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美濃委員 ただいま、四十九年産のカンショ、バレイショ
でん粉並びにカンショ切り干し等の
政府の買い入れ
基準価格というものの決定内容が報告されたわけですが、これは小
委員会でもいろいろ
質疑がかわされておりますが、まず、第一点として、この
関係の農安法はもとより、その他の
農産物価格支持の法律というものをつくったときの
事情と現在とは大幅に変わってきておる。したがって、附録算式等についても現在としては非常に実情に合わない。たとえば、今回こういうふうに
価格をきめられましたけれ
ども、実際問題として、この
価格では再
生産が保障されていない。特に、これはパリティ方式でありますから、米や何かのように家族労賃何ぼと公表はされておりませんけれ
ども、
生産費で計算すればわかるのでありますが、
生産費で計算して、少なくとも
農家が生計し得る労賃というものが
基準価格の中では保障されていない。片や、あとからも
えさの問題で申し上げますけれ
ども、国際的な
穀物事情はだんだん悪化して、
御存じのように、
食糧が足らぬで栄養失調、餓死の出ておる国もある。この傾向というものは、国際
食糧機構で、長期的には
世界の
食糧の
需給は困難であるということは公表されておる。
日本の
食糧の自給率というものはどうしても維持していかなければならない。こういうときに
国内農産物の再
生産が保障できない
価格を告示して、それで片や
輸入する
農産物はどうなのか。いま、
でん粉関係で
輸入コーンスターチ、これはトウキビでありますから、
えさ用としても窮屈だ、と、こういうんですよ。
アメリカは、さっきも
竹内君の
質問に
大臣は
答えたが、
輸入承認制とか、国際的な
需給の逼迫から輸出調整をやはりやろうとしておる。しなければならぬ。トウキビはそういう情勢にあるんですよ。そのトウキビは高くて、現時点ではトン十一万円以上、いずれも今回告示した
価格より高いんですよ。どうしてこの
輸入促進をやるのか、私にはわからぬわけです。そうして
国内農産物を政治的に押えつければ、再
生産確保、所得の確保ができないから
農業は負債になって、あとから
肉牛についても申し上げますけれ
ども、大きな負債ができて
国内農業は倒れていく。そうして、その現時点に立てばもう高いわけですね。
輸入するものが高い。それは外国から入るものは高くなるんだからしかたがないんだということで、
国内はやっぱり最低
生産者価格というものの
考え方、低賃金で押えつけて、流通天国で、流通のほうは野放しで——先ほ
ども論争がかわされておりましたが、農民が供給を受ける
えさにしても、資材にしても、流通天国ですから、何の行政措置もなければ、もうけほうだいで、手一ぱ
いもうけて農民は売りつけられる。高い資材を使って、そうして
生産したものが
生産費と所得が補償されない
価格で行政的に押えつけられるということになれば、いわゆる
国内農業というものは経済的に破滅せざるを得ない
条件です。どうしてそれを続けるのか。あとからビートの問題もちょっと申し上げたいと思いますが、この際申し上げると、ビートも同じです。これから買い入れ
価格をきめると思うんです。国際糖価というものはロンドン
市場では一トン三百五十、三百七十ポンドでしょう。粗糖が、
輸入された原価そのものが、三百ポンドといえば二百十円ぐらいです。粗糖で
日本の港に着いたものが三百七十といえば、さらにそれより高くなる。そういう
状態のときに、これはこの前の小
委員会であったと思いますが、公表されておりますけれ
ども、一日当たりビートの所得補償は三千円。この
物価狂乱の中で、工業労賃や人事院勧告等から比較しても話にならない。生業として働いておる農民の一日当たり労賃が三千円しか確保できない
条件でてん菜の
価格をきめて、それで北海道の農民が本気になってつくればけっこうですが、つくって、一工場当たり三十六万トンの
原料を供給して一五%の歩どまりになれば百二十円、これは国際糖価より一キロ当たり百円も安い。百円以上安い砂糖。いまの三百五十ドル、六十ドルという
価格から比較すれば百数十円安い砂糖をつくらす。その裏には農民の所得は全然保障されていないから、これは特に実勢
価格が——まだ
でん粉は実勢
価格が
反映するようになっておるけれ
ども、砂糖については、とにかく糖価安定事業団がきめた
価格で買い入れして、市価で売り戻しをするわけです。去年はおそらく何十億という差額を事業団は徴収しておるのですよ。私の聞くところでは、大体三十億近い差額を吸い上げたというふうに聞いておるのであります。なぜそういうことをしなければならぬか。ですから、てん菜はもう耕作ができにくくなってしまった。つくって生活できない作物は農民はつくれないですよ。
大臣、
日本という国はどうしてそういう
政策をとるのか。そういう無理なことをする必要はないと思うんですね。いまのこういう
政策とこういうインフレの中でこの
政策を踏襲していけば、
国内農業というものは破壊されるばかりです。外国から簡単に
輸入できるのかというと、
輸入できない。その面では
農産物の
国内自給度は高めなければならぬと
政策的には言うが、具体的にやる
政策は、
国内農業の農民の経済収支を破壊してしまう。やりたくてもやれない
条件に追い込んでいく。そうして
政府は高い
農産物を
輸入して弄んでおると思うのですね。
これは工業製品を売る手段として表面はそんなことを言いながら、率直に申し上げると、政治献金や何かの因果
関係があってこういう
政策をどうしても
政府はとらなければならぬのか。この
段階ではうそを言わぬで、はっきり農民に言ったほうがいいと思うのです。おまえらもう要らぬぞ、自給などというのはアイデアで言っておるのであって、安くてもこじきよりましだと思って、やれる者はこの
価格でやりなさい、やれぬ者は、おまえらの生活を保障するようなことは
日本の
政府はもうやらないのだというのか、どうなのか。この
段階になって何を
考えて
政府は
農政をやっておるのか、われわれも信用することができないわけです。言うことはうそを言って、何か表面をはぐらかして、アイデアだけは言うわけだ。いや、
食糧の自給は大切です、これからも
農業を見直します、自給は大切だ、と、こう言っておるが、しかし、具体的に行なってくるやつは、やれないようにしてしまうわけですね。農民に負債ができて、やめなければそれを職業として生活することのとうていできない
条件を押しつけるわけだ。これをどういうふうに
考えておるのか。
そうでないというのであれば、たとえばいま報告のあった
関係でも、これは附録算式の第一算式なんというものは全く実情に合わない。パリティの半分だけを最低
生産者価格といって、計算様式を調べたら、このインフレで上がるパリティの半分だけは上げてやろうというんです。そんなばかな算式が現在生きておる。現実に生きて、
でん粉価格の算定に入れば、附録算式の第一は一応計算してみなければならぬ。計算して小
委員会で報告したのでしょう。附録算式の第一で計算すればこうなります。小
委員会一同は、これは完全一致であります。そんなばかな算式がないではないかということで、その附録算式の第一というものは計算上オミットされましたね。第二と第三をとって今回きめたと、こういうのです。それなら実情に合わない附録算式の第一などというものは、政令ですから、
大臣はあんなものは廃棄してしまったほうがいいのです。廃棄して、新たな現時点に立って、こうなってくると国際的な
食糧事情から見てどうしても自給は本腰を入れますというんだったら、本腰の入った政令なり法律なり、そういうものに変えていかなければならぬと思うのですね。そういう
考え方について、大綱をいまこの機会に私はお伺いしておきたいと思いますが、どうですか。