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美濃小
委員 局長は
北海道を見てこられましたが、どうですか、ことしの状況は。まあ、確定でなくていいですが……。私は、ことしの
収量は大体平均四トンは切れないと思うけれ
ども、
北海道てん菜は平均四トンぐらいではないか。昨年より
収量はずっと落ちます。それから、防除はしておるんだが、どういうわけか褐斑病がつきまして、葉が早く枯れますから、登熟も悪くなる、含糖も一五%という
歩どまりにはならぬのではないか、悪くすると十三%ぐらいの
歩どまりしか取れないビートになるのではないか、と、いまこう見ておりますけれ
ども、これは今月の十日かそのころになればわかるが、しかし、
歩どまりをある程度確定的に推定するには、やはりある程度操業してつぶしてみなければわからぬというのがいままでの実績ですから、そういうふうに見ておるわけです。そういう状況でありますから、ことしの
てん菜糖はかなり高くなると思います。この間
甘味資源審議会が出した目標の百二十円じゃできないと思いますが、それはいいです。これは
推移していった上できめればいいのですから、いまここで何ぼになるんだということを聞こうとは思いません。
しかし、そういう状況にあり、したがって、
先ほどの
質疑の中で、ビートは一日
当たり三千六百十四円と
統計情報部長が言われたが、昨年は統計対象
農家は五トンだったわけです。
北海道の耕作された総平均は、十アール
当たり収量は四トン八百だったわけですね。そうすると、まず、耕作されたことしの対象
面積の平均は四トンだろう。それから、不幸にして春先の雨量が多くて消えてなくなって廃耕した反別があるわけです。廃耕反別を入れれば四トンは切れると思います。それは多くはありません。多くはありませんが、それはゼロになります。ビートをまいたことには間違いないわけですね。廃耕反別を入れて計算すれば四トンは切れる。廃耕反別は除外しても大体四トン
収量であろう。しかしながら、片や
パリティで、昨年の
価格からことしの
価格に上がっておりますけれ
ども、
生産物財投下のほうは
パリティでまかなえるかどうか。
パリティが大幅に上回って、
生産経費が上昇したとも考えております。大体、
パリティで上がっておりますから、そこそこで物財投下のほうはおさまるだろうと思うのですが、こえても若干のこえ方だろう。切れるということはありません。
パリティ以下でおさまるというふうには見ておりませんけれ
ども、
生産意欲が阻害されるほど、
価格を
決定した
パリティをそんなに大きく実際のことしの物財投下が上回るというふうにも私は考えておりません。若干は上回っていくだろうと私は見ております。しかし、そうなると、
収量四トンということになると、この
物価狂乱の中で、
生産経費を引けば、ことしの
てん菜は三千六百十四円の一日
当たり労働報酬は出てこないだろうと私は見ております。
実勢に応じた
生産経費が
パリティを若干上回りますから、それを引いて、ことしは
収量が落ちますから、ことしの実際
収量で推定計算をすると、前
年度の一日
当たり労賃の確保は困難である。これではビートは減っちゃうのですよ。そこに問題があるわけだ。この
物価狂乱の中で、
均衡労賃は、いずれも御存じのような
状態で全部上がる。ビートをつくった農民だけは、前
年度所得、すなわち家族
労賃が前
年度分が確保ができないということになれば、これはビートをつくっておる農民だけでなくて、いかなる業種にある人でも、この
物価高の中で——そして、去年が高ければまだいいのですよ。去年の四十八
年度の
実勢というものは、男女込み
労賃で、他産業の製造業平均は大体六百円をこしておるわけです。そうすると、六百円として、八時間で四千八百円ですが、それをこえて去年の実際のビートは八千円だった。それから落ちるのであれば問題はないが、去年
そのものが、
均衡労賃、
均衡所得、国民平均の
所得に
てん菜耕作部分は達していない。ことしは賃金も全部上がっておる。ただ、
てん菜をつくった部分は去年よりも下がるというのであります。そういうことに結果がなることには間違いありません。だから、今度何ぼ下がるかということは、
収量なり何なりがはっきりしなければならぬが、前
年度所得に到達しないということはもうはっきり言えるわけであります。それが一点です。
それから、たとえば前
年度収量と言いますけれ
ども、
てん菜の
収量は、過去四年、五年をずっととってみると、やはり四トンぐらいを基準
収量で見るのでなければ、昨年、一昨年のような異常な
てん菜の
収量、糖分はなくて異常に水太りするああいう
収量だけを
てん菜の
収量と考えるのはあやまちでありますから、私
どもはやっぱり現状において四トンと見ます。四トンを大体この近い年限の基準
収量として考えた場合、こういうことではどうにもならぬわけですね。ですから、忘れてきておるのか。確かに、過去において
労賃は一〇%以上上がっておるのに
てん菜は三%しか上がらなかったというような、まことに
てん菜耕作を無視した
価格のアップが行なわれておることも事実であります。そういうことは、忘れてきたのではないかというのは、それも一理、そのとおりだと思います。忘れてきたのなら、そういうことがわかれば早く直さなければならぬでしょう。私がいま申し上げておるように、確かに、ことしの
パリティをかけて、ことしの物賃の動向とことしかけて上げた
パリティとを論争すると、糖価安定法二十一条三項の規定での、四十八
年度計算においてこれを
改定しなければならぬという法律的根拠は満たされぬ。これも確かに一理あると考えます。それほどことしの
パリティというものは無視された
パリティではないということも、これはわかります。過去に忘れてあったということだ。忘れたものをいつまでも忘れさせておいたのでは親切な政治とも言えないし、忘れてあったということが計算上はっきりすれば、その忘れをいつ直すのか。
生産農民の立場になれば、ことし直しなさいと言わざるを得ないわけです。ここはやっぱりあたたかい政治という考えで割り切らなければ、理論的にへ理屈ばかりお互い言い合っておったのではだめで、ことしの理論計算では、ことしの
パリティの範囲、ことしの上げ幅の
パリティを修正した中においては、どう計算してみても糖安法二十一条三項の規定による
価格修正の法律上の根拠はありません。へ理屈になるかもしれません。ただ、過去においてかなり忘れたものがあるからこれではうまくないというのでは、どうもちょっとうまくないので、そこをどうするかということです。要は政治ですから、行政的に理論、理屈づけはどうあろうと、忘れたものなら忘れたもので、しからば、
改定でできなければどういう方法でとりあえずことしはこれをアップする、そして忘れてあったのだから、ことしは暫定としてこういう措置をとって、来年の
価格決定には本
価格に織り込みますよ、と、これが明確になれば農民も安心できるわけです。無理にいじり回って、
告示価格で引き上げるということだけが手段ではないと思う。もう一つぐらいの手段はあると思う。ことしの
てん菜価格を、現実に農民の手取り
価格を引き上げて、そうして来年に安心と期待を持たすというもう一つぐらいの方法があるのじゃないですか。どうしても
告示価格を引き上げれば、他との関連もあって非常にまずいから、
告示価格の引き上げでない方法で忘れたものをとりあえず現実の糖業との取引
価格で形成をして、そして、そのかわり、これは一年ぎりの措置だから、忘れておったのだから、来年は基本
価格に織り込みますよ、と、こういう措置もやってやれぬことじゃないんでないかとも思うわけですね。それで、とりあえずそういうこともやってやれないことではないと思いますので、何としてもことしはその忘れた分をきちっと農民が納得できる体制をとり、来年はそれを基本
価格に織り込む。だから、寒地
作物だし、
北海道の畑作経営も、この
作物を輪作の一定反別につくることによって経営が安定する。農民も一定反別をつくりたいわけですから、つくりたい者が
所得が低くてつくれないというところに問題がある。
サトウキビの問題はまだちょっと
告示期間が先ですから、この
委員会は存続するわけですから先にいたしますが、将来は両方合わせて六十万トンくらいの
砂糖はいざというときに持っていなければ、
砂糖だって、この間の通産当局の見解では、世界的な
供給がすでに少し足らないのですね。
生産が
需要を若干下回っておるという見解でありますから、そこでこの
価格も出ておると思うのですね。
将来に向かって
砂糖の消費は伸びていくと私は思います。値段が少し上がれば
生産も伸びるだろうけれ
ども、たとえばアラブが石油を上げてああいうふうに外貨が裕福になってきますと、いままでがまんして食わなかった
砂糖は、やはり文化のバロメーターですから、
所得さえふえれば発展途上国の
需要量はまだまだ伸びていくと思うのです。餓死する条件の中では
砂糖の消費は伸びぬけれ
ども、しかし、いろいろな条件で
所得が伸びれば、発展途上国の
砂糖の消費はまだまだ伸びていく。いままではほとんど食っていないような条件です。そういうふうに考えると、世界的な
砂糖の需給も、将来の長期展望はなかなかたいへんであろうと思います。すると、可能な六十万トンの条件は、これが減っていくような政策ではだめだと思う。今月の十日からビートの買い入れがもう始まるわけですから、一週間あったらやれるはずですから、ひとつすみやかに——きょうここでどうするという回答を求めることは無理だと思いますし、私の持ち時間もちょっと経過しておるので、確たる回答を求めるように突っ込んではいきませんが、やはり、それをしないと、これは甘味需給上の問題で、単に
北海道の農民の
所得だけの問題じゃないと思うのです。これでは非常に大切な甘味需給対策がくずれ去ってしまう。泡沫になってしまう。それをやらずして、七万ヘクタールで、ヘクタール五トンで、一工場
当たり三十六万トンの
操業度を保って、そうして糖価は百二十円であります、と、そんなものは何を言っておるかと私は言いたいのです。あんなものは全部絵にかいたもちになってしまいますから、何ぼ皆さん方がテーブルプランを書いて、ああいうものを
審議会にかけて、これが国内産糖の安定目標だなどと言ったって、そんなものはもう消えてなくなっちゃうわけですから、そういう総合的な考えについて
局長の
意見を承って、私の質問を終わりたいと思います。