○高橋説明員 おくれて参って申しわけございませんでした。
ただいま
板川さんから骨子が固まったという
新聞報道のお話がございましたけれ
ども、実情を申しますれば、まだ固まってはおりません。この点は、
新聞報道についてとやかく申す気持ちはございませんが、私のほうの内部として骨子が固まっているという状態ではまだない。何日
あとかということははっきり申し上げかねますけれ
ども、近いうちに骨格を固めたいという
考えはございます。ただし、これは御承知のとおり、法案の
提出権は私のほうにはございませんので、結局、
政府・自民党の十分な御理解がなければ非常にむずかしい問題になります。そういう点では、私のこれからの発言についてはそれらのことも十分
考えて——自民党の中には、私があまり先走ったことを申し上げることについて批判的な御意見もございますので、きょうは、いまお求めにございましたように、主としていま
考えております要点は何かということをかいつまんで申し上げ、御了承いただきたい。
第一点は、いわゆる独占並びに寡占、これは
程度の差異でございますが、その対策といたしましては、
一つには企業分割というものを取り上げておる。できる、できないの問題は別でございますが、私
どもとしては、企業分割という
制度はつくっておきたいという
考え方でありまして、これは言うまでもなく典型的なものはガリバー型の一社独占というような形でございますけれ
ども、一社とは限らずに一または二ぐらいの企業で、市場に対する生産、供給力が大部分集中しておるという場合にお春ましては、独占の弊害が
一般的に出てまいりますので、これを是正するのに——他に
方法があれば別でございます。また、いろいろな状況を勘案した上でなければやれませんが、競争状態を百現させるためにどうしても企業分割が必要であるというような場合には、そういうことを
考えなければならぬだろうというのが
一つでございます。
次は、原価の公表でありまして、原価公表ということについてもとかくの批判はございますが、私
ども外国の例などを調べまして、これは寡占状態にあるものに対してはこれを分割するというわけにはいかない。その前の段階におきまして、原価の公表を求めるということによって——それらの寡占
業種はかなり高度の寡占
業種でありますので、以心伝心で、カルテルという積極的な行動を伴わなくても、価格のほぼ同時的な同調的な引き上げが見られる場合に限ってこれを求めるわけでございまして、この
業種の範囲はそれほど大きく広がるものではございません。
一般的なものではございません。
次は、カルテルの対策としまして、かねがね私申してきましたが、いわゆる値下げ命令と申しますとちょっと誤解を生みますので、価格の原状回復命令というふうに名前を変えておりますが、要旨は、要するに違法行為によってカルテル価格が形成された、適正な価格とはいいがたい、ほんとうの競争によって生じた市場価格ではないと認められる場合に、現在の破棄命令ではそれを変えることが事実上できません。ですから、すでにつくり上げられたカルテル価格は独占価格の一種であると私
どもは
考えておりますが、そういう人為的につくられた価格がそのままに放置されるということは、国民
経済上また国民、消費者のサイド等から
考えまして穏当でないと
考えまして、目的はあくまで価格の面における競争状態を再現させることにあるのでありますが、一時的にはこちらが、不当な価格引き上げに対して引き下げを、もとに戻すということを原則にいたしまして、原状回復命令を出す。ただし、機械的にもとへ戻すとは限りませんが、その辺はしんしゃくの余地を残したいと思います。
次には、課徴金の問題でございまして、カルテルによって価格が引き上げられた場合に、それによって当為不当な利得が生ずる。これは観念的ではございますが事実上計算してどうなるかというむずかしい問題はございます。しかし、外国の事例等を見まして、
限度額としてはある
程度割り切った
限度額を設けるということができるのではないか、許されるのではないかと思いますが、主としてこれは法務省が、裁判所によってこういうことをやるべきではないかという問題と若干触れ合いますので、それらとの調整が今後とも必要になってくると思いますが、私
どもはぜひとも行政処分として課徴金を課するということを
考えたい、こういうふうに思っております。
その次には、株式保有の制限でございますが、わかりやすいほうから申しまして、金融機関の、ただいま制限されております一社の株を百分の十以上持ってはならないというのは今日の段階では少し甘過ぎる。実情を
調査いたしましても、金融機関が上位の株主を占めるケースが非常に多いという感じがいたします。これは一方で金融機関に対する依存度が非常に高い日本の産業の体質からいいまして、借入金によって金融機関に頭が上がらぬということがある。金融機関に対して強いものはまれにあるだけでございまして、それに対して、さらに株主としての立場からも発言権が強い。これは強くならざるを得ないわけですが、いかに機関投資家でありましても、上位株主、筆頭株主ということになりますと、その点は行き過ぎになる場合もあると思います。そういう金融が産業界を支配するという
程度をもっと軽くする必要があるんじゃないかと思いまして、この十を引き下げたい。幾らに引き下げるというのはまだ決定はいたしておりません。
なお、それ以外の
一般事業会社につきましては、比較的大規模なものに限りまして、そう小さな企業には要求いたしません。大規模なものについては株式の保有について何らかの制限を設けたい。しかし、何らかの制限と申しましても、
一つ一つの株式について制限を設けるということはたいへん煩瑣な面もあるし、実情に沿わないので、総額規制を行なってはどうか。その総額規制の範囲については、ただいままだ申し上げるような段階に至っておりません。その点、御了承願いたいと思います。
なお、このほかに、
一般事業会社に対しまして、その競争
会社の大規模な
会社ですね、それが自分と競争
関係にあるとはっきりわかる
会社の株式を持つことについては相当きびしくする必要があるのじゃないかという
考えがあります。これはもともとは、原始独禁法では全面的に
事業会社は他の株式を持ってはいかぬという規定がございましたが、それは極端でございまして、ある
程度持つことは、それを大目に見たって差しつかえないと思いますが、競争
関係にある
会社についてはこの際若干規制を強めるほうがいいのではないかという
考え方がありますが、この点はまだきまったものとして申し上げる段階ではございません。
検討中でございます。
なお、刑事罰の強化につきましては、罰金が実情に反して軽過ぎるという点を是正する。
なお、
事業者団体にすでにありますところの
事情は、カルテル等の不当な制限行為、そのほか
私的独占を含みますが、すべて独禁法違反事件を十分知りながらそれを放任した場合にやはり責任罰を問われる。これを過失責任罰と呼ぶべきかどうか知りませんが、
通常、過失責任罰ということばがございますが、私
どもは責任罰として罰金刑だけを
考えるということを
検討しております。
そのほかにつきましては、不公正な取引
方法の規制を強化するということ、それから既往の違反行為についても排除措置がとれるというようにする。これはわれわれの体験からしましてどうもそうする必要がある、こう
考えられます。
以上で簡単な説明を終わらしていただきます。