百十六億円の経常利益をあげておりますから、年間にすれば三千六百億円になるわけであります。私があげた試案程度の金利負担は、この経常利益の中に占める割合というのはかなり少ない。先ほどおあげになった六〇%は絶対にいきません。もっと少ない金額で実行可能であります。  そういうことを考えますと、私は結論から申し上げます、勉強の段階ではなくて、すみやかに実行すべき段階である。  以上、私は自分の考え方を述べまして、これについて大蔵省は専門家でありますから、私の試案に対してあらゆる角度から検討した数字を、私のあげた数字が間違っているならばどこで間違っておるか、こういう点について資料として御提出をいただきたい。本来、きょう私は大蔵大臣に直接おいでをいただいてお伺いをしたかったのでございますが、諸般の事情から銀行局長においでを願ったわけでございます。そこで、この私の試案を大蔵大臣に報告するとともに、すみやかに大蔵省の結論を得るように努力をするということをお約束いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  109. 高橋英明

    高橋(英)説明員 ただいまの御提案、建設的な御意見でございますが、これをもちろん大臣には報告いたします。それから、私どももできるだけ検討をしてみたいと思います。
  110. 平林剛

    平林委員 この物価特別委員会の決議九項目全般を含めて、経済企画庁長官、ひとつ意のあるところをあれして努力をするとおっしゃられましたが、何かお考えがありましたらお伺いいたしたいと思います。
  111. 内田常雄

    内田国務大臣 物価に関する先般の国会における当委員会の御決議は、私は皆さま方のいろいろなお考えを集めた筋のあるものであると考えます。経済企画庁は大蔵、通産省のように個別の行政をいたしませんけれども、当委員会の御決議と同じような立場に立って、御決議の事項の実現方につきましていろいろまた構想を進めてまいりたいと考えます。
  112. 平林剛

    平林委員 どうもありがとうございました。
  113. 井岡大治

    井岡委員長代理 松浦利尚君。   〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、午前中に引き続いて質問をいたします。  主として公共料金消費者米価について、経済企画庁長官並びに食糧庁長官にお尋ねをいたします。  午前中の質問の冒頭、現在行なっておる引き締め政策を続けていけば、公共料金値上げ物価全体を暴走をさせることはないんだ、こういう点について質問をいたしましたが、長官は、極力物価狂乱にならぬように手を打ちながら、ある程度の公共料金値上げというものは認めざるを得ないというような御発言があったわけでありますが、今回軒並み参議院選挙後の公共料金引き上げが行なわれてきておるわけでありますが、おそらく公共料金主導型の第三次物価狂乱が到来するのではないかということを私たちは実は非常におそれておるわけであります。  現に、先ほどいろいろ物価局長からも指数の御説明がございましたが、卸売り物価の六月前月比が騰勢に転じてきた理由といたしましては、やはり公共料金、特に小康状態を保ちつつあったものが電気料金その他の問題が引き金になって騰勢に転じてきたんだという解説が出されておったと私は記憶をするのでありますが、従来の卸、消費物価ともに騰勢から鎮静化の方向にたどりつつあるが、対前年度で比べていけば、依然として高い水準を保っておる。ですから、私はいまほど強力な物価対策が必要なときはないと逆に思うのです。ということになれば、公共料金等の引き上げというのは少なくとも慎重でなければならぬはずであります。ところが、御承知のように国鉄料金値上げもすでに凍結解除して閣議で値上げを認めております。あるいは私鉄運賃、バス等のローカル線等につきましてもすでに値上げを認めておられる、東京瓦斯の料金の値上げも認められる、十月一日からは消費者米価の大幅な値上げがすでに予定をされておるというようなことを考えてまいりますと、いませっかく鎮静化の方向をたどりつつあるものが、逆に物価騰勢という方向に拍車をかけるという危険があるのではないか。その点については経済企画庁長官として、そういう御判断は立っておられるのかどうか、もう一ぺんそのことについて具体的にお尋ねをしておきたいと思うのです。
  115. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、二つの問題があると思います。  公共料金は、たびたび申しておりますように、これまで抑制的な立場を堅持をいたしてまいりまして、いま御指摘の米価にいたしましても、また国鉄にいたしましても、予算やあるいは国会の法律で一度きまりましたものを、あえて半年間おくらせるようなことをいたしてまいりましたのも、昨年からことしの初めにかけての狂乱物価のさなかにおける公共料金値上げというものをぜひ避けたいという私どもあるいは私のほんとうの気持ちからこれをやってまいりましたわけでございまして、したがって、この十月から国鉄、米価などにつきまして既定の値上げが起こることは、これはやむを得ないと思います。しかし、やむを得なということは野放しでやむを得ないということではございませんで、時期的にもそのようにぎりぎりまで持ってまいりましたし、また値上げ幅などにつきましても、いろいろ新しい要素もございましょうけれども、それらの新しい要素はでき得る限りこれはまた先に送りまして、値上げ幅も押えるというたてまえをとりながら公共料金の認可をせざるを得ないというわけでございます。もしこれをしないならば、たびたび申しますように、それらの企業体の活動というものが、停止はしないまでも非常に円滑を欠くことになりまして、物的、量的のサービスの提供というものが円滑を欠きまして、国民生活に非常な御迷惑を与えることになる、こういうことを思うわけであります。  第二番目には、そのような公共料金のやむを得ざる、また抑制した幅における改定をいたしました際に、再びこの秋以降狂乱物価が起こるかということにつきましては、私はそうはならないと思います。元来、昨年の暮れからことしの春にかけましての狂乱物価というものは、物不足の状態でありましたのと、さらにまた、先取り値上げというものが事実私はあったと思うわけでございますが、公共料金につきましては先取り値上げというものは全くないわけでございますし、それからまた、公共料金を押えますことが、物不足といいますか、サービスの提供の不足を来たすわけでありますから、昨年の暮れからことしの春にかけての事態と同じような事態を今後の公共料金改定によって引き起こすものではないと考えます。また、これらにつきましても、他の一般的の要素から参る卸売り物価消費者物価値上げ状況などをも観測をいたしながら、これは変なことばでありますけれども、その間にモダレートな形で物価鎮静をするようなふうに公共料金値上げの時期などもあんばいをしてまいる、こういうことに私どもつとめておりますので、おことばを返すような形になって失礼でありますけれども、私は、狂乱物価は起こらない、また起こしてはならないということで対処をしてまいるつもりでおります。
  116. 松浦利尚

    松浦(利)委員 結果が起こってからではもうおそいわけでありますが、現に私たちがこの委員会で、電気料金引き上げのときに通産大臣もおいでいただいて相当いろいろな議論をしたわけでありますが、そのときに、影響はもうないんだ、消費者物価に対する影響というのはほとんどないんだ、こういうお話があったと思うのです。ところが、現実にこの指数にあらわれてきた内容を見ますと、電気料金の引き上げというものは、二%程度の消費者物価を押し上げておるという影響がやはり出てきておるんですね。ですから、いま政府で考えておるのは、そのものだけの指数で計算をしますと確かに影響は小さいのでありますけれども、それが波及する効果というのは、私ははかり知れないものがあると思うんですね。通産大臣が先ほど午前中にも言っておられたように、心理的な波及効果というものも出てくるわけですね。そういった意味で、物価が押し上がってくるということは私は否定できないと思うのです。  ところが、私は政府部内の考え方に若干ズレがあるのじゃないかと思うんですね。それば、大平大蔵大臣消費者米価値上げ問題をめぐりまして、消費者米価引き上げことば需要抑制の効果を生むからいいんだということを、新聞記者会見でしたか、どこかで発表したんですね。確かに、そういうふうに生活必需品である公共料金その他の値上げをすると、その値上げした分だけ個人消費が押えられるから需要抑制効果があるんだということを大蔵大臣は言ったと思うんですね。発言の中に、手段と目的が混同しているわけです。  それともう一つは、大臣鎮静化しつつある、こう言っているけれども、大蔵省の高木事務次官が、就任した際の記者会見談話では、来春までは公共料金引き上げ等があって、物価鎮静させることは非常に困難だ、いつどういう政策をとったかということが今日では問題なんだ、そのことのひずみを是正することが先だというような発言をしておられるんですね。  ですから、かりに大平大蔵大臣の言う考え方が妥当だとすれば、個人消費を押えるという意味の効果としての公共料金引き上げなんというものは一方的にどんどんやる。そうすると、逆にそういう大蔵大臣の発言とうらはらに、事務次官は、いや、来春まで物価公共料金引き上げ等があるから鎮静化しないだろう。一体どれが政府の見解で正しいのか、非常に国民は不安に思っておると思うのですね。大平大蔵大臣の言うことが政府全体の筋だとするなら、私はそれはそれではっきりすればいいと思う。個人消費を押える、需要抑制効果があるんだから公共料金を上げますよ、こういうふうにきちっと統一して言えばいい。ところがそうでもないらしい。  経済企画庁長官物価担当大臣ですからそういう極端なことは言われない。しかし公共料金引き上げ企業の健全な発展のためにはある程度やむを得ぬのじゃないかと思うという程度で言っておられるのですね。一体大平大蔵大臣の言っておられる言を物価担当大臣としては是とされるのか、その点が一つ。それから高木事務次官が言っておるような、どうも来春まで物価鎮静させることはむずかしいという判断が正しいのかどうか。公共料金引き上げを前にして、その二つの点について大臣のほうからひとつ物価担当大臣としての見解を述べていただきたい。
  117. 内田常雄

    内田国務大臣 大平大蔵大臣消費者米価引き上げの問題に関連して、いま松浦さんから御指摘のような御発言があったことは、私は正直に言って知りません。しかし、新聞でちらりと見ましたが、そのことについては、私は大平大臣じゃございませんから、ここで彼の言うことが正しいとか間違ったとかいう批判はいたしませんけれども、いまあなたが私について申されたとおり、物価の基本に関することは私が指導的使命を持っておると自負いたしておりますので、私は大蔵大臣とは別の立場をもちまして、公共料金あるいは消費者米価の問題につきましては対処いたしてまいる所存でございます。  高木大蔵次官の言につきましては、これも私は高木君から直接そのような話は聞いたことはありません。あれは主税局長から次官になりましたことでございますし、そんなに当時物価のことも詳しくないので、減税の問題と物価の問題を間違えて考えたんじゃないかとさえ思うわけでございまして、そのことについては私はとやかく申しませんけれども、私の立場は先ほど来申すとおりでございます。
  118. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、物価問題というのはそう簡単に軽々しく発言してもらっちゃ困ると思うのですね。経済企画庁長官が私は物価担当大臣だと思うのです。にもかかわらず、大蔵大臣に横すべりしたからうれしかったのかどうかは別にして、とんでもない発言をする。そしてそのことが逆に、個人的な見解だけで終わるんじゃなくて、少なくとも大蔵大臣という国務大臣の発言でありますから、しかも大きく新聞に出れば、国民というのは非常に動揺を来たすのです。私は大蔵大臣の発言は間違っておると思うのですが、しかし、そのことを経済企画庁長官は新聞でちらっと見られた程度でありますから、この際閣議で真意を確かめていただいて、間違っておるところはやはり間違っておると指摘をしておいていただかないと、物価対策というのはばらばら対策で終わるんじゃないか。公共料金引き上げを前にして、いろいろ経済企画庁長官消費者米価引き上げでは御苦労なさっておることも知っておりますけれども、大蔵大臣あるいは農林大臣あたりはどんどん引き上げろという主張をしておるやに報道されておるのでありますから、そういった意味ではぜひ統一した態度をとっていただきたいと思うのです。これは希望であります。  もう一つ大臣にお願いしておきたいのは、経済指標ですね。ある程度こういった物価鎮静する方向に来たいまこそ、政策目標としてのたとえば消費者物価指数卸売り物価指数、こういった経済指数を再検討するためのやはり経済見通しの再検討を、私はもう経済企画庁でしておると思うのでありますが、すべきだと思うのです。  現に四十九年度の見通しの経済指標の修正はいたしたのでありますけれども、私は再々修正が必要だと思うのですね。そうしておかないと、あれはただ政策目標だからということで——この前も、四十八年度も私は議論をしたのですけれども、そういう政策目標というものをほんとうにぴしっとしておいてもらわないと、青空にしてしまいますと、極端に言うと何のための政策目標かわからなくなるのです。ですから、おもな経済指標の修正を一ぺんしたわけですけれども、私はもう一ぺん国民の前に、政策目標としては四十九年度にここまでやるんだという目標数値というものを示すべきだというふうに思うのです。もうすでにそういう作業に入っておられるのかどうか、作業に入っておられるとすれば、いつ手直しの指標の修正、発表ということになるのか。その点も、この際、公共料金引き上げの前でありますから、引き上げる前にひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  119. 内田常雄

    内田国務大臣 もっともな話でございまして、経済見通しにつきましては、状況はどんどん変わってまいりますので、私どもはその変わる状況に応じて、今後の指標としても経済見通しというものは適当な時期にさらに改定をいたしたいと思います。  ただ、物価の今後の見通しばかりではありません、経済成長というようなものにつきましても、御承知のとおり金融引き締め、総需要抑制というものは非常に有効に働きまして、一−三月は経済成長がマイナス五でありますとか、また四月−六月は、これはまだ実績がまとまっておりませんが、けさほどもちょっと申しましたように、それは一−三のマイナス部分を取り戻すような勢いで上昇をしているような状況では決してありませんけれども、四−六の実績さえもまだ出ない際にそういうような指標を独立してばらばらに手直しすることもいかがかと思います。特に、国際収支などにつきましても、最近また考えなければならない問題も生じておりますので、それらはいろいろ総合的にまとめまして、必要な適当な時期に手直しをして、ごらんに入れて御批判をいただくようにいたしたいと考えて準備をいたしております。
  120. 松浦利尚

    松浦(利)委員 くどいようですが、その時期はいつなんですか。十月までには出せるわけでございますか。
  121. 内田常雄

    内田国務大臣 これは例年でございますと、大体明年度の予算の編成のときぐらいまでに一応の見通しを出し、さらにまた編成が終わる段階におきまして、予算における財政の、物資、サービスの購入というようなものは経済成長、国民総支出などに大きな影響を来たしますので、それらと関連をいたしましてさらに改定をするというようなことが例になっておるわけでありますけれども、そういうことも考えながら、経済企画庁は単に行政の準備官庁だけではないと思いますから、むしろいろいろなエコノミスト官庁としての立場、性格もございますので、それよりも早めて見通しの修正できる概算のようなものは、出し得るならば出したいと私は考えます。
  122. 松浦利尚

    松浦(利)委員 できるだけ早く——早くといっても非常に作業の要することですからあれですが、現にもう作業をしておられるということですから、できるだけ早く国民の前に示していただきたいと思います。  それで、もうあと時間がありませんから、消費者米価問題にしぼってお尋ねをしたいわけでありますが、食糧庁長官にお尋ねをする前に、まず、経済企画庁長官と大蔵大臣と農林大臣との間で、いや四〇%上げろ、二〇%上げろという話があるわけですが、消費者米価引き上げについては先般の生産者米価閣議決定の際の農林大臣談話、この中に消費者米価引き上げを示唆することばが入っておるわけです。「食糧管理制度の円滑な運営を図る見地から、その是正につき早急に検討を進めたいと考えております。」という、閣議決定についての農林大臣談話が出ておるのですね。ですから、この際生産者米価も大幅に上がったことだから、消費者米価はもう何が何でも上げなきゃならぬ、こういうことでございますか、その点をひとつ簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  123. 内田常雄

    内田国務大臣 農林大臣の談話は、私が相談に乗っているわけではございませんけれども、その談話の基礎となるものには、特に私の考え方として、家計費、物価その他の経済事情をしんしゃくしつつ、あるいは考慮しつつというようなことばを厳粛に実は私から申し立てをいたしておるわけであります。それは農林大臣も十分御承知でありますので、私がいま述べましたようなことばの趣旨にも立ちまして、先般来大蔵大臣、農林大臣とも、消費者米価のあり方、これは数字をもっていまあなたがおっしゃったように二〇%でなければならぬとか何十%であってはならないとかいう詰めはいたしておりませんけれども消費者米価をきめるべきあり方というようなことにつきましてだんだんと実は話を詰めておる段階でございます。
  124. 松浦利尚

    松浦(利)委員 お尋ねしますが、先ほど片岡委員からもきびしく国防費になぞらえて、それに匹敵するものだから出せ、政府が見ればいいじゃないか、一兆ぐらい何だと、こういう発言があった。私はまさしくそのとおりだと思うのです。  そこで、この際食糧庁長官にお尋ねしたいのですが、いまの食管のたてまえからいけば、赤字が出ることが当然な仕組みになっておると思うのですが、その点は間違いないでしょう。
  125. 三善信二

    ○三善説明員 御承知のように、現在食管の赤字というのは一兆をこす膨大な赤字になっておるわけでございます。それで、お尋ねの食管法のたてまえから制度的に赤字が出るようになっているのではないか、そういうお尋ねでございますけれども、この赤字の原因を申し上げますと……(松浦(利)委員「いいです、簡単に」と呼ぶ)一つは、私は、結論的に申し上げますれば、制度的に赤字になるようになっているとか、あるいは制度的に生産者米価と消費者米価が完全に遮断された別個のものであるというふうには考えておりません。と申しますのは、食管法で生産者米価のきめ方は書いてあるわけでございまして、また片や消費者米価のきめ方、家計の安定を旨としてきめる、生産者米価は再生産の確保を旨としてきめる、こういうことになっておりますけれども、その中にはやはり物価とか経済事情とか、そういうのを当然参酌してきめることになっているわけでございまして、そういう意味で両米価というのは、これはやはり私どもとしては関連はあるというふうに考えております。制度的に二重米価とよくいわれますけれども制度的にはそういうことになっているとは考えておりません。
  126. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃおかしいんじゃないですか。それでは、食管会計で赤字が出ること自体がおかしいわけですか。制度上赤字が出たらおかしいわけですな。
  127. 三善信二

    ○三善説明員 そこで、先ほどちょっと申し上げようと思いましたけれども、その赤字の原因というのはどういうことでなっているか。御承知のように、生産者米価につきましてはやはり生産費、労賃や生産資材等の上昇を踏まえまして、生産コストというのが上がっておるわけでございますから、そういうのを踏まえて再生産を確保するために生産者の米価というのはきまる。片や消費者米価につきましては、やはり物価政策の観点、そういった面で据え置かれてきておる面もございますし、その点非常に生産者米価と消費者米価、この価格の中に逆ざやになっているというわけでございます。その逆ざやが膨大な食管の赤字になっているということでございまして、ただどの程度を財政的に負担をしていくか、そういう問題は当然あろうかと思います。所要の財政負担というのも、これも私は必要だと思いますけれども、本質的には、やはりたとえば売買の逆ざや、末端で消費者が買われる価格政府の買い入れる価格、こういった差額の末端逆ざや、この末端逆ざや程度は少なくともできるだけ早く解消をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも食糧庁長官、あなたの話を聞いておると、赤字を埋めることのほうが正しくて、赤字を出すことは間違っておるように聞こえがちですけれども、私はやはり制度上逆ざやになるというのはこれは政策だと思うのですね。逆に言うと、食管という法律のたてまえからいえば逆ざやが出るのですよ。赤字になることが初めからはっきりしておるわけです。そこにやはり政策というものがあるわけでしょう。  そこでお尋ねしたいのですが、もう端的に答えてください。食管会計の赤字はゼロでなくてもいいのでしょう。赤字があってもいいのでしょう、いろいろなことはもう抜きにして。あってもいいと思っておられますか、困ると思っておられるのか、その点聞かしてください。額の問題じゃない。赤字が出ることは間違っておるのか、結果的には赤字が出てもいいのでしょう。
  129. 三善信二

    ○三善説明員 簡単に答えろということでございますけれども、これまで食管会計の赤字、これはコスト逆ざやもない場合もございますし、売買逆ざやがないという場合もございますし、末端逆ざやがない場合もございます。最近は、私が申し上げておりますように、末端の逆ざや、これが非常に多くなってきたということでございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、その赤字と申しましても、やはり食管の制度上、政府の管理経費とか、そういった一つの所要の経費等まで全然財政負担する必要がないというようなことを現段階で考えているわけではございません。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ちょっと時間がないので突っ込んで議論できないんですが、要は、食管が現在末端逆ざやが出て、今度の生産者米価引き上げに伴って約五千六百十億、従来からの赤字を累積すると一兆七百九十億円ぐらいの赤字になる、だからこれを埋めなければいかぬ、こういう端的な発想で考えた場合、一体それでは食管の赤字は幾らまでは財政負担をして、幾らぐらいは消費者に負担をさせる、国民に負担をかけるという、そういった一つのめどというのがあるわけですか。昨年の四十八年度の米価決定の際は、三分の二を国民に負担をしてもらおうというような意見があって、三分の一を財政負担にしようじゃないかということに大体米審あたりでも話があったというふうに私は聞いておるんですがね。一体、どれくらいは国民に負担をしてもらう、どれくらいは財政負担をするという、そういうおおよその方針というのが現存しておるわけですか。政府にあるわけですか。もう、あるかないかだけでいいです。
  131. 三善信二

    ○三善説明員 先ほどから申し上げておりますように、私どもがいま考えておりますのは、この末端逆ざや、これは玄米一俵当たり四千七百九十三円ございます。その末端逆ざやにつきましては、少なくともできるだけ早く解消をしていきたい、いま一挙にこれを解消するということも含めまして、できるだけ早い機会にこれは解消していきたいというふうに考えているわけでございます。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 経済企画庁長官にお尋ねをしたいんですが、いまの食糧庁長官の話を聞いてますと、あんな話を聞いておると、消費者米価を据え置くなんという発想はもう全くないわけですね、食糧庁長官自体にも。逆に言うと、末端逆ざやを早く解消することだけにきゅうきゅうとしておるわけなんですね。私はこれはたいへんな問題だと思うのです、国民の主食ですからね。国民の主食を、生産費が上がって生産者米価が上がったから、上がった分は全部国民に負担をしてくださいという短絡した発想に通じていくと思うのです。食管会計の赤字はいかなる理由でもゼロにせないかぬ。しかし、職員の給与とかなんとか管理費の関係があるから、この分だけは、管理費の関係は財政支出でいく、職員の首を切るわけにいかぬですから。そういう発想でいくと、私はもう食管会計なんというのは必要がなくなってきておるんじゃないかと思う。逆に言うと、自主流通米主導型の米価対策というものにもう転換をしておるんではないか、結果的に短絡的にものを発想しますと。  そこで、経済企画庁長官にお尋ねをしたいのですが、要は、末端逆ざやが起こってきたからといって、短絡的に消費者米価引き上げるというようなことをすれば、国民の生活に重大な影響を与えるばかりでなく、物価に対してもたいへんな大きな影響を与えると思うのですよ。私は食糧庁長官からあんな短絡した発想を聞こうとは思わなかったのですけれども経済企画庁長官、ひとつその点をはっきり長官の立場からお答えをいただきたいと思うのです。
  133. 内田常雄

    内田国務大臣 これから問題になりますのは、消費者米価、国民が幾らで政府の管理する米を売ってもらうか、直接家計から支出される米の対価ということになりますので、私はその見地に立ちまして、先ほども触れましたように、家計でありますとか、一般物価の趨勢その他の経済事情というものを念頭に置きまして、合理的に消費者米価をきめるような立場をとってまいりたいと思います。  しかし、米は、幾ら生産者米価としてきめられても、消費者米価は全然別であって、その間赤字が何千億あるいは一兆をこえるようなことになってもかまわないのだということも、財政の立場も顧慮をしなければならないことも私はよくわかるわけでございますので、そういうことも顧慮しながら、前段私が申し上げましたような立場に立って適正にきめてまいる、いろいろお話しすると長くなりますが、そのような立場で私はやってまいるつもりでございます。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、私はぜひこの際提言したいと思うのです。  食糧庁長官、農林大臣が盛んにわいわい騒ぐのは、農林行政の予算の中で米価というものも総括してやっておるからいろいろ議論をするので、この際、米価というもの、特に食管から出る末端逆ざや等を含めた赤字というのは農林予算から別個にはずして、そして予算問題を検討する、農林行政のワクからはずして、食管というものについては検討を加えていく、予算措置をしていく、そういう発想の転換ができないのかどうか。やはりいままで消費者米価を据え置いてきたり、あるいは末端逆ざやが出るような仕組みをしてきたということは、それはあくまでも政策的な政府のとってきた態度だと思うのですよ。ということになれば、私は、政策的な意味でそういう一兆幾らの金というのは別ワクに扱っていく、そういう農林予算からはずしていくという発想に立てないものかどうか。そうすればおのずから大蔵省当局あるいは農林の発言というものも変わってくると思うのですね。いまは一つのワクの中なものだから、赤字はなくさぬといかぬという、何か大蔵大臣の演説みたいなことを長官が言うのだと思うのですね。それはどうでしょう。できないでしょうかね、そういう発想は。
  135. 三善信二

    ○三善説明員 先ほど私申し上げましたように、消費者米価の場合には、消費者家計の安定についてもこれは当然配慮してきめることになっておりますので、先ほど経済企画庁長官が言われましたような点も、これは消費者米価をきめる際にもそういう点は当然考えるわけでございます。  それから、いま農林予算の問題をおっしゃいましたけれども、農林予算というのをどういうふうに性格づけをするかという問題がございましたけれども、食糧の管理、これは二通り意味があると私は思うのですよ。一つは、やはり消費者に対して家計の安定を旨として定めたこの価格供給をする。それは国民の食生活の向上や安定を維持するという面が当然あります。片や、この食糧の管理というのは、生産者に対しては再生産を確保するということを定めているわけです。したがいまして、当然農家経済との関係というのも出てきますし、農業の生産対策や構造対策との関連というのが当然出てくるわけでございます。そういう面があるわけでございますから、農林予算というのをどういうふうに性格づけするかという問題があろうかと思いますが、やはり食管の役割りの関係から見て、これをほかの予算でこうするということもどうかという感じはいたしております。  いずれにしましても、農林予算の中でこの食管の一般会計からの繰り入れというのが相当膨大になっておりますし、農林省の内部としましては、これから生産を伸ばしていかなければいけないような作物、そういうものに対してやはり今後重点的に予算をつけていくという問題もあるわけでございます。そういう関連において、私は、食管の一般会計からの繰り入れということは、先ほど申しましたような観点から考えていく必要があろうかと思っております。
  136. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣に聞いているのだから、食糧庁長官、あなたが政策的なことを答弁をする資格はないわけだよ。あなたは赤字をなくそうという方向なんだから。赤字、逆ざやが出ないように、出ないように、だから消費者米価も上げると、あなたはさっきから言っているのだから、あなたに聞いたって始まらないのだよ。だから経済企画庁長官に聞いているわけだから。あなたのほうで農林予算のワクの中で考えているから、いろいろがたがた言うのでしょう。それならもうはっきり農林予算のワクからはずしてしまったらどうか、こう言っているのですよ、政策的なものも入ってくるのだから。国民の主食であり、先ほど片岡委員は、国防費に匹敵するような、同じようなものだから、別に一兆ぐらい出したってかまわないじゃないかとまで言い切っているのです、与党の議員が。それを受けて私は、だから農林予算からはずして、これは農林予算と関係のない国民生活安定の予算なんだという意味で、別ワクに財政支出というものを検討したらどうかという提起を、いま経済企画庁長官にしているのです。それを、赤字をなくすあなたが一生懸命答弁してもらったって困るよ。大臣から答弁してください
  137. 内田常雄

    内田国務大臣 松浦さんのお話、私にはよくわかります。わかりますが、食糧管理特別会計というのは、農林省の一般の農政予算とは別の特別会計になっておりますから、それを農林省の所管からはずして大蔵省にまっすぐに持っていきましても、これはわけは全く同じでございまして、食管会計というものは食管会計で、先ほど松浦さんが言われたように、この問題は自主流通米ベースにして、食管制度というものはやめてしまったほうがいいということにもなりませんので、やはり配給を確保したり、生産を確保したり、あるいはまた国民のそのための消費支出を家計レベルにおいて安定させる、そういう見地からも食管会計というものはあったほうがよろしい、それを農林省に抱かしておりましても、農林省はそれによりまして農林省の他の一般の政策予算と混同して考える必要もない、かように思います。  ただ、この赤字というものは、今度の生産者米価は御承知のように外ワクまで入れますと三七・四%、内ワクだけでも三二・二%上げましたから、御承知のように六十キロ当たりの政府の買い上げ価格が一万四千数百円、一万四千百五十六円でございましたか、売り値のほうは、従来の値段によりますと一俵当たり七千何百円ということになっておりますので、買い値の約半分ぐらいの値段に安くして、そうして国民に供給をいたしておるわけでありまして、その差額というものばすべて税金で出されておるわけでございます。一方、減税の問題もあるし、その税金はだれが負担するかという問題もありますので、財政問題を離れてば考えられない面もありますので、私といえども、食管会計の収支がどのようになってもかまわないということでは全くございませんで、私も政府の一員でありますから、食管会計における財政の状況を考えながらも、たびたび申し述べておりますように、それは家計費あるいは物価その他経済の事情も勘案して、これは物価政策の基本になるわけでありますから、私は私なりに一つの筋の通る立場をもって対処をいたしていくというわけであります。  誤解があってはいけませんからもう一口申しますと、私のほうは物価庁のようなものだと思われましても、たとえば一般の鉱工業製品等の標準価格であれ、あるいは米の値段であれ、あるいはその他の公共料金であれ、私のほうがきめるものではありませんで、各所管庁がきめる。私のほうは物価政策の基本に関する事項を調整し、あるいは立案する、こういう立場でございますので、私が独走してしまいましても、私にきめる権限はありません。いろいろ大蔵大臣の言うことも十分尊重し、農林大臣のおっしゃることにも耳を傾けながら、経済企画庁として松浦さんの御激励にもこたえる、こういう立場にありますことも、これは釈迦に説法でございますが、あわせて御了解を願います。
  138. 松浦利尚

    松浦(利)委員 四月一日から九・八%引き上げる米価を、十月一日まで政府は引き延ばしましたね。私はこれは政策だと思うのですよ。ですから、そういった意味では、政策というものを加味していくなら、大蔵省がいうように四〇%以上の数字などというのは出てこないと思うのですね。いまいみじくも食糧庁長官が言ったように、赤字を早くなくそう、国の財政負担を少しでも少なくしょうという前提から発想していくと、それはやはり赤字をなくそうということで消費者米価を上げよう、こういうことに短絡的に通じていくわけですね。だから私は、生産者米価を上げた、そのこがイコール消費者米価にはね返らないようにするというところに政策というものがいままでもあったし、これからもなければならぬと思う。政府のほうで上げないでおこうと思えば上げないでい仕るわけです。財政支出を別に求めればいいわけでしょう。先ほどから指摘しておるように、一応鎮静化の方向に進みつつある段階に来て、いま急激に消費者米価を上げたら全体的に波及をして、価に物価狂乱の引き金になるかもしれぬという、拙費者米価はたいへんきわどいところでしょう。私はこの際、十月一日引き上げなどということは思いとどまっていただきたい。物価担当大臣として、現在消費者米価引き上げることは適切でないという主張をこの際閣議その他でも強くしてもらいたい。私は国民の代表として経済企画庁長官にお願いをいたします。長官のお返事をいただきたいと思います。
  139. 内田常雄

    内田国務大臣 松浦さんの御発言、私も十分心にとめてまいります。生産者米価の引き上げに応じて、消費者米価引き上げて食管会計における逆ざや現象というものを消していい時期と、またそういう考え方のみではなしに、たびたび申しますような見地から考えなければならない時期と、時期によって私はいろいろあると思います。いまどういう時期かということも、私は微力であり、また浅学でございますけれども、その辺のことも十分検討をいたして対処をいたしてまいりたいと思います。
  140. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、もうちょっと時間が超過しましたけれども、事務的なことをお尋ねいたします。  自主流通米の関係ですけれども、すでに南九州早場米地帯では、新米、特にあたたかいところにおけるコシヒカリが出回っておるのです。東京市場その他にも出回っておるのですが、それが現実的には食糧庁が指導しておる価格よりも高いわけですね。要するに自主流通価格二千四百円プラス三百円、大体二千七百円程度で売るべきものを、実質的には高い価格で、三千円程度で売られておる。確かにこれは自主流通米ですから政府が介入するものではないにしましても、現実にこういった早場米地帯の自主流通米が食糧庁の指導価格を上回っておる。一体これに対して、行政指導価格よりも高いものについてどのように食糧庁としてはこれから指導をされようとするのか。自主流通米といえども一応管理米の中ですから、そういう意味では食糧庁としてそういったものについてチェックするだけの能力があるのかどうか、これが一つ。  それからもう一つは、徳用上米というのがありますね。これは大臣もぜひ知っておいていただきたいのですが、低所得者向けに徳用上米というものがあるのです。徳用上米というものは、それだけじゃありませんけれども、主として低所得者に回るようにということになっておるのですね。ところが、この徳用上米を病院、大きな県病院とかそういう大量大口需要者の人たちが全部押えてしまって、実際の低所得者には回っておらない。このことをいろいろ調べてみたら、低所得者といえども米ぐらいは高い自主流通米を、うまいものを食いたいというので横を向いておりますという話だったから、あなたほんとうにそうですかと聞いたら、いや、徳用上米をくれといったってないというのですね。五等米ですから、五等米が出なければ徳用上米の量が少なくなることは事実です。しかし、少ないけれども需要があるわけですね。その需要がある人たちは、大口需要家が大半を占めておる。逆にいうと買い占め行為が行なわれておるということですよね。入院しておる人たちこそもっとおいしいお米を食べなければいかぬのに、病院のコストが合わないのかもしれませんが、徳用上米を大量に買い付ける。これにもやはり一つの、いまの食糧行政のひずみがあると思うのです。  それからもう一つは、十月一日からの値上げを予想しまして追加割り当て申請というのがものすごく多いのですね。各県の知事からの添書をつけて、従来の割り当て以上に追加割り当て申請というのを各県を通してやっておりますね。その追加申請が非常に多い。いま食糧庁の方針としては、十月一日から値上げになるかもしれないから、仮需要を見越して国民が必要なだけどんどんどんどん上げますよ、少なくともそういう仮需要が増大することによって量不足が起こらないように、要求したものはどんどんどんどん流すようにしておりますという。そのことはいいと思うのです。ところが精米してしまったら、白米ですから、各家庭で貯蔵する期間というのはそんなに長くないのですね。だから、これを貯蔵する場所としては精米する以前、つまり卸業者ですね。卸業者の段階ではこれはまだ玄米でありますから、貯蔵がきくわけですよ。ですから、そういう大口の卸段階で大量にストックするということが想定されるわけです。そうすると、安いときに払い下げを受けた米を、十月一日に消費者米価引き上げられたあとにどんどんどんどん出すということになれば、流通段階はたいへんな利潤を得るということになるわけですね。そういうことを見越しての追加割り当てだとは私は思わないけれども、実質的に一、二調べてみた資料によりますとそういうことが想定されるところがあるのですね、急激に追加割り当てがふえてきておりますから。そういうものに対してどういう対策をしておられるのか。米の政府売り渡し価格改定に伴う需給対策とか、あるいは大口需要者チェックとかなんとか、いろいろそういう指導をしておられるようですけれども、現地のほうで見てみましたら、人がおらない。検査をする人が非常に少ない。ですから、そういうことが常時行なわれることはないわけですね。口ではチェックするからだいじょうぶですと言っても、末端のほうに行ったら職員がおらない。検査をする技術者がおらない。そういったことで、検査をする能力を持った人というのは各県に一人か二人しかおらないのですね。結局やらないと一緒なんですよ。  そういった状況を見てまいると、大口需要者をチェックして回れとか、卸がストックしないように監査して回れというのは非常にむずかしいと思う。そういう問題について対策をぴしゃっと講じて、少なくとも政府が仮需要を見込んでどんどん流すものが、逆に、それはごく一部だというふうに私は思いたいけれども、買い占め的な行為による利益追求の場にならぬように善処していただきたい。そのことを最後に質問して、終わります。
  141. 三善信二

    ○三善説明員 第一番目は、四十九年産米の自主流通米の新米の価格のお話でございますが、先生御承知のとおり宮崎のコシヒカリが一番最初に出ましたので、宮崎のコシヒカリから大体新米については三百円を限度内に一応指導をしているわけでございます。現実に調べてみますと、たとえば宮崎の場合は、従前の十キロ二千二百五十五円が二千五百五十五円ということで三百円のアップでございまして、その他東京、福岡等を見ましても、大体私どもが指導しております三百円の範囲内でおさまっているわけでございます。これにつきましては、先生御指摘もございましたように、もしそういう三百円をこえて大幅に便乗値上げ等をするというようなことがあれば、私ども、食糧事務所を通じ、あるいは県に頼みまして、その指導を十分徹底してまいりたいと思います。幸い現在大体三百円程度でおさまっているというような現状でございます。  それからもう一つは特用上米、これは病院や学校等に大量に大口消費されているんじゃないかということでございますが、先生御承知のように特用上米というのは数量的にも非常に少ないわけでございまして、四十八年で大体五十万トンぐらい、四十九年産米で三十五万トンぐらいでございまして、パーセンテージでいけば全体の流通量の四、五%ということでございます。これにつきましては先生御指摘のような事態もございます。けれども、一般消費者がこれを買う場合にできるだけ店頭に置いておくように指導はしておりますが、病院等が大口に買うことも、あながちそれを規制するというようなことは必ずしも適当ではないと思います。ただ、いずれにしましても数量が非常に少ないものですから、そういう意味ではなかなか要望するところに行き渡らないといううらみがございますが、今後できるだけ指導はしてまいりかいと思います。  それから、追加割り当ての申請が最近急に多くなってきているのじゃないか、これはどうも十日の値上げを見越して卸が買いだめしているというような御指摘でございましたが、先生も言われましたように、私どもは、仮需要とかあるいは重要の増加とか、そういうものに対しては原則的にどんどん売っていくというようなことを考えておったほうが、かえって円滑な流通に資するということは、基本的に考えております。ただ、そのために卸が不当に買い持ちをして不当な利益を得るというようなことがないように、私どもは現在、たとえば卸、小売りが通常の場合に持っているストックと申しますか、在庫は、小売りでいえば三日間ぐらい、あるいは卸でいえば一週間ぐらい、この辺は通常の場合持っているわけでございますから、そういう通常の在庫を非常にオーバーして持っているかどうかということが、買い占めといいますか買いだめといいますか、そういうことにもつながらないとも限りませんので、そういう点は一定の期日を限って調査をしたい。  調査をするといっても、なかなか人員もいないし、そう簡単にいかぬじゃないかという御指摘もございました。しかし、その点は私ども、小売り、卸の在庫の報告を受けておりますので、それを見ますと、大体これが異常であるかどうかということも判断ができますし、卸等はほとんど食糧事務所でチェックできますが、小売りについては六万一千軒もございますので、これを全部チェックするということは先生おっしゃるように不可能でございますし、そういう点は抜き打ち的に、これは非常におかしいというようなことがあればそこに出向いてチェックしたい。食糧事務所だけじゃなくて、やはり県にもそういう協力をお願いしているというようなことでございます。
  142. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後に、私は、経済企画庁長官に先ほどお願いをしたことにあわせて、政府が七月、麦価を二八%値上げをしたときに、これは物価に与える影響は少ないという政府説明であったのですが、もう長官も御存じのように、その後パンが上がり、うどんが上がり、めんが上がり、あるいはインスタントラーメンが上がり、マカロニが上がって、高いものでは二倍、安いものでも四〇%から七〇%近く値上がりをしてしまったのですね。ですから、お米の値段が上がるということは、私はたいへんに大きな影響、波及効果というものがあるということを考えます。先ほど長官が的確にお答えいただいたわけでありますが、十月一日に引き上げるという時期の問題も含めて、この際政府でぜひ消費者米価値上げは慎重に、値上げをしないように長官の立場で努力をしていただくということを信じて、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 平林剛

    平林委員長 小林政子君。
  144. 小林政子

    ○小林(政)委員 消費者米価の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  今回、消費者米価引き上げ問題がいろいろ新聞紙上でも取り上げられておりますけれども、大蔵省はこの際四〇%から五〇%の引き上げ、あるいはまた農林省は三〇%から四〇%の消費者米価引き上げというような意向が表明されておりますけれども、先ほど来午前中の討議の中でも明らかなように、今日のインフレ、物価高という異常時に、政府みずからがこの物価高に拍車をかけるような公共料金引き上げるという、こういう姿勢がまず第一に問題ではないだろうか。物価の目付役としての経企庁長官の具体的な見解を、ひとつ私はお伺いをいたしたいと思います。
  145. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほど来申し述べておりますように、近くきめなければならない消費者米価値上げ幅というようなものにつきましては、家計に与える影響物価動向その他の経済事情、中にはもちろん財政の問題もありましょうが、そういうものを総合的に考えてやるべきだと私は思います。ただ財政だけの事由で、食管会計にたまるべき赤字を全部この際消費者に持っていただいて、高く仕入れるのだから、高いお米は当然食べていただく方にも高い値段で食べていただかなければならないということにはしたくない、こういうことでせっかく努力をいたしております。  ただ、小林さんのお話を聞いてまいりますと、米は農家から高く買い入れても、今度食べる場合、消費者にはできる限り安く売るべきだ、こういうこと、それはお気持ちとしてはわかりますが、そうするとその差額、さやはだれが負担するかというと、結局政府が国民から税金をいただいて、あるいは国債を発行するということになると、これまた大きなインフレの要因になりますから、とどのつまりは税金を引き上げて、そしてお米を安くするということになりますので、お米を安くするほうはいいけれども、これはまたおそろしい税金が襲ってくるという問題もございましょうので、ただ安ければいいんだ、こういうことでもない点に、私もあまり小林さんと同じような立場でのみ主張できない点がありますことも、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  146. 小林政子

    ○小林(政)委員 現在物価高に苦しんでいる国民の願いといいますか、せめて政府なりあるいはまた国が価格をきめていくことができるというようなものだけでも何とか押えてほしい、もう身の回りのものほとんど上がらないものは一つもないといわれるほどの物価値上げの中で、せめて政府がきめる価格ぐらい何とかこの際押えてもらえないか、これが私は偽らざる国民の願いだろうと思います。こういう時期に、いま消費者米価の問題が問題になってきているわけですし、消費者米価が四〇%だ、やれ五〇%だ、あるいは三〇%だというようなこんな大幅な引き上げということが行なわれたということになれば、これが物価にどのように影響していくか、経済企画庁長官、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  147. 内田常雄

    内田国務大臣 公共料金引き上げの幅を大きくすればするほど、それは消費者物価全体の中にその公共料金の持っておるウエートに従いまして当然影響がございますので、政府がきめる公共料金というようなものにつきましては、おっしゃるように一つも上げないで済めばそれにこしたことはございませんが、そういかない場合におきましても、できるだけ上げ幅はこれを押え込んで、時期も先に延ばすような方途をとりまして、消費者物価全体の値上がり趨勢というものが大きくなくて済むように私は常に努力をいたしております。いままた、消費者米価引き上げ幅のことにつきまして、大蔵省は四十何%とか、あるいは農林省は何十%とかというお話がございましたが、これは食管赤字——食糧管理特別会計の政府の米の買い入れ価格とそれをまた販売者に売り渡す価格との差額、これを売買逆ざやというのでございますが、それを消しますためには、消費者米価を七五・二%ぐらい上げなければ消えないそうでございます。そのほか、さらにお米は農家から買ってそれを売り渡すだけでなしに、その間お倉に入れて管理しておりますので、その管理費用、倉敷金利というものもかかるわけでありまして、そういうコストまで加えた逆ざやをなくそうと思いますと、実に一〇六・五%上げないと消えないそうでございます。さっき食糧庁長官が切々と述べておられました、いわゆる末端逆ざやを消すだけにいたしましても、六一・七%上げないと末端逆ざやさえも消えない。しかし、私は、こういう値上げというものは、これは将来物価がほんとうに安定して、皆さま方が税金が高くなるよりも公共料金がある程度高くなることはやむを得ないというようなお考えに立たれたような場合はともかく、今日の場合には、こんな六一ないし一〇六%なんということば思いもよりません。しかし、しからば五〇%、四〇%でいいかというと、これもそれならいいということは私はなかなか言わないつもりでございまして、やはり物価動向、家計費に与える影響その他の事情を総合的に勘案をいたしまして、まあまあというところできめなければなるまいと思います。
  148. 小林政子

    ○小林(政)委員 物価のお目付役といわれる経企庁長官、特に国民にしてみれば、いろいろな官庁の中で物価の問題であれば何といっても経企庁が国民の気持ちもわかってくれるだろう、物価を押えるためのこん身の努力もしてくれるだろう、こういう期待を込めている長官が、財政のため云々ということだけでとはおっしゃっておりませんでしたけれども、しかし、やれ七五%引き上げなければ逆ざやは埋まらないんだ、末端逆ざやだけでもこれだけあるんだという数字を出されて、やはり財政問題にウエートを置かれ、国民のいまの生活の問題から、消費者米価引き上げという問題を、経企庁が、いまいろいろ各省でもってパーセントが出ているときにできる限りこれを物価の立場で押えていこう、こういう立場に立つべき長官のいまの御意見を聞いて、私はちょっと情けない、ほんとうの意味でこれはさびしい気持ちがいたしました。  私、新聞の報道で、経企庁の宮崎事務次官が二十二日の記者会見で、二〇%程度の値上げにとどめたい、こういう発言をしたという記事を見ましたけれども、この二〇%にとどめたいという根拠は一体どういうところから出てきた根拠なんですか。
  149. 喜多村治雄

    喜多村説明員 次官が二〇%と申しましたのは、非常にリジッドな二〇%として申しおるわけではございません。おおまかに次官の頭の中にありましたのは、毎月の上昇率——午前中に私、御説明いたしました毎月の前月比が大体一%ぐらいに上昇していけるものということを一つの目標として立てました場合を一応仮定していただきました場合に、お米を一〇%上げますと〇・三二CPIを押し上げていく。そういたしますと、十月には国鉄値上げも予定されておることでもございますので、それを一から差っ引いたものでもって勘案いたしますと大体二〇%ぐらいが限度ではないのかというのが次官の頭の中にあったことでございまして、それからほかにもいろいろ考えました場合に、二〇%ぐらいが適当ではないかという、非常にリジッドな話ではなくて、雪の目安として言われたものでございます。
  150. 小林政子

    ○小林(政)委員 正式な見解ではなくて、具体的な試算、ある程度の目安としてというお話でございますね。消費者米価引き上げによって実際に消費者物価にどの程度影響があると考えているのかという点について、これは前月比一%引き上げると物価指数に〇・三二ということですか。
  151. 喜多村治雄

    喜多村説明員 お米の価格を一〇%上げますと、〇・三二CPIに影響するということでございます。
  152. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、一%では〇・〇三二影響するという数字が出てくるわけですね。  これは食糧庁長官に具体的に直接的な影響で伺いたいと思いますけれども政府の売り渡し価格引き上げによって消費者米価というものがアップをした分、これは政府の売り渡し米の場合には、その中の標準価格米などは行政指導でそのアップというものを押えられますよね。ところが実際には、いわゆる自主流通米ではないけれども一般に内地米といわれている銘柄米の場合には、このところ何年か売り渡し価格が据え置かれているわけですけれども、事実上がっているわけですよね。ですから、消費者米価が一〇%上がれば〇・三二消費者物価指数影響するというようなことだけでこの問題を解決することができるのだろうか、私はこう思うわけです。  ちょっと質問の意味がわかりませんか。直接の影響でいま伺っているわけですけれども、たとえば政府の売り渡し米価格が上がった場合に、標準価格米の場合にはある程度行政価格ということでもって押えることができますでしょう。だけども、いわゆる自主流通米ではない内地米といわれている銘柄米が、実際その場合に、じゃ何%上がるのか、上がるのか上がらないのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  153. 三善信二

    ○三善説明員 お尋ねのは、一つは標準価格米、これは現在十キロ当たり千六百円で一応末端の価格を指導しております。それからもう一つは、政府が買い入れて売り渡している銘柄米。標準価格米は大体非銘柄米でございます。その銘柄米につきましては、末端の価格標準価格米のように押えてはおりませんが、私どもはたとえば自主流通米を上米としまして、それからいま先生おっしゃいました政府が管理している銘柄米を中米というようなことで、現在都道府県によって実情が非常に違いますので、都道府県知事と協議をしまして、都道府県で末端の指導をしているような状態でございます。と申しますのは、最近といいますか、ことしの一月ごろから便乗値上げ的に米価もいろいろの角度から使われては困るというようなことで、私どもはできるだけその便乗値上げをなくするということで、都道府県と一体となって指導をしているというような状況でございます。で、大体私どもが指導しているような価格で米の末端価格というのはおさまっているというのが現状でございます。  ただ、新米が出回りますれば、先ほど松浦先生も言われましたように、その間の人件費、コストあるいは金利、倉敷、そういうものも相当値上がりしておりますので、そういうものを含めてある程度の末端価格上昇、これはやむを得ないと思っているわけでございます。
  154. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま長官からの答弁にも出ておりましたけれども、いわゆる物価指数に与える影響というものは、米価の引き上げ一%程度では〇・〇三二%といってきわめて小さなものなのだ、そんなに大きい指数を引き上げる、そういうものではないのだ、こういうことですけれども、実際には内地米といわれるようなこういう問題は、食糧庁が発行している資料を見ましても、このところ、四十七年十月を一〇〇とした場合、実際に四十九年の八月で一二・八%、これは上米です。それから、中米の場合には四十七年の十月を一〇〇とした場合に、四十九年の八月は一〇六・九、しかも四十七年十月以降、実際には政府の売り渡し価格というものは据え置きになっているわけですね。しかし人件費その他もあるでしょうし、こういう形で上がってきているわけです。ですから、単なる統計数字で何%、何%といっても、やはり消費者米価が上がれば全体の米が相当影響を受けて大きくつり上がっていく、こういうことがいえるのじゃないかと私は思うのです。  特に、先ほど松浦先生のほうからも、米が上がれば相当の物価影響する、こういうお話がありましたが、特に外食をしている人たちの場合には、どのくらい影響が出てきているというふうにお考えになっているのでしょうか。
  155. 三善信二

    ○三善説明員 消費者物価指数影響する数字を先ほど経済企画庁のほうから言われましたけれども、あの数字のとり方、何も標準価格米だけの問題ではございませんし、現在実施されている実際の米価をとっておりますので、特にあの数字で、大体その数字の中におさまるというふうに私どもば考えております。  それからもう一つのお尋ねは、外食に対する影響でございますが、先ほど企画庁のほうで言われました数字、一〇%上げれば〇・三二%消費者物価指数影響があるということでございますが、これは米の値段を上げるに伴いまして、直接の影響といいますのは大体〇・二七%、それに外食とか、あるいは二次加工品、あるいは酒とか、みそとか、そういう間接的な影響が大体〇・〇五%ございますので、それを合わせまして一〇%上げれば大体〇・三二%であるというふうにおっしゃったと理解しております。  そこで、米価を上げると、米価そのものは安いということはわかっているけれども、心理的影響でほかのものに非常に影響するのじゃないかということを、よく私いわれますけれども、過去の例で私どもいろいろ調べてみますと、たとえばこういうことはいえると思います。これは事例的な調査でございますが、米の政府売り渡し価格を据え置いたときと、過去に上げましたとき、そのときの消費者物価指数に及ぼす影響といいますか、現実の数字としても出ているわけでございます。据え置いたときにもやはり消費者物価指数というのは上がっておりますし、米価を上げたからすぐ消費者物価指数影響がそれだけぴしゃっと出たかということになりますと、そうとも必ずしも一がいにいえませんし、私ども大体米価を上げましたときの三カ月前の指数と上げました三カ月あとの指数、そういうのをいろいろ比較してみましても、いま申し上げましたように、非常にはっきりすご出てくるというものでもないということを、一応数字的にはいろいろ検討ばしております。実態片そういうふうになっているかと思います。
  156. 小林政子

    ○小林(政)委員 米が一〇%上がれば、あるいけ三〇%上がれば消費者物価への影響がどの程度はね返りが出るかというような点を、いろいろと経企庁も数字など調べてはいるようです。私も資料をもらいましたけれども、ただ単なるそういう〇・〇何%の影響が出るというようなことではなくて、実際には私たちの日常生活の中で主食である米が上がるということは相当広範囲に物価影響を来たしてくるということが、これは過去の例から見ても明らかですし、その具体例として食糧庁が小麦の値上げをやった場合にも、これも先ほどお話が出ておりましたけれども、食パンにしろあるいはまた即席ラーメンに至るまで、すべてのそれに関連するものが何%上がるのだといっても、実際には例をあげれば食パン一斤四円二十銭上昇するという説明だったのです。たいした額じゃないのだ。ところが実際にはことしの一月段階ではすでに一斤二十四円アップ、五月には二十六円もアップしている。こういう状況で、やはり相当大きな影響が出てくるわけですし、それだけに私は消費者米価引き上げという問題については慎重を期さなければならないと思います。  消費者米価値上げが一般家計への影響というものはきわめて少ないのだというような説明がいままでされてきておりましたけれども、実際にいま国民生活の立場から考えますと、もうバターは使わないで全部マーガリンにしていこう、あるいは豚肉なんかはもうできるだけ使わないで何かそれにかわるようなものにかえていこう、あるいは牛肉はもう豚肉にかえていく、こういうような形で、国民の生活というものは相当懸命にインフレから生活防衛という方向で最近努力をしてかわってきているのです。まして最近の傾向としては、お米をできるだけ食べていこう、こういう動きが出てきていますよ。  小麦が上がったので、前は米の消費というものは年々減ってきたわけですけれども、小麦が上がったという段階で、パンを食べるあるいはめん類を食べるというよりもできるだけお米を食べていこう、こういうような傾向すら出てきているのです。こういうことは、やはり国民生活というものが、ほんとうにいま主婦が懸命に家計を維持していく、そういう中で出てきている最近の傾向じゃないか。これは数字をあげてもはっきりしているわけです。たとえば小麦粉の場合を見てみますと、三十五年を一〇〇としますと、小麦粉の生産というものは四十年には十二五・六、四十五年には一四三・五、四十六年には一四六・一、四十七年には一五一・一と、ずっと歴年ふえてきていたのです。ところがことしに入りまして小麦粉を値上げをした、こういう段階の中で、ことしの一月、二月、三月、ずっとこのところパーセントが落ちてきています。  その反面、お米はどうなっているか。お米は逆に、歴年いままでは米の消費量というものは減っていたわけです。三十六年の場合には対前年度比でもって三・七%、四十年には四・三%、四十五年には三・七%といって、四十八年には四・二%という形でずっと落ちてきていたのです。ところがことしの三月、四月ごろから、対前月比でもって数字を見てみますと、米の消費というものは二月が一〇三・五、三月が一〇一・四、四月が一〇二・二、五月が一〇五・〇、六月が一六三・四、七月が一一五・三という形で、パンが高くなった、めん類が小麦粉が上がって高くなったということで、逆に主食の米が相当各家庭の中で消費されている、こういう数字がずっと出てきているわけです。こういう点を見まして、やはりどれほどいま生活防衛の立場から主婦が苦労しながら、いろいろとやりくりしながら努力をしているか、こういうことがやはり浮き彫りの一つの姿として出てきているのではないか、私はこのように考えられます。  このような主婦の懸命な家計防衛というものに対する真摯な努力、こういうものに対して、経企庁長官、ほんとうにいま消費者米価というものが主食の内容にまで最近の動きを変えてきている、こういう実情等についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、御意見を私はお伺いしたいと思います。
  157. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおりだろうと思います。しかし、食糧の価格は、日本ばかりではなしに、小林さんもよく御承知のように、国際的に不足ぎみの状況があらわれてまいりまして、小麦でも大豆でも、あるいはまた家畜の飼料になります穀類でも、また問題の米でも、国際価格も非常に上がってきて、それの流通も非常に制約をされてきておる中におりますので、米に限らず食糧の値上がりというものが家計を圧迫する傾向にあるのではないかということを私も非常に憂慮をいたしております。でございますから、米でも小麦粉でも、あるいはその他の肉類——まあ卵などというものはあまり値段が上がらないで養鶏農家の方々が非常にお困りになっておるような面もありますので、これなども安ければ安いほどいいというわけにもまいらぬのでしょうけれども、しかし家計を預かる主婦の方々が食糧価格上昇にいろいろ御苦労なさっておること、私も家庭を持っておるものでございますのでいろいろ聞かされておりますので、今回の消費者米価の値上がりにつきましても、これは可能な限り政府が負担をいたしまして——政府が負担するということは、国民の税金をそのほうに使わせていただくということを国民にも御了解をいただきまして、むやみに高くならないように合理的なところで押えていただくように、私も、そのものずばりのことばを使いますと、大蔵大臣や農林大臣を大いに牽制をいたしておる、こういうわけでございます。
  158. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は政府の売り渡し価格を据え置くというためにも、実際には消費者米価値上げをまた押えていくためにも、現在物統令の問題について、この問題をやはり重視していく必要があると思うのです。この問題を、いわゆる再適用を復活させるというような、こういう見解というものは全く持っておりませんか。私はむしろほんとうに消費者米価を押え、そしてまた生産者米価にそれに見合った補償をしていくという、こういう立場に立った食管制度を生かしながら、物統令の適用をはかっていくべきだ、このように思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
  159. 三善信二

    ○三善説明員 その前にちょっと先生先ほどおっしゃった米の消費の点を先にお答えさしていただきます。  米の消費の点につきまして実はよくいわれるのですが、去年の暮れごろからことしの一、二月にかけて、対前年に比べまして政府の売却量が非常にふえたわけです。一〇%から一二、三%ふえました。それで非常に米の消費はふえておるのじゃないかということをよくいわれましたけれども、現在まで私ども調査している限りにおいては、特に家庭の消費がふえたというような調査はあまりございません。ただ、昨年は、実は一−三月というのは政府の米の売却量がわりあい少なかった時期で、おととしの一−三月あるいはことしの一−三月と比較しますと、多少ふえているという程度でございますが、片や御承知のように配給人口の伸びというのがございます。大体一・三%ぐらいかと思いますが、そういう人口の伸びと比較しまして、どうも米の一人当たり消費量というのは、やはりずっと減ってきておりますその減り方が少なくなってきた。がくんがくんと減ってきておったわけでございますが、その減り方が少なくなってきているので、ただふえているというようなデータはまだ持ち合わせていない。これは全体の量から考えてみますとそういう状況でございます。  それからもう一つは、家計支出に占める米の支出の割合というのがどういうことになっているかと申しますと、現在は、これはもう先生御承知のように、家計支出全体の中で米の支出の割合は、勤労者世帯でとってみますと大体二・八%、全世帯でとってみますと三・一%ぐらいになっております。これは三十年ごろはこの割合が一二・四%、四十年には六・六%、四十五年には四%、四十八年、現在は大体二・八%というような状況で、米の家計費の支出の中で占める割合というのは年々非常に低下をしていくというのが実情でございます。  それから、物統令の適用を復活したらどうかということでございますが、御承知のように、四十七年の四月でございましたか、物統令の適用を廃止したわけでございます。米の需給というのが非常に緩和されまして、四十五年以降、御承知のように、食糧庁としましては過剰米七百万トン以上を持ちまして、生産調整も生産の面では行なって需給の均衡をはかってきている。そういう段階で非常に需給が緩和した。片や国民の生活の向上といいますか、国民の方々は品質のいい米、うまい米、そういうのを非常に嗜好されるような傾向が強くなってきた。現に物統令で画一的に価格を統制してやるといっても、それは現実になかなか守れない。そういった一般的な事情を踏まえて物統令の適用を廃止したわけでございまして、現在においてまたそういった画一的な一つの価格統制というようなことをやる考えはございませんし、またそういうことをやれば、せっかくそういう国民の嗜好に応じた、選考に応じた米に対する需給というものがまた平められていくということもございますし、現在私どもとしては、物統令の適用をまたやるというようなことは考えておりません。
  160. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、ほんとうにおいしいお米を安定して、しかも消費者が安く家庭でもって消費することができるということをほんとうに保障する気があるならば、これはやはり物統令を再適用をしていくべき以外には——米は、自主流通米はどんどん上がっていく。そして、ほんとうに安定した、しかも安い価格で、家庭に不安を与えない、こういう消費者米価の安定という点から考えても、これをぜひ実施に移さなければ、今後ますますいろいろな事態が、不安が起こってくるであろう、こういうことがいえると思います。  この問題については、あまり時間がありませんので、十分質問をすることができませんでしたけれども、ただ一言私は、やはり何といっても食管制度という問題は、これはもう先ほど来だいぶ論議をされておりますけれども、もともと生産者米価、そしてまた消費者米価の基準をきめる、これはもうこの基準そのものが別個のものだと思います。そしてこの生産者米価については、第三条ではっきりと、生産費その他の事情を参酌して米穀の再生産を保障するということがきちんと明記されておりますし、また消費者米価の問題は、家計及び物価その他の経済事情を参酌して、そして消費者の家計の安定をはかるを旨とするということが、四条の二項でもって明記されているわけです。私は、農家には再生産がきちんと保障されるような、そしてまた消費者に対してはその生活の安定、これがむしろ食管法によって政府に義務づけられている問題だ、このように考えております。したがって、いまのようなこういう時代の中で、生産者と消費者米価の差が少し広がってきたからといって、この問題についての赤字が出ているといってこれを埋めるということよりも、これはむしろ私は当然のことだというふうに考えています。  消費者米価の問題は物価抑制という観点から、経済企画庁長官にほんとうに消費者の立場に立って十分ひとつそれこそ政治姿勢をかけたような強い意見をもって折衝に臨んでいただきたいと私は思います。そのことを強く要望いたしたいと思いますが、最後に長官の御決意をお伺いいたしまして、この問題についての質問を一応終わります。
  161. 内田常雄

    内田国務大臣 小林さんのお気持ちよくわかりましたし、またこのことについては先ほど来再三申し述べておるところでございまして、私は大蔵大臣でも農林大臣でもございません、経済企画庁長官として、物価の問題とかあるいは農業生産、国民の家計、今後の経済動向、すべての見地を総合いたしました判断から適切な米価をきめるべきだという立場をもって対処をいたしてまいる所存でございます。
  162. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に、私は、先般値上げが決定をされました東京瓦斯の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  今回の東京瓦斯の四六・八%にものぼる料金値上げは、首都圏四百五十万家庭にこれもやはり深刻な影響を与えています。通産省は、今回の値上げ申請に対してこれをきびしく査定をしてそしてできるだけ押えたのだ、こういうことをいっております。いわゆる申請料金原価の中に当然入ってくる二千四百億を二百二億削って、パーセントでは二八%削減したのだ、相当きびしい査定をやったのだ、こういうことをいっておりますけれども、しかしこれも中身を見てみますと、まだまだ査定は甘かったのじゃないか。この点については、いろいろと新聞などでもいまだにこの査定の内容等を踏まえて批判もされていることを見ても明らかでございます。私自身もその中の幾つかを調べてみました。  たとえば東京瓦斯はLNGに転換をしていく計画を進めていますけれども、これは四十七年から六十年までに六百億円という膨大な設備投資を計画しているのですね。しかもその設備投資が今回査定された原価の中には約百億円含まれています。いまこのような公益企業値上げについては極力政府は押えるということをいっている、こういう現状の中で、膨大な設備投資の資金を料金原価の中に含ませて、そして一般の料金として国民から徴収をする、こういう行き方については私はやはり問題があるというふうに思いますし、検討をされた段階でこの問題についてはどのような取り扱いがされたのか、具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  163. 大永勇作

    ○大永説明員 お答えいたします。  東京瓦斯の管内での現在のガスの需要は大体五十億立米弱でございますが、昭和六十年には約二倍の百億立米になるものと予想されております。これをまかないますのにどういうことでやりたらいいかということでございますけれども、現在の方式でまいりますと、当然導管も倍にしなければなりませんし、それからガスホルダー、現在大体四十カ所ありますけれども、これも同じ程度のガスホルダーをつくらなければならないということになります。しかし、たとえばガスホルダーでいいますと、これは重要地に当然近いところにつくらなければならない。しかも一個所一万平米ぐらいの土地を要するということで、こういった現在の導管に見合う程度の新しい導管をつくったり、あるいは現在のガスホルダーに見合う程度のガスホルダーを増設するということは、これはなかなか地元住民との了解その他の問題で困難が予想されるわけでございます。そこで、東京瓦斯で現在計画しておりますのは、現在は五千カロリーのガスを供給しておりますけれども、これを天然ガスに転換いたしまして、約倍のカロリーの一万一千カロリーで供給するという計画でございます。そういう転換をいたしますと、現在の主要な導管設備とかあるいはガスホルダーにつきまして、あまり増設をしないで供給できるということになるわけでございまして、したがって、先生の御指摘の、確かに天然ガスに転換するにはいろいろ設備投資が要りますけれども、天然ガスに転換しないでかりに現在のままで供給したとしますと、設備を倍にふやさなければなりません。それとの比較でまいりますと、天然ガスに転換したほうが約五千億円ぐらい設備投資が逆に少なくなるという計画でございますので、現在の見通しでは、やはり天然ガスに転換するほうがずっとベターではないかというふうにわれわれとしては判断しておるわけでございます。
  164. 小林政子

    ○小林(政)委員 料金算定の中にこのような巨大ないわゆる設備投資というようなものが今後六十年にわたって含まれていくというようなあり方、特に、いま激しい物価上昇がいろいろと論議されてきたことによっても明らかなように、こういう時点の中で、このような設備投資が料金算定の原価の中に含まれるというような点について、検討の段階で何らかの論議をしてチェックをするというようなことができなかったのか、こういうことをいまお伺いをしたわけです。しかもLNGに転換をするということで、この問題についても私どもは、やはり安い石炭を今後もっと使っていくべきではないだろうか、そしてエネルギーの需給計画あるいは供給の安定をはかるということを真剣に考えるならば、必ずしもLNGに限ることはないではないか、こういう意見を持っておるわけです。この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  165. 大永勇作

    ○大永説明員 二点ございますが、一つは設備投資を料金算定の中に入れるべきでないではないかという御意見でございますが、この点につきましてはほかの公共料金も全部同じだと思いますが、設備投資そのものはもちろん料金の中に入れるわけではございませんけれども設備投資をいたしました場合の償却費あるいは金利といったようなものは、これは料金の中に入れませんと次の再生産ができないことになりますので、その分は料金の中に入れてございます。  それから、もう一つの石炭に転換をしたらどうかということでございますが、これは実は問題は一つには公害問題でございます。現在たとえば千住に石炭をガス化しましてやるコークス炉工場がございますけれども、これも付近の住民の反対等もございまして、公害問題で閉鎖せざるを得ないというふうな状態になっております。それから、その他ほかの豊洲等の工場につきましても同じような問題が出ております。したがいまして、一つには公害問題で現在の石炭ガス化の工場すら維持できないというのが実情でございますので、いわんや新しい工場を東京都の近くにつくるということはとても不可能だというのが一つでございます。  それからもう一つは、石炭をガス化します場合に、原料になりますのは原料炭でございますけれども、この原料炭は最近非常に国内でも需給が逼迫しておりまして、鉄鋼が主として使うわけでございますけれども、奪い合いの状態になっております。したがいまして、たとえ公害問題が片づいたとしましても、原料手当てができないというふうな点がございますので、石炭への転換ということはなかなか困難であるというふうに考えております。
  166. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間がなくなってきましたが、私は、確かに設備投資の問題については、それは減価償却の中に入れる、金利を入れる、そういう点については当然だと考えますけれども、そういう設備投資を含めて、料金をだから上げるというようなことは、こういう時点の中ではやるべきではなかったのじゃないか、何らかの方法で対処ができなかったのかということ、これを今後さらにはっきりさせていきたいというふうに考えています。  また、公害の問題等につきましても、これはやはり技術的にもいろいろ解決の方法はとられるはずだというふうに思いますし、また安全供給だとか公害が出ないだとかいろいろいわれているわけですけれども、しかし、私は、将来LNGを東京瓦斯が相当の範囲で使うということになってまいりましたときに、燃料費というものは逆に相当やはり上がるのではないか。このことば石油の場合にも一〇〇%海外に依存していたという現状の中で、相当これは手痛い目にもあっておりますし、こういうメジャーに供給を握られるというようなことなどもあって、やはり需給計画というものをきちんと立てていくということがいまから非常に重要ではないだろうかというふうに考えますし、特に燃料費の問題についても、LNGの価格東京瓦斯自身が計算をした数字を見ましても、四十九年の下期にはトン当たり二万六千円、これが三年後の五十二年には四万一千円と、その上げ幅は八〇%ですね。ところが同期に同じ数字を見てみますと、ナフサの場合は二八%、それから原油の場合には四四%の上昇率の見込みということになっておりますけれども、これから比較しても、やはりLNGが燃料費として今後相当大幅な上昇をしていくのではないか、こういうことが東京瓦斯の数字ですらこのようにきちんと出ているわけですから、この問題についてどう考えるか、お伺いをいたしたいと思います。
  167. 大永勇作

    ○大永説明員 お答えいたします。  LNGを数年前に長期契約いたしましたころには、天然ガスはいわば空に捨てておったわけでございまして、したがいまして、その当時は非常に価格が安かったことは事実でございます。しかし、最近ではエネルギーが非常に貴重なものになってまいりましたので、今後はLNGの価格も大体石油価格にスライドするようなかっこうで上がっていくものと考えざるを得ないと思います。しかし、それでも現在の見通しでは、たとえばナフサであるとかあるいはLPGであるとかといった石油系の燃料よりは、LNGのほうがまだ割り安であると考えておりますし、その傾向は今後とも当分の間続くのではないか。それから資源的に見ましても、先般の総合エネルギー調査会の報告にもございましたように、石油に比べればLNGのほうが相対的にゆとりがあるといいますか、相対的に豊富であるというふうにわれわれとしては判断しておるわけでございます。
  168. 平林剛

    平林委員長 小林君、質問時間が相当こえておりますから、簡単にお願いします。
  169. 小林政子

    ○小林(政)委員 それではもう一点お伺いをして終わりたいと思います。  この査定の中で、私いろいろと調べた中で、一つは内部留保の問題です。この内部留保についても、東京瓦斯は引き当て金だ準備金だと、四十九年度一月期だけでも総計で四百六十九億円も内部留保を持っているわけです。これを具体的に一体どの程度削ったのか。退職給与引き当て金だけでも百二十六億の積み立てがあるわけでしょう。これは実際に退職をした人の人数から見ても、大体年間四億ぐらい。これから見ると、百二十六億というのはもうほんとうに膨大な数字ですよね、内部取り込みが。むしろ企業が経営上困難になった場合には、内部留保の取りくずしというものを相当大幅に行なって対処すべきだということは、これはもう政府の方針なんでしょう。そういう点から考えても、もっと内部留保を削るべきだ、吐き出すべきだと思いますし、査定の段階で、退職給与の引き当て金百二十六億の積み立ても、私はむしろこのうちの三分の一を取りくずすだけでも、今回の最低料金の値上げ五百七十円の、これを七十円値上げしないで、従来どおり五百円で据え置くことができたのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、この点についても何らチェックがされていない、きわめてずさんな査定ではないか、私はこのように思うわけであります。  時間がありませんので、最後にもう一点。  私は、こういう中で政治献金の問題について、これもやはり選挙中に大きな問題になりました。一体今度の査定をする中で、今度のカットした分の中に、政治献金というものをカットしたのかどうなのか、この点をまずお伺いしたいと思いますし、公営企業値上げ申請をするというその中に政治献金を含ませて出してきたそのものを、そういう姿勢に対してそれをそのまま受け付けるという通産省の姿勢というものは、私は問題だと思うのですね。  以上の二点にわたって質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
  170. 大永勇作

    ○大永説明員 最初に内部留保の問題でございます。一つ御了解を得たいと思いますけれども、料金の算定にあたりましては、現在どれだけ赤字があるか、あるいは利益が蓄積されているかということとは一応切り離しまして、向こう一年間の収支を見て料金をきめるということになっております。したがいまして、料金算定と内部留保とは直接には関係ないわけでありますけれども東京瓦斯の決算でまいりますと、この七月期の決算で大体百十億円ぐらいの赤字が出る予定になっております。それから、当初は八月一日に値上げを希望しておりましたが、九月三日に一カ月余りずらしましたわけですが、その間大体一日に二億円程度の赤字が出ている計算になっております。したがいまして、内部留保の中でいわゆる取りくずし得る繰り越し利益でありますとか任意準備金といったような利益性の強い内部留保は、この間にほとんど取りくずしてしまうというふうに考えております。  それから、御指摘のございました退職給与引き当て金の一税分、約六十億ございますけれども、これにつきましては、査定にあたりまして、もしそれを積まないで減価償却に引き当てていたらレートベースがもっと落ちていたはずであるという前提で、レートベースから査定をして落としております。  それから第二点の政治献金の問題でございますが、東京瓦斯の申請ではもちろん政治献金という項目での申請があったわけではございませんし、したがいまして、政治献金についてどうこう査定するという問題が査定の過程であったわけではありませんけれども、政治献金の支出源の一つでありますいわゆる寄付金につきましては、税法限度額二億八千万円程度でございますけれども、二億八千万円の申請がございましたけれども、査定では一億四千万円に半減の査定をした次第でございます。
  171. 平林剛

    平林委員長 次に、石田幸四郎君。
  172. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 午前中から総合物価対策並びに個別物価対策でいろいろと議論があったわけでございますが、私は主としてプロパンガスの問題についてこれから質疑を行ないたいと思います。  まず最初に経企庁長官にお伺いをするわけでありますが、いわゆる物価担当大臣としての役割りが非常に大きなウエートを占めているわけでありますが、この物価に対して、いわゆる総合的な基本的な物価政策、そういうものについては当然これはいろいろな御意見をいろいろなところで申し述べておられると思うのですが、個別の物価対策についてはどの程度経企庁としてはこれに参画をされるのか。  たとえばプロパンガスにつきましては、八月十六日の閣議におきまして、従来の千三百円から千五百円というように中曽根通産大臣から説明があって、閣議了解があったというふうに報道されておるわけでありますが、このプロパンガスの値上げの問題については、実はだいぶ前になりますが、私はいろいろなこまかい点から疑問点を提起しておいたわけでございますけれども、今回のいわゆる十キロ入りボンベ千三百円から千五百円というふうに移行したその状況についても、あまりそういった疑問点が明らかにされてないようにも思うわけであります。一体経企庁のほうではこういった通産省の価格決定に対してどのような検討をされているのか、個別の物価対策としてはなされていないのかどうか、この辺についてまず経企庁長官にお伺いいたします。
  173. 内田常雄

    内田国務大臣 個別物資の対策につきまして、まずその個別物価対策をどのようなワク組みでやるか、またはずすかというような全体の構想につきましては、その物資の担当官庁と経済企画庁が十分の打ち合わせを行ないました上で個別物価対策ワク組みを設定をいたしますので、このことにつきましては私どももいろいろな見地から責任を持つものであります。  その次に、個々の物資につきましての価格ということにつきましては、必ずしも経済企画庁がその物資の所管をいたしておりませんので、事情などもつまびらかにはいたしませんけれども総合的判断を行なうというような立場から、個々の物資についての価格、ことにそれが法律に基づく標準価格などをきめたり改定をいたします場合には、当該物資の担当官庁から経済企画庁の担当部局に対して了解の打ち合わせがございますので、これも私どものほうでもチェックをいたしておる、こういう仕組みでございます。しかし個別の内容につきましては、もちろん物資の各所管庁のように詳しい事態は把握していない場合も多いことも、やむを得ないと思います。
  174. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、今回のプロパンガスの値上げにつきましてはいかがでございましたでしょうか。
  175. 喜多村治雄

    喜多村説明員 プロパンガスの標準価格改定につきましては、当然法に基づきますところの協議がございます。したがいまして、今回の場合にも当然に協議を受けております。
  176. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その協議はいつ行なわれて、どんな内容であったか、公開することはできますか。
  177. 喜多村治雄

    喜多村説明員 特に協議書をもって協議をするという形はとっておりませんで、事務的に話を持ってこられましたのが八月の十日前後でございます。そのときに、内容は差し控えたいと思いますけれども、LPGのコストアップの状況がどうであるか、あるいはこの中に含まれますコストアップの中身はどうであるかというようなことについてはお互いに協議をし合いまして、このあたりでどうかというようなことについて私どもの意見も申し上げました。それから、結果的に千五百円という価格をきめます場合には、私どものほうから家計支出その他物価動向等を見まして、われわれの意見というものをくんでいただきまして、ある程度の下げをしていただいたのでございます。
  178. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一度お伺いしますが、その千五百円に値上げになったときに、いろいろな意見を申し述べた。特に国民生活の家計の上からこの程度にしたほうがいいのじゃないかという意見を言われたようでございますけれども、その際にこのプロパンガスの問題について私ずいぶんいろいろこまかい点を申し上げたわけでございます。い号、ろ号というプロパンガスのいわゆる内容の問題、それによって価格に差ができてきて当然であるという問題を申し上げました。あるいは重量売りあるいは立方売り、その違いも申し上げたはずでございますが、ここら辺のことは話題になりましたか。
  179. 喜多村治雄

    喜多村説明員 もちろん先生のおっしゃる問題につきまして具体的に話の内容として出されておりますし、私どものほうもそれについての御意見を申し上げております。
  180. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、森下政務次官にお伺いをいたしますが、このプロパンガスの値上げに至りました経過、一つは、値上げをせざるを得ないという、一つの原料の値上げという問題もございますでしょう。そういう原因からどうしても値上げをせざるを得なくなった、そういった検討の経過、それがどのように行なわれてこの十六日の閣議での了承ということになったのか、原因とその経過について、できるだけ詳しくお知らせをいただきたいと思います。
  181. 森下元晴

    ○森下説明員 LPガスの問題につきましては、二月の二十一日、この物特の委員会で石田先生にいろいろな御指摘をいただきまして、またいろいろな注文も実はつけられております。産気率の問題、その他非常に基本的な問題等についても御指摘を受けまして、私から直接検討をいたしますということの約束もいたしました。いまの御質問はいわゆるなぜ上げたかということでございまして、まずその問題についてお答えを申し上げたいと思います。  家庭用のLPガスにつきましては、本年一月以降国民生活安定緊急措置法に基づきまして、十キログラム充てん容器入りの正味量について千三百円、標準価格を設定してまいりましたけれども、次の理由でこれを千五百円に改定して、新しい標準価格で八月二十日から実施しておるわけでございます。まず第一に、LPガスの場合は半分国内の石油精製過程でできますし、あとの半分はやはり産油国から輸入しなければいけない。その輸入LPガスの価格がこの四月一日に実はさかのぼりまして約六〇%、すなわちFOB価格でトン当たり七十ドルから百十三ドルに値上がりした。それ以外に、人件費それから配送費というようなコストアップが認められた、こういうような状況のもとで標準価格を据え置いておくことは、むしろ民生用でございますいわゆる家庭用のLPガスの安定供給を阻害するおそれがある。これは灯油もそういうような事情で、同じような理屈でございますけれども、このようなために、適正な価格水準のもとでの安定供給を確保するために標準価格改定することにしたわけでございます。  今回の標準価格は、経済企画庁とも協議をいたしまして、先ほど申しましたように、コストアップの要因をきびしく査定して設定したものでございます。  なお、家庭用のLPガスの元売り仕切り価格については、ことしの三月の水準に対しまして、トシ当たり一万二千円を限度とする引き上げを認めることにした、これが今回家庭用のLPガスを値上げせざるを得なかったという原因でございます。
  182. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 先般来の狂乱物価からいろいろなものが値上がりをいたしておるわけであります。あるいは公共料金等の値上がりもございますので、いわゆる値上げ幅がこの場合は約一八%ぐらいということになろうかと思いますが、いずれにしても、消費者米価にいたしましても三〇%、四〇%という声が出ておりますし、いろいろな値上がりがあるわけでありますけれども、国民全体としては、こういった狂乱物価のあおりを受けて生活が苦しいから、何としても政府の認可料金等の問題については押えてもらいたいと切実な希望があるわけであります。  ただ、一番問題なのは、政府がそういうふうに値上げ幅をそれぞれきめますけれども、その明確な理由、原価計算等をして、コストがこれだけ上がったので、どうしてもこれだけ上げざるを得ないんだという御説明はほとんどない。今度のプロパンガスの問題にいたしましても、いわゆる輸入プロパンが六〇%値上がりをしたから、あるいは人件費、輸送費等が値上がりをしたから、その程度はやむを得ないではないかというふうにしかわれわれには聞こえない。一体こういった値上げが行なわれるときに、企業は一般には肝心の原価計算というものを公表しないわけでありますし、通産省は通産省で、査定の根拠というものを明確な形で、国民がなるほどその程度は上げざるを得ないのかなと思えるような、そういう概算の数字すら明確にしないわけでありますから、これでは一体値上げがされるたびに、全く知らしむべからずというようなことで内容が公開されておりませんから、国民は不安のうちに個別商品のいろいろな値上げを見守っておるというような状況ではないかと思うのですが、このプロパンに関して、政府、特に通産省は明確に、コストの値上がり分はこう、人件費はこう、配送費はこう、したがって一八%程度値上げせざるを得ないんだというような、そういう精細な計算というものははたして行なわれたのかどうか、この点についてお伺いしたいと思いますが、どうでしょう。
  183. 森下元晴

    ○森下説明員 御指摘の件につきましては、詳細な検討はいたしております。十キロボンベ入りの配達費込み正味量価格という表を一応読んでみたいと思います。  いわゆる元売り仕切り価格が、改定前が十キロ当たり三百五十円でございました。それが改定以後で四百七十円、値上げ幅が十キロ当たり百二十円になっております。それからこの小売り価格で、いま御指摘のように、人件費とか輸送費、保安費、それから一般経費、それから租税公課とか減価償却、そういうものをずっと含めまして、たとえば人件費は、改定前の月に四十六万二百二十円から改定後は五十二万六千四百五円、これはいろいろ、ベースアップ等のいわゆる人件費に、やはりプロパンを配達するための人件費とかその他の人件費もいわゆるベースアップした価格でございます。それが大体値上げ幅といたしましても、月当たり六万六千百八十五円。輸送費の場合は、これは一応値上げ幅は認めておりません。それから保安費も認めておりません。一般経費、これも一応認めておらない、零としてございます。それから租税関係も認めておりません。それから減価償却も一応その差は認めておらない。ということは、人件費で六万六千百八十五円、これが一応販売の経費の値上げ幅でございます。それから販売経費を十キロ当たりに直しますと、六十六円の上げ幅でございます。それから十キロ当たりの仕入れ原価、これが改定前は五百五十円、それが六百八十円になりまして、百三十円の値上げ幅になっております。  いま申し上げました十キロ当たりの販売経費と仕入れ原価を足しますと、千二百三十円が千四百二十六円になって、百九十六円の値上げ幅になっております。それから利益も、一応改定前も後も七十八円ということで、同じでございます。そういうことになりますと、小売り価格で、改定前が千三百八円、改定後が千五百四円、端数を切って、千三百円が千五百円になった。その上げ幅は百九十六円、実はこういうような計算はしておりまして、それに基づいて千五百円に改定をさしていただいたということでございます。
  184. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまかなり詳細にいろいろな明細が政務次官のお話の中に出てまいりましたので、後ほどまたその数字を検討さしていただきたいと思います。  経企庁長官にお伺いするのですけれども、いまプロパンの場合は、業界の一つの標準としてのやり方でいろいろ査定のしかたがあるんだと思うのですけれども、こういう形で委員会等に発表できるならば、たとえば鉄の問題にいたしましても、これはある程度、そういった値上げをしなければならない数字的な根拠ですね、こういうものも発表することはできるんではないですか。そういうふうにお考えになりませんか。
  185. 内田常雄

    内田国務大臣 鉄のごときは標準価格はつくっておりませんが、三月十八日か何かの実勢価格で凍結価格として押え込んできておりました。それを先般、数品種の綱材につきまして、いわゆるひもつき直売りとそれから市場売りとの両方に分けまして通産省が検討をされまして——これも必ずしも一物一価のような価格ではないようであります。綱材の価格というものは、取引の態様あるいはまた、それが造船であるか、あるいは自動車であるか、機械産業であるかによりまして、またメーカーごとにいろいろ複雑な価格のようでありますので、一つ一つにつきまして詳細な資料をつくってはおらないようでありますけれども、実勢価格の動き等につきまして、一つの判断をされておりまして、それらのことにつきましては、発表の形式等はございませんけれども、それぞれの理由を疎明して、値上げの理由を明らかにいたしておるはずでございます。一々当委員会等に持ち出したことにはなっておらないと思いますけれども、ただつかみでやっておるということではないと私は考えております。
  186. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題は、もう少し詳しく議論をしたいのでございますが、プロパンの問題と離れてしまいますので、一応省略をしまして、プロパンガスの問題につきましては、今回また千五百円に改定になるにあたりまして、資源エネルギー庁のほうから長官通達というような形で出ておるのだと思うのですけれども、この通達の内容を見ますと、いわゆる「メーター制販売における妥当な販売価格の判定及びブロック別基準産気率の設定」そういうような項目の中に、前回そういった理論産気率に基づいていろいろと価格を換算しなさいというふうに要請をしたけれども、「その後の状況をみると都道府県等の多大の努力にかかわらず、多くの都道府県等において妥当な販売価格の判定、指導等に困難な問題を生じている。」全国的にこれは非常に大きな問題になった。各県会等におきましても、一体これがどのようにわが国においてはプロパンの値段をきめるのかというので、かなり議論がかわされたわけであります。その後通産省のほうでは、その販売価格の判定や指導等に非常に困難な問題を生じたということを一体どのように把握しておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  187. 左近友三郎

    ○左近説明員 お答え申し上げます。  実は、本問題につきましては、二月二十一日の当委員会において石田先生からもいろいろ御指摘がございました。われわれとしてはそのときに、単に通産省が標準の理論産気率を配付して府県で定めるというだけでなしに、府県の産気率の設定について十分指導するようにということでございまして、われわれもやったわけでございます。  ただ、府県でやりますときに、いろいろな組成をどうするかとか、あるいは隣接府県、ことに隣接府県との産気率の問題等々がいろいろ問題になりまして、そうして大体われわれのほうで調べてみましても、なかなか各府県できめることがでない府県も相当出てまいりました。そこで各府県から、この問題は府県ごとにやりましてもそういう隣接府県相互間の問題があるので、やはり中央で統一して——もちろん全国一つの数値という意味ではございませんが、統一した産気率をきめてもらいたいという要望があったわけでございまして、これについてはまことにごもっともなものでございますので、そこで統一をしたわけでございますが、その非常に困難であった理由というのは、現実問題としては、最近に至るまでこの産気率をきめ得なかった府県、あるいはきめても実際の実行をやれなかった県があるというふうな事実からきておるというふうにわれわれは考えました。それに対して今回統一をしたということでございます。
  188. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では、産気率の前に重量制の問題でお伺いしますが、プロパンガスの全体を一〇〇といたしますと、重量売りは四一%というのがこの前の答弁でございました。そこで、私が指摘をいたしましたのが、いわゆる温度の低い気候のときですね、これは一〇%ぐらい残ガスが残るのだということについて、いろいろと申し上げたわけであります。そのときに前石油部長さんは、残ガスが残った場合には、その残ガスについて値下げをその分についてだけはすべきだ、こういうふうに指導しておるというふうに言われておりますけれども、これは着実に行なわれておりますか。
  189. 左近友三郎

    ○左近説明員 いまの問題につきましては、結局ボンベを取りかえるときに残ガスを計量いたしまして、そうしてその差額、つまり正味使った額で価格をきめるようにということで指導をいたしておりまして、われわれのほうでは、十分徹底するようにいたしておるつもりでございます。
  190. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 重量売りの場合はまだきわめて単純なことになるわけでございますけれども、今回通産省のほうから通達が出されておる、これを見ましても、いわゆる産気率によりますところの容量売りですね、これについては一般の消費者はあまり意味はわからぬのですね。これは私どもとしては非常に不満なわけですね。これはお役所だけがわかっていらっしゃるのですね。一般の消費者は全然わからぬわけですよ。この前も指摘申し上げましたように、い号とろ号の問題、全体を一〇〇といたしますれば、二〇%はろ号であるというのですね。ろ号のほうはブタンが混入されているから、私の説によれば百二、三十円は安くなければならない。ところが実際には同じ値段で売られておるわけでしょう。こういう問題がまず的確に今度の通達の中ではどうも解決されていないように思いますが、この点どうでしょう。
  191. 左近友三郎

    ○左近説明員 実はプロパンの場合は、結局はボンベに詰めておるときには液体でございますが、使用するときに気体になる。そこで容量売りをいたしますと、重量から容量に換算をしなければいけないという問題が出てまいります。ところが液体から気体になります形が、温度とかあるいはその土地の高さ、つまり気圧の状況とか、その他いろいろな条件で変わってまいります。したがいまして、産気率と申しまして、つまり十キログラムのプロパンが気化いたしまして何立米になるかというのが、厳密に申しますとケース・バイ・ケースで異なってまいるわけでございますが、しかしそういうことでは取引の基準になりませんので、そこで産気率というものを今回きめまして、地区別に、ブロック別にきめたわけでございます。  ところで、いま先生御指摘のプロパンの中には、一がいにプロパンと申しておりますが、プロパンの純度の高いものと、それからプロパンより分子のやや大きいブタンが若干入っているものというのがございまして、ブタンの入っておるものはいわゆる気化する量が少ないわけでございます。  そこで、今回産気率をきめますにあたりましては、各地域で通常売られております基準の品種をとりまして、その基準の品種について産気率をきめました。そしてその基準の品種というのは、沖繩以外は、大体いままでいっておりましたい号のものでございます。そういたしますと、このい号の大体八五%ぐらいのものを基準としてつくっております。そういたしますと、産気率が、ある地域については同じでございますので、プロパン分の多いものは実は産気率できめたものと同じような気化をいたしますが、ブタンが相当混入しておりますと実際は気化が少し少ないわけでございますので、気体になる量が少ないわけでございます。結局、きめられた産気率が、気化の少ないものについてはむしろ割り安ということになりますので、したがいまして本来ブタンが多いものは若干安いわけでございますが、それについては消費者もやはり割り安になるということになりますので、この標準の産気率をきめますことによって、い号とろ号の価格差も大体平準化できるという結果に相なっております。
  192. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこのところはまだ明快に私には理解ができないのですがね。先般の通達によるところの理論産気率表によりますれば、ろ号のほうがいわゆる産気率が低くなっているわけですね。したがって、値段が同じであるということは産気率がそれだけ低いわけだから、かえって割り高になるのじゃないですか。
  193. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  先生がおっしゃいますように、理論産気率自体はろ号のほうが低いわけでございます。したがいまして、本来ろ号であれば——ろ号というものは少ししか気体として出ない、つまりプロパンであればたとえば五立方出るところが四・五立方しか出ない、こういうことになるわけであります。そういたしますと、同じ十キログラムのものを売る場合に、ろ号でございましたら四・五立方しか出ないわけでございますから、少し高く売らなければならないわけでございます。しかしながら、今度、産気率の指導におきましてはい号、ろ号の差別をいたしませんで、いま部長から御説明いたしましたように一本の産気率でやっているわけであります。したがいまして、その分だけろ号については実態上安くなっている、こういうことでございます。
  194. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それはおかしいじゃないですか。実勢価格はろ号のほうが仕入れ価格も安いのですよ。それを同じ値段で売って、どうして消費者のほうが得になるのですか。
  195. 松村克之

    ○松村説明員 おっしゃるとおりでございまして、私が申し上げているのは、ちょっと技術的で恐縮でございますが、十キログラム幾らということで売ればおっしゃるようなことでございます。ただ一立方幾らで売るわけでございます。一立方幾らで売る場合に、つまり計算を簡単にするためにちょっと数字を変えますけれども、プロパンの場合に五立方出るといたしますと、十キログラムの千五百円を五で割りまして、たとえば一立方当たり三百円という数字になるわけであります。ところがブタンでございまして、それがたとえば四・五という産気率だといたしますと、三百円よりは若干高いもので本来売らなければ、もしブタンとプロパンの仕入れ価格が同じだといたしましたならば、そういう価格で売らなければ損をするということになるわけでございます。総体的には損をするということになるわけでございます。  ところが、先生御指摘のようにブタンは安いわけでございますから、そういう価格であってもこれでペイをするといいますか、先生のお話のようにブタンの安いという実態がそのまま消費者のところまで伝わっていって、消費者にもプロパンに比べて総体的に一立方メートル当たりであれば安い価格で買える、こういうふうなことでございます。
  196. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この議論をしておると時間がなくなりますのでやめますが、われわれも消費者なわけです。私は消費者の立場でやっておるわけでございますが、なかなかわかりにくいですね。もう少しわかりいいような発表をしなければいかぬと思うのですよ。あとで詳細な説明をしてください。  それから、今回きめられた、一本になった基準産気率でございますけれども、沖繩の場合は四・八〇、こういうことになっておるわけですね。これは御存じだと思いますけれども、沖繩の場合、特にこの産気率は温度と気圧の問題で変わってくるわけですね、主として温度計算が基本になるわけです。そうしてみますと、第四ブロックに入れた沖繩の場合、四・八〇という基準産気率はこれは非常に低いわけですね。そこら辺はどういう理由によるわけですか。
  197. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  産気率の決定にあたりましてはいろいろなこまかい問題はございますが、大まかに申しますと、先生のお話のございました温度あるいは気圧というものと、それからLPGの組成といいますか、プロパン何%、ブタン何%といったような組成とのそういったファクターが大きく響くということでございます。  沖繩につきましては、沖繩には精製工場が三工場ございまして、そこでプロパンについては自給自足といいますか、それをやっているわけであります。そういった関係、また沖繩は非常に温度が高いということから、相当ブタンリッチなものが使われているわけでございます。それで一般的に言いますと、内地の場合にはLPGの組成はプロパンが八六%程度というふうに私ども考えているわけでございますが、沖繩の場合にはこれが七五%程度ということで、相当ブタンの濃いものを使っているということから、温度だけからいいますれば、先生のおっしゃるように沖繩の産気率が一番高いはずでございますけれども、組成の問題がございますので、若干その点数字が変わってきているということでございます。
  198. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 若干ブタンの混入率が多いからというのはわかりますけれども、い号の場合で考えてみますと、大体十五度Cで四・八〇の産気率になるわけです。ところが、沖繩の平均温度というものは二十二・三度ですね。この表を私は自分で詳しく計算してみているからわかるのですけれども、沖繩の人は、これで一般の消費者が四・八〇の基準産気率で一体メーター売りは幾らになるのだろうというようなことが明確にわからぬじゃないですか。   〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 早い話が、この第一ブロックにおいては基準産気率が四・六九である、したがって十キロ入りのボンベ売りは千五百円であるけれども、メーター売りは第一ブロックのときは何ぼになりますよ、基準がこれであります、この前後ですよ、それから第二ブロック、第三ブロックについても同じ、沖繩についてはこれこれこういう理由でございますので、四・八〇の産気率で、メーター売りはたとえば千五百五十円なら五十円が基準になりますよというような発表のしかたをしなければ、消費者は全然わかりませんよ。業者とお役所のほうだけはわかっておって——今度上かったので、新聞紙上によりますれば、若干は、東京の場合は十一円幾ら安くなるのだというような説明をしておりますけれども、これでははなはだ不明朗な発表のしかたじゃないかと思うのですが、もう一ぺんここら辺のところを整理して、新たに今度の標準価格によれば重量売りは千五百円、それからメーター売りについては第一ブロックは幾らが基準というようなことを、明確に国民の前にお示しするわけにはいきませんか。
  199. 左近友三郎

    ○左近説明員 お答え申し上げます。  いまの先生のお話、まことにごもっともでございます。私のほうもさっそくそのようにメーター売りの場合に幾らになるということを府県と連絡をとりまして、府県からも一般の方々によく周知するように措置いたします。
  200. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから、これは政務次官に非常に大事な問題でお伺いするわけですが、いわゆる電気料金等については、ナショナルミニマムの問題が非常に話題になっておるわけでございます。これも生活基本消費財でございますので、将来そういうような価格設定というものはできないか、この点いかがでしょうか。これは非常に政策的な問題になるわけでございますけれども、私としてはぜひそういう方向をとってもらいたい、こういうふうに思うのでございますが、やはり地方へ行きますと、旅館等でも相当プロパンガスを使っておるようでございます。そういう大口需要というものと一般家庭の平均の需要というものを考えた場合に、やはりこれはナショナルミニマムを設定する可能性があるのではないか。むしろそのほうが一般消費者としても安心してこういうものを使用していけるのではないだろうか、こういう私の私見なんでございますけれども、いかがでございましょう。
  201. 森下元晴

    ○森下説明員 御指摘の趣旨には賛成でございます。ただ、そういう問題を実施するにあたりましては、また電力と電気と多少内容が違いますし、十分委員会等におはかりしたり、また、経済企画庁その他の関係官庁ともよく相談してきめたい。お考え方としては、これには私は賛成したいと思います。
  202. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点。このプロパンガスの中には家庭用、工業用いろいろあると思うのですけれども、広く使われておりますタクシーのプロパンの問題でございますが、これはいろいろ状況を聞いてみますと、夏場においてはブタンが一〇〇%、冬場においてはプロパンが二〇%混入のものを販売をしているのが大体の実態のようなんでございますけれども、先般あの石油ショックが起きていわゆるプロパンガスもなくなって、タクシーの特に個人営業の人たちがスタンドにずらっと並んだ経過があります。あるいは通産省等に押しかけたことがございますが、その際にたびたび聞いたのでございますけれども、やはりガスの力が非常に弱まったというようなことも間々聞いたわけであります。そういったところから、タクシー用のプロパンについてもやはりある程度の基準を設けて、夏場はブタン一〇〇%である、冬場はプロパンガスが二〇%混入するんだというような現在の実勢をそのまま認めてもけっこうでございますから、何らかの基準をつくっていただくことが、いわゆるそういった使用者とガスを販売するほうとの、適正なそういった販売ができるのではないだろうか、こう私は考えておるわけでございますけれども、この点はいかがでしょう。
  203. 森下元晴

    ○森下説明員 家庭用の暖房用、厨房用と違いまして、自動車の場合はやはり動力エネルギーでございまして、いわゆるブタンの組成の多い少ない、またプロパンの多い少ない、これによってかなり出力が違うと思います。ガソリン等においてもやはりオクタン価の高い低いによって出力が違うといわれておりますように、パワー、出力の内容をある程度明示する。ただ量さえ売ればいいということではいけない。いまおっしゃいましたように、あの当時非常に出力の弱い、力のないプロパンバスが売られたかどうか、その点は聞いておりませんけれども、もしそういうことがございましたら、これは内容的にはあまりよくないということで、やはり力の表示をすべきである、これも検討していきたいと思っております。
  204. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  205. 井岡大治

    井岡委員長代理 和田耕作君。
  206. 和田耕作

    和田(耕)委員 午前中の中曽根大臣に御質問する時間が限られておりましたので、そのときにあの問題をもっと突き詰めていくことができなかったのですけれども経済企画庁長官、午前中中曽根さんとの質疑をいたしたのですけれども、たとえば九月の適当な時期に灯油あるいはLPガスの標準価格をつくるという方向を大体言明されたと思うのですね。いまの状態から見て、国民生活安定法、これは大臣の一番責任を持たなければならぬ法律だと思うのですが、国民生活安定法の中の標準価格を設定する要件と、現在の灯油あるいはLPガスの置かれておる状態というものは合うものかどうか。私はあの法律に規定されておる標準価格というものをつくるということについて、いまの灯油あるいはLPガスの状態というのはそれほど切迫した状態ではないんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、長官いかがでしょう。   〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 内田常雄

    内田国務大臣 これはうかつにお答えができないような問題のようにも思いますが、政府としましては、私どもといたしましては、個別の物価対策というものを全然捨ててしまったわけではございません。例の行政指導による凍結価格制度にいたしましても、また今度やめることになっております百貨店、スーパー等の末端の指導価格につきましても、またその上のということになりますか、いま御指摘のございました国民生活安定緊急措置法に基ずく標準価格の仕組みなどにつきましても、これを全然捨ててしまうつもりはございません。  しかし、これらの幾つかの個別物資対策というものは、いわば緊急の措置として設定された法律あるいはまた行政の仕組みでございまして、しかもその緊急というのは、物資の需給が非常に不均衡であるし、また物価全体としても著しく上昇する環境にあり、しかも当該物資価格がこれを放置するときは著しく上昇するというような場合に限って法律の発動をし、また行政指導による措置もやる。しかもそうした事態がなくなったときには直ちにそれらの措置はやめるべきである、こういうような規定までもございます。そうしたことを考えます際には、はたしていま、これは灯油に限らずいろいろな個別物資について法律的、行政的に統制に似たような価格を設定すべきかどうかというところに若干の問題はないわけではないと思いますけれども、しかし、われわれが政策としてやらなければならないことは、非常に固定的なものでありますよりも、経済環境の流れに応じて必要なことは、その法律をおかりするなり、あるいは行政措置によるなりいたしまして、やはり国民の生活を守るべきであると考えられる場合もしばしばございます。  そう考えます際に、石油製品というものば七つも八つも種類がございます。ナフサもありましょうし、ガソリンもありましょう、あるいは重油系統もございましょうが、それらのうちの中の特定の製品、すなわち灯油でありますとか、あるいはLPガス等につきましては、これは米価と同じようなものだとは言いませんけれども、いろいろな意味からなるべく価格を安定をさせたり、またできるならば低目に設定をして、これは公共料金じゃございませんけれども、自由物資に属するものもございましょうけれども、それぞれのメーカーなりあるいは販売業者なりの協力を求めていくということも必要ではなかろうか、こういう考えを私は持つものでございます。  ここまで詳しく申しますと、和田さんも御理解をいただけたと思いますけれども、そのような見地から、通産大臣も私も、いまの段階におきまして、九月中といいますか、適当な時期に灯油についてはもう一度標準価格をつくるという方向でこれを詰めてまいるつもりで現在はおるわけでございます。
  208. 和田耕作

    和田(耕)委員 大臣も御存じのように、国民生活安定法の標準価格という考え方は、ある意味で異常な状態というものを前提にした考え方でしょう。私、これを問題にしたいのは、つまり通産大臣もいろいろおっしゃられておるように、石油の需給というのは非常に緩和してきた、ここ当分心配はない、そういう状況下で標準価格という一つの特定の法律に基づいた価格制度を採用するということがいいかどうか、つまり、これは標準価格という問題を出すだけで石油はまたおかしくなるのじゃないか、灯油はまたおかしくなるのじゃないかというような考え方を持つ人が出ないとも限らない。あの法律はそういう法律なんですね。石油二法として異常な事態に対処するための法律なんだ。  それで、中曽根大臣も、公取のほうからいろいろ意見もあるのでということばで言っておりましたけれども高橋公取委員長ですね、これは高橋さんが強硬に主張なさってこられた行政指導をもっと限定的に考えろという主張は、非常に強く中曽根さんにも影響していると思うのですけれども、いま申し上げたとおりたぶん中曽根さんは、これは私の推測ですけれども、通産省の指導的な価格でいいんだというふうに考えておると思うのです、いまの灯油あるいはLPガスの問題は。それを標準価格という形でおさめようとしておられる、こういうことじゃないかと思うのですね。私、そうだからといって、灯油あるいはLPガスの価格を自由価格に放任しておいていいとは思いません。こういう時期に、つまり通産省の従来からあったような行政指導的な考え方で対処するということも私は一つの理由があると思うのです。こういう問題、公取委員長どういうようにお考えになるでしょうか。現在の灯油あるいはLPガスの状況を見て、特定の法律に基づいた標準価格制度を設定するのが正しいと思われるのか、あるいはまた通産省が行政指導をやって対処することが正しいと思われるのか、こういう問題、いかがでしょうか。
  209. 高橋俊英

    高橋(俊)説明員 私は前々から申し上げておりますとおり、行政指導全体をいけないということはないのです。そういう考えはありません。しかし、価格について規制を必要とする場合ですね、これは行政指導によるべきじゃない。つまり、行政優位の考え方があまり行き過ぎるということは好ましい傾向じゃないと私は思います。  同時に、公正取引委員会の立場からいいますと、かりに小売り価格であれ何であれ、行政指導でやるということは、そう言っちゃなんですが、お上から押しつけたカルテルみたいなものになりますから、その区分が私どもとしては非常に立てにくいわけですね。ですから、そういう点からいっても、独占禁止法のたてまえからいっても好ましくないということは申せます。だから、やるんでしたら、標準価格制度がいいか悪いかという御批判はあるでしょうけれども、それでやれば非常にすっきりする。それが実勢よりも高くきめられておれば、引き下げる方向に努力するようにやはりいろいろな方面から批判が出てくるでしょう。そういうことがありますので、やるんでしたら、ぜひとも私は標準価格制度を使われたほうがいいと思います。
  210. 和田耕作

    和田(耕)委員 ちょうどいい問題ですから、今度公正取引委員長がお考えになっておられる独禁法改正の問題について若干お聞きしたいのですが、四つ五つの重要な項目があるようですけれども、一つの例を企業分割制度という考え方の導入にとってみて、具体的に考えた場合に、この前の新日鉄ができるときの八幡と富士の合併のようなケースは、これは国民の目から見ても単純にわかる。押えるべきだという意見が出てくる。しかし、これはまあ率直に申し上げますけれども、麒麟麦酒の場合——私は麒麟麦酒と何の縁故もありませんけれども、麒麟麦酒のような、経済の自然な発達で出てきた一つの会社がある。これがしかも業界では六〇%近いシェアを持っている。そうなってくると、この麒麟麦酒という会社を分割する必要があるのじゃないかという問題の提起ができる。これもやるべきだというふうにお考えになっておられますか。
  211. 高橋俊英

    高橋(俊)説明員 和田先生のせっかくのお尋ねですけれども、そういう麒麟麦酒がどうかという具体的な質問に対しましては、私はお答えできません。(和田(耕)委員「それは取り消します」と呼ぶ)ですけれども、ただ、分割制度というのは、これは世界各国に全部あるというわけじゃありません。しかし、そういう分割するという規定はないけれども、アメリカのシャーマン法では、それに基づいて裁判所が分割を命ずる権限が与えられております。そういうふうに解釈されておるし、イギリスも規定の上では、これは非常に辛い話になるのですが、合併の基準が、すなわちまたそれをこえているものについて独占状態というふうな表現になっておりますが、それが法律上昨年から二五%になっているわけです。それをこえたものはずいぶん幅広いわけですが、分割の対象になり得るということになっているわけです。実際士はそんな基準で行ない得るものではありません。私どももそのようには考えておりません。  分割というのは、他に方法かない——競争状態を再現するために他に適当な方法があれば、分割によるべきじゃないと私は思います。ですから、そういう限定された条件で、まあいってみればある種の極限状態を想定しまして、そういう場合には——自由主義体制下で強い者が弱い者を食うという形が必然的にあらわれる業種があるのです。そういうふうにならない業界もあります。必ずそれは多数の業者が存在する。そういう業界もありまして、業界は限られていると思いますが、しかしそう少なくない。そういう場合においては、最終的に分割という方法によらざれば競争状態が起こらない、いわば独占を放任するということになりますから、独占禁止法の趣旨に沿わない、こういう考え方で提案をしようとしておるわけでございます。
  212. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの新日鉄とか麒麟麦酒とかいうことばは取り消します。  ただ、私いま申し上げたのは、きわめて普通の、自然にというわけでもないのでしょうけれども、比較的自然に大きくなった一つの独占的な企業体、この企業体の分割という問題はなかなかいろいろな問題を含んでおるのであって、これは最後の手としては考えられると思いますけれども、他の条項と並列してこの問題を提起することばどうかという感じを私は持つのです。もし押えられにくい強力な独占体ができた場合には、私は原価の公表というものをやらすべきだと思うのです。そういうある特定の場合に公取委員長が原価の公表を命令することができるということになれば、相当やはり目的の大部分は達成できるのじゃないかというふうに思うのですけれども、あの並べた五つぐらいの項目を、重要性というのか、実行する順に従って順位をつけるという考え方を持っておられますか。
  213. 高橋俊英

    高橋(俊)説明員 私としましては、これは個人的な見解になりますけれども、かつて研究会の中間結論として出しました改正の方向につきましては、いま格別順位というものは考えておりません。御意見のとおり、原価の公表ということがもしそういう寡占化をさらに独占化に進めるのを阻止するのに役立つということであれば、それは実際に運用上の問題としては先に使う、つまり分割から始まるのじゃなくて、分割に至るまでの間において原価の公表ということをやって阻止するのがいいのではないかというふうに思っております。つまり、分割はいわば最後の手段である。しかし一方で、われわれが直接接しておりますところの学者の先生方、評論家の方々などは、原価の公表にそれほどの効果が一体期待できるのかというふうな疑問を呈している向きもあります。原価の公表だけでは足らないのじゃないかということですね。理論的な問題ですよ。理論的な問題としては、それは構造的な改善をやらなければ、構造的な問題としてやらなければ解決がつかないのじゃないかという御意見が強いわけですよ。原価の公表それ自体意味がないとはいえないけれども、しかしどっちかといえば分割というのが一番適切な手段じゃないか。これはしかし、机上の論といっちゃ悪いのですけれども、そういう面もありますから、われわれ実務を担当するほうからいえば、企業分割というのはそれほどたやすいことじゃないのです。相手方の抵抗もいろいろありますし、いろいろな感情論も入りますから、そう簡単にこれをやるという気はありませんけれども、しかしそういう制度を持つことは必要であるし、現にアメリカあたりではハリス法案とかハート法案とか出ておりますが、これはたいへんな分割案なんですね。それは通るとば思いませんけれども、しかし現在のハート法案が、七つの業種に分けて、みな十数%までシェアを落とすところまで分割すべきであるというふうな構造的な解決を求めるような考え方に立っておるわけです。ですから、いろいろそういう例もありますので、一がいにどれは優先でどれは劣後だということは申しませんが、私は運用上の問題としてはさしあたり分割から手をつけるのじゃなくて、原価公表というような、私どもは何らかの効果があると考えておるわけですから、そういう手段に訴えてみたい、こういうふうに考えております。
  214. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は公取委員長が非常に勇気を持ってこの数年間寡占体制に対して挑戦をしておるということは非常に高く評価をする一人なんですけれども、しかし経済全体の流れとして、自由な経済を維持するということの非常なむずかしさですね、しかしそれをやってもまたさいの川原のようにこわされていくというような問題、こういう問題を、もっとこの問題を考える場合にお考えになる必要があるのじゃないか。たとえばそういう企業の分割とか、いろいろな原価の公表とか、あるいは超過利得税のあれだとかいうことも必要だと思いますけれども、やはり公共的な部門を経済全体の中でふやしていくとか、そういうふうな考え方と相まっていかないと、そういう公共的な部門をふやしていく、つまり私的な企業に対してもっと公的なウエートをふやしていくというような考え方がないと、公取の部面だけで自由な競争条件を確保しようとしても非常に困難です。また自由な競争条件それ自体も、今後とも維持することは非常にむずかしい。全体が非常に限定されていく、全体として国の行政指導的ななわ張りが拡大していくという一つの見通しに立つ必要があるのじゃないか。  そういう意味で、先ほど公取委員長もおっしゃったのですけれども、行彼指導全体を否定するわけではないのだ、これは大事な考え方だと私は思うのです。いままでの行政指導の大部分は非常にまずい行政指導をやった。まずい行政指導があるからといって行政指導自体を否定するということは、いまの自由競争から次第に公的な性格が制度的にもあるいは運用面でも出てくるという方向が正しいとすれば、正しい行政指導に対して役所は憶病であってはいけない、こういう感じがするのですね。  そういう問題で、灯油の標準価格をつくるということの場合に、あの国民生活安定法できめた標準価格を適用する条件というのは、いまのような条件ではないと私は少なくとも解釈をしている。もっと臨時の非常な事態ということを考えての法律だったと思う。しかしいまの行政指導というものがなかなかやりにくい状況だから、ああいうものをまたつくる。六月に撤廃して石油の需給が緩和した。今後だいじょうぶだからという形で緩和して、また新しい元売り価格を設定して、しばらくこの価格を放置して六百円から六百四、五十円というぐらいの状態になってきた。ここでまた標準価格をつくるという経過なんですね。あまりこういう便宜的な形ではいけない。自由な価格形式ということにもっと信頼を置くなれば、標準価格なんというものを安易に考えないで、適当な行政指導のもとで、これは国民生活に非常に大事な問題ですから、もしものことがあってはいけないから、監視する手を持ちながらも、自由価格の形成をやるべきです。私はそれが正しいとは思っておりませんけれども、非常に中途はんぱな形になっておるのじゃないかという感じがするのです。  またそうすれば、自由価格にしておいて、たとえば北海道地区のような問題になっているところは特別な地域的な配慮というものは当然やる理由もあるわけですから、そういう配慮でこれに対処していくという考え方が正しいのではないか。いずれにしても、この問題は、今後総需要抑制あるいは新しい物価水準をつくり上げていくという大きな仕事があるわけですけれども、この考え方というのは十分政府部内でも検討しておく必要があると私は思う。  企画庁長官、総需要抑制という問題をいま政府は一生懸命やっておられる。そして産業によってはかなり倒産等の状態に到達している産業もある。財界の一部からは相当強く手直しを要求される声もある。こういう時期に、経済企画庁長官として、とりあえずいままでのやり方の総需要抑制というものを、一部の手直しということはほとんど意に介さないで、介したところでほんとうの一部分、部分的な手直しであって、継続していかなければならない、当分そういう継続が必要だというふうにお考えになっておられますか。
  215. 内田常雄

    内田国務大臣 その問題は、午前中にも私はかなり詳しく私の考え方を申し述べる機会がございました。物価鎮静してまいりましたけれども、しかしまだ先行き設備投資などについての根強い動きもございますし、現にまた、その先駆的な指標でございます機械発注なども、これは増勢にございます。しかし一方においては生産は減り、出荷も減り、生産者在庫というものがふえておる、しかも需給は非常に緩和しておる、こういうことになりまして、そのことばとりもなおさず、いまお話がございましたような、経済が動かなくなって景気が非常に沈潜をしてきておる、このままの状況推移すると、倒産とかエンプロイメントとか、いま仕事に携わっておる方のエンプロイメントの問題よりも、新しく職業戦線に加わろうとする若い人々たちの就職の機会のこともございましょうし、さらにそれは三年、五年後の、今後の日本経済のあり方、これは社会福祉も高くしなければなりませんし、あるいは生活環境の整備も必要でございましょうし、人口もふえてまいる、そうしたことに対応できるような経済構造というものを想定した場合に、物価さえ押えればいま申し述べましたような事態はどうなってもいいのだということであってはならないと思います。  しかし、私は、最初に申し上げましたような、もう一度また物価引き上げるような要因になる事態の存在する限り、総需要抑制金融引き締めそのものを転換するのではなしに、それはそれとしていままでのたてまえを堅持しながら、ことばが適切であるかどうか別でありますが、立体構造のもとに、景気政策とか、あるいは国民総生産の課題の解決でありますとか、あるいは資源対策とか国際収支対策とかいうものを、それぞれ立体的に組み立てていく必要があるということを、私はいろいろ感じ取っておるものでございます。しかしそれは、いまの総需要抑制政策をいつ今度はやめにしてということでは全くありません。それはそれにしてと、こういうことでございます。
  216. 和田耕作

    和田(耕)委員 私がお聞きいたしましたのは、総需要抑制という問題を非常に部分的な手直しをしながら政府は進めていくだろう。しかし総需要抑制といっても、政府がいろいろ計画する仕事だとか産業界のいろいろな需要だとかいうような部面に限られておるので、その部面だけからいえば、一つの限界にいま近づきつつあるのだという判断をする人もおると思うのですね。そうなれば、国民総需要の半分以上を占めている個人的な需要に何らかの形で手をつけなければならないのではないか。そういう段階に次第に、これは好むと好まざるとにかかわらず入っていくのじゃないか。つまり、総需要抑制は進めながら、政府のいろいろな事業も押える、産業の需要も押える、しかし部分的な手直しをする。そうしながらその部面では大体の限界に達する。片一方、総需要の半分以上を占めている個人の需要に対して何らかの手を打っていく必要がありはしないかというような問題が現在直面している問題だ。  こういうふうなことを考えてきますと、つまりお米の問題でも——大蔵省の方お見えになっていますか。もう時間もありませんので簡単にしますけれども、大蔵省はできたら五〇%あるいは四七%ぐらい消費者米価引き上げたいというお考えがあるようですけれども、このお考えは単に財政支出を減らしていくというだけなのか、あるいは何らかの形で個人消費というものに対して物価の問題からいってもいい結果になるということも多少お考えになっておられるのか、その問題についてお聞きしたいのです。
  217. 垂水公正

    ○垂水説明員 担当の主計官が所用がございまして、私からかわって申し上げますが、御存じのとおり、生産者の米価が引き上げられました結果、生産者米価と消費者米価が大きく乖離をしておる。その結果、四十九年度の、本年度でございますけれども、食管制度というものに非常な圧迫が来ておりますので、これを計数的に申し上げますると、食管の損失補てんを中心にしました食管繰り入れが現在のままでございますと約一兆二千億というようなことになってくるわけです。したがいまして、そういうことになりますと、とてもこの食管制度を維持するということ自体困難になるという問題のほかに、やはり財政には先生も御指摘のようないろいろな需要がございますので、そういう需要をまかなうにもあるいは支障を来たすということもございますので、それからさらに申せば、食管の制度の中でたとえば不正逆流というような、つまり不祥事件のようなものも発生するというような付随的な問題もございますので、そういったものをいろいろ考えてみますと、やはり家計の事情に十分配慮をしながら、先ほど申し上げました食管制度の持っておるいわゆる末端逆ざやの解消というものに向かって努力をしていくというようなことがこの場合適切であろうという認識に立っておるわけで、単に財政支出をちびりたい、そういうことではないのではないか、かように思っております。
  218. 和田耕作

    和田(耕)委員 非常に正直なお答えに近いと思うのですけれども、この際はこういう特に一番大事な物価問題等についてはやはり正直な話のできるような雰囲気をつくっていくのが一番大事だと私は思うのです。  そこで、農林省の方お見えになっていますか。米価審議会で、生産者米価と消費者米価調整する必要がある。同時にやっぱり考えてみる必要があるというふうにお考えになっている人は、米審の中ではどういうふうな状況になっていますか。
  219. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  生産者米価と消費者米価関連につきまして、実は生産者米価の御審議を願いました七月の米価審議会で相当議論がございまして、その経過を踏まえまして、八月の二十二日に、実はその辺の御議論をいただくために米価審議会を一日開いたわけでございますが、その際の大方の御意見では、生産者米価と消費者米価、この関連なしとはなかなか言えないのではないか、無視はできないのではないかという御意見がかなり多かった、こういう状況でございます。
  220. 和田耕作

    和田(耕)委員 食管制度という問題の成り立ちあるいはその後の経過を考えてみると、これを運用すれば相当の赤字が出てくるということは当然考えられるのですけれども、やっぱりある限度以上のものはなかなか容認できないという考え方もよくわかるわけですね。そういうふうな意味から、農林省が初め米価審議会に諮問した二五・五%というのは、農林省としては確信をもって提案した数字なんでしょう。しっかりした理由を持った、これで農業生活もしっかりやっていけるのだ。りっぱにやっていけるのだという数字なんでしょう。それはいかがでしょう。
  221. 下浦静平

    ○下浦説明員 昨今の物価賃金の情勢等を踏まえまして、私ども再生産を維持確保していくためにこのくらいが必要であるということで計算をいたしました数字でございます。特に六月までの賃金数字を入れたというようなこともございますが、私どもといたしましては、あれはあれなりに適正であったというぐあいに考えております。
  222. 和田耕作

    和田(耕)委員 農林省としては、これは農民の立場を十分考える省なんですから、責任をもって出したその二五・五%が、あんまり根拠なしに三二・二%、あるいはそれに対する政府のいろんな加算を含めて三七・四%、実に十二%もあっという間に加算されるというのはどういうわけですか、農林省として考えた場合に。
  223. 下浦静平

    ○下浦説明員 先ほどの賃金のところは、従来四月までであったのを五月まで入れたということでございますので、訂正をさせていただきます。それから、ただいまのお尋ねでございますけれども、基本米価と申しますか、それにつきましては三二・二%ということでございました、あと各種奨励金等を入れますと先生おっしゃったような三七・四%ということになりますが、これは米価ではございません。私ども二五・五%ということで米価審議会に諮問をいたしまして、米価審議会におきまして、実はこれは足かけでございますけれども五日の御審議を経た案を得たわけでございます。それでいろいろ御意見をいただきました上で、先生御承知のあるような答申をいただいたということでございます。この答申を踏まえまして、さらに関係各方面の御意見を徴しながら最終的に修正をいたしたということでございますので、この最終的に決定をいたしました米価、これも私どもといたしましては諮問におきまする試算米価以降の経過をも考慮に入れまして決定をいたしました数値でございますので、これも私ども適正に決定いたしたと考えております。
  224. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは単に農林省の問題だけではなくて、物価の問題に責任を持っている総合的な調整役である企画庁長官、これは重大な問題だと私は思うのでございます。つまり政府として二五・五%という数字を十分な根拠を持って米審に諮問をした。米審からは、ちょっと意味のわからないような、まあまあ答申が出てきた。その場合に政府は、根拠を持った二五・五%というものを相当責任を持って押えていくということが、責任のある態度だと思うのです。これをあっという間に、わけのわからぬ形で一二・四%でぐらいふやすものだから、現在に至って全く生産者米価と消費者米価を離して、生産者米価はよろしい、あるいはもっともっと——これは各政党、ぼくらのところの政党も責任あるが、もっともっと上げろ、そうして消費者米価は全部国の財政でまかなえ、こういう無責任な意見が出てくるのは、もともと政府が二五・五%という数字を出しておきながら、これを紙くずのように捨ててしまうという態度にあるんじゃないですか。その点いかがでしょう。
  225. 内田常雄

    内田国務大臣 農林大臣がおらないこと、まことに残念であります。しかし、農林大臣にかわる農林省の政府委員ないし担当官からいま御答弁があったとおりでございまして、米価審議会という法律上の機関にはかって米価はきめる、こういうことでありまして、米価審議会における長い四日間の議論、あるいはまた幾つかの考え方を述べ上げた答申の趣旨をも考えつつああいう生産者米価がきまった、こういうことでございますが、和田さんの御意見は一つの筋の通った御意見であると私は先ほどから拝聴いたしておりました。
  226. 和田耕作

    和田(耕)委員 この段階物価問題というのは、当然こうまで上がってきますと、私も個別物価についていままでは相当いちゃもんつけて文句を言ったのですけれども、やはりこれはもうあけすけに問題を話し合って、そして国民の合意を求めていく以外に方法はないのです。今度の米価のようなことを政府が今後もやれば、他の国民の側からどういう要求が出ても、一言も政府は返答できはしませんよ。私はそう思いますね。政府が責任を持って二五・五%でよろしいと思うがどうでございましょう、こう諮問を出しておいて、米審から御案内のようなあの抽象的な答申が出てきた。それで、わずか二、三日のうちに一二%上のせするなんということは、とんでもないことじゃないですか。国民の側から見れば、どうにでもなるのだ、こう思うのはあたりまえじゃないですか。そういうような問題は今後とも厳重に直していただきたい。  この要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  227. 平林剛

    平林委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四分散会