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1974-09-02 第73回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年八月一日(木曜日)委員長の指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  地方税に関する小委員       大野 市郎君    亀山 孝一君       小山 省二君    中村 弘海君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       山本弥之助君    三谷 秀治君       小川新一郎君  地方税に関する小委員長                 小山 省二君  消防に関する小委員       木村武千代君    住  栄作君       高鳥  修君    中村 弘海君       中山 利生君    渡辺 紘三君       佐藤 敬治君    細谷 治嘉君       山本弥之助君    多田 光雄君       小濱 新次君  消防に関する小委員長                 中山 利生君  地方公営企業等に関する小委員       愛野興一郎君    片岡 清一君       島田 安夫君    中村 弘海君       永山 忠則君    村田敬次郎君       井岡 大治君    佐藤 敬治君       山田 芳治君    林  百郎君       小川新一郎君  地方公営企業等に関する小委員長                 中村 弘海君 ————————————————————— 昭和四十九年九月二日(月曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       片岡 清一君    島田 安夫君       井岡 大治君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委  員  長 町村 金五君  委員外出席者         人  事  官 島田  巽君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         総理府人事局参         事官      吉田 哲朗君         警察庁長官   高橋 幹夫君         警察庁刑事局長 田村 宣明君         警察庁刑事局保         安部長     荒木 貞一君         警察庁交通局交         通規制課長   久本 礼一君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         法務省人権擁護         局長      萩原 直三君         外務省アジア局         北東アジア課長 妹尾 正毅君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         文部省管理局振         興課長     高石 邦男君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         労働大臣官房審         議官      細野  正君         建設省都市局街         路課長     中野 三男君         自治政務次官  古屋  亨君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         消防庁長官  佐々木喜久治君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 八月二十六日  辞任         補欠選任   多田 光雄君     津金 佑近君     ————————————— 七月三十一日  一、地方自治に関する件  二、地方財政に関する件  三、警察に関する件  四、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、去る八月三十日に起きた丸の内ビル街爆破事件について警察庁及び消防庁当局から報告を求めます。高橋警察庁長官
  3. 高橋幹夫

    高橋説明員 丸の内ビル街爆破事件概要警察措置について申し上げます。  事案概要でございますが、八月三十日午後零時四十五分ごろ、都内の千代田丸の内二丁目五の一、三菱重工本社ビル一階正面玄関前の歩道上において、同社電話交換台に男の声で爆弾をしかけたとの予告電話のあった直後、時限式爆弾爆発をし、付近にいた通行人等八人(うち即死五人)が死亡、二百八十九人(重傷三十八人、軽傷二百五十一人)が負傷するとともに、付近ビル窓ガラス窓ワクが破損、付近駐車中の車両九台が大中破するという事件発生したのであります。  警察措置といたしましては、爆破事件発生直後、一一〇通報事件発生を認知した警視庁では、直ちに在隊待機中の機動隊二個中隊レスキュー部隊)及び現場周辺パトカー等緊急現場出動を下命し、負傷者救出救護交通規制などにあたったのであります。  午後一時三十一分、事件重要性にかんがみ、庁内総合指揮所内警備部長を長とする総合警備本部を設置し、指揮体制を強化するとともに、機動隊九個中隊を含む警察官二千五百五十人を増強配備して、死傷者救出救護、搬送、現場周辺交通規制と群衆の整理、緊急配備による不審者発見等初動措置を講じたのであります。  また、警察庁においても、類似事案発生に備えて、同日午後一時、警察庁次長を長とする丸の内ビル街爆破事件対策本部を設置して、その旨各都道府県警察に指示し、これを受けた警視庁をはじめとする各都道府県警察では、三菱関係商社、工場をはじめ、重要防護対象に対する警戒警備及び火薬類盗難予防措置、これは保安部長通達でございますが、等の強化につとめ、事案未然防止に万全を期しておる次第であります。  捜査状況でありますが、八月三十日午後二時、所轄丸の内警察署刑事公安部長本部長とする丸の内ビル街爆破事件捜査本部を設置し、捜査員二百八十五人を専従させて現場検証被害者からの事情聴取現場付近の聞き込みなどの捜査方針により、所要の基礎捜査を進めている次第であります。  現在までの捜査によると、爆発現場から乾電池の破片や時計の部品と思われる金属片等が発見されているところから、一応時限式起爆装置を施した爆発物使用されたものと推定されるのであります。  その後いろいろな捜査の結果は出ておりますが、それに関連をいたしまして、必要のあった場合においては刑事局長から報告させたい、こう思っております。  また、火薬類種類等については現段階では不明でございますが、被害状況から見て相当威力の強いものであることがうかがわれるのであります。  なお、犯人像については、いまのところ全く不明であり、残念でありますけれども爆発物マニアあるいは極左暴力集団等、幅広い捜査方針により捜査を進めている次第であります。  今回の事件は凶悪なる事件でございますので、全力を傾注してすみやかに犯人を発見することが最大の急務であると考えている次第であります。  そういう面からいきまして、爆発事件等に対する最大対策のわれわれの中心は、いま申し上げたように犯人検挙することである、こう考える次第であります。  警察庁をはじめ、特に警視庁中心にいたしまして広域な捜査等につきましても、いろいろな角度から検討いたしておりますので、皆さん方の期待に沿うよう全力を傾注していきたいと考えておる次第であります。  なお、今回の問題につきまして、いろいろな情報等につきまして国民協力というものを受けておりますので、皆さん方からも私どもに対する激励をされながら、なお申し上げましたような捜査のために聞き込み等に関連をいたしまして、目撃者等につきまして関係国民皆さんから積極的な御協力をお願いをいたしたいと考えている次第であります。  以上が丸の内ビル街爆破事件概要警察措置でございますが、現時限におきましても、毎日毎日捜査をしておりますので、いま申し上げたようなことに関連をいたしまして、皆さん方に御質問がございますならば、いま申し上げたように、関係局長部長から報告を申し上げたいと思うのであります。  以上でございます。
  4. 伊能繁次郎

  5. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 お手元に差し上げております資料に基づきまして、消防関係の御報告を申し上げます。  当日の気象状況は、曇り、風速四・五メートル、気温が二十九・五度、湿度六五%でございます。  この事件消防に入りました第一報は、十二時四十八分、火災専用電話一一九番によりまして第一報が入っております。丸の内千代田ビル電機ビルとの間、大事故ガラスが割れて通行人がけがをしている、何か大爆発らしい、かなりの事故です、という第一報がございまして、それによりまして消防出動をいたしたわけであります。  出動部隊は、ポンプ隊が十五隊、はしご隊が三隊、特別救助隊五隊、排煙隊、高発泡隊おのおの一隊、救急隊が三十隊、無線連絡車その他司令車等が十五隊でございまして、計七十隊の消防隊出動いたしております。出動人員が三百二十三名でございます。  なお、この爆発によりまして、三菱重工ビル付近にありました車両に小さい火災発生をいたしておりますが、これは間もなく消しとめられまして、ポンプ隊は放水をするに至らなかったわけでありまして、主として救急隊特別救助隊というものが救急救助活動をしておるという状況でございます。  この爆発事故によります死傷者は、ただいま警察庁のほうからも御報告がございましたが、この死傷者約三百名のうち、救急隊によって医療機関に搬送した人員は百六名でございます。その他、警察車両、タクシーその他の民間車両によって搬送され、または近くのビル等にございます診療所等応急手当てを受けるという状況でございました。なお、収容病院慈恵医大付属病院警察病院、虎の門病院等二十七病院となっております。  建物内の負傷者につきましては、特別救助隊により救急車へ搬出救護された者と、建物内診療所で初療後、症状によって救急車で転院搬送された者がございます。  なお、現場救護所を二カ所設置いたしまして、特別救助隊等により、救出救護された者の初療及び症状による区分後、救急車で搬送したという状況でございまして、大体救急活動事件発生後一時間二十分で終了をいたしております。  医療機関出場状況でございますが、付近三和会中央病院より医師一名、看護婦一名の救護班をとりあえず出場していただいたわけでありますが、さらに都の医療対策課あてに各都立病院収容要請をいたしますとともに、日赤並び東京医療班出場を要請いたしまして、日赤からは救護班三十名、東京医療班から十六名の医療班出場し、現場において救護活動を行なっておる状況でございます。  以上でございます。
  6. 伊能繁次郎

    伊能委員長 以上で報告聴取は終わりました。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岩垂寿喜男君。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最初に、いま御報告をいただきました爆破事件について二、三質問を申し上げたいと思います。  おなくなりになった方々負傷をなさった方々に心から弔意とお見舞いを申し上げたいと思います。  このような事件が再び起きないように、文字どおり、民主主義の社会におけるわれわれ国民全体の、いわばこの事件に対する見方というものをきちんと立てなければいけないのではないだろうかというふうに思います。いかなる事情があるにせよ、いかなる口実があるにせよ、このようなことが許されてはならないと思うわけであります。  そこで最初に伺いますけれども、過去ダイナマイト盗難事件というのは何件ぐらいあったか、それからダイナマイト管理状況は一体どうなっているのか、あるいは過去ダイナマイトを使った犯罪というのは一体何件くらいあるのか、この辺について伺っておきたいと思います。
  8. 荒木貞一

    荒木説明員 お答えをいたします。  四十九年上半期中におけるダイナマイト盗難事件につきましては、火薬三十六キロ、付加いたしまして爆薬九キロでございます。これにつきましては一〇〇%検挙、回収しておるのが実情でございます。  使用犯罪につきましては、御記憶の新しいところであろうと思いますが、真岡における高校生の警察官に対する殺人未遂事件、さようなものがございまして、そのほかダイナマイト以外の爆薬関係でも本年三十件にわたっておるわけでございます。  管理状況につきましては、それぞれ所管の当局がございますけれども警察といたしましては、少なくとも三万カ所近い取り扱い場所等に対しまして、年二回立ち入り検査を実施いたしておるところでございます。その結果、大体七%近くが違反になっておりまして、それにつきましては、悪質なものは検挙送致、その他のものにつきましては警告をし、さらに府県知事に対しまして措置要請をいたしておるのが実情でございます。  その管理状況につきましては、私ども立ち入り検査状況から見ますと、末端の消費場所に対する管理が非常に悪い。たとえば、使用の期間が終わったならば必ず火薬庫に持っていかなくてはならないようなものをそのまま放置して、とられる。そういうところの保管管理なり、使用する労務者の身元確認、こういう問題が今後さらに十分考えていかなければならない問題だと存じております。  以上でございます。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 関連をして、警察庁長官犯人像についていまのところは不明だ、そして、爆発物マニア極左暴力集団などというふうに幅広い捜査をやっているというのですが、今日までの状況で一体どのようなところまで考えられるのか、それから犯人複数なのかどうか、その辺についても一つだけ伺っておきたいと思います。
  10. 高橋幹夫

    高橋説明員 刑事局長から説明をさせたいと思います。
  11. 田村宣明

    田村説明員 犯人像、あるいは単数複数かというような御質問でございますが、御承知のように発生をいたしましたのが八月三十日でございまして、発生後間がございませんので、現在までのところ捜査は、いま御質問のような点につきましてはかばかしく進展をしておるというような状況ではございませんで、現在は広い基礎捜査を行なっておるということでございます。  現場検証、それから現場からの資料収集事件発生前後の足取り、その他の現場捜査被害者からの聞き込み、あるいはいろいろな情報収集というようなことで幅広く基礎的な捜査を進めておりますが、現在のところ、爆発物が何であるかということの確定、それから犯人単数複数かというような問題につきましては、事件の態様、それから電話犯人がかけてきたものであるとすれば、非常に時間的に接着をしておるというようなところから、複数ということも考えられますけれども、それでは単数では絶対不可能かということになりますと、不可能とも言い切れない数ということにつきましても、いまのところにわかに断定する資料はございません。  それから、いわゆる爆破マニア、あるいは過激派の者、あるいはまた三菱関係に恨みを持つ者その他、犯人の傾向と申しますかあるいは動機と申しますか、そういうような点も、現在までの捜査では推測し得るような材料というようなものは出ておりません。  大体、三十日発生事件でございますので、本日の段階でそういうふうなものを推測し得るような資料を得るということは、一般的にも、普通の捜査として考えましても、この段階ではなかなか出てきにくい段階でございますので、今後捜査が片寄りませんように、幅広く基礎的な捜査を綿密に進めていくというのが、今度の捜査方針としてやるべきであろうというふうに考えております。
  12. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この事件はこのぐらいにいたしまして、引き続いて、私は朴大統領狙撃事件について警察庁あるいは国家公安委員長の見解を承りたいと思います。  最初に、日本韓国との捜査状況交換協力ICPOを通して行なわれているようでありますけれどもICPO政治犯といわれる本件について十分機能し得ているかどうか。あるいはICPO韓国事務局日本事務局がダイレクトで、電話連絡をやっているのかどうか。その辺について、まず最初一つだけ伺っておきたい。
  13. 田村宣明

    田村説明員 ICPO事務局刑事局のほうにございますので、私からお答えをいたしますが、現在ICPOを通じまして韓国連絡をとっておりますのは、大阪府警高津派出所発生をいたしました盗難事件拳銃関係についての連絡が主でございます。それから、連絡方法ICPO無線を通じてほとんどやっておるというのが実情でございます。
  14. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これからの捜査過程の中で指摘を受けなければならないと思うのですが、基本的な提出した意見書、つまりそれは文世光自供中心とした捜査報告書でありますけれども、しかし、これは、私なりによく調べてみますと、日本側捜査結果によってしばしば変化している形跡も実は見られるわけでありまして、一体どこまでが自供であるのか、私にもよくわからぬところもあるわけでありますが、それにもかかわらず、なおかっこの報告書日本捜査当局裏づけ捜査との間には基本的な対立があるように見受けられます。  この際、私は、警察庁がみずからの確信に基づいて、今日まで裏づけ捜査を含めて進めてまいりました日本捜査状況というものを国民の前に明らかに示す、そして、もし韓国のほうのこの捜査報告書中心とする報告問題点があるならば、それを明らかにしながら問題を調整をしていくという努力が必要だと思うのでありますが、その点について、どの点、どの点という列挙がおそらくできると思いますので、その点を御指摘をいただきたい。  それからもう一点は、先ほど申し上げましたとおりに、日本側捜査結果が向こうに伝わると、何かすぐ自供内容が変わってくるような、そういう気配が事件発生してから今日までの経過の中に見られるわけでありまして、このような、いわゆる自由の証拠性とでもいいましょうか、そういうものについて日本側はどのように考えているのか、この点をはっきりさしておいていただきたいと思います。  この二点について伺っておきたいと思います。
  15. 山本鎮彦

    山本説明員 お答えいたします。  文世光の陳述というものが逐次こちらに捜査参考として通報されてきておるわけですが、それらとこちらの捜査の中での違っている点、そういうものを含めてこれまでの捜査概要を申し上げてみたいと思います。  まず拳銃捜査ということですが、これは確かに七月十八日、大阪府警の南警察高津派出所でれがソウル狙撃に用いられたということ、これは間違いないと見ております。それからもう一丁のほうについて、初め文はこれを大阪第三突堤ですか、ここに投棄した、こういうふうに自供している、こういう通報があったわけですが、これについてこちらで捜査したところ、文の自宅の一階と二階の間ですか、一階の天井、ここから出てきたという事実がありますので、この点ははっきり違うわけでございますが、ただ、高津派出所についての文の自供は、ある程度犯人でなければわからぬようなことも言っておりますし、なぜこの派出所をねらったとか、なぜ警察官拳銃をねらったとか、そういうようなことも述べておりますので、これはわれわれの捜査参考ということで現在捜査しております。それから、拳銃以外の付属品を奈良県の大和川へ投棄した、こういうことも言っているということで、これも現在さがしておりますが、いままではまだ、水かさもふえているというような関係もあり、その真実性がはっきりしないということがございます。  それからもう一点は旅券関係でございます。  昨年の十一月、吉井美喜子という者を通じて、その主人である吉井行雄旅券をとって、それで、文と吉井美喜子香港に行った、こういう自供をしておるということで、これは吉井美喜子に当たって調べたわけでございますが、最初向こう供述では、十一月の二十六日から二十九日というような話であったということですが、こちらの捜査過程では十九日から二十二日という、日付は違っておりますが、香港に行ったことば事実である。その目的について、文は拳銃を買いに行ったのだ、こういうことを言っているというのですが、吉井美喜子はそういうことは現在まで承知していないという形になっております。それからさらにことしの六月、同じような方法によって、吉井行雄の名前で吉井美喜子に頼んでやはり旅券をとって、八月の六日ですか、ソウルへ行った。この事実はやはりそのとおりでございまして、吉井す。したがって、吉井美喜子については御承知のとおり、先般そういうような犯罪の容疑で大阪地検で起訴になっておるということでございます。それから、吉井行雄がこの関係を全部知っていたというような形の文の自供があるわけでございますが、これについては、現在までの調査捜査段階ではその関係がまだはっきりいたしておらないという状況でございます。  それから資金関係で、金浩竜という大阪の朝総連の支部の役員から二度にわたって八十万、五十万という援助を受けている、こういう自供があるようですが、この関係は現在まだ調査中でございまして、はっきりいたしておりません。  それから東京赤不動病院というところで、日付を指定して、ことしの二月ごろ一カ月ぐらい療養したということになっておりますが、この関係は現在調査中でございまして、まだはっきりいたしておりません。  そういうわけで、向こうからの文の供述内容は、こちらの捜査参考としてなるほどと思われる点もあり、それから日時その他の点で違っている点もあるということで、われわれとしては、どこまでも一連の事件の重要な参考資料であるというたてまえから、真実はわれわれの捜査過程ではっきりさせる、こういう姿勢で、どこまでも国内法に基づいた形の捜査を自主的にやっているということでございます。
  16. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いまの警備局長のお話のほかに、たとえば香港へ行ったことの目的などについても、最初とその後ではいろいろ変わってきていますね。たとえばピストルを手に入れるためにと言いながら、あとは、その旅券で行けるのかどうか、外国へ行く訓練なんだ、あるいはピストルを持って出入りできるのかどうだろうかというようなことをテストする目的だったというようなことなども言っていますし、それから赤不動病院について言えば、拳銃の練習をやったというようなことがいわれていますね。これらの裏づけはまだとれていないということを承っておりますので、それはそれとして、たとえば資金ルートの問題についても、親類を回って集めているという事実もあるわけですね。これらのことば警察のほうも明らかにしているわけですね。それらの問題。あるいは盗難のときに、これは常識で考えられないのですが、官憲をごまかすために五センチも小さいくつをはいて行ったのだと言うけれども、五センチも小さいくつをはけますかということを私ども常識で問いたいと思うのですが、それらのこと。あるいは万景峰号に乗った、乗らないという問題があるわけですが、これらの裏づけども含めて、実はいろいろな点であいまいなところがあります。あいまいであるのみならず、それは最初自供とその後の日本側捜査状況、結果が出た結論について、むしろそれに合わせているような気配さえ見られるわけでありまして、どこまで一体自供であるのかどうか、私たちは疑いたいところがあるわけでありますが、それはやはり日本捜査当局の確信に基づいた立場で国民の前に明らかにしていく必要があるのじゃないだろうか、こういう感じを持つわけでありますが、これらのことについてはまた後ほど質問をしていきたいと思います。  それでは今日までのところ、吉井行雄あるいは金浩竜氏の共同正犯説といわれるものは白であるというふうに、警察の中でもこういう見解を明らかにしているように新聞報道がされていますが、その点についての認識を承っておきたいと思います。
  17. 山本鎮彦

    山本説明員 吉井行雄氏並びに金浩竜氏に関して、この件の共同正犯であるかどうかという点については、われわれとしては現在いろいろな方面から調査捜査している段階でございまして、現在の段階でその犯行に加担したのかどうかというような事実は、いまのところはっきりいたしておりません。そういう意味で、これに現在の段階ではその容疑があるというふうにはいえないと思います。
  18. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 続いて、文世光が逮捕されたあと韓国捜査当局に対して最初はハンガーストライキをやっていたというわけであります。しかし、一昼夜を過ぎた十六日の午後にものを言い出した。ものを言い出した動機というのは、韓国捜査当局によると、取り調べ官が事件背後の人物として、朝鮮総連の金浩竜大阪府生野西支部政治部長の名前を出したことから観念をして口を開き出した、こういうふうに韓国捜査当局は発表しているわけでありますが、何で突然ここで金浩竜氏の名前が出たか。警察庁はこの金浩竜氏の資料をこの時点でお送りになった経過がございますかどうか、承っておきたいと思います。
  19. 山本鎮彦

    山本説明員 その時期にこちらからそういう資料を送ったという事実はございません。
  20. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 送った事実がないとすると、十五日に犯行があって、十六日の日にいきなり、しかも突然に金浩竜の名前が出てきたということもこれは変な話でありまして、最初日本人だという形であり、その後文世光自身についてもいろいろ見解がありたわけでありますが、金浩竜氏の名前が突然出てきて、そしてそれが自白の動機だというに至っては、事件の前から韓国捜査当局というのは金浩竜氏をマークしていたというふうに、常識的に考えざるを得ないのであります。そういう活動というものが日本で行なわれた気配について、私たちは大きな疑問を感ぜざるを得ません。それらのことに関連をして、金浩竜氏の本籍、住所、氏名などの一連の資料韓国捜査当局にお送りになったことがございますか。お送りになったとすればそれはいつでございますか。そしてそれは何ゆえに送ったのでありますか。その点を承っておきたいと思います。
  21. 山本鎮彦

    山本説明員 この資料は、向こうのほうから捜査参考にしたいのでという確認の連絡がございましたので知らしたわけであって、それはたしか十七日だと考えております。すぐ直後ではございません。向こうから言ってきた資料に対する返事でございます。
  22. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 十七日ですね、わかりました。  いま金浩竜氏に対して四六時中尾行をなさっておられるようでありますが、それはどういう目的で尾行をなさっておられるのか、その辺について承りたい。
  23. 山本鎮彦

    山本説明員 尾行というわけではございませんが、やはりいろいろな情報があり、不測の事態が起こらないようにという予防的な考え方で、一応警戒しておるということでございます。
  24. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そういう不穏な情報というのがあるのかどうか。それから警備だとすれば、本人の意思というものにかかわりを持って、できるだけ本人の意思をも尊重するということの配慮が行なわれていたと思うのですが、その点について伺っておきたいと思います。
  25. 山本鎮彦

    山本説明員 本来からいえば、本人の意向というものを十分尊重しなければならないわけでございますが、いろいろと不穏な情報については、やはりこちらの責任でやらなければいかぬ、こういうたてまえでやっておるわけでございます。
  26. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 不穏な情報というのはどんなものがあるか。もし発表できる範囲がありましたらちょっと承っておきたいと思います。
  27. 山本鎮彦

    山本説明員 やはりよく投書だとか電話等で、金浩竜は、こういう韓国の発表のとおりの形で、非常にけしからぬとかそういうような形のいろいろな通報があるわけであります。そういう形でこちらとしては警戒せざるを得ないという立場に立っておるわけでございます。
  28. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま現実に韓国捜査員というのは日本に入ってきているかどうか。
  29. 山本鎮彦

    山本説明員 現在入ってきておらないと思っております。
  30. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 日本から行くということは考えられるかどうか。
  31. 山本鎮彦

    山本説明員 現在の段階ではそういうことは考えておりません。
  32. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最近韓国から相当な人数にのぼる、これは新聞記者とか商社員とかという名前を実は使って入ってきているようでありますが、その目的にかなわないと思われる多くの方々日本に渡ってこられておられるようでありますが、それらについて掌握をされておられるかどうか、承っておきたいと思います。
  33. 山本鎮彦

    山本説明員 私どもそういうことをつかんでおりません。
  34. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それらについてつかむ気持ちがあるかどうか。そしてもしそうであるとすれば、それらについて、渡航目的といわれるものに沿った、いわゆる規制ということばも強いかもしれませんけれども、措置をとることを用意なさっておられるかどうか、承っておきたいと思います。
  35. 山本鎮彦

    山本説明員 いま岩垂先生から初めて伺いましたので、この点について事実をひとつ調べてみたいというふうに考えております。
  36. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 続いて、私は、金大中事件関連して若干の質問を申し上げておきたいと思うのであります。  金大中事件について、あの際にアンの家という問題が問題になって、日本捜査当局がお調べになったことは承っておりますが、それが特定できたかどうか。それからその捜査概要について、一ぺんここで承っておきたいと思います。
  37. 山本鎮彦

    山本説明員 当時アンの家というのが金大中氏の陳述の中にあったということで、しかもその家の構造がある程度具体的に示されておりましたので、幅広くそういう関係のほうを大阪、神戸、こういう方面を中心にして約千軒のアパートを調査した事実はございます。その中で逐次しぼっていって、最後には実は二、三軒にしぼってあるわけでございますが、現在究極的にこれであるという断定には至っておらないわけでございます。
  38. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは捜査上の秘密でだめだといえばそれでしかたがないのですが、もしその二、三軒の特定について承るわけにいきませんか。
  39. 山本鎮彦

    山本説明員 ちょっとこれはまだ事件の全貌がはっきりしない面があり、さっき言われたように、捜査というのはある程度機密がなければつとまりませんので、この点は御容赦いただきたいと思い
  40. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 文世光の母親陸末蘭さんが、大阪市西区新町南一ノ一九四でニュー秘苑という妓生キャバレーを経営していることをお調べになっていらっしゃいますか。
  41. 山本鎮彦

    山本説明員 そういうキャバレー、バーみたいなものを本人の名義で、昨年の暮れだと思いましたが、保健所に届けているという事実はつかんでおります。
  42. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 昨年の十一月に陸末蘭さんの個人経営としてお届けになっている、そのことを確かめられましたわけですね。
  43. 山本鎮彦

    山本説明員 はい、そのようでございます。
  44. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ニュー秘苑というこの妓生キャバレーの前身が、実は秘苑という名前でありまして、その前の経営者というのば、日本名で安川憲一さんこと安義舜という方の妻である、これは朝鮮語でどういうふうに読むかわかりませんが、イバクドウとでもいいましょうか、尹莫童さんの名義であり、安川氏は金大中事件のときに、韓国情報部と深いつながりがあるということを公然と言われてきた方であります。警察当局は、そのことを認知していらっしゃるかどうか。
  45. 山本鎮彦

    山本説明員 先ほど申し上げましたアンの家という形で、そういうアンという発音であるかどうかわかりませんが、字から見てそういう形の一つとして調査した事実はございますが、それが韓国の特別な機関と関係があったかどうかということについては、われわれとしては承知をいたしておりません。
  46. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 前の経営者がそういう人であったということはお確かめいただけましたか。
  47. 山本鎮彦

    山本説明員 この点は現在調査中でございまして、まだ確認いたしておりません。
  48. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 さっそく検討どころか調査をしてほしいと思うのです。明らかに警察に対する風俗営業の届け出がそのようになっておりますので、これは捜査をまつまでもなく歴然とした事実だろうというふうに私は考えております。ますが、韓国領事館の近くにあって、昭和四十五年の例の万博の最中には、KCIAや韓国公安関係者が出入りしていたという情報はきわめて明確であります。私は具体的にその事実を承知しております。そして在日の韓国人の間では、このような韓国の女性を芸能人という名前で観光ビザをとって、短期の入国でありますが、それをやるためには、韓国の領事部あるいは情報部とつながりがなければできないということは周知の事実であります。いわば常識になっているわけでありますが、この点を私は念のために申し上げて、ぜひこの点についても調査をしていただきたい。このことをお願いをしたいと思うのですが、その点について御意見を承りたいと思います。
  49. 山本鎮彦

    山本説明員 さっそく調査をいたしておきます。
  50. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この問題について、警察調査というものをぜひ承って御発表をいただきたいと私は思うのですが、この母親が韓国へ行かれて、八月の四日に日本へお帰りになった。十五日が犯行の日であります。そしてこの文世光が行かれたのがたしか六日でしたか、その前々日に実は韓国からお帰りになっていらっしゃるわけであります。そしてこのおかあさんがお帰りになったときに、例のライトバンで伊丹空港まで文が迎えに行っています。これは警察も調べてあるはずです。その点について、ぜひ警察の調べをここで明らかにしてほしいと思います。
  51. 山本鎮彦

    山本説明員 文がライトバンで伊丹空港まで行って、そして母親を迎えて送っているという事実ははっきりいたしております。
  52. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そのライトバンが例のライトバンであるということも確かめておられますか。
  53. 山本鎮彦

    山本説明員 そうでございます。
  54. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私がいま申し上げましたような点、これはわが党の金大中対策特別委員会調査の結果であります。私は、ここから狙撃事件の特定の背後関係というものを断定するつもりはございまのもの、特に文世光が、あのきびしい警戒の中で、どうしてあの場所に行けたのか、あるいはどうして忌まわしい事件が起きたのかという疑問とともに、はっきりさせられなければならない問題点、解明されなければならない点だと信じます。この点をどうか国民の前に、いや、世界の人々の前に、はっきりさせていただきたいと要請をしたいと思います。  それにしても、実は金大中事件の始末がいまなお宙ぶらりんな形になっていることは、警察皆さんが一番御理解を願っているところであります。特に金東雲一等書記官の指紋をはじめとする多くの裏づけ証拠によって犯人がはっきりしているのに、それについて何の手も出ない、具体的な処置が進まない。とりわけ組織犯罪などの背景について問題の追究が非常に不十分であるということを私は指摘をせざるを得ないのであります。そういう現実を前にして、日本政府の外交姿勢といいましょうか、政治責任といわれるものがやはり問われなければならぬだろう。この金大中事件の解決について、もっと積極的な、もっと日本としてなし得る最大の努力をしているならば、あるいはこういう不幸な事態が起こらなかったのではないだろうかと申し上げるのは、どうも私だけではないように思いますが、金大中事件のいわば始末、その後の経過について国家公安委員長、金大中事件の問題について、今日まで至っている経過について、所見を承っておきたいと思います。
  55. 山本鎮彦

    山本説明員 金大中事件は、捜査の経過については昨年の八月八日以来一年にわたって捜査を実施いたしまして、特にいま御指摘のあったように、当時の金東雲元一等書記官については、われわれとして捜査に確信を持って、本件に関与した疑いが強いという判断で本人の任意出頭まで求めたわけでございます。また使用車両についてもある程度特定ができておるわけでございますが、これについて去る八月十四日には、向こうから、いろいろと調べたけれども現在まで容疑がはっきりしなうような形の回答があって、これについてはわれわれとしてはきわめて不満であり、納得できないという立場をとって、外務省に対してさらに詳細な、金東雲を調べたならばそれがなぜ関与してないのか、そういう事実関係について再報告方、再通報方を述べております。  それからまた、被害者である金大中氏あるいは当時一緒におったという金敬仁氏とか梁一東氏、こういう参考人からもいろいろと聞きたいんだということを、再三また外務省が重ねて向こう連絡するように申し入ればしております。そしていずれにしろそういうものと同時に、われわれの捜査体制の確信をくずすことなく、真実を解明して国民の信頼にこたえるという立場から、捜査は続行しております。さらに情報ネットを角度を変えて拡大して、新しい情報を得て、これから何とか事件の核心に迫りたい、こういう覚悟でおります。
  56. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 率直に言いますけれども、本人がやってないと言うのだからやってないにきまっているじゃないかというような、非常に卑俗なことばで言えば、どろぼうをつかまえたけれども、本人がどろぼうやってないというんだから、どろぼうじゃないというふうに認定するのと同じでありまして、たいへん失礼なというか、日本捜査当局に対するいわば全くの侮辱であると私は思うわけであります。公安委員長、やはりここで一言、金大中問題がいままで宙ぶらりんになっている問題について所見を承っておきたいと思うのです。
  57. 町村金五

    ○町村国務大臣 金大中事件について、日本捜査当局といたしましては、かなり確信のある資料のもとに、韓国政府側に強く交渉をいたしておるところであることは、いま警備局長からもお答えを申し上げたとおりでございます。ただ遺憾ながら、この問題について韓国側としては、いま御指摘もございましたように、金東雲についての容疑が必ずしも明らかでない、こういう態度をとってきておるのでございまして、わがほうといたしましては、はなはだ遺憾千万に考えているところでございますけれども、したがって今後わがほうといたしましては、さらに捜査を続行をいたしまして、確信のあるところをもって、再度韓国側と外交折衝を通じましてこの事態を究明をし、事態を明らかにするという態度は今後も堅持をいたしてまいろう、まいらなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  58. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 続いて質問をいたしますが、韓国政府が最近文世光自供に基づく韓国側の報告、さっき申し上げたその資料でありますが、だけを真実として、それをいわば既成事実にして日本に押しつけているという感じがないわけではございません。特に、名前は言いませんけれども、次のことば、つまり、日本政府が朴大統領狙撃事件を契機に韓国が要求をした協力事項に対して最後まで応じないならば、政府として重大な覚悟で断固とした処置をとらざるを得ないという態度をとっていることは、実はきわめて不当であるといわなければなりません。これはむしろ内政干渉的な発言だといわれてもやむを得ないと思うのでありますが、その辺について国家公安委員長どのようにお考えか、見解を承っておきたいと思います。
  59. 町村金五

    ○町村国務大臣 韓国側といたしましては一国の元首の夫人が殺害せられたということで非常なショックを受け、しかもその犯人日本で生まれたいわゆる在日韓国人であり、しかもその凶器として用いられた拳銃が、たまたま日本警察ピストルが盗まれて使われたというようなことからいたしまして、日本側に対して非常なふんまんを持ち、憤激をするということについては、私どももこの点は深く理解をいたしておるところでございます。したがってこういったことが、たまたま日本警察の盗まれたピストルによって事件が起きたということについては私どももたいへん遺憾千万なことである、かように考えておるのであります。  しかし、そのことと今後のこの問題について、日本側としてどういうふうなこの犯罪に対して協力をし、究明をいたしていくかということにつきましては、たびたびすでにいわれておりまするように、わがほうといたしましては、日本国内法に許される限りにおいて、この犯罪の事態を究明をするということには私どもも政府としては当然やっていかなければならない、こう考えておるところであります。
  60. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 くどいようですがもう一ぺん承っておきたいと思うのですが、韓国の外務省の高官が、日本内で韓国に対する活動を行なっている朝鮮総連を非合法化または解体、あるいはこうした活動をできないように何らかの措置をとる、そういうことについての要求を日本側に通告してある、それはたとえば犯人の引き渡しとか、捜査協力及び謝罪などというのは実はたいした問題ではなくて、そっちのほうが問題なんだということを語っておられるように新聞は報道しております。これは実は軽視すべからざる態度だと私はいわなければなりません。その意味で犯人の引き渡しはしないということ、捜査はいま公安委員長がいわれましたように、厳格に国内法以外についてはやらないという、そのことを日本国憲法の規定に基づいて、もう一ぺんくどいようですがはっきり確認をさせていただきたいと思うのですが、御答弁を願いたいと思います。
  61. 町村金五

    ○町村国務大臣 韓国側としては、在日の朝鮮総連というものが、韓国の現政府と申しましょうかというものを打倒するためにいろいろ工作をしておる、こういうふうに判断をいだしておるようでございます。したがって、日本側に対しまして、まだ私は明確にそういうような要求をしてきたとは承知はいたしておりませんけれども、要求の有無にかかわらず、日本といたしましては、現在の日本国の国法に対しましてこれに違反をすると申しましょうか、国法をじゅうりんするようなことをもし朝鮮総連において行なうということでございますれば、これは取り締まるのは当然のことでございますけれども、そういった事態が明らかでないときに、朝鮮総連に対して直ちに取り締まりをするというようなことは日本側としてはやれないはずのものだ、やれるものではない、かように私どもは基本的な態度として、そういう考えを持って今後このことに臨んでまいりたい、こう思っております。
  62. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 今日すべての国民が、金大中事件をはじめとする日本政府のいわば対韓外交姿勢について、何でこんなに卑屈になっているのだろうか、あるいはどうしてこんなに遠慮しなければならぬのだろうかというような疑問を持っていることはおわかりがいただけると思うのであります。それはむしろ率直な国民感情ともいうべきだろうと私は思うのであります。確かに私たちは三十六年間にわたる朝鮮統治の歴史を振り返って、その侵略と迫害について、人間としての心のうずきを禁ずることはできません。しかしその侵略の償いは、すべての朝鮮民族に対してしなくてはならないと思うのであります。当然南北朝鮮を含むものでなければならぬことも、言うまでもないところであります。  しかるに、今日までの日本政府の対朝鮮外交というのは、一九六五年の日韓基本条約をはじめとして、韓国だけを唯一の政権として認める、韓国だけを唯一の権威として、オーソリティーとして認める、そういうふうになっており、それ以来その立場というものを厳格に、しかも執拗に固執してきていることは、もはや私の申し上げるところではないと思うのであります。しかも、それ以外の部分は切り捨ててもいいというような態度であるといわなければならぬと思うのであります。実は問題はそこから出発しているのであります。  すでにアメリカでも、たとえば下院の歳出委員会の軍事費分科委員会が一年以内の在韓米軍の撤退を勧告してみたり、あるいは援助の削減を要求するというふうな状態になってきているのであります。韓国の政体について、アメリカでさえ一定の危惧と批判を、そして率直な一つの見解を述べているわけであります。しかるに日本のこの対韓姿勢というのが、韓国に対する卑屈とも見える、先ほど申し上げましたような外交の姿勢をとっていることはたいへん遺憾でありまして、この際私は、朝鮮民主主義人民共和国との関係の正常化に英断を下すべきときだと信じます。しかしこれはきょうここで議論すべき課題ではありません。  先日木村外務大臣が、北からの軍事的な脅威はないという発言、そういう認識を述べられたわけでありますが、一カ月後に国連総会で朝鮮問題が討議される、まさにこの時宜を得たときの私は木村さんの発言だろうと思うのであります。そのあとちょっといろいろ加えたり何かしているので問題はあるわけでありますが、しかしその所信たるやまことに敬意を表すべきだろうと私は思うのであります。そうしてその発言と認識というものがいまや行動によって裏打ちされるべきである、それがアジアと世界の正義のために、平和のために必要だろうと私は思うのであります。その点について、閣員の一員として町村自治大臣は木村大臣の発言についてどのようにお考えいただいているのか、たいへん僣越でありますが、承っておきたいと思います。
  63. 町村金五

    ○町村国務大臣 私の立場から、そういったきわめて重要な外交に関することについて私がお答えをする立場ではございません。したがって、私としてはこれに対するお答えといたしましては、いずれにいたしましても、日本が世界のいずれの国とも平和に友好に関係を改善していくということが国の外交の基本政策であろう、かように私は信じておるわけでございます。  ただ、現在のいわゆる大韓民国並びに北朝鮮の朝鮮民主主義人民共和国でありますか、この両者の関係というものは、御承知のとおり、かなり歴史的ないろいろなむずかしい事情の上に立っての現在の状況でございますので、したがって、私はそういった一般的な抽象論は別といたしまして、現実の問題としては、今後これをどういうふうに打開をされていくかということ、今後日本外交としてこの問題とどう取り組んでまいるかということは、きわめて重大な問題であろう、こう私は考えておるのでございまして、私自身いまここでこれに対して正確なお答えを申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。
  64. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 まだ質問をしたいことがあったんですが、時間が来てしまいましたので、最後に締めくくりたいと思います。  朴大統領が愛する夫人をテロによって失った苦しみを、私は主義主張を越えて一人の人間として理解したいと思いますし、心から哀悼の意を表明をしたいと思います。しかし同時に、私は朴大統領に対して訴えたいことがあります。それは、朴大統領のその心の痛みを、このときにこそ、独裁政権のもとでその権力によって最愛の夫や子供を失ったり、さらにいまなお獄舎につながれている人々の苦しみや苦悩、その家族の苦悩というものを、朴大統領が自分の身内の不幸を通して共有してほしいと思うのであります。もはやそのことを言ってもあるいはせんないことかもしれませんけれども、私はそのことを強くこの国会の場所からも訴えたい気持ちで一ぱいであります。むろんその中には、日本の太刀川、早川両青年とその家族の苦悩をも当然含むべきことを前提にいたします。そして私たちは、野蛮なテロ行為をもって世論や正義に挑戦することを許すような社会にはもはやピリオドを打たなければならないと思います。それこそ民主主義の試練であると同時に、民主主義をささえるすべての人間の使命であると私は確信をして疑いません。  また私たちは、韓国に対する資本進出によってこの国の低賃金、日本の賃金の四分の一ないし五分の一というような低賃金の体制の上にどん欲な利潤をむさぼっている一方で、公害企業を韓国に輸出をしている日本の独占資本の醜い経済侵略の実態についても、反省が行なわれなければならないと思うのであります。さらに、いわゆる妓生観光ともいわれる問題について、私たち日本人のモラルの問題として大きな反省が加えられなければならないと思うのであります。  以上の立場を考えながらも、なおかつ、今日狙撃事件が持っているさまざまな複雑な背景、同時に、それは国際的にもいろいろな評価なりいろいろな見方なりいろいろな疑惑が渦巻いていることは御存じのとおりであります。その意味で、私は日本の政府が、日本国内法という立場を厳格に守りながら、同時に捜査当局がその立場をきちんとさせた上で、少なくとも韓国側の既成事実を押しつけられて、それで何かそのもとで捜査を続けなければならぬというような形ではなくて、文字どおり対等の、そして日本のいわば政治的な立場、そして真実を追及するみんなの努力というようなものが報われていくように期待をしてやまないのであります。  時間が参りましたからこれでおしまいにいたします。
  65. 伊能繁次郎

    伊能委員長 林百郎君。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に、八月三十日の三菱重工本社ビル報告について二、三質問したいと思いますが、この「同社電話交換台に男の声で「爆弾を仕掛けた」との予告電話のあった直後、時限式爆弾爆発し、」という報告書があります。この予告電話警察との関係はどうなっているのですか。
  67. 田村宣明

    田村説明員 ちょっと御質問の趣旨が私理解しにくいところがございますが、これは会社の交換台に入った電話でございまして、警察との関係と申しますか、警察には別に一一〇番にそういう予告電話が入るとかなんとか、そういうことはなかったということでございます。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 この予告電話がいつあって、そのことが警察通報されなかったのかどうか、通報されなかったとすれば、どういう事情通報されなかったのか、爆弾がすぐ爆発してしまったので、通報する余裕がなかったというのか、その関係を聞きたいのです。警察はいつこれを知ったのか。
  69. 田村宣明

    田村説明員 零時四十六分、爆破事件発生直後、警視庁は一一〇番通報で認知をしております。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、「電話交換台に男の声で「爆弾を仕掛けた」」という、電話交換台はそれを受けたけれども警察は爆破後にこういうことがありましたという報告を受けたので、警察としては捜査なりあるいはそれに対する事前の対処ができなかった、こういうことですか。
  71. 田村宣明

    田村説明員 そのとおりでございます。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その交換台における男の声を証拠として残しておくとか、そういう措置も全然していないということなんですね。
  73. 田村宣明

    田村説明員 そのとおりでございます。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 警察としては、こういう大きな会社だとか、そういうところへそういう電話があった場合には、警察とどういう連絡を取り合うようにというようなことの事前の指示だとか打ち合わせだとか、そういうことはしておらないのですか。
  75. 田村宣明

    田村説明員 一つは防犯通報の装置等がございまして、銀行その他こういうところは、強盗その他事故がございました場合には、警察と直通をする通報装置というものがございます。その他につきましては、いままでそういうふうな事件が——交換台に電話があった場合にそういうものを録音をしてもらうというようなことは、警察としては特にお願いをしておるというようなことはございません。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 こういう電話による事前の犯罪の通告というようなものは、それはもちろん単なる脅迫にすぎない場合もあるでしょうけれども、今度のように、もう言語に絶する悲惨な事案発生するような場合もあるのだから、こういう犯罪の端緒と見られるようなものは、そういう電話が来た場合には、それをどのようにして将来の証拠として保存しておくような方法とか、警察としては少なくともこういう危険のあるようなところへはすぐ通達をするとかあるいは連絡をするとか、そういうことをするつもりがありますか。そしてまた、新聞報道によりますと、現に方々電話がかかってきているわけですから、そういうことに対して警察はああそうかということだけで済ましているのですか。
  77. 高橋幹夫

    高橋説明員 爆破予告の問題につきましては、通信的な問題としてどう技術的にやるかということ、これは一つの大きな問題でありまして、一つは逆探知ということがございます。瞬間的に、その点について一一〇番等について連絡があれば、直ちに逆探知をやるようにということをそれぞれ通知することもあるわけであります。しかし、逆探知ということにつきましてはなかなかいろいろな技術的な問題もありますので、直ちに逆探知のできる場合もありますし、できない場合もあるわけであります。今回の事件につきましてもいろいろな爆破予告でいやがらせ等の問題も実はございまして、その点につきましては十分体制をとって、たとえば逆探知をして、たまたまある少年がいろいろな悪さをしたというようなことも出ております。  またもう一つは、いま申し上げたように、電話交換手としてはそういうものについて直ちにやはり連絡をする。これはそういう面については当然のやり方だと思いますけれども、さらにそういう点については十分気をつけなければならない。  もう一つは、いま申し上げたように録音をするということにつきましては、あらかじめわかっておる場合においては録音をすべきこともあるわけであります。たとえば、大阪におきましていろいろな事件があったときに、その点につきましてはあらかじめ録音をするということもありますし、そういう問題がありまして、通信的な手段としていま申し上げたように、三つの問題につきましては今後とも十分に対策を講じ、またいままでもいろいろやっていることもございますので、逆探知の問題であるとかあるいは電話通報の問題であるとか、あるいは電話の録音の問題であるということにつきましては、通信局が技術的にいろいろと考えておりますし、また今後ともこの問題につきましてはさらに密接な連絡をして考えなければならないということを考えております。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 もちろん通信の秘密とかいろいろそういうことがあると思いますが、しかし、明確に今度のようにもう悲惨な事案発生するような予告があった場合に、そういう犯罪の端緒と当然見られるようなものは、これを何歳ぐらいの男で、どういう声帯を持った男の、どういう特徴を持った発音であったかというようなことを直ちに取り得るような措置も、日ごろ警察のほうもあらかじめそういう注意をしておくことも必要ではないかと思いますので、今後の研究課題としてひとつ考えておいてもらいたい、こういうように思うわけです。もちろん私は通報やそういうものの秘密は、これはそれとして十分に尊重しなければならないと思います。こういう犯罪の端緒と明らかに見もれるようなものについては、そういう措置がとられてもよいのではないかと思いますので、研究の課題としてひとつ警察も研究しておいてもらいたい。  それから第二の問題ですが「現在までの捜査によると、爆発現場から乾電池の破片や時計の部品と思われる金属片等が発見されているところから、一応時限式起爆装置をほどこした爆発物使用されたものと推測される。」こうありますが、現在現場から発見されているものは、この乾電池の破片と時計の部品と思われる金属片等だけですか。そのほかに時限式起爆装置と見られるようなものとして現物として押収しているものか何かあるわけですか。
  79. 田村宣明

    田村説明員 先ほどの御質問でもお答えをいたしましたが、現在現場から採取をいたしております資料につきましては、爆発物が何であるかということを明らかにするために、爆発現場付近に付着をいたしております、たとえば入り口の柱などに付着をしておるいろいろな粉末その他、こういうふうなものを集めまして、それから爆発物の性質、ダイナマイトであるのかその他の爆発物であるのかということの鑑定をするためにそういう資料を集めております。  それから現場のビルの屋上その他から、先ほども申し上げましたが、積層乾電池の亜鉛板あるいは底板、リード線、そういうふうなものを採取いたしております。それからまた時計の歯車と思われるものが二枚、目安針、ゼンマイと思われるもの、そういうふうなものを発見をいたしております。したがいまして、現在のところ確定的には申せませんけれども爆発の点火装置というものは電池と時計を用いまして、時限式の点火装置を使用したものであろう、こういうふうに推測をいたしております。  それから爆発関係では、そのほか被害者の方の遺体の中から金属片等も出ておりますので、こういうふうなものについても今後鑑定を進めていかなければならない、このように考えます。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 「時計の部品と思われる金属片」というのはどういうものですか。それがどうして時計の部品と思われる特徴があるのですか。ちょっと説明願いたい。
  81. 田村宣明

    田村説明員 これを時計の部品と認定するかどうかということでございますが、いまのところ時計の部品というふうに考えられるということでございまして、いま歯車と目安針とゼンマイというものを申し上げましたが、その大きさその他から実際の小型の時計、いろいろございますけれども、そういうふうな時計の内部の部品と比較をいたしまして酷似をいたしておるというようなところから、現在のところ時計の部品という見方が非常に有力である、そういうふうに考えておるということでございます。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 それは目下捜査過程ですから、それ以上私のほうも質問いたしません。今後いろいろとまた証拠物が発見されると思います。  次に、犯人像のところですが、犯人像は、「爆発物マニア極左暴力集団等、幅広い捜査方針により捜査を進めている。」というんですが、この爆発物マニアというふうなものは特定できるんですか。それからこういうものを使う極左暴力集団というのはどういうようなものをいうんですか。もう少し具体的に参考まで聞かしてください。
  83. 田村宣明

    田村説明員 爆発物マニアとはということでございますが、これは現在まで国内あちこちで爆発をする——規模の大小はいろいろございますが、爆発を起こす、あるいは道路上、あるいは駅あるいはデパートなど、いろいろなところでいろいろな爆発事件が起こっております。その中で検挙をいたしたものについて調べてみますと、やはりそういうふうな爆発物をしかけて人を驚かすというようなこと、そういうふうなことを目的と申しますか、そういうことのために爆発をするというようなものが相当数あるわけでございまして、そういうふうなものを私ども爆発物マニアというようなことばで呼んでおります。一般にもそういうふうにいわれておると思うのでございます。  それから過激派というものにつきましては、これに近いと考えられますのは、御承知のように真岡事件というふうなものもございます。そういうようなことで、現在、——今回の事件は一体どういう犯人が行なったものかということを考えていく上で、過去にいろいろ爆発事件を起こしました犯人の類型と申しますか、そういうものを考えておるわけでございますが、現場から収集した資料の検討、あるいは被害時の爆発状況、あるいは付近の聞き込みその他から、現在のところではどのような犯人が本件をおかしたかというようなことを推測するに足りるような資料は——まだほんのわずかの日数しかたっておりませんので、まあ当然といえば当然でございますけれども、現在までのところ、そういうものを推測するような資料はない、こういうことでございます。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 捜査段階ですから、まだ特定できないで非常に困難な状況にあると思いますが、爆発物マニアというのはリストアップしてあるのですか。一般的にこうだということなのですか。
  85. 田村宣明

    田村説明員 一般的に爆発物マニアというものをリストアップしておるというようなことはございません。ただ爆発事件が起きますと、大体いままでの例によりますと、いきなり爆発させるということではなくて、事前に実験と申しますか、小規模な爆発をどこかでやったりして準備をしてからやっておる例がほとんどでございますので、事件が起きました場合には、そういうふうな爆発物でいろいろ過去において実験をして爆発をさせておったというような情報収集をして、そこから犯人というものを洗い出していく、そういうことはやっておりますが、一般的にそういう者はリストアップしておるということはございません。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。この事件についてはまだ捜査の端緒であると思いますので、いろいろお聞きしても具体的な答弁ができないと思いますので、次の質問に移りたいと思います。  私も、文世光をはじめ、日本韓国との間の捜査問題を中心としての関係を、許された時間の範囲内でお聞きしたいと思うのですが、率直にいって、韓国側からの日本捜査当局への要望は、韓国当局の思うような結果を出さなければ、日本捜査を怠っておるのだとか、あるいは捜査協力をしないんだというような印象を与えるような韓国側の責任者の意思表示が非常に多いと思うのですね。これは先ほどの岩垂委員質問にもありましたけれども、重大な、日本の国の主権に対する侵害ではないかというように私たちにとっては受け取れるわけなんですね。日本の国には日本の国の法秩序があり、日本の国に住んでおる日本人並びに外国人に対する取り調べは、日本の法律と日本の法秩序と日本の憲法の規定するところによって捜査も行ない、思想、信条の自由も保障されなければならない。それを、韓国のような特殊な立場にある国の方針日本捜査当局あるいは外交方針が従わなければ協力的でないというような言い方。われわれ日本国民にとっては、新しい憲法のもとで国民の思想、信条の自由が許されておる。それは何者もおかすことのできない個人的な、国民に賦与された権利だといって保障されている。そういう憲法下に生活しているわれわれを、韓国の考えと同じように取り締まれとか、あるいはそういう外交方針をとれとかいってくることは、これは日本の国を韓国化すということであり、日本の国に韓国と朝鮮民主主義人民共和国との関係を持ち込んできて、おれの思うようにやれということと変わりないように思うわけなんです。  たとえば具体的な事実を申し上げますが、一体韓国側の捜査で、日本側捜査としてこういう点を追及されたいといってきておる点はどういう点があるのですか。吉井夫妻が共犯だ、あるいは金浩竜も共犯だ、あるいは万景峰号金浩竜より上位の者から指示を受けたとか、私たちがマスコミやいろいろ聞いている範囲では、そんなようなことについてさらに捜査をやれというようなことをいってきているようですが、一体どういうことを韓国ではいま具体的に日本の国の捜査当局協力を求めるという意味でいってきているのでしょうか。
  87. 山本鎮彦

    山本説明員 韓国のほうからいってきた具体的な問題としては拳銃の出所の関係盗難拳銃であるということを自供しておるが、この事実はいかがかという形の拳銃に関する一連の調査のお願い、それから、文世光吉井美喜子の幇助によって、吉井美喜子の主人の行雄という人のパスポートを取ってもらって、それで十一月下旬ですか香港へ行った、この事実がありますかどうか、さらに、同様な方法で本年の八月、再びパスポートを取って韓国に入国した際も吉井美喜子の援助で行ったものかどうか、さらに、文の自供によると、その目的として拳銃香港で入手するために行ったというようなことを言っているが、そういう点があるかどうか、さらに吉井行雄もそういう事実を承知しているのかどうか、その点、したがって旅券法なり出入国管理令違反という形でのわれわれの捜査過程でそういう問題を明らかにしたいというふうに考えております。あとは金浩竜大阪の朝総連の生野西支部の政治部長という人がこの事件に関与しているという形で、こういうような事実があるが、これは参考までに通報するという形で、共犯関係を示唆するような内容になっておりますが「これについてはわれわれとしては真実をはっきりさせたいという形で調査をしているわけです。  全体としてそういう形で、文の自供はこうである、捜査参考にされたいということでこちらに通報が来ているのであって、具体的に何々をこうこうしろというような形ではないということでございます。われわれとしては、どこまでも日本の法令違反という立場から、われわれの自主的な捜査のいわば参考にしていく、こういう立場を守っていきたいというふうに考えております。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 逆に日本捜査当局から、われわれが常識で考えてもわからない点で、おそらくこの文世光吉井行雄という日本名のパスポートで入国していると思うのですが、その点一点確かめてみたいと思います。それがしかも警察から窃盗したという、これは相当大型なピストルらしいのですが、そのピストルを持って公然と入国している。とにかく戒厳令がしかれている国ですからね。しかもそれが八月十五日のああいう光復節ですか、国立中央劇場で行なわれた。これは相当厳重な身体の捜査もしているでしょうし、それからどういう人を招待しているかということも向こうとしては十分チェックしていると思うのです。そういう人がその劇場の、しかもピストルで最も撃ちやすいような最前列の右端のブロックかどこかへ腰をかけることができた。それは一体どういうことなんだ、韓国側はこの点について捜査をどうして、どういう結論になった、そういうことを日本捜査当局としては韓国に対して、その捜査過程を知らせろという要求をしてしかるべきだと思いますが、そういうことはしているのですか。われわれどう考えてもおかしいと思うのです。少なくとも光復節で選ばれた韓国の人たちが、国立中央劇場へ一定の人数の人が招待されているというのに、日本人名の、しかもえたいのわからない者がどうしてそこへ入れたんでしょうか。そういうことについての説明の要求を日本捜査当局韓国にしているのですか。
  89. 山本鎮彦

    山本説明員 先ほどお話し申し上げましたように、韓国からのは文の自供の要旨を参考までに通報するという形でございますので、われわれとしては事件の全貌を逐一、韓国に入国してからの全体のこの事件の全貌、それから文の供述のこまかい点、こういう点についてかねてから向こうに知らしてほしい、こういうようにいっておるわけですが、具体的な細かい点はまだいってきておらない状況です。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 御承知のとおり、八月三十日朴大統領は後宮大使を呼んで、この狙撃事件について日本側捜査の強化を迫って、さらに隣国の政府を転覆させようとしたり、政治家にテロを加えようとしたりする犯罪集団の行為に対しては、政治活動としてではなく、犯罪行為として取り締まることができるはずではなかろうか、こういうことをいってきているわけですね。翌三十一日にも駐日韓国大使が木村外相をたずねて詳細のことを要望し、その中では、新聞の報ずるところによると、韓国の大使が、朴大統領が強く要望している事項は、日本国内の対韓破壊分子、犯罪集団の規制問題等について厳重な取り締まりを要請した、こう書いてあるわけですね。何かこの事件が全く日本側の責任であるかのごとく、そして日本の国内で日本の法秩序を守って平穏に生活しておる朝鮮総連だとかあるいはその人たちを、自分の国の利害の基準から照らして対韓破壊分子、犯罪集団というような名前をつけて、これを取り締まれといわんばかりのことをいってきているわけですね。だから私たちから考えれば、この大統領狙撃事件最大限に政治的に利用していると思うのですよ。われわれは、この政治的に最大限に利用されることに乗せられることは絶対にないと思うのですね。そういう意味で、もしあなたのほうがそういうなら、われわれのほうもこういう点が不審だからこういう点はどうなっていますかとどうして日本捜査当局はいえないのですか。先ほど金大中の問題で金東雲の問題も出たのですが、あれほど日本捜査当局が自信がある、これは黒である、こういっているものが、一方的な捜査打ち切り報告で、これは白でありますというような報告を受けて、それもそのままになっている。だから日本捜査当局も言うべきことを全然韓国に言ってないんじゃないか、ただ向こうからいわれるままに右往左往している感があるわけですね。  先ほど国家公安委員長やあるいは日本捜査当局が、日本の国の国法の範囲で自主的に捜査をすると言っていましたけれども、客観的にはそう見えないのですね。完全に韓国に振り回されている。かってなことをいわれている、こういうようにわれわれは感ぜざるを得ないわけなんです。この点について国家公安委員長にお尋ねしますが、日本の国には日本の国の当然の法秩序があるわけなんですから、その法秩序の範囲内で自主的に捜査をする、この事件韓国に政治的に利用されることについては日本捜査当局は何ら関知しない、そういうことははっきり言えますか。
  91. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたわけでありますが、このたびの事件について日本の発給した旅券文世光が持ち、しかも日本警察から盗取いたしました拳銃でこの事件が起こされたという点については、私ども日本としてはたいへん遺憾である、かように考えておるのでございます。しかしその結果、今日、韓国当局といたしましては、これまでの大統領の日本大使に対する話あるいは駐日韓国大使が外務大臣にいろいろ申し出られたというようなことから見ますと、かなり日本捜査当局協力について不満を示しておられるということは私ども承知をいたしておるわけでございます。しかしわがほうといたしましては、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、国内法に照らしまして、いやしくも被疑の事実があればこれを私どもは十分に糾明し取り締まっていくということは当然でございますけれども、しかし韓国側がいろいろ指摘をいたしておりますような事実については、日本の現状におきまして国内法に照らしていまだその容疑がないというような場合には、私どもはあくまでも現在のわが国の捜査当局国内法に照らして被疑があるかどうかということを十分に検討をし、糾明をするということにいたしてまいるのでございまして、韓国側のそういったいわば特別な彼らからの脅迫といったようなものに類することで法の運用を左右するというようなことはいたさない考えでございます。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 国家公安委員長のそういう態度をあくまで貫いてもらいたいと思うのですが、私たちが考えてみましても、大体大統領緊急措置というものはかっての緊急勅令と同じようなもので、しかもこれによると、一切の放送、報道、出版等は禁止されておるし、それから流言飛語の捏造も一号では禁止されています。それから四号では学生が学校を理由なくして休んだというだけでこれの適用を受けるとか、またそういう学生の動きを報道しただけでも違反になるとか、要するに犯罪の類型を特定をしない、非常な何でも処罰できるようなことがあり、しかも自首しなければ過去に遡及しても犯罪の適用ができるというような、日本の法秩序、新しい憲法では考えられないようなこういう独裁的な法体系、秩序の体系を持っている。こういう韓国がその基準でもって日本の国の捜査のあり方あるいは外交のあり方——私は捜査のあり方を中心にきょうは質問しているわけですが、そういうことをかってにあれこれ口を差しはさんでくるということは許しがたいことだと思うのです。  具体的にお聞きしますが、一体韓国の金永善駐日大使が言った対韓破壊分子あるいは犯罪集団、日本の法律で取り締まらなければならないような状態のこういう対韓破壊分子、犯罪集団、こういう者はいま日本の国に存在するのでしょうか、現在の段階でですよ。どうお思いになるでしょうか、これは国家公安委員長
  93. 山本鎮彦

    山本説明員 われわれとしてはいかなる団体であれ、集団であれ、それがもし破壊活動をする、集団暴力をするということになれば、これは取り締まるのは当然でございます。したがって、別に韓国から指摘されるまでもなく、そういうものがあれば厳重に取り締まるという決意を固めております。  また、対韓破壊工作をしているような分子があるかどうか。これはたとえば北朝鮮のほうからいわゆる投入工作で来ていることで、われわれのほうが検挙している事案がございます。たとえば昨年の暮れからことしにかけて、愛知県警で検挙した金一東事件、それからさらに春に検挙しました李日学事件、こういう形で北朝鮮から特別な船に乗って日本に密入国して、そして韓国内の彼らの分子と連絡をとっていろいろな活動をするというような、破壊活動的な行動をしている、そういうものがわれわれの事件の中で検挙され、そして起訴されている、こういう事実はわれわれとしては把握しておりますけれども、集団としてそういうような形で現在犯罪集団があるというようなものは、われわれとしては把握しておりません。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 山本局長、それは日本の法律に照らして、日本の出入国令だとかあるいは出入国に関する諸法令に違反しているから取り締まるということはあり得るかもしれない。しかし、それが韓国の都合で、韓国を破壊する目的で入ってくるから取り締まるということじゃないでしょう。それは日本の法律に違反しているからということでしょう。そうでなければ、日本警察当局韓国の手先になるじゃないですか。日本の法律に違反しているから日本捜査当局の立場で処罰することはありますけれども韓国の政治的な都合によって日本捜査当局が左右されるようなことはありません、これがあなた方の立場でしょう。
  95. 山本鎮彦

    山本説明員 もちろんそうであって、そういう密入国だとか登録法違反あるいは旅券法違反、そういう形でわれわれとしては問擬するわけであって、その法条で起訴されているということを申し上げたわけでございます。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃもう時間がありませんから、一つずつ三つほど事実だけ聞いておきます。  万景峰号金浩竜文世光と五月五日の午後、ニンジン酒を飲みながら、北からの工作員と狙撃の打ち合わせをしたといいますが、この万景峰号というのは五月五日の午後と韓国側ではいってきていますが、午前の十時にもう出航しておるので、ここではそういうことはあり得ないはずですが、この点については日本捜査当局はどう把握していますか。
  97. 山本鎮彦

    山本説明員 出航は午前十時何分かでございます。しかし、当日も訪船しておる者はあるというふうに聞いております。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 私の聞いているのは、金浩竜が、この日午前に出航しているのに、午後そこに文世光を連れていって、ニンジン酒を飲みながら打ち合わせをしたということがあり得るかどうかということなんです。そんなことはもう日本捜査当局だって知っているでしょう。午前に出航しているものが、午後に行けないじゃないですか。それを、そういうむちゃなことを韓国からいってきているわけでしょう。
  99. 山本鎮彦

    山本説明員 日にちについては、五月五日に出航したということになっておりますが、五月四日に文世光は訪船した、こういうふうになっております。五月五日ではございません。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 私の調べた範囲では、五日の午後ということになって、とうていあり得ないことをいってきているというように考えますが、その点はあなたのほうがそう思うならそう思うで、それは聞いておきましょう。それで、その金浩竜が一緒に行ったという事実は認定できているのですか。
  101. 山本鎮彦

    山本説明員 私の申し上げたのは、韓国側は五月四日に訪船したというふうにいってやるわけです。その事実を調べたところ、現在そのようなことを確定する材料はございません。われわれは持っておりません。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、吉井美喜子さんの夫の吉井行雄も共犯だ、こういうように向こうのほうから捜査当局がいってきておる。これをなぜ日本捜査当局検挙なり捜査なりしないかといってきておるのですが、いまの段階で——これはいまの段階でけっこうです、捜査過程でしょうから。いまの段階で、吉井行雄がこの事件の共犯、少なくとも狙撃事件の共犯だという証拠は何かあるのですか。
  103. 山本鎮彦

    山本説明員 そういう事実はございません。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ金浩竜文世光と接触していろいろの狙撃についての打ち合わせをしたといっています。これについては、金浩竜氏は絶対にそのような事実はないとはっきり言っています。これも日本捜査当局捜査を一応したと思いますが、いまの段階で、金浩竜文世光に、そういう狙撃事件についての打ち合わせをするなり共犯の事実を実行するなり、そういうことはあるのですか。
  105. 山本鎮彦

    山本説明員 いまの段階でそういうような事実を把握しておりません。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 大体わかりました。  それから金大中事件について、金東雲一等書記官ですね。私は日本捜査当局捜査に信頼がおけると思います。日本捜査当局が、いやしくもこれが黒だといっている以上は、十分の証拠があると思います。ところが、一方的な捜査打ち切りで、金東雲は何ら関係ないという捜査打ち切りの報告がたしか韓国から来ていると思いますが、これについては、その後日本捜査当局としては韓国に抗議をするなり、あるいはさらに捜査を進めるなり、そういう申し入れをしておりますかどうですか。
  107. 山本鎮彦

    山本説明員 この点については、われわれとしてはきわめて不満であり納得できないということで、金東雲関係向こう捜査内容通報を、あらためて関係人その他のいろいろな内容について、これまでと同じことでございますが、外務省を通じてそのようなことを向こうに要求するように外務省に依頼をいたしております。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ、事実だけ確かめておきます。  赤不動病院ピストル狙撃練習をした、こう文世光は言っているそうですが、ここの院長さんに言わせれば、とてもうちの病院はそんなピストルの発射訓練をするような余地もなければ、そんなことはとうてい考えられないとはっきりこれを否定しておりますが、この点については、日本捜査当局捜査の結果はどうですか。
  109. 山本鎮彦

    山本説明員 現在捜査中でございますが、病院の中で発射訓練など私はちょっとできないというふうに考えております。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  時間がもうありません。最後に国家公安委員長、結論だけ申し上げておきますが、先ほど私が申し上げましたように、実は朝鮮民主主義人民共和国と韓国との間にも、平和的な民族の統一をしようじゃないかということを調印しているわけですね。そういう声明に対して、両方が平和的にやろう。それを韓国が一方的に、自分の政権を維持するために、北からの軍事的な危険があるというようなことを盛んにその後もいっているようでありますが、われわれは韓国のこういう独裁的な、これは大統領緊急措置をごらんになれば全くおわかりで、もう戦前の治安維持法以上の、実に反民主的な大統領措置ができるようになっておりますが、そういう法秩序の都合によって日本捜査当局が左右されてはなりません。このことは、先ほども国家公安委員長が、日本日本の独自の立場で、日本の法秩序の範囲内で捜査するのであって、韓国の政治的な都合に利用されるようなことは絶対ないというはっきりした答弁をいただいたと思いますが、その方針日本捜査当局の権威のために、あくまで今後貫いていかれる、そのことを一言もう一度念のためにお聞きして、私の質問を終わります。
  111. 町村金五

    ○町村国務大臣 その点は、先ほどお答え申し上げたとおりであります。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。
  113. 伊能繁次郎

  114. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、いままで述べられてまいりました点に多少の重複点はあると思いますが、お尋ねをさせていただきます。  まず第一に、国家公安委員長の責任問題についてお尋ねいたしますが、ある発言が新聞にちょっと載っておりましたが、この事件は、「野良犬」という映画がございますが、日本警察官拳銃によって殺人が行なわれたという映画でございます。その問題と全く類似した国際問題に発展してきた。国家公安委員長として責任をとらなければならないというようなことをちょっと書いておりましたが、私はそこまでいく必要はないという考えのもとでお尋ねするのでございますが、万が一、これが大きな国際問題と発展し、国家公安委員長の立場として、日本政府の立場をこれ以上苦況におとしいれないためにも、あなたが責任をとるようなことがあるのかないのか、考えられておるのかどうか。私はその必要はないと思うけれども、まずあなたの御決意をお尋ねしたい。
  115. 町村金五

    ○町村国務大臣 私は先ほども申し上げましたが、日本警察が持っておりまする拳銃が盗まれまして、そして、それが今度の狙撃事件の凶器になったということから考えてみますると、私どもは重大な責任を感じておるということは申し上げなければならないのでございます。しかし、だからと申しまして、どういう政治的責任をとるべきかということは、またおのずから別問題でございまして、私どもは、現段階におきましては、むしろ事態の究明につとめるということが私の第一義の責任を果たすゆえんであろう、かように考えておるところでございます。
  116. 小川新一郎

    小川(新)委員 あんまり酷な質問で申しわけないのですが、高橋長官、これは国家公安委員長の決意でございますが、私はあなたにも同様な気持ちでその決意を、こういう際お尋ねしておくのは非常に酷なんでございますが、やめる必要はないし、また、そういうことを上から圧力がかかるかもしれないような立場に立たされているあなたの御心境を感じながら聞くわけでございますが、一日も早く捜査の進展と全容を解明することが大事だと思いますが、まず御決意をお尋ねします。
  117. 高橋幹夫

    高橋説明員 今回の事件は、結果的には警察官拳銃盗難によって起きた、まあ間接的あるいは直接的にそういうことがあるわけでありますので、拳銃盗難ということにつきましては、警察官の失敗であるというふうに考えておりますので、その点について、私は警察を監督している警察庁長官としては、再びそういう拳銃盗難がないようにしなければならない。しかも、拳銃盗難があった場合においては、一日も早くそれを明らかにするということが必要であるという意味におきまして、いま大臣から申し上げたように、長官といたしましては非常に残念であったというふうには考えておりますが、その点について、今後再びああいう事件を起こさないようにするということが、私の重大な責任でもあるし、また私のやるべきことである、こういうふうに考えております。しかし結果論として、ああいう事件が起きたということにつきましては、非常に残念であったというふうに考えております。  いま申し上げたように、責任の問題よりは事を明らかにするということがやはり一番の大事なことである、その明らかにすることによって、初めて私どもの今後のあり方というものもあるわけでございますので、一応私から申し上げておいた次第でございます。
  118. 小川新一郎

    小川(新)委員 外務省来ておりますか。——ちょっとお尋ねいたしますけれども、後宮大使に対して、この捜査に対して日本協力が得られない場合非常に不満である、これに対して日本韓国との断交もあり得る、このようなことを新聞では報道しておりますけれども、これは事実なんですか。
  119. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 お答えいたします。  そのような事実はございません。
  120. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、後宮大使に対して言ってきた日本の政府に対する要求はどういうことを言ってきたのですか。
  121. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 できる限りの協力を要請するということでございます。
  122. 小川新一郎

    小川(新)委員 できる限りの協力とは、国内法での協力なのか、その協力を得られない場合には、韓国としては何らかの報復措置をとるような意味のことは言っていないのですね。
  123. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 法的にできないことをしてほしいという言い方はございませんし、それから報復措置をとるという話も聞いておりません。
  124. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう前提があれば、日本の政府及び警察当局としての捜査の範囲というものも、おのずと協力という限界がはっきりしてまいりますが、長官にお尋ねいたしますが、協力する範囲というのはどの範囲を言うのですか。
  125. 高橋幹夫

    高橋説明員 先ほど来山本警備局長からもいろいろ報告がありましたとおり、私どもといたしましては、本件について、当初私が申し上げたように、文世光の今回の拳銃盗難事件についての一つの問題、あるいは吉井事件についてのいわゆる旅券法違反等の問題あるいは文世光自体の背後関係といいますか、それ自体の背後関係の問題こういうような点につきましては、従来私どもとして国内法に基づいて捜査をしているわけでございます。したがいまして、韓国からいろいろなことにつきましての参考としての報告はありましたけれども、いずれもそれぞれにつきましては、警察の立場において国内法に基づいて、捜査の手続に基づいて結論に到達するあるいは明らかにするというのが私の考えでございますので、私から申し上げたように、韓国との協力の範囲というものもおのずから御了解できるかというふうに考える次第でございます。
  126. 小川新一郎

    小川(新)委員 外務省に重ねてお尋ねいたしますけれども捜査協力が不十分ならば、日韓問題について重大な影響があるやのことを朴大統領及びその周辺の高官が言った事実は実際ないのですか。重ねて聞きますけれども、この問題は非常に大きな問題だから聞くのですけれどもね。
  127. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 私の承知している限りではそういう言い方はございません。ただ、八月十五日に起こりましたような事件が繰り返して起こると日韓関係上非常に困った事態になるという趣旨の発言はあったと承知しております。
  128. 小川新一郎

    小川(新)委員 日韓関係に困った事態とは、どう外務省では理解していますか。
  129. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 趣旨はそういう発言でございまして、私それに解釈を加えることは慎むべき1慎むべきといいますか、私の立場として、これはこういう意味であろうというふうに解釈をすることはむしろ差し控えたほうがいいのじゃないかと思います。
  130. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは自治大臣、国家公安委員長としてはどう理解していらっしゃいますか。
  131. 町村金五

    ○町村国務大臣 私は直接、朴大統領が後宮大使に言われたことというのは承知いたしておりませんので、私の口から確たることは申し上げかねるわけでありますが、しかし、大統領が直接に日本の大使を呼んでかなり長時間にわたって話をされる、これは私はきわめて異例なことであろうと思う。したがって、韓国側としては今度の事件をきわめて重視しておるということを日本側としても十分念頭に置いて、この問題の処理に当たっていかなければならない、私はかように考えているところでございます。
  132. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは、韓国日本とのものの考え方、国防の問題すべてにおいて認識の違いはあると思うのですが、今回の狙撃事件日本に責任がある、こういうものの考え方をしているところに問題が出てきているわけです。日本に責任があるとするならば、一体それは何なのか。確かに日本の警官が盗まれた拳銃だったのか。三十八口径の拳銃によって一メートルの至近距離から射撃された場合には、頭部に相当大きな損傷が起きるはずであるといわれている。また何発発射されたのかということも問題になってまいりますが、いまの時点では日本に責任があるのですか。
  133. 町村金五

    ○町村国務大臣 私は少なくとも、先ほどもちょっとお答えを申し上げましたが、日本警察管理いたしておりまする拳銃によって今度の事件が引き起こされた、その辺に関する限りにおきましては、日本政府は責任あり、こう考えなければいけないと思っております。
  134. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうなってまいりますと、責任があるということを認めてしまえば、これはすべて韓国側の言いなりになってくることも考えられるし、向こうの言ってくることもあまり拒否できなくなる。これは間違いなく日本警察の使った拳銃であることを警察では確認しているのですか。
  135. 山本鎮彦

    山本説明員 拳銃については、向こうから写真とナンバー、それから試射した弾丸の線条痕、こういうものが届いておりまして、それはこちらの記録と全く一致している状況でございます。
  136. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは事実であっても、それを使って射殺されたという事実にはならないんじゃないですか。写真があったって、それはだれが撃ったかわからないことだし、実際それをほんとうに使ったかというところに疑問が私はまだあるのです。幾らでもでっち上げればでっち上げることもできるのですね。警察はそれに対しては、大事な問題であって、日本の政府が責任を負わなければならないとするならば、その一点だけだというならば、ここは大事な問題になってまいりますね。常識の判断ではそうなるんでしょうけれども、大きな外交問題になるかならないかというところですから、私はあえて聞いているのです。ほんとうに間違いないわけですな。
  137. 山本鎮彦

    山本説明員 具体的に、検証ですね、現場でどういう角度で何発で、そういうのは一々向こうから報告が来ております。それから線条痕の鑑定も来ております。そういうのを総合的に判断して、われわれは現在ではその拳銃で、その弾丸で死亡された、こういうふうに判断しておるわけでございます。最終的には、さらにまたいろいろとこれから送られてくる調書、そういうものについて検討しなければならぬ問題もありますが、現段階ではやはりそれに間違いないというふうに判断をいたしております。
  138. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから朝鮮総連を解体せよという要求があったのかないのか、また破防法の適用団体に同団体を指名せよというような事実があったのかどうか、この二点、いかがですか。
  139. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 私の承知しているところでは、韓国側の言い方は犯罪分子、破壊分子というようなことばであったと記憶しております。  それから破防法の問題につきましては、御趣旨がちょっと私はっきりしなかったのでございますが、実態としては、朝鮮総連というのは破防法上視察対象団体になっておるかと思いますが、それを破防法によって解散してくれというような話があったということは記憶しておりません。
  140. 小川新一郎

    小川(新)委員 公安委員長、反朴勢力または反朴勢力に及ぶところの団体、これらは一体何をさしておるのですか、どう理解しておるのですか。それは韓国の中の反朴勢力なのか、それとも外部まで拡大しているのか。この辺は非常に大事なところなんですが、向こうでは何をさしておるのですか。
  141. 山本鎮彦

    山本説明員 はっきりはわからないわけですが、常識的に、新聞などから見まして、日ごろの活動から見て、反朴活動をしている団体としては韓青同という団体がございます。それから朝総連、そういう団体があると思いますけれども、その具体的な詳しい内容については、これは犯罪ではありませんので、われわれはその点について承知はいたしておりませんが、一般的にいえばそういう団体をさしているんじゃないかというふうに考えられます。
  142. 小川新一郎

    小川(新)委員 その韓青同だとか朝総連だとかの取り締まりを含めた協力向こうは要求してきておるわけですね。それを取り締まるというのは、いま言ったように破防法の適用団体にしろということなのか。もう一つは、そういうものに対して厳重な監視をし、それに対して今回の事件捜査の範囲が及ぶということになれば、その面に対しても協力する。もしもこれに協力しなかったら重大な決意があるというようなことになってきたらこれはたいへんなので聞いておるのです。  重ねてお尋ねいたしますが、日本と朝鮮の問題というのは一つではない。北のほうと南のほうと分かれております。それが全く政治、信条、思想が違うということで非常に大きな問題があるわけですね。それが大きな外交問題に発展することになって、朝鮮半島が不幸な戦乱に巻き込まれる原因をこのようなことでつくったんではいけないからあえて申し上げているわけでございますが、日本の政府の協力範囲という問題は朝総連などには及ばない、こう理解してよろしいのですか。
  143. 山本鎮彦

    山本説明員 警察といたしましては、いかなる団体にしろ個人にしろ、日本の法令に反するという形で論議するべき場合は、どのような団体でもこれを追及していくわけでございますが、そうでない限り、われわれとしてはそれに特別な関心は持っておりません。
  144. 小川新一郎

    小川(新)委員 金浩竜氏の尾行はいまやっておるのですか。
  145. 山本鎮彦

    山本説明員 特に尾行はいたしておりませんが、氏に対するいろいろな情報が来ておりますので、不測の事態が起こらないようにこれについて十分注意、警戒をしておるところでございます。
  146. 小川新一郎

    小川(新)委員 日本警察へ召喚して調査するようなことがあるのですか。
  147. 山本鎮彦

    山本説明員 いまの段階ではございません。
  148. 小川新一郎

    小川(新)委員 このような問題で、過去四回廃案になった出入国管理法案、これの強化という問題がちらほらしております。また、中村法務大臣は次期国会に提出すると表明しておりますが、町村大臣、国家公安委員長の立場として、出入国管理法に対する考え方、これはどうお考えになっておられますか。
  149. 町村金五

    ○町村国務大臣 いまの法案は御承知のとおり、警察が直接所管をいたしておる法律ではございません。したがって、今後法務当局がどういうふうな判断をこれに対して下すかということに相なるかと思うのでありますが、御承知のとおり、この法案にはかなりいろいろな改正を要する点があるということは私どももかねて聞いておるところでございますけれども、しかし、今後これをどういうふうに処理されていくかということは、いま私からお答えする限りではございません。
  150. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう一連なものの考え方というものがそこに発想してこなければならないほど日本韓国との問題が急速に悪化している。これは金大中事件、早川、太刀川両青年の問題等でございますが、それにつれて今回の問題が関連しているわけでございます。先ほど私が言った、日本と国交断絶でもするかというような問題は、これは韓国国会の外務委員会、司法委員会での質問ですね。それに対して金外務大臣が、今度の事件が国家の安全に関連した問題だけに、わが国民の望む方向に解決しなければ、最大の覚悟をするしかないと答えていることから出てきたことなんですね。外務省がこういうことは全然つかんでないということについては、私はまことに遺憾であるという質問なんですね。先ほどの質問はちょっとあなたにずばっと言ったのでお答えできなかったと思うのですけれども、その辺のところに対する外務省の見解から問題になっているわけです。どうですか、その点。
  151. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 先ほどの御質問は朴大統領の後宮大使に対するお話ということで私理解したものでございましたから、そうお答えしたわけでございまして、韓国の国会でそういう議論があったごと、金東作外務部長官がそういう趣旨の発言をされたこと、いずれも現地から報告来ておりまして私ども承知しております。  もう一つの御質問の御趣旨は、それをわれわれどう受けとめているかということだと思いますが、やはり韓国の国会においてはそういう非常に強い意見が出ているということに尽きるわけでございまして、私ども韓国状況を判断する上でそういう事実をもちろん頭の中に入れておかなければならないというふうに考えております。
  152. 小川新一郎

    小川(新)委員 日本は反朴基地となっている、またその聖地となっている。その日本内における破壊犯罪分子というものが、日本のこの自由な憲法下における、法律下における非常に活動しやすい中で、温床の聖地となっているというようなことを向こうでは理解しているように聞いているのですが、警察当局としてはそれをどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  153. 山本鎮彦

    山本説明員 先ほどお答えしましたように、現在の政府に対して反対を表明するような分子がいることはいろいろな出版物その他を通じて承知いたしておりますし、また、いわゆる北朝鮮から日本に密入国などをしてきて、いろいろな工作を韓国に対してしているというような事実もそういう範囲内ではつかんでおるので、われわれはその韓国側の全貌、その根拠というものをつまびらかには知っておりませんけれども、いま言った範囲内でそのような感じを持っておる面もあるのではないかというふうに考えております。
  154. 小川新一郎

    小川(新)委員 その問題はそのくらいにいたしまして、金大中氏の自由というものは今後保障されるのですか、金大中事件のことでちょっとお尋ねいたしますが……。
  155. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 昨年十一月二日の金国務総理の来日に代表される金大中氏事件の外交的決着におきまして、金大中氏の自由ということは国務総理のほうからはっきりと表明されたと私ども承知しております。
  156. 小川新一郎

    小川(新)委員 日本警察が金大中事件が打ち切られたということでこの事件最大の不満を感じている、その最大の原因は何なんですか。そしてこの捜査は、先ほどから質問で私も了解しておりますけれども、続けているということでございますが、一方的に打ち切られてしまった問題について、はたして完全な決着を得るようなことが日本警察単独でできるのかどうか。これは外務当局の問題にもなってまいりますが、日本警察捜査範囲内だけでは捜査しきれない問題が含まれていると思われます。いま申し上げました点と、その最大捜査の不満、打ち切られたことが不満なのか、何が一体こういう問題を捜査当局をしておこらしているのか、この点について二点お尋ねします。
  157. 山本鎮彦

    山本説明員 不満であるというのは、われわれとして、この事件に関与した嫌疑が非常に強いという確信を持っております金東雲元一等書記官の捜査結果については、昨年の十一月来こちらに通報するという約束だったわけでございますが、それについて調べたけれども、容疑なしという形のいわば中止するような意味合いの通報があったということについて、われわれとしてはこの点について不満であり、納得できないということで、さらに外務省を通じて再調査、それから、これまでいろいろ要求してきております参考人なり被害者のいろいろな問題点を聞きたいということ、これについても全く要望がいれられてないので、そういう点をはっきりさして、いわば国民の疑問に答える、国民の信頼にこたえるというわれわれの責務を遂行したい、こういうふうに思っておるわけでございます。  これからの捜査については、先ほども申し上げましたように中核的な捜査体制は保持して、あらゆる角度からする問題の解明の情報を得て捜査を進めていきたい。進めておるわけでございます。もちろん、いま言ったような韓国内にいろいろな人がおるということで大きな捜査のネックはあるわけですが、何とかしてそれを乗り越えてもこの核心に迫りたい、そういう決意でやっておる状況でございます。
  158. 小川新一郎

    小川(新)委員 向こうでは一方的に都合の悪いことは打ち切ってくる、一方ではこちらに対して責任を要求してくる。全く相反した事件一つの相関した事件として私たちは見ておりますけれども、そういうふうにお互いの外交の中にきずなを深めるのではなくして、そこにひずみを生ずるような事件が、ふしぎにも同じ一つの糸に結ばれたようになって相反した結果が出てきたということは、私たちもこれは非常に大きな問題として見ておるわけですけれども、今後の捜査当局の問題は、これは捜査当局だけの考え方であってはならないし、これは日本の外交姿勢として当然やっていかなければならぬ問題ですが、ここに外務大臣もおられませんし、次官もおられませんので、私はこれ以上のことをここで外務当局にきびしく言うわけにはまいりませんが、そういう点を踏まえた上で、非常に困難ではあるだろうけれども、この問題についてうやむやにしてもらっては困る。朴大統領暗殺事件もうやむやにしては困るというのが韓国の要求でありますので、どっちもうやむやにしてはならないということで押していっていただきたいと思います。  次に、爆薬の保管ですが、爆薬は事業所、事務所、銃砲店、こういうところに非常に保管されておるわけでございますが、これについての取り締まり、またそういったことが二度と起きないための措置というのは今後どうなさるのか。また、六百カ所だか三百カ所だか知りませんが、立ち入りをやる、火薬庫八百カ所洗うといっておりますが、この洗うという意味はどういうことを意味しているのか。またこの五年間に爆弾事件というのはどのくらいあったのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  159. 荒木貞一

    荒木説明員 お答えいたします。  今回の事件がございます前に、私のほうとしても凶器あるいは爆薬等を用いた犯罪をできる限り未然に防いでいくという立場において、八月一日長官通達を出しております。全国一斉に九月十七日から十月三十一日までこれが取り締まりを励行するようにいたしておるところでございます。さらに今回の事件もございまして、先ほど長官からも御説明がありましたとおり、保安部長名で全国の火薬等の取り扱い個所に対し、一体最近においてああいう事犯を想定するような事故があったかどうか緊急に調査していく。さらに、今後盗難その他の事故がないように、保管をさらに適正にやっていくように通達をいたしたわけでございます。そういうことで今後の事件捜査関連いたしまして、問題のあるような火薬等に対しまして、帳簿その他を通じて、あるいは管理する者等を通じて、そういう事犯のいわゆる問題点を摘出していく、こういうことで各県において共同の捜査を実施しているのが現状でございます。  それで、お尋ねの過去五年間における火薬等の盗難事件の問題でございますが、特に火薬関係中心に申し上げますと、四十二年に九キロ、四十三年に十四キロ、四十四年に三十九キロ、四十五年に十五キロ、四十六年に百十三キロ、キロ数で申し上げますといま申し上げたようなキロ数になっておるわけでございます。ですから特に多かったのは四十六年の百十三キロでございまして、四十八年は二キロ、四十九年の上半期は三十六キロでございます。  いま件数の問題についてお尋ねがありましたけれども、量の点についての答弁でひとつ御了承をいただきたいと思います。
  160. 小川新一郎

    小川(新)委員 爆薬の不審購入者のリストはできておるのですか。
  161. 荒木貞一

    荒木説明員 現在のところ不審購入者のリストというものはできておりませんけれども、過去において火薬関係の事犯を犯した者に対するそういうふうなリストはつくってみております。
  162. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから脅迫電話が、事件発生してから百四十二件もあったといわれておりますが、これは事件捜査に対する非常な妨害になると思います。これをこのまま放置しておくわけにまいりませんし、これに対する処罰のあり方、またこれは摘発した場合にはどうなるのか。このままに放置しておくと同じようなことを何回もおもしろがってやるような事件が起きるし、長官にこの考え方についてお尋ねします。
  163. 高橋幹夫

    高橋説明員 先ほど来申し上げたように、爆破予告事件あるいは驚かせ、いろいろな脅迫の電話があるわけであります。それをいかにして防止するか、あるいはそれを検挙して明らかにするか、この問題については通信的な技術の問題と、それからいま通信関係についての法律の問題等もあるものですから、いろいろ郵政等と連絡をし、あるいは電電ともよく連絡をしながら、それを未然防止をしていくことが必要であろう、こういうふうに考えております。しかし爆破予告等の電話の予告事件というものにつきましては、時間の問題等もありまして、なかなかすぐに検挙することが非常にむずかしいということで、今後の大きな課題として、いままでも努力をしておったことに関連をしながら、具体的な技術的なことについて努力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  164. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がありませんからこれで終わりますけれども、三菱重工業及び軍需関連産業等に対する反戦思想の立場からのこのような襲撃事件のようなものが過去にあったのですか。こういった思想的な、同じ産業でも三菱重工業のような兵器関連産業に対するいやがらせ、またこういった事件等は過去に何件ぐらいあったのですか。
  165. 山本鎮彦

    山本説明員 昭和四十五年以来六件ございます。
  166. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたから、いま私が申しましたような事実について、ひとつ真剣なる捜査を進展させられることをお願いして、これで終わらせていただきます。
  167. 伊能繁次郎

    伊能委員長 午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ————◇—————    午後二時開議
  168. 伊能繁次郎

    伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  169. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、昭和四十九年度の人事院勧告並びにこれに基づくところの地方公務員の給与改定の問題を中心にしてお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、人事院にお伺いをいたしたいと思います。  本年の勧告は、かなり大型の勧告が出されたわけであります。例年になく七月の下旬、二十六日に出されたわけでありますが、国会の開会中に出されたわけであります。参院選後には当然臨時国会が開会をされる、そういう中で臨時国会の開会中に給与法をあげるということが七十二国会の中で当然予期をされ、そういう衆参の内閣委員会の中でも、当然この臨時国会の中で上げていくということが、ある意味では暗黙の予解になっておったと思うのでありますが、御承知のような形で、勧告が出されたけれども、給与法は臨時国会の中では所信表明も行なわれないまま終始をしてしまった、こういうことで、私は考えるのに、おそらく佐藤人事院総裁としては任期の最後の勧告であったと思うのでありますが、今日まで放置されておるわけでありますけれども、そういう点で人事院としてはどのような形でこの状態を見ておられるのか。これは一面、人事院としての責任も当然あるだろうというふうに思っていますけれども、この責任としてどういう措置をとられるおつもりなのか、少なくとも早期の完全実施を申し入れていかれるような用意があるのかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  170. 島田巽

    島田説明員 お答え申し上げます。  お話がございましたように、人事院としましては臨時国会を目標にいたしまして、できるだけそこで給与法の改正を成立させていただきたいという目標をつけまして、また衆参両院の内閣委員会の御決議もございましたので、早期勧告ということに全力を尽くした次第でございます。これは私どもが努力いたしましたと同時に、特別に総理府にお願いいたしまして、総理府の統計局などに限度ぎりぎり一ぱいの作業をしていただきました結果、本年は昨年の八月九日に比べまして二週間近く早く出すことができたわけでございます。これはひとえに、私どもといたしまし、民間給与の引き上げが行なわれております今日、公務員給与におきましても、できるだけそれに追いつかせて支払いをしていただきますために、勧告を実現さしていただくという意図からやったことでございますが、残念ながらこの希望がかなえられなかった次第でございます。  今日、私どもといたしましては、そういうような早期実現に対する切望は依然として強いわけでございます。どうかこの機会に、私どもといたしましては、内閣及び国会におかれまして早期実現のために御努力くださいますことを期待いたしますと同時に、私たちといたしましても、あらゆる機会をとらえて早期実現についてのお願いをしているという状況でございます。
  171. 小川省吾

    小川(省)委員 あらゆる機会をとらえて早期実現のために努力をされるということでありますが、ぜひひとつ、そういう形で人事院としても再度意見を申し入れるなりの方法をとってもらいたいと思うのです。そうでなければ、おそらく任期の最後であり、しかも入院中である佐藤人事院総裁としても、これは病気の療養の上でもなかなかたいへんだろうと思うのです。そういう意味では、人事院としてひとつ強い責任を感じながら政府に対して強く働きかけをいたしてもらいたい、こう思っております。  地方公務員の場合には、国公がきまらないと、そのあとというふうな従来の慣例もあるわけでありますが、こういう狂乱物価の時代で、少なくとも時期がおくれて再勧告を要するような状態の中でこれが行なわれるというふうなことがあっては、非常にまずい状態になるわけでありますので、島田事官も人事官として長いわけでありますから、そういう意味の経験と反省を含めて、いわゆる人事院勧告と国会の会期というふうな問題についてどのような反省をされ、どのような考え方をお持ちなのか、こういう異例な状態の中でどうお考えなのか、重ねてお尋ねをします。
  172. 島田巽

    島田説明員 私どもといたしましては、現在勧告を提出いたしました段階で、それの完全実施の閣議における御決定、そしてできるだけ早い機会に国会において給与法改正を実現していただくということを切望する立場でございまして、これについて特段にどうしてください、ああしていただきたいと申す立場には私ども残念ながらないというふうに考えております。
  173. 小川省吾

    小川(省)委員 人事院としても責任があるわけですから、少なくとも強い態度表明をしてこれをやる責任、そこまではあるわけですね。だから、そういう意味ではひとつ、そういう前向きの姿勢で、非常に遺憾である現在の気持ちというものをぜひあらわしていただいて政府を督促してもらいたい、こう思っておるわけであります。  それから若干中身についてお尋ねしたいわけですが、時間の制限がありますので、二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。  従来人事院勧告というのは、いわゆる上厚下薄というふうにいわれてきたわけでありますが、今回の勧告でも上げ幅は指定職の最高号俸は十三万、高校卒初任給は一万四千円というふうな大きな開きが実はあるわけですね。あまりにも較差がはなはだしいと言わざるを得ないと思うのであります。現在ちまたでいわれておりますのは、来年の学卒の初任給については大卒十万とか、あるいは高校卒は七万五千というぐらいにいわれているわけです。そうでなければ人材を確保できないというふうにいわれているわけでありますが、実際に定められたところの初任給というのはかなり低いわけであります。しかも、その中でいわゆる公労協といわれるたとえば郵政、郵便労働者の初任給と、それからいわゆる国家公務員の一般職の職員との差が一万ぐらいにあるわけであります。こういう点については、少なくとも一般行政職の初任給というのも、これは郵便労働者にしても国家公務員でありますから、そういう意味では同じような形になるのが当然だと思いますが、なぜこのような差が生じているのか、この点が一つ。  それからあと一つは、住居手当を新設されたり、あるいは扶養手当を引き上げたことは大いに評価をいたしているわけでありますが、住居手当の中で特に自分の家、いわゆる自家の住居手当について制限をなし、しかも新築、購入等については五年間に限って千五百円を支出するということが決定をされたわけであります。私は、やはり自家を購入したり新築をするということは、借家より以上にたいへんな負担を労働者がしいられているのが現状でありますから、人事院がこれに踏み切ったということは、少なくともこの額ではあまりにも低過ぎるというふうに思うわけでありますが、これは当然このことしの段階でそういうのを新設して、少なくとも今後改善をしていこうという意図であろうというふうに思っているわけですが、そういうふうな考え方を持ちながら出されたのかどうか、その点が二つ目。  あと一点は、今度の勧告の中に触れられていないわけですが、調整手当というのがあるわけであります。調整手当、たしか四十五年に新設をされておると思うのでありますが、いいか悪いかは別として、四十五年当時からさらに人口の集中なり、あるいは都市近郊におけるところの過密が加わっているわけであります。そういう意味では、当然調整手当というものは洗い直すべきだというふうに考えておりますけれども、今度の人事院勧告には全然触れられていない。こういう点についてはどのようにお考えなのか、その点について伺いたいと思います。
  174. 茨木広

    ○茨木説明員 三つの点についてお答えを申し上げます。  第一番目は、初任給の問題についてでございます。特に公企体職員との関係で御質問があったわけでございますが、任用面について、やはり初任給がたいへん影響を持っているということは御案内のとおりでございます。そこで、私どもといたしましても、今回やはり初任給には相当力を入れたつもりでございます。報告書の別表第二の(注)の三のところにも触れておりますが、本年の初任給の民間調査にあたりましては、特に未払いでございましても、確定分についてはすべて把握をするというような態度で調査をいたしました。したがって、調査の数値が例年の数値よりも高い数値であらわれてきております。そのように配慮をしましてやったわけでございますが、一方公企体のほうと比べてみますというと、差がありますことは御意見のとおりでございます。この点はやはりいろいろ事情があってのことだろうと思っております。御案内のように、公企体のほうの給与決定は、相当団交等を入れたかっこうでおやりになっておるわけでありますが、国営企業の職員の給与等に関する特例法の中では「給与法の適用を受ける国家公務員及び民間事業の従業員の給与その他の事情を考慮して」と、こうなって、私のほうの国家公務員のものが一つの基準材料になるようになっておるわけでございますけれども、御案内のように、逆にもうすでに高くなっておる、こういう結果に相なっておるわけでございます。私のほうの初任給の額につきましても、民間の調査を基礎にしながら、男女構成比率等については公務員の実態を反映させるように調整をいたしておりますので、別表にお示ししております民間の初任給の額よりも三千円も高いところにきめておるというような実情になっております。これを民間の分布から見ますというと、上位から四分の一のところに位置をいたしておりますので、決して低いことではないと思っております。ただ公企体のほうは、同じような分布で見ますというと、最高クラスに位置しているというようなことになっておりまして、その辺のところは、やむを得ない事情があったのではなかろうかというふうに考えております。  それから第二番目の住居手当の問題でございますが、この点はかねて懸案となっておりまして、昨年の報告書の中でも触れておりましたので、今回解決をはかるということで、自家所有者についても、いま御質問の中で触れられましたような金額を提案申し上げておるわけでございます。今後の問題といたしましては、これは官民較差の中の配分としてこの額を決定してまいりますので、やはりその年の事情によりまして、本俸のほうにその較差を向けるのがいいのか、あるいはこういう手当のほうに向けるのがいいのか、民間のほうの動向等も見ながら検討は加えていきたいと思っております。  それから調整手当の問題でございますが、これは懸案事項をやはり依然として持っておるわけでございます。説明の中で触れさせていただいているわけでございますが、引き続き検討するという態度をとっております。と申しますのは、今年御案内のように、たいへん物価が変動いたしまして、それを受けましてやはり賃金事情も相当変わっております。したがって、従来と同じような傾向でこの地域の関係のそれらのものが異同するというような状況ではございませんでした。その辺の状況が当時から懸念されましたので、ことしも一応調査はいたすということで、時系列的に見る必要もございまして、調査はいたしてございますけれども、今年度のそういう資料でもって恒久的な制度を決定するのには不適当であろうということで、今回やはり見送った次第でございます。
  175. 小川省吾

    小川(省)委員 総理府にお伺いいたしたいと思うのです。  七月二十六日に人事院勧告が出されたということは、総理府としても一半の責任が当然あるわけですね。しかしながら、参議院選挙後の臨時国会の中で、これを給与法として決定をしていかなかったわけですね。その理由は一体何なのか、この点がまず一つ。  それから八月二十七日に給与関係閣僚会議を開催し、八月三十日の閣議で完全実施を決定していくはずになっていたわけですが、閣議決定が延びているようであります。  そこで、あらためて伺いたいわけですけれども、完全実施をするのは当然のことで、値切るというようなばかなことはないと思うのですが、完全実施をするのかどうか、完全実施を確約することができるのかどうか、その点と、それから特にこういうような状態で、人事院勧告を出されて一カ月も放置をされている、少なくともこういう中で国家公務員並びに地方公務員、多数の公務員労働者が非常に不安にかられているわけであります。このことは公務における能率の低下をさせていますから、その意味では国民に対する、あるいは市民に対する行政サービスの低下というふうなことも危惧されるわけでありますし、そういう点では直ちに閣議決定をして、可能な限り早期に実施に移すべきだと思うわけでありますが、いつ、どんなぐあいに実施をしていこうとされるのか、吉田参事官にお伺いをいたしたいと思います。
  176. 吉田哲朗

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  七月二十六日に勧告をいただいたわけでありますが、例年勧告をいただきますと、政府としましては、給与関係閣僚会議を開催して、そこで御議論を願って方向を出していただく。次いで政府方針を閣議決定する。その閣議決定ができますと、その後法律案の作成、そういった具体的な事務に入るわけであります。  御質問の第一点でございますけれども、七月二十六日に政府が人事院から勧告をいただきました段階では、すでに会期もきまっておりましたし、前の臨時国会に法案を出すということはとうてい不可能であったわけでございます。その後の段取りでございますけれども、七月三十日に給与関係閣僚会議を開きまして、いろいろ問題点がございました、それを関係の各省で検討するということで、第二回目、いま先生御質問のとおり、去る八月二十七日に第二回目の給与関係閣僚会議を開いたわけでございます。そのときの給与関係閣僚会議の結論と申しますか、協議の結果は、当時小坂官房長官代理が新聞でも発表されておりますけれども、今回の勧告の扱いについては、いままで検討してきたけれども、財源問題行政事務の簡素合理化、定員管理の適正化、既定経費の節約等なお検討すべき問題がある、したがって最終的な決定は先に延ばさざるを得ないが、当面これらの検討を引き続き行なうとともに、勧告を実施する場合における必要な準備作業を進める、こういったようなことで結論が保留されて、その後検討を関係各省で行なっておる、こういうような状態になっておるわけであります。
  177. 小川省吾

    小川(省)委員 そういう説明ですが、少なくとも完全実施をする、しかもなるべく早い時期に実施をしていくのだという点については変わりはないのかあるのか、その点についてあらためてお伺いいたします。
  178. 吉田哲朗

    ○吉田説明員 完全実施するのかどうかという点につきましては、現在関係閣僚会議の結論もまだでございますし、それからさらに、その後閣議でおきめになることでございますので、いまかれこれ申し上げがたい、こういう事情にございますが、八月二十七日の給与関係閣僚会議が終わったあとで、小坂官房長官代理としては、完全実施をするという場合にも、いろいろ政府としてやらなければいけない、検討しなければいけない点が相当たくさんある、自分としてはそういった問題点あるいは政府として措置すべき事項を十分に詰めて、国民の納得を十分得た上で勧告を完全実施するのがいいと思う、そういったようなことを小坂官房長官代理は話しておられますので、それでかえさせていただきたいと思います。
  179. 小川省吾

    小川(省)委員 それでは自治大臣に伺いたいわけですが、参事官では適切な返答はできないのでしょうが、あなたは給与関係閣僚会議の一員でもあるし、人事院勧告がやられた中で、すでに一カ月も経過をしているわけでありますから、そういう中で完全実施をしていこうというふうなことについては、給与関係閣僚会議の中では、あるいは閣議の中では、閣議決定というものをされていないけれども、少なくともそういう意思統一はされているというふうに私は思うのですが、少なくとも相当大幅のいわゆる税収の伸びも見込まれていますから、そういう点についての心配はないと思うし、そういう点で、完全実施をやっていくのだという給与関係閣僚会議とか閣議といいますか、少なくとも意思統一だけはされておるのだというふうに思いますけれども、いかがですか。
  180. 町村金五

    ○町村国務大臣 去る八月二十七日に給与関係閣僚会議が開かれまして、私もその席に出ておったわけでございます。いま総理府の参事官からお答えを申し上げましたような大体結論にはなったのでございますけれども、当時のそこにおりました閣僚の全体の考えとしては、今度の勧告はまれに見ると申しましょうか、例のない大幅のもので、非常にばく大な財源を必要とする、したがって大蔵大臣としては、なお財源の見通しについて確たる見通しを持つに至っていないので、なおしばらくこの決定は延ばしたい、こういう発言でございました。しかし当時の考えとしては、非常に多額の財源を必要とするけれども、何とか人事院勧告はこれを完全実施したい、そういう方向でなおいろいろ検討すべき問題について検討をしばらく続ける、こういうのが先般の会議の大体の模様でございます。したがって、政府としては結局完全実施を行なうということになるのではないか、かように私は考えております。
  181. 小川省吾

    小川(省)委員 そこでお伺いをいたしたいのは、給与関係閣僚会議の中で閣議決定を引き延ばすように足を引っぱったのは、町村さん、あなただというふうに実は漏れ聞いているわけです。そういう点では私はちょっと不可解なんですが、確かにかなりの大型の勧告であることは事実です。いろいろ問題が多い、不備な点のある勧告だというふうには思っていますが、何といってもいまほとんどの自治体がこの財源手当ての問題で頭をかかえているのは事実です。そういう点で国の大量の委任事務であるとか、あるいは補助率、補助単価の低さ、あるいは起債のワクの制限とか交付税の単位費用の実勢との違いであるとか、自治体が超過負担に非常にあえいでいるわけです。強い引き締めや、あるいはまた需要の抑制なり税収の期待薄というようなことで一般財源の持ち出しが困難な一面も確かにあるわけであります。そういう中でも完全実施はしなければならぬ。こういう狂乱物価の時代でありますから、既定経費の節減といっても、国と違って自治体はさかさにしても鼻血の出ないような自治体がほとんど多いわけであります。  従来の経過については、人勧に基づくところの一般財源の所要額に対して、財源措置について当初予算で見ているものを除いて措置を要する額を、ある部分を地方税の増で見たり、あるいはまた既定経費の節約というふうな面で見て、それ以外を交付税による手当てをしてきたと思うのです。そうだとするならば、昭和四十九年度の現在の状態は、少なくとも従来とは異なっている地方自治体の状態である、こういうことになれば、少なくとも大臣としては国の責任で、自治省の責任で財源手当ては完全にしていく、すなわち交付税による手当てを含めて財源手当てについては、自治体の一般財源を苦しめるような状態でなく完全実施をやっていくというふうな状態をつくらなければならぬし、給与改定について自治体に多くの迷惑をかけないというふうな財源手当てをしなければならぬ、そういう責任が自治大臣に私はあると思うのであります。そういう財源手当ての問題について、少なくとも自治体に迷惑をかけないでやっていくのだというふうな決意を私は自治大臣に求めたいというふうに思っております。  この件については、同僚の岩垂議員からも若干の関連質問をさせていただく予定です。
  182. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほども申し上げましたとおりに、今度の人事院勧告はたいへん大幅のものでございまして、したがって、地方公共団体におきまして、この人事院勧告と同様なものを完全実施をするということになります場合には、きわめてばく大な財源を必要とするということは、ただいま御指摘のとおりでございます。そこで、私があらためて申し上げるまでもございませんが、自治省といたしましては、すでに計上をされておりますいわゆる本年度における給与の引き上げに充てる分といたしましては、御承知のように八%だけ交付税の中に見込んでおるわけでございます。しかし今回の勧告は、八%をはるかに上回っておるのであります。それだけの財源措置はどうしてもいたさなければならない。御指摘もございましたように、地方税の伸びというようなものもそれぞれ各公共団体にもございましょうし、いま節約の余地は全くない、こういうことでございますけれども、しかしまた必ずしもないとは限らない、そういったものを計算いたしましても、とうていそれだけでまかない切れるものでないということは言うまでもございませんので、当然補正予算におきましてこれを計上をしていかなければとうていまかない切れない。ついては当然本年度の国税三税が一体どういうような状況に相なるのか、大蔵省は非常に苦慮いたしておるようでございまして、やはり九月期における法人税等の税収の状況というものをもう少し見きわめたいというようなことも、先般関係閣僚会議の席におきましては、なおしばらく検討を必要とするので、去る八月二十七日には決定の運びに至ることができないということに相なったのでございまして、われわれといたしましてはそういった事情を全部踏まえまして、本年度の各地方公共団体における給与財源にはたいへん各団体も苦慮いたしておると思っておりまするが、少なくとも私どもは、国家公務員に準ずる給与の引き上げに相当するものは交付税におきましてこれを十分に見てまいるということをいたしたい、かように考えておるところでございます。
  183. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ちょっと、委員各位の御了解をいただいて、一つだけ関連質問を松浦財政局長に伺いたいと思います。  これはたいへん恐縮ですが神奈川の件なんですけれども、神奈川は御存じのとおりに不交付団体でありまして、「昭和四十九年度今後の財政需要(一般財源の推計と財源対策)」という資料を取り寄せてみましたところ、御理解をいただいておると思うのですが、歳出の面で給与改定所要額が四百三十億、その他八十六億で、合計五百十六億であります。その需要に対する財源というのは、県税収入で百五十億、それから財政調整基金及び繰り越し金で九十七億、節減その他で六十五億ということで三百十二億の財源が考えられるわけでございますが、それをマイナスしますと約二百四億円のいわば不足を生ずるわけであります。そしてその特徴的なのは、基準財政収入の伸びが落ち込んでおることと、それから特に法人事業税の前年対比の伸び率が二・四%というふうに実はかなり落ち込みがひどいわけであります。これは神奈川の産業が自動車、電機というような、いわば最近の状況を反映していることだと思うのですけれクを認めていただくようにこの際要請を申し上げたいと思うのですが、これについて局長の御答弁を伺いたいと思います。
  184. 松浦功

    ○松浦説明員 お答えを申し上げます。  神奈川県の財政が、ただいま御指摘をいただきましたように、非常に県税収入の伸びが他の都道府県に比べて鈍いということから、本年度、不交付団体である神奈川のいわゆる基準財政収入額が基準財政需要額をこえる額、超過額と申しておりますが、これが前年度に比べて減っておるという異常な事態があるようでございます。お話の前半に御指摘がございました、どれだけ財源が不足するかしないかということに目をつけてやりますと、これはほかの団体にもいろいろ問題があろうかと思いますので、そういう観点からの取り上げ方はいささか無理かと思いますが、現実の問題として超過額が減ってくるということになりますと、これは非常に財政に大きな激変を与えることになろうかと思います。そういったところに着目をいたしながら、今後よく県の財政事情もお伺いをしながら、さらにはただいま大臣からお答えを申し上げましたように、交付税の再算定という問題があるわけでございます。そのときに、一体超過額がどうなるのかというようなこともすべて加味をいたしまして、その上で、理屈の立つ範囲で、ただいま御指摘をいただきました公共事業等に対する特別な地方債を認めるというような方策も踏まえて検討してまいりたい、このように考えております。
  185. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大臣、恐縮ですがそれでようございますね。
  186. 町村金五

    ○町村国務大臣 財政当局といたしましては、かなり神奈川県の最近における財政状況をよく心得ておるようでございまして、そういった点にはひとつできるだけの配慮をすることにいたします。
  187. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ありがとうございました。
  188. 小川省吾

    小川(省)委員 いま神奈川県の具体的な事例について同僚の岩垂議員のほうからお尋ねがありまがありましたように、自治体の情勢、状況というものは十分に承知をされているわけでありますから、完全実施をするという形の中で、自治体の状況と見合いながら、少なくとも財源手当てについては交付税で見ていく、こういう方向については、大臣、ただいまの答弁の中で了解をしていきたいと思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  189. 町村金五

    ○町村国務大臣 まだ閣議決定をするには至っておりませんけれども、大体先般の給与関係閣僚会議の空気等から考えましても、完全実施を目標としていまなお検討すべき課題につきまして関係省でできるだけの検討を急ぐ、こういうことになったわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘もございましたが、何か自治省が非常に足を引っぱっておるというようなお話もございましたが、御承知のように今日人事院勧告を実施をいたしまする場合、ただいま完全実施というお話でございました。私どもも完全実施を目標といたしますが、その完全実施は、申し上げまするまでもなく、現在の給与法のたてまえによりまして、国家公務員に準ずるだけの財源、これを確実に確保したい、こういう考えであるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
  190. 小川省吾

    小川(省)委員 給与改定について例年のように出されるわけでありますが、いわゆる内簡というものがあります。局長通達であるとかあるいは部長、課長通達というものがあるわけですね。ことしの改定についてこれが何回ぐらい出されたか私もわかりませんけれども、八月二十八日に局長通達というのが出されていますね。これは給与関係閣僚会議の翌日であります。特に十分意思疎通をはかるべき自治体関係労働組合の自治労の大会で、役員のすべてが高松に行っておったときであります。私はそういうふうな時期に、しかもきょうは地方行政委員会の開会が予定されているこういう時期に、労使の中でこの種のいわゆる内簡なる通達なるものが常に紛争の種になるわけでありますが、そういう点で私はこういう不信を持たれるような時期、しかも適切でない時期に出されたのは、いささかもって心外であります。今年度の給与改定についてこのような通達を何回出されたのか、そしてまたこのような通達というものが実際に与えている現状というものをどう理解をされているのか、その点についてお尋ねをいたします。
  191. 植弘親民

    植弘説明員 お答えいたします。  人事院から政府並びに国会に対しまして、本年度の勧告がありました際に、こういう勧告があったというものを給与課長名で連絡いたしました。それから御指摘のように八月二十八日に局長通達を出してございます。  いまいろいろと情勢の問題ございましたが、実はこれは毎年同じことでございまして、給与関係閣僚会議あるいは閣議で決定いたしました段階におきまして、直ちにまた地方団体にも連絡する、通達するというのが例年でございます。先ほど来御指摘のございますように、本年につきましては勧告来一月もたっている状況でございますし、地方団体につきましては九月議会というものも控えております。そういう状況でございますので、そういった状況下においてその段階連絡をするという趣旨でしたものでございます。
  192. 小川省吾

    小川(省)委員 これを見ると、いわゆる国の給与法がきまる前にやってはいかぬということと、それからいままでこんなことやったこともないわけでありますが、国を上回るところについては財源措置はやらないのだ。いままでだって国を上回るところについて財源措置をやったことはないと思うのでありますが、少なくとも一種のおどかしめいた内容になっておるだけに、私は、これが県、市町村に与える影響は甚大であるというふうに思っています。こういう時期でありますから、少なくとも私は、自治省の中では地方公務員を守る一面があるだろうというふうに思っておりますけれども、こういう給与改定が非常におくれているという時期にあっては、少なくとも人事院勧告が出れば給与法がどうなるかということは当然わかるわけでありますから、そうなれば、少なくとも九月、十月に定例会が地方では開かれる、こういう状態であるならば、少なくともいまの段階で、十一月の段階で臨時国会が開催されるということでありますから、これにとらわれず人勧の線に沿った改定をやればよろしいのに、人事委員会の勧告があってもやってはならぬというふうなことは、明らかにこれは地方自治に対する不当な介入であり干渉である。そうなれば、ある意味では地方自治体を守るような自治省が、どうも一つの障害になっている、何か対決をすべき相手になっているような感じすら持たれるわけであります。私はそういうことで自治省があってはならぬし、少なくとも自治体の公務員の給与改定というものも、現状の中でおくれればおくれるほどこれは大きな不利をこうむるわけでありますから、地方公務員を守るという立場でも、早期に実施をさせるというのが私は自治省の態度であろうというふうに思っています。そういう点について、少なくとも国の給与法まで待てということでは、これはほんとうに自治省の態度としてはまさに理解に苦しむところであります。こんな通達は撤回をして、少なくとも人勧の線に沿った、あるいは人事委員会の勧告の線に沿って、定例会の中で給与改定は実施をしていってもよろしいというふうな形に自治省は態度をとるべきではないか。少なくともそういう点について、自治体関係の労働組合等とは十分な話し合いをしていくべきではないかと思いますので、植弘さんに重ねてお伺いをしたいと思います。
  193. 植弘親民

    植弘説明員 地方公務員の給与改定をどういう時期にどのようにやるかという問題が基本であろうと思いますが、地方公務員法の二十四条三項、もう先生に申し上げるまでもなくよく御承知いただいていると存じますが、この規定の趣旨に従いまして、従来から地方公務員の給与改定は国家公務員に準じてやっていただきたいということで指導してまいりましたし、地方団体の側におきましても、その地公法の指示に従いまして従来から措置してきたところであります。たとえば例外的にいいますと、昨年の延長国会におきまして国家公務員給与法が改正されるという段階になりましたときには、当委員会の各党の委員さん方からも御指摘ございまして、私どもといたしましては、当時開いておりました九月議会にも条例の準備をしてくれといったような非常に時宜に適した連絡をして、できるだけ国家公務員におくれないようにということで措置させていただいてきたところでございます。  ところで今年におきましては、先ほど大臣の答弁ございましたように、政府といたしましてもできるだけ人事院勧告の線に従って完全実施を目途にいろいろな問題を検討しているという段階でございますし、かたがた一方では従来にもない非常な財源を必要といたします。そういう点から、財源の見通し等もございますために、やはり今回の場合は従来の例に従って、国家公務員の例に従って措置していただくということはどうしても地方団体にお願いしなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  194. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省は例年通達、内簡なり何かを出す、だからことしも出したのだろうというふうには一応は受け取りますが、どうも内容がファッショ的な統制に近いような感じがするわけです。自治体の自主性というものもさっぱり認めぬ、こういう状態ではまずいわけでありますから、そういう意味では一応通達は出した。九月、十月の定例会の中で、ある程度の自治体ではきめていくところもあるのじゃないかと思いながら私は出されたのが真意だろうというふうに思っております。そういう点で、あまりひとつファッショ的な統制に当たるようなことは今後ぜひ差し控えてもらいたい、こう思っておるわけであります。  時間がかなり迫っておりますので、福岡問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  いわゆる自治体の今回の給与の改定をめぐる労使間に起こっている若干の紛争の問題であります。私は八月の十九日から二十一日まで現地に行ってまいりました。北野町であるとかあるいは星野村というふうな自治体へも直接出向いて、職員団体の役員並びに村長なり助役あるいはまた総務課長等の管理職とも会って、具体的に見てまいりました。  そこで、私は帰ってきていろいろのところに、当たるべきところに当たったわけでありますが、労使関係としても、少なくとも労働者である役場の職員が、理事者であるところの当事者である村長、助役あるいは総務課長等と話し合いがついて妥結をして協定を結んだところに、一部の地域反動が、その圧力で暴力に近いような状態の中でそれが妨害をされて、御破算にあるいはなるということはどうも正常な労使の関係ではない、こう判断をいたしておるわけであります。労働省からおいでをいただいておりますので、おそらく全国的にも新聞の報道にもあるいはテレビにも載った事件でありますから、こういう状態は少なくとも正常な労使の関係ではないというふうに思っておりますけれども、労働省としての見解はいかがですか。
  195. 細野正

    ○細野説明員 お答えいたします。  地方公務員の賃金関係、給与関係、これは当然のことでございますけれども、住民から徴収いたしますところの税金でまかなわれる、こういうかっこうになっておりますので、たてまえの問題といたしましては、住民が地方公務員の給与問題について非常に関心を持っていろいろ意見を述べ、あるいは場合によっては批判をするということ自体は、私は当然なことではないかというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、先生いま御指摘のように、その批判をしたり、意見を述べる過程におきまして暴力行為的なものがあったという御指摘でございますが、もしそういう事態があるとすれば、それは行き過ぎではないか、暴力の行使というのは、あくまでも、労使の間においてもあるいは労使と第三者の間においてもあってはならぬことではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  196. 小川省吾

    小川(省)委員 事実、暴力に近いような状態がかなり発生をしているわけであります。現に暴力事件等も起きているわけであります。私は福岡から帰りましてすぐに法務省に伺ったわけでありますが、その役場の、いわゆる山間僻地の数十人しかいない役場の職員に対して住民大会で圧力をかけたり、あるいはまた個人の自宅に十数人が伺って夜の九時ごろから朝の三時ごろまでかかって、時間をかけて、その当人に組合を抜けろ、自治労を抜けろというふうな圧迫、干渉をやっているわけですね。まさに人権じゅうりん、村八分にしてやるとか、おまえの子供はこの村で遊ばせないとかというふうな言辞を弄して、個々の組合員に対して圧迫、干渉をしているわけですね。だから明らかに人権じゅうりんになるような事案がたくさん起きているわけであります。法務省の人権擁護局に調査をいただいたわけでありますが、そういうような事実があったのかなかったのかお答えをいただきたいと思います。
  197. 萩原直三

    ○萩原説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の問題につきましては、八月の二十一日に自治労福岡県本部執行委員長及び自治労星野村職員労働組合執行委員長の二人の代理人の弁護士の方から「人権審判申立書」という書面が提出されまして、福岡法務局が八女支局と共同して御指摘の問題について取り調べをいたし始めました。ただいまの段階では八月二十七日に星野村の総務課長及び職組員の七名、合計八名について事情聴取しております。福岡法務局からの報告によりますと、その内容がまだはっきりわかっておりません。したがいまして、ただいまの段階では私どもとしてどういう結論を出すべきかというところまでは至っておりません。
  198. 小川省吾

    小川(省)委員 どうもおかしいのですが、私どもが実態を当たってみても、夜中の深更、三時、四時までカン詰めにされて、組合を抜けろとか村八分にするぞなんというのは、明らかにこれは人権侵犯だというふうに思いますから、そういう点については、さらによく調査をして、そういう事案に対する対処をぜひしていただきたいと思うのです。  そこで公務員部長に伺いますが、私が先ほど言ったように、北野町と星野村に行って、それぞれの人たちから一部始終の事情聴取してきたわけですが、私も実は群馬県の自治労の役員でありましたから、いろいろな交渉に参加をいたしております。少なくとも福岡のあの地域に起きている団体交渉というものは、私のところだったら私のところは弱いのですけれども、あれ以上の、カン詰めにした団体交渉を長時間かけてやるようなことはざらにあります。そういうふうなことが問題になること自体が私はおかしいと思うのでありますが、そういう中で第三者、いわゆる農協だとか商工会だとか一部山林地主などが地域反動をおだてて、地域の人たちで圧力をかけるというのは、住民参加などということばが最近いわれていますが、まさに邪道だというふうに思っておりますし、これは明らかに住民参加というおかしな一なおかつ自治省がそういうのが住民参加だと思っているなら別ですが、これは明らかに自治権を破壊をし、地方自治の自殺行為だというふうに思っているわけであります。そういう点では、ある意味では自治省としては、こういうような状態を是正する責任もあるだろうと思っています。これはやはり選挙を控えておりますから、ある意味での、選挙を前にしたいろいろな問題が裏にはあるようであります。植弘さんは、事実この段階で福岡に行って、いろいろなお話もやられているようであります。これらの点は町村会の事務局長等の指導がかなりあるようでありますが、その底には、いわゆる自治省の内簡が占めているウエートというのはかなり高いというふうに思っています。公務員部長に限らず、本省の部長なり課長等がこういう中に踏み込んで、知事選なりあるいはいろいろな首長の選挙の中に、ある意味では加担をしているような形というのは、私は自治省の役人は慎んでいただきたいというふうに思っております。こういう異常な状態を許しておいてはまずいし、事実行って、県庁で副知事と地方課長と会いましたが、両方とも自治省の派遣の方であります。地方課長に至っては、全国的に報道されたこの種の問題について、新聞報道以上には知らぬというわけでありますから、私は、自治省から天下りをしていく、地方に派遣をする人たちが地方に行って何をやっておるのかわけがわからぬわけであります。少なくとも地方課長という市町村を管轄する課長ならば、当然これらの問題についても一部始終を知らなければならぬ。こういう状態で、伺ってみると、新聞報道以上には知りませんということを言っておるわけでありますから、こういう点については、自治省の指導性というのが非常に疑わしいと思うわけであります。給与を引き下げろなんというところの通達は盛んに出すけれども、こういう問題があって、そういうことは一切新聞報道以上はわかりませんという地方課長を自治省から派遣しておったのでは、これは何をやっておるのかというふうに疑わしいわけであります。  この福岡の問題に関しましては、時間が参ったようでありますから、一応やめますけれども、そういう点については、不正常な状態で住民参加というような形の中でおかしな形がとられて、そのことによって地方自治の自主性といいますか、主体性が破壊をされる、そういう中で進んでいくことは、私は、給与問題に対するところのまさに邪道であって、地方自治体としては、おかしてはならない誤りだというふうに思っております。こういう状態を正常な状態に戻す責任は、私は自治省にあるというふうに思っておりますので、ぜひひとつ今後具体的に、このような問題が他へ波及をしたり、あるいは福岡の中でも発展をしないように、私は自治省としても厳に慎んで指導をしていっていただきたいということを最後に申し上げて、一応質問を終了をいたしたいと思います。
  199. 植弘親民

    植弘説明員 具体の市町村の個別な労使関係といったような問題については、自治省として個別的に立ち入って、とやかく言うつもりはございません。先ほど、たまたま私が別の用件で参りましたときに、町村長が集まっておりまして、最近の人事院の給与勧告の状況はどうだとか、そういったような話を聞きたいというので、三十分ばかり行きました。それは具体の北野町がどうだとか、星野村がどうだとか、それをどうしろという話をした覚えはございません。地方課長がこまかく知らないといいますのは、そういった具体の労使のやりとりだとかいうところまでは詳しく知らないかもしれないと思います。と言いますと、個別的に具体の市町村まで入るということについては、私どもとして、いま小川先生御指摘のように、慎んでおりますし、一般的な行政指導というものを中心に考えておりますので、そういう意味では今後ともそういった新聞報道をされるような異常な事態がないように、労使双方にわたって正常なルールのもとに交渉を行ない、労使の正常化をはかっていただきたいということにつきましては、地方課を通してなり指導していくつもりでおります。
  200. 小川省吾

    小川(省)委員 終わります。
  201. 伊能繁次郎

  202. 三谷秀治

    三谷委員 時間が制限されておりますから、簡潔にお尋ねをしますから、要を得た御返答をお願いしたいと思うのです。  いま人勧のほぼ完全実施をするんだというお答えがありましたが、これはいつの時期にこれを実施されますのか、これをお尋ねしたいと思います。
  203. 町村金五

    ○町村国務大臣 これは、先ほど申し上げたように、先般の給与関係閣僚会議の席上におきまして、完全実施を目途としていま検討すべき種々の問題について検討をする時間を持たなければならぬということで、先般は決定を見るに至らなかったわけでございます。したがって、いまお尋ねのございましたように、いつこれが実施になるかということにつきましては、私としては、いままだお答えをいたしかねるような状態でございます。
  204. 三谷秀治

    三谷委員 見通しが全然ないというのでは、あまりにも無定見です。新聞などの論調を見ましても、実現がおくれるほど、公務員に対して無利子の強制貯蓄を強要する結果になってしまう、そうして物価上昇による生活破壊、貯金減価の犠牲をしいることになる、こういう論説がなされております。こういう結果を考えます場合に、いつ実施するかわからないということでは、あまりにも無責任過ぎます。全然わからぬという性質のものじゃないでしょう。
  205. 町村金五

    ○町村国務大臣 御承知のように、この給与の改定を実施をするというのには、申し上げるまでもなく、給与法を改正をいたさなければならぬわけでございます。したがって、最近に行なわれまする臨時国会においてこれが決定をされるということだけは、間違いがないわけであります。しかし、これは諸般の情勢で、御承知のように十一月になりそうだというのがいまの大体の見通しのようでございます。したがって、政府としては、おそらくその直前になってきめるということではなくて、ただいま申し上げましたような、大体の調査と申しましょうか、検討すべき問題についての検討が終われば、私は、政府としての方針をきめるということに相なるだろうと思っております。
  206. 三谷秀治

    三谷委員 本年度は、人事院が特に例年より二週間も早く勧告を行なっております。これは物価状況などから見まして、緊急処置が必要であるという要素というものが一つの根拠になっておると私は考えておるわけでありますが、そういう勧告がなされておりますのに、十一月ころの議会で決定をする、その間実施が延ばされる、その間におきまして、いま申し上げましたような貯金減価にひとしい効果というものが発生をする、こういう事態を放任しておいていいでしょうか。それから、そういうことが人事院の権威あるいは公務員の権利を奪うことになりはしないか、この点についてお尋ねしたいと思うのです。
  207. 町村金五

    ○町村国務大臣 御承知のように、政府としては、給与が大体相当程度上がるであろうということで、一〇%でございましたか、すでに給与の引き上げの一部分を支払いをしておるということは御承知のとおりでございまして、政府としてもそういった点についてはかなりの配慮を加えておるということは御承知を願いたいのでございます。
  208. 三谷秀治

    三谷委員 今回の人事院の勧告というものが大幅な改定である、あるいは膨大な財源が要る、こういうことを繰り返しおっしゃっておりますが、これは今日の物価狂乱の事態がもたらしたものであって、地方団体の責任でもなければ、地方公務員の責任でもないということはきわめて明確な事実であります。しかも、今回の給与改定の勧告というものが、民間組合の賃金改定の状況から見まして、当然予測されたものであることば言うまでもありません。私ども、四月における段階において、三〇%程度の給与改定を見込むべきであるということを申し上げたことがあります。だれでもその程度の判断はつく条件にあったのであります。ですから、官民匹敵が原則というのでありますならば、民間組合というものが三二・九%、公共企業体組合が二九・二七%のベアが実施されました春闘以後におきまして、三〇%程度の人勧というものは必然のものとして判断を持つべきである。その程度の展望を持たなくて、どうして今日の行政というものが預かれますか。でありますから、今日出ました勧告というものが膨大だとか大幅だとか、そんなことをいまさら言うのがやぼであって、それぐらいは出る条件になっておるんだ、出るような民間労組や公企体労組のベースアップはなされておるんだ、そういう点に立ちますならば、いまごろなお検討を要するものがあるか。七月の段階で勧告をしましたものを、十一月議会ででもきめようかというふうな態度をもってしまして、政府の責任ある処置といえるでしょうか。
  209. 町村金五

    ○町村国務大臣 本年は早期に人事院の勧告が行なわれたわけであり、しかも、今日の物価の高騰の時期におきまして、できるだけ公務員の生活の安定に資するというために、これを早期に実施をいたさなければならぬということは、私ども全く同様に考えておるわけでございます。がしかし、御承知のとおり、給与法の改正は臨時国会においてこれをきめなければならぬということは、あらためて申し上げますまでもございません。そこで、先ほど申し上げましたように、その一部をすでに繰り上げ支給を行なっておるというような方法によりまして、現実には公務員の給与の向上に政府としてもかなり努力をいたしておるという点は、私はひとつ御承知おきを願いたいと思うのでございます。
  210. 三谷秀治

    三谷委員 いまの激しい物価高の中で、国家公務員の六〇%が共働きをなさっている、あるいは内職やその他のことをおやりになっている。そして、生活の悪化ということが非常に深刻になってきている。もう一つは、定員の削減によりまして労働強化を訴える人が八〇%にも達しております。こういう調査が出ている。こういう状況を見ますと、人事院が例年よりも二週間も早く繰り上げて勧告をするという緊急的な処置をとりましたならば、これは当然臨時国会でも開いて、すみやかにそれに対処すべきである。これが政府のとるべき態度である。ところが、全然その見通しがつかない。まず、十一月ごろに開かれるかどうかということをおっしゃっておりますが、これは私どもとしましては、特に給与関係の閣僚としては責任を十分に感じてもらう性質のものだと考えておるのであります。  これに関連しまして、地方公務員の給与改定についての人事委員会の勧告が出るのは当然であります。もうすでに出たところもありますけれども、この人事委員会の勧告に対して、財源の処置については、いま聞いておりますとお答えがありました。交付税で財源処置をとるとおっしゃった。交付税率を引き上げるのかどうか、国税三税の見込みはどうなっておるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。  もう一つお答えになりましたのは、国家公務員の給与の額に準ずる額を確保したい、こうおっしゃっている。この国家公務員の給与の額に準ずる額というのはどういうものか。つまり、現給を全部洗い直すという意味か、あるいは今般の勧告について国家公務員程度の率のことをおっしゃっておるのか、これをお尋ねしたいと思います。
  211. 松浦功

    ○松浦説明員 国家公務員並みというふうに大臣がお答えになられましたのは、地方財政計画の中におきまして人件費を算入する際に、国家公務員の平均的な数字を使って算入いたしております。それに対して二九・余の率をかけた、そういう算定によって算出されました額を、私のほうとして交付税措置を通じて配分したいということでございます。  それから、現実の問題といたしまして、去年もいろいろ補正予算のときにお答えを申し上げたとおりでございますが、本年度の給与改定に要しまする経費は、私どもの概算で一兆五千七百億という数字を算出いたしておりますが、それから義務教育の国庫負担金あるいは国の補助職員の補助金等を差し引きまして一兆二千四百億円、これだけが一般財源として必要になるだろう。それに対しまして、当初予算で御説明を申し上げましたように八%分、これがすでに財政計画の中に算入をしてございます。その額二千九百億、それを差し引きまして、九千五百億円の一般財源の所要額があるというふうに算定いたしております。これにつきまして、例年のように地方税の増収分、それから節約、地方交付税という形で御措置を申し上げたいと思っております。  ただ、国税三税がどのくらい出るかということになりますと、この点につきましては私どもも必ずしも明白にいたしておらないわけでございます。所得税等について相当の自然増収があるだろうということは想定をいたしておりまするが、問題の一番大きなものは法人でございます。九月の決算がどういう形に出るかということが、国、地方を通じて財源的には大きな左右をなす要因になっているかと思います。いましばらく時間をおかし願わないと、国税三税の見通しについては何とも申し上げかねるというのが現在の実情でございます。
  212. 三谷秀治

    三谷委員 交付税率の引き上げの必要はないのかどうか、これをひとつお尋ねしたい。  それから、人事院の早期勧告の処置を受けまして、地方では九月議会に給与改定議案が提出される。タイミングからいいますとそういう条件になっております。これに対して自治省が通達をもって、国より先では困るとおっしゃっている。こういう指導のしかたというものは地方自治を侵害するものじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  213. 松浦功

    ○松浦説明員 国税三税がどの程度見込み得るか、国の予算編成とも関連する問題でございますので、国税三税の増額計上ということで財源措置ができれば、交付税率の引き上げという必要はないわけでございます。私どもといたしましては、この問題について、先ほど来申し上げておりますように、必要額を、節約、地方税の増収、交付税でまかなうというたてまえで最後まで努力をしてまいるということを申し上げて、お許しをいただきたいと思います。
  214. 植弘親民

    植弘説明員 お答えいたします。  九月の定例議会等におきまして条例案を出すことについては適当でないという考え方をもちまして、通達を出しておるのは御指摘のとおりでございます。  公務員の給与をどのようにきめるかというのはなかなかむずかしい問題でございまして、地方公務員法では、もう釈迦に説法で恐縮でございますけれども、生計費、国、他の地方公共団体、それから地方団体内における民間事業との均衡というものを考えてきめるべきであるというのが示されております。御承知のように、地方団体というのが自主性を持っておりますために、地方公務員法も趣旨としてよるべきものを示しておるわけでございます。その場合に、では地方団体はどのものを中心に考えたらいいのか。やはり同じように公務に従事しております公務員でございますから、国家公務員との均衡をとるというのが最も妥当であろうということで、従来からずっとそういう趣旨で指導もし、運営もされてまいっておるわけでございます。したがいまして、今回におきましても、国におきまして一般職の給与法等の改正措置を講ずる見込みがはっきりするまでは、やはり条例措置というものは差し控えていただきたいというのが趣旨でございます。
  215. 三谷秀治

    三谷委員 なるほど地公法の二十四条には、地方公共団体の職員の給与というものは、「生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」となっておる。いろいろな要素がある。国家公務員の事情も考慮する、民間事業の従業員の給与も考慮する、あるいは他の公共団体の職員の給与も考慮する。国の職員の給与に準ずるとかそれに従うとか、そんなことはいってない。地方団体の自主性が明確になっておる。ですから、今日の人勧というものが、ほぼ完全実施をするという、そういう方針が政府で固まれば、何銭何厘まででなくたって、考慮するわけですから、だから地方としては、地方の人事委員会が地方の実情や地方の沿革やそういうものを十分に考慮した勧告を行なうのが当然である。出ればそれに従って、地方自治体というのは地方自治権に基ついてこれを決定するというのが当然の処置なんです。それは国よりも先では困る。おまけにそれをやると交付税であだ討ちをする。これはまあ行政局長の通達にそういうことばでは出ていない。出ていないが、新聞などの報道というものはそういう報道がなされておるし、確かにそういうふうにとれる要素もこの中に入っている。そこら辺どうですか。
  216. 植弘親民

    植弘説明員 いま申し上げましたように、生計費というのは、一応国の、人事院の民間給与実態調査におきまして出てまいっておりますから入っておりますし、それから国は人事院勧告が出ております。他の地方公共団体は、それぞれが国に準じてやるわけであります。それから民間の実態というのも、県なんかでは人事院の給与実態調査とあわせて調査しておるわけであります。おっしゃるように、地方公務員法の規定は一般的に強行規定ではございませんから、地方自治だという立場から何でもやってもいいのだという立場になりますと、それはおっしゃるとおりかもしれませんが、やはり国なり他の地方公共団体との均衡というものは、国家公務員と同じ立場で考えざるを得ないのだろうと思います。  それから、いま通達の中にありますのは、従来から国家公務員を越える部分については措置されておりませんのを念のために書いただけでございまして、それによって、一部新聞の報道にございましたように、報復だとかいうつもりではございませんで、皆さん地方団体がよく御存じの点を念のために書いたということに御理解をいただきたいと思います。
  217. 三谷秀治

    三谷委員 ごまかしを言うてもだめです。それは新聞が報復処置と理解しただけでなしに、地方団体においても、これをやるとあとどうも交付税が削られるとか、特交が削られるとか、そういう懸念を口にする理事者がおるのですよ。だから、これはあなた方の主観いかんにかかわらず、客観的にはそういう効果をねらったものであって、巧妙なそういう誘導策ということは言えるわけです。  そこで、あなたいまおっしゃいましたけれども、何でもかんでも地方で独自にやってもいいなんということは言っとりやしません。人事院勧告が出ているんだ、政府はこれを完全実施するたてまえなんだ。そうしますとほぼ国の給与改定の実態はつかめる。それに基づいて地方の人事委員会が地方の実情を十分に織り込んだ勧告を出す。それをなぜ、地方自治体が議会に提案をして、民主的な手段を経て、住民の賛同を得て実施をするということがいけないのか。それをなぜ歯どめをかけるような通達をお出しになっておるのか。それがよくないと言っている。
  218. 植弘親民

    植弘説明員 通達にも書いてございますように、理由は大きく分けて二つあるわけでございまして、一つは国との均衡論、それから二つ目には財源見通しの問題でございます。やはり、地方団体が人事委員会からかりに勧告を受けたといたしましても、それに要する財源をどうするかという点を見きわめをつける必要があるわけであります。その点から言いますと、先ほど来御論議のございますように、国においても財源見通しがなかなかむずかしい問題があるということで閣議決定もおくれているようでございますし、それと同じような立場におきまして、地方団体におきましても、財源見通しというものについては簡単にはいまの段階では見通しがつかないのではないだろうか。それこれを考えますと、やはり国家公務員一般職について、そういった措置が講ぜられるというものを見届けた上で、地方公務員についても同じような措置をしていただくことが妥当であり、適当であるというふうな立場でございます。
  219. 三谷秀治

    三谷委員 財源の問題については、あなたは地方団体の理事者なんというものをまるで三歳の童子のようにお考えになっておるのか。財源の問題を地方団体の理事者が考えていない、考える能力がない、そんなふうにお考えですか。そういう頭でおるからこういうばかげた通達を出すのだ。  私はひとつお尋ねをしたいけれども、地方の実情に応じた実態調査をやって、人事院勧告というものを参考にして、地方の人事委員会が民主的な手続をとって、議会の賛同を受けて、そうして地方公共団体の職員の給与が決定をするわけだ。それを自治省が統制をするのですか。住民合意の処置を否定をするのですか。  もう一つは、この人事院にしましても、人事委員会にしましても、これはスト権にかわる第三者機関の裁定なんでしょう。それを自治省が否定するのですか。あなたがお出しになりました通達がここにある。四月二十五日の通達でありますが、これを見ますと、争議行為の防止だとか、争議行為の事後措置だとか、争議行為の鎮圧措置を盛んに強調をしておる。そういうことを強調しますならば、争議権剥奪の代償措置としてできました人事院や人事委員会の勧告というものを同時に絶対尊重すべきである、そういう条項が当然必要ではないですか。そういう片手落ちな通達を出してお秘争議行為は押えるけれども、争議行為を奪ったかわりにできました人事委員会や人事院の勧告については一つも触れておりません。そういう指導の姿勢というものに問題がある。争議行為の鎮圧ということをきびしく自治体に指導されますならば、人事委員会の勧告や人事院の勧告というものは、これは何をおいても実施をするという指導を同時にしなければ、地方公務員労働者というものは、憲法に違反の争議権の剥奪をいま実際にやられておる、その救済措置は全然なくなってしまうじゃないですか。公務員部長たる者がそういう片手落ちな態度で、どうしてあなた、地方公務員の権利を守れますか。一体このあなたの通達なんというものはどういう立場に立っているのか。
  220. 植弘親民

    植弘説明員 四月二十五日のあの通達でございますが、これは冒頭にも書いてございますように、それぞれの地方団体におきましては、理事者といたしまして当該地方団体の人事管理をどのような観点で行なうのかということにつきましては、それぞれの地方団体で方針をきめるであろうと思われます。それで、従来から自治省といたしましてはそれぞれの人事管理においての問題点等を通達、指導してまいりましたが、そういうものを参考としてまとめまして、それぞれの地方団体が人事管理上、たとえば管理者なら管理者の、職員なら職員にどのように通知徹底するかといったようなものをつくる場合の参考ということで出したのでございます。したがって、その中には先生御指摘のように争議行為の問題もございますと同時に、給与の問題もありますし、福利関係、厚生関係、すべての問題点を網羅したつもりでございます。もちろん、読み方によってどこが強いとか弱いといった点は、それは文章の問題としてあるかもしれませんが、気持ちといたしましては、従来から人事管理上問題になるような点を網羅的に参考として出しているということは前文でも触れてございますし、そういうつもりでございます。したがって、いまの給与の関係でも、給与の適正運用なりそういったものをちゃんと書いてございますし、また福利厚生、そういったものまでもすべて網羅しているつもりでございますので、御理解いただきたいと思います。
  221. 三谷秀治

    三谷委員 あなた、そんな子供をだますようなことを言ってはだめだよ。なるほど給与のことも書いている。給与決定の原則だとかあるいは職階制給与の厳守だとか、いろいろなことを一般的には書いてある。そんなことは問題になりますかいな。いまの問題というのは、労働者がスト権を奪われました、その救済機関としてできました人事院や人事委員会の勧告に対してどうするかという問題ですよ。そんなものはのけておいて一般的なことばっかりおっしゃっている。何の役にも立ちはしません、そんなところ。ただここで効果がありますのは、いまの話で労働者の争議を押えるという点が一番の中心になってきている。あなたはそういうことをおやりになっている。なるほど、おっしゃいますように福祉施設の問題や給与の問題もありますね。それはごく一般的なものでしかない。人事院勧告を守れとか人事委員会の民主的な決定を尊重しろとか、そういうことは一つもありはしませんよ。そこのところの姿勢が問題だと言っているのだ。それが今度の行政局長通達、これも実はあなたの管轄のものらしいけれども、この中にもはっきり出ている。地方自治体の独自性やあるいは人事委員会や人事院の機能というものを無視したそういう指導というものをここでおやりになっている、そのことが問題だと言っている。  もう一つお尋ねしますが、これはあなたにあとで答えてもらいますが、いま財政局長がおっしゃいましたが、国の基準を上回って支給している団体には、上回る分については国の財源措置は行なわない、こういうことですね。つまり、地方公共団体の職員の給与にでこぼこがある、あるいは国の職員より上回っている、その分には財源措置は行なわない、調整をする、こういう御趣旨だと思います。それでしたら、国庫支出金を法令どおりに出しているかどうかという問題この問題を抜きにして、その面だけ一方的に主張されますと、これは地方自治体の独自性が全くなくなってしまう。でありますから、地方交付税も適正な単位費用で積算されているのか、国庫支出金も実勢に沿った基準単価で出されておるのか、この点とあわせてその問題は提起されませんと、これは了解しにくい問題です。いま、実情を無視した基準単価で国庫負担金、補助金を積算されておる。そして、実情を無視した単位費用で交付税を計算されておる。そのために膨大な超過負担が出る。そのために地方団体が全然財政的な余裕がない。ことしなど大阪市だけでも三百五十二億の超過負担が出るという計算をしている。ですから、地方の独自財源としましては税収の二五%というものが見込まれて留保されておる。そういうたてまえになっている。この留保財源が実際役に立ちますならば、あなたがおっしゃいますように、超過した分はこれでまかなっていくということも可能なわけなんです。ところが実際におきましては、超過負担や交付税の不足分に留保財源は全部消えてしまう。そういうところはおまへんがな。短期融資のころがしでその日を送るという状態が一般化してきている。その問題を解決せずに、給与の面だけで国の基準以上は認めない、こういうことをおっしゃいますと、一体いま地方自治体はどうするのです。今日まで労働者との間で積み重ねました既得権、実際の実態から見ましても、一体どう解決すればいいわけですか。
  222. 松浦功

    ○松浦説明員 超過負担の問題につきましては、現在実態調査をいたしております。その結果を待ちまして、明年度の予算編成にあたりまして実情に合うような単価にすることはもちろん、年度内においても単価補正をしていただくように、各省を通じて大蔵省に鋭意折衝してまいりたい、このように考えております。ただ、給与の問題は理論的にはそれとは直接結びつく問題ではございませんし、これまでもずっと国家公務員並みでしか措置してこなかったわけでございます。この方針を変えるという気持ちは持っておりません。
  223. 三谷秀治

    三谷委員 理論的にはとおっしゃいますけれども、実際の自治体の実情という問題なんです。理論的にいいましたら、あなた方のおやりになっていることは一つも理論に合いやしませんがな。それは交付税の計算を見たってそうですし、国庫支出金の計算を見たってそうなんです。どこに一体理論があるのですか。全然実情に合わないことをおやりになっている。そのために地方自治体が非常な困難に当面している。これは疑いのない事実なんです。超過負担の調査をして解消するとおっしゃいますけれども、超過負担の解消の特別調査というのは今回まで二へんおやりになっている。四十五年−四十六年、四十七年−四十八年におやりになっている。調査はされましたけれども、超過負担の解消をしたことは一ぺんもありゃしませんがな。ますます超過負担が増加する、こういう傾向になってきている。それからまた交付税もそうでありますけれども、交付税率の改定をしなければだめだということは、地方自治体の実態を見たらみなわかるのです。過疎地に行きましても過密地域に行きましても、交付税の計算というものが実にでたらめなんです。実情に合わない。口をそろえて市町村の理事者が訴えてきている。事情を聞いていきますと、私どもがよくわからないごまかしがちゃんとそこでなされている。  いま時間がありませんからそれはお尋ねできませんけれども、そういうことを考えてみます場合に、地方自治体のほんとうの自主権というものを尊重して、給与も自治体が独自にきめたものについては財源措置はしないのだという態度をおとりになりますならば、地方自治体に保障されております留保財源などは完全に保障ができるように措置をとるのが当然です。留保財源をなくしておいて、そうして自治体で独自できめた給与については国は知らない、これじゃあまりに片手落ち過ぎますよ。御見解をお尋ねいたします。
  224. 松浦功

    ○松浦説明員 私どもの給与の問題につきましては、先ほど公務員部長からお話を申し上げましたように、国家公務員に準じていただきたいという基本原則で御指導申し上げております。したがって、給与が国家公務員水準に比べて著しく高いという団体がございますれば、それだけの財源を独自財源で食っていくという形になっているはずでございますから、財政は苦しくなるはずでござい・ます。その面については、私どもは国家公務員並みにしてほしいという念願で御指導申し上げておるのでございますから、それ以上越えた分を財源措置をするという考え方はないわけでございます。ただ、ただいま逆に御指摘をいただきましたように、国の責任において果たすべき超過負担の解消、このことについては当省に全権があるわけでございませんので、この場ですぐ全部どうこうするということを申し上げかねますけれども、自治省といたしましては、各省を通じてこれの完全解消ということに向かって努力をしていくということだけははっきり申し上げざるを得ないのではないか、私どもさように存じております。
  225. 三谷秀治

    三谷委員 いまの問題は超過負担に飛躍されちゃだめですよ。留保財源の問題を言っている。留保財源がなくなるのは超過負担が出るからなくなるわけですけれども、留保財源を保障するという措置が確立されれば、多少のでこぼこがありましても、それは地方で独自に解決ができるという性質のものです。ところがいまの実態というものは、留保財源、これが全然残ってこないという財政運営がなされておる。そこに問題があるのでしょうと言ったのです。時間がありませんから、それはあとでまたおっしゃってください。  もう一つは自主財源です。これをもう少し強化しないとだめです。自主財源が足りない。だから本来言いますと、地方の財源なんというものは、もう少し自主的な要素を残すものをふやしていくということはどうしても必要なんです。それができれば、国のほうでえろうちょっかいかわぬでも、地方でそろばん勘定をはじいて、どの程度までとかなんとかいうことができるわけです。ところが自主財源が非常に乏しい。その上にいま申しました国庫補助に伴う不足額などがありまして、非常に地方の財政が行き詰まってしまっている。この自主財源を強化する措置をどのようにお考えになっておるのか、これをお尋ねしたいと思う。
  226. 松浦功

    ○松浦説明員 自治省として、かねがね自主財源の増強ということについては、毎年、省の重点施策に掲げて努力してきておるところでございます。来年度一体どういう形になるか、税収入その他の見通しも現在さだかでございませんけれども、事務所事業所税の新設あるいは電気ガス税の非課税措置の検討というふうなことを通じてできる限り税源の増強をする。同時に、地方交付税も独自財源の部類であろうかと思いますので、財政計画上必要なものはぜひこれを確保するという態度でこれに臨んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  227. 三谷秀治

    三谷委員 公務員部長に聞きますけれども、いまの答弁を聞きますと、今度新しく出されました通達で議案の提出時期等についていろいろおっしゃっている。これについては、いまの財政局長の答弁によりますと、従来から国家公務員の給与をこす地方公務員の給与については財政措置はとっていない、こうおっしゃっている。そうしますと、ここにあります「当該上回る部分については国による財源措置は一切行われないものであることに留意し」ということばが新しく問題提起されておりますが、これは一体どういうことなんですか。
  228. 植弘親民

    植弘説明員 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、従来からその考え方は変わっているわけではありませんが、再々申し上げておりますように、本年度は従来にない大幅なものでございますから、もし国家公務員を上回る給与改定を行なうといたしますと、そういった面の持ち出しというものも相当大きくなります、したがって、それは住民サービスにも影響がありますといったようなことを、この際でございますので念を押したということでございます。
  229. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、この通達は格別な意味はないのですか。要するにこれは「議案の提出等の措置も、国に準じた時期に行うべきものである」、つまりこれは十一月に行なえということですか。それからもう一つは、財源の見通しを待ってやれ、こうおっしゃっているわけなんですね。こんなことは言うまでもないことでありまして一財源の見通し全然なしでやるわけありませんけれども、そういうことをおっしゃっているわけです。これ自体は、話を聞いてみますと、えらいこういう通達を出すほどのメリットもないようなことでありますけれども、ことさらこれをお出しになった意義は何なんですか。
  230. 植弘親民

    植弘説明員 地方団体におきましては、従来から国の例によって改定をやっているわけでありますが、通達を出しましたのは、先ほど小川委員にもお答えいたしましたが、人事院勧告が出た際と閣議決定された際と、大体二度従来出しております。ところが、ことしはいろいろな検討課題が多いということで、閣議決定も行なわれておりますし、たまたま九月議会も近づいてきた。それぞれの地方団体ではどうすべきかというところをいろいろと電話等で照会もございます。したがって自治省としては、従来の方針に従い、国に準じ措置すべきであるから、九月議会に提案することは適当じゃないという考え方を示したというものでございます。
  231. 三谷秀治

    三谷委員 質問をもとに戻しますが、人事院勧告というものを迅速に実施するということは、スト権を剥奪されました公務員に対する義務として当然やるべき措置なんです。ですから地方の人事委員会が、この人事院勧告というものを基礎にして、地方の実情を加味した勧告を出しましたならば、当然これは議会に提案すべきものである。国のほうがそれをきめなければできないとおっしゃるならば、九月の議会に間に合うように国としての措置を決定的におきめになるということが必要なわけです。つまり、あなた方の引き延ばしに同調せいというのじゃなしに、迅速にやるほうに同調するのが人事院制度のたてまえからして当然のことなんです。そういう点からしますと、こういうむだな通達を出すのでなしに、人事院勧告があれば、これはすみやかに実施をして公務員の権利を守るべきである、そういう通達をこそあなたは出すべきじゃありませんか。それを出してください。  もう一つは財源問題でありますけれども、財源問題につきましては、いまおっしゃいましたように、国家公務員の給与を越える分については国が措置していないだけでありますならば、これは別に国が関与する必要はないので、とやかく言う必要はない。地方自治体がみずからの責任でみずからの負担を背負っていくわけであります。あるいはみずからの責任をそこで果たしていくわけでありますから、とやかく言う必要はない。ことさらこういうことをなさいますから、何かきびしい統制や干渉を加えてきたというように地方自治体はとっている。またとりますのは、これは特別交付税なんかに実際は関係するのだ、報復されると言っている。そういうことは全然ないですか。この通達を守らなくても報復措置はありませんか。
  232. 松浦功

    ○松浦説明員 先般の委員会でもいろいろお話ございましたように、プラスアルファの問題を別にいたしまして、これを早くやったから特交で引くtいっても、数字的にも引きようがない問題だ。ただ私どもは、通達を出しました以上、自治省の意向に従ってくれないということについて、必ずしも満足を持たないかもしれませんけれども、かといって、報復措置がこの問題についてとれるものだとは思っておりません。ただ問題は、財源措置が非常に不明確であるということについて、三谷先生さっきおっしゃられましたように、地方団体の理事者はみんな知っておると申しましたけれども、これは全然そうでないと思うのです。交付税がどれだけ来るかということは、単位費用の原案ができませんと計算できないのでございます。それから税収入がどれだけ伸びるかということも、これは法人系統の税金だけ精算しますから、いまの地方公共団体にわかるはずがないわけです。そういう形でやってしまって、金が足りなくなりました、何とかしてくださいと言ってこられても、いま申し上げているように、国家公務員どおりに必要とする額しか措置をしないというたてまえ上、私のほうはいかにもできません。だから、もう少し税収入の状況なりあるいは交付税のきまりぐあいなりを見てやっていただいたほうが間違いない運営ができるだろうということは、財政当局として切実に感じているところでございます。それだけつけ加えさせていただきます。
  233. 三谷秀治

    三谷委員 時間が来ましたからこれで終わりますが、公務員部長の返事を聞かないと……。
  234. 植弘親民

    植弘説明員 人事院なり人事委員会というのが代償措置としての機能を果たしているということは、先生の御指摘のとおりであります。したがって、人事院なり人事委員会の給与に対する勧告なり報告なりというものを当局が尊重すべきこともまた私も疑いを持っておりません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、地方公務員の給与改定というものが、国との関係において当然規制されるといいますか、考えなければならない点が多いという点では、国家公務員の措置を待って、地方公務員の措置をしていただきたいということを地方団体に強く期待しているのであります。
  235. 伊能繁次郎

  236. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はまず週休二日制の実施についてお尋ねしたいと思います。これはいろいろと給与の関係もございますが、週休二日制の実施についての人事院の考えはどうであるのか。このたび勧告の中では「なお検討を要する」とありますが、具体的にはどのように一体検討なされるのか、この点についてお尋ねします。
  237. 中村博

    中村(博)説明員 昨年の報告におきまして、何らかの形の週休二日制の導入、それから当面五十年実施を目途としての具体化の検討ということが報告されたわけでございます。それに基づきまして、過去一年、各省とも緊密な連絡をとりまして、相互に非常に真摯な態度で検討を進めてまいったわけでございます。その結果、現段階においては、まだ十全な検討を要しなければ公務サービスに何ら欠落するところなく週休二日制を実施することについてなお問題のある分野がある、こういう状況に相なっておるのでございます。
  238. 小川新一郎

    小川(新)委員 要するに、国家公務員たると地方公務員たるとを問わず、公務員の姿勢の中から、民間に先がけてそういうことをするよりも、やはり先憂後楽の立場からやるという考え方が支配しているのか。それとも、労働者としての、勤労者としての立場に立って、週休二日制が現代の日本の経済社会の中に定着しつつあることを踏まえた上で、当然これは実施するということでございますけれども、昨年の勧告では昭和五十年とあったのですが、ことしの勧告ではそれが明示されてない。こういうことは後退したという考えなのか、それとも具体的には一体どうなされるのか、その点もう一回明確にお答えしていただきたいと思います。
  239. 中村博

    中村(博)説明員 本年の報告の態度は、これは先生も御承知のように、昨年の報告において本院の考え方を明らかにしたということを大前提といたしておるわけでございます。しかも今年は初めて、民間の動向にかんがみまして、週休二日制の形態として、時間短縮を伴う月二回制ということも明確に差し示したわけでございます。したがいまして、このような観点から、先ほども申し上げ・ましたような検討に引き続いて、ほんとうに実施の時期が近いということを前提といたしまして、いやしくも公務サービスに欠けることがないように、その点をさらに真摯に検討して条件成熟を待って実施していただきたいという考え方でございます。したがいまして、いま先生のおっしゃった基本的な考え方としましては、先憂後楽とかそういうことは考えておりません。御指摘のように確かに民間も非常に伸張速度は早うございます。公務員の勤務条件の面から考えれば、これはやはりどうしてもなるべく早期に取り入れなければならない。しかし、一方私どもの気持ちとしましては、いやしくもこれを取り入れましたがために、公務員の勤務条件の改善向上は必須でありますけれども、しかし公務サービスを欠くことは、現代の情勢においては許されることではない、その両々二つの要請が相まった時点において断固として実施すべきであろう、こういう考え方でございます。
  240. 小川新一郎

    小川(新)委員 まあ早急に実施するものはしなければならないと思うのですが、いろいろと理屈がついちゃって、聞いているほうは何だかはっきりしないわけです。その点をまずはっきりさしていただかなければならぬということで御質問をいたしました。  勧告に際しましては、本年度から総合較差方式を変更して行政職のみでの比較をしたのは一体なぜなのか、いままでの総合較差方式とこのたびの新方式との較差というものは一体どのようになっているのか、またこれは調査したのかどうか、この点についてお聞きしておきます。
  241. 茨木広

    ○茨木説明員 昨年度の報告の際に、官民比較の問題について若干の変更を検討する必要があるということを御指摘をしておったわけでございますが、その結果、今年の勧告の時期までの間にいろいろ院内において検討しました結果、比較方式を変更したわけでございます。その際もちょっと触れておったと思いますが、先般、教員と看護婦につきまして、普通の官民比較に基づかない特別の給与改善をやりましたことば御案内のとおりでございます。従来これらも比較方式の中に入れておったわけでございますが、これらの職種は、従来の較差から見ますと、やや低いほうに較差が出る職種でございますので、したがって、他の高く出ます較差を引き下げる作用をしておったというきらいがございます。それらの職種についてさらに特別改善を加えました結果、ますますそういう結果が出ていくわけでございます。そこで、やはりそれらの職種のものはこの較差比較の外に出さないと、他の職種にたいへん迷惑を及ぼすというような結果が出てまいりましたので、それらを出すということを決心をしたわけでございます。  そういたしますと、従来比較いたしております十職種の中で、民間と公務員と両方比較してみますと、公務員の中では、今回とりました行政職(一)と行政職(二)が七五%の構成比を占めております。その他のものが二五%でございますが、その中で、いま較差外に出さなければいかぬと申し上げました教育(一)俸給表関係が一〇%、教育職俸給表(二)関係が〇・三%、それから看護婦関係の医療職俸給表(三)関係が八・一%というような大量のものになってまいりました。あと残った〇・二とか一・一とかというような少量のものがその他の職種になります。そこで、この教員と看護婦とを除くということになりますと、むしろやはり大宗を占めます行政職俸給表(一)と(二)、その二つでもって比較をすることが妥当であろうというふうに公務員側としては判断された。これに対応いたします民間側におきましても、従来の比較方式にとっておりました職種の中でいきますと、やはり事務、技術、技能、労務、この四種でございますが、この系統が九二・六%という構成比を占めております。したがって、そちらのほうでも大半のものがその職種でございますので、この両者でもって比較をすることが妥当であろう、こういうように判断されたわけでございます。それで今回そういうような方式をとったわけでございます。  そこで、あと従来の比較方式と今回の結果はどうなるのか、こういうようなことでございますが、今回は御案内のように一〇%の勧告を別途やってございますから、それをいたしましたものをもとに、いまの二職種でもって比較をして報告の中に申し上げたわけでございますが、その他のものについては、たいへん急いで勧告を申し上げました結果、それらの職種のものについて、十職種について正式に算定をするというまでに至らなかったわけでございます。ただ昨年度の傾向から申し上げますと、昨年度では、この十職種で比較いたします場合と二職種で比較します場合では、二職種で比較します場合が二・七%程度高い率が出てまいる結果になっております。
  242. 小川新一郎

    小川(新)委員 よく説明を聞きまして、なるほどと思う点もありますが、その算定を早くして、いまの残ったものをしていただくと同時に、そういう問題と、もう一つあることは、初任給のアップという点に今回重点を置いたというのでございますけれども、公共企業体の職員の初任給と国家公務員の初任給というのは較差があるのかないのか。一体それはどういう実態になっておりますか。
  243. 茨木広

    ○茨木説明員 公共企業体の職員と公務員の場合の初任給とでは、それぞれ取り扱い方が異なります関係上であろうと思いますが、違いがございます。先ほどの答弁でもお答え申し上げましたわけでございますが、こちらのほうで申し上げますと、大卒の上級甲では、東京の場合で例をとりますと七万九千六百二十四円、それから高校卒の初級でございますと六万三千九百三十六円というのがこちらのほうの初任給でございます。これと比較いたしますと、三公社五現業それぞれございますので、正確なことはわかりませんけれども、高校卒の場合でいいますと、たとえば郵政の場合でございますと、これは一般だと思いますが、七万五千百六十八円とか、国鉄の場合が七万四千百九十六円とかというような数値が私のほうの入手しました資料として持っております。それから大学卒のほうでございますと、国鉄の上級甲で九万二百八十八円、郵政甲が八万六千百八十四円、こういうような数値になるようでございます。この辺のところは、それぞれ決定方式の相違等からくるものであろうというふうに考えております。
  244. 小川新一郎

    小川(新)委員 ここで、三公社五現業、公共企業体の職員のほうが初任給がいいからどうのこうのということを私が言うわけにいかないし、国家公務員のほうが、大学卒で七万九千六百二十四円、高卒で六万三千九百三十六円、約二万円からの開きが出てきた、こういうことに対して不平不満、文句を言っているわけじゃないけれども、こういうふうに実態が差がついてきているということをまず御留意をいただきたいということであります。  そこで私は、この給与関係閣僚会議の件で自治大臣に一言申し上げたいのでございますが、八月二十七日の給与関係閣僚会議では、人事院が七月二十六日に出した公務員給与改善に関する勧告の取り扱いについて協議しておりますが、完全実施することは留保したようでありますことはもう御案内のとおりでありますが、昨年より二週間も早く勧告を出したにもかかわらず、このように閣議決定がおくれた理由は一体何なんですか。これをちょっと田中内閣の閣僚としてお尋ねしたいのです。
  245. 町村金五

    ○町村国務大臣 これは先ほどもお答えを申し上げたわけでございますが、御承知のように、本年の人事院勧告はいまだかってない大幅な引き上げの勧告でございます。したがって、国家公務員、さらに地方公務員を通じまして、その財源にはかなりの膨大な財源を必要とするわけでございましょう。しかも今日のわが国の経済情勢というものは、これは大蔵大臣の説明をかりに受け売りをしたようなことで申し上げてみまするならば、確かに本年度の国税収入の上で所得税の増収は相当に期待できるような状況に見受けられるけれども、法人税については必ずしも楽観のできないような状況にもある。まあそういった諸般の情勢というものをなお検討をしていかなければならないので、そこで本日のところ、この閣僚の協議会において決定をしていただくということは、しばらくひとつ御猶予を願わなければならぬ、こういう御説明でございました。したがって、私どもといたしましては、それを了承せざるを得なかった、まあこういう次第であります。
  246. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は先ほどの質問を聞いておりませんので、この問題がダブつたようでございますけれども、これは何度聞いても確かに大きな問題で、規模が大き過ぎるからおくれたという理由では、私どもとしてはあまり納得できないのであります。特に給与改定法案というものはいつ出すかということが問題になってきておりますが、この秋の十一月の臨時国会にこの給与改定法案をお出しになるお考えでございますか。
  247. 町村金五

    ○町村国務大臣 もちろんこの勧告によります給与の改定を行ないますのには、給与法を国会に提出し、成立を見なければならぬということは申し上げるまでもございません。私どもは、臨時国会の冒頭においてこれは当然出していただかなければならないものだと、かように考えておるわけでございますが、私の口から、実は臨時国会がいっになるかということをはっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、諸般の情勢から判断いたしまして、どうも十一月になるのではないかというふうに私は判断をいたしておりまするので、その点は大体私の観測だけを先ほどお答え申し上げたところでございます。すなわち、十一月の初旬ごろになるのではないだろうかというふうに申し上げたわけであります。
  248. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、これはいろいろと政治スケジュールの問題ですから、大臣にここでそのスケジュールを確実に教えろということを要請しているのではなくて、大体、田中さんの外国に行かれることやらいろいろなことを勘案して、十一月初旬ということで間に合うということに了解してよろしいのですか。
  249. 町村金五

    ○町村国務大臣 これはまだ政府として確定的にきめておるわけのことではございませんから、確たることにはもとよりなりませんけれども、私どもの大体の見当としては、そういうことになるのではなかろうか、こういま判断しておるところであります。
  250. 小川新一郎

    小川(新)委員 公労委ではすでにこの四月にさかのぼって実施しておりますけれども、スト権が認められておらない国家公務員の勧告実施が秋の臨時国会以降にずれ込むということは、まあ考えてみれば無利子の強制貯蓄をしているようなもので、まことに不合理であると思います。そこで、八月二十八日に自治省は、地方公務員の給与改定議案を国に先行して九月定例議会に提出することは厳に差し控えられたいとの林行政局長の名の通達を各地方自治体に出しておりますが、それは事実ですか。
  251. 植弘親民

    植弘説明員 そのとおりでございます。
  252. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは例年になく強い通達であって、国が地方議会の議案の上程権にまで介入しているという声さえも出てくるんじゃないかと私は思うのですけれども、林さんはそんな強い考えはないとお思いの上で出されたのか、それとも何のためにこれを出されたのか。
  253. 植弘親民

    植弘説明員 地方公務員の給与改定が国家公務員に準じてやるべきであるという基本的な考え方は、地方公務員法二十四条三項の規定の趣旨をそのように理解し、従来から指導し、また地方団体もそういうふうに運営してきたのが通例でございます。したがいまして、今年におきましても、従来と同じような趣旨で通達を出しておるわけでございますが、たまたま今回の場合は従来例のない大幅な改定でございますし、地方団体が九月議会にかけるかどうかだいぶ迷っているようなところもございますので、それについては、自治省としてはこう考えるんだということを示したことでございます。
  254. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは確かに大幅の改定で、いろいろな諸般の情勢の上からおくれたということは理解できますけれども、これはさきの臨時国会でも、私たちが早く出せ出せということを言っておりますね。それがおくれたからといって、地方が今度やろうとすれば、国に準じてやっていかなければいかぬのだといって新たな通達をお出しになって迷っていらっしゃるところの地方議会の議案提案権まで束縛するようなことは、地方自治の本旨にさからうような気がしてならない。憲法第九十二条の地方自治の本旨という問題は、そういう問題にさえ中央集権の姿を排除するということで、悪法で規定されているように私は考えておりました。あなたがさらさらさらっとお答えになっておるから、私もさらさらさらっとこう質問しているんだけれども、これは重大な問題だと思うので、こういう席で申し上げてはまことに申しわけないと思うけれども、この問題については自治大臣、私の考えが間違っておるのでしょうかね。どうですか。
  255. 町村金五

    ○町村国務大臣 自治省といたしましては、地方自治団体の自主権というものをできるだけ尊重をしなければならぬというたてまえで行政を行なっておることは、あらためて申し上げるまでもないわけでございます。このたび行政局長名をもちまして、給与の改定に関する若干の通達を出したのでございますが、これは、先ほど来だんだんお話があったわけでございますが、御承知のように地方自治体といたしましては、すでに人事院の勧告が行なわれて、それから国のほうの給与法の改正が国会に提案をされるというのが若干おくれるというような状況にありまするので地方自治体といたしては、あるいはこの際、九月の地方公共団体の議会にそういったことの提案をしてみたらどうかというような考え方が一部にあるようでございまして、したがって、そういったことについての問い合わせ等のこともあったそうでございます。  自治省といたしましてはそういった気持ちは十分わかるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりまするように、地方自治体といたしましてもたいへんばく大な財源措置をしなければならない、国の財源措置を待たないではとうていこれは実行に移すことができないような状況にあるであろう、そういう判断のもとにこういった通達を出した、決して自治権を侵害をしようというような意図でないことは御了解をいただきたいわけであります。
  256. 小川新一郎

    小川(新)委員 まあ了解したくないけれども、了解せざるを得ないあなたのことばですから、それが本旨をそこなうということのないというその大臣の心底というものが、行政の面にあらわれることを期待したいです。  そこで私は、あしたから上がってまいりますガス、秋の公共料金の値上げのトップを切ってガスが上がるんですが、九月三日から実施するんですが、これによりますと、一般家庭では一体どのくらいの金額的には値上がりになるんですか。
  257. 首藤堯

    ○首藤説明員 お尋ねのガス料金の値上げ問題でございますが、今回、東京瓦斯が値上げを申請をいたしましたものに対して許可になります見込みの率は、御案内のように約四七%と、こういうように承っておるわけであります。そのほか、東邦瓦斯等もすでに四六%程度の値上げをいたしておりますが、さらに大阪瓦斯がどの程度のものになりますのか、現在のところちょっとまだ見通しが立ちません。いずれにいたしましても、四十数%という値上げ率になってまいりますと、現在の平均家庭の金額がどの程度を想定するかということにもよりましょうが、大体三千円程度のガス代を払っておるとすれば、いま申し上げました率程度のものがかかって増加になる、このような状況ではなかろうかと思います。
  258. 小川新一郎

    小川(新)委員 大体一般標準家庭で二千八百四十七円ぐらいと私のほうでは見ているのでございますが、それによりますと、ただいまの率をかけますと、一千三百三十六円ふえて四千百八十三円ぐらいになるということでございます。これは家庭に対する直撃というものは非常に大きいわけでございます。  そこで、この値上げをきめた八月二十三日の閣僚会議で、一部の閣僚から電気税、ガス税は政令で定めるようにできないかとの発言があったということが載っておりますが、町村自治大臣は、この点もあわせて検討したい、これは、ガス税を引き下げるということの意味なんでございましょうか、これはどういうことをその点もということで御検討ということなんでしょうか。
  259. 町村金五

    ○町村国務大臣 先般の閣議でどなたからか、はっきり記憶はいたしておりませんけれども、某閣僚から、今度ガスの料金が相当に大幅に上がることになる。したがって、現在のガス税の税率をもってするならば、かなりの高い税負担をしなければならないということになるわけだ。そこで、電気税についてもかつて自治省としては免税点の引き上げあるいは税率の引き下げを行なうことによって、できるだけ電気料金の引き上げによる税負担がふえないようにしようということを言っておられたが、おそらくガス税についても同様のことが行なわれるんであろう。だとするならば、そういうことを政令でやることができないか、こういったような趣旨の御発言でございました。私はあまり税のことは詳しくございませんので、検討はいたしてみようということを申し上げましたが、御承知のように税率は法律事項に相なっておりまするので、政令ではうまくいかないのではないかということを当時簡単に申し上げた記憶がございます。  そういったような事情でございますので、これもあらためて申し上げるまでもございませんけれども、自治省といたしましては、電気税並びにガス税につきましては、少なくとも今度の値上げ分に相当する税負担の増徴ということだけはぜひ避けなければならない。近く行なわれまする臨時国会にはこういった法の改正案は出さなければならない、こう考えておるところであります。
  260. 小川新一郎

    小川(新)委員 お話のように、地方税を政令で改正するという例はないし、できないわけでございます。当然これは法律で改正しなければなりませんので、来国会にこむを出していただけるということをいま承りまして、私も安心したわけでございますが、生活保護世帯に対して来年三月まで現行料金を据え置くことといっておりますが、これを長期にもう少し延長するお考えはないんですか。
  261. 首藤堯

    ○首藤説明員 値上げに伴います生活保護世帯等の零細家庭におきます負担の増を防止します方法として、政府としてもいろいろなことを考えておるようでございまして、将来は生活保護費の単価等の引き上げといったような措置もございましょうし、本年度の場合はそういったものが間に合いませんので、ことしはそこは引き上げない、こういう措置をとっているのだろうと理解をしておるわけでございます。この点は通産省及び厚生省の実は所管でございますので、その程度の筋のことかなというような理解をいたしておるわけでございます。
  262. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは、私はその底にこういう考え方を持っているわけです。今日のようにインフレが激化して、インフレ対策が満足に行なわれない、こういうような状態の中で公共料金が値上げしてくるような場合には福祉料金体系、これは漸増料金体系を確立するための思い切った措置というものが必要じゃないかと思います。つまり、たとえば一例をあげますと、一般家庭が使用する電気、ガス、水道の平均使用量以下の料金は低価格にこれを固定して、電気税、ガス税は撤廃する。これによって生じた欠損分は、企業に対する非課税措置、優遇措置をやめさせたり、また漸増料金や国庫補助によってまかなったらどうなのか、こういう福祉料金体系というものを立てていくべきであろう。またその考えの中から生活保護世帯を優遇してあげよう。優遇してあげよう。優遇というのじゃなくて、当然これは守ってあげよう、こういう考え方が定着したと思います。こういった福祉料金体系というものを考え直すべきときであるという中から、電気ガス税の撤廃ということ、その欠損分は、いま申し上げたような財源措置、穴埋めによってこれを埋めていくというような考えはこの辺で自治省としてもお持ちになったらよかろう、こう思っておりますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  263. 首藤堯

    ○首藤説明員 電気税及びガス税に対しますただいまの御指摘の点でございます。第一に平均使用量以下のものにつきましての料金を低廉に据え置き、かつまた税負担も少なくしていく、こういった考え方は私どもも非常にごもっともなお説だと考えておるわけでございまして、今回の措置にいたしましても、たとえば電気料金においては、すでに百二十キロワットアワーまではいわゆる福祉料金体系ということに相なったわけでございますが、私どもただいまいろいろ立案をいたしております電気税の免税点、これは二千円程度に設定をいたしますならば、大体月間百四十キロワットアワー程度、つまり全国平均使用量程度になりますが、この程度までのところは免税点以下で電ガスがかからない、こういうことになろうかと思っております。  またガスにつきましては、現在二千七百円の免税点でございますが、これで約六〇%程度の免税点以下の世帯の率を持っておりますので、やはり六〇%程度のものは免税になる。こういったような免税点を設定いたしますならば、御指摘をいただきましたような事態が満足できるのではないか、こう考えている次第でございます。  なおまた、一般的な電灯料金等における電気税、それからガスの税金、これを全部廃止してしまって、その分を産業用の分でという、こういう御指摘もございましたわけでございますが、この点は先生も御案内のように、ただいま徴収をいたしております電気税、ガス税が一種の所得の格差を反映いたしますメルクマールとして所得の外形標準的な意味も実は持っておる、こういった性格もございますし、また市町村にとりましては非常に普遍的な、貴重な財源でございまして、特に電灯に対します電気税等はますますその性格が強うございますので、こういった点は、地方財政内容そのものから考えても慎重に考えなければならぬ問題だ、こう考えておる次第でございます。
  264. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはひとつ慎重に、というよりもスピードをもって、料金体系を福祉体系に変えてもらいたいのです。これは大臣もひとつ御検討をお願いしたいと思うのです。  そこで、これは大蔵省にお尋ねいたします。  公共事業費の繰り越しについて一言お聞きしておきますが、大蔵省が五月十七日に発表したところによりますと、四十八年度予算の公共事業関係費の四十九年度への繰り越し額は、総額で一兆二千六百億、これは四十七年度の繰り越し額の六千百三十五億円の約二倍に当たっております。公共料金の値上げラッシュなどで諸物価の高騰がますます進んでおる今日、総需要抑制が続いておる今日、また昭和四十八年度分の事業の繰り越し分及び四十九年度の公共事業はどのように進捗していく見通しなんでありますか。また自治省は、昭和五十年度の予算を組むにあたりましてのこれらの見通しの中に立って、来年もこれを堅持していくのかどうか、いまの姿勢を貫いていくのかどうか。この公共事業の問題については繰り越し、繰り延べ、いろいろと問題が出てまいりますが、これらを合算した上で、地方公共団体がいまかかえておる公共事業に取り組む姿勢、これなどをお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  265. 名本公洲

    ○名本説明員 お答え申し上げます。  公共事業の繰り延べにつきましては、先生おっしゃいましたように、昨年度から本年度に引き続きまして、総需要抑制策という線に沿いまして行なわれておるわけでございますが、本年度は第一・四半期におきまして、前年度の予算減額に対する契約率に対しまして二%落としたところで、契約率の目標を定めまして各省にお願いしたところでございます。第二・四半期におきましては、上半期全体をまとめましたところで、前年度に対しまして〇・八%ダウンしたところ、前年度が五四・七%でございまして、これを五三・九%のところで押えるようにということで各省に御協力をいただいてまいったわけでございます。  大体このようなことで公共事業、上半期は推移してきたわけでございますけれども、下半期におきましても、上半期と同様にさらに総需要の抑制政策を続けていく必要があるという判断に基づきまして、先週、契約率の抑制、それから執行の抑制ということにつきまして閣議で御決定をいただきました。昨年と同様に進めてまいるという考え方でおります。  第三・四半期におきましては、契約の抑制措置につきましては、昨年度が七八・四%まで契約が進んでおります。本年度はいまのところさらに各省と折衝して、どの程度でおさめるかということを検討いたしておりますけれども現在のところ、私どもとして目標にいたしておりますところは、大体七七%以下ぐらいのところでおさめたい、かように考えておるところでございます。
  266. 松浦功

    ○松浦説明員 公共事業の抑制の問題については、これは当然地方財政計画の中へ組み入れられている問題でございます。内閣として御決定になられた線を地方公共団体にも実行していただくようにお願いをしてまいりたい。  なお、これに関連をいたしまして、昨年もこの問題があったわけでございますが、単独事業等につきましても、公共事業に準じて、総需要抑制という形の中で御協力を願いたいということをお願いをいたすつもりでおります。  明年度以降の問題については、ちょっと経済の情勢がわかりませんが、現在の段階では、私どもの見たところでもある程度事業の抑制はやむを得なかろうという観点で、財政の運営を取り扱っているというところでございます。
  267. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこでお尋ねしたいことは、四十八年度事業の繰り越し分について、四十九年度分に生ずる新たな物価上昇分については、これは単価の引き上げを行なうべきであると思います。当然だと思うのですが、この点については建設業界等においてはスライド制の実施、特に地方公共団体がその分についてスライド制を実施してくださらない。これに対して留保した財源の中から出し得ないんだということをいっておりますけれども、これは非常に、県内の中小企業、零細企業の土木建設業者が頭をかかえておる問題であります。特に四十八年度の事業の繰り越し分については、四十九年度分に生ずる新たな物価のスライドについては、当然単価改正等を行なってもらわなければやっていけない、ひとつこの問題についての御指導をお願いしたいのです。
  268. 松浦功

    ○松浦説明員 公共事業等については単価が国できめられておりますので、国のほうが改めないと直らないという問題があろうかと思います。単独事業につきましてはそれぞれ地方公共団体がきめておるので、現実に合う形で運用されておることと思います。そういう意味では、私どもといたしましては、先ほども三谷先生にお答え申し上げましたように、単価が実情に合わないということについては、やはり国の責任であろうと思いますので、各省を通じて鋭意単価改定について現在努力をしておるところでございます。
  269. 小川新一郎

    小川(新)委員 四十八年度の繰り越し分については補正で単価改正の差益分を出していただけますか。
  270. 松浦功

    ○松浦説明員 国庫補助単価の問題にも関連すると思いますので、名本主計官が答えてくださるそうでございますから、ひとつお許しを。
  271. 名本公洲

    ○名本説明員 四十八年度から繰り越してまいりました補助事業の補助単価、これはせんだってもこの委員会お答えしたことがあると思いますけれども、四十八年度に御承知のように三回も単価の引き上げをやっておるわけでございます。したがいまして、四十八年度補助決定未済のまま繰り越しましたものにつきましては、単価といたしましては一番最後のもの、昨年の一月改定のものが残っておるわけでございますけれども、四十九年度に補助決定未済のまま繰り越しましたものにつきましては、四十九年度単価でもって補助決定をいたすというたてまえで私どもとしては考えてやっております。
  272. 小川新一郎

    小川(新)委員 ぜひそうしていただかないと、これはたいへんなことになります。  そこで、八月の三十日に、大平大蔵大臣が閣議で、四十九年度公共事業関係予算の執行を五十年度へ八%繰り延べることなどの財政抑制措置を報告、これは了承を得ておりますが、これは総需要抑制政策を今年度一ぱい続けるということでありますが、地方財政についても同様の措置をとることも、これは町村さん了承されたのですか。
  273. 町村金五

    ○町村国務大臣 地方財政についても同様のことを了承したわけでございます。
  274. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは国と同一歩調をとるわけでございますけれども、これを実施することによって地方財政にどのような影響——これはいろいろな影響が出てくると思いますが、どのようにお考えになられますか。
  275. 松浦功

    ○松浦説明員 机上の数字で繰り越べ額がどの程度になるかということは私どもは算出するつもりでございますけれども地方財政の実態は、地方財政計画の単独事業の総量と必ずしもバランスがとれておりません。現実に財源のある範囲でやっていくという形が地方団体にとられております。この措置があろうとなかろうと、あまり大きな、現実の問題として、これがあったからこうなったという形での因果関係は起こってこないのじゃなかろうか。ただ総体のムードとしては、やはり総需要抑制の基調が国において引き続きとられておるという印象が地方団体に強くしみ込むということによって、ある程度抑制のブレーキがかかってくるということを期待しておるというのが実情でございます。     —————————————
  276. 伊能繁次郎

    伊能委員長 小川君に申し上げますが、さいぜん警察に関する件についての小川君の御質問に対して、山本警備局長から一部修正補追すべきものがあるという申し出がございますので、発言を許します。山本警備局長
  277. 山本鎮彦

    山本説明員 先ほど御質問ありました拳銃と発射弾丸との鑑定のことでございますが、二十九日に韓国のほうから試射弾丸を送付したという通知が来ておりまして、私は当然鑑定が終了しているかと思いましたけれども、現在念のため調べたところ、その弾丸がまだ着いていないということで、クーリエがおくれておりまして、きょうかあす着くということでございます。  それから弾丸の鑑定が、やったということで報告したのは、こちらに残っておった一丁の拳銃については試射弾丸を発射して、その鑑定がこれまでの記録と一致したということでございますが、韓国からはまだ試射弾丸が着いていないということでございますので、つつしんで訂正をさしていただきたいと思います。
  278. 小川新一郎

    小川(新)委員 山本さん、そこでこれはちょっと再質問になっちゃうのですが、先ほどから私が一番この問題をなぜ重視したかというのは、先ほど国家公安委員長が今回の件の責任の所在は日本側にある、日本側にあるということは日韓の外交問題の中で、私たちが日本国内法の中で処理すべきことも、韓国からいろいろと日本の責任の名において強要されてくるおそれがある。そこで先ほどから、三十八口径の大阪で盗まれた警察官拳銃でほんとうに間違いないのか。この拳銃で間違いない限りは日本にその責任があるということなんでございますね。  それで試射弾のことが先ほどあったのですけれども、まだ韓国から届いていない。こういう重大なことを、いま訂正されたからいいようなものの、私もあったと言われて信じておったのですけれども、そういうことで判断がつくのかどうかということで重ねてこの点お尋ねしたいのです。これは重大なきめ手になると思いますね。私どもはしろうとですから、それはよくわかりませんけれども、聞くところによると、三十八口径の拳銃を一メートル以内の近距離で射撃したる場合は、相当な被害が頭部など撃った射出口等に出るといわれております。  そういうことなどで、私たちは盗まれた警察官拳銃がほんとうに使われたのかどうかという、これは日本人としての疑義なんです。そういういろいろな韓国とのいままでのやりとりの中で金大中事件でさえもうやむやに葬ってくる、こういういろいろな事例の中から疑いの念を起こしてあえて御質問したわけでございますが、まだ試射弾丸が届いていない。届いているのと届いていないのじゃえらい違いです。その中で判断をなされるのですから、私たちはしろうとですから、わかりませんから、その点をもう一度御説明いただきたいと思います。
  279. 山本鎮彦

    山本説明員 確かにこれまで御説明したように、拳銃の登録番号、それからその銘柄、写真、こういうものはぴたり一致するわけでございますが、線条痕による弾丸の鑑定というのはやはり一番最後のきめ手になるということで、これについては最初からその試射をしてそれを送ってくれということを要求しておったわけですが、それは要求どおり五発送りましたという連絡がありましたので、到着次第、正確に鑑定をして同一製であるかどうかということで、これをはっきりしたいというふうに考えております。
  280. 小川新一郎

    小川(新)委員 くれぐれもひとつ間違いのないようにお願いしたいと思います。  時間が参りましたから、これで終わらしていただきますけれども地方財政の問題非常に逼迫しております。特に問題になりますことは、十一月から土地利用計画法に従って、土地の先買いの問題についての、地方公共団体の用地の先行取得に関する財源の措置という問題がいま地方自治体において非常に問題になっておりますので、これらをあわせまして起債のワクの緩和とか、いろいろな問題等がございます。時間があれば、もう少し突っ込んだ御質問もしたいのでございますが、きめられた時間でございますので、これで終わりますが、どうぞそういう点を御配慮いただきまして、地方財政に対して格別のひとつ応援をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  281. 伊能繁次郎

    伊能委員長 それでは先ほどに引き続き地方自治及び地方財政に関する件について質疑を続行いたします。山田芳治君。
  282. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は都市交通の問題並びに交付税の問題並びに私学助成の問題の三点にしぼって質問を申し上げたいと思いますが、都市交通の問題は時間がかかりますので、最初に私学助成の問題と交付税の問題についてまず質問をいたしたいと存じます。  まず私学助成の問題でございますが、過般、文部大臣の諮問機関である私立学校振興方策懇談会が私立学校に対する助成の問題を答申いたしたわけでありますが、内容は私大の助成をより一そう拡大せいということで、運営費の二分の一、金額にするならば来年度から二千六百億程度の助成を私立の大学にすべきであるという答申がなされておるわけであります。しかし、都道府県や市町村に非常に関係のある私立の高等学校の問題については、きわめて簡単な程度しか触れられていないということは、非常に遺憾なことだというふうに考えております。  ところで、私立の高等学校におきましては御承知のように非常な父兄負担があるわけでございます。一つの例を申し上げますと、公立では授業料が千二百円程度、しかし、私立になりますと、一万三千円とか一万四千円とかというものが毎月とられるというような形になっております。  そこで、私立の高等学校に対する助成というものが現在私学の間で非常な問題になっているわけであります。私立の高等学校に対する進学率を調べてみますと、八六%程度ではないかと思うのでございますが、進学率の総計を見ますと八九・四%であるというふうにいわれておるわけでありますから、九〇%でございます。大学は御承知のように三二・二%だという資料があるわけでございますが、このように九〇%になんなんとする高等学校の進学率というものを見るときに、もう高等学校の教育は義務教育に準ずる準義務教育であるというふうに考えられるわけでありますけれども、現在私立の高等学校に対する援助というのは交付税積算、本年五百十九億というきわめて大きな額になったというふうにいわれているわけであります。しかしながら、現実にはこんなものは焼け石に水であります。  さて、そこでまず第一点、文部省のほうにお伺いをしたいのは、私立の高等学校が国立と同じように人件費その他の運営費について二分の一助成するとするならば、どのくらい経費がかかるかという点についてお伺いをいたしたいと思います。
  283. 高石邦男

    ○高石説明員 これは四十九年度の見込みでございますけれども、人件費、物件費、高等学校以下幼稚園まで全部含めまして約四千四、五百億というのが見込まれております。これは総経費でございます。
  284. 山田芳治

    山田(芳)委員 二分の一とすると二千二百五十億ということですか。
  285. 高石邦男

    ○高石説明員 そうでございます。
  286. 山田芳治

    山田(芳)委員 二千二百五十億要る。過般、文部大臣その他に伺っておると、国は大学については責任を持つ、高等学校の問題は都道府県の責任であるというような御意見を承っているわけでありますけれども、準義務教育化しつつある高等学校の教育の問題は、都道府県の責任ではなしに、国の責任でもって考えていくべきであるというふうに私は思うのです。その点は文部省いかがでしょう。
  287. 高石邦男

    ○高石説明員 今回の報告書の中では、大学等に準ずる公費助成を行なうべきであるという報告書が出されております。その公費助成の方式といたしましては、国、それから地方公共団体を通じて総合的な財政運用の観点で行なうべきであるという報告が述べられているわけでございます。したがいまして、文部省といたしましても、来年度、その手始めといたしまして百七十億の予算要求をしているわけでございます。
  288. 山田芳治

    山田(芳)委員 それをいま伺おうと思ったのですが、百七十億でしょう。大学が二千数百億、高等学校以下、二分の一とすると二千二百五十億、それにわずか百七十億である。そして交付税措置が五百十九億である。文部省が、いまお話しのように、都道府県を含めて国の責任だといいながら、予算の要求の額があまりにも少ない。それではまさに国の責任であるという発言とはおよそかけ離れているというふうに思うわけです。自治省から聞きますと、五百十九億という数字は交付税算入としてはもうすでに限界に達しているということがいわれているわけでありますが、せめてここまでくるならば、文部省としては国の責任をはっきりする意味において、交付税措置を含めて、文部省が直接私立高校以下の学校に対して援助していくべきであるというふうに考えるわけであります。  その理由は、一つはいま言った国の責任ということがある。第二点としては、交付税によって財源措置をすれば足りるというのではなくて、交付税はあくまでも地方の固有財源である、したがって、それに積算の基礎が幾らあるからといって、直ちにそれが国の責任を果たしたという形になるかどうかということは、補助金化している交付税の要素を含めてみれば、ある意味においてはそうかもしれないけれども、われわれとしては、交付税というものはあくまでも補助金であってはならないという立場に立って考えていくべきであるというふうに考えるので、いまの二点についてどうお考えになるか、もう一度御答弁を願いたいと思います。
  289. 高石邦男

    ○高石説明員 まず、大学についての考え方を少し申し上げておきたいと思うのですが、大学等に対しては実際の国から出している金が、ことし六百四十億の経常費を出しておるわけでございます。実際の実績から申しますと相当低い数字でございますので、来年度は千二百億余りの予算を要求しているわけでございます。大学につきましては、一応ことしの予算要求の姿勢といたしましては、三カ年間で実際の経費の二分の一を改善していく、目標を達成するという考え方でございます。  したがいまして、高等学校につきましても、一応三カ年計画ということを念頭に置きながら、実際の経費の二分の一が国の財源措置と地方交付税の財源措置によって充足されるという考え方で、来年度百七十億を要求しているわけでございます。
  290. 山田芳治

    山田(芳)委員 非常に不十分であるというふうに考えるわけでありますが、この点については、自治省としてはこれ以上はおそらく交付税をふやせないという話があるわけであります。  次にお伺いをしたいのは、公立については人材確保法案によって一〇%がかさ上げをされる。しかるに私学においては、やはりこれと同等のベース改定を余儀なくされるわけでありますが、もうすでに授業料というのは年の初めにきまってくるわけでありますから、給与改定をする際に一〇%上積みをしていくということは非常に困難である。そういう意味で、この一〇%の問題についての私学の助成について一体どういうふうにお考えになっているかお伺いをしたい。
  291. 高石邦男

    ○高石説明員 人材確保の関係、特に小中学校でございまして、高等学校、幼稚園は直接の関連はございませんが、小中学校につきましては、ことし交付税によって措置された金額、そして現在人材確保に伴う諸手当、それから人件費のアップ、そういう状況によって私学の経営が非常に苦しくなっているということは承知しておりまして、現在その内容調査いたしまして、今後の対応策を検討中でございます。
  292. 山田芳治

    山田(芳)委員 今後の対応策というのは、補正予算等を要求するということを含めての趣旨であるかどうか、一応お伺いいたします。
  293. 高石邦男

    ○高石説明員 まず実態の数字の正確なデータがまだふぞろいでございまして、そういう実態の事情聴取をやっている。そしてその数字と現在の財政措置の状況、これを見て今後の対応を考えるということでございまして、補正予算でどうするかというところまでは最終的な方針はまだ未定でございます。
  294. 山田芳治

    山田(芳)委員 それではもう一ぺん基本問題に移りますが、いま言ったように、九〇%も進学率があるという高等学校の教育に対して、文部省としては、準義務教育というか、そういうふうになっているという現状について基本的にどう考えておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  295. 高石邦男

    ○高石説明員 高等学校の進学率が九〇%をこえているということからいいますと、普通教育として大部分の子供たちが教育を受ける、この趨勢は今後もますます強くなっていくであろうということでございまして、義務教育というわけにはいきませんけれども、それに準ずるような形で今後の高等学校の教育というものが実施されていくであろう、それに対応して国の施策は考えていかなければならないというふうに考えております。
  296. 山田芳治

    山田(芳)委員 非常にその対応策がおそいというふうに思うわけですね。だからもっと積極的に、いま大学を含めて私学は非常に困難を来たしているという点は、父兄を含め、学校当局を含めて、国民的な世論になっているという点をひとつ十分文部省は考えていただきたいというふうに思うわけであります。  さて、時間がありませんので次へ進みますが、最近非常に人口が都市周辺に集中をいたしました。最初は小学校から始まり、中学になるわけでありますが、いよいよ高等学校を多くこしらえなければならないという点がそういう府県に多くなってきております。特に大阪であるとか東京であるとか京都であるとかというような大都市の周辺に対して非常に多くの高等学校の要請が出ているわけでございます。そういう面について、少なくても公立の高等学校を一校つくるに数十億の金がかかるわけであります。私立の高等学校に助成をするというのであるならば、公立の高等学校に対して補助金を出すべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、これについてはどうお考えになりますか。
  297. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいまの先生の御質疑でございますが、公立高等学校の新増設に対する国の財政措置については、従来からいろいろな考え方はあったかと思うわけでございます。  御承知のとおり、やはり公立高等学校については都道府県が主として責任を持って設置し、これを管理運営するという姿であることから、従来は地方債なり交付税でやってきたという実態があるわけでございますが、昨年、文部省としましては、三十億円の新増設にかかる補助金要求をしたわけでございますが、最終段階におきまして、関係各省間の話し合いにより、やはり従来どおり、地方債なり交付税の措置で拡充をはかっていこうというふうな結果で四十九年度のセットを行なったわけでございます。  しかしながら今後の問題として私ども考えますに、やはり三百数十校の新増設が行なわれるというふうな事態もございますし、関係地方公共団体の財政事情その他を勘案いたします場合に、やはり補助金というものの創設が必要ではないかと、また再度考慮し、五十年度につきましては、約七十億円の公私立高等学校の新増設整備費の補助金を要求するという姿にいたしておるわけでございます。この補助金の内容建物でございまして、用地につきましては従来どおりの措置でやっていきたい、拡充をさらに関係方面にお願いをしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  298. 山田芳治

    山田(芳)委員 一校をつくるのにまず四十億は大体かかるだろうというのでありますから、都道府県の現在の非常にきびしい財政状況の中でこれを消化することはきわめて困難であるわけでありますが、そういう点で今後ひとつ文部省当局においては、公立の高等学校に対する援助、私学に対する援助というものをもっと積極的に考えていただきたいということを注文をいたしておきたいと思います。  次に、時間がありませんので交付税の点に参ります。もう文部省けっこうでございます。  市町村の交付税の算定を過般発表をされたわけでありますが、都道府県に比べて伸びが非常に少ないというふうにいわれております。その原因は、税を過大ではないけれども非常に多く見ているという点があるというふうに思うわけであります。その中でまず一番目につきますのは、従来は住民税について、一・五倍をもって限度とするという形で基準財政収入額を計算し、一・五倍の額をこえるときは前年度の額の一・五倍の額を基準税額というふうな形をしたのですが、四十九年度においてはこの措置を廃止をするというふうにしているわけでありますが、これは、人口の急増しておる市町村、特に最近は人口急増が鈍化をしてきております。したがって、その計算の基礎になっておるところの人口急増が鈍化した場合に、前年度とその二年前の間の増加率を一年の増加率に置き直して、それを前年度の納税義務者数に乗じて算出するというやり方をやりますと、鈍化しているところは納税義務者数の過大配分を受けるという形において、相当実態と遊離をしているというふうに思うのですが、この点についてはどう考えるべきか、ひとつ交付税課長でけっこうですけれども……。
  299. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいまの御指摘でございますが、四十六年度が初めてだったと思いますが、所得割りの問題について、激変緩和措置として、一・五倍をこえる団体の頭を一応切って収入に入れるという措置をとりました。四十六、四十七、四十八年と三カ年行なったわけでございます。その間におきまして、こえる額が団体ごとに非常にでこぼこで不公平になりますので、それよりはやはり需要を積み増すという形で、そのかわり収入を見るという形をとるべきであろうということで、本年は一・五倍の制限措置を廃止をいたしております。そのかわり、本年度は、人口急増団体市町村等にかかる財政需要の実態を見まして、公園費、道路費、下水道、清掃、小中学校、思い切った需要の増をはかっておりますので、それが交付税の減少につながったという形にはならないと思います。人口急増市町村のほうがむしろ有利になっておるというふうに私どもは判断をいたしております。この五割の制限を受けて余っておりました金額は百億に満たない、二けたの金額でございます。需要の増は三けたの金額を見ております。したがって、そういう御懸念はないものと私どもとしては考えております。  また、本年度交付税が、どちらかというと市町村にあまり伸びなかったということは、法人税割り、これが都道府県のほうも一部を取りました形で向こうへ三%ばかり積み重なっておるということと、それから特別土地取得税、こういったものが新たに入ってきております。当然収入がふえるために減ったものというふうに御理解をいただければけっこうだろうと思います。私どもといたしましては、どちらかというと、需要がつかみにくい市町村にできるだけ財源を増強するということを本来自治省の方針としてきておるところでございます。また今後もできる限りそういう方向で、第一線部隊の仕事がやりいいようにというつもりで運用していくつもりでございますので、また何かございましたらひとつ御指摘をいただきたいと思います。
  300. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、いまの人口急増が三けたの額になるという点があるようでありますから、一ぺんそれを資料でひとつお示しをいただきたい。特に私は今度の交付税の計算において、いまの話のように、人口急増団体に対して一定の増加の措置をとられたことについては一定の評価を惜しむものではありませんけれども、いま言ったように一・五倍の頭打ちをはずしておりますから、現実にはそれによってアンバランスが出ているということもまた事実でありますから、弱小の団体で人口急増の町村は具体的なデータをまた示しますから、一ぺんそういうものは激変緩和の問題もこれあり、ひとつ特別交付税なり何なりの算定の際の参考にしていただくということを注文をいたしておきたいというふうに思います。  次に、都市交通の問題に入ります。  まず第一点として、先ほどから一般公務員、地方公務員のベースの改定の問題についていろいろと質疑応答がなされているわけでありますが、それ以上に深刻なのは、公営企業関係の職員の給与改定の問題であると思います。  まず最初にお伺いをいたしたいのは、過般、財政課長からでしたか、われわれが聞いたところによると、公営企業関係の給与改定の総額が千八百億程度で、交通は四百九十億、病院は七百二十億、水道が四百二十億、その他とこうなっているというわけですが、この数字は間違いありませんか。
  301. 松浦功

    ○松浦説明員 御指摘のとおりでございます。
  302. 山田芳治

    山田(芳)委員 四百九十億にのぼる交通関係の給与改定の問題は非常に深刻な問題だと思います。一般公務員の場合には、もちろん先ほどからいろいろ税の伸びの問題その他があって深刻なことは当然あるわけでありますが、それ以上に深刻なのがこの公営企業関係の給与改定の問題であります。とりわけ第二次再建団体の指定を受け、その計画に基づいて鋭意やっている諸団体が、この三十数%にのぼる給与改定をしいられるというか、給与改定を行なうのが当然でありますから、この点について七十一国会の質疑応答の中で、再建団体においても常識的な給与改定、すなわち、人事院勧告等がなされているその率における給与改定等は、常識的なものとして当然再建団体であっても認めていくということの答弁がなされているわけでありますが、これに対して自治省としてはどういうふうな対応策を考えておられるのかを具体的にお伺いをしたいと思います。
  303. 松浦功

    ○松浦説明員 毎回申し上げておりますように、私どもは、地方公共団体の一般公務員の給与も国家公務員に準じていただきたいということを御指導申し上げております。したがって、公営交通職員の給与も当然一般公務員に準じた水準であるべきだろうという考え方を私どもとしては当然のこととして踏襲をいたしております。その限りにおいては、給与改定がやはり一般の職員と同じように行なわれるべきだ、その考え方には先般の国会で前局長からお答え申し上げたとおり、何ら変わっておるところではございません。  ただ問題は、公営交通は企業収入でまかなうというのがたてまえでございますので、ベースアップに多額の財源を要する場合には、あらゆる企業努力をするとともに、やはり収入の確保ということをはかっていただくということを考えてまいらなければならないかと存じております。もちろんその過程において、あまりに大幅な改定とか、いろいろ地方の事情がございましょう、それらの事情を勘案をいたしました上で、ある程度一般会計から繰り入れるというような措置も含めまして、財源措置の見通しを立てていただいた上で、やっていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  304. 山田芳治

    山田(芳)委員 おっしゃるように、過般東京都においても運賃改定の問題が出されていろいろと紛糾が起こっておりますが、各地方団体において、いま言ったように運賃の改定を、たとえば東京都のように七五%というような大幅なことをやってみても、現実にそれで収支が合うという保証は必ずしもない。それは御承知のように現在の乗車率がきわめて悪いという状態になっているわけですね。ですから、それぞれの団体において努力をされるだろうと思います。しかし、御承知のように来年は統一地方選挙があるわけであります。職員の責任でない部分において、運賃の値上げ等が必ずしも実施をされるかどうかということがきわめてむずかしい状況下にあることもまたこれ事実であります。これはよいとか悪いとかの議論の外になるだろうというふうに思うわけであります。しかも、運賃改定をするとしても、それは将来に向かってのみしか行なわれない。過去にさかのぼって行なわれるものでない。したがって、給与改定というものが少なくとも過去にさかのぼって行なわれるということになるとするならば、その間の赤字というものがやはり予想されるわけであります。そういう点について自治省としてはどうお考えになるか、お伺いをいたしたいと思います。
  305. 松浦功

    ○松浦説明員 私どもといたしましては、公営企業でございます基本的なたてまえもございますし、さっきからもいろいろおしかりを受けましたように、自治体の問題でございますので、これはひとつ財源を見つけて給与改定をやっていただきたい、こういう考え方でございます。
  306. 山田芳治

    山田(芳)委員 もちろん地方団体の幹部が財源を必死になってさがして、他の職員と同様な措置をするということについての努力をされることは当然だろうと思うのです。また、自治省の言われるように節約すべきものがあるならこれは節約をするべきものであろうというふうに思いますけれども、現実に給与改定をしていく上において運賃の収入のみでまかなえないという事態が出てきた場合、特に再建団体において、これは地方団体の自主性ということもさることではありますけれども、再建団体においてはやはり一定の指導なり助成なりということがはかられることを前提として再建団体になっているわけでありますから、そこらあたりにおける自治省の指導なり援助というものについてはいかがであるかということをお伺いしたい。
  307. 松浦功

    ○松浦説明員 再建団体につきましては、計画変更を当然法律の規定によって必要としているわけでございます。具体的な問題としていろいろお話を承り、何とか改定ができる方向で私のほうで知恵がしぼれれば知恵をしぼっていきたいというつもりでおりますけれども、現実の問題として交通事業の財源不足に対して、自治省は財源を与える手段を持ち合わせておらないわけでございます。その点も御理解を賜わりたいと思いますが、個々の事情については十分お話を承り、実情に沿った解決をはかるように努力をしてまいりたいと考えております。
  308. 山田芳治

    山田(芳)委員 ここは非常に大事なところなのでもう一つ伺いますが、現実に企業の危機というものが深刻であって、給与改定をしなければならないという実態もまた事実であるわけであります。そして、他の職員と差別をつけるということであってはならないということもいま答弁のあったとおりだと思うのですね。そうなると、現実に合理化をしてみても、乗車率その他の問題においてこれは企業努力の及ばない部分がある。そういう点について、ある意味においてはかってあったように赤字の計画変更を当年度においては認めていくということを含めて指導をされる意思ありやなしやという点をお伺いいたしたいと思います。
  309. 松浦功

    ○松浦説明員 これは客観的な世の中の情勢とのからみの問題だと思いますが、他の一般職員と同じ水準というお話がございましたが、一般職員のほうが非常に高い場合には私どもは必ずしもそうは考えませんので、その点だけはここから申し上げておきたいと思いますが、後段のどれだけ努力をしてもこれしかない、なるほどこれ以上のことはできまいという判断に立ち至った場合に、赤字を出すという前提での再建計画を認めるということは、場合によっては私はあり得ていいんじゃないかという考えを持っております。ただ、努力をしないでこうだという形で赤字ということは無理かと思いますけれども、それは一つの考え方だとは思いますけれども、この席上で、すぐどの団体にも赤字で再建計画を認めるということは申し上げかねます。ただ、原則論としては、そういう問題も含めて、ただいま御指摘をいただきましたような方向で、個々の団体の実情に応じて話し合いに乗ってまいりたい、こういう気持ちでおります。
  310. 山田芳治

    山田(芳)委員 それではひとつ、公営交通の赤字の問題、再建の問題あるいは公営交通全般が必ずしも当局側の原因ではなくて、全般的な都市交通政策の不十分さから起こっているという点を含めて十分配慮して、再建計画なり給与改定について、自治省は親切な指導をやっていただくということを要求して、次に移ります。  次に、再建債の償還に対する国の補助の内容、いわゆる四五%を交付税で見ると過般の委員会でも言われておったものでありますが、われわれの調査によると、再建債の元利償還額が千二百四十九億、利子補給額が三百七十九億です。これは金利の変動というので若干変動があると思いますが、元金の二五%を普通交付税で見て二百二億、こういうふうに計算をいたしますと、四六・五%程度というふうになるわけでありますが、公営交通問題研究会の答申は、国と自治体が折半に負担をするということを答申せられているわけでありますが、四六・五、三・五%足らないというふうに考えるのでありますが、この数字が間違っていたら訂正をしながら、この問題についての答弁をお願いします。
  311. 松浦功

    ○松浦説明員 御指摘の数字は誤りはございません。四六・五というのは切り上げると五〇でございますから、御了承願います。
  312. 山田芳治

    山田(芳)委員 これを五〇%までやはり増加をしてもらいたい。特に利子の問題ですね。利子の問題についての財政負担は、地方団体の財政力によって、ある部分については国が利子補給を行なわない部分があるわけでありますから、そういう点は地方団体が負担をするということになるわけであります。その点を考えると、やはり利子補給額を五〇%にすべきではないか、あるいは元金の二五%を二八%というふうに交付税で見るべきであるというふうに思うのですが、その点どうですか。
  313. 松浦功

    ○松浦説明員 一つの御意見として承っておきまして、検討はさせていただきたいと思いますが、どうも先生のお話としては少し小さな問題のような気がするわけでございます。それよりは、私どもは、公営交通の問題にとっては、その金額よりはむしろバスの補助金の単価を是正することのほうがより重要であろう、三百八十万円の補助単価を七百万円に引き上げるという形で要求いたしました。これを何とかひとつとりたいというつもりでも努力をいたしております。いずれにいたしましても、御意見は承りましたので、将来の問題として検討させていただきます。
  314. 山田芳治

    山田(芳)委員 バスの購入費の問題を言われましたから、それでは関連して質問をいたしますと、バス購入費の補助金の来年度予算の大蔵省に対する要求額を先ほど実はいただいたのでございますけれども、それによりますと二十六億一千五百万、間違いございませんね。——それで割り返しますと、いま言いましたように七百万だというわけでありますが、私どもが調べたものによりますと、ワンマンバスの標準十メートル車でMR410型というものを仕様書によって算定いたしますと、七百五十二万になるということでありますから、この点は実勢価格を尊重してほしいというふうに思います。予算は予算で要求されるわけですが、交付は実勢単価にしてほしいということは昨年からわれわれも強く要請をしておったわけですが、この点はそういうふうにされる御意思がありますかどうか。
  315. 松浦功

    ○松浦説明員 バスの補助は当省だけではございませんで、運輸省のほうにもございますので、よく相談をいたしまして、七百万という単価で共同歩調をとって要求しておりますので、大蔵省の主計官おいでになりますけれども、七百万とること自体がはたしてうまくいくのかどうか、その辺も問題がございます。ひとつ要求を何とか満度に実現をするという方向で御容赦をいただきたいと思
  316. 山田芳治

    山田(芳)委員 主計官おられるから、なおさら地方団体の要求としては七百五十二万、われわれはもうまじめにこれを計算して調べて持ってきておるのですから、やはり実勢単価をやっていただかぬと、またこれは超過負担ということでいろいろ問題が起こる。五十二万くらいどうだと言われるかもしれませんが、やはりこれをやっていくということの姿勢が大事だというように考えます。  次に運輸省にお尋ねをいたしたいのですが、去年は、いわゆるバスの行政路線というものに対して何らかの結論を出して予算を要求されたかどうか、それは一体どうお考えになっておるかということをお伺いしたいと思います。
  317. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  四十九年度までの私どもの地方バス路線に対する補助の考え方といたしましては、いわゆる乗車密度が五人未満という路線につきましては、これは運輸企業という面から経営採算にはとても乗らないという形で、市町村が代替バスをおやりになる場合に、車両購入費の一部を補助するということで、その他の五人から十五人未満の路線に対しまして補助の考え方は非常に薄かったわけでございますが、五十年度におきましては、最近のいろいろな情勢にかんがみまして、五人未満の路線につきましても、当該の地域で、ぜひ必要な路線であると当該市町村あるいは県におきまして認定をいたしましたような路線につきましては、車両購入費及び運行費の一部を補助するという考え方で現在要求書を作成しております。
  318. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまの問題は、新住宅地バス路線の運営費補助の問題ですか、それとも行政路線の問題ですか。そこが答弁でちょっとあいまいだったわけなんでありますが、いまの話だと新住宅地のバス路線の問題ではないかというように私思うのです。五人未満であろうとなかろうと、とにかくそれ以外に足がなくて、赤字であってもやむを得ないという部分についてのいわゆる行政路線、先ほど言いました公営交通問題研究会から出されている行政路線の問題について質問をしたわけですが、その点はどうですか。
  319. 真島健

    ○真島説明員 私、先ほど申し上げましたのは、新住宅地バスの補助ではございませんで、地方バス路線に対する補助の問題でございまして、まさに先生のおっしゃった意味で、行政路線と申しますか生活密着路線で、いままでは車両購入費を初度に補助しておっただけでございますのを、運行費の補助まで踏み込んで毎年補助をしていく、こういうことでございます。
  320. 山田芳治

    山田(芳)委員 新住宅地のバス路線の運行費は中小都市にまで拡大をされていないのでありますが、政府は、御承知のように二十五万なり三十万なりの中核的な都市というものを考えていくんだというような考え方があるわけであります。そうであればあるほど、中小都市まで拡大をしていくべきであると考えるわけでありますが、運輸省としてはどうお考えになっておるか、お伺いをしたいと思います。
  321. 真島健

    ○真島説明員 従来、東京大阪といったような非常に巨大都市の新住宅地に対するバス路線開設についての補助を考えておりましたが、最近の情勢にもかんがみまして、五十年度にはこれを五十万都市まで拡張いたしまして、五十万都市における新住宅地にバス路線を開設する業者に対して補助をするように前進をしたいつもりで要求しております。
  322. 山田芳治

    山田(芳)委員 地下鉄の問題について質問をしたいのですが、地下鉄の大規模の改良工事についてもひとつ補助をしてほしいということが、具体的には大阪市で、あればいつでございましたかありました。大阪の梅田から天王寺に至るあの古い地下鉄は、御承知のようにピーク時にはホームから人がはみ出すというような状態であるわけであります。そういう大規模なあれをどうしても改造しなければならないということであるわけであります。現在の補助制度、これはわれわれとしては実質六六%まで拡大すべきだという強い要求を当委員会においても出しておるわけでありますが、それを含めて現在の補助制度を拡大する意思はないかどうか、来年度においての予算に対する考え方をひとつお伺いしたいと思います。
  323. 中村四郎

    中村(四)説明員 地下鉄の建設費補助につきましては、来年度概算要求といたしまして、約三百二億円要求いたしておりまして、大体本年度予算に対しまして三三・一%の増という内容に相なっております。ただいま先生御指摘の大規模改良の問題につきましては、私どものほうとしても検討を加えておるところでございますが、具体的な大阪の一号線の改良の問題につきましては、三号線というのが非常に接近して南北に走っておるわけでございまして、この三号線を北方へ延長するかどうかという問題とからみ合っていることでございます。なお一号線自体としては、我孫子の車庫の問題こういうことがあるわけでございます。現在大阪市でもその問題について検討を加えておるところと聞いております。制度的には、私どものほうとして地下鉄の補助金要求につきましては、来年度予算として六六%、六年分割補助という前提で考えておる次第でございます。
  324. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、来年度の予算要求の自治省の案の中で、政府資金の拡充と、具体的に利子の引き下げの問題について、来年度についてどういうふうにお考えになっているか。特に利子については、再建債の場合にも質問をいたしましたのですが、利子は逐次高くなるということを私、申し上げたわけであります。当時の自治省の回答は、利子は決して高くなるかどうかわからないということを言うておったわけでありますが、私は必ず利子は高金利になるぞ、だから予算額を変えるべきだと申しておったわけであります。来年度における金利の状況、引き下げの問題についてどういうふうに考えられておるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  325. 松浦功

    ○松浦説明員 できる限り地方債に対しましては政府資金の割合を高めるということと、公営企業金融公庫債のワクを広げるという形で、全般的に地方公共団体に利子負担が過重にならないようにしていくという努力をしてまいるべきではなかろうかと考えております。
  326. 山田芳治

    山田(芳)委員 まあこれから大蔵省もあるわけでありますから、ひとつ大いにがんばって、公営交通事業に対する政府出資金と、公営企業金融公庫の資金の貸し付け利率の引き下げと償還年限の延長をひとつやってほしいということを要求いたしております。  次に、運輸省にお伺いをしたいのですが、地方鉄道軌道整備法による欠損補助金というものを公営路面電車事業に交付をしてほしいということであるわけであります。同法の三条及び八条による欠損補助金というのは、従来民営事業においてのみ交付されておったわけでございますが、公営交通事業についても同法を適用して、五十年から、私どもの調べたところによりますと、札幌、函館、仙台、東京、京都、熊本、鹿児島という七市があるわけでありますが、これについての考え方はどうなっているのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  327. 中村四郎

    中村(四)説明員 公営の路面電車につきましては、七都市で現在行なわれておるわけでございますが、地方鉄道軌道整備法によりまして補助を民間について行なっております。これは地方交通におきます中小私鉄の経営を維持するという観点から助成を行なってまいっておる次第でございます。  そこで七都市の公営交通路面電車におきまして、函館、熊本、鹿児島、この三都市が地方都市としての路面電車を経営しておるわけでありまして、これらにつきまして、私どもとしては来年度概算要求に民間と一緒に含めまして要求をいたしたところであります。
  328. 山田芳治

    山田(芳)委員 三都市の要求については非常にけっこうなことなんですが、いま私があげた札幌、仙台、東京、京都は抜かれておるわけであります。その理由は何でございましょうか。
  329. 中村四郎

    中村(四)説明員 ただいま申し上げました地方都市におきましては、バスとともに路面電車が現状におきましては中心的な交通機関となっておるわけでございます。大都市におきまして、いま先生がおあげになった都市は、現在地下高速鉄道を運営しておる、あるいは今後これを計画して整備していく、こういう都市でございまして、やはり大都市におきましては、地下高速鉄道を根幹といたしまして、これにバスなり路面電車なりを組み合わせて整備していく、こういうことに相なろうかと思う次第でございます。したがって、私どものほうとしては、その地下高速鉄道を中心とした路線網のあり方、また路面電車の位置づけをはっきりさせた上で考えてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  330. 山田芳治

    山田(芳)委員 おっしゃるとおり、確かにいまの都市は地下鉄をやり、あるいはやろうとしておるわけでありますが、やるとしても、御承知のように、地下鉄を掘るには一年に数キロしかできないというのが現状であります。しかも路面電車は、その間は直ちに撤去できるものではないわけであります。またここの法律によって、過去三年間赤字を出している、そういう該当のものであるのに要求されないという趣旨は私ども納得ができないので、これはひとつぜひ要求をしてほしいというふうに思うのですが、これはいかがでしょうか。
  331. 中村四郎

    中村(四)説明員 先ほど申し上げましたように、これらの大都市におきまして、すでにたとえば札幌等におきましては路面電車を整理いたしまして、地下高速鉄道の建設後の路線網にこれを代替させていく、あるいは吸収さしていく、こういう方策がとられておるわけであります。なるほど現在路面電車というものは存在しておりますが、これらの今後の位置づけというものにつきましては、先ほど申し上げました三都市の路面電車がその当該都市のバスと並んで、輸送の中心になっておるという位置づけとは少々異なっておる、こういう認識でございまして、今後この問題についてもさらに検討を加えていきたい、かように思っております。
  332. 山田芳治

    山田(芳)委員 少なくともできてしまって代替であるというならわかりますけれども、まだできていない、掘るということを決定をしたというだけで要求をされないということについては、われわれとしては非常に片手落ちではないかというふうに思いますので、もちろん、今後予算の折衝その他を通じて、われわれの意見をひとつ十分しんしゃくをしてもらいたいというふうに思うわけであります。  次に警察に伺いたいのでありますが、これはここに交通規制課から出された昭和四十九年六月現在のバスの優先化対策の延長キロの資料があるわけでありますが、これを見た場合にバスの専用レーンが非常に少ない。われわれ警察庁の担当官の方々とお話をすると非常に積極的な姿勢を示されているわけでありますけれども、現実に各都道府県の段階にいきますと、必ずしもそれが反映をされていないという感じがいたすわけであります。そこで、私どもとしては前から要求をしているわけでありますが、交通委員会というようなものを置いて、バスの優先化の対策をもっと積極的に講じてもらわなければ——先ほど言いました東京都におきましても乗車率が二十数%であるというようなデータがあがっているように、非常に大量輸送機関であるところのバスが、何というか非常にやっかい者扱いにされているような感じがする。むしろ逆に、近くはおそらくタクシーの料金の値上げというようなものが十月なり十一月に認可をされるであろうというふうにいわれているわけでありますから、ますますタクシーはもう庶民のものではない、したがって、大量輸送機関というものをもっと優先確保をして、大量輸送をするということを考えなければいかぬというふうに考えるわけでありますが、その点について交通委員会というものをぜひひとつ具体化をしてほしいということが一点と、もっと都道府県本部が積極的にこのバス専用レーン、まあ優先レーンより専用レーンということでありますが、バス専用レーンの設置に強力な話し合いをするような指導をしてほしい。交通委員会に対しても、これは話し合いの場をつくるわけでありますから、さほどむずかしいことではないと思うのでありますが、なかなかこれができないということははなはだ遺憾だというふうに思いますが、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  333. 久本礼一

    ○久本説明員 先生が御引用になりました数字は、六月末現在におきまして全国の都道府県におけるバスの優先の数字を示したものでございますが、内容的に現在の総数を見ますと、確かに専用レーンが少ないということは見えるわけでございますが、バスの優先につきましては、当初なるべく他の交通機関に影響を与えないようにということで、優先を中、心に引いてまいったという経緯があるわけでございます。しかし現在におきましては、やはり都市の道路交通の過密現象を見てまいりますと、大量輸送機関であるバスをできるだけ優先させて、これに乗りかえてもらうということが必要だという認識に立っているわけでございまして、現在はできるだけ専用レーン及び一まあレーンは本来片側二車以上の幅員のあります道路に置くものでございますが、かりにそういう幅員がなくても、ある一定の時間を限ってバスだけを通して、バスの利用性を高めるということもやろうじゃないかという、いわゆるバス専用道路というような規制も現在進めておるわけでございます。最近の進めておる数字の中では、そのような専用レーンあるいはバス専用道路といったような、かなり徹底してバスの優先をはかるという規制の数字のほうが多いという現状でございまして、都道府県もそういう方向で努力をしているわけでございます。  ただ、そういう総論につきましては十分に理解されるのでございますが、具体的に規制を進める段になりますと、やはりいろいろ付随した問題が出てまいります。たとえば、できるだけ徹底した規制でバスの優先をはかろうとすればするほど、その路線における通常の車両の通行が不便になりますので、裏道に車が入っていくというようなこともありますので、バス優先路線に並行して、その路線の周辺に車が入らないような規制をきびしくしていく必要があるというような点もございます。それからまた一般の車両の通行を非常に抑制するわけでございますので、やはりそのような利便が失われるという面からのクレームもございます。そういうようなものも、切り捨てでなく、よく話をいたしまして納得をしてもらって進めるというようなことでございますので、やはりそういうむずかしい規制にあえていどんでいくという現状では、なかなか数字が思うように出てまいらないというところでございます。  先般五月に都市総合交通規制ということで、現在の十万以上の都市を一応目標にいたしまして、ここで過密の道路交通問題を何とかして解決するという方向を出しましてから、県警は積極的にこの点に取り組んで、従前も決して欠けておると思いませんが、さらに積極的に取り組んでおりますので、先生御指摘のような問題は徐々に実績上解消してくるだろうというふうに思います。  また交通委員会の点でございますが、いろいろ制度的にどうするかという議論はございますが、ともかく現実の問題としてこれは地域のいろいろな層の意見を聞いて、十分私どもの考え方も理解をしてもらい、納得を得なければ規制が進まないという点は事実でございますので、地元とよく話し合いをして十分に意見を聞くということは、いろいろスタイルがございます。たとえば都市交通規制諮問委員会とかいろいろな形がございますけれども、最近は、名前こそ千差万別でございますが、かなりいろいろな機関を設けて、関係者に集まってもらって意見を聞くという形で規制をやっておるという実情でございます。
  334. 山田芳治

    山田(芳)委員 時間がございませんので建設省の方に簡単に質問しますが、モノレールの予算を来年度要求をされておるように思いますが、ひとつ具体的にお答えを願いたい。
  335. 中野三男

    ○中野説明員 お答え申し上げます。  モノレールにつきましては、現在北九州市の小倉区で一カ所だけ公共事業として助成することがきまっておりまして、昭和四十九年度には六千万円、国費で四千万円の補助金を出してございます。五十年度は事業費で三億、国費で二億でございますが、四十九年度に引き続きまして五十年度はおおむね六千万くらいを要すると思いますが、調査設計になお時間を要すると思います。残りの二億何がしかの金で、モノレールの各構造に着工することになろうかというような予定で予算要求をすることにいたしております。
  336. 山田芳治

    山田(芳)委員 最後に、私どもとしては、都市交通のこのような現状の中で、来年度はやはり一般財源をふやして、公営交通へ一般会計から繰り入れをするということを考えてもらいたい。もちろん独立採算制をはずせということはわが党の要求であるけれども、なかなか政府としてそうはいかぬということでがんばられるであろうと思いますが、われわれとしては具体的な問題として、都市交通の現状から路面電車、バス、地下鉄等に対する一般会計からの繰り入れというものをやっていくということの財源を与えるべきであるということで、事務所事業所税というものの創設を強く要求をいたしておったわけでありますが、過般来から自治省としては、大きな柱、重点施策として、事務所事業所税というものの創設を関係当局と折衝をしているというふうに聞いております。  われわれとしては、そういう都市交通のあるような都市において、この事務所事業所税を創設をして、その中から、都市交通への一般会計からの繰り入れの財源にすべきであるというふうに考えておるわけでありますが、現在考えられているところの事務所事業所税の内容について自治省からお伺いをし、大蔵省もせっかく主計官がおられますから、これに対する考え方もあわせてひとつお伺いをしたい、こういうふうに思います。
  337. 松浦功

    ○松浦説明員 事務所事業所税につきましては、大体昨年度いろいろと言われておりました構想と大差はございませんが、事務所事業所の面積割りと給与割りということで考えてまいったらいかがだろうかということでございます。特に法人関係の臨時利得税等の問題もございまして、いまおっしゃられましたような趣旨で、交通だけというふうにおっしゃられると私どもも非常に困りますけれども、大都市の特別な財政需要、その中の大きな部分が交通ということになろうと思いますが、そういった財源に一部充てるということのためにも、この制度はぜひ実現いたしたいと思っております。これはひとつ何とぞ御支援のほどをお願いを申し上げておきたいと思います。
  338. 名本公洲

    ○名本説明員 事務所事業所税は、税でございますので、主税局のほうになりまして、私どもの所管ではございませんけれども、現在のところ、地方財政といたしましては、都市財源というものに一つの問題があるというふうに、主計局、主税局ともに考えております。したがいまして、そういう財源の一つとして、事務所事業所税というものが考えられておるということは、一つの意義があろうかと思います。四十九年度は、法人税あるいはそういう別途の方向で市町村財源というものにてこ入れをしたということでございます。大蔵省といたしましては、自治省のそういう御要望も伺いながら、いずれ税制調査会において十分御議論をいただけることと思っております。
  339. 山田芳治

    山田(芳)委員 あと関連質問がございますのでやめますが、事務所事業所税の財源の確保とともに、都市交通に対する財源の確保としてぜひやっていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  340. 伊能繁次郎

  341. 山本弥之助

    山本(弥)委員 約束の時間が参りまして申しわけございませんが、次の委員会でさらに質問なり意見を申し述べたいと思いますので、運輸省からもおいでを願っておりますから、簡潔に二点だけお尋ねいたしたいと思います。  第一点は、先ほどから問題になっております給与改定の財源あるいは超過負担の是正の問題でございますが、今日、総需要抑制という国の政策に協力して編成いたしました地方公共団体といたしましては、いま大きな問題は、この超過負担の是正をどうしてもらうかということと、給与財源の確保だと思うのであります。  先ほどお話がございましたが、一つは国による、まあ地方交付税が中心になると思いますが、財源確保、それから超過負担の問題は、補助金、負担金の単価是正その他が中心になると思います。  超過負担の問題につきましては、大がかりな調査をやっておられると思いますが、この結果が出ておるかどうかわかりませんが、この二つの問題の一方は財源確保、一方は国の補助、負担金の是正問題、これは次の通常国会で必ず実現することを期待するわけでありますが、いかがでございましょう。
  342. 松浦功

    ○松浦説明員 先ほども三谷委員の御質問お答え申し上げましたとおり、給与改定財源につきましては、従来の例のとおり、財政計画上に計上しております単価ではじき出しました所要額については、責任を持って措置をいたすべきだと私どもは考えております。  それから、二番目の問題につきましては、これは私どもが全部きめるわけではございませんので、あまり大きなことを申し上げることはいかがかと思いますけれども、少なくとも、真剣に各省にお願いをし、また親元で国庫財政を握っておられる大蔵省に強力に迫って、できる限り現実に近い姿に単価を改定していただくという努力を繰り返して積み重ねてまいりたい、こう考えております。
  343. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大蔵省の主計官がお見えになっているようでありますが、これは私、新聞で見た記憶が不確かでありますけれども、大平大蔵大臣も、地方公共団体の給与改定に関連いたしまして、何か国との関連において、ぜいたくをしているような発言をされた記憶があるわけであります。このことはともかくといたしまして、三谷委員も話しておられたようでありますが、いま松浦財政局長から御答弁のありました超過負担の問題は、これは地方公共団体の財政にとりまして多年ガンをなしておるわけであります。大蔵省は、大蔵省も関係しておるわけでありますが、その調査が完了次第、必ず超過負担の解消、これは年度内は当然のこと、来年度におきましても、解消につきまして十分な努力が必要ではなかろうかと私は思うのであります。大蔵省の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  344. 名本公洲

    ○名本説明員 超過負担の問題につきましては、大蔵省といたしましても、従来からいろいろ配意しておるところでございまして、御承知のように、この問題は古うございまして、四十二年、四十三年以来、大蔵省、自治省、それから関係各省で調査をいたしておるところでございます。  今年度四十九年度は、さらに従来にも増しまして、調査をいたす補助金の本数をふやしまして、九つの補助金につきまして調査をいたしてございます。これは現在集計中でございまして、まだその結果が出てまいりませんが、集計ができまして、各省とさらに調整してまいらなければなりません。それが出ましたところで、その措置につきまして省内で検討してまいらなければなりませんけれども、四十七年度の調査におきましてもいたしましたように、各省意見を調整をいたしまして、超過負担であるというふうに認めましたものにつきましては、大蔵省としても誠意を持って解消してまいるというつもりでございます。  それから、給与の問題でございますけれども、給与の地方の財源につきましては、先ほど松浦財政局長もおっしゃいましたように、大蔵省といたしましても、自治省と十分相談をしながら、財源について措置をしてまいりたい、かように考えております。
  345. 山本弥之助

    山本(弥)委員 超過負担の問題は、地方団体の実情に合うように——私はぜいたくなことを期待しているわけじゃありません。実情に合うような査定といいますか、配慮が願いたいと思います。これは要望をいたしておきます。  第二の点は、ただいま山田委員から公営都市交通の問題につきまして、主として市でありますけれども、市の苦衷につきましていろいろ御質問したわけでありますが、これはもとより市の公営企業でございますので、当然市としては責任を負わなければならぬと同時に、今日、国といたしましても責任を負う体制ができつつあるわけであります。公営企業でない、具体的に申し上げれば、岩手県のように弱小民営バスで県民の足を守っております県、これは全国で最も悪いほうの県の一つ、ワーストファイブといわれておる北海道だとかあるいは北陸だとか長野だとか、その中でも岩手が一番悪いようでありますが、今日、もはや企業としてやり得ないという実態になっておるわけであります。もしこのまま放置してまいりますと県民の足の確保ができないという事態に追い込まれる。しいて会社の存続を認めていくとするならば、ほとんどの路線が休廃止に追い込まれるという実情にあるわけです。このことは県といたしましても苦慮いたしまして、ハス対策協議会を県に設置いたしまして、協議を重ねてきておるわけであります。最近、県の見解というのが出ておるわけでありますが、これによりますと、労使の間の話し合いをまずして、それからいろいろ考うべきである。その上で、国も従来の線に沿うて助成をし、県もある程度までこれに対して補助金を出すというきわめて消極的な姿になっておるわけであります。しかし、岩手県の県南一帯を運行いたしております県南バスは、会社更生法の適用を申請しておるという実情であるわけでありまして、もしこのまま放置いたしてまいりますと、路線を整理するか、あるいは労働者の合理化あるいは人員整理を行うかというような実態に追い込まれるわけであります。  事実、全国的にも水準の低い岩手県におきましては、昭和四十二年にいわゆるバスを利用しておりました人口と自家用車の人口比率は七、三だったのが、四十七年にはむしろ自家用車を利用する県民が多くなっておる。いわば資力の乏しい、あるいは女子供の足が確保できないというような実態に追い込まれておるわけであります。  このことにつきましては、すでに過般私ども重視をいたしまして、自治大臣は御不在でございましたが、代理の方あるいは大平大蔵大臣、運輸大臣等に陳情を申し上げました。民営バスが路線を拡大すれば、利潤があがっていたような時代と違いまして、いまはもう企業として採算がとれないという弱小企業の実態に追い込まれておるわけであります。これは真剣に県民の足を守るという県知事の行政の一環として処理しなければならぬという事態に追い込まれておるわけであります。運輸大臣も、こういうバスにつきましては、いわゆる過疎バスを中心といたしまして国と地方の責任においてこれを処理しなければならぬのだということを言明しておるわけであります。このことにつきまして、私は知事としても痛しかゆし、いわゆる権限がないので、いままであまり自分の行政の一環として考えていなかった。これらはもう行政の一環として考えなければいけないという事態に追い込まれておる。こういう事態でありますので、まず運輸省の御方針を承りまして、当然地方行政に関連をしております自治大臣の御見解を承りたいと思います。
  346. 真島健

    ○真島説明員 ただいまの問題でございますが、私どもバス事業全般を所管しております立場から、特に昨年末の石油ショックに伴ういろいろな問題、物価の上昇、人件費のアップというようなことで、地方のバス路線が非常に経営悪化をしておるという実情は十分承知をしておりました。これをどういうふうにしたらよいのかということ、苦慮しておるわけでございますが、当面の全般的な考え方といたしましては、現在やっております地方バス路線に対する補助制度を大幅に拡充強化をいたすという点が一つでございますが、それと並行いたしまして、適正な運賃水準の維持、この二つを大きな柱といたしまして地方バスの建て直しをはかってまいりたい、このように考えております。
  347. 松浦功

    ○松浦説明員 民営バスの問題でございますので、ただいま山本先生から御指摘をいただきましたように、従来のように私企業という考え方だけで見るんではなくて、県民の足を確保するという立場から、地方自治に密着しておる問題だという理解を持つべき必要があるんじゃないかというふうに考えております。  ただ、われわれは、民営バスの中身を全部存じておるわけではございませんので、運輸省のほうでおとりになられる方策に応じて、基本的には山本先生御指摘いただいたように、国、地方公共団体両者の責任において対策を講ずるというたてまえが私どもとしては適切ではなかろうかと思っております。したがって、運輸省の方針がきまりますれば、よく両省で相談をいたしまして、地方公共団体の持ち分をどういう形で措置をするかということについて検討させていただきたい、このように考えております。
  348. 山本弥之助

    山本(弥)委員 来年度におきましては、当然、先ほどもちょっと運輸省のほうでお触れになりましたけれども、過疎バスの補助金の拡充、二十二億を九十億にするという要求でしょうか。
  349. 真島健

    ○真島説明員 私どもいま要求しております額は、八十億でございます。
  350. 山本弥之助

    山本(弥)委員 来年の補助金を増額することは、私は当然だと思うのであります。八十億が不十分であることは当然でありますけれども、ただ問題は、補助金をふやしましても、たとえば岩手県の場合はもうすでに収入が人件費をまかなえるかどうかといったような状態にあるわけですね。これに対しましては、私は、一つは機構を考えなければいけない。それからもう一つは、先ほど山田委員も触れましたが、県いわゆる地方公共団体、住民が県民の足を守るという見地から関心を持つということからいっても、従来運輸省が認可をしたり、あるいは陸運事務所の所長さんが関連いたしまして、町村長の意見を聞いて路線の廃止、中止というふうなことをきめるということではなくて、料金が適正であるかどうか、あるいは路線をさらに整理すべきであるかどうか、県民の関心のもとにこの問題を解決していかなければならぬ事態に追い込まれておる。そういたしますと、何らかのそういった機関、交通委員会といいますか、そういった機関によって県も市町村も自分の問題——いままでの過疎対策の緊急措置法で一部代行するようなことではなくて、県全体の問題になってきておるわけでありますので、そういったふうに地方公共団体が責任を持つということについては、国の機関が入ることは当然であります。ある程度まで県民の、いわゆる住民参加のような組織の委員会組織、これが行政機関になるか諮問機関になるかは別といたしましても、そういう機関で地方公共団体も県民も関心を持つということと、将来どういうふうになるんだという見通しを私は明らかにする必要があると思う。  それからもう一つは、ある程度まで地方公共団体、まあ県知事だろうと思いますが、県知事に交通行政についての権限を委任するということ、それからさらには、こういったことをやるについてはどうしても特別立法——暫定的な立法であっても特別立法によりまして、国、県、市町村の責任の所在を明らかにいたしまして、住民に安心をさせるというような方策を早急に立てるべきではないか。当面応急の措置と同時に、これは恒久策とはいえないまでも、そういった意味で地方公共団体も責任があるという意味におきましては、緊急立法あるいは行政組織といった問題を考えなければならぬのだと思いますけれども、運輸省はどういうふうにお考えになりますか。
  351. 真島健

    ○真島説明員 私どもの大臣も、いま先生の御指摘されたような問題について、国と地方公共団体が協力して解決をはかるべきであるということを申し上げておるわけでございまして、私どももその点について異論があるわけではございません。  次に、交通委員会というような問題でございます。これは法律に基づいてということではございませんけれども、私どもも過疎地域のバスがだんだん経営が悪くなってくるという状況に応じまして、補助金制度をつくりました段階で、地方にも過疎バス対策協議会というようなものをつくりまして、これは県及び関係市町村、それから陸運局の職員がメンバーになって当該地域について、当初は補助金をどういうふうにして要求するかというような具体的なことが問題でございましたが、そういうものをつくりまして、地方における過疎バス路線といったようなものの今後の問題を議論するという場はつくってございます。そういう意味で、今後そういうものをさらに発展的に前進させるという方向で前向きの姿勢でものを考えてまいりたい、このように思っております。
  352. 山本弥之助

    山本(弥)委員 特別立法はいかがですか。
  353. 真島健

    ○真島説明員 これは私ども、現在成案があるわけではございません。今後自治省の方々とも御相談をいたしまして検討いたしたいと思います。
  354. 山本弥之助

    山本(弥)委員 自治大臣、いまの点についてどうお考えになりますか。
  355. 町村金五

    ○町村国務大臣 過疎地域においてバスの利用者が漸次減りつつある。したがって、民営のバスではとうてい経営ができない。しかも自家用車の増加に件ってその傾向は今後一そう顕著になることだけは間違いがないのではないか、したがって、いままでのような民営バスというような形でやらせること自体が、どうも私は長続きしないのではないかという感じがいたすわけでございまして、むしろ私は、県なりあるいは関係町村の間で、そういったどうしても必要なバス路線を、どういう形がよろしいか知りませんけれども関係の町村の組合でやらせるか、県も入った組合でやるのがよろしいかわかりませんが、何かそういうような方法で、しかもそれに対しましては現在の民営バスに国が補助をいたしておるわけでありますから、あるいはそれをさらにふやしていただくというようなことで、どうしても維持しなければならない路線だけはこれを確保するというようなことも私は検討に値する方法ではなかろうかという感を持っておる次第でございます。
  356. 山本弥之助

    山本(弥)委員 最後に大蔵省にお伺いしますが、過般大蔵大臣にお目にかかりました際に、運輸省で計画を立てた場合には、十分大蔵省としても配慮するというお答えをいただいておるわけであります。どうか来年度予算編成にあたりましては、運輸省の過疎バス対策、いわば不採算路線につきまして十分な補助金を考えるということにつきまして、査定の際に十分御考慮を願いたいということを強く要望いたしておきます。(拍手)
  357. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次に、先刻の小川新一郎君の質問関連いたしまして、警察に関する件について質疑の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。
  358. 林百郎

    ○林(百)委員 ごく簡潔に二、三点警察当局にお聞きしたいと思います。  朴大統領の狙撃事件で決定的に重要な要因、ことに日本が外交的に責任を感じておるウエートを占めておるものは、日本警察ピストル盗難にあい、それが用いられた点だということが、当委員会警察当局から説明があったわけですが、これは警察所管の当委員会の権威のためにも、また日本警察の権威のためにもはっきりさせておかなければならないわけですが、先ほど警備局長が、そのピストルが用いられたかどうかということについて、決定的な証拠となる線条痕の写真が二十九日に韓国から送られたというが、まだ警察当局の手には届かないということのように聞いておりますけれども、これはどういうわけなんでしょうか。われわれ常識的に考えると、飛行機で一日あれば、警察の手へ渡ることができると思うのですが、二十九日に送られたものが、三十日、三十一日、一日、二日になってもまだ警察の手に届かないということは、どういうことなんでしょうか。その間の事情説明願いたいと思います。
  359. 山本鎮彦

    山本説明員 二十九日に日本の大使館に送られてきて、三十日に向こうの大使館から出したということで、調べましたら、先般五時ごろ、こちらに入手されていることがわかりました。三十日に発送したのが途中で何らかの経緯でおくれたと思いますが、先ほど入手いたして、ただいま鑑定中でございます。
  360. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど入手したというのは、警察のほうへ入手したという意味にとっていいですか。——そうですか。そうすると、同時にこのピストルが用いられたかどうかということについては、やはり朴夫人の傷を受けた状況、これも非常に大きな要因になると思います。これはどういう手続をとるかはそれぞれの国際的な慣行もあると思いますが、その傷の解剖の所見、これを捜査資料として相手方から送付を要求することはしないのでしょうか。
  361. 山本鎮彦

    山本説明員 その現場の弾丸の発射状況、それから受傷状況、部位、そういうようなものについては、向こうに詳しくその状況を送ってほしいという、ことをかねてから依頼しておりますが、現在までこれは送られてきておりません。
  362. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、警察の手に線条痕の写真が入ったそうですから、その鑑定の結果と、それからもし朴夫人の傷を受けた解剖所見の報告が手に入りましたら、当委員会にひとつぜひ警察当局として発表されたい、こういうように思いますが、どうですか。
  363. 山本鎮彦

    山本説明員 ちょっと御説明いたしますと、線条痕というのは、各拳銃それぞれ発射して、その傷あとが弾丸についておるわけでございまして、被射弾丸それ自体が送られてきたということで、写真ではございません。それで直ちに鑑定すれば、こちらに各拳銃すべてについて線条痕はとってありますので、その記録と対照すれば真実がわかりますので、これについ、ても御報告をいたしますし、それから現場のこまかいそういう受傷状況がはっきりすれば、この点についても御報告いたしたいと思っております。
  364. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ要望しておきますが、この文世光ソウルに光復節当日よりも十日前に行って、ホテルにいて、その光復節まで十日間の間の行動についていろいろのことが報道されております。それが事実かどうかということも確かめたいと思いますし、先ほど私の質問の中でも、そういう身元が韓国に確かめられておらない人物が、この国立中央劇場の最前のブロックに位置を占めることができたという経過について、しかも彼がピストルを持っていたとすれば、そのような者が厳重な警戒の中でそういうところへ位置を占めることができたということは、どうもわれわれとしては不審でたまらないわけです。これは、先ほど山本警備局長もその報告を求めておるということだったのですが、何かその一部でも報告は来ているのでしょうか、その点はどうなっていましょうか。これもまたわかりましたら詳しく当委員会でやはり説明をしていただきたい。当委員会は、警察に対する日本の国会の責任ある委員会でありますし、国際的にも当委員会もまた一端の責任を負って、日本警察の権威についてもわれわれは協力する点は協力しなければならないと思って言っているわけですから、その点についてもひとつ御説明願いたいと思います。
  365. 山本鎮彦

    山本説明員 八月六日に文は向こうに渡航しておる、その後ホテルにおったという点については向こうから連絡が入ってきておりまして、ホテルの中における彼の行動についてはいろいろと調査しておる、若干判明した点の通報は来ております。その結果によると、結局本人一人だけであって、一部にもう一人共犯者あるいは訪問者がいたんじゃないかというような疑いがあって調べたけれども、それについては全く嫌疑がなかった、したがって、一応ソウルに入ってホテルに滞在している間にはほかの者と特別な関係はなかった、こういう報告が来ております。これについては、いましさいに検討中でございまして、不十分な点があればさらに照会をいたしたいと考えております。  それから会場に入った状況は、まだ詳しくは入ってきておりませんので、いずれまとめて御報告をする機会を得たいと、このように考えております。
  366. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。ひとつ国家公安委員長、町村さんも、当委員会も対外的にも責任のある委員会ですから、事情をなるべく正確に知りたいと思いますから、そういう報告がわかり次第、当委員会報告をしていただきたい、そのことをお約束していただいて、私の関連質問は終わりたいと思います。
  367. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいま御希望の点、十分考慮して善処してまいりたいと思います。
  368. 林百郎

    ○林(百)委員 済みました。
  369. 伊能繁次郎

    伊能委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後六時三分散会