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1974-11-13 第73回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月十三日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 高鳥  修君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       住  栄作君    武藤 嘉文君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    多田 光雄君       小濱 新次君    折小野良一君  委員外出席者         法務省矯正局保         安課長     樋口 淳雄君         法務省矯正局参         事官      山田 航一君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         大蔵省主税局総         務課長     伊豫田敏雄君         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         海上保安庁警備         救難監     船谷 近夫君         自治大臣官房審         議官      遠藤 文夫君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         消防庁長官  佐々木喜久治君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小濱新次君。
  3. 小濱新次

    ○小濱委員 去る九日午後、東京湾横浜本牧沖LPGタンカー衝突事故発生いたしました。そしてお互いの船が火災炎上いたしまして、多くの死者と行くえ不明者を出したわけでございますが、まずこの事件の経過について、海上保安庁のほうから御説明をお願いをしたい、こう思います。
  4. 船谷近夫

    船谷説明員 まず事件概要でございますが、LPGタンカー第十雄洋丸は、液化プロパン等を積載いたしまして、ペルシャ湾のラスタヌラから川崎向け浦賀水道中ノ瀬航路警戒船の「おりおん一号」を配備しまして北上中、十一月九日十三時三十八分ごろ、その航路北端付近で、君津からロサンゼルス向け出航中の貨物船パシフィックアリス号右舷前方を横切りの体勢で至近距離に接近してきましたので、後進全速としましたが間に合わず、パシフィックアリス号船首が第十雄洋丸右舷リザーブタンク付近衝突いたしました。  衝突と同時に第十雄洋丸右舷船首リザーブタンク付近に破口を生じまして積み荷のナフサに引火し、両船とも火炎に包まれました。  第十雄洋丸の乗り組み員は出火直後海中に飛び込み、船外に避退しましたが、パシフィックアリス号乗り組み員の大部分は船内に閉じ込められました。  これの事故に対します措置状況でございますが、事故発生と同時に情報を入手しました海上保安庁の第三管区海上保安本部は、巡視船艇二十隻及び航空機三機を現場に急行させまして、両船乗り組み員の救助及び消火活動に当たらせました。一方、九日十四時十五分には現地に対策本部を設置し、海上自衛隊消防機関及び民間船舶協力を得まして、次のような措置をとりました。  まず遭難者救助でございますが、現場に急行しました巡視船艇及び「おりおん」等民間船により、海中に飛び込んだ第十雄洋丸乗り組み員三十三名及びパシフィックアリス号在船中の乗り組み員一名を救助しました。きょう十三日八時現在、両船の乗り組み員二十一名の死亡を確認し、十二名が行くえ不明になっております。  消火活動といたしまして、第十雄洋丸巡視船艇及び民間船舶の必死の消火活動にもかかわりませず、猛烈な火勢は衰えを見せず、大爆発を起こしつつ、当時の風潮流に圧流されまして横須賀方面に接近しました。このままでは付近沿岸の浅瀬に乗り上げて火災等により大災害発生が懸念されましたので、巡視船及び民間船により、九日二十三時三十七分木更津沖の浅いところに曳航し座州させまして、漂流防止措置をとるとともに消火活動を続行しております。  一方、パシフィックアリス号は第十雄洋丸と同様、火災発生、炎上しながら漂流を開始しましたが、巡視船艇等による消火活動により火勢が衰えてきましたので、民間曳船により曳航し、二十二時四十五分川崎沖錨泊させまして、巡視船艇及び民間船舶により消火活動を続行した結果、十日十三時五十五分に鎮火いたしました。  それでこれらのことに関しまして、入港船舶に対しましての安全措置等でございますが、事故情報の入手と同時に、海上保安庁付近通航船舶に対し注意喚起緊急通報を行ない、九日の十八時、第十雄洋丸を中心に半径二海里以内の海域航行禁止としました。第十雄洋丸の座州及びパシフィックアリス号錨泊に伴いまして、十日零時、中ノ瀬航路を除き浦賀水道航路航行禁止を解除し、その後第十雄洋丸火勢が衰えましたので、十二日二十一時以降航行禁止区域を同船から一キロ以内の区域ということに縮小いたしました。  以上が事件概要であります。
  5. 小濱新次

    ○小濱委員 視界もよかったように聞いておりますし、また風波も少なかったように聞いているわけです。考えられないそういう状況からこの事件発生しているわけですね。で、常々言われておったことは、あの地域はラッシュ世界一だ、そういう関係者の声がいろいろとあるわけです。タンカー年間航行隻数が四万隻ということで、五分間に三隻ぐらいが通っているというような計算になっているようであります。そういう危険個所に対する対策を怠っていたのではないか、対策ができなかったのではないかなというふうに私どもは考えているわけですが、地元では、とうとう起こった、あるいはついに事件発生をしたということで、当然のことのように言っておられるわけであります。この機会に、海上保安庁としても抜本的な安全対策防災対策というものを急がなければならないなというふうに感じておるわけですが、現状に対する今後の対策については何かお考えがありましょうか。
  6. 船谷近夫

    船谷説明員 まず、東京湾における消防体制その他の防災現状から申し上げたいと存じますが、東京湾におきましては、大型タンカー等火災発生した場合すぐ現場に到着して、消火活動初期活動が非常に重要でございますが、その効果をあげる体制としまして、少なくとも大型化学消防船三隻が必要であると考えております。このため、海上保安庁は現在一隻保有しておりますが、そのほかに、民間関係者大型消防船二隻を共同で建造するようにということを従来から勧奨いたし、指導しました結果、四十七年に一隻が建造されまして、四十八年一月から就航しておりますが、さらに五十年度当初、来年六月ごろにはもう一隻の建造がされることになっております。これら三隻の大きい消防船、これは、事故発生時に一元的に運用がはかれるように協定を結び運用することになっております。また海上保安庁としましては、特に東京湾には重点的に化学消防能力を強化した巡視船艇を配置しておりまして、この海域に配備しております巡視船艇二十八隻のうち、二十一隻は化学消防能力を付与した船でございます。その中には、いま申し上げました大型消防船一隻のほかに消防艇二隻が含まれております。なお、この二隻のうち一隻は、本年度新造中型消防船にかえることになっております。そしてまた、消防機関との間にも業務協定を結んでおりまして、円滑に消防活動が行なえるように措置しておりますし、民間協力体制としまして現在東京湾では三十九隻の化学消防能力のある曳船が配置されております。われわれとしましてはできるだけ早くそれ以上の消防能力を持たすということを考えておりますが、なお民間なんかも指導しますし、またわれわれ海上保安庁自体としましてもなお一そうこの強化には努力したいと考えております。  火災ではございませんけれども、大量の流出油事故発生がまた非常に大きく懸念されるところでございます。その点につきましては、だいぶ前になりますけれども、イギリスにおけるトリー・キャニオン号事件以来、直ちに官民合同で対処できる体制をとるために流出油対策協議会を全国に設置いたしました。なおまた、新潟沖ジュリアナ号大量油流出事件がございましたが、それを契機にしまして、従来つくっておる協議会が若干弱体なところがあるという教訓を得ましたので、その後その教訓を生かしてさらに強化する体制を固めたところでございます。
  7. 小濱新次

    ○小濱委員 あの事故現場は保安庁の守備範囲であったわけですが、事件発生と同時に要請があって、東京から消防艇二隻、あと川崎からと横浜から各一隻が現場に急行したようでありますが、間もなく指示があって、それぞれ港へ引き揚げたという経緯がございます。もうあの現場は惨たんたる惨状を呈しているまつ最中に、なぜ四隻が帰ってきたのであろうかなというふうに私どもは疑念を持つわけですが、東京湾のことですから、当時は大体一・五メートルぐらいから二メートルぐらいの波浪があったようであります。最初は三メートルから四メートルぐらいの風速だったようですが、強いときには六メートルぐらいあったようであります。まあ静かだったといわれておってもそういう状況下、そういう静かな作業現場において作業困難と目される消防艇、こういうことで帰ってきたんだなというふうに考えておるわけですが、その点のいきさつについてはいかがでございましょうか、お答えいただきたいと思います。
  8. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 九日のタンカー火災発生いたしました地域は、海上保安庁の、消防に関しましてはいわば専管水域でございまして、各消防機関が出動いたしましたのは第三管区海上保安本部長からの要請によりまして、川崎市の消防局が十四時五十四分、横浜消防局が十五時十七分、東京消防庁が十五時二十分、それぞれ応援要請を受けまして、東京消防庁が三隻、それから横浜消防局が二隻、川崎消防局が一隻の消防艇を出動さしております。この地域に到着いたしますのに約二時間ぐらいかかっておりますので、それぞれの消防艇が到着した時点はほぼ薄暗くなった時点でございます。そして、一応到着いたしましたけれどもタンカー火災が非常に大きいために、タンカー自体に接近するということが非常に困難であったということで、一応現場に到着をして警戒体制をしいておったわけでありますけれども消防活動をするには火災があまりにも強くて、タンカー自身に取りついて消防活動を行なうことができなかったわけでございます。そしてまた、当日の十九時現在で東京消防庁の「みやこどり」が測定をいたしました風速は北東十三メートル、波高一・五メートルないし二メートルというようなことでございまして、平水面を主たる任務といたします消防機関消防艇といたしましては、非常にその消防活動は困難な状況にあったということも事実でありますけれども、実際には消防活動ができないというような状況でもございましたので、海上保安庁等とも相談の上、それぞれ実際の消防活動を行なうに至らないで帰ってきたというような状況でございます。
  9. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、海静かといわれる東京湾でも、とにかく作業のできないようなそういう小型消防艇といわれるような船しか各基地では持っていないという状況下にあるように思います。東京の「みやこどり」が百トン以上あるようですが、あとはみんな四十八トンクラス、五十トン以下ぐらいの船のようです。それは役目役目ですけれども、やはりそうも言っていられない。危険をおかしてでも現場に急行しなければならないような、そういう事態が間々起こってくるであろうと思うのですが、海上保安庁船谷警備救難監からお話ありましたように、これから大型消防艇消防船といいますか、それの必要性というものを認められておりました。今回のこの惨事を通して、まあ今回LPGタンカーであれだけの災害で済んだということに一応なりますけれども、これがもしも原油あるいはまた重油等の二十万トン以上、三十万トン、それ以上の船ができておるわけですけれども、四十五万トンのような大型事故を起こしたときには、これはもう手の施しようがない。二次災害も当然起こってくるわけですが、そういう中にあって、やはり作業しなければならない使命がある消防艇、そういう点で、これはどうしても船舶が特に大型化しておりますので、またガス専用船で危険が一ぱいだともいわれている東京湾でありますから、この大型船舶に対する対策として大型消防艇消防船、この建設が実に急務であるということを今回のこの事件を通して私ども感じたわけでございますが、この東京湾相互応援協定東京横浜川崎、千葉、市原の五カ所で結んでおられますが、いろいろと伺いますと、大型消防艇の就航を心から望んでいるようであります。こういう点で、これは今回の活躍には海上保安庁たいへん御努力を願ったわけですが、今後どうしても想定されるこういう事故に対する対策として、消防庁大型消防艇なり消防船なりの建設というものをすみやかに計画を実現していかなくちゃならないと考えております。消防庁長官、それだけひとつお答えいただきたいと思います。
  10. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 各市町村における消防機関消防活動対象といいますのは、原則的にはその市町村行政区域でございます。したがいまして、現在消防機関としましては、海上に対する消防活動というものは原則的には考えておらないのであります。現在の消防法の規定によりましても、消防対象物というものは、船舶の場合、埠頭に係留された船舶というところがいわば原則的な消防対象物になっておるのでございまして、海上に対しましては消防機関消防活動対象にならないというのが原則でございます。  現在海上保安庁のほうと業務協定を結んでおりますのは、地方団体行政権限が及びますのは、一番広い地域としまして港湾区域というのがございますが、この港湾区域のうちで、河川でありますとか運河等の内水面並びに埠頭またはドック等に係留されている船舶というものについて業務協定を結びまして、これが消防機関のいわば専管区域という形になっております。それから、それ以外の港湾区域というものは、これは原則的には海上保安庁所管区域になるわけでありますけれども、いわば港湾行政として地方団体行政権限の一部が及ぶというような考え方から、この港湾区域につきましては、海上保安庁との間におきまして相互応援協定を結ぶというような形になっております。また、消防機関が持っております消防艇は、港湾地域におきまして陸上から進入することが非常にむずかしい場所の火災に対しまして、海上から陸上消火活動を行なうというのをたてまえにして消防艇運用が行なわれておるわけであります。あるいはまた内水面上における船の火災というものを対象にして消防艇を建造いたしております。したがいまして、消防艇は原則的には内水面あるいは港湾区域のうちにおきましても防波堤内部において陸上対象消防活動を行なうというふうにつくられておるわけでありますから、消防艇構造自体がそうした平水面における活動に役立つように、喫水をできるだけ浅くするというような構造でつくられておるわけでありますから、防波堤の外側に出て波高の高いところということになりますと、消防艇構造的に活動が困難になるということになるわけでございます。  そういうことで、私ども消防機関としての消防艇の保有は、あくまでもこうした陸上対象あるいは最大限港湾区域内部における活動というものに限定をさるべきものであるというふうに考えておりますので、先般の東京湾のまん中で大型タンカー火災が生じたというものに対処いたしますためには、国の機関においてそうした大型消防艇、また外海における消火活動の可能な構造を持った消防艇が設置さるべきものであるというふうに考えているわけでございまして、消防機関消防艇を保有いたします場合におきましても、いま申し上げましたような考え方で、消防艇構造等につきましても、そういう考え方での整備をしていくということになるだろうと思います。ただ、最近は沿岸部におきまして相当大きい石油コンビナートといったようなものが形成されているわけでありますから、それらの火災に対処するため、現在の四十トンクラスを標準にしておりますこうした消防艇能力が、そうした火災に対処できるかどうかということにつきましては、これは十分検討していく必要があるだろうというふうに考えております。
  11. 小濱新次

    ○小濱委員 船谷警備救難監の話にもありましたように、この大爆発が起こって、流れに圧流されて大火災危険性というものを感じたという説明がございました。当然予想されることなのですが、いま佐々木長官もおっしゃったように、あの京浜重工業地帯には五百トン以上のタンカーがたしか五千隻以上あるはずです。そういう危険個所をかかえている相互応援協定を結んでいるこの五つの都市、ここでもどうしても大型船がほしいと消防艇建設を望んでいるわけです。消防法の問題もいま御説明がございましたけれども消防法消防法として、これは国の問題だということですが、いま考えられる想定は、非常に危険個所をかかえて、今度のような事件がもしも内容の違った船で起こった場合にはどういうふうになるであろうかなということを私どもは憂えるわけでありまして、どうしてもこの大型消防艇建設は必要だなというふうに感じ発言をしたわけであります。長官の御意見はわかりました。わかりましたが、この協定を結んでいる都市からいろいろ伺いますと、大型消防艇ができましても維持管理にたいへん金がかかる。そういう点で消防機材充足もなかなか満たされない今日においては、大型消防艇をつくっていただいてもとてもとても困難でございまして、どうかひとつ国のほうで何なりの対策を講じていただきたい、そういう御意見もございました。  そういう点で、最後にひとつ長官にお尋ねしたいのですが、消防自動車その他消防活動に要するいろいろな機材充足率がおくれております。これについて消防施設税ですね、私ども目的税にしたいと思いますが、いろいろ調べてみたら、昭和三十年からもう答申が出たり、いろいろと本委員会発言があったり、陳情、請願が出たりしております。充足率を満たすためにも、あるいはまた新しいそういう事故に対する対策を講ずるにいたしましても、先立つものはお金になるわけですが、そういう点での考え方をひとつ長官から最後に承っておきたいと思います。
  12. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 消防といたしましても、必要な財源が十分あれば、これはまことに好都合なわけでありますが、確かに御指摘消防施設税の問題は、もうほぼ二十年来の問題というような形になっております。ただ、この消防施設税昭和三十年前後からいろいろ論議をされてまいってきておりますし、また税制調査会等におきましても相当具体的な案の審議にまで至ったことがあるわけでございますが、やはりその当時問題とされておりました事情というものは現在においても同じような状況でございまして、その消防施設税創設いたします場合の問題点というものはほとんど変わっておらないというところに私どもの悩みがあるわけでございます。依然として火災保険の被保険者というものは世帯から見ますと約五〇%で、なかなかふえてこない。そういたしますと、消防施設税はやはり最終的には被保険者負担になっていくということからいたしますならば、世帯の半分しか加入者がないという点については、その負担の配分という点からやはり問題が残されているような感じがいたします。  さらにまた、いま申しましたように、この消防施設税税負担自体が最終的には被保険者負担になっていく、保険料の料率の問題とも関連をするわけでありますけれども、最終的にはそういう負担ということで、損害率というものが年々下がってきておるわけでありますけれども、それに対応して消防施設税創設を理由にして保険料の引き下げが行なわれないということになりますと、これまた問題である、こういうことで私どもも何らかの事態の変化がありますれば、こうした目的税創設ということをさらに具体化していきたいというふうに考えてはおりますけれども、まだ依然として状況は困難ではないだろうかというような感じがいたしております。  なお、最近の保険料収入状況からいたしますと、従来考えられておりましたような保険料収入の百分の三、三%の税率ということにいたしますと、本年度あたり保険料収入状況から見ますと、約百億の税収入でございます。これらの収入額から見て、いろいろな大きい問題があります中でこれを創設して、はたして十分な財源となり得るかどうか、この点もまだ検討していかなければならない問題であろうというふうに考えております。ただ、消防庁といたしましては、確かに御指摘ございましたように、消防施設税といったような目的税というものがあることが望ましいということは私どもも十分これからも念頭に置きながら検討いたしたいと思っておるところでございます。
  13. 小濱新次

    ○小濱委員 昭和三十年に地方制度調査会から、また消防審議会税制調査会からもそれぞれ幾たびか消防施設税創設についての答申がなされているわけですね。また地域からの請願もございます。そういう点で、もう以来二十年になるわけです。私は、充足率が満たされているならば別にこれを強調する必要はないかと思いますが、充足率も非常に悪い、またそういう活動範囲が非常に広くなってまいりましたし、危険度がいよいよ大きくなってきた今日においては、やはりまず充足率を一〇〇%にすること、それからまた新しい事故に対する対応策を急遽考えていかなければならないかと思います。消防法消防法ですが、その必要があればまた改正もしていかなければならなかろう、こういうふうに考えておるわけですが、長官の御意見はわかりましたが、どうかひとつそういう方向で今後一そう御努力を願うことを要望いたしまして、この点についての私の質問を終わります。  法務省関係にお尋ねしていきたいと思いますが、最近都市化が進んでいる地方都市にある刑務所拘置所少年院などの施設都市繁華街に多くございます。そのために、これらの繁華街の中にある施設都市開発に大きな障害となっているわけです。また、まわりの住民にとっても、子供の教育の面からもきわめて好ましくない環境にあるわけでございます。これらの地方都市にある拘置所少年院などの移転問題を推進していくために、どのような方針のもとで、どのような努力をなさっておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  14. 山田航一

    山田説明員 刑務所拘置所少年院等移転問題の処理方針でございますが、私たちは、地元から強い御要望があり、またその施設移転地域社会開発に資するため早急な移転が妥当であり、地方公共団体等の積極的な御協力によって移転先の適地の収得がなされる等円滑な移転条件が整う限り、積極的に移転という問題に取り組んでいきたいと考えております。  ただ、移転候補地といたしましては、地域住民の感情の問題もございます。それから教育施設あるいは医療施設等との距離、あるいは生活上必要でございます電力及び用水の確保、交通の便、排水の便並びに施設に勤務することとなります職員とその家族生活環境良否等を勘案するとともに、特に拘置所につきましては、これらの条件のほか、裁判所、検察庁その他の関係機関との距離を考える必要がございます。このような候補地さえ得られれば、地元開発に御協力申し上げる方針でおります。
  15. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろ家族生活環境その他諸問題の条件が満たされれば移転をしてもよろしいということのようでありますが、どちらがどうその作業を進めるのかという問題が出てまいりますね。  そこで、それはまたあとに譲るといたしまして、神奈川の小田原市の拘置所少年院は東海道線小田原駅と新幹線駅のすぐそばにあるわけです。言うなら町のどまん中になっているわけです。そのために駅の放送だとか町の青い灯、赤い灯のネオンが所内にまで届くのですね。見えるようになっている。中に入っている人は当然のことですが、郷愁の念に誘われたりして——それはそうですよ、あの独房の中に入っていて放送が聞こえるのですから、そしてまた青い灯、赤い灯のネオンが見えるのですから、当然しゃばっけが出てくるだろう、こう思いますよ。  これらの町の中にある少年院などの逃亡事件が多いという話を聞いたわけでございます。まあ全国的にたくさんあるわけですが、過去三年間ぐらいの逃亡事故発生状況というようなものをお持ちならばひとつお知らせいただきたいと思います。
  16. 樋口淳雄

    ○樋口説明員 全国の少年院におきます過去三カ年間の逃走の状況を件数で申し上げますと、昭和四十七年におきましては五十三件、百四名、四十八年におきましては五十五件、九十名、本年は十一月十一日現在におきまして二十九件、四十九名となっておりまして、本年を見ますと昨年より件数で二十六件、しかも人員では四十一名という大幅な減少がありますけれども、この中には先生お話しのように、逃走した少年が地域の方々に御迷惑をかけるというようなケースもございまして、まことに申しわけなく思っておるわけでございますけれども、何ぶんにも少年院と申しますのは収容した少年たちに対しまして矯正教育を施すということを目的といたしております。したがいまして、教育的雰囲気を阻害するというふうな高いへいあるいは厳重な警備ということは、これはもう排除されておるわけでございます。しかしながら、場所的にも保護者の面会の都合、あるいはいま山田事官説明申しましたようないろいろな問題、しかも少年院につきましてはさらに地域社会の支援をいろいろお願いすることもございますし、さらにまた地域住民の深い御理解と御協力をお願いするということでございまして、そういう面で小田原少年院につきましては過去四十七年以降全く逃走事故がない、むしろ地域社会の連携を一そう深めまして日々の運営がなされている状況でございます。  なお、先生お尋ねの少年の逃走の原因、動機と申しますか、これをちょっと見てみますと、先生おっしゃいますように少年ゆえに深い思慮がございませんで衝動的に逃走を敢行するというケースもございます。その内容を見てまいりますと、家族あるいは仲間への思慕と申しますか、そういう人たちに会いたいという気持ち、あるいは中における人間関係がうまくいかないというようなこともございましょう、しかしながらいま申しましたように家族等に対する思慕の念というものが非常に多くなっているようでございます。以上でございます。
  17. 小濱新次

    ○小濱委員 小田原少年院なんかの状況をちょっとお知らせください。逃走状況を。
  18. 樋口淳雄

    ○樋口説明員 小田原少年院におきましては、昭和四十六年九月以降一件の逃走事故もございません。
  19. 小濱新次

    ○小濱委員 それは調査漏れじゃないでしょうか。私のほうの調べですと、収容中の少年三名が四十六年九月八日午前衛視のすきをついて逃走し、途中自動車一台を窃取した、こういう逃走事故。四十七年三月十二日には収容少年二名が共謀して逃走、そして普通自動車一台を窃取。それから四十九年九月には、管理人夫婦に暴行を加え反抗を抑圧し、現金を強奪し逃走した強盗傷害事件。収容少年五名による犯行。調べたところが私のほうにはこういう状況報告が来ておるわけですが、いま私はこういう根拠に基づいてこれからの対策をお尋ねしているわけです。  ですから、いま御説明はなかったけれども刑務所拘置所事件も四十七年、四十八年、四十九年とこうあるわけですね。これらの事件が起きるたびに付近住民は非常に不安なんです。とにかく悪いことをすることはもう前提になっている。悪いことをして、そうして逃亡するわけですから。その逃亡する足にするか、資金にするか、服装を求めるか、食いものをあさるか、何かやらかして逃げ出していくわけです。ですから、少年たちの矯正という立場からも、いろいろとお話がございますが、たいへんよろしくないと思います。そういう点で、移転問題については真剣にやはり考えてもらわなければならないと思うわけです。どうですか、いまの小田原の少年院事故について私のほうが間違いならば訂正いたします。
  20. 樋口淳雄

    ○樋口説明員 先生お尋ねの小田原少年園は私どもの所管ではございませんので、実は所管外でございますけれども、小田原少年園と申しますのは財団法人でございまして、先生いま御指摘のような、本年の九月十六日に少年五名がそこの補導主任に暴行を加えまして逃走したという事件を聞いております。この施設につきましては、家庭裁判所が終局決定、つまりその少年を保護観察所の保護観察に付する、あるいは教護院、養護施設に送る、さらにはまた私どもの所管でございます少年院に送るというものを決定する前に、相当の期間この家庭裁判所の調査官の観察に付するといういわゆる試験観察期間の少年を収容する施設でございまして、それとともに更生保護会という二つの要素を持っておりますけれども、これは私どもの所管ではございませんので念のために申し上げます。  なお、先生お尋ねの刑務所関係の少年院の逃走事件について申し上げますと、昭和四十七年が十二件、十四名でございました。四十八年が七件、七名でございます。本年はただいままで五件、五名ということになっております。
  21. 小濱新次

    ○小濱委員 私も御質問にあたりまして小田原の拘置所少年院とこう申し上げたわけですね。ちょっと説明が足りなかったように感じましたが、いま事情は承りました。そういうわけでとにかく全国にたくさんの刑務所拘置所少年院があるだろうと思うのです。その中に移転を要望している地域もたくさんあろうかと思いますね。私のほうの調べですと五十五カ所くらいあるようです。それから小田原からも四十五年にも住民からの陳情、請願もありましたし、議会の決議もあったようでありまして、要請が出ているようですが、これまでの町中にある刑務所拘置所少年院などの移転はどのような方法で行なってきたのか、あるいはまたその移転が計画されているものなどはどこが最近行なわれようとしているのか、こういうことについてお答えをいただきたいと思います。
  22. 山田航一

    山田説明員 御指摘のように私たちの矯正施設が全国に三百三庁ございます。そのうち移転陳情が出されておる施設の数が五十四庁でございます。  過去にそういう陳情を受けまして移転した施設の形態でございますが、これは、先ほど申し上げましたような方針のもとで、いわゆる地元公共団体等の御協力によって適当なる移転候補地の収得がなされた上で移転がすべてなされております。
  23. 小濱新次

    ○小濱委員 御答弁のように地元自治体の御協力によってということですが、移転を必要とするところは地価が相当高いわけですね。大都市などで大きな財源をかかえているところでは何とかやりくりがつくといたしましても、十万、二十万人の中小都市では財政負担は膨大なものになるわけです。たとえばその地域が今度かえ地が見つかって、そちらに移転をすることにいたしましても、その地元自治体としては国有財産法によって用途指定がきまっているために、自治体は転売ができないという。転売ができない土地を自治体はかかえるわけです。そこは公園とか緑地とか、そういう福祉施設なんかに使われていくようにすればいいわけですけれども、今度はそのかえ地のほうは、たとえば五千坪、八千坪ということになってもたいへんな金額、何十億という金が持ち出しになっていく自治体、こういうことを考えると、自治体の協力要請してもこれはなかなか困難な問題であり、おそらくその問題の実現は不可能であろう、こういうふうに考えているわけです。これは松浦財政局長、自治体の対応策ですね、こういういまのような悩みが出てくるんです。それは自治体に差し上げましょう、かえ地を下さい、御協力をよろしく、その点ができれば移転はいつでもいたします、こうなんです。そうすると、そのもらった土地は転売できないことになっているんだから、小田原は全部持ち出しということになる。どう考えても八千坪ぐらい、あるいはこのごろ野球場もつくれというような要望もあるようですけれども、野球場までつくるんじゃ一万坪以上になってしまう。神奈川県なんかでは坪二十万以下というような土地はありませんよ。県内に移転をしろというのか、県外でもいいのか。いろいろと家族条件を満たしてくれなければ困るということの御説明だったけれども、それ以上にいいところにつくらなくちゃならぬ。それにはたいへんな持ち出し。これはやはり自治省の対応策というものが必要になってくるだろう。これができなければこの移転問題はとても進まない、こういうふうに考えますが、いかがでございましょう。
  24. 松浦功

    ○松浦説明員 御承知のように、現在の法制上、刑務所がかりに移転する場合であろうとも、行き先の土地を団体が買って国に寄付をするということは禁止をされております。できない話です。したがって、私どもも当然そういうことはあり得ないという前提で、対応策は考えておらないわけです。  ただ、新しく買い取りました土地と現在刑務所がある土地とをそれぞれ評価いたしまして交換をするということは、これは法令上何ら禁止をされておりません。したがって、行き先の土地を法務省のほうがこういう土地ならよろしかろうということで地方団体がお買い取りになる。そして今度はそれと交換という形をとるか、あるいは行き先の土地を買っておいて、それについては——むしろやはり交換という形をおとりいただいて、そして現実にいままで刑務所のあった土地を取得するために——国から売ってもらうわけですね、そうなると。売ってもらった形になるものについては、われわれとしては地方債をお認めをする。それを公園なりあるいは住民のグラウンドなりというかっこうでお使いをいただくということが、一つの施設をつくると同時に刑務所移転する、こういう効果がある方策ではなかろうか、こう考えております。具体的には、御相談に応じて私のほうはそれぞれ地方債の許可について勘案してまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 小濱新次

    ○小濱委員 新しく買って提供することは許されない。そうすると、交換地があった場合には許される。そうですね。そうすると、交換をする持ち土地がない自治体の場合には、これはもう移転は不可能になるわけですね。どうですか。その辺、少しこまかく御説明願いたいと思います。
  26. 松浦功

    ○松浦説明員 ちょっと説明が不十分であったかと思いますが、交換という形になればこれは金は要らないわけです。そうでなくて、一番簡単に申し上げますと、刑務所あと地は当該団体が買い取る。それについての地方債は、その使途が公園であれば、あるいは運動場であればというような形で公共用地にお使いになる限りは、私のほうは優先的に地方債の許可をいたしたい。新しく買った土地については、国は地方団体から金が入っているわけですから、それで新しい土地を買い取ってもらう。その土地の具体的なあっせんは地方公共団体がする、こういう形にすれば、地方債をお認めすることによって必ず土地の移動ができるという形になるはずでございます。それを私どもは考えておるわけでございます。
  27. 小濱新次

    ○小濱委員 そうしますと、その法務省から買い取った価額、その金額だけのものを向こうのかえ地で法務省に提供すればいいんですか。そこのところ、どうですか。
  28. 山田航一

    山田説明員 そうでございます。
  29. 小濱新次

    ○小濱委員 あと負担は全部法務省で、設備だとかそれ以上のものをつくり上げる場合には法務省の負担とする、こういうことになりますね。その点どうですか。
  30. 山田航一

    山田説明員 国のほうが収得する財産と国のほうが処分します財産と、その評価によりまして、その見合いの原則に立って、私のほうで不用とする財産を処分して得た収入金をもって新しい土地を確保し、それから新しい建物をつくり上げるという考え方でございます。
  31. 小濱新次

    ○小濱委員 現在法務省が移転に対する検討の対象としているのは、その基準は何かということですね。おわかりになりましょうか。たとえば小田原の場合には移転はどういうふうに考えておられるのか、ひとつお答えいただきたい。
  32. 山田航一

    山田説明員 小田原少年院につきましては、昭和四十五年六月二十六日に小田原の市議会から、都市計画上の必要等の理由によりまして小田原少年院移転の要望が出されました。しかしその後、同市のほうから具体的な申し入れが全然なされておりません。そういう形で、私のほうは現在まで具体的な計画というものの持ち合わせばありません。ただ、今後小田原市のほうから具体的な申し入れがあれば、先ほど申し上げました方針に従いまして検討していきたいと考えております。
  33. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。しかし、四十五年に小田原からの申請が出て、以来何ら小田原の議会では動きがないということでそのままになってしまった。四十五年のような形で要請があれば、小田原も含めて検討しよう、こういうことでしょうか。
  34. 山田航一

    山田説明員 当然検討いたしたいと思います。
  35. 小濱新次

    ○小濱委員 すでにもう東京もそうですし、静岡も、宇都宮、小菅なんかの問題もいろいろ聞いております。横浜の笹下の刑務所なんというのは、昔は人家が周辺に一軒もなかった。現在はぎっしり住宅地になっております。こういう状態ですから、みんな、いろいろな事件を通して住民のひんしゅくを買っているわけです。  これはいろいろと御答弁を伺いましてわかりましたが、やはり自治体も積極的に努力をしていかなくちゃなりませんが、ひとつ法務省も一そうの御努力をお願いしたいと思いますし、また自治省も、いまのような地方自治体の財政危機といわれる現状下にあって、非常に多額な持ち出しを必要とするような事業はなかなか手がけられないという実情にあるわけですので、自治省としても、いろいろと起債の問題も出ましたけれども、何らかの方法でこれは御努力願わなければ、この問題の解決はなかろうかと思います。ひとつ、一そう御努力を心から要請いたしまして、この問題に対する質問を終わります。ありがとうございました。
  36. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小濱君に申し上げますが、お約束の時間が過ぎてしまったので、あとの質問者もあるし、きょうは午後、自治省においてもよんどころない用事があるようですから、できれば次回に御質問願えればたいへん幸いだと思います。
  37. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。ちょうど時間でありますので、私の質問はこれで打ち切ります。ありがとうございました。
  38. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 細谷治嘉君。
  39. 細谷治嘉

    ○細谷委員 最初に委員長に、深くは申し上げませんけれども、きのう、きょうと地方行政委員会が久しぶりに開かれておりまして、新しく自治大臣ができたにかかわらず、顔も見せないのです。これは理事会でそういうことを了承いただいたそうでありますけれども、きのうの各委員会には新任大臣出ているんですよ。どうして自治大臣だけここへ出てこられないのですか。しかも新任とはいえ、全く新しい人ではないのです、経験があるわけですから。これは私は委員会を軽視していると思っているのですよ。理事会の決定でありますから、これ以上申し上げませんけれども、こういうことでは今後審議上困ると思うのです。委員長、ひとつお考えをあるいは御方針を承っておきたいと思います。
  40. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 委員長から申し上げますが、昨日の理事会におきまして、自治省事務当局から御承知のような状況で、特に自治省としては警備関係その他のいろいろな当面の問題もあろうかと存じますが、たいへんに自治大臣多忙で、何とか御出席したいと思っているのですができないので、御了承いただきたいということで、おはかりしましたら、今回はやむを得まいというようなお話があったものですから、われわれ了承したわけでございますが、いまお説のこと、その旨はよくわかりますので、しかと自治省にお伝えをして、自今かようなことがないようにいたしたいと思いますので、了承いただきたいと思います。
  41. 細谷治嘉

    ○細谷委員 委員長のお考えについて、了とするもへったくれもないわけですね。いろいろ忙しいでしょうけれども、少なくとも全く新しい、たとえばきのうの法務委員会、ずっと出ておりますよ。十分ぐらい出てきて、再び自治大臣に就任したので、私はこういう決意で取り組むぐらいのあいさつがあってしかるべきだと私は思うのです。したがって、今後理事会も安易なこういう大臣の出席についての取り扱いはやっていただきたくないということを強く申し上げておきたいと思います。  そこで、時間も十分ありませんから、いろいろとお尋ねしたいことがありますけれども、簡単明瞭に結論だけお聞かせいただけばいいと思います。  最初に、間もなく臨時国会が開かれると思うのでありますけれども、来年の四月が統一地方選挙になります。この統一地方選挙は、従来のように三月、四月、五月を一つにまとめて特例として統一地方選挙をやるのか、最近下火になったようでありますけれども、プラスマイナス六カ月ぐらいやって統一しちゃえとか、あるいは首長が欠員になった場合の補欠選挙は残任期にしろとか、いろいろな議論があっておるようでありますけれども、最終的には一体どういうことになるのですか。結論だけ聞かしていただけばいいです。
  42. 土屋佳照

    ○土屋説明員 御承知のように、来年は多数の地方公共団体の議会の議員とか長の任期満了がございますので、私どもとしてはいろいろ検討しておったわけでございますが、まだ法案については自治省あるいは政府としてきまったものはございません。ただ、事務当局の方針といたしましては、過去三回の例のとおり、三月、四月、五月に任期満了となる議員あるいは長についての選挙を統一して行ないたいということで準備をいたしております。
  43. 細谷治嘉

    ○細谷委員 従来どおりのことでやる、こういうことに自治省は考えておる。大臣おりませんが、選挙部長、責任負えますか。これは来年もう目前に迫っているわけですから、すでにある意味では始まっていると言っても過言でないわけです。ですから、これははっきりしておりませんといけないわけで、いま大臣おらないのであなたがその責任をもって答えたのでしょうから、ひとつできるだけ早くこの問題について確固たる結論を出していただきたい。私はやはり基本的な国民の権利である選挙権、そうしてそれによった結論というものは、これは大きくゆがめるということは許せない。ですから、ぎりぎり従来の範囲ぐらいに統一するというのが当然な措置だと私は思っております。そういう点で、ひとつ早く決着をつけていただきたいということを要望しておきたいと思います。  大蔵省いらっしゃいますか。——名本さんですか。きょうは次長を要請しておったのですが、来られませんでしたね。  新聞の伝えるところによりますと、五十年度予算編成の基本問題を検討するため、大蔵大臣の諮問機関であります財政制度審議会が、第三部会を中心といたしまして地方財政の実態について調査をするということ、しかもその審議対象は、地方公共団体の職員の定員が地方財政計画を約十五万人も上回っておる、地方公務員の給与水準が国家公務員のそれを平均で九%程度上回っておる、こういう問題を中心として、国が地方団体の定員、給与を規制するための方法について具体的な検討を始めることになった、こういう記事がありますが、事実ですか。
  44. 名本公洲

    ○名本説明員 私どものほうの財政制度審議会の第三特別部会におきまして、地方財政問題をお取り上げいただきまして御審議いただいておることは、先生御指摘のとおりでございます。  現在そこにおいてやっておりますことは、本年度は地方財政の実態の調査と申しますか、地方財政のあり方と申しますか、大蔵省としていかに考えていくべきであるかという点につきまして全般的な御審議をいただいておるわけでございますけれども、実はこの財政制度審議会、ここ毎年地方財政問題について取り組んでいただきまして、四十七年度におきましては地方財政のいろいろな問題点問題点として洗い出しまして、こういうようないろいろな問題があるということで、これらについて今後も議論をする必要があるであろうという中間答申をいただいたわけでございます。その後昨年の財政制度審議会におきましては、先生よく御承知のように、地方財政計画と実際の地方財政の実績、決算というものの間に大体二割くらいの格差が出てきておる。これでは地方財政計画というものが国民経済を分析してまいります上におきまして、地方財政の一つの指標として用いられておる現況から申しまして、十分その役割りを果たし得ないのではないかという点を昨年度御議論いただいたわけでございます。  そこで、そういう乖離の著しいものが地方財政計画の項目の中に幾つかあるわけでございますけれども地方財政計画の各項目の中で、本年は地方財政上の給与の点についてお取り上げいただくことになったわけでございます。地方財政計画と実態との乖離というのは給与に限ったわけではございませんけれども、給与の面における乖離というのは、金額的に見ましても相当大幅になっておる。実績と計画との間にかなりの乖離が見られる。四十七年決算当時で大体七千億くらいになっておりますが、そういうこともございますので、その乖離現象をどういうふうに扱うか。地方財政計画を自治省さんが自治省のほうにおいて御策定いただくときにどういうふうに今後考えていったらよろしいか、私どものほうにも御相談があるわけでございます。その際に大蔵省としてはどういうふうに考えるべきであるかという点を今年度は取り上げておるわけでございますが、地方財政計画上の乖離の問題はそのほかにもいろいろな点がございますので、今後その乖離をどういうふうにして実態に近づけるかという点についてさらに検討をしていただく方向になろうかと思いますけれども、その一つとして給与問題を取り上げて御審議願っておるようなわけでございます。
  45. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、大蔵省が全体的な財政問題について全貌をつかむということはけっこうでありますけれども、いまの御答弁を聞きますと、自治省というのは大蔵省の一つの局ですか。その印象しか受けませんよ。自治省には地方財政審議会というものがあって、かなりの高給を払った専門の人がおるでしょう。そこでも検討していますね。財政制度審議会は大蔵大臣の諮問機関ですよ。内閣総理大臣の諮問機関じゃないのですよ。自治省が大蔵省の一つの局であるかのごとく——自治省の地方財政計画と実態との間に一割なり一割五分程度毎年乖離が起こっていることは私は承知しております。それ以上に乖離の大きいのは一体何かということも私は承知しております。いまのことばは全くもって私は納得できません。自治省、それでいいのですか。大蔵省の一つの局ですか。
  46. 松浦功

    ○松浦説明員 大蔵大臣の諮問機関でございます財政制度審議会が何をおやりになるか、何をやっておいでになるか、私ども別にどうというあれは持っておりません。私どもは私どもなりに地方制度調査会もございますし、先生御指摘のように地方財政審議会もあるわけでございます。自治省というのは別に何も大蔵省に隷属したものではございません。全く対等の省だと思っております。われわれはわれわれ独自の考え方で問題を進めていきたい、こう考えております。
  47. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それならそれで、大蔵省は全体としての財政の動きと、そういう中において国家財政というものを主として扱っていく、自治省は地方財政全体を把握してそれを指導していくということでありますから、やはりそれぞれの官僚の区域守備範囲、ショートストップがセンターのほうまでやる必要ないのですよ。おかしいじゃないですか。それは調査することについて私は異議ありません。しかし財政制度審議会がその検討した結果を大蔵大臣に答申するなんて言語道断です。もう一度お答えいただきたい。
  48. 松浦功

    ○松浦説明員 私、見解を申し上げる立場にないと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
  49. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま大臣が来ておらぬからきょうはこれ以上やりません。この点については、大蔵省、ひとつ再考願いたいと思うのです。冗談ごとじゃないですよ。  そこで私は公務員給与のことについて若干お聞きしたいと思うのですが、その前に、大蔵省の主計官、あなた、次長が出られないというのですから責任をもって出てくれというので私は了承したわけですが、補正予算の規模はどのくらいになる見込みですか。
  50. 名本公洲

    ○名本説明員 補正予算の規模でございますけれども、これは、先生の御要望にもかかわらず次長がとても多忙で、まことに恐縮でございますが、私がかわってお答えさしていただくわけでございますけれども、現在のところなおきわめて流動的な部分が中にございまして、補正予算の規模がどの程度になる見通しであるかということを申し上げられる段階にはなっていない、いましばらく時間をかしていただきたいということでございます。
  51. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それではお聞きしますが、二兆円の大台に乗るのですか、乗らないのですか。これはどうですか。
  52. 名本公洲

    ○名本説明員 先月の末あたり新聞紙上に二兆円というような数字が載っておりますけれども、かって大臣がさる委員会でもお答えになったわけでございますが、二兆円という数字については大臣もその当時責任が負えないとおっしゃっていたわけでございますが、現在のところ二兆円をこえるのかこえないのかという点につきまして、まさにそのあたりが問題だろうと思います。まことに恐縮でございますが、なるとかならないとかいう点につきましてお答え申し上げかねる状態です。いましばらく時間をおかしいただきたい。
  53. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは新聞の記事でありますけれども、十月二日付の記事、「補正、史上最大に」「食管や医療費負担二兆二千億円前後」こう書いてあるのです。それは十月の一日にあなたのところの主計局長が田中総理に説明した過程で明らかになった。これが大体どの程度、これがどの程度、こういうふうになっておりまして、二兆円の大台に乗ることは、これはもう新聞に書いてあること、あるいは大蔵大臣の国会等のあれからいって、まさしく想像するにかたくない。それ以上あなた言えないだろうけれども、だから次長来てくれと言ったのだけれども、それは十月の二日から——いま徹夜の状態で次長は補正予算をつくっているから出て来られぬというのですから、だからそっちを急ぎなさいということであなたに来てもらったのです。何をとぼけているのですか、全然わからないじゃないですか。一兆円になるのか二兆円になるのか、それすらもわからない。二兆円の大台に乗るのですか乗らないのですかというのが、私の質問なのです。もう一度答えられませんか。
  54. 名本公洲

    ○名本説明員 補正の規模につきましては、実は国税のほうの本年度の自然増収見通しというものは必ずしも確たるものがまだ出ていないというふうに聞いておりますし、追加財政需要額に関しましても、いま先生御指摘のように、まさに私ども連日、深夜明け方まで作業いたしておるところでございまして、なおそこのところに流動的なものが残っております。したがいまして、一兆円か二兆円か、まさにそこのあたりがたいへん問題なところでございまして、何とも、乗るあるいは乗らない、どちらともいま申し上げかねるような状態にあるわけでございます。
  55. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一兆円か二兆円かなんということじゃなくて、大体二兆円に乗ることは間違いないですよ。一つ一つあげていって加えてみれば、小学校の三年生になったらすぐわかる数字が出てくる。  そこで、主税局の総務課長さんいらっしゃいますね。この補正予算の主たる財源は何ですか。
  56. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいま四十九年度の一般会計の税収につきましては、九月末までしか実績が判明しておりませんが、その状況で見ます限りにおきまして、その相当部分が所得税及び法人税の自然増収だろうということは言えるかと考えております。
  57. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまおっしゃいました四十九年の九月末の租税及び印紙収入の収入状況を見ますと、所得税におきまして、進捗割合が四七・六%、昨年は三六・五%でありますから、予算現計額に対して進捗割合が一割、一〇%以上伸びておりますね。法人税が昨年は四五%でありましたけれども、ことしは五六・九%、一一・九%進捗割合が伸びていっております。これも異常な伸びであります。今日のスタグフレーションの状況でありますから、年度の後半というところに問題があるでしょう。あるいは所得税等も時間外勤務等の減による例年にない落ち込みがあろうかと思いますけれども、おっしゃるように所得税、法人税が中心となって補正予算の財源ができると思うのです。かりに二兆円という税収を出した場合には、従来の補正の実績でありますと、そのおおよそ九〇%ぐらいというのが国税三税ぐらいと私は見ておるのです。この見当でよろしゅうございますか。
  58. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 先生のおっしゃいますとおり、計数等につきましてはまさに先生のおっしゃるとおりでございまして、自然増収の問題につきましては、特に本年度につきましては、本年度後半に問題があるという意味において、ただいま非常に見通しのむずかしい時期にまいってきている。その場合において、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、法人税及び所得税におきましては進捗割合が昨年度より上回っておりますが、この問題につきましては、進捗割合と申しますのは、対決算割合に対して、本年度は対予算割合、予算に対する進捗割合を比較しておりますので、その点昨年の進捗割合を予算で申し上げますと、所得税の本年度四七・六に対して昨年度は四五・九、法人税につきましては五六・九%に対しまして昨年度は五七・四%、このような状況でございます。したがいまして、これに土地の譲渡所得税等後半にいろいろ問題を含んでおりますものを考えますと、ただいまの段階において、先生がただいまかりにおっしゃいました二兆円というふうなものにつきまして私のほうでいろいろと自然増収を作業中でございますので、その二兆円という計数につきましては、ただいまの段階では何ともお答えいたしかねる。その場合に大体九〇%、三税が大部分をあるいは相当部分を占めるだろうと申し上げました。そのときの九〇%という数字につきましては、その年度年度によりまして非常に違いますので、ただいまの段階でははっきりしたことは申し上げかねると考えております。
  59. 細谷治嘉

    ○細谷委員 年度年度によって違うことは知っておりますけれども、ごく最近の数年間の実績をたどってみますと、間違いなく補正財源の八五%前後というのは国税三税なんですよ。あなたは専門家ですから一々数字をあげませんけれども、これは三税なんです。これ以上言ってもまたとぼけてくるからもう申し上げませんけれども。そこでかりに二兆円と国税三税を見ますと、九月の実績で言ってみますと、前年比、全体として国税は二二%伸びておるのですよ。進捗割合は三税は一〇%以上伸びておるけれども、税全体の額というものは二二%伸びている。  そこで財政局長、今度の人事院勧告、これは国家公務員に右へならえしてそのまま行なった場合に、交付団体の財源必要措置額七千三百億円、そうですね。
  60. 松浦功

    ○松浦説明員 ごく微細な調整はあるかと思いますが、およそ七千三百億、けっこうでございます。
  61. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、七千三百億円はどういうふうにして裏づけなさるのですか。
  62. 松浦功

    ○松浦説明員 閣議決定にございますように、国も五%を節約いたします、地方団体についても一応五%節約を見込む、それから二月、九月の法人の分割分、これの自然増収がある程度期待できます。これを見込んで、残りはすべて交付税で財源措置をいたしたい、こういう方向で考えております。
  63. 細谷治嘉

    ○細谷委員 国にならって節約する……。昨年は節約額が交付団体分で、二百億、全体として二百五十億、一昨年は全体として百六十五億、交付団体百三十億、四十六年が全体として百九十一億、交付団体が百五十億。言ってみますと大体節約というのは二百億前後、こういうふうに理解してよろしいですか。
  64. 松浦功

    ○松浦説明員 けっこうでございます。
  65. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長、お尋ねしますが、財政局長は節約分に税収の伸びということを言っているわけですが、税収の伸びはどのくらい期待できるのですか。
  66. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま税収の伸びの推計につきましては最終的な結論はまだ出ていないのでございますが、昭和四十九年の九月末の収入実績等勘案をいたしてみますと、地方財政計画におきます伸びよりも若干の進捗があろうか、こう考えておりますので、これは国のほうの国税三税、所得税及び法人税の伸び等とも密接に関連をするわけでございますが、そういったものとの関連で若干の伸びが期待をできるのではなかろうか、こう考えております。
  67. 細谷治嘉

    ○細谷委員 昨年は地方税の増として、突っ込みで千四百九十億、交付団体分七百四十億を見たわけですね。去年とことしでは、今後の問題を考えますと非常に落ち込みが懸念されておりますね。昨年のような税収の伸びは地方税にもないですよ。そうしますと、大体給与財源として税収増を充てるとすると、昨年程度充てることは不可能だと思いますけれども、税務局長いかがですか。
  68. 松浦功

    ○松浦説明員 先生御承知のように、本年度の地方交付税の基準収入の算定に際しまして、法人系統の税金は前年度と同額で全然伸びを見ておりません。したがって、それをこえるものについて今度は給与改定財源に使いたいという考えでございますから、去年とはちょっとやり方が違っております。そういう意味では去年よりは私はもう少し多額の税収入があり得るという期待をいたしております。
  69. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その辺が今度詰めるとまた時間になってしまうのですけれども、私はいまの財政局長の答弁、九月における都道府県の税収の実情、昨年との比較、そういうもの、法人の九月末の実績等をにらみますと、財政局長がおっしゃるように昨年以上、千四百九十億も地方税を給与財源に回すということは私は実態として不可能だろう、こう見ております。この辺の議論をしますと切りがありませんからもう議論いたしませんが、従来四十七年度は三百三十億しか税収の増を充当していないわけですから、そういたしますと、かりに税収増で一千億期待したとしても六千三百億、節約分が二百億といいますと最低限六千億ぐらいの充当を交付税を通じて見てやらなければならぬ、こうなると思うのです。これは最低限であります。そうしますと、さっき大蔵省に質問した二兆円のもの、かりに最大限見積もって三税が九〇%として二、九、十八、一兆八千億。一兆八千億の三二%ということになりますと、五千七百億円程度にしかならないのですよ。地方財政計画ですでに節減を求め、さらに今度また節減を求め、そして税収の伸びというのをあげて給与財源に突っ込んでしまって、なおかつ国のほうのあれがかりに五千七百億、二兆円のうちの九〇%、一兆八千億が三税だとしても足らないのです。どうなさいますか。
  70. 松浦功

    ○松浦説明員 交付税特会で借り入れるなり、いかような措置をとりましてもこの分については現ナマといたしまして本年度地方団体に配れるように大蔵省と折衝してまいります。
  71. 細谷治嘉

    ○細谷委員 繰り返しませんけれども、要するに極力節減をする、それから税収の増も極力それに充てるとしても、最低限見積もって六千億ぐらいは不足だ。しかし現在の補正状態から見ますと、三税の三二%の交付税ではどうも不足が生ずるらしい。その場合には特別会計で借り入れする。本来ならば、先の見通しの明るい財政局長でありますから、千六百八十億なんて当初削減したことが誤りであって、そういうことをやらなければよかったわけですけれども、それはやってしまったことですから、これはひとつ誤りを改めるにはばからず、必要額は特別会計で借り入れて措置していただくということを強く要請をしておきたいと思います。  ところで、税務局長、あなたのほうからいただいた法人事業税の資料で見ますと、都道府県のうち四つ不交付団体がございますね。東京、神奈川、愛知、大阪とありますね。そこの税収の伸びと、それから法人の伸びというのがへっこんでいるんですよ。愛知はいいんですけれども、ほかはみなへっこんでいるんですわ、ふしぎなことに。富裕団体といわれておった都道府県の四つのあれは、たとえば法人では全体としては三九・三%伸びておりますけれども、大阪——へっこんでいるんですよ。神奈川とか東京とか大阪とか、これは全国の伸びの状態にいってないのです。そうなってくると、これはたいへんですね。私が見た表はそのとおりお認めになりますか。
  72. 首藤堯

    ○首藤説明員 九月末の調定額、収入額の見込みにおきまして、ただいま御指摘のように全国府県では三九%程度の増収があるわけでございますが、御指摘のようにわりに不交付団体のような大きな団体における伸び率が平均を下回っておるというのは御説のとおりでございます。ただ、ただいま御指摘がございました大阪はそうではございませんで、若干伸びがございますが、神奈川、それから東京、そういった点におきまして伸びが少し鈍化をしておるというのは事実でございまして、これは当該府県内における今回の景気状況におきます好況産業、不況産業、いろいろ種別があるわけでございますが、そういうものの状況によるところが非常に大きい、その結果であろう、このように考えているわけでございます。
  73. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで財政局長、この前の委員会でも私どものほうの委員から、不交付団体、富裕団体といわれておる府県においても税収がへっこんでいる、現実にへっこんでいる。ということになりますと、これは何らかの措置をしてやらなければならぬ、手当てをしてやらなければ人事院勧告は実施できない、こういうことになりますが、そういう点についての手当ては、重ねてでありますけれども、すでに岩垂委員が質問しておりますけれども、これは間違いありませんね。当時の委員会でお答えしたとおりですね。
  74. 松浦功

    ○松浦説明員 岩垂委員の御質問は、特に神奈川が中心でございました。神奈川はいまおっしゃられた不交付四団体の中でも特に税収の伸びが鈍いということでございます。あのときもお答えを申し上げましたように、再算定の結果いわゆる超過額が去年に比べて減ってくるような事態になりますと、これは財政的に非常に大きな激変を与えるだろう。その比較の結果、落ち込みが出てきたものをめどにいたしまして起債の手当てをいたしたいというお答えを申し上げたところでございます。現在もその考えは変わっておりません。
  75. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それは具体的に数字を詰めなければなりませんから、これ以上は申しません。  私はこういうことになりますと、今度は地方公営企業の職員も、それはあなた新価格体系だ、料金を上げなさいということだけでは片づかぬと思うのです。そういう点において、地方公営企業の職員の給与改定のための何らかの地方債等の手当てをしてやらなければ実質的にできないと思う。自治省は盛んに国家公務員より先にきめるな、国家公務員より上の分についてはこの際調整しろということを言っているけれども、言うだけでは困るわけですよ。最低限政府がやらなければならぬのは守った上に指導しなければ、これはだれも信用できませんよ。そういう点で地方公営企業等についてはどうなさるのか、これも実態をよく見きわめた上で数字的な詰めが必要でありますけれども、これはいかがですか。
  76. 松浦功

    ○松浦説明員 これまでも繰り返してお答えを申し上げておりますように、地方公営企業について給与改定財源措置するというつもりはございません。
  77. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ということは、料金値上げなり何らかの形でやれということで、全然考慮の余地はないということですか。
  78. 松浦功

    ○松浦説明員 現行法のたてまえ上、残念ながらただいま先生のおっしゃられたような各種の方途を講じていただいてやっていただきたいと考えております。
  79. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題は全く意に反しておりますから、この点についてはちょっと留保しておきたいと思います。  ところで、財政局長お尋ねいたしますけれども、いま私が申し上げたようなことをやっても、やって一応財源上、数字上のバランスはついたといっても、交付税が現実には地方団体に渡るのは早くて一月末か二月でしょう、再計算するのですから。そういうことになりますと、すでに四月から実施するものがいままでずっともたれてきておって、いろいろな地方団体が借りて一部分を、このインフレ下でありますから払うとか、ずいぶん無理しているようであります。その利子負担等もたいへんなものだと思うのですけれども、問題は金融です。勘定は足りたけれども、金は払えないという事態に現実あります。そこで、こういう事態に目をつけまして、新聞によりますと、自治省は地方自治体向けの、これは公務員給与の改定財源に要する資金ばかりじゃなくて、いわゆる地方土地開発公社等、いろいろな福祉施設、学校施設をつくっていく際のそういう資金も含めて、いま大蔵省が昨年来引き続いてやっております窓口規制の別ワクとしてほしいという要請をしておる、こういうことが新聞に出ておりますが、そのとおりですか。
  80. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 地方開発公社関係の担当をしておりますので、その立場からお答え申し上げます。  現在、先生御指摘のように地方公社関係につきまして、学校とかその他当面急を要するような形の資金需要で困っているということがございますので、私どものほうにおきまして地方団体関係の実情を調査いたしまして、その点につきまして優先的な配慮を願うように大蔵省のほうにお願いしてございます。ただ、現在政府といたしましては、御存じのように総需要抑制下におきますところの選別規制という形の中でやっておりますので、その範囲内において優先的に御配慮願うようにお願いしておりまして、ワク外というような形でお願いしているような点はございません。
  81. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞には「地方自治体向け関連融資窓口規制の別ワクに」と、こういう見出しで自治省が努力をしておるという記事があるのです。  そこで、お尋ねいたしますが、十月末のある新聞によりますと、自治省が調べた四十九年度の土地開発公社等の資金需要と大体めどがついた数字が発表されておりますね。ちょっと申し上げますが、都道府県、指定都市、人口急増市町村、それぞれ調べた結果、下半期の事業費に対して資金繰りのめどは二・七%、資金量として千百四十一億円しかめどがついてない。事業費としての九千七百四十七億円に対してたった一一・七%しかめどがついてないという新聞記事がありますが、そのとおりですか。
  82. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 現在御指摘の土地開発公社関係の資金のめど、現在調査中でございますので、最終的にまとめれば若干違うかと思いますが、現在の段階で中間的にまとまった段階におきましては、先生御指摘のような状況になっております。具体的に申しますと、下半期の事業費が大体九千七百四十七億円につきまして、現在のところめどをつけましたのが千百四十一億円、一一・七%程度がめどがついておるという形になっております。
  83. 細谷治嘉

    ○細谷委員 言ってみますと、下半期の事業費に対して開発公社だけでわずかに一一%、残りの九割弱というものがいまだに資金のめどがついてない、こういう状況であります。  そこで大蔵省にお尋ねいたしますが、十月から十二月の三カ月間、一月−三月の四半期に対して、都銀と地方銀行の窓口規制はどの程度にしぼっておりますか。新聞には十月−十二月の窓口規制は、都銀の場合に一兆二千七百億円、地方銀行は一兆七百億円というように報道をされております。このとおりか、そして一月−三月は都銀と地銀はどうなっているのか、これをひとつ数字で示していただきたい。
  84. 宮本保孝

    ○宮本説明員 窓口規制の数字は、日本銀行が、金融機関が企業に対しますあるいは一般民間金融機関、あるいは公共団体を含めまして、貸し出し増加額を幾らにすべきかということを一応の目安として示している数字でございまして、十−十二月につきましては、都銀、地銀とも先生御指摘の数字のとおりでございます。それから一−三月につきましては、今後の金融情勢を見きわめまして、大体十二月の二十日前後に日本銀行はまたきめることに相なろうかと思います。
  85. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、これは都銀と地銀それぞれ——新聞を数日前にぎわしておった千葉県の県金庫である千葉銀行が金を貸さぬというわけだ。ですから進出企業の裏づけをしておる都銀の協力要請している、しかしそれもうまくいかぬ、たいへんなきびしい状態になっておるわけでありまして、いまのような窓口規制なら、とてもじゃないが必要な学校用地を買うこともできないし、これは人件費もベースアップはしたけれども払えない。でありますから、ひとつ上がった分については社内預金——社内預金というのは初めてですよ、公共団体が社内預金させるというのは。それから銀行に全部給料を払って、必要な分だけ出しなさいというような、非常なとにかくえらいことを考え出しております。こういうことでありますから、このワクでは八〇%か九〇%地方銀行のワクは、これはもう地方公共団体にやらなければならぬ。ある地方銀行の責任者は、これはたいへんだ、これでは地方銀行は万歳だ。都銀と比べて資金量ははるかに少ないのに、地方銀行の地方団体に対する融資額というのはほぼ同額になっておる、どうにもならぬ事態に来ておるということを痛切に訴えておりますよ。一々これは申し上げませんけれども。そういうことからいって私は、自治省が最小限度の住民の福祉を守っていく、職員の給与を政府が閣議決定したとおりに実現できるような財政上の措置、金融上の措置は講じなければならぬと思うのでありますけれども、一言ひとつ大蔵省側と自治省側の決意のほどを承っておかなければいけない。
  86. 松浦功

    ○松浦説明員 財政上の措置につきましては、先ほどお答え申し上げましたように責任をもって措置をいたします。  金融上の措置の問題につきましては、まだ法律も成立していない、予算も成立をしていない段階でこういうことを申すのはいかがかと思いますが、おそらく臨時国会に交付税の補正が出ると思いますので、皆さま方のお力で御可決をいただきました暁にはできるだけ早くそれを概算交付、年内に概算交付をするという形で、大蔵省にも地方の資金需要に御協力を願うようにいま申し入れをして話し合いをしておるところでございます。
  87. 細谷治嘉

    ○細谷委員 概算交付かあるいは——交付税は四回に払えますね。それはもう……(松浦説明員「もうないです」と呼ぶ)ないか。そうすると概算交付しかないわけだ。ですからそれはひとつ二月といわぬで早く入るように、それでもどうにもならぬと思うのですよ。それでもどうにもならぬと思いますから、財政上、金融上の措置についてはひとつ大蔵省も、私は給与関係ばかり言っているんじゃありませんよ。開発公社等をつくっておいて、それでどうにもならぬところにいま来ているわけでありますから、ひとつこういう十全な対策を講じていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんからあと二点お尋ねします。  超過負担の解消という問題は、これはもう地方自治体側にとってみますと自治権確立の非常に大切な問題だ、こう私は思うのですよ。そういう点で大蔵省のほうもしぶしぶ超過負担の解消を六項目か七項目について調査しておりますが、その調査の段階はどうなっておるのか、補正予算でしぶしぶやるというのでありますけれども、それはどの程度おやりになるのか、これをひとつ大蔵省、いま補正予算の作業中でありますからお聞かせいただきたい。
  88. 名本公洲

    ○名本説明員 超過負担の問題でございますが、この問題につきましては私どものほうといたしましても、年来ともかく地方と中央の財政関係を正常化するという意味におきましてその解消につとめさせてきているところでございます。今回実態調査を本年度いたしまして、その結果はただいま集計いたしまして精査中でございます。この結果につきましてさらに自治省それから関係省庁と今後詰めてまいらなければならない状況でございます。自治省のほうからも、ともかく補正予算で措置をするようにという強い御要望もございます。また、私どものほうの大臣も、新聞には、補正予算でするようにという指示があったというふうに書かれてございますが、いささかそこのところは違うわけでございますが、ともかく大臣としても、大臣のおっしゃいますところは、従来の超過負担の解消は調査をいたしました翌年度から開始されておるという実態にあるわけでございますから、大臣はそういう従来の経緯にこだわることなく検討するようにというお話でございました。そういうことでございますので、ただいま鋭意調査結果の精査を行なっておるところでございます。そういう現状でございます。
  89. 細谷治嘉

    ○細谷委員 調査結果の精査といって、徹夜で予算の編成作業をやっておるのに、まだ調査結果は——調査結果が出てるから予算の編成作業ができるのでしょう。そんなごまかしをやってはいかぬですよ。しかしまあ時間がないからこれ以上言わない。  ところで、自治省にお尋ねしますが、あなたのほうは各省に、超過負担解消のために努力してくれという要請書をやっておりますね。たとえば公共文教施設なり、これは金額として超過負担の一番大きい額ですね、公営住宅、超過負担率は別として、額の大きいのは何といっても公営住宅と文教施設ですよ。それを拝見いたしますと、四十九年度は大体四五%ぐらい引き上げた、それに基づいて各省から大蔵省に出た来年度の単価を見ますと、単価のアップは大体三〇・五%ですよ。言ってみますと、公共文教施設では四十九年が六万一千七百円、五十年が八万五百円。いま八万五百円じゃできないんですよ。デラックスなんてものじゃありませんよ、これは。そうなってまいりますと、私は各省が三〇・五%の単価アップをしていること自体が来年度のものとして低いのであって、今度の単価差というものを超過負担解消のまず第一着手とするとするならば、これは今度の補正段階で来年度分として要求している単価まで引き上げておかなければ、これはもう超過負担解消なんということばを言うこと自体がナンセンスと、こう思います。これは公営住宅についても同様であります。自治省はそういう私の主張をお認めになるか、そして認めるならそういうことで努力するか、とりあえず私は単価差を解消するということでいいと思いますけれども、来年度はあなたは、財政局長は、超過負担というのは単価差だけであって、いわゆる対象差とかあるいはその他のものじゃないのだ、こうおっしゃっていますけれども、やはりそうじゃないですよ。そういう点にまで超過負担の解消というのは将来広げていかなければこれはいけないのだ、地方財政法の趣旨にもとる、こう思うのですが、この二点についてお尋ねしておきたいと思います。
  90. 松浦功

    ○松浦説明員 後段のお尋ねは、私は単価差をともかく取り上げて直すべきであって、これをいわゆる狭義の超過負担ということで話を混同してしまうことはいけないじゃないか、だから単価差をことしは補正予算で直してもらうようにいたします、将来数量差なり対象差なりというものは、やはり社会の常識に合ったように直していただきたいという努力は続けたいということは必ずつけ加えて申し上げております。その点は御了承いただきたい。  第一点の問題は、これは御承知のように相当の時間と人間を使って書面調査をやり、かつその中から現場へ参りましてそれぞれの仕様に合っているかどうかの調査も行なっております。そういうことで現実の単価がどうであるかということと、それから今度の補正単価をどうするかということは、これは合わせなければならないということはもう先生御指摘のとおりですが、いわゆる先生が言っておられる単価の中には、現場へ行って調べてみますと仕様の合わないものがだいぶ入っております。一割ないし一割五分ぐらいずつそれが入っておる、そういうようなこともございますので、それらとあわせて適正に現在定められている仕様における単価が何ぼでいいかということをきめてまいりたい、こう考えておりますので、各省の予算の要求との関連についてはいま直ちにここでどうこうということをお答え申し上げる自信がございません。
  91. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞紙上によりますと、超過負担とは単価差なりというように財政局長が言っているということでありますから、これはゆゆしい問題である、当面単価差を解消しようという御意向だということはわかりました。超過負担というものは対象差もあるし、あるいはほかのものもあるということでそれは漸次解消へ具体的に努力する、こういうことでありますから、その点は新聞の記事が……。何ですか、文句あるのですか。
  92. 松浦功

    ○松浦説明員 私は数量差を超過負担だというふうに言っておるわけじゃないのでございます。超過負担というのは単価差なのであって、数量差というのはあらかじめそういうふうに定められているのを承知をしてもらっておられる、しかし社会の常識に合わないようなものをきめているとすれば将来に向かって直していきたい、こう申し上げておるのでございまして、超過負担という観念では、私は狭義では取り扱っておりません。
  93. 細谷治嘉

    ○細谷委員 金閣寺をつくるわけじゃありませんし、少なくとも学校をつくる場合に便所を補助対象にしないなんというのもこれはまたおかしいですよ。ですから、その辺の実態は私は常識でものを言っているのであって、その辺はひとつ御理解いただきたい。  時間がありませんので、最後に一点。  今日の地方の財政危機の状態にかんがみて、各自治体が独自の地方税財源を確保しようと努力しておることは御承知のとおりであります。大蔵省も自治省も、事あるごとに、自治体は財源確保の努力が足らぬ、こう言っております。そしてその努力をいたしますと、これはけしからぬこれはけしからぬと、みんな芽のうちからつまんでいっております。その代表的な例として法人事業税に対する千葉方式、これをお尋ねしたいと思うのです。税務局長来ておりますか。新聞記事を読みますとこう書いてあるのですよ。府県税課長か何か、名前まで出ているのです。「現行所得課税と著しく均衡を失してはならない」「簡単にできる問題ではない」千葉方式なんて簡単にできる問題ではない、こういうふうに言っておるのです。法律的には合法でありますけれども、「現行所得課税と著しく均衡を失してはならない」、それから「簡単にできる問題ではない」と片づけちゃっている。どういうことなんですか。この「現行所得課税と著しく均衡を失してはならない」というのは法律の何条の第何項に書いてあるのですか。そんなこと書いてありませんよ。お答えいただきます。
  94. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘がございましたように、非常に財政状況きびしゅうございます。各団体において財源の発掘等につきましていろいろ努力がなされておる、そのこと自身は非常にりっぱなことであると私どもも考えておるわけでございまして、特に事業税におきまして、これに物税的な性格を持たすことの検討につきましては、私どもも事務的にいろいろ検討を重ねておりますし、地方団体においても検討を重ねていただける、そういう効果があらわれてきておるということは、たいへんありがたいことだと実は思っているわけであります。  ただ、御指摘の千葉県方式によります法人事業税の外形標準課税の問題は、先生も御案内のように、石油産業だけに限りまして特殊の外形標準を持ち込もう、こういう一つの試みでございまして、いろいろな面から見まして、そのやり方、内容、そういう点においてむずかしい問題がたくさん山積しておるわけでございます。私どもも、こういったことについては千葉県から御連絡等もいただきまして、いろいろ検討もいたしておりますし、また、かつて東京都等におかれてもこういった検討をされたことがあるわけでございますが、難問が非常にたくさんございますので、府県税課長がそう簡単にはできないだろうというふうに申しましたのは、難問が多い、こういう意味だろうと思います。  それから、御指摘の所得課税との均衡云々の問題は、税法上七十二条の十九で、外形標準を用いることができるという規定がございますが、実は七十二条の二十二の九項に、その場合でも所得課税との間の均衡は十分留意するようにといった規定がございまして、当然、税のことでありますから、いろいろな均衡問題もあわせ考えなければならないことは先生御案内のとおりでございまして、その付近についての配慮を払え、こういうことがございます。
  95. 細谷治嘉

    ○細谷委員 七十二条の二十二の九項「道府県が第七十二条の十九の規定によって事業税を課する場合における税率は、第一項、第六項及び前項の税率による場合における負担と著しく均衡を失することのないようにしなければならない。」こう書いてあります。第一項というのは何かといいますと「電気供給業、ガス供給業、生命保険事業又は損害保険事業を行なう法人 収入金額の百分の一・五」、こういうことですよ。所得のことは一つも書いてありませんよ、あなた。この九項には所得課税と書いてありませんよ。
  96. 首藤堯

    ○首藤説明員 それは第一号でございまして、第七十二条の二十二の第一項は「その他の事業を行う法人」という項目がございまして、「その他の法人」は「所得のうち年七百万円を超える金額及び清算所得の百分の十二」、こういう規定がございますが、この二号も第一項の中に入っております。
  97. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二号というのはそれはただ——原則の問題じゃないじゃないですか。私も法律を読んできた。  そこでこの問題は、四十六年八月の税調の長期答申でこう書いてあるのですよ。「事業がその活動を行うに当たって地方団体の各種の施設を利用し、その他の行政サービスの提供を受けているところから、これに必要な経費を分担すべきであるという考え方に基づいて課税されるもであることにかんがみ」事業税は「基本的にはその課税標準は、所得金額のほかに、事業の規模ないし活動量を的確に測定することができる基準すなわち収入金額、資本金額、付加価値等の外形基準を用いることがより適切である。」と四十六年の八月に書いてある。  そして、財務協会というのがありまして、自治省とは関係ありませんけれども、自治省から給料をもらっている優秀なエキスパートが一つの見解として書いてあるのです。私がこう申すからといって、官房長おらぬかもしらぬけれども、どうも自治省の若い連中は書きたがらぬという。すぐ国会で書いたことばが問題になる。問題になるからいいわけですよ。進んで書きなさいよ。最近何か自治省の上のほうは、どうも雑誌に論文を書くとそれが国会で問題になってやかましいから書くな。そんな消極的だからだめなんだよ。大いに書いていただきたい。それに書いてあることはこういうことですよ。「事業の規模ないし活動量を的確に測定することができる基準を用いることが適当であるという意見が従来から多いが、十年後においては事業税の付加価値税への移行が実現する」云々と書いてある。  そして従来、常に、所得半分それから外形標準半分というのが自治省の法人事業税のあり方として公式に発表された見解でもあったでしょう。それをいまごろになって、自分のほうでは、長期答申が税調から出ているにかかわらず、それについて何らの検討もしないで、しょせん地方自治体できっこないと当局の責任者が言うに至っては言語道断ですよ。むしろ積極的に自治省が、この法律にぴしゃっと書いてあることでありますから、指導すべきです。税務局長どうですか。
  98. 首藤堯

    ○首藤説明員 法人事業税につきましてその物税的な性格を明確にする措置をとっていくこと、つまり、たとえて申しますならば、いま御指摘のように付加価値等を課税標準に持ち込んでいくこと、こういったことが望ましいことであるということは、私も前々から何度も申し上げておるとおりでございまして、事務的にもいろいろ検討を重ねておるわけでございます。ただ、御案内のように、現在特殊の業種を除きましては所得に対する課税というかっこうをとっておりますために、こういった物税化の作業を進めていきますためには、いろんな均衡の問題そのほかで問題が起こってくるわけでございまして、たとえば欠損法人についての税負担の激変の問題でございますとか、特にこの場合中小企業に対する影響でございますとかあるいは府県間の問題でございますとか、こういう問題があるわけでございまして、私どももこれについてはただいまたいへん悩んでおるところでございます。そのようなむずかしい問題を含めておりますので、なお慎重に検討してまいりたい、こういうことでございます。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大法人、何千人、一万人という法人が、利益が出ませんから府県の法人均等割りは千円でございます。市町村の法人税割りは三千五百円か四千円でございます。一万人も従業者が来ている、そして、その都市のためにやっているのでしょう。それなのに千円の税金でそこで法人活動をのうのうとやるなんということは、全く負担分任の原則から反しますよ。不公平そのものですよ。でありますから、長い間そういうことを主張しているならば、やったってできっこないなんとあなたのところの幹部が言うようでは困るのですよ。もっと掘り下げて、どういうふうにやったら、こういうポイント方式を採用するのが合理的だぐらいの指導をすべきじゃないかと思います。  もう一つこの点について、事務所事業所税、いろいろと問題があって、この問題も取り上げたいし、来年度のいわゆる税制改正の一つの焦点である住民税について、課税最低限を上げた場合に町村の税はなくなってしまう、その場合に一体どうなるのか、そういう重要な問題が当面ありますけれども委員長に文句を言われぬうちに、きょうはその辺のやつを残して、終わっておきます。
  100. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会