○美濃小
委員 先ほどから
質疑を聞いておりまして、
政府の事務的な
原案といいますか、
政府原案がまだできていないということでありますが、それも時間的にできていないとすれば、できていな
いものを深く追及はしようとは思いません。しかし、もう日にちは接近しておるのでありますから、ある
程度のことは言えると思うわけです。
先ほど、
生産費調査をした
統計情報部の
課長からは、この
サトウキビの
生産費の中で八十数%が
労働費であるということは異例なことであるという表現がされておりますが、しかし、私
どもは復帰前から特別
委員もやりまして、もう
沖繩へは
相当の回数行っておりますが、
農業生産というものは、
サトウキビといえ
ども、これから省力化なり
機械化なりを進めれば
労働時間を短縮することはできると思いますけれ
ども、そういう
事情ではなかったということです。アメリカの占領下にあって、占領行政の中ではそういうことは
一つも行なわれていないわけです。私はこれは不自然だと
考えません。
農林省の情報部の
課長は異例なことだと言うけれ
ども、私は異例なことだとは
考えません。
サトウキビという
作物を、
機械化をしないで、
労働主体で、人間の手で、いわゆる手
労働という生産方式でやっておって、それを改善できなかった理由というものは、アメリカの占領行政下にあったということでしょう。それをいまの
時点で、日本の
統計情報部であろうと、
農林省の幹部から、
生産費の中で八十数%
労働費がかかっておるのはおかしいのだという表現は、根本的にこの
考え方を直さなければ、
沖繩の問題の論議の対象にはならないと思うのです。そういう
条件にしたものは何なのか、何が原因でそうなっておるのかということを解明して、それを解明するまでの間は、当面たとえば
沖繩で
サトウキビが壊滅してもいいのだ、
サトウキビはつくらなくてもいいのだというなら話は別ですよ。これから話は詰めていきますけれ
ども、そうじゃない。局長から言えば、一トンでも多くつくってもらいたいと言うのでしょう。
国際糖価あるいは現
時点の国際間の
砂糖の需給
事情等からいけば一トンでも多くつくってもらいたいと言うのでしょうが、一トンでも多くつくってもらいたいのであれば、現況におけるつくれる
条件を可能にして、そして、収量の増加なり、土地改良なり、あるいは
機械化による省力化なりというものを将来の方向に向かって進めていくことにはやぶさかではないと思いますし、また、ある面ではそうしなければならぬ面も、
調査の結果私も感じておりますが、とりあえずの現況は、何も好んで
沖繩の島民が百六十四時間を要しておるのじゃありません。千年、六百年、五百年前からああいう体系で
砂糖というものはつくってきたのじゃないですか。それが占領行政のために放置されていたということはふしぎなことではないと私は思う。
いま、国際
条件の中ではどうですか。いま、東南アジアの国々の中では、米をつくって、足で踏んでもみ落としをしておる。NHKの現地レポートなんかで出てくるでしょう。米を刈って乾燥したら、むしろ一枚敷いて、その上で人間が足で踏んでもみ落としをしておる国もあるのです。東南アジアの国々の中には、米をつくっても、
サトウキビをつくっても、八十数%が
労働費であるという国はたくさんあります。これは
沖繩だけに限られた
条件だとは私は思いません。そういう
条件を加味して今度の
価格を
考えなければ、そんなものはおかしいのだ、変則的なんだ、
労働の
生産性は低いのだと言っても
——だから、この
統計表にあるように、これは
計算されておるものは家族
労働時間で百四十一・七時間ですね。それを二万六千二百九十四円と評価して
生産費を出しておるわけですから、一時間
当たり百八十六円ですね。八時間働いて千三百円ぐらいになりますか。こまか
いものは別です。
生産性が低いからこれでいいんだろうということで、そこらの論議がまだこの
時点で煮詰まらない。十日にきめるのに、庁内の、そこらの問題をどういうふうにして
推定生産費をきめるかという論議が煮詰まりませんという姿、これはどうなるんでしょうかね。どういうふうにお
考えになりますか。
現況でこういう事態が起きているのは、
沖繩島民の怠慢でもなければ、
沖繩島における現象だけではないと申し上げておきます。こういう
生産事情で
サトウキビがつくられておる。生産量はかなりある。それを先進国と称するものが安くたたいて買ったわけですね。
砂糖というものは、自由市場で多少余剰傾向もある。この前から私は申し上げておりますけれ
ども、それが石油問題と同時だとは言いませんけれ
ども、石油問題等が起きて、
砂糖の産出国においても
砂糖の安売りはしないぞというような気風が出てきた原因も、今度の
国際糖価の暴騰の中にその要因もあるということも確かでしょう。それなくしてこんなに
国際糖価が上がっていくものじゃない。
砂糖の生産農家が、われわれははだしで、裸で、こじきのような生活をしてでも
砂糖を安く売りますという、そういうことではないということです。そういう
現実を押しつけてきたわけです。貿易という手段の中で、先進国と称するものがそういう過酷な
条件で
砂糖を収奪してきた。貿易収奪をしてきた。それが許されなくなってきた。それのみだとは申しませんが、しかし、
国際糖価がこういうふうに上がっていくという要因の中に、いま申し上げたような、
砂糖産出国の安売りをしないぞという気がまえが大きく働いてきておることも見のがせない事実だと私は思います。十アール
当たりの生産の中で百五十時間、百六十時間かかって生産しておる国々は、
サトウキビについてたくさんあるわけですから、それに対する国際水準の
労働対価の要求が今日の
砂糖高要因、
国際糖価要因となっておるわけですね。
これは一〇〇%だとは言いませんよ。しかし、そういうことは全然無視して、国内においてそういうことがおかしいというんじゃなくて、米並み
生産費で私が
計算するとこうなりますね。まあ、大ざっぱですから、これは必ずしもそれのみを一〇〇%主張するものではございませんけれ
ども、
生産費所得補償方式で、片や、米に対する生産
労働は、ことし一時間
当たり五百九十四円ときめたのでしょう。五百九十四円で百六十四時間を同様に
計算すれば九万七千三百十円というものが
——これは奄美も同じでありますから、
沖繩、奄美両方一緒にして申し上げますが、十アール
当たり生産
労働に対する
所得補償じゃありませんか。それに、二万八千七百六円が四十八年度における
家族労働費を除いたほかの生産経費である。二五・三%という
パリティもおかしいのではないかと私は思う。一応三〇%の
パリティの増加率で
計算すると、その経費は三万七千三百十七円、合計して十三万四千六百二十七円が十アール
当たりの
生産費となります。これは二五・三で
計算しても、これよりちょっと下がるだけです。それを七トンの
基準収量で割るのか、それとも復帰の年ですね
——四、五年前は干ばつでものすごい凶作がありました。ああいう年の収量を入れれば、
サトウキビで七トンという
平均収量はちょっと過酷でないかと思います。四十八年は七トンあるというんですから、これはいいです。しかし、その三年か四年前に干ばつでものすごい減収を受けておる。ですから、五年なり七年なりの
平均収量をとれば七トンというのはちょっと無理ではないか。たとえば、四十八年の七トンで
計算しても十三万四千六百二十七円。これは三〇%
アップで
計算しますから何ですが、これを二五・三でしても
幾らも下がりません。大ざっぱに申し上げて、十アール
当たり十二万円の生産
所得を補償するということになれば、大体一万八千円ということになるわけです。期せずして一
トン当たり一万八千円ということになってくるわけですね。
そういうことを基本に置いてしなければ、局長が先ほど言ったように、現
時点における
国際糖価あるいは国際的な
砂糖の需給
事情から見て一トンでも多くつくってもらいたいと口では言っても、いま申し上げたように、大幅に下回った
決定をことしして、それで一トンでも多くつくってもらいたいと言ったって、
現実には
サトウキビをつくって生活できない。だから出かせぎに出るということになります。その
現実は、私
どもが農林水産常任
委員会で
調査したところによると、
サトウキビの畑がものすごく荒廃している。特に、八重山群島の石垣島と西表島ですね。西表島へも行きましたが、西表島は
農業は少ないですけれ
ども、
砂糖工場はことし動く工場が
一つもないのではないでしょうか。西表島へ行っても
砂糖工場があるにはありましたが、しかし、
キビ畑がもうほとんど荒廃してしまっているので、どうしておるかというと、島から外へ出かせぎに出ておる。全部だとは申しませんが、出かせぎに出ている者が多い。
まず、第一段階にそういう
条件が起きておるのでありますが、それは
皆さん方も行って見てきておると思うけれ
ども、その
条件を満たすのが、きょう前面におすわりになっている流通局長と
砂糖類
課長と、特に参列しておる大蔵省の宮下主計官にもよく申し上げておきますが、
皆さん方だ。その
皆さん方の手でそれをぜひつくることが大切である。まだ結論は出ておりませんと言うけれ
ども、結論は出ていなくたって、それに対する総合的な
作業はかなり進んでおるわけですから、核心に触れた見解を承りたいと思います。