○大出
委員 これは四十五年の十月であります。私が当時やかましく、増田
防衛庁長官がその前の長官でございますが、
防衛白書といわれるものを出したらどうか、国民を説得する
意味においてもということを本
会議で申し上げましたが、かくて出てきた。いまの項は「極東における軍事情勢と予想される武力紛争」という項なんですが、この中における「極東における軍事情勢」と、こういうわけです。ここでは、だから明らかな脅威を、あなた方が公式に分析して公式に表に出した。これが昭和四十五年の十月。
それから、ここにございますのは、「昭和四十七年十月九日国防
会議・閣議決定」両方でおきめになっておる。これは「第四次
防衛力
整備五か年
計画の策定に際しての情勢
判断および
防衛の構想」、こういうわけであります。ここの中で冒頭に「情勢
判断」が載っている。そして、この中に「しかしながら、アジア地域においては、米・ソ・中三大国の利害が依然複雑にからみ合い、全体として安定した緊張緩和
状態に至っているとはみられず」と書いてある。私がこれを
質問をしたら、答弁をしたのは大河原
アメリカ局長でした。だから、四次防と銘打ってここに情勢
判断を書いておられますが、立案は外務省がしたことになる。そう私は当時
判断をしたのだが、この中で、緊張緩和
状態に至っているとはみられないとある、三大国の利害がここにからみ合っているから。そして一番
最後のところに「大規模な武力紛争が発生する公算は」つまり四十五年十月から見ると「さらに減少しつつあるものとみられるが、地域的ないし期間的に限定された武力紛争の生起する
可能性を否定することはできない。」といっている。否定することができなければ、小規模の武力紛争、限定的な武力紛争の生起する
可能性はあるということになる。これは当時の議事録に残っております。あると答えている。これは昭和四十七年の十月の九日です。
さてその後に、これは四十九年六月の三日「
防衛力の量的拡大を修正
米軍と提携強める」四次防というものも、いささかふらふらぎみになりまして、私が本
年度予算の分科会において山中さんに
質問いたしました。幾つかの雑誌が取り上げておりますけれ
ども、四次防が完全に達成できるかという点、たいへんに変わってまいりました。積み残しもたくさん出てまいりました。この中で「予見し得る将来にわたって、軍事的脅威は顕在化しない」という表現を使っている。顕在化しない、だから、
防衛力の量的拡大を修正をしていこうという方向なんですね。
これは、
あとから、四次防の概算要求も出ておりますから承りたいのでありますが、ここで
一つ非常に矛盾があるのは、その間に内閣
委員会で議論が行なわれている。これは四十八年六月十五日であります。この中で、
政府はいわゆるまぼろしの脅威というものをつくり上げて、それに対処するために軍備の増強をはかってきたのが現状ではないかという、つまり、いま私が例にあげました四十五年十月の
防衛白書、四十七年十月九日の国防
会議並びに閣議決定の情勢の分析で、局地的、限定的な紛争の生起の
可能性をお認めになっている。そこで、だから四次防という関連になっている。そのことをとらえて、いままでそういうまぼろしの脅威というものをつくり上げながらこの国の軍備の増強をはかってきたのではないか。ところで三次防の二兆三千六百億円、それからこれは人件費を入れればですが、四次防の五兆円になんなんとするもの、あらためてここで極東地域における脅威というものは存在をするのかという
質問、これに対するあなた方の答弁、これは当時の久保
防衛庁局長でありますが、「直接侵略につきましても、間接侵略につきましても、わが国について具体的なそういうおそれはない、いわば脅威はない、また差し迫ったそういう脅威はないという
判断をいたしております。」これは、はっきり言い切っておるわけであります。これは四十八年六月の十五日であります。
つまり順序を追っていえば、四十五年十月には非常にむき出しの脅威を書いておられる。四十七年十月の国防
会議・閣議決定では局地的・限定的な武力紛争、この
可能性がある。そしてさらに越えて四十八年、ここで、いま私があげましたように、間接的にもあるいは直接的にもわが国に脅威はないと、はっきり言い切っておられるわけであります。これは
防衛局長、いま施設庁長官におなりになったからそこにおいでになりますが、久保さんの答弁。これは専門家の御答弁であります。
そうして先ほどあげました四十九年六月、今日であります。四次防というものの形が少し変わってきている。
予算編成が終われば、五十年、五十一年しか残らぬのですから、積み残しを一体どの程度どうするかという問題五十年、五十一年この二年間しか残されていないのですから、積み残しを一体どうするかという問題があるわけでありますが、ここまできて
防衛力の量的拡大は修正をする。これは、もちろん片一方に
米軍との提携を強めるという構想が
一つある。この中で予見し得る将来にわたって軍事的脅威は顕在化しない、だから量的拡大は質的に修正をするということをいっておりますが、これは相関連して実は
防衛力
整備計画が出ているわけですよ。そうすると、この
整備計画の前提になっている情勢の分析が的確でなければ、われわれはあなた方がお出しになる
予算には応じられないわけでありますから、そういう
意味で、この関連を今日どうとらえておられるのか、これは、はっきり御
説明をしていただきたい。
外務
委員会で外務省という立場でいろいろやりとりをしておりますけれ
ども、やはりこの国の
防衛にかかわる、つまり軍事
バランスがとれているとかなんとか答えておりますけれ
ども、軍事
バランスまでまいりますと、これは外務省の所管じゃない。この国の
防衛の責任官庁である、しかも責任者である
防衛庁長官、この点を一体どういうふうにお
考えなんですか。ただ単に先ほどのようなぴんとこない答弁をされても困るので、あなた方はちゃんと分析されているのですから、四十五年、四十七年、四十八年、四十九年を私はあげているのですから、これをどういうふうに体系ずけて、あなた方は今日朝鮮半島における軍事情勢を踏まえて分析をなさっているのか。あたかも今日、四次防の概算要求をお出しになっているのだから、その背景ですから明確にしていただきたい。